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2010年8月26日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会議事録

医薬食品局

○日時

平成22年8月26日(木)16:00~


○場所

厚生労働省 共用第8会議室


○出席者

出席委員(14名):五十音順 敬省略

 加 藤 総 夫、 佐 藤 田鶴子、 清 水 秀 行、 鈴 木 邦 彦、

 千 葉   勉、○永 井 良 三、 成 冨 博 章、 野 田 光 彦、

 林   邦 彦、 檜 山 行 雄、 古 川   漸、◎松 井   陽、

 松 木 則 夫、 本 橋 伸 高

(注)◎部会長 ○部会長代理

他参考人2名

欠席委員(5名):五十音順 敬省略

 大 石 了 三、 手 島 玲 子、  西 澤   理、 村 田 美 穂、

 山 本 一 彦

行政機関出席者

 平 山 佳 伸  (大臣官房審議官)

 成 田 昌 稔 (審査管理課長)

 内 海 英 雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

 森   和 彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

 赤 川 治 郎 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 ただ今から、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催いたします。
本日はお忙しい中、御参集いただきましてありがとうございます。
 本日の委員の出席についてですが、大石委員、手島委員、西澤委員、村田委員、山本委
員より御欠席との連絡をいただいています。また、鈴木委員につきましては、遅れる旨の
御連絡をいただいています。
 現在のところ当部会の委員数19名のうち、13名の委員に御出席いただいていますので、
定足数に達していますことを御報告いたします。
 本日その他の事項に関しまして、独立行政法人国立循環器病研究センターの山本先生、
横浜市立みなと赤十字病院の鈴木先生を参考人としてお呼びしています。
 また、前回、御紹介させていただきましたが、事務局の異動がございました。新しく審
議官に平山が着任し、本日出席していますので、ごあいさつさせていただきます。
○審議官 平山でございます。前職はPMDAの上席審議役でしたので、この会議につい
てはよく承知しております。立場は変わりましたけれども同じように頑張りたいと思いま
すので、よろしくお願いします。
○審査管理課長 それでは部会長、よろしくお願いします。
○松井部会長 本日の審議に入ります。まず事務局から配付資料の確認と議事事項に関す
る競合品目・競合企業リストについて御報告してください。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委
員の名簿を配付しています。議事次第に記載されている資料1~17をあらかじめお送り
しています。このほか資料18、資料19、資料20を配付しています。また当日配付資料と
して資料17-2「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議における検討状況に
ついて」、資料21「医薬品第一部会及び医薬品第二部会の所掌の見直しについて」を配
付しています。
 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト(資料20)について御
報告します。各品目の競合品目選定理由についてですが、資料20を御覧ください。
 1ページ、ヴェノグロブリンですが、本品目は「多発性筋炎・皮膚筋炎における筋力低
下の改善」を効能・効果としており、この適応を有する静注用人免疫グロブリン製剤はな
く、また本品目はステロイド剤による治療を行ったにもかかわらず抵抗性を示す患者を投
与対象としていることから、ステロイド剤は競合品目に該当いたしません。以上のことか
ら、本品目につきましては競合品目はないと判断しています。
 次のページを御覧ください。インヴェガです。本品目は「統合失調症」を効能・効果と
しており、この効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる3品目を競合品目として選定
しています。
 次のページを御覧ください。ワンデュロパッチです。本品目は「非オピオイド鎮痛剤及
び弱オピオイド鎮痛剤で、治療困難な各種癌における鎮痛」を効能・効果としており、こ
の効能・効果を有する貼付型製剤を競合品目1に選定しています。また本申請品目と同様
に、強オピオイドを有効成分とした徐放性製剤として競合品目2及び3を選定していま
す。
 次のページを御覧ください。マキュエイドです。本品目は「硝子体手術時の硝子体可視
化」を効能・効果としており、この効能・効果を有する薬剤は製造販売承認されている品
目、それから開発中の品目には認められないことから、競合品目はなしと判断しています。
 次のページを御覧ください。リオベルです。本品目は「2型糖尿病」を効能・効果とす
るDPP-4阻害剤及びチアゾリジン系薬剤の配合剤であり、現在、同様の配合剤は承認され
ていないものの、DPP-4阻害剤として、現在、承認販売されている品目及び開発中の品目
として、資料に掲げる3品目を競合品目として選定しています。
 次のページを御覧ください。バイエッタです。本品目も2型糖尿病を効能・効果とする
GLP-1受容体アゴニストであり、同様の作用機序で現在、製造販売承認されている品目と
して、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 次のページを御覧ください。レボレードです。本品目は「慢性特発性血小板減少性紫斑
病」を効能・効果としており、同様の作用機序により血小板数を増加させる開発中の品目
を、競合品目として選定しています。
 次のページを御覧ください。ヒュミラです。本品目は「強直性脊椎炎」を効能・効果と
しており、この作用機序を有する薬剤として、資料に掲げるレミケードを競合品目として
選定しています。
 次のページを御覧ください。ミンクリアです。本品目は「上部消化管内視鏡検査におけ
る胃蠕動運動の抑制」を効能・効果としており、胃蠕動運動抑制を目的として投与される
薬剤で、資料に掲げる3品目を競合品目として選定しています。
 次のページを御覧ください。ラディオガルダーゼです。本品目は「放射性セシウムによ
る体内汚染の軽減」を効能・効果としており、この効能・効果を有する薬剤は製造販売承
認されている品目及び開発中の品目には認められないことから、競合品目はないものと判
断しています。
 次のページを御覧ください。リリカです。本品目は「末梢性神経障害性疼痛」を効能・
効果としており、同一の効能・効果を持つ競合品目は存在しません。しかしながら本効能
・効果に含まれるもののうち、「糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛」、「三叉神経痛」に
対する適応を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
 次のページを御覧ください。5-アミノレブリン酸塩酸塩です。本品目は「悪性神経膠
腫の腫瘍摘出術中における腫瘍組織の視覚化」を予定効能・効果としており、この効能・
効果を有する薬剤は、製造販売承認されている品目及び開発中の品目には認められないこ
とから、競合品目はなしと判断しています。
 次のページを御覧ください。ナシビンです。本品目は「急性鼻炎、アレルギー性鼻炎又
は副鼻腔炎による鼻づまり」を効能・効果とする一般用点鼻薬であり、本品目の薬効群、
有効成分、効能・効果を踏まえ、資料に掲げる3品目を競合品目として選定しています。
以上です。
○松井部会長 続けてください。
○事務局 続きまして各委員からの申出状況について、御報告いたします。
 議題1は、退出委員、議決に参加しない委員はともにいらっしゃいません。
 議題2は、退出委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は千葉委員、永井委
員、成冨委員、本橋委員です。
 議題3は、退出委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は千葉委員、永井委
員です。
 議題4は、退出委員、議決に参加しない委員はともにいらっしゃいません。
 議題5は、退出委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は加藤委員、千葉委
員、永井委員、林委員、古川委員です。
 議題6は、退出委員、議決に参加しない委員はともにいらっしゃいません。
 議題7は、退出委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は永井委員、古川委
員、松木委員、本橋委員です。
 議題8は、退出委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は千葉委員、永井委
員、成冨委員、林委員です。
 議題9は、退出委員は千葉委員、議決に参加しない委員はいらっしゃいません。
 議題10は、退出委員、議決に参加しない委員はともにいらっしゃいません。
 議題11は、退出は永井委員、議決に参加しない委員は加藤委員、林委員、本橋委員で
す。
 議題12は、退出委員、議決に参加しない委員はともにいらっしゃいません。
 議題13は、退出委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は野田委員、林委
員です。以上です。
○松井部会長 今の本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、議決に参加し
ない委員についての報告ですが、特段の御意見、御質問はありませんでしょうか。よろし
いですか。それでは本日は審議事項が13議題、報告事項が3議題、その他の事項が1議
題と大変盛りだくさんとなっていますので、審議に御協力をお願いします。
 議題1に移ります。議題1について、医薬品機構から概要を御説明ください。
○機構 議題1、資料1、医薬品献血ヴェノグロブリンIH5%静注2.5g/50mLの製造承
認事項一部変更の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
 審査報告書5ページの「1.起源又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する
資料」の項を御覧ください。多発性筋炎及び皮膚筋炎は、主として四肢近位筋群、頸筋及
び咽頭筋等の対称性筋力低下を来す横紋筋のびまん性炎症性筋疾患であり、自己免疫疾患
の一つとして位置付けられている希少疾病です。主な症状として、発熱、全身倦怠感、易
疲労感、体重減少、筋肉痛及び筋力低下が認められ、皮膚筋炎の場合には、ヘリオトロー
プ疹やゴットロン徴候等の特徴的な皮膚症状も併せて認められます。治療法は主にステロ
イド剤の経口投与ですが、多発性筋炎及び皮膚筋炎患者の約20~25%において、ステロ
イド剤で効果不十分な患者が認められています。
 本剤は、人免疫グロブリンGをポリエチレングリコール処理した製剤であり、1991年
6月に低並びに無ガンマグロブリン血症、重症感染症において抗生物質との併用、特発性
血小板減少性紫斑病に対する効能・効果で承認されて以来、1996年1月には川崎病の急
性期に対する効能・効果が追加で承認されています。今回の申請効能・効果である多発性
筋炎及び皮膚筋炎については、19□年□月より臨床試験が開始され、2003年5月に本剤
の承認事項一部変更申請が行われました。しかしながら、ステロイド治療抵抗性の定義を
明確化した上で、本剤の有効性及び安全性を確認する必要があり、追加で実施された臨床
試験の結果を踏まえて本剤の審査を行いました。
 本申請の専門委員としては、資料19に記載されております4名の委員を指名しており
ます。
 審査内容について説明させていただきます。まず、有効性についてですが、審査報告書
10ページの上から8行目を御覧ください。多発性筋炎及び皮膚筋炎患者を対象とした第
?V相比較試験において、主要評価項目であるG群における第1期のFASでの最終評価時
における本剤投与直前からの徒手筋力検査(以下、MMT)合計スコアの変化量は11.8で
あり、有意な増加が認められました。なお、本試験では、プラセボに対する優越性を検証
するための検出力は確保されておりませんが、副次的にプラセボと比較することを目的と
して、二つの投与期が設定されております。その結果については、審査報告書13ページ
下から4行目を御覧ください。
 第1期におけるMMT合計スコアの変化量は、第1期に本剤を投与しているG群で
11.8、プラセボを投与しているP群で9.9であり、G群での変化量が上回っていました。
審査報告書15ページ上の表を御覧ください。第?V相試験における第1期のMMT合計ス
コアが5点以上改善した症例の割合は、G群でP群よりも多く認められています。また、
同ページ下から9行目を御覧ください。日常生活動作スコアについて、第1期におけるF
ASでの最終評価時における本剤投与直前からの変化量は、G群で7.3、P群で4.0であ
り、G群で大きかったこと等を踏まえると、本剤の多発性筋炎及び皮膚筋炎における筋力
低下に対する有効性は示されているものと判断いたしました。
 また、本剤の安全性についてですが、審査報告書19ページの表を御覧ください。多発
性筋炎及び皮膚筋炎を対象とした臨床試験における有害事象は鼻咽頭炎、上気道の炎症、
口内炎等であり、多くは軽度から中等度であり、既承認効能・効果を対象とした場合のリ
スクを上回ることはないと考えておりますが、多発性筋炎及び皮膚筋炎患者を対象とした
治験症例数は限られていることから、原則として全症例を対象とした製造販売後調査を実
施し、本剤の安全性及び有効性に関するデータを収集することを承認条件として付すこと
が適切と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本剤のステロイド剤が効果不十分な多発性筋炎及び皮膚筋炎にお
ける筋力低下の改善に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一
部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新効能及び新用量医薬品
であり、再審査期間は希少疾病用医薬品に指定されていることから10年とすることが適
切と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上です。
 よろしく御審議のほどお願いします。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質疑をお願いします。新しい
効能の追加ということですが、いかがでしょうか。
○清水委員 添付文書の書き振りのことで確認させてください。添付文書の2ページで、
要は再投与に関するところですが、用法・用量に関する使用上の注意の(4)の中に注意事
項があって、末尾に「4週間以内に再投与した場合の有効性及び安全性は検討されていな
い」となっています。さらに重要な基本的注意事項の一番最後の(8)に、またその注意事
項が書かれていて、そこの最後のところに、「本剤を再投与した場合の有効性及び安全性
は確立していない」となっています。審査報告書の(2)の中の本剤の再投与について、25
ページになりますが、そこのところの考え方を反映した書き振りかと思いますが、並べて
見ると、片方は、4週間以内に再投与した場合の有効性又は安全性は検討されていない。
片方の記載は、本剤を再投与した場合の有効性及び安全性は確立していないという、この
記載にバランスの悪い記載振りを感じるのです。そこのところはいかがでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構より御説明させていただきます。用法・用量に関連する使用上の注意の項に
ついては、我々としては、少なくとも4週間は確実に空けて見ていただきたいということ
を注意喚起する意味で、4週間以内に再投与されたという実績はありませんから、その点
は十分に注意喚起したいということ。また、重要な基本的注意の(8)のところに関しては、
この薬の再投与に関して、4週間以内に投与されていないというのが実態であり、その有
効性及び安全性を確認したような試験の結果は一切ありません。しかしながら、4週間を
越えた時点で投与された患者さんは少数例おり、安全性は確認できるものの、有効性をき
ちんと見ているわけでもないことから、この(8)に関しては本剤を再投与した場合の有効
性及び安全性は確立していないと書いています。バランスが悪いという点に関してはある
のですが、期間の話とそこは切り分けて考えていましたので、このように書きました。
○清水委員 ありがとうございました。
○松井部会長 ほかにはいかがですか。
○古川委員 26ページで、今回のことでは直接関係ないのですが、最初に「効能・効果
及び用法・用量を以下のように整備し」として、「整備」という言葉があるのですが、こ
こに川崎病等に静注というのが書いてありますけれども、これはどういう根拠で、このよ
うに整備して静注がよろしいということになったのでしょうか。添付文書を見ていただけ
れば、2ページに投与時の測定の速度がしっかり書いてあるわけですが、いきなり静注で
もよいというのは、どの辺から整備されたのか。
○松井部会長 先生、これは川崎病に関することですか。
○古川委員 小児全般です。免疫不全症は静注で入れることはあると思いますけれども、
川崎病に関しては静注で入れるという話は、余り聞いたことがなかったのです。
