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2010年8月11日 第3回心臓移植の基準等に関する作業班議事録

健康局疾病対策課臓器移植対策室

○日時

平成22年8月11日(水)
17:00~


○場所

厚生労働省専用第27会議室


○議題

1.開 会

2.議 事
(1) レシピエント選択基準について
(2) その他

3.閉 会

○議事

○井原補佐 ただいまから「第3回心臓移植の基準等に関する作業班」を開催いたします。班員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 本日は、佐多先生、村上先生からご欠席のご連絡をいただいております。
 今回もご議論にオブザーバーとして、国立循環器病研究センターの中谷武嗣先生と、東京大学の小野稔先生にご出席をいただくこととしております。よろしくお願いいたします。
 また、事務局に異動がございましたのでご挨拶申し上げます。これまで大竹補佐が務めておりましたが、後任として荒木補佐がまいりました。
○荒木補佐 8月9日付で臓器移植対策室にまいりました荒木と申します。よろしくお願いいたします。
○井原補佐 それではこれより、北村班長に議事進行をお願いいたします。報道のカメラの方はご退席をお願いします。
○北村班長 それでは第3回作業班会議を始めさせていただきます。まずはじめに事務局から資料の確認をお願いいたします。
○井原補佐 資料の確認をいたします。今回、先生方から多数文献等をご提供いただき、誠にありがとうございます。また、内容等に関しましては、後ほどご説明を加えていただければと思っております。
まず、資料1「心臓移植希望者(レシピエント)選択基準の見直しについて」。資料2「心臓移植希望者(レシピエント)選択基準(案)」。その後は参考資料となります。参考資料1は「脳死下心臓移植者移植時データまとめ」。参考資料2「心臓移植希望登録者の状況」。参考資料3「心臓移植者希望者(レシピエント)選択基準(現行)」。参考資料4「心臓器提供者(ドナー)適応基準(現行)です。以下はすべて英語のものになりますが、参考資料5として、UNOSの現在のあっせん基準。参考資料6は、小児(18歳未満)のドナーが出た場合に18歳未満のレシピエントを先に選択するという基準が承認されたときの議事録。参考資料7は国際心臓肺移植学会のレポート。参考資料8は、"Circulation"に掲載された論文。参考資料9は、国際心臓肺移植学会のデータです。
 また、番号をふっていませんが、中西先生から、右上に"Pediatric Transplantation"と書いてある1999年の論文。そして左下の"The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery"2006年の論文、この2つを提供いただきました。
 また、横向きの資料で、国際心臓肺移植学会の"ISHLT MONOGRAPH SERIES"と、「国際心臓肺移植学会2006年のレポート」。最後に"The Journal of Heart and Lung Transplantation 1999"。この3つにつきましては、中谷先生からご提供いただきました。以上が資料になります。乱丁等ございましたら事務局までお申しつけください。
○北村班長 ありがとうございました。お手元にたくさんの資料をいただきましてありがとうございました。それでは前回の議論を踏まえ、まずレシピエント選択基準(案)について事務局よりご説明いたします。
○井原補佐 資料1、資料2に関しましてご説明いたします。資料1は、前回と同様、今回ご議論いただく際の検討の視点というものを整理させていただいたペーパーになります。こちらは緊急度、年齢、血液型の3点についてご議論をいただきたいという趣旨の紙です。
 資料2は、前回いただきましたご意見を踏まえ、一部修正をさせていただきました。1頁めくって2頁の(2)医学的緊急度ですが、今回はこれまでの基準と同様に、Status 1、Status 2という区分にしております。また、変更点としては、Status 1の(エ)カテコラミンの投与の状態ですが、18歳未満の小児の場合にあっては、補助人工心臓を使えないといった状況も踏まえ、重症室に収容されていない場合であっても、持続的な点滴投与を行っている場合は、緊急度が高いという位置付けでよいのではないか、というご意見もありましたので、Status 1という形にしております。
 また、緊急度の次の優先順位付けとして、「(3)年齢、臓器提供者(ドナー)が18歳未満の場合には、18歳未満の移植希望者(レシピエント)を優先する」という項目を新たに追加しております。具体的な選択方法に関して、3頁の3.(1)ドナーが「18歳以上の場合」は、これまでと変わりません。「(2)臓器提供者(ドナー)が18歳未満の場合」というのを新たに設けました。こちらはまず医学的緊急度によって、Status 1、Status 2の順に優先されます。同じStatus 1の場合、18歳未満の年齢の方が先に選ばれ、次に18歳以上の方になります。18歳未満の方が複数いる場合は、まず血液型が「一致」する方、次いで血液型が「適合」する方、という形で優先順位をつけていきます。最終的に血液型まで同じ場合には、待機日数という形で選ばれる、ということになります。その他につきましては、変更点はございません。
 今回、この基準を設けるに当たり、先生方からいただきました文献等を参考とさせていただきました。基本的には11歳から17歳のレシピエントに対して、40歳以上の方から提供があった場合よりも、年齢が低い方のドナーが移植成績がいいといった論文になりますので、こちらを参考に今回の基準(案)を作らせていただきました。ご議論をいただければと思います。
○北村班長 ありがとうございました。ここにいまお示しさせていただいているたたき台の案は、多くの委員からご紹介いただきましたが、アメリカの配分機構UNOSの科学的データを基にして書いてきたところがあります。先ほど事務局からもありましたように、移植機会の公平性を保ちながら、いちばん医学的根拠に基づいた配分をすべきだということです。それが根本です。その中で、18歳という年齢が出てきておりますけれども、ここの委員の方はすべてご存じだと思いますが、ここの委員というのは移植をやっている立場側の委員ばかりですので、全社会を反映したメンバー構成になっておるというわけでは決してありません。その中で、この18歳ということは、是非、親会議においても御理解頂けるよう、なぜ18歳かということを強調していたただきたいのですが、これは虐待防止法における18歳とは何ら関係がありません。あくまでもUNOSの、米国の医学的根拠に基づいて、配分をするデータが18歳未満という区分になっております。このUNOSデータを重視するという形の年齢区分になっているわけです。
