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2010年10月22日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録

○日時

平成22年10月22日(金)14:00~15:55


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○出席者

委員

大野委員(部会長)、生方委員、尾崎委員、加藤委員、佐々木委員、佐藤委員、志賀委員、豊田委員、松田委員、山内委員、山添委員、吉池委員、鰐渕委員

事務局

森口基準審査課長、横田課長補佐、茂野課長補佐、猿田課長補佐、土井専門官

関係省庁

農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課農薬対策室 池田専門官

○議事

○事務局 それでは、定刻になりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会を開催させていただきます。
 本日は、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、青木委員、斉藤委員、永山委員、由田委員より御欠席なさる旨の御連絡をいただいておりますが、農薬・動物用医薬品部会の委員17名中13名の御出席をいただいており、部会委員総数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立しておりますことを御報告いたします。
 それから、事務局側の人事異動がございましたので、この場をお借りいたしまして御紹介いたしたいと思います。
 基準審査課課長補佐、横田でございます。
○事務局(横田補佐) 10月18日付で基準審査課課長補佐になりました横田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 それでは、大野部会長に審議の進行をお願いいたしたいと思います。今後の御審議、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。
 初めに、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。座席表の下に配付資料一覧がございますので、ごらんください。本日御審議いただく農薬7剤の農薬ごとに資料が資料1-1、資料1-2と2種類ずつ資料7までございます。
 また、取扱いに関する資料として資料8、資料9、そして、座席表がございます。
 また、それに加えまして、委員の先生方のみに「食品衛生分科会における確認事項」と書いてございます横の1枚紙、資料6のトリネキサパックエチルの審議の際に御説明する資料といたしまして「机上配付」と右に書かれた資料が1部ございます。
 不足等がございましたら、事務局までお願いいたします。
○大野部会長 よろしいでしょうか。
 それでは、審議に入っていきたいと思います。本日は、農薬7剤について御審議いただきます。報告書作成に当たりましては、先生方に既に資料をお送りしまして事前に検討していただいておるところでございます。
 それでは、議題1、食品中の残留農薬の基準設定についてですけれども、農薬のクロランスラムメチルの審議に入りたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○事務局 農薬1剤目、クロランスラムメチルでございます。資料1-1をごらんください。今般の残留基準の検討につきましては、暫定基準の見直しについて御審議をお願いいするものです。
 「1.概要」でございます。本剤は、トリアゾロピリミジン環を有する除草剤で、広葉雑草の防除に用いられています。作用機構は、植物のアセト乳酸合成酵素を阻害することで除草作用を示すものと考えられています。
 化学名及び構造式については、記載のとおりです。
 「2.適用の範囲及び使用方法」でございますが、本剤は国内での農薬登録はなされておりません。海外での適用の範囲及び使用方法といたしまして、米国の大豆における使用方法を記載しております。
 「3.作物残留試験」でございますが、分析対象の化合物はクロランスラムメチル及び代謝物Dです。作物残留試験結果の概要は、別紙1に米国の作残データを記載しております。
 「4.ADIの評価」でございますが、資料1-2、食品安全委員会における食品健康影響評価の16ページをごらんください。各種試験結果より、農産物の暴露評価対象物質をクロランスラムメチル及び代謝物Dと設定し、イヌを用いた1年間慢性毒性試験の無毒性量5mg/kg体重/dayを用いまして、ADI0.05mg/kg体重/dayと評価いただいております。
 資料1-1に戻っていただきまして「5.諸外国における状況」でございますが、国際基準は設定されておらず、米国、カナダにおいて大豆に基準値が設定されています。
 「6.基準値案」でございますが、残留の規制対象をクロランスラムメチル及び代謝物Dとさせていただく基準値案といたしております。基準値案は5ページの別紙2のとおりでございます。
 米国の基準値を参照といたしまして、大豆に0.02ppmの基準値を設定いたしました。この基準案により、推定摂取量を算出いたしましたのが、6ページの別紙3でございます。TMDI試算によりまして、一番高い幼小児でも0.1%のADI占有率になっております。
 最後のページが答申案でございます。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、先生方の御意見を伺いたいと思います。まず、用途、除草剤の薬理作用で尾崎先生、御意見ございませんか。
○尾崎委員 ありません。
○大野部会長 では、化学名、構造、物性、代謝の辺りで、山添先生、いかがでしょうか。
○山添委員 特にありません。
○大野部会長 それでは、代謝物の件に関しては、大豆しか使いませんので、大豆の結果が食品安全委員会の報告書の9ページに載っていますけれども、この代謝ではホモグルタチオン抱合体及び光分解生成物であるスルホンアミド体ができるということです。ただ、その生成量は大豆の中に残っている残留物は特に書いていないんでけれども、特に多いということは書いてございません。
 規制対象物質としてクロランスラムメチルと代謝物Dは報告案の構造のところに、一番右のベンゼン核の上の方にメチル基がエステルとしてくっついていますけれども、そのメチルがとれたものです。それも対象物としております。その理由がちょっとよくわからないんですが、入れても安全性上特に問題になるようなものではないと思いました。これについて分析法やそういった面から何か理由があるのかもしれませんけれども、御意見を伺えればありがたいと思います。この辺について御意見ございますか。Dをなぜ入れたかというのが、よくわからなかったんですけれども。
○佐藤委員 永山委員からも事前に指摘があったんですけれども、この分析法でヘキサン転溶していましてメチル化するんですね。永山委員の指摘は、酸になったものが、塩酸酸性なんですけれども、本当にヘキサンに転溶されてくるかわからない。表の分析表を見ても、代謝物を分析しているのかよくわからないということだったんです。代謝物が本当に規制対象として必要かどうかという疑問もありますし、そういう意味では親化合物は明らかにこれで分析できることがわかっていますので、規制対象は親だけでもいいのかなという感じはするんですけれども。
○大野部会長 親化合物だけを測定するのは手間がかかるとか、そういう理由があったのかなと思ったんですが、そういうことではないんですね。
○佐藤委員 親化合物の問題ではなくて、今は代謝物Dが本当にこの分析法でちゃんと分析できているかどうかです。大元のデータを見ましてもよくわからない。本当にこのDが、先ほどおっしゃられたように規制対象に入るような重要な化合物なのかどうか、ちょっと疑問ですので、なくしてもいいような気がするんですけれども。分析法もそういう確証がないということです。
○大野部会長 ありがとうございます。私も先ほど申し上げましたように、対象物として大豆の中にDが出ているというデータは示されておりませんので、特に私もDをはかる必要はないのかなと思ったんですけれども、ほかの先生はいかがでしょうか。
 事務局に質問なんですが、米国の残留データはDも含めてはかっているんでしょうか。
○事務局 即答はできません、すみません。
○大野部会長 では、後でチェックしてください。お願いします。
 今まで暫定基準はDも含めて設定してきたわけですけれども、それを外すことについて何か問題はございますか。
○事務局 特にございません。
○大野部会長 では、この審議で特に必要なければ外しても構わないということですね。ありがとうございます。
 ほかの先生いかがでしょうか。では、事務局にチェックしていただいて、もし問題なければDを外させていただきたいと思います。
 それでは、次に、安全性面で鰐渕先生、御意見ございますか。
