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2010年10月27日 第41回社会保障審議会医療保険部会議事録

○日時

平成22年10月27日(水)16:00~18:00


○場所

厚生労働省17階「専用第18~20会議室」


○議題

1.高額療養費制度について
2.診療報酬の支払早期化の検討状況について
3.新たな高齢者医療制度における医療費適正化計画の在り方について(特定健診・保健指導)
4.国民健康保険組合に対する補助の見直しについて
5.その他

○議事

○糠谷部会長 それでは、まだお見えになっていない委員さんもおられますけれども、定刻になりましたので、ただいまより「第41回医療保険部会」を開催いたします。
 委員の皆様には、本日、御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、御欠席の連絡をいただいている方が、岩本委員、岡崎委員、神田委員、見坊委員でございます。また、柴田委員からは、1時間ほど遅れるという連絡をいただいております。
 続きまして、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りいたします。
 岡崎委員の代理として猪塚参考人、神田委員の代理として高橋参考人、見坊委員の代理として齋藤参考人の御出席について御承認いただければと思います。いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○糠谷部会長 それでは、そのように取り計らわせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 最初に、「高額療養費制度について」を議題といたします。
 それでは、事務局より説明をお願いいたします。
○吉田保険課長 保険局保険課長でございます。1つ目の議題、高額療養費につきましては、まずお手元の資料1、横でございます「高額療養費制度について」、それと参考資料として、参考資料1-1、1-2という番号を付したもの、それぞれ表題に要望書、もしくは私ども細川大臣の名前が書いてございます。それと、本日、大谷委員から、委員の皆様のお机の上にということで置かせていただいていますA3の資料、4点がこの議題の関係資料でございます。御確認いただければと思います。
 まず、資料1「高額療養費制度について」という横紙をおめくりいただきたいと思いますが、1枚目、7月14日以来、この部会において高額療養費について御議論いただいておりますが、7月14日の議論を踏まえて、いただきました御要望に沿ったあらい試算を前回9月8日に提出させていただきました。同じ資料が1ページ目でございます。
 下の図をごらんいただきますとおわかりいただけますように、70歳未満者の一般所得者の下、おおよそ3分の1、年収で300万円以下の方々についての負担を一定の前提を置いて引き下げた場合の影響額としてお示しいたしましたのが、真ん中の箱にございます給付費ベースで2,600億円という数字でございました。
 この際、委員の皆様方から、この財政影響というものを考えた場合に、逆に比較的所得の高い方の御負担をもう少しお願いすることをした場合の試算をすべしという御要請を受けて、本日、2ページ目及び3ページ目にわたる試算を提出させていただいております。
 2ページ目の試算は、下の箱でごらんいただきますと網かけになっております。今、上位所得者という形で、社会保険の場合は標準報酬の53万円以上、国民健康保険の場合は旧ただし書き所得において600万円以上というクラスの方々が対象になっておりますカテゴリーの上、特に年収の1,000万円というところに線を引かせていただく。
 この年収1,000万円というのは、試算前提という真ん中の箱の※1に書かせていただいておりますが、全体の家計調査で見るところの勤労所得者世帯の10分位の一番上の10分の1を念頭に線を引かせていただいて、かつその方々の自己負担限度額を、現在15万円となっておりますものを、機械的に10万円、更に御負担いただくという前提を置かせていただいた上で、見込まれる影響額を試算いたしましたところ、給付費ベースで250億円。これは、患者さんの御負担に給付費が置きかわる形の試算結果でございます。
 3ページ目をごらんいただきますと、今申しました真ん中の図でごらんいただきますと、上位所得者のうち1,000万円以上の方について御負担をお願いするというのが、先ほどの積算の1でございますが、それ以外の上位所得者の方、結果、所得層で考えますと、年収で800万円相当分から1,000万円に当たる層の方の御負担を、現在の15万円から18万円という形で、機械的に3万円、更なる御負担をいただく形に設定した場合。
 なぜ3万円かにつきましては、試算前提2の箱の※2に書かせていただいておりますが、この階層の方々の平均年収は900万円になっておりまして、その2か月分ぐらいが多数該当も入れた負担としてなるような設定。これも一つの機械的な前提を私ども事務方で置かせていただいたということでございますが、このような形で試算いたしますと、結果、見込まれる影響額は給付費ベースで110億円ということでございます。
 9月8日にお示しした試算と、本日お示しした2つの試算の保険者ごとに整理させていただいたものが、お手元の資料の4ページ目でございます。
 (イ)が一般所得の比較的下3分の1の方々に対しての負担を軽減し、(ロ)(ハ)は今、御説明いたしました上位所得者の方々について、それぞれ現行よりも更に御負担をお願いする形の機械的計算をさせていただいた結果が、全体で見れば、一番下のところにございますが、(イ)の試算では2,600億円の給付費の増、(ロ)(ハ)は給付費の減という形で、250億円あるいは110億円になってございます。それぞれを保険者ごと、あるいは公費負担への影響という形でまとめさせていただいた表でございます。
 この場で御議論いただきましたときに、給付費への影響を考えろ、それぞれの保険制度への影響ということになりますと、今回の3つの前提を全部足し合わせたところで、協会けんぽは約500億円、健保組合は約200億円、共済約60億円、国民健康保険が約600億円、後期高齢者医療が約50億円の御負担を保険料という形でお願いするという試算結果でございます。
 続けて、もう一つの固まりで御報告申し上げたいと思います。資料5ページ目も、7月14日、高額療養費に関する議論を一番最初にお願い申し上げるときに、各方面からいただいております要望内容を整理したものでございます。いわばこれまでの試算、きっかけは一番上の丸、70歳未満者の一般区分の方について、比較所得の低い方の自己負担上限を引き下げたらどうかというお求めに応じて試算いたしました。
 もう一方で、一番下の丸でございますが、高額長期疾病(自己負担1万円)となっているものの対象をより追加してほしいという御要望もいただいておりますし、この会でもいろいろと御議論があったかと思います。
 具体的には、8ページに飛んでいただきますと、これは7月14日にこの会議において御提出させていただきました。その時点において御要望いただいておりました病気、治療法などについて、あるいは患者さんの医療費について推計し、御披露したところでございます。
 下の※1に書かせていただいておりますように、この議論をお願い申し上げて以降、本日までに2つの新たな要望書をいただきましたものを、本日お手元に届けております。それが先ほど御確認いただきました参考資料1-1、発作性夜間ヘモグロビン尿症という疾患に関わる関係者の方から、9月13日付で1万円疾病への追加という趣旨の御要望と受けとめております。
 もう一つが参考資料1-2、10月25日付でございますが、生物学的製剤を使用しているリウマチ患者に係る高額療養費についての見直しの御要望ということで、いただいたものを資料として入れてございます。
 詳しくは、ごらんいただければ、それぞれの病気についての患者さんの御負担についても御要望の中に入っておりますし、患者数という意味では、参考資料1-1、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の患者さんにつきましては、この要望書の中に全国で約430人という患者数を伺っております。
 一方で、生物学的製剤を使用しているリウマチ患者の御要望書の中には、リウマチ患者数が約70万人という患者の会の立場からの数字というものもいただいておるところでございます。
 以上、資料でございますが、試算を行いましたときに、委員の方から、こういう個別の疾患に着目して1万円疾病に追加した場合の財政影響がどのぐらいなのかということについてもお求めがあったと承知しております。私ども、工夫いたしましたが、なかなかうまく出ません。
 と申しますのは、例えば8ページ目、慢性骨髄性白血病(CML)の患者さんについて、それぞれの患者さんの御負担が使用されている薬によって違う、あるいは処方によって違うかと思います。ここにございますような33万円あるいは55万円ぐらいの月当たりの医療費が、患者さんによって高額療養費に該当する、しないも違っておりますので、なかなかそれを把握して、それを試算するということが難しいということで、本日、資料としては用意させていただけませんでしたし、今後に当たってもなかなか難しいかと思います。
 ただ、御議論いただくときの一つの目安という意味で申し上げたいと思いますのは、例えばここにございますCMLの患者さん1万2,000人が、現時点においてすべて多数該当に該当されている。月負担が4万4000円になっていると仮に置きまして、そこが1万円疾病に追加されることになれば、お一人当たり月で3万円余が負担軽減という形になるわけで、それ掛ける1万2,000人掛ける12か月と考えますと、50億円という数字が仮の試算として出てまいります。
 今申しましたように、その場合においては、それ以外の現在該当していない患者さんがどうなるか。7万円の患者負担になっている方は、4万4,000円で落ちておりませんので、その方にとってみれば、1万円を入れると6万円、自己負担から給付費に変わるということなどを考えますと、なかなか正確に試算ができないということは、まず御理解いただきたいと思います。
 また、これまでこの会議に出させていただいた資料の中には、私どもが拝見する限り、患者さん側の負担実態について、研究者の方々が御報告されたレポートも用意させていただいたことがございます。その中では、例えば年間で120万円ぐらい、実際には御負担していただいているということもあったかと思います。
 その中には、場合によっては、患者の定率自己負担だけではない御負担も入っておるやに思いますけれども、仮に120万円を1つ前提にして、1万円疾病という形で置きますと、年間その方については100万円ぐらいの負担減。それが1万2,000人になりますので、掛け算いたしますと100億円オーダーの影響額になります。
 1つの疾患そのものがいろいろな形で数字が出てまいりますので、お求めに応じて個別の疾患を1万円にした場合の影響額というのをお示しし得ませんでしたが、その辺りの数字も念頭に置いていただいて、また御議論いただければと思います。
 事務局からは以上です。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明等について、御意見ございましたらばお願いいたします。どなたからでもどうぞ。それでは、どうぞ。
○齋藤正寧委員 高額療養費制度について財政試算をいただいたわけですけれども、4ページを見てみますと、国保の側からはこれはなかなか認めがたいなと思います。
よくわからないところもありますが、全体として所得の低い層の負担が、額が非常に大きくなっております。それから、保険者によって所得の分布状況が全部違うという問題まで検討しないと、これはなかなか難しい。実際、公費負担の内訳も明確でないということもあります。
