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2010年8月6日 第4回 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防・早期発見に関する検討会 議事録

健康局総務課生活習慣病対策室

○日時

平成22年8月6日
13:00~15:00


○場所

厚生労働省6階 共用第8会議室


○議事

○岡山補佐 定刻となりましたので、ただいまから第4回「慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防・早期発見に関する検討会」を開催させていただきます。
 委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきまして御礼申し上げます。
 本日は、桂委員、見城委員から御欠席の御連絡をいただいております。また、中尾委員は少し遅れて御出席されるということでございます。
 また、事務局の方に7月30日付で人事異動がありましたので、御報告申し上げます。
 健康局長でありました上田が7月29日付で退官いたしまして、後任に外山局長が着任いたしました。本日は8月6日ということで、広島の平和記念式典の方に出席しておりまして、欠席ということになります。誠に申しわけございません。
 また、当室の室長、木村も緊急の用務が入りまして不在にしておりますが、木村室長は大臣官房参事官への異動となりました。ただし、後任の室長が8月9日付の発令となるため、その間は室長の職を併任して業務を行っております。
 また、たばこ対策専門官、森の後任に高城補佐が着任いたしました。
○高城補佐 森さんの後任で参りました高城亮と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○岡山補佐 それでは、以降の進行を工藤座長にお願いいたします。
○工藤座長 それでは、皆さんよろしくお願いいたします。
 本日の第4回の検討会でございますけれども、前回まで、第1回から第3回までの検討会の議論を踏まえまして、COPD、慢性閉塞性肺疾患の予防・早期発見に関する検討会の論点について整理して議論してまいりたいと思います。
 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
○中尾委員 済みません、遅くなりました。
○高城補佐 それでは、最初に資料の方の確認をさせていただきたいと思います。
 皆様のお手元にございます上から「議事次第」。 「座席表」。
 これのほかに、資料1といたしまして「第3回慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防・早期発見に関する検討会議事概要」というものが1枚。
 それから、資料2といたしまして「第1回から第3回の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防・早期発見に関する検討会の論点整理」、2枚のものが付いております。
 もし不足、落丁等ございましたら事務局の方までお申し出いただければと思いますけれども、大丈夫でございましょうか。
(「はい」と声あり)
○工藤座長 ありがとうございました。
 それでは、早速議論に入りたいと思います。
 まず、第3回、前回の検討会ですが、この議論の概要について事務局の方から御説明をお願いしたいと思います。
○高城補佐 それでは、皆様のお手元にございます資料1に沿って御説明させていただきます。前回、第3回のCOPDの検討会の議事概要ということでございます。
 大きく2点ございました。
 まず第1点目として、健診の場を活用した禁煙対策についてということで、5点ほど質疑がございました。
 第1点といたしまして、さまざまな健診の場で、喫煙している者に対して禁煙指導するのは比較的実施しやすいのではないか。
 また、喫煙状況を問診票で事前に話し合し、短時間のアドバイスを行い、禁煙治療に誘導していくことが健診の場面で実行可能性が高い。
 また、禁煙指導の効果により、禁煙率が高くなることが確かめられている。
 更に、禁煙の取組みを行うことにより、禁煙の治療費はかかるが、保健指導の削減、医療費の削減効果が期待できるため、将来的には保険者としては黒字になる。
 最後に、特定健診、特定保健指導においても、喫煙者については、本来目的としている体重減少、内臓脂肪減量の効果が出にくくなる。
 こうしたやりとりがございました。
 第2といたしまして、COPDの普及・啓発についてということで御議論いただきました。
 大きく2点ございます。
 1点目といたしましては、COPDという概念を広く普及させるためには、ポイントが5つある。第1にネーミング、第2に疾患の特徴に関する情報の整理、第3にターゲット、第4に広報全体のプランニング、第5に啓発における賛同者の獲得ということでございます。
 また、COPDは人事、他人事だが、肺年齢だと自分事になるので、たばこを吸っていようといまいと、自分の肺年齢は大体どのくらいなのか気になるので、広く訴える用語としてはいいのではないか。
 こうした議論がございました。以上でございます。
○工藤座長 ありがとうございました。前回の検討会での議論の概要を事務局の方から説明いただきましたけれども、何か確認しておくことはございますでしょうか。
○今村委員 一点だけ。前回欠席したので教えていただきたいのですけれども、論点1の健診の場を活用した禁煙の最後のポツの、特定健診、保健指導において、喫煙者については、本来目的としている体重減少、内臓脂肪減量の効果が出にくくなるとありますが、このことのエビデンスはありますか。
○工藤座長 これは中村委員の方からですね。
○中村委員 津下班という厚労省の研究班で、特定保健指導の対象になった方の減量成功の要因分析を昨年度したのですけれども、その結果として、喫煙している人はたばこを吸わない非喫煙者に比べて減量成功しにくいというデータが出ております。私どもの施設でも個別に検討していますけれども、同様の結果が出ています。
 理由については、幾つか考えられる理由はあるのですけれども、例えば喫煙者は健康意識が非喫煙者に比べて低いことが、減量に対しての取組みにも影響するのではないかということ。
 あとは、ニコチン依存症としての特徴で、同じ依存性のあるアルコールを飲む頻度や量が多くなり、それぞれの相互作用のために喫煙と飲酒がセットになってしまうこと、喫煙者では本人が自覚していないかもしれませんが、ニコチンの作用で軽い抑うつ傾向にあり、そのために運動習慣が少ないことなどが報告されています。喫煙による味覚障害も塩分の取り過ぎや野菜の不足などと関係があると考えられています。そういった喫煙に関連した生活習慣の乱れは、喫煙を続ける限り、なかなか改善しにくいことが、これまでの研究報告から考えられます。
○今村委員 ありがとうございました。そうすると、もともと喫煙者であって、なおかつメタボの人が減らないという意味合いですか。
○中村委員 はい。
○今村委員 ちょっとこの論点から外れて恐縮なのですけれども、是非教えていただきたいのは、我々のような呼吸器の専門家でない人間が例えば禁煙指導したときに、逆に体重が増えてくる人が結構いる。勿論最終的には禁煙が非常に大事だというのは当然なのですけれども、逆に禁煙によって脂質とか糖に一時的なのかもしれませんけれども、上昇が見られるというような、禁煙後のデータというのはないですか。
○中村委員 文科省の科研で、毎年健診を受けておられる方のデータを使って禁煙後の検査値の変化を調べてますと、1年目は確かに体重が平均2キロ弱ぐらい増えるのですけれども、それに伴って中性脂肪とかLDLコレステロール、血圧が少し上がったり、血糖も少し上がったりするのですけれども、その後、体重もそれ以上増えなくなりまして、検査値も3年目、4年目以降になりますと、血糖を除けばもともとの前値に戻ってきます。
 血糖とヘモグロビンA1cは加齢とともに上がる傾向がありまして、禁煙すると上昇率が一時的に上がるわけですけれども、その後は喫煙を継続している人とか、随分前に禁煙した人などと同じような上昇率に戻るということがわかっていまして、結果としては長期的な視点では特に大きな問題はないです。
 ただ、短期的に体重が増える方、特に5キロ以上増える方が一割弱の禁煙者でみられますが、一般に喫煙本数が多いヘビースモーカーでは体重増加しやすい傾向にあります。糖尿病などを有している方などでは、禁煙して体重が増えることをかなり心配されるので、禁煙後の体重コントロールが重要になります。基本は身体活動のレベルを上げること食事です。あとは、禁煙補助薬を使う方が体重増加の抑制効果がありますので、そういったことを念頭に置いて指導していくということが重要だと思います。
○工藤座長 よろしゅうございますか。
○今村委員 はい。
○工藤座長 それでは、第3回の検討会の議論の概要について、こういうことでよろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○工藤座長 どうもありがとうございました。
 続きまして、資料2について。これは第1回から第3回までの検討会での論点について整理して、一つひとつ議論してまいりたいと思います。
 まず、早期発見の手順についてということですが、これについては高城補佐、読み上げていただいた方がいいかもしれません。
○高城補佐 承知いたしました。それでは、皆様のお手元にございます、本日議論いただきます資料2について簡単に御説明させていただきたいと思います。
