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2010年9月27日 第10回高齢者医療制度改革会議議事録

○日時

平成22年9月27日 17:20~19:20


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省内省議室(9階)


○出席者

阿部委員、池上委員、岩見委員、岩村委員(座長)、岡崎委員、小島委員、鎌田委員、
小林委員、近藤委員、齊藤委員、齊藤理事(見坊委員代理)、白川委員、堂本委員、
樋口委員、藤原委員、三上委員、森愛知県健康福祉部医療制度改革監(神田委員
代理)、横尾委員
細川厚生労働大臣、藤村厚生労働副大臣、岡本厚生労働大臣政務官
<事務局>
外口保険局長、唐澤審議官、武田保険局総務課長、吉岡保険局高齢者医療課長、
伊藤保険局国民健康保険課長、吉田保険局保険課長、村山保険局調査課長、
鈴木保険局医療課長、岩渕医政局総務課長

○議題

国保の運営のあり方及び保険料等について

○議事

○岩村座長
 委員の皆様方には、本日は御多忙の折、お集まりをいただき誠にありがとうございます。
 定刻になりましたので、ただいまから「第10回高齢者医療制度改革会議」を開催させていただきたいと思います。
 それでは、最初にこのたび厚生労働大臣に就任されました細川厚生労働大臣から御挨拶を頂戴したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○細川大臣
 皆さん、こんにちは。今日は大変お忙しいところをお集まりいただいておりまして、ありがとうございます。
 今、座長の方から御紹介がございました。このたび厚生労働大臣の重責を担うことになりました細川律夫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私、昨年、政権交代がございまして、この厚生労働省で長妻昭大臣のもとで副大臣を1年間務めてまいりまして、政治主導でやっていくということで、三役でいろいろと相談しながら進めていただきました。
 そういう意味で、この厚生労働省というところは大変幅広で、深くて、しかもなかなか難しい問題をたくさん抱えているという認識をいたしておりましたので、このたび菅総理から厚生労働大臣という話を聞きまして、私自身は果たして務まるかどうかと思いましたけれども、総理の方からしっかりやってくれということでありましたので、私も皆さんに御協力をいただきながら行政を進めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 この改革会議の方では、皆様方には既に長い間御審議をいただいておりまして、前回の会合で中間的なおまとめをいただいたと報告を受けております。したがって、これからは更にその上に立って、どういう形の仕組みをつくっていくかという御議論になろうかと思いますけれども、この間のおまとめでは、年齢的な区分はしなくて、国保か被用者保険に入れるような制度で、そして、財政的な運営も広域的な都道府県単位でやってもらうような仕組みでおまとめいただいたということの報告も受けております。
 これからは、一方でいろいろな方の御意見もお聞きしなければいけないということで、公聴会は既に各地でやっておりまして、更にそれを進めるということ。あるいはまた、高齢者の方の御意見などももっと聞いていかなければいけないということで意識調査も進めておりまして、それも皆さん方に御報告ができるかと思います。
 そんなことで、この高齢者医療につきましては、これをどのようにまとめて、どのようにして、しっかりとした制度を法律にしていくかということについても、皆さん方の御意見をいろいろとまとめていただいて進めていくということで、ぜひよろしくお願いする次第でございます。
 私も1年間、副大臣として務めてまいりましたけれども、専ら労働あるいは児童福祉でやっておりましたので、こちらの方の問題などについては詳しいわけではございませんので、しっかり勉強もしながら皆さん方にいろいろと教えていただいて、しっかりやっていきたいと思っております。
 藤村副大臣も新しく担当していただくことになりましたので、どうぞよろしくお願い申し上げまして、私のご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。

○岩村座長
 細川大臣、ありがとうございました。
 続きまして、新たに御就任されました藤村厚生労働副大臣、そして岡本厚生労働大臣政務官から、それぞれ一言ずつ御挨拶を頂戴したいと思います。
 それでは、藤村副大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

○藤村副大臣
 どうも御苦労さまでございます。第10回目となる高齢者医療制度改革会議の有識者の先生方には、今日までの御尽力に本当に敬意を表し、感謝を申し上げます。このたび新たに厚生労働副大臣を拝命いたしました衆議院議員の藤村修でございます。民主党野党時代、次の内閣のいわゆるネクスト厚生労働を担当いたしまして、昨年のマニフェストで世に問うた。
 そこから政権交代が始まったということでございましたが、そのときに後期高齢者医療制度は廃止だと大きく訴えたのですが、廃止をしたその後にどうするかということは、詰めた議論を我々はなかなかしていなかったというのも事実でございまして、こうしてここにお集まりの先生方に本当に詰めた議論をいただいて、9回にわたる中で中間報告もいただきました。
 今後、いよいよ第2ステージで、残る14の課題を更に鋭意お詰めいただきたいということ。それから公聴会あるいはアンケートなども今後させていただくという中で、年末ぐらいには成案を得たい、来年の法改正につなげていきたいという方向のようでございます。
 私もまだ就任して間がないものですから、皆様にお支えいただき、御指導いただきながら勉強していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。

○岩村座長
 副大臣、ありがとうございました。
 それでは、政務官、お願いいたします。

○岡本政務官
 このたび厚生労働大臣政務官に就任いたしました衆議院議員の岡本充功でございます。
 この高齢者医療制度改革会議の皆様方におかれましては、これまでの間、大変多角的な御議論を重ねておられましたこと、本当に敬意と感謝を表させていただきたいと思います。
 今、大臣、副大臣からお話がありましたとおりの厚生労働省としての大きな方向性を、私としてもしっかり堅持して、この高齢者医療制度改革会議の皆様方の御意見をしっかり拝聴しながら任務に当たっていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

○岩村座長
 政務官、どうもありがとうございました。
 それでは、大臣、副大臣はここで御退席ということでございます。今日はお忙しいところどうもありがとうございました。
 それでは、カメラはここまでということで、お願いいたします。

(報道関係者退室)

