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2010年9月14日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録

○日時

平成22年9月14(火)14:00 ~17:12


○場所

厚生労働省共用第7会議室


○出席者

委員

大野委員(部会長)、加藤委員、斉藤委員、佐々木委員、佐藤委員、志賀委員、永山委員、松田委員、山内委員、山添委員、吉池委員、鰐渕委員

事務局

木村大臣官房参事官、森口基準審査課長、茂野課長補佐、猿田課長補佐、浦上専門官、土井専門官

関係省庁

農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課農薬対策室 池田専門官,農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課 今村係長

○議事

○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分
科会農薬・動物用医薬品部会」を開催させていただきます。本日はお忙しい中お集まりをいただ
きまして、どうもありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、青木委員、生方委員、尾崎委員、豊田委員、由田委員より御欠席なさる旨の御連絡を
いただいておりますが、農薬・動物用医薬品部会の委員17名中12名の御出席をいただいており、
部会委員総数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立しておりますことを御報告いた
します。
 それから、事務局側の人事異動がございましたので、この場をお借りいたしまして御紹介させ
ていただきたいと思います。
 大臣官房参事官の木村でございます。
○大臣官房参事官(木村) このたび、大臣官房参事官を拝命しました、木村でございます。よ
ろしくお願いいたします。
○事務局 続きまして、残留農薬係の手塚でございます。
○事務局(手塚) 手塚と申します。よろしくお願いいたします。
○事務局 それでは、大野部会長に今後の御審議の進行をお願いしたいと思います。どうぞよろ
しくお願いいたします。
○大野部会長 お忙しい中、皆さん集まっていただいて、どうもありがとうございます。
 初めに事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局 御説明いたします。配付資料でございますけれども、議事次第の裏から配付資料一覧
がございます。
 クロルスロン(動物用医薬品)が、資料1-1「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」、資料1
-2「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」がございます。
 他の物質につきましても、資料10のグルホシネート(農薬)まで同様に資料が付いてございま
す。
 それに加えまして、机上に配付してございますのが座席表、グルホシネートの右肩に配付資料
と書いてございます。こちらにつきましては、傍聴の方にも配付をさせていただいております。
 あと残りにつきましては委員の先生方のみへの机上配付でございます。
 机上配付資料の平成20年8月7日の本部会の議事録。
 資料の番号は書いてございませんけれども、本部会におけます食品衛生分科会における確認事
項と書いてございます、横になっている一枚紙でございます。
 不足等がございましたら事務局までお知らせください。
○大野部会長 ありがとうございます。皆さんおそろいでしょうか。
 それでは、審議に入りたいと思います。今日は今、御説明がありましたけれども、農薬6剤、
動物用医薬品4剤について御審議していただきます。報告書の作成に当たりましては、あらかじ
め資料をお配りしまして、先生方から御意見をいただいて、それに基づいて修正すべきところは
修正したということでございます。それに当たっては、皆さんどうもありがとうございました。
 それでは、議題「(1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について」。動物用医薬品のク
ロルスロンの審議に入りたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、動物用医薬品クロルスロンの部会報告書(案)につきまして、説明をさせ
ていただきます。
 本剤に係る今般の残留基準の検討につきましては、ポジティブリスト制度導入時に設定された、
いわゆる暫定基準の見直しについて、食品安全委員会において食品健康影響評価がなされたこと
を踏まえまして、御審議いただくというものでございます。
 「1.概要」でございます。用途は牛への寄生虫駆除剤ということでございます。クロルスロ
ンはベンゼンスルホンアミド系に属する寄生虫の駆除剤でございまして、日本では承認はされて
おりませんが、海外では、牛の肝蛭の成虫駆除に経口投与用の懸濁液又は皮下投与用の注射液が
使用されておりまして、寄生虫の主要なエネルギー源である解糖系に関わる酵素を阻害すること
により、その作用を示すものとされております。
 化学名と構造式及び物性につきましては、こちらに記載のとおりでございます。
 2ページ「2.許容一日摂取量(ADI)評価」でございます。食品安全委員会においてとりまと
められた食品健康影響評価では、以下のとおり示されております。
 「クロルスロンは、Ames試験において、陰性の結果を与えることから、DNAとの反応性は乏し
いと考えられる。しかし、in vivoのマウスの小核試験及び染色体異常試験の一部に陽性の結果が
得られており、高用量では小核及び染色体異常を誘発する可能性もあると考えられる。一方、in
vitroでの染色体異常試験が実施されていないため、クロルスロンがin vivoでの小核及び染色体
異常を誘発するとしても、それがどのような機構によるものかは明確ではなく、小核及び染色体
異常の誘発に閾値が存在するかどうか不明である。したがって、クロルスロンは、生体にとって
問題となる遺伝毒性を示さないと判断することはできないと考えられる。
 また、ラットの発がん性試験は、亜急性毒性試験で膀胱の過形成がみられた用量及び遺伝毒性
試験で陽性の結果が得られた用量に比較して低い用量で実施されているため、発がん性を明確に
否定することはできないと考えられる。
 以上のことから、現時点で得られている知見からは、クロルスロンの遺伝毒性及び発がん性に
ついて結論を導くことは困難であるため、クロルスロンにADIを設定することは適当ではない」
と結論づけられております。
 「3.諸外国における状況等」です。JECFAにおいては、現在、評価はされておりません。米国、
EU、豪州、カナダ、ニュージーランドについて調査をした結果、米国、EU及び豪州において残留
基準が設定されております。
 「4.基準値案」です。食品安全委員会における評価結果を踏まえまして、クロルスロンは食
品に含有されるものであってはならないものとするという案にしております。
 6ページに答申案をお示ししてございます。「クロルスロンについては、食品に含有されるもの
であってはならないとする食品規格を設定することが適当である」という答申案とさせていただ
いております。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。これについては食品安全委員会からは今御説明
がありましたように、ADIを設定することは適当ではないということで、本部会でも食品規格を設
定しないということですけれども、この食品安全委員会の御意見について、鰐渕先生、いかがで
しょうか。
○鰐渕委員 厳格にやっているという意味では厳しいものかもしれないですけれども、いずれに
しても発がん性試験が不完全です。非常に低い用量でしかできていない。しかも高用量でin vivo
の染色体毒性が出ているというところから、遺伝毒性は完全に否定できない上で発がん性の試験
も完璧にできていないということなので、こうせざるを得ないのかなと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。食品安全委員会、又は鰐渕先生からそういう意見をいた
だきましたけれども、皆さんの御意見はいかがでしょうか。
 それでは、今回の結論のように、クロルスロンについては食品に含有されるものであってはな
らないとする食品規格を設定することが適当であるという答申案、他の細かい文章上の表現とか
そういったところで、先生方で気になるところはございますでしょうか。
○山添委員 間違いでは何もないのですが、資料1-1の「(3)化学名」のところで、従来はIUPAC
とCASの両方の名称が、他の化合物では必ずありましたね。今回だけIUPACになっているのは、
CASの名前とIUPACの名前が同じ場合には1つに省略するのでしたか。
 食品安全委員会の資料を見ていただくと分かるのですが、5ページです。CASが出ていて名前も
同じなんです。IUPAC、CASと両方にしてしまえばいいのか。どういうルールだったのかなと思い
ました。
○事務局 両方確認できた場合には、両方を記載するというふうにはしております。今回はCAS
が食品安全委員会の方に書かれてはあったんですけれども、他を検索してみますとIUPACという
ことでこの名前が載っていましたので、こちらの方ではIUPACと記載させていただいております。
○大野部会長 ここは食品安全委員会でこのように記載してあるということで、CASを載せるとい
うことですか。
○事務局 では、もう一度確認させていただいて、修正が必要でありましたら、修正をさせてい
ただきます。
○大野部会長 お願いします。それから、この問題ではないんですけれども、全体に関わること
で今回気になったことがあります。これはどちらが正確か分からないですけれども、分子量がメ
ルクインデックスに書かれている値と、みんなほんの少し違うんです。違うというのは、下二桁
のうちの一番下のところが違うんです。同位体の存在比を計算して、何年か前に原子量の数値が
修正されているんです。多分こちらの資料の方が古いのではないかと思います。メルクの2006年
かその辺のものだと違うんです。それをどうするかなんです。厳密に言うと、現在の基準に従っ
て修正すべきかと思います。その値がいつの原子量か、昔のことなので正確な名前は忘れてしま
いましたけれども、チェックしていただけますでしょうか。
○事務局 確認をさせていただきます。
○大野部会長 お願いします。その他に先生方から御意見はございますでしょうか。
 それでは、先ほど読み上げさせていただきました答申案と部会の答申書の内容、それをこの部
会の答申とさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 それでは、次の動物用医薬品エンロフロキサシンについての御審議をしていただきたいと思い
ます。また事務局から資料の説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、続きまして、 動物用医薬品エンロフロキサシンの部会報告書(案)につき
まして説明させていただきます。資料2-1を御覧ください。
 本剤に係る今般の残留基準の検討につきましては、薬事法に基づく承認事項の変更について農
林水産大臣から意見聴取がなされたことに伴いまして、御審議いただくものでございます。なお、
本報告書(案)につきましては、残留基準の見直しに当たり平成18年に既に御審議をいただいて、
とりまとめられている報告書(案)を基に作成しておりまして、今回追加修正した箇所には、こ
のように下線部を引いてお示ししてございます。
 「1.概要」でございます。用途は牛、豚及び鶏における細菌性呼吸器感染症及び消化管の感
染症の治療ということでございます。エンロフロキサシンはニューキノロン剤に属し、グラム陰
性菌に加え、多くのグラム陽性菌に対しても有効なものでございまして、国内において牛、豚の
細菌性呼吸器症及び大腸菌性下痢症、鶏の呼吸器性マイコプラズマ症及び大腸菌症の治療目的と
して使用されております。また、代謝物であるシプロフロキサシンは抗菌活性を有し、ヒト臨床
において使用されているというものでございます。
 「(3)化学名」、「(4)構造式及び物性」につきましては、記載のとおりでございます。(4)
のシプロフロキサシンの構造のところに代謝物である旨を追加しております。
 2ページ「(5)適用方法及び用量」でございます。こちらに今般の使用基準の改正に係る意見
聴取の内容を記載してございます。泌乳牛についての使用期間を96から60時間に短縮するとい
うものでございます。表の中に網かけをしている部分になります。
 「2.対象動物における分布、代謝」以下、3~4ページにつきましては従来のものと同じとい
うことでございますので、説明は省略させていただきます。
 5ページの○の4になりますけれども、今般の使用基準の改正に当たって提出された残留試験。
こちらは国内で実施されたものでございますけれども、これを記載してございます。投与後60時
間の結果を御覧いただきますと、エンロフロキサシンは投与後36時間、48時間で既に定量限界未
満となっていたことから測定されておりません。代謝物であるシプロフロキサシンにつきまして
は、定量限界又は定量限界未満となっております。したがいまして、現在の乳におけるエンロフ
ロキサシンの残留基準値がエンロフロキサシンとシプロフロキサシンの和で0.05ppmということ
でございますので、使用禁止期間が60時間であっても残留量は現行の基準値には収まっていると
いうことになります。
 一方、投与条件が同じ試験が海外でも実施されておりまして、その結果に基づいて現在の乳の
基準値を0.05ppmとしております。その結果につきましては、○の4の上の○の3に記載してご
ざいます。こちらの試験の投与後60時間の結果を御覧いただきますと、0.05ppmを超えて乳中に
は残留するということになっております。この結果につきまして、農林水産省と検討しましたと
ころ、国内で実施された○の4の試験の方がより日本の実態に即して得られた結果であるという
判断から、現行の0.05ppmでも管理ができると考えているということでございました。
 以上の内容を踏まえまして、基準値の案でございますけれども、10ページの「6.基準値」で
ございます。残留の規制の対象につきましては、これまでと同じくエンロフロキサシン及びシプ
ロフロキサシンといたしまして、今般の意見聴取に係る乳の基準値の取扱いを11ページの(4)
に記載してございます。下線部になりますけれども、今般の薬事法に基づく承認事項の変更の要
望に当たり提出された国内で行われた残留試験結果によると、乳の使用禁止期間を現在の96時間
から60時間に短縮した場合であっても、エンロフロキサシン及びシプロフロキサシンの残留量は
現行基準の範囲内であることから、基準の変更を必要とするものではないということにさせてい
ただきたいと考えております。
 なお、食品安全委員会への諮問につきましては、現時点ではこのように基準値を変更する必要
はないのではないかと事務局では考えておりますので、今般の使用基準の改正に当たっては意見
