ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(感染症分科会予防接種部会ワクチン評価に関する小委員会)> 第1回感染症分科会予防接種部会ワクチン評価に関する小委員会議事録




2010年8月27日 第1回 感染症分科会予防接種部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成22年8月27日(水)
19時~20時


○場所

厚生労働省 省議室


○議事

【出席委員】(50音順)
池田委員、岡部委員、倉田委員、廣田委員
【参考人】
青木参考人、柊元参考人、小西参考人、福島参考人、森内参考人、
【行政関係出席者】
足立厚生労働大臣政務官、外山健康局長、松岡健康局総務課長、
亀井健康局結核感染症課長、鈴木健康局総務課がん対策推進室長
平山大臣官房審議官、三宅医薬食品局血液対策課長、
藤井新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長、



○藤井次長 第1回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会ワクチン評価に関する小委
員会を開催します。
 本日の出欠状況です。岩本先生、宮崎先生がご欠席ですが、小委員会の先生6名のうち4
名の先生にご出席いただいていますので、本会議は成立しています。
 また、本日は、先ほどの部会でヒトパピローマウイルスワクチンについての議題もあった
ことから、HPVワクチンの作業チームの方々にもご出席をお願いしていました。本小委員
会においては、参考人としてご同席いただきたいと思っております。ご紹介します。まず、
国立感染症研究所の柊元巌先生です。京都大学大学院婦人科学産科学教授の小西郁生先生で
す。長崎大学小児科学教授の森内浩幸先生です。慶應義塾大学医学部産婦人科学教授の青木
大輔先生です。このほか、作業チームについては、国立感染症研究所の多田有希先生です。
京都大学大学院医学研究科社会疫学分野准教授の木原雅子先生は、本日はご欠席です。大阪
市立大学大学院医学研究科公衆衛生学講師の福島若葉先生です。
 なお、小委員会の座長は先ほどの部会において、岡部先生にお願いすることとなりました。
ここからの進行は岡部委員長に議事をお願いします。よろしくお願いします。
○岡部委員長 感染研の岡部です。この前に開かれた部会でご指名をいただきましたので、
この小委員会は私が委員長をさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
 これから議事に入りますが、HPVのことは部会でも話されていますが、引き続きそれに
ついてと、この小委員会のあり方が、今日の議論の中心になると思います。
 議事に先立ちまして、本日は足立政務官に部会から引き続いて出席されています。大変お
忙しい中ですが、どうぞよろしくお願いします。足立事務官に一言ご挨拶をいただきます。
○足立厚生労働大臣政務官 足立でございます。この暑い中、またこんな夜遅い時間にお集
まりくださいまして、申し訳ございませんとともに、ありがとうございます。
 簡単にしたいと思います。多少順番はおかしいと思われるかもしれませんが、予防接種法
の改正、その中でも8種のワクチンについて、それぞれ作業チーム、そして小委員会のほう
で議論していただく、これはもうしっかりやっていただきたいと思っています。
 それに加えて、7月の末に、8月31までに概算要求を出すということが決められました。
ですから、このタイミングでしか、我々の考える子宮頸がんワクチンの市町村の接種事業に
対する助成ということを諮る場がございませんでしたので、今日、予防接種部会に続いて、
小委員会のほうで、そのことについて皆さんにご理解をいただきたいと思って、急遽集まっ
ていただきました。今後の進め方、そして予防接種法の改正における重要な役割を担ってい
ただきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いします。
○岡部委員長 事務局から資料の確認をお願いします。
○藤井次長 小委員会の先生におかれましては、先ほどと同じ資料が基本となっています。
議事次第、配付資料一覧、資料1-1、資料1-2、資料2、資料3、資料4ですが、資料1-1
から資料3までは先ほどと同じ資料を付けています。過不足等がありましたらお知らせくだ
さい。
○岡部委員長 この委員会では副委員長が必要になるのですが、これについては委員長が指
名することになっています。ここでご提案ですが、今日ご欠席ではありますが、部会にも長
くかかわっている宮崎千明先生にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  (異議なし)
○岡部委員長 順番に議事を進めていきます。議題1、議題2、議題3とあるうちの「ワク
チン評価に関する小委員会について」は、これがどのような役割かということの説明にまず
なります。HPVの公費負担に関する事柄が先行しているところがありますが、先ほど足立
政務官からもご説明がありましたし、部会でもそのような話が出ていましたが、これは予算
事業でやることだということであります。そして、予防接種というような、法律に基づいた
形で、しっかりやるのをどうしたらいいかということを議論してほしいということが、政務
官からも投げ掛けられていることでもあり、また私たちも現在人々にとって必要なワクチン
についての討議を、技術的あるいはそれが行政に受け入れられるかどうかの議論を深めてい
