ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 再生医療における制度的枠組みに関する検討会> 第9回再生医療における制度的枠組みに関する検討会
2010年8月25日 第9回再生医療における制度的枠組みに関する検討会
医薬食品局審査管理課
○日時
平成22年8月25日(水)15:00~17:00
○場所
はあといん乃木坂 フルール
○出席者
委員
永井座長、阿曽沼委員、伊藤委員、小澤委員、片倉委員、神山委員、木村委員、 |
澤委員、鈴木委員、高杉委員、土屋委員、花井委員、早川委員、前川委員、毛利委員、森尾委員、大和委員 |
オブザーバー
山本内閣府参事官、山内文部科学省先端医科学研究企画官、 |
荒木経済産業省生物化学産業課長、三宅(独)医薬品医療機器総合機構上席審議役 |
行政庁出席者
間杉医薬食品局長、平山大臣官房審議官、成田審査管理課長、宇津企画官、 |
関野医療機器審査管理室長、國枝監視指導・麻薬対策課長、宿里監視指導室長、 |
福本経済課長、池田医療機器政策室長、高山医療機器政策室長補佐、 |
谷研究開発振興課長補佐、田邊医政局研究開発振興課専門官 |
○議題
1.開会
2.第8回主な議論のまとめ
3.関係者からのヒアリング
・ Dr. Steven R Bauer
FDA(米国食品薬品庁)
・ Prof. Dr. Jean Hugues Trouvin
AFSSAPS(仏国保健製品衛生安全庁)
・ Dr. Bettina Klug, MSc
Paul-Ehrlich-Institut(独国ポールエールリッヒ研究所)
4.意見交換
・ 確認申請 他
5.閉会
○議事
○宇津企画官
それでは、定刻になりましたので、第9回再生医療における制度的枠組みに関する検討
会を開催させていただきます。
初めに、事務局の人事異動がございましたので、その点についてご報告いたします。ま
ず、医薬食品局長ですが、間杉でございます。
○間杉医薬食品局長
間杉でございます。よろしくお願い申し上げます。
○宇津企画官
続きまして、大臣官房審議官平山でございます。
○平山審議官
平山でございます。よろしくお願いします。
○宇津企画官
続きまして、オブザーバーの交代についてご報告をさせていただきます。
医薬品医療機器総合機構三宅上席審議役にご参加いただいております。それから内閣府
参事官の山本参事官、遅れていらっしゃるようでございます。
人事異動については以上でございます。
本日、欠席の連絡をいただいております委員の方は、稲垣委員、武藤委員であります。
木村委員におかれましては、遅れて来られるという連絡が入っております。
なお、間杉局長ですが、所用のため途中で退席になりますので、その点、ご了解いただ
ければと思います。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。本日、以下の資料をお手元に配布して
おります。議事次第、座席表、委員名簿、設置要項。それから資料1といたしまして、第
8回検討会の主な議論のまとめ、資料2といたしまして第8回検討会での確認事項、資料
3-1から3-3までということで、今回ヒアリングを行います各専門家の資料をお配り
しております。資料4といたしまして、今後のスケジュールでございます。
それから参考資料としまして1から7までの資料をお配りしております。
不足等ございましたら事務局のほうまでお知らせください。
また本日、海外から専門家の方に来ていただいております。同時通訳を用意しておりま
す。日本語のチャンネルは1ということになっております。説明の後、質疑の時間を設け
ておりますけれども、この質問は日本語で結構でございます。
なお、カメラ撮りのほうはここまでとさせていただきますので、ご協力お願いいたしま
す。
それでは、以降の議事進行につきましては、座長の永井先生にお願いいたします。よろ
しくお願いします。
○永井座長
どうもありがとうございました。
それではお手元の議事次第に従いまして、議事を進めさせていただきます。まず簡潔に
前回の議論の主なまとめ、確認事項について事務局よりご説明いただきます。続いて、海
外規制当局の関係者の方々、3名の方からご発表いただいて、最後に確認申請等について
の意見交換をしたいと思っております。
では、議事につきまして事務局より説明をお願いいたします。
○宇津企画官
議事の進め方について、若干補足いたします。本日は海外の専門家の方からプレゼンと
いうことで、お三方からプレゼンをしていただきます。
お一人が米国食品薬品庁のドクターバウアー、お二人目がフランス保健製品衛生安全庁
のトルバン教授、それから、3人目がドイツのポールエールリッヒ研究所のクルーク博士
でございます。
進め方といたしまして、各専門家の方に20分程度で発表を行っていただき、その後、各
プレゼンに対する質疑を10分ずつとっていくということを考えております。また、FDA
の方は米国からインターネット回線で参加をしていただいております。その関係で、この
場にはいらっしゃいませんが、今、インターネット回線でつながっております。
そのように進めさせていただきます。
○永井座長
ありがとうございました。何か今のご説明に対してご質問、ご意見はございませんでし
ょうか。よろしいでしょうか。
それでは、今日お招きいただいた関係者の方々からの発表に移りたいと思います。
Dr.Steven Bauer、ご参加いただきましてありがとうございます。
それでは、プレゼンテーションをよろしくお願いいたします。
○Dr.Steven Bauer
それでは始めさせていただいてよろしいでしょうか。皆さん、こんにちは。
私はおはようと言いたかったんですけれども、皆さん、こんにちは。
私のほうからスライドを皆さんにお送りしておりますが、全てをカバーする時間はない
ということが今分かりましたので、幾つか重要な点のみにハイライトしていきたいと思い
ます。
それでは始めさせていただきます。このスライドは、皆さんへの背景説明です。このス
ライドで重要な点としては、再生医療医薬品はFDAが規制しております。CBERが担
当しています。しかし、CBERだけではなく、Center For Devices and
Radiological Health(CDRH)、それからまたCenter for Drug Evaluation and Research
(CDER)もこれらの規制に関わっています。ほとんどの再生医療医薬品としては細胞であ
りますので、したがって、Office of Cellular, Tissue, and Gene Therapiesが担当する
ことになります。そして、そのオフィスにはディビジョンもあります。また、Division of
Human Tissuesも担当します。
ここに挙げておりますのが、HCT/Pの製品に当たるものですが、例えば細胞ベース
の再生医療医薬品が主たるものでありますけれども、ここで特に重要なのは自家細胞につ
いても、HCT/Pになることもあり、また場合によっては組織として規制されることも
あるという点です。
こちらのスライドですが、重要なスライドと考えています。つまり実際に2つの規制の
うちのどちらを使うかを決めるための要素です。まずTissueですが、HCT/Pとなりま
すのは、このlower riskの製品です。リスクベースで規制レベルの決定をします。そして
higher riskの場合には351として規制します。つまり351になりますと、Biologicsとか
Deviceの規制をとりまして、INDとかBLAとかIDEとかPMAの申請が必要になり
ます。
さて、次が細胞治療でありますけれども、これはHCT/Pで規制が行われています。
4点、この361のlower riskの製品、それから351のhigher riskの分類をする要素を考えま
す。まずマニュピュレーションがミニマムであるかどうかです。これは発音するのも大変
です。それからまたHomologousな利用、つまりそれらがほかのArticle、ものと組み合わせ
て使われないということ。それからまた全身効果がないということが要件となります。
次のスライドでその意味を言っています。つまりなかなか発音できないんですが、ミニ
マルマニュピュレーションとは何かということ、あるいはそれ以上のものは何かというこ
とです。つまり、リスクベースでこの分類をしますので、ここに書いてあるようにミニマ
ムマニュピュレーションといった場合には、リスクが入るわけなんですけれども、ここで
書いてあるのはミニマムマニュピュレーション以上のリスクがあるということで、製造中
に外来ウイルスの導入リスクがあるようなもの。つまりこれらの外来ウイルスとは、試薬
とかオペレーターから、あるいは製造環境からウイルスが導入するリスクがあると考えら
れた場合です。
それからもう一つのリスクとしては、ドナーのリスクです。つまりドナーからのものを、
例えば人工的な処理することによって、そこで生物特性が変化するという場合もあります。
あるいはその製品の特性が変わるということが考えられますので、これらを考えながら、
ミニマムマニュピュレーションであるかどうか。それともそれ以上のリスクなのかという
ことで決定するわけです。そしてその決定で351にするかどうかを決めています。
それから、またいろいろな細胞タイプの意図されている利用方法でありますけれども、
実際にそれがよく知られていない場合に、適用としてはHomologous useにしています。と
いうのも、分かっているような生物学の知識、例えば文献にあるものとして利用されると
いうことであれば、あるいは臨床試験でよくコントロールされる環境にあるという場合、
すなわちこのような自家細胞がそのように使われる場合にはHomologousであると考えて、
その場合の細胞としてはそのリスクで規制してよいということになります。
次のスライドです。
こちらが我々が、このリスクベネフィットをどのように考えているかということを全体
的に示しているスライドになります。まず、我々の規制目標としては、患者さんが不合理
なリスクから保護されるというところです。リーズナブルかアンリーズナブルかというこ
との決定でありますが、これはケース・バイ・ケースで決めなければなりません。
つまり、リスクベネフィットを考えたときにケース・バイ・ケースで考えるわけであり
ますが、その中で要素がありまして、アンリーズナブルなリスクというのは例えば患者集
団から考えて不合理である。例えば年齢とか、その人たちの健康状態とか、医学的な状況、
それからまた他の治療法があるかどうか、類似品での治療があるかどうか、そのような治
療法のあるなしを考えて不合理なリスクかどうか。あるいはベネフィットがあるかどうか
を考えます。それからまた患者さんのモニターがうまくいっているかどうか、実験治療に
対して曝露される場合に、それをきちんとモニターできるかどうかということも考えます。
それから、臨床試験のデザイン、例えば動物モデルを使って、このような製品をテストす
る場合に、その動物試験の結果が患者さん、あるいは臨床試験のデザインとどれぐらい関
連があるか、重要性があるかということも考えて、リスクベネフィットを考慮します。つ
まり、相対的なリスク、そして相対的なベネフィットを考えるわけですが、もちろんリス
クというのは安全性、そしてベネフィットというのが有効性と考えてもいいと思います。
さて、次にこのリスクの評価について申し上げたいと思います。それぞれの分野に専門
知識を持った審査チームが構成されます。例えばCMCの専門家、それから臨床の専門家、
それから薬理や毒性、その他、コンサルトレビュアーというのがいます。例えばコンサル
