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2010年10月19日 第3回 厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会 議事録について

大臣官房総務課

○日時

平成22年10月19日(火)14:30~17:30


○場所

東京都千代田区霞が関1-2-2
  厚生労働省 共用第8会議室(中央合同庁舎5号館6階 国会側)


○議題

(1) 病院を管理運営する独立行政法人等からのヒアリング
 1.(独)国立病院機構
 2.(独)年金・健康保険福祉施設整理機構等
 3.(独)労働者健康福祉機構
(2) その他

○議事

議事録 ※PDF版は資料ページに掲載

○北沢座長 定刻となりましたので、ただいまから「第3回厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会」を開催いたします。
 本日は、有川委員及び大久保委員が御都合により欠席します。
 なお、大臣の意向でヒアリングの候補から高齢・障害者雇用支援機構が除外されるなど、スケジュール上の変更が生じました。これについては、後ほど事務局から説明してもらいます。
 本日の議題は、初めに病院を管理運営する独立行政法人3法人からのヒアリングを予定しています。2番目に、そのほかの議題を予定しています。
 まず、本日のヒアリングに関して松原委員より資料5をいただいておりますので御説明をお願いしたいと思います。
○松原委員 資料請求と問題意識についてペーパーを出させていただきました。詳細は見ていただければ結構なのですが、私の問題意識は、特に国立病院は非常に数が多くて性格も多岐にわたるので、一括して議論するよりは何とか上手にグルーピングしたらどうかという問題意識でありました。何回か事務局と意見交換をいたしまして、結果的に事務局から上手に3つぐらいにグルーピングしたらどうかという案を出していただいて、私もそれに納得したということでございます。
○北沢座長 それでは、御覧の意見書で、ヒアリングの目的についてはこのとおりだと考えています。また、法人側が説明すべきことは現行の経営形態でなければならないという、その理由について明らかにすることであるという点は全く同意できます。
 私の方でも、本日のヒアリングに関して資料を用意いたしました。各法人に共通する視点及び最初のヒアリングの国立病院機構の取組みの視点について御説明したいと思います。残り2法人につきましては、それぞれのヒアリングの前に御説明したいと思います。
 それでは、私の説明に入らせてもらいます。資料4-1を御覧ください。「病院運営独法/取り組みの視点?A(案)」として、大きな視点として国(独法)の所有・運営でなければならない理由はあるのか。
 それで、国立病院機構の場合に1つ、政策医療(4疾病5事業)の中核型あるいは非中核型の国立病院かどうか。前身を見ますと、陸海軍病院ですとか傷痍軍人や結核の療養所などがありまして、生い立ちや性質の違いがありますね。それがどういうふうに今日に至ったかということを含めて、性格が変わってくると思います。
 それから、全国で144の病院、国費投入額は2010年度現在137億円、多い県で3から5の国立病院、これはよく勘定しますと福岡県のように6つあるところがありますね。ですから、多い県で3から6つある国立病院は数が多過ぎないか。先ほど松原委員からもちょっとそのような意見が出ましたけれども、一見した印象で随分多いなと。
 それから、赤字病院が2009年度決算で32、全体としては経常利益388億円を出している経営状態ですね。
 それから、日本では個人及び民間の医療法人で病院数7割超、病床数は6割弱を占めているという全体の分布図です。
 それからセーフティネット系医療、ほかの病院では必ずしも実施されない医療を指すわけですけれども、そのセーフティネット系医療の現状、例えば筋ジストロフィーとか重症心身障害ですとかエイズなどの現状はどうか。
 それから、これは独法全体にわたることですけれども、天下りとか「わたり」とか契約の状況はどうか。このような視点から、いろいろ聞いていきたいと思います。
 それでは、ヒアリングを行いたいと思います。本日のヒアリングは国立病院機構、年金・健康保険福祉施設整理機構、労働者健康福祉機構、この順で行います。それぞれ国の事業でなければならない理由について、なぜ国の事業、独法としてやる必要があるのか。これを一番の中心に聞きたいので、それを念頭に説明してもらいたいと思います。
 では、どうぞ。
○理事長(国立病院機構) 理事長の矢崎でございます。よろしくお願いいたします。国立病院機構の業務概要を御説明する前に一言、理事長として所感を申し上げたいと思います。
 全国にある国立病院は、平成16年4月に厚生労働省医政局国立病院部の国営から独立行政法人による経営に変わりました。その後、各病院による診療報酬の上位基準獲得などの個別努力と、本部・ブロック主導によるスケールメリットを活かした共同入札などにより画期的な収支改善を実現して、当初7,600億を超す長期債務がありましたが、2,000億円ほど減少させることにも成功しました。
 これは全職員の努力の賜物でございますが、この結果が更に職員のやる気に結び付く好循環となっています。私は、この成功要因を御理解いただくとともに、更に改善を進める方策について一緒に考えていただければと思います。
 最大の成功要因は、職員の意識改革だと思います。なぜ意識改革ができたのか。それは、官庁会計から企業会計に移行したことによる個別病院の収支の明確化、そして自己資金確保と採算性に基づいた投資ルールの確立により、自立自存の意識が生まれたためです。独法化は国時代に隠れていた職員、病院の潜在能力を顕在化させ、患者さんに支持される病院、職員に支持される病院のためにさまざまな工夫が生まれました。
 代表的なものは、例えば地域医療支援病院やがんなどの拠点病院などを率先して取得しているわけです。その結果、70%を占めていた赤字病院も32病院にまで減少しています。赤字が当然ではなく、少しでも減らそう。できれば黒字化にしようと励んだ結果であると思います。
 本部から病院規模とか内容別に経営情報を提供しているので、自分の病院の優れた点も劣っている点もわかり、改善に結び付きやすくなっています。ネットワークにより、多くの病院を効率的に改善に向かわせることが可能となりました。本部・ブロックは、ネットワークの強みを活かす企画実施支援センターの役割を果たしています。
 また、病院職員にとって一番の励みは、自己努力により病院の建替えとか医療機器更新を行うことで、そのことが患者サービス向上の好循環につながっています。国時代は、できるだけ予算を確保して立派な病院を建築するところで終わりがちでした。病院に自立意識がなく、投資の採算性も考慮することなく、いわばバランスシート、左側の資産にある病院は自分たちのもの、右側の負債は他人のものという発想だったのではないかと思います。このような国時代の自立意識に欠けた非効率な経営に戻ることは、私はあってはならないことだと思います。
 国立病院機構の今後につきましては、これまでの成果を更に積み上げるとともに、今後の在り方を考える上で大きな前提条件になるのは、依然として長期債務と赤字病院が存在し、大都市の高度大規模病院、座長がお訪ねいただいた東京医療センターも過大な負債を抱えている事実があります。
 毎年、元本だけで500億円もの返済を課せられている。ほかの2法人とはここが違うんです。巨額の負債を抱えているにもかかわらず、新たな税の導入による国民負担を発生させず、国民に必要な医療サービスであるセーフティネット系を中心とした政策医療、過疎医療、救急医療などを更に向上させるとともに、医師の交流や我が国の医療の質向上を目指す臨床共同研究を行うこと。そして、国レベルでの危機管理を行うこと。その手段として、現在のネットワークが現状では欠かせません。
 残された課題は、独法である限り、病院の利益の最終的処分権がないということです。これは、皆様御理解いただけないと思います。
 それと、国家公務員人件費一律削減の対象になっているために、医師確保とか上位基準取得のための看護師確保などの患者医療サービス向上には逆行した規制がありまして、医療事業には全く適さない。更には、基礎年金の国庫負担を私どもは負担させられている事実などがございます。
 こうした課題の解決と病院機構の経営改善を更に推進し、新たな国の負担がなく、国民に必要なサービスを提供できる組織になることを私どもは考えてまいりたいと思っております。
 なお、地方自治体への移管という意見がございますが、これは現在地方交付税によって賄われて、非効率的な経営の改善がその自治体では先決であると思いますし、そういう問題意識の希薄化などで地方移管あるいは国営に戻すことはあってはならないことではないかと思っております。
 資料の「国立病院機構の事業概要」について少しお話申し上げます。
 基本特性ではございますが、我々に課せられたミッションの効率的な遂行ということでございます。その任務としては結核、重症心身障害、筋ジストロフィーなど、難病を中心としたセーフティネット系の医療、または国民の健康に重大な影響を与えるがんとか循環器、あるいは救急、周産期医療などの医療の提供体制の確立、そして国レベルでの危機管理対応などが私どもの任務ではないかと思います。
 それともう一つは、全国病院のネットワークによる人的・技術的・資金的な相互支援、この資金的なというのは先ほど申し上げました巨額な、毎年500億円を返さなければならない資金経理的な面ですね。そういうものが非常に欠かせません。それは相互支援しながら実施して、単に診療するだけではなく診療データを集積して分析し、医療の質の向上を目指した事業など、後で述べますようにそのような事業を実際には展開しているわけです。
 「事業規模」は先ほどお話がございましたように144病院、ベッド数は6万弱で全国のシェアは3.5%、そこにあるように職員数は5万人ちょっとであります。
 一番下に予算と書いてありますけれども、私どもは企業会計ですので予算という言葉はふさわしくなくて、これは収益実績に基づいた予測値ということでありまして、診療事業は約8,000億円で、そのうち運営費交付金は484億円でございます。
 私どもの提供している医療内容と、そしてそのネットワークについてです。次のページにありますが、我々は事業としては診療事業と臨床研究事業、そして更には教育研修事業がございます。それで、一番左上の「民間ではアプローチが困難な医療」ということで医療観察法病床、あるいは筋ジストロフィー病床は高い占有率を占めておりますが、例えば重症心身障害は社会福祉法人などで多くの方をケアしておりますが、私どもは医療の必要度の高い患者さんを多くケアさせていただいております。結核についても、私どもは多剤耐性菌などの難治性のものを多く診ております。
 それで、国の危機管理及び臨床研究、あるいは教育研修については後ほど改めて申し上げますが、そこに書いてあるとおりのことでありまして、更に国の政策上、特に体制が求められているがんとか循環器疾患とか、あるいは救急、周産期、災害医療などについてもこのように実績があるところでございます。
 次のページは、「国立病院機構が提供する医療」の中で下段の一番下にセーフティネット系の医療にたずさわっている病院がありますし、上段には4疾病5事業を中心にそれぞれ特色ある病院群がそこに書いてあります。
 右側は旧来の療養所が3分の2でありまして、国立病院が3分の1の55病院です。これにはネットワークを形成し、人的・技術的な支援をこの2つのグループで行って、互いに支え合っているところでございます。また、後ほど述べます臨床研究についてもネットワークを活かしてやっているところでございます。
 次のページの「ネットワークを活用した臨床研究・教育研修・危機管理」、これは私ども欠かせないミッションでございますが、特に臨床研究事業としましては我が国で非常に臨床実績に基づいた診療のためのエビデンスというか、客観的なデータが少ない。そのために、我々はそういう診療の客観的な標準的なデータを出すために臨床研究を進めています。
 更に、その表にございますように、国から要請を受けた臨床研究、直近の例では新型インフルエンザに関する臨床試験では、ここに示しますようにワクチンによって1回接種がいいのか、2回接種がいいのか。そういう結果を判定するデータを出すとともに小児のデータ、安全性の確認で2万人を超す方々を対象にして副作用調査をいたしました。
 これは御存じないかもれしませんが、医師主導型でこういうような研究をすると、費用としては数億円以上、期間としては1年近くかかるわけですが、御覧のように我々は職員のボランティアによる協力も得て短い期間で成果を出しました。
 そのほか、治験の推進、新薬開発のための治験でありますが、過去3年間で268品目が承認されましたが、その6割に私どもは治験に参加してドラッグラグの解消に大きく貢献したところであります。そのほか、臨床ではただ診療するだけでなく、その診療情報を集約してエビデンスをつくって、医療政策にも資するように活動しているところであります。
 教育研修につきまして特に申し上げたいのは、全国に先駆けて特定看護師の養成を大学院で始めました。これは、医師の業務を分担して医師の生産性を向上するための国の政策としてこういう取組みにしようということでございます。それから、チーム医療推進のために縦割りでなく、職種横断的な研修も進めております。
 「危機管理」は先ほど申し上げましたワクチンだけでなく、当初、水際作戦にいろいろ御批判がありましたが、厚労省からの要請で医師、看護師を500名以上現場に派遣しました。そのほか、地震災害などの大きな事件があるときには我々が主に出動しておりまして、国レベルでの国民保護法で当機構がその法的義務が課せられて、これは我々と日赤がそういう国レベルでの危機に対応すべしと国民保護法で定められているところでございます。
 次のページが財務諸表でございますけれども、上から2番目の医業収益は徐々に増加しています。それで、運営費交付金は21年度は95億円をいただいております。それから医業費用でございますが、このように費用も増えますが、その伸びは非常に抑えられていて、その結果、収益が出てきたということになるかと思います。
 一番下段の文章ですが、運営費交付金は救急医療、周産期医療など、特に医療提供体制の確保が求められる4疾病5事業に係るもの、民間病院等に対しても処置されているところでございますが、そういうものは21年度75億円、本年度は49億円、そして来年度は19億円と減少されています。非常に全体にしては少ない運営費交付金だと思います。したがって、収益総額に対する運営費交付金の割合は23年度は本当にわずかになるわけでございます。
 更に、この財務諸表では現れていませんが、毎年元本だけで500億円の借金返済をしていることでございます。また、職員の基礎年金の国庫負担分を自己の収入で納めるべしという極めて異例の規定がありまして、それを含めますと委員の皆様は想像もされておられないと思いますが、我々はむしろ国へ持ち出しているということをおわかりいただければ大変ありがたいと思います。
 次のページの「これまでの組織改革と今後の対応」ですが、これまでの組織改革として国の再編成計画に基づき、次のページにありますように国時代の236病院から20年かけて154病院にスリム化されました。独法化後も継続的に実施して、現在144病院になっています。しかし、そのために一方では先に述べました巨額の負債が積み上がった原因にもなっています。
 しかし、その改革が論じられる場合には、多くの方は組織の改革を重視されます。私はそれも大事ですが、むしろ改革には何よりも先ほど申し上げましたように職員の意識改革が重要であります。しかし、実際は極めて大変なことで、意識改革が果たせれば改革は成功したと言っても過言ではないと思います。組織改革のみに注目しますと、仏をつくって魂を入れないことになってしまうのではないかというふうに危惧します。
 しかし、実際の組織改革はどうかと申しますと、病院の規模・機能の見直しにありますとおり南横浜病院を廃止することができました。それで、病棟の稼働状況に応じた整理・集約も着々と進めました。そして、官庁会計から企業会計への移行によりまして、病院の自立的運営が確立されまして、病院長のガバナンスが確立し、各病院に自立自存の精神が生まれました。
 次の丸ですが、「病院支援事業の実施」です。本部・ブロック事務所は、国時代は予算の取りまとめという管理部門でしたが、独法化後は業務内容を一変させて、国より付託されたミッションを実践するための総合的なプログラムを作成し、戦略の実行と目標を効果的・効率的に達成するためのマネジメントを行う責任センターとして業務内容、機能を転換しました。
 下の参考2にございますように、人員も適正化し、更に業務内容の参考1に示した主なものは本部・ブロックによる先ほど申し上げた共同入札の実施、そして施設整備の企画で国時代と比べて建築費が約半減したというようなこともございます。
 最後のページを御覧ください。今後の組織改革でございますけれども、この中で幾つか挙げておりますが、私は非公務員化を是非やっていただきたい。そして、我々の自由度を増してほしい。