 まず、その緊急度についてのご意見を委員の中でお伺いしたいと思います。前回におきましては1Aとか、1Bという形を区分して、小児特有の病態を付け加えるべきかどうかというご議論をいただきました。あとでまた医学的知見の進歩とともに、小児における場合においても、医学的な基準といってもいろいろ違いがあることは、お手元の参考資料8にも書かれておりますとおりです。カテコラミンのみの子どもとECMOを要している子どもとでは緊急度が大きく違うという論文もあり、アメリカでも「見直せ」というような論文もあります。しかし、現在のところ、我が国においての現況も照らし合わせ、つまり提供者が大変少ないであろうということで、Status 1、2という文言に留め置くとします。しかしながら、資料の赤で書いてある部分の文章を明確にするところもあり、*の2つ目の18歳未満の場合は、やはり家族との接触ということも重要であろうという観点もありますし、なかなか重症室だけの管理は難しいということで、付加条件的に、18歳未満の場合の取扱いを改めて書いております。一方、(エ)の従来からあります「ICU、CCU等の重症室に収容され」というところは、18歳以上の者に対しては厳格にそれを重視していこうということです。これは前回におきましても、各委員からそういうご意見がありましたところを、事務局としては反映していただいたと思います。
 それでは、この見直し全体を見まして、2.(2)医学的緊急度Status 1、2、優先順位のところで、ご意見がございましたらお願いします。
○福嶌班員 今回につきましては、これでいいのかと思いますが、今後、先ほどのECMOの話であるとか、年齢によって、例えば20?s未満の子どもというのはVADもありませんので、その辺を優先していただくかどうか、これからきちんとデータを集めた上で加味するようなこと。また、拘束型心筋症のようにStatus 1までいってしまうと移植できない症例についても、将来的なご検討をいただければと思います。いまはデータがしっかりしたものがありませんので、今回についてはこれでどうかと思います。
○北村班長 おっしゃるとおりでありまして、これはあとでまた事務局からもご報告があると思いますが、医学的知見の進歩に対応し得る形にもっていくために、どこかに書き込んでいただくことを求めますか。この改定案の中に「適宜見直すことが必要である」ということを、皆さんは書いてほしいというご要望でよろしいですか。
○小野参考人 いま福嶌先生から主に小児のことについてお話いただきましたが、現在まだ治験をしております植込型の補助人工心臓につきましても、来年ぐらいから保険診療として始まる可能性があります。そういった、従来は体外式の補助人工心臓を対象にしたひとつのStatusの作り方であったというのもありますので、植込型の補助人工心臓が今後普及して、またドナーの数がある程度増えてきた場合に、その配分ルールについての考え方もまた考えてみるというのは必要だと思います。これは成人の考え方になりますが、そういう観点もありますので、やはり「一定の期間をおいて見直しを検討する」という文言は、是非とも盛り込んでいただければと考えております。
○北村班長 ありがとうございました。ほかにご意見はありますか。大体この案で、皆さんご了承というお考えでよろしいでしょうか。
○中谷参考人 いまの意見に追加して、アージェントというか、緊急という状況が米国では1A・1Bとしてあったりするのですが、その考え方が日本で馴染むかどうかはなかなか難しいところであります。実際にやっていると、ここでドナー情報がくればというのが実際あります。特に補助心臓などは、感染症の場合で何とかコントロールできている今なら対応できるがそれを過ぎれば駄目だとかということも確かにあります。そういう形のものも今後検討していただきたい。今日のところでは難しいですが、そういう意味も含めて、経験数が増えていけば、このような症例に対してどうすべきかというのが出てくると思いますので、是非そのようなことも検討していくことをお願いしたいと思います。
○北村班長 はい、その点はよろしいですよね。
○和泉委員 いまの意見に加えて、ICDの問題とか、それから悪性腫瘍をもっている人たちが、その手術を受けてからいったいどこまで許容できるのか、そういうことについてもやはり新しい問題ではないかと私は思います。これは小児も含むと思います。malignant tumorで治療して、ドキソルビシン心筋症になっている人たちを一体いつ移植して良いというゴーサインを出すのかという、これは大きな問題ではないかと思います。私はアージェントに心臓移植をするというよりも、むしろ、エレクティブに心臓移植をする人たちで大きな問題をこれからは出してくる可能性かあると思います。それはStatus 2の人たちに広がりを見せたときに初めて深刻化する問題です。いまStatus 1でほとんど終始している段階では表面化していない問題が、今度は表面化してくると考えますから、これは適宜というよりも、5年をもって見直すとか、適宜というと今回のように10何年も見直さないということがあり得ますので、少し年限を切っておくぐらいのほうが具体的かなという気もしないではないです。
○北村班長 法律は確かに見直しに10年以上かかり、約束違反とも言える状況になりましたけれど、これは厚生労働省のガイドラインの見直しということで、医学的緊急度が決められますので、早くやるべき、あるいは皆さんの要望あるいは必要性を訴えていただければ、いつでもやれるという状況です。ただ、そのためには医学的データを揃えた時点で見直すということは、また後ほど事務局からも通知等があると思いますけれど、やろうという形になっております。
○和泉班員 巨大なエネルギーが要るということだけは間違いないです。今回の色々なものも、いままでの症例数の本格的な見直しレポートが出ていれば、もっと建設的な意見も言えるのかもしれないですけれど、そういうことも含めて、巨大なエネルギーが我々の側では必要だということから考えて、ある一定の年限を言っておくということも、目安としてでいいと思いますけれど、そうすると行政もそれに引っぱられますので。
○北村班長 見直し案を書き込んでいただくということは要望しましたけれど、その期間を1年後とか、そういう期間をいま書き込むことはできますか。
○福嶌班員 小児については小児循環学会で統計を取っていて、これまでは1年毎のデータだけだったのが、そのフォローも入れたデータがそろそろ出てまいります。ただ、1年で出るかと言われると、ちょっとぎりぎりなものですので、2、3年はかかるかと思います。その辺りだとおそらくどういうRCの、本当に予後が悪いのかとか、あるいは小さい子で、どうなのかというデータは出させていただけると思います。5年がいいのか3年がいいのかはちょっとわからないですけれども。
○北村班長 我々と事務局との話で、文章としては、「緊急度については、今後も新たな医学的知見を基に、適宜見直していく必要がある」と。「見直していく」ということぐらいで、医学的新知見を必要としますので、それが正確に日にちを決めるのが難しければ、「適宜」という言葉でご了解いただけませんでしょうか。
 Statusは従来どおり2本の1、2という形を残すと。1A、1Bという前回の案では、UNOSのデータを頼りながら、1A、1Bの内容が違うものになります。
