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2010年10月4日 第6回臓器移植に係る普及啓発に関する作業班議事録

○日時

平成22年10月4日(月)
15:30~


○場所

厚生労働省専用第14会議室


○議題

1 法改正の施行状況の報告
2 普及啓発の取組内容 他

○議事

○秋本補佐 ただいまより、第6回臓器移植に係る普及啓発に関する作業班を開催します。本日は、黒田班員から欠席の、また、小野班員からは所用で遅れる旨の連絡をいただいています。続きまして、資料の確認を行いたいと思います。まず、議事次第が1枚、資料1が2枚、これは、改正法の施行後の状況についてです。続いて、資料2が3枚、別添が14頁。これは資料2の別添という位置づけです。続いて、資料3が1枚。資料4は「ネットワークの取り組み」ということで、14頁まであります。次に、参考資料1が3頁、最後に、参考資料2「議論のポイント」があります。不備等がありましたら、事務局にお伝えいただきたいと思います。それでは、以後の進行は篠崎班長にお願いしたいと思います。報道のカメラの方はご退室をお願いします。
○篠崎班長 それでは、始めさせていただきたいと思います。ご多用の中ご参集いただきまして、ありがとうございます。これまで、日本におきましての臓器提供意思表示カード、あるいは運転免許証、健康保険証等での意思表示方法、改正法の施行に向けた周知等について議論を進めてきた次第です。改正法も施行されまして、今月10月は臓器移植普及推進月間となっています。この推進月間を迎えましたことで、改正法施行に向けての普及啓発の取り組み状況について説明いただいて、これらの内容および今後の普及啓発の取り組みについてご議論を賜れればと思っています。それでは、議事に入りたいと思います。改正臓器移植法の完全施行から2ヶ月程度経っているわけですが、まず、法施行の状況について事務局から説明をお願いします。
○辺見室長 それでは、改正法施行後の状況について概要という形でご説明させていただきます。省令・ガイドライン等の改正については、6月25日に改正して7月17日の施行日までに関係団体等に通知を発出しております。また、この省令・ガイドライン等については、地方公共団体等の行政をはじめ、提供施設説明会など諸々の説明会において、関係者に対しての説明などを行ってきているところです。
 2番目ですが、施行後における脳死後の臓器提供事例への対応ということです。7月17日以降、昨日までで15例の提供がありました。ネットワークからその都度情報開示を行っています。また必要に応じて記者会見などを行っているところです。内訳でいいますと、家族承諾によるものが14例、カードがあったものが1例ということです。概要を別添に示させていただいています。横表の形で整理をしていますが、適用事例の何番目かということ、提供日、原疾患、提供施設、その次に「書面による意思表示」という欄がありまして、上から4つ目、松山赤十字病院の事例について「あり」とあります。これがカードがあった事例でして、そのほかは、書面による本人の意思表示がなく、家族の承諾によりご提供という状況です。
 資料の最初の頁に戻ります。「脳死下における臓器提供事例に係る検証会議」を開催しています。9月8日に32回目を開催し、56例目、59例目、60例目について検証を行ったところです。検証については今後も順次行ってまいりますが、施行後の事例については、提供後1年後ぐらいを目処に、従来のものと並行する形になるかもしれませんが、検証を進めていくということで予定をしているところです。
 4番目です。改正法施行後に臓器提供意思登録システムの新規登録者数が少し増加していますので、これをご紹介させていただきたいと思います。下の表のとおりです。4月から9月までありますのが、平成22年度です。その右側、平成21年度というのは、4月から3月までの月平均で出したものです。こちらでいきますと、1,999人、ほぼ2,000人という状況です。22年度は、4月、5月、6月は少しこれを下回る感じで推移していますが、7月以降増加していまして、9月は8月をちょっと下回る形で、6,300人余りの方に臓器移植ネットワークのシステムに意思のご登録をいただいたというところです。以上、雑駁ですが、状況の説明とさせていただきます。
○篠崎班長 ありがとうございました。報告事項ということですが、ただいまの説明で何か確認しておきたい点などありますでしょうか。
○相川班員 心停止下の臓器提供についてここに記載がないのですが、その状況はどうだったのでしょうか。もう9月を締められていますよね。
○辺見室長 8月の事例ですと、脳死下が5例、心停止下が5例と伺っています。9月に関しては、脳死下が9例ですが、心停止下については確認をさせていただきます。たぶん5、6、7という辺りの数字だと思われますが、確認した上でご報告させていただきます。毎年の平均的な件数からいくと、1カ月10件ないし15件ということですので、全体の移植数を見るには、この2ヶ月分だとまだわからないところではあります。
○大久保班員 一昨日の会議では7例と。
○篠崎班長 日本がどういう水準なのかは別にしまして、従来あった心停止下が若干減少するというのは、いろいろなメカニカルなものもあったりとか、ネットワークのマンパワーの問題もあるでしょうし。ただ、国民の提供意思を確実に生かしていかなければいけないというのは重要なポイントですので、システム的に足りないものがあった場合には、即刻それを明らかにして、即時改善することがとても大事なことだと思います。その辺の問題点も随時挙げていかないと、法に記しているように、提供の意思を生かすための法律ですし、生かすためのシステムですので、そこに何らかのプレッシャーがかかるようであれば、それは社会基盤としてしっかり改善していくことは必要だと思いますので、ネットワークからも、あるいは現場からも、何か問題点がありましたら、吸収できるような体制でいきたいと思います。先生方からも問題点等をどんどん挙げていただいて、みんなに知らせていくことはいいことですが、希望を生かせないような体制が万が一発生するようなことが予測される、あるいは現実的に現場での問題点等があるようであれば、それは国民の意思を生かせないことにつながりますので、それは十分注意して、早めに対策を練ることが必要だと思います。
○辺見室長 補足的にデータを説明させていただきます。先ほど、意思登録システムの登録者数のご説明をさせていただきましたが、8月の1、2、3の意思表示の内容の内訳ですが、8月は、1番の「脳死でも心停止でも」という方が86%、2番の方が4%、3番の方が10%という状況で、従来ですと「提供しない」という方が数パーセントだったのですが、上がってきています。実は、9月はもう少し上がっていまして、1番の方が68%、2番の「心停止のみ」という方が約4%、3番の「提供しない」という方が29%といった状況になっています。
○篠崎班長 ありがとうございます。この点について何かありますか。
○相川班員 これは、内閣府の調査のパーセンテージと比較的似た数字ですよね。特に最後の68、4、29というのは。心停止下がちょっと少ないような気がするのです。これを見ると、国民の間では、脳死は人の死だということがますます浸透してきているように私は感じるのですが。
○大久保班員 2年ごとだと、今年は世論調査をやる年になりますか。
○辺見室長 確実に2年ごとと決まっているわけではなくて、政策的な課題に応じて内閣府のほうで決めていくということですので、ちょっとまだそこは決まっていません。
○大久保班員 でも、11月頃にやってもらうと、とてもいいですよね。施行後の3ヶ月後ぐらいのところがわかると、とてもいいような気がするのですが。
○相川班員 気にしていたのは、反対の意思を表示する方がなかなかこの登録をしていただけないのではないかということなのですが、全体の29%というとかなりの方ですから、そういう意味では、我々が考えているより多くの方にきちんと意思を表示していただいているのだという気がしますね。
○雁瀬班員 ネットワークのほうから少し補足をさせていただきます。いま室長からご報告いただいたのは、その月の新規登録者のうちの割合ですので、いま意思登録に登録をされている方の全体像からいくと、提供しない意思は約5%ということになります。
○相川班員 8月は多かったということですね。
○雁瀬班員 はい。
○辺見室長 特に8月以降増えていて、9月は多かったということです。
○篠崎班長 世論調査のデータを捉えると、意思を登録制度で表示するという意味では、適正化してきている方向にあると捉えたほうがよろしいのではないかという気はするのです。以前は、例えばこれは6月までの間でしょうか、昨年の2千人プラス千数百人ずつの中では、圧倒的に「提供したい」という意思のほうが登録が多かったと。やはり、こういうシステムを作ったときのインセンティブというか、積極的にしたい方の層が全国民に広がらないと、折角の制度が意味をなさないというのが、第1点だと思うのです。
 第2点は、相川先生にも過日ヨーロッパに行っていただいたのですが、ヨーロッパの各国でも国別の対象でシステム別の調査が始まっているのですが、ノンドナー、いわゆる提供したくないという意思をレジストリーして国が管理してやっている、それが万が一のときにアクセスできるかどうかによって、提供の率が明らかに違ってきます。将来の法整備云々も含めての話なのですが、いいシステムをモニターしながら、作業班も、世の中でどういうものが動いていて、はっきり言ってどういうものはやっても効果が上がらないかと。国民一人ひとりの意思を生かすという意味で効果が上がらないシステムも確かにありますし、同じシステムを使っても、それに伴った制度設計がうまくできていない、あるいは周知がうまくされていない場合には、国によっても差異が出ているようです。
 これは本格的な調査が今年から始まりますので、完全な学問的な調査が終わるのには少し時間がかかるのではないかと思いますが、相川先生、できればそういったものもモニターしていただいて、結果が出次第、中間でも結構ですので、この会に上げていただけると、いい方向性が見えてくるのではないかと思います。その中で、我が国に根ざすシステムというのは果たしてどういうものかということを、広く審議できればと考えています。ほかに何かご意見ありますでしょうか。
○相川班員 オプティングアウトの場合には当然、臓器提供したくないという意思表示をしていただかないと法律的に困ってしまうのです。オプションでこのように「したくない」という意思もきちんと取り上げるというのは、とても大事なことなのです。イギリスでは、やはり今、ウェブ登録を盛んに行っています。対象者を増加できるようにということで、予算を組んで積極的にやっています。いま、イギリスではキャンペーンを張っています。そういう意味でも、このウェブでの登録というのはとても大事な1つのツールだと、私は思っています。
○大久保班員 皆さん、臓器提供が増えてきたというのが見えてきたので、非常に現実的に考えるようになったのではないかと思います。いままではあまり考えていなかったのに、現実として臓器提供がこれだけ起こるということで、現実問題として自分も考えなければいけないという人が、積極的に増えてきた。拒否の人は、これをやっておかなければいけないのではないかという感じで、急に増えてきたと思うのです。これからは拒否の登録のほうが大事になってきているので、そういう意味では、ある意味、広報自体が浸透しているという1つの証だとは思います。
