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2010年11月12日 第5回薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会 議事録
○日時
平成22年11月12日(金) 14:00 ~ 16:10
○場所
生労働省共用第18、19会議室
○議事
○衞藤座長 皆さん、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまより「第5回薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会」を開催いたします。
委員の皆様には、お忙しい中、御出席いただき、どうもありがとうございます。
本日は、都合が合わず、大杉委員は欠席となっております。
前回までの検討会では、どのようなコンセプトで教材を作成するかという観点から御議論をいただきました。そして、教材の基本的な方向性をとりまとめました。
本日は、このとりまとめに沿って教材の原案を作成していただいておりますので、これについて御議論いただきたいと思います。
それでは、議事に入りたいと思いますが、その前に事務局から本日配付しております資料の確認をお願いいたします。
○医薬品副作用被害対策室長補佐 事務局でございますけれども、本日は資料1から4までお配りしております。
資料1としまして、とりまとめていただきました「教材の基本的な方向性について」。
資料2としまして、「教材の原案」を配付しております。
それから、前回配付資料と同じものでございますけれども、「今後の教材作成のスケジュール」ということで、資料3を配付させていただいております。
それから、本日御欠席の大杉委員から意見をいただいておりますので、これを資料4として配付しております。
それから、机上配付ということで、栗原委員からいただいた資料を配付しております。
資料の不足等がありましたら、事務局までお知らせいただければと思います。
それから、補足でございますけれども、本日は原案を作成していただいた業者の方に来ていただいております。今回、企画競争という形で、いろいろな業者さんから御提案いただいた企画案を基に、デザインとかコンセプトといった考え方などを伺いながら選定するという形をとりましたけれども、座長にも御参加いただきまして、今回、中外さんが選ばれております。
本日、来ていただいておりますので、技術的な面も含めてお答えいただけると思いますので、そういった点も含めてよろしくお願いします。
○衞藤座長 ありがとうございます。
それでは、本日の議題の「教材の基本的な方向性について(案)」に関する議論に入りたいと思います。
まずは、この原案を作成していただいた業者の方から、原案作成に当たっての考え方を伺いたいと思います。
続きまして、事務局から内容についての説明を伺い、その後、まとめて意見交換を行いたいと思っております。
先ほど御紹介がありましたように、私も企画競争の審査に参加し、客観的な立場から審査させていただいて決まったと記憶しております。
この原案につきましては、本検討会でとりまとめた「教材の基本的な方向」に基づいて作成いただいているわけでありますけれども、例えば原案を作成された中外さんがどのようなところにポイントを置いて作成したのか。あるいは、中学校3年生を対象として使用することを想定しておりますが、そのような観点からデザインや構成上、どのような配慮をしたのかということ。それから、被害の実態を伝えるためにどのような工夫をしたのかといった点に関して議論の参考とするために、あらかじめお伺いしたいと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
○教材制作会社 今、御紹介いただきました株式会社中外と申します。中外製薬さんとよく勘違いされるケースがございますが、全く関係のない独立系の広告会社でございます。私、今回のプロジェクトのマネジメントをやっております種池と申します。右におりますのがクリエーティブディレクターの山口と申します。左側がライティングと編集を行っております服部と申します。よろしくお願いいたします。
まず、全体的に御説明させていただきますと、中学3年生が対象ということなのですが、私どもとしましては、中学3年生自身が子どもじみた体裁をばかにする年ごろということもありまして、特にデザイン面の辺りは子ども向けということを余り意識せずに提案させていただきました。
構成全体としましては、タイトル、リード、主文、最後に学習のポイントという流れで構成いたしました。それぞれ見開き単位で全体的に流れをつかむようにさせていただいております。
あと、被害者の方の声を多く取り上げ、被害の実態をリアルに訴求しようと心がけております。
テキストの内容につきましては、事実関係等はただいま精査中でございまして、いろいろな文献を読み込んだ中からたたき台として作成させていただいております。この辺りは今も精査中で、今後完成度を高めていくという格好になっております。
あと、実際にごらんいただいてお気付きかと思いますが、当初、サリドマイドを大きく取り上げるという方向だったと思いますが、今回、サリドマイドにつきましてもそうですが、HIVについても取り上げるスペースを設けております。
検討会の中では、薬害は正規のカリキュラムに入っていないため、果たして授業で行ってくれるのかといったネガティブな発言も聞かれたかと思います。私ども、今回提案させいただくに当たりまして、実際に現場の中学校の教師の方とか関連の方々にいろいろとインタビューを行いまして、取材いたしましたところ、同様の意見が聞かれました。先生御自身も、サリドマイド以前に、薬害そのものについても余りよくお知りになっていない。その中で、薬害についてのことを授業中に教えるということが非常に難しい。
特に、サリドマイドが今の公民の教科書に載っていないということで、ここで教えるという必然性がなかなか見付けられない。そういうことをやっていくと教科書が終わらないのですよという声が聞かれました。それであれば、実際にこういったことを授業中に取り上げてもらえるようにするにはどういった方法がいいですかとざっくばらんに聞きましたところ、教科書の中に載っていることに関連したものであれば教える機会を設けられる。
また、前回の検討会でもございましたけれども、実際の社会・公民の時間だけではなくて、総合学習の時間でも非常に取り上げやすくなるという声も聞かれましたので、今回は、開いていただきました次の見開きページにございますように、サリドマイドとHIVで1面を構成させていただきました。具体的な配分や中身につきましては、まだまだこれからブラッシュアップする格好ではございますが、そういったねらいがございます。教師が薬害に関する知識がない中で、薬害について取り上げてもらうように、こういった仕組みをとっております。
あと、例えば保健体育の授業で、エイズについて正しい知識を持ちましょう。ところで、みんなは薬害エイズを知っているというぐあいに、教師が授業を行うきっかけになるということにもつながればと考えております。
あと、被害者の声につきまして、ここに掲載しております文面につきましては、いろいろな文献の中で被害者の方の手記などを拝察してまとめさせていただきましたサンプルでございます。基本的には、これに準じた文字数のテキストを提供していただければ非常にありがたいのですが、なかなかうまく書きにくいということでしたら、別途取材をさせていただきまして、こういった分量にまとめさせていただくことも可能でございます。
あと、写真とか現行の個人名とか団体名も、今のところは仮のイメージという形でさせていただいております。
おおむね以上でございます。
○衞藤座長 ありがとうございます。
では、引き続きまして事務局から内容について説明を伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。
○医薬品副作用被害対策室長補佐 事務局でございます。内容についての説明でございますけれども、基本的にはこれまで御議論いただいた「教材の基本的な方向性」が、この教材の原案にどういうふうに反映されているのかということに関して、簡単に補足説明させていただければと思います。
まず、資料2の原案、1ページ目、2ページ目でございます。
先ほど中外さんからも説明がございましたけれども、まず「薬害ってなんだろう?」ということで、これまでどういうことが問題になったのかということを年表形式でまとめているということでございます。
それから、これまで起こった問題については、基本的に網羅的に書く。概要などについて網羅的に記載するべきだろうという御議論がこれまでございましたので、ここに記載されているような問題についてすべて記載している形になっていると考えております。
それから、ちょっと戻りますけれども、導入が必要だということもございました。導入部分で、まず薬というものは健康を守るために必要だと。だけれども、いろいろな健康被害が起きてきましたというリード。そういう御議論を踏まえた形になっていると思います。
それから、学習のポイントでございますけれども、どういった副作用があったのかを考えてもらう。その中で、これまでも御議論があった、そもそも薬には病気を治す作用と副作用もあるのだよということが書かれていると考えております。
それから、3ページ目、4ページ目をごらんいただければと思います。
これまでの中で、幾つかの事例を取り上げて詳しく見ていこうという御議論がありました。
1つは、サリドマイドを取り上げてみてはどうかということの御議論がありました。
それから、1つではなくて、もう一つということもございましたので、先ほど中外さんから説明もあったとおり、教科書に書かれている内容との関連で薬害エイズを取り上げたということだろうと考えています。
ここに関しては、最終的な一つの基本的な方向性として、例えば子どもたちへのメッセージということで、医薬品にそれぞれ携わる人がどういうふうに役割を果たしていくか。あるいは、自分たちがそういう立場になったときにどういうふうに役割を果たしていくのかということを最終的に考えていただく。それから、この社会をどういうふうにしていくのかということも含めて考えてもらえるような教材にするべきではないかという御議論があったと思いますので、考えるためのリードとなるような中身が入っているということだろうと思います。
例えば、サリドマイド、薬害エイズと2つ書いてありますけれども、右上の学習のポイントのところで、なぜ薬害が起こったのかを考えてもらう。それによって、次のページになりますけれども、各機関の方々がそれぞれ今どういう役割を担ってきて、どういうことをやるべきなのか。あるいは自分がそういう立場になったら、どういうふうに動くべきなのかということを考えられるような材料にしてもらうということで、この辺りが構成されていると考えています。
それから、次のページでございますけれども、被害者の方の声を聞こう、そういったものをしっかり取り上げるべきだという御議論がこれまであったと思います。先ほど御説明がありましたとおり、ここに書いてあるものは一つのサンプルだと思いますけれども、実際、ここからインタビューをしてつくっていくのか、あるいは実際書いていただくのかということも、やり方としては議論があるところかなと考えておりますけれども、まずは、たくさんの声が載せられるようにということで構成されているのかなと考えています。
