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2011年1月21日 診療報酬調査専門組織(第17回医療機関のコスト調査分科会)議事録

保険局

○日時

平成23年1月21日(金)      15:00~16:30


○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第22会議室(18階)


○出席者

田中滋分科会長 石井孝宜委員 猪口雄二委員 尾形裕也委員
勝原裕美子委員 川上純一委員 小山信彌委員 近藤俊之委員
佐柳進委員 椎名正樹委員 須田英明委員 西岡清委員
西田在賢委員 松田晋哉委員 渡辺明良委員

事務局

鈴木医療課長 屋敷保険医療企画調査室長 他 

○議題

基本診療料のコスト構造の把握の実現可能性について

○議事

議事内容

○田中分科会長
 では時間となりましたので、ただいまより第17回診療報酬調査専門組織・医療機関のコスト調査分科会を開催いたします。
 初めに、委員の出欠状況について御報告いたします。
 本日は、松田委員が途中から出席される旨の連絡を受けております。あとは全員出席です。
 それでは、議事に入りましょう。
 中医協総会において、基本診療料に係るコスト構造について、本分科会から意見聴取をすることとされております。そこで、本日は本件を議題といたします。
 まずはこれらの資料について、事務局より説明をしていただきます。その後、皆さんと質疑を行う予定です。
 では、事務局より説明をお願いいたします。よろしく