 それから、5番目の診療事業に係る交付金ですね。これは削減して、先ほど申し上げましたように公経済負担という基礎年金の負担分を何とか免除していただければ、国からの交付金を更に削減することも可能であるということであります。
 それから最後に、国時代に先ほど申し上げましたように長期負債がございまして、共同負担のために拠出金制度を導入しましたが、負債が減額してきましたので現状の3%から2.4%に下げたということが私どもの概要でございます。
 それで、先ほど御質問にございました病院の機能で例示を挙げて示しますと、大規模病院の例は病床規模が比較的大規模であり、救命救急センターや周産期母子医療センターを有するなど、県レベルの中核病院としての機能を担うとともに、若手医師の研修育成など、更には医師不足病院への診療援助を行っている代表例として仙台医療センター、そして研究ネットワークのリーダーの代表として長崎医療センターを挙げました。
 そこに示しますように、仙台医療センターは災害、救命救急、エイズの拠点病院でございまして、特記事項にありますように11病院に延べ1,864人を派遣しました。
 長崎医療センターは災害拠点、救命救急、周産期、小児、それから長崎県の救命救急センターとして今年から長崎大学病院が加わりましたけれども、それまで県唯一の救命救急センターでした。ドクターヘリの基地にもなっています。
 次のページが旧国立病院の例でございまして、病床数が中規模の病院ですが、これらは特定分野で専門性を発揮している病院です。それから、救命救急センターや地域医療支援病院に指定されるなど、地域の中核として機能を担う病院として2つの病院を挙げました。
 四国がんセンターは愛媛県のがん診療連携拠点病院になっておりますし、特記事項にありますように抗がん剤などの新薬の治験を多数実施して機構内の治験をリードしています。
 浜田医療センターは感染症病床を有するなど、救命救急センター、地域がん診療連携拠点病院、小児医療、へき地医療の拠点病院になっています。
 それから旧療養所の例ですが、これは先ほど申し上げましたセーフティネット系の医療を行っている事例で、東埼玉病院、肥前精神医療センターを挙げておりますが、東埼玉病院はエイズとか重症難病患者、あるいは特記事項では、神経・筋疾患における研究ネットワークのリーダー病院として活躍しておりますし、肥前精神医療センターは重症心身障害80床、精神477床もあって、医療観察法が特に33床もあり、精神科3次救急、精神科のリハビリテーション、アルコール、特に小児思春期の病棟を有しておりまして、テレビ会議システムで機構内の他施設との連携した研修を実施して精神科医療のレベル向上に努めているところでございます。以上でございます。
○北沢座長 会場は暑いので、どうぞジャケットはお脱ぎください。
 幾つかありますけれども、とりあえず2つ御質問があります。この4疾病5事業を中核的にやっている病院はどのくらいあるのかという疑問があったのですけれども、これは仙台、長崎を軸にここに掲げてある病院と考えてよろしいですか。
○理事長(国立病院機構) さっきの資料でもございますように、3ページ目に4疾病5事業の中心を担っている病院と、数も挙げております。ほとんどの病院は中核として関与しておりますが、更に詳しい指標は各病院の参考資料の中に詳しく星取り表みたいにして掲げてあります。
○北沢座長 ありますね。それで、これはネットワークが非常に重要ですね。144あって、このネットワークは具体的にどういうふうに活用されていますか。さっき、派遣とおっしゃいましたね。派遣が1つあるとか、こういう例があるとか、そういう具体例でいくといかがでしょうか。
○理事長(国立病院機構) 私は、国立病院機構のそもそもの価値は全国統一のネットワークにあるのではないかと思っております。これは、経営的に申しますと、黒字病院と赤字病院の間で健全な内部扶助が行われているために、税金にほとんど頼らない自立自存の経営につながっていることがあります。また、黒字病院も赤字病院も同じネットワークの中にいるので、財政規律というか、財務規律が働いております。医療的にも先に述べましたように、政策医療を健全にしっかり維持することとか、我が国の医療の質の向上を目指した臨床研究の展開などが活用されているところでございます。これをなくしては、なかなかそういう活動ができない。
 それからもう一つ、急性期と慢性期の病院の併存により、お互いが独善に陥らずに医療の原点に立ち返ることができる。若い医師や看護師が研修などで、例えばセーフティネット系の病院を見て、医療に取り組む考えが変わったという人もいます。
 一方、セーフティネット系の例えば重症心身障害者も高齢化して、急性期で行う成人病治療などが必要な場面がますます多くなっているので、これはネットワークでカバーする技術移転とか、そういう意味でも私は必要だと思います。
 そういうことで、私はこのネットワークは国の資産として極めて貴重な存在ではないか。よくそう言うと、あなたは組織防衛で言っているんじゃないかと言われますけれども、私はそういう意味ではなくて医療の質向上、患者さんのQOLの向上、あるいは我が国の医療の質の向上に欠くことのできない存在ではないかと考えております。
○北沢座長 今お話を聞くと、要するに経営面から赤字病院を黒字病院がカバーするような側面を言いましたね。これは、護送船団方式と言っていいですか。
○理事長(国立病院機構) それは、全く違うんです。今それは、各病院が財務書類を全部明らかにしています。ですから、赤字病院も赤字垂れ流しでいいのかどうかということはやはりモラルハサードになるので、赤字病院も皆に追いつけということで赤字を少しでも少なくするような、そういう情報交換と自立自存の経営につながって、先ほど申し上げた財務規律が働く。
 ただ、さっき申し上げた2つの問題、巨額な債務と、どうしても赤字病院というのは残るわけですね。その赤字病院をどうするかということで、機構全体で再生プランという3年計画ですね。財務体制の立て直しを行っておりまして、今年はその最後の年になるんですけれども、そういう改革プランが終わった時点でもう一度見直すということで、座長がおっしゃるような護送船団というのは、私は一番問題だと思います。そうすると、全体で絶対赤字病院が黒字病院の足を引っ張って、決していい経営体にはならないと思いますので、その点は御心配要らないと思います。
○北沢座長 ちょっと先ほどのところに戻りますけれども、ネットワークについてです。蓄積されたデータはありますね。疾病関係、医療関係のデータはかなりコンピュータ化されて活かされていますか。
○理事長(国立病院機構) はい。前の国時代は、政策医療ネットワークとして細々とつながっていたんです。それで、独法化で、私はやはりIT化がこれからの医療事業には一番必要だ。しかし、それは収支、収入に結び付かないんです。だから、我々はそれは全体で投資しなければいけないということで、非常に太いITのネットワーク化を行いました。
 それで、診療データはDPC病院が四十数病院ありますけれども、そこを中心に集めていますし、それから我々はすべてレセプトのオンライン化で診療情報を得ることができる体制を構築しています。ただ、その診療情報を得るにはレセプトとかDPCのデータでは患者さんの経緯とか、そういうものはわかりませんので、それは特別に我々がデータが取れるようなソフトを開発することも考えております。4月からNHO総合研究所というものをつくって、そこに専門家の先生をお呼びして分析に着手したところです。
 それは申し訳ありませんが、恐らく厚労省の集めておられるデータより更に詳細な分析ができるものと思っています正確なデータ。
○北沢座長 このITのネットワーク化はいつごろから始めたんですか。
○理事長(国立病院機構) 数年前からです。
○北沢座長 4、5年前ですか。それで、現在進行中ということですか。
○理事長(国立病院機構) インフラはもうつくったんです。ですから、今後は体力の弱い病院にどういうふうにそういうIT化を進めるかということが必要かと思います。
○北沢座長 運営費交付金を見ていると、例えば平成21年度はどんと上がっていますけれども、この種のものはIT化にかなり投入されたということですか。
○理事長(国立病院機構) これは、運営費交付金とは全然関係ありません。IT化は全部自己資金でやっています。運営費交付金というのは決められた項目しかいただいていませんので。
○北沢座長 それから、先ほど独法化に伴って非常に経営的には改善されたという話をしましたよね。そうすると、非常に独法化はよかったということと受け止めていいわけですね。
○理事長(国立病院機構) それはものすごくよかったです。というのは、国時代とは全然違います。
○北沢座長 更に、もっと自由にやりたいとおっしゃいましたね。自由度を高めたいということですね。独法というのはまだ非常に規制がある。ですから、自由度を高めたいと考えていいわけですか。
○理事長(国立病院機構) 医療事業に則さない。独法というのは大体は運営費交付金が収入で、それで活動しているんです。我々は自己収入で事業を展開するので、ともかく独法による医療事業に非常に逆行するような規制、これを何とかしていただきたいということです。
○北沢座長 これはまた後ほど聞きますけれども、そうしますと民営化をやればいいじゃないかという議論が出てくるかと思うんですが、その辺はいかがですか。
○理事長(国立病院機構) 全部民営化か、あるいは一部民営化かという形になるかと思いますが。
○北沢座長 赤字のところはともかくとしてとか、そういう条件はあるかもしれませんけれども。
○理事長(国立病院機構) 例えば、高度の大規模な病院はもう立派な病院だから民間でやっていいんじゃないかといったときに、今500床以上の6病院は発足時に何と1,831億円の負債を抱えていたんです。東京医療センターなどというのはその最たるものです。それで、21年度は1,428億円で、返済額は403億円ですね。
 だけど、これはちょっとお聞きいただきたいのですが、403億円は全部自分でお金を返しているわけではないんです。あんなに大きな病院でも、125億円というものを拠出金からもらったんです。拠出金というのは内部扶助ですね。それで、前の仕分けのときに拠出金はけしからんという話があったのですが、3%、これは巨額な負債を返すには皆で寄り集まって返さない限り、できない状態なんです。ですから、民営化といったときに、ではその借金をどうするのか。
 それから、国レベルの緊急事態とか、あるいは例えば大阪医療センターなどでは大規模災害に備えた施設などの維持を国の要請に応えて行っているのですが、その負担は経済的にも人的にも自己負担でやっているんです。それで、災害医療センターも国から特別な予算をもらうのではなくて、自己財源の中でそういう対応の備蓄とか人員の配置とか、そういうものをやっているので、そういうものが構築できなくなってしまうという危険性があって、そうなったときにどこが責任を持って対応するのかということになると思います。
○北沢座長 ほかにございますか。どうぞ。
○松原委員 まず、これは記録に是非残してもらいたいので発言しますが、逆に国に持ち出しているんだというところの御説明で、委員の方は驚かれるかもという発言がありましたけれども、そんなことは勉強してきていますから、全く驚きません。極めて無礼な御発言だったと思いまして、これは記録にとどめていただきたいので発言させていただきます。実際に私どもは東京医療センターを見に行きまして、交付金の額が本当に少ないことを含めて全病院のデータは見ております。
 逆にそういう御指摘に象徴されるように、私どもが一番知りたかった今、座長からの御質問でもありましたけれども、国でしかできないんだということの積極的な説明と、それからそこは実は私が最初に意見書で出したんですが、144ありますから、国でしかできないんだというときに144の適当なところをぽんぽんとピックアップすれば何か全体としては必要だみたいな抽象的な議論になるから、私はそれは避けるべきだと思っていたんです。
 そういう意味で、今日の御説明は私からすると満足いかないところが多かったのですが、座長からの質問をちょっと確認する形で、まず基本的に独法化して経営が改善されていることは承知しています。そうすると、国でしかできないこと、国立病院としてやらなければいけないことが何かというのを、こういうこともやっている、こういうこともやっているというと、結果として144全部要りますよということになりますから、やはり性格ごとに確認していきたいと思ったんです。
 それで、ネットワークとして大事なんだと言われると、それは非常に抽象的なので、確かにそうでしょうとしか言いようがありませんけれども、ただ、もしそうであれば私どもは、少なくとも私はネットワークというのは文科省とかの縦割りを超えた、それから公立病院、私立病院を含めたすべての病院がしっかりとしたネットワークに統合されることが一番であって、今まで144あってそれがネットワークで結ばれているからいいと言われても、そうすぐにそうですかと私は言えないと思っています。
 その上で具体的にお伺いしたいのは、要するに国の政策医療を含めて、それからおっしゃった緊急時の対応を含めて、そういう公的な任務を担っているというのであれば、私はむしろ逆にその分は一般の経営とは切り離して国から補助をもらえばいいじゃないか。逆にそういうことを含めて、あるいは地方の赤字病院を含めてトータルで何とかやろうとしているとおっしゃるけれども、そうであったらむしろ民間病院にして、今、理事長がおっしゃった機能に関しては民間病院にその分で年に10億出すとか、そういう形でもいいんじゃないかという考え方もあり得ると思うんです。
 だから、全部で頑張っています。トータルで赤と黒はあるけれども、トータルで何とかするように頑張っています。でも、国がやらなければいけないことは担っていますよと、非常に抽象的な話になっていると思うんです。
 ですから、繰り返しになりますが、例えば大事な公共的な任務を背負っているのであれば、そのことはむしろしっかりと国から補助をいただいてその範囲でやる。こういう考え方に関してはどう思われますか。逆に、そういう任務は国が補助金を出して慶応大学病院にやってもらってもいいじゃないかという考え方もあり得ると思うんです。
○理事長(国立病院機構) どうも失礼しました。我々のこの運営費交付金に関して、今までそういうふうに知っておられる方はほとんどおられなかったので、大変失礼いたしました。申し訳ありません。
 私どもはネットワークというのは今、委員が御質問になったように、一つ一つの病院がこうであって全体がまとまるのは必要だというプレゼンテーションをしたつもりはないんです。やはり抽象的とおっしゃられても現実としてやはり今でも6,000億の負債を抱えているんです。それにどういうふうに対応するのか。そういうことが極めて大きな問題で、国民の税金で再びそこに出すのかということになりますね。
 それから、今おっしゃられたように、確かにそれでは国が委託事業でそういう公的な医療を支えればいいんじゃないかということですけれども、セーフティネット系の医療をそういう事業にしてしまうと、私が申し上げたように国時代は患者さんのQOLの視点がない、大変交通アクセスの悪い人目につかないような傷痍軍人病院を引き継いで発足したので、そういう病院に患者さんが長期間おられるわけです。それを、やはり情報を開示してできるだけ能力のある医師、看護師が行ってもらう。それは患者さんのQOL向上のために欠かせないことであって、やはり国の官庁会計に戻してしまうと、極めて患者さんにとってお気の毒な状況になります。今は本当に皆、自立自存で一生懸命工夫してやっているので、そういう意味で国に移管するのは私としては何とか避けたいということはあります。
 それから、緊急の事態ですね。危機管理とか、そういうものに関しては例えばちゃんと受託事業としておっしゃるようにやればそれでいいのではないかというお話でございますけれども、これは端的にそういうことをやっただけで、本当に幅広い、裾野の広い臨床研究ですね。そういうもので持ちこたえられるかどうか。これは、やはりそういう研究を目指した医師とか、そういう者がそこに集まって始めてできるものであって、それについては是非とも御理解いただければと思います。
○北沢座長 今の質問に関連するんですけれども、非常に先ほどいいことを言うなと思ったのは、例えば借金をどうするかという問題がありますね。これが1つあります。それから、国レベルの緊急事態に対応する問題があります。それから、緊急だけではなくて国の要請にこたえる課題があります。
 しかし、一方で自由度を高めてやりたいということがありますね。そうすると、今、松原委員がおっしゃったように、実際に必要な予算は国からもらう。受託事業なり何なりでもらって、そして通常の民間の、それこそ病院がやっているような自発的に難病対策なり何なりをやっていく。それの方がすっきりとしていいように思うんです。その辺は、厚労省の担当責任者の方はいかがでしょうか。
