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2010年8月25日 第26回労働政策審議会 議事録

政策統括官付労働政策担当参事官室

○日時

平成22年8月25日(水)
13時00分~15時00分


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

【公益代表委員】

今田委員、岩村委員、大橋勇雄委員、諏訪会長、清家委員

【労働者代表委員】

加藤委員、北田委員、斉藤委員、内藤委員、南雲委員、西原委員

【使用者代表委員】

大橋洋治委員、岡田委員、川本委員、吉川委員、坂戸委員、
篠田委員、土谷委員、鳥原委員

【事務局】

細川厚生労働副大臣、岡崎大臣官房長、金子労働基準局長、森山職業安定局長、
小野職業能力開発局長、高井雇用均等・児童家庭局長、中野政策統括官(労働担当)、
生田派遣・有期労働対策部長、八田政策評価審議官、酒光労働政策担当参事官

○議題

○諏訪会長 
 ただいまから、第26回の労働政策審議会を開催いたします。
 本日は細川厚生労働副大臣にご出席いただいておりますので、ごあいさつをいただきたいと存じます。

○細川厚生労働副大臣 皆さんこんにちは。厚生労働省の細川でございます。
 本日は、大変お忙しいところ、また残暑が厳しい中、ご参加をいただいておりまして、お礼申し上げます。
 日ごろから、皆様方には、厚生労働、特に労働政策につきましてご協力をいただいておりますことに、これまた御礼、感謝を申し上げます。
 最近の雇用情勢は、大変厳しい状況となっておりまして、7月には5.3%の大変高水準を示しておりまして、これはさらにまたこういう厳しさを加速させるのではないかというような心配もいたしております。とりわけ、若い人たちの失業率が高い、その中でも心配をしておりますのが、新規の卒業生の就職がなかなか難しいという状況にございます。そういう新規の卒業生、その人たちが新しい社会に出ていくに、順調にスタートをしていただかなければ大変社会の大きなマイナスにもなるわけでございまして、大卒、高卒の卒業者に対してのしっかりした対応をしていかなければいけないというふうに思っております。
 この新卒者に対する就職の特命チームといいますか、新しいチームを総理直属につくりまして、その第1回目の会合が昨日ございまして、新規の卒業者に対する、あるいは卒業された人、それから来年度の卒業生、こういう人に対する就職をしっかり応援をしていくということを、政府を挙げて進めていくということになったところでもございます。
 ご承知のように、本当に日本の経済は、円高、株安と、急激に進んでおりまして、これが経済の悪化につながることは当然のことでございますし、またこれが大変雇用に対しても厳しい状況になっていくという予測もされるわけでありまして、政府としても、早急にこれに対しての対応がなされるものと思っております。
 皆様方は労使のそれぞれの立場を代表される方、そしてまた大変労働政策については見識の深い先生方、そういう労政審の、すばらしい皆様方にお集まりをいただいておりまして、労働政策についていろいろとご議論をいただき、日本の雇用をしっかりやっていただく。そして労働政策、さらに日本が安定して成長するためには、皆様方のお知恵を政策に反映していかなければならないというふうに考えております。そういう意味では、来年度の労働政策の重点事項、さらには地域主権改革、これらについて今日も皆様方にご議論をいただくことになります。
 お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。今日もまた、よろしくお願いを申し上げまして、私からのごあいさつといたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○諏訪会長 どうもありがとうございました。
 それでは、議事に入ります前に、使用者代表委員の交代がございましたのでご紹介をさせていただきます。
 お手元に資料1、委員名簿を配付してあります。新たに委員に就任されました3名の方々は次の皆様でございます。
 まず、全国中小企業団体中央会副会長の坂戸委員です。
 次に、王子製紙株式会社代表取締役社長の篠田委員です。
 続きまして、東京ガス株式会社取締役会長の鳥原委員です。
 皆様どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、事務局の異動等がございましたので、このご報告をお願いいたします。

○酒光労働政策担当参事官 事務局の異動がございましたので、ご報告いたしますが、その前に、8月5日付で組織改正もありましたので、あわせてご報告いたします。
 今日、お手元にあります分厚い資料の一番最後、参考の5に、組織改正の図がございます。一番下のページになります。いろいろとございますが、大きな改正といたしましては、職業安定局に派遣・有期労働対策部というものを設けまして、非正規労働者問題全般について取り組んでいこうという体制になっております。
 また、それにあわせた形で、勤労者生活部が廃止になりましたけれども、そこで行っておりました業務については、労働条件政策課ですとか、勤労者生活課で引き続き行うということであります。
 その他、労働保険、労災関係で若干課の異動がございます。
 それでは、引き続き事務局の異動についてご報告いたします。今日出席しておりますけれども、まず、大臣官房長の岡崎です。
 それから、雇用均等・児童家庭局長の高井です。
 続きまして、派遣・有期労働対策部長の生田です。
 政策評価審議官の八田です。
 私は、特段異動はありませんけれども、労働政策参事官の酒光です。よろしくお願いいたします。

○諏訪会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまから議事に移ります。
 本日の議題でございますが、お手元に分厚い資料がございますとおり、8点にわたってございます。
 まず第1に「平成23年度労働政策の重点事項(案)について」でございます。第2に「地域主権改革について」、第3に「新成長戦略について」、第4に「点検評価部会について」、第5に「雇用政策研究会報告について」、第6に「平成22年版労働経済の分析について」、第7に「法案の国会審議結果について」、そして第8が「その他」となっております。
 そこで、最初に議題の1につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

