ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 子ども家庭局が実施する検討会等> アレルギー対応ガイドライン作成検討会> アレルギー対応ガイドライン作成検討会(第2回)議事要旨




2010年11月30日 アレルギー対応ガイドライン作成検討会(第2回)議事要旨

○日時

平成22年11月30日(火) 16:00~18:00


○場所

厚生労働省 共用第8会議室


○出席者

(委員:五十音順、敬称略)

岩田力、海老澤元宏、遠藤郁夫、鴨下重彦、洲崎春海、高村悦子、西間三馨、馬場直子

(オブザーバー)

眞野 訓 (健康局疾病対策課 課長補佐)
十川 卓也 (健康局疾病対策課アレルギー疾病係長)
小林 沙織 (雇用均等・児童家庭局母子保健課主査)
清野富久江 (雇用均等・児童家庭局母子保健課栄養専門官)

(事務局)

今村 則継 (雇用均等・児童家庭局保育課 課長補佐)
丸山 裕美子 (雇用均等・児童家庭局保育課保育指導専門官)
高橋 晋一 (雇用均等・児童家庭局保育課企画調整係員)

○議事

議事要旨(○は委員、●は事務局の発言)

《保育課課長補佐より挨拶》
 本日は第2回の検討会ということで、皆様からの原稿(案)と各保育所で行ったガイドラインの試行についての意見を基にガイドラインの大枠を固めて、今年度中の発出に向けて最終的な詰めの作業を行っていきたいので、忌憚のないご意見をいただきたい。
 保育所を取り巻く環境としては、幼保一体化の議論がなされているが、新しい仕組みにおいても、子どもの安全や健康は変わらず重要な課題であると認識している。
 そういった意味でも、本ガイドラインが現在の保育所はもちろんのこと、新しい仕組みの中でも子どもの健やかな育ち等について大きな意味を持つと考えているので、検討のほど、お願いしたい。

《事務局より資料、議題の確認》

《事務局より資料作成の経緯、論点の説明》
●本日は1.与薬(薬の預かり範囲)について2.エピペンの考え方3.食物アレルギーについて4.生活管理指導表について を中心に検討いただきたい。

○全体的な問題だが、このガイドラインは誰が使うのかを明確にしておく必要がある。保育現場では、専門用語が多くて難しいという意見がある一方、医療機関にとって、確かに必要だと思われるようなことがたくさん書いてある。もう少し保育所に特化したものと、医療機関用のものとを別に作るようにした方が、わかりやすいのではないかと感じた。

○薬のことや病気の説明をする場合に、しっかりとした知識をという観点があったので、「ここは難しいのでは」という質問を受けたが、「この説明は譲れない」というようなやり取りをしたのも事実である。
 全体の方針が定まるのなら、それに合わせるが、やさしくするために知識が不十分では、困るというのが本音である。

●今のご指摘の点だが、事務局としては、試行作業を経て、文章をわかりやすく修正し、今回提示したものがギリギリの線ではないかと思っている。
 また、誰が使うのかということだが、保育所の現場と嘱託医と保護者、この三者が共通して理解できるような内容にしたいと考えている。そのあたりも、試行作業を踏まえて、修正したところである。

○保育士と保護者と医師のレベルの3段階ぐらいあり、医師のレベルでばかり書くとわからないということがある。
 しかし、本質的な、大事なことが消されてしまっても困るので、むしろ現場で頑張って理解を深める方向が正しいだろうと思う。出来上がったら、保育所での研修会が必要ではないか。

○このガイドラインは初めてのもので、こうした共通のものが出来ないと、これからどうするか、というスタートにもならないので、まずは出すべきだと思う。出した上で、どこが難しいのか、理解できるような解説書などを編集するなどして、運用できるような形にしていきたい。
 
《各章ごとに説明》
 第1章「総論」について
○疾病として一番わかりやすいのが花粉症、つまりアレルギー性鼻炎・結膜炎を記述した。くしゃみ・鼻水・鼻づまりというものが、正常反応だが異常反応になるということで、記述したが、各論の結膜炎や鼻炎のところで触れていれば、削除してもよい(後に第3章担当者から「第3章では書かないので総論でお願いしたい」と述べられた)。 
 アレルギーマーチの図だが、今の時代にそぐわないところもある。図を換えることについて、文章で原図とは違う書き方をしているが、この図は非常に普及しているので、これを換えるのはオリジナリティを損なうので難しい。それならば全くカットしてしまうかということだが、カットすると少し理解が足りなくなると思う。