くことになると思います。
 今日は短時間ではありますが、前半は先ほどの部会でも議論になっていた個別疾病・ワク
チンの評価分析の進め方についての議論を深めていくことになります。その後、後半で、先
ほどの議論はアウトラインを述べただけで、医療経済性について前回の部会では抜けていま
した。そのことについて、あるいはその他の問題について話をします。そして、作業チーム
の方々からもご意見をいただきながら進めたいと思います。
 議題1、ワクチン評価に関する小委員会における検討の進め方について、議題2、個別疾
病・ワクチン評価分析の進め方、この小委員会のあり方ということで、事務局から説明をお
願いします。
○藤井次長 簡潔に説明します。資料1-1にあるように、この小委員会の下に作業チームを
置かせていただきます。検討事項としては、2「検討事項」にあるものについて、医学的・
科学的な視点からの議論を行っていただきたいということです。
 また、作業チーム、小委員会、部会の関係については、先ほど申し上げたように、資料
1-2の裏頁にあります。作業チームは、8つの疾病・ワクチンについて、今回はHPVの作
業チームの方に同席いただいていますが、作業チームにたたき台を作っていただき、8つ揃
ったものを小委員会で検討していただいた上で、それぞれのワクチンについての考え方を取
りまとめていただき、部会への報告資料を作っていただきたいと思います。
 作業スケジュールとしては、資料1-2の表頁です。作業チームで10月中旬までにたたき
台を作って、小委員会に中間報告をしていただきます。そして、11月中旬に小委員におけ
る取りまとめ作業をお願いできたらと考えています。これについては、先ほどの部会におい
ても、このように進めていくようにという話になりました。
 資料2は、そのほかのチームも含めた作業チームのメンバーです。今回はヒトパピローマ
ウイルスワクチン作業チームにご同席いただいています。
 今回の小委員会で主としてご議論いただきたいと思っているのは、資料3です。先ほど部
会でもご説明しましたが、今後ファクトシートを中心として、そのデータを活用し、国民、
関係者の方のご理解をいただくために、わかりやすい形で評価・分析をし、それをたたき台
として作っていただくことを作業チームの方にお願いしたいわけです。
 その作業チームにお願いする内容として、資料3「個別疾病・ワクチンの評価・分析の視
点について(案)」の内容でよいかどうかについてを中心にご議論いただければと考えてい
ます。
 この資料を作った背景としては、前回、第11回部会に出していただいたファクトシート
は、まず事実関係を並べたもので、ファクトとしては非常に揃っているものだと思います。
しかし、医療経済的な評価、あるいは疫学データ等については、まだ不十分だというご指摘
も受けています。これらの中で、特に可能なものについて、追加、補完等をしていただきつ
つ、また、ないものについては、ないことを前提にして、これからこれらのデータをどのよ
うに分析し、評価するかのコメントを付けていただきたいということです。
 チームでの作業を進めながら、小委員会本体としては各チームでの作業と合わせて、必要
なデータ検証についての議論もいただきたいと思っています。また、各チームで作っていた
だいたものの並びという形で、評価の手法、判断等についても、ご議論をいただきたいと思
っています。このような流れの中で、今回提出させていただいた資料3を中心にご議論いた
だければというのが、事務局のお願いです。よろしくお願いします。
 なお、事前に用意した資料でしたので、資料1-1、資料1-2に(案)が付いていますが、
先程、部会でご了承いただきましたので、すべて消していただければと思います。
○岡部委員長 手元にある資料はあらかじめ配られたものだから、「案」が付いていたとい
うことです。すでに部会で検討されているので、これは決まったことですので、[案]は外
れます。
 ファクトシートも前の部会のときの資料に出ていましたが、あれは作る側にとってもファ
クトであったわけですから、今後作業チームが加わって、いろいろな検討をして、考察を加
えていく形になると思うのですが、それでよろしいですか。ただし、そこで決定されるので
はなくて、提案をしたことを小委員会で議論をして、そこは討議の場になるわけで、最終的
な決定は部会で行っていく。それが利益相反のほうにも絡んでくることだろうと思いますが、
ワーキンググループは決定する機関ではないということでコンセンサスが得られていると
思います。
 先ほどの議論も、オブザーバーのような形でお聞きいただいたと思いますが、先生方から
何ご意見、ご質問がありましたらお願いします。
○廣田委員 作業チームで、最終的に素案を取りまとめられることになると思うのですが、
この対象疾患あるいはワクチン関連でのいろいろな健康事象が、一般と比べてどうかという
比較と、同じ対象疾患の中でも、異なる集団で健康事象を比較するということになると思い
ます。
 いまのところ、「死亡率」と「死亡割合」、「罹患率」と「罹患割合」、「致死率」と「致命
率」などが渾然とした形で使われているので、そういった比較が可能なように、そこら辺を
きちんと整理していただきたいと思います。
○岡部委員長 整理をするというのは、ワーキンググループでディスカッションをするとき
に、共通の意識、共通の言語でやるということですか。
○廣田委員 はい。
○岡部委員長 それはまとめるときにも、十分に注意していく必要があると思います。その
ほかにもご意見がありましたらお願いします。
 先ほども議論があったということで、そのまま進めてよろしいですか。検討体制の中にも、
