ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(介護保険部会)> 第28回社会保障審議会介護保険部会議事録
2010年7月30日 第28回社会保障審議会介護保険部会 議事録
○日時
平成22年7月30日(金)8:59~12:03
○場所
砂防会館 別館1階大会議室
○出席者
山崎、岩村、石川、井部、小方(代理:霜鳥参考人)、勝田、川合、河原、 |
北村、木村、葛原、久保田、木間、小林、齊藤(秀)、齊藤(正)、田中、 |
野呂(代理:青木参考人)、橋本、桝田、三上、結城、吉田の各委員 |
貝塚、小西、櫻井、土居、藤原の各委員は欠席 |
○議事
○大澤総務課長 それでは、定刻にやや早いのですが、皆様方おそろいでございます
ので、ただいまから「第28回社会保障審議会介護保険部会」を開催させていただき
ます。
なお、本日は、貝塚委員、小西委員、櫻井委員、土居委員、藤原委員が御都合によ
り御欠席との連絡をいただいております。
また、前回の介護保険部会以降、厚生労働省老健局事務局に人事異動がございまし
たので、紹介させていただきます。
審議官の金谷でございます。
○大澤総務課長 それから、本日は所要により欠席しておりますけれども、振興課長
の川又、企画官の宮崎、それぞれ本日付で発令されておりますので、御報告申し上げ
ます。
それでは、山崎部会長、議事進行方、よろしくお願いいたします。
○山崎部会長 おはようございます。よろしくお願いいたします。
それでは、早速議事に入りたいと思います。本日は、施設、住まい等の給付の在り
方について御議論いただきますが、(1)今後の介護保険施設の機能や在り方から、
(4)療養病床再編成についてまでの項目があります。まず、これからの1時間半の
時間で、(1)の今後の介護保険施設の機能や在り方と、(2)の有料老人ホーム及び
生活支援付き高齢者専用賃貸住宅の在り方の項目につきまして説明と議論をお願い
いたします。
なお、本日配付してあります参考資料についても、適宜コメントしていただいても
結構でございます。
それでは、事務局より(1)今後の介護保険施設の機能や在り方、及び(2)有料
老人ホーム及び生活支援付き高齢者専用賃貸住宅の在り方について、資料の説明をお
願いいたします。
○水津高齢者支援課長 高齢者支援課長の水津でございます。
それでは、ただいまお話のありました施設の機能の在り方、それから有料老人ホー
ム、高齢者住宅につきまして御説明いたします。
お手元の資料で最初から59ページまでが施設、それから60から71ページが有料
老人ホーム、高齢者住宅ということでございます。事前に御説明あるいはお配りさせ
ていただいている資料でございますので、資料に変更等があった点、あと前回の部会
で御提示させていただいております論点、そちらについてのみ簡潔に御説明させてい
ただきます。
最初に、施設のあり方の関係ですが、資料8ページから9ページでございます。
前回の部会で、施設内のケアマネあるいは特養の生活相談員、老健の支援相談員に
ついての役割の資料として、法律上、法令上の規程等の資料をということでございま
したので、8ページ、9ページの資料を追加させていただいております。
それから、資料16ページから17ページでございます。
これは、本日、部会で入所申込者の状況ということでお示ししておりますが、16
ページの方にトータルで42.1万人の申込者、うち在宅で要介護4、5の方が6.7万人
という資料をお示ししておりましたが、17ページを追加しております。入所申込者に
つきまして、そちらにございます14府県は、要介護度、あるいはどこに申し込みを
している方がいらっしゃるかにつきまして一定のラインを引きまして、申込者すべて
を出しているものではない。本年1月に発表しているものでございますが、正確を期
すために本日ここに17ページとして追加させていただきました。
それから、26ページから27ページでございますが、こちらは本日、この部会に御
提出することをもって公表とさせていただく性格の資料でございます。
21年度から23年度で、特養など介護基盤の緊急整備ということで、16万床を国の
目標として整備を進めておりますが、そのうち初年度に当たります21年度の実績と、
それから22年度の見込み、これは各公共団体より提出いただいたものを計画として
積み上げたものでございますが、その数字の資料でございます。目標3年間で16万
人に対まして、21年度の実績が2.7万人、22年度の見込みが6.1万人、合計で8.7万
人ということでございます。
27ページには、都道府県別の数字を資料として付け加えさせていただいております。
それから、ここまでの関係の論点ですが、29ページでございます。
3つほどございまして、1つ目は、現在進めている緊急整備に加えまして、在宅サ
ービスの充実、高齢者住宅の供給促進を推進する必要があるのではないかという点。
2つ目としまして、地域において状況にいろいろ差異がありますけれども、各自治
体において、今後の高齢化の状況と地域ニーズを把握した上で、地域の実情に応じた
整備をどのように進めていくべきかという点。
3点目といたしまして、入所者の重度化、医療ニーズが高まるといった中、あるい
は老老介護など家族の状況も変化する中で、それぞれの施設の入所者像をどう考えて
いくのかということでございます。
それから、37ページから38ページでございます。こちらも事前の資料に追加をさ
せていただいたものでございます。
昨日の介護給付費分科会の方で諮問をさせていただきまして、即日で答申をいただ
いたものです。内容といたしましては、38ページにございますように、居室ユニット
の面積を13.2平米以上を標準とするという内容から、10.65平米以上、従来型多床室
の水準に一致するように引き下げるという内容でございます。
趣旨としましては、前のページ、37ページの一番上の方に書いてございますように、
現在、特養につきましては、このユニット型施設の割合を70%以上とすることを目指
して、ユニット型施設の整備を推進しているところでありますけれども、用地の問題、
居住費負担の高さの問題も指摘されております。そういう中で、居室面積をある程度
引き下げても、個室ユニット型施設の整備促進に資するよう、このための基準改正を
行うということでございます。
スケジュール的には、38ページの一番下になります。昨日答申をいただきましたが、
パブリックコメントに一月程度の時間を要しますので、9月に省令を改正して同日で
施行するといったスケジュール感で進めてまいります。
引き続きまして、39ページから41ページ、こちらも追加をさせていただきました。
これにつきましても、昨日の介護給付費分科会の方で御報告させていただきまして、
分科会の方で、昨日も含めまして3回程度、ヒアリング等々を行った上で方向を議論
していこうということで、スケジュールについて御了承いただいております。いわゆ
る合築とか混合型と言われる施設の指定につきまして、公共団体に調査をかけまして、
その結果をまとめたものでございます。
39ページにありますように、特養につきましては4つの公共団体で9件、それから
老健につきましては9つの公共団体で26件、合わせて11団体35件がいわゆる一部
ユニット型の指定につきまして、国と違う考え方で指定しているということで報告さ
れております。
ポイントだけ御説明申し上げます。41ページにポンチ絵を付けております。
こちらも分科会で出した資料でございますけれども、いわゆる多床室とユニット型
が合築、混合となっている場合でございますけれども、特養で申しますと、平成15
年4月1日、老健であれば17年10月1日を基準日としまして、この時点において多
床室が現にあった、あるいは建築中であった。それとユニットが合築された場合につ
いては一部ユニットに該当し、ユニット型部分の報酬が支払われることになっており
ます。
反対にその基準日時点では多床室はなかった、あるいは建築中でもなかった場合で、
それ以降に新設等をされまして多床室とユニットの合築がなされた場合には、一部ユ
ニットには該当せず、ユニット部分の報酬は従来型になっているのが現状のルールで
ございます。
引き続きまして、43ページ、ユニット型個室と多床室に関する論点でございます。
1つ目としまして、国として、原則ユニット型施設を基本にという方針を堅持して
いるところでございますが、その上でユニット型個室の支援策について、更にどのよ
うに考えていくかということ。
2つ目として、特に補足給付のあり方についてどう考えるかということでございま
す。
それから、少し飛びまして49ページから51ページにかけてでございますけれども、
前回の部会におきまして、胃ろうなどの医療の実施割合について、日本と欧米を比較
したデータということで御指示がございました。外国のものはなかなかそろわないと
いうことで、本日用意できておりませんが、日本につきまして、49ページから51ペ
ージにかけまして、介護保険3施設につきまして、胃ろう、経鼻経管栄養等のケアを
実施している割合についての資料を付けさせていただいております。
それから、少し飛びますが、59ページで、施設類型のあり方に関する論点でござい
ます。
1つ目といたしまして、特養への入所申込者の増加などもあり、老健の入所期間が
長期化あるいは機能が特養化しているという指摘がある中で、本来のリハビリなどの
在宅復帰支援機能が十分に果たされなくなってきているのではないかという点でご
ざいます。これも前回の部会の御指摘を踏まえまして、「増加等」ということで「等」
ということを文章として加えております。
2つ目でございますが、施設類型によりまして医療サービス等が規定されておりま
して、外部からの提供に制約がある。こういう中で、入居者の状態像の変化に合わせ
て、柔軟に医療サービスを提供できるようにすべきではないかという点でございます。
3点目として、もう少し具体的にということでございますが、医療サービスについ
ては、職員配置の実態を踏まえた上で、内付けあるいは外付けを行うことが可能なの
か、再整理が必要ではないかということ。例示として、特養における医師配置につい
ては、実態を踏まえて必置規制を緩和して、配置医師がいない場合を設けまして、そ
の場合には外部の医師の診療を認めることとしてはどうかということでございます。
以上が施設関係でございます。
それから、60ページからが有料老人ホーム、それから生活支援付きの高齢者住宅の
あり方でございますが、こちらにつきましては事前に送付あるいは御説明させていた
だいている資料からの変更点はございません。したがいまして、論点のみ確認的に触
れさせていただきますが、71ページでございます。
論点として4つほどございます。
高齢者の住まいにつきまして、国際的に比較して不足している中で、どのように供
給を促進するかということ。
2つ目としまして、サービスの付いた高齢者住宅ということでございますが、医療、
介護サービスをどのようにパッケージ化していくべきか。
3つ目といたしまして、未届けの有料老人ホームがまだ相当ございます。防火安全
体制の確保あるいは一時金の保全といった点から、入居者の保護というものをどのよ
うに図っていくかということ。
あと、有料老人ホームと生活支援サービス付き高齢者専用住宅、現状で言うと高専
賃がこれに該当すると思いますが、その辺の整合性、わかりやすさというものをどの
ように図っていくかということでございます。
資料の説明は以上でございます。
○山崎部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの検討項目(1)と(2)につきまして御議論をお願いしたい
と思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。では、勝田委員。
○勝田委員 高齢者の施設、住まいについて、私どもは前回、家族の会の提言として
出させていただきましたが、その中の基本的な考え方として、認知症があっても、ひ
とり暮らしでも、希望する自宅で、また施設でも安心して暮らせる制度へということ
をうたっております。自宅や地域で暮らし続けたいという認知症を持っている人が見
守られ、そして必要なサービスを受けられる。在宅により重きを置いた制度に改定し
てほしいということです。
また施設にあっては、自宅と同じように過ごせ、一人ひとりが大切にされるケアと
生活環境が保障されるということをうたっておりますが、この論点整理の中で、今後
地域の高齢者ニーズを把握する必要がある。そして、自宅においても地域の実情に応
じてとありますが、事務方にお聞きしたいのですが、高齢者ニーズの把握とあります
が、実際に何か調査をなさっているのでしょうか。それともこれからされるのでしょ
うか。まず、それについてお尋ねしたいと思います。
○山崎部会長 よろしいでしょうか。ただいまの勝田委員の御質問でございますが。
○古川介護保険計画課長 ただいまの御質問についてお答え申し上げます。
介護保険事業計画を第5期に向けまして、これから策定していくことになりますけ
れども、その前提といたしまして地域の高齢者の方の、真に必要なニーズをより正確
に把握していくことが必要と思っております。その一つの手法といたしまして、先駆
的な取組みをしていただいている自治体などの例を参考に、より精度の高い、地域に
おける高齢者のニーズなどを把握できる手法を何とか策定しようと、モデル事業を実
施していただいているところでございます。
秋ごろまでには、その手法を確立したいと考えております。勿論、これは強制では
ありませんけれども、事業計画を前提としてのニーズを把握する際に、その手法を活
用していただければということで、現在取組んでいるところでございます。
○勝田委員 それでは、結果が出ましたら、是非また出していただきたいと思います。
○山崎部会長 ほかに。石川委員、お願いいたします。
○石川委員 特養の待機の申込者、42万人と言われておりますけれども、例えば現場
サイドから見ていきますと、市町村ごとに申請している方については名寄せをして、
それを都道府県がまとめて国で数値を全体として合わせるということになるわけで
すけれども、実際に被保険者は、自分が行きたいと思っている施設に申請するという
ことになるわけです。例えば私どもの市であれば、市内にある施設に対して申し込み
をしている人については、一定の名寄せができるわけですけれども、市外や神奈川に
隣接していますので、神奈川県の施設等で申請すれば、これは我々にはわからないと
いうことです。
そういった意味で、都道府県も含めての名寄せがきちっとされた上での、この42
万人という数字なのか、まず申請レベルでその辺の数字がしっかりと、いわば1人の
方でたくさんの施設を実際は申し込みをするわけですから、1人が1施設ということ
では当然ないわけで、申込者ということになると、1人の方がたくさんのところに申
し込む方がおいでになるわけですから、そこで順番を待っているわけです。この申請
数の根拠というものをきちっと整理された上で出されているのかというのを、まず伺
いたいと思います。
○山崎部会長 よろしくお願いします。
○水津高齢者支援課長 実は、16ページから17ページの調査でございますが、これ
は昨年6月に厚生労働省の方から各都道府県にお願いして、実際42.1万人という数字
が出たのが12月でございます。それだけかかった大きな理由として、今、御指摘が
ありました名寄せにつきまして、国の方から各都道府県にお願いしてやっていただい
た。
あわせて、申込者の中には、申し込みをしたけれども、亡くなられた方もいらっし
ゃいますので、そういう方については数字から外してくださいというお願いをしてや
ったので、それだけの期間かかったということでございます。
実際のやり方につきましては、勿論各公共団体の方に全面的にお願いしているとこ
ろでございますが、数字の調査の依頼の仕方としては、名寄せをして、現に存命の方
に限って出してくださいということで調査をいたしております。
○山崎部会長 石川委員。
○石川委員 実際には自分の入所が決まっていても、申請を本人が取り下げなければ、
その数字は残る。ですから、完全に入所された方を消していくということをやってい
かないと、数字が把握できませんし、都道府県ごとの名寄せも、これは多分国レベル
なのでしょうけれども、やらなければ、県境等々でもそういうことも当然起こり得る
わけですし、その辺が非常にあやふやだなと思います。是非、これはどこかできちっ
