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2010年12月6日 チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ 第8回議事録

医政局看護課看護サービス推進室

○日時

平成22年12月6日(月)15:00~17:00


○場所

厚生労働省5階共用第7会議室


○出席者

秋山 正子 (ケアーズ白十字訪問看護ステーション 統括所長)
有賀 徹 (昭和大学医学部救急医学講座 教授)
井上 智子 (東京医科歯科大学大学院 教授)
川上 純一 (浜松医科大学附属病院 教授・薬剤部長)
神野 正博 (社会医療法人財団董仙会 理事長)
小松 浩子 (慶應義塾大学看護医療学部 教授)
真田 弘美 (東京大学大学院医学系研究科 教授 )
竹股喜代子 (医療法人鉄蕉会 医療管理本部 看護管理部長)
英 裕雄 (医療法人社団 三育会 理事長)
星 北斗 (財団法人星総合病院 理事長)
前原 正明 (防衛医科大学校外科学講座 教授)

○議題

1)これまでのヒアリング内容と御議論について(教育・研修に関して)
2)その他

○議事

○島田看護課長補佐 
 定刻を少し過ぎましたけれども、ただいまより、「第8回チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、御多用中、当ワーキンググループに御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 まず、委員の出席状況でございますけれども、大滝委員、山本委員より、本日欠席という御連絡をいただいております。また、小松委員と英委員につきましては、少し遅れて御出席という御連絡をいただいております。
 事務局でございますけれども、医政局長は別な用務がございまして、本日は欠席させていただきます。よろしくお願いいたします。
 次に、配布資料の確認をいたします。
 議事次第と座席表をお配りしております。
 資料1「ヒアリングの主な内容と御議論について」、17ページの資料でございます。
 資料2「職能団体へのアンケート調査結果」、48ページの資料でございます。
 資料3「看護業務実態調査(学会への質問紙調査)」、7ページの資料でございます。
 乱丁落丁などございましたら、事務局の方にどうぞお申しつけください。
 それでは、座長、以降の進行をよろしくお願いいたします。
○有賀座長 
 委員の先生方、こんにちは。本日もどうぞよろしくお願いします。
 本日は、資料1、2、3と御紹介がありましたけれども、議事次第によりますと、「これまでのヒアリング内容と議論について」とあります。それが資料1、これが大きなテーマだと思います。それに引き続いて、アンケートやその他の資料についても議論があると思います。これまでのヒアリングで、たくさん勉強させていただきましたけれども、それと、それに関連する議論について事務局が、項目立てをして解説をしていただいた後に、その項目立てを材料にしながら、議論を進めていくという感じだと思います。
 では、資料1についての御説明をよろしくお願いします。
○島田看護課長補佐 
 資料1につきまして、説明をさせていただきます。
 これまで4回にわたりまして、養成調査試行事業、医療現場における看護師の教育研修についてのヒアリングを行ってまいりました。その内容について、それぞれ項目ごとにまとめました資料が資料1でございます。事前に先生方にはお配りしておりますし、後ほど十分御議論いただきたいと思いますので、簡単に説明をさせていただきます。
 まず、「特定看護師(仮称)養成調査試行事業」でございますが、1つ目として、活躍の場面、期待される役割というものを、それぞれのヒアリングにお越しいただきました養成課程からの資料と、その後、御議論いただきました内容をこのような形でまとめております。
 東京医療保健大学の方では、救急外来において、必要時に応じた検査を実施、トリアージを含む初期対応を行うということで、症状の早期改善、患者の不安の軽減などのサービス向上といった役割が期待される。その下の「活動の領域」としては、総合病院における急性期、ハイリスク患者に対する医療(ケアとキュア)の提供が役割というようなことが御報告されております。
 大阪府立大学では、がん看護領域の特定看護師(仮称)としての活動の領域ということで、がんの予防から終末期にかけての、複雑で解決困難な看護問題を持つ個人、家族、集団に対して、水準の高い看護ケアを効率よく提供するといったようなことがまとめられておりました。
 大分県立看護科学大学では、特定看護師(仮称)の導入によって、在宅療養の継続、老健などでの医療処置が受けられる。疾患外来の待ち時間短縮、症状の急変患者に対するタイムリーな対応といったようなことが役割として挙げられておりました。
 兵庫県立大学では、がんを持つ子ども、あるいは外科系の手術を受ける子どもへの症状コントロールに向けた生活指導、薬剤投与、在宅治療を行っている子どもへの対応、小児救急外来におけるトリアージといったようなこと。活躍の場としては、総合病院、訪問看護、救急外来といったところでの活躍が考えられるといったような報告でした。
 日本看護協会の皮膚・排泄ケアのコースでは、活動領域としては、急性期から亜急性期病院の病棟、創傷に関連する外来等、そして、在宅領域への拡大も視野に入れられているといったような御報告でした。
 その下に、当日の御議論などから抽出したものがございます。役割として、看護と診療をつなぐ重要な位置づけといったことで、こういった人々が増えることにより、国民にも、そして医師にも有益ではないかといったようなことですとか、血液がんの患者などは強力な治療を受けているということで、包括的指示の下で有害事象に対応する判断、個別性を重視した対応ができる特定看護師(仮称)がいると、患者も医師も看護師も助かるといったようなことが書かれておりました。更にその下に、小児患者については、地域の訪問看護におけるニーズが非常に高いといったようなことも報告されておりました。
 次に2番「特定看護師(仮称)に必要な能力」でございます。東京医療保健大学からの資料では、クリティカル領域において、状況を総合的に判断できる能力、状況に対応した治療を実践できる能力、医療従事者との協働・ネットワーク推進能力といったようなものが抽出されておりました。
 大阪府立大学は、がん看護領域の特定看護師(仮称)に求められる能力として、他専門職と同等な知的能力、アセスメント能力、問題の分析力といったような11に分かれて能力が抽出されておりました。
 大分県立看護大学では、必要とされる能力として、包括的な健康アセスメント能力、医療的処置マネジメントの実践能力といったものが抽出されており、特に強化が必要な基礎的能力としては、「Physical Assessment」「Pharmacology」「Pathophysiology」の3つのPが抽出されるといったようなことが示されておりました。
 次に「到達目標」です。それぞれの課程で幾つか挙げられておりまして、東京医療保健大学では、卒業時の到達目標ということで、クリティカル領域における患者の状況を総合的に判断(診察・包括アセスメント)できる能力が目標である。クリティカル領域における患者に必要な治療を実践できる。以下、9項目の到達目標が出されておりました。
 大分県立看護科学大学では、老年領域の到達目標ということで、包括的健康アセスメント、医療的処置マネジメントといったものが挙げられておりまして、プライマリケアを提供できる看護職を目指すといったことが出されておりました。
 兵庫県立大学では、学生の目指す到達領域ということで、子どもの心身の反応に対し、適切な看護支援を行うということで、精神的苦痛の緩和ケアが提供できるということですとか、治療管理、症状マネジメントを医師との協働により促進してヘルスアセスメントを実施し、包括的指示による検査、治療遂行を判断といったようなことが出されておりました。
 次に5ページの「4.修得を目指す医行為」でございます。これはそれぞれの課程からかなり細かく出されておりますので、一つずつは申し上げませんけれども、東京医療保健大学では、クリティカル領域ということで、救急患者のトリアージに必要な検査の施行や評価といったものですとか、大阪府立大学では、化学療法の有害事象の管理と処置、放射線治療の有害事象管理と処置、といったようなものが出されておりました。大分県立看護科学大学では、老年領域ということで、在宅患者等に対しまして、終末期患者の疼痛緩和のための薬剤の選択・使用ですとか、褥瘡の処置、在宅、老健等の急性症状を持つ患者に対しまして、検査の施行や評価、発熱、・疼痛といった対症療法のための薬剤の選択・使用といったようなものが出されておりました。
 6ページ、日本看護協会の皮膚・排泄ケアのコースです。こちらでは、医師の包括的指示の下に、慢性創傷を有する患者のアセスメントに必要な血液検査などの決定と評価、皮膚の局所麻酔の決定と実施、慢性創傷のデブリードマンといったようなものが出されておりました。
 同じく日本看護協会の救急のコースでは、修得を目指す医行為としては、医師の包括指示の下に救急患者の診断に必要な緊急検査の実施の決定と評価、救命救急処置といったようなものが目指す行為ということで出されておりました。
 7ページ、「履修対象者の要件」でございます。2つのコースからのものを出しておりますけれども、大分県立看護大学では、2年間の医学教育を効果的・効率的に進めるために、5年以上の看護職としての臨床経験に加え、入学時に試験を課して要件としている。日本看護協会の方では、認定看護師としての実践経験5年以上持つ者を対象とするといったようなことになっておりました。
 当日御意見で、5年というところでの御意見がございまして、現場で求められている役割をしっかりと理解し、行動できるようになるには、臨床経験が5年は必要であるといったようなことが御意見としてございました。
 8ページの「6.教育・研修内容」でございます。それぞれの養成コースからのカリキュラムなどが細かく出されておりましたので、一つずつはごらんいただければと思います。東京医療保健大学では進度表を提出されておりまして、カリキュラムとしては、診察、包括的健康アセスメントの場合ですと、講義を行い演習、そして実習を行うというような流れで、知識・技術・技能の修得をされているといったようなことでございました。大阪府立大学では、模擬患者を用いて職種横断的臨床課題演習というものを行っているというような御紹介がございました。
 9ページです。大分県立看護科学大学では、先ほど、強化すべき能力ということで3つのPが挙げられておりましたけれども、この3つのPについて、基礎的な知識から臨床的な活用能力までを身につけるということで、限られた期間で安心で安全な医療的介入ができるスキルを確保するために看護の視点を確保しながら「医学教育」を中心に教授するといったようなことが出されておりました。兵庫県立大学は、特定看護師のためのカリキュラムを出されておりまして、臨床判断過程論、小児身体アセスメント、小児発達判断過程論といったようなものが追加をされているところでございました。
 御意見の方で、フィジカルアセスメントに関する項目や、演習というものが出されておりましたけれども、それらについては、救急などの急性期分野だけでなく、在宅の分野でも役立つ科目であるといった御意見。大学院教育とする必要性は、患者の症状マネジメントや検査の考え方、EBMの実践やガイドラインの適用など、臨床判断の教育が必要となるからではないかという御意見もいただいております。それから、従来の教育では、アセスメントにとどまっていたが、今回の教育では臨床のアセスメントに判断を加えた内容としているということで、いわゆる介入に関しての判断を的確にしていく部分を学ぶという内容にしている、といったような御意見をいただいております。
