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2010年12月2日 第43回社会保障審議会医療保険部会議事録

○日時

平成22年12月2日(木)10:00~12:37


○場所

はあといん乃木坂 B1階「フルール」


○議題

1.平成23年度以降の出産育児一時金制度について
2.高額療養費制度について
3.療養病床の再編について
4.国民健康保険組合に対する補助の見直しについて
5.行政刷新会議「事業仕分け」における指摘事項について
6.医療費の適正化等の取組について
7.その他

○議事

○糠谷部会長 おはようございます。それでは、定刻になりましたので、ただいまより第43回医療保険部会を開催いたします。委員の皆様には、本日は御多忙の折、お集まりをいただきましてありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、神田委員、見坊委員、齋藤正憲委員、横尾委員、渡辺委員、それから樋口委員からも御欠席の連絡をいただいております。また、逢見委員は少し遅れるという御連絡でございます。
 続きまして、欠席委員の代わりに出席される方についてお諮りいたします。神田委員の代理として高橋参考人、見坊委員の代理として齋藤参考人、齋藤正憲委員の代理として藤原参考人、渡辺委員の代理として森岡参考人の御出席につきまして御承認をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
(委員 異議なし)
○糠谷部会長 それでは、そのように取り計らわせていただきます。
 それでは、議事に入らせていただきます。最初に、「平成23年度以降の出産育児一時金制度について」を議題といたします。それでは、事務局より説明をお願いいたします。
○武田課長 保険局総務課長でございます。お手元の資料1をごらんいただきたいと思います。「平成23年度以降の出産育児一時金制度の在り方について」という表題の資料になっております。
 表紙を開けていただきますと1ページ目でありますが、「申請・支払方法1」という表題になっておりますけれども、1番として「直接支払制度の改善」ということでございます。「支払のさらなる早期化」につきましては、診療報酬全体の支払早期化に伴い、各月25日請求に係る出産育児一時金の支払等を早期化するということでございます。
それから、2点目の「手続の簡素化」につきましては、専用請求書につきまして現在は申請先ごとに1枚につき妊産婦3名連記というふうになっておりますが、これが事務的な負担になっているという御指摘もありましたので、1枚につき1名という形で改めてはどうかということでございます。それから、記載項目につきましても、見直しを行ってはどうかということでございます。 
大きな2つ目といたしまして、「小規模施設等における受取代理の仕組みの制度化」でございます。前回のこの医療保険部会の審議におきまして素案としてお示しした、分娩件数200件以下の診療所、助産所という線引きに対して、さまざまな御意見をいただいたところでございます。今回、対象施設の考え方を改めて整理をさせていただきまして、事務的負担が過大となる小規模の施設、それから2は資金繰りへの影響が大きいと考えられる施設というところに、この受取代理の仕組みの制度化を行ってはどうかということでございまして、具体的には年間平均分娩件数で言いますと100件以下の診療所、助産所や、収入に占める正常分娩に係る収入割合が50%以上の診療所、助産所、こういったところを目安といたしまして、受取代理を実施する施設を厚生労働省に対して届出をしていただきまして、この届出を基に実施機関名を私どもから保険者に状況提供する。こういう形で行ってはどうかという整理でございます。
それから、前回の私どもからの説明におきましては、直接支払を選択した施設、それから受取代理を選択した施設というふうに明確な区分を設けることを御提示いたしましたけれども、直接支払とその受取代理の併用実施についても認めることが現実的に実施への移行がスムーズに行えるという御意見もありましたので、直接支払と受取代理の併用実施、それから受取代理の実施のみ、いずれの対応も可能としてはどうか、というようなことで今回具体案を提示しているところでございます。
なお、1ページの※印のところにありますが「現在、分娩件数の約9割で、直接支払制度が利用されている」というところでございますので、前回、対象施設、約5%の分娩件数というふうに申し上げましたが、この10%が今、直接支払が使われていないわけですけれども、これを以上のような改善を行うことによりまして制度全体が更に利用されやすくなり、関係者の負担軽減にもつながるのではないかと考えているところでございます。
それから、2ページ目でございます。「申請・支払方法2」というタイトルになっておりますが、3.のところで「直接支払制度等の実施の選択」と書いてございますが、医療機関は直接支払、または受取代理を実施するかどうかは医療機関の判断ということでございますので、いずれも使わない、従来どおり患者さんから全額お支払いただくということも医療機関の選択であることを明示してはどうかということでございます。
それから、2つ目「の○」にありますように妊産婦さんも直接支払制度を利用するか、または一たん自分で支払った上で保険者に直接請求するかは妊婦等の選択とするということを明示したいと考えております。
それから4.でございますが、「実施状況の把握」ということで、実施状況を把握の上、必要に応じて見直しを検討することにしてはどうかと思ってございます。
それから、5.として「その他」でございます。関連することといたしまして、独立行政法人福祉医療機構による低利融資でありますけれども、今般、暫定措置としての仕組みが来年3月で期限切れを迎え、来年度から新たな形として以上、申し上げたような形がスタートするということを考えますと、低利融資につきましては引き続き実施してはどうかということでございます。
それから、健康保険法106条に係る支給調整と書いてございますのは、現在医療保険制度の下におきましては、妊娠を機に退職をされた方の出産育児一時金の受取りにつきまして、健康保険組合への請求、それから市町村国保への請求、これについての規定が健康保険法106条にございます。この整理を早急に整理いたしまして医療機関、妊婦等の負担軽減に資するようにしてはどうかということでございます。
 最後に、「申請手続等の所要の整備を行う」と書いてございます。これにつきましては、前回は省令による整備ということで素案として提示をいたしましたが、必ずしも省令による整備が必要ではないのではないかという御指摘もございましたので、従来どおり私どもの通知による仕組みとして発足をさせていただければと思っている次第でございます。
 開けていただきまして、次の3ページが以上の考え方を改めて図にしたものであります。前回お示ししたものとの違いは、分娩件数200という線を取っておりますし、また、事務負担、資金繰りへの影響が大きい施設につきましては併用も可能ということを明示しております。
それから、右側に参考1、参考2とございますけれども、参考2のところに新たなデータをお示ししておりますが、医業収益に占めるその他の診療収益割合というものが厚生労働省、中医協で実施をしております医療経済実態調査で集計が可能でございますので、サンプル数は余り多くありませんが、集計してみましたところ、その他診療収益割合が5割を超える診療所は全体の3割であったということでございますので、御報告を申し上げたいと思います。
4ページ目は「支給額等」ということで整理をしておりますが、支給額につきましては出産育児一時金の支給額は42万円としてはどうかということでございます。前回、提示したものと同じでございます。
それから「2.保険者への支援について」でありますけれども、医療保険者の支援につきましては医療保険制度全体の中での医療保険者の影響も含めて引き続き予算編成過程において検討するということでございます。
それから、3といたしまして「今後の支給額の在り方について」ですが、ここに書いてございますように出産に要する費用のうちどの範囲まで手当すべきかなど、さまざまな論点もございますので、今後も必要に応じて議論していくということにしてはどうかということでございます。
今回、私どもから提示をしております資料の説明は以上でございます。
○糠谷部会長 ありがとうございました。それでは、この件に関しまして井上委員、毛利委員から資料を提出されておりますので、井上委員、毛利委員の順で簡潔に御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○井上委員 井上です。委員提出資料の1、1枚のペラですけれども、ごらんいただければと思います。
 2ページ目、裏側をごらんいただければと思います。「補充説明書」という表題になっておりますけれども、申請・支払方法について述べるものです。
 なお、ここにございますものは先ほど事務局から述べられました申請支払方法の1から3についてと同じでございます。細かい文言がございますが、事務局との間ですり合わせ済みでございますので、この点については割愛させていただきます。
 2ページの最後、下から3行目のところだけごらんいただければと思います。この内容につきましては、今後新たに届出の書式を制定したり、受取代理の申請の書式、それから今、武田課長から御紹介がありました通知、通達の内容を盛り込まなければいけません。この点につきましてはいろいろな調整があるかと思いますので、今まで調整していただいたものと同様に、この手続を整備していく途中経過におきましても関係委員との協議を重ねて成案をつくっていただき、最終的にはこちらの部会、専門委員の同席する場を設けていただいて御報告を得て、それで実施に移すという手続段取りを踏んでいただければと思っております。私からのお話は、以上でございます。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
○毛利委員 毛利です。この度、選択制の確保ができたことに関して、ほっとしております。この選択制が確保されたことで、助産所の経営に関しても安心だと思います。
 あとは、「手続の簡素化」です。大きな病院ではほとんど事務の方がされると思いますが、小さな組織では合意書の説明など、かなり時間をかけて丁寧にしてきました。できれば、保険者間で作成された全国共通の説明文が妊婦さんに対して配布されてはどうかと御提案を申し上げます。
 事前代理受け取り制度は、以前、国保の場合は事前に滞納金があるか、ないかという情報がありました。社会保険の場合は、それがありませんでした。全額支給してあげてほしいと思いますが、滞納状況によって支給額が異なる場合は、本人に事前に通知し、医療機関がそのことがわかるシステムを是非御配慮いただきたいと思います。
 社会保障の点から、保険に加入していない人、赤ちゃんを産む前に経済的な困窮に置かれた女性が、是非出産手当金を社会保障という観点で受け取れるよう国の方には是非お願いしたいと思います。
 最後に、直接支払制度が今後も継続されますので、この専門請求書の見直しをお願いします。多くの助産師の方からこの項目の内容に関していつも混乱するという声を聞いております。是非、専用請求書の項目の見直しを要望いたします。内容を検討される場合は、助産師や看護協会の助産師職能メンバーも入れていただいて、ケアの部分の項目名というところを是非明示していただきたいと思います。その結果、女性がどのようなケアにどのぐらいお金を支払ったのかということがもっとわかるような項目名を考えていただきたいと思います。
 あとは、助産所や診療所、病院もそうですけれども、24時間いつお産が起こるかわからないということで、専門職種を待機させて安全対策確保もしております。そういう料金がなかなか設定できずにいると思うので、安全対策確保の料金ということも今後考えていければと思います。
 最後に、分娩料の中に「分娩時の看護」という言葉がありますけれども、是非「助産」という言葉もケアとして重要な部分ですので入れていただきたいと思います。
 あとは、自宅分娩をする助産師たちがどこにどのように料金を明確化するかということで困っておりますので、在宅分娩に関するケア料金や家庭訪問料金も説明文の中に今後入れていただければと思います。以上です。
○糠谷部会長 ありがとうございました。それでは、この件につきまして何かありますか。
○武田課長 御議論いただく前に、一言だけ事務局から補足させていただきたいと思います。
 井上先生から出されている上申書(5)ということですが、先ほど井上先生からすり合わせも済んでいるというお話がありましたが、内容について私どもとして了解をしたという意味でのすり合わせではありません。御意見は確かに事前にいただいておりますので、そういう意味で受け取っていただきたいと思います。
 また、今、助産師会からもお話がありました記載項目ですが、これを大幅に、例えば項目数が大幅に変わりますと、実はこの直接支払制度のシステムに大きな変更が生じる可能性がありますので、そういった点も念頭に置きつつ、現実的な見直しについて関係者とよく相談をさせていただきたいと思います。
 それから、これも井上先生の提出資料にあることで、医療保険部会に最終的な報告を得てから実施というふうに御意見をいただいております。一般論で申し上げますと、基本的にはこの場で大枠について御意見をいただいて、具体的には関係者間とその後、実際に協議をしながら細かい部分を詰めていくというのが一般的だということを付け加えて申し上げたいということでございます。
○糠谷部会長 よろしいですか。何かございましたらどうぞ。
○伊藤課長 国民保険課長でございます。毛利委員の方から御指摘がございました事前代理受取の場合の差し止めの話でございますけれども、これは以前、受取代理が行われていたときは、保険料を滞納されている被保険者の方については出産育児一時金について差し止めを行っていたという制度がございました。
 昨年10月から直接払が導入されたことを契機としまして、出産育児一時金が医療機関に確実に支払われるようにこの差し止めを行わないこととしましたが、その経緯を考えますと、また元に戻すということも考えられるわけでありますけれども、今後直接払とか受取代理、それから現金給付が混在するという中でどういうやり方があるのかということについては、改めてまた検討させていただきたいと思っております。
○高原委員 先ほどの武田課長のお答えですけれども、そうしたら出産一時金の報告も何もなしに、この会では全く報告がないということなんでしょうか。それとも、やはり一たんこうなりましたという報告だけはあるのでしょうか。
○武田課長 従来、必ずしもこうなりましたという報告を委員の方にできていなかった面もありました。私ども、その点も反省いたしまして、今後は審議をいただいた事項について、例えば予算編成過程で検討するものもございますので、そういった結果については各委員に是非情報提供するように努めてまいりたいと思っております。
○糠谷部会長 会議を開く、開かないは別として、必要なことは御連絡をいただくということで進めていただければと思います。