○篠崎班長 特に救急の先生方にこれからストレスとなるのは、意思があるのかわからない場合でも、万が一意思があるかもしれないという形で動かなければならないのは事実だと思いますので、ノーの方というのは明らかにそこでストップできるわけですから、その辺の確定ができることが、現場での作業あるいは確認作業について非常に重要になってくるというのは、海外の事例からも明らかだと思います。その辺も踏まえて、どういう制度設計がいいのかという辺りを、ご提言いただければと思います。
○有賀班員 この場には、いまのところ医療者はドクターだけですよね。日本救急医学会も、原則的にはドクターだけです。まだできて10年ちょっとですが、日本臨床救急医学会には、ナース、救急隊、最近は薬剤師さんが200人ぐらい増えてきて、えらく増えているのです。その中で、私も詳しくは知らなかったのですが、家族看護というジャンルがあるようで、看取りの段階に入ったときに、身体を拭いたりする作業に患者さんのご家族に一緒に入っていただくことが、家族看護の実践というような方法論としてあると。看護師さんたちのお話によると、そういう中で、一緒に身体を拭きながら、「実は、この人はそういうようなことを考えていたようなんですよね」というようなことで、あたかもオプション提示というか、ナーシングスタッフが誘っているわけではないのでしょうが、そのような話題が出ると。実は、ドクターたちは、主治医としていつ切り出すのかという問題を非常に意識している。しかし、よく考えてみると、患者さんのご家族からすると、医師も主治医として大事ですが、担当ナースもやはり大事だという話になりますので、臨床救急医学会では、医師とナースが一緒に入った救急医療における看取りと臓器提供に関する委員会をつくって、そこで議論をし始めました。
 直近の委員会の中で問題になったのは、どういう形で切り出すかという話です。ドクターだけの話でいけば、手の平を返すようなことはできんという話になりますが、看取りという全体像でいけば、諦めざるを得ないという話をするときに、脳死と臓器移植はもちろん別ですが、話の流れからすれば延長線上に入ってきますので、そういう意味ではその話の先に、その手のことがインフォームできるような方法はあるのだろうかという議論をし始めたのです。
 もう1つは、今回のように、臓器提供しないという患者さんの意思がはっきりしていれば問題はないと思うのですが、どちらかわからないときに、臓器提供になった場合には臓器移植ネットワークのスタッフが入り込んできます。しかし、ご家族の間で揉めて、結局臓器提供にならなかったという場合には、言葉は変ですが、揉めっぱなしで患者さんが亡くなって、そして、荼毘に付されるときにやはり揉め続けるのではないかという話はあるわけですね。そういうときには、臓器提供の情報を持って、臓器移植ネットワークのコーディネーターがもちろん来るのですが、結局、来てもそういう意味での、例えば奥様とご両親とか、奥様と子供たちとか、そういう家族内の意見の違いによる精神的ないろいろなぶつかり合いについては、コーディネーターは、とてもではないけれども面倒を見切れない。実際の事例からすると、どうもそのようです。つまり、コーディネーターに頼もうにもどうにもならないと。結局、誰がその辺の間をきちんと面倒見られるかというと、やはりドクターではなくてナースだろうと。そういう意味では、看取りを組織的にきちんとできるような救急医療の現場が是非ほしい。そのためにはどうしたらいいのかという議論を。ナースも確かに現場をきちんと見てはいますが、そうはいっても、このことだけに特化できないわけですよね。もし牧師さんがいたら、このことだけに特化できるのかもしれませんが。そういう意味では、現場におけるナース、ドクターを中心にしたチームが、どういう形でいま言った家族のケアができるのかという非常に大きい問題。これは、今のところ、従前であれば腎提供のみの患者さんが、おそらく脳死下臓器提供になっている可能性もありますよね。つまり、さっき言った、5+5は10ですものね、8月が。それで大体平均値ぐらいだと先ほど辺見さんはおっしゃいましたので。
 そういう意味では、いままでの平均+αですが、起こっていることそのものは、ドナーカードを持っている人が山ほどいる、大人のドナーカードを持っている人がいっぱいいるというのと景色は同じなので、お子さんのドナーが出てくるときに、いま私がお話した後半の問題は、相当程度に色濃く私たちが知らなければいけないことだと思うのです。そういうことで臨床救急医学会のほうでは議論を始めました。以上です。
○篠崎班長 学会でそういう取り組みをしていただけるというのは、非常にありがたいことだと思います。現に、救急の先生方が、救急の現場、特に有賀先生のようなところで、一度見られた方はすぐわかると思うのですが、あの忙しさの中で次から次からという中で、家族と過ごしている時間自体もそんなにないわけです。我々は、オプション提示をすると簡単に言いますが、コーディネーターの経験のある方だったらわかると思うのですが、その話し出すタイミングというのはすごく大事なわけです。ご家族の悲しみも、みんなで、誰か来るとまたみんな大声をあげて泣いたりというようなことを繰り返していますから、そういうタイミングを図るのに、ドクターがそれをずっと聞いているというのも事実上不可能ですし、やはりナースチームの支えというのは非常に重要だと思います。
 逆に、そこを理解した上でないと、なかなかそのあとのフォローというのは難しい部分もあるので、その辺で、提供があった場合はコーディネーターが入るにせよ、逆に、そうでない場合でも医療側がそういった姿勢でいてくれるというのは非常にありがたいのですが、果たしてそれを、いまのような学会が、いまの状態ですとボランティア的に動いてくださっているのですが、その状態でいいのかどうか。学問として、あるいは教育プログラムとして、もう少し構築していく必要があるのではないか。その際に国として、政策として何か支援できるようなものが必要な場合もあるかもしれないということも十分あり得ると思いますので、そのようなご意見も今後、先生のほうから是非挙げていただければと思います。何かご意見、ご質問ありますでしょうか。非常に重要なポイントだと思いますし、社会整備として大事だと思います。
○相川班員 ご家族が、そのときに意思を告げるということは、何も形式ばってやるときばかりではなくて、看取りの、患者さんの身体を看護師さんが拭いているときに、たまたまそういうお話になるということは、私はごく自然なことだと思います。そういう、ごく自然の、本来の、本当の情報をきちんと取り上げるような体制に持っていけば、場合によっては、メディカルスタッフの今の状況での手の平返しということも、ある意味では払拭できるのではないか。こういうのは大事ですよね。私は、とても大事だと思います。
○有賀班員 そういう意味では、ここにあります第88例目から102例目は、施設の名前がわかっているところはむしろ少ないわけなのですが、いまのような学術団体がチーム医療の核心に迫るような、そういう議論をしていくプロセスにおいては、何も名前は公表する必要はないわけですから、委員会として場合によってはコンタクトして、どういうことがあったのかというのを、丁寧に見ていきたいと思います。ナーシングスタッフが身体を拭いているというときの話などを聞くと、全くそうだよねという気はしますからね。
○篠崎班長 逆に、学会の中で情報として得られるものも非常に多いと思いますので、できればそういったところの調査等も情報としていただけると、間接的ではありますが、周知にもつながりますので、是非お願いしたいと思います。そのほか、何かご意見ございますか。それでは、次の議題に入りたいと思います。普及啓発の取り組みなのですが、ネットワークの取り組みとして事務局から引き続き、あと、ネットワークの取り組みについてもご説明いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○秋本補佐 それでは厚生労働省の主な取り組みということで、資料2にまとめさせていただいております。毎年10月が、臓器移植普及推進月間ということで取り組んでおりますので、まず9月までの期間の広報のねらいとして取り組んでいる内容、次に臓器移植普及推進月間であります10月の広報のねらいとして取り組む内容、続いて11月以降、将来の取り組みということでのねらい、どういうことをするかをご説明したいと思います。別紙で、それぞれの取り組み内容をとりまとめてございますので、併せてご説明したいと思います。
 資料2の1番目です。まず最初に、9月までの広報のねらいとして、?@法改正後の新しい制度の内容を医療関係者等に適切に周知・広報する。?A制度が改正されたことについて広く一般に広報する。?B新しいカード及びその記載方法について周知をするという中で、まず一般向けの広報といたしまして、スクリーンに画面も写しております。ちょっと見づらいのですが、政府広報として新聞各紙に突き出し広告を掲載させていただきました。掲載期間が7月13日から18日ということで、全国紙の5紙、ブロック紙の3紙、地方紙の64紙ということで取り組んでいます。それぞれの日にちに付けて報道した新聞社名を小さく書いてありますが、資料の別添の1をご覧いただきたいと思います。
 続きまして、厚生労働省のホームページに専用サイトを開設いたしました。これは別添の2ということで上げております。別添2、いちばん最初に出ているのは厚生労働省のトップページになります。この赤丸で書いてある所、「臓器移植法が改正されました」というところですが、そこをクリックしますと、次の頁の「臓器移植関連情報」ということで、HOME、臓器移植について、意思表示について、Q&A、関係法令、関連リンクというような所にそれぞれ変わるということで、次の頁以降です。
 次の頁、別添の資料では4頁になります。上が「臓器移植について」、下が「臓器提供の意思表示について」で、それぞれの内容を詳しく見られます。ネットワークのほうの頁とリンクして見る形になります。
 続きまして「Q&A」の内容に飛びます。下のほうになりますが、「関連リンク」ということで、「ネットワーク」とか「日本アイバンク協会」等に飛ぶというような話です。
 あと6頁「関連法令」も、きちんと見ることができる形で、広報に取り組んでおります。
 続きまして、私どもの広報紙に『厚生労働』という機関誌がございます。これについても平成21年12月、平成22年2月、6月、8月の合わせて4回になりますが、制度改正等を説明する記事を掲載いたしました。
 続きまして運転免許証、医療保険の被保険者証が更新されて、意思表示欄がどんどん設けられてきますので、それに合わせて、説明リーフレットを送付していただく。これはネットワークさんのほうから送付していただいておりますが、そういうこともやっているということです。運転免許証については、本年12月にはほぼ各自治体において、更新時に導入されることになっています。健康保険、国民健康保険についても順次更新が予定されている状況です。
 次に、医療従事者向けの取り組みということで挙げております。医療現場の方への周知のために、日本救急医学会をはじめ8つの関係学会にお願いをしまして、それぞれ学会のホームページに、法改正がこういう内容で施行されるということを、掲載の依頼を行い、医師等関係者の皆様への周知を図りました。また、その一部の学会におきましては機関誌に情報を掲載させていただいております。
 続きまして、改正法の説明会を開催しております。日本臓器移植ネットワークに主催していただいておりますが、西日本支部で約350名、中日本支部会場は約180名、東日本支部会場は約400名で、対象は医療従事者及び都道府県のコーディネーターということで開催させていただいております。
 (3)行政機関向けです。都道府県、指定都市及び中核市の行政担当者、あと都道府県のコーディネーターに出席していただいて、臓器移植対策担当者会議を開催しております。参加者数は約150名です。