最後、6ページになりますけれども、子どもたちへのメッセージとして、薬害を防ぐにはどうしたらいいのかということを考えてもらうのが、1つ重要なことだという議論がございました。それを考えるためには、どういった原因でこれまで問題が起こってきて、それをある意味解決できるようにするためには、自分たちはどういう意識を持って、それぞれの関係者がどういう役割を果たすべきなのか。それから、自分たちは一体何ができるのかといったところを議論できるような教材にするべきではないかという議論がございましたので、こういった形になっているのかなと考えております。
最後、もう一枚おめくりいただきますと、背表紙になっております。
1つは、関連する内容について自分で調べられるようにという御議論がございました。そういった観点から、薬の被害に関するサイト、あるいは薬そのものに関するサイトということを紹介する形で、それぞれ子どもたちが自分で調べて、薬害に関する知識についてどんどん理解を含めていってもらうといった御議論もございましたので、こういう構成になっているのではないかなと考えております。
以上、事務局から簡単な補足として御説明させていただきました。
○衞藤座長 ありがとうございました。
それでは、これから意見交換に入っていきたいと思います。教材の基本的な方向性を議論する中で、どのような教材にするかについて御議論いただきましたが、具体的な教材の原案を見て議論を行うのは今回が初めてということになります。委員の皆様がこれまで持っていらっしゃったイメージと異なる部分も、さまざまあるかと思いますので、本日出し尽くすことができない意見については、後日、文書で提出いただくことも考えておりますが、できる限り、この場で意見を出していただきますようにお願いいたします。
教材を今年度中に配布するためには、来月、年末までには教材の内容を確定させる必要がありますので、皆様の御協力をお願いしたいと思います。
まず、意見交換の進め方ですけれども、議論が拡散しないようにということと、原案について一通り議論したいということもありますので、幾つかのパートに区切って議論を行いたいと考えています。
まずは、教材の構成やカラーなど、全体的な点について意見交換を行い、その後、各ページの細部について意見交換できればいかがかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日御欠席の大杉委員から意見をいただいておりますので、まず大杉委員からの意見を事務局から御紹介いただけますでしょうか。
○医薬品副作用被害対策室長補佐 それでは、本日欠席の大杉委員の御意見について簡単に御紹介させていただきますけれども、資料4をごらんいただければと思います。読み上げさせていただきます。
教材案の見開きページの左上にある「薬害ってなんだろう?」「どのようにして薬害は起こるのだろう?」「薬害を防ぐにはどうすればいいのだろう?」というテーマについては、この教材で何を学ぶかがわかるので、教材としては大変よい問いかけになっている。原案どおりでよろしいかと思いますけれども、学習のポイントがあるので学びやすいのではないかと思いますということが1つ目でございます。
2つ目としましては、3ページから4ページ目、「どのようにして薬害は起こるのだろう?」ということにつきましては、現在、事例が2つありますが、新採用から5年目までの先生方が増えているので、教える側も薬害について詳しく知らないため、事例として取り上げる薬害については詳しく内容を示した方がよい。また、文字資料だけでは生徒も理解しにくいので、イラストや図表を入れた方がよいということです。
それから、事例を1つに絞った方がよいのではないかということでございます。その際、サリドマイドとHIVのどちらかを取り上げるとすると、審議ではサリドマイドを取り上げる意見がありましたし、またHIVが教科書でも取り上げられているということから、サリドマイドの方を推薦します。勿論審議の中でHIVの方がよいということであれば、そちらでも構わないと思います。
なお、学習指導の順番からいえば、5ページ、6ページ目に記載されている被害者の声につきましては、3~4ページにある方がよいのではないかということでございます。
それから、3~4ページ目の学習のポイントには、「被害が社会にどんな影響を与えたか」とありますので、社会的な影響として多くの被害者を生み、苦しみを与えているということを3~4ページ目で示した方がよいのではないかということでございます。
それから、3つ目、社会科の教材としての特色としまして、社会の仕組みやあり方について考えるところにある。5~6ページ目の図を大きくし、それぞれの機関の働きを解説し、それぞれがうまく機能することが薬害防止に近づくことがわかるようにすべきだと思います。
そして、各説明においては、「消費者」は自律した消費者、消費者主権という内容を、それから「医療機関」につきましては、インフォームドコンセントの内容をわかりやすく。それから「製薬会社」はコンプライアンスあるいは社会的責任といった内容を。「国の機関」は、公益代表としてのチェック機能や救済を果たすという内容を解説することが必要だと思います。この図を概念モデルとして、社会の仕組みを考えるというのが社会科学習だと言えるし、学習指導要領の解説にも即しているということでございます。
それから、4点目としまして、全体的な感想ですけれども、一次資料的であるということで、力のある教師は授業化できると思いますけれども、新採用から5年目までの教師にとっては使用が難しいと思われます。中学生にとって難しい単語が多くて、文字数も多いので、危惧されているように生徒が敬遠することもあるかもしれません。そのため、図やイラストがもう少し必要なのではないか。教える側、学ぶ側にも配慮した教材という視点が必要だということでございます。
最後でございますけれども、社会科をこれまで担当した者としては、3番目が社会科学習の基本となるということで、これが薄まるとどの教科の教材かが明確にならないので、御検討くださいということでございます。
○衞藤座長 ありがとうございます。
それでは、意見交換に入りたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、まず構成やカラーなどの全体的な点について御意見がある方はお願いいたします。栗原委員、どうぞ。
○栗原委員 栗原です。本論に入る前の質問なのですが、今日、表紙が配付されるのではなかったですか。私、聞き漏らしたのかもしれませんが。
○衞藤座長 事務局からお願いいたします。
○医薬品副作用被害対策室長補佐 済みません、表紙については、まだ間に合っていないと聞いておりますので、追って示させていただく形になると思いますけれども、何か補足があれば簡単に御説明いただければと思います。
○教材制作会社 表紙につきましては、実は何案か作成しております。ただ、どういう申し上げ方が適切なのか、今、考えておるのですが、私どもとしましては、つかみの部分ということで、少しインパクトのあるデザインを考えさせていただいておりますが、中学3年生に対して、余り怖いというイメージを与えられてはまずいということもありまして、少し明るい、ソフトなものをつくるべきだという御指摘もありまして、その辺りで調整させていただいて、この俎上に上がる前でいろいろ検討させていただいている段階でございます。申しわけございません。
○衞藤座長 では、表紙に関しましては、今のような進行状況であるということで、今日のところは案としてお出ししないのですけれども、それでは戻りまして、構成など全体的な点に関しての御意見からいただきたいと思います。花井委員、どうぞ。
○花井委員 今、つくられた業者さんの話を聞いてやっと得心したのですけれども、私、送られてきて、これはだめだろう、零点だろうと思ったのです。肝心な論点で、教師側の使うツールと生徒が使うツールと、両方のファンクションを入れ込んだということで、ああ、なるほどなと。そういうものにするという合意はなかったと思います。中学生が使うとしたら、いかにもテキスト、明らかに詰まり過ぎていると思います。
大杉委員の4の意見に私も近いのですけれども、教師が使うにしたって、5年までの教師でも使用が難しい、内容が難しいという感じ、一次使用的だと書いてあります。教師が参照して指導に使うものとすれば、こういう情報量になろうかと思いますが、私たちが考えたら、中学生が見るとすれば、これは詰まり過ぎです。もっとすかすか感がなければいけないから、教師もそれを読んで、そこからある程度情報を収集する資料とするのか、中学生と分けられないのかというのは論点なので、勝手に両方の機能を盛り込んだものをデザインされても困る。
私の意見は、中学生向きのものは、もっとすかすか感がある、中学生が見て入っていける、中学生の視線に立ったデザインをしていただいたものが必要で。つくっていただいたので、これは教師用にPDF化してウェブに載せておいたらいいかなと思いますが。
私たちが伝えたいことがあって、一番伝えたいことをだれに伝えるか。その伝えたいことの見せ方がデザインされるわけですけれども、これは相手が教師と生徒、両方になっているから、こんな詰まったデザインになったと思います。だから、デザイナーに責任はないと思いますが、中身は後から議論しますけれども、伝えたい相手が中学生となると、子どもっぽくする必要はないけれども、もうちょっとポップにできるでしょうし、そういった意味で、これは中学生が手にとって、ひとりで見ても見られるものにするのか、いや、教師も使えるものにするかというのははっきりしてもらわないと、ちょっと困ると。
私としては、これまでの議論は中学生が主体なのだから、中学生向けのものだと理解しているので、この字詰まり感とかデザインは目的が違うデザインになっているので、やり直しと思います。
○衞藤座長 いかがでしょうか。今のことも含めて。伝える対象が中学生であるということは間違いないと思いますけれども、そこに今の御意見のように、教師も使えるという観点を入れるのか入れないのかということですね。
○花井委員 相当詰まっていますよ。この字詰まり感、この感覚は、デザインの方は多分苦労されたと思いますけれども、大人ですよ。中学生が手にとって、表1がないのですけれども、開いて当惑するしかないですね。まず視線がどこに行っていいかわからない。大人だったら、年表があって、下が説明だなとすぐ理解するのですけれども、中学生がひとりで手にとってわかるというデザインには、多分なっていないし、彼も多分そうはつくっていないと思います。そういう2つの目的がここに一体化しているから。
○衞藤座長 いかがでしょうか、中外さん。
○教材制作会社 つくっている側として参考にしたのは、教科書と参考資料というものがありまして、例えばそれは参考資料という面で、副読本という形で語られる場合は、教科書っぽくつくってある場合もありますけれども、例えば歴史の参考資料となると非常に詰め込みなのです。というのは、教科書でわからないところだけ調べるための参考資料ですので、コラム単位で非常にたくさんあって、文字も小さくして情報量も非常に多いというのが副読本のつくり方の考えでもありますので、どちらを主眼に置いてつくるかによって情報量が変わってくると思います。