「小委員会の下に個別の疾病・ワクチン毎に専門家による作業チームを設ける」とありまし
て、そのメンバーは「ワクチンの特性等に応じて、適宜メンバーを追加」というのもありま
すから、議論に応じて、必要に応じては、メンバーが増えていく可能性があると思います。
 作業の進め方については、事務局にご説明いただいたことと、前回の議論に基づいて行う
ということで、この次は資料3に移ります。資料3についても、何かご意見がありましたら
お願いします。資料3は、具体的にやるものについていろいろ出てくるわけで、これをワー
キンググループにも見ていただいて、これでいいかどうかということも議論するわけですね。
○藤井次長 各ワーキンググループについては、今回はHPVのワーキンググループの方に
来ていただいていますが、ほかの作業チームの方にも打合せとして集まっていただきまして、
作業については同じ共通認識で進めていただくための打合せ会議を持ちたいと思っていま
す。
○岡部委員長 その都度作業チームのメンバーには連絡をした上で進めるということにし
ていきますので、その点はよろしいでしょうか。
(異議なし)
○岡部委員長 議題3です。ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンで、先ほどの議論に続
いて、そこで議論されたものに加えなくてはいけない部分、いままで問題点とされていたこ
との大きな1つの、医療経済的評価の視点についてのお話を伺います。本日はヒトパピロー
マウイルス(HPV)ワクチンの医療経済性の評価について池田委員からお話を伺います。
○池田委員 ごく簡単に、ワクチン、特にヒトパピローマウイルスワクチンの医療経済評価
に関連した課題を中心に、ご報告します。スライドをお願いします。
☆スライド 医療にかかわるお金の問題すべてが医療経済ですが、「医療経済評価」と言っ
たときには、医療技術にどれだけのお金がかかるのかという「費用」と、それがもたらす健
康改善である「効果」の両面を算出して、どれだけ追加のお金を掛けたら、どれだけの健康
改善が得られるのか、そして、そこに掛けるお金は無駄でありそのお金をほかに回したほう
がいいのか、あるいは適切なお金の使い方なのかを定量的に評価する手法が、医療経済評価
と呼ばれるものです。
 複数の医療技術について費用対効果を算出することによって、例えば限られた予算をどこ
に優先的に投入するかといった判断にもつなげることができます。特にワクチンのような予
防的な医療技術は、多くの場合に先行投資になるわけで、それが果たして将来の医療費にど
のような影響を与えるか、あるいは健康改善にどのような影響を与えるかという評価が重要
でありまして、多くの国では、こうした医療経済評価を政策立案にも活用しているという状
況だと聞いています。
☆スライド 具体的な手法です。効き目が全く同じ2つの医療技術を比べるということであ
れば、どちらが安いかを見ればいいわけで、これは費用最小化分析と呼ばれる方法になりま
す。全く同じ効き目だということが証明されていれば、お金だけを比べればいいということ
になります。
 2つ目の手法は、費用対効果分析あるいは費用効果分析というものです。追加のお金を掛
ければより多くの、例えば延命が得られる、あるいはより多くの罹患の予防が得られるとい
うような場合に、追加でいくら掛けたら、どのくらい効果があるのかという、掛けた費用と
得られる効果を比べるというものです。
 3つ目が、費用対効用分析です。これは費用対効果分析の中の1つの特殊な手法で、その
健康結果、健康の効果を質調整生存年という医療経済評価でよく使われる統合指標で測ると
いうことです。例えばお金を掛けて命が延びるけれども、その命の価値あるいはQOLとい
ったもの、あるいは障害が非常に多い状態で長生きすることは、あまり健康の価値としては
望ましくないという考え方に基づいて、QOLと、それによって何年生きられるかという生
存年の両方を統合した質調整生存年という単位で測るというのが、費用対効果分析の中で、
特に費用対効用分析と呼ばれる手法です。ワクチンの経済評価では、この費用対効用分析と
いう手法を使っているものが、海外では数多く見られます。
 4つ目の手法が、費用対便益分析という手法です。掛けたお金に対して、どれだけの見返
りがあるのかをすべてお金に換算する方法です。例えば5年間延命できたとしたら、5年間
の命の価値をお金に換算するということで、命あるいは健康の価値をお金に換算することは
抵抗があるということもあるのですが、よくこの費用対便益分析として使われるのは、例え
ば子どもにワクチンを接種することによってその病気が防げる、そうするとその看病の時間
を減らすことができる、親が仕事を休んで看病する機会が減るわけです。当然ながら、それ
は社会にとっての生産性の向上になるので、そこをお金に換算するという方法で、健康結果
をお金に換算することが、ときに行われます。これが費用対便益分析で、ワクチンの経済評
価では、費用対効用分析、費用対便益分析の2つが、国内外ではよく行われている手法にな
ります。
☆スライド ワクチンを接種すると、一般にはワクチンの費用、ワクチンの代金だけではな
く、接種にかかわるさまざまな費用が発生するわけです。つまり、そこでコストはより多く
発生するわけですが、ワクチンの有効性が確立しているものに関しては、当然疾病の発生が
減ります。したがって、その疾病の発生に関連して生じる医療費、治療費も減らせるし、そ
れによって障害も減る、場合によっては死亡も減らすことができるということですので、こ
