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2010年8月6日 第19回感染症分科会結核部会 議事録

厚生労働省健康局結核感染症課

○日時

平成22年8月6日(金)
15時~17時


○場所

厚生労働省 17階専用21会議室


○議題

(1)結核に関する特定感染症予防指針について[2]
(2)その他

○議事

○水野補佐 それでは、定刻でございますので、これより第19回「厚生科学審議会感染症分科会結核部会」を開催いたします。委員の皆様、また参考人の皆様には、御多忙のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は外山局長が広島で開催されております平和祈念式典に出席いたしております。また、結核感染症課長の亀井でございますが、国会対応等で1時間ほど遅れてまいりますので、御了解いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 開会に先立ちまして、委員の出欠状況の報告をさせていただきます。本日の出欠状況につきましては、川城委員から御欠席の連絡をいただいております。現在の部会員総数12名のうち11名の御出席をいただいており、出席委員が過半数に達しておりますので、本日の部会が成立いたしますことを御報告いたします。
 本日の参考人の皆様の紹介をさせていただきます。国の結核対策において中心的に研究事業に取り組んでいただいております、結核研究所より森参考人です。
 また、前回の部会においても御出席いただきましたが、地域の結核対策において、接触者健診などの研究に取り組んでいただいております、山形衛生研究所より阿彦参考人です。
 事務局の紹介をいたします。7月1日より課長補佐に着任いたしました林補佐です。
 ここでカメラ撮りは終了させていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○水野補佐 続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料でございますが、最初に議事次第、座席図、資料1、資料2とございます。その後に参考資料が1~4までございます。不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
 それでは、後の進行は坂谷部会長によろしくお願いいたします。
○坂谷部会長 わかりました。本日は森先生が参考人として御出席でございまして、阿彦先生を含め、実は私が部会長でありますのは、森先生から引き継いで、私がここに座っているわけでありますが、そういう意味で懐かしく昔の部会を思い出す次第であります。逆に事務局の方は水野さん以外は全面的に交代になりまして、時代は変わったなという感じがいたします。
 それでは、円滑な議事に御協力をお願いいたしたいと思います。前回は盛りだくさんの討議をいたしまして、しんどかったのですけれども、本日は結核に関する特定感染症予防指針についてでございますが、規定に基づく接触者健診についてとBCG接種についての2点についてのみの議論でありますので、熱心な御討論をお願いしたいと思います。
 まず最初に、法第17条の規定に基づく結核に係る健康診断、いわゆる接触者健診についての議論を進めたいと思います。関する資料の説明を事務局の水野さんからお願いいたします。
○水野補佐 資料1をごらんください。法第17条の規定に基づく結核にかかる健康診断に関する資料でございます。資料をめくっていただきまして、資料の構成ですが、前回同様「結核に関する予防感染症予防指針(抜粋)」がまずあります。そちらをごらんください。接触者健康診断に関する議論の視点については、この2点になっております。
 「一般の住民及び医療従事者に関する注意喚起を目的として、集団感染が判明した場合には、厚労省への報告とともに、個人情報の取り扱いに十分な配慮をしながら速やかに公表することを記載することが必要か」。
 2点目「接触者健診を一層強化するために、どのような施策が有用であるか」という視点になります。
 付随する資料を説明いたします。次の資料に行っていただきまして、「健康診断による患者発見について」を御覧ください。今回は、定期外健診の方をごらんください。平成17年4月からは、この定期外健診がそのまま接触者健診のデータとなっております。また、この受診者の数は胸部単純X線の直接撮影と間接撮影の合計になっていることを御注意ください。
 また、平成18年1月からQFT検査が保険適用となっておりまして、接触者健康診断の数値への影響があると思いますが、これはまた後ほど、阿彦参考人より御説明があると思います。ここでは患者発見率の推移を御確認いただければと思います。
 自治体アンケートの結果の方をごらんください。自治体アンケートを接触者健康診断について行いました。こちらの方法でございますけれども、接触者健康診断の対象者の選定の適切性について、接触者の健康診断で見つかった患者の割合と接触者であったが健診対象とならなかった者のいる自治体の有無を検討しました。
 接触者健診で見つかる者が多いということは、健康診断が適切に行われている指標であると同時に、新たな感染に伴う発病が多い接触者健診が重要であるということも示しております。また、接触者であることが後でわかった健診対象ではなかった者の存在については、存在することは接触者健診の範囲設定が狭かったことを示しておりますが、同時に把握されているということは、健診対象を設定し直す機能が働いているポジティブな要素もあることを念頭に置く必要があるということです。
 接触者健診が確実に行われているかどうかについては、接触者健診のうち、感染検査、発病後の追跡のそれぞれの健診実施率の調査を行っております。結果の方は表13をごらんください。全結核患者中接触者健診での発見割合が最初の行にございます。これは0~32%でございます。全国平均は5.9%でございますけれども、うち20自治体が10%以上と大体高めであったということです。また、こちらは表に載っておりませんけれども、実際に接触者であったが、接触者健診の対象とならなかった者から結核発病を経験している自治体は98自治体中27自治体あったということでございます。
 表の方で、感染検査については、ツベルクリン反応、QFT反応検査を指しますけれども、感染検査受診率は全国で40%。この感染検査により潜在性結核感染症と判定された者で治療開始をした者は52.4%。潜在性結核感染症の治療を開始した者の中で、治療を完了した者が68.2%と出ております。また、X線の受診率が52.1%、53.7%と出ておりますけれども、これに関してはQFTを行った者に関しては、X線検査を行わない者がいることがございますので、必ずしも100%を目指す必要はないというような数値でございます。その辺を御留意いただければと思います。
 その後の「結核の接触者健診の現状と課題」についての資料は、阿彦参考人より資料の説明をお願いいたします。
 こちらは以上です。
○坂谷部会長 ありがとうございました。質問がおありになると思いますけれども、阿彦参考人のお話が済みましてからにいたします。
 引き続きまして、5ページ以降「結核の接触者健診の現状と課題」でありますが、阿彦参考人より御説明をお願いいたします。
○阿彦参考人 では、5ページの資料に基づいて説明いたします。結核の接触者健診の課題ですけれども、1つ目として、健診の構成要素と法的根拠を考慮した場合の今回の予防指針の見直しに向けた課題についてです。結核の接触者健診は資料に示したように、?@~?Bまでの3つの目的があります。これらの目的を考慮しますと、結核の接触者健診は感染症法17条に基づく健康診断だけではなくて、同法15条に基づく積極的疫学調査も大切な構成要素であり、更には潜在性結核感染症の治療支援を組み合わせることによって、健診の目的が達成できると言えると思います。
 そこで課題ですけれども、現行の予防指針では接触者健診を狭い意味にとらえまして、17条の規定に限定した内容となっております。この指針の見直しに当たって、同法15条を組み合わせた広い意味での接触者健診という視点から、その充実強化の在り方を示すべきだと考えます。これが1点目です。
 2つ目ですけれども、結核菌の分子疫学調査についてです。お手元の資料には課題を述べる前に、その有用性を簡単にお示ししております。感染症法15条に基づく調査では、患者や家族などへの聞き取り調査、いわゆる実地疫学調査の情報に加えまして、結核菌分子疫学調査の情報を組み合わせることによって、正確な感染伝播の実像を確認することができます。
 例えばということで何点か示しました。地域内の結核患者から検出された結核菌株について広く分子疫学調査を実施しますと、実地疫学調査では相互の関連性がないと思われていた複数の患者の間で菌の遺伝子タイピングが同一と判明する例がしばしば発見され、その結果を受けて、保健所の方で疫学調査をやり直すと、当該患者間の接触歴が改めて確認できたり、あるいは想定していなかった感染経路が確認されまして、健診の対象範囲を拡大するということにつながった例が実際にございます。
 また、山形県のように結核罹患率が比較的低い地域では、感染経路が県内ではなくて大阪や東京等で感染したのではないかと思われるような患者さんが最近目立つのですけれども、先般も大阪等の関連自治体間で遺伝子タイピング、VMTRの情報の共有をして検討しました結果、高蔓延地域で感染したことの裏づけが取れた事例もございます。更に、いわゆるdiffuse outbreakの発見にも分子疫学調査は有用ですので、結核菌分子疫学調査の広域ネットワークの構築が求められていると言えます。
 そこで課題を幾つか整理しました。この分子疫学調査は徐々に普及はしているのですけれども、対象を集団感染疑い事例に限定して行っている自治体がまだまだ多いです。集団感染事例に限定しないで、広く分子疫学調査を行っている自治体はまだ少なくて、複数自治体の連携による広域ネットワークの取組みも地方衛研のリファレンスセンターなどを中心に幾つか始まったところはありますけれども、動きが鈍いままです。
 その原因の一つに、検査にかかる費用負担の問題があります。この接触者健診の費用については感染症法に国庫負担の規定があるわけですけれども、負担金の交付要綱の中で、同法17条に基づく狭い意味での接触者健診に対する配慮は十分見られまして、今年度もQFTの基準単価がぐっと上がるなど、そういう面の配慮があります。これに対して積極的疫学調査を含めた広い意味での接触者健診の配慮にはまだ乏しい面がありまして、感染症15条関連の国庫負担金の対象項目は交付要綱の項目名を見ましても、感染症発生動向調査を意識したものとなっております。