○機構 機構より説明させていただきます。この波線で書かれている部分に関しては、本
剤の今回の申請とは異なって別の申請の際に承認させていただいています。今回の中では
議論はさせていただいてはいないところではあります。
○古川委員 その申請というのは、この審議会ではないということですね。
○機構 我々が今回の多発性筋炎の審査をしている間に、別の申請が先に走っていて、そ
ちらは川崎病等の静注に対する、それは生物の方ですので第二部会の方になるかと思いま
すが、そちらの方での審議が我々の審査の途中で終わって、そちらは承認されたというこ
とです。我々が申請時と今の時点を比較すると、先に走っていた申請についても反映され
た形で、今回、記載したということです。ですから今回の申請とは全く別の申請の中で審
査されて了承され、こういう記載になったということです。
○古川委員 経過は分かりましたが、ちょっと矛盾しているような感じですね。添付文書
には、最初の1時間はこのくらいでゆっくり見て何々しなさいということで、実際にも早
い速度にするとショック症状が出たりすることがあるので、結局、添付文書もそう書いて
あるにもかかわらず、静注でもよいという言葉の整備は、この部会ではどうにもならない
ことなのですね。
○松井部会長 所掌事項ではないのです。ただ、何らかの形で伝えていただくということ
にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○機構 担当の部署にお伝えして、先生の方にまた必要に応じて御連絡させていただきた
いと思います。
○松井部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。よろしいでしょうか。特段
の御意見がこれ以上ないようでしたら議決に入りたいと思います。本議題につきまして、
承認を可としてよろしいでしょうか。
 異議がないものと認めます。御異議がないようですので承認を可として、薬事分科会に
報告いたします。
 それでは議題2に移ります。医薬品機構から説明をお願いします。
○機構 議題2、資料2、医薬品インヴェガ錠3mg他の製造販売承認の可否等について、
医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
 本剤については、平成22年6月に開催された医薬品第一部会において御審議いただく
予定でしたが、添加物の規格について申請書の記載に不備があり、議題を取り下げさせて
いただきました。その後、申請書の記載が適切に修正されたことから、本医薬品第一部会
に上程させていただきました。
 本剤の有効成分であるパリペリドンは、本邦で既に承認されているリスペリドンの主活
性代謝物であり、浸透圧による放出制御システム(OROS)を利用した徐放錠です。海外
では19□年□月から臨床試験が開始され、2006年12月に米国で初めて統合失調症の適応
で承認されて以来、2010年1月現在、欧州等92の国又は地域で承認されております。本
邦においては、20□年□月から臨床試験が開始され、今般、統合失調症に対する有効性及
び安全性が示されたと考え、製造販売承認申請が行われました。
 本申請の専門委員としては、資料19に記載されております8名の委員を指名しました。
 審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。まず、有効性について
ですが、審査報告書45ページの表を御覧ください。第?V相試験において、主要評価項目
であるFASでの最終評価時におけるPANSS総スコアのベースラインからの変化量は、本
剤群で-9.1、プラセボ群で3.8であり、本剤群とプラセボ群との群間差は-12.7と、本剤
群で統計学的に有意な減少が認められました。
 次に、安全性についてですが、審査報告書52ページ下の表を御覧ください。国内長期
投与試験において、投与36週まで7%を超える体重増加が認められた患者の割合が経時
的に増加しています。しかしながら、審査報告書53ページ上及び下の表を御覧ください。
本剤の国内外臨床試験における血糖関連の有害事象発現率は、体重増加の有無により大き
な差異は認められていないこと、本剤はリスペリドンの主活性代謝物でありリスペリドン
では糖尿病患者に対する投与は慎重投与とされていることから、本剤についてもリスペリ
ドンと同様の注意喚起とすることで問題はないと判断しております。なお、当該事象の発
現状況については、製造販売後調査において、引き続き検討する予定としております。
 本剤の用法・用量についてですが、審査報告書40ページの表を御覧ください。中等度
以上の腎機能障害患者に本剤3mgを投与したときのCmax及びAUCの中央値は、正常腎
機能被験者に臨床最大用量である本剤12mgを投与したときと同程度であったこと、海外
では中等度から重度の腎機能障害患者に対する用量調節のため、1.5mg錠が開発されてい
ますが、本邦では開発されていないことから、現時点において中等度から重度の腎機能障
害患者に対し、適切な用量調節を行える製剤が存在しないこと、腎機能障害を有する患者
に対し使用可能な他の統合失調症治療薬が存在することを踏まえ、中等度から重度の腎機
能障害患者を禁忌として設定しております。なお、軽度腎機能障害患者については、用法
・用量に関連する使用上の注意の項で、開始用量を3mg、最大用量を6mgとするよう注
意喚起しています。
 以上の審査を踏まえ、本剤の統合失調症に対する効能・効果を承認して差し支えないと
の結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新
有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、
生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、
薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、檜山委員及び本橋委員より、事前に御質問をいただいておりますので、その件に
ついて御説明いたします。檜山委員からは、「本剤は2か所に薬物放出口が開けられると
いうものですが、当該工程の工程管理について、どの程度のサンプル数により管理してい
るのか」について御質問をいただきました。当該工程では1250錠を目視で確認しており、
プロセスバリデーション時に製造したロットでは放出口が欠損した製剤は認められてい
ないこと、その他、SOP管理において30分ごとに500錠を自動検査機により検査し、
薬物放出口が正しく施されていることを確認するという工程手順を踏んでいます。
 また、本橋委員からの質問事項ですが、「国内臨床試験では統合失調症の有害事象が多
く認められていることについて、何らかの注意喚起が必要ではないか」との質問をいただ
きました。本剤の臨床試験は、国内で初めて統合失調症患者を対象としたプラセボ対照試
験を実施していて、当該試験では投与開始2週後まで治療を継続し、治験薬の効果が不十
分な場合には試験を中止し、長期投与試験に移行することができることを設定していまし
た。そのため統合失調症の有害事象が多く認められたと考えられます。しかしながら、本
剤群で認められた統合失調症の有害事象は、参照群として設定されたオランザピン群と同
様であり、海外試験においても同様の傾向が認められていることから、本剤投与による統
合失調症の悪化が、他剤と比較して多いというわけではないと考えています。
 以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。早速、討論に入りたいのですが、今、檜山委員か
ら御指摘のあった放出口というのは、先生方の添付文書1.8の1ページ目に書いてある薬
物放出孔のことを指すものと思われます。檜山委員、よろしいでしょうか。
○檜山委員 私の方は、回答に満足しています。
○松井部会長 本橋委員はいかがでしょうか。特に統合失調症の悪化というのではないと
思われるという御答弁だったように思いますけれども。
○本橋委員 要するに45ページで、有害事象に統合失調症という言葉が出ていたもので
すから、統合失調症の患者さんに使っている有害事象が統合失調症というのも、何か納得
がしにくいなという気もして併せて質問したのですが、悪化という意味で使っているので
あれば、それは全く問題ないことだと思います。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 今回の有害事象に関して、原疾患の悪化若しくは統合失調症の悪化という医師の
報告用語を統合失調症と読み替えて集計しています。
○松井部会長 よろしいですね。ほかに御質疑をお願いします。特段の御質疑はありませ
んか。
○松木委員 特段のというほどではないのですが、こういうプロドラッグと活性代謝物、
それから前回はエナンチオマーでキラルで分けるということで、そんなには原薬と変わり
ないというところですが、こういうプラセボと比べて有意があれば、どんどん承認すると
いう方向なのか。同様の薬をたくさん増やすだけのような気もするのです。明らかにもっ
と優れたことを要求しないのかなと思います。その辺の一般的なスタンスとして、厚生労
働省の考えをお聞きしたいのですけれども。
○松井部会長 課長、どうでしょうか。
○審査管理課長 先生のおっしゃるように、画期的なものがどんどん出てきていただけれ
ばよろしいのですが、薬事法の考え方として、品質、有効性、安全性が認められれば承認
するというスタンスです。代り映えがしないというのは申し訳ありませんけれども、それ
でも一定の有効性、安全性が確認されれば、承認させていただくというスタンスでござい
ます。また保険の問題ということであれば、それは保険財政の方の観点から検討していた
だけるものと思っています。
○松井部会長 この問題は繰り返しディスカッションしてきていますが、種類が増えれ
ば、それこそリスクは増すわけですので、適切な数、種類が必要だということ以上には私
は申し上げられませんが。よろしいですか。
○松木委員 分かりました。
○松井部会長 ほかにございますか。ほかに御意見がないようですので議決に入ります。
千葉委員、永井委員、成冨委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基
づき、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題につきまして、承認を可と
してよろしいでしょうか。御異議はありませんか。
 御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。
 議題3に移ります。医薬品機構から概要を説明してください。
○機構 課題3、資料3、医薬品ワンデュロパッチ0.84mg、同パッチ1.7mg、同パッチ
3.4mg、同パッチ5mg及び同パッチ6.7mgの製造販売承認の可否等について、医薬品医療
機器総合機構より御説明いたします。
 本剤は、選択的オピオイドμ受容体作動性の強オピオイド鎮痛剤であるフェンタニルを
有効成分として含有するマトリックス型の経皮吸収型製剤であり、本邦において2008年
3月に承認された3日毎に貼り替えて使用するデュロテップMTパッチ(以下「3日製
剤」)と成分及び組成比が同一の有効成分含有基剤を用いて、定常状態における血清中未
変化体の濃度-時間曲線下面積が同一となるよう開発された1日(約24時間)毎に張り替
えて使用する製剤です。なお、本邦において、1日毎に張り替えて使用するフェンタニル
クエン酸塩を有効成分として含有する経皮吸収型製剤であるフェントステープが2010年
4月に承認されております。
 本申請の専門委員としては、資料19に記載されております6名の委員を指名いたしま
した。
 審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。まず本剤の薬物動
態について、審査報告書11ページの図2及び図3を御覧ください。本剤を反復貼付した
ときの血清中未変化体濃度は、貼付開始初期は3日製剤と比較して低く推移し、貼付開始
後72時間まで徐々に増加しますが、定常状態では3日製剤とほぼ同等となります。
 本剤の有効性について、審査報告書20ページの表14を御覧ください。一定量のオピオ
イド鎮痛剤により疼痛がコントロールされている日本人癌性疼痛患者を対象とした国内
第?V相試験において、モルヒネ製剤、オキシコドン経口剤又はフェンタニル貼付剤から切
り替えて、本剤を24時間毎に10日間反復貼付したとき、主要評価項目である疼痛コント
ロールの達成率は81.8%であり、本剤貼付開始日と最終評価時のVAS値に大きな変動
は認められませんでした。
 本剤の安全性について、審査報告書26ページの表23及び24を御覧ください。本剤の
開発に際しては、オピオイド鎮痛剤からの切り替え患者以外に、オピオイド鎮痛剤非使用
患者を対象とした臨床試験が実施されており、いずれの患者においても主にオピオイド鎮
痛剤に特徴的な有害事象である傾眠、便秘、悪心、嘔吐等が認められていますが、オピオ
イド鎮痛剤非使用患者では、オピオイド鎮痛剤からの切り替え患者と比較して、中等度又
は高度の事象が多く、有害事象による中止例も多く認められ、審査報告書27ページの3
段落目に記載しましたとおり、呼吸数減少、酸素飽和度低下等の呼吸抑制に関連した有害
事象が多く認められております。また、本剤の薬物動態学的特性は、既承認のフェントス
テープとほぼ同様で、用量調節に適した製剤とは言い難いことから、本剤は既承認のフェ
ンタニル貼付剤と同様に他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用することが適切であ
ると判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審
議いただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は4年、製剤は劇薬に該当し、生
物由来製品及び特定生物由来製品に該当しないと判断しております。なお、薬事分科会で
は報告を予定しております。
 以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。それでは委員の先生方から御質疑をお願いしま
す。いかがでしょうか。
○清水委員 他剤からの切り替えのことについての確認ですが、審査報告書の21ページ
に書かれているように、表の上のところです。第?V相試験の組入れの中に注射剤、モルヒ
ネ注、フェンタニル注からの切り替え例が認められなかったことから、添付文書における
切り替え換算表には注射薬のことは入れていないということですが、これで臨床上困るこ
とが実際には想定されないものなのでしょうか。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 機構より説明させていただきます。臨床上、他のオピオイド鎮痛剤を使用してい
て、忍容性が確認されている患者さんであれば、本剤の適用は可能だと考えており、例え
ばフェンタニル注射剤からの切り替えも可能と考えています。一方で、あくまでも用法・
用量に関連する使用上の注意として、推奨できるものを提示させていただいていますの
で、臨床試験の中で有効性、安全性が確認されたものについて、推奨できる範囲で換算表
を提出させていただくことが適切であると考えており、他のフェンタニル経皮吸収型製剤
でも同様の考え方のもとに審査しています。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにございますか。御質疑がないようでしたら議決に
入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは千葉委員、永井委員におかれまし
ては利益相反に関する申出に基づいて、議決への参加を御遠慮いただくことにします。本
議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、承認を可とし薬事分科会に報告いたします。
 議題4に移ります。医薬品機構から御説明をお願いします。
○機構 議題4、資料4、医薬品マキュエイド硝子体内注用40mgの製造販売承認の可否
等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
 本剤は、トリアムシノロンアセトニド(以下、本薬)を有効成分として含有する粉末注射
剤です。本邦においては、本薬を有効成分として含有する水性懸濁注射剤(販売名:ケナコ
ルト-A)が既に承認されており、臨床使用実態下では硝子体手術時の硝子体可視化を目的
に適応外使用されていますが、ベンジルアルコール等の添加物を含有するため、院内製剤
の調整等が行われており、微生物汚染のリスク増加が懸念されています。本剤はそのよう
な臨床使用実態を受け、学会からの要望に基づき開発された添加物を含有しない製剤で
す。本薬は合成副腎皮質ステロイドとしての薬理作用を有しますが、硝子体可視化は本薬
の水中でゲル状物質にまとわりつく物理化学的性質によるものであり、硝子体切除後に眼
内から除去されます。海外において本剤と同一の製剤は開発されておりませんが、硝子体
手術中の可視化を適応として有する本薬の眼科用製剤が米国で2007年11月に承認されて
おります。
 本申請の専門委員としては、資料19に記載されております5名の委員を指名いたしま
した。
 審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。まず本剤の臨床的
意義について、審査報告書14ページ「(1)本剤の臨床的意義について」の項の3段落目
を御覧ください。本薬を用いた硝子体可視化により、透明な硝子体皮質の良好な視認性が
確保され、手術操作が容易になるため、手術時間の短縮や硝子体手術時の合併症軽減に寄
与する可能性が示唆されています。