と把握してもらいたいなと思います。
もう一つ、実際に入居するかどうかというのは、各施設ごとの判定会議等でやられ
るわけですけれども、それがどういう優先順位で、どのように決定されるのか。そし
て、そういった情報というものが、我々保険者である自治体にもほとんどきちっとし
た正確な情報がもたされていないのが現状で、いわば重度の方がたくさん在宅で待っ
ているケースもあるわけですけれども、実際に施設ごとに重度の方が優先順位をきち
っと見ながら、どれだけやられているのか。
やられているかもしれませんけれども、その辺の情報というものが非常に不透明だ
と思っておりますので、それらに対するきちっとした情報公開、開示等ができるよう
なシステムを、事務局の方でも是非対応していただきたいと思いますが、何か現にや
られていることがあるのでしたらお教えいただきたいと思います。
○水津高齢者支援課長 今日の資料の説明では省略させていただきましたが、全数調
査というのはなかなか難しいのですが、資料の18ページ以降、健康増進事業の方で、
施設に対しまして入所申込者の状況、それから現に入居された方についての状態像等
の調査をしております。
例えば今ほどお話があった点、18ページで御紹介いたしますと、左側が入所申込者、
右側が新規入所者でございますが、実際入居されている方の要介護度には顕著な差が
あるということでございます。左側の申込者でいいますと、平均の要介護度は3.15
ということでございますが、現に入居された方、新規入所者の方は3.76。当然サンプ
リングでございますし、回収率も50%程度でございますが、こういう形での調査は実
施しているところでございます。
○石川委員 例えば保育などでも今、契約ですけれども、それでも必要なニーズを点
数化して、少なくとも4月に入る時点では、必要度に応じて入所する制度というもの
がきちっとできているわけですけれども、その辺の部分が、特に特養等についても非
常によく見えないということを1つ指摘させていただきたいと思います。
○山崎部会長 よろしいでしょうか。
○石川委員 はい。
○山崎部会長 では、続きまして、川合委員、お願いします。
○川合委員 私どもの本質的なことに関わりますので、大きい問題を3つ、細かい問
題も含めてお話させていただきたい、御質問させていただきたいと思います。
まず、59ページ、早速反応いただきましてありがとうございます。「等」というこ
とを入れていただきまして感謝しております。59ページを見ていただきますと、我々
のところが主語で断定的に書いておられます。「特養への入所申込者の増加等」、「等」
を入れていただきありがとうございました。この「等」のわけを今から少しお話した
いと思います。
これは、実はいろいろな個表でも出てまいりましたし、どこかのページに折れ線グ
ラフで第1行目に「老人保健施設は入所日数が延びてきており」という断定的な文言
があります。その分析を、ここで報道関係者もいらっしゃるところで簡単に述べます。
御案内のように、ほかの類型施設あるいは在宅の方もおっしゃるように、高齢化が進
んでおるという大前提が1つと。もう一つ、一般的に言われている独居老人や老老世
帯が増加している。
このために、我々の武器であるリハビリを提供しても、地域コミュニティの整備が
追い付いていないという点において、特養入所待ちだけで我々の平均在院日数、在所
日数が増えているという断定はいかがなものかと思い前回指摘させていただきまし
た。
逆の方向からいきますと、これは4番目の問題とも一致するかもわかりませんけれ
ども、医療機関からの早期退院勧告によって、我々のところへの入所の医療度の増大
が顕著であります。そういう点も含めて、この「等」のところはあるということをお
話させていただきたい。
2番目、50ページの医療ニーズ。
これは、この部会ではありませんけれども、昨年の介護報酬改定以前の介護給付費
分科会で強く主張しておりました私が危惧しておったのがそのとおりになっていま
す。医療ニーズで囲みのところは、3%が喀たん吸引、6.8%が胃ろう。これは、御記
憶の方がいらっしゃると思いますけれども、介護給付費分科会で医療ニーズはこれだ
けですかと、くどいほど私は言いました。小数点のところでいろいろ誤差はあるかも
わかりませんけれども、酸素吸入とか血液学的な調査は、我々の方が療養型よりも高
かったという事実は私は指摘させていただいております。
そういう点で、喀たん吸引と胃ろう、表にいろいろありますけれども、上の囲みの
記事だけを読みますと、これだけが医療ニーズかと言いたくなる。これは2年前の議
論をもう一度蒸し返して申しわけないですけれども、お話をさせていただきたいと思
います。
それで、56ページ、57ページ、ことに57ページを見ていただきたい。
平均値と表の中の割合というところで、ややこしいですから、割合というところを
見ていただきますと、10剤以上、老健が一番低いです。考えてみてください。高齢者
に10剤以上出す施設が正常な施設なのか。我々のところが3.8%で、まだまだこうい
う多剤、出しているところがあるのかなと反省しきりであります。
私は、これこそ老年科医の腕の見せどころだと思いますけれども、多くても3剤か
4剤ぐらいに抑えるべきである。ちなみに4剤から9剤までを足していきますと、名
前を出して恐縮ですけれども、特養さんは56%、有料老人ホームさんは60%、我々
は、44%で一番低いです。これは我々の努力というところを買っていただきたい。高
齢者に多剤併用が本当に望ましいのか。
もう一つの質問ですけれども、10ページと12ページで私が申し上げたいのは、こ
の部会ではありませんけれども、介護給付費を決める段階において、ある時点での要
介護度とか医療度を図るのは仕方がないと思いますけれども、よくしている努力、多
剤併用を少なくしている努力を買っていただきたいと思います。
最後に、昨日の分科会で時間がありませんでしたので、8月、9月のあの分科会
でお話させていただきたいと申しましたけれども、混合ユニット、ユニットの問題は、
昨日も主張しましたけれども、一言申し上げたい。
14年以前、ユニット型を導入するに当たって、その当時の会長から私、特命を受け、
老健でユニット型が行けるかという下問をいただきました。そこでいろいろ調べてみ
ました。在宅を目指す施設ですから、画一的なユニットで在宅を目指せるのか。個々
のニーズが違うわけです。
そういうときに一つのアイデアとして、その自宅にケアマネジャーなりPT、OT
がお出かけして、自室からトイレまで、自室から食堂あるいは食事をするところまで
の動線を見てきて、ベッドから、あるいはベッドを外してお布団にさせていただいて、
そこから動線のように段ボール箱を置いてみよう。それで、どういう現地的なリハビ
リが在宅へ向けてできるのかということをチャレンジしてみましたけれども、この面
積ではできません。これでやむを得ない。
ところが、我々の有志の中で、やってみようという方々が出てこられて、17年以前
は少数であったと思います。17年以降、御案内のように各市町村、都道府県、権限者
はユニット型でないとだめだとおっしゃって、やむを得ずユニット型を建てたところ
もあります。それを今年の3月24日の通達でもって、私はユニット型は大賛成です
けれども、老健でどういうユニットができるのかということを考えてみた場合に、突
然一律に、昨日の資料では、返還金も求めると書かれたのであるならば、私は勇気を
持ってユニット型をつくられた経営者に対して、あるいはそこで働いている仲間に対
して申しわけが立たないと思います。
いろいろ申し上げたい点はありますけれども、御質問も含めて、この6点を申し上
げさせていただきました。
○山崎部会長 ありがとうございました。御意見もありましたが、質問もありますか
ら、質問についてはお答えください。
○水津高齢者支援課長 それでは、資料の57ページでございますが、川合委員から
御指摘があった、特養と老健と有料老人ホームの服薬割合の資料でございます。
これは事務方の意識としましては、59ページの論点の3番目、医療の内付け、外付
けの関連の資料としてお出ししているつもりでございます。特に特養につきまして、
医師の配置状況とか医師の診察回数の資料と合わせまして、服薬関係、薬剤関係につ
いても、その一連の資料として御用意した。事務方の意識としては、そういうもので
ございます。
それから、13ページから14ページの表でございます。
各都道府県ごとの施設の整備水準、それから14ページは同じく各都道府県ごとに、
特養に入所されている方の要介護度別の割合でございます。これにつきましては、直
接どこが多い少ないという話ではないのですが、論点といたしましては、資料が厚く
て恐縮ですが、29ページの2つ目の論点。施設の整備等々について、地域において差
異がある。自治体においてニーズを把握した上で、実情に応じた整備をどう進めてい
くか。その施設整備についての差異の状況のバックデータというか、資料として御提
示しているという趣旨でございます。
もう一つ、これは御意見ということで、必ずしも御質問ではないのかもしれませが、
昨日の分科会の方で御報告した混合型あるいは合築型と言われるものにつきまして
でございますが、分科会に報告はさせていただきまして、あと8月、9月と2回の予
定で、既に指定した施設の取り扱い、それから今後の整備のあり方について一部ユニ
ット型の基準等々について御議論いただこうと考えております。
勿論、特養、老健、それぞれございますので、今後の分科会の審議の中で、それぞ
れの論点というものが出てくるのかなと思っております。
以上です。
○川合委員 昨日のようにくどくは申しませんから、1点確認させてください。
そうしたら、薬のところと、その前のページでしたか、医療ニーズというところに
おいて、服薬が多いから医療ニーズが多いと主張されたいわけではないですね。よく
なる努力はお認めいただけるのでしょうね。
○水津高齢者支援課長 今、委員のおっしゃられたような個別の点を申し上げるため
に用意した資料ではございません。
○川合委員 わかりました。
○山崎部会長 ありがとうございました。
では、結城委員。
○結城委員 私の方から、特養について意見を申したいので、資料を用意させていた
だきました。ごらんいただければと思います。A4、1枚のものでございます。
特養におけるユニット個室等の論点について、私の考えを申し上げます。現在、ユ
ニット型個室と多床室の問題について、国が原則、新築のユニット型個室の整備を続
けている点についてはこれらの方針は、私は正しいと考えております。
しかしながら、介護現場の現状を考えると、以下の選択肢が私は考えられる。確か
に待機者が42万人というのは、実際の数字では私はないと思いますが、とはいって
もかなりの数はいらっしゃると思います。
まず、1つ目、これが私は最善の策だと考えます。今後、ユニット型個室の整備を
進めていく上で、以下の条件を私は導入すべきと考えます。
まず、補足給付もしくは介護扶助で財政措置、財源措置を講じて、生活保護の方も
ユニット型個室を利用可能にできるような環境整備をしていく。
もう一つは、ユニット型個室というのは、部屋が個室というだけではなくて、個別
ケアというものを重視すべきだと、ケアの面から私は思います。その意味では、看護
師や介護士の配置基準を、多床室と同じではなくて、それよりも手厚い基準に私は見
直すべきではないかと思います。ただ、今日の資料にもあるように、ユニット型個室
の実際の配置されている基準は高いのですが、これを基準で多床室よりも多目の配置
基準、看護師や介護士の方をきちっと明確にすべき。
この2つが今後ユニット型個室を進めるにおいては、私は非常に大事な論点だと思
います。しかし、この2つがどうしてもできない場合は、やむを得ない措置としてセ
カンドベストの選択肢もあると思います。しかし、このセカンドベストはあくまでも
ファーストベストが実現するまでの限定期間と考えております。
セカンドベストの内容は、ファーストベストの条件が整わない場合は、ユニット型
個室の整備は推進しつつ、特別養護老人ホームは老人福祉法に基づいた福祉機能でも
あるため、緊急措置として、全床のうち、多床室もわずかながら認め、合築も可能に
していくという選択肢を、保険者や都道府県を中心に認めるべきではないかと思いま
す。
しかし、その際は、限界があるものの、多床室におけるプライバシーの保護を配慮
したケアの開発や研究を実施していくべきと考えています。例えばリビングルームを
つくるなり、部屋のいろいろな工夫。ただし、これは緊急措置でありますので、この
ような部屋の場合は、将来個室にできるような建築上の工夫や、さまざまな工夫も踏
まえた上でということでございます。私は、このような2つの選択肢を考えてござい
ます。
2つ目といたしましては、ショートステイについて。
新設の特養においては、一部ショートステイとしての機能を持っております。今後、
新設の特養においては、このままユニット型個室を進めていくと、ショートステイも
個室化という現状になります。これも私は現状としては正しいと考えますが、現場に
おいては、ショートステイはやはり緊急措置や低所得者の人などもありますので、や
むを得ない場合は多床室も一部認めて、ショートステイという機能に限って、この論
点を私は考えていくべきと思います。
かつて私が現場にいたときに、ユニット型個室と多床室では利用料に差があり、負
担感があったという声も聞いておりますので、ショートステイの論点もやはり私は考
えていくべきと思います。
3番目は、テーマのときにまた後でお話させていただきたいと思います。
なお、59ページをごらんいただいて、施設類型のあり方に関する論点の3番目に、
私が気になった点として、特養における医師配置について、「医師の必置規制を緩和
し」ということが書いてありますが、この議論は慎重にすべきだと思います。ただし、
後の「外部のかかりつけ医の診療を認める」ということは、私はこれはよいことでは
ないかと思います。
以上でございます。
○山崎部会長 ありがとうございました。
それでは、木間委員、お願いします。
○木間委員 本日、2つの資料を提出させていただきました。1つは、「雑居部屋特
養」の新設を許さない緊急集会へのメッセージ、樋口恵子のものです。もう一つは、
この緊急集会のアピールであります。6月27日に特養をよくする特養の会と、特養
を良くする市民の会の呼びかけで、「雑居部屋特養」の新設を許さない緊急集会が開
かれました。私ども高齢社会をよくする女性の会は参加団体でありましたことから、
本日、資料としてこのアピールを提出させていただきました。
まず、樋口恵子の当日のメッセージであります。
3行目に、介護保険法第1条には、「尊厳を保持する介護」の文言が加わりました。
ああ、それなのに、特別養護老人ホームに雑居部屋へ逆戻りの動きがあるとは何事で
しょう。以下、具体的なことを書いてありまして、このような人間の尊厳を押しつぶ
すような雑居部屋は、あえて言えば日本国憲法違反ではないでしょうか、というメッ
セージでございます。
次に、緊急集会アピールであります。
両面になっております。裏側をお開けいただきたいと思います。3行目です。国や
自治体は、特養の全室個室ユニット化の流れを後戻りさせないため、以下の措置を講
ずるべきです。
国がなすべきこと、最初の丸です。継続審議になった地域主権一括法で「参酌すべ
き基準」となっている特養の「居室定員」を「従うべき基準」と修正し、全室個室ユ
ニットを特養のナショナルミニマムとして再確認すべきである。
2つ目の丸です。省令・通知では、「2003年以前に設置された一部ユニット特養」
にのみ、ユニット部分の報酬上乗せが認められている。これに対して、幾つかの地方
自治体が「今後建設する一部ユニット型特養」にも、ユニット部分の報酬を認めるよ
う国に要請している。現行の取り扱いを堅持すべきである。
また、幾つかの自治体が、一部ユニット特養に誤って個室ユニット報酬を支給して
いたが、報酬が返還されなければ介護保険制度の根幹が揺らぐ。厚労省は、一部の自
治体に対し、報酬の返還をするよう求めるべきである。
次の丸です。個室ユニットの特養に入居する際に、その居住費等自己負担額の高さ
が問題となっているが、補足給付のあり方を再検討し、横浜市が実施しているような
居住費への公費補助の新設など、低所得者も個室ユニット特養に入居できるような制
度改革を検討すべきである。