 こういう現状をそのまま追認して解決策を考えてみますと、分子疫学調査は発生動向調査の中の病原体サーベイランスの一つとも位置づけられております。そこで結核菌分子疫学調査の積極的な実施を促すための環境整備としては、同法15条関連の国庫負担金の対象項目となっている病原体サーベイランスの検体件数の上限を大幅に引き上げることを要望したいと思います。
 具体的には現在の交付要綱では、ヒトを対象にした検体検査件数は年間300件を上限として基準枠が設定されているんですけれども、実際は山形県でもその2倍以上の検体検査が行われております。今年度は新型インフルエンザの検体検査を別枠で500件新たに設定していただいているようですけれども、結核菌についても分子疫学調査を促進する意味で、別枠で検査検体の上限を設定することを要望したいわけですが、それが無理であれば、現在この負担金の交付要綱には、ヒト以外の動物の検査検体の枠がありまして、年間200の上限が設定されております。でも、動物の検査検体を病原体サーベイランスとして実施しているところは少なくて実績がないので、動物の検体枠を縮小して、ヒトの検査の上限を大幅に引き上げるなどの工夫もあるのではないかと思いました。
 3点目として、接触者健診の実施状況に関する課題を6ページの下の?@~?Bまで3つほど記載しております。これらの課題を踏まえて、後ほど説明する接触者健診の手引がつくられ、全国の保健所等で活用されているところです。
 この健診の実施状況に関する地域格差とも関連しまして、先ほどの事務局からの説明の項目とも関連しますけれども、4つ目の課題としまして「接触者健診に関する評価指標について」の課題がありますので、説明いたします。
 まず「(1)接触者健診の実施状況(output)に関する評価指標」として例示しているのは、新登録患者1人当たりの健診実施件数というものがあります。結核予防法の時代は、定期外健診の中に接触者以外のハイリスク者、業態者とか蔓延地域とか、そういったところの健診も含まれていたために、2006年までは便宜的に患者家族のみを接触者とみなして統計が取られておりました。先ほど事務局で説明があった統計表も患者家族の健診ということで統計が取られております。したがって、家族以外の接触者の健診実績は全く反映されないなどの問題点がありました。
 その他という健診の中には、接触者以外の方を含んでいるという問題点がありました。この問題点は感染症法に統合後の2007年からは解決されましたので、本日の資料には2007年と2008年の2年間の健診の実績について、都道府県別の成績を8ページの図1に示しましたけれども、非常に大きな地域格差があるのが見て取れると思います。
 一方、感染症法に統合後の新たな健診の評価では、新たな問題点が出てきました。それはQFT検査が第一優先の検査となりましたので、QFTが陰性の場合はレントゲン検査を行わないことが多くなったので、胸部X線検査の件数は接触者健診の実施件数を反映した資料とは言えなくなったということです。ですから、今後、先ほどのレントゲン検査を指標にした評価というのは、実質的な評価としては無理があるということになります。これに関連して、厚生労働省の事業報告の様式が改正されて、今年度の実績からはQFT検査の件数も把握されるということですけれども、新様式になっても、この実施件数の全貌の把握は困難と言わざるを得ないという状況です。
 次に、接触者健診の成果や効果に関する評価指標についてです。例として2つ。新登録結核患者のうち、発見方法が接触者健診によるものの割合。あるいは潜在性結核の治療対象者の届出率などがあります。これについても問題点がありまして、いずれの指標も規模が大きな集団感染事件が発生した地域においては、発生年次の指標値が不連続的に高くなるという欠点があります。そこでこの影響を緩和するために3年平均など、複数年にわたる評価が必要になりますが、実際の例を図3に示しました。非常に大きい地域格差があると思います。山形県も3年平均にしましたけれども、集団感染があった年を含んでいますので、こういう結果になっている可能性があります。
 評価指標に関するまとめですけれども、実施状況、output、outcomeのいずれについても現状では適切な評価指標の提案は難しいのですが、利用可能な統計資料に基づく評価を行った結果、この接触者健診の実施状況や成績に関する地域格差は非常に大きくて、接触者健診の質の向上と平準化が大きな課題であると考えます。
 関連で10ページ目から、今回改訂されました接触者健診の手引きの改訂版の修正点を説明しています。ごく簡単に項目だけ紹介しますけれども、本文は参考資料4として添付されておりまして、既に全国保健所長会のホームページ等でも公開されております。今回の最大の変更点はQFT検査の適用年齢に関する上限を撤廃したことです。また、第三世代のQFT検査の普及を想定した説明を追加したということ。小児へのQFT検査の適用例と留意点の解説を追加したということ。QFT検査の直接のタイミングについての説明を追加したということがあります。
 2つ目として、航空機内及び海外などでの接触者への対応について、航空会社や厚生労働省との連携を含めて、新たな項目を設けて記載しました。
 3つ目は、結核発病の有無の検査であるレントゲン検査について、QFT検査を行わなかった場合などで、レントゲンを基本とした接触者健診による経過観察を行う場合の標準的なスケジュール例を、全国の保健所等からの要望が多かったということを受けて、追加しました。
 最後に4つ目として、先ほど紹介しました結核菌分子疫学調査について、その法的根拠と留意点。調査結果に関する情報提供の方法についての説明を追加記載いたしました。
 簡単ですけれども、手引きの改訂版については以上で終わります。
 全体としても、以上です。
○坂谷部会長 ありがとうございました。おっしゃいましたように、手引きに関しましては、改訂点を資料に書いていただきましたけれども、大元の第4版に関しましては、参考資料4の左上をホチキスでとめた厚いものがございます。第15条、第17条に関しては、参考資料3に逐一書かれたものが用意されておりますので、御参考に願います。
 この会は特定感染症予防指針、結核に関する予防指針のことを議論しているわけですが、結核の発症がありました場合に、それからの蔓延を防ぐために接触者の健診をやる。これが重要なことであるのは論を待たないわけであります。それについての議論でございますが、視点については後で申し上げますが、今の事務局からの御報告及び阿彦先生からの御報告について、その中身について御質問がありましたら、まず受け付けたいと思います。いかがでしょうか。
 かなり細かい話になっていますけれども、阿彦先生の資料で7ページに、結核予防法の時代に「『定期外健診』=『接触者健診』ではなかった」と書かれておりますが、これは2007年に統合されたわけですけれども、それまではということになっていますが、実際は平成17年、2005年3月までがそうであって、2005年4月からは一応、定期外健診が接触者健診という位置づけにはなっておったということがあるという知識がございますけれども、そうですか。
○水野補佐 そのとおりです。
○坂谷部会長 ですから、わずかな年限の違いでありますけれども、結核予防法自体も最後のときには定期外健診も接触者健診と位置づけはしておったということがあるということになっております。細かくてかなりマニアックな話の説明があったわけですけれども、よろしゅうございますか。
 加藤委員、どうぞ。
○加藤委員 この2ページにお示ししていただきました定期外健康診断による患者発見の接触者健診の率が出ていますけれども、発見率の分母は実施された検査ですが、実際に何が示されているか。つまり、これはもし感染症法による国庫負担金の対象者になっているものだけの数字とすると、例えば医療施設等々で起こった集団感染の場合は、施設内でX線検査等が実施されるということがありますから、分母の数に含まれていない可能性がありますし、1年後、2年後等の検査につきましては、事業者健診で実施した場合には国庫負担金の対象にならない形で実施されている可能性がありますので、これらは辺は明確にしておかないと、正しい数が出ないと思われますが、どうなっていますでしょうか。
○坂谷部会長 水野さん、どうぞ。
○水野補佐 これは17条の対象になっている者は全部含まれるということにはなっております。
○加藤委員 そうすると、負担金の対象になった数とこの数と2つの数字が別にあると考えてよろしいですか。
○水野補佐 済みません。その辺は確認を要すると思います。
○坂谷部会長 この2ページの表についての問題は、16~20年が書かれていますけれども、これは同じ方法でやっている分ではないんですね。最初の方は例えば定期外健診でもレントゲンの検査を主にして、それによる判断で患者発見ということで%が書いてあります。途中でQFT検査が入ってきておりますし、最近ではQFT検査を主にしてレントゲンは撮らないという判断の方法でやっておりますから、母数、その発見の方法、健診の中身、それによる発見の率が異なってきて当たり前であって、決して同じものを比較して%で書いてあるわけではないと理解すべきで、この表がこのままひとり歩きするとややこしい話になるので、こういうふうに理解します。
 ですから、この数字は年次変化があるわけですけれども、本当に何を表しているかについては、相当慎重に考えないといけないということだと思います。ということを御承知おきください。
 阿彦先生、どうぞ。
○阿彦参考人 便宜的にこの表では受診者数と書いていますけれども、地域保健・健康増進事業報告の都道府県市町村からの報告の様式は受診者数というものは一切なくて、レントゲンの検査件数、直接撮影の件数、間接撮影の件数、そういう件数しかないです。ですから、この場合は直接と間接の合計を受診者数とみなして統計を取っていますけれども、例えば塗抹陽性患者の濃厚接触者だと、半年後にレントゲン検査でフォローということもありますので、そうすると1年間に2回撮る人もいますので、そういう人は2件となってしまうわけです。そういう面で、この統計のときに受診者数という項目がないのが大きい欠点になっているということで、しかも今回、QFT検査の場合QFTの件数としてしか取られないので、その辺りの評価にこれを使うときには、なかなか難しいというのが実情です。
○加藤委員 先ほどの質問の繰り返しになりますけれども、受診者数については、例えば医療機関で起こったような集団感染事例の場合は病院が自分でやっていますね。その数は含まれていますか。
○阿彦参考人 含まれていないと思います。
○坂谷部会長 阿彦先生の資料の中でも、最後の4ページの接触者健診についての数字も、グラフの方が書かれていましたように、棒グラフのこの差が何でそんなふうに出てくるのかという理由とか、この数値が何を示しているのか。その率が高いのがいいのか、低いのがいいのか。そういうことを含めて非常に判断に迷うというか、複雑な図であり表であると思います。