 今、座長の方から御説明がございましたように、これは第1回から第3回に皆様に議論いただいたものを事務局の方で整理いたしまして、座長と調整いたしまして、まとめさせていただいたものでございます。
 大きく分けて3点ございます。早期発見の手順について、2枚目の予防について、啓発についてでございます。
 まず、早期発見の手順について、読み上げさせていただきます。
 かかりつけ医や健診においてCOPDの疑いのある者を早期に発見し、専門医による精査の後、患者の様態レベルに応じた適切な治療を行うという一連の流れをつくることが現実的な方法であるが、その場合の手順はいかにあるべきかというものでございまして、論点4つと参考をつくっておりますので、順次、これについて議論いただければと思います。
 まず第1点目といたしましては、(1)COPDの疑いのある者の早期発見には、IPAGの問診票やハイ・チェッカーの利用か考えられるが、それぞれ単独の活用でよいのか、それとも組み合わせが必要であるのかというもので、例えばこちらにありますように、問診票の後、スパイロメーターを専門機関で受診していただく。また、ハイ・チェッカーを使い、スパイロメーター。または、問診をやり、更にハイ・チェッカーをし、スパイロメーターという形で進めていくのか、この辺りについて御意見をいただければと思います。
 2点目につきましては、問診票において、喫煙者であることが判明し、かつ問診票のスコアが少ない者については、その後の検査を行わず、禁煙支援を行うのみでもいいのではないか。
 3点目といたしまして、問診票やハイ・チェッカーを用いたスクリーニングは、何歳ぐらいから何歳ぐらいまでを対象に活用したらよいかという論点。
 また、健診機関と専門医療機関あるいは一般診療所との連携方策については、具体的にどのような形で行うのがよいのかということでございます。
 最後に参考でございますけれども、IPAGの問診票の内容について、どのような項目にすべきか。また、項目の中身、配点の度合いについてどのような修正を加えるべきか、別途検討が必要ではないかというものでございます。
○工藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、最初の早期発見の手順について、大変重要な4点が出ておりますので、順次検討してまいりたいと思います。
 最初のIPAGの問診票、それからハイ・チェッカー等による肺年齢のスクリーニングの2つがスクリーニングとして存在すると思いますが、3番目は問診票で拾って、更にハイ・チェッカー等で絞り込むという流れですが、この辺のあり方については相澤委員の方から最初に御見解をいただいて、その後御議論いただいた方がいいかと思いますので、是非お考えをお話いただきたいと思います。
○相澤委員 例が3つ書いてありますが、いずれも最終的に専門機関、スパイロメーターとなっておりますのは、これは当然のことでありまして、COPDという病気はスパイロメーターを最終的にやって診断するということです。そこに持っていくまでの過程でありますが、問診票でスクリーニングして、リスクの高い人をスパイロをやるのか、ハイ・チェッカーで肺年齢をチェックして、高い人をスパイロをやるのかということで、もう一つは組み合わせということです。
 ?@、?Aのどちらかで持っていくというのが一番現実的で、しかも妥当なやり方だと考えます。といいますのは、ある程度の制限付きながらも、IPAGの問診票は使えるのではないかということが日本でも大分検証されてまいりました。まだ若干の問題、見直し点があるとしても、日常の臨床、スクリーニングには非常に実用的で便利なツールであるということが実証されています。
 それから、ハイ・チェッカーは今後の普及の問題もありますけれども、少なくとも今までに少人数でやられた検討。例えばうちでは250人ぐらいの人を検討しているのですけれども、これで見ますと、例えば肺年齢が10歳高い人の場合、COPD疑いの患者さんをスクリーニングする感度が90%になる。
○工藤座長 90ですか。
○相澤委員 90。ということは、これも将来的にはもう一回、大規模なバリデーションをやる必要がありますけれども、使えるのではないかということ。そうすると、同じようなスクリーニングですから、問診票をやって、更にハイ・チェッカーという二重の手間をかけるよりも、問診票後、オア、ハイ・チェッカーをやって、専門施設でスパイロメーターがあるところを受診するというのが、非常に現実的で効率的なやり方ではないかと思います。
 一方、?Bに書いてある、問診票でハイ・チェッカー、スパイロメーターというのは、これはいろいろなケースが考えられますけれども、将来有用になってくる可能性としましては、この前もちょっと論議に出たのですけれども、患者さんに精密検査を受けなさい、受診しなさいと言っても、患者さんがそれに従ってくれない場合にハイ・チェッカーでもう一回だめ押しをする。問診票でもCOPDの疑いが高いけれども、実際の肺年齢もこれだけ高いのだという使い方が1つ考えられるのではないかと思います。
 スクリーニングとしましては、繰り返しますけれども、?@ないし?Aというのがベストなやり方ではないかと思います。
○工藤座長 ありがとうございました。今お話いただいたように、問診票に関しては、外国でも日本でもバリデーションはある程度完成度が高いということと、あとは無料というか、紙ですから、健診するときにはなにがしかのアンケート的な何かが必ずあるので、そういう中でわかるということがあります。参考のところにもありましたけれども、これを多少検討する部分は残っているにせよ、これをスクリーニングで使うということに関しては、恐らく御異存はないだろうと思いますが、そういうことでよろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○工藤座長 あと1つ、ハイ・チェッカーについては、まだ大規模なスタディーが十分やられていないということもありますが、肺年齢ということで、将来的には非常に有用なデバイスになってくるだろうと思いますが、問題はこの組み合わせの問題で、今村委員、どうですか。問診票をやって更に絞り込むというよりは、どちらかで異常が出たらやるという考えを相澤委員はお話いただいたと思いますけれども。
○今村委員 まず1点、問診票を活用すべきだというのは大いに賛成です。是非これは進めていただきたい。
 その問診票とハイ・チェッカーを同列のスクリーニングにというのは、御専門の先生から見た医学的な正確度という意味では多分同列なのだと思いますけれども、その対象者と一般の診療所で実施する側という視点に立つと、多少これは質が違っているように感じます。
 つまり、問診票であると、基本的には、実施そのものは書いていただくということで、どなたにでもできるということがありますけれども、このハイ・チェッカーをいざ実施するとなると、そこで対象者がある程度限られて、今あるいろいろな健診制度の中で行うのはなかなか難しいのではないかと思っています。方法論としては、別に私はこういう方法があっていいと思いますけれども、同列にどっちかというと、多少抵抗があります。
 もう一つの座長からのお問い合わせの3点目が診療所としてどうかというのは、もし私がこういうハイ・チェッカーのない状態で問診票だけで拾い上げた人を、例えば相澤先生のところに全部ご紹介したときに、受け入れる側のキャパシティーはどうなのか。対象者が相当多くなってくるのではないかということもあって、スパイロほどではないにしても、簡単なハイ・チェッカーを私が持って、それをチェックすることで、より疑いの高い人を狭めてお送りするという方法もあるのかなと感じていたものですから。
○工藤座長 ありがとうございました。
 受け入れが大丈夫かという問題は、4番目のところで健診と医療機関との連携の問題についてはまた御議論いただきたいのですが、考え方としては、今村先生も相澤先生と大体同意見のようですけれども、瀬戸山委員、いかがですか。
○瀬戸山委員 今、組み合わせの話が出たのですけれども、一番妥当なのは?@だと思います。これからたくさんの方を拾い上げていくという意味では。 いわゆるいろいろな健診がございますけれども、その場でこれを使うのだったら問診が一番だということで、それに後で出てくると思いますが、問診票の項目を少し改善する。
 例えば、私どものセンターでは肺がんとか、いろいろな健診をやっていますけれども問診票の中には身長、体重、年齢と喫煙もほとんど入っているわけです。あと、これにIPAGでCOPDのポイントの高いせきとか喘鳴とかを入れてもらうと、あらゆる健診に使えると思います。ですから、そういう意味でも、スパイロメーターもハイ・チェッカーにしましても、まだ余り普及しておりませんし、我々がもしやるとしたら、スパイロはなかなか受け入れがたいということで、問診票ももっと中身を精査して、そしていろいろな健診で使えるようにするということは大事ではないかと思います。
○工藤座長 ありがとうございました。問診票を先行させるべきであるというのは、大体皆さんそういう御意見のようですが、これに関して、ほかに御意見ございますか。
 どうぞ、中村委員。
○中村委員 私も問診票でまずスクリーニングするというのは賛成です。スパイロに精査を回す対象者の基準ですけれども、このことは一番ポイントになることだと思いますけれども、私の理解している範囲では、少なくとも本人が気付いていない重症のCOPDについては、最優先で把握して専門の医療機関に送るというのが最も重要と思います。