○医政局長(医政局) 民間でどれくらいのセーフティネット部門のシェアを持っているか、今、数字はありませんが、基本的には公的病院にそこは更にお願いしてやっておりますので、民間とおっしゃった意味がいわゆる医療法人であるならば、これはなかなか切り替えようと思ってもそれは難しい。まして、その医療法人が山村やへき地に立地しているような場合、自力で立っている今の療養所のある場所でそういった議論もある。
 だから、現状に立脚して現状の中で今ちょうどプラスとマイナスをかぶせ合って機能しているということで、我々としてはトータルな財政コストは安定しているというふうには理解しているのですが、それを本当に医療法人に全部切り替えてやるかどうかについては、ちょっと……。
○北沢座長 そういう意味ではなくて、今こちらが形態を変えるとしますね。一部に言われているように民営化するとしますね。そして、国の要請は別途予算を付けてやればすっきりするじゃないかという意見なんです。その辺はいかがですか。厚労省として、そういう検討はされていますか。
○医政局長(医政局) 国立病院を全部民営化して補助金に変えて、逆に債務は全部整理してという検討は、今はしていません。
○北沢座長 今はしていないですか。その辺はいかがでしょうか。
 理事長から見ると、実は内心その方がいいかもしれないなどというふうには思いませんか。
○理事長(国立病院機構) 受託事業というのは官庁会計ですから、やはり年度初めで国会を通して実施というと本当に1年くらいかかるわけです。
 医療というのは、河北先生がよく御存じのようにアップデートにスピード感に富んで対応しないと時代遅れになっちゃうんです。国時代に何が悪いかというと、時代遅れになったんです。現状の患者さんのニーズとか地域医療のニーズを考えずに、こういう方針でやるという方針で今まできたから7,600億を超える債務になった。
 国を非難するつもりはないんですけれども、ですから受託事業でそういう公的ミッションはやればいいんじゃないかと言われても、必ずしもそうでない部分もあるということを御理解いただければ大変ありがたいと思います。
○北沢座長 ほかにいかがですか。
○松原委員 1つだけ、ネットワークのお話とかがありましたけれども、本当にそれがきっちりと機能しているかどうかというところで私が抽象的だと申し上げたのは、医療センターに実際に行ってお話を伺ったとき、そういう国立病院としてのネットワークもあるけれども、むしろ医師が前任の病院とか、出身の病院とか、公立、私立を問わず、そういうところと結果的にネットワークを組んでいる例も多いんだという話も聞きましたので、やはり本当の意味でそのネットワークが十全に機能しているか。できていないところもあるかもしれないというようなことも聞いておりますから、そこがちょっと問題だなと思いました。
 それからもう一つ、これも大きな問題になりますけれども、債務の問題で今、理事長がおっしゃったように過去の厚生労働省の中にあったときに生じた債務を今、一生懸命病院が返し始めています。そのとおりです。
 でも、私は民営化の問題をずっと勉強してきて、その債務を棚上げしてという過去の例は幾らでもあるわけです。JR、国鉄がそうでした。そうすれば、むしろ今、頑張って出た黒字を、医療機器を更新するのに使うとか、もっと有効に使える可能性もあるわけです。ですから、こういう問題を議論するときに、過去の債務があって返し始めたというのも一つですけれども、いろいろな可能性がある。
 それから、座長が繰り返しお話になっていたように、そういう公的な任務であればむしろそこは経営から切り離す形でしっかりとお金をもらっていく。逆に、そのことができて、なお大きな黒字が出たら、では民間病院にもお金を出して委託していくというトータルのところで見れば、国全体の医療費としての削減にもつながるのではないか。
 これは、やはり国立病院が144もありまして規模も大きいので、そこの在り方がきっと日本の医療全体についても影響を与えるというような観点で我々は考えているということを一言申し上げたいと思います。
○北沢座長 ちょっと話は飛びますけれども、先ほどおっしゃった独法の制度的な、ちょっと言いにくそうに言いましたね。それをずばり言うと、どういうことでしょう。制度的な欠点として、こういうものがないともっとやりやすいということを是非聞かせてもらえますか。
○理事長(国立病院機構) それは、独法の通則法に必ずしもないけれども、独法にひとまとめで対処されているのは人件費の一律削減化ですね。医療というのは労働集約型です。国時代、定削、定削で医師も看護師も少ない定員なんです。だから、逆に言えば収益が上がっているのは人件費を少なく抑えているに等しいと思うんです。ですから、やはり医療ニーズに合わせて病院としては対応したい。それが非常な制約である。
 それから、皆が自己で稼いだ収益を自分の病院の建築とか器機の投資に使いたくても、これは一旦余剰金ということで積み立てられて、それで我々の処分権というのは極めて制限されているんです。それはネゴシエーションで大分わかってもらえますけれども、そういうものとか、病院ではやはり患者さんと一緒にいろいろ活動するとか、そういう日常の活動費にも独法は国の税金でやっているからと福利厚生は認められず、そういうようなものがあります。
○北沢座長 人件費について言えば、民営化すれば自由にできますよ。
○理事長(国立病院機構) ただ、河北先生は御苦労されていると思いますが、医療は安く抑えればいいというものではないと思います。やはり人数が少なくても優秀な人が核になっていれば良い医療が患者さんに提供できるので、私は経営的に独法化になったときにすごく赤字が出ると言われていましたけれども、職員には私は稼げということは一言も言っていません。やはり職員の意識改革で、親方日の丸の意識を脱して自立自存でいきましょうというふうに言っているので、そういう意味では経費は安くしますけれども。
 それから、先ほどの松原委員のお話でございますけれども、私どもとしてはせっかくここまできたので、今までのような過去どんどん長期債務が積み上がって立派な病院を建てて成功だ、成功だといった感覚はもうなくしてもらいたい。やはり自分に見合った地域医療ニーズ、あるいは国のミッションに見合った医療をやる。
 それで、私どもは少なくともこれ以上国の負担を増やしたくない。我々は自分でやっていくんだ。国に借金を抱えてもらうというような大学法人とかナショナルセンターは全部そういう工夫をしましたけれども、我々は全額負担を抱えて出発しているということで、私はこれ以上……。
 それだったら、出発点で借金を国に置いていく。国鉄の民営化のときも大分、国に借金を残していきましたけれども、我々はそうしたくない。やはり自分で立って歩くだけの組織にしようということで、河北先生はいつもそうおっしゃってくださっているので、我々はそういうつもりでやっていきたいと思っています。
○北沢座長 おっしゃることはわかりました。ほかにありますか。どうぞ。
○河北委員 私は意見になってしまうかもしれませんけれども、今、矢崎理事長が言われたことには私は非常に同感できることがいっぱいあります。昔は248あった国立病院が今は144まで整理をされた。それで、非常に卓越したリーダーシップの下に一つのいわゆるチェーンになってきて非常に経営もよくなったし、それから実際にそれぞれがその地域の人の期待にこたえているという意味では、一つのモデルであるだろうと私は思っているんですけれども、この国立病院機構だけではなくて、例えば民間でも徳洲会あるいはいわゆる何とかグループと言われるような全国チェーンもありますし、それぞれの地域の中でいわゆる医療とか介護がインテグレーションをして、その地域のケアを行っているようなグループ化もあるわけですね。
 ですから、我々がこの委員会で検討しなければいけないのは、このグループがいけないとか、いいとかということではなくて、独立行政法人がそれを担っていることがいいかどうかということであって、このグループの存在というのは私は非常に社会的価値のあるものだろうと思っています。
○北沢座長 ほかにございますか。どうぞ。
○結城委員 質問ですけれども、今、話を聞いていると何か借金を返すために事業を運営しているようにちょっとだけ……。
○理事長(国立病院機構) それはちょっと誤解があるかと思いますけれども、やはり我々は借金は返さないといけない。国の負担はこれ以上、増したくない。絶対にそれは避けるべきだ。
 だけど、我々が担っているのは国の医療の質向上とか、あるいは国民の重大な健康被害のときに医療支援を行う。そのために私どもは全国ネットワークを介して臨床研究をやって、さっき申し上げましたように例えば268の新薬が承認されましたけれども、その6割は我々本部が主導して治験を進めているんです。その経費も、民間のSMOという治験の会社に頼むより半額ぐらいの値段で我々はやっているんです。
 だから、そういう意味で治験の費用の削減とか、あるいはドラッグラグと言われる新薬が承認されるまでに長く時間がかかる。それは、我が国で治験という新薬開発の臨床研究が遅いからなんです。私は、国立病院機構というのはそういう使命、ミッションがあるということであって、何も経営改善のためと、先ほど座長に申し上げたように、私は理事長になったときに経営を改善しましょうと一言も言わなかったのです。経営改善は、結果なんです。だから、ここで申し上げたのは、結果として経営が改善しました。その前段階では患者さんに支持される病院、職員に支持される病院にならないと、やはり経営はまずくなる。
 だから、収益というのは結果であって、そのプロセスはそういう簡単なものではない。要するに、普通の企業であればいいものをつくってお客さんに体験していただいて買ってもらう。それで終わるんですけれども、我々は患者さんとは一生の付き合いですから、そういう患者さんに密接に関連している。
○結城委員 もう一つは、私は別に効率ばかりではなくて、公的病院というのは赤字だからこそ使命が国民のためにあるという考えもあると思います。公立病院、私立病院もあるし、県立病院もあるし、国立病院もあるし、国として経営の無駄遣いはあれですけれども、この10年間、例えば一般市民でいくと小児科は少なくなったし、産科は少なくなったし、診療報酬という中で病院経営ができなくなったので、国立病院ももしそれに準じて経営というのを重視していくと、やはりいろいろ医療崩壊できたんですけれども、国立病院というのはそういう不採算な部門を担っていくというのも、確かに借金というのは大事ですが、医療政策的にそういう位置付けで考えてはいないんですか。それをお聞きしたいと思います。
○理事長(国立病院機構) とんでもないです。申し訳ないですけれども、我々は不採算部門を遠ざけるとか、そういうことは一切ありません。そんなことは、私は許さないです。
 だから、やはり4疾病5事業と、河北先生などが地域で一生懸命やっておられる。我々はやはり小児医療とか、不採算部門を我々が頑張ってやる。それをやらないで、我々は公的病院という立場はないと思います。ですから、小児医療とか、小児思春期、精神疾患とか、あるいはセーフティネット系の医療、そういうような日の当たらないところを我々がやっているのであって、我々は収益がいいから不採算部門をやらないで過ごしているということは神に誓ってありませんし、そういうことを各病院長が聞いたらやはり怒り狂うと思います。皆すばらしい先生で、一生懸命現場でやっておられるので、是非その辺は理解していただければ大変ありがたいと思います。
○河北委員 今のことですが、不採算医療ということではなくて、やはりその医療を担うところにきちんと予算が付くということであれば、何も国立病院機構でなくてもいいと私は実は思います。
 ですから、その予算をどのように付けるかということに問題があるということがひとつあると思うんですけれども、その中で例えば今は独立行政法人ですが、国立病院機構が社会医療法人になるということはお考えになりませんか。
○理事長(国立病院機構) 局長がおられますけれども、委員のおっしゃるように、不採算医療というのはやはりなくした方がいいと思うんです。患者さんがかわいそうです。お涙ちょうだいで補助金でやっていくというのは、患者さんにとってはものすごく不幸せなことです。患者さんの目線に立てば、しっかりした診療報酬体系を立てて、それに見合った費用を出すべきであって、要するにバランスよく出していただきたいということに尽きます。
 では、ほかに今後の道があるかといいますと、法的な制限がたくさんあってなかなか難しくて、この委員の先生方がこれは国とか政治の方に訴えていただければ大変有難く存じます。
 ただ、我々は緊急対応をしますから、例えば日赤とか、そういうある程度使命を持った法人格になれればいいんですけれども、それにはまず非公務員化をやっていただかない限りなかなか到達しませんので、今日最初に更に改善を進める方策についても一緒に考えていただければ大変ありがたいと申し上げましたので、その辺を我々の状況を御理解いただいて、国に負担をかけない。患者さんに負担をかけない。そういう視点で、この委員会で意見をまとめていただければ大変ありがたいと思います。
○北沢座長 ほかにありますか。どうぞ。
○長谷川委員 1つだけ、今日の資料の1ページの最後のところに「予算(うち国費)」と書いてあって、※印で「347億円は、国期間分の退職給付債務である」ということと、それから先ほど御報告の中にも基礎年金の部分の免除というお話が2回ほどあったと思いますけれども、それはどういう理由なのかということです。
 私が知っている限り、いろいろなやり方があったと思うんです。今まで国営企業から民営化になったものとか、そういういろいろなパターンがあるわけですけれども、今回この国立病院機構の中でこのことを主張される理由というのはどういうことですか。
○理事長(国立病院機構) 公経済負担のお話ですか。国庫負担のお話ですか。
 これは、ほかの事業体はそういう特例はないんです。僕らだけにあるんです。それ以外は造幣局と印刷局の3つだけです。造幣局、印刷局というのは国を相手に商売していますので、これは国そのものですよね。だから、それはいいんですけれども、我々みたいな事業体に年金の国庫負担を課すというのはほかの独法には一つもないんです。我々だけが法律に残されているので、これを是非免除していただければ、それだけの体力はございますので。
 それから今、運営費交付金の大部分はハードな部分で、事業に給付はほとんど受けていないというお話をしました。その大部分は何かというと、これもおかしなもので、もう国時代に病院を辞めちゃった人の年金も我々を通して払うことになっている。だから、言うなればそれは財務省から国共済の方に払ってくれればいいのに、何で我々がお金をいただいて国共済に払うのか。
 これは整理資源と言いますけれども、運営費交付金がかさ上げになっているんです。それと、実際に現にいる職員の退職金の国時代のものです。だから独法後は自分たちで積み立てて払っていく。それで、120億ぐらいの国時代の退職金はその都度もらわないと、大学とかそういうものは皆そういう形ですので、是非御理解いただければと思います。これは法律で決まっていて、私たちが幾ら主張してもだめなんです。よろしくお願いします。
○北沢座長 勉強しておきます。では、どうぞ。
○岩瀬委員 細かいことをお尋ねしたいと思います。今の質問とも関連するのですが、国からの予算として484億円がきていて、それで退職金等で347億円支払っている。それで、残りの部分は運営費交付金で96億円くらいを引くとまだ40億円くらい余るんですけれども、これが補助金ということになるわけですか。
○副理事長(国立病院機構) 重症心身障害とか筋ジストロフィーなどの施設整備費の半分を国で負担していただいているんです。それが施設整備費補助金と言っているのですが、民間の社会福祉法人でも重症心身障害施設では補助を受けています。これらは、国が2分の1の補助をして、都道府県が4分の1の補助をして、つまり4分の3の補助がある。
それで、私どもの方はこの施設整備費補助金というのは半分なんです。そこでちょっと差があることはあるんですけれども、そういう社会福祉法人が重症心身障害施設を行う場合の整備費と同等のものを施設整備費補助金としてもらっているということです。
○岩瀬委員 それがトータルで40億円ということになるわけですか。
○副理事長(国立病院機構) それが31億円です。それから、あとは医療観察法という重大な犯罪を犯したけれども、心神喪失等のために不起訴になった人、あるいは起訴猶予になった人のための医療を行うというものがありまして、これはもともと全額税金で措置されている医療であるということで、その分が加わっている。
 それから、さっき申し上げましたけれども、退職給付債務というのは2種類あるので、正確に申し上げますと1つは整理資源です。この整理資源というのは、昭和34年以前の勤務期間を評価して、つまり恩給期間ですね。全額税金で払う期間を評価して整理資源というものは措置されているわけですが、それをなぜか国が全額財政措置をして私どもを経由して国共済連合会に納めている。それは、国が国共済連合会に納めればそれで済む話なんですね。これが130億円ですか。
 それからもう一つ申し上げているのは、独法発足前の勤務期間の退職給付債務で、独法移行後の期間については引き当てをして自収自弁でやっていますけれども、国に勤めていた期間の退職給付債務というのはあるわけですね。それは今、運営費交付金としていただいているということです。
