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2010年8月19日 独立行政法人評価委員会労働部会(第62回)議事録

○日時

平成22年8月19日(木)14:00~17:00


○場所

経済産業省別館1014会議室


○出席者

   井原部会長、篠原部会長代理、堺委員、今村委員、寺山委員、宮本委員、小畑委員、本寺委員、松田委員、川端委員


○議事

(以下、議事録)
 
○井原部会長
 定刻となりましたので、独立行政法人評価委員会労働部会(第62回)を開催いたします。委員の皆様お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
本日は、中村委員がご欠席となっています。はじめに、事務局から本日の議事についての説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 ご説明を申し上げる前に、7月30日に異動がありましたので、新政策評価官の篠原からご挨拶申し上げます。

○政策評価官
 7月30日付けで政策評価官を拝命しました篠原です。よろしくお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 続いて、本日の議事をご紹介させていただきます。本日は勤労者退職金共済機構関係、労働者健康福祉機構関係、高齢・障害者雇用支援機構関係、3法人ですが、法人ごとに平成21年度財務諸表に関する意見について、次に業務実績に関する総合評価を行います。このほか、役員退職に係る業績勘案率の決定や役員給与規程の変更の審議等があります。これに伴って、部会の途中で法人及び所管課の入れ替えがあります。
 続いて、3法人に共通する審議案件の進め方についてもう少し詳細にご説明いたします。
 財務諸表に関する意見についてご説明いたします。各法人の財務諸表については、独立行政法人通則法第38条に基づいて、独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で、厚生労働大臣が承認をすることとされています。評価委員会としての意見(案)ですが、担当の委員であります篠原部会長代理からご発言をいただいて、それを踏まえてご審議いただきます。なお、労働者健康福祉機構については、意見案に代えて、別途、篠原部会長代理からご発議があります。
 続いて、平成21年度業務実績についてご説明いたします。前回までに評価いただきました個別評価の結果に基づいて、起草委員において起草していただいた総合評価(案)についてご審議いただきます。なお、各委員のお手元には、ご記入いただいた評定記入用紙の原本と、各委員の評定結果の一覧表を置いております。また、個別評価における評定結果については、本日の審議等を踏まえて修正が可能です。後ほど評定を修正・確定させる時間を設けておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、本日の議題と直接の関係はありませんが、お手元に参考資料として、「独立行政法人評価委員会における『独立行政法人の役員の報酬等及び職員の給与水準』の活用について」というものをお配りしています。これは、昨年度も同様に送付がありましたが、評価に際しての参考となるよう、総務省行政管理局から各府省の独立行政法人評価委員会あてに送付があったものです。独法の役職員の給与等の水準をまとめた資料となっています。これについては、当部会においても、前回までにご審議いただいた中で、法人から特にラスパイレス指数についてご説明させていただいているところです。特にご留意いただきたいのは、3枚めくっていただくと、参考資料の6頁目に「資料1、職員の給与水準」があります。右の欄を見ていただければと思います。「対国家公務員指数」という欄がありまして、2つありますが、「年齢勘案」、「年齢・地域・学歴勘案」の数値を書いてある欄があります。平成20年度と平成21年度を比較した数値等が整理してあります。総務省においてすべての独立行政法人について一斉に整理したものになっています。ご参考にしていただければと思います。議事については以上です。

○井原部会長
 ありがとうございました。それでは、議事に入ります。初めに、「勤労者退職金共済機構」に関する審議をいたします。最初に「財務諸表に関する意見」について審議に入ります。篠原部会長代理からご説明をお願いいたします。

○篠原部会長代理
 財務に関する大臣への意見具申ということで意見書をまとめましたので、審議をお願いします。これは、井原委員長から大臣に提出するものです。「独立行政法人勤労者退職金共済機構の平成21年度に係る独立行政法人通則法第38条第1項に規定する財務諸表について、同条第3項の規定に基づく独立行政法人評価委員会の意見は、下記のとおりである」ということで、本文は、「平成22年6月30日付け勤退共発第34号による承認申請のあった通則法第38条第1項に規定する財務諸表については、承認することが適当である」ということで提案しました。ちょっと簡単に説明させていただきます。昨年度から、やっぱり7月以降に私どもがいろいろとしてもなかなか直らないということで、5月、6月あたりに前もってお互いに意見を調整するということで、かなりスムーズにいっていると思います。ここの評価の視点としては、やはり評価に役立つ財務諸表、より分かりやすい財務諸表という観点から私どもは見させていただいているのですが、昨年、今年とだいぶ、いろいろな意味で変えていただいたので、徐々に分かりやすくなってきたかなという評価をさせていただいています。情報自体の信頼性は、会計監査人に依拠しながら、全体的には承認することが適当であるということで行われました。

○井原部会長
 ありがとうございました。ただいまご報告いただきました勤退機構の財務諸表について、ご意見等がありましたらお伺いしたいと思います。よろしいでしょうか。それでは、「平成21年度財務諸表に対する意見」としては、この資料1-1の案のとおりで、修正意見はないようですので、これを取りまとめ、厚生労働大臣に提出したいと思います。よろしいでしょうか。
(各委員了承)

○井原部会長
 それでは、そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。
 次に、「勤退機構の総合評価」についての審議に入ります。起草委員の代表として今村委員からご報告をお願いいたします。なお、ご報告時間を概ね10分程度でお願いいたします。

○今村委員
 「勤労者退職金共済機構の平成21年度業務実績の評価概要」を申し上げます。1-(2)の平成21年度の業務実績全般の評価です。機構は、中小企業の相互扶助の精神に基づき、その拠出による退職金共済制度を確立し、もって中小企業の従業員福祉の増進と中小企業の振興に寄与することを目的とする中小企業退職金共済制度の運営主体として設立されたものであることから、その設立目的に照らし、業務の効率化及び質の向上により得られた成果が、「確実な退職金支給」及び「退職金制度への着実な加入」にどの程度寄与するかという視点が評価の中心となります。
 平成21年度の業務実績については、全体としては機構の目的である「確実な退職金支給」及び「退職金制度への着実な加入」に資するものであり、適正に業務を実施したと評価できますが、以下の点に留意する必要があります。
 ?@、制度が長期的に安定したものとなり、事業主が安心して加入できるものとなるためには、累積欠損金を解消することが重要であり、引き続き「累積欠損金解消計画」を踏まえ、今後の市場の推移の中で着実に解消を図ることが重要です。?A、加入促進については、制度の安定的な運営のため、第2期中期計画の達成に向けて平成22年度以降もさらに効果的な取組が求められます。特に、2年続けて加入者が目標に達しなかった清酒製造業退職金共済事業については、その産業における事業活動の低迷等業界固有の問題はあるものの、より一層の効果的かつ効率的な取組が求められます。?B、中小企業退職金共済事業における退職金未請求者、特定業種退職金共済事業における共済手帳の長期未更新者に対しては、引き続き被共済者への直接の要請等を実施することにより、より一層の縮減を図ることも求められます。?C、管理部門のスリム化や、各共済事業それぞれの資産を区分して管理することを前提とした効率的かつ柔軟な資産運用対制の構築など、更なる効率化に努めることが求められます。
 以下、具体的な評価へ移ります。2の「具体的内容」です。3頁です。(1)、「業務運営の効率化に関する措置について」です。?@、「効率的な業務実施体制の確立」に関しては、各事業個別会計を前提とした制約の中で共通化できる部分はできるだけ共有し、各会計の独立性を確保しながら効率化するための検討を踏まえるなどの努力が認められます。?A、「中期計画の定期的な進行管理」に関しては、役員等で構成する業務推進委員会において、事業の進捗状況を定期的に把握し、年度計画の検証を行ったこと、また、加入促進対策委員会において加入促進対策の遂行状況の審議・検討を行い、これを踏まえて積極的な加入勧奨を行うための努力が認められます。?B、「内部統制の強化」についてです。業務推進委員会を定期的に開催し、更なる検討を行うとともに、新たに「コンプライアンス推進委員会」や「契約監視委員会」を設置したことは評価できます。機構は、中小企業者の拠出による掛金を運用し、従業員に対する確実な退職金支給を行うことが主な業務であることから、特に業務活動における法令遵守の確保が重要であると考えられるところであり、今後コンプライアンス推進委員会における具体的な方策についての検討が求められます。?C、「業務運営の効率化に伴う経費節減」については、業務運営全体を通じて経費節減に向けたさまざまな取組を実施した結果、削減対象経費については、基準額に対して17.5%削減することができ、さらに超過勤務の削減を行ったこと等により、人件費等についても大幅な削減を達成したことも評価できます。また、随意契約の見直しについては、「随意契約見直し計画」に沿った競争性のある契約への移行が行われていること、監事や会計監査人による監査に加え、契約監視委員会による審査を受けていることは評価できます。
 (2)、「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置について」です。?@、「確実な退職金支給のための取組」として、中退共事業における退職金未請求に対する取組については、「加入通知書」や「加入状況のお知らせ」の発行により、被共済者の意識を高める取組を行ったほか、退職後3か月経過しても退職金請求がない者がいる事業所に対して請求を促す取組と、新たな未請求者の発生を防止する取組を行った結果として、未請求率を着実に改善している点については評価できます。
 また中退共事業におけるこれまでに累積した退職金未請求者に対する取組として、未請求者のいる事業所に対して未請求者の住所等の情報提供を依頼し、入手した情報に基づき被共済者に対して請求手続きを要請していますが、平成21年度事業計画において、対象としていた事業所以外も一部対象を拡大して取組を行った点については評価できます。
 また建設業退職金共済事業ですが、共済手帳の長期未更新者発生防止等に関する取組としては、加入通知書の発行による長期未更新の発生防止や既加入者に対する長期未更新調査による長期未更新者縮減に向けた取組が行われており、着実に成果に結びついていると認められます。また、共済証紙の適正な貼付に向けた取組については、手帳更新の手続きを行っていない共済契約者に対する取組を引き続き実施しており、共済証紙の販売額の累計と貼付確認額の累計との差額が減少する等中期計画の達成に向けて一定の効果があったものと考えられますが、今後更なる取組の充実を期待いたします。
 清退共事業及び林退共事業についても、建退共事業と同様の取組を進める等、対策の強化を行っている点は評価できます。なお、更なる対策を構じるために、住基ネットを活用した住所把握の実施等の方策についても検討を進めることを期待いたします。
 ?A、「サービスの向上」として、加入者が行う諸手続や提出書類の合理化を図るとともに、機構内の事務処理の簡素化・迅速化を図る観点から、諸手続及び事務処理の再点検を行い、電話交換業務と電話相談業務の統合に向けて検討・準備を行う等の改善を行うなどの努力が認められます。?B、「加入促進対策の効果的実施」については、中退共事業については、パンフレット等による周知広報、個別企業訪問の実施、各種会議等における加入勧奨、適格退職年金からの移行に係る説明会の実施等、加入促進に向けた積極的な努力により、加入者数の目標達成率が101.0%と加入目標を上回る結果となったほか、建退共事業及び林退共事業についても各種の取組により加入者数の目標達成率が、建退共事110 .6%、林退共事業120.8%とそれぞれ加入目標を上回る結果となっております。一方、清退共事業については、酒の嗜好の変化等を背景とした製造量の減少等、業界を取り巻く厳しい環境もあり、96.9%と加入実績は目標に達しておりません。今後は、各事業の特性に応じて効果的・効率的な加入促進対策を行うことを期待いたします。
 (3)、「財務内容の改善」についてです。?@、「累積欠損金の処理」については、機構は、「累積欠損金解消計画」に基づき、累積欠損金の解消に当たっての具体的な解消年限、中期計画期間中の解消目標額及び年度ごとに解消すべき累積欠損金の額としての目安額を設定しているところです。累積欠損金の処理については、中退共事業においては平成20年度末時点の3,493億円を、平成21年度末時点では1,957億円に、林退共事業においては平成20年度末時点の14.95億円を21年度末時点では14.01億円に減少することができた点は評価できます。引き続き、累積欠損金解消計画を踏まえ、資産運用については安全かつ効率的な運用を基本としつつ、着実な解消に努めることが求められます。?A、「健全な資産運用等」については、第三者による外部評価を反映しつつ、資産運用の目標、基本ポートフォリオ等を定めた「資産運用の基本方針」に基づき安全かつ効率的運用を基本として実施されています。委託運用(金銭信託)では、運用環境が金融危機後の世界主要各国の積極的金融・財政政策発動の効果による信用不安の沈静化と景気回復に向かう動きを受け、内外株式市場が堅調に推移したこともあり、大幅な収益が確保されています。また、運用のパフォーマンスについては、概ねベンチマークとほぼ同等のパフォーマンスが達成されたと認められます。
 (4)、7頁目ですが、「その他業務運用に関する措置について」は、退職金機構ビル及び同別館については、現在地に所在することの必要性や移転の可能性等について、外部有識者からなる「退職金機構ビルのあり方に関する検討会」において議論を行い、建物の耐用年数が経過した時点、それ以前であっても売却・移転が合理的になればその時点で土地を売却、移転することとする報告書を取りまとめており、概ね中期計画に沿った業務運用を行っていると認められます。
 (5)、「評価委員会が特に厳正に評価する事項及び政・独委の評価の視点等への対応について」です。?@、「財務状況について」は、結果として委託運用(金銭信託)で内外株式市場が堅調に推移したこともあり、大幅な収益が確保されています。その他、2(3)で評価したとおりです。
 ?A、「保有資産の管理・運用等について」は、退職金機構ビル及び同別館については、上記2の(4)で評価したとおりですが、松戸宿舎及び越谷宿舎については、宿舎を廃止することを決定し、平成21年度末において入居者すべての退去の確認を行う等、国の資産債務改革の趣旨を踏まえた措置が講ぜられているところです。
 ?B、「組織体制・人件費管理」については、平成21年度における給与水準の検証については、対国家公務員指数は年齢・地域勘案指数で97.3、年齢・地域・学歴勘案指数は98.8です。類似の業務を行っている民間事業者である保険・金融業との比較では93.3となっており、適切な水準と評価します。また、国家公務員再就職者のポストの見直しについても、役員ポストについて閣議決定を踏まえ、改選を迎える4ポストすべてについて公募を実施した結果、国家公務員再就職者1名を含む4名を任命することとするなど、適切な措置がなされていると評価できます。
 ?C、「事業費の冗費の点検について」ですが、電気料金に関する契約を見直し、一般電気事業者(既存の電力会社)及び特定規模電気事業者(民間事業者)の参加による一般競争入札を実施する等、冗費の削減について適切に取り組んでいるものと評価します。今後は、加入促進に係るポスター・パンフレット等について、必要部数の再検証を行う等の更なる冗費の削減に取り組むことを期待いたします。
 ?D、「契約について」は、「随意契約見直し計画」に基づく取組を着実に実施するとともに、随意契約によらざるを得ないものとしていた契約について点検・見直しを行い、企画競争5件、公募2件、一般競争2件を実施した点や、平成22年4月の契約に向けて点検・見直しを行い、企画競争8件、公募1件、一般競争6件を実施した点は評価できます。その他、上記の2(1)?Cで評価したとおりです。
 ?E、「内部討制について」ですが、統制環境の確保に向け理事長を委員長とした「コンプライアンス推進委員会」を設置したことは評価できます。今後は、機構のコンプライアンスに関する推進体制について具体的な検討を進めていくことを期待いたします。また、退職金共済業務を取り扱う法人特有のリスクとして、なりすまし等による退職金の詐取や、市場の変動に伴う運用リスク等が考えられますが、これについては、それぞれ対応マニュアルを作成の上、チェック項目を複数設けて複数の者によるチェックを行う、及び基本フォートフォリオの構築等について外部の専門家から助言を受けるとか、資産運用の実績について、外部の専門家に評価を受ける等の対応が図られており、評価いたします。
 ?F、「事務事業の見直し等について」です。平成21年秋に行われた行政刷新会議の事業を踏まえ、加入促進・相談業務について大都市やその周辺に事務を集約化するなど、組織のスリム化についても今後実施していくこととしている点は評価できます。
 ?G、「法人の監事との連携状況について」は、当委員会では評価の実施に当たり、監事の監査報告書の提出並びに監事監査の実施状況及び業務運営上の検討点について説明を受け、評価を行っております。
 ?H、「国民からの意見募集について」です。当委員会では、評価の実施に当たり、平成22年7月8日から同8月6日までの間、法人の業務報告書等に対する国民からの意見募集を行いましたが、意見は寄せられませんでした。以上が退職金共済機構の平成21年度業務実績の評価概要です。

○井原部会長
 ただいまのご報告いただいた総合評価書について、ご意見等がありましたらお願いします。

○松田委員
 いまの説明で、3頁の上段の?A清酒製造業退職金共済事業は2年間達しなかったと、それについて「より一層の効果的かつ効率的」と、この意味がわからない。2年間も達しなかったのですから、ここをもしも私が書くのであれば「より重点的な取組を求める」と、そうしなくてはおかしいです。2年間も行かなかったのに、なぜまた「効果的」「効率的」、この文章はちょっとおかしいです。私だったら「より重点的な取組が求められる」と、そう直したほうがいいのではないかと、そう思うわけです。

○今村委員
 これを簡単に説明申し上げますと、その上にも、あとの別の所にも書いてありますが、清酒業自体が非常に低迷している業種であり、目標の設定の仕方自体もかなり無理があったとも思われます。ただ、そうはいっても目標は達成してないわけですから、その点は重々承知の上で評価しなければいけません。ただ、ほかの部門等を見ますと「効率的かつ効果的な取組」と若干強目には表現を付けてはあるのですが、情状酌量というわけではありませんが、その業界の状況はそういうことであるからということと、資金的な量に関しても全体の4業種の中では相対的に大きいものではありませんので、あまり強い表現は取っていないということです。

○松田委員
 いや、それはちょっとおかしいと思います。

○今村委員
 委員会で特に清酒事業についてもっとテコ入れしろということであれば、そういう表現を入れるということも、もちろん皆さんのご意見を聞いた上で対応はします。