 あと、軽症、中等症の人をどうするかということで、質問票で肺機能の低下の度合いをある程度判別する能力があるのでしょうか。それがもし可能であるとしたら、質問票の判定で重症の方については要医療ということにして、軽症、中等症については、喫煙していたら禁煙の指導をする。たばこを吸っていない方で軽症、中等症の方については、問診票の結果を説明して終わるのかどうか。
 その辺り、実際私も特定健診等に関わっておるのですけれども、COPD健診の事業イメージといいますか、現場サイドとしてどういうやり方でやっていくのかというイメージを持ちたいのです。それに当たって、まず質問票が重症度をある程度判別できるようなものとして使えるのかどうかお伺いしたいと思います。
○工藤座長 これは相澤委員からお話いただいた方がいいかもしれないですが、IPAGの質問票自身はCOPDの早期発見ということですけれども、COPDの重症度判定の質問票というのはありますよね。
○相澤委員 重症の判定は、また別に最近できたものです。同じぐらいの簡便さで。
 それから、IPAG自体も、緩いけれども、重症ほど点数が高くなるという感度はあります。だけれども、実際にそれが現実の場で使えるかどうかぐらいの、統計学的に差があるというだけで、そこまでの感度はありません。むしろ座長が言われたような、最近別の質問票で、これはCOPDと診断されている人がどのぐらいの重症度に相当するか、どのぐらいの程度に現在相当するかという質問票は、別なものがあります。
○工藤座長 ということで、中村委員、よろしいですか。
○中村委員 スパイロをしていないので、問診票だけでは必ずしも軽症、中等症と、きれいに分けることはできないと思いますけれども、実際スクリーニングされる人の中には軽症、中等症が結構いると思います。
 そういう方に次、どうやっていくのかというところは、前々回もちょっと指摘させていただいたことなのですけれども、そもそも今回のこの検討会での議論は、それを受けて、例えば健診機関、ドックの施設であるとか、開業医の先生のところで、この検討会の報告書を受けて、どんな取組みがされていくのか、またどんな取組みをCOPDの早期発見のために、また予防のためにやってほしいのかというところが、まだ私は十分描けていなくて、自分なりにああでもない、こうでもないと考えをめぐらしつつ、今日の会議に出席させていただいた次第です。このことについては、後で私の私見もお話したいと思います。
○工藤座長 今の御議論は、後の方でもまた関連して出てくるので、少し先にお話を進めさせていただきたいと思います。大体共通している見解というか、考え方としては、まずはIPAGの質問票を先行させてやった方がいいのではないか。
 それから、ハイ・チェッカー等については、将来的に非常に有用なものになるかもしれないけれども、今のところまだデータが十分でない、あるいは準備体制の問題も含めて、その辺のところが意味がはっきりして、体制も整ってきたような状況では、またこれは導入の検討という可能性はあるけれども、今の段階では問診票を基本的に進めていくということで、委員の御意見をいただいたと思います。
 2番目の問題ですが、問診票で喫煙者であることが判明して、問診票のスコアが低い人は、もう検査をやらないで禁煙指導だけでとどめていいだろうという今の問題ですが、これについてはいかがですかね。やった方がいいという意見もあるし、まあ、いいのではないかということもあるかもしれないですが、これは相澤委員、どうですか。
○相澤委員 問診票でCOPDのリスクというのは低い。それで、かつ喫煙者の場合には、禁煙指導をするということになるのではないですか。逆に、問診票でCOPDの疑いが少ないからということで、喫煙を継続するわけにもいかないので。とにかく喫煙にチェックがある人には、全部禁煙指導をするということで、中村先生、健診の指導とか、そういうもので大体言っているわけでしょう。
○中村委員 問診票のスコアが低くても喫煙していれば全員に禁煙指導をするという考え方には賛成です。最近のイギリスのパークスらの論文で、スパイロをやらない場合に比べて、スパイロをやると禁煙率が高まることを報告しています。この研究での禁煙指導の仕方は、肺年齢が実年齢よりもかなり年をとっていたら、それは非常に問題だと。禁煙が重要だから禁煙しなさい。一方、スパイロで問題がない方については、たばこを吸っているのに、肺機能の異常がなくてよかったね、ラッキーだったね。今のうちに是非禁煙しましょうと、その結果に合わせて、言い方を変えて禁煙を働きかけているところが、いい成果が出た理由の1つだと思います。この場合でも、COPDの疑いでない方に対して、禁煙指導して予防することが大切です。
 1つ気になったのは、たばこを吸っていない方で問診のスコアが少ない方についてはどうするのか。勿論結果については伝える必要がありますけれども、それで一応終わりということで考えていいのでしょうか。
○工藤座長 さていかがでしょうか。
○今村委員 ちょっとわからないところがあるのですけれども、よろしいでしょうか。
○工藤座長 はい。
○今村委員 確認なのですけれども、先ほどの議論で問診票を使うというのは、COPDのスクリーニングに使うと。そこで異常があったらスパイロをするという仕組みの中で、問診票を入れているわけですね。
○工藤座長 そうです。
○今村委員 ということは、問診票で問題がなければ、基本的にはその先がないというのが前提にまずはなっていて、ただそのまま喫煙者を放置することはできないから禁煙指導もしますという整理でよろしいわけですね。
○工藤座長 そういう考え方だと思います。
○今村委員 であれば、自動的に2番目というのは、検査をしないで禁煙指導のみを行うということになってしまうのではないでしょうか。
○工藤座長 そのとおりなのですけれども、例えばそれが基準的な筋だけれども、余力があれば、ハイ・チェッカーみたいなものを将来かけて、それを動機付けに使うということはあり得るだろう。
○今村委員 それは手法として、御本人にそういうものを受けてみたいという気持ちが起こるように指導してあげるとか、それでやってみたらどうですかと勧誘すること自体、私は基本的に賛成で、是非多くの人にスパイロをやっていただきたいと思うのですけれども、制度として何かやる以上は、どこかできちんとした線引きが要るので、問診票を活用してのスクリーニングという時点では、この後はないという整理の方がわかりやすいかなと思います。
○工藤座長 瀬戸山委員、どうぞ。
○瀬戸山委員 これは、問診票の感度と特異度に関わってくる問題ですね、陽性になるカットオフ値は17点ですが、17点以下でもどの程度の精度か。感度、特異度で言いますと、100%はないわけですね。だから、これでスコアが低いといっても、中にはCOPDの可能性があるフォールスネガティブも出てくる。そういう意味でいくと、これは将来的にリスクファクターである喫煙を見逃す事になるので大変重要な問題点です。
 もう一つ、肺がんは日本で一番死亡率が多い疾患ですし、毎年6万から7万人亡くなっています。肺がん防止の意味でも、禁煙は大事だと思います。私どものセンターの検診で、肺がんは男性で700人ぐらい見つかって、その8割は喫煙者で、そのうちの8割はヘビースモーカーというデータがあります。禁煙というのは、COPDだけでなくて、国民の大事な健康課題である肺がん防止の点でも、やはり必要であって、IPAGのスコアが低くても禁煙支援をするということを是非やっていただきたいと思います。
○工藤座長 ということで、今のは基本的には問診票でスコアが少なければ、スクリーニングから外れるということですから、これは次のステップのスパイロメーターは要らない。しかし、それが喫煙者だった場合には、禁煙指導をやろうではないかということと。
 それから、もし余力みたいなものがあったら、スコアが少なくても、肺年齢が結構若くてよかったねという、いろいろな形で動機付けに使うということはできるけれども、基本の流れは、先ほど今村委員にまとめていただいたような考え方ということでよろしいかなと思いますが。よろしいですか。
(「はい」と呼ぶ者あり)
○工藤座長 後で、これもまた戻っていただいてもいいのですが、少し進めたいと思います。
 (3)問診票やハイ・チェッカーを用いたスクリーニングは、一体何歳からやるのか。そもそもCOPDの健診対象になるのですけれども、相澤委員。
○相澤委員 一般的に40歳以上というのが常識的だろうと思います。IPAGの質問票は40歳以上ですし、そのほかの多くの考え方も大体40歳代から発病し始めて、40、50、60と多くなっていくということですので、40歳以上ということでいいのではないかと思います。
○工藤座長 40歳以上ということでよろしいのではないかと思います。皆さんうなずいておられる。上限はどうしますか。日本呼吸器学会の式が95歳が上限だったのですけれども。
○相澤委員 あれはたまたま最高齢者が95歳ということで。
○工藤座長 まさか100歳を超えてスパイロをやる方はいないと思いますが。
○相澤委員 上限は特に決めなくても。
○工藤座長 特に決めないでもいいのではないかと思います。お達者な方はやればいいのではないか。
○相澤委員 患者さんというか、その人が85歳であれ、90歳であれ、とにかくせき、たんとか息切れという症状があるとか困っているという実感があれば、それは何歳であっても適用になるのではないかと思います。
○工藤座長 どうぞ、中村委員。
○中村委員 第2回目ですか、小倉先生のプレゼンのときに質問票が出たのですが、あれがIPAGですか。
○相澤委員 そうです。
○中村委員 そうであれば、年齢の因子も入っていますね。