 本剤の有効性について、審査報告書14ページの表3を御覧ください。硝子体手術が施
術される日本人患者を対象とした第?V相試験において、本剤0.5~4.0mgを後部硝子体皮
質前ポケット後壁に投与したとき、審査報告書13ページ脚注12にお示しした5段階で評
価した中央判定による硝子体可視化の程度は、本剤投与前0.55±0.51、本剤投与後3.19
±0.65であり、投与前後で統計学的な有意差が認められました。
 本剤の安全性について、審査報告書17ページの表5を御覧ください。右側の硝子体手
術患者を対象とした第?V相試験では、左側の糖尿病黄斑浮腫患者を対象とした初期安全性
試験と異なり、本剤を硝子体内に注入した後、硝子体切除後に眼内に残存した本剤を可能
な限り除去しているため、有害事象発現症例は少なく、硝子体手術に起因する合併症であ
る網膜裂孔5例及び因果関係が否定されていない眼圧上昇1例が認められているものの、
いずれも軽度であり、現時点で大きな問題は認められていないと判断しております。なお、
本剤の使用に当たっては、有害事象発現のリスクを低減するため、眼内から可能な限り除
去することが重要であると考えており、添付文書(案)においては、硝子体切除後、灌流及
び吸引により本剤を除去すること、本剤が眼内に残存した場合は、本剤の消失が認められ
るまで定期的に観察することを注意喚起しております。また、本剤の安全性、特に眼圧上
昇等の眼局所における有害事象については、製造販売後調査において引き続き検討する予
定です。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審
議いただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は6年、製剤は毒薬又は劇薬のい
ずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品に該当しないと判断しておりま
す。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
 以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。硝子体手術の最近の報告で、3分の2に使われて
いるプラクティスというところです。永井委員、お願いします。
○永井部会長代理 教えていただきたいのですが、これは本来の薬効とはちょっと違うの
だと思います。手術用の補助剤で、これは恐らく千葉委員の方が詳しいと思いますが、粘
膜下腫瘍を内視鏡で取るときに、ヒアルロン酸を注入して浮かせますが、そのときのヒア
ルロン酸は医療機器に入っていると聞いたことがあります。本来の薬効でない使い方をす
るときは薬剤と言えるのか、医療機器なのか、その辺の整理を教えていただけますか。
○松井部会長 いかがですか。課長、お願いします。
○審査管理課長 医薬品と医療機器は使い方によって微妙なところがございまして、ヒア
ルロン酸の場合も、先ほど先生が御指摘になった、注入して浮かせるような本当に物理的
な作用のものについては医療機器として扱っていますし、膝関節に注入するようなものに
つきましては医薬品として扱っているところです。このものについては、可視化というこ
とで直接的な物理作用ではないのかなというところで、医薬品というところに分類してい
ます。ただ、医薬品と医療機器につきましては、有効性、安全性の評価自体については同
じような評価をさせていただくということで、そういうところで御了解いただければと思
います。また国際的にも微妙なところというか、コンビネーションのような話があって、
これからそういうものについても、かなり増えてくるのではないかと思っています。
○松井部会長 難しいところですね。医療機器と言ってしまっても、何かおかしいような
ところもあるのかもしれませんし、また今日の議題の中にもう一つ似たようなものが出て
います。
○機構 機構より補足させていただきたいと思います。先ほど御説明したとおり、本剤と
製剤は異なって懸濁液の製剤ですが、米国でもトリアムシノロンの眼科用の製剤が承認さ
れていますが、これは医薬品として承認されています。ただ、その薬剤については、この
硝子体可視化の適応以外に、ぶどう膜炎といった眼内の炎症に関連するような疾患につい
ても適応を有しています。本剤に関しても、これ以外の適応に関して、先ほど少し説明さ
せていただいた糖尿病黄斑浮腫を対象とした開発も、現在、実施されており、将来的には
同じ製剤で、別の効能が付く形になるのではないかと想定しています。
○松井部会長 よろしいですか。ほかに御質疑がございますか。
○加藤委員 今の御説明を伺って、添付文書についての表現で現場が混乱するのではない
かと思ったのですが、この製剤が眼球内に駐留しないことが重要なポイントだということ
に対して、効能・効果のところに使用上の注意があります。そこに括弧書きで「治療を目
的として本剤を眼内に留めた場合の安全性は確立していない」とあります。今のお話でト
リアムシノロンの治療目的とした使い方も別にあり、承認されているのだというお話です
が、この「治療を目的として留めた場合の安全性は確立していない」という書き方だと、
では一体、何の安全性が確立しているのかと、現場が混乱するのではないかと思いますが、
いかがですか。
○松井部会長 どうでしょうか。
○機構 機構より説明させていただきます。ほかの適応を持っているのは、あくまでも海
外の製剤で、本剤に関しては日本人での有効性及び安全性が確認されているのは、硝子体
手術時の硝子体可視化ということになります。ただ、一方で先ほど申し上げたように、実
は眼科領域でのほかの適応外使用がされている疾患もあり、そういった疾患については、
いわゆるステロイドとしての作用を期待して硝子体内に注入した後、そのまま眼内に留め
ておきますので、先ほど糖尿病黄斑浮腫患者の初期安全性試験の有害事象の発現状況を説
明しましたが、そのような使用における安全性は、硝子体手術時に完全に本剤を除去する
ような状況とは全く異なります。したがってそういった本剤を眼内に留めた場合の有効性
及び安全性は、この添付文書の中では網羅されていないことを説明するために、このよう
な効能・効果に関連する使用上の注意を記載しています。
○松井部会長 よろしいですか。
○加藤委員 日本語の問題かもしれないですが、この治療を目的としての治療というの
は、この場合、何を指すのですか。外科手術のことを指しているわけですか。
○機構 そうではなくて、手術はあくまでも硝子体の手術ですので、硝子体手術が適応と
なる疾患そのものの治療を指しているわけではなく、眼内に留めた、糖尿病黄斑浮腫であ
ったり、ステロイドとしての作用を期待して硝子体内にそのまま薬剤を残存させるような
場合の治療を指しているのですが、より適切な表現の御意見がございましたら、検討させ
ていただきたいと思います。
○加藤委員 そうですね、これだとこの薬剤としての説明としては分かりにくいのではな
いかと思います。
○審査管理課長 それでは、検討させていただきます。
○松井部会長 お願いします。加藤委員、よろしいですか。ほかに御質問はありますか。
○清水委員 過充填の問題です。報告書の5ページにも書かれていて、これを読めば理由
は分かるのですが、薬剤として実際に10分の1量しか使用しないわけですよね。それで
いて、なおかつ1バイアルを複数の患者さんに使用しないように注意喚起すると。実際に
幾らの薬価が付くか分かりませんが、10分の1しか使えず、なおかつ1バイアル1回の
手術しか使ってはいけないとするには、その旨を添付文書に書くということでなくていい
のですが、情報提供をすることが大事だと思うので、その辺の御指導をお願いしたいと思
います。
○機構 ありがとうございます。指導させていただきたいと思います。
○松井部会長 私も全く同じ感想を持ちました。ほかにいかがでしょうか。よろしいです
か。もしこれ以上の御質疑がないようでしたら議決に入りたいと思います。本議題につき
まして承認を可として、よろしいでしょうか。
 異議なしと認めます。それでは承認を可として薬事分科会に報告いたします。
 議題5に移ります。お願いします。
○機構 議題5、資料5、医薬品リオベル配合錠LD他の製造販売承認の可否等について、
機構より御説明申し上げます。
 本剤は、ジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤であるアログリプチン安息香酸塩とチア
ゾリジン系薬剤であるピオグリタゾン塩酸塩を有効成分とする配合剤です。アログリプチ
ン安息香酸塩は血糖依存的にインスリンの分泌を促進させる薬剤であり、ネシーナ錠の販
売名で既に承認されています。ピオグリタゾン塩酸塩はインスリン抵抗性を改善する薬剤
であり、アクトス錠の販売名で既に承認されています。2型糖尿病の治療においては、1
剤で効果が不十分な場合、作用機序が異なる薬剤を併用することは一般的であり、本剤の
配合成分であるアログリプチン安息香酸塩については、チアゾリジン系薬剤で効果が不十
分な場合の併用療法が、既に承認されています。□□□□□□□□□□□□□□□□□□
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 本品目の専門協議では、資料19に示す先生方を専門委員として指名させていただいて
おります。
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 以上のとおり、機構での審査の結果、2型糖尿病を効能・効果として、本剤を承認して
差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしまし
た。
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 御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 ありがとうございます。御質疑をお願いします。いかがでしょうか。
○清水委員 私は基本的に反対なのです。それは審査報告書の28ページの専門家協議の
中で、専門家委員の方の発言しているちょうど真ん中辺りになります。一部の専門委員か
らの意見の一つ目のポツですが、「配合剤を開発する場合、各有効成分の医療現場におけ
る相当の併用経験や有効性及び安全性データの集積後にその必要性を検討すべき」と私も
考えます。
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○松井部会長 どうでしょうか。
○新薬審査第一部長 機構よりお答えいたします。配合剤につきましては、清水委員の言
われた御意見もあるということは十分承知しております。ただ、一方、併用療法が認めら
れているものについて、それを配合剤として1剤にすることによって利便性の向上が認め
られることも、また事実であろうと思います。
 おっしゃるように、ある程度の臨床使用実績を積んでからというのは、ごもっともだと
思いますけれども、そうしますと、どこまで臨床使用経験を積めばいいか、何らかの基準
を作る必要があると思いますが、現在のところ残念ながら、そういった基準として一定の
ものを示すことはできないだろうということと、先ほどお話がありましたように、□□□
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□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□我々としては承認を否定することはでき
ないのではないかと考えております。
○清水委員 決して否定をするということを言ったつもりはありません。適用が追加され
たものの市場での臨床経験をきちんと評価した上で、配合剤は認めるべきと言ったことで
あって、前回の併用の承認を否定するという意味ではなく解釈することは十分できると思
います。
○成冨委員 私も配合剤に関して似たような意見を持っています。製薬会社がある薬剤を
開発し販売しても、販売開始後何年か経つと後発品が出てくるので、その時点でその薬剤
の売り上げは激減します。この事態を避ける最も上手な方法は配合剤を作ることです。配
合剤を作れば何年かは後発品の脅威から逃げることができます。
 2年ぐらい前に、最初に配合剤が出てきたときに、配合剤をどんどん認めていいのでし
ょうかという質問をしたら、今のところ類似の薬剤はほかには出てきておりませんと言わ
れました。そのときに、私が製薬会社の社長であれば、これから配合剤をどんどん作って、
後発品に追い着かれないようにします。それを、厚生労働省は全部認めるのかどうかを早
いうちに議論しておいた方がいいのではないか、と提言しました。しかし、この委員会は
そういうことを議論する場ではないと言われ、議論は打ち切られました。
 厚生労働省は、ある一方で後発品、後発品と言っておいて、他方で多くの配合剤を認可
して結果的には多量の薬剤を患者さんが服用することになる事態を招いていると言えな
くもありません。配合剤に関する基本姿勢を、この部会ではないのかもしれませんけれど
も、どこかで議論しておくべきではないかと思います。
○松井部会長 同じ議論は、2年前でなくても、私が部会長になってからでもあったと思
います。この点について、御意見をお持ちの方はいらっしゃいますか。
○本橋委員 低用量と高用量の使い分けというのは、その前に併用をやって、高用量が必
要な人には高用量群を使うという形になるのでしょうか。普通、薬というのは量が少ない
ときに、効果がないときに高用量に変えていくというものなのですが、こういう配合剤の
場合はそういうことが成立するのですか。その辺を教えてください。
○松井部会長 その問題は後で議論してもいいでしょうか。
○本橋委員 はい。
○松井部会長 今は、配合剤を今後どうしていったらいいかということを。
○本橋委員 結び付く問題ではないかと私は考えたものですから。
○松井部会長 関連がないとは言えないと思いますけれども。
○野田委員 前の先生方の繰り返しになるかと思いますけれども、ある程度の臨床経験の
目安を設けておく必要があるのではないかと思います。
○松井部会長 今出てきた御意見に対して、課長からお願いいたします。
○審査管理課長 審査報告書にも書いてありますし、御意見もいただきましたし、部会の
先生方の御意見もいただいているところであります。基本的に先ほどと同じなのですが、
薬事法的な考え方から言えば、一定のエビデンスがあれば承認するという方法ではあろう
かと思うのです。一方で後発品の促進ということで、いろいろ取組みをさせていただいて
おります。後発品の取組みの方では検討グループもありますので、こういう御指摘もあっ
たということは説明させていただいて、それはそちらの方で考え方をいただくことになる
のかと思っています。
 前々からこういうことで御議論いただいているわけですけれども、少なくとも一定程度
のエビデンスを出してきているわけですので、これを承認しない理由は現時点ではなかな
か難しいのかと思っております。特に配合剤の場合は、最初に出てきたときから議論はい
ただいているわけですけれども、一定の配合としての使い方ということですので、医療現
場で処方するときに、当然ながらその縛りはかかってきておりますので、そこを考慮して
いただいて使っていただく前提ではあろうかと思っています。いかがでしょうか。
○松井部会長 私が聞いたところ、委員からの要望は、厚生労働省として配合剤に対する
考え方をまとめてはどうかという御意見だったように理解いたしました。表明してはどう
かと。なかなか難しい問題であることは私も理解しています。
○審査管理課長 配合剤としての考え方については、最初に配合剤が出てきたときにも御
説明いたしましたけれども、平成17年に、配合剤の取扱いを変えさせていただいており
ます。それに基づいて申請されてきているものだと理解しております。配合剤を認めると
きに、どういう観点から認められる、認められないかということになると、後発品とか薬
事法そのものというよりは、もうちょっと別の観点からというところがあろうかと思いま
すので、そこについてはそちらの方の検討の御意見も聞いてみてという話になるのかと思
っているところです。
 このものについては、取扱い上、具体的な資料に基づいて出てきております。この内容
がおかしいということであれば、当然それは駄目ということになると思うのです。この試
験の内容が、それはそれで認められるということであれば、その方向になるものと思って
おります。
○松井部会長 私の記憶では、前任の課長が、この配合剤についての問題が出てきたとき
に、その次の回でまとめを発表されたように記憶しているのです。
○審査管理課長 平成17年に、配合剤の取扱いを変えたときの通知を御説明させていた
だいたと思います。
○松井部会長 平成17年のときの考え方をですか。
○審査管理課長 はい。審査報告書20ページの(2)医療用配合剤への承認要件の該当性
ということで、平成17年に取扱いを改正させていただいています。
○松井部会長 すみません、どこですか。
○審査管理課長 審査報告書20ページの真ん中の(2)で、医療用配合剤の承認要件とし
て、医薬品の承認申請に留意すべき事項ということで、平成17年3月31日付けの通知を
もって、配合剤として認める要件を明確にさせていただいているところです。
 ここにありますように、1,は輸液の関係、2,は副作用・相乗効果、3,は患者の利便
性の向上、4,は科学的合理性が認められるものということです。□□□□□□□□□□
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○松井部会長 そこで、先ほど私は遮ってしまったので、本橋委員の御質問をもう一度繰
り返していただけますか。大変恐縮です。
○本橋委員 最初は、それぞれ単独で使って、それで決まったところでこちらに移行する
という形になるのではないかと思うのです。そうすると、在庫管理の問題からしても、薬
剤部では全部置かないといけなくなります。患者さんにとっては、確かに結論が出た時点
