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2010年7月22日 薬事・食品衛生審議会医療機器安全対策部会議事録

○日時

平成22年7月22日(木)10:00~


○場所

航空会館 501+502会議室


○出席者

(委員:五十音順、敬省略)(18名)

 天 笠 光 雄、 石 井 則 久、  井 部 俊 子、 内 田 恵理子、  

◎笠 貫   宏、 川 原 信 隆、  許   俊 鋭、 釘 宮 豊 城、

 佐 伯 晴 子、 佐 藤 景 二、  高 杉 敬 久、 那須野 修 一、

 西 島 正 弘、 西 田 輝 夫、   配 島 由 二、 古 幡   博、

 横 井 英 人、 渡 邉 治 雄

 (注) ◎部会長  ○部会長代理

欠席委員(4名)五十音順、敬省略

○勝 呂   徹、 高 谷 節 雄、 土 屋 文 人、 松 岡 厚 子

(行政機関出席者)

 岸 田 修 一 ( 大臣官房審議官)

 森   和 彦 ( 安全対策課長)

 佐 藤 大 作 ( 安全使用推進室長)

○議事

○事務局 定刻になりましたので、ただ今から「平成22年度第1回薬事・食品衛生審議
会医療機器安全対策部会」を開催いたします。本日の部会は、従前の取扱いと同様に、公
開で行うこととしております。また、カメラ撮りを行う場合には、議事に入る前までとさ
せていただいておりますので、マスコミ関係者の皆様におかれましては、御理解と御協力
のほど、よろしくお願いいたします。
 本日、御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきましてあ
りがとうございます。本日は、ただ今定足数22名の委員中16名の委員に御出席をいただ
いておりますので、定足数に達しております。
 なお、勝呂委員、土屋委員、松岡委員からは御欠席との連絡をいただいておりまして、
許委員、高谷委員、天笠委員は、遅れていらっしゃるということになっております。
 また、委員の先生方に、前回、昨年12月に開催いたしました部会からお二方変更がご
ざいましたので、御紹介いたします。社団法人日本医師会の高杉常任理事が新たに委員に
委嘱されております。
○高杉委員 高杉です。よろしくお願いします。
○事務局 もうお一方、国立感染症研究所の渡邉所長が新たに委員に委嘱されておりま
す。
○渡邉委員 渡邉です。よろしくお願いします。
○事務局 ただ今、許委員も御着席いただきました。
 それでは、議事に入らせていただきますので、カメラ撮りはここまでとさせていただき
ます。以後の議事の進行は、笠貫部会長にお願いいたします。
○笠貫部会長 それでは、議事に入らせていただきます。おはようございます。初めに、
事務局から資料の確認をお願いします。
○事務局 それでは、資料確認をさせていただきます。本日の資料といたしまして、順に
座席表とその裏に委員名簿、議事次第、資料一覧を配布させていただいております。資料
一覧の方に資料番号がふってございますので、こちらを参考にしながら御確認いただけれ
ばと思います。
 順に、資料1-1「平成21年度の安全対策について」、資料1-2「微量採血のための穿刺
器具に係る添付文書の自主点検等について」、資料1-3「電気手術器用バイポーラ電極の
取扱いに係る自主点検等について」、資料2-1「医療機器の不具合等報告について」、資
料2-2「医療機器不具合等報告」、資料2-3「国内報告数上位5製品の関連資料」、資料
2-4「医療機器外国措置報告」、資料2-5「医療機器研究報告」、資料3-1「感染症定期報
告文献別一覧表」、資料3-2「感染症定期報告の報告状況」、資料4-1「医療機器の回収
報告の状況」、資料4-2「平成21年度医療機器自主回収一覧」、参考資料?bP「在宅酸
素療法における火気の取り扱いについて」、参考資料?bQ「消防機関における自動体外式
除細動器(AED)の取扱いについて」、参考資料?bR「自動体外式除細動器(AED)の適
切な管理等の周知等について」、参考資料?bS「PMDA医療安全情報??14・??15 電気
メスの取扱い時の注意について(その1・2)」となっております。以上ですが、過不足等
がございましたら、事務局までお申し付けください。
 なお、本日の議題に審議事項はございません。すべて報告事項となっておりますので、
よろしくお願いいたします。資料の方は、よろしいでしょうか。それでは、資料の確認を
終わらせていただきます。
○笠貫部会長 本日は、審議事項はないということですので、報告事項の方に入らせてい
ただきます。それでは、議題(1)につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、議題(1)につきまして説明させていただきます。議題(1)は「医療
機器の市販後安全対策について」を資料1-1~1-3に基づきまして御説明いたします。
 前年度、平成21年度の医療機器関係の安全対策に関する報告件数等の状況及び、昨年
12月に開催した前回の当部会で報告をいたしました事項以降に措置を採りました医療機
器の市販後安全対策について御報告いたします。
 最初に資料1-1「平成21年度の安全対策について(まとめ)」を御覧ください。1ペー
ジに平成21年度に行った安全対策として、「副作用等の報告数の推移」、それから「安
全対策上の措置数の推移」についてまとめております。本部会は、医療機器の安全対策に
ついて御検討いただくところですので、医療機器の部分を中心に御説明をさせていただき
ます。
 「1.副作用等の報告数の推移」についてですが、医薬品、医療機器等の製造販売業者
は、医療機器の不具合報告等を知ったときには、薬事法第77条の4の2第1項の規定に
基づき、報告することが義務づけられております。また、医師等の医薬関係者の方につい
ても、薬事法第77条の4の2第2項に基づきまして、国に直接報告することが義務づけ
られております。これらに基づきまして報告のあった件数は、(1)が医薬品の報告件数で、
(2)の表が医療機器の報告件数となっております。
 (1)には、医薬品での報告数を記載しておりますが、省略させていただきます。
 (2)の医療機器の表を御覧ください。表の一番下が、昨年度平成21年度の件数が左か
ら順に「不具合報告」、「研究報告」、「外国措置報告」、「感染症定期報告」、「医薬
関係者からの不具合報告」と記載してあります。不具合報告が6,446件、研究報告が6件、
外国措置報告が831件、感染症定期報告が59件、医薬関係者からの国への直接の不具合
報告、いわゆる医療機関報告が363件となっております。
 不具合報告の件数は、前々年度の平成20年度とほぼ同じで、平成19年度以前よりも、
件数は減少しております。これは平成20年度の数を説明したときにも御紹介いたしまし
たが、インスリンの注入ペンや注射針といった非常に流通量の多い製品で製造不良等がご
ざいますと、1品目だけで数千から1万件程度の報告事例が発生するということがござい
まして、平成20年度と21年度では、そうした流通量の多い製品での製造不良等の問題が
特段なかったために、平成19年度以前と比べますと、少ない報告件数となっております。
その他の件数につきましては、おおむね例年どおりの傾向となっております。
 続いて、2ページを御覧ください。先ほど説明いたしました医療機器の不具合報告が、
これだけありましたという中で、安全対策上の措置が採られたものについてまとめたもの
です。医療機器の平成21年度の所を見ていただきますと、「医薬品・医療機器等安全性
情報」に掲載した件数と使用上の注意の改訂を行った件数が、それぞれ「4件」と記載し
ております。昨年平成21年度は、医療機器に関しては8件の措置等を採ったということ
になっております。
 続いて3ページを御覧ください。3(1)「『医薬品・医療機器等安全性情報』への掲載
について」です。平成21年度の掲載情報で、医療機器につきましては、最初の257号に
あります自動体外式除細動器(AED)の適切な管理等について、265号の「1.在宅酸素
療法における火気の取扱いについて」、266号の「1.ソフトコンタクトレンズの適切な
管理について」、267号の「1.微量採血のための穿刺器具の取扱い時の注意について」
が該当いたします。
 4ページ「(2)その他」については、医薬品に関連する情報ですので、本日は説明は割
愛させていただきます。
 続いて、資料1-2を御覧ください。資料1-2「微量採血のための穿刺器具に係る添付文
書の自主点検等について」です。
 表紙をめくって1ページを御覧ください。本年3月1日付けで発出いたしました安全対
策課長と医療機器審査管理室長の連名通知がございます。この通知は、微量採血のための
穿刺器具の製造販売業者に添付文書の改訂等について、点検を依頼する都道府県宛の通知
になります。
 4ページに飛びますが、4ページには、同じく3月1日付けで発出いたしました医政局
の指導課長と安全対策課長の連名通知となっております。こちらの通知は、医療機関に向
けて周知を依頼する都道府県等に宛てた通知となっております。
 これらの通知の内容につきましては、わかりやすい資料として、PMDA医療安全情報
が作成されておりますので、13ページを御覧ください。
 13ページに、3月1日付けの通知の内容を解説しております「PMDA医療安全情報
??18」として、「微量採血のための穿刺器具による採血時の注意について」というものが
作成されております。この器具は、糖尿病の患者さん等が検査のために微量の血液を採る
ために、穿刺器具という穴の開いていない針が一瞬飛び出して、それで血液を採るための
器具ですが、こういった本器具の使用では、通常は指先に穿刺して採血することが多いの
ですが、痛みの軽減を考えたり、患者さんの職業上の理由から、指先での採血を希望しな
いというようなことがございます。そういった場合には、耳たぶから採血することがござ
います。13ページのイラストになりますが、耳たぶからの採血時の注意事項として、耳
たぶなどの組織が薄い部分で採血する場合に、穿刺する部位の裏側を指で支えないことと
して、イラストにありますようなことを記載しております。この図にありますように、ち
ょうど耳の裏に指を添えていると、針が耳たぶを貫通すると針刺しの事故が起こります。
そうしますと、血液を介した感染のおそれがありますよという注意喚起になっておりま
す。中段の方の(事例)という所にございますように、実際に穿刺針が患者の耳たぶを貫通
し、看護師の指を穿刺したとの事例が報告されてきておりますことから、このような注意
喚起を実施したものです。後ろの14、15ページには、耳たぶから採血する場合の方法の
例といたしまして、耳たぶの端を引っ張って支える方法と、耳たぶをV字に折り曲げて穿
刺する方法を紹介しております。
 それでは、通知の本文の説明に戻りますが、1ページを御覧ください。穿刺器具の製造
販売業者への添付文書の自主点検等を依頼する通知になっております。依頼する事項とし
ては、記1になりますが、添付文書の「使用上の注意」の「重要な基本的注意」の欄を確
認して1)穿刺する部位を限定していない、又は耳朶(耳たぶ)の穿刺を禁止してない製品
については、2ページの冒頭にありますように、「耳朶等の組織が薄い部位への穿刺を行
う場合には、穿刺部位の裏側を直接指で支えないこと。(組織を貫通した針で指を穿刺し、
血液を介した感染のおそれがある。貫通のおそれがある場合には、他の組織の厚い部位で
の穿刺について検討すること)」となっています。2)として、1)以外の製品、すなわち
指先等に使用が限定されている製品では、組織が薄い部位への穿刺では貫通のおそれがあ
るとして、添付文書上の穿刺部位を守ることが添付文書に記載されているかを、点検する
ように求めております。2といたしまして、記載がなされていない場合には、添付文書を
改訂して、医療機関に注意喚起を行うということを求めております。その他、5では、P
MDAに自主点検の結果等を報告することと改訂を行いました添付文書につきましては、