○相澤委員 はい。
○中村委員 あのお話を聞いていると、高齢がゆえに多くの人が引っかかってしまうという問題があって。つまり、年齢とともに肺機能が下がるわけですから、年齢によって下がっていますということをもってCOPDと言ってしまう、もしそういう人たちが含まれるとすれば、それは疑陽性の問題だし、高齢者の人に新たな健康不安を生じさせてしまうので、その辺り、よく考えておかないといけないと思います。
 例えば質問票の中に年齢の因子がなくて、実際に自覚症状と喫煙状況、特にこの2つが重要な因子だと思うのですけれども、年齢は一番の予測因子ではあるけれども、どうしようもないものですから、年齢は外して、実際自覚症状を持って困っているような方について、質問票でCOPD疑いであればきちんとスパイロ等の検査のルートに、また場合によっては治療のルートに乗せていくのは、御本人も納得できることだと思うのでいいと思います。しかし、年齢が最初から加算されてしまうという、その質問票の仕組みはどうなのかなと心配なのですけれども、いかがでしょうか。
○瀬戸山委員 いいでしょうか。
○工藤座長 どうぞ。
○瀬戸山委員 IPAGの評価表を持ってきたのですけれども、例えば70歳以上は10ポイントです。BMIが24以下で5ポイント、これで15ポイントです。それにせきの2ポイントがあると、もう17点です。そういう意味では、年齢の比重が非常に大きい。それから、BMIが24以下では5ポイントですから、17点をカットオフにすると、結局これだけで非常に比重が大きいのです。パックイヤーの方は少しポイントが少なくて、50パックで7ポイントですから、COPDはたばこが9割原因だから、たばこを飲んでいる人のリスクを言うのだったら、もう少し中身のポイント配分を考えないといけないのではないか。
 私は、この前、判定表を見ているから、そう感じましたので、今後もしこれをスクリーニングに使うのだったらもう少し中身の精査が必要ではないかと思います。
○工藤座長 IPGAのデータそのものは、基礎となる資料は、万を超すデータが蓄積されています。これからデータをとっていくなら大変なのですけれども、もう既にありますので、項目の中身、それから配点の度合いを至急検討して、実際に一番妥当なものはこうだという結論を出していくということでいきたいと思いますが、そういうことでよろしいですか。これは参考のところに書いてございますけれども。
 今村委員、どうぞ。
○今村委員 対象年齢については、これは医学的な問題とか、今の問診票との関係があるので、私、何とも申し上げられないのですけれども、とにかく問診票をできるだけ既存の健診制度の中で、多くの人に活用して受けていただくためには、やはり今ある健診制度の中にどのように入れていくかということについて、どうしても避けて通れないわけで、この中で議論する話ではなくて、厚労省にお願いすることなのかもしれませんけれども。
 特定健診であれば、健康局が健診項目等を最初に考えられたわけですから、基本項目の中に何とか入れていただくことができるのでしょうけれども、いわゆるこれから後期高齢者医療保険制度も抜本的に見直すという話はあるにしても、後期高齢者医療保険制度の対象の方については特定健診をやらないということになっておりますし、それから事業主の方の健診となると、また労働安全衛生法の中での対応となり、結構大変な話になることもあるのですが、すべての国民がこういった問診票を受けられるという枠組みをきちんと厚労省には立てていただきたいと思っています。
 議論に対してどうでもないですけれども。
○工藤座長 重要な御意見をいただきました。そもそも年齢を何歳までに絞るかというところから、こういう議論に発展してきたのですけれども。
 それで、4番目の問題、一番重要なポイントですけれども、健診で発見したときにスクリーニングの絞り込み方について、ずっと今御議論いただいたことですが、ここで引っかかった人をスパイロメーターに持っていかなければならないわけですね。これが受け入れられる体制ということは、言ってみれば一般診療所あるいは専門医療機関との連携の方法をどういうふうにしていったらいいか。どういうところだと受け入れられるのか、これはまず今村委員の方から。
○今村委員 大変重要な課題で、今回は早期に発見した場合の連携という話ですが、ある程度進行した方についての医療連携ということも含めて、診療所や専門医との連携が非常に大事になるということです。
 また、全国的に見ると、先生たちを前にして言うのも何ですけれども、専門医の方の偏在ということもあるものですから、日本で均一に同じような連携ができるかどうかという問題も当然あって、地域ごとの実情というのは、実は私ども日本医師会も全部把握しているというわけではないので、都道府県や、あるいはそれぞれの郡や市の中で専門医がどれだけいて、こういうスクリーニングができる医師がどのぐらいいるのか。お互いの数がわかっていない。
 日ごろ患者さんの紹介や逆紹介などの連携がとれているところと、また余りないところというのは多分全国的にあるので、これはそれぞれの地域の中で連携体制を構築していただくしかないと思っています。そのために、日本医師会では、かかりつけ医である我々の医師会と、専門の先生たちである学会と、結核予防会のような団体、あるいはもっと多くの関係者の方が集まっていただいて、こういう連携であるとか診療レベルのアップのためにCOPD対策の推進協議会を立ち上げる準備を、今、しているところなので、そういった中で全国的にできるだけ均一に同じような連携体制がとれるような仕組みを構築していければと思っています。
○工藤座長 呼吸器内科を標榜している医療施設は、まず間違いなく大丈夫ですね。医師会でも。
○今村委員 勿論です。先ほど申し上げたような問診票を使ってスクリーニングとなると、普通の特定健診のようなものは物すごく多くの医療機関が実施しています。必ずしも内科だけとは限らないので、内科の中でも呼吸器を専門にしていない方、あるいは内科の専門でない方たちの、こういう問診から専門医の先生にどう連携するかというのは、きちんとした枠組みをつくってあげないと機能しないと思っていますので、現場での努力だけではどうしようもないところもあるので、さっき申し上げた全体の推進協議会のような枠組みも必要になってくると思っています。
 ちょっと先の話になって恐縮ですが、例えば4疾病では、医療計画の中で国がそういう疾病の連携を指示している。糖尿病とがんと心筋梗塞と脳梗塞では、いわゆる地域医療計画をつくりなさいということを上から言っているわけで、こういうCOPDについても、できればそういう地域医療計画の疾病の中に将来的には入れていただいて、そういう枠組みをつくるということを国全体として提言していただければ、現場も非常に動きやすいと感じています。
○工藤座長 今、今村委員の方から非常に重要な提言をしていただいたのですが、相澤委員、呼吸器学会の専門の立場からすると、どうでしょうか。
○相澤委員 学会の立場からすると、まずCOPDの場合はスパイロメーターができる施設ということですね。認定施設というものがありまして、認定施設だとまずどこでもできる。
 もう一つ、施設自体は認定になっていないのだけれども、個人として自分が専門医になっている先生方もほとんどできる。ただ、これが一般の人にはなかなか調べづらいというものがあります。したがって、今村先生が言われたようなシステムが構築できれば、そこにこちらから、どこの地区なら、どこに行けばこういう検査ができますよという情報を提供することと。
 もう一つは、これは私たち自身の問題とすれば、そういうものが個人でも見られるように、ホームページホームとかをもっと充実させていくということを今、計画中です。
○工藤座長 ありがとうございました。病院、開業医を問わず、呼吸器内科の標榜施設、あるいは病院としては呼吸器学会の認定施設は、専門の医療機関と見ていいと思いますけれども、問題はそこだけでは多分全部受け取れないだろう。そこのところを今村委員が先ほど、もう少し広い体制を準備しないといけないのではないか。それは地域ごとにつくって構築していく必要があるのではないか。これを上の方から、糖尿病や何かと同じように、4疾病5事業みたいな感じでやっていただいた方がいいのではないかという御意見だったと思います。
 瀬戸山委員、どうぞ。
○瀬戸山委員 実は糖尿病は、既に糖尿病学会と糖尿病協会と日本医師会で糖尿病対策推進会議をつくりまして、これにはそれぞれ地域の医師会も入っています。今おっしゃったように、呼吸器は非常に専門医が少ないのです。ですから、私ども糖尿病は、専門医でない方々をある程度のレベルまで上げるということで、治療に関する平準化の研修会をずっとやっているのです。4疾病5事業のモデル地域とも連携しまして、最近その効果がかなり上がっています。
 ですから、先ほどおっしゃったように、地域によって呼吸器の専門医が非常に少ないところは、糖尿病と同じように連携・推進会議みたいなものをつくってやると、先ほど日本医師会でも立ち上げたとおっしゃいましたけれども、是非つくっていただきたい。それは、国からの指示でなくても、結核予防会とか日本医師会とタイアップしてやれば、かなり効果的な連携ができるのではないかと思います。
○工藤座長 今、糖尿病のほうの体制はかなり整って進んでいると伺っていますけれども、それを一つのひな形にしながら呼吸器の方でもつくってゆく。今、今村委員がおっしゃったようなことだと思いますけれども、今村先生、何か補足されることは。