○阿彦参考人 特に図1の方は、そういう面で受診者数をどのくらい反映しているかということと、例えば東北地区は結構多いですけれども、同居家族が多いからというだけでこのくらいの差は出るわけないので、ある程度の件数が高いほど綿密にやっているとは言えると思いますが、どのくらいであれば適切かというのは、ここの指標だけでは難しいと言えると思います。
 その面はどちらかというと図2の集団感染の影響は少し受けますけれども、新登録患者の中で接触者健診から発見された人が高いというのは、低まん延になってくるほど高いことが望ましいと思いますので、余りにも低いところは接触者健診の実施状況が悪いか、質が悪いかということで、検討が必要ではないかと思っております。
○坂谷部会長 単純に図1と図2を併せて考えますと、健診の対象の範囲を広げれば、発見率数が上がるのは当然のような気もします。健診の数が少なくなれば発見の数も少なくなり、比率も下がる。ですから、図1、図2のそれぞれ左半分と右半分はちょうど連動しているようにも見えるのですけれども、それでいいのでしょうか。
○阿彦参考人 それについては、1人当たりの健診の実施件数と図2のところの指標の都道府県の散布図をつくって相関を見ましたけれども、明らかな相関は残念ながらありません。
○坂谷部会長 わかりました。ほかに御発表の内容についての御質問はございませんか。
○加藤委員 今の議論ですけれども、欧米の接触者健診のやり方を見ていきますと、低蔓になってくると、根絶に向けて徹底的に接触者からの発病者を探そうという考え方になりますので、患者1人当たりの接触者健診の実施数は増えます。
 ところが、そうやって実施数を増やすと発見効率は下がってくるという問題があります。日本はこれから低蔓に迎えるに当たって、発見効率だけの話ではなくて、根絶に向けて、本当に患者を減らすにはどうしたらいいかという少し新しい視点を入れて、もう少し積極的に実施する方向を考えるべきではないかと思います。
○坂谷部会長 そうしますと、接触者健診の範囲について、加藤先生はどういうふうに規定すればいいと考えますか。
○加藤委員 1つは指標をきちんとすることが大事でして、分母が補足されていない数があるのは問題で、それは例えば国際比較等々をするときに妥当性をどのくらい持っているかという議論がきちんとできないという問題がありますから、ちゃんとした評価をできるというのがまず1点目。やはり低減に向けて、少し発見効率が下がるかもしれないけれども、従来以上により積極的な接触者健診を実施していくという方向が必要ではないかというのが私の考えです。
○坂谷部会長 具体的にそれをやるためには、何か必要な項目というか、用意しないといけないことはありますか。
○加藤委員 先ほどの議論のとおり、指標をちゃんと確立する。あるいは調査の仕方を確立するというのがまず第1のステップだと思います。
○坂谷部会長 ありがとうございます。それでは、基の議題に戻りまして、議論の視点が2つございます。1つは一般の住民及び医療従事者に対する注意喚起を目的として、集団感染が判明した場合には厚労省への報告とともに、個人情報の取扱いに十分な配慮をしながら、速やかに公表することを記載することが必要かどうか。こういうことを議論したいと思います。
 前もって議論の進め方で、前回、前々回でお認めいただいたことでありますが、集団発生がありましたときに、これを速やかに公表することをうたいたいということでありますが、いかがでしょうか。
 以前と違って、個人情報の取扱いに十分な配慮をしながらという考えが入っているわけですけれども、今までは集団発生がありましたときに、どこの職場で、どこの大学でどういうふうな集団発生があった、集団感染があったということをマスコミでどんどん流しておったわけです。政府としても自治体としても流しておったわけですが、それが今も許されるかどうか。それをすることによって、国民の患者サイドの注意を換気して、予防対策に資するであろうという考えもできますし、そういうことは公表すべきでないという御意見もあろうかと思いますけれども、いかがでしょうか。
 高橋委員、何かありますか。
○高橋委員 資料のどこを見ればよろしいのでしょうか。
○水野補佐 資料1の議論の視点の1つ目です。
○高橋委員 視点ですね。済みません。情報公開法や個人情報保護法の考え方でも、プライバシーを守るということと同時に、やはりヒトの生命、健康を守るためには、場合によってはプライバシー情報でも開示するということが認められているというのが一般的な考え方です。蔓延を防止するために必要な範囲で公表するのは、国の一般的な施策の関連でも妨げられていることではないのではないかと思います。ただ、具体論ですね。具体的にどうやって公表していくのかというのは、個別具体的にいろいろと検討する余地があるのではないかというのが私の考え方です。
○坂谷部会長 集団感染があったということを公表するにはやぶさかではないけれども、どの程度まで個人情報。人数までは勿論出るでしょうけれども、施設であるとか組織であるとか、固有名詞を上げてということは許されるか許されないかというような細かい点についてはいかがですか。
○高橋委員 まさに具体論が問題だと思いますが、これは比例原則と一般的に言っていますけれども、蔓延防止上どれだけ必要なのかということと、それに伴ってどれだけプライバシーを侵害する形で特定がされて、ある種の不利益が当該患者さんに発生するのかという具体の均衡の話だと私は思います。
○坂谷部会長 一般論ではなくてケース・バイ・ケースというか、感染の大きさや重さということも関係しますね。
○高橋委員 そうですね。集団感染の度合いと、防止のためにそれを公表することの必要性ですね。それは具体の均衡を考えないと、一般論としては言いにくいのではないかと思います。
○坂谷部会長 御専門の立場から、例えば先年の新型インフルエンザの蔓延のときの状況は行き過ぎであったのか、結核に関してはあそこまではやる必要はないか。例を挙げて言いましたら、いかがでしょうか。
○高橋委員 インフルエンザのときにどういう公開をしたのか、私はつまびらかではないので、よくわかりません。具体にどうしたのかということを教えていただければ、それについての意見は述べることができると思います。
○坂谷部会長 例えば個別の学校の名前、勿論、土地や地域の名前、そこまで出たわけであります。結核の場合にもかなり特定のできる地域や学校、その辺がまさしくだめかもしれませんけれども、周りからいうと知りたいことであったりするわけですね。
○東海林委員 新型のときは、何丁目何番地とか随分聞かれたのですが、東京都の場合は区市町村までです。高校生とか年齢や性別なども公表せざるを得ないところでありました。住民にしてみれば、もしかしたらその人が自分の同じマンションに住んでいるのではないか、うつったらどうしようかという心配がかなりありましたが、東京全体としては区市町村どまりが原則です。高校で集団発生した場合には、学校が公表したという経緯があります。
 ただ、区の中で発生したとなると、私たちのところにもいろいろな人から問い合わせがあって、どうして教えないのか、対策の取りようがないではないかというような苦情がありました。教えますとプライバシーに関わるのではないかということで、区市町村までとしています。ほかの県のことはわかりませんが、かなり具体的に出しているところもあるかもしれませんが、東京の場合はそうでした。
○坂谷部会長 東京都ではこういう場合はここまでとか、何か基準がおありになるわけですか。
○東海林委員 そのときは東京都の感染症対策部署と特別区が一体になってやるという大前提がありましたので、区市町村もそれに従うという方向でやっていきました。自治体がいろいろやってしまうと、かえって足並みがそろわなくなるということで、東京都の考え方に従ったということです。
○坂谷部会長 書きぶりとしては、個人情報の取扱いに十分な配慮をしながらと、ここまでにとどまることになると思います。事務局にお尋ねしますけれども、今、東京都に御質問したことと同じ意味で、国の方には明確な基準は何かありますか。
○水野補佐 新型インフルエンザではなくて結核に関してですけれども、結核に関しては明確な基準はございません。ただ、国が今、集団感染について発表している情報は、参考資料3の17ページを見ていただきますと、ごらんのように個別の例については発表しておりません。個別の例については、すべてその自治体の裁量ということになっております。
○坂谷部会長 なるほど。保坂委員、どうぞ。
○保坂委員 新型インフルエンザの時、個人情報を出すか出さないかということに関連して、結核もそうだと思いますが、もしその情報を出すのであれば、もっとその感染症に対する正しい知識を一緒に出さないと、ただ、ここで発生しましたということだけの情報が出ると非常によくない状況が起きます。特に新型インフルエンザの場合はそうだったわけです。
 結核についても情報は流すべきだと私は思っていますが、その情報が流れたことで感染した個人やその方たちが傷つかないような正しい情報を添えて出すということが非常に重要ではないかと思います。この文章の中にどのように書き込めるかはわかりませんが、その点を留意しないと、一つひとつ別なこととして扱ってしまうと、結果的には余りいいことにならないのではないかと思います。その辺の御留意をいただければと思います。
○坂谷部会長 ありがとうございます。南委員、何か御意見はありますか。
○南委員 私も昨年のインフルエンザのときは、情報の出し方が非常に難しいなということを痛感しました。では、どうしたらよかったのかという非常にクリアーな回答は、結局ないままになっているというのが現状だと思います。
 結核となりますと、更に違った、歴史的な経緯で長年持たれている、ある種の差別といったものもありますので、情報の出し方にさらに注意をしないと国民全体にとっても不利益であるし、ましてや当事者や御家族にとっては非常にお気の毒なことになりかねないと思います。きちんと協議をして、クリアーな回答は出ないまでも、ある程度いろいろなことを想定して考えておくことが必要だと思います。
 こういう問題は、リスクコミュニケーションなど、いろいろな言い方で最近は言われていますけれども、情報の出し方として非常に留意をしなければいけないのは、インフルエンザのときもそうだったんですが、情報を出している側と受け取る側の意識のズレで、情報発信側は非常に配慮もして情報を出しているつもりでも、それがメディアを通してどう伝えられ何が伝わっていくか。情報が伝わっていく過程で、その情報を受け取る側がそれをどう受けたかということで、出した人の意図どおりにはなかなかいっていないという現状があります。それが情報というものの本来持っているリスクといいますか、どう伝えるかではなくて、いかに、何が伝わるのかを主眼にして検討しておかないと、対応が後手に回る貴見がある、ということではないかと思います。