 (4)その他ということで、政府広報の中に視覚障害者向けの「明日への声」という音声広報CDを作るような取り組みがございます。それにも取り組ませていただいております。あと、マスコミ関係者への説明会も、参加者約40名ということで、省内で開催させていただいております。また日本アイバンク協会などの関係団体等へ、法改正について説明会をさせていただいております。
 次が、新しい臓器提供意思表示カード、リーフレット等の配付です。後ほど、臓器移植ネットワークさんのほうから資料3等について説明があるかと思いますが、一応並びでここにも挙げております。以上は、主な9月までの取り組みということです。
 次に2番目、10月における取り組みです。この期間の広報のねらいとしまして、臓器移植普及推進月間としまして、臓器移植に対する国民の一層の理解を得る。その際、新しい制度の普及・啓発についても念頭に置いて取り組むことをはじめ、可能であれば、厚生労働省、日本臓器移植ネットワークのホームページ等に詳細情報を案内する。いろいろと飛んで、省のホームページで、詳しい情報を得ていただくように、そういう流れを作るという取り組みでございます。
 ?Aといたしまして、各種イベントを通じた啓発・普及及びマスコミ等への周知というねらいで、次のような取り組みをしている、もしくは取り組むということで決定しています。(1)インターネット、ラジオ番組等による多様な媒体による広報です。取り組んでいる内容をインターネット関係ということで整理しております。内閣府のホームページに、政府広報を入れるところがありまして、そこに政府広報のインターネットテレビというのがございます。「徳光&木佐の知りたいニッポン!」という20分番組で、ゲストをお招きして、ここではちょうどネットワークの雁瀬さんと都道府県コーディネーターの岩田さんにご出演いただいております。10月14日から掲載予定です。これは別添3でちょっとまとめにくかったのですが、取り組み内容をわかりやすく紹介してございます。
 続きまして、同じく政府広報のオンラインで、「お役立ち情報」で、別添の4です。これは一部を書いていますが、この4、5倍ぐらいのボリュームで、細かく丁寧に、わかりやすく暮らしに役立つ情報を解説するという趣旨で、臓器移植のテーマを取り上げています。これは9月29日から1年間ぐらい掲載をするということです。そのうち1ヶ月ぐらいは、トップページのタイトルにも掲載されることになっています。
 続いて、政府広報モバイルの携帯端末ということで、別添の5です。要は、携帯端末から無料ニュースサイトの「The News」のトップページに、左側に「臓器提供意思表示にご協力を」というような掲載をさせていただくということです。これは9月27日から10月3日の1週間掲出させていただいたということです。
 続いて、同じく政府広報になりますが、インターネットバナー広告、別添の6です。「Yahoo! Japanのニュースネットワークプライムスプレイ」に、バナー広告として、15秒間のアニメが動いて、そこに載っていますが、ハーティーが動いていますね。これが動いて、厚生労働省等にアクセスできるような、そういう形で広告しております。これが10月25日から31日まで掲載される予定になってございます。
 続いて、政府広報のラジオ番組です。別添7「中山秀征のジャパリズム」ということで、政府の重要政策について、臓器移植の解説と、中山さんのトークによってわかりやすく説明するということで、10月22日、16時半から25分間のオンエアで、TOKYO FM(JFN系)で、15局の全国ネットで放送されるということです。本日のちょうどいま収録をしているところです。
 また同じく政府広報になります。新聞各紙に突き出し広告、これも第2回目になりますが、いま突き出し広告の原稿の手続きをしているところです。掲載期間は、いま調整をしているところです。次に、厚生労働の広報紙、これも10月は推進月間の関係で記事を載せるということで、決まっています。
 次に(2)イベント、行事などの関連行事による取り組みです。臓器移植普及推進国民大会が昨日、熊本で開催されました、別添の8です。これはちょうどプレスに投げ込まれている資料ですが、開催を通じての啓発・普及の実施ということと、私どものほうで後援しているイベントに関する資料、この14頁3枚目で推進月間において取り組んでいる主なイベントです。臓器移植普及推進国民大会10月3日、全国移植者スポーツ大会10月9日、ドナーファミリーの集い・ランフォービジョン10月10日、国際漫画シンポジウム展10月13日、グリーンリボン・ランニング・フェスティバル10月24日というようなイベントを後援して、それに合わせていろいろと普及に取り組んでいくという予定にしています。
 3番目、11月以降の取り組みです。この期間の広報のねらいといたしましては、臓器移植に関する理解を深めていただき、正しく意思表示を行う方法に関する啓発・普及に取り組む。臓器移植普及推進月間のイベントのフォローアップを行っていこうということで、次のような取り組みをしようと思います。厚生労働省ホームページや政府広報など、各種広報の機会を通じて、意思表示カード、運転免許証等の裏面に設けられました意思表示欄の記入方法に関する広報を推進していきたいと思っております。特に、厚生労働省のホームページ、先ほどご覧いただいた掲載内容については、見直して効率的な啓発・広報ができればいいと思っているところです。次に中学生、その保護者、教育関係者に対して、パンフレットを作成・配布ということも年内には行いたいと思います。あと今月の推進月間のイベントに対してのフォローアップとしまして、各都道府県におけるイベントなどの取り組み状況を把握して、うまく自治体等にフィードバックしていければいいかと思っております。あと国民大会でのアンケートを実施しておりますので、その結果を集計分析して、いい方向の取り組みにもっていければいいと思っているところです。以上です。
○篠崎班長 引き続き、雁瀬委員から、ネットワークの取り組みをお願いいたします。
○雁瀬班員 それでは資料3のほうで、まず紙媒体です。臓器移植ネットワークで作成しました紙媒体のものを一覧表にまとめました。最初の意思表示欄説明用リーフレットというのは、法律に定める被保険者証、それから運転免許証の意思表示が進むということで、作成したものです。これが2,026万部の作成予定にしております。それから意思表示シール付きリーフレットは、まだ意思表示欄が入らない免許証、被保険者証に対して、シールで意思表示をしていただくという、経過期間用です。これも今年500万部を作っております。それからカード付きリーフレットです。この啓発の作業班で、皆さんにご議論いただきましたものをお手元にお配りしています。このような形で出来まして、当初ちょっと作成部数が足りないというお声をたくさんいただきましたので、最終的に500万部ぐらいまでは予算の関係もあって作れるというところにいき着いております。
 また、小冊子を作成しましたが、たぶん同じような内容で、厚生労働省と中学3年生などに配っていくことになると思います。「日本の移植事情」は今年の法改正に焦点を当てたかなり詳しいものです。関係者の方とか、それから大学、マスコミの方たちに理解していただけるようなものを作っております。これもお手元に配付しております。それから絵本リーフレット、これは昔からあったものですが、法改正の内容に少し改定して作っております。
 推進月間用のポスターですが、こちらのスクリーンの右側に貼ってあります。関根麻里さんが昔から意思表示カードを持っていて、意識が高いということ、それからそれをご本人の言葉で皆さんに伝えていただけるということで、関根麻里さんに登場していただいたものも作成しております。
 体験者の方々の手記のシリーズも引き続き作成しております。基本的には、ホームページで閲覧していただく、あるいはダウンロードをして使っていただけるよう整備をしております。具体的に、スクリーンのほうでもカラーのものでご紹介をしてまいりたいと思います。
 まずは、ネットワークのほうでも、被保険者証、免許証に意思表示欄を入れる環境整備、それから最初にご議論いただきましたように、意思登録、提供しない意思もきちんと担保できるという環境整備に努めております。
 意思表示欄説明用リーフレット、シール付きリーフレットの作成については、保険者団体数も多く、社員数が多い所などは各自で作っていただけるようお願いしており、リーフレットの画像や印刷データを提供しています。
 また意思登録システムにおきましては、1月に親族優先のプログラム改定、7月には15歳未満でも提供しない意思が登録できるようなプログラム改定をしており、新しい内容の意思表示に対応させております。
 2番になります、新しい制度についての周知です。意思表示欄のあるものへの整備を補足する形で、カード付きリーフレットを行政窓口やコンビニエンスストアなどに置いて、周知をしているところです。また、ホームページの改定でも、閲覧用データの掲載、キッズサイトの開設などを行って、幅広く情報を掲載しております。それからDVD、JACLAビジョン、これは自動車教習所のビジョンなどで、臓器移植法が変わりましたという映像を作りまして、放映しております。また、今月は臓器移植普及推進月間ですので、イベント用の展示バナーの内容の改定、それから各地のイベントで使っていただけるようなグッズの貸出しなども行っております。
 先ほども説明がありましたように、7月には改正法の説明会を行っておりまして、行政機関、都道府県コーディネーター、それから臓器提供施設の方々にお集まりいただきまして、周知をしたところです。
 また、臓器移植ネットワークとしてだけではなく、多くの団体と共同体を組みまして、グリーンリボンのキャンペーンを広く進めております。これも、後ほどパワーポイントの中で紹介をしていきたいと思います。臓器移植普及推進全国大会、ちょうど昨日行われたところです。これらのイベントや市民公開講座などでも後援をしたり、タイアップをしたり、資料を配布したりということで、新しい制度の周知を行っております。
 資料の1頁目の下です。ホームページのトップ画面では、「改正臓器移植法が施行されます」ということから、「10月は臓器移植普及推進月間です」というタイトルに変わっておりますけれども、臓器移植法の改正について、それから保険証や運転免許証の意思表示欄の詳細は、このクリックをしていただくことで読んでいただけるようになっています。これは随時内容を改定しながら進めております。
 2頁目、保険証に意思表示欄を入れる取り組みの概要をご説明いたします。協会けんぽさん、これは昔の政府管掌保険ですが、3,600万人に対して、昨年の11月1日から意思表示欄付で配布されていましたが、新しい内容に変えて、順次変更をされております。新規の発行者は年900万人いらっしゃいますので、その方々の意思表示が順次変わっていくということになります。それから市町村国保、後期高齢者も行政単位で意思表示欄の設置を進めておられます。
 次に健保組合ですね、これは企業さん、団体など1,500団体ありますが、意思表示欄の設置は221団体、まだ意思表示欄が設置できないということで、シールで意思表示をする取り組みをされているのが420団体です。これは、法改正前に私たちのほうからアンケートをした結果ですので、各団体で議論を進められて、いまでも実は入れることになったのだけどというご相談はあります。来年も、そういう取り組みに対して適切な資料の提供を行っていきたいと思います。それから船保組合、私学共済さん、合わせて100万人は意思表示欄を設置されました。それから国共済・地共済につきましても、意思表示欄の設置が進んでおります。全員の方の保険証にこの意思表示欄が入るということにはまだ数年かかるのかなと思っております。