○今村委員 いえ、全くありません。糖尿病の担当として対策推進会議もかなり経験してきて、今、瀬戸山先生がおっしゃったように、見本レベルでつくっているものは、実際には枠組みをつくっただけで、本当は地域でそれぞれがいろいろなことをやっておられるというのが実態です。そういうことができるような枠組みをつくってあげることが、まず大事だと思っています。
○工藤座長 ありがとうございました。今、早期発見の手順ということで、4つの内容について御議論いただいたのですけれども、全体を通じて早期発見に関わることで、ほかに委員の方から御意見、コメント等ございますか。
 どうぞ、中村委員。
○中村委員 全体に関係したことなのですけれども、この検討会としての役割は、今後のCOPDの予防・早期発見についての政策提言的なことをとりまとめることだと理解しています。実際それを施策としてどうするかは厚労省がお考えになることなのでしょうけれども、検討会の中でも一定の意見交換ができればいいと思います。
 先ほど今村先生の方から、この検討会の検討した内容をいかに事業としてやっていくかということで、特定健診等の健診の場が出ているのですけれども、例えばの話、特定健診の事業にセットされて、問診票が加わって、特定健診の中にメタボ以外にCOPDの早期発見という目的も盛り込まれる。予算は特定健診の事業予算を使って実施する。例えばそのようなイメージで考えておけばいいのでしょうか。
 精査については保険診療の中で対応していくということで、この検討会の結果を政策や事業に移すときに、新たな予算を確保しなくてもできると考えていいのかどうか、今後のイメージをより具体的にする意味でもお伺いしたいと思います。
 もう一つは、健診という枠組み以外に、医師会の先生方が取組んでいくときに、いきなり専門医に紹介するというのもあるでしょうけれども、例えば中等症ぐらいの方で、必ずしも専門医に紹介しなくても投薬等の治療でやっていけるという対象者がいらっしゃった場合、それを全部専門医に紹介すると専門医はパンクすると思うので、医師会の先生方が対応していく。
 そういう場合についても、保険診療の中で対応できるので問題ないということなのでしょうか。このいう辺り、もう少しイメージを持ちたいなと思うのですけれども。
○工藤座長 特に特定健診の枠組みの中に、このCOPDを取り込むべきである、そういう方向がいいのではないかというのが中村委員のお考えと受けとめていいですか。
○中村委員 余り費用をかけずに、既存の仕組みをうまく生かしてやるとなったら、特定健診に組み込むというのはあると思います。ただ、全く保険診療として、つまり質問票でCOPD疑いという、質問票だけで病名が付けられて、保険診療の対象として治療ができるのかどうかというのは、私は専門ではないので、今村先生の御意見をお伺いした方がいいと思います。、 質問票でCOPD疑いとされた方について、COPDの早期発見に積極的に関わろうという先生だったら、スパイロの機械を使って、専門医に送る前に肺機能の検査をする。その結果、必要な方は専門医に紹介し、まだ紹介するほどの問題がない方については、その診療所や病院で管理していくといった場合に、質問票でCOPD疑いということになれば、それは保険病名として使えて検査ができると考えていいのでしょうか?それば問題ないということであれば、喫煙者にはあわせて禁煙指導をし、たばこをやめたい人には禁煙治療を行う。
 やめたい方であれば、今、受け皿としてはニコチン依存症管理料という外来での保険診療の受け皿があるので、それを活用していく。まだやめようと思っていない方については、それは診療報酬としてどう手当てするのか。COPDの検査の方については、保険診療として点数がとれるわけですけれども、まだやめようと思っていない方について禁煙の指導をすることについて、例えばニコチン依存症管理料の手前版として、「ニチコン依存症指導料」というものが新たに保険点数として創設されて、それを使って開業医の先生方に既に診ている患者さんも含めて質問票でスクリーニングしていただいて、たばこを吸っていたら指導していただくCOPD疑いであれば、その精査としてスパイロをやっていただく。これらの診療行為は保険診療の中でカバーされます。呼吸器内科の専門医に紹介すべき方は、先ほどから議論されている、そういう連携の中で紹介していく。
 例えばこのような内容が私の具体的なイメージになるのですけれども、それを全国的に推進するためには、制度的な後押しが必要になります。健診の方は幸い、特定健診の見直しがあるので、見直しの一貫として組み込んでいけば比較的スムーズに行けるかと思うのですけれども、もしより積極的にやるとなった場合には、さきほど申し上げたような、診療報酬の方においても後押しするようなことを考えていかなければいけないのではないかと思います。
○工藤座長 ありがとうございました。COPDの健診の部分を特定健診とどういうふうにリンクさせていくのかというのが、一つの問題点ですね。
 もう一つは、それと医療との関係。当然、保険医療制度との関係をどうするのかという問題。両方の問題が今出ておるのですけれども、これは大きなテーマです。そこを議論して最終的には、はっきりさせておかないと、システムとして成り立たないということがあると思いますが、今日は生活習慣病対策室長がおられませんので、本日は預からせていただくことでよろしいですか。この検討会の中で議論が出たことは非常に重要なことだと思いますの。
○瀬戸山委員 1ついいですか。
○工藤座長 どうぞ。
○瀬戸山委員 今、保険診療でニコチン指導料とおっしゃいましたね。
○中村委員 管理料です。
○瀬戸山委員 管理料は保険診療になっていますが、さっきおっしゃった指導料です。これは実は、私は今、社保の審査委員長をしているのですけれども、いわゆる特定疾患療養管理料がありますね。対象疾患は糖尿病、高血圧と高脂血症、慢性膵炎。これらの対象疾患の中にCOPDを入れていただく。結局、診療所で1回225点、月2回、点数を取れます。そういう意味でCOPDは非常に国民的な病気ですので、高血圧とか糖尿病とか高脂血症とか、そういうのと同じ扱いにしていただくと、保険診療でやりやすくなって一般診療でも非常に熱心に指導管理してくれると思います。
 これだけ頻度の高い疾患ですから、COPDを特定疾患療養管理料の算定対象疾患として取り上げて頂くように是非この場をかりて本省にお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○工藤座長 ありがとうございました。それでは、最初のテーマについてはこの辺でよろしゅうございますか。どうぞ、中尾委員。
○中尾委員 運動指導をしているインストラクターなので、医療者ではないのですが、でも、早期発見の問診票に関しては運動指導者もお役に立てる部分がいっぱいあるのではないかと思っています。実際に喫煙されている方が、自ら問診票IPAGをきちっとやりに出かけることは不可能に近いかなと思うからです。どこでも、その人の日常活動をしている中で問診票に触れていけるチャンスが非常に必要だと思います。
 たとえば、会社であろうが、会社の中のいろいろなスポーツサークルであっても、一般のスポーツクラブであっても、いろいろなところで、禁煙したいと思う人に対してと、喫煙をやめたいと思えるような動機付けができる指導者の指導に加えて、問診票があるのは強力だと思います。そういうことができれば、もっと自覚されて気付かれて、何かやってみたいなという行動につながるのではないかと考えます。
 指導している対象の人たちは、百人百様というか、千人千様というか、幾ら脅しても絶対やめないと言っていた人が、お孫さんができて、孫に口がくさいと一言言われただけで禁煙された方もいらっしゃるのです。その人にとって何が大事なのかほんとうに様々です。このように、ひざに座ってもらいたいために禁煙した方もいらっしゃるかと思えば、ちょっとずつアドバイスをしていくに従って、やめたいと気持ちが変わられる方もいらっしゃいます。
 そう考えたら、肺の生活習慣病で、自覚症状がないということなど、簡単な動機付けにもなり、興味を持ってもらいながらも、それプラス問診票が一緒になったものがあれば、このパンフレットを見てもすごく感動したのですが、もっとわかりやすく、もっと簡単にというのができれば、COPDの概念を広げるために、スポークスマンがいっぱい増えてくると思います。そういうことができないかなと考えています。
 そうすると、真剣にスパイロメーターを受けに行こうと思う人が出てくるかもしれないし、そこの連携だと思います。実際に専門機関があふれるのではないかという心配があると、先ほどおっしゃいましたが、実際喫煙をしている方を見ていて、そんなことはあり得るのかなと。その前の動機付けであったり、その前にスパイロメーターを受けに行きたいと思うようなムーブメントをつくるのにどうやればいいのだろうということをずっと考えました。
○工藤座長 ありがとうございました。今、大切な御意見をいただいたのですが、これは3番目の啓発のところでもう一回議論したいと思います。
 では、?T番はよろしゅうございますね。
(「はい」と声あり)
○工藤座長 ?U番の予防のところですが、健診等においてCOPDの疑いがある者をどのような方策で疾病予防、健康増進の方向に向けていくことがいいのかということで、具体的には健診の場でCOPDの疑いがある。その方について、その場で禁煙指導を行うことができるかどうか、こういう設問がありますが、これについては健診の場というか、健診を返す場があるわけですね。そこでやるということだと思いますが。
 中村委員、前回、1分間指導ということをお話になったと思います。御意見、いかがですか。