○酒光労働政策担当参事官 引き続き、酒光からご報告申し上げます。
 資料2-1及び2-2が労働政策の重点事項に関する資料でございます。
 主に資料2-1で概略をご説明いたします。
  資料2の1で、労働政策の重点事項(案)となってございます。大きな柱立ては4本になっておりまして、1点目が成長力を支える「トランポリン型社会」、主にセーフティネットの関係が記載をされて、まとめてございます。
 それから、2番目は、7ページ以降になりますけれども、若年とか、女性、高齢者、障害者の就業実現ということで、就業環境の整備ですとか、就業促進についての施策を取りまとめてございます。
 それから、3点目は、11ページ以降になりますけれども、「ディーセント・ワーク」の実現ということで、最低賃金ですとか、ワーク・ライフ・バランス、安全衛生等について取りまとめてございます。
 最後、その他ということで、15ページですけれども、主に国際関係の労働についてまとめてございます。
 以下、時間の関係もございますので、簡単にご説明をいたします。
 大きな柱の1点目ですけれども、1 成長力を支える「トランポリン型社会」の構築ということであります。1ページに戻っていただければと思います。
 その(1)が、ハローワークを拠点とした積極的就労・生活支援対策ということで、ハローワークで職業紹介だけではなくて、積極的な就労・生活支援対策をハローワークを拠点として講じていこうというものであります。
 具体的な内容ですが、まず、1が求職者支援制度の創設と担当者制の就職促進ということで、雇用保険を受けられない方への職業訓練とその間の生活保障のシステム、現在、基金の事業として行っていますけれども、それを恒久化していくという取り組みでございます。
 続きまして、2点目ですけれども、雇用保険の機能強化ということで、雇用保険制度の安定的な運営のために国庫負担の原則復帰を図るというものでございます。
 それから、3点目ですが、民間を活用した求職活動の促進ということですが、今後、求職者支援制度、訓練が基本になるわけですけれども、それを受けるに当たりまして、まだ訓練の前段階の、まだ訓練に至る前の支援が必要な方々に対して、個別のカウンセリングや生活指導等を行っていく、それによって、後の求職者支援制度の訓練をより効率的な行うというものであります。
 4点目ですが、自治体とハローワークの協定に基づく就労・生活支援、「福祉から就労」支援事業としておりますけれども、自治体とハローワークで強力な連携関係を結びまして、生活に困った方、あるいは就職困難な方へのチーム支援を行っていこうというものでございます。
 5番目ですが、パーソナル・サポート・モデルプロジェクトでございますが、これは今、主に内閣府で進めておりますけれども、自立に向けて課題の多い方々に対して、個別的、継続的な支援をするというのがパーソナル・サポートということでございますが、それについてのモデルプロジェクトを推進していこうというものでございます。
 6番目、7番目は、それぞれハローワークにおきまして住居確保ですとか、メンタルヘルスの相談等についての支援の機能を強化していこうというものでございます。
 8番目は、そういったそれぞれの各種制度に支援を行うに当たりまして、自治体ですとか、関係機関との連携が必要ですので、現在、そういった協議会を開催しております。それによるワンストップサービスを推進していこうというものでございます。
 それから、9番目は、特に雇用吸収力が高いと思われます介護・福祉、医療分野における雇用創出を推進していこうというものでございます。
 10番目は、ハローワークにおいて、特に年金受給資格のある方について、年金をいただくか、あるいは雇用保険、あるいは就労していくか、いろいろと悩まれる方が多いということで、年金相談等を実施していこうということでございます。
 (2)番目ですが、非正規労働者の多様な形態による正社員化の推進ということでございます。非正規社員の方に対しまして、いろいろな形での正社員化を進めていこうと、あるいは労働条件の向上を図っていこうというものでございます。
 1は、非正規労働者の均等待遇ですとか、正社員化の推進ということでございまして、現在、いろいろな助成金がありますので、そういったものの整理等をしていって、適切に支援をしていくと。あわせて勤務地限定正社員ですとか、職種限定正社員など、こういった多様な形態による正社員についての普及促進を図ろうというものでございます。
 2番目が失業者の正社員就職支援ということで、失業正社員の求人を確保していくというものでございますけれども、それにあわせて今申し上げたような勤務地限定正社員ですとか、職種限定正社員などの求人も積極的に確保していこうというものでございます。
 3番目は、有期契約労働者の労働条件に関する施策のあり方ということで、これは今、別途研究会を開催しておりますので、その検討を進め、また必要な審議をしていくというものでございます。
 4番目ですが、労働者派遣法、まだ派遣法が成立しておりませんけれども、成立した暁にはこれに基づく均等待遇等の対策を推進していこうというものでございます。
 5が非正規労働者の労働条件の確保ということで、非正規労働者の労働条件の確保のための必要な監督指導を徹底していこうというものでございます。
 以上が(2)でございます。
 3ページ目の下の(3)ですが、人材ニーズに応じた職業能力開発の充実ということで、主に職業能力開発関係を取りまとめてございます。
 (1)番目が国全体の職業訓練ビジョンの策定ということでございまして、国全体としての中・長期的な訓練ビジョンを策定していこうというものでございます。
 (2)番目がセーフティネット機能の強化ですとか、成長分野を支える人材育成のための職業訓練の充実強化ということでございますけれども、大きくは1から4までございますが、主な内容といたしましては、1ですけれども、先ほど国における中・長期の訓練ビジョンということを申し上げましたが、さらに具体的に各年度におきまして国及び各地域における訓練ニーズを把握して、それに必要な訓練を計画的に実施していこうということでありまして、そのために関係機関との協議の場を中央レベル、各地域レベルで設けるというものでございます。具体的には、関係省庁ですとか、教育訓練機関、労使団体等々が入るということでございます。
 (2)の2ですが、介護・福祉、医療等の分野、先ほども雇用創出を図るということを申し上げましたけれども、それと裏腹の関係で職業訓練を実施していくということであります。
 3ですが、民間活用と成果報酬制度の組み合わせということで、今でも公共職業訓練あるいは基金訓練などにおきまして、民間の活用を進めておりますけれども、さらにその民間活用に当たりまして、成果報酬制度をさらに活用していく、今でも一部活用しておりますが、そういったものをやっていくことによりまして、訓練効果、あるいは就職促進を図っていこうというものでございます。
 4は、教育訓練に関するISO化が今進んでおりますので、それを踏まえた国におけるガイドライン等の取り組みを進めていこうというものでございます。
 (3)番目ですが、実践的な職業能力の評価制度の構築ということでございます。
 1ですが、ジョブ・カード制度の推進ということで、現在、ジョブ・カード制度を推進しておりますけれども、それをジョブ・カード制度のさらに一層の普及を図るということで、特にフリーターとか正社員経験の少ない方を中心としたジョブ・カード制度の普及、それからさらに、次の5ページ目に移りますけれども、公共職業訓練受講者ですとか、求職者支援制度における訓練受講者に対しても、そういったジョブ・カードの取得促進を進めていこうというような考えでございます。
 (3)の2ですが、職業能力評価基準の整備ということで、現在、職業能力評価基準を幾つか持ってございますけれども、さらにそれを整備、活用促進を図っていこうというものでございます。
 3は技能検定制度の整備ということで、技能検定につきましては、引き続きしっかりと実施していきたいというふうに考えております。
 5ページ目の(4)ですが、職業生涯を通じたキャリア形成支援ということですけれども、1は企業におけるキャリア形成支援、企業内の主に訓練ということでございますが、これについて、企業のキャリア形成支援とか、あるいは人材育成の事例を収集・分析したり、評価したりしていくことによりまして、総合的な取り組みを展開していこうというものでございます。
 それから、2番目ですが、労働者の自発的な、いわゆる自己啓発の支援ということで助成措置がございますので、こういった助成措置も活用しながら自己啓発の促進を図っていこうというものでございます。
 3ですが、学校教育段階からのキャリア形成支援ということで、やはり学校教育段階からこういう職業能力を身につけるということが非常に重要だということで、そうした実践的なキャリア教育を担う人材の養成等を行っていこうというものでございます。あわせてジョブ・カードにつきましても、大学在学段階からの取得を促進していこうというものでございます。
 4ですが、そういった能力開発のガイドを行うキャリア・コンサルタントの専門性の向上等を図っていこうというものでございます。
 次のページですけれども、6ページ目、5ですが、ものづくり立国の推進ということで、ものづくりの大切さ、引き続き、ものづくりは非常に大切だということで、技能五輪、あるいは技能者の地位向上に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 以上が一つ目の、主にセーフティネットを中心とした施策に絡む部分でございます。
 7ページ、2番目ですけれども、若年者・女性・高齢者・障害者等の就業実現ということでございます。主に就業環境の整備で就職促進を図ろうというものでございます。
 一つ目が若年者でございます。
 1ですけれども、先ほど、細川副大臣から申し上げましたように、今、新規学卒者、若年者、就職関係が大変厳しいということで、23年度卒業予定者の早期内定に向けてジョブサポーターの配置ですとか、いろいろな企業説明会の開催、こういったものを積極的に進めていこうということでございます。あわせて、保護者の方々も含めました、働く意義ですとか、そういったものについての講習ですとか、高校内の企業説明会ですとか、そういった部分も進めますとともに、3番目のポツですけれども、そうやって早期内定を進めましても、残念ながら就職できなかったという方に対しまして、既卒者を採用する企業への奨励金、ここでは新卒者就職実現プロジェクトと申し上げておりますけれども、そういったもの等を行っていくことによりまして、未就職卒業者の早期就職を推進してまいりたいと考えてございます。
 2番目ですが、同じ若年、もうフリーターとして働いている方につきましても、引き続き正規雇用化を推進していこうということで、今も助成金制度がございますけれども、その助成金の要件を緩和するなどによりまして、正規雇用化を推進していこうという考えでございます。
 3番目ですが、ニートの方々のように、まだ就職にかなり遠い方々がいらっしゃいますので、そういう方々につきまして、今、地域若者サポートステーションで支援をしておりますが、そういった事業の拡充を図ってまいりたいということでございます。
 4番目ですが、先ほどの能力開発とも若干重なりますけれども、学校教育段階からの支援の推進ということで、在学段階からのジョブ・カードの推進ですとか、保護者向けの教育とか、そういったことも推進していこうというものでございます。
 次、8ページ目でございますが、(2)女性の就業希望ということで、育児休業の取得促進、今は育児・介護休業法ができましたので、それについての環境の整備、あるいは男女雇用機会均等対策の推進等を図ってまいりたいというふうに考えております。
 時間の関係で短めに行います、申しわけございません。
 (3)番目が、いくつになっても働くことができるということで、高齢者の対策ということでございます。
 公的年金の支給開始年齢が特に報酬比例部分が今後上がっていきますので、それを踏まえた施策のあり方について検討していくということとあわせて、70歳まで働ける企業の推進ですとか、多様な働き方の促進を図っていこうというものでございます。
 9ページ目、(4)ですが、障害者の就業率の向上ということで、雇用率の達成指導を引き続き図ってまいりたいと考えておりまして、あわせて職業能力開発の支援ということで障害者向けにも日本版デュアルシステムを導入してまいりたいというふうに考えております。
 また、障害者権利条約につきまして、今、障がい者制度改革推進会議等で議論しておりますけれども、労働・雇用分野におきましても、所要の検討を行ってまいりたいと考えております。
 それから、地域雇用創造、雇用支援ということで、今現在、いろいろな地域における雇用創出の支援の事業がございますけれども、そういうものをきちんと行っていくというものでございます。2は介護分野の雇用支援ということで、今行っているいろいろな雇用創造の事業につきまして、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 10ページ目ですが、3で雇用調整助成金の支給の適正化ということで、この不況下で雇用調整助成金で大分雇用が守られたというふうには考えておりますが、今後、さらに支給の適正化等に努めてまいりたいというふうに考えております。
 11ページでございますが、3番目、「ディーセント・ワーク」の実現ということでございます。
 (1)番目は最低賃金の引き上げということで、最低賃金、雇用戦略対話あるいは新成長戦略で目標が設定されましたので、それを踏まえて最低賃金に向けた取り組みを推進していこうというものでございます。
 1が引き上げの推進ということで、環境整備を推進する、具体的には2にありますように中小企業の支援を実施していく、今現在関係省庁と対策検討チームを設けておりますので、そこの検討を踏まえて支援を行っていこうというものでございます。
 あわせて3で遵守の徹底ということで、監督指導、周知・徹底を行ってまいりたいと考えてございます。
 (2)ワーク・ライフ・バランス対策でございますが、育児休業、短時間勤務等につきましては、先ほどご説明申し上げました。
 2番目は、年次有給休暇の取得促進ということで、コンサルティングの実施等に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
 3番目は、長時間労働の抑制、これは引き続き必要な監督指導を行ってまいりたい。
 それから、4短時間正社員制度の導入・定着につきましても進めてまいりたいと考えております。
 また、5で、テレワークの推進、あるいは在宅就業につきましても、良好な環境で行われることが非常に大切ですので、そのための対策に取り組んでまいりたいと考えております。
 (3)番目、労働者の健康確保対策でございます。
 主にメンタルヘルスですとか、受動喫煙防止、非常に大きな課題になっておりますので、法改正も念頭に体制の整備等について検討してまいりたいということでございます。
 1がメンタルヘルス対策ということでございます。
 2が職場における受動喫煙対策。
 3が機械の危険情報の提供体制を整備するということでございます。
 4は、13ページになりますが、職場における化学物質管理、これを適正に行っていき、あわせて石綿対策も推進していくというものでございます。
 13ページ、(4)ですが、労働関係法令の履行確保ということで、企業の方々に、こういった各種制度見直し等が行われておりますので、適切に情報を提供してまいりたいと考えております。
 2は、労働関係法令の履行確保、あるいは個別紛争の解決促進ということでございます。
 3は、その前提として、働く人たちがルールを理解して、知らないということがないように教育の推進をしてまいりたいと考えております。
 4は、労働保険の適用促進あるいは適正徴収を進めていくというものでございます。
 その他、5、6とありますが、働きやすい職場環境の推進ですとか、改正労働派遣法の円滑な施行に努めてまいりたいと考えてございます。
 最後、15ページですが、4ということで、国際関係でございます。
 新たな技能実習制度を、技能実習制度につきまして、いろいろと問題が指摘されていることもございますけれども、意義の深い事業でございますので、適正な実施に努めてまいりたい。労働として整理をされましたので、労働基準監督機関においても適切な監督指導を行ってまいりたいと考えております。
 2は、外国人労働者問題への適切な対応ということで、的確な監督指導等に努めてまいります。
 3は、開発途上国への職業訓練指導員の能力向上ということで努めてまいりたいと考えております。
 以上、駆け足になりましたけれども、重点事項でございます。
 資料2-2はその主な事項につきまして、図案化したものでございますので、適宜ご参照いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○諏訪会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明をめぐりまして、ご質問、ご意見がございましたらお願いをしたいと思います。

○大橋(洋)委員 私からは、重点事項のうちの若年者雇用について述べさせていただきます。
 若年者雇用をめぐりましては、昨今の景気状況の悪化を受けた新規学卒者の内定率の低下、あるいは採用選考活動の早期化、長期化などの課題が指摘されておりますが、日本経団連といたしましては、これまでも極力多くの採用機会の提供を呼びかけるとともに、倫理憲章を通じまして、会員企業に、学事日程の尊重など、適正な採用活動を呼びかけてきております。産業界といたしましては、今後ともこのような採用機会の提供などに努めたいと存じますが、雇用機会の増大は経済の活性化や成長があってこそなされるものであります。我が国企業はこれまでも激しい国際競争の中で、懸命に国内での雇用維持に努めておりますが、今後、労働分野などにおきまして、規制などがさらに過剰となってまいりますと、採用意欲に影響を与える要因にもなりかねません。政府におきましては、企業が新規の雇用創造に意欲的に取り組めるような政策や環境整備を推進していただければと存じております。
 また、足元では必ずしも経済の実態と関係なく、ご存じのとおり円高が進行しております。経済の透明感が一段と強まっております。先ほど細川副大臣からも触れられましたとおり、この円高が雇用に対して悪影響も将来与えかねません。したがいまして、景気拡大に向けた種々の経済対策の迅速な実施などに取り組んでいただければと存じます。
 さらに、若年者の雇用促進に関しまして、本日の資料にございます、先ほどご説明がありました資料の5ページの(4)の3で、学校教育段階からのキャリア形成支援の推進ということが掲げられておりますが、このような取り組みは非常に重要だと考えております。企業規模等にとらわれることなく、適切な就職先の選択に向けて働くことに対する意識の醸成を図って、しっかりとした職業観を持った上で学生に就職活動に取り組んでいただくことが必要であると存じます。
 キャリア教育の推進や中小企業も含めたさまざまな企業、業界に関する情報提供などにつきまして、文部科学省あるいは経済産業省などとも連携しながら横断的な取り組みを展開していただけたらと存じ上げます。
 私からは以上でございます。