○岩瀬委員 もうちょっと細かいことを幾つかお聞きしたいんですけれども、基礎年金の国庫負担分を負担されている。これは、トータルで幾らくらいですか。数字だけで結構です。
○副理事長(国立病院機構) 当初は60億くらいだったんですけれども、基礎年金国庫負担が3分の1から2分の1に引き上げられましたので、今は100億円余りです。
○岩瀬委員 あとは、先ほどから理事長の御説明の中で非公務員化することのメリットというものを随分強調されていましたけれども、このペーパーだとその文言しかなくて、具体的にどういうメリットがあるかというのはなかなかイメージできないんですが、今日でなくても結構なので後でどんなメリットが期待できるのかを教えていただけませんか。
○北沢座長 まだたくさんあるんですけれども、また理事長の方に出しますので書面でお答え願えますか。
 では、よろしいですか。時間がまいりましたので、ありがとうございました。
(国立病院機構関係者退室)
○北沢座長 それでは、2回目のヒアリングは5分後に始めたいと思いますので5分間休憩します。
(午後3時49分休憩)
(午後3時54分再開)
○北沢座長 では、時間がまいりましたので始めさせていただきます。
 年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)の資料説明を始めたいと思います。どうぞ。
○理事長(RFO) RFOの理事長の水島でございます。よろしくお願い申し上げます。
 まず、当機構の概要につきまして、資料に沿って御説明をいたします。資料2の表紙をめくっていただき、1ページ目を御覧いただきたいと思います。
 まず、当機構の概要でございます。当機構は厚生年金、国民年金、旧政府管掌健保の財源によって設置をされました宿泊・保養施設、あるいは病院等を、年金資金等の損失の最小化を図るために一円でも高く売却し、運営経費を差し引いた残余額を国庫に納付する、時限立法による民間人主体の独立行政法人であります。民間人主体でございますので、役員はもちろん常勤職員の中に、いわゆる天下りと言われる人はおりません。また、国からの補助金、交付金も受けておりません。
 当機構は平成17年に設立され、当初は期間を5年と定められておりました。従いまして、本年10月1日をもって解散をすることとなっておりましたが、先の通常国会におきまして、社会保険病院、厚生年金病院の受け皿組織を設置いたします、独立行政法人地域医療機能推進機構法案が廃案となったことから、8月の臨時国会におきまして、議員立法により当機構の設置期限が2年間延長、平成24年10月1日まで延長され、そこで解散することになっています。
 2ページを御覧いただきたいと思います。当機構の現在までの実績をお示ししております。本年8月をもちまして、譲渡対象とされた301施設の譲渡を完了いたしております。表の青く塗っております箇所ですが、売却原価比で1.9倍、国から出資を受けた際の出資価格比で1.1倍、2,221億円の売却収入を上げておりまして、設立以来2,023億円を国庫に納付いたしております。このうち、病院につきましては社会保険浜松病院、1病院のみの譲渡実績となっております。
 それから、右下に小さな字で書いてありますが、施設の譲渡に伴いまして、施設運営以外に業務が残らない44の公益法人が解散することになっておりまして、167億円の清算剰余金を収受、あるいは収受する見込みであり、これも国庫に納付されます。
 当機構の今後については、次のページを御覧いただきたいと思います。今後2年間の当機構の業務については、まず第1に、厚生労働省から指示をされました病院の売却・譲渡でございます。第2に、病院が引き続き地域医療に貢献できるよう病院の経営状況、資産状況の把握等を行うこと、これらに取り組んでいくこととなっており、業務については、厚生労働省ともよく相談をしながら進めてまいる所存でございます。
 当機構が保有いたします62の病院の運営につきましては、中期目標に定められております通り、厚生労働省から売却の指示が出るまでの間、当機構に出資される以前に旧社会保険庁が運営委託を行っておりました全国社会保険協会連合会、厚生年金事業振興団を始めとした6法人に委託をいたしております。
 病院の運営状況については、各運営団体から御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○理事長(全国社会保険協会連合会) 全社連の理事長の伊藤でございますが、病院の運営状況につきまして資料2の5ページをお開きいただきたいと思います。
 全社連が受託しております社会保険病院は旧政府管掌健康保険の保険者病院でございまして、現在も引き続きRFOから受託をして運営しております。
 ここに書いてございませんが、理事が24名でございまして、いわゆる天下りは、私は天下りですが、そのほかに2人ということで3名でございます。
 それから、病院の機能といたしましては51病院でここに書いてあるとおりでございまして、そのほか老健施設が28か所、看護学校が7か所です。
 予算額でございますが、収益が22年度で2,839億円、国庫からの補助金は1億9,000万円でございまして、これは社会保険病院の臨床研修医を受け入れていることに対する医政局からの補助金でございます。
 それから、6ページを御覧いただきたいと思います。どういう医療に取り組んでいるかということでございますが、まず地域医療への積極的な取組みということで4疾病5事業、51病院のうちここに書いてあるとおりやっております。
それから、主として厚生労働省等の要請によりまして、例えば緊急時の医師派遣でございますとか、インドネシア人看護師・介護福祉士の受け入れ、更に医療政策等に係るデータの提供等行っております。
 それから、7ページでございます。グループ病院としての取組みといたしまして、研修事業でございますとか、それから経営不振病院に対する支援等を行っているわけでございます。
 それから、8ページでございます。老健施設の運営につきましても、それから看護師の養成施設につきましては記載のとおりでございます。
 それから、9ページを御覧いただきたいと思いますが、経営財務状況でございます。これは平成14年から記載させていただきましたが、なぜ平成14年から記載させていただいたかと言いますと、実は平成14年の健保国会のときに、それまで社会保険病院に政管健保の保険料から施設の更新費用等が年間300億程度支出されておりましたが、健保法改正の国会審議を通じて、これからは保険料を病院の建物の更新費用なり土地の購入費用に充てるのは問題であるということから、平成14年の12月に厚生労働省からの指示によりまして、14年以降、政管健保の保険料財源に依存しない経営をしなさいということになったわけでございます。
 したがいまして、平成14年は減価償却費が2.5%となっておりますが、平成15年から診療収入の中から施設の更新費用を引き当てていくという措置を行うことによりまして、15年以降は6.5%前後に減価償却費が上がっていると、こういう形になっております。
 更に、それらのことを行うために15年から3年間の経営改善計画を行いまして、そして給与体系の見直し等を行うことによりまして、給与費のところを御覧いただきたいと思いますが、平成14年は人件費比率が57%でございましたが、給与制度の見直しによりまして15年が54.1、順次下げまして平成17年には51.2%まで下げていく。こういう経営改善3か年計画に取り組んだわけでございます。これらのことについては、また後ほど少し触れさせていただきたいと思います。
 そして、この経営改善3か年計画が平成17年に終わりまして、平成17年のグループ全体の収支は90億の黒字と、単年度収支で全病院が黒字になったわけでございますが、18年度の史上最大の診療報酬のマイナス改定によりまして黒字額が25億に減りまして、更にこの平成20年度の診療報酬改定によって6年ぶりの赤字になりましたが、現在、平成21年、22年と経営状況がかなり改善の途上にあるわけでございます。
 それらの経緯につきましては、10ページを御覧いただきたいと思います。平成14年以来の経緯が書いてございますが、平成20年に当時、与党の社会保障政策会議によりましてRFOに出資されたという形になっているわけでございます。
 11ページを御覧いただきたいと思います。それでは、平成14年の社会保険病院の在り方の見直しを受けてどのように取り組んできたかということをここにまとめさせていただきました。平成14年までは、各病院から全社連本部に診療収入の3%を納めていただきまして、この資金を基に赤字病院の後始末等をやる、一言で言うと護送船団方式のグループをつくっていったわけでございますが、この3%の負担金を順次減らすことによりまして、現在は0.5%という形になっております。
 更に、退職手当につきましてもそれまで一括して本部が支払っておりましたが、17年以降は各病院がこの退職手当を支給するという形にしたわけでございます。それから、本部組織の縮減にも取り組みまして、当初、病院部門の職員が約98名でございましたが、現在は58名まで減らしております。
 そして、給与体系の見直しでございます。基本的な考え方は「新給与制度」というところがございますが、それまで北海道から九州まで全部、国家公務員の給与規程に準拠してあったわけでございます。そして、人事員勧告によりボーナスの支給月数などが決まっておりましたが、本部が一律にその給与を決めるのではなく、各病院長にその給与の決定権限を委任することによりまして、病院の経営成績に応じて院長の下に各施設が自律的な経営が可能になる制度に改めたということでございます。そして、病院の全体の経営状況と職員の働きぶりによりまして、評価制度を入れた給与体系に全面的に切り替えていったということでございます。
 こういう形で、平成17年から各病院と徹底的に議論をしまして新給与体系に移行してまいりました。その過程で、かなり社会保険病院は労働組合が強いグループでございましたが、戦後、それまで結ばれた78本の労働協約を全部破棄いたしまして、例えば介護休暇等の必要な項目については再度協定を結ぶ。そういう取組みをして、今日に至っているわけでございます。
 それから、「これからの取組」でございます。昨年の民主党政権の出現によりまして、今まで社会保険病院の新しい経営形態について平成14年以降、なかなか方向が決まらなかったわけでございますが、独法に移行するという法案が出されたことに伴いまして、独法自体がいいかどうかという議論がいろいろあると思いますが、しかし、この新たな経営形態に移行することを前提に、平成22年度から3か年間の再度の経営改善計画に取り組んでおります。これは、人件費なり経費の見直しということだけではなくて、それぞれの病院が地域でどういう医療機能を期待されているかということを前提にいたしまして、今後果たしていくべき診療機能に応じて病院の組織体制を改善していく。そういうコンセプトで、この新経営改善3か年計画に取り組んでいるところでございます。以上でございます。
○北沢座長 時間の関係上、重複する部分は省略してください。
○理事長(厚生年金事業振興団) 厚生年金事業振興団理事長の渡辺でございます。私ども財団が運営する厚生年金病院の概要につきまして、配布資料に沿って簡潔に御説明を申し上げます。
 まず資料の13ページ、厚生年金病院の設置目的でございます。当団は、厚生年金被保険者や受給者と、これらの方々の家族の福祉向上を目的として、国が設置した病院や厚生年金会館などの福祉施設を国の委託を受けて運営してまいりました。これらの施設のうち、会館等は先ほど水島理事長からお話がありましたように、平成17年にRFOが設立されて以来、去る9月までの5年間にすべて売却整理されました。
 現在、当団はそこにございますように3総合病院と4専門病院の7病院の運営を受託しております。これらの病院の施設整備への保険料投入は、平成16年度以降全廃されております。
 なお、運営費についてでございますけれども、13ページの最下段にありますような費用、この補助金を除きまして、もともと運営費の補助は受けておりませんでした。
 次の14ページの表を御覧ください。3総合病院はそれぞれの地域の実情に応じ、従来の整形外科を主としつつも、救急医療、小児医療、周産期医療、がん、心疾患、脳卒中、地域医療支援病院などの面で大きな役割を果たしております。4専門病院は、整形外科、回復期リハビリテーション等の面で高い評価を得ております。
 15ページを御覧ください。当団の特色は、7病院のグループとしての一体的取組みを行っていることであります。これにより、医師、看護師の応援派遣、7病院全体での健全な経営の維持、共通の人事給与、財務会計システムの導入による事務の効率化、職員の共同研修、全職種横断的な医療フォーラムの実施などを行って、7病院全体として健全経営を維持しております。
 資料の16ページは、看護師の養成施設のあらましです。これは御覧ください。
 次の17ページは7病院の経営財務状況をお示ししたものでありまして、平成17年度から21年度まで最近5年間の収益、費用をまとめております。医業収益を主とする収益は横ばいから、21年度は対前年度比で4%ほど増加をしております。他方、費用の方も同様に横ばいから、21年度は4%ほど伸びております。この結果、収益から費用を差し引いた収支は21年度23億円、前年度比で8.7%の伸びとなっております。
 続きまして、資料18ページ以下は3ページにわたってこれまでの改革と今後の対応について記載をしております。
 平成16年の年金制度改正の際に、当時の与党年金制度改革推進協議会におきまして、厚生年金病院の整理合理化とともに施設整備について保険料財源を投入しないということが合意されました。17年以降は、RFO関係のことでございます。御覧いただければと存じます。
 19ページを御覧ください。当団は、平成10年度以降経営改善を実施してまいりました。その主なものは、人事給与制度を見直しまして、公務員準拠型から実績・能力重視型体系に移行するとともに、退職金につきましても従来の在職年数比例から人事考課等の評価を加味したポイント制に移行いたしました。また、業務指導と会計監査を一体的に行っておりましたけれども、これを分離しまして内部会計監査を強化いたしました。更に今年度、福祉施設の整理による業務量の減少に対応して本部の組織定員を縮小いたしました。
 最後に、20ページを御覧いただきたいと思います。「今後の対応」についてでございます。昨年秋の臨時国会に、独立行政法人地域医療機能推進機構法案が提出されまして通常国会で審議されておりました。そこで、同法案に示された方向に沿いまして、私ども1年ほど前から新機構への移行準備を進めてきたところでございます。残念ながら成立直前に廃案となってしまいましたので、現在は準備作業を中断して今後の推移を見守っている状況でございます。早急に将来の安定的な受け皿の方向が示されることを心から望んでおります。当団としては、それまでの間、引き続き良質な医療の提供と健全経営に取り組んでいきたいと考えております。
 本日、当団の理事でもある東京厚生年金病院の谷島院長にも同席していただいています。以上でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
○北沢座長 ありがとうございました。時間の都合上、私の取組みの視点は割愛いたします。
 それでは、質問に入らせてもらいます。これはお役所への質問なんですが、病院を売却できない場合ですね。年金福祉施設が譲渡できない場合はどうなりますか。解散予定というのが入っていますね。
○大臣官房審議官(年金担当) 今、RFOの期限が2年延長されたところで、まず地元の自治体の意向を聞いてアンケート調査をしております。まずそれを見てからですが、おっしゃるように売れる病院、それから残ってしまう病院とあると思いますので、これは国会でも大臣等が答弁をしておると思いますが、場合によっては残った病院のために受け皿をまた考えなければいけないかもしれないというのが公式答弁でございます。
○北沢座長 今、状況はどうなんですか。これを見ますと、譲渡完了というのは要するに病院じゃないところですね。この辺はちゃんと資料ができていないので、大分理解に悩んだ人もいると思うんです。
○大臣官房審議官(年金担当) 今日は病院の議論だというふうに承っていますが、RFOは病院以外にも会館とか、そちらは300全部売り切って、その分は完了しています。
○北沢座長 そちらは売り切ったんですね。そうすると、現状は地方自治体はどんな反応なんですか。
○大臣官房審議官(年金担当) 今まさにアンケートを集めている段階なのでそれを踏まえて、あとは個別の病院の状況をもう一度確認させていただいてということになろうと思います。
○北沢座長 今、集めた感じではどんな具合ですか。例えば、最近よく出てくるのはノーサンキューというのが多いですね。病院とか、そういうものではなくて。
○大臣官房審議官(年金担当) 私も必ずしも全部見たわけではありませんが、病院の機能は残してほしいというのはほとんど共通していると思います。
○北沢座長 そうすると、これは一般論ですけれども、例えば財源がないと困るとか、そういうのはありますよね。維持費もかかるとか、そういうような具体的なことはどうですか。
