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2010年3月19日 第13回 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会

医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室

○日時

平成22年3月19日


○場所

健保会館 はあといん乃木坂


○議事

○北村座長 それでは、定刻となりましたので、第13回の「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」を始めさせていただきたいと思います。
 本日は御多忙の中、参考人を始め、委員の先生方にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 まず、出席確認と配付資料確認を事務局の方からお願い申し上げます。
○田中指導官 事務局より御説明申し上げます。
 まず、本日の御欠席の委員でございますが、梅田委員、笠貫委員、加納委員、澤委員、平岡委員、吉田純委員、渡辺委員の7名の先生方が御欠席でございます。
 なお、佐藤委員と土屋委員におかれましては、30分程度遅れるという御連絡をいただいております。
 本日の検討会に併せまして、ワーキンググループの専門家といたしまして4名の先生方に参考人として御出席いただいておりますので、御紹介させていただきます。
 なお、2名の先生方はまだお見えでございません。
 まず、前田眼科クリニック院長の前田利根先生でございます。
 後ほど、東京大学医学部附属病院心臓外科教授の小野稔先生がお見えになる予定でございます。
 続きまして、近畿大学医学部整形外科学教室教授の浜西千秋先生でございます。
 もう一名、東京大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科学分野教授の山岨達也先生が後ほどお見えになります。
 ただ今、東京大学医学部附属病院の心臓外科教授外科の小野稔先生がお見えでございます。本日はよろしくお願いいたします。
 なお、本日は、水晶体嚢拡張リングを前田利根先生に、体外式補助人工心臓装置は小野稔先生に、創外固定器用金属ピンは浜西千秋先生に、人工内耳は山岨達也先生にそれぞれ御評価の御発表をいただく予定でございます。よろしくお願いいたします。
 続きまして、本日配付させていただいている資料の御確認をさせていただきます。
本日、机の上に御用意させていただいております資料でございますけれども、まずは座席表、続きまして議事次第。
 資料1といたしまして「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会の進め方」。
 資料2といたしまして「これまでの選定品目の現状」。
 資料3といたしまして「ワーキンググループによる評価(水晶体嚢拡張リング)」。
 資料4といたしまして「ワーキンググループによる評価体外式補助人工心臓装置」。
 資料5といたしまして「ワーキンググループによる評価(創外固定器用金属ピン)」。
 資料6といたしまして「ワーキンググループによる評価(人工内耳)」。
 資料7といたしまして「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入要望に関する意見募集について」。
 なお、これ以降に2つ、未承認医療機器等、適応外医療機器等の要望書が付いておりますが、これらは資料7に付随した資料と御認識いただければと思います。
 続きまして、参考資料1といたしまして委員名簿。
 参考資料2といたしまして開催要領。
 参考資料3といたしまして評価資料、こちらは各企業からの評価レポートをお席の方に御用意させていただいております。
 それと、当日配付といたしまして、A4の横で検討会の流れ図を御用意させていただいております。
 それに加えまして、前回の議事録につきましても、お席の方に御用意させていただいております。
 資料につきまして、過不足等ございますれば、事務局までお申し出いただければ幸いでございます。
 以上でございます。
○北村座長 ありがとうございました。
 お手元の資料、よろしいでしょうか。よろしいですね。
 それでは、早速、議事に入りたいと思います。本日の議事は、早期導入の検討対象医療機器等についてとなっていますが、議事に入るに当たって、まず、事務局から確認事項をお願いしたいと思います。
○田中指導官 まずは、本日の検討に当たりまして、利害関係の御確認をさせていただきましたので、御報告いたします。
 資料1の1ページ目をごらんいただければと思いますが、一番下に「なお、検討会の委員は、検討対象品目について関与又は特別の利害関係を有する場合は検討会の座長に申し出ることとし、関与等がある場合は当該品目に関する検討及び発言をしてはならない。」とございます。
 今回は、水晶体嚢拡張リング、創外固定器用金属ピン、人工内耳、体外式補助人工心臓の検討をお願いいたしますけれども、これら製品について、委員の先生方に利害関係がなかったことをまずは御報告させていただきます。もし今回の検討品目につきまして利害関係を有する委員の先生がおられましたら、この場でお申し出いただければと思います。
 以上でございます。
○北村座長 利害関係、特に今、申し出る方はおられませんね。よろしいですね。
 それでは、引き続きまして、事務局から報告事項についての御説明をいただきたいと思います。関野室長、お願いいたします。
○関野医療機器審査管理室長 関野でございます。
 お手元の資料ですが、クリップで止めてあるかと思いますので、資料1、2、それ以降の資料もばらしていただいた方が使いやすいと思いますので、クリップを外していただければと思います。その上で、御用意いただく資料は、資料1、資料2、それから、恐縮でございますが、資料後ろの方ですけれども、資料7を御用意いただきたいと思います。
 なお、資料7に関しましては、先ほど事務局より説明ありましたとおり、資料7としてホチキスを止めてあるもののほか、その下にございます、右下に「未承認医療機器等」と書いてあるもの、これが提出様式1でございます。それと、その下にホチキスで止まっています資料として「適応外医療機器等」という枠囲みをしてあります提出様式2というもの、これを御用意いただきたいと思います。
 加えて、当日配付資料ということで、傍聴の方には恐縮でございますが、委員のみの配付になりますが、当日配付の一枚紙ということで、この検討会の従来の流れを示した絵を置いてございますので、これも併せて御用意いただければと思います。
 それでは、私の方から、検討の進め方に関しまして、従来行っていました方法を少し変更いたしまして、より効率的に、かつ迅速に、医療ニーズの高い医療機器というものをこのスキームに乗せていくという考え方に沿いまして、新たな進め方を御提案させていただきたく、御説明をさせていただきます。
 まず、資料1をごらんいただきたいと思います。こちらは、全体を通しまして、大筋の流れといたしましては、以前からそんなに変更ございませんので、大きな項目のところだけを簡単に御紹介をさせていただくにとどめさせていただきます。
 まず、1ページ目にございますとおり、この検討に当たりましては、学会等に対して要望を募集し、一定の条件、ここに書いてありますような条件に合うようなものを基本的に要望していただくということでやってまいりました。加えて、学会のほか、患者団体の方からも要望があれば、それもこの検討会に上げまして、どのように進めていくかということも考えていくということで、考慮するということで行ってきていますが、比較的、従来は学会からの御要望が中心だったかと思います。
 そして、その後の流れといたしましては、2に書いてございますとおり、ワーキンググループにおいて評価をするということで、そこで一旦評価をし、その後、この検討会にかけて、早期導入品目の選定という格好の流れを取っております。
 これに関しましては、別の資料で、当日配付の一枚紙を御用意していますので、そちらをごらんいただきたいと思います。今、申し上げた部分は、一枚紙の横長の資料ですが、左から右に流していただきますと、緑色のところが学会要望に当たりまして、その後、選定WGという書き方をしているところで、まず、要望に対しての評価を行い、その後、ワーキンググループの検討結果を基に検討会を開きまして、そこで一定の、選定の、ある意味、候補といいましょうか、そういったものの医療機器の種類を決定するという段階を経てきております。
 引き続きこの絵で説明いたしますと、その後、更に、関係する企業を募集し、その製品に関する情報をより集めた上で、もう一度ワーキンググループを開きまして、そこで改めて早期導入に向けた情報といいましょうか、製品に関する医療上の必要性も含めまして評価をいただきまして、その後、もう一度検討会を開いて、そこで最終的に選定品目を決定してきたという流れで行ってきております。
 これに対しまして、今から御説明いたしますのは、2回にわたってワーキングを開き、また検討会も2回にわたって開くというところを、それぞれ1回で一定の評価をし、早期導入のルートに乗せていこうというのが基本的な考え方でございます。
 資料1にお戻りいただきたいと思います。今、申し上げましたような変更に関しましても、資料1の2ページでございますが、選定品目を開発する企業の募集が3としてございます。この辺りの考え方、あるいはやり方は従来と変わりませんで、企業を募集した上で、その企業が持ち得る情報を収集して、その後、改めてそういった情報を評価に使うという流れは従来と変わりございません。
 その後、4ということで、この検討会の先生方から助言をいただく格好になるわけでございますけれども、今、申し上げた1ページ目、2ページ目の説明の範囲内では、従来とどこが変わるのかが少しわかりにくいかと思いますので、資料1の最後のページにカラーで一枚紙を付けてございます。横長の絵でございます。これに基づきまして説明をさせていただき、先ほど触れました当日配付の一枚紙と照らし合わせて見ていただければと思います。
 まず、この絵に描きましたのは、意見募集というところは従来から変わりません。その条件も変更ございません。その後、青いところですが、検討会にかけまして、ワーキングのところで一旦要望のあったものの評価を行っていただく。その結果、選定案の作成ということで、リポートをつくっていただく格好になります。そのリポートをもって検討会を開きまして、そこで選定品目を決定するという流れになるわけでございます。
 そして従来ですと、1回検討会を行った後、さまざまな情報を集めるという格好で行っていたわけですが、次回以降は、学会から御要望いただく際に、できるだけ持ち得る情報を学会の要望のペーパーの中に書き込んでいただいて、要望する段階でさまざまな評価に必要な情報をお出しいただくというふうに持っていけたらと思っております。そしてワーキングで評価を行い、検討会でその決定を行うという流れにしたいということでございます。そして、その後、検討会が終わりましたら、企業の募集をあらためて行いまして、その後、承認申請等の流れに乗せていくということを考えております。
 ここで1つ問題なのは、従来、2回にわたりまして、かなりの情報を集めた上で検討を行い、きめ細かい評価を行った上で選定という流れに対しまして、今度は限られた情報になってしまうんではないかという懸念があるかと思いますが、この部分に関しましては、一旦要望のありましたものをワーキングで検討し、更に検討会を開いた段階で、これは現時点で選定するには情報量が足らないということであれば、一旦ペンディングにしていただきまして、また次回の検討会までに情報を集めて、情報を補足いたしまして、再度御審議いただくという流れにしていきたいと思っております。
 したがって、従来ですと1クールという格好になりますのが、ワーキング、検討会をそれぞれ2回開いておりましたところを、それぞれ1回にする分、1年当たり2クール、あるいは3クールという格好で回していくことによりまして、一旦ペンディングになっても、翌年ということでの繰り越しではなくて、同じ年度内にあらためて情報が補足された上で評価をいただくという格好になるということにまります。
 こういうことをいたしますと、全体のスキームとして、情報量のあるもの、ないものがまとまった形で1年間で処理をされるのに対しまして、比較的、学会要望が出された段階から情報量がしっかりしているものに関しては、1年もかけずに早期導入のルートに乗るということでもメリットがあろうかと思っておりますので、回転をよくするという意味で、1年間に何クールか回すということを前提といたしまして、今、御紹介いたしました、9ページにありますようなスキームで今後やっていきたいということを考えております。