○篠田委員 私からは、2点ほど申し上げたいと思います。
 まず、少子・高齢化社会が一層進展をしているということはご承知のところでありますが、むしろ、少子・高齢化社会の進展というよりは、生産に適応した生産適齢人口が減少する傾向にある。そうした中で、我が国の経済社会の活力を維持していく、向上していく、このためには、やはり意欲や能力、適性などに応じて多様な層の人々に対して労働市場への参画を促していく、これが大変重要ではないかと考えています。
 その観点から、例えば、先ほどの資料2-1の2ページの(2)で、非正規労働者の多様な形態による正社員化の推進とありますが、今申し上げた、多様な人々に対して労働市場への参画を促していくという観点、それから労働者の柔軟な働き方に対するニーズ、それから、そもそも、昨今先行き不確実性を増しております企業の経営環境、こうしたことなどを踏まえますと、正社員化に誘導するというだけではなくて、やはり柔軟な雇用形態の確保、それからより多くの働き方の選択肢を広げていくということが欠かせないことではないかと、かように考えているところであります。労働市場の活性化に向けた多様な働き方の機会をふやすという視点も、是非ここで考慮をしていただきたいと思います。
 その上で、高齢者雇用に関しましても若干意見を申し上げたいと思います。
 今後、65歳まで希望者全員の雇用が確保されるよう、施策のあり方を検討していくということでありますが、これは業種、業態によっても、企業の状況がさまざまであること、例えば、人材の年齢構成、あるいは労働負荷の状況が全く違う、そういったことを考えますと、これは法律等による一律的な対応よりは、むしろ個別労使の柔軟な取り組みを後押しするような施策、これを基本としていただけないかということを申し上げたいと思います。そもそも組織の硬直化を招く可能性もありますし、やはり労働市場全体を俯瞰して、若年労働力とのバランス、こういったことも十分考慮した上で検討していかなければ、これは逆に大変なことになるのではないかと、かように思うところであります。高齢者雇用にかかわる施策につきましては、関係の分科会や部会の場で労使の意見を十分踏まえて審議をしていただきたいと、かように考えているところであります。
 今、グローバリゼーションを含めまして、産業構造自体がかなり激変期にあるといってもいいように思えます。むしろ、労働力の柔軟な移動ということも観点に置いて、議論をしていく必要があるかもしれません。
 私からは以上であります。

○南雲委員 何点かご意見を申し上げたいと思います。
 まず、今、重点政策について事務局からご説明をいただきましたけれども、この後の議題の2、地域主権改革、出先機関改革について、特にハローワークについて、厚生労働省としての結論が出されていない段階で、変わるかもしれないというような前提つきでの論議・内容を労政審に提起をされていると思います。そういう前提で議論をするということはどういうことなのか、私は理解できません。こういう会議の設定は、労政審の結論が軽視されるのではないかと危惧をいたします。これまでの労働政策については、三者構成の労政審における議論を踏まえて進められてまいりました。今年の6月22日に連合は地域主権戦略大綱に対する談話を発表するとともに、大臣以下に要請をいたしました。その結論となることを前提に重く受けとめていただいて、その上で二点意見を申し上げたいと思います。
 私としては、以前から厳しい雇用情勢を踏まえ、雇用の量・質の回復の観点から、次の四つの課題について、特に関心を持っております。すなわち、一つは、求職者支援制度の創設、二つ目は、雇用保険の国庫負担率の本則復帰、三つ目は、労働者派遣法改正法案の早期成立、そして4点目は若年者の就職促進であります。是非よろしくお願いをしたいと思います。
 また、景気は緩やかな回復基調をたどってまいりましたが、ここへ来て円高等々の中で先行き不透明な状況にございます。新たな不安要素も出てきております。一部のメディアでは、国内空洞化などの問題も取りざたされておりますが、経済界の方々が雇用の量・質の確保に向けて社会的責任を果たしていただくためにも、労働政策面での支援も重要であると考えます。現内閣の目玉でもございます新成長戦略とともに、是非スピード感を持って取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。
 以上です。

○内藤委員 資料2-1のページの中で、二つほど、ご意見を申し上げたいと思います。
 一つは、7ページの一番下にあります4の学校教育段階からの就業実現に向けた支援という関係でございますが、先ほど大橋(洋)委員からもご指摘がありましたように、現在の就職状況は非常に厳しく、大学3年生になったら、もうほとんど就職活動に専念するような状況が出てきている中で、このことを進めますと、この中身そのものはいいのですが、このこと自身が、就職活動の早期化に拍車をかけるようにならないような手も同時に打たないと、大学の受講が2年で終わって、残りの2年間は就職活動に費やされるということになりますと、これは人材の育成からも問題ですから、このことをするのであれば、同時に3年生から就職活動に専念するようなことがないような手も同時に打っていただきたい。これは、経営側の皆さん方にも是非お願いをしておきたいというふうに思います。
 それから、8ページの(3)の「いくつになっても働くことができるようにする対策」でございますが、タイトルの言葉としては、私はいいと思います。けれども、ここに細かく書いているわけではありませんが、ややもすると、高齢者の就業支援というのは、年を取って働きにくくなった人の雇用を政策的に確保するためという視点が強いような感じがいたします。私の知っている範囲では、私も60歳になったのですが、まだ60歳から65歳ぐらいまでの間は、むしろ若者よりも就業意欲があって、知識があって、経験があって、しかも企業に対するロイヤリティーがあって、優良な労働力なのです。これをいかにうまく活用するかという視点での対策がむしろ必要ではないかと思います。そういう面に立って、年齢が増えますと個人差が増えて、元気な人もいれば、あまり元気でない人も当然出てくるわけですから、そういった方々に対しては、やはり法的な保護で、65歳まで希望者全員が働けるようなシステムもあわせて持つこと。これは言ってみれば、通常の労働者のセーフティネットと同様な趣旨になるわけでございますので、是非、そういった視点での対策を推進していただきますようにお願いをしておきたいと思います。
 以上です。

○諏訪会長 まだいろいろご質問あろうかと思いますが、まず、かなりたくさんの論点のご意見が出ましたので、ここまでのところで、事務局からお答えいただけるところがありましたらお願いをしておきたいと思います。

○森山職業安定局長 では、私から、職業安定局長でございますが、いくつかご意見等ございました。多岐にわたっておりますので、まず、大橋(洋)委員から、若年者雇用に絡めて雇用の拡大の問題ということでございました。これはまさに、雇用の量の拡大をしていくということは必要でございまして、政府全体としましても、新成長戦略の中でも、これからのいろいろな分野、2020年を目標に、環境等を含めて、あるいは福祉、医療の分野等も含めて、これからいろいろと力を入れていこうということで進めているところでございます。
 また、私ども労働政策の中におきましても、雇用の創出ということで、いろいろな基金なども工夫をいたしまして、そういうものを使って、拡大していただくということを進めておりまして、来年度に向けましても、こういう形については努力をしていきたいと考えているところでございます。
 そういう中で、若年雇用につきましては、これも先ほどご説明いたしましたけれども、大変厳しい状況の中にあるわけでございまして、これにつきましては、いろいろな工夫をしていく、マッチングの工夫もございますけれども、就労のトライアル雇用、あるいは就労の体験の雇用、体験をしていく、そういうような事業等も拡大をいたしまして、これにつきましても、対策を進めていきたいと考えているところでございます。
 それから、これは内藤委員のご意見とも関係してまいりますけれども、学校における職業教育等につきましては、これは文科省とも今連携を図っておりまして、これにつきましても非常に重要だということで、文科省と連携をとりながら進めていきたいと考えているところでございます。
 それから、篠田委員からございました、少子・高齢化社会ということで、その中で多様な正社員という概念がございます。これは、後ほど雇用政策研究会の報告の中でもご説明させていただきたいと思っていますけれども、やはり二極化が進んでいる中で、その中間と申しますか、いろいろな多様な正社員という形があるのではないかというのが今度の雇用政策研究会でも提言をされました。私ども、これにつきましては労使それぞれのご意見があるということでございます。そういう中で、今後、多様な正社員という概念、あるいはこういう政策というものをどういうふうに進めていくのかということは、今後、労使のご意見等もお伺いしながらやっていかなければいけないと思っています。とりあえず私どもとしましては、来年度は例えばそういう多様な正社員というのを企業の中にどういうふうに受けてもらえるのか、そういう事例というものを少しPR、あるいはPRといいますか、こういう事例があるということをご紹介をしていくというような形をさせていただいて、労使の皆様方のご意見のご参考にしていただければというふうに思っているところでございます。
 それから、高齢者雇用のお話がございました。これは先ほどの説明の中にもありましたように、報酬部分が65歳に向けて2013年から引き上げるわけでございまして、待ったなしの状況になっているわけでございます。これにつきまして、高齢者の方々は、一たん職場を離れますと、なかなか再就職が難しいという状況にございます。そういう中で、65歳まで希望者全員の方々を雇用できるような状況、こういうようなものをどういうふうに施策として進めていくのか、これはまさにいろいろな観点、お話がございます。まさに、私ども労使の皆様方のご意見を、こういう場でもそうでございますし、いろいろな研究会、あるいはそういう審議会の場におきまして、あるいは部会におきまして、そういう労使の方々のご意見を踏まえまして、施策を進めていきたいと思っていますけれども、現実的にはもう待ったなしの状況になってきているというところでございまして、労使のご意見を踏まえながら、政策を進めていきたいと考えているところでございます。今後ともよろしくお願いしたいと思っております。

○中野政策統括官 それでは、南雲委員からのご意見につきまして、お答え申し上げたいと思います。
 まず、出先機関の問題につきましては、後ほど議題2でご意見を伺うこととしておりますが、厚労省といたしまして、三者構成の審議会であります労政審のご意見につきましては、重く受けとめるという考え方で今後とも対処したいと考えております。
 それから、ご指摘の求職者支援制度の創設、それから雇用保険の国庫負担率の本則復帰、改正派遣法の早期成立、それから若年者の就職促進につきましては、我々といたしましても重要事項と位置づけておりまして、その実現に向けまして力を入れて取り組んでいきたいと考えております。
 また、これも後ほどのご報告の際にご説明いたしますが、今年6月に閣議決定されました新成長戦略におきまして、環境、健康、アジア、観光の各分野で需要と雇用を創造する際の、それを支えるプラットホームとして雇用人材戦略という労働政策が位置づけられておりますので、その中に盛り込まれております就業率の向上のための政策であるとか、セーフティネットの整備などの政策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