○本寺委員
 投資対効果もあるのではないですか。

○今村委員
 基本的には機構の努力をどこに注ぐかというそういうことです。

○本寺委員
 限られた人数しかいない産業に、本当は大元の所で中退共のほうではないですか。そちらに振り向けている10人をこちらに振り向けるというのは、逆に投資を取った対効果が落ちるから、それを考えれば一層こういう表現のほうが妥当ではないかとは思うのですが。

○松田委員
 これは人数がどうあろうとも2年間も目標を達成していないのですよ。

○篠原部会長代理
 ここの業界はたしか最初3,000件ぐらい、いま1,500、半減してしまっていますよね。だから、その辺の勘案指数か何かを入れてくれるか。業界が明らかに停留状態になったかという気もしないでもないのだけれども、確かに急激に減ったはずですよね。その辺をうまく入れれば何とかなるかと。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 若干、補足しますと、先ほどお話が出ましたように、清酒製造業は非常に業態が苦しい状況の中で、委員ご指摘のとおり2年間続けて目標数を達成することができなかったということについては私どもも非常に厳しく捉えているところです。私どもとしては、免許を持っておられる事業については、ほぼ100%加入している実態ですので、あとは確実に新規に入職なさった方については、皆さん追加加入という形で入っていただけるよう、その時期を捉えまして各加盟しておられる事業主の方に対して、いろいろ郵送等でお願いをするなどをしているところですが、今後、さらに目標を達成すべく一層力を入れてやってまいりたいと思っているところです。

○篠原部会長代理
 私は清酒業界というのですか、酒のあれは株式会社化しているところもあると聞いたのですが、その辺の実態を掴んでいる。株式会社だと別の制度に入ってしまうかという気もするのですが。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 具体的に数字はいま持っていないのですが、それぞれ地方、地方の造酒屋はいま厳しい状況であるとは聞いています。

○今村委員
 駄目、駄目と言っても一方的なので、これはあくまでも私が個人的にヒアリングした結果ですが、清酒業界も全く手をこまねいているわけではなくて、例えば杜氏さんがいらっしゃいますが、あれは冬の季節的な労働者なので、その人たちに夏は米を作っていただいて、常用、通年して雇用する、そういう体制をしたりとか、だいぶ清酒業界でも構造的に努力はしておられるようです。だから、ここの表現はそういった努力も見守りながら、ただ本寺委員がおっしゃったようにこれはほぼ全体の評価ですので、そういう意味では投資効果を考えてこのぐらいの努力をしながら、なおかつ業界の自己努力も併せて見ていこうと、そういう意味で「効率的かつ効果的」と、そういう表現を入れました。

○松田委員
 ちょっと評価が甘過ぎると思います。

○井原部会長
 議論を整理しましょう。結局、2年間続けて目標を達成しなかったということは、これは環境が非常に厳しかったと。目標を設定したときの環境よりもさらに悪くなったという話です。それが前提になっているわけです。そうですね。

○今村委員
 環境が悪くなったというよりも、環境が落ち込んだ上に業界自体がフルに加入した状態でありながらこれ以上という。だから、加入の余地が非常に少ないという実態を踏まえてこういう表現にしているということです。

○井原部会長
 もともと加入率が高いということですね。

○今村委員
 高いのです。その上に全体で雇用が減少しているので。

○井原部会長
 高いのに全体的にこうなってしまったから、要するに目標は達成できないのは、算数の問題だったのですね。

○今村委員
 そうです、残念ながら。つまり、中期計画で設定した予想よりもはるかに減少率が厳しいということが主に。だから、そういうことを次の中期目標でどうやるかということは課題がありますが、現状ではかなり厳しいのではないかという想定です。

○井原部会長
 だから、環境がそうなってしまって、それで論理的にはそうだと思うのです。もし表現を変えるのだったら、素直にいまの話を入れれば、それで済む気もするのですが。要するに、どこかに環境が悪化しているという話がありましたよね。書いてありましたよね。

○今村委員
 あまり冗長に書いてはいけないという事情もあり、「その産業における事業活動の低迷等業界固有の問題はあるものの」と書いてあります。

○井原部会長
 だから、このままにしておくか、それとも目標設定が環境の悪化を盛り込めなかったという話ですね。「今後、慎重な目標設定が求められる」という表現。だから、2年間続けて目標を達成できなかったということは、その前に設定した目標が高過ぎたという話ですよ。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 そうです。中期計画を作成する際に第1期中期計画中の実績と、毎年少しずつ厳しい状況に減ってきていますので、その低減率も見ていたわけですが、当初、計画作成時に比べてなおかつ清酒業界の状況が厳しかったということではないかと思っています。

○井原部会長
 松田委員、ここはいかがですか。具体的にそういう話だと思うのです。

○松田委員
 ですから、私が言ったとおり、「効果的」「効率的」というのは意味はわからないと言ったのです。

○井原部会長
 だから、「より一層の努力が求められる」という話だったと思うのですが。ただ、「重点的」というと、先ほど。

○本寺委員
 もしここで足りないといったとき、ここでやるよりは、ほかの基金でやったほうが、たぶん達成できると思うので。

○井原部会長
 その話が出てきてしまいますからね。「効果的」「効率的」という言葉がひっかかる。だから、「より一層の努力」とかそういう話だったと思います。

○松田委員
 やわらかくすればそういう意味でしょうけれどもね。

○井原部会長
 それでいいですか。

○松田委員
 厳しくするのだったら、私が言ったとおり「重点的投資」にする。

○井原部会長
 重点的だと先ほどの問題が出てきますのでね。もしやわらかくするのだったらという話だったら、「より一層の努力が求められる」ぐらいで、もし。

○松田委員
 はい、それでもいいですよ。

○井原部会長
 いいですか。では、そういうことで。

○今村委員
 努力の具体的な内容を。

○井原部会長
 そういう話ですか。

○今村委員
 これは業界が努力するのか、あるいは機構が努力するのか、主語の問題もあります。

○勤労者退職金共済機構理事
 補足ですが、先ほど来申し上げているように、私どもの実感ではほとんど蔵主、事業主のほうについては加入いただいていて、実際、廃業が多くて、事業主自体が減っているという状況で、新たに雇用した場合には、確実に被共済者になるようにという努力を行っているわけです。一方で、今年度からですが、運営費交付金が廃止されたという状況もありまして、より一層の効率的な資源配分ということを考えると、清酒製造業についてはより効率化して、少ないながらもきちんと取っていくことをやっていますので、本寺委員がおっしゃるように資源配分としては、清酒製造業に配分するよりは、ほかに回して、清酒製造業をより効率化を進めるという状況にありますので、表現的には「重点的」というよりは「より効率化を進める」というふうに私どもとしては意識して運営しているという状況です。

○井原部会長
 効率化の意味をもう少し具体的に説明していただけますか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 私どもが現状の中でやっていきたいと思っておりますのは、こういう問題の確実な加入に向けてより努力が求められるということで、新たに入っていただいている方については確実に加入していただく、という方向に向けて私どもは努力してまいりたいと思っています。

○井原部会長
 そうすると「確実な加入に向けて一層の努力が求められる」という表現だったら。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 それに向けて努力してまいりたいと思っています。

○井原部会長
 それでどうですか。

○今村委員
 結局、先ほどからご指摘されているのは新規の加入が増えてないということですね、松田委員。

○松田委員
 そうです。

○今村委員
 ただ、評価の仕方として、私もすべて把握しているわけではないですが、機構の言い分としては、清酒業の事業主はほぼすべて把握していると。そうすると、松田委員は新規加入を増進することに重点的に努力しろ、ということをおっしゃっていると理解してよろしいですか。なお、そうすると、清酒業自体の事業促進という話になってきますが。つまり、現状では、機構が把握しているほとんどすべての事業主に対して、新規雇用者があればすべて加入しているという状況ですね。それに加えてさらに努力せいということであれば、未加入の事業所を見つけるか、あるいは酒造業者にもっと雇用せいということになるかと思うのですが、努力しろということは。

○松田委員
 それもあると思います。

○今村委員
 だから、一応、ここは表現として「できる限り新規加入者を拡大するような努力をさらに重ねる」というような入れ方を。

○井原部会長
 それでいいでしょう。

○今村委員
 はい、そういう入れ方でいいのではないかと思います。

○井原部会長
 整理しますと、おっしゃったように、何と表現しますか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 「確実な加入に向けて努力が求められる」と。

○井原部会長
 「確実な加入に向けてより一層の努力が求められる」と。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 はい。

○井原部会長
 それでいいですか。では、そういうことにします。あとは、次、何かありますか。よろしいですか。それでは、あとご意見がないようですので、いまの点、3頁の?Aのいちばん最後の所の「より一層の効率的かつ効果的な取組が求められる」の代わりに「確実な加入に向けてより一層の努力が求められる」と、そういうふうに修正したいと思います。

○松田委員
 もう1つあります。次は5頁ですね。「サービスの向上」の所で退職給付に係る処理期間は中退共においては25日、建退共に関しては30日、清酒、林退共については、これは39日でしょう。これは「同計画の確実な遂行が期待される」では、わからないです。清酒、林退共も数字を出せばいいではないですか。

○井原部会長
 ?Aの所ですね。

○松田委員
 これは何度も言いました、なぜ同一にできないのか。規模が小さいから同一にできないのですか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 これにつきましては、前からいろいろお叱りを受けているところですが、清退共および林退共については、規模が小さかったということで、いわゆる機械化がかなり遅れていたということから、39日という日数、39日以内となっていたわけですが、これについては現在実施している最適化、これが10月に完成する予定で、現在着実に進行していますので、最適化完成以降、すなわち10月以降については建退共と同様に30日以内と処置日数は短縮できる見込みであるということから、このような表現になっているのではないかと思っています。

○松田委員
 ここの所は「業務処理の簡素化・迅速化」になっていますよね。それに対して「同計画の確実な遂行が期待できる」と、わからない。だから、迅速化、簡素化するのだったら39日だけれども、「これを今後はもっと少なくする」とか、そういう表現にしないとおかしいのではないですか。

○今村委員
 これは「計画の遂行」というのは、これは繰返しになって申し訳ないのですが、結論からいうと、今年度中に、以前からずうっと松田委員からお叱りを受けていて、これは正直に書き過ぎている所があるのです。ただ、それの指摘を十分踏まえた上で、ここにありますように建退共の30日に近づけるということのほぼ一歩手前になっているということです。それで、その計画が、つまり退職金共済業務にかかわる業務システム最適化計画ということに、つまりそれが完全に実施されれば30日に近づくということです。ですから、そこで同計画の確実な遂行ができると、そういうことです。確実にやってくださいということです。

○井原部会長
 いまの説明はよろしいですか。

○松田委員
 ここの所のテーマは「業務処理を迅速化し、簡素化する」となっているのですから、「迅速化」でしょう。そのためには、清退共と林退共については39日間であるけれども、それをもっと少なくするとか、そういう表現にする文章を。なぜ上だけ数字が入って下は数字が入ってないのか、これはおかしい。

○井原部会長
 まだ私は理解できないのですが、これを2つに分けているということがおかしいということですか。

○今村委員
 2つ説明させていただきたい上に、もし書き直すのであればこういうふうにという提案も併せてさせていただきたいのですが、松田委員がご指摘されている「簡素化・迅速化」というのは、「サービスの向上」?Aの2行目ですね。論理的に申し上げますと、「簡素化・迅速化」のために、特に以前から機械化の遅れていた清退共および林退共については、退職金共済業務に係る業務システム最適化計画の実施、これが必須の課題であるということです。ですから、もし現状で39日、あるいは30日を達成していないということをこの文書の中に入れるとしたら、例えば清退共、林退共については「未だ30日に到達していないが、それに向けて」と、そういう表現を入れれば。

○松田委員
 それでもいいです。

○井原部会長
 それでいいですか。そのほうがはっきりする。

○今村委員
 そういうことでいかがですか。

○井原部会長
 5頁の下から7行目の所、「清退共事業及び林退共事業については、未だ30日の目標を達成していない」。

○今村委員
 そうです、「30日は達成していないが」という表現の所です。

○井原部会長
 「以内を達成していないから」。

○今村委員
 「退職金共済向けのシステムの最適化の実施によって短縮が行われると期待されるので、それをもって遂行する」と。

○井原部会長
 「いないため退職金云々」と。「未だ30日以内を達成していないため」、それでいいですか。それでは、そういうふうに処理します。その他に何かありますか。

○松田委員
 もう1つあります。8頁です。ちょうど真ん中の所、「国家公務員再就職者のポストの見直し」、このことが出ているのですが、ラスパイレス指数が1つも出ていない。この章にもありますね、参考資料の所を見ますと、参考資料の12頁の下のほう、「勤労者退職金共済機構、111.0」、右のほうに「106.7」、いずれにしても高いですよね。ですから、私だったら100に近づけると。100を付ける所もあります。100に近づける努力をするというのは抜けていますね。これはどう思いますか。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 ラスパイレス指数に関しては、同じ8頁の?B「組織体制・人件費管理」の所で、平成21年度における給与水準の検証については、対国家公務員指数97.3。ラスパイレス指数を議論する際においては、年齢・地域、あるいは学歴勘案指数により100を切るということを私どもは目標にしていますので、それについての記述はここになされているのではないかと考えています。

○松田委員
 国家公務員に対して111でしょう。他法人に対して104.4でしょう。今年の国家公務員の賃金は、3年連続マイナスですよね。それをベースにしたらもっと高くなりますよ。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 私どもは組織が東京本部だけですので、ただその数字だけを比べるとどうしても100を超えるわけですが、そのために年齢、地域、学歴というものを併せた形でラスパイレス指数をすべての独立行政法人、その他の規定が掲出していると考えていて、この表においても右のほうで地域、学歴勘案差の数字が出ていると考えています。

○今村委員
 松田委員のご発言をもう1回最初からテープレコーダーで回してみますと、ラスパイレス指数が出ていないとおっしゃいましたよね。ラスパイレス指数で質の要素を勘案すると97.3、98.8という数字は既に出ております。単純平均の数字でいえば、もちろん全国平均より高目に出るかもしれませんが、それについての説明は機構から説明があったと思います。つまり、質疑要素を勘案した上でいえば、目標の100%は達成しているけれども、単純平均では、立地条件として都市部であるので若干高目である、若干学歴が高いという特徴が出てきて、単純平均では高目に出ますという説明です。

○本寺委員
 それで松田委員が納得いかないというのは、この機構のどこか地方にすごく、そういう形をご指摘されているのですか。

○松田委員
 いや、そうではないです。

○今村委員
 あくまでもこれはしっかりラスパイレスで議論していたと思います。

○松田委員
 当機構だけではなくて、全般的に機構はすごく高いです。何だかんだ理由を付けてどんどん高くしていくし、よくないです。それは。

○今村委員
 人件費のいまのご発言ですが、8頁の?B、11行目をご覧いただきたいと思いますが、「人件費については、削減目標平成17年度比4%削減を大きく上回る平成17年度比12.4%削減を達成して」いるという数字を私どもは見ています。

○松田委員
 もういいですよ、これをよく見返してくれればね。

○井原部会長
 その他に何かありますか。それでは、先ほど申し上げました2点、3頁の?Aのいちばん下の所、「あるものの」のあと、「確実な加入に向けてより一層の努力が求められる」と。もう1つが、5頁の下から7行目の所で、「清退共事業及び林退共事業については、未だ30日以内を達成していないため、(退職金共済業務に係る業務云々)」と、そうします。最後に東理事からコメントをいただけたらお願いします。

○勤労者退職金共済機構理事
 総務担当の東です。樋爪理事長が入院中のため、僭越ですが私よりコメントします。評価委員会の皆様方には、7月6日に行われました個別評価に引き続き、本日は総合評価をいただきまして、誠にありがとうございました。ご指導いただきました諸点も踏まえまして、当機構の使命でございます安全かつ確実な退職金制度の運営ということについて、さらに効率化を図るなど、役職員一同、全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。引き続きご指導を賜りますようよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

○井原部会長
 総合評価書については、「平成21年度業務実績の評価結果」として法人及び政・独委に通知致します。そして、これを公表をしたいと思います。どうもありがとうございました。現在までの意見、報告等を踏まえまして、個別評価の修正確定を行いたいと思います。修正に当たりましては、事務局から補足説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 修正方法等について説明します。修正は、お手元に赤鉛筆を用意していますので、こちらで修正をお願いします。評定理由の修正、加筆も加能です。また、事務局で混乱がないように、大変お手数ですが、修正をなされた場合には、付箋をお手元に置いているかと思いますので、その付箋を修正箇所にお貼りいただくようにお願いします。また、机上に配付しております「個別項目に関する評価結果」ですが、こちらについては、現時点でいただいている評点について、Sを5点、Aを4点、Bを3点、Cを2点、Dを1点と点数化して平均化したものとしています。なお、委員名の欄には、皆様のご自身のお名前の所だけ記載するようにしてあり、その他の委員の方の評定結果欄は、委員の名前のほうは空欄となっています。修正に当たりまして、これまでの個別評価に係る資料をご覧になりたい場合には、事務局のほうですぐ用意しておりますので、お申しつけいただければと思います。

○井原部会長
 それでは5分ほどの間に評定記入用紙の確認や修正をお願いします。
 よろしいですか。これをもって勤労者退職金共済機構の平成21年度業務実績評価に関する意見を取りまとめたいと思います。評価書には評価結果の別添として評価シートが添付されていますが、本日、評価の確定を行ったことにより、SからDの評定が変更される可能性がありますから、その場合にはまたコメントが修正、追加される場合には、これは反映した評価シートを添付します。これは修正が必要となった場合の対応については、私にご一任いただけますか。
(各委員了承)

○井原部会長
 場合によっては個別に各委員にご意見を賜ることもあるかもしれませんので、その場合はよろしくお願いします。
 次に、役員の退職に係る業績勘案についての審理に入ります。まずは事務局からの試算結果について説明してください。

