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2010年7月14日 第38回社会保障審議会医療保険部会議事録

○日時

平成22年7月14日(水)15:59 ~18:10


○場所

都市センターホテル3階「コスモスホールII」


○議題

1.平成23年度以降の出産育児一時金制度について
2.高額療養費制度について
3.その他

○議事

○糠谷部会長 それでは、大体、定刻になりましたので、まだお見えにならない方が若干おられるようでございますけれども、ただいまより第38回「社会保障審議会医療保険部会」を開催いたします。
 委員の皆様には、本日は御多忙の折、お集まりをいただきまして、ありがとうございます。
 まず、委員の異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。岩月委員、対馬委員、藤原委員、山本委員が退任されました。それに伴いまして、新たに、日本薬剤師会常務理事の安部好弘委員、全国町村会行政部会長の齋藤正寧委員、健康保険組合連合会専務理事の白川修二委員、日本医師会常任理事の鈴木邦彦委員が就任されておられます。
 なお、専門委員の方も新たに任命されましたけれども、後の関係議題の中で御紹介をさせていただきます。
 本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、逢見委員、神田委員、岩本委員、横尾委員、和田委員より御欠席の連絡をいただいております。
 続きまして、欠席委員の代わりに出席される方についてお諮りいたします。逢見委員の代理として小島参考人、神田委員の代理として森参考人の御出席につき、御承認いただければと思いますが、いかがでございましょうか。
 よろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○糠谷部会長 それでは、そのように取り図らせていただきます。
(カメラ退室)
○糠谷部会長 それでは、議事に入らせていただきます。
 最初に「1.平成23年度以降の出産育児一時金制度について」を議題といたします。出産育児一時金制度については、本部会においても、一昨年の12月に御議論いただき、昨年10月から、緊急の少子化対策として、原則38万円の支給額を平成22年度までの間、42万円に引き上げるとともに、妊婦の方々への利便性の向上のため、直接支払制度を設けることとされたところでございます。
 それらの経過等の詳細は後ほど事務局から説明いただきますが、来年度以降の制度については、本部会において、特に関係の深い方々の参画も得て御議論をいただくというのが、厚生労働省の政務三役の方針と伺っております。
 そのため、本議題に関して、厚生労働大臣により専門委員が任命され、本日御出席をいただいておりますので、私の方から紹介をさせていただきたいと思います。
 まず「知ろう!小児医療 守ろう!子ども達の会」代表の阿真京子委員。
○阿真委員 阿真でございます。よろしくお願いいたします。
○糠谷部会長 弁護士の井上清成委員。
○井上委員 井上です。よろしくお願いいたします。
○糠谷部会長 日本産婦人科学会医療制度改革委員会委員長の海野信也委員。
○海野委員 海野でございます。よろしくお願いいたします。
○糠谷部会長 全日本病院協会副会長の神野正博委員。
○神野委員 神野でございます。
○糠谷部会長 日本産婦人科医会会長の寺尾俊彦委員。
○寺尾委員 どうぞよろしくお願いします。
○糠谷部会長 日本助産師会副会長の毛利多恵子委員。
○毛利委員 よろしくお願いいたします。
○糠谷部会長 以上の専門委員が任命されております。「平成23年度以降の出産育児一時金制度について」を本部会で御議論いただく際には、今、御紹介した皆様も御参加いただくこととなりますので、御了知をお願いいたします。
 それでは、まず事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○神田課長 それでは、お手元の資料1「出産育児一時金制度について」という資料に基づきまして、これまでの経緯がございますので、この後、委員の方々からも御意見が提出されておりますので、簡単に御説明をさせていただきたいと思っております。
 まず、1枚おめくりいただきますと、出産育児一時金の目的、支給額等が書いてございます。そこにございますように、出産に直接要する費用とか、出産前後の健診費用等の出産に要する費用の経済的負担の軽減を図るために支給されるというものでございます。