れらは健康結果の改善とともに、コストの節約にもつながるわけです。
 ただ、一方でワクチンの中には副反応が生じるものがあります。これに対する治療費、あ
るいはそれによって障害・死亡が発生することがあります。これは社会にとってのコストに
なるわけです。したがって、コストを増やす要素としては、ワクチンの接種費用、副反応の
発生といったものがありますが、一方で費用を節約できる要素としては、本来ターゲットに
している疾病が減ることがあります。これを天秤に掛けて、ワクチンの有効性に基づいた長
期的な費用対効果を考えるというのが、ワクチンの医療経済評価の考え方ということです。
 通常は健康結果は改善するのですが、お金はどうかというと、そこは難しいところです。
先ほどの部会で今野先生が発表されていたデータですと、社会的損失は減るけれども、ワク
チン費用及び医療費という保健医療費用に関して見ると、実はワクチンを使ったほうが増え
るのです。だから、そういうものをどのように考えていくかというのが、医療経済評価では
重要になってくるわけです。
☆スライド この推計を行うのは、お金の計算というと単純なようにも思えるのですが、ど
のような費用項目を含めるかによって結果も変わってきます。あるいはそれぞれの費用項目
を、どのようにお金で価値づけるかについても、結果が変わってくることがあります。通常
含まれるのは、ワクチンへの費用あるいはワクチンを接種するための費用、ワクチンによっ
て防ぐことができた病気の治療費、その副反応で生じた病気に対する治療費といった保健医
療の費用、これはほとんどの場合に含まれますが、その場合にも、保険診療で支払える医療
費だけを入れるのか、あるいはその他のものも入れるのか。例えばワクチンは保険診療の医
療費ではありませんが、このようなものは当然含まれるのですが、それ以外のものを含むか。
例えば薬局で買った市販薬は入れるのか、それによって結果が変わってくることがあります。
 また、保健医療以外の費用に関しても、特に小児を対象としたワクチン接種ですと、小児
の疾病が減ることにより、看病のコスト、通院の費用、通院の交通費なども減らすことがで
きるので、ここも含めなければ、本来社会の立場から見たときのワクチンの経済的な効果と
いうことにはならないと考えられます。
 ただ、一方ベビーシッター代をどのように算出するか、あるいは家族が介護している場合、
しかもその家族の方が専業主婦の場合には、それをどのようにコストに換算するかといった、
難しい問題も出てきます。
 3つ目の生産性の損失は、例えばワクチンを接種しなければ疾病が発生して、それによっ
て障害が生じて、休業することになる、あるいは早期に死亡するようなことになりますと、
そうした死亡等による生産性の損失、これは社会にとっての損失になりますが、そうした命
の価値をどのように評価するかです。
 この生産性損失を数えることによって、健康結果の改善と、生産性の損失の両方、つまり
お金の面と健康改善の面の両方を算出すると、ダブルカウントになることもあり、そこをど
のように技術的に解決していくかも、問題になってきます。
 いずれにしても、どのような費用項目を含めるか、どのように測るか。これを変えると結
果が変わってくるので、複数のワクチンについて、統一的な費用対効果の計算方法のルール
などを決めないと、あるものは過大評価になり、あるものは過小評価になるといった問題を
はらんでいることになります。
☆スライド 一方、例えば追加的なお金がかかったとしても、それによって健康が大きく改
善すれば、費用対効果という点からは、満足のできるものになるわけですが、その健康結果
を何で測るかも統一しないと、複数のワクチンの間の費用対効果の比較、あるいはほかの医
療介入との費用対効果の比較ができなくなってきます。
 そこで、健康統合指標である質調整生存年、あるいはWHOが提唱している障害調整生
存年といった単位が、多くの医療介入に共通で使える健康結果の指標として、最近はよく使
われていまして、ワクチンの経済評価でも使われてきています。
☆スライド 質調整生存年の考え方です。縦軸がQOLで、効用値と言います。完全な健康
な状態が1.0、死亡に当たるほど障害があるのが0とすると、ワクチンを未接種の場合に、
病気の罹患によってQOLが悪くなって、最後は死亡されたということになりますと、この
面積部分が、ワクチンを打たなかった場合の、その方の生涯の質調整生存年であるというよ
うに、面積で計算するわけです。一方、ワクチンを接種することによって、病気にかかるこ
とがなかったということで、QOLがいい状態で保たれて、長生きをしたとなると、薄い緑
で書いてある面積が、ワクチンを打ったことによって、追加でどれだけの健康価値が生まれ
たかになります。したがって、ワクチン関連の投入費用、それによってどれだけの健康価値
が増えたかという量を定量的に比べることにより、ワクチンがどれだけ費用対効果がよかっ
たのかを計算できるというのが、この質調整生存年の考え方になります。
☆スライド さて、こうした通常行われる費用、質調整生存年の考え方に基づいて、ヒトパ
ピローマウイルスのワクチンの経済評価も相当数が行われています。文献検索の結果、我々
で症例を知り得ている限りですが、国内外にて50本を超える研究論文が公表されています。
しかし、子宮頸がんの発生やその後の経過というのは長期にわたるものなので、先ほど部会
でも説明があったように、長期的なワクチンの効果がわかっていない、あるいは生涯にわた
る健康状態の推移についての実測値はあるわけがないので、ワクチンを打っていたら何年後
にどれだけ病気が減らせるという確率値を使った、生涯にわたる病態推移モデルを使って、