 続きまして、10ページの「実習」でございます。それぞれの課程で当然、実習が実施されていたわけでございますけれども、東京医療保健大学につきましては、スライド27の内容で、統合実習12単位を行っておりまして、これについては、医学の知識と看護の経験知等を統合する実習するであるということで、最初に診察・包括的健康アセスメントの実習を総合診療科外来などで行うということです。次に周術期の患者を受け持ち、そして、救急外来からONCU、HCU、CCU、ICUという形で実習を予定しているというようなことでございました。
 大分県立看護科学大学でございますが、14単位の実習を行っておりまして、一般病院、クリニック、介護老人保健施設で、それぞれローテーションしながら実習を行っているということでございました。
 日本看護協会の皮膚・排泄ケア、救急のコースは、それぞれ今回実施されている実施課程では、皮膚・排泄ケアは2単位90時間、救急も2単位90時間ということで実習を行っておられますけれども、認定看護師のコースとして、それぞれ240時間の実習を行っているという御報告でございました。
 12ページ、「指導体制」でございます。それぞれの課程で臨床教授、実習のための非常勤講師などでもありますけれども、指導体制ということでは、医師を教授、教員としてそういった体制をつくっているというような御報告をいただいております。
 13ページ、「教育方法の工夫」でございます。それぞれの課程で、さまざまな教育の工夫が行われておりましたけれども、例えば東京医療保健大学では、シミュレーターの活用といったようなことですとか、臨床現場のリアリティな事象を用いて授業を展開というようなこと。大阪府立大学でも、講義を行う医師、薬剤師などとともに、がん専門看護師が指導者として存在する施設での実習を行って、困難事例に対しての専門的な指導を受けられる体制をつくるとか、シミュレーターの活用といったようなこと。大分県立看護科学大学では、スライド32ですが、教育上の工夫ということで、医師との緊密な連携をとるということで、プロトコール等を作成しているといったようなことを御報告いただいております。
 14ページ、「評価」でございます。それぞれの課程でさまざまなフェーズでの評価が行われておりましたけれども、大阪府立大学では、実施評価の安全基準ということで、6つの項目を安全基準としているといったような御報告がございました。大分県立看護科学大学では、入学から修了までの間に、まず入学時の評価、実習前の能力確認試験ということで、ここでは筆記とOSCEによる技術評価を行っているということでございました。そして、修了時に試験を課すといったようなことで評価を行っているという御報告をいただいております。
 15ページは「医療現場における看護師の教育・研修」についての御報告をまとめたものでございます。まず、活躍の場面、期待される役割でございますけれども、それぞれの病院での養成される方々が幾つかの種類に分かれておりましたので、一つにまとめるということはちょっと難しかったのですけれども、神野委員からの資料にございますように、クリニカルスペシャリストということでは、業務内容として、治療前後の患者情報を的確に分析する、患者さんの入院から退院のフォローアップをする、退院後の服薬管理・受診予約・検査予約等のアフターフォロー及び患者管理を行うといったようなことが業務内容として挙げられておりました。
 竹股委員の資料としては、救急外来におけるトリアージを行うということでの研修でございましたけれども、患者の重症化を回避し、早期から健康回復に支援できるといったようなことが役割として出されておりました。
 続いて、教育・研修対象者でございますけれども、神野委員の方では、院内認定看護師でございましたので、臨床経験5年以上、当該領域の臨床経験が3年以上といったようなことが規定をされているということでございました。
 竹股委員の御報告ですと、看護師のキャリアアップイメージということで、新人期からレベル?Wの達人看護師に至るまでの間のステップを、それぞれ踏んでいくといったような御報告をいただいております。
 16ページでございます。星委員からの御報告ですと、褥瘡教育については、それぞれの基礎教育の後の、新人期から段階を経て段階的に実施をしているといったような御報告をいただいております。
 教育・研修内容でございますが、それぞれのコースについて、ここに掲げるような御報告をいただいております。神野委員の御報告ですと、スライド24でございますが、院内認定看護師教育の要点として、院内講師による研修プログラムの活用、院外研修や講習会の受講を活用する、研修には必ず実技や臨床研修を含むといったようなことが出されておりました。
 17ページでございます。竹股委員の資料で、救急の看護師教育の実際ということでは、入職時からこのような段階を経て、それぞれのフェーズに合わせた教育をしているというような御報告をいただいております。
 星委員の御報告でも、褥瘡学習について、それぞれのフェーズに沿って褥瘡教育の項目についての教育を行っているというような御報告をいただいております。
 以上でございます。
○有賀座長 
 ありがとうございます。
 前半、14ページまでが資料1の最初にあります、「特定看護師(仮称)の養成調査試行事業」というタイトルでヒアリングを受けたこと。その後の15ページ以降が、医療現場における、それぞれの病院の中で、こんな勉強の仕組みをつくってこんなふうにしていますということを勉強した、こういうふうなことだったと思います。
 資料の順番でよろしいとは思いますけれども、最初の特定看護師の養成調査試行事業、これは活躍の場面、2番目が必要な能力、3番目が到達目標、4番目が医行為、5番目が履修対象者の要件、そして教育研修内容と続いております。こういう切り口で今まで勉強したことを整理してくださっています。最初に、特定看護師の養成調査試行事業のヒアリングの結果のまとめに関するテーマについては、それぞれのヒアリングを横割りにして、もう一回並べ替えてみるとこんなふうになっていますというふうなことだったと思います。
 それでは、お願いします。
○星委員 
 御苦労さまでございました。私は、これは非常に違和感を感じているので、最初に申し上げておきます。
 資料1の2ページのマルのところに御議論と書いてあります。ヒアリングの内容で説明した方が主張されたことというのは、まあ、いいです。御議論というと、我々のワーキンググループでの議論で、そういう共通認識を持ったというイメージでマルを読んでいくと、私は決してこんな共通イメージは持っていない。このことは最初に言っておかなければいけないだろうと思うので、申し上げます。
 特に3つ目のマル、4つ目のマルのところに、「特定看護師」と出てくるのはここだけだと思いますけれども、「特定看護師(仮称)がいると、患者も医師も看護師も助かる」、そんなことを言ったかなあという感じです。次が「小児患者の社会生活をサポートしながら医療を行う特定看護師」と書いてありますけれども、こんなことも言った覚えはない。主張されたのかもしれませんので、お出でになられた方からヒアリングをしたら、そういう御主張をされたということであれば、そういう御主張だったということでとらえてもいいのですが、御議論と書いてあると、ここにマルがついていることについては共通認識を得たということだとすれば、私は全くこういう共通認識は持っていない。主張は聞きました、ということなので、ここは間違わずに、この先の資料の取扱いやこの議論の方向性を見つめていただきたい。
 私としては、本末転倒というか、そもそもの議論が、特定看護師にたどり着くかどうかわからないという話で始まっているのですから、ヒアリングの中での御主張は御主張として聞きましたということで、私は理解をしていますので、これは委員の皆さんにも共通の理解をしていただきたいと思いますし、報道関係の皆さんにはこれを間違って読解してほしくないと私は思いますので、それをまず最初に冒頭申し上げます。
 そういう視点で見ていきますと、何となく主張というのと、質問に対する答えというのと、なるほど、みんながそうかなと思ったものが、かなり混在しているような気がしないでもないので、その辺りの整理は今後、必要になるだろうと思います。ですから、表題を「ヒアリングの主な内容と御主張」というふうに変えていただくと、私としてはそれならわかるということですので、御議論ではなく、ヒアリングをした皆さんの主張ということで私は申し上げておきたいと思います。
○有賀座長 
 ここで接頭辞の「御」をつけることも、どうかなということもないわけではなかったのですが、そういう意味では「ヒアリングの主な内容と御議論」を「御主張」にするという話ですが、そういうふうなしょうもない話はやめて、「ヒアリングの主な内容等」と書いておけばいいわけです。それでいいでしょう。
○星委員 
 「主な内容等」というとまたあれなので、「ヒアリングの主な内容」と言っていただければいいです。
○有賀座長 
 ひょっとして私たちが言ったことも入っているかもしれませんね。さかのぼって見ていけば、それはそれでわかるわけですから。というふうなことで、星先生の独特の雰囲気がのっけから出てきましたけれども、いろいろな御意見があると思います。そもそも、こういうふうに分けてたたき台としての議論をしようということですけれども、この分け方そのものは、どういうふうに分けても大体このようになるのではないかという気がします。これらのことから、(仮称)の特定看護師さんたちの全体の景色が、場合によってはある程度わかるのではないかという気もしないでもないですが、その辺はいかがですか。
○前原委員 
 星先生から最初に先制パンチを食らったような感じですけれども、チーム医療推進委員会親会議での答申で、看護業務拡大、チーム医療を推進しましょうといったところから始まっているので、そこへまた戻して議論するのはあれですけれども、その中の一つの策として、特定看護師(仮称)というものをどうしましょうかと。いろいろな意見を戦わせて、余り意見は戦わせてはいなかったかもしれませんけれども、いろいろヒアリングで聞き、そして、どういう方向かということに関して、特定看護師に賛成か反対か、委員の方に挙手をということはなかったと思います。私としては、特定看護師は必要だろうという立場で今までもずっと発言させていただいてきました。
 そこで、先に進めたいと思うのですけれども、今の流れからすると、特定看護師という医師と看護師の中間職種をつくるということが最初にありきではなくて、やはりニーズがあるだろうというのがいろいろここに出てきています。では、ニーズの中でどういうものをつくるのかということに関して、医師会の藤川先生がいらっしゃってお話をなさったけれども、特定の医行為をしたいのであれば医学部に入れ、女医さんになれ、というような話がありましたが、そのことは、特定の医行為をするに当たっては事実だろうと思うのです。
 ですから、そういう特定の医行為ができるような資格を与えるためには、やはりライセンスとしてはしっかりしたものが必要だろう。そうすると、「教育」ですね。教育はどうするのかというところで、ここにいろいろなところの教育カリキュラムが出ています。東京医療保健大学、国際医療福祉大学、大分県立看護科学大学等の教育というのは、医学全般の教育が多くを占めています。その他の看護大学修士コースの教育に関しては医学をもう少しやってもらいたいと思います。私の言いたいことは、カリキュラムを見ていて、4年間の看護教育を受けた後に更に2年間の修士教育を受けて、特定看護師という中間職種をつくるとすると、もう少し医学教育を組み込んでもらいたいということです。そうすれば、国民も納得し、安全の医療ができるだろうと。