本当にこれを授業で全部使うのかとなると、公民の時間は16時間ぐらいだと思いますけれども、そのうちの1時間割くのか、例えば教科書に出ていますから、エイズの話でちょっと参考にするのでしたら10分ほどしか語れないですし。そうすると、その部分だけしか語れないということになると、情報量がたくさんあった方がいいということになるので、こういうやり方もあるのではないかと思います。
だから、どちらに向けてつくっていくかによって、デザインの方は合わせていきますので、むしろ教科書的につくるのか、副読本として参考資料のように非常にたくさんあるものとしてつくるのか、その辺の方向性を決めていただければ、デザインの方は合わせていきますので。
○衞藤座長 どうぞ。
○教材制作会社 あと、念のためですが、今のこのA3の出力は、プリンターの関係で、余り変わらないかもしれませんけれども、約90%縮小されたイメージになっておりますので、文字の大きさはもう少し大きくならないかという御要望もございますので、今後、内容・要素が固まりながら、図との兼ね合いも含めて、その辺りはブラッシュアップしていければと思っております。
○衞藤座長 ありがとうございます。全体的な観点で御意見。はい。
○文部科学省初等中等教育局教育課程課 済みません、オブザーバーの立場で失礼します。文部科学省でございます。
基本的には、大体の話は花井委員がお話しされたのと同じで、やはり文字量としては多いのかなと思います。
子どもじみたデザインにしなかったということは発言としてあったのですけれども、全体として子どもじみたデザインにする、しないということと、発達段階に応じた教材内容にするということは、また別な話ですので、中学校3年生の発達段階にふさわしいような教材にする必要があるし、多分こちらの議論の中では、教師が参考資料にするというものではなくて、まさに教科書と同じように各生徒がとって使うものだという議論があったかと思います。
机上資料の方でも、1回目のときにハンセン病のパンフレットの資料が配られたかと思いますけれども、多分ここに書かれているぐらいの文字フォント、量というものが、これも中学校3年生向けと聞いておりますので、適切なのかなと思います。
あとは、特に「薬害ってなんだろう?」というところを中心に、薬害をそれぞれ説明するときに、幾つか概念的な言葉が入ってくると思うのですけれども、その概念の中にもしかしたらちょっと難しいものがあるのかもしれないというのが1つ。
もう一つは、漢字は、基本的に中学校3年生というのは、常用漢字をすべて読めるよう指導することとなっているので、もしそれ以外の漢字を使用される場合には、ルビを振るなどの適切な措置が必要なのではないかと思います。
○衞藤座長 細かいことまでありがとうございます。高橋浩之委員、お願いします。
○高橋(浩)委員 全体に関しては、私は2点あるのですけれども、1点目は構成というか、流れの問題で、「薬害ってなんだろう?」というところから入っていって、どうして起こるのか、どうしたらいいのかという流れは、発問の軸に流していくというのは非常に自然で、とてもよくできているなと思います。
ただ、これは大杉委員も書いていらっしゃるのですけれども、被害者の声というのは、薬害とは何かに属するような話であって、「薬害ってなんだろう?」と勉強して、どのようにして起こるのかといった後に入ると、これは一体何の話かと、ちょっと話がそれてしまうような印象を受けます。
それから、どのようにして薬害は起こるのかということと、どうすればいいのかというのは対になっている話で、どうして起こるのかというのをまとめた後、そこからすっと、だからこうすればいいと流れるのが自然で。ともかく結論からいえば、被害者の思いを聞こうというのが5ページ目に入っているのはおかしいのではないかというのが1つです。
もう一つは、これは各ページの各論にも関わるので、今、言っていいかどうかわからないのですけれども、全体に関わると思います。各ページのねらいというのが、ちゃんと達成できるような構造になっていないのではないかというのが、私が気になるところです。例えば「薬害ってなんだろう?」と最初に持っていったら、そのページが終わって次の項に移るときには、子どもたちなりに薬害のイメージとか概念が押さえられなければいけないのですけれども、薬害って何だろうと答えられますか。ここに載っているものでは、多分答えられないと思うのです。
それで、副作用との関係とか、ちょっと書いていらっしゃるけれども、これは各論になるから余り入らないですけれども、子どもに学習のポイントで書いてあるのだけれども、薬害はどうかと言ったら、ひどいとかすごいとかぐらいであって、本当にそれでいいのかどうか。薬害って何だろうということを押さえる上で。
これはこのページだけではなくて、例えば「どのようにして薬害は起こるのだろう?」と、これは1ページ目よりはまだましというか、分析的な記述があるので、子どもたちなりに考えられる可能性はあると思うのだけれども、どのようにして薬害は起こるのかといったら、その原因について幾つかのコンセプト、概念で整理できる形にならなければいけない。そうでないと対策につながらないのに、結果として、そこに対する支援というか、子どもがどうして起こるのかを説明しようと思っても、必ずしもできない。
特に最後の防ぐにはどうしたらいいのかというのを、これで子どもに聞くのは酷というか、ポイントの3で、自分たちに何ができるかと問いかけられても、子どもは困るのではないかと思います。
要するに、全部のところで中身ありきという感じで、「薬害ってなんだろう?」というのをどうおさめるかという意識がちょっと欠けているのではないか。学校で子どもが学ぶために使うものとしては、ちょっと不十分というのが私の意見です。
○衞藤座長 ありがとうございました。ほかにはいかがですか。
では、もし全体的な意見がまた後で出てくるようでしたら、随時ということで、少し細かな方に入っていった方が、むしろ具体的にイメージしやすいということがあろうかと思いますので、そろそろページごとに御意見をいただくようにしたいと思います。
現在、1、2と番号が振ってあるページ、「薬害ってなんだろう?」という見開きの部分に関しまして意見交換したいと思いますので、よろしくお願いいたします。花井委員、どうぞ。
○花井委員 いや、つくり直さないとだめだと言っているわけで、今、高橋委員がおっしゃるとおりで、まず中身からいえば「薬害ってなんだろう?」と伝えたいことが、こうではないのですよ。例示すれば、例えば薬害は副作用とは違うのだ。どう違うの。それは、こういうことが起こったのですよ。では、こういうことが薬害なのだねとわかる物語性があって、テキストを少なくして最小限の情報でやるような構成にしないと、これは明らかに大人向けです。それでいいのかという話。
だから、1ページ1ページ、精査したってだめですよ。中学生向けでテキストを大幅にダウンして、まず伝えたいことは何で、百歩譲ってページごとに議論するとしたら、まず1~2ページで「薬害ってなんだろう?」と伝えよう。2ページ目と3ページ目はこうしようというぐらいで合意していって、デザインはし直さないとだめでしょう。その話をうやむやにして、ページごとにやって、ちょっとバージョンを変えてというのは、私は承服できないです。
まず、子ども向けにして、テキストを大幅に減らして、伝えたいことの核の部分を伝えるような紙面にするのか、情報量としてサブ読本的な使い道もできるようにするのかというのをやらないと。もし子ども向けになったら、一番後ろの情報も、中学生がアクセスしてもわからないサイトもたくさんある。これは全部要らないわけです。要らないことがたくさんあるわけだから、情報としては全部削ぎ落とせるわけです。テキストとすれば、大幅に減りますから。
そこからスタートしないと、1ページ1ページやったら、これをベースに話が進んでしまいますけれども、そこは議論してください。いや、私だけが無茶を言っているのだったら、それでやってもらってもいいけれども、私は承服できないですね。まず、子ども向けにそういうものをつくるのか、それともある程度教師も参照して教育をやる情報を得るようにしたいのかによって、全然違うのです。さっき文部科学省の方から話がありましたけれども、中学生が普通におうちで読むのは無理。どう見たって大人向けですよ。
文字の関係は、常用漢字文字にしてくればいいだけ、技術的な問題ですけれども、表1も多分、厚生労働省の事務方にだめ出しされたのでしょう。だから、それはディレクションする側の事務局が、そういう感覚で進んでいるからそうなっているのであって、それだったら表1も決まるのですよ。そこをはっきりして議論を進めてもらわないと、ちょっとうやむやにされるようで、済みません、話をつぶしているようですが、そうなのです。
○衞藤座長 矢倉委員、まず御意見をください。
○矢倉委員 京都スモン基金、矢倉です。本当に何を討議したらいいのか、内容が非常にわからないのです。全面的には、今、高橋委員と花井委員が言われた内容とほとんど一緒ですが、まずこれを私も昨日、これをいただきまして、インターネットがちょっと故障しているものですから、内沼さんがファクスで送ってくださって、大変感謝はしておりますが、非常に読みづらい。内容が多過ぎる。それから、やはり大人向けだと。
薬害の副読本をつくることに当たっては、今後、薬害の教科書ができていくという過程の第一歩になるのですよ。ですから、そういう意味からすると、これが非常にわかりやすいものでないとだめだと。難しいものではあかぬ。例えば1つの薬害について詳しく説明し過ぎるのも、やはりまずいのではないか。
そういういろいろな思いがあるのですが、さしずめ転換していこうと思いますと、これをすべてだめだよと言ってしまったら、教材会社も、文科省、事務方も非常にお困りになるのではないかと思うので、ちょっと提案的に申し上げたいのです。
それは、文字の大きさとか量は別にして、後で検討してもらったらいいのですが、まず不必要だ、これは中学3年生に向けては、これは要らないのではないかというものをある程度選んでいって、量を減らしていく。それから、内容の検討に入っていくとか、差しかえをするといった作業が必要なのではないかと思います。
以上です。
○衞藤座長 いかがでしょうか。
○花井委員 済みません。余り後ろ向きなことを言っていないで、ちょっと前向きに。
例えば1~2ページだったら、薬害って何ですね。そうすると、薬害は普通の副作用とは違うのだよ。では、どんなものが薬害と呼ばれてきたかを見てみようというテキストがあったとします。そうすると、この年表を使うのであれば、半分のスペースをとっている17番まである下の説明は、全部は要らないと思います。
これは全部ごそっと削りまして、この年表をもうちょっとポップなビジュアルにして、項目は載せてもいいけれども、そこに吹き出しをつくって、エイズとか、選んだものを、中学生が読み下せる。漫画のこまであれば、中学生は吹き出しを読む順番が自明でわかるのです。それは、漫画というソリューションがうまくできているからです。