 下の頁、免許証です。免許証の所持者8,000万人に対して、2,300ヶ所で新しい免許証の交付のときに、意思表示欄を入れて配布されます。大体免許の更新・新規・再交付というのは年間2,000万人ということになっておりますが、今年9月から順次、意思表示欄が入っている免許証が配り始められていると聞いております。その際、お手元に配った「意思表示欄説明用リーフレット」を一緒に配布していただくこと、それから説明員による説明を実施していただいております。窓口には、意思表示カード、それからシールなども設置をしまして、免許取消・停止などで免許証を取り上げられた方にもカードなどをお配りいただくなど手厚く対応をしていただいているようです。
 また各論になりますけれども、リーフレット、お手元にありますが、これは意思表示欄のある団体が配るものです。これはホームページでもダウンロードできますし、印刷用のデータなどの支給を行っているというものです。それから意思表示欄がまだ設置できない所は、シールで意思表示をしていただくというシール付きリーフレットもお手元に配っております。
 意思登録です。これも先ほど説明したように、ネットワークのホームページで意思登録ができるようになっておりまして、今年4月からはこの意思登録者数もホームページで公表しております。
 意思登録カードも新しくなりました。新しい登録カードはグリーンリボンの形と合わせまして、また意思表示の内容も変わっています。特記欄も作って、親族優先、あるいは自筆で、その他組織などの提供も表示できるようになっています。これは、前の臓器移植委員会でも、厚生労働省のほうから公表された内容ですが、先ほどとちょっとかぶりますので、流します。
 それから、意思表示カード付リーフレットです。これはコンビニエンスストアとか、行政窓口で、まだインターネットを使えない方、それから保険証や免許証でも意思表示欄のない方の補足として、配布しているものです。当初250万部、法改正のときには間に合わせたのですが、やはり足りないということで500万部の作成をして34,000ヶ所で設置しております。これはコンビニエンスストアさんのほうでも、最近行くと必ずありますね。設置についてお申し出もありますので、積極的に進めてまいりたいと思っています。
 従来のカードについては、差し替えを行っています。パンフレットの中にも、「今までの意思表示カードも有効ですが、なるべく新しい意思表示カードに書き直しましょう」と呼びかけております。また、新しいカードを送った際には、「新しい意思表示カードに改めて設置をしてください」というお願い文書をつけて、お送りしていますので、多少古いものが残っている所もあるかのようにお聞きしていますが、順次、新しいカード設置に変更しているところでございます。
 これは都道府県単位で作っているオリジナル意思表示カードです。地域が支援する団体の柄を入れて、地域に親しまれる意思表示カードを配布しようということで、この柄は昨年のものですけれども、今年も27府県で新しい意思表示内容に変えて、各団体とコラボをしたオリジナルカードを作る予定でおります。キャンペーンのメッセンジャーとしてご協力いただいている関根麻里さんのポスターと、DVDです。映像も作成して、これは既に都道府県行政の担当者または都道府県コーディネーターに持ち帰っていただいて、各地のイベントなどで広く上映をしていただいています。
 これは移植事情です。手元にあります。それから手記のシリーズ、小冊子です。中学生、一般の方々、お子さんのいる家族での話し合いのために作成しております。40万部作成して、9月中旬から発送しています。ネットワークのホームページでも、閲覧とダウンロードが可能です。またキッズサイトも作成しております。これもお子さんとご家族、ご両親などと見ていただいて、学んでいただくというページになっております。学校には毎年、推進月間に2週間にわたって小中学校の掲示板に配るポスターを作成して、送っています。今年は、そのポスターの内容と新しいカードになったということを周知するための内容です。
 自動車教習所の大型ビジョンには、法改正の新たなCMを作りまして放映をし、そこのビジョンの下のラックには新しい意思表示カードを設置をしているところです。また各地のイベントでは、こうやってジャケットやたすきを貸し出していますし、下のほうは、自立式展示用バナーというのも新しい法改正に対応した内容に差し換えて、いま全国のイベントを回っているところです。これは10セット作って、全国のイベントで順番に使っているということで、いま調整しているところです。
 次に、グリーンリボンのキャンペーンについても簡単にご説明をさせていただきます。これは臓器移植ネットワークのサイトではなくて、グリーンリボンキャンペーンのサイトになります。パソコン用のサイトとモバイル用のサイトがありまして、この両方でいちばん特徴的なのが、グリーンリボン検定です。臓器移植に関する質問に答えて、正解をしていく。正解をしながら必ず進んでいけるようになっているのですけれども、正しい知識を得たところで、最後にグリーンリボンピンバッジを希望すればその方にお送りします、と周知をしています。昨年11月にこういうバナー広告で周知をしたところ、3,560人の方が応募されました。非常に臓器移植について理解が深まった、あるいはピンバッジをして多くの人にもっとこれを知ってもらうというようなご意見もたくさんいただいております。今年のバナーは、実は今日から1週間と、それから2週間後にモバイルサイトで1週間張りますが、バナーを張っていない時期でも7月に400名、8月に700名近い方が、この検定で移植の知識を得て、ピンバッジの送付を希望されています。多くの方が、やはり一般のレベルで非常にわかりやすく、理解を深めることができたというふうに好評を得ておりますので、これは是非続けていきたいと思っています。
 また『R25』というフリーペーパーがあります。これは首都圏を中心に、JRの駅、それから都内のコンビニ、大手書店、それから東京メトロなどに50万部が無料で置かれている冊子です。これを8月に展開いたしまして、臓器移植の特集ページを広く読んでいただいたという取り組みがございます。
 また、もう1つ8月26日にはプロ野球の、地上波でも放送されたのですけれども、「巨人対中日」戦を「グリーンリボンナイター」として開催いたしました。球場内での看板ですとか、オーロラビジョンに関根麻里さんのCMを流したり、来場者にはうちわですとか、オリジナルの意思表示カード、それからパンフレットなどを配布いたしました。
 次のポスター、これは実は新聞広告なのですけれども、10月2日の土曜日の朝刊、読売新聞で15段、丸々1頁に左側の広告を載せました。それから右は11月掲載予定ですけれども、ランニングフェスタなどのイベント記事と一緒に掲載をしようと思っています。
 グリーンリボンのランニングフェスティバルを行っています。これも恒例になっておりますが、今年は人数が増えていきまして、4,000名程度が参加予定で、ドナーのために緑の風船を飛ばしたり、臓器提供の意義をきちんと学んだりしながら、皆さんと汗を流すというイベントの1日になっております。このような取り組みを目で見てわかりやすい形でご紹介いたしました。
 続けて、これらの資材を送ったときにアンケートを同封しており、それが参考資料1となっております。3頁、カード付きのリーフレットを送ったときに、1,500通強アンケートを送っておりますが、回答はまだ120通です。順次、資料をお送りしている途中ですので、アンケートはまだこれからも集まりますが、今日のこのタイミングでは、大体8割程度の方が、「大変よい」あるいは「よい」という形でご回答をいただいております。1頁に戻りますと、個別に意見が参っております。内容・情報量について簡単にご紹介します。
 「少し情報量が多過ぎて、なかなか読み切れない」というものがありました。「デザイン・形について明るい色で、サイズもよいし、色合いがきれいであるが、切取り式ではがすときの角が心もとない」というようなご意見もあります。「そこにカードがあることが少し見えにくいのではないか」、「高齢の方にはわかりにくいのではないか」というご意見もありました。
 配付のしやすさについては、「一体型になっていることは、従来のようにバラバラになっているものよりは手に取りやすいし、配付しやすいが、もう少し量があるともっと多くの人に渡すことができる」という意見でした。以上です。
○篠崎班長 ありがとうございました。それでは議論に入りたいと思います。あまり議論が拡散しないように、内容も豊富だったものですから、まず、各期間の広報のねらいについて、それぞれが妥当であったか。期間というのは、9月末までのもの、もう1つは、今月は推進月間になります。それが終わった来月に関して、少し改善の余地などがないかという視点で、皆様からご意見を頂戴できればと思いますが、いかがでしょうか。
○石川班員 ねらいということですか。それとも取り組み内容に入ってもいいですか。
○篠崎班長 取りあえず、ねらいに焦点を絞りたいと思います。
○石川班員 わかりました。ねらいということで言うと、改正法の施行前というのは、意思を表明する人だけを、ある意味で対象者にすればよかったわけです。というか、意思を表明してくださいと言えばよかったわけです。実際の移植も、意思の表明がなければできなかった。しかし、それ以降は意思の表明がなくても家族の承諾でできますから、対象が俄然広がっているわけです。
 そうなると、対象をどうセグメントしていくかという考え方の整理をしないといけません。いま話を聞いていますと、ほとんど以前と同じ考え方を踏襲しているように思えるのです。手法もです。ほとんどこれは取り組み内容に入ってしまいますが、費用対効果の低いやり方だなという印象が非常に強いです。
 実際、登録が何千人と増えているのは、報道の件数が増えているからだろうと思います。実際、新聞やテレビ、いろいろな報道機関のニュースによって関心喚起が行われている。したがって、関心喚起を行うということが大事だろうと思うのですが、関心喚起を行うときに、どういう方々が、どういう理解をいま現在しているのか。あるいは理解がないかもしれませんが、どういう形で関心喚起をしたらいいのかという視点が、広報活動のねらいに抜けていると思うのです。ただ広報をすればいいと。そこがたぶんねらいとしては、非常にまずいところです。即ち、まとめて言うと、きちんと対象者を分類しましょうというのが1つです。非常に大きいポイントだと思います。現在の広報活動には対象者の分類がないということです。
 事実上、本人意思1件ですから、施行後に家族の承諾で行われた件数のほうが、圧倒的に多いわけです。それは報道によって伝わってきていますが、報道以外では、例えば厚生労働省のホームページには情報が出ていないし、ネットワークのホームページにも出ていません。施行以降、何が起きているのか、報道がなければ一切わからない。
 報道を読んでも正直なところ、実情があまりよくわからないです。私はこの委員をやっていますから、臓器移植について関心を持っています。しかし、ふだんは自分の仕事をやりながら、一国民としてニュースに接しているだけです。そういう生活では、実情がわからないのです。本当に何が起きているのだろうと。報道の記事を読んだだけでは、家族の承諾があったということぐらいしかわからない。
 ねらいというところで言えば、次は、施行後に何が起きたのかという視点が広報活動のあり方に入っているのだろうかということです。入っていないのではないかというのが正直なところです。
 対象者のセグメントができていないということと、現に8月、9月で行われていることを分析した結果のねらいなのか。それが見えないということです。その2点です。
○篠崎班長 この点についてご意見はどうですか。