○屋敷保険医療企画調査室長
 保険医療企画調査室長でございます。よろしくお願いいたします。
 資料のほうは5点配付をさせていただいております。診調組コ-1から3までの3種類と参考資料1、参考資料2の計5点を配付させていただいております。
 ただいま分科会長から御紹介がありましたとおり、中医協の総会から基本診療料に係るコスト構造の把握が技術的にできるかどうかということがこちらの分科会のほうで御審議いただくということで意見聴取がなされているものでございます。
 資料のほうでは、診調組コ-1で意見聴取内容という形でまとめさせていただいております。基本診療料に係るコスト構造の把握が可能かどうか。その調査の実行可能性、コスト調査を行う上での技術的課題、コスト調査の視点・手法、その他という形で、この紙自体が総会から来ているわけではないものでございますが、これまでのコスト調査に関します経緯などを踏まえまして、事務局のほうで整理をさせていただいたものでございます。
 その経緯でございますが、診調組コ-2を御覧いただきたいと思います。ここは、基本診療料のコスト調査に関する経緯をまとめてある部分でございます。平成22年2月の中医協答申附帯意見から記載をしておりますが、このコスト論につきましては、皆様御承知のとおり、何も近々に始まったものではなくて、この議論としては昔からずっと存在をしていたものでございます。近年のものをここにまとめてみますと、中医協の附帯意見として、基本診療について、その在り方について検討を行うこととするほか、財政影響も含めて検証する、その結果を今後の診療報酬改定に反映する。これはコスト論といいますか、割と一般的な意見として出されているものでございますが、これを受けまして、総会では2号側、あるいは1号側、再度、また2号側からその提案等が出されておるというものでございます。
 その主要なものといたしましては、参考資料1を御覧いただきたいと思います。
 こちらは、9月29日の中医協総会におきまして、2号側の委員さんから連名で提出されたものでございます。コスト分析についての二号側の考え方というものでございます。
 これは御覧をいただきますと、診療に要するコストといいますのは、キャピタル・コスト、これは投資的経費である。あるいはオペレーティング・コスト、これは主として運営費で成り立っているけれども、これが今の診療報酬体系において評価されてきていたのかどうかといいますと、それは評価されていないのではないかという問題意識に至ったものでございます。それらは、かねてより指摘がされてきていますが、裏のほうに入りますと、平成15年3月28日に閣議決定された「医療保険制度体系及び診療報酬体系に関する基本方針」─これは参考資料2で変更をさせていただいているものでございます。後ほど概略をお話しいたします。また、「医療技術の適正な評価」や「医療機関のコストや機能等を適切に反映した総合的な評価」が閣議決定の中で掲げられているけれども、それがいまだに目的を十分達しているとは言いがたい状況にあるという認識は示されているところでございます。
 そこで、「医療機関のコスト調査分科会」では、部門別原価計算の調査が進められており、その実施につきましては、昨年の7月に実施済みで了承されているけれども、それとは別に、コストを適正に反映した診療報酬の体系の構築を目指す観点から標準的な各種の必要コストの調査を行い、積み上げることが必要ではないかといった意見が出されておりまして、(1)から(3)まで、主として(1)我が国の基本診療の中で各種コストがそれぞれどのように評価されているか。もしくは評価されていないかについての整理・明確化を図るべく、あるいは部門別収支の再集計で具体的な金額の内訳に関した調査ができるか、できないかといったところを取り組んでいただきたいという意見書をいただいているところでございます。
 資料の診調組コ-2のほうに戻っていただきますと、これの意見書に対しまして、9月29日の総会におきましては、一号側、二号側、あるいは公益委員から意見が出されているところでございます。
 一号側の白川委員からは、医療機関の経営という観点からコストを考えて、それを全部の診療報酬に当てはめて、その中にどれくらい、キャピタルコスト・オペレーティングコストが入っているかを調べるというのは、診療報酬体系が全部変わる話で、そこまで御提案する側として覚悟をされておられるか、また全国でいろいろな形態がある医療機関を全部ならして診療報酬に反映させようという意見は理解できないといった御意見がございました。
 また、提案側の西澤委員のほうから、診療報酬体系を根底からひっくり返すという考えではないけれども、診療報酬の点数を動かすその根拠は何か。難しいことは承知だけれども、可視化といった観点が必要ではないか。それをコスト調査分科会で御議論いただけないかとの御意見が発言をされております。
 また、公益委員の関原委員からは、診療報酬の議論の場で全国一律に論ずるものとキャピタル・コストといったものの考え方は少し違うのではないか。本当にいい意味でのアウトプットが出るかといった御意見が出されております。
 これらの議論を受けまして、遠藤会長から基本診療料についてコスト分析ができるのかどうか、あるいはできるとすれば、どのような方法が可能なのかといったことをコスト調査分科会で意見聴取を依頼するという対応をしていただきたいといった形で本日に至るといった経緯でございます。
 それでは、参考資料2のほうを御覧いただきたいと思います。
 これが平成15年3月の閣議決定でございます。健康保険法等の一部を改正する法律附則第2条第2項の規定に基づく基本方針の中で医療保険制度体系及び診療報酬体系に関する基本方針についてで、抜粋で診療報酬体系の部分につきまして抜粋をしているものであります。
 まず、コスト論に関係をいたしますものとしては、3ページ目の基本的な方向で診療報酬体系については、医療技術の適正な評価、ドクターフィー的要素という表現がされておりますが、それと医療機関のコストや機能等を適切に反映した総合的な評価、こちらはホスピタルフィー的要素という表現がされております。それと、患者の視点の重視等の基本的な考え方に立って見直しを進めるという基本的な方向のもとに、具体的な方向としては、医療技術の適正な評価と、(2)で、医療機関のコスト等の適切な反映といった項目が決定をされているところでございます。
 こういう医療機関のコスト等の適切な反映の基本的な部分としては、入院医療について必要な人員配置を確保しつつ、医療機関の経営や施設に関するコスト等に関する調査・分析を進め、疾病の特性や重症度、看護の必要度等を反映した評価を進めるとともに、医療機関等の機能の適正な評価を進める。
 そして、4ページ目では、疾病の特性に応じた評価、あるいは医療機関等の機能に応じた評価といった項目が上がっておるものでございます。
 これらを受けまして、例えばDPCの仕組みが平成15年度より特定機能病院について実施がされる。あるいはコスト調査という意味では、部門別収支、コスト調査がこちらのほうの分科会でも取り組んでこられたといった流れになって、本日に至っているという状況でございます。
 参考資料1で二号側の考え方、そして提出がされましたこの意見書の中では、閣議決定を受けて専門組織が設置されているけれども、いまだ目的を十分達しているとは言いがたい状況にあると書かれておりますが、このような閣議決定といった方向性から見て、今回、22年9月の段階で意見書を出されたのかなと受けとめておるところでございます。
 そこで、本日分科会を開催していただきまして、御議論いただくといった点でございます。これらの経緯を踏まえて、総会のほうにお答えを返していくということが必要になるわけでございますが、その際の観点といいますか、考え方の議論のたたき台という意味で、診調組コ-3番目を用意させていただいております。
 基本診療料にかかるコスト分析について(素案)という形で事務局のほうで考えさせていただいたものでございます。あくまでも素案ということでございますし、基本の取っかかりは、こちらのほうの分科会でされております部門別収支に関する調査の枠組みから工夫をしたら、どのような形で対応ができるのか論点整理をした上で総会にお返しができるのかといの考え方に立ち、準備をさせていただいた、たたき台的なペーパーでございます。
 前提条件が3つほど置いておるところでございます。
 コスト分析といいましても、範囲、高さといったものがさまざまになってくるわけで、あるいは切り口、尺度といったものも考えていかなければいけないということでございます。前提条件の1つ目としては、今申し上げました「部門別収支に関する調査」の枠組みの活用で、基本診療料に含まれる各種コストを把握していく。また、基本診療料には加算を含め入院外来、さまざまございますが、調査の前提として急性期の入院基本料に限って考えてみる。さらには、集計においては、コストの種別は「部門別収支に関する調査」と同様に病院会計準則の科目とすると書かせていただいております。
 これは、参考資料1にありますとおり、二号側の考え方、ペーパーでは投資的経費、キャピタル・コスト、あるいはオペレーティング・コスト、運営費でありますとか、減価償却費といった切り口で書かれておるところでございますが、実際の調査を行うことを仮に想定して考えますと、金銭的なデータをどのようにとっていくかというところを考えた場合に、共通的な尺度として現在ある病院会計準則の体系につながる項目となっている部門別調査と同様の科目とすることを前提条件として置いているものでございます。
 その前提条件のもとで検討ポイントと課題と今後の進め方という形で書いておりますが、検討ポイントと課題は大きく3つあるのではないかと考えております。
 1つ目が基本診療料に係るコスト分析であるということでございます。基本診療料と特掲診療料の切り分け、特に費用分類についての切り分けが必要ではないかと考えております。現在の部門別収支に関する調査は、収入と費用を部門別に集約、配賦していく仕組みをとっていますが、基本診療料と特掲診療料の切り分けをして費用を配賦させているわけではないということでありますので、以下の点の把握、?@から?Cまでが考えられるのではないかということでございます。これらの点を把握し、各部門に費用を切り分けた上で計上していくことが必要となり、そのためには、現在の部門別収支に関する調査を枠組みに追加的な調査をすることにより切り分けができるのではないかといった考え方でございます。
 1番目の入院・外来部門においては、さまざまな検査、処置、簡単な手術が行われているけれども、中央診療部門に特掲診療料が必ず100%集中しているわけではないということでございます。入院・外来部門で行われた特掲診療行為の把握のための調査を行う。
 2番目が、ここが恐らく一番難しいところになるのかなと思います。人件費の配賦基準を得るために現在部署、場所別に基づき実働状況を把握しております部門別調査でございますが、これは例えば医師でありますと診療行為ごとの技術的難易度や要する時間に関する指標を把握する。あとは入院・外来部門で行われた看護職員の作業時間を特掲診療料に相当するサービスに要する時間を把握するといったことでも、これは内容を把握した上で切り分けという発想に立つ、そのための追加調査が必要ではないかということでございます。
 また、設備関係費につきましても、現在の部門別調査では基本診療料相当分、特掲診療料相当分に分離ができていないということであります。仮に高額な医療機器といったものから特掲診療料に相当するサービスが発生していると考えれば、設置場所を把握するための追加調査が必要になってくるといったこと。また、材料費につきましても分離ができていないということでありますから、基本診療料に含まれる材料、あるいは備品を別途定義することがが必要になり、実際の使用状況を把握する追加調査が必要になるということでございます。
 これは、現在の部門別収支に関する枠組みを活用し、ある意味では機械的に考えていったものでございますが、これを実際に本当に行うということになりますと、どのように考えなければいけない点が起きてくるかというのが、次の2ページ目でございます。
 (2)でコスト計上、あるいは配賦の方法について。この中で3点ほどの考え方が出てきているということでございます。
 基本診療料のコスト構造を把握することが技術的に可能かどうかということでございますが、コストを集計するときに患者単位に集計をしていくのか、あるいは基本診療料に係るコスト構造の把握。字句どおり、診療報酬の点数一つ一つを構成しているコストを把握していくイメージで、診療行為ごとに個々に設定されている診療報酬の点数単位に集計するのかという集計の単位といった観点の検討。また、具体的な計上・配賦基準。
 部門別収支では、レセ点数比、あるいは人数比等で部門別にコストを配賦しているけれども、基本診療料相当分、特掲診療料相当分にコストを配賦するためには、従事者別、あるいは患者さん別にタイムスタディを行った上でどのような行為が行われているかを把握し、さらに、その技術的難易度を加味した具体的な基準を検討する必要があるのではないかといった点。また、コスト計上・配賦のタイミングの検討が必要だということでございます。
 実際にコスト計算をする際の基本的な考え方に属する部分でございますが、部門別収支については、実際原価を採用しているけれども、「あるべき医療」を行うために必要なコストといった考え方に立てば、標準原価の設定が別途必要になるということであります。これ私どもはできるかどうかといったことも検討項目としてあるということでございます。
 大きな3点目の調査結果の安定性でございます。
 現在の「部門別収支に関する調査」につきましては、各医療機関に御協力をいただいておるところでございますが、20年度調査で申し上げますと127病院であるということでございます。これらの実際に調査を行うことをイメージしたときに、代表性をどのように評価しているのかといった点も考えなければいけないということでございます。
 これらの検討ポイントと課題、あるいはその内容に沿って、今後検討作業を進めていく必要があると考えますが、実際の進め方というものを事務局として御提案させていただくとすると、分科会におきまして、例えば今のように「部門別調査に関する調査」を前提とした場合の方法論について御議論等をいただいて、その実現可能性については、また別途ワーキンググループを設置の上、検討を進めていくのが効率的ではないかと考えまして、2番の今後の進め方という形で御提案をさせていただいているものでございます。
 今回の意見聴取の内容の経緯及びその実際の作業の方法等につきましては、私のほうからの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○田中分科会長
 ありがとうございました。総会から我々に大変複雑な課題を聴取されることになっているなという感じがします。最後のワーキンググループをつくるところだけはすぐ賛成できますけれども、それ以外は一個一個議論しなくてはなりません。
 まずは、ただいまの事務局の説明に対して、御質問をお願いします。また、質問と意見の分離もなかなか難しいでしょうから、初めから意見になってしまっても結構です。
 どうぞ、御自由に御発言をお願いいたします。
 尾形委員、どうぞお願いします。

○尾形委員
 では、皮切りに質問だけさせていただきますと、そもそも全体のタイムスケジュールがよく分からないのですが、どういうタイムスケジュールでいつまでに検討して、仮に結論を得たら、いつからこういうものを実施しようと考えているのか、その辺について説明をお願いします。