聴取は行っておりません。
 9ページの4に食品安全委員会で示されたADI評価をお示ししておりますけれども、こちらは平
成18年に意見聴取をした際の結果でございます。
 残留基準の検討の説明につきましては以上でございますけれども、この他に部会報告書を修正
した箇所がございますので、続けて説明をさせていただきます。
 10ページ「6.基準値」の(2)でございます。平成18年に部会報告書がとりまとめられた際
には、農林水産省より薬剤耐性菌を介した食品健康影響評価について、食品安全委員会に意見聴
取が行われておりましたので、その結果を踏まえて、必要に応じて残留基準の見直しをするとい
う内容に、この取消しの部分になりますけれども、させていただいておりました。
 その後、本年の3月に食品安全委員会から評価結果が示されましたので、この結果を受けた農
林水産省において行われる管理措置の結果を踏まえまして、必要に応じて残留基準の見直しを検
討するという内容に修正してございます。
 事務局からの説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。それでは、品目名、用途、その辺で尾崎先生や
生方先生の方から特にコメントはないですか。
○事務局 特にいただいておりません。
○大野部会長 分かりました。品目名、用途、その辺で御意見はございますでしょうか。よろし
いですか。
 それでは、化学名、構造式、物性、代謝。山内先生、お願いします。
○山内委員 常温における性状の表現についての質問です。食品安全委員会の報告書の1ページ
には、「淡黄色から黄色の結晶性粉末」と書いてありますが、厚生労働省の部会の案の1ページに
は、「微黄色から淡黄色」とあります。この表現を一致させる必要はありませんか。
○事務局 申し訳ございません。もう一度確認をさせていただきます。
○大野部会長 よろしくお願いします。
○山添委員 結晶型によっても違うので、特に問題はないと思います。
○大野部会長 どうもありがとうございます。それでは、確認していただくということでお願い
いたします。
○山添委員 ついでにお伺いしてよろしいですか。この薬剤は目にかなり長期間、メラニン色素
に沈着するので残るんです。問題はないんです。今回のところで食品安全委員会で牛の眼検査と
かをやっているのもそういう理由ですが、機能には影響はないんです。ヒトでのことでもよく知
られていますが、目のところを食用に使うということはないですね。要するに薬剤が長期間残る
可能性のあるところはメラニン色素のある部位だけなので、そこの部位を食用にしなければ、ま
ず問題はない。
○事務局 牛につきましてはBSEの関係もあって除かれるとは思いますが、豚についてまでは承
知しておりません。ただ、あまり一般的に食用にするとは聞かないものかとは思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 山添先生、他にはよろしいでしょうか。代謝の方も特に御意見はないですか。
○山添委員 問題はないと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。分析対象物質の方は以前審議していただいたように、エ
ンロフロキサシンとシプロフロキサシンで、エンロフロキサシンがシプロフロキサシンに代謝さ
れて残るのが多いということで、それで問題ないと思います。
 それでは、次に毒性面から鰐渕先生、御意見はございますでしようか。
○鰐渕委員 以前審議していますので、特に問題はないと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、分析法、食物中分析結果、基準値、その辺で
先生方から御意見はございますでしょうか。ちょっと気になったのが、先ほど御説明がありまし
たけれども、今日の資料の○の3のところですね。従来の残留試験結果だと60時間で残っている
んだけれども、試験を我が国でし直した方法だと60時間でかなり少なくなるということですが、
以前のデータと現在のデータと比較をして、以前のよりも今回示されたデータの方がより日本の
事象に対応しているということですけれども、それはどういうことでそういう結論が出たのかな
というのが分からないです。その辺は何か御意見はございますでしょうか。
○事務局 申請者の方にも確認を取ってみましたけれども、搾乳の時期等がきっちり日本の方は
12時間間隔を空けて搾乳されているということが実態に即しているという判断でございます。
○大野部会長 前のがもし正しいとすると、前のは0.08ということで、残留基準を超えてしまっ
ているわけです。そうすると使えなくなる乳が結構増えてしまうのではないかというのが懸念さ
れるんですけれども、そういうことはないですか。
○事務局 では、農水省の方から。
○農林水産省 補足で説明させていただきます。以前御審議いただいたデータと今回改めてやり
直したというデータでは実はなくて、以前御審議いただいたデータは海外で実施した残留試験で、
今回御審議いただいているデータは以前からあったんですけれども、あくまで日本で実施した試
験ということになります。前回は多分、海外でやられた試験の方が残留濃度が高いということも
ありまして、海外の基準値のデータを基にMRLを設定されたということで、こちらが根拠になっ
たものと思われます。あくまで日本で試験を実施した場合において、日本で飼育されている動物
ですとか飼育環境ですね。先ほど厚労省さんの方からお話があった搾乳のタイミングですとか、
そういったことを日本に合わせてやった試験では残留量がこの程度しかないということになって
います。確かに非常に違いがあって我々の方も苦しんだんですけれども、メーカーの方で投与方
法とか製剤の違いがないかということを確認したんですが、基本的に全く違いがないということ
です。
 ただ一点だけ違うのが、各時点の泌乳量がすごく大きく違いまして、海外では午前と午後で何
倍かの乳量の差があったりしたもので、明確な搾乳間隔は分からないですけれども、日本と相当
違うのではないかと。日本の場合は大きくても倍くらいの差しか午前と午後ではありませんので、
ここでは12時間間隔と書かれていますが、正確にそこまで間を空けていない場合もあるのではな
いかと考えられましたので、日本でやった試験は日本の基準を作る場合には重視していますので、
こちらの方で問題ないだろうと。
 なお、こちらの資料の方には書かれてはいないんですけれども、日本では倍量投与でやった残
留試験もやっておりまして、そちらの方でも同様に海外でやった試験よりも早く消失しています
ので、こちらの方で問題はないかと考えております。
○大野部会長 ありがとうございます。我が国でやっている限りにおいて、リスクはないと考え
てよろしいかと思います。
 先生方、何か御意見はございますか。山添先生、どうぞ。
○山添委員 何も反対するわけではなくて、私は今回のデータの方がまともだと思ったんです。
前のデータの投与前のシプロフロキサシンの濃度が投与前で0.685になっています。もともとこ
れはゼロではないデータなんですか。これは間違いですか。
○農林水産省 これは私の方も先に厚労省さんに言っておけばよかったんですが、これは5日間
連続投与された、最終投与前という意味だったと思います。この濃度が24時間の数字とほぼ合っ
ていると思いますけれども、前日に投与して1日経った、最後の投与の直前のものなので、最後
の投与から24時間くらい経ったときの濃度ということで、妥当な濃度だったと思います。表現の
ところが最終投与前という表現になるかと思います。
○山添委員 今回採用したデータはどちらのデータですか。やはりこれは投与前のときには連続
投与した結果ですね。
○農林水産省 はい。すべて同じです。
○山添委員 ほぼ同じプロトコールですね。そうするとこちらの日本のデータの場合には、24時
間後に薬物ないし代謝物はほとんどが消失していたということですね。
○農林水産省 そうです。
○山添委員 それに対して、海外のデータは代謝物が蓄積の傾向が見られたと。
○農林水産省 そうですね。○の4を見ていただくと、日本でも代謝物の方が。
○山添委員 半減期が長いから、それはそれでいいと思いますけれども、そういうことなんです
ね。わかりました。
○大野部会長 そういうことになると、○の3の「投与前」というところを「最終投与前」と書
き換えないといけないですね。○の4の方は最終投与前ではなくて、初回投与前ではないですか。
○農林水産省 ○の4の方は本当の投与前だと思います。
○大野部会長 ○の4の方の24時間が0.15ですから。○の4の方は「初回投与前」と修正。
○農林水産省 今、手持ちに海外のデータもあるんですけれども、最初の投与前はすべて定量限
界以下になっております。
○山添委員 だから、○の3のところの「投与前の」という表現を「最終投与前」に変えればい
いんですね。
○大野部会長 では、そこの修正をお願いいたします。
 その他に基準値、分析法、分析結果の辺りで、先生方から御意見はございますでしょうか。山
内先生、お願いします。
○山内委員 部会案として5ページに、以前のデータと今回提出されて挿入された○の4の表が
両方併存した形でよいのですか。今の事務局からの説明を聞くと以前はこうだったが今回は国内
のより実際の条件に近い形でやった方を採用して問題ないと考えるので、今回提案の基準値案に
移行する、といった説明があった方がわかりやすいと私は思います。このあたりはいかがでしょ
うか。
○大野部会長 そうですね。読んだだけだと、なぜそういうふうに設定したのか分からなくなっ
てしまいますね。いかがでしょうか。
○事務局 では、今、御指摘いただきました内容を追加で加えさせていただきます。
○大野部会長 その辺の修正もお願いいたします。他に御意見はございますでしょうか。
 それでは、全体を通して御意見はございますでしょうか。
 それでは、若干修正がございましたけれども、修正をしたものをこの部会の方針とさせていた
だいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 それでは、次の品目について御審議をお願いいたします。次は動物用医薬品の牛クロストリジ
ウム感染症5種混合(アジュバント加)トキソイドについてでございます。事務局から説明をお
願いいたします。
○事務局 それでは、資料3-1に基づき説明させていただきます。今般の残留基準の検討につ
きましては、薬事法に基づく再審査申請がなされたことに伴い、食品安全委員会において食品健
康影響評価がなされたことを踏まえまして、御審議いただくものでございます。
 「1.概要」でございます。
 「(1)品目名」は、牛クロストリジウム感染症5種混合(アジュバント加)トキソイド。
 「(2)用途」は、牛の気腫疽、悪性水腫及びクロストリジウムパーフリンゲンスA型菌による
壊死性腸炎の予防でございます。
 牛のクロストリジウム感染症としては、クロストリジウムショウベイによる気腫疽、クロスト
リジウムセプチカム、ノビイ、パーフリンゲンス又はソルデリーによる悪性水腫並びにパーフリ
ンゲンスの感染による壊死性腸炎がございます。
 主剤はクロストリジウムショウベイ、セプチカム、ノビイ、パーフリンゲンス、ソルデリーの
培養上清濃縮液をホルマリンで不活化及び無毒化したものでございます。また、アジュバントと
して、リン酸三ナトリウム十二水和物、塩化アルミニウム六水和物、溶剤としてリン酸水素二ナ
トリウム十二水和物、リン酸二水素カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムが使用されており
ます。これらの添加剤について、食品安全委員会により物質の使用状況、既存の毒性評価及び本
製剤の投与量を考慮すると、ヒトの健康に影響を与えるものとは考えられないと評価されてござ
います。
 「(3)適用方法及び用量」でございます。3か月齢以上の牛の臀部筋肉内に1回2mLを1か月
間隔で2回注射し、その後6か月間隔で注射いたします。2回目の注射は1回目の注射とは異なる
部位に行います。また、本製剤はと畜場出荷前4か月間は使用しないことという使用制限期間が
設定されております。
 「2.安全性試験結果」でございます。記載されてございますように、第1段落目の注射反応
に関する試験においては、注射部位の腫脹及び硬結は注射後21日目までに消失、注射痕は1頭に
ついては注射後1か月目の部位のみ、残りの1頭は注射後1か月及び2か月目に認められておりま
す。
 また、2段落目の安全性に関する試験では、臨床観察の結果、軽度から中等度の腫脹及び軽度の
硬結が注射後7~16日目まで認められ、剖検では筋肉にやや褐色がかった白色部が3回目の注射
部位(注射後2か月目)に、1頭認められ、病理組織学的には白色部に一致して肉芽腫様病変が認
められましたが、1回目の注射部位には病変は観察されませんでした。これにより、先ほど適用方
法欄で述べましたと畜場出荷前4か月間は使用しないこととする設定根拠となっております。
 「3.食品健康影響評価」でございます。読み上げさせていただきます。
 「承認後6年間の調査期間において、MEDLINEを含むデータベース検索の結果、安全性に関する
報告は認められなかった。また、調査期間中に、12施設、計511頭の調査が実施され、元気消失・
食欲不振、下痢、呼吸器異常、投与部位の腫脹又は硬結が副作用として見られているが、承認前
試験で観察された反応以上のものではないことが観察された。したがって、提出された資料の範
囲において、承認時から再審査期間中において本製剤の安全性を懸念させる新たな知見は認めら
れないと考えられる。
 本製剤の主剤に使用されているクロストリジウム属菌の一部が産生する毒素は、ヒトに対して
も病原性を有するものと考えられるが、本製剤に用いられている菌液及び毒素は不活化されてお
り、いずれもヒト及び牛に対する病原性は有していない。また、添加物については、本製剤の含
有成分の摂取による健康影響は無視できると考えられる。
 以上により、本製剤が適切に使用される限りにおいては、食品を通じてヒトの健康に影響を与
える可能性は無視できるものと考えられる」となってございます。
 「4.残留試験の設定」でございます。食品安全委員会における評価結果を踏まえ、残留基準
を設定しないこととする案にさせていただきたいと考えております。
 5ページに答申案ということでお示ししてございます。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございます。それでは、基準値を設定しないということでござ
います。ここについて議論をしても仕方がないかなと思いますけれども、全体を通して御意見は
ございますでしょうか。
 それでは、食品安全委員会の意見を踏まえて、特に修正なしで、クロストリジウム感染症5種
混合(アジュバント加)トキソイドについては、食品規格を設定しないことが適当であるという
答申案と部会報告書(案)をこの部会の報告としてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 それでは、次の品目ですけれども、動物用医薬品の鶏コクシジウム感染症(ネカトリックス)
生ワクチンの審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料4-1に基づき説明させていただきます。今般の残留基準の検討につ