○政策評価官室長補佐
 勤労者退職金共済機構理事長から独立行政法人評価委員会委員長あてに、役員の退職に係る業績勘案率の算定について依頼がありました。独立行政法人の役員の退職金については、平成15年12月19日の閣議決定により、在職期間に応じて算出した額に0.0から2.0の範囲内で定める業績勘案率を乗じた金額とされています。このため法人から依頼を受けまして、事務局において、当評価委員会が定めております「独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率の決定方法について」に基づきまして業績勘案率を試算しましたので、その結果を説明します。次に皆様にご審議いただければと思っています。
 今回、算定した数値については、部会の決定が評価委員会の決定となりますので、部会の決定を評価委員会の決定として、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会に通知します。同委員会から意見がありましたら、改めてこの部会でご審議いただくことになります。なお、意見がない場合には、部会長に報告し、最終決定とします。
 資料1-3ですが、こちらに沿って説明をします。4名の方がいらっしゃいますが、資料の順番に沿いましていちばん最初の?コ山直さんから説明します。退職された役員の方のお名前は、?コ山直さんとおっしゃいます。役職ですが、理事をされていました。在職期間は、平成20年7月1日から平成21年12月31日までの18か月間となっています。業績勘案率の算定ですが、まず在職されていた期間について、すべて?コ山様の場合は年度の評価が確定していますので、年度の評価を基に算出します。
 資料1-3のいちばん後ろの頁を見てください。別添1としていますが、今回、ご審議いただく4人の理事の方の在籍していた期間についての評価をA、B、Cの評価表を付けていますが、こちらはSを2点、Aを1.5点、Bを1.0、Cを0.5、Dを0.0という形で数値化したものをそれぞれのA、B、Cの横に対応率として書いています。
 まず、各年度について対応した数値について平均をしました。それがそれぞれの年度の下に、平成21年度であれば1.28、平成20年度であれば1.19、平成19年度は1.31、平成18年度は1.31という数値を出しています。評価委員会として定めたルールでは、一旦出した数値をさらに3分類に分けまして別の数値に置き換えますが、年度ごとに出した平均値の範囲ごとに1.50から2.00までの場合は1.5に置き換えます。0.51から1.49までの間では1.0に置き換えます。0.0から0.5までの範囲ですと0.5に置き換えます。こういうルールを設けていますので、そちらに従って数値化をしました。
 表の資料に戻っていただきまして、もう一度?コ山様の場合で説明しますと、在籍されていた平成21年度ですが、年度の業績勘案率が1.28になりますので、これは対応する率として1.0に合致します。平成20年度については1.19ですので、1.0と置き換えます。こうした計算をした上で、それに在籍月数を掛けて平均を出します。(3)ですが業績勘案率の計算式として、平成21年度1.0に値しますが、その間9か月間在籍していますので1.0×9、加えて平成20年度1.0×9、これを18か月間いらっしゃったということで割りますが、計算すると1.0になります。
 この他1.0を超える業績勘案率を決定する場合には、目的積立金の状況等を照らして適切であるかを考慮するというルールを置いていますが、目的積立金は積んでいません。
 また、法人からの申請、または部会の評価委員の皆様からの申し出があった場合に限っては、いろいろ考慮をしまして0.5を上限に増減することができるとなっていますが、退職役員に係る職責事項についての機構側からの申出はありません。したがいまして、数値で計算した1.0を事務局として試算しました。
 次の方について説明します。鈴木直和さんです。理事をされていらっしゃいました。在職期間が平成18年9月15日から平成21年12月31日まで40か月となっています。先ほどと同じように平成18年度から平成21年度までの各年度の数値化をしますと、全年度1.0となっています。そうして同じように計算していきまして計算した数が(3)ですが、1.0です。鈴木さんについても機構側からの申請は特にありません。目的積立金も積んでいませんので、事務局の案としては1.0としています。
 続いて等々力正夫さんです。理事をされていらっしゃいました。平成19年6月15日から平成21年12月31日まで31か月となっています。同じように計算して1.0としています。機構側からの申請は特になかったところです。
 最後になりますが鳴瀬昭夫さんです。平成20年7月18日から平成21年12月31日まで在籍をされていまして、理事をされていらっしゃいました。平成20年度、平成21年度について数値化を行い計算をしたところ、1.0となっています。機構側からの特別の申請はありませんでした。

○井原部会長
 続きましてこの4名の退職役員について、在任期間中の理事の担当職務等について法人から説明をお願いします。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 今回、4名の方をお願いしていますので、お1人ずつ説明したいと思っています。?コ山直ですが、平成21年7月に勤労者退職金共済機構の理事長代理に就任し、平成21年12月に退任しています。職務としては、理事長代理及び建設業退職金共済事業部の担当理事をしています。なお、その間業務・システム最適化計画に基づく建設業退職金共済システムの再構築のためのプログラム開発、あるいは長期未更新調査の実施による退職金の確実な支払いのための取組を行ったところです。
 鈴木直和ですが、平成18年9月に勤労者退職金共済機構の理事に就任し、平成21年12月退任しています。職務は総務担当理事として業務を処理していまして、この間退職金共済業務にかかわる業務・システム最適化計画の実施、随意契約見直契約に基づく契約の適正化、人件費および管理費の縮減等に取り組んだところです。
 等々力正夫ですが、平成19年6月に機構の理事に就任して、平成21年12月に退任しています。職務としては、中退共担当理事として業務を処理していて、中退共の電算システムのマイグレーション作業を進め、システムオープン化を進めることと併せて、退職金等未請求者の縮減を図るためのさまざまな取組を実施したところです。
 最後に鳴瀬昭夫ですが、平成20年7月、退職金共済機構の理事に就任し、平成21年12月に退任しています。職務内容は、清退共及び林退共を担当していて、清退及び林退のシステム最適化に基づくプログラムの再構築、及び長期未更新調査の実施などによる退職金の確実な支給に取り組んだところです。なお、この4人の方々については、平成21年12月、役員公募に伴い退職したものです。

○井原部会長
 ご質問等がありましたらお願いします。

○篠原部会長代理
 いま最後に言った役員公募によって退職ということですが、役員の退職の規程で、おそらく私などが見て実質クビですよね。どういう形になっている自主退職の形を取っている。こういう部分の積増しとか考慮は一切ないわけですね。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 特にないということだと思います。

○篠原部会長代理
 どこにもないということですね。

○勤労者退職金共済機構総務部長
 はい。

○井原部会長
 あとはよろしいですか。それでは、申請のあった業績勘案率については、原案のとおり1.0と決定することとしてよろしいですか。
(各委員了承)

○井原部会長
 なお、先ほど事務局から説明があったとおり決定した業績勘案率については、政・独委に通知し、意見の有無の確認を行います。政・独委からは意見がない旨当委員会に通知されたあとは、この「1.0」を当委員会の最終決定として、勤労者退職金共済機構理事長に通知することとします。
 勤退機構の審議案件は以上です。ここで法人及び所管課の入替えを行いますので、皆様、しばらくお待ちいただきたいと思います。
(法人及び所管課入替)

○政策評価官室長補佐
 8月5日付けで人事異動がございましたので、ご挨拶申し上げます。
 
○労働基準局労災補償部労災管理課長
 8月5日付けで労災管理課長を拝任いたしました木暮でございます。よろしくお願いいたします。

○井原部会長
 それでは、審議を続けます。次に労働者健康福祉機構について審議をいたします。まず最初に、財務諸表についての審議に入ります。篠原部会長代理から労福機構の財務諸表に関してご提案があるということですので、部会長代理からご説明をお願いいたします。また、労福機構から前回、7月12日の労働部会に提出された財務諸表の注記事項の説明書きを訂正したいとのことですので、その内容についても部会長代理に続いて法人から説明をしていただきたいと思います。

○篠原部会長代理
 例年だと、先ほどの他の独法で報告していましたように、財務に関する大臣への意見具申ということで提出していましたが、昨年からいわゆる、リーマンショックによる退職給付引当金に見合う資産の外部運用に伴う損失の財務諸表上の表示について、去年扱った件で、今回は勧告という形で提案しようと思います。この勧告は、独立行政法人通則法に規定されていて、勧告が承認されると公表されて政・独委に通知されます。それなりの力をもったものだと私は理解しています。
 勧告の資料2-1ですが、(案1)と(案2)の裏表の資料です。これは井原委員長から伊藤理事長宛のものです。まず(案1)を読み上げます。「平成20年度の財務諸表に係る独立行政法人通則法第38条第3項に基づく当委員会の意見への対応について(勧告)」ということで、「独立行政法人通則法第38条第3項に基づく平成21年8月28日付け独評発第0828032号の意見書に関し、下記の通り勧告します。」。内容は3項目ありまして、まず1は、意見書の「ただし書き」が現在に至るまで解消の手続がされていないことから、早急に実施し、労働部会に報告することを勧告します。2は、意見書の「ただし書き」を無視した結果、これに関連して執行した業務について、早急に是正することを勧告します。3は、1及び2の結果が出てから、書面による意見書の承認とすることとします。3は通常留保条件が付いた場合は、労働部会の承認がいるという建前で、労働部会を召集しないで書面によって皆様の承認を得たいということです。
 (案2)は、平成21年度の財務諸表に係る勧告についてということで、本文は3項目あります。1は、昨年度と今年度の財務諸表の比較可能性の確保に関する勧告、平成21年8月28日付け独評発第0828032号の意見書の「ただし書き」の対応の際には昨年度と今年度の財務諸表の比較可能性に適切な配慮をすることを勧告します。2は、平成22年8月19日付けの勧告に対する結果及び上記1の結果が出てから、今年度の「財務に関する大臣への意見具申」を出すこととします。3は、書面による意見具申の承認とすることということで、これを勧告とします。
 これを勧告することに至った事由を簡単に説明させていただきます。まず1番目に昨年の7月30日、平成20年度の財務諸表の個別評価の際、労働部会の後の話合いで、私と理事長と1時間ぐらい話したのを覚えていると思いますが、そのあと、理事長とは3度か4度会ったと思います。それと、経理部長と私と評価官室とは昨年の12月か11月に1度、それから2月に1度、それと今年の7月12日の平成21年度財務諸表の個別評価の際にこの件について話し合っています。そういう意味で、私は昨年の8月幾日にもメールや質問書を出しているし、実際に届いたのはもっと後だと思いますが、今年の6月20日付けで質問書を出しています。いろんな情報は出しているのですが私の立場からすると、「ただし書き」に出てきたように、無視されたというか馬耳東風というか、申し訳ないけれど結果的にいえばガス抜きだという感じです。少なくとも、私のところに来た情報としては何もないから結局言いっぱなしだったという感覚を得ています。
 2番目に、労福機構及び会計監査人及びここに入れざるをえない評価官室は一貫した方針の下に我々に対応したと。それは、昨年度の財務諸表は一切変更しない、その前提で私に対応した。今年の財務諸表は去年の部分も少し入れれば、昨年の部分も問題ないという前提でやってきました。ですから、私が例えば、前の評価官に昨年度の話をしても一切受け付けてくれない、今年の話しかしてくれない。だから全然話が合わなかった。これは、極端に言うと次元の違う話をお互いに主張していた、そういう状況です。
 いわゆる評価という観点から言いますと、我々は事業評価も同じように、いろんな情報を集めて質問して評価の結果を出すと。財務諸表については問題があれば訂正してもらうという前提でやるのですが、7月以降は先ほども言われましたように財務諸表の修正が難しい点があります。だけども、今回難しさの部分で私も、非常に悩みました。結局、我々の立場というか、評価を聞いてくれなかったということは、独立行政法人通則法というか、独立行政法人評価委員会の評価の機能を無視されたと私は思っています。制度自体も今の状態であると、ないがしろにしたと。そういう結果に基づいて勧告をしたという位置づけで提案させていただいています。結論的にいうと、労福機構も会計監査人も評価官室もそれぞれの立場の道理を推進したなということは私もわかるのですが、独立行政法人評価委員会の立場としては全然違うということで、私の立場からすれば、無理を通せば道理が引っ込むという状況です。道理を復活させるために一応、勧告という手段をとりました。以上、よろしくお願いいたします。

○井原部会長
 それでは、法人からの説明をお願いいたします。  

○労働者健康福祉機構経理部長
 経理部長の鮫島です。前回、7月12日の労働部会に提出いたしました財務諸表の注記事項の説明書きに関して一部修正のお願いをいたしたく、ご説明申し上げます。お手元の封書入りの追加説明資料をご覧下さい。「労災病院事業の損益について」ということで1~8頁のものです。
 まず、修正箇所につきましては、利用者に有用かつ理解し易い財務諸表とすべく注記事項として今年度より新たに記載したところですが、その中の特記として記載してある部分について一部修正をお願いしたいということです。資料の6、7頁をお開き下さい。前回7月12日の労働部会に提出いたしました財務諸表の注記事項の抜粋です。
 次に8、9頁ですが、今回説明する修正案の財務諸表注記事項の抜粋です。8頁の下から4行目の特記の修正案について説明したいと思います。それでは、資料の5頁の新旧対照表をもちましてご説明を申し上げます。2点修正をさせていただいておりまして、修正部分についてはアンダーラインを付けてあります。第1点目は文言の削除でございます。表の右側、前回の労働部会に提出したものにおきましては上から3行目の真ん中辺りですが、「平成20年度の財務諸表の承認に当たり、独立行政法人評価委員会において「独立行政法人の理念と目標に沿い、利用者に有用かつ理解し易い財務諸表の作成について、一層努めるよう望まれる。」との意見が付されたことから、平成21年度財務諸表より「退職給付関係」として注記を新たに行う等詳細に記載を行っているものであります。」と記載していたわけですが、これについて前回の労働部会においてご指摘を受けたということですので、左の表のとおりこの部分を削除しております。
 第2点目は、文言の追加です。前回の労働部会に提出したものにつきましては、表の右側、下から4行目のなお書きのところで「なお、労災病院事業に係る退職給付費用は、前年度の15,359,310,508円から2,469,291,317円増加した」と平成21年度の増加額のみを記載していたわけですが、平成20事業年度財務諸表と平成21事業年度財務諸表との比較可能性を担保するために、表の左側真ん中のアンダーライン箇所にありますとおり、「これにより労災病院事業に係る退職給付費用は、平成19年度の11,787,060,072円から平成20年度は15,359,310,508円と3,572,250,436円の増」と。また、「平成21年度においても17,828,601,825円と前年度より2,469,291,317円増加しております」と。平成20年度の増加額についても追加記載したものです。
 以上が修正箇所ですが、私ども労働者健康福祉機構においては昨年度の評価委員会において「今後、独立行政法人の理念と目標に沿い、利用者に有用かつ理解し易い財務諸表の作成について一層努めるよう望まれる」との主務大臣への意見が出されたことを踏まえまして、平成21年度については既にご覧いただいているとおりですが、ただいまご説明申し上げましたとおり、退職給付関係として新たに注記を行う等改善を図って参りました。
 また、平成20年度財務諸表におきましても資料の1頁をお開き下さい。私どものホームページでございますが、2、3頁のホームページの中において「労災病院事業における損益について」と題してサブプライムローン等の損益への影響に関する詳細情報を2頁下段の「しかしながら、」で始まるところ、あるいは3頁の中段、参考の2のところにおいて具体的な金額を記載するなど、財務諸表と併せて公表しているところです。
 なお、勧告書案等に対する意見があらばということですが、ただいま説明したとおり、法人といたしましては、平成21年9月15日付けで厚生労働大臣より労福機構理事長宛通知をいただきました平成20事業年度財務諸表承認書につきましては、先ほどの勧告書案の4頁に参考資料が付いていますが、この承認書をいただきまして、「申請のとおり承認する」ということでしたのでこれを受けまして、直ちに労福機構のホームページにおいて公表するなど、利用者に有用かつ理解し易い財務諸表の作成につきまして、これまでできる限りの対応を行っておりますことをなにとぞ、委員の皆様方にはご理解を賜わりたいと存じます。私からの説明は以上でございます。ご審議方よろしくお願い申し上げます。

○篠原部会長代理
 まず、2週間前に勧告の案を経理部長に私は表明させていただきました。こういうことで8月19日には提案しますと。今日説明したものとどのような関係があるのでしょうか。まず関係を教えてください。私どもは勧告すると言っているのです。もしそれが答えられないなら後にしてください。まず、先ほど私は無視されたといういろいろな意見で、まずこの「今後」、今後というのはあなたと全然理解が違って、これは常に私は言っていたはずです。頭に「ただし」とあったらば、平成20年度の財務諸表を指しているのです。だからこの文章はすべて平成20年度を言っているのです。違いますか。私の国語の力では平成20年度です。「ただし」というのは辞書を引けば前文の説明か条件か何かをやっているのです。その範囲の中で「今後」と出てくるのだから、これは何度も言っているように、ただ評価官室も何故か知らないけれども、今、経理部長が言ったのと同じ説明をして、起草者である私に対して「あなたは理解していない」と、私どもは理解していないと。だから私は7月12日の委員会で「もし文句があるのだったら、法律家に相談して言ってください」と言いましたが、その結果ですか、この「今後」というのは。この「今後」を私が入れた意味は、昨年7月29日の個別評価から、総合評価の8月24日まで、3週間ある間に、私が先ほど言ったように質問書を出しました。その回答もなく、総合評価をやらなくてはいけないから、私は今後この作業を進めてくださいと、素直に読めば3週間あなた方は何もやらなかったではないかと。だから私は評価官室の係長には「これは私の怨念が入っていますと。来期を指すものではないです。これをよく読んでください。」と何回も言っています。

○井原部会長
 篠原部会長代理、私も「今後」というのは、次の年以降とずっと理解していたのです。

○篠原部会長代理
 いや、だから私も監事から電話で言われたときに、「違うよ」と言ったのはそうです。ただこの文章の理解の仕方、「ただし」といってしまったら、もうこれは当期の平成20年度を議題にしているのです。

○井原部会長
 しかし、それはどういう保証があるのですか。

○篠原部会長代理
 いや、「ただし」というのは辞書で条件を付けている。

○井原部会長
 「ただし」とあって今後ということは、いまから後という意味でしょう。だから次の年でもいいわけです。

○篠原部会長代理
 辞書を引きました。

○井原部会長
 辞書というのは「いまから後」という意味ではないですか。

○篠原部会長代理
 いや、だから説明しました。敢えて言ったのは「ただし」を取った場合どうなるか。皆さんそう理解しているから。「ただし」がない場合の「今後は」どうかと言うと、今があるのだから、今期が含まれるのです。当然平成20年度は含まれる。