 となると、このカリキュラムを見直すに当たっては、そういう目で見ていただきたい。そういうところが中間職種の特定看護師に値するのではないか。それがやはり国民のニーズもあるだろうというふうに思います。教育は、主に医学教育というもの、3Pだけでなく、外科診断、内科診断学というものも是非必要だろう。薬理のことも勿論必要でしょう。ですから、特定の医行為をするに当たってはそれだけの教育が必要だろうというふうに思います。
○有賀座長 
 せっかく発言をくださったので、8ページに教育・研修内容があります。今回のヒアリングの中では、こういうふうな切り口で私たちは勉強させていただいたわけですけれども、これが先生の御発言のとりあえずの出発点、3Pだけではないという話は、ここから出発点だということでよろしいのですね。
○前原委員 
 そうですね。看護業務の調査をしていて、ここまでやっていますというのは結構な数があったけれども、それが、本当にやっているんですか、自信を持ってやっていますかというと、80%以上はやっているとか、70%以上はやっていると。実際に看護師さんに聞いてみると、こわごわとやっている、やらされているという部分はあるだろうと思うのです。それを、何も特定看護師というものをつくらないで、ただ一般看護師の業務拡大をすればいいというのではなくて、それにはしっかりした教育なり、実技なり、実習なり、そういうものが必要だろう。そうした場合に、2年間の修士課程ということであれば、2年間にどういうことをやるかというと、ここでまた看護教育をやってもしょうがない。やはり医学全般の教育を主体に置いてやってもらえるものが、特定看護師にふさわしいのではないかというふうに思っています。
○神野委員 
 この資料の取扱いと、今後のことで意見を言わせていただきたいと思います。この会の最初の方でいっぱい議論をしましたけれども、特定医行為が何かわからないまま養成調査試行事業をやったことに対して、いろいろ意見があったわけですが、こういう形で行われたということです。各大学院に対して、これについてやりなさいというのは全然なかったわけですね。各大学院あるいは看護協会で、特定医行為というのは何か考えてごらんなさい、それについてどういう教育をすればいいのか、ということで投げかけたわけなので、この資料そのものが正しいかどうかという判断材料はどこにもないわけです。
 つまり、各大学院と看護協会等で、特定看護師(仮称)を養成するならばこんなことで、特定医行為というのはこんなものではないですかというものを御提示いただいた資料だと思いますので、これが正しいか正しくないか、どう思うかという話はまた別な次元であると思います。そして、例えばさっきの3PのPharmacologyの話にもありましたけれども、これはもしかしたら、チーム医療で薬剤師さんが病棟に上がって看護と一緒にやればいいじゃないですかという意見もどこかに出てくるかもしれない。
 これからの話ですけれども、非常に貴重な時間で、私たちは一生懸命お勉強させていただきました。そろそろ前に進めなければいけないのではないでしょうか。そのときの一つのたたき台というものとして、前原班でたくさんの項目についていろいろ調査してきたわけです。これから、その中の一つひとつの行為についてこれをどうするのかというのを判断していく中で、この資料に立ち戻って、こういう教育が必要ですねとか、こういう教育をしても大丈夫ですか、といったような戻り方をしていかなくてはいけないのかなと思います。ですから、これから先、前原班で調べられた項目について、残された時間で一つひとつ検証していって、そのときにこの資料を参照するといったような資料の使い方なのかなというふうに思います。
○有賀座長 
 せっかく言っていただいたので、そういう意味では前原先生たちがやってくださったたくさんの行為があって、その昔の議論を復習すると、確かに十二分な教育のプロセスを経てようやくできるような、比較的難しいものが多分あるだろう。それから、相当程度に既に現場でやられていて、侵襲度に関してもきちっと一つひとつ見ていけば、既にやっているし、とやかく言わずに明日からでもどうぞおやりなさいと。先生は10%とかいろいろ言っておられましたし、それはパーセントで線を引くという話ではないとは思いますけれども、そういうふうなものもあるだろう。そうすると、高いものと低いものと真ん中辺というふうな話は、確かに出ていたような気がします。
 そういう意味では今、先生が言われたように、医行為についてのAランク、Bランク、Cランクともし言うのであれば、こういうものはAランクでいいだろうという話と、今回のヒアリングの結果をある程度結びつけてもいいだろう。Bランクについては、その後の議論で、15ページ以降と言いましたけれども、そちらの方で、院内でこれだけ上手に勉強が進めばやってもいいのではないかというふうな話になるのかもしれません。Cランクについては、そもそも、そういうふうな議論は抜きでおやりになってもいいのではないかという議論は、確かしていたような気がしますので、先生のおっしゃったことと、今回のせっかくのヒアリングの主な内容を切ってみたという話は、それはそれでイメージを構築するにはいいのではないかなという気がします。いかがですか。
○神野委員 
 これは、これから検討する上での参照資料として使わせていただく、というのが筋ではないかと思っています。
○有賀座長 
 そうは言っても、後ろの医療現場における看護師さんの教育というところで星先生の病院のお話が出ましたね。そのときに、そうは言っても、やはりこういう観点で看護師さんにやっていただいてもいいんじゃないですかという疑問を先生に言いましたときに、それはそれで現状でドクターがやるべきことはやっているし、ナースがやるべきことはナースがやっているという話がありましたね。ですから、とりあえず急性期から後ろへ患者さんが流れていくとすると、超急性期、急性期、亜急性期、その後ろのところ、それから在宅、そういうような場面によってチーム医療の在り方そのものも多分変わってくるでしょうから、今回の議論の横割りの話と、今、神野先生がおっしゃったことと、私のイメージのAランク、Bランク、Cランクみたいな話と時間の流れを入れていくと、それなりに整理がつくのではないかという気はします。
 私から先に言わせていただくと、最初に東京医療保健大学が登場しましたね。そのときに、最初に聞いたからかもしれませんけれども、自分自身の経験に照らしても、院長先生以下、御発表になった方たちのお考え並びにその実践の様子というのは、比較的妥当な水準にあるというふうに思ったわけです。ですから、自分の比較的知っているチーム医療の景色が体の中でわかっているようなことに関して言うと、それほど間違った判断はしないのではないかと思ったのです。
 ただ、私が星先生に一生懸命聞いたのは、そういう意味での体でわかった部分がなかなかなかったので、どなたかが誘導尋問とか言っておられましたけれども、わからないことは聞こうと思って一生懸命お聞きしたわけです。そういう意味では、在宅で出ていく部分に関する星先生の職業的な意味での感性、つまりプロとしての判断というふうなことは、恐らくAランク、Bランク、Cランクなどを議論するときに役に立つのではないかという感じがします。
 どうぞ。
○英委員 
 ちょっと確認ですけれども、ヒアリングの結果を本当にうまくまとめてくださったのですけれども、これ以上ヒアリングで時間を費やすのは、このワーキンググループの本来の意義ではないとは思います。ただ、私としては、例えば医療過疎の地域で、実際に病院や診療所が余りないところで看護師さんがもしそういう役割を担えば、どういうふうに地域が支えられるのか。あるいは訪問看護の現場であったり、老人保健施設の現場において、こういうイメージが膨らむというようなものがあってもうちょっと議論が進むと、より深みが広がるのではないかと思っているものですから。ただ、延々ヒアリングを繰り返すのはいいことだとは思っていないので、その辺りをどうやってこのワーキンググループで判断材料として乗せていくのかということも、少し考えていかなければいけないかなと思った次第です。これでヒアリングは一応はおしまいという考えでよろしいのでしょうか。
○有賀座長 
 必要があればヒアリングはするべきだと私は思います。例えば先生とか、星先生のような、そちらの現場をより深く知っておられる方たちは、例えば救命救急センターの現場で、レスピレーターを前にしながら看護師さんと私が何をやっているかということは、概念的にはおわかりいただけると思うし、医学教育にさかのぼると、あんなことだなとお思いになると思います。しかし、薬剤師さんが一緒に回診しながらどんなディスカッションをしているか、栄養士さんが来ていたらどうするのか、MSWがいたら何をやっているのかという話は、直接的にイメージするかというと、なかなかイメージしにくいと思うのです。ただ、超急性期の部分に関して言うと私はイメージができるわけです。そういう意味でAとかBとかCとか出てきたときに、それなりのことが言えそうだと。
 だから、場合によっては急性期と慢性期と在宅と少し時間軸で切って、時間軸で随分違うという議論は去年も今年もしてきているわけなので、そういうふうにして、神野先生がおっしゃるような少し前向きの話に突っ込んでいってもいいのかもしれない。そのときには、ここでみんなでワーワーやるか、少し分けてAチーム、Bチーム、Cチームじゃありませんけれども、そうやって別個に集まっていただいてやってもらって、それでまた出てくる。それでもいいかもしれない。前原先生のところには、多分そういう方たちがいるのではないかと思いますが。
○井上委員 
 いつも星先生が真っ先にご自分の主張をおっしゃっていて、私はそれはすばらしいと思います。それで、少し見習わせていただいて、もう一度、私が今までCNS教育をやってきたことも含めての立場で言わせていただきたいのですが、これは看護師の役割拡大なのです。看護師業務をどう拡大していくかというのがずっと私の中でのテーマで、例えば白、グレー、黒という四角が横に並んでいる図を想像してみてください。看護師の側を白、医師の側を黒として、真ん中のグレーゾーンに関して意見を言っているのですが、いろんな調査も教育課程も、現在の看護の教育に医学教育をプラスするというのは、黒の側から流れてきた黒に近い部分を今までかなり討議してきたと思うのです。看護師の役割拡大というのは、白の側からグレーにどう踏み込んでいって、そしてどっちが正しいではなくて、黒の側からも白の側からも融合する必要があると思うのです。
 でも、白の側からの意見というのは今までどうしても余り取り上げてもらえなかった。今回の取り組みは、医学教育だとはっきり言う大学もあるのですが、それは限りなく黒に近いところの議論です。いい悪いではなくて、両方の意見をもっと融合させるまで議論していただきたいと思うのです。10%で線を引く、5%、3%、これが1%であったとしても、それは黒の側の論議でしかなくて、白の側の論議を、白の側からはみ出していって何をしてもらいたいのか。それをするとわかりにくいというふうにおっしゃるなら、最大限の努力はしたいと思います。
 それから、調査試行事業は16大学院32課程やっています。そのうち、黒に近いところは4~6ぐらいではなかろうか。その30近くがやはり白の側から来ている。今日、とてもよくまとめてくださったと思うのですが、指導体制、評価、教育内容とか、そういう項目に対してももう一遍さらって、今、調査試行事業では何がなされているのか、どこまでならできるのか。それはなぜかというと、もしここで決めたとしても、その教育を担うのは看護系大学院と言われているんですね。その人たちがどう思うか、できるかどうか、どういう人をつくりたいか。そこの意見を絶えずフィードバックして意見を聞いていただきたいと思いました。
○有賀座長 
 意見を委員には出していただきたい、こういう意見でいいですね。今、黒とか白とか出ましたけれども、その色の向こう側には患者さんがいますから、患者さんに対して私たちは、どういういいことができるのだろうかということを考える。となると、現場は融合しなくてはいけないんです。ここは、形而上的な議論というか、言葉の世界の戦いなので、こんなふうになってはいますけれども。
