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2010年7月20日 第2回安心生活創造事業推進検討会議事録

社会・援護局地域福祉課

○日時

平成22年7月20日(火)10:00~12:00


○場所

三田共用会議所 第3特別会議室


○出席者

委員

井上 英之 (慶應義塾大学総合政策学部専任講師)
小田切 徳美 (明治大学農学部教授)
土屋 幸巳 (富士宮市福祉総合相談課参事)
中村 美安子 (神奈川県立保健福祉大学社会福祉学科准教授)
永田 久美子 ((福)浴風会 認知症介護研究・研修東京センター研究部副部長)
野中 博 (医療法人社団博腎会野中医院院長)
林 芳繁 (全国地域包括・在宅介護支援センター協議会会長)
前田 和彦 (高知県産業振興推進部地域づくり支援課長補佐)
宮城 孝 (法政大学現代福祉学部教授)
村田 幸子 (福祉ジャーナリスト)
森 貞述 (介護相談・地域づくり連絡会代表)
和田 敏明 (ルーテル学院大学大学院教授)

○議題

・「地域生活インフラを支える流通のあり方研究会」報告書(経済産業省)について
・「いわゆる限界集落型」地域福祉推進市町村における取組について(秋田県湯沢市、宮崎県美郷町)
・その他

○議事

○中島地域福祉専門官 皆様、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第2回「安心生活創造事業推進検討会」を開催させていただきます。
 本日お越しの皆様におかれましては、大変お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 開催に当たりまして、寺尾地域福祉課長よりあいさつ申し上げます。
○寺尾地域福祉課長 御紹介にあずかりました地域福祉課長の寺尾でございます。第2回目の会議になりますが、この暑い最中、地下鉄からも歩いて来なければいけないので非常に大変な御苦労をおかけして恐縮でございます。
 第1回目はプロローグとしてやらせていただきまして、本日から関係の事業者の皆様方にも入っていただき、あるいは社会福祉協議会であるとか、さわやか福祉財団の皆様方、中央共募の方々に中にも入っていただいて、具体的にこれから安心生活創造事業の発表もしていただきながら、よりよい方策の検討を進めていただきたいと考えております。
 最近のマスコミなどにおきましても、いろいろ地域社協でありますとか、地区社協でありますとか、NPO等々で買い物難民の話でありますとか、移動サービスの取組みでありますとか、見守りでございますとか、そういう事例をいろいろ御紹介されてきております。そういう意味では、各自治体、市町村の首長さんなども少しずつこういう事業に対する関心が高まってきているのではないかと認識しております。
 我々、この安心生活創造事業を考えたことは、そもそもが地域でいろんな資源といろんな人々が協力し合いながらお互いに支え合っていくというコミュニティの再生をもう一度取組みたい。それによって年老いた方々、あるいは障害を持つ方々が地域で安心して一人暮らしができる、そういう社会を再構築したいという考えで始めたわけでございまして、今年58市町村になりました。
この58市町村はいろんな特徴を活かしながらこの事業に取り組んでいただくことによって、後からこういう助け合い、見守りの事業を実施しようとする市町村の方々の見本に、あるいは最初からやるといろんな手続であるとか調査であるとか大変な取組みをシステム化することによって、取組みがしやすいようにしようというのが我々の考えでございます。ホームページにもこの58市町村の取組み、あるいはもっとほかのところでやっておられる優秀な取組みについてもホームページへアップしまして、後から進んでこようという自治体の方々がより取組みがしやすいような環境を整えていきたいと考えております。
 是非とも58市町村がうまく動き出すように、この検討会の皆様方の御意見と、バックアップしていただく事業者の方々の御協力をよろしくお願いしたいと思います。
 冒頭のごあいさつに代えさせていただきます。どうぞ本日はよろしくお願いいたします。
○中島地域福祉専門官 それでは、カメラ撮りはここまででお願いいたします。
 次に、初めて御出席の方々もおられますので、事務局より本推進検討会の趣旨につきまして御説明させていただきます。
○山本課長補佐 事務局の地域福祉課の山本でございます。よろしくお願いいたします。
 私の方から、今日第2回という検討会になっておりますけれども、第1回に御欠席だった委員もいらっしゃいますし、今回から公開ということで会議を進めさせていただきますので、改めまして簡単に趣旨説明をさせていただきます。
 資料1と資料2をご覧いただければと思います。資料1は開催要綱でございます。安心生活創造事業でございますが、平成21年度から実施しておりまして、本日は参考資料1として事業の概要をお付けしておりますが、説明は省略させていただきます。
 この安心生活創造事業につきまして、現在58の地域福祉推進市町村において取組みを進めておりますが、本検討会は、その取組みの評価・検証や取組みの成果を全国的に普及する。そういった観点から検討していただく会議ということで位置づけております。
 資料2をご覧いただきますと、第1回検討会の資料がございます。1ページ、第1回の議事次第がございまして、「3.議事」の特に(4)(5)で「安心生活創造事業推進検討会の検討内容(案)」「地域福祉推進市町村の取組状況と類型化(案)」の2点につきまして、前回御議論いただいたというのが主な内容でございます。
 2ページは「安心生活創造事業推進検討会の検討内容(案)」ということでございまして、3ページをご覧いただきます。第1回におきましては、まさに検討内容と類型の在り方ということで御検討いただきまして、大体2か月に1会開催する予定でございますが、第2回~第7回を目途といたしまして、モデル類型ごとの検討会をゲストスピーカーをお招きして検討していただくということで御了解をいただいております。
 第8回以降は来年度になろうかと思いますが、全国的な観点から成果の効果的な普及や、本事業による経済効果など、あるいはこの事業の終了後の展開、こういったことについて御検討いただくということで御了解をいただいているところでございます。
 その次に4ページ、5ページをお開きいただきますと、本事業に取組んでおります地域福祉推進市町村が52か所。これは平成21年度の52か所という意味でございますが、現在58か所となっております。この類型化(案)ということで御議論いただきました。
 事務局の方で6つの類型を提示いたしましたが、議事の内容におきまして、例えば上段3つは地域特性に応じた類型であって、下段3つは取組み内容に応じた類型であって、こういう類型化について御了承はいただいておりません。今後検討会の中でモデル類型ごとに事例発表などを踏まえて検討していただいた上で、最終的に検討会において全国的に普及すべきモデル類型などについて御検討いただくということで御了解をいただいているところでございます。
 以上、私の方から説明を終わらせていただきます。
○中島地域福祉専門官 それでは、ここからの進行は座長にお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○和田座長 おはようございます。それでは、議題に従いまして議事を進めてまいりますが、初めに今回から御出席の委員の方の御紹介を事務局からお願いいたします。また、お二人の委員からは、恐縮ですが、一言ずつ自己紹介をお願いいたします。
○中島地域福祉専門官 それでは、まず初めに、慶應義塾大学総合政策学部専任講師であられます井上英之様、自己紹介をお願いいたします。
○井上委員 どうもこんにちは。これは手短ですね。
○中島地域福祉専門官 はい。
○井上委員 井上と申します。よろしくお願いいたします。もう少し何か言った方がいいですか。言い始めたら長くなります。
○中島地域福祉専門官 「新しい公共」の取組みなど委員をされていたと思うので、少しそれに触れていただきますとありがたいです。
○井上委員 わかりました。私自身、近年、社会企業、ソーシャルビジネス等と呼ばれている分野を専門にしておりまして、その関係もありまして、先日まで短い時間になってしまったんですが、「新しい公共」円卓会議ということで鳩山首相の下のイニシアティブには参加させていただいておりました。
 専門としては社会分野でいかに事業を立てていくかということ、同様に私自身はビジネスパーソンが10万円ずつ出し合ってつくったファンドでお金と自分の持っている専門性を提供し合おうと。お金と自分のコミットメント、時間を組み合わせて地域のよりよきものに投資をしていこうというソーシャルベンチャーパートナーズという投資組合をつくっております。
 また、研究としては、社会的な事業のうまくいったものをいかに他地域に展開していくかというもの。その事業そのものが大きくなることだけではなくて、インパクトをいかにほかの地域でも再現するかという、スケールアウト等を専門としております。
 前回来られなかったので、今日は頑張ろうかと思います。これからどうぞよろしくお願いいたします。
○和田座長 ありがとうございました。
○中島地域福祉専門官 ありがとうございました。続きまして、明治大学農学部教授であられます小田切徳美様、お願いいたします。
○小田切委員 明治大学の小田切でございます。前回参加できずに大変失礼いたしました。私の専門は農村政策論でございまして、農山村地域を幅広く歩かせていただきます。近年の特徴として、農山村地域では、いわゆる集落の脆弱化傾向の中で、集落を乗り越えた複数集落で例えば小学校区とか、大字単位で新しいコミュニティをつくるような動きが出てきております。
 それが買い物弱者対策の拠点となったり、あるいは生活交通対策の拠点となったり、さまざまな動きが自発的に出ておりまして、それを中心にこの場では御報告、御紹介させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○中島地域福祉専門官 よろしくお願いいたします。
○和田座長 ありがとうございました。続きまして、オブザーバーの紹介を事務局よりお願いいたします。
○中島地域福祉専門官 それでは、私の方から御紹介させていただきたいと思います。
 まず初めに、全国社会福祉協議会地域福祉部長、野崎吉康様。
 続きまして、中央共同募金会企画広報部部長、島村糸子様。
 日本生活協同組合連合会福祉事業部、佐藤博様。
 全国労働者共済生活協同組合連合会経営企画部国際課課長、横溝大介様。
 厚生労働省健康局保健指導室室長、勝又浜子でございます。
 同じく、社会・援護局社会福祉専門官、諏訪徹でございます。
 続きまして、後ほど御説明いたしますが、本検討会におきましては、各回のテーマごとに随時オブザーバーに御協力いただく予定にしております。今回御参加いただく方々を御紹介させていただきます。
 総務省地域力創造グループ地域自立応援課課長補佐、徳大寺祥宏様でございます。
 経済産業省商務流通グループ流通政策課係長、植田一全様。本日は研究会報告をしていただきます。
 さわやか福祉財団政策提言プロジェクトリーダー、加藤昌之様。
 株式会社ローソン総務ステーションディレクター補佐、伊藤廣幸様。
 株式会社ヤマト運輸クロネコメンバーズ戦略部部長、佐藤英明様。
 続きまして、本日、地域福祉推進市町村の取組みとして事例報告をしていただく方々を御紹介させていただきます。
 秋田県湯沢市福祉保健部福祉課福祉施設法人化推進室参事兼室長であられます、佐藤博様でございます。
 宮崎県美郷町保健福祉課課長、鎌田雄二郎様でございます。
 以上でございます。座長、よろしくお願いいたします。
○和田座長 続きまして、事務局から資料の確認と構成メンバーの説明をお願いいたします。
○中島地域福祉専門官 それでは、資料の確認をさせていただきたいと思います。まず、議事次第、座席表、表裏のものでございますが、1枚お手元にあるかと思います。
 続きまして、資料1「安心生活創造事業推進検討会開催要綱」、これも表裏のものですが1枚ございます。
 資料2「第1回安心生活創造事業推進検討会について」。先ほど山本の方から説明させていただきましたが、その資料があるかと思います。
 資料3になりますが「安心生活創造事業推進検討会メンバー構成について」というA4横の資料があるかと思います。
 資料4ですが「第1回検討会の宿題について」という資料があります。
 資料5が「論点整理」ということで、これも1枚ものになります。
 資料6、ここから今日の事例の資料になりますが「経済産業省資料」。すべて資料は、A4サイズになります。
 資料7が「秋田県湯沢市資料」。
 資料8が美郷町の資料ということになります。ここまではよろしいでしょうか。
 続きまして、参考資料としまして「安心生活創造事業の概要」という資料を付けさせていただいております。本日、参考資料についての説明は省かせていただきますので、参考という形でご覧いただければと思います。
 参考資料2は「地域福祉計画の策定状況」ということで、平成22年3月に都道府県及び市町村に調査を行いました最新の結果が出ておりますので、前回の委員会で御意見もございました。ご覧いただければと思います。
 参考資料3「新成長戦略について」、平成22年6月18日に閣議決定されたものでございますが、この内容に安心生活創造事業が組み込まれておりますので、その部分について御参照いただければと思いまして、付けさせていただきました。
 参考資料4でございますが「地域主権戦略大綱について」、これは平成22年6月22日に閣議決定されたものでございますが、一括交付金化ですとか、地域福祉で重要な内容が盛り込まれておりますので、これも参考にご覧いただければと思います。
 以上、説明は省かせていただきますけれども、参考資料ということで付けさせていただきました。資料の不足等ございましたら、お申し出いただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、引き続いて構成メンバーの説明をさせていただきたいと思います。資料3をご覧いただけますでしょうか。