で、こちらというふうになったときにはいいのでしょうけれども、その過程がどうしても
必要になるので、そこまで含めて考える必要はないのかなという気がしたのです。
 この二つの種類の、低用量と高用量で調整がつくものではないのではないかという気が
しています。単独でやって、初めてどちらかに移行するようなものなので、その辺も問題
になるのではないかという気がいたしました。
○松井部会長 御発言のない委員の発言を求めます。
○松木委員 いつも、ここで言ってもしようがないと言われるのですけれども、でも言わ
ないといけないと思うのです。厚生労働省は、医薬品の許認可だけを考えれば認可という
ことになると思うのです。ルールを満たせば認めるという。もう少し進んで、国民の医療
をどういうふうにするかという政策提言を是非するような方向でいったならば、どれが国
民にとって合理的で、より経済的で、安全な医療ができるのかという観点からいけば、当
然この配合剤を使うべきかどうかとか、同等品をたくさん増やすべきかどうかという方向
性は出せると思うのです。
 我々は許認可をやっているから、許認可の観点から見れば、これはOKですというのは
分かるのですが、是非もう一歩踏み込んで、国民の医療はどういうふうにするのだという、
その役割が厚生労働省だというところで、政策提言の方向に持っていっていただかない
と、この議論はいつも終わってしまって、それを言えば、ここはそれを議論する場所では
ないと言われてしまいます。それではどこで議論するかというと、そういう場所はないわ
けです。いつも、言ってもしようがないと言われるのですが、言わざるを得ないところだ
と思います。
○審査管理課長 例えば、医療上の位置付けについて薬価で考えることになりますと、そ
れは保険の方でも配慮して、これはそのままプラスという話にはなっていないとは思って
います。その辺のところは、医療の場でどう取り扱うか。薬価の方ではありますけれども、
それについては保険の方で位置付けを考えて値付けをしているという部分はあろうかと
思っています。
 先ほど本橋先生から御指摘いただきましたように、これを使う用量についてはごもっと
もだと思います。配合剤を使うときの一般論としては、そういう話ではないかと思います。
それについては、既に幾つか配合剤は出ておりますけれども、そういうものは徹底してさ
せていただくことは検討させていただきたいと思っています。
○成冨委員 この問題とはちょっと離れまして、先ほどの議題2の討論に際して、今まで
の薬剤とほとんど効果的に変わりないけれども、プラセボと有意差が見られたという理由
で新しい薬剤をどんどん認めていいのでしょうかという質問に対して、機構からの回答
は、品質と、安全性と有効性が認められれば、認めるしかないというものでした。
 そういうスタンスで臨みますと、例えば今までに市販されている薬剤は全部、安全性も
有効性もクリアしてきている薬剤ですから、それを配合した場合、殆どのものは安全性も
有効性もクリアするはずです。市販薬を組み合わせた薬剤を申請してきて、安全性と有用
性が認められれば認可しなければいけないのだと言い始めると、無限大に配合薬が増えて
いくであろうと思うのです。実は、現在そういう配合薬の治験を請け負うことになってい
るのですが、治験をやりやすいのはやりやすいと思うものの、こんなことでいいのかと思
いながらやっております。この辺で厚生労働省が指導力を発揮し、配合薬とはこういうも
のでなければ駄目だという姿勢を製薬メーカーに示すべきではなかろうかと、個人的には
思っております。
○松井部会長 これは繰り返し議論になっておりますので、非常に大事なことだと思うの
で、各委員の御意見を求めています。
○千葉委員 基本的には、おっしゃられている方々の御意見に賛成です。この薬剤につい
て言えば、簡便性というところが該当するのだと思うのです。例えば、副作用のないもの
同士が一緒の薬になった場合に、副作用が仮に出たとして、我々使う側にしてみたら、こ
れはどちら側の副作用かということがよく分からないわけです。そういう問題もあって、
二つ合わさったことによる問題点というのは新たに出てくる可能性はあるだろうと思い
ます。
 既に議論されてきているところだと思いますが、こういうやり方でやると、違う作用機
序の降圧剤というようなものは、何でもかんでも合剤になり得るという懸念がやはり残る
と思うのです。その辺については、しっかりとしたものを作っていただく必要があると思
います。いわゆるアディティブ効果というのと、両方合わせたら1+1が2以上になりま
すという話とは違うので、その辺も含めてしっかり議論すべきではないかと思います。
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○林委員 先ほど、配合剤をどのように考えるかという、一般的なルールを御説明いただ
いたと思うのですが、個人的には科学的合理性で合剤にされて、いわゆる上乗せの効果が
どんどん上がるのをエビデンスとして出していただくのが一番いいと思うのです。多くの
場合は、多分、利便性のことについて述べられているものが最近は多いと思うのです。
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○加藤委員 いろいろな御意見を伺っていて、非常に大事なことが幾つか指摘されていま
す。私が考えたのは清水委員の御指摘とか、本橋委員の御指摘にありましたように、一つ
はどのぐらい合剤にするというか、それぞれ単独のものが同時に使われているかというこ
とに対して、まだエビデンスが十分ではないのではないかということなのです。エビデン
スを十分に備えるということを、申請者側の義務として、要するにこの部会の委員を十分
納得させるだけのエビデンスがないということです。平成17年にも、配合意義に科学的
合理性があるということと、患者さんの利便性の向上に明らかに資するという点について
のエビデンスを申請者がきちんと提供できるようにするということを、一つの条件にする
ことが確認されているわけです。
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○佐藤委員 私も加藤委員と同じ意見です。エビデンスに関してだけと言うとおかしいで
すが、そこまでは臨床上の必要性についてのところは必ずここで踏まえた上での審査をす
べきであります。それから、国としてどう考えるか、そういうものの約定が変わったとこ
ろで、どうやって採用してくるかというところは、この部会で加えてもいいですが、そこ
まで考えてしまうと難しくなります。先ほど課長が発言されたように、そこは別の委員会
で考えることにする。ただ、全体として動向がどうであるかということについてはお示し
いただいた方が、私たちとしても判断しやすいかと思います。
○松井部会長 私は部会長として、これだけの委員の意見を無視することはできないと思
います。無理矢理通してしまうというのはできないと思います。今、御指摘のありました
二点について、次回までにここの委員を納得させるに足る答弁を用意していただきたいと
いうのが私の希望であります。
○機構 我々も二つの成分を組み合わせるときに、各々幅のある用量同士の組合せであれ
ば、先生方がおっしゃるように、どの用量の組合せが一番多くの患者さんにフィットして
いるのかを見るためには、現場の実態を十分に積まなければいけないと考えております。
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○松井部会長 どのぐらいのエビデンスを積めばいいのか。清水委員が冒頭におっしゃっ
たのは、余りにも症例の集積がまだ足りないのではないかということを御指摘になったと
思うのです。その点について、私の裁定としては継続審議として、次回に御返答いただく
ということです。
○機構 糖尿病領域では、今まで併用効能を独自に認めて、個別に認めてきています。つ
まり、他剤と併用する場合には、ほかの領域ではないと思うのですが、個々の薬剤との併
用ごとに審議していただいて、承認を下ろしてきています。
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の考え方を十分整理しないと、恐らく、メーカーには何を要求されているのかが伝わらな
いと思うのです。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
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○永井部会長代理 一つの問題は、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
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○機構 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
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○松井部会長 いずれにいたしましても、私の知っているだけでもこの問題は繰り返し議
論になってきていますし、この方針が発表されたのは平成17年で、もう5年以上前のこ
とです。この機会に、このようなディスカッションを繰り返さないためにも、この次まで
に機構側、あるいは厚生労働省側としての態度を可能な限り明確にしていただきたいと思
います。よって、この問題は継続審議にしたいと思いますがよろしいですか。私には、こ
れを覆すことはできませんので、よろしくお願いいたします。
○審査第一部長 そういたしますと、私どもとしてどのようなことについて次回御報告を
すればよろしいか、確認をさせていただきます。
 私の方から、少し補足させていただきたいのですが、今、担当の者から申し上げました
ように、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
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○審査管理課長 いずれにしても、平成17年のときに取扱いを変えさせていただいて、
その後に臨床試験に基づいて2年ぐらい前から配合剤が出てきているという経過があり
ますので、その取扱いの話があります。それから、本件のそれぞれの妥当性については、
もう少し整理して、御説明させていただきたいと思います。
○野田委員 10年以上前のことになるかと思いますけれども、ノスカールの例もありま
すように、有効性は確かに臨床試験で評価し得ると思いますが、まれな有害事象について
は、あのときに劇症肝炎で何人かお亡くなりになったわけですが、臨床試験のみでは、ま
れな有害事象について、それを十分にディテクトすることはできないと思うのです。そう
いう意味で、全般的に評価が定まっていない新薬で、矢継ぎ早に合剤を開発していくとい
うのはどうかなと思うところもあります。その期間なり、症例数なりで評価が定まった時
点で合剤の方に持っていけるような、新しいガイドラインみたいなものは必要なのではな
いかと思います。
○松井部会長 私が申し上げたかったことは、個々の今回の細かいこと以上に、厚生労働
省としてのスタンスをはっきりさせた方がいいと考えました。決してこれまでも無制限に
してきたとは思いませんけれども、今後そういうことにある程度の歯止めをかけていただ
きたい、そういうスタンスを見せていただきたいというのが私の希望です。
○審査管理課長 配合剤についての取扱いは薬事の方の観点からということになろうか
と思いますが、もちろん整備させていただいて、御説明させていただきたいと思います。
配合剤については、当然ながら配合したときの縛りをどの程度付けるかという話の問題で
はないのかと原則的には考えています。いろいろな組合せがあり得るかもしれませんけれ
ども、それは当然組合せによっては非常に絞られてくるという話になるのだと思っており
ます。そこは開発者の方はどう考えるか、あるいは医療現場としてどうお使いになるのか、
それは当然縛りのかかった前提でということになると思います。どちらにしても、考え方
はもう一度御説明させていただいて、本品についてのその中での考え方についても、まと
めて御説明させていただきたいと思います。
○松井部会長 議題6に移ります。医薬品機構から説明をお願いいたします。
○機構 議題6、資料6-1~6-3、医薬品バイエッタ皮下注5μgペン300他の製造販売承
認の可否等について、機構より御説明申し上げます。
 本剤は、化学合成されたグルカゴン様ペプチド-1(以下「GLP-1」)受容体アゴニストで
あるエキセナチドを有効成分として含有する注射剤であり、GLP-1受容体に結合すること
で血糖値の上昇に応じてインスリンの分泌を促進し、血糖値を低下させる薬剤です。海外
においては、2005年4月に米国、2006年11月にEUで承認され、2010年4月30日現在、
世界70か国以上で承認されております。類薬として、国内ではリラグルチド(遺伝子組換
え)が2010年1月に承認されております。
 本品目の専門協議では、資料19に示す先生方を専門委員として指名させていただいて
おります。
 以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきま
す。
有効性については、審査報告書の48ページの表13に示しましたように、国内第?V相試
験における主要評価項目とされた「ベースラインから二重盲検期終了時までのHbA1C変化
量」に関して、プラセボ群と比べて本剤5μg群及び10μg群で有意な改善が示されてい
ます。また、48ページの図1に示しましたように、当該試験におけるベースラインから
非盲検期終了時までのHbA1C変化量から、1年間投与時の効果の持続も確認されています。
以上より、本剤の有効性は示されていると考えております。
 安全性については、54ページの1)低血糖症から68ページの7)心血管系リスクまでの
個別の事象を検討した結果、適正使用がなされる限り、本剤の安全性は許容可能と考えて
おります。なお、検討した事象のうち、低血糖症や膵炎の発現には特に留意が必要と考え
ておりますが、添付文書においてそれらに関して適切な注意喚起がなされていると判断し
ております。
 製造販売後調査については、85ページの(7)に示したように、観察期間を3年間、目
標症例数を3,000例とした長期使用に係る特定使用成績調査が計画されています。当該調
査では、膵炎、心血管系事象、低血糖症、消化器症状、悪性新生物の発現状況が確認され、
また、腎機能・肝機能障害の有無、胃腸障害の有無、高齢者及び非高齢者における層別解
析も実施され、安全性が検討される予定です。
 以上のとおり、機構での審査の結果、「2型糖尿病」を効能・効果として、本剤を承認
して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたし
ました。
 本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年が適当であると判断し
ております。原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品
のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
 御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いいたします。
○野田委員 一つは少し前に審議されたビクトーザですと、臨床データでカルシトニンの
値があったかと思うのですが、今回そういうものは検討されているのかどうかというこ
と。もう一つは、インスリンにせよ、ビクトーザにせよ、糖尿病用の注射製剤では空打ち
を行うわけですけれども、この注射の器具を見ると、空打ちをどうやってするのかという
のが少し疑問なのです。
○機構 最初の質問ですが、今回の品目では検討されておりません。空打ちについては、
特に今回のデバイスでは必須とはされておりません。
○清水委員 審査報告書80ページの低血糖のところで、本剤投与中に定期的な血糖測定
を行う旨、添付文書にも記載するということで、その旨が書かれています。保険の話と絡
むとまた違うと言われてしまうかもしれないのですが、インスリンは自己血糖測定が保険
の範囲の中でできるのですが、これらの薬剤についてそういうことは検討の対象になって
いるのでしょうか。
○機構 最終的にこの薬剤について認められるかどうかは、本省の担当部署が決めること
だろうと思いますので、我々が認める、認めないという話ではないように思います。
○清水委員 何か検討はされているのですか。
○機構 ビクトーザでは認められたということなので、想像ですけれども恐らく。ただ最
終的には分かりません。
○清水委員 もう一点あります。添付文書の書き振りなのですが、添付文書の最後の方の
包装のところで、バイエッタ皮下注5μgペン300:注射剤56回用:1キット、その下は
28回用:1キット、56回用:1キットという記載があります。1ページ戻っていただいて、
適用上の注意の保存時のところです。4ページの9.の適用上の注意の(4)の3)使用開始
後30日間は使用できる。56と書くと28しか使用できないということにはならないでし
ょうか。その下の10μgペン30のところは3)使用開始後14日間は使用できるという記
載になっております。
○機構 30日間使用できるというのは、安定性の観点からここまでは保証されていると
いう意味の記載です。
○清水委員 56回打てるということですね。
○機構 バイエッタ皮下注10μgペンというのは、14日製剤という趣旨です。
○松井部会長 これは、ペンが違うのですか。
○機構 1日2回打ちですから、10μg使う人は1日20μg使うことになり、300μg入っ
ていますから、計算上15日になりますけれども、14日製剤ということです。
○松井部会長 ペンが違うということでよろしいですか。