○田中分科会長
 室長、どうぞ。

○屋敷保険医療企画調査室長
 スケジュールの点でございますが、経緯としては昨年9月29日の総会でコスト調査の技術的可能性についての意見聴取があったということでございます。やはり意見聴取があった以上、できるだけ早く総会のほうにお戻しをする必要があると思いますが、実際に調査をするかといった点はまた別の問題になりまして、技術的な調査の実施可能性について総会に報告をし、それをまた調査をすることの意義があるかどうか。あるいは実現可能性をお考えいただくのは総会での議論になりますので、コスト調査分科会からは総会に対し、報告、レポートを提出するのはできるだけ早く行えればと考えておりますが、調査の実施とはまた別であると考えでおります。

○尾形委員
 そうすると、総会に諮って、もう一回こちらにおりてくるという、そういうことを考えておけということですか。

○屋敷保険医療企画調査室長
 仮に総会のほうで、何かそれらの調査をしましょうということになった場合には、適任の分科会として、やはりこちらのコスト調査分科会になるという可能性はあるのではないかと考えております。

○田中分科会長
 よろしいですか。まずは論点を整理して出して、調査をするかしないかの決定は私たちではなく、総会が行う。もし、するとなったらおりてくるだろうとの回答でしたね。
 小山先生、お願いします。

○小山委員
 この話は前から中医協の方からも聞いていたんですけれども、前回のこの中で議事録に残っていると思うんですけれども、コスト調査分科会の役割について、今回中医協の先生方が求めているようなことはそもそもやっていないという最終結論でしたよね。それをそうじゃなくて、切りかえて今度はこれをやろうという方向で、中医協から求められているようなコスト調査をやる方向で検討するということでよろしいですか。本来のコスト調査分科会の役割は違いますよね。

○田中分科会長
 どうぞ。

○屋敷保険医療企画調査室長
 調査を実施するかどうかどうかというところは、レポートをお返しした上での総会の御判断と思いますが、総会で中医協全体につながる部会とか、分科会とかございます。その中でどこが一番適当であるかといったことで、こちらのコスト調査分科会が適任ではないかと御判断をされると、またこちらのほうの分科会でお願いをするということになるかもしれません。

○田中分科会長
 最初に意識されていた課題よりも違ったものが時とともに当然出ますよね。そのときに、現在存在する分科会や部会で、まあ、相対的に近いところに来る話なんでしょうね。そう理解しておりますが。
 西岡委員、どうぞお願いいたします。

○西岡委員
 これまで部門別収支に関する調査を延々やってきていたのですが、今回、中医協のほうから要望された中に、この調査結果をうまく使うことができる部分というのはどのくらいあるのでしょうか。かなり膨大なものでやってきたと思うんですが、その中のもので、例えばここでありますように、一患者ごとにやるというふうなことになってしまうと、今までの部分は余り使えないんですが、可能であれば、せっかくやってきたものをうまく利用しながら、さらに広げていくという形になればありがたいかなというふうに思ったんですが、どのくらい使えるのでしょうか。

○屋敷保険医療企画調査室長
 本日の素案で、ある意味、機械的に整理をしておる方法に立ちますと、現在の部門別収支の調査データというのは、20年度実施分と、今現在実施分の22年度分がございます。そのデータに切れ込みを入れるというか、そういう方法が可能かどうかというところは、にわかにお答えができるところではないのですが、仮に調査を実施するとすると、今の部門別収支の調査をベースに、加えまして、このような追加調査といった切り口、切れ込みを入れて、費用の分の集計を行っていくという形に立ちますと、現在の20年度及び22年度データではない─仮に実施するとなるとどのタイミングか分かりませんが、そのときの部門別調査、部門別収支の調査に合わせて行うことになるのではないかなと思います。できれば、既存データを何らかの指標があり、それに切れ込みを入れることで、基本分、特掲分の費用の分の集計が可能だったら、それはまた方法論としてあるのではないかなと思います。

○田中分科会長
 どうぞ。

○小山委員
 今回、今までやったコスト調査というのは、現行の診療報酬の中で何しろおさめるためにみんな苦労しておさめているわけですよね。それと実際に、では、どのぐらいコストがかかるんだというと、ちょっとたがが違ってきちゃうんで、そこら辺のところの議論が必要なのかなと思うんですよね。一番端的なのは、人件費が50%近くいっているわけですから、人件費をどう考えるかというようなことですよね。だから、実は私どもも私大協でやっているのは、人件費は国立病院並みの人件費をあてがったときにどうするかという形でコスト調整やるんです。そういう形でもって、各病院が苦労して人件費をある意味削減して調整しているところを、そのたがを外さないと本当のコストというのは出てこないんじゃないかと思うんです。そこら辺までやっていく予定なのか─これ手法になっちゃうので、細かいあれになっちゃうんですけれども、そういうことをやらないと、今幾ら調査をしたって、今の段階で、何しろ合うように各医療機関はやっているわけですから、経営ができるように。だから、本当はもっとコストが欲しいんだけれども、無理矢理縮めているというようなところがあるんですけれども、そこら辺のところは、どのような形で反映させていくというのか、あれがあるんでしょうか。

○田中分科会長
 室長。

○屋敷保険医療企画調査室長
 その点につきましては、診調組コ-3の2ページ目のところを御覧いただきたいと思います。
 (2)でコストの計上・配賦等の方法の?Bで、今委員側の御指摘なのは、ここの実際原価、または標準原価の取り扱いの点に関する部分かなと思います。原価計算を行う際には、どちらの考えに立つかといったことで、結果は恐らく大きく変わってくるということでございますが、それはある意味どういう調査をするのかという目的に係る部分であって、どちらを選択するかというところでございますので、例えば、こちらの分科会では、このような原価計算が2つあるので、実際はどちらを選択するのか、そういう投げかけの論点整理をするということで、例えば総会のほうにレポートをお返しする、そういう整理の仕方が分科会としてはあるのではないかと考えています。

○田中分科会長
 椎名委員、どうぞお願いします。

○椎名委員
 素案の議論に入る前に、診調組コ-1について、室長のお答えでは中医協にレポートをお返しするということが何回かお話の中にありましたけれども、差し当たってやらなくてはいけないことは、診調組コ-1にあるように中医協から投げかけられた意見聴取内容に関して、差し当たって、この分科会としてこれに対してお答えすると、そういう考えでいいんですか。だから、そうすると、整理としては、まずこれに対して早めにお答えすると。調査をやるかどうかはまた別と、そういう整理でいいんですね。ありがとうございました。

○田中分科会長
 調査をするかどうかの意思決定ではなくて、調査をするとすれば、こういうふうになり得るというところまでですね、最初の段階では。
 全体像の位置付けについて、今小山委員や椎名委員からのお話がありましたが、そもそも何を求められるかを明確にするための質問が最初で、次に極めて各論的な話になるんだと思います。ほかにありましたらどうぞ。
 猪口委員、どうぞ。

