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2010年8月27日 第12回 厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会 議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成22年8月27日(金)
17時~19時


○場所

厚生労働省 省議室


○議事

【出席委員】(50音順)
飯沼委員、池田委員、今村委員、岡部委員、加藤部会長、木田委員、北澤委員、
倉田委員、澁谷委員、廣田委員、古木委員、保坂委員、山川委員、
【参考人】
神田参考人、今野参考人
【行政関係出席者】
長妻厚生労働大臣、足立厚生労働大臣政務官、山井厚生労働大臣政務官、
外山健康局長、篠田大臣官房審議官、松岡健康局総務課長、
亀井健康局結核感染症課長、神ノ田健康局結核感染症課新型インフルエンザ対策室長、
間杉医薬食品局長、平山大臣官房審議官、中垣医薬食品局総務課長、
三宅医薬食品局血液対策課長
藤井新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長、駒木健康局健康対策調整官、
鈴木健康局総務課がん対策推進室長


○新型インフルエンザ対策本部事務局次長 定刻になりましたので第12回厚生科学審議会
感染症分科会予防接種部会を開催させていただきます。まずは、事務局より本日の委員の出
欠状況についてご報告申し上げます。本日は岩本委員、宇賀委員、黒岩委員、坂谷委員、櫻
井委員、宮崎委員からご欠席のご連絡をいただいております。なお、今回より、医療に関す
る経済性の評価をご専門とされております国際医療福祉大学教授の池田俊也先生が予防接
種部会の委員になられましたので、ご報告を申し上げます。現在、19名中13名の委員のご
出席をいただいておりますので、厚生科学審議会令の規定によりまして定足数に達しており、
会議が成立しますことをご報告申し上げます。それでは、ここから加藤座長に議事をお願い
します。よろしくお願いいたします。
○加藤部会長 皆さま、お暑いところをお集まりいただきまして、どうもありがとうござい
ました。では、ただいまより第12回の予防接種部会を開催させていただきます。本日は長
妻厚生労働大臣、そして足立厚生労働大臣政務官に大変ご公務お忙しいところをご出席いた
だいております。まず、開催に先立ちまして長妻厚生労働大臣より一言ご挨拶をいただきた
いと存じます。
○長妻厚生労働大臣 お暑い中、お集まりをいただきましてありがとうございます。今回は
12回目の予防接種部会ということで、私は初めてこの会に出させていただきました。とい
いますのも、国会で最も多く質問があって、答弁でも多く出ている部会の一つがこの予防接
種部会でございまして、国民の皆さまの関心が非常に高い部会でございます。足立政務官は
何度か出させていただいていると思うのですが、今日は足立政務官と一緒に出席をさせてい
ただいているところであります。
 まず1つは、今日、官邸で「新型インフルエンザ対策本部会合」が開かれまして、尾身先
生にも出席いただきましたけれども、そこで「ポストパンデミック」声明を踏まえた報告を
私からも申し上げ、今年度末を目途に、この感染の法律に基づいて新型インフルエンザの一
定の流行が過ぎたという発表もしていこうと考えております。こういう報告をし、ただ第2
波についても怠りなきようしなければならないし、季節性インフルエンザと比べても、致死
率という意味では新型インフルエンザは高いというような話も出たところでありますので、
今後ともこの新型インフルエンザ、あるいは鳥インフルエンザの強毒性についても怠りなき
ようにという話もございました。私もそういう話を申し上げましたので、今後ともご指導い
ただければと思います。
 そして今回の部会においては、Hibワクチン、肺炎球菌ワクチン、ヒトパピローマウイル
スワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)など8つのワクチンについて検討を更に続けるため、
「小委員会」及び8つの「作業チーム」を設置して、今後、より具体的な議論を進めていた
だきたいと考えております。
 中でも、いまもパンフレットが配られておりますけれども、子宮頸がん予防ワクチンにつ
いては国民の関心も高く、厚生労働省としては8月末締め切りの概算要求にも公的助成とい
う形で盛り込んでいきたいとも考えているところであります。
 本日は、子宮頸がん予防ワクチンの専門家の皆さまからお話を伺うと共に、厚生労働省と
しての考え方について委員の皆さまのご意見を伺いたいと考えておりますので、よろしくご
指導を賜れば幸いであります。このワクチン行政は、過去にご存じのようないろいろな経緯
がございまして、日本国は先進国に比べると決して進んでいるとは言えない状況でもあると
考えております。是非、今後とも皆さま方のお力、英知を結集していただいて予防接種行政
が前に進むように、ただ、当然この安全性というのはないがしろにはできないわけでありま
すけれども、その推進について今後とも本当にご指導をいただきたく、国民の皆さまが大変、
繰り返しになりますが、関心があり、そして期待を寄せているのがこの部会だと思っており
ますので、今後ともよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
○加藤部会長 長妻厚生労働大臣、どうもありがとうございました。厚生労働大臣並びに政
務官は、公務がございますので途中でご退席される可能性もございます。そういうふうに伺
っておりますので、よろしくお願いいたします。ご退席までの間、しばらくご議論にご参加
いただきますように、よろしくお願いする次第でございます。
 続きまして、まず事務局におかれましては異動があったと伺っておりますので、その事務
局の異動についてご報告をいただきたいと存じます。
○新型インフルエンザ対策本部事務局次長 皆さまから左側、健康局から紹介させていただ
きます。外山千也健康局長です。篠田幸昌大臣官房審議官です。松岡正樹健康局総務課長で
す。亀井美登里健康局結核感染症課長です。神ノ田昌博新型インフルエンザ対策推進室長で
す。続きまして医薬食品局です。間杉純医薬食品局長です。平山桂伸大臣官房審議官です。
中垣英明総務課長です。三宅智医薬食品局血液対策課長です。そして私は事務局次長の藤井
です。どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤部会長 どうぞよろしくお願いいたします。それでは議事に入ります前に本日の部会
の趣旨、そして目的並びに資料の確認について事務局よりご説明をお願いいたします。
○新型インフルエンザ対策本部事務局次長 お手元の資料をご覧ください。いちばん上に座
席表、次に配付資料の一覧。次に議事次第があります。本日は、2「議題」にありますよう
に、4つの議題について審議並びに報告をさせていただきます。その次に委員の先生方の名
簿があります。資料1、1枚紙です。資料1-2「委員・参考人よりいただいた主なご意見」。
資料2-1「ワクチン評価に関する小委員会の設置について」。資料2-2、2枚紙です。資料2-3
は評価・分析の視点について。資料3-1は利益相反について。資料3-2「予防接種部会にお
ける審議への参加について」。資料4は「本日のプレゼンテーションについて」。次に、カラ
ー刷りの資料があります。5-1は、本日、参考人の今野先生から提出された資料です。資料
5-2もカラーです。本日の参考人の神田先生から提出された資料です。こちらは先ほど差し
替えがあり、傍聴の方には古いものが付いていますが、ホームページでは新しいものにいた
します。資料5-3「ヒトパピローマウイルスワクチンに関する論点整理」。資料6「新型イン
フルエンザ対策本部会合」。資料7「予防接種実施規則の一部を改正する省令」。資料8「麻
しん排除に向けた取り組みについて」。そのほか参考資料1、2としてそれぞれ1枚紙です。
このほか、3冊の冊子がお手元にあります。こちらは、本日、参考人としてプレゼンテーシ
ョンをされる今野先生よりご提供いただきました資料です。資料は以上ですが、落丁、不足
等ありましたら事務局にお申し付けください。以上です。
○加藤部会長 ありがとうございました。ただいま山井厚生労働大臣政務官もご出席されて
おりますが、先ほどお話しましたようにご公務多忙ですので途中ご退席の可能性もございま
すが、それまではよろしくお願いしたいと存じます。それでは早速議事に入らせていただき
ます。
 本予防接種部会は第7回以降、第一次提言にありましたように今後、「議論が必要と考え
られる主な事項」の各項目を中心として、有識者の方々や部会委員の方々よりヒアリングを
中心として議論を続けてきたところでございます。本日からは後半戦の部に当たると考えら
れますが、まずはこれまでの部会におけるご意見等の整理をここで一応いたしまして、今後
の議論につなげていきたいと考えております。したがいまして、事務局で第7回以降の部会
におけます委員の方やヒアリングにお越しいただいた有識者の方々からのご意見を簡略に
まとめていただいておりますので、藤井次長よりそこの辺を10分程度の時間でご説明をお
願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○新型インフルエンザ対策本部事務局次長 手短にご説明申し上げます。資料の1-1は、い
ま座長からもお話がありました、これまでの審議経過について一覧を作っております。1回
目、2回目とあって、2月19日に「第一次提言」を取りまとめていただいております。点
線の中に書いてありますが、この一次提言を踏まえ、新型インフルエンザ予防接種による健
康被害の救済等に関する特別措置法の一部を改正する法律案に反映しておりますけれども、
4月14日、参議院本会議で可決されていますが、現在閉会中のため継続審議となっていま
す。6回以降ヒアリングをしていただいた内容を示しております。いま座長からもございま
したように、これらも踏まえ、今後も議論をお願いいたします。
 資料の1-2は、これまで7回から11回までの主な意見をまとめております。まとめ方と
いたしましては、今後議論が必要であると考えられる事項、これは第一次提言の6つの柱を
出していただいておりますけれども、その柱ごとにご意見をまとめております。特に事務局
で具体的に抽出しているつもりはないのですが、全てを網羅できているわけではありません
ので、ご承知おきください。
 1頁、予防接種法の対象となる疾病・ワクチンのあり方について。この内容を拝見します
と、予防接種そのものの考え方についてのご意見、そして、下ですが、疾病・ワクチンに対
する個別の考え方についてのご意見をいただいております。のちほどご説明申し上げますが、
丸2は後ほどご審議いただきます小委員会においてご議論いただく内容になろうかと思い
ます。
 2頁ですが、2つ目の柱、予防接種事業の適正な実施は、丸1役割分担に対する考え方、
それから下は、実施、主に仕組みについての考え方へのご意見です。3頁ですが、予防接種
の実施方法ということで、具体的なやり方についてのご意見です。丸4健康被害についての
考え方です。次の頁になりますが、副反応報告についての考え方。これは、その仕組みや報
告の方法等について、多岐にわたるご意見をいただいております。丸6として、ワクチンの
供給に関する考え方についても、多岐にわたるご意見をいただいております。
 次に5頁ですが、3つ目の柱になります。情報提供のあり方については、情報提供をどう
いう目的でどういうふうにするのかという、そもそもの考え方についてのご意見、丸2は提
供する内容についてのご意見です。
 6頁ですが、費用負担のあり方ということで、これは行政に限らず個人、あるいは保険の
活用等々についてのご意見を多岐にわたっていただいております。丸2費用、ここでは主に
ワクチンの価格等に関するご意見をまとめております。
 次の7頁ですが、予防接種に関する評価・検討組織のあり方ということで、組織とはどう
あるべきかというご意見です。その中では、のちほどご議論いただきますが、利益相反につ
いて、7頁の下、評価に対する考え方で、具体的に申し上げますと、評価・検討はどういう
内容を行うかというご意見です。
 8頁、6番目の柱として、ワクチンの研究開発の促進と生産基盤の確保のあり方というこ
とで人員や資金、あるいは共同治験等についてのご意見です。
 最後の9頁ですが、これは「その他」としておりますけれども、分類を見ますと、検討・
評価組織のあり方等に関係するのかもしれませんが、サーベイランスについてのお考えを
多々いただいているという認識でおりますので、別に集計しました。丸2は感染症対策に関
する機関、特に地方自治体における地方衛生研究所を含めた機関等に関するご意見です。以
上、事務局でまとめさせていただきましたが、その内容は非常に多岐にわたるものです。ま
とめ方、あるいはその内容については、またご意見等をいただければと考えておりますが、
今回まとめさせていただいたご意見等については、次回以降の事項ごとのご議論の参考とし、