○大久保班員 それはまだ無理だと思います。まだ2ヶ月なので。いま始まっているものというのは、基本的に7月17日以前の段階で作られたものです。取りあえず、2ヶ月間の分の分析自体も、実際のところできていませんよね。
○石川班員 私は分析と言っているのではなく、施行以前と以後とでは違う事実が生じているということです。たとえば圧倒的な数は違いますよね。
○大久保班員 数は同じです。
○石川班員 家族の承認自体はいままでにはなかった。
○大久保班員 それは単に法律が変わっただけであって、基本的にそのとき臓器提供をする人の考え方として、たまたまカードがないから、要するに心臓とか、脳死からの提供はできなかっただけであって、そのときの心情というのはそんなに大きく私は変わっていないと思います。
○石川班員 そういう仮説ですね。
○大久保班員 私はね。それはなぜかというと、それはもともと、我々がどのぐらい出るか。臓器提供があるか試算をしたときに、基本的に心停止からの半数の方は、脳死を人の死として受け入れて、事前の処置に対して承諾をされているわけです。これをするためには、基本的にはカニュレーションといって管を入れるわけです。そういったことをするためには、脳死判定がきちんとできて、ご家族が脳死を受け入れないと、これはできないのです。そういう意味から、それは大体半数ぐらいあったので、我々としては心停止で、半数ぐらいは脳死下での提供に移行するだろうという予測はしていたのです。
 いまの状態は、実はほとんど変わってなくて、同じ状態ですし、臓器提供の全体の数というのは、今回8月は10件、9月はおそらく16件だと思うのですが、数として増えているかというと、それほど増えていないのです。なぜかというと、2009年1月には21件というのがありますし、翌年の2月は17件というのがあって、数としては15件とかも結構あるのです。全部ではないですが、年間12ヶ月のうちに2ヶ月とか3ヶ月ぐらいはそういったところがいままでもあるので、いまの現状のたった2ヶ月ぐらいのところで、どのように変わったか、まだ見えにくいところがあると思うのです。もう少し見ないと、本来どういうふうに変わってきているのか、一般の方の考え方がどう変わってきているのかというのは、なかなかまだ見えないのだと私は思うのです。
○石川班員 私が言っているのは、そういうことではないです。広報の対象が変わったということを言っているのです。いままで本人の意思表示がなければ行われなかったものが、意思表示がなくても行われるようになったわけですから。
○大久保班員 それは一緒なのです。それは心停止で行えていたのですから。要するに、臓器が増えたという話であって、心停止の臓器提供に関しては、本人意思がなくてもできたわけですから、その分が大きく変わったかといったら、それほど私は変わっていないと思うのです。
○辺見室長 いまのお話を整理いたしますと、実は先ほど宿題になっていた心停止下の9月の数字をもらいました。いまもらった数字なので、速報値として認識していただきたいのですが4件だそうです。9月は脳死が9件、心停止が4件だそうです。いまのは速報値ですので、これは追って出すときに修正が入るかもしれませんのでご認識をいただきたいと思います。
 そうすると、8月と9月の数字を足すと、脳死と心停止を足した数としては、まだ顕著に増えているという感じはしないという気がいたします。大久保委員がおっしゃっているのは、要は施行前の法律であっても、家族が同意をすることによって、心停止下でカードがなくても臓器提供ができたという制度のことをお話をされている。新制度に至って、家族の同意によって脳死下での提供が可能なった。ここは分析が必要なところですが、従来の脳死プラス心停止で、カードがあって移植になった件数と、家族同意であった件数を脳死、心停止という区切りとは別に、本人カードなのか、家族承諾なのかというところが、たぶん必要なのかと思います。私自身もこの数字自体、いまの状況で、ましてや8月、9月の話ですので、分析をするまでには至っていないのですが、状況としてはそういう状況です。
 おそらく大久保委員がおっしゃっているのは、全体としては、要は心停止で同意をしていた方が、脳死に同意をされているという状況の変化が、数字に現れているだけであって、全体の構造としては、まだ変わっていないのではないかということをおっしゃっているのではないかと思います。その見方としては10、13と増えてはいますので、これを増えているというふうに見るのかというのは、8月、9月からは難しいかと思いますが、ただ、分析が必要だというご指摘はごもっともだと思いますので、私どももその内容については、よく見ていく必要があると思っております。
 石川委員のご発言の中でセグメントの話がありました。不十分なところがあると思いますが、臓器移植普及月間の前においては、いわゆるプロフェッショナルな方々、医療機関、行政に、普及月間以降は、一般に対してということです。どちらの期間も両方必要ですが、軸足を大きい意味での、そのぐらいのセグメントという程度は一応やった形となります。おそらくそれが不十分というご指摘だと思いますので、そこのところはまたご教示をいただきたいと思います。また、これは分析をした結果が必要だというご指摘だと思いますので、そこについてはお時間をいただいた上で検討していきたいと考えております。
○篠崎班長 お話を聞いていると、いま実際の臓器提供に至るような症例、昔は誤記載もありましたので、そういったことも含めて心停止でしか提供できなかった方が、いわゆる家族承諾ということで、国際的な標準ルールだと思うのですが、それがやっとここにきたということです。提供の数自体を今回言及するには数が少ないと思います。
 もう1つ別に、石川委員が言っているところで、私が聞き取れる部分として、医療業界の中で話しているので、そこに注目してしまっていますが、おそらく先ほどの発言の中で、1つ気になった点があります。例えば、登録者数を見ると、明らかに増えています。逆に言うと、広報活動をやる場合のセグメント化というのは、そこが非常に重要なポイントです。1つは、自分の施設で一生懸命考えてやったことですから、大きく分けますと、一般の方に知らしめる、知っていただくための活動というのは、一般啓発活動です。医療従事者に知らしめるためのプロフェッショナルエデュケーションというものがあるわけですが、一般の方の中で、セグメント化は非常に重要なポイントかと思っています。私は逆に聞き取れた部分が、いままで漠然と思い立っていくつかやっていたという程度ではなかったか。ごめんなさい、失礼な発言かもしれません。いままでは予算の関係もあり、いくつか例えば学生用のパンフレットを作ったとか、何をやったというのは限定された予算の中でやっていた程度だったと思うのです。徐々にそのメッセージ性も、ポスターで見ても「家族で話してくれ」というような、家族意思を問う内容であるとか、中学生用のリーフレットである。それも逆に自宅に持ち帰れるような内容に変わっています。それが不十分だというご意見であれば、それはお示しいただきたい。私が言っていることが間違っていれば、ご指摘をいただきたいのです。
 私が危惧したのが、その辺のところで、かなり広報としてはいままでよりもグレードアップした感はあります。ただ、それがちゃんと伝わっていないと。いわゆる登録を増進させるようなパワーになっていないのではないか。万が一、それが過去2、3ヶ月間の報道によって誘導されたものであれば、逆にこのままのペースでいって、登録が増えていくのか。報道数が多い場合、一気に皆さんは盛り上がってくださいますが、最近のそういった報道のあとの国民の反応といいますと、2、3ヶ月で落ち込んでいくというのが通常ですので、報道によって当然上がった部分というのが、興味あるいは意識が上がった部分ではあると思います。
 それをどうやって文化として国民の中で根づかせるための広報というところと、ある程度分けて考えなければいけない部分があるのかなという感じがしたのです。石川委員の内容を私が完璧に理解しているかどうかは疑わしいですが、私個人からも、その辺のセグメント化というターゲットとして、臓器提供を学術に医療従事者が理解し、あるいはその現場に来たときの決断の方法なり、何なりを知らしめる部分と、もう少し広い意味で、ご家族の意思を家族が知ってもらうための広報活動とか、そういう意味でのセグメント化というのは、非常に重要かと思ったのです。対象が変わるというのは理解ができなかったものですから、そういう意味で、どういう対象なのかということをもう一言ご発言をいただきたいと思います。
○石川班員 例えば、性別、年代、職業で対象分けするのではなく、基本的には、考え方としてほとんど関心がない方がいらっしゃるかもしれません。関心はあるのだけれども、何を情報として得て理解したらいいかがわからない方もいらっしゃるかもしれません。あるいは情報に接しているのだけれども、自分なりの判断が極めて難しいと感じている方もいらっしゃるかもしれません。あるいはもっと事実を知りたいという方もいらっしゃるかもしれない。脳死についてよく考えたいという方もいらっしゃるかもしれない。この分類は大体成人してからということになってしまいますが、お子さんはその辺の情報収集とかは難しいでしょうから。しかし、関心のあり方で、きちんと考えるべきだと思います。
 1つは、報道機関に対して情報提供がまず少ないという感じを私は持っています。実情をよく伝えていない記事が多い。しかし、関心喚起というのは報道によっていちばん強くされるのだろうと思います。例えば、先ほど説明を受けた広報のやり方というのは、いわば受け皿です。例えば、政府広報というのは、積極的に政府広報の番組を見る方はこの中でいらっしゃいますか。たぶんいないと思うのです。同じ時間帯に政府広報の番組があっても、違う番組を見ますよ。政府広報というのは、それくらい視聴率は低いのです。これは内閣府もわかっているでしょう。残念ながら人気がない。ですから、政府広報を作ったからといって、広報が進むとはとても考えられない。ただ、政府広報というのは、再利用ができます。ホームページ上に動画とかを載せておけますから、関心を持った方が必要なときに見ることができる。そのような形の資料として位置づけるのであれば非常に重要です。しかし、ここにあるのはすべてそのような意味での受け皿であって、積極的に誰かに関心を持たせていくものではありません。もちろん、新聞や雑誌とか、そういう媒体にはそういった要素もいくらかはあると思います。しかし、そのほかはあまり関心喚起の効果を期待できないと思います。
 関心喚起の効果をいちばん期待できるのは、報道機関による報道だと思います。これがいちばん関心を強く持ってもらう近道です。つまり、報道機関に対して、どういう情報提供をしているのだろうということは、よく考えなければいけないということが1つあります。
 受け皿としてこういう準備をしておくのはいいでしょう。ただ、実際問題として、今回何人か周りの人に聞いてみましたが、8割以上がよくわからない、まだ情報が足りないと言っています。今回も、家族が承諾をしたということについて、どうですかと訊いてみましたが、何がどうなっているのか、よくわからないと言っていましたね。
 情報公開に関しては、個人のプライバシーの問題がありますから、全面的にオープンにすることはもちろんできないわけです。ただ、時系列を踏まえ、事実がこういうふうに進んで、こういうふうな承諾が得られますというような形で、模擬的にプロセスを見せることはできると思うのです。そういう情報がホームページ上にはないし、資料にもいまのところないです。家族が承諾するプロセスについては、誰もが自分である程度イメージがつくような情報を出すべきではないか。
○大久保班員 このところ出てきている報道、この頃はだいぶ少なくなってしまいましたが、ここ4・5ヶ月くらい前のもので何回か続いた報道というのは、報道で家族の声が出ていましたよね。要するに、社会の役に立ってほしいというコメント。臓器がどこかで生きていて、それがとても心の安らぎになるというようなコメントがいくつか出てきました。