トレビュアーというのはCBERのコンサルタント、それからまたCDERのレビュアー
といったような再生治療に専門知識を持っている人たちです。つまり全体的なリスクとベ
ネフィットを評価する場合に、その人たちの知識が必要になってくるような人たちをコン
サルトレビュアーと呼んでいます。
またレビュアーの専門知識、それからレビュアーの専門知識をいかに維持するかについ
て述べたいと思います。もちろん学術的なトレーニング、教育、また教育だけでなく経験
も大切です。それをもとにして専門家を雇用します。そして、雇用する際には、どのよう
な教育背景があるか。例えば臨床試験のデザインとか、生物学の知識はどれぐらいか、ま
たそれぞれの分野でのどれぐらいの経験があるかどうかを考えますけれども、ほとんどの
仕事というのは、この専門知識というのはOJTから来る知識になります。
そのOJTはどこから得るかといいますと、例えばいろいろな規制のミーティングであ
るとか、科学のミーティング、例えば私もずっとこのようなミーティングにいます。そし
て、経験のある人たちがメンタリングをします。それからまた内部のワーキンググループ、
例えばセルセラピーとかジーンセラピーのワーキンググループがありますので、それから
またセンター間での共同のワーキンググループもつくりまして、CDRHとかCBERか
らのグループが参加します。
またキャリアデベロップメントも行います。すなわち臨床を行う。それから検査、それ
からまた臨床研究もするという形で、キャリアを開発していきます。それから私自身もラ
ボでも仕事をするように、例えば免疫系のラボの仕事をして、細胞と免疫系とかそれから
また間葉系の細胞等の相互作用について調べたりします。そして監査とか審査の経験も必
要になってきます。このような経験を積ませることによって、ベストの審査官としての専
門知識を育て、それからまた日々研鑽を積ませて、遅れないように、例えば先進の科学文
献も読んで、そして進歩から遅れないようにということをしています。それからOJTと
して大体そのようなモデルでやっていくわけです。よろしいでしょうか。
さて、次に、コンビネーションプロダクトと呼ばれる、これは合剤ではなくて、ほかの
組み合わせなんですが、それについてご説明します。これについてはもう申し上げたと思
いますけれども、再生医療医薬品については申請が出た段階で、例えば、デバイスと生物
製剤の組み合わせなどもあると思います。薬剤とは何か。それからデバイスとは何か。ま
たバイオロジックスとは何か。例えばスキャフォールド、それからまたGrowth Factorとの
組み合わせもあると思います。それからそれぞれの物質がどのように規制されているかに
よって、どこのセンターが関わるかも違ってきますけれども、とにかく規制対象となって
いるものを組み合わせるときに、コンビネーションプロダクトとなります。それから意図
されている使用法、またその効果なども考えて、コンビネーションプロダクトとします。
こちらに書いてありますのはガイダンスの情報です。これも重要だと思います。つまり
いかにして、FDAのどのセンターが責任をコンビネーションプロダクトに持つかという
ことをどうやって決めるかということです。先ほどのスライドでお見せしたように、考慮
する点としては医薬品とか生物製剤とか、それからデバイスとが、そういったものの組み
合わせなので、それによってセンターも決まってきます。
幾つかのアプローチで責任をとるリードセンターを決めるわけですが、一番重要な考慮
する点としては、アサインメントというのはいわゆるPMOA、主要作用機序で決めます。
つまり例えば細胞と医薬品の組み合わせ、それからまた細胞とデバイスの組み合わせの場
合には、一番重要なのがその中に入っている最も主要な活性物質です。例えばそれが細胞
であるということであれば、主として私のところ、OCTGTが主幹となることになりま
す。
どうやって決まるかということですが、これについてはそれぞれのCenter
Jurisdictional Officerと連絡して決めます。それからまたOffice of Combination
Productsも関わります。つまりそれぞれの専門知識がありますので、例えばこのウエブサ
イトをご覧になりまして、見ていただければと思います。パブリックミーティングとかワ
ークショプもありますので、それを通じて決めることになります。一番重要なのがこのP
MOAであります。primary mode of action、この主要作用機序を考えて責任のリードセ
ンターを決めます。
例えば再生医療医薬品で細胞が関与している場合には、私のオフィス、OCTGTが担
当することになります。その例を示しております。例えばTissue-engineeredあるいは
regenerative medicine products、例えば細胞のスキャフォールドとしての構成物。組織
の修復とか代替に使うもの、TEMPsと呼んでいるものがあります。それからほかの細
胞と生物製剤、あるいはデリバリーのデバイスとの組み合わせもあると思います。その場
合にはCDRHの知識もかります。というのも、例えばカテーテルを使ってデリバリーを
行う。あるいはスピリエルや注射を使ってデリバリーを行う場合、それからいろいろなア
プリケーションもあると思いますので、デバイスをデリバリーの手段として使う場合のコ
ンビネーションもあります。
次にCMCの課題についてです。再生医療製品の分野でのCMCに関わる課題です。規
制によりますと、生物製品のスペシフィケーションの中には安全性、それから純度、同一
性、それから使った物質、そして力価といったものが含まれています。純度というのが特
に課題となっています。
純度といいますと、例えば異質な細胞のタイプがあって、そして組織の機能をリプロデ
ュースしようとする場合に、外来的な細胞タイプは何か。そして内在的なものは何かとい
う細胞生物学の検討をしなければなりません。これはしばしば難しい課題となります。ま
た、ポテンシー、力価、これは生物活性によって測定します。そして意図された治療効果
を上げることができるのかについて、直接測定、あるいは間接測定を行うことができます
が、これら1つ、2つだけを測定するだけでは十分ではないということがしばしばありま
すので、複数のアッセイを使う。あるいはアッセイマトリクスアプローチということを最
近ではとるようになってきています。というのも、単一のアッセイではなかなか全ての要
素をカバーすることが難しい。ポテンシーアッセイとして単一なアッセイでは難しいから
です。そして一番難しい問題でありますけれども、力価についてライセンスの許認可まで
確認をしなければならないということが、今大きな課題となっています。
力価試験については、生物活性が確定されたリミット内になっているかどうかを確認し
なければなりません。つまり製品が一貫性、コンシステンシーがあるかを示さなければな
りませんし、安定性、それから臨床データの解釈の支援材料としても使われるものです。
そういった課題があります。細胞治療製品の場合です。再生医療製品にも当てはまる課題
です。また、ロットサイズが小さいという問題もありますし、サンプルの数が限定的であ
る。それからshelf lifeも限定的であるといった問題があります。
いったん製造された細胞というのは無限に生きているわけではありません。また出発材
料が不足するという問題もありますし、患者間の変動性、そして細胞の異質性の問題があ
ります。またMOA、採用様式が複数あるかもしれないということ、それがどのようにポ
テンシーに関係しているのか、必ずしもはっきりとは分かっていないという問題がありま
す。
時間が限られておりますので、前臨床の試験について、それから臨床試験について幾つ
かポイントを指摘しております。ここで強調したいのは、FDAとして重要なこととして、
双方向のやりとりをするということを重視しています。ライフサイクルを通じて、早期開
発から市販後に至るまで、企業側との双方向のやりとりをすることを重視しています。そ
の際のどのようなプロセスがあるのか。それからタイムラインがどうなっているのかを、
このチャートでお示ししています。安全性の試験を十分に行わなければいけないというこ
と、安全性を確立する、そのための十分な証拠、エビデンスが必要であるということ、そ
して製造がきちんとコントロールされた形で行われているということ、そして再生医療製
品が承認を得ることができるようにするために、これらを確実に確認することが必要です。
ご関心がある方のために参考資料が掲載されているところをここに掲げております。
では、ご質問をお受けしたいと思います。ご質問については逐次でお受けいたします。
○永井座長
バウアー先生、ありがとうございました。それでは、委員の方々から質問を受けたいと
思いますが、いかがでしょうか。前川委員。
○前川委員
貴重なお話を有り難うございます。一つ御聞きしたいのは、FDAの係官がサイエンテ
ィフィックなバックグラウンドを持っている方が多いと言われていましたけれども、ほと
んどの方が例えば研究を経験し、PhDを取得しておられるとか、細胞を扱う実験をやっ
てこられた経験を持った方が、FDAの係官として審査、あるいは指導に当っておられる
のでしょうか。
○Dr.Steven Bauer
質問を理解できたとすれば、PhDを取得しています。例えば、細胞生物学のPhD、
あるいは医学博士MD、あるいは腫瘍の医学博士、しかしながら、規制の経験については
必ずしも必要とはしていません。FDAに採用された当初は薬事、規制の経験がない人が
大半です。したがって、規制についてはOJT、それからメンタリングによる訓練を行い
ます。またFDA内部のワーキンググループで経験を積みます。そしてレギュラトリート
レーニングクラス、ミーティングなどを開催し、出席できるようにします。
したがって、規制については経験を持っていることを必須とはしていません。レギュラ
トリーサイエンスの学位、学問的な経験については必須とはしていません。サイエンティ
フィックな教育、あるいはクリニカル、臨床的な経験を持っているかどうかということを
重視しています。そして継続的なトレーニングとしては、つまりOJTとしてはこれから
何を身につけていかなければいけないのか、それぞれの専門知識を深めるために何を身に
つけるべきかということを考えてOJTを行います。例えば学問分野として審査する対象
となる製品全てについて知識を得ることができるような学問分野はありませんので、みん
な迅速にそういった知識を身につけることが期待されています。対象となる製品を規制す
るための知識は迅速にOJTで身につけていくということです。これでお答えになったで
しょうか。
○永井座長
よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。
早川委員、どうぞ。
○早川委員
プレゼンテーションありがとうございました。
最初に、製品を人に投与してもいいかというふうに判断する場合のポイントなんですけ
れども、Risk/Benefit Considerationsということで、まず一つはProtect patients from
unreasonable riskということで、このリスクというのはここに書いてある外来性有害因子
とか、その他の微生物、それと生物学的特性の変化のリスクと。それからもちろん患者さ
んに対する倫理的な問題はあると思いますけれども、それプラス、ケース・バイ・ケース
ということと理解しましたが、それでいいかということと、それで大体平均何日ぐらいで、