○諏訪会長 それでは、事務局はよろしいですか。
 では、お待たせをいたしました。

○岡田委員 先ほど森山局長からお話がありました多様な正社員という形について、これからいよいよ考えていくのかなというふうに思います。まだそれほど多くの事例はないのではと思いますけれども、実は弊社では、昨年から特定職種社員制度というものの運用を始めまして、2年目に当たっております。そこではやはり、運用に当たって、いろいろ課題が出てきていますので、是非積極的に課題の収集と、もし好事例がありましたら、是非ご紹介いただきたいなと思っております。
 それから、それに関連しまして、正社員への転換ですけれども、こちらもやはり企業の規模であるとか、事業の特性によって、非常に柔軟性を確保しておきたいということがございますので、そのあたり、正社員というところに非常に重きを置かれている場合が多いんですけれども、行政としての取り組みが企業の柔軟な取り組みを阻害することのないようにという、一律的に規制を強めることがないようにしていただきたいなということを考えております。
 以上です。

○吉川委員 それでは、発言させていただきます。
 ジョブ・カード制度、最低賃金、それから雇用の創出について一言発言させていただきたいと思います。
 資料2-1、4から5ページのにジョブ・カード制度の推進について記載されておりますけれども、商工会議所はこの制度を通じて職業訓練に協力する企業を開拓しておりますが、その経験から意見を述べさせていただきたいと思います。
 1点は、ハローワークにおいて、求職者の方々にジョブ・カード制度の活用を勧めておりますが、これをもっとシステム的に強化して、訓練を受ける方を増やしていただきたいと思います。どうしてもまだまだ普及が遅れているところがあるのではないかと思っております。
 それからもう1点は、職業訓練のうちの有期実習型訓練についてです。「学校卒業後6カ月以内の方」は対象外になっていると思いますが、新卒者の就職を支援するために、暫定的でもよいので、6カ月以内の方も対象にしていただきたいと思います。昨今の新卒者の就職難からしましても、是非とも本年中の実施をお願いしたいと思っております。
 最低賃金については、11ページに、「2.中小企業支援の実施」ということで記されておりますけれども、実効性のある支援策がないまま、最低賃金のみが大幅に引き上げられてしまうと、どうしても中小零細企業の存続を脅かして、雇用の悪化を逆に招きかねないことを強く懸念しておりますので、早急に支援策を立案して実施いただくようにお願いをしたいと思います。
 また、2-9にあります雇用の創出でございますけれども、介護・福祉、医療等の分野における雇用創出と書いてありまして、この分野の雇用創出は、本当に必要だと思っております。大変な作業、仕事で、賃金的には恵まれない中で、本当に一生懸命やっていらっしゃる、ここのところにもう少し待遇プラス雇用の創出をお願いしたいということとともに、農業とか林業にも、是非創出を進めていただきたい。昨今の、いろいろな豪雨等による山崩れ等も、人材不足により山の手入れが怠っていることから、どうしても木が弱くなっていて、雨で非常に簡単に山崩れになってしまうという現実もあると伺っておりますので、やはり本当の意味の山を守るという、それは人材を守ることにもつながっていきますし、そういう分野での雇用の創出も、是非進めていただけるようにお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○坂戸委員 私からは、3点、今、吉川委員のご発言と重なる点もございますが、3点要望をさせていただきます。
 まず、第1番目は、最初の1ページ目の、求職者支援制度についてでございますが、お聞きするところによりますと、審議会におきましても、この財源について、一般財源で実施をしていこうということを前提にご検討いただいているというように伺っておるところでございます。しかしながら、その事業の財源に大変な心配をしているといいましょうか、懸念を持っている一人でございます。雇用調整助成金の支出増とかで、雇用保険2事業の財源も大変厳しい状況に陥っているというようにもお伺いしておりますので、政府予算、大変に厳しいところだとは思うわけでございますが、何としても、一般財源での対応をしていただきたいと、お願いを申し上げるものでございます。
 2点目は、4ページ目の(3)でございますが、ジョブ・カード制度の推進というようなところでございます。我々、求人側である企業にとりまして、この求職されてくる個々の皆さんがどんな経験をどういうふうに積んできたのか、そしてどういうキャリアをお持ちで、どういう部分が得意なのか、お書きいただいた履歴書だけで判断するということは大変難しいし、そのことのためにミスマッチが再々起きていくわけでございます。こういうことからしても、ジョブ・カードの普及と、これはもちろんのことでございますが、先ほどご説明がありました日本版NVQ構想でございますか、これを何としても実現していただきまして、求職者の方のキャリア能力というようなものが、我々採用側からもとてもわかりやすいというようにしていただければ、ミスマッチも減少していくんだということで、実践的な職業能力の評価制度のより一層の充実というものを図っていただきたいとお願いをするものでございます。
 また、3番目は、大きな数字の3番の、11ページにディーセント・ワークの実現のところで、今、吉川委員からも言っていただきましたが、雇用戦略対話におきまして、最低賃金の引き上げに最も影響を受ける中小企業に対する支援を講じるということが約束をされておるわけでございますから、中小企業支援策の具体的な支援内容というものを早急に、明らかにしていただきたいということを強くお願いをいたすものでございます。よろしくお願いいたします。

○鳥原委員 私からは、この重点事項の中で、職業能力開発施策に関しまして意見を申し上げたいと存じます。
 申すまでもありませんが、雇用の安定のためには、労働者個人の能力といいますか、知識や技術、技能の向上というのが非常に重要でありまして、そのための職業能力開発施策の充実というのが不可欠であるというふうに考えております。特に、雇用の多様化が進展している中にありましては、公共職業訓練など、国の職業開発における役割、これがより一層重要になってきているというふうに考えております。その関連で、先ほどもご説明ございましたが、今後、創設予定の求職者支援制度について触れたいと存じますが、現在、時限的に実施しておりますいわゆる基金訓練などの緊急人材育成支援事業、これを求職者支援制度として、2011年度より恒久的な制度とすべく検討が行われているということでございますが、具体的な制度の設計に当たりましては、現行の基金訓練の実施状況をよく精査・検証していただき、その結果から明らかになってくる課題なども十分踏まえて、より効果的な、効率的な制度を構築していただきたいと存じます。特に、制度の目的であります、より早期の就職に結びつけるという観点から労働需給が逼迫しているような分野、あるいは今後、雇用の受け皿として期待されるような成長分野に関連する訓練コースに重点化するなど、実効性があるものといたしていただければというふうに存じます。
 また、社会全体で雇用の安定を図っていくという制度の趣旨にかんがみますと、財源については、先ほど坂戸委員も言われましたように、一般財源により賄うべきであり、あわせて公平性やモラルハザードの防止といった視点も十分踏まえて、制度を構築していく必要があるというふうに考えます。
 さらに、実効性の観点から申し添えれば、制度実施後にも、制度利用者の就職状況や定着状況など、その運用状況がきちっと確認できるような仕組みとして、絶えず制度の見直しを図っていくということも重要だというふうに思います。
 私からは以上でございます。

○諏訪会長 ありがとうございました。
 それでは、まだあろうかと思いますが、とりあえず、また事務局で、このあたりでまとめてご意見をいただきたいと思います。

○森山職業安定局長 それでは、まず私から。岡田委員から多様な正社員のお話がございました。先ほどと同じでございますけれども、私ども、正規化・非正規化という二極化、これをやはりこのままではいけないと思っておりまして、その間のいろいろな多様な正社員ということも含めまして、研究も深め、またお話にあったような事例等も集めて活用させていただきたいというように思っているところでございます。
 それから、吉川委員から介護の問題、分野についてお話がございました。これにつきましては、非常に重要ということで、今、力を入れているところでございます。これの雇用の創出に向けまして、基金制度もございますし、それからいろいろな各種の助成金も出しております。それから、お話の待遇の改善につきましても、担当の部局とよく相談させていただきながら、またお話をしていきたいというふうに思っているところでございます。
 それから、農山村につきましても、いろいろな対策を進めているところでございまして、それぞれの対応にあった、政策の推進をしていきたいと考えているところでございます。
 それから、坂戸委員と鳥原委員から求職者支援制度についてございました。今、まさに雇用保険部会、それから能力開発分科会で、これは議論をさせていただいています。制度の、まさに具体化を進めておりまして、対象の内容とか、それから職業訓練の内容、あるいは財源の問題等々につきまして、今お話を進めておりまして、23年度の法恒久化に向けて、また引き続き皆様方とご相談させていただきながら進めていきたいと考えているところでございます。
 それから、先ほど内藤委員から高齢者の問題がございました。これはもちろん、私どもは高齢者の方々は意欲を持って働いていただくような形で、そういう高齢者の方々の環境の場、そういうものについていろいろ工夫をしていきたいと思っていまして、来年度も各種の助成金なんかも拡充をしながらやっていきたいと思っています。
 それから、学校での就活が早まるのではないかというお話がございましたけれども、確かに、これはもうご案内のように、「倫理憲章」、「申合わせ」の中ではそういう問題も触れてやっているわけでございますけれども、これは関係の皆様方に、またこういうお話をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

○小野職業能力開発局長 それでは、私からはジョブ・カードの関係で、吉川委員と坂戸委員からお話がございました。商工会議所をはじめとして、20年度の制度発足以来、大変なご協力をいただいておりまして、この場をおかりして、改めて感謝申し上げたいと思います。おかげさまで、今年の6月末まででジョブ・カードの取得者数は約27万4,000人、それから職業訓練の受講者数が約9万6,000人という数字まで、現状至っているところであります。ご指摘のように、まだまだ普及に力を入れていかなければいかんという段階にあると思いますので、今やっております雇用型訓練、それから委託型訓練を含めて、できるだけ運用面で対象者を拡大できるように、いろいろ工夫もしていきたいと思います。それから、来年度の求職者支援制度を受けられる方についても、こういうジョブ・カードをできるだけ取得していただくような形で、より規模を拡大していく、中身を充実していくという形で取り組んでいきたいと思っております。ジョブ・カードについては、できるだけ使いやすいようにということで、簡略版もつくりまして、今、普及を進めているところですので、そういう工夫をしながら、これから取り組んでいきたいと思います。
 成長戦略でも、おっしゃるように日本版NVQ制度につなげていくという大きな目標がありますので、これも検討していきたいと思っております。
 以上でございます。

○金子労働基準局長 吉川委員、坂戸委員から最低賃金についてのご意見を賜りました。重く受けとめさせていただきたいと思います。
 ご案内のとおり、最低賃金引き上げに伴う中小企業支援では、やはり中小企業の経営改善とか、生産性向上、この問題と不可分なものだろうと思います。それだけに、関係省庁との連携が非常に大事だろうと思っております。今、経済産業省と私どもの間でプロジェクトチームを設けておりまして、こうした場を通じまして、支援策の具体化を進めてまいりたいと思っております。