 早速、本日の議論に入らせていただきたいと存じます。
 本日の委員の出席状況でございますけれども、神田委員の代理で森愛知県健康福祉部医療制度改革監、見坊委員の代理で齊藤全国老人クラブ連合会理事がそれぞれ御出席いただいております。
 先ほど大臣のお話にもありましたように、今日は第10回目の改革会議ということでございます。前回の会議におきましては、新しい制度の基本的な骨格につきまして中間とりまとめを行ったところでございます。これにつきましては、改めて委員の皆様方の御協力に深く感謝申し上げる次第でございます。
 今回からは、いわば第2ラウンドの議論ということになります。前回の会議におきまして、中間とりまとめの後に残される課題ということで、14の項目を挙げさせていただいたところでございますが、今回から11月にかけまして、これらの項目につきまして順次議論を行ってまいりたいと考えております。
 今回は、その第1回目ということでありまして、まず「国保の運営のあり方及び保険料等について」御議論いただければと思います。
 この点につきまして事務方で資料をつくっていただいておりますので、その資料のポイントにつきまして、まず事務局の方から説明いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○吉岡課長
 高齢者医療課長でございます。お手元の資料、クリップを外していただきまして、座席図の次でございます。右上に資料1と付してあります「本日の議題に関する基本資料」に沿いましてポイントを御説明させていただきたいと思います。
 1枚お開きいただきまして、目次の次でございます。ただいま座長からお話がありましたように、まず今後の議論の進め方でございますが、9月、本日は、国保の問題を中心に御議論いただきたいということであります。
 次回10月は、費用負担についてであります。あわせて、財政影響試算、将来推計も御提示させていただくこととしており、更に11月には、運営主体等について御議論いただくということで、この三ヶ月で一あたりの御議論をいただき、12月には最終とりまとめの御議論をいただくということで考えております。
 そこで、今回は国保の問題でございます。
 3ページをお開きいただきますと、市町村国保の抱える構造的な課題と対応を整理しております。
 左側にございますように、市町村国保、さまざまな構造的な課題を抱えているところであり、そうしたことの結果として、左下にありますように、市町村による一般会計繰入額、法定外の繰入分として約3,700億円、繰上充用額も約1,700億円という状況があるわけでございます。
 こうした課題に対応するために、まずは先般、国保の財政基盤強化策の4年間の延長を行ったわけでございまして、こうしたことに加えまして、今後、都道府県単位化を進めることが必要であり、あわせて収納率の向上対策を進めていく。総合的なパッケージの一環として、都道府県単位化を進める必要があるということで整理したものでございます。
 4ページでございます。改めまして都道府県単位化の必要性を整理いたしております。
 事前にお配りさせていただいておりますので、細かな説明は省略いたしますけれども、市町村国保の現状の問題点を踏まえまして、財政運営の都道府県単位化の必要性を整理しております。
 これは国保に限らず、これまでも医療保険全体として、協会けんぽの財政運営の都道府県単位化等も進めてきたところであります。今般、残された市町村国保についての財政運営の都道府県単位化を行うということでございます。
 その上で、5ページからがこれから議論を尽くしていただく必要のある点でございます。
 市町村国保の問題につきましては、大きく6点について御議論いただく必要があると考えております。
 6ページからが順次、それぞれについての論点等を整理したものでございます。
 まず第1の論点が、第一段階における都道府県単位化の対象年齢をどうするかということであります。中間まとめでは、65歳以上という考え方と、75歳以上という考え方、両論併記になっているわけでございますが、中ほど、65歳以上とした場合の論点の2つ目をご覧いただきますと、仮に65歳以上とした場合には、65歳から74歳の保険料が第一段階でも上下動し、更に第二段階のときにも上下動する。そうした混乱が起きる可能性をどう考えるか。
 あるいは、一番下の丸にありますように、市町村国保によっては65歳から74歳の方々の保険料収入に大きく依存しているところがあるわけでございまして、そうした市町村国保においては大きな負担増が生じる。これをどう考えるかということなどを踏まえますと、下段にありますように、まず第一段階では、都道府県単位化するのは75歳以上として、74歳以下は一体的に環境整備を進めた上で、第二段階の際に都道府県単位化してはどうかと考えております。
 7ページでございます。2つ目の論点の若人の都道府県単位化の環境整備の進め方であります。
 この点につきましては、まず都道府県にしっかりとイニシアチブをとっていただく必要があるということ。それから、市町村もそれぞれ利害が異なりますけれども、利害を超えて協調し合っていただく。そうした中で広域化等支援方針に基づく取組み、具体的には、その表にございますように、保険財政共同安定化事業の対象医療費を拡大する、あるいは、拠出金の算定方法の変更をする。その上で保険料算定方式を標準化された方法に変更していく。こうした取組みを進めていっていただいた上で、若人部分も含めた都道府県単位化を実現する。そうした取組みを計画的に進めていくことが必要ではないかということでございます。
 8ページが3つ目の論点であります。
 全年齢を対象とした都道府県単位化への移行手順につきましては、中間まとめでは、期限を定めて全国一律に移行する、あるいは合意された都道府県から順次移行するという両論併記になっておりますが、合意された都道府県から順次、都道府県単位化するとした場合には、国民にとって非常にわかりにくいものになるのではないか。あるいは、最終的に都道府県単位化されない都道府県が出てくる可能性があるのではないか。そして、財政調整の問題もございます。
 したがいまして、全年齢を対象とした都道府県単位化は、期限を定めて全国一律に行うのが適当ではないかと考えております。また、明確に期限を定めることによりまして、広域化等支援方針に基づく環境整備というものが円滑、計画的に進めることができるようになるのではないかと考えております。
 9ページは、そうした場合に、具体的な年限をどうするかということであります。
 考慮すべき要素としては、○1、○2、○3とありますが、とりわけ○3の若人国保の都道府県単位化の環境整備に必要な期間を考慮した上で設定する必要があるのではないかと考えております。具体的な御議論を頂戴できればと思っております。
 10ページ目が4番目の論点、都道府県単位化した場合の国保の運営のスキームであります。
 具体的には、都道府県単位の運営主体と市町村がどのように事務を分担するかということでありまして、都道府県単位の運営主体では基本的に財政を担っていただき、市町村の方では実務を担っていただくということでございますけれども、給付事務については、いずれの運営主体で行うべきか。
 これについては、11ページに、それぞれ都道府県単位で行う場合、市町村で行う場合のメリット、デメリットという形で整理させていただいております。この問題につきましては、都道府県単位の運営主体をどこにするかという課題とあわせて御検討いただくことが必要であろうと考えております。
 12ページが5番目の論点、第一段階における財政調整のあり方でございます。
 一番上の囲みにございますように、財政調整の仕組みにつきましては、○1、○2、○3とありますように、現在の後期高齢者医療制度のような方法、それから老健制度や前期財政調整のような方法、更にはそれを組み合わせる方法ということで、現在は○3の方法を採用しているわけであります。
 今回、先ほど申し上げましたように、都道府県単位化する対象年齢を75歳以上とした場合には、一番下の囲みにありますように、第一段階では現行の財政調整の仕組み、いわゆる組み合わせの方式という形にすることが適当ではないかということであります。したがいまして、こうした形でありますと、新制度への移行に伴って、各制度の負担が大幅に増加することはなくなるわけであります。
 こうした考え方を前提といたしまして、次回、財政影響試算を提示させていただき、その上でまた改めて御確認いただければと考えております。
 13ページは、財政調整等のスキームを図にしたものでございます。
 14ページは、6点目の論点、財政安定化のための方策をどうするかということであります。
 市町村国保の一般会計繰り入れの状況というものが、都道府県単位の主体に持ち込まれるのではないかという御懸念があるところでございますが、今回の制度におきましては、保険料は市町村が決められた額を確実に納める仕組みとなります。また、徴収不足や給付の増加が生じた場合には、国保にはない財政安定化基金を活用するなど、安定的な運営を図る仕組みになるということであります。
 あわせまして、標準保険料率の算定方法は法令で明確に定めるわけでありますので、都道府県単位の運営主体において一般会計からの繰り入れを行う必要は生じない仕組みにするということであります。
 こうしたことに加えまして、現在の後期高齢者医療制度同様、○1から○6にありますようなさまざまな財政安定化のための方策を講じてはどうかと考えております。
 15ページ、第二段階の都道府県単位化に関する課題ということで、全年齢対象の都道府県単位化を図る際には、幾つかの点について結論を得ることが必要になるわけであります。
 ○1は保険料の設定であります。全年齢で都道府県単位化した場合には、若人と高齢者の保険料の基準は別々とするのか、一本化するのか。
 それから、○2財政運営のあり方といたしましては、高齢者と若人の会計を区分する必要があるのか。それから、被用者保険と国保の間の財政調整の方法をどうするか。
 それから、○3事務体制のあり方でございます。都道府県単位の主体と市町村の役割分担を見直す必要があるのかどうかということであります。
 現時点で、こうした第二段階の詳細について合意を得ることはなかなか困難であります。したがいまして、平成25年度からの第一段階の都道府県単位化の施行状況などを踏まえながら、こうした点について改めて検討することが必要ではないかと考えております。
 ただ、そうした中で1点だけ、16ページでございます。
 広域化等支援方針に基づく広域化を進める前提として、第二段階における国保の保険料の賦課方式については、現段階で確認しておくことが必要であると考えております。現在、保険者数では4方式を採用しているところがも最も多く、加入者数では3方式を採用しているところが最も多い状況で、2方式を採用しているところは少ない状況であります。
 一方、後期高齢者医療制度につきましては、個人単位で賦課するということで2方式で全国統一しているわけでありますが、世帯単位で賦課される国保では、2方式にいたしますと世帯規模が大きい被保険者への負担が重くなるということで、採用している保険者も少ないわけであります。したがいまして、2方式で全国統一する必要はないのではないか。
 一番下にございますように、したがって各都道府県の状況を踏まえて、各都道府県ごとに移行しやすい、そろいやすい標準保険料率の方式をそれぞれ決定していただくことが適当ではないかと考えております。
 17ページからが新制度の保険料に関する主な論点ということで、大きく4点掲げております。
 これにつきましては、かなり実務的な課題が含まれておりますので、この改革会議での御意見をいただきながら、更に市町村等の担当者の皆さん方と実務的な詰めを行っていく必要がある問題だと考えております。
 若干ポイントだけ申させていただきますと、18ページ、標準保険料率の算定方法から市町村の納付方法までの流れを書いたものであります。
 中間とりまとめで示された考え方をより具体的に示したフロー図でございます。
 19ページは、賦課上限額超過分の取り扱いについての具体的な取り扱い案を提示させていただいているものであります。
 20ページは、後期高齢者医療制度の保険料軽減特例措置を、新制度のもとでどのようにするのかということであります。
 具体的には、均等割の9割軽減、8.5割軽減、あるいは所得割の5割軽減をどうするかということでありまして、2の論点にありますように、国保との整合性をどう考えるか、あるいは介護保険との整合性をどう考えるか。また一方では、現在の特例措置の実施によりまして、後期高齢者医療制度ヘの批判がおさまっているとの指摘があることをどう考えるか。こうしたことを含めて、これから御議論いただければと考えております。
 21ページは、保険料軽減判定の方法についての案を示したものでございます。
 それから、22ページ、23ページは、保険料の納付方法について、今後、実現可能性を含めて検討すべき改善策を3点掲げさせていただいております。
 最後、24ページでございますが、新制度における保険料収納率の見込みを出させていただいております。
 現在、後期高齢者医療制度の収納率は99%、これに対して国保の収納率は、全国平均で88%ということでありますので、新制度に移行した場合に75歳以上の方々の保険料の収納率も低下するのではないかということが懸念されておりますが、ごく粗く試算いたしますと、75歳以上の被保険者の8割以上の方々は、世帯主が75歳以上である世帯に属するという状況にありますので、単純に計算いたしますと、おおむね97%以上の収納率は確保できるだろうということが見込まれるわけであります。
 ただし、若干の収納率の低下は見込まれるわけでございますので、22ページ、23ページにありますような保険料の納付方法の改善についても検討し、対応していく必要があると考えております。
 以上が基本資料の内容でございます。本日は、これらの点を中心に御議論いただければと考えております。
 それから、資料2が参考資料としてお配りしているものでございます。
 資料3は、8月末から9月初めにかけまして、中間とりまとめを受けて全国6か所で都道府県の担当課長あるいは広域連合の事務局長にお集まりいただいてのブロック会議を順次開催させていただきましたので、そのときの議論の概要をお配りさせていただいております。
 それから、資料4といたしまして、委員からの配付資料でございます。
 近藤委員の方から、「高齢者医療制度改革の課題と戦略」という資料の御提供をいただいております。
 もう一つ、資料番号を付けておりませんけれども、神田委員の方から「愛知県内市町村の平成21年度被保険者1人当たり保険料調定額」という1枚紙の御提供をいただいております。
 資料については以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○岩村座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、これから各委員から御発言いただきたいと存じます。恐れ入りますけれども、もう既に皆さん御承知のとおり、発言される方が非常に多うございますので、発言されるに当たりましては、手短にポイントを絞ってお話いただくよう、改めてお願いしたいと思います。
 それでは、いかがでしょうか。では、阿部委員、どうぞ。