この審査、つまり人に入ってもいいという体制ができるかということを教えてください。
○Dr.Steven Bauer
Risk/Benefitのスライドに挙げておりますのが、全て網羅しているわけではありません。
主に検討する内容を挙げているだけです。FDAが申請を受けてから30日間で決定をする
ことになっています。例えばファーストインマンについてです。しかし、大半の場合には
前のpre-IND相談を行っています。ファーストインマンの申請を行いたいという場合には、
pre-IND相談を大半の場合には行います。pre-IND相談の議論にはタイムリミットというも
のはありません。ですから、私の経験ですとpre-IND相談を行って、申請者がCMC情報、
それから前臨床の情報、そして臨床試験の情報を提供し、FDAがそれを受けて、少し時
間をかけて検討します。そしてミーティングを再度持ち、質問を議論します。それから申
請者が照会事項に対して答えていくと、このプロセスにもかなり時間がかかります。いっ
たん、IND申請がされますと30日以内で決定をするということになっています。そして
タイムリミットがないpre-IND相談のプロセス、ここのところがファーストインマンの申請
については重要なプロセスになり、ここの部分はタイムリミットがありません。
○永井座長
早川先生、よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。
○小澤委員
J-TECの小澤といいます。質問は2つ。10ページ目、Consult reviewer(s)とありま
した。こういった再生医療のような先端的なところで、だれがこのコンサルタントをする
のか。そのクオリフィケーションを教えていただきたい。
2つ目。ざっくりでいいですが、アメリカの再生医療業界、一言で言うとどういう状況
なのか。今、盛り上がっているかどうか。その辺を教えてください。
○Dr.Steven Bauer
最初の質問です。Consult reviewerについてでした。まず資格としてはFDAの審査官
と同じです。つまりそれぞれの科学的な教育の背景、それからまた専門知識を持っている
人たちという意味では同じです。そして、彼らは大体このFDAの人間なので、規制の経
験も持っています。時として外部のコンサルタントにお願いする場合もあります。特別な
政府の職員であるとか、そして利益相反のスクリーニングを行って、適切であるというこ
とが分れば、そしてまた利益相反もないということであれば、そういう人たちが外部の専
門家としてConsult reviewerの役割を果たす場合もあります。
INDの数から見ますと、例えば再生医療でINDがどれぐらい申請されているかとい
うことですが、どんどん数が増えています。
○永井座長
よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。
○鈴木委員
アメリカでは、こういうふうな検討会、ちょっと角度が違う質問かもしれませんけれど
も、この検討会の性質というのは多分先方には伝わっていると思うんですけれども、例え
ば制度的枠組みを検討するような、こういうレベルの検討会、あるいは制度設計をする仕
組みというのはどのように動いているのでしょうか。あるいは動こうとしているのでしょ
うか。定期的に動いているというような動きがあるんでしょうか。
○Dr.Steven Bauer
我々はこのような検討会と呼ばれるものは持っていません。ただ細胞治療の規制の枠組
みというものについては考えておりまして、細胞治療ではOffice of Combination
ProductsとそれからConsult reviewerの間で話合いを行っています。私が知っている限り
ではその専門知識の中でこの話をしているわけですけれども、やはりこの種の製品であり
ますと、このような内部での検討会が知識レベルとしても信頼感が高いレベルではないか
と思います。
○永井座長
よろしいでしょうか。それでは大体時間になりましたので、ドクターバウアー、大変遅
い時間に貴重な情報をありがとうございました。
○Dr.Steven Bauer
いえ。皆さんこそ本当にお聞きいただきまして、ありがとうございました。
オーケー。グッバイ。
○永井座長
それでは、次のプレゼンテーションに移りたいと思います。
次は、トルバン教授でしょうか。よろしくお願いいたします。資料は3-1です。
○Dr.Jean Hugues Trouvin
ありがとうございます。皆さん、こんにちは。私も今回、この検討会に招かれまして光
栄だと思います。
フランスとヨーロッパの経験について、セル・ティッシュ・エンジニアド・プロダクト
についてお話したいと思います。まずDisclaimerを最初のスライドに挙げております。私
の今日の発表では、幾つかのポイントだけを申し上げます。
最初に申し上げたいのは、現在、いわゆる細胞組織の製品といった場合には、ヨーロッ
パでは2つの規制があるということです。その話をします。それからこれらの製品につい
てのフランスの経験とフランスにおける組織、それからまたATMPに対してのヨーロッ
パのアプローチについてお話ししたいと思います。
まず、セル・ティッシュ・エンジニアド・プロダクトが何であるかということですが、
申し上げたとおり、ヨーロッパでは2つの規制、制度があります。一つはヒューマン・テ
ィッシュ・アンド・セルの欧州指令です。ここにあるのがそうです。ヒトの組織と細胞の
指令でありまして、2004年の23、それからまたATMPが2つ目の規制です。
まず指令からでありますが、この指令は2004年に出ました。そしてこの指令によって細
胞組織の製品をヒトに使う場合に、例えばその提供、調達、テスト、処理、保存、保管、
流通に関しての規制があります。それから新しい組織がこの指令によってつくられました。
その組織をティッシュ・エスタブリッシュメントと呼んでいます。ティッシュ・エスタブ
リッシュメントという施設ですが、ここが医薬品の施設ではなくて、組織(tissue)の施設
として、あるシステムのもとで、やはりさっき申し上げたような人の組織や細胞を処理、
保存、保管、流通する活動を行っている施設になります。
それからまたいろいろ技術要件についてもこの指令で規制しております。特に、それぞ
れの加盟国のCAについても入っています。それからまたそれに加えて、監督とか、認定、
認証、そして査察と管理の措置、それからまたトレーサビリティです。特にヒトの組織と
細胞に関わるリスクのトレーサビリティ、そしてヨーロッパでありますので輸入、輸出、
その登録、それからまた重要なのがSAE、副作用の報告です。これらがこの指令で規制
されています。ヒトの組織細胞を使った場合に、SAEが出たり、副作用が出た場合には
報告義務があります。
つまり、この欧州指令が出たということで、27加盟国のそれぞれのCAの責任で必要な
枠組みを国内に設立することによって、認可、フォローアップ、モニター活動を行わなけ
ればなりません。
つまりこのスライドに、この指令の特徴を挙げておりますが、5つあると思います。こ
れらのヒトの施設、細胞がここで医薬品と見なされない条件としては、病院で使われる場
合、そして従来のアプリケーションで使われる場合、例えばそれについてはフランスの経
験のところで事例をご紹介したいと思います。これらについてはこの指令であります。
それに対してもう一つ規制があるわけでありますが、それはATMPの規制です。これ
はまた別になります。したがって、この規制についてここに挙げておりますが、2007年に
出た規制であります。そして2008年1月1日に施行されました。むしろ最近の施行された
規制でありますが、ここには3つの種類の製品があります。遺伝子治療、細胞治療、そし
てセル・エンジニアド、ティッシュ・エンジニアド・プロダクトです。それぞれの定義に
ついて述べることはいたしません。というのもクルーク先生のほうからこれらの定義につ
いて、後の発表でご説明なさるからです。むしろ主要なポイントだけを述べたいと思いま
す。
まず、この規制についてはそれらの3つの製品を医薬品として分類するということです。
その結果として完全な医薬品の規制がこれらの製品に当てはまることになります。これは
EMAが責任を持って、これらの規制の枠組みを施行しなければなりません。つまり、一
本化された中央申請を行うわけです。MAを行うわけです。そして、MAはセントラルラ
イズド・プロセスで行います。それからまた一本のサイエンティフィック・コミッティー
がこのATMPに対応します。これの科学委員会をCATと呼んでいます。
この図で説明しておりますのは、今申し上げた2つの規制です。例えばATMPがこの
真ん中にありますけれども、これらは医薬品の規制に適用することになります。そして右
側にありますのが、組織と細胞で医薬品と考えられないものです。しかし、この規制には
重複部分もあるということが分ります。すなわち2つの規制のそれぞれの部分をとってき
て、例えばヒトの組織とか細胞をテストしなければいけない場合もあります。そしてそれ
を使って医薬品を使う。つまりATMPをつくる場合には、その両方の規制が関わるわけ
です。
さて、ここにこの2つの違いをまとめてみました。先ほど申し上げましたように、ダイ
レクティブは左側でありますが、ダイレクティブ指令の場合には、細胞、組織については
医薬品とは考えないわけであります。それに対してATMPのほうは医薬品として見なさ
れます。それからまた認可をするところはどこかということですが、指令に当てはまる製
品についてはそれぞれの各国のナショナル・オーソライゼーションになります。そして、
ATMPの場合には中央申請をとります。そして医薬品の場合には、その医薬品の施設が
行うわけであり、そしてまた指令下の製品であれば、ティッシュ・エスタブリッシュメン
トと呼ばれるところが担当します。そして、1394の場合にはGMPであります。そして指
令に当てはまる場合には、cGMPが準拠しなければならない要件となります。また、指令
の場合にはそれぞれの国が関係書類を審査して決めるわけですが、Regulation、右側の場
合にはCTDのフォーマットで申請を出すことになります。それがそれぞれの申請資料に
なるわけですが、ATMPの場合に、ATMPはCTDと言いました。そしてまたそれぞ
れ国内に申請を出した場合には、国が決めるわけでありますので、フランスの場合にはア
ダプテッドCTDのフォーマットを使っています。
Vigilanceです。Vigilanceについては2つの製品によって違う言葉を使います。ヒトの
場合には、欧州指令の場合にはBiovigilanceという言葉を使います。しかし右側の場合に
は、Pharmacovigilanceで行います。したがって、それぞれの製品の2つの状態を
Vigilanceの言葉の違うによって表わしています。臨床試験とそれからまたGCPでありま
すが、ATMPの場合にはリスクベネフィットのプロフィール、それからまた適応症につ
いての申請が必要ですし、また欧州指令の場合にはそれぞれの国が決めます。これについ
ては私の同僚が後でご説明します。
ここに3つの製品の分類で重要な点が書いてあります。一番重要なもの。それからこの
3つの例についてはウエブサイトを見ていただければ発表されています。この3製品につ
いてはご承知のとおりでありまして、最初の製品がT2c001でありまして、自家骨髄由来の
単核細胞です。これを遠心分離にかけまして、急性心筋梗塞の左室に注入するということ
で、これはATMPと考えられます。Chondroselectについては最初にヨーロッパで認可さ