 支給額についてでございますが、被用者保険では政令、市町村国保では条例などで決まっております。平成18年に30万円から35万円に引き上げられました後、平成21年1月には産科医療補償制度の掛金相当分の3万円。それから、昨年10月から4万円の引き上げがされております。
 費用負担については、そこにございますように、被用者保険は原則として保険料負担。市町村国保、国保組合については、地方交付税措置とか補助がございます。
 それから、直接支払制度が実施されるに至りました経緯でございますが、7ページ目をお開きいただきたいと思います。
 一昨年の8月に当時の大臣から、手元に現金がなくても、安心して妊娠、出産できるようにしたいという旨の発言がございました。当時の考え方としましては、1つは出産育児一時金を、かなり高いところ、低いところがございますので、都道府県単位の出産育児一時金にしてはどうかということと、妊婦さんが事前にお金を用意しなくてもよいように、医療機関に直接支払ができるようにしてはどうか。直接支払制度を導入してはどうかという2つの提案をいたしておりました。
 それにつきまして、11月27日に大臣と、今日もお見えの方々もおられますけれども、関係者で直接の意見交換会を行いまして、都道府県単位に出産育児一時金をするというのは特に医療提供者の方々からの反対が強かったということから、全国一律の引き上げということになりました。
 そのときに、そういう方向が出まして、正式に一昨年の12月に、この部会で御議論いただきました。その資料が2ページ目でございます。
 これが、その審議会にお諮りした資料そのものでございますので簡単に申し上げますと、緊急の少子化対策として、当面2年間の暫定措置として、1つは額を引き上げますということで、当時の産婦人科医会の調査等を踏まえまして、この段階ではまだ決まっておりませんでしたけれども、予算折衝の結果、一律4万円引き上げることになったということでございます。
それから、国庫補助につきましては、保険者への影響度合いに応じて補助をするということになりました。
 2.が直接支払についてでございますけれども、今回の引き上げに伴う国庫補助につきましては、直接支払制度に対応していただく保険者に限るということで、直接支払制度を徹底するということで、引き上げ部分に関する国庫補助と直接支払制度が補助を通じまして関連しているということでございます。
 2つ目でありますけれども、意見交換会などで、明細を明らかにしないと、額の引き上げの根拠が、合理性がないのではないかとか、費用が不透明というお話がありましたので、医療機関は、明細を添えて保険者に出産費用を請求していただく。そして、支払業務は審査支払機関で行うというようなことで提案をさせていただきまして、平成21年10月からシステム改修を行った上で対応することになったということでございます。
 7ページに移っていただきますと、そういう12月の医療保険部会での御議論を踏まえまして、先ほど申し上げたように、10月から額の引き上げと直接支払制度にすることになったということでございます。
 平成21年5月29日には、直接支払制度の実施要綱というものを通達で発出いたしております。発出に当たりましては、医師会、産婦人科医会、助産師会、それから、保険者の方々に一応、御説明をさせていただきまして、御了解をいただいて、発出をさせていただいたということでございます。
 5月に発出をしましたのですが、8月下旬に至りまして、産科医療機関側から、申請から医療機関への支払いまでに期間がかかるので、資金繰りに支障を来すおそれがあるという意見が寄せられました。
 それを踏まえまして、政務三役に御相談をしまして、それでは、実施が難しい医療機関については半年間、猶予するということになったわけでございます。
 そのときに私どもが出しました資料が8ページ目、記者発表したものでございます。
 そこにも書いてございますように、私どもとしては当時、医師会とか産婦人科医会、助産師会にお話をして、御了解はいただいた。資金繰りの問題があるということは、政策融資の制度も準備しておりましたので、認識はいたしておりましたけれども、それで分娩を取りやめるまでの影響があるという認識は十分に足りませんでした。そういう意味で言いますと、団体の方々に御了解をいただいたということで、現場の声が十分に把握できていなかったということについては反省をいたしております。