○大臣官房審議官(年金担当) あとは個別のそれぞれの病院を抱えている自治体での反応だと思いますけれども。
○北沢座長 それぞれ事情が違う。
○大臣官房審議官(年金担当) 条件が整えば、自ら引き取るようなところがあるかもしれませんし。
○北沢座長 1つあったのを廃止しましたよね。浜松。
○大臣官房審議官(年金担当) それは、以前譲渡いたしました。
○北沢座長 そうですよね。そうすると、そのアンケート調査を見てこの対応が決まるのはいつごろですか。
○大臣官房審議官(年金担当) 2年というのも限られた時間ですので、その2年の間にはすべて白黒つけなければいけないと思いますが、今はとりあえず理事長さん方が御説明になったように、もともと受け皿を準備した法案が通らなかったのでRFOの期限を2年延長した。この時点でもう一回、それぞれの自治体のニーズを聞いてみようという、そこまでの段階です。
○北沢座長 それが現状ですね。ほかにございますか。どうぞ。
○結城委員 地域によってはアンケート結果次第で、なくなったら困るというところも多分あると思うんですけれども、例えばさっきの国立病院機構と法的に吸収合併なり、そういう合併みたいなこととか、国立病院にするということはできるんですか。それをちょっとだけテクニック的に教えていただきたいと思います。
○大臣官房審議官(年金担当) 国立病院にするという意味ですか。
○結城委員 そうです。
○大臣官房審議官(年金担当) 今はRFOで基本的に売れるものは売るというところまでですから、さっき言いましたように全体が進んでいったときに残ってしまう病院の受け皿をどうするかという議論の中では全くゼロではないとは思いますが、まだそこまで具体的な検討をしているわけではありません。
○結城委員 そのときに、さっきも言ったように、国でどうしてもやらなければいけないというのをある程度、医政局の方で固めれば、どうしても受け手がない場合はそういう選択肢も方法的にはあり得るということですね。
○大臣官房審議官(年金担当) さっきも申し上げましたが、基本的に医療機能を残してほしいというのは恐らく共通なので、その設置主体がどういうものかというのはまさにこれからの話だと思います。
○北沢座長 ほかにいかがですか。どうぞ。
○岩瀬委員 結局、この病院は一度売りに出して、平たく言えば1つしか売れなかったわけですね。それで今アンケート調査をされて、どういう観点でアンケート調査をされているのかちょっと教えていただきたいんですけれども、売れないものを再度売り出しをかけるとなると、補助金を付けるとか、運営費をある程度一定期間面倒を見るとか、何かおまけをつけないとなかなか買っていただけないのかなと思うんですが、そういうことはされているのか、されていないのか。
 あとは、アンケート調査というのは一体、何のアンケート調査なのかわからないので、ちょっと教えていただきたいと思います。具体的なアンケート調査の項目があれば、あるいは上がってきたものがあれば、後日で結構ですので提出していただければと思います。
○北沢座長 そうですね。
○大臣官房審議官(年金担当) 前国会では、まさに地域医療機能推進機構という受け皿の法案を出しておりまして、一応そこに集約をしていくということになっておりましたが、今はそれが廃案になってRFOで売れるものを売るというふうに変わりましたから、この時点でもう一度、自治体の意向を聞いてみようということで、そういう意味では基本的に自由記載のような形式のアンケートをとっております。
 さっきと同じですけれども、医療機能は残してほしいというのは、恐らくざっと見た限り、すべてそう書いてあると思いますが、設置主体、条件等々はこれからです。
○北沢座長 では、そのアンケート調査の内容は後日よろしくお願いします。
○理事長(RFO) 1つだけ誤解がないよう申し上げておきたいと思いますが、譲渡対象となったのは1病院だけでございまして、病院については厚生労働大臣の譲渡指示があってから譲渡するわけでございます。現在のところ、譲渡指示は1病院だけしかないということでございまして、その他の病院については御説明があったとおり現在アンケート調査中であるという状況でございます。
○岩瀬委員 ということは、譲渡したいと言って話を持ちかけても、自治体の方で手を挙げるところがないのではなくて、手が挙がっているけれども厚生労働大臣の許可が下りないということですか。
○理事長(RFO) そういうことも含めて、現在調整中だというふうに理解しています。
○北沢座長 どうぞ。
○松原委員 これは意見ですが、国立病院が144のネットワークだと。その中で赤字もあって、それをネットワークの中で何かとか保管していきたいというお話がありました。やはり同じ厚生労働省が管轄する病院という広いくくりでいけば、発想として、今のところこういうところで民間で売れないということは民間ではやれないわけですから、そういうものを何か全体としてのネットワークに入れていくとかという発想を、本来これは政治が決めるべき話ですけれども、中からも何かそういう意見が出ないのかなという感覚を持ちました。
 ただ、一番、大事なのは、赤字のところで残してほしい地域住民の声は当たり前ですから、本当に残すべきなのか、そうじゃないのか、そこは本当に高度な判断が必要だと思うんです。
 ですから、1つは全体のネットワークにうまく組み込めるかどうかということと、それから赤字のところで、本当に残した方がいいのかどうかの判断を今アンケートをなさっているということでしたけれども、ただ、それは相当高度な判断になると思いますので、もしこの委員会がやっている最中にそういう判断の材料とかがあれば、是非お知らせいただきたい。意見です。
○北沢座長 この赤字の病院数は、3年連続というタームで見るとどのぐらいあるんですか。
○理事長(RFO) 3年連続赤字というのは、10病院ぐらいではないかと思います。大体その位ではないかと記憶しております。
○北沢座長 これは、慢性赤字と考えていいですか。約10病院……。
 ほかにどうぞ。
○結城委員 あと1点だけいいですか。厚生年金事業団の病院と社会保険関係で、国民年金だけの人が患者さんで利用している人というのはいっぱいいるんですか。
○理事長(全国社会保険協会連合会) 患者さんがどの年金に入っているかというデータはございません。すべての日本の患者さん全部を相手にしているという整理をさせていただいています。
○結城委員 ということは、最初につくったときは厚生年金とか、そういう人用につくった。だけど、今は一般の患者さんに。
○理事長(全国社会保険協会連合会) 社会保険病院については、戦後、保険あって医療なしということを解消するために医療過疎地に政管健保が自ら病院を設置していたという経緯でございます。その中で、なぜ全社連に厚生年金病院が3病院入っているかと言いますと、いわゆる国鉄、米、健保、3K時代に政管健保の財政窮迫で病院の建替え費用がなかったために年金から出していただいたので、3病院は厚生年金病院に変えたわけです。しかし、職員は全社連の職員というのが歴史的な経緯でなっておりまして、基本的には政管健保から出発しております。
○北沢座長 ちょっと話は飛びますけれども、2003年の調査時点で、年金施設を運営する公益法人は全国で94法人、そちらの法人を含めてですね。それで、役職員数は約3万人で、そこは天下りの数もすごいですよね。そういう歴史的経緯があるということをここで確認しておきます。
 ほかにどうですか。どうぞ。
○河北委員 私の認識は、この委員会というのは個々の独立行政法人の中身を議論するのではなくて、独立行政法人そのものをどうするかということを議論する委員会ですよね。
○北沢座長 そのものじゃないですね。そのものというのは、独立行政法人の制度という意味ですか。
○河北委員 いえ、制度ではないんですけれども。
○北沢座長 最初に、松原委員が今日、出したものに尽きると思うんですね。ちょっと松原委員のそこを読んでいただけますか。最初の意見書ですね。
○河北委員 それは私が読みますから、結構です。
 それで、独立行政法人の制度ではなくて今、現存する独立行政法人をどのように整理合理化するかという名前のとおりの委員会だということは確認をしたいと思います。
 それから、それぞれの理事長のどなたでも結構ですが、病院を売却するときに、先ほどのお話で売却することにはなっていたけれども、厚生大臣がそれを市場に出していないというようなお話だったと思うんですけれども、例えば高く売るということではなくていわゆるMBO、マネジメントバイアウトというような形態の売却があるのかどうかということを教えていただきたいと思います。
○理事長(RFO) 私が申し上げていることが正確に伝わっていないのかもしれませんが、今まで病院の譲渡指示があったのは1病院です。地域医療機能推進機構法案というのは、全病院をそこに持っていくという考え方だったわけです。つまり、売らないということです。売らないことが前提になっていたわけです。
 それが廃案になって、私どもの期限が延長されたということになりますと、私どもの使命は譲渡することでございますので、私どもがお引き受けした限りは、譲渡すべきものは譲渡すると、こういうことになります。この選定作業が今、行われておりまして、その結果、厚生労働省から出る指示に基づいて私どもが譲渡する、こういうステップを踏むということであると御理解いただきたいと思います。
それからMBO等のやり方、MBI的なものも含めて十分あり得ると思います。ただ、譲渡の方法について、私どもの機構は、すべて一般競争入札で行い、随契は1件もございません。すべて一般競争入札で、予定価格もすべて公表して譲渡しております。従いまして、現在のスキームでは、すべて一般競争入札で譲渡するということになります。
そのような状況ですが、MBIあるいはMBOという形で、例えば先生方が御自身で経営されるというケースは十分あり得ます。今までの私どもがやっておりましたケースでは、病院ではございませんけれども、全国に20ぐらいございます健康管理センターという検診センターの中でMBO的な譲渡が成立した案件が5件ぐらいあると思います。いろいろな形態がございますが、従来より経営しておられた先生方がそのまま経営をなさっていらっしゃるというケースはあります。ですから、十分あり得ると思います。
○北沢座長 どうぞ。
○理事長(全国社会保険協会連合会) 今の河北委員の質問ですが、ずっとこの問題は年金財政、健保財政の観点からいろいろ検討されてきたと思います。しかし、今この病院をどうするかということは、地域の医療の提供体制をどうするか、将来方向を見据えてやはり方針を検討していただきたいと思います。
 その場合、譲渡をするにしてもその地域医療圏の医療の提供体制の拠点化、集約化、それからその効率化につながっていくのか、いかないのか。そういう視点で、この2年間のRFOの出資中にそういう大方針、地域の医療の提供体制の効率化なり拠点化、集約化、それと密接に基本方針として是非お願いしたいと思っております。
○北沢座長 そうですね。それは聞こうと思っていたところなんですけれども、例えばこの後の労災病院系は独法の評価委員会などで集約化という話が出ているんです。それで、この集約化についてはどういうふうにお考えですか。
○理事長(RFO) これはなかなかお答えしにくい御質問でございまして、私どもは譲渡する為の機関でございます。したがいまして、指示があったものについては譲渡して参ります。
 集約化等に関しては、厚生労働省で検討されるべきテーマであると認識いたしておりまして、先ほど調査等を行うと申し上げましたが、私どもに役割があるとすれば、私どもが行う調査等により、何か御参考になるようなことがあれば、そこに努力をすることが役割だと認識しております。
○北沢座長 審議官、今のことに関連していかがですか。表に集約化、譲渡というのを出しますよね。
○大臣官房審議官(年金担当) これは国立病院のときもそうでしたが、国立病院は先ほど御紹介があったように、まず病院の整理をして残ったものをグループで抱えた。そういう意味では集約をしていったわけですが、この社会保険の病院はさっきあったように、まず全体がもともと年金の話、社会保険庁の話から始まったという経緯があることもあって、途中でとにかく病院グループとしては残そうとなって、そのための器をつくって、国会がもう少しで通るというところで廃案になった。
 そういうことで、今いわば緊急避難的にRFOの期限を2年延長しているというところまでなので、そこは限られた2年という時間でありますけれども、さっきから繰り返しになりますが、どういうものが売れて、どういうものが残るのかということを踏まえて受け皿の検討はしていかなければいけない。その受け皿の中で、そういう集約化ということも場合によっては考えなければいけないと思います。
○北沢座長 ほかに御質問ございますか。
○岩瀬委員 結局、RFOは売るために今、活動されているわけですね。その売るための方策を探るためにアンケート調査をしているわけですね。それで、2年延長されたと。その2年のうちに、一応目標としては全病院売却をするというのが一応使命だと思うんです。できるかできないかは別としてですね。
 その場合、アンケート調査を整理して、売却方針を立てて、具体的に整理をしていくという今後の工程表というか、スケジュール感というのを教えていただけませんでしょうか。スケジュールがないならばないで結構です。
○大臣官房審議官(年金担当) さっきから申し上げていますように、水島理事長のところはこちらからこれを売ってくださいとお願いをしてそこからスタートする話です。今まさにスタートラインに立っているということで、きっちりした2年間の工程表ができているわけではありません。
○岩瀬委員 わかりました。あと、細かいことをお聞きしたいと思います。全社連の普通負担金を3%から0.5%に下げているということで、かなり経営改善努力のポイントとされているわけですけれども、この普通負担金というのは病院から出してもらうわけですよね。これを全社連が使うというのは、どういう形で何のために使っているのか、教えてもらえますか。
○理事長(全国社会保険協会連合会) この0.5%につきましては、病院単独でできない職員の資質向上のための研修事業が大部分でございます。
 ですから、ドクター、ナースを始め事務職員を含めた研修事業、あとはコスト削減のための医薬品の共同購入等ですね。それから、診療データの本部への集約等、つまりグループを形成するには何をするのかということを念頭に置いて、それに必要な負担金の割合というのは0.5%ぐらいではないかと、そういう考え方でございます。
○北沢座長 ほかによろしいですか。
 それでは、時間がまいりましたので、ありがとうございました。
 それでは、5分後に第3回目を開始するということで、5分間休憩します。
(午後4時35分休憩)
(午後4時44分再開)
○北沢座長 では、時間がまいりましたので、続きまして労働者健康福祉機構のヒアリングに移りたいと思います。
 私の方から、まず取組みの視点を御説明いたします。資料4-1を御覧ください。この中ほどの労働者健康福祉機構です。
 第1に、全国に30ある労災病院、国費投入2010年度現在310億、これはセンターとか未払賃金立替払いに使われています。うち、赤字経営が20病院、2008年度決算ですね。これについては、全体の病院の30という数は多過ぎないのかという問題意識が出てくるかと思います。
 それから、労働保険特別会計の労災勘定、厚生労働省所管のこの特別会計の資金を原資にこれまでの経緯を見ますと、各種センター、労災看護専門学校などを設置運営してきた。自らの省庁の裁量で特会資金を引き出して使うことができるわけですけれども、無駄使いにならないかという問題点が出ようかと思います。労災保険料を財源につくった施設は、労災病院など計77です。
 それから、労災保険料負担者の事業主への説明責任はきちんとなされていたのか。
 それから、入院患者に占める労災者の比率は2、3%程度と見られますけれども、労災病院自体の多くは一般の総合病院と変わらない業務をしている。民間病院、地方の公立病院でも労災治療やリハビリを実施している現状がある。
続いて、全国の労災病院ネットワークの活用状況はいかがなものか。臨床データの蓄積利用などはどうなっているかですね。
看護関連など、ラスパイレス指数が高い。
それから、アスベストなど不可欠とされる専門的医療を国立病院などでは行っていないか。
せき損など、専門的医療の不採算性ということがいろいろ言われてきているわけですけれども、その程度はどうか。
それから、勤労者予防医療センター勤務医は病院兼務で、人件費は運営費交付金から出ていた東京労災病院の例がある。
それから、各種事業ですね、助成金の費用対効果や必要性。
それから、国立病院との診療連携ですね。
それから、天下り・わたり、契約の状況。
更に外国の場合に、ドイツでは労災保険組合により職業病専門学校を設置している。米国には労災専門病院がないけれども、じん肺の診療費は連邦政府が負担している。そういう状況が視点になろうかと思っています。
 では、機構より、国の事業でなければならない理由というのをまず軸において御説明をお願いしたいと思います。どうぞ。