事務局として準備して皆さまのご議論の一助としていただきたいという趣旨でとりまとめ
ました。以上でございます。
○加藤部会長 どうもありがとうございました。この資料でご意見等ございましたならば、
のちほど事務局にお伝えください。特段のご意見はないと思いますので、次の議題に進めさ
せていただきたいと存じます。次に、前回の部会でその設置についてご了解をすでにいただ
いておりますワクチン評価に関する小委員会についての議題に移ります。まず、事務局より
小委員会についてご説明をお願いいたしますが、ワクチン評価に関する小委員会の設置につ
いて、そして小委員会における検討の進め方について、そして引き続き利益相反について等
をまとめまして、やはり藤井次長よりご説明をお願いしたいと存じます。
○新型インフルエンザ対策本部事務局次長 お手元に資料2-1、2-2、2-3、資料3-1、3-2、
少したくさんの資料がありますけれども、併せてご説明いたします。
 まず資料2-1です。前回、第11回の部会において、今後、個別ワクチンに関する検討の
方法といたしまして、この部会の下に小委員会を設置し、具体的な検討を進めていってはど
うかというご指示をいただいたという認識をしております。資料2-1ですが、その経過を書
いています。2つ目の○で、前回の部会で今年以降という形で8つの疾病・ワクチンについ
て事実関係のファクトシートを作っていただきました。そのときの議論にありましたけれど
も、今後、評価のために必要なデータの収集や検証方法、丸2評価に際しての手法や判断基
準の明確化を行うこと等が課題とされています。そこで、これらの検討を行うために小委員
会を設置するということです。
 いちばん最後から2番目に参考資料1が付いております。この参考資料1は厚生科学審議
会の運営細則です。小委員会を設置する場合、第1条として小委員会を置くことができる。
第2条として、その委員は部会長が指名する。第3条として、その小委員会の委員長は部会
長が指名することが規定されているところです。そこで、この資料の裏面をご覧ください。
特に医学的・科学的な視点からの議論を行うということで、小委員会を設置するというご指
示をいただきました。部会長とご相談して池田先生、岩本先生、岡部先生、倉田先生、廣田
先生、宮崎先生には小委員会の委員に就任していただくことをお願いしたいと思っておりま
す。併せて岡部委員は、部会長よりこの小委員会の委員長に指名されておりますので、よろ
しくお願いいたします。
 資料2-1の最初の頁に戻って、2の「検討事項」は、医学的・科学的視点からの議論を行
うということと、2つ目の○、予防接種法へ位置づけるかどうかについての考え方について
整理し、その整理を部会に報告するということです。「その他」として、その議事は公開と
すること、作業チームを設けるということを書いております。
 その作業チームについてですが、資料2-2です。検討の内容等は重複となりますので割愛
します。検討体制で、2つ目の○、作業チームのメンバー構成は、ファクトシートを作成い
ただいた国立感染症研究所の専門家、特に疫学部門と製剤担当部門の先生方、1名づつ2名
に入っていただきます。それから、臨床の専門家の先生方、それから医療経済、前回のファ
クトシートのときも医療経済での評価について少し不十分な部分があるというご指摘を受
けていましたので、その専門家に入っていただくこと。それから感染症疫学の専門家、その
他必要に応じてメンバーを追加ということで、次の頁にカラーで横刷りの資料を付けており
ます。
 大体の流れですが、いちばん左のところに「予防接種部会」と書いてありまして、その役
割は大臣に対し様々な提言を行うということですが、その下に6つの柱があります。その1
つ目の柱であります予防接種法の対象となる疾病・ワクチンのあり方、いま8つが挙げられ
ておりますけれども、それについて真ん中の小委員会ですが、検討事項として先ほど申し上
げました評価項目、あるいは医学的・科学的な視点からの議論を行うということで設置して
います。先ほど申し上げました作業チームは、いちばん右に上げております。先ほど6名の
先生方に小委員会の委員に就任していただくということで説明いたしましたが、その下に作
業チームを先ほど申し上げましたメンバー構成で設け、これはHibをはじめといたしまし
て8つの疾病・ワクチン、ファクトシートを作っていただいたものですが、それぞれについ
て後ほどご説明申し上げます内容でそれぞれの考え方をまとめていただきます。これは小委
員会の先生方とよく相談しながら実施していただくという形になっています。「役割」のと
ころに書いてありますが、評価や位置づけについての素案を作成し小委員会へ報告をしてい
ただきます。このやり取りをした上で、真ん中の小委員会では、その8つごとにできた報告
について取りまとめをいただきます。おそらくイメージとしては、全くのイメージですが、
数枚の形のものを取りまとめていただいた上で、それを予防接種部会にご報告いただくとい
うような形はどうかというのが事務局の案です。
 もう1度、資料2-2の1頁に戻っていただきます。3番目のところに「検討スケジュール」
と書いてあります。早速、9月から作業を始め、10月中旬頃には小委員会に素案をご報告
いただき、それを踏まえて作業を続けていただき、11月中旬にはそれを取りまとめ、11月
下旬には小委員会から部会へ報告をしていただければというのが事務局の現在の案です。
 先ほどのカラーの頁の次からですが、事務局でメンバーの調整作業を進めました。8つの
チームについてほぼ調整が済んでおりますので、ご了解いただいた先生方の名簿を添付して
おります。この中で3枚目の左下、「ヒトパピローマウイルスワクチン作業チーム」と書い
てありますが、こちらは柊元先生、多田先生、これは感染研の製剤部門の先生、疫学部門の
先生です。小西先生、森内先生は臨床の先生です。その先生方に加えて、がん検診等に詳し
い青木先生、それから性教育等を含めた教育の専門家の木原先生、それから感染症疫学の福
島先生、医療経済の池田先生等にも必要に応じて任意に加わっていただいているのは、この
ような趣旨です。今後、この作業チームで作業を進めていただきたいと思います。
 続きまして資料2-3をご覧ください。これは、この部会ののちに小委員会を開催しますが、
作業チームにおいてまとめていただきたい内容として、こういったものがあり得るのではな
いかと事務局(案)として出しました。ファクトシートの内容がこの三角印のところで大体
網羅されているわけなのですが、これを踏まえ、以前、部会資料で紹介いたしましたドイツ
の評価検討組織の評価軸等を参考に国民、関係者の方にご理解いただくためにわかりやすい
形で少し整理し、例えば「対象疾病の影響について」は、個人及び社会に対する影響はどう
かといったようなことで、ファクトシートはまさしく公平・中立、横並びに書いていますが、
その内容を踏まえた判断、コメント等を加えていただく作業をお願いしたいと考えておりま
す。
 同様に「予防接種の効果・目的・安全性」についても、効果について、目的について、安
全性についてと。そして(4)ですが前回、十分なデータがないとご指摘を受けておりました
医療経済評価は、研究班等の情報を付加していだだければと思っております。
 その次の3ですが、実施についてです。ワクチンの導入は可能かということは、供給等の
ことも含まれるかと思います。そういう意味で総合的な評価というものを、作業チームで叩
き台を作っていただき小委員会でご議論いただければということです。
 次に話題が少し変わりまして資料の3-1、3-2をお願いします。これと参考資料としまし
て参考資料2をお手元に置いてください。資料3-1ですが、予防接種部会における利益相反
についてです。今後、新たなワクチン、予防接種の制度的な取扱いについて具体的なご議論
をしていただく段階に入っていると認識しております。新たな予防接種、対象疾病がどうい
うことになるのかはワクチン製造メーカーにとって非常に大きく関係してくるものと理解
しております。第9回、6月の部会におきましても北澤先生等々からCOIの開示は必須だ
というご意見をいただいておりますし、諸外国の予防接種に関する検討組織についても
COIのチェックは必ずされているという状況を以前に紹介させていただきました。そうい
ったことも含めまして「背景」の4つ目の○です。現在、薬事食品衛生審議会薬事分科会で
は「薬事分科会審議参加規程」をつくり実際に運用されています。その規程を参考にという
か、ほとんどそれを横並びの形で、予防接種部会における議論への参加について、資料3-2
のように部会の申し合わせとして作ってはどうかということで資料を作成しています。
 資料3-1の2で主な内容だけをピックアップして申し上げます。調査審議されるワクチン、
これはいま8つの疾病・ワクチンですが、その議論をこれからしていただきますので、審議
されるワクチンはこれらを想定しております。そのワクチンの薬事承認の申請資料等に深く
関与した委員、治験等に関与した先生方は、当該ワクチンの審議をいただくときには退室す
る。2番目としては、深く関与している場合はその旨を議事録に記録するということです。
これは治験関係の内容です。
 次は寄附、それから契約金等の関係です。これは資料3-2の3頁の注2に「寄附金、契約
金等とは、コンサルタント料・指導料・特許権」云々と書いてありますが、こういったもの
を対象にご申告をいただきます。資料3-1に戻りますが、その額が500万円以上を超える
受取をされている場合は審議会場からご退室をいただく。
 4番、500万円以下の場合は出席して意見を述べていただくことはできるけれども最終的
に議決が必要な場合には議決に加わることができない。50万円以下の場合には議決に加わ
ることができるということです。では、この申告期間はどのぐらいかというと、これも先ほ
どの薬事分科会の規程に沿った形で考えております。5番になりますが、部会開催年度を含
む3年度で、その中で最も受取額の多い年度ということで案を作っております。なお、委員
の皆さまから申告書を出していただいた内容については公開する方向で考えております。
 補足になりますが、今後、これをご了解いただきましたら、先生方からご申告等々の手続
きをお願いしますが、この資料3-2で例えば審査するワクチンの競合品目等々という規程が
ありますが、こちらは事務局で整理して先生方にお示ししますし、あるいは個々、これはど
ういう場合なんだ、あるいはこういうことについて申告は必要かどうかということは、個別
にお問い合わせをいただきながら事務局でお答えをさせていただき、ご申告をしていただけ
ればと考えております。少し長くなりましたけれども、資料の2-1から資料3-2までご説明
をさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
○加藤部会長 どうもありがとうございました。ただいま、事務局から小委員会の件と、利
益相反についてのお話をいただきましたが、まず、小委員会の設置、そして今後の進め方等
について、各委員の方々からご意見がございましたら伺いたいと思いますが、いかがでしょ
うか。
○北澤委員 北澤です。ちょっと、質問したいのですけれども、資料2-3によると、この小
委員会で予防接種の目的についても議論されることとなっていますけれども、一方では資料
1-2及び過去の議論で、そもそも予防接種は何のためにするのかという目的については、き
っちり最初に議論すべきだというご意見もあったかと思います。なので、小委員会で目的を
こうだと言われてしまうと、本来は予防接種部会で先に議論すべきではないかと思ったので
すけれども、その辺はどのように整理すればいいのでしょうか。
○加藤部会長 ただいまご意見がございましたけれども、そもそも論としての目的というこ
とをこの中で語られてしまうと、この部会の意味がないというご意見ですね。その点につい
て、事務局からいかがでしょうか。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 目的という大きな課題については、検討す
る事項の1つですので、当部会できちんと議論していただくということを想定しております。
○加藤部会長 そうすると、いま北澤委員からのご質問で、そもそも論の目的等については
この部会で行うということであって、小委員会はそこまでは突っ込んでやるものではないと
いう理解でよろしいですか。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 いま、北澤先生からご指摘いただきました
のは、おそらく資料2-3の2の(2)の「この予防接種の目的は何か」というところのことだ
と思うのですけれども、これは予防接種そもそもの目的というよりも、1つ1つの、例えば
肺炎球菌ワクチンをどういう目的で行うのかというようなことを想定して書いている部分
でございます。
○加藤部会長 よろしいでしょうか。6つの柱があるのですけれども、その中の一部が今度
小委員会でやられるというような読み振りでよろしいかと思うのですけれども、それでよろ
しいですね、事務局のほう。他に何かご意見は委員の方からございますか。
○岡部委員 小委員会のまとめ役のご指名をいただいたのですけれども、これをやるに当た