○諏訪会長 事務局はよろしいでしょうか。
 それでは、さらにご質問、ご意見をお伺いしたいと思います。

○土谷委員 私からは、ワーク・ライフ・バランスの対策について、少しお話しさせていただきたいと思います。
 企業では、育児や介護を抱える従業員が仕事において安心して能力が発揮できるということを目的に、さまざまな施策は既に実施しております。これらの施策は職場や従業員の実態を十分に把握しながら考えられてきた結果であり、その内容は非常に多岐にわたっています。
 我々の会社の中でも、社員になってほしいということを私も直接申し上げることがたびたびあるのですが、やはり本人が嫌だというケースが大変多い状況にあります。その理由の最たるものが、先ほどの時間の話もあるのですが、一番大きなものは、やはり責任が重くなるのではないかということで、簡単に辞められたり、簡単に働けるような仕事がしたいから、それは許してほしいというような意見も随分あります。そういった仕事をしていることが私にとってのバランスなのだというようなことをたびたび言われることがございます。やはり、ワーク・ライフ・バランスというものをもう一段階進めていくには、国による側面的な支援も引き続き肝要であると考えます。やはりその企業、事業の形に応じ家庭と両立の実現化プログラムを実施するにあたっては、こういった実態を踏まえて検討していただきたいというのが内容です。
 先ほど2人の委員からありましたが、最低賃金の引き上げの推進につきましては、決して中小企業だけの大きな問題ではなくて、サービス産業においても大変大きな問題になっております。大きな企業でありましても、大変大きな問題になってくると思います。これを進めるに当たって、雇用の人数が減るというようなことがあっては逆効果になりかねないと考えますので、是非とも中小企業だけの問題ではなく、サービス産業においても非常に大きな問題であるということをご理解いただきたいと思います。
 以上です。

○川本委員 私からは、資料の12ページでございます。(3)の労働者の健康確保対策につきまして意見を申し述べたいと思います。
 1のところに、メンタルヘルス対策の推進がございますけれども、メンタルヘルス不調者が増えているという現状を踏まえて適切に対応していくことが必要であると私どもも思っているところでございます。しかしながら、この問題につきましては、個人のプライバシーへの配慮を十分にしなくてはならないということがございますし、それから産業保健に携わる方々の理解や納得も必要でございます。したがいまして、対策を推進するにつきましては、十分に検証された手法に基づいて施策をご提案いただければなと思っているところでございます。
 それからその下、2でございます。職場における受動喫煙防止対策の推進でございます。これにつきましても、この対策が必要だということにつきましては、事業主側としても十分に理解をいたしているところでございます。ただし、これらの目標の実現に向けて対策を行うということになりますと、すべて事業主にコストとか、あるいは時間等、少なからぬ負担がかかってくる問題だということは明らかであります。特に、飲食業とか、あるいは旅館業といったような業界におきましては、多分営業上の死活問題にもなりかねないということであろうかと思っているところでございます。したがいまして、経済状況等に配慮をした上で、さまざまな支援策も含めて、適切な対策、施策を実施していただきたいというふうに思っているところでございます。
 以上でございます。

○諏訪会長 ほかにご意見ございますでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、以上の限りに関して、事務局から、よろしくお願いします。

○金子労働基準局長 私の所管をします事項が幾つかございましたので。
 まず、ワーク・ライフ・バランスの関係は、雇用均等・児童家庭局長からもお話があるかもしれませんけれども、これは、働き方の改革という視点で大変大事なことでございますので、いろいろな形での啓発活動など、引き続き進めてまいりたいと思っております。
 それで、最低賃金の関係でございますけれども、今お話がございました中小企業というところに影響が大きいというのはもとよりでございますが、私どももやっぱり時間給の低い産業といいますか、そういったものの特性というものを幾つか調べておりまして、お話がありましたようにサービス業、飲食店でありますとか、小売業、そういったところで最低賃金近傍に賃金が分布しているケースが多いというのも承知をしているところでございます。そういった業界特性にも着目した施策につきましても考えてまいりたいと思っております。
 それから、川本委員から二つご指摘がございました。職場におけるメンタルヘルス対策ということで、これは各企業の皆さん、あるいは働いている労働組合の皆さんも同じかと思いますけれども、大変今日大きな問題になっております。職場におけるメンタルヘルス対策の対策を強化していくということは、恐らくある意味では大きなコンセンサスがある話だろうと思いますが、具体的にこれを進めてまいりますとなりますと、なかなか方法論においていろいろな問題もございますし、それから川本委員からご指摘がございましたように、個人のプライバシーの問題をどう考えていくかというのも実は大きな論点だろうと思っております。
 今、研究会で最終的な詰めをしておりますけれども、ご指摘いただいたような課題もいただいておりまして、最終的な今、研究会レベルでの詰めをやっております。いずれにいたしましても、大変大きな影響のある話ですので、労働条件・安全衛生分科会できちんとした議論をしていただくというふうに考えております。
 それからもう一つ、受動喫煙対策でございます。職場での受動喫煙に悩んでおられる働く方が大変多いと、私どもの調査では9割ぐらいの方が何らかの対策の強化が必要だというような話も出ております。そういったことで、さらなる取り組みが必要だというふうに考えております。
 ただ、これも一番突き詰めて考えますと、職場といっても多様でございまして、飲食店のようなところで、全面禁煙ですというようなことになった場合にどんな影響が出てくるかとか、かなりきめ細かく見ていかなければならない部分もあると思います。それから、分煙をするとなるとお金がかかるという部分もございますので、そういった対策の具体的な詰めについては、さらに審議会でご議論いただくとともに、もう少し幅広いご議論も必要かなというように思っております。
 重たい課題でございますが、対策の推進が必要な分野だと思っておりますので、今後、審議会等を通じて大いに議論させていただきたいというふうに考えております。

○高井雇用均等・児童家庭局長 ワーク・ライフ・バランスの関係では、本年6月に改正育児・介護休業法が施行されておりますので、この着実な実施というのが一つ大事かと思っております。
 8ページに、仕事と家庭の両立実現化プログラムというふうに掲げておりますけれども、やはりこの両立支援の取り組みについては、企業によってさまざまな状況にありますので、企業の両立支援の取り組みを、企業の実情に合わせて支援していくというスタンスで、このプログラムを実施していくという考えでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。

○諏訪会長 よろしいですか。
 
○吉川委員 直接、この会合の分野でないかもしれませんが、7ページの「若年者・女性・高齢者・障害者等の就業実現」の「4.就業実現に向けた学校教育段階の支援の推進」に、保護者等も含めた在学中早期からとありますが、本来ならば、家庭教育とか、あるいはもっと早い時点での学校教育とかがあると思います。今日は細川副大臣がお出ましでいらっしゃいますので、是非こういう分野をもっと早い時点の教育問題の中に取り入れて、社会のところからの教育ではなくて、もっとその前の段階で、こういう働く意義や意欲といったものを教えられる、きちんとした教育に取り組んでいただきたいということを一言、申し上げさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○諏訪会長 それではほかに。

○加藤委員 連合も、とりわけ今の吉川委員の意見と全く一緒でございます。キャリア教育では、就職だけではなくて、働くことの意義も教える必要があります。先ほども議論がありましたけれども、就職も大事なのですけれども、離職率を見ましても、やはりこんなはずじゃなかったという人が多い。労働する、または労働の中身、または労働環境、ワーク・ライフ・バランスも含めてなのですけれども、それらについての教育がほとんど、公教育の中できちんと行われていない現実があります。したがって、働く社会構造になっているわけですので、連合も含めて、是非とも文科省と厚労省できっちり取り組んでいただきたい。その辺については、今文科省で議論をしていますけれども、小学校・中学校・高校、全部のレベルでやらないといけません。資料2-1の5ページ(4)3には「中学校段階に焦点を当て」と書いてありましたけれども、そういうことではないのです。やはり地域の中でいろいろな見学をして、小さいころから働くということに対する社会参加ということを含めたことについても、副大臣のほうでよろしくお願いしたいと思います。

○岩村委員 一言だけですが、今まであまり取り上げられなかった問題です。15ページの国際関係、外国人労働者問題のところですが、2で外国人労働者問題等への適切な対応ということがございます。外国人労働者の労働条件の確保との関係で、この中に関係機関との効果的な連携等を推進するということが書かれていますけれども、是非社会保険の適用等の関係についても、連携を持ってやっていただきたいというふうに思います。
 以上でございます。

○諏訪会長 それでは、この議題、すっかり時間をとってしまいまして申しわけないのですが、あと45分しか残されていなくて、残りの七つの議題に時間を回さなければいけないのですが、今日出ましたさまざまなご意見を踏まえて、今後の概算要求の作業を進めるに当たりましては、委員の皆様の、このようなご意見等をよくご考案の上、取り組んでいただきたいというふうにお願いをしたいと思います。
 では、次に議題2、地域主権改革に入らせていただきます。
 最初に、事務局からご説明をお願いします。