○鰐渕委員 特に発がん性もないですし、心配ないと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 引き続きまして、分析法、分析結果辺りについていかがでしょうか。特にございませんか。
 それでは、基準値の設定と国際的整合性ではいかがでしょうか。特にございませんか。
 それでは、全体を通して御意見ございますか。
○松田委員 意見というよりは質問なんですが、今回、暴露評価を大豆のみで行うということになると思うんですけれども、実際の摂取量の大豆は結構少なくて、実際には豆腐、納豆という加工品がすごく多くなっているんですが、暴露評価には加工品というのは考えないという方針でしょうか。
○吉池委員 今用いているデータベースにつきましては、大豆、みそ等の加工食品は、ある一定の係数を掛けて大豆摂取量に積み上げています。
○大野部会長 ありがとうございます。問題ないということですね。
 ほかに御意見ございますか。よろしいですか。
 それでは、事務局に米国の基準について調べて、代謝物Dが含まれているかどうかをチェックしていただきますけれども、基本的に代謝物Dを規制対象物から外すということで、そのほかの点はこの報告案でよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 加藤先生、何かございますか。
○加藤委員 この分析法は原文を見てもよくわからない部分があるんですよ。ですから、先ほどの代謝物Dを入れるかどうかも含めて、分析方法をもう一度きちんと調べていただいた方が間違いないと思います。ちょっと心配なところがあります。
○佐藤委員 あと、メチル化で言い忘れたんですけれども、メチル化しているのが親化合物についてはNメチル化です。代謝物のカルボン酸メチル化するということは書いていなくて、Nメチル化して分析するということが書いてありますので本当によくわからないです。
○大野部会長 それでは、このDを外すということについては、分析法について問題がないことを確認した上で、確認できれば外すと。もし、問題があるようだったら、そのままDを規制対象物質に残すということでよろしいでしょうか。分析法の確認ですけれども、どなたにお願いしたらよろしいでしょうか。
○加藤委員 永山先生が担当でチェックされていると思いますが。
○大野部会長 それでは、永山先生に連絡して御意見を伺ってくださるようにお願いします。
 では、先ほど申し上げたことと多少変わりますけれども、分析法の検討によってDを入れなくてはならないようだったら入れざるを得ないですし、それは確認していただいて、入れなくてもいいようだったら外すということでいきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、次の農薬についての御審議をお願いいたします。次はメトミノストロビンです。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 農薬2剤目、メトミノストロビンでございます。資料2-1をごらんください。今般の残留基準の検討につきましては、魚介類への基準値設定及び暫定基準の見直しについて御審議をお願いするものです。
 本剤は、ストロビルリン系殺菌剤で、糸状菌に対しミトコンドリアの電子伝達系を阻害することにより、胞子発芽阻止、胞子発芽以降の宿主への侵入阻止等の作用を示すことが確認されています。
 化学名及び構造式については記載のとおりです。
 「2.適用病害虫の範囲及び使用方法」ですが、本剤は国内で農薬登録があり、稲のいもち病等に対する使用方法を記載しております。
 「3.作物残留試験」でございますが、分析対象の化合物はメトミノストロビン、代謝物B、J、K、Mです。
 作物残留試験結果の概要は、7ページの別紙1にございます。国内で実施されたコメの作物残留試験データを記載しております。
 「4.魚介類への推定残留量」でございますが、本農薬については水系を通じた魚介類への残留が想定されることから、農林水産省から魚介類に関する個別の残留基準の設定について要請されており、本農薬の水産動植物被害予測濃度及び生物濃縮係数から、魚介類中の推定残留量を0.220ppmと算出しております。
 「5.ADIの評価」でございますが、資料2-2、食品安全委員会における食品健康影響評価の34ページをごらんください。各種試験結果より、食品中の暴露評価対象物質をメトミノストロビン(親化合物のみ)と設定し、ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験の無毒性量、1.6mg/kg体重/dayを用いまして、ADIを0.016mg/kg体重/dayと評価いただいております。
 資料2-1に戻っていただきまして「6.諸外国における状況」でございますが、国際基準は設定されておらず、米国、カナダ、EU、オーストラリア及びニュージーランドについて調査した結果、いずれの国及び地域においても基準値は設定されていません。
 「7.基準値案」でございますが、残留の規制対象を稲を用いた作物残留試験において代謝物B、J、K及びMについての残留量が微量であったことから、これらの代謝物を規制対象に含めないこととし、メトミノストロビンとさせていただく基準値案といたしております。
 基準値案につきましては、8ページの別紙2に示してございます。国内作物残留試験データに基づきまして、コメに0.5ppmの基準値を設定し、推定残留量に基づき魚介類に0.3ppmの基準値を設定いたしました。
 この基準値案により、推定摂取量を算出いたしましたのが9ページの別紙3でございます。TMDI試算によりまして一番低い幼小児でも24.4%のADI占有率になっております。
 最後のページが答申案になります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、審議をお願いいたします。まず、メトミノストロビンの作用について尾崎先生、いかがでしょうか。問題ないでしょうか。
○尾崎委員 はい。
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、化学名、構造式、物性、代謝の辺りで、山添先生、御意見ございますか。
○山添委員 ありません。
○大野部会長 ありがとうございます。
 測定対象物質ですけれども、ただいま御説明がありましたように、代謝物B、J、K、Mも含めてはかっております。食品安全委員会の報告によりますと、生成物はもともと残留量、玄米中ではそれほど多いものはございません。代謝物Mは5.9%という形で記載されておりますが、大部分は親化合物です。一般的な基準から言えば、それを見て測定しなくてもいいんですけれども、一応この会社ではそれも含めて残留量を測定しています。先ほど御説明がありましたように、実際に稲ではかりましたら、やはりこれらの代謝物は微量であったということで、それらを規制対象にしなくてもいいだろうということでございます。そういう意味で、食品安全委員会の意見と一致しているということですけれども、私もそれでよろしいかと思います。
 今までのところで先生方から御意見ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、安全性面で、鰐渕先生、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 ADIの評価のところなんですけれども、ADIの評価自身はこれでいいと思うんですが、5ページに書かれてある無毒性量が1.6mg/kg体重/dayの横に「(発がん性は認められなかった)」と書かれているんですが、これは実際に発がん性があります。資料2-2の34ページの「?V.食品健康影響評価」の真ん中辺りを見ていただければいいと思うんですが「発がん性試験において、ラットで肝細胞腺腫及びLGL白血病の増加が認められた」ということで、発がん性はあるんですよ。あるけれども、これはヒトに発生するようなものではなくて、しかも、メカニズムに遺伝毒性がないからADIの設定が可能であるということなんですよ。ですから、これをこういうふうにまとめて発がん性は認められなかったという書き方は間違っているので、この「発がん性は認められなかった」という一文は削除してもらわないと困るかなと思います。遺伝毒性がないということ、あるいはヒトに該当できるようなものではないということですから、ADIの設定が可能であることは間違いないです。この一文だけ削除していただいた方がいいと思います。
○事務局 ありがとうございます。削除させていただきます。
○大野部会長 ありがとうございます。
 食品安全委員会の報告の34ページの御説明をいただきましたけれども、LGL白血病はヒトではまれであって、腫瘍の生物学的特性もラットと大きく異なっていると、同じ名前がついているのに生物学的特性が随分違うというのはどういうことなんでしょうか。
○鰐渕委員 LGL白血病というのは、特にFischerラットを使って2年間発がん性試験をしているんですけれども、Fischer特有で非常に高頻度に発生してくる白血病なんです。いわゆるラットに非常に独特にたくさん発生してくるタイプの白血病で、ヒトでは非常にまれなんですね、そんなに起こってくるようなものではないということです。