って最初に申し上げます。ここ数日間HPVについては特に公費助成に関して随分いろいろ
な報道もなされ、またいろいろな決断も下されていると思うのですけれども、この委員会の
前身の予防接種検討委員会、あるいは私の所属しております日本小児科学会、あるいは私が
研究代表者となっている厚生科学研究班などで、定期接種の導入その他については、いろい
ろなものについてすでに要望を出したり、それなりの行動を出しております。この小委員会
の項目に、きちんといくつかのワクチンが書いてありますけれども、これはやはり公平にと
いうか、HPVに対して別にブレーキを踏もうという意図で申し上げているのではないので
誤解を避けたいと思うのですが、従来からいろいろな予防接種が必要であるということはず
いぶん討議されているので、これが後回しにならないようにということは是非お願いしたい
と思います。そして十分な議論を尽くしていきたいと思います。
○加藤部会長 先ほど、お示ししたとおり、作業チームはいくつかに分かれていまして、そ
の作業チームの中でHPVのみならず、全てのワクチンについて行うことになっております
ので、それでよろしいかと思います。他の委員の方で、何かご質問はございますか。
○倉田委員 これは、使う側の意見がだいぶ議論されるようになっていますけれども、要は
ワクチンが良いものかどうかという、そこの部分で実際に法律に基づいてチェックしている、
一部感染研の人はもちろん入っておりますが、日本には米国のFDAと同じようにPMDA
があるわけで、そういう所の人たちがこの中に委員として入るかは別として、オブザーバー
でもいいですが、ときには実質的なこと、その場合には多分クローズドでシークレットに属
するようなことも開示して、その中でこの部会に出すかはともかくとして、そういうものを
背景にした議論がないと、多分、ワクチンでありさえすれば、何でもいいですという話には
いかないので、そこのところは私、前に1回申し上げていますが、ちょっとメンバーについ
てと、プラス品質管理をきちんとやっている人たちの意見が出てくるべきではないかと思い
ますけれども、そこはどのように考えていますか。
○加藤部会長 ただいま品質管理についてのメンバーが少し不足しているのではないかと
いうご意見が出ました。この件に関しては作業チームのメンバーが案として出ておりますけ
れども、これは小委員会の中で話されるべきことでしょうか。いかがですか。事務局、お答
えになれますか。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 いまのご指摘については、小委員会でもご
議論いただきたいと思いますし、関係部局ともよく相談をして、ご趣旨を反映できるように
していきたいと事務局としては考えております。
○健康局長 それは違うよ。部会長が判断する事柄だと思います。
○加藤部会長 これ、品質管理については、倉田委員が前回もお話になっておりますので、
その辺のところを踏み込んで、さらにメンバーをプラスする必要があるという判断を私とし
てはいたしたいと思うので、これは倉田先生がこの部会の副部会長ですから、事務局と相談
をして、それにプラスした委員を入れていただくということで作業部会をつくりますか。
○倉田委員 このメンバーの中に、いわゆる行政の正式メンバーの人が確か入っていないの
ですよね。ならば、それで委員として加わるかどうかの話ではなくて、ワクチンの問題点は
いくつかすでにあるわけで、そういうことに関してデータを開示するか別として、委員会に
は出てもらってもいいのでは。こういうオープンなところに生データを持ってくるかどうか
は別として。副反応副作用等のデータはPMDAが握っているわけですが、そのへんを議論
しないでこのワクチンならいいのだという話にはならないですよね、世界的に見て。そこを
もう少し考えて、オブザーバーでもいいし、意見が言えるオブザーバー、あるいは何かそう
いう仕組みを考えておく必要があると思います。
○加藤部会長 わかりました。そうしたら、倉田副部会長の意見を尊重して、この作業部会
の中に倉田副部会長と相談のうえ、そのメンバーを選定していきたいと考えますが、それで
よろしいですか。
○大臣官房審議官(医薬担当) 医薬食品局からお答えいたします。このワクチンの中には
PMDAが審査したものもありますし、さらに古くなってしまってPMDAの前の段階で審査
されたものもありますので、ケースバイケースでお呼びいただければいいかと思います。
○加藤部会長 すでにこれは品質が十分に保証されているものがたくさん入っているとい
う平山先生のご意見ですよね。
○大臣官房審議官(医薬担当) そうです。すでに接種の実績が多くありまして、品質等も
十分固まっていると言ったらおかしいですが、保証されているものもあるかと思います。そ
のケースは、感染研のほうで検定等をされている方がおられますし、そういう所からご意見
をいただければそれでいいかと考えております。
○加藤部会長 平山先生の意見はよくわかります。そして、倉田委員の意見もよくわかりま
すけれども、すでに品質管理のはっきりしているものがたくさん入っていますが、おそらく
想像するに、倉田委員は、今後この部会がより広く、将来的に広がっていった場合のことを
勘案して、品質管理のメンバーがいたほうがよろしいという意見と捉えてよろしいですか。
○倉田委員 私、さっき言ったように、正式メンバーにするかどうかは別として、そういう
ことを担当している、PMDMのわかっている方が、そこにオブザーバーでも何でもいいで
すがいていただいて、必要なときには意見もいただくということが大事だと言っているわけ
で、正式な委員にすると、審査する関係上不都合なことも起きるとするなら、オブザーバー
としていろいろなことを、違った観点から言っていただくほうがいいかと思います。
○加藤部会長 資料2-2の2に「各疾病・ワクチン特性等に応じて、適宜メンバーを追加」
することができるということが書かれておりますので、ただいまの倉田先生のご意見を尊重
して、ケースバイケースで。
○足立厚生労働大臣政務官 少し整理していただきたいのですけれども、いまの発言の中で
部会にするのか小委員会にするのか、それとも作業チームにするのかというのは、混在して
いるような気がして、いま座長の整理は小委員会についてのことでしたけれども、その前の
意見は部会にという話もございましたし、そこはどの会にという話になるのか、倉田先生の
ほうからもう一度聞かれたほうがよろしいのではないかと思います。
○加藤部会長 私は、倉田先生のご質問は、作業部会の中にあることが問題ではなかろうか
と捉えまして発言をしたわけですけれども、いかがでしょうか。
○足立厚生労働大臣政務官 作業チームですね。
○加藤部会長 作業部会ではなく、作業チーム。それでよろしいですか。倉田委員、よろし
いですか。
○倉田委員 いいですよ。
○加藤部会長 それでは、他の委員の方、この他のことでもよろしいのですけれども、いか
がでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、小委員会の設置、進め方については、ただ
いま委員の方々からご意見をいただきましたので、更に議論をして、作業を開始していただ
くことになると思いますので、よろしくお願いします。
 続きまして、先ほどご説明がありました資料3ですけれども、利益相反の取り扱いについ
ての確認ですが、利益相反にかかる取り扱いについては、資料3-2にあるとおりで、予防接
種部会における審議への参加について、本予防接種部会における申し合わせとしたいと発言
がありましたが、それでよろしいですか。何かご意見はございますか。
○倉田委員 これは、私もPMDAの専門審査にときどき関わっていて、そのとき書かされ
ていて、中身は金額的に一緒なのですが、どうしてこんなに大きいのまでという話が出てく
るのかよくわからないところがあるのですが、これ全部をオープンにしてしまうとか、申告
するとか、そういう格好でやるならかまいませんけれども。500万を超えなければいいとか、
50万を超えなければいいという話では違うのではないかという気がしますが、どうなので
しょう。
○加藤部会長 これは、事務局、いかがですか。横並びで決めたというご説明になりました
けれども。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 はい、申告書の内容につきましては、公開
をさせていただきたいと思っております。金額につきましては、どういうことかというのは、
またご議論ください。
○加藤部会長 いかがですか。よろしいですか。
○倉田委員 全て公開とか、あるいは、これと同じになるかは別として、考えてもらえれば
結構ですよ。
○山川委員 500万円という数字が出ていますけれども、公平とか公正というのは、実質的
に公正であるかという中身の問題、実質の問題と同時に、外から見て、国民から見てどうな
のかというアピアランス、見え方の問題もあるわけでして、500万円というのは私から見る
と、かなり高い数字だな。こんな高額までよいのかという感じが何となくいたしますけれど
も、こういう治験や申請にかかわられる専門家の方々のプラクティスが実際どうなっている
のか、私はよくわからないのですけれども、私のような門外漢から見ると、500万円という
のはかなり高い数字だなという感じを受けます。
○加藤部会長 というご意見が出ました。3-1に書いてありますけれども、薬事食品衛生審
議会薬事分科会が作成した取決めに準じて、これをお書きになっているということですか。
事務局、何かご意見はございますか。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 いま、まさに加藤部会長がおっしゃいまし
たように、準じて作っているということです。参考までに先般新しくできた新型インフルエ
ンザワクチン開発・生産体制整備事業の評価委員会についても、同じようにしたと聞いてい
ます。
○加藤部会長 大体、PMDAで審査の委員をやる場合にも、今後こういうような利益相反
があるかないかということを書かされると。どうしてこの金額になったか私もよくわかりま
せんけれども、いろいろな会で、ほとんどこの数字が出てきますね。他に、ご意見いかがで
すか。
○北澤委員 質問ですけれども、この利益相反の自己申告をしなければならないのは、この
予防接種部会だけなのですか。その下の小委員会とかチームとか、そういうものにも共通す
るものなのでしょうか。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 申し遅れました。小委員会の委員は、基本
的に予防接種部会の委員になっていただいていますので、ここで想定しているのは、予防接
種部会の委員の先生方すべてです。作業チームについては、一応作業をしていただくチーム
ということで、最終的な決定は部会、委員会でしていただきますので、作業チームの方は想
定していません。
○加藤部会長 ということで、よろしいですか。
○北澤委員 個人的な意見としては、むしろ個別のものに関してのほうが、利益相反、研究
費などの授受が問題になることがあり得ると思いますので、できれば作業チームの先生方に
おいても利益相反を自己申告していただいたほうがいいのではと思いますけれども、いかが
でしょうか。
○加藤部会長 いまのご意見について、他の委員、いかがでしょうか。
○廣田委員 金額の面ですけれども、おそらくこの500万。
○加藤部会長 500というよりも、いまのご質問は、作業チームに関しても利益相反につい
て縛りをつけたほうがいいかどうかというお話で。
○廣田委員 それは、結構だと思います。
○木田委員 先ほどからどの場面でもこの金額が出てくると言われましたけれども、このよ
うなことが定着すると、支払うほうも500万円以下にしようかということも考えられない
ことではないと思うのですね。それから、国民目線からいくと、確かに言われますように高
いと思いますし、ただ、そういった金額だけで一律に線を引くよりは、いろいろな意見も言
っていただいて、この方はこのようなことに関与されているというところを十分みんなが配
慮すれば、それはそれでいいのではないかという感じを受けています。
○岡部委員 これは大学の研究費のようなものも、この中に入るのですか。つまり、我々よ
りも、大学に勤務されている先生方のほうが関与することが多いと思うのですけれども、そ
の場合は必ずしも個人的なものではなくて、いまの研究費の制度にもかかわってくるのです
が、その点を確認しておきたいのですけれども。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 資料3-2の3頁、注2で、私が最初だけ読
んで端折ってしまったのですけれども、「寄附金・契約金等とは」と書いてあるところの中
段辺りに、「教育研究の奨励を目的として大学等に寄附されるいわゆる奨学寄附金も含む」
ということにさせていただいています。講座のご質問で、下から3行目ですけれども、「委
員本人宛であっても、学部長あるいは施設長等の立場で学部や施設などの組織に対する寄附
金・契約金等を受け取っていることが明らかなものは除く」とさせていただきたいと思いま
す。