 それでは、この件に関して御意見等をどうぞ。
○海野委員 これまで、専門委員を呼んでいただきましてこの検討を詳しくしていただきました。前回の取りまとめで、直接支払制度を中心として、それを補完する形で受取代理制度を導入してくださるということで、今回具体的な内容をお示しいただきました。
 まず、その直接支払制度が今は大部分用いられているわけですけれども、この制度を改善することによって、受取代理の制度の必要性というのがだんだん少なくなってくると思いますので、その辺は何とぞ進めていただければと思っております。
それから、受取代理制度に関しましては直接支払制度の導入時の関係者の負担の大きさということは、保険者も分娩取扱施設側も非常に大きな負担を被ったのは事実だと思うんです。そういう中で、今回の制度移行に伴ってまたどこかで大きな負担が生じるということになりますと、それはその教訓に学んでいないということになってしまいますので、私どもと産婦人科の方といたしましても、今回仮に受取代理に移行する施設の場合でも、この制度移行に伴う関係者の負担の大きさということを十分に理解した上で慎重に進めるようにということで、この間の医療保険部会での議論も詳しく会員や産婦人科医に周知して、この制度移行に関して円滑に進むように努力してまいりたいと思いますので、今後とも御協力をお願いできればと思っております。以上です。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
○神野委員 神野でございます。額の42万円の問題につきましては、保険者の方に御英断をいただいたと思っておりますので感謝したいと思います。
 そして、我々医療機関側にしてみますと、今回の手続の簡素化とか支払のさらなる早期化、あるいはその他にありました支払調整、特に国保に請求したけれども健保に差し戻しといったようなことについて、今回いろいろと改善の案が出ていることも大変うれしく思うわけです。
 ただ、これは皆、総論的な問題でございますので、さらなる早期化、手続の簡素化とか、あるいはいろいろな調整というのはこれからどういうふうに具体的に行われていくかということも是非早いうちに明示していただきたい。これをお願いしたいと思います。以上でございます。
○糠谷部会長 寺尾委員、どうぞ。
○寺尾委員 来年4月から新たに始まる直接支払、受取代理、それから保険者への直接請求という3つの制度がこのように取り入れられたことは大変評価して感謝します。今、武田課長がお示しになった資料の1番の「直接支払制度の改善」というところに「支払のさらなる早期化」ということが書いてございます。是非、早期化を実現していただきたい。できるならば1か月以内に支払っていただければ、海野委員もおっしゃいましたように代理受領の必要性もなくなってしまうわけでございまして、是非よろしくお願いしたいということです。
それから手続の簡素化でありますが、専用請求書をもう少し簡素化するということと、それから毛利委員がおっしゃったように別の要素も加えたいという御意見もございます。これについては実務担当というか、当事者の助産師会だとか私どもと厚労省の方と相談させていただいて、より簡素化したもので皆さんの意見を取り入れた形にしていただけたらと思います。
それから、受取代理制度ができる施設につきましては制限がございますが、可能な限り、できる限り制限なくできるということを最後にお願いしたいと思います。
○糠谷部会長 白川委員、どうぞ。
○白川委員 支払方法につきまして、現状を考えればある程度こういう方法はやむを得ないのかと考えますけれども、以前から申し上げているとおり、保険者側の負担が相当大きいということ、それからここ2年間ぐらいの度々の制度変更で保険者側のストレスといいますか、不満がたまっているということは是非医療機関側の方にも御理解をいただきたいと思いますし、双方が納得しなければこの制度はうまくいかないと思いますので、我々も努力をしたいと考えておりますというのが1点です。
 それからもう一点、これも以前申し上げておりましたが、支給額42万円に関連しまして、前回も産科医療補償制度の掛け金3万円が適正かどうかという点について、早い見直しが必要ではないかという御意見がたくさん出たと思いますので、それは是非早目に進めていただきたいということと、4ページの2番の「保険者への支援について」ですが、たしか23年度の厚労省の概算要求の中では、この補助金は事項要求という形になっていたかと思いますけれども、前回申し上げたとおり、私どもとしては42万円というレベルとこの補助金はセットというふうに考えておりまして、たしか総額で180億円強だと思いますけれども、最低でもその額は厚労省の方で是非とも確保していただきたいというのが2点目のお願いでございます。
それから、ちょっと戻りますけれども、2ページの一番下の健保法の106条の話でございます。元健保、現国保の被保険者が出産して、国保の窓口に行きますと、健保で受けるように運用されているということで、トラブルが現場では随分出ております。この辺を御整理いただくということで是非ともお願いをしたいんですけれども、是非現場の声をよく聞いていただいて対応案を考えていただくようにお願いをいたします。以上でございます。
○糠谷部会長 それでは、鈴木委員どうぞ。
○鈴木委員 日本医師会の鈴木でございます。出産育児一時金制度に関しましては、従来より学会と医会の立場を尊重するということでまいりましたが、かなり関係者の意見を取り入れられて見直しが進んだことを歓迎したいと思っております。是非、具体的に妊婦さんが困ることのないように、更に今日出た意見なども含めた見直しを行って実施に向けて制度を構築していただきたいと思っております。
○糠谷部会長 小林委員、どうぞ。
○小林委員 4ページ目の「支払額について」、それから「保険者への支援について」でありますが、保険者の財政状況は大変厳しいものがありまして、私ども協会けんぽも保険料率については今年度大幅な引上げを行っており、それに続き協会の医療費本体に対する国庫補助率の引上げがなければ来年度も保険料率の引上げが避けられない状況にあります。出産育児一時金の42万円への引上げは少子化対策の一環として関係者皆がそれぞれ負担を分かち合って子育て世代を支援していくという趣旨のものでありますので、これまでどおり国庫補助による支援とセットであることが不可欠と考えますので、よろしくお願いしたいと思います。以上です。
○糠谷部会長 では、齋藤委員の参考人の方、お願いします。
○齋藤正憲委員(参考人) 私どもも、この支給額については保険者への支援というところの財源が確保された上での話ということで、セットでということを考えております。特にこの「保険者への支援について」の財源については私どもとしては、非常に強い関心を持っておりますので、今の段階でどのような目途がついているのか、どういうものから財源を出してくるのかということについてわかる範囲で教えていただければと思います。
 それから、同じ4ページの3の「今後の支給額の在り方について」は必要に応じて議論していくということになっておりますけれども、算定基準のルール化や見直しの方向性など、今後のスケジュールについて、今お考えのところを教えていただきたいと思います。以上でございます。
○糠谷部会長 ほかにどうぞ。
○岡崎委員 市長会でございます。国保の立場ということもありますので2点ほど申し上げますが、1つは「支払のさらなる早期化」ということで、先ほど白川委員が健康保険組合の方のお立場から少し言いにくそうに言っておられましたが、我々も早期支払には国保の立場としてできる限りの協力はしていかなければならないという思いは持っておりますが、やはり一定の限界があります。現場からも、ここまではできるけれどもこれ以上は無理とか、さまざまな意見がございますので、そこは健康保険組合、そして我々の国保の事務体制を含めて、詳細は詰めさせていただきたいと思っております。
2点目は、先ほどからずっと出ております、特に上積みをされた4万円の暫定措置として上積みをされて42万という総額になっておりますが、やはり国主導で積み上げたものでございますので、そこは少子化対策で国が主導して42万円に引き上げたということでございますので、その財源確保はやはり国の責任において今後もきちんとやっていただきたいということをお願い申し上げます。以上でございます。
○糠谷部会長 岩村委員、どうぞ。
○岩村委員 まず、支払方法については直接払を基本としつつ、一定の配慮をして受取代理を導入ということで全体のコンセンサスもとれたということでございますので、これはよかったと思っております。
 それから、2点目の今お話がありました出産育児一時金の額の方ですが、前回も申し上げましたけれども、42万円に引き上がっている現状からすると、これを下げるというのはやはり現実的ではないと思います。
 私はたまたま介護保険部会の委員をしており、そこでも議論されましたけれども、ペイアズユーゴー原則が閣議決定され、その制約の下で事務方給付額維持のための財源を確保することが難しいという状況の中では、今ある例えば児童手当などの勘定の活用といったことも考えつつ、他方でもともと保険給付であるということから、やはり保険者あるいは被保険者、事業主などに負担についての御理解をいただきつつ現在の額を維持する、更には、事務方にもさらなる新しい財源を見つける努力をしていただくというようなことでやらざるを得ないと思っております。
○糠谷部会長 ありがとうございました。ほかにどうぞ。
○逢見委員 逢見です。遅参して申し訳ございません。
 出産育児一時金につきましては、私どもは妊産婦の負担軽減の視点が欠かせないと思っております。その意味では、将来現物給付にスムーズに移行できるように分娩機関が直接支払制度に参加しやすくなる制度見直しが必要だと思っております。そのため、診療報酬の支払早期化と手続の簡素化ということを進めていくことは賛成でございます。
 それから、受取代理の実施を可能とする対象機関については前回発言いたしましたけれども、限定的であるべきだと思っております。既に9割の分娩機関が直接支払制度を利用しておりまして、こうした分娩機関がこれからあえて受取代理に戻して妊産婦の利便性を低下させるようなことはないというふうには思っております。受取代理を可能とする対象機関につきましては、直接支払が義務化されることで経営上の影響を被る機関を限定的に対象とするということは考えられると思います。
 ただ、その際、妊産婦にとっては直接支払が行われるか否かというのは重要な選択肢であると思いますので、受取代理を実施する分娩機関の名称については厚生労働省から保険者に情報提供を行うというだけではなくて、院内の掲示とか広告等において一般向けに情報提供するということが分娩機関の義務であると思います。
 金額については、先回も申し上げましたけれども、42万円を維持するということは必須であると思います。そのために、保険者に対する国からの支援の維持が前提になるわけですが、保険者への補助の財源確保が困難という理由で減額されるようなことがあれば、これは国の少子化対策、次世代育成支援対策の後退というメッセージになりかねないので、そこは非常に重いテーマであると思います。そこは、政府で十分にそうしたことが起こらないための方策ということを認識していただく必要があると思っております。以上です。
○糠谷部会長 ありがとうございました。それでは、どうぞ。
○齋藤正寧委員 出産育児一時金の支給額ですけれども、これはこれでいいんですが、皆さん保険者の立場から言えば財源をどうするか、これは非常に大きい問題です。本来ならば、これは全額国がやるべきなんですけれども、ただ、今度42万円を支給しますよ、恒久化しますよという中で、この4万円分が全部保険料みたいな形に跳ね返っていくとすれば、これは改悪だと私は思います。ですから、少なくとも昨年並みの国が半分、残りの半分の半分は保険者、半分は保険料と、こういうことだけは最低限の線として確保していただかないといけないと思いますので、よろしくひとつ頑張ってください。
○糠谷部会長 ありがとうございました。では、阿真委員どうぞ。
○阿真委員 今回の件で当事者の声を十分聞いていただいて、くんでいただいたということで柔軟に対応していただいたことに感謝申し上げます。保険者さん、医療機関、それから厚労省、ともに私たち妊産婦の今あるお産を守るために努力してくださったことと認識をしております。私たちも自らよりよいお産をしていけるように、これから努力していくということを伝えられる場所で伝えていきたいと思っております。以上です。
○糠谷部会長 ありがとうございました。大体、よろしゅうございますでしょうか。
 よろしければ、本議題についてはこれまで5回にわたって議論を重ねてきたわけでございますけれども、重要な論点については概ね議論が尽くされたのではないかと思われますので、本部会での議論はこれまでとさせていただければと思います。
 事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえまして、政務三役とも相談いただきながら予算編成過程において関係者との調整や検討を行っていただきたいと思います。
○武田課長 恐れ入ります、先ほど齋藤委員の代理の藤原さんから質問がございましたので、部会長の進行を遮ってお答えするほどの答えは余りないんですが、財源についての目途とか、今後見直しをするとしてのスケジュール、またはその基本的な考え方ということで御質問いただいております。
 財源につきましては、話が出ましたように、特に被用者保険の支援を行っております部分につきましては事項要求ということで予算編成過程で検討ということになっておりますが、一般会計、特別会計ともに大変厳しい財源事情であるということを財政当局及び関係局からいただいておりまして、引き続き今日の多数の御意見も踏まえて調整に努力をしてまいりたいと思います。余りはっきり申し上げられる状況ではなくて申し訳ないと思っております。
 それから、今後この出産育児一時金についての見直しについてのスケジュール、考え方という点につきましては、これまでも特に例えば何年に1度というような形になっておりませんので、必要に応じ、または関係者の御意見を踏まえてということになっていくのではないかと思いますけれども、実施状況も見ながら関係の方々と御相談をしていきたいと考えてございます。以上でございます。
○糠谷部会長 議事進行を急ぎ過ぎまして、失礼をいたしました。
 それでは、よろしければこの議題はこれまでということにさせていただきまして、専門員の皆様におかれましては大変ありがとうございました。次の議題に移りますので、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。
(専門委員 退席)
○糠谷部会長 それでは、次の議題に移らせていただきます。「高額療養費制度について」でございます。事務局より、資料の説明をお願いいたします。
○吉田課長 保険課長でございます。この議題につきましては、資料2「高額療養費制度について」という事務局の資料と、委員提出資料3として本日御欠席の横尾委員から本議題についてのペーパーをいただいておりますので御確認いただければと思います。