生涯の費用、生涯における健康価値、特に質調整生存年という単位を使った健康価値の算出
が、これまでの大部分の経済評価研究において行われております。
 これらを我々はすべて把握して読んでいるわけですが、外国にもこういったものを整理し
ている方がありまして、今年出たアメリカの論文を集めてレビューをしたという結果を見ま
すと、すべての論文において、ワクチンを打つことにより、保健医療関連費用は増加する、
つまり費用の節約にはならないということです。しかしながら、生存年ないしは質調整生存
年は、一定程度増えるという推計結果になっています。
 そして、その費用対効果を見ると、概ね良好な水準にあったということです。ただ、実は
アメリカでは費用対効果の水準は、1ドルをかけたらどれだけの見返りがあればいいかにつ
いてのおおよその閾値すなわち上限が示されていますが、日本の場合は、必ずしもその水準、
閾値といったものが確定しているわけではないので、ここをどのように評価するかは難しい
ところですが、アメリカの基準でいくと、費用対効果が概ね良好だという結果が出ています。
☆スライド 我が国でも、これまで長期的な予後予測あるいは経済評価の論文が何本か出て
います。先ほど今野先生がご紹介されたものもその1つですが、同じ分析モデルを使った3
つの研究を並べてみましても、分析の立場、どのような費用をそこに含めるか、割引率とい
って、将来発生する費用を現在価値に割り引く、その割引きの値を変えることにより、結果
の数字は変わってくることが、問題になってくるところだと思います。
 この3つの論文は、分析方法やデータの詳細が示されているので、我々もこれを参考にさ
せていただきながら、最新のデータなどを使って再計算を行っています。研究班としては、
廣田先生の研究班の中で、我々が分担させていただきまして、いま研究をしているところで
す。また、その最新のデータに関しては青木先生のご指導をいただきながら、再計算を進め
ているところです。
☆スライド 以上申し上げましたように、費用対効果の計算というものは、特に長期的な経
過をたどるHPVのようなものに関しては、いくつかの点に留意していかないと、前提を変
えれば結果が変わってくるということですので、この辺りをどのように考えていくかの整理
をしていかなければいけないと思います。1つはワクチンの価格で、これはワクチン代だけ
ではなく、実際に接種にかかる費用なども調査をして、それを含めていかないと、かなり費
用対効果に大きな影響をもたらすことになります。
 また、対象者をどのような年齢にするか、接種率をどうするかによっても、結果は当然変
わってきます。また、先ほどもご発表があったように、ワクチンの効果は何年ぐらい持つの
か、あるいは追加接種が要るのか要らないのか。この辺りもいくつかのシナリオを考えてい
く必要があります。
 病態推移確率は、いま例えば子宮頸がん等、さまざまな疾患に対しても治療法が進歩して
きているので、こうした医療技術の進歩に伴って、病態の発生あるいはそれにかかわるコス
トも変わってくることがあります。また、検診の受診率が変わればそれによって発見される
ステージも変わってくるので、それをどのように決めていくかも、結果に大きな影響を与え
てきます。
 最後に2つ書いたのが、技術的な問題なのですが、費用の範囲、間接費用(生産性損失)
をどのように算出するのか、そして将来の費用あるいは効果を現在価値に割り引く、その割
引率をどのように設定するか。これを変えることによって結果は大きく変わってきます。今
後、いくつかのワクチンについて費用対効果の検討をするときには、標準的な推計のルール
を作って、それに基づいて計算していくことを目指していく必要があると考えています。以
上です。
○岡部委員長 原則的な考え方、今回のテーマであるHPVについて示していただきました。
ご質問、その他がありましたらお願いします。
○廣田委員 先進諸国でいろいろと違うと思うのですが、1QALY当たり、いくらくらいだ
ったら1つの医療政策として受け入れられるのか。そういった基準はどうなのでしょうか。
○池田委員 アメリカでは1QALY当たり5万ドルという数字が無批判に使われてきたので
すが、それに対する批判論文も最近出ていまして、5万ドルには何にも根拠がないという衝
撃的な論文が出てきています。
 イギリスでは、1QALY当たり2万あるいは3万ポンドというのが、国民保健サービス
(NHS)の中で使用を推奨するための上限値とガイドラインなどで示されています。ただ、予
後が非常に悪い、ほかに代替的な治療がないような疾患に関しては、費用対効果に関わらず、
そういったものをNHSでは認めていくということで、閾値だけで物事が決まるということ
ではないです。
 オランダでも、ある程度の閾値は設定されているようなのですが、割引率の数字を変える
と、閾値を上回ったり、下回ったりしますので、このHPVワクチンもオランダで行った分
析では、費用対効果の点で、いいのか悪いのかの論争がありまして、閾値の問題と割引率を
どう設定するかで、すれすれでよくなったり悪くなったりということがあります。だから、
この辺りの数字の決め方は、かなり慎重にやる必要があると思います。
○廣田委員 こういった考え方をするようにしないと、と思うのですが、いままで言われて
いるのは、金がかからなくなることがいいことだという考え方があるので、金はかかるもの
で、大体このくらいは、という考え方も大事だと思っています。
○池田委員 予防技術というのは、もしそれが病気になったときに大変なコストがかかるわ