○生田派遣・有期労働対策部長 それでは、資料3に基づきまして、地域主権改革の関係をご説明させていただきます。
 地域主権改革につきましては、労政審で昨年の2月5日、それから今年の4月1日にご意見をいただきまして、それを踏まえまして、私どもとしても今後とも行動していきたいというふうに考えてございます。
 今の動きでございますけれども、経緯のところの上に書いてございますように、地域主権戦略大綱というものが今年の6月22日に決まりましたが、その中で各省がこういう出先機関について、我が省ですと労働行政機関につきまして、どういうふうに持っていくのか、自己仕分けというのを8月末までに出すということが書かれてございます。この自己仕分けにつきましては、私どもとしましては、労政審でご議論をいただいた上で出すという考え方でございまして、本日その考え方をご説明させていただきたいということでございます。
 その後の動きにつきましては、8月31日に、この自己仕分けを内閣府、地域主権戦略会議に出しました後、年内を目途に地域主権戦略会議でアクション・プランをつくるという考え方になってございます。今後、そういう動きがあるということでございます。
 その上で、自己仕分けとして出すのを想定している紙でございますけれども、この別紙という横長の紙がついてございます。その下に別紙1、別紙2、別紙3という、小さい字でいっぱい書いてある紙がございますが、内閣府に出す本体部分は、この別紙1、別紙2、別紙3に相当するものでございます。別紙1は総括表でございまして、メーンのメニューは別紙2でございます。
 ただ、今日ご説明いたします内容以外につきましては、引き続き、国で実施するということで整理しておりますので、基本的に労政審の意見どおりだというふうに考えてございますので、それとのかかわりでご説明を要する部分のみご説明をさせていただきたいと思います。
 それは、この横長の別紙でございます。ハローワークの関係につきましての部分でございます。これにつきましては、三つの改革案というものを私どもとして考えてございます。
 1から3につきましては、今年の5月24日に、地域主権戦略会議の公開討議というものがございまして、その場でもご披露いたしましたし、さまざまな場面でご紹介している内容でございますけれども、こういった内容に新しく4ハローワークの地方移管に関する論点整理のための円卓会議の開催と国民的アンケート調査の実施というのがつけ加わってございますが、こういった改革を行うということを仕分けにつけ加えて提出するつもりでございます。
 まず、1から3の内容につきまして、ページをめくっていただきまして、1ページ目からまいります。
 まず、一つ目の改革ですけれども、これにつきましては、今の、雇用対策法に基づきます雇用施策実施方針をさらに進化させるということで、自治体と国で協定を締結いたしまして、協定の中で自治体がやること、国がやること、協働してやることというのを書き込みまして、場合によっては協働の目標だとかも設定いたしまして、その内容の実施に関しまして、自治体から要請があった場合については、国が誠実に対応する義務を負うということで、要請権限と誠実対応義務というものを法律に書き込むということを想定しております。
 それから、こういった内容を決めたり、あるいは運営の具体的な実施につきましては、これは国と自治体で構成しますけれども、運営協議会の中で議論していくといったようなメニューが一つ目でございます。
 これにつきましては次の2ページに、先行事例といたしまして、北九州市と福岡労働局で共通の目標を設定した上で、それぞれどんなことを一緒になってやっていくかということが整理してございますけれども、これに基づきまして、今年の4月からスタートしております。非常に評価は高いと言われておりまして、こういったものも参考に対応していきたいというのが一つ目のメニューでございます。
 それから、3ページでございますが、二つ目のメニューでございますけれども、ハローワークの職業紹介に関する事務の一部の先行移管というふうに書いてございます。これにつきましては、ILO88号条約で想定しております最低限の国のセーフティネット、全国ネットワークとしてのセーフティネットの上乗せとなっている事業というふうに整理されている事業がハローワークの事業の中にはございます。そういった事業につきましては、希望する自治体にはやっていただくことが可能ではないかということで、例えば、人材銀行の事業などは、上乗せ事業というふうに整理いたしておりますけれども、そういった事業について自治体にやっていただくことは可能というふうに整理しているのがこの2でございます。
 その2のところに※で書いてございますように、ナショナルミニマムとして全国ネットワークにより職業紹介、雇用保険、雇用対策を全国ネットワークにより一体的に実施している部分の移管は困難ということで、これは大前提でございます。
 それから、三つ目のメニューでございますけれども、自治体無料職業紹介事業に公的位置づけを与えるということと、国の求人情報の自治体への開放ということが書いてございます。まず、自治体の無料職業紹介事業につきましては、現在の職業安定法の体系ですと、民間の職業紹介事業と同じ位置づけということになってございまして、公的な位置づけが与えられておりません。法令上も、きちんと自治体の無料職業紹介事業について公的な位置づけを与えるということは大事ではないかということで、こういう整理をしたいというのが一つ目でございます。
 それから、その上で、自治体の無料職業紹介事業が活用しやすいように、国の求人情報につきまして、事業主の方から求人情報提供について了解が得られているようなものにつきましては、地方の職員の方に利用いただくような工夫をしていきたいというのが二つ目でございます。
 それから、三つ目は、雇用保険関係の事務につきまして、受給資格決定段階での一定の書類の取り次ぎといったようなことはできるのではないかということで、こういったことについては対応しようということで、以上の三つにつきましては、従来から提案している内容でございます。
 それから、4番目のメニューでございます。これについてご説明したいのですけれども、ハローワークの地方移管につきましては、さまざまなご意見が国民の中にあるというふうに言われております。そのさまざまなご意見につきまして、十分論点整理をして、国民の方の理解を、論点整理を踏まえて得ていくということを想定しておりまして、これはこのまま読み上げるほうが正確だと思いますので読み上げさせていただきます。「地方自治体や労使関係者、学識経験者等で構成した円卓会議を厚生労働大臣が設置して、地方移管した場合・地方移管しなかった場合の具体的なメリット・デメリットについて、利用者の視点に立って、1年程度かけて具体的かつ詳細な議論を行う。また、その際には、ハローワークの地方移管に関して、複数回の大規模な国民的なアンケートを行う。これらを通じて、地方移管に関する具体的かつ詳細な論点整理を行い、ハローワークの地方移管に関する政策決定を行うこととする」と書いてございますが、ハローワークの地方移管に関する政策決定を行うのは円卓会議ではなくて、あくまで論点整理を行うのが円卓会議という整理でございまして、こういったことで国民の理解を得ていくというものがこれでございます。
 この四つが見直し案なのですけれども、それは先ほどの別紙2をもう一度ごらんいただけますでしょうか。こういうシートに書き写して、内閣府に提出することになります。
 今、ハローワークの関係につきましては、改革案がございますので、ハローワークの関係について、どういうふうに書いているのかというのをご説明いたしますが、37ページをおあけいただけますでしょうか。37ページがハローワークの無料職業紹介事業についての仕分けシートでございます。
 構成としまして、事務の名前が最初に書いてあって、それから途中に地方側の意見と書いてあって、その下に、その他各方面の意見と書いてございますが、この中に労政審の意見が盛り込まれてございます。
 それで、ページをめくっていただきまして、39ページの一番下のところの自己仕分けと書いてあるところが自己仕分けの内容でございますけれども、これにつきましては、具体的には40ページのところに、左側に太い枠があります。仕分け結果C-C、一部A-b-1と書いてございますけれども、仕分け結果C-Cといいますのは、引き続き国でやるという意味です。だから、基本的に国でやると書いてございまして、一部A-b-1といいますのは、先ほどの基本的なネットワークの上乗せ部分につきまして地方にやっていただくということがあり得るのではないかという部分がA-b-1でございまして、それ以外に、先ほどご説明しましたような内容につきまして、その下の文章でございますけれども、国と地方公共団体の協働を推進する体制を検討する、また全国ネットワークの職業紹介の上乗せ事業の自治体への委託や求人情報の自治体への開放を検討する。さらに、ハローワークの地方移管に関する論点整理のための円卓会議を開催するとともに、国民的アンケート調査を実施するというふうな形で、ハローワークの職業紹介等の事務についてはこういう書き方になってございます。
 それから、労働基準関係につきましては、もう全くC-Cということでございまして、例えば13ページをごらんいただきますと、13ページが労働基準監督についての仕分けでございます。次の14ページに仕分け結果が書いてございますけれども、単純にC-Cと書いてございまして、労働基準関係あるいは労働局の関係の事務につきましてはC-Cとだけ書いてあるということで、これについては、全く労政審の意見どおりになっているということでございます。
 私からの説明は以上でございます。よろしくお願いします。

○諏訪会長 ありがとうございました。
 それでは、この点について、ご質問、ご意見をお願いします。

○内藤委員 ただいまのご説明で、4月に出されました労働政策審議会としての意見を十分に踏まえた形になっているということは了解をいたしましたが、改めて申し上げますけれども、雇用保険と職業紹介は一体として国の責任において、ユニバーサルサービスとしての全国ネットワークを維持することが大前提になりますので、このことは引き続きしっかりと踏まえていただきたいということを改めて申し上げておきたいと思います。
 1点、お聞きをしたいのは、円卓会議なるものが提案をされましたけれども、ここに労政審という、我々のこの場がございまして、それでこの円卓会議がさらに設置されて、学識経験者とか、労使の関係者の意見を聞くというと、この労政審の場と円卓会議の場の位置づけというのはどういう整理をされるのでしょうか。何を言いたいかというと、労政審の意見を尊重するような形での運営をお願いしたいということを言いたいのですが、その辺の位置づけについてご説明をいただければと思います。
 以上です。

○諏訪会長 関連して、この点でほかにご意見ありますか。
 よろしいですか。
 それでは、事務局からお願いします。

○生田派遣・有期労働対策部長 今回の提案の四つ目でございますけれども、これにつきましては、まさに文字どおりで、ハローワークを地方移管した場合、あるいは地方移管しなかった場合の具体的なメリット・デメリットについて、利用者の視点に立って関係者にご議論いただいて、複数回の国民的アンケートもして、具体的、詳細な論点整理を行うということで、逆にこれによって国民各層の納得が得られるようにしたいということでございます。
 労政審につきましては、私どもとして非常に重要だと思っておりまして、まず、厚生労働省設置法で位置づけはちゃんと書いてございますけれども、ILO88号条約の4条でも職業安定組織の構成、運営については、使用者及び労働者の代表者の協力を得るため、審議会を通じて適当な取り決めが行われなければならないと書いてございますように、政策の決定に当たりましては、労政審の意見を尊重するというのが当然でございますので、あくまで円卓会議につきましては、論点整理の場ということで、労政審の権限は何ら変わることなく、今後円卓会議の開催につきましても、労政審とも十分ご相談しながら、労政審のご意見を尊重しながら、どういうふうにするのか、あるいは今後どう対応するのかというのを検討していきたいというふうに考えております。

○諏訪会長 それでは、ほかにこの点での、ただいまの議題の2に関しましてですが、ご意見ありますか。

○岩村委員 今のことに関連してですが、一つ確認したいのは、今の内藤委員の質問と同じようなことなのですが、円卓会議で出てきた論点整理というものは、この審議会を拘束するものではないという理解でよろしいのかというのが1点であり、それからもう1点、よくわからないのは、その円卓会議が利用者の視点に立ってということなのですが、私の理解するところでは、この労政審に、やはりユーザーの代表である労使が出ているのに、さらに利用者の視点に立ってというのは、一体何を意味するのかというのが、実は非常に理解に苦しむというのが2点目。
 あともう1点は、これは一般論としてですが、アンケートというのを政策決定にどう使うかというのはかなり微妙な話で、理論的な、理念的なことでいえば、民意の反映というのは、法律に関していえばそれは国会の役割であって、アンケートの役割ではないはずですし、それから政省令事項については、法制上、パブリックコメントがあって、それが民意のいわば反映という枠組みになっているはずですよね。そうすると、一体このアンケートというのは何の意味があるのかというのが、私には正直言って、理念的に、理論的にも制度枠組みとしても、よく理解できません。
 それからもう一つは、アンケートというのが当事者意識のない人を対象にしてやるというのにどれほどの意味があるのか、それもよくわからないですね。また、そもそも当事者意識のない人は関心がないので、問題となっている論点をきちっと把握した上で答えてくれるかどうかもよくわからないというような、いろいろな問題があるので、アンケートをどういうふうに使われるか、よくわかりませんけれども、なされるとしても、そういった点に十分に留意された上で、アンケートの結果というようなものについての政策への反映というのは、非常に慎重に行うべきではないかなというように、一般論としては思います。
 以上です。

○生田派遣・有期労働対策部長 まず、円卓会議の議論が労政審を拘束するかということですけれども、論点整理がされた情報をどういうふうに活用いただくかというのは労政審でご判断いただくことでございまして、拘束されるということはないとは思っております。
 その上で、利用者目線に立ってという場合の利用者というのを、労政審が労使の代表の方が入っておられますので、当然、労政審は利用者の立場に立っておられると、私どももそう思って仕事をしておるわけですけれども、具体的な利用者の方の意見を聞くというふうなイメージというか、そういうアンケートをとるというふうなイメージであるというか、そういうことを想定しておりまして、ハローワークの具体的な、例えば利用者でしたら、利用者の方で具体的にハローワークに来られる求職者の方だとか、事業主の方からアンケートをとるといったようなことがあり得るとは思います。ただ、今、そういうふうに決めたわけでもございませんし、これから具体的な内容については考えていくということでございます。
 この円卓会議につきましては、地域主権戦略会議にこの見直し案を提出した後、円卓会議でこの提案についてどう考えるかという議論がされて、円卓会議を設置すべしという判断になれば設置するということでございますので、その地域主権戦略会議の議論によって、どういうふうな内容にしていくのかということも相当左右されるということもございますので、今の段階ではっきりしたことは言えません。利用者として、ここでの利用者の意見、アンケートだとかとして想定されているのは、具体的なハローワークの現場でいらっしゃる求職者の方だとか、事業主の方というぐらいの意味合いだということで、今のところ想定しておりますけれども、その中身は変わっていく可能性はございます。
 それから、岩村委員からご指摘いただいたいろいろな事項につきましては、十分留意して対応したいというふうに考えております。