 このLGL白血病に関しても動物実験を追加でしていまして、資料2-2の29~30ページで、ラットを用いたLGL白血病プロモーション作用という試験を別途していまして、これはFischerラットを用いてENUという発がん物質を使って持っていくとLGL白血病が発生しやすいんですが、今回の2段階の試験でも、LGL白血病はこの短い試験では発生してこなかったということから、メトミノストロビンはそれほど強い作用があるのではなくて、たまたま2年間という長期の試験を用いたときに、ラットに特有的にたくさん発生してしまったものだと評価しているようです。
○大野部会長 どうもありがとうございました。先生方から何か御意見ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、分析法、分析結果について御意見ございますか。よろしいですか。
 それでは、基準値、国際的整合性についてはいかがでしょうか。魚介類について設定していますけれども、それも含めて御意見ございますか。
 それでは、全体を通して御意見ございますか。
○松田委員 また質問なんですけれども、代謝物BというのはZ体なんですが、光を当てたときには結構できていますけれども、ほかのところが非常に少ないんですが、それは代謝物なんですか、分解物なんですか。
○山添委員 生成をin vitroで確認していないからわからないんですけれども、これまでにメトキシムについて一旦、ザンチガオキシデースのようなものが働いてもう一度抜くと、異性化をするという報告はあります。だから、代謝物ではないということはないと。このものでは直接確認されていますから。
○大野部会長 どうもありがとうございます。動物体内の中で生成していたと思うんですけれども。
○松田委員 光のときに随分たくさん。
○山添委員 皮膚とかそういうところに実際にケミカルにいっているか。
○松田委員 ケミカルにできるものかなと思います。
○大野部会長 生成量そのものは非常に少ないですけれどもね。ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますか。よろしいですか。
 それでは、この報告案については「5.ADIの評価」の「発がん性は認められなかった」というところを削除するということでございます。それ以外は答申案のとおりでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 次の品目ですけれども、ピリミノバックメチルについて御審議をお願いいたします。では、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、農薬3剤目、ピリミノバックメチルについて御説明いたします。資料3-1の報告書案をごらんください。
 ピリミノバックメチルは、コメにのみ本基準が設定されている剤ですが、今般、魚介類への適用拡大申請がなされましたので、基準値の設定について御審議をお願いいたします。
 まず「1.概要」ですが、本剤は、ピリミジニルカルボキシ系除草剤で、アセト乳酸合成酵素を阻害することにより作用を示すと考えられています。
 化学名及び構造式については記載のとおりでございます。なお、本剤の原体中組成につきましては、E体及びZ体の比率が5対1となっております。
 「2.適用の範囲及び使用方法」につきましては、水稲のみの使用となっております。
 「3.作物残留試験」ですが、分析対象化合物としてピリミノバックメチルのE体とZ体、代謝物M-5及びM-6としており、分析方法については記載のとおりでございます。
 なお、事前に送らせていただいた資料には、親化合物の試験法が2つ記載されておりましたが、内容がほぼ同様であることから、定量限界の感度が低い試験法を削除しております。
 国内で行われた水稲への作物残留試験結果については、6ページの別紙1に記載しております。
 「4.魚介類への推定残留量」でございます。先生方に事前に送らせていただいた資料では(2)生物濃縮係数を計算値で算出した値を記載しておりましたが、コイを使用した濃縮性試験が実施されておりましたので、そちらの実測値で計算し直しております。その結果、推定残留量は水産動植物被害予測濃度がE体で0.052ppb、Z体で0.028ppb、また、生物濃縮係数がE体で10、Z体で3と算出されておりますので、これらの値から推定残留量はE体が0.0026ppm、Z体が0.0004ppmと算出され、E体とZ体合わせても0.003ppmと一律基準の0.01ppmを下回ることから、本農薬については魚介類に対して基準値を設定しないことといたしました。
 「5.ADIの評価」でございますが、ラットの2世代繁殖試験の無毒性量に安全係数100を用いまして、0.02mg/kg体重/dayという評価になっております。
 「6.諸外国における状況」ですが、JMPRにおける毒性評価はなされておらず、国際基準も設定されておりません。また、米国等5か国・地域での基準設定もありません。
 これらを踏まえました「7.基準値案」ですが、水稲を用いた作物残留試験におきまして代謝物M-5及びM-6が分析されているところですが、いずれも定量限界未満であったことから、規制対象物を親化合物のみとしております。
 なお、食品安全委員会における食品健康影響評価においても、暴露評価対象物として親化合物のみを設定しているところでございます。
 基準値案は7ページの別紙2をごらんください。コメにつきましては作物残留試験の結果から、0.05ppmに変更しております。
 当該基準値を踏まえました暴露評価を8ページの別紙3にまとめております。表の一番下にTMDIで試算したADI比を記載しておりますが、一番高い幼小児で1.5%と低い値になっております。
 最後のページに答申案を記載しております。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。それでは、御審議をお願いいたします。
 最初に、用途・作用について、尾崎先生、御意見ございますか。
○尾崎委員 ありません。
○大野部会長 ありがとうございます。
 では、化学名、構造式、物性、代謝の辺りで、山添先生いかがでしょうか。
○山添委員 結構だと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 ちょっと気になったところがあるんですけれども、水溶解度のところでE体は1リットル当たり9.25mgなんですが、Z体が175mgということで10倍以上違うんですけれども、こんなに違ってしまうことはあるんでしょうか。
○山添委員 下の分配係数のところでE体・Z体でかなり違っていますよ。ログ値で0.5ぐらい。だから、水溶性はかなりZ体の方が高いのだと思います。ただ、本当にこれだと桁以上に違うので17.5ではないとは思うんですけれども、一応確認だけお願いします。
○大野部会長 有機溶媒の溶解度もすごく高くなるんですね。水にも溶けるし、有機溶媒にも溶けるので、logPowとしてはそれほど変わらないという値になっているんだと思うんですね。企業の報告書にもこのように書いてあって、はかったのも同じ会社ではかっているんですね。同時にはかっているような感じですが、間違いはないんじゃないかと思うんですけれども。Z体とE体だけでこんなに違ってしまうのかなと不思議だったのでお聞きしました。山添先生、よろしいでしょうか。
○山添委員 結構だと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 では、代謝物を分析対象物質にするかどうかということですけれども、今、御説明がございましたが、代謝物としては3ページに書いてあるように、大きなものとしてはM-5とM-6が出ています。ただし、玄米中にはほとんど入ってこなくて、稲わら中にそれが出てきているということです。その量が大体5%よりちょっと多いか、それ以下というようなところで、それほど多いものではございません。でも、この企業はそれを含めて残留試験をやりましたら、先ほど御説明がありましたように、親化合物も含めてですけれども、検出できなかったということでございます。そういうことで、分析対象物質は親化合物だけとしたということは結構だと思います。
 これまでについて先生方から御意見ございますか。よろしいですか。
○山添委員 親化合物とするといった場合、E体とZ体のミクスチャーのトータルなので、元の比率を維持しているかどうかは別に関係ないということですね。
○大野部会長 そういうことなります。
 ほかに御意見・御質問ございますか。
 それでは、安全性面で鰐渕先生、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 この剤に関しても、2年間の発がん性試験において、いろいろ腫瘍の増加が認められているんですけれども、最終的な形としては遺伝毒性に関するところが問題ないということなので、腫瘍は増えるけれども、ヒトに外挿できないあるいは十分無毒性量をとれるということで、ここにあるようにADIの設定ができるという形でまとめてありますので、問題ないと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、分析結果と基準値の辺りについて御意見ございますか。よろしいですか。