○坂谷部会長 ありがとうございます。ほかの方はいかがでしょうか。
 集団感染がありましたときに公表するのはやめておこうという意見はないと思いますが、非常に慎重にやるべきだということだと思います。議論の内容につきまして、貴重な御意見が出ましたので、事務局で後でまとめていただきますようにお願いします。
 それでは、2つ目の議論。接触者健診が有用であるということは論を待たないわけですが、それを一層強化する。強化というのはどういうことかということを含めて、一層強化するためにどのような施策が有用であるか。この点について御議論を願いたいと思います。接触者健診の現状につきましては阿彦先生から御発表がありましたが、それをよりよいものに、強く正しいものにするためには、どのような施策が有用であるか。この点について御意見を求めたいと思います。
 強化というのは、その範囲や対象については先ほど議論がありましたが、健診の中身、判定の基準が論点になろうかと思いますけれども、どういうふうに接触者健診を進めていくべきか。この点について改めて御議論を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
 問題点の洗い出しが事務局と阿彦先生からありましたわけですけれども、もう一押し、阿彦先生から何か御提案はございますか。
○阿彦参考人 言い方は悪いですけれども、指針のこういう書きぶりが縦割りなんです。感染症法律の条文の縦割りになっていて、17条の規定に基づくとなっているものですから、15条やほかの条文との横の連携で総合的に接触者健診を強化しようという指針の書きぶりになっていないというところで、なかなかわかりにくいのではないかと思います。
 例えば先ほど私が申し上げた結核菌分子疫学調査は、前回の感染症発生動向調査のところの議論の視点の中に少し盛り込んでいる状況があるんです。そういう面で強化の視点からすれば、そういう複数の横のところをうまく現場でも理解して、対象者の把握は15条の調査をきちんとやって把握し、先ほど紹介したように、結核菌分子疫学調査をやると対象者の把握漏れに気づくこともままあるので、それによって対象者をきちんと広くとらえてやるとか、そういったことを今回の指針の改訂の際に御配慮いただければと思った次第です。
○坂谷部会長 ありがとうございます。こういった議論はもっともだと思います。資料1の1ページの左に予防指針が書かれていまして、基づく施策、議論の視点の一番下の2コマ目のところをやっているわけですけれども、いかにも17条だけがその根拠になっているような書きぶりになっているわけですが、15条の考えを取り入れて、疫学調査、菌のサーベイランス、そういうものも予防指針の中に取り入れて、実際に動かしていくべきであるという御意見であります。
 この点について議論を深めたいと思いますけれども、いかがでしょうか。東海林委員、どうぞ。
○東海林委員 実際、接触者の対象を絞り込むのはなかなか難しい状況があって、例えば高等学校の先生となると接触している人が多い。部活をやっている場合も多い。
 また、IT企業などでは仕事のやり方が全部違って、大きなフロアーでみんな働いていて、部屋が限られた狭い範囲の接触ではなくて、極端なことを言えば大きなワンフロアー全体が接触しているというような状況などがあります。この場合は、これまでのような接触者を見つけていくという方法自体がなかなか難しい。
 産業医等がいる場合には事前に打ち合わせをするのですが、結局のところはできるだけ多くやろうとなって、昔のやり方で接触者の絞り込みというよりも、むしろ拡大する傾向にあるのではないかと思います。その辺のところでレントゲンをやろうというのはかなり大変です。QFTをやろうとすると費用の問題も関わってくるので、大変苦労しているところもあります。
 ただ、結論から言うと、限りなく広く接触者という対象にしてほしいという現場の意見もあったり、こちらも少し広めに接触者を対象にしようかと。その辺で接触者を絞り込んでいくわけです。
○坂谷部会長 ありがとうございます。今の議論は対象者の範囲を広げていくのが一つの方法。途中で少し言葉が出ましたが、東京都はQFTの検査をやる場合には、費用はどういうふうに工面されていますか。
○東海林委員 それぞれの場合もありますけれども、東京都健康安全研究センターでやってもらっている場合もあります。民間でやってもらったりする場合もありますので、費用については差があるのですが、行政側では予算を組んでいてもオーバーしてしまうこともあります。私立の学校などでは検査の費用を出しますといったり、また会社の方も出すところがあったりしますので、その辺はできるだけ公的な費用の負担は減らしていきたいと考えてはいますので、お互いに話し合って、その範囲を決めているところです。
○坂谷部会長 QFTを対象者にやるかやらないかの判断は、どこでどういうふうに決めていますか。
○東海林委員 保健所に相談しなさいということと、保健所が必ず現場に行きますので、最終的には保健所サイドで決定するというふうになります。
○坂谷部会長 保健所さんとしてはどういう判断でやっておられますか。
○東海林委員 レントゲンを撮って画像で診断するよりは、QFT検査の方が有用であると思っていますので、実績が積み重なっていく中でQFTを重視していきたいと考えています。
○坂谷部会長 レントゲンとQFTのことに関しまして、ほかの委員からはいかがですか。加藤委員、接触者健診において、QFTをどの程度重視すべきでしょうか。
○加藤委員 今、阿彦先生が中心になっておつくりになった手引きの中にも書いていますけれども、基本的にはQFTの方が感染の診断能は非常に高いということですから、その予算の話もわからないわけではないですけれども、技術的に確かな方法で確実にやるというのを原則に、手引きに従う形で是非予算を確保して、きちんとやっていただくというのが、その対象者になった人に有益なのではないかと思います。
○坂谷部会長 ポイントは対象者の範囲を広げることと、QFTをいかに上手に利用するかということだと思います。ほかに御意見はないでしょうか。健診を一層強化するために、どういうふうな施策が有用であるか。
○加藤委員 先ほど阿彦参考人からも話があったんですけれども、結核の分子疫学調査が技術的には非常に進歩しております。従来はRFLPという方法で結核菌を培養して増やしてから実施しなければできなかった検査が、今はVNTRというPCRをベースにした方法に変ってきていまして、非常に迅速に技術的にも従来より容易にできる方法になっています。
 全国の病原微生物協議会の方も非常に積極的で、研究として全国の地衛研の方にスターターキットというお試しキットを配っていまして、全国的に研修もかなり進んでいます。今年度中に全ブロックの研修が終わるということになっています。地方衛生研究所全国協議会で、今、申し上げたデータベースもつくるといった動きもあります。広域的な分子疫学調査が集団感染の特定に役立ったという事例も幾つか出てきていますので、是非この強化を進めていくことが大事であると思います。
○坂谷部会長 ありがとうございます。3つ目は分子疫学手法を積極的に取り入れるべきであるということですね。ただ、古典的な疫学調査の方は分子疫学的手法が入る前から行われているわけで、その古典的な疫学者の方々は、この分子疫学的な手法が入ったことによって、その下流に立つということではないですが、分子疫学的手法のデータを基にして疫学調査を改めてというか追加というか、主導権を握るのは分子疫学調査の方が主体であって、従来の疫学調査の方が副であるとなりそうなことを懸念されるような動きを個人的には感じます。ですから、そういうことではないと説明をしているんですけれども、疫学調査、古典的な手法も強調して、そういうことをうたうべきかなと考えたりしますが、いかがですか。
○加藤委員 おっしゃるとおりだと思います。実際に分子疫学調査から古典的な疫学調査に戻るのは、後でまた振り返ることになりますので結構大変です。ですから、原則としては、この調査をやるときに古典的な調査のやり方をきちんと守って、しっかりした調査をやった上で分子疫学調査というのが大原則だと思います。
○坂谷部会長 細かい話ですけれども、菌の遺伝子が同一であるから、この症例とこの症例はどこかで接触しているはずであると仮定をして、それをもう一度調査してくれというようなオーダーが出かねないわけです。それに応じるということは、疫学調査をする方としては余り面白くないことらしいですけれども、時代の流れとして、分子疫学的手法を取り入れないと精緻な疫学調査はできないと判断をしております。
 対象の範囲を広げること。内容について、QFT、分子疫学的手法を取り入れて、菌の方からの検索をやること。そういうことを目玉にというか、新しい時代に即して取り入れていくべきであろうと。施策として有用であると考えたいと思います。
 ですけれども、付いて回るのは資金の話でありまして、そのためにどのくらいの人員が要るか、施設が要るか。国や自治体がどのくらいのお金を提供できるか。その辺が現実では問題になるということは間違いのないことであります。この接触者健診につきまして、今の議論以外に何か御議論がありますでしょうか。
 菌の検索をすることについての倫理的な議論につきましては、前回一応やったつもりでおります。このことについて、追加の議論がないようでありましたら、2番目の大テーマに移りたいと思います。BCG接種のことについてでございます。まず事務局から資料の説明をお願いいたします。
○水野補佐 資料2をごらんください。?@~?Cまでこちらから説明させていただきます。めくっていただきまして、予防指針の抜粋をごらんください。議論に視点につきましては、BCG接種においては3つございます。
 1つ目「今後の結核対策におけるBCG接種の位置づけを、どのように考えるか」。
 2つ目「BCG未接種者について、未接種の理由を把握することが必要ではないか。またその理由を踏まえ、未接種者対策についてどのようなことを行うことが必要か」。
 3つ目「コッホ現象への対応について、医療機関における対応の妥当性を確認し、適切な対応方法を示すことが必要か」とございます。
 めくっていただきまして「ツベルクリン反応検査・定期BCG接種対象者の変遷」の資料をごらんください。BCG接種の対象者はごらんのように変化してきておりますが、特に目立つ点としては、平成17年4月からツベルクリンを行わずBCG直接接種に変っております。また、小学校就学前の乳児、4歳に達するまでの定期であったものが、生後6か月に達するまでの乳児に行われるようになっております。事前のツベルクリン反応検査は廃止となっております。