そういう形にして、2ページ目、3ページ目のようなサリドマイド、エイズの大人っぽいとらえ方も、これで少し縮小できるし、そういうふうに読み下していけるように構成すべきではないかということです。
だから、1~2ページの年表という形式は結構いいと思うのですが、もうちょっとポップな年表にして、説明の半分をごそっとなくしてしまって、その中で、例えばサリドマイドの吹き出し、エイズの吹き出し、3~4つぐらいの吹き出しで何かを書くとか、そういう構成にしていく。それで、薬害がどういうものかわかったかなという話にしていって、先ほど高橋委員がおっしゃられたように、1ページ目では、薬害は副作用とは違うのだよねぐらいのことがわかる。
それが何かということについては、ちょっと議論してもらったらと思いますけれども、厚生労働省は書きたくないでしょうけれども、国の責任性とか。そういう言葉は中学生には使いませんよ。あと、古い文献ですと薬害に対していろいろな議論があるけれども、共通して言えることは、普通の副作用ではないということで、70年代からの専門家の文献、ばあっと見たのですけれども、人災性があるものであって、副作用とは違う。そのくらいについては論議がなくて、社会で起こる人災なのだ。その表現がいいかどうかは別として、薬害特質のキーワードを1つぽんと入れる。人災なのだねという感じ。
そういう感じで、最後に得心した形で次のページに行けるという設計ですよ。1~2ページでいえば、そういう感じにするのはいかがですか。
○衞藤座長 いかがですか。望月委員、どうぞ。
○望月委員 私もこれ、拝見したときに、中学生のテキストとしてはかなり難しくて、大人が読んでも結構難しいかなと思う内容になっているようには思いました。情報量がちょっと多過ぎるのかなというのも気になりました。
全体として学習のポイントというところを拝見すると、とてもこのポイントはよくできていますので、このポイントが先ほど高橋委員もおっしゃっていたのですが、確実にここの中で得られるというか、習得できるように、この内容が少し整理されていって、表現が中学生向きのかみ砕いた表現にしていくという作業をすればよいのかなと思いました。
例えば、1~2ページを見たときに、ポイント1は自分でできますね。副作用があったかを思い出すわけですから。ポイント2が、ある程度の分析をこの資料から中学生に提供しないと、どんな特徴や共通点があるのかというのはできないと思います。これを読ませていただいて、17の一つひとつの薬害の説明から、このような分析を中学生ができるようには解説されていない気がします。
それと、さっき花井委員がおっしゃっていたのですが、全部をここに並べる必要は私もないと思います。正直、私から見て、これは薬害だろうかという疑問があるものも、この中に入っている気がします。さっきの人災性という表現がいいかどうかは別にしても、社会問題としてとらえるべき部分がない、薬そのものの本質で起こっていたものもあるような気がいたします。もう少し絞り込んだ形で、この2の薬害と普通の副作用との違いがどこにあるのかというのが、この説明の中からある程度中学生でも引き出せるような解説に整理すると、ここがもうちょっと生きてくるのかなという気がしました。
○衞藤座長 どうもありがとうございました。では、手嶋委員、高橋委員の順でお願いします。
○手嶋委員 手嶋です。今、1~2ページを見ていて、言われましたけれども、学習のポイントというところで、「自分が薬を使ったときに、どのような副作用があったかを思い出してみましょう」と書いてありますね。これは、私は薬害の副読本なのに、学習のポイントとして挙げるような、一般の副作用の問題ではないのに、何でこういうことを書かれるのかが不思議です。
そして、副作用と薬害をごっちゃにして入れているというところも、それもちょっとおかしいし、「薬害ってなんだろう?」と書いてありますけれども、ここに「これまで数々の健康被害が起きてきました」とさらっと書いてあります。普通の健康被害だけでしたか。たくさんの方が亡くなっているので、簡単に健康被害としておさめられる問題ではないと思います。社会問題。そして、薬害の副読本に副作用というものを入れるべきではないという議論は、相当今までされたのに、また入っているということが、なぜ戻ってくるのだろう。私たちは何の議論をしてきたのでしょうかと思います。
私も薬害肝炎の検証会議にはほとんど行きましたけれども、その報告書とかまとめたもので、今回、こういう副読本をつくるということになったと思います。この副読本をすべて見て、それと全く違うようになってきていると思います。だから、薬害肝炎としては意見書を近日中に提出したいと思っております。必ず皆さんに配付いたしますので、それを是非検討していただきたい。今回、まだつくっていませんけれども、それを出して、ちゃんと皆さんで議論していただきたいと思っております。よろしくお願いします。
○衞藤座長 では、高橋浩之委員、お願いします。
○高橋(浩)委員 今、とても大事な議論が始まっているといいますか。花井委員、望月委員、手嶋委員と続いて、この辺りはとても大事な議論だと思いますけれども、できたものについて、業者さんと言っていいのですか、出来がどうのと言うのは簡単なのですけれども、それはちょっと無理な話で、つくってもらうのだったら、薬害とは何だということについてのポイントをちゃんと示して、ここを外さないようにと。だから、我々の問題であるというか、我々がそこを明確にしないまま、ここに来てしまったところがあって、業者さんに言うのはどうなのかなとちょっと思っています。
では、薬害とは何なのかというところですけれども、副作用とは違うのだと何度も出てくるのですけれども、それは確かにそうだと思います。非常に難しいのは、副作用とは違うといっても、中学生は副作用がまずあいまいでしょうね。ですから、副作用とは違うというと、まず副作用を説明しないといけない。例えば学習のポイントの1で、どのような副作用があったか思い出してみようといって、思い出せない子がほとんどだと思います。それから、眠いというのも副作用だと思っているかどうか。
そういう子どもなのに、副作用とは違うのだと言っても、何かわけがわからない。副作用とは違う薬害というのは、切実な難しいことだなと私は思いました。だから、前から私が言っているのは、副作用は一切なしにして、薬はすごく役に立ってきたけれども、一方でこんなことも引き起こしたとやった方がいいのではないか。でも、それはちょっと邪道なのかもしれない。
では、副作用とは何かと言った場合には、人災という言葉が適切かどうかという話もありましたけれども、少なくとも単に薬学的な問題ではなくて、社会システムとか仕組みの問題が関わるのだと思うのですね。そこのところが出なければ、一生懸命こういうものを求められた団体の方々も到底納得できないだろうし、副作用との関係も大事だけれども、何が外せないことなのかというところを明確にして、それが中学生なりに理解できるような材料のつくり方をしないと、なかなか話が進まないのではないか、建設的な話にならないのではないかと私は思っています。
○衞藤座長 高橋寛委員、お願いします。
○高橋(寛)委員 皆さんの議論を聞いていて、私は両方のご意見はごもっともだし、短い議論の中でこういうものをつくり上げた業者の方は、きっと相当の努力があったのだろうなと思います。
そこで、今、望月委員も言われたように、例えば1ページ、1ページの学習のポイントをどういうふうにするか。このページで何を教えたいのかということをまず明確にして、それも合意が得られていないのにつくり直せと言われても、多分いつまでたってもできてこないと思うのです。だから、このページでは、こういうことをこんなふうに教えてはというところをまず議論して、そのためには題材はどうでという話の方が、残された時間を有効に使えるのではないかと思います。
○衞藤座長 では、話の筋としては、今、1ページ、2ページを見て、そこで学ぶべきことが何かが明確になっていなかったという方向で話が進んでいると思います。例えばこの入り口が「薬害ってなんだろう?」というところから入るということは、まずどうか。それを学ぶには、どういう到達点、学習のポイントがあるのかという筋道で議論していきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○衞藤座長 では、まず学ぶべき内容は「薬害ってなんだろう?」ということでよいか。1ページがこれでない方がいいかという観点ではいかがですか。御意見はありますか。小林委員、どうぞ。
○小林委員 子どもさんたちが薬害と副作用、どちらを理解できているかということを考えますと、私は副作用の方が現状ではイメージできているのではないかと思います。それで、最初に薬害のイメージが出てくると、いくら副作用とは切り離してと言われますが、、子どもさんたちは薬害と副作用の違いが理解できず、戸惑ってしまうのではないかと思います。
私は、前からこのレベルは中学校3年生では無理ですね、高校の内容ですねと申し上げているのですけれども、それは別として、まず薬って何だろう、どんな特性があるのだろうというものを理解されないと、薬害を本当に理解できないのではないか、そこら辺が問題と思っています。最終的には、薬害というものを理解してもらうというのが大事で、それを理解していただくためには、ちゃんと薬のこと、副作用のことを理解しておく必要があるのではないかと思います。その方が薬害を理解する近道ではないかと思います。
○衞藤座長 いかがでしょうか。花井委員、どうぞ。
○花井委員 まさに、理屈からいえば薬の副作用という概念を理解せずに薬害は理解できないと思います。うまく書けば、先ほども言ったように、書き方はそう書かないけれども、薬には主作用と副作用があって成り立っています。ただし、薬害というのは、単なる副作用のことを言っているのではないですよ。それは、人災的、社会の仕組みの問題なのですよという話を、うまく、わかりやすい言葉で書くのであれば、少ないテキストでも、これだけスペースがあったらいける気がします。
望月委員が前から議論している、薬にいい面も悪い面もあるのではないか。薬というのはそもそも何かという説明が必要であれば、入れてもいいかなと思います。
もう一つの考え方は、先ほど高橋委員が言ったように、そういう論理的な整合性を考えずとも、そもそも薬害という問題に中学生のときに触れるぐらいしか、結果は期待できないのだから、薬害ってあったよ、エイズやスモンだよという記憶が中学生の段階に残って、先生が薬の副作用の話をしていたのかなぐらいにしか到達しないのだろうということからすれば、むしろ事件性の問題がぽんぽんとあって、あれとあれがあったねという方に主眼を置くという方法も、見せ方としてはあると思います。
個人的には、うまく書けるのであれば、副作用の説明がちゃんとあって、薬害の説明があるというものが1~2ページでうまく盛り込めれば、気持ちとしては一番すっきりします。余り見せ方に偏ってはしょるということがいいかどうかということです。
○衞藤座長 矢倉委員、どうぞ。
○矢倉委員 「薬害ってなんだろう?」という1ページ目、これを仮に生かすとするならば、ここで薬害のポイント的な話をわかりやすく説明する。そして、薬は私たちの命や健康を守るために必要なものであり、多くの人に使われています。これはいいとしまして、薬には効能と副作用というものがあります。余り詳しく書いていると、量的にまた大変になりますから。