 一方では、UNOSのデータを重視した形で年齢等をもってきているのに、いまここで1A、1Bと違うものをつくるということについてもちょっと整合が取りにくいと。ですから1、2の形を残しながら小児の特殊性を少し反映できるという形に出してきたというか、皆さんのデータを基に出しているわけです。
 これでいまの「適宜見直す」ということを書き込んでいただくという形で、了解いただけますか。
                  (了解)
○北村班長 ありがとうございました。それでは小児特有の病態、先程から出ていますようなことですが、それはまた「適宜見直す」ということで、今回はご了承いただくということであります。
 次に年齢の問題、赤で書いております(3)年齢の課題ですが、事務局からこれについて、もう一度説明しますか。
○井原補佐 こちらは是非、適宜補足をしていただきたいと思います。いただいた資料を拝見させていただいた中では、まず参考資料5は、以前もお示ししましたが、5頁の3.7.5というところに、小児の心臓提供者が出た場合には小児の移植希望者を先に選択しますというルールがあります。実際のAllocationの順位ですが、22頁に順番に書いてあります。今回、この条項が認められたというのがUNOSのBoardで決まっているのですが、それは参考資料6の2頁の下から3段落目になりますが、BoardがPolicies 3.7.5をapproveしましたという形で、これが2008年のことになります。
 また、参考資料7は、国際心臓肺移植学会で統計をとっていただいたというデータの概要ですが、左上に1002頁と書いてある部分ですが、左側の中程から、"Donor age influenced survival"ということで、40歳の方のドナーからの場合、6歳のドナーからよりも約1.8倍リスクが高いということで、ドナーの年齢が移植成績に影響するという記載があります。
 また、参考資料8の"Circulation"に関しては、北村先生からもご指摘がありましたが、やはり緊急度というのがECMOなどを使っている場合は高いというデータになります。
 また、少し飛びまして、中谷先生からご提供いただいた横紙の資料を1枚おめくりいただきますと、左下のところから"DONOR AGE"という記載があります。こちらの2行目、右側からになりますが、"adolescent recipients"、11歳から17歳のレシピエントにとって、ドナーの年齢というのは1年生存率に影響を与えるのだという記載があります。その結果を踏まえて、右側の頁の"DONOR GENDER"という欄の上になるのですが、UNOSのルールが変更されました、ということになっております。
 その他の論文に関しましては、すべて移植成績に影響しますというデータが示されているものかと思います。適宜、先生方からご意見を補足していただければと思います。
○北村班長 ありがとうございました。UNOSのほうでは、いま井原補佐が申されたように、やはり年齢が高い人から思春期年齢層の人に行った場合の1年生存率が下がる。報告によっても、アメリカとヨーロッパでも多少事情が違って、ヨーロッパのほうは高齢者ドナーから若い人に行くのが多いということは、大変問題であるということも指摘されている中で、我が国がどういう新しい方法を選択するかということです。やはり成人における場合よりも、18歳未満の小児グループに対しては、年齢層の低い同世代の人からのものが、最も医学的に見て生存率を高くする因子であるという根拠に基づきまして、ここに書いておりますような18歳未満の提供者が出た場合には、18歳未満の希望者のStatusと、血液型のランキングの中で優先させるという形で、よろしいかという案です。何かその他にご質問、ご異議等がありましたら。
○福嶌班員 ちょっと補足をよろしいですか。参考資料9ですが、1頁からずっと、子供の移植についてのドナーの年齢がどう関わってくるかということで、1頁のいちばん下に書いてあるのは、これは1年生存率に年齢が少し関与してくる、小さいほどいいというデータです。
 2頁の上が、同じですね。その下が、次は5年生存率には15歳を過ぎてくるとリスクが高くなる。特にその因子は何なのかというのが、3頁の上になりますが、冠動脈疾患の率が高くなってくるということで、子供には子供、特に15歳未満というのは、予後に大きく影響するというデータです。
 それに対して、その次の大人のデータですが、特に4頁の下を見ていただきたい。4頁の下と5頁の上になりますが、大人の場合で、Donor Ageがどれくらい影響するかですが、これは15歳から上のデータになっておりますが、30歳までほとんど変わらないのです。ということは、18歳未満の心臓をもらう利点というのは特にないということになります。ですから、大人にあまり利点がなくて、子供に利点があるということが、子供から子供への医学的理由になるのではないかと考えて、この資料を提出させていただきました。
○北村班長 心臓移植は、サイズ等と血液型等でマッチングするなら、若い人の心臓のほうがやはり長くレシピエントの寿命を保てるというデータがある中で、子供の場合はよりそれが明確に現れやすいということ。
 それから私としても、やはりそういう医学的根拠と、心臓というのは、肺臓や肝臓のように生体移植というものができません。それから分割移植といって、大きなのを小さくして入れるという方法も使えません。その中で世界中から日本の移植体制の非難の的になりました渡航移植を減らせという問題も、小児の心臓移植というのが非常に大きな部分を占めて、こういったものが医学的よりも社会的、それから生体分割はできないという医学的を合わせますと、やはりこういう子供たちの予後を良くする方法を講じるのが、今回の法改正の趣旨の1つであると理解しまして、この18歳未満を優先する案というのを、皆さんでご議論いただきたいということですが、これはこのままで、(3)の年齢についてはよろしいですか。
 ただ、申しておきますが、ここは移植の先生方ばかりですので、この後、親会議といいますか、臓器移植委員会があります。そちらのほうにこの案が出ていったときに、どういうご議論をいただけるかということもあるので、我々の医学的根拠に基づいたところと、さらにいま申しましたような心臓の特殊性もご理解いただきたいとは思っています。
○和泉班員 そのとき、やはり生物学的な観点も必要ではないかと思うのです。心臓という臓器が持っているものにも、臓器の寿命というものがあるのだという考え方を、やはり私たちはしっかり押さえておく必要があるのではないかと思います。
 人類がどこまで長生きできるか。これは変な話ですが、大還暦という言葉があります。大体、大還暦に匹敵するくらいが人間の寿命であろうと、これは論理的な決着がついているわけで、ミトコンドリアのDNAの変異の問題が、エナジーソースとして心筋に寿命を与えているのだという考え方です。