都道府県がなすべきことは、都道府県は低所得者でも個室ユニット型特養に入居で
きるよう、独自の施策を検討するとともに、国に対し、制度改革を要請すべきである。
その下には、国と自治体が協働してなすべきことが書いてあります。
以上です。
○山崎部会長 ほかに。桝田委員、お願いします。
○桝田委員 特養の関係のお話が少し出ていましたので、まず石川委員の方から出て
います入所順位の決定のことを現実の問題として少し説明させていただきます。
まず、各県単位で入所指針というものが行政の方でつくられて、守るべき順位とい
う方法で、緊急性、必要性を点数化した形で順位を定めている。申し込み順ではなく
て、施設側が任意で決められるわけでもない。その形で入所順位というものは、いわ
ゆる第三者の方も入っていただいて決めているのが実態です。ですから、待機者の数
が多いということは、それだけ公平・公正性を保っておかないと、施設側が意識的に
動くことは非常に不信感を抱かれますので、そこでは行政の方も指導監査のときに結
構チェックされています。
ですから、必要性の高い方から順番に入ってくる。でも、そうなると、6年、7年、
8年と待機されている方も存在しているというのが実態でございます。
もう一つは、結城委員の方からお話がありましたけれども、介護職の配置基準の見
直しという問題でいつも議論になるのですけれども、私どもが考えている配置基準、
現状の配置基準というのは、最低基準として考えています。というのは、特養にして
も、ほかの類型にしても、要介護度に応じて介護報酬単価が違う。ということは、要
介護1の方と要介護5の方ではかなりの差があります。
この差というのは、必要な人員、介護サービスの量を担保するのは人員数になって
きますので、それは報酬の中で、要介護度が高ければそれなりの職員数を必要とする。
その配置をするために報酬が定められている。ですから、基準自体はあくまで最低基
準で、逆にいいますと、それがペナルティーラインとして存在している。ですから、
ユニット型と従来型の配置基準、3対1が同じというのは、ユニット型はユニット型
の基準で、例えば日中1つのユニットに1名の職員を配置するとか、2つのユニット
に最低1人の夜勤者を配置するという別基準があって、それによって最低基準的な部
分を担保している。
ですから、配置基準、イコール職員数という概念ではなくて、例えばユニット型の
場合、今日のデータにも出てくると思いますけれども、3対1の基準に対して、今、
実態とすれば2対1の職員数が配置されている。それは、やはりほかの基準の部分と、
報酬から来る部分で、各事業所がそれなりの努力をしているし、いいサービスを提供
するためには、まだこれでも足りないですよという現場からの意見があるという訴え
をさせていただきました。
○山崎部会長 ありがとうございました。
ほかに。では、橋本委員、お願いします。
○橋本委員 幾つか特養のことについて感じていることを発言させていただきます。
まず1つ、特養の利用者の方が非常に重度化が進んでいる。これは、今、桝田委員
からのお話もございましたように、介護報酬との関係で、特養はどうしても重度の方
のケアに特化していく。これは流れでありますが、この間のたまゆらの事件なども見
ていて感じることは、施設ケアが必要な方は、必ずしも介護度だけでは決まらないと
いう点があるわけです。逆にいうと、そういう低所得軽・中介護の方々がどこで生活
できるか。
そういう意味では、特別養護老人ホームは従来、介護は必要で様々な理由から地域
で生活できない人の生活の場の提供ということで機能を果たしてきたところが、今は
その機能を果たし切れなくなっている。重介護の方のケアが一番重要なところだとい
うことですけれども、ニーズの側から見ると、果たして介護福祉施設とはそれだけな
のかというのは考えなければいけない点だと思っています。
2つ目、個室・ユニットの問題であります。
これは、日本の国全体として、どのレベルの公的なサービスとして高齢者の生活の
場を保障するかということに関わることかと思いますけれども、着実に日本の高齢者
福祉のレベルが進んできて、こういう形が平成15年4月以降、制度化されたという
ことで、大変好ましいことだと思うわけです。
それで、今の問題は、ユニット個室の施設整備、そして利用の費用負担の問題だと
思うわけです。今の施設整備に対して、従前よりも公的な補助が減ってきている。そ
の分が利用者負担ということで居住費ということになっているわけです。こういう形
を進めていくと、低所得の方が利用しにくいのがユニット・個室ということになって
しまって、これでは社会保障として考えたときに、果たしてあるべき姿かどうか、大
変疑問に思うところであります。
そして、今、国としては、少しお部屋は小さくても個室・ユニットを進めていく。
私は、本当にそれは大事なことだと思いますが、一方ここで気になりますのが、平成
16年度以前にできた特養はたくさんあるわけでありまして、基本的にそういうところ
は多床室、昔は雑居と言っておりましたが、多いわけであります。これをどういうふ
うに考えていくかということかと思います。
国では7割を個室・ユニットと言ってますが、何で7割なのか。私は全部がそうな
るべきだと思うわけであります。ただし、いろいろな事情でできない。例えば本当に
みとり介護になったときに、部屋はどういう形がいいのか、御夫婦がどういう形で生
活するのがいいのか、あるいは非常に虚弱になったときに、心細く個室に生活すると
いうことだけでいいのか、そういういろいろな論議はあるかと思います。
基本的には、特別なことを除いては、やはりユニット・個室を大事に考えていくこ
とが、私は日本の高齢者福祉だと考えております。その意味で、従来の多床室だった
ところを、どうそれをユニット個室化していくか、その論議をいただきたいと思うわ
けです。
そういう意味では、社会福祉法人が建てかえるだとか、定員減をして利用者のお部
屋を広くして、そういう形にするか、増築するか、道はたくさんあるかと思いますけ
れども、個々の施設によって状況は違うわけです。特に都市部における施設というの
は、土地が十分にないということも踏まえて、行政は個々の施設の相談に乗っていた
だいて、支援し可能としていくような施策を是非とっていただきたい。それが大変強
い希望として持っております。
○山崎部会長 今、御質問の中にありました、なぜ7割なのかということにつきまし
て。
○水津高齢者支援課長 7割という目標でございますが、平成26年度ということで
ございます。そういう時点での数字ということで、7割を目標にしているということ
でございます。今日の資料に直接入っていないのですが、特養をつくる場合には個室
ユニットが原則であり、基本であるというのは、大臣が再三、国会でも答弁している
ところでございます。
○橋本委員 新設のところはいいわけですけれども、それは古いところをどうするか
ということも同時に考えていただかないといけないことだと思っているわけであり
ます。
○水津高齢者支援課長 耐用年数を迎えて建てかえのときにという議論かと思いま
すが。
○橋本委員 建てかえをしていくには、そう簡単なことではございませんので、よく
よくそのときには優遇措置なり誘導の手当てをしていかなければ、とても難しいこと
だと思うわけであります。
○水津高齢者支援課長 わかりました。
○山崎部会長 ありがとうございました。
野呂委員の代理で出ておられます青木参考人、お願いします。
○野呂委員(代理青木参考人) ユニット型個室と多床室につきましての点でござい
ますけれども、三重県を初めとしまして、各都道府県におきましては、国の方針に基
づきましてユニット型特別養護老人ホームの整備を基本として進めてきましたが、平
成22年5月現在の三重県のユニット化率は27.3%となっておりまして、先ほど御紹
介のありました、平成26年度に70%にするという国の目標には、残念ながら遠い状
況でございます。
県民の意識調査を実施させていただきました結果、多少値段が高くても個室がいい
という県民の方は、4人部屋であっても安い方がいいとされる方の3倍弱となってお
りまして、こういった点からしまして、今後もユニットケアの推進は必要と考えてお
ります。
しかしながら、一方では、一部の市町村、それから施設関係者等からは、増加する
特別養護老人ホーム待機者の問題とか、低所得者対策等を考慮いたしました施設整備
のあり方等につきまして、さまざまな御意見も寄せられているところでございます。
なお、ユニット型個室の補足給付のあり方につきましては、公的サービスの受益に
は基本的には負担が付き物ということでございますので、全国レベルで受益と負担に
関わります議論を深めまして、持続可能な制度設計に向けて合意形成を図っていく必
要があると考えております。
なお、一部ユニット型特別養護老人ホーム等の取り扱いにつきまして、昨日、全国
知事会から厚生労働省に対しまして要望を行わさせていただいております。その内容
につきましては、特別養護老人ホームの待機者は全国で約42万人に上っておりまし
て、この特別養護老人ホーム等の介護基盤の整備が喫緊の課題となっております。こ
の待機者の解消を初めとしまして、低所得者の負担軽減や高齢者の多様なニーズに的
確に対応していくためには、地方の実情に応じました施設整備が必要であるという観
点から要望させていただいております。
具体的な要望項目といたしましては、特養の従来型整備やユニット型を併設した施
設整備につきましては、地方の判断による柔軟な対応ができるようにすること。その
ため、従来型とユニット型を併設した特別養護老人ホームにおける介護報酬について
は、一部ユニット型施設として、ユニット型部分にユニットケアを評価した報酬額を
提供すること。
それから、介護老人保健施設においても同様の取り扱いをすること。
この2項目について要望させていただいているところでございます。
なお、先ほど入所の際の、どういう方を優先して入所させるかという点でございま
すけれども、三重県におきましても、特別養護老人ホーム入所基準策定指針というも
のを定めまして、これを基に各施設におきまして入所者の点数化を図りまして、点数
が高い方を優先的に入所させるということで、施設サービスを受ける必要性が高い入
所者の方を優先的に入所させるという観点で運営しているということでございます。
以上でございます。
○山崎部会長 ありがとうございました。ただいまの御意見で。どうぞ、川合委員。
○川合委員 今、全国知事会からの御要望の中で、今までの議論は特養ユニット化の
議論が多かったのですけれども、御要望の中に1行、老人保健施設の一部ユニット化
についても云々という御議論がありましたけれども、私はお願いできれば、先ほどか
らるる申しますように、老健のユニット化ということについては、17年以降のユニッ
ト型でないと新築はだめだという行政措置が全国に行き渡っていた中で、勇気ある都
道府県が一部も認めましょうということでしたので、老健こそ混合型を認めていただ
きたいと私は現場からお話をさせていただきたいと思います。
○山崎部会長 野呂委員代理の青木さん。
○野呂委員(代理青木参考人) 川合委員の御意見につきましては、全国知事会の方
にも伝えさせていただきます。
○山崎部会長 では、河原委員、お願いします。
○河原委員 できる限り働いている者の意見をこの場で言うようにしたいと思いま
すので、よろしくお願いいたします。
結城委員と桝田委員のお話のプラスということに恐らくなるかと思いますが、配置
基準のことでございます。ユニット型の方が私もいいと思いますが、現状のまま3対
1という配置基準になっていて、これはずっと私どもの組合としても3対1の配置基
準を見直してほしいということを何回か申し上げております。ほかの団体からも出て
おります。今、おっしゃった委員からも出ています。それもずいぶん前から。
こういったことが今どうしてできないのか、何が引っかかっているのか、わかる範
囲で教えていただきたいと思いますし、事務局の方で配置基準に対しての方向性とか
動きがあれば、是非教えてほしいというのがまず質問です。
現場の方では、ユニット型はいいなと思いつつも、利用者へのサービスの目がなか
なか届きにくいという現状があると聞いております。重度化だとか認知症の方の増加
を考えると、本当に行き届いたサービスをしたいのに、配置基準等いろいろあって、
また経済的にもあるのでしょう、それがなかなかできないということでございます。
これは、結果として働いている者の過重労働につながっていることも見落としてはい
けないと私は思います。
それと、ユニット型個室と多床室について云々がいろいろと議論されておりますけ
れども、私は国は自治体の首長をこれ以上悩ませないでほしいと思います。主に自治
体の方の意見として、恐らくユニット型個室と多床室の合築を認めてほしいという御
意見があると聞いていますけれども、その理由が、待機者の話とか負担額の解消法と
しての意見であって、本質的には、あるべき姿としてはユニット型を認められている
と受け取ります。
ここでまた新たに、ユニット型でなくて多床室云々という話が盛り上がるようであ
れば、これは10年を迎えた介護保険制度の議論として、私は後退しているように思
いますので、是非ユニット型の促進とともに、そこに弊害になっているものの解消と
いうことで話を進めていきたいと思います。そのときに結城先生から今これが出まし
たので、こういったことも含めて、できる限り緊急避難的なこともとらないようにし
てほしいと思います。
今、成長戦略の中で民主党は出しておりますけれども、強い社会保障と言っており
ますので、ここの部分についても、待機している方の解消に早くつながるような施策
を是非打ち出してほしいと思います。
最後、もう一つ質問ですけれども、13ページのグラフで、施設・居住系サービスの
利用者の割合が大都市部において低いというのは、どのような理由が考えられるかと
いうことです。家族構成の希薄な都市部の方が利用者の割合は高いのではないかと思
っていたのですが、低いというのは何か理由はあるのでしょうか。
以上です。
○山崎部会長 ただいまの質問について、お願いします。
○水津高齢者支援課長 13ページでございますが、これは昨年の夏に発表したもので
ございます。
その際、こういった事情について、都道府県に聞いてみましたところ、大都市部で
は地価が高いとか、施設を整備しても介護に当たる職員をなかなか集めにくいという
事情等々、重なりまして、大都市圏でこういった施設・居住系の施設整備が進まない
ので、その結果として利用者が地方部に比べると低いという事情があると考えており
ます。
○河原委員 配置基準について何か弊害になっているものがあるのかという質問に
ついては。
○山崎部会長 桝田委員。
○桝田委員 配置基準の問題点というのは、こういうことが起こります。例えば3対
1の基準、介護・看護職員にありますね。看護職員だけの配置基準もあります。それ
を割ってしまうと介護報酬は70%になります。3割カットです。そうなると、そこで
働いている方、介護職員が3割カットになれば多分賞与も出ません。そういう意味か
ら言うと、その基準というのがペナルティーが付いているために、いわゆる最低基準
であるべきであって、守るべき標準で動くというのではなくて、その介護報酬に直結
した厳しいペナルティーというものがありますので、それが一番のネックになります。
例えば夜勤の人数が今日足りないというのは、1か月間トータルで3%しか下がり
ません。それであれば、職員の給与等にも影響しない範囲内の運営というのが可能で
すけれども、3割カットというのは非常に重いペナルティーになってきますので、そ
れが一番大きなネックでして、経営自体、それから職員さんすべての給与も含めた大
きな問題点になりますので、突発的事例というのも当然起こり得ます。そういう意味
で、基準の部分というのは慎重に扱っていただきたいというのがあります。
○山崎部会長 よろしいですね。
それでは、葛原委員、お願いします。
○葛原委員 私、病院の勤務をしておったという経験から、少し意見を申し上げさせ
ていただきます。
まず最初にお礼申し上げたいのは、49ページから51ページまで、各施設ごとの医
療行為がどのぐらいあるかということで、数日前の委員会でお願いして、非常に短期
間なのですが、詳細な資料を付けていただきましてどうもありがとうございました。
これで見ますと、現在、特養では10%ぐらいの人に胃ろう(PEG)、あるいは経
管栄養、それから吸たんがございます。今後、介護療養型の医療施設のベッド数が減