れた製品でありますけれども、これは自家軟骨細胞でそれを増殖させたものです。これも
やはりATMPとして医薬品に分類されております。
3番目の例です。これは凍結乾燥の血小板でありますが、血小板細胞については整形と
かそれからまた歯科に損傷治療のために用いられますが、これらの製品については医薬品
とは考えられていません。ATMPではありません。しがって、欧州指令、それぞれ国の
指令の解釈によって規制されることになります。
先ほどバウアー先生がおっしゃったようでありますが、最後は、そのプロセスという言
葉、それから最終製品とそのクレームでありますが、これは医薬品として考えられないも
のとして、考えられるものがあります。例えば、自家由来の細胞だからといって、医薬品
ではない、治験も必要ではない。あるいは臨床要件がつかないという唯一の基準にはなら
ないということも考えていかなければなりません。
それでは、次にこの2つの規制条件についてのフランスの経験、そして組織についてお
話したいと思います。フランスでの決定でありますが、この指令を受けて、AFSSAPSフラン
ス医薬品庁のほうがフランスのCAとなってます。そしてこの両方の規制をしています。
そして、FMAのほうがこの2つのタイプの製品に責任をもって、そのFMAのデパート
メントが担当をします。質問がありましたら、同僚が今回出席しておりますので、尋ねて
いただきたいと思います。
AFSSAPSの機能として、それから責任としては、この2つの規制とそれから欧州指令によ
って決められています。例えばティッシュ・エスタブリッシュメントになるか、それから
Pharmaceutical establishmentになるかということでありますが、これらの2つの施設の
認可や認証を行うのがAFSSAPSです。それからまた、製品としては組織かそれともATMP
かによって決めます。そしてPharmacovigilanceになるか、Biovigilanceになるかというこ
ともありますが、両方とも重複している部分があります。というのも同じ組織の同じデパ
ートメントがその両方の製品を担当しているからです。
例えばフランスの経験でご紹介しますと、もう既に認可された製品で、ヒト組織、ある
いは細胞とされたものは何であるかということでありますが、36の細胞、セル・エスタブ
リッシュメントと呼ばれる施設があります。50%が国の病院、またほかの50%が病院です。
この36のセル・エスタブリッシュメントと呼ばれる施設が現在、大体、造血幹細胞の製品
を開発しています。
次に、ティッシュプロセスの認可でありますが、大体、このティッシュ・エスタブリッ
シュメントについては41施設あります。細胞と同じように大体、病院であります。そのう
ちの10%が民間です。それらがティッシュ・エスタブリッシュメントとして認可されてい
ます。例えば、大腿骨頭であるとか、皮膚、角膜、羊膜、あるいは動脈、静脈や弁などが
あります。今まで210の申請書類が出されています。
さて、フランスではCAがまず一つでありまして、ヒトの組織と細胞については一つの
CAが担当しています。そして、患者さんの安全性にも責任を負っています。それからそ
のための政策もできておりまして、新しい申請、これらのヒトの組織や細胞で、新たな申
請が出た場合には臨床の情報も必要としています。つまり臨床試験も行いまして、そして
情報を得ることもしています。つまり新しい適応症、新しいアプリケーションの場合には
試験を行います。細胞治療の例をここに挙げました。例えば臨床試験が現在進行中の細胞
治療についてここにリストしています。同じことが組織治療にも当てはまります。
それからまたCAとしてATMPも担当しています。このスライドにまとめております
のが、このATMPに必要な活動です。ご承知のように、ATMPは欧州の中央申請にな
りまして、そこが担当するわけでありますが、ヨーロッパでは連邦のシステムもあります
ので、どの国でもそれぞれの中央申請に貢献しなければなりません。そこでフランスのメ
ディカルエージェンシーのほうがATMPの審査に対して貢献をするということになりま
す。臨床試験もそうです。例えばご承知だと思いますが、ヨーロッパでは、国のCAがこ
れらの治験の承認をします。したがって、ATMPでも臨床治験の認可にも関与している
ことになります。
さて、次にヨーロッパのアプローチについて、これらの新しい規制の下で、つまりAT
MPの規制での結果をご紹介したいと思います。医薬品としての範疇に入るATMPにつ
いてはヨーロッパとしてはどのようなアプローチをとっているかということです。つまり、
ティッシュ・エンジニアド、あるいはマニュピュレイテッド製品ということですが、これ
らについては医薬品と考えられておりますので、全ての医薬品に規制が当てはまります。
しかも中央申請でありますので、認可前や認可後のビジュランス等の責任もあります。こ
のスライドでありますけれども、主としてこれらについては医薬品の規制が当てはまると
いうことで十分と思います。
Hospital exemptionのスライドを準備しておりますので、この中央審査からの除外のも
のについては、後ほどご質問があればお受けしたいと思います。先端医療医薬品ATMP
については、一つ例外的な取り扱いを受ける可能性があります。一部の製品で、ある一つ
の病院だけで生産している場合。ある一つのエスタブリッシュメント、事業所だけで生産
している場合、そして患者の数が大変ごく少数である場合、そして処方を行っているのが
一つの病院だけである場合、その場合には、その病院は中央審査型方式の製品を扱ってい
るとは見なされません。ATMPではありますけれども、国内の管轄当局、規制当局の対
象となります。これは例外的な規定でありまして、国内のCAが見るということではあり
ますけれども、要件としては中央審査方式でのATMPと同じ要件がかかります。
プレゼンテーションの最後のところで、主な活動についてお話ししたいと思います。E
MAの新しいコミッティー、つまりCATについてです。これは幾つかの分野、複数分野
の人々からなっているコミッティーである先端医療委員会です。スライドにそのメンバー
の構成などが書かれておりますので、詳しくは割愛します。
そして、規制の活動には4つの主な活動があります。まず評価をするということ。申請
書類についての評価審査を行います。中央審査方式で、製造販売許可を行うものについて
です。現在は一つの軟骨細胞についての審査が1件行われているだけです。ほかの医薬品
と全く同じ手続でありますので、詳しくご説明する必要はないと思います。2つ目のCA
Tが扱っている活動でありますが、分類をするということです。ヒト組織・細胞、これは
エンジニアされていようといまいと、分類をするということです。これは依頼企業が要請
を行った場合には、CATが4つの質問に答える形で分類します。biological productな
のか、医薬品なのか、ATMPなのか。その場合には遺伝子治療なのか、細胞治療なのか、
それとも組織工学製品なのかという分類を行います。CATでその分類を行っています。
3つ目のCATの活動は、学術的な科学的な助言に貢献をするということです。ご存じ
のように、ヨーロッパでは医薬品を開発する企業とのやりとりがしばしばありまして、品
質面について、クオリティについて、あるいは前臨床の試験について、あるいは臨床試験
のプロトコルなどについての質問が数多く企業から寄せられますので、CATのほうから
科学的な助言を企業に対して行います。そのウエブページがスライドに示されております。
どういった手続であるのかということを示しているウエブサイトで、科学的な助言につい
てのプロセスを示しています。
またCATでは、criteriaを詳しく、そしてガイドラインを詳しく規定するということ
を行っています。バウアー先生がおっしゃったことはもう繰り返しませんけれども、FD
Aとヨーロッパのアプローチ等で収斂しているということが言えると思います。同じよう
な課題に直面しているからです。そして、こういった製品については安全性、品質、リス
ク、不純物、有効性といったことから同じようなアプローチをとっていると言えると思い
ます。組織由来製品、あるいは細胞由来製品は様々な課題が当然ながらあります。したが
って、大変慎重でなければなりません。
こういった課題がありますので、FDAと同じように、ヨーロッパでもrisk-based
approachをとるということを決定しています。このような再生医療製品については、リス
クファクターをきちんと検討するということです。そして一部のガイドラインの策定をし、
公表されているものもあります。スライドでガイドライン、ガイダンスなどのリストを挙
げておりますし、ウエブサイトでもこれら規制上の文章、テクニカル文章について掲載さ
れております。これらのガイダンス、ガイドラインなどで課題について取り上げています。
細胞治療、遺伝子治療、そして組織工学製品の課題について取り上げています。
CATの活動について、最後のものですけれども、サーティフィケーション、認定とい
うことを行っています。これは詳しくお話ししません。スポンサー企業としては、EMA
に対してクオリティデータ、それから前臨床データの申請、提出を行います。ATMPの
開発中にそのような情報を提供します。EMA、それからCATはそれに対して認識した
ということを示します。つまりスポンサー企業の開発手法が適切なものであって、クオリ
ティ、安全性、それから有効性などのcriteriaに見合ったものであると。そして製造・販
売・承認で必要とされるcriteriaに見合ったものであるということを示すサーティフィケ
ーションの手続であります。このサーティフィケーションについても、どのような手続で
あるのか、ウエブサイトで示されています。
組織、細胞、これはエンジニアされていようといまいと、2つの規制上の取り扱いの可
能性があります。医薬品として扱うか否かという2通りです。これはAMTPの場合には
医薬品と分類されています。その場合には中央審査方式で審査をするということになりま
す。組織・細胞製品で、医薬品と見なされないものについては、指令があります。ヒト組
織細胞指令が適用されます。そして、その審査、モニタリング、フォローアップについて
は全く医薬品と同じアプローチをとって行います。というのも、EU域内で、ヒト組織・
細胞について医薬品でないと言っても、患者さんに対して価値ある安全な製品が提供され
るように提供されるように確保しなければならないからです。
ご清聴ありがとうございました。
○永井座長
どうもありがとうございました。それではただいまのご発言に質問をお願いします。
○大和委員
大変分かりやすい説明ありがとうございます。CATについて教えてほしいんですけれ
ども、多くのメンバーが参加しているので、例えば意見が割れることがあるのではないか
というふうに考えるんですけれども、CATの構成メンバーの中で意見が割れたときに、
どのように調整をするのか。そのCATとしての結論をどのように導くのか。これは会議
を開いてやっているのか。メールとかでやっているのか。どれくらい時間をかけて結論ま
で導くのかについて教えてほしいんですけれども。
○Dr.Jean Hugues Trouvin
ご質問いただきましてありがとうございます。おっしゃるとおりでありまして、かなり
意見が分かれるところであります。つまり新規製品であるので、意見の分かれるのはもち
ろん当然でありまして、意見も違うわけです。特に規制の人か、それからサイエンスの人
か、それともリサーチの人かによってもそれぞれの視点は違いますので、したがってCA