○清家委員 私も内藤委員、岩村委員と同じ意見なのですけれども、念のために、これは確認ですが、内藤委員も言われたように、当審議会においてハローワークの地方移管については、既に一定の合意を示しているわけですね。その上で、改めてこのような円卓会議を設けて、その内容を議論するということの意味は、もちろん労政審の意見というのは利用者の意見を十分に反映していないのでもう一度ここでやろうとか、そういう趣旨ではないと思いますので、その点は、もう今確認されたと思いますが、あえていえば、地方自治体の意見とかいうようなもの、それから、それと同じかもしれませんけれども、この問題について我々労政審と違う考えを持っている政治家の方等もいらっしゃるので、そういう意見も念のため聞いた上で、もう1回労政審で判断をしてもらうための資料をつくるための会議、そういうような理解でよろしいのでしょうか。そうでないと、やはり我々としては、我々が利用者の意見を十分に反映していない可能性があるので、もう1回別途議論して、考え方を変えてほしいというふうに言われているような受けとめをしてしまうので、その点だけ確認していただければと思います。

○生田派遣・有期労働対策部長 この4のところで円卓会議の構成メンバーとして、労政審で入っていないのは自治体の関係者でございますので、今の清家委員からご指摘がございましたように、自治体の関係者の意見も聞くというところには意味があるのだとは思っております。
 ただ、さっきから申してございますように、最終的な政策決定に当たりまして、手続として労政審でご意見を伺うと、それで労政審の考え方を尊重して対応するということは変わりがございませんので、参考資料といいますか、論点整理としてそれを活用していただくということかと思っております。

○清家委員 できれば、これは別に対外的な文書じゃないかもしれませんけれども、やはりちょっとひっかかるのは、「利用者の視点に立って」というふうに入れられると、今までの労政審の議論は利用者の視点に立っていないのかということになりますので、これは例えば、地方自治体とかそういうところが新たに含まれるというような意味ですけど、この「利用者の視点に立って」というのは取っていただいたほうがよろしいのではないかなと思います。

○生田派遣・有期労働対策部長 それでは、この部分は削除して対応することを考えてみます。

○南雲委員 今、皆さんの発言と同じようなものなのですが、この労政審のことを考えた場合に、今回のこの地方主権戦略の部分でいきますと、地方自治体の全国知事会がかなり大きな意見要素を持っているわけですね。そういう人たちを入れて地方自治体全部入れればいいですけれども、結局、幾つかの県を選んでこの円卓会議をやる意味合いが、そういう意味では私には全くわかりません。そのほかに、労使関係者、学識関係者で構成する円卓会議をなぜ厚生労働大臣が設置をしなければいけないのかということに対して、私はなかなか納得できない。今、報告といいましょうか、説明を聞いても余計、何か袋小路に入って、余計わからなくなるというような感じがいたします。

○諏訪会長 それでは、いろいろとご意見がありましたけれども、申しわけないことに、あと20分ほどのお時間で、残る六つの議題を処理しなければいけません。今日皆様から出ました出先機関関係につきましては、労働政策審議会から過去2回意見書が出ております。厚生労働省としては、その意見書を尊重していただきたいというのが、この審議会の考え方だろうというふうに確認させていただきまして、本日もいろいろご意見が出ておりますので、審議会といたしましては、この見直し検討案の方向で進めていただきたいというふうに考えております。
 それから、地域主権戦略会議への報告や今後の対応につきましては、委員の皆様のご意見を踏まえて、見直し検討案の内容について、厚生労働大臣が責任を持って取り組んでいただきまして、必要なときに当審議会にご報告していただきたいというふうに考えます。よろしくお願いをいたします。
 では、議題の3に入らせていただきます。
 それから、時間の関係もありますので、議題の4、点検評価部会の部分につきましても、あわせて事務局からご説明をお願いしたいと思います。

○酒光労働政策担当参事官 お時間の関係がありますので、恐縮ですが、簡単に概略だけご説明します。
 新成長戦略ですが、資料4-1でございますが、6月18日に出来上がっております。内容は、ここにございますように、本文と、それから工程表で成り立っていまして、それぞれの雇用人材戦略部分を資料4-1につけてございます。後でごらんいただければと思います。
 資料4-2ですが、それを図式化したものでございまして、この資料4-2の絵面の左側に七つの戦略分野と21の国家戦略プロジェクトがございますが、このうち、グリーン・イノベーション、ライフ・イノベーション、これが成長分野、アジアとか観光地域、これが新しいフロンティア、需要創出の部分、それから残りの三つ、科学・技術とか、雇用・人材、金融、これはプラットホームということで、雇用・人材は成長のプラットホームという位置づけになっております。
 よく言われているのは、需要の部分と雇用創造の部分はそのうちの上の四つの部分を足したもので、123兆円ですとか500万人というのは、ここの数字でございます。
 以下、その図の資料4-2の2ページ以降に、具体的な目標と、それに向けての大まかな対策について書いています。例えば、全体の就業率を、今は約75%ですけれども、それを80%に引き上げるなどの対策が盛り込まれているというものでございます。
 それから、資料5-1でございますが、点検評価部会でございます。
 前回の労働政策審議会の会合で、労働政策について戦略的に実施するということで、点検評価部会の設置をご承認いただきました。これに基づきまして、8月3日に点検評価部会を開催いたしまして、その資料の主なものをここに添付してございます。
 5-1は説明を省略いたします。5-2でございますが、点検評価部会の委員ということで、公労使、三者構成で、部会長は清家委員にお願いをしてございます。
 資料5-3、資料5-4につきましては、先ほどの新成長戦略とほぼ整合する形で、2020年までの中・長期の目標と中・長期の対策、5-4はもう少し、先ほどの工程表をさらに書き込んだ形になってございまして、各分科会にもご説明してご意見等もいただいているものでございます。
 それから、資料5-5ですけれども、点検評価するに当たりまして、10年先の目標だけではなくて、単年度の目標も必要なものですから、各分科会に2010年の目標をご報告させていただきまして、それを踏まえて設定しております。今後は、この目標に沿った形で評価していくということでございます。
 お時間の関係がありますので、簡単に紹介させていただきました。

○西原委員 新成長戦略との関係につきましては、認識も含めて何点か申し上げたいと思います。直近の状況では、急激な円高が進行しています。米欧経済についても先行きの、いわゆる停滞感というものも非常に強めている。あるいは、中国についても金融引き締め等々含めまして、今、日本経済、景気の先行きというのは、従来以上に極めて深刻かつ不透明感を強めていると認識しています。これについては労働側としても非常に危機感を持っているところで、必要な対策も政府にお願いもしているところでございますが、いずれにしても、新成長戦略に基づいた個々の政策というものを、速やかに着手していく、そういった強い姿勢でこれに取り組んでいただきたいという要請でございます。特に、この冒頭の表現の中で、雇用が内需拡大と成長力を支えるという表現がございます。ある意味、政権交代による政策転換というものを端的に示す大変重要なメッセージだと、私どもとしては受けとめているところでございますが、今、内閣の掲げる強い経済、財政、それから社会保障の実現ということであれば、当然、その前提はやはり強い雇用が、ある面、大前提ではないか私どもとしても認識をしております。先ほど論議がありましたが、いわゆる高止まりする失業率の状況の打開、あるいは若年者雇用の問題特に新卒未就業者のための雇用対策、あるいは雇用の受け皿としての新成長産業の育成等々、これはやはり強いリーダーシップを持って政府として最大限の政策実現に向けてのご尽力をお願いしたいと考えております。
 その観点で1点、これは苦情も含めて申し上げたいことがあります。先ほどもジョブ・カードの観点が出ましたが、この新成長戦略のジョブ・カードは非常に大きな位置づけになっているのですが、その前提として七つの戦略分野の一つとして、いわゆるプラットホームとして、雇用・人材が組み込まれたこと自体は大変高く評価をしたいと思います。その上で、いわゆる2020年までに、ジョブ・カード取得者は300万人を達成するという目標があるのですが、実は本気でそれをやる決意と覚悟があるのかなというのが、正直申し上げまして不安な面がございます。というのは、もともと内閣府が所管をしながら、厚労省、経産省、文科省と、各省が横断的にこれに取り組んでいますが、私もジョブ・カード推進協議会のメンバーですが、この1年ほど全然開かれておりません。このジョブ・カードを起点にして、例えば高齢者雇用の部分、あるいは学生段階、あるいは今のさまざまな困難を抱えている方の就労支援なり職業紹介ということで、これはどういう方向の中で発展、育成していくのか、あるいは展開していくのかという部分で、もっとさまざまに論議すべき論点が幾つかございます。そういった部分では、今、商工会議所を中心にいろいろ全国展開で具体的な実績も上げていただいておりますが、やはり根本のところをきちっと話し合う、そういった場というものが必要になっていて、ジョブ・カードの持つ意味からすると、やはり厚労省がもうちょっと前に出て、しっかりとこのジョブ・カードに向けてのさらなる推進に向けてのイニシアチブといった部分を持って取り組んでいただきたいということを、お願いも含めて申し上げておきたいと思います。
 それから、これは新成長戦略以前の問題で、先ほど冒頭で申し上げた極めて厳しい経済環境がこれ以上雇用へ波及することを、私どもとしては非常に懸念すべき状況にあると考えております。リーマンショック以降の状況の中で、労使とも大変に苦労してきたわけでございますが、その間において非常に大きな政策効果として上げたのが、やはり雇用調整助成金であったと思っています。その過程の中で、雇用調整助成金を拡充することによって雇用の維持・確保というものがかなりできた部分、その役割の大きさというものを改めて受けとめているわけでございます。現下の情勢を見たときに、さらなるリスクがやはり顕在化しつつある中で、まだまだ出口戦略というのは早い状況にあると思っています。雇用調整助成金自体の拡充された内容等について、先ほどちょっと気になる表現で、支給の適正化という問題が指摘されたのですが、適正でなければしっかりと適正化するように指導すればいい話であって、基本的に拡充した中身というものを維持しながら、さまざまなリスクに備えていく。特に、今年度下期以降、10月以降のさまざまな状況変化等を踏まえたときに、是非雇用調整助成金の関係については、その役割の大きさを踏まえた上での拡充の部分での基軸としながら、機動的な発動も含めて、是非とも最大限この制度を、どんどん活用するというのは非常に不幸なことではあるのですが、その備えのためにもこの制度をしっかり守っていただくように、心からお願い申し上げたいと思っております。
 以上です。

○北田委員 私からは、点検評価部会について1点、簡潔にご意見申し上げたいと思います。
 個々の施策に対して目標を設定しまして、定量的に評価するという試みは評価をしたいと考えております。ただ、一方で、目標に対する数字での評価ということを偏重する余り、部分最適を助長することがないようにしなければならないと考えております。やはり単なる分析ではなく、総合的かつ中期的な視点での評価、また公労使三者で議論する意義というのを大切にとらえていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。