○阿部委員
 ありがとうございます。最初に座長に要望申し上げますが、政務官はいらっしゃるのに、こう申し上げると失礼かと思いますけれども、今日は大臣、副大臣、ずっとおられるのかなと私は期待しておりました。民主党政権、政治主導ということでございますから、できるだけ御出席されて一緒に討論に参画してもらいたいと思っておりますので、これは要望として申し上げておきたいと思います。
 内容については2点でございますが、1つは、本日の基本資料の8ページ、全年齢を対象とした都道府県単位化への移行手順について。
 その1つ、つまり期限を定めて移行するかどうかということにつきましては、私は全年齢の都道府県単位化は期限を定めて移行すべきであるということを最初に申し上げておきたいと思います。
 今、課長からも説明ありましたように、本日の資料3にブロック会議の報告がございますが、これを読んでみますと、ブロック会議の中でも75歳以上の都道府県単位の財政運営と、75歳未満の市町村における財政運営の2つが併存しているということは、非常に複雑でわかりにくいという御意見がありました。私もそのように思いますが、わかりにくいということは、国民の理解を得るのに大変苦労するということだと思います。
 また、75歳以上を区分して高齢者のみの別建ての保険料を設定する。とりあえずそれで出発するということですが、そこだけをみれば現行の制度と変わりないわけです。何が変わったのかという疑問も出てくる。こういった問題を解消するには、やはり全年齢の都道府県単位の移行年度を決めて、その移行年度を新しい法律に明記すべきだと思います。
 そうすることによって、新政権が後期高齢者医療制度を廃止して新しい制度をつくるということが初めて完結する。全年齢を対象とした都道府県単位化への移行を実現して初めて新しい高齢者医療制度が完結することになります。
 移行年度をどうするかということについては、今の高齢者の財政単位が2年1期でございますから、2年単位で見ますと、最短で新しい制度施行の2年後の年度、最長で4年後の年度、その辺が限界ではないかと考えます。
 2つ目は、基本資料15ページの第二段階の課題について。
 国保保険料の賦課方式については、東京都のように資産割は導入しにくい。大都市は概してそういう事情にあろうかと思いますので、そういうことを考慮すれば、都道府県単位として4方式、または3方式を選択できるようにしてはどうかという問いについては、それでよろしいのではないかと思います。
 国保の保険料の設定につきましては、これまでも申し上げてきましたように、まず応能負担を原則とする。応能負担原則による全年齢統一の保険料を設定する。高齢者と現役世代を別々の保険料とすることはどうかという問いがありますが、それはとるべきではない。
別々の保険料とした場合には、現行制度と同様に、高齢者の保険料というのは2年単位で急激に上昇していくわけです。
 その上昇を避けるために、今度は財政安定化基金を使って抑制するというややこしい制度になる。全年齢の都道府県単位化が実現した段階ではそのような方法はとるべきではないと申し上げておきます。
 最後は質問でありますが、これは事前レクのときにお伺いすればよかったのですが、基本資料の19ページです。賦課上限額超過分の取り扱いということがございます。これの仕組み、内容と、なぜこういうことが必要なのかということを簡単に御説明いただきたいと思います。
 以上であります。

○岩村座長
 ありがとうございます。最初の御要望については、よく御趣旨はわかりますが、他方で先ほど大臣もお話がありましたように、厚生労働省の所管が非常に広うございますので、御出席可能なときには御出席いただくということで御容赦いただければと思います。

○阿部委員
 わかりました。

○岩村座長
 質問については、もう少しまとめたところで事務局の方からお答えいただくことにしたいと思います。
 それでは、お手が挙がっていました横尾委員、お願いします。

○横尾委員
 ありがとうございます。
 まず最初に、今回いただいた資料等、また今、御説明があったことを受けまして感じることなのですが、第一印象としては、「現行制度とどこが変わるのか」という印象をお持ちになる方も、国民も含め、たくさんいらっしゃるのではないかという印象を受けました。それはなぜかといいますと、第一段階、第二段階となっていますので、いきなり第二段階になれば大きく変わるわけですが、暫定的なことも含めて第一段階で、しかも75歳で区切ってということになると、「どこが変わるの」となります。
 「それでも第一段階が必要である」というスタンスで、事務局の方でペーパーをまとめていただいたと思いますので、その際は、国民的な負担、要するに社会的コストも含めて、やはり第一段階が必要だということの補足説明を是非少しいただければと思います。もしそれがなければ、今の後期高齢者医療制度の名称だけ改廃すれば新しくなったことになって、数年後、何年後かはわかりませんが、「〇〇年にはそう変わる」ということになると感じますので、その辺の印象に関して補足説明をお願いしたいと思っています。
 2点目はそれと関連することなのですが、一部新聞報道には、既にこの会議に出されるペーパーのことですとか、また「アイジャンプ」という情報ネットワークには「8年後にやる」ということまで出ているようですけれども、何かそういったシナリオが既にあるのかどうか、是非御説明いただくとありがたいなと思います。
 最後、3点目です。ほかにもたくさんありますが、たくさん言ってもいけませんので。前回会議で提出いただいた神田委員の意見書に対して、「厚労省の考え方」という回答のようなコメントペーパーをいただいていますが、その中には、「改革会議と並行して都道府県、市町村、広域連合との間で精力的に実務的な検討を行いたい」と提案があったと思っております。いわゆる「協議の場」だと思いますが、そういったことも立ち上げながら具体的な協議ということを片方でしていかないと、全体的にスケジュール感は結構タイトでありますので、必要ではないかと思っております。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 それでは、神田委員の代理の森様、お願いいたします。

○森愛知県健康福祉部医療制度改革監(神田委員代理)
 本日、神田知事が9月の定例議会開会中でございまして、この会議を欠席させていただきました。おわび申し上げます。私、知事の方から発言を預かってまいりました。時間の関係もございますので、簡潔に2点だけお話させていただきたいと思います。
 まず第1点目でございます。先ほど各委員の先生方からもお話ございました部分と若干重複してまいりますけれども、今後の改革スケジュールとしての第一段階と第二段階に分けることについてでございます。
 先ほど御説明がございましたけれども、第二段階については、第一段階の施行状況を踏まえながら、第二段階に移る前に結論を得ていくことになっております。基本資料の9ページに今後のスケジュールが書いてございますけれども、第二段階の下に改めて関連法案を提出することとされております。しかし、一部の報道によりますと、来年の通常国会に提案する法案におきまして、全年齢で都道府県単位化する時期を明示する方針という記事がございました。
 そこで御確認したいのは、次期の通常国会で提出する法案において、この第二段階について、どのようなことを法案に書き込むことを考えておられるのかということでございます。もし全年齢の都道府県単位化につきまして、その方針でありますとか時期あるいは運営主体を含めまして法案に書き込むということであれば、これまでも私どもの神田委員の方から何度も申し上げていますとおり、国保全般のあり方について、議論は一部はなされておりますけれども、本格的な議論が行われないままに書き込まれることについてはいかがかということでございます。
 国保全体をどうしていくかにつきましては、国民皆保険の維持につながる非常に重大な問題であるという認識のもとに、これも神田知事意見書の中にも記載させていただいておりますが、社会保障審議会などの場において、きちんとしたデータを基に構造的な問題を掘り下げて、あるべき姿を根本的に検討すべきであるということを改めて申し上げたいと思います。
 2点目につきましては、市町村国保における保険料の引き上げについてでございます。非常に実務的な話になってまいります。
 全年齢を対象といたしました国保の都道府県単位化を行うためには、保険料の統一が必要でございます。それにあわせまして、現在、市町村が独自に行っております、今日の資料にも出ておりますけれども、一般会計からの法定外の繰入でありますとか、あるいは赤字を翌年度の歳入で穴埋めするという繰上充用金を解消する必要がございます。
 資料にもございますとおり、20年度の一般会計からの法定外の繰入というのは、全国で3,700億円、繰上充用金が1,700億円、合わせまして5,400億円もの額に上ります。これを解消するためには、単純に国保の加入者数約3,600万人で割りますと、1人当たり1万5,000円の保険料アップになります。これは、現状を見ますと、保険料の増額に到底耐え得るものかどうかということを感じるわけでございます。
 全年齢を対象といたしました国保の都道府県単位化の枠組みを検討するに当たりましては、国として、何度も申し上げておりますけれども、財政責任、負担の考え方をお示しいただくことが必要ではないかということでございます。
 また、これは非常に素朴な疑問でございますけれども、都道府県単位化により安定的な運営ができるという御説明が今回この会議の場でされておりますけれども、今、申し上げましたように、法定外の繰入とか繰上充用を行わざるを得ないような国保の赤字体質が、都道府県単位化を図ることによってどの程度改善できるのか。そして、現在の財政の枠組みを前提としてきちんと精査してお示しいただきたいということでございます。
 赤字が生じないために、各都道府県の1人当たりの保険料というのはどの程度を想定されておられるのか。そして、その場合、現在よりも保険料を引き上げなければならない市町村は全国でどれぐらいあるのかということでございます。
 参考までに私ども神田委員の配付資料として、今日、グラフをお示しさせていただきました。これはちなみにということで、愛知県におきます昨年度保険料調定額の一覧でございます。これによりますと、最高と最低で2.3倍の開きがございます。まさしく御指摘のとおりの構造的な問題がございます。仮に保険料を県内の1人当たり平均額とした場合に、平均額を下回っている市町村が31ございます。この31の市町村は、当然保険料を増額しなければいけないわけでございます。
 それから、この表のそれぞれの市町村名の上に○4とか○3とか○2という数字が書いてございますが、これは保険料の算定方式でありまして、愛知県におきましても○4が多くて混在している状況にございます。これを統一する必要があるといった実態的な問題。
 そして、都道府県におきましては、広域化等支援方針の策定をしております。これにつきまして、実務的に今、3つのことをやっております。1つは、目標収納率の設定。非常に大変な状況になっておりますし、その先に標準的な算定方式。今の算定方式をどう統一するか。それから、保険財政共同安定化事業の拡大。つまり、保険料の統一ということについて調整しなければならない状況で、先が見えない状況でございます。
 この状況の中で、都道府県化に関するものだけがどんどん枠組みについて結論を出していく現状については、非常に危惧を覚えているということでございます。
 意見については、以上でございます。ありがとうございます。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 それでは、もう一方御発言いただいて、その上で今までの御質問あるいは御意見について、事務局の方から御回答いただくことにしたいと思います。何となく順番でこう回っておりますので、済みませんが、藤原委員からお願いいたします。