○理事長(労働者健康福祉機構) 労働者健康福祉機構理事長の名川と申します。伊藤前理事長から引き継ぎまして、この10月1日から就任しております。よろしくお願いします。
 今、御質問いただいた最初の点でございますけれども、労災病院という看板を掲げて、一種のミッションとして労災疾病を扱うという、いわゆる労災疾病の予防、診断あるいは治療、その後のリハビリテーションから社会復帰というのを医師がミッションとして持っているという、この点が結構大きいかと思います。
 後で御説明もいたしますけれども、労災疾病の高度の技術を必要とする部分については、やはり不採算医療であるというふうに認識しております。その点が、一般の民営の病院ですとなかなか不採算の方に手が回らない。あるいは、不採算を積極的にやるというような姿勢にはならないという辺りだと思います。
 それでは、資料に沿って御説明をさせていただきたいと思います。1枚めくっていただいて、最初の「基本特性」のところでございます。
 まず「基本特性」の「病院の設置目的」のところでございますが、今、冒頭に述べましたように労災病院グループのネットワークを通じまして予防から診断、それから治療、リハビリテーション、最終的には職場復帰と、こういった一貫した高度専門的医療の提供、あるいはモデル診断、治療法の研究開発、労災指定医療機関などの治療の医療機関への研究成果の普及活動、こういうことを行うということが設置目的でございまして、労災医療推進の中核的役割を担っているというふうに考えております。
 それから、「病院の機能」の方でございます。これは、従来から労災疾病であるせき損、あるいは心臓障害などに加えまして今後増加が予想される過労死とかメンタルヘルス、あるいはアスベスト関連疾患、こういったものなどに対しまして高度な専門的医療が必要でございまして、3次病院のネットワークを活用して、更に本部のガバナンスの下に良質な医療提供体制や効率的な機器整備を図って、グループ一体となって労災医療を推進してまいりました。
 特に最近では、アスベストに関しましては社会問題化して、すぐに本部に対策本部を立ち上げるとともに、いち早く25の労災病院にアスベスト疾患センターを設置して機動的に対応してきております。
 病床数はそこにありますように1万2,887床、日本全体病床数の0.8%でございます。一般病床の区分では、1.4%を占めております。
 平均在院日数でございますけれども15.2日、急性期医療を実施している病院でございます。
 また、国からの運営費交付金の投入はございません。これは、労災疾患に高度専門的医療を提供し、地域の医療機関に労災情報の発信をしていく中で、地域で信頼される病院として評価される。そして、各労災病院においては一般的な医療を提供するということで、労災病院グループ全体の経営基盤を強化している。こういったことで、運営費交付金を投入しないで運営できているものと思っております。
 冒頭に、北沢座長の方から御意見のありました1番の部分でしょうか。資料4-1の中で、労働者健康福祉機構に国費投入310億円、これは2010年度ですが、そういう視点の記述がありまして、この310億円のうち約3分の2の202億円が未払賃金立替払事業に使われております。また、残りにつきましては疾病研究センター、あるいは予防医療センター、看護専門学校等々ですね。これは、病院事業以外の事業に投入されるものとして国から受け取ってございます。
 次の2ページ目を御覧いただきたいと思います。労災病院のこのようなネットワークを通じまして左側の?@の部分ですが、これまで集積した症例数が2万2,177例、入院患者の職業歴等のデータが230万件を超えております。このようなデータを活用しまして、アスベストを始めとした13分野の労災疾病研究において医療技術、治験の開発を行い、また、その研究成果を労災病院にフィードバックして結果を出しております。
 そういった例が右側の方の数字でございまして、労災指定医療機関あるいは産業医学等に対しましては症例検討会や研修会を開いております。
それから、1つはこういったデータを活用することによって得た研究成果、これは学術誌などに掲載された研究発表ですが、そこにちょっと見にくくなっていますけれども6,799件、それから症例検討会は10万2,631人の先生方に普及された実績がございます。
また、行政への協力としていろいろな形をとっておりますが、労災認定意見書が1万8,441件となっております。
 次の3ページ目でございますが、このページが労災疾病13分野名と、研究分野ごとのテーマと主任研究病院等の一覧でございます。この主任研究者と申しますのは、研究を実施するのはもとよりですが、研究全体の統括者として進捗管理を行う。それから、分担共同研究者は主任研究者をサポートして症例の収集、専門分野で研究に貢献しております。アスベスト分野における石綿小体計測、これなどがこれに当たります。
 次の4ページ目でございますが、「労災疾病等に係る患者受入状況」の例示でございます。いわゆる労災疾病の分野では労災病院が一歩抜きん出ているわけでございますが、その例として表したものでございます。左上の13分野全部において労災病院グループが受け入れている患者数、これが平成19年から21年度の3年間で2万9,143人おりますけれども、このうち2次医療圏外からの受入れが32.3%の9,413人、そのうち県外からの受入れが13.9%というふうになっております。
 特に比率が高い、例えば右側に書いてあります岡山のアスベスト疾患を見てみますと62.3%、左下の九州の職業性外傷は72.4%、右下のせき髄損傷が57.4%となっております。通常、ここの患者動向として近隣の病院に受診するわけでございますが、疾病によっては遠方の医療機関を受診せざるを得ない。これは、労災病院が専門的な知見を持っているからこそ、他医療機関から受入れを要請されているということを示したものでございます。
 次の5ページでございます。病院関連事業についてでございます。労災疾病等13分野医学研究につきましては今お話ししてまいりましたが、年間約7.8億円の予算で実施しております。研究者数112名とそこにございますが、これは医師で給与は病院から100%支出されております。
 その下の段の2の「予防医療センター」でございますが、ここにつきましては過労死予防の対策指導、講習会、メンタルヘルスの相談、働く女性に対する指導等を行っております。年間8.9億円の予算となっております。
 職員数は54名ということで、1名は医師がおりまして、これは運営費交付金から給与は支出されております。あとは、電話相談に応じる臨床心理士等のコメディカル、あるいは事務で構成されております。
 次に6ページ目ですが、「看護専門学校」についてでございます。労災病院に勤務する看護師を養成するために、全国に9か所設置しております。労災疾病等に関するカリキュラムを取り入れる等、労災病院での即戦力となるように工夫しております。国家試験での合格率が常に90%台後半でございまして、全国平均を大きく上回っております。卒業生はここには書いてございませんが、ほぼ100%労災病院に勤務している状況です。
1ページめくっていただきまして、7ページにまいります。これは、岡山県にあります医療リハビリテーションセンターと、あとは福岡県にあります総合せき損センターでございます。医療リハビリテーションセンターは四肢脊椎障害者、あるいは中枢神経麻痺患者等の全身管理が必要な患者に特化した病院でございまして、主にリハビリテーションを中心とした医療を実施することによって、職場・自宅復帰を目指しております。平成21年度の社会復帰率は、84.8%という成果を挙げております。
総合せき損センター、これはせき損患者等の全身管理が必要な患者の治療に特化した施設でございまして、受傷直後の早期治療を中心とした医療を実施しております。ヘリコプターによる患者搬送も、年間40件近く受け入れております。平成21年度の社会復帰率は80.7%でございます。
次の8ページは、診療部門の経営状況でございます。収益が右上の2,600億円を超えておりますが、入院診療が1,785億円と7割近くを占めておりまして、入院中心の急性期医療を担っております。費用の方は、赤い色の方で書いている右のところの一番上でございますが、総額が2,658億円、給与比が1,396億円となっており、一番下でございますが、51億円の欠損となっております。
この給与比につきましては、サブプライムローンに端を発した厚生年金の基金、この49億円の影響を除いた場合には、対収益総額比は51.6%というふうになります。独法化以前は191億円の欠損がございましたけれども、診療報酬における上位基準の取得によりまして経営改善を行ってきたところでございますが、19年度に発生しました今、申し上げましたサブプライムローンに端を発する問題、あるいは20年度のリーマンショック、こういった影響を受けまして退職給付費用が増大して、結果的に平成21年度では51億円の欠損となってしまっているところでございます。この影響を除けば、1億円程度の欠損でございます。平成22年度は、この影響を飲み込んでも診療報酬体系がプラスの方に改定されておりますので、プラスになるということを見込んでおります。
次の9ページを御覧いただきたいと思いますが、「これまでの組織改革」について記載したものでございます。左側の方は、平成16年3月に厚生労働省から整理合理化計画が示されて、37病院を平成20年度までに30病院にするようにという指示をされたところでございますが、霧島温泉労災病院を始め5病院を廃止、または移譲いたしました。また、美唄と岩見沢、それから九州と門司を統合いたしまして現在の30病院となってございます。
廃止または移譲に当たっては地域住民の反対、あるいは実施してきた医療の継続という面から後継病院の問題があり、または職員の雇用問題もございますが、莫大なエネルギーを費やしております。地域の患者を見捨てることはできないためにできる限りのことはいたしましたが、現在でもさまざまな問題が残っているのが現状でございます。
右側の「経営体制の強化」のところでございますが、施設別病院協議、あるいは経営改善推進会議、こういった名称をつけた会議を通じまして労災病院の経営指導を徹底してきているところでございます。特に施設別病院協議では、個々の病院長とひざ詰め談判で病院の役割、あるいは経営指導などができてきていたために、労災病院グループの政策的な取組みができているものと思っております。病院数が多くても少なくても現在のようなコントロール、イコールガバナンスと言っていいんでしょうか、これはできないというふうに思っております。
その結果、地域医療支援病院が右下の左側の括弧の中の下側でございますが、平成21年度には17病院となり、また括弧の右上の方ですが、DPC対象病院も30病院というふうになっております。更に、22年度には地域医療支援病院が17から19に増えるというふうになっております。
ちなみに、全国の地域医療支援病院数は252病院でございます。
最後の10ページ目でございますが、「今後の対応」でございます。基本方針としては、先ほど冒頭で申し上げましたように、労災疾病等の予防、診断、治療、リハビリテーション、それから職場復帰支援と、こういったものに関する情報発信機関としての労災病院の位置づけを更に強化するということと、病院財務の正のスパイラル化の構築を図っていきたいと、このように考えております。
その下に丸印が幾つかあって、具体的な内容はそこに書いてございますが、基本的には医療機関特有の財務という観点から、自分自身の経験も少し活かしながら人材投入によって正のスパイラル化を図っていきたいと、このように思っております。
以上が、労災病院の概要でございます。
○北沢座長 ありがとうございます。
 では、私からとりあえず3点、クエスチョンがあります。
 1つは、230万件の臨床データをきちんとフィードバックしていますか。と言うのは、中核病院と見られる東京労災病院で聞いたんですけれども、要するに臨床データはコンピュータ化されていませんよね。
○理事長(労働者健康福祉機構) はい。
○北沢座長 それで、これを見るといかにもうまくいっているかに見えますけれども、その辺はいかがですか。
○理事長(労働者健康福祉機構) この230万件は、この間、私も着任してから東京労災病院の方に参りまして、結構データとしては非常にすばらしいものがあって、これをなるべく早くIT化してすぐ使えるようにというふうには思ったところです。
○北沢座長 これで見ると、IC化がもう進み出しているようなことを書いてありますよ。さらなる拡大と、この10ページを見ると「電子カルテシステムなどIT化の推進」。
 そうすると、これはいつからやっているんですか。
○理事(労働者健康福祉機構) 私の方から御説明いたします。入院患者のデータでございますが、これについては一応システムがございましてコンピュータ化されているのでございますが、容量がなかなか足りなくてちょっとうまくいっていない。それで、現在システムの改良中でございまして、来年度からうまく使えるようになる。
 なおかつ、単に労災病院グループだけではなくてほかの研究者の方にもうまく使っていただけるような、そういうシステムにしたいと考えているところでございます。
○北沢座長 本格的にやるのは、来年度からということでよろしいですか。
○理事(労働者健康福祉機構) 今までも、例えば労災13分野の研究のいろいろな検証にもこの230万件を使っていたり、あるいは各労災病院でそれぞれ医学研究的な意味、あるいは職場復帰の支援のデータとか、そういうものに使っていただいたのでございますが、本格的に使うために現在、本格的に検討中でございます。
○北沢座長 2番目に看護学校ですけれども、ラスパイレス指数は高いですよね。100以上です。それで、役員を入れて職員を全部入れて1人当たりの単純計算をすると、年間給与1人1,000万円以上になっています。これは、なぜこんなに高くなったんですか。
○総務部次長(労働者健康福祉機構) ラスパイレスにつきましては、看護師の分で106.6ということで高い状況にございます。今年度に、労働組合との折衝を経まして平均2.5%、最大で5%の引下げを実施するというような締結をいたしました。これによりまして、効果が徐々に現れてくるというふうに考えております。
○北沢座長 そうすると、これは今年度からということですか。
○総務部次長(労働者健康福祉機構) 今年度に締結いたしましたので、影響が出てくるのは来年度からになります。
○北沢座長 それから3番目に、国立病院はたくさんありますよね。144ある国立病院との診療連携ですね。資料にも、診療連携を探るとありますね。これは現在はどういう状況で、今後どうされますか。
○理事(労働者健康福祉機構) これについては、私の方から答えさせていただきます。
 国立病院機構の国立病院との連携でございますが、現在も我が方でいろいろ検討しているわけでございますが、1つの条件を設けましてその連携状況等について検討したところでございますが、まずは病院間の距離が4キロ以内、または同一医療圏内、その条件を満たすのが7病院ございます。これらの病院を調べますと、実際には高額医療機器の共同利用、あるいは専門分野のない病院から専門分野のある病院への患者紹介、更には医師の応援とか、そういった連携をしているところでございます。
○北沢座長 そうすると、患者紹介が中心と考えていいですか。
○理事(労働者健康福祉機構) 患者紹介もございますし、機器の共同利用とか、そういったものもございます。
○北沢座長 これはデータとか、そういう面ではどうですか。
○理事(労働者健康福祉機構) 当機構の中期計画、今回の中期計画の中に、国立病院との連携の中で労災疾病のデータを国立病院から労災病院の方にいただくと、そういったものを確立するということで今、検討を進めているところでございます。
○北沢座長 わかりました。ほかにございますか。
○松原委員 全体的な状況を、今日じゃなくていいので資料としてお出しいただきたいと思いました。今日、こちらは事務局から御用意いただいたものだと思うんですが、参考資料のところに「国立病院、労災病院、社会保険病院等一覧」というのがございまして、労災病院30が1ページにまとめられています。
 ここでやはり私たちが知りたいのは、この労災病院がまず国の病院であることと、それから労災という役割を担っているということが本当にそうなのかどうかということが一番確認したいところなんです。ですから、たった30ですから30すべてについてこの表に加えていただきたいのは、今日お配りいただいた資料の4ページに、例えばアスベスト疾患は二次医療圏外からの受入れが298人いる。あるいは、県外からが45人いるという数字が出ていますから、それをやはりすべての病院30について知りたいと思うんです。
 なぜ知りたいかというと、繰り返しになりますけれども、労災病院としてちゃんと機能を果たしているのかどうか、そのことがほかの病院、同規模の病院も比較で出してほしいんです。同地域の同規模です。ですから、例えば九州であれば九州労災病院ですか、近い地域にある同規模の病院がどのような状況にあるか。それと我々は九州労災病院とを比較して、労災病院としての独自性が発揮できているかどうか、これを確認したいんですね。そのための資料をいただかないと、最終的に判断のしようがないと思うんです。