 私の町の国保の所得の状況を見てみました。私どもの町は人口5,600ぐらいの小さい町で、完全な農業地帯ですけれども、世帯数で588、人員で812、これが後期高齢者医療制度に全部移っていって、2,000人近くがもともとは国保という状況の中で、年収が課税所得ベースで300万円以上の人がわずか15人、600万円を超える人が2人、その上の700万円を超える人が3人で、ここで(ロ)と(ハ)に該当すると思う人が20人しかいない。実際は、課税所得ゼロの人がトータルで253世帯、344人、8万8,000円から160万円以下、255世帯495人、160万円から500万円が49人という状況です。
 私の町では、国保の課税に当たって、医療費の動向等を見ながら毎年税率を変えているのですけれども、今でも担税能力を超えているという印象が否めない中で、こうしたことをやると、結局は被保険者に全部負担がかかるということが読み取れるわけであります。
 高額療養費の負担限度額が安くなることは、患者にとっては非常に重要でありますし、私も実現できるならば、それにこしたことはないと思いますけれども、被保険者と保険を運営する保険者の立場からいえば、これはどうしても認めがたい。
しかも、低所得の人ほど保険料の負担が大きくなるという問題を含んでいるということが言えると思います。自営業者が多い町村もあることはあると思いますけれども、えてして小さい町村あるいは農村地帯は所得が極めて低いわけでありますから、是非そうした事情等も考慮していただきたい。
 どうしてもやるのであれば、これは保険者が負担するのではなくて、国費で全額やってもらわないと私はできないだろうと思います。現実的な話ではないわけですけれども、そういう点、もう少し具体的にそこをどうするのかという検討を願いたいと思います。
 とりあえず、高額療養費については以上です。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、横尾委員。
○横尾委員 何回か日程が合わず欠席いたしておりましたので、少し意見を述べさせていただきます。多久市長の横尾でございます。
 今回示された内容、資料をずっと拝見いたしておりまして説明を伺いましたが、1つ目は、自己負担限度額の所得区分が細分化されるということでありますけれども、被保険者、特に低所得者、一般の方々等につきましては、若干でも負担軽減につながる部分があるという意味合いがあれば、それは評価できることだと思いますし、また今回、試算によりまして、現役並みの所得者の区分を2段階にして、更に上位の区分を設けるということは、所得の再配分という理念に沿った考え方という意味では理解できるところであります。
 ただ、問題点もございます。今も御指摘がありましたけれども、それぞれの保険者におきましては、今回の試算結果にも出ていますとおり、負担増となる面がございますので、やはり財源をいかに工面するかというのは避けて通れない、また重要な課題だろうと受けとめますので、十分な分析や検討が必要と思います。
 2つ目の問題点としては、医療給付費についてでありますが、今、言いました負担増ということがありますし、これに加えまして、各保険者のシステムの改修が当然発生してくることが予測されます。これに伴います費用。また、区分の細分化によりまして、所得申告の変更等による影響もまた受けるところが出てきます。これら区分変更になる場合の被保険者への説明や、その他の対応等が増加することも考えられますので、これらについての対応が必要になってくると考えております。
 私、後期高齢者医療制度関係の広域連合の協議会会長をしていますが、現在でもそのことに何とか対応しながらやっています。高齢者医療制度改革会議でも、こういったシステム改修も含めた全体の財政の見通しなり、対応をしていかないと、結局は各住民の皆さんの負担増となっても、これはなかなか説明がつかないところですから、是非検討をお願いしたいと思います。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
 どうぞ。
○小林委員 高額療養費の給付改善の検討そのものについて、私ども反対するものではありませんが、協会けんぽの財政状況から意見を申し上げざるを得ないということを御理解いただきたいと思います。
 現行の高額療養費制度については、知らない方も多くて、制度の存在を知っていても、きめ細かな改正を繰り返してきたこともあり、制度の中身を理解していない方が多いのもまた現状だと思います。
 資料の4ページの試算を見ますと、約500億円の保険料負担への影響となっておりますが、これは協会けんぽの料率を0.1%近く引き上げることになります。一方、前回の部会においても御説明申し上げましたが、私どもの保険財政の状況から見て、給付を改善して保険料率を更に引き上げる状況にないと言わざるを得ません。したがいまして、協会けんぽとして財政中立になるような幾つかの案の提示をお願いしたいと思います。
 それから、高額長期疾病、特定疾病についてお話がありましたが、個別の疾病の医療費負担をどう軽減するかということについては、疾病対策として議論すべき問題であり、それ自体を申し上げるつもりはありませんが、医療保険部会として医療保険制度を考えると、個別疾病対策については極力抑制的に考えるべきだと考えております。
 以上です。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
 大谷委員、どうぞ。
○大谷委員 今までの皆様方の立場から伺いまして、本当に反対できるところではないので心苦しいのですけれども、患者の立場から言いますと、例えば今日出させていただきました資料は、一昨日発売になりました資料ですので、読み込んでもいただいていないと思いますけれども、2ページ目、66ページになります。
 どれだけ患者さんが負担を強いられているかがわかると思います。この高額療養費制度の盲点といいますか、本当に大変なところが、250日間で支払った医療費総額が291万円でも、月をまたいでしまうということで、払い戻しを受けた金額はわずか35万円とか、本当に大変な状況が起こっています。これはがんでけれども、更に厳しいのは、先ほどの要望書を見ておりましたら、PNHの患者さんなどは、この病気になればもう死ぬしかないような状況だというのは、ごらんいただければわかると思います。
 高額療養費制度に関しては、まだまだ議論しなければなりませんし、ではどこから財源があるのだと言われれば、患者の立場からは言いたいことがあっても言えない状況もよくわかっております。せめて特定疾病に関わる高額療養費の特例については、PNHという極端な医療費に関しては見直すべきときが来ているのではないかと思います。
 勿論、ここに出ておりますCMLやGISTやリウマチ、ほかにもありますけれども、どこで線を引くのかと言われれば、とてもつらいですけれども、どの金額ならいいのだと言われると、何とも答えようがないですが、特にこのPNHの高額な医療費に関しては、どれだけ収入があっても、これだけの金額だと本当に大変だというのがわかると思います。だから、少なくともここに出ている6ぐらいの疾病に早急に対処していくべきではないかと思います。これをみすみす見捨てるというか、見殺しにはできないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、どうぞ。
○齋藤参考人 資料5ページに関連して発言させていただきたいと思います。
 高額療養費制度の改善に関する要望の丸が幾つかありますが、下から2つ目のところで、高額療養費の自動支払い化など支給申請の簡素化ということが1項目として出ているわけであります。患者側からすると、高額療養費制度というのは大変ありがたい制度であります。しかし、今、小林委員からもお話がありましたように、この制度が周知されているかということに関しては、いささか疑問に感ずる点もあるわけであります。特に、知らないと損をするという仕組みになっているわけでありまして、知らない者にとって、必ずしも親切な制度になっているかということは疑問に思っております。
 更に、保険者の中には大変親切に通知を出していただいたり、教えていただく仕組みを持っておられるところもありますが、これもばらばらな形になっているようでございます。特に高齢者のひとり暮らし、しかも病気を抱えているということになりますと、自己申請というものが非常に難しいのではないかということを感じております。
 また、ねんきん特別便などもそうでありましたが、通知をいただいても読み取りがうまくできないということで、適用しているのに活用できていないといった問題があるのではないかと思っております。当面は、制度において不利益が生じないように、何らかの形でケアする仕組みというものがもう少し充実してほしいと思っております。
 更に、この要望事項にありますように、申請方式ということではなくて、自動的に払い戻しが可能な方向というものが、短期では難しいと思いますが、中長期的な視野に立って不利益が生じないようなシステムということは、是非御検討いただくようにこの機会にお願い申し上げたいと思います。
 以上です。
○糠谷部会長 逢見委員、どうぞ。
○逢見委員 資料を拝見させていただきました。
 まず、私ども、高額療養費という制度は、患者にとっても非常にいい制度だと思っています。いい制度だという意味は、重篤な病気で高額な医療費がかかっても、一定の負担で済むという医療保険のセーフティーネットの機能。それから、所得の低い人であっても、負担上限があることによって一定の医療サービスが受けられる。そういう点は、今後も維持していくべきだと思います。そういう意味でいうと、従来の制度が低所得者が住民税非課税でかなり低くて、その上が一般となっていますので、一般と低所得者の間にもう一段階置くという考え方は賛成したいと思います。
 あわせて、追加の試算であったように、高額所得者について負担の上限を引き上げるという考え方は、これも応能負担という考え方から言うとあり得るのかなと思っています。
 今後、これに基づいて、各保険者における影響等ももう少し見る必要がありますので、作業として是非お願いしたいのは、10ページに現行制度での所得区分別の加入者数が出ております。これを今のような試算をしたときに、それぞれでどのぐらいの人たちが加入者が出てくるのかを試算していただきたいと思っております。
 それから、いろいろ要望が出ていたのがありますが、特に5ページ、暦月をまたがる場合の月単位の高額療養費の支給。これは患者の側から言うと、月初にかかるのか、月末から始まるのかというのは余り関係のない話なので、できればこういうものを実現してほしいと思いますが、これが今どういう検討状況で、実現の可能性はどうなのかということを伺いたいと思います。
 それから、患者さんから非常に個別要望が出ております。優先順位の高いものもあるし、いわゆる谷間問題というのもあると思います。これは、前々回、私はこういった個別の検討も行うべきだという発言をしたのですけれども、その後考えてみて、なかなか線引きが難しい。公平性をどうやって担保するのか。要望を全部聞ければいいのですけれども、そうでないときに、その線引きがなかなか難しいというところがあります。所得に着目した見直しということだと、ある程度線引きは可能かなと思いますので、そういった方向での見直しを検討してはどうかと思っております。
 以上です。
○糠谷部会長 事務局の方で、今の逢見委員の御意見というか御質問、あるいは今までの委員の皆さんの御発言等で、この段階で何かお答えできるようなものがあったらば、ちょっといただけますか。
○吉田保険課長 まず、いただきました御要望の中で、例えば逢見委員から最後に御要望がありましたデータについての話。あるいは、小林委員の方からは、個別保険者の中での協会としての財政中立的な案も提示してほしいという御要望もあったに伺います。