 ただ、5月までの段階ですと、産婦人科医会からも、むしろ産科の無過失補償制度で3万円の掛金を払うとなったわけでありますが、分娩費が未払いであっても掛金を払わなければならなくなるということで、むしろ出産育児一時金すべてを分娩機関に払う制度にすれば、それが解決するので、そういう直接支払の制度をつくってほしいという要望もありましたことなどから、基本的には5月までの段階では、直接支払については評価をするというふうな意見をいただいておりましたので、そういった認識は不十分であったと反省をいたしております。
 8ページのところにございますように、原則としては10月からやるんですけれども、どうしても準備ができないところについては、例外的に次のような措置を講じて延ばしていいですということにいたしました。窓口にやっていないということを掲示するとか、あるいは妊婦の方に直接説明して合意を得るとか、あるいは3にございますように、どうしても難しい、お金の用意ができないという方についてだけは直接支払をやってくださいというようなこととか、それも難しいということであれば貸付制度を紹介していただくなどの対応をお願いしたところでございます。
 更に半年後になりまして、平成22年4月から実施する段階に至りまして、なおかつ、まだ実施が困難であるということになりましたので、次の9ページがそのときの記者発表資料でございますけれども、更に1年間、難しいところについては実施を猶予することにしたということでございます。
 これは、お手元の資料の11ページ以降に付いておりますけれども、私どもの方で、直接支払制度について全くやっていないか、10月から12月までの3か月間で5件以下であった医療機関に対して直接、アンケート調査をいたしました。その結果、全面的に実施していない医療機関の7割が資金繰りの問題を理由にしていることとか、4月以降についても4割のところは全面的に対応が難しいというふうな回答がございましたので、9ページにございますように、かえって分娩の取扱いをやめられるということになりますと、妊婦さんにかえって御迷惑をおかけするということで、1年間、更に猶予するということにいたしました。
 その際に、2にありますように、支払いの早期化とか、低利融資など、資金繰り対策を一方で実施することにいたしました。
 それから、3にありますように、政務三役と御相談した上で、平成23年度以降の制度の在り方について検討するということで、この部会で御議論をいただくということで政務三役に御相談をさせていただいて、そういうことにいたしました。
 あと、後ろに付いている資料で、14ページがございますけれども、支払いの早期化ということで、従前ですと、上の段にございますように、退院をされてから支払機関を通じて医療機関に出産育児一時金が支払われるまでの期間でありますが、最短で28日、最長で58日ということでしたけれども、正常分娩であって磁気請求をしていただく場合には、もう一回、支払サイクルを設けるということにいたしまして、この7月25日から請求していただけるように要綱の改正をいたしております。これによりまして、最長は47日ということで11日短縮されますし、平均で言いますと37日ということで、1か月強まで短縮はされるということになろうかと思います。
 その次のページが融資制度で、一番左で、当初、利率が2.2%程度でございましたが、調達方法を福祉医療機構の方で工夫をしていただきまして、0.8%まで引き下げたというようなこととか、保証人を立てるのが難しいということでございますので、個人の場合には無担保・無保証でも融資ができるように、ただし無保証の場合には若干の利率の上乗せがございますけれども、そのようにするとか、あるいは無担保の貸付の限度が当初は1,000万円でございましたが、限度額を撤廃するといったような改善を行っております。
 16ページは、今の融資の実績でございます。
 現状でございますが、17~18ページをごらんいただきますと、国民健康保険団体連合会の方で、正常分娩と国民健康保険の加入者の方の異常分娩について支払いを行っております。それから、社会保険診療報酬支払基金で、被用者保険の異常分娩に関する出産育児一時金の支払いを行っております。