PMDAのホームページ上に掲載を行うようにということを指示しております。
 続いて4ページを御覧ください。こちらは、院内感染対策を所管している医政局の指導
課との連名の通知で、医療機関に対して周知を依頼する自治体に向けた通知となっており
ます。記1として、「耳朶等の組織が薄い部位への穿刺を行うと、組織を貫通した針で指
を穿刺し、血液を介した感染のおそれがあること」。5ページになりますが、2として、
「貫通のおそれがある場合には、他の組織の厚い部位での穿刺を検討すること」。3とし
て、「耳朶等の組織の薄い部位への穿刺を行う場合には、穿刺部位の裏側を直接指で支え
ないこと」。最後に4として、「穿刺する部位に関わらず、採血時には針刺しや血液との
接触による感染のおそれがあるため、施術者は手袋着用等の血液曝露予防の対策をとるこ
と」。そういった一般的な対策をとるように、周知を依頼しております。資料1-2につい
ての説明は以上になります。
 続いて、資料1-3を御覧ください。「電気手術器用バイポーラ電極の取扱いに係る自主
点検等について」です。表紙の裏の1ページ目に本年6月9日付けの安全対策課長と医療
機器審査管理室長の連名通知がございます。これは、電気手術器、いわゆる電気メスです
が、電気手術器本体及びバイポーラという双極、二つの電極のコードを扱う製造販売業者
への添付文書の改訂等の自主点検を依頼した都道府県等宛の通知になります。
 続いて、14ページを御覧ください。こちらは、同じく6月9日付けの医政局総務課長
と安全対策課長の連名の通知になりまして、こちらは医療機関に向けて周知を依頼した自
治体宛の通知になります。これらの通知の内容につきましても、PMDA医療安全情報が
作成されており、イラスト付きでわかりやすくなっておりますので、まずは、そちらで説
明させていただきます。
 18ページを御覧ください。本年4月に公表されました「PMDA医療安全情報??16」
になります。「電気メスの取扱い時の注意について(その3)」というタイトルです。その
次の19ページを御覧ください。事例2「バイポーラ電気メス使用時の注意点について
その2」とありまして、フライングリードと呼ばれるコードの誤接続の事例が、注意喚起
されております。また、先生方のお手元にこれから御紹介いたします電極のコードのサン
プルをお回しいたしますので、実物も参考にしながら、御確認いただければと思います。
 この19ページのイラストを御覧いただきますと、電気メス本体の電極の差込口が2か
所あることが分かると思います。この例でいきますと、左側がモノポーラ(単極)の電極と
いう1本タイプの電極を使用する場合のコードの出力端子で、穴が三つ開いております。
右側がバイポーラ(双極)、ピンセットのようなタイプですが、こういったバイポーラ電極
の挟んで使用するタイプの電極用の出力端子としては、右側は二つの穴となっておりま
す。このうち問題となるのは、バイポーラ電極用のコードで、先が二股に割れているタイ
プのフライングリードと呼ばれるコードで、このコードは、先端が自由に割れております
ので、複数の電気メスの本体に一つのコードで対応できるというメリットもあるのです
が、逆に端子間の間隔が自由であるということですので、この図ですと、本来、右側のバ
イポーラ電極用の出力端子に接続するべきところを、左側のモノポーラ電極の出力端子に
も誤って接続することが可能となっております。
 このように誤接続した状態で使用してしまいますと、意図せずに通電をしてしまった
り、大きな電流が流れる危険があるという問題がございます。平成16年9月にも、注意
喚起をするための添付文書の改訂等の通知を出していたのですが、再度事故事例が上がっ
てきております。こうした誤接続は、この19ページの左下の絵にございますような端子
の間隔が固定された固定形プラグを使用すれば、誤接続は防止できるため、固定形プラグ
の使用を推奨するといったような内容となっております。
 それでは、今回の通知の内容に戻り、1ページを御覧ください。本文の2段目になりま
すが、先端が割れているフライングリードにつきましては、モノポーラ電極の出力端子へ
の誤接続による事故の可能性があることから、平成16年9月24日付けの審査管理課長と
安全対策課長の連名通知「バイポーラ電極を有する電気手術器具に係る自主点検等につい
て」により、フライングリードをモノポーラ電極用の出力端子には接続しない旨の添付文
書への記載や医療機関への情報提供を、製造業者等に依頼しておりました。
 しかしながら誤接続により、意図せずに通電をして熱傷を来した事例が、財団法人日本
医療機能評価機構の「医療事故情報収集等事業第17回報告書」で、報告がございました。
 また、国際電気標準会議、IECという組織ですが、こちらの電気手術器に関する規格
では、既にバイポーラ電極用のコードは、固定形プラグとすることとされておりまして、
日本工業規格(JIS)におきましてもIECの規格に合わせまして、フライングリードの
使用を止めるように改訂がなされる予定となっております。そこで、同様の誤接続による
事故を防止するために、フライングリードの販売の中止や、電気手術器本体及びバイポー
ラ電極用コードの添付文書の改訂等を依頼した通知となっております。
 2ページの記1ですが、フライングリードの販売について、平成22年中、今年中に販
売を中止することを依頼しまして、代替となります固定形プラグのコードが供給されるま
での間に関しては、医療機関に対して、フライングリードのモノポーラ電極用の出力端子
への誤接続に関する注意喚起を改めて行うようにということを求めております。記2と記
3では、固定形プラグのバイポーラ電極用コードの添付文書で、使用可能な電気手術器本
体が指定されているかを確認し、製品名や使用可能な電気手術器本体側の出力端子の規格
を、図や写真等を用いて分かりやすく記載するようにと求めております。
 記4と記5では、電気手術器本体側の添付文書を確認して、使用可能な固定形プラグの
製品名や規格を記載するように求めております。
 その他、改訂後の添付文書について、PMDAのホームページへの掲載や、対応状況を
報告するようにということを依頼する内容となっております。
 続いて14ページを御覧ください。こちらは、先ほどの製造販売業者向けと、その通知
と同日の6月9日付けで医政局の総務課と安全対策課の連名の通知になっておりまして、
医療機関に対する周知を自治体に依頼したものです。医療機関への周知を依頼した内容と
いたしましては、15ページになりますが、記1としまして、フライングリードを使用す
るとモノポーラ電極用の出力端子に誤接続をするリスクがあるため、固定形プラグのコー
ドの使用が推奨されること。
 記2として、固定形プラグの電極端子の間隔等の規格は、製品によって異なるため、使
用する「電気手術器本体」又は「固定プラグのバイポーラ電極用コード」の添付文書や取
扱説明書等で、使用可能な固定プラグであるかを確認する必要があること。
 記3として、フライングリードは、平成22年中に販売を中止するように、各製造販売
業者に依頼したこと。
 記4として、フライングリードの代替となる固定形プラグのバイポーラ電極用コードが
販売されるまでの間など、フライングリードを使用する際には、バイポーラ電極用の出力
端子に正しく接続するように、十分注意を求める。こういった内容の周知を依頼しており
ます。
 本通知の説明につきましては以上ですが、先ほど紹介いたしましたPMDA医療安全情
報の「電気メスの取扱い時の注意について(その3)」の残りの部分についても御参考に紹
介させていただきます。
 18ページを御覧ください。このイラストでは、バイポーラ電極には、非絶縁型と絶縁
型の二つのタイプがあるため、使用の際に確認をしておかないと、絶縁されている右側の
タイプの電極であると思って、左側の絶縁コーティングされていない電極を使用してしま
うと、むき出しとなっている金属部分が触れると、その部分に意図せずに通電して、熱傷
を来すようなおそれがあるという注意喚起になっております。
 20ページには事例3といたしまして、モノポーラ電極の使用時の注意事項として、対
極板のコードが足に引っ掛かるなどして、はがれる可能性がありまして、ドレープ等で隠
れていることもあるので、よく注意してくださいということと、電気メスの本体の機能に
よっては、アラームが鳴らないような機種もあるということを注意喚起しております。
 以上につきまして、議題1の資料1-1~1-3までの説明を終わらせていただきます。
○笠貫部会長 どうもありがとうございました。ただ今の事務局の御報告について、何か
御質問はございますか。市販後の安全対策について、最初に平成21年度の安全対策の御
報告がありましたが、いかがでしょうか。医療機器の場合には、医療関係者からの不具合
報告が薬に比べて少ないように思うのですが、そういう傾向は今後注意深く見ていかなけ
ればいけないかと思います。この辺りのことについては御意見はございますか。
○横井委員 おっしゃるように、今、私も気になっていたのですが、薬に比べるとパーセ
ンテージが少ないですね。実は私の大学病院でも経験があるのですが、要するにこの医療
機器というのは有害事象が起きたときに、それが機器の不具合なのか、医療者側のミスや
環境の問題なのかは、なかなか切り分けができない場合がありまして、病院内のインシデ
ントレポートに上がっている場合が多いのです。病院評価機構にインシデントレポートと
して上がっているケースは、それなりにあると思っています。その中で、厳密に医療機器
の不具合というように絞り込まれると、こちらに流れてくるのだろうと思うのですが、そ
の辺りのフィルタリングが一つのポイントになっているのかなという気がしています。
○笠貫部会長 医療関係者からの不具合関係の報告は、二つのルートがあるということで
すね。厚労省PMDA側と、病院評価機構の方へと、ここが一つの問題かなという指摘が
ありましたが、この辺りについては特に御意見はありませんか。
○許委員 我々は医療機器で何か不具合がありますと、業者さんをお呼びします。それで、
こういう所が具合悪いというと、業者さんがそれを持って帰ってしまうのです。日本の企
業は、かなり後でフォローしてくれるのですが、エージェントでやっている外国からの医
療機器は、それを本国に送りましたと。そこからがなしの礫で、その物が無くなってしま
うものですから、本当に不具合なのかどうなのか分からなくなってしまうということがあ
ります。医療機器の場合、特に我々は直接業者さんにクレームをつける場合が多いのです
が、その場合、業者さんに渡してしまった後、あれはどうなったのかなと思っても、特に
今まで何例か私は経験していますが、余程問い合わせなければ返事がこないと。返事が来
たときには、全く問題ありませんでした、というのが非常に多いのです。ということで、
その辺りのルールを少し決めていただいた方がよいと思います。今までのところ、医療機
関の習慣は大部分が業者さんをお呼びして、具合悪いのはおかしいじゃないかと申し上げ
て、業者さんから、問題があればPMDAなり厚労省に報告をしていただく、このスキー
ムが成立していない企業が結構あるのではないかと思います。
○笠貫部会長 これは企業から、必ず不具合として報告していただければよいと思います
が、平成20、21年度が若干販売業者からの不具合報告が増えていて、医療関係者からの
ものが若干減り傾向です。この辺りは、もう少し経過を見ていただいて、その傾向が強い
ようでしたら、今言ったような問題を含めて御検討いただけたらと思います。それ以外に、
採血のための穿刺器具、それから手術器用バイポーラの電極の取扱いについては、いかが
でしょうか。PMDAの分かりやすいものが付いていますので、皆さん御理解いただけた
と思うのですが、特にありませんか。
○佐伯委員 今の許先生の御意見で確認させていただきたいのですが、それぞれの医療機
関は、何か不具合があったときにはメーカーに直接連絡をするのが慣習であるとおっしゃ
られたと思うのですが、資料1-1の1ページの上の薬事法第77条の4の2第2項などを