ってくれば、ここでの4割近い胃ろうの患者の行き先がどこになるのか。在宅だけで
とても担えるとは思えません。今後の介護保険でのいろいろな住まいとか施設は、そ
ういうことも考えておかないと、いわゆる何とか難民というのが非常に増えるのでは
ないかと思います。
一つの方向として、先ほどから問題になっておりますように特養などに医療行為も
できる職員を増やすか、そうでなければ、喀たんの吸引とか胃ろうに栄養を入れると
いうのは、在宅で家族はやっているわけですから、業務独占などの問題はあるのでし
ょうけれども、きちんと職員の訓練をすることによって、医師とか看護師でなくても
こういう行為ができるような方向で検討していただきたいと思います。
これには何が障害になっているか、医療の現場から見ると、家族がやっていること
が何で介護職員にはできないのか、常々疑問に思っているので、もし答えがあれば後
から聞かせていただきたいと思います。
それから、先ほど老健で服薬者が多いという問題が出ておりました。これは老健の
利用者には、家に帰るか特養に行くかの調整期間を過ごしている病院から、直接退院
してきた状態の人が多いためだと思います。病院入院中は、訴えがあれば幾らでも薬
が増えていくので、老健に移ったばかりの時には多いのは当然です。本当はこんなに
薬は要らないと思いますし、最近のエビデンス・ベースド・メディスンということで、
老年医療でも薬はできるだけ減らすという方向で行っていますので、これは見直すこ
とによって十分減ることではないかと思います。
2つ目に、先ほどから個室の問題が出ておりますが、個室という原則は是非貫いて
いただきたい。大部屋にはすべきでないと思います。これは、私も身内が病院に入院
して2人部屋にいたのですが、もう10分といられないぐらい狭くて、プライバシー
も保てない。病院と同じような環境は生活空間としては不適切で、老人を長い間置く
べきではない。それだけで病気になってしまうのではないかと思います。
どうもお金の問題と、もう一つは急速に数を増やさなくてはいけないということが
問題になっているようですが、これはお金をかければできることですから、優先的に
するべきである。その理由としては、プライバシーとかアメニティーから個室の方が
絶対的にいいということと、病院で常に問題になるのは利用効率です。4人部屋にし
ておきますと、男女の申込者の比率が変わったときに、片方の部屋はがら空きで、片
方はいっぱいということでニーズに弾力的に対応できない。そういう有効利用という
点からも、個室の方が絶対的にいいと思います。
これはショートステイでも、男女の申し込みがあったときに、女性の申し込みがあ
ったけれども、男部屋しか空いていないということになると受け入れを断るというこ
とになるので、これは私は100%個室で貫いていただきたいと思います。
最後に、先ほどから特養の申込者が一体何人かということが問題になっておりまし
たが、私もこれは常々疑問に思っております。自分の親のときにも何箇所かに申し込
んでおいた方がいいと言われて、数年前から申し込みを勧められたということもある
ので、申込者の中味は緊急で申し込んだ人から、何年も前から申し込んでいる人。あ
ちこちに申し込んでいる人といろいろあると思います。
ですから、そういう方たちの実態を把握しないと、40万人の待機者というのが本当
かどうかというのはわからない。今後の特養とか、こういう老人施設をつくる上で、
実態をどうやったら把握できるかということを早急に考えていただきたいと思いま
す。私も最近65歳になって、年金番号とか介護保険とかいろいろなものが送ってこ
られたのですが、ああいう番号を利用すれば正確な数を簡単に把握できる。例えばア
メリカなどはソーシャルセキュリティー番号で、税金も年金もあらゆるものはその番
号で一律にやっていますから、ばあーっとソーティングすれば、どこに申し込んでい
ようが、すぐ同じ人が番号で出てくるわけです。
これだけいろいろ国民に、住民基本台帳とか年金番号とか介護保険番号とか番号を
付けているわけですから、どれか1つを利用すればすぐできることなので、そういう
ことを考えておられないかどうか、それについて質問したいと思います。
もう一つ、待機者のことで、待っていて死亡している方がかなりいらっしゃると思
うのですが、こういう方がどのぐらいいらっしゃるか把握しているかどうか、そのこ
とも含めて、もしわかれば教えていただきたい。
以上です。
○山崎部会長 最後、質問がありましたので。
○水津高齢者支援課長 まず、年金等々、番号の利用ということでございますが、こ
ちらについては検討したことはございません。実態的になかなか難しいのかなと思い
ます。都道府県あるいは都道府県を通じて市町村が実態をきちんと把握しております
ので、そちらの方で把握していただくというのが基本であろうと思っております。
それから、申し込みをされていて亡くなっている方の数というものは把握しており
ませんが、先ほどちょっと御説明申し上げましたように、42万人の調査に当たりまし
ては、各都道府県に対して、既にお亡くなりになっている方についてはその数字から
外してくださいということでお願いしております。
いずれにしましても、まさに特養に本当に緊急性があって申し込みをしている方、
そういった現実のニーズを把握すべしという御指摘は、重く受けとめて、今後いろい
ろ考えていかなければいけないと思っております。
○山崎部会長 川合委員、関連の御意見だけ。
○川合委員 葛原先生が今おっしゃったのは、私の申し上げたのと趣旨が違います。
多いと申し上げたのではなくて少ないと申し上げたのです。特養に比べて、これだけ
少ないですよ。おっしゃるように病院から大量のお薬で来ます。それを減らす努力を
しています。ですから少なくなっていると私は考えております。そこから先、言いた
いですけれども、日医との関係がありますので申し上げません。
○山崎部会長 三上委員。
○三上委員 今のお薬の話は別にしまして、59ページの施設類型のあり方の論点の3
番に、施設における医療サービスについて、内付けで行うべきか、外付けで行うこと
が可能なのを再整理するということが書いてございます。先ほどから特養の配置をど
うするかということがございましたけれども、本来は施設の類型というのは、医療サ
ービスあるいは介護サービスの内付けのサービスの濃淡によって類型化されていて、
それに応じて必要な人が必要な施設に入るようになっているはずなのです。ところが、
29ページにあるように、それぞれの施設の入所者が重度化しているということは、基
本的には入所者と施設の類型がマッチしていないのではないか。
その原因がどこにあるかということなのですが、1つはケアマネジメントがきちっ
とされていないということ。ですから、重度化している場合に、入所時から重度化し
ているのか、あるいは長期入所の結果として、だんだん悪くなってきて重度化してい
るのかということがありますので、そのデータは出していただきたいのですが。基本
的には、内付けサービスが濃淡があるということで、それを選ぶということが施設類
型なので、ミスマッチを前提として外付けをするのかという話は、私は本末転倒して
いるのではないか。
特に療養病床がなくなるので、介護療養がなくなるので、特養を療養病床化するよ
うに人員を手厚くするのかという話は全くおかしくて、それなら療養病床をなくすの
をやめたらどうだという話が本来ではないかと私は思います。
○山崎部会長 木村委員。
○木村委員 今、ケアマネジメントの話が出ましたので、今日資料を出させていただ
いているのと、ほかに2つほどお話したいと思います。46ページをごらんいただきた
いと思います。
これはいつも出てくる、介護施設における入・退所者の状況で、どこから入所され
て、どこへ行かれたのか、または死亡されたのかという図でありますが、これを今、
三上委員が今おっしゃったようにうまくマッチングさせていかなければいけないの
ですが、私どもが調査した結果で見ますと。
その前に、行ったり来たりで済みません。事務局の方から8ページ、9ページのと
ころに、施設の中での介護支援専門員の役割、及び介護老人福祉施設さん、老人保健
施設さんにおける生活相談員、支援相談員の役割の規定を出していただいておるので
すけれども、端的に話をしますと、それぞれの施設には介護支援専門員が配置されて
いて、100対1で兼務可となっています。
しかし、ケアマネジャー、介護支援専門員の仕事で、一番最初の入・退所の状況の
ところで、入所に際してとか、または退所後にどうなるのか。退所に際して必ず関わ
るように規定されているのですが、私どもの調査ではそのようになっていない実態で
ある。逆にいえば、そこの役割をしっかり整理していくと、利用者が必要な機能をも
った施設に入っていって、またそこで必要なケアがきっちり提供されるだろうという
ことでケアマネジメントの効果がでます。
私が今日提出している資料をポイントだけ説明させていただきます。
かがみには、今ほど話したことを書いておきました。4年連続、介護施設での介護
支援専門員のあり方の調査研究を我が協会でやってまいりましたが、今回はテーマに
のっとって、19年度と21年度の中で見えてきたことを、今日はあくまで報告だけに
させていただきます。
前々回おいでいただいた田中滋先生が委員長を務めていただいて、客観的に数値で
とらえてきたものであります。1ページめくっていただきますと、委員の名簿があり、
もう1ページめくっていただきますと、業務の実施者、介護支援専門員と相談員の関
係ということで、3ページにありますのが、指定介護老人福祉施設の、介護支援専門
員と相談員のやっている仕事のウエートになります。
ざっくり言いますと、先ほど言いました介護支援専門員が入・退所のこともすべて
やらなければいけないのですが、ウエートとして、相談員の方が高いということもあ
ります。
4ページのところは、老人保健施設の状況が出てまいりますが、こういう状況にな
ります。つまり、入・退所は相談員の方がやっていて、入所中のことは介護支援専門
員がやっているとなりますと、出入りが非常に大事だというところが軽んじられてい
るのではないかということが見えると思います。
では、なぜそうなっているかといいますか、5ページでありますが、兼務業務が忙
しくて、とてもではないけれども、全部できないよということが見えました。特に、
100人超、それから50人から100人、それから50人以下のところで比較してありま
すけれども、100人ぐらいのところはアップアップ状態というのが、上から3段目で、
兼務の業務が忙しくて本来の業務ができていないということが出ているわけであり
ます。
最後になりますが、21年度、昨年度の調査で、ではということで、タイムスタディ
ーをとってみました。1週間、どれぐらい常勤専従でケアマネジメント業務をやり、
また兼務ではどのぐらいやっているのかということであります。兼務がまだ多いので
す。ですから、ここのところを専従化して、今の入・退所、それから入所中のケアマ
ネジメントをしっかりやれる体制が必要であろうということであります。まず、今の
ことに関してが1つであります。
2つ目に、先ほど来、医療ニーズの話が出ている服薬管理のところでの課題をお話
させていただきたいと思います。
資料は後で見ていただければ、49ページからずっと並んでいます。例えば特別養護
老人ホームは、服薬管理が74.6%、老人保健施設は82.7%、療養病床は87.2%とあり
ますが、それぞれのところに薬剤師が関与できるのは、当然病院は薬剤師がいます。
それから、老人保健施設は300対1ということで関与できるようになっております。
しかしながら、特別養護老人ホームは外から仮に入っていったとしても、それぞれの
評価がないですし、規定上、つながりが実際はない形になります。
ですから、すべてのところで薬のことがこれだけの率で管理されているわけでござ
いますので、外付けでも中でも薬剤師の関与をしっかり入れていって、先ほど来出て
いる薬の種類・数等々をお医者さん方と話をして、本当に必要な薬だけが入るような
形をつくるべきです。よく例として出すのですが、前の介護給付費分科会の中で、認
知症のBPSDの悪化の一番の原因が薬剤である。32%ぐらいあります。そこのとこ
ろを医師と薬剤師がしっかり関与して、適正な薬剤の服用につなげていく必要があり
ますので、その辺のところを考える必要があると思います。
これは後で調べてほしいのですが、57ページにありました服薬の種類・数です。10
種類以上のところが、何で有料老人ホームが12.2%と断トツで多いのか、不思議でし
ようがないのです。その辺のところはしっかり調査し、これだけ飲んでいますと、実
際暮らしにいろいろな影響が出ていると思います。食事に対しての味の変化とか歩行
への影響とか、いろいろなことが出てくると思いますので、この辺をどうチェックす
るかということであります。
最後に、今日の施設の論点の71ページの、先ほど来出ていない高齢者の住まいに
関するところであります。
66ページに生活支援サービスの例として、URの賃貸住宅のことが出ておりますが、
私ははっきり言って入れる人が何人いるのですかと問いたい。昨日も介護給付費分科
会で話をしたのですが、自立型で10万5,000円から18万8,000円、それから介護型
で7万5,000円から7万9,000円。地方都市でこういうのに入れる人はいませんよ。
こういう例を出していただくよりも、今、本当に所得が低い方々をどこに住まって
もらって、どういうサポートをするかという検討が大事でありまして、この例示は大
都市でも本当に一部の方しか入れない状況だと思います。ですから、もっと人口分布
というか、所得分布というか、そういうところに着目して提案するべきだと思います。
最後になりますが、生活支援サービス付きの高専賃となったときに、今、問題が起
きているのは、訪問介護事業所併設で、中に抱え込みでやっている状況というのが
多々あります。私が申し上げたいのは、それはだめだと言っているのではなくて、ま
ずは、住んでいる方がサービスの自由選択ができることが大事だと思います。それを
よい意味のビジネスモデルということで、アパートをつくって、訪問介護事業所をつ
くる、しかし抱え込みをやらない、そこで入居者が介護度が上がっていく状況になら
ない施策をここで打っていく必要があるだろうと思っております。
それから、生活支援サービスのところで、私は訪問介護サービス相当だと思ってい
ません。軽度の方々は、買い物ができないとか、移動するのに困っていると思います。
つまり、介護給付の外にあるサービスをもっと充実させて、地域づくりということを
やっていかなければいけないだろう。こういうことを今日の説明資料の中で感じまし
たので、特に厚生労働省がイメージを持っている生活支援サービス付き高専賃という
のはどういうものなのか、具体的に最後に聞いてみたいと思いますが、以上です。
○山崎部会長 御質問がありました。
○水津高齢者支援課長 66ページのものがまさに一つの例でございまして、横浜の日
吉ですが、近隣に特養がございます。その特養に入所した場合の御負担、これは勿論
補足給付ということで、支援を受けていない第4段階より上の方になりますけれども、
月のトータルの負担で、こちらの高齢者住宅に比べて、近傍類似の立地の特養で月2
~3万円ぐらい安いということでございます。
したがいまして、社会福祉法人と違って税金も納めておりますので、確かに低所得
者が入れるかという点で御疑問はあるかもしれませんが、相当数の高齢者の方がこう
いうところに入って、サービスは介護、その他の生活支援サービスをきちんとセット
で付けていくということが大事な対策なのかなと思っております。
○山崎部会長 久保田委員、お願いします。
○久保田委員 ありがとうございます。私から2点申し上げたいと思います。
1つは、29ページの介護保険施設の整備方針に関するところでございます。
今、一部例の中でお話も出ていましたけれども、高齢者の居住環境を今後質量とも
充実させていくというのが喫緊の課題でございまして、その場合には、社会福祉法人
と民間事業者の役割分担をきちんとしていくということが重要ではないかと考えて
おります。社会福祉法人の役割としては、老人福祉に特化すべきである一方、不足す
る中間所得層へのサービス提供の拡充には、民間事業者の活力をもって対応するとい
うことがいいのではないかと考えております。
それから、地域住民に対する生活支援を手がける事業者に対しては、公的な助成と