 今日の御説明は全部総括的で、赤字かどうかとか、どれだけ入っているかというのも30すべての足し算をした数字ですね。ですから、そのことを聞いても余り意味がないので、30について個別に……。
 それは、今日、厚生労働省の事務局が準備していただいた表を、私も大分、老眼が進んできたのでもうちょっと大きな読みやすい表で、今、申し上げた周辺の同規模の病院を是非参考事例として挙げてあげていただいて、一番知りたいのは、要するに特色を活かせているのかどうか。
 なぜこういうことを申し上げたかと言うと、東京労災病院に私も見に行きまして、病院長からいろいろ立派な御説明を伺ったんです。では、受入れのときに勤労者の方を多目に受けているかとか、そういうことを伺ったときに、全くそうじゃないとおっしゃるんですね。平等に入れていますと。では、どこで特色が出せているんですか。出せていれば存在価値があるし、なければ一般病院でいいだろう。要らないとは一言も言っていないんですけれども、その辺りの見極めの材料になる資料を出していただいて、最終的にはそれで判断したいと思います。これはお願いです。
 今の範囲で何かございましたら、お伺いしますけれども。
○北沢座長 どうぞ。
○労働基準局長(労働基準局) 資料の方は用意させていただきたいと思いますが、理事長の方からも冒頭御説明申し上げましたように、2ページにありますように、私どものこの労災病院の政策的な意味というのは、一番中心的には、労災補償制度というのは一般の病院と違うような疾病がございます。アスベストの疾患ですとか、じん肺ですとか、こういったものは普通の病院ではその予防方法や診断方法、治療についてなかなか開発ができないだろうということで、この部分に交付金も出しまして、臨床現場を通じて労災病院のネットワークを使って政策的医療のこういった知見を確立していただく。それが一番、肝になる部分だろうと思っています。
 その前提としては、当然のことながら今、先生からお話がありましたように、労災患者を一定割合受け入れるという前提も必要になるわけですので、そういうことを前提として今、先生がおっしゃった点も大きな視点だろうと思いますので、資料の用意をさせていただきたいと思います。
○松原委員 では、1点だけ申し上げたいと思うのは、要するに質問の背景を是非御理解いただきたい。今、おっしゃったことであれば、ここの中にもデータがありますけれども、労災患者ダイレクトの率でいくと3%とか、そういう数字になっていますね。ですから、そのことも是非踏まえていただきたい。
 それから、アスベストなどが大事だと、それはそのとおりだと思います。ネットワークとおっしゃるけれども、では30の病院すべてでアスベストとかじん肺をやっているかと言うと恐らくそうではなくて、集中的なところに幾つか限られているんだとしたら、質問の背後に何があるかというと、それでは30要らなくて、中核的なものが幾つかあればいいんじゃないですかということも問題意識の背景にあるので、よろしいでしょうか。3%しかいないという事実と、それから三十数例について本当に労災のことについて特色を持ってやっているのかというと、どうもそうじゃないようなイメージもありますので、その辺りがわかるような資料をお願いします。
○労災補償部長(労働基準局) その点も含めまして、重ねて説明できるように用意させていただきます。
○北沢座長 今のことに付け加えて言いますと、今のデータに付け加えて労災の疾病の発生件数が1980年当時は1万件以上ありましたね。これに対して現在どのぐらいかと言うと、半分以下ですね。5,000件程度です。ただし、内容を見ますと今おっしゃったアスベストとか、過労死とか、うつ病とか、メンタルヘルスは若干増加傾向にあって、これは今後増加する可能性は大いにある。
 そういう状況の中で、これは印象ですけれども、ちょっと国立病院型に近づいているように、要するにかつてのクラシックな労災はなくなってメンタルヘルスになって、こういうのが増えてきたということで、これはやはりいろいろと地域で多発していた、例えば大牟田などは三池炭鉱のところですね。そういうのはなくなって、これは当然なくなっちゃいますね。
 だけど、新しい都市型のものが増えている。女性の社会進出に伴ううつ病も増えているとか、いろいろありますよね。こういう対応のはっきりとした見取り図というか、設計図というのはありますか。これを見ると、何か漠然としていますよね。それから、さっきのIT化にしても、だったらそういうところに予算を突っ込んで、赤字なんだからそこに予算をくれ。そうすればうまくやるということを要求してどんどんやるべきであるのに、そういうのはないですよね。これは、予算を国からもらっていますか。
○労災基準局長(労働基準局) 今、言ったように、疾病の移り変わりというのは先生の御指摘のとおりだろうと思います。かつて大牟田に労災病院がありましたけれども、これは炭鉱のそばにあったからでございまして、ここで落盤事故があってせき損になるとか、最も深刻なのは一酸化炭素中毒です。
 このための知見を有した病院として設立されたわけですが、大牟田の労災病院については既にこの間の平成16年のときに一応事実上廃止をいたしまして、一部移譲したという格好で今、整理をされているところでございます。
 その一方で、新たな疾患というのも出てきているわけで、その点については私ども政策当局としては今の13疾病ということに着目をして、一応機構の方で整理をされている。このことに関して、政策的な医療ということで労災保険のお金で交付金を出させていただいているという政策当局からの整理ということになります。
 何か医療の分野で更に触れることがあればどうぞ。
○理事長(労働者健康福祉機構) 入院で3%。外来の方では5%という労災疾病の認定患者の扱いの率ですけれども、これは例えば5%の高度先進医療をやる場合に、残りの20人に1人、労災疾病の患者をみるわけですね。それで、残りの19人の一般急性期の患者さんを扱うことによって財政支出のバランスを取るというような形の構造になっているかと思います。
 先ほど高度先進医療と言いましたのは、ついこの間まで私が大学におりましたので、そこではやはり高度先進医療が5%ぐらいで、残りの95%は一般医療、一般急性期医療ですね。病院がどうしても診療報酬体系に引っ張られてしまうので、黒字を目指そうとしますと、いわゆる効率のいい、時間が少なくて1人で稼げるような内視鏡の検査とか、そんなようなものを専門的にやる病院ばかりになってしまって、労災疾病については内部のデータがございますけれども、入院診療単価が約3万5,000円です。それに比べて、労災病院全体の労災全体の診療単価が約4万4,000円ということで9,000円ぐらいの違いがあります。
 ですから、労災をやるんだという看板と、医者への伝達、伝承、こういうものがないと、そういう採算の合わないところにはなかなか手をつけないだろうと考えております。
○北沢座長 ちょっと個別論でリハビリについてですけれども、私の知人が横浜市のリハビリテーション事業団を運営しているんです。これは社会福祉法人で、リハビリ施設横浜総合リハビリセンターというのがあるんですけれども、これは非常に立派な施設で、同じ建物にラポールというのがあるんですね。障害者向けスポーツセンターですが、いろいろ活発にやっている。
 こういうものに対して、いや、労災の方がいいぞ。労災病院のこういうものがあるということで差別化できる労災専用のリハビリというのはありますか。正直言って、東京労災病院に行ったときには余り感銘を受けなかったんです。
○理事(労働者健康福祉機構) 私の方からお答えさせていただきますが、労災病院の役割といたしまして、やはり脳卒中、脳血管障害で倒れた方の治療をこのリハビリテーション、職場復帰とつなげるわけでございますが、その職場復帰のためにリハビリテーションという観点から申し上げますと、作業療法を重点的に職場復帰できるような取組をやっているということで、この辺はほかの病院のレベルとちょっと違うところだというふうに自負はしております。
○松原委員 実は、私も東京労災病院を見学に行きまして座長と全く同じ印象を受けました。リハビリの現場を見ましたけれども、おっしゃるような実態はほとんどなくて、私はほかのリハビリを見ましたけれども、ほとんど同じだったんですね。
 ですから、おっしゃることはわかりますけれども、そのことについて具体的に事例を出していただかないと、言葉はきれいですけれども、現場を見ている限り、全くあれは普通のリハビリですよね。
○北沢座長 正直言って、相当時代遅れという感じがしました。
○松原委員 そこまでは言いませんけれども、見る限り、その職業訓練的なものはありませんでした。一応あれは全国のトップですよね。
 ですから、具体的な事例を是非資料として、ここではこういうものをやっていて、ほかのリハビリのところではやっていないものをやれているんだ。かつ、何十万件のデータを活かしてやっているということを具体的にお話いただかないと、それは資料として出してください。
○北沢座長 そうですね。それで、今のことに関連して、特定のほかにはない設備機器があるということを資料の中で言っていますよね。そういうのは、例えばどういうものがあるのか。ほかの病院になくて労災にぼんとある設備機器、これはまた資料でよろしくお願いします。
 では、どうぞ。
○結城委員 私は2点あるんですけれども、1点目は労災に認定になった方が労災病院以外で、普通の病院でも多分行けると思うんですが、その人が大体どのぐらいの率でいて、片方、労災をどのぐらいの率で使っているのか。もし、データがあれば教えていただきたいのが1点目です。
 2点目は、私は労災病院は多分、都道府県の地域医療計画の中でここにあるように、もちろん労災という位置づけでやっているけれども、実は急性期の病院とか地域支援病院とか、普通の国立病院とか公立病院とか一般病院の感覚で都道府県は医療計画を立てている節もあると思うんです。ならば、144プラス33の国立病院に合体して、その中の労災病棟みたいなものをつくって、そこでちゃんとやっていった方が、厚生省と労働省が一緒になったわけですから、そういうことはできないこともないなと思うんですけれども、その辺についてはどうお考えですか。
○理事長(労働者健康福祉機構) 1つは、先ほど30という言葉で申し上げましたけれども、何かをまとめていく、あるいは一対一で話をしていくというときに、これは何の証拠もありませんが、30というのが1つの数字かなと。これが1つです。
○結城委員 もし国立病院が174あれば、もっと30以上に全国的に、病棟だけであれば労災のあれももっと増えるかもしれないし、別に30にこだわらなくても、データがあればいいですけれども、労災に認定した人は多分、近くに住んでいる病院にも労災のあれを持って行っているわけですよね。
○労働基準局長(労働基準局) 労災の認定の方は行政の方でやっていることなので、それを説明させていただきたいと思います。
 今ちょっと資料がないので、細かい数字は勘弁いただきたいと思いますが、労災は業務上か業務外かということを判断しなければいけないということになります。それで、そのときに労災と言っても、すべって転んで腰を打ちましたなどというのも結構たくさんあるわけですので、この点については普通の労災指定医療機関で受けていただく。あるいは、業務上、外の認定に当たっても、そこの主治医の方に意見書を書いていただいて普通に処理されるということになるわけです。
 ただ、中には非常に重篤な産業中毒ですとか、さっき言ったような13疾病に属するようなものが出てまいりますと、これはもちろん労災病院で蓄積しているいろいろな知見を広く均てん化するようにやっていますからできる病院もありますけれども、最後の頼みと言いますか、そういうことになりますと、アスベストの例のように岡山の労災病院とか、労災病院にはいろいろ知見が集積していますので、そこに行く。
 そういうことで、労災医療のうち、そういった一般の病院ではできないようなものについての知見の集積ですとか、あるいは診断ですとか、そういったものを受けているということだと思いますので、結果として分母に労災の認定者数を置いて、分子に労災病院を利用されていた人の割合を置いても、そういう意味で言えば分母、分子に質の違ういろいろなものが入っていますから、40%も50%も高い率にはなりませんけれども、重いものについて言えば、さっき申し上げたこちらの資料にありますようなことで、医療圏外からも労災のところに患者さんが来られるというような構造になっているということだと思います。
○結城委員 おっしゃることはよくわかって、私も労災病院が全部なくなればいいとは思っていませんし、ちゃんと専門的なそういう拠点は必要だと思うんですけれども、今おっしゃったことは普通の労災以外の病院でも、専門の急性期の心臓の病院とかがんの病院というのはあるわけであって、その辺で労災だけ30あるというよりも、やはり医療計画の中で今の労災の位置づけは、私は都道府県はどちらかと言うと普通の一般病棟の医療計画に重きを置いているんじゃないかと思ったんです。そういう位置づけで診療報酬も得て、結局その経営も成り立たせているわけですよね。
○労働基準局長(労働基準局) 病院の実態として言えば、さっきから出ていますように非労災の方の方が圧倒的に多いわけで、そういうことで収入を得ながら労災の病院の経営を維持して、その中で今、申し上げたような政策的な医療の部分を支えると言いますか、そういう構造になっているわけなので、都道府県の医療計画をつくるときには、全体として言えば非労災の部分が多いわけですし、そういう文脈として整理されるというのはおっしゃるようなことなのかなと思いますけれども。
○北沢座長 そこの部分はわかりました。
 それで、ちょっと各論ですけれども、メンタルヘルスはかなり活発に講習をやっていますね。講習は全部、外部委託ですか。
○医療事業部長(労働者健康福祉機構) ほとんど内部の医者が全部やっています。
○北沢座長 それは、何割ぐらい内部ですか。
○医療事業部長(労働者健康福祉機構) 講習会については、すべて労災病院の医師がやっております。
○北沢座長 講師の人を何人ぐらい抱えていますか。
○医療事業部長(労働者健康福祉機構) 講師として抱えているということではなくて……。
○北沢座長 でも、講師として派遣するわけですよね。それは何人ぐらいですか。延べでもいいですけれども。
 では、機構の職員が専門的なものをやっていて、テーマに応じてその人たちが行くということですね。そうすると、それは外部委託はないんですか。
○医療事業部長(労働者健康福祉機構) ありません。
○北沢座長 それもまた珍しいですね。
○医療事業部長(労働者健康福祉機構) 病院でメンタルヘルス関連の講演会の実績ですが、21年度で言うと全国で450件やっております。
○北沢座長 わかりました。ほかにございますか。
○長谷川委員 今、結城先生がおっしゃったように、労災病院は一般の普通の人たちも使えるようになりましたが、もとは、北海道には営林署があって、チェーンソーによるはくろう病や振動病、岡山県に振動病、炭鉱のあるところにはじん肺があったのでそれらに対応する専門の医者は配置されていました。。また、メンタルヘルスの問題でいうとメンタルヘルス対策のできる産業医はほとんどいなく少ないです。これらの職業病はほとんど労災病院が担っていいます。それから、局長がおっしゃったように職場で労災に遭遇した労働者は、1回目は普通の近所の病院に行きますけれども、、労災認定を受けようとすれば専門の労災病院にいきます。職業病認定やメンタルヘルス対策は労災病院の特徴です。
 でも、皆さんがおっしゃるように、すべての労災病院がそれだけをおこなっているかというと違います。労災病院も一般開放していますので、国立病院だとか厚生年金病院と同じように総合病院なのではないか、同じようなことをしているのではないかと思うのは当然だと思います。
 労災病院の特徴があるかというと、この資料を見てもわからないし、先日視察した東京労災病院を見てもやはりわからないんです。労災病院の特徴がわかるようにしないと、なぜ労災病院なのかに応えたことにはならない。
 アスベストのときに岡山の労災病院の医者でなければあの胸膜プラークを見つけることはできなかった、普通病院の多くの医者は胸部x線読めなかったでしょう。あの胸部x線を読めるようにしてあげたのは岡山労災病院だったと記憶しています。アスベストのときには医者不足が指摘され
大問題になったわけです。もう少しそのようなことがわかるように説明資料をつくる必要があるんじゃないか。私はたまたま、労災に関与した経験があるので言っています。、国立病院の資料のつくり方は非常にいいので、是非参考にしてほしいと思います。
○北沢座長 資料の充実方をお願いします。ほかによろしいですか。
 それでは、時間がまいりましたのでこれで終わります。ありがとうございます。
 それでは、5分後に今後の取組みの進め方をやりましょう。5分間休憩します。
(午後5時31分休憩)
(午後5時35分再開)
○北沢座長 では、最後の議論に入ります。
 取組について、いろいろ紆余曲折がございました。まず、結城委員から資料が出ていますね。それは、ちょっとこの前の資料に重なるような印象を受けますけれども、御説明願います。