 御報告いたしますのは事務局が作成しました資料2でございます。全体で15ページまで資料を用意してございますけれども、そのうち4ページ目以降は、これまでこの会議において御報告をさせていただいたものです。7月以降にこの会議で高額療養費を取り上げていただいておりますけれども、4ページ目のところにその時点で最初に御報告を申し上げた、各方面からいただいております問題提起についてこれまで御議論をいただいたかと思いますが、その資料の関係が後ろに付いてございます。本日改めて整理をさせていただきましたのは、この4ページ目の中でも「外来における高額療養費の現物給付化」あるいは「支給申請の簡素化」に関する部分についてでございます。
 お手元の資料1ページ目でございますが、「高額療養費の支給手続きの改善」という大きなテーマにおいて3点ほど整理をさせていただきました。この後、次のページで御報告を申し上げる「外来診療における現物給付化について」というものが1つ、1ページ目の一番上の箱には現在の状況、あるいは仕組みについて整理をさせていただいております。
 2つ目の箱にございますように、「支給申請手続きの簡素化について」というものが2点目です。これにつきましては、その箱の欄外に(※4)、(※5)、(※6)と協会けんぽ、あるいは健保組合、市町村国保において、それぞれ既に御工夫いただいております保険者側の事務手続の簡素化をめぐる取組みについての状況を報告させていただいております。被保険者の方に書き込む負担を小さくするためのターンラウンド方式と言われるような手法でありますとか、あるいはあらかじめ御登録をいただいた所定の口座を保険者の方が認識しておいて自動的に振り込む仕組みなどが取り組まれているというところでございます。このような取組みにつきましては、これまでも取り組んでいただいているところではありますけれども、一層それぞれの保険者の方々が申請手続きの負担の軽減、簡素化に向けてお取り組みいただくように私、事務局としてはいろいろとお話を伺いながら御協力をいただいて進めてまいりたいと思っております。
 3つ目は、「診療月が暦月をまたがる場合について」です。この何回かにわたる医療保険部会の議論においてもお取り上げをいただいたところでございます。私どもとしては、いろいろ検討を引き続きさせていただく必要があろうかと思っておりますが、1・2に書かせていただいておりますように、レセプトが現在月単位であるということや、例えば暦月という枠を払ったときに複数月、例えば2か月とか3か月単位で設定するという仕組みも考えられるところでございますが、かえって複雑になったり不公平になるのではないかという懸念もございます。
 前にも申し上げたかと思いますが、別途、全体としてのレセプトの電子化というような医療保険システムの高度化という取組みも進めさせていただいておりますし、医療関係者側あるいは保険者側の御理解をいただいて進めるところではございますので、その辺りの進捗も見ながら実務的な工夫を引き続き検討してまいりたいと思っております。
 その上で資料の2ページ目でございますが、「外来診療における高額療養費の現物給付化について(案)」という、かねて御要望いただいておりますものにつきまして、本日事務局として案をお示ししたところでございます。私どもとしては、結論的に関係者の方々の御理解、御協力を得ながら現物給付化の方向に踏み出したいと思っております。
2ページ目の真ん中、「主な手続き」というところに書かせていただいておりますように、具体的には同一の保険医療機関、または保険薬局において同一月の外来診療の窓口負担が自己負担限度額を超える場合ということで、その場合においては負担上限額で患者さんの御負担をとどめるというような仕組みを導入したいと思っております。具体的には、自己負担限度額は御案内のように被保険者の方々の所得によって異なっておりますので、あらかじめ保険者から「限度額認定証」というものを交付していただいた形で実務を進めさせていただく。これは、先行して行っております入院の現物給付化の際に行っている仕組みを外来においても拡大するという考え方でございます。
あとは、多数該当になる被保険者の方々の場合にも、具体的にその旨を証明するようなものを保険者に申請していただくような実務を入れることによって、できる限り事務負担を少なくするとともに患者さんの窓口負担額、金銭的な負担についても配慮ができるような仕組みを引き続き検討してまいりたいと思っております。
具体的には、今後幾つか実務的な課題、あるいはシステム変更などの所要の準備がございますけれども、私どもとしては実施時期といたしまして対応可能な保険者、あるいは医療機関や薬局の皆様方から、できるだけ23年度中の実施ができるように、先ほど来申しました点を詰めていきたいと思います。その過程で関係者の方々の準備のスケジュールなども伺いながら逐次拡大し、最終的には平成24年度からの実施を目指すという形で御協力をいただくように、今後細部を詰めてまいりたいと思っております。
これによりまして2ページ目の下にございますように、例えば通院で医療費が50万円かかったというようなケースであれば、従来はそのポンチ絵にございます左側、まずは一たん3割負担の15万円を保険者の方にお払いいただいて、3か月から4か月後という期間後において限度額を超える部分の償還を受けていただくということになりますが、そこの部分が窓口負担において自己負担限度額で済むという形にならないかと思っております。
 次の3ページ目は、外来ですと入院以上に幾つかいろいろなケースが出てまいります。これは1つの切り口からまとめさせていただいたものでございますが、複数の医療機関を受診されているような患者さんがおられて、Aという医療機関では例えば医療費40万円で窓口負担が12万円かかる。同じように、Bという別の医療機関にかかっておられる。Cという歯科にかかっておられる。Dで薬を薬局から受けておられる。訪問看護ステーションのサービスを受けておられるケースもあり得るかもしれない。こういう場合に、私どもとしてはまずAという窓口負担が12万円という自己負担限度額をここにおいてもう既に超えるというケースにおいて、まず現物給付化をさせていただく。その後、B、C、D、Eにつきましては従来のルールでありますけれども、2万1,000円という一定の額を超える合算、世帯合算の対象となるようなレセプトにつきましては保険者において合算をしていただいて、更に自己負担限度額を超える部分については償還払いという形で事後的に高額療養費の支給をしていただく。このような方法を考えながら、これに必要な実務あるいはシステムの改修に今後関係者の方々の御意見を聞きながら取り組ませていただけないだろうかという御提案でございます。
 事務局の方からの説明は、以上でございます。
○糠谷部会長 ありがとうございました。この議題につきましては、本日御欠席の横尾委員からも資料が提出されておりますけれども、ごらんをいただければと思います。
 それでは、皆様方、御意見のある方はお願いをいたします。どうぞ。
○岡崎委員 制度に反対するものではないのですが、外来で我々国保も扱っておりますので、対象者がどのぐらいいるかというのがちょっとよくわからないので、外来で高額療養を超える対象者の想定ですね。何%ぐらいあるかということがおわかりでしたら、そこを教えていただきたいということでございます。
○吉田課長 これまでの検討過程において外来のレセプト医科、歯科、調剤、それぞれ金額別に並べさせていただいて、今回考えております現物給付の対象となるような窓口負担額を超えるようなレセプトというものを一定の試算をもってピックアップさせていただきますと、ざっくり申し上げて70歳未満では0.3%程度、70歳以上では1%程度というふうに極めて粗い試算、例えば先ほど申しましたように、自己負担限度額というのは所得が違いますので、本当はそれぞれのレセプトの方々がどの所得水準の患者さんのものかということまで確認をしてピックアップする必要があろうかと思いますけれども、医科のレセプトについてはそのような実態を把握しております。
 歯科あるいは調剤につきましてはさほどの数字までは上がらないと思っておりますけれども、そのような形についてもう少し精査をしながら関係者の方々の御理解をいただきたいと思います。
○糠谷部会長 ほかにいかがですか。では、鈴木委員どうぞ。
○鈴木委員 制度自体は、患者さんの負担を軽減するということでよろしいかと思うんですけれども、医療機関側として小規模な医療機関、レセプトが手書きの診療所などもあるわけですが、そういったところの負担は可能だと見ているのか、何か特別な措置を考えておられるのかをお聞かせいただきたいと思います。
○吉田課長 私どもとして、まだ医療機関側までの詳細なる分析はできてございません。
 ただ、先ほどお手元の資料で2ページ、3ページ目辺りに何が起こるかということを具体的な図において示しておりますけれども、1回といいますか、月の受診において自己負担限度額が、一般の方で言えば8万円を超えるというような形での患者さんの受診行動、あるいは医療内容というものについては、先ほどの全体のマクロのパーセンテージで申し上げたように広く行われるものではないのかなと思っておりますので、こういう形に該当し得るであろう医療機関の方々について御理解をいただきながら進めさせていただく。その過程において、場合によっては今、鈴木委員がおっしゃられましたように、幾つか対応に当たっての御準備をいただかなければいけない部分が出てこないとも限りませんけれども、まずは大きな病院からこういうことが当たり得るのではないかと私どもとしては予測をしておりまして、関係者の方々の御理解をいただくように、これからも準備を進める中でお話し合いをさせていただきたいと思っております。
○糠谷部会長 それでは、高原委員どうぞ。
○高原委員 実際に外来診療のみを行っている医療機関側から申し上げますと、高額はほとんどおられません。恐らく想像するに、やはりがんの治療とか、そういうものを外来でやっている患者さん、あるいは透析はもう既に補助がありますので、恐らく担がん患者さんがほとんどのあれだと思うんです。
 ですので、そこのところで私よりも大谷委員の方から何か御意見があるんじゃないかと思います。現場では、私たちのところでは多分少ないと思います。制度としては賛成いたします。
○糠谷部会長 何かありますか。
○大谷委員 制度としてはもちろん患者さんにとって負担が少しは軽減しますし、問題点が改善されたとは思っておりますが、次に意見を出させていただこうと思っていたのですけれども、今の事務局の説明のここまでは納得しているんですけれども、その次にまだまだ改善する余地のある要望がたくさんあることについては意見を言おうと思っておりました。
 確かに患者側から見て、特にがんの患者から見たら大きな病院で1つで大体済んでいると思いますので、支給申請手続の簡素化や現物給付化についてはこの制度が決定できれば、患者さんにとって今までのような、実はお金が払えないから逃げていたとか、お金が払えないから治療をやめていたとかということは非常に軽減されるのではないかと評価をしております。
○糠谷部会長 ほかに御意見ございませんでしょうか。では、鈴木委員どうぞ。
○鈴木委員 鈴木でございます。高原委員からは、診療所では余りそういうことは起きないのではないかということですが、もしそういうことがあった場合には適切に対応をしていただきたいと思います。先ほどの出産育児一時金はあのようにきめ細かい対応をされたので、是非よろしくお願いしたいと思います。
○糠谷部会長 ほかに御意見はよろしゅうございますか。何か事務局からお答えありますか。特によろしゅうございますか。
 本議題につきましては、外来診療における高額療養費の現物給付化という点については、事務局の方は意見の一致をみたと思いますというふうにシナリオを書いていますので、そういうふうに言わせていただきますけれども、ここのところの議論は今日はそんなに進んでいないかと思いますが、外来診療の高額療養費の現物給付化というのはそういうことだろうと思います。
 一方、自己負担の限度額の見直しについては、医療保険財政が非常に厳しい状況にある中、保険料財源を負担とする保険者等の理解を得る必要があり、現時点では困難であるという強い意見があったということだと思います。
 大谷委員から資料の4ページ目のところで御意見がおありだということのようですので、失礼しました。
○大谷委員 この現物給付化の手続きまではよしという話だったんですけれども、その次のずっと議論になっていることで、まずメディアで先行してしまって自己負担限度額の見直しについて出てしまった部分があります。そのことについて、それだけ、まず一度、事務局の方ではどう考えておられるのか。1点、それを先に聞きたいと思っていますが、いかがでしょうか。
○吉田課長 事実関係として、本日の審議会においてお諮りをする内容について先行したメディア報道があったことは私ども承知をしております。私ども、従来から非常にこの審議会においてお取り上げいただく内容についてはメディア、あるいは関係者の方々の御関心が高いということは心しております中で、資料の管理につきましては一層徹底をしてまいりたいと思いますし、そのような努力を改めて申し上げたいと思います。
○大谷委員 それから、いつも懸念になっております高額長期疾病の対象となっていないものへの高額長期疾病への追加なんですけれども、これに対して今日聞くところによりますと、高額療養費制度の議論については今日で一応終了をみるという話を聞きましたので、これについての意見が全くなされていないこと。
 ただ、やっと計算上は出してはいただきました。8ページ目になりますけれども、前回質問をしましたことについて答えは出していただきましたけれども、この後どうしていくかということについての議論を是非していただきたいですし、この話がもう終わってしまうのか。終わってしまってはいけないと思うんですけれども、そのことについて進めていきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○糠谷部会長 私も、ここは後ろの方の資料は余り説明がなかったように思いますけれども、その意味で今の大谷さんの御質問も含めて説明をしていただけますか。
○吉田課長 事務方として説明が不十分で申し訳ございませんでした。お手元の資料2にございますように、先ほども少し触れさせていただきましたように、今年の7月から数回にわたって高額療養費について御議論をいただく際に、4ページ目にございますような項目についてこれまで御要望があるということを当初から申し上げ、具体的には1つ目の丸にございますような自己負担上限額の引下げに関しましては、本日の資料で申し上げれば12ページ以降に具体的に自己負担額を引き下げるに当たって、あるいはその御議論の過程の中で、一方で高額所得者の方に御負担をいただくようなことも合わせて考えるべきではないかという御指摘を踏まえて、資料として提出させていただいた試算もこの過程において行ったところでございます。
 また、4ページ目の中で申し上げれば、今お話のございましたいわゆる1万円疾病と言われてございます特定疾病につきましては、資料8ページ目のところから今の仕組み、先ほど大谷委員の方から補足をいただきましたように、前回までの資料に前回御質問をいただきました先行しております1万円疾病の3疾病についてどういう状況かという資料を本日は補足させていただいた上で、資料として提出をさせていただいているところでございます。