 これは徐々に年齢を重ねるとともに現象が出てきて、それが60歳で来る人もいれば、70歳で来る人も80歳で来る人もいる。私がいま持っているのですと、20歳以上からその差は出てくるという論文が出ているので、やはり生物学的に臓器移植をやるとき、臓器が持っている寿命というものを根幹に考えて、私たちは移植という医療を行うべきだろうし、移植の現場から、その生物学的な限界に対する1つの答が出ているのであれば、それに忠実に従うべきだろうという議論展開をすべきだと思うのです。そこは、私は押さえておく必要があろうかと思います。
 もちろん臓器の寿命を決めているのは、ミトコンドリアだけではありません。Ras系の問題もあるでしょうし、細胞内のシグナル伝達の問題も、非常に遅くなるということも知られておりますので、そういう問題、長寿医学の成果、長寿生物学の成果というものも、やはりここには反映しているのだということを、ちゃんと押さえておく必要があるのではないでしょうか。
○北村班長 ありがとうございます。心臓学者らしいご意見で、そういうものをベースとして、1年生存率にも差が出てくるという形になっているのだと思います。
○福嶌班員 年齢について確認させていただきたいのですが、UNOSのほうの3.7の3頁を見ますと、この子供というのは登録した年齢が18歳ということになっていますので。
○北村班長 それは、いまからやります。
○福嶌班員 そうですか、申し訳ありません。
○北村班長 そしたら、一応18歳という形で線引きを、いま申しましたことで了解いただいたと思いますが、この18歳というのは一体いつの年齢と考えるのか。つまり登録された年齢なのか、あるいはドナーが出現したときの年齢なのかということです。簡単に言えばそういうことですが、これはどうお考えでしょうか。
○福嶌班員 後先になって申し訳ありません。一応、3.7.3の所、3頁の上の4、Pediatric Candidate Statusというのはどういうものかの定義があるのですが、ここでは18歳未満というのは、あくまでも登録した年齢が18歳未満という、要するに18歳を過ぎても、そのままurgency statusは同じだと書かれていますので、登録した年齢でお願いできないかと思います。登録してから1日過ぎたら駄目というのは、かなり苛酷なこともありますので、その辺をご検討いただければありがたいのですが。
○北村班長 どうでしょうか。
○中谷参考人 18歳未満で登録して数年経っているということが現実にあります。だから、そういう人たちを結局どうするのかということも考えておかないといけません。移行というか、そのときどうするのかということに関わってくると思いますので、なるだけ良さそうな形で、例えばこのルールでという形でもよいと思います。
 結局どちらかで決めないと仕方ないと思います。
○北村班長 ということは、どの方法がいいのですか。
○中谷参考人 だから18歳と言っていても、現在18歳未満で登録して既に23、24歳になっている方が現実におられます。
○北村班長 そのときは、どう考えますか。
○中谷参考人 いまの18歳未満の登録という形でやるなら、そういう人が出てきます。
○福嶌班員 それは優先してあげないと駄目。
○中谷参考人 既に現実におられます。
○北村班長 それはそうでしょう。待機時間が長いうちに、どんどん年齢が上がってしまって、実際はその枠を超えてきているという方をどう取り扱うかということですが、それはやはり米国でも登録時にしていますね。先生も登録時でよいと。
○中谷参考人 どちらにするか、なかなか難しいですし。
○福嶌班員 登録時でいいのではないですか。
○小野参考人 逆に長く待たれている患者さんというのは、多くは私たちの病院でも4、5年お待ちになっている患者さんがおられますが、登録したときから意外に悪くならない患者さんが、例えば薬物治療ないしCRTなどは、わりと予想以上によく効いた患者さんというのは、Status 2のまま4、5年経過している方もいます。
 大概、長い方というのはStatus 2の期間が長いのであって、いわゆる18歳未満の小児の優先提供といっても、最終的にはStatus 1としての期間が順位を決めることになりますので、ですからいままでの登録している患者さんで、登録時18歳未満であった患者さんも同列に論じていただいても、たぶんStatus 1としての期間はさほど長くない方が大多数だと思うので、公平か不公平かという感情論があるかもしれませんが、さほどそういう問題は、現実的には起こらないのではないかと考えています。
○北村班長 現在ではStatus 2の人が、Status 1になったという場合ですね。それは、現在は日にちを連続して勘定しているのですね。
○福嶌班員 連続ですが、Status 1の期間だけが。
○北村班長 Status 1だけの計算ですね。
○福嶌班員 Status 1だけの計算として、ネットワークではカウントしていただいています。
○北村班長 それを変えるかどうかということですね。というのは、後の問題を先に続けてやらせてもらいますと、先ほどのStatus 1という中で、18歳未満の場合は、重症室に入っていない場合でも1にしようかということで、ご了解いただいた中で、そうすると現在Status 2で、病室で、自分の部屋の中でカテコラミン投与をやっている人が、18歳未満であれば1に上がれるということにもなるわけです。
 現実問題としては、現在18歳以下で移植を待っている人は多くありません。10人に満ちません。しかしながら、その人たちが1に上がってくるときにどうカウントするかということもあるし、これがもし親会議を通過して、承認されて、ネットワークがこの方針でやってくれるというまでの期間に、登録された人をどうするのかというカウントの仕方も出てくるのです。
 そこで現状のような1になってからのカウントを重視するのか。2で長いことおられる方々の日にちをカウントすると、その人が1に移りますと、ポンと上がってしまうので。
○福嶌班員 小児の方で、長くカテコラミンが付いたまま1できていることは、私はないと思います。
○北村班長 1というのがない。
○福嶌班員 1というか、要するにいままで1で登録されずにカテコラミンが付いているような小児というのは、いないと思う。自分の経験では、少なくともないです。
○北村班長 それがいままでは、一応はICU、CCUの重症室に入っていないと1にならないのですよね。そこを厳守していたら、1に入れにくい子供もあろうかということで、今回、子供については親御さんとのコンタクトも重視しながら、こういうのを付け加えたという背景があります。
 ですので、少なくともいままでの基準でしっかり取れば、自分の病室でカテコラミンをやっている患者は2になります。
○中谷参考人 まさにちょっと言いかけだったのは、実はそこのところです。18歳を超えてしまった人に関しては、このルールでいくといわゆる総室で管理し、重症室管理はしていないという方と、18歳以上で登録された方では、その人はルール上は2なのですね。そこに違いができます。そしたら、18歳未満で登録して18歳を越えた人は2でいくのですよね。
○福嶌班員 すみません、そこの解釈ですね。というのは、このStatus 1の18歳未満というのは、その時点の18歳だと思うのですよね。