○井原部会長
 平成21年度も含まれる。

○篠原部会長代理
 もちろん含まれます。そのように理解したらです。ただ私は「ただし」と限定を付けているのだから、これは来期の話などここで議題になっていないと私は何回も言っているのです。本当ですか。

○井原部会長
 しかし、昨年の評価委員会では言って説明していなかったではないですか。

○篠原部会長代理
 何も言っていません。私は何の説明もしていません。

○井原部会長
 だから私の名前でこれは出すのでしょう。

○篠原部会長代理
 待ってください、昨年の9月の10日前後に理事長とお会いしたときに、私は「これは留保条件付きです」と言っているのです。「留保条件付きというのは来年を指しているのではなくて、今年の財務諸表について、条件が付いている」ということを私は言っているのです。来年の話などしていないよと、これは、散々、評価官室にも話しているし、労福機構にも話している。だから、もしこれが今後で来期の話だったら、この勧告書は何の意味もないです。恥をかくのです。はっきり言えばそうでしょう。今の経理部長の説明であれば、この勧告書の文章はおかしいのです。私は「あくまでもこの『ただし書き』は平成20年度の財務諸表について言っているのですよ」と。

○井原部会長
 しかし今後は平成21年度以降でもいいということでしょう。

○篠原部会長代理
 そうではないのです。

○井原部会長
 だって、私はそう理解したから、大臣に意見具申を出したのです。私の名前で。

○篠原部会長代理
 そう理解してですか。

○井原部会長
 はい。

○篠原部会長代理
 だからこの部分は、私は一切説明していなくて、これは7月12日のときも申しましたように、これを事務局が「なお」と直してしまったのです。これは「なお」としたら、追加で意味は全然違います。ただ「なお」と直しても、私は「今後」と書いたら当期が入ると思います。これは意見が分かれるところなのですが、「なお」と書いても当期は入ると私は思っています。ただ「ただし」と書いた以上は、もう当期になってしまいます。ここの「ただし」は前文を規定しているのだから、前文は何を示しているかと言ったら、平成20年度を示しているのです。

○井原部会長
 しかし、これをやっていたらもう水掛け論です。

○篠原部会長代理
 いや、水掛け論ではありません。水掛け論とは違う。

○井原部会長
 いいですか、この労働部会で皆さんは同意をして、大臣に対して意見具申をしたのです。

○篠原部会長代理
 そうです。

○井原部会長
 そのときはどういう理解をしていたかということが、いちばん重要なことではないですか。

○篠原部会長代理
 いや、それでここで言うのは先ほど言った7月29日の議論のときに、「私は絶対、適正意見を出しません」と言ったのです。「これだけ重要性があるのなら」と言っているのだから、当然、労福機構もその前提でこれを理解している。
ただ、いま言ったように、この文章自体は曖昧です。だから去年出したメールできちんと説明している。「重要な表示上の問題があるという具体的なことは認識した上で、これは書かれているのですよ」と言っている。単なる方向性だけを書いたものではないと。裏付けがあった状態で文章を書いているのです。

○井原部会長
 だから「ただし」と「今後」の話でしょう。労働部会の皆さんはどう考えているかによって、決まるのではないですか。

○篠原部会長代理
 私は労働部会の皆さんはどのような認識かは別として、辞書を引いたかぎりではこの「ただし」を取った場合、あまり皆さんは問題にしていないけれど、何度も言うように「今後」というのは。

○井原部会長
 「ただし」というのは付いている。

○篠原部会長代理
 だから付いてしまった場合は、「平成20年度を私はいっているよ」と言っているわけです。しかし皆さんが来年、来年と言うから、では「ただし」を取って私は理解しようと。それで辞書を引いた限りは、「今後」というのは当期も入るのです。

○井原部会長
 だから来期も入るわけです。

○篠原部会長代理
 だから来期の部分もそういうように解釈したらいいけれど、当期、平成20年度に対してもこれは適用されるということです。

○井原部会長
 「今後」なのですから、来期でもいいではないですか。

○篠原部会長代理
 いや、私は百パーセントないと思います。

○井原部会長
 そういうように私は理解して意見具申をしたのです。それは皆さんがどう考えるかによる。

○篠原部会長代理
 考え方でやるか、それとも。

○井原部会長
 理解しているかによる。

○篠原部会長代理
 よるのですか。

○井原部会長
 はい。

○篠原部会長代理
 私は「これは法律上解釈して、こうですよ」と言っているのです。

○井原部会長
 いいのです。篠原委員はそう理解していいです。他の労働部会の皆さんはどう理解しているかによるのです。

○篠原部会長代理
 そうだったらそうやってください。それに従います。ただし、「私はこれに基づいて、もし皆さんが全員賛成するのなら、私を外してください」と言います。そうやってください。そういうように言うのなら、私は拒否はしませんが、篠原財務担当以外は全員賛成して、「今後」というのは来期以降も入って、いつやってもいいと解釈して、労福機構の対応は正しいというのなら、私はこれを取り下げなくてはいけないですね。拒否されたことになる。

○井原部会長
 ではこうしましょう。これには、きちんとしたルールがあるのです。篠原部会長代理から勧告書案が議決したいと提案がされた。これはまさに筋道の話です。勧告については、部会の議決を必要とするのです。

○篠原部会長代理
 そうです。

○井原部会長
 これは厚生労働省独立行政法人評価委員会、第6条第3項で準用する、同条第2項の規定に基づくと、「出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、部会長の決するところによります」ということになっています。また、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規程第3条の規定によって、部会の議決が評価委員会としての議決となります。それでいいですね。ではここで決を採っていいですか。

○篠原部会長代理
 いいです。ただ先ほど言ったように、私はこの部分は法律的にも何も間違っていると思わないから、篠原委員は反対したというのをきちんと入れていただきたいです。過半数というのは少し軽すぎるような気がする。3分の2ぐらいだろうなという気もしないでもないですが、こんな重要なことが半分で決めてしまうのかなという気もしないでもないです。

○井原部会長
 それでは決を採りたいと思いますが。

○本寺委員
 経理部長からご説明があった部分で、平成20年度の損益計算書に関するただし書きの修正をされたのだなと解釈したのですが、違ったのですか。

○労働者健康福祉機構理事長
 今回の修正ですか。

○本寺委員
 これを見ると、クリックすると平成20年度の損益計算書に飛ぶと。そこを開くとここにきている修正の文章が入ってくると解釈したのですが、違うのですか。

○井原部会長
 法人は大臣から同意書、何とか書というのを。

○労働者健康福祉機構経理部長
 先ほど、ご説明した勧告書の案の資料に、いま篠原財務担当委員が言われた意見具申があります。その次の頁4枚目に私どもが大臣から受けた9月15日付けの「承認する」という通知をいただいているわけです。確かに委員が言っておられるように、そういう指摘を受けたのは事実ですので、我々としてはそこの部分についてはきちっと対応するということで、平成20年度分については、先ほどご説明したとおり、ホームページ上でわかりやすい公表を行っております。平成21年度については当然ですが、注記をしております。

○労働者健康福祉機構理事長
 補足いたしますと、平成20年度の財務諸表については、昨年9月15日付で大臣から承認するという文書をいただいております。この承認書が出た以上、我々の権限で直せるものではございません。ただ、いままでのご議論の経緯を踏まえ、21年度の財務諸表については、厚生年金基金の資産の減少状況について、平成19年度から平成20年度にどういう変化があったか。それから平成20年度から平成21年度にかけてどういう変化があったか。いままでのご議論を踏まえて、実質平成20年度、平成21年度の財務諸表についてもご指摘の関係については、事実関係が明確になるような工夫をさせていただいたということで、ご理解いただきたいと思います。

○篠原部会長代理
 今、大臣承認があった後は変更できないとの説明でしたが、前の評価官も今の評価官も言いました。独立行政法人の制度を作った方からこれは注意されました。厚生労働省が見解をするわけではありません。この見解ができるかできないかは、総務省の行政管理局および財務省の主計局の公会計室が責任をもってやるものと思います。私は個人的にはできないとは思っていないです。先ほど報告をするときには言いませんでしたが、基本的に禁止規定以外はできると思っています。独立行政法人の目標、理念などの常識的にかかわるというものはできると思っています。ただ、労福機構も評価官室も会計監査人も「いわゆる会計規程にないもの、制度にないものはできない」という解釈で動いているような気がします。これは制度を作った人にも相談していますが、禁止規定でない限りは、常識的におかしいことではない。より前進に向かっているものは、できるという形で私はやっています。ご存じのように独立行政法人の会計規定は、10年経ってもいろいろと意見があって成熟していません。そういう意味ではよりプラスの話はできるだろうと、だから会計規程にないから、できないという話はないと私は理解しています。

○井原部会長
 理解していることはわかりました。

○小畑委員
 今、禁止規定とおっしゃった意味がわからないのですが。

○篠原部会長代理
 例えば大臣承認の後では、財務諸表の訂正ができないと言いますが、私たちは会計士協会で議論したときは、当然できるという前提で議論しているのです。だから、大臣承認が下りてしまったら、もう財務諸表は一切訂正できないという見解もあるようですが、民間の財務諸表の場合は、訂正報告書などいろいろなものがあって、可能性はあるのです。確定できないのです。そういう意味では常識的に言えば私たちもわかっていて、その制度を作ってもらいたいわけです。訂正報告書というか、訂正するときはこういう手続をやれというものがいまはないのです。ないからできないのではなく、なくても慎重にやればできるのではないかと私は感じています。最終的には先ほど言ったように、総務省の行政管理局がそれが駄目かどうかを出すと思います。例えばお伺いを立てれば出すと思います。今は規定がないのです。

○小畑委員
 禁止というのは誰が禁止するのですか。

○篠原部会長代理
 例えば法律に書いてあり、大臣承認した後は、これは一切変更できないなど書いてない限りは私はできるのではないかと思います。書いてないのです。

○小畑委員
 制度はないのですね。

○篠原部会長代理
 制度は存在してないです。だから訂正するときの制度も何もないのです。だからある意味ではこれは一歩踏み出す話であるし、当然今回のように重要なことだと私は思っていますが、そういうときにどうするかの対応が。労福機構も評価官室も会計監査人も先ほど延々と報告していましたが、今年、去年の部分も書けば、去年の部分もいいだろうという論理で、私は百パーセント否定はしていないのだけれども、何で去年の部分はいいのか、いま彼ら側からは何の説明もないのです。だからこの勧告書を私は出しています。ホームページで直したというのは、過去に他の独法ではいくつもあるのです。これは重要性がない場合には私はオーケー。今回の場合はホームページでは少し無理だなとして私は反対するのです。そこの議論が彼らから、それでオーケーという話があればいいのだけれども、それは議論されないままでホームページ上にアップされています。

○川端委員
 篠原先生にお伺いしたいのですが、ただし書きの「今後」をどう読むのかは多くの人は「いま」とはなかなか読みづらいところが実はあると思うのです。そのままいけばこの労働部会がきちっと対応していなかったではないかというように、外部から指摘を受けるだろうというご心配をされていましたね。ところが、前回7月の労働部会の場で、いろいろとそういう趣旨をご説明されて、実は「今後」というのはこういう意味だということが議事録にも出ているから、そのことを踏まえればどこかに誤解があったか云々ということにはなっても、責任を問われることはないと私は考えたのです。だからここまで厳しくやらなくてもいいのではないかという気がしているのですが、それは駄目なのでしょうか。

○篠原部会長代理
 ズバリ、議事録に残ることで言えば、前回の労働部会で報告されたのは、私は前任の評価官と制度を作った公認会計士と相談していたのです。私は1年前に相談したのです。そのときに評価官からこの文書を渡されたのですが、私は当期の部分は駄目ですと拒絶しています。その会計士の事務所で話をしたときに、ファックスで送ってきたので、そのときに議論していま言ったようないろいろなことがあって、「では、いいですよ」と私は言ったのです。それで評価官にも電話しました。家に帰ってすぐこれは駄目ですと。何でかというと、先ほどの解釈に戻ってきたのです。先ほど「今後」とは来期からだという話で、前回の労働部会の文章を見ると、「私どもは前期の対応はしなくてもいいよ」と読めると私は前任の評価官には言いました。だからそういうように解釈する限りは、これでは私たちは妥協できませんと。いま言っているのは、その後の話ですが、7月12日のときに、私はそれを言ってこれでは私どもは。だから7月12日の労働部会に「今後」の問題を出して、私は説明させていただいた。何回も妥協案を私は出したつもりだけれども、ステージが違うのです。違う議論をしているような気がする。ホームページでいいだろうと言っているのは、いろいろな人に何回も私は言っているのですが、「ホームページで対応する限度を越えていると。これは他の法人もやっているのです。四十数億円の赤字のうち三十数億円では、少し無理でしょう」という私の判断です。これは相場観というのがあり、いろいろな会計士に聞いていますが、個人的にはやはり書きますという人が多いのです。ただ公には言えないと思います。だから私も名前は言いませんが、いろいろな人に相談している限りは、個人的にもこれを見ている限りは、やはり情報提供の意味で民間の場合は経営者の責任が問われてしまうから、自分の責任は百パーセントではないという部分はおそらく書くだろうということは言います。おそらく書かせるでしょうと。そういう相場観から私はいろいろなことを言っているつもりです。だから相談している人が、総務省の政・独委の財務検討グループの座長をやっていて、「この経過はかなり知っていて、先ほど言った制度的な欠陥もあるから、私どもも研究して今後の対応をします」ということで、私は9項目を送りました。重要性、監査と評価の問題などいろいろな問題が出てきて非常に大変なのです。ただ、評価官室も1つを出していいだろう、ああだろうという話ではなくて、私がいろいろ提案したのは総合的に考えて判断しました。だからその上で皆さんのあれをやってください。

○井原部会長
 いまの考えをよく聞きました。それでは先ほどの筋道に戻ります。それでは決を採りたいと思います。

○小畑委員
 すみません、先ほどから篠原委員がご指摘になっている昨年の厚生労働大臣宛の意見書のただし書きですが、ただし書きの趣旨は「国民に公表するものであることにかんがみて、一層努めるよう望まれる」という文言ですね。つまり、国民に対してどのような状況であるかが明らかになることが必要であるということです。そのために具体的に何をするという文言ではなくて、「努力することが望まれる」という書き方で、大変曖昧な書き方のように思うのです。

○篠原部会長代理
 これは去年メールで評価官室と交換しているので見ると、「具体的なものを説明しているのだから、この文章は具体的なものは書きません。」と経理部長にも説明しています。ここには私は書きませんと。だから先ほど言っているように、これはこれだけで具体的な事実がなければ、このように問題にする話ではない。この裏には四十数億円のうち三十数億円という問題があって議論した上で、ではここの文章はということで「望まれる」というのも前任の評価官から言われました。「せよ」と書いてないのだからやらないだろうと。私の見解は、「望まれる」ということで労福機構に投げたのだから、それの対応を労働部会に報告する義務があると思っています。一般論で言っているのではなくて、ただし書きと限定を付けているのだから、裏に「現実的に四十数億円のうち三十数億円あるのです」と、そういう部分のこの文章だけならまさに、いま言われたように曖昧です。これを指摘する人もいます。だから今回の勧告書はとても簡潔にしてもらって、実はこれよりもとても立派なものを評価官室からもらったのですが、一切抜いて私の箇条書にしました。こういう文書にしてしまうと、いま言ったように「今後はどうだ」などいろいろなことを言われるので、「望まれる」など、これは最初からこの文書は柔かくしますと私は言っているから、そのように取られるけれども、ただ私の主張はバックグラウンドとしてそれがあるのですよと。それはいっぱい話したでしょうと。その上でですよということです。

○小畑委員
 そうすると「一層努めるよう望まれる」というこの文言を受けて、機構ではどのような努力をされたかをお伺いしたいのですが、それが先ほどの。

○労働者健康福祉機構経理部長
 先ほどご説明したとおり、この件については確かに意見具申書の中身についても、部会でご説明がありましたので、「いわゆるわかりづらいよ」というご指摘を受けて、我々も昨年部会の中で、例えばホームページでこのように公表して、数字も具体的に入れてご説明しますということで、ご説明したと思っております。そういう状況の中で、この意見具申書で先ほどの9月15日、大臣から私ども理事長宛に承認をするというものをいただいたので、ある意味では評価委員会の中で一定程度のご理解をいただいたのかなと思い、早速ホームページ等でやったということです。

○篠原部会長代理
 大臣承認を私は見ました。はっきり言ってあそこではただし書きが飛んでいます。だからおそらく伊藤理事長は「適正である」ということを何回も言って、7月12日にも言いました。ただ私の見解では、井原委員長から大臣に対してただし書きが出ているのです。これを無視した承認が出たというのは私たちはわかりません。だから含んだ形の承認だろうと。大臣に対する意見書にわざわざただし書きが出ているのにもかかわらず、承認がそうなったときにはそれが含まれているだろうと書いているのですが、その件については必ずここでもめるだろうということで、評価官室にはそれはここの話ではなくて、大臣承認を出した部署はどこだか私は知りません。労福機構の話でしょうと。我々としては意見書を出したのだから、ただし書きは今でも生きていると私は思っています。それを我々の所に、解消したという労福機構からも報告もないし、大臣がやっている所からこれは抜けという命令もないから、私は生きていると思っていまの議論は全部組み上げてあります。これをここで出さないでくれよと、時間を取りたくないからきちんとやっておいてくださいと。伊藤理事長は7月12日にも適正にもらったのだと。だからその議論はやっておいてくださいと私はお願いしていましたが、やっているのですか。大臣承認を出した所は私はどこが所管かは知りません。

○小畑委員
 すみません、それで先生がお書きになった文章とは違うものを評価官室は原案としてお持ちだということなのですか。

○篠原部会長代理
 違う、井原委員長から舛添大臣に出されたものはここで承認されました。実際に押印したのもそのとおりのものが出ているのです。ここで承認されたものが出ているのです。9月15日に大臣承認として伊藤理事長に宛てたものは、実はこのただし書きがないのです。だからではどこでこれが消えたかというのは、私ども評価委員会としては責任がないと思っています。何らここに対して報告もないし、対応したということもないのだから、評価委員会として決めたものが。例えば、これがぼやっとした話であれば、私はこのように問題にする話ではなくて、やはり四十数億円の赤字で三十数億円のことを議論した上でのただし書きだから、やはりそれなりの処置はすべきではないか。それがされていないということで、我々委員会はこれがまだ生きていると思っています。ということは評価官室としても、このただし書きは死んでいると思っているのですかね。