 事実関係のデータについては、次回までに用意させていただきます。また、財政中立としての案の提示というのは、ここで私どももいろいろな御示唆をいただいた中で試算する、あるいは下ごしらえをする形で御議論を深めていただきたい。御要望をいただければ、私ども、今回のように事務方としての作業はさせていただきたいと思います。
 それから、見坊委員の代理の方からは、制度周知についての御要望あるいは御意見がございました。前回、この会議で取り上げさせていただいたときにも、その前からも大事な問題だという形で、私ども認識しておりますし、そのときにも御紹介させていただきましたように、被用者保険については先行していろいろな取組みを多くの保険者がしていただいているというデータもございましたので、今年7月には特に国民健康保険の関係者の方々に対して、更に周知、あるいはそれぞれの利用者の方々への広報に取組んでいただくよう、通知という形でお願いしたということも御報告したかと思います。
 また、この項目にございますような、そうはいっても、まだ改善する余地があるのではないかという御意見あるいは問題意識というのは、私どもも共有しておりますので、それについては、保険者の方々の工夫もいただければと思いますが、特に高齢者の方々につきましては、かねてより、その申請に当たっての事務負担がないように、保険者の方が把握して対応していただく。負担少なく御利用いただけるような工夫も、制度的に、運用としてもしていただいていると承知しておりますが、そのような点も含めて御評価いただき、またアイデアをいただければと思います。
 また、逢見委員からは暦月またぎ、月またぎの検討状況についてという御指摘をいただきました。私ども、保険者の方々からいろいろな御意見を実務的に伺っておりますが、現在の月単位のレセプト、月が終わった時点で、その一月が幾らであったかという請求を前提としているシステムの中では、月の途中における暦日の評価をどのようにするかというのは、技術的にまだまだ難しい。一方で、レセプトの電子化というものが進んでまいりまして、情報処理の能力が上がってくれば、それらについても具体的な視野に入ってまいります。
 更にその上で、実際に月の途中から入ってきた場合に、技術的にどこで期間を切るようにするか。暦月ではないにしても、1マンスをどうやって切るかという技術的な話も、また次の段階では抱えますけれども、現時点ではその手前において、レセプトの月単位というものを、もう少し電子化などを見ながらどういうふうに工夫していくかという意味で、実現までには少しお時間をいただかないと難しいのかなと、これまでの検討状況では考えておりますが、またいろいろな御意見をいただいて、私どもも引き続き検討してまいりたい。
 今の時点では以上でございます。
○糠谷部会長 どうぞ。
○横尾委員 今の説明があったことに対して、ちょっと意見を述べたいのですが、電子化等については、電子化がこういうルールだから、それに制度を合わせるとか、法律をその枠の中で考えていくとか、その範囲しかケアできないというのは、甚だ足りないのではないかと思います。
 先ほど大谷委員が出していただいた、この資料の1ページ目の下にもありますように、「がんと告知されて、診断されて、いろいろ医師から説明を受けても、それにどのような費用がかかるかは直接聞くことができない」と記事にあります。どんな気持ちになるか。引用しますが、「今後、治療費にどれぐらいの費用がかかるかわからないまま、会計窓口で請求される金額を見て、愕然とする患者は少なくない」と。多分そういう方は多いと思います。
 そのとき初めて、高額療養費のことを知って、少しでもと。ところが、手続の関係とか暦月の問題があって、次のページの例ですと、「全体の5分の1しか受けられなかった」と出ています。それが仮に電算が原因だとしたら、その電算を変えるということが大事です。最も重要なのは、どのような価値観で国民の医療を守り、そして国民の皆さんにどのように寄り添って、「あなたたち、病気になっても重篤な病になっても、きちっとケアしますよ」というメッセージを出し続けるかだと思います。
 そのメッセージと、このプリンシプルがはっきりしているのであれば、「このことをやるために電算を変えてほしい。日本国のICTの各ベンダーが競い合ってでも、より良いものをつくってくれ」というのが厚労省のあるべき姿だと思います。その辺はもうちょっと前向きに考えていただかないと、救える人も救えないまま、大谷委員が御心配の、皆さんは不安を抱えたまま、また時を過ごすことになります。その辺、いかがでしょうか。
○吉田保険課長 私どもとして、まさに電子化という技術的な進歩を保険者、医療関係者の方々にお願いしている中で、この間、こういう御指摘もいただいておりますので、今、横尾委員がおっしゃったようなことを十分置いて、具体的に電子化の状況を戯文にすることなく、電子化を進める際にこういうことを織り込んで進めさせていただきたいと思います。
 一方で、現時点においてどこまでできるかという距離があるということの上で、それに向けての努力は引き続き我々もさせていただきたいと思います。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、岡崎委員の代理の方。
○猪塚参考人 岡崎高知市長の代理で出席しております全国市長会の担当部長でございます。資料1の4ページ、吉田課長の説明と重複してしまうかもしれませんけれども、見ていただきたいと思います。
 真ん中に(ロ)がございます。これは、年収1,000万円以上の所得層の自己限度額を引き上げた場合の数字でございまして、その右隣に(ハ)800万円から1,000万円の所得層についての数字が羅列されております。それで、一番下の欄、トータルで見ると、(ロ)が250億円の減、(ハ)が110億円の減です。合わせて360億円の減と明記されているわけでございます。
 その一方で、(イ)を見ていただいて、一般所得者のうち年収が300万円以下について、低い限度額を設定することによる給付費の増加分が2,600億円でありまして、比較しておわかりのとおり、到底360億円を賄い切れないということが読み取れるわけでございます。
 そこで、国保の保険者の立場からいけば、厳しい財政状況を考慮していただきまして、給付増と給付減について、その影響額のバランスがとれるというか、均衡するような案もあわせて御検討していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 御承知のとおり、市町村国保は低所得者が多い上に、上位の所得者が少ないという構造的な問題を抱えておりますので、医療保険制度全体では給付費は増加していなくても、市町村国保については給付費が増加することもあるということを留意して、データの作成をしていただきたいということをお願いしたいと思います。
 以上です。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
○齋藤正寧委員 関連して。
○糠谷部会長 どうぞ。
○齋藤正寧委員 マクロの立場で財政中立という試算が出たとしても、個々の保険者によって所得分布が全然違いますから、このことを無視してマクロの意味でバランスがとれたとしても、これは一般的に通用しませんので、その辺がきちんとなるような制度設計でないと、とてもはいそうですかととはならないと思います。
高額療養費を下げるという総論の中では、これは大事な話で、私どもも是非実現したいと思いますけれども、なかなか単純にそうはいかない要素があるということをきちんと考慮して制度設計しないといけないと私は思っています。
○糠谷部会長 とりあえずはマクロで見た上でということだと思いますので。
 それでは、今日は案件がたくさんございますが、今の議題でこの際、まだ御意見があるという方。それでは、大谷委員。
○大谷委員 特定の自己負担1万円のことをもう一回お話をさせていただきたいのですけれども、確かに公平性ということでいくと、何でもかんでもということであればベストですけれども、それはあり得ないので、公平性でどこかを引くということで、先ほど逢見さんがおっしゃいましたけれども、所得によって差をつけていく。
 そうなると、話が逆行しますけれども、昭和59年に決まった3件、勿論この方々を対象から外せと言っているわけではなくて、それも誤解があっては困りますので申し上げますけれども、昭和59年からある意味全く動いていない状況を、どう社会に説明するかということになると、本当に説明のしようがないと思います。
 公平性でいくと、そういう突っ込まれ方をすると、この3つの対象になっている人たちは特別で公平ではないのかということになってくると思います。ですから、逆行した意見ですけれども、本当に公平性を求めるのであれば、1万円の特例というものを撤廃して、すべての患者さんが所得に応じて、楽になる人、苦しくなる人がいるかもしれませんけれども、そういうふうにするべきだと思います。説明の仕方として、もし公平性をうたうのであれば、もう少し説明が社会にできるようにしていかなければ、昭和59年から動いていないということは説明のつけようがないということを常に考えているのですけれども、いかがでしょうか。
○糠谷部会長 では、どうぞ。
○吉田保険課長 事実関係だけ御報告いたします。本日の資料の7ページに、今の特定疾病、いわゆる1万円疾病について、過去もこの資料を用意させていただきましたが、本日も出しております。
 今お話ございましたように、現在は対象疾病の2つ目の丸にございます3つの病気、治療法とセットになった病気でございますが、事実として1つ目の慢性腎不全、あるいはその次にございます血友病の方々については、1984年、59年の制度改正時から入ってございますが、その後、平成8年に後天性免疫不全症候群の方を入れたのが事実としてございます。
 そもそもこの制度につきましては、1の最後に書いてございますが、1984年の医療保険改正の際の国会審議を踏まえての導入という事実がございます。その際の対象疾病の一つの切り口といたしましては、2の1、2で、費用が著しく高額、これは平均のレセプト点数などから見たときに、この当該疾病もしくは治療法によるものをどういうふうに切り取るか。また、一定の治療として厚生労働大臣が定める治療ということで、いろいろな病気に対する治療の仕方がございますが、ばらつきがないようなもの、かつ長くかかるものが、当時の議論などを参考にいたしますと、一つの考え方としてセットされております。
 2については、著しく長いという考え方から、これが1984年に2つ、平成8年に1つ追加されているという事実だけ御報告申し上げます。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、高原委員。
○高原委員 前回のこの部会にもお出ししましたけれども、医療費の高額の部分で非常に問題になっているのは薬剤費の問題がある。例えばCMLに関しましても薬剤費が非常に高い。その話ももう一回話題に上げていただきたい。
 たしか薬価検討の部会もございますけれども、もし薬剤費が高いことが全体を押し上げているのであれば、保険者も保険料云々ということもありますけれども、中身の方に突っ込んで、薬価が高いと。特にこういった特殊な薬剤、それから長期に内服しないといけない高血圧症、高脂血症、糖尿病の薬も安くしていただければ、予防も大切ですけれども、今、治療している方の薬剤費を下げれば医療費も下がると思います。薬業界から非常に反対はあるかと思いますけれども、ここのところも御検討をお願いいたします。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
 あと、議題がございますので、どうぞ簡単に。
○大谷委員 私もPNHの話を初めて聞いて、余りに高額で、CMLどころではないなと思ってショックを受けたのですけれども、今までの昭和59年から、平成8年からの3件は、一体どれぐらいの医療費がかかっているのか、どのぐらい費用として拠出されているのかということがわかれば、比較の対象にもなると思うのですけれども、そういうデータがいずれ出ることはあるでしょうか。