 なお、資料1の中に文章で書いてありますものに関しましては、全部説明する時間はございませんが、記載として足らない部分ですとか、不十分なところがございましたら、この後、御意見いただければ、資料1を微修正かけることによりまして、最終的にこの検討会の進め方のペーパーということで整理をしていきたいと思っております。
 続きまして、資料2をごらんいただきたいと思います。こちらの資料は「これまでの選定品目の現状」ということで、A3の横で、3ページにわたりまして過去の実績ということで33件の選定された品目を並べたものでございます。古いものから順番に並んでおりますが、この表の横軸をごらんいただきますと、開発企業名とか販売名が書いてございますけれども、更に右側には、承認申請日ですとか、承認日も年月日が入っているものもございますので、これを今後メンテナンスしていくことによりまして、これまで選定された品目が今、どのステージにあるかということも逐次、検討会でも御確認いただけるということになります。
 そして、特に右側から5つ目のカラムに「現状」という欄を設けておりますが、この欄に、承認ですとか、承認申請中ですとか、申請準備中といった記載が幾つかございます。これらをこの検討会でもあらためてごらんいただき、承認に至っているものであればよろしいのかもしれませんが、申請中のものであったり、準備中のものに対しましては、やはりニーズの高いものであるわけですので、選定された以降、少し動きが遅いですとか、どういう事情で今、このステージにとどまっているのかといったことも、この検討会で御審議いただきまして、その後の我々の業務をより加速していくということも考えておりますので、この資料を随時見ていただきながら、それぞれの状況というものを御確認いただきまして、必要な御助言、御指導をいただく。そういうフィードバックの意味も兼ねまして、こういった資料を今回つくらせていただきました。
 そして、本日、個別に4品目御審議いただきます。24番が評価の対象ということで準備が整いましたので、御審議いただきたいと思っております。更に、最後のページになりますが、28番、30番、31番が、本日の検討会までに準備ができたものということですので、後ほど御審議いただきたいと思っております。
 それと、細かい説明は省きますが、資料7に関しましては、年度が変わりましたら、このスキームの最初の部分でございます学会等の要望を求めるための文書の案という格好で、あるいは様式の案ということで御用意していますので、ここは年度末、あるいは年度明けまでに記載の整備をもう一度確認をさせていただきながら、あらためて要望を出すタイミングには、先生方にはお知らせをしたいと思っております。本日は配付のみということで御了承いただければと思います。
 少し長くなりましたが、説明は以上でございます。
○北村座長 ありがとうございました。
 今、3種類ほど御説明いただきましたが、少し御意見を伺いたいと思います。まず、資料1の関係で、新しい方式に改善したいと。つまり、2回繰り返していたのを1回のシステムで、その代わり、資料不足とか、問題があれば差し戻してやっていくという形です。これは、前回、私が間違って1回目と2回目とごちゃ混ぜにしてしまって、あれが役に立ったんですか。
○関野医療機器審査管理室長 すべてとは言いませんが、それも参考にさせていただきました。
○北村座長 ああ、そうですか。役に立ったというのはちょっと自分勝手かもしれませんが。スピードアップも、いろんな方々からの御意見も出ていますようで、1回でやっていこうという形にしたいことですが、そのほか、何か御意見ございますでしょうか。弊害というのは、審議不足、あるいは資料不足ということをおっしゃっておられました。その場合には、この検討会で審議できるレベルに達している資料がないということで返すことができるという形になると思います。
 この資料が事前に配付されておりましたので、申しますと、例えば、2ページに「3.選定品目を開発する企業の募集」というところがあります。企業の方は今日は傍聴席におられるんだと思いますが、御存じのように、新しい器具をいかに上手に医療側に使わせるかという研修の事業の項目が、現在のやり方では企業に責任を負わされている。勿論、企業の御参加のもとに、その医療機器を使ったウェットラボを開いて、学会もやっておられると思いますけれども、本質的にその機械を習熟させる事業主は企業ということに日本ではなっています。したがって、5つほど書いてあります下に、私としてはどうしても、機器の適正使用のための研修について、企業がどう考えているのかという項目を1つ加えてもらってはどうかという気もいたしております。
 それから、資料1の8ページに(2)医療上の有用性の区分とありますが、「B:欧米において標準的に普及しており、有効性、安全性、肉体的・精神的な患者負担の観点から」云々と書いてありますが、欧米において標準的に普及しているようなものを日本が早期導入しろと言って、こんな委員会を開いているのはみっともないような気もしないでもないですね。実際は標準的に普及しているんではなくて、FDAが承認したてでもいいんです。あるいはCEマークを取っているというような形を重視しているわけで、この「標準的に普及している」という文章は変えていただいてはどうかと思った次第でありますが、御意見あれば伺いたいと思いますが、どうですか。
 まず、2回を1回にするということでは御異論ございませんか。それは御承認いただいたということでよろしいですか。
 それから、私が追加したのは、この機会に文言を訂正できるということで、ほかにもこういうのがあれば、おっしゃっていただいたらいいと思いますが、どうでしょうか。これは検討していただくという形で、事務局に投げかけておけばいいんだろうと思いますけれども、今、御意見があれば。
 どうぞ。
○吉田茂座長代理 最後の件ですけれども、これは非常に大事なところだと思うんです。北村先生が言われたように、普及してという言葉を言うと、時間的にかなりたってからという認識になると思うので、承認された時点でいいとおもいますが、逆に、承認されていなくても、アングラで普及しているという場合もあり得る。そうすると、普及という意味が何かと曖昧になりますので、やはり承認されている、オーソライズされているということが一番大事ということで、私は北村案に賛成で、医療上の有用性の区分のところは、承認されという部分がよろしいんではないかと思います。
○北村座長 どうぞ。
○千葉委員 私も今のお2方の御意見に賛成でありまして、標準的に普及となると、かなり前提条件が厳しいなと思いますので、今のように承認されていれば、こちらの委員会で検討するという考え方は妥当ではないか、この委員会の本来の趣旨にもかなうのではないかという気がしております。
○北村座長 ありがとうございます。
 それと、日本で初めての医療機器の研修ということ、これは義務は医療機器販売企業の方に課しているわけですね。あとは、学会のガイドラインを作成していただいて、それを使用する医師の集団の学会から、こういう基準で研修をした人という形を持ってきている。
○関野医療機器審査管理室長 現状は、申請に係る審査を行っている過程で研修の必要性とかが議論になりますので、当然、製品を供給するに当たっては、研修プログラムみたいなものも併せて提供し、使うに当たっては、十分トレーニングを経た上で使うようにということを、申請者の方に、現在は、薬事法上は要求しているということになります。
○北村座長 これをわざわざチョボづけして書いてもらうという必要性はどうですか。それは可能ですか。
○関野医療機器審査管理室長 いろんなケースがあるかと思いますが、既に研修プログラムを用意している場合と、そうでない場合があるかもしれませんけれども、こういった情報も、この検討会で御議論いただく際には必要な情報だと思いますので、加えても構わないかと思います。
○北村座長 学会の医療側は、今、申しましたような、学会に併設した形の、卒後研修、あるいはウェットラボなど、動物の心臓とか、動物を使ったりして、かなりいろんな学会で取り組まれておりますけれども、これのスポンスしていただくものはやはり企業になる点があるわけです。そして、その機器をうまく使いこなす研修事業は企業に責任があるという形になっているのをオブザーバーの方は了承しておられるんだと思いますけれども、そういった面から、それを公募するときには研修事業も含まれた上での公募であるということを、私としては明記していただいたらどうかなという気もいたしておりますが、これは事務局の方に検討を投げかけておきたいと思います。
 どうぞ。
○千葉委員 研修を企業がされれば、ある意味では通していきたいなというお気持ちがある場合もあると思います。これを実際に海外で既に使っているわけですから、その研修の内容、これが企業か学会かは別としまして、海外で一定の経験を有する人間が、研修が無事終わったかどうかを評価するといった項目が更にあった方が、より客観性が保たれるかなと思っております。単に企業が責任を負う、これを学会が助けるといいますか、承認するといいますか、そういうことだけよりは、これは海外から来たものでありますから、そういう承認は海外からも一定の評価がないといけない。研修に対する評価ですね。ということがあった方がベターではないかという気がしておりますけれども、いかがでしょうか。
○北村座長 私の知る限りでは、その議論は以前にも行われまして、我が国の薬事法にのっとって承認するものの機械の研修を、外国に行かねばいかない、あるいは外国人に依存せねばできないというのには問題があるという議論がありまして、日本の薬事法で承認する以上、その機械の使い方については、それを日本の国内で行われるべきだという意見も、先進医療のところもありまして、先進医療というのは、薬事承認したものを取り扱いますので、そういう議論がございました。
 それで、企業を公募するに当たっては、我が国の企業が、どこが取り扱ってくれるかという形でPMDAと医政局も公募をかけてくださるというシステムになっています。その中での研修事業というのは、今、申しましたように、学会のガイドラインをつくってくれ、学会はウェットラボ等で研修をしているところはたくさんあります。しかし、その根本のやるべき責任というところは、今は企業に課せられているんですよ、日本のやり方は。法律かどうか知りませんけれども。国がやるとか、あるいは医師の集団がやりなさいとか、そういうのがないみたいですね。それでいいんですか。行政側、どう思いますか。
○関野医療機器審査管理室長 今の先生の御意見と、この検討会のスキームの中にそういった情報を入れて、どうやってそれを評価していくかということを併せた形でコメントさせていただくと、新しい医療機器である以上、企業側にも何らかの、使用方法を含めて、使用者に対してのトレーニングプログラムは、すべてに必要かどうかわかりませんが、一定程度のものは必要になってくると思いますので、そういった情報をこの検討の対象にするということはあっていいと思います。
 加えて申し上げたいのは、もともとこのスキームに乗った機器というものは、学会からも御要望の強いものでありますので、当然、これが早期導入という形のスキームに乗って最終的に承認というところにたどり着いた段階では、それまでの間に学会の方にもいろいろな施設に関する要件ですとか、使い方に関する何らかの考え方ですとか、そういったものもまとめていただくのも必要かと思っておりますので、企業のみならず、学会の方にも、適正に使用するための環境整備の一環としての取組みを求めたいと思っております。
○北村座長 どうぞ。
○中谷委員 補助人工心臓に関して、4つのものが認められたときにも、どういう施設基準でやるのかとか、使用基準といいますか、それらに関しても、結局、学会に振られて、作成委員会で案をつくって、そういうような形でやっているということがあります。
 それから、トレーニングに関しては、そのときディスカッションになったのは、個々の種類に対してまで学会が全部責任を負うことは無理だから、そこは基本的には企業が持つべきだろう。ただし、それに対して、学会等々が併せて助けるといいますか、一緒にやるというふうなスキームでやるという話が出たんですけれども、今回もその辺のところが明確になればいいんではないかと思います。
 1つだけ質問なんですけれども、新しいところで、検討会は適宜助言するとか、意見を言うとかいうのがあるんですが、これはどういうタイミングで言うのか、あるいはこういう会を開いてやるのか。例えば、各委員から出てきたのを持ち回りでやるとか、そんなスピード感を持った形をイメージされているんでしょうか。
○北村座長 どうぞ。
○関野医療機器審査管理室長 募集の段階、あるいは承認申請、更には審査中の段階、さまざまな段階で御助言いただく機会があろうかと思っておりますので、その場合は会議を開くということではなくて、個別に御相談をさせていただきたいと思います。一方で、会議を開いた際にも、その都度、それぞれ選定いただいた品目が今、どのステージにあるかということを、資料2のように御紹介しますので、そのタイミングでも当然、過去に選定したものに対して、いろいろな御意見をいただきたいと思っていますので、その両方でやらせていただきたいと思います。