 この1万円疾病に関しましては、資料の11ページに、これは10月27日にもお示しをし、それは7月に一度お示しした資料を10月にリバイスしたものでございますが、関係者の方々から個別の疾患としてこの会議においても資料提供いたしましたような、いただいております御要望について御披露を申し上げ、これについても委員の皆様方にお取り上げいただいたところでございます。
 このような中、私ども事務局としてこの会議に臨ませていただいております中においては、前回までの御議論の中で、一定取得のうち取得の低い方に対しての自己負担限度額を、例えばこの試算でやらせていただきましたように、「一般」というカテゴリーの下3分の1の方々についての負担を下げる。一方で、「上位所得」の方々の負担を上げるという提案、試算結果に対しましては、個々の保険者の負担が非常に厳しい中で、このような形での制度の見直しについてはなかなか、例えば国民健康保険のお立場からは「認め難い」という御発言、あるいは中小企業の協会けんぽの関係から言えば「給付改善を行うということはあるにしても、それは財政中立、給付中立になるように要望する」という御発言もいただいていたところでございます。また「こういう全体の保険者財政の中でなかなか厳しいのではないか」という御発言があったと、これまでの議論を前回までのところ受け止めております。
 また、「1万円疾病」につきましてはこれまでの議論の中で、例えばそこに先ほど例示をさせていただきました、この部会に対して御要望を披露させていただいたような疾患を念頭に、1万円疾病の追加を早急に対応すべきという御意見をこの部会の議論を通じていただいたことを私どもも承知をしております。一方で、その議論に関して、こういう個別の疾病対策については疾病対策として議論をすべきではないか。医療保険制度としては、個別疾病対策は極力抑制的に考えるべきではないかとか、実務的には疾病をある程度配慮するにしても線引きが難しいのではないかというような御指摘があり、そこの部分について現時点までのところ、必ずしも審議会としての一定の方向の集約がいただけていると私どもとしては思っておりません。
私どもとしてはこの部会が高額療養制度について御議論をいただく場だと承知をしておりますので、今後ともこういう問題について関係者のいろいろな御意見や、あるいはその後における経済あるいは保険者の財政状況などの推移も見ながら、ここにおいて御議論をいただくべく事務局としては委員の皆様方の御指示に基づいて、あるいは座長からの御指示によって準備をしてまいりたいと考えているというのが、現時点における事務局としての整理でございます。
○糠谷部会長 今日は時間が限られておりますけれども、この時点で今の問題について大谷さんの御意見は先ほど伺いましたけれども、特に御発言という方がおられましたら伺っておいたらと思いますが、いかがでございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、若干手間取って、私の進行がうまくなくて申し訳ございませんでしたけれども、いわゆる高額療養費の自己負担の限度額の見直し、これは現在医療保険財政非常に厳しい状況にある中で保険料財源を負担とする保険者等の理解を得る必要があり、現時点ではなかなか困難ではないかという御意見もあったということだろうと思います。事務局におかれましては、そういったことも含めて政務三役とも御相談をいただいて、予算編成過程において適切に対処していただくということをお願いしたいと思います。よろしければ、年内における本部会での議論はこの点に関してはおしまいにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
(委員 異議なし)
○糠谷部会長 それでは、次の議題に移らせていただきます。「療養病床の再編について」を議題といたします。事務局より資料の説明をお願いいたします。
○城室長 医療費適正化対策推進室長でございます。資料の3をごらんください。「療養病床の再編について」ということで、2回前に一度、調査結果等を御報告いたしました。その続きになります。
 本日は大きく2点、介護療養病床の方向についての介護保険部会の方との御報告、それからこの関連で医療保険制度で行っております病床転換の支援金の制度についての御報告と方向性の御提案でございます。
 資料の1ページをごらんください。療養病床の転換意向調査、それから利用者の横断調査を行ったということで前々回御報告いたしましたが、その結果について改めて整理をしてお示しをしております。
 1ページ目に書いてございますのは、こういった調査でしたという調査のスキームでございますので、これは簡単に申し上げますと、入っておられる方、入院患者さん、施設入所者さんについて共通の尺度で横断的に把握する調査というのが上の調査でございます。
それから、下の調査につきましては療養病床を有する医療機関の転換意向、これまで、これからというものを把握するという調査でございました。
 2ページをごらんいただきますと、その結果について簡単にポイントで関連のところをお示ししております。これは、利用者に関する横断調査からわかることとして、「医療療養病床と介護療養病床の機能分担が進んでいる」ということでございます。
これは、次の3ページをごらんいただきますとグラフと表にしておりますが、年次推移でごらんいただきますと、医療療養病棟につきましては年を追いまして黒いところ、医療区分3の比率が特に上がって、医療区分1の比率が落ちているという状況が見て取れると思います。それから、介護療養病棟につきましては白いところ、医療区分2の部分が減りまして、医療区分1のところの比率が上がっているという状況でございます。現状においては、22年度調査結果を見ますと、相当程度入所者さんの状況というのは違う病態像になっているのではないかということでございます。
それから、下に「医療の提供状況」ということで表に改めてお示しをしましたが、ここでも中心静脈栄養、人工呼吸器、気管切開・気管内挿管等々、医療療養病棟と介護療養病棟での状況については相当の違いがあるものがある。逆に下の方の2つ、喀痰吸引、経鼻経管・胃ろう等につきましては介護療養病棟でも相当程度行われている。ただし、これについてはこの取扱いについてどうするかという議論が別途行われているというふうに承知をしております。
 それから、4ページにつきましては転換意向等調査についてでございます。簡単にポイントを申し上げると、これまでの転換先は医療療養病床から「一般病床」に、介護療養病床につきましては「医療療養病床」にという状況でございました。
めくっていただきまして、これもグラフにしてお示しをしております。5ページをごらんいただきますと、既に転換を済ませた分でございますが、これは医療療養病床から一般病床にというところが大半でございますし、介護療養病床から医療療養病床にというところがやはり大宗を占めているということでございます。理由をごらんいただきますと、状態像に適しているからというところは68%、これは複数回答でございましたが、その他、体制の問題、経営の問題等々が示されております。
それから、6ページには今後の転換意向でございます。これは現状維持というところ、それから未定というところが医療療養病床については多い。それから、介護療養病床については医療療養病床にというところが少しありまして、未定というところが多いという状況でございます。
こういった状況を踏まえまして介護保険部会での御議論がされておりまして、その結果の御報告を申し上げます。7ページをごらんください。11月30日に取りまとめということで示されたものでございます。
介護療養病床ということで2つ目の丸をごらんいただきますと、ここで大体状況の説明をしておりますが、今、老健施設への転換が7,000床にとどまっていて再編は進んでいないのが実態であるということを踏まえてやりますけれども、社会的入院という課題に対し、医療と介護の機能分化をより進め、利用者にふさわしいサービスを提供する観点から現在円滑な転換を支援しているけれども、現在の転換の状況を踏まえて新規の指定は行わず、一定期間に限って猶予することは必要であるということ。それから、それに関連してその下の丸ですが、介護療養病床の廃止方針を撤回すべきではないかという意見があったということ。
それからその下に、今あるものについては長期的に運営を継続し、新規指定を行わず、療養型老健施設の増設等々の体制整備をしていくべきとの意見があったということが示されております。ここについて今の方向性、今後の検討になると思いますが、報告としては以上でございます。
 その次のページからはしばらく資料でございまして、13ページをごらんください。これに関連いたしまして、病床転換助成事業というものが医療保険制度にございます。これは医療療養病床の転換を支援していくときの助成の制度で、24年度までということで自主的な転換を支援する制度でございまして、保険者さんからの拠出金、支援金をいただいて、国が補助金を添えて支援をするという仕組みになってございます。
 これにつきまして、14ページに今の執行状況とお金の状況をお示ししております。これにつきましては、参考1として執行状況の実績、これは2万2,000床がもともと転換を予定しているということで計画上の数字でございますが、これに基づいてお金を徴収させていただいておりましたけれども、実績については1,200床ということでございますので、差し引きの分について徴収額、64億超が、事務をしております支払基金に積立金として残っているという状況でございます。
 これにつきましては法律上積み立てるということになっておりまして、剰余が出たら、返還するとか精算するという規定はないものですから積み立てをしておりますが、この状況にかんがみまして新たな制度の下では、まずこういったものを精算できる、返還できるという規定が必要だろうということが1点ございまして、これとともに今、積み上がっているお金につきましても新たな高齢者医療制度を設けるに際しましては、一たん精算をするような規定を設けて、改めて次の制度においては、こういった病床転換の支援について引き続き御協力いただくような仕組みというものを設けてはどうかと考えております。こういった状況であるということでございまして、関連条文を次のページに載せております。事務局からは以上でございます。
○糠谷部会長 ありがとうございました。それでは、御意見等がございましたら御自由にどうぞ。
 では、鈴木委員どうぞ。
○鈴木委員 療養病床の再編ということですが、これは前政権下において医療費抑制のために療養病床を削減しようとしたわけでして、これ自体に非常に無理があることでして、現場の実態とは懸け離れた状況になっていたということに転換が進まないという根本的な原因があると思いますので、幾ら補助金を付けて転換させようと思っても、現在いる高齢者が次にいっていただくところがない状況において進まないのは当然だと思うし、介護療養病床の廃止は一応猶予にはなったわけですが、これがどうなるかということによって先々、一定期間の後には廃止するような形ということであれば、やはり療養病床に転換を進めるという方向が今後とも続くということは避けられないと思います。
 私は自分のところを見て高齢化率29.2%ですけれども、介護療養型、老健、特養、全部私のところは持っておりますが、全部重度の方でいっぱいでございます。私は在宅にも力を入れているのですが、見切れない方、見られない方がいっぱいです。介護療養型は平均要介護度4.9、特養でも4.2~4.3、老健ですら在宅復帰30%以上ですが、それでも平均要介護度は4に近い状況です。
 一方、在宅では老老介護、認認介護、あるいはお子様がいない、あるいはいても共働き、そういうことで重度の方の在宅は我々の現行の制度で幾らよくしても不可能な方が次から次へと出てきておりますので、とにかく日本型のそういう高コストではない形で高齢者を見ていくという意味では、私は病院や施設を活用するということが必須だと思いますので、早くこういった廃止の方針を廃止して、介護療養型を残して高齢者の不安、家族の不安をなくすことが必要だと考えております。
○白川委員 2点、御意見を申し上げたいと思います。そもそも18年の法改正をやったときに、新しい高齢者医療制度を創設したりということと同時に、医療費の適正化施策というものを御提案いただいてこの場でも議論されたと記憶しておりますし、この療養病床の再編は医療費適正化の中で大きな柱だったと考えておりましたけれども、今回、今、鈴木委員からお話もありましたとおり、実態から見てかなり無理な計画であったのではないかという御指摘で、現実はそうかもしれませんし、介護保険部会での資料を見ておりますと一定の期間に限って猶予するという結論になっておりますが、我々保険者としてはこのまま医療費がずっと伸び続けますと保険財政がもたないという危機意識を持っておりますので、医療費の適正化も同時に進めていただきたいというふうに強く願っております。大きな柱である療養病床の再編が少し猶予されるということに関しましては非常に残念でありますし、これに代わる医療費適正化施策というものを是非とも厚労省で御検討いただきたいというのが1点目でございます。
 2点目は、14ページに病床転換助成事業ということで、これも18年改正のときに病床転換に必要な、それを助成するお金を保険者から拠出するというやり方、これ自体がいまだに私はどういう理由づけなのかはっきりしないんですけれども、療養病床の再編といった、医療機関側でのいろいろな工夫が必要な場合は、基本的には医療機関側の資金、あるいは必要であれば国の助成ということでやっていただくのが筋だと考えております。
 それから、こういう形で助成をすることだけではいろいろな政策がうまく進まないという一つの例ではないかと考えておりますので、こういった助成の在り方につきましても、これがいい例かどうかは別にして、是非少し柔軟に考えていただくようにお願いをしたいというのが2点目でございます。以上でございます。
○糠谷部会長 逢見委員、とうぞ。
○逢見委員 療養病床再編が当初描いたスケジュールどおりにはなかなか進んでいないということについて、いろいろ課題はあるんだと思いますし、ただ、これで介護療養病床廃止方針を撤回すべきという意見もあるようですが、なぜこういうことが始まったのかということを考えると、基本的には介護の社会化を進めたいという介護保険制度の基本理念があったわけでございますから、この理念は今後とも追求すべきであるということだと思います。期限を猶予せざるを得ないということについては、現状から言ってやむを得ないと思いますが、理念そのものまで否定するものではないということだと思います。
 それから、病床転換助成事業については白川委員と同じような意見でございますが、まずは現状の部分についての返還規定を設ける。合わせて、一度精算するということは必要だろうと思います。その上で、病床転換助成事業の在り方そのものについてもう一度どのようにするのがいいのかという議論をしっかり行っていただきたいと思っております。