 これでごらんいただきますと、平成22年の直近の6月現在ですと2,772の病院・診療所・助産所が直接支払に対応していただいている。件数が、国保連と支払基金を足しますと、大体8万2,000件でございまして、年間分娩の支給件数が114万件程度でありますので、1か月9万5,000件程度になりますので、現在で言いますと、86~87%までは直接支払で対応されるところまで来ているということでございます。
 19ページで、これは私どもの方で、1回も直接支払に対応していただいていない医療機関を、施設調査の名簿と突合しまして、何件残っているのかというのを月次で調べたもので、直近ですと77の機関、診療所が71で、病院が6というところまで進んできているということでございます。
 私の説明は以上でございます。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
○井上委員 部会長、よろしゅうございましょうか。進行についての意見ですが。
○糠谷部会長 次にそれぞれ御意見を伺うことになっておりますが、今の説明についてでございますか。
○井上委員 進行についての意見なんですが、よろしゅうございましょうか。
○糠谷部会長 もし、あれでしたら、後でまとめて。
○井上委員 それ自体の進行なので、今回、専門委員として任命されましたので、その関連で一言だけ進行について。
○糠谷部会長 専門委員についての御発言は、今、やっていただきますので、そのときにしていただければと思います。
○井上委員 そういうことではなくて、今回、出産育児一時金制度限りの専門委員ということで任命されておりますので、専門委員の中から、この出産育児一時金制度についての司会進行の座長を特に任命していただいて進行する方が、いろいろと技術的な問題が絡んでおりますので、適宜な順番が送れるのではないかと思いますので、その点、いかがでございましょうか。
○糠谷部会長 それは、先ほど総務課長からもそういうお話があるのではないかということは伺っておりましたけれども、勿論、御専門の方で、私は専門家ではございませんから、そのこと自体に特段の見識があるとは思っておりませんけれども、医療保険部会長を仰せ付かっていて、それで、医療の専門家でないにもかかわらず医療保険のことでも一応差配させていただいているわけでございますので、申し訳ございませんけれども、議事運営は私からやらせていただきたいと思っておりますので、そういうことで御了解いただきたいと思います。
○井上委員 それでは、一言だけ。専門委員の方がいろいろと学会・医会などで研究している成果が多うございますので、そちらの方に最初に重点的に時間を配分していただいて、今日も限られているようでございますので、その辺で進行をお願いいたしたいと思います。
○糠谷部会長 時間は限られておりますが、その範囲内でできるだけ、できることはやっていきたいと思っております。
○岩村委員 ちょっとよろしいですか。今の進行の件ですが、医療保険部会の委員ということで各人それぞれ対等に発言権があるはずなので、専門委員だからということでより多くの発言機会をということにはならないと私は思います。
○糠谷部会長 そこは、何といいますか、殊更に多くとかということでやるつもりはございません。ただ、専門委員の皆さんは、この議題のために専門委員を任命されているわけでございますから、そういうことでやらせていただく部分はあると思います。
○岩村委員 それは結構なんですが、優先的にということはちょっとおかしいと思います。
○糠谷部会長 もう、これで終わりにしてください。
○井上委員 一言だけ、私の発言の趣旨を誤解されてしまうかもしれませんので、ちょっとだけ釈明させていただいて、専門委員で検討している案などがあるので、それのレクチャーだけをして、あとは審議を十分にしていただければという趣旨で、最初にいろいろとお話をさせていただいた方がということですので、優先的にという意味ではございません。
○糠谷部会長 いずれにせよ、時間は全体で2時間で、限られておりますし、勿論、その次にやるということも皆さんの御意見があればあるかもしれませんけれども、いろいろ議題もございますので、そういう中で最大限やらせていただくということにさせていただければと思います。
 それでは、よろしければ意見交換に移るわけでございますが、何人かの委員の方から資料が提出されておりますので、提出いただいた委員の方から、それぞれ5分程度ということで、短いかもしれませんけれども、議題がたくさんございますし、御発言もたくさんあると思いますので、5分程度で簡潔に御意見をいただければと思います。