 先ほど山本の方から説明させていただきましたが、まず上段にあります推進検討会委員12名の皆様に検討していただくということでございます。続きまして、1回目の会議でお認めいただきましたように、オブザーバーの方に御参加いただくということを考えております。常設オブザーバーの皆様方には、「毎回御出席いただいて、座長の求めに応じて御意見をいただく方」という形で、厚労省のメンバーですとか、関係団体の方々に御参加をいただくということで考えておるところでございます。
 続きまして、随時オブザーバーの皆様方には、開催ごとにテーマに応じて座長から御出席、御発言の御協力を依頼するという形で御参加をいただこうと考えております。
 今回、5団体の方に御出席いただいておりますけれども、今後また別の団体の方に御参加いただくということも考えているところでございます。
 私からは以上でございます。
○和田座長 林委員どうぞ。
○林委員 訂正をお願いしたいです。4番目の林ですけれども、これは「日本」と書いてありますが、「全国地域包括」で「ケア」はありません。全国地域包括・在宅介護支援センター協議会でございます。よろしくどうぞ。
○中島地域福祉専門官 大変失礼いたしました。訂正をさせていただきます。
 では、座長、よろしくお願いいたします。
○和田座長 それでは、前回質問のありました内容について、事務局から回答をしていただきます。
○山本課長補佐 御説明させていただきます。資料4を御用意いただきたいと思います。第1回検討会におきまして、まず林委員から御質問がありました件で、地域福祉推進市町村の選定状況でございます。
 平成21年度52市区町村でございまして、今年度は52市区町村がすべて継続をしております。その上でプラス6市町を新規で選定しております。具体的なリストにつきましては、参考資料1にリストがありますので、御確認いただきたいと思います。
 2点目、孤立死という用語について、これは宮城委員から御提起がありましたので、経緯などを御説明させていただきたいと思います。
 2ページ、別紙1「(参考資料)孤立死という用語について」ということでございますが、これは厚生労働省におきます孤立死に対する考え方でございまして、平成19年2月、衆議院の総務委員会におきまして、当省の審議官が答弁したものでございます。
 内容をご覧いただきますと、3~4行目辺りから、勿論、一番の孤立死の対象になるのは独居の高齢者でありますが、例えば要介護者を抱えた老老介護世帯といった、いわゆる社会から孤立する世帯そのものを支援の対象と考えていくということで、これは広く対象を考えていくという意味です。厚生労働省としては、一人を連想させる孤独死ではなく、孤立死という言葉を使っているということでございます。
 平成19年度には、孤立死対策のプロジェクトということで、関係省庁と共同で、「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議」というものが開催されました。
 この中では、一定の定義がなされましたが、「孤立死、つまり、社会から孤立した結果、死後長期間放置されるような孤立死」ということで、悲惨な状態になるということを定義しておりまして、いわゆる抽象的な定義でございます。その結果として、厚生労働省では一定の定量的なデータというものは把握していないというのが現状ということになっております。
 宮城委員から、併せて孤立死のデータについて御質問がありました。別紙2をご覧いただきますと、これは国土交通省住宅局におきまして、平成20年度に検討されたものでございまして、その抜粋でございます。
 最初に北九州市の事例がございますけれども、見開きの右側の上段にグラフと表がございます。表をごらんいただきますと、福岡県警本部孤立死取扱件数ということで、福岡県警が取扱った北九州市における死体、いわゆる検視の取扱件数でございます。
 その中で孤立死というのが65歳以上の中で220件報告されております。人口100万人都市、高齢者23万人の中で220件の孤立死というのが発見されたということでございまして、0.1%未満という水準でございます。
 66ページ、「図表 マンションにおける孤立死の状況」というものが報告されております。これは社団法人高層住宅管理業協会が発表したものでございますが、この協会に加盟されているマンションの管理会社253社のアンケートの中から明らかになったものでございまして、平成18年度に68名という数字が御報告されております。
 126ページ、「UR賃貸住宅における孤独死への取組状況」というものも事例として報告されておりまして、127ページ、「2 UR賃貸住宅における孤独死発生状況」ということで、平成19年に589件、そのうち65歳以上が403件、必ずしも65歳以上だけではない方も孤立死ということで事件が発生しているという状況が報告されております。
 定義は125ページに四角で囲んでございますが、いわゆるUR賃貸住宅団地内で発生した死亡事故のうち、死亡時に単身居住している方、この方々がだれにも看取られることなく賃貸住宅内で死亡した事故であって、自殺、他殺は除く、という報告がされております。
 以上でございます。
○和田座長 ありがとうございました。今日の本題に入りますが、最初に経済産業省流通政策課より、地域生活インフラを支える流通のあり方に関する研究会報告書について御報告いただきます。よろしくお願いします。
○経済産業省 よろしくお願いします。経済産業省の植田と申します。
 それでは、地域生活インフラを支える流通のあり方研究会の内容について発表させていただきます。
 まず、資料6の1ページ。実は私ども経済産業省の方でも、昨年来、特に地方とか住宅を中心にいたしまして買い物に困ってらっしゃる高齢者の方が増えてきているのではないかというような報道でありますとか、データなどを見させていただきまして、研究会を開かせていただきまして検討を行ってまいりました。今日はその内容について御報告させていただきたいと考えております。
 メンバーといたしまして、明治大学の上原先生という流通の専門家の方を座長といたしまして、今日御出席いただいている小田切先生や、前田委員、あとオブザーバーといたしまして、日本生協連や、ヤマト運輸の佐藤部長にも御参加いただきました。
 この研究会の内容でございますけれども、先ほど寺尾課長の方からも触れていただきました買い物に困っていらっしゃる買い物難民とか買い物弱者と言われたような方々、私どもは全国におよそ600万人と推定しておるんですけれども、買い物の利便性を提供するということが、1つはビジネスとして、もう一つは小売業なり流通業の社会貢献として求められているのではないかということで検討したものなります。
 2ページ、問題意識のところを御紹介させていただきますと、人口減少で高齢化という2つの流れによって流通業自体が大きな構造転換に迫られているのではないと考えております。
 一つ目といたしましては、人口減少の方なんですけれども、やはり2005年をピークに日本の人口というのは減っておりまして、人口が減れば当然食べ物を食べる人の口の数も減りますので、食料の購入額というのも今後恐らく減っていくのではないだろうか。
 もう一つは、高齢化です。若い人のニーズと高齢者の方のニーズというのは違うと考えておりまして、左下の図はネットアンケートをとったものなんですが、高齢者になるにつれて、近くて便利とか、商品が選びやすいでありますとか、宅配などのサービスがあるですとか、余り若いときは重視しなかったようなニーズというのが増えてくるようなところもございます。こういったところを1つ注目していくと、逆に新しい可能性なり展開というのが見えてくるのではなかろうかと考えております。
 こういった大きな流れに対応していく方向性として、右側のところですが、3つのアプローチというのを考えておりまして、1つはイノベーションによる課題克服と書かせていただいておりますけれども、民間事業者の自助努力と言いますか、経営上の工夫によって、例えばITを利用するでありますとか、既存の物流網とか情報インフラというのはたくさん流通業を持っておりますので、そういったところを活用しながら新しい方向性を生み出しているというのが1つあるのではないだろうかと考えております。
 2つ目と3つ目はほぼ同じなんですが、もう一つは地域には多様な主体がございますので、地方自治体や地域のコミュニティであるとか自治会とかそういったコミュニティと連携しながら、補うところは補い合いながら、ビジネスとしてやっていくというところが1つあるのではないかと考えております。
 3ページから具体的な事例について説明させていただきたいと考えております。
 1つ私ども注目させていただきましたのが、ネットスーパーという仕組みでございまして、皆様御存じの方もたくさんいらっしゃると思うのですが、インターネットを使ってスーパーにある商品を注文いたしまして、基本的には即日宅配で、朝に注文すれば夕方には持ってきてくれるという仕組みになっております。
 この市場規模が2006年で例えば100億円であったものが、2009年で300億円と書かせていただいておりますけれども、今急激に伸びておりまして、こういった宅配とスーパーとの連携による新しいビジネスというのは、例えば買い物で困ってらっしゃる方の自宅まで届けてもらえるという意味では新しい可能性を秘めているのではないかと考えております。
 ただ、ここに1つネックになるところがございまして、それは高齢者のところでございます。パソコンを使って注文するということでして、高齢者の方にとってはなかなかキーボードを使って注文してなかなか難しいようです。
この部分について、解決につながっているような例として、右下に、今日も御登壇いただいておりますヤマト運輸さんの例を取り上げさせていただいています。
これはどういった仕組みになっているかといいますと、例えば地域に必ず集会所とか、人が集まるようなところというのがございますので、そういったところにタッチパネル式の注文機を置いています。タッチパネルですので、高齢者の方でもタッチするだけで使えて、パソコンよりは使いやすくて、地域の拠点に近隣に住まれている高齢者の方が集まっていただきまして、その場で操作いただきまして、スーパーに注文が行きまして、それを配達してもらうような仕組みを福島県の方でつくられております。こういった仕組みであれば、例えば高齢者であってもパソコンに比べれば相当使いやすいのではないかと考えております。こういった取組が1つ広がっていくというのがこれから非常に大事なことなのではないだろうかと考えております。
 もう一つの新しい工夫といたしまして、今回余り詳しく触れさせていただく時間がないのですが、オンデマンドバスというような仕組みもございます。路線バスとタクシーの間のような、事前に予約して迎えに来てもらうような交通というのが始まっております。こうした新しい工夫というのも1つ大きな流れとしてあって、こういったものというのはどんどん広がっていくと人の属性や地域によっては結構便利になるような世界が待っているのではないかなと考えております。
 5ページに移らせていただきます。今、民間事業者の自助努力でやっているような例ということで取り上げさせていただいたんですけれども、地域と民間とが連携してやっている例といたしまして、このページの右側になりますけれども、高知県の例を取り上げさせていただきます。
 これはまさにここにいらっしゃる前田委員が中心になって取組んでこられた事例でございますが、地元の高知県の割と大手のスーパーのサンプラザというところが移動販売車を運営しておりまして、その移動販売車に対して高知県が補助金を出しているという事例になります。
 これは何が新しいかといいますと、2つあると考えております。1つは今まで補助金と言いますと、どうしても中小の事業者でありますとか、協同組合系のところに出していることが多かったんですけれども、割と大きな企業であっても山間部で採算性が成り立たなかったり、地域にとってはすごく意義があるということで、大企業であっても地域に役立つことならばそのことについて支援できるところがあれば支援していこうという姿勢を出されたというのが1つ新しい点かなと考えております。
 2つ目といたしましては、この補助金を出す際に見守り協定というのを締結されております。高齢者の移動販売を行う際に、過疎地域でございますといつも決まった方が買い物に伺いますので、例えば今日は田中さんが来ていないねという話になれば、田中さんのところに行って安否確認をされて、病気とかで困られていると民生委員の方々とかが通報するという仕組みになっておりまして、言わば半行政的、半公共的な機能を民間の方に負ってもらうことにより、それとセットにして補助金を出されるという意味でも、新しい補助金の活用策としていろいろ将来広がっていくのではないかなと取り上げさせていただきました。
 6ページは飛ばさせていただきます。
7ページ目の方に移らせていただきます。今取り上げさせていただいたような新しい地域と民間との協力の事例でございますけれども、調べていきますとたくさんございまして、北海道とか茨城県とか取り上げさせていただいております。ただ、よくよく追ってみると、うまくいっているところも勿論ありますし、中には一旦初めて見たもののやめてしまったりですとか、なかなか横展開がうまくいかずに途中でやめてしまったという事例もたくさんございます。新しい取組を進める際にネックになるのが何かなというところで考えさせていただきましたのが左下のところです。
 1つは意識やノウハウ上の課題があるかなと考えております。今まで余り行政機関と民間事業者が一緒になって連携するということはどちらかというとレアケースだったのかなと考えておりまして、そこの意識上の課題をまず乗り越えなければなかなか事業化するということは難しくて、ここのところを整理する必要があるのかなと考えております。