しかし、薬害は命に関わる重篤な被害なのです。だから、それが社会的に起こりましたというポイントが、ここの数行の中に書き込めたらいいのではないかと思うのです。それは、先ほど花井さんもおっしゃったように、当然社会問題ですから、国やら製薬企業、どう言ったらいいですかね。それによって重篤な薬害が起こりました。難しく言ったら、例えば許認可の問題とか製造販売責任とか発言方法がいろいろあると思いますが、中学生にはもう少しわかりやすい言葉で、「薬害ってなんだろう?」という中に責任問題ももう少し。
例えば手嶋さんがおっしゃいましたけれども、「健康被害が起きてきました」とか、それは副作用の問題を簡単に述べることで消化できるのではないかと思いますので、要らないものは削って、ここでポイントをきちっと押さえてしまって、それから次の行、次のページに進めるように。私もよくわからないのですけれども、こっちでポイント、こっちでポイントと分けてしまうと、これは大変だと思います。だから、せめてこのスペースの8行目ぐらいで何とかとおさめられるように文章化してしまえば、次に進みやすいのではないかという気がしています。
以上です。
○衞藤座長 手嶋委員、どうぞ。
○手嶋委員 副作用というものについて、いろいろ意見があるとは思いますけれども、私としては、今、薬害の副読本をつくるというのは、公民の社会科の副読本という考え方で、まず副作用というのは、中学生であれば保健体育とか、そちらの方の問題ではないかと思っているのです。
私も今までずっと反対だったサリドマイドの方の、3ページにありますけれども、これは危険か有益かと書いてありますけれども、これだったらまた中学生に対して、わけがわからないようなことを書いてあるなと思ったのです。これは、はっきり言って医薬品として保健体育で教えるような問題でしょう。サリドマイドは有益だと今はなっているのを、一生懸命推し進めていますけれども、確かに骨髄腫で使われています。でも、副作用があるのですよね。多用すれば死に至る副作用がある。
だから、そこまで書かないといけないのではないですか。有益ですよと、ただ単に書いてあるけれども、多用して使えば、勿論死に至る。だから、サリドマイドは成長をとめてしまう。だから、がんの骨髄腫の細胞をとめる薬として使われているのでしょうけれども、それは毒をもって使うという感じに私は思っているのです。それには慎重な処方が必要ということもいろいろ見ています。だから、それをただ有益であると書き込んでいくというのもどうかと思います。サリドマイドはよかったと、そこまでして薬の効能をどうして書きたいのだろうと私は思います。
○衞藤座長 矢倉委員。
○矢倉委員 今の手嶋さんの後の方の発言に私も賛成です。
つまり、私は最初、要らないもの、削れるものは削ったらいいのではないかと申し上げたのですが、文章の置きかえとか文章の内容もまだまだ検討しないといけないことがあると思いますが、今、言われたサリドマイドが骨髄腫に効いているから復活しているという問題と、過去に起こった薬害とは区別して考えた方がいいと思います。現在進行形のものは、区別すべきだと思います。
そうしないと、例えば水俣病で魚介類を食べた人たちがあれだけたくさん病に侵されました。ところが、だんだん河川や海が浄化されまして、最近では蓄積された毒が復活しているということとは別に、新たな水俣病の発生はそうないわけです。だから、海がきれいになったのだよ、もう水俣病の問題は終わったのですと言うわけにはいかないと思うのです。
同じように、神通川のカドミウムの問題、イタイイタイ病もそうですけれども、だんだんと減ってはおりますけれども、もうこれは問題がなくなったのですよと言うわけにはいかないでしょう。これはそういう公害の原点としての問題は歴史的に残るわけですから。だから、その時点での起こった現象を薬害ととらえる方がいいのではないか。二次的にサリドマイドの効能といったものは、別に今の中学生に教える必要はないと私は思いますので、こういったたくさんのところは抹消できるのではないかと思います。
以上です。
○衞藤座長 話が少し方々にまたがってしまっていますので、最初の導入の「薬害ってなんだろう?」という問いはよいだろう。これに対して、特に反対の御意見はなかったと思いますので、そこで学ぶべき到達目標を学習のポイントとして示すものは何かということですね。「薬害ってなんだろう?」という見開きで学習をして、中学生として薬害というのはこういうことなのだと答えられるような問い。学習のポイントとしては、今、考えてあるものではなくて、こういうことが押さえられていればいいという、まずその御意見をいただけないでしょうか。そうしないと先へ進めないと思いますので。どうぞ。
○高橋(寛)委員 高橋です。資料1にそもそものコンセプトがあって、これに基づいて、今までたくさん議論してきて、時間がたったので話の行ったり来たりはしようがないと思いますけれども、前回のときには、まず薬害があったことを知らせようというところで落ち着いたように思うのです。勿論、この年表にあるもので、これは薬害ではないよねという議論は、また後でしてもらいたいのですけれども、1ページ終わったときに、その内容は別ですよ。子供たちが薬害にはどういうものがあったか言えるというのを一つの目標にする。
そこで、これが薬害かどうかというのは、専門家の意見を踏まえて精査すればいい。それで紙面に内容を落とせると思います。
○衞藤座長 ありがとうございます。ほかにはいかがですか。手嶋委員、どうぞ。
○手嶋委員 私も今、委員が言われた、薬害ってどんなものというのを一番初めに持ってこられるのが一番いいと思います。副作用とか、いろいろ持ってくるよりも、薬害はどういうものがあるか。それが、中学生が一番知りたいことだと思います。そして、その内容について深めていくという方が、段階的にいいかと思います。
○衞藤座長 ありがとうございます。資料1の方も御参照になりながら、御意見いただけたらと思います。
それでは、ページごとにということに関しての御批判もありますけれども、構成として、先ほど高橋浩之委員から、薬害という事実を押さえた後に「被害者の想いを聞こう」というものの位置に関しての御意見があったと思います。流れの中で「薬害ってなんだろう?」というものがあった後に、どういうものが入ればいいかという観点でいかがでしょうか。高橋浩之先生、もう一回先ほどの点を説明していただけますか。
○高橋(浩)委員 わかりました。
全体の流れとして、何かを学ぶときに、薬害とは何なのかと勉強して、それから、それがどうして起こったのか。どうして起こったのかがわかると、そこから対策が見えてくるという流れは非常に自然だと思いますけれども、「被害者の想いを聞こう」ということは「薬害ってなんだろう?」の中の話なのではないか。
だから、薬害というのは、定義の面からも考えられるし、歴史的にこう起こったという面もあるし。一方で、薬害というのは間違いなく被害者がいて、大変な思いをしているという面も、薬害って何なのかという一側面なのではないかということです。だから、位置的にはその後ろでもいいし、「なんだろう?」の中に入ってもいいのだと思うのですけれども、私はそういうつもりで言いました。
○衞藤座長 ありがとうございました。今、御説明のように、「薬害ってなんだろう?」ということと被害者の声がかなり密接に関わるという論点ですけれども、そうすると位置をどうするかということにも関係してきますので、いかがでしょうか。一方で、被害者の声はなるべくたくさん載せようという話もあったかと思いますので、量的な問題もあるのですが。どうぞ、高橋委員。
○高橋(寛)委員 今の高橋委員のお話を聞くと、「薬害ってなんだろう?」という想起といいますけれども、幾つあるかというのが言えて、それが具体的にどういう意味を持つかというので、ここでいきますと、年表の下の内容と被害者の声が合わされば、こんな内容で被害者はこんなふうに思っているということは、分量は別ですけれども、ペアであるとよいと思うのです。
3枚目は、そこから子どもたちに何ができるというのを言うのか、どういうふうに思ったと感じさせるのかというレベルでとめるしかないのではないかと思います。こんなにたくさんのことを要求するのではなくて。
○衞藤座長 いかがでしょうか。花井委員、どうぞ。
○花井委員 まず、1~2ページで薬害って何だか何となくわかる。薬害ってどんなものがあったかが言えるが到達ですね。
3~4ページ目に、被害者の声、ずらっとあってもいいかなと思います。サリドマイドとエイズにどっさり使われているのですけれども、ここはかなり詳しい説明になっているので、削って、被害者の声というものを、見せ方も被害者の言葉で薬害が語られているという感じでの、薬害って何の連続性。だから、私は苦しかったという主観的な痛みを語る被害者もいるだろうけれども、国のこういう部分は許せないと思いますみたいな、被害者の主観から語られる薬害像みたいなものが何となく伝わるような紙面にしてしまうというのはどうですか。
そこまで終わった時点で、勿論客観的説明ではないけれども、被害者の主観性によって語られる薬害像というものを読むことによって、薬害って何が伝わるし、被害者の声も聞けるという感じだと思います。
○衞藤座長 矢倉委員、どうぞ。
○矢倉委員 今の花井さんのお話で、別に反対する意見もありませんが、例えば薬害を紹介するときに、サリドマイドが紹介されて、エイズが紹介されて、スモンが紹介されていない。この薬害読本をつくるに当たって、これがこれからのあれになると思いますが、スモンが紹介されていないということは、薬害の副読本の第1回目としては汚点を残すと思います。
なぜかを申し上げますと、スモンのキノホルムは日本で製造した薬なのです。それで、日本で販売している。しかも国が承認している。最初は外国の侵略に向かって、消毒薬として使われる材料となっていたもの。ですから、劇薬に指定されていたのです。それがいつの間にか、日本の薬局法ぐらいのときから劇薬が解除されて、そして経済成長の真っただ中で国が承認し、製薬企業が大量生産して販売会社が大量に販売した。その中で起こった非常に重篤な薬害なのです。
だから、数としても世界にも類を見ない薬害として、今まで歴史上にも残っていたのです。1万2,000から1万5,000という大量の薬害。たくさんの人がこの時点で亡くなりました。しかも伝染性ということが出て、ウイルス説が出まして、自殺者もかなり出ました。今、古い歴史的なものですから、患者も年をとってまいりまして、平均年齢が78歳という時期になりました。皆さん寝たきりとか車いすといった状態で、死んでも死に切れないと思いながら生きておられると思います。私自身もそう思っています。
こういう重篤な薬害。しかも、これはいろいろな社会的な責任があるわけですよね。この問題を紹介しないのでは、ちょっとまずいのではないかと思いますので、これも観点に入れていただきたいと思います。
以上です。
○衞藤座長 今、お話としては、1ページ目、2ページ目は「薬害ってなんだろう?」ということで、3ページ、4ページに内容を関連付けて、被害者の声というものをどういうふうに入れるか。