か融資を行うなどの推進策も必要と考えております。
もう一つの論点、71ページでございますけれども、有料老人ホームあるいは高専賃
のあり方の検討がこれから進められていくわけでございますけれども、その際には、
それぞれの事業者が異なるビジネスモデルの下で事業を展開しておりますので、事業
者の声をよく聞いたうえで、対応を検討してもらいたいと思います。よろしくお願い
いたします。
以上でございます。
○山崎部会長 田中委員、お願いします。
○田中委員 御承知のように、施設に働く介護職員は、離職の問題でいいますならば、
在宅で働く方々よりも高いというのはこれまでのデータで明らかになっております。
その理由としては、勿論賃金の低さが挙げられておりますけれども、それに対して、
昨年の介護報酬の改定や、その後の処遇改善交付金の中で手当てをされているところ
ですけれども、それ以外に夜勤時間帯における不安という声が挙がっています。
特養におきましては医療ニーズが高く、また重篤化が進んでおります。勿論このこ
とについては、特養における看護と介護職員の医療のあり方についての検討が進めら
れているわけですけれども、もう一点考えていただきたいのは、資料の34や7ペー
ジにもある現行の介護職員の配置基準について考え直していただく必要があるので
はないかと思っております。
特養等におきましては、看護・介護は3対1以上となっています。しかし、この数
は、日中3人の利用者に対して1人の職員が配置されているものではありません。32
ページの資料にありますように、これからの介護は個別ケア、すなわち利用者一人ひ
とりの個性や生活リズムを尊重したケアを実施することが求められております。これ
はユニットケアだから個別ケアを行うものでは決してなくて、利用者が暮らしている
すべてのところでそういったケアが実現しなければならないわけです。
一方では、介護労働は感情労働とも言われています。すなわち、利用者様の満足を
得るために笑顔を求められる職業でもあります。しかし、御承知のように、高齢者虐
待防止法の制定以降、国は毎年、施設等における虐待の実態について調査しておりま
すけれども、その調査結果を見ましても、残念ながら施設においては虐待の件数が増
えているというのが実態になっております。
虐待を決して許してはならないわけですけれども、介護労働者、介護で働く人たち
がぎりぎりのところで働いている労働環境を改善するために、少なくとも配置基準に
ついての見直しをきちんとしていかなければ、今後、俗に言われますところの権利意
識の高い、それは私も含めてそうですが、団塊の世代の利用ということを考えますな
らば、これがこのまま放置される問題ではありません。
介護という仕事が安全でかつゆとりあるサービスになるためにも、是非これからは
この部会の議論の中においても人員配置の基準についての見直しということを検討
していただきたいと切にお願いします。
○山崎部会長 ありがとうございました。
井部委員。
○井部委員 私は、29ページの論点についてお伺いしたいと思います。1番目に在
宅・施設サービスを利用できるようにするということなのですが、これからの介護保
険施設の整備につきまして、例えば要介護4、5の方は施設サービスを重点的にする。
待機者も多いことから、そのようなことが期待されているのではないかと思いますが、
要介護度によって重点的にどこを整備してケアマネジメントしたらいいかというこ
との見直しをもう一回してもいいのではないか。
今、この3施設の施設類型があるにもかかわらず、とにかく空いているところに入
らなければいけないということがありますので、もう少しめり張りを付けて、要介護
のタイプ別にどのような施設、あるいは在宅で生活が送れるようにするといっためり
張りを付けてもいいのではないかと思っております。まず、それが論点1についてお
伺いしたいことです。
それから、29ページの3番目の論点で、それぞれの施設の入所者像をどのように考
えるかという、この入所者像を1番目と関連いたしましてある程度設定して、在宅で
の暮らしを重視するのか、施設のサービスで生活するようにするのかといったことを
考えてもいいのではないかと思います。したがって、施設や在宅でニーズに応じて、
多くの方がおっしゃっておりますが、それにこたえるためのサービスを提供する側の
体制が整っていないのに、施設を立派にしてもサービスが追い付いていかないという
ことがあります。
一方で、今の3対1などでは十分なサービスを提供できなくて、提供者側の疲弊を
招いているわけですから、めり張りを付けてきちんとニーズに応じたサービスができ
るような人員配置を、再整備を緊急にする必要があるのではないかと思っています。
今日の資料の52ページ、特別養護老人ホームに医療サービスが必要になってきて
いると言いながら、例えば看護職員の体制で、真ん中辺りの夜間の体制を見ますと、
必ず夜勤の看護職員がいるというのがわずか1.7%でありまして、オンコールで対応
しているのが75.9%もあります。
オンコールというのは、だれかが判断してナースを呼ぶという判断をする作業を、
施設の中にいる介護職員がやるわけでありまして、非常に矛盾している。判断すると
いうのがとても重要な作業であるにもかかわらず、医療のことを判断して呼ぶという
大事なところを、ナースや医療職がいないでやっているという矛盾した体制であると
いうことを早急に検討する必要があるのではないかと思います。
以上です。
○山崎部会長 事務局の方からお願いします。
○水津高齢者支援課長 最初の方に御質問があったかと思います。29ページの論点の
1と3でございますが、委員が特に御指摘されました、要介護度に応じた施設のあり
ようというものをもう少し考えるべきでないか。
その点、3の方で入所者像と書いてありますが、基本的にこちらの論点として御提
示させいただいているつもりでございます。要介護度も勿論でございますが、医療ニ
ーズとか家族の状況の中で、それぞれの施設の入所者像、どういう方を中心として受
け入れるのか。その辺について論点の一つと考えております。
あわせまして、1では、介護保険制度、契約によるものでございますし、それから
御本人のニーズ、選択、意思も大事でございますので、分けて書いてあると御理解い
ただければと思います。
○山崎部会長 発言いただいていない齊藤委員、お願いします。
○齊藤(秀)委員 ありがとうございます。
介護基盤の緊急整備の状況の報告がございました。3か年で16万人、緊急整備を
しようと。26ページでございます。2か年の見込みを含めた状況がようやく50%を
超えたというところでございます。さて、3か年で目標が果たして達成するのかどう
か、この数字を見る限りはいささか不安なところもあるのですが、どのような見通し
を立てておられるのかということが1点、御質問でございます。
それに関連してですが、先ほど来出ておりますので、くどくどと申し上げませんが、
特養待機者42万人。これはマスコミ報道も含めて、今日もお話がありましたように
たびたび数字が使われております。確かにこのとおりでありますが、多くの委員から
出ていますように、果たしてこれをどう読み取ればいいのかということがいろいろと
異議のあるところでございます。
過日、全国老施協さんの方では、20万人ほどの規模での施設整備が必要ではないと
いうこともございました。一方、厚労省の方は特段のことは書いてございませんが、
意図を感ずるのは、在宅の6.7万人がポイントではないかと読み取れないこともない。
つまり、さまざまな幅のある話がひとり歩きしておりまして、一体どう考えていった
らいいのか、ポイントが見えない中で議論しているように思います。
この入居者の問題を把握するということは、確かに難しいことは承知いたしました。
しかしながら、何らかの方法で共有できるような理解をしていきませんと、ずっとこ
の話が長引くのではないかと思いますので、葛原委員からもお話がありましたように、
何らかの方法で整理していただければありがたいと思っております。
個室ユニットの話でありますが、状態像が介護3施設とも要介護度が非常に高くな
っていっているという状況がございます。ユニットという形態が本当に機能している
のかどうかも含めて、個室については大賛成で、これについてどなたも異論がないだ
ろうと思います。しかし、ユニットについては、昨日の分科会の中でも、いろいろな
バリエーションがあってもいいのではないかというお話があって、これは今後、余り
型にはめずに、さまざまなユニット体験を基にした多様なバリエーションというもの
があってもいいのではないか。ケアは発展途上だと理解すべきではないかと考えます。
それから、多床室の議論については、多床室をおっしゃっている自治体の方々も、
多床室が欲しいというのではなくて、個室でありたい。しかし、待機者とその費用の
問題がいつもあるわけであります。私は、個室で今の状況では、低所得者のみならず、
第4段階の方であっても相当厳しい入居条件にあるのではないかと見ております。つ
まり、多くの方々が利用しにくいものを幾ら整備しても、それは現実的ではないとい
うことで、多床室の話が必然的に出てくるのだろうと思います。
そういうことへの対策が出て来ない限り、私は多床室議論というのは消えてなくな
らないのではないかと思います。今日、結城委員がおっしゃったように、ファースト
ベスト、セカンドベストとおっしゃるのは、このとおりなわけであります。苦肉の策
で、こういう方法で、しかし福祉的な配慮をしていかないと、落ちこぼれになってい
く待機者がたくさんいるのではないか。そのことは私も同様に懸念いたします。個室
ユニットに限らず、個室というものは重視しながら、ユニットのあり方を考える。
更に、今の多床室の議論がなくなっていくように、しっかりとした対策というもの
を是非講じていただくようにお願い申し上げたいと思います。
以上であります。
○山崎部会長 ありがとうございました。
小林委員、お願いします。
○小林委員 59ページ、施設類型のあり方に関する論点の中で、「老健施設では在宅
復帰支援機能が十分果たされなくなってきているのではないか。入居者の状態像の変
化に合わせて、柔軟に医療サービス等を提供できるようにすべきではないか」とあり
ますが、これらの問題に対しましては、施設に着目することから、入居者個々人の状
態に着目していく方向を探って、医療サービスなどを外付けのサービスとしていく方
向で検討していくことでいいのではないかと思います。
この問題は、医療と介護の連携に関わる部分でありますし、これまでの考え方と大
きく変わるものとなりますもので、今後の検討に当たりましては、施設内で過剰な医
療サービスがなされないように配慮しながら、十分な議論ができるように時間を確保
していただきたいと思います。
○山崎部会長 齊藤正身委員。
○齊藤(正)委員 59ページですが、3番の施設における医療サービスのことですけ
れども、外付け、それから特養における必置規制とかいろいろ書かれていますが、類
型のあり方に関する論点なのだから、これでいいのかもしれませんが、私の意見は、
特養の嘱託医のことです。
老施協のターミナルケアの研究班に3年ほど続けて関わらせていただいた経験か
ら言うと、ターミナル時期を迎えたときの職員の不安とか、どうしたらいいかと判断
に迷うときに、勿論看護のスタッフもいるわけですけれども、医師の判断がかなり重
要なことだと思います。
その研究のアンケートにもたしかあったと思いますが、医師と介護職の接点がほと
んどないということや、それから嘱託医自身の問題ですけれども、嘱託医が専門的な
知識を持っている方とは必ずしも限らないというのが、本当にこのままでいいのかと
いうのを疑問に思っています。介護療養型、老健では、医師の研修はかなりやってい
ると聞いておりますし、特養でも、外であろうと、内であろうと何らか関わる医師が、
経験はともかく、それなりの知識を持ったり研修を受けたりということが必要なので
はないか。
そういうことも、今後の制度設計の中に附帯で入れていっていただいた方がいいの
ではないかと思っております。
○齊藤(秀)委員 部会長、済みません。先ほど緊急整備の。
○山崎部会長 予定の時間も大分超えておりますが、簡潔にお願いいたします。齊藤
委員。
○齊藤(秀)委員 先ほど緊急整備の見通しにつきまして質問させていただきました。
○水津高齢者支援課長 26ページでございます。
2年間トータルで半分を少し超えたところ、56%ぐらいだと思いますけれども、そ
ういう形になっております。特に21年度、2.7万人分ということで、16万の3分の1
より随分少なかったということが大きく影響していると思いますが、22年度、6.1ま
で行きましたのは、昨年暮れから公共団体の方に再々、厚生労働省としても働きかけ、
依頼してこういう数字が出てきた。
したがいまして、施設整備は時間がかかりますから、23年度の数字をきちんと上げ
ていくためには、現時点からまた引き続き公共団体の方に事情等を説明し、お願いし
ていくということが大前提かと思います。
あわせまして、先ほども資料の説明のときにもちょっと触れました、個室ユニット
の基準面積を引き下げるとか、あるいは部会でも議論が出てまいると思いますが、
37%の参酌標準を廃止すると、規制改革の関係で閣議決定されておりますので、こう
いったもろもろの対策を講じて、厚生労働省、我々としては3か年間で是非16万床
という目標が達成できるように引き続き頑張っていきたいと考えております。
○山崎部会長 ありがとうございました。
○川合委員 関連で。
○山崎部会長 では、川合委員。
○川合委員 私、発言するつもりは全然なかったのですけれども、発言がありました
のであえて言わせていただきます。
今おっしゃった、本来のリハビリ機能などの在宅復帰機能が十分に果たされなくな
っているのではないかというところで御指摘がありました。その前の行の機能の特養
化。我々はリハビリをしております。その中で先ほど私、くどく申し上げたつもりで
すけれども、我々のこの長期化の理由が、「等」ということでおとなしく引き下がる
つもりでありましたけれども、リハビリしていないと断言されたのでは、私は看過で
きない。私はしております。会長として職責をかけて申します。
ただ、高齢化という問題と、老老介護という問題と、病院からいろいろ制度が変わ
って医療度が多い人たちが入ってきている中で、リハビリをして地域コミュニティが
整備されていますか。追い出していいのですか。私、都道府県の実地指導のときでも
現職のときに申しましたけれども、本当に当該の地域コミュニティは努力なさってい
るのでしょうか。老健だけが収入のために長期化していると判断されるかどうか、
○小林委員 私が申し上げたのはそういうことではなく、論点としてあげられている
点について、弾力的にこれを考えていくことでいいのではないかということでして、
特にリハビリをやっていないとか、そういうことを申し上げているわけではございま
せん。
○川合委員 私どもの若い仲間は賢明に頑張っています。でも、地域の受入体制がで
きないのであれば、追い出しということは考えたくもない。その結果、長期化してい
るという現実を把握していただきたい。
○山崎部会長 北村委員、お願いします。
○北村委員 先ほどの26ページの介護基盤の緊急整備の話でございますけれども、
サービスの内容、対象者も違いますし、自治体別で内容も違います。グロスの数字は
確かに御指摘のとおりだと思います。中身も是非お示しいただきながら、当然計画が
ありますので、そういったものの詳細を考えていかなければいけないのではないかと
思っている次第でございます。
それと少し追加で、7ページにあります特定施設の基準。介護保険施設、介護施設
とか、いろいろな表現が使われていますが、そもそも特定施設は適当な広さ。私の理
解では13平米以上とかあるはずです。過去には確かにこういう意見があるかもしれ
ません。これでいきますと、ほかの比較にならなくて適当な居室面積にて特定施設が
できているのかなと見られるので、おかしいなと思っている次第でございます。
同じく施設のあり方、類型のような話ですが、特定施設、有料老人ホームは、医療
もそうですけれども、当然、一定の配置基準で提携医療機関という形でやっていくは
ずですが、そこの調査をせずして、54か所の設置のあるところでの調査されています。
ここも提携医療機関で当然往診をしております。その件数等も拾っていただくことが
必要ではないかということが必要と思います。