○吉田保険課長 次回までに用意させていただきたいと思います。
○糠谷部会長 では、まだこの件で御意見あるかもしれませんけれども、こちらにつきましては、本日の御意見等も踏まえて、今後引き続き議論を行うということにいたしまして、本日はこれまでとさせていただきます。
 次に、「診療報酬の支払早期化の検討状況について」を議題といたします。
 事務局より資料の説明をお願いいたします。
○武田総務課長 保険局総務課長でございます。お手元の資料2をごらんいただきたいと思います。「診療報酬の支払早期化の検討状況について」ということでございます。
 1ページ目、支払い早期化のイメージということで、これは9月8日の医療保険部会で提出させていただいた資料でございます。
 これでお示ししましたように、電子レセプトで請求されている場合に、例えば23年4月診療分の例で何日の前倒しが可能かということで提示させていただきまして、その後、関係者において御検討いただいているところでございます。本日はその検討状況ということで、中間的な報告をさせていただきたいと思います。
 2ページ、関係者の検討状況ですけれども、審査支払機関におきます検討状況、国保中央会・国保連、それから支払基金、共通と分けております。共通的な問題としては、システム改修のための期間及びコストが発生するということでございました。
 それから、国保中央会・国保連につきましては、中央会としては、案に沿って、更に紙レセプト分についても電子レセプトと同様に早期化する方向で検討する。ただし、全国の国保連に対し、案についての調査を実施中ということでございました。
 それから、支払基金につきましては、電子レセプト分について、公費負担医療の実施機関を含め、すべての保険者によるオンラインの受け取りが必要。電子レセプト分の支払い早期化に対応できない保険者について、支払基金の資金繰りを検討する必要。紙レセプト分については、早期化を行うことは困難であるが、引き続き検討。こういう検討状況だとお伺いしております。
 それから、保険者側の御意見でございますが、市町村国保からは、市町村によっては、支払い事務や資金繰りが困難となる可能性があるため、厚生労働省において全市町村に対し、早期化案及び現在の支払い事務等についての調査を実施するということでございました。特に国保につきましては、支払い早期化のイメージの中で、請求から支払いまで4日間という提案をさせていただいておりますので、その関係で実施可能性について調査を行うということでございます。
 それから、健保組合に関しまして、健保連でございますが、支払い早期化に向けた個別健保組合の対応の可否、実施条件についての実態を今、調査をしていただいているところでございまして、健保組合の場合は、更に事業主が資金を拠出しておりますので、事業主の資金繰りに影響が出ないかの精査が必要である。
 それから、審査支払機関への支払いが月2回となるような業務負担増は対応困難という御意見でありまして、電子レセプト分、紙レセプト分ということで、月2回になるかどうかという点も含めて御意見をいただいているところでございます。
 後期高齢者広域連合の関係につきましては、新たな高齢者医療制度が議論中でございますので、そこの対応について検討中というお話をいただいております。
 私からは以上でございます。
○糠谷部会長 この件につきまして、何か。それでは、白川委員。
○白川委員 健保連の意見は、ここに書いてあるとおりでございますが、今、事務局の方から、審査支払機関と保険者についての検討状況の御説明がありましたけれども、私どもは、この案では医療機関側への支払いを6日間早めるという案になっておりますけれども、6日間早めることによって、どれぐらいのメリットがあるのかというのが、正直申し上げてよく理解できておりません。
 この資料を見ますと、支払基金さんにおかれては、紙レセプトの早期送付は難しい。ただ、検討中と書かれておりますけれども、最悪の場合かどうかわかりませんが、月2回の支払いになる可能性がある。そうすると、これは保険者側だけではなくて、医療機関側、特に大病院などではシステムの変更が必要になると思いますが、そういう大がかりな、全国の病院、保険者がこぞってシステムを変更するに見合うだけのメリットがあるというところが、どうもよく理解できないものですから、是非とも医療機関側の御意見を事務局の方でもう一度御確認いただければ。要望書が出ているのは承知しておりますけれども、それをお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○糠谷部会長 鈴木委員。
○鈴木委員 白川委員の御質問にお答えする形になるかと思いますが、医療機関では、給与の支払いと振り込みが月末になるもので、数日間、非常に資金繰りが激しくなるということで、そうでない医療機関もあるかとは思いますが、私のところなどは非常に経営が厳しいので、自分のところの数字で申しわけありません、恐縮ですが、毎月、給与を払うために6,000万円から8,000万円、当座貸し越しで借りて、1週間、10日ぐらいで返すのですが、その利息が短期間とはいえ、年間60万円以上かかるということを今までずっとやってきた。
 診療所さんによっては、給与を翌月に払う。月末にしか入ってこないからというところもあると聞いておりますので、1週間でも早くなるということは、我々にとっては非常に大きなメリットがあるということを御理解いただければと思います。
○高原委員 済みません。
○糠谷部会長 高原委員。
○高原委員 弱小の医療機関の方でお話を申し上げます。
 残念ながら、現行のシステム、私たちのところは、5日間早くなっても余り関係ございません。もともと2か月後に支払いということで、大きな病院は給料をたくさん払うので資金繰りが非常に大変でしょうけれども、うちの場合は非常に少ないですので、5日早くなってもしようがない。
 それから、コストの問題を言っておられましたけれども、この電子カルテのコストは各医療機関が全部かぶっております。小さいところも大きいところも。それをまず頭の中に、保険者の方も非常にかかる、審査機関もかかると言っておられますけれども、もともとは医療機関、補助というのは最後になって、ちょっと出ましたけれども、ほとんど全部自分たちでそろえている。そのことをまず頭に入れてください。
 そういう電子カルテを入れたにもかかわらず、先ほどの診療の流れを見ると、一番滞っているのは審査支払機関のところで約一月間、棚上げにされていることですね。これが一番の問題だと思います。審査をする先生方が集まらないとか、いろいろあると思いますけれども、せっかく電子カルテにしたのにもかかわらず、ここで同じことが。ここの機関だけは前と一緒ですね。電子カルテにしようがしまいが、これが一番問題ではないでしょうか。
 支払機関から医療保険者には、ちゃんと電子媒体で行っているのですか。一部は全部紙に戻して、そこで審査をして、その紙をまた電子媒体に戻して、それから医療保険者に行っている。末端の我々医療機関が電子レセプトにしたのに、何の役にも立っていない。全体のシステムで見ると、5日間早くしているのはほかのところだけで、支払機関は全く変わっていないです。これを何とかしてもらわないと、電子カルテにした意味はないと思いますが、いかがでしょうか。
○糠谷部会長 何かありますか。
○吉田保険課長 事実関係として申し上げますと、イメージの中に書かせていただいておりますように、審査支払機関、それぞれ都道府県にございます国民健康保険連合会あるいは支払基金がございますけれども、業務の効率化を図ることにより、業務フローを短くする。このイメージで申し上げましても、上の現行被用者保険の例では、翌月10日に医療保険者に回すものを5日早めるという形での業務効率化の要素を入れております。
 一方で御理解いただきたいと思いますのは、今、高原委員のお話の中にもございましたように、審査をきちっと行う。そのために審査委員の方々にお集まりいただいて、審査そのものは業務フローが変わることによっても、きちっとした必要な時間をとる。もとより、別途検討しておりますように、電子化に要した審査の質を上げるという課題は課題として抱えておりますが、全体のスケジュールを早めるために、審査の期間を短くするというか、審査の質を落とすということは、今回のこの提案の中には入れてございませんので、審査品質を確保した上での業務フローを見直して、支払機関の部分も短縮するという形で議論させていただいているつもりでございます。
○糠谷部会長 どうぞ。
○柴田委員 審査支払機関の立場から申し上げたいと思いますけれども、国保連合会は、御承知のように、審査支払業務と保険者業務と両方やっています。今までそれを別のシステムでやっていたのですけれども、来年の23年度から統合して、効率化するということもあるのですけれども、大規模なシステム構築をしようとしています。これができれば、勿論、審査委員会に審査していただくという時間は確保しなければいけないのですけれども、ある程度支払いの早期化に対応できることになる。
 ただ、このシステム改修は非常に大規模なものですから、ここから先、一般論なのですけれども、システムを一斉に稼働させるというときに、やはりテストをしてみるといろいろ不具合が出るということがあるかもしれません。我々はそういうことのないように、来年5月からはできるようにしようと最大限努力していますけれども、そういうことが場合によってはあると、5月実施ということがもし念頭にあるのであれば、それが後ろにずれざるを得ないということもあるかもしれないということで、今の状況を申し上げたいと思います。
○糠谷部会長 よろしければ、この案件につきましても本日の御意見を踏まえて、引き続き議論するということにしたいと思いますので、特にこの際ということがございませんでしたらば、次の議題に移らせていただければと思います。
(「はい」と声あり)
○糠谷部会長 よろしければ、次は「新たな高齢者医療制度における医療費適正化計画の在り方について」を議題といたします。
 事務局から説明をお願いいたします。
○城医療費適正化対策推進室長 医療費適正化対策推進室長の城でございます。資料3をごらんください。現在、高齢者医療制度につきましては中間まとめまで行っておりますが、新たな高齢者医療制度を検討しているところでございまして、その中で関連ということで、本日、医療費適正化計画、その他について、現状と幾つかの提示をさせていただきたいということでございます。
 まず、現在行われております特定健診・保健指導について、本日特にということで用意いたしました。この医療費適正化計画でありますとか特定健診・保健指導につきましては、根拠法が今の高齢者医療確保法にございまして、新たな制度になって現在の高齢者医療確保法が廃止されるという中で、次のどういった法体系に移行するかということも検討しなければなりませんので、そういったところで、今、法律上、規定されているのは大枠でございますが、その大枠をどこに移すか、今のままでいいのか、ファインチューニングをする必要があるのかといった視点でございます。
 資料1ページをごらんください。
 これは、当時から使っております資料で、どういった構造になっているかということでございます。医療費の適正化という観点でありますが、大きく2つありまして、左側は入院関係でございますが、要因分析の上から3分の1ぐらいのところです。基本的には、平均在院日数を短縮することで、医療費の伸びを抑制することができないか。
 それから、右側は特に外来でございますけれども、生活習慣病を早期から予防することによって、外来の医療費の伸びを抑制できないかという観点でございました。右側につきましては、特定健診によって対象者をスクリーニングして、特定保健指導ということをすることによって、将来の生活習慣病の予防をするという考え方で、そういった体系の制度を入れたところでございます。