○中谷参考人 そこのところを明確にしないといけません。
○福嶌班員 そういうことですよね。それは確かにそのとおりだと思います。
○中谷参考人 だから18歳未満の間であれば、そういう人たちも1としてカウントしているけれど、18歳以上になったら、いわゆる小児優先枠に入るけれども、その人たちは厳密に18歳以上としての人たちと同じルールでのStatusでないといけません。
○福嶌班員 そうでないといけないです。
○中谷参考人 だから、仮に18歳までという想定ですが、例えば先生が言われたように18歳未満で登録しておられて、その間は1としてカウントされていた。残念ながら18歳を超えたときにも、まだ移植がされなかった。その人はいわゆる小児枠のままで優先枠があるけれども、もし重症室管理ではない状態であれば、その段階で一旦2に下がる。それで、また補助心臓を付けるとか、やはり重症室管理が必要であるとなったら、その段階で1にランクアップされて、それでStatus 1としての日数は、その段階で小児のときも含めてカウントされる。そのようにしておかないと、大人で登録した人たちとの整合性がとれないということになります。そこのところは明確にそうするのだということを、例として挙げておいていただきたい。そうでないと、ものすごく混乱します。
○北村班長 そうすると、それはどの方法がいいですか。
○中谷参考人 いまのままで良ければ、それを明文化して下さい。
○福嶌班員 だからStatus 1のほうは、この18歳未満というのは、その時点ということにして、移植の年齢の優先のほうは、登録時のというのを付ければわかりやすいのではないかと思います。
○北村班長 それから、もう一度整理すると、(2)の医学的緊急度の、「ただし、18歳未満」というのは、その時点で。
○中谷参考人 実年齢で18歳未満の人。
○北村班長 18歳で重症室に収容されていないカテコラミンの人を1に上げた場合は、1としては、例えば明日これを上げたということになれば1日と、Status 1とすると。
○中谷参考人 そうです。それで、18歳になった段階でStatus 2にする、となります。
○北村班長 それで、(3)の年齢のほうについては、18歳未満の提供者が18歳未満の希望者に優先するという、これは登録時の18歳にする。そこのところを明確に記載してほしいという形です。
○井原補佐 緊急度のところの18歳未満というのは、レシピエント選択を受選されるときの年齢が18歳未満なのかどうかです。例えば17歳でStatus 1で登録されて、18歳を超えたということになると、一旦Status 2に降りるということ。
○北村班長 そういうことです。
○福嶌班員 重症室にいなければStatus 2に降りて。
○井原補佐 それまでのStatus 1は、勘定には入るということ。
○北村班長 それはStatus 1としての日数。
○福嶌班員 今度またStatus 1になったときには。
○井原補佐 その1年間分は残っていて、また補助人工心臓を19歳で付けましたといったら、そこからカウントしてトータル1年何カ月という形で、Statusのほうは日数をカウントする。
 また、年齢優先ということに関しては、ネットワークにリストアップされた時点、登録された時点が18歳未満であればずっと、何歳でレシピエント選択をするときでも優先の対象になるということでよろしいでしょうか。
○福嶌班員 はい。
○北村班長 皆さん、よろしいですか。それなら、そこに何かちょっと付け加えて、明確に年齢の。
○井原補佐 緊急度と待機期間のところに、それぞれ。
○北村班長 つまりネットワークが迷ってしまって、どの基準か混乱がないように。
○和泉班員 いまの問題は大丈夫ですか。
○北村班長 大丈夫です。
○福嶌班員 あともう1つは、遡り認定を子供でするかですが、今回ルールが決まったのですから、やはりそれはできないということにしないと、そこは不平等が起きるのではないかと思うのですが。
○北村班長 ですから、でないと、膨大な待機時間を持ったStatus 1がポンと出てくるという形になるわけですよね。
○福嶌班員 いないとは思うのですが。
○北村班長 ただ、前にもありましたが、Status 2の時間の2分の1を足し算するとか、そんなのもありますが、そういうのはまたややこしい。2の間の待機時間をどう見積もるか。
○和泉班員 ただ、法律の施行日までは遡らなければならないと思います。
○福嶌班員 7月17日ですね。それはいいと思います。どこか起点日を決めればいいと思います。
○北村班長 それが7月17日という意見が出ていますが。
○福嶌班員 このルールが決まってからということ。
○北村班長 それより、むしろこれが。
○和泉班員 要するに遅れているという。
○北村班長 親会議で承認されて、発効するときから有効になるときです。
○和泉班員 実際はいないのでしょう。いま6名、キャンディデートがいるけれど、それに抵触する人はいない。
○辺見室長 むしろ7月17日に限らず、7月17日を遡ってであっても、この状態になったときまで遡ったほうがいいのではないかという気はするのですが。
○和泉班員 いや、7月17日以降に登録された人からは、その原則が活かされないと、おかしいのではないですか。
○辺見室長 7月17日より前に登録されて、現に登録している人については、同じように。
○北村班長 15歳以下の提供が認められたのが7月17日であって、ガイドラインのほうは18歳という違う年齢でのガイドラインですから、やはりこのガイドラインを発効させた日でしょう。法律は、提供は認めるけれども、それをどう配分するかということを、いまやっているので、どう配分するかというのが承認されたところからスタートではないでしょうか。
○小野参考人 そう思います。これの発効日だと思いますが。
○和泉班員 そういうガイドラインは別にないのですか。
○辺見室長 この基準に関しては、最終的には審議会で議論をいただいて、ネットワークに対して通知という形で発生しますので、実際に運用される人には明確に決まりますので。
○和泉班員 省令で出るということですか。
○辺見室長 省令ではございません。通知になります。ですので、その日の時点で18歳未満の方は、この規定の対象になるということ。
○和泉班員 では、そうすると非常に微妙な人たちが出てくる可能性はある。
○中谷参考人 ただ、それはもういまの段階でもあり得ます。
○福嶌班員 でも、いまから子供でそういう状況になった人というのは、本当のStatus 1以外、カテコラミンは使わないと思いますから、それはたぶん問題はないとは思いますけれどもね。
○北村班長 幸いに移行措置を要するような年齢層の、現在の登録患者の状況は、非常に少ないです。
○和泉班員 6名。
○北村班長 つまり18歳以下は少ないですので。
○中谷参考人 要するに混乱を招かないように。例えば、いま17歳11カ月としましょう。それで、この先1カ月経ったら18歳になるという人は、どうなのですか。
○福嶌班員 その人は、この(3)についてはちょっと可哀想な可能性があるのですよね。通知日がそうだとすると、いま17歳8カ月の子とかは可哀想な可能性があります。