 2つ目といたしましては、制度面での課題と書かせていただいております。例えば行政から民間事業者へ委託とか補助を進めていく上でのルールづくり等が課題で官民の連携が進んでいないという中小企業のデータがございます。また、先ほどヤマトさんの集会所の例を取り上げさせていただきましたけれども、今、集会所というのは民間の施設でございますけれども、行政財産である公共施設を使えばもう少し広がりやすいといいますか、使える場所はたくさんあるかなと。ただ、こういったところを使うとなると、いろんな法律でありますとか制度の制限がかかってまいります。また、個人情報の提供などをいたしますと、顧客獲得に相当便利だという話も聞くんですけれども、そこも個人情報保護法制でありますとか、いろいろなルールがかかっておりますので、こうしたルールの中で違反しないように、柔軟に解釈できるところであります。そういった既存の制度とか規制の中でどういうふうに展開を図るのかというところが課題としてあるのかなと考えております。
 これに対する対応策でございますけれども、8ページをごらんいただければと思います。私どもこれからやりたいなと思っておりますのは、左下のところでございますけれども、官民連携ガイドラインというのもつくりたいと思っております。具体的には、地方自治体と民間事業者の中でうまく連携してやるような事例というのを分析させていただきまして、そういったところの意見調整とか制度の運用の中でどういうふうな工夫をされているのかというところを調べさせていただきます。その上で、例えば総務省や厚労省とか、他省庁連携で協力しながら1つのガイドラインといいますかガイドブックのようなものをつくりたいと思っております。そして、地方自治体の担当者の方でございますとか、民間事業者の方が新しい買い物支援の取組みをされるときに、その本を参考にすれば取組みが始められるというようなものにしたいと思っております。そういったものを今年度中にとりまとめる予定でございますけれども、この安心生活創造事業の中で使っていただくとか、そういう展開もあるかなと考えております。
 もう一つは、セミナーとか協議会というふうに書かせていただきました。私どもの方でも流通事業者向けのセミナーというのは何個かやっておりまして、そういったもので先ほどのガイドラインを御紹介させていただくとか、この安心生活創造事業の中でもセミナーとかやると聞いておりますので、そこの中で発表させていただいたりとか、新しい買い物支援の取組みというのがどんどん広がっていくような方策というのをとっていきたいと考えております。
 簡単でございますけれども、以上でございます。ありがとうございました。
○和田座長 ありがとうございました。大変興味深い内容でしたが、御質問、御意見がございましたら、どうぞ。
○林委員 まず1つは、3ページ目、ヤマト運輸さんのは大変いい内容だと思うんですけれども、いわゆるネットスーパーということで、お年寄りはパソコンがなかなかできないということで、タッチパネル式の注文機ということで、これはどうなんですか。貸出というんですか、全国的にはどれぐらい普及しているのかということを聞きたいと思います。
 7ページ目の地域生活インフラ支援ということで、地方自治体とかいろいろ買い物送迎とか代行支援等の内容なんですけれども、実は私の天理市も始め出したんですけれども、なかなかお年寄りへの広報とかPR方法はどういうふうにされているのか。また、雨が降ったら、せっかく予定をしていてもほとんどの高齢者はバスに乗ってこないということもありまして、どういうふうな方法でこの買い物支援のPRをされているのかなということ。これは経済産業省に。
その2点について、どうですか。
○和田座長 では、ヤマト運輸、お願いします。
○ヤマト運輸 では、ヤマト運輸の佐藤と申します。1番目のお話についてなんですけれども、こちらは福島県で先ほど植田さんの方から紹介いただきましたけれども、結論から言いますと、これは福島県の中での取組みということで、割と限定的なお話になっております。
 もともとはタッチパネル式の端末ですけれども、我々が今商売をさせていただいております全国3,800か所にはもともと置いてあるものでございまして、これを外部へ設置していこうという取組みをしたのが福島県の実例ということで、実質10か所ぐらいになっております。ちなみに福島県には58か所のお店を構えておりますので、58か所に加えて10か所外に置いている場所。
 これは先日紹介いただいた例で言うと、美容室であったりとか集会所とか、老人ホームであったりとか、こういったところに置かせていただいているという部分が約10か所でございまして、おおよそ60か所強、70か所弱の場所でもってこういった端末を設置している。これはあくまでも福島県の実例というところでございます。
○和田座長 よろしいでしょうか。
 それでは、経済産業省、お願いします。
○経済産業省 2つ目の方、高齢者にいかにこういう活動を告知するかという点でございますけれども、これは非常に難しい問題でございます。私どもの方でも何件かの事例を調べさせていただきました。やはりどうしてもこういう事業は実証実験という形で試行的に始めて、その後、その成果を見て続けるかどうか決めるというパターンが多いかと思うんですけれども、高齢者の方はそもそもサービスを知って利用されるまでに割と抵抗があって、それが1年経たないとなかなか広がっていかないという話をよく聞きます。ある程度はもう少し1年以上期間を置いて見ていくことが重要なのではないかなと考えております。
 また、具体的な告知の方法でございますけれども、これも非常に悩ましい問題を含んでおりまして、例えば地方などで地域コミュニティがしっかりしているところでございますと、自治会でございますとか、マンションでも住民会みたいなものをつくっておりまして、そこの中に載せていくとある程度広がっていくということも聞くのでございます。しかしながら、例えばニュータウンなどで住民のそもそもの接点が疎遠になっているようなところでございますと、なかなか回覧板を回しても届かなかったりとか、難しいという話も聞いておりまして、個人情報をどう扱うというところが重要になってくるのではないかなと考えております。
 例えば自治会でございますとか、マンションでもある程度組合みたいなところで情報は持っておりますので、それが現在利用されているかといいますと、やはり個人情報保護法との関係がございまして、目的外利用になってしまう可能性がありますので、正直なところ余り十分に活用されていないというのが現状かなと考えております。ここのところは、個人情報の提供にも例えば災害時とかそういう例外的なケースに至っては、民間事業者、そもそも目的外のところで提供を求められるという話もございまして、そこのところをどういうふうに解釈していくのか。もしくは、個別に情報提供の合意を取り付けていくとなるとなかなか大変でございますので、そこを集団的に10人とか20人の方の合意をどういうふうに一気に取っていくのかというところは今後の検討課題かなと考えております。この点につきましては、私どもが今回つくらせていただきますガイドラインの中でも取り上げさせていただきたいと思っておりまして、検討途上というのが正直なところでございますけれども、何らかの形のものは年内につくらせていただきたいと思っております。また整理した上で御報告させていただければと考えております。
○和田座長 ありがとうございました。ほかにどうぞ。
○森委員 先ほど公民館等というお話をされましたけれども、福島の10か所の外部に出した中で、例えば公と業者さんとの関係、あるいはここにもう一つ、実は同じ公民館ですと教育施設ということで、役所の組織の中での関係、こういうものの調整というのはどのように進められたか、その辺のお考えがありましたら。
○和田座長 どちらが答えますか。どうぞ。
○ヤマト運輸 今申し上げた10か所というのは、すべて民間の施設でございます。実は我々が一番最初に考えたのは公民館といったところの施設に置きたいというのを正直思っておりまして、そういった取組みをしようとはしたのですが、御指摘のとおり、法の問題等がありまして、実際置いたわけではないんですげれども、置こうとした内容がたまたま地方紙の記事に載ってしまっただけで、自治体の方からお呼び出しをいただきまして、なぜこんなことが載るんだと、実はその記者さんの誤解なんですけれども、我々民間のお集まりいただく場所にということをあくまでもまずはそこからということを考えておりましたので、そんなことは考えていなかったんですけれども、やはりそういった形はあったということは我々の課題としても教訓としてもあるんですけれども、経産省の研究会の中でもお話をさせていただいたんですけれども、そういった官といろいろ一緒にやろうとするときは当然法の縛りとかそういった問題はどういう形かでクリアしていかないことには、我々としても本来であれば公民館というところに置けたら、人が集まるところという置き場の候補としては一番やりやすいというのが正直あります。
 それができないがために、であればそれに準ずる場所ということで民間の集会する場所であったり、先ほど美容室と申し上げたんですけれども、実は美容室の真ん前が集会所とか公民施設の場所なものですから、そこの近くに人がお越しいただけるという部分をある意味少し動線を引っ張って、美容室のお運びいただいて、そこに端末を置かせていただくというような工夫をしているという状況でございます。
○和田座長 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。
 どうぞ。
○寺尾地域福祉課長 日生協さんにお伺いしたいんですが、今のヤマトさんのお話を聞いておると、日生協さんの宅配事業と全く同じだと、競合しているんだと思うんですが、日生協の宅配の場合には、注文をある一定の地域の人たちそれぞれが組合員同士で情報を持ち寄って、1か所に配達をして、それぞれがとっていくという話なんですけれども、利用者の老人などになると、階段があったりとかという話で、そこがヤマトさんのいいところだろうと思いますし、注文もいろんなものができるというのが違うのではないかと思うんですが、最近高齢者の方々、孤立している一人暮らしの老人の方々などの利用は増えてきていますから、会員にならなければ使えないと思うんですが、その辺の状況を教えていただけますでしょうか。
○日生協 利用そのものは増えてきております。組合員さんの年齢自体が上がってきておりますので、それにつれて増えてきております。先ほどおっしゃられたグループをつくっていただいて、そこのグループに商品をお届けする、共同購入と言っておりますけれども、それが大体今年間7,000億円ほどの規模になっております。実はそちらの共同購入に加えて、お一人お一人の個人宅に配達する個配というものもありまして、そちらがほぼ年間1兆円という規模になっております。
 したがいまして、グループに配達するよりも、むしろ個人のお宅へお届けする形が多くなってきておりまして、個人のお方がお買い上げいただければ、その商品全てを戸口までお届けするといったような状況になっております。
○寺尾地域福祉課長 発注方法について今後工夫するというのはありますか。
○日生協 ございます。おっしゃるように共同購入や個配の発注の場合は、商品のOCR注文用紙のところに線を付けていきますが、まず字が小さくて読めないと言われたりします。また、生協に新しく是非入ってくださいというときにも、仕組みが面倒くさくてできないという声もよくお聞きします。したがって、そこのところのサポートをどういうふうにしていくかというのが生協の方でも1つ大きな課題になっておりまして、例えば介護保険をもしお使いになっている方がいらっしゃれば、そこのヘルパーさんが入るときに商品を発注することも一緒にその日にやっていただいて、そうすると週単位の配達ですから、翌週その食材を使いながら料理をしていくという形で、生協の場合介護保険事業もやっておりますので、その組み合わせもできるのではないかと思います。こうしたブレスト的な形も含めて考え始めております。
○和田座長 他にございますか。どうぞ。
○永田委員 今の生協さんの話で、やはり増えてきている一方で、御高齢の方とか、特に認知症の方の超早期のときに注文が難しくなって、本当は買いたいのだけれども、発注がだんだん量が減ってきてやめていく方がいると思うんですけれども、多分それがもしかしたら早期発見の一番川上の発見になると思うんです。例えば何らかの形で地元の地域包括やそういう行政の方とつながって、早期の発見の仕組みにもつなげることができないかと考えたんですけれども、現状はいかがでしょうか。
○日生協 まさに同じような問題意識を持っております。例えばおっしゃるとおり、商品の発注の仕方で、お一人暮らしなのに絶対食べないだろうと思う量を発注される方がいらっしゃる場合、発注を受ける部署の者が認知症の知識を持っていれば、これはおかしいというような形でつなぐことができるのですが、そういう意識と申しましょうか知識がないと、必要なところへつなげていくことができません。実はそういったことも含めて発注の様子によって早期発見につなげていく仕組みを生協の中でつくり、各関連の行政の方とか関連施設の方につなげていきましょうということをちょうど政策的にまとめようとしているところでございます。全く同じ問題意識を持っております。
○和田座長 ありがとうございました。他にいかがですか。
 どうぞ。
○林委員 その発注方法はそれで認知症の方も含めてなんですけれども、精算方法というのはヤマトさんの方も日生協さんの方もどういうふうに。銀行振り込みなのか、認知症の人は自分でできないですね。だからホームヘルパーがやるのか。そうなればまたいろいろ問題も出てくるし、精算方法はどうされているんですか。
○和田座長 どうぞ。
○日生協 生協の場合は、精算はすべて銀行等の個人口座からの自動引き落としが基本になっております。
○和田座長 ヤマトさん。
○ヤマト運輸 弊社の場合は逆で、お荷物をお届けした際にそこでの精算という形で代金引換という形を取らせていただいています。
○和田座長 よろしいでしょうか。どうぞ。
○小田切委員 私はこれの検討に参加させていただいたということで少し補足させていただければと思います。そもそもの話になってしまうんですが、この報告書をめぐって2つの新しい論点が出てきていると考えております。