○猪口委員
 いろいろな病院協会から入院基本料をもう少しエビデンスのあるものにしてくれという要望を医療課に何度も上げた張本人として発言させていただきますが、結局、我々が病院を運営していて感じるのは、入院基本料というのは病院を運営していく基本的な財源であろうと。そうすると、この財源にどれだけあれば足りるのかというような論点で今まで話をされたことが多分なくて、診療報酬上も入院基本料と特掲診療料に分かれていて、特掲診療料は手術料その他で比較的分かりやすいんですが、入院基本料に関してはいろいろな変遷はあったにせよ、きちんとしたエビデンスに基づいた計算というのは多分されてきていないはずなんです。ですから、我々が言いたかったのは、どれぐらいの入院基本料があればきちんとした病院が運営できるかと、こういうものをきちんと考えてほしいという要望をさせていただきました。中医協の場でも西澤委員は恐らくそういうことを言われてここに至ったのかなと推察しております。
 だとすると、これは非常に難しい、相反するところを今やろうとしています。なぜかというと、先ほど小山先生が言われたように、現行のエビデンスのない入院基本料その他から成り立っている収入を無理矢理─今度はそれをコスト分析したのがこの間の分析表でどの科が少しプラスが出ているとか、どこがうんとマイナスかと、こういう分析ができたわけですね。ところが、逆にそれを入院基本料がどの部分なのかといっても、例えば人件費がすごい多い場合に特掲診療料のどこかの部分に人件費が判断料とかというんで、かなり入っちゃっていっているわけですね。正直言って、その切り分け作業というのはかなり難しいかなと思います。ですから、いろいろな方法論はあるにせよ、でも実際にその病院を運営するのは─例えば、幾つかの実例を挙げてもいいんですが、幾つかの病院では、こういう実際費用がかかっているということは多分データとして出るんだと思うんですね。だけど、先ほど言ったあるべき姿として、それは積み上げ方式でいくと、実はこれだけお金がかかるんだというようなモデルをつくるのも一つの方法かなと思います。ともかく、我々が望んでいるのは、どこからの切り口でもいいので、実際エビデンスのある診療報酬体系をつくっていくための─そんなにすぐにできるものではなくても、そのデータづくりから始めていかないと、いつまでたっても、ずっとそういう内容がはっきりしない診療報酬体系が続くだろうと。そこはもう少しはっきりさせてほしいんだというようなことがそもそもの発想で申し上げて、要望もさせていただいたということであります。

○田中分科会長
 これまでの経緯の説明ありがとうございました。
 西田委員、どうぞお願いします。

○西田委員
 今の経緯のお話を伺って少し分かった気もするのですが、そういうことからしますと、私は、これまでの努力としてやってきたことは、技術的にはかなりのことまでやったという思いはあります。その上で今のお話にございますエビデンスということを強調されるのでしたら、長らく無視されてきた地域性、そのエビデンスの反映部分が恐らく残されている課題だなと私の念頭にはあります。特に、昨今の医療改革の中で都道府県が保険者にという動きがありますので、都道府県が保険料を決めると。つまり、財源を集めてくるわけですね。その立場でいけば、都道府県ごとにその違いをどう説明するのかということは、追って出てくるだろうと見ているんですね。そのあたりも含めたエビデンスということの理解でよろしいのでしょうか。

○猪口委員
 地域性というのは、多分実際にかなりあると思います。それは単に今分かっている、データとして出ているのは、特に東京の場合に病院の経営が苦しい、どの調査でも状態が悪いんですね。その原因の一番は実は人件費ではなくて、税金関係なんです。市町村民税が高い、それからあと減価償却費が高い。実は、そういうことのほうが大きいんですね。人件費ももちろん高いんですけれども、例えば、医師の人件費なんていうのは過疎地のほうがうんと高くなっていくとか、そういうようなことが実態としてあっていて、みんなそれに何か合わせながらやってきているんだけれども、実態としてはどうなのかというのも、もちろん地域性とか、都道府県だけではなくて、多分、都市部、郡部でかなり事情が違うはずなので、そういうようなこともデータとしてはきっちり出していくべきではないかなと思います。

○田中分科会長
 どうぞ、椎名委員。

○椎名委員
 先ほどの猪口委員の趣旨はよく分かるんですけれども、さらにこの分科会として、もうちょっと具体的な技術的な方法論についての提案、その辺はどうですか。私も猪口委員もこの分科会がスタートした当初からのメンバーであるし、今までこの分科会でいろいろやってきました。DPCの普及に伴って、部門ごと収支については、方法論的に見えてきている部分がかなりあると。そのほかエクストラでこの分科会では、例えば入院時食事療養費とか、訪問看護ステーションとかIT化とか、あるいは医療安全など、そういったエクストラの調査もやってきたわけですよね。ですから、今回の件に関して猪口委員がおっしゃる趣旨は非常に分かるんですけれども、一歩進めて、この分科会として方法論について具体的な提案があったらお聞かせいただきたいと思うんですけれども。

○猪口委員
 むしろ、これは先ほど言いましたように、現行診療報酬体系の入院基本料がどういうふうに本当に実際にかかっているお金と絡んでいるかというのを出すのは相当細かい切り口で分けていかないと多分分けられないので、先ほど室長が言われたとおりで、これはなかなか大変だなと思っております。ただ、できるならばやってみたい気はしますが、何かそれって、やっても、やはりエビデンスには基づいていなかったなんて結論で終わっても何にもならぬので、できるならば、実態としてそれぞれの病院がどういうようなコストを抱えながら、先ほど言った地域格差とか、そういうのも多くの病院では難しくても、幾らかの抽出したもので、どのようなコスト構造になっているかということで、コスト構造が細かく出てきたときに、今度は、では入院基本料に相当するのはどれかというような大ざっぱなもので出すのもおもしろいかなとは思います。

○田中分科会長
 方法論までの議論は、それこそワーキングにお願いするしかないのかもしれませんが、ほかにいかがでしょうか。
 石井委員、お願いします。

○石井委員
 どちらかというと、そういう計算作業をするサイドの実務家の視点で資料のコ-1を拝見したときに、先ほど来からのお話の流れも加味して判断させていただくと、まず基本的に、1番のコスト調査の実行可能性に関して一つの結論を出さなきゃいけないという作業が先にあるのだろうと思えるわけですが、それをもう少し考えてみると、根拠に基づいた客観的に評価可能な合理的で納得性のある適切な結果を追加的な手数をさまざまかけることによって、得られるような計算が技術的に可能なのかどうかということをまず実務的な視点から検証しようと。それを実は整理、立てつけができないのであれば、もしかするとこれはなかなか難しいのかもしれないという結論になるかもしれないと。この間行われてきた、この部会で議論されてきた言ってみれば病院における損益収支構造の分析は、例えば入院と外来を分けるとか、診療科目別に分けるとか、場合によってはDPCの中で診断群分類別、患者別というような形で分けるとか、さまざまな一つのコストを収入との対応関係の中でマトリックス、相違、さまざまな角度で切りながら対比をするという作業をしてきたのですが、今回与えられた基本診療料、しかもその中でどうもお話をお聞きしていると、初診料や再診料ではなくて、入院基本料について今のような切り方をして現実的に技術計算が可能なのかどうかということをまずはきちんと詰めた形で議論しないと結論が出ないのかなと。技術的に可能か否かという議論をどうも実務家的に言うと、まずさせていただきたいなという感じがするんですね。なかなか非常に難しいというのが正直なコメントでもございますが、感覚ではなくて、現実的に何が難しいか。あるいは何ができるのかできないか。あるいは詳細にやれば、やった分だけ効果があるということを現実的に確認できるのかというようなことをきちんと検討するということになるのかなという感じがいたしました。

○田中分科会長
 椎名委員、どうぞお願いします。

○椎名委員
 今のお話に関連するんですけれども、そもそも入院基本料というのは一体何かと、まずその辺を教えていただきたいと思います。そもそも、これは診療報酬の改定の流れの中で室料とか看護料とか、あるいは入院時医学管理料、別々にあったものをある時期に一つにまとめたと思うんです。ですから、まず入院基本料を議論するときに、それは一体何かと。それをきちんと定義しないと、あやふやな議論になってしまううと思うので、その辺をまずお尋ねしたい。