 それを全体を通じてどういった進め方をするかということのために、2ページ目になりますが、国と都道府県で医療費適正化計画をつくって、これは20年から24年までの5年間、またその次もということで考えておりましたが、こういった仕組みの中で今、3年目でやっているところでございます。
 先に6ページをごらんいただきます。これは、さきにまとめられました新たな高齢者医療制度の中間とりまとめの抜粋でございます。
 上の方に費用負担とございまして、新たな高齢者医療制度につきましても、その高齢者の医療費は国民全体で公平に分担する仕組みを設けるという方向性が出されておりましたが、その後、5の丸の2つ目、健康診査につきまして、75歳以上の方も各保険者の義務として実施するということはどうかということでありました。
 それから、3つ目の丸でございますが、特定健診・特定保健指導は、保険者機能の強化という観点からも引き続き進めていくという方向で出されております。ただ、それについてどのようにするかということについては、今後技術的な検討を進めるということで、引き続き特定健診・特定保健指導は進める方向ということでございます。
 こういったことを前提に、高齢者医療制度そのものが廃止された後に、また新たな何らかの法体系が必要になるわけですが、その中で特定健診・特定保健指導の位置付けをしていく必要があるということでございます。
 3ページにお戻りいただけますでしょうか。
 右側は今の医療費適正化計画の体系でございまして、特に健診・保健指導につきましては、上の方から3分の1ぐらいのところに、健診の実施率の目標とか保健指導の実施率の目標、メタボリックシンドロームの減少率を掲げております。それから、平均在院日数等の目標も掲げております。
 本日、特に健診・保健指導ということで、現状について4ページ、5ページにまとめさせていただいております。
 4ページは全体の受診率でございまして、健診の実施率は全体で38.3%、保険者ごとで見ますと、市町村国保は3割ぐらい、被用者の方では、組合・共済については6割弱、協会けんぽは3割ぐらい、大体このような形になっております。
 保健指導につきましては、全体で7.8%、下にありますように保険者ごとで見ますと、市町村国保については14%、ほかは1けたぐらい。これは初年度の状況しかまだ出ておりませんので、初年度、導入が遅れたという経緯もございますが、こんな状況だったということでございます。
 こうした低い状況の中で、先ほどの目標を達成している保険者がどれぐらいあるかということを5ページに提示いたしました。
 これを見ますと、健保組合でありますと、単一健保と総合健保で目標が個別に参酌標準が違いまして、80%、70%となっております。健診の実施率を達成している保険者は、健保組合であれば、1,480ある中で156、それから保健指導を終了している率が45%を達成しているのは57。それぞれ相関もございますので、両方達成しているところを見ますと、17の保険者が、初年度の全体の実施状況がまだ進まない中でも達成しておられるところがございます。
 それから、市町村国保で見ますと、両方達成しているところが4保険者。特に市町村国保の場合は、保健指導の率の方が高うございますが、こういった状況になっている。
 共済は、健診、保健指導、それぞれ3組合ずつありまして、両方達成しているのは1組合という状況でございました。
 こういった状況でございますが、その上で、めくっていただきまして、今後の方向性と、その下に論点の提示を後ほどということで考えております。
 7ページをごらんいただきますと、医療費適正化計画等につきまして、大枠としての方向性を示しました。
 健診・保健指導につきましては、先ほどの中間とりまとめにありましたように、今後新たな制度で75歳以上の方への実施を義務付けをしていくのだろうと考えております。ただ、具体的な対応方法は今後、更に技術的に検討したいということでございます。
 それから、2つ目の丸は、現在、実施状況についての中間評価をしておりますので、引き続き、更に推進できるような方策を立てていきたいということでございます。
 もう一つ、前回少し御紹介いたしましたが、療養病床の再編につきましては、次回を念頭に置いておりますが、状況によりますけれども、介護保険部会の検討状況も踏まえて、何らか御報告できればと思っております。
 大枠、こういった方向性でございますが、先ほどファインチューニングがというお話を申し上げましたけれども、その中で特にいろいろと言われておりますものとして、後期高齢者の支援金への加算・減算制度というものがございますので、この関係の御紹介をまずさせていただきます。8ページでございます。
 これは25年度以降実施ということで、法律の規定上、はっきりと具体的にどうするかということが詳細に決められているわけではございませんが、大枠が定められております。
 まず、後期高齢者の支援金は、高齢者の方の医療費について、本人の保険料が1割で、公費が5割、4割が若年の保険者からの支援金という構成になっておりまして、この支援金につきまして、健診・保健指導の実施率等々によりまして加減算する仕組みが今の制度に大枠として設けられております。
 下の加減算の方法ということで、1は目標達成の状況で見るということでございまして、下にありますけれども、減算・加算はプラスマイナス10%の範囲内。それから、総額は財政中立的に、全体としてはプラスマイナスがないような形にすることになっております。各医療保険者からの支援金の総額は大体5兆円ぐらいになりますので、動くお金をプラスマイナス合計しますと、マックスでいきますと、それの10分の1程度になろうかという仕組みになっております。
 9ページをお開きください。考え方について、ちょっと整理したものをもう一度御紹介させていただきます。
 左側は、各保険者さんが幾つかあったとして、大体条件が同じとした場合にということで、仮にイメージとして用意いたしました。若年のころに健診・保健指導によって生活習慣病の予防対策をとった保険者、それから、とるのですけれども、実際の実績がなかなか出てこない保険者があると思います。こういった中で、仮に皆同じだとすると、将来の高齢者の医療費の負担についても同じだけの効果が生じてきて、同じだけの恩恵といいますか、メリットが出ると思います。
 これが実施率に応じて、その効果が、仮になかなか実績が出ない場合どうかということで、右側の絵にしております。これは、高齢者の医療費をみんなで均等に、公平に負担するという考え方がございますので、それに従って出てくる話ではあります。下の丸にありますように、若年のころに保険者さんとしてコスト、手間をかけて、それで相対的に医療費がかからない高齢者の方々を輩出した保険者さんにつきましては、相当程度の投資といいますか、あらかじめお取組みをされているということがございますので、これを将来の医療費の貢献に応じて加減算、調整するということが必要ではないかというのが、この趣旨でございます。
 現在の加減算制度についての論点を10ページに幾つか示させていただきました。
 1つ目の丸でございますが、そもそも実施率が低い保険者へのペナルティーだという評価をいただくこともございまして、これについて、加減算制度そのものを廃止すべきだという御意見もございます。こういったものをどう考えるべきかという論点を1つ提示しております。
 これは、既に先ほどごらんいただきましたように、参酌標準を達成している保険者もある中で、こういったことについて努力している保険者さんに対して、どのように考えるかということも含めて論点として考える必要があると考えております。
 それから、2つ目の丸でございますが、市町村国保、健保組合、被用者の中でも単一健保、総合健保、協会等々、さまざまな保険者さんが、それぞれ事業所なり加入者の方との距離とか取組みやすさを含めて相当違いがある中で、これを一律に比較するような仕組みがよいのかどうかという論点がございます。これは、下にありますように、そういったことを勘案する必要があるのではないかという趣旨でありますが、個別具体の算定をする際の考え方が必要かということであります。
 それから、3つ目の丸でございますが、加減算される金額というものがどうかということがございます。先ほど申し上げましたように、今、5兆円の支援金の10%という規模でございます。現在、特定健診等の事業規模は全体で1,000億円程度でございますので、それとの意味合いでどのぐらいであるべきかということも1つあるということでございます。
 それから、一番下の丸でございますが、生活習慣病対策で将来の医療費への効果というのは、当時、ある程度抽出した小規模なところのエビデンスに基づいてやっているわけでありますが、これを実際に具体の算定式とするエビデンスというものをどのように出してこられるのか。もう少しデータの蓄積状況を見る必要があるのではないかという論点でございます。
 こういった中で、次の制度に、大枠としてはこういった健診・保健指導は実施すべきで、そういったものに対するインセンティブが必要だろうというお話である中で、どういった形で持っていくべきかを考えたいということでございます。
 本日は、この論点の提示というところまででございまして、また御議論を踏まえまして、次回以降に何らかの形の案が御提示できるといいなと考えております。まず、御説明は以上でございます。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に対しまして、御質問、御意見ございましたらば。それでは、樋口委員。
○樋口委員 ありがとうございます。
 あらゆる財政的なエビデンスが、医療費増加の最大要因は老人医療費の増加ということでございまして、これは事実そのとおりだと思いまして、高齢者の1人として首をすくめながら、一方で人口構成の高齢化ということが我が国が直面している事実でございますから、これに対応するのも、また国の責任であろうと思っております。と同時に、高齢者自身ができるだけ疾病に陥らないように努力し、かつ陥ったら速やかに治るようなあり方を目指していきたいと思いますが、最初の方の大変初歩的なことで、1つは意見でございます。
 適正化は結構なのですけれども、適正化というのは、要するに医療費抑制ということだと思います。その抑制ということの1つが、1人当たり老人医療費をとにかく、例えば入院費を長野に近付けていくということ。日本は、もともと在院日数の長さが指摘されておりますから、それは当然のことと思いながら、特に最近、非常に家族構成の変化、ひとり暮らしとか老夫婦が、諸外国で例を見なかったぐらいのスピードで、今、家族関係が大きく変化しております。
 そういう変化の中で、在宅でといいましても、ひとりで帰すような状況で、24時間巡回とか訪問医療とか、いろいろあり得ると思いますけれども、そういう家族の側の変化を思いますと、ひところ日本の高齢者の入院の中で社会的入院という言葉が言われましたけれども、あえていえば、これからこそ社会的入院の本格化時代だと思います。特養は数がございませんから、むしろ入りやすい病院の方に流れていくだろう。
 そこはどうぞ介護保険の方との連携もお考えいただきまして、お一人様とお二人様を合わせますと、高齢者世帯の半数以上にもう既に上っております。そこをどういう地域のケアとか医療的なケアで支えることができるのか、その辺について常に御配慮の上、適正化ということもお進めいただきたい。これはむしろ要望でございます。
 次は質問でございますけれども、私ども後期高齢者の側といたしましては、いわゆる後期高齢者医療制度が何もかも75歳という年齢で区切って、あえて医療保険制度の別なものをつくり、仲間外れにしていく。それは全くごめんだという思いがございまして、今回、廃止と決まって、そしてその方向性を私も含めて、高齢者委員4人も加えていただきまして検討させていただいている。これは誠にありがたいと思います。