○政策評価官室長補佐
 事実関係の説明も含めて経緯をご説明します。まず、いま小畑委員からご質問があった篠原委員が書いた文書と違うものが出ているのかというご指摘ですが、それは篠原委員が今ご説明の中で、「ただし」ではなくて、最初は「なお」というものが出てきてという件のことだと思いますが、そちらは確かに昨年度さまざまなやり取りをするときに、こちらの事務手続のミスで篠原委員から「ただし」といただいていたものを事務局で「なお」と書き換えてしまったものを、一度ご相談して、「いや、これはただしだ」というようなご指摘があって、「ただし」に書き換えて、結果としては篠原委員が考えていらした原案が評価委員会の意見書として大臣への提出となりました。
 その後の対応は、当然これは大臣に対する意見具申ですので、大臣としては、この意見書を踏まえてどのような判断をするのかという行為になります。こちらについては、大臣承認の決済を取るのは評価官室ではなく、また法人を所管しているほかの部署がする作業ですが、評価委員会の事務局をしている評価官室としては、まずこのただし書きが付いているものでただし書きに対応することをきちんと説明した上で、大臣にお諮りしてくださいという話をしました。
 ここが見解の相違のいちばん大きな所なのですが、我々としてはただし書きに書いてあることが意味しているものは、いま労福機構からも説明があったような、ホームページ等でいろいろ工夫していますと。まず、篠原委員がおっしゃっている「いま」の点に関しては、平成20年度の財務諸表については、多くの人がおそらくホームページからご覧になるだろうということで、通常では、PDFのボタンをクリックすると直接損益計算書に飛んでしまうところをもう強制的に必ずここを触れて、ここを読まないとリンク、飛ばない形で、必ず目に入るような工夫をお願いして、やっていただきました。まず、平成20年度についてはそういう誠意ある対応をしたという説明をした上で、大臣承認を取ってくださいとお願いして、そうした説明をした上で承認手続を踏んだところ、承認が下りたというのが事実関係です。
 結局、篠原委員がおっしゃっているように、ただし書きの解釈が、こちらも気づかなかったところがあり、大変申し訳ないと思っています。我々としては、ただし書きの条件については、ホームページへの掲載ともちろん平成21年度の財務諸表の中で、しっかり書いていくことが条件として言われているものだろうと思っており、そういう対応をしてまいりました。

○篠原部会長代理
 いまの説明は先ほども述べた重要性がない場合、過去では全部やってきているのです。前期の修正を翌期にやるというのは、前期損益修正などいろいろな対応があります。ホームページでやるのは、過去に実際にあります。今回は言っていると思うのですが、重要性があるから、やはり財務諸表そのものを換えなければいけないでしょうというのは、私の見解であり、これは去年7月29日に言ったように、「絶対に適正意見は出さない」というのは今も変わりません。相場観に基づいて判断しているわけです。

○井原部会長
 その話は何度も聞きました。それでは先ほどの筋道に戻してよろしいですか。

○篠原部会長代理
 どうぞ。

○井原部会長
そういう意味でここで決を採りたいと思います。篠原部会長代理からの勧告書(案)について賛成の委員は挙手を願います。
では、反対の委員はまた挙手をお願いします。
わかりました。それでは勧告書(案)については否決されました。本議題の勧告は行わないことといたします。

○篠原部会長代理
 今少し変なのは、誰も賛成も反対もしませんね。これは否決したことになるのですか。留保されたような気もしないでもない。

○本寺委員
 疑問がいっぱいある。

○篠原部会長代理
 私も疑問がある。はっきり言って去年これを出したのは、私自身は不適正だと思うけれども、正直言うといわゆる時間稼ぎだったのです。総合意見のときには、決定的に私はできないから。

○松田委員
 篠原先生、あずさ監査法人と厚労省と三者で話し合ったのでしょう。話合いを持ったのでしょう。

○篠原部会長代理
 7月5日には、この辺の話はしていません。彼らは回答をくれない。直接会っていたのです。

○松田委員
 それはそうでしょうね。感情的な対立が表面化したのではないですか。

○篠原部会長代理
 と言うより、やはりとても責任問題になってしまった。

○松田委員
 それではいくらやっても駄目ですね。

○井原部会長
 否決という意味は、ルールによると同数の場合には、部会長が決めるとなっていますから、私はもともと出すことに反対なのです。ということで否決ということです。

○宮本委員
 少なくとも賛成ではないのです。反対で手を挙げるか挙げないかというのは、非常に困るのは、委員として躊躇するのは、要するに財務諸表に関わる専門的な知識がないという立場があって、その辺りのことで反対するだけの確証がないというところはあります。ただ、そういう意味での財務諸表に関する素人の立場で見たときに、昨年来のこの議論の中で、懸念される問題は、「つまり国民に対して正しい情報が伝わらないという懸念に関しては、最大限の努力はしてきた」と。その点では、責任を果たしている上に、「今年度からは昨年来の議論を踏まえて、具体的に改善する」ということですので、その点では「問題ない」と私は判断をせざるを得ないということです。

○井原部会長
 そうすると勧告書を出すことに関しては。

○宮本委員
 私は出さないほうがいいと。

○篠原部会長代理
 7月12日には休まれたと思いますが、そのときに事業仕分けで日本橋でやったときに、衆議院の仕分け人が理事長に対して、この数年四十数億円の赤字ですねと。彼女の事務所に「どこから情報をもらったのですか」と私はメールを出していたのですが、私のような人間には返ってこないのですが、まさに先ほど説明したように、ホームページを見てやったのか、ここで定義している通常の財務諸表だけしか見なかったのか、興味はあるのですね。事業仕分け人は当然労福機構の説明も受けているだろうなという、そこは興味はあった。だからある意味で今回こう言っているのは、やはり去年も私は言っているのですが、財務諸表だけで見られてしまう場合があるねと。その部分の懸念はあります。ただ事業報告書でやったなどいろいろなことがあって、重要性がなければそれでいいと。非常に難しい。

○井原部会長
 ということで反対は私と宮本委員となります。あとは棄権。

○小畑委員
 私はそれこそ財務諸表に関しての専門的な知識がございませんので、どういうことが望ましいのかについて、はっきりと見識に基づいて判断することはできないです。その点は全く同意見なのです。篠原委員のご見識を心から信頼申し上げているのですが、一委員として意見を聞かれたときに、客観的に国民としてどのように判断するかということになると、そうした専門的な財務諸表を読めないので、だから、国民の中でどれくらいの方が財務諸表を読めるかは、なかなか難しいものがあるのではないかと想像します。そういった意味ではホームページで努めてわかりやすいように表示があるのであれば、何かそちらであれば読めるけれども、財務諸表は読めないのではないかと。
 残念ながら会計学についての知識はない中で委員をさせていただいているので、とても心苦しいのですが、篠原委員のご見識は心から信頼申し上げております。制度の今後の改革と申しますか、今後の全体的な問題として、そうした制度を整えた上で、より全体の独立行政法人の評価が素晴らしいものになるようにと本当に念願しているのですが、この「一層努めるよう望まれる」という所だけの話になってしまうと、私も賛成することはできなくて、反対することになってしまいますので、今後の進展、それと並行しての変わらずのご見識に基づく評価をこれからも是非していただいて、私たちがそうした篠原委員のご見識に基づいた評価と同時に、あることができるということを私としては、大変心からお願いしたいという気持でございます。

○篠原部会長代理
 よろしいでしょうか、先ほど言ったように制度を作った人と相談したときに、6月か7月ごろに「篠原、もうこれはみんなわかっているのだから、こういうことに対して慎重になるでしょう。私もわかります」と。先ほど、ちらっと言った今回の労福機構と評価官室は、はっきり言って越権行為だと思います。私にいろいろと圧力をかけてきました。「こういう状態で評価委員はできないだろう」と。だから私は行くところまで行ったほうがいい。制度上の問題で、やはり今回のように労働部会に報告もしないでやることがいいだろうか。私はそこまで問題にして、今回は行く所まで行きます。これは7月末にその方に私は絶対に無視したことは譲れませんと。彼はそのときに私にこう言いました。「篠原、そのまま言うと誰かクビが飛ぶぞ、責任の問題だ」と。私は「ここまできたら仕方ない」と。なぜなら我々評価委員のあたかも責任のように、今期は何も言っていないということで文書を作っているのだから、私は「もうそれは許せない」と。ですからこれはもうその人にも「私は突っ走りますよ」と。だからいま言ったような制度も、先ほど言ったように政・独委の責任者ですから、「今後これは検討します」と。だからいろいろな形でいま言ったように、制度も変わってくると思うのです。しかし今回はっきり言って、ここまでやられたら人を馬鹿にしているのです。だから先ほど言ったはずです。7月20日前後に前任の評価官にオーケーを出したのです。しかし文章をよく読めば、「これはもう許せない」と。だから先ほど言った相談者には、これは私は「もう妥協しません」と。良い悪いは別に、彼は私の判断を尊重しますと。だから私は判断しただけで、今回この委員会は否決したのだから、これはもう終わりましょう。いつまでやっても仕方ないですから。

○井原部会長
 思いは皆さんに伝わっています。それで本議題の勧告は行わないということが決まりました。そうするとこれを前提にして、今度は平成21年度の財務諸表に関わる大臣への意見具申について、先ほどと同じように審議しなければいけないので、そこに移りたいと思います。

○篠原部会長代理
 これは私は辞退します。私は問題があるというのだから、私は提案できませんよね。だから誰かが指名してやっていただくしかないですね。問題があると言っているのだから、私はそのような提案はできるわけがないです。

○井原部会長
 わかりました。ではその点は例えば、この部会ではなくて、この委員会の中に公認会計士がいますから、その方にお願いします。

○篠原部会長代理
 全部資料を見せてです。

○井原部会長
 そういうことでいいですか。

○篠原部会長代理
 それは賛成です。

○井原部会長
 そういうことにしたいと思います。それではこの問題はこれで終わりにしたいと思います。次は労福機構の総合評価についての審議をいたします。起草委員の代表として堺委員から、時間は概ね10分程度でご報告をお願いします。

○堺委員
 それでは独立行政法人労働者健康福祉機構の平成21年度の業務実績の結果の講評を申し上げます。はじめに1頁上段の評価の視点です。今年度は機構の第2期中期目標期間初年度である平成21年度の業務実績の評価を行うものであり、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会「独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点」等を踏まえたものであります。機構の総合的な評価結果については資料2-2、「独立行政法人労働者健康福祉機構の平成21年度の業務実績の評価結果」に基づき、1頁から10頁までに記載した評価結果に基づいて評価のポイントを絞って申し上げます。
 (2)、平成21事業年度業務実績全般の評価、1頁から3頁について申し上げます。機構は労働者の健康の保持・増進に関する措置の適切かつ有効な実施を図ることなどにより、労働者の福祉の増進に寄与することを目的としているが、この目的を達成するため、労災病院の運営を始めとした多様な事業を効率的に運営することが求められています。平成21年度の業務運営は労災病院事業について、高度・専門的医療や地域医療支援をさらに推進し、労災疾病研究事業については着実な研究・開発と成果の普及に尽力しました。
 産業保健推進センター事業、未払賃金立替払事業等についても適切に業務を推進したと言えます。これらの取組は第2期中期目標期間の初年度として、これまでの業務実績を踏まえ、初年度以降の業務運営の基礎を固めたものと評価できるが、評価委員会としては先般実施された厚生労働省や行政刷新会議により、それぞれ実施された事業仕分けの結果をも踏まえ、次の点について留意した運営をお願いします。
 1頁、下から2行目の?@、労災病院事業についてはメンタルヘルスやアスベスト関連疾患等の労災疾病に対して、各地域の労災指定医療機関や産業保健関係者及び患者等からの期待やニーズが高く、都道府県地域医療計画においても4疾病5事業を基盤とした地域の中核的医療機関としての役割も期待されています。
 今後とも労災病院の役割を高めつつ、国民にこの役割をわかりやすく伝え、理解を求めていくことが必要です。その上で、地域医療連携や救急医療の面での貢献を行いつつ、地域の労災指定医療機関等に対して、労災疾病に係る予防、診断、治療等の総合的な支援体制をすき間なく実施していくことが求められていると言えます。
 2頁の?A、労災疾病等13分野の研究・開発については、第1期中期目標期間の研究成果をさらに普及させる取組を行い、当該分野における我が国のモデル医療等の発展に貢献する実績をあげたことは評価できます。
 また、平成21年度は研究・開発の第二ステージの初年度として、外部有識者による事前評価を行い、今般の社会情勢や第1期研究成果を踏まえた19の研究課題を策定しており、その中でもアスベスト関連疾患、化学物質の曝露による産業中毒、勤労者のメンタルヘルス、業務の過重負荷による脳・心臓疾患、疾病の治療と就労の両立支援については早期診断法・予防法等にかかわる成果及び普及について、より早急な対応が求められていると言えます。
 2頁の?B、産業保健推進センター事業の研修や相談等の業務においては年度計画を大幅に上回ったところですが、事業仕分けにおいて47センターを概ね3分の1に集約することとされました。今後、集約化を行うに当たっては、各地域の産業保健関係者等に対する産業保健サービスの質の低下をできる限り招かないよう、関係者の十分な調整等をお願いします。
 2頁、最終行の?C、産業保健推進センターで支給事務を行う2つの助成金については、利用実績などから廃止とされましたが、この対応に当たっては産業保健関係者や労働者の混乱を招かぬよう、懇切丁寧な説明等をお願いします。
 3頁、?D、労災病院の財務内容について、平成21年度は昨年度以上に、厚生年金基金資産減少に伴う退職給付費用が増加したため、昨年度よりも当期損益は悪化しましたが、医療活動に限れば経常損益が初めて黒字に転じるなど着実に改善しているものと言えます。しかしながら、繰越欠損金の着実な解消を図るためには経営改善をさらに進め、安定的な経営基盤の確立に向けた徹底した効率化が不可欠であります。このため、診療報酬のプラス改定や厚生年金基金資産運用実績の改善見込みだけではなく、次年度以降の課題として、一層の工夫を凝らした業務運営の効率化を含めた解消計画の策定などのさらなる取組を期待します。
 次に、具体的な評価については3頁中段から6頁中段までに記載してあるとおりであり、ポイントを絞って申し上げます。まず、3頁の?@、労災疾病に係る研究開発の推進等については、新たな研究テーマであるがんの治療と就労の両立支援について、がん患者参加方式による「勤労者医療フォーラム」を開催するなど初年度から積極的な活動を行ったほか、アジア諸国で今後増加が予想される石綿関連疾患やじん肺等の労災疾病の診断法や予防法等にかかわる国際的な普及活動を行っている点が評価できます。今後もより着実な普及を進めるための人材育成、研修等の体制整備、多様なネットワークへの参加等を通じたより積極的な普及活動への展開を期待します。
 4頁、?A、勤労者医療の中核的役割の推進については、中期計画に定める患者満足度などの目標値をすべて上回る実績を挙げたほか、診療体制の整備、救急医療体制及び地域医療連携の強化を図りつつ、自己収入による高額医療機器の計画的な整備を進めるなど、高度専門的医療の提供をより一層推進しました。
 また、地域医療支援病院の承認を新たに5施設取得し、計17施設とするなど、地域支援もさらに推進しました。
 過労死予防等の推進については、新たに実施した「職場訪問型職場復帰支援」について専門医師、臨床心理士等の専門スタッフを企業に派遣し、メンタルヘルス不調者や産業保健スタッフ等に対するきめ細やかな支援を実施しました。
 行政機関等への貢献については、昨年度に流行した新型インフルエンザへの対応において対策本部の設置や発熱外来の設置、及び成田検疫所への職員派遣などを行いつつ、各自治体との連携も迅速に行い、行政機関や医師会等が開催する対策会議等への参画、助言、指導も積極的に行ったことは評価できます。
 5頁、?D、未払賃金の立替払事業については、立替払件数は過去2番目に多い約6万8,000件となったものの、請求書の受付日から支払日までの期間について過去最短の処理期間としたことは評価できます。
 業務運営の効率化について、6頁の(2)で記載してあるとおり、中期計画に沿った着実な実績をあげたと言えます。
 財務内容の改善、その他業務運営に関する重要事項等についても(3)で記載してあるとおりであり、海外勤務健康管理センターと労災リハビリテーション工学センターについて計画どおり廃止しました。
 次、6頁下段から10頁まで、評価委員会が特に厳正に評価する事項及び政・独委評価の視点への対応についてです。今年の1月、評価委員長から各法人に通知した、評価委員会が特に厳正に評価する事項と総務省政策評価・独立行政法人評価委員会の評価の視点への対応にかかわる評価については6頁以降に記載しているとおりであり、ポイントのみを申し上げることにします。
 まず、7頁の?A、アで記載したとおり、既に廃止した北海道と広島の両リハビリテーション作業所等について、未だ売却処分に至っていない理由等の分析・検証に加え、早期に処分を完了させることを期待します。また、資産の全部又は一部を使用しない決定をしたことから、減損した土地建物についても病院機能の維持・向上等の観点、及び業務運営の効率化の観点から検証を加え、保有資産の見直しを進めていくことを期待します。
 8頁の?B、ア、事務・技術職員の給与水準については、昨年度の国のマイナス改定等の影響により、前年度と比べてラスパイレス指数が2.5ポイント増加しましたが、同時期に機構では年功的要素の是正等を含めた給与体系全体の見直しに向け、労使交渉を継続してきました。その結果、平均2.5%の俸給引下げとなる俸給表の改定が決定されたことは評価できます。
 病院医師については国家公務員の水準を若干上回っているものの、他の公的病院等に比べると低く、医師確保の困難性等からすれば現行の水準は必要な措置であると言えます。
 なお、医師や看護師等の医療関係者の確保には、より一層の充実した勤務体制や勤務環境の整備にも配慮する必要があり、今後とも各病院のニーズを踏まえつつ、知恵を絞った、工夫ある取組を期待します。
 8頁の?B、イ、総人件費改革については、引き続き事務・技能職員の人員や人件費の削減に努めている一方、ほかでは代替困難な石綿関連疾患への対応や救急医療等の政策医療をより一層推進するために、不足する医師や看護師を補充した影響から平成21年度の総人件費は対17年度比で増加に転じているが、これら医療従事者の増員はやむを得ないものがあり、この影響を除くと確実に取組が進められているものと言えます。
 9頁の?B、ウ、前年度に「政・独委から必要な検証が加えられていない」と指摘のあった諸手当については、民間病院等の採用状況、救急医療等に携わる医療関係者の確保及び待遇改善の必要性から設けられているものと言えます。同様に指摘のあった法定外福利厚生費についても、互助組織の事業内容や支出を見直しつつ、他法人の見直し状況等も踏まえて平成23年度からの支出を廃止する方針としており、今後とも職員のモチベーションとモラールの維持に留意しつつ、適切な見直しを期待します。
 9頁の?C、契約については、「随意契約見直し計画」等に基づき、着実に一般競争への移行が進められており、平成22年度末までに同計画を達成できるよう引き続き取組を期待します。また、平成21年度に設置された「契約監視委員会」において指摘された内容を踏まえて策定した、「随意契約等見直し計画」や「調達の適性化について(厚生労働大臣通知)」にも基づいた、さらなる契約の適正化・効率化を期待します。
 9頁の?D、事業費の冗費の点検及び削減状況については、システムの調達等において導入課題を整理するなど、各事業費について着実に節減が進められていると言えます。
 10頁の?E、内部統制についてはバランススコアカードによるPDCAサイクルマネジメントを実施しているほか、モニタリングについても各施設の業務運営状況の把握やバランススコアカードの上半期、下半期評価等を実施しております。また、機構本部における経営改善推進会議や施設別病院協議において、経営トップである理事長自ら、積極的な助言・指導等を行っている点も評価できます。
 以上、労働者健康福祉機構の評価結果について講評を行いました。以上です。