○田中分科会長
 室長、どうぞお願いします。

○屋敷保険医療企画調査室長
 椎名委員が今おっしゃるとおりでございまして、現在の診療報酬の体系というのはさまざまな変遷を経て来ておるものでございます。いろいろな—昔でありますと看護料とかがくっついて、また離れたり、包括化が進んできたりとか、出来高のものが残っていたりとか、その時々の診療報酬の改定のテーマに応じて、今の形になっているということかと思います。そうしますと、今の入院基本料は何かということで実際に定義を行うということになると、一言でここからここまでの医療サービスですというところは、言葉の上で定義という意味ではすごく難しいのではないかと思います。ただ、過去の診療報酬の変遷など見ながら、行為別に見たときには恐らくここの部分の行為は入院基本料に相当する部分、といった意味のルール決めとか、そういう部分はできるかどうかという観点からも検討が必要なのではないかなと考えております。

○椎名委員
 何だか余りよく分からないんですけれども。今の入院基本料というのはいろいろなものがまじり合っているわけですけれども、性格が違うものがいっぱい入っているわけですよね、室料とか、あるいは医学管理料は一体何だとか。ですから、要は今の入院基本料というのは定義できないんじゃないかと、診療報酬改定でさらにいろいろいじっちゃっていますから。そうすると、何を議論するかという話になってしまうんですけれども。先ほど猪口委員が言ったあるべき入院基本料的なものを議論するのかなと、そんな感じがしてきたんですけれども、ほかの委員の方の御意見もいただきたいと思います。

○田中分科会長
 入院基本料とはそもそも何かを少し話してみたいとの御指摘ですが、何か意見はおありですか。
 西田委員、どうぞ。

○西田委員
 私も椎名委員の今おっしゃられた意味での入院基本料とは何かという定義は知りたいところです。先ほど申しました地域性というのも恐らくここで議論できるんじゃないかと思う次第です。

○田中分科会長
 近藤委員、お願いします。

○近藤委員
 過去のここでの議論のいきさつは分からないのですが、今のお話聞いて、入院基本料というのはお化けみたいなもので、何か中身が分からないと。それなのに、そのコストを分析するということは何かすごく変な感じなんですね。それでも、お化けに何が入っているかということを調べるのであれば現在の診療報酬の原型ができた昭和33年から現在までの経緯を調べたらどうでしょうか。室料や医学管理料も、その時々で議論となっている「入院基本料」に該当したり外れたりしていると思います。施設基準との出入りもあるかもしれません。ほかの特掲診療料なんかは、一応行為がはっきりしているわけですよね。ですから、コスト分析はできるんですが、分からないやつのコスト分析はできないんじゃないだろうかということで、今椎名委員とか西田委員のお話なのかなと。となると、すみません、基本診療料は何ですかという質問を事務局からお答えいただいて、じゃあ、それはどうやって分析できるかと。
 あと違う、お化けですから、要は病院の医療機関の経営が分かるように単なる点数をつけて入れたというような気もしないでもないんですけれども。

○田中分科会長
 大変本質的なところです。お化けと呼ぶか、残渣と呼ぶか、何と呼ぶかは別として。
 いかがでしょうか。ここをある程度まとめておかないとワーキングも困るはずですよね。
 西岡委員、どうぞお願いします。

○西岡委員
 私も形としては、あるべき入院基本料というものをもう一度つくり直す必要があると思います。今ある入院基本料そのものは、その中にも検査料の一部だとか、処置料の一部だとか、そういうのも全部包括されて入っています。ですから、そういうのを全部一たんばらばらにする必要も出てくるんじゃないかと思います。今、御意見を伺っていて、やはりあるべき入院基本料はどうなのかというので最低線打ち直す必要があるのじゃないかなと思うんです。その中に、西田委員がおっしゃった地域性の問題だとか、そういうのも全部入ってくるのだろうというふうに私は思います。今の入院基本料のまま議論を続けるのは難しいのかなというふうに思いました。

○田中分科会長
 佐?蛻マ員、お願いします。

○佐?蛻マ員
 全く、コストの分析を一度してみたいという気持ちもあるんですけれども、中医協からの依頼自体は、このお化けみたいな基本料について明確にしろという話になっているわけですよね。こういった入院基本料の定義をきちんとここで、あるいは定義というよりも仕組みを整理してというだけの時間があるのかどうかなんですけれども、その辺を改めて見通し、それと現実に方法論の話もあって、やれないことをやり始めてもいかぬということであるので、これからの段取りはきちんとつけておかないと危ないかなという気がしますけれども。すべて意義あると思うんですけれども。

○田中分科会長
 須田委員、どうぞお願いします。

○須田委員
 ちょっと確認させていただきたいんです。二号側の委員が連名で提出された文書には基本診療料及び技術料に係るコスト分析についてのお考えが書かれているんですが、診調組コ-3のコスト分析素案の前提条件には、前提として急性期の入院基本料に限るということになっているんですが、ここに絞り込む理由というのは、ほかは難しそうなのでここをやろうということなんでしょうか。初診料、再診料とか、そういうところにはお答えしなくてもよろしいのでしょうか。

○田中分科会長
 これは事務局お答えください。

○屋敷保険医療企画調査室長
 御指摘のとおり、基本診療料といいますと各種ありますが、その中でどこから始めてみるのか、難しい中でも現実的なのかということを考えて、急性期の入院基本料に限るという前提条件を仮に置いてみているところでございます。

○須田委員
 その中でも比較的とりつきやすそうということで、まずここに絞られたという経緯でしょうか。

○田中分科会長
 課長、お願いします。

○鈴木医療課長
 医療課長でございます。
 先ほどの佐?蛻マ員からの御質問です。
 これからのスケジュール等々の関係ですけれども、今回、中医協総会から御要望があった事項について、ある程度、今までこの分科会で分析してこられたことの幾つかを足して、比較的合理的な範囲で一定のものが出てくるということであれば、それは次回の改定に一定程度活用するということも可能だと思います。ただし、今特に二号側を中心に御要望なさっていることがかなり根本的な事態であって、西岡先生もおっしゃったような、そもそも入院基本料というものの仕組み自体を根本的にばらすことを含めて見直す。その上で払い方を相当的にいじるということであれば、それは調査も期間と、それから費用も相当かかると思いますし、実際上、24年の改定に向けてそれをきちんと結論を出すというのはなかなか難しいということで、恐らくは実際に到達点までどのぐらいの労力がかかりそうかによっても生かし方が変わってくるということになろうかと思います。

○田中分科会長
 差し当たりは、そういう論点があって、この場合ならこう、別な場合ならば別なルートがありますという整理をすることまででしょうね。例えば、年度内などの短いスケジュール感ではね。
 渡辺委員、どうぞお願いします。

○渡辺委員
 このコ-3の資料で、検討ポイントと課題という項目があります。これは、特掲診療行為に対する調査をする内容ですが、要はこれを行って全体から引けば基本診療料が出るという理解でよろしいのでしょうか。

○屋敷保険医療企画調査室長
 ただいまの御指摘の点は、まさに難しい点でございまして、悩みながら書いておりますと、こういう形になっているということなんです。例えば、?Aのところでは、医師については診療行為ごとの技術的難易度や要する時間を把握するということで、オールで全部を把握をしていくという発想で書いている一方で、その次の矢印では入院・外来部門で行われた看護職員の作業時間を特掲診療料に相当する時間を把握する。いわば、引き算的な発想に立って書いておるというところでありまして、診療部局的にもろもろにどのようなやり方があるのかなと悩みながらつくっておるところでございますので、その方法論の一つとして、今御指摘のように、特掲診療料の部分を引くと費用という表現から見ると残りは基本診療料だと。ただ、ある意味割り切りが必要なのかなと思いますが、それも方法論の一つとして可能であれば報告の段階では指摘をすると、そういう扱いもあるのではないかなと考えます。