 そして、国民全体の医療保険の中に戻しますよということの中に1つ、健診の問題があったわけですよね。今まで義務化されていた健診が、75歳以上だけ努力義務でいいですよというのも、それは老い先短いとはいうものの、ちょっとあんまりじゃないのという思いがしておりまして、これまたもとに戻していただけるということは大変結構なことだと思っております。
 ところが、文章の意味が、私の理解が欠けているのかもしれませんけれども、義務化していく。しかも高齢者の疾病のかなりの部分が生活習慣病であり、その有病率とか予備群を25%引き下げていくのを目標とするとうたってあるところを見ると、健診というのは大変それに役立つのではないかと思いますが、6ページの意味、ちょっと御説明ください。
 6ページの下から2番目の白丸でございますが、「特定健診・特定保健指導については、生活習慣病を予防し、高齢期等の医療費の効率化できる部分を効率化する取組みであり、保険者機能の強化の点からも、引き続き取組みを進めていく」で終わっていればわかるのですけれども、「いくが、今後の具体的なあり方については、高齢者への対応を含め、別途技術的な検討を進めることが必要である」。この最後の2行の意味が全くわかりません。なぜもとへ戻す。それで素直でいけないのでしょうか。
 以上です。
○糠谷部会長 どちらですか。どうぞ、高齢者医療課長。
○吉岡高齢者医療課長 高齢者医療課長でございます。
 特定健診・特定保健指導、これは大事なことでありますので、今後とも引き続き進めていくということが、まず大前提でございます。ただ、その際に、高齢者への対応についての技術的な検討。これは例えば、健診項目をどうするのかといったことについて、いろいろな御意見をいただいておりますので、そうした技術的な点についての検討をするということでございます。
○糠谷部会長 それでは、鈴木委員。
○鈴木委員 特定健診・保健指導に関しては、導入当初から医療費抑制の効果があるのかどうか、医療経済学者のほとんどは疑問視していたという事実もあるのですが、実際始まったわけで、私も日医の常任理事になるまではある大企業の産業医もしておりましたが、要するに積極的支援という一番重点的にやる方は、保険者が対象を決めるのです。
 私が見るところ、どうも目標をクリアしやすいような、わずかに超えたような、腹囲が1センチ多いとか、そういう人を選んでいるような気もいたしまして、実効があるのかどうか。重い人から順番にやりなさいということには、たしかなっていませんよね。ですから、その辺が根本的な疑問がある。
 そして、そもそも腹囲測定というのは、かなり誤差があるのですよ。現場では常識で、あれは非常に問題があると思います。そういったところで、目標を達成したところは、何らかやるとおっしゃったのだから、必要かもしれませんが、達成のための中身がどうかということも見ないと、効果があったかどうかは言えない。ましてや、何十年たっても、それでは全然違わないではないかということになってしまうので、見直すとおっしゃるのだったら、その辺から根本的に見直さないと、ちょっと禍根を残すのではないかと思っております。
○糠谷部会長 どうぞ。
○小林委員 資料3、10ページの加算・減算制度の論点について申し上げたいと思います。
 私どもは、この加算制度については廃止を含めて見直しをする必要があると高齢者医療制度改革会議等の場において何度か申し上げてまいりました。資料の2つ目の丸にあるとおり、保険者間での前提条件が大きく異なっており、これを一律に比較することについてはとても納得できないと考えております。
 前提条件の違いについて具体的に申し上げますと、第1に、協会けんぽは加入者が3,500万人であり、健康保険組合とか共済組合と比べて規模が格段に大きく、また保険者と事務所の間の日常的な関係が非常に薄い。かつ、距離が非常に遠いということがございます。
 第2番目として、事業主から健診データの提供を求めることができることが規定されておりますが、事実上、個人情報保護等を理由として提供を受けることは非常に難しいのが実情です。
 第3番目として、加入する160万事業所の4分の3は、従業員が10人未満の中小零細企業で、かつ広い地域に点在している状況にあるということから、効率的な事業の遂行というのは極めて難しく、こういったことは、他の保険者に見られない特殊性であって、一定の調整で対応できるものではないと考えております。
 加算・減算の仕組みについては、新制度においては基本的には廃止される方向になると理解しております。同様に、現行制度においても、このような特殊性に基き、ペナルティーとしての加算制度は廃止の方向で是非お願いしたいと思います。
 以上です。
○糠谷部会長 それでは、白川委員。
○白川委員 今、小林委員が御指摘になりました後期高齢者支援金の加減算制度につきましては、2年前に制度が発足したときからいろいろな議論がされておりまして、特定健診・保健指導の実施状況と後期高齢者支援金と、一見関係のないところを結び付ける制度である。あるいは、保険者間でかなり環境が違うところで同列に比較していいのかという議論もたくさんあったかと思います。私も、基本的にはこの制度は最初からおかしいなということは申し上げてきたので、今回、見直すということについては賛成でございます。
 ただ、そうは言うものの、2年前からこういう縛りの中で、ペナルティー怖さとは言いませんが、インセンティブを信じて、これに努力してきた健保組合も一部あるわけでございまして、そういう努力も無視できないと考えております。ペナルティーはいかがかと思いますが、インセンティブになるような仕組みを何か別に考えていただけないかなという気持ちでおります。
 いずれにしましても、今日は論点整理ということで、あと具体的な検討は次回以降ということになるかと思いますので、とりあえず今日のところはそういう御意見だけ御披露させていただきます。
 以上でございます。
○糠谷部会長 高原委員、どうぞ。
○高原委員 健診を実際にしておる立場から申し上げます。
 非常に健診率が低うございますけれども、一部うまくいっているところもある。厚労省としては、健診がうまくいっているところは、どういうことでうまくいっているのか、あるいは全体でどうしてうまくいっていないのか、そこのところのお考えはどうか。
 もう一点、健診の中身でいいますと、今、保険者がしておりますけれども、大変申しわけないですけれども、協会けんぽ、あるいは健保組合は、特に本人でなくて家族の健診内容が、昔やっておった住民健診と比べると項目が非常に少ない。その上、自己負担が多いですので、これならもう健診を受けずに保険で検査してくださいということを言われることがよくあります。
 だから、内容ももうちょっと考えていただかないと、魅力に乏しい健診であるということも、特に本人でなくて家族の場合はそうですので、もし健診率を増やそうとすれば、そこのところも考えないといけないと思います。
 もう一点、加減算の問題ですけれども、今の状況でかなり高いハードルがありますね。恐らく、達成できているところが今あるから、これから先、大丈夫だというのが厚労省のお考えのようですけれども、こちらとして、かなり低いことになってしまうのではないか。かえって目標を達成できないところが多いのではないか。その場合にほとんど減算になってしまう。その場合には、もう一度目標の設定とか、そういう形を考え直していただけるのでしょうか。
 よろしくお願いします。
○糠谷部会長 それでは、齊藤委員。
○齊藤正憲委員 先ほど協会けんぽの方から話がありましたように、いろいろな問題はあるとは思いますけれども、前回改正で、特定健診および保健指導と支援金の加減算をリンクさせたのは、保険者が生活習慣病対策に積極的に取り組むこと、そのことによって保険財政に貢献したことをきちんと評価しようという考え方であると思います。これから制度の見直しを検討するとしても、保険者が生活習慣病対策等に積極的に取組むことに対するインセンティブという点については、是非この考え方は堅持すべきではないかと考えております。
○糠谷部会長 どうぞ。
○横尾委員 多久市長の横尾です。3点ほどあります。
 1つ目は、先ほどの説明では、健診については項目の見直しをしていただけるという話があったわけでございますが、今回の資料をいただいて現場の方の意見も聞いてみました。そうすると、75歳以上の健診ということを想定しますと、当然介護の対象になっている方も多々おられます。そうしますと、重複する部分も当然出てくると思いますので、御本人にとっては何回も同じような検査をするのも負担になることもあり得ましょうから、是非そういったことを整理していただいて、統合するなりして共有化していただきたいと思います。
 例えば特定健診では、身長、体重、BMI、腹囲、視診、触診、聴打診、血圧測定などがありますし、介護関係では生活機能評価で、身長、体重、BMI、血圧測定、視診、触診、聴打診など、かなりダブっているところがありますので、そういったことも含め、調整をお願いしたいというのが1点目です。
 2点目は、支援金制度のことでございますが、現在、後期高齢者医療制度については、高齢者医療制度改革会議で審議中でございますが、今のところのスケジュール感でいきますと、いずれ新たな制度になり、現在の後期高齢者医療制度対象者の方々が国保あるいは被用者保険へと移行される形になっていくわけでございます。
 その高齢者の方を含めた、例えば保健指導の成果というものについては、評価とか判断がなかなか難しい面もあると思いますので、その辺を丁寧にきちっとやるということを設計していかないと、評価にしても難しいでしょうし、公平感等のこともありますので、慎重な対応を是非お願いしたい。
 3点目でありますが、健康啓発のことであります。九州市長会でも、私、市長なので申し上げたのですが、現場の保健師の話を聞いても、「クーポン券がありますから、割安で、あるいはただで受けられます」、あるいは、「交付金・助成金を出しますので、負担金なしで受けられます」という制度をつくっても、なかなか健診に足を運ぶことは上昇していきません。肝心なのは御本人の意識なのです。
 私どもの市でも、検診でイエローカードをもらった方には、議長さんであろうと、一般の市民であろうと、保険師が訪ねていきまして、個別訪問で引っ張り出して検査を受けてもらっていますし、指導もしていますが、そういったことを考えていくと、やはり意識を持っていただくような啓発を、当然これは本人の意識改革が重要なのですけれども、政府の国民の命を守る、あるいは健康を増進するという意味でもお願いしたいと思っています。
 特に最近、地域医療に関する会議、学会に出まして話を聞いてみてわかったことですが、今、世界に冠たる長寿社会に日本はなっています。片方では、ゲノムをはじめとした新しい医療情報も出てきていますし、技術もどんどん進化して、iPS細胞からの複製とか対応ができてくる可能性が将来的に出てきています。その間どうするか、あるいは現在どうするかという最大の問題は、その専門の先生のお話によると、寝たきりにならない対応をどうするかだと思われます。
 転倒防止とかありますし、あるいは日常生活の中で筋力をちゃんと保つ。そういったことも含めた啓発をしていかないと、ある日突然倒れて、御本人も家族も大変なことになることがやってきますし、それはお互い大変不幸なことであるし、つらいことですから、啓発については、いろいろな機会でしていただいていると思いますが、我々自治体もしっかり啓発していくように市長会でも議論しておりますけれども、政府としても音頭をとっていただきたい。今、健康番組を見ていると、健康シリーズは視聴率が高いのです。ですから、是非啓発や広報を充実していただきたいと思います。
 内閣府の調査を見ましても、「今の生活に不満がありますか、不安がありますか」という質問に、大体65%の方が不安か不満をお持ちです。上の3位をとると、そのうちの2項目が健康です。本人の健康、家族の健康です。是非そのことをお願いしたいと思います。
○糠谷部会長 この段階で、今の御意見等について、事務局の方で何かお答えしておいた方がというのはありますか。