 それでは、寺尾委員、海野委員、毛利委員、井上委員、白川委員の順にやっていただければと思います。
 寺尾委員、お願いいたします。
○寺尾委員 産科を代表いたしまして、専門委員として発言をさせていただきたいと存じます。
 委員提出資料1をごらんいただきたいと思います。この委員提出資料1の最後のページに、我が国の現在の分娩の取扱いの現状が書いてございます。
上のグラフでございますが、分娩は家庭分娩から、いわゆる診療所や病院における分娩が増えてまいりました。現在は病院と診療所が半々で分娩を担当しております。そして、日本の周産期死亡率、それから、妊産婦死亡率は年々減少してまいりまして、現在では世界一のレベルに達しております。これは開業医、いわゆる診療所の医師は主としてローリスクを取り扱い、病院はハイリスクを中心に取り扱う。それぞれが分担しながら、この妊産婦死亡や周産期死亡の減少に寄与しておるところでございます。
 ところが、下段のグラフのように、近年、分娩数が減少してはおりますが、それ以上に病院や診療所の数が激減してまいりました。これはとても、今の産科医療では、殊に診療所はやっていけないということで、だんだんやめていくわけであります。
 この資料の1ページ目をごらんいただきたいんですが、この1ページ目は茨城県における現在の分娩の現況であります。この赤いところでは、もう分娩ができない、いわゆるお産難民が発生してしまっている。水戸市とつくば市しか十分な医療が提供できていないというのが現状であります。
 それで、本制度の問題点に関しまして、時間もございませんので、この資料の8ページ以降に書いておりますが、もう少しまとめたものを本日の提出資料として、寺尾委員追加提出資料というものを提出しておりますので、ごらんいただきたいと存じます。
 具体的には、この制度は入金が遅延する。そして、正常分娩を取り扱っている産科診療所、これは保険診療がほとんどございませんので、そういう分娩中心の産婦人科医療機関にはお金が一銭も入ってこないわけで、2か月間入ってこない。そうすると、経営に困窮を来し、そして、それがまだ尾を引いて、現在まで借金に悩んでいるわけである。30%の産科の医療機関が融資を受けなければ経営ができない。これは国の制度変更によって、本来必要もない借り入れが急遽増えたわけでありまして、大変困窮している。
 2番目には、医会・学会ともに周産期医療供給体制の崩壊を懸念しております。先ほどの資料1の17~18ページに国保・社保の取扱件数が書いてございますが、その件数8万2,109の中で、これは大体14%の分娩であります。それを計算に入れますと、このままでは16万人の産婦さんに影響が出るのではないかということが推計されます。
 また、この制度は事務手続が非常に煩雑で、新たに事務職員を雇い入れなければ対応できない。これは後ほど、助産師会の方でもおっしゃるかと思いますが、大変なことでございます。また、保険証の確認というものは大変で、実際に請求しても請求先の、例えば国保の保険者から、半年前まで協会けんぽの被保険者だったので協会けんぽの方に請求して下さいとか、あるいは健保組合に請求したところ、半年前までは被保険者だったけれども、加入期間が短いから払えないとか、だから国保に請求してくださいとか、こういうふうなやりとりのもめごとがいまだにしょっちゅうあるわけでございます。
 それから、本制度を採用できなかった分娩機関では、あそこではあらかじめお金を用意しなければいけないというようなことが宣伝されて、いわゆる風評によって分娩数が減少して、経営に支障を来すという悪循環に入っております。
 そこで、私たちは学会と医会とが一緒になって、新しい制度を考えてほしいということを要望いたしました。これにつきましては、最初の委員提出資料1の13ページに書いてございます。13ページに、この現在の制度は一旦終了して、そして、もっといい制度にしてほしいということ。そして、来年4月以降の新たな制度といたしましては、この(1)から(5)までのことを考えながらやってほしい。
 (1)は、出産育児一時金の請求と支給は、原則的には保険者・被保険者間で完結すべきことで、先ほどのように、保険証が違ったからということで、そういうことも医療側がやるというのはどうも問題があるのではないか。
 それから、出産育児一時金はお産した人が事前申請すれば、出産事実の通知をすれば、直接、早く妊婦さんが受領できる。あるいはその妊婦さんが受領しなくて、振り込みを医療機関に指定してくだされば、それを直接、保険者の方から医療機関に支払っていただける。そうすると、私たちは大変助かる。