○清水委員 28回用、56回用と書かれている意味と、30日間使用できる、14日間使用で
きるということで意味が違うのだということですね。
○機構 誤解されないように検討させていただきます。
○野田委員 先ほどに追加の質問になります。空打ちしなくてよいというだけの器具の、
安定的に、確実に液が出るということも検討されているという理解でよろしいでしょう
か。
○機構 これは、また別途デバイスとして審査といいますか、確認されておりますので、
そちらで手当てされています。
○佐藤委員 投与継続の問題でお伺いします。添付文書のところにもありますように、
HbA1Cが16週辺りから6.5ぐらい、これはラフなグラフなので分かりませんが、6.5ぐら
いのところでプラトーになってきているように思うのです。2型糖尿病の方が、この薬剤
については6.5になっても、ずっとこの形で使い続けるように申請者は考えているのか、
それとも、もっと普通に経口でできる、簡単というと語弊があるかもしれませんが、経口
剤に変えていくこともできるのかということについてお伺いします。
○機構 今回の投与対象は、SU剤を含めて経口剤では効果不十分な人に対する追加投与
ですから、このような薬剤で効果不十分であった場合、経口剤はまず無理で、インスリン
を使うしかないような状況です。6.5という数字は、細小血管合併症を防ぐ意味で一つの
目標になっていますから、6.5を下回れば治療上一番よろしいということです。
 何段階かコントロール目標がありまして、次は7%ぐらいとかありますので、低血糖を
起こさないように、できるだけHbA1C、あるいは血糖値も見て総合的に判断して継続する
かどうか。それは主治医が判断するものですので、単純に6.5を超えたからやめるとか、
そういう話ではないと思います。
○佐藤委員 追加で質問したいのですが、そういたしますとインスリンに移行しないで済
むからという利点を考えて出てきてるのでしょうか。□□□□□□□□□□□□□□□□
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□□□□□□□□□□□これに換えられるものはなく、ずっと一生涯、その使い始めが、
その方が何歳か分かりませんが、ずっと続けるということで考える薬なのかを質問させて
いただきます。
○機構 そこは、海外も含めて、まだこの薬剤を、特に長期の有効性も安全性もそうなの
ですけれども、期待で言えばベータ細胞を改善するのではないかとか、それはあくまでも
現時点の動物レベルでの話ですけれども、そういう期待が持たれてはいますが、まだ証明
はされていないという意味で、長期の有効性ということで、治療の考え方を変えるぐらい
のブロックバスター的な薬剤であるかのように期待されています。
 ただそうは言っても、インスリンの代わりになるかというと、インスリンはあくまで最
終兵器としてあります。ただインスリンはなかなか非専門の先生が使うのは難しい面があ
ります。やはり低血糖を恐れる余り必要な用量が投与されていないというのが、学会に出
ますと、特に専門の先生は非専門の先生に対して、必要以上に低血糖を恐れるなとか、そ
ういう形で発言されています。
 インスリンをきちんと使うのは現実にはなかなか難しいので、日本の患者さんの血糖コ
ントロールというのは、インスリンを使っても、なかなかHbA1Cは8%ぐらいとか、決し
て目標の6.5は達成していないのです。そういう人たちは、かなり合併症も進んでいて、
もう血糖コントロールをきちんとやらないと、合併症も進んで失明してしまうとか、透析
に移行するとか、足を切断するという方がそれなりにいます。だからといって、この薬が
ずっと使えるかどうかは我々もまだ分かりません。必要であればインスリンに切り換える
という形で、現場の先生に御判断いただくしかないだろうと思っています。
○松井部会長 内科の先生からコメントはありますか。
○野田委員 今おっしゃったことに尽きると思うのですけれども、長期的な使用について
は、今のところまだエビデンスはありませんので、これを使っていて、経口薬のみの治療
に変えていける可能性も残っていると思います。
○松井部会長 ほかに御質疑はございませんか。それでは、議決に入ります。本議題につ
いて、承認を可としてよろしいですか。
 御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 議題7の概要を医薬品機構から説明してください。
○機構 議題7、資料7、医薬品レボレード錠12.5mg、同25mgについて御説明させてい
ただきます。
 本薬エルトロンボパグオラミンは、英国グラクソ・スミスクライン社により開発された、
経口投与可能なトロンボポエチン受容体アゴニストであり、トロンボポエチンのシグナル
伝達経路の一部を活性化することにより骨髄前駆細胞から巨核球に至る過程における細
胞の増殖及び分化を促進し、その結果として血小板数を増加させる新規作用機序の薬剤で
す。
 本剤は、2008年11月以降、米国、EU諸国を含む39の国又は地域で承認されており、
本邦では、20□年からグラクソ・スミスクライン株式会社により開発され、今般、国内臨
床試験成績等を基に、他の治療により十分な効果が得られない場合又は忍容性に問題があ
る場合の特発性血小板減少性紫斑病(以下、「ITP」)に使用する薬剤として承認申請さ
れました。本薬は、2007年3月に「慢性型特発性血小板減少性紫斑病における血小板減
少の改善」を予定効能・効果として希少疾病用医薬品の指定を受けております。
 本品目の審査に関して、専門委員として資料19に記載しております委員を指名させて
いただきました。
 審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。審査報告書56、
57ページを御覧ください。ITP患者を対象とした国内第?U/?V相試験では、本薬の投与
量は表9・10・11のような、血小板数を確認しながら調節するという投与方法で調整さ
れております。基本的には5万より多く40万より少ないところを目標にして調節されて
おります。
 本薬の有効性は、短期効果と長期効果が検討されていて、有効性の主要評価項目は短期
評価で検討されております。審査報告書の57ページの下半分に短期評価の結果が書いて
あります。投与開始43日目の血小板数が5万以上40万以下(単位は/μL)に推移した被験
者の割合(以下「有効率」)は、本薬群で60%、プラセボ群で0%でした。この治療期間
6週間を通じて「出血症状」がみられた被検者の割合は本薬群で7~29%であり、ベース
ラインの33%に比べて少なく、プラセボ群の38~75%より低い割合で推移していました。
短期評価終了後は、プラセボ群にも本薬が投与され、以後26週間まで長期評価をしてお
ります。
 審査報告書58ページの図4に長期評価期間中、短期間も含めてですが、血小板数の推
移があります。有効性の長期評価で測定した、全評価時期の血小板数はそのようになって
いまして、短期評価された本薬投与6週目以降の評価時期Day43からWeek26まで
の6ポイントのうち、75%以上の評価時期で有効であった被験者の割合は43.5%で、反
対に「出血症状」がみられた被験者の割合は、治療期26週間を通じてベースラインの48
%に比べて低い値で推移していました。なお、この26週の投与終了後には、図ではFU
と書いてある期間ですが、血小板数は低下しまして「出血症状」がみられた被験者の割合
は上昇しました。
 本試験で確認された本薬の安全性につきましては、58ページの下の方の4分の1に記
載してあります。短期評価期間である治療期6週間における有害事象の発現割合は、本薬
群73%、プラセボ群25%。投与開始後26週間及び後観察期における有害事象の発現割合
は、96%ということで、海外の大きな臨床試験の成績と齟齬のないものでした。
 次に本薬の用法・用量についてですが、お配りしております資料7のCTD1.8、添付
文書(案)を御覧ください。本薬は、基本的に血小板数を見ながら調節するものですが、 
開始用量や用量調節法につきましては、次のような検討をいたしました。本邦における開
始用量は、国内臨床試験の設定と同様に、12.5mgとされています。この開始用量は海外
の開始用量の4分の1に相当しますが、日本人での曝露量が外国人のおおむね2倍である
との国内外差と、国内臨床試験で安全に一定の有効率が得られた成績の両方を踏まえまし
て、この設定が妥当と判断しております。
 さらに用量調節法につきましては、申請者からは、臨床試験で用いた、先ほど57ペー
ジでお示ししました血小板数を目安とした用量調節法を推奨する案が提出されていまし
たが、実臨床では血小板数の正常値ではなく、出血の予防に主眼を置いた血小板数の目標
値を患者個々に定めるというようなこともありましたので、臨床試験での規定をそのまま
医療現場に取り入れては過量となってしまう懸念がありまして、臨床試験の規定より早い
段階で減量や中止を考慮する用量調節法を添付文書に記載することといたしました。
 具体的には添付文書の1ページの右半分の四角の中に書いてあります用法・用量に関連
する使用上の注意の(1)の中の1)から7)までの中で用量調節法があります。血小板数
40万というような、一般的には血栓塞栓症が懸念されるというような値によりなりにく
いような用量調節法としています。
 また、本薬の特徴としまして、本薬の曝露量は食事や多価金属カチオンの同時摂取によ
り著しく低下するおそれがあることから、用法・用量に食事の前後2時間開けて空腹時に
投与するように規定し、海外添付文書に倣い、多価金属カチオンの含有品とともに服用す
る場合には食事の前後4時間開けるように注意喚起しております。それは用法・用量とい
う1ページの左の一番下と、先ほど示しました四角い囲みの用法・用量に関連する使用上
の注意の(3)に記載しています。
 本薬の臨床的位置付けは、既存の治療で効果が認められない慢性ITPの出血傾向を改
善するというもので、効能・効果につきましては「慢性ITP」とし、効能・効果に関連
する使用上の注意で、他の治療により十分な効果が得られない場合又は忍容性に問題があ
る場合に使用するよう注意喚起することが妥当と判断いたしました。
 審査報告書に戻りまして85ページの後半を御覧ください。製造販売後の調査計画等で
ございます。本品目はオーファン指定を受けておりますが、承認申請前に得られていた本
薬の有効性及び安全性のデータが極めて限られていたことを踏まえて、全例調査を承認条
件として設定することが適切と判断しています。内容としましては、使用実態下での確認
が必要な血栓塞栓症、副作用、患者背景、投与量、投与期間、増量又は減量の実態等々を
余さず収集できるような体制をつくる予定です。
 当初は最長2年間の調査期間が設定してありますが、その最長2年間の調査の中で、さ
らなる長期使用に係る問題点等が見い出された場合には、必要に応じて調査期間の延長を
検討する計画となっています。その他、臨床試験で認められている骨髄線維化に関する有
害事象や、臨床試験では特段の発現は認められていませんが、米国で厳しく注意喚起され
ている肝機能障害、非臨床試験の成績からも懸念されている白内障や血液悪性疾患につい
ての情報収集が必須と考えています。
 以上のような検討を行った結果、全症例の使用成績調査を承認条件として付した上で、
本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくこ
とが適当であると判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品であることから、再審査
期間は10年とすることが適当であると判断しております。また、原体及び製剤は劇薬に
該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しております。薬事分
科会では審議を予定しております。
 御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質疑をお願いいた
します。いかがでしょうか。
○永井部会長代理 これはかなり画期的な薬剤だと思うのですが、中止後にリバウンドが
起こると聞いたことがあります。今回の治験では認められなかったようですが、重大な出
血は起こっていますね。アメリカではたしか、使用前よりも血小板がさらに下がって、重
大な事象が起こったという症例が報告されていると思います。この米国の添付文書を見る
と、使用前より下がることがあると書いてありますが、日本の今回の添付文書は速やかに
現状に戻るというか、使用前に戻るという認識です。外国の報告をもう少し深刻に参考に
しておいた方がいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○機構 リバウンドにつきましては、我々も注目して検討させていただきました。確かに
一過性に下がるというような報告もありまして、要するに下がった後もう一度少し投与前
値くらいまで上がるということです。一過性に下がることもありますので、リバウンドに
ついてはというよりも、薬を切れば一次的にさらに落ちるかもしれないということで、そ
の薬の投与終了後には血小板数を確認しなさいということは書いてありますが、リバウン
ドまでがなかなか、決して心配していないというわけではなくて、明確に現れていないの
で、添付文書にそこまで書くのかというところを検討して、しっかり終了後も血小板を見
なさいというところで安全性を担保できるのではないかと考えて、現状ではこの注意喚起
にとどめている次第です。
○松井部会長 よろしいですか。
○審査管理課長 では、情報提供等も踏まえまして検討させていただきたいと思います。
○松井部会長 ありがとうございます。リバウンドということについてですね。ほかに委
員の先生方いかがですか。ほかに特段の御質疑がなければ議決に入ろうと思います。議題
7につきまして、永井委員、古川委員、松木委員、本橋委員におかれましては、利益相反
に関する申出に基づいて議決権への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題につ
きまして承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に上程い
たします。
 議題8に移ります、医薬品機構から概要を説明してください。
○機構 それでは議題8、資料8、ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mLの製造販売承認
事項一部変更承認の可否等について、機構より説明いたします。
 本剤の有効成分であるアダリムマブ(遺伝子組換え)は、ヒトのTNFαに対し、高い親
和性と選択性を有するIgG1サブクラスのヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体
です。
 本邦において、本剤は、2008年4月に関節リウマチ、2010年1月に乾癬に係る効能・
効果で承認されていますが、今般の申請は、「既存治療で効果不十分な強直性脊椎炎」を
新規効能・効果として追加するものです。
 強直性脊椎炎(以下「AS」)は、脊椎と仙腸関節を主な病変部位とする免疫介在性の慢
性炎症疾患であり、病変部位では靭帯と骨の付着部位に炎症が起こり、疼痛・腫張、運動
制限等がみられ、重症例では組織の石灰化や骨化を来たし、脊椎強直に至る疾患です。本
邦における患者数は数千人程度と推定されています。本申請については、疾患の重篤性を
かんがみて、平成22年1月15日付けで優先審査の対象として指定されています。 海外
においては、2010年5月現在、ASに係る適応で74か国で承認されています。
 本申請の専門委員としては、資料19に記載されています5名の委員を指名いたしまし
た。
 主な審査内容について簡単に説明いたします。審査報告書の9ページの中段(2)外国人
患者を対象とした試験1)第?V相試験の項を御覧ください。海外第?V相試験として、NSAIDs
で効果不十分なAS患者315例を対象に、本剤40mg又はプラセボを2週間に1回皮下投
与した際の有効性及び安全性を比較する無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施され
ています。その結果、10ページの表4に示していますように、主要評価項目である投与
12週時のASAS20反応率は、プラセボ群20.6%に対し、本剤群では58.2%であり、本
剤群において有意な改善が認められています。なお、ここで使用していますASAS20
反応率は、患者の疾患活動性評価、疼痛、身体機能、炎症の4つの構成項目のうち、3つ
以上が20%以上かつVASで10mm以上改善し、残りの1項目も悪化をしていない症例の
割合を表しているものです。
 日本人患者における成績については、8ページの中段、1)国内第?V相試験の項を御覧
ください。本邦では患者数が少ないため、NSAIDsで効果不十分なAS患者41例を対象と
した非盲検非対照試験が実施され、海外試験の用法・用量と同様に本剤40mgを2週間に
1回皮下投与した際の有効性及び安全性が検討されています。その結果、本文中に記載し
ていますが、主要評価項目である投与12週時のASAS20反応率は73.2%、41例中30
例との成績が得られています。以上により、海外の試験成績も勘案した上で、機構はAS
に対する本剤の有効性は示されたものと判断しています。
 次に15ページの下段、(3)安全性についての項を御覧ください。AS患者と既承認の
関節リウマチ患者、乾癬患者の安全性プロファイルを比較した結果を16ページの表9及
び表10に示しています。疾患間で大きな相違はなく、現時点では、AS患者に特異的な
安全性上の問題は認められていません。しかしながら、国内臨床試験で検討された症例数
は非常に少なく、海外においても市販後も含めAS患者に対する本剤の使用経験は限られ
ていること、また、本疾患では、関節外症状としてぶどう膜炎、炎症性腸疾患等を高頻度