 1つは課題設定の新しさです。これは2つありまして、従来の過疎問題、農山村問題から見れば、ここで検討される福祉、医療、教育の問題が言わば定番でございまして、これは言ってみればライフサイクルの1局面の問題だったわけなんですが、いよいよ問題がそうではなく、基礎的な商品の購入というライフサイクルの全局面に関わる問題に生じてきているということであります。
 その点で最近では生協の個配の活躍もあるんですが、実は生協が行っていないところもありまして、過疎山村では例えば油とかトイレットペーパー、そういうものの購入を子どもたちから宅配便で送ってもらうという実態が生じてきております。まさに買い物難民という言葉が当てはまる実態。これが新しい課題の1つであります。
 もう一つの課題の新しさは、この課題は実は私どもが専門としている農山村だけではなく、御存じのように都市でも発生している問題であります。その意味で、都市と農村が共同して考えることができる問題でありまして、そういう局面に入ってきた。一言で言えば、問題がいよいよユニバーサルな問題になってきているというとらえ方ができるのではないかと思います。
 申し上げたい2点目は、対策の新しさでございます。先ほど植田係長からもありましたように、コミュニティを重視するということが大変強調されております。今日、報告はなかったんですが、実は先ほども少し言いましたように、農山村の中では例えば農協のエーコープが撤退してしまった、そういう形で地域のコミュニティが商店を自ら直営するような取組み、これは商店だけでなく、例えばガソリンスタンドの直営なども出てきております。その数は全般的には把握されておりませんが、恐らく私どもの直感あるいは歩いた実感で言えば、100の単位で国内に存在していると思っています。
 逆に言えば、そういう拠点が既に農山村には生まれている。地域自らが集まって経営している。これは高知県では株式会社を設立しているような事例もありますが、そういう拠点が存在し始めている。その点でコミュニティをベースとしたさまざまな行政対応がいよいよ新しい局面に入っていると考えております。
○和田座長 ありがとうございました。小田切先生から非常に有益なコメントをいただきましたので、一応この課題、興味は尽きませんが終わらせていただいて、地域福祉推進市町村の事例報告に移りたいと思います。
 今回は、限界集落という言葉は1回目の委員会でもっと検討して適切な言葉が使えないかというお話がございましたが、いわゆる限界集落型ということで議論を進めていきたいと思います。
 地域での取組みを御報告いただきたいと思いますので、初めに秋田県の湯沢市からお願いいたします。
○湯沢市 秋田県湯沢市の佐藤と申します。大変なまりが強いので、お聞きにくいところもあると思いますが、そこは前後の文脈で判断していただいて御容赦願いたいと思います。
 それでは、2ページになりますけれども、これは言わずもがなの話で皆さん御承知のとおりだと思いますので省略させていただきまして、湯沢市はこの事業をいただいたときから有識者会議をつくりまして、市内の7人の有識者に集まっていただきまして、これについて関係する社会福祉協議会や社会福祉法人の方々にお集まりいただきまして、これの議論を始めました。
 まず初年度については、当然のことながらこういう対象者を漏れなく把握し、支援する体制をどうしたらいいのかということをお願いしながら、この安心生活創造事業というものを市民に啓発していく、PRしていくということでセミナーを開催しております。今日御出席いただいておりますけれども、中村美安子さんにも来ていただきまして、この話をしていただいております。
 第4の財源の確保については、我々自治体の職員も皆さん素人でございますので、総務省の方に来ていただきながら、いろいろな法律的なものの限界、そういうふうなものも含めながらアドバイスをいただいて、まず骨格の形成を図りました。
 次のページになりますが、エリアについて考えたんですけれども、新しいものをつくるというよりも、今まで在宅介護支援センターというのが平成2年にスタートしておりまして、この在介センターというのは地域のさまざまなニーズというふうなものを全部面として拾い集めています。ケアマネージャーというのは1対1という点と点のつながりでやっていますけれども、在介センターは面で全体のエリアを掌握していくということもありますので、この機能を十分にこれから使っていくということと、在介センターというのは、地域包括支援センターは介護保険法に規定されたものというので高齢者に非常に偏りがちですけれども、地域における在介センターというのは高齢者のみならずさまざまな事例を幅広に把握しておりますので、それについてのマネジメントをちゃんとしているという機能をこれから使っていきたいということでございます。
 その下が湯沢市のエリアのものと、旧湯沢市というところが左上になりますが、ここは人口3万人ぐらいの大きい市でございますので、そこはエリアは広い意味で、ゾーンは小さい更に狭い意味でという位置づけでゾーンを5つにしまして、8つのエリアとゾーンということで責任分担エリアをきちんとつくったということでございます。
 次に5ページになりますが、チーフというものを地域の中にきちんと定着させていくということで、どこに地域の住民が連絡をするのか、だれに連絡をするのかというところが非常に地域は弱いということがわかりましたので、どこに連絡をすればいいのかというふうな抜け漏れのない発見というものを目に見える形にしたいということでこういうエリアをつくったということでございます。
 これは非常に地域の中には顔がなじんでおります在介センターの方々が中心になっておりますので、これはそのまま現在も浸透して使われている。それを全体的に総括していくのが左側にある地域包括支援センターでございます。
 その全体のいろいろな仕掛けというものを使うのがこの下にあります地域包括支援ネットワーク協議会、これは平成19年にスタートしておりますが、さまざまな仕掛けをここでつくっているということでございます。
 セミナーのときに毎回これを使うんですけれども、皆さんの住んでいるエリアはこういう状況になっているんですということを数字でわかっていただくということも地域住民の方々にわかりやすいのかなということで、65歳以上の人口とか、一人暮らし世帯数とか、高齢者だけの世帯数とか、こういうふうなものを皆さんで見ていただきながら、右端が合計数の中に、括弧書きが湯沢市内全体の平均値でございますが、その平均を若干上回るのが黒く塗ったところでございます。ここがレッドゾーンの予備軍になりますが、太い線で囲ったところがレッドゾーンになります。ここが極めて重要な部分ですので、こういうところのエリアがこういうことに気をつけていかなければいけないということを数字で皆さんに説明した資料でございます。
 次に、前年度、民生委員や在介センターやさまざまな方々にお手伝いいただきながら、三角形の下のゾーンのところは既にもうわかっている数字でございます。しかし、今回改めて支援が必要で制度の抜け漏れという制度の谷間にある方々というのを事例として東小学校ゾーンのところですけれども、今までだれも関わったことのない者が新しく61人発見できたというところがこの事業の効果があったということでございます。
 今年度はこれを更にサポーターやさまざまな方が配置され、研修等で精査していきますので、この数字というのも恐らく増える可能性があるのではないかと思いますが、この事業の効果があったということで、これを今度地域に定着させていきたいということでございます。
 初年度に力を入れたい視点とか、次のページの2年目というところは省略させていただきたいと思います。22年度最も力を入れたい視点ということで、今回厚生労働省の方から補助金をいただきまして、生活介護支援サポーター養成研修というのを今回50名程度これからやろうとしているんですが、なかなかここのところが大きな波紋を呼んでおりまして、特に民生委員の方々から更に我々の仕事を増やそうとしているのかということとか、この12月に全国一斉改選がございます。
 こんなことをどんどん増やされるのならばやめようという動きが出てきて、今回この第1回のセミナー、ついこの前土曜日に終わったばかりなんですけれども、そのときに多くの関心を持っていただいている民生委員さん方に集まっていただきましたので、この生活支援サポーター養成研修というのは、自分が地域で生きていく、またはこれから地域で終えていくということを見つめ直すいい機会の検証にもなるだろうし、そういうふうな自分の地域でどうなっているんだろうということを見直すことを糧にしていく研修であるし、これから一軒一軒の世帯に入っていくというときに、コミュニケーション能力というものを更に研ぎ澄ませていく。そういうふうな面でのいい機会になるので、今までの民生委員さん方が活動している活動をそのままの延長線上で行く、更に地域をどういうふうに見直していかなければいけないかということの新しい頭の切り替えになる研修なので、新しく事業が増える、負担が増えるということではないということを強調して、それが終わったら帰り際に私も受けてみたいという反応も多く出たということで、これを大きく活用していきたいと考えております。
 次にどんな対象者なのか。これは皆さんにPRするためにイメージしていただくためにここをつくったものでございまして、次の13ページになりますけれども、他の制度との違いということで、他の制度では見守られているので何らかの制度上で関わりがあるので、そういう方々は今回はこの事業からの対象にならないんですけれども、一番上にあります認知症や知的障害等で突発的な行動とか徘徊があった場合は、制度では見守られているんだけれども、地域の中できちんとどこどこのおばあちゃんがまた歩き始めたということはお互いに見守っていくということで、これは制度とのダブりということと、制度の谷間のところの方々で、こういう方々をこれから皆さんで支えていく、そして気づきを持っていくという地域をつくっていきたいということでPRした資料でございます。
 そして、22年度、次のページになりますが、こういう方々をきっちりと地域で見ていきたいし、町内会単位で町内会の方々にも、この調査については一旦調査したときにこれを皆さんが地域で支えていくんですよということで同意を得るということで、同意欄も入れて、その人と関わり合いのあるヘルパーさんとか、地域住民やさまざまな方々と顔なじみのある方々が調査に入って、この上の3層構造のところを調査していく。そしてちゃんと同意書をもらって、地域の中にきちんとこういう方々がいますということをPRして、みんなに認知してもらうことを図っていくことで進めていくということにしております。
 次に第1の原則ですけれども、16ページになりますが、ここのところで湯沢市は生活協同組合もないし、ないないづくしの市でございます。そして人口1万人未満の町村が合併した非常に限界集落も7つほどある地域でございます。こういうところこそ今まではわかっているんだというところで意外と抜け漏れがあるということが前回の調査でわかったということですので、これを更に皆さんで深め合っていこうということで、皆さんとセミナーを通して意識の共有を図っているということでございます。
 真ん中辺に片括弧で25ぐらいまで掲げていますが、やはり湯沢市内では包丁をとげないとか、爪切りをやっていただきたい。これはヘルパーがやるといろいろ医療行為というのがあるんですけれども、地域住民の方でお茶飲みに行ったときには、手の爪は切れるんだけれども、足の爪が切れないということで困っているお年寄りの話があったりとか、役所から来た文書が読めなくて、これは何が書いているのかわからないとか、これはアンケートを取ってみていろいろなことがわかりました。
 墓参りにもいけないとか、足が痛くて、本当に目の前にスーパーがあるんだけれども、そこにも行けないということがアンケートでわかったことをこれからどうやって支えていくのかということをきちんとやって、安心して生活できる市をつくっていきたいということをこれから標榜してやっていきたいということでございます。
 18ページになりますが、これからは一番大事なのは何かというと、地域住民の方々に当事者から相談があったらそこでストップするというのが一番怖いということで、いろいろな方に相談が行きます。その相談がどういうふうにつながっていくのか、どこにつながっていけばいいのかというところが湯沢は今までなかった。どこに電話をすればこのことがいいのかということが皆さんわからなかったからいろいろなところでストップしていた。こういうふうなところを安心生活創造事業をきちんと地域の中に浸透させていくシステムをつくっていきたいということでございまして、下の2番の相談がつながっていくというところをセミナーや広報誌などを使いながら皆さんに周知して、ここに連絡するんだというところを図っていきたいということでございます。
 21ページ、ニーズの把握体制のイメージ。8つのエリアやゾーンにチーフを置き、ここに連絡が行くことによってそれぞれの地域が責任を持ってこのチーフの方々がそのエリアをちゃんとフォローしていくんだということ。地域包括にはスーパーバイズ、ゼネラルマネジメントをしていただくということで、地域包括支援センター、私もこういうケースワークに長年親しんできたわけでございますが、社会福祉士がありますなどと言っても、使い物にならない社会福祉士がいっぱいいるということですので、こういう方々にも力を付けてもらわなければいけないということで、いろいろな場数を踏んで、スーパーバイズ、ゼネラルマネジメントをできるような国家資格を持った人間になってもらいたいということを今真剣になって取り組んでいるということでございます。
 第2の原則になりますが、25ページ、私たちはこういうふうにして抜け漏れのない、今まで膝が痛くて困っているのであれば、ちゃんと宅配業者をこれから商工会議所や商工会、こういう方々と連携をとって、エリアごとにきちんと顔の見える関係でいく。今、移動販売車とか宅配が結構増えてきて、今一番経済効果で評価を受けたのが、湯沢市も御多分に漏れずジャスコなどというのがいっぱい来て、みんなそこに行ってしまうので、個人経営者が全部店じまいが多いという状況で、個人経営者に今度は復活をしていただきたいということで、現在売り上げが伸びてきているということで、安心生活創造万歳と言われているということでございまして、非常に経済効果もよくなっているし、地域に昔からなじんでいた商店が昔からおじいちゃん、おばあちゃん、障害者との関係性というものと情報というものがちょっとした今までの生活の流れ、いわゆる線で物事を見ている商店が小さな気づきも連絡していただけるということで効果が大きいとなっています。