 それから、事前申請及び出産事実の通知の手続をできるだけ簡略化してほしい。
 そして、今、この制度は、保険のある人のみが恩恵を受ける。保険のない人には支払われないわけで、是非、無保険者にも、この出産育児一時金が支払われるような制度にしていただきたいということ。
 そして、現実の分娩料はこれよりも高いわけですから、もう少し出産育児一時金を高くして払っていただきたい、上げてほしいということでございます。
 以上です。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、海野委員、お願いをいたします。
○海野委員 委員提出資料2をごらんいただきたいと思います。
 私ども産婦人科学会の立場で申し上げますと、この国のお産を、妊娠・分娩のケアを行う体制を何とか将来にわたって安定的に維持して確保していきたいということが一番私どもが心配していることでございます。御承知のとおり、今の医療崩壊という状況の中で、私ども産科領域は、そのトップランナーと言わざるを得ない状況が続いております。是非、今回の制度の検討におきまして、今の我が国の産科医療提供体制の実情をよく御理解いただいた上で制度の在り方を考えていただきたいと思います。
 出産育児一時金制度は、我が国の分娩全体を支えております。お産される方々をサポートする経済的基盤であると考えております。今回の制度改革の検討次第では、全国の産科医療提供体制に大きな影響が出るだろうということを考えざるを得ません。現場にとってネガティブなメッセージが出ますと、地域の分娩取扱施設の減少が、先ほど寺尾先生からもお話がありましたが、更に進むことになると思っております。そうしますと、お産をする方々の経済的な負担を軽減するということを目的にいろいろ制度設計をされてきているわけですが、実際には、それは結構ですが、お産する場所がないという事態になってしまうのではないかということを危惧しているということでございます。
 私が提出いたしました資料は、この現状をとにかく御理解いただくためにいろんな数値をかいつまんで示しておりますので、なかなかわかりにくいと思いますので、少し御説明申し上げます。
 1ページ目のAの「1.分娩取扱状況」というところをごらんください。先ほど寺尾先生がおっしゃいましたように、日本の分娩の半分以上は民間の診療所。それから、この病院施設の51%の中には産科専門の病院が相当含まれていますので、半分以上は民間の施設が分娩を取り扱っています。その経営は、ほとんどお産が専門の施設ですので、分娩費用に完全に依存しているわけです。診療報酬は余り経営に寄与していません。
それで、今回の直接支払制度は、その様な施設の経済的基盤の基本構造を直撃しました。要するに普通の病院は、全体の分娩費用の収入は収入の数%です。ですから、そのぐらいですと、2か月遅れるぐらいのことは余り大した話ではないということになりますが、分娩専門の施設に関しては、それは物すごく大きい。特に助産所などではすごく大きいと思いますが、そういうことであるということを御理解いただきたい。そこが問題であるということです。
 次に、1ページ目のAの2.と3.と、3ページ目の8.をごらんください。産科医や助産師は高度な専門職でございまして、どちらも現場では絶対的に不足しております。また、増員は容易なことではございません。産婦人科医は女性医師が、若い先生の中では現在7割を占めておりまして、結果的に分娩を取り扱わない産婦人科医がどんどん増えているという現実がございます。
従って、今、分娩を取り扱っていらっしゃる方々が分娩から撤退することは、非常に大きな問題を引き起こすということになります。そのため、地域の産科全体に大きな影響が及んで、ドミノ倒し現象が起きるということは過去数年間に、現に起きてきていることなので、御理解いただけると思います。
 この2ページ目のAの4.に、私どもで調査いたしました産婦人科病院勤務医の月間在院時間調査というものがございます。月間300時間ぐらい病院にいるというのが産婦人科病院勤務医の平均値なんですけれども、こういう勤務状況が限界状況であるということは御理解いただけると思います。そういう中で、この民間の分娩取扱をしている施設に影響が及びますと、これは病院側にもすごく大きな影響が起こります。