○加藤部会長 これは組織ですので、例えば大学で研究費の中に入っているということに関
しては、入らないということですね。いかがでしょうか。他にご意見はございますか。取り
まとめなければならないのですけれども、まずチームのほうにも利益相反はかけたほうがい
いのではないかということと、金額の件が入りましたけれども、金額の件をやっていくと、
非常に難しいですね。先ほどご意見が出たように、何らかの関係があった場合には、それを
申告するという方法もあるのではないかというご意見が出ましたけれども、これはどうしま
しょうか。事務局のほうでもう1回練り直しますか。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 現在3-1、3-2で想定しているのは、例え
ば資料3-1をご覧いただきますと、金額については最終的にこの部会で決定されるときに、
議決、議論に加わっていただくための参加に関する申し合わせとしています。作業チームの
方たちは、基本的には部会での議決、あるいは議論に直接加わることは想定していませんで
したので、特にその規程を設けていなかったところです。そういう観点からご申告をいただ
く、いただかないというのは、ご判断をいただきたいと思いますが、それを公開するとか、
議決に加わっていただく云々という話とは、少し分けてご指示いただければと思っています。
○加藤部会長 要するに、議決がある方に対してこれが働くという考え方であるということ
が事務局の考え方ですか。そういうことですが、よろしいですか。
○北澤委員 私の意見ですけれども、自己申告はしてもらって、でも実際作業チームで何か
を議決することはないのであるから、出してもらうだけでいいのではないかと思います。
○加藤部会長 出すということは、申告するということですか。
○北澤委員 はい。
○加藤部会長 これは、いろいろな意見が出ましたので、少し整理をしていただいて、もう
一度事務局のほうから整理した形でもって各委員にメッセージを出していただくというこ
とで取りまとめたいと思いますが、いかがでしょうか。
                 (異議なし)
○加藤部会長 では、そのようにさせていただきます。改めて、事務局より各委員にご連絡
を申し上げる、そしてご意見があった場合にはそれを伺うこととしたいと思いますが、よろ
しいでしょうか。では、そのようにさせていただきます。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 はい、承りました。
○加藤部会長 それでは続きまして、議題の3番目に入ります。ヒトパピローマウイルス
(HPV)ワクチンについての議題に移ります。今後、個別の疾病・ワクチンの検討に当たりま
しては、ただいま議題としている小委員会及び各疾病、ワクチンごとに設ける作業チームで
検討を進めていくこととしていますけれども、ヒトパピローマウイルスワクチンについては、
昨年12月に国内で発売が開始されたところである新しいワクチンである一方、いくつかの
自治体では予防接種事業が行われて、先ほど大臣がお話になったとおり、質問がある等国民
の方々の関心が非常に深いところのワクチンです。このことから、本日は有識者の方々から
のヒアリングと厚生労働省からの説明をいただき、各委員からのご意見を伺いたいと思いま
す。資料4にあります2名の参考人にお越しいただいておりますので、プレゼンテーション
をしていただきたいと思います。まず、自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科教
授の今野参考人より、HPVのワクチンの接種の実情についてのご説明を、恐縮ですが、約
10分ほどでお願いします。
○今野参考人 自治医大の今野です。今日は、よろしくお願いいたします。まず、最初にお
配りしてある資料に関してご説明します。この2つはパンフレットのように見えますけれど
も、実際の臨床の現場で使われている問診表と、医師側が最低限、接種者に対して説明する
内容に関してまとめてあるものです。それから、この赤い表紙の冊子ですけれども、これは
パピローマウイルスに関する論文集を集めた総論です。本来、英文のものですが、日本語に
訳してありますので、先生方にとっては非常に有用な資料になると思って準備させていただ
きました。
 子宮頸がんHPVワクチンというものは、昨年、ちょうど新型インフルエンザが流行する
直前でありますが、WHOからポジションペーパー、WHOの立場を明解にするというメッ
セージが出ております。子宮頸がん及びその他のHPV関連疾患が、世界的な公衆衛生上の
問題として重要である。国のワクチン接種プログラムにルーチンのHPVワクチン接種を組
み込むことが推奨されるということであって、先進国のみならず、発展途上国、あるいは最
貧国と言われるような国々も含めてのメッセージが出されております。下の行に関しては、
その実際のところであります。欧米の先進諸国に加えましてマレーシア、パナマ、GAVIと
いう世界全体でのワクチンの供給をしている団体から、HPVワクチンが供給されておりま
す。先生方はご存じかもしれませんが、現在、子宮頸がんの予防として使われているワクチ
ンは、HPV-16/18と言われるウイルスに対するワクチンです。これは臨床研究でありまし
て、この0カ月というのは、今日の時点で、子宮頸部にHPVがいるか、いないかを検査し
ます。それから、前向きに10年間フォローアップスタディをして、10年後までにCIN3と
言われる上皮内がん、最も初期のがんである病変が出たか、出ないかを見たものです。つま
り10年後にHPV-16を持ったものから約20%、18を持ったものから、18%の病変が出る。
いちばん下のラインは、HPVを持っていなかった人からはほとんど病変は出ない。
 下から2番目のラインは、HPV-16/18以外のハイリスクのHPVを持っていた場合は、
これぐらいで、ごくわずかながんが発生するということです。HPV-16/18がHPVの中で
断トツにハイリスクであるということを示したものです。また、ここの囲みで書いてあるも
のは、日本の子宮頸がんのHPV-16/18の陽性率というのは、かつて古いPCRのアッセイ
系を使ったものなど、いろいろなデータが出ておりましたが、最近最も新しいデータとして
は、HPV-16/18合計で、日本の子宮頸がんで67%という数字が出ておりまして、海外と
ほぼ変わらない数字になっております。
 これまでは海外の臨床試験のデータが提示されていたと思いますが、日本における日本人
女性20~25歳の女性に対して、2価ワクチンを使った臨床試験の論文、三方に分かれて出
しておりますが、これが揃いましたので、この概要を少しだけお話させていただきます。
 HPV-16/18に関するワクチンですが、ATP-Eというのは、0カ月、つまり接種前の時点
でHPV-16/18の抗体が陰性、0カ月及び6カ月ではHPV-16/18のDNAが陰性、つまり、
HPV-16/18を持っていない、感染していない人たちに対して、3カ月のワクチン接種を行
った場合の2年間における臨床成績の結果です。
 このコントロールとしては、A型肝炎ワクチンウイルスが使われております。HPV-16/
18のワクチンを打った群からは、HPV-16/18に関して、100%の予防が報告されていま
す。また、評価項目として1次感染ではなく、海外のすべての臨床試験で行っているCIN2
と言われる子宮頸がんのサロゲートマーカーである子宮頸部の中等度異形成と言われる疾
患ですが、HPV-16/18に関して100%。これは症例数が少ないために有意差は出ません。
CIN1、2を含めて有効性が認められています。またこれより群の多いTVC-Eというコホー
トにおきましては、有意差が出る疾患になっております。またHPV-16/18以外のハイリ
スクHPVというものに対しても興味のあるところです。最近は、クロスプロテクションと
言われているHPV-16/18以外にも、このワクチンが効くということが報告されておりま
す。それを示すようなデータです。すべてのハイリスクHPVによるCIN2以上の病変が
75%予防できて、CIN1という初期の病変に関しては65%予防できるという、海外のデー
タと同一の結果が得られております。
 また心配される安全性に関しては、コントロールはA型肝炎ワクチンですが、パピロー
マウイルスのワクチンと比べた場合に、すべての特定外症状、医学的に問題になる症状、そ
の他、同等の結果です。また、このコホートは20~25歳という、非常に若い女性の集団で、
本来、臨床試験の間はなるべく妊娠しないでくださいとお願いしているのですが、妊娠され
てしまう方が約10%出現しております。その中で、通常の出産、あるいは人工妊娠中絶、
流産、その他に関しまして、A型肝炎のワクチンを打ったものとの差が見られず、また自然
発生における流産、奇形の発生とも有意差が得られておりません。つまり、妊娠に対する影
響がないということです。
 こちらは海外のデータです。全く未感染の人々、つまり、思春期の女児を想定した群にこ
のワクチンを打って、40カ月をフォローアップしていきますと、CIN2と言われる病変に
関しては70%、CIN3と言われるがんの最も初期の段階の予防に関しては87%という結果
が得られております。
 その結果、コルポスコピーと言われる子宮頸がん、あるいは前がん病変の精密検査が26%
減少し、子宮頸部の初期病変に対する手術が68%も減少する。これはわずかワクチンを打
ってから4年間の間のことです。それだけの有用性が示されました。
 CIN2、3の推定病変は52%ですから、先ほど申しましたクロスプロテクション、つまり、
HPV-16/18以外のものに対しても効果が出て、これだけの有効性が、予想よりも上回った
結果が出ているわけです。
 医療経済の評価におきましては、今日は時間が非常に限られておりますので、少しだけ出
させていただきます。ワクチンの接種費用は3万6,000円。現在、流通しているメーカーの
希望小売卸価格は1万2,000円ですが、おそらく国に交渉していただければもう少し安くな
るだろうということで、3回で3万6,000円という費用を出しております。接種に関しては、
1学年接種しますと、210億円かかりますが、ワクチンを接種しない場合には、子宮頸がん、
あるいは前がん病変による医療費が出る。それから、病気になって入院したり、職場を失っ
たり、早く亡くなったりすることによって労働損失が出るということで、ワクチン接種によ
って、これらを34%、あるいは72%減少させることができる。初年度に210億円の投資が
あったとしても、12歳の集団に関しては一生生きていくと190億円の損失を防ぐことがで
きる。これが国家としてのワクチンに対する投資の見返りであろうと思います。
 先進国における子宮頸がん予防のモデリングとして、最適な費用対効果を得るためには、
日本のように検診プログラムがある国においてはHPV-16/18ワクチン投与を、思春期女
児に平等で、高い接種率を達成することが望まれる。優先事項は、思春期前の女児であり、
成人女性においては、平等で高い検診受診率を確保する。男子に関しては、女児の接種率が
上がれば、費用対効果は上がらないということで、男子はあとでよいと。また今年の春の学
会で報告された最新のデータでは、集団免疫を考慮に入れたダイナミックモデリングという
ものを使いますと、女児のみの接種で95%のHPV-16/18の予防ができるという、さらに
有望なデータも出ております。ワクチン接種が12歳の女児に仮に行われるとして、100%
接種されると子宮頸がんは将来73%予防できます。しかし、ワクチン接種率が30%しかな
いと、子宮頸がんの減少は20%ということになり、5%しかなければ3.4%しか減らないと
いうことで、国にとっては何の有用性もないワクチンに終わってしまいます。
 実際に適正に使用するための使用注意事項に関しては、先ほどのお手元のパンフレットを
ご参考にしていただければと思います。サーバリックス市販後の調査でありますが、最新の
データで、3月までのものをまとめたのが6月に報告されております。主な副作用はここに
述べてありますが、そのうち重篤なものが6例あります。ただ、この中で、後に後遺症を残
すとか死亡というものは含まれておりません。現在のHPVワクチンの接種状況については、
自治体の補助によるものは、厚労省の調査では120余の自治体で行われているということ
です。大田原市では学校での接種が行われ、全額負担で小学校6年生に対して行われ、98.8%
の接種でありました。学校接種というのはなかなか難しい問題があるわけですが、個別接種
を行っている魚沼市、あるいは志木市におきましては、全額負担によりまして、中学校1
年生を対象とした魚沼市では約3カ月間であるにもかかわらず、65%の接種が行われ、志
木市では同様に69.7%の接種が中学校3年生に行われていました。ここで共通しているの
は、ポイントとしては、適切な啓発活動と全額負担をするということです。市内の医療機関
で無料で打てるということが大きなポイントになっているようです。
 これはヨーロッパですが、細かいスライドで恐縮です。基本的にはヨーロッパの国々では、
フランスを除いて全額負担というのが基本です。フランスは65%の保険償還です。