 それでは、基準値と国際的整合性について御意見ございますか。
 それでは、全体を通して御意見ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、これについては特に修正する箇所がありませんでしたので、これをそのままこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 それでは、次の品目ですけれども、ピリダリルについて御審議をお願いいたします。最初に、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、農薬4剤目、ピリダリルでございます。資料4-1をごらんください。ピリダリルの部会報告書案でございます。
 ピリダリルにつきましては、過去にも当部会において御審議をいただいております。今般の残留基準の検討につきましては、農薬取締法に基づく適用拡大申請がなされたことに伴う基準値の設定でございます。
 本剤は、フェノキシ-ピリジロキシ誘導体の構造を有する殺虫剤です。詳細な作用機構は明らかになってはございませんが、野菜類の鱗翅目害虫及び総翅目害虫に対して防除効果を示すものでございます。
 化学名、構造式等については記載のとおりでございます。
 「2.適用の範囲及び使用方法」ですが、今回、適用拡大申請がなされた豆類(未成熟)について四角で示しております。
 「3.作物残留試験」でございます。親化合物のピリダリルについて分析が行われております。結果については、6ページの別紙1に記載してございます。
 「4.ADIの評価」でございますが、ADIが0.028mg/kg体重/dayという評価になっております。この値は、前回の申請がなされたときに部会で御審議いただいたときと変更はございません。
 「5.諸外国における使用状況」でございますが、JMPRでの評価はなされておらず、国際基準もございません。諸外国においては記載のとおりでございます。
 これらを踏まえた「6.基準値案」といたしまして、ピリダリルにつきましては残留の規制対象を親化合物のみと設定する案としております。食品安全委員会におきましても、食品中の暴露評価対象物質をピリダリル親化合物のみと設定されております。
 基準値案でございますが、8ページの別紙2をごらんください。申請に基づき、未成熟インゲン、その他の野菜について基準値を設定しております。
 これらの基準値案により暴露評価を行いましたものが、9ページの別紙3でございます。TMDI試算によりまして一番高い幼小児で59.3%のADI占有率となっております。
 最後のページが答申案となります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございます。
 これについては適用拡大申請ということで以前御審議いただきましたけれども、一応、今回まとめ直してみて問題があるかどうか検討していただきたいと思います。
 まず、最初で用途・作用の点で、尾崎先生、御意見ございますか。
○尾崎委員 ありません。
○大野部会長 ありがとうございます。
 では、化学名、構造式、代謝で山添委員、御意見ございますか。
○山添委員 ありません。
○大野部会長 ありがとうございます。
 分析対象物質についても前回審議して確認しましたけれども、残留するものはハクサイ、トマト、イチゴについて調べていますが、トマトで若干5.5%と多いですが、10%という大体の目安を超えていないということで、代謝物Cを対象物質として入れなかったというのはよろしいかと思います。代謝物Eについては、ほとんど検出されていません。
 その辺りについて御意見ございますか。よろしいですか。
 それでは、分析方法と分析結果について御意見ございますか。
 それでは基準値と国際的整合性について御意見ございますか。
 それでは、全体を通して御意見ございますか。TMDI比は幼小児で59.3%ということで、若干余裕があるということでございます。特にございませんか。
 それでは、ピリダリルの報告案をこの部会の報告としてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 次の品目はメプロニルでございます。これについて事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 農薬5剤目のメプロニルでございます。資料5-1をごらんください。メプロニルの部会報告書案でございます。
 今般の残留基準の検討につきましては、農林水産省から魚介類の基準値設定依頼がなされたことに伴い、暫定基準の見直しも含めました基準値の設定でございます。
 本剤は、アミド系の殺菌剤です。呼吸系のコハク酸脱水素酵素の阻害により、担子菌類に特異的に活性を示すものと考えられております。
 化学名、構造式等については、記載のとおりでございます。
 「2.適用の範囲及び使用方法」についてです。本剤は、国内に登録がございます。詳細については記載のとおりでございます。
 「3.作物残留試験」でございます。親化合物のメプロニルについて分析が行われております。分析方法については記載のとおりでございます。結果については、8ページの別紙1に記載してございます。
 「4.魚介類への推定残留量」です。本剤は、魚介類への残留が想定されることから、魚介類への推定残留量について算出いたしました。水産動植物被害予測濃度は、水田PECtier2の6.5ppb、生物濃縮係数は高濃度区の41から推定残留量を計算いたしまして、1.33ppmとなってございます。
 「5.ADIの評価」でございますが、資料5-2の食品安全委員会評価書の27ページをごらんください。メプロニルの投与による影響は、主に体重増加量及び肝臓であった。神経毒性、発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形性、生体において問題なる遺伝毒性は認められなかったとされております。
 ADIでございますが、イヌの慢性毒性試験の無毒性量5mg/kg体重/dayからADI0.05mg/kg体重/dayとの評価でございます。
 部会報告書にお戻りいただきまして「6.諸外国における状況」でございますが、JMPRでの評価はなされておらず、国際基準もございません。諸外国においては記載のとおりでございます。
 これらを踏まえました「7.基準値案」といたしまして、メプロニルにつきましては残留の規制対象を親化合物のみと設定する案としております。食品安全委員会におきましても、食品中の暴露評価対象物質をメプロニル(親化合物のみ)と設定されております。
 基準値案でございますが、10ページの別紙2をごらんください。魚介類の推定残留量から魚介類について基準値を設定しております。また、それ以外の一部の食品についても基準値の見直しを行っております。
 これらの基準値案によりまして暴露評価を行いましたものが、11ページの別紙3でございます。TMDI試算によりまして一番高い幼小児で59.8%のADI占有率となっております。
 最後のページが答申案となります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。暫定基準の見直しということで御審議をお願いいたします。
 まず、この物質の用途、作用について、尾崎先生、いかがでしょうか。
○尾崎委員 特にありません。
○大野部会長 ありがとうございます。
 化学名、構造式、代謝の辺りで、山添先生、いかがでしょうか。
○山添委員 特にありません。
○大野部会長 ありがとうございます。
 分析対象物資については、食品安全委員会の報告の12ページ辺りから書いてありますが、水稲については玄米中に含まれるもののほとんどが親化合物であるということで、若干代謝物も出ていますけれども、2%未満であるということです。
 ぶどうについては、やはり果実中では親化合物が最も多くて、代謝物はできるけれども、グルコース抱合体が若干9.2%と認められていますが、それ以外は3%未満であるということです。
 レタスについては、やはり親化合物が多いんですけれども、それ以外に代謝物Fのマロニルグルコース抱合体が比較的多くて7~20%検出されたということでございます。それ以外は5%未満であるということです。B、Fのグルコース抱合体とFのマロニルグルコース抱合体、合わせて7~20%検出されたということです。抱合体についてはそういうことですけれども、安全性上それほど問題にならないと思いましたので、規制対象物質としては親化合物で問題ないかなと考えました。
 その他について御意見ございますか。よろしいですか。
 それでは、安全性面から鰐渕先生、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 特に問題となるような重大な特性はないみたいなので、ADIの設定は十分可能だと思います。このとおりで結構です。
○大野部会長 ありがとうございました。