 どうぞ。
○前原委員 
 黒とか白とかということでなく、看護学、医学ということでもなく、やはり融合が必要だというのはだれでも思っている。医療をするわけです。大体、急性期、慢性期で分ければいいのではないかと思っていますが、在宅、地域、がん、慢性外来、急性期であれば周術期だとか、救急、新生児、ICU、CCU、そこでのニーズは、看護だとか医学だとかそういうものを欲しているわけではなくて、そこには看護師不足もあるだろうし、医師不足もあるだろうし、そこで求められるのは両方を融合したことができるレベルの人が必要。いくら医師をたくさんつくっても、看護師さんをたくさん今の教育でつくったとしても、その間を埋める中間職種のそういうものがない限り今の医療はやっていけないんだという原点に立たないと、白だの黒だの、もっと白の方の意見を聞いてくれとか言っていると、この話はまとまらない。チーム医療ということに関して、一番それはやってはいけないことだろうと思うので、大いに意見を言い、どうするのかということは理解をし、やっていくべきだろう、前に進めるべきだろうというふうに思います。
○有賀座長 
 もともとチーム医療と言ったときに、ドクターもいるし、ナースもいるし、薬剤師さんもいるし、いっぱいいますね。いっぱいの人が病棟に上がってきて、いろいろディスカッションをする、そういう現場をイメージしていただければわかりますけれども、普通の薬剤師さんは、例えば昭和大学を卒業してしばらく薬局で勉強して、それで病棟に上がってくる。でも、病棟に上がってきて直接すぐに使えるかというと、必ずしもそうではない。やはり私たちと一緒にディスカッションをする、カンファレンスをするということを経て、それで彼ら、彼女たちはそれなりの病棟の業務の一角を相当程度担うに至る。そのときには、薬剤部長が思っていることよりもはるかにいろいろことを実はやっているというか、そういうふうなことなわけです。
 だから、そこにもし焦点を当てるとすれば、それだったら薬剤師さんも血を採ってねとか、こんなこともあんなこともといって医行為の方に行くのかもしれませんけれども、恐らく薬剤師さんの場合には、体の中での薬のダイナミズムに関することについて、看護師さんにはドクターたちと丁々発止やることが恐らく求められることではないかと、想像はします。
 今回は、看護師さんの診療の補助の部分にたまたまこの会議では光が当たっているというだけの話で、その部分を議論することは、論理的には薬剤師さんの仕事ぶりや、管理栄養士さんが病棟に上がってきたときに、全く独立して勝手にご飯だけ出して帰るわけではありませんから、そういうふうな意味でほかの職種がどんなふうに織りなすかという話は、同時進行的に出てくるわけです。レントゲン技師さんだってそうです。黙って上がってきて、私に言われたからとレントゲンを撮っていくわけではないんです。レスピレーターがついている患者さんにもしレントゲンを撮ろうと思ったら、一人ではできっこありませんから、そこでは看護師さんがいるなり何なりしながらやっていくわけです。だから、撮ってねと言ったときのその後のパフォーマンスというのは、ものすごくたくさんのことがあるわけで、単に黒とか白という問題ではない。ですけれども、ここでは、看護師さんの話をどうしましょうかという話ですから。
 そういうふうな観点で考えていくと、例えばがんの患者さんがいて、いろんなことを聞きたいときに、ドクターが飛び回っているときに、とてもじゃないけど一々つかまえて、この患者さんはこんなことを言っているけれども、話してみろという話にはならないから、相当程度に現場にいる看護師がいっぱいいろいろなことを勉強していて、それで答えてあげることが極めて重要だと、たしか竹股先生はそんなことをおっしゃいましたね。最終的には、それこそチーム医療をやっていかなければいけない大変な現場。数も必要だと思いますので、医者も看護師も薬剤師も増やさなければいけないと思いますけれども、当面は、みんなでスクラムを組まざるを得ないのであれば組む、という話で議論をすればいいのではないかと思います。そんなにびっくりするような、危うい議論をしているわけではない。
 どうぞ。
○竹股委員 
 昨年の、チーム医療に関する検討会のスタートから今日に至るまで、私はときどき大変複雑な気持ちになることがあります。なぜかといったときに、私は看護職が、より医行為をやりたいとか、やりたくないとか、業務拡大をしたいとか、そういうことは勿論いろいろあろうかと思うけれども、本質的な問題というのはそういうところから発したと思っていないのです。
 私どもの安房鴨川という超過疎地にある医療の最先端の現場から見たら、例えば、毎朝、きのうはどうだったかという報告を受けるのですけれども、今、超急性期の医療が当たり前のように80代、90代の方たちになされるわけです。70代というのはまだ若い方です。現場は膨大な量の医療、医行為のるつぼなのです。当院は医師が多いですけれども、推測し得るに、超高齢化している地域の医療というのは一体どういうことになっているのだろうかというふうに思うわけです。
 私は昨年のチーム医療に関する検討会の中で、現実に医療現場で看護師が一体どういうことをしているのかを知りたい、ということを意見として申し上げたことがあります。結果として前原先生の調査の中で、私どもの医療現場の中では、なるべくこういうことは責任上、ナースがすべきではないといって大変気をつけている内容が、たとえパーセントは低くても、びっくりするような内容がナースによってなされているということがわかったわけです。これは現実なんですね。これから先、10年、15年後になりますれば、もっともっと量的ないわゆる医行為のニーズが出てくるだろうことは容易にだれでも想像できます。そのときに一体だれがそれを担うのか、そこが原点だったと私は思っています。
 ですから、やりたい、やりたくないという以前に、これは看護職だけでは勿論ないわけです。あらゆる医療に関係する従事者が、総力戦であらゆる医行為と言われるものを担っていくことが必要です。そのためには、当然、質の担保が必要ですから、どういう内容のものを、どこで、どのように、だれがやるのかというところの議論を昨年から引き続きやっていたと私は理解しています。もうここまで来て、職種利益で話し合っていることではないことが前提でやっているわけですから、私としては、粛々と我々看護職が担わなければならない、担うべき、あるいは担えるものについて明確にして、教育体制を整えていくことが迫られているのではないかということで、そんな思いでやっておりますので、繰り返しになりますけれども、私の意見として申し上げさせていただきます。
○真田委員 
 もう一回、「目的」に振り返ってみたいのですけれども、以前からの資料の1のところを見ると、検討課題は何だったかというと、看護師の業務範囲、特定の医行為の範囲を決めて、特定看護師の要件を決めて、特定看護師養成課程の設定にて基準を決めるという今回のタスクがあったわけです。第6回のチーム医療推進のための議事があると思いますが、その中に「当面の検討の進め方」というのがありまして、これに沿って検討しなければいけないのではないかと思っています。
 神野先生が言われたのは、第6回のチーム医療の議事録の参考資料2、そこの2ページ目、「看護師の業務範囲の検討をして」、3ページ目の上のマルのところですけれども、「看護師の業務範囲の拡大に当たり、必要とされる教育研修の内容や、養成された看護師の活用について、試行事業の実施課程から収集した情報を踏まえ、必要に応じてヒアリングをしながら、どれが大学院や研修課程を活用する教育研修か、OJTかということを検討する」ということだったと思います。今、まさにこれをやっているのではないか。この検討会の資料どおりやっているのではないかと思っていたのですけれども、確かに看護師の業務拡大については話が途切れているのかもしれないけれども、きっと今後、これがまた出てきて、お話の中で決められていくのだと思います。
 今の議論の白か黒かということも、井上先生がおっしゃりたかったのは、看護師の方から見た目と、多分医師の方から見た目と、両方の情報の中でコンセンサスが必要だという意味だったと思いますけれども、私自身、今回の資料をまとめていただいて思ったことは、試行事業自体は、看護が長い間仕事をしてきた中で、ここに医行為が必要だと思った大学が手挙げしてそこでプログラムを組んできたわけです。帰納的に考えた場合、どこの領域が、何を必要として患者のQOLを上げようと医行為をしたかったのかということを考えた場合、大学院のコースでは、がんと老年と小児、慢性と急性というキーワードがきっと出てきていると思います。そこの共通のカリキュラムは何なのかということを出していく必要があると思う。それが一つ。
 もう一つは、(ア)の部分で、特定の領域に限った6か月コースというのもあったと思います。その2つに分けて、大学院の修士課程では何が必要なのかということを、がん、老年、小児、慢性、急性、特化した領域として感染とか創傷などで、そこのカリキュラムを吸い上げていくという形をとることが、教育内容を検討しなければいけないという最終のところに行くには、それが一番妥当な方法ではないかと思って、今回のまとめていただいた内容を見ていたのですけれども、これが私の意見です。
○有賀座長 
 どうぞ。
○星委員 
 行きつ戻りつの感じがないわけではないですけれども、私が何度も主張していたことで余り受け入れられなかったことの一つに、看護協会、その他、あるいはこの後に出てくるかもしれませんが、各学会やいろいろところが、技術的なレベルの認定や、技術的なレベルのモデルみたいなものをつくって教育をしている現状がある。私たちが一般的な看護教育をして、看護師として免許を得た看護師さんを現場で一般的なトレーニングをするのとは別な次元で、そういう教育をした看護師さんたちが現実にいる。それが今、認定という形であったり、あるいは各学会がいろいろな形でやっている。
 これがどんな役割を果たしていて、今回、調査をしていただいた医行為の特定のものについて、一般的な教育を院内的にやった延長線上ではなかなかうまくいかないけれども、そういう認定のプログラムのようなものを介入させることによって、この辺のところまでできるのではないかというようなことはみんなが共通理解ができる。既に現実としてあるので、それは一定程度理解ができるだろうという風景があって、その上で、いろいろある行為のうち、そうは言っても、認定コースとかあれとかではなく、教育の問題もそうだし、責任論としてもそうだし、法律的な問題としても、やはりそこはだめだとなると、特定看護師ということが話題として出てきているから、そこに合致させるとすれば、そうなのか。あるいは、そういうことで吸収しきれる問題なのかどうなのか、というところの議論の整理をしないでぐずぐずやってきたところがある。
 何となくその辺が、特定看護師というのと一般の看護師となっているけれども、そうではない、連続性のある教育の課程や、現場の風景の違いや、地理的な広がりの違いや、いろいろなことを考えた上での話なんでしょうけれども、それとはまた別の次元として言うと、基礎教育を終わって何年かした人たちがどの辺までできて、そこに院内教育をどうしたらどこまでできるというのを、この間、我々もきちっと言わせてもらったところです。
 それに加えて、例えば認定を受けて帰ってきた看護師がいれば、技術的な分野としてここまではできるけれども、ここはやらない、こういうところまでできる、そうすると看護のレベル、医療のレベルが上がるという話は、私はあるだろうと思います。その辺の共通認識をもうちょっと深めていかないと、英委員が心配されていたように、タイムラインとは別に、地域の広がりあるいは訪問看護というような、非常に限られた資源と限られた環境の中でしなければいけないという現場の違いというのがあります。その辺のところも私たちは十分認識する必要があると思います。