○田中分科会長
 どうぞ、お願いします。

○渡辺委員
 ということは、そういったことをワーキングで検討するという理解でよろしいんですね。

○田中分科会長
 先ほど近藤委員の言われたお化けを少し実務的に言うと、この場合、残渣として残ったものを基本診療料と呼ぶ考え方が一つあり得るとの示し方をされていますね。
 勝原委員、どうぞお願いします。

○勝原委員
 もともとのところに戻ると思うんですけれども、このコスト調査の実行可能性を検討してほしいという中医協からの依頼に対して、実行は不可能ですという答えはないわけですよね。それもありということで意見交換をしてもよろしいということですか。

○田中分科会長
 先ほど石井委員が言ってくださったように、調査をすべきかすべきでないかといった観点は捨てて、きわめて実務的に調べてみたら不可能だということもあり得るんじゃないですか。

○勝原委員
 今までの議論のことをよく分かりませんが、その不可能だというのがよく分からないんです、やるべきことだったらやるしかないので。つまり、実態を反映していないという診療報酬のコストに関するさまざまな御指摘が旧来からあることを考えたときに、今回の依頼が来たのだと思えば、どのようにすればいいのかと考えるしかないのかなと。いや、できませんという答えもありなのであれば、また議論が違ってくるんだろうなと思ったものですから。中医協は実行可能性だけを聞いてきているのですか。いや、ちょっとごめんなさい。私はその辺がよく分からないんですけれども、いろいろな議論がありまして。

○西岡委員
 実行できませんという答えは要求されていないと思うんですね。やらなきゃいけないというふうにとらないと、これは前に進まない。先生おっしゃるとおりだと思います。しかも、かなり高度なことを中医協では要求されているというふうに私は思ったんですけれども。それだとすれば、分科会長おっしゃっているみたいに、いつ答えが出るか分からないというかなり長期の調査が必要になるんじゃないかとは思います。だから、いずれはそこまでいかなきゃいけないとしたら、二段階ぐらいに分けて調査をやらざるを得ないのかもしれません。

○田中分科会長
 石井委員、お願いします。

○石井委員
 私も医療とのかかわりを持ってはきておるのですが、先ほどから長い間議論をしていただいているように、例えば入院基本料というものは何なんですかという定義をできるのかなという御議論がありまして、もしかすると、それは大変難しいかもしれないという議論をして、そこからすみません。近藤先生がお化けという言葉をお使いになり、ここで求められているコストの調査は、ある収益、売り上げ、診療報酬という売り上げに対応するコストを算定しろという話をされているので、対応すべき相手が定義をされない状態でコストを算定しろという議論をされたときに、当然技術的に非常に困難だという結論は出る可能性がありますので、やらなきゃいけないんだから、やれという議論は、困難な可能性はあるということは、すみません、実務家としては申し上げざるを得ないんです。やらなきゃいけないんだという議論を始めるのであれば、先ほど猪口委員がおっしゃったように、もっと別の角度から、今ある状態をきちんと評価をして、コストの積み上げをして、今の状況から言って、本来あるべき形はこうですねというのはつくれるかもしれないんですが、今ある入院基本料がもともと非常に歴史的なさまざまな事情の中から生み出されてきたものだとすると、何が対応するコストか。会計的にいうと、収益、費用の対応を行うのが実は原価計算だったり収支計算だったりするので、相手が明確になっていないところで、それを行うこと自体が技術的に非常に厳しいので、先ほど渡辺委員はということで差し引き計算をしていいんですねと、こう言ったんですね。つまり、ほかの分かっているものについてのコストを明確化することによって、残ったもののコストがすべて入院基本料に対応するんですか、こういう計算方式でよろしいですかと渡辺委員が発言をされたんです。それでいいぞということであれば、技術的に不可能ではないと。ただ、それは今度は精度、納得性、客観性、そういう観点からいって、どこまでもち得るのか、耐え得るのかどうか。それをそのまま診療報酬というと非常に重要な改定作業の中にぽんと適用していいのかどうかという話になってくると、なかなか実務家的に言うと、「うんっ」といううなり声を上げざるを得ないんですね。

○田中分科会長
 小山委員、どうぞ。

○小山委員
 これは、先ほど猪口委員がおっしゃったように、実は日本病院団体協議会に上って、第一要望の中にこの基本診療の中身をはっきりしようというような形があったんですね。今病院の運営というのは非常に厳しい中に置かれているのは、やはりここがちゃんと反映されていないからだという結論から何年かかかるかもしれないけれども、やろうというような思いで実は提案をしていたんですね。ある意味、これは非常にいいチャンスですので、そんな短兵急に半年とか1年で結論を出すのではなくて、先ほどお化けという言い方をしましたけれども、いつまで待ってもお化けを持っているわけにいきませんので、これはちゃんと明文化した形でこういう理由でこれだけのお金がかかるというものをこの分科会でもし出すチャンスがあるんだったら、ぜひ出すべきだと思うんですよね。そのような形でもって努力していく必要があるのか。確かに、困難はいっぱいあると思うんです。それは一つ一つ数字を積み重ねていきますといろいろなことが起きてきますので、でも、それは何しろこれからの医療を考えたときに必要なんだという観点に立てるのだとしたらば、やはり私は多少時間がかかったとしてもやるべきだと考えます。

○田中分科会長
 時間軸によって答えが違ってくるとの理解が勝原委員に対する答えだと思います。ある時間の中でしろと言われたら、それは無理ですとの答えもあるけれども、今小山先生が言ってくださったように、別に特に時間の差し迫った話ではなく、きちんとしたいと言われれば、ずっと実務をしていただく方々の見方も違ってくるので、答えは1つではないかもしれませんね。
 課長、どうぞお願いします。

○鈴木医療課長
 今、小山先生がおっしゃったことと関係するんですけれども、残念ながら、現在の中医協は基本的に医療費の改定幅を議論するところではなくて、一定の医療費の中の配分の議論をしているんですね。小山先生がおっしゃっておられるのが、もし全体の中での入院基本料に当たるようなところ、基本的には入院時医学管理料なり、看護料なり、室料に当たるようなところが全体との比率でもうちょっと大きくなければいけないという議論であれば、まさに中医協のマンデートの中だと思いますけれども。例えば、今病院経営なり、医療機関経営が苦しいと。したがって、全体として費用をもうちょっとふやすべきだという議論の方向にいくのであれば、それは出口は中医協の中におさまらないので、議論していただくことはあり得るとは思いますけれども、基本的には配分の中でどういう合理性、よりエビデンスに基づいた、もしくは合目的性できちんと1対1で対応するようなものになるのかというところを議論の中心にしていただくのがまず大事かなというふうに思います。ですから、ある意味で言うと、あるべきコスト論というのをやり出すと、それはもうマンデートを完全に超えてしまうということではないかと思います。

○田中分科会長
 お願いします。

○猪口委員
 確かに、この分科会は中医協の下に属するので中医協の議論を超えた議論はということは分かるんですが、でも本来、病院、特に例えば急性期とかでいっても急性期の病院やるには、これだけの人間が必要で、これだけのものが必要で、これだけの設備が必要で、それをやっていくには、本来はこれぐらいのコストがかかるんだよというようなことは、実態としても、それからあるべき姿としても出す必要はあると思うんです。聞くところによると、各国のDRGを含め、診療報酬を決めるときも、そういう計算をされていて、最後は医療費抑制とかいろいろなことで数字が決まっていくと。ただ、出てくる数字はこうだというところは出しているというお話も聞いていますので、それが出ていないと、本来そこはあとは何とか経営努力して実態の数字に合わせていくというような話になっていくのかもしれませんが、でも、やはりこれだけは必要だというところを出す必要があるのではないかなと私は思いますが。