 2つ目の絵ですけれども、これは今PTAにも協力いただいて、子どもと一緒になって近所に1年に1回大掃除を手伝っていただきたいというおじいちゃん、おばあちゃんがいるんですというところを社協などと一緒になってネットワークに入っていただいて、これは小さいときから福祉教育というものを家族と一緒にやっていくという機会も必要なのではないかということで、社協と連携をとりながらその情報を提供しながら、家族ぐるみでこういうふうなことをお願いしたいということと、電球の取替えとかやっていただくということをお願いしていくということは、安心生活創造事業においても教育というものが非常にいい影響があるなということを考えております。
 私も自立支援法のときに関わった関係がありますので、やはり障害者の情報というのがほとんどない。地域包括支援センターとか在介センターはあります。でも、ほとんどの人たちが縦割りで、高齢者中心になっています。障害者が地域の中でも非常に情報がないということになっておりまして、地域包括、あなた方は包括なのだから包括でやれよということで、地域包括支援センターも今地域の障害者の相談支援事業所と連携を取りながら、幅広に包括をやっているということで、湯沢市が取組んでいる例というのを整理すると次のページになりますが、安心生活創造事業&地域包括ケア推進事業ということで、湯沢市は平成20年度から一番下に書いていますが、地域包括支援ネットワーク協議会というのをつくっております。一番上の方は、いわゆる高齢者・介護保険というのは地域包括支援センター、これは高齢者を中心とする法制度で行っている事業。
 障害者に関しては、市町村が委託した相談支援事業所とやっている。児童は児童保健師とか児童相談員とかここにあるもの。これはまさに法律上の縦割りでございますので、粛々と法律上のことをやっていけばいい。
 そして制度の谷間の方々について、安心生活創造事業でフォローしていくということで、これでフォローはできます。しかし、地域の中に私が一番感じたのが、例えば災害時要援護者のデータなどというのを見てみますと、高齢は高齢でやっています。民生委員さんもほとんど高齢者中心でデータをとっています。障害は障害で障害の方だけでやっているという状況があります。
 これでやっていったときに、やはり災害時要援護者というのは、地域全体で制度の壁を全部取っ払って、さまざまな地域にどういう援護者がいるのかということを制度上の縦割りではなくて、制度別、年齢別ではないところで調べていかなければいけない。
 権利擁護、こういうものについても、これからは知的障害者の一人暮らし、または精神障害者で一人暮らしをしている人がいます。そして兄弟が年金の管理をしていると言いつつも、それを全部使い込んでいる、ごちそうさんとやっている状況がいっぱいあるということで、専門職後見というとかなりの大きなお金がかかりますので、これを法人後見、市民後見をつくることによって、高齢も障害も使える道具を地域包括支援ネットワーク協議会でつくっている。
虐待もそうです。高齢者虐待もあれば、障害虐待もあるし、児童虐待もある。これも今湯沢市は縦割りで虐待を対応していますけれども、虐待専門チームをつくることによって、すべての状態の方々に対して虐待を専門的に扱っていくということです。
 看護師OBによる登録制による医療行為ということで、10歳の男の子ですけれども、サクションをやることによって重度包括を使ってやろうとしたんですが、ドクターが絶対反対した。そんなことは介護職がやるのは絶対だめだということで、家族の同意が得られればいいではないかといっても、国は制度はつくります。でも、その制度上はOKされているんですけれども、ドクターがうんと言わない限りはできません。
 これで感じたことについて、うちのネットワーク協議会の児童支援療育部会においては、看護師OBがいっぱいいるではないかと。中にはお手伝いしたいという人がいっぱいいるという話がありましたので、湯沢市は看護師OBを登録制で訪問介護事業所に入っていただいて、ドクターからはあなたは看護師だねということでOKをもらって医療行為を含めながら訪問介護。介護は報酬は訪問介護の報酬なんですけれども、そういうことで道が開けてきた。これは児童支援療育部会だけでやったんですけれども、障害にも高齢者にも汎用性があるということで、この地域包括支援ネットワーク協議会は地域全体で使える仕掛けをここでつくっていくということで、この三層構造さえうまくいけば安心生活創造も含めて、地域で安心した生活が可能になる地域ができるだろうということを今やっているということでございます。
 第3の原則の地域福祉基金ですけれども、まず商工会議所や商工会の方から言われたのは、幾ら何でも店の総売り上げの1%は勘弁してほしいということでございましたので、父の日、母の日のプレゼント、これはかなり花が売れる。東京などに行っている子どもさんや孫さんからも湯沢の花屋さんに電話が来てかなりの売り上げがあるということを聞きましたので、これは協力できるというお話、お墨付きをいただいたのでこの?@、国民的な行事であるクリスマスケーキ、バレンタインデー、お中元とか。お中元は湯沢市は稲庭うどんでございますので、これはもう目が飛び出るほど売れますので、これの1%をどんどん入れていただきたいということをやっております。これは商工会議所や商工会も非常に乗れるということのお墨付きをいただきましたので、これの1%というところを1つのガイドラインとしてやっていきたい。
 下で募金寄附の状況ですけれども、赤い羽根共同募金があるのならば、幸せの黄色い羽根もやろうではないかということで一緒になってやっていきたいということで、100円のところを200円出していただくということと、湯沢市は非常に厄払いというのが真剣なところでございますので、33歳の厄払いとか、42とか49とか還暦とか、こういうところで1万円会費でやるのだったら1万500円にしたり、その500円はその募金に寄付していただきたいとかです。
 17日に第1回目のセミナーをやったんですが、このときに皆さんから200円程度の福祉基金募金をお願いしますと言ったら、結構札も入っていましたので、これからはそういう募金や寄附の文化というのをこういうふうなもので取り入れていきたいと考えています。
 「ふるさと納税」は没になりました。これは「ふるさと納税」をやっている課が、そちらの方の恒常的にやるようなものにはやれないと言われました。
 募金型の宝くじというのをこれからやろうとしています。これはまさに先ほどの総務省の方からアイデアをいただいた。直接現金につながるようなものはだめなんだけれども、何か副賞的な、湯沢市はいろいろな温泉がありますので、温泉宿泊が当たりますとか、そういうふうなところまでのものであれば可能でしょうということで、1つ1,000円ぐらいの宝くじをやっていきたいということでございます。これをこれから商工会議所などといろいろ協議しながらやっていきたいということでございます。
 31ページになりますけれども、基金管理団体としてNPO法人にお願いしまして、NPO法人は所得税の控除の団体になっていませんので、今回国税庁の方に認定NPO法人の申請をするところでございまして、今2,000円以上から領収書を発行するとそれが所得税控除になりますので、そういうふうなものをこれからNPO法人にやっていただく。湯沢市内に15の法人がありましたので集まっていただいて趣旨を説明していただいて、その中で調整をとっていただいて、ある特定のNPO法人に決まったということで、そこで通帳の管理をしていただきながら、いろいろな商店や募金のお金がそこに入って通帳の管理をしていただいて、年に1回の配分委員会を開いていただいて配分して、こういう地域ケアのそれぞれのエリアに配分していただくということをやっている。
 湯沢市がつくりたいのが32ページになりますが、ソーシャルキャピタルであって、こういうふうなことをやることによって、今まで生活の不便や難渋していたことができるようになれば、市民は社会的な信頼が得られるようになる。いろいろな地域にネットワークで情報が入ることによって、我々もどこにどういう人がいることによるということと、いわゆる地域経済というものもいろいろな情報を加味することによって情報が可能になってくる。
こういうことによって、互酬性の規範ということで、今は自分たちが助ける側なんだけれども、こうした助け合いが定着する地域をつくることで、将来自分たちが今度助けられる側になったときに、こういうふうな地域をつくってよかったなと思われるような地域を今はつくっているんだということで取組んでいるということでございます。
 以上でございます。
○和田座長 ありがとうございました。聞いているとわくわくするような感じでしたけれども、御質問はあると思うのですが、時間の関係もありますので、続いて宮崎県の美郷町からお願いいたします。質疑は2つの報告が終わってから行いたいと思います。
 ではお願いします。
○美郷町 失礼いたします。宮崎県の美郷町でございます。今、大変すばらしい発表があった後でございますので、私はしゃべりにくいなと思いながら聞いておりました。資料は8というものでございまして、恐れ入ります、1ページから4ページまでは連番が打ってあるんですけれども、5ページから最後の13ページまでは説明の関係上連番を振っていただけないかなと思います。それでは、時間もありませんので、早速説明に入らせていただきます。
 まず、1ページでございますけれども、美郷町の安心生活創造事業への取組みということで、1番目は現状ということで人口と高齢が書いてございます。見ていただければわかるとおり、非常に高い高齢化率でございまして、宮崎県内でも一番高いところでございます。
 2番目に地域の概況といたしましては、宮崎県の北部の方に位置しておりまして、もう典型的な中山間地域でございまして、まさに限界集落型の市町村ということであります。
 平成18年1月に小さい村が3つ合併いたしまして美郷町というのができたんですけれども、旧村ごとに今は区という言い方をしていますので、その後、資料の中にそういう表現が出てきますが、それは旧村と見ていただければ結構でございます。
 3番目の町内の支援を必要とする人々の状況ということで、まさに過疎地特有の課題がいっぱいありまして、そこにいろいろ書いてございますが、やはりアンケートを取りますと自宅でいつまでも暮らしたいという要望があるんですけれども、一人暮らしの不安が年々募っているということであります。
 そういう中にあって4番目に基本的なまちづくりのコンセプトということで、基本理念として百まで元気に暮らすまちづくりというのを掲げたところでございます。
 2ページをお開きいただきたいと思います。5番目に安心生活創造事業に取り組むことになった経緯でございますけれども、合併いたしましたので相当エネルギーが要ったんですが、当然町の高齢者福祉というのに取組まないといけないということでありますので、この事業のきっかけにしてそういう高齢者福祉や在宅福祉のあるべき姿というのを見直したいと考えたところであります。
 具体的な安心生活創造事業の内容でございますけれども、まずエリアは町全体で1エリアでございます。訪問が基本でやっておりまして、その設定については後ほど御説明したいと思います。
 3番目にコーディネーターの要件ということで人数なんですけれども、安心生活支援センターというのを設けまして、そこに主任を1名設置しました。訪問員を旧村体ごとに1名配置しまして、基本的には4名で訪問を専門にやっておるところであります。
 (5)の具体的な内容なんですけれども、まず訪問活動につきましては、月1回の訪問を安心訪問と言いまして、状況確認を基本にしています。グレーゾーンの方がいっぱいいらっしゃいますので、高齢者は短期間に状況が変わりますので、2~3か月に1回は確認したいということで確認訪問も組み合わせてやっております。
 目的はそこに書いてあるとおりですけれども、3番目に手法として、手ぶらでは行きにくいんです。そういうのもありますので用事をつくるということで、例えば合併以来の課題でありましたコミュニティバスがようやく今年の7月から運行できましたので、時刻表を各世帯に配ったんですけれども、高齢者の方はそれがわからない、見にくいだろうということで、そういうのを持って行きながら説明かたがた訪問するというようなことを心がけているところであります。反応はおおむね良好ということであります。
 サービスの支援なんですけれども、いろいろ考えてはいるんですけれども、アンケートを取りますと、個別の要望はあるんですけれども、気軽に相談できる相手が欲しいというのが高齢者の世帯の方々の要望なんです。そういうことの意味で上から2つ目に書いてある精神的なよりどころや、よろず相談屋になるということがこの訪問員の役割だろうということで、あとは有料でいろいろ買い物支援をしたり、町外の子どもたちの橋渡ししたりとかということで進めていきたいと思っています。
 3番目にツールといたしまして、では情報を集めないとどういった人たちを対象にするのかわからないということで、従来までにいろいろ課題はございました。訪問しやすいところの情報はよく入るんだけれども、そうではないところはなかなかないとか、管理手法がばらばらとかありますので、3ページの上の方の?Aですけれども、安心ネットというのをつくり上げまして、これは安心生活創造事業をきっかけにつくったんですけれども、まず現状を把握しないと何ごとも進まないということで、関係者が同じシステムを使って対象者のサービスの受給状況や履歴等の福祉情報を共有化したいということでございます。
 恐れ入りますが11ページの方に飛んでいただきまして、イメージをそこに書いています。安心ネットのイメージは各事業者をVLANでつなぎまして、下の方にいろいろ基本的なサーバーをつくりまして、そこに手作業でやるのは大変ということで月に1~2回程度基本的な情報を更新していく。死亡、転出、転入、それらがありますので、そしてみんなでそれを共有する。基本的な情報は住基上の氏名、生年月日とかいろいろな基礎的なところでございまして、?@の災害時要援護者名簿の管理にも使う。