に合併し、これらの合併症に対する本剤の影響も不明であることなどから、製造販売後に
は投与症例全例を対象とする使用成績調査を実施し、AS患者における安全性プロファイ
ルをさらに把握できるよう、情報を集積する必要があると考えています。
 以上の審査を踏まえ、承認条件として、審査報告書では21ページに記載のとおり、「国
内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータ
が蓄績されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用
患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収
集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること」。これを付した上で、本申請を承認し
て差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしま
した。
 本申請に係る再審査期間は、関節リウマチに係る再審査期間が平成28年4月までであ
ることから、残余期間とすることが適当と判断しています。薬事分科会には報告を予定し
ております。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。議題8につきまして委員の先生方から御質疑を
お願いいたします。いかがでしょうか。質疑はありませんか。特別の御意見がないようで
すので議決に入ってよろしいですか。それでは議決に入りますが、千葉委員、永井委員、
成冨委員、林委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参
加を御遠慮ください。本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。 ありが
とうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させてい
ただきます。
 議題9に入ります。千葉委員は議題9の審議の間、別室で御待機ください。
── 千葉委員退室 ──
○松井部会長 議題9について、医薬品機構から御説明をお願いします。
○機構 議題9、資料9-1及び9-2、医薬品ミンクリア内用散布液0.8%の製造販売承認
の可否等について、機構より御説明申し上げます。
 上部消化管内視鏡検査において、消化管の蠕動運動は正確な検査の妨げとなることか
ら、蠕動運動を抑制するためにブチルスコポラミン臭化物注射剤やグルカゴン注射剤が使
用されていますが、これらの薬剤には禁忌や慎重投与とされる疾患があるため、使用が困
難な場合はこれらの消化管運動抑制剤を使用せずに内視鏡検査が実施されています。
 一方で、ペパーミントオイルについて、下部消化管内視鏡検査及び注腸造影において蠕
動運動を抑制したこと等が報告されており、また、上部消化管内視鏡検査の前処置薬とし
てペパーミントオイルを界面活性剤で可溶化した院内製剤を使用した臨床研究が国内に
おいて実施されています。これらの知見に基づき、申請者である日本製薬株式会社は、ペ
パーミントオイルの主要成分であるl-メントールを有効成分とする製剤を開発し、上部
消化管内視鏡検査の前処置薬として臨床開発を行いました。
 今般、国内臨床試験成績に基づき、l-メントールの上部消化管内視鏡検査時における
胃蠕動運動の抑制効果が確認されたことから、新効能医薬品としての承認申請がなされま
した。
 なお、2010年6月現在、上部消化管内視鏡検査時における胃蠕動運動抑制を目的とし
たl-メントール製剤が承認されている国はありません。
 本品目の専門協議では、本日の配付資料19にあります専門委員が指名されています。
 以下、本薬の有効性、安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
5つの国内臨床試験成績が、臨床試験成績として提出されています。
 有効性に関してですが、報告書23ページ表11をご覧ください。胃の内視鏡検査を必要
とする被検者を対象に実施された国内第?V相比較試験の結果、主要評価項目である「治験
薬投与2分後及び内視鏡検査終了時ともに蠕動運動が「なし」の被検者の割合」について、
プラセボ群に対する本薬160mg群の優越性が検証されたことから、機構は有効性は示され
たと判断いたしました。
 安全性に関してですが、報告書28ページの表19を御覧ください。胃の内視鏡検査を必
要とする被検者を対象とした3試験及び健康成人を対象とした2試験の有害事象につい
て、プラセボ群と本薬投与群の有害事象の発現率に大きな差は認められておらず、本薬投
与により臨床的に問題となるような事象が発現する傾向は認められませんでした。また、
すべての臨床試験において死亡例は認められておらず、重篤な有害事象は食道生検の「処
置後出血」の1例のみであり、本薬との因果関係は否定されています。以上から、現時点
で特段安全性上問題となるような事象は認められていないと考えました。
 以上のような機構での審査の結果、本薬の申請効能に対する有効性は認められ、安全性
は許容可能と考えられることから、承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審
議されることが適当と判断いたしました。なお、本薬は新効能・新用量医薬品に該当する
ことから、再審査期間は4年、原薬及び製剤は毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品及
び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を
予定しております。
 御審議をどうぞよろしくお願い申し上げます。 
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質疑をお願いいたします。い
かがでしょうか。
○加藤委員 有効性あるいは臨床応用性に関して問題がないと思いますが、l-メントー
ルがターゲットとしている分子機構がたくさんある中で、薬効・薬理という面で、これを
市場に出すのにどうしてこういう作用が出るのかに関してのエビデンスがまだあまりに
も足りないように思います。ただ臨床に出す、市場に出すという意味では問題がないと思
うのですが、今後さらになぜこのような作用があるのかということを、もう少し研究をす
る必要があるのかなと思います。
 例えば1.8の添付文書案を見ますと、そこに作用機序ということで、細胞膜上にあるL
型カルシウムチャンネルに結合するということがあって、そこで引かれている引用文献で
88年、91年、カルシウムチャンネルのブロックはもうほとんど存在しない。報告書にも
ありますが、まだクローニングされたものが1個か2個ぐらいあるかないかぐらいの時代
の文献しかない。それ以降に御存じの、l-メントールが結合するいろいろな分子がたく
さん同定されているので、この消化管に対する蠕動を抑えるという作用がどういう機序な
のかということに関しては、もう少しきちんとした薬理学的解析が必要で、それに基づい
た添付文書の記述が必要なのではないかと私は思います。
○機構 御指摘ありがとうございます。先生の御指摘のように、本薬の作用機序としては
不明な点がまだ多いということで、主なメカニズムとして考えられるものとしては、今の
段階ではL型のカルシウムチャンネルに作用することだろうということは推測はできる
と現段階では思っています。ただ、メカニズム的に今後も新しい分子機構等がいろいろ言
われてきているところなので、今後もさらに検討をしていただくように、企業の方には先
生からの御指摘を伝えさせていただきたいと思います。御指摘ありがとうございます。
○松木委員 やはりL型のカルシウムチャンネルブロックでは全然説明がつかないと思
います。そうしたらL型のカルシウムチャンネルブロックはすべて重篤な便秘作用等を起
こすはずですが、そうではないので、まあ、一つはあるかもしれないですが。これだけを
作用機序としてあげるというのは、非常に私は違和感を感じて、むしろこれはない方がい
いのではないかと思っています。
○松井部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。御質疑ありませんか。
では、今の作用機序については宿題ということですね。特段の御意見がほかにないようで
したら議決に入りたいと思いますが、よろしいですか。本議題につきまして、承認を可と
してよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告
いたします。
── 千葉委員入室 ──
○松井部会長 それでは議題の10に移ります。議題10につきまして医薬品機構から御説
明をお願いします。
○機構 それでは議題10、資料10、医薬品ラディオガルダーゼカプセル500mgの製造販
売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。
 セシウムの主な放射性同位体であるセシウム-134及び-137は核分裂反応生成物であ
り、原子力発電所の廃棄物や核実験による放射性降下物に含まれ、また、セシウム-137
はがんの治療のためのガンマ線源や器具の滅菌等のガンマ線源とされる等、工業用に使用
される代表的な放射性同位元素の一つです。
 放射性セシウムに曝露された場合、呼吸器官や消化器官を介して体内に取り込まれ、大
部分は腸肝循環を受けて体内に長期間にわたり貯留することが知られており、放射性セシ
ウムの内部被曝線量に応じて、骨髄、消化管等の障害が認められ、死に至る可能性もあり
ます。
 放射線セシウムによる体内汚染に対する治療としては、胃洗浄、下剤等により一定の効
果が期待できるものの、体内に吸収された放射性セシウムの除去には効果的ではないた
め、吸収された放射性セシウムを可能な限り早期に除去する薬剤の開発が望まれていま
す。
 本薬の成分であるヘキサシアノ鉄(?U)酸鉄(?V)水和物は、ドイツで染料として合成され
たフェロシアン化化合物であり、プルシアンブルーと呼ばれる青色顔料として汎用されて
おりますが、セシウムと結合することが古くから知られており、海外では放射性セシウム
の除去剤としても用いられています。
 一方、我が国においては、2008年10月に原子力安全委員会が改訂した「緊急被ばく医
療のあり方について」に、内部被曝の具体的な治療法や治療薬剤が追記され、放射性セシ
ウムの体内汚染に対する薬剤として本薬が記載されました。
 また、日本医学放射線学会等より本薬の早期承認等に関する要望がなされており、2009
年8月には、日本医学放射線学会及び日本核医学会より「医療上の必要性が高い未承認の
医薬品又は適応の開発の要望に関する意見募集について」に基づき、厚生労働省に放射線
物質による体内汚染の除去剤の早期承認に関する要望書が提出されました。
 以上の状況を踏まえ、申請者は、本薬の米国承認時における資料等を基に、本薬の放射
性セシウムによる体内汚染除去剤としての品質、有効性及び安全性に係る根拠資料をまと
め、本薬の承認申請に至りました。
 本薬はドイツにおいて35年以上販売されており、欧州統合によりドイツ医薬品法令が
改正されたのに伴い1997年9月には販売承認を取得し、また、2003年10月には米国で
承認されております。本邦において、放射性セシウムの体内汚染の除去を目的として承認
されている薬剤はありません。なお、本申請については、保健衛生上特に審査及び調査を
迅速に進める必要性が高いと判断され、厚生労働省から迅速処理に係る通知が発出されて
います。
 本品目の専門協議では、本日の配付資料19に示します専門委員が指名されています。
 機構は、本申請の効能・効果に対し、有効性及び安全性を評価するための臨床試験を行
うことは事実上不可能であることから、本薬の臨床使用経験等に関する公表論文等の資料
を基に審査を行うことといたしました。以下、本薬の有効性及び安全性について説明させ
ていただきます。
 有効性に関してですが、報告書11ページの表4を御覧ください。動物を用いた試験に
おいて、ラットに塩化セシウム-137を単回静脈内投与後、本薬を含む飲用水を摂取させ
ることにより、セシウム-137の各組織における滞留率の低下が認められました。
 また、報告書23ページの表7を御覧ください。ゴイアニアにおける事故において、セ
シウム137の生物学的半減期の本薬投与による短縮が認められています。以上から、機構
は、本薬の投与により放射線内部被曝の軽減が可能と考え、放射性Csの体内汚染に対し
て内部被曝の軽減を目的とした本薬投与の有効性が期待できると判断いたしました。
 安全性に関してですが、報告書28ページを御覧ください。ゴイアニア事故の際の本薬
投与において認められた有害事象として、主に便秘が報告されていますが、食事中の繊維
質の量を増やすことや緩下剤を投与することで対応可能であったことが報告されていま
す。また、利尿剤を併用した3例に低カリウム血症が認められ、カリウム製剤により補正
されたことが報告されています。
 さらに、1日当たり本薬20gが経口投与された4例全例で胃部不快感が認められ、直ち
に減量されています。以上の点に関しては、添付文書において適切に注意喚起することで
対応可能であると考えられ、現時点では安全性上特段問題となる事象は認められていない
と考えました。
 以上のような機構での審査の結果、本薬の有効性は期待でき、安全性は許容可能と考え
られることから、承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適
当と判断いたしました。
 本薬は新有効成分含有医薬品に該当することから再審査期間は8年、原薬及び製剤は毒
薬及び劇薬には該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと
判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。
 なお、本薬の国内での臨床使用経験はなく、海外においても非常に限られていることか
ら、本薬が投与された全症例を対象に、使用成績調査を実施する旨の承認条件を付すこと
が適切であると判断いたしました。
 御審議どうぞよろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 ありがとうございます。それでは委員の先生方から御質疑をお願いしま
す。
○佐藤委員 初めて聞いたものなので知識として教えていただきたいのですが、結局、迅
速に申請を認可して、そして、備蓄する必要があるものだと解釈したのですが、これは今
までの審議した薬のように、世の中に広く置いておく、備蓄するものではなく、ある一定
の必要に応じて迅速にそれが使えるように、国として保管をするために置いておくような
ものなのでしょうか。
○機構 機構より御説明申し上げます。本薬が使用される施設としましては、主に放射性
物質に対する知識がある施設である三次医療施設や二次医療施設が想定されます。そちら
に必要に応じて備蓄をされるということが、今の段階では想定されているところです。あ
とは必要に応じて各市、国などが必要において備蓄をする体制が今後とられるのではない
かと想定いたしております。
○松井部会長 今のお答えでよろしいですか。ほかにいかがでしょうか。
○鈴木委員 JCOの事故が出ていましたが、私はあのすぐ近くでして、本当に何も治療
法がない病気みたいなもので、もう逃げるしかない。あとはその経過を見て放射線量を測
るしかないというか、そういう治療の全くない状況になりますので、何か随分古そうな気
もするのですが、こういったものでも、何もないよりはいいのかなということで、是非承
認をお願いいたします。
○清水委員 今、機構の方から説明されたような施設以外で使われる可能性というのも、
それは否定されるものではないのですか。
○機構 報告書の26ページを御覧ください。こちらに記載してありますように、本薬は
放射性物質の除去ということで、それなりの知識がある施設でないと、やはり使えないだ
ろうということで、一般の医療機関では使用が限られる可能性があります。したがって二
次医療施設、三次医療施設、又は放医研等の指導の下で使われる状況が想定されると考え
ています。
○清水委員 そうであれば取り越し苦労かもしれませんが、汚物の処理に関する情報提供
をきちんとしておかないと、思わぬところで二次災害ということが起こる可能性があるか
と思ったので、確認させてもらいました。
○機構 汚物に関しても、便中に本薬と結合したセシウムが排泄されるということで、汚
物に関する注意喚起としては、添付文書の2ページ、その他の注意に記載しています。排
泄物等の取扱いについては、医療法その他の放射線防護に関する法令等を遵守して処理し
ていただきたいということを、添付文書では注意喚起をさせていただいております。また、
資材等でもその処理の方法については、十分説明をいただくように企業の方には指導をし
ているところです。
○松井部会長 ほかにございますか。それでは、議決に入ろうと思いますがよろしいでし
ょうか。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。
 異議がないものと認めます。承認を可として薬事分科会に報告いたします。
 議題11、永井委員におかれましては審議の間、別室で御待機ください。
── 永井委員退室 ──
○松井部会長 議題11につきまして、医薬品機構から御説明をお願いします。
○機構 議題11、資料11、医薬品リリカカプセル25mg、同カプセル75mg、同カプセル
150mgの製造販売承認事項一部変更の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説
明させていただきます。
 本剤の有効成分であるプレガバリンは、γ-アミノ酪酸(GABA)の誘導体であり、海
外では2010年3月現在、105の国又は地域で承認されています。本邦では、19□年□月