Tの中ではかなり意見が分かれるところです。
そこで非常に厳しい枠組みをつくっています。先生がおっしゃったようにメールのやり
とりもします。CATの間でメールもやりとりしますし、フェイス・トゥ・フェイスの間
にいろいろな意見調整もします。このようにやった結果としてコンセンサスがとれない場
合もあります。その場合には投票をとります。投票をとって、最終的に過半数を占めた意
見を結論とするということになります。意見が分かれたときにはそれしかありません。
○永井座長
ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○小澤委員
よく聞かれる質問だと思うんですが、いわゆる2012年問題について教えていただきたい
と思います。私の理解では今、市場にある再生医療製品は2012年までに中央審査、EMA、
ATMPとして中央審査を通らなくてはいけないと。実際には2012年まであとわずかでご
ざいますので、何か例外的措置だとか、抜け道だとかそんなものがあるのか、教えてくだ
さい。
○Dr.Jean Hugues Trouvin
私は欧州委員会の人間ではありませんので、立法上の措置についてはお答えすることが
できないのですけれども、私の解釈では条件的な期間を設けるということは考えていない
ようです。ですから2011年の終わり、つまり2012年が到来しますと、現在、国内のドケッ
トに入っている、国内で申請されている、しかしATMPと見なされているものについて
は、そのまま国内マーケットにとどまらなければならないということになります。製造、
販売、承認を中央審査システムで得るまでは、国内マーケットにとどまるということにな
ります。
先ほど申し上げましたHospital exemptionという中央審査方式の除外規定を使って、こ
の問題を解決するのではないかと思います。現在、申請書類を作成中のもので、そして販
売承認申請を中央審査方式で行っていないものについてはです。移行期間が規制で設けら
れていますけれども、これは基本的に対象としている製品は中央審査方式にかけることが
できる準備がほとんど整っている製品、しかしながら開発中のものであります。現在開発
中のものについては、国内レベルのみということになります。ヨーロッパ全域市場をアク
セスするタイミングは、より遅いタイミングになり、中央審査方式の準備が整ってからと
いうことになります。
○永井座長
よろしいですか。どうぞ。
○阿曽沼委員
大変詳しく、しかも分りやすくご説明いただきましてありがとうございました。一つだ
け、ご質問がございます。自家細胞の医療において、医薬品と見なすときと医薬品とは見
なさないときがある、そのようなご説明をいただき、そう理解いたしましたが、その基準
を決めるプロセスでの議論や、それは誰がどう基準を決めていったのかについて、ご説明
いただきたいと思います。
有効性と安全性を担保する上できちんと規制していくことは非常に重要なことで、私も
それは是非すべきであると思いますが、自分の細胞を用いる自家細胞医療と、複合化合物
を、不特定多数の人に投与する医薬品とは規制の在り方、もしくは考え方が全く一緒でい
いのかどうか等に関して、どんな議論があったのか、ご説明いただければと思います。
○Dr.Jean Hugues Trouvin
まず最初の質問についてでありますけれども、私の理解する限りでお答えしますと、自
家細胞でありますと、両方とも入るわけです。つまり、ヒトの組織細胞と考えられる場合
には指令が当てはまります。そして、この指令によりますと、市場というのが限られてき
ます。つまり国内のCAが認可の責任をもちます。認可した当局の認めた市場だけです。
例えばコンドロセレクトが一つの製品でありますが、ここでは会社が開発したプロセスを
もってして、医薬品を自家細胞からつくることができる。そしてその製品は医薬品として
全ての欧州全域の市場に出せる。そしてその場合には中央審査方式をとるということにな
りますので、したがって、この自家細胞移植で、ATMPなのか、それともヒトの細胞な
のか、それとも組織なのかということは、どの市場を志向するかによって決まるわけです。
つまり国内市場でいい。それからまた一つの病院だけで使うということであれば、中央
審査は必要としません。つまり、国のレベルでの要件に適用すればそれで十分だというこ
とになります。こういう基準でそれぞれのこれらの製品を開発するメーカーのほうが決め
ることになります。つまりフランスだけでいい。あるいはイタリアには売る気はないとい
うことであれば、指令に従ったやり方で、セル・エスタブリッシュメントでやればいいわ
けです。ところが、イタリアにもドイツにもフランスにも27カ国で売りたいという場合に
は、一番いいのは一つのステータス、つまり医薬品としての規制に当てはまる。そして27
カ国で売るということになります。
それから2番目の自家細胞のプレパレーションと、それからどのようなクライアントを
指向するかということですが、まず、自家細胞のプレパレーションのリスクは別にレシピ
アントに対するリスクだけではありません。つまり、同種ではないので、自家移植である
といいんですけれども、例えばコンドロセレクトも自家細胞だったんですが、既にバウア
ー先生がおっしゃたようにリスクがあるわけです。それはコンタミのリスク、それからま
た細胞のプレパレーションのデグラデーションのリスクです。いろいろあるわけです。そ
れから有効性が欠けるというようなリスクもあります。また、患者さんが同じ細胞をレシ
ピアントとして受けて、それから自分のところからとってまた戻したとしますと、患者さ
んの安全性と有効性を確保しなければなりません。
そうすると品質が大切になります。有効性もなくてはいけない。そして品質も十分でな
ければいけない。ということになりますと規制も必要になるということになります。医薬
品かどうかということについては、また別の問題です。しかし、あくまでも患者さんの安
全性、また患者さんに対しての有効性を考えて、それが価値があるということであれば、
自家細胞であったとしてもきちんと資格をとったようなプレパレーションでなければいけ
ないという考え方が当てはまります。
○永井座長
ありがとうございます。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしましたらちょっと時間が遅れていますので、どうもありがとうございました。
次へ進ませていただきます。次のご発表はDr.Bettina Klug先生です。よろしくお願いい
たします。
○Dr.Bettina Klug
ありがとうございます。私も本日お招きを受けまして光栄であります。
ドイツの観点から、細胞ベースの医薬品について申し上げます。もちろん全ヨーロッパ
での規制ということで、先ほどの発表と重複する場合もあるんですけれども、私の発表の
中にはほかの視点からについてのお話もしたいと思います。
90年代の中ごろに、ヨーロッパ全体の中央審査方式ができました。イノベイティブな新
薬をEU全体で迅速に承認するプロセスとしてできました。これはバイオテクノロジー製
品に必須の条件になっていました。一つの評価、一つの承認、一つの添付文書で27カ国に
出せるということで、添付文書についても一つ出すことによって22カ国の言語に翻訳され
るという中央審査方式が確立されました。
さて、この中央審査方式ですが、現在はバイオテクノロジー製品については必須になっ
ています。1995年からそうです。例えばコントロールされた遺伝子発現の製品、r-DN
AやMAB、それから遺伝子治療、そして体性細胞治療に使われる製品です。ただ、ティ
ッシュ・エンジニアド・プロダクトについてはこれは必須とはなっていません。また、現
在は新活性物質も必須です。例えばある疾病に使う、例えば抗ウイルスとか免疫製剤、心
血管系とか代謝疾患に使われるものについても必須になっています。
またOrphanも現在必須になっておりまして、中央審査方式をとらなければなりません。
例えばこのドアーについては幾つかあるわけで、製品によって、また適応症によって、そ
れから法律の条件によってどのドアーをたたくかどうかを決めるわけです。
2007年に、ATMPについてレギュレーションができました。遺伝子治療、細胞治療、
それからティッシュ・エンジニアド・プロダクトが対象となっています。そして、これら
がティッシュ・エンジニアド・プロダクトにも当てはまります。この規制については有名
なアネックス1の修整があります。つまり、MAに関しての修整です。特別なティッシュ
・エンジニアド・プロダクトについての要件が付きました。これらの製品についてはその
要件を遵守しなければいけません。それからまたトレーサビリティもあります。これもか
なり大変です。
それから長期のフォローアップで全ての患者に対しての有効性、安全性のフォローアッ
プをしなければなりません。これは上市後もそうですし、それからまた製品が投与された
全ての患者さんについての長期のフォローアップの試験を行わなければなりません。それ
からまた数社ではありますけれども、SME、それからベンチャーのような会社でありま
すと、料金も割引しますし、それから品質、非臨床のデータの認証も行います。ATMP
の科学的な分類や勧告も行います。そして、これらの品質とか、非臨床のデータによる認
証でインセンティブをかけています。つまり、SMEが臨床研究を行いたいと考えても、
やはり処理が大変になってきますので、したがってアネックス1の要件で、MAの要件を
とりまして、彼らにチャンスを与えて、これらの製品をベンチャーであったとしても開発
できるような状態のインセンティブにしています。
またCATも設立されました。それからいろいろな委員会ができました。それから移行
期間として遺伝子治療と細胞治療については2011年12月30日まで、TEPについては2012
年12月までが移行期間となっています。
TEPについてでありますが、これらの製品はこの規制、1394で規制しております。つ
まりこれらはエンジニアリングされた細胞や組織、あるいはヒト組織の再生修復、代替に
使われるものです。つまりヒトや動物由来の細胞や組織を含有し、そしてそれらは生存し
ている場合もあり、非生存の場合もある。そして、これらの製品は細胞製品であるとか、
それからバイオマテリアルとかスキャフォールドとかマトリックス剤のような追加物質を
含んでいる場合もあります。
こちらのほうでは、ティッシュ・エンジニアドという言葉でありますけれども、以下の
条件の少なくとも一つを満たす場合にそれらがエンジニアドとなります。事実的な操作の
対象となり、それによって意図された再生修復代用に重要となるような生物特性とか生理
機能が達成された場合です。
それから他の製品として、例えば製品の活性、医薬機能作用がトリガーニングされる。
例えば、エンタージーンとか、自家細胞、これらはエンジニアド・プロダクトとなります。
例えば次のスライドにあるように、殺菌とか照射とかそういったマニュピレーションが行
われる場合には、これらはエンジニアド・プロダクトにはなりません。それから同じ意図
に使われるようなもの、例えば骨髄細胞などが心筋梗塞に使われますけれども、これらが
例として挙げられます。これは皆さんのお手元の資料でいろいろなマニュピレーションの
実質的な操作と見なされないマニュピレーションの例として挙げています。
それからまたアネックス1のところでは、ATMPについての文言もあります。その中
には例えば先ほどの発表にありましたように、体性細胞医療医薬品の定義が挙げられてお
ります。つまり自家・同種・異種細胞をヒトに使用するものを、この体性細胞の医療医薬