きましては、薬事法に基づく再審査申請がなされたことに伴い、食品安全委員会において食品健
康影響評価がなされたことを踏まえまして、御審議いただくものでございます。
 「1.概要」でございます。
 「(1)品目名」は、鶏コクシジウム感染症(ネカトリックス)生ワクチン。
 「(2)用途」は、鶏のEimeria necatrixによる鶏コクシジウム症の発症抑制でございます。
鶏コクシジウム症はアイメリア属原虫の感染に起因する下痢や貧血を主な症状とし、増体率の低
下、飼料効率の低下、死亡率の増加、産卵率の低下などを引き起こします。主剤はEimeria necatrix
Nn-P125株オーシストでございます。また、防腐剤としてソルビン酸、溶剤としてエタノール及び
アルセバーが含まれており、ソルビン酸は食品添加物として使用されており、過去に食品安全委
員会で評価されております。
 溶剤として使用されているエタノールにつきましても、食品として摂取され、添加物、ヒト用
医薬品としても使用されている他、過去に食品安全委員会で評価されております。同じく溶剤と
して使用されているアルセバーの成分であるブドウ糖及び塩化ナトリウムは、食品として摂取さ
れており、クエン酸三ナトリウム二水和物は水分子を含むクエン酸三ナトリウムであり、これも
食品添加物として使用されております。
 「(3)適用方法及び用量」でございます。3日齢~4週齢の平飼いの鶏を対象とし、その飼料
に混合して1回投与します。
 「(4)諸外国における使用状況」でございます。Eimeria necatrixを主剤とする同様の鶏用の
生ワクチンが使用されております。
 「2.食品健康影響評価」でございます。読み上げさせていただきます。
 「承認後6年間の調査期間において、PudMedを含むデータベース検索の結果、安全性に関する
報告はなかった。また、調査期間中に延べ12施設、135,004羽の調査が実施され、本製剤投与後
28日間の臨床観察の結果、鶏に対する副作用は1例もなかったと報告されている。したがって、
提出された資料の範囲において、承認時から再審査期間中において本製剤の安全性を懸念させる
新たな知見は認められていない。
 本製剤の主剤であるアイメリア属原虫は宿主特異性が高く、鶏以外は感染しないとされており、
鶏コクシジウム症は人獣共通感染症とみなされていない。
 また、添加剤については、本製剤の含有成分の摂取による健康影響は無視できると考えられる。
 以上のことから、本製剤が適切に使用されている限りにおいては、食品を通じてヒトの健康に
影響を与える可能性は無視できるものと考えられる」となってございます。
 「3.残留基準の設定」でございます。食品安全委員会における評価結果を踏まえ、残留基準
を設定しないこととする案にさせていただきたいと考えております。
 4ページにまいりまして、答申案ということでお示ししてございます。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いします。
○大野部会長 どうもありがとうございます。これについても残留基準を設定しないということ
でございますけれども、先生方から全体を通して御意見はございますでしょうか。志賀先生、よ
ろしいですか。
○志賀委員 はい。
○大野部会長 それでは、この答申案と部会の報告書について、この部会の報告としていただい
てよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 それでは、次の品目です。農薬のゾキサミドについて御審議をしていただきたいと思います。
 事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 農薬1剤目ゾキサミドでございます。資料5-1を御覧ください。
 今般の残留基準値の検討につきましては、暫定基準の見直しについて御審議をお願いするもの
です。
 「1.概要」でございます。本剤はべと病及び粉状そうか病の防除に用いられる殺菌剤です。
作用機構はチューブリンのベータサブユニットへの結合による微小管細胞骨格の破壊と、その結
果もたらされる核分裂阻害によるものと考えられています。
 化学式及び構造式については、記載のとおりです。
 2ページ「2.適用の範囲及び使用方法」です。本剤は国内において農薬登録はなされていませ
ん。海外での適用の範囲及び使用方法は記載のとおりです。
 3ページ「3.作物残留試験」でございます。分析対象化合物はゾキサミドでございます。作物
残留試験結果の概要につきましては、5ページの別紙1に米国の作残データを記載しております。
 「4.ADIの評価」でございます。資料5-2の食品安全委員会における食品健康影響評価
の16ページを御覧ください。各種試験結果により、食品中の暴露評価対象物質をゾキサミド親化
合物のみと設定いたしまして、イヌを用いた1年間慢性毒性試験の無毒性量48 mg/kg体重/日を
用いまして、ADI0.48 mg/kg体重/日と評価いただいております。
 資料6-1に戻っていただきまして、3ページ目「5.諸外国における状況」でございます。国
際基準がきゅうり、ぶどう等に、米国及びカナダにおいて、ぶどう、ばれいしょ等に残留基準値
が設定されております。
 「6.基準値案」でございます。残留の規制対象をゾキサミドとさせていただく基準値案とい
たしております。基準値案は7ページの別紙2のとおりでございます。コーデックス基準と米国
の基準値を参照して基準値案を設定いたしました。なお、基準値案につきましては、米国の基準
値を参照しているものは米国の基準値と同様に1.0等にいたしております。
 この取扱いにつきましては、平成20年8月の部会におきまして御審議いただき、海外の基準値
をそのまま持ってくる場合には、原則として、そのままの数値を設定することといたしておりま
す。御参考までにその部会議事録を机上配付させていただいております。机上配付資料がその議
事録でございます。
 この取扱いにつきましては、松田先生より、例えば1.0の結果を出すためには1.0の次の桁、
1.0幾つまで分析し判断する必要があるけれども、1ppmレベルの濃度を分析したときの精度は5%
程度であり、求められる1.04と1.05の1%の差を検出することは困難であること等の理由から、
基準値案を1にしてはどうかとの御意見をいただいております。この件につきましては、後ほど
御審議いただければと存じます。
 これらの基準値案により、推定摂取量を算出いたしましたものが8ページの別紙3でございま
す。TMDI試算によりまして、一番高い幼小児でも0.9%のADI占有率になっております。
 10ページ目。最後のページが答申案になっております。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。それでは、審議に行きたいと思います。最初に
配っていただいた「用途:殺菌剤」のところと表現が若干変わっていますね。最初のところはベ
ータサブユニットへの結合による核分裂の阻害、微小管細胞骨格の破壊と書いてありますけれど
も、これは尾崎先生のコメントで書いたんでしたか。
○事務局 はい。尾崎先生の御指摘を受けまして、変更してございます。
○大野部会長 ありがとうございます。その他にこの部分について、御意見はございますでしょ
うか。順序を変えただけですね。それでは、化学名、構造式、物性、代謝に向けて、山添先生か
ら御意見はございますでしょうか。
○山添委員 特にありません。
○大野部会長 分析対象物質に関係するところですけれども、これについては食品安全委員会の
報告では、ばれいしょに代謝物BとCがそれなりに出ているというのが書いてあります。ただ、
EPAの報告では、残留試験の結果では、ばれいしょで親化合物、代謝物B及びCのいずれも検出さ
れず、ごく少数の試料で定量限界値を上回る程度であったと書いてあるということが食品安全委
員会の報告書の10ページに書いてございます。これは確認できなかったんですけれども、食品安
全委員会の方でチェックしてまとめてくださいましたので、こういうことで代謝物に関しては、
特に分析対象物質として指定するようなものはないだろうという結論でよろしいかと思います。
 それについて、御意見はございますでしょうか。山添先生、どうぞ。
○山添委員 今、言われたB、Cという代謝物もカルボン酸と水酸化の水酸基を持っているものは
水溶性が高い代謝物なので、万が一入ったとしても体内に残る可能性は非常に低いし、排泄は速
やかにいくので、未変化体だけで測っても問題はないかと思います。
○大野部会長 1ページ目に載っているメチル基が水酸化されたものがB、カルボン酸になったも
のがCということで、微妙に水溶性が高まっている。
 それでは、安全性の面で鰐渕先生、御意見はございますでしょうか。
○鰐渕委員 特にございません。
○大野部会長 それでは、分析法、分析結果、基準値について御意見はございますでしょうか。
松田先生の御意見がございましたので、繰り返しになりますけれども、よろしくお願いいたしま
す。
○松田委員 今回の基準値で、例えばきゅうりですと国際基準を引いてきて1となっております
けれども、その下にかぼちゃ、しろうりとか、そのようなものはアメリカの基準を引いて1.0と
なっています。
 今、分析法の留意事項のところに、この基準値の一つ下まで求めて、それを四捨五入して判定
するとなっていますので、例えばきゅうり1.4であれば1として、1.5であけば2として判定する
のですけれども、しろうりだと1.04であれば1.0、1.05であれば1.1という判定になります。
 そうしますと、分析法で1.04と1.05を区別しなくてはならないということになりまして、そ
のくらい1%の差が区別できるような分析法というのは、今は非常に困難であるということがあり
ます。
 もう一つは、きゅうりなどの分析というのは、実際には1個の個体の分析をしているのではな
くて、ロット全部の代表値としてサンプリングしてきたものを分析するのですけれども、こうい
う畑で作っているようなものの農薬の残留量は、大体一番低いのから一番高いので5倍程度あり
ます。ですから、サンプルを取ってくるとその度にかなり違いますので、そういう状態の判定を
するときに1.0というような精密な値で、ここだけ精密にすることはあまり意味がないのではな
いかと思います。
 最後は、並べてみたときに1.0と書いてあると、何の意味があるのだろうと思う方もいらっし
ゃるのではないかと思います。かぼちゃはきゅうりより何かの理由で精密に測らなくてはならな
いとか、そういうことも感じられますので、こういうのは統一した方がいいのではないかという
のが私の考えです。
○大野部会長 それでは、先生方の御意見を伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
佐々木先生、お願いします。
○佐々木委員 今おっしゃったことは以前から何回かここでも話題になっているんですが、結局
アメリカの基準の1.0を1に持ってくる甘い基準を設定したことになるので、それはできないと
いうことで結論付けられて、こういう形で今はやられていると思いますが、現在、国際的には10
未満の基準値は有効数字一桁というのが国際的な流れと聞いています。10以上100未満は二桁。
100以上は10の倍数というようなことで、国際的には現在、基準値の設定が行われていると聞き
ました。
 ですから、アメリカの基準は基準として、日本もそういった国際基準の設定法に従ったやり方
を採用するのが本当はいいのではないかと思います。もしアメリカの基準を採用するのであって
も、アメリカのデータから日本のやり方で基準値を設定すれば、この場合は1になると思うので、
そういうやり方を取るということでもよろしいのではないかと思いました。
○大野部会長 ありがとうございます。気になったのは、アメリカはこの基準でちゃんと運営し
ているんですか。
○松田委員 アメリカがどのような基準値の判定をしているかは分からないです。日本は明確に
一つ下の桁まで求めると書かれておりますので、現場では頑張ってやるのですけれども、非常に
混乱はすると思います。
○大野部会長 加藤先生、何か御意見はございますか。
○加藤委員 今日配られたこれにも書いてあるとおりで、まさに佐々木委員の言っておられると
おりの繰り返しになってしまいます。いつまでもこんなことを続けていて、変に1.0と1が隣に
あるような使い方は、実際に検査する側を考えたら、おかしくなるのではないかということが一
つ。
 それから、コーデックスの傾向も言っておられたんですけれども、EPAの中でもEPAの評価書を
見ていますと、コーデックスの方に合わせるような数値のクライテリアに変えていかなければな
らないのではないかということも書いてありますので、アメリカの1.0という評価の仕方は永久
ではないと思います。私としては1.0については一桁という方がいいと思います。
 もう一つ、先ほどアメリカの1.0の実際の評価の仕方と日本の評価の仕方の話が出たのですけ
れども、私の知っている範囲では、日本は1であれば1.4までですね。アメリカの場合は統計的
に処理をして、95%、99%信頼限界の下の部分が1.0を超えているかどうか。それがEUかアメリ
カだったかごちゃごちゃになっているんですけれども、平均値が1.0を超えているかどうか。そ
れで基準値が1.0くらいですが、それで判断しているようです。ですから、日本の見方とは大分
違う。1.0であっても統計的な処理は十分できるような方式になっていると思います。そういうこ
とも背後にはあると思います。いずれにしても何とか変えないとまずいのではないかと私は思っ
ております。
○大野部会長 永山先生、いかがですか。
○永山委員 先ほどからの意見になっておりますけれども、私どもも検査をする上での精度とい
うことからいきますと、やはり1.0何がしのその次の桁を精度よく出すというのは、今の技術で
すと非常に難しいです。先ほど、松田先生、佐々木先生、加藤先生、皆さんが同じことをおっし
ゃっていますけれども、分析の方から考えても基本的に一桁。世界的な流れでもということで、
私もできれば一けたの方がよろしいのではないかとは思います。
○大野部会長 ありがとうございます。佐藤先生、いかがでしょうか。
○佐藤委員 今、1だけで議論をしていますけれども、内規では1~9ということを聞いています
ので、今の議論を全部9までに当てはめて考える必要があるのではと思います。
○大野部会長 9というのは、今まで審議した値を変えるかどうかということですか。
○佐藤委員 今、内規はそうですね。1.0~9.0はゼロを付ける。
○事務局 今の内規を御説明させていただきたいと思います。今は10.0を越えるものにつきまし
ては二桁を採用しています。ですので、10.0の基準でしたら10ということで採用させていただい
ておりまして、1.0~9.0 ppmの場合にはそのまま1.0~9.0ということで採用させていただいてお
ります。
 それ以下の場合には、基本的には最後のゼロを不採用といたしまして、例えば0.10の場合には
0.1ということで採用させていただいております。また、0.35などの場合には0.35をそのままで
採用しているということで内規とさせていただいております。
○大野部会長 山内先生、お願いします。
○山内委員 作物残留データの範囲から基準値を設定する際の考え方を整理したものがあったよ
うに思いますが。