○中村委員 健診の実際の流れの中でしようと思ったら、結構大変なので、せいぜい1分、担当医師がするのか、それ以外のコメディカルの人が担当するのか、担当者を決めて、少なくとも禁煙が重要だということと、比較的楽に受けられる禁煙の方法があるということをきちんと説明することは重要だと思っています。
 健診の場はどうしても時間が限られているので、もう少し話を聞きたいという方や、健診とは別に、先ほどのお孫さんの話ではないですけれども、たばこの値上げとか、いろいろな理由で禁煙の気持ちが高まるものですから、そういう方の相談をクイットラインという無料の電話相談の窓口で対応するというサービスが、諸外国ではかなり整備されているのですけれども、日本にはありません。そういう整備も今後の重要な施策ではないかと思います。
 無料の電話相談については、過渡期的には、例えば私は実態をよく存じ上げていないので勝手なことを申しますけれども、今、肺年齢の啓発普及を推進しておられる事務局が一時的にパイロット的にやってみるとか。私が今、研究班でやろうとしているのは、がん相談支援センターの電話相談の機能を使って、パイロット的に電話相談をやってみて、どれぐらいの需要があって、どの程度の効果が上がるのかを調べようとしています。そういうクイットラインという無料の電話相談も、今後の新たな禁煙支援のリソースとして整備されれば、禁煙の推進に役に立つのではないかと思います。
 ただ、決め手は、保険による禁煙治療の受け皿です。全国に1万施設が登録されていますので、そこへ紹介する。COPDの健診に積極的に参加しようという医療機関におかれては、ニコチン依存症管理料の登録をしていただければ、そこで禁煙を勧めた場合に禁煙治療も同じ施設で実施できるので、たばこを吸っている方にとって非常に便利ではないかと思います。
○工藤座長 どうぞ、今村委員。
○今村委員 ちょっとこの意味がよくわからなかったのは、健診をします。COPDの疑いがあったら、基本的にはスパイロに回すというのが今回の仕組みですよね。
○工藤座長 そうです。
○今村委員 そうなったときに、スパイロはスパイロで専門機関がやってもらうのだけれども、禁煙指導は健診の場でやるという意味合いの設問という理解でよろしいのでしょうか。私の理解は、先ほどの?Tにあったように、問診をして健診をやっって、いわゆるCOPDの疑いはないけれども、喫煙しているから禁煙指導した方がいいですね。それについては、特定健診、保健指導のように、保健指導の中で位置付けて禁煙指導するということなのかという理解だったのです。だから、疑いがある人は専門機関にまずは紹介するというのが原則で、健診の場で保健指導するのはちょっと変かなと。
○工藤座長 この健診も問診レベルの話というわけではないですね。
○今村委員 ないです。
○工藤座長 スパイロ。
○今村委員 も含めたという意味で。そこまで入れた。
○工藤座長 含めた場合には、実は診断がついてしまうわけです。ですから、そこは医療になってしまう。だけれども、この健診でというのは、ここでは将来問診だけではなくて、例えば肺年齢のチェックをやったりするものも入ってきたきに、いずれにしても健診レベルで疑いがあったときに、たばこを吸っていれば、そこに禁煙指導を導入する。
 だけれども、実際にそれが時間的にいろいろな制約があって、これができるのかという点については、中村委員もおっしゃったように実際は難しいのでしょうね。でも、健診を返しますね。こうされた方がいいですよとなりますね。それから、圧倒的に郵送ではないかと思います。
○中村委員 健診当日しか多くの喫煙者に働きかけることはできないと思います。結果は郵送の場合も多いですから、禁煙指導の優先順位を上げて、例えばメタボだったら腹囲をはかるのが結構時間と手間がかかるのですけれども、制度として健診の中でやっていますから、たばこを吸っている人には必ず指導しましょう。余り長い指導はできませんから、先ほど申し上げたように最低限のこと。しかも口頭で言っていると時間がかかるから、リーフレットなども活用して、できるだけ短時間に効率的に実施する。
 それで禁煙に関心を持った人には、先ほど申し上げたように無料で相談できるような仕組みがあると、より便利だと思いますし、その場で禁煙治療が受けられると、一連の流れとして禁煙の方に持っていけます。
○工藤座長 今、健診とか人間ドッグで、スパイロはやったりやらなかったりするわけですが、仮に異常がなくても、喫煙をしておられるところに丸が付いていれば、「たばこを吸っておられるようですけれども、できるだけ早くやめましょう」ということは、返事の中に大体入っているものですか。
○中村委員 その調査はしたことないですけれども、私どもの施設は以前から入れていますけれども、必ずしも入れていない施設もあるのではないかと思います。施設によって差があります。
○工藤座長 そういう1行を入れることが指導といえば指導なわけですね。
 どうぞ、瀬戸山委員。
○瀬戸山委員 今の話は、施設での指導のことですね。集団検診では、指導する人間は限られています。集団健診は対象の数も何万人規模ですね。そこで果たして指導ができるか。つまり、集団検診では非常にたくさんの方を指導するわけですから。施設だったら施設のスタッフのマンパワーで十分できます。でも、集団健診の場では、問診票をとることだけで、精一杯で指導まではとてもできません。我々は、年間80万人ぐらいの方に検診を実施しています。そういう方を振り分けて指導をやるのですから、その場で禁煙指導できるのは限られてきます。
 ですから、指導も施設、集団、職場と分けて考えないと。職場健診は、皆さん仕事中に検診を実施するものですから、その場で指導をやるのは難しいですね。以前の労健法の時代には、健診の結果を説明する場がありました。今、高齢者の医療の確保に関する法律で指導も動機付け支援か積極支援かになりましたので、そういう機会はなくなったのです。だから、異常ない人には書類を返すだけで、全く指導できないですね。だから、検診のシステムも変わってきたということを少し念頭に置いておかないと、施設だけだったら確かにできるのですが。
○工藤座長 例えば人間ドックとか、返事を面接で返していくような場合は指導することができる。
○瀬戸山委員 マン・ツー・マンでできますね。ですから、指導のやり方に関してはその辺を分けて考えないと、ちょっと集団検診や職域検診では指導に関しては無理があると思います。
○工藤座長 多くの場合は郵送で返しますね。鹿児島の場合、たばこを吸っておられると1行入れておられる。
○瀬戸山委員 結果説明に、たばこを吸うとCOPDになるので、直ちに禁煙してくださいと。
○工藤座長 書いてある。
○瀬戸山委員 結果説明書に入れています。
○今村委員 そもそも特定健診でも、喫煙自体が健診後の指導のリスクファクターに入っていますね。だから、保健指導をするときには、そこの部分は必ず説明するし、禁煙指導すると。ただ、瀬戸山先生がおっしゃったように、従来は対面でずっとやっていたものが、対面でないケースがかなり増えている。自治体によっては対面でお渡しして、そのときに同時に動機付け支援してしまうやり方が一番効果的だということで、やっているところもあるのですけれども、それはまちまちなので、そこを是非国として、全体として直接渡してもできるような制度を広めていただくようにすれば、かなり違ってくるかなと思います。
○瀬戸山委員 それと、指導するマンパワーが足りないですね。例えば今、全国で5、700万人ぐらい対象がいて、メタボが1、900万といるのですが、その内保健指導に該当する人はかなりいるのですけれども、それを指導するマンパワーが、特に保健師も足りないし、看護師さんが保健師の資格を持っていても看護師として働いている。こういう方が直ちに特定保健指導をするのはなかなか難しいですね。ですから、今、鹿児島では保健指導の研修会を開催して資格を取らせてやっています。そういう意味で、マンパワーの問題があって確かに禁煙指導をしたいのですけれども、結局できない。
 それで、指導の問題で、昼間働いている人に対して、夜間とか休日とかに指導するようにしていますけれども、これも難しいですね。うちでもある町のモデル事業をやっていますけれども、指導を担当する保健師は夜7時から出かけていって10時ごろ帰ってきます。保健師の健康管理の問題がありますし、結局モデル的な事業しかできない。だから、COPDの方々は物すごくたくさんいますが、この方々をCOPDから守るのだったら、そういったマンパワーの確保、それと経済的な問題、動機付け支援にしましても、積極支援も指導料が非常に安いのです。だから、ちゃんと指導したらかえって赤字になる。
 そういう意味で、指導と一口に言ってもいろいろな問題がある。そういうことを是非念頭に置いてもらいたいと思います。
○工藤座長 ありがとうございました。
○竹川委員 すみません、いいですか。
○工藤座長 どうぞ、竹川委員。
○竹川委員 指導のことなのですけれども、健診の場では対面してというのはほとんどなくなっていると思うので、指導はできないのだけれども、2回目、小倉先生が来られたときに、問診でスパイロの方に持っていこうと思った方が、どこそこへ行きましょうと紹介してもなかなか行かれないということがあったではないですか。
 そこは、中尾先生が言われているように、COPDはどんな病気だとか、たばこは家族にどんな害があるかという認識が薄いので、口頭での指導ができないけれども、キーワードを入れて患者さんたちがよくわかるような、COPDはこんなに怖いのだとか、たばこの害はこんなにあるのだという、次の話になるかと思いますけれども、そういうパンフレットを入れるだけでも全然違ってくるかと思います。それも指導につながっていくのかなという気はします。