品としておりますが、要件についてはアネックス1の規制と全く同じものが当てはまりま
す。また、特にここで強調したいのは自家細胞として、例えば腫瘍ワクチンのような適応
免疫の治療に使われるようなものについてでありますが、これらも患者からとった場合に
はATMPとして見なされる。これらは定義によって決められています。
それから、またこれについては既に話がありました。規制の枠組みで細胞と組織はどの
ような枠組みになっているかということですが、これはダイレクティブで決められていま
す。ヒト組織や細胞のATMPとして考えられるものと、それからまたヒューマン・ティ
ッシュ・アンド・セルの場合には、国で規制される血液や血液製剤、それから羊膜である
とか、それから角膜であるとかいろいろとあるわけでありますが、先ほど発表にあったと
おりです。
また技術的なダイレクティブもこの上位にあるダイレクティブに協調してつくられてい
ます。ここで示しておりますスライドでは、コンセプトペーパーとリフレクションペーパ
ーが出たということを情報として提供するためにつくりました。つまりリスクベースアプ
ローチのガイドラインをコンセプトペーパーとしてつくっています。そしてこのATMP
のリスクベースアプローチのガイドライン、そして生体医療の医薬品に適用したコンセプ
トペーパーです。そしてコンサルテーションフェーズにこれが来年通るわけですが、EM
EAのウエブサイトを見ていただきますと、いろいろなコメントが載っていますので、見
ていただきたいと思います。こういうコンサルテーションについても来年に始まることが
期待されています。
また、幹細胞ベースの医薬品のリフレクションペーパーもウエブサイトに既に出ていま
す。これも来月末まではコメントをお願いしておりますので、ぜひペーパーを見ていただ
いて、皆さんのコメントをEMEAに送ってください。
プレゼンテーションの最後の部分で、ATMPのGCP要件について取り上げます。ほ
かの医薬品と同じようにGCPの指令が2004年に施行されて、国内法制化されています。
この指令で初めてドイツでのエバリュエーション・プロシージャーがつくられましたし、
トライアルのプロトコル、それからクオリティ、前臨床の要件などが定められました。そ
して、2004年に改正され、全ての申請については、国外EU域外の国で臨床開発が行われ
ているものについても、同じスタンダード、GCP指令で必要とされている同じスタンダ
ードを満たすということにしています。2005年により技術的な指令が施行されました。
CAIRBに関わるもので、欧州委員会はこれを大変重視しています。つまり被験者の
権利、安全性、そして福祉を最重視しなければならない。科学、社会の利害よりも優先し
なければならないとしています。ですから、この指令の目的は、患者さん、被験者の尊厳
を尊重するということであります。患者の権利は重要であります。それからデータの報告、
これは信頼性のある正確なデータでなければいけないということです。そして、そのスタ
ンダードにのっとって、適切なプロトコルにのっとって臨床試験を行わなければいけない。
そしてデータを収集し、また臨床データを報告するということが定められています。一定
の基準を満たなければいけない。科学的な基準を満たしたものでなければいけないという
ことであります。臨床試験の基準を満たすということです。
そして、こういった臨床試験の申請について時折見られるのは、学会であったとしても、
臨床研究をこのような高い基準で行う。そして信頼性のあるデータを収集することがよく
見られています。長年、臨床研究を行っていたようなユニットが、最近、六、七年くらい
前からGCPについて当局にコンタクトをとってくるようになりました。このスタンダー
ドにのっとって臨床研究を行っているという動きが広がっています。
2004年以降は、臨床試験の承認は、ドイツではほかのEUの諸国と同じでありますけれ
ども、合理化された手続で得ることになっています。細胞治療、遺伝子治療については90
日間の手続となっています。そのプリプロシージャー、事前手続として10日間ありまして、
ここで公式審査を行います。書類などが整っているかどうか。手続に不備がないかどうか。
例えばGMPの証明書、プロトコル、それから治験概要書などがそろっているかどうか。
もし文書に不備がある場合には、14日以内、2週間以内にスポンサー企業は補わなければ
なりません。
そして申請後、当局側の審査手続が始まります。そして照会事項を投げかけ、それに対
してスポンサー企業が90日以内に回答することになっています。第2ラウンドの照会事項
というものはありません。この90日間たちますと、スポンサー企業のほぼ100%が不備につ
いて補います。90日よりも早い段階で準備を完了する企業も、数は少ないのですがありま
す。そして、臨床試験を承認するか、あるいは重大な不備があるために臨床試験の申請を
拒絶するかという決断を行うことになります。評価、エバリュエーションについてはタイ
ムリミットはありません。しかし、将来的には設けられるかもしれません。
臨床試験の文章について、マニファクチャリング・プロセスの記述もしなければなりま
せん。GMP証明書と国際的に呼ばれているものも必要となります。そして不純物などの
評価、プロセス、プロダクト関連の不純物のスペシフィケーションの検討、そして、不経
済の検討、またアドベンティシャス・エージェントの検討を行います。
細胞といいますと大体、メディアを含むクローンのものが多く使われています。それ以
外の成長因子なども入っている場合がありますので、外来的にエージェントがもたらされ
るという可能性があります。また、スターティングマテリアルについてもフォーカスして
います。そして製造工程についてもフォーカスしています。前臨床のデータとしては、プ
ルーフ・オブ・コンセプト、これが適切な動物モデルでPOCを行っているかどうか。検
証を行っているか、それから安全性、毒性データを求めます。あるいはGLP同様の条件
での安全性、毒性のデータであります。
そして、科学的に正当化できる根拠があって、しかるべき動物モデルを使っていて、G
LP条件を満たしているかということを確認します。POCとしては、普通は一つのモデ
ル、それから若干の安全性スタディを行いますので、これらを組み合わせて提出をすると
いうことがあります。ラージアニマルモデルを使う。例えばブタのモデルなどを使う企業
も多くあります。あるいは小動物、マウス、ミニブタなどを使っている場合もあります。
これは製品の特性によって違います。スタンダードなアニマルモデルというものはない状
態です。最近までVHPというクリニカルトライアルの手続がありました。全ての手続、
今年初めからから変わっております。ATMPについては試行期間ということで、1年間
の試行期間があります。
そして臨床試験が3カ国、4カ国で行われる場合、そしてプロトコルを修整する場合、
このVoluntary Harmonisation Procedure、VHPで扱うことができます。メリットとして
は単一の申請、単一の評価、そして単一の照会事項ということになります。ですから各国
ごとに違った照会事項ですとか、違ったプロトコルの要件を課されるということがないメ
リットがあります。ヨーロッパで幾つかの国にまたがっても単一でできるということにな
ります。この手続を終えてから、国内の承認を10日以内に求めるということになります。
そして、これは特に中小企業にとってメリットがあります。より迅速な手続だからです。
20カ国ぐらいの国の中でそれぞれの手続を経るよりも、10カ国、15カ国でのかなりコスト
がかかる手続を経るよりも、簡素化された手続となっているからです。それから資格要件、
エリジビリティ・クライテリアでありますけれども、これについてはこれまで前向きな反
応が返ってきています。
インセンティブについても話をせずに終えるわけにはいきません。例えば国内のCAか
らのインセンティブなどがあります。今は、ブリーフィングミーティングを行っています
し、リスクポテンシャルなどについて、申請企業に対してのブリーフィングミーティング
を行っています。例えば遺伝子治療のワーキングパーティ、あるいは細胞治療のワーキン
グパーティなどによるブリーフィングミーティングを行っています。これは対面式の相談
でありまして、コミッティーが企業と対面式で相談を行う。場合によっては電話会議など
が行われます。企業が開発の早い段階でこの相談を受けることができるようになっており
ます。開発初期の段階から要件について知ることができるようにするためです。
科学的な助言、それからプロトコルの支援ということも行っています。プロトコル・ア
シスタンスという言葉を使っていますけれども、前臨床、臨床クオリティなどについて、
それからPharmacovigilance、リスクマネジメントプランなどについてのプロトコル上の支
援を行っています。また薬事に関する助言を行っていますし、サーティフィケーションの
手続が必要となっている場合にはその支援を行っています。特に中小企業向けには中小企
業を専門とするオフィスがあります。そこから中小企業に対する支援を行っています。ア
ドレスをお示ししておりますので、EMAのウエブサイトをご覧いただきますと詳細が掲
載されております。
大変最近のことでありますが、PEIがイノベーションオフィスを設立しています。この組
織の目的としましては助言を提供するということで、細胞治療などで先端医療製品を扱っ
ているもの、そして学会出身のベンチャー企業、あるいは小企業などに対して臨床試験を
行うというような場合に、非公式なミーティングという形で支援を行っています。開発早
期の段階からどのような要件があるのか、プロセスはどうなっているのかということを情
報提供するためのものです。また、規制上のアドバイスも行っています。ATMPの場合
には中央審査方式となりますし、細胞治療の場合には国内の審査を経るものもありますが、
それらについての準備の仕方、そして中小企業としてのEMAへの申請の方法などを支援
する、会社にとってはファーストコンタクトポイントとなっています。
それからHospital exemptionについては、要件を今整えている段階です。今後数日内に
ウエブサイト上に、申請書類の要件、それから資格要件などが示されることになっていま
す。そしてさらに内容が充実していきまして、英語版も準備されることになると思います。
何かご質問がございましたら、イノベーションオフィスにコンタクトいただければ、喜ん
でご回答申し上げると思います。
ただ、内容が固まるまで数週間残っていますので、まだ時期尚早なのですけれども、こ
の点について詳細を知りたいという方はイノベーションオフィスにコンタクトしてくださ
い。
ご清聴ありがとうございました。
○永井座長
どうもありがとうございました。いかがでしょうか。何かご質問ございますでしょうか。
○鈴木委員
どうもご説明ありがとうございました。最後のご説明に少し関係するかもしれないんで
すけれども、ヨーロッパの場合は、EMAとそれから国内というか、ポールエールリッヒ
の両方でイノベーションのアドバイスを受けることができるということですけれども、そ
のアドバイスを受ける側からしたらどっちに相談を持っていくかというのを、どういうふ
うに選んでいるというふうにお考えでしょうか。つまり、どういう質問内容だったら、ど
っちへ持っていったほうがいいとか、あるいは場合によってはコンフューズするとかとい
うことがあり得るのでしょうか。ちょっとその辺のところを教えてください。
○Dr.Bettina Klug