その後、5ページ、6ページをどうするかという話とも関わってきますが、先ほど高橋浩之委員が整理していただいた流れによると、5ページにどのようにして起こるのだろう、6ページに「薬害を防ぐには、どうしたらいいのだろう?」という流れになりましょうか。
今のスモンの御意見は、どこでどういうふうに位置付けるかということと、また関わってきますが。各薬害をどういうふうに扱うかというのは、最後に全体の流れがある程度固まってからにしないと、話がしづらいので、その点はもうちょっとお待ちになっていただけますでしょうか。
3ページ、4ページに戻りますけれども、薬害の被害者の方々の言葉で語る事実を並べるとすると、薬害がどのようにして起こるのだろうかというのは、どのぐらいのページを割くかとか、どこに置くかという話を少し整理しないと、その後に進まないと思いますので、御意見をいただきたいのですが。望月委員、お願いします。
○望月委員 いろいろな皆さんの御意見を聞いていて、先ほど花井委員がおっしゃっていたことの中に少し解決ができるところがあるかなと思ったのは、今ここに被害者の声としてまとまっているものの中には、どういうことが起こって、どんなふうに苦しんでいてということだけで終わっているものと、行動上の問題があってこういう被害が拡大したので、こういうことを繰り返さないためにどうなっていってほしいということまで書かれているものとあって、これは例だと思いますけれども。
実際の被害でどんなに苦しいことになっているかということを書いていただくのとあわせて、今後へのメッセージ性のあるものが3~4ページに書かれてくれば、子どもたちが薬害というのはどんなにつらいことなのかということを理解し、更にそれがどこに原因があったかを理解し、それをどうすることが必要なのかなぐらいまでのざっくりとしたものが読み取れるような形の被害者の声の扱い方というのができると、いいかなと思いました。
○衞藤座長 ありがとうございました。いかがでしょう。高橋浩之委員。
○高橋(浩)委員 今、望月委員がおっしゃったこと、なるほどと思ったのですけれども、私、5~6ページで、どうして起こるかとどうしたらいいかをまとめた方がいいという積極的な意見を持っているわけではないのですけれども、3~4ページにどのように起こるかというのは、ここで独立して事例を基に考えるという形になっていますけれども、どうして起こるかというのは過去の事実から浮かび上がることなので、1~2ページでいろいろな出来事、3~4ページで被害者の声等の書き方次第で、5ページに向かって、なぜ起こったか考えられるような教材のつくり方ができるのではないか。
今は2ページを使って、どのようにして起こるのかとやっていますけれども、1ページの中で、むしろ前のものを引っ張って、例えばさっきの社会の仕組みの問題があるという概念を出して、だれだれはこう言っているとか、こういう薬害ではこういうことがあったと整理した形で、どのようにして起こるかというのを、事例で考えるというよりも、前の方の事例を基に、何が問題なのかということを概念として書くという形も可能なのかなと思いました。
○衞藤座長 ありがとうございました。いかがでしょうか、ほかに今の流れに沿って何か御意見ございますか。花井委員、どうですか。
○花井委員 望月委員の意見を聞いて、いいですね。3~4で被害者に語らせて、薬害もわかるし、被害もわかる。主観的世界であれば、概念的整理というコンセンサスの問題も消えるし、それぞれが語るテキストをゆったりとここで、中学生が読み下せるような形で配置してあげる。読み物的に読めるような感じで、ここで組むのはいいと思います。
スモンの件については、台割りから考えると、5ページにスモンとサリドマイドを入れたらどうかという気もちょっとしたのです。というのは、実は私も調べていると、80年代以降はネットを使うと結構調べられるのです。ところが、スモン、サリドマイドはいつも国会図書館に行くことになる。つまり、デジタル上の情報が非常に少なくて、簡単に薬害を調べようと思ったときに調べにくいのが、古い薬害なのです。
だから、これは原点なのだからということで、スモン、サリドマイドで、肝炎、エイズはネット上に、勿論いろいろな質はあるのですけれども、ある種、デスク上で検討、勉強できるのですけれども、スモン、サリドマイドとなると文献を取り寄せるというのが、私たちでもそういう感じなので、逆に古いのと原点というのを置くのは、一つの考え方としてあるのではないかと思います。もしくは、具体例を挙げずにやるというのも考えていただいたらと思います。
○衞藤座長 ありがとうございました。
そうすると、今までのところを振り返ってみますと、1ページ、2ページは「薬害ってなんだろう?」ということで、どういうものがあったかが言えるということでページを終える形で。
3ページ、4ページで「被害者の想いを聞こう」というもので、そこの示し方といいますか、意見の書き方で、後の学習に役に立つといいますか、刺激を与えるような構成にして示して、5ページで「どのようにして薬害は起こるのだろう?」という内容を1ページでおさめる。
最後の6ページが「薬害を防ぐには、どうしたらいいのだろう?」という、御意見の総和をまとめますと、そんな感じになってきているのですけれども、構成としてはそれでよろしいでしょうか。矢倉委員、どうぞ。
○矢倉委員 「薬害を防ぐにはどうしたらいいだろう?」ということについて、これは先ほど高橋委員がおっしゃったのでしたか、中学生に「薬害を防ぐには、どうしたらいいのだろう?」というのは、非常に難しい問題ではないかと思います。ですから、学習のポイントということもありますけれども、例えば大人、私どもに聞かれたら、どうしたらいいのだろうと、薬害が起こった原点から当然探りますね。中学生に「薬害を防ぐには、どうしたらいいのだろう?」と問いかけても、恐らく答えは出てこないだろうし、医療機関や薬剤師という名前も入っておりますが、ここら辺はもう少し簡略にして、それぞれの役割を簡略に書くぐらいにしておいた方がいいのではないか。
例えば厚生労働省1つとってみても、製薬会社をとってみても、医療機関をとってみても、消費者という観点をとってみても、物すごく膨大な内容なのです。それをわかりやすく説明しようと思ったら、それぞれに相当の時間も必要ですし、これだけの内容では教え切ることができないだろうと私は思いますので、この辺の学習のポイントももう少し簡単にしていったらどうかなと思います。
○衞藤座長 ありがとうございます。今、6ページに示す内容に関しての御意見です。これは、資料1の5ページ、(3)で子どもたちへのメッセージというものがあります。そこに丸が2つある内容をどういうふうにここで表現するかということとも関わっているのではないかと思います。矢倉委員は、「薬害を防ぐには、どうしたらいいのだろう?」という問いは、ちょっとレベルが高過ぎるといいますか、難し過ぎるということだと思います。では、どうしましょうかということで、また御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。手嶋委員、お願いします。
○手嶋委員 私も矢倉委員と同じように、この6ページの「薬害を防ぐには、どうしたらいいのだろう?」という疑問を投げかけて、読んでいると3番目に、自分たちに何ができるのか話し合ってみようと書いてあるので、中学生にはちょっと無理な話ではないかと思います。
2番目の社会の仕組みについて話し合ってみようぐらいまでなら、どのような仕組みが必要なのだろうという問いかけなら、できると思うけれども、自分たちで何かできるかというのは、中学生にはちょっと無理ではないかと思います。
この中に、国、製薬会社、医療機関、消費者(国民)と書いてありますね。消費者個人というか、国民の側に何か責任があるのかというと、薬害というのはそういうものではないのではないかと思いますし、ずっと協議されていますけれども、第三者の監視機関を来年度にはつくって、24年度から運用するという話になっています。そういうことも予定しているということを書かれた方がいいのではないですか。
○衞藤座長 倉田委員、どうぞ。
○倉田委員 6ページのこの表についてなのですけれども、おっしゃるようにかなり文字数が多いとは思いますが、ここを省いて良いとは思いません。国民が自分が薬を飲んだときに、思ったような改善が得られずに、逆に悪くなったというのを本人がまず気付くでしょう。それから先、他にも症例がたくさん重なり、自分と同じような症例が薬の副作用かもしれない要素、有害事象と言うのでしょうか、副作用と言うのでしょうか、そういうものがたくさんたまってきたのが医療機関などに集約されて、それが厚生労働省に報告されてということから、どんどん製薬会社も調べるようになって、これはひょっとしたら薬害ではないかと社会が気付くのだと私は思っているのです。
ですから、最初に国民一人ひとりが自分が受けた医療や、自分が飲んでいる薬で、ひょっとしたらあの薬がとか、ひょっとしたらあのときに輸血された血液がというのが気付けるのは、自分自身だと思います。ですから、この表は私は必要だと思いますし、こと細かに書いてあることも必要なのではないかと思って見ました。
○衞藤座長 ほかに、この6ページの内容、示し方等に関して、いかがでしょう。どうぞ。
○文部科学省初等中等教育局教育課程課 オブザーバーで失礼します。文部科学省でございます。
まず、6ページの「薬害を防ぐには、どうしたらいいのだろう?」というのは、まさに今回、中学校3年生の公民的分野で、なぜ公民で薬害を扱うのかという肝になる部分かと思います。社会とのかかわりを理解するとか社会の形成に参画する態度を養うのが公民科の目標ですので、つまり、その前の被害者の想いとかなぜ薬害は起こったかという部分はありますけれども、ここに来て、なぜ社会科でやるのかというところの主たるものが出てくるのが、この部分になるのではないかということを思います。
1点、御紹介させていただきたいのは、実は中学校の学習指導要領がどのようになっているかというと、中学校1年生と中学校2年生で主に地理・歴史、そして中学校3年生で公民というものを学習します。中学校3年生の最後に何を学習するのかということですが、よりよい社会を目指してという単元があります。よりよい社会を目指してという単元では、まさに持続可能な社会を形成するという観点から、私たちがよりよい社会を築いていくために、解決すべき問題を探求させ、自分の考えをまとめさせるというのが、今回の学習指導要領で加わっております。
社会にとって自分たちが何ができるのだろうということを考えさせることは、確かに難しいですが、まさに中学校社会科の総決算になりますので、この部分の考え方というのは非常に重要なのではないかなと思います。
あとは、個別の記述に関しまして、例えば消費者という中で、自分の病気や自分が使う薬についてよく知るということだけではなくて、まさに薬害被害者の方のように、自らが被害に遭ったときに声を上げたということも、国民に該当するようなことになるのかなと、これは個人的な感想になりますけれども、思いました。
○衞藤座長 ありがとうございます。矢倉委員、どうぞ。
○矢倉委員 別に文科省さんに反対するのではないのです。この内容はわかりにくいところがたくさんありますので、もうちょっとわかりやすく、端的に削れるものは削ったらいいのではないか。例えば一番下、自分が受けている医療や処方されている云々というのは、難し過ぎるのではないか、改善できるのではないかという文章です。