病院側が今、51%の分娩をやっておりますが、これを増やすということができるぐらいなら苦労はないというのが今の状況であるということです。そういう意味で、有床診療所を中心とする分娩専門の施設の、今の地域での分娩環境を確保する上での重要性をよく御理解いただきたいと思います。
 我が国にとって今後、将来にわたって安定的な分娩環境をどう確保するかということが非常に重大な問題になっているからこそ、産婦人科専攻医に対する研修奨励金とか、医学生への奨学金、診療科枠等々のいろんな施策が実施されておりますし、公的資金も注入されています。
そのような誘導策の成果もあり、実を申しますと、産婦人科医の数、あるいは新しく産婦人科を専門とする先生の数は、非常にわずかですけれども、増加傾向がここ1~2年認められております。ですから、私どもは、これをずっと続けて、何とか安定的な環境をつくって、安心していただきたいという気持ちを持っておるわけですけれども、実際には、今回の施策に関してはすごくネガティブなメッセージになっておりますということを十分御理解いただいて、ようやく底入れしたかに見えております今の状況が二番底にたたき落とされるということを心配しているということになります。
 4ページのところに、いろいろな今回の制度の問題点が書いてありますけれども、実際に、5ページのDの「1.福祉医療機構の融資状況(2010年7月2日現在)」というところで、50億円以上の融資が行われている。これは勿論、福祉医療機構だけがこの分娩施設に対して融資を行っているわけではありませんので、この数倍の、実際に資金繰りに困って、これを借り入れざるを得ない。借りなくて済むところは借りていませんから、普通の病院は借りていないと思いますが、分娩中心の専門施設ですと、そういう状況になってしまう。こういうことを引き起こしている制度なんだということも十分御理解いただきたいと思います。
 産婦人科学会では、将来にわたっての安定的な地域分娩環境の確保ということで「産婦人科医療改革グランドデザイン2010」というものをつくっております。そういう検討の結果でも、先ほど少しお話し申し上げましたように、地域の分娩施設、特に産科専門施設がローリスクの分娩を数多く担っていただくことが、どうしても病院の産婦人科の方の機能を維持するためにも必要であるという結論になっております。
そういうことを考えた上で、今回、こういう形での要望書を学会としても医会と一緒に出させていただいたというのが実際の経緯でございます。どうか、こういう危機的状況にある業界をどうしようとするかという話であるということを御理解いただきたいと思います。
 以上でございます。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、毛利委員、お願いいたします。
 時間が大変少なくて申し訳ないんですが、5分ということでお願いしたいと思います。
○毛利委員 それでは、委員提出資料3をごらんください。
 私は日本助産師会として、助産所や自宅出産を扱っている立場での発言をさせていただきます。年間約1万2,000名の女性がこういうお産を選択されております。その現場の問題を知っていただきたいと思います。
 3ページをお開きください。現在、助産所とか自宅出産は、地域の診療所や地域病院と医療連携を取りながら、子育て支援、母子の育児困難さとか虐待とかに関して、周産期から丁寧に継続的に関わって、それを防止したいというところでケアを発揮しておりまして、少数ですが、見直されているところもあるところです。
 全国では分娩を取り扱う助産所が425か所ありまして、今回、2月に緊急アンケートをいたしまして、全部ではありませんが、249か所のアンケート結果を発表いたします。
 助産所は非常に小規模事業体でありまして、保険医療機関ではないので、従来、正常なお産だけを扱いますから、すべて現金だけでの収入でやりくりをしてきた医療機関です。今回、直接支払制度の利用率は、アンケートでは84%ですが、助産師会の調査では約98.6%がこの制度を使う準備をしているというふうになっております。
 実際動かしてみまして、約半年動いたわけですが、よかった点は、妊婦さんからは、保険証を見せるだけで立替払いをしなくていいのでよかった、保険証と合意書だけで使用できるので大変楽だったという声は現場で聞いております。
 助産所側では、確実に入金される、未払いがなくなった、産婦の負担感が少ないためコストの説明がしやすい、請求しやすいという利点が述べられております。