○北村座長 どうぞ。
○吉田茂座長代理 今の研修の云々とか、施設基準の問題ですけれども、それが問題になるということは私も十分理解できますけれども、検討会がどういう施設基準が正しいかとか、適切であるかということは判断できないと思うんです。これまでやってきたやり方ですと、例えばこの議論の中で、適切な施設基準とか、研修会を開催することが望ましいとか、お願いしますとか、附帯意見としてつけています。役人的な考え方かもしれませんが、できる規定にして、検討会としては、場合によっては研修会の開催とか、施設基準の認定を要望することができるということにしておかないと、1回1回の医療機器の申請のたびに施設基準だ、使い方だという話になると、ちょっと荷が重過ぎるというか、大きくなり過ぎるような気もするので、そこのところの整理はきちっとした方がいいと思います。
○北村座長 どうぞ。
○中谷委員 私も別にここで個々のものまでやるという意味ではなくて、そういうことをちゃんとつけてやりなさいとか、それはそういうふうにされましたといいますか、その報告を受けるということで、個々の検証までここが持つのは無理だと思って発言させてもらっています。
○北村座長 ほかに御意見よろしいですか。
 それでは、今まで御意見いただきました内容を踏まえまして、次年度の募集あるいは公募を行うという形で御検討いただきたいと思います。
○関野医療機器審査管理室長 ありがとうございます。
 先ほど御意見いただいた8ページの普及のところも、もう少し前のステージの段階できちんとこの検討の対象になるような書き方に、承認された段階とか、そういうふうに直したいと思います。また、ほかにも、今日は全部ご説明する時間がございませんでしたので、限られた時間にはなりますが、持ち帰っていただいて、後日また御意見いただきたいと思います。
 加えて、検討会の回数ですが、最低限年2クールやろうかと思っておりますけれども、そこはまた事務局の中で考えまして、3クール行ければ3クールとしたいと思いますので、こちらで預からせていただきたいと思います。
○北村座長 それから、次年度の募集の紙がどのように変わるかということは、どうしますか。もう一遍開かなくても、例えば座長と事務局に一任していただくとか、何かするんですか。
○関野医療機器審査管理室長 本日、研修に関する情報とかの部分の御意見いただきましたので、それに関係して様式がまた少し変わる可能性もございますので、直したバージョンをもう一度、各先生にお送りさせていただきたいと思います。
○北村座長 ありがとうございます。
 それでは、よろしゅうございますね。
 それでは、早速、検討品目に移りたいと思います。本日の検討品目は、先ほど御紹介ありましたように4つございますが、まず、水晶体嚢拡張リングの検討を前田利根先生からお願いしたいと思います。
○前田参考人 よろしくお願いいたします。
○北村座長 次回からはスライドプロジェクターを準備してもらうようにお願いしましたので、今日は済みませんが、口頭だけで。
○前田参考人 では、古風なスタイルで。
 3-1の資料をめくっていただきまして、最初に形だけ確認しておこうかと思いますけれども、3ページに図4があります。リングの形はこのようなものです。
○関野医療機器審査管理室長 先生、ちょっと済みません。事務連絡を1点だけ。申し訳ございません。3-1~3-4に関しましては、企業から出された資料になりますので、傍聴の方にはお配りしてございません。委員のみの配付になります。参考資料3で、下の方に積んである冊子のようなものが該当いたします。
 済みませんでした。
○前田参考人 類似の製品なんですけれども、OPHTEC社のものが4ページに書いてあります。リング状のものです。同様に、次の5ページにもMorcher社の類似製品が書いてあります。直径10mm、11mm、12mm程度のもので、昔ありましたグリコのおまけの指輪のような形をしていると御理解いただければいいかと思います。これが、大仰な言葉で言うと、水晶体嚢拡張リングというものになります。
 では、資料3を一部分読ませていただきます。対象医療機器の概要というところを読ませていただきます。本品は、水晶体嚢の安定化を目的に使用されるポリメチルメタクリル(以下、PMMAといたします。)製の直径11mmのオープンリングでございます。術中感染リスクの低減や鑷子の操作性向上のため、あらかじめ専用ディスポーザブル挿入器にリングがセットされております。
 米国において販売されている同種の製品では、リングの大きさにより種類(10、11、12mm)の規格が設定されておりますけれども、今回の評価品目については11mmの規格のみであることから、導入されている規格の違いがあります。そのため、もしも日本へ導入が検討される場合には、リングの規格、大きさをどのようにするかというのを考える必要が出てくるかもしれません。
 対象の疾患について御説明申し上げます。白内障は水晶体が混濁する疾患であり、眼のかすみ、二重に見える等の症状が発現し、進行により視力の著しい低下をもたらします。本邦においては、2002年3月に厚生労働省の研究事業におきまして白内障治療ガイドラインが作成され、白内障治療において「薬物療法は内服・点眼とも初期の老人性白内障に対する投与は考慮してもよいが、十分な科学的根拠がない」とされております。すなわち、適応時期を十分検討した上での手術治療が一般的となっております。手術方法としては、超音波水晶体乳化吸引術及び眼内レンズ挿入術が推奨されております。
 当該ガイドラインの中で、チン小帯弛緩・断裂は白内障術中合併症の1つとして挙げられ、発生率は合算でおよそ3.1%、及び発生の危険因子の記載はありますが、発生時の処置、これが水晶体嚢拡張リングの使用等々ですけれども、については記載がありません。
 平成18年社会医療診療行為別調査によれば、白内障患者に対する眼内レンズ挿入による水晶体再建術は月間約6万件であります。年間の手術件数はおよそ80万件程度と推察されますが、近年、高齢者の増加に伴い、件数が増加しております。
 水晶体嚢はチン小帯により懸架されているので、何らかの理由により、このチン小帯が脆弱化、または断裂した状態では水晶体嚢が不安定で、眼内レンズの傾斜や偏位、あるいは最悪の場合には水晶体嚢ごと硝子体内へ落下する可能性があります。チン小帯脆弱、断裂の症例数は定かではありませんが、一部文献によれば、白内障患者の幅はあるものの、0.1~1.7%の割合であるとされております。我が国における水晶体嚢拡張リングの適応と思われる症例数は、ここから計算しますと、およそ数千例程度ではないかと推察されます。
 なお、2006年に米国のAmerican Academy of Ophthalmologyが策定した「Cataract in the adult eye」では、後嚢破損と合わせて2%の発生率とされております。
 水晶体混濁は薬物等により進行を遅らせることは不可能ではありませんが、疾患に対する根治的な治療ではなく、水晶体の再建を実施しない限り、失明に至る可能性が高い。チン小帯の脆弱、断裂等による再建術の実施が困難な患者の数は、少数ではあるものの、病態の進行を待つのみであり、最終的に視覚を奪われることとなり、クオリティー・オブ・ライフは著しく低下するということでございます。
 医療上の有用性について、かいつまんで御説明します。本品についての製造元で実施された臨床試験成績はありません。類似製品Oculaid/Stabil Eyesについて行われたプロステクティブ多施設共同オープン試験(米国8施設、114眼)の結果によれば、術者による 10段階評価(1を有効性なし、10を有効性あり)にして評価を行った場合、最も高い評価(10)を得た症例が96.49%、9評価2例、7及び3評価、それぞれ1例、0.88%とされ、術後1年時において観察可能であった93例の調査では、眼内レンズが後嚢中心におさまった患者数が91例、97.85%、後嚢が正常な形状を保持した患者数が94.62%と報告されており、術中及び術後における重篤な有害事象としては、術中での後嚢破損が2.63%、術後1年間において発生した有害事象の内訳としては、眼圧上昇が0.88%、後嚢混濁は0.88%、3か月後2例、1.96%、6か月後5例、5.88%、12か月後6例、6.45%となっており、後嚢混濁が有害事象の大半を占めておりました。後嚢混濁が認められた6例に対しては、Nd:YAGレーザによる切開術の施行を実施しております。以上の結果から、本装置が有用であろうと推察されるとしております。
 我が国における開発状況は、水晶体嚢拡張リングについては、本邦でも他社の開発状況はインターネット等において公開はされているものの、類似製品も含め、これまで薬事承認取得のための申請は行われておりません。
 最後に、検討結果を申し上げます。対象患者数は少ないものの、チン小帯脆弱、破断等により既存の眼内レンズ挿入術を受けられない患者にとっては、水晶体嚢再建術による機能の回復が望める本品のような製品はQOLを向上するに極めて有用であり、導入が期待されます。
 問題は、製造元での臨床成績に関するデータが存在しておらず、今回の評価では、原材料、構造及び原理等が類似した製品による試験データや各種文献より有用性を述べている点を承認時にどのように評価するかという点にあると考えられます。また、製品のサイズが日本人の規格に合うかどうか、また、本装置が長期に使用可能であるかという点であります。導入に当たっては、日本人の規格への適合性や諸外国における市販後の長期使用成績に関する情報を確認することが望ましいと考えられることから、総合機構での審査時においては、よく相談の上、審査することが必要と思われます。
 以上でございます。
○北村座長 ありがとうございました。
 事務局から補足はありますか。
○田中指導官 今、御発表いただきました品目に関しましては、少し前に、御評価いただき選定いただいた品目でございます。なぜこの時点で御評価をお願いいただいたかと申しますと、この品目に関しましての周辺情報の入手に困難を来しておりましたため時間を要した結果となりました。企業ともいろいろ調整はしたのですが、なかなかその情報が入手できなかった。かなり企業に頑張っていただきまして、情報等が整備できましたので、本日、先生方に御評価いただくためにお諮りさせていただいております。
 以上でございます。
○北村座長 ありがとうございました。
 それでは、御質問、御意見等賜りたいと思います。
 どうぞ。
○吉田茂座長代理 ここにもありますように、現在、年間80万件以上の白内障の手術がされている我が国において、このリングなしの治療ということでやられているんですか。それとも、このリングに代わる手技なり道具なりというものがあるんでしょうか。
○前田参考人 リングがないと、結局、手術の継続が難しくなりまして、例えば水晶体をすべて摘出せざるを得なくなってしまう。手術中に水晶体嚢ごと、カプセルごと全摘出になりますと、今度は水晶体を眼内に縫着する、針と糸をもって縫い付けると、非常にゲバルティッヒな手術という方法になります。
○吉田茂座長代理 現時点では、そのリングなしで皆さん手術されているんですか。
○前田参考人 いえ、個人でリスクを負って輸入されて使っている先生が多い。
○吉田茂座長代理 輸入で、アングラで使っている状況が現実にはあるということですね。
○前田参考人 多いと聞いております。
○吉田座長代理 わかりました。
○北村座長 先生、3つぐらい類似品がありましたけれども、今回はこの1品だけでよろしいんですか。ほかのものは、同時申請とか、そういうのは要らないんですか。
○前田参考人 私としては、どれでもすべて使えるようになってほしいと思います。
○北村座長 この3つ、どれも、外国での、製造元での資料が乏しくて、今回出てきているこれが一番資料が集まったと理解していいんですか。
○田中指導官 事務局から御説明申します。先生の御指摘のとおりでございまして、今回、エイエムオー社しか実際に手は挙がってきておりませんが、かなり情報入手できたような状況でございますので、このような状況になっております。
○北村座長 どうぞ。
○千葉委員 今回の申請はInjec to Ringであって、類似品のOculaidとかStabil Eyesは入っておりませんね。ただ、プロスペクティブなスタディは、今の類似品2つの方では明確ですね。そうしますと、逆に考えますと、こちらの方がむしろ申請して安全性が高いわけで、製造元の臨床試験のデータが一切ない今回のInjec to Ringの方がなぜ優先されるのか、ちょっと疑問に思ったんですけれども、そこはいかがでしょうか。
○前田参考人 それは私にはわからない理由なので。
○田中指導官 事務局から御説明申し上げます。この品目に関して、公募時点でかなり広範囲に企業等、お声がけをした結果、この1社のみしか手が挙がってこなかった。と申しますのが、やはり企業の方もかなり症例が少ないところが引っ掛かってきておりまして、特に海外企業でございますので、本社の説得等にかなり時間を要していたという点がございます。実際の話、どういう企業が存在しているのかという情報はつかんでおりますので、先生の御指摘を踏まえまして、再度調整という形も可能かと思います。