読みますと、「国へ直接報告することが義務づけられている」と。今の慣習とこれとはど
のようにつながるのでしょうか。説明をお願いいたします。
○許委員 先ほど横井先生がおっしゃったように、医療機器の具合は扱った人の問題なの
か、機器そのものにあるのかというのは、これはなかなか証明しづらいので、具合が悪い
と、この機器を調べてくださいという形でメーカーにお願いすることが多いです。それで
問題があれば、メーカーからお届けくださいと。大事故ではなく、いろいろな不具合やレ
ベルの差がありますが、ちょっと何かの効きが悪いなどいろいろなことがあります。そう
いうときに、やはり我々は機器がおかしいのか、ほかに問題があるのかということを機械
的に調べていただくことが必要になるのです。ですから、明確にとんでもないことが起こ
ったというのは、もちろんおっしゃるとおり我々が届けるわけですが、医療機器が事故と
いう具合に至らずに不具合という、いわゆる患者さんに対して損害を与えないような、そ
れでおかしいなと思うときに、そのように企業さんと相談するわけです。健康被害が起こ
った場合は、全然話が別ですね。
○佐伯委員 私の解釈では、不具合等とにかく何か疑い例でも、まず情報をPMDAに上
げて広く注意を喚起するというか、調べていくということなのかと思いました。
○許委員 まず1番目にあるように、製造販売業者等は、規程に基づき報告することが義
務づけられていると。それから2番目には、医薬関係者は必要があると認めるときは、国
への直接報告が。
○佐伯委員 副次的であるということですか。
○許委員 我々医療人はメカに対して強いわけではないですから、メカに関してはやはり
それを調べていただくのが通常で、そこで問題が生じれば、基本的には製造販売業者等に
義務づけられていると考えています。もちろん健康被害があったときは、当然佐伯委員が
おっしゃるとおり、我々が直接報告するというルールはあります。ただ、不具合はたくさ
んあるわけで、それを我々が機械的に自ら調べるのは非常に大変です。
○佐伯委員 調べるところまで入っているかちょっと分からないですが、何かありました
という報告はあったとするのかどうかですね。
○許委員 例えば、ある体外循環装置のリザーバーの接続の接続強度を調べてみたら、最
終的には設計の40%以下であったという事例もあります。それでも、そういうものを専
門家の間で調べない限り、本当の不具合なのかどうなのかは分からないことが多いです
ね。ですから、第1弾と第2弾で、第2弾が必要があると認めるのは、はっきり言って健
康被害が生じたときと、我々は日常的にそのように理解しています。
○佐伯委員 そういう意味なのですか。分かりました。
○笠貫部会長 第77条の4の2第1項と第2項には、違いが若干あると。
○許委員 厚生労働省の御見解は、そういう解釈をするのでしょうか。もっといろいろ言
いに行かなければいけないということはないですね。
○笠貫部会長 そういうことで、不具合の評価の仕方というところに、一種の難しさがあ
るのと、もう一つ、報告のルートが二つあるところが、医薬品との違いだと思います。
○井部委員 医療安全情報のイラストレーションが大変分かりやすくてよろしいと思い
ます。一つお願いです。ここに吹き出しで看護師と思われる絵がありますが、この絵はも
う少し知的に描かれないでしょうか。これだと、今は余りナースキャップも着けていませ
んし、リボンが頭にあるような、何か余り優秀なナースのように見えないので、このイラ
ストレーションを考えていただきたいと思います。
○笠貫部会長 PMDAの方で現代版の看護師さんのスタイルと帽子も含めて御検討く
ださい。それ以外にはございませんでしょうか。
○那須野委員 資料1-3の6の通知の所にあるのですが、IECで決まったものがJIS
に反映されていくのですが、タイムラグがかなりあって、IECやISOで安全のために
決まった基準が、もう既に次のバージョンになる頃にやっとJISが決まってくる状態が
続いているので、折角安全のためですからIECで、ある程度決まった所をできるだけタ
イムラグを少なくするような工夫を是非考えていただきたいと思います。
○笠貫部会長 いかがでしょうか。これについては、今後どのような対応があるかという
ことについては。
○安全使用推進室長 できるだけタイムラグなく、IECの情報も早めにキャッチするよ
うないろいろなセンサーも働かせながら、同時並行でできるのは最も望ましいと思います
が、そういう努力をしていきたいと思っています。
○笠貫部会長 そういう努力をしていただくことと、その間のタイムラグについては十分
な対応をしていると考えていただきたいと思います。
○川原委員 今のお話とは関係なくて一般論になるのですが、こういう医療機器でディス
ポの製品はよいと思うのですが、ディスポではなくて、今のバイポーラなどもそうなので
すが、例えば古い物を使っていて不具合が生じたけれども、メーカーはそれはもう保証期
限外だと。10年経っていてメーカーは5年とか7年と言って修理不能と言っているよう
な物を実際病院で使われているということは、しばしばあると思います。その辺りの安全
性の確保の基準というのでしょうか。例えば、20年前のものを使えるからといって使っ
ている所もあると思うのですが、そういうものに対する安全性の基準は何か出されている
のでしょうか。実際幾つか脳外科関係でいきますと、20年前、15年前の開頭機を使って
いろいろなトラブルが起こったというのは、一時新聞をにぎわせたりしました。そのよう
な事例は少ないとは思いますが、あり得る話であると思います。メーカーがもう保証期間
外と。しかし最近の病院の経営の問題から、なかなか機器更新が進まない実情もある中で、
安全性をいかに確保していくか、そのバランスをどの辺りで取るかは一つの大きな問題だ
と思います。
○事務局 一律に何年だったらよいのかというのはなかなか難しいでしょうが、建前上は
メーカーの保証期間内のものを使ってくださいということにはなるかと思います。ただ先
生もおっしゃるように、そうは言ってもというのが実際の医療の現場ではあることは十分
承知いたしております。その辺りについては、医療法の改正で医療機器の安全管理につい
ては、医療機関の管理者の義務になりまして、院内で医療機器の安全管理責任者を配置し
まして、その方が中心となって、使用する医療機器の安全が確保されているかを確認して
いく手順になっています。大きな病院ですと、おそらく臨床工学技士さんや専門の方もい
らっしゃるでしょうし、そういった委員会などの場で、ちょっと期限が切れていて実はメ
ーカーからの保証は切れているけれども、こういった物は安全に使用できるのかを、医療
機関の中で1人の判断ではなくて複数の判断で、これはまだ使用できるとか、これはもう
駄目だという判断を個別にしていただくことが現状かと思います。
○笠貫部会長 医薬品と違って、医療機器について今の御指摘の問題は、現場では必ずし
も徹底していないかとは思いますが、今の医療法の医療機器の安全管理については、シス
テムの確立と徹底化が図られつつあるところでの十分な注意をいただきたいということ
になるのかと思います。
 それでは、次に議題(2)に入りたいと思います。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 議題(2)について御説明いたします。議題(2)は「医療機器の不具合等報告に
ついて」で、資料2-1~2-5について説明いたします。
 最初に、資料2-1「医療機器の不具合等報告について(報告)」を御覧ください。1ペー
ジには、不具合等報告の状況をまとめて当部会に報告するということで、薬事法の規定を
記載しています。薬事法第77条の4の4の規定に基づいて、当部会に対して報告をする
こととなっています。
 2ページは、医療機器の不具合等報告について、今回は平成21年10月1日~本年3月
末までの6か月間、すなわち、平成21年度の上半期に報告を受け付けた分の件数をまと
めたものになっています。
 1.の製造販売業者等からの医療機器の不具合等報告の状況については、1)の不具合等
報告件数は、3,318件となっています。
 前回、12月の部会で報告しました平成21年度の上半期の件数は、3,128件でほぼ同数
の報告となっています。
 例年のように、画像診断用機器などの8つの分類に分けて記載しています。?Bの処置用
・施設用機器等が1,261件、?Cの生体機能補助・代行機器が1,679件と、この二つに分類
される機器の報告の件数が例年同様に多い状況になっています。
 国内と海外の報告状況ですが、国内報告が2,057件、外国報告が1,261件ということで、
国内報告の割合が62%となっています。また、今回は感染症報告が1件ございました。 
そのほか、外国措置報告として462件、研究報告として4件、感染症定期報告として30
件がございました。こちらについては、後ほど紹介させていただきます。また、2ページ
の下の2ですが、医療機関からの不具合等報告については、166件が報告されています。
以上が、資料2-1についてです。
 続いて資料2-2「医療機器不具合等報告」を御覧ください。表紙の裏の見開き部分に、
医療機器不具合等報告の集計結果についての注意事項として、この不具合等報告リスト、
ラインリストと呼んでいますが、このラインリストの見方が記載されています。
 1)まず、この報告については、医療機器との因果関係が不明なものを含めて製造販売
業者等から報告されたものであること、
 2)報告に関する分類は、(1)~(8)までの8分類で記載されていること、記載の順番
は、国内・外国の別にして、一般的名称の五十音順として並べています。
 3)件数は提出された報告書の件数を示したもので、同一の症例で複数の医療機器が関
与している場合には、複数の企業からそれぞれ報告されることがあります。このような場
合、同一症例を重複してカウントすることになり、報告件数がそのまま症例数にならない
ことがあります。
 4)表の右端の欄にあります「対応措置」の項目については、原則として平成22年3月
末時点での措置内容を簡潔に記載しています。回収、改修と記載したものについては、製
品を引き上げる回収(Recall)と、又は修理や検査の実施等といった改修(Repair)の措置を
採ったということを意味しています。
 「情報提供」と記載したものは、添付文書の改訂あるいは書面による注意喚起の実施、
あるいは医療機関に御説明に行った措置を採ったものです。この中には既に添付文書等で
関連する注意喚起の記述がなされているといったような場合も含んでいます。
 また、この右端の「対応措置」の欄が空欄となっているものについては、措置について
は情報不足のために調査を継続しているものや、対応について現在検討しているといった
ものが該当しています。
 次の目次を記載したページの次から横表となっていまして、その下にページ番号を振っ
ています。1ページ以降からは、個別の品目ごとのラインリストとなって掲載しています。
以下、時間の関係上簡単に御紹介していきます。1ページを御覧ください。
 分類(1)として、X線装置やMRIなどの画像診断用機器について、7件の報告があり
ました。2ページから3ページが分類(2)として、内視鏡や血液検査装置などの「生体監
視・臨床検査機器等」についてで、46件の報告がありました。
 続いて、4ページ以降から40ページまでが分類(3)として、インスリン注入器やカテ
ーテル類などの「処置用・施設用機器等」です。こちらの報告件数は1,261件となってい
まして、全体の報告の約4割を占めています。
 この中では、流通量が多いインスリンのペン型注入器に関する不具合が記載されていま
して、4ページの46番から6ページの81番までが、国内からの報告の分として続いてい
ます。こうしたインスリンのペン型注入器の不具合が多いことは例年どおりの傾向で、デ
ィスプレイの故障やピストン棒の不具合等が多くなっています。この分類(3)は、様々な
カテーテル類や輸液セット、それからインスリンのペンなどの製品の数も多いし流通量も