より臨床試験が開始され、今般、糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛に対する有効性及び安
全性が確認されたことから、既承認効能・効果である帯状疱疹後神経痛を含めた末梢性神
経障害性疼痛を新たな効能・効果として、製造販売承認事項一部変更申請が行われました。
 本申請の専門委員としては資料19に記載されています4名の委員を指名しておりま
す。
 審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。まず、有効性について
ですが、審査報告書8ページの上の表を御覧ください。糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛
を有する患者を対象とした国内第?V相試験において、主要評価項目であるFASでの最終
評価時におけるベースラインからの週平均疼痛スコアの変化量は、本剤300mg群において
プラセボ群と比較して統計学的な有意差が認められています。
 また、本剤の安全性については審査報告書16ページの表を御覧ください。帯状疱疹後
神経痛及び糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛患者を対象とした国内臨床試験における有
害事象では、主な有害事象は浮動性めまい、傾眠、末梢性浮腫、体重増加等であり、用量
依存的に発現率が増加する傾向が認められましたが、いずれの疾患においても大きな差異
は認められていません。
 審査報告書10ページ、「(1)本剤の効能・効果及び末梢性神経障害性疼痛における臨
床的位置付けについて」の項を御覧ください。本剤については、既に帯状疱疹後神経痛に
対して承認されており、今回、糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛に対しても同一の用量で
有効性が検証され、安全性上も特に大きな問題は認められなかったことから、末梢性神経
障害性疼痛の中でも代表的な複数の疾患に対する有効性及び安全性が確認されたと考え
ています。末梢性神経障害性疼痛には、帯状疱疹後神経痛をはじめ種々の疼痛が含まれま
すが、原因疾患及び病態にかかわらず、神経の一次障害又は機能異常による神経の異常興
奮及びその興奮により惹起される脊髄の過敏化が重要な役割を果たしており、生じた疼痛
や知覚異常は臨床的に同様の性質を有し、障害部位を問わず一つの病態として分類できる
と考えられています。また、国際疼痛学会の薬物治療ガイドラインでは、複数の疾患・病
態に伴う神経障害性疼痛に対し有効性が示されている場合には、その他の病態に伴う神経
障害性疼痛に対しても有効性が示されると考えられていまして、本剤の海外臨床試験で
は、種々の末梢性神経障害性疼痛患者を対象とした試験が実施されていまして、その有効
性が示されています。以上を踏まえまして、本剤の効能・効果については「末梢性神経障
害性疼痛」と設定することが適切と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本剤の末梢性神経障害性疼痛に対する効能・効果を承認して差し
支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。
本申請は新効能医薬品であり、再審査期間は帯状疱疹後神経痛で設定された再審査期間で
ある8年間の残余期間である平成30年4月15日までとすることが適切と判断しておりま
す。なお、薬事分科会には報告を予定しております。
 以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御意見・御質問をお願いいたし
ます。
○本橋委員 これは、恐らく前に出ていたので、申し上げるのは申し訳ないかもしれない
のですが、添付文書の相互作用(3)のところに、併用注意のところの2番目にオキシコド
ン、ロラゼパムという、具体的にかなり特定のベンゾジアゼピン系の薬物が出ているので
すが、これはどういうことなのですか。ロラゼパムだけを注意しなければいけないのか、
それとももっとほかのベンゾジアゼピン系の薬物も注意が必要なのか、その辺が分からな
いのです。 
○機構 本剤とロラゼパムに関しては、薬物相互作用試験を実施していまして、この中で
薬物動態以外に薬力学的な相互作用も検討しています。その結果、このロラゼパムとの併
用により、認知機能障害及びその粗大運動機能障害が相加的に増強される可能性が示唆さ
れたということがありまして、ここにはロラゼパムで確認されたため書かせていただきま
した。ただ、その他のベンゾジアゼピン系薬剤に関しては、実際のところ臨床試験及びそ
の相互作用等を検討しているわけではありませんので、明確にはなっていないため、ロラ
ゼパムに関しては分かったということで書かせていただいています。
○松井部会長 ロラゼパムなどは頻用される薬だから、という意図で質問されていると思
います。
○機構 可能性は当然あるというふうには考えていますが、明確なことが言えないという
ことで、ここに書かせていただいているのはロラゼパムということになります。
○本橋委員 恐らく今後、この薬も適応拡大されていくのではないかと思うのですが、そ
の時点でまた考えるということですか。
○機構 はい、今、市販後の使用成績調査に関しましては、帯状疱疹後疼痛及び糖尿病性
の神経障害性疼痛で、3,000例程度を目安にさせていただくことを想定していますが、そ
の中で使用状況も確認しながら考えさせていただきたいと思います。
○野田委員 糖尿病性の末梢神経障害に伴う疼痛には、長期的な経過によって出現してく
るものと、いわゆるポストトリートメントニューロパシーということで、血糖低下をある
程度、急速に行った後に出てくるものがありますが、両方を含んでこの臨床試験が行われ
て、いずれに対しても有効性があったという理解でよろしいのでしょうか。
○機構 その点に関しましては、この薬の臨床試験、国内では組入基準としては、少なく
とも1型・2型の糖尿病と診断され、少なくとも1年経過している患者ということは規定
していますが、その辺りを明確にしているわけではありません。
○松井部会長 ほかにございませんか。
○加藤委員 今回の効能拡大が問題点になっていて、要するに末梢性神経障害性疼痛が今
度、効果・効能になったということです。神経障害性疼痛には、かなりいろいろな種類が
あるのですが、そのうちの2種類に効けば、神経障害性疼痛を効能にしてもよいというル
ールがあるということが、どこかに書いてあったと思うのです。ただし、その2種類で効
いたということが、必ずしも様々なモダリティを持つ神経障害性疼痛にすべて有効だとい
うことにはほとんど限らないというのは、基礎系の痛みの研究をやっている人には当然の
常識になっています。
 そうして考えた場合に、例えば添付文書に効能・効果が末梢性神経障害性疼痛になって
いるからといって、ここで実証されているのは、実は糖尿病性と帯状疱疹性のものである
ということで、もし、有効ではないようなタイプの末梢性神経障害性疼痛である場合には、
その投与を見直すとか、漫然と投与をしないとか、何かそういうようなことをきちんと警
告しておく必要がないのかなと感じたのですが、いかがでしょうか。
○機構 末梢性神経障害性疼痛というものの範囲に関しましては、資料でいけば2.5の5
ページにありますが、表の1の中に含まれる神経障害性疼痛に含まれる疾患を記載させて
いただいています。
 漫然と投与しないということに関しましては、先生が御指摘いただいている点に関して
は、今、申請者の方で配付していますパンフレット等において、この薬で効果が認められ
ない場合には、漫然と投与をしないということに関して、前回の帯状疱疹後の議論のとき
にも指摘がありましたので、その点を含めて書かせていただきました。
○加藤委員 私、十分勉強が行き届いていないのですが、本剤と類似の作用を有するガバ
ベンチンの効能・効果は、今のわが国の状況としてはどういうふうに承認されていますか。
○機構 ガバベンチンに関しましては、今、部分てんかん発作の併用療法が適応となって
いるところです。神経障害性疼痛等に関する適応はございません。
○加藤委員 適応は、国内ではまだない。
○機構 ないです、□□□□□□□□□□□
○加藤委員 海外では認められていますね。
○機構 海外では開発されていますが、ガバベンチンとプレガバリンに関しましては、ア
メリカのファイザー社が開発しています。本邦においては、□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□ということです。
○加藤委員 伺いたいのは、今後こういうような末梢性の神経障害性疼痛に対する薬物が
どんどん開発されてくると思うのですが、その場合も2種類の神経障害性疼痛に有効であ
れば、こういう末梢性神経障害性疼痛という一般的な効能・効果にしてもよいのだという
ルールでいくのかどうかということです。 
○機構 その点については審査の段階、あるいは治験相談の段階からずっと議論をしてい
まして、関連の学会の先生たちとも議論をしながら我々も審査を進めてまいりました。先
ほどお示しいただいた末梢性神経障害疼痛に含まれる、それ以外の疾患等を見ていただけ
れば分かるのですが、現実問題、例えば外傷性のものとか本来の治験、いわゆる検証的な
試験を実際にやることが難しい疾患が多い。その中で今回の糖尿病性末梢神経障害と帯状
疱疹後神経痛が代表的な疾患になり得るかという観点で我々は検討をしてきまして、そこ
は関連学会の先生方も含めてコンセンサスをある程度得られたと考えています。
 海外でも例えばEMA等でも、この二つの疾患を代表疾患として末梢性神経障害性疼痛
に承認をしていくという考え方をしていますので、今後、我々としてはこの二つの疾患で
検証的試験を行っていただいて、それ以外の疾患については、例えば長期試験の中でフォ
ローしていただくとか、製造販売後でフォローしていただくということで考えています。
 今回の場合は、検証的試験は2つできちんと成立をしていて、それ以外の、これはブリ
ッチングでもともと承認をしていて、海外試験を外挿しているというパターンで承認して
います。海外ではそれ以外の疾患での神経障害性疼痛に対してもそれなりに有効性が認め
られている状況ですので、今回は末梢性神経障害性疼痛に対して承認することを考えてお
ります。
○松井部会長 ほかにございますか。それでは議決に入ってよろしいでしょうか。なお、
議決におきましては加藤委員、林委員、本橋委員には利益相反に関する申出に基づきまし
て、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。
 本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。
 異議のないものと認めますので、承認を可とし、薬事分科会に報告いたします。
 議題12につきまして、事務局から概要を説明してください。
○事務局 事務局より5-アミノレブリン酸塩酸塩を希少疾病用医薬品として指定するこ
との可否に関して、資料12に基づいて説明させていただきます。
 資料12の評価報告書の項を御覧ください。医薬品医療機器総合機構が事前評価をまと
めていますので、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の三点について御説明申し
上げます。品目の名称は5-アミノレブリン酸塩酸塩で、「悪性神経膠腫の腫瘍摘出術中
における腫瘍組織の視覚化」を予定の効能・効果とする体内診断薬です。申請者はノーベ
ルファーマ株式会社です。
 対象疾患である悪性神経膠腫の患者数についてです。まず神経膠腫とは脳内の神経膠細
胞から発生する原発性脳腫瘍の総称であり、その中で悪性神経膠腫はWHOグレード?V及
び?Wに分類される腫瘍が該当します。日本病理学会脳腫瘍全国統計委員会の資料によりま
すと、脳腫瘍の発生頻度は10万人に8~10人程度。神経膠腫の発生頻度はその内の約30
%とされており、本邦における神経膠腫の患者数は約3,600人と推定されます。さらに脳
腫瘍全国統計委員会が実施した疫学調査の報告によりますと、神経膠腫の患者のうち、悪
性神経膠腫に分類される患者の割合は、約60%とされています。以上より本邦における
悪性神経膠腫の患者数は約2,200人と推定され、5万人未満であることから、希少疾病用
医薬品の指定要件を満たすものと判断しています。
 次に医療上の必要性についてです。悪性神経膠腫の1年及び5年生存率は、約64%及
び22%と報告されており、その予後が悪い理由として、腫瘍が浸潤性であり、正常の組
織と腫瘍細胞が混在しているため、手術における全摘出が困難であることなどが挙げられ
ています。
 本剤は腫瘍摘出術中における腫瘍組織の視覚化を目的とした体内診断薬であり、本剤の
経口投与後に代謝されて生じるProtoporphyrin?は、腫瘍細胞に選択的に蓄積され、青
色光線で励起されると赤色の蛍光を発する性質を有します。この性質を利用し、腫瘍摘出
術前に本剤を経口投与することによって、術中に腫瘍部位を特異的に標識することが可能
となり、正常組織との識別を容易にします。
 本剤は、欧州において2002年に希少疾病用医薬品に指定され、2007年に「悪性神経膠
腫グレード?V及び?Wの手術中における悪性組織の視覚化」を効能・効果として、販売承認
を受けています。海外で実施された悪性神経膠腫患者を対象とした本剤投与による蛍光下
切除術と、従来の白色光下切除術との無作為化比較試験において、残存腫瘍のない患者の
割合及び6か月無増悪生存率がともに本剤投与群で有意に優れているなどの結果が得ら
れたことから、悪性神経膠腫摘出予定患者に対して、本剤を投与する意義があると考えら
れました。
 以上を踏まえまして、本剤の対象は重篤で予後不良とされる疾患であり、代替する適切
な医薬品が国内にはなく、腫瘍摘出の向上が期待できる本剤の医療上の必要性は高いと判
断いたしました。
 3つ目に本剤の開発の可能性についてです。申請者は追加非臨床試験の他、初発及び再
発の悪性神経膠腫患者を対象とした国内第?V相試験を計画しており、本剤の開発の可能性
はあると考えられます。以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の三点を考え
ますと、本剤につきまして希少疾病用医薬品としての要件を満たすと判断しております。
 御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質疑をお願いします。
○佐藤委員 参考意見として聞かせてください。神経膠腫だけではなく、ほかの悪性腫瘍
にも適用できるようになると、とても有り難いと思っているのですが、ここにある青色光
線、波長が多分決まった何か特殊な光線で励起させるものなのでしょうか。それとも単純
なものが、もちろんセットにして用意はされるのでしょうけれども、参考までに教えてく
ださい。
○松井部会長 いかがですか。可視化の機序ということだと思いますが。
○機構 青色光線につきましては、波長400~410nmの青色の光線により励起して、赤色
を呈する部分が悪性腫瘍の部分になります。この励起光を発生する医療機器についても将
来的には併せてその効能についての承認ということになろうかと思いますが、現時点でこ
のアミノレブリン酸につきまして、希少疾病用医薬品として承認することは現段階で適切
と考えています。
○松井部会長 詳細は分かってないと理解していいのでしょうか。
○機構 いいえ、波長についてはこの波長で用いるときちんと赤色に見えるということに
ついては、機序としてははっきりしています。
○佐藤委員 ついでにといっては申し訳ないのですが、神経膠腫の所だけに効果を示すと
いうか発色するというのは、何か今お分かりになってないというのですが、どこかに吸着
するとか、そういうのが分かっているのでしょうか。
○機構 正常細胞には集積しないのですが、このものの性質として腫瘍細胞に選択的に集
積するという特性があり、この神経膠腫に限らず、例えばヨーロッパ辺りでは膀胱癌とか、
その辺りの可視化という用途で、日本でも幾分か使われているようではありますが、腫瘍
細胞に選択的に集積する特性があるということで、神経膠腫に限った集積ではなく、ほか
にも集積するタイプの細胞がありますので、それに向けての開発も多岐にわたり行われて
いるということです。
○松井部会長 ほかに御質疑はありませんか。問題はないと考えていいのでしょうか。議
決に入ってよろしいですか。本議題について、指定を可としてよろしいですか。
 御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告します。
 議題13に入ってください。事務局から概要を御説明ください。
○事務局 資料13を御覧ください。オキシメタゾリンとして0.05%以下を含有する外用
薬の劇薬指定の要否について説明いたします。
 資料を1枚おめくりください。局所血管収縮剤であるオキシメタゾリンの点鼻・点眼液
は、昭和42年に医療用医薬品として承認されており、オキシメタゾリンとして0.05%以
下を含有する外用剤は劇薬に指定されています。
 今般、当該成分を有効成分とするナシビンMスプレーが「急性鼻炎等における鼻詰まり」
を効能・効果とする一般用医薬品として承認申請され、8月23日の一般用医薬品部会で
審議され、了承されたところです。
 現行の規定では本剤も劇薬に該当しますが、製剤における急性毒性試験の結果を見ます
と、製剤換算でのLD50がラットで1,500mg/kg以上、マウスで8,600mg/kg以上といず
れも劇薬指定基準を上回っており、また副作用は反応性充血等が主なもので、特に重篤な
ものは認められないことから、当該製剤は劇薬に該当しないということで、劇薬指定から
除外することが適当であると考えます。以上、御審議のほどお願いします。
○松井部会長 劇薬指定からの除外ということですが、委員の先生方から御質疑をお願い
します。特にありませんか。議決に入ろうと思いますが、野田委員、林委員におかれまし