○岡崎委員 全国で一番ベッド数が多い。特に、療養型病床数のベッドが一番多い高知市でございますので、過去の経緯を踏まえていろいろな経過があったわけでございますが、前政権の下では先ほど少しお話が出ましたように、全体の社会保障の中でも医療費の抑制と社会保障費全体の伸びを抑え込むということをかなりある意味、強引にやったので、療養型病床群につきましても診療報酬点数をある意味で極端に下げてかなり強引に転換を図ろうとしていた時期もあったのですが、それはさすがに無理なので、どちらかというと今はハードランディングからソフトランディングへという流れに変わってきているということも認識をしております。
 ただ、先ほど鈴木委員さんがおっしゃられましたように、病院からそのまま追い出すというのは現実的に無理でありますし、特に我々地方都市で生活しておりますとやはり中山間地域が多いので、自宅に帰らせて例えば車いすで移動をというふうに考えても、中山間地域ではそれは無理です。平地と全く違いますので、自宅へ帰ったとしてもまず部屋から出られない、家から出られないという状況になるので、療養型病床を全部廃止していくというのは多分無理ではないかと思っています。
 ただ、今、先が見えにくくなって、このペーパーを見てもこの先どうやっていくかということは全然見えないのですが、一番基本的な考え方は医療機関でお1人当たり月額幾らで見るか、もしくは介護施設へ月額幾らで見るかというコスト比較を当然当時もされていて、今でも比較をしていると思うのですが、確かに介護施設の方がコストは安いです。
 ただ、先行きが今は見えなくなっていますのは、今、介護保険料は大体4,500円ベースだと認識しておりますが、来年多分5,000円くらい、次のステップでは5,000円というところを想定されていると思うのですが、介護保険料自体も上限が見えつつあるわけです。例えば、5,000円にするかどうかというのはアッパーが見えつつあるので、今このペーパーを見て先行きの方向性が、厚生労働省自体の方向性も見えないのですが、介護保険の中で重点的にシフトして見ていくのか。療養型病床というのを残しつつ、医療保険の中で一定見つつ、そして一定この部分について介護の方で見ていくとか、その境界線がはっきり見えないので、今お考えがあれば今後の方向性、それは将来に向かってということですが、お聞かせいただけたらと思います。
 我々、地方の立場から言うと国保という医療保険と介護保険と両方持っていますので、両方の保険者なんです。それで、どちらでどういうふうにバランスよく見るかというのは非常に重要な問題なので、方向性について意見があれば聞かせていただきたいと思います。
○糠谷部会長 事務局からは後でまとめてお答えいただきます。それでは、この件に関して高原委員どうぞ。
○高原委員 ここにおられる方も御高齢の親御さんを持っておられたり、親戚を持っておられる方はいらっしゃると思うんですけれども、介護保険で全部が賄えるんだったら当然それでいいわけですが、介護保険自体もサービスをすると今度はお金がかかって、次に介護予防、私は介護よぼよぼと言っていますが、そういう形でどんどんお金が出ていきますけれども、皆お金のことが制限になって普通の保険も介護保険も介護予防も全部しりすぼみの状態になっている。
 どこかでやはりしっかり締めないといけないと思うんですけれども、例えば家でお2人とも認知症の患者さんがいらっしゃいます。食事の方もままなりません。介護サービスが入っても丸24時間は入れません。24時間サービスというのは行くことはできるけれども、24時間そこにいるわけではないです。だから、私の患者さんでいたのは、本当に24時間家政婦さんについてもらってやっと生き延びたということがあります。これは介護保険でも何でもないです。介護保険の方をちゃんとするんだったらしていただきたいと思いますし、医療保険で済むんだったらちゃんとしていただきたいとおも。先ほどの委員がおっしゃったように、どちらに重きを置くのか。あるいは、もうここら辺で見捨てるのか。そこら辺のところをちゃんとしていただかないと、全部だめです。
 私は今57歳ですけれども、恐らくそれくらいの年代の人も、この委員の方にはそれ以上の方もいらっしゃいますし、これからすぐ自分たちの問題となったときに、医療保険もうまく使えない。そして、介護保険も使えない。おまけに、後から言いますけれども、医療保険を使わなくするための検診自体もつまらない検診である。だから、もう少しどこかでしっかりとやらないと、お金のことばかり言っているとやはり日本沈没といいますか、どこに行ってもどうしようもないというような状況になると思います。
 どうぞ、厚労省の方、それからここの委員の方にはいろいろな方がいらっしゃいますので、その場限りのお金の問題ではなくて、これから先の方でお金がかかるということで財源がないということはよくわかりますけれども、もう少し進んだ意見は出ないのでしょうか。以上です。
○糠谷部会長 事務局には後でまとめてお願いします。それでは、どうぞ。
○齋藤正憲委員(参考人) 介護療養病床の廃止方針をいったん猶予ということですけれども、漫然と延期していくということではなく、その間に療養病床の在り方、医療・介護の機能分化と連携ということについては引き続き具体的に検討していくべきだと思っております。その際に是非お願いしたいのは医療提供体制、医療保険、診療報酬など、さまざまな要素がありますので、これらの審議の整合を取りながら議論をしていただきたいと思っています。
 それから、病床転換助成事業については返還規定を設けてはどうかとの提案について、積立金を返還するというのは当然だと思いますし、廃止方針を猶予するという期間は徴収自体も一時停止すべきではないか。その先には、当然先ほど逢見委員からお話がありましたように、この事業の在り方自体も再検討していくということになると思います。以上でございます。
○岩本委員 今日の議論も財政の話がかなり根底にあって、財源がないということでいろいろ苦労をしているということですけれども、この療養病床再編も2006年の医療制度改革の中で出てきたお話ですが、結局はその医療制度改革自体も財政の問題が非常に大きかったわけです。
 それで、当時も大変で、今も大変な状態で、何とかしなければいけないということで、かなり現場から離れた方向への改革を打ち出してきたわけですけれども、現実には、何とかしなければという思いだったのですが、何ともならないという状態になってきているのかなという気がいたします。
 もう一つ、医療制度改革の方で医療費の適正化に取り組むということで挙げられていました予防の重視ということに関しても、特定健診の受診率が目標値に向かって余り伸びてこない。これが支援金でペナルティが課されるということで、当事者は非常に戦々恐々としている状態だったのですけれども、ただ、支援金の制度が組まれている後期高齢者医療制度自体が廃止ということになってどういうふうに改革されるのかという議論があって、あちらの方の話もちょっと不透明になってきているということです。
 しかし、高齢化が進むので医療費が伸びていくという状況は変わらないということで、何とかしなければいけないと打ち出した改革が何ともならないという状況になってしまえば、結局今日みたいに財政の問題はどこも行き詰まってしまってという議論になってしまうわけです。
 ですから、大きな方向性がどうなっていくのかというのは今でも大事なことだと思うのですけれども、この改革、前回の改革に関しては相当程度議論をして政府としても方針を決めた話であって、政権が変わったからと言って新しい政権がそれに取って代わるものを打ち出したわけでもなければ、まだこの形の方向性としては進むのかなとは思いますけれども、ただ、こういう形でトーンダウンしていくとどこにいくのか、非常に不透明になっているような気がいたします。そういった意味では、政府としてはもう少し大きな方向を打ち出して、当事者もどこに向かっていいのかわからないと思う状態をできるだけ払拭していただきたいと希望します。
○糠谷部会長 大分この議題が続いていますけれども、まだ議題はたくさんありますので、今日は少し12時をオーバーするかもしれませんが、お許しをいただければそういうことで、紙屋委員どうぞ。
○紙屋委員 お金のことではなかなか発言する機会がなかったのですけれど、この審議会も終わりに近付いていると伺いましたので、看護の立場から一言現場からの意見を述べさせていただきいと思います。短くいたしますが、例えば今、胃ろう(PEG)などを割と簡単に嚥下障害の方などに入れるのですが、今まではドクターが入れると言えば、そうですかという感じですぐ胃ろう(PEG)が増設されてきたのですが、ジレンマもたくさん現場にはあります。最近は看護職も頑張りまして、急性期から慢性期でも口から食べるトレーニングをしてみると、食べられるようになる例も増えて参りました。急性期から介護療養病床群でも随分頑張り始めました。
 ところが、食べられるようになりましたら次の受け皿になる施設がなくなってしまったということが看護の研究会で問題になりました。というのは、PEGですとセッティングすればもう作業的には終わりです。ところが、安全に食べていただくためには一人の方に40分くらいの時間がかかる。すると、一人の患者さんに看護職がそんなに長い時間、拘束されるとほかの仕事ができなくなるということで、今までPEGなら受け入れていた施設が受け入れてくださらないという状況が次々と出てきました。それで問題になりました。
 それからもう一つの例では、PEGを入れて家庭に戻られたのですが、奥様がお仕事をされているので、ヘルパーさんがその間は看ることになります。ところが、奥様が朝7時にPEGから経管流動食を流して仕事に行ってしまうと、ヘルパーさんはPEGの操作は法律上禁止されていますので、朝7時から奥様がお帰りになる夜7時まで、ご主人には水一滴、経管流動食一滴も身体に入らないという状況があるということを在宅の調査確認しました。
 こういうことは、例えば小児であれば育児放棄としての虐待になります。大人であっても私は未成熟な社会制度による虐待に等しいのではないかと思います。朝7時から夜7時までの間、水一滴、栄養一滴入れられないなどという方が存在すること自体、許されていいと思わないのです。そこで、食るトレーニングをしてみると、その方も食べられるようになりました。そうすると、ヘルパーさんがお食事を食べさせてあげられるわけです。つまり、患者さんや高齢者の方がどこの施設からどこの施設に行くかが非常に問題になってくるのです。食べさせたらよいというところもあれば、いや、PEGが入っていなければ困りますというところもあり、まるで患者さんの運の良し悪しにかかっているようでは困るのです。同じことは気管支切開有無についても言えることです。
 そうしてみますと、高い志を持って医師や看護師になら、またいろいろな医療職になった人たちが、このような現状が続けば倫理的にも心がすさんでいきます。専門職としての心がすさむような、制度を放置することは問題が大きいといえます。
 お金の議論はよくわかるのですが、ここで医療と介護保険のよい連携とか、何か立て直しの方向で御議論いただければありがたいと思います。現場のそういう実態を皆様にお知らせしたくて一言発言させていただきました。
○糠谷部会長 事務局にも答えてもらわなければいけませんので、あとお1人くらいでよろしければどうぞ。
○神田委員(参考人) 療養病床につきましては、個人的には非常に重要である。今後、高齢化を踏まえて必要になってくるということは理解しているのですが、今日は時間の関係もございますし、適正化計画をつくっている都道府県の立場として御発言させていただきます。
 まず1点は、今回の介護療養病床の廃止につきましては、恐らく介護保険部会のマターかというふうに我々は理解しております。ただ、これが今後、県がつくっております適正化計画、先ほど白川委員から御指摘になったとおり、非常に大きな柱として立てておりますので、これがどういう取扱いになっていくのか。または、この廃止の猶予がどのくらいの期間なのかによってもこの適正化計画の取扱いが非常に変わってくるというところがございますので、介護保険部会との連動の中で今後、適正化計画の在り方について少し御指示をお願いしたいと思います。
 また、病床転換事業につきましては今回、適正化の取組みの議題の中ではなくここで出されているというのは介護保険部会との関連かと思いますが、もともとは医療療養病床の転換という適正化事業の中の流れかというふうに理解しております。したがいまして、今回のこの制度の存続につきましてはむしろ介護療養病床の廃止の猶予に合わせるのではなく、適正化の事業の中で位置付けていくべきではないかと私は考えております。
 ただ、一点、先ほどから出ておりますが、介護療養病床がただ単に医療療養病床に変わる。これでは医療費の適正化事業にはならない。では、医療療養病床が一般病床に変われるのかということでございますが、これは診療報酬の点数の問題もありますが、昨今の医師不足、看護師不足等、当然一般病床になると医療提供体制の充実ということがありますので、その辺の施策も含めた適正化計画という方向で国の方から御指示願えればと思います。以上です。
○糠谷部会長 それでは、いろいろ御意見は出ましたけれども、事務局の方からお答えできるところはいただけますか。
○城室長 まず、この理念がどうなったかというようなお話でございます。そもそもこの療養病床の再編につきましては、医療費適正化計画の中で平均在院日数を削減するという方向性の中でのツールとしての位置付けがございました。
 それについては8ページにございますが、特に医療の必要度に応じた機能分担を推進するということで、医療が必要な方には医療サービス、介護が必要な方には介護サービスという理念でございまして、これについては大きく変わるものではないと考えております。
 なお、現在この猶予ということもございますが、平均在院日数の削減の関係での適正化計画についてのお話がございましたが、これについては在宅医療の推進等々、関連のほかのやり方も含めてお願いしたいということで、都道府県に別途指針等のお示しをしているところでございます。
 それから、13ページをごらんいただきます。これは、どうして保険者かというお話がございました。これにつきましては、先ほどありましたような医療費適正化計画の一環としまして、これは患者さんにふさわしい医療を提供するための場を再編するという考え方ではございますが、それに伴って医療費のもちろん適正化に資するということもありますので、この支援につきましては高齢者医療制度の後期高齢者の支援金の負担割合に合わせて国、都道府県、保険者がそれぞれ高齢者の支援金と同じ比率で支援をしていくというスキームで考えていたところでございます。
 これについては、もちろん強制的にということではなくて自主的な転換についての支援という扱いでございまして、こういった転換についての支援をまず医療費適正化計画の第1期の期間である24年度までということで設定をしているところでございます。
 ですので、今回確かにお話がございましたように、介護療養の扱いが猶予だからというところに限らないのではないかというお話もございましたが、そういったことも含めて今後、次の医療費適正化計画の位置付けにおいてどういうふうにこれを位置付けるかということもございますものですから、そこは引き続き検討をさせていただきたいと思っておりますけれども、まず介護療養病床の猶予がございますので、その期間延長するのはどうかということでございます。