 私はこの1ヶ月ぐらいの間に2・3ヶ所で講演をしたのですが、そのときの皆さんの反応の中に、それがいちばんすごく感銘を受けたと。ですから、家族の声というのが、すごく大きいのです。最初は1回だけ少し出てきましたが、ああいうのがもう少し出てくると、臓器移植、臓器提供という、細かいところまで知りたいという人もいるかもしれないけれども、普通に新聞を読んでいて、少し記事の中に家族のコメントが入ってくると、やはり訴える力が強いなというのは思ったのです。
 それをどう報道の方たちに流していくかがすごく大事です。できればもう少しネットワークのホームページ上でもいいですが、こういった形が多かったとか、全体として10例とか20例進んだところで、家族のこういう声が多かったとか、そういうのもまた意図的に流していくこともすごくいいなと。石川さんがおっしゃる報道というのは、そのときバーッとではなくて、特集を組んだりもしますから、そのための資料としてこういうのをきちんと報道関係に流していくというのはすごく大事です。それが新聞を見た人、記事を見た人に訴えるのではないかと私は感じたのです。
○岩田班員 心停止下と脳死下の総数がそれほど変わっていないという話がありましたが、法改正後、実際に私たちコーディネーターが提供を考えられるご家族に面談して、いろいろお話をするのですが、ほとんど法改正の内容についてまずご存じないと。そういうことができるようになったということで、脳死下ができるのですねということで、初めてそのときに考え出す家族が多いのが実情だと思うのです。
 というのは、いままでカードがあったけれども、それはカードがなくてもできるようになったという広報が、結構ポイントにずっと書いているのですが、おそらく、それも大事ですが、それだといままでの新しい広がりというのは、なかなか伝わりにくいのかなと思うのです。結局、家族の中で考えるときに、いちばんネックになっているのが脳死に対してのいかに正しい理解の下の判断かとか、わりと話していると、結構痛みを感じるのではないかとか、いろいろな誤解があって、そこが躊躇になったりするケースが多いとは感じているところなので、さらに加えて、間違った情報が非常に溢れているような気がするので、正しい情報発信というのも1つ大事なのかなと思いました。
○篠崎班長 一般の方が理解するのに、報道の数というのは大事だと思うのですが、それは逆に言えば、我々がコントロールできるものではございません。ただそういったものを、1つは積極的にあるプログラムを組んでいただくような努力は大事な広報活動の1つですので、ネットワークのほうにも、あるいはコーディネーター、それこそ医療界、救急のほうからでも、こういったものがいま大事だと、我々が動いているというような情報をしっかり伝えていく。その内容がぶれない、国民の目に違ういろいろな角度であまり入ると混乱を来たすだけですので、しっかりと正しいものが入るようにしていくことは大事だと思います。その辺の企画力という面でのセグメント化はすごく大事だと思います。一般のメディアに対しての報道が出るか、出ないかというのは非常に重要なことだと思いますが、国の施策の中でやっていくというのは非常に難しいので、それはどういった材料を提供できる状態にしておくのかということはすごく大事だと思います。
 1つは、だんだん整いつつあるという、私は十数年もここにいるので、逆に一般の方で遅いという方がいれば叱責していただきたいのですが。私からすると、ついに法改正を迎えて、ネットワークも徐々にマテリアルが揃いつつあるのかなという印象を持っています。
 やはり、もう少し踏み入ったところにまでいっていただけるといいかなと。例えば、私はアメリカでドネットライフという財団と一緒に活動していたのですが、そこではメディアの方が使えるような30秒、60秒と、心臓移植を受けた方、肝移植を受けた方、あるいは提供した方のご家族の声を、英語とスペイン語の両方でダウンロードができるように準備しています。これは許可制と言っても、許可ほどではないのですが、誰が使うか登録してくれればいいのですが、そういった形でダウンロードできるようにしてあります。あるいはラジオ用で15秒、30秒のCM用というか、いわゆる広報的なものですが、地方局で時間が空いたりしたときにお使いいただけるとか、そういったものもやっています。
 徐々にそういったものを増やすとか、あるいは教育の現場で使えるようなマテリアルでいくつかございました。例えば、テキストにしても、これは印刷するとお金もかかるのだろうと思いますが、現場ではさほど印刷が必要ない。教員として言わせていただくと、パワーポイントがあればある程度できて、必要なものは印刷して1枚配ればみたいなところはあると思うのですが。そういった形でのセグメント化みたいなところで、教育というのはすごく大事だと思います。特に脳死の問題というのは、積極的にみんなが出したからといって見てくださるかというとチャンスは低くて、もう少し教育的な、あるいは講演とか、積極的なところで訴えていかないと、ご理解をいただくのは厳しいという感じはしているのです。自ら興味を持って来てくれることは大事だと思いますが、そのパーセンテージよりは、長期的に見てしっかり教育的にしていかないと難しい気がするのでお尋ねしたいのです。そういったマテリアルの提供というのは、どの程度なされていますか。
○雁瀬班員 いままでも教師向けのパワーポイントのセットや、それを先生が説明するときのパンフレットと一緒にお配りしたりとか、ネットワークのホームページにも、例えば提供施設の方には、提供までの手続が画像になって見ていただくものも張ってあります。臓器移植の15分ぐらいのビデオをお貸しして、教室で見ていただくこともできるようにもしていました。あと、学生さんたちがこちらへの訪問を受けて、それぞれが研究課題やテーマに対して知りたいものをこちらで対応しながら個別に理解を深めていくというようなものとか、いろいろあるのです。
 確かにパワーポイントなどで、どなたでも教師になれるというか、たくさんの人に同じような知識をきちんと伝えていただくことは大切だと思うのです。それは改正法の内容に従って順次作ってはいきたいとは思っています。
 ここにも教師をされている班員の方がいらっしゃいますので、お子さんたちを含めた教育については、教育指導要領に入るような体系的なアプローチができる内容を整理していくことも大事かなと思っています。
○篠崎班長 そういったところで、ねらいから取り組みまで入ってしまいましたが、もう少し具体的なところで、皆さんからご議論を頂戴したい。こういうセグメント、あるいはこういうことを対象にやっていけばいいのではないかとか。あるいは医学界の中でも、特に提供側、あるいは移植側でも、こういうものが必要だから、そういったものの材料をある程度共有できるようにしておきたいとか。いままでのように、限られた医療機関での提供とか、限られた所での移植という段階ではだんだんなくなってきているのは事実だと思うのです。やはり、これは国民的社会医学になりつつあると。それをみんなが理解しなければいけないというのは事実だと思います。
 実施する所はたしかにプロフェッショナルかもしれませんが、それは技術的なところであって、国民にもう少し広く、医学界としても理解しなければいけないところがあります。それがどこかだけにしわ寄せがきたり、あるいはどこかだけにその情報が欠落していたりということを局力避けていく努力を、こういった会を通じてしていかなくてはいけない時期が来ているというので、大きく時代は変わっているのだと思うのです。
 その中でも、臓器移植普及推進月間というのは、今年が改正後初めての推進月間ですし、毎年来るものですから、ある程度企画をして練るという辺りで、厚生労働省も限られた媒体をフルに活用しているとは思うのですが、そういったことも含めて、関連している団体のイベント等もあります。あるいは皆さんがお気付きのほかのイベント、そういったところでもグリーンリボンのキャンペーンとかありますから、そういったものをうまくコンバインさせてやる。
 いま非常に良い例をいただいたような気がするのですが、グリーンリボンのクイズがあるというのがありましたが、私も昔アイバンクでもやったのですが、病院へ行って説明したあとに、看護師の方にインターネットで答えていただいて、たった十数問ですが、全問正解するとボールペンを差し上げると。そこに電話番号が書いてあるので二重の広報になるのですが、そんなキャンペーンを張ってやったことがあるのです。
 先ほどのピンを差し上げるとか、いろいろな方法があると思うのです。そういった方法論的なところでも、ある程度効果の見えるもの、あるいはボランティアとかませられるもの。逆に多少の資源は必要であっても意外とセグメント化されて、2つどちらか、提供の現場で必要なものを有効的に活用、運用できるような材料のものなのか。あるいはもう少し広く国民に文化、科学として理解していただくためのものをもう少し分けて、検討していく。いわゆる広報のプロフェッショナル化というのが、いろいろな所で必要なのかなという気がして、いまのお話を切り出したのです。ほかにこの件について何かありますか。
 いま議案としているのは推進月間、できれば11月以降は、この内容がちょっとさみしくなっていますので、折角10月でこれだけイベントで盛り上げて、11月以降全体に話が盛り上がらなくなることもありますので、検証も含めた意味で何かご意見をいただければと思います。
○相川班員 関東甲信越の行政と腎バンクの会議を、この間ネットワークでやったのです。行政も腎バンクも啓蒙・啓発、これはもうあっせんはないわけですから、啓蒙・啓発が中心の組織にもかかわらず、臓器移植法が変わったにもかかわらず、同じようなパターンで推進月間を乗り切ろうとしているのです。ただ、提供者の意思カードのパンフレットを配ったり、今までとそれほど啓蒙・啓発のパターンが変わらないのです。私は会議で非常に怒ったのですが、もう少し工夫をして考えなさいと。臓器移植法自身が変わったのに、同じような対応でこれは乗り切れるような問題ではないですから。
 もう1つ、2・3年前から言っているのは、小中学校の教育への介入をしてもらいたい。たしかに指導要綱にはないので、尊い命とか、生と死とか、命の大切さとか、そういう項目はあるのですが、臓器移植のカテゴリーはないのです。実際、都道府県でこれをやれよと言っているのに、やってくれないのです。非常に怒ると何を言うかというと、教育委員会が言った途端にそれを否定して全然やらせてくれないと。返事もないと。しかも文科省と厚労省で違うから、いくらこれを渡しても、そのまま横に置いて、そのままにしている。実際にそういうことが起こっているのです。
 小中学校の啓蒙・啓発は、世代によってすぐには効かないですが、必ずこれは何年かすると効いてくるものです。これはとても大事なので、啓蒙・啓発も考えていただきたいのです。いままでは全くそういうことは考えていなかった。ただ、県によっては、例えば栃木県とか茨城県は非常に素晴らしい教育の介入を行っているのです。ですから、県によってかなり対応が異なります。やっていない所はまるっきりやっていないのです。そのときのツールみたいなものを作っていただければ非常にありがたいと思います。
 もう1つは、脳死下の臓器提供については、法律が変わって2ヶ月になりますから、そろそろ元気になられた患者さんが退院する時期だと思うのです。そういう患者さんたちにも協力をしていただいて、実際、映像で元気になったお姿を、もちろんこれは許可を得なければいけないですが、そういうものを作っていただくことはとても大事だと思います。