 どうも特定看護師の話に行ってしまうと、みんながそれぞれの立場で、「私はそうは思わない」「いやいや」とかいうことになるんですけれども、それはちょっとおいて、看護師さんが一定レベルまでくれば、普通の病院の中で教育としてちゃんとやってくれば、そこは安心して任せられる部分で、それが法律的にどうも怪しいというか、グレーになっているとすれば、そこは白くしてあげましょうという話。それにプラスして、今やられていることのうちのこういうことについて、研修を受けていることや何かは別として、病院の中でそういうふうに決めてくれればそういうところまでできます、というところまで先に整理をしないと、その先の話には行かないと思うのです。
 私も英委員のところを少し心配していて、特殊な過疎のところとか、医者が行けない環境、あるいは看護師さんたちだけで行っているという訪問看護の現場というのは、もう一歩踏み込んでいない部分だろうと思うので、その辺りのところを確認した上で、先ほどから言っている次のステップに進んでいくということが、一番近道だし、みんなが中腰にならずに済むのではないか、そのように思います。
○前原委員 
 星先生のおっしゃることはよくわかるのですけれども、認定看護師、そして専門看護師ということで、長い間、努力されて、看護師さんのパワーをアップしてきたわけです。そしてそこの状態でも、今、竹股先生がおっしゃったように、高齢化、重症化、大変な急性のものをしなければいけない。慢性もそうですけれども、そういう各場面場面によって違うだろうと思うのです。
 訪問地域医療と急性期医療、両方全部一緒にうまい具合に上がっていけばいいのでしょうけれども、そういうところの多様性みたいなもの、各ところは全部必要だけれども、そこを一つひとつ全部検証して、今、どういう状態になっていて、だからそこを一つずつ解決しなければ次のステップに進めないんだ、という時期ではない。今の医療の現場において、特に勤務医、大病院の救急、産科、小児、そういうところ、地域医療、介護、訪問もそうだろうと思うのですが、そういうものにも特定看護師(仮称)という人たちのニーズが必ずあるだろうと思います。もう少しそこがクリアにならなければ次に進めないで、このままでいいですねというのは、私はちょっとtoo lateだというふうに感じます。
○星委員 
 久しぶりにバトルができるので大変うれしいですけれども、私が申し上げているのは、別にすべての現場のすべての風景をみんなでそれぞれ議論して、みんなが同じ風景を見られることを確認してから前へ進め、などと言っているつもりはありません。ただ、今までいろいろやってきた中で必ず話が出るのは、例えばデブリードマンの話にしても、訪問看護の場面はちょっと病院の中とは違いますねという話をこの間もさせていただいた。私の施設の中でもそういう部分があります。ただ、訪問看護のところはそうだと言ってしまって、そのままにしておけないので、もう一回、その辺のところは確認をしたいというのが私の意見です。ですから、今おっしゃったようなことをすべて確認してから前へ進むという話ではありません。
 もう一つは、これまでの看護協会なり各専門学会の努力というのは一定程度評価をすべきだし、それについての理解というのは前提だと思っています。そして、その先に進めない理由が、教育の中身が足りないのか、期間が足りないのかではなく、この間、これは今の認定看護のWOCとどう違うのですかと聞いたら、明確な返事が来ませんでしたけれども、要は、法律的にそれはしてはいけない行為だというふうに分類されているらしいので、やりませんでしたというようなことが、その教育の課程の中に含まれているとすれば、その辺のところを明らかにする。特定看護師というものをつくらなくても、ここまではこれまでの教育のプログラムなり、これまで教えてきた何千人か何百人かというのは、そういう形で安心して仕事ができる。あるいは、今いる何万人という看護師さんたちが、安心して仕事ができる場面が増やせますね、というところが私は前提だと思っています。
 その上で、やりたいとかやりたくないとか、さっき話があったけれども、まさにそのとおりで、やりたい、やりたくないではなく、そういう場面があって、医師も手が届かない、今の看護師さんたちでもなかなか厳しい、教育も必要。そして、何よりも法律的な裏付けがなければできない行為に分類されるものはこれだけあって、それについてはやはりそれなりの考え方で整理をしなければいけない。では、どうしましょうという流れでやりましょうという提案で、私は最初からそう言っているし、この議論をずっとそういうつもりでやってきたので、それを確認しているだけです。
 ただ、先ほど言ったのは、訪問の現場とか、医師が介入しない看護師さんが一人でやっている現場について言うと、「ん?」というところは、例えば特養で週に一遍、お医者さんはいるけれども、そうでないところで行われている医行為の中にそういう心配事がもしあるとすれば、私たちは、もしかしたらピックアップし切れていないのではないかということを申し上げているだけです。
○有賀座長 
 どうぞ。
○小松委員 
 いろいろ議題が出ているので、頭の中が少し混乱しながらしゃべるかもしれませんが、一つは、看護師の業務拡大をチーム医療の中で行っていくことが、今の医療の中で非常によいアウトカムをもたらすのではないかというところが、報告書の流れからずっとあると思います。わかりにくいのは、現場の景色という中で、特に看護業務を拡大していく上で看護専門分野というのはどのようなものがあって、その中でどういうふうに看護師が医行為を行うことで何ができる、どんなことが国民にとってメリットなのかといったところがこれまでの議論において、明確にされていないことが一つはあると思っています。
 私は看護系学会協議会の役員をしています。具体的に看護系の学会が37学会あります。この学会協議会に参加する学会が今年の夏に特定看護師が論議される中で、看護専門分野において、従来の一般的な看護師が実施できないと理解されてきた医行為をどんなふうに実質的に実施しているのか、その際にどういう包括的指示やガイドラインに基づいて実施しているのか。また、看護実践に医行為を取り込むことによって、もっと役割が拡大できるか。それによって看護師の医行為を含む実践において、どういう利益があるかということを討論しました。今、そのとりまとめを行っているところです。現実的に、実態調査をやったもの以外にも看護の方で取り込みたい医行為が出てきたり、あるいは、チーム医療として行う看護の専門領域から言って、ほかの関連学会と話し合いをしながら役割を拡大していって、一般的に行っていなかった医行為に関しても責任を持ってやっていくときに、連携をしながらやっていかなくてはいけないという意見もたくさん出てきています。
 ですから、もしも次回のワーキングなどで、その結果について概要をお話しできる機会があれば、少しイメージがわくし、星先生がおっしゃっている、現場の中で何が起こっていて、どこまでできるかといったことを、想定しやすいのではないかということは一つの提案としてはあります。一方で、さっき在宅のことが出てきましたが、この論議で投げかけたときに、特定看護師というときに、例えばそういう特定の医行為で線引きされると自分たちが従来行っていることができない部分もあるとか、いろいろな意見が出てきていました。看護専門の分野の責任を担おうとしている学会がどう考えているかという意見についても、明確にできればいいかなというふうには思っております。
○有賀座長 
それぞれのヒアリングの場面で、すべての委員の方が、もう少し時間があればもっと聞きたいということがきっとあったと思うのです。だから、30何学会の話が何分間ぐらいでうまくまとまるのか、私はよくわかりませんけれども、情報は多ければ多いほどいいに決まっていますので、そういう意味では何らかの形でこの中で御発表いただくのはいいのではないかと思います。
 星先生の思っておられることと私の思っていることが、そんなにかけ離れていないと思うのは、ふだんやっていることの延長線上に、相当程度勉強して、場合によっては資格を持ってやってちょうだいというものがきっとあると思うのです。そういう意味では特定看護師養成の調査試行事業で得られたこれらの内容をそしゃくしながら、結局のところ、ニワトリと卵みたいなところがありますね。私たちが何かを示さないまま、生まれているニワトリの卵を見ているわけです。そして、そのニワトリをどうするかを考えている。何が逆で何が逆でないのかわからないような、逆のことが起こっている可能性があるわけです。
 そうは言いながらも私たちの現場においては、星先生もおわかりになっていると思うように、相対的に提供側の力量不足がある。これは在宅の場面においても、仕方なくこういう景色になってしまっているということで、相対的には医療側の提供の貧弱さをそのまま認めざるを得ない景色があるらしい。救急に関してもそういう観点でいくと、もっとたくさんの医療スタッフがいればこんなこともできるけれども、夜中になってようやく人工呼吸器の条件を変えなければいけないというような急性期の病棟があって、夜中に変えるというのは一体何なんだという話になるわけですね、朝変えるならいいですけれども。では、朝はどうなのかというと、手術場に入ってしまう。
 こういうふうなことが起こっていて、相対的には貧弱さがある。相対的な貧弱さをどういうふうなことでやろうかというのが、さっき竹股先生は総力戦と言いましたけれども、総力戦というよりむしろ組織戦というか、チーム医療としての有機的な連携を考えると、組織戦だと思うのです。組織戦は、人が足りないから組織戦ではなくて、本来的には組織戦があるべきだということからすれば、「いないからチーム医療」というのは最初からおかしいと私は言っていましたが、いないからこそチーム医療なのかもしれません。
 そういう意味では、さっき神野先生がおっしゃったみたいに、(青いファイルを指して)先生もこれを全部一気に読みながら発言されたのかどうか知りませんけれども、具体的な作業としては、松竹梅と言ったり、ABCとか言いましたけれども、そういうふうな話になってくるのではないか。Aの部分については、やはり延長線上で勉強してもらわなければ困るということではないかなと思います。特に急性期の激しいところは、私は直感的に、あのナースはできているけれども、ほかのナースにできるかというと、これは教育しかないと思います。それもちゃんとした評価を与えて資格を出さないと、危ないだろう。私が個人的に「あの子」と言ったあの子は、今は婦長さんをやっていますけれども、そういうことではなくて、こんな感じだと思うのです。
○神野委員 
 哲学的な話もありますが、現実的に、今、座長に言っていただいたように、例えば二百何項目の1番の動脈ラインからの採血で「どう思いますか」で、ほとんどの方はオーケーではないかと思うけれども、動脈ラインの採血のために大学院を出る必要はないですね。これはパス。次に2番、直接動脈穿刺による採血、これも私はオーケーだと思うけれども、反対される方もいらっしゃるかもしれない。ならばどんな教育が必要ですかというので、解剖。それはOJTでいいかもしれない。これも大学院まで必要ないでしょうとか、そうやっていけばさっさと決まるような気がしてならない。あるいは、在宅ではこれは必要ですとか、そういう流れでこの200何項目があるわけですから。
○有賀座長 
 井上先生、どうぞ。
○井上委員 