○この図において「経胎盤感作」というのがあるが、今は特殊なタイプの食物アレルギーにおいてのみ認められることである。昔は予防のために母乳栄養のときや妊娠の後期のところで除去しなさいというのを推奨していた時代があったので混乱させてしまうかも知れない。

○「経胎盤感作」の「経胎盤」を外して修正する方向で検討する。他の委員からも意見を聞いた上で、修正し、原図を作った馬場先生に了解を得るかたちで、図は残したい。

○おそらく、保育士でもアレルギーマーチのことを知らない人多いと思うので、概念として頭に入れてもらうには良い図だと思う。
 
 第2章「保育所におけるアレルギー疾患(実態)」について
○保育所で問題になっているのは、食物除去の問題が多く、他の疾患は医師からの指示があれば、それに従ってできている。ただ、エピペンの問題は、タブー視されていたこともあり、大きな問題にはなっていなかった。これからはエピペンの問題と、地域の医療機関によって疾患のとらえ方が大きく差があることが問題だと思う。特に保護者は主治医からの説明を聞いて、駄目と言われればそれに従っているので、なかなか難しい問題がある。

○生活管理指導表は、「アレルギー疾患の人は、全員書くのですか」という質問よく出るが、「保育所の中での生活に特別な留意が必要な場合にだけ用いる」と書いてあるので、この点をもっと強調すべきだ。

○学校の生活管理指導表も同じような誤解があるので、しっかり目立つようにした方がよい。

 第3章「1気管支喘息」について
○気管支喘息の「頻度」でデータが古いので新しいデータと差し替えをしたい。また、文章も修正をし、非常に読みやすくなったが、薬の与薬の範囲については、全体の中での整合性もあるので、それに合わせて記述したい。

○ガイドラインが出るときにはシクレソニドという吸入ステロイド薬も小児が使えるようになるので、追記した方がよい。
 

 第3章「2アトピー性皮膚炎」について
○「アトピー性皮膚炎」についても、保育士が読むものということで、わかりやすく書いたつもりである。皮膚科の用語でわかりにくいものは、解説を付けた。
 食物アレルギーが関与する乳児のアトピー性皮膚炎については、食物アレルギーとの整合性がとれるよう担当委員に確認してもらいながら、書いた。
 
 第3章「3アレルギー性結膜炎」について
○「頻度」については、眼科医が実施した調査がないので、学童のものを利用した。治療薬については、点眼薬は子どもだから使ってはいけないということはないので、その辺の注意はしていない。ただ、春季カタルという重症型は主に学童期の10歳くらいが多いが、もっと年齢が低い場合にもないわけではないので、その免疫抑制点眼薬について記述をした。
プールの指導については、疾患があってもゴーグルをしていれば、ぜひ入ってほしいことと、その後の目を洗うということで、学校だと水洗の噴水のようなもので目を洗うが、眼科医にとっては、水道水にも塩素が入っているということで勧めてはいない。
 「屋外活動」については、花粉などがあるときには点眼治療を続けることと、できればゴーグルか眼鏡をかけること。それから人工涙液による洗眼を促すこと。通年性や春季カタルの場合は、運動会の後や屋外活動などをした後に、いわゆるアレルゲンだけではなくて、炎症が悪化することがあるので、顔も洗った後に人工涙液による洗眼、目を洗うということを促してほしいということを追記したいと思う。
 