最後に、施設類型ということで、地域包括ケアの中では、先ほど三上委員の御指摘
がありました、サービスの内容とか医療の度合いで分けていくということを言われて
おりますけれども、今回、有料老人ホーム及び生活支援付き高齢者住宅という分野に
分けていて、ここは多分、64ページにあります高齢者居住の安定法の中で計画をつく
りましょうということの整備をされているから一緒になっていると思いますが、そも
そもその手前にあります現状の62ページの老人福祉法と法律が違うというところと、
内側にサービスがあるものと外側にあるものという分類、そこの整備も是非考えてや
っていただきたいというお願いでございます。
○山崎部会長 事務局の方からいかがでしょうか。
○水津高齢者支援課長 お尋ね、特に資料の点かと思いますが、また特に16万床の
施設ごとの内訳ということかと思いますけれども、その辺の資料はまた次回の部会な
りでお出しできるようにしたいと思います。
○山崎部会長 どうしてもという方がおられましたら。では、木間さんから。
○木間委員 71ページの高齢者の住まいに関する論点でありますが、高齢者専用賃貸
住宅、高専賃の入居者は、民間会社の調査によれば、約7割が要支援以上の高齢者と
言われています。また、高専賃の約半数は介護サービス事業所を併設していると言い
ます。利用者にとって問題となるのは、介護サービスの質とお金、利用料金です。
まず、利用料金についてです。高専賃の多くは、高専賃事業者が介護を提供してい
るのではなく、併設された介護サービス事業所が提供しています。この場合、制度上
は、在宅で介護を利用することと同じ扱いになりますから、支給限度額を超えて利用
すると全額自己負担になります。その結果、介護が重くなると高専賃を退去して、特
養や介護付き有料老人ホームに移らざるを得ない人たちがいます。
高齢者が集団で暮らす住宅に、併設されている事業所がケアを提供するわけですか
ら、集団ケアを認めた報酬設定が必要と思います。ついの住みかとなり得る料金設定
でなければ、特養の待機者は更に増えていくと思います。
次に、高専賃に限らず、高齢者向け住宅の介護サービスの質の問題です。入居者の
多くはいずれ重介護になります。果たして併設されている訪問介護などの事業所は、
長年の介護の蓄積がある特養レベルの介護を提供できるのかという不安があります。
私は、個室ユニットの件で特養の方に厳しいことを申し上げておりますが、蓄積のあ
る特養の介護サービスの質はすばらしいレベルと思っております。
介護サービスの質に関したハードの面の問題ですが、重介護になりますと、入居者
にすぐ対応できるヘルパーステーションのスペースが必要になってくるでしょう。そ
うしなければ、経済的な理由だけでなく、介護サービスの質への不安から退去せざる
を得なくなるという問題が起きてきます。
都道府県に高専賃の登録をしていない高齢者住宅の苦情なかには、1部屋に複数の
高齢者を寝かせ切りにしている。外出を禁止している。この場合、かぎをかけていま
す。食事内容がひどい。おなかがすいた、おなかがすいたと言うので調べたら、食事
が1日2回でした。お風呂に入れてもらえない。通帳や印鑑を取り上げられている。
自分の部屋で亡くなっているのを数日間、発見されなかった。これは、フロアが別の
ところにデイサービスがあった例です。このような苦情が見られます。
有料老人ホームに対しては、都道府県知事に立入検査、業務改善命令などの権限が
ありますが、高専賃にはその権限はありません。劣悪なサービスを提供する事業者が
高齢者住宅市場に参入しにくい仕組み作りが必要です。例えば、高齢者向け住宅のす
べてに届け出と情報開示を義務付けることです。現在の高専賃の情報開示は、高専賃
事業者と介護サービス事業所とは異なることから、要介護状態の人がどういう状態で
あるか、どのような介護が提供されているか、サービスの質はどのようなものか、全
く公表されていません。
また、都道府県が高齢者向け住宅への立入検査や業務改善命令などを行えるように
することが必要です。
○山崎部会長 御意見でした。
では、橋本委員、お願いいたします。
○橋本委員 ショートステイについて少し発言させていただきます。
居宅介護サービスのショートステイ、短期入所サービスというのは、言ってみれば
リピーターの方がケアプランに基づいて利用されるわけでありますけれども、実際に
は緊急のショートステイというのは非常に大きいニーズが地域の中にございます。虐
待対応を含め急に何か事態が発生して保護しなければいけないときにショートステ
イをうまく使えるようにする仕組みというのは、どうしても必要ではないかと考えて
おります。
それは、普通の介護保険の中で運営されているショートステイというのは、経営上
もニーズの側からいつでも空けておくわけにはいきませんから、いつも大体いっぱい
になっているわけです。この緊急のためのショートステイを何とか確保していく仕組
みを、是非ご検討いただきたい。そのように強く思います。
○山崎部会長 ありがとうございました。
では、結城委員。
○結城委員 済みません、事務局に1つだけ素朴な疑問で、今日答えられなければ別
に構いませんが、人員配置の基準のところで、多床室とユニット個室が3対1という
最低限のレベルになっているのですけれども、とりあえずユニットと多床室は、指導
監査とか基準上でも、個室ユニットでも3対1でぎりぎり安全性を保てるという理解
でやっていると理解してよろしいのでしょうか。それだけ1点です。
○山崎部会長 よろしくお願いします。
○水津高齢者支援課長 人員配置、実態を見ながら徐々に手厚くしてきておりまして、
今3対1になっているわけですが、基本的な考え方としては、今、委員言われたよう
に、それから先ほど桝田委員からもお話がありましたように、最低限これだけはいな
ければならないという考え方で設定しているものでございます。
○山崎部会長 時間が大幅に超過しているので、では一言でお願いいたします。
○葛原委員 先ほどの特養のニーズがどれだけあるかということで、市町村にお願い
しているというお返事があったのですが、石川委員ですか、県とか市町村では把握で
きないということをおっしゃっているわけです。日本の疫学調査も、病院とか施設で
やるから全く信用できないデータで、これは一人ひとりの住民を基礎にしたデータで
ないとだめです。せっかく住民基本台帳とか介護保険のナンバーが高齢者にあるわけ
ですから、是非それをベースに本当のニーズがどれだけあるかということで、こうい
う制度設計をしていただきたい。それが私の要望です。
○山崎部会長 ありがとうございました。
これから11時6分まで休憩をとります。
(休 憩)
○山崎部会長 それでは、再開したいと思います。
後半として、まず(3)低所得者への配慮のあり方につきまして、事務局から資料
の説明をお願いいたします。
○古川介護保険計画課長 72ページ以降、低所得者への配慮の在り方というところで
ございます。
大変時間が押しておりますので、現状の制度などにつきましては、恐れ入りますが、
省略させていただきまして、79ページになりますけれども、論点のみ説明させていた
だきます。
先ほどからもお話がありましたように、低所得者に対する支援をどのようにするか
という中で、居住費に係る利用負担が重いユニット型個室入所者に対する負担軽減に
ついてどのように考えていくのかということ。
また、現行制度におきましては、低所得者対策としての補足給付の対象となってい
ないグループホーム入所者の方への家賃助成について、どのように考えるかというこ
と。
3点目でありますけれども、補足給付につきまして公平な制度とする観点からは、
対象者をより確実に把握していくことを検討すべきではないかということを論点と
して整理させていただきました。
以上でございます。
○山崎部会長 ありがとうございました。
桝田委員、お願いします。
○桝田委員 今日、お手元に資料といたしまして、委員の皆さんにはこの本をお配り
しております。
特別養護老人ホームに入所されている方の所得、それから家族等の意向。もう一つ
は、居宅介護支援事業所を併設しているところの事業につきましては、入所希望を出
している方の意向調査が出ています。
それで、時間がございませんので簡単に申し上げますけれども、3ページをごらん
になっていただければわかると思います。本人の年金収入から今入っている施設の類
型をグラフ化したものです。
所得の少ない方ほど多床室の利用者が多くて、収入が増えれば増えるほどユニット
型が増える傾向が完全に出てきています。やはり特別養護老人ホームに入る場合に、
本人の所得に応じて、今の補足給付の部分から言うと、施設を選んでいくしかない。
いわゆる多床室を選ぶのか、個室を選ぶのか、ユニット型を選ぶのかというのが、こ
のグラフで出てきています。
それで、十分ではないですけれども、この補足給付によって、低所得者の方が特別
養護老人ホームで生活を続けられるという現実問題があると思います。この方たちの
行き先がなくなってしまうということがかなり濃厚に出てきています。補足給付自体
を介護保険から切り離す論議というのがございますけれども、その場合に、例えば生
活保護にした場合、資産調査云々、いろいろな問題点がございますけれども、利用者
にとって、特養等の利用制限にかなりつながってしまうだろうという部分で、補足給
付の堅持が必要ではないかというのが、この調査でも出てきています。
内容的には、後で見ていただければと思います。
○山崎部会長 ありがとうございました。
続きまして、結城委員、お願いします。
○結城委員 補足給付について、先ほど御説明した私のペーパーをごらんいただきた
いと思います。
本来、補足給付は低所得者対策であり、介護保険制度の中に入れていること自体は、
私は問題であるという認識でございます。本来は、老人福祉制度の枠組みでやるべき
だと思います。しかし、現在、介護保険から補足給付を外した場合に、特定財源とし
て代替的な財源措置がなされるのかどうか。これは、私の認識では非常に低いと考え
ています。しかし、それは私の認識ですので、もしこれを外した場合に事務局の方で
きちっと予算要求なり何なりできるのであれば別ですが、その点について質問は後で
したいと思います。
ですから、もしこれが財源復帰ができない場合は、社会保障制度上、整合性に疑問
がないわけではありませんが、外すというのは私は利用者のことを考えるとやめた方
がいいという考えでございます。
もう一点の論点としては、補足給付、第1、第2、第3段階と決めるのは、ある程
度所得のフローについて考えていますが、若干は資産とか、そういうものも含めなが
ら考える議論は、今後していくべきだと私は思います。
事務局に対して質問は以上でございます。
○山崎部会長 とりあえず事務局から回答をお願いいたします。
○古川介護保険計画課長 補足給付制度を保険から外した場合に財源確保できるの
かということでありますけれども、事務方としてはなかなか断定的なことは難しいの
ですが、先般、6月22日に閣議決定されました財政運営戦略によりますと、財政確
保ルールというものがございまして、歳出増を伴う施策の新たな導入・拡充の際は、
恒久的な歳出削減によって、それに見合う安定的な財源を確保する。いわゆるペイ・
アズ・ユー・ゴー原則にのっとって要求せよということになっておりますので、何か
ほかの施策との調整がとれるかどうかという意味においては、なかなか厳しいところ
があろうとは思っております。
○勝田委員 今ほど結城委員もおっしゃいましたが、やはり先ほどの段階で、特養を
使っておられる方の市町村民税非課税世帯の割合は約8割。そして、老健や介護療養
型では5割ということが出ております。そういう中で、本来、介護保険料を集めてい
るわけですから、実際のサービスに使うべきだと思います。
そういう点では、補足給付は法的な部分、公費から別個に負担すべきものと考えま
すが、今も答弁がありましたが、それのめどが立たない。生活保護以外のもので、本
来はすべきものを介護保険の中から出しているということは、逆にいうと、介護保険
料のそれぞれの個人負担分の増加につながるのではないか。ですから、対策がないか
らとどめるべきという考え方だけでいいのかどうかは、もう少しやるべきではないか
なと思っております。
あと、療養型は別個にやるのでしょうか。今、やるのでしょうか、座長さん。
○山崎部会長 療養型は最後でございます。
○勝田委員 最後ですね。
そういう点では、8割に至っている、利用者の全体が非課税世帯であるということ
を考えますと、ますますこれからは補足給付が増えていくでありましょうし、また現
在やられていないグループホームや地域密着型も、当然補足給付がされるべきだと考
えます。そういう点では、本来の意味での介護保険以外のところで真剣に財源確保も
していただきたいと思います。
○山崎部会長 吉田委員、お願いします。
○吉田委員 補足給付につきましては、先ほど結城委員と今、勝田委員の言ったこと
は、本当にそのとおりと思います。
低所得者に対してだけでなくて、前半の意見を聞いていますと、個室が高いから、
しようがなく多床に入るということ。また、73ページの給付費の表を見ていますと、
平成20年度で2,400億円ぐらいですか。介護全体の多分3%とか4%ぐらい、補足給
付で占めているのではないでしょうか。だから、介護保険にとって、この補足給付と
いうものはちょっと重くなっている。だからといって、これをなくせと言っているの
ではないのですが、そこで何かしら手だてを考える必要があると思います。
ちょっと事務局の方に確認なのですが、補足給付はグループホームには適用されな
い。普通の特養は、74ページを見ますと、負担限度額の生活保護受給者であれば3.5
万円、多床の場合は1万円。これは、生活保護から出される生活扶助を受給して、そ
の上で払うという理解でいいのか。また、グループホーム入居者については、サービ
スは生活保護の介護扶助で現物給付される。食費は生活扶助をもらって、そこから払
う。そして、入所に関わる費用については、生活保護の中の住宅扶助が適用されると
いう理解で正しいのでしょうか。
○山崎部会長 お願いします。
○古川介護保険計画課長 まず、グループホームについてでございますけれども、グ
ループホームは施設ではございませんので、自己負担1割につきましては、介護扶助
により現物給付され、生活費につきましては生活扶助で対応するということでござい
ます。
また、その利用料などにつきましては、例えば、転居に際し、資金を必要とする場
合につきましては、住宅扶助の基準の範囲内でその対象となることになっております。
また、特養などに入所した場合でございますけれども、生活費につきましては、介
護施設入所者生活基本費で対応し、それに加えまして食事につきましては介護扶助が
適用されることになっているということでございます。
○山崎部会長 はい。
○吉田委員 先ほどグループホームは住まいだからという話があったのですが、高齢
者にとって施設というのは、グループホーム以外でも住まいという視点から考えてい
くべきであると考えます。住まいという点では、前半の議論にまた戻ってしまうので
すが、ユニット型個室を原則として、それを進めていくのが重要になってくると思い
ます。
それは勿論、生活保護受給者、低所得者であっても、個室という原則は守られるべ
きと考えるのですが、補足給付、低所得者対策を保険という制度の中でやっていくの
は無理、おかしいと考えます。保険というのは、リスクの分散、水平的な再分配機能
というものを重要視するのであって、垂直の方は税が担うべき役割と考えます。その
点では、できれば理想的には介護保険制度の外に、公費でそういう住宅についての手
当てをしていく仕組みをつくっていくべきであると考えます。
前半、たしか木間委員の方から横浜の例が紹介されたのですが、必ずしも横浜がそ
うであるということではないのですが、体力がある地方公共団体だけができるという
のではおかしいと思います。その点では、国の制度として住宅、高齢者の住まいを保
障するような仕組みをつくっていくべきであると考えます。
先ほど古川課長の方からは、財政運営戦略のペイ・アズ・ユー・ゴー原則で、財源
が確保されるまでは難しいというお話もあったのですけれども、旧政権時代に失業者
に対しては住宅補助をするという、時限的な制度なのですが、そういうこともありま
すので、そういうのを参考にして、高齢者に特化したものでもいいのですが、生活保