 それでは、分析方法、分析結果について御意見ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、基準値と国際的整合性の辺りで御意見を伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○佐々木委員 今回は、本基準の見直しが行われているんですが、その中には桁数を2.0だったものが2になったという見直し以外に、数字そのものが変わっているものがありますが、これは本基準が前回設定された以後に作残データが追加されたために見直しを行ったということなんでしょうか。
○事務局 本基準部分につきましても、現在、確認できる作物残留試験から基準値を設定しております。
○佐々木委員 本基準は原則見直さないというような方針でこれまでこられたのかなと思っていたんですが、そういうことではないんですね。これから現行基準も見直していくということですか。
○事務局 本基準につきましては、原則見直しを行わないこととしておりますけれども、今回につきましては国内の作残データが出されましたので、最新のデータに基づいて基準値の見直しを図ったということでございます。
○佐々木委員 わかりました。
○大野部会長 これは暫定基準だったかなと思うんですけれども、暫定基準の中でも元から決まっていた本基準があったということですか。
○事務局 印刷が薄くなってしまっているんですけれども、暫定基準は網をつけてお示ししているんですが、暫定基準であるものはその他のハーブについて1ppmでして、それ以外は本基準となっています。
○大野部会長 わかりました、ありがとうございます。
 ほかに御意見ございますか。
 それでは、全体を通して御意見ございますか。
 では、これについては特に修正がございませんでしたので、事務局案をこの部会の答申とさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 次の品目ですけれども、トリネキサパックエチルについて御審議をお願いいたします。最初に、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、農薬6剤目、トリネキサパックエチルでございます。資料6-1をごらんください。トリネキサパックエチルの部会報告書案でございます。
 本剤に係る今般の残留基準値の検討につきましては、食品中の農薬等のポジティブリスト制度導入時に新たに設定された基準値、いわゆる暫定基準の見直しが対象となっております。
 「1.概要」でございます。本剤は、植物成長調整剤でございます。
 作用機序、化学名及び構造式等につきましては、記載のとおりでございます。
 「2.適用の範囲及び使用方法」でございますが、本剤は、国内で芝にのみ登録が認められており、食品には登録が認められておりません。海外ではEUにおいて使用が認められております。詳しい内容は表を御参照ください。
 「3.作物残留試験」でございます。分析の対象化合物はトリネキサパックエチルとトリネキサパック(以下、代謝物B)でございます。
 構造式、分析法の概要は記載のとおりでございます。試験結果としましては、5ページ以降の別紙1をごらんください。海外試験に関して記載しております。
 「4.ADIの評価」でございますが、資料6-2の24ページをごらんください。各種毒性試験の結果からトリネキサパックエチルの投与による影響は、主に体重変化及び腎臓に認められました。繁殖能に対する影響、発がん性、催奇形性及び遺伝毒性は認められませんでした。
 イヌにのみ脳の神経膠細胞に腫脹及び空胞が認められましたが、神経症状は観察されず、毒性学的意義は明らかではありませんでした。
 食品安全委員会は、ラットを用いた2世代繁殖能試験の無毒性量0.59mg/kg体重/dayを根拠として安全係数100で除した0.0059mg/kg体重/dayを一日摂取許容量(ADI)と設定しております。
 資料6-1にお戻りください。「5.諸外国における状況」です。EUでの小麦などに関して諸外国において記載のとおり基準が認められております。
 「6.基準値案」としましては、まず、規制対象はトリネキサパックエチル及び代謝物Bとしております。トリネキサパックエチルには定量限界を参照して設定した暫定基準がございます。机上に配付いたしました「定量限界を参照して設定した暫定基準の取り扱いについて(案)」の資料を御参照ください。平成18年度のポジティブリスト制度導入に際し、食品衛生法第11条第1項の規定に基づき、残留基準が定められていない場合は、一律基準0.01ppmを適用し、一律基準までの分析が困難と考えられる農薬等につきましては、分析法の定量限界に相当すると考えられる値をもって、実質的に一律基準にとって変わる基準値を設定しました。いわゆる類型6-4です。現在、類型6-4に該当する暫定基準の見直しに当たっては、0.01ppmまで分析が可能であることが確認できたものについて基準値を削除しているところです。
 しかしながら、類型6-4として基準値を設定した作物等は、本来、一律基準と同様に国内及び国外、米国、豪州、EU、カナダ、ニュージーランドにおいて基準値が設定されていないものであること、また、分析法の技術の向上を踏まえ、今後も一律基準が適用される農薬等について0.01ppmの検出が可能となる分析法を開発していくこととしていることから、今後、類型6-4に該当する基準値の見直しを行う際には、現行の分析法の定量限界にかかわらず、基準値を削除し一律基準を適用することとします。ただし、類型6-4に該当する暫定基準を見直す際に、残留基準設定の根拠となる残留データが提出された場合等については、科学的根拠に基づき基準値の設定を行います。
 参照として類型6-4に該当する基準を含む農薬等の暫定見直し状況が出ております。その中でトリネキサパックエチルは0.02ppmとなっております。
 それを踏まえた具体的な基準値案として、資料6-1の6ページ、別紙2をごらんください。0.02ppmの基準を置いているものが類型6-4、分析法の定量限界をもって一律基準の代わりの基準値としたものです。この中で、小麦、大麦、ライ麦、その他穀類につきましては、EUの作物残留試験成績を基に基準値を設定しております。EUの0.5は代謝物Bに換算した基準値であり、基準値案を用いる際には換算係数を用いてトリネキサパックに換算した値を示しております。
 これらの基準値を踏まえまして、暴露評価を行った結果を9ページの別紙3の推定摂取量の表に記載しております。その結果、一番高い幼小児で53.2%という占有率になっております。
 最後のページが答申案となります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございます。それでは、御意見を伺いたいと思います。
 用途とこの物質の作用について、尾崎先生、御意見ございますか。
○尾崎委員 ございません。
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、化学名、構造式、代謝の辺りで山添先生、いかがでしょうか。
○山添委員 特にありません。
○大野部会長 ありがとうございます。
 分析対象物資として食品安全委員会の報告の10ページに書いてございますけれども、主要代謝物はBです。このBというのは答申案の一番左にあるエチルエステルになっているもののエステルが切れたものです。玄米中が35.6%TRRで検出されたということでして、それを含めて規制対象物とするのがよろしいのではないかと思います。先ほど御説明がありましたように、食品安全委員会でもそのように判断しています。ですので、よろしいかと思います。
 今までのところで先生方から御意見ございますか。
 それでは、安全性面で鰐渕先生、御意見ございますか。
○鰐渕委員 これで結構です。
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、分析法と分析結果について御意見ございますか。
○松田委員 分析法ですが、変更案をお送りしたと思うんですけれども。トリネキサパックエチルの変更案で修正案が来ていたんですが、それと違うようです。
○事務局 すみません、これは修正前のものでして今手元にないので、次の剤が終わった後で皆様に配って、またこの部分だけ御審議していただくという形でもよろしいでしょうか。
○大野部会長 よろしいですか。それでは、その点については後で、また御審議をお願いいたします。
 その方法の定量限界は0.02というわけですね。
○松田委員 定量限界は変わっていなかったです。
○大野部会長 わかりました。それにもかかわらず、先ほどの申し合わせに基づいて、基準値を0.01という一律基準にするということでございます。面白い方針だと思いますけれども。放っておいたら、いつまで経っても分析法はレベルアップしなくなるので、こういうやり方もよろしいのではないかと、説明を伺って思いました。
 先生方から御意見ございますか。
○吉池委員 ちょっと聞き漏らしたかもしれませんが、11ページに「※」で「米については、現行基準が削除される」と注釈がついておりまして、それに対して3ページの(2)現行基準値案の説明では、大豆、みかん等の0.02のところだけを言及しているんですが、仮に米についてここで言及する必要はないのでしょうか。