 その発想は大変わかりやすいし、世間の賛同も得られるし、特に医師の方々は大変わかりやすくて、これならできると。先生のおっしゃった「景色」ですけれども、私たちが考えるのは、医行為から判断してそれを振り分けるというのが一番危険なのです。例えばICUでやっていて、いいと思ってドクターが来て抜管していって、おかしくなって再挿管といったときに、どこかに挿管できるナースがいるからその人を呼びましょうというのだったら、従来のどこかにいる医師を呼ぶのと一緒なんです。そうではなく、看護チームの中で一人でもずっとプロセスの中で見てきて、ウイニングをして、抜管していいと。でも、悪くなったときに再挿管ができる技術を持った人が判断して、ウイニングに持っていくというところなのです。そのプロセスを抜きに気管挿管オーケー、バツなんてやることが私たちとしては一番恐れることであって、景色抜きで医行為だけで判断をするのはやめてほしい。
○有賀座長 
 そんな荒っぽいことは考えていませんね。
○神野委員 
 そんなことは考えていません。今の再挿管も、明らかに外せる項目は外して、残った項目についてもっともっと議論したり、大学院の意見を聞いたりすべきかなというふうに思います。
○井上委員 
 それは、別に医行為からの出発でなくてもいいのではないでしょうか。
○神野委員 
 でも、この二百何項目があるし、これで調査したのだから。
○有賀座長 
 神野先生、先へ進むためにはどうするかという話で提案をしているわけですね。それだけではというふうに神野先生はおっしゃるかもしれないけれども、少なくとも提案ですから、それをやらずにこんなふうにした方がいいのではないですかということを言っていただければ、わかりやすいわけです。
○神野委員 
 正直、今まで長い時間かかって、もし3月になって、最後のぎりぎりになってパパパッと決まってしまうのはいかがなものかと思うので、もうそろそろ、いろいろな行為についての議論をすべきなのかなというふうに思うわけです。
○井上委員 
 准看の論議のときもそうですし、何年も何十年もかけてやってきたものを、3月が近いからパパッと決めるなんていうのは無理で、私は、これは2年も3年もかけていいし、5年、10年かけてもいいと思う。そのぐらいコンセンサスを得てやらないと、先ほど竹股委員がおっしゃいましたけれども、特定看護師をつくってくれと言ったのは看護の側からではありませんでした。前回の永井座長のときはそうではなくて、一つの解決策として提案されて、これはとてもいいなと思ったのですが、どうも流れが違うのではなかろうかというのが私の個人的な考えです。医行為主体とか、医師から、これならやれるのではないか、そういう発想も大事ですし、看護の側からも、先ほど小松委員が言ったように、何がやりたい、何のためにやりたい、その部分をもっともっとくみ取ってほしいということです。
○有賀座長 
 だから、さっきから言っているように、診療の補助に関する部分について花を咲かせただけですね。
○前原委員 
 この議論をしていると船が山にのぼってしまいますので、看護の視点からとか、医行為の医師の視点からとか、両方を見直さなければいけない。そうではなくて、ニーズはどこなのかということですよ。私が言いたいのは、急性期も慢性期も、そこで患者さんの医療を維持向上させるためのニーズが現にあるわけです。そのときに今の診療の補助だけでやっていけるのか。竹股先生がおっしゃったとおり、今の医療というのは非常に複雑で、重症化、高齢化しているので、その辺のところはニーズによって違うと思います。大学病院の景色と、星先生がおっしゃられるような、WOC等のケアのことに関してのこととは温度差が違うと思うのです。学会が努力しているところは今のままでいいわけです。
 ところが、そういうニーズのあるところでは、医師と看護師の中間の職種、それだけの技量と知識と、国民がみんな安心して受けられるような人がいないと、このままではやっていけないというところに立たないと、医行為の方から見ていると大変危険です、看護師の目から見ていかなければ危険ですというと、だれに危険なのかということです。ちょっと激しい言い方かもしれませんけれども、患者さんがそこでどう維持しているか。医師も疲弊し、看護師さんも疲弊し、そこでどうなっているのかといったら、やはり患者さんである国民が大変に思うことであって、それは医師だろうが看護師だろうが関係ないことだと思います。それよりは議論を前に進めることが大事だと思います。
 神野先生がおっしゃるとおり、白黒つけるというのもいい方法だと思います。ただ、203項目を選んだのは網羅的ではありません。星先生も前から、もっと吟味してもっと選べとおっしゃられた。もっと選んで、250、300、400になったら、回答のパーセンテージはもっと下がるかもしれない。それは網羅的でないけれども、ある程度のデータが出たので、医師会のデータも補完的に使わせていただいて、特定看護師、医師と看護師の中間の職種の人、教育を受けた人ができるのはどの辺のレベルなのかというのを出さないと、月に2回も3回も集まっているこの委員会が山にのぼってしまいます、と私は思います。
○井上委員 
 前原先生のおっしゃることは確かに正論に聞こえますけれども、どうしてそれを看護職に押しつけるのか。そのグレーの部分を本当に特定看護師というものが担わなければいけないのか。PAだってあるだろうし、グローバルスタンダードなNPだってあるだろうし、さまざまなものがある。それなのになぜ、そこなのです。それをあたかも国民のニーズを錦の御旗のように、この論議で早くやれ、早くやれ、看護師やれというのは何か違う。もっと看護師、看護教育の側の意見を聞いてほしいと言っているのです。
○前原委員 
 今のことですけれども、私の考えは、看護師さんだけにやってもらおうとは思っていません。ほかの職種の方、臨床工学技士の方もいらっしゃるだろうし、臨床検査技師の人もいらっしゃるだろうし、そのほかのコメディカルの人もいらっしゃるだろうし、それは何も看護師さんだけにやってくれというのではない。それがいわゆるチーム医療ですよ。
○有賀座長 
 ここは、たまたまそのことをやっているのです。
○前原委員 
 わかりました。しかし、ここにも薬剤師さんの方もいらっしゃる、リハビリの方はいらっしゃらないかもしれませんけれども、特定看護師ではなくて、特定診療師でもいいですよ。でも、ここは看護師の業務拡大ということですので、そこから出られないのであるというような議論ではまずいと思います。チーム医療の方で方策委員会もありますし、チーム医療推進委員会もあるわけですから、その辺のことに関しては、何も看護師さんだけにこれを押しつけて何でもかんでもやれといったら、それは悲鳴を上げると思います。
 でも、その辺のところは看護師さんはわかっていらっしゃると思う。医師会の全国調査でも前原班の全国調査でも、それに対して前向きではなく、やりたくないという結論ではないと私は思います。それは看護師さんだけではなく、他の職種の人でもいいと思っています。
○石井医事課長補佐 
 事務局でございます。先ほど真田先生からも触れていただいたのですけれども、ちょっと議論を整理させていただきます。お手元の青いファイルの第6回のワーキンググループの参考資料の2です。申し訳ありません、本日は事務局のさばきが悪いせいもありまして、何を議論すればいいのかというところが少し不透明だった部分がございまして、入り口に入る前の段階で白熱してしまった部分があろうかと思いますので、議論の効率化という観点で、今、何をやっているのかというところをもう一回確認させていただければと思います。
 当面の検討の進め方は、このワーキンググループにお諮りして、この方向で検討を進めようということで御議論いただいたわけでございますけれども、2ページ目からが実際に現在進められている内容というところでございます。2ページ目の一番上の2ポツのところに、「看護師の業務範囲の検討」というところで、一番上のマルに、先ほどからいろいろ御指摘がありました看護業務実態調査の結果につきましては、「チーム医療を推進するための看護業務の在り方について検討を進めるための基礎資料となり得るものの、看護師の業務範囲や特定看護師の業務範囲に関する具体的なとりまとめについては、当該調査の結果のみをもって検討することは困難であり、看護師に対する教育研修や医師の包括的指示の在り方とともに検討を進めることとする」となっております。
 そちらの2ページ目の一番下の4ポツ、「教育研修の内容の検討」というところに教育研修の部分が続くわけでございますけれども、5ページ目の一番上のマルに、「よって看護師の業務範囲の拡大に当たり必要と考えられる教育研修の内容、養成された看護師の活用について、特定看護師(仮称)養成調査試行事業の実施課程から収集した情報を踏まえ、また必要に応じて医療現場のヒアリングを実施しながら、大学院や研修施設を活用する教育研修から各医療機関におけるOJTに至るまで、さまざまなレベルの教育研修や、教育研修を受けた看護師の活用に関する具体的なイメージを作成することとする」ということになっております。そのためにこれまでヒアリングをやったというものでございまして、本日、提出させていただいたものは、星委員からも御指摘がありましたけれども、各ヒアリングの方々からお話しいただいた内容ということでございます。
 このワーキングにお願いしたいのは、今日の資料1につきまして、各項目について具体的な議論をいただきたい。例えば活躍が期待される場面につきましても、さまざまな場面から、ヒアリングでお聞きしたと思いますけれども、それについて具体的にワーキンググループとしてどう考えるのかということについて御議論いただきたいと考えております。3月という話もありましたけれども、今日はもう残り時間が限られておりまして、今日、この内容について全部決めてくださいというわけではございません。この点について具体的な議論については、本日の資料1の内容について御議論いただきたいというふうに考えている次第でございます。
○有賀座長 
 結局、この資料そのもののつくられ方と意味するところについての質疑が、今、行われてしまっているということなんですね。これはしょうがないです。議論しなくてはいけないことが議論されていないというふうにおっしゃるのかもしれませんけれども、もともとこの資料のつくり方からすると、こういう形でまとめてはくださっていますが、たたき台としてどういうふうに考えるのかという話の中から、1番の活躍の場面、期待される役割といっても、具体的に現場を知っている人からすると、私とか星先生のような意見が出るわけです。したがって、神野先生がおっしゃるように、より具体的な話はもう少し個別的な話でさっさと進めてください、ということも出てきているという話なのです。
 1番から最後の番号に至るまですべてがリンクしていますから、星先生がおっしゃるように、病院の中でどんどん勉強できるものについてはそれはそれでいいではないかという話は、現にそうなっているわけで、グレーだと思ったものが白かった、だから、もうそれでいいではないかという議論がある。それは、医療現場における看護師の教育研修はこんなふうな景色で各病院がやっているということで、ここは理解できるわけです。
 先ほど言ったAランク、Bランク、CランクのAランクについて、どういうふうなイメージで、どういうふうに持っていくかというところが、この話の究極の”超ネタ”ですよ。それは前原先生は網羅的でないかもしれないと言ったけれども、何をもって網羅とするかといえば、「こんなこともある」ということが1つでもあればそれは網羅ではないということになりますので、前原先生のお考えになった、この程度の中から選べばとりあえずはいいのではないかというのは、多くの医療現場において恐らく一定の水準でコンセンサスは得られるだろう。だから、自分の働いている場面に関してのみ言えば、相当程度にこれはそうだということが言えるのではないか。自分の働いている現場というのは、私と井上看護師の二人だけで働いているわけではないんです。川上先生もいれば、いろんな方たちがいっぱいいる。そういうことがわかった上で言っている、ということをわからないといけないのではないかと思います。