○藤原委員
 全国町村会はこれまで、医療保険制度の一本化が実現するまでの過程として、高齢者医療制度を含む国保については、我々も一定の役割を果たし、痛み分けをしながら都道府県に運営責任を担っていただきたいということで、終始一貫してお願いしてきたところであります。
 そういうことでありますので、どちらが先かというと、まず運営責任者を決めていただかなければ、なかなかいい案が出ないということもあろうかと思います。まず、早く運営責任者を決めていただきたいというのが前提かと思います。
 都道府県におかれても理解いただくこととともに、国においても各都道府県の理解が得られるよう、是非努力を国としてやっていただきたいと思います。
 まず、第一段階における財政運営の都道府県単位化の対象年齢についてでありますが、これは65歳以上とした場合、負担増や混乱が相当予想されます。我々も既に混乱を経験しておりますので、できれば75歳以上とすることがより現実的ではないかと思っています。
 次に、第一段階における財政調整のあり方についてでありますが、現行制度が非常になじんできているということでありますし、また非常にいいところもありますので、それを是非踏襲していただきたいということであります。非常に現実的であるということです。ただし、国保全体及び国保保険者への具体的な影響は、財政影響試算の結果を見ないとわからないことがあるわけでありまして、試算が出てから改めて内容等を見させていただいて意見を述べたいと思います。
 また、新制度の保険料についてでありますが、中間とりまとめでは、高齢者世帯で希望する方は引き続き年金天引きできるようになっておりますが、現行制度の原則年金天引きというのは、是非仕組みの中に維持していただきたいと思っております。これは1%とか2%という非常に大きい額で出てきますので、徴収率の確保という点では、そういう制度を是非残していただきたいと思います。
 それから、若人の国保の都道府県単位化の環境整備の進め方についてであります。市町村国保については、構造的な問題解決のために国費の追加投入が必要ではないかということがまず考えられます。今でも3,700億円もの差額が出ているわけであります。それも赤字補てんという目的で2,600億円も出ておりまして、いろいろ工面しながら、繰上充用等をやりながら、その年度の調整をしているわけでありますので、今後は国の責任というものを是非認識いただきたいと思います。
 また、広域化等支援方針は今年度から策定できることになっておりますが、これから各都道府県でさまざまなパターンのシミュレーションなどを行いまして、市町村と相談しながら策定を進めていかなければいけないと思っています。この支援方針によりまして、どの程度環境整備が進むのかは、やってみなければ全くわからないという部分があるわけであります。今後の策定状況なども検証しながら、改善すべき点は改善していかなければいけないと思っております。
 また、全年齢を対象とした都道府県単位化への移行手順でありますが、都道府県ごとの進捗度に差が出ることが想定されまして、また技術的な課題が今後出てくるかと思います。ですから、期限を定めて全国一律に行うことが現実的ではないかということであります。ばらばらになってしまえば、制度そのものの目的にそぐわない点が出てくるわけでありまして、その辺も是非御認識をお願いしたいと思います。
 また、保険料の平準化に伴って、大幅に負担増となる団体が出ないよう緩和措置を是非組み込んでいただきたいと思っております。
 さらに、必要に応じて広域化等支援方針の内容を見直したり、都道府県の実情が非常に違うわけでありまして、都道府県ごとの判断を尊重できるような柔軟な推進体制を図るような制度にしていただければと思っております。
 なお、都道府県単位化した場合の国保運営のスキームについてでありますが、今、提案されているスキームで都道府県が運営責任を担えるのかということについては、我々は非常に難しい、疑問点が非常に多くあると思っています。
 また、現在このスキームが多くの町村長に理解されているとは言えない段階でありまして、町村の役割や責任について疑問を持っている方が非常に多いわけであります。
そういうことを踏まえまして、結局は都道府県単位の運営主体が決まらないと、関係者を含めまして実務的な検討ができない状況であります。ですから、最終的にだれがやるかというのをなるべく早いうちに決めていただいて、それに基づいていろいろ検討すべきではないかと思っていますので、その辺も検討をよろしくお願いいたします。
 以上です。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 事務局にお答えいただこうと思ったのですが、岡崎委員が地方公共団体関係なので、岡崎委員までお話いただいて、その上で事務局の方からお答えいただこうと思います。お願いいたします。

○岡崎委員
 ありがとうございます。
 幾つか論点が出てきておりますが、まず全体として、だれが保険を担うべき責任を持った保険者なのかというのは、今の制度では残念ながら中途半端で非常にわかりにくいというところは課題であります。これは、都道府県は財政責任だけ負って、市町村が保険者なのか、都道府県が保険者なのかというところがあるので、非常に中途半端でわかりにくい制度なので、この中途半端な制度を余り長く続けない方がいいと思います。
 県、市町村ともに混乱しますし、被保険者の方々が余計わかりにくいということで、できるだけ早い段階で次のステップへ進んだ方がいいと思います。
 先ほどからいろいろ論議が出ておりますように、第二段階への移行時期は明示すべきだと考えます。それで、考え方は幾つかあろうかと思いますが、一番最初に阿部委員がおっしゃられたように、2年ごとに財政調整をするという考え方もありますので、阿部委員は移行時期は2年後とおっしゃられましたが、次のステップへ移行するにはシステム改修が大分伴いますので、多分2年では無理だと思います。
 もう一つは、この新制度になったときに1回決算をやらないと、どういう財政構造になっているか想定がなかなか難しいと思います。新制度の決算は1年半後に上がってきますので、オールジャパンの全国的な決算の推計はできるかもしれませんが、新制度になったときに各都道府県毎でどういう決算になるかは、実際に決算が上がってみないとわからない。
 そうしますと、1年半後ぐらいでないと各都道府県の財政構造の結果が見えないので、やはり次のステップへ移行するには、その決算を見て次の微調整に入るということも含めると、新制度発足から4年後というのが一つの考え方になるかなと思うところです。これは意見ですので、また論議していただきたい。ただし、移行時期は明示しないと、中途半端なままで、次の最終の出口の形はきちっと示さないと、我々市町村も混乱しますし、国民の方々もよくわからないということになるので、出口はきちっと示した方がいいと思います。
 もう一つの論議として、国保の広域化を進めることによって、都道府県単位の地域保険を確たるものとしてつくっていかないと、医療と保険はもたないという多くの御意見が出てきました。この意見を踏まえ、都道府県を単位とする地域保険というのが一つの出口になりますので、それをイメージしながらつくり込んでいくべきではないかと思います。
 ただ、そのときに、高齢者の方々の医療費はこれからまだ相当伸びてまいりますので、地域保険が成り立つためには、今以上の国費を投入しないと保険財政そのものが成り立たないと思います。今はそれを基金で調整することにしておりますが、基金での調整では先が見えております。基金調整では恐らく5年もたないのではないかと思います。
 厚生労働省の方々は5対5という、財務省からある意味しつこく言われていることにどうしても縛られておりますが、5対5の割合の制度を持ってしても破綻しますので、そこは一定の国費を入れて、高齢者の方々の負担を抑えるなら、国策としての国費を投入して、その国策分を除外して5対5にするとか、理論武装しながらしっかりした地域保険をつくり込んでいくべきではないかと強く思うところです。
 それと、保険者がだれになるかということは非常に重要な問題で、県と市町村の役割分担は明確にしていかなければなりませんが、地域保険という観点で言うと、都道府県が保険者となって、しっかり県民の健康と医療を守るという観点が一番重要ではないかと思うところでございます。
 以上です。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 それでは、事務局の方でお願いいたします。