○千葉委員 そうしますと、前田先生のお考えでは、類似品のOculaidとかStabil Eyesと比べて、Injec to Ringは大差がないというインプレッションをお持ちなんでしょうか。
○前田参考人 それは勿論です。基本的に材質はPMMAでできていて、形はこのようにシンプルなものですから、これがどういうふうな差が出るわけもないと思います。勿論、最終的には電顕とかで表面を見るとかいうことはあるんだとは思いますけれども、PMMAという材質は、眼内レンズ、人工水晶体としてはものすごく歴史の古い材質ですので、PMMAが眼内で安定していることは既にわかっているわけで、あとは形状だけの問題だと思うんです。先ほど類似品を含めまして図を3点お見せしましたけれども、同じような形状ですので、これに何か差が出るというふうな印象は、今のところは持っておりません。
○北村座長 どうぞ。
○四宮委員 有害事象が後嚢混濁があるということで、YAGレーザで切開術を施行した、その後はどういうふうになるんでしょうか。
○前田参考人 YAGレーザで後嚢を一度切開しますと、カプセルは1枚しかございませんので、その中心部の混濁が取れる。中心部の混濁が取れると、光が真っ直ぐに眼の中に入っていって乱反射をしない、視力が上がるということです。ただ、この後発白内障が起こった原因が、これを入れていたからというよりは、もともとチン小帯の張りが悪くて、水晶体のカプセルの張りがないために、水晶体のカプセルの面がしわしわになって、しわしわになると人工水晶体から面が離れやすくなって、隙間が空くと後発白内障が起こりやすいということがありますので、結果としては、後発白内障は多くの症例に出ましたけれども、これがカプセルテンションリングを入れたためかどうかというのは、ちょっと謎が多いところだと思います。
○北村座長 これは、使用に際しての眼科学会とかの適応の明確なものは必要なんでしょうか。それとも、チン小帯が断裂しているというようなものは、眼科の先生なら簡単に把握できて、必要なケース、必要でないケースの特別なガイドラインみたいなものは要らない器具でしょうか。
○前田参考人 ちょっと難しい御質問ですね。というのは、余りにも症例数が多いので、非常に軽いチン小帯断裂に入れる先生も増えてくるかもしれませんし、予防的に入れる先生も出てくるかもしれませんし、かなり悪くなってから初めて使う先生も出てくるかもしれませんから、そういう意味では、サージカルテクニックを一致させる面で、ある種のガイドラインのようなものがあった方がいいかもしれません。
○北村座長 眼科学会にそういうお願いをしたら、取り組んでいただける可能性は十分にございますか。
○前田参考人 あると思います。
○北村座長 そうですか。わかりました。
 ほかに御意見ございませんか。よろしいでしょうか。数は、数%ぐらいですか。個人輸入されて使っておられる先生方もおられるとおっしゃっていましたが。
○前田参考人 1%。
○北村座長 1割弱ということですか。
○前田参考人 1割はないと思います。
○北村座長 ありがとうございました。
 そうしたら、このカプセルを拡張して人工水晶体を安定させることが難しいケースに使う、こういう丸い器具ですが、グリコの指輪みたいな形をしているとおっしゃっておられましたが、これを当委員会としては早期導入する、ただ、今、申しましたように、どのようなケースに使われるべきか、全例入れているという先生が出てきてもまた困るんではないかと思いますし、その辺も含めて、PMDA、行政、企業側ともに検討していただくという形で、当委員会としては認めていただいてよろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○北村座長 ありがとうございました。
 それでは、個別に、この企業、エイエムオー・ジャパンは行政、企業側と話し合いを持っていただいて、今のガイドライン等々も含めた形で積極的に進めていただきたいと思います。
 続きまして、体外式補助人工心臓装置の検討に入りたいと思います。これにつきましては、小野稔先生に本日お越しいただいておりますので、評価の説明をお願いしたいと思います。
○小野参考人 よろしくお願いします。それでは、資料4をごらんください。
 対象疾患及び使用目的等につきまして御説明いたしますと、本品は、乳幼児、小児の重症心不全患者、移植待機患者等に対し左心補助、右心補助、または両心補助目的に使用するものでございます。
 対象機器の名前はEXCORと呼ばれるものでございまして、ドイツのBerlin Heart社で開発されております。
 海外での承認状況につきましては、1997年、割と早い時期にヨーロッパにおいてCEマークは取得されてございまして、主な国でありますと、2009年1月にカナダにおいても承認されております。
 機器の概要について簡単に概略を説明いたしますと、さまざまな心疾患に伴いまして、例えば小児の場合、先天性心疾患、あるいは、劇症型の心筋炎、あるいは特発性の心筋症などで重症心不全に陥った場合、通常は心臓移植が最も確実な、有効な、確立された治療として世界で広く行われておるわけでございますが、心臓移植に至るまでの待機期間がございます。また、すべての患者さんが心臓移植が必要というわけではございませんで、一定の期間、機械の補助をしますと回復することができるということがございまして、この自己の心機能の回復のため、あるいは心臓移植に至るまでの期間を機械的にブリッジ、つないであげるための小児用の装置として使われているわけでございます。
 ポンプの種類は、ここに一覧表がございますが、10、25、30、50、60ccとございまして、それぞれのサイズに応じた、およその適応の体型についてのデータをお示ししております。
 このポンプの特徴は、日本でも現在よく使用されております体外式の補助人工心臓で空気駆動型のタイプのものと同じ原理になってございまして、ポンプの中が空気室及び血液室の2層にポリウレタンの膜で仕切られておりまして、空気室の空気圧を調整することによって心臓から血液を脱血し、体に返すという原理になっております。通常は左心室用に使用することが多うございまして、その場合には、左室から脱血して大動脈に返す。右心補助の場合には、右心室ないしは右心房から脱血して肺動脈に返すというようなメカニズムになっております。
 それを調整するための空気圧の調整がコンソールという装置で、体外に置かれている医療型のバッテリー駆動の装置になっておりますが、これにおきまして調節をすると書いております。この装置は、ある意味で生命維持機能を持ってございまして、安全性のバックアップ機能が非常に重要でございまして、それにつきましては、このコンソールと呼ばれる空気圧をつくるポンプ部分に3基の空気圧発生部分がございまして、両心補助であった場合にも、左心用に1基、右心用に1基、更にバックアップ用の、セーフティー用の1基という形で、安全性に非常に配慮された設計となっております。
 対象疾患につきましては、こちらに書いておりますけれども、Berlin Heart社のホームページにおきまして、現在までの臨床使用のかなりの症例数をまとめたデータが公開されてございます。1990年~2009年12月31日まで19年間で、世界の31か国、108施設、681症例のフォローアップデータについて公表されております。
 詳しいデータにつきましては、添付いたしました資料3-2に書いておりまして、資料4には書いておりませんが、口頭で御説明いたしますと、使用された年齢は生後2か月から17歳まで、平均は5歳となっております。トータルとして4万6,068ペーシェント/デイでありまして、平均の駆動期間は67.6日というデータになってございます。大体2か月が平均でございます。最長は902日ということで、2年以上の補助の経験もございます。
 対象疾患といたしましては、先ほど申し上げたとおり、拡張型の心筋症を初めとした特発性の心筋症、劇症型心筋炎、先天性の心疾患、あるいは体外循環からの長期補助に移行するため、体外循環はECMOと略しますが、それからの長期補助への移行の目的で使われております。これは米国におきまして現在治験中でございまして、IDE Studyが行われてございます。最終的には48例を目標にIDE Studyが行われて、登録されたのが約40例でございましたけれども、現在、データの解析中でございまして、このIDE Studyのデータにつきましては、現在、公表されてございません。
 適応疾患につきましては、ヨーロッパにおける、現在、CEマーク化で使用されている適応既疾患、あるいはIDEにおける治験の適応状態については特に変わりないということでございますが、重症心不全の程度につきましては、これは循環器の分野になりますが、NYHAのClass?VBからClass?Xということで、通常は入院生活を余儀なくされるか、身動きができない重症の心不全ということになります。
 Class?VBからClass?Xでございますと、特にお子さんの場合、入院生活を余儀なくされる、学校に行けないということで、著しいQOLの低下があります。勉強ができないということになります。また、Class?Wの心不全になりますと、有効な期間に心臓移植までたどり着けない場合には命を落とすというのが現状でございます。
 医療上の有用性につきまして、続いて御説明させていただきます。現在、重症心不全の末期的な状態になった患者さんに対しての機械的補助として、補助人工心臓、日本では保険適用されているものが2種類ございます。1つは、ダイアフラム型の東洋紡績株式会社製のもの、それから、チューブ型と呼ばれるメディックジャパンの販売している2機種でございます。いずれの機種につきましても、成人を対象とした補助人工心臓装置でございます。
 ただし、我が国におきましても、小児における重症心不全というのは当然、疾患上ございまして、治療の必要上、やむを得ず成人の補助人工心臓、大きなものを小さな小児に植え込むことを余儀なくされているというのが実態でございます。ただし、成人の機械につきましても、小児の体型に合わせた形で使う限界というのがございまして、現在体重20~30?sが限界であろう。20~30?sについてもかなりぎりぎりで、苦労しなから、小児についても成人用の補助人工心臓をやむを得ず使っている状態でございます。更に小さな体型になりますと、ECMOと呼ばれる体外循環をやらざるを得ない状況でございます。このECMOというのは、長期の補助ができない。通常1週間ないし2週間程度の補助しかできませんので、その間に心不全が回復できない小児は命を落とすという、非常にかわいそうな状況にあるわけでございます。
 本検討会でも検討いただきました植込型の補助人工心臓4種類ございますが、これはいずれも成人を対象としたものでございまして、小児には適用が困難でございますので、現在、小児に使えるものは我が国にはないという非常に辛い状況にあるわけでございます。そのため、小児に特化した、それぞれの体格に応じたポンプのサイズを有し、かつ世界的にも広く普及し始めているBerlin Hheartを我が国に導入するという医療上の有益というのは非常に高いと考えておるわけでございます。
 それから、諸外国における状況につきましては、既に御説明いたしましたけれども、CEマークを取得し、広く使われておりますが、それ以外の国としては、ここに書いておりますとおり、カナダ、ロシア、台湾、南アフリカなどでも使われております。米国では現在、IDEの治験の審査中という状況であります。
 次に、我が国における開発状況ということで、また追加的にお話しいたしますと、今まで我が国においては、体格の小さな小児については有効な補助循環の手段がなく、ECMOと呼ばれる体外循環を使うしかない、あるいは成人用のものをやむを得ず使うという状況でございました。ただ、成人用のものであっても、体重30?sを超える小児の場合には、工夫をすれば使用することはできるだろうと、我々の経験からそういったことがある程度は推測されます。
 ですので、Berlin Hheart、最初の1ページ目にあったように、10、25、30、50、60と、一応これは小児という名前の下に5種類のポンプサイズがございますが、特にこの中で、我が国でどうしても治療のできない小児に対するサイズとして、10、25、30ccのポンプの導入が強く望まれ、かつ、これがこの年代の小児の重症心不全の患者さんのQOLを高め、かつ生命予後を大きく改善するというような効果をもたらすと考えております。
 最後、検討結果につきましては、本文をそのまま読ませていただきたいと思います。
 本品を使用するような乳幼児、小児の重症心不全疾患や移植待機者は年間数例から十数例程度と推計されますが、臨床的重症度から考えて、その生命予後並びにQOLの向上を図ることは非常に重要と考えられる。また、臓器移植法の改正によって、15歳未満の患者に対する心臓移植が可能となりましたが、小児ドナーの増加にはもうしばらく時間を要するのに加え、待機期間が長期に及ぶ可能性が非常に高く、心臓移植が必要となったこれら疾患の患者が長期の待機期間中に安全に待機することを可能とする補助人工心臓は不可欠でございます。