我々はEMAの要件と同じでありまして、業界のそれぞれのコンタクトポイントを窓口
としています。そして中小の場合には、やはり国際的ではないということもありまして、
言語の問題があるとか、その場合には最初の窓口としてPEIを使うことになります。そ
れから薬事部のないような会社もあると思います。そういうところも我々のところ、それ
からリソースが足りない。そして大きなところとは違うというようなところでありますと、
最初の窓口として我々は機能しています。そうすれば、彼らはヨーロッパ全体の制度につ
いてよく分かるからです。つまり、業界のためにつくられていると考えていいと思います。
○永井座長
ほかに。どうぞ。
○森尾委員
ベンチャーカンパニーとか中小企業に対するコンサルテーションシステムがすごく進ん
でいるなというふうに感じました。企業に行く前の段階なのですが、例えば大学だとか、
研究所とか病院が何かこういう細胞治療製剤をつくって、それを製品化しようというとき
に、多くはベンチャー企業をつくられて、それから製品化というふうにいくのか。そこら
辺に対する何かサポートシステムがあるのかということをお伺いしたいと思います。
特にEUはいろいろな国があって、恐らくそれがやりやすいところと、非常に難しいと
ころがあるのではないかと思うのですけれども、そこら辺のシステムについて。
○Dr.Bettina Klug
イノベーションオフィスで中小企業のサポートをしていますが、それだけはなく、大学
病院などのサポートもしています。顧客の大半は、つまり助言を提供している顧客という
のは大学の研究グループで、スピンオフをして企業を設立する前の段階です。したがって、
法律上の立場としては会社ではないけれども、SMEと呼んでいます、中小企業と呼んで
います。SMEと言いながらも、大学、それから病院などにもオープンです。
○永井座長
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、大体時間になりましたので、どうもありがとうございました。
それではここでまた、これらのご意見を参考にしまして、さらに審議を進めていきたい
と思いますが、ちょっと時間の都合がありまして、残ったもう一つの案件についてご意見
をいただきたいと思います。それは確認申請の件でございますけれども、これをどういう
ふうに考えるのか、論点について事務局より説明をお願いいただけますでしょうか。
○宇津企画官
それでは確認申請についてでございますけれども、これは前回の検討会で、本日は参考
資料の6として、「確認申請と治験届」という資料を用いてご説明させていただきました。
繰り返しになりますが、簡単に申し上げますと、確認申請というのは、細胞・組織を利用
した製品について、品質・安全性について治験の前に確認をするという行為であります。
これらの製品も含めて、全ての医薬品、医療機器については治験届のときに、品質・安全
性、プロトコル等について、試験の際に被験者に対して保健衛生上の危害が出ないように
ということで、30日間の調査を行っているということであります。
これまで2回の検討会においては、確認申請についてご意見もいただいておりまして、
その中では確認申請について日本独自の制度であるということ、それから時間がかかりす
ぎて、その後の開発に内容が生かされていないという問題が指摘されております。また、
前回は、確認申請の中で、確認する項目については細胞・組織等の特性に合わせて柔軟に
取り扱うべきという点、それからヒト幹細胞臨床研究指針において確認されたものについ
ては、改めて確認申請をする必要はないのではないかというご意見をいただいております。
このほか、確認申請について、今後の在り方の検討について参考とさせていただきたい
ので、ご意見があればいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○永井座長
よろしいでしょうか。参考資料の6をご覧になりながら、ご意見をいただければと思い
ますが。
事務局の提案としては、これをもう少し簡略化してもよろしいんではないかということ
でしょうか。
○宇津企画官
いろいろなご意見があるのではないかというふうに考えております。確認申請といいま
すのは、目的としてはやはり最終的には治験に入る際に、被験者の方の保健衛生上の危害
が発生するのを防止をするということであります。ですので、目的としては治験届の30日
の調査と同じであります。ただ内容として、やはり細胞・組織というのは通常の一般的な
化学薬品とは異なって、ウイルスの問題とかそういう点の確認がさらに必要だということ
で、このような制度ができたということであります。
したがって、このような内容について当然ながら確認は必要だけれども、こういう制度
でやるのか。それともいろいろな事前相談とか、そういうものが可能であれば、前倒しを
することによって、この制度の代わりをしていくことができるのではないか。そうなれば、
こういう制度を持っておくべきなのか。それとも別の制度に変えておくべきなのか。いろ
いろなご意見があると思います。そういう点についてご意見をいただければと思います。
○永井座長
いかがでしょうか。前川委員。
○前川委員
この確認申請というのは、先ほどバウアー先生が言われた13枚目のスライドのなかで、
いわゆるPre-INDに相当するもので、事前相談がPre-pre INDに相当するものかと思います。
INDの場合は30日以内で審査を終了するが、Pre-INDの場合はそのような時間制限がないと
言っておられました。わが国の場合も、この「確認申請」にかなり時間がかかるというと
ころが問題であろうかと思います。
したがって、かなり早い段階からもっと気楽に相談ができるようなシステム、もうちょ
っと簡略化されたりして、将来的には最初のほうからPMDAないし、そういうところに相談
に行けるようなシステムにしていただきたいと思います。将来的には確認申請はだんだん
なくなっていくのかなとは思いますが、そのあたりに関して当局のほうのご意見をお伺い
したいと思います。
○永井座長
どうぞ。
○宇津企画官
内容として、今、確認申請の中で確認している内容というのは、先ほどの繰り返しにな
りますけれども、ウイルス等の混入とかそういうことで、被験者に被害が出ないようにと
いうことでございますので、こういうことが治験の直前の確認でやらなきゃいけないのか。
それを前倒しをして、治験相談でありますとか、その他の相談ということで置き換えるこ
とができるのであれば、安全性を確保するという目的にはかなうものというふうに考えて
おります。
○永井座長
はい、どうぞ。
○大和委員
確認申請をやるかどうかということよりも、どうやってやるのか。もしくは確認申請を
なくしたときに、事前相談のところでどうやってやるのかということのほうがやはり大事
だと考えます。PMDAの方々、非常に一生懸命お仕事されていることはよく理解してい
るつもりですけれども、やはり再生医療の場合、ごくありふれた、例えば高血圧であると
か、高コレステロール血症のお薬をつくっているのとはわけが違っていて、ほとんどのケ
ースで難病であるとか、ほかに治療法がないような、臓器移植しかないようなそういう疾
患になっていて、いわゆる希少疾患になっていて、病気の名前さえも初めて聞くようなそ
ういうものがターゲットになっているところで、病気のことを一から勉強されて、さらに
治療に使う細胞のことも勉強されて、その工程等々に関しても勉強されて、PMDAの方
々が判断しているというのが現状だと思うんですけれども、より迅速というか、より円滑
に進めるという観点に立つと、早い時点で専門家の先生方、もちろん利害関係があるとま
ずいので、そういう人はもちろんエクスクルードして構わないと思いますけれども、やは
り専門性の高い対象疾患のことがよく分かる先生、眼科なら眼科、心臓なら心臓。それか
ら細胞生物学等々に関しても、かなりヒューマンな細胞ですね。ほかのマウスの細胞を扱
っていても参考にならないと思いますけれども、ヒューマンの細胞がどういう細胞である
のかに関してご見識をお持ちの先生方に、PMDAの方々がご相談されるような機会をな
るべく早期に設けて、その回数を増やすことが、結果的には迅速な円滑な治験がスタート
できるんじゃないかというふうに考えております。
○宇津企画官
どうもありがとうございます。大和先生のご意見として、仮に事前相談というもので、
早期から今確認申請でやっているような内容についてのチェックするに当っても、早期に、
かつその分野の専門家の先生方とPMDAが相談をしながら対応していくということが必
要ということだと思います。どうもありがとうございました。
○澤委員
今の大和先生の意見と全く一緒で、この件については再生医療学会とかでも議論されて
いるんですけれども、やはり専門性の高いアドバイザーの意見をもっと取り入れていただ
いて、この辺り、学会の協力体制も可能かとは思いますし、そういう意味で今、時間がタ
イムロスとまでは言いませんけれども、かかってしまっている部分はかなり短縮されるの
ではないか。
多分この確認申請が最初に考えられた当初は、やはり通常のこういうふうな申請よりも
難しい部分を早目にやっておこうと、特殊性ということを考えられたのかもしれませんけ
れども、かなり時代も進んでいますし、むしろ確認申請を行ったことで、効果ってどのぐ
らいあったのかということですね。ですから、逆にそういう観点から考えると、事前相談
を充実させて、もうこれはなくしていって、本申請でそれは十分オーバーラップしている
部分は不要なんでしょうから、本申請に迅速に至るような過程に持っていっていただけれ
ばと。全く大和先生の意見と一緒なんですけれども。
○永井座長
ほかにいかがでしょうか。
○小澤委員
非常にありがたいです。企業側だけではなくて、アカデミアの先生たちも同じような関
心をお持ちということでうれしく思っています。
まず、私が言いたいのは、確認申請の議論だけでは全く不十分であるということを主張
申し上げたいです。理由としましては、確認申請と治験はまた別の話なので、やり直しに
なります。治験届ね。そこで私が産業界の立場として言いたいのは、結局、確認申請が通
っても、次に行けない企業がばたばた出始めているという、皆さんご存じのとおりであり
ます。企業側で治験に行ってる会社ってどこまであるか。ないですよね。この状況という
のは全く駄目で、確認申請の議論だけをしていたらいけません。その承認を目指したとこ
ろのそのツールとして、今、大和先生、澤先生がおっしゃったような、早い時期から専門
家を交えていただくというのは非常に意味のあることであると思っています。
もう一つの理由は、企業側からしますと、やはりその審査が分からないことが多すぎる。
オープンではないというところがあります。そういったところでは、初めから白黒はっき
りしてほしいなというのがあって、後でいろいろな専門家の先生が言っているということ
ではなくて、早目に本当に専門家の先生に初めから入ってもらって、導いていただきたい
なということで、確認申請の議論だけでは不十分ということをまず申し上げたいです。
それと後でできれば、今日の配られた資料1とか2ですね。1、ちょっとまとめ方に何
か意図的なものが感じるので、後で議論をさせていただきたいなと思います。
○永井座長
確認申請についての他にございますか。
○毛利委員
すみません。私も産業界といいますか、メーカーの立場から申し上げますと、確認申請
で、実は3年弱ぐらいかかりまして、現在治験をやったということから言いますと、今、
小澤さんが言われたように、多分制度的にまだまだ未熟といいますか、不十分だったせい