以上です。
○衞藤座長 ありがとうございました。花井委員、どうぞ。
○花井委員 大杉委員の意見書でも書いてありましたし、倉田委員の意見でも書いていましたし、文部科学省さんからの意見でもそうだし、ここは肝ではないかと。肝の割にはわかりにくいのだという話ですね。私、考えたのですが、これは見せ方の問題なので、イメージとしては、まず何をすべきかの答えを細かい字で書いてしまっている。イスラトも線が細いイラストになっているので、もっとアイコンっぽいイラストで、製薬企業が薬の開発をしています。ぴっと線が来て、機構と国は安全性をチェックしています。ぴっと来て、処方せんを書いていますというのがまずあって、国民が使いますみたいなポップなイラストがまずあって。
それぞれが何をしたらいいのかは、美しくないのですが、表4をむだに使っていますので、そのお答えは表4の前半部分にはみ出してもいいから、今、文部科学省さんの意見の入った消費者のことも含めて、例えばそれぞれのパートはこういうことが大事だと細々と書いてあることを書くとか。表4、7ページ目にはみ出してもいいのではないか。
それで、肝の割にごちゃごちゃとしているので、むしろダイナミックな、がつっとした感じのビジュアルで攻めていただいて、薬が出てくるラインの中で、製薬企業は一生懸命患者さんのために開発しています。だけれども、それは自由ではないです。国は審査していますというのがあって、それぞれは何ができるのという問いがあって、答えは実は表4にあるとか、そんな感じで、一番肝の部分なので、ここはちょっと工夫してやったら。
書いてある内容は要るのです。ただ、ここにこんなに集積感がある形で詰め込まれても、ちょっときついだろうなと。
○衞藤座長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。学習のポイントとして、到達目標みたいなものに相当すると思いますけれども、ここをどうするかということに関してはいかがですか。肝だということですので、大事だと思います。望月委員、どうぞ。
○望月委員 私も公民がどのぐらいを中学生に要求しているのかがよくわからなかったので、発言しなかったのですが、今、文科省の方の意見を聞いて思いを強くしたのですが、この図は必要だろう。こういうことを考えさせて、こういうことをディスカッションさせて意見を言わせることは、私は絶対必要だと思います。
確かにこの図はすごくわかりにくくて、これはもうちょっと見せ方の工夫は必要かなと私も思いまして、花井委員と同じになりますが、答えをここに全部出すのではなくて、1ページ、2ページ、3ページ、4ページを読んできて、学習してきて、それを自分たちなりに話し合いをしたり分析をする中で、何が原因で、どうあるべきだったのかということは、多分十分議論できてくるのかなと思いますので、そこから出てきたものを国とか企業とか医療関係者とか消費者、国民と分けて考えてディスカッションさせて、最終的な答えは、もしかしたら私も一番後ろのページでもいいのかもしれないと思います。
一番後ろのページは、せっかくホームページをきれいに載せてくださっているのですが、意外と中身に何が書いてあるのかよくわからない表紙のページだけになっているので、もしかしたら薬に関するサイトはこういうものがあってというタイトルとURLだけというか、それをこの下半分ぐらいに整理する。そのうえで、上の方を使って、前のページの模範解答はこうなのですよみたいなものを載せるというのもあっていいのかなと思います。
○衞藤座長 ありがとうございます。小林委員、どうぞ。
○小林委員 この「薬害を防ぐには、どうしたらいいのだろう?」という標題ではなくて、それがその次に来て、本当はここで言いたいのは、それぞれどんな役割を果たしているのだろうかというところに来るのではないかと思います。どういう問題があって、その役割が出てきたというところにつながってくると思います。そうしたら、「薬害を防ぐには、どうしたらいいのだろう?」という、今、望月委員が言うように、次のページに考えましょうというのが来ると、子どもさんたちの議論につながると思ったりしています。
○衞藤座長 いかがでしょうか。栗原委員、お願いいたします。
○栗原委員 今日は寡黙だったのですが、ちょっと感想的に。
厚労省から出た案の全体のトーンとしては、先ほどの文科省の言う社会科の総決算ということと照らし合わせて考えると、どうも副作用と薬害とが混同された形でページが始まっていて、最後の到達点を考えたら、国の薬事行政や企業の姿勢に問題があったのだということがきれいに出ていないので、文科省の言う社会科の目標にはつながっていかないだろうということを思いました。
以上です。
○衞藤座長 ありがとうございました。高橋委員。
○高橋(寛)委員 大筋賛成なのですけれども、気になっているのは、先ほど中外さんから言われたように、教師も中3の学生も概念のないゼロベースから授業を何時間かやって、6ページを見て、最後、問題解決していこうねというところまで行きたいわけですね。だから、なるべく概念に関わるような話は省いてストーリーをつくっていただきたいのですけれども。
歴史からこんなことがあった。そこの患者さんは、こんなふうな声を出していると言うのですけれども、問題解決の社会の仕組みは示せても、個々の問題の原因を患者の声の中に盛り込まないと、多分そこまでいけないと思います。そこが可能なのかどうかだけ、勿論書き方にもよると思いますけれども。だから、皆さんの声も十分わかるのですけれども、6ページの中でそれをどうやってまとめるのかというところで、いつも詰まっているのだと思います。
○衞藤座長 望月委員。
○望月委員 おっしゃるとおりで、原因とそれぞれの立場の役割というのを、この最初の4ページの間で子どもたちが整理できないといけないと私も思います。
1つ思っていたのは、1~2ページの使い方なのです。これは、時系列で全部並んでしまっていて、全部こんなに載せる必要はないというのは、多分皆さん共通の御意見だと思うのですが、オーバーラップしている原因は勿論あると思いますけれども、原材料の問題、品質の問題、情報の開示性の問題、幾つかあるのが、ここのピックアップした解説の中に、市販前の動物実験のデータのきちんとした評価ができていないのが原因とかが、ある程度書きあらわされるような解説になっていると分かりやすいのかなと思います。
更に、被害者の声の中に、被害者としてのつらさとあわせて、そこに次のステップにつながるメッセージ。声をそのまま載せるというよりも、インタビューをして何かつくり上げないとうまくいかないかもしれないですね。そこはちょっと工夫が必要なところかなと思います。
○衞藤座長 ありがとうございました。高橋委員、どうぞ。
○高橋(寛)委員 もう一つは、原因は集約できないのですけれども、例えば国に原因があったとか、企業に原因があったとまとめられるのであれば、年表の中にアイコンでそういうものを入れて、原因としては大きくはこんなふうに分けられるというのは示すことはできるのではないかと思います。
○衞藤座長 望月委員、どうぞ。
○望月委員 整理してあげた方が中学生にわかりやすいかなと、私も思います。ただ、多分オーバーラップしていて、一つひとつの薬害のところにこんなことが原因として考えられると書くことはできると思いますけれども、それを全体で合体するのが結構難しいかもしれない。
一つひとつの薬害を分析しながら、自分たちなりにそこから国にこんなところが問題点としてあり、企業としてこんなところに問題点としてありと、個別の薬害ということではなく、引き出してこられればいいぐらいの整理の仕方かなと、ちょっと思ったのですけれども。
○衞藤座長 ありがとうございました。いかがでしょう、ほかにございますか。花井委員、どうぞ。
○花井委員 栗原委員からも意見が出たのですが、1ページ目、2ページ目にちょっと踏み込んだ記述がないといけないですね。この踏み込み方が行政と利害が対立するところで、定義しないと言いながら、これは巧妙に定義しています。このテキストだと、薬は私たちの命を云々とあって、これまで薬によって数々の健康被害が起きてきたが、その中で多くの方が被害を受けて社会問題となり、薬害と呼ばれているものがあるという、その部分集合として薬害があるのだと、実はある種の定義をここでしてしまっているのです。行政的には、こういう感じに落としたいというのがにじみ出た感じになっていて、その不法行為性とか、そういうものは薄らいでいるのだと思います。
国の責任と書くかどうかは別として、何らかの薬害の原因とまではいかないけれども、人災性というものをちゃんと打ち出さないと、ちょっとだめかなと。望月委員がおっしゃられたような話は、全部原因分析すると、サリドマイドだけでも1冊の本、スモンなどは4冊の本になって、まだ足りないぐらいですので、例えば何かポイントになる部分で吹き出しで入れるという話にとどめていいのではないかと思います。
例えばサリドマイドってどうなのですか。サリドマイドの人は、今日はいない。動物実験データ、要は妊娠初期のデータがなくて、後期のデータで、それによって妊娠状態全体の安全性を認めてしまったが、本当はそのデータを請求しなければいけなかったのですね。今、言ったようなことを吹き出し1つでうまく書けるのか。スモンといえばこの部分というつかみがあって、ある程度は行政でもそうだねと合意できるものがあると思うので、それを吹き出しでとんとんと入れていくと、ある種の原因。
それが散文的に書いてあるので、原因はこうだとは言えないけれども、中学生は散文的に書いてあるのを読んで。多分、先ほど一番最後の部分を省略するという議論があったのですけれども、一番重要な部分ですね。それはなぜかというと、薬害被害者の話を普通に話すと、中学生は国はひどいと思いますという感想文が出てくるわけです。お医者さんは何でそれを使ったのですかという素朴な感じで。そのままで放っておいてもいいかなと、今回ちょっと思ったのですが、それはまずいということなので、落としどころもきちんとこの中で責任を持つという設計方針でいいのではないかと思います。
だから、前半では国は何で認可したのにだめなのということでいいのだと思います。前半は散文的に、最後で締めるみたいな構成でどうでしょうか。
○衞藤座長 ほかにはどうですか。手嶋委員、どうぞ。
○手嶋委員 済みません、また5ページの話に戻るのですけれども、「消費者(国民)」です。さっき倉田委員が言われたように、確かに自分の健康とかに、使う薬についてよく知るというのは当たり前のことですけれども、レイアウトがおかしいのかどうかわからないけれども、この上に薬害を起こさないために何ができるのでしょうと書いてある。薬害の被害にかからないように消費者はするということで、起こさないためにというのに消費者を入れているのが、ちょっとおかしいのではないかと私は思うのです。
小さい字で書いているし、こんなもの、中学生は目が悪い子が多いから見ないです。だから、「消費者(国民)」だけはちょっと違うと思います。薬害を起こさないために何ができるかというのは、あくまでも国や製薬企業や医療機関が考えることでしょう。消費者が起こすわけではないので、これはレイアウトが違うのではないかと思います。