 子宮頸がん予防措置の実施、推進の概要としては、子宮頸がんはほかのがんと違って原因
が非常に明解にされていると。女性の死亡と同時に、生活の質に非常に影響する。現在、
35歳から39歳が子宮頸がんの患者さんのピークです。子宮頸がんに対するがん対策として、
予防を行うということが治療と同様、あるいはそれを上回る重要性があるということがポイ
ントです。ワクチンに関しましては、国・地方公共団体に、居住地域を問わない接種機会の
均てん化ということが重要かと思います。地方自治体によって、A町では打ってもらえる、
B町では打ってもらえないということで、そこに住む女の子たちが将来子宮頸がんになるか、
ならないかが決まってくるということは、新しい地域格差を生むということで、是非、避け
たいことかと思います。
 また情報提供、安全な実施のための医療技術者への教育。次の神田先生にも共通すること
と思いますが、新しいワクチンの開発への促進ということが重大なポイントで、是非、全部
の補助が望ましいかと思います。
 子宮頸がん予防戦略の中で、HPVワクチンでの一次予防、検診での二次予防、もう1つ
重要なのが登録です。HPVワクチンをモニタリングしていくことによって、地域がん登録、
ワクチンの登録。オーストラリアでは、Victorian Cytology Serviceという、ビクトリア州
のがん検診を行っている団体が全国のワクチン登録を行っています。これは全く試案であり
ますが、日本であれば対がん協会に相当するようなところにやっていただくのもいいかなと
考えております。短期的、中長期的なワクチンモニタリングが必要です。
 世界標準のワクチンを、国が自信と責任を持って供給していただければ、国民の不安を取
り除き、将来の健康と幸福をもたらすと思います。こちらはイギリスのパンフレット、こち
らはオーストラリアのパンフレットです。貴重な時間をいただきましてどうもありがとうご
ざいました。
○加藤部会長 どうもありがとうございました。続きまして、お二人目の参考人です。理科
学研究所新興・再興感染症研究ネットワーク推進センターチームリーダーの神田参考人より
ご説明をお願いいたします。やはり、10分程度のご説明でよろしくお願いいたします。
○神田参考人 HPVワクチンは、現在がんを予防できる夢のワクチンというふれ込みでい
ろいろ情報が出ておりますが、ウイルス学の立場からこのワクチンを科学的に説明したいと
思います。
 HPVは、非常に変わった性格を持っています。図は生殖器の粘膜ですが、ウイルスは、
小さな傷から基底細胞に感染します。基底細胞というのは表皮形成の幹になる細胞です。こ
こが基底膜で、その上の基底細胞がときどき分裂して、分裂するときには1つは基底細胞の
まま残って、もう1つが表皮形成のために分化して、表面に上がっていき、3週間に1度ぐ
らい表面から垢になって落ちるというのが、表皮が維持されるメカニズムです。
 幹細胞というのは、分裂するときに全く同じものに分裂するのではなくて、片方が幹の細
胞のまま残るという特徴があるわけです。HPVは基底細胞に感染して、核の中でゲノムの
みが存在する形で潜伏します。つまり、この状態でウイルスは増えない。したがって、抗原
が全くないので、ここで潜伏すると免疫系から完璧に逃れます。表皮形成の分化のために、
感染細胞が分裂をすると、HPVのゲノムも一緒に増え、娘細胞に分配されるので、潜伏細
胞はそのまま残ります。一方、分化していった感染細胞では、分化の終盤で、HPVは停止
している細胞のDNA合成系を活性化して、その機能を使ってウイルスとして増えます。こ
の停止しているDNA合成系を活性化できる能力というのが、がん化と関わっているわけで
す。ここで増えるウイルスも非常に少ない。基底膜の外側でちょろっと増えるということで、
免疫系から逃れているウイルスです。
 皆さんは、子宮頸部に感染するウイルスと思いがちですが、子宮頸部だけではなくて、女
性の生殖器の粘膜のどこにでも感染します。これはアメリカのデータです。何らかの理由で
子宮の全摘出手術を受けた人で、頸管部のない人でも、頸管部がちゃんとある普通の人でも、
検出されるHPVには全く差がありません。つまり、HPVは頸管部以外のところに幅広く
感染しています。
 もう1つ重要なことは、この状態、潜伏している状態では、臨床家が擦過細胞を回収して
も検出は期待できません。ですから、HPVDNAが検出されれば感染があるという証拠にな
りますが、ネガティブというのは、残念ながら感染していない証拠とはなりません。
 もともとワクチンというのは、2度罹りなしという病気に使われる戦略です。つまり、1
度はしかにかかると、もう2度とはしかにかからない。はしかにかかるということは、1度
感染して、感染局所でちょっとウイルスが増えて、その次にそこから増えたウイルスが全身
に回って増殖し、症状が出てきます。その後、免疫系が立ち上がってきて、体からウイルス
を完全に排除します。したがって、はしかに1度かかった人は、治ったときには体にもうは
しかウイルスはいません。その代わり免疫学的な記憶が残って、次に感染したときには最初
の1次増殖の段階で免疫系が立ち上がってきて発症を防ぐ。つまり、はしかやインフルエン
ザのワクチンは感染は防げないが、発症を防ぐことができるというワクチンです。2度罹り
なしと言われる理由です。ところが、HPVは感染すれば潜伏してしまいます。ですから、
基本的戦略として、最初の感染そのものを防がなければいけない。HPVワクチンは非常に
チャレンジングな、新しいコンセプトのワクチンです。今どういうふうに説明されているか
というと、筋肉に3回抗原を打つと、血清中に高い力価の中和抗体が出てきて、それが女性
の生殖器の粘膜に常時染み出していて、ウイルスが性行為で感染してくると、そこで止める
という考え方です。そういうふうに説明されていますが、実際に、血中にどのくらいの抗体
価があれば、染み出ていって完全に感染を防げるのか、あるいは女の子に打って、その子が
だんだん成熟していって、かなりおばちゃんになっても、同じように血中の抗体価と並行し
て粘膜上抗体が出るのかは、データは全くありません。
 したがって、いま申し上げたのは、このワクチンは、はしかのワクチンとか、いままでう
まくいっているワクチンと同じように、「ワクチン」という言葉で括ってはまずい。新しい
概念のワクチンである。その効き方に関して、かなり不明な点が残っていますし、まだ効果
の継続性に関しては、データがないというのが実情と私は思っております。
 もう1つは、いろいろな遺伝子型があるということです。HPVは現在100以上、200と
言う人もいますが、見つかっています。大体6割が皮膚から、4割が粘膜から取られていま
す。粘膜から取られたうちの15種類ががんに見つかるので、発がん性のタイプというふう
に呼ばれています。遺伝子の塩基配列の相同性で型に分けています。
 どんな型がいるかというのは、これは先ほど今野先生が、「最新の----」とおっしゃって示
しましたが、あのデータはメソードとしては最も古いメソードを使っているので、パブリケ
ーションが新しいだけで最新のデータではないと思います。私がいまいちばん信用している
この国のデータでは、琉球大学から出てきたデータですが、16型が多く、18型は残念なこ
とにこの国ではあまり多くなくて、30番台、50番台が多いということが示されています。
 実を言うと、どんなHPV型が流行しているかは、WHOも含めて関心事です。感染研の
ラボは、いまWHOのHPVの国際的なラボラトリーの1つとして機能していますが、WHO
が推薦している方法を使っています。昔の方法は、いろいろな型のHPVのゲノムに共通の
部分を見つけ、そこに付くプライマーをセットして、PCRを行います。つまり、ワンペア
のプライマーで増やし、増えた中身が微妙に違っているので、その差で何型か判定するやり
方です。WHOがいま推薦しているやり方は、いろいろな型にそれぞれ特異的に付くように
設計した特異的なプライマーのカクテルを使ってHPVDNAを増やし、増えたDNAを型特
異的プローブとのハイブリダーゼーションで何型か決めるという方法です。この方法を使っ
て、これは我々のデータですが、病院を訪れた健常人を含む日本人の女性の頸管部の擦過細
胞からDNAを取って調べると、いろいろな型が出てきます。疾患との関係はいまのところ
解析していません。ただ、いろいろな型が出てくるというだけですが、非常に重要なのは、
30%ぐらいが複数のHPV型に感染していることです。複数のHPV型に感染している状況
を検出できる方法というのは、この方法が出てくるまで存在しませんでした。
 これは、先ほど今野先生がお示しになった「16、18型が約7割」というデータを出して
いた論文で使われている古い検出方法です。先ほど申し上げた1種類のプライマーセットを
使って検出します。これは臨床検体ですが、複数の感染がある場合、例えば、16型、18型、
31型の感染がある場合には、この方法を使うと18型と判定されます。我々はリアルタイム
でコピー数を測っていますが、16型に混じって大体10分の1ぐらい18型があると、干渉
が起きて18型になってしまいました。あるいは複数の型が存在すると、検出の感度がもの
すごく悪くなります。要するに、従来のこの国の子宮頸管部の病変に見つかるというタイピ
ングのデータというのは、こういう方法で調べられていたので、はっきり言って、これから
本気に調べ直さなければいけないという状態だと思っております。実際、先ほど琉球大学の
先生のデータを示しましたが、おそらく16型と18型を足して、半分ぐらいがこの国の実
情だろうというふうに感じています。
 つまり、非常にチャレンジングなワクチンであるということと、いまワクチンの標的とな
っている型は、必ずしもいま言われているほどの頻度で、この国の子宮頸がんにはないので
はないかという問題があります。
 HPVキャプシドは、L1という主たる構造蛋白質のみでできる正20面体の粒子、VLP、
にL2というマイナーなコンポーネントが入った格好をしています。いまのワクチン抗原は、
VLPです。我々は、このL2部分に注目しています。
 先ほどクロスプロテクションの話が出てきましたが、実験的に16型、18型、31型、52
型、58型のVLPをウサギに免疫して得た抗血清は、きれいにクロスのないホモの型にだけ
反応します。クロスプロテクションに関しては、データとしてある以上、なにがしかの未知
のメカニズムがあるのだろうと思っています。しかし、実験的には、非常にきれいな、型特
異的な免疫応答を誘導します。
 我々は、先ほどのL2のキャプシド表面の領域に中和エピトープがあることを見つけまし
た。図は、この部分のアミノ酸の配列です。アミノ酸の配列がものすごくよく似ているので、
これをワクチン抗原に使えば、すべてのタイプの感染を防げる可能性があります。
 現在我々が試作したワクチン抗原でウサギに誘導される抗体は、これは厚生労働科学研究
費をベースにしている仕事ですが、16型、18型、31型、33型、35型、51型、52型、58
型の感染を防ぐことを確認しています。アミノ酸の配列の相同性から、おそらく全部、さら
にローリスク型も含めて粘膜型全部に効くのではないかと考えて開発を進めています。
 スライドは、ウイルス学者の立場から見たいまのHPVワクチンの現状です。6型、11型、
16型、18型のVLPワクチンは、副作用はなくて中和抗体を効率よく誘導して、現在まで
の臨床試験でCIN2、3病変の予防効果を示しています。しかし、先ほど申し上げたように、
このワクチンは新しいコンセプトのワクチンです。いままでにない全く新しいタイプのワク
チンで、長期間にわたって感染を防ぐのに必要な抗体のレベルもまだわからないのです。で
すから、先ほど今野先生も示しておられましたが、ブースターが必要なのか、3回接種が本
当に要るのか、これはまだわからない。このワクチンが入ったら、フォローアップをちゃん
とやって、どんな抗体の推移があるのか、実際、プロテクションはどういうふうにかかるの
かというデータを取る必要があると思っております。
 もう1つ、いまのワクチンの最大の問題は、型特異性が異常に高く、少なくとも15種類
ある、もう少しあるのかもしれませんが、発がん性を持ったHPVすべてに対応するワクチ
ンを考える必要があると思います。以上です。
○加藤部会長 どうもありがとうございました。ただいま今野参考人と神田参考人からの発
表がございましたが、HPVワクチンにつきまして、何か委員の方々からご質問がございま
したらお受けいたします。いかがでしょうか。
○飯沼委員 神田先生の方法でいきますと、もっとカバーできるものがあと数年のうちには
できるとということですか。
○神田参考人 いま国際特許の申請をやっていて、人に打つための製剤化を、実は、あまり
いろいろなことは言えないのですが、製薬会社と一緒に進めています。なるたけ早くアーリ
ーヒューマンのデータを出したいと思っております。
○廣田委員 感染予防効果の継続性という点ですが、これは全くわからないのですか、それ
でもこの程度はあるのではないかというくらいの考え方はあるのですか。
○神田参考人 いままでの臨床試験のデータでは、長期間に効くだろうと考えられています。