 しかしながら、本邦で使用されている体外式補助人工心臓では、乳幼児・小児に対し、適正に使用可能な大きさを有するポンプの流通実績はないこと、更に、体内植込型が使用できないこと等の理由により、乳幼児・小児への使用には限界があることを踏まえると、その特性に基づいて、乳幼児・小児に適正にしようできる本品は医療上のニーズが高いと考えられます。したがって、現状の医療実態を踏まえ、医療の中でより適切に使用されるために、薬事法上の承認を受ける形での早期導入がなされるべきであると考えます。
 導入に当たっては、米国臨床データが平成9年3月31日付薬発第479号「外国で実施された医療用具の臨床試験データの取扱について」及び平成18年3月31日付薬食機発第0331006号「医療機器に関する臨床試験の試験成績のうち外国で実施したものの取扱いについて」などにおける受入れ要件を満たしている場合は、対象疾患、治療としてのコンセンサス、使用方法が米国と本邦と同等であると考えられることから、米国で実施された臨床試験データの活用による早期導入の可能性を検討すべきであります。ただし、承認後の適正使用確保に当たっては、本品の使用が乳幼児、小児の病態や治療について十分な医学知識並びに使用方法についての十分な理解と習熟を必要とし、かつ不適正使用の場合に重篤な副作用が発現する可能性を考慮して、本品を用いた治療についての関連学会による実施基準の策定が必要と考えられます。また、導入後の一定期間における市販後調査を検討すべきと考えられます。
 通常、本品のような治療機器を臨床導入するに当たり、上述した通知における受入れ要件を満たした場合においても、臨床試験を行うことが一般的であります。しかし、現時点においても国内の複数の施設で重症の末期心不全のために機械的補助が必要とする乳幼児及び小児が入院していることを鑑みて、本品をいわゆる“オーファンデバイス”として承認すべきものと考えております。
 以上でございます。
○北村座長 小野教授、どうもありがとうございました。
 それでは、御意見、御質問等、賜りたいと思います。
 どうぞ。
○中谷委員 今の発表にありましたように、小児に関するデバイスが必要なことは、この前の検討会でも、座長が入るような形で言われたぐらいに必要であるという認識は、これに携わっている者は皆持っているのが現実です。
 ただ、この検討結果でも話がありましたように、臨床試験のデータに関しては、まだはっきりしていないことがあるということも、ここでも書かれてあるんですけれども、この扱いをどうするかが、1つ、早期導入を進めていく上での問題点になるかと思われます。
 ただ、4つの植込型の補助人工心臓のときにもありましたように、補助人工心臓治療関連学会協議会が、適応の仕方とか、適応基準を指定する等々に関しての検討を始めていますので、それを小児にも当てはめるようなこと、それから、市販後調査に関しても、今、Jマックスという形で、市販後調査のデータベースを日本でつくろうということで始まっていますから、そこに乗せるという形で、受皿はできていると思います。そういう意味で、米国での臨床試験データ活用によっての早期導入は十分検討すべきものだと考えます。
○北村座長 ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますか。
 一番の問題点は、今年の7月から小児の心臓移植を我が国としても承認するという形の中で、そして、ドナーの提供は当然少ないと思われます中で、レシピエントの方々の生命維持を、移植という受皿ができますと、こういう人工心臓でつないでいくというのは必須のことです。成人で我が国でも十分な経験が積み上げられてきたんですが、子どもの人工心臓がないというのは困ります。、この小さい3種類だけでいいんですか。
○小野参考人 これにつきましては、皆様方の御意見を伺えればと思いますが、もう一度申し上げますと、10、25、30、50、60ccとございます。現在、我が国で成人用に使われております東洋紡績社製のポンプは70ccポンプでありますけれども、体重30kgぐらいの小児であれば、比較的普通に植えられる。現在、厚労科研で小児の補助人工心臓に関するデータが出ておりまして、それがもうすぐ公表されるということでございますが、それによれば、30kgぐらいまでは成人とほぼ同等の管理が可能ということも伺っております。かなり数としては少のうございまして、企業が現実的にこれを扱うといったときに、余りたくさんのポンプを持ち過ぎるというのは、商売としてはやりにくいんではないかということを考えています。
○北村座長 わかりました。今、承認申請中という機種が、大人用のものがありますね。今からこれが入ってきましても、7月からの移植には、時間が非常に限られているわけですけれども、PMDAの方での審査の過程において、数例でも日本でのテストを大人の場合はやってこられました。子どものものは全く外国のデータだけで承認してほしいという状況にあるのか、今、中谷委員が言いましたように、外国のデータといっても、アメリカの方は公開されていない問題もありますけれども、我が国での数例の治験を行うということは可能なんですか。時間的にどう思いますか。
○小野参考人 米国におきましては、補助人工心臓、このタイプのEXCORにつきましては、48例のIDEのスタディがございました。成人の場合は、例えば、植込型の補助心臓は、我が国でも治験を審査中のものを見ますと、およその数としてはやはり数百例のデータでございまして、小児の場合は、米国でやるとしても、その10分の1の治験症例数になります。我が国で今回、早期導入機種に選定していただきました4種類の植込型の補助人工心臓は、少なくとも欧米で既にデータの出ているものにつきましては、治験症例数6例ということで進めていただいております。
○北村座長 だから、私の質問にお答えいただきたい。
○小野参考人 つまり、やるのは難しい。治験としての十分な症例数を集めるのは難しい。
○北村座長 6例でも難しかろうということですね。
○小野参考人 難しいという根拠を今、最初にお話ししました。
○北村座長 そうすると、ここの場で、PMDAの方々も列席しておられますけれども、できれば外国のデータだけで承認できないかということで、中谷委員がさっき言っていた意見とは、どうですか。
○中谷委員 現時点でどうかと言われたら、協議したときに、日本であれ、海外であれ、それなりのデータは出ていたんですけれども、詳細なデータがないんです。だから、そのことも踏まえて、どちらが早いのかという形にもなってくるかと、これをもう一度読んでいたら、思ったところがあります。だから、日本に導入するのに、結局6例もとてもできないと思います。
○北村座長 簡便にお答えください。
○中谷委員 だから、ここでも、完全にしなくていいとまで言い切れるどうかに関しては、先生と同じで私も少し疑問に思いますが、逆に言うと、それもありにしないと、この手のものは入らない可能性が非常に高いと思っています。なしということも考えていただきたいと思います。
○北村座長 その点を企業とPMDAの相談のときには配慮していただきたいということと、法律で解禁といいますか、発効するのが7月ですので、本当に時間がない状態になっているということも御検討因子としてください。
 ほかに御意見ありますか。どうぞ。
○千葉委員 今の御経験を伺いますと、この場合は海外の臨床試験のデータを国内で使うことはやむを得ないと私は思います。それに関して1つ質問させていただきたいのは、適応疾患として先天性心疾患と一括しておられますけれども、これはいろんな種類がございます。これが適応できない先天性心疾患もあるかと思うんですけれども、これはいかがでしょうか。
○北村座長 どうぞ。
○小野参考人 私は専門が小児の心疾患でないもので、細かいところまでなかなかお答えしづらいところはあるんですけれども、先天性心疾患の中でも、特に肺血管の形成が落ちているような疾患については、肺循環の維持ができませんので、そのタイプは多分、除外されるだろうと思っておりますが、少なくとも肺循環が維持されて、1つの心室のある疾患の場合には、十分な補助循環が可能だと思っております。
○千葉委員 もう一点だけ、新生児から乳児までいろいろあるわけですけれども、この成績を年代ごとにいい悪いを分けているデータはあるんでしょうか。例えば新生児は難しい、乳児はいいとか、そういうことですね。
○小野参考人 年代別に分けているものは残念ながらなくて、疾患の種類別に分けているものは、参考資料3-2の中に入ってございます。それを簡単に御紹介いたしますと、12~15ページにわたって入っておりまして、心筋炎については、死亡が21%、特発性心筋症は23%、先天性心疾患で46%、開心術後心不全が53%、拘束型心筋症が20%でありますから、疾患群によって多少、死亡率、つまり救命率は異なることはわかっております。先天性心疾患の多くは1歳以下ということになります。
○北村座長 よろしいでしょうか。
 それでは、本委員会としては、これを早期導入していただきたいという結論でよろしゅうございますね。
 あと、企業と今のようなディスカッションを踏まえた上で、PMDA、総合機構との相談をしていっていただきたいと思います。
○吉田茂座長代理 外国の成績をもって承認するのでいいのではないかということについては。
○北村座長 それは、企業とPMDAの話し合いで、前もディスカッションありましたけれども、ここでこうしなさいという命令権はないそうですが、是非ともそういう形で早期導入をお願いする。
○吉田茂座長代理 希望は言えますよね。
○北村座長 先生からおっしゃっておいていただくと。
○吉田茂座長代理 希望します。
○北村座長 ありがとうございます。
○吉田茂座長代理 唯一危ないなと思ったのは、市販後の調査がこのカルディオという会社ができるかどうかということだったんですが、中谷先生のお話ですと、もう体制もできているということなので、国内の症例実施がなくても承認していいんではないかと希望したいと思います。
○北村座長 ありがとうございます。
 この4月からJマックスという市販後の登録制度がPMDAで整備されました。市販後といっても、これは承認が下りて、売れている段階でなくても、使われたら登録していくことになっていく予定でございますので、勿論、企業もそれに参加する形になっていくと思います。
 それでは、時間も押しておりますので、次の検討に入らせていただきたいと思います。次は、創外固定器用金属ピンの検討で、浜西千秋先生からお願いいたします。
○浜西参考人 よろしくお願いいたします。
 創外固定器用の金属ピンというものですが、構造的には何も難しいものではなく、また新しい技術が盛り込まれているものでもありません。ステンレス製のスクリューですが、そのねじ山部分にハイドロキシアパタイトがコーティングされたもので3社から申請されております。
 対象疾患は、まず急性外傷・骨折に対する固定術です。それから骨を骨切りして延長する骨延長術とその技術を応用した組織の変形矯正術などです。そのために創外固定器を体外から装着しますが、申請されたものは、一方から皮膚を貫いて骨の中にねじ込んで創外固定器と連結するハーフピンというタイプのスクリューであり、骨に接する“ねじ山”部分にハイドロキシアパタイトをコーティングしたものです。資料3-3の2にカラー写真がございます。4ページに従来のステンレス製のピン、そして“ねじ山”の部分に白くハイドロキシアパタイトがコーティングされたものが掲載されております。
 生体金属材料へのハイドロキシアパタイトコーティングという技術は、既に歯科の領域では人工歯根に、整形外科領域では人工関節などに従来から導入されておりますので、生体への安全性に関しては問題ないと考えてよいかと存じます。
 資料3-3の2の1ページの写真では単支柱式の創外固定器が骨折の固定のために装着されており、ピンが一方から皮膚を貫いて骨に刺入されている様子がお分かり頂けるかと存じます。
 また同じ資料の4ページでは、骨を切って1日に1mm程度のスピードでゆっくりと上下に伸ばしてゆくと、その間隙に骨が形成されて骨が延長される様子がお分かり頂けると思います。この際、皮膚、筋肉、神経といった軟部組織もかなり伸展させることが可能です。この伸展力に対する生体の反応を利用して骨を延長したり、四肢の変形を矯正したりする治療技術は創外固定器の独壇場です。しかしその場合、ピンを何カ月にもわたって刺入しないといけません。そこでピン刺入部の創にまず感染が起こりやすく、さらにピンと骨の隙間から骨髄炎のような深部感染に移行する可能性があります。深部感染を引き起こしますと患者さんのQOLを大きく損なうことになります。このために骨との適合性の良いハイドロキシアパタイトがコーティングされたピンが望まれるということであります。