○吉岡課長
 御質問いただいた点を中心に御回答させていただきたいと思います。
 まず阿部委員の方から、基本資料の19ページに関する御質問がございました。
 非常に実務的な賦課上限超過分の取り扱いということでございますが、まず新しい制度の国保の場合には、給付費の1割相当を高齢者の保険料で賄うことになるわけでありますので、その高齢者の保険料を確実に収納できる形にしなければならないわけであります。
 その場合に、保険料の賦課上限額というものがあるわけでありまして、この例で見ますと、高齢者と若人の2人世帯の場合を取り上げております。今、国保の場合には賦課上限額、63万円でありますけれども、まず賦課上限額を加味しないで保険料を算定することになりますが、その場合に仮に高齢者の保険料額は40万円で若人が60万円になりますと、この賦課上限額の63万円を超えますので、40万円と60万円を合わせて100万円で按分し、それぞれ5分の2、5分の3になります。したがって、按分後の保険料額は25.2万円、37.8万円になります。
 したがって、上限を超過する保険料額は14.8万円、22.2万円ということになりますので、こうした賦課上限を超える保険料額をすべての世帯について合算した上で、その分の保険料が確実に入りますように、最終的には応能保険料を引き上げて、保険料収入が不足することのないような形にすることが必要になるわけであります。こうした仕組みは、今の国保や後期高齢者医療制度で行っている仕組みと基本的に同様のものであります。
 それから、横尾委員の方から第一段階の広域化の必要性というものを改めて説明するようにということでございました。
 基本資料の5ページをお開きいただきたいと思います。
 これは中間とりまとめでも記述されていることでありますが、今回、まずは第一段階として、高齢者部分については、その高齢者の方々の保険料が増加しないように、あるいは保険料の負担の格差が拡大しないようにということで、まずは高齢者部分について都道府県単位の財政運営を行わなければならないということであります。
 では、一挙に右側の全年齢を対象にした都道府県単位の財政運営にできるかといいますと、市町村ごとに現在は保険料の算定方法あるいはその水準というものは異なるわけでありますので、一挙に右側の第二段階に行きますと、国保に加入されている3,600万人の方々の保険料が大きく上下動し、大きな混乱が生じてしまうということでございます。
 したがって、第一段階のときにそうした第二段階の広域化を視野に入れて環境整備を着実に進め、そして第二段階にソフトランディングしていくということが現実的な方策ではないかということで、中間とりまとめでも掲げられたところでありますので、改めてこうした趣旨につきましては、いろいろなところで私ども、説明を尽くしていきたいと思っております。
 それから、都道府県、市町村あるいは広域連合との実務的な検討を進めるべきという御指摘でございました。
 そうした観点で、先般も全国6ヶ所でブロック会議も開催させていただきました。また、知事会の皆さん方とは、知事会のプロジェクトチームという場もございますので、先般も私、出席させていただいて意見交換もさせていただいたところであります。御指摘は、都道府県、市町村、広域連合の皆さん方が集まっての会議という御趣旨かと思いますけれども、また皆さん方の御要望、御意見を承りながら、そうした会議の場が必要であるということであれば別途持ちたいと思っております。
 それから、第二段階の広域化の時期について、横尾委員の方から8年後という記事があったけれども、事実かというお話。それから、神田委員の代理の方からは、第二段階の時期を法律で明示するのかどうか、あるいは第二段階のどういったことまで法律で書くのかという御指摘がございました。
 8年後という話は、私どもは全く承知していない話でございまして、本日の資料でも〇〇年度と書かせていただき、まずはこの会議で御議論いただきたいと思っております。そうした中で、本日も藤原委員、阿部委員、岡崎委員の方から具体的な時期を明示すべきという御意見がございましたので、引き続き御議論を頂戴できればと思っております。
 また、第二段階の内容について、どこまでのことを書く必要があるのかという点につきましては、本日の資料でもお示しさせていただきましたように、詳細については、現時点で関係者の皆さん方の合意を得るところまで行き着くのはかなり難しいだろうと思っております。ただ、この点につきましては、今この時点でここまでのことを決めておく必要があるのではないかという御意見も頂戴して、御議論いただければと思っております。
 それから、神田委員代理の方からは、国保についての議論が本格的に行えるのかどうかという御指摘もございましたが、まさしく本日も国保についての議論を集中的に行っていただくことになっておりますし、皆さん方の御意見は、そうした議論を先送りするのは適当でないという御意見であったと思っております。したがって、これからもこの会議の場で本格的な議論をしっかりと行っていただければと考えております。
 そうした中で、愛知県の方から2.3倍の保険料調定額の格差があるという御指摘をいただきました。この資料をご覧いただきますと、かなりのところでは保険料の調定額はそろっていますが、4市町村ほどがかなり保険料調定額が低い状況にあるということであります。
 こうした保険料調定額が低い市町は、現在の後期高齢者医療制度の場合には、医療給付の実績が少ない市町でありますので、特例を設けて、不均一保険料、安い保険料を設定する仕組みになっております。一方、市町村国保の場合には、市町村ごとに保険料を設定していますので、そういった制度が今はないということでありますから、都道府県単位化するのであれば、そうした後期高齢者と同様の不均一保険料といった措置を考えれば、こうしたところの格差の問題は解消されると思っております。
 その他一般会計繰入等についていくつかの御指摘がございましたので、改めて次回、財政影響試算を提示させていただき、必要な資料も精査の上、提示させていただきたいと考えております。
 とりあえず以上でございます。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 それでは、引き続き、また御発言いただきたいと思います。岩見委員のお手が挙がり、それから小島委員のお手が挙がっていますので、まずそのお二方、お願いいたします。

○岩見委員
 やはり75歳という数字が残るのは好ましくないですね。民主党新政権が今の制度を廃止するという政治決断をしたわけですから、この制度の象徴が75歳。最初からわかり切っていることですから、第一段階、第二段階と分けないで、一気に全年齢を対象に切りかえることは、やってやれないことなのか、あるいはまるきり無理な相談なのか。その辺の検討を事務局はされているかどうか。環境整備という言葉になっていますけれども、その辺のところを是非伺いたいと思います。
 以上です。

○岩村座長
 続いて、小島委員、どうぞ。

○小島委員
 岩見委員と横尾委員が指摘されましたが、私も第一段階として、75歳以上の高齢者の方についての都道府県単位での財政運営ということでスタートするとなると、現行制度とほとんど変わりないのではないか。200万人ぐらいは被用者保険に移るとしても、それ以外の1,200万人の高齢者の方については、基本的には今の都道府県広域連合が扱っているところとそんなに変わらないと思います。
 その意味では、今日の資料の12ページの第一段階における財政調整のあり方では、○1で、現行の後期高齢者、75歳以上については1割保険料を先充てということ。それと、○2では、65歳から74歳までの前期高齢者については、現行の加入者数に応じた納付金制度であると。そして○3では、現行の後期高齢者に対する支援金のあり方と、前期への納付金の両方を踏襲することで、これでは現行制度とほとんど変わらないという話になってしまいます。
 75歳以上ではなくて、被用者の委員の皆様も私も申し上げてきたように、70歳以上での切り方、あるいは65歳という意見もありますので、ここは財政試算でもう少し検証する中で、公費の投入の仕方、それから被用者健保等からの支援金、財政調整のあり方も総合的に勘案して、もう一度年齢については最終的な検討が必要ではないかと思っておりますので、とりあえず今日の12ページの第一段階における75歳とそれ以下の財政調整、両者の組み合わせを前提にすることで決まりという話ではないということで、とりあえず意見は述べておきます。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 それでは、今度はこちらでお手が挙がっておりますので、宮武委員と樋口委員という順番でお願いいたします。