臨床試験での血中の抗体価は、一旦ピューッと上がって、バッと下がるけれども、そこから
プラトーになることから、かなり長期間に効くだろうと推定されています。私の立場では、
感染してからがんになるまで10年、15年、20年とかかる。その間、女性は年を取ってい
くわけで、その間もずっと同じなのかどうかという問題が気になります。つまり、血中の抗
体価と生殖器の粘膜上の抗体価というのが、子供もおばちゃんも同じなのかという疑問があ
ります。正確に言えば、データがないというのが現状だと思います。
○今野参考人 ワクチンというのは、開発された途端に、このワクチンは10年もちます、
20年もちますということはあり得ないのです。このワクチンが開発されて、10年経ちまし
た、10年間予防ができました、抗体価が持続できましたということによって10年効いたと
いう証明ができる。現在、先ほどの冊子にも付いていると思いますが、6.4年経ったところ
で論文がまとめられて、臨床試験の成績として出ているので、6.4年効きますということは
確認されていますという表現になっています。
 実際に、いまの神田先生のような慎重な立場をとられれば、時が経っていかないとこの結
果は出てこないということになります。ただ、それでは学問として皆さん方の要望に応えら
れないということがあるわけで、モデリングという学問があります。そういう意味で言うと、
2価ワクチンのモデリングでは、最低20年は抗体価は維持できるだろう、持続性ができる
だろう。4価ワクチンに関しても、全く計算方法は違いますが、30年はいけるだろうとい
うことで、すでにわかっているデータという意味ではありませんが、推測という学問の上で
の評価は出ているということです。
○岡部委員 抗体の持続のところですが、例えば、従来の考え方でも、はしかのワクチンは
我々が習ったころには、1回接種すれば免疫がずっと保たれるという中には、実はブースタ
ー効果もあって、世の中にはしかウイルスがあるから維持をされているというような考え方
に変わってきたわけです。
 このHPVワクチンの場合に、抗体が持続されるというのは、常にブースターを受けてい
るから上がってくるのでしょうか。それとも、もしこのままウイルスがなくなってくること
が、いまは片方だけ、つまり、女性しか接種をやらなければそういうことはわからないと思
うのですが、その辺はどういう考え方になっているのでしょうか。
○今野参考人 まず、最後に女性だけとおっしゃったところですが、実は今日ずっと子宮頸
がんの話題になっていますが、これは肛門がんの90%、陰茎がんの50%、口のがんの10%、
喉のがんの30%の原因になっていて、アメリカでは4価ワクチンが男性のほうに承認は取
れています。一応、追加します。
 いまの先生のブースターに関しては、基本的に先ほど神田先生がお示ししたところにあり
ましたように、このパピローマウイルスは、子宮頸部なら子宮頸部に感染したとしても、そ
れは局所の細胞性免疫によって反応していて排除されることが多い。それが血中に入って、
ヴィレミア、ウイルス血症を起こすことがない。抗体価の上昇は約半数の人にしか見られな
くて、わずかな抗体価しか上がらないということになっています。いまの岡部先生のご質問
に対しては、日常生活の性行為や、パピローマウイルスのコンタクトによって、ブースター
効果はおそらくないだろうと言われています。明らかなブースター効果を示すデータはあり
ません。ですから、これは本当に新しい戦略のワクチンなのです。筋肉注射をすることによ
って、本来細胞性免疫のみが関与しているものに液性免疫を関与させて、血中に大量の抗体
が流れるようになる。そして抗体が子宮頸部から染み出る。当然、陰茎でも、肛門でも染み
出ますので、このワクチンに関しては、将来的にはHPVに関連する多くの疾患に対しての
予防効果ということも想定されています。
○神田参考人 いま4価のワクチンを男性にというのは、これは実を言うと、陰茎がんに対
する有効性は示されていなくて、コンジローマに対して有効性が示されています。米国では、
コンジローマに対する予防ワクチンとして認可されています。
○今野参考人 いや、4価のHPV-6、11、16、18として発生する疾患として認められてい
ます。肛門がんの発生というのは非常に少ないのです。ですから、そこのデータというのは
なくて当然です。しかし、一般にホモセクシャルの男性やHIV患者の男性、あるいは女性
もそうですが、HPVのワクチンというのは非常に望まれているものであって、ヨーロッパ
などでは次の対策としてその辺のことが非常にディスカッションされています。
○加藤部会長 ありがとうございました。ほかに委員の方々から何かご質問はありますか。
○廣田委員 時折、HPVワクチンを受けると、検診を受ける必要がなくなるのではないか
と誤解をする人がおります。このまま天真爛漫にHPVワクチン接種がワーッと盛り上がっ
た場合、よっぽど慎重にしておかないと、かえってがんの予防体制自体がガタガタになるよ
うなことも起こるのではないかと思うのです。今野先生、実際に接種されて、何かそういっ
たことを感じられたことはございますか。
○今野参考人 実例を出しますと、先ほど新潟県魚沼市の例を出しましたが、魚沼市は個別
接種でやっておりまして、いま65%を短期間で超えたというところです。実は魚沼市では
昨年の検診無料クーポンの利用も盛んで、20歳代の受診が、3年前には20%ぐらいだった。
これも画期的に高いのですが、去年には60%にも及んだということです。先生のご懸念と
いうのは、よく耳にするご懸念ですが、啓発活動では検診とワクチンと必ず言っています。
 12歳の女の子の世代に打った場合には、大人になったら必ず検診を受けてねということ
が基本です。むしろ、ワクチンの認知度が上がるにつれて、検診の重要性も上がるというこ
とが一般的な傾向です。ご心配としては理解できるのですが、私たち産婦人科医としても、
それは必ず両輪であるということで押し進めています。
○加藤部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それ
では今野参考人、神田参考人におかれましては、ありがとうございました。お席にお戻りい
ただきたいと存じます。続いて、いまお話になりましたHPVワクチンに関する論点につき
まして、事務局から資料が用意されておりますので、がん対策推進室の鈴木室長よりご説明
をいただきます。
○がん対策推進室長 資料5-3、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンに関する論点整理
(案)ということでまとめております。1.ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについて、
(1)(2)(3)と付けております。これはファクトシート等から抜粋させていただきましたので、
ごく簡単にご説明いたします。
 子宮頸がんとヒトパピローマウイルスの関係については、子宮頸がんの発生にはヒトパピ
ローマウイルスの感染が関連しているということです。15種類が子宮頸がんの原因となる。
HPVは性交渉で感染することが知られていますが、HPV感染そのものはまれではなく、感
染しても多くの場合、症状はないと。がんにつきまして、子宮頸がんは40代以下の年齢層
で増加しているということです。
 ワクチンにつきましては、今回は高リスク型のHPV-16型及び18型の感染を予防するも
のが、平成21年10月に薬事承認、12月から販売開始というものです。
 3つ目ですが、2種類の高リスク型が子宮頸がんの原因に占める割合は欧米と比較して、
日本では50~70%程度と、幅広い報告があるということです。米国のACPIにおきまして
は、11~12歳の女性が優先的な接種対象です。ただし、HPVワクチンの接種は、子宮頸部
のがん検診に置き換わるものではないということが示されております。
 (3)いま現在のHPVワクチン公費助成自治体は、7月26日現在、126の自治体で行われ
ております。ただし、接種対象者、もしくは接種方法等につきましては、自治体によりさま
ざまな形で行われているという現状です。
 2.HPVワクチンについての論点については、これまでも当予防接種部会におきましてヒ
アリング等を行っていただいており、その中でご指摘をいただきました事項につきまして、
簡単にまとめております。第9回予防接種部会で、杉並区が実際にHPVワクチンの公費助
成を行っておりますが、このときのヒアリングにおける指摘は3つあるものと考えておりま
す。1点目は、被接種者や保護者に対する同ワクチンに関して周知する内容、方法をどうす
るか。2点目は、ワクチンの副反応の可能性や事故が起きた場合の対処方法に関する責任の
所在をどうするかというような問題です。3点目は、いわゆるワクチン代が高価ということ
がありますので、大規模な予算の確保が必要ではないか、というようなご指摘をいただいて
おります。
 第9回部会以外のときにも関連する指摘事項として、以下に3つ挙げております。1つは、
やはり予防効果の高いワクチンについては、安定的なワクチン供給体制整備等に資するよう、
国が責任を持った法律で位置づけていくべきであろう。同ワクチン、HPVワクチンの予防
効果の持続期間が確立していないなどの理由により、今後さらなるデータ収集が必要ではな
いかというご意見です。子宮頸がんに検出されるHPV-16型及び18型の正確な割合がわか
っていないなどにより、同ワクチンの費用対効果の正確な評価が難しい。これは第8回のと
きです。こういった指摘がされたところです。
 そういったところを踏まえまして、「まとめ」に書いておりますが、やはり、HPVワクチ
ン接種を実施するのであれば、事業の継続性、公平性、健康被害対策等も勘案し、やはり何
らかの法的措置に基づいて実施すべきではないか、ということを考えております。その際、
いま現在予防接種部会において、予防接種法で位置づけられるかどうかについて、まさに議
論を行っているということですので、この議論はきちんと行っていただくことが必要ではな
いかということです。
 一方、2つ目のポツですが、HPVワクチン自体は、定期的な子宮頸がん検診の代わりに
なるものではないということです。ワクチン接種に加えまして、正しい子宮頸がんの知識、
何よりも早期発見のためのがん検診を定期的に受診することが重要ということです。やはり、
検診とHPVワクチンの接種を関連づけ、より高い検診の受診率を目指し、効果的ながん対
策のあり方を検討すべきではないかということを考えているところです。
 3つ目のポツで、子宮頸がんの発生は性交渉と関係しているということがありますので、
対象者への性教育や保護者への正しい知識の普及を重視すべきではないか。こういったこと
から、現在公費助成が行われている自治体において、いま現在、接種対象者、被接種対象者
に対する教育方法、がん検診との連携のあり方等々、さまざまな形で行われていますので、
今後はこれらの知見を収集する必要があるのではないかと考えたところです。
 そういったところを踏まえまして、10頁、今回大臣のほうからもご説明がありましたが、
子宮頸がん予防対策強化事業ということで、150億円の事業をいま検討して、予算要求を出
させていただこうかと考えているところです。これにつきましては、ここに書いてあるとお
りですが、平成21年12月に子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス感染を予防
するワクチンが承認・販売されたことから、ワクチン接種の対象年齢、教育のあり方などの
情報を収集、分析し、10代にはワクチン接種、20代からはがん検診を受けるという、一貫
性のある「子宮頸がん予防対策」を効果的、効率的に推進する方策を検討するため、市町村
が実施する事業等に要する費用の一部を新たに助成するということです。今回、きちんとし
た情報収集を行うための事業ということの位置づけをさせていただきたい。補助先につきま
しては市町村、補助率につきましては定額(1/3相当)でいま考えているところです。以上
です。
○加藤部会長 どうもありがとうございました。ただいま事務局からご説明がございました
が、先ほどのお二人の参考人のご発表も含めまして、いま事務局から提示されましたご説明
について何か委員のほうからご意見、ご質問がございましたらお願いします。
○飯沼委員 この予算が計上されたというのは非常にいいことで、その足を引っ張るつもり
は全くありませんが、こういうものを考えるときに、私はHibワクチンと肺炎球菌ワクチ
ンのことを言いたいのですが、この3つを同レベルで扱うというふうに考えないと、やはり
不公平のような気がするので、3番に予算を付けていただければ、それはそれでいいのです
が。
 がんのほうはたくさんの予算があるので、その一部を使うという話であれば別ですが、私
が日医にいたころからずっとそういうふうに申し上げておりますし、希望としては3つ並行
に扱っていただきたいということです。
○北澤委員 いまの予算概算要求の150億について、いまのご説明ではワクチンのみなら
ず、子宮頸がん検診とか、あるいはいろいろな情報収集とか、そういうものを全部足して
150億という意味ですか。それとも、今朝の新聞に出ていたように、子宮頸がん予防のワク