 なので、何もなく返していくのではなくて、瀬戸山先生のところのように何かコメントを入れる、プラスそういうわかりやすいパンフレットを入れていくのが大事かなと思います。
○工藤座長 ありがとうございました。
 どうぞ、中村委員。
○中村委員 私も竹川委員の御意見に賛成なのです。確かに特定保健指導の場というのは、禁煙の働きかけをするチャンスもあると思います。ただ、特定保健指導に回る方は特定健診受診者の一部でしかありません。COPDということでいえば、太っている喫煙者よりもやせている喫煙者を見逃してしまうというのが問題で、特定保健指導の対象にならなかった特定健診受診者で喫煙されている方にもいろいろ工夫して、できるだけ省力化するような形だけれども、禁煙を勧めるというのを全国的にやっていくことが意義があるのではないか。
 そういうことで、例えば成績票に入れるとかパンフレットを配るとかといった方法もありますが、できれば担当医師かコメディカルの人が、健診の流れのどこでもいいのですけれども声かけをすることの大切さを、私たちの施設の健診の中で禁煙していかれる人を見ていて、そう思います。一言でもいいから、直接声をかけていくことが重要と思います。
○工藤座長 ありがとうございました。
 それでは?V番目のテーマですが、啓発ということで、前回の第3回のときにも石川参考人もおいでになって、どういう啓発のあり方がいいかという、専門の立場からいろいろお話を伺ったところですけれども、ここにあるように、1つはCOPDというのは症状が気付きにくい。息切れがあっても、年のせいではないかとか、これはしようがないなという方が実はCOPDだという場合もある。それから、息切れ自身も感じない。しかし、もう既に呼吸機能は障害されているという方も、いわゆる無症状時代が結構長いですので、そういった病気の特性があるわけですけれども、そういうなかでどう啓発していったらいいのか。COPDという名前そのものが悪いのではないかという御意見も、この間出たと思います。
 それから、(2)に書いてありますけれども、啓発のターゲットを絞る場合に、対象をだれに絞るのか。広く国民なのか、それとも喫煙者だけなのかという問題があるので、この辺を一緒に議論したいと思いますけれども、相澤委員、どうぞ。
○相澤委員 この前、石川参考人の話を聞いて非常にこちらもこたえたのですけれども、COPDという名前がよくないということで。ただ、これは私自身も、それから大分考えたのですけれども、病気の名前であって、そうそう簡単には変えられないところがある。かといって、ほかの適切な病名もなかなかないということで、これはやむを得ない。消極的にやむを得ないと考えるだけではなくて、石川参考人の意見の中で、逆に力付けられるのは、肺年齢は非常にいいということだったのです。だから、その辺をうまく結び付ける。
 例えば、今ここで?Tと?Uと一緒に議論すると言われましたけれども、啓発のターゲットとして全国民というか、幅広く訴える場合には肺年齢ということを強調するような何かをやっていく。そして、石川参考人の話にもありましたけれども、それから興味を持ってくれた人にはCOPDということで啓発を進めるとか、そういう段階的に分かれた啓発方法が必要になってくるのではないでしょうか。その中で肺年齢というものをうまく活用できないかということ。
○工藤座長 これは喫煙をしている人、肺年齢の高い人は、COPDの危険性がありますよという形でCOPDが登場してくる。
○相澤委員 そうです。
○工藤座長 どうぞ。
○中尾委員 呼吸運動を指導していますので、常にそれは思うのですが、若い方でもすごく姿勢が悪かったり、パニック症になったりする方はとても呼吸が浅いのです。肺年齢というのが非常にいいなと考えるのは、お年寄りにとっても、生きるためには呼吸しないとだめですよね。だから、生きる基盤は呼吸だと呼吸の大事さを伝えられます。そうすると、肺年齢という言い方で全国民に、呼吸が楽になるということは、どんどんエネルギーをつくる能力が上がり、疲労物質も老廃物もどんどん除去できて元気になるという啓発が喜ばれると思うのです。
対象者によってCOPDを強調していく場合と、そうではなく、COPDという肺疾患がありますよと知識を広げる場合と、いろいろなパターンができると思います。肺年齢の広げ方を、COPDだけではなくて、呼吸の重要性とこれは運動でもあるということを合わせて出来れば、姿勢の改善にもつながってきますし、それが気持ちの改善にもつながってくるので、精神的にも変えていけます。
 肺年齢を広げるのは非常にいいと思っています。ですから、それを是非やっていただきたいけれども、COPDだけではなくて、対象者は幅広く、呼吸のことを訴えていき、肺が生きる上でいかに大事かということを伝える。
 そうすれば、受動喫煙にもすごく関心が高まると思います。
 もう一つは、COPDというネーミングに関しては、相澤先生が言われたように、私も名前を変えるのではなくて、COPDというものでしっかりと知識を広め啓発していった方がいいと考えています。
○工藤座長 ありがとうございました。広く国民にという点では、肺年齢、肺の健康、ラングヘルスという立場で訴えていけるのではないか。
 竹川委員は、第2回のときに吹かれて肺年齢は非常に若かったのですけれども、どんな感想ですか。
○竹川委員 10歳若かったです。
○工藤座長 やはりいろいろ鍛えている人、肺年齢の若さそのものを保つという意味もあるので、これは病気の人を早期発見するだけではなくて、肺の健康という面で非常に意味があるのだろうと思います。
 今村委員、どうぞ。
○今村委員 前回欠席したので、この議論でちょっとよくわからなかったのですけれども、COPDは病名ですから、これを変えるわけには当然いかない。ただ、私が医学部を卒業するときは、疾病の概念は多少違うかもしれないけれども、コールドと言っていましたね。医学のことだからどんどん変わっていくわけです。医療関係者がすべてCOPD。先ほど問診票は、内科医、呼吸器だけがやるのではなくて、幅広く医師がやるとなったときに、医療関係者の中でCOPDというものについての理解がどの程度されているかということが、そもそもあるので、そういった方たちに対する啓発というターゲットは、COPDは絶対外せないと思っています。
 一般国民の方に対しては、先ほどから御議論が出ているように肺年齢の方がずっとわかりやすいですし、恐らくCOPDと言っている限り、罹患した方はわかるかもしれないけれども、そうでない方の注意喚起にはなかなかならないと私は思います。今、DSで脳年齢とか何とか年齢というのが結構はやっていますので、国民の方からすると非常にわかりやすいと思います。だから、ターゲットを分けて使い分ければいいのではないか。
○工藤座長 ずっと何回も繰り返してゆくなかで、COPDというこの病気の名前についても啓発が進んでいくと、いつの間にか受け入れられているということもある。前回も話が出ましたように、AIDSだって、最初はAIDSと聞いても何のことかわからないですけれども、今さらこれを後天性免疫不全症候群と言う人はだれもいないですから。ただ、今日の検討会の資料にも、最初に「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」となっているので、これはむしろ逆さまにした方がいいのかなということも思うわけです。COPDでどんどんやっていく。
 あとは、だれかがとんでもない言葉を言い出して、それがあっという間に受け入れられるということはあり得る。例えば労作時呼吸困難という難しい医学用語がありますね。最近「呼吸苦」という言葉がよく使われます。多分看護師さん達が使い始めたのではないかと思いますけれども、私どもはこれは医学用語ではないからやめた方がいいと言ってきた。だけれども、これはものすごく今、受け入れられています。
 言葉というのは、受け入れられれば承認されたということになってくるので、その辺は我々がこういう言葉がいいということを提言するよりは、我々はCOPDということでやって、しかしどなたかが、この前も終わった後に言っておられた委員がいましたけれども、COP病でいいのではないか。そういう、どなたかが何か言い出すということは、それはあってもいいかもしれません。けれども、私どもはこの委員会ではCOPDという言葉で広げていこうということでよろしいかと思います。
 ほかに何か御意見ございますか。どうぞ、中村委員。
○中村委員 COPDについては、啓発するときの名前として、またどういう名前がいいのか。肺年齢以外に病気の内容を伝えるわかりやすい言葉ができればいいかなと思っています。
 参考までに、新型インフルエンザについて、高校生が短い言葉で表現するのは得意で、私が聞いた話によると豚フルとみんなは呼んでいたみたいです。豚インフルエンザでトンフル。非常に短くて、高校生の間ではそれで使われていた。
○工藤座長 フルというのは。
○中村委員 インフルエンザのフルです。高校生の訳です。
 それは余談ですけれども、前回のマッキャンの方のお話を聞いていて思ったのは、全国民を対象にするのは基本なのですけれども、やはりこういった啓発をするときにターゲットを設定した方がいい。喫煙者とか受動喫煙者とか自覚症状を持っているのは医学的にターゲットになる方なのですけれども、マッキャンの方がおっしゃっていたのは、スポーツをしている方は呼吸・循環に対して非常に敏感ですから、COPDという病気よりは、むしろ自分の持久力とか心肺機能をできるだけいいレベルに保ちたい。