○衞藤座長 倉田委員、どうぞ。
○倉田委員 うまく説明できないのですけれども、気付いてどこかに報告して、おかしいよと言ってあげないと、それから先は動けないと思うのです。
○手嶋委員 気付かない場合もあります。私たちはC型肝炎になったのは気が付きませんでした。
○倉田委員 自分の体に変調があって気が付かれたのではないのですか。
○手嶋委員 ほとんどの人は、後からちょっと体調が悪いので行かれたので、それも10年も20年もたってからです。そのときにというのがわからないわけです。
○倉田委員 そうですね。でも、気が付かれたときが原点だと私は思うのです。
○手嶋委員 原点のときは、もう肝臓がんになっていた人は終わりなのです。
○倉田委員 ごめんなさい。やはり余りちゃんと説明できません。
○衞藤座長 そろそろ時間です。はい。
○矢倉委員 今の先生のお話にちょっと関係するだろうと思いますので、発言させてもらいますけれども、ついせんだって全国のスモン患者の交流集会が福岡でありました。そのときに、うちのスモン患者、3歳のときに栄養不良でお医者さんからエビオスをお飲みなさいといって、これは医者が製薬会社から直接仕入れてくれたそうです。そして、それを飲んで失明しました。今も失明状態で、親の保護で生きております。
この話をなぜしますかというと、その全国交流集会で隣に座っておられた兵庫県のスモンの会の、これは患者さんではないのですけれども、その人が彼女に向かって、飲ませた親も悪かったねと言ったそうです。彼女は悔しさで、その場面にいるのもつらかったと。私が飲ませたのではない。お医者さんが、この子どもはちょっと育ちがよくないから飲ませてくださいと、補助食品的に言われて飲ませたのだと。あんなふうに言われて、どんなにつらかったかと。
今、49歳です。仕事がありません。全盲です。家の内部で動いたりすることは、どうにか動いております。これが若年で発症したスモンの実態なのです。これを飲ませた親が悪かったねと言われたのと、今、手嶋さんに質問なさったようなこととが、ちょっと似通っているのではないかなと。
スモンの場合は、だれも自分で好んで飲んだ人、例えば医療用医薬品など、医者が全部処方してくれるのですから、それを飲んでかかったわけです。ただ、一般用の販売している医薬品については、個人が購入して飲んだという場合もありますが、一番多くは手術の後の整腸剤として、医者が処方したということが非常に大きいのですよね。だから、今のようなおっしゃり方をされると、ちょっとつらいなという思いがいたします。
以上です。
○衞藤座長 いろいろ御意見が出ましたが、そろそろ時間ですので、まとめなければなりません。
この資料のあり方そのものに関する御意見。これは、中学3年生向けの資料だということで、構成に関してもいろいろ御意見いただきました。表現の難しさとか、盛り込むべきこととか、必要でないこととか、そういう観点で意見をいただきました。
1ページ目、2ページ目は、「薬害ってなんだろう?」ということで、3ページ目、4ページ目には被害者の声ということで、そこでどういうふうにその後の学習につながるような整理を入れるかという御意見もいただきました。
そして、5ページ目に「どのようにして薬害が起こるのだろう」というのが入って、6ページ目に全体をまとめるページになって、その一部は、場合によっては、表4、7ページ目に半分ぐらいはみ出してもという御意見が出て、最後にホームページの情報をコンパクトにというところが、集約すると大方の御意見ではなかったかと思います。
それを盛り込んで作業をしていただいて、次回、もう一回集まっていただくということになろうかと思います。本日のところは、時間を1分ほど過ぎてしまいましたので、これにて。
○花井委員 済みません、1つだけお願いします。
○衞藤座長 はい。
○花井委員 伝票に幾つかピックアップして説明が出ると、デザインする側が、今、表1をやっているのですよね。場合によっては、「薬害ってなんだろう?」という表1をちょっと使ってもらってもいいのですよね。だめですか。
○医薬品副作用被害対策室長 どういう。
○花井委員 場合によっては表紙も使っていいですか。「薬害ってなんだろう?」という表紙でもいいのですよね。そこに簡単なテキストが載って、それをデザインされても構わない。だから、デザインの幅としては広がる。そうすると2~3ページのスペースが楽になって、年表のビジュアルをポップにできるかもしれない。表1も含めてのデザイン。
○医薬品副作用被害対策室長 今おっしゃったのは、今日だと1ページ、2ページに書いてある中身、大幅に変えるにしても、そのうちの一部をそっちへ持ってくるということですね。それはやり方があると思います。
○衞藤座長 スペースがかなり限られている中で、表紙の部分も少し情報を入れてはどうかということです。
それで、最初の「薬害ってなんだろう?」というところは、前回までの御意見としては、なるべく年表形式で網羅的に情報を入れるということでしたけれども、その点に関しては情報量が若干多過ぎるので、ピックアップするということで修正の意見が出たと理解しておりますけれども、よろしいでしょうか。
○花井委員 はい。あと、ビジュアルをもっとポップに。
○衞藤座長 その点は大きな方針の転換ということになりますけれども、むしろ理解を助けるという観点で整理するということになろうかと思います。
それでは、次回の日程等について事務局から。
○医薬品副作用被害対策室長 1つよろしいですか。今日は非常にいろいろなお話をいただいてよかったのですが、次へ向けて作業するときに、恐らく3ページ、4ページで被害者の声を入れていって、そこから後につながるようにするという構成だと思います。そうすると、被害者の声というものがとても大事なものになってくるので、最初のお話にもありましたけれども、今日サンプルとして挙がっているのは、これまでにある文献から拾ってきたということですけれども、この被害者の声をどういうふうなものにするのか、これからはサンプルではだめで、そのものが非常に大事なものになってくる。
例えば、患者の委員の方々から出していただくとか、あるいはどなたのところへ、どなたかがおっしゃっていましたけれども、インタビューに行って物をつくるとか、あるいはほかの委員の方々から材料をいただく、その辺の次回に向けてどういうふうに作業をしたらいいかということについては御示唆をいただきたいと思いますが。
○衞藤座長 これについてはいかがでしょうか。御自身で御執筆いただいたり、御意見をいただいたりということについて、次回までの間に御協力を個別にお願いすることになりますかね。
○医薬品副作用被害対策室長 例えば今日の材料でいくと、合計8つ分あります。仮に8人という形でやるのであれば、この後でそれに相当する方、どなたか材料をいただくということを、今日おいでの被害者の方々との間で調整させていただくようなやり方をするとか。その辺は、今、申し上げたような形で相談させていただくのでよければ、そういうふうにしますし、それ以外のやり方があれば、それはそれでいただければと思います。
○衞藤座長 この「被害者の想いを聞こう」ということに相当する内容の中の原稿のつくり方に関しての御意見、ございますか。高橋委員、どうぞ。
○高橋(浩)委員 明確な意見ではないのですけれども、構成というか、インタビューにしても、声の抜き取り方にしても、大事になってくるのは、自覚的なというか、外から見て被害何人とかではなくて、自分として主観的にどういう苦しみだったかという部分。特に、さっきも出たような、人からだれが悪かったとか、自分に責任があるみたいな、そういういわれのないようなことの苦しみみたいなものが一つの部分と。
それから、その人から見て、何が悪かったか。こうだったらきっと違ったとかという、原因とか対策につながるようなことについて入れた上で、その声が入れば、前の方を受けて次につながるという役割になるのではないかと思います。
○衞藤座長 ありがとうございました。中外さんの方から。
○教材制作会社 見せ方についてなのですけれども、ポップというお話もあったのですけれども、そのポップのイメージがわかないのです。私が子どものころに公害について授業を受けたときに、よく記憶はしていないのですけれども、患者さんの写真とか悲惨な写真、ビジュアル化することですごくインパクトがあって、それで覚えたのです。原爆もそうなのです。ですから、おどしではないですけれども、事実を伝える、目に焼き付ける。そういうビジュアル的なもので訴えることも必要なのかなと思っているのです。
そうなりますと、ポップとは合わなくなってきます。それでも、ポップの方がよろしいのでしょうか。
○衞藤座長 花井委員。
○花井委員 ポップという意味は、年表に使っているアンプルの影絵とか、こういうものを普通にデザインして年表をつくってほしいという話とか、6ページの細い線画になっている絵を、アイコン的なデザインされたものにしたらどうかという趣旨です。
悲惨さを写真でという、確かにそのとおりなのですけれども、基本的にそういうビジュアルは今回はないですね。例えば被害者の写真で悲惨さを強調するような写真はないです。これはどうですか。私は特に必要ないかなという気がしていたのですけれども、先ほどおっしゃられたように、悲惨なインパクトのある写真を見ることによって、強烈な印象を受けるメリットと言っていいのかわかりませんが、そういうものあるという意見が出ているのですが、そこはちょっと検討していただきたい。いいかなという気もします。
ポップというのはそういう意味です。だから、読みやすいように、中学生が読もうという感じのレイアウトにしてほしい。5ページは、スペースが狭隘だから四角く組んでいる。そうではなくて、ゆったりとしたので、ぱっと見て読んでいこうみたいな感じになるようなデザインを考えてほしいという意味です。
○衞藤座長 手嶋委員。
○手嶋委員 済みません。一番最後のページなのですけれども、サイトをずっと紹介してありますけれども、薬の被害に関するサイトとか厚労省が書いてありますけれども、被害者団体のサイトではないのですかね。こういうホームページを載せなくていいのですけれども、被害者団体のサイトをちゃんと紹介していただきたいなと思っております。
○衞藤座長 ありがとうございました。という御意見でございました。
そろそろ閉じようと思いますけれども、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○衞藤座長 それでは、次回の日程等について、事務局の方からアナウンスをお願いいたします。
○医薬品副作用被害対策室長補佐 次回の日程ですけれども、12月7日火曜日、13時からということで、場所は未定ですので、追って御連絡差し上げたいと思います。
○衞藤座長 それでは、これで本日の検討会を終了いたします。10分ほど時間を超過してしまいまして申しわけありません。長時間にわたり大変ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
<連絡先>
厚生労働省医薬食品局総務課
医薬品副作用被害対策室
TEL 03-5253-1111(内線2718)
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