○城医療費適正化対策推進室長 幾つかいただきました中で、高原委員から、うまくいっていないところ、いっているところというお話がありました。詳細な分析というのは、まだこれからでございますが、現状わかっておりますデータは初年度でございますが、制度が入ったばかりのときでございまして、地域での契約の遅れとか、幾つか要因はこちらとしても把握しておりまして、それについての対策もある程度とられてきているということがございます。
 例えば就業者の方に対して健診の受診票を、一度申請していただいてから送るような保険者さんがあって、それが余りに手間なので、ちょっと遅くなってしまったとか、いろいろございますので、その辺りは要素としては把握しております。満たしているところがどれぐらい、どういったことによって満たしているかというのは、これから更に調べてみる必要があるかと思っております。
 それから、目標についてということ、あと健診項目についてということもございましたが、これは先ほどお話のありました技術的な検討をするというのを、時期を見て検討会なりということをやっていく必要が多分あると思っております。そういった中でも、関係の皆様、専門家の皆様等にも御議論いただいた上でということになろうかと思っております。
 あと、介護の健診といいますか、生活機能評価との重複。今でも同時実施した場合についての調整はしておりますけれども、引き続きそういったことは留意してと思っております。
 おおむね以上でございます。
○糠谷部会長 それでは、最後のお一人。
○猪塚参考人 10ページの先ほどの話の続きですが、現行の支援金の加減算制度の論点についてでございますが、協会けんぽの小林委員よりももっと強い意見を国保の立場から申し上げたいと思います。
 特定健診・特定保健指導ですけれども、被用者保険では職場での対応が可能だと思います。それに対して市町村国保はどうかというと、地域に散らばっている人を1か所に集めるという作業が伴う場合もありますし、あるいは医療機関に行くように促す必要もございます。非常に厳しい状況の中で同じ土俵に乗っているわけでございます。
 このように保険者の種類とか規模によって、特定健診・保健指導の実施環境が大きく異なる中で、10ページの3つ目の丸ですが、加減算される金額は過大ではないかということで、まさにこれは国保の保険者によっては大きな負担を受けて、ダメージを受けているところがあるのだという事実がございます。
 ついては、先ほど来、お話がありましたようなインセンティブを生かすという視点からは、この加算・減算のあり方について抜本的に見直していただく必要があろうかと思いますが、私は個人的には保険料を伴う対応ではなくて、何か別の方法を編み出していただけないものかなと思っております。なお、全国市長会といたしましては、かねてからこの加減算措置の廃止を国に求めていることを申し添えます。
 以上です。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、この議題につきましては、本日はこれまでといたしまして、今日の意見も踏まえまして、今後引き続き議論を行うことにいたします。
 それでは、最後の議題でございますが、「国民健康保険組合に対する補助の見直しについて」を議題といたします。
 事務局より説明をお願いいたします。
○伊藤国民健康保険課長 国民健康保険課長でございます。前回、白川委員の方からも要望がございましたので、現在の国民健康保険組合に対する補助の見直しの状況について説明いたしますとともに、あわせて平成21年度に行いました所得調査の結果がまとまりましたので、それについても説明したいと考えております。
 資料4の表紙をめくっていただきまして、1ページをごらんいただきたいと思います。
 国民健康保険組合につきましては、同種の事業または業務に従事する従業員を組合員として組織された国民健康保険法上の公法人でありまして、現在165組合、被保険者数は352万人でございます。
 この国民健康保険組合に対する国庫補助の平成22年度予算額は3,255億円となっております。
 1つ目の丸にありますように、国保組合に対しましては、国保制度の一環として、財政の安定化を図るとともに、円滑な事業運営を確保する観点から、市町村国保と似たような形で補助を実施してきたところでございます。
 2ページをごらんいただきたいと思います。
 国庫補助の交付状況でありますけれども、国保組合が左から右の方に並んでおりますが、左の方が所得水準が高い国保組合、右の方が所得水準が低い国保組合でございます。
 真ん中に定率分がございますけれども、定率分につきましては、医療給付費等の32%が国庫補助されることになっております。ただし、米印にありますように、平成9年9月以降に健保の適用除外承認を受けて加入した者、組合特定被保険者と呼んでおりますけれども、これに対する定率分の補助率につきましては、これらは本来であれば協会けんぽに加入すべき者であるということで、協会けんぽ並びの補助率とされているわけでございます。
 この定率分の上に組合普通調整補助金というのがございます。これは、所得水準を10段階に区分しまして、段階に応じましてゼロ%から23%の補助を行うものでございます。所得の高い、医師国保、歯科医師国保など68組合につきましては、この普通調整補助金はゼロとなっております。
 更に、この組合普通調整補助金の上に組合特別調整補助金というものが乗っております。これにつきましては、次のページをごらんいただきたいと思います。
 3ページの真ん中ぐらい、調整補助金の中の特別調整補助金であります。この補助の趣旨でございますけれども、各国保組合の毎年度の財政状況あるいは経営努力に応じて配分するということでございます。
 この中で大きなウエートを占めておりますのは、経営努力分と言われるもので、右の補助の仕組みの3つ目の丸でございます。経営努力分につきましては、各組合の医療費適正化等への取組み状況を点数化し、算式に当てはめて機械的に算出しているところですが、これにつきましては配分が不透明であるという批判がございます。
 4ページでございます。次に、昨年来、マスコミ等におきまして、国保組合に対するさまざまな指摘がございましたけれども、これを踏まえたこれまでの取組みについて御説明いたします。
 まず、実態の把握ということでございますけれども、7ページにありますように、各組合の付加給付、積立金、国庫補助等に関する調査結果を公表いたしております。
 それから、2.医療費の一部自己負担の無料化を是正するように指導いたしております。本年5月の調査におきましては、16の国保組合において、一部自己負担を実質的に無料化するような付加給付を行っておりましたが、これについては適当でないという御批判もありましたので、現時点におきましては、すべての国保組合が無料化を見直す方向を表明いたしております。
 それから、3.財政力の高い国保組合に対する補助の削減ということで、本年の通常国会におきます国民健康保険法等の改正におきまして、協会けんぽの制度見直しに合わせまして、組合特定被保険者の後期高齢者医療支援金の3分の1部分にかかる定率補助につきまして、全国土木建築国保組合を総報酬割に参加させる、あるいは財政力の高い組合の補助を削減するという措置を講じております。
 それから、4.全国建設工事業国保組合の無資格加入問題に対する対応でございます。詳細は13ページに掲げさせていただいておりますけれども、2にありますように、厚生労働省あるいは東京都が実地検査を行いました結果、無資格加入者が2.8万人いたということでございます。このため、9月9日に行政処分を行いますとともに、国庫補助の返還を11月にも命令する予定でございますけれども、その額は80億円程度に上るものと考えております。
 それから、5.国保組合に対する指導監督の強化ということでございます。この全国建設工事業国保組合の問題を受けまして、すべての国保組合に対しまして法令遵守体制の整備、資格管理状況の点検を指導いたしております。また、都道府県等に対しまして国保組合に対する指導監督の強化を要請いたしております。
 それから、6.平成21年度所得調査結果のとりまとめでございますけれども、これは後ほど御説明させていただきます。
 5ページをごらんいただきたいと思います。
 補助制度の見直しの方向性でございますけれども、本年5月に行政刷新会議の指示によりまして厚生労働省行政事業レビューが行われました。国保組合に対する国保補助のあり方について議論が行われましたが、結論としましては、補助事業は継続するが、更なる見直しが必要であるということでございました。
 そのとりまとめコメントとしましては、財政基盤に不安のない組合に対して国庫金が入ることを長期的には廃止すべき。定率分の見直しも必要である。特別調整補助金の経営努力分と特別対策費補助金の廃止、定率補助と調整補助金の増額を含めた見直し。本来、協会けんぽに加入すべきであるが、平成9年以前に健保の適用除外承認を受けて国保組合に加入している者の定率補助を引き下げ、協会けんぽと同様の水準に抑えるべきといったコメントでございます。
 今後の取組みでありますけれども、この行政事業レビューの結果等を踏まえまして、補助制度全般について見直すことが必要となりましたので、具体的な見直し案を予算編成過程において検討することとしております。
 改革に当たっての基本的な考え方でございますけれども、個々の国保組合の財政力、つまり所得水準を精査し、それに応じた補助を基本とする。
 それから、市町村国保や協会けんぽに対する国庫補助とのバランスを確保する。
 国保組合に対する不信感や不公平感を持たれないようにする。
 国保組合が果たしてきた役割を踏まえ、保険者機能の強化に資するようにする。
 こういった基本的考え方に基づきまして、今後検討していくとこととしております。
 それでは、資料5をごらんいただきたいと思います。資料5は、平成21年度国民健康保険組合の所得調査結果でございます。
 この調査方法は、都道府県に依頼をしまして、165組合の加入者リストの中から、下の(参考)抽出割合にありますような率で無作為抽出をしていただきまして、調査対象者を決めてもらい、国保組合において対象者に市町村の窓口で課税証明書をとってきてもらうという方法で実施しております。
 調査結果でございますが、真ん中の欄の加入者1人当たり加重平均を見ていただきますと、国保組合平均で217万円でございました。これを業種別に見てみますと、医師国保組合が644万円、歯科医師が225万円、薬剤師が221万円、一般業種が125万円、建設関係が71万円ということになっております。
 ちなみに、これを他の保険者と比較するとどうなるかということでございますけれども、済みません、また資料4の6ページに戻っていただきまして、真ん中ぐらいに平均所得というところがございます。
 市町村国保、国保組合、協会けんぽ、被用者保険、それぞれ使っております所得概念が違いますので、非常に比較をしにくいわけでございます。例えば市町村国保は旧ただし書き所得を使っておりまして、79万円、国保組合では、今、申し上げました市町村民税課税標準額が217万円。協会けんぽや健保組合では総報酬を使っております。218万円、293万円となっております。
 ちなみに、注4の2行目の一番最後でございます。仮に、旧ただし書き所得に相当するものを試算してみると、国保組合の場合は加入者1人当たり316万円、協会けんぽの場合は加入者1人当たり102万円、健保組合の場合は加入者1人当たり154万円になります。
 国保組合の場合、加入者1人当たり316万円ということで、かなり高いように見えるわけでありますけれども、これは平均でございまして、業種別に見てみますと、医師国保が795万円、歯科医師が324万円、薬剤師が320万円、一般が204万円、建設国保が135万円になっているわけでございます。
 補助制度の見直しにつきましては、更に検討を進めまして具体的な案が整理できれば、この場でまた御説明したいと考えております。