 それから、徴収を停止すべきではないかというお話がございました。これは先ほどちょっと御説明をはしょりましたが、支援金につきましてはここに64億という形で2年間でこれだけ剰余がございますので、手数料とかいろいろお振り込みいただくにもかかりますので、20、21年度の徴収までとして、22年度についてはここから実際の支援の交付金を賄うということで、徴収を既に停止をしているという状況でございまして、多分、今の数値を見る限りにおきましては23、24についてもとりあえずまずこの取扱いで賄えるのではないかということで考えております。もちろんこれは、返還する段階でその分の精算というものも合わせて行う必要があろうかと考えております。
 それから、医療と介護のそもそもということでございます。これについては、医療の必要な方には医療、介護の必要な方には介護サービスをという基本的な考え方の下でございまして、現時点でということではありませんけれども、次の医療、介護の同時改定というものがございますので、ここに向けて引き続き今、検討、議論が進んでいるということでございまして、現時点において何か特別のということはないというふうに承知しております。
○糠谷部会長 事務局のほかの方で、何か補足等はございますか。よろしいですか。では、どうぞ。
○渡辺委員(参考人) 日本歯科医師会の渡辺委員の代理の者で参考人でございます。
 先ほど紙屋委員の方から発言がありましたように、今、胃ろうの方を食べさせるようにすると確かに時間がかかってしまいます。これが医療現場において本当に行われていることで、先般も療養型病床群などに私が行った折に、とてもじゃないけれども面倒が見られないので流動食でしか賄えませんという回答になってしまうんです。
 ですから、この辺は本当に財源の話とは別にまたどこかで考えていただきませんと、よりよい老人医療はどうすべきかということをどこかで考えていただきませんと、なかなか進まないと思います。本当に入れ歯を入れて食べさせると時間がかかってしまう。どうやってこの時間を考えていただけるのかと、ちょっとつらい思いを歯科としてはした覚えがございますので、1点だけ申し述べさせていただきます。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、よろしければ本議題につきましての本日の議論、本部会での議論はこれまでとさせていただきます。事務局におかれましては、本日いただいた意見も踏まえまして政務三役とも御相談いただきながら検討を進めていただければと思います。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。「国民健康保険組合に対する補助の見直しについて」を議題といたします。事務局から説明をお願いいたします。
○伊藤課長 国民健康保険課長でございます。お手元の資料4をごらんいただきたいと思います。「国民健康保険組合に対する補助の見直しについて」の検討状況を御説明申し上げます。
 1ページ開けていただきまして、「これまでの議論」というタイトルのページでございますけれども、右下の現行補助制度をもう一度確認させていただきたいと思います。定率補助につきましては、所得水準にかかわらず一律に医療給付費等の32%の定率補助が入っております。その上に、所得水準に応じて10段階区分になっております普通調整補助金というものがゼロ%から23%ということで入っております。
 更に、その上に特別調整補助金の財政調整分、これは調整対象需要額から調整対象収入額というものを差し引きまして、その不足分を補填するという形で補助が行われております。更にその上に特別調整補助金の経営努力分があります。これは国保組合の医療費適正化などの努力に対して点数評価をして交付を行っているものですが、これについては配分が不透明であるというような批判を受けているものでございます。それから、更にその上に特別対策費補助金というものが乗っております。これは、国保組合が各種事業を行った場合に対して補助を行うという仕組みでございます。
 左の調整補助金15%以内という記載でございますけれども、普通調整補助金と特別調整補助金を合わせたこの調整補助金につきましては、医療費給付費等の15%以内ということが法律で決まっているわけでございます。以上が現行の補助制度でございますけれども、5月31日に厚生労働省におきます行政事業レビューというものが行われました。このときの結論については、「主なコメント」のところでございます。
 財政基盤に不安のない組合に対して国庫金が入ることを長期的には廃止すべきである。定率分の見直しも必要。
 2つ目は、特別調整補助金の「経営努力分」と特別対策補助金の廃止、それから調整補助金の増額。
 3つ目でございますけれども、本来協会けんぽに加入すべきである方でありますが、健康保険の適用除外承認を受けて国保組合に加入することができる制度があります。こういう方々に対しましては、平成9年度に補助率の改正がありまして、従来の32%から協会けんぽ並みの16.4%に引き下げられたわけでありますが、それ以前に適用除外承認を受けて加入している方の補助率は32%に据え置かれております。これを、協会けんぽ並みの16.4%に引き下げるべきという指摘でありました。
 その下に、「医療保険部会での議論」を書かせていただいております。これについては省略させていただきます。
 2ページでございます。11月16日に行政刷新会議におきまして事業仕分けが行われました。これに対して提示しました考え方でございます。この四角の中に書いてある基本的考え方に基づきまして、補助制度全般についての見直し案を、A案、B案として提示をいたしました。
 「見直しの基本的考え方」でありますけれども、個々の国保組合の「所得水準に応じた補助」を基本とする。
 市町村国保や協会けんぽに対する国庫補助とのバランスを確保する。
 国保組合に対する不信感や不公平感を持たれないようにする。
 国保組合が果たしてきた役割を踏まえ、保険者機能の強化に資するようにする。
 各国保組合への財政影響に配慮し、5年間の激変緩和措置を設ける。
 こういう基本的考え方に基づきまして、A案、B案というものを提示させていただきました。
 3ページでございます。行政刷新会議に出しました案の概要でございます。
 A案というのは、厚生労働省としての考え方を示したものです。図の左側を見ていただきますと、定率補助が3段階に分かれておりますが、16.4、24.2、32%という3段階の補助とする。その際、国保組合は健保組合と異なり事業主負担がなく、国民健康保険の一環として一定の補助が必要であるため、補助率を協会けんぽの水準、16.4%以上とするという考え方でありました。国庫補助の削減額は、5年後の累積としまして290億円程度ということになります。
 B案の方でございます。先ほどの行政事業レビューの指摘どおりに見直しを行うということで考えた案がB案でございます。この場合、定率補助を5段階の補助とする。その際、所得水準の高い組合に対する定率補助は廃止をするというものであります。この場合、5年後の累積の国庫補助の削減額は420億円程度になります。
 また、A案、B案共通としまして、行政事業レビューで指摘されたとおり、特別対策費補助金については廃止する。特別調整補助金の経営努力分と特別調整補助金の財政調整分については、普通調整補助金と特別調整補助金の保険者機能強化分に再編成するということであります。
 普通調整補助金につきましては、これまでの10段階区分を廃止しまして、調整対象需要額から調整対象収入額を差し引いて足りない分を補填するというような考え方で、所得水準に応じた補助を徹底していくということでございます。また、保険者機能強化分と言いますのは、保健事業など、真に保険者機能の強化に資するような事業に対して補助を行いたいということを考えているわけでございます。これによりまして、補助制度の体系はかなり簡素化されまして市町村国保と同じ体系となります。
 また、A案、B案とも、先ほど少し触れさせていただきました平成9年以前に適用除外承認を受けて加入している方の補助率につきましては、現行の32%から協会けんぽ並みの16.4%に引き下げるという案を提示させていただいたわけであります。したがいまして、A案とB案の違いは所得水準が高い組合について定率補助をゼロとするか、16.4%とするかという違いでありました。
 4ページでございます。行政刷新会議におきましては1時間議論が行われたわけでありますけれども、事業仕分けワーキンググループの評価結果では、「見直しを行う。所得水準の高い国保組合に対する定率補助の廃止」ということでございました。
 2のところでございますが、「見直しを行う」が13名です。その中身としましては、「所得水準の高い国保組合(健保組合を参考)に対する定率補助の廃止」が12名、「協会けんぽ並みに引下げ」がゼロ名ということでした。
 「とりまとめコメント」が最後に行われましたけれども、それぞれの組合ごとの所得階層が大きく異なっているので、所得の低い国保組合については従前どおりのしっかりとした補助を、所得の高い国保組合についてはゼロも含めて厚労省B案で進んでいただきたいということを結論とするということでありました。
 「今後の対応方針」でございますけれども、定率補助の見直しにつきましては国民健康保険法の改正が必要となります。事業仕分けの結論や当部会における御意見も踏まえながら、具体的な見直し案あるいは見直しのスケジュールについて予算編成過程において検討したいというふうに考えております。以上でございます。
○糠谷部会長 ありがとうございました。それでは、御意見等がございましたらお願いをいたします。
○鈴木委員 国保組合に対する補助の見直しということでございますが、国保組合に対する国庫補助は市町村国保に対する国庫補助と同様に、事業主負担に代わる国保の保険制度として定着してきたものであります。そして、国民健康保険法に基づく法的な補助であり、義務的な負担金でもあって、仕分けがあったからと言って一方的に削減できるものではありません。
 国保組合への32%の定率補助は市町村国保とのバランスによって決められたもので、その見直しに当たっては保険者間の財政調整、国庫補助の在り方や新しい高齢者医療制度の創設に伴う財政影響の見極めなど、総合的に検討すべきであり、それらに基づく明確な政策目的と根拠がなければ補助率の引下げを容認することはできません。
 今回の仕分けの結論は、一律の定率補助を廃止し、すべての組合員の所得水準や財政状況に応じて配分する方式に変更するというものですが、もとより長期的、安定的運営が求められている医療保険の保険者としての国保組合の制度基盤を大きく揺るがすものとなっております。
 特に医師国保がやり玉に上がっておりますが、前回高原委員が指摘したように既に赤字に陥っているところもあるわけで、ある都道府県の医師国保組合でも平成21年度の決算で実質4億円の赤字であり、更に国による定率補助がゼロと想定して試算しますと、平成25年度の推計では実質38億円、累積では83億円の赤字が予想されております。こうした状況に対応するためには、保険料の6割から8割以上という大幅な引上げが必要となり、そういうことになれば被保険者が被用者保険や市町村国保に流出することになり、これは国策による国保組合つぶしというもの以外の何物でもありません。
 医師国保は高い保険料収納率、自家診療の自粛など制度の趣旨に沿って良好かつ良心的な運営を行ってきており、組合員の所得水準を理由に一方的に定率補助を廃止することは単なる国庫補助の削減の域を超えて医療保険制度そのものの使命をないがしろにするもので、到底容認できるものではありません。
 以上より、国保組合に対する補助の見直しには慎重な検討と、その後、これを実施することになった場合でも現場の混乱を回避すべく、段階的な対応を求めるものであります。以上でございます。
○糠谷部会長 ありがとうございました。ほかに御意見はいかがですか。では、岩本委員どうぞ。
○岩本委員 今日の御説明の資料にありますように、定率補助の見直しには法改正が必要ということですから、現状の国会の情勢を考えますと与野党の合意も必要であるということで、かなり広範囲な同意を取らなければいけないということで、なぜこういう見直しが必要かということに関して、しっかりした論理構成をとることが重要ではないかと考えております。
 A案、B案が出まして、事業仕分けでこういう結果が出ましたというだけでは通らないといいますか、もっとその背景にある論理構成を考えていかなければいけないんだと思います。それで、既に御指摘もありましたように、もともと国保に入っている補助金が被用者保険の場合では事業主負担があるけれども、それがないのでという理由が使われております。そういうことでありましたら、そのこと自体からは当然に国保組合の補助も必要だということが出てくるわけでありまして、なぜ高所得であれば補助が必要でないのかという論理構成はどうなっているのかという疑問が当然、出てくることになるかと思います。
 ただし、この問題なのですけれども、法改正をするということであればかなり考え方を根本的に見直すということになるかもしれませんが、その場合は経済学的にこの問題を見た場合には、国保の補助につきましては事業主負担がないからという理由は正当ではないという考え方があります。かなりの経済学者はそういう考え方を取っておりまして、私もそのように考えております。
 と言いますのは、もともと被用者保険の事業主負担というのはだれの負担かといった場合、経済学的にはこれは実質的には労働者が負担しているものだと考えております。それで、これは見掛け上、法律と違っているんですけれども、どうしてそうなるかということを簡単に御説明しますと企業、雇い主から見た場合にはこの事業主負担というのは労働者を雇うコストとして賃金コストの一部として認識しております。現在、外国にもこの生産工場を展開しているような企業はありますけれども、そういった企業から見た場合には社会保障負担も含めた賃金コストを外国の労働者のコストと比較して、ではどこに立地しようか。どの国の労働者を雇おうかというふうに考えて選択しているわけであります。
 そうしますと、我が国の事業主負担がもし上がるとなりますと、外国の労働者が相対的に安くなりますので、国内の工場を閉めて外国に移るかもしれない。国内の雇用を確保するためには、労働者は国内で雇ってもらうためには増えた事業主負担分は自らの手取り賃金を下げるということで、企業の雇い主側の賃金コストを上げないような形で負担しなければいけないということです。これは、労働市場の中で賃金が調整される過程でそういうことがすぐには起こりませんけれども、時間をかけて起こるだろうという認識であります。
 それで、経済学者がこういうふうに考えるということは、実際の統計の方にも既に認知されておりまして、国民経済計算の方では被用者保険の事業主負担はどういう扱いになっているかといいますと、これは賃金にカウントされていて、家計が社会保険料は雇い主負担も含めて負担するという扱いになっているわけであります。そういった意味で、国保に事業主負担がないから労使折半になって半分を補助するということ自体に関しては、経済学者は余り賛同していないということであります。