多いことがありまして、例年の報告の件数が多くなっているという傾向があります。
 続いて、別の分冊になっている41ページから100ページまでが分類(4)として、心臓
ペースメーカや人工呼吸器、冠動脈ステントなどの「生体機能補助・代行機器」を記載し
ています。こちらは、1,679件の報告となっていまして、全体の約5割を占めています。
先ほどの分類(3)とこの分類(4)で、全体の報告数の約9割を占めていることになってい
ます。 不具合報告の件数が多いものとしては、41ページの651番から43ページの689
番までが、植込み型除細動器・ペースメーカのリードに関する断線など、国内報告があり
ます。また、一般的名称が異なるために離れていますが、55ページの中段にある898番
からも心内膜植込み型ペースメーカのリードに関する不具合として、58ページの942番
までが国内報告として続いています。この分類(4)は、体内に留置するペースメーカやス
テントグラフト、あるいは人工呼吸器といったリスクが高い医療機器が数多く分類されて
いるために、例年同様に報告数が多くなっています。
 続いて、101ページからは、分類(5)として、手術用のドリルや電気メスなどの「治療
・鋼製機器等」で85件を記載しています。
 続いて、105ページは分類(6)として「歯科用機器・材料」で、43件の報告があります。
105ページを御覧ください。今回は、ここに特徴的な報告がありまして、1736番から1757
番まで、いわゆる入れ歯安定剤の新ポリグリップTRの報告が多くなっています。こちら
は、当該製品中に含有する亜鉛について、通常の使用量を大幅に超えた使用により、亜鉛
の過剰摂取となるおそれがあるとして、本年3月に自主回収を行っています。その自主回
収の発表や報道を受けて、使用者からの申出が増えたことによりまして、こういった報告
が上がってきています。しびれや貧血といった亜鉛の過剰摂取との関連が疑われる報告も
ある一方で、個人からの申出のみで主治医の所見が得られていないために、因果関係を完
全には否定できないとして、がんなどの事例も報告されてきています。
 続いて108ページからは分類(7)の「眼科用機器」で、眼内レンズなどの不具合が計
182件報告されています。
 110ページが、最後の分類(8)で、「衛生材料・家庭用機器」です。こちらは15件の
報告となっていまして、今回も家庭用電気マッサージ器による事故も報告されています。
 最後の112ページを御覧ください。今回も前回に続きまして、感染症の報告が1件あり
ます。一般名が「ヒト自家移植組織」で、名称等記載していませんが、株式会社ジャパン
・ティッシュ・エンジニアリングの「ジェイス」という製品です。これは、重度の熱傷の
治療に使用する自家培養表皮のシートで、いわゆる再生医療の人工皮膚です。本品の移植
後に創感染になったという報告の内容ですが、右から3つ目の欄の使用前検査の所にあり
ますように、本品を移植する前から創感染及び敗血症が、起因菌不明ですが、発現してい
た患者さんです。その右の欄ですが、移植13日後に創感染が起因菌不明で発現し、移植
後27日後には回復したとの事例です。一番右の備考欄に記載されていますように、出荷
時の検査では無菌性を確認していまして、医師の見解は「起因菌は同定できず、真皮中の
細菌数を測定していないために、移植前に発現していた創感染が消失していたかは分から
ず、移植との因果関係は不明である」とコメントをいただいています。
 最後になりますが、111ページを御覧ください。ここには、国内の報告件数が50件を
超えていた上位5製品を、主な不具合の内容とともに抜き出して掲載しています。これら
報告数が上位の品目については、前回の部会におきまして出荷量等を示してほしいという
御意見がありましたので、今回からは資料2-3として国内報告数上位5製品の関連資料を
作成しています。
 資料2-3を御覧ください。表紙の裏に、国内報告数の上位5製品を記載しています。
 一番件数が多かったのが、ボシュロム・ジャパン株式会社の「ハイドロヴュー眼内レン
ズ」で、153件の報告が上がってきています。これは、埋め込みました眼内レンズが時間
が経ちまして、カルシウムが沈着したという不具合が、資料2-2のラインリストの108ペ
ージの1777番から次のページの1785番まで記載されています。これは、旧パッケージの
容器から由来する低分子シリコンが関与している可能性があるとして、現在は包装変更を
していますが、旧来の製品を埋め込んでいた患者さんでの報告が今後も続くといったよう
なことになっています。この問題が明らかとなっている旧包装の製品は、平成13年10月
に販売中止となっていまして、約58,500枚が販売されています。昨年平成21年度は、既
に改良された新製品が約2,800枚出荷されています。4ページの参考1-2を御覧ください。
中段の表になりますが、国内での旧包装品でのカルシウム沈着事例は、累計約2,600件で、
約4.5%となっています。一方新包装品では、海外も含めてカルシウム沈着の報告はあり
ません。なお、国内の発生率が全世界での発生率の約0.9%よりも高くなっていますが、
こちらについては日本においては眼科医の協力の下に、情報を海外よりも集積できている
ためと企業は考えています。日本で販売されていた旧包装品が、海外で販売されていたも
のとは同一ということで、製品が異なるといったようなことはないと伺っています。
 続いて1ページに戻りますが、2番目に報告数が多かった製品は、Cook Japan株式会
社の大動脈用ステントグラフトで、「クックゼニスAAAエンドバスキュラーグラフト」
です。こちらは、「止血弁からの血液漏れ」等が計89件報告が上がってきています。ラ
インリストでいきますと、先ほどの資料2-2の62ページの1013番から65ページの1070
番までが該当しています。8ページになりますが、参考2として添付文書を付けています。
10ページを御覧ください。右側の絵を御覧いただければと思います。この製品は、腹部
の大動脈瘤ができた所に本品を入れて、瘤の中へ血液の流入を防ぎ、拡大を防止するとい
う医療機器です。留置時の止血弁からの血液漏れや留置後の血液漏れは、この製品や治療
法の性質上起こり得る、いわゆる合併症でして、この器具はもともと腹部大動脈瘤の治療
というリスクが高い手技に使用する医療機器ということで、特段製品に欠陥があるといっ
たようなことではありませんが、どうしても血液の漏れが報告されてくるといった製品で
す。
 3番目に報告が多かったのは、ボルケーノ・ジャパン株式会社の中心循環系血管内超音
波カテーテルの「レボリューション」という製品です。「ドライブケーブル」の断線等が
87件となっています。こちらは、参考3として添付文書を付けていますので、17ページ
を御覧ください。これは、心臓の冠動脈のような細い血管内の状況を調べるために使用す
る、超音波検査用のカテーテルで、左上の構造図にありますように、非常に細い、約1mm
程度のカテーテルです。これを動脈硬化の進んだ患者さんの血管内等に入れていきます
と、断線が起こってしまって画像が消えるといったような不具合が報告されてきていま
す。ラインリストですと、資料2-2の17ページの265番から18ページの274番までが該
当しています。この断線に関連する不具合が多い点については、現在企業で強度の改良等
については検討している状況です。こちらについては、細いケーブルということで、断線
が起きやすいといったようなものです。
 4番目に報告が多かった製品は、株式会社パイオラックスメディカルデバイスの「IV
カテーテル」です。これは静脈に留置するカテーテルで、ポートという接続の部位の上蓋
がはずれるとの不具合が62件報告されています。ラインリストですと、資料2-2の21ペ
ージの336番が該当しています。この不具合に関しては、20ページの参考4-1、22ペー
ジの参考4-2に資料を付けていますが、上蓋の溶着強度について2回改善を行っていまし
て、改善をする前の製品を自主回収するといったような対応を既に取っています。2回目
の自主回収については昨年の12月に実施していますが、既に植え込まれた患者さんでの
不具合が報告されてきている状況です。
 5番目に報告が多かったのは、日本メディカルマテリアル株式会社の人工股関節の鋼製
品の「臼蓋カップGA02」です。人工股関節のうち、骨盤側で大腿骨の受け皿となる部
分で、破損や脱転などの不具合が、計51件報告されています。ラインリストでいきます
と、53ページの854番から858番までが該当しています。こちらは参考5として、24ペ
ージになりますが、平成14年6月に強度に問題があるとして、自主回収を行っています。
こちらは、平成14年にも自主回収という形で注意喚起をしているわけですが、既に植え
込まれていらっしゃる患者様で経過観察を続けていただいている状況ですので、今後も報
告が見込まれる不具合となっています。資料2-3については以上です。
 続いて資料2-4を御覧ください。「医療機器外国措置報告」です。
 医療機器に関する外国措置というのは、企業が外国でも同じ製品を製造販売している場
合に、海外で採られた措置について、我が国の行政当局にもどういった措置を海外で取っ
たのかを報告するものです。こちらも、同じく昨年平成21年10月~本年3月末までの分
で、462件の報告となっています。海外で措置を行った結果について、おおむね日本にお
いても同様の措置を採っている状況になっています。
 中には、海外では改修(Repair)を行っていますが、日本では改修対象となっていた製品
の販売実績がないとして、外国措置報告書を提出するのみで終了している事例もありま
す。そうした場合には、日本は、「対象製品なし」と記載をしています。
 こちらも件数が多く、時間の都合上、説明は簡単にさせていただきまして、クラス?T回
収を行ったものについて御紹介していきたいと思います。
 まず、2ページの26番ですが、株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパンのA
ED「ハートスタートFR2+」です。こちらは、一定の時期に製造した製品で、メモリ
ーの素子の故障率が高いとして、米国でリコールが行われています。国内でも、昨年10
月に約3,000台の回収を行っています。
 次に、4ページの88番です。こちらもフィリップス社のAEDで、「ハートスタート
HS1」です。これも特定の時期に製造した製品で、自社の品質基準を満たしていない可
能性があるコンデンサが使用されていたとして、米国でリコールが行われています。国内
でも、昨年11月に410台の自主回収を行っています。
 続いて、7ページの164番、165番、9ページの217番、218番、14ページの345番、
346番の6件になりますが、日本光電工業株式会社のAEDで「カルジオライフAED
-9200シリーズ」です。こちらは、本来は内部回路の故障が発生した際に、セルフテスト
で故障を検出するというような機械ですが、セルフテストでの故障の検出ができないとい
う問題が発覚して、ソフトウェアを変更をするとの改修(Repair)をアメリカ、ドイツ、ス
イス、カナダ、イギリスで実施したとの報告です。国内においても、昨年11月に合計約
10万台の改修を行うと発表している案件です。
 次に、12ページの292番です。こちらも、日本光電工業株式会社のAEDに使用する
電極パットで「使い捨てパドルP-510シリーズ」です。これは、一部のロットで規定外
の工具が使用されていたために、コネクタ部分のピンが広がっていて、接続不良が起こる
可能性があるとして、ドイツでリコールを行っています。国内でも、昨年12月に約4,500
個を自主回収しています。
 続いて、14ページの330番になります。こちらもフィリップスエレクトロニクスジャ
パンの「ハートスタートXL」というもので、これはAEDに近いのですが、医師が使用
する手動式の除細動器です。こちらは除細動器の本体ではなくて、付属品のパドルにある
スイッチが機能しないおそれがあるというのが特定のロットで判明したとして、米国でリ