 以上でございます。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、御質問、御意見等ございましたらばお願いいたします。それでは、白川委員。
○白川委員 前回、お願いしましたら、早速うまく資料を整理していただきまして誠にありがとうございます。
 1点だけ。今の資料の5ページの行政事業レビュー、今後の取組みということで4点御指摘、基本的考え方ということでまとめられております。今の国保課長の御説明では、来年度予算編成の過程でやれるものはやるという御説明だったと思いますが、現実的には一挙に国庫補助率を急激に下げることも、実態的にはなかなか困難を伴うと考えますので、できるだけやっていただきたいのですが、1年だけではなく、2年、3年、中期的に考えて段階的な配慮をするとか、そういったこともやりながら、是非この4つの項目については実行していただくようにお願いいたします。
 以上でございます。
○糠谷部会長 高原委員。
○高原委員 高原でございます。裕福国保組合という医師国保の、またこれも西の果ての県の実情を申し上げます。
 先ほどから、収入が多い、そのかわり保険料も多い、そして補助も一番少ない、定率を除いて零%になっています。実際のところを申し上げますと、平成16年単年度4,000万円赤字、平成17年度4,000万円赤字、平成18年度7,500万円赤字、平成19年度10億円赤字、そして平成20年に後期高齢者が始まりましたので黒になっておりますけれども、そのような形でどんどん積立金の取り崩しをしておりまして、実際のところ、私は自分が医師国保の役員ですので、まだとどまっておりますけれども、うちの従業員はみんな協会けんぽに入れております。できたら私も逃げたいなと思っている状況です。
 富裕と言っていただいても、数が少ないですし、医者も病気しましてひっくり返ると、そのまま全従業員、パーになります。よその零細企業と一つも変わりません。御理解、よろしくお願いします。
○糠谷部会長 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 医師国保のことが問題視されているのかなと思いますが、今、高原委員からお話ありましたように、現実はそういう点もあります。国民皆保険制度の前からそういったものがあったということでございますので、今までの規定にのっとって良心的にやってこられたということだと思います。私も協会けんぽですから、医師が全員医師国保ではないということは御理解いただきたいと思います。
 地域医療に長年貢献された先生方がたくさん入っていらっしゃることも事実だと思います。内容としては、徴収率が高いとか、非常に良好な運営をしてきた。あるいは、医師だけではなくて、職員も含んでいるということもございます。
 当事者の御意見も是非聞いていただきたいのですが、例えば保険者機能を発揮して自家診療をしないということをやめれば、かなり悪化するという話も聞いておりますし、いろいろな対策がされようということではございますが、別に組合自体に落ち度があるわけでもございませんので、どうしても方針が受け入れられないということであれば、激変は緩和していただいて、先生方の御意見も聞きながらやっていただきたいと思いますし、削減した補助金の分を財政再建とかではなくて、せめて先生方のお気持ちも尊重して、少ない医療費の方にでも回していただけたらありがたいかなと思っております。
○糠谷部会長 ほかに御意見等はいかがでございますか。どうぞ。
○渡辺委員 医科の先生方がお話しされたので。歯科も大変ばらつきがありますね。それぞれの都道府県における会の状況によって、経営が厳しい状態もあります。ちなみに、東京などは当初から健保の方に入れさせていただいております。そういう中でも、家族・従業員の治療費は算定しない、請求しないということで、特別な疾患で、同じ歯科でも例えば大学病院で治療しなければいけないときには特別に出るのですけれども、そういう厳しい状況でやりくりしながら経営しているという実態もあるということをお知らせしたいなと思います。
○糠谷部会長 ほかに御意見等。それでは、事務局、どうぞ。
○伊藤国民健康保険課長 白川委員の方から御意見いただきました。一気にやると、確かに影響が大きいので、激変緩和的なものを考えながらやっていく必要があるだろうということはそのとおりだろうと考えております。
 あるいは、高原委員、渡辺委員から御指摘ありましたけれども、確かに国保組合の財政収支につきましては赤字ということかもしれませんが、補助は、所得水準に応じてということが基本ではないか。つまり、国保組合の財政収支が赤字か黒字かということではなくて、被保険者の負担能力がどれぐらいあるのかということが補助制度のあり方を考える基本になるのではないかと考えているところでございます。
 以上でございます。
○糠谷部会長 ほかに御意見、御質問、よろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○糠谷部会長 それでは、この議題につきましては、本日の御意見等も踏まえまして、今後引き続き議論を行うということにいたしまして、本日はこれまでとさせていただきます。
 失礼しました。もう一つ議題がございまして、その他といたしまして「医療事故の死因究明及び再発防止を図る仕組みについて」、事務局から説明をお願いいたします。
○渡辺医政局医療安全推進室長 医政局医療安全推進室長の渡辺と申します。前回、高原委員から御質問いただいた関係で、資料6に基づきまして説明させていただきたいと思います。
 これまでの取組みのところに3点書いてございますけれども、おさらい的になりますが、この件につきましては、これまで三次にわたり試案を公表、意見募集をして、平成20年6月に大綱案を公表したということでございます。これらに関しましては、患者・遺族・医療者からさまざまな賛成意見、こういう点が問題であるというさまざまな意見があったところでございます。
 一方、民主党からは、当事者間で納得を得ることが基本であるという認識に立たれました案が出されまして、一言でいいますと、病院内での取組みを重視するという案でございますけれども、このようなことが公表されたところでございます。
 現在の状況を3つ、ポツで書いてございます。
 民主党政権になってから国会で審議がございまして、第三次試案及び大綱案がそのまま成案となることはないという答弁がされたところでございます。
 このようなことから、これまでの議論を参考にしつつ、医療現場の方々はもとより、国民の方々、患者の方々の意見を幅広く聞きながら、関係省庁とも連携を進めながら検討することとしてございます。
 大綱案のいいところもありますし、民主党案のいいところもございます。これらを十分に勘案しながら、いい制度がつくられればと思ってやってございます。
 その一環ということになるのですけれども、対外的には2点ほど取組んでございます。診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業の内容の見直しを進めていることと、死因の究明に資する死亡時画像診断の活用に関する検討会を6月からやってございまして、このたび5回目を迎えて、鋭意検討しているところでございますけれども、こういうことを進めながら検討を行っているところでございます。
 以上です。
○糠谷部会長 ありがとうございました。この件に関しまして、何か御質問、御意見等ございましたらば。高原委員、どうぞ。
○高原委員 質問をしましたので。
 医療関連死、医療事故の原因究明ということは、患者さんの立場でも、それからこちらの医療側の立場でも非常に大切なことだと思います。ところが、その大切な原因究明の制度の中に、調査するところと懲罰するところが一緒のところになっていたということで、1点はこれまでの大綱案に反対いたしました。
 もう一点は、いろいろな話し合いが、非常に上の立場の方だけでお話をして、現場の、例えば心臓カテーテル検査を自分たちでやっている人間とか、あるいは外科で手術をしている人間。もっと大きくいくと、介護のところでいろいろな事故が起こったときにどうするか。そういう現場の人たちの意見を聞かずに、どうも上だけで話し合ったということがありましたので、今回、改めて今までの進展状況、これからどうするのかということをお尋ねしました。
 よりよい方法、不幸にして事故に遭われた患者さん、医療側、そしてマスコミの方も変なぐあいにあおらずに、じっくりと問題の本質を見ていっていただきたいと思います。非常に先鋭な報道が目立ちますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○糠谷部会長 どうぞ。
○渡辺医政局医療安全推進室長 いただいた御意見を十分に踏まえながら、政務三役の方々と相談・協議しながら検討させていただきたいと思ってございます。
○糠谷部会長 ほかに御意見等ございますか。どうぞ。
○和田委員 まだ時間があるようなので、私も付け加えさせてください。
 現状の方向性というのは、これから検討をいろいろしていただくということでよろしいかと思いますが、前の大綱案の一番大きな問題だったと私が思っておりますのは、今、高原委員もおっしゃいましたように、法的な過失、重過失に限定しても、法的な認定までこの機関の中でやってしまう。その結果、機関そのものの目標が非常に多元的になってしまっているところに混乱があったと思います。
 1つは規範論的な観点から、もう一つは機能論的な観点で問題があると思います。規範的な観点からは、1人の人間に対して一定の有責性を判断する、評価するという場合に、これは裁判でもそうですし、それから検察での捜査でも適正な手続に基づいて評価していくというのが必要なわけですけれども、この仕組みの中でテンタティブなものであったとしてもそれをやるというのは、手続的な保障という観点からも難しいのではないかという気がしています。
 ここは、むしろ客観的な死因究明に特化していただいて、それを再発防止に結び付けていただく。あと、法的な観点からの評価をどうするかは、その結果を踏まえて当事者、患者さんのイニシアティヴにゆだねていけばいいのではないか。そして、医療機関としては、それゆえ患者さんときちんと向き合っていくというプロセスを、大事にしていただくことの方が重要ではないかと思っています。
 また、機能的には、最後に法的な判断があるということになれば、医療機関の側、特に医療者の方が現実的になかなか協力をしないのではないでしょうか。機能としてそうなるのではないかという予測が立って、結果的に制度としての実効性がなくなるのではないかという気がいたしました。
 そこを何とかこじ開けようとすれば、また調査権限を更に増すなど、だんだんこわもてのシステムになってしまいます。そうではなくて、むしろここは客観的な死因究明ということに特化していただいて、法的な評価ということはその外に出していく、分化させることの方が、むしろ制度としてはすっきりしているのではないかと思います。以上は私の意見ですけれども、御検討いただければと思います。
 ありがとうございました。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
 ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○糠谷部会長 よろしければ、大体予定の時間になりましたので、本日はこれまでとさせていただきます。
 次回の開催については、追って事務局より御連絡することといたします。
 本日は、御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございました。
 これで終わりにいたします。


(了)
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    (内線3215)

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