外国における承認状況ですが、小林メディカルから申請されているオーソフィックス創外固定器用のハイドロキシアパタイトコーティッドピンは、1997年から欧州で使用され1998年に米国で承認を得ております。バイオメットジャパン社からのダイナフィックスは米国で1999年、欧州で2009年の承認です。またスミスエンドネフユーオーソペディックス社からのHAコートハーフピンは2003年に米国と欧州で承認をえております。このように一部のものは十数年にわたってすでに使用されているものであります。

適応ですが、急性骨折に対する使用は数週間から2-3カ月と比較的短期間ですので、このピンを使う必要はありません。しかし上に述べたような骨を骨切りした後に仮骨形成を利用して骨を延長する場合、また変形した骨や軟部組織の矯正を創外固定器で行う場合、あるいは悪性腫瘍や慢性骨髄炎で骨や軟部組織を大きく切除した場合にその欠損部の充填や再生を図る場合など、創外固定器を半年以上、かなり長期間装着することになり、ピン刺入部からの感染のリスクが高まりますのでハイドロキシアパタイトコーティングピンが非常に望まれるわけであります。

対象医療機器の概要ですが、繰り返しになりますので手短に述べさせていただきます。資料でピンが体外から刺入され設置された状態の創外固定器を見ていただきましたが、長期にわたりますとピン刺入部の創からの骨への感染の波及が非常に危惧されます。そこで骨との間でゆるみを来しにくいスクリューが待望されておりました。今回のピンの具体的な改善箇所は、骨の中にねじ込まれてゆく“ねじ山”の部分がハイドロキシアパタイトコーティングされているということです。骨の成分であるハイドロキシアパタイトに向かって生体から骨が伝導され、ピンと骨の間が新しく伝導された新生骨によって満たされ、ピンが固着されますので長期間装着してもゆるみにくいし、その結果として深部感染に波及しにくいと期待されるわけであります。

創外固定器を使用する対象疾患は多岐にわたります。通常は外傷・骨折に使用されることが多く、感染の危険性の非常に高い開放骨折、あるいは交通事故や労災事故などで粉砕された骨折に対しては創外固定がまず適応になります。創外固定はプレートや髄内釘のような内固定とは異なり、骨折部に外から軸圧を加えることも可能です。そのため骨癒合機転が停滞した場合などに軸圧を加えて骨折の癒合を刺激することもできます。 そして創外固定器ならではの独特の使用法として繰り返し述べたように骨延長術があります。骨延長術の適応としては、まず先天的に片脚だけが短い例、四肢の短いタイプの小人症、先天性下腿偽関節症、片側肥大症などがあります。また後天的に脚長差を生じる場合は、骨折の短縮変形治癒、ポリオ、化膿性関節炎などで骨頭が消失し短縮を来した場合などがあります。四肢の短縮したタイプの小人症として最も多いのは軟骨無形成症であり、成人でも身長が約120cmです。そのために社会生活に非常な制約を受けますので、ADL改善のために骨延長を行います。大腿と下腿であわせて30cm位身長を加えることができます。また創外固定でなければなし得ない治療法の1つとして、悪性骨原発性腫瘍などの腫瘍性疾患、あるいは慢性の骨髄炎に対して、その病巣部を大きく切り取りその欠損部に向かって、上と下から徐々に骨を寄せていくボーントランスポーテションという技術があります。その場合上下で骨を切った延長部には新しく骨ができ、切除欠損部は徐々に上下から埋められてゆきます。つまり自分の骨で大きな欠損を非常に効果的に治癒させることができる方法であり創外固定器の独壇場であります。しかし創外固定器の装着がどうしても長期にわたりますのでピン刺入部のゆるみと骨への感染が最も大きな問題でありました。つまり創外固定器は荷重や四肢のダイナミックな動きにさらされる装置であり、ピンはわずかであってもたわみますから、荷重時などに必ず骨とピンの間に隙間ができ、結合組織が入りこんできます。そしてそれが皮膚からの感染の通路になって、骨髄に炎症が達してしまう可能性があります。もし骨髄炎の恐れが生じると延長や変形矯正を断念してスクリューを抜去せねばならない事態になります。もしここでハイドロキシアパタイトコートピンを使用できるのであれば深部感染に移行する可能性は大きく減るとと期待されます。先ほどの資料3-3の2の資料の6ページに示されていますが、羊の骨を用い、スクリューを骨にねじこむ際に要するトルクと、6週間後にスクリューを抜去する際に要するトルクを比較したところ、コートしていないものは17分の一まで低下したのに対し、コートピンは刺入に要したトルクと同じ力が抜去にも必要でした。また臨床例で測定した場合、むしろ抜去時の方がより強い力が必要でした。すなわち骨とピンの隙間が結合織ではなく骨で埋められ固着していたからであろうと考えられます。

諸外国における使用状況ですが、欧米ですでに5000~6,000例の患者に使用し、ピンとしては数万本という使用状況であります。しかし、先ほど申しましたように、どうしてもこのコートピンを使用したいというのは長期にわたる装着を想定する場合だけですので、これらの数は創外固定を実際に使用された症例の約2割ぐらいではないかと考えられています。すなわち日本において、このピンを使用するのが望ましい症例は年間200~300例ではないかと考えられます。欧米でも大体1対5位の割合であり、5は通常のコートのないピンを使用しています。適応によって使い分けされるものであります。