 3ページを見ていただきまして「BCG接種者数の推移」をごらんください。接種者数はごらんのように減少してきております。
 「BCG接種率の推移」をごらんください。BCG接種率?@のところですが、接種率は年間BCG接種者数を分子とし、分母を年間出生数となっておりますが、大体90%を超えるところで推移しております。ただし、これは2007年の都道府県別のデータをもう少し詳しく見てみますと、88~142.5%までのばらつきがあるということです。要因としては接種者数の報告漏れ、重複が考えられるということです。
 BCG接種率はまた別の累積接種率調査というものを行っておりまして、これによりますと生後5か月における累積接種率でございますが、2005年に52.2%であったものが、平成17年4月のBCG接種対象が6か月以内になった後からは、2006年のデータからは97%の前後の辺りとなっております。
 BCG接種率?Bをごらんください。これは日本ビーシージーによる聞き取り調査の数字でございますが、接種体制によって、その接種率の変化があるかどうかがわかります。個別接種のみの自治体におきまして、96%台と若干少ない数字を見ます。
 5ページ「BCG接種による予防接種後副反応報告数の推移」をごらんください。この副反応報告をごらんいただきますと、腋窩リンパ節腫脹に関しては2007年、2008年に若干増えているように見えます。皮膚結核・皮膚結核様病変につきましても2008年については増加している。また、骨炎・骨髄炎についても多少増加が見られます。
 「新登録小児結核患者数(罹患数)および結核性髄膜炎、粟粒結核(1965~2008年)」の表を見ていただきますと、結核性髄膜炎数に関しては2006年から1件も出ておりません。粟粒結核におきましても減少しておりまして、2006年と2008年に1件出ているということです。
 「小児結核罹患率の推移(1962~2008年)」をグラフで見ていただいたものが6ページです。これも結果罹患率とともに減少の傾向がございます。
 「年齢別指針登録小児結核患者数の推移」でございます。表でございますが、これも年々減少してきています。
 7ページに行っていただきますとグラフになっておりますが、ごらんのような感じに減少しています。
 「小児結核患者および潜在性結核感染症の治療者における年齢別BCG接種率(2008年)」がございます。これを見ていただくと、例えば上の結核患者数のところについては、結核患者数のうち、どれだけBCG接種をしていたかというデータでございます。これは月齢0~2のところは0%、月齢3~5は25%となっておりますが、これは予防接種が大体3~6か月の間に行われるということを留意してごらんください。
 8ページ「年齢別発見方法別小児結核患者数(2008年)」でございます。これは小児結核患者数の発見方法でございますが、家族接触者健診と医療機関で発見されるものが多いということになります。
 9ページ「自治体アンケート結果(抜粋)」の説明に移ります。こちらのアンケートではBCG接種率と直接接種後のコッホ現象についてのアンケートを行っております。表14-1.BCGについてですが、6カ月未満BCG接種率において、95%以上の自治体数が102自治体のうち77。90%に満たない自治体数が11あったということです。また、1歳未満のBCG接種率においては95%に満たない自治体数が18あったというようなデータでございます。6か月と1年のデータのうち、片方しか計算していない自治体がございますので、6か月未満BCG接種率と1歳未満BCG接種率の合計は違いますので、御注意ください。
 表14-2はBCG接種率を高める取組みとして実施していることでございますけれども、これは未接種者において、どのような取組みを行っているかを記載していただいたものです。ごらんのような結果になっております。
 表15.平成21年にコッホ現象の報告を受けた自治体数で ございますが、報告なしが84、1件ありが16。あとはごらんのような数字になっております。これにつきましては、後で加藤委員より報告がございます。
 こちらからの説明は以上になります。
○坂谷部会長 ありがとうございます。御注意いただきたいのは、7ページの下の「小児結核患者および潜在性結核感染症の治療者における年齢別BCG接種率(2008年)」ですが、月齢、年齢と書いていますが、月齢0-2、3-5。生まれてから2か月以内に発病した人が2人いて、その人たちでBCGを打っている人は0であると。当たり前なんですね。生まれてから3~5か月の間に発病した人が4人いて、そのうちで1人だけがBCGを打っておった。25%も当たり前です。6~8か月の間に発病した人が2人いて、2人ともBCGを打ってあったので100%という数字であります。
 これを押し並べて統計を取ると、計のところで83.1%しかBCGを打っていないということになっていますが、先ほど言いましたように低月齢の人たちでは打っていないのが当たり前ですが、その数字も入れてのパーセントということになっております。ちなみに10~14歳の間で発病した人は31人いて、その人たちの中でBCGを打ってあったのは96.2%ありましたということであります。
 引き続きまして、森先生から11ページの徳永先生の論文を基にして、現状と問題点について御発表を願います。森先生、よろしくお願いします。
○森参考人 時間の節約のために、徳永先生の報告を私の報告の方に混ぜてやらせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○坂谷部会長 よろしいです。
○森参考人 それでは、18ページをごらんいただきまして、徳永先生からの報告については、その中で戻っていただくような格好で御報告したいと思います。私は「最近のBCG接種の問題点と今後の方向性」といったタイトルで、先ほど来出ておりましたようなことも含めて、まとめてみました。
 まず第1番目に、新しい体制になってからBCG接種がどのくらいの率、カバレッジを確保されているかということですが、先ほど来ありましたように97%という率を保っておりまして、これは特定感染症予防指針の1歳児に95%というターゲットを掲げておりますが、それをクリアーしているということで、行政、保護者がそれぞれに努力をしている結果だろうということであります。
 しかし、先ほど視点でも出ておりましたように、わずかとはいえども2~3%接種から漏れている子どもたちがいるわけでございます。ともすれば、そのわずかな漏れた人たちのところに結核のリスクグループが集中しているという傾向がございますから、これを看過するのはよくないだろう。これをどうするかという問題は残るということでございます。
 2番目に、接種の機会が1回だけに限定されましたので、接種技術を維持する、あるいは向上するといった努力が必要だということもうたわれているわけでございます。その一方で、個別接種がじわじわと普及してきております。全国の市町村の70%が個別接種に移行しているということはありまして、どちらかと言えば、これは集団接種に比べて技術的なばらつきというものが生じやすいといったことで、それに対する注意といったものが必要だろうと思います。
 例えば技術評価。上手に接種されているかどうかを見るために、健康診断のときに針痕の付き具合を見るとか、あるいは研修といった努力が引き続き必要であるということであります。
 3番目に新しい問題として、コッホ現象といったことが出てきているわけですが、これは後で加藤委員からの詳しい御報告がありますが、今まで見ておりますと市町村による対応のばらつきが相当あるのではないか。あるいは現在の報告制度がこのままでいいのかどうかといったことも問題になるかと思います。
 その次に副反応でございます。副反応について適切な対応がこれまで以上に必要になってくるということがございます。といいますのは、先ほども出ておりましたが、BCGはほかの予防接種と比べて厳しい副反応が少ないということになってきたわけですが、18ページの一番下の表に書いてありますように、いろいろな種類の副反応が最近増えているという傾向が見られます。
 例えば腋窩リンパ節腫脹でありますと、18年の48件から20年の74件。局所の潰瘍はほとんど変わりませんが7件から9件、骨炎という従来は非常に珍しかったものが4件から9件。皮膚結核様病変も21件から39件といったような増加の傾向が見られます。これについて少し慎重に考える。あるいは対応に対して従来以上に適正さが要求されるようになるだろうということであります。
 19ページの表になりますが、最近のBCG接種の主な副反応とその対応といったことに関して、こんなまとめをしてみました。内容的には後でごらんいただくことにしまして、問題は頻度であります。
 腋窩リンパ節腫大は副反応報告が単純に接種件数を分母にして、副反応出現頻度を割り算して求めた大ざっぱな概数でございますけれども、100万当たり56件。これは外国の成績ですと387ですから、外国のものに比べれば非常に少ないわけでございますけれども、これもさっき見ていただいたように増加傾向がある。ただし、これは件数は多いですけれども、自然経過を見ればそのまま治るということで、特に治療も要らないということで、これは心配しないでいいですよということを徹底することが大事だという方向の話であります。
 局所の問題は割合低いので、特に問題はないかと思います。
 皮膚結核様病変ですが、これが最近やはり増えていると言わざるを得ないということになります。これがどういうわけか外国に比べて日本は多いということは間違いないのではないかと思いますが、外国が100万当たり0.19。これは日本では18ですから、その何十倍も当たるということがございます。これも実は大部分は何もしないで様子を見ればいいので、不必要な懸念がないような指導の方が重点になろうかと思います。
 骨炎でございますけれども、11ページ。この問題に関しまして、加藤先生が主任研究者をしている厚生科学研究班でございますけれども、その分担研究者をしている徳永先生がこの2年間にわたって調査をした成績のまとめでございます。
 徳永先生たちはこの問題について、まず文献調査をし、文献から漏れているものもあるだろうということで、全国の小児科の診療機関にアンケートを出しまして、文献から20件、新たに調査の方から16件を加えまして、合計36件の症例を確認しておられます。
 12ページにその発生状況で、図1は発症年度、図2はBCG接種をした年度ごとに見ております。実はこの骨炎はほかのBCGの副反応と違いまして、接種してから発症するまでの時間がかなり長いものも多く、1年を超えて発症するものもございます。それでこういう見方が必要になるわけですが、図2の方をごらんいただきますと、BCG接種年度、ワクチン接種年度別に見ますと、やはり2004~2005年以降に間にギャップがありまして、2005年から急に増えたように見えるということがございます。2008年から減ったように見えますが、これはまだ接種してから日が浅いので、新たにこの後加わってくるものがあるだろうという含みでございます。そうしますと、新しい接種体制になってから、こういうものが増えているのではないかと。やはりその可能性は否定できないということになります。