○井原部会長
 ありがとうございました。ただいま、ご報告いただきました総合評価書につきまして、ご意見がありましたらお願いいたします。

○篠原部会長代理
 6頁の(3)の?@、「労災病院」についてリーマンショックを言っています。報告では300億円以上と言っていて、この件で相談している公認会計士は「そのうち消えてしまうだろう」ということでした。プラスになるという予想も、例えば3年か5年ならあり得ると思っているのですが、現状においてはやはりそれに対して多少、赤字の大きさについて扱う必要はありませんか。ちょっと書きづらいなという気はしますが。

○堺委員
 そうですね、ちょっと微妙な水準かと思います。

○篠原部会長代理
 それともう1点、10頁の「内部統制」中身は内部統制と経営管理体制とがごちゃ混ぜのような気がします。これ、誤解を与えてしまうかな。バランススコアカードというのは内部統制として扱うのですか。結果的にかなりあると思うけれども、もっと積極的な意味があるのではないか。結果的には内部統制が非常に強くなると思うのですが、項目として「内部統制」と言ったとき、書いている内容が経営管理のことを言っていて、悪くはないけれどもどうかなと思いました。

○堺委員
 おっしゃるように、ガバナンスと経営管理という点は厳密に言えば分けなければいけないというところがあります。ただ、おそらく、ここのところは頁数の関係もあって両者を含めた表現となっています。

○篠原部会長代理
 もう1点、バランススコアカードについて、今回否決されてしまったのですが、あれは事務系や経理も対象にしているのではないかと思います。ただ、積極性が見られないし、私が出したいろいろな質問書にも回答が来ないというのは、それにもきちんと回答するということがバランススコアカードでもあるのではないか。私の疑問としては、本部機構はバランススコアカードを導入していないで、失敗なのではないかと思っているのですが、どうですか。理事長。

○労働者健康福祉機構理事長
 バランススコアカードは、本部を含めた事業全体でのバランススコアカード、それから病院ごとのバランススコアカード、さらに診療科ごと、あるいはコ・メディカル、各部門ごとにそれぞれ作り、ここにも触れられていますように5つの視点を展開しています。これは順調に動いていると思っています。
 先生との問題については、私どもも誠意をもって申し上げてきたつもりです。先生との対応についての指針は、バランススコアカードにはもちろん入っておりませんけれども、そういうことも含めて誠意をもって対応させていただいたつもりです。今後はより一層誠意をもって対応したいと思います。

○篠原部会長代理
 否決されたから言いますが、大臣承認を得て、私が8月10日前後の文書を回答するというのはちょっと考えられませんよ。私は拒否して未だに見ていません。大臣承認の後にそのような文書をもらっても何の意味もないと思い、評価官に返しています。「誠意がないですよ。バランススコアカードでそういうことを謳っているのですか」と。「もうちょっときちんと、順序を踏んでやっていくものでしょう」と。

○労働者健康福祉機構理事長
 一言だけ、先生の厚生年金基金の資産の減少分が私どもの欠損の大きなウエイトを占めている、大きな問題だということについては認識を全く同様にしています。私ども、財務諸表に平成20年度、昨年度に注記がなかったこと、別に隠すつもりは毛頭ありません。むしろ、評価いただくこの委員会の際にも、冒頭からその部分については詳細に、数字も含めてご説明申し上げてきたわけです。そのことをご承知いただいた上で、私どもの業務実績についてのご評価をいただくほうが私どもにとってもありがたい。全く、そこは思いを一にしている事項だろうと受け止めています。私どもとしては先ほど出ましたホームページ上での周知も含め、誠意をもって対応させていただいています。

○篠原部会長代理
 私の質問に全然答えていないじゃないですか。私は大臣承認後に、先ほど言いましたように書類をもらわない状態であのような文章を書いたのです。決定できないから。「大臣承認があった後に文章を起こしても、何の誠意もありません」と言っているのです。「そういうことをあなた方はやるのですか」と言っているのです。

○労働者健康福祉機構理事長
 私ども、これからも今年行いましたように、こういうものについては注記をしていきますし。

○篠原部会長代理
 いや、そんなことじゃなくて、大臣承認の後に書類をやることが私ども評価委員に対して誠意ある態度ですか。

○労働者健康福祉機構理事長
 正直申し上げて、評価いただく前提として、厚生年金基金の資産の減少・動向についてはつぶさにご説明申し上げて、資料もややしつこいぐらいに提出してご評価をいただくように配慮したつもりでいたわけです。もちろん、大臣の承認が出る以前の評価委員会の場でも資料をご説明申し上げました。むしろ先生がおっしゃるように、そこをご理解いただいた上で私どもの医療事業の実績を評価していただかないと、医療事業だけではどうしようもない部分の費用の計上なものですから、そこは思いを全く一緒にしているというように私は理解しています。

○篠原部会長代理
 私は実績評価を言っているのではなくて、財務諸表の問題、去年のメールを見たら「労福機構から回答がなくて困っているんですよ」とある方に出しているんです。その点を大臣承認の後にやるということは、今、理事長が言ったように「『誠意をもって』とか『思いを共に』などという話ではないのでしょう」と言っているのです。

○政策評価官室長補佐
 皆様のご意見と法人の方をつなぐのが評価官室の業務ですので、この点について、法人の落ち度というよりは評価官室の中の対応の問題だったと反省しています。ご指摘の質問書については、法人のほうから意見書の案を考えたというのは受け取っておりまして、これをどのタイミングで篠原委員にお渡しするのがいちばんわかりやすくというか、適切なタイミングなのかを何度も相談しながらやってきました。篠原委員も先ほどお話の中で、「結局受け取らなかった」ということをおっしゃっていましたが。

○篠原部会長代理
 それ、日にちはいつになっていますか。

○政策評価官室長補佐
 ご用意しているのは9月25日になっていますが、事前に。

○篠原部会長代理
 9月25日ですか。

○政策評価官室長補佐
 平成21年9月25日、こちらの意見書のことですか。実は何度かやり取りをさせていただきまして、質問書をいただいて、回答書を用意するという作業が何度かありましたので、篠原委員が今、おっしゃっていたのがどの時点のものかがちょっとわかりませんでした。おそらくいちばん最初といいますか、平成21年9月25日付けで、篠原委員にお渡しできなかった原本がいま私の手元にあります。こちらについては、「意見書のただし書きをどういう文章で書きましょうか」というやり取りの中で、結局ご質問いただいていたことには回答しているのかなという理解を事務局としてしておりました。その後に、「あの回答はどうなったんだ」というようなお問い合わせを受けまして。

○篠原部会長代理
 わかりました。8月に私が質問したのは、いま言ったように私の質問に回答がないと。実は今年の6月20日にやった部分について、私の手元に来ていないのです。これは評価官室がいまと同じ判断で、私に渡すと怒り狂うだろうという前提で渡さなかったんですよ。だから、先ほどから質問しているように、私が質問したようにバランススコアカードというのは回答するのでしょうと。「誠意ある」という言葉を浮かべているのではなくて、この前、「最後に井原委員長がボールを投げたら返してください」と。「その過程が抜けているでしょう」と私は言っているのです。それに対してどういう考えをしているのですかと聞いているのです。

○労働者健康福祉機構理事長
 バランススコアカードは病院の基礎的、基本的な数値目標を設けて、その達成状況を常にフォローしながらPDCAのサイクルで見直し、また新しい展開を図っていくという性格のものでございます。先生とのいろいろなやり取りについて、バランススコアカードに目標を計上していくというものとはちょっとないという、違うということはご理解ください。

○篠原部会長代理
 ちょっと言わせてください。外国でいろいろなものが導入されていて、いちばん肝なのは、私たちがよく言うようにドキュメンテーションなのです。「それを要求されている」と。私たちはもう20年ぐらい前からいろいろな品質管理は「日本つぶし」だろうと言っていたように、今回もそれが尊重されて、「バランススコアカードではなくて、ドキュメンテーションが尊重された上でのやり取りというのはものすごく重要でしょう」と言っているのです。

○労働者健康福祉機構理事長
 バランススコアカードに書いていない事項であっても、先生が私どもの事業内容に関心をお持ちになって、提起された問題について、誠意をもって回答していくことは当然の努めですので、それは当然やってまいります。篠原委員からご指摘があった今回の件につきましても、これを教訓にして、例えばこのようになった経緯のいきさつの大元は独法の会計基準がはっきりしていないということなのだろうと思います。何を注記すべきで、何を注記しないのか。例えば、医療事業の展開などです。

○篠原部会長代理
 「はっきりしていません」ということは、私、先ほど言いました。評価委員として気が付いたのだから、真剣な回答で、どうということが私らに来ていないと言っているのです。

○労働者健康福祉機構理事長
 いや、だから。

○篠原部会長代理
 はっきり書いていないから私は気が付いた。それはより情報をより良くする前提で言ったのですから、真剣に検討しなくてはいけない。

○労働者健康福祉機構理事長
 話をさえ切るのはよくないと思います。

○篠原部会長代理
 書いていないからやめたの話ではなくて、評価委員が「これは不十分だよ」と指摘したのだから、「それに対して検討して回答するのが当たり前でしょう」と先ほどから言っているのです。

○労働者健康福祉機構理事長
 私は回答したつもりでいますけれども。

○篠原部会長代理
 書いていないから……ではないのです、私が気が付いたのです。

○労働者健康福祉機構理事長
 回答させていただいていますけれども、先生、私が言ったのはその趣旨ではなくて、今回はいろいろな教訓を私どもにいただきました。だから、何が重要で注記すべきなのか。厚生年金基金の資産も重要です。私どもから見れば。

○篠原部会長代理
 やめましょう、何の意味もない。

○労働者健康福祉機構理事長
 私どもから見れば診療報酬の改定も同様です。これ以上の金額の影響も受けるわけです。そういうものは注記するのかしないのか。

○篠原部会長代理
 いや、そういう議論をこの1年間永遠にやってきたのです。話が合わないということがわかっていただければ、皆さんに。やめましょう。

○労働者健康福祉機構理事長
 ルールをはっきり決めなくてはいけない。ルールなしで「これはいかん」「これはあれだ」と言われても。

○篠原部会長代理
 理事長の話を止めるのは悪いのですが、この1年間、話がこういう話でずっと来たのだから、それさえわかっていただければ結構です。もう時間も過ぎているでしょうから。

○労働者健康福祉機構理事長
 公認会計士協会でルールを決めてもらわないとどうにもならない。

○井原部会長
 はい、わかりました。

○篠原部会長代理
 先を言います。それは先ほど言ったようにやると思います。ただ、未成熟の場合、気が付いたら検討するというのが会計上の重要な問題だと私は思います。それに全部押し付けるというのは、いまの日本の閉塞状態そのものです。ないからやらないではなくて、より進歩する時点で事が頭にありながら、「こうですよ」と指摘したのだから、あなた方はどう考えるかというのは、「私は物事を進めていく上でしょ」と。規定は、私らはみんな知っているのだから。

○労働者健康福祉機構理事長
 だから、会計基準が明確でないから、我々はホームページ上とかいろいろなところで説明しなくてはいけないことになります。

○井原部会長
 わかりました。この話はここでストップいたします。そのほかに何かございますか。

○今村委員
 私、篠原委員ほど、自分の言ったことに正確な記憶を持っていないのですが、昨年、たしか内部統制のことで、例えば先ほど出た勤労者退職金共済機構の報告書、これから出てくる高・障機構にも「コンプライアンス」という言葉が内部統制のところで出てきます。昨年もたしかそれを指摘した記憶があるのですが、つまり「法令遵守」と訳していいかどうかわかりませんが、内部で法律等、社会的良心に反することがあったとき、どう組織の中でつかまえていくかという仕組みに関して、それを多分「コンプライアンス」という意味と取るのだと思います。それがなぜないのかということを多分質問した記憶があります。
 それについて、今回の報告書の中で「コンプライアンス」という言葉が出てこないのは非常に残念な印象がします。これはどういう体制を取っておられるのか、簡単で結構ですからお答えいただければと思います。

○篠原部会長代理
 私は監査では30年、40年前から「法令遵守」、最近いろいろな形で出てきてしまう。だけど、訳せば「法令遵守」とか何かで、「リスク」と同じようにもう一般用語になりつつあるのかなという気はしています。

○労働者健康福祉機構理事長
 内部統制の問題については、私どももいろいろ議論を重ねています。もちろん、経営管理から効率化等々、業務執行体制のガバナンスから最終的にはコンプライアンスも含めて、内部統制の範疇としてとらえています。そういう経営管理、コンプライアンス等を担当するリスク・マネージメントの委員会、こういうものもいま整理している段階です。内部通報制度もそういう中に取り込んで、保護を図って活動を良くしていくとか、そういう工夫をいま重ねているところです。

○今村委員
 ならば、この評価書に載っていないというだけですか。

○労働者健康福祉機構理事長
 中期目標等でそこが求められていなかったものですから、報告の中に直接書いていないわけで、もし今後それをご説明する際に中期目標の目標設定には入っていませんけれども、それらも提出するように工夫してまいりたいと思います。

○労働者健康福祉機構総務部長
 前回、7月12日に出している資料をご覧いただければコンプライアンス関係についても触れていますので、3点について説明しておりますが、評価書にだけ入っていないということでご理解いただければと思います。

○今村委員
 ほかの機構の資料にはちゃんと「コンプライアンス推進室」とか書いてあるので。つまり、労福機構だけが中期目標として設定されていないのか、あるいはほかの機構が自主的にそれを取り上げているのか、ちょっとその辺がわからないので質問させていただきました。

○井原部会長
 あと、何かありますか。

○松田委員
 8頁の「給与水準の状況」、まさにそのとおりです。ただし、もう少し言うのであればちょうど真ん中から下のところ、「より一層の充実した勤務体制や勤務環境等の整備にも配慮する必要がある。」、その次、「今後とも、ワークライフバランスに応じた各病院」、それを1つ入れたほうが締まりますね。「ワークライフバランス」を入れると給与水準の状況がよくわかるということです。

○篠原部会長代理
 厚生労働省はワークライフバランスを推進しているのでしょう。

○松田委員
 いや、そういう意味ではありません。

○堺委員
 松田委員のおっしゃられたように、確かに最近、病院事業で医療従事者のワークライフバランス、これを重視することが病院の経営上も重要であるし、第一に患者さん、ご家族のためであるということが今、徹底してきています。松田委員のおっしゃった字句を入れることは適当かというように考えます。

○井原部会長
 具体的には8頁のアのところ、第1パラグラフの「適正化が期待される。今後ともワークライフバランスを」ですか。

○松田委員
 「に応じた」です。

○井原部会長
 に応じた、はい。

○松田委員
 あとは同じです。「今後ともワークライフバランスに応じた各病院の」、それをちょっと入れたほうがより締まります。

○井原部会長
 各病院の。

○松田委員
 ええ、給与水準の状況はこのとおりですから。

○井原部会長
 そのあとはどうやって締めるのですか。「病院の」。

○松田委員
 「ニーズを踏まえつつ」、そのとおりです。

○井原部会長
 「ニーズ」ですか。

○堺委員
 このパラグラフのいちばん最後、こちらのほうで。

○井原部会長
 ああ、そうか。それはあれですか、アのところのいちばん下ですか。

○堺委員
 はい。

○井原部会長
 イの上ですね。もう1度言うと、「今後ともワークライフバランスに応じた各病院のニーズを踏まえつつ」ですか。はい、それではそういうように入れてください。あとはよろしゅうございますか。
(各委員了承)

○井原部会長
 それでは、いまの修正を行います。それで、平成21年度の業務実績の評価結果としては、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。
 最後に伊藤理事長からコメントをいただければと思います。