ては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮ください。劇薬から
の除外を可としてよろしいでしょうか。
 異議がないようですので、毒薬及び劇薬の指定は不要とし、薬事分科会に報告します。
 この次ですが、お二人の参考人の先生には長くお待たせしてしまいました。大変申し訳
ありませんでした。その他の事項、議題1に入ろうと思うのですが、その後に報告事項と
いうことにします。その他の事項について、事務局より説明をお願いします。
○事務局 事務局から簡単に今回の経緯等について説明申し上げます。資料17の3ペー
ジに「未承認薬・適応外薬に係る開発の要望の公募について」と書いてあります。未承認
薬・適応外薬の問題については、いろいろと解決していかなければいけないという状況が
ありました。そこで、昨年6~8月になりますが、学会など厚生労働省のホームページで
開発要望ということで開発を要望する品目についての募集を行いました。その結果、3ペ
ージの左下にありますが、374件の要望が寄せられたという状況です。
 4ページですが、その後、今年2月に「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討
会議」を立ち上げ、374件についての検討を始めたということです。
 374件の募集の条件としては、3ページに戻ってしまいますが、未承認薬・適応外薬と
も、欧米の4か国、米、英、独、仏で承認されているが、我が国で承認されていないもの
と。適応外薬については、海外4か国で承認されていなくても公的保険が適用されている
ものというものも検討の対象としますとしました。さらに、医療上必要性が高いものとい
うことで、適応疾病の重篤性が高いものとか、他に既存の療法が国内にないという有用性
が高いもの、ということで条件を付けたということです。
 374件のうち、そもそも海外での承認などが確認できなかったものが約100件ほどあり
ました。さらに、その検討会議で残りの部分の約半分近くについて医療上の必要性の評価
を行い、まだ必要性を検討中のものも5月の時点で約130ほどあったわけです。
 医療上の必要性がありと評価されたものについては、5月末に国からその関係企業に対
して開発要請という形をとったわけです。開発要請をとったものについては、公知申請に
該当するものについては6か月以内に公知申請をする。それ以外で治験などが必要だとい
うものについては、1年以内に治験に着手するというルールがあり、それに向けて企業は
今取組みを始めているというところです。
 そこで、108件について開発を要請ということで行ったわけですが、そのうち企業が公
知申請に該当するのではないかと考える意見を出してきたものについて、検討会議で検討
を行って、公知申請に該当というものがまだ検討中のものもあるのですが、8月上旬の段
階で5成分について公知申請に該当すると考えてもよいのではないか、ということで検討
会議で報告書が取りまとめられた状況です。
 5成分のうち第一部会に関係する2成分について、今回、公知申請の該当性に係る報告
書について御説明申し上げ、この後承認申請が行われて、承認まで6か月ということで審
査が行われるわけですが、迅速に審査を行うために事前評価として、ここで公知申請をし
て差し支えないものかどうかというものについて、評価をいただきたいという状況です。
以上です。
○松井部会長 ワルファリンカリウムとシクロホスファミドについて、参考人の先生から
御説明をお願いします。山本参考人からお願いします。
○山本参考人 循環器ワーキンググループの山本です。ワルファリンカリウムの公知申請
への該当性に関して、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討結果に
ついて説明します。
 資料17の9ページを御覧ください。日本小児循環器学会より本品目の既承認効能・効
果である「血栓塞栓症」の治療及び予防に関して、小児の用法・用量を追加する要望書が
提出されています。
 「要望内容における医療上の必要性について」を説明します。同じく9ページを御覧く
ださい。本剤の既承認効能・効果の一つであります血栓塞栓症は、成人・小児を問わず脳
梗塞及び脳卒中、心筋梗塞等の生命に重大な影響を及ぼす疾患につながります。
 小児においては、ワルファリンは川崎病心臓血管後遺症、人工弁置換術、フォンタン手
術等に伴う血栓塞栓症の予防に有効な薬剤として、国内外で標準的療法に位置付けられて
いますが、本法では小児の用法・用量は承認されていませんで、既存の療法が国内にない
状態にあります。したがいまして、検討会議では、本要望について医療上の必要性は高い
と判断されています。
 日本人小児における要望内容に係る本剤の有効性については、ワルファリンのフランス
での承認状況と使用実績に加えまして、資料の13~23ページにかけてお示ししています、
臨床試験成績、標準的教科書、ガイドライン等の内容も踏まえまして、海外と同様に十分
に期待できるものと判断され、小児における血栓塞栓症の治療及び予防に本剤を使用する
ことは妥当と判断されました。
 本邦における本剤の小児の用法・用量の検討内容について御説明します。資料18ペー
ジの2)を御覧ください。検討会議では、本剤の投与量は、病態、凝固能検査結果等に基
づいて個別に設定されることから、本邦における本剤の小児の用法・用量に関するエビデ
ンス、特に国内の使用実態を調査した「小児薬物療法におけるデータネットワークのモデ
ル研究の報告」を基に、小児の用法・用量を検討しました。その結果、本剤を小児におけ
る血栓塞栓症の治療及び予防に使用する用法・用量に関する情報は十分であり、国内使用
実態調査における小児の維持投与量を用法・用量に追加することは、妥当と判断されまし
た。
 以上の検討の結果、検討会議では血栓塞栓症の治療及び予防についての小児の用法・用
量を追加するために、不足している点はないものとし、本要望については、医学薬学上の
公知に該当すると判断されました。
 なお、小児へのワルファリンの投与に関しては、小児の抗凝固薬療法に精通した医師が
監督する旨、及び新生児には有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与する旨
の注意喚起がされる必要があるとされています。以上です。
○松井部会長 委員の先生方から山本先生に御質問はありませんか。よろしいですか。山
本先生、どうもありがとうございました。引き続き鈴木参考人、シクロホスファミド水和
物について御説明をお願いします。
○鈴木参考人 シクロホスファミド水和物の公知申請への該当性に関して、医療上の必要
性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討結果について説明します。
 資料17の31ページを御覧ください。シクロホスファミド水和物については、医療上の
必要性の高い未承認薬・適応外検討会議の前身であります小児薬物検討会議でも検討がな
されており、今回、日本リウマチ学会及び厚生労働省難治性血管炎に関する調査研究班よ
り、全身性血管炎への寛解導入効果をはじめとする効能・効果の拡大の要望が提出されて
います。具体的には「要望内容」の欄にお示ししている効能・効果について要望されてい
ます。
 要望のあった適応については、治療が遅くなった場合に、腎不全や多臓器不全などの重
篤な結果あるいは死亡に至ることから、生命に重大な影響のある疾患です。また、本剤は、
それらの適応に対して海外で承認されており、標準的な治療法に位置付けられています。
これらを踏まえて検討会議では、要望内容について医療上の必要性は高いと判断されまし
た。
 本要望に関しては、38~48ページに、国内外の文献調査の結果を記載していますが、
かなり古い年代から要望内容に関する文献が公表されています。これらの論文に加え、教
科書や治療ガイドラインで本剤が治療薬として推奨されていることを踏まえ、検討会議で
は臨床現場では十分に使用実態があると判断されています。
 効能・効果については57ページに記載していますが、本剤の使用は、生命及び主要臓
器の機能維持に必須と考えられる患者に限定されるべきとの判断から、「治療抵抗性」の
文言を設定することが適当とされています。また、各疾患の記載については、要望につい
て国内外の文献、成書、ガイドライン等を踏まえ検討した結果、このような記載が妥当で
あると判断されました。
 用法・用量については58ページに記載していますが、成人と小児で用法が異なること
などから、成人と小児で書き分けることが妥当と判断しました。また、注射剤の投与間隔
については、使用実態等を考慮し、成人・小児とも4週間に設定しました。成人の用法・
用量について、要望のあった用法・用量は、ドイツの用法・用量がそのまま記載されてい
ましたが、国内の文献等から注射剤については1回500~1,000mg/?u、錠剤については1
日50~100mgとすることが妥当と判断されました。
 これらの内容を含め56ページにも述べましたとおり、要望内容に係る本剤の国内外の
有効性・安全性について、外国人と日本人で異なる点はなく、本剤とステロイドを用いた
治療法は、要望疾患に対する公知の治療法として用いられていることが確認でき、また副
作用の危惧を考慮しても、その有効性は十分に認められ、重篤で生命を脅かす状態に対し
ては、使用に踏みきる必要性が強く示唆されていると判断しています。以上より、本剤の
要望に対する有効性及び安全性は、医学薬学上公知であると判断されました。
○松井部会長 委員の先生方から鈴木先生に御質問はありますか。特にありませんか。事
務局から何かお二人にお尋ねすることは特にありませんか。よろしいですか。
○事務局 特にありません。
○松井部会長 お二人の先生方、遅くまでどうもありがとうございました。御退席なさっ
て結構です。
── 山本参考人、鈴木参考人退席 ──
○松井部会長 引き続いて報告事項に移ります。議題1から御説明をお願いします。
○機構 報告事項の議題1「医薬品アンカロン錠100の製造販売承認事項一部変更承認に
ついて」報告します。資料14を御覧ください。
 本剤はNa、Ca及びKチャネル遮断作用を有するマルチチャネル遮断薬であるアミオ
ダロン塩酸塩を有効成分とする錠剤であり、「生命に危険のある下記の再発性不整脈で他
の抗不整脈薬が無効か、又は使用できない場合:心室細動、心室性頻拍、肥大型心筋症に
伴う心房細動」の効能・効果で承認されています。
 今般、サノフィ・アベンティス株式会社から、平成11年2月1日付け「適応外使用に
係る医療用医薬品の取扱いについて(研第4号・医薬審第104号)」に基づき、医学薬学上
公知であるとして、「心不全(低心機能)に伴う心房細動」の効能・効果を追加する製造販
売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断い
たしました。以上です。
○松井部会長 続けてください。
○事務局 資料15、議題2「医療用医薬品の承認条件の解除について」報告いたします。
販売名タリムス点眼液0.1%、一般名タクロリムス水和物、承認取得者、千寿製薬株式会
社の承認条件の一部解除です。
 本剤は、平成20年1月に「春季カタル(抗アレルギー剤が効果不十分な場合)」の効能
で承認されています。その際、「国内での治験症例が極めて限られていることから、製造
販売後、一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでは、全症例を対象に使用成績調査の
実施をすることにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び
有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること」の承
認条件が付されています。
 それを受けまして、本年7月20日に使用成績調査の結果が提出され、医薬品医療機器
総合機構が当該資料の審査を行いました。本調査では、効能追加の平成20年5月20日~
平成22年1月15日までに収集された安全性集積対象症例1,389例、これらを中心に解析
を行いました。提出された資料について審査を行いました結果、本剤の安全性及び有効性
について現時点で大きな問題はないと判断しています。このため、本承認条件については
確認できたと考え、解除しても差し支えないものとして判断しています。
○松井部会長 続けて16の議題3をお願いします。
○機構 議題3「医療用医薬品の再審査結果について」、まとめて報告します。資料番号
は16-1~16-5で、これらはいずれも医薬品再審査確認等結果通知書です。
 資料16-1は、一般的名称は「セビメリン塩酸塩水和物」、販売名は「エボザックカプ
セル30mg他」のもの、
 資料16-2は、一般的名称が「ピモベンダン」、販売名は「アカルディカプセル1.25他」
のもの、
 資料16-3は、一般的名称が「クエン酸シルデナフィル」、販売名が「バイアグラ錠25mg
他」のもの、
 資料16-4は、一般的名称が「バルサルタン」、販売名が「ディオバン錠20mg他」のも
の、
 資料16-5は、一般的名称が「ミコフェノール酸モフェチル」、販売名が「セルセプト
カプセル250」のものです。
 これらの品目について、市販後の使用成績調査、市販後臨床試験等に基づき再審査申請
が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3項に掲げられている承認拒否事由のい
ずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更
の必要のない「カテゴリー1」と判定したものです。以上です。
○松井部会長 以上について、委員の先生方から御質疑をお願いします。
○鈴木委員 資料17の公知申請の件は、事前評価は済んだということですか。
○松井部会長 御質疑があればお願いします。 
○鈴木委員 これは未承認薬・適応外薬の会議で公知申請が適当とされた品目の事前評価
ということで、昨日の中医協にも出てきたもので、今日の事前評価で認められれば、その
まま保険適用を認めるということになり、新しい枠組みになると思うのです。これは私も
昨日の途中まで勘違いしていたのですが、未承認薬は枠組みの対象ではないのですよね。
あくまでも適応外薬のみですよね。
○審査管理課長 いわゆる公知申請については、適応外薬を対象にしています。
○鈴木委員 では未承認薬については、公募したわけですよね。
○審査管理課長 はい。
○鈴木委員 その場合はどうなるのですか。
○審査管理課長 公募しており、今企業から開発計画を出していただいていますので、ど
ういう試験を指示するとかしないとかは、今はまだ。
○鈴木委員 その場合は、早期の保険適用とどういう関係があるわけですか。そうしたら、
それは今までと変わらないのではないですか、そちらは承認薬なのだから。
○審査管理課長 それは開発が早くなろうかと思いますので、今まで開発も要請していま
せんので、開発が全然着手されてなかったわけですが、今回、学会等の要望をいただき、
開発を要請した上で必要最小限のデータパッケージは何かということで議論しています
ので、開発は早くなります。
○鈴木委員 そうしたら、この言い方は非常に紛らわしいと思うのです。ですから、医療
上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議と言っておきながら、公知申請を行うこと
が適当と判断された品目は、適応外薬だけなわけですよね。そうしたら、ここの括弧に「公
知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の品目の事前評価」とかを入れないと、非
常に紛らわしいと私は思います。
○審査管理課長 分かりました。
○鈴木委員 昨日の中医協の資料には、よく見ると「適応外薬の新しい公知申請の事前評
価が認められて、この枠組みで保険適用をする」というものがはっきり載っていました。
今日の資料にはそういうものがないので、非常に分かりにくいので、あたかも未承認薬も
これでいくのではないかと誤解をされる。非常に期待されていた方々に誤解を招きかねな
いので、あくまでもこの枠組みで公知申請を経てというのは適応外薬だけであるのだった
ら、適応外薬と限定した方がいいと思うのです。会議の名前に惑わされる可能性があると
思うのです。
○審査管理課長 今後、また適応外薬の公知申請は上がってまいりますので、資料の作成
については注意したいと思います。
○松井部会長 誤解を受けないようにしてください。よろしいですか。今の17番に関し
て、ほかに御意見はありますか。16番の報告事項についてはいかがですか。よろしいで
すか。
 それでは、報告事項については御確認いただいたものとします。
 本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告はありますか。
○審査管理課長 最後ですが、本日、配付しました資料21ですが、以前の部会でも説明
しましたが、第一部会、第二部会の所掌の見直しということで以前に御指摘いただき、ア
レルギー用薬を第二部会に移すという形で対応を検討したいと思っています。また、来週、
第二部会もありますので、御意見を伺った上で、できれば次回の薬事分科会で所掌見直し
ということでさせていただきたいと思っています。
○松井部会長 ほかには御報告事項はありませんか。御意見はありませんか。事務局から
何か御報告はありますか。
○事務局 次回の部会は、10月29日(金)午後4時からです。よろしくお願いします。
○松井部会長 今日は遅くなりましたが、これで終了とします。どうも御苦労様でした。


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 中山(内線2746)

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