○松田委員 日本で作るときはそうなんですけれども。
○山内委員 私は、考え方を整理したものがあったと記憶しています。また、さきほど、佐々木
先生が発言されたように、アメリカの基準値を参考にするというよりは、アメリカの作物残留デ
ータ試験の結果から日本で決めている考え方に当てはめて小数点の表記をこう考えたという形に
するということを考えた方がいいと思います。先ほどの1.0と1が混合していることについては、
私は科学的というよりは素人的消費者の視点から言っても、何が違うのか、どう考えたらいいの
か混乱してしまいますので、測定の限界とかも含めて教えていただいて、これはこういう理由で1
にすると言っていただく方がすっきりすると思います。
○大野部会長 これはゾキサミドの分析が特に0.01の段階まで正確に測るのが難しいというこ
となのか。一般的に100分の1まで正確に測るのは難しいということか。どちらでしょうか。
○松田委員 一般的に1ppmくらいのものですと室間精度で16%だから、室内精度は大体8%くら
いと言われています。大抵のどのような農薬であってもそのくらいと言われていますので、1%よ
りははるかに大きいばらつきということですので、無理であろうと考えています。もっとすごく
高い残留濃度があったら,数パーセントの違いも分かるんですね。100ppmとかあればもしかした
らできるかもしれません。
○大野部会長 それでは、もし皆さんが一般的に化学分析の場合にこのくらいのレベルのものに
ついて、1%のレベルまで正確に測るのは難しいという御意見でしたら、実際に測定可能な範囲内
で設定しないと実際の運営上、非常に困ると思いますので、欧米で1.0と決められていても日本
で設定するときには、その分析法の限界を踏まえて基準値案を設定するのが適切だと私は思うの
ですけれども、その辺はどうでしょうか。
 斉藤先生にまだ意見を伺っていなかったんですけれども、いかがでしょうか。
○斉藤委員 皆さんが今、言われたのと全く同じでして、確かにきゅうりとかぼちゃの違いが一
体何かというのが一番疑問に思っていると思います。あともう一つは、こういう言い方をすると
よくないかもしれませんけれども、1も1.0も現実問題としてはさほど大きな違いがないので、あ
まりそこにこだわる必要はないのではないかと思っています。
○大野部会長 それでは、今後こういったことの取扱い全般に関わってくることだと思いますけ
れども、分析法の精度を踏まえて今回は全部1にしてしまうということで、今後も外国の基準値
を取り入れる場合も同じように分析法の感度、精度を踏まえて、基準値案を設定するというよう
なことで事務局の方に問題はございますでしょうか。そういうふうに変えるということですね。
○事務局 特に問題はございません。
○大野部会長 この点についてはいかがでしょうか。方針の変更ということになりますけれども、
皆さんよろしいでしょうか。佐々木先生、お願いします。
○佐々木委員 以前、1ではなくて1.0ということで事務局の方から御説明があったときは、多分
農薬以外の有害物質のことを念頭に置いて、そういう基準値を緩めるような方向は好ましくない
とおっしゃったように記憶しているんです。ですから、今回は農薬の基準に限ってはそういう国
際的な流れとか、現実に即したやり方でいいのではないかということで変えていただければと思
いました。
○大野部会長 ありがとうございます。先ほど佐藤先生からの御指摘がございましたけれども、
これに関連して内規を変える必要があるかもしれないということだったかと思いますが、もしそ
ういうことがあったら、こういうふうに変えるという形で先生方に示していただけますでしょう
か。これは後日メールで送っていただければよろしいと思います。
○事務局 では、後日メールで送らせていただきます。
○大野部会長 ありがとうございます。山内先生、お願いします。
○山内委員 今後の考え方は分かりましたが、今までに決まった基準はさかのぼって適用するの
でしょうか。
○大野部会長 その辺の手続はどうなるのでしょうか。
○事務局 基準値を変えることになってしまいますので、告示改正等の手続が必要になってまい
りますので、なかなか難しいかと思います。ですので、今まで決めてしまったものにつきまして
は、当分の間は今までの基準で行かせていただいて、次回見直しの機会に順次見直していくとい
うことにさせていただければと思っております。
○大野部会長 手続は非常に面倒くさいということは分かりますので、そういうふうにしていき
たいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、先に進ませてください。基準値のところ、国際的整合性、
その他の点で御意見はございますでしょうか。全般を通して御意見をいただいてもよろしいかと
思います。
 それでは、基準値のところの1.0を1に変えるという修正がございましたけれども、その修正
を踏まえて、ゾキサミドについての報告書(案)をこの部会の報告としてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 それでは、次の品目についての御審議をお願いします。次は農薬のシアゾファミドでございま
す。それについての事務局からの説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、農薬2剤目シアゾファミドについて御説明いたします。資料6-1、6-
2を御用意ください。
 まず資料6-2の農薬評価書が第4版となっておりますとおり、シアゾファミドについてはこ
れまで3回御審議いただいているところでございます。これまでの経緯について、簡単に御説明
いたします。農薬評価書の3ページを御覧ください。
 2001年に初回農薬登録がされ、2004年にほうれんそう及びこまつなの適用拡大申請があり、食
品安全委員会からの健康影響評価に基づいて当部会及び分科会でも御審議をいただき、2005年4
月に告示を行っております。同様に2005年、2007年に適用拡大申請があり、それぞれ2006年、
2008年に告示を行っております。
 今回は2009年にキャベツとはくさいについての適用拡大申請がなされたこと及び関連企業か
らにんじんとパパイヤについてインポートトレランスに基づく残留基準の設定要請がなされたこ
とに伴う基準値の設定について御審議をお願いいたします。
 資料6-1の報告書(案)をお願いいたします。まず本剤の概要ですが、用途は殺菌剤で、ミ
トコンドリアの電子伝達系に作用すると考えられています。
 化学名及び構造式については、記載のとおりでございます。
 2~6ページに国内での使用方法を記載しており、3ページに今回の適用拡大申請がありました、
キャベツ及びはくさいの使用方法を四角で囲んで示しております。
 7ページの「(2)海外での使用方法」ということで、今回インポートトレランスに基づく基準
値設定の要請がありました、にんじんとパパイヤにつきまして、基準参照国であるアメリカ及び
台湾における適用を記載しております。
 同ページの「3.作物残留試験」ですが、分析対象化合物として、シアゾファミドとその代謝
物Bとしており、結果については国内で実施されたものを10ページの別紙1-1に、海外で実施
されたものを13ページの別紙1-2に記載しております。
 次に8ページの「4.ADIの評価」でございます。ADIが0.17mg/kg体重/日という評価にな
っております。この値はこれまで部会で御審議いただいたときと変更はございません。
 次に「5.諸外国における状況」です。JMPRにおける毒性評価はなされておらず、国際基準も
設定されておりません。米国と5か国、地域について調査したところ、米国、カナダ、EUにおい
て記載のとおりの基準値が設定されております。これらを踏まえました基準値(案)でございま
すが、残留の規制対象といたしましては、従来どおりシアゾファミド本体としております。
 作物残留試験でシアゾファミドとその代謝物Bについても分析されておりますが、代謝物Bは
シアゾファミド本体に比較して十分低い残留量ということを確認してございますので、規制対象
といたしましては本体のみということで考えております。なお、食品安全委員会による健康影響
評価においても暴露評価対象物質としてシアゾファミド本体のみとして設定されております。
 次に「6.基準値案」でございます。15ページの別紙2を御覧ください。適用拡大申請があり
ました、はくさい及びキャベツについて作残データに基づき、はくさいを1から2へ、キャベツ
を0.05から0.7へと変更した基準値を設定しております。また、インポートトレランスの申請が
ありました、にんじんと16ページにありますパパイヤにつきましては、米国及び台湾の作残デー
タ及び基準値を基にそれぞれ基準値を設定しております。
 これらの基準値案を踏まえました暴露評価を17ページの別紙3にまとめております。表の一番
下にTMDIで試算したADI比を記載しておりますが、左から国民平均で12.2、幼小児で22.6、妊
婦で9.4、高齢者で13.0となっております。
 20ページに答申(案)を記載しております。
 事務局からの説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。これについてはもう3回目ということで、今ま
で十分審議をしていただいていますけれども、用途のところで追加修正をするところはございま
すでしょうか。よろしいですか。
 それでは、化学名、構造式、代謝も含めて、更に何かございますでしょうか。
 分析対象物質についても先ほど御説明がございましたけれども、代謝物Bがトマト、ばれいし
ょ、ぶどうで検出されていますけれども、その量は10%を超えていませんし、実際に残留試験を
やったときにも代謝物Bの残留は十分に低い量ということが確認されていますので、今までと同
じようにシアゾファミド本体のみを対象物質とすることでよろしいかと思います。その辺につい
て、先生方から御意見はございますでしょうか。
 それでは、分析表、分析結果、基準値、その辺りで先生方から御意見はございますでしょうか。
適用拡大をすることによっても、ADI比で最大でも幼小児で22.6%ということでございます。
 それでは、国際的整合性、基準値も含めて、全体を通して先生方から御意見はございますでし
ょうか。
 それでは、この答申(案)をもって、この部会の答申とさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 それでは、次の品目です。次はアジンホスメチルでございます。それについて事務局から資料
の説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、農薬3剤目アジンホスメチルでございます。資料7-1を御覧ください。
アジンホスメチルの部会報告書(案)でございます。
 今回の残留基準の検討につきましては、ポジティブリスト制度導入時に設定された、いわゆる
暫定基準の見直しでございます。本剤は有機リン系の殺虫剤です。コリンエステラーゼ活性を阻
害することによって、殺虫活性を示すものと考えられています。
 化学名、構造式等については記載のとおりでございます。
 2ページの2の適用病害虫と使用方法でございますが、本剤は国内では農薬の登録がなされてお
りません。オーストラリアにおける適用の範囲、使用方法は記載のとおりでございます。
 3ページ「3.作物残留試験」でございます。オーストラリアの評価書に沿って記載をしており
ます。結果については別紙1に記載をしております。
 「4.ADIの評価」でございます。資料7-2の食品安全委員会の評価書の19ページを御覧
ください。10行目になりますが「アジンホスメチル投与による影響は主に赤血球及び脳コリンエ
ステラーゼの活性阻害であった。発がん性、催奇形性及び生体において問題となる遺伝毒性は認
められなかった。」とされています。
 20ページにまいりまして、ADIの評価でございます。イヌの1年間慢性毒性試験の無毒性量
0.149mg/kg体重/日からADIは0.0014mg/kg体重/日との評価でございます。これはJMPRにおける
評価0.03と比較して非常に小さい数値となっております。
 部会報告書(案)の3ページにお戻りいただきまして、「5.諸外国における状況」でございま
す。国際基準、その他諸外国に残留基準は設定されてはございますが、EUにおいては既に登録が
失効しており、米国においては2012年以降の使用が認められていないとのことでございます。
 これらを踏まえました基準値(案)といたしまして、アジンホスメチルにつきましては規制対
象を親化合物のみと設定する案としております。食品安全委員会におきましても食品中の暴露評
価対象物質をアジンホスメチル親化合物のみと設定されております。
 「(2)基準値案」でございますが、食品安全委員会の評価によるADIは非常に小さい値となっ
ておりまして、コーデックス基準を参照しますとこのADIを超過することから、また、米国やEU
といった諸外国において使用されなくなっている状況を踏まえまして、本剤につきましてはお示
しする基準値案ではコーデックス基準を参照しておりません。なお、オーストラリアについては
使用実態があること、基準値設定の要請とデータ提出があったことから、オーストラリアの基準
については参照し、基準値案を設定いたしました。
 7ページの別紙2を御覧ください。申し訳ございませんが、ここで資料の訂正をさせていただき
ます。9ページになりますが、現行の基準値のところで「その他のハーブ0.5」というものが抜け
ております。場所としては「その他のナッツ類」と「牛の筋肉」の間になります。これも基準値
案としては削除させていただきたいと思います。
 基準値案の説明をさせていただきます。暫定基準につきましては見直しを行いまして、オース
トラリアから提出された作物残留試験成績に基づき、かんきつ類、核果類、ブルーベリー、ぶど
う、その他のナッツ類に基準値案を設定してございます。
 これらの基準値案により暴露評価を行いましたのが10ページの別紙3でございます。その結果、
TMDI試算によりまして、一番高い幼小児で60.1%のADI占有率となっております。
 12ページが答申(案)となります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。それでは、御審議をお願いいたします。品目名、
用途、その辺で御議論はございますでしょうか。
 次に化学名、構造式、物性、代謝の辺りで、山添先生から御意見はございますでしょうか。
○山添委員 問題はありません。
○大野部会長 ありがとうございます。分析対象物質ですけれども、代謝物としては脱メチル化
体とかグルタチオンとかいろいろ出ていますけれども、それぞれについてのデータがなくて、食
品安全委員会の報告書でも詳しい残留試験のデータがなくて、ちょっと分からないのですけれど
も、EPAの評価で残留試験結果を検討して、評価対象物質はアジンホスメチルと決定されたという
ことが書いてあります。それに基づいて、食品安全委員会としては親化合物だけでいいというよ
うな結論を出していますので、それでよろしいかと思います。その辺について御意見はございま
すでしょうか。
 それでは、志賀先生、使用方法のところをお願いいたします。
○志賀委員 2ページの海外での使用方法、オーストラリアの表の虫の名前ですけれども、事前に