 これは15ページの一番最後をごらんいただきますと、そういう子どもたちはどういうふうになってしまうのかという問題です。化学療法が有効でありまして、化学療法で治癒する。外科的な処置が必要な場合が結構多い。30例のうち23例は外科的な掻爬をしたということでありますけれども、大体は28例までが後遺症を残すことなく治癒したといったこともありまして、問題を残したのは2例といったことが報告されていますから、比較的予後は良好で、致命的になることは少ないということがありますが、手放しで見ているわけにはいかないということであります。
 徳永先生の報告はそれだけにしまして、19ページに戻っていただきますと、最後に全身播腫でBCG感染というのがあります。これはBCG菌が粟粒結核のような病変を起こしたということでございます。これが100万対1に当たる例数で発生してきているということでございます。これは大部分は先天性免疫不全症候群、生まれ付きに免疫の障害のある子どもさんに起こる障害でありまして、BCGがたまたま悪者になったということでございます。これはかなり致命的な問題になります。BCGを受けなくても、そのほかの要因がきっかけになって、そういう致命的な転帰をたどることは多い病気でございますけれども、BCGがきっかけになるものがこのくらいあるということです。これは数が少ないので、増えているとかいうことは申し上げられませんが、こんなことが注意されます。
 リンパ節腫大にしても皮膚結核様病変についても骨炎にしても増えているということであれば、どうしてなんだろうかということになります。ちょうど制度の変わり目に起こった変化が、一つは個別接種の増加というのがございます。もう一つは、接種期間が今までは4歳まで幅広に行われていたものが、ぎゅっと6か月までに集中して行われるようになったということがございます。この2つの要因が重要かなというのは、徳永先生もお書きになっていて、私もそういうふうに考えます。
 特に今までの経験ですと、こういったものは外国の経験から小さい子どもに多いということがわかっておりますから、日本で接種対象の若齢集中化といったことが関係あるということは重要な原因であろうと思います。
 もう一つ、個別接種になったということでございまして、従来とワクチンの調整方法が変って、1人用にワクチンを懸濁して使うということになります。そうなりますと、懸濁の仕方が十分でないと濃厚なワクチンの塊を接種するということもあるかなということになりますと、効き過ぎるということで副反応が出やすいといったことも可能性としてはないことはないので、この辺は今後慎重に確認を進めていく必要があるだろうと思います。同時に過大な懸念を保護者に与えないような指導の徹底といったものも、接種を進める上の重要な課題になろうかと思います。
 その次に、今度は今のBCG接種がどのくらい有効なのかといったことに関する考慮も必要だと思います。昨今、子どもの結核があれだけ減っているといったことからすると、しかも副反応が増えている傾向があるということであれば、BCG接種はやめてもいいのではないかという短絡的な意見が出ることもございます。そこでそういうことでいいのかどうかといったことで、今のBCG接種が子どもたちのメリット、デメリット、どういうふうに関係しているのかという考慮でございます。
 まずBCG接種そのものがどのくらい有効なのかといったことにつきましては、世界的な議論が行われてきたわけでございますけれども、現在、20ページの上の表に掲げてありますようなBCG接種の効果に関する世界的なコンセンサスといったものがございます。いろいろな方法で証明されているわけですが、結核の予防に関しては74%有効である。BCGをやることによって、子どもの結核を4分の1くらいに下げることができるんだということでございます。
 以下、いろいろな見方でもって、その効果が出ております。一部、BCG接種は子どもの粟粒結核とか、髄膜炎とか重症な結核の予防だけに有効ということが言われますが、それは一部でございまして、結核全体に有効であるということがここに示されております。
 次の表は、経皮接種については有効性が証明されていないではないかという議論もあるわけでございますが、日本が開発した接種方法につきましては2年前ですけれども、アフリカで経皮接種ともう一つは伝統的な皮内接種法。これを比較するというかなり方法論的にきちんとしたトライアルが行われました。皮内接種を受けた子どもも経皮接種を受けた子どもも結核の発病状況は同じであったことから、経皮接種も皮内法と同じくらいの効果が期待できるという間接的な証拠が出てきたということがございます。
 もう少し直接、日本の接種はどうなのかということになりますと、21ページ。これも間接的な証拠ですが、アメリカと日本の年齢階級別に見た結核の罹患率を比較をしてみました。御存じのように日本はアメリカやりも罹患率が4~5倍高いわけです。その高いアメリカと日本のギャップは大人の年齢のところ、例えば45歳以上、65歳以上のところにございます。そうしますと日本の子どもたちはアメリカの子どもたちも4~5倍感染をよけい浴びていることになるわけですが、実際には日本の子どもはアメリカの子どもの2分の1くらい。半分以下しか発病しておりません。5~14歳になりましても、まだ日本の方が有利だということになります。こういう日米比較の上で、日本の子どもの対米有利はアメリカで全然行われていないBCG接種が子どもたちの結核を抑えているのだろうと考えるのが素直なところではないかと思います。
 もう少し直接的に、今のBCGがやられていなかったら、日本の子どもたちはどのくらい結核になっていたはずですかと。それを現実と比べると、その差はBCGの効果でしょうということで言えるわけで、こういうモデル計算をしてみました。その基になりましたのは、日本の結核の感染の状況。これに関する感染危険率といいますか、これについては疫学的なモデルから推定がされております。これを今の日本の子どもたちに適用するとどのくらい感染し、そこからどのくらいの発病が予想されるかという計算ができます。
 例えば21ページの下の表を見ていただきますと、2008年のPredictedに書いてありますが、0~4歳では300人くらいの結核患者が発生するはずであろう。5~9歳では172人くらい発生する。BCGの接種効果の持続は10年くらいと言われることが多いですから、この2つの年齢階級について予測をしています。実際に観察されたのは0~4歳で41人、5~9歳で23人ということになります。そうしますと、そのギャップはBCGによる効果と考えますと、例えば2008年の0~4歳については86%予防されています。5~9歳では87%予防されていますということになります。
 そうしますと先ほどご覧いただきましたように、BCGの接種効果が75%とか80%という数字が出ていますから、それと余り食い違わないということになりまして、なるほどこのくらいかなと考えられます。勿論、子どもたちにやっていることはBCGだけではなくて、予防内服も日本では随分一生懸命やられているわけですから、BCGだけの手柄ではないだろうということに当然なるわけでございます。
 先ほどこれは水野先生からもお話がありましたように、日本の潜在性結核感染症の子どもにしろ、発病した子どもにしろ、かなりBCG接種を浴びておりますから、そうしますとBCG接種を浴びた子が予防内服をやっているということになりますから、予防内服の効果はあっても、かなり限定的だろうと考えますと、この八十何%の予防効果のかなりの部分がBCGのおかげと考えていいのではないだろうかということになります。
 そこで22ページの真ん中辺りに四角で囲ったところがございます。現行のBCG接種政策のリスクと便益のバランスを大ざっぱにまとめてみますと、こういうことになります。リスク(副反応)は年間100万人の接種で重要な副反応として、骨炎5件、全身播腫性BCG炎が1件くらい確保しなければいけない。ただし、それによる便益は小児結核の400人くらいが予防される。そのうち10人くらいは髄膜炎とか粟粒結核というかなり厳しい病気です。こういうものが先ほどのリスクと引き換えに得られるということになるだろう。したがいまして、便益の方がだれが考えてもいいのではないかということなります。
 これは2010年の話でございますけれども、2015年になりますと、当然、結核は減りますが、上記のバランスは便益300人。リスクは今と同じだろうと思います。髄膜炎が7例くらい。2020年になっても、まだ便益が240人の予防、髄膜炎が5例くらいということになります。5例くらいになりますと骨炎の5例ととんとんではないかというような議論もあるのかもわかりませんが、それはそういう自体を相違した国民の総意といったもので判断されるのだろうと思います。
 そんなことも含めて改廃を考えければならない必ず来るわけでございますけれども、その一つの判断の根拠として、よくWHOの基準が問題にされます。正確に言うとWHOではなくてIUATLD、国際結核肺疾患予防連合の基準でございますけれども、こういうことが掲げられております。条件は3つある。この3つのうちのどれか1つを満たしたら、BCG接種はやめることを検討してもいいのではないですかと言っています。
 ?@が塗抹陽性肺結核の罹患率が過去3年間にわたり10万当たり5。これは日本はまだクリアーしておりません。
 ?Aが5歳以下小児の髄膜炎罹患率が過去5年間で1,000万当たり1を割ることと言ってございます。これは日本はとっくにクリアーしています。
 ?Bが結核感染危険率が0.1%。日本は今0.03%と想定しておりますから、これもクリアーしているということになります。
 そうしますと、?Aと?Bはクリアーしているのだから、BCGは日本はやめなければいけないのではないかという議論になるわけですけれども、この議論は非常に間違っておりまして、どうしてIUATLDがこんな矛盾したことを言っているのか不思議です。最近は言わなくなりましたが、5歳以下の髄膜炎はかなり特効的にBCGによって予防されるということでありますから、BCGによって予防されたものをやめてしまっていいのかということになって、危なくて議論ができないということになります。
 また?@と?Bが相矛盾しております。感染危険率が0.1になりますと罹患率が10万対5になるというのが昔ドグマとしてあったんです。それを受けてこういうことが書かれているのですが、これは化学療法が全くない時代にできたドグマでありまして、今はこんな関係式は成り立っておりません。ですから、この基準自体が矛盾していて妥当性がないということで、こういうものを基礎にした議論はできないと考えております。