○事務局 米につきましては本基準がございまして、現行の本基準で0.5ppmというのがございました。作残成績等もなく、国内における登録があるのが食品では芝のみにしかないという点も考慮し、0.5ppmという米の基準値を削除させていただいたということを書かせていただきました。
○吉池委員 もし、そういう経緯があるのであれば、必要があれば記述をしておいた方がよろしいのかなということですが、いかがでしょうか。
○大野部会長 今まで書いていましたか。
○吉池委員 答申案のところで米について言及されているので、何らかの解説が必要かなと思っただけです。
○大野部会長 まずは書いてあるからですね。では、その「※」のところに、今までもこういう形で測定経過がないもので削除したものはいっぱいあると思うんですけれども、それについては、こういうことをわざわざ書いていなかったんじゃないかと思いますが。
○事務局 本基準を削除する際には今までこのように記載していたので、その書き方を踏襲しております。
○吉池委員 わかりました。
○大野部会長 では、その本基準を削除するに当たって、米については残留データがなかったので基準が削除されるということを「※」の中に追記するということでいかがでしょうか。
○事務局 わかりました、そのように修正いたします。
○大野部会長 お願いいたします。
○佐々木委員 今までは多分、本基準が削除されたものも注意書きはなかったと思うんですね。答申案に最近は全部基準を書くようになったので、新たに設定されたものだけではなくて全部書かれるようになったので、それを前のと見比べると本基準が落ちたんだなとわかるような解釈になっていたように思います。こういうふうに書いた方がわかりやすいと言えばわかりやすいんですけれども、これまではなかったように思います。
○大野部会長 答申案として最近出てくるのは、既に基準があって変わっていないものは載せないですよ。
○佐々木委員 最近は、変わらないものも含めて答申案には全部載せていると思います。
○大野部会長 ちょっと確認していただきたいんですけれども。
○事務局 答申案ですけれども、基準があるものについては全部書かせていただくことにしておりまして、本基準であったものが落ちるものについては、このように「※」にして横に記載するような方法でやっていたかと思います。今後も同じようなやり方で差がないようにやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 それでは、そういうことで、答申案については基準が決まっているものについては、新たに加えたものも全部含めて書くということですね。従来の本基準が削除されてしまったものについてはメモを入れるということですね。そういう方針でやっていくということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。
 ほかに全体を通して御意見ございますか。
○山内委員 今、机上配付資料で御説明いただいて、定量限界の関係から、一旦0.01ではなく、定量限界値で設定してきたものについても、それはやめにして一律基準にしていくという方向の確認はよいと思います。しかし、3~4ページの部会報告案のみを見ると、ただしく読み取れません。4ページの2行目までは、本来は一律基準の適用をすべきところだが、分析が難しかったので、当時の分析法の定量限界で設定したものだったと、記されており、それはわかります。しかし、今回、ある理由があって一律基準で規制することにしたと整理したほうがわかりやすいのではないでしょうか。したがって、他のものと考え方をそろえて基準を統一するというような理由を簡潔に書いていただき、だから当該の基準値を削除し、一律基準で規制することとしたというふうにお書きいただくことをお願いします。この部会報告のみが一人歩きする場合もあろうかと思いますので、単独で理解できる記述をお願いしたいと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。今、私も読んだらおっしゃっていることがわかりました。設定されたものであることから今般削除したというのは、ちょっと変ですよ。であるが、平成22年10月22日の申し合わせに従って削除したとか、そういうものがあると、そこにさかのぼってみればわかると。そこにさかのぼるのが面倒くさかったら、定量法は日進月歩しているからとか、そういう言葉が入ってもいいはずですね。そういう言葉を追加するということですが、いかがでしょうか。
○事務局 そのように追加して、後で皆さんに確認していただきます。
○大野部会長 それでは、その表現を修正したいと思います。
 ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、若干11ページの表現を修正すること、それから、今、山内先生から御指摘があった4ページの2行目を若干修正するということです。ただ、その内容はマイナーなものですので事務局にお任せいただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、それを踏まえて、この部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。
○基準審査課長 分析法については後で御説明いたします。
○大野部会長 そうですね、分析法についてはまた後で御審議をお願いいたします。失礼しました、これはペンディングにします。
 それでは、アセキノシルについて御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、農薬7剤目のアセキノシルでございます。資料7-1をごらんください。
 アセキノシルにつきましては、過去にも当部会において御審議いただいております。今般の残留基準の検討につきましては、農薬取締法に基づく適用拡大申請がなされたことに伴う基準値設定でございます。
 本剤は、ナフトキノン骨格を有する殺ダニ剤です。ダニ類のミトコンドリアの電子伝達系における酵素複合体を阻害することにより効果を示すと考えられています。
 化学名及び構造式等につきましては、記載のとおりでございます。
 「2.適用病害虫の範囲及び使用方法」でございますが、今回、適用拡大申請がなされたうめ、さといも、ピーマン、食用ぎくにつきましては、四角で囲んで示しています。
 「3.作物残留試験」でございますが、アセキノシルと代謝物AKM-05について分析が行われております。結果については、国内で実施されたものは7~8ページの別紙1-1に、海外で実施されたものは9ページの別紙1-2に記載してございます。
 「4.乳牛における残留試験」につきましては、前回の部会で御審議いただいたとおりでございます。
 「5.ADIの評価」でございますが、ADI0.022mg/kg体重/dayという評価になっております。この値は、前回の部会で御審議いただいたときと変更はございません。
 「6.諸外国における状況」でございます。JMPRでの評価はなされておらず、国際基準は設定されておりません。米国、EU、オーストラリア、ニュージーランドにおいては記載のとおりの基準が設定されております。
 これらを踏まえました「7.基準値案」といたしまして、アセキノシルにつきましては残留の規制対象を現行のままアセキノシル及びその代謝物であるAKM-05と設定する案としております。
 食品安全委員会におきましても、食品中の暴露評価対象物質をアセキノシル及び代謝物であるAKM-05と設定されております。
 基準値案でございますが、10ページの別紙2をごらんください。申請に基づきその他のきく科野菜、ピーマン、うめについて基準値を新たに設定しております。その他の野菜については基準値を0.7から1へ上げております。また、そのほかの食品についても一部基準値の見直しを行っております。
 これらの基準値案により暴露評価を行いましたのが、12ページの別紙3でございます。その結果、TMDI試算によりまして一番高い幼小児で39.3%のADI占有率となっております。
 最後のページが答申案となります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。それでは、先生方から御意見を伺いたいと思います。
 最初に、用途とこの物質の作用について、尾崎先生、いかがでしょうか。
○尾崎委員 特にありません。
○大野部会長 ありがとうございます。
 では、化学名、構造式、代謝について山添先生、いかがでしょうか。
○山添委員 構造は間違っていないんですけれども、このナンバリングでいきますと、ドデシル基というアルキル基の長い方が3番になっていますね。通常は時計回りで書くと早い方が2番になるので上下にひっくり返っているのだと思います。
○事務局 確認して修正いたします。
○大野部会長 お願いします。そのほかはよろしいですか。