 ?Aの福祉・保健相談管理のところは、訪問員が訪問したときの状況、社協や役場の職員等、保健師がいろいろ相談を受けたときの情報、状況を入力していくということです。
 ?Bがケース会議でいろいろ問題になったものを記録。
 ?Cが地域福祉の業務というのは、いわゆる配食サービスとか、サロン事業とかいろんな福祉の利用状況をそこで入力して管理していく。
 ?Dで包括支援センター。
 ?Eで安心生活創造事業のいろんな情報もここで管理していくということで、関係者が一元的に1人の人に対してどういうような状況になっているかということを見たいというか、そういうシステムでございます。また、このシステムの中で、いわゆる漏れが出てこないように民生委員さんたちからの情報を基にグレーゾーンの人たちを管理して、その人たちも定期的に確認訪問につなげていくということで漏れをなくしていきたいという活用法を使っております。
 元に戻っていただきまして3ページですけれども、目的といたしましては、?Aの上から3行目ですけれども、真に必要な人を漏らさない、支援が必要な人を漏らさない。限られた要員と予算を優先度が高い人に効率的に提供したいということで、1区旧村体ごとで1人の訪問員は100人が限度かなということで目安として見ております。
 いろんな管理業務の省力化とかもあります。民生委員に開示をしていこうということで、これからの課題なんですけれども、基本は行政や社協の職員で共有しているわけですけれども、今後は民生委員さんにいろいろな情報を取っていただくということで話が進んでいますので、取っていただいた中で特に見守りの情報であるとか緊急連絡先とか、そういった限定された情報については民生委員さんとも共有していこうと思っておるところであります。
 ?Bの情報の収集方法ですけれども、システムの立ち上げ時の話なんですが、今までばらばらであった情報を手作業で一元化いたしまして、福祉関係者でランク付けを行いました。定期的な訪問対象者の方、グレーゾーンの方、心配ない方と分けまして、グレーゾーンの方については確認訪問を行った上で区分けをしていったということであります。
 その基準としましては、9ページに書いてございますのでまた後ほど見ていただければということでございます。
 そういうことで最終的に訪問対象者というのを確定していったわけですけれども、現在は毎月1回定例会を行いまして、安心の主任、行政の担当者とか、訪問員、包括、保健師等で定例会を行いまして、情報交換や訪問対象者の更新を行っております。大体現在200世帯ぐらいを対象に、280人の方を訪問の対象にして選んで実施しているところであります。そこでいろんな問題が出てきますので、問題が生じた場合には、ケア会議等で報告してケース会議等を開いて解決を図っているという状況でございます。
 7番目に今までの経緯と今後のスケジュールを簡単に載せております。昨年7月から全戸調査を行いまして、アンケートを行いました。地域コミュニティバスの運行が合併以来の課題でしたので、この検討を始めました。
 11月に安心ネットワーク構築を始めまして、シルバー人材センターというのを立ち上げました。これは地域で暮らすために高齢者が高齢者をお互い助け合うという仕組みづくりで是非必要ということで立ち上げたんですけれども、今かなり業務的には順調に動いておりまして、ごみの片付けとか買い物代行とか農作業の手伝い、墓掃除とか、そういったこともだんだん口コミで広がっておりまして、かなり忙しくなってきたなということで会長さんとお話をしているところであります。
 今年の1月から安心訪問を始めました。2月、3月にかけて町内の医療関係者、有識者とかの会議を行いましていろんな意見交換をいたしました。4月に民生委員の正副会長会議で安心生活創造事業と安心見守り地蔵、これは後ほど説明しますけれども、それの話し合いをいたしました。
 5月に安心食の調査を開始いたして居るところであります。また、4月に安心ネットの稼働が始まっております。
 4ページ、6月から愛の連絡員という相談をしております。これも後ほど説明します。
 7月に地域コミュニティバスの運行を始めておりまして、8月以降に安心見守り地蔵の調査を開始したいと思っております。実はもっと早く始める予定だったんですけれども、例の口蹄疫の影響で2か月、3か月作業がずれ込んでおりまして、我々も2週間に一遍くらい消毒作業に従事しておりまして、集会は禁止というのがあったものですからこういう訪問活動もしばらくできませんでした。やっと再開が始まったところであります。
 今まで説明したものを具体的に申し上げますと、?@の安心食の調査というのは、詳細な様式は12ページに載せておりますが、視点は2つであります。
 まず、食事の改善が必要ではないか。つまり、高齢者は食事をしっかり取らないとだんだん弱っていくので、訪問の対象者なんですけれども、そういったところに食事の調査をしまして、必要があれば行政の栄養士が戸別介入し、定期的に訪問員が様子を見ようということで、介護予防の観点であります。
 食材確保に課題があるのではないかということで、実態を調査いたしております。7月末には大体まとまるのではないかなと思っておりますが、現在、商工会と話し合いをしておりまして、配達とか買い物ツアーなども考えたらということで一緒になって検討を始めたところであります。これは生活支援の観点であります。現在進行形であります。
 ?Aで介護予防事業との連携をしたいということで、認知も増えていますので、認知症の予防プログラムを連携してやれないかなということで、今年の8月から最終的には自分たちの自主サロンに持っていきたいということで、これも現在進行形で進めております。
 ?Bの安心見守り地蔵というのは、様式は13ページにありますけれども、要するに緊急連絡先を民生委員さんに聞きとっていただきまして、それをシステムで管理しようと。
表の方に付いていないですけれども、近くに有名な地蔵さんがありまして、その地蔵さんの絵を付けて、冷蔵庫にマグネットではってもらおうと。それを地域の方、近所の方が病院に連れていかないといけないといったときは、その紙を持っていけばそこには連絡先も書いてあるということで、100回に1回役に立つかどうかわかりませんけれども、もしものときの安心感の付与かなということで、また救急隊が救急車で病院に連れて行ったら連絡先がわからないとかと言われることもあるものですから、そういうのが冷蔵庫にはってあればいいかなということで、ほかの市町村では筒にして冷蔵庫の中に入れていたりしますけれども、それを少しバージョンを変えてみたところであります。
 ?Cは愛の連絡員というのは、要するに近所の見守り員でございます。これは合併の既存の村がやっていたんですけれども、この安心生活創造事業の話し合いをする中で、ほかの地域の民生委員さんも我々の地域でもやろうではないかという話になりまして、それぐらいに真剣だという面もあるんですが、現在進行形で8月以降実際にやろうということになっています。これは65歳以上の一人暮らしとか二人暮らしの高齢者世帯が対象でございますので、安心訪問の対象者とはイコールではないんですけれども、かなり幅広い形でしていこうと思っております。
 8番目に事業に取り組んで明らかになった課題と展望なんですけれども、?@については時間がありませんので説明は省きますが、内部的な課題としてそこにあるようなことがありますので、我々で解決していかないといけない。
 ?Aが外部的な課題も幾つかあります。新たな財源の確保については、10ページに載せてございますので、時間の関係で説明は省きますが、後は一番から2つ目に書いてある、住民自らがお互いを見守る仕組みづくりというのを考えないといけないんですけれども、だんだんと見守る人がいなくなったらどうしようというところまで来つつあるなということを心配しております。それもまた新たな課題として出てくるかなと思っています。
 現状をいろいろ調査してみますと、結構町外の息子さんたちが独居の高齢者を支援している。先ほど先生からお話がありましたけれども、日用品を1週間単位で買って持ってくるとか、そういう実態もあるようです。
 それはケース・バイ・ケースでいろいろあるんですけれども、そうなると行政とかが支援することでそういうことが軽くなっていくというか、身内や地域の支援が行政や社協がするならばいいですねということで軽くならないようにしないといけないということで、共同作業にしていく必要性があると思っています。
 身内や地域の支援が期待できるところについては、そちらを優先してやりながら、なおかつ行政や社協が後追いで支援するような形にしていかないといけないかなと思っています。
 話のまとめなんですけれども、安心事業に取り組んだことをきっかけにしてどのように変わりつつあるかということは、先ほどから説明しました安心ネットや訪問員体制の体制整備がだんだん出てきたということ。バスやシルバー人材センターができたということもあります。
 民生委員が動き始めたかなというのを感じております。見守り体制の整備について自分たちでやっていこうという認識が、勿論、民生委員もいろんな方がいて、なぜ私たちがしなければいけないのかという方もいますけれども、我々は説明をして退席をして、民生委員さんだけで話し合っていただいたらやろうという話になりましたので、よかったなと思っています。
 商工会が動き始めたということで、自分たちで独自に調査も始めようということで8月からやるということになりましたので、いい連携ができるといいなと思っております。
 最終的にうちとしては、介護予防事業とか健康づくり事業とリンクをしながら、商工会、民生委員などの地域資源を活用しつつ、身内の方や地域の人と一緒になって支えていく新しい仕組みづくりができないかということで模索中でございます。
 以上で説明は終わります。ありがとうございました。
○和田座長 ありがとうございました。それでは、2つの事例を発表していただきましたので、少し意見交換、質疑、合わせて行いたいと思います。できれば委員の方全員に発言していただくとありがたいのですが、その意味では短めにそれぞれ御発言いただければと思います。
 どうぞ。
○前田委員 高知県の前田と申します。よろしくお願いします。
安心生活創造事業につきましては、基盤支援ということで見守りと買い物支援が大きなサービス提供の糧になると思うんですけれども、いわゆる限界集落と言われる地域については、高知県も同じような状況にあるわけでございますが、見守り支援については非常に田舎でございますので、隣近所の付き合いも強いという形で、高知県のこういう集落についても余り心配はしていないんですけれども、先ほどから出てきますように買い物支援について相当頑張ってやらないといけないような状況になっているということでございます。
 今2つの市と町から説明がございましたが、見守りの仕組みづくりについては非常によくわかったんですけれども、問題の買い物支援、このスキームについてもう少し具体的にどういう形で進めていくのか。湯沢市さんは商工会が絡んでということをお聞きしましたし、美郷町については今仕組みづくりが商工会で始まるということでございますが、そこら辺今後の展望も含めてもう少し詳しくお伺いしたいと思いました。
 以上です。
○和田座長 では、それぞれお答えいただけますでしょうか。
○美郷町 私の方から。私のところは、実際も民間で商工会の方が移動販売されていたり、町外の方から移動販売されていたりあるんです。その障害のサービスの状況がいまいちわからないです。それで今調査を始めているんですけれども、我々としてはいろいろやることによってせっかくある資源を駆逐したくないわけです。それはそれでやっていかないといけない。それと一緒になってやれる方法を探さないといけないのではないかということで、それともう一つは、配達ばかりするのはよくないのではないか。やはり外に出てもらう。認知症予防という観点もあるんですけれども、お年寄りは外に出て買い物をする楽しみもあるのではないかということで、買い物ツアーみたいな地元の商店に連れていってというようなことも組み合わせながらやれないかなということを本当に模索中でございます。
 以上です。
○和田座長 湯沢はいかがでしょうか。
○湯沢市 湯沢の場合は、資料16になるんですけれども、そういうふうなさまざまな業者さんが絡むようなものについては、サポーター協力店というステッカーをお願いして、これからサポーター協力店についての説明会をするんですけれども、まだ始めていないんですけれども、物の注文を受けたら、それをただ注文を受けて配達するということではなくて、そのほかに何かそこで一声、二声、お話をすることによって次の何かの別なこういうことを言っていたという情報を仕入れていただくような、安心生活創造事業の私たちの基本的な考え方というのは、地域の中にさまざまな方々がどういうふうなことを望んでいらっしゃるのかということの小さな気づきというものを得るということが重要だろうと思いますので、商売が前面に出て後は終わりということではないとはこれから協力店へお願いということも含めながら、研修会ということも含めてお願いしていきたいと考えています。
 もう一つは、買い物というものを考えた場合に、我々は先ほど言いました8つのエリア、ゾーン、この中で顔の見える関係性で買い物がフォローできるようにしていきたいんだけれども、なかなかその中にエリアにないというところは柔軟に横の関係で面を広げていくということで、さまざまなニーズに関してどういうふうにしていくのかということはチーフの方に考えていただくということも含めてお願いしているということでございます。
 何でもかんでも行政が司令塔になってやっていくというのはいかがなものかと思いますので、そんな感じでやっているということでございます。
○和田座長 他にいかがでしょうか。どうぞ。