○加藤委員 簡潔に申し上げます。
 資料5-4の最後のページ、10の関係で個別紛争の解決促進の項なのですが、ここでは、いわゆる労働基準監督行政の強化、とりわけ今の雇用情勢の厳しさの中で、個別労働紛争がふえ続けているわけです。その中で、いわゆる法的措置を前提にした強化体制をうたっているのですが、現在、施行5年を迎えた労働審判制度、または紛争調整委員会などさまざまあります。先ほども話したように、法的処置の前に公労使三者で構成する労働委員会があるわけですから、そこを活用すべきだと思うわけです。現在、労働委員会では、集団的労使関係の再構築と、そして個別紛争処理の適切な解決のための方策など、労働委員会の活性化について公労使で議論・検討しているわけです。したがって、法的措置の前にやるべきことがあるわけで、連合においてもこの取り組みを積極的に支援していますが、労働委員会の活性化についてぜひとも厚労省としても強力にバックアップして、まずは厚労省の中で扱えるものはきちっとやって、それでいくということも含めて強化をお願いしたいと思います。
 以上です。

○岩村委員 ごく簡単にですが、評価・点検に関してですが、私は別の分野で、評価する側と、評価される側と両方やったことがあるのですが、どうしても行政がやると、評価をするということ自体が自己目的化して、何のためにやっているかわからなくなるものですから、そこのところは、くれぐれもそうならないように留意をしていただきたいというふうに思います。

○諏訪会長 それでは、事務局からは、特によろしいですか。
 では、このようなご意見を踏まえて、今後ともいろいろな施策を進めていただきたいというふうに思います。
 先を急いで申しわけございませんが、議題の5に入ります。
 議題の5は、雇用政策研究会報告でございます。

○森山職業安定局長 お手元に別冊で雇用政策研究会報告書というのがお手元にあると思いますが、資料の6に概要が書いてございますので、時間の関係上、それをご覧いただきたいと思います。資料6でございます。
 雇用政策研究会、これは近年の経済状況、環境あるいは労働市場の変化を踏まえまして、政府の新成長戦略で目標とする2020年に向けまして、重点的に取り組むべき雇用・労働政策の方向性についてご議論いただきました。
 樋口美雄先生を座長に、昨年12月から9回開催されまして、先月、7月14日に報告書を取りまとめたものでございます。それが資料6の概要でございます。
 ご覧いただけますように、持続可能な活力ある社会を実現する経済・雇用システム、これを構築するために、三つの柱、下の三つでございますけれども、その柱立てのもとにさまざまな雇用・労働政策を整理しております。
 一つ目の雇用の質が向上する働き方の改善ということで、これは先ほどご議論ございました雇用ルールにつきましては、多様な正社員の環境整備、あるいは有期雇用のルールの整備。それからまた、賃金・処遇につきましては、最低賃金の引き上げや均衡・均等待遇の推進。それから、ワーク・ライフ・バランスにつきましては、労働時間等の見直しや、育児休業等の取り組み促進等を打ち出しております。
 そ二つ目の全員参加型社会、トランポリン型社会の構築につきましては、積極的労働市場政策につきまして、若者・女性・高齢者・障害者の就労支援や能力開発支援。それからセーフティネットにつきましては、雇用保険を受給できない方への第二のセーフティネットの構築、あるいはハローワークを拠点とした支援の強化、こういうものを打ち出していただいております。
 三つ目の雇用の量の拡大と質向上のための経済システムの構築につきましては、そこに書いてございますように、雇用機会につきましては、成長分野(環境、健康、観光)等での雇用創出や、あるいは新しい雇用による国民ニーズの充実と雇用創出。経済社会のあり方につきましては、企業評価・企業行動の仕組みの構築、あるいは就業を阻害しない税・社会保障の検討等を打ち出しております。
 また、この研究会において多くのご意見があったハローワークなど、雇用対策の実施体制の整備、あるいはPDCAサイクルの評価につきましても、まとめられているところでございます。
 内容については、詳しくは本をご覧いただきたいと思っておりますけれども、こういうものを含めまして、こういう提言をいただきましたので、今後、こういうものを踏まえて、政策等に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
 以上、簡単でございますが。

○諏訪会長 ありがとうございます。
 ご質問等ございますか。よろしゅうございますか。

             (な  し)

○諏訪会長 それでは、次の議題に進みます。
 次の議題は、平成22年版労働経済の分析についてでございます。

○酒光労働政策担当参事官 資料7に、平成22年版労働経済の分析(要約)をお配りしております。
 各委員、継続されて委員になられている方には、多分8月の初めごろにお送りさせていただいたと思います。新委員の方々には、今、送る準備を進めておりますので、間もなくお手元に届くかと思います。
 お時間の関係がありますので、詳しい説明は省略いたしますが、要約を1ページ、2ページ開いていただきますと、カラーの見開きで、要約のさらに骨子みたいなものがございます。
今回、3章構成になっておりまして、第1章が1年間の労働経済の動向分析です。
 第2章と第3章でテーマの分析をやっておりますけれども、特に、第2章は産業構造、変わってきたことによる影響が今どうなっているかということで、今回、特に申し上げておりますが、従来ですと技術が高い産業、リーディング産業が雇用を吸収してきましたけれども、最近はリーディング産業の雇用吸収力自体が余りよくなくなってきているというような指摘をしてございます。
 それから、3章目では、非正規の問題等について見ておりますが、今ごらんいただいていれば、図5というのが右下にありますけれども、非正規の方々がふえてきていることによりまして、どうも年収の格差、収入の格差がふえてきているのではないかなという分析をしてございます。これを踏まえまして、すそ野が広く、より多くの人々に労働生産性の上昇の寄与がいくようにしていくことが大事だろうということを分析してございます。
 お時間の関係で、そのぐらいでとめておきます。よろしくお願いいたします。

○諏訪会長 ありがとうございました。
 ご質問等、よろしゅうございますか。

             (な  し)

○諏訪会長  それでは、実質的に最後になるかと思いますが、議題の7、法案の国会審議結果をお願いいたします。

○酒光労働政策担当参事官 法案でございますが、おかげさまで雇用保険法、2本ございましたけれども、それぞれにつきましては、前通常国会で成立し、施行してございます。
 それから、労働者派遣法につきましては、通常国会で継続審議、またこの間行われました臨時国会でも、審議未了のまま継続審議となっておりまして、また次期国会で審議されることになるだろうというふうに考えております。

○諏訪会長 ご質問等、よろしゅうございますか。

             (な  し)

○諏訪会長 それでは、その他、8番目の議題ですが、何かありますか。

○斉藤委員 すみません、お時間のない中ではありますが、概算要求の作業時期だと思いますので、1点意見をさせていただきたいと思います。
 グローバル化が進む中で、国際労働基準の設定などを行うILOの重要性というのが非常に高まっていると思っております。ILOの総会が年に1回スイスで開催されて、加盟国の政労使の代表が参加して行われているという中で、今年の6月の総会では、日本政府を代表いたしまして細川副大臣にもご出席をいただいたということで、連合としましても、深く感謝を申し上げたいと思っております。また、世界各国から日本の政府の姿勢が高く評価されたというふうに思っております。
 ご承知のとおり、ILOの条約と勧告につきまして、その重要性というのはこの場で言うまでもないと思っておりますけれども、我が国の政労使として、積極的に総会での論議に参画するということが必要だと思っております。その意味で、政府からも各課題を論議する委員会には課題に精通した責任と権限のある人物の派遣をお願いしたいと思っております。
 また、ILOの総会には、日本語がILOの作業言語ではないため、言葉の問題があると思っております。我が国の政労使が30年以上前から資金を拠出し合って日本語通訳を雇うための基金を設けていますけれども、最近は赤字の状態が続いておりまして、重要な論議であるにもかかわらず、通訳者の配置ができないというような問題も生じてきていると思っております。
 また、通訳に加えまして、議案の資料の翻訳についても、政府予算が削減されておりまして、支障が出てきているのではないかという認識に立っております。グローバル化の中でILO総会での論議というのがますます重要となってきておりますので、是非、政府におきましては、ILO総会に政労使の代表が実質的に参画できますように、必要な予算措置をしていただきたいと思っております。

○南雲委員 簡単に申し上げます。
 参考3の省内事業仕分けについて、若干意見を申し上げたいと思います。
 冒頭でも申し上げましたが、公労使三者構成の審議会の議論を経て進められてきた労働行政の諸施策が、有識者の皆さんではございますが、労働行政の専門ではない方々が仕分け人になって仕分けられています。しかも、短い時間の中で廃止や削減が決められていくという手法は、問題があると言わざるを得ません。例えば、省内仕分けの結果として、参考3の5ページにございます「安全衛生指導業務を削減すべき」という記載がございますが、こうしたコスト削減ありきの意見がそのまま公開されること自体、安全に対する世間の認識を低め、労働災害を増やすことになりかねません。また、メンタルヘルス対策と労災防止指導員は別物であると思います。そういう意味で、労災防止指導員制度を廃止するという意見がございますが、この制度は労使双方が絶対に災害を出してはならないという共通の認識のもとで、互いに不断の努力を積み重ねていくという基本的な考えに基づいたものであると受けとめております。
 これを労使当事者不在の場で、コスト削減のみを目的として結論を出すことは遺憾であると申し上げておきたいと思います。
 また、特別会計が次の事業仕分けの対象になると聞いております。労働保険特別会計は税金ではなく、雇用保険は労使による保険料拠出、労災保険は使用者の保険料拠出で積み立てられたものでございます。労災保険制度の積立金は、年金給付など、将来にわたる長期保障に対応するものであります。また、雇用保険の積立金は、一度大きな不況がくれば、一気に大幅に減少する可能性があり、過去には積立金が5,000億円以下まで落ち込んだ時期がございます。こうした経過から、雇用保険部会において、給付の引き下げと保険料引き上げという労使にとって厳しい見直しも行われ、6%近い失業率でも耐え得る安心できる雇用保険制度にするという合意をした経緯もございます。労働保険特別会計は、いわゆる埋蔵金として、別の目的で使用されるべきものではなく、積立金の額の大きさだけに着目し、事業仕分けによって短絡的に労使拠出の積立金が左右されることがないよう、強く要請をしておきたいと思います。
 以上です。

○諏訪会長 ほかにご意見ございますか。

             (な  し)

○諏訪会長 よろしゅうございますか。
 それでは、定刻をやや過ぎてしまいましたので、本日はこのあたりで閉会とさせていただきます。
 本日の会議に関する議事録でございますが、運営規定第6条によりまして会長のほか、2人の委員に署名をしていただくことになっておりますので、つきましては、労働者代表委員の内藤委員、使用者代表委員の川本委員に署名人になっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、本日の会議は以上で終了でございます。皆様には、お忙しい中、ご参集いただきまして、大変活発なご意見をいただきました。大変ありがとうございました。

(了)
<照会先>

政策統括官付労働政策担当参事官室
総務係 (内線7717)

(代表番号)03-5253-1111

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