○大久保班員 私は本当によくわからないので、石川さんにいろいろ教えていただきたいのです。我々患者団体がやっている普及啓発がここにも書いてありまして、うちでもやっているのがいくつかあるのですが、グリーンリボンのランニングフェスタ、スポーツ大会もそうだし、それ以外に、グリーンリボンプロジェクトについては厚労省の後援をいただいて、フォーラムと子どもたちの作品展の全国巡回をやっていて、札幌とすでに沖縄が終わって、11月に名古屋、新潟とやるのです。ですから、我々はほとんど一般です。一般の方に広く呼びかけて来ていただいたり、見に来ていただく。そのときに石川さんのおっしゃるように、もう少しターゲットを作るべきなのか、作り方がわからないのですが。こういう形でやっていいのかどうか、ずっとそれで続けてきているので、その辺のところでもっといいやり方があるとか、もっと考え方を絞ったほうがいいとか、是非、教えていただきたいと思います。私は全然わからないでやっているものですから。
○石川班員 それは端的に広報の技術論のご質問ですね。技術論で言うと、これは全部受け皿作りである。基本的には関心喚起にはなっていない。関心喚起をしてくれているのはマスメディアであろうと考えているわけです。その構造がなかなか変わらないと思うのです。したがって、関心喚起というのは、まだ絶対に必要だと思います。関心がなければ情報を得ようとはしてくれませんから。情報にアクセスしてくれた人がようやく理解をしてくれるので、外部理解というのは先の話なわけです。
 現在の広報は理解を促進するための材料をどんどん作っていますが、多くの方がそこまでには至らないのだろうと思います。関心喚起をするときに、これはマスメディアの方がどういうことだと記事にしてくれるか、さらに技術の話になって、ここでご披露するわけにはいきませんが。例えば、そういったものを映像化して、もっと広く見てもらえるような形にするとか、メディアの使い方を考えたらいいのではないかと思っているのです。
 もう1つ、テーマの絞り方として、いま現在一体何を皆さんは好奇心を持って見てくれるのだろう。そこですよね。現在はたぶん多くの人が、登録者数が増えたということからして、関心をある程度持っていると思います。私は自分の身近で聞いたのですが、ニュースを見ていない人は相変わらず全然知りませんでした。しかし、何人かは、改正法が施行されて、家族の同意でも移植が行われるということを知っていました。そういう人たちが一体いま何に疑問を持っているのだろうと思う。その疑問に応えるような企画の立て方が重要ではないかと思うのです。
○大久保班員 それはネットワークと厚労省のあれですよね。我々患者団体がやるというのと少し違いますものね。
○石川班員 どの立場でも同じ視点でできると思います。
○大久保班員 フォーラムというのはどういうのをやっているかというと、基本的に法律でどういうふうに変わって、どういうふうに時代は変わっていきますかというのを中心に、皆さんに聞いていただくという企画でやってはいるのです。いま言ったように、いまの時代をちょうど合わせた形のフォーラムをやろうということです。
 片方の関心喚起に関しては、とりあえず作品展に来てもらって、移植について少し興味を持ってもらう。これは全部そうなのですが、基本的には報道してもらう。要するに、報道に来てもらって、こういうのがありました。こういうのがありますよということをどう流していただくか、ということを一応やっています。そうでないと広くいかないのです。来なかった人は、こんなスポーツ大会があって、元気な移植者が走っているのだなというのが流れてくれればいいと思いますし、こんなに子どもたちが元気になった絵があるのだなと見ていただくと。それは1分とか2分だけれども、その数をどう増やすかということで我々はやっているわけです。
 その中でもう少しターゲットを絞ったほうがいいのか、なかなか私たちもわからないので、どういう方法があるのかなと。報道の誘致というか、それはすごく手を入れている。記者会見をやり、資料を配ってこういうのがありますということで、彼らが目をつけそうなところには配ってはいるのですけれども。その辺のところでもう少しどう絞り込むというのは、セグメントはどうなのかなと。我々のこういう活動というのは、そこまではなかなか難しいなといつも感じているのです。
○石川班員 端的にはすぐ答えられないですね。
○大久保班員 良いお話を伺ったので、いろいろ考える材料ができたかなとは思いますけれども。
○相川班員 一昨日も言ったのですが、大久保委員が言ったように、これを見ると、書面による意思表示なしとありしか書いてないのです。しかし、この裏には、家族の言葉というのは必ずあるのです。私の子どもが、ほかの方の病気を治して、その中で生きていてほしいとか、前に人に役に立つようなことをこの子はずっとやっていたのだから、いまもきっとその気持で役に立っているだろうとか、そういうコメントが入っているのです。ですから、そういうのを「あり・なし」でやると、全くそういうのが見えないで、これは新聞の報道もそうですが、そういうのがわかると、関心を呼ぶと思うのです。
 場合によっては、本人の意思表示がないのに、なぜそんな提供になってしまうのかというように思っている方も多いと思うのです。その辺はどうしてそういうことが一般的にWHOの標準になっているのか。人間として、困っている人や苦しい人を見たら、助けるのが人間の本性だというのが基本になっているみたいですが、そういうことをちゃんと言ってあげたり、そういうことのほうがとても大事だと思うのです。これでは「あり・なし」のことだけで、全く心に訴えられるような、ビクッとくるようなものはないと思うのです。
○有賀班員 これは作り手の思想がそうだからです。これを作った人はそういうようなことに関心がないから、こういう図になるのです。図表というのはそういうものです。作り手の心が図表になるわけですから。図表は、その図表を作るときに何を訴えたいのかがあって図表ができるわけです。これはそういうふうなことと一切関係のない考え方の人が作っているわけです。そういう意味では、ちゃんとした別の図表を作る必要があるのだという話ですよね。
○篠崎班長 これはこういった公の場に出る資料ですので、当然、厚生労働省が事務的に作っておられるのだと思いますが、そこに心が入ると、逆に問題だと思いますので、これでいいのだと思います。
 おっしゃるとおりで、例えば、出だしの報道を見ていても、もう少し何が起こったのか知りたいと。メディアの方が逆に書いておられる印象が強かった。現場にしてみれば、ご本人のご家族、あるいはいろいろ条件があって出せない内容というのがあると。その狭間で、我々は12年前も経験していると思います。権利云々の問題ではなく、もう少し思想の問題で、国民が知るべき内容というのはあると思うのです。それはプライバシーの問題ではなく、どういう状況が起こったのかということを、もう少し我々は国民目線に立った、先生がおっしゃったように、心ある言葉に変えられる技術。技術と言うと聞こえが悪いですが。それがテクニカルに現場でどう対応してくるかということだと思うのです。
 私も現場でずっと20年近くやっていまして、アイバンクのパンフレットを見ていただくとわかりますが、実名で出て、あるいはイベントも出て来てくださって、広報にも参加してくださる家族も、ドナーファミリーもいれば、患者さんもたくさんいらっしゃいます。それは出してはいけないという法律があれば別として、ご本人の承諾があれば、そろそろご退院の患者さんもいらして、そういったものを見ることによって印象は変わると思うのです。逆に、それで内容を知って、自分は提供をしたくないと思われる方もいらっしゃると思います。正しい情報を示すことはすごく大事なことです。それは事務的に出すべきものではなく、これは本当に社会医学ですから、みんなが悩みなくやっているとは思えませんので、いろいろな葛藤の中で生きておられる。特にご家族ではいかばかりかと思いますので、その辺が伝わるようなものです。逆に言うと、いわゆるコーディネーターさんの質の云々というところからスタートし、ネットワークの出し方ということになると思います。
 そういったことは、当然法律に準拠した上で、もう少し心が伝わるような、心温まるような方向に持っていくという辺りをどういうふうに我々が提供し、共有し、それを精査していくのかということが重要だと思うのです。ネットワークさんでは、いまのところかなり大変な状況だとは思うので、我々は外から見た印象ばかり申し上げて申し訳ないのですが、その辺の情報に関する内容の規制、あるいはやり方が概念としてはございますか。
○雁瀬班員 実際の事例ということですね。脳死事例では毎回情報公開をするのですが、まだご家族、ご本人が病院にいらっしゃる摘出手術の前なので、非常に苦労しております。いまは提供施設マニュアルで、公表時期と内容について定めてあり、個人情報の保護と透明性の確保ができるというところで行っています。
 情報公開の時期が少し違えば、状況も違うのかもしれないのですが、ご家族にコメントの内容を確かめるためにお会いできる時間も非常に限られているようなのです。私たちは本部にいますが、現場でこの時間に会見を設定して、この時間までにこういうコメントをいただけるかどうか、やり取りを何度もするのです。やはり、現場の状況と私たちが想像する状況とは懸け離れていて、ご家族のコメントが非常に多くの人たちに伝わり、次の提供に繋がったような気がしています。なかなか提供する時期には多くのことは語れないし、伝えられない部分もあるのですが、時間をおいたときに、語り始めてよいご家族に関しては、今日お配りしたような手記などで、そのときのことを詳細に思い出していただいて、お顔やお名前を出す。事例を確定させない形で出していく。そういうことを多くの人に知っていただくものとして、時間をおいて許される状況でお伝えをしております。
○有賀班員 いまのように、オール・オア・ナッシングのようなA型人間を地でいくような、そういうような議論はいまのテーマにはそぐわないと思うのです。臓器移植ネットワークでやる仲介をしたことに関する自己検証がありますね。
○雁瀬班員 中央評価委員会ですね。
○有賀班員 あの評価委員会で出てくるのは、出てきた書類そのものは極めて個別性が高い。いまの言葉で言えば個人的な情報が満載の書類です。昔の話ですから、コーディネーターはドナーカードを持っていたご家族と会って、ご家族もそれを前向きに評価して、承諾をして臓器提供をしたということになりますので、ご家族の気持が、やはりそこにはいつも2・3行出てきていますよね。こういう訳でお父さんのドナーカードをそのまま成就させたと。こういうふうな話が出てくる。ですから、その部分だけでもいいので、いくつか集めてきて、順番はシャッフルしてしまえばいいわけです。「こういうようなことで使いますよ」というようなことの承諾さえ得られれば、いまの話は20例とか30例とか、私はよくわかりませんが、どこかのポイントで言葉を使いますよ、というようなことでOKさえしていただければ、私はいまの話はいけると思います。
 セグメンテーションの話が出ましたが、小野先生とか有賀みたいな人たちにとっては、そのことに至るその前段のことが実は知りたいわけです。その部分は極めて個別性が高い。個別性が高いが故に、私たちは医療者としてのパフォーマンスのためにそのことを是非知りたいということになります。これは厚生労働省経由でもいいですし、臓器移植ネットワーク経由でもいいですから、こういうふうな一般社団法人の委員会で、「こういうふうな形で現場での仕事ぶりに活かせたい」ということがあるので、是非協力してほしいということで、匿名のご施設にアクセスしていただきたい。場合によっては面談を、一気に答を出さなくてもいいわけですから、ある日ある時でいいのです。北海道へ行ってもいいですし、九州へ行ってもいいわけですから、そこへ行って少しお話を聞かせていただければ、この手の話はいける。