○田中分科会長
 皆さんが言ってくださったことがそれぞれ論点になりまして、これをもとにまたワーキングで実務的に可能かどうか、ある時間枠の中でできるかどうか、データの制約の中で進めるかどうかを議論していただきます。そのための論点を今皆さん言っていただいているので、ほかの観点でも結構ですよ。今ここで、今日は答えを出す必要はない立場にあります。
 基本診療料とはそもそも何かとか、理想の原価とは何かに関する議論でもいいですし、コ-3に書かれているような比較的、実務的な観点でも結構です。
 お願いします。

○西田委員
 全く違う観点からのお話ですから議論にならないかもしれませんが、少し長い先を見たときに、国民の支払い能力、負担能力ということもどこか片隅に置かないと、この中医協の果たしている役割の中の国民皆保険制度を維持すると。その役割にまで問題視されるんじゃないかという思いがありまして、全く違うところの話を1つさせていただきます。

○田中分科会長
 ありがとうございました。
 佐?蛻マ員。

○佐?蛻マ員
 診療報酬のつけ方も、いわゆる事務的な簡素化だとか、あるいは国民に分かるようにということで、いわゆる包括化だとか、そういう方向で明瞭にしていく必要も基本的にはあるのだと思うんです。だから、そういう効果と、もちろん積み上げは幾らなのかというのも、これも極めて大切なんですけれども、そういう点も念頭に置きながらの作業というのが必要になるのかなという気がいたしますけれども。

○田中分科会長
 ありがとうございました。
 小山委員、お願いします。

○小山委員
 前回のお話の報告をさせていただきたいと思いますけれども、今日は最初に松田先生の力をかりて私大協でコスト調査をやったわけです。このコスト調査のやり方は、大学病院の医師の給与が非常に低いというところに端を発していて、じゃあ、もしも普通の給与だったらどうなったのかということをもって、国立病院並みの給与を全部当てはめて原価計算を出しました。そうしたら、平均で1.23の─1.3倍ぐらい近い費用がかかるんです。もしも、今の大学病院がすべて国立病院と同じ給与を出した場合は。一番ひどいのは、小児科と皮膚科と精神科は1.5倍ぐらいの費用がかかっているんですね。意外と採算が合っているのが消化器でしたっけ。それはDPCの17分類の中でもって、DPCごとでどうだったかとやってみたんです。そのくらいのことだったらばできるのかなという思いはするんです。とりあえず、今回求められている回答を求めるのだとしたらば、逆に、コストをある程度先ほどお話ししたみたいに、人件費のコストを一定にした場合に、大体どのくらいかかるかというやり方が一つの一番─もし急ぐんだったら、そういうやり方もあるのかなという感じはするんです。細かいことは松田先生に話聞いてみないと分からないんですが、─けっこう細かく調査したんですよね。

○田中分科会長
 松田委員、お願いします。

○松田委員
 DPCのほうの調査の概要ですけれども、大学病院の場合は、特に医師が大学で働いていたりとか、病院で働いていたりとか、研究とかいろいろな活動があります。教員の場合、大学から給与が出てしまっているので、病院で働いている医師としての給与が出ないということになっています。原価を計算するうえで、それではおかしいだろうということで、人件費に関しては、働いている時間を国家公務員の給与表に当てはめてやるという形で推計するという、標準原価に近い形でやってきました。ただ、標準原価とは余り言えない部分もあります。それは何かといいますと、特にコストのばらつきの問題になったのが、一つは高額医療機器でありまして、病院によってはそれは買っているところもありますし、リースのところもあります。それからもう一つは土地建物のところの減価償却費でかなり差がありました。人件費に関しましては、最初のときには、タイムスタディの結果なども使っていましたが、これは非常に調査の負担が多いということで、自記式でどのくらい働いたかという簡便法にしました。結果としてはタイムスタディのものと比べて、それほど悪くなかったということで、一応人件費の把握をそういう形でやるという形でやりました。
 人件費に関しては、国家公務員表を使いましたけれども、そもそもそれをどのくらいにするのかということに関しては、もう少し議論が必要だろうと思います。フランスの場合は、ほとんどが公立病院ですので、医師の給与表が細かく定議されています。日本の場合、こういうものがありませんので、医師の人件費、医療者の人件費をどういうふうに考えていくかということは、少し詰めて考える必要があるだろうと思います。
 それから、もう一つあと問題になったのは材料費と薬剤費です。材料と薬品を私たちは薬価を使ってやったわけですけれども、それをどう考えるのか、購入価でやるべきだという話もあります。そういう意味で実際にやろうと思うと、けっこう細かく詰めなければいけない、方法論として詰めなきゃいけないところがあります。その上でこの案を見せていただくと、実際原価と標準原価の取り扱いとあるんですけれども、部分的にある部分が実際原価である部分が標準原価となっています。これですと何をやっているか分からなくなると思いますので、そこのところは少しきちんと詰める必要があるのではないかと思います。
 ただ、やり方さえ決めていただければ、コストをそれなりに推計するということはできるだろうと思っています。ただ、この中である入院基本料とは何かということに対して、そのコスト調査をやったからといって多分そのまま答えられるものではないだろうと思っていますので、そこはまた別の切り口が必要なのかなと思って、今少し聞いておりました。

○田中分科会長
 経験に基づく整理をありがとうございました。
 尾形委員、お願いします。

○尾形委員
 少し別の視点ですけれども、資料コ-3の2ページ目のところに、調査結果の安定性ということで代表性というふうに書かれていますけれども、やはりこの代表性という意味では問題があるんじゃないかなと思います。この部門別収支に関する調査だけでやっていくとすると、ここに書いてあるように急性期、DPC対象病院を中心とするということですが、先ほど来出ているように地域性だとか、あるいは病院の種別とか機能とか、規模等相当のばらつきがあると思うので、特に長期的にもし検討するということであれば、ここに限らず、もう少し幾つか類型をほかのものを見て総合的に判断する必要があるのかなと思います。

○田中分科会長
 どうぞ、お願いします。

○松田委員
 実際に原価の分析というのを5年ぐらいやらせていただいたんですけれども、多分いろいろな施設を対象に調査をしてやるというやり方よりも、今尾形委員が言われたように、幾つか類型を決めて、モデル病院みたいなものをつくって、まずそこのモデル病院について原価を積み上げるという過程を踏んだほうがいいように思います。実際に、地方の病院とか、都市部の病院で同じように集めても全然違う計算計算になってしまいますので、そういう意味で何かモデル病院をまず設定して、それに対して原価計算をやるというアプローチでやっていくということが、この中医協からいただいた宿題に答える方法としては多分一番ストレートじゃないかなというふうに思います。

○田中分科会長
 部門別収支の計算のときもそうでしたけれども、日本国の医療が津々浦々までさまざまな地域別や規模別でどうなっているかを調査することが目的ではないですよね。そういう調査をできる方法論をつくれるかどうかの検討です。方法論をつくる際の調査対象は差し当たりDPC対象の大きな病院だけでもよい。方法がつくれたら、あとはそれを使って実際に実態調査をするかどうか別な政策決定があり得る。今多分、私たちに問われているのは、実態調査をすることよりは、そういうわけの分からない入院基本料というものを仮に残渣方式で決めるなり、積み上げ方式で決めたら、調査を行える方法論につながるかどうかです。回答は、これこれのデータをとり、あるいはコ-3に書かれているさまざまなデータを調整していくと1つ方法論ができるかもしれないものの、元になったデータの源はごく限られた病院でした、になるのかもしれませんね。
 ほかはいかがでしょうか。
 どうぞ、お願いします。