護の住宅扶助ではなく、より普遍的な高齢者に特化した住宅支援みたいなものをやっ
ていく必要があるのではないか。
それは、来年の通常国会にすぐ提出するというのではなくて、もうちょっと中期に
見てもいいのかなという気がするのですが、それを検討していくのは、やはりこの介
護保険部会の役割であると考えます。何人かの委員からも話があったのですが、その
ような仕組みをつくっていく場合は、本当にその対象者のニーズがあるのか。現在は
所得だけで見ているのですが、資産の方も含めて、少し厳格にしていく必要があると
考えます。
以上です。
○山崎部会長 三上委員、お願いします。
○三上委員 補足給付が矛盾した制度であるということは、当初からずっと指摘され
ておりました。今回、食事・居住費を保険外にした。これは在宅との整合性をとると
いうことで保険外にしたのに、介護保険の方から補足給付を出している。基本的に保
険給付となったわけで、事業税の課税の対象となっているわけです。ただ、医療保険
の方は、食事・居住費は自己負担額が増加する形で療養費の中なので、こちらの方は
非課税だという矛盾があります。
これを保険給付をやめるということになりますと、今、2,396億円と書いてありま
すが、もう2,800億円ぐらいになっているかもしれませんけれども、実際にこれぐら
いの財源がどうかということです。先ほど所得フローで計算されているということな
のですが、昨日の給付費分科会で池田委員の方から出てきたのは、資産を持っている
方がかなりおられるので、実際には1,000数百億円ではないかということもございま
した。
ですから、これらほとんどの方が保険給付されているのはおかしいと感じておられ
ると思うので、財源の問題があるのでしょうけれども、実際に補足給付分は本来の介
護サービス費用の方に充てていただけるように是非御配慮いただきたいと思います。
○山崎部会長 ほかに。葛原委員、お願いいたします。
○葛原委員 私も補足給付は保険の範疇ということではなくて、低所得者への福祉措
置として公費で賄うべきであると考えております。資産の確認とか家族の負担能力な
ども考えて、対象者の審査を厳密に行うことなく補足給付が行われている現状を放置
したまま、これを保険給付として継続することには反対ということでございます。
○山崎部会長 川合委員、お願いします。
○川合委員 今、三上先生からお話がありましたように、分科会を思い出しますと、
三上先生と私が強力にお話をさせていただいたのが、ようやくこういう俎上に乗って
きたということで感謝申し上げます。
冷静に考えてみると、50何ページでしたか、そこで「等」ということも言いました
けれども、事務局にお願いしたいのは、惻隠の情を持って即断の文章を書いていただ
きたい。こういうふうに「老人保健施設は」と書かれてしまいますと、私も言わざる
を得ない立場でございます。どうぞ惻隠の情をお持ちいただきたいと思います。
○山崎部会長 河原委員、お願いします。
○河原委員 働く者の立場から言います。グループホームに働く人のやるせない思い
というのをちょっとお伝えしておきたいと思います。
今、グループホームの方でも補足給付がございませんので、入る人がかなり限られ
ているということで、経済的なゆとりがある人とか貯金がちゃんとある方しか入れな
いことになっていると思います。この前もある方と話していたのですけれども、そこ
に働く人たちは高齢者に寄り添う仕事が大好きでやっているんですけれども、グルー
プホームの方なのですけれども、大変恵まれた方しか入れないということに対して、
大変やるせない思いをしている。
本来はもっとサービスが必要な人にサービスを提供したい。グループホームのこと
に限って言っていますけれども、なかなか提供できない働く人のやるせなさというの
を聞いておりますので、グループホームあるいは高齢者専用賃貸住宅の方にも、今そ
ういった手の差し伸べ方はありませんけれども、10年の介護保険制度の議論の中で、
1つ大きな改革の中でグループホーム、あるいは高齢者の専用賃貸住宅にそういった
手の差し伸べ方、給付ということになるかと思いますけれども、そういったことを是
非改革の目玉の一つにしてほしいなという希望を申し上げさせていただきます。
○山崎部会長 橋本委員、お願いします。
○橋本委員 今、グループホームはお金がある程度ある方が利用というお話もござい
ましたが、一方でユニット型特養と違って生活保護の方も利用できるわけです。問題
なのは、先ほどの論議でもありましたユニット型・個室。ちょっと事務局にお聞きし
たいのですが、今、生活保護の方はユニット型特養を使えない形になっているのだろ
うと思います。これは非常に矛盾があることではないか。その辺の御見解をお教えい
ただきたいと思います。
○山崎部会長 事務局の方からお願いします。
○古川介護保険計画課長 生活保護といいますのは、基本的にある程度、制度が普遍
化するに至ったところで、対象として認めるというのが基本的な考えとしてあるとい
うことだろうと思います。その意味で、現時点でもユニット型個室が全体の定員の2
割程度という中で、今の時点で、まだ生活保護として対象にはなっていないというこ
とと考えております。
○山崎部会長 桝田委員。
○桝田委員 補足給付の問題点を別制度にするということであれば、例えば介護保険
制度自体がいわゆる保険料段階で所得に応じた保険料が決められている。その保険料
で入った時点から低所得者対策というのはつくられておる。補足給付の部分も、制度
的におかしいという議論はあるのですけれども、もし形を変えるのであれば、介護保
険制度内に構築すべきだ。利用者にとってワンストップサービスというのが一番大事
な問題であって、中のいろいろな組み立て部分は検討しても、利用者にとって窓口は
一本であるべきだろう。
それが、例えば生活保護であろうと、違う制度になろうと、また別の窓口に申し込
みせざるを得ないというのは、かなり矛盾点が出てくる。今、介護保険制度内でも、
予防給付と介護給付の使い分けの問題で、利用者にとってはワンストップサービスか
ら外れている問題が、これから論議が始まると思いますけれども、そういう点から言
うと、公費の持っている部分、今、50%の公費の問題点の中で、その中に組み込んで
いくような形を検討すべきではないかと思います。
○山崎部会長 石川委員、どうぞ。
○石川委員 昨日の介護給付費分科会の池田委員の発言の中にもありましたけれど
も、補足給付をどうしていくのかということの中で、いずれにしろ、負担能力のある
人については負担してもらうということで、いわばストック資産調査をやるべきでは
ないかというお話もございました。今もそういう議論があります。
事務局の方に伺いたいのですけれども、私ども現場としては、これはなかなか難し
いのではないかと思っております。いわば資産調査というのはどんな方法でやる可能
性があるのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○古川介護保険計画課長 公平な資産の把握は、公平性という観点からは望ましいと
思いますけれども、自治体の方のお話などを聞きますにつけ、現実的にすべての預貯
金や、資産を、例えば当該自治体ではなく違う自治体に、不動産を有していてると現
実的には把握し切れないという中では、完璧に実施するのは難しいのではないかと思
っているところであります。
○石川委員 完璧でないにしても、不動産等の名寄せ等も含めて、非常に難しいだろ
うと思います。市内の資産であれば、それはある程度掌握の可能性はあると思います。
しかし、最終的には本人の自己申告みたいなところに頼らざるを得ないのではないか
と思います。その辺がどこまで制度としてできるのかというのは、実務的にはかなり
課題になるのではないかと思います。
○古川介護保険計画課長 例えば現行の介護保険制度の中におきましても、補足給付
を特例的に4段階の方に支給する際には、本人の申し立てを基本として資産、貯金な
どを勘案していることを補足させていただきます。
○山崎部会長 川合委員。
○川合委員 実は、窓口が2つになるのではないかという御指摘と、今の石川委員の
把握をどうするのかという御指摘、似通っている問題だと思いますけれども、それま
での医療と介護の横串施設として経験してきました老健としては、申し上げたい点が
1点あります。
個人的な意見ですけれども、問題になるのは情報のセキュリティーであります。老
健は、その2つのものを両方見なさいということで出発した施設ですけれども、最近、
コンピューターのやり方で、私も正確には把握しておりませんけれども、クラウド方
式というのがあります。これはセキュリティーが一番問題になってきますけれども、
京都大学の吉岡教授がやっておられるものでは、1つの背番号でなくても、あの方は
宮崎大学、熊本大学、京都大学、京都府立医科大学という3つの背番号を持った方々
を一度に見られるというクラウド方式を採用されております。
私、お願いなのですけれども、先ほど申された窓口が2つというのも、一部市町村
においては、そういうことを1つの課でされているところもございます。そういうこ
とも踏まえて、クラウド方式ということも踏まえて、何々局、何々省ではなくて、国
税庁の番号とも、セキュリティーの問題はクラウドにありますよ。でも、それは理論
的に可能なのではなかろうかと思います。
○山崎部会長 番号制というのは、今の政府の大きな課題にもなっておりますが、事
務局の方からこれに関して何かありますか。特に。
ほかにございますでしょうか。結城委員。
○結城委員 済みません、時間がないので短く言います。
補足給付のところの個室ユニット型で、確かに2割弱しかいないので、生活保護の
方はまだなかなか難しいという議論はありますが、生活保護の方がユニット個室型で
補足給付で見るということをした方が、平等とか公正とか、いろいろ議論はあると思
います。しかし、そういうふうにした方が、私はよりユニット個室化が進むと思いま
すので、事務局の意見は確かに理解できますが、私はむしろ認めた方がいいと思いま
す。
以上でございます。
○山崎部会長 ほかにございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○山崎部会長 それでは、次のテーマに移りたいと思います。最後になりますが、(4)
療養病床再編成について、事務局から説明をお願いいたします。
○宇都宮老人保健課長 時間がございませんので、簡単に説明させていただきます。
88ページに論点がございますが、こちらの論点について、転換後の患者の望ましい
居場所が確保できるのかということについて懸念する声がある。
一方、仮に転換を凍結した場合、社会的入院につながるおそれがあるということで、
これにつきまして参考に書いてございますが、長妻大臣の方から、夏ごろまでに調査
結果をとりまとめて、その結果を踏まえて議論して今後の方針を決定していくという
ことで、具体的には89ページにございます2種類の調査をしてございます。
療養病床の転換意向等調査、それから医療施設・介護施設の利用者に関する横断調
査ということで、7月7日締め切りで下の調査をやってございまして、それらの結果
を現在集計中でございますので、この結果が出てからの具体的な議論があると考えて
ございます。
以上でございます。
○水津高齢者支援課長 続きまして、施設の設置主体に関する論点、98ページでござ
います。
大きく2つございます。
1つ目は、規制改革の関係で閣議決定がなされておりまして、この中で特養への社
会医療法人の参入を可能とする方向で検討し、結論を得ることとされております。
それから、社会福祉法人と同程度の公益性、事業の安定性・継続性を持つ法人の参
入を可能とすることの是非について検討することとなっております。
こういう観点から、どのような法人を比較・検討の対象としていくべきか、これが
1つ目でございます。
2つ目は、今ほどお話がありました療養病床の転換の関係でございます。
1つの論点といたしまして、転換先として、転換型老健と同様に、医師、看護師配
置を行う特養類型をつくり転換を進めていくべきかということ。
2つ目として、療養病床からの受け入れ先を拡大するため、転換を決めた医療法人
については、特養の設置を認めていくことも必要かということでございます。
以上でございます。
○山崎部会長 ありがとうございました。
いかがでしょうか。勝田委員。
○勝田委員 利用者の立場から言いますと、24年3月31日に再編成するということ
になっておりますけれども、この間、毎年、実態調査をするということでやってきて
おりますけれども、実際にほとんど進んでいない。変換ということも含めてなのです
けれども、本日の資料の84ページに何が一番問題なのかというと、これはお金、費
用の問題だと思います。
ここに数字がありますけれども、医療療養は49万円、そして介護療養が41万円で
す。そして転換型が37万2,000円ということで、従来の老健は31.9万円ということ
で、今の数字だけを見ますと、あえてここに移行するというのはなかなか実際には行
かないのではないか。実態調査をなさって、それが出てくるということなのですけれ
ども、入所者にとっては、いつ、どんなふうになるのか、とても不安でなりません。
そして、それぞれの実態としては、先ほどの医療のニーズのあり方ということもあ
りますけれども、例えば医療が外付けになった場合、そこでみとられる方もとても多
いわけです。先ほどのところに戻りますけれども、介護施設の退所者がどこに、どう
いうふうに行くか。介護療養型では、長い療養生活をなさる方のための施設なのです
けれども、それでもそこでやれなくて、亡くなるのが3分の1、そして医療機関へ重
篤になって3分の1という状態の中で、医療ニーズも外付けという案も出されており
ますけれども、これは入所者にとっては不安でなりません。
そういう点で、費用の問題でどうしてこんなに差があるのか。勿論医師の配置や看
護職員の配置の問題もあるかと思いますが、それに翻弄されているのではないか。そ
して、今、9万床ということですけれども、9万人の方が利用されている。この間の
転換がなかなか進まない中で、実際なさっている方たちの廃業もとても多いのではな
いかと思います。
では、そこから出された方たちは一体どこに行けばいいのかということも含めて、
相手があることですが、誘導的に費用の面で中間をとるとか、こういう手段で本当に
解決するのかどうか。本来必要なら、介護療養は残すべきだと私は思います。そうい
う点で、利用者として不安感のないように是非お願いしたいと思います。
この後、民間参入のこともこの中に述べられておりますけれども、利益を確保する、
利益を追求するという民間導入は、こういう福祉施設に本当になじむのかどうなのか
ということも、利用者としてあえて述べておきたいと思います。
○山崎部会長 三上委員。
○三上委員 98ページに書いてありますが、介護療養からの転換が進まない。転換老
健と同様に、医師、看護師配置を行う特養類型をつくると書いてあるのですが、基本
的に医師や看護師が配置されている療養病床を廃止して、配置されていない特養に医
師と看護師を配置するという話なので、非常に変な話なのですね。
現在、転換老健が進んでいないという話がございましたけれども、実際にもう転換
したところがあるわけですが、そこの入所者特性というのは、介護療養型医療施設と
転換老健は全く同じで、従来老健とは全く違う。ですから、必要な医療、必要な介護
については変わらない状態で、いわゆる介護報酬だけが低くなっている。名前だけが
変わっているという状態である。これが本当に正しい施策なのかということを考えま
す。
ですから、わざわざ介護療養を廃止をして、介護療養的な特養をつくるとか、そう
いう発想がどこから出てくるのかというは、ちょっと理解しがたいと私は考えます。
○山崎部会長 齊藤委員。
○齊藤(正)委員 介護保険制度が始まる前後で療養病床をやっていましたので、当
時のことを思い出すと、療養病床はすべてそのときは介護保険にという話が初めにあ
ったと記憶しています。それがそうは行かないだろうということで、医療保険が半分
残ってもいいよと。その3年後だったでしょうか、介護保険の方がいいよと、細かな
ことは言いませんが。その都度、やっている人たちについては、どっちを向いたらい
いのか、そういうことの連続でずっと来ているのです。でも、入っている人を急に出
して、ほかのところに行かせるわけにはいかないというのが現状であるので、もうち