 結論を申します。かなり長期間にわたって創外固定器を装着せねばならない患者さんにとってピンの緩みと刺入部への深部感染は体動時の痛みを伴うとともに、創消毒処置などのための頻回な通院が必要となりADLやQOLが大きく損なわれ、また抗菌薬の全身投与などによる全身臓器障害のリスクも負うことになります。これらの観点から、欧米では既に実用化されている本機器をできるだけ早期に日本に導入し、臨床に寄与させるべきであると評価いたしました。
  以上です。
○北村座長 ありがとうございました。
 それでは、検討に入りたいと思いますが、御意見ございますでしょうか。
 どうぞ、お願いします。
○四宮委員 このハイドロキシアパタイトコーティングをされた体内の固定器具は、特に長期に体外につながっている場合、非常に感染の危険が高く、整形外科医は本当に希望していた材料です。ハイドロキシアパタイトがコートされているものはほかでどんどん使われているのに、これだけは認められていなかったというのは不思議でしようがないんです。ということで、できるだけ早期に導入することを希望していただきたい。ただ、浜西先生にお聞きしたいのは、昔、青木秀樹先生が皮膚にまでハイドロキシアパタイトのボタンをつけると非常に固着がよくて、そこも外と連通がなくていいとおっしゃっていたことがあったことを記憶しているんですが、シャフト部分までHAがついているものはないんでしょうか。
○浜西参考人 確かに先生がおっしゃるように、皮膚との適合性も非常にいいので全面がコートされると刺入部の状態も改善されると思います。しかし申請されているピンでは全面コートの物はないようです。現在リング式の創外固定器が随分普及しておりますが、その場合ピンを一方の皮膚から刺入し骨を貫通させて反対側に引き出して固定します。そういった貫通型のピンに対してもハイドロキシアパタイトのコーティングは当然望まれます。
○北村座長 いかがでしょうか。
 今までは金属、ステンレスだけのピンを使っておられたのと比較されたお話になっているんですね。これがもし導入されれば、100%交換になっていきそうなんですか。それとも、従来のピンも、それぞれの形、金額が違うのかもしれませんね。
○浜西参考人 そのとおりです。コストのことを考えますと、このHAコートピンは適応を限って使われるだろうと思います。といいますのは、先ほど申しましたように、外傷・骨折など、適応のないものもたくさんございます。
○北村座長 その場合、適応というのはガイドライン的なものはもうあるわけでございますか。
○浜西参考人 エキスパートがそれぞれ創外固定器の装着を考えるときに選択するべきことであります。もし感染を引き起こすと患者さんに大きなリスクを背負わせますので、変形矯正や骨延長など、是非これを使用して感染リスクを減らしたいという場合に限って使うということであります。単純な骨折で内固定する前に暫定的に、例えば2~3週間の固定にこのピンの使用を考えることは無いと思います。医師にとっても従来のピンで十分である、その方が都合がよいという場合もあるのです。
○北村座長 それは医者個人に任せておけばよいのか、この器具の承認に合わせて、ある一定の方向性を出すべきものなのか、どうなんでしょうか。
○浜西参考人 これが承認されるに当たっては当然先生がおっしゃるように、半年以上の長期にわたるような固定が必要とされるものというふうな縛りはあってしかるべきです。日本小児整形外科学会、日本骨折治療学会、日本骨延長・創外固定学会などで考えるべきでしょう。
○北村座長 そういうことも含めて、企業と総合機構とで御検討して、こういったものが我が国での臨床治験的な症例が要るのかどうか、要らないと思いますけれども、そういうことも含めて、御検討に入っていただくということでよろしゅうございますか。
 どうぞ。
○吉田茂座長代理 適応のことなんですけれども、私を含めて短足の多い日本人としては、これを使って脚を長くしようと、適当な病名をつけてやるようなことがはやるとえらいことになると思うんですけれども、それは防止できるんですか。
○浜西参考人 はい。保険を使うかどうかという意味ですと、病的な低身長しか適応はございません。
○吉田茂座長代理 ですから、適当な保険病名をつけてそういう使い方をするとか、そういった抜け道みたいなものはできないようにはなっているんですか。
○浜西参考人 そうですね。もちろん適応は限らないといけないと思います。先生の危惧されるのはもっともで、かつて美容外科領域で背を高くしますということで骨延長にとりかかったものの、癒合遅延や脚の変形や深部感染など大変な合併症を引き起こす事例がありました。今は美容外科医が骨延長を行うということはまずないと思います。
○吉田茂座長代理 でも、安全であるということになると、それじゃやろうかという話になりませんか。それが心配なんです。
○浜西参考人 そうですね。しかし上に述べたように大変な合併症は感染だけではありません。ピンの改良だけで安全な技術になるということでは決してありません。
○北村座長 どうなんですかね。美容外科になってしまえば、保険適用がない領域に入って、美容外科になると、医者と患者さんとのコンセント、契約という形で、行政監視が入る部分は少なくなってしまうので、そういうのが使われて、全くないというわけではないでしょうね。しかしながら、この会議でそれはなかなかできませんし、承認して、早急に保険適用という形に進めなければいけないものだろうと思います。少なくとも当委員会としてはよろしゅうございますね。ありがとうございました。
 それでは、企業の方と、細かい、今のような適応症の問題とかを含めて検討に入っていただきたいと思います。
 それでは、次の検討課題は、人工内耳ということで、山岨参考人から評価の方をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山岨参考人 では、資料6をごらんください。
 選定候補品は人工内耳ですけれども、今回はその中で、低音域、低い音に対して聴力がまだ残っている、ただし、高い方は聞こえないという高音急墜型聴力像を呈する感音性難聴患者を対象にして、従来であれば人工内耳は電気刺激だけでしたけれども、低音域には補聴器として音刺激を加えて、それによって聴覚を回復させるというような機種について御検討いただきたいと思います。
 対象医療機器は、Electric Acoustic Stimulation、EASと略していますが、そのHearing Implant Systemということで、2社の機器が適応になります。
 具体的にはどういう商品かというのは、資料3-4の2の3ページのHybridサウンドプロセッサをごらんいただきますと、従来型の人工内耳に補聴器の部分をくっつけたもの、それでハイブリッドという形になっていることを、まず形として御理解いただければと思います。
 本邦でも10数年にわたり人工内耳は使用されてまいりましたが、これまでの人工内耳の適用は、ほとんど聞こえない、全周波数帯域で90デシベル以上聞こえない、重度難聴の患者さんのみが適用でありました。
 これに対しまして、この新しいシステムは、全周波数ではなく、中央より高い方の周波数では聴力は高度難聴ですけれども、低音域では、補聴器を使えば音が聞こえるレベルの、聴力が残っている患者さんに対して使用するということであります。ですので、既存の人工内耳との大きな違いは、補聴機能があるかどうかということになります。
 これは、既に臨床応用されている人工内耳をベースに開発されたものでありますが、補聴器機能を同時に備えているということで、体内に人工内耳の電極を植込みするわけですが、体外につける機器において補聴器の機能も備えて、それをつけることによって、補聴器と同時に人工内耳の機能も補うことになります。
 2枚目にまいりますと、その機器の概要が書いてありますが、オーディオプロセッサー、要するに、音に対して、それを解析して、どのような周波数であるとか、どのぐらいの強さであるかを解析するようなものと、体内に入れるインプラント、それから、インターフェイス、それをつなぐものの3つで構成されています。
 この機器は、感音難聴、要するに、障害の強い高い周波数帯域では、通常の人工内耳と同様に、蝸牛の中に埋め込んだ電極から電気的に刺激をしまして、蝸牛の神経、ラセン神経節という聴覚系の神経節を刺激して、高い周波数は電気刺激を介して直接神経を刺激する。一方、低い周波数帯域では、聴力が残っておりますので、これは音刺激として、補聴器を介して音を増幅して、通常の補聴器と同じように増幅した音を内耳の中にある有毛細胞という、音の物理的エネルギーを電気刺激に変換する正常の構造を介して、そして神経の方を刺激するというシステムであります。これをすることによりまして、高い周波数と低い周波数の両方をカバーすることになります。
 この機器の主要な、インプラントしている部分、人工内耳の部分は、既存の機器とは大きな変更はないんですけれども、従来の人工内耳では、蝸牛の中に電極を入れるということ自体がトラウマティックでありまして、例えば、若干聴力が残っている症例に手術をして、残存聴力がだめになるということがございました。
 今回、低い方の聴力が残っているのに、従来型の人工内耳を入れた場合に、せっかく残っている内耳の機能をだめにしてしまうことがありますので、そうならないように、挿入する電極の部分に工夫が加えられて、手術をしても残っている聴覚機能が落ちないというふうに工夫されているところが、まず、大きな違いであります。ですので、従来型との大きな違いは、補聴機能があるということと、手術操作に伴って内耳の障害を来さないように工夫されていること、この2つが大きな違いであるということが特徴となります。
 次に、対象疾患でありますが、従来の人工内耳と同様に、感音難聴であります。外耳とか中耳は通常の手術で治療できますが、内耳、または聴神経から脳に至るところの障害を感音難聴と言いますけれども、そちらは手術とかで治療することはできませんでした。そのために、程度の軽い感音難聴であれば補聴器を、補聴器が使えなくなるほどの重度難聴、要するに、音を大きくしても感じるところの神経系がだめになっている重度難聴には人工内耳というすみ分けがされてきました。
 2ページの下に難聴の程度を示していますが、従来であれば、すべての周波数で90デシベル以上の重度難聴では、補聴器を使っても、聞いただけではコミュニケーションが取れない。筆談とか、読話法、または手話といったコミュニケーションモードを用いなければ、なかなかコミュニケーションは取れないということでしたので、そういうものが人工内耳の適応でありました。一方、それよりも軽いものは、逆に言うと補聴器の適応であったということになります。
 ただし、そうしますと、補聴器の適応とされる、低い方の聴力がまだ残ってはいる、要するに、聴力上は人工内耳の適応とまでは言えないけれども、実は人工内耳をしなくて、補聴器だけでは聞き取りがかなり厳しい、そういう患者さんがいらっしゃいましたけれども、それに従来の人工内耳をすれば聴力がだめになってしまうということがあって、何とか補聴器で維持しようと思っても聞き取りに限界があるということで困っていたわけですけれども、今回は、そういうものに対して、低音域の聴力は残すことができて、かつ人工内耳によって更に明瞭度を上げることができるということで、低い方に難聴があるけれども、高い方がだめになっているという患者さんに適応が広がる、そういう人たちに恩恵があることが考えられます。