○松田委員
 フランスで原価計算やるときには、原価計算を対象となるべき施設の基準というのがあります。それは何かというと、財務諸表がきちんとつくれているということが基準としてあります。私たちの調査では財務諸表の調査もやらせていただいたんですが、実際に集めたデータの中で、使えるものというのは15%ぐらいしかなかったんですね。財務諸表の内容が合わないんです。損益計算書とバランスシートが合わない。これはいろいろ技術的な難しさもあるとは思っているのですけれども、そういう意味ではやはり今委員長が言われたような調査をされる場合に、対象を選ぶ場合に、そういう調査の対象となるべき機関の基準みたいなものはきちんと決めたほうがいいように思います。

○田中分科会長
 収益費用調査で終わらせるしかないところと、コスト調査までできるかどうかは、確かにそもそも人員がどのくらいスタッフにおられるかとか、統計がとれているかによって違ってきます。恐らくできるところは限られるのだとは思いますが。
 一通りよろしゅうございますか。
 ほかに。
 石井委員、どうぞお願いします。

○石井委員
 今の財務データ等の精度の高さの議論をしていくと、どうしてもDPC対象であったり、流れとしては、多分ある程度の規模のあるところということになってしまう可能性があって、そうなったときに、例えば200床未満の中小病院は、今の議論の中から抜け落ちるというようなことがあるのかないのかということと、それでいいのかどうかというようなことが少し気になったりしまして、二号側委員のメモを見ているときに、そのあたりの意識がいかがなものであったのかなというようなことを少し感じたわけでありますけれども、このあたりはどうなんでしょうか。

○田中分科会長
 代理で猪口委員から。

○猪口委員
 確かに、病院規模によって、コスト構造は相当違うんだろうと思います。それから、今日、もう急性期という話になっていますけれども、急性期、もしくは、亜急性期やっている、回復期をやっている、そこからあと慢性期、これで人件費率も全く違うし、回復期とかは当然慢性期のほうが人件費率もっと高いですよね、今7割とか言っていますから。だから、そういうようなことで、コスト構造が全然違うので、どこまでやるかという話になれば、できればそういう種別、精神とか、それから規模、そういうのもある程度階層的にちゃんととれていて、あと地域性もとれていて、そこから実際のデータを吸い上げたほうが全体の病院像というのは見えてくるのかなと。
 たしかコスト分析のこの方法も最初はそういう中小も入れたりしてやっていたのですが、そういうところからまともなデータがなかなか出てこなくて、そうしているときに、今度はDPCが始まったら、いや、DPC病院と準備病院だったら、すぐデータ出てくるからそっちのほうが早いというので、そっちにぽんと切りかわっちゃったんですね、途中で。だから、本当は最初のスタートは、たしかあのときは四病協で協力するとかという話でやっていましたから、そのときはたしか中小から精神まで入れてやるというところでスタートしたと思います。だから、途中で変わってしまったということなんで、私はやるとすれば、当然費用構造の違う病院群を比較しないと、1種類の急性期を中心とした大型病院だけで語れるものではないのではないかと思います。

○田中分科会長
 実態把握としてはそうですね。方法論の確立の段階と実態とでどういう順番になるかも決めておかなくてはならないでしょうね。よく分からない、データをとっていないところまで一緒にすると、方法論自体ができない可能性もあります。方法論がひとたび確立すれば、さまざまなタイプの病院を見る。これは政策上、当然の結論になりますけれども。
 よろしいですか。

○猪口委員
 ただ、今までのここの調査で使っていた把握をする前の必要なあれですよね。経費の一覧表を見ると、まあ普通にちゃんと運営している病院は出るんじゃないでしょうか。それから、オンラインレセにやっていれば、今度は売り上げのほうはそちらのデータで出るわけですから、このレベルならできるのかなという気はしますけれども。つくっていますよね。

○石井委員
 申しわけありません。かなり大きな病院も含めてすみません、実務的にはそうでもないよなというふうに感じることが実は多々ございますので、特に人件費のコストのボリュームの多さの議論をしたときに、退職給付どうするのというのはさんざんやった議論でありますし、この表でいけば、控除対象外消費税等負担額という科目を設定してございますが、このあたりもどうなんだろうかというのがあって。すみません、準則の改正をやった人間としては、このあたりに深い思いがあるものですから、ほとんど使われていないということも強く感じたりしておりますので、やはりなかなか難しい。現実的に松田先生がやられていたときには、それはなかなか悩ましいので、具体的解決を図って、材料費と委託費の比だけでやってみるなんていうことを努力されたのだと思うんですが、実は経費の中にもかなり入っているという現実があったりして、制度においては、なかなか悩ましいところがあるんじゃないかと私も思っております。

○田中分科会長
 事務局からほかに議論しておいていただきたい事柄はおありですか。特によろしいですか。

○屋敷保険医療企画調査室長
 特にないです。

○田中分科会長
 特によろしいですか。
 本日、皆さんからさまざまな視点を御指摘いただきました。これをもとに、基本診療料に係るコスト構造の把握について、先ほど来出ているワーキンググループを設置して、もう少し実務的にもフィージビリティーを含めて御検討いただくことにしたいと存じます。そういうワーキンググループを設置し、そこで議論を行う形をしばし来月─今月中に開くのかどうか知りませんが、短期間で行っていただくまず第一歩を提案したいのですが、よろしゅうございますでしょうか。
 では、ワーキンググループについて事務局から説明をお願いします。

〔資料配付〕

○屋敷保険医療企画調査室長
 それでは、ただいまワーキンググループのメンバー(案)のほうを配付させていただいております。こちらの分科会委員の方を中心に、また分科会のメンバーではございませんが、病院の医療の原価計算についてお詳しい方など入っていただく形で石井委員に座長をお願いする形でワーキンググループで本日の論点の整理等をお願いできればと考えております。

○田中分科会長
 ありがとうございます。このメンバーについては、分科会長である私と事務局が調整を行い、私のほうで確認を行いました。そして、石井先生にもここでいきなりというお願いも何ですから、事前にもちろん承諾いただきまして、本日本分科会委員の皆様に御提示させていただいています。人選についていかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田中分科会長
 ありがとうございます。では、この人選でまことにお手数ですが、検討をお願いします。私も日程が合えば出席いたしますが、あくまで私はオブザーバーとして加わることにいたします。しばし、今日の論点をもとに、また事務局が最初に提示した整理をもとに、中医協総会に最初に議論が出ましたように、何かをするしないではなくて、するためにはこういうことが必要だけれども、どうしますかという論点整理を行っていただきます。その上で、もう一度我々が集まるのでしょうか。

○屋敷保険医療企画調査室長
 本日の御審議をもとにワーキンググループで総会にお答えをするときの意見書の作成の原案をできればと思っています。それで、このような形でもう一回分科会を開催して、ワーキンググループの成果の御審議、御確認をいただきたいと考えております。

○田中分科会長
 そこで簡単な意見書をつくって、それをもとに私が総会に報告すると、こういう手順になるわけですね。今後はそのような取り扱いにさせていただきます。
 よろしければ、本日予定しておりました議題については、以上であります。
 よろしいですね。
 では、次回の開催については、今事務局が説明したとおり、まだ日程は決まっていないわけですね。
 それでは、御協力ありがとうございました。第17回診療報酬調査専門組織・医療機関のコスト調査分科会を終了いたします。
 本日は、お忙しい中お集まりいただき、貴重な御意見を賜りまして、どうもありがとうございました。

午後4時31分 閉会


(了)
<【照会先】>
厚生労働省保険局医療課保険医療企画調査室: 03-5253-1111(内線3287)

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