もあるのかなと思いますけれども、やはりまず専門的な協議が足りなかったという点と、
それからメーカー側もやはりそういう先端の今の時代のあれから言いますと、やはりまだ
まだ十分ではなかった。要するにまた未熟な、失礼ですけれども、いろいろな意味では足
りないところで議論をしてきたという面があると思います。したがって、専門家の先生方
も早期から参加していただいて、アドバイスをいただければ非常にありがたいと。これは
もう私どもも全くそのとおりであります。
あと、私どもちょっと考えましたのは、実際にやっている間で、やはり動物実験等いろ
いろなデータについてもご指摘いただいて、なるほどなというところもありました。だか
ら、それなりに私はメリットはあったんじゃないかと思います。
しかしながら、今、小澤さんが言われましたように、確認申請とその後のあれがリンク
していないというような傾向があるというのが問題かなと。前々回でもちょっと申し上げ
ましたけれども、せっかくそこでいろいろ議論してきた安全性も含めていろいろなポイン
トについて、これが申請に向けて、治験を通して議論していただけるような形に持ってい
っていただけないかなと。何と言っても、この再生医療を目指しているような、非常に重
症で、かつ患者さんが非常に少ない疾患に対してのアプローチにつきましては、やはりか
なり特別に考えていただく必要があるかなと。そうしませんと比較試験とか、いわゆる従
来の教科書どおりの話でやっていますと、なかなかハードルを越えられない。というとこ
ろで、今申しました確認申請もせっかくありましたら、これを今言った議論の積み重ねの
上に持っていくというのが必要だなと。したがいまして、確認申請で議論したことは申請
にも生かしていただければというふうに思うんです。
これについては、早期からやはり専門家の先生方と十分な協議をさせていただければと
いうことと、多分リンクしていることかなというふうに思っております。
以上でございます。
○永井座長
その辺が結びついていないというのは、担当部署が違うということなんですか。議論が
必ずしも伝達されていない。
○毛利委員
すみません。そこはちょっと私も分からないんですけれども、いわゆる申請に向けて何
が必要かということの議論が、確認申請の段階ではまず人に投与していいかどうかという
ことが議論されますので、まだそこまでは及んでいないですね。それはそれでやむを得な
いんですけれども、それは申請といいますか、承認を目指してやるときに、何が必要かと
いうときに、今言ったようなことを積み重ねるのに、確認申請もそのワンステップですよ
というのが生かされていないような気がいたします。
先ほど申しましたように、私が言いたいのは、症例数が非常に少ない疾患で、従来どお
りのやり方ではなかなか進められませんよということを申し上げたいので、そのときに確
認申請で積み上げたようないろいろな安全性の情報があるならば、ある程度、臨床試験で
オーケー、有効性の面で評価は難しいんですけれども、それである程度は可能性といいま
すか、非常に大きいと思えるならば、あるいは患者さんのニーズが大きいと考えれば、そ
こをある程度暫定的に承認をして、さらにその後のフォローできっちりと押さえていくと。
先ほど来、EUとかアメリカのほうでもやっていらっしゃるような形でもっていければい
いなというふうには望んでおります。
○永井座長
小澤委員、先ほどの資料1の問題点のことを、ちょっとご指摘いただけますか。
○小澤委員
ありがとうございます。主な議論のまとめ。主な議論は何なんだというところがありま
して、やはり私、目的を共有したいなと思っているんです。やはり時間がかかりすぎてい
るだとか、今、我が国がこんだけ再生医療、いろんな政策、あれもこれもある中で製品に
なっていないというところでは早く出そうよ。特に私はこの前主張したのは、厚生労働省
が掲げています、世界の再生医療の3分の1を牛耳ろう、日本発でというようなことであ
ったり、新経済成長戦略のフレーズというのがここに反映されていてほしいなと。時間を
なるべく、早く世に出すというようなそういうような思いが出てきてほしいなと思ってい
ます。
そして、私があえてちょっと今日もPMDAの皆さんがいらっしゃるので言いにくいの
ですが、やはり(4)のところだけでは不十分であって、審査体制の強化、そういう言葉
だけではなくて、私がこの前あえて言ったのは、競争原理を働かせるべしと、こういうよ
うなところ、これは主な議論にはならないのかというところをちょっと確認をさせていた
だきたいと思っている次第でございます。
○永井座長
では、片倉委員、どうぞ。
○片倉委員
私は企業の立場じゃないので、ちょっとフランクにいろいろお話しさせていただきたい
と思います。確認申請はいいところもあるんですよね。無料で品質相談から治験相談の一
部までは受けられる。ただ、やっぱり皆さん今おっしゃっているように、そういう中身を
ずっと経てきても、なかなかそれが製品化に至らないというところが何なのかと。前から、
企業にいるときから、やっぱり確認申請から製造販売承認申請、いわゆる一つのプロダク
トで2つの承認が必要だと。
場合によっては、今、先生方がやっている臨床研究。これはヒト幹を通す、これも大事
ですね。それを含めて3つの承認を経て、製品になる。これはちょっと異常です。そうい
ったことはやっぱり避けるべき。屋上屋を重ねる必要はないでしょう。確認申請をなくし
てどうするのか。なくす場合はどうするのか、やっぱり議論が必要であって、確認申請で
事前にいろいろなアドバイス等を機構の方と話をしていても、製造販売承認申請にすぐ行
かない。そこは何なのかということは解析する必要がある。
それはpre-IND、ああいったところの議論とか、先ほど欧州の紹介もあったように、コン
サルテーションの具体的な中身は何なのか。ああいったものをもう少しリサーチしてみて、
どういうふうに効率的なジャッジ、あるいは提案者、申請者へのサポートをするかという
ことをもうちょっと考えていかないと、なかなか前へ進まないんじゃないかというふうに
思います。
○永井座長
よろしいでしょうか。ちょっともう時間になりましたので、最後に阿曽沼委員。
○阿曽沼委員
私もまだ不勉強でございますので、確認をしてほしいことが一つあるんですがよろしい
でしょうか。確認申請の中でも感染症の伝搬の危険性の有無とか色々な安全性のチェック
があると思いますが、前回か前々回の会議の中に、プロベンジ、デンドリオン社のFDA
の申請についてのご紹介があったと思いますが、その内容を見てみますと、認識違いだっ
たら後でチェックをいただきたいと思いますが、例えば感染症検査等を受入れ段階から、
デンドリオン社には要求されていないとか、最終製品でも求められていないと読めるんで
すね。あくまでも医療機関側で必要と判断された場合に、採血時にウィルス検査をするこ
とになっています。それからマイコプラズマの検査に関しては記載がないんですね。記載
がないということは要求していないのではないかと思います。
それから目的外生理活性物質の試験が求められていないとか、また基本的にはその安全
性で重要なのは取り違い等なので、その手順はきちんとしなさいということは書いてある
んですね。一つ一つを見ていくと、やっぱり品目といいますか、分野によって安全性の確
保の仕方だとか、その評価の仕方だとかを今一度考え直してみることが必要ではないかと
思います。それが今日のいろいろな議論の中で、本当に確認申請のあり方がこのままでい
いのかとか、本来どういうやり方がいいのか。それから治験にスムーズに移行するために
はどうしたらいいのかということを、包括的に議論をしなければならないと思います。こ
の資料1のように、項目一つ一つを並べて、この一つ一つの要素をもし解決したとしても、
今ある本質的な課題が全体としては何も解決しないという結果になるのではないかという
ことを皆さんがおっしゃっているのではないかと思います。
○宇津企画官
プロベンジでありますけれども、詳細は分かりませんが、当然ながら、FDAの先ほど
のプレゼンの中でいろいろなガイドラインをおっしゃっておりましたので、そのガイドラ
インに従ってやっております。ガイドラインでは、ウイルス等の、それから製造工程での
感染因子の可能性とか、そういうのをチェックをしているということであります。
一方で自家細胞ですので、他人の細胞を使ったものとは検査項目が違います。例えばマ
イコプラズマ等ですね。そういうものについては、当然、他家細胞を使ったものと自家細
胞を使ったものは異なります。それは日本のガイドラインでも自家細胞を使った場合、そ
れから同種細胞を使った場合というのは検査項目が違うようになっています。それは当然
ながら、原料によっての違い、それから製品によっての違いというものを見ながら、品質、
有効性等のチェックをしているものと思います。
○永井座長
よろしいでしょうか。これはまださらに議論が必要だと思いますので、本日の議論を踏
まえまして、次回も継続したいと思います。少し時間が遅れましたので、今回の議事はこ
こまでとさせていただきます。
事務局より、連絡事項をお願いします。
○宇津企画官
小澤委員からご指摘がありましたけれども、資料1で主な議論のまとめということで、
そのまとめについてご意見をいただいておりますが、これは小澤委員の内容ですと、両括
弧のところで、競争原理を入れたほうがいいというご指摘と、それからもう一つ、ある程
度、将来にわたって、例えば世界市場のどれぐらいとかという目標を設けよというふうな
お話があったんですが、ただこの点については、4月の検討会のときに、そういうことを
この検討会で話すのか、というようなご意見も他の委員から出ていると私は記憶しており
ます。そういう目標というよりも、安全性、有効性等をどういうふうに確保しながら、い
いものを世の中に出していくか。そういう制度を考えるということだと思いますので、こ
の市場で何割占めるとか、そういう目標についてはこの検討会の中で、この議論の中に入
れなくてもいいのかなと思っています。
○小澤委員
いえ、そういうことを申し上げているんじゃなくて、より早くというのを一言入れて、
強調していただけるとありがたいなと思います。
○宇津企画官
これは、2ポツのところを見ていただきますと、質の高い製品を迅速に開発するという
ことで、盛り込んでいます。
○小澤委員
分かりました。私が、前回、PMDAさんに申し上げたのは、第2PMDAというお話
をしました。それを書くのはやっぱり問題があるかもしれないので、競争原理を働かせて
いただければというふうな表現をしました。
○宇津企画官
分かりました。ではその点は(4)のところに入れさせていただきます。どうもありが
とうございました。
それで、もう1点。資料2のところで、前回の確認事項ということでお示ししておりま
す。前回の議論の最後のところで、柔軟に検討すべきというご指摘もいただいております
ので、資料2の3ポツのところを、当日お配りした資料から加えております。今後、柔軟
に検討するという一文を入れておりますので、その点、ご確認いただければと思います。
それで、最後になりますけれども、資料4でございます。今後のスケジュールというこ
とで、次回は10月を予定しております。詳しい場所、それから時間等については後日ご連
絡をさせていただければと思います。
どうもありがとうございました。
○永井座長
それでは、これで終了とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
(了)
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