 では、なぜ国庫負担が必要かというと、これは負担の能力から見た場合に、制度間の負担をできるだけ平準化するという意味ではやむを得ないという考え方になってくるかと思います。そういった意味では、所得水準に応じてこの補助率を変えるということは合理的な考え方だと思いますので、そういうふうな観点に立ちますと国保組合と現状の国保の補助率の在り方といったものを整合的に説明することは可能ではないかとは考えておりますけれども、その事業主負担がないというところを前提に置きますと、説明がややこしくなってなかなか難しくなるのかなというふうに考えております。
○糠谷部会長 では、高原委員どうぞ。
○高原委員 長崎県医師国保の方からお話をします。今度のお話が出たことで、先ほど鈴木委員が言われたように医師国保はつぶれます。協会けんぽと各市町村国保に入っていくんだと思います。それで、回収率100%ではなくて収納率100%を誇って、それでやっていっていますし、自己診療は全額請求はしていない。各ドクターは自分で薬を出せるけれども、よそに薬を出してもらっているような状況ですね。
 私もこれで協会けんぽに変わらないといけないかと思いますけれども、協会けんぽか各市町村国保に入った場合に自己診療というのはどういう扱いになるのでしょうか。もしなった場合、そこまで想定しておられるのでしょうか。それもするなと言って補助もしない。医師自体の健康あるいはその家族、あるいは医療従事者の健康というのは、けんぽの方に移るんだと思いますけれども、どういった形になると想定されますか。
○伊藤課長 ただいまの御意見につきまして、若干のコメントをさせていただきます。
 岩本委員からもお話がありましたけれども、医療保険に公費負担を行っている論拠としましては、1つは低所得者の保険料負担を軽減する必要がある。あるいは、保険者間で財政力格差があるので、給付と負担の公平を図るために補助を行う必要がある。あるいは、これまで伝統的に行われておりました議論は、自営業主については事業主負担がないので国がこれを負担する必要がある。
 こういった論拠があったわけでありますけれども、市町村国保の場合は低所得者が多い。事業主負担もない。保険料収入が少ないというようなことでありますので、国庫負担が行われるというふうに承知しております。
 国保組合の場合には事業主負担はやはりないわけでありますけれども、保険料の負担能力につきましては所得水準が健保組合よりも高い医師国保と、市町村国保に近い建設国保、一般業種などの間ではかなりの違いがあるということだろうと思います。
 事業主負担についてはいろいろな議論があります。それで、厚労省としましては行政刷新会議に事業主負担の理屈も説明をしたわけでありますけれども、行政刷新会議におきましては複数の委員から事業主負担という論拠については根拠がないのではないかという御指摘も受けたところでございます。
 仮にそういうことであれば、岩本委員も御指摘されましたように、国保組合に国庫負担を行っている論拠というのが所得水準の低さということに尽きるわけでありますけれども、いずれにしましても行政刷新会議ではそういった観点から結論を出したというふうに承知をしております。
 厚労省としましてはそういうことも含めて、当部会の意見も踏まえながら今後具体案を検討していきたいと思っておりますけれども、ただいま高原委員から御指摘のありました点でございます。医師につきましては、自分自身あるいは家族に対して自家診療を行っているわけでありますが、これにつきましては従来からいろいろ議論があります。医療費が高くなる傾向があるのではないかということで、医師国保が創設された経緯でもありますけれども、以前は、市町村国保では自家診療をやるような医師については市町村国保に入れるべきではないということで、条例で排除されていたわけであります。それを踏まえて医師国保というものができたわけでありますけれども、現在でも医師国保の規約におきまして自家診療の診療報酬請求は認めていないというふうに承知しております。
 以前はそういうことであったわけでありますけれども、現在市町村国保では自家診療についての規制はないというふうに承知しております。したがいまして、仮に高原委員がおっしゃるように医師国保は解散するということになった場合には、医師が市町村国保に入るということであれば自家診療の分については市町村国保に請求されることになるというふうに理解しております。
○高原委員 各市町村国保、それから協会けんぽにも入っていきますけれども、そういうことでいつまでも結論はつきませんけれども、このような形のことが問題になっています。
 市町村国保としては、保険料の高い人間で収納率の高い人間が入ってくるということで少しいいかもしれませんけれども、決して自分たちだけそういう治療をやっているわけではございません。私は高血圧症、糖尿病、高脂血症、それから睡眠時無呼吸症候群、全部そろっています。その治療は全部医師国保でやっております。よその病院にかかっております。そういうような形のことで、疾患も確かに多いかもしれませんけれども、協会けんぽ、それから市町村国保の場合はもう入ると思って考えていただいていいと思います。
 厚労省の方、そうですよね。医師国保は、もうつぶれるんですよね。まだB案とかA案とか、そこら辺のところでごたごたする透き間はあるんでしょうか。
○伊藤課長 行政刷新会議の結論が出ましたので、それを踏まえて、またこの場での御意見も踏まえて検討させていただきたいと思っておりますけれども、我々としましては一概に医師国保はこの制度改正によってつぶれることにまでなるとは考えておりません。保険料の徴収の仕方にもいろいろな工夫の仕方があろうかと思います。
 現在、医師国保の多くは定額で負担をされております。市町村国保は所得水準に応じて高い賦課限度額まで取っておりますから、そういった保険料の徴収の仕方まで含めていろいろな工夫の余地があるのではないかと考えております。
○糠谷部会長 大分定刻も過ぎてしまいましたけれども、私がどうこうするということではもちろんございませんが、この件につきましては一定の見直し、行政刷新会議の提言もあって厚労省も何らかの対応はするという方向になるのだろうと思うんです。
 そういうことでございますが、今日いろいろ御意見もございました。そういった御意見も踏まえて、政務三役といろいろこれから予算編成の過程で厚労省は御議論をされるんだと思いますので、そういった予算編成過程の中で調整、検討を本日の議論も頭に置いていただきながら進めていただくということにさせていただければと思いますが、よろしゅうございますか。
(委員 異議なし)
○糠谷部会長 それでは、そういうことで進めさせていただくことにしまして、次の議題に移らせていただきます。「行政刷新会議「事業仕分け」における指摘事項について」、事務局より説明をお願いいたします。かなり時間が過ぎることになっていますので、簡潔にお願いをいたします。
○武田課長 保険局総務課長でございます。簡潔に説明をさせていただきたいと思います。
 お手元の資料5-1をごらんください。11月9日付で行政刷新会議から関係省庁に対し、要請が届いております。
 1ページ目、真ん中辺りを見ていただきますと、事業仕分け第1弾、第2弾、行政事業レビューなどの指摘の平成23年度概算要求への反映が不十分と見られる事業があったということでございまして、下のところでありますが、「平成23年度予算編成過程において、広く国民に対する説明責任を果たしつつ、別紙の指摘を踏まえた適切な対応を行うことを求める」ということで、私どもの対応が求められております。
 2ページ目、3ページ目に2つ事業がございます。1点目が「入院時の食費・居住費のあり方」ということで、仕分けチームの結論は入院時の食費・居住費の見直しをするという結果でございまして、私どもは医療保険部会での議論を行った上で見直しを盛り込むことは見送ったという説明を申し上げました結果、見直しが行われていないという指摘を受けたということでございます。
 それから、3ページ目、「後発品のある先発品などの薬価の見直し」という事業の中で、市販品類似薬を保険外とすることについて当ワーキンググループの結論とするけれども、どの範囲を保険適用外にするか、十分な議論が必要である、という仕分け結果であり、議論を行った上でこれを見送ったという説明を申し上げたので、「議論は行われていない」ということが指摘内容になっているということでございます。
 それを踏まえまして、改めてこの場で御議論いただければと思って出しておりますのが資料5-2でございます。5-2の1ページ目を開けていただきますと、これが1点目の「入院時の食事・居住費について」であります。「現行制度」、「経緯」、「標準負担額」につきましては資料のとおりでございまして、論点として昨年の医療保険部会に提示したものをそのまま付けております。見直しを行うこととするのかどうか。見直しを行うこととした場合の論点についてどう考えるかということでございます。
 ちなみに、昨年いただいた御意見については参考資料1ということでお手元にお配りをさせていただいておりますけれども、特に食費・居住費の見直しにつきましては負担増ということについての反対意見が多かったというふうに認識しております。
 3ページ目につきましては、医療保険部会の議論を踏まえて行政刷新会議の方に私どもが御説明した資料ということで見ていただければと思います。
 4ページ目以降が第2の論点でございまして、市販品類似薬と言われているものでありますけれども、4ページにありますように市販品といわゆる医療用医薬品と成分が同じものは確かに存在をいたしますが、用法用量、効能効果など違うことがございます。
 それで、5ページが論点ということで先にお示しをしたことでありますけれども、患者負担の増加、またはある特定の患者さんに負担増となる点、それから保険給付と給付外の切り分けについての整理など、さまざまな論点があるというふうに御提示をいたしまして、いただいたコメントを踏まえて6ページにあるような形でまとめて刷新会議に御説明申し上げたということでございます。
 参考資料1にありますように、市販品類似薬につきましてもさまざまな御意見をいただいたところでございまして、詳しい内容は申し上げませんが、参考資料1を参考にしていただければと思います。
 そういうことでございますので、大変時間超過の中、恐縮でございますが、改めてこの点について御意見があればいただきたいということで御説明申し上げました。
○糠谷部会長 それでは、時間が大分超過して恐縮でございますが、何か特に御意見がございましたらどうぞ。
○安部委員 私の方からは、市販薬と類似した医療用医薬品の保険適用外というところについて一言申し上げさせていただきたいと思います。
 資料5-2の4ページのところに、たまたま例としてイブプロフェンという成分が市販薬でもあり、医療用医薬品でもあるが、適応症が違う、使う目的が違うというような御説明がございます。これを例にして1つだけ申し上げさせていただきますと、イブプロフェンという成分は長年、医療の現場の中で使われておりまして、有効性と安全性のいわゆるエビデンスが十分に確立されています。その結果、一般用医薬品でも使ってよろしかろうということで承認された成分であります。長い間、利用されたこともありまして、医療用の薬価としては先発品で6円、後発品で5円という非常に安い薬価になっております。
 このイブプロフェンが一般薬にあるという理由から保険の給付対象外になりますと、実質、保険医療の中では使われなくなるということが予測されます。これでは国民、患者さんにとって、安全で有効、かつ安い薬が医療では使えないということになってしまいます。その結果、イブプロフェンに代わってほかの一般用医薬品になっていない新しい、そして薬価も高い成分で治療しなければいけない。そうなってきますと、保険適用を外したことによって、より高い薬にシフトしてしまう。これでは、保険医療財政を削減するという目的でやって逆に高くなってしまうという結果にもなりますし、そういった有効な成分を国民の方、患者の方が使えなくなるということは非常に問題かと思いますので、非常に問題のある提言ではないかと考えております。
○糠谷部会長 ほかに御意見等、ございますでしょうか。では、高原委員どうぞ。
○高原委員 今の意見に賛成です。
 それからもう一つ、この間も参考資料で申し上げましたけれども、医療費の大きく上がっている部分は統計の取り方で非常に隠されていたのですけれども、実際には薬剤費が上がっていることだ。薬剤費の方も腫瘍とか高額な抗がん剤、それからずっと長く使う高脂血症、高血圧、糖尿病の薬自体の値段も高い。そこら辺を低廉化させれば、ある程度医療費も下がるのではないかと思いますし、仕分け人の方から入っていました後発品の使用ということですけれども、後発品を使用するくらいだったら、一番問題なのは後発品を使用していると、もうつくっていません。そこの会社の薬はありません。だからこれに変えてくださいというのはよくあるんですね。
 私自身は、後発品は7割近く使っています。その方が患者さんにとって安いから使うんですけれども、不確定な後発品を使うくらいだったら先発品を10年たったらさっさと安い価格に押し下げれば当然医療費は下がると思います。薬品メーカーの方には大変申し訳ないんですけれども、再三このことは申し上げておきます。以上です。
○糠谷部会長 ほかに御意見等ございますでしょうか。では、どうぞ。
○鈴木委員 これは昨年もう議論されているようなので、これを見ますと大体こういうことなのだろうと思うのですが、やはり入院における食費・居住費の在り方というのは介護施設などと急性期の入院医療とは全然違いますので、そこは一緒にすべきではないと思いますし、後発品のある先発品の薬価の見直しですが、これも今、出た意見でそういうことだと思いますし、例えば先発品があって後発品を使った場合、適用が違ったような場合ですね。その処方した医療機関の方から引かれるというような不合理な点も起きているようですが、こういったことを改善していかないと、やはり後発品に対して非常に疑問を持っている先生方がまだ多い状況でございますので、後発品の使用が促進されないのではないかと心配しております。
○糠谷部会長 大体よろしゅうございますか。
 それでは、よろしければこの議題についてはこれまでとさせていただきます。事務局におかれましては、本日いただいた意見も踏まえまして予算編成過程において検討を行っていただきたいと思います。
 それでは、最後の議題の「医療費の適正化等の取組みについて」を議題といたします。事務局より資料の説明をお願いいたします。
○武田課長 引き続き、保険局総務課長でございます。資料6をごらんいただきたいと思います。
 その前に、参考資料2というものをお配りしておりますが、参考資料2を見ていただきますと「医療・介護サービスの質の向上・効率化プログラム」というものを私ども厚生労働省として平成19年に示しております。
 全部御説明いたしませんが、開けていただきますと1ページ目の一番上に趣旨というものがありまして、効率化によるコストの低減ということで、目標期間は平成20年から24年度までの5年間ということで、私どもこれに沿って医療費適正化に取り組んでいるところでございます。