 今日の議論は、そういう意味では1番から何番まで串刺しで議論されているわけです。だから、1番が済んだら2番、2番が済んだら3番というふうにいかないところに、この話の難しさがあるというふうに理解しないといけない。お作りになった方は順番にこれがわかっていくだろうというふうにいきますけれども、チャプター1が済んだらチャプター2かといっても、チャプター2を話しているときにチャプター8とか9が出てくるわけです。それでこうなっているわけです。
 だから、極めて具体的な提案からすれば、神野先生のおっしゃっているのは、網羅的でないにせよ、取りこぼしがある可能性があって、これは判断なしというのがあったにしても、AとBとCと判断保留のXとかYがあっても、分けていくことは意味がある。それで、Aランクのものについてはこの程度の教育はしてもらいましょう、というふうなことは決められるのではないかとは思います。どちらにしろ、Cは、みんなやれているのだから、あしたからみんなもやれという話ではあるだろう。その部分は恐らく、川上先生が「おまえ、ちょっと勉強してくれや」ということではないだろう。というふうな全体像だと思います。
○川上委員 
 今回、今までヒアリングをさせていただいた内容を横断的な資料にまとめていただき大変わかりやすいと思いますので、ヒアリングの場面では議論しきれなかったことも含めて是非、議論していただければと思います。例えば、既にある認定・専門看護師と、今後、つくろうとしている特定看護師(仮称)との違いであるとか、個々のヒアリングの機会では私も臨床薬理学については伺わせていただきましたけれども、指定基準科目での教育内容が十分なものであるのか。また、基本的には養成機関のほとんどは大学院ですが、果たして大学院で教育すべきことであるのか、あるいは、一般の看護師の業務拡大でもっと実施できるのではないか、などです。せっかくの機会なので、横断的なディスカッションに向けてのスタートにしていただければと思います。
○前原委員 
 今の先生のお考えのとおりで、4ページに書いてありますけれども、東京医療保健大学大学院について、到達目標は、例えば医師の初期臨床研修修了程度、つまり医師になって2、3年目の人を養成する課程が欲しいと。ヒアリングの中の一つですけれども、各ニーズのある場所と場所によって風景が違うように、そのレベルがいろいろあるのだと思います。でも、ここで言う救急、ICU、集中治療というところでは、そのレベルの人が欲しい、そういう教育をするということであれば、川上委員がおっしゃったように、やはりそれは修士課程でしょうということですね。それは具体的にそうなってくる。そのためにはどういう教育をするんですかといったときに、この場面を浮かべると、井上先生に嫌われるかもしれないけれども、医学教育というか、全般的なそういうものが必要でしょうというところの、場面場面で違うのだろうと思います。
○有賀座長 
 けんかが起こるといけないので、診療の補助という切り口でどれぐらいのことができるのかといえば、臨床研修が終わったドクターがいたとすると、その人がICUで勉強できて、やれるところまでのことを診療の補助としてできるといい、こういうふうな話ですね。例えば、あるナースががんのことで特定看護師になったと仮定して、臨床研修医として2年間、そこに行って勉強することが何か月かあったとします。そこでできる技量として、診療の補助としてできることが、このレベルということですね。だから、2年間終わった臨床研修医と同じものをナースに求めているわけではないのです。看護師さんは看護師さんで看護師さんの本業があって、診療の補助という部分に関して言うと、2年間終わったドクターと同じようなことだというふうに私は理解しました。
○小松委員 
 その辺の理解の整理をしておいていただきたい。前原先生がときどきおっしゃる、中間職種という新しい職種について論議するのではなく、看護業務拡大という中での看護師の役割の、診療の補助の拡大という観点でいいんですね。
○有賀座長 
 診療の補助の中で、相当程度に危ういものに関しては、やはり一定の教育の後に場合によっては資格を与えてもいいのではないかという議論があったので、ABCに分けたAは、そういうことを議論する、そういうふうな職種ではなかろうかという話です。BとかCに関して言うと、例えば星先生の病院で一生懸命やっていたり、亀田総合病院で一生懸命やっていたりということが、これでわかっているわけです。
○小松委員 
 職種とおっしゃると、看護師と違う職種というふうに思いがちなのですが、その職種というのはどういうものですか。
○有賀座長 
 看護師さんでしょう。
○前原委員 
 新たな枠組みですね。チーム医療の答申の中には、新たな職種とは書いていないかもしれない。新たな枠組みですよ。そこで私の認識は、診療の補助でやれる、今はそれを越えた医行為はやってもいいですということで調査試行事業が始まっているわけですね。診療の補助の範囲の中におさめるのであれば、何も法改正だとか、そこまで言うとあれですが、そんなのは要らないわけです。
 私が言いたかったのは、Aのところのそういう人をつくるニーズは、どれだけの人が私に賛成してくれるかどうか、Aをつくるニーズは現在の医療には私はあると思います。それをつくるに当たっては、どういう教育とどういうシステムをやればいいのか。それは、Bのところの各場面では違うかもしれません。そこはそこでやはりディスカッションして、その辺のところはどうするのかということはまた論議していかなければいけない。最初にも言いましたけれども、ハードルは高くしてほしいというのはそういうことです。
○井上委員 
 ミッドレベル・プロバイダーが日本にもあった方がいろんな意味で日本の医療がよくなるというのは、私はそれも賛成です。ただ、段階を追ってやっていく必要がある。今は看護師の役割拡大で、新しい職種なんてとんでもないことであり、今、看護師がやっている診療の補助の業務の中で一歩出られるところは何か。その発想がない限り、日本の130万の看護師たちは納得しないと思いますよ。必要性はわかると思いますが、それならそれで新しい職種、新たな概念で出発してくれないと、看護師の役割拡大の論議にそれを重ねる乱暴さを、私はものすごく危惧しているわけです。私も「必要だ」というのは分かります。ですから、やがてつくりたいと思っていますし、NPも日本にあればいいと思っております。ですが、今、それをこれに重ねないでいただきたい。
○有賀座長 
 「新たな職種」という言葉そのものがあっちへ行ったりこっちへ行ったりしていますけれども、野村課長さん、新たな職種かといえば新たな職種であるんですか、ないのですか。
○野村看護課長 
 3月の検討会報告書の中では、「新たな枠組み」ということで、保助看法で言う診療の補助に含まないと理解されてきた一定の医行為を、「医師の指示を受けて実施できる、新たな枠組みを構築する」といったことが書いてあります。
○有賀座長 
 そういう意味では新たな職種Xをつくるわけではないですね。
○前原委員 
 枠組みですね。でも、私は130万の看護師さんが全部反対するとは思っていません。その中間職種のレベル、そういう人も必要だと井上先生がおっしゃられるのであれば、患者さんに近いのは看護師さんであり医師であり、そのほかの人たちもそうでしょうけれども、一番近い人は看護師さんであるだろう。だから、光が一番最初に当たったというふうに私は理解しています。
○有賀座長 
 そういうふうな看護師さんに、新たな教育の仕組みによって、Aのランクの部分で働いてもらうような枠組みをつくりましょうという話になっているわけですから、その部分をどういうふうにつくりましょうかといえば、神野先生がおっしゃるように、やはりいろんな区分けをしながら話をしていくのは一つの方法だろうと。ガサッと「あの景色」と言われても、私が言った、超急性期のインテンシブケアをやっているところのそれを見れば、包括的な指示の中で看護師さんに診療の補助をしてもらっていることからすれば、今、どれとどれとどれがどうなっているのかというふうに、前原先生に挙げていただいた項目を見ながら議論ができます。そういう意味では神野先生がおっしゃるような形で先へ進むというのは意味があるだろう。
 網羅的かどうかは別にしても、急性期と慢性期と前原先生はおっしゃいましたけれども、それプラス在宅みたいなものがあると思います。急性期と慢性期ともし在宅でいいとすれば、急性期の部分についての議論で、こういうふうな勉強からするとこれはAだとか、Bだとか、Cだとか、そういう議論はできるだろうと思うのです。それはもう、やってしまってもいいのではないかという気がしますが、いかがですか。
○英委員 
 私も医者ですけれども、医行為だけでなかなか我々の現場がイメージがつかないんですね。というのは、在宅診療の現場で、例えば胃瘻の交換を在宅でやる医療機関もあれば、やらない医療機関もある。施設もそうだと思いますけれども、地域において、医療自体の標準化がまだ行われていない中で、「だれが担うのか」という標準化を更に加えていくということはイメージがパッとわいてこないのです。むしろ、先ほど星先生もおっしゃっていましたけれども、特別養護老人ホームとか老人保健施設で、医者がいない中で支えている看護師さんたちがどんな行為まで担えることができれば、というイメージづくりなのかなと。
 ですから、このワーキンググループで、こうすればいいとか、ああすればいいという議論が出てきますけれども、一つで進めるのはなかなか難しくて、先ほど座長がおっしゃったように、見えている地平が余りにも違い過ぎるところを、小さいグループ分けというか、そういう中での進めをした上で、確かに急性期の現場ではそういうふうな標準化が十分可能だと思います。一方で、我々の現場ではそういう標準化が見えてこないのが実情かなというふうに思ったものですから、そういう進め方もあるかなと思います。
○有賀座長 
 急性期と慢性期と在宅に場面を分けたとします。それで、前原先生がつくってくださったあれをじっとにらみながら、将来こうだよねというふうなベクトルもあるわけですから、急性期に関して言うと、確かにこれはこっちではないか、Aだとなればそれでいいし、Cだといえばそれでいいわけです。そういうようなことをやっていくことになっていって、わからないものはDですね、要するにわからないのだから。わからないことをわかれというのは無理だから、これはどっちにしていいかわからないというものがあれば、どっちか。それがCかBかわからないというのであれば、Bにしておいた方が安全だという議論はできるかもしれません。
 ただ、Cでもないし、何だかよくわからないというものは局面によってはあり得ますから、必要ないというものは逆に言えばそうでしょう。こんなことは在宅では絶対にやりませんという話がもしあれば、中心静脈を採るなどという話はあるのかもしれませんけれども、そんなにしょっちゅうあるとは思えません。だから、そういうふうなことをフェーズごとにやってもいいのではないか。それは、ここにいる先生方に3で割ってもらうか、4で割ってもらうかわかりませんけれども、割り算して議論すればいいかもしれませんし、その中で、このフェーズについてはAはない、今のCとBを延長させてやっていきたいという話は、論理的にはあっていいと思います。
○真田委員 
 賛成です。私は、新しい枠組みが必要だという前提でお話しさせていただきますと、慢性と急性、慢性というのは在宅も入っていると思いますが、やはり状況が違ってくる。多分、秋山先生が一番御存じだと思いますけれども、在宅は、一般のナースの役割拡大がどこまでできるかによって、特定の役割を担うナースの仕事が変わってくると思う。急性期は、一人の患者さんを診て、先ほど挿管か抜管かという話も出ましたが、一連の技術の流れの中で何が必要かという見方が、今は違うのではないかと思うので、座長が言うように分けて考えていった方が、今後の方向性も出るのではないかと思います。
○有賀座長 
 医行為のそれぞれについて流れの中で理解したというようなことがあって、景色がある程度コンセンサスができれば、あとは、このチャプターの全部の後ろの方まで行くわけです。評価もあって、大学院であれば卒業になるでしょうし、そうでなければ履修を証明するようなプロセスもできてくるだろう。こんな感じだと思います。