けですから、予防技術というのは費用対効果がいいとか、お金の節約になるというように、
計算をする前から、そのような前提で物事が考えられているケースが多いのです。
 ワクチンの場合も、必ずしもそのようなものばかりではないので、その辺りをどうするか。
つまり、実際にはこれだけの財源が必要だ、あるいは費用が増えるという客観的なデータに
基づいて、そのワクチン接種を推奨していくかどうかということを考えるための材料の1
つにしていく必要があると思います。
○岡部委員長 前にも申し上げたことがあるのですが、ある程度疾病としてのインパクトの
ある病気であれば費用対効果は明らかになると思うのですが、だんだん対策が進んできて、
本当に病気が少なくなってきたときにもう1回計算し直してみると、案外費用対効果はない
のではないかということになりかねない。特に、全体としてエリミネーション、イラディケ
ーションという話になってくると、かえってお金ばかりかかってきてしまうことになります。
ということで、費用対効果の読み方も、ときどき難しくなってくるのではないかと思うので
す。あまり全部費用対効果だけで説明すると、実際の予防の対策は進まないのではないかと
思います。ご意見がありましたらお願いします。
 また池田先生に私から質問ですが、「我が国における研究」のスライドで、たまたま今野
先生の2008年と2010年、および荒川先生となっているのですが、国内でこのような分析
をされている論文は、他にもあるのでしょうか。
○池田委員 いま我々が調べた限りでは、論文として公表されているのはこの3本ですが、
その結果をそのまま引用した形の総説はあります。その他、学会発表等で別のグループがや
っているものもあります。あるいは本研究班の中で、東大の五十嵐君を中心に分析したもの
もありますので、そうしたさまざまな国内の数字を比較していくことも、この作業部会では
進めていきたいと思います。
○岡部委員長 いかがでしょうか。
○青木参考人 いまのうちに聞いておきたいと思います。費用対効果は、もちろん何か施策
としてアクションを取るときに非常に大切な指標になると思います。ただ、先ほど池田先生
からも推計であるという言葉もありましたし、確率という言葉もありました。そのようなキ
ーワードを聞きますと、将来どうなるか、本当のところは現時点ではわからないわけですの
で、それをきちんと評価をしていくという機構も最初からセットにしておかないと、何かと
間違った方向にいく可能性があると常々思っています。総論的にどう考えるかということで
いいと思うのですが、現在そのような施策を求められたときに、先生が計算されて、そのよ
うな評価機構も一緒に考えたときに、実際に評価機構の部門というのはどのような形で動い
ているのか、あるいはそういった例があるのかということをお教えいただければと思います。
○岡部委員長 海外の例も含めてどうでしょうか。
○池田委員 ご指摘のとおりでして、費用対効果というのは、長期的な予後予測を伴うもの
ですので、長期的な臨床データが収集されたら、それに基づいて費用対効果は見直していく
ことが必要です。
 さらにワクチンの場合には、いわゆる集団免疫の効果などもあるので、そうしたダイナミ
ックな長期的な推計というのは、どうしても予測どおりにいかないことがあります。今回
我々が基本として行っていきたいのは、いくつかのシナリオを設定して幅を持たせた推計を
行っていくことです。過大評価あるいは過小評価とはならないように幅を持たせた推計を行
い、そして最新のデータに基づいて定期的に分析結果を見直していく必要があると思ってい
ます。
○森内参考人 ほかにもいろいろなファクターを考える上でお聞きします。例えば健康被害
が生じたときに、いまでは定期接種と任意接種でその対応の仕方も違いますし、そういった
ことをどう計算するかもあるかと思います。
 それから、起こったことについての治療に関しても、時代によってだいぶ変わってくると
思います。ワクチンではないのですが、私はHTLV-1の母子感染予防に関することで、全
国の妊婦のスクリーニングをするかどうかについて、費用対効果云々どうこうのときでも、
治療に関して、昔は成人T細胞白血病にかかったらすぐに亡くなってしまったので、お金
はあまりかからなかったのですが、いま骨髄移植まで頑張れる時代になったので、相当お金
がかかるようになりました。そのような変化でも相当治療費が変わってくるのかなという気
がします。
 これに関しては、先ほども廣田先生のご質問にありましたし、議論にもなりましたが、本
当にこれによって検診率が増えたり減ったりするのかというのは、また別の形でかかわって
くる項目かなということで、随分幅が出るなというのが、正直な感想です。
 それぞれのワクチンについて、限られた予算の中で考えていく上でというのが、冒頭でも
述べられたかと思います。このヒトパピローマウイルスワクチンの難しいところは、ほかの
水痘やおたふく風邪、ムンプスであったりとか、発症年齢がほぼ同じようなコモンディジー
ズの場合には比較しやすいと思うのですが、これに関しては、そのように横一列で計算をす
るときにいろいろな項目を決めたとしても、非常にバリエーションが増えてきて、そういう
ことを比べるには難しいのかなと思いますが、いかがでしょうか。
○池田委員 ご指摘のとおりだと思います。まず長期的な予後予測のモデルを作ることから
始めなければいけないのですが、現状の子宮頸がんの年齢階級ごとの罹患率と、今回回した
モデルと、まずは実態としてモデルと現状が合っているかどうかの検証作業を行いまして、
その上で予後予測を行っていくのですが、もちろん健康被害が起きた場合、あるいは実際に