 例えばということで見ていただきますと2ページの上から2段目、8のところで「後発医薬品の使用促進」については、30%以上にする、平成24年度までの目標とする、ということで、ただいまも話題になりましたが、推進に努めているということでございます。
 その他、これは医療と介護共通でございますのでいろいろ混じっておりますが、医療の分野の適正化の代表的部分について資料として持ってまいりましたのが資料6の方でございます。資料6を開けていただきますと、1ページ目に主な取り組み方針ということで、ただいま見ていただきました質向上・効率化プログラム、主なものとして特に医療の関係で主要項目と考えられますのが後発医薬品、診療報酬の包括払いの促進、IT化の推進という点を3点挙げてございます。
 それから、昨年から今年にかけては先ほどもございました刷新会議、それから行政事業レビューということでここに書いているような指摘を受けているところでございまして、私どもとしてはこういう点も踏まえて適正化を引き続き進めていく必要があると考えているところでございます。
 なお、平成19年の効率化プログラムの例えば「後発医薬品の使用促進」といったテーマにつきましては、その時々の取組みに応じて、例えば予算編成過程において国庫補助削減額を見込み、または保険者全体の財政影響を見込んで保険者の財政見通しに使っていただく。こういうことも取り入れてやってきたということを付け加えて申し上げたいと思います。
 2ページ目が、「後発医薬品の使用促進のこれまでの主な取組み」ということでございます。処方せん様式の見直しがよく話題に上りますが、今、高原先生、鈴木先生からお話がありましたように、後発医薬品そのものが医療現場にとって必ずしも使いやすくないという指摘もあり、念のため、平成18年の医政局長通知というところを御紹介したいと思いますが、規格の統一、それから安定供給、供給が途絶えることのないようなことを医政局の方から通知が出ているということも御紹介したいと思います。
 ちなみに、一番下の枠の外にありますが、平成21年9月取引分では後発品シェアが数量ベースで20.2%ということでございまして、今年も平成22年度の改定を踏まえて増加傾向にあるというふうに承知をしております。
 続きまして3ページですが、DPC制度につきましては平成22年度におけるDPC対象病院数が1,391病院、一般病床数で言いますと半数以上という状況でございまして、これにつきましては先ほどの効率化プログラムの数字を上回る実績になっている状況でございます。
 それから、レセプト電子化につきましても4ページでございますが、何度か御説明を申し上げているとおり、このグラフは平成20年度からでありますが、来年度に向けてかなりの医療機関に御対応いただいているところでございまして、引き続き御対応をお願いしているところでございます。
 現在の状況につきまして、直近のデータといたしましては5ページでございますが、医科につきましては医科計で92.5%、件数ベースで電子化が進んでおりますし、調剤については99.9%に到達をしているということを申し上げたいと思います。
 なお、この電子化の推進につきましては6ページにございますように事務費単価が電子分については引下げになっておりまして、レセプト1件当たり約10円程度の単価の引下げがあり、これについて医療費といいますか、医療制度全体の事務的コストの引下げに効果が生じているということであろうというふうに認識しております。
 それから、その他の主な指摘事項の中で特に御説明申し上げたいものとして、7ページで「柔道整復療養費の見直し」でございます。昨年、行政刷新会議で指摘を受け、今年の療養費改定におきまして、例えば多部位の請求の適正化、それからその他の適正化事項ということで領収書の発行、明細書の発行、それからレセプトへの医師の同意の記述、施術日の記録といったことを新たに義務づけたところでございまして、一定の見直しを行ったところでございますが、8ページにございますけれども、会計検査院からは今年の11月5日に、アとイとウとありますけれども、イにありますような審査体制の強化でありますとか、アにありますような申請書の書き方、それからウにありますような被保険者に対する周知徹底、こういった点が指摘を受けているところでございまして、私ども引き続き適正化を行っていかなければならないと考えてございます。
 そこで、9ページでございます。「平成23年度予算に向けた取組み」ということで、来年度以降、主に以下のような適正化を行ってまいりたいと考えております。後発医薬品につきましては引き続き差額通知を行う対象、または実施保険者を増やすための取組みを行っていきたい。
 また、電子化におけるレセプト点検の適正化という点でございまして、これは審査支払いの検討会でまた別途議論が行われておりますけれども、来年度から原則電子化がスタートいたしますので、国保連、支払基金におきましてレセプトの縦覧・突合という今までできなかった審査を行うこととしておりまして、これについて一定の適正化効果が見込まれるのではないかと考えてございます。
 それから今、申し上げました柔道整復師の療養費の適正化、更に最後に保険者によるさらなる適正化の取組みということで、こういう取組みを行ってまいりたいと思いますし、私どもとして保険者に対する支援につきましても引き続き努力してまいりたいと思っております。
 この関係で、保険者の取組みとして広島県呉市の事例を10ページ目に付けております。広島県呉市におきましては後発医薬品の差額通知を先進的に行ったことで知られておりますが、後発医薬品の差額通知を行うためにレセプトデータを電子的に取り組み、分析できる体制を整えておりまして、このデータを使うことにより後発品以外にもさまざまな取組みができるということでお話を伺っております。
 例えば、生活習慣病、二次予防、三次予防といったところで、レセプトデータから特に医療にかかられている患者さんで今後重症化が懸念をされる患者さんにつきまして、医療機関とよく相談の上、個別指導を実施するというプログラムが始まっております。これは1年で効果が出るようなものではございませんけれども、現に腎疾患の方々などでかなり大きな医療費となっていることも踏まえれば、一定の効果が今後見込まれるのではないかというお話を伺っております。
 それから、重複受診・頻回受診につきましては、レセプトデータを分析して重複受診または頻回受診の程度の高い方から選抜をして保健師が保健指導を行うということだと伺っておりまして、重複受診につきましては23件の方に訪問ができて最大8万9,000円の診療費の減、それから頻回受診につきましては80人の方に保健指導ができ、トータルで190万円の削減ができた、最大受診日数でいえば、月30日が15日に軽減できたという点が報告をされております。
 次に調剤点検でございますが、呉市におきましては医療機関の医科レセ、それから調剤レセの全体の突合をやっておりまして、同一患者さんで同一成分の薬剤が明らかに重複して服用されている方に限って抽出をしても2.7%で重複服薬、それからその相互作用が懸念されるものは6.4%発見をされているということでございまして、こういう特に相互作用、処方内容に関わる点につきましては地元の医師会に情報提供し、適正化に御協力をいただいているというふうにお伺いしております。
 なお、この2.7%の重複服薬でございますが、別途データの解析をお願いしたところによりますと、医科調剤の突合だけではなくて調剤レセと調剤レセの突合だけでも同じようなパーセンテージの明らかな重複服薬がございました。かつ、こういった点につきましては本来薬局が薬歴管理をすべきことで、特に中を見てみますと同一系主体の薬局であってもそれぞれの薬局から薬が出て、しかも重複をしているといった点は、今後医療費適正化という観点からさまざまに取組みが必要な点があるのではないかとも考えております。こういった保険者の取組みだけではなくて、医療費適正化全体の中で議論が必要な点等も考えております。
 なお、11ページ、12ページには協会けんぽの保険者の取組み事例、それから13ページにつきましては行政事業レビューの中でお示しをしたものではありますけれども、各保険者における医療費適正化事業に係るそれぞれの分野別経費、公費の支援状況につきまして整理をしておりますので御参考にしていただければと思います。私からは以上でございます。
○糠谷部会長 ありがとうございました。それでは、どうぞ。
○小林委員 時間が超過しておりますが、今の資料6の11ページに「保険者の取組(協会けんぽの事例)」が記載されておりますので、簡単に御報告をしたいと思います。
 このうちの2のジェネリック医薬品、後発医薬品の使用促進についてですが、いわゆるジェネリックの差額通知に関し、協会の全都道府県支部において、私ども加入者が3,500万人おりますが、そのうち先発医薬品を長期服用されているような加入者、約145 万人に対して通知をいたしました。これほど大規模に全国的に実施したのは、我が国では初めてだろうと思います。
 その医療費適正化効果について、昨日公表いたしましたが、145万人のうち後発医薬品に切り換えた方が26.2%で約38万人おられました。医療費ベースでは、年間約70億円の軽減効果がありました。4月の診療報酬改定の後押しもあったと思いますが、予想していた以上に多くの軽減効果があったということをこの場をお借りしまして御報告申し上げます。以上です。
○糠谷部会長 ほかに何か特に御意見はございますか。では、高原委員どうぞ。
○高原委員 今回は出ていないんですけれども、特定健診のことでお尋ねします。
 特定健診でも結局医療費を減らそうということが目的で、特定健診というのは病気になっている者は関係ない。病気になる前の人を集めて何とかしようという健診でございますけれども、その実態は実際に健診をしている者としては病気で来ている人がほとんど病院で健診を受ける。それで、全く真水の何も受けていないという人はやはり2、3割なんです。そこのところを何とかしないといけないと思うのですが、実際に厚労省の方では医療機関に常にかかっている者が何%、それから本当に健診だけで来られた人が何%というようなものは持っておられるでしょうか。
 実は長崎県でも聞いてきたのですけれども、長崎県は持っていないということでございました。
○城室長 特定健診は仕組みとしてはお話がありましたように、今後医療費適正化をしていくに当たって保健指導をしていく人を発見するための健診ではありますが、合わせて今、数値として悪い方が医療機関で受診するということで受診勧奨等もするということであります。
 それで、健康な人のみが受けるということではなくて、今、既に受療中の方も受けることにはなろうかと思います。その上で、受療中の方については指導対象ではなくなるという仕組みがございます。データにつきましては今、手元にはございませんが、今、受療中かどうかということについては、これはレセプトを突き合わせるなり何なりしないとわかりせんが、既に服薬中かどうかといったものについては問診票レベルの集計がわかると思いますが、そちらは別途、戻れば出ると思います。
○糠谷部会長 ほかに特に御意見ございませんか。よろしゅうございますか。
 それでは、本件につきましてはこれで終わりにさせていただきます。医療費の適正化は大切な問題であるということは御異論のないところだと思いますので、事務局におかれましては引き続き検討を進めていただきたいと思います。
 それでは、最後の議題でございますが、「その他」といたしまして高原委員よりドクターヘリについての資料が提出されておりますので、簡潔に御意見を伺いたいと思います。
○高原委員 前回、ドクターヘリの問題が出ましたので、長崎県及び救急ヘリ病院ネットワーク、NPO法人の方からの意見をいただきました。
 1つは、やはり搬送費自体を保険適用にするのは反対である。もしキャンセルされたときにはどうにもならないということです。それから、治療者の方に請求された場合、自分が請求したわけではないということもあるだろうというような形でございます。
 また、ドクターヘリというのは救急車と違って医療人が乗っていきますので、それだけ早い治療効果が望めるということで、救急車搬送に比べてドクターヘリの搬送の方が入院日数がその後は短く、入院点数も低い結果が出たという研究ももらっております。
 あとは、前回、横尾委員の方から出た話は実は久留米のドクターヘリでございます。ただ、ドクターヘリの場合と、それから防災ヘリというのは大きさの問題で心マッサージができないというようなことでしたけれども、実際のところ防災は人を運ぶものですから、あるいは物を運ぶものですから非常に広い。そして、その上でちょっとドクターヘリとは意味合いが違うということをわかっていただきたいということを現場の先生からいただきました。
 以上、保険対象外、県の方はやはりそうなると少し助かるなという本音をおっしゃいましたけれども、現場としてはやはり今までどおりという形で、また国の補助をもっといただければ助かるなということでございました。以上です。
○糠谷部会長 ありがとうございました。それでは、鈴木委員どうぞ。
○鈴木委員 ドクターヘリなのですが、やはり地元の県の実際に関わっている先生方の意見も聞いたのですが、コストが非常にかかっているんじゃないかということで、本県などの例ではこれは正式なデータではありませんけれども、1件100万くらいはかかっているんじゃないかとか、これは効率化しても50万くらいかかるんじゃないかとか、そういう意見もありまして費用対効果、診療費だけ見れば効果はあるのかもしれませんが、そういった救急車に比べた費用対効果も検証すべきではないかと思っております。以上です。
○糠谷部会長 ほかに特に御意見等ございますでしょうか。よろしゅうございますか。それでは、総務課長どうぞ。
○武田課長 恐れ入ります。前回の部会におきまして高原委員から御指摘いただいた事項につきまして、支払基金における審査の業務フローでありますが、資料7としてお手元に配付をしておりますので後ほどごらんいただければと思います。特にこちらから説明申し上げませんので、その点だけよろしくお願いいたします。
○糠谷部会長 それでは、予定の時間を大幅に超過いたしまして、議事進行がうまくいきませんでおわびを申し上げます。本日はこれまでとさせていただきます。
 本年の開催は今回で最後とさせていただきますけれども、これまで6回にわたり御議論をいただきまして委員の皆様の御協力に感謝申し上げます。事務局におかれましては、本部会で議論いたしました点、これから予算編成もあるわけでございますので、いろいろな面でしっかりと反映をさせていただくとともに、結果につきましてはしかるべく各委員にお知らせをいただくようにお願いをいたします。
 本日は御多忙の折、お集まりをいただきまして時間超過をいたしまして恐縮でございました。これにて終わりといたします。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

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 TEL:03(5253)1111
    (内線3218)

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