 第3章「4食物アレルギー・アナフィラキシー」について
○保育所の現場の混乱を正そうという意図でこれを作ったので、現場でこれを運用すると、その考え方にまだ馴染めていない保育所では当然違った意見が出てきていると思う。
 保育所は食物アレルギーが未発症の子ども、途中で診断がついた子ども、即時型症状屋アナフィラキシーを呈する子どもがいる。それを一つの生活管理指導表でやっていこうというのは大変難しい作業である。
まず、未摂取食物の取り扱いだが、離乳食を進めていくときに当然多くあるので、いちいち医師の診断書を求めるのは実際的ではない。離乳食を始めていない子どもについて、現場では面談して食べられるようになった物を一つ一つ聞き取り調査していくというやり方をしているので、食物アレルギーを持っている子どもに関しても同じようにやっていこうと考えている。したがって書面申請で除去を解除していくというようにし、除去するときに医師の診断書を必要として、食べられるようになった食品に関しては保護者との間のやり取りだけで十分だと考えている。
 「完全除去」か「解除」の両極で対応を進めるべきということに関しては、例えば大豆の場合だと、しょうゆや味噌はそれが摂れない時だけ○をするとなっているので、厳密に言うと完全除去を指示しているわけではない。ただ、保育所は親がいない場面で子どもを預かっているところであり、この年齢の子どもたちは、風邪を引いたり腸管感染、下痢などが起きると、どこまで食べられるということは容易に変化しうる。したがって、保育所では完全に治ったら解除するということを基本にすべきだろう。加えて、調理・配膳がかえって煩雑になるとの意見があるが、これはパターンが出来上がってくるので、誤食のリスクは格段に軽減されるはずである。
 一方、ガイドラインにも記載したが、ゆとりがあり、マンパワーがあり、絶対に間違えないという確証があるのであれば一部除去を妨げるものではない。対応できる保育所は一部除去を行って構わないが、一律に一部除去に対応する用紙を作るべきではないと思う。
 生活管理指導表の更新を年1回から6か月ごとに変更するという意見は、親からの書面申請で除去解除になるので、この意見は取り上げなくてよいと思う。それから、解除は親からの書面申請という記述に対する意見についても、食べられるものは家庭で食べさせて、食べては駄目というものに医師の判断をつけて、最小限の除去にしていきたい。
 最後に生活管理指導表に対する、医師の責任や料金について。責任については、医師がきちんとした食物アレルギーやアナフィラキシーの記述ができなければ、専門医のところに行って記述してもらうのでよいのではないか。料金については、国として金額の指定はしないであろうし、地域の保健、保育園部会などで相談するなどしていけばよい、と考えている。

○現場から、医師からの指示がないと除去食が始まらないという意見があったが、診断がつく前に医師に書けと言っても無理な話で、診断がつかない間は親とのやり取りをしっかりすればよいということで、この方法が良いと思う。

○除去するときは、生活管理指導表を出してもらうのが基本だが、診断することができていないケースは、「除去根拠」という言葉で、なぜやめるのかを書いてもらって提出してもらい、食べられるようになったら書面で提出することになる。したがって、食べられない場合は医師が関わらないといけなくなり、親の言いなりになる、ということにはならないと思う。

 第3章「5アレルギー性鼻炎」について
○できるだけ簡略に書くように心掛けた。「薬の預かり」については、「治療薬を使用している場合は、その治療薬の使用や管理について、保護者と相談することや保育所内での対応を整備する必要がある」と書いたが、保育所保育指針の考え方との議論の中で整理したい。

●「与薬の取扱いについて」は、保育所保育指針の中で、医師の指示に基づいた薬に限定しているということ、与薬の依頼表を持ってくるということになっている。この範囲でガイドラインに記載している薬についても保育所で受けることは可能であると考えている。ただ、1点、何かが起こったときに必要となったり、吸入するような薬の場合に、その判断が現場では非常に難しいところがあるのではないかと思う。先生方の考えをお聞きしたい。

○現場で時々問題が出てくるのは、喘息やてんかんの場合ではないか。現場で判断しなければというと煩雑な問題もあり、今は「熱が何度になったら入れなさい」という指示の下にやっている。具体的な指示があり、判断しないで使うという形なら使えると思うが、指示が曖昧では難しいのではないかと思う。

○実際にアレルギーに使う薬で、過量になっても生命に異常をきたすことはほとんどあり得ないくらい安全になっている。心配なのはエピペンだけだが、生命に異常をきたすことはほとんどない。

○曖昧な指示があると混乱するとの指摘だが、気管支ぜんそくの急性発作時の対応(自由記載)の欄で、主治医と相談するという記載にしている。

○生活管理指導表に指示が出ていても、実際に使う場合は保護者に連絡して、確認を取って現場は使っているので、指示がきちんと出ていれば、使えるのではないかと思う。

○このようなガイドラインでは、保育所の方から疑問があったら主治医にたずねるというやり取りが大変大事である。主治医と十分に相談する必要がある。

 「エピペン」について
○エピペンについては、0.15mgという製剤の、体重が15kg以上の子どもを想定して書いている。エピペンは自己注射が基本だが、保育所の場合は、本人が打つということを想定することは無理なので、まず「預かる」ということと、「緊急時には使ってよい」という記載にしている。

○学校のガイドラインの時に、法的な問題はないと整理されたので、本人が打てないとなると周辺が打つということで、すっきりしている。現場では、打ち方がわからないなど混乱はあるだろうが、その辺については教育や講習をするという形で前に進めていくしかない。ただ、保育士さんたちに責任を負わせない、それは問題がありませんと保証することが大事である。この文章であれば保証しているわけで、よいのではないか。