○宮武委員
 これから具体的な内容や手順を考えていく上で、私はもう一度現在の高齢者医療制度について、なぜこんな形の制度をつくったのかということを再考してみる必要があると思います。
 いろいろな見方があると思いますけれども、75歳以上対象の独立型の制度をつくったのは、1点目、75歳以上だけを新しい独立制度に移行させて、そして全体の医療制度の体系は変えないままで温存したまま、75歳以上だけを新しい制度に入れ込んだ。これが大きなポイントなのですね。私、医療制度改革においては、白紙に絵をかくようなことはできないと思います。膨大な入院患者、通院患者がおいでになり、医療職の方が仕事をし、制度は日々運営されている。それを一気に変えていくという無謀なことはできないわけであります。
 例えば東京駅を改造するときに、新幹線も在来線も全部とめてしまえば、それは理想の駅舎ができるけれども、それができないから、運行も維持し、乗降客にも妨げにならないように部分的に改造・改修していくのが普通です。医療制度もまさにそうだと思います。いきなりすばらしい制度が出現するような幻想は、私は捨てた方がいいと思っている。それが1点でありますので、これから先の手順についても実現可能性の高い選択肢をとるしかないだろうと思っています。
 2点目は、75歳以上の後期高齢者医療制度の財源構成を見ると、実はこれはその前にありました老人保健制度の財源構成をそのまま引き継いでいるのです。公費が5割で、各制度からの拠出金が5割。ほとんど同じ財源構成で移行している。だから、非常にスムーズに移行ができた。このことも言えるわけです。
 ということは、これから先も民主党政権が公費を大幅に投入してやるとおっしゃって約束してくださればいいのですが、それは今回の新布陣でも中々おっしゃっていただけないのであれば、そんな無茶なことはできませんので、今の財源構成をかなり尊重した上で移行するしかないだろう。
 3点目は、高齢者医療制度は、75歳以上の方たちは、皆さん別扱いで、しかし安心した医療サービスを受けることができますよと政治家も行政も説明がしやすかったですね。リスク構造調整などに比べれば、非常にわかりやすく説明ができた。しかし、これが裏目に出て、別扱いは優遇だとだれも思わずに、冷遇されたと思ったわけです。そこで、今回、もうやめますとおっしゃっているわけで、制度は廃止して年齢区分しない方式をとりたいとおっしゃるわけですから、これは守るしかないわけです。
 問題点は、制度面においても、制度全体に混乱が起きないように。2点目も、財政面においても破格の財源構成が今すぐ出現するわけではないので、そこも尊重した上で移行していかなければいけない。
 しかし、国民皆保険半世紀の歴史の中で、今回最大の改革は、市町村の国民健康保険を都道府県単位に切りかえ、再編成し、持続可能性を高めるという取組みを始めることが大目標でありますので、その目標は高く掲げて、段階的にそこへ着実につなげていくという方式を私はとらざるを得ないのだろうと思っています。勿論、この間の選択肢は、一番よくおわかりになっている市町村長、それからお隣の後期高齢者医療広域連合、この実務の方の御意見を私は最優先して聞くべきだと思っております。
 以上です。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。樋口委員、どうぞ。

○樋口委員
 高齢者への医療費が大変莫大になっておりますことに、肩をすくめながらいつも出席しております。今、後期高齢者医療保険証という私の保険証を手に取って見て、有効期限が平成24年7月31日でございます。あと2年ちょっと有効期限があるわけですけれども、できますことなら、この2年後には、後期高齢者医療保険証が交付されないで、新しい制度に皆さんと御一緒の保険制度になっていることを切に望むものでございます。
 大山鳴動して何が出てきたか。何人かの方がおっしゃいましたように、これで具体的に何が変わるのだろうか。名前は変わり、だれも除外しない形で、一つの制度の中に包括していく。しかし、結果としては、負担の割合、その他は実は余り変わらない。宮武委員がおっしゃいましたように、医療費がたくさんかさむ高齢者と若い人とを一緒にしてはおけないだろうと思います。
 でも、改めて私はもう一度、年齢区分をしない国保なり医療保険なりというものが絶対にできないという理由を、今日でなくて結構でございますから、私のような者にもわかりやすく、私の周辺にいる75歳以上の普通のおばさん、おじさんにわかる説明をもう一度承りたいと思っております。
 もちろん、75歳以上に医療費が莫大にかかるということはよくわかっております。それを全年齢で分かち合うという形が保険だと思いますし、それが被保険者仲間の支え合いでできないならば、それは税金・公費という形で出していただくほかはないのではないかと、小さくなりながら思っております。ですから、もう一度教えていただきたいと思います。
 私は、1,800に統合されたとはいうものの、数千人の町村もあるというところから、少なくとも47都道府県に医療保険の単位が編成し直されるという方向は、大山鳴動してネズミ一匹であろうと、これはかなりの大ネズミだと思っておりますので、私はそれは大賛成でございます。いろいろ御異論はあるかと思いますが。
 ただし、新しい制度に移るとき、今回のヒアリング、ブロック会議の報告書にございますが、後期高齢者医療制度の保険料減免の特例措置について、その実施により施行時の混乱がおさまったとも言えることが指摘されています。
 現行制度が定着し、おさまっているという意見がございますけれども、実は、少しオーバーに言えば、後期高齢者医療制度が一つも実施されていないからおさまっているのでございます。1つは、保険料の減免措置でございます。1つは、医療サービス受給に対する、75歳以上に対する、私から見れば差別的な制度がございましたけれども、これも廃止・凍結されました。
 つまり、後期高齢者医療制度の財源の調整の辺は、私は余りよくわからないのですけれども、サービス受給と保険料の納入については、時の政権が軽減、あるいは、このままやりますということでやってきた。おかげで、後期高齢者医療制度は何とかおさまっている。そのとおりだと思います。
 これからどうするのかということになりますと、保険料の金額など、今のところは軽減されているからみんな黙っている。今度、後期高齢者医療制度廃止で被保険者の被扶養者になる方はいいのですけれども、ほかの人たちは軽減措置がなくなるわけですね。そうすると、結構増える人が出るのではないですか。この辺、数値を出して教えていただきたいと思います。
 ですから、私のように後期高齢者医療制度廃止を訴えた1人といたしましては、あなた方が「廃止」などと言うものだから、廃止されたら我々の保険料負担が増えたではないかと言われると、どうご理解いただいたらよいか。私は、介護保険が同所得区分で毎月2,000円を負担しているのに、医療制度が300何十円というのは、たしかに安過ぎると思っていますけれども、後期高齢者医療制度が修正に修正を重ねて、現行施行されてこれだけで済んだのに、後期高齢者を廃止したら高くなったと言われたらどうしよう、きちんとご説明いただきたいと思っております。
 以上です。

○岩村座長
 それでは、お手が挙がっています齊藤委員、それから同じく齊藤さんですが、こちらの齊藤さんからお願いいたします。

○齊藤全国老人クラブ連合会理事(見坊委員代理)
 申しわけございません。先の齊藤です。2点申し上げたいと思います。
 繰り返しになる部分もありますけれども、6ページの件であります。
 第一段階における対象年齢のことは、先ほど来、何人かの委員がおっしゃっているように、非常にわかりにくいわけであります。わかりにくいけれども、中ほどの丸の2つ目に、第一段階及び第二段階の二度にわたる上下動が混乱の源になるのではないか。こうおっしゃっている趣旨もわからないわけではありません。しかし、この二度にわたる上下動が2年なのか4年なのか8年なのか、これによって上下動に対する印象が変わってくるだろうと思います。
 私は、事務局が第一段階から第二段階、二度にわたるという表現は、非常に短い間にこれが移行するということを前提に書かれたと想像しておりまして、それは大変結構だとは思いますが、時期の問題が明示されない中で、この部分だけがひとり歩きするとなかなか理解が及ばないのが正直なところであります。
 第一段階は大体の姿が見えてきましたが、第二段階というのは、同じ階段でも第一段階の階段よりも大変急な階段ではないかなという感じがいたします。スピード感が見えない段階では、今日各委員がおっしゃっているように議論がなかなか尽くせないのではないかということを懸念しております。
 2点目は、樋口委員からもお話がありましたが、20ページの軽減特例というものが、個人的には前政権で少し過ぎた部分もあるのかなという気がいたしますし、今回、国保と同じようなレベルにしていきたいということはよくわかるわけであります。しかし、これは既に恒久措置になっていると理解している高齢者が少なくないのではないかと思っております。
 これがまた同じような混乱を招かないという保障はありませんので、これをやるとなれば、保険者が本当に十分な説明を果たすことができるか、またそれをしていただかないと、また同じような問題が出てくるのではないかと懸念しております。
 ここに介護保険は最低月額2,000円程度と書いてありまして、医療保険と違いがある。しかし、この整合性を私は言うべきでない。介護保険からいいますと、医療保険の方は随分と公費を入れて、こういうふうに保険料を抑えているではないかということになるわけであります。私は同じ厚生労働省がやっている仕事でありますので、これをこの場に持ち込んで高きに合わせるということはなかなか理解しがたい面がある。
 国保との整合性を図るということは理解しやすいわけでありますが、ここに介護保険のことを持ってくるというのは、場違いな感じがいたしております。
 いずれにしても、全年齢を統一した第二段階が、共通の時期と認識を持っていけるように早くすべきということについては、皆さんの意見と変わりはありませんので、このことだけは重ねて申し上げておきたいと思います。
 以上です。

○岩村座長
 ありがとうございました。それでは、こちらのと言ってはあれですが、齊藤委員。

○齊藤委員
 12ページの財政調整のあり方には、「第一段階では、65歳から74歳の保険料だけを切り出して、医療給付費に充てることは困難」とありますけれども、被用者保険側としては、65から74歳の方々の支援のために納付金を拠出しているわけでございますので、現役世代の保険制度と財政面できちんと区分していただきたいと思います。
 最終的に第二段階に進んだ場合、切り分けができないのであれば、全世代丸ごととなりますが、大幅な公費の投入がないままに現在の拠出ルールが存続するということは、財政調整による現役世代の負担が大きくなることを意味します。被用者保険の持続可能性や若者の夢・希望を考えますと、今回の提案を今すぐ容認することはできないと考えております。
 以上でございます。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 それでは、三上委員、白川委員の順でお願いします。では、三上委員。