子宮頸がんにかかられた場合の治療法、そしてその予後も、時代によって変わってきますの
で、ここをどのように考慮するかというのは難しい課題だと思います。
 また、検診率に関しては、独立した変数として、仮に検診率がこれによって下がってしま
った場合、あるいは啓発が進んで上がった場合にどうなるという、検診率を動かした場合の
推計というのは、モデルを使って比較的簡単にできるので、これについてはこの分析の中に
取り入れたいと考えています。
○岡部委員長 議事を進めます。先ほど部会でも議論があったのですが、そのことも含めて、
先ほどの部会ではメンバーでなかったワーキンググループの先生もおられますので、全体的
にご質問、ご意見がありましたらお願いします。
○小西参考人 このHPVワクチンの価格ですが、部会でも意見がありましたように、政府
で交渉ができる可能性があるのかどうかで、医療経済効果にもかかわってくると思います。
それを気にしていまして、マレーシアが交渉をして、安くしたのではないかということなの
ですが、値段は秘密のようです。その辺がかかわってくると思います。
 このままでいくと、会社は強気なので、そう簡単には下げないだろうという予想なのです
が、その辺が不透明で、評価をするときにも困ると思います。国のお考えをお聞きしたいと
思います。
○岡部委員長 事務局はいかがですか。
○藤井次長 現段階で、それに対するお答えは持ち合わせていません。
○岡部委員長 いずれ解決がいくのだとすれば改めて教えていただきたい、としておきます。
ほかにはいかがでしょうか。
○柊元参考人 HPVワクチンは、現在2価ワクチンが承認されていますが、このあとは4
価ワクチンが承認ということになると思います。今回のこの作業については、4価も含めた
形でやるのでしょうか。
○岡部委員長 方向性としてはどうでしょうか。HPVワクチンということなので、4価も
含まれるのではないかと思うのですが、どうでしょう。
○藤井次長 ファクトシートにもお書きいただいたと思うのですが、そんなに遠い将来の話
ではないと認識していますので、入れていただくべきではないかと考えています。
○岡部委員長 一応含まれると考えていいのではないかと思います。そのほかにはいかがで
しょうか。
○青木参考人 その場合は、全く同じものとして扱うのでしょうか。2価と4価ではだいぶ
意味合いが違いますので。
○岡部委員長 そこが、このワクチンについての目的というところに入ってくると思うので
すが、そうなると、2価と4価の対比で、それが有利か不利かという形での考察に結び付く
のではないかと私は思っているのですが、事務局からは意見はありますか。
○藤井次長 これは事務局の意見というよりも、むしろその辺りを検討していただきたいと
思います。
○岡部委員長 ワーキンググループの中で、1度それも併せて議論していただければいいの
ではないかと思います。
 私からお尋ねしますが、はしかにせよ、風疹にせよ、ああいうものは感染症のサーベイラ
ンスの中でかなりデータができていますが、Hibの問題についても、成人の水痘、百日咳と、
いろいろと現在のサーベイランスシステムではうまくいっていないところがあるわけです。
このHPVの場合は、そのようなナショナルデータはきちんと取れているのでしょうか。
○がん対策推進室長 HPVについては、尖圭コンジローマについてはデータとしてありま
すが、それ以外の情報についてはない現状です。
○岡部委員長 青木先生からはいかがでしょうか。
○青木参考人 現時点ではワクチンに関しては、浸潤がんの予防効果もあると推測していま
すが、それも具体的なものが年数の関係でまだ出ていないのではないかと思います。浸潤が
んまでいけば、いろいろな点でデータがあるかと思いますが、前がん病変で、先ほどから
CINと呼ばれているような病変に関しての予防効果というのは、登録も何も一切ありませ
んので、何もデータがないのではないかと思います。
○岡部委員長 ワクチンを使って、もしこれを国の事業としてやっていくことになるならば、
特に予防ですから、どのように減少していったかということをきちんと押さえておかないと、
その評価ができないと思います。そのことを含めて、ワーキンググループで必要なものとい
うことで、意見を出していただければいいなと思います。
○森内参考人 実際150億になるのか、だいぶ削られるのかわかりませんが、重要な目的
として情報を収集することはおっしゃられたのですが、それが具体的にどうできるのかとい
うのが全然わからなくて、まさに岡部委員長の言われていましたとおり、情報をいかにして
集めるかの道筋ができないと、あまり先のことを考えきれない気がします。
○岡部委員長 研究班とかそういうレベルなら、データは取れてくると思うのですが、きち
んとした形でやるためにはナショナルデータがないといけないと思うので、そういうことも
踏まえて、もしいままでのところがないのであれば、どうするかを是非議論していただきた
いと思います。
 もう1つ私からなのですが、これはいま現在いろいろな国、海外では非常に多く使われて
いるワクチンなので、事実上の安全性はそんなに大きな問題は出てきていないと思うのです
が、現在いろいろな意見あるいは問題点を指摘する中で、アジュバントに対する安全性につ
いての疑問が、一般の方から投げ掛けられていると思います。一応これも答えを出しておか
なければいけないと思うのですが、私はそれに対する答えを持っていないのですが、柊元先
生、何かお持ちですか。ここにはアジュバントの専門家がおられないので、なかなか答えと
して出てこないと思うのですが、そのことも含めて、社会でそのような疑問が出ているので