 分析対象物質ですけれども、これは適用拡大申請ということで以前に審議していただいたものですが、ちょっと確認なんですが、今日の答申案の13ページに今までの経緯が書いてございますけれども、平成22年2月18日に残留農薬基準告示と書いてあるんですが、これは間違いないですか。この位置がちょっと変だなと。平成20年9月11日に食品安全委員会から意見をいただいて、それから今まで放っておいたという感じですね。前回審議したときの結果は平成17年のことですかね。この平成22年というのは、平成20年の間違いかなと思ったんですけれども、これは間違いないですか。平成21年ですか。
○事務局 食品安全委員会の評価書の3ページをごらんいただきたいのですけれども、2010年2月18日に残留農薬基準告示とこちらもなっております。ここの事実確認をもう一度行いまして、整理したいと思います。
○大野部会長 お願いいたします。
 このものについては、代謝物としてはAKM-05とAKM-18が出ています。食品安全委員会の報告でそういうことが記載されているんですけれども、ただ、生成量は少なくて、なす、りんご、オレンジについての結果が載っていますが、10%を超えるものはないという記述でございます。いずれもそうなんですね。食品安全委員会の方は代謝物AKM-05を加えるということになっていますけれども、なぜなのかよくわからなかったんですが、今日の報告書の別紙1-1で見ると、あずきで代謝物AKM-05となっていると。あずきではアセキノシル本体よりも多く存在しています。食用ぎくでは親化合物が1.66に対してこのものが0.3ということで5分の1ぐらいですが、それ以外のものについては10分の1とかそれに近いぐらいのかなり低い結果になっています。
そういうことで、一部で親化合物よりも多いものもございますけれども、特に入れなくてもいいのかなという感じがしますが、AKM-05というのが今日の最初に審議していただいたものと同じように、エステルが切れたものなんですね。そういうことで分析する過程でこういったものができてしまうのかなと思ったりして、これは含めておいた方が分析上楽ということがあってAKM-05を入れたのかなという気もしていたんですけれども、いかがでしょうか。残留という面から見ると、AKM-05を入れなくてはいけないという理由はないかと思いますが、先生方から御意見はございますか。
 ただ、これは適用拡大ということで前回はこれを入れて設定したということなので、今更変えるのは問題があるかもしれませんけれども。分析上これを入れなくてはいけないとか、そういうことはございませんか。
○山添委員 多分、資料7-1の4ページの?A分析法の概要のところで、上から5行目「ただし」と書いてあるところに「試料由来の夾雑物の影響が大きく、同時定量が困難な場合には」というので、そこでAKM-05を分画してはかると書いてありますね。だから、そういうことで両方入っている可能性はないんですか。
○大野部会長 報告書案の4ページ目の分析法の概要ですよね。
○山添委員 先生がおっしゃったように、エステルが切れるとか、あるいは逆に切れた方が夾雑物を実際的に測定しやすいということもあるんじゃないでしょうか。
○大野部会長 そういう理由があって入れるということであれば全然よろしいかと思いますけれども、分析に詳しい先生方はそれでよろしいでしょうか。
 それでは、とりあえずAKM-05も含めて規制対象物質とするということで審議を進めさせていただきたいと思います。
 それでは、安全性の面で鰐渕先生、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 このとおりで結構だと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 対象物質のところで、もう一つ理由があったんですね。食品安全委員会の報告書で、エステルが切れたものも血液凝固抑制作用が出ていたんですね。凝固抑制作用を見た時点で最低用量でも出ていたんです。それで入れたという理由が書いてありました。それも含めてこういうことを設定されたということです。
 全部含めて先生方から御意見ございますか。質問でも結構ですけれども。
 それでは、基準値と国際的整合性について御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○佐々木委員 質問なんですけれども、さといもの葉柄だけ基準が設定されるようですけれども、イモには必要なかったんでしょうか。申請がされていないということだと思うんですけれども。
○大野部会長 農林水産省の方から何か御意見ございますか。
○農林水産省 さといもの葉柄はマイナー作物であり、地方でつくられている場所があるんですけれども、そこでは葉柄のみを出荷する品種を栽培しているということですので、この登録をいただければ使えるということになります。なお、この場合、イモは出荷いたしません。
○大野部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 ほかに御意見ございますか。
 それでは、全体を通して御意見を伺いたいと思いますけれども。
 では、先ほどの残留農薬基準の告示の年について確認していただく必要がございますが、もし間違っていたら修正するということで、この答申案をこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 それでは、先ほどのトリネキサパックエチルの分析方法について、松田先生の御指摘による修正案が来ていると思いますので、それについて御審議をお願いいたします。説明をしていただけますでしょうか。
○事務局 お手元に配りました資料をごらんください。松田先生から御指摘があった部分でございますけれども、3(1)の?Aでございます。トリネキサパックエチルが分析法の概要としまして、試料からメタノール・リン酸緩衝液混液で抽出し、ケイソウ土カラムで精製し、高速液体クロマトグラフを用いて定量する。定量限界が0.02ppmとなります。
 代謝物Bの概要に関しましては、試料からメタノール・リン酸緩衝液混液で抽出し、強陰イオン交換樹脂カラムで精製し、溶出液からジクロロメタンで抽出し、高速液体クロマトグラフを用いて定量する。分析値については、換算係数1.13を用いてトリネキサパックエチルに換算した値を示すということで、定量限界が0.02ppm。今説明した部分が松田先生から御指摘を受けたところになります。
○大野部会長 ありがとうございます。松田先生、これでよろしいでしょうか。
○松田委員 はい。
○大野部会長 では、ほかの先生方、こういう変更でよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。これが分析方法の変更と。それから、先ほど幾つか修正がございましたけれども、修正したものをこの部会の報告とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 それでは、今日の審議品目については一応、御審議は終了いたしました。この後いろいろ資料があるかと思いますけれども、今日の審議結果の食品衛生分科会での取扱いについて、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 本年3月3日に了解されました「食品衛生分科会における確認事項」に基づきまして、本日の部会で御審議いただきました農薬7剤の食品衛生分科会での審議または報告の取扱い案につきましては、僣越ながら事務局より原案を用意させていただきました。
 農薬クロランスラムメチル、メトミノストロビン、ピリミノバックメチル、メプロニル及びトリネキサパックエチルにつきましては、いずれも暫定基準等の既に設定されている残留基準の一部改正で、区分4または5に該当しないことから、区分3として分科会での取扱いは「報告」でいかがでしょうか。いずれも「ただし、その用途、毒性等から見て慎重に審議する必要がある」ということではないと思われます。
 また、農薬ピリダリル及びアセキノシルにつきまして、いずれも食品安全委員会での評価の結果に変更がないことから、区分4として分科会での取扱いは「文書配付による報告」でいかがでしょうか。いずれも「ただし、その用途、毒性等から見て慎重に審議する必要がある」ということではないと思われます。
○大野部会長 ありがとうございます。ただいま説明されました分科会での取扱い原案について御質問はございますか。特になければ、こういった形で取扱いをして、分科会長の承認を得たいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 それでは、今後の手続について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 本日御審議いただきました農薬7剤につきましては、食品安全委員会からの通知を受けていることから、一部の品目につきましては修正した上で御確認をいただく等の条件がございますけれども、修正した上で部会報告書とさせていただきます。
 なお、今後の手続につきましては、農薬7剤につきまして、パブリックコメント、WTO通報、消費者庁協議等の必要な手続を進める予定としております。
○大野部会長 ありがとうございます。
 ほかに議事はございますか。