○三上委員
 いろいろな方の御意見を参考にお話したいのですけれども、先ほど財源構成が5対5というのを基本的に変えないという前提で話をすると非常に難しいのだということが、皆さんの意見でよくわかったと思います。
 各保険者の方も、財政調整のあり方についても相当無理が出るし、これから医療費がかかるのですけれども、税と保険料と自己負担の割合の中で、保険料と自己負担が恐らくこれ以上増やせないということであれば、5対5を6対4とか7対3とか、徐々に変えていく必要があるのではないか。民主党が公費を国策として投入するという方針を立てていただくということであれば、相当の部分は解決するのではないかと思います。
 75歳で分けてやるということについては、樋口委員が言われたように年齢区分が残るわけで、そういったことが本当にいいのか。最初の前提として年齢区分をしないということでありましたので、これは是非早急に全年齢統一という形にしていただきたいと思います。
 それと、15ページ、16ページで全年齢を対象にした場合どうするのかということですが、一本化するのかどうかということ。それから、16ページ、2方式にするのか、4方式、3方式にするのかということですが、私は理屈からいえば、やはり全国で統一すべきではないか。そうした場合には、現在、後期高齢者医療制度では2方式でやっているわけで、うまくいくのではないかという気がするのですけれども、これを都道府県によって3方式だったり、4方式ということがあると、どういうことになるのか。負担の公平性からいえば、こういった方法が本当にいいのかということは議論していただきたいと思います。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 それでは、白川委員。

○白川委員
 12ページの負担構造の話、これは次回も引き続き議論ということになると思いますので、その際に申し上げたいと思いますが2つほど申し上げます。
 1つは、75歳以上だけを都道府県単位化するということの意味合いが、多分よく理解されないだろう。次のステップを示さなければいけないという御意見の方が多かったと思います。私もそのとおりだと思います。今のままで、形も変わらないし、負担構造も変わらないということになれば、何が改革かということになると思います。
 2つめに、負担について申し上げたいのは、75歳以上の負担構造を今のような形でということは理解できます。それから、宮武先生がおっしゃったとおり、白地に絵をかくわけではないので、現状の負担割合とか現実をある程度踏まえた改革しかできないだろうというのも、私もそのとおりだと思いますが、今、被用者保険は、21年度で協会けんぽが4,900億円ぐらいの赤字で、私どもが5,200億円の赤字で、ほぼ1兆円の赤字という状態で、若年層の高齢者に対する支援が限界に来ているということです。
 少なくともそれを踏まえて、25年度以降の新制度をどうするかということを議論していただかないと、今のままずっと変わらないのだということになると、若年層がもうもたないということになるのだと思います。
 今日、政務官がいらっしゃいますので、消費税も含めた、税制改革も含めた安定財源というものを、民主党・政府で早く議論していただかないと、この議論はこの先も進められないというぐらいの気持ちでおりますので、是非その点、政務官からも厚労省全体の問題として取り上げていただくように、この場を借りてお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○岩村座長
 ありがとうございました。ちょっと一言申し上げますと、少なくとも後期高齢者の制度はなくした上で、75歳以上の方の加入は国保と被用者保険に分けるけれども、ただ、財政面は75歳という区分は維持しますよということについてはこの会議の中間とりまとめでまとめていただいておりますので、それを前提にして御議論いただきたいと存じます。いや、別に白川委員の先ほどのご発言に対してではなく、結構皆様からそういうお声が上がりましたので。

○白川委員
 私どもは、もともとは65歳以上を高齢者ということで財政は分けるべきだという主張をしてまいりましたので、今回は75歳ということで切られているものですから、それについていかがなものかという意見を申し上げたつもりでございます。

○岩村座長
 そこはわかっておりますけれども、一応、中間とりまとめが今回の第2ラウンドの出発点にはなりますので、その点は御理解を頂戴したいと思います。
 それでは、そのほかいかがでございましょうか。小林委員、どうぞ。

○小林委員
 今の12ページの第一段階における財政調整のあり方については、ここに書いてありますように、現行の後期高齢者医療制度のように、高齢者の保険料と公費を高齢者の医療給付費に充てた上で、それ以外の部分を現役世代が支援するという方法、今、座長からお話がありましたが、あえて申し上げますと、この方法は現役世代と高齢者の負担関係の明確化という観点からは、いい方法であり、できるだけ導入すべきだと考えますが、財政調整の具体的な方法に関しては、次回提示される財政試算の結果を見て、また意見を申し上げたいと思います。
 今日のところは以上です。

○岩村座長
 ありがとうございます。そのほかよろしゅうございましょうか。幾つか事務局へのお尋ねがあったと思いますので、その点、事務局の方でお答えをお願いいたします。

○吉岡課長
 1つは、先ほど座長からお答えいただきましたように、今回の国保における、これは年齢区分ではなくて財政運営上の区分であるということが中間とりまとめにも明示されているということであります。高齢者の方の保険料が急に増加しないように、あるいは格差が拡大しないようにということで、お年寄りの方々も皆、市町村国保に加入し、保険証も現役世代と同じでありますけれども、財政運営上の区分は、まず第一段階では高齢者は都道府県単位の運営にするということで中間とりまとめをいただいたということであります。
 それから、軽減措置について、それがなくなることによる影響という御指摘がございました。中間とりまとめでは、この軽減措置について合理的な仕組みに改めることが適当だということで、まだなくなるということで結論付けられているわけではありませんが、今回の資料で御提示させていただきましたのは、国保との整合性あるいは介護保険との整合性等を含めて、どのような御判断をいただくかということかと思います。
 樋口委員の方からは、徐々には仕方がないというお話もございましたけれども、そうした点も含めて、今後の方向性をこの場で御議論いただければと考えております。ちなみに数字ということでありますと、仮に9割軽減がなくなれば、国保は7割軽減が最大の軽減でありますので、後期高齢者医療制度9割軽減ですと、月額の保険料が全国平均で350円でございますけれども、7割軽減になると月額で1,050円になるわけでございます。
 以上でございます。

○岩村座長
 ありがとうございました。

○小島委員
 座長、ちょっと。

○岩村座長
 では、小島委員、どうぞ。

○小島委員
 先ほど座長が、中間まとめのところでは、第一段階、財政運営については75歳以上でまとまったということですけれども、正確には、少なくとも75歳以上の高齢者については、都道府県単位で運営していくのが不可欠である。75歳以上とする場合と、65歳以上とする場合が考えられるが、引き続きこれについては検討するとなっていますので、そういう意味では、中間報告は75歳以上で確認されたということにはなっていないのではないかと私は理解しております。

○岩村座長
 そこは小島委員の御指摘のとおりです。ただ、私が申し上げたのは、75歳というところでの財政区分ということ自体は、一応中間とりまとめでは確認されていますというお話であります。おっしゃるとおり、65歳からということで財政区分を切るかどうかということ自体は、中間とりまとめのところではこれから検討する、つまり第2ラウンドで検討しますということであることは、そのとおりでございます。

○岡崎委員
 1点。

○岩村座長
 では、岡崎委員。

○岡崎委員
 1つ気になっている部分があります。今日、横尾委員もおいでですが、現在、後期高齢者医療制度では、都道府県ごとに設定された保険料を各市町村が徴収して、それぞれの広域連合に納める形になっておりまして、市町村の過不足があっても、それは最終的に市町村が補てんする仕組みではなくて、都道府県1本の広域連合の中で収支を合わせるという責任になっています。
 今回の案は、標準もしくは基準保険料を設定して、今、都道府県ごとにきちっと行っているものを、各市町村にもう一回おろして、それで市町村が集められなければ基金から借り入れをしてでも納めるということで、今の制度よりかなり後退したようなイメージがあるので懸念しております。
 これは、事務局から少し説明があったように、各市町村で一般会計から繰入をしておったり、保険料を一般会計の税負担で下げておったり、いろいろなことがあるので、今の事務局案として書いたのでしょうが、ここは我々も全国市長会に持ち帰ったときには、恐らくいろいろな議論がある点ではないかと思います。ここは懸念もあるということで、もう少し考え方を整理していただいた方がいいかなと思っています。

○岩村座長
 ありがとうございます。

○横尾委員
 いいですか。

○岩村座長
 横尾委員、どうぞ。

○横尾委員
 関連で、先ほど私、「社会的コスト」ということを申し上げたのですけれども、例えば5ページで「ソフトランディング」の話をいただいたわけですが、第一段階、第二段階と経て前へ進んでいくときに、いろいろな意味で、仕事を手際よく、正確にさばくには、今もそうですが、電算処理、いわゆる「ICT」を使った処理が当然必要になります。
 このときに、現行のものを生かしてマイナーチェンジでいけるのか、大きく変えていくという選択をするかで、かなりコストが変わってくると個人的には感じています。全国で見ると100億円単位から数千億円ぐらいのお金がかかるのではないかと思います。これは、自治体からいくと、国民から見てもそうですけれども、大変大きな支出になりますので、今、システム関係の実務者レベルの協議を始めていただいているということですから、是非そういった辺りも踏まえて御検討いただきたいと思います。
 ミスのない、わかりやすい制度というのが1つ肝心ですが、もう一つはファイナンス、予算としてきちっと回っていかないと、社会的コスト、最後は結局国民が払うことになりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○岩村座長
 貴重な御指摘をありがとうございます。
 今日資料を御提出いただいている近藤委員、何かございますでしょうか。