コールが行われています。国内でも、本年1月にパドル90個を自主回収しています。
 最後に15ページの357番、368番から371番ですが、これも日本光電工業株式会社の
AEDで、「カルジオライフAED-9200シリーズ」です。これは、特定のロットで、電
子部品の絶縁チューブが損傷して、心電図にノイズが混入することによって放電ができな
くなる可能性があるとして、米国、英国、フランス、ドイツで改修(Repair)を行い、国内
でも本年2月に改修を行ったものです。このように、AEDに関しては非常にクラス?T回
収が多くなっている状況です。資料2-4の説明は以上です。
 続いて、資料2-5「医療機器研究報告」を御覧ください。医療機器の研究報告について
は、企業が製造販売しています製品に関連した文献、研究報告について、情報を入手した
場合に行政当局に報告をするものです。これも、昨年10月~本年3月末までということ
で、4件が寄せられています。
 表紙の裏面を御覧ください。まず1件目が、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社
の薬剤溶出性冠動脈ステントで「Cypherステント」に関する文献です。Cypherとボスト
ン・サイエンティフィックジャパン株式会社の薬剤溶出性ステントである「Taxus」が留
置された144例、200病変のステントフラクチャー、損壊ですが、この発生頻度と有害事
象の関係を後ろ向きに検討したものです。結果の概要は、142例中42例、51病変でステ
ントフラクチャーが確認され、独立予測因子として、ステント長、Cypherステント留置
及びステント留置日数が考えられたが、ステントフラクチャーの発生群と非発生群では、
ステントに関連する死亡率に有意差はなかったといったような内容です。右側の企業によ
る対応ですが、類似の情報収集に引き続き努めるとともに、「ステントに関するお知らせ」
という資料を定期的に医師に配付していますので、その中で情報提供を行っていくとなっ
ています。4ページの参考1が、Cypherステントに関するお知らせの例です。その中で、
7ページの中段の下の方の枠で囲った所になりますが、ステントフラクチャー、すなわち
ステント損壊に関する情報を記述して、医師に対して情報提供を行っている状況になって
います。
 続いて2件目が、バイエル薬品株式会社の子宮内避妊用具の「ノバT380」に関する報
告です。これは、子宮内避妊用具(IUD)を装着して妊娠した女性における妊娠転帰を調
査したもので、妊娠後もIUDの装着を保持した女性、妊娠早期にIUDを除去した女性
及びIUDを未装着で妊娠した女性での妊娠転帰をレトロスペクティブに比較検討した
という文献です。結論は最後の行ですが、IUDを装着して妊娠した女性は、有害な産科
的転帰のリスクが増大し、リスクは妊娠早期にIUDを除去した者より保持した者が高か
ったといったものです。企業による対応としては、添付文書の「使用上の注意」に、妊娠
後は当該製品を除去するよう注意喚起を行っており、今後も情報収集に努めるといったよ
うなものになっています。参考2として添付文書を付けていますが、10ページの左側中
段「4.妊婦、産婦、授乳婦及び小児等への適用」の波線を引いた部分が、該当する注意
喚起の事項となっています。
 続いて2ページですが、3件目の報告として、日本メドトロニック株式会社の植込み型
除細動器・ペースメーカリードの「Sprintフィデリススクリューインリード」です。こ
れは、「Sprintフィデリススクリューインリード」を植え込んだ患者さんについて、性
能維持率を調査するために、フォローアップデータの後ろ向きな検討を426本で行ったも
のです。3段目になりますが、当該医療機関における当該品の断線率は、3.6%であった
ということで、メドトロニック社が公表している平均的な3年時点での断線率の3.0%に
比較して高かったというものです。企業による対応としましては、2007年10月に自主回
収を行っていまして、参考3、12ページになりますが、企業による分析でも断線率が高
い傾向にあったとして、未使用品を回収するとともに、植え込まれた患者さんについては
フォローアップを行うように、2007年10月に主治医に依頼をしている状況です。
 続いて3ページを御覧ください。4件目の報告は、株式会社高研の耳管用カテーテルの
「鼓膜ドレイン(Bタイプ)」という製品に関する報告です。これは、低年齢での鼓膜換気
チューブの留置例の経過を、チューブ留置後の感染、穿孔、鼓膜石灰化の出現に注目して
検討したものです。結果の概要は2段落目になりますが、鼓膜の石灰化は中耳炎の罹患だ
けでも発現するが、鼓膜切開やチューブ留置で出現率が上がることや、感染等もみられた
というものになっています。企業による対応としては、本年6月に添付文書の改訂を行い、
鼓膜の石灰化や感染、肉芽などを不具合、有害事象欄に追記をしていまして、16ページ
の参考4に改訂後の添付文書を付けています。議題(2)の説明については、以上です。
○笠貫部会長 どうもありがとうございます。議題(2)の不具合等の報告につきましては
膨大な御報告をいただいたと思います。特に今回から、国内報告数での上位5製品につい
ての分析も詳しくしていただいたと思います。それでは、全体を通して御質問、御意見は
ございませんでしょうか。
○天笠委員 歯科の天笠です。先ほど説明に、歯科用の医療器具で医学的には因果関係が
乏しい報告がかなりありますが、どのように対応したらよろしいのでしょうか。何かコメ
ントはございますでしょうか。
○事務局 先生御存じのように、今回のはいわゆる入れ歯安定剤で、消費者が家庭で使用
している物です。今回、自主回収ということでプレスリリース等も大々的に行いまして、
そういった報道を見て不安になった患者さんや御家族が企業の方に電話してきたと。そう
いった中で入手した情報について、情報源にかなり乏しいのですが、本来でしたら主治医
の方にお伺いしたら因果関係を否定していただけるような事例かと考えられるものも、今
回は患者さんからの申入れのみという情報で上がってきているといったような状況です。
これに関しましては、先生方、専門家等の立場としましては、これは因果関係がおそらく
はないでしょうというようなことを思っていただければ十分かと思います。ちなみに、こ
の製品はもう市場から回収しておりますので、万が一関連があったとしても、この製品は
もう市場からはないといったような状況です。
○笠貫部会長 ありがとうございます。ほかにはございますか。
○許委員 今の御答弁ですが、我々が本当に必要としているのは因果関係のある健康被害
なのです。ですから、そういう意味では、これを見てお医者さんたちが、あるいは医療機
関で判断してというよりは、やはり個々の健康被害を書いていただいた所に、本当にこれ
が危ないものか、あるいは今、本当に患者さんが不安になってただ言っただけのものが報
告されているものか、これを少し分析して、これは必要だという。もちろん、必要なもの
はリコールになっているとおっしゃればそのとおりなのですが、やはり情報提供や注意喚
起の中に本当に注意しなければいけないものと、ほとんど意味のないものとが混ざってし
まうと思うのです。その辺はいかがでしょうか。
○事務局 今回の入れ歯安定剤につきましては、家庭で使用するという物で、また特殊性
もありまして。
○許委員 全般的な話ですね。
○事務局 全般的な話として、よく過去の部会でも、許先生の方からは、転帰を書いてほ
しい、あるいは、因果関係の評価をしてほしいと言われておりますが、情報が乏しいとい
うような製品もかなりある中で、一律にその転帰や因果関係を評価して記載していくとい
うのは、正直、難しい状況です。死亡例に関しましては、PMDAの方で別途、有識者の
御意見もいただいて因果関係の評価を行いまして、因果関係が否定できないとか否定され
るといったような分類とともに、ホームページで公開しているといったことは始めており
ます。現状は、因果関係の評価をやるというのは、死亡例に限定されていますが、もちろ
ん死亡例でない事例についても、これは重大だということに関しましては当然個別には対
応しておりまして、自主回収を指導したり、医療機関への情報提供を指示しておりますの
で、今後もそういったことは徹底していきたいと思います。
○笠貫部会長 これにつきまして、先ほどの因果関係が難しいというのは、医療機関から
の情報と業者からの報告との突き合わせ、あるいは調査権の問題ですね。PMDAの調査
権がなかなか届かない、協力が得られないというようなことがあると思うのです。今の死
亡例についてはPMDAで一例一例検討していただいており、それについては、この安全
対策委員会の方でも、まとまった時点のところで御報告いただけることをお願いしたいと
思います。それでよろしいでしょうか。
○許委員 はい。
○笠貫部会長 ほかにはございませんでしょうか。特にございませんでしたら、続いて議
題(3)に移りたいと思います。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 続きまして、お手元の資料3-1と資料3-2を御用意いただければと存じます。
薬事法第68条の8に基づく医療機器の感染症定期報告の状況についての御報告です。資
料が2つあります。資料3-1、A4の縦になっている方が感染症別の文献の一覧にしたも
の。資料3-2が、それぞれの生物由来の医療機器を原材料ごとに報告された順に取りまと
めたものとなっています。
 資料3-2の方から御覧いただければと思います。こちらは「感染症定期報告の報告状況」
ということで、平成21年10月~本年3月末までに生物由来医療機器の製造販売業者等か
ら報告されたものに関して、文献等の調査の状況を報告順に表にして並べたものです。全
部で15ページあります。一番最後の製品が30番となっており、30件の報告が寄せられ
ています。1/15ページからが資料の冒頭部分ですが、最初にありますものがブタの心臓
弁というものです。それから、4ページに2番が出てきます。こちらは、カニューレや血
液回路などにヘパリンを使用しており、原材料がブタの腸粘膜というもので、こういった
原材料を使用しておりますものが報告対象ということになっています。資料3-2では、同
一の文献あるいは同一の感染症の報告などがそれぞれの製品ごとに散らばって出てまい
りますので、感染症ごとに文献を整理しましてまとめさせていただいたというものが資料
3-1となりますので、今回の報告の状況につきまして、資料3-1の方で簡単に御説明させ
ていただきたいと存じます。
 資料3-1は1/6ページから始まりますが、IDを一番左に振りまして、全部で52件の
文献があります。左から2つ目の欄に感染症の名称が、冒頭は「B型肝炎」、その次は「E
型肝炎」と書いておりますが、感染症の種類としましては、今回、16種類のものがあり
ました。主なものですが、前回の本部会に御報告した際もそういった傾向が見られていま
したが、インフルエンザ、新型インフルエンザ、鳥インフルエンザという、新型インフル
エンザ関連が主に多くなっています。これらのインフルエンザ関連が52件分の27件と、
半分以上を占めています。そのほかに関しては、今回で申し上げると、6/6ページにな
りますが、47番~51番までのブルセラ症、ブルセラ属の細菌による感染症で、日本では
ほとんど見られていませんが、世界的にはまだ動物からヒトへの感染、動物での感染が見
られていますが、これが5件ありました。内容的には、特に新しい内容はありません。
 そのほかでは、52番は感染症ということではありませんが、その他(不純物)として報
告させていただいておりますが、本部会にもおよそ2年前の平成20年7月に、ヘパリン
への過硫酸化コンドロイチン硫酸の混入の件に関して御報告を申し上げた件で、既に規格
の設定などで対応しておりますが、文献があったことから改めて今回の報告に含まれたも
のです。内容としましては、今回も事前に感染症の関係、御専門の石井先生、内田先生、