○林委員 簡単に申し上げます。2つ湯沢市さんにお聞きしたいんですけれども、サポーターということがよく出てくるんですが、安心生活創造事業はチーフ、社会福祉士が中心になって、あと民生委員とかサポーター、ホームヘルパー等が訪問したり買い物支援をするわけですけれども、このサポーターに対してどのような活動費とか、どういうふうな時間の活動があるのかを含めて、いわゆる900万の補助金の中での使い方になるわけですので、今年度50名ぐらい養成されるということですから、その辺をどうされているのか。
 もう一つは、大変お聞きしたかった内容なんですが、第1回目もお願いしていた内容なんですが、いわゆる第3の原則、27ページから出てきている地域福祉基金なんですけれども、安全生活創造事業というのは23年度で終わるわけですね。
せっかくこのすばらしいものを厚労省は考えていただいて、今後これを非常に広げていかなければならないという内容にあって、では3年後にはしごがなくなればどうするんだということも含めて、この地域福祉基金、これは29ページにお書きになっていますけれども、1~6までのPRをどうされているのか。また一番下には予定でしょうけれども、578万を目標に年間144万5,000円を集めるということなんですが、これが順調に行けるのかどうかということも含めて我々も奈良の方でも大変どうなっていくのかという、資金のことを御報告いただいたらと思います。
 以上です。
○和田座長 では、お願いします。
○湯沢市 まず、湯沢市は、基本的な考え方はもう一回コミュニティの創成だということが原点になっておりますので、金ではないだろうと。みんなで支え合っていくのが本来の地域でしょうということでございますので、17ページですけれども、ゾーンにはニーズを把握してくれる方々でこんな人たちがいますということで説明して、いろいろ保健師や看護師などをやられて退職された方々もおります。そういう方々にもお願いしつつ、ヘルパーやいろいろなことをやって地域でまだ力が眠っている方々もいっぱいいらっしゃいます。
その他として、町内会、近隣行政委員や補助員、老人クラブの友愛訪問員とか、こういうふうなものをもう一度きっちりと老人クラブの友愛訪問も今できていない状況でしたので、ここは老人クラブでうちの親父もそうなんですけれども、きっちりと地域で支え合っていくような、もう一回やっていこうというので、今うちの行政の高齢担当は老人クラブの研修会を始めて開くようになって、こういうことをやっていかなければいけないということで、福祉事務所の中でも一丸的になって、一枚岩になって安心生活創造事業をやるときに、我々の方だけでやるのではなくて、それぞれの関係する部門のところでもこういうふうなことで地域にお互いに支え合っていくというシステムをどうやって再構築するのかということ。それが最終的には我々にいずれは返ってくるんだということをもう一度確認し合っていくことを、一枚岩で福祉行政も一緒になって考えていくということにしております。
 これについては基本的にはだれもお金がつかないのかなどということを今までセミナーでも質問を受けたこともないし、湯沢市民は性善説ではございませんけれども、みんなはただで当然やっていくんだろうなという気持ちでいるようでございます。大変失礼でございますが、それは尊重していきたいと考えております。
 29ページにありますけれども、1~6までどうやって進めていくんだということですが、これは各エリアのチーフがそれぞれの座談会に入って社会福祉協議会と一緒になって各地域のコミュニティの夜の座談会などに入っていきまして、こういうことをこまごまと説明しながら浸透を図っていくというふうにやっております。
 これから厚労省の方にもここら辺を解釈を広げてもらえないかということで、先ほどの美郷町さんの資料の10ページにあるわけですけれども、これは人口350万もするような横浜市みたいな、東京23区みたいにいっぱい大きな企業があったりするところというのは大きなお金が入ってくるかもしれませんが、限界集落をいっぱい控えている湯沢市みたいな人口5万人程度の小さな過疎の市というのは、みんなが貧乏ですので寄附も限界があります。
 ここにありますように介護保険の地域支援事業ということで、例えば地域包括支援センターの人件費などもこれで使われていると思うんですけれども、介護保険事業の3%というものを全国一律の保険理論でやっている事業でございますので、こういうふうなものがむしろ安定的に使えるようなものに仕向けていただけるのであれば、人口3,000人ぐらいの小さな村も安心生活創造事業というものを全国展開した場合に、こういうふうなファンダメンタルとなる基礎的な条件となるような財源の確保というものにいくのではないかと、支える保険理論になっていますので、こういうものを活用できるように老健局と折衝していただければと思っておりますが、まず湯沢市としては、集まったお金で足りない部分については各チーフのところ、在介センターのところには年間200万ずつ現在やっています。それにプラス今144万5,000円を上乗せてして、いわゆる老人だけではない、これからもっと増える高齢者や障害や児童やそういうふうなところについては、余分な仕事になるだろうからまずこれでやっていただく。将来はこれをカバーするように募金やいろいろな企業からのお金でやっていきたいと思っているということで、こういうふうなことを目標に掲げて頑張っているというところでございます。
○和田座長 ありがとうございました。美郷町はいかがですか。
○美郷町 私へのお尋ねではなかったような気がしたものですから考えていませんでした。申し訳ありません。湯沢市さんがおっしゃった10ページのところでうちの方は財源的には考えておりますが、これに書いていない中で、近ごろ過疎計画が、過疎地域自立支援法というのができて、その中にソフト事業もOKですという話になってきたものですから、私どもとしてはこの安心生活創造事業も過疎計画の中に入れさせていただいて、過疎地域での切実なソフト事業の1つとして財源として今当てにはしているんですけれども、財政の方がどれぐらい取ってもらえるかということでお願いをしている段階であります。
 以上です。
○和田座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○野中委員 2か所の発表、本当にわくわくしてきました。その中で私が思ったのは、第1の原則、第2の原則をきちっとされていることがつながるんだろう。各地域でいろんなことをやっていても、第1の原則、第2の原則を2人の発表者の方のようにきちっとやられているところがないです。そこがカギだと思いますし、そこでもう一つは13ページのせっかくきた相談が相談機関につながらず切れてしまう。そのことに対する危機感を持っていらっしゃるということはすばらしい行政だなと思いました。
 そこでいつも市町村と話をすると、先ほど経産省の方が何回も個人情報のことを言われていましたけれども、どうも個人情報保護法に対する過剰反応があって、本来はその情報が地域住民のために、住みなれた地域に安心して生活できるということに使われるべきにも関わらず、個人情報の保護があるためにできないという行政が非常に多いといつも思います。
 でも、今回、決して個人情報保護が過剰に取り上げられるのではなくて、それを立派に乗り越えてやられているということは本当にいいことだと思いますし、私の視点では特に特定高齢者の把握がこの事業で進められるということは、実はすべてのニーズをどう把握しているか、そしてそのニーズを相談できる人がどこにどうしているか。対象者側と支援者側が固定されるのではなくて、いろんな地域の住民の方々が特定高齢者の把握にも参加できるんだということをしっかりと認識されていることが成果だったと思います。本当にわくわくしてお聞きしました。どうもありがとうございました。
 是非経産省の方には、個人情報保護法に関して過剰反応にならない解説を58か所に限らず、すべての地域で明快な説明をしていくことの必要性が現場であると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○和田座長 ありがとうございました。
 中村委員、どうぞ。
○中村委員 中村でございます。お二人にお伺いしたいんですけれども、例えば湯沢市の8ページ、先ほど私の聞き間違えでなければ、新たに今回の事業に取り組むことで要支援者として61名の新しい対象者を発見することができたと佐藤さんがおっしゃったように聞いたんですけれども、私などが小規模な市町村にお伺いしますと、大抵、我々は顔が見えているので御心配には及ばないとおっしゃられるわけです。このように多くの方々を今回発見したということであれば、それ以外の顔の見えない地域ではもっと大きい発生率なのかなということも思いますので、こういった方々は一体どういう状態像の方々が今まで漏れていた方々としてここで発見されたのかということをお伺いできればと思います。よろしくお願いします。
○和田座長 お願いします。
○湯沢市 その前に参考に東小エリアというところだけを先ほど8ページで示したんですが、この東小エリアというところと西小エリアというところが人口5万人の小さな市の中でも一応都会なんです。
 ここは生活保護のところを見ていただくと、生活保護世帯というのが黒枠で結ばれている非常に圧倒的にアパートや隣の人は何する人ぞという、東小、西小エリアというのはいわゆる都市部なんです。こういうところの東小エリアを出したので、ここは民生委員さんもなかなか入り込めないような世帯がいっぱいある部分で、赤い羽根の共同募金も集まらない、社会福祉協議会の会費も集めにくい、そういうふうなエリアを1つ抜き出して言ったので、ここの2つだけが断トツ60人とか100人とかというので今まで見えなかった部分で、今回初めて踏み込んだ部分であるということを話したかったんですけれども、さすがに中村さんにはそこを見抜かれてしまったんですが、それ以外の稲川とか、雄勝とか皆瀬という昔の村とか町みたいなところというのは、もうほとんど見慣れていて、せいぜい出てきたのが10人とか5人とかその程度だったんですが、そういうことでこの事業をきっかけにこういう都市部のところに民生委員の方とチーフと一緒にタックルを組んで入り込むような姿勢がこれからできてきたというところがこの事業の評価だと思っております。
 以上でございます。
○和田座長 ありがとうございました。どうぞ。
○美郷町 関連して申し上げたいと思いますけれども、小さい市町村はそのようにお尋ねのようにお答えする場面は多いと思います。そういうつもりではいますが、実態はどうなのかということになりますと、実際はローラー的に見て定期的にチェックしないと本当のところの見落とし等が出てくるのではないかという心配をしております。
 我々のところも訪問をする役目の方はいたんですけれども、その方もほかの業務を持っていたりするものですから、どうしてもそちらを優先してしまって訪問の方が少し後回しになったりする傾向はあります。今回はシステム的にそれを拾い上げていきたいということでつくり上げたところであります。
 以上です。
○和田座長 ありがとうございました。
 小田切委員、どうぞ。
○小田切委員 どうもありがとうございました。いわゆる限界集落的な過疎町村の市町村の実態が出てきたと思います。特に美郷町で最後に出てきた、他出者との関係というのが1つのポイントになってくると思います。当然のことですが、過疎地域ということはそれだけ他出者が多いということであります。これは意外なデータかもしれませんが、実は1990年代の農林業センサスの実態を見てみると、他出後継ぎの農業参加が4割の割合になっております。それだけ頻繁に帰って農作業に関わっているということで、これを我々ウィークエンドファーマーと呼んでいるんですが、これが例えばウィークエンドサポーターという形でこの事業の中に組み入れることができるのかどうかというのは1つのポイントかなと思います。
 ただ、その場合には、単なる緊急連絡先でもなく、あるいは子どもだから手伝うのが当たり前でもなく、この両者を考えた上で事業の中に巻き込むことが必要になると思いますが、その辺りをどういうふうに考えられているのかということのアイデアがありましたらお知らせいただければと思います。
○和田座長 美郷町、どうぞ。
○美郷町 やはりウィークエンドのファーマーの方というのは、平日の状況がよくわからないと思うんです。気にはなっているけれども、週末しか帰れないという方ですので、そういった方と、今携帯電話を持ちたいんだけれども、携帯電話ができないという高齢者の方がいらっしゃいまして、いろいろ話を聞いてみると結構興味を持ったりするんです。ところが、通話料も要りますし、息子さんと同じ携帯電話会社がいいよねという話なども出てきますから、できればそういったところで緊急通報システムというのはあるんですけれども、畑に出ていたらどうなるという話もあるもので、そういうようなことをつなぐために行政が携帯電話をあっせんするわけにはいかないんですけれども、それはできないんですが、ドコモとかauさんに来ていただいていろいろ説明を受けました。
 それを子どもさんがいいと言えばこういう情報提供をしてあげて、携帯電話をお持ちになって料金は息子さんが払いませんかとか、そういう仕組みにつなげていけないかなということも今考えながら、その情報収集の中にはそういうこともエリアに入れながら情報収集をやっていきたいと思っています。
 以上です。
○和田座長 ありがとうございました。
 では、宮城委員、どうぞ。
○宮城委員 ありがとうございました。この安心生活創造事業は、事例を含めて今後モデル事業だと思いますので、これから何を私たちが考えていかなければいけないかということを整理していく必要はあるかなと、大変参考になりました。
 経済産業省さんが買い物のところで600万人という需要を推計されておりますけれども、これがますます高齢化してきますので全国で増えていくということで、私自身は、これからこの分野であるとか、医療過疎問題を含めて、新しい公共事業にしていくべきだと思っています。
 そういう安心して高齢者の方を始め生活をできる、生活基盤をどう国として保障していけるか。これは公共事業化していくということが1つ大きなポイントだと思っています。