調べ切れませんで、事前に御連絡できなかったので恐縮ですが、この出典をもう一回チェックし
ておいてほしい。というのは、適用病害虫名が表の中にずっとありまして、一番上の「rad scale」
というのでしょうか。これは一般的にかんきつの害虫としては「red scale」ではないかと。
 それから、かんきつの下から3つ目の「tortrix aphids」とありますけれども、これは一般の
虫の名前としては、tortrixはハマキムシです。aphidsはアブラムシです。ここの間にカンマが
入っているのではないかと。全然違う虫で、tortrix aphidsというアブラムシは聞いたことがあ
りません。
 核果類の5番目「san Jose scale」という有名な虫ですが、この「san」の「S」は大文字です。
これは固有名詞から来ています。全体としまして、ここで申しますけれども、それぞれの虫の名
前の頭を大文字にするかどうかというのは、他との統一との関係で、どちらでもいいのではない
かとは思いますが、見てくれだけです。ただ、この「san Jose scale」の「san」は確か地名だっ
たと思いますけれども、固有名詞ですので大文字。ちなみにJも勿論、大文字が正しいです。
 その意味でこれは私はなじみがなかったので不明確で申し訳ございませんが、核果類の一番下
の「fuller's rose xeevil」があります。アポストロフィーが付いているので、これも固有名詞
由来かなと。それならば大文字かなというのが気になりました。
 ぶどうの2番目「grapevine scale hawk moth」。この間には恐らくカンマが入って、これは別
の虫です。「grapevine scale」はその上にもありますけれども、ぶどうのつるのカイガラムシの
仲間です。
 その次の「hawk moth」はスズメガでしたでしょうか。ガの仲間ですので、これは全く別のもの
なので、ここも区切られているのが正しいのではないかと思います。
 以上、形式的なことですけれども、原本に当たっていただいて、再度チェックしていただけれ
ばいいかと思います。
○事務局 確認して訂正させていただきます。
○大野部会長 どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。その先頭を大文字に
するかどうかについては、他のと併せて、他のものがみんな大文字になっていたら、そういうふ
うにしていただく、そうでなければ今のままということですか。
○志賀委員 その後の塩酸ホルメタネートの方は先頭だけではなくて、ワードごとに全部大文字
になっていますので、そろえられる範囲でそろえていただいた方がいいと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、分析法、作物中分析結果、基準値、その辺りについて御意見をいただきたいと思い
ます。いかがでしょうか。
 私から聞きたいのですけれども、8ページ目でももについて、オーストラリアでは基準値がある
のですが、今回基準は設定していませんね。これはどういう理由でしょうか。
○事務局 ももにつきましては、日本と海外での検査部位が違うということで、通常、基準値は
参照しないことにしています。
○大野部会長 ありがとうございます。
○山内委員 同様にみかんも採用されていないんですけれども、この理由は。
○事務局 みかんも同じ理由です。
○大野部会長 ありがとうございました。他に御意見はございますでしょうか。
 それでは、国際的整合性も含めて、全体として御意見はございますでしょうか。吉池先生、お
願いします。
○吉池委員 4ページからの記述(2)~(3)の文脈が読みにくいなという印象を受けておりま
す。4ページの(2)のコーデックス基準によるEDI/ADI比という表があって、その下にTMDI/ADI
比があって、ここの間で何があったかということが分かりにくい。ここでEDIなのかTMDIなのか、
あるいはどの基準を参照するかということよりも、適用される作物が大幅に減ったことによって、
この数値が小さくなったと理解しているんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○事務局 そのとおりです。
○吉池委員 先ほどのみかんやももの話ではないですが、そこの適用する作物がかなり絞り込ま
れたことの記載がないので、結局この数字の差が何だろうかというのがこの説明から分かりにく
いのではないかと思いました。
○大野部会長 どこの辺りを修正すれば分かりやすくなりますか。
○吉池委員 EDIという表現を使っていて、下がTMDIで、それだけを比べると普通は数字として
は逆になるわけですが、この辺を上の表のコーデックス基準によるEDIと一言で言ってしまうこ
とが、注釈を見るといろいろな条件で数値を組み合わせているように思えるので、全体の流れを
分かりにくくしているように思われます。
○大野部会長 ありがとうございます。暴露評価の各食品についての基準値案のところに、今回
いろいろな食品について削除したことについての記述を入れればいいですか。基準値案にコーデ
ックス基準は採用しないこととしたと書かなければいけないですね。
○吉池委員 ここの文脈でコーデックス基準を全部並べて、数値が1,000%という数値を出す意味
がそもそもあるのかどうか。そもそも参照しないような数値も含めて、たくさん並んでいるわけ
ですね。こういうふうな数字が高いから、やめてしまったと取られる。むしろこの上の表自体の
意味合いが分かりにくいのではないか。内容的にはよいと思いますが、説明ぶりとしては違う表
現ができないかなと思って、意見をいたしました。
○大野部会長 基本的にコーデックス基準があるものについては、採用するという考え方がある
わけですね。
○鰐渕委員 今、吉池先生が言われたように、基準値案は別紙2のとおりであるだけでいいので
はないかと思います。下のあれこれ書いてあるところがかえってややこしくしているというか、
いらないですね。取っていないのにそれを全部あるかのようにするから、このデータになるので
あって、要らないのではないですか。
○大野部会長 山内先生の説明を聞きたいと思いますけれども、コーデックス基準があるものに
ついては、原則として入れるということかなと思うんですが、そうではないですか。
○事務局 基本的には今まで、この剤以外はコーデックス基準があるものは採用しております。
○大野部会長 そうすると、原則として採用するのは原則だけれども、これについては全部を対
応すると超えてしまうので、それは採用しない。そうすると同じになってしまいますね。山内先
生、お願いします。
○山内委員 私が聞いていて、3ページの「5.諸外国における状況」で、実際にはEUでは登録
がないし、アメリカでも使わないということなので、今回その申請のあるオーストラリアからの
インポートトレランスのみを考慮して計算し直したら、こうなったのでそうしたいというふうに
すればいいのではないかと思いました。
 原則としては、コーデックス基準を採用することになっていると。そうして当てはめると
1,000%になると。しかし、実態的にはEU、アメリカにおいてはこうなので、限ることにしたとい
うのをそのまま素直にお書きいただいた方がよろしいかと思います。
○大野部会長 それでは、今きちんと頭を整理していただきましたけれども、そういった形で書
き直していただくということでよろしいでしょうか。
○事務局 今の御意見を踏まえまして、修文させていただきます。
○大野部会長 吉池先生、そういった形であればよろしいですか。
○吉池委員 はい。
○大野部会長 ありがとうございます。他に先生方から御意見はございますでしょうか。
 それでは、このアジンホスメチルについての答申(案)、文章は今、御指摘がありましたように
修正をするということでございますけれども、それをするということを前提にこの答申(案)を
お認めいただけますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、修正したものをこの部会の答申とさせていた
だきます。その修正案の確認ですね。それは私のところで確認させていただくということでよろ
しいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、次の品目でございます。農薬エトフェンプロックスでございます。それについて事
務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、農薬4剤目のエトフェンプロックスでございます。資料8-1を御覧くだ
さい。エトフェンプロックスの部会報告書(案)でございます。
 今般の残留基準の検討につきましては、畜産物及び魚介類への基準値の設定についてでござい
ます。稲わら等の飼料に由来する畜産物への残留について、緊急的に対応する必要が生じたもの
であり、ポジティブリスト制度導入時に設定した、いわゆる暫定基準の見直しについては後日行
うこととしております。
 本剤はピレスロイド様の活性を示す殺虫剤です。作用機序は記載のとおりでございます。
 化学名及び構造式等につきましても、記載のとおりでございます。
 2ページから「2.適用の範囲及び使用方法」について記載をしております。
 12ページ「3.作物残留試験」でございます。分析対象の化合物は親化合物と代謝物4(4の
資料中の表記はローマ字表記。以下同様)となっております。また、分析方法については記載の
とおりでございます。
 結果につきましては、19ページの別紙1に記載してございます。
 13ページの「4.魚介類への推定残留量」でございます。
 14ページの「(3)推定残留量」にまいりまして、水産動植物被害予測濃度が0.036 ppb、ブル
ーギルにおける濃縮性試験から生物濃縮係数4,260ということで、推定残留量が0.77 ppmと算出
されてございます。
 「5.畜産物の推定残留量」でございます。乳牛と産卵鶏において家畜残留試験が行われてお
ります。
 15ページから結果を記載してございます。
 16ページの(3)ですが、飼料中のMTDBと試験の結果から、畜産物中の最大残留量を算出した
結果をお示ししております。また、併せて畜産物中の平均的な残留農薬濃度についても算出して
お示ししております。表3-1が牛、表3-2が鶏の結果を示しております。
 「7.ADIの評価」でございます。資料8-2の食品安全委員会の評価書の43ページを御覧
ください。ちょうど真ん中の辺りの23行目になりますが「エトフェンプロックスの投与による影
響は、主に肝臓、腎臓、甲状腺及び血液に認められた。神経毒性、繁殖能に対する影響、催奇形
性及び遺伝毒性は認められなかった。」とされています。
 44ページのADI評価でございますが、マウスの発がん性試験の無毒性量3.1mg/kg体重/日から
ADIは0.031mg/kg体重/日との評価でございます。
 部会報告書(案)の17ページにお戻りいただきまして「8.諸外国における状況」でございま
す。本剤はJMPRによる評価が行われておりまして、りんご、なしに国際基準が設定されておりま
す。また、米国、EUにおいては記載のとおりでございます。
 「9.基準値案」でございます。各種動物を用いた代謝試験等から、各組織中への残留物質は
主に親化合物であること。代謝物4は急速に排出されることなどから、代謝物4は規制対象には
含めないことといたしました。魚介類につきましても残留物質として親化合物が確認をされてお
ります。これらを踏まえまして、エトフェンプロックスにつきましては、残留の規制対象物質を
親化合物のみと設定する案としております。
 なお、食品安全委員会におきましては、食品中の暴露評価対象物質をエトフェンプロックス親
化合物及び代謝物4と設定されておりますが、代謝物4の毒性は親化合物と同等又はそれ以下と
判断されたとされてございます。
 基準値でございますが、24ページからの別紙2を御覧ください。ここで資料の訂正をさせてい
ただきます。
 25ページの「未成熟いんげん」のところですが、国内登録の有無が空欄になっておりますが、
国内の登録はありますので、○を付けてください。
 基準値案の御説明をさせていただきます。本日の審議の内容といたしましては、畜産物と魚介
類への基準値の設定でございますので、農産物については基準値の変更はございません。畜産物
と魚介類について、推定残留量から設定した基準値案を26ページの下の方からお示ししておりま
す。
 これらの基準値案によりまして、暴露評価を行いましたものが27ページからの別紙3になりま
す。その結果、EDI試算によりまして、一番高い幼小児で50.4%のADI占有率となっております。
 18ページにお戻りいただきまして、参考といたしまして、代謝物4を含めました暴露評価を試
算したものをお示ししております。代謝物4の分析が行われている農産物については、その試験
成績の値を用いて、また、その他の農産物につきましては、食品群ごとに比を算出しまして、そ
の比から求めた推定値を用いて暴露評価を行っております。その結果、一番高い幼小児で72.6%
のADI占有率となっております。
 31ページが答申(案)となります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。審議を始める前に、稲わら等の飼料に由来する
畜産物中の残留基準について緊急的に対応する必要が生じたということについて、説明をいただ
けますでしょうか。
○事務局 実際に国内で使用があるんですけれども、その使用方法を適切に守っていたとしても、
その飼料を食べた牛やその他の家畜に今ある基準値以上残留するということが分かりましたので、
基準値を置くという要請が農林水産省の方から来ております。
○大野部会長 分かりました。それでは、品目名、用途、殺虫剤のところですけれども、これは
尾崎先生がおられませんが、特に私が読んでおかしいところはないかなと思いますが、先生方か
ら何か御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、化学名、構造式、物性、代謝の辺りを含めて、山添先生から御意見はございますで
しょうか。
○山添委員 これで結構です。
○大野部会長 ありがとうございました。分析対象物質のところでは、植物に残留するものの試
験について食品安全委員会の方でまとめてくださっていますけれども、その中では代謝物4と言
われるもの。この構造式でフェノキシベンゼンのところに付いたメチル基がケトンになったもの
が代謝物4ですけれども、それが玄米で12%、さやいんげんで11~14%といった形で残留してい
ます。他の食べ物、ぶどう、菜種、レタスといったところにも主要代謝物として残っているんで
すが、残留量としては3%とかその前後で、それほどではございません。ただ、玄米で残っている
ので、それについて注意しなくてはいけないということで、食品安全委員会の方ではそれを含め
て分析対象物質とした方がいいのではないかというような御意見だと思います。
 今日の資料にございますように、別紙1で代謝物4も含めて最大残留量を測っていますけれど
も、この表で見ますと全般的に代謝物4の残留量は親化合物と比べて、かなり少なくなっていま
す。若干だいこんでは親化合物より多いとか、そういう場合もございますけれども、一部を除け
ばかなり代謝物4の残留量は少ないということが分かりますので、親化合物だけでもよろしいか