それから、今回から新たにお願いしております渡邉先生にも御覧いただきまして、特に感
染症研究所では関連の部の先生方にもコメントをお願いしておりますが、今回、措置を講
ずるなどの必要性について見られる文献は特にないということでした。簡単ですが、概要
は以上です。
○笠貫部会長 ありがとうございます。本件につきましては、専門家でいらっしゃる石井
委員、内田委員、渡邉委員に事前に御覧になっていただいているということですが、各委
員の先生方から何か付け加える御意見はございませんでしょうか。内田委員、ございます
か。
○内田委員 ございません。
○笠貫部会長 石井委員はいかがですか。
○石井委員 特にございません。
○笠貫部会長 渡邉委員からは。
○渡邉委員 特にございません。
○笠貫部会長 それでは、全体を通して何か御意見、御質問はございませんでしょうか。 
特に御意見がございませんでしたら、続いて議題(4)に移りたいと思います。事務局から
御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、議題(4)の「医療機器の回収報告」の状況について御説明申し上げ
たいと思います。薬事法におきまして、医薬品、医療機器、医薬部外品、化粧品について
回収があった場合については、その旨を厚生労働大臣に報告するということになっていま
す。そして、その回収については研究班報告を受けて通知を発出しており、すべて、イン
ターネットにおいて公開しているという状況になっています。昨年度、平成21年度の回
収状況ですが、資料4-1の、1枚めくっていただきまして下の「回収件数年次推移」とい
う所に書いてありますが、平成21年度におきましては合計658件で、医療機器におきま
しては372件の回収がありました。年次推移を見て特段変わった状況ではありません。
 次のページ、2番の平成21年度の医療機器の回収件数及びクラス分類ということです。
回収につきましては、下の注書きに書いてありますが、重篤な健康被害又は死亡の原因と
なるものをクラス?T、一時的若しくは医学的に治癒可能な健康被害の原因となるものをク
ラス?U、健康被害の原因となることがまず考えられない状況をクラス?Vと、それぞれ、回
収の分類をしております。医療機器については、クラス?Tが11件、クラス?Uが308件、
クラス?Vが53件ということです。ここにクラス?Tの医薬品が114件ありますが、これは
すべて、下の方に*で書いてありますが、ロットを構成しない医薬品、つまり、血液製剤
の献血後情報に基づく投与前の事前回収というものになっています。1枚めくっていただ
きまして、医療機器のクラス?T・?U・?Vのうち、クラス?Tについて簡単に御説明申し上げ
たいと思います。
 医療機器のクラス?Tの回収が11件ありまして、この1ページにまとめてあります。そ
のうちの5件が半自動除細動器、先ほど不具合報告の中でも御説明がありましたが、除細
動器関連5件。上から、フィリップスジャパンのハートスタートFR2、同じくハートス
タートHS1。日本光電のライフAED-9100シリーズ。カルジオライフ9200シリーズ。
一番最後のエムビーエスのパラメディックです。それ以外にも除細動器関連ということ
で、8番目の日本光電の使い捨てパドルということで、電極が1件クラス?Tの回収になっ
ています。それから、半自動除細動器ではありませんが、9番の手動式除細動器が1件回
収されています。以上、合計いたしますと、7件が除細動器関連の回収です。それ以外に
は、1番のペースメーカの回収とブラッドアクセス留置用カテーテルの回収、手術用のド
リルと5番のファイバースコープの回収といったものがクラス?Tの回収になっています。
 次のページ以降、クラス?U、クラス?Vの回収は、1件1件詳細に書いてありますが、こ
れについては、説明は省略させていただきたいと思います。以上でございます。ありがと
うございました。
○笠貫部会長 ありがとうございます。ただ今の御説明について何か御質問、御意見はご
ざいませんでしょうか。これは、先ほどの御説明のように除細動器関連が大変多いのです
が、回収というのは、それぞれ、どれぐらいの規模になるのでしょうか。先ほど一部御説
明があったと思うのですが。フィリップスのハートスタートは、回収台数は大体分かりま
すでしょうか。AEDの回収は社会的な影響が非常に大きいかと思いますので、回収台数
が分かれば教えていただきたいと思うのですが。
○事務局 今、詳細に手元にありませんが、日本光電の7番のものが10万台の回収とい
うことで、これが一番大きいものです。そのほかにも、それなりの大きな回収ですと、数
千件とか、そういった件数が大体あるかと思っております。
○笠貫部会長 ほかにはございませんでしょうか。
○横井委員 ちょっと教えていただきたいのですが、自主回収一覧の4-2の3ページです
が、18番でラジオメーター株式会社のシステムの回収というのは、内容を見ると、マニ
ュアルの改訂で旧版の回収ということのようですが、教えていただきたいのは、先ほど不
具合報告のところで対応措置のところが3つに分かれていて、情報提供というのと回収と
もう1つあったわけですね。その情報提供というのは、今こちらに書いてあるのは添付文
書の改訂などによる情報提供というようなことで、ちょっとこの辺の仕切りが分かりにく
いと思ったのですが、いかがでしょうか。
 すみません、分かりにくい言い方になってしまったかも分かりませんが、今、回収の方
のラジオメーターの事例に関しては情報提供に近い感じの印象を受けました。ただ、その
改訂している対象が取扱説明書だったということですね。これが添付文書の改訂やそのほ
かの安全情報提供であると情報提供という言い方になるのかとは思うのですが、現実的
に、内容的に余り変わらないのではないかということになるわけですね。その辺、もう少
しシステマティックな仕切り方はないかという意味です。
○事務局 これは想像で言っては申し訳ないのですが、おそらく企業の方で回収報告を出
したということで、それに基づいて回収の報告が上がってきたということだと思います。
詳細を調べたいと思います。確かに、これだけだとマニュアルの改訂になっています。た
だ、それがおそらく影響があるだろうという企業の判断かと思いますが、少し整理させて
いただきたいと思います。
○安全使用推進室長 基本的に付属品であっても、物を回収した場合にはどうしても定義
上、回収の定義に当てはまってしまうということで、今回のものは回収という分類にさせ
ていただいていますが、確かに、御指摘のように中身的には添付文書の改訂ですとか「使
用上の注意」における情報提供と非常によく似た形での現場での対応ということになりま
す。こういった場合の表現振りですとか、その辺りは、全体の表の中でも齟齬がないと言
いますか、分かりやすいように少し工夫をするということで対応させていただこうと思い
ます。
○笠貫部会長 それでよろしいでしょうか。ほかにはございませんでしょうか。特にござ
いませんでしたら、最後に議題(5)に移りたいと思います。それでは、事務局からよろし
くお願いいたします。
○事務局 それでは、議題(5)の「その他」についてということで、参考資料?bP~?bS
までを御説明させていただきます。最初に参考資料?bPを御覧ください。「在宅酸素療法
における火気の取扱いについて(注意喚起及び周知依頼)」です。1ページ目に、本年の1
月15日付けで医政局の総務課長、医政局の指導課長、医薬食品局の安全対策課長の3課
長の連名通知という形で各自治体に向けて周知を依頼するといった通知となっています。
医政局総務課は医療安全を所管し、それから、医療ガスを所管しているということで医政
局の指導課長も連名となっています。12ページのPMDA医療安全情報がありますので、
最初に12ページの方を御覧ください。
 PMDA医療安全情報の?bS、2008年6月のものですが、「在宅酸素療法時の喫煙な
どの火気の取扱いについて」という注意喚起の資料です。在宅酸素療法を行っている患者
さんは、安全性上の問題もありますし、もともとタバコを吸い過ぎて肺気腫等になりまし
て酸素を吸っているという患者さんが多い状況ですので、基本的には治療上も禁煙になっ
ているわけですが、どうしても喫煙経験がある患者さんが多いということで、こういった
酸素濃縮装置で高濃度の酸素を吸いながらタバコを吸ってしまいますと、このような絵に
なっていますが、危険ですよということを注意喚起するためにかなり強調して呼び掛けて
いるといった資料です。
 14ページを御覧いただきたいのですが、先ほどのものはイラストでしたが、これは実
際のマネキンを使っての再現実験で、神戸市の消防局から提供いただいた写真です。実際
に神戸市のホームページに行きますと、動画でも見られます。酸素のチューブの所にタバ
コの火を当てても通常は燃えないのですが、酸素を吸入しているところでタバコの先端を
近づけますと、この絵のように、一瞬にしてチューブが激しく燃えるといったような状況
があります。下の検証写真2の方では、その火が着衣の方に点火していきますと、また火
が服の方に燃え移って大変危険な状況になるといったようなことを注意喚起しているも
のです。
 続いて4ページを御覧いただきたいのですが、このような注意喚起は、当然、添付文書
や取扱説明書にも書いてありますし、主治医の先生からも禁煙の徹底の指導はいただいて
いるわけです。4ページに一般社団法人日本産業・医療ガス協会の集計した事故事例の一
覧がありますが、平成22年1月の時点ということで、27例の重大な事故を平成15年10
月からの集計として集めたものを公表しています。こちらの事例を見ていただくと分かり
ますように、ほとんど、多くの方がお亡くなりになっているといったような事例です。一
番右が原因の欄となっていますが、半分以上が喫煙といったような状況になっています。
中には寝タバコという、本当に大変危険な状態での原因でお亡くなりになっているという
方々がいらっしゃるといった状況です。こういった状況ですので、特にタバコを中心とし
まして、酸素を吸入しているときの火気の取扱いについて改めて注意を呼び掛けたという
通知になっています。
 通知の方にお戻りいただきたいのですが、2ページを御覧ください。こちらは医政局の
総務課と指導課の連名の通知で、医療機関に宛てた依頼の通知です。
 記1としましては、在宅酸素療法を受けている患者さんやその御家族に対して以下の点
を注意してくださいという依頼です。1)として「高濃度の酸素を吸入中にタバコ等の火
気を近づけるとチューブや衣服等に引火し、重度の火傷や住宅の火災の原因となること」
ということです。2)として「酸素濃縮装置等の使用中は、装置の周囲2m以内には火気
を置かないこと。」特にここが重要なのですが、「特に酸素吸入中にタバコは絶対に吸わ
ないこと」ということを周知してくださいと。3)として「火気の取扱いに注意して説明
書どおりに正しく使用すれば、酸素が原因でチューブや衣服が燃えだしたり火災になるこ
とはないので、過度に恐れることはなく、医師の指示どおりに酸素を吸入してください」
ということです。逆に怖がって治療を受けないということも問題ですので、正しく使用す
れば安全だということも患者さんや御家族によく御説明いただきたいということをお願
いしております。
 2としましては、注意喚起を実施する際に使用するための文書や動画等の資材は、各酸
素濃縮装置等の製造販売業者や販売店の方から提供されますので、それらを御活用くださ
い、ということを医療機関に周知いただくという自治体宛の通知となっています。
 続いて6ページを御覧ください。これは、同日付けで安全対策課から業界団体である日
本産業・医療ガス協会の会長に宛てた依頼の通知です。こちらは、業界宛の依頼として記
の所で、1番が、火気の取扱い等に関しての注意喚起として医療機関の主治医が患者やそ
の御家族に説明をするために必要な資材を提供してくださいと。
 2番が、酸素濃縮装置等の設置や点検のために患者の居宅等を訪問する際に、在宅酸素
療法時における火気の取扱い等について販売店等からも注意を呼び掛けることというこ