 実際に高度難聴で、かつ低い方の聴力が残っている人がどれぐらいあるかということが3ページの中ほどに書いてございます。聴覚障害は全世界で人口の5%ですが、そのうち、低音域に残存聴力を有する、高い方が聞こえないという患者さんは約2%と算定されています。ですので、重度難聴が世界で3,750万人いる中で、このような人工内耳の適応となる人は2,800万人と算出されています。日本では、現在、低音が残っていて、高音が落ちている、実際に適用になると考えられる人は50万人程度と予想されています。
 先ほども申しましたけれども、現在導入されている人工内耳では、せっかく残っている聴力がだめになる可能性がありますので、新しく開発されたデバイスを用いることによって、このような人の聴取能を上げるということで、極めて恩恵があるだろうと考えられます。
 実際の有用性につきましては、本邦でのデータはないんですが、3ページの後ろから4ページに海外での試験成績があります。ハイブリッドと言われている人工内耳と補聴器を両方とも同時に解析して、同時に電気刺激と音刺激を与えるというものと、従来型の人工内耳に補聴器を一緒に持ち合わせたというもので比較した試験の成績がございます。概して言いますと、聴取能につきましては、同等、またはそれ以上の成績があることと、患者さんの満足度が高いということ。特に、こういう聴取能の成績は、日本では割と静かな部屋でやっているデータしかないんですが、実際には雑音の中での聞き取りがいいということが求められますが、そういう雑音下での聞き取りでもハイブリッド型の方がいいという成績が出ております。人工内耳と補聴器と同時に使いますので、電池を用いて駆動しますが、その寿命についても、2つ機能があるので2倍要るということではなくて、それについても極めていい成績が出たとか、または患者さんの満足度調査等々で、少なくとも同等以上の成績があるということが海外において示されているということがこちらの成績にあります。詳細は3-4の1、3-4の2に論文等が付けてございますので、そちらを参照していただければと思います。
 今は、海外、ヨーロッパもアメリカも、これが主流となってきておりまして、これを用いると、従来の人工内耳では、聴力が残っているというと、言葉の聞き取りとかには問題があっても、例えば、音楽のように連続した音が変わるようなものに関して、低いところで楽しむとか、そういうことはできたんですけれども、人工内耳をすると聴力がなくなって、そういうところがだめになってしまうというものに対しても、これを入れることによって、言葉の明瞭度もよくなり、かつ残聴があることによって、いわゆる環境音とか、周りの音楽とか、そういうものもまだ楽しむことを残せるということで、適応の患者さんが増えているという状況にあります。
 諸外国における使用状況も書いてありますけれども、出てきて数年ですけれども、海外では幅広く用いられておりまして、日本でも是非とも導入していただきたいという機械であります。
 我が国の開発状況としては、本邦では導入の実績はあるけれども、独自の開発状況はないということから、海外のものでありますけれども、是非とも輸入して使わせていただければと思います。
 以上です。
○北村座長 山岨先生、ありがとうございました。
 それでは、質疑に入りたいと思いますが、御意見ございますか。
 どうぞ。
○吉田茂座長代理 私は門外漢なので、重度難聴患者というのがイメージつかないんですけれども、例えばろう者という認定を受けている人も、こういうのを使って治るということがあるんでしょうか。
○山岨参考人 人工内耳の適応の人がこの機器の前提になりますけれども、ろうといっても、先天的にろうで、全く補聴器とかを使って音が入っていなければ、音を聞いて、それが言語だとか、そういうふうに理解できるようにはなりませんので、いわゆるろうあ者は適応にはなりませんが、先天性の高度難聴、全く聞こえない人が人工内耳を、小児であれば、受ければ聞こえるようになる。それが人工内耳です。
○吉田茂座長代理 ということは、子どものうちに気がついて、こういうものを使ってやれば、ろうあの道から救われるということ。
○山岨参考人 人工内耳自体がもともと救われるんですけれども。
○吉田茂座長代理 すばらしいですね。
○山岨参考人 低音が残っていて、今まであれば補聴器でとか、割と様子を見ていた人たちも、逆に低音が残っていても恩恵が高いということから、このタイプの人工内耳を率先してやれば、聴取能も上がって、なおかつ音楽とかも楽しめるということがどんどん出てくるんではないかと思います。
○北村座長 この機械は、子どもが言葉を覚えていく2歳、3歳という年齢でも使える機械ですか。埋込みできるんですか。
○山岨参考人 できます。今、1歳半からが適応になっていますけれども、海外ではもっと下げています。
○北村座長 子どもから大人まで、1種類の機械でできるんですか。
○山岨参考人 できます。内耳は、子どもであろうと大人であろうと、大きさは出来上がって変わらないんです。
○北村座長 そうなんですか。そうすると、従来のコクレアのインプラントから、こちらの方に入れ変わっていく時代と考えてよろしいんですか。
○山岨参考人 両方とも要ります。すべての周波数が聞こえない高度難聴の人には補聴器は必要ありませんので、そういう人には従来型で、逆にメドエル社などでは、従来型は低い音まで電極が入れるようなタイプになっています。低い音の聴力は残すように、メドエル社のものでは、規定回転で1回転だけという長さを変えたりしていますので、対象の聴力によっては、特に低音が聞こえない人は従来型で、低音が聞こえている人は新しいEASシステムというふうな使い分けになっていくと思われます。
○北村座長 それは機械の仕様書ぐらいのレベルで、例えば適応のガイドラインというものは耳鼻科として必要なんですか。
○山岨参考人 既に海外ではある程度の基準ができています。ただ、海外の言語、例えば、英語と日本語、ドイツ語、言語として使っている周波数とは体系が少し違いますので、基本的には海外のガイドラインを参考にしながら始めるという形になると思いますが、基準は少しずつ変えていく必要があると思います。というのは、今の人工外耳の聴力も日本のガイドラインは、一応90db以上となっていますが、例えば米国などでは80dbぐらいまで、もう少し軽い難聴まで適応としています。少し言語による差はあると思いますので、その辺は詰めていかなければいけないと思いますけれども、まず、導入をしていただかないと、国が違いますので、メリットは十分あるということは予想できるんですけれども、どこまでかというのは、使いながら基準を決めていくことになると思います。
○北村座長 これはヨーロッパ製ですよね。オーストリア。
○山岨参考人 コクレア社はオーストラリア製で、メドエル社はオーストリア製です。
○北村座長 アメリカは、デバイスエグゼンプションで資格を取ったというか、承認された。
○山岨参考人 たしかそうだと思います。
○北村座長 わかりました。
 どうぞ。
○千葉委員 少し本質から外れますけれども、これはイヤーモールの形によって、使いやすさ、使いにくさ、子どもと大人の違いとかございますね。年齢によってイヤーモールがいろいろ対応できるようになっているんでしょうか。それとも個別につくり変えたりすることがあるんでしょうか。
○山岨参考人 たしか通常の補聴器のときには、どうしてもハウリングとか、いろいろな問題があるので、基本的にはイヤーモールの形をつくってやることになると思いますので、カスタムメイドだったという記憶しています。
○北村座長 ほかに御意見ございませんか。よろしいでしょうか。そうしたら、また学会の方で、ある種の使い分けとか、そういったガイドラインは計画しようと山岨先生は思っておられますか。
○山岨参考人 勿論そういうことが必要になってくると思います。
○北村座長 わかりました。それでは、公募された結果の企業、メドエルジャパンと、PMDAと、今のような御意見を踏まえて、早期導入に向けて検討に入っていただきたいと思います。
 以上、4課題の早期導入について活発な御意見をいただきましたが、ありがとうございました。
 一応、これで課題は終了しましたが、事務局からの連絡等ございましたら、よろしくお願いします。
○田中指導官 長時間の御審議ありがとうございました。
 まず、資料に掲載されております21年度の選定品目の中で、まだ企業が見つかっていないところもございます。それに加えまして、本日の御審議に間に合わなかった品目もございますので、このものについては継続審議という形でお願いできればと思っております。
 次回のニーズの検討会でございますけれども、日程がまだ確定しておりません。後日、先生方に日程調整をお願いいたしまして、確定した日時等を御連絡申し上げますので、その折にはよろしくお願いいたします。
 また、本日の議事録につきましては、作成次第、先生方にお送りさせていただきますので、内容の御確認をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○北村座長 ありがとうございました。
 1つ、資料2の今日検討した項目の中で、現状というところには公募中と書いてあります。一方、開発企業名、これは開発しているのと違うけれども、カルディオとか、ずっと会社の名前が入っています。この開発企業名というところと、現状の公募中というのはどう理解したらよろしいんですか。
○関野医療機器審査管理室長 すみません。事務的な話で恐縮ですけれども、前回御議論いたたいた品目が、資料2で言いますと26~33番になります。したがって、その間、今日に至るまで、企業の公募を我々は行ってきたところですが、今日の検討会を開く前までは一応公募中と、便宜上こういう表現を使っていますので、ここは当然、今日御審議いただいたものに関しては、ステータスが変わってくるということにはなろうかと思います。
 加えて、品目の方は、あらかじめ学会から要望いただいた段階である程度の品目が特定できたものに関しましては、わかる範囲で企業名を入れているというケースもございますので、むしろ企業名が空欄のところに関しましては、御要望はありましたけれども、ある意味、一から、企業も含めて探すというものに該当することになるかと思います。
○北村座長 そうすると、この委員会で承認を受けた部分は、承認申請中というふうに公募中が変わるということですね。
○関野医療機器審査管理室長 すぐに申請できるかどうかわかりませんが、次回の検討会までに申請がされていれば申請中、その手前であれば申請準備中、あるいは検討中ということになろうかと思います。
○北村座長 なるほど。「開発企業名」という言葉は、これでよろしいんですか。
○関野医療機器審査管理室長 誤解を与えるようであれば、単なる「企業名」でも構わないと思います。
○北村座長 開発というのは違うのではないか。外国の機械を、販売店ではありますけれども、販売店というと品格がないのであれば“企業名”。しかし、日本でこれだけ開発していたらすばらしいですがね。ですけれども、違いますね。正式には違うと思います。
○関野医療機器審査管理室長 念頭にありますのは、申請に至れば、いわゆる国内で承認を取るという意味でも、承認も含めて開発という範疇に入るので、そういったものを少し先走って表題にしているかもしれませんが、紛らわしければ「企業名」でも構わないと思います。
○北村座長 横に「販売名」と書いてあるけれども、これは「販売名」でいいんですか、品物の名前を。
○関野医療機器審査管理室長 品目名です。
○北村座長 割に厳しい医薬食品局もこういうところはいい加減ですね。
 ということで、一応、終了いたしますが、どなたか、是非ともという方はおられましたら、あと、過ぎましたね。もうよろしゅうございますか。
 それでは、第13回の検討会を閉会とさせていただきたいと思います。
 ありがとうございます。


(了)

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