 この資料1に関する議論は、とりあえずこんなところでいいですか。私、もう頭が疲れました。
○神野委員 
 ちょっといいですか。今後のスケジュールですけれども、12月で終わりではなかったですか。さっき井上委員がおっしゃったように、これからもっともっと議論していくのですか。
○有賀座長 
 パーフェクトな議論は恐らくできないと思いますけれども、大体こんなところで行こうというところは、今、真田先生も言ってくださったようなところだと思いますが。
 先のことですので、どうぞ。
○村田医事課長 
 当初、発足するときには、12月、年内をめどに一定の中間整理的なものというお話を申し上げたのは事実でございますけれども、現在までの検討の状況を見ますと、かなり検討・整理していただかなければならない論点があるということで、年内で無理やりとかそういうことではございませんので、引き続き検討していただく必要はあるだろうと思います。ただし、2年も3年もというのは、せっかくここまで御議論していただいたことでございますので、できるだけ議論を集約していただきながら、少なくとも年が変わると全然状況が違ってしまうとか、そういうことではございませんので、年明け以降も引き続き御検討をお願いできればと思います。
○川上委員 
 一点だけ。「新たな枠組み」の議論についてです。例えば、すごくわかりやすい例として「処方」のことを挙げますと、「処方」というのは現行法下では絶対的な医行為です。しかし、諸外国で医師以外の人にも処方を認めている国の場合では、地域で活動するジェネラリストに認めている国もあれば、急性期や専門施設のスペシャリストに認めている国もある。したがって、「新たな医療の提供体制」とか「枠組み」の議論は、もう少しいろんな職種が入った、このチーム医療の会議だとワーキンググループ1の方で本来行うべきことかと思います。このワーキンググループ2というのは看護に関する検討の場なので、私も余り必要以上に主張しないようにしていますけれども、「新たな枠組み」をこのワーキンググループ2だけで議論してしまうことには何か少し危惧するところを感じます。WG1とか、上の親会議も含めて是非、御議論いただきたいと思います。
○有賀座長 
 それは論理的にそのとおりですね。だって、ここで議論したことは親会議に上げるわけで、親会議は、親会議の責任においてワーキンググループ1と2を統合的に運営していかなくてはいけないわけです。私は、無理だということを言っているわけではなくて、そういうふうな視点を持っている人たちがここに参集しているはずだということを言っているわけです。だから、急性期で言えば急性期の病棟のあの景色を知らないでぐちゃぐちゃ言っていても、それはしょうがないだろう。在宅の部分は、私の親戚にも医師がいましたので、在宅をやったことがありますよ。現場に行って看取ったこともありますけれども、それは現在の在宅とは多分                              違うと思うのです。知らないことまで知っているようなふりして、乗り込むようなことは私はしませんので。だから、フェーズに分けないといけないのではないかという話なのです。
 時間のことがありますので、資料2と資料3をかいつまんで説明していただいて、これは帰りの電車の中で読んでいただくと。
○島田看護課長補佐 
 それでは、資料2を説明させていただきます。
 「職能団体へのアンケート調査」ということで、このワーキンググループでも御意見がございましたけれども、看護業務実態調査の調査項目の中に、看護師と看護師以外の医療関係者との連携に関する項目が含まれていたということで、看護師とともにチーム医療に取り組む医療関係職種の職能団体から御意見を伺ったものをまとめております。
 調査対象は9団体に調査をいたしております。報告は2ページ以下にまとめてございますけれども、こちらから3つ御質問をさせていただきまして、それに対する回答をまとめております。更には別添2といたしまして、27ページ以降、日本病院薬剤師会と日本理学療法士協会から、独自の調査をされたということでその結果も御提出いただいていますので、資料としてお付けしてございます。
 2ページ以降、簡単に説明をさせていただきます。まず、日本栄養士会からの調査の回答でございます。問1といたしましては、看護業務実態調査の結果で、今後、看護師が実施可能と回答があった業務・行為についてどのようにお考えかということを伺っております。
 マル1にありますけれども、本調査の結果について、このワーキングでも、主に看護師の業務範囲の拡大に関心のある医師・看護師が回答しているということで、客観性のある調査結果とは言えない等の発言があるけれども、本会も同様というような御意見でございました。マル2の終わりの方にありますが、医療スタッフの本来業務における専門性を尊重すべきという御意見ですとか、管理栄養士に関しましては、治療食の決定、食事の開始・中止、更には管理栄養士への食事指導依頼など、栄養に関する専門領域は管理栄養士の業務であると考えているという御回答でございました。
 お尋ねの2でございますけれども、看護業務実態調査の結果で、現在、看護師が行っている業務・行為のうち、看護師以外の職種による実施が適当との回答のあった業務・行為について、どのようにお考えかということで、回答としては、マル1にございますが、食事の配膳、下膳というものは、単に食事を配膳、下膳する業務と、「治療食の説明」、「喫食量の評価」の2つの側面があるということで、これらの業務を後者の方と考えるのであれば、管理栄養士が行うべき業務というようなことが御回答としていただいております。
 3ページ、問3でございますが、チーム医療の推進の観点から、医師・看護師と分担・連携することができる業務(今後実施が可能と考えられる業務を含む)について御記入くださいということです。御回答としては、マル2にありますが、栄養管理の専門職である管理栄養士が、医師の包括的な指示を受けて、患者の栄養管理・栄養指導を決定すべき。これを実現するためには、病棟に常駐する管理栄養士を配置することが必須、といった御意見をいただいております。
 4ページでございます。日本言語聴覚士協会でございますが、問1の答えですけれども、調査方法については、客観的な調査とは言い難いという御回答をいただいております。
 2、調査結果については、基本的にリハビリテーション領域では他職種による連携の中で実施されているということで、リハビリテーションに直接かかわる専門職との関連性の中で、看護業務を検討することが妥当ではないか。
 「49嚥下影像の実施の決定」ですとか、「50嚥下内視鏡検査の実施の決定」、51、104、105といった項目については、嚥下障害患者に対する十分な評価と検討の上で決定されるものであり、包括的にできるということは疑問だというような御意見がございます。
 5ページの3の上のところでございますけれども、196という項目で「患者・家族・医療従事者教育」というのがあります。この部分については、言語聴覚士が専門的観点から行うのが極めて妥当という回答をいただいています。
 問2の2番で、結果についての御意見ですが、「他職種による実施が適当」とされた項目について、看護師は今後行わないということを意味するのであれば、看護師みずからが他職種との連携の機会をなくしてよいと考えているととらえることができる。このような業務を分担して行うという意識を持つことが、患者を中心とした本来のリハビリテーションのあるべき状態ではないかという御意見でございました。
 問3、6ページの上から2つ目のマルをごらんください。リハビリテーションの実施及び言語聴覚士が行う検査の説明については、言語聴覚士が行うのが最も適しているという回答でございました。
○有賀座長 
 途中なんですけれども、電車の中で読んではいけませんか。
○島田看護課長補佐 
 はい。では、座長のご指示でございますので、これら9団体からの御意見ということで、お読みください。
○有賀座長 
 あなたがお読みになった以外にも大事な話が出てきますね。ですから、聞けばいいという問題ではどうもないみたいですし、そんなにやってくださるなら、こんなにうれしいことはないというふうな意見も実はあります。もしそうだとすると、さっきの130万人の看護師さんの話ではありませんが、リハビリの方たちはみんな一体どうなっているのかという話にもなりかねないし、大本営発表みたいなものを読み上げるというのはちょっと厳しいものがありますので、もし時間があったとしても、みんなでそれぞれ読んでください。
 それから、資料3もさっと説明していただきたいのですが、これは前原先生ですか。
○前原委員 
 そうです。前原班の聞き取り調査です。「学会への質問紙調査」という資料3をごらんください。
 安全性の観点から、各学会でガイドライン、プロトコールをつくっているかどうかということの実態調査をしました。対象は医系、看護系、その他で111学会、10月~11月です。
 回答は76.58%です。ガイドライン、プロトコールを現在持っているのが47、今後つくるというのが29でございました。
 ガイドラインのことに関して言いますと、資料3の別添1というところで、医系、呼吸器外科、日本麻酔学会、周術期管理テキスト2010、救急学会、看護系、腎不全看護学会もこのようなガイドライン、4ページにも、そのような学会でガイドラインをつくっているということです。
 ガイドラインをつくるに当たっての、医行為に関する研修会・講習会を行っているかということで、講習会の種類が別添2というところで医系から順番に挙がっております。72の講習会等々がございます。皆様よくやっていただいて、主に日本褥瘡学会、がん看護学会、これは今後ということですけれども、そのほかにも皮膚、アレルギー等々あります。これはごらんになってください。
 要は、これだけの調査をして76%の回答を得た結果、ガイドライン、プロトコールというのは、各学会も医行為を看護師さんにしていただくに当たっては非常に重要視して、これからもつくっていきたい。これからの医行為の実施に当たっては、やはり各学会にガイドライン、プロトコールの追加作成をお願いすることがあるだろうというふうに思っております。
 以上です。
○有賀座長 
 ありがとうございます。
 資料3の結果は、今後、さまざまな勉強プロセスができてくるときに、場合によっては、こういうのを使ってもいいというときの最初の資料でいいですね。学会によっては、例えば日本救急学会などは比較的ガッツが入って答えていますが、ガッツの少ない学会も多分あるのではないかなと思います。そのときはまたそのときで、例えば集中治療に関して言うと、集中治療医学会とか、ナースとドクターが一緒に勉強しているところもありますので、そういうところにも意見を聞くというようなことではないかと思います。
 よろしいですか。電車の中で読むものができましたので、電車の時間に乗り遅れないようにと思います。
 事務局、最後にその他、何かありますか。
○島田看護課長補佐 
 次回の御案内でございます。12月20日(月)14時からを予定しております。また御案内等をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○有賀座長 
 では、有意義な議論が私たちにとってはできたような気がしますが、星先生、いいですね。
○星委員 
 はい。
○有賀座長 
 最初と最後は星先生というわけで、遅くまでありがとうございました。



(了)
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専門官 藤田: 03-5253-1111(代表)(内線4171)
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