とを依頼しております。これは、在宅酸素療法で使う酸素ボンベや酸素濃縮装置というも
のは保険診療の中でレンタルで行われるということになっていますので、数か月に1回は
販売店の方が必ず居宅に御訪問することとなっています。主治医からも御指導いただきま
すし、販売店の方も注意を呼び掛けていただきたいという依頼をしたものです。
 3番目が、酸素吸入時の火気の使用に伴う重篤な事故事例を公表して火気の使用による
危険性や酸素濃縮装置等の適正な使用の重要性を広く呼び掛けてください、という依頼で
す。
 4番目が、事故事例を継続的に収集して定期的に御報告を依頼します、といったような
内容を依頼した通知です。1月にこの通知を出して、厚生労働省の方でも記者発表という
ことで、実際にマスコミの方にもこのマネキンが燃えるような動画とかそういったものを
御覧いただきまして、注意喚起に御協力いただいたというものです。
 11ページになりますが、これは厚生労働省のホームページにも掲載しております啓発
のためのリーフレットです。先ほどのPMDAの医療安全情報からも抜粋いたしまして、
特にタバコについては、絶対に吸わないでくださいといったようなことを呼び掛けている
といったようなものです。以上が参考資料?bPについてです。
 続いて参考資料?bQになります。こちらは「消防機関における自動体外式除細動器(A
ED)の取扱いについて(依頼)」です。これは消防機関におけるAEDということで、先
ほど来問題になっている、いわゆる駅等で見られます一般人が使用できるAEDと、消防
機関、救急隊が使用するものは半自動式と呼ばれる一般の駅等にあるAEDとは若干違っ
たタイプのものが主として使われています。救急救命士が使用する除細動器ということ
で、心電図がモニターで見えるようになっていたり、解析をするタイミングを機械任せで
はなくて手動で行う半自動式と呼ばれるものを使っています。それらも、一括りで言えば
AEDの方に分類されるということで、通知のタイトルでは消防機関におけるAEDとし
て通知しております。
 1ページになりますが、本年3月30日付けで安全対策課と医療機器審査管理室から出
した各製造販売業者向けの通達です。1行目ですが、今般、消防機関における自動体外式
除細動器(AED)の不具合が疑われた事例に関する調査研究を受けて、別添のとおり、本
日付けで消防庁の救急企画室長と医政局の指導課長からAEDの取扱いに関する通達が
発出されたというものです。それは3ページに付いています。救急医療を所管しているの
は消防庁の救急企画室と、厚生労働省の医政局の指導課になりますので、連名で、各都道
府県の防災主管部や衛生主管部局長に宛てて「消防機関におけるAEDの取扱いについ
て」を依頼した通知です。
 中身ですが、6ページを御覧ください。消防庁が中心となりまして全国の消防本部、消
防署ですね。そちらにこういったアンケート様式を送付しまして、AEDの不具合が疑わ
れた事例がないかというようなことを過去3年分を中心として御報告くださいというこ
とで依頼をしており、これに基づいて消防庁の方で集計をしています。その結果、328件
の不具合の疑い事例が集計されて、それを受けて消防庁と医政局の指導課の研究班の方で
その分析をいただいたということになっています。
 9ページを御覧ください。この9ページが消防庁が実施した不具合の疑い事例のアンケ
ート結果を受けた分析を依頼した研究班の報告書の中間報告です。こちらがまとまったと
いうことで添付されています。
 10ページの右側の「総論」という所にありますが、全体で328件報告があった中で、
その中には機械に不具合があったとは言えないようなものや、心電図が付いていないため
に詳細な検討ができないような事例もあったのですが、心電図が付いていたような事例を
中心に研究班の方で専門的な見地から分析したといったような報告です。
 15ページを御覧ください。コピーでつぶれてしまっていて大変恐縮なのですが、これ
はその事例を集計した表です。フィリップス社のハートスタートという除細動器と日本光
電のTECという半自動式の除細動器が消防機関においてはシェアが大体半々で使われ
ていますので、フィリップスと日本光電が半分ずつぐらいであがってきています。その中
で特徴がありますのが、各論1-1という問題が指摘されたのが、下の方の日本光電のAE
Dで多くなっています。逆に1-1の方は、フィリップスでは1件もありません。次の1-2、
1-3のアーチファクトはノイズなのですが、ノイズに関する問題は、フィリップスの方で
報告が多くて、逆に日本光電ではほとんど問題が起こっていないといったような、製品や
会社別で特徴が出てきたといった分析の結果となっています。
 中身は専門的なので割愛させていただきますが、典型的なものとしては、16ページに
なりますが、各論1-1として、この波形、VFという本来は除細動の適用となるべき心電
図の異常の波形ですが、こういった典型的な波形が見受けられたにもかかわらず機械の方
が除細動の適用と判断しなかった、といったような問題がTECの方のシリーズでは計
40件事例があったといったようなことが報告されています。これにつきましては、下の
方に「コメント」がありますが、メーカー(日本光電)の分析では10Hzを超えると適用外
と判断している、というようなことが原因となっています。17ページの所で、対応とし
ては、製造販売業者において改善を検討すべきだというような、望まれるといったような
コメントが付されています。このような報告を受けまして、製造販売業者に通知を出した
のが1ページ目の通達になります。
 依頼した内容は、中段の下線の所ですが、まず、消防機関においてこれだけ不具合の事
例があったという報告がありますので、消防機関における事後検証というものを消防の方
でもやっていますので、そういった事後検証に御協力いただくということと、不具合に関
する情報収集・分析等について消防機関と連携して積極的に取り組むように、と依頼して
おります。また、最後の所になりますが、この研究班の中間報告を受けまして、AEDの
特異度等に関して性能向上に関する情報がありますので、製品改良について迅速な対応を
行うというようなことを求めております。なお、先ほど紹介いたしました事例1-1の日本
光電のAEDの指摘に関しましては、製品の改良を行うというような回答を受けておりま
す。以上が参考資料?bQです。
 続いて参考資料?bRです。こちらもAEDに関してです。「自動体外式除細動器(AE
D)の適切な管理等の周知等について(依頼)」です。こちらのAEDは、駅等で見かける
一般人が使用できるAEDを主に想定しております。1ページ目ですが、安全対策課、監
視指導・麻薬対策課、医療機器審査管理室の3課室長連名で本年5月7日付けで出した、
AEDの製造販売業者に宛てた通達です。こちらは、本日も不具合の報告や自主回収の説
明の中でAEDの問題があるということを御紹介いたしましたが、そういった様々な自主
回収があったりするような問題もあるのと、消防機関での328件といったような報告もあ
るといったようなこと。
 それから、冒頭の所にありますが、昨年の4月に「自動体外式除細動器(AED)の適切
な管理等の実施について」ということで、設置者等へ表示ラベルでの消耗品のバッテリー
やパッドの使用期限の管理を依頼したり、インジケーターによる日常点検の呼び掛けを実
施していたところですが、そういったことを改めて徹底していただきたいと依頼した通知
です。下線部の所になりますが、AEDの製造業者に対しては、日常点検の重要性や消耗
品の管理の必要性について、改めてすべての設置者又は購入者に情報提供をいただくよう
依頼しております。また、併せて、AEDの設置者の全体の把握に努めて、円滑な情報提
供が可能となるよう、設置者への情報を適切に管理するよう依頼しております。また、最
後の所ですが、一層の品質管理、安全管理体制の強化及び製品の改良に努めるというよう
なことを依頼した、という通知です。
 続いて参考資料?bSです。PMDA医療安全情報の??14・15、「電気メスの取扱い時の
注意について(その1・2)」です。その3につきましては先ほどのバイポーラ電極のコー
ドのときに御紹介いたしましたが、その1、その2につきましても、PMDAの方で公表
していますので、御紹介させていただきます。
 1ページ目が??14としまして、「電気メスの取扱い時の注意について(その1)」です。
この事例は、気管チューブと申しまして、気管の中に管を入れて酸素を投与するための術
式で、喉の所に穴を開けるというようなときに電気メスを使用しますと、電気メスの先端
が高温になっていますので、奥まで行ってしまってチューブの方に触れますと、チューブ
の方は熱で溶けまして、中でその電気メスの先端が酸素と触れますと引火します、といっ
たようなことを注意喚起しております。これが事例1にありますが、実際に人工呼吸器に
よる管理下で電気メスを使用した気管切開の施術中に切開部から火が出て患者は気道や
咽頭部、顔面などに大火傷を負ったといったような事例が報告されていますし、実際にお
亡くなりになってしまったというような事故事例も報告されています。
 2ページ目ですが、これは危険性を認識いただくための再現実験の写真です。実際に肉
片を使って、気管チューブに酸素を流しながら電気メスを使い続けますとこのように酸素
と触れると激しく燃える、といったような写真を付けております。3ページ目も続きです。
4ページ目にありますように、電気メスは通常の状態で気管チューブに先端が触れても燃
えることはないのですが、やはり酸素を流しながらですと、穴が開くというのはあります
ので、非常に危険だといったような注意喚起になっています。
 続いて5ページをお願いいたします。電気メスの取扱い時の注意についてのその2で
す。こちらは、アルコールを含有する消毒液の使用に関する電気メス取扱い時の注意です。
アルコールを含有しています消毒液で消毒しまして、十分に乾燥していない状態でまた電
気メスを使用しますと、気化したアルコールに引火しまして患者さんが火傷になるような
危険性があります、といったようなことを注意喚起しております。6ページには、これも
再現実験の写真を載せております。7ページには、また注意事項としまして、「その他の
注意が必要な消毒剤」ということで、ここに載せた4製品につきましては製品名が、例え
ばイソジンフィールド液(10%)のように、製品名中にアルコールという表記がありませ
ん。これらの製品はアルコールとかエタノールというような名称が販売名にはありません
が、十分に注意してくださいということで、名称からだけ確認するのでなく、容器の包装
や添付文書には「火気厳禁」の旨が記載されていますので、そういったところを確認して
注意してくださいというような案内になっています。説明は以上です。
○笠貫部会長 どうもありがとうございます。それでは、ただ今の事務局からの御報告に
御質問、御意見はございませんでしょうか。
○天笠委員 最後に御説明をいただいたこの消毒薬にはアルコールはどのくらい含まれ
ているのですか。あるいは含まれていないのですか。教えていただきたいと思います。
○事務局 すぐに分かるか、手元にはないのですが、調べてみて分かればすぐお答えしま
す。当然、本体の方の容器にも直接成分表示もありますし、添付文書の方には当然組成が
書いてありますので。今、手元にないので、申し訳ありません。分かりませんが、実際の
商品を見ていただければ、アルコールの含有率は分かるようになっています。
○天笠委員 分かりました。
○安全使用推進室長 販売名などにアルコールという文字が入っていないというところ
が、表示上、分かりにくいということです。
○天笠委員 分かりました。
○笠貫部会長 ほかにはございませんか。
○佐伯委員 よくアルコールランプなどがきちんと燃えているときには、炎は青いです
ね。ですから、今回のイラストはとてもよいと思うのですが、全部、赤、青、黄色などの
本当に火事のような炎で描かれていますが、実際には燃えている炎の色は分かりづらいと