 スウェーデン、デンマーク、チェコ、英国、フランス。これはそれぞれBCG接種を比較的最近廃止した国でございます。いずれの国におきましても、今の日本よりもはるかに結核が少なくなっている。あるいはそういうふう国々で発生する結核のかなりの部分が外国から渡ってきた人たち、高蔓延国から渡ってきた人たちによって占められているということでありまして、国の疫学的な状況もかなり違うと考えられています。
 また、集団接種はやめるけれども、ほかの代替策を導入することがこれらの大部分の国で行われておりますが、そういうものが日本にうまく導入できるかどうか。あるいはどういったものを導入することが望ましいかといった議論も並行して行っていくようにしなければならないだろうと考えております。
 以上でございます。
○坂谷部会長 ありがとうございました。よくわかる解説をいただきました。まず森先生の解説、データに関して、何か御質問はありますか。よろしゅうございますか。
 そうしますと、議論は資料2の1ページに書いてありますように3つございまして「今後の結核対策におけるBCG接種の位置づけ、どのように考えるか」。明らかに小児結核を非常に減らしておりますし、その状態を続けないといけないということであります。問題点として副反応のことがスポットを当てられて、言われているわけですけれども、それは仕方のないことかもしれませんが、なるべく減らす方法も考えないといけない。未接種の人が何がしか残っているわけですが、その人たちをどのように扱うか。この3点について議論をしないといけないということであります。
 結核対策におけるBCGの位置づけをどのように考えるか。やめようという意見は出てこないと思いますけれども、何か特段の御意見はございますか。菅沼委員、どうぞ。
○菅沼委員 BCGを6か月ということはかなり前にたくさん議論をされたと思うのですが、これを見ると早期の接種で副反応が出ているというふうに書いてありますし、そのように思われるのですが、もうちょっと年長に延ばすのは、どの辺まで延ばしたら大丈夫かとか、教えていただけますでしょうか。
○森参考人 その当時の議論を思い出すのですが、その当時は直接接種を導入しましたので、直接接種というのは生まれてから時間が経った子どもにBCGをやった問題にも起こる問題であるということで、できるだけ早い時期にやる方がコッホ現象による問題を避けることができるということで、6か月集中という議論になったと考えております。
 後で加藤先生の話が出ると思いますが、コッホ現象といったことについても我々は経験を積んで慣れてきましたので、上手に対応できるといったことであれば、余り生後の遅くない時期で、それでも今よりはゆとりを持たせた時期に接種できるようにすることというのが、副反応の問題を回避する1つの方策になるのではないかと思っております。具体的には、私は1歳くらいまでがいいのではないかと思っております。
○坂谷部会長 ありがとうございます。そのほかにいかがでしょうか。
 昔は4歳までということだったんですけれども、副反応の発生を下げるという理由から6か月以内に打ってしまえということだったのですが、反省を踏まえて、それを1歳まで延ばしてという1つの案ですね。それが出てくると思います。
 今、コッホ現象の話がちらちらと出ていますので、この段階で加藤先生からコッホ現象の解説について、まずお話を聞くことにいたします。
○加藤委員 資料2の23ページをごらんください。これは先ほど御案内のとおり、平成17年からBCGが直接接種になりまして、コッホ現象を経験した場合に厚生労働省に届け出るという制度になりました。
 平成17年4月~21年3月までに報告は若干の重複があったものを除いて814例ございました。これについて性別、月齢、気づくまでの期間、都道府県別の報告数、ツ反、結果判定についての分析をしました。
 報告書上の定義が集計に不向きでありましたので、感染していないと思われるものを非特異的反応。ツ反が陽性で感染の疑いが濃厚であるけれども、未治療であったものを経過観察。感染と判断されて実際に発病した、あるいは潜在的結核感染症の治療をした人をコッホ現象。その中で感染によって病気を起こしたものを発病。他院紹介、不明ということで分数し直しまして、分析をしました。
 結果については27ページの図1をごらんください。男女は45.5%対47.1%ということで、ここで個人情報の関係もあって、不明がそれなりの数があるということではあります。
 気づくまでの期間につきましては、図2です。翌日までに気づいたのが66%。接種後3日目までに95.6%が気づいているということで、これは実際に発赤があったということではなくて、気づいた数でございます。一方で接種後1か月の三混のときに予防接種の担当者が気づいたという例もありますので、見過ごした例もある可能性を示唆することかと思っております。
 報告の例数につきましては、26ページの表1の左側の欄をごらんください。4年間の報告の総数です。総数として一番多いのは愛知県の124、続いて静岡の54、愛媛の51、千葉、岡山がそれぞれ44です。一方、少ない方は新潟、宮崎が2例、富山、鳥取、佐賀では4年間に全く報告がないということであります。
 出生数でデータがなかったものですから、17~19年の3年間で短いですが、その平均で取っています。一番多かったのは愛媛で109、続いて大分、岡山、山形、愛知が40以上ですけれども、全国平均は18.8で、これも都道府県による差があります。
 ツベルクリン反応検査の結果につきましては、28ページの図3をごらんください。陰性が68%、陽性が17.7%、記載がないのが13.9%でした。なお、マニュアル上、接種後14日までにツ反を実施するのが望ましい。つまり、それを超えると接種したBCGによってツ反が陽性になってしまうということがありますので、14日未満にすることになっていますけれども陽性を示したので、規定された期間に実施されたのが55.6%。それ以上になってしまったのが12%。記載がないのが31%という結果でございました。
 判定結果につきましては、図4をごらんください。14日までにツ反が実施された陽性に2例が非特異的反応に含まれていますけれども、これを含めまして、非特異的反応というのが約71%、コッホ現象として判定されたのが13%、感染したと思われるのですけれども、潜在結核感染性の治療を行わなかったのが4%。紹介と不明は、実際は結果が完全に把握されていないものですが12%あったということになります。
 判定結果を年次推移を見たのが図5でございます。この中で非常にはっかりわかるのは、非特異的反応というのが平成17年に201例あったのが、20年に96ということで半分以下になっています。これは当初、日本で行っている管鍼法、判こ注射による反応として、BCG接種をして、すぐに針痕が発赤する例がそれなりの数があるのですけれども、そういった知識が余りなかった、または余り意識されなかったために、コッホ現象報告として上がってきたのが随分多かったのですけれども、これにつきましては先ほどの副反応報告をしていただいた徳永先生、その前の分担研究者でいらっしゃいました高松先生の研究によって、直後に発赤があるが、すぐに消退するものについてはコッホ現象ではないということがわかってきまして、そういう知識が広まったことによって、実際に報告がかなり減ったものと考えられます。
 真のコッホ現象、実際に感染したと考えられるものにつきましては、26ページの表1の右側でございます。潜在結核感染が101例、発病の治療を受けたものが3例、コッホ現象として治療を進められたんだけれども、家族が拒否したものが2例。この106例を真のコッホ現象として集計しましたけれども、最も数が多かったのは大阪。次いで愛知、東京、和歌山、千葉ということで、人口が多くて罹患率が高いところが人数が多かったということです。
 出生10万対別で見ますと、全国平均2.5、多い方で和歌山、愛知、鹿児島、山形、奈良ということで、出生数が比較的少ないところは計算上、出生10万対の数が多いことになります。コッホ現象の重篤な障害は副反応報告等々で見る限りはありませんでした。
 考察として1つは、25ページの上の表3でございますけれども、年間の感染推定数を人口10万対でモデル計算をしてみました。暴露からコッホ現象が出るまで、これは実際はわかっていませんので、15日まで60日として、年間感染危険率を0.2~0.4%の間ということで、このパラメータを変えて計算しますと、人口10万対3.9~12.7くらいだろうということですけれども、実際に報告数はそれよりかなり低いということで、これは(1)~(5)に書いていますが、家族に排菌があった場合は通常のBCGを受けていませんし、今回の集計の中で最終的な転帰がわかっていないものがかなりあるということであります。局所反応が見過ごされた可能性。実際に家族が申し出たんだけれども、きちんと対処されていなかった例。これは事例報告の中で不適切な例があるということがある程度わかっていますけれども、こういう可能性がある。実際にこれは4か月まで、対象年齢は平均で生後4か月までにBCGを受けていますから、この期間までの年間感染危険率がここで出した推定の0.2より実際に低いのではないか。こんな可能性も含めて、実は低いだろうということを考えています。いずれにしてもこういうことで、かなり大きな都道府県の差があるといったことが問題として明らかになっているということです。
 以上でございます。
○坂谷部会長 ありがとうございます。加藤委員の発表を通して思いますのは、まずBCGを打ちっぱなしで、フォローアップが自治体によっては、ちゃんと行われていないような雰囲気がありますね。よく追求されているところもありますし、ほったらかしのところもあるということ。ですからということではないですけれども、非特異的反応を異常であると認識されている率が随分高い。実際はそれほどでもないということ。
 更に大元に戻りまして、森先生の御発表のとおり、我が国においてBCGの接種は有効であり、有用であるというようなこと。副反応と言われるものが増えているからBCGをやめてしまえ、小児結核の率が実数が下がっているからやめてしまえという議論は成り立たないというようなこと。ですけれども、わずかに起こっている副反応、BCG症をなるべく減らすことは考えないといけない。未接種の方をどうにかしないといけない。こういう問題があると思いますが、森先生は御発表の中で、未接種の方の中でハイリスク層が含まれると。このハイリスク層は子どもさんがハイリスクということでありますか。親の環境がハイリスクなのでしょうか。