チン接種費用として市町村に助成するという意味なのでしょうか。
○がん対策推進室長 今回におきましては、自治体が行う子宮頸がん予防対策事業に対して
補助、定額のほうで3分の1ということを言っております。ただし、いただくデータにつき
ましては、当然のことながら、ワクチンの話だけではなく、ワクチンと検診の関係や、教育
方法はどうやっているのかとか、そういった諸々、いわゆるがん対策を子宮頸がん対策とし
て進めていくに当たりまして、必要な情報について補助をするということになっています。
したがいまして、実際は、自治体の事業に対して補助をするという考えですので、接種費用
に対してというわけではないというところが。
○足立厚生労働大臣政務官 150億円はワクチン接種事業でしょう。子宮頸がんの検診の扱
いは。
○がん対策推進室長 検診の費用については別に見ていますので、この中ではできません。
○加藤部会長 ワクチン事業としての補助金。
○がん対策推進室長 そうです。ワクチン事業としての補助です。ただし、データはいろい
ろなものも含めて、データとしてはいただいて、ここにありますように、円滑的な子宮頸が
ん対策に資するために使いたいというふうに思っております。
○足立厚生労働大臣政務官 2点あったと思います。いまのことですが、市町村が行ってい
る接種事業に対して、定額になりますが3分の1相当を補助する。その中には、いま言った
啓発活動に関するものもあるでしょう。また、これから我々が、市町村がやっているワクチ
ン代への補助ではなくて接種自体、つまり、ワクチン代、さらに接種費用、さらに消費税も
入るでしょうが、それに加えて、健康被害救済のために、市町村に対しては保険に入ってい
ただきたいというようなことも含めて、その保険料の負担もその中に入れるような考え方で
接種事業そのものを補助するという考え方です。この点が、私は健康被害救済については非
常に重要な内容であろうと思っております。
 1点目の飯沼先生のことですが、その考え方であるからこそ、予防接種部会でずっと議論
を進めてきて、そして法に基づいて3つ同時という話がございましたが、それはまさに法律
に基づいたらそうできるわけです。Hibや肺炎球菌につきましては、私はかなりコンセンサ
スは得られている状況ではなかろうかと、個人的には思っています。しかし、いまプレゼン
テーションでもありましたように、このHPVワクチンにつきましては、まだいろいろ議論
があるし、実際に情報を収集しなければいけないと思います。その点で多少、いまあるレベ
ルに差があるのではなかろうか。だからこそ、国が予算事業としてそこをしっかり情報を収
集して判断、評価をすることが必要なのだろうと思っております。
 ですから、位置づけとしては、おっしゃるように、それだけではない、8種類のワクチン
のことも検討していただくわけです。その流れの中でありながら、しかし、いま現在、賛否
両論といいますか、本当にいろいろな意見が参っています。このことによって、Hibや肺炎
球菌を押されている方々が声を出せないという状況にもなっている可能性もあります。です
から、予防接種法の改正はずっと皆さんに議論をしていただきながら、それを進めていただ
きたい。しかし、ちょっとこのままでは情報収集等、国がもっとしっかり見なければいけな
い部分があるのではないか。それを予算事業でやっていこうではないかという試みで、今回、
概算要求にさせていただいたわけでございます。
○加藤部会長 ありがとうございました。ただいま概算要求に出したということを政務官の
ほうから詳しくご説明があったわけですが、それを踏まえてのご意見はございますか。
○木田委員 この予算を組んでいただいたということは非常にありがたいことだと思いま
す。この接種につきましては、もちろん安全ということを考えて行われるわけですが、参考
5の各市町村の状況を見ますと、見てわかるように、地域が限定されているといいますか、
集中しているということを考えますと、そういった安全ということを考える中で、競争とい
いますか、隣町がやったから自分もというのが大いに現れている資料ではないかと思います。
 そういうことを考えますと、やはり、国が全国一律に予算を組んで普及させるということ
は、このワクチンだけに限らず、非常に大切なことではないかと思っていますので、今日は
政務官にも来ていただいておりますので、その点を十分今後ともお願いしたいということで
す。
 また、新型インフルエンザのときにも言わせていただいたのですが、物を買ったときに1
個買ったのと、10個買ったのでは値段が全然違うのです。それが1億5,000万円の、ワク
チンでも1個でも同じだということは、これは市場性からいって考えられない。そういうこ
とから、補助を3分の1していただくことも非常に重要ですが、たくさんのワクチンを大量
に注文するということについては、半額になるぐらいの交渉をしていただく。これが国民の
安全につながるということで、大いにこの点も考えていただきたいということを要望したい
と思います。
○古木委員 市町村の質問で意味合いが同じになるかと思うのですが、先ほど説明の中にも
ありましたように、地域によって予防接種の方法について格差があってはいけません。した
がって、今回こういう格好で来年度予算に反映ということですが、どの市町村もおそらく大
歓迎の方向で捉えているだろうと思います。
 いままである町は全額補助とか、そうでない所もあるわけですが、この要綱について、厚
生労働省としては、いつごろ詳しい内容を公表される予定なのでしょうか。
 実は、私の町でも住民からそういう要望がずい分あり、議会でも再三質問も出ます。私
がたまたまこの部会の委員になっているので、その状況は議会にもお伝えしているわけです
が、大きな希望を持ってその情報を待っているのが実情です。国のやり方がわかり、できれ
ば県のほうにもいろいろお願いし、そして、市町村が同じ取組みで進めば非常にいい形で物
事が進むのではないかと思います。そのためには、事務的な話をして申し訳ないのですが、
詳しい内容がいつ頃、どのようなステップで、その辺の計画がわかれば教えていただきたい
と思います。期待しています。
○加藤部会長 それは期待をされていると受け止めていいですか。室長のほうから何か補足
はありますか。
○がん対策推進室長 当予算については一応要望額という形で出しています。詳しい内容は、
やはり予算がある程度目途が立った頃になると思います。実は来月初旬ぐらいに、私どもが
ん対策室の予算について説明会を開こうとということで、いま準備をしていますので、詳し
い日程が決まれば担当事務局のほうにお話をします。以上でございます。
○加藤部会長 ありがとうございました。
○倉田委員 計算しますと、ずい分ワクチンを使ったとしても1人あたり7,500円です。そ
れが3倍だとしても、2万1千いくらのものを大体3分の1負担します。ところで、このワ
クチンは一体いくらですか。いま使われているものは値段がわからないのですが、非常にさ
さやかすぎるような気がします。ワクチン接種のことをよく知っている人、教えていただき
たいと思います。
○がん対策推進室長 当ワクチンについては、いまの販売価格は1回12,000円となってい
ます。
○保坂委員 いまのがん対策推進室長のお答えは、液のお金を言っていらして、接種はいく
らかと聞かれたときに、それをお答えになるのはまず間違いだと思います。一応1回15,000
円程度でやっている所が多いと聞いています。
○足立厚生労働大臣政務官 複雑な問題があると思うので申し上げます。ネガティブな印象
を持たれるのは心外ですが、まず言わせていただきます。
 これは概算要求の仕組みを理解していなければわかりにくいかもしれませんが、特別要望
額で出しています。これがそのまま認められるかどうかはわかりません。私たちはそれを認
めていただきたいと思っているわけですから、そこへ向けて詳細を詰めていきます。そして、
詳細が決まるのは、最終的には12月ごろの予算の閣議決定になると思います。そのときに
ははっきりしている内容だと思います。
 そこで、批判を恐れずに言いますと、私たちが想定した3分の1相当定額というのは1
回あたり15,820円です。しかし、全体の予算の組み方としておかしいではないか、数が足
りないではないかということについては、本来は法に基づいてやるべきことだと私は何度も
申し上げていますが、それまでの間という考え方を持っています。ですから、最初は多くの
学年が必要になるのだと思います。中1から高1まで4学年を考えています。そんな中で、
接種率はどれだけいくだろうか。いま、中学生相当の定期接種の場合でも60%ほど、それ
から、市町村の取組みがいろいろ出ていますが、個別接種の所を見てみると30%程度です。
ということは、その中間を取って45%と考えました。そして、その費用の中には、先ほど
言いましたように、ワクチン代だけではなく、接種費用、消費税といったものも入っている
形で想定しました。しかも、3回といいますが、いままでやられている人の統計をとってみ
ると、平均は大体2.6回であると。そういうことも加味していただきながら、事業全体を
450億円と考えて、その3分の1で150億円と。これはまったくの概算です。そして、接
種率も、何を根拠にという意見もあるかもしれませんが、いま持っているデータからいくと、
その辺りが妥当ではないかと思う概算です。
○加藤部会長 ありがとうございました。ただいま政務官から、具体的には、これから概算
要求をするところであると。したがいまして、先ほど木田委員から出た質問は、その後から
答えが出るだろうと。それから、いま倉田委員から質問のあった、多分、接種率100%を想
定した上での質問かもしれませんが、そうではないことが政務官からの答えだと思います。
トータルとしては非常にウェルカムであるというご意見を承っていますが、いかがですか。
○保坂委員 国がデータを集めたいという意図からいうと、これでもいいかと思いますが、
地域によっての差は埋められないかもしれないということを非常に危惧しています。という
のは、市町村に対して3分の1の補助をする場合、あとの3分の2を用意できる市町村とで
きない市町村があると思います。特に人口規模の大きい所だと大変な負担になります。そう
いう所でどうなっていくかということがあるので、国が本当にワクチン事業をきちっとやる
のであれば、それはやはり、国が全部お金を用意するぐらいのつもりでやっていただかない
となかなか難しいかと。これは子宮頸がんワクチンのことだけではなく、他のワクチンのこ
とも含めてそう思っていますので、意見として申し上げておきます。
○足立厚生労働大臣政務官 私の個人的意見として聞いていただきます。私は、国が事業と
してやる根拠は、やはり法に基づいていること、そして、国家の危機管理であること、この
2点だと思います。ですから今回、市町村のワクチン接種事業に対する助成という形をとっ
ているわけです。私、この予防接種部会で、法改正を含めた今後の議論に期待したいと思い
ます。
○加藤部会長 ありがとうございました。先ほど政務官がおっしゃったとおり、これは実際、
予防接種法の中で行えばいまの質問には十分答えられるが、それまでの過程においてはこの
事業で行うという答弁であると感じます。それでよろしいかと私は思いますが、何かご意見
はありますか。
○岡部委員 ワクチンの、実際の製剤の問題として質問があります。議論の割り込みのよう
でしたら後でいいです。
○加藤部会長 後ほどお願いします。政務官にほとんどお答えいただいていますので、各委
員は納得されていることと思います。したがって、ちょっと取りまとめてよろしいですか。
いままでの議論を踏まえて、どうしても違うというご意見があれば承ります。政務官のご意
見とほとんどの委員の先生方のご意見を取りまとめますと、まさにこの部会で行われている、
すなわちHPVワクチンの予防接種法ですね、この予防接種法における位置づけに関しては、
先ほど飯沼委員も話したのと同じように、他のワクチンと同等に議論していただかなければ
いけないと、この本部会において行うと、それは確かなことだと、これは政務官もおっしゃ
いました。そして、いちばん最初に戻りますと、そういうことに関しては小委員会ができて、
その下に作業チームができますので、それは個々でやっていくと、その中に当然HPVも入
ってくると、こういうご意見でよろしいのではないかと私は考えます。いろいろなご意見が
ありました。先ほど2人の参考人からも発表がありましたが、いろいろな意味で、このワク
チンは他のワクチンと多少異なる視点から見なければいけないところもありますので、それ
らの特性も十分踏まえ、先ほどから政務官もおっしゃって、また、他の方からも意見が出ま
したが、適切な実施方法については、必要な治験とか情報の収集を行う必要があるのではな
いかと考えます。ついては、この部会としては、予防接種法における位置づけの議論と事業
を行うことを並行に考えて、先ほど厚労省のほうからも発表になりましたが、それらの治験
とか情報を集めて、それに取り組んでいく方向で進めていくと。それで、この部会のやり方
と厚労省の打ち出した概算要求で行う事業を両立して行えるのではないかと。この事業をや