○結城委員 前回もお話ししたんですが、もちろん独立行政法人の改革も重要だと思うんですが、このままのスケジュールでいくと、かなり公益法人の方の時間が私は限られているので、どこかで公益法人を中心にちょっと時間をつくるか、それともこの会はやはり年内で終わりなのか。公益法人はこのままでいくとほとんど何もなさずに終わってしまうところがあるので、その辺をちょっと皆さん委員の方で御議論した方がいいかなという提案でございます。
○北沢座長 これは、今後の委員会の日程に関わることだと思うんですね。
 それで、スケジュールについて、当初は年明け後に引き続き議論を考えていました。これは、お役所の方の意向も踏まえてそう考えていたんですが、それがそういう事情ではなくなったということで理解しています。
 事務局の方から説明していただけますか。
○大臣官房長 政府全体のいろいろな動き、その他もあります。独立行政法人等につきましても、年内にはある程度、政府全体としての方針も決めていくというようなことで、そこに関わっての公益法人の話もあります。
 それから、年が明けるとまた予算委員会とか、いろいろ国会の状況も入りますので、年内で一応全体を見て横ぐし的に言っていただくことは言っていただく。それから、個別の法人で指摘していただくことは指摘していただくということで、年内で一旦の取りまとめをお願いしたいと、こういうふうに思っております。これは大臣等々とも相談をして、一応それでお願いできればということでございます。
○北沢座長 それで、事務局注というのがありますよね。これは私もちょっと驚いて受け止めたんですが、大臣の意向を受けて、こちらで考えていた高齢・障害者雇用支援機構のヒアリングをやろうと思ったんですが、これは取り下げということにしてほしいと事務局から言われました。これについても説明してもらえますか。
○大臣官房長 これは、今月の12日の閣議決定でありますが、雇用能力開発機構、高障機構、それから勤労者退職金共済機構、この3つの法人を整理統合して2つにするという法案を閣議決定しております。
 政府として閣議決定する前提として、これまでいろいろな事業仕分け、政府全体の事業仕分け、あるいは省内の事業仕分けでは河北先生、岩瀬先生にはお願いしてきましたけれども、そういう成果をもって一定の整理をしたということで法案を出しております。
 したがいまして、私どもとしては法案を出しているという状況の中で、高障機構そのものを対象としてということについては大臣とも相談しましたけれども、その期間中は少し遠慮していただきたいということであります。
 ただ、例えば座長の問題意識をお聞きしておりますと、国や独立行政法人から公益法人への仕事の出し方みたいなことを1回目にも言われました。そういう意味で、全体としてそういう公益法人の在り方、公益法人への仕事の出し方みたいなことで、高障機構の方から見るということではなくて、仕事の出し方の全体として御議論いただくということであれば、それはあり得るかなと思っております。
 今日はRFOをやっていただきましたけれども、前回はむしろRFO法が出ていたので省内事業仕分けをしなかったということもありますし、そういう状況だということで御理解いただければと思います。
○北沢座長 これは、閣議決定は10月12日という事情が発生したということですが、これに対して議員の皆さんはいかがですか。
 松原委員、いかがですか。
○松原委員 今の官房長のお話でいいと思っていて、恐らく公益法人の議論と関わるところもあると思うので、そういう視点で議論の対象にしたらよろしいかと思います。
 公益法人について一言、よろしいですか。
○北沢座長 どうぞ。
○松原委員 私も、結城委員と全く同じ意見でございます。その意味で、年内でこの第9回で終わるとすれば、ちょっと申し訳ないんですけれども、このスケジュールに関してははっきり反対と申し上げたいと思います。
 公益法人に関しては、絶対2回はやるべきです。数が多いわけです。それから、これは最初のときに事務局にお願いしましたけれども、数が多い公益法人を全部やるなんて無理に決まっているので、重要なところを絞り込もう。絞り込むための条件の議論を幾つかいたしました。
 公益法人の中で指定法人かどうか。法律によって指定されているかどうか。それから、公的な資金が国から、あるいはまさに独法から入っているかどうか。それから、いわゆる天下り出身者が行っているかどうか。この辺りのところを一覧表にしてくださいと申し上げています。
 そうすると、問題になりそうな、我々がしっかり議論しなければいけないような公益法人というのは必然的に浮き上がってくる。それを、こういう場でいいと思うんですけれども、ヒアリングの後に5分か10分、その表を見ながら、このうちの例えば5つをどうしても議論したいということになれば、そのために私は2回は必要だと思います。そういう形で調整していただきたくて、今のこのままのスケジュールに関しては、私は反対です。
○北沢座長 それは、こういう事情が生じたからだめになったんです。
○松原委員 だから、調整してくださいと申し上げているんです。
○北沢座長 これは突然の事情なので、私も考えがありますから後で言いますけれども、岩瀬委員はいかがでしょうか。
○岩瀬委員 私もこのスケジュール感にはちょっと驚いていまして、年内で中間報告ということだったわけですよね。それが何で最終取りまとめになったのか、よくわからないんですけれども、これでいくとなると、ここにリストアップされている独立行政法人をかなり絞った方がいいかと思います。仕分けでもダブっているものがありますからそういうのは落として、公益法人の議論にウエートを置いていった方がいいのかなという気がします。
○北沢座長 これはどうなんでしょうか。最終取りまとめというのは、これは中間的なというか、独法が通常国会を目指して、まず取りまとめという意味で最終としたんです。
 それで、これは先週の金曜日の話なんですね。そのときには、公益法人は年を越えてやるということで私も出しているんです。ですから、公益法人はちょっと切り口はやろう。それで、残りは年明けにやろうということで考えていたんです。
 ところが、それが急にこういうふうになったということなので、スケジュール的には最終取りまとめは中間的な、とにかく最初に大臣から言われたのは独法ですね。独法についての取りまとめ、通常国会に向けて法案の提出ですね。それについてということで組んでいるわけです。それで、順序として独法、特別民間法人、公益法人で、公益法人については来年に入ってもということで、これは感触を得ていたのでやったわけです。
 このスケジュールではきついというのは、私もまさにそう思います。そのように考えていたのが短縮されましたから。
○結城委員 質問ですけれども、もし大臣が変わって、ここで終わりにしたいという意向があるのであれば、それはそれでしようがないです。
 私は正直なことを言うんだけれども、もしそうだったらはっきり言ってもらった方がわかりやすいので、私は公益法人をもし年明けにやるんだったらそれを提案したいです。
○松原委員 事務局と座長の間にどういうお話があったかわかりませんが、私のところには大臣からの諮問の文書、この委員会の目的というのがきておりまして、そこには中間報告とは全く書かれていないで、12月末までに報告を出せと、こういうことで、そのときに独立行政法人を優先とか、そういうことは全く書かれていなかったと思うんですね。
 ですから、私はむしろ当初のスケジュール感どおりで、それからこのスケジュールからいきますと公益法人のウエートが余りに低い。結城委員も増やすべきだ。私も増やすべきだと申し上げました。それから、岩瀬委員からも今ウエートを上げた方がいいかもしれないというような御意見があったと思うので、再度、事情が変わったということで私は改めて新たにスケジュールを組んでいただきたいと。
 事情が変わったのはわかりますけれども、でも、私からすると当初どおりで……。
 ただ、年内でというのは、これはもうしようがないことだと思うので、それに合わせて私は再度、公益法人のウエートをもう少し上げていただきたいというお願いです。
○北沢座長 これは部分差し替えなんですけれども、例えば契約の問題でどうしても聞き取りをやりたいというのはさっきの高障ですよね。これはアンケート調査でも複数の人が是非やりたいというので、一番多い部類だったんです。
 これが大臣の意向でどうしてもだめだということになれば、委託関係で独法と非常に深い因縁というか、やってきたものがありますね。例えば雇用開発協会のようなところを、5回目の会合でこれまで高齢が入っていたんですから、それに代えてそういう公益法人を選んでやって、それで次は公益法人ですね。切り口の、例えば指定制度を廃止すべきかというような問題まで含めて、指定法人制はありますよね。それの扱いまで含めてやれるんじゃないかと見たんですね。
○松原委員 1回目のときに私が申し上げたのは、公益法人はいっぱいあるけれども、そこをしっかりリストアップしましょう。そのリストアップする作業が実は大事なのは、やはり厚生労働省がどれだけの公益法人を所管していて、その中でどれだけの人が例えば天下りで行っていて、どれだけのお金がどこから入っているか。それから今出た、法律上業務が指定されている指定の公益法人もある。
 その一覧をお願いしてあるわけですから、しっかりここに出していただいて、それをにらんだ上でどこをやるかという作業は、これは1回目のときで私は合意が取れていると思いますから、それは何があってもやっていただきたい。それは、このようにヒアリングの後、10分でできる作業だと思うので、その後に、ではどこにねらいをつけてやるか。私は、1回じゃ足りないのではないかという立場です。
○北沢座長 どうぞ。
○河北委員 確認なんですけれども、我々は国会の中で議論をしているわけではないので、これは行政の範囲の中で議論をする。ここにも、これは厚生労働省の委員会であるということですから、あくまでも大臣の諮問、それから行政の範囲の中での議論をこの委員会はするということだと私は思っています。
それから、個別の独立行政法人だとか公益法人の議論をすることは、年度内であっても、あるいは年の中であってもとても無理であるということを考えたときに、その諮問を私は正確には覚えていませんけれども、ここに独立行政法人、公益法人と整理合理化委員会というふうに名前が書いてあるわけですから、その大きなルールを議論して、その諮問に対してどう答申を出すという立場であるということは確認をしておきたいと思います。
○北沢座長 大きなルールは、当然やらなければいけませんね。
○大臣官房長 独立行政法人については比較的一つひとつが大きいので、個別にこうやってヒアリングということがあると思います。
 ただ、公益法人の場合には性格付けが大分、違って、公益法人そのものは民法に基づいてそれぞれつくられている。ただ、そこに国が権限を与えたり、予算を付けたりしているから国との関係で問題になっているんだろう。
 したがって、そこは公益法人に聞いても答えられない問題もあるし、それから逆に一つひとつ聞かなくても横並びで同じような状況になっているものも相当数あります。そういう意味において、独立行政法人が先行していて、今、松原先生からもお話がありましたけれども、さっき言われたようなものは大体、今できております。 
それから、私の方で独立行政法人も少し類型化しましたけれども、公益法人はその類型化をして選んでいただかないとなかなか議論ができないと思いますので、もしよろしければ第4回、次回にその資料をお出しして、公益法人をどういう観点で議論するかということをちょっと時間を取ってやっていただくというのがいいかなと。そういうことでよろしければ、資料を準備させていただきたいと思います。
それからもう一つ、座長の方から5回目に雇用開発協会等と言われましたけれども、国会の会期が12月3日まででありますので、取り上げること自体は否定しませんが、タイミングとしては第7回でお願いしたいというふうに思います。別にやめてくれという意味ではありませんけれども、国会の一番の時期でありますので、取り上げるのであれば、大臣の御意向もありますけれども、7回目でお願いしたいと思います。
○松原委員 質問ですけれども、要するに公益法人は腐るほどあって、そんなものを一つひとつやるのは無理なのは最初からわかっていて、絞り込みたい。
 そのときに今、私が例えば申し上げたクライテリアで、指定法人であったりとか、公的資金がそれなりの数入っているとか、あるいは出身者がまあまあの数で行っているというと、すごく大ざっぱに言って、それでも100あるのか、10に絞り込めるのかで、例えば10であればその中で大事なものを我々はピックアップしてそれなりには聞ける。多過ぎると、まさに類型化して横ぐし的にやるしかない。その辺りの感じはどうなんですか。指定法人は幾つあるんですか。
○大臣官房長 指定法人は、指で数えられる程度です。指定法人にも3つぐらい種類があって、その指定法人で予算を付けているものというのは10以下だと思います。
 そして、指定して試験をやらせて手数料でやっているという類型がありまして、これが10ぐらいあります。
 それからもう一つの類型として、指定ではなくて登録制度にしていて、検査などをやってその手数料でやっているという類型があります。これはそんなに数はありませんけれども、幾つかある。
それからあとは、指定とか何とかはしていませんけれども、一定の法人を対象にして交付金方式でやっているというものがあります。
 それからそれ以外に、いろいろな委託費とかを予算化して、それをいろいろな形での、昔は随契が多かったんですが、今は企画競争とか一般競争になっている部分がほとんどですが、そういう形で受託しているものがある。
 大ざっぱに言って、うちのOBが行っていて今、言った類型のどれかに当たるというものは、最近ちょっと整理をされてきたのであれですが、現状において100弱だと思います。ですから、その100弱のリストもつくりますし、類型化してお示ししますので、それで見ていただければと思います。
○北沢座長 そうすると、私の提案ですけれども、次回は今の軌道のまま走って、松原委員は例えば公益法人は何回ぐらいで目途をつけられるというふうに個人的に思われていますか。
○松原委員 1回は少ないと思うので、ただ、全体のバランスがありますから、2でいいと思います。3は幾ら何でも無理だと思います。
○北沢座長 結城さん、いかがですか。結城さんの希望どおりに私もやりたかったんですが。
○結城委員 状況があるので、2回やっていただければ。
○北沢座長 そうしたら、どうでしょうか。私の考えでは、11月1日はそのとおりやって、その次以降、公益法人を含めて練り直す。この出来事はつい数日前の話ですから、これはやむを得ない変更になりますが、それはいかがですか。
○岩瀬委員 最終取りまとめを12月21日に確定させるとなると、ヒアリングをこのペースでやっていって、意見、提言をまとめられるのかという気がするわけですね。だから、むしろヒアリングの回数をちょっと減らすとか、公益法人に関しては資料の検討にするとかしないと間に合わないかなと思います。
○北沢座長 それはやると思います。ですから、次回はこれでいって、18日からその方法論に入るということで、例えばさっきの制度的な問題がありますよね。指定法人だとか、例えば類似公益法人をどうするかとか、あとコンプライアンス違反のものもありますね。そういうものを類型化してどうやるかということでやるのは例えば5回以降、これは9回で終わるということは一応、今の段階です。年内にもう1回臨時でどうしてもということは、それはあり得ない話じゃないです。
 最終取りまとめでは、ここまでは言えるということで、やはり時間との闘いの中で出すわけですから、ここまで言えるということでいいと思うんです。
○大臣官房長 できれば今、松原先生の御指摘もありましたし、公益法人の関係でちょっと類型化して説明する時間を来週5分とか10分ではなくて30分ぐらいいただいて、それで御議論いただくような時間設定にしていただければと思います。
 多分、研究所は今日の病院ほどはそれぞれの規模が大きくないので、個々の病院の必要時間を例えば1時間じゃなくて40分にしていただいて、公益法人について御議論いただくような時間をいただいた方が、その後のあれができるかなという気がちょっとしました。いかがでしょうか。
○北沢座長 では、よろしいですか。官房長の方から、次はのっけから公益法人を含む進め方ですね。
○大臣官房長 この3つはやっていただくんですが、今日は60分で3時間取っていただきましたけれども、例えば40分にしてやって、その後、公益法人の議論の時間を30分とか40分いただくというのはいかがかなと思ったんですけれども。
○北沢座長 それはベターですね。そういうことでいかがでしょうか。
 では、40分ぐらいで、今日ほど時間はかからないと思うんですね。そしてその後、公益法人を中心に取り組み方を検討するということですね。それでよろしいですか。
 では、そういうことでやっていこうと思います。
 では、これで終わります。貴重な御意見いただき、ありがとうございました。


(了)

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