 ここは臓器移植に関する普及啓発に関する作業班で、普及啓発と言っても、前段の医療者と言ったときには、もう少し広い医療者ですから、こういうふうなピンポイントで働くような人たちの普及啓発かどうかわかりませんが。
○篠崎班長 それも重要だと思います。そこはコアとしていちばん重要だと思います。
○有賀班員 そういうような意味で、おそらく情報そのものは丁寧にきちんと扱えば、私は十分使えるのではないかと思います。こういうような表を作るのは、また別の話だと思います。
○小野班員 いま皆さんのお話を聞いて思ったことがあります。実は、私の病院に臓器提供を希望する家族がいます。その家族から先日聞いた話ですが、自分の父親、家族が臓器移植ネットワークに臓器をあげたいということのアクセスをしたかどうかを知りたいのだそうです。
 その理由は、家族は臓器提供がいいと思っているのだけれども、本人がより意思が強ければ、私たちはそれを押すことができるのだそうです。本人の意思確認というのは承諾を得ないと、ネットワークにもたぶん確認はできない事項だと思います。それは事前に本人の意思を知ってしまうと、こちら側から誘導してしまうことになります。お父さんはカードを持っていましたよとか、アクセスしましたよとか。
○有賀班員 ご家族が確認することはできるのですか。
○小野班員 できません。本人のIDとパスワードが実際には存在しているのです。
○有賀班員 そのなりすましをしないと無理なんだ。
○小野班員 何が言いたいのかというと、広報のねらいの取り組みの内容について、ちょうど法改正が行われる前後で、医療機関の方々に、是非、今回の法改正についてどんなことが起こるかということを教えてもらいたいとか、共有してほしいとお願いをしたのですが、実際にいま現場で起きていることは、私個人の感覚かもしれませんが、ほとんどが臓器提供のことは広報で見ているのだけれど、先ほど石川委員がおっしゃったように、全然わかっていない。わかっているけれども、わかっていない部分もある。たぶん臓器提供をしたいなと家族は思っている。それをどこに求めたらいいのかというと、こういう受け皿もそうですが、実際、どうなのかということは医療現場で主治医や、コーディネーターに聞くことが多いと私は感じているのです。
 そういった意味からすると、先ほど石川さんがおっしゃったセグメンテーションの問題ですが、有賀先生のおっしゃった内容も含めますと、いま何十例か行われた臓器提供の症例について、現場で起こったことを少しずつ医療関係者に教えていただいて、今後、少ない数ですが、臓器提供施設のために役立たせていただきたいと思っています。一般の方は随分臓器提供については何となく頭にインプットされているようですが、法が変わったあと、やはりまだビクビクしているのは提供側ではないかなと私自身は思っております。そういう意味では、提供側の先生方、医療機関への普及啓発がまだ足りないかなと個人的には思いました。
○篠崎班長 逆に、心情的なところというのが、先ほどのメディアの話にもつながる話で、出せるものを出すという姿勢がないと、共感も得られないでしょう。逆に、メディアの方が100例目、200例目、500例目になって、同じような内容で出て報道してくださるか、我々はチャンスを逸することにもなりますので、折角伝わる環境があるときに、積極的に伝えていく姿勢ですよね。これは国民が共有すべきものというのはあると思うのです。それは医学情報であるのか、あるいは心情的なところであったり、何が実際に起こっているのか。そういうものを少し出す努力は必要なのかなという感じは受け取れます。
 たしかに現場のコーディネーター側にしてみれば、プライバシー問題と1例1例、これだけのリソースの中でやっておられるわけなので、非常に厳しい状況であるというのは熟知した上で、あえてこれは言わせていただきたいと思います。
○大久保班員 私も報道全体を見ていて、提供施設の話というのは全然出てこないですよね。もちろん家族のコメントは出てくるけれども、提供施設で会見を開いたのは2つぐらいしかないです。おそらく提供施設側の先生にとっては、そこで何が起こっているのか、皆さんはおそらく知りたいと思うのです。それがその場で出せなくても、全体としてもう十何例だから、10例とか20例になったときに、現場としてはこういう形でやって、こういう手順を踏んでやっているのがほとんどですよ、こういうのがありましたよということを、別に施設の名前を特定しなくてもいいから、それを出すことはすごく大事だと思うのです。いま不安に思っているというのは、そこだと思うのです。全然情報がないから。それはネットワークも、厚労省もやるべきだと私は思います。
○篠崎班長 特に救急の先生方ですよね。そこにアカデミックとしてできれば、ネットワークとアカデミズムに対する広報ということで、医療従事者に広報、啓発を、プロフェッショナルエデュケーションとしての、セグメント化ではありませんが、ピンポイントでの早めの情報が必要だと。そうすることによって、不安も解消されますし、システムが改善していく。これは全く別の意味で、メディアとは関係なく、いわゆる外への広報とは関係ない部分ですが、そういった情報も素早く出るような努力を早急にしていただけることによって、医療現場の不安が防げる。多少なりとも解消できるのではないかというのが、有賀委員のご意見ではないかと思いますが、よろしいですか。
○有賀班員 資料1の月別登録者数というので、「やらない」というのが29%とか、全体で5%とかありましたよね。これそのものは個別的には、先ほどの小野先生の話によると、わからないというわけですね。そうすると、「私は嫌だ」と言っている人は、どうやってわかるわけですか。
○辺見室長 個別的には臓器提供の段階に至って、脳死とされうる状態に至って、コーディネーターが呼ばれて、ご家族に話をしましたと。その過程で承諾をいただくまでの間に、ご家族のご了承を得て、ネットワークの登録システムの中で確認をいたします。
 ただ、それは脳死とされうる状態となったあと、ご家族にご説明をしてご了承を得た後という状況です。小野先生がおっしゃられたのはその段階での話なのか、その前の話なのかよくわからないのですが、その前の話だとすると、おそらくまだご本人は脳死とされうる状態より前の段階なので、非常に慎重な検討が必要かなと思います。
○小野班員 いまおっしゃられたように、慎重な判断が必要ですが、有賀先生もご存じだと思いますが、いわゆる移植ネットワークのコーディネーターが来る前に、現場では、本当は脳死のことや臓器提供のことの話はしているのです。つまり、脳死とされ得る状態から脳死の判定をされたあとに、コーディネーターが病院に行って、いろいろな書面の承諾を取ってきますが、本来、国民が知りたいことは、どうなっていくのだということが知りたいのです。おわかりになりますでしょうか。主治医から「脳死に近い状態です」と言われた瞬間から、今回の症例もそうですが、「じゃあ、先生脳死なんですね」と、まず国民は思うのです。つまり、その次に来るのは、臓器提供の話をされるのではないか。もしくは考えなければいけないかと国民はすでに思っていると、私はいま感じているのです。
 つまり、いま室長がおっしゃられたように、そのあとの段階で家族のためのインフォメーションや、本人の意思がなかったか、あったかというインフォメーションは、ちょっと遅過ぎるという印象を私は持っているわけです。つまり、看取りの医療というか、終末期ですでに臓器提供の話は現場では進んでいるのです。でも、国民はそこで迷うのです。そういう話です。ですから、法律は守りますが、ガイドラインは守るべきだとは思いますが、それが現場の現状かなと思うわけです。
○篠崎班長 小野先生がいらっしゃる前に議論がありまして、登録制度の問題は全く同じだと思うのです。議論があったのは、臓器提供をしたくないという方のレジストリーは、かなりしっかりやらなければいけない。いまヨーロッパでも調査は進んでいます。
○小野班員 おっしゃるとおりです。いま有賀先生がおっしゃったように、本人がしたくないというところは、どこを見ればわかるわけですか。わからないのです。昔で言うと、臨床的脳死判定をした段階で、家族に「臓器提供をしますか」と言って、「します」。実際には、本人がもしカードを持っていて、3番に丸がしたあった場合、これは誰がどういうふうに整理整頓するのですか。そういうことが発生するのです。
○篠崎班長 それも含めて、今後はこれは検討しなければいけない。なぜかというと、意思確認をどういうふうにしていくのかというので、非常に進んでいる良い先行事例もたくさんあります。欧米でもあります。アメリカでも、リクワイアド・リクエスト・ローで、すべての死亡症例に対して、聞かなければいけないと言っている州でも、30%台が普通です。ということは全部できていないと。
 ちゃんと進んでいる州になりますと、教育もセットで、広報もセットになっているので90%以上到達していると。ワシントン州などはそうです。そういった所の事例を踏まえた上で、法律もガイドラインもありますので、今後変えられるところは変える方向でいくのですが、やはり、慎重に進めていくというスタンスがすごく大事だろうと考えるのです。
 この議論を止めることなく進める。ただし、何か問題がある。あるいは国民の理解がもっと得られやすい、考えやすい。見たい資料が見られる。アクセサビリティーの問題も同時にやらなければいけないというのが難しいところです。さじ加減、予算、規制、いろいろありますので、その辺を踏まえた上で議論を進めていくというのが、この班の大事なスタンスであろうと考えます。
○有賀班員 これは折角、小野先生のご発言と先ほど披露した臨床救急医学会の取り組みに関する確認ですが、辺見室長が言われた、医学的に脳死であることがご家族に理解されて、いよいよ臓器提供がテーマになったと。そのときにコーディネーターをもし呼んだとすれば、その段階で当のご本人の「ノー」ということを含めた登録の内容は確認できる、でいいのですよね。
○辺見室長 はい。
○有賀班員 そのことを踏まえた上で、現場でのいわば作法をどういうふうに構築していくか、ということを議論していけばいいのではないかという感じですね。
○篠崎班長 できればネットワークとしても、そこに提供できる医学的情報も医学会ですので、できればそのパスもうまく通しながらいくことにより、その中で出てくる内容によって改善も対策もできるのではないかと思います。本日も活発なご議論をいただきましてありがとうございました。今日出ましたご意見を、事務局のほうで取りまとめていただきまして、また効果的な普及啓発が充実いたしますように努力していきますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。本日の議論はここまでとさせていただきます。事務局から事務連絡をお願いします。
○秋本補佐 本日は活発なご議論をいただきまして、どうもありがとうございました。いただきましたご意見を踏まえまして、今後の臓器移植に係る普及啓発に取り組んでいきたいと考えております。その際には、具体的な内容等につきまして、先生方にもご相談するようなこともあろうかと思いますので、そのときにはよろしくお願いしたいと思います。
 次回の日程につきましては、各委員の日程を調整させていただきまして、文書でご連絡を差し上げますので、先生方におかれましては日程の確保をよろしくお願いしたいと思います。
○篠崎班長 それでは以上をもちまして、終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室

代表 : 03(5253)1111

内線 : 2361 ・ 2365

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