ることによって決してすべてが解決するわけではなくて、いちばん最初にお話がありました
ように、作業チームの中でもこのワクチンが入ってくるわけです。それは並行して行われて
いくわけです。いままで聞いたところでは、この事業に対しての反対意見はおそらくないと
私は考えますが、いかがでしょうか。そういう意見でよろしいですか。
 ご意見がないようです。政務官に大変詳しくご説明していただきました。おそらく委員の
先生からも、その前にだいぶご発言がありましたから、政務官も十分ご理解いただいたと、
座長としては判断したいと考えます。どうもありがとうございました。
 それでは、ここでこの話は止めます。その次に、いくつかの報告事項がありますので、そ
れについて順次報告をお願いします。まず資料6、新型インフルエンザワクチンについて、
神ノ田室長からお願いします。
○新型インフルエンザ対策推進室長 資料6をご用意ください。冒頭、長妻大臣からもお話
があったとおり、本日は午前中に新型インフルエンザ対策本部会合が開催されました。その
概要を報告します。
 資料6の1頁目にあるように、議題1としては、8月10日にWHOからポストパンデミ
ック声明が出されました。それを受けて、世界的状況及び我が国の状況を確認するとともに、
議題2として、今後の取組みについて協議がなされたわけです。
 本日の対策本部会合では、主な結論としては3点あります。1点目としては、政府として
の今後の取組みが決定されました。それと併せて、2点目としては、対策本部の廃止を決定
しています。また、3点目としては、厚生労働省としての取組みが了承されたとのことです。
 2頁をご覧ください。2頁の上のほうに、WHOのポストパンデミック声明の概要がまと
められています。1つ目の「新型インフルエンザの現在の状況について」は、フェーズ6か
らポストパンデミックの状態に移行してきているとのことです。2の「今後の予測」として
は、今後、季節性インフルエンザと同様な動向を示すようになり、今後数年間は世界で流行
が続くと予想しています。また、地域限定的な流行が起こり、重大な感染を起こす可能性が
ある。また、ポストパンデミックの初期の状況は予測不可能だということです。これを踏ま
えて、3番目の「今後の取るべき対応」としては、今後もさらなる警戒が必要であって、
WHOとしては、ポストパンデミック期においても引き続き、サーベイランス、ワクチン接
種、医療提供の実施を強く勧告しています。
 2頁の下のほう、こちらは専門家の意見を踏まえて、我が国の状況をまとめています。?@
として、約2,100万人の患者が受診したと推計されますが、1,800万人がワクチン接種を受
けたと推計されるなど、国民の一定数は新型インフルエンザ(H1N1)に対する免疫を獲得し
ていると考えられる。?Aとしては、今年は4月以降、現在までのところ、昨年のような、季
節外でのインフルエンザ様疾患の流行的発生は見られていない。また、季節性インフルエン
ザと新型インフルエンザが混在しているということで、季節性と同様の特徴が見られていま
す。このため、?Bですが、我が国においてもパンデミック状況は去ったと考えられる。ただ
し、今年度における流行的発生に対して警戒を要する状況である、ということです。資料3
~5頁にかけては、ただいま説明した、我が国の状況を示すデータを整理していますので、
後ほどご覧いただきます。
 資料6~7頁にかけてですが、政府対策本部として決定した、政府としての今後の取組み
方針です。6頁は、WHOの声明、我が国の状況について記述されていまして、7頁の1つ
目の段落の所で、「このため、政府としては、政府全体として緊急的かつ総合的に対処すべ
き事態は終息しつつあるものと判断し、通常の感染症対策として対応する体制に切り替える」
とのことです。これに合わせて、対策本部も廃止することが決定されています。
 次の段落では、「ただし」ということで、国内での再流行の可能性が続いていること、イ
ンフルエンザウイルスが変異しやすいこと、また、WHOの勧告等も踏まえて、下から3行
目の所、「厚生労働省においては、国内外の情報収集、国民への情報提供・広報、ワクチン
接種、医療提供など、対策に万全を期すこととする」とのことです。最後の段落では、政府
においては、今回の新型インフルエンザ(H1N1)対策の経験等を踏まえて、高病原性の新型
インフルエンザが発生した場合に備えて行動計画の見直しを行うなど、早期に、新型インフ
ルエンザ対策の再構築を図ることが決定されています。
 続きまして、8~10頁です。こちらの資料3が厚生労働省として取りまとめた今後の取組
みです。こちらについては対策本部でご了解をいただいています。8頁の3段落目の後半で
すが、「引き続き、国内における再流行への警戒を怠らず、まん延予防等に万全を期すもの
とする」ということです。その次の段落、こうした観点から、厚生労働省では、必要な医療
体制の構築、感染予防の呼びかけ等を行い、また、別紙のとおり、今年度は引き続きワクチ
ン接種事業を応急的に行うということです。また、サーベイランスや必要な調査等、その状
況等も踏まえた上で、今年度末を目途に、感染症法に基づく、新型インフルエンザ等感染症
と認められなくなった旨の公表を行いまして、通常の季節性インフルエンザ対策に移行する
ものとする、ということです。
 10頁をご覧ください。別紙で、ワクチン接種について方針をまとめています。1つ目の
○の所で、WHOが若年者を含め重篤化する可能性を警告していること、また、ワクチン接
種を強く推奨していること等を踏まえて、死亡者や重症者の発生をできる限り減らすこと等
を目的として、すべての国民に対して、新型インフルエンザワクチン接種を引き続き実施す
るとしています。2つ目の○の所ですが、ワクチンの供給量が十分あると。これが昨年と違
う状況ですので、そういうことを踏まえて、ワクチンの購入については、受託医療機関が市
場から購入していただくことが1点と。あと、優先的に接種する対象者についても定めない
ということです。次の○の所ですが、3価ワクチンが製造・供給されることになっています。
したがいまして、予防接種法に基づく季節性インフルエンザワクチン接種の実施主体である
市町村が、接種費用の設定、受託医療機関の確保を行うとしています。低所得者に対する費
用助成措置については、引き続き実施します。また、最後の○の所ですが、健康被害が生じ
た場合には特別措置法に基づく救済措置を講ずるとのことです。
 11頁の所です。資料4として、高病原性鳥由来新型インフルエンザ対策再構築について
まとめています。3番の「体制等」の所をご覧いただくと、行動計画の見直し等、対策の再
構築については、内閣官房新型インフルエンザ等対策室、厚生労働省をはじめ関係省庁にお
いて早急に検討し、関係省庁対策会議で速やかに取りまとめた上で、最終的には閣僚級会合
において決定する、という方針が示されています。説明は以上でございます。
○加藤部会長 ありがとうございました。ただいまは厚生労働省のほうからのご報告という
ことでよろしいですね。
 続きまして、資料7について、ご報告をお願いします。
○結核感染症課長 それでは、資料7について簡単に報告します。これがすべて、こちらの
部会でも報告している、日本脳炎の予防接種にかかる事項です。これについてはご存じのと
おりですが、平成17年、マウス脳による製法で日本脳炎ワクチンを接種した後、大変重篤
な後遺症であるADEMが発症した事例がありましたので、それを機に勧奨を差し控えてい
たところです。資料7の「改正の趣旨」の3段落の所ですが、新たに開発された乾燥細胞培
養日本脳炎ワクチンができたので、この4月からこれを供給するとともに、このワクチンが
あるということで、再び接種の勧奨を再開しました。資料7の3頁を開いてください。今日
付です。予防接種実施規則の「第二期予防接種」の所ですが、日本脳炎の第二期の予防接種
に乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンを位置づけています。そして、第15条の第一期予防接種、
それから、いま申し上げた、第16条の第二期予防接種に「日本脳炎ワクチン」と入ってい
ましたが、これを削除しました。ですから、日本脳炎の予防接種に関しては、これからは乾
燥細胞培養日本脳炎ワクチンを使っていただくということになります。
 それと併せて、資料の2頁をご覧ください。勧奨を差し控えていた時期にたまたま接種す
る機会を逃した方に対しては標準の時期を指定して示していましたが、それ以外の時期でも
受けることができるようにしたもので、それについては資料の4頁をご覧ください。附則で
すが、日本脳炎の予防接種に係る特例ということで、第4条の第1項、第2項でこのように
決めましたので、報告したいと思います。以上でございます。
○加藤部会長 ありがとうございました。これはすでに部会でご了承を得たところでして、
2頁にあるように、公布が8月27日とのことですね。ありがとうございました。
 続きまして、最後のご報告、資料8です。同じく亀井課長からお願いします。
○結核感染症課長 資料8をご覧ください。これは麻しん排除に向けた取組みについてです。
麻しんについては、ご存じのとおり平成19年に10代、20代を中心に流行したことがあり
ました。また、WPROのほうでも、平成24年度までの5年間に麻しんの排除を達成すると
いう目標を掲げていまして、それを受けて、我が国としても、平成19年12月に「麻しん
に関する特定感染症予防指針」を策定しました。その中で、この5年間に麻しんを排除しよ
うと決めて、いままで対策に取り組んできたわけです。真ん中の「予防接種率」の所を見て
ください。ご覧のとおり、残念なことに、第1期、第4期についてはあまり接種率は上がっ
てきません。第2期、第3期は、わずかながら接種率が上がってきています。いずれにして
も、「今後の課題」という所ですが、現状としては、目標の接種率95%がまだ達成できてい
ません。また、総務省からご指摘を受けていますのが、修学旅行生が麻しん排除国に麻しん
を持ち込むことで、国際問題につながりかねないということです。高校2年生でも定期接種
として、柔軟な実施を可能とする方法について検討していただきたいとのことです。これら
のことを受けまして、9月を目途に調整していますが、次回の麻しん対策推進会議において、
これらのことについてご議論していただきます。また、議論の結果についてはこちらの部会
で報告したいと思います。以上でございます。
○加藤部会長 ありがとうございました。以上で報告事項は終わりです。
 ちょっと時間が超過しました。本日用意した議事は以上で終了です。事務局から、次回の
予定について説明をお願いします。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 次回の部会の日程ですが、いま調整してい
ます。決定次第申し上げますので、よろしくお願いします。つきましては本日、誠に恐縮で
すが、この部会に引き続き、小委員会を開催させていただきます。小委員会の委員の先生方
につきましては、よろしくお願いします。以上でございます。
○足立厚生労働大臣政務官 すみません、最後に。これは冒頭に申し上げるべきだったと思
いますが、まずお詫びを申し上げます。6月16日は通常国会の最後でした。9回目の予防
接種部会を開きました。それ以降、私も選挙をやる身でしたので、10回、11回と過ぎてい
たわけです。本日、ほぼ急遽の形で予防接種部会を開かせていただいたことには、大きく2
つの理由があります。まず1つは、8月10日のWHOの新型インフルエンザに対する声明
です。これに対して予防接種部会でも報告をしなければならない。それから、新たに方針を
決めなければならない。それと同時に在庫の問題もありましたが、本日をもって買戻しを始
めるという事態です。ですから、何としてもこの8月中に声明に対する方針を決定する必要
がありました。そして、本日の部会に合わせて、政府のほうの新型インフルエンザ対策本部
も、何としても今日開いてくれという形で開き、そこで了承を得られたことを皆さんに報告
する必要があったわけです。
 2点目は、私も関与した選挙に関することかもしれませんが、本来は予防接種部会で話し
合われていることを超えるような、大きな世論の動きがありました。子宮頸がんワクチンに
対することです。そして、民主党も野党時代、このことは政策集の中で訴えていたことです。
大きな声に対して、7月の終わりに、8月31日までに概算要求をすることが決められたの
で、何としてもこのタイミングで、順番の狂いは多少ありましたが、了承をいただきたいと
いうことで、本日は急遽お集まりいただきました。大変暑い中で申し訳ありませんでしたが、
ご議論を本当にありがとうございました。
○加藤部会長 ありがとうございました。ただいま政務官から、本日開いた理由づけについ
てご説明をいただいたところでした。本日は長時間にわたってご議論をいただき、誠にあり
がとうございました。これをもって、第12回予防接種部会を終了します。ありがとうござ
いました。


照会先:健康局結核感染症課(03-5253-1111 内線:2077)




(了)

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