○井原補佐 緊急度の所に関しては通知の運用日からで、年齢優先の対象になるのは、現にいま登録されている180名の方であれば、ネットワークに登録した日から考えるのがいいのか。
○福嶌班員 それは登録した日からです。だから変わらないですね。それはならない。そうしたらいいです、ごめんなさい。ちょっと勘違いしました。そうですね。だから(3)については問題ないから通知日ですね。わかりました、それでいいと思います。ちょっと勘違いしました。
○中谷参考人 だから既に登録されている人も、それはこの改正が行われる日から、その規定で、すなわち小児枠のほうに入るとなります。
○北村班長 そうです。そのとおりです。
○中谷参考人 Status 1のカウントに関しては、発効日以降にして、遡るということはせず、極端な話、1年あったとしても、それはカウントしない、あくまで2とするということですね。
○北村班長 そうです。それは先ほど申し上げて、それをちょっと明確に。
○和泉班員 それは本当かな。Status 2の人たちから、Status 1に切り替わっている人たちが出てくる可能性があるのですが、それがうまく現場で処理できますかという話なのです。いまの話は。それは、厚労省の机の上ではうまくいくでしょうが、現場がうまくいくかという話です。
○北村班長 現場では現在も登録されている方は、先生がおっしゃった10名以下の方、この年齢層の方々は全てStatus 1です。ですからそれはいいわけですが、問題は、いまから、現在Status 2の人が、今度これが決まって有効になったときにStatus 1に上がる人の、Status 2の期間ですね。日にちもカウントレスにしてよろしいですか。1としては、もうそれを足さない。
○福嶌班員 早くに審議会を開いていただくということで。
○北村班長 現実の日本を見ると、Status 2は難しい状況にあります。子供さんに関してはStatusを上げることになりますので、待機時間は短くても、そうでないと、それを足し算しますと、Status 1で待っている長い人を飛び越す可能性が出てくるのです。それは、やはり不公平だろうというのです。ですから、それでいかがですか。
○和泉班員 そこが不公平と思うかどうかですね。
○中谷参考人 Status 1と2の確認作業といいますか、そこからいくと、登録日で決まる。Status 1への切替えを振り返ってやるというなら、その作業はこちらにとってもかなり大変です。だから、そういう意味で言うと、施行日から新しいカウントの方法でStatusを実施するというようにしていただくと、いま登録している方にとっても間違いが非常に少ない。だから、そこだけはもう一遍、何をやるのか確認が必要です。
○和泉班員 現場での混乱が起きないかどうかということを、私は心配しているだけの話です。
○中谷参考人 いちばんそのほうが明確です。要するに登録日に関しては既に行っているわけですから、私たちは全く何もする必要がない。Status 1とStatus 2に関しては、この日をもってStatusの考え方が変わりましたということで、そこで見直す。つまり実年齢18歳未満の人だけですから、その人がいなかったら全く関係ない。
○和泉班員 手作業でできるはずですね。
○中谷参考人 そうです。
○福嶌班員 たぶん、こちらでも。
○中西班員 年齢に関しては、これは何人くらいおられますか。
○井原補佐 実際に登録されているのは7名です。
○中西班員 それで、いま18歳以上になっている方。
○井原補佐 18歳以上になっている方というのは?登録時から変わっているのは…
○中西班員 登録時が18歳未満で。
○井原補佐 現在登録中の人が7名です。
○中西班員 では、それはもう18歳を超しているわけですね。
○福嶌班員 超してないのもいますよ、こちらに。
○井原補佐 登録日が18歳未満で、現時点で18歳を超えている方が何人いるかというのは、すみません。現時点では、こちらでは把握していないです。
○福嶌班員 仮にいたとしても、8名以上にはならないということですから、そんなに手間ではない。ただ、その日に本当にカテコラミンが付いていたかどうかを、カルテを全部見直さなければいけないことになりますから、例えば登録が4年間あったら、かなり大変ですよね。
 それと、不平等という考えは難しいかもしれませんが、そういう誤差が生じるということからも、これから後でもいいとは思うのですが。まして重症室に入っていない。
○中西班員 これから後というのは。
○福嶌班員 通知日でもいいですし、7月17日でも、どこか。
○中西班員 年齢のことなのか、緊急度のことなのか。
○福嶌班員 緊急度の話です。年齢は登録の日ですから、以前登録されていたらいつでもいいわけです。だから7人が全部それに入るということですよね。優先されるということ。
○中西班員 遡れば。
○福嶌班員 そうです。登録時年齢ですから、それはそれでいいです。
○中谷参考人 登録時年齢をその時点で事実を確認するだけです。
○中西班員 そうです。
○中谷参考人 だから、遡りでも何でもないです。
○中西班員 ただ、年齢は遡る、緊急度は遡らないという2つの基準が出来るけれど、それでいいのかどうかということでしょう。
○和泉班員 それはそれでいいのではないですか。
○中谷参考人 それはいいです。
○和泉班員 遡るというのがよくわからないのですが、基本的には患者さんの利益に資すればいいのですから、患者さんの利益になるような決め方でいいのです。
○中西班員 登録時はそれでいいのか。
○井原補佐 (3)の年齢の優先のところに関しては、とにかくネットワークに登録された日が18歳未満であれば、ドナーの方が出た場合には優先の対象になる。緊急度の評価に関しては、至急こちらも審議会を開きたいと思いますが、審議会を通ってネットワークに通知を出した日をもって、18歳未満の方は重症室に入っていなくてもStatus 1として日数をカウントし始めるということです。
○北村班長 それがわかりやすいですよね。
○中西班員 そのほうがはっきりしていていいでしょう。
○井原補佐 移植医療機関の方にとって、過去のデータを遡って、例えばStatus 2だった期間を足す作業などを、例えば1カ月くらいの猶予を持てばできるのかできないのか。そういう作業をするのと、どちらがいいのかという論点はあろうかと思いますが。
○福嶌班員 ただ、施設によりますが、少なくともうちの患者には、そういう者はいないですから、作業はしないです。たぶん7人で何人いるかですよね。
○小野参考人 そうですね。私たちの所もおられないです。
○井原補佐 患者さんの状況と移植施設の手続というのを考えれば、通知日に18歳未満の方は、自動的にStatus 1という形で日数をカウントし始める。
○小野参考人 カテコラミンが入っている場合ですね。
○井原補佐 はい。
○北村班長 わかりました。では、それで文章が明確になるように、事務局でご検討いただきたいと思います。それでは血液型ですが、ABO式の血液型で、identicalをcompatibleよりも優先するという、この基本は従来どおりでよろしいですね。