○森参考人 言葉が足りなくて済みませんでした。家庭環境の問題のことを言っているつもりです。
○坂谷部会長 そういう社会層の子どもさんが未接種の方が多いということですか。
○森参考人 はい。
○坂谷部会長 副反応を減らすことも含めて、例えば13ページの図3に「調査により把握できたBCG骨炎症例;ワクチン接種月齢」は、3~4か月のところに集中しているわけでありますね。それで菅沼委員から御提案がありましたように、6か月までに押し並べて打ってしまうということをやめて、もう少し幅を持たせる。例えば1年以内というふうに少し延長してみるという御提案が出ましたけれども、そういうことも含めて、その接種の期間を変化させる必要があるのではなかろうかという議論が出たことでありますね。それは引き続き議論をすべきだと思います。
 そういうことを含めて、BCG接種のことに関して、この3つの予防指針の中に書くべきことの議論でありますけれども、1ページに書かれているこの3つのことについて、何か先生方から御意見がありますでしょうか。今までに出尽くしたような気もしますけれども、何かほかに御提案がありましたらお願いしたいと思います。位置づけをどのように考えるか。これは異論がないと思います。未接種の方について、どういうふうに考えるか。コッホ現象について。これはまた正確な知識でありますとか、専門家に対して、あるいは市民に対する啓蒙も含めての対応が必要かと思います。制度的には接種の期間を延長するということ。
 今まで御発言のなかった先生方から、是非とも御発言を求めたいと思います。そのとおりというのでしたら、それで結構ですが、重藤先生、何かありませんか。
○重藤委員 いろいろなデータでそのとおりだと思います。ただ、かなり強硬な反対論者もいらっしゃるとは思いますけれども、そういう方々との議論があって、はっきりこうだという結論が出れば、理想的かなと思いました。
○坂谷部会長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。深山先生、何かありませんか。
○深山委員 BCGに関して期間をもうちょっと延長するというのは非常に賛成で、BCGにかかわらず、子どもの予防接種ができない理由の一つが、ちょうど熱を出しているということが多いので、たった3か月だと熱を出していて受けそびれるというのが多分たくさんあるのではないかと思いますので、接種期間の延長に関しては賛成します。
○坂谷部会長 ありがとうございます。感染症部会の中にワクチン部会、予防接種部会というのが今年に新しくできましたけれども、その中でもんでいくべき話題だと思います。
 ほかはいかがでしょうか。どうぞ。
○保坂委員 1年まで延ばすとここで決まるわけではないと思いますけれども、その場合に今までは6か月までにやるということだったのを、6か月までにやるのではなくて、1年までの間にいつでもいいですよという形にするのか。あるいは1歳に近い方にやった方がいいですよというのか。どちらかということはあった方がよろしいかと思いますが、その点について何か御意見をいただければと思います。
○坂谷部会長 なるほど。加藤先生、いかがでしょうか。
○加藤委員 もし本当に副反応の問題ということであれば、積極的に後ろに延ばすといったことが本来だと思いますけれども、ここは本来はちゃんとデータをもって決めるべきかと思います。
○坂谷部会長 森先生、どうぞ。
○森参考人 いろいろと考慮すべき関連要因があると思いますが、1つは結核の高蔓延地域であれば早くやることを重視するという考え方もあると思います。最近、子どもの予防接種の数が増えたりしていますね。スケジュールを市町村の中で当然考えるわけですから、そのときにそういったことも含めて、モデルスケジュールを考えてあげる。その中に6か月以降のBCG接種もありといったことを取り入れていただくということが望ましいのではないかと思います。
○坂谷部会長 御提案は22ページの一番下に書かれていますけれども、個別接種の導入を含めての話ですが、高蔓延地域あるいは途上国生まれの方、帰国者。そういう方々には配慮してということでありますけれども、オーダーメードからテーラーメードの予防接種にするという考え方だと思います。貴重な御意見であります。
 ですけれども、6か月以内に打っていたのを1歳までに延ばして後の方にということになりますと、コッホ現象の率が少しは高くなりますね。
○加藤委員 その可能性はあるかもしれません。
○坂谷部会長 すべてがうまくいくというわけにはいかないということであります。
○加藤委員 今回の調査でわかったのは、コッホ現象による重篤な副反応はないということです。
○坂谷部会長 案外、率としては低いものであるということですね。
 大体これですべての視点につきまして議論を終えたわけでございます。もう時間がございませんので終わりたいと思いますが、あと2~3分は残っております。何か全体を通して、あるいは今日の議論以外のことに関しましても御意見がありましたら、御発言をいただきたいと思います。どなたでも結構です。どうぞ。
○深山委員 接触者健診の方に戻るのですが、濃厚接触者の定義をもうちょっと具体的にするべきなのではないかと、私はいつも思っています。病院の中で発生した場合にも、今回は忙しいからこの辺だけしかしないとか、どうにでも割と解釈できるような接触者の定義なので、例えば飛行機の同列あるいは前後の列で8時間以上乗ったとまで具体的でなくてもいいけれども、もう少し具体性があった方がよろしいのではないかと思います。
○坂谷部会長 ほかの保健所代表の方、いかがですか。
○丹野委員 基本的には阿彦先生を始め、研究班の手引きで実施しております。先ほどから範囲を広げるとかいう話がありますけれども、基本的には同心円を生かせていただいて、きちんとやっていくというのがいいのかなと思います。個人情報の問題もありますので、特に中高生辺りの接触者健診についてはきちんと考えていかないと、簡単に公表という形にするのは大変かなと考えております。基本的にはどこの保健所も手引きを基に、医療機関ともお話をしながら進めております。ですから、そのときの疫学調査はとても重要になってくるのではないかと思っております。
○坂谷部会長 ありがとうございます。特に医療機関の中で起こって、医療従事者の接触者健診がなかなか難しいという問題がありますね。
 ほかにいかがですか。この機会に森先生、何かございますか。
○森参考人 この会は今日初めてお邪魔したので、前後に行われているのかもわかりませんが、私は最近気になっておりますのは、今日の話題とは別に結核医療の問題。特に結核医療の質の問題ですね。専門家が少なくなるといったこと。一般の診療機関に結核患者の診療も併せて委ねなければならない状況が増えていると思います。そのときに何か余り常識的でない結核医療が行われているようなことを時々感じることがあります。そこら辺を今後どういうふうに維持していくのかといったことについてもこの会で検討していただき、世の中に発信していただけるといいのではないかと思っています。
○坂谷部会長 ありがとうございます。御意見は十分わかりますし、委員の間でもそういうことは話題にのぼっておる次第であります。
○阿彦参考人 院内感染対策や施設での濃厚接触者の範囲が少し広めになるということについて先ほどからありましたけれども、今回の手引きの関係でもその辺は医療従事者とか学校の先生とか、そういったところはやや広めに対象を取ることは妥当だということで改正しているのですが、指針にも関わることですけれども、法律上は接触者健診の対象者に個別の勧告書を出して、受診しない場合は強制措置ができるような性格の健診ですから、感染症法に基づいて健診の勧告書を出してやるという対象者は、感染の疑うに足りる正当な理由のある人とされており、どちらかというと法律上はかなり絞って対象者に勧告しなさいという書きぶりですから、それを指針上もきちんと守りなさいと。
 そういうことになると、ある程度は同心円状を原則にしないと法律上は問題だということで、だけれども、院内感染とか施設内感染は、例えば病院であれば医療法による病院の管理者の管理責任というか、医療法上の規定がありますので、そうであれば病院と保健所の方で協議をして、この部分は同心円状で感染症に基づく勧告でやりますけれども、それ以外で少し心配なところは、病院として院内感染対策として、少し幅広にやりましょうとか、そういう協議を現場では細かく打ち合わせをして、ここまでは勧告、これ以上は院内感染というやり方をやっているのが実情だと思うので、その辺が全国的にはあやふやなところがあって、混乱があるのだと思います。
○坂谷部会長 接触者健診の義務というか、その規定に関しては、予防法の時代よりも感染症法に統合されてからの方がきついですか。
○阿彦参考人 感染症法に統合する直前の予防法のときに、勧告に基づく健診に変っていて、それがそのまま感染症法に移行したということになっています。
○坂谷部会長 ありがとうございます。これで本日の議題はすべて終わることができました。次回の部会の日時や議題等につきまして、追って事務局より御連絡をいただきますけれども、最後に事務局の方から伝達事項をよろしくお願いいたします。
○水野補佐 では、遅くなりましたが、ここで結核感染症課長より一言ごあいさつ申し上げたいと思います。
○亀井課長 国会用務のため、遅くなって大変申し訳ございません。7月30日付で結核感染症課長を拝命いたしました亀井と申します。どうかよろしくお願い申し上げます。
 委員の皆様におかれましては、本当に暑い中、このような御多忙の中にもかかわらず、この「厚生科学審議会感染症分科会結核部会」に御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。
 実はもう事務局の方から紹介させていただいたかもしれませんけど、7月30日付で健康局長も変わっておりまして、外山と申しますけれども、今日は原爆投下された日でございまして、広島の方に参っておりまして、席を外しております。次回出席できるときにごあいさつさせていただくと思いますので、よろしくお願いいたします。
 るる議論もなされたのだろうと思いますけれども、今、結核に関する特定感染症予防指針の見直しのための議論を精力的にやっていただいていると聞いております。まだ半ばでございまして、結核というのは非常に大事な疾病であって、日本はその先進国でもあるということでございますので、先生方の闊達な議論で更にこの指針もいいものにしていただいて、結核対策をますます充実したものにしていこうと思っておりますので、今後ともどうかよろしくお願い申し上げます。
○坂谷部会長 よろしくお願いします。
 それでは、本日の部会はこれで閉会いたしたいと思います。ありがとうございました。


(了)

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