○労働者健康福祉機構理事長
 大変ありがとうございました。第2期の中期目標の初年度に当たります平成21年度の業務実績につきましてご審議、ご評価いただいて、併せてこれからに向けて大変貴重なご示唆も頂戴しましたこと、厚く御礼申し上げたいと思います。
 私どもの主力事業である労災病院につきましては労災医療、あるいは医療の側面から、勤労者の就業生活を支えていこうということで、とかく専門性を高めていくことは不採算となりがちです。それだけに地域医療をしっかりとやって、経営基盤も作っていかなければならない状況にございます。今回のご示唆、またこれまでいただいたご示唆をもとに、その辺をしっかりと固めてまいりたいと思っています。
 おかげ様で、平成22年度に入りましてから医療事業も順調に展開しておりまして、おそらく来年のこの時期には先ほどご議論のありました厚生年金基金の資産の変動も含めて、黒字決算という形の報告ができる推移をしております。独法移行時の200億円近い欠損から比べると、おかげ様でいままでのご示唆をもとに画期的な状況を作っていけるのではないかというところまでまいっております。心よりこれまでのご示唆、ご意見、ご助言にも併せて感謝申し上げたいと存じます。ありがとうございました。

○井原部会長
 どうもありがとうございました。それでは、現在までの意見・報告等を踏まえ、個別評定の修正・確定を行いたいと思います。先ほどと同様、5分ほどの間に評定記入用紙の確認や修正をお願いいたします。
 それでは、これをもって労働者健康福祉機構の平成21年度業務実績評価に関する意見を取りまとめたいと思います。先ほどと同じく、評価の確定を行ったことによってS~Dの評定が変更されたり、コメントの修正、追加等がされる場合、これを反映した評価シートといたします。これらの修正が必要となった場合の対応については私にご一任いただき、場合によっては個別に各委員に意見を賜るということがあり得ると思います。
(各委員了承)

○井原部会長
 次に、役員の退職に係る業績勘案率についての審議に入ります。まずは事務局から、試算結果についての説明をしてください。

○政策評価官室長補佐
 資料2-3をご覧いただければと思います。お2人いらっしゃいます。お1人ずつご紹介いたします。石川勝一さん、理事をされていらっしゃいました。平成17年7月1日から平成22年3月31日まで、57か月間在籍されていらっしゃいました。計算方法は先ほどご紹介いたしましたので割愛させていただきます。なお、関連します年度の評価については裏面に、別添という形で記載しておりますのでご参照ください。事務局の案としては1.0とさせていただいています。
 続いて小池廣治さん、監事をされていらっしゃいました。平成21年7月1日から平成22年3月31日まで、9か月間の在籍でございます。同じように計算いたしまして1.0としております。関連します平成21年度の評価結果については裏面に付いています。以上です。

○井原部会長
 続いて、この2名の退職役員について、在任期間中の担当職務等について法人から説明をお願いします。

○労働者健康福祉機構総務部長
 総務部長の楪葉です。資料2-3、まず石川勝一理事ですが、いまほどご紹介がありましたように在任期間としては平成17年7月1日から平成22年3月31日までの5年9か月です。理事として経営企画、あるいは経理担当理事として、当機構の経営戦略の立案推進、また予算、決算、資産管理の総括を行っておられました。
 在任期間におきましては労災病院の当期損益、就任前が平成16年度でマイナス128億円であったものが退任時、平成21年度にはマイナス51億円ということで、約77億円の改善を見たというところでございます。
 次の小池廣治監事です。これもご紹介がありましたが、在職期間は平成21年7月1日から平成22年3月31日までの9か月間です。監事としては、全国の労災病院等の各施設を対象とした現地監査を行っています。また、当機構の契約の点検・見直しを行うため、契約監視委員会の開催について委員を招集し、議事の整理を行って、監事の職務を果たしたというところでございます。説明は以上です。

○井原部会長
 何かご質問があればお願いします。

○篠原部会長代理
 独立行政法人通則法によると理事長及び監事は大臣任命だと思うのですが、通常、監事というのは途中で、自己都合でない限り辞めさせるというのは、当然理事長以下の経営体制に対する牽制として置いていると私は思うのです。簡単にクビにできるということは、私は問題が多いと思うのですが、いわゆる途中で辞めた理由を教えていただければと思います。

○労働者健康福祉機構総務部長
 監事の在任期間は2年間です。前任者がおりまして、その前任者が1年3か月やっていた。その後任として小池監事が就任したということでして、法定任期ということになるわけです。

○篠原部会長代理
 ちょうど。

○労働者健康福祉機構総務部長
 そういうことになります。

○井原部会長
 そのほかにございますでしょうか、よろしいでしょうか。それでは、申請のあった業績勘案率については原案のとおり、1.0と決定することとしてよろしいでしょうか。
(各委員了承)

○井原部会長
 なお、先ほど事務局の説明があったとおり、決定した業績勘案率については政・独委に通知し、意見の有無の確認を行います。政・独委から意見がない旨、当委員会に通知されたあとは、この1.0を当委員会の最終決定として労働者健康福祉機構理事長に通知することにします。
 労働者健康福祉機構の審議案件は以上です。
 ここで法人・所管課の入替えを行いますので、皆さん、しばらくお待ちください。
(法人及び所管課入替)

○井原部会長
 よろしいでしょうか。それでは審議を続けさせていただきます。次に高齢・障害者雇用支援機構についての審議です。財務諸表に関する意見について篠原部会長代理からご説明をお願いします。

○篠原部会長代理
 財務に関する大臣への意見具申に対するものを発表します。例年と同じように適正意見というか承認ということで井原委員長から大臣に出す意見書です。独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の平成21年度に係る独立行政法人通則法第38条第1項に規定する財務諸表について同条第3項の規定に基づく独立行政法人評価委員会の意見は下記のとおりであるということで、本文は「平成22年6月30日付け22高障発第109号により承認申請のあった通則法第38条第1項に規定する財務諸表については、承認することが適当である」と。
 それで、高齢・障害者機構についても昨年度から事前の打ち合わせをして、そういう意見を積極的に取り入れられているので問題はありませんでした。わかりやすいと言うか、評価により役立つということも考慮して徐々にレベルアップしているので、ここに書いた以上の意味はあるだろうと。わざわざここに書くことはないのですが、財務諸表としては一歩一歩前進していると、トータルでは世の中ではいろいろ問題があるのですが、急激にいいのというか、この財務諸表自体が世界に存在してないといわれるから、非常に取扱いが公認会計士もおそらく独法もとまどっている部分があって、やっぱり一歩一歩いくしかないという意味では前進したかなというのが私の感想です。

○井原部会長
 それでは、ただいまのご報告、この高・障機構の財務諸表についてご意見がありましたらお願いします。よろしゅうございますか。それでは平成21年度の財務諸表に対する意見として資料3-1の(案)のとおりで修正意見はありませんので、これを取りまとめて厚生労働大臣に提出したいと思います。それでよろしゅうございますでしょうか。
(各委員了承)
 
○井原部会長
 では、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。
 次に高・障機構の総合評価についての審議をします。起草委員を代表して寺山委員からご報告を願います。なお、報告時間は概ね10分以内でお願いします。

○寺山委員
 それでは申し上げます。本法人は高年齢者等を雇用する事業主に対する給付金の支給、高年齢者等の雇用についての事業主等に対する相談・援助、障害者の職業生活における自立を促進するための障害者職業センターの設置及び運営、障害者雇用納付金の業務、その他、高年齢者等及び障害者の雇用を支援するための業務などを行うことにより、高年齢者及び障害者の職業の安定、その他の福祉の増進を図ることなどを目的として設立されております。それで、本法人の平成21年度、第2期中期目標の2年度目に入りますが、その業務実績の評価概要を申し上げます。
 まず1頁の全般の評価ですが、平成21年度は事業の見直し、改善に積極的に取り組み、組織体制の見直し、業務運営の効率化、経費節減等に努めたほか、厳しい経済情勢への対応策を機動的に実施したことなどにより業務実績は年度計画にある数値目標を全ての項目において上回るなど、着実に実績を上げています。このように平成21年度は適切に業務を実施したと評価できますが、今後の課題といたしまして2点指摘しておきます。
 まず第1点目は、65歳希望者全員継続雇用の推進、70歳まで働ける企業の普及及び促進等、政府の高年齢者雇用の目標達成に寄与する必要があるという点です。2点目は就労の困難性の高い、主として重度の障害者の就業ニーズに積極的に応えるため、職業リハビリテーションに関する助言・援助などの充実により、医療・教育・福祉等の関係機関との一層の連携強化を図り、潜在的ニーズへの対応を含め、幅広い職業リハサービスの効果的な実施を図る必要がある点です。
 次に2.の具体的な評価内容について申し上げます。2点です。(1)業務運営の効率化についてですが、業務運営体制について駐在事務所の廃止、地域障害者職業センターの管理事務の集約化などを行ったことは評価できます。今後も効率的、効果的な体制に向けた取組を引き続き期待します。経費節減につきましては、一般管理費・業務経費について目標を上回る予算を節減し、予算執行時における経費節減、自主的な事業見直し・廃止を行ったことが評価できます。また、給付金・助成金の1件当たりの平均処理期間を前年度に比べて大幅に短縮させたことも評価できます。
 次に(2)の?@で、関係者のニーズ把握や雇用情報の提供について、外部評価を積極的に活用した業績評価の実施、二元構造のコンプライアンス体制やモニター制度等が実施されており、評価できます。今後、高齢者・障害者の支援業務の連携によるサービスの一層の充実を期待しています。また、ホームページのアクセス件数が前年度で大幅に増加するなど高齢者や障害者への雇用情報の提供に効果が上がっています。
 次の2頁の?Aですが、高齢者等の雇用支援業務に移ります。2パラグラフになりますが、事業主に対する相談・援助については小規模企業を重点とした雇用確保措置の導入支援、65歳までの希望者全員継続雇用制度の推進、あるいは「70歳まで働ける企業」の普及・促進等に重点的に取り組んだ結果、目標を上回る課題改善効果等が見られたことは評価できます。次に下から2行目で、実践的手法の開発・提供については「70歳まで働ける企業」の実現に向けた「雇用力評価チェックリスト」を開発したことなどが評価できます。
 次に、高年齢者雇用に関する啓発広報についてですが、高齢者雇用フェスタにおいて、表彰、シンポジウム、フォーラム、講演など多彩な手法による効果的な情報提供に取り組んだほか、定期刊行誌「エルダー」の内容の一層の充実に取り組みました。次に、中高年齢者に対する相談、援助については高齢期雇用就業支援コーナーで土日、夜間、出張対応など、利用者ニーズに対応した取組を進め、利用者から高い評価を得たことが評価できます。コーナーは残念ですが平成21年度末で業務を終了しましたが、今後とも利用者が必要な支援を受けられるように関係機関と連携した可能な対応が行われることを期待しています。
 次に?B、3頁の中頃ですが、障害者雇用支援業務です。まず地域障害者職業センター業務については他の就労支援機関では対応が困難な精神障害者とか発達障害者に対する支援、それから事業主ニーズを踏まえた専門的支援を積極的に実施したほか、厳しい雇用失業情勢に対応した事業主団体、あるいは企業等への求人確保要請など、「就労実現特別対策」を展開したこと等により平成21年度の数値目標を全て達成したことは評価できます。今後も引き続き各都道府県における中核的な職業リハ機関として、関係機関との連携を充実させるなど、一層きめ細やかな質の高いサービスが期待されます。
 次に、職業リハビリテーションの専門的な人材の育成については地域の関係機関がより効果的な職業リハを実施できるよう、様々な機会、多様な方法による積極的な助言・援助、実務的研修等が実施されたことが評価できます。職業リハビリテーションに関する調査研究についてですが、ニーズを踏まえたテーマについて実施し、支援技法の開発を行い、成果の積極的な普及・活用に取り組んでおり、評価できます。これらを通して職業リハビリテーションのさらなる質の向上に取り組んでいただくことを期待します。
 障害者職業能力開発校についてですが、企業ニーズや障害特性に対応した支援のほか、厳しい雇用失業状況に対応し、求人確保に向けた企業への働きかけや短期職場実習などの特別対策が実施され、修了者等の就職率についても数値目標を上回っていることが評価できます。今後も職業訓練上特別な支援を要する障害者に対する職業訓練の充実、指導技法等の積極的な開発・普及が期待されます。
 次の4頁の納付金関係業務については引き続き高水準の収納率が達成され、また平成22年7月の改正障害者雇用納付金制度の納付制度の円滑な施行に向けた周知に積極的に取り組み、事業主への理解を深めたことが評価できます。障害者雇用に関する相談・援助についてですが、新たにシステムを導入して、過去の相談記録を迅速に確認しつつ、計画的な企業訪問や多様な提案を行うなどサービスの充実を図っており、評価できます。
 次の障害者雇用に関する実践的手法の開発・提供についてですが、わかりやすく実践的なマニュアル・好事例集の作成、成果の普及が積極的に行われたことが評価できます。障害者雇用に関する啓発事業及び全国障害者技能競技大会についてですが、障害者ワークフェア、定期刊行誌「働く広場」などの啓発事業に加え、いわゆるアビリンピックについては市との共催を含め開催地との協力や連携による大会の準備運営を行い、今後の障害者雇用を見据えつつ、効率的な運営を行うとともに内容を充実し、過去最高の来場者数を達成したことが評価できます。今後とも一層の運営面の工夫を期待します。
 次の4頁の下のほうですが、(3)財務内容の改善等についてです。予算執行等については中期目標期間の平成21年度としての節減目標を一般管理費及び業務経費とも達成しました。
 最後に、その他業務運営に関する措置についてです。まず?Bの組織体制・人件費管理についてですが、給与水準のラスパイレス指数は112.2と前年度から0.6ポイントの上昇、地域・学歴勘案の指数は101.4と前年度から1.4ポイントの減少となっています。国に比べて給与水準が高くなっている定量的な理由として、地域・学歴に加え、職務手当を支給される者の比率が高いなどが考えられますが、これらを踏まえた近年の給与構造改革に取り組んでいることが評価できます。今後については、地域・学歴勘案の指数を平成22年には100.0以下とすることを目標に給与水準の適切性の検証を引き続き進めて、適正な水準の確保に向けた努力を行うことが期待されます。また、総人件費については平成21年度末に基準年度である平成17年度の給与、報酬等支給総額と比較して6.1%に相当する額を節減しており評価できます。
 次の7頁の事業の冗費の点検ですが、厚生労働省からの独立行政法人、認可法人、特別民間法人の冗費の節減についての要請が来ておりますが、それに基づき全ての事務・事業について無駄の削減、業務効率化に向けた職員の意識改革及び効率化等に関する取組を行ったことが評価できます。業務経費については独立行政法人整理合理化計画を踏まえた高齢期雇用就業支援コーナーの廃止、受託法人への委託業務に係る職員数の見直し・削減等により、予算の前年度比3.1%の節減が図られており評価できます。更に事業実施の契約について一般競争入札の積極的な実施、事務用品の一括調達、公用車の小型車への車種変更に努めるなど15.7%の経費節減が図られており評価できます。
 ?Dの契約についてですが、平成21年度の少額随契を除く随意契約は平成21年度に高齢期雇用就業支援コーナーの施設につき、市場化テストを導入する予定であったことから、同施設を機構が直接賃借して受託法人に提供する方式としたこと等による特殊要因があり、それにより件数が増加したものの、この平成21年度限りの特殊要因を除けば前年度比件数ベースで10.2%の減、金額ベースで12.7%の減となっています。なお、各都道府県雇用開発協会等への業務委託については平成22年度の契約から一般競争入札、最低価格落札方式ですが、それを実施しました。この委託業務については平成23年度から委託方式を廃止し、法人が直接実施することとなっています。
 8頁の?Eの内部統制については、理事長自らが利用者の立場に立ったサービスの徹底を図っているほか、コンプライアンスを担当する総務部とコンプライアンスに関する厳正な監査をする監査室による二元構造のコンプライアンス体制の下、内部監査を実施するなどの取組が実施されており評価できます。
 最後ですが、事務・事業の見直し等については国民のニーズとずれているものがないか等について、事務・事業の執行状況、利用者の声などを踏まえ検討を行い、見直しを行ったことは評価できます。以上です。

○井原部会長
 はい、ありがとうございました。それではただいまご報告いただきました総合評価書につきましてご意見等がありましたらお願いいたします。

○篠原部会長代理
 今回の報告書をいろいろと見ていると、かなり英語が使われていて、例えばここには出てこないが、さっきのところはサスティナビリティとか、いまは一般的に受け入れられているなという気はするのですが、私は10年以上前、総務省で公認会計士協会で仕事をしたときに、「リスク」でさえ変えてくれと。普通にしろと。この辺を役所としてはどこまで英語を使っていいかという、まあ、使ったほうが読み易いとは思うのですが、あるのでしょうか。まあ、つまらない話ですが。

○高齢・障害者雇用支援機構理事長
 我々はですね、小泉政権時代とか小泉厚生大臣時代に、とにかく英語を使うなということを言われて、その伝統というのは守っているのだろうと思うので、当機構としては、例えば、ジョブコーチの事業をやっているのですけど、ジョブコーチも日本語を考えようということで、職場適応援助者とかやってですね、なるべく中小企業の事業主の方とかですね、あるいは、高齢者、障害者の方に分りやすく、日本語にできるものはなるべく日本語にするようにという努力はしているのですが。ただ何となく日本語にうまくできないというのと、英語にするほうが何かとても立派なことをやっているように思っていただけるというあたりもあって、なかなか悩ましいところなのですが、当方は障害者の方、中小企業事業主の方、それから、高齢者の方が相手なものですから、なるべく日本語を使えるものは使っていこうという努力はしています。

○寺山委員
 リハビリテーションという言葉はいまだに訳せなくて困っていますが、そのうちに日本語になりましたので、中身的には。

○篠原部会長代理
 モニタリングも実は私、内部統制で訳そうとしたとき、本当の意味に訳せないとかで、英語のままのほうがいいなと。すみません。それでちょっと質問なのですが、9頁の?Gの法人の監事との連携状況って、この連携状況は独立行政法人評価委員会との関係ですよね。それとも、監事と経営陣との関係。?G法人の監事との連携状況。「当委員会では」と書いてあるので。

○政策評価官室長補佐
 こちらの項目、全法人共通して入れていただいている項目ですが、書いていただくのは、評価に当たってでございますので、当評価委員会と法人監事との連携状況ということで、監事の監査報告書等の提出を受けという形で記載になっていると思います。