 お二人の発表で伺いたいんですが、今回の安心生活創造事業で評価しておりますのは、行政が直接責任を持ってこの分野でするということです。大分政策の方向が変わったかなと評価しておるんですけれども、お話にありましたけれども、福祉事務所の在り方です。湯沢さんは地域包括はたしか直轄で行政をされているとは思うんですが、今まで福祉事務所、かなり縦割り分もあったと思うんですが、このことで福祉事務所のありようというものが今後どう今の時点でお考えなのかということが1つですけれども、湯沢は私も県社協の仕事で大分伺っています。東小エリアも歩きました。
 特に冬場が大変な地域だと思うんです。そういう季節の問題もあると思うので、冬場などはまた違う支援の在り方というのは多分求められるのではないかなと、この点も聞きたいんです。
 それと2年目に入りますので、成果です。新しい方たちが発見されたということが効果の1つだと思いますが、2年目、3年目にかけて効果測定をどういうふうにお考えになるかということです。今の時点で結構ですので、お願いします。
○和田座長 では、湯沢市から。
○湯沢市 福祉事務所の在り方は、縦割りでこれからのありようということでございましたけれども、私は平成19年4月に湯沢市に来まして、市長にそのときに訴えたのが、専門職がいない。つまり、周りにはいろいろな相談支援事業を行っているケアマネージャーや社会福祉士などいろいろな人がいます。その方々とお話を聞くと、年々2年3年で異動で、しゃべっている内容が通じない。また詳しくお話をしていくとそんなことがあるんですかという、来たばかりで制度もわからない。いつも歯車が合わなくて、周りはどんどん専門職化していくのに何年行政やっているんだということをいっぱい聞きます。
 こういう安心生活創造事業1つにしても、私はずっと福祉畑で長年やってきましたので、どうやらなければいけないかということが直感的にある程度ひらめきが出てくるし、周りの方々とも意見がきちんと歯車がかみ合って、こういうふうにやっていった方がいいねというのができます。でも、これがもし仮に私がいなかったら、こんな自分なことをPRするわけではないですけれども、私でない今の湯沢市の福祉事務所のだれかがやったとしたら、こんなことなどはやれなかったと思います。やれないと思います。
 なぜかと言ったら、だれも2年3年で異動になりますから、こんなことに根を詰める必要も何もないわけなんです。先ほどネットワーク協議会を発足させると言っていました。最初は私が中心人物でやったんですが、その後、私が今こちらの推進室の方に異動になりましたので、そこに来た新しい班長は全くやる気がないために今周りからぶーぶー言われています。そんなものです。
 私はこのネットワーク協議会をつくったのはどういうことかと最初に言ったのは、行政の人間が変わったら、あのときはよかったね、この人はだめだという波をつくらないために、ネットワーク協議会の周りの方々のこの地盤がきっちりできたら行政などは異動になっても関係ないんだということをつくりたかったからです。だから今それぞれ8つの部会の部会長は真剣になって行政に関係なく動いて、ちゃんと地域のいろいろな資源をつくってくれています。
 そういうふうなものの地盤をつくらない限り、これはどんどん堂々巡りで終わってしまうということだったので、このネットワーク協議会を地盤にしつつ、安心生活創造事業というものを福祉事務所の方々とみんなと一緒にやっていくということを関係課長や班長にもわかってもらいたいということでやっているということですので、市長には社会福祉士なり何なりという専門職をとにかく置いてほしい。少なからずとも5年、10年は置いていかないとこれはもうだめになるということをお願いしてありますので、これからは行政には周りが専門職化しているのだったら行政にも専門職を置く時代がちゃんと必要なのかなと思います。
 成果のことですけれども、これは皆さんに今回も61人わかったということを地域の方々にもみんなにもお知らせして、地域の方々が満足して地域で我々はこういうふうにやっていかなければいけないんだという思いを共有していくような共有の場、セミナーですか、こういうふうなことはきちんとつくっていくことによって、思いが還元されていって地域に根付いていくようなシステムをこれからこの安心生活創造事業の補助金が切れても、これは皆さんに参加費を500円ずついただいても講師に謝礼を払えるようなセミナーをずっと続けていきたい。そこで成果を皆さんに披露していきたい、共有していきたいというのを図っていきたいと考えております。
○美郷町 美郷町の方は組織の在り方というようなお尋ねかなと思ったんですけれども、やはり生活支援というか福祉支援だけではなくて、保健とか介護予防、医療も含め、場合によっては生涯教育的なものも含めた総合的な視点で見ていかないといけないと思うんです。その人たちをするために縦割りではどうしてもいろいろ弊害がありますので、ローカルはローカルの自治体の中でこそ医療と福祉、保健、そういったのが統括できるような組織体にしていかないとこれから先はなかなか対応できないのではないかなというぐらいにイメージしていますので、今内部ではそういうような議論をしているところであります。
 成果ですけれども、効果測定をどうするかというのはなかなか厳しいんですけれども、既に懸案事項でありましたコミュニティバスとかシルバー人材センターなどもようやく立ち上げましたので、この事業の効果としては既に出ていると思っているんですけれども、最終的には、当初にアンケートを取りましたので、事業が終わった3年後にもう一回アンケートを取って住民の人たちの満足度がどう変化しているのかといったところが効果測定ができるかなというところであります。
 先ほど湯沢の方がおっしゃいましたように、こういった事業を取組むためには、人がポイントだと思います。やる気のある方が行政にいて、やる気のある方が社協にいて、そこの中に共通の理念を持って進めるということでこういった事業が成り立ちますので、それがないといろんなことをやっても国がいろいろ言っても私はなかなかどうなのかというところがありますので、幅広い視点を持った力のある、実行力のある人材。まさに湯沢の方はそうかなと思ってみているんですけれども、そういう方々が地方の市町村にいっぱい出てきてほしいなと思っております。
 以上です。
○和田座長 ありがとうございました。ちなみに佐藤さんは先ほど途中から来られたということでしたが、どういう形で今の仕事に就かれたんですか。教えていただければ。
○湯沢市 私はもともとは最初は秋田県庁に勤めていたんですけれども、その後、皆瀬村という3,000人ぐらいの村に知的障害者の施設をつくるための建設委員として県を辞めさせられてそちらの村の職員になっています。そこでずっとやっていたんですけれども、障害者自立支援法のときに寺尾課長さんと同じですけれども、厚生労働省で専門官をやらせていただきまして、19年に湯沢に行ったということでございます。
○和田座長 ありがとうございます。美郷町の鎌田さん、先ほど人が大事だとおっしゃったんですが、御自身も非常にすばらしい構想を持ってらっしゃるんですけれども。
○美郷町 私は大学を卒業しまして1年間だけデパートに勤めまして、家庭の事情で辞めまして、それから旧村の美郷町の前の役場の方に入りまして30年ぐらいです。ここ5~6年が大体福祉と保健を主にやっておりまして、町長は今度は動かしたいということだったんですけれども、私はどうしても安心生活創造事業がめどが立つまでは動かさないでくれということで泣いて頼みまして、まだ今のところにおるという状況でございます。
○和田座長 ありがとうございました。そういう2人がいらっしゃるということですばらしい活動が始まっていると思いました。予定しました時間が過ぎましたので、恐らく御質問はいろいろあるかと思いますが、よろしいでしょうか。
 今日、限界集落を抱えていらっしゃる町でどのような取組みをしてらっしゃるかというお話を伺いしましたし、その前に経済産業省の買い物についての取組みをどう進めていらっしゃるかというお話も伺うことができました。
 都市ではなかなかすぐには出来ないような取組みもあったかと思います。印象に残りましたのは、美郷町の情報の一元化です。普通このような仕組みができても動かないだと思うのですが、ちゃんと動いている。しかも日常の業務の処理とつながっているというところがすばらしいと思いましたし、またこれから一定の限定を付けながらも民生委員さんにも活用していただけるような仕組みをつくるということでした。今まで個人情報保護との関係でいろんな議論がありましたが、プライバシーを守るということをしっかりしながら、地域の中から、新しい取組みが生まれてきつつあるなと思います。これがどうなっていくかは、今後このような取組みを進めていく場合の1つの基盤になり得るような感じがいたしました。
 もう一つの湯沢市につきましては、お話の最初から非常にわくわくしたような感じがいたしました。仕組みがしっかりつくられているということと、これからもほかで参考にする必要があるなと思いましたのは、今までこういう地域ですとみんなの状況はわかっているという前提で始まっていたんですが、実はなかなかそれはわかっていない。見守りや支援が必要な新しい人たちがどんどん発見されるということが明らかになったということは大事なことなのではないか。
 対象が掘り起こされていけばどうしたらいいかというのがわかってくると思うのです。いろんな対応が考えられる。そこを2つの町と市両方とも今までなかったような取組みをしてこられたと思います。従来からあったさまざまな個人レベル、家族レベルの助け合いも大事にしつつ、あるいは個々の組織や団体や個人が持っていた役割をしっかり果たしていただくような取組みをしつつ、それではできなかったところを新しくしっかりつくっていく。具体的な解決の方法についても今まで取組みとは違うしっかりとした仕組みをつくって、この2つがつながることによって安心生活創造事業は今までなかったようなしっかりしたものになっていくのだなということを2つの御報告から印象付けられました。
 今日は3人の方の御報告、いずれも非常に刺激を与えていただきましたし、またそれぞれの地域での新しい可能性というものをつくっていただいているのだと思うことができました。お礼を申し上げたいと思います。
 是非今後も積極的に進めていただいて、私たちにこんなやり方があるんだ、あるいはこの地域の中でこんな可能性があるんだということをお示ししていただければと思います。
 もう一つの点だけ付け加えますと、コミュニティが持っている力はすごいということです。場合によっては、地域そのものが株式会社をつくって自分たちの新しい可能性をつくっていくというようなことまで示していただいたのも教えられるところが多かったと思います。そこでいろんな会社の方々、事業者と組んで、地域の商店街を復活されたというお話を伺ったのも大変うれしかったことです。コミュニティの可能性についても今日それぞれお教えいただくことができたいと思っております。
 まだいろんな御意見を伺いたいところですが、一応時間がもう少し過ぎましたので、議論としてはこれで締めさせていただきたいと思います。それ以外に何か事務局の方からその他でございますでしょうか。
○中島地域福祉専門官 まず来週、7月26日、27日の2日間、地域福祉推進市町村連絡会議がございます。この三田共用会議所を会場にしまして、パネルディスカッションも行われまして、ヤマト運輸の佐藤様にも御登壇いただく予定にしておりますし、また湯沢市の佐藤様にはまた御登壇いただく予定にしております。和田座長にはコーディネーターをお願いしているところでございます。また、他のパネリストとして、豊中市社協の勝部さんと、横浜市公田町団地の大野自治会長にも御登壇いただくということを予定しております。どうぞ御予定のつく方は御参加いただければと思っております。
 また、経済産業省、あるいは総務省の方にも関連施策としてお話しいただくことになっておりますので、よろしくお願いいたします。
 もう一点、次回の会議の日程について皆様から予定を聞いておりますので、調整をしまして9月10日金曜日、2~4時ということで考えておりますがいかがでしょうか。できるだけ会場はこの三田の共用会議所を予定したいと思いますが、また会場等は確定しましてから御案内したいと思います。
○和田座長 それでは、よろしいですか。
 予定しておりました議事はすべて終了いたしましたので、最後に地域福祉課長より閉会のごあいさつをお願いいたします。
○寺尾地域福祉課長 お忙しいところを本日はお集まりいただきまして、御熱心に御協議、御検討いただきましてありがとうございました。本当に短い時間があっという間に過ぎてしまって残念でございました。
 いわゆる限界集落での医療の問題をもう少しお聞きできればうれしかったなと思いました。私の友人で大学病院を辞めて地域医療に取り組んでいる男が言っておりましたけれども、臨終のところへ立ち会うと、隣近所のおばちゃんたちがエプロン姿で枕辺に座っておばあちゃんにいい人生だったねと涙ながら言う。こうしてみんなで地域の人たちがおばあちゃんを見送っていく。そういう死の尊厳をみんなで家族で共用、あるいは地域で共用していくという医療に携われて今が幸せなんだとしみじみと言っておりましたが、私も両親を亡くしましたけれども、病院で亡くなるときはどういうわけかもう少し頑張れ頑張れと、もう80にも90にもなっているじいさん、ばあさんに頑張れということはないだろうと。御苦労様でございました、ありがとうございましたとなぜ言えなかったのかなと、今思うと反省しておりますが、そうやってうちで見送ることができると、そういう余裕もできてくるのかなという気もします。安心生活創造事業がそういうところまで進んでいけばいいなと思います。
 もう一つは、今度は都市型のところに行ったときには、社会的排除者であるホームレスの問題であるとか、ごみ屋敷の問題とかそういうものもまた議論できれば面白いなと思っております。本日は本当に長い時間ありがとうございました。
○和田座長 それでは、これで終了させていただきます。
ありがとうございました。



(了)
<照会先>

社会・援護局地域福祉課

地域福祉・ボランティア係: 03-5253-1111(内線2872)

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