ょっとじっくり考えなければいけない、まだ時間が必要ではないかと思います。
言葉じりで申しわけないですけれども、88ページの、本来介護保険施設において処
遇されるべき患者が療養病床で処遇されているという「本来」というのが、何をもっ
て本来なのがよくわからない。なおかつ、いわゆる「社会的入院」につながるおそれ
があると言われていますが、介護保険の制度が始まるときに、医療保険で介護を見る
ことがいかがなものか。社会的入院はおかしいではないかみたいな話が大きく取り上
げられたと覚えています。
今どうなっているかというと、介護保険の中で医療が賄われている。この辺の整理
は、時間をかけてじっくりやっていかないと、医療と介護のあり方が、リハビリも勿
論そうなのですけれども、その辺りをどっちでやって、どっちとすっぱり切れという
話ではなくて、ちゃんと整理していかないと、これはまた同じことが起こるのではな
いか。
ただ、病院から施設になっただけで、それは社会的入所と言うのかという話にもな
ってしまうわけですから、もう少しここの辺りは時間をかけるべきではないかという、
廃止がどうのではなくて、思います。
○山崎部会長 ありがとうございました。
では、川合委員、お願いします。
○川合委員 89ページを見ていただきたいのですけれども、私、従来からの主張なの
ですけれども、どうして7対1のDPC病院とか特定機能病院の必要数をこの調査で
把握されないのでしょうか。ほかの部局が把握されているのでしょうか。そういうと
ころから、日本全体の現時点での急性期DPC病院はこれだけ必要なのだ、救急病院
はこれだけ必要なのだ。もしもそれが15日、14日に移行させていく、あるいは1週
間、10日前後に短縮されていくのであれば、受け皿病院はこれだけ必要なのだ。
上からの流れの受け皿だけではなくて、在宅で急性変化をされたときの受け皿とし
ても、どれだけ必要なのだという数字を把握された上で、全体像を把握された上で数
字を出されるべきであって、この調査の場合に、ほかの部局からの資料があったら是
非とも付けていただきたいのですけれども、一般病院と言われているよりも、もっと
高度の医療のところにはどれだけいらっしゃるのかという流れを把握しないと、断片
だけで言われても私、どうかと思います。
それと、私、今回の診療報酬改定でかなりほっとしております。といいますのは、
自法人は3年間赤字が続きました。2次救急部門の経営が壊滅的状態になっていまし
た。今回の診療報酬改定で若干一息つけた。一般的な2次救急が存在し得るためには、
医療法人、社会医療法人にはそういう責務がある。赤字を出しても借入金を加えて、
そういうことをしているのだということも、ご理解いただきたい。
民間参入とすぐ言われますけれども、私は市場を閉鎖するつもりは丸きりありませ
んけれども、我々社会医療法人と同じような覚悟が民間の業者の方に、赤字になった
ら人員削減をするということがないという保障をどこでいただけるのかと私は思い
ます。
もう一つ、これは先ほどのテーマで恐縮ですけれども、66ページを開いていただき
たいのです。実は社会支援サービス付き高齢者賃貸住宅、ここには都道府県、市町村
の代表の方もいらっしゃいますので、私が実際に経営している例を申し上げたいと思
います。
これは以前にも申し上げたかもわかりません。大阪府大東市に住道という駅があり
ます。学研都市線です。そこの回りにいわゆる平屋建ての二戸一の府営住宅がたくさ
んありました。それを建てかえなければならないということで、大阪府は平成6年ぐ
らいから頭を悩ましておられて、私には9年でお願いします。あるいは11年にお願
いしますと前もって言われておりましたけれども、正確にできたのは平成12年で、
その年の7月から私どもが委託運用しております。
府営住宅のそれだけ広い土地を、3棟の8階、7階、4階建てのマンション形式に
しまして、そのうちの一番低層の部分、26ユニットを大東市に運営委託をし、大東市
が私共にさらに委託されました。そこの1階の一番外に面した部屋には、我々の生活
相談員がきちっと24時間常駐しております。平均平米数が、1人部屋、2人部屋あ
りますけれども、40から50平米です。家賃は極めて定額であります。
どういう障害が発生するとか。転倒で来てくださいと電話コールがあったときに、
駆けつけていろいろさせていただくとか、いろいろなことの中で、救急車を呼ばなけ
ればならないのは月間約3例から4例であります。それも入院というのは非常に少な
いというデータがあります。
そういうことを、高専賃もそうですけれども、今、市町村、都道府県で遊休地がい
ろいろあろうかと思います。お金のない折から非常に現実離れした提案かもわかりま
せんけれども、そういう県営住宅、市営住宅の改築に、我々のような医療がわかった
業者を入れられることを私は提案としてお勧めいたします。
以上であります。
○山崎部会長 前半にちょっと質問がございました。療養病床の調査について。
○宇都宮老人保健課長 DPC病院や特定機能病院を把握しないかということでご
ざいましょうか。
○川合委員 全体の流れとして、総障害疾病者数が幾人ぐらいいらっしゃって、その
中で我々が対応すべき、ここからここまでだから、こういう計画を立てましたという
表が欲しい。
○宇都宮老人保健課長 今回の趣旨は、どちらかというと療養病床の問題について調
査するといことで、ADL区分とか、実際どの程度の医療が行われているということ
を調査するということで、老健局としては保険局の方に協力してもらって調査したと
いうものでございます。そもそもそういうところから出発してございますので、保険
局側の方で急性期の方までは、今回対象としていないところでございます。
○山崎部会長 結城委員。
○結城委員 療養病床について調査結果が出ていないので、それが出てから議論した
方が、私は効率的かと思っております。
○山崎部会長 新たな議論をさせていただきます。
○結城委員 それから、98ページの施設の設置ですが、これは事務局に御質問なので
すが、内閣府から社会医療法人とかの問題が出ています。これは私も社会医療法人で
やればいいと思いますが、「また」以下の文章ですけれども、このようなことを考え
ていく場合、この場で議論するのか、これは老人福祉法の施設でもあるので、きちっ
と別途議論する場を設けるのかどうかが1点と。
2つ目の療養病床からの転換が進まないというところですけれども、もし転換を決
めて医療法人について認めていく場合、これのメリットについてお伺いしたいと思い
ます。
2つお願いいたします。
○水津高齢者支援課長 前半の点でございますけれども、テーマも幅広ですし、時間
的な制約もありますが、この保険部会の方である程度方向性について御議論いただけ
ればありがたいなと思っております。
ちなみに、どのような法人を比較検討の対象としていくべきかということを我々は
端的に書いたつもりなのですが、社会医療法人以上にこういう法人というところが、
厚生労働省と内閣府の方で議論していても具体的にイメージがわかないのが現状で
ございます。
2点目のメリットですけれども、制度の仕組み方にもよるでしょうけれども、勿論、
第一義的なメリットは、転換を進めるという誘因というか、誘導策になるということ。
もう一つは、今も社会福祉法人を別途成立すれば特養設置ができるわけですけれど
も、その辺、法人を変えなくてもできるということになれば、事務の効率化なり、そ
ういう面でもメリットがあるのかなと思っております。
○山崎部会長 齊藤委員。
○齊藤(秀)委員 98ページの今の関連したことであります。
社会医療法人に関しては、非常にハードルの高いことをクリアーしている法人であ
りますので、前向きに検討していくべきものと思います。
「また」の「同程度」というところがこれから議論になってくると思いますので、
ここは社会福祉法人の皆様に、どういうメリット、デメリットがあるのか、よくよく
意見をお聞きしていく必要があると思います。そのことがクリアーできない限りは、
利用者といたしましては、同程度というものをどう読むか。ここは非常にわかりにく
い話であります。
この議論をしているさなかに、2の?A、転換を決めたところは認めていいのではな
いかというのは少し拙速な話でありますから、これは手順としてはおかしな話ではな
いかと思います。
それから、その上の転換型もまた新しい類型をつくる。これは、転換型老健のとき
も大きな議論がありまして、本当にこういう方向がいいのかということが大議論だっ
たと記憶しております。介護保険制度は非常に複雑多岐になった。できるだけシンプ
ルにしていこうというのが、たびたびの議論にあるわけでありますから、また新しく
このような類型ができるというのは、利用者にはますますわからない。「何が一体違
うのですか」ということを申し上げざるを得なくなる。
今日は井部委員からも、今ある介護3施設の入所者の状態像そのものも非常に類似
形になってきているのではないかという問題提起をされている中で、またぞろかと。
これは、いかに介護療養病床が行き場を失っているかのあらわれであると思いますの
で、原点に立ち返って、齊藤(正)委員もおっしゃられたように、少し立ちどまって
時間をかけて考えるべきときに来ていると理解すべきではないかということをお話
させていただきます。
○山崎部会長 よろしいでしょうか。ほぼ時間でございますが。小方委員の代理の霜
鳥さん、お願いします。
○小方委員(代理霜鳥参考人) 病床転換のお話にちょっと触れさせていただきます。
今、医療保険、各保険者が財政が厳しい中、療養病床転換につきましては支援金と
いう形で負担をしております。20年度、21年度について拠出はしているわけでござ
いますが、22年度には拠出しなくていいということが突然国の方から言われまして、
どういう状況になっているのか、是非明示していただきたい。これは事務局に対する
要望でございます。
○山崎部会長 事務局からお願いいたします。
○宇都宮老人保健課長 今のお話は保険局のお話でございますので、そちらの方に伝
えさせていただきたいと思います。
○小方委員(代理霜鳥参考人) 是非伝えていただきたいということと。私どもの委
員も医療保険関係の審議会に出ておりますので、新たに要求ではなくて、回答という
ことで出していただきたいと伝えていただきたいと思います。
○宇都宮老人保健課長 了解しました。
○山崎部会長 勝田委員。
○勝田委員 先ほど過ぎたところで申しわけありませんが、介護基盤の緊急整備の中
で16万人分を予定しているということであったのですが、そこで働く人たちの人材
について本当に確保できるのかどうか。これだけ人材不足だと言われている中で、そ
のことについてどのように事務局では考えておられるのか、それをお聞かせください。
○大澤総務課長 介護人材については、別の会合で本格的に議論する場を設けたいと
思いますので、誠に恐縮ですが、その場で御説明させていただきたいと思います。
○勝田委員 もし決まればお知らせいただきたいのですが。
○大澤総務課長 そうではなくて、この介護保険部会で介護人材を検討する機会がご
ざいますので、その機会に御説明させていただきたいと思います。
○山崎部会長 では、簡潔にそれぞれ、橋本先生から。
○橋本委員 今の論議は療養病床のことについてだと理解しておりますけれども、施
設の特別養護老人ホームの設置主体は今、俎上ではないと思っておりますが、非常に
重要な問題でありますので、論議をするのであれば、きちっとした形で時間のあると
ころでお願いしたいと考えます。
○山崎部会長 桝田委員。
○桝田委員 最後の98ページの特養の設置主体の問題ですけれども、公益性の問題
等で社会福祉法人を基準に考えて云々ということになっていますけれども、その介護
保険事業を行う社会福祉法人のあるべき姿というのを、まず議論すべきではないか。
というのは、措置のためにつくられた社会福祉法人像が、今それに対応できているの
かどうかという問題が、まず一番の議論であって、その基準点を決めなければ公益性
云々という部分が決まらないのではないか。ちょっと、この会ではないと思いますけ
れども、まずそれをスタートしていただきたい。
それから始まって、次に例えば医療法人にどうするのという議論は出てくるのでは
ないか。
○山崎部会長 三上委員。
○三上委員 今後の進め方を1つだけ確認しておきたいのですが、療養病床の問題に
ついては、横断調査が出てからということなので、今までのスケジュールですと、ど
こにもやるところがないのですけれども、新たにそういうスケジュールを決めていた
だけるのでしょうか。
○大澤総務課長 そのように日程調整といいますか、検討事項を調整させていただき
たいと思います。
○山崎部会長 井部委員。
○井部委員 療養型介護老健施設と関連していると思いますが、私も三上委員のよう
に新たにまた病棟をつくるのかという感じを受けます。ここは介護保険の関係なので、
余り医療のことについては踏み込むことができないのかもしれないのですけれども、
私は医療のあり方と介護の受け皿との関係は非常に大きいと思っております。
例えば今、胃ろうのガイドラインをつくったらどうかといった動きも一部にはある
ようですけれども、医療で行われている医療処置が適切かどうか。先ほどの服薬のこ
ともそうなのですけれども、気管切開のこともそうです。そうした医療で行われてい
る後始末を介護がやるということにならないように、やはり適切な医療と適切な介護
という制度の両立が必要だと思います。したがって、私はもう少し医療のあり方にも
踏み込むことが必要ではないかと思っております。それは、次の介護療養病床を検討
するときにも、是非落としていただきたくない視点だと思っております。
○山崎部会長 よろしいでしょうか。齊藤委員。
○齊藤(正)委員 済みません、最後に追加なのですけれども、先ほどの話というか、
齊藤委員も言われていた、特養の設置を認めることも必要かみたいな、こういうおま
けを付けるから移れよみたいな話というのは、もう私たちは信じないよというのが、
現場の人たちの本当の気持ちだろうと思います。
施設を違う施設にという発想ばかりではなくて、施設の持っている機能を生かして
在宅の拠点をつくるということにお金を付けてくれるということが必要なのではな
いか。私どもは2つ病院を持っているのですが、1病院、77床をおととし転換して、
1年間赤字で大変な思いをしました。ただ、もう一つの病院の収入がある程度あった
ので、何とか保っていたわけですが、何をしたかというと、病床を全部デイケアにし
たのです。介護度の重い方。なぜそうしたのかというと、重い方を見た経験のある介
護職がたくさんいるから、重い方のためのデイケアを始めたのです。今、私がやって
いるサービスの中では一番人気があるというか、一番喜ばれている。夜は御自宅、日
中は病院でという日帰りショートステイも始めました
そういうことへの転換については、いつでもできるよと言われますが、何もインセ
ンティブもないので、先生のところはいいけれども、うちはできないよという話がほ
とんどなのです。ですから、そういうサービスにこそ目を向けることも考えてほしい
と思います。
○山崎部会長 川合委員。
○川合委員 今おっしゃったことは、私がもがき苦しんでいます。1つの病院をつぶ
して診療所にしました。私がその診療所の経営責任を担って、在宅に向けて毎月800
万円の赤字を出しながら頑張っています。これは、在宅のデイサービス、デイケア、
あるいは在宅ホスピスの理想を目指して、今、苦難しているところですけれども、そ
ういうところに直接的にお金をくれとは言いません。でも、規制は出来るだけ少なく
あるいはかけるなと申し上げたいと思います。
○山崎部会長 ありがとうございました。一通り御意見をいただいたと思います。
それでは、本日の部会はこれで終了いたしますが、次回は在宅、地域密着等の給付
のあり方につきまして事務局に資料を御用意いただき、議論したいと思います。
このほか、事務局から何か連絡事項等ありますでしょうか。
○大澤総務課長 本日はどうもありがとうございました。
次回は、8月23日月曜日、午後4時から、場所は変わりまして厚生労働省の2階
講堂で開催する予定でございます。なお、文書、御意見等を提出していただく場合に
は、事前に事務局まで御登録をお願いいたします。
○山崎部会長 ありがとうございました。本日の部会はこれで終了いたします。どう
もお疲れさまでした。
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