と考えました。先生方、その辺について御意見はございますでしょうか。
 では、安全性の面で鰐渕先生、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 案のとおりで結構だと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、分析法、食物中分析結果、基準値、その辺に
ついて御意見はございますでしょうか。
 今回は特に畜産物残留基準について緊急に対応したいということでございますけれども、畜産
物中の残留について説明を書いてくださっていますが、この辺について加藤先生、御意見はござ
いますでしょうか。
○加藤委員 特にこれまでずっと畜産物についてのアメリカでの基準値、JMPRでの基準値の作り
方と基本的に同じ方式を取っておられるので、これで結構だと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。私も一応この表3-1の値の数値の計算のところで確認
させていただきましたけれども、問題ないかと思います。ただ、乳牛の腎臓のところで、0.33で
いいのかなと思ったんです。私の計算だと0.313になったんですが、私が計算を間違えたのかも
しれませんけれども、後で確認していただければありがたいです。
○加藤委員 簡単な解説なんですけれども、この中で初めて出てきました平均的な残留農薬濃度
と3-1の表の下の方に出ていますが、これはJMPRで評価されるときの最終的な暴露評価に使う、
EDIに使う畜産物に関するSTMR濃度に相当するものです。中身としては飼料中の残留濃度の分布
の中の中央値STMRに相当するもの。今回は国内でのデータですので2例しかありませんから、2
例でのSTMR平均値をベースにして算出した畜産牛等への暴露量、負荷量を基にして設定した家畜
残留性試験の肉中の濃度の3頭での平均値がここに括弧で出てきている数字になります。先ほど
の繰り返しになりますが、JMPRで評価するときのSTMR濃度に相当するものであります。
○大野部会長 ありがとうございます。その辺りについて御意見はありますでしょうか。
 それでは、国際的整合性という面からいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、全体を通して、この報告書について御意見はございますでしょうか。吉池先生、お
願いします。
○吉池委員 座長からどういう状況の中で再検討されたかという質問がありましたが、その辺が
冒頭でもう少し具体的に分かるような記述の方がよいのではないいかと思います。今般、「稲わら
等」の飼料となっていますが、「等」が何だろう、他の作物も絡むのかなと思うのですが、麦わら
及び稲、発酵粗飼料に限定されるのであれば、そのように書いた方がよいかと思います。
 また、これが直接的な目的だとしても今回、芝等に使われる農薬からの水系の暴露も含めて、
魚介類についても暴露評価を改めて行っているので、「併せて」といったような表現で、そこも分
かるような記述をした方がよいのではないかと思います。
○大野部会長 山内先生、お願いします。
○山内委員 それ以外の青果物についての農薬についてはいまだに暫定基準でありますので、正
式にまた作物残留データ等を出していただいて、設定し直すことになると思いますが、そうする
とそのときにはもう一回TMDI試算、EDI試算をし直して、全体の整合性をまた図りながら、場合
によっては肉類のところもデータの変更をすることもあると考えてよろしいのでしょうか。
○大野部会長 そういうことになるかと思いますけれども、事務局、いかがでしょうか。
○事務局 そのとおりで結構です。
○大野部会長 吉池先生の御意見で、先頭部分を若干手直しするということはいかがでしょうか。
○事務局 修文させていただきます。
○大野部会長 では、よろしくお願いいたします。他に御意見はございますでしょうか。
 それでは、若干修正がこれから必要になってきましたけれども、それについても私にお任せい
ただけますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、修正については私にお任せいただくというと
ころで、この報告書をこの部会の報告とさせていただいたよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 それでは、次は農薬の塩酸ホルメタネートについて審議をお願いいたします。事務局から資料
の説明をお願いいたします。
○事務局 農薬5剤目の塩酸ホルメタネートでございます。資料9-1を御覧ください。塩酸ホ
ルメタネートの部会報告書でございます。今回の残留基準の検討につきましては、ポジティブリ
スト制度導入時に設定された、いわゆる暫定基準の見直しでございます。本剤はカーバメート系
の殺虫/殺ダニ剤です。
 作用機序のところで資料の訂正をさせていただきます。2行目の「神経伝達物質を減少」と書い
ておりますが「増加させることによる」と訂正をお願いいたします。コリンエステラーゼ及びモ
ノアミンオキシターゼを阻害することによって神経伝達物質を増加させることで殺虫効果を示す
ものと考えられております。
 化学名、構造式等については、記載のとおりでございます。
 2ページの2の適用病害虫と使用方法でございます。本剤は国内では農薬登録がなされておりま
せん。米国における適用の範囲、使用方法等については記載のとおりでございます。
 「3.作物残留試験」でございます。米国の評価書から記載をしております。結果については5
ページの別紙1に記載をしております。
 「4.ADIの評価」でございますが、資料9-2の食品安全委員会の評価書の16ページを御
覧ください。
 上から11行目「塩酸ホルメタネート投与による影響は、主にコリンエステラーゼ活性阻害であ
った。発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形性及び生体において問題となる遺伝毒性は認めら
れなかった」とのことでございます。
 17ページのADIの評価でございます。ラットの急性神経毒性試験の無毒性量0.1mg/kg体重/日
からADIは0.001mg/kg体重/日との評価でございます。
 部会報告書(案)の3ページにお戻りいただきまして「5.諸外国における状況」でございま
す。本剤は国際基準が設定されてございません。米国、カナダにおける基準については記載のと
おりでございます。
 これらを踏まえました基準値案といたしまして、塩酸ホルメタネートにつきましては残留の規
制対象を親化合物のみと設定する案としております。食品安全委員会における食品健康影響評価
においても食品中の暴露評価対象物質を塩酸ホルメタネートの親化合物のみと設定されておりま
す。
 「6.基準値案」でございます。6ページの別紙2を御覧ください。米国の基準を参照いたしま
して、基準値案を設定いたしました。なお、一部の作物については米国から提出された作物残留
試験の成績に基づき、米国の基準値よりも小さい値を基準値案としてお示ししております。
 これらの基準値案によりまして、暴露評価を行いましたものが7ページの別紙3になります。
その結果、TMDI試算によりまして、一番高い幼小児で56.4%のADI占有率となっております。
 6ページが答申(案)となります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。それでは、御審議をお願いいたします。今、用
途のところで修正していただきましたけれども、モノアミンオキシターゼ阻害作用があるという
ことは、文献を随分調べたんですが、載っていないんです。コリンエステラーゼ阻害作用がある
のは、PubMedにいっぱい出てくるのですが、モノアミンオキシターゼ阻害作用があるというのは
ありませんでした。業者の申請資料に証拠みたいなものが載っているのでしょうか。
○事務局 企業の資料には記載をされておりますので、そのとおりに記載をしております。
○大野部会長 間違いでなければいいんですけれども、この構造のベンゼン環の右の部分がコリ
ンエステラーゼ阻害作用にかかる部分であって、左の方がモノアミンオキシターゼ阻害に関わる
部分であるという説明はいただいたので間違いはないかと思いますが、そこが気になりました。
○事務局 念のため、確認をいたします。
○大野部会長 お願いいたします。その辺で先生方から御意見はございますでしょうか。
 化学名、構造式、物性、代謝の辺りについて、山添先生から御意見はございますでしょうか。
○山添委員 これで結構です。
○大野部会長 ありがとうございました。評価対象物に関しては代謝物として、ジメチルアミノ
基が取れたものですね。それが一部の食品に残留しています。オレンジに認められたということ
ですけれども、その他については特にそういう記載はございませんでした。
 そういうことで、オレンジについては11%と基準値より若干高い値だったということですけれ
ども、他の食物には検出されないということで、特によろしいのかなと思います。食品安全委員
会でも親化合物のみを分析対象物質にすればいいと記載されております。若干証拠が足りないよ
うな気もしますけれども、一部の食品だけですので、取り立てて言うことはないかと思いました。
その辺について、先生方から御意見はございますでしょうか。
 それでは、分析法、分析結果、基準値の辺りについて、御意見はございますでしょうか。佐々
木先生、お願いします。
○佐々木委員 分析法のところに2つ書いてあるんですけれども、ガスクロ法では代謝物を含め
た測定になっていますので、実際にアメリカのデータが取られているのは定量限界から見ると液
クロかなと見えるのですが、そちらの値で親だけを測っているのであれば、前の方の分析法の部
分は要らないのではないかと思うんですけれども、もし代謝物を含めたアミノフェノールの値で
分析されているのだと、残留値が違ってくるのかなと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。その辺はいかがでしょうか。他の先生の御意見を伺えた
らと思います。永山先生、お願いします。
○永山委員 これはアメリカかどこか、本当に簡単にしか試験法が書いていないのが基だったよ
うに思います。もう一度確認しないとはっきりしないのですが、その報告書には両方の試験法が
示されていたと、たしか記憶しております。
 ただ、今回の方の基準設定のための佐々木先生がおっしゃられた対応している食品ですね。こ
れに対する残留量の測定にガスクロ法が使われていたかどうか、もう一度確認をした方がよろし
いかもしれません。そこまでは私も記憶しておりません。報告書自身には確か両方入っていたと
記憶しております。
○大野部会長 では、報告書には、米国の測定値は親化合物を測定したと書いてあるんですか。
○永山委員 報告書の中では、3-アミノフェノールに変換してガスクロで測る方法と、もう一つ
は液クロで測る方法で測ったとしか書いていなかったと思いますけれども、御確認をいただけれ
ばと思います。
○大野部会長 斉藤先生、お願いします。
○斉藤委員 今のでお聞きしたいのですけれども、これは3-アミノフェノールをダイレクトに
そままGCで測られて、ECDで検出されていると理解してよろしいでしょうか。
○永山委員 私が見た範囲では加水分解をして、要するに原体も加水分解をして3-アミノフェ
ノールに変わる代謝物すべてが一緒になって測っていると読めました。
○斉藤委員 キャピラリーGCで3-アミノフェノールのままで感度よく測定できるのか、ECDで
3-アミノフェノールが誘導体化しないでこのまま検出できるのかなと疑問に思ったんです。
○永山委員 そこまで詳しくは書いてございませんでした。
○斉藤委員 他のこの部会の品目を見ると、誘導体化したものはすべて誘導体化していると書い
てあるのに、これだけは誘導体化も何も書いていなくて、ただGCで測定となっているので、ここ
は不十分ではないかと思います。もし誘導体化しているのであればですけれども、そこを疑問に
思いました。
○松田委員 私も報告書を見ましたけれども、書いていないんです。非常に簡単に、こういう方
法がアベイラブルですと書いてあって、あとは結果がだっと書いてあるので、何が何の結果で得
られたのかがさっぱり分からないので、事務局としても、これ以上は書きようがなかったとは思
いますけれども、確かに他の剤に比べて余りにも、これでGCを取ってしまうと液クロで測ったと
しか書けなくなってしまうんですね。
 あと気になっていますのは、作残試験のネクタリンだけ0.10以下と書かれていて、こういう定
量限界の方法はないので、これは何だったのかなという疑問があります。この作残試験のデータ
と分析法自体は非常にあいまいな点が多いと思います。
○大野部会長 これは分析法がはっきりしていないと非常に困るわけですね。申請者に確認をし
ていただけますでしょうか。これはアメリカの資料と欧州の資料に基づいて食品安全委員会で評
価しているのですね。そうすると、この農薬の問い合わせ先はないのですか。
○事務局 そうですね。
○大野部会長 この測定法がはっきりしないと、別紙1から2に記載されている値そのものが何
を測っているのかが分からないわけですね。
○事務局 この剤につきましては国内登録がありませんので、国内で情報収集する術がないわけ
ですね。ですので、やり方としては大使館経由でわかるところを聞くということになるんですけ
れども、非常に難しいかと存じます。
○大野部会長 これを指定した場合に、この分析方法について、厚生労働省として、こういう方
法で測りなさいとか、そういうのは出さなくていいのですか。アメリカで使用されているわけで
すね。
○事務局 現在、公定法があるかどうかを調べておりますので、少々お待ちいただけますでしょ
うか。
○大野部会長 わかりました。こういうのは初めてですね。データそのものがどういう方法で測
られて、得られた結果が何を測っているのか判別が付かないということになると議論をまとめら
れないですね。その結果が出るまでペンディングということでよろしいでしょうか。
○事務局 では、結果が出るまでペンディングということにさせていただければと思います。
○大野部会長 では、それ以外のところで何か御意見があったら、今、聞いておきたいと思いま
す。他に御意見はございますでしょうか。
 それでは、この剤については分析法の実態と表に載っている残留試験結果が何であるのか、何
を測った結果であるのか。それがはっきりするまでペンディングとさせていただきたいと思いま
すけれども、皆さんよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、次は農薬グルホシネートについての審議をしていただきたいと思います。ホルメタ
ネートについては結果が出たら、また審議を再開するということにさせていただければと思いま
す。
 それでは、事務局からグルホシネートについての説明をお願いいたします。
○事務局 農薬6剤目グルホシネートでございます。本剤にかかる今般の残留基準の検討につき
ましては、農薬取締法に基づく新規の農薬登録申請及び適用拡大申請に伴う基準値設定依頼が農
林水産省からなされたことに伴い、食品中の農薬等のポジティブリスト制度導入時に新たに設定
された基準値、いわゆる暫定基準の見直しが対象となっております。