○近藤委員
 本日の論点から少し外れた視点ですので、ちょっと遠慮していたのですが、資料を配付させていただいたので一言説明させていただきたいと思います。
 特に、この委員会の枠を超える話であるということを、以前の会議で当時の足立政務官の方から、それについてはまた別の場を考えるという御発言をいただいておりましたので、これについては岡本政務官の方から、11月にその他積み残しの案件という議題がありますので、それまでに是非方向を出していただきたいということもありまして、今日の時点でもお願いはしておきたいと思います。
 今日の論議あるいは今までの論議、医療制度の中でも財源をどう確保するのかという保険制度の側面の話を中心に進めてまいりました。これは私、これを書くために勉強し直して、改めて驚いたのですけれども、医療保険制度はとても巨大で、今、国が税収で集めている額と同じぐらいの額が動いている規模だということですので、まずそこをどうするのかという論議を、このような形で県、市町村、保険者の方たちがいろいろ論議されるのはとてもよくわかります。
 しかし、お金が集まれば、高齢者、後期高齢者がどんどん増えていくという日本社会の問題がすべて解決するわけではありませんで、医療ニーズあるいは介護ニーズの構造が今後変わっていくことが確実です。それにどう対応していくのかという論議がないままですと、一時期、医療崩壊とか随分話題になりましたが、医療従事者あるいは介護の専門職を育てるのには5年とか10年かかります。その準備もしていかないと、数年後にまた大変な騒ぎになるだろうということが予見できるものですから、そのことをしっかり準備する手だてを考えていただきたいというのが1番のメッセージです。
 1例だけ御紹介しますと、配付資料の14ページ辺りに書いておきましたが、後期高齢者が増えてくるとリハビリテーションを必要とする人が増えるだろうということは、皆さん想像できると思いますが、今、リハビリテーションの専門医を育てる大学が半分もありません。リハビリテーション医学の教授がいない大学の方が多い実態があります。
 リハビリテーション医学会で専門医が今後どれぐらいいるだろうかという需給の数字をはじいているのを見付けたのですけれども、それによると、今のままですと永遠に必要数に達しないという推計が出ております。なおかつ専門医が関わった人の方が治療成績がよくて、おうちに帰れる人が多いということも既に出ております。言うなら、医学技術的にはそういうことがわかっていながら、その供給量が追い付かないために、本来であれば歩けた方が、あるいはおうちに帰れた方が帰れずに病院にとどまる、あるいは介護施設に行かざるを得ないという事態が、このままだと確実に広がっていきます。
 そのような医療提供の中身、あるいはそれを支える人づくりをどうするかという論議が、ここの会議では中心の論点にしないということでしたが、これは残された重要な論点、課題だと思いますので、それをどういう形で手だてをとっていくのかということについては、少なくとも11月に是非御提案いただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 そのほかいろいろ書いてありますので、ご覧いただければと思います。

○岩村座長
 どうもありがとうございました。そのほかいかがでございましょうか。
 今日は、第2ラウンドの第1回目ということで、多くの論点について貴重な御意見をいただいたと思います。例えば今日の基本資料の6ページで、第一段階での都道府県単位化の対象年齢をどうするか。特にこれは財政運営の対象となる年齢層をどうするかということで、今日の事務局の方で用意したペーパーでは、第一段階では75歳以上ということで整理してありましたけれども、幾つか御異論もあったところであろうかと思います。
 ただ、このペーパーにもありますように、限られた時間の中で、要するに期間が切られている中で第一段階に移行しなければいけないということと、そして被保険者、それから費用負担をしている各保険者側の大きな財政状況、負担の変動があまり起きないということを前提としつつ、次の第二段階を考えるということであると、私個人としては、75歳以上でまず第一段階を考えるというのが非常に現実的かなと思います。そういう意味では、宮武委員の御指摘のとおりかと思います。
 それから、今日はそれほど議論はありませんでしたけれども、8ページにございます都道府県単位化への移行という点については、特に藤原委員あるいは岡崎委員、その他の方からも、一律に期間を定めてやった方がよいのではないかという御意見だったように思います。できるところからということになると、様子見のところが多分出てくるというリスクも考えられますので、そういう意味では期間を定めて一律にというのが合理的と個人的には思います。ただ、いつからということについては、もう少し詰めた議論が必要と思います。
 あと問題は、12ページ、財政調整のところですが、これも先ほど申し上げましたように、余り大きな変動を第一段階では起こさない。そういう意味でスムーズな移行を図るという観点からすると、私自身は現状の財政調整の仕組みを踏襲するという形で第一段階に入るのが現実的かなという気はいたします。ただ、ここについては、幾つかそうでない御意見もあったところかと思います。
 それから、例えば16ページで保険料の賦課方式について、これも今日、それほど多くの方の御意見があったわけではありませんけれども、都道府県ごとに非常に状況が違うという中で、全国一律というのはかなり、これまた大きな改革になるということもあります。そういう意味では、都道府県ごとに決めていただくことでよろしいかなと私自身は思います。
 その他としては、例えば保険料の扱い、それから保険料軽減特例ということは、樋口委員の御指摘もありまして、確かにその点、あろうかと思います。他方で、第二段階で国保を全年齢について都道府県ごとに1つにまとめるという話になったときには、高齢者だけを別扱いというのは非常に難しくなるということは確かでありまして、どういうやり方でそこのところを調整していくかというのは、更に議論を深める必要があろうかと思います。
 今日は、長時間にわたりまして御議論ありがとうございました。最後に、岡本政務官の方から一言御挨拶いただきたいと思います。

○岡本政務官
 いろいろな御議論をいただきまして感謝申し上げたいと思います。私の方からもお礼申し上げます。
 大変熱心な御議論で、私も初めて参加させていただきました。阿部委員からお話がありましたように、政務三役のうちだれかが出席するべきではないかという御指摘はごもっともでありますし、可能であれば大臣がという御要望はごもっともなところがありますけれども、なかなかそうもまいらないことは御容赦いただき、今日は私が出席させていただいたことで御容赦いただきたいと思います。
 それぞれの皆様の高い見識から、またそれぞれの皆様方がこれまでしてこられた取組みから議論を重ねていただきました。民主党としてマニフェストに掲げている課題を一つひとつ、皆様方のお知恵をお借りしながら実現していくというのは、国民の皆様との約束であり、当然のことだと私自身も思っておりますけれども、その中でも、今回御議論いただいております後期高齢者医療制度を含む国保全般、また被用者保険も含めてでありますけれども、どのようにしていくかということは大きな課題になってこようかと思っています。
 国保を都道府県単位にするというのは、そういう意味では、厚生労働省においても長年の課題であったと承知していますけれども、聞いておりますと多くの議論があるなということを改めて感じた次第でありますし、今後とも市町村、また都道府県、それぞれ知事会等がありまして、そういったところの御議論も受けながら、この議論を集約していきたいと思っております。
 スケジュールが最初に決まっていて、本当に申しわけないところではありますけれども、年末のとりまとめに向けて、何とかそこで最終とりまとめができますように、私どもも事務方ともども鋭意努力をしていきたいと思いますけれども、今日御出席の委員の皆様方のなお一層の高い見識、またお知恵をお貸しいただけますように重ねてお願い申し上げるとともに、遅い時間にまで皆様方に御出席いただきましたこと、感謝申し上げまして最後の御挨拶といたしたいと思います。
 どうも本日はありがとうございました。

○岩村座長
 政務官、どうもありがとうございました。
 それでは、今日の会議はここまでとさせていただいて。

○三上委員
 ちょっと。

○岩村座長
 三上委員、どうぞ。

○三上委員
 この会議、9月は1回だけですね。最初の議論の進め方に書いてある、今日のこの資料については、今、座長がおまとめになった、いわゆる事務局が用意された案のまま決まったという形なのでしょうか。

○岩村座長
 いえ、そういうことではございません。ただ、最後に私自身、皆様のお考えを聞きながら、私はこう思いますということを申し上げた次第であります。先ほど事務局の方からも説明がありましたように、12月以降、最終的なとりまとめの議論をさせていただくことになりますので、そのようなことだと御理解いただければと思います。
 それで、次回でございますけれども、第11回ということになります。これにつきましては、今日の資料の2ページにありますように、主として費用負担ということをめぐって御議論いただくことになります。そのときに事務局の方から、財政影響試算と将来推計もお出しいただく予定でございますので、今日議論もありました財政調整のあり方といったことも含めて、また10月に議論をいただければと思います。
 そういう形で、財政収支も含めて費用負担の問題の議論を深めることができればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、日程でございますけれども、既に御案内のとおり、次回11回は、10月25日月曜日午後5時20分から7時20分という、今日と同じ時間帯を予定してございます。詳細につきましては、事務局の方から改めて御連絡を差し上げることになっておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、今日は御多忙の中を、また遅い時間にお集まりいただきまして誠にありがとうございました。これで終了させていただきます。


(了)
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