 そうしますと、次の具体的選択方法で3頁に書いてある、18歳以上の場合と18歳未満の場合です。これが18歳以上の場合は、従来どおりのidentical、compatible、identical、compatibleといくわけですが、18歳未満の提供があった場合です。このときの年齢を、まず先ほどご検討いただいた規約に従って、18歳未満の者の「一致」、その次はそれの「適合」。しかしながら、Status 2の18歳未満に飛ぶことはしないで、18歳以上の人の「一致」「適合」を探していく。
ですからこれで、やはり緊急度をいちばんに置く。これを崩すと、緊急度でもっと詳細に分けて、1A、1Bといったように分けていくということになる。やはり緊急度を最優先にするという、この形でよろしいですか。
(異議なし)
○北村班長 では、そしたら具体的選択方法の(2)の18歳未満は、この形でご了解いただいたということでいいかと思います。
 それでは、あとは事務局との中で、Statusを変更する必要がある患者。先ほどの議論でゆくと、それはもういいのですよね。登録されたと。
○井原補佐 基本的にこの基準が決まりましたら、各移植施設の先生方にも通知の変更と併せて、Statusの取扱い、年齢優先の場合の取扱いということに関しては、わかる言葉を添えてご連絡を差し上げたいと思っています。
 すみません、事務局からですが、3.の具体的選択方法の中で、以前ネットワークのブロック化の話も順位付けで書いてあったのですが、この点はいま一元的にされていますし、年齢の話を入れるとまた非常に複雑になってまいりますので、現時点ではこの基準から落とすという形でもよろしいでしょうか。
○北村班長 そうですね、どうでしょうか。心臓は一元管理のままいくだろう。これだけ少ないので、アメリカのようなゾーン別の優先基準は、腎臓はちょっとしていますよね。2つありますからね。しかし心臓については、ゾーン別の優先基準はいらないし、一元管理という形で、一応いまの時点で消すのですね。
○井原補佐 そうです。ちょっと基準が見づらくなってしまうと思います。
○北村班長 という形でどうでしょうか。
○中谷参考人 消していただいて、そして下に、また必要に応じてブロック制を考えるとすればいいです。
○北村班長 適宜見直すということで。
○和泉班員 見直す必要もないのではないでしょうか。私は4桁までいかない限り、そんなことを考える必要はないというくらいの、ドラスティックな考え方でいいのではないかと思いますが。4桁も発生しているから、米国では混乱を避けるためにやっているというところもあるかと思いますので。
○中谷参考人 広いということもあるので、やはり時間の問題も考慮したら、ある程度のブロック制はそれなりに意味があります。日本も確かに広いのですが、いまは何とか1ブロックでいける体制を、ネットワークも取ってくれていますし、現実的にはそれで対応できています。
 それから、当初作ったときは、ブロック化が結構早くなるのではないかという想定で作ったのですが、現状は先生も言われたような形です。
○和泉班員 実際に虚血時間が非常に危ないところまでいった症例はございませんので、だから、そういうことが起きてくれば話は別ですが。
○小野参考人 もう少し具体的に一応シミュレーションとして考えられるのは、沖縄でドナーが出たときに一体どこまで運べるのかということが、やはり常に私も考えているのですが、その場合、大体搬送時間というのは、ドナーが出たときに臓器移植ネットワークのコーディネーターの方々が時間を計ってくれますので、それを見た上で、この虚血時間だったら自分たちでもできるという施設があれば、それを受ければいいですし、あとは移植をする施設も、一応6時間までは虚血時間が可能、アクセタブルな所に入っているので、あとは移植する施設ごとの責任で考えて、その臓器を採用するかどうかを考えるという形で、だから私は1ブロックでいいと思います。
○和泉班員 やはり逆だと思います。北海道で発生して、沖縄へ運ぶときのほうが時間がかかるので。
○小野参考人 ただ、沖縄には移植施設がありませんので。
○和泉班員 まあ、将来の話ですが。
○福嶌班員 今度、北海道大学が入りましたので、沖縄のドナーをどうするかは、いま彼らが一生懸命考えているところです。
○和泉班員 届くでしょう。偏西風に乗って飛んでいけばいいのですから。
○福嶌班員 西からのほうが時間がかかりますので。
○北村班長 そういうことを心配する事態になってほしいと思います。そしたら一応、赤で書いてあるネットワークの組織化の部分は削除という形で、ご了解いただきます。しかしながら、最後の「その他」の所に、そういう事態になったら検討しますということを書いてあるのでしょうか。
○井原補佐 ブロック制の導入については改めて考える必要があるという記載がございます。また、先ほどいただいた緊急度の見直しについても、併せて盛り込めるような文章を考えたいと思っています。
○北村班長 それでは大体の選択基準をご了解いただいてまいりましたが、あとは先ほどございましたように、これは審議会のほうにかけさせていただいて、できるだけ早く、これが認められるかどうかはわかりませんが、認められれば使える状況に持っていって、厚生労働省からネットワークのほうに通知を出していただくという形で、対応させていただきたいと思いますが、他に何かありましたか。大体このくらいで、あとは文言の見直しの要綱を書きこんでくださいと。
○井原補佐 では、最後に確認をさせていただきます。1点目、医学的緊急度、Status 1の18歳未満という所に、レシピエント選択を行う時点での年齢ということを追記させていただきます。
 それから(3)優先の年齢の所ですが、こちらにはネットワークに登録された時点が18歳未満という形の記載をさせていただきます。
 それから最後、(4)その他の所には緊急度の見直しについても読めるような形で、変更させていただきたいと思います。以上の点を修正させていただければと思います。
○北村班長 ありがとうございました。他にご意見はありますか。
○中西班員 例えば体重差がクリティカルだったときには、各施設でいけるかどうかを判断するということですね。
○北村班長 そうです。同じマッチが、同じ施設で2つ選択がある場合も、必ずしも施設内では上のほう、待機時間の長いほうではなくて、年齢が合うほうを、いろいろそれは施設の責任を持ってやられているのが現状ですので、それはそれで、医学的判断でよろしいと思います。
○小野参考人 あと、3頁のいちばん下、4番の「その他」のところ、見直しの文言のところで、これは血液型のことが主に書かれていますが、血液型に限らず、先ほどご議論いただいたようなStatus 1A、Status 1Bも含めた。
○北村班長 ここへ書き込むのですね。
○小野参考人 そうです。ここへ書いていただく、そういうことですね。
○井原補佐 十分な説明でなくて、すみませんでした。