 概要でございます。本剤はアミノ酸系除草剤でございます。作用機序、化学名及び構造式等に
つきましては、記載のとおりでございます。
 2ページ「2.適用の範囲及び使用方法」でございます。本剤は国内及び海外において使用が認
められております。詳しい内容は3ページ以降を御参照ください。
 9ページ「3.作物残留試験」でございます。分析対象の化合物はグルホシネート、3-メチル
ホスフィニコプロピオン酸(以下、代謝物B)、N-アセチルグルホシネート(以下、代謝物Z)で
ございます。グルホシネートPでは、グルホシネートP、代謝物Bでございます。構造式、分析法
の概要につきましては、記載のとおりでございます。
 試験結果といたしましては、別紙1を御参照ください。15ページから国内、18ページから海外、
20ページにはグルホシネートPの試験結果が記載されております。
 続きまして、家畜における推定残留量でございます。11ページにお戻りください。乳牛、肉牛、
産卵鶏及び肉用鶏におけるMTDBはそれぞれ17.2ppm、10.3ppm、1.22ppm及び2.21ppmと評価され
ております。このMTDBと各試験における投与量及び組織等における推定残留量から畜産物中の推
定残留量を算出いたしました。
 その結果につきましては表3-1、3-2を御覧ください。
 続きまして「5.ADIの評価」でございます。資料10-2の食品健康影響評価の3ページ
の「(3)総合評価」のところを御覧ください。グルホシネートの農薬としての活性成分は光学異
性体のLであるが、両者の毒性試験の比較から動物における毒性発現も主にL体によるものと推
察される。食品安全委員会は、両者の総合的な評価として、L体を選択的に含有し、毒性も強く現
れるグルホシネートPに基づく評価を適用するのが適当であると判断したとございます。
 そのグルホシネートPの評価でございますが、2-21ページの5段落目を御覧ください。各種毒
性試験の結果から、グルホシネートP投与における影響は、主に腎臓及び中枢神経系(大脳)に
認められた。発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められなかったとのこ
とです。
 食品安全委員会は、ラットを用いた2世代繁殖試験の無毒性量0.91mg/kg体重/日を根拠として、
安全係数100で除した0.0091mg/kg体重/日を一日摂取許容量ADIと設定しております。
 資料10-1の13ページにお戻りください。「6.諸外国における状況」ですが、国際基準はバ
ナナ、ばれいしょ等に設定されております。この他諸外国において記載のとおり基準値が設定さ
れております。
 「7.基準値案」として、これまでの内容を踏まえました基準値案としまして、まず規制の対
象は、穀類、豆類、種実類及びてんさいについては、グルホシネート、代謝物B及びZとし、そ
の他の食品については、グルホシネート及び代謝物Bとしました。代謝物Zはグルホシネート耐
性遺伝子組換え作物の特有のものであることから、穀類、豆類、種実類及びてんさいについては、
代謝物Zを含めることとしました。残留量はグルホシネートアンモニウム塩に換算した上記代謝
物とグルホシネートとの合計量で表すという現状の規制を維持する形を取っております。
 具体的な基準値案につきましては、21ページ以降の別紙2及び訂正の方になりますけれども、
配付資料を御覧ください。これらの基準値案を踏まえまして、暴露量を行った結果を25ページ以
降の別紙3の推定摂取量の表に記載させていただいております。本剤はEDI試算を行っておりま
す。その結果、一番高い幼小児で66.1%という占有率となっております。
 29~31ページが答申(案)となります。
 事務局からの説明は以上になります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、先生方の御審議をお願いいたします。グルホシネートの品目名と除草剤としての用
途の説明ですね。その辺について、特に私はコメントはございません。先生方から何か御意見は
ございますでしょうか。加藤先生、お願いします。
○加藤委員 グルホシネートはかなり名前がどの構造を意味しているかというところで、2種類に
取られて複雑なんですけれども、ここで書いてございますラセミ体は既にそのアンモニウム塩が
グルホシネートで、ここまでは間違いないと思います。
 ただ、(注)の「 」のグルホシネート(ISO)となっているところですが、ISOでは少なくとも2008
年以降は正式にアンモニウム塩ではなくて酸の方がISOになっていまして、アンモニウム塩はグ
ルホシネートアンモニウムという、塩は正確に書くというような表記になっています。ですから、
ここのグルホシネート(ISO)の(ISO)を外すのが、その前の文章から行くと正しいと思います。
○大野部会長 このISOを外すということですけれども、いかがでしょうか。ラセミ体、光学異
性体も全部含めて、ここでは評価しているわけですので、外すということでよろしいのではない
かと思います。
○事務局 修正します。
○大野部会長 他に御意見はございますでしょうか。斉藤先生、お願いします。
○斉藤委員 最初のページにも出ているんですけれども、(1)で「選択的に」というのは、評価
書の方も「選択的」という言葉がよく出てくるんですが、どの程度の割合が選択的というふうに
認識したらよろしいのかなと。不整合性されていると思いますけれども、100、0ではないにして
も、ある程度このくらいという目安があってもいいのかなと思ったんです。
 13ページのADI評価のところも、食品安全委員会は両者の総合的評価としてL体を選択的に含
有しとなっているので、選択的に含有するというのも、選択的に製造したのであって、他人事の
ように聞こえるのでおかしいんですけれども、いずれにしても選択的というには非常にファジー
な感じがするんです。
 話は違いますが、以前インドキサカルブPというのがありまして、そのときにうちの方で分析
をしたら過剰率が30%台なんです。非常に悪いんですけれども、今回のグルホシネートも毒性も
L体に基づくと評価書の方が出ていますから、そのL体の量はきちんと把握しておくべき必要があ
るのではないかと思います。そのときに選択的という非常にあいまいなままでいいのかなと疑問
に思ったのですけれども、いかがでしょうか。
○大野部会長 その含量のデータというのはあるのでしょうか。私はこれは選択的と書いてある
ので、ほぼ100%と読んだんですけれども、先生がおっしゃるように30%も不純物があるとなる
とあれですね。その辺は把握しておかないといけませんね。毒性パラメータなどではちょうど倍
くらいの値になっていますね。ラセミの方が毒性発現用量が倍くらいになっているので、ちょう
どいいくらいかなと思ったんです。
○事務局 すみません。後日確認して、改めて後で報告させていただきます。
○大野部会長 では、後日確認ということで、そうするとグルホシネートPナトリウム塩という
ところで、このままだと普通の人はL体が100%と読んでしまうと思うんです。もしそれがかなり
有意に少ないと、例えば70%とかそういうことだったら、ここに書いておかないといけないです
ね。化学名のところでグルホシネートPナトリウムを約何%という形で、90%以上だったらこの
ままでいいですか。それは値を見てから考えるということにしたいと思います。
○山添委員 今の内容に関連していいですか。そうすると毒性の試験のときも、L体の純度が全然
違えば毒性結果が変わってしまうので、どのものを使ったかが分かれば調べていただきたいと思
います。
○大野部会長 これはグルホシネートPと書いてあるのはグルホシネートPを使ったということ
で、L体を使ったということですね。その純度が分からないということですね。
○鰐渕委員 Pは選択的に多く含んでいるけれども、どの程度かは書いていない。
○大野部会長 なかなか悩ましいですね。お話を聞きながら最終的な結論を出したいと思います。
その時々で御意見があったら出してください。とりあえず選択的というのがどのくらいの含量か
を宿題としてチェックしていただきたいと思います。
 それを確認していただきまして、化学名、化学構造、物性、代謝の面で山添先生、いかがでし
ょうか。
○山添委員 化学名のところで日本語の「グルホシネートPナトリウム塩」と書いてあるところ
で、さっきの純度の問題ですけれども、これはPなので(+)だけということになっているんですね。
それでパーセントが必要ならば、ここのところに書いていただければいいかと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。他はよろしいでしょうか。分析対象物質ですけれども、
それについては食品安全委員会の報告の方では、りんご、レタス、とうもろこしについては、残
留しているものの大部分がBか、すべてがBということになっています。お米でも大部分がBと
いう報告になっています。大豆ではBとZが親化合物以外に含まれている。てんさいについては
親化合物とZが含まれている。とうもろこしは遺伝子組換え作物はBとZが含まれている。菜種
についても同様です。そういうことで、BとZについて分析対象物質に含めるということについて
はよろしいかと思います。
 物によっては親化合物とB、親化合物とBとZ、遺伝子組換え作物については代謝物Zを含むと
いうことで、特におかしくないと思いました。その前に残留試験結果でも別紙1-1で代謝物B
がそれなりに親化合物より多く含まれているものがあるということが15ページのところで見て
いただければ分かると思います。そういうことで、それを含めるということはよろしいと思いま
す。
 ただ、代謝物Zが遺伝子組換え作物に特有のものであるという根拠がよく分からなかったので
すけれども、何かその辺は分かりますでしょうか。遺伝子組換えがグルホシネートの代謝過程で、
そちらの方に向かうようにしているのですか。
○山添委員 グルホシネートも含んでいる組換え体、農薬が少なくて済むように。
○大野部会長 私は確認できなかったんですけれども、それは特に問題はないですか。
○松田委員 全然違う遺伝子組換え食品もありますので、やはりこれはグルホシネート耐性遺伝
子か、何か決まったものを入れているもののみ代謝物Zができてくると思いますので、そこは明
確に書いておいた方がいいと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
○山添委員 私も代謝物Bを入れる方がいいと思うのは、食品安全委員会の評価書の1-18に、
この植物体の主要代謝物をラットに投与した実験のデータが表10で出ています。そのときにもと
もとのグルホシネートと違って、代謝物は経口吸収がすごくいいんです。もとの物質は経口吸収
がすごく悪い。だけれども、代謝物になってしまうと吸収がすごくいいというデータがあるので、
植物体から入る可能性があるので、これを入れておいた方がいいと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。その遺伝子組換え作物に特有のものというところで気に
なっていたのが、測定するときにいつも事前に遺伝子組み換え作物か否かについてチェックをし
た後、分析対象物質として定められた物の残留を測るということだと、そういうふうな手続がい
つも取られるのかどうかが気になったんです。その辺はこういう規定を作って、実効性があるか
どうかということですけれども、それは大丈夫でしょうか。
○加藤委員 分析の際にN-アセチル化をして、それで測っています。それ遺伝子組換え体かどう
かを問わずです。ですから、なければ測れないし、たまたまその作物が遺伝子組換え体であれば、
検出されるという性質のものです。ですから、今の工程表を取っている限りは、完全にカバーさ
れているという意味です。
○大野部会長 今の工程表だとZを含めて、どの作物でも測ってしまうということですか。
○加藤委員 そうです。遺伝子組換え体でなければ測定されないというだけの話です。
○大野部会長 分かりました。この表現で問題はないですか。見ていただいて、問題がなければ、
それでよろしいのですけれども。
○加藤委員 表現があまりはっきりしないですね。今、先生がおっしゃったように、遺伝子組換
え作物であるかどうかを確認した上で、そのものであれば測るというような読み方もできますの
で、工夫をする必要があるかもしれません。
○大野部会長 では、さっきの松田先生の御意見と今の御意見もございますので、この規制対象
物質の文案については更に考えていただくとして、内容としてはこういった方向でよろしいでし
ょうか。
○山添委員 結局同じものになってしまいますね。
○大野部会長 では、分析対象物質についての考え方はこれということで、お認めいただけます
でしょうか。
 それでは、次に安全性の面ですけれども、鰐渕先生、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 先ほどの話にも戻るんですけれども、グルホシネートPの方のピュリティーが問題
になると思うんですが、初めのグルホシネートの毒性の強さと、このPだけをやった毒性に関し
ては、部会長が言われたように、大体倍くらいのデータの差があるので、グルホシネートPの方
はかなりL体だけなのではないかと考えられるんですけれども、詳しいデータが欲しいところで
はあります。
○大野部会長 毒性学的にPとラセミとで違う結果が出てくるとか、そういうことは気が付かな
かったんですけれども、それでよろしいですか。
○鰐渕委員 はい。ほとんどがL体の方のデータに基づくものだろうということでいいと思いま
す。
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、分析法、分析結果、基準値についての御意見を伺いたいと思います。いかがでしょ
うか。特にございませんか。佐々木先生、お願いします。
○佐々木委員 これは基準値そのものはアンモニウム塩としての値なんでしょうか。
○事務局 はい。アンモニウム塩としての値です。
○佐々木委員 そうしますと、Pを使ったとしても、アンモニウム塩に換算して基準値を見るとい
うことでしょうか。
○大野部会長 10ページのところでは、グルホシネート、ラセミについてはアンモニウム塩に換
算した濃度を示して、PについてはグルホシネートPに換算した濃度を示すとなっていますね。
○加藤委員 これは最終的にキラルカラムを使って分析するかどうかだと思いますけれども、そ
んなことは到底やるはずはなくて、通常のラセミ体として測ることになると思いますので、今の
問題はどちらにしても同じことではないでしょうか。グルホシネートアンモニウム塩として測定
するということで書いてあると考えています。そういうことになるのではないですか。
○大野部会長 基準値として、どこかにアンモニウム塩としてと書かなくてよろしいですか。こ
の答申の残留基準値のところですね。それは明記してあればよろしいと思います。
○松田委員 一番最初に書いてあることから見ると、グルホシネートというのはアンモニウム塩
のことなんですね。作残試験のグルホシネートPというのは、Pはナトリウム塩のことなんですか。
○加藤委員 グルホシネートは何を指すか。国内の農薬取締法においてはアンモニウム塩。従来
の厚労省の残留基準値もアンモニウム塩として、いろいろな規制をしてきた。一方、コーデック
ス、アメリカ、オーストラリア。ヨーロッパは確認していませんけれども、そこはすべて酸とし