○これが出た後にきちんとQ&Aを作ったり、地道に勉強会を開くなどこと、しっかりと啓発活動をしていくことが我々に求められる。

○今回は一応、注射できるという形をつくっておかないと先に進めない。また、実際に保育現場で使わなくても、預かって、救急体制のときに救急車に乗るときに対応できることもある。これからは預からざるを得ないということで、預かるときにどうするかということを保育所の中で緊急体制を考えればよい。

第4章「食物アレルギーへの対応」について
○第4章は別項立てで、「保育所での食物アレルギー対応に関する現状及び問題点」を記述した。問題点については、乳児・幼児を分けて記載し、食物アレルギー対応の原則として10項目を挙げた。食物アレルギーの症状に関しては、わかりやすい言葉遣いにしたつもりである。
 アナフィラキシーが起こったときの対応に関して、3段階に分けて記載し、グレード3という強いアナフィラキシー症状で、エピペンがあれば速やかに摂取するということを一つの基準として挙げた。そしてエピペンに関してどのような薬なのかということを書いた。 

第5章「アレルギー疾患の共通理解と役割」について
○アレルギーについては内容が専門的で、看護師の配置がもう少し増えなければ、うまく普及するには難しいと思う。感染症もそうだが、実際にアレルギーの問題も、浸透するためには、地域での支援が非常に大事。ガイドラインを作るだけでなく、本当は総論的な問題で、整備体制が先にそろって、このような各論が出てくるべきだと思う。

○考え方によっては、ガイドラインがあるから適正な人材を配置してほしいという後押しをすることにもなる。

「ガイドラインの活用」について
○全国の各医師会の保育園部会などで食物アレルギーの指示書の作り直しをしたいという施設が相当あり、ガイドラインが出るとかなり食物アレルギーに関しては使われていくのではないかと思う。
 また、よく質問が出ることは大体決まってくると思うので、ある程度想定してウェブサイトに一緒にQ&Aということで出してしまうのも手ではないかと思う。
 また、ガイドラインは保育士には多分、分かりにくいので、分かりやすくしたものを日本保育園保健協議会で作る。そのような活動も今後フォローアップとして必要。どうやって周知するか、生活管理指導表はPDFでダウンロードできるようにする、医師会や保育所関係のものはありとあらゆるルートを通じて周知を徹底することを、ぜひお願いしたい。

●周知については、感染症のガイドラインの状況見ると、各自治体に送っても、現場に行き届いていないという現状があった。そういう点で、今回はホームページに掲載していく方法を採らせていただきたい。それだけでは周知が十分ではないので、保育団体に、情報を提供して周知を図ることと、研修等の中にこのアレルギーについて組み入れていただくこともお願いしたいと思っている。そして、通知発出前に医師会や小児科医等にも報告をし、お願いしたいと考えている。
 国でも児童福祉施設に関する研修等も行っており、通知発出後に研修していくことは可能ではないかと思う。
 ガイドラインとしては、日本保育園保健協議会で手引きを作成する計画があるということで、こういったものも活用しながら周知を図っていきたい。

○ガイドラインも地域にとっては、それが全部当てはまるとは限らない場合もある。ある地域ではそぐわないので、変えて適用した方がよいとなれば、ガイドラインとは違う運用するということがあってもよいと思うが、ガイドラインの基本的な考え方はどうか。

●ガイドラインの位置付けとしては標準的なものいうことなので、あえて地域によってはこのガイドライン以上に盛り込む、若干下回るが標準的に作るということは構わない。これを一度作って、すべてこれが標準ということではなく、一部の中身については改定があるのは当然で、いろいろな現場からの声が出てくる中で、改定も含めて当然検討する流れだと思っている。

●今回の意見を基に、ガイドラインの大枠を固めてまいりたい。来月中を目途に修正等をし、その後に医師会、小児科医会等に報告し、その後の発出とさせていただきたい。



<照会先>

厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課
保育指導専門官 丸山(内線7919)
企画調整係    高橋(内線7920)

代表電話: 03(5253)1111
夜間直通: 03(3595)2542

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 子ども家庭局が実施する検討会等> アレルギー対応ガイドライン作成検討会> アレルギー対応ガイドライン作成検討会(第2回)議事要旨

ページの先頭へ戻る