○北村班長 他に何かありますか。今日はまだちょっと時間が残っていますが、いずれにしても心臓が他臓器と違う点というのは、マスコミの方もおられるから申し上げますが、やはり生体移植ができない、それから小さくして使うという肺臓・肝臓等で行える分割移植もできない。したがって、小児の部門においては渡航移植に頼らざるを得なかった。逆に言えば、この法律改正がなければ日本の子供たちは、心臓移植が要る子供は外国へ行かない限り死んでも仕方がないという法律だった。今、こうして見直されたことで、医学的にも同年齢層の人からの移植成績が、1年生存率を見ても優れているという医学的結果等々を合わせて、総合判断として、「小児からの提供は小児をまず考えてみようという形にしよう」という皆さんのご意見で、この案がまとまったと思います。よろしければ室長のほうから、何か今後のことなどをお願いします。
○辺見室長 今後、おまとめいただいた考え方に基づいて、文言のほうは私どもで訂正させていただいた上で、いまの時点では日程を調整中なのではっきり申し上げられませんが、近いうちに臓器移植委員会を開き、既におまとめいただいている肺の基準と合わせて、お諮りしたいと考えています。
○和泉班員 心肺同時移植のときは、私は肺の条件を全然聞いていないのですが。
○福嶌班員 肺の条件は結局、小児は入らなかったのです。だから、心臓は今後の優先は入りますが、肺は入らないので、身長で決まってしまいます。120cmくらいの。
○和泉班員 そうすると肺のほうで第1になってきた人は、体格だけで決まってしまうということですか。
○福嶌班員 肺の心肺で1番になったら、子供のドナーからでても、心臓を抜いてしまう可能性があります。
○和泉班員 心肺とちょっとギャップが起きるのですか、起きないのですか。
○北村班長 どちらからでもいいのです。ですから、それは心臓の基準から入っていける場合と、両方がかかってしまうのです。
○福嶌班員 ただ、心肺で肺の大人の人が1番になった場合に、子供の心臓へは行かずに、心肺の大人に行くということになる。このルールだと、そういうこと。というか、心肺はほとんど肺から来ますから、そういうルールになります。それで、だいぶ肺の会で言ったのですが、通らなかったのです。
○和泉班員 それは1つの問題点として残りますよね。
○福嶌班員 そうなりますからということも、だいぶ言ったのですが。
○北村班長 ただ、そのときに皆さん、マスコミの人も含めて、肺と心臓がなぜ違うのかということは、違いをはっきり申しますと、肺は生体移植ができるという道があるということ。分割移植もできるという道がある。心臓はそれがないという、医学的な大きな根拠がある。ですから、そこであまり深い疑問を持たなくてもいいのではないかと思うのですが。
○福嶌班員 心肺だけは分割できませんので。
○辺見室長 参考としておりますUNOSの基準においても、心臓と肺という観点で申し上げますと、心臓はいまご参考にされたような基準が設けられています。肺のほうは、マッチングの規定はあって、それを今回の肺の作業班のほうでは導入しておりますが、UNOSのほうも同じようにマッチングの考え方はあるけれども、優先ということではなかった。
○福嶌班員 優先はあるのです。
○辺見室長 優先はあるのですか。
○福嶌班員 優先はあります。マッチングではなくて、12歳で優先されています。年齢とサイズで合わせているというのが。
○辺見室長 合わせるということですね。
○北村班長 何よりも大事なのは、サイズが合わなければいけないわけです。それで子供の場合は、ある程度年齢が決まってきてしまうわけです。
○福嶌班員 もちろんサイズは合わせなければいけないのですが、120cmの子供さんがいた場合に、135cmくらいの人から12%もらえるのですが、その135cmの子供のドナーから150cmの大人に行ってしまうということなのです。それが、いまの今度出来たルールです。だから心肺の場合も、そうなってしまうだろうということになります。
○井原補佐 心肺の場合も基本的にはサイズが合って、合う人が複数いた場合には同じ基準で評価できるほうを優先するということにしていますので、重なれば…
○福嶌班員 だから、子供の優先はないということですよね。
○北村班長 明確にはないけれども、サイズマッチのほうはピシッと両方入れなければいけないからね。
○福嶌班員 いま言った例は、120サイズくらいの心肺というのは、いちばん助けられない子たちなのですが、優先されなくなるのは事実です。
○井原補佐 そこはサイズで、ある程度合うのですよね。
○福嶌班員 だから、12%マイナスが入っているから、12%マイナスと12%プラスという重なる所が出来るわけです。そうすると、本当は子供を助けられるのに、大人に行ってしまうという、それは間違いないです。
○北村班長 ただ心肺移植の対象者というのは、どちらかといえば若年者です。
○福嶌班員 いや、そんなことはないです。
○北村班長 50歳はいますか。
○福嶌班員 50歳はいないですが。
○北村班長 40歳、50歳はいないとなれば。
○福嶌班員 若年という意味では、そういう。
○北村班長 私が言っている若年というのは、赤ちゃんではない。20歳、30歳、40歳で、本当に心肺移植がいる人は、あまり長期で生きておられる方が少ないですからね。
○福嶌班員 だから、いま登録されている人は全部30歳未満ですが。
○北村班長 10歳の差があるというようなことは、起こり得るわけですが。
○和泉班員 そういう問題が出てきますね。実際に起きたときに、どのように判断されるか。
○北村班長 ただ、両方から心肺移植はいけますので。
○和泉班員 いや、肺からのほうが圧倒的に多いです。
○北村班長 それは多いかもしれませんけれどね。
○福嶌班員 38歳未満で登録しています。
○北村班長 それは第1優先されますからね。それも、最初の肺のときも心肺移植を第1優先することについては、ずいぶん議論があったのです。つまり両肺とも持っていってしまう。2人助けられるのを1人に使う。心臓を入れたら3人助けられるのではないかという話もあったのですが、やはり緊急度と補助人工心臓が付けられないという、そういった医学的理由で第1選択にしようという経過になっていますので、それはいままでどおりの対応でいけるのではないかな。
○和泉班員 是非そういう不都合が発生したときには、すぐ見直しに入るという、そういう柔軟な判断が必要ではないかと思います。
○北村班長 いま具体的に起こる問題というのは、そういうところのずれがあること以外は、しかしどなたか比較的近い年齢層に行くということは、現実に変わらないと思いますのでね。
○福嶌班員 でも、135cmだったら150cmの50歳くらいの方に行ってしまう可能性はありますよね。肺の1番に行ってしまう可能性がね。
○北村班長 実際は少なくても、あり得る可能性を探ればそうですね。
○福嶌班員 いや、その可能性のほうが高い形になってしまいます。まあ、仕方がないです。もう肺のほうは決まってしまったので、今後は何も申し上げられないです。
○北村班長 他に何かありますか。では、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
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