てグルホシネートと読んでいる。ISOもそう読んでいるという状況の中で、両方が入り込んで、か
つグルホシネートPも入っているということで非常に複雑になっているんですけれども、それで
混乱しないようにISOを取らないとまずいのではないかと思います。
 あとの文章の化学名のところはISO名での呼び方、アンモニウムを入れるということで、数値
等が入っているところは何として測っているのかということが分かるような表現に修正していた
だいたら。
○大野部会長 最終的な29ページの答申(案)のところも、そこを明記しないといけないですね。
特に今まではよかったけれども、このPが入ってきた以上、アンモニウム塩として換算するとい
うことですね。では、そういうふうに答申(案)を追加してくださるようお願いいたします。
○事務局 修正します。
○大野部会長 他に御意見はございますでしょうか。全体を見渡してみて、御意見はございます
でしょうか。
 それでは、PのL体としての含量について、データは分かりましたか。
○事務局 含有量につきましては、後日メールで先生方にお送りして、もし問題がなければ、こ
のまま通していただくという御判断でいかがでしょうか。
○大野部会長 いかがでしょうか。大部分がL体だということだからよろしいかと思いますけれ
ども、そういうことでなければ、また見直していただかないといけないかもしれません。
 大部分がグルホシネートPについてはL体であることが確認できればということで、そういう
場合には、今日の報告書は若干修正がございましたけれども、これをこの部会の報告とさせてい
ただいてよろしいでしょうか。もしかなりの部分が他のものが混じっているという場合には御審
議いただくということで、この部会としての結論でよろしいでしょうか。
○斉藤委員 そのときには、この文言の選択的というは削除して、そこには別の言葉が入ると理
解してよろしいでしょうか。それとも文言はこのままで、ただ単にこうでしたというメールで各
委員に案内が来るというだけで了承を取るということでしょうか。
○大野部会長 何%であるかということについて書くということですか。
○斉藤委員 ここの表現は非常にファジーだと思うので、あいまいだと思うので、ここは変えた
方がいいと私は考えています。
○事務局 はっきり何%と記載できるようでしたら、記載を直しまして、先生方に御覧いただけ
ればと思っております。
○大野部会長 それでは、これについては先生方に表現を確認していただくということにしたい
と思います。若干の修正がございまして、それについて確認していただくという条件で、もしこ
れがグルホシネートPについては大部分がL体であるということが確認された場合には、修正を
確認した上で、この部会の報告としてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。では、そういうことにさせていただきたいと思います。
もしそうでない場合には、また御審議いただくということにいたします。
 それでは、先ほどの品目について、何かありますでしょうか。
○事務局 塩酸ホルメタネートでございますけれども、調べましたところ、個別試験法、一斉分
析法ともに公定法はございませんでした。ですので、大使館経由で試験方法を確認いたしまして、
確認できましたら後日御審議をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございます。そういうことでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
 それでは、今日の予定した審議品目については、先生方に御審議していただいたところです。
今日の審議結果についての食品衛生分科会での取扱いについて、事務局から説明をお願いいたし
ます。
○事務局 本年3月3日に了承されました食品衛生分科会における確認事項に基づきまして、本
日の部会で御審議いただいた品目のうち、塩酸ホルメタネートを除きます農薬5剤、動物用医薬
品4剤の食品衛生分科会での審議又は報告の取扱い案につきましては、僭越ながら事務局より原
案を用意させていただきました。
 机上配付させていただいております資料を御覧ください。動物用医薬品クロルスロン、農薬ゾ
キサミド、アジンホスメチル、エトフェンプロックス及びグルホシネートにつきましては、いず
れも暫定基準等の既に設定されている残留基準の一部改正で区分4又は5に該当しないことから、
区分3として分科会での取扱いは「報告」でいかがでしょうか。いずれも「ただし、その用途、
毒性等からみて慎重に審議する必要がある」ということではないと思われます。
 また、動物用医薬品エンロフロキサシン及び農薬シアゾファミドにつきましては、いずれも食
品安全委員会での評価の結果に変更がないことから、区分4として分科会での取扱いは「文書配
布による報告」でいかがでしょうか。いずれも「ただし、その用途、毒性等からみて慎重に審議
する必要がある」ということではないと思われます。
 動物用医薬品牛クロストリジウム感染症5種混合(アジュバント加)トキソイド及び鶏コクシ
ジウム感染症(ネカトリックス)生ワクチンにつきましては、いずれも食品安全委員会の食品健
康影響評価の結果から、食品中の残留基準は設定しないこととすることから、区分5として分科
会での取り扱いは「文書配布による報告」でいかがでしょうか。
○大野部会長 ありがとうございます。グルホシネートについてはL体が大部分であるというこ
とが確認できて、更に審議する必要がないということになった場合の扱いになると思います。
 こういう扱いで行きたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。それについては分科会長
の承認を得なくてはいけないということもありますので、そういう案で分科会長に報告させてい
ただいて、承認を得たいと思います。
 それでは、今後の手続について、説明をお願いいたします。
○事務局 本日御審議いただきました品目のうち、塩酸ホルメタネートを除きます農薬5剤、動
物用医薬品4剤につきましては、食品安全委員会からの通知を受けておりますので、一部の品目
につきましては修正した上で御確認をいただく等の条件がございますけれども、修正した上で部
会報告書とさせていただきたいと存じます。
 なお、今後の手続でございますけれども、動物用医薬品クロルスロン、農薬ゾキサミド、シア
ゾファミド、アジンホスメチル、エトフェンプロックス、グルホシネートにつきましては、パブ
リック・コメント、WTO通報、消費者庁協議等の必要な手続を進める予定としております。
 また、残留基準値を変更しないことと御審議いただきました動物用医薬品エンロフロキサシン
並びに残留基準を設定しないこととされました動物用医薬品のワクチン2剤につきましては、本
日の議決をもちまして、審議会の答申とする方向で手続を進めさせていただきたいと考えており
ます。
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、他に議事はございますでしょうか。山内先生、どうぞ。
○山内委員 基本的な剤の取扱いは今、確認いただいたところでいいのですけれども、今日あま
り大きな問題ではないと思いますが、インポートトレランスから基準値を設定するときに1.0と
いうものはやめるということで、この点は今後の基準値設定に適用しなければならない基本的な
考え方の変更だと考えます。このように、今回あらためて整理をした件については、部会として、
一つの案件として報告をし確認する形で取り扱った方がいいように思います。いかがでしょうか。
○大野部会長 そうですね。そういった形できちんと議事に残しておいた方がいいのではないか
と思います。昔みたいな議事録の簡単なメモだと、そこだけきちんと書かれるので残るのですが、
今みたいに何十ページにもわたるような議事録だと、その中にちょっと載っているだけだと分か
りにくいです。
○山内委員 今日の審議もですけれども、この部会の報告を分科会にかけるときにも、部会でこ
のように考え方を整理したと報告をした方がよいと思います。分科会のどこで報告したらよいで
しょうか。
○大野部会長 部会の運営の基本的なところを変えたということですので、それは分科会に報告
してしかるべきかと思いますけれども、それをどこかのところで私から何か発言があるかと聞い
ていただいて、それで発言させてもよろしいかと思います。
○事務局 では、後ほど部会長と御相談させていただきまして、何らかの形で分科会に説明する
場を設けさせていただければと思っております。
○大野部会長 ありがとうございました。加藤先生、お願いします。
○加藤委員 今回、審議の中では全く触れなかったのですけれども、エトフェンプロックスの魚
の基準値を設定する際の魚の摂取量の数値も、以前よりは多少なりとも実態に近づいたというか、
そこのところの数字をこれからも当然使っていくことになるだろうと思うのですけれども、それ
についても何かで記録で残しておいていただけると、これから後にまた数字がずれたりしてトラ
ブルが起きないと思いますので、お願いしたいと思います。
○大野部会長 そこの点は気が付かなかったですけれども、魚の摂取量が今までと変わったので
すか。
○加藤委員 従来、魚類の摂取量については、サケ、マス、マグロまでが農薬の影響を直接受け
て蓄積する可能性があるということでの摂食量、魚介類全体での摂取量94gだったと思いますけ
れども、その数字を使って暴露量を評価していたのですが、実際に農薬の影響を直接受けるのは
内水域の魚介類に限定されますので、その内水域の魚介類がどれくらいの量なのか。生産量で行
けば全体の2%だという数字はありますけれども、生産量ではなく実際の人による消費量でデータ
ベースを使いまして、その数値にしたというのが一つ。
 具体的に使いましたデータベースは、前回の部会で報告であった一日摂取量の調査のときに使
用された国民栄養調査に基づく全国での平均、かつ大人での食品の一日摂取量、確か20グループ
くらいに食品が分かれていたと思いますけれども、その中のXというグループのその他の魚類と
その次の分類の魚介類。その2つの分類に入っているもの全部を内水面の魚介類ということで出
しています。
 今、言いましたその他の魚類ですけれども、これは最初に申し上げたように、この中にはいろ
いろな魚が入っています。アユとかウナギだけではなくて、ブリ、ハマチ、フグ、トラフグ、マ
ナガツオとか、べらぼうにいろいろな種類の魚が入っていますので、大過剰の評価をした本当に
保守的な評価です。貝についてもこの中にはカキも入っていますので、過大評価になっています。
そういう消費量のデータが一つ。
 もう一つ、沖合漁業のもの、マグロなどのようなものについては、POPs農薬の蓄積はあるかも
しれませんけれども、通常の今、使われている農薬の汚染は到底想定できませんので、これは除
いて、その中間にあるものは内湾に入った場合、河川中の濃度が5分の1以下に希釈されるとい
うデータが環境省の方で出ています。
 その情報をつかみまして、その分類に入るもの。これも非常に多めに、暴露されないという部
分、間違いなくそういうものだけに限定して、それを過小評価する形で内湾の部分をある面で摂
取量を過大評価する格好で整理をいたしました。その結果、最終的に濃度に換算し直した場合、
これまで従来使っていました魚中の推定残留量の0.32倍くらいの数値になるという計算結果が
出ていましたので、その数字をこれから魚の摂取量なり魚中の推定濃度からの換算値ということ
で使っていくということになるかと思いますので、御了承いただくことをお願いしたいと思いま
す。
○大野部会長 ありがとうございます。佐々木先生、お願いします。
○佐々木委員 エトフェンプロックスの報告書の29ページの脚注に、下から2行目に今、加藤先
生がおっしゃったことを書き加えていただいたのですけれども、これは読んでも知らない人には
意味が分からなくて、魚介類の濃度の算出は報告書を参照できるようになっているので詳しい内
容が分かるのですけれども、これは全然どこも参照するところもないし、これ以上は詳しく分か
らないので、一応書いてはいただいていますが、どこかに参照できるものを作っておいた方がい
いのではないかと思いました。
○事務局 魚介類のEDIの計算方法につきまして、今、先生に御説明いただいたように考えて今
回の暴露量評価を行っているわけですけれども、それにつきまして一枚紙を作成いたしまして、
先生方に御覧いただくようにお配りをしたいと思っておりますが、それでよろしいでしょうか。
○佐々木委員 我々はいただいたメールで内容は一応把握していたんですけれども、対外的には
何も説明がないので分からないかなと思いました。
○山添委員 その変更点を次回の議題の項目に上げていただければいいと思います。
○大野部会長 それでよろしいですか。
○事務局 では、次回に議題として挙げさせていただきまして、御報告させていただきたいと思
います。
○大野部会長 その辺については吉池先生の摂取量調査の結果も関係してきますので、チェック
してくださるようにお願いいたします。
 山内先生、どうぞ。
○山内委員 今のことに関連して、佐々木先生が発言されている趣旨は、部会での確認は勿論OK
ですし議事録に残すというのもOKですが、部会報告書の該当の表の欄外に、以下参照というよう
な形でホームページのアドレスなどを書いていただくのはいかがかということだとおもいます。
これからも魚介類の基準値試算はあると思いますが、その考え方について、興味がある方は参照
できるようにしたらよいのではということです。例えば、厚生労働省のホームページのどこかに、
農薬等の残留基準値の策定方法に関連する資料を掲載できるところを作り、そこに行けば、今、
説明いただいた内容を見たい人は分かるという形になっているのが、公開性もあり一番良いので
はと思います。ぜひ御検討ください。
○事務局 では、次回までに検討をさせていただきたいと思います。
○大野部会長 よろしくお願いいたします。
 それでは、特に御意見はございませんようですので、これで今日の部会は終了させていただき
たいと思います。
 次回の予定をお願いいたします。
○事務局 次回でございますけれども、10月22日金曜日の午後を予定させていただいております。
後日、各先生方の日程につきまして御確認させていただくとともに、詳細につきましては追って
御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 他にございますか。よろしいですか。
○事務局 特にございません。
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、時間が過ぎて申し訳ございませんでした。次回は10月22日です。
 以上をもちまして、本日の部会を終了させていただきます。御議論をいろいろとありがとうご
ざいました。


(了)
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医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係、乳肉水産基準係
(03-5253-1111 内線4281,2487,2489)

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