○事務局 本日、農薬等の残留基準に係る御審議のほかに報告させていただきたい案件がございます。
 「農薬の残留基準値を設定する際に海外の基準値を参照とする場合の桁数の取り扱いについて(案)」と「畜産物及び水産物中に残留する農薬の暴露評価について」でございます。
 前回の9月14日の部会で御審議いただいた内容を事務局でまとめてみました。まず「農薬残留基準値を設定する際に海外の基準値を参照とする場合の桁数の取り扱いについて(案)」御説明させていただきます。
 資料8をごらんください。まず、表に桁数の取扱いを規定する理由について記載させていただきました。読ませていただきます。
「農薬について設定している基準値のうち10ppm未満については、国内での作物残留試験の結果を基に設定する場合は桁数を整数部1桁とし、国外の基準値を採用する場合は、原則として参照とした基準値をそのまま採用しているところであり、基準値として『1』と『1.0』のように桁数が整数部1桁のものと小数点以下1桁までのものが混在している状況である。しかしながら、基準値が『1.0』のように小数点1桁となっている農薬の基準値判定を行う場合は、0.01ppmの位を比較する必要が生じるが、0.01ppmの位を常に正確に測定することは困難であること、国際的にも近年整数1桁で基準が設定されていること、及び桁数が異なることにより検査値の取り扱いに差異が生じ、監視等の検査を行う現場が混乱することなどから、今後、海外の基準値を参照して10ppm未満の基準値を設定するにあたっては、別紙のとおり0.1ppm未満で0以外の数字2桁以上で表記されている基準値の場合、あるいは最終桁が0である基準値の場合は、最初の0以外の数字を次の桁を四捨五入し、0以外の数字が1桁となるようにする」ということでございます。
 2枚目が別紙となっております。この別紙を説明させていただきます。従来は基準値が10ppm以上の場合は整数部2桁を採用いたしまして、基準値が10ppm未満の場合には小数第2位以下の0は不採用としていたしておりましたが、それ以外は原則としまして海外の基準値をそのまま採用することとしておりました。そのために、表に書かせていただきましたような不具合が生じてございました。今後でございますが、基準値が10ppm以上の場合の取扱いは以前と同じでございますが、基準値が10ppm未満の場合は最後の数字が0以外の1桁となるように設定する案といたしております。
 例えば、海外の基準値が6.0の場合は、最後の数字が0なので、0以外の1桁となるよう基準値を6とします。0.10の場合も最後の数字が0なので、0以外の1桁となるように0.1といたします。
 また、最後の数字が2桁以上の場合、最初の0以外の数字の次の桁を四捨五入いたします。例えば、1.4は最初の0以外の数字は1で、その次の桁の4を四捨五入しまして基準値を1といたします。また、0.35につきましては、最初の0以外の数字は3で、その次の桁の5を四捨五入いたしまして0.4といたします。0.095は、最初の0以外の数字は9で、その次の桁の5を四捨五入いたしまして0.1といたします。
 今後は、この取扱いに従って基準値を設定していきたいと存じます。
○大野部会長 いかがでしょうか。これは前回のこの部会で審議していただいたことを基にまとめていただいたものですけれども、この方針でいきたいと思いますが、よろしいですか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございました。
 それでは、次をお願いいたします。
○事務局 続きまして、資料9「畜産物及び水産物中に残留する農薬の暴露評価について(案)」を御説明させていただきます。
 先月の部会におきまして、農薬エトフェンプロックスに係る基準値設定について御審議いただいた際に、部会委員から魚介類への暴露量の計算について、参照できる資料を作成し、対外的にも説明できるようにとの御提案がございました。資料9は、畜産物、魚介類からの暴露量の計算について、これまで部会で御審議をいただき了承された事例について事務局で取りまとめたものでございます。
 暴露評価の基本的な考え方は、平成10年の具申により示されております。このほか、より具体的な方法といたしまして、次のとおり畜産物、水産物ではその食品群を細分化し、摂取量を按分して暴露量を算出して御審議いただいているところでございます。
 ?T、畜産物からの暴露量の計算方法として部会で御審議いただいたこととしましては、次のようなものがございます。(1)陸棲ほ乳類の肉類の摂取量を肉類とそれ以外に分けて暴露量を試算すること。(2)陸棲ほ乳類の肉類を筋肉80%、脂肪20%とみなし、暴露量を試算することです。
 ?U、前回の部会で御審議いただきました水産物についてでございます。河川中の化学物質の濃度は海に入ると5分の1以下に希釈されることが知られております。また、遠洋魚介類の推定濃度を0とみなすことで、より実際に近い暴露量を試算することが可能となります。摂取量には平成18年の国民健康・栄養調査のデータを資料といたしまして、計算式では魚介類の摂取量をW、内水面産の魚介類の推定残留濃度をCといたしまして、記載のとおり0.31WCで表す式で算出することといたしました。
 事務局からの説明は以上でございます。
○大野部会長 ありがとうございました。
 こういう形で整理して、説明文章をつくっていただきましたけれども、御意見ございますか。
○基準審査課長 資料8なんですけれども、資料を出しておきながら申し訳ないんですが、表現が余りよくない感じがするので直させていただけたらと思います。「しかしながら」の2~3行目にかけて「0.01ppmの位を常に正確に測定することは困難である」と書いていたんですが、そうすると、一律基準の測定が正確にできないみたいな誤解が生じると思いますので、前回、松田先生や佐々木先生からいただいたのは、ppmオーダーで100分の1の位まできちんと常に出すのは難しいという御意見だったものですから「ppmオーダーの測定において100分の1の単位まで常に正確に測定することは困難である」と書いた方が、前回の意見を正確に表していると思いますので、口頭で申し訳ございませんが、そのように修正したものでいかがかなと思っております。いかがでしょうか。
○大野部会長 ありがとうございます。よろしいですか。今気がついてよかったですね。
 ほかに御意見ございますか。
○山内委員 資料9の件でございます。まとめていただいて、どうもありがとうございました。これは要望ですので、可能性が出てくればということですが、肉や魚の食べ方で非常に偏った方も最近多いと聞いておりますので、これは全く平均値でされていますから、余裕ができて研究の可能性が出てくれば、非常に肉食の多い方ですとか、割とお魚をたくさん食べたり、ほとんど食べられないような分布も含めてカバーできればいいかなと思っておりますので、今後、御検討いただきたいということです。
○大野部会長 食事の偏った人がいるわけですから、そういうことも含めて、それは研究課題としてやっていただければありがたいと思います。
 ほかに御意見ございますか。
○松田委員 大変つまらないことなんですけれども、資料9の裏側の海面産の魚介類の3行目「魚介(塩蔵、生干し、幹物)」の字が違っていますので。
○事務局 訂正いたします。
○大野部会長 ありがとうございます。ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、この資料8と資料9について、まとめていただいた案に基づいてやっていきたいと思います。よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。
○事務局 資料8、資料9につきましては、分科会で報告するのではなく、分科会の勉強資料に追加するという扱いをとらせていただきたいと思います。今年1月27日の部会で報告させていただきました「食品中の農薬の残留基準値の設定について」と同様の扱いでございます。また、ホームページ上でも本日の部会資料として公開いたす予定にしております。
 以上でございます。
○大野部会長 ありがとうございます。そういった取扱いでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 ほかに議事はございますか。
○事務局 次の本部会の開催日程については、平成22年11月18日木曜日、午後を予定しております。後日、委員の日程につきまして御確認させていただきたいと存じます。詳細につきましては、追って御連絡申し上げます。
○大野部会長 ありがとうございます。そのほかはございますか。
○事務局 ほかに議事はございません。
○大野部会長 先生方もよろしいですか。
 それでは、以上をもちまして本日の部会を終了させていただきます。どうも御協力ありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係、乳肉水産基準係
(03-5253-1111 内線4281,2487,2489)

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