 最近、マラソンブームで大会も全国的に開かれるようになって、ジョギングしている人も増えているみたいですから、そういったスポーツ愛好家、また愛好家を指導する指導者、また産業界、また学会もあるのでしょうけれども、そういった関係者や団体が一緒になって、COPDの啓発をしていくというのは、もともと動機が高まっているというか、そういうメッセージを非常に受け入れやすい方々なのでいいと思いますし、またそういう関係機関が連携することによって、一般の国民の方にも、そういうスポーツイベントの例えば報道等を通して啓発ができる。
 このような波及効果も期待できるので、やはりターゲットを絞って関係機関が一緒に協働していくような活動があってもいいかなと、前回のお話を聞いていて思いました。
○工藤座長 健康増進の立場で、スポーツとかそういうところと結び付けてやった方がいいということですね。
 どうぞ、遠山委員。
○遠山委員 学会でせっかく呼吸の日というのを制定されたわけですから、是非国民の日として推し進めるというのはいかがなのでしょうか。
○工藤座長 呼吸の日については、今年でもう3回やったのですかね。日本医師会、日本呼吸器学会、結核予防会の3団体が中心になってやってきたわけですけれども、これは国民の呼吸を考える日として、もう少し広く大切な日として認知していただいた方がいいのではないかという意見ですけれども、今村委員、どうですか。
○今村委員 主催者の一つの団体ですから、当然これをいかに国民の皆様に知っていただく活動をするかということはとても大事ですし。
 あとは、先ほども申し上げたように、我々の団体だけではなくて、行政も含めて、あるいはいろいろな関係団体の方たちがこの活動にどんどん参加していただく、またそれを取り上げていただくのも大事かと思います。
○工藤座長 相澤委員は、日本呼吸器学会、呼吸の日を最初に提唱した団体ですから。
○相澤委員 全く今村先生と一緒で、3団体の共催の基盤もできたところだし、これからはいろいろな関係各団体で広く長くやっていくべきだろうと思います。
○工藤座長 呼吸の日、5月9日を大切にしたいということですけれども、中尾委員、どうぞ。
○中尾委員 そういうきっかけに持っていくために、それまでみんなが盛り上がるようにしていかないとだめだと思います。私はいろいろなところで健康教室とかをやっていますが、終わってからいろいろな方が相談に来られます。腰痛とか肩こりとかの、特に慢性疾患の方が多いのですが、その中に最近はCOPDの悩み相談も入ってきて、御主人がCOPDと診断されてもどうしても煙草をやめないと。
 健康教室でいつも呼吸の大切さと呼吸運動の指導を行うので、主人を連れてきたらよかったと言われるのですが、その御主人はいい薬ができたので喜んでいますとか、そういうことばかりで、対症療法の方だけで終わっています。でも、よくお話を聞くと、家族の方にもCOPDの情報が非常に不足していて、いかに怖いかとか、なぜ喫煙をやめなければならないかということをわかっていない方が多いです。対象者をものすごく広げる必要があるということを、毎回いろいろな健康教室をやっていて思います。
 家族から、あなたが病気になるのはあなただけが辛いのではなく私たち家族にとっても非常に悲しいということをしっかり伝えられるような家族の支援も非常に大事だと思います。
前回、私も欠席してしまったのですが、資料を送っていただいて一生懸命読ませていただきました。非常に情報がクリアにまとまっています。こういうものをしっかりと広げていく必要がある。これらを広げられたときに、5月9日の呼吸の日というのはすごく盛り上がって、国民的なものになると思います。
 なぜかというと、余りにも何とかの日が増え過ぎていて、毎月26日はお風呂の日と銭湯が言っていたり。では、呼吸の日をどう気持ちを高めて国民的なものにしていくかということも考えたいなと思いました。
○工藤座長 何か、遠山委員。
○遠山委員 私ども毎年、ランウォークジャパンというものを呼吸の日に開催していまして、ウォーキングというのは、それこそ子どもから大人まで、お年寄りまで参加できるということで、啓発するのに非常にいいイベントではないかと思っていますし、それをきっかけに呼吸とか健康というものを考えるようになった人も結構増えていまして、ウォーキングイコール呼吸として、考える日としては非常にいいかなと思います。みんなが参加できるというのは一番いいかと思います。
○瀬戸山委員 よろしいですか。
○工藤座長 どうぞ。
○瀬戸山委員 ネーミングの問題に返るのですが、やはり医者と患者で病名を使い分けるのは反対です。このCOPDでちゃんとした医学用語ですから、患者さんや一般国民にもCOPDでやる。
 そのときに、このCOPDの最大原因はたばこですので、民主党がたばこ病と言っているのがこの新聞にも書いてあるのですが、一般の人にCOPDの原因の9割はたばこだということで。今、メタボリックシンドロームのことをメタボと言います。あれは内臓脂肪症候群ですから、一般にわかりやすく広報するには、COPD(たばこ病)ぐらいやると非常に皆さん関心が集まる。
 あるいは、肺の生活習慣病ですから、一般の方が非常になじみやすくて、非常にインパクトがあるのは、ずばりたばこが原因だからたばこ病という言い方の方がいい。ただ、病名としてCOPDというのは、一般に広報する場合にも変えてはいけないと思います。そこに括弧して、たばこが原因の病気とかいうぐらいですね。
○工藤座長 わかりやすいですよね。「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」と書くくらいなら「COPD(たばこ病)」の方がずっとわかりやすい。
 今、言葉の問題が出て、それから先ほど出たように健康増進に結び付けるとか。
 それから、呼吸の日で、今、遠山委員がおっしゃったように、ランウォークジャパン、まさにその日に歩こうということ。講演会みたいな、市民公開講座で難しいお話をされるよりは、呼吸の日、5月9日というのは緑のいい季節なのですね。ですから、そのときにみんなで歩くとか、いろいろな形態のものを結び付けて、国民全体の関心を高める日にイベントをやられていくのは大変いいことだろうと思います。
 どうぞ。
○遠山委員 やはり伝えていくというのが大事で、そういうものに参加して、その人たちが「COPDは(たばこ病)」なんだということを家族や友人に伝えていくことで広がっていくのではないかと思います。それにはわかりやすい表現が一番です。
○工藤座長 どうぞ。
○中村委員 先ほどのたばこ病に関連してですけれども、以前、国立がんセンターの疫学部長をされていた平山先生、お亡くなりましたけれども、たばこ病という名前は恐らく平山先生が付けられたのだと思います。そのときに臓器別に、例えば肺たばこ病とか脳たばこ病とか心臓たばこ病というシリーズで名付けておられました。肺たばこ病の場合、肺がんもあるわけですけれども、ほかにもたばこ病がありそうだということを予告することになりますし、いろいろな学会がそれに連動して学会に関係するたばこ病の名前を使っていただくと、全体としてたばこ病の全貌が明らかになっていくのでいいのではないかと思いました。
○工藤座長 たばこ病だけだとCOPDとは限らない。いろいろなものが入ってくるということですかね。
 ほかに何か。どうぞ。
○竹川委員 COPDの啓発ということで、その言葉なのですけれども、キーワードがとても大事になってくるかと思います。今おっしゃった肺たばこ病というのもキーワードになってくるだろうし、医療者、私たちになると、この間、3回目にいろいろ御説明してくださった石川さんの中で、死因の第3位であるとか、90%は喫煙によるものだという大きなキーワードがあったではないですか。
 それプラス、もっと重症になっていくと在宅酸素療法が必要になってくるとか、COPDは本当に怖い病気で、たばこが原因なのだよというキーワードをどんどん出していくのが大事かと思います。医療者でない遠山先生と中尾先生の方からも、こういうキーワードがあれば一般の人にもわかるよという言葉を出していただいたらいいのかなという気がするのですけれども。
○工藤座長 どうもありがとうございました。大体よろしいですか。
(「はい」と声あり)
○工藤座長 今日は、これまでの3回の検討会の議論を踏まえて、3つの論点、特に第1番目について、早期発見について、いろいろ難しい問題も含めて非常に活発な御議論をいただいてありがとうございました。今日のこの検討内容を踏まえて、これを更に整理しまして、今後の検討を進めていきたいと考えております。少し時間はまだありますけれども、特別になければ、この辺りで終わりたいと思いますが、よろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○工藤座長 その他、事務局の方から何かございますか。
○高城補佐 いろいろと御議論ありがとうございました。しっかりとこれらを踏まえまして、こちらの方でまとめをさせていただきたいと思います。
 次回の日程につきましては、調整させていただきまして、後日御案内をさせていただきたいと思っております。また、次回につきましては、本日議論いたしました論点整理などを踏まえまして、検討会の報告書の素案といったものを御提示できればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○工藤座長 それでは、本日はこれで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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