いうことですよね。ですから、その辺りをもう少し、明らかに赤い炎ではないとか、見え
づらいことがあるとか、そのようなことも何か書き加えているのでしょうか。
○機構 PMDAの方からお答えします。お手元の参考資料?bSの5ページの一番下の所
ですが、吹き見出し、3行ありますが、一番下に「引火した炎は、はじめ青白く気付かな
いので大変危険です」と。経験された先生方からは青白かったのですぐには気付かなかっ
たというコメントをいただいておりましたので、イラストの方にも、青い炎を若干入れさ
せていただきまして、文章にも、「はじめ青白く気付かないので大変危険です」と書かせ
ていただいております。
 また、先ほど天笠委員が御質問された消毒薬の件ですが、消毒用のエタノールに準じて
いますので、アルコールの成分としては、約50%は含有しており、そこに10%のイソジ
ンを含有しているものです。
○笠貫部会長 よろしいですか。もう少し工夫があってもよいのではないかというところ
はないですか。炎の所に矢印でも「青白い」などと書くともっと分かりやすいかもしれま
せん。御検討ください。井部委員、何かございますか。
○井部委員 AEDは今いろいろな所に設置されていて、AEDの点検管理がとても重要
だと思います。この「AEDの点検をしていますか」という所に、いざというときにAE
Dをきちんと使用できるようにということは非常に大事なことだと思いますが、いざとい
うときにAEDが使えなかったという報告などがもしあるようでしたら教えていただき
たいと思います。
○事務局 AEDが一般人による使用がまだまだ少ないということが、おそらくそれも原
因かと思いますが、今のところ、幸いなところ、期限切れが原因でAEDが使えなくて除
細動ができなかったというのは、一般人が使用の場合にはありません。ただ、消防機関の
方では、バッテリーが使用期限切れでおかしかったというような事例は若干あります。
○高杉委員 医師会の高杉です。AEDが非常に普及していっているのはよいのですが、
余り高くないから売りっぱなしで放ったらかし。これをフォローするのを義務づけるとい
うことをメーカーにお願いするというのは大切なことだろうと思うのですが。
○笠貫部会長 今の対策について、事務局から何か御説明はありますか。AEDの保守管
理について非常に大事だということで対応はとられていると思うのですが、事務局、どう
しましょうか。
○安全使用推進室長 高杉先生の御指摘のとおりで、保守管理の上からは、買いっ放しで
実際どこに行ってしまったか分からないというようなAEDが一番困るという状況があ
るわけです。どこに設置されているかという状況をきちんと把握してメーカーから定期的
に、いろいろな注意喚起の資材も配付されたり、その中で使用者の方もきちんと管理をし
ていくというのは、一番望ましい形です。メーカーに対してそういう形で、メーカーを通
じて把握できているものについては、きちんと情報提供をして注意喚起をしていただく。
ただ、一方でそういう形で確実に把握しきれていないものもあるものですから、一番最初
の平成21年の通知の際も、メーカーだけでなくて、地方自治体ですとかいろいろな病院
ですとか公共施設に設置している関係省庁にも御協力を呼び掛けて、ここに書いてあるリ
ーフレットと同じような媒体を情報提供させていただいて、まず注意していただくという
ようなことをやっております。回収事例などがありますと、その機会をもって把握される
ということも実際にあるものですから、そういう機会を契機に把握率を上げてまいります
が、現状ではそういう形でメーカーを通じて行っていることを強化しつつ、いろいろな関
係機関にも働きかけて注意喚起をお願いしているということです。
○笠貫部会長 病院の中の医療機器ではなくて、しかも生命に関係するということです
ね。
○高杉委員 医療機関や消防機関は大丈夫だと思うのです。置いてある所は、これはだれ
が管理するのかというのを。ですから、これは売った方の責任できちんと管理しろという
ような意識がないと、いざというときに役に立たないことがたくさん出てくると思いま
す。
○笠貫部会長 これも、メーカー側は、携帯等を含めて、電話等を使ってとか、いろいろ
な工夫はしているとは聞いています。また、購入した側もまた協力するという全面的な、
新しい一つのモデルケースになりますので、徹底した安全対策を今後も検討していただく
ように事務局の方にもお願いしたいと思います。
 それから、最初のタバコと在宅酸素ですが、15例がタバコで、しかも、そのうち10人
は70歳代以上、5人は80歳代というと、高齢者ですね。高齢者の場合にどう喚起するか
というのは、御本人だけでは無理なところがあって、一緒に住んでいる方か、あるいは、
これは居宅ですので、そういった家族の人の教育というのも非常に大事かなと思いまし
た。検証写真というのは見るに耐えないところもあるかもしれませんが、家族の付いてい
る人たちにはこれを十分見せながら教育することが大事かなと思いました。ほかにはござ
いませんでしょうか。
○西島委員 今の酸素療法のところですが、タバコが圧倒的に多いということですが、こ
の中に「不明」が結構ありますよね。ここがどういう原因かというのが一つ大事な点だと
思うのです。不明の場合、明らかにこのときには、この人はタバコを吸っていなかったの
かどうかとか、そういうことが含まれた上での「不明」ということだと思うのですが、不
明の原因として、例えばちょっとした発火とか、1つ「電源タップ付近」というのがあり
ますが、ちょっとした火花でもこういうことが起きてしまうのか、あるいは静電気のよう
なものでも起きてしまうのか、そういったことについて研究がされているのかどうかとい
うことなのですが、その辺、この「不明」の所の解決も非常に大事だと思いますが、いか
がでしょうか。
○安全使用推進室長 こちらの別紙の資料の5ページ目に「在宅酸素療法での火気との距
離の制限」というのがあります。一般的に家庭内で使用される火気と、いわゆる酸素ボン
ベとの間の、引火をするかどうかの関係という部分については、ここに書いてあるような
距離の下でお使いいただくということで、大体、そのリスクについては整理がこれまでも
されてきています。
 ただ、先生が御指摘のように事故事例についての、要するに、原因が不明とか推定とい
う部分については、結局、焼死されたときにも家が全焼してしまったり、そういう中で実
際にその原因が何かというところが本当に究明できないというような中で不明になって
いるものがほとんどですので、それよりはむしろ、原因として推定されるようなものから
対策をとっていく、というような観点でこの紙の方については作成させていただいている
という趣旨です。
○笠貫部会長 それ以外にはございませんでしょうか。
○?`島委員 全般的なことなのですが、安全情報を出すタイミングについてお伺いしたい
のです。これは、起こった事象の大小とか、数とか、継続した期間とか、そんなものが何
か決まっていて出すタイミングを判断されているのでしょうか。例えば今話題になってい
た在宅酸素療法に関しては、資料を見る限り、一番最初に事故が起こったのが平成15年
で、安全対策が出てきたのが平成19年(2008年)ですね。過去を見てみると、平成17年
度にかなり事故例が起こっていますし、平成18年度も続けて起こっているので、これを
見ると、もう少し早く出してもよかったのかと。そういうことも考えられるのですが、こ
れは、5番の議題で4件のほかにも最初の議案の2件、微量採血とバイポーラ電極、その
辺の安全情報にも絡むことだと思うのですが、その辺、何か基準があるのでしたら教えて
いただけますでしょうか。
○安全使用推進室長 事務局です。この在宅酸素療法の関係はこちらの一般社団法人日本
産業・医療ガス協会という所が、言ってみれば、過去6年分の集計をしたところで初めて
こういった状況が世の中でまとめて発生したということがだんだん分かってきたという
ところがあります。それまで、新聞等でいろいろな事故情報などで散発的には見ることは
あっても、こういうまとまった形で整理したところがこの在宅酸素療法での注意喚起の起
点になっているというところです。それ以外の医療事故情報について、何を起点に行うか
という部分については、現状で何か明確な基準があるかというと、なかなか難しい部分で
はあるのです。こういったシステムが系統的に動くようになってまだ、PMDAができて
からまだ5年というところでもありますし、事例を積み重ねながら我々も少しずつ、どう
いったところでアクションをとるかという部分も整理しながら、特に目立って重篤なもの
ですとか、そういうところについては当面漏れがないような形で見ていきつつ進めている
というところです。こういう情報の見方においてこういうところに注意した方がよいので
はないかとか、そういうところはまたこの部会でも御示唆があれば、是非先生の方からも
おっしゃっていただけると、我々も助かります。
以上です。
○笠貫部会長 これから安全対策は予防原則となりますが、データベースを含めていろい
ろな形をこれから整備をしていくかという中の大きく変革しつつある、進化しつつある過
程にあると私も思っております。御意見がありましたらこういう席でどんどん言っていた
だいて、システムの改善へ向かって行けたらと思います。
 そういう観点から、先ほどのAEDは消防庁の消防機関でのデータなのですが、一般の
方々の場合のAEDの不具合というのは、まだ十分使われていないということもあります
し、どこに不具合があったかの解析等が難しいと思うのです。そういう意味では、消防庁
のデータで一般の人におけるAEDの不具合を予測するということが非常に大事なこと
になるかと思います。そういう意味で、引き続き、こういった消防機関での不具合の分析
を是非まめにやっていただきたいと思います。特に、今回のはアルゴリズムの問題ですか
らかなり高度な不具合の問題にはなりますが、これもAEDの改良、改善に向けては不可
欠なものになりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 ほかに全体として御意見はございませんでしょうか。それでは、以上で本日予定しまし
た報告事項はすべて終了となりますが、ほかにございませんか。
○安全使用推進室長 事務局からですが、最初に、今日、いろいろな資料をお配りいたし
まして、不具合の報告のリストですとか先ほどの回収報告ですとか、ポリグリップのとこ
ろでも御指摘がございましたが、表現として少し分かりにくい、不明になっている所とか。
先ほどの回収の所も、回収なのか情報提供なのかというところが分かりにくいといった御
指摘もございました。本日の資料はこれからホームページ上にアップロードいたしまし
て、また世の中の皆さんにも全部公表していくような形にいたしますが、またその機会に
そういった表現振りの方も少し修正させた形で、また部会長とも御相談をさせていただき
ながら公表させていただこうと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○事務局 まず最初に高谷委員ですが、やはり本日所用ができたということで、御欠席と
の連絡をいただいております。
 また、次回の部会の日程につきましては、例年ですと12月ごろを予定しておりますの
で、またその頃を考えておりますが、別途、部会での審議が必要な議題が生じた場合には
開催予定が早まることがありますので、御承知おき願います。また、具体的な日程調整に
つきましては、事務局より先生方の御都合をお伺いして決めさせていただきたいと思いま
す。本日もお忙しい中御議論いただき、ありがとうございました。
○笠貫部会長 それでは、これで平成22年度第1回医療機器安全対策部会を閉会とさせ
ていただきます。長時間にわたりましてありがとうございました。


(了)

備考
 本部会は、公開で開催された。

連絡先: 医薬食品局 安全対策課安全使用推進室 室長補佐 渕岡(内線2751)

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