あれば、きちんとした答えを出すべきではないかと思うのですが、もし柊元先生、意見があ
りましたらどうぞ。
○柊元参考人 結構です。
○岡部委員長 ほかの先生から何かありませんか。
○倉田委員 アジュバントというのは非常に微妙で、FDAも今年の9月までにはガイドラ
インを出すと言っていましたが、出てくるかどうかわかりません。いま基盤研の山西さんの
班で、アジュバントををどう考えるかと、ガイドラインを作るか作らないかの議論が行われ
ていますので、それも1つそれにアジュバントの専門家がかなり入っていますから、それが
出てきたところで議論にすればと思います。いまからいきなりは無理だと思います。
○岡部委員長 現状のデータはある程度必要だろうと思います。それから、アジュバントの
名前が、あるメーカーではAS03、AS04などと称されていますが、HPVワクチンのアジュ
バントと新型インフルエンザワクチンのアジュバントと同じものであるかのように誤解さ
れているところもあるので、そのようなところも含めて、説明ができるようにしていくべき
ではないかと思います。ほかにご意見がありましたらどうぞ。よろしいですか。
 部会からずっと続いていますので、だいぶ時間も経ちましたので今日はこの辺で小委員会
もおしまいにしたいと思います。HPVワクチンだけではなくて、個別のワクチン、先ほど
いくつかテーマに出ていたものがありますから、それを各作業グループにおいて検討を進め
ていただきたいと思います。それから、それだけではなく、並行してやりながらも、HPV
ワクチンへの注文も付いているわけですので、これについて早く、できるだけ適切に実施方
法についての情報収集をワーキンググループにお願いしたいと思います。
 ワーキンググループのほうはワーキンググループの先生でやるのですが、これは事務局、
もし小委員会の委員とか、予防接種部会のメンバーの先生が聞きたいということであれば、
その方にはオープンで構わないですね。それならば、日程はそちらのほうにも連絡をしてい
ただいて、もし小委員会の先生方でも出席をして、意見あるいは聞いておきたいということ
であれば、ご出席をお願いします。
○藤井次長 いまのお話にもかかわりますけれども、このあとに作業チームの先生方のメー
ルアドレス、ご連絡先を伺います。作業自体は、実際にお集まりいただくことも1つなので
すが、そういったメール等のやり取りも可能なようにと環境の整備はさせていただきたいと
思っています。
 先ほど岡部委員長からお話がありましたように、打合せ会議を行いたいと思っています。
先ほど委員長からお話があったのは、そういった会を開く際には、小委員会の先生方に連絡
して、ご参加いただくという趣旨だと思いますので、それについてはさせていただきたいと
思っています。
○倉田委員 確認です。作業グループの議論は、相当いま水面下でも議論されると思います
し、それをオープンでやるのは私は反対なのです。というのは、外国のデータで、それは表
に出ていないけれども実はというのはたくさんあるわけです。そういうことが議論にならな
いと、本来ワクチンの評価にいかないと思うので、その評価によって、今度は使えるという
話になるわけです。ですから、それをやるとすれば、作業チームは本当のところを言うため
には、オープンでないほうがいいです。私はその点は反対です。
○藤井次長 オープンとはしていません。小委員会は規程によりオープンですが、作業チー
ムをオープンにすることは想定しておりません。
○岡部委員長 私が申し上げたのは、作業グループのほうは委員間の中でオープンにしよう
ということであって、一般への公開という意味ではないです。つまり、委員が誰でも部会の
ほうには出られると。
○健康局長 国のそういった検討というのは、どんな小さな問題でもオープンなのです。た
だ、まさにそういうことの運営も含めて、ご決定いただくのは、まさにこの部会であり、部
会の下の小委員会でありということで、それは特別な理由があれば、それぞれの会の権限に
おいて運用されるのは、我々としてはそれを尊重します。
○岡部委員長 むしろここで決めておいていいというのであれば、例えばACIPの例がよく
出てきますが、あれは非常にオープンの会です。いろいろな人が出てきて、いろいろな意見
が言えます。けれども、ワーキンググループはオープンではなく、そこで実にいろいろな議
論がやられているという例もありますので、私自身は作業部会、ワーキンググループはオー
プンである必要はないと思います。その代わり、実質的な意見を詰めてもらいたいと思うの
ですが、いかがでしょうか。倉田先生はよろしいですか。
○倉田委員 賛成です。そうやるべきだと思います。
○岡部委員長 いま健康局長から提案のあったようなことについては、この委員会としては、
小委員会はもちろんオープンですが、作業部会については十分な議論を尽くしていただきた
いということで、オープンである必要はないとしたいと思います。よろしいでしょうか。
(異議なし)
○岡部委員長 ありがとうございました。今後の進め方等については、事務局から何かあり
ますか。
○藤井次長 先ほど進め方についてご説明させていただきましたので、そのとおりです。
10月中旬ぐらいまでにおまとめいただきたいということをお願いします。
○岡部委員長 それでは今日の小委員会は終了にします。遠くから来られた先生方、本当に
ありがとうございました。


照会先:健康局結核感染症課(03-5253-1111 内線:2077)




(了)

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