○篠原部会長代理
 これ、何となく標準分類で3つ見て、質問しようかどうかと思っていたのですが、いわゆる監事は、業務監査と財務諸表監査がありますよね。財務諸表監査については、実は去年から監事と経理部と私とで、我々が抱えている財務諸表上の問題は共有化しようということでなるべく説明しているのですね。実は、ちょっと聞いたのは、監事と会計監査人も、一般的には民間では連携しながら省力化しているというのですかね、ダブらないようにとか、おそらくそれもやっているのではないかなという気はするのですが、そこまで書かなくていいということですか。かなりそういうところは気をつけて連携を強めているとか、標準分類であればそこまで書く必要はないのかなと。ただ、何となくさっぱりしすぎているなという感じ。だから、来年あたり考えてください。今年は初めてでしたから結構です。

○高齢・障害者支援機構理事長
 かねてから会計監査法人のほうも監事と情報交換、意見交換したいということで、これは定期的にやってはいるんですね。ですから、来年度以降、もし統一的に書かれるということあれば、さらにきちんと対応するようにしたいと思います。

○井原部会長
 そのほかに何かございますでしょうか。よろしいですか。それでは修正意見の。

○寺山委員
 では、ちょっと逆に質問。今村先生、先ほどの機構との関係で、内部統制のこと、ちょっと高・障機構についても触れておられましたよね。こちらのほうがより包括的というか。

○今村委員
 厚労省の元々の評価項目の中には「コンプライアンスもしくはその内部統制」という、コンプライアンスが先に書いてあるんですね。それは評価官室とのやり取りで、評価官室がすべてまとめて統一の見解を整理しますという、たぶん過去にそういう経緯があったと思うのです。というのは、そのコンプライアンス、内部統制、ガバナンスという言葉は、各機構で統一されていません。

○寺山委員
 ばらばらに出てきますよね。

○今村委員
 そうなんですよ。だから、共通に理解されていないので。ただ、それぞれに意味がありますので。特にコンプライアンスに関しては内部統制、法令順守というふうに訳すべきかどうかもちょっと私は個人的に疑問でありまして、社会的にみて反社会的なことをやっていないかとか、そういう法律よりさらにもっと広い意味でのコンプライアンスという意味を持っていますので、そういう点で、この高・障機構は以前からそのコンプライアンスの問題について積極的にやっていらっしゃると認識しています。

○寺山委員
 こちらのほうがなじむような気がしますけれどね。前の委員会でやはりちょっと話題になっていて、ちょっと意味が狭かったんです。それでご質問しました。

○今村委員
 しっかり書かれていると思います。

○寺山委員
 はい。

○井原部会長
 よろしいですか。
(各委員了承)

○井原部会長
 それでは修正意見はなかったわけでございますので、平成21年度の業務実績の評価結果として、これを法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合には、対応につきましては私にご一任いただきたいと思います。これはこれまでの他の2つの機構についても当てはまることでございます。では、そのようにさせていただきます。
 最後に戸苅理事長からコメントをいただきたいと思います。

○高齢・障害者雇用支援機構理事長
 評価委員会の先生方には、当機構の平成21年度の業務実績につきまして、7月15日に個別評価いただき、本日は総合評価をいただくということで、大変ありがとうございました。団塊の世代の全員がすでに60歳代になっておりますし、2年後には65歳に到達するということでございます。障害のある人たちの就労意欲も年々高まっておりますし、今後さらに高まっていくというふうに考えられるところでありますので、高齢者の方あるいは障害のある人たちの雇用の一層の推進を図るべく、委員の先生方からいただきましたご意見、本日の総合評価書において示されました課題等を踏まえまして、中期計画の目標を達成できるように、業務のさらなる改善、事業運営の一層の効率化に努めてまいりたいと考えておりますので、引き続きよろしくご指導をお願い申し上げたいと思います。以上であります。ありがとうございました。

○井原部会長
 ありがとうございました。では、現在までの意見・報告等を踏まえまして、個別評定の修正・確定を行いたいと思います。先ほどと同様に、5分ほどの間に評定記入用紙の確認や修正をお願いいたします。
 よろしいですか。それではこれをもちまして、高齢・障害者雇用支援機構の平成21年度業務実績評価に関する意見を取りまとめいたします。先ほどと同じく、評価の確定を行ったことによりまして、S~Dの評定が変更されたり、コメントが修正、追加等がされた場合は、これを反映した評価シートといたします。修正が必要になった場合の対応につきましては私にご一任いただき、場合によっては、個別に各委員にご意見を賜ることとさせていただきます。
(各委員了承)

○井原部会長
 次に、役員の退職に係る業績勘案率についての審議に入ります。まずは事務局から試算結果について説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 資料3-3をご覧いただければと思います。1枚おめくりいただきますと、事務局案が出てまいります。退職された役員の方、池田道郎様。理事をされていらっしゃいました。平成19年9月7日から平成22年3月31日までの31カ月でございます。先ほどご説明したのと同じとおりに計算をいたしまして、1.3と出てまいりますが、1.0を超える場合は目的積立金の状況について勘案するとなっておりまして、目的積立金は積んでおりません。また、法人からの申出は、申請はありませんでしたので、事務局案としては1.0としてございます。最後のほうに別添といたしまして、在職期間中の個別項目の評価結果表を付けてございます。以上でございます。

○井原部会長
 では、続きまして、この退職役員につきまして、在任期間中の理事の担当職務等について、法人から簡単に説明をお願いいたします。

○高齢・障害者雇用支援機構総務部長
 総務部長の代田でございます。池田理事につきましては、平成19年9月7日から平成22年3月31日まで在職し、地域障害者職業センター業務、職業リハビリテーションの専門的な人材の育成、職業リハビリテーションに関する調査研究、障害者職業能力開発校といった職業リハビリテーション関係業務の担当でございました。また、平成21年度より、中期計画の変更を行いまして、新規業務として行うこととした地域の関係機関に対する職業リハビリテーションに関する助言・援助、精神障害者の復職支援サービスの充実・強化、特注型の訓練メニューに基づく企業内訓練との一体的実施による先導的職業訓練といった3つの業務につきまして、その的確な実施に取り組んだところでございます。
今回の池田理事が担当していました業務に関しましては、平成20年度の業績評価におきましては、地域センター業務についてS評価を、また他の担当業務の3事業区分につきましても、すべてA評価という高い評価をいただいておりますほか、資料の別添にございます19年度、21年度の業績評価におきましても、担当業務のすべてについてA評価という高い評価をいただいたところでございます。
業績勘案率につきましては、以上のことを踏まえつつ、当機構として、給与構造改革等による総人件費改革に取り組んでいることも考え合わせまして、1.0ということでよろしくお願い申し上げます。以上でございます。

○井原部会長
 それではご質問等がありましたらお願いいたします。

○篠原部会長代理
 計算というか、1.3で、(6)で、(4)及び(5)によりということ、(4)は目的積立金を積み立てていない場合は1.0以上にできないとわかるのですが、(5)は具体的にどんなことを書かれた場合というか。いままで過去書いたことがないと思うのですが。

○政策評価官室長補佐
 事務局のほうから説明いたしますが、この役員に関して、プラスにせよマイナスにせよ退職金のこの業務勘案率に関する事情で考慮していただきたいことがあったら申出をしていただく、申出ができるとなっておりまして、これは法人からだけではなく、先ほどもご説明しましたが、委員の皆様からも、この委員が担当していた業務はこの期間すばらしかったですとか、そういうことを言っていただくこと、または、もしくはもちろん不祥事があったのでその責任はどうだということを言っていただくことが可能になっておりますが、当委員会で特別な申請があったということは記憶しておりませんので、いままで1つも例はないかと思います。

○篠原部会長代理
 省内の事業仕分けで、たしか高齢・障害者を仕分け人が褒めていたと思うんですよね。実は財務諸表の過去のですね、労働部会、5つあるのですが、いちばんいろいろな問題があったのは、実は当法人なのです。3つも4つもあって苦労した。さっき言った、重要性がないということで処理したり、いろいろなことをやっているのですが、最近はちゃんとなっているのでレベルは上がっているのではないかという気もして、ちょっと積立金もいいのではないかという気もしないでもないけど、なかなかできないなという。理事長としては、やはりこの1年というか、私はいろいろな意味でレベルが上がっているのではないかなという気もするのですが、どうなのですか。この退職金の数値を変える以外に、ちょっとお伺いします。

○高齢・障害者雇用支援機構理事長
 先生方の評価委員会の評価も年々高くなっていまして、今回は残念ながらS評価はなかったのですが、かつてはA評価とB評価と同じぐらいの数だったのですが、いまはもうほとんどがA評価で、年度によってはS評価が1つ2つという評価があります。外部の方からの評価はかなり高い評価をいただくようになっているなというふうに思っています。それから、先生がおっしゃったように、厚生労働省の独立行政法人に対する事業仕分けでも、何か面はゆかったのですけど、随分激賞されまして、大変ありがたいことだなというふうに思っています。ただ、独立行政法人をめぐります状況は非常に厳しい。特に雇用保険勘定も厳しいものですから、当方も職員にだいぶ我慢をしてもらって、給与構造改革をしているものですから、松田先生にも前に頑張っているのなら理事のボーナス上げろと言われたのですが、とにかく職員の気持も考えると、我々も我慢しようということでありますので、今回もあえて1.0でいいと思っていますので、特段の申出はせずにいきたいという状況です。

○井原部会長
 よろしいですか。それでは申請のあった業績勘案率については原案のとおり1.0と決定することといたします。よろしいですね。
(各委員了承)

○井原部会長
 それでは先ほど同様、政・独委に通知する等の手続を進めていきます。
 次に役員給与規程の変更についてです。まず、事務局からの説明に続いて、法人から説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 では、先に全体像をご説明します。高齢・障害者雇用支援機構理事長から厚生労働大臣に対しまして、役員給与規程の変更について届出がございました。独立行政法人通則法の第53条第1項で、厚生労働大臣は届出に係る報酬等の支給基準を評価委員会に通知することとされておりまして、同条第2項におきまして、評価委員会はその通知に係る報酬等の基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて厚生労働大臣に対して意見を申し出ることができる、というふうにされておりますので、つきましてはこのたびのこの役員給与規程の変更が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについてご意見を伺いたいということでございました。それでは続いて説明をお願いいたします。

○高齢・障害者雇用支援機構総務部長
 役員給与規程の改正についてご説明申し上げたいと思います。資料3-4-?@の、役員給与規程一部改正新旧対照表に沿ってご説明申し上げたいと思います。今回地域手当の支給割合の引下げについての改正を行ったというものでございます。具体的には、この新旧対照表右側に改正前、左が改正後ということでございます。具体的なところは、職員に対します地域手当につきまして、この5月からその支給割合を3.5%に引下げを行ったということに合わせまして、役員に対します地域手当の支給割合につきましても同様に3.5%への引下げを措置することとしたというものでございます。この改正につきまして、本年5月1日より施行いたしているというところでございます。以上でございます。

○井原部会長
 それではただいまの内容につきまして何かご質問等がありましたらお願いいたします。

○篠原部会長代理
 さっきの退職金のほうなんですが、この総務省行政管理局長の出ている後ろのほうの資料を見ますと、ほとんど1.0なんですが、0.9というのもあるんですね。この辺、何で0.9にしたか、今後我々のところで検討するときに、その辺の情報がないと、何となく1.0でいいかなというのがあるので、これ。

○政策評価官室長補佐
 調べておりますので軽くご説明いたしますと、0.9となりました一つの例ですが、不祥事があり、また、会計検査院からの指摘等があったというようなことで、0.9になっているという事情があるというふうに、我々、調査しております。

○篠原部会長代理
 これ、ちょっと後で申し訳ないのですが、独法の場合は1.0以上というのはないのです。私、国立大学法人の評価をやっているときに、結構学長で1.1とか2は1割ぐらいかな。全体80ぐらいあるんですが。

○政策評価官室長補佐
 1.0を超えている例は1.1の方、それから1.2の方がお2人いらっしゃいます。1.1の方は文科省の宇宙航空研究開発機構でございまして、平成17年の9月30日に退職された方がお1人1.1になってございます。ほかの1.2の方、2名いらっしゃいますが、実は厚生労働省でございまして、国立病院機構の理事の方となっております。政・独委のほうに確認もしまして、資料といたしましても、いまご紹介したお3人の方だけが業績勘案率で1.0を超えているという形になっております。

○篠原部会長代理
 もう1つ。この役員規程なんですが、今日3つ目なのですが、実質的に理事を入れ替えていますよね。ちょっと人事院の方と話をしていて役員の場合は、いわゆる自己都合と会社都合が職員の場合はあるんですが、そういう部分というのはないから、「はい、辞めてください」と言ったら、こういう退職金も一切割増しも何もない。日本中ないんですよ。実質的にはみんな自主退職になっているんでしょうかね。依願退職みたいに。

○高齢・障害者雇用支援機構理事長
 理事の場合は任期があって、任期途中で辞められるケースというのがときどきあるのですが、私が承知している限りでは、おそらく病気で辞められるとか、あるいは別の就職口があって辞められるとかいうもので、自発的に辞めているケースが大部分だと思います。それから、あるとすると、さっきの彼女の話のように、問題を起こして辞めざるを得なかったということだと思うので、いろいろな事情で辞めさせるというふうなケースはそうはないのではないかなと。ただ、これから先、何が起きるかというのがありますけど。普通は任期の途中に自己都合で辞められるということなので、割増しの議論というのがいままで起こらなかった。必要性の議論もなかった。ただ、これから先、例えば理事の数を半減しろとかですね、いろいろなことがあって、任期まで待たずにやれとかいう話が出てくると、そういう議論は出てくるかもしれません。いまのところはそういう議論に至ってないということだと思います。

○井原部会長
 それでは本部会といたしましては、この変更について意見なしということでよろしいでしょうか。
(各委員了承)

○井原部会長
 それではそういたします。高・障機構の議題は以上となります。
 それから、業務方法書の変更についてでございます。まず業務方法書の変更についての報告です。事務局から説明し、続いて法人からの説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 高・障機構につきましては、6月に業務方法書を変更しておりまして、7月1日から適用しております。この変更手続につきましては、平成16年3月に労働部会で定めました業務方法書等の変更の際の取扱いについてというのがございまして、こちらで法人の業務内容に実質的な変更がない場合には、労働部会の議決にかえて、部会長の決裁で進めさせていただくことができるとしておりましたので、井原部会長のご了解の下、手続を進めさせていただいておりました。この場で、委員の皆様にその変更内容をご報告したいと思っております。では、法人のほうからよろしくお願いいたします。

○高齢・障害者雇用支援機構企画部長
 企画部長の高橋でございます。業務方法書の変更についてご報告させていただきます。平成20年12月に成立いたしました障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律に基づきまして、本年7月1日より障害者雇用義務の基礎となる労働者及び雇用障害者に短時間労働者が追加されたということに伴いまして、重度身体障害者あるいは重度知的障害者であります短時間労働者に関する特例等の条文が削除されまして、それによりまして法律の条文上にずれが生じております。当機構の業務方法書につきましても、当該法律の引用部分がございますために、この条文のずれについて変更させていただいたというものでございます。先ほど事務局からもご説明をいただきましたが、業務内容には実質的な変更がないということでございますので、部会長のご了解の下、法律の施行に合わせまして7月1日より変更させていただいたということでございます。以上ご報告を申し上げました。よろしくお願いいたします。

○井原部会長
 何かご質問等があればと思いますが。よろしいでしょうか。それでは高・障機構の業務方法書の変更につきましては、当部会として報告を承ったということにしたいと思います。

○篠原部会長代理
 これは当独法だけではないのですが、私はよく各独法のホームページを見るのですけれど、いわゆる幹部の名前もまず載っていないですよね。役員だけは載っている。財務諸表がちょっとした情報を、情報公開の規定で載っていくから、わかっていないと、なかなかそこにたどりつけないんですね。私はある意味ではタイトルとして2つから近づくようにしないと、普通の人はわからないのではないかなと。結構情報公開か何かの規定から情報を公開しているのがありますけれど、普通の人はあそこに結構いろいろなものがあるとは思わないのです。これは全省庁とか何かの問題ですが、非常にわかりづらいんですよ。自分のホームページは見たことないんですかね。

○高齢・障害者雇用支援機構理事長
 自分のところはあまり見ないからあれですが、たぶん中央省庁のホームページとか独立行政法人のホームページは同じような構成になっているかもしれないなと思いますが。

○篠原部会長代理
 幹部は、厚生労働省の場合は、たしか課長以上は全部出ていますね。

○高齢・障害者雇用支援機構理事長
 出ていますか。

○篠原部会長代理
 独法の場合は役員しか出てない。

○高齢・障害者雇用支援機構理事長
 役員は出すということになっていて、略歴まで入れているのです。そこはちょっとまた厚生労働省のほうと相談してみますけれど、何らかのルールがあるかですね。非常に難しいのは個人情報保護法との関係があって、公務員の課長以上には、もう個人情報はほぼ適用しないみたいな運用に何となくなっているところがあるのですが、独立行政法人の場合、個人情報保護がどこまでかかっているのか。それと、いまおっしゃった情報公開との関係というのがどうなっているのかというと、ちょっと私どもの独法だけでは何ともお答えしかねますので。その辺り、いずれにしても研究してみます。

○井原部会長
 よろしいですか。それでは本日の議事は以上でございます。なお、本日ご審議いただいた総合評価と財務諸表についての意見につきましては、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規程第3条の規定に基づきまして、当部会の決定が評価委員会の決定となります。また、政・独委への通知、公表の手続が行われることとなります。事務局から、今後の予定等連絡事項について説明をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 今後の予定等についてご連絡いたします。本日ご審議いただきました法人の総合評価書につきましては事務手続を進めさせていただき、後日、委員の皆様に確定版を郵送いたします。
 次回の開催でございますが、8月24日(火)2時から、場所は厚生労働省内17階にあります専用21会議室となってございます。また、8月27日(金)は、同じく午後2時から、場所も同じく専用21会議室で総会が開催されますので、総会メンバーの方につきましてはご出席をお願いいたします。以上でございます。

○井原部会長
 それでは本日は長時間にわたりありがとうございました。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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