 次の4ページでは、困ったことですが、平成21年度から、産科医療に関しては3つの大きな制度が変わりました。直接支払制度、妊婦健診公費負担の補助券等、産科医療補償制度という3つの制度が同時に動きまして、事務作業が非常に多くなりました。
 妊婦健診もほとんど現金ではなくチケットなどで払われまして、1か月後の入金になります。ですから、私たち現金だけでやってきた職種の者にとっては、直接支払制度と妊婦公費健診が同時に動き、の、妊婦さんにはいい制度だったのですが、経営上、大変苦しかったというのが本音です。そして、融資を受けたいという助産所もありましたが、利子があったり、あるいは連帯保証人を付けなさいという、当初、そういう条件でしたので、足踏みをしたり、融資を断られたり、本当に経営が苦しかったということが現実に起こりました。
 しかも、私たちは嘱託医療機関を持つわけですが、そこには地域の診療所や地域の連携病院があるわけですけれども、産科を中心としている医療機関ほど、正常出産を扱いますので、現金でやりくりしていた施設ですので、この制度で非常に経営的な影響を受けられまして、私たちの嘱託医療機関もなくなるのではないかという危機に直面したということが事実です。
 運転資金に困り融資を受けたという助産所が7.6%です。ほとんどの助産所が融資の説明を受けて、条件が高く足踏みをし、何とか親族や銀行に借りてやりくりをしたということです。もし制度の変更がなければ従来どおり経営が行えたのに、この制度変更のために借金をして、しかも利子を支払わなければならないというのは納得ができないというのが地域の助産所の意見です。
 「まとめ」といたしまして、今後、妊産婦さんにとって負担のない方法を取ることは賛成です。料金の明細書を出して、ケアがどういうふうにお金がかかったかということを提示することも私たちは賛成です。
 しかし、そのケアの受け手であり、受け皿である経営が困難になってしまうと、ただでさえお産の場所が少ないですのですから、経営に関する配慮をもう少ししていただきたいと思います。
 具体的には早期に入金されるということです。今回、厚生労働省からも、電子媒体であれば短期間で入金可能とのことですが、私ども助産所は年配の人もいて、紙媒体であっても、短期間入金してほしいという要望がございます。
事務処理が、先程述べた3つの制度が動き、小さな事業体のため事務員を雇う経費等も苦しいところがございますので、事務手続が簡素化されるということを望みます。
 何よりも、さっき寺尾先生がおっしゃったように、日本は一次医療機関、二次医療機関で約半数のお産が行われているので、身近な場所で女性の支援をする場所が、この制度の変更によって経営が揺らがされるということは、女性にとって産み場所の確保というサポートにならないのではないかということを感じました。
 以上です。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、井上委員、お願いいたします。
○井上委員 委員提出資料4をごらんいただければと思います。右上に手書きで1ページから19ページまで通し番号を振っております。ですので、そのページ数を基に申し上げます。
 まず1ページ目は、先ほど少し触れました、審議の進行に関する上申書ですので、今は省略させていただきます。
 2ページ目をごらんいただきたいと思います。「妊産婦のための出産育児一時金制度の提案 -直接支払制度に代わる新たな即時現金給付制度-」という表題を挙げておきました。これは先ほど御紹介がありました、学会と医会の本年3月31日付の共同での要望書で述べられています、直接支払制度を来年3月をもって終了して、これに代わる新たな制度を創設することという要望をかんがみまして、私の方で考えたものでございます。
 1番をごらんいただきますと、まず基本的な問題ですが、健康保険法上で出産育児一時金というものがどういう局面で出てくるか。その条文は非常に簡単なものですので、主要なもの3か条を列挙いたしました。
 基本条文は、健康保険法の第101条です。「被保険者が出産したときは、出産育児一時金として、政令で定める金額を支給する」。「政令で定める金額」とありますので、金額は政令次第です。
 ここで、出産したときは支給するとございますけれども、いつ何どきに支給するかということについては、この法律の条文では明示しておりません。それから、いつの時点で出産育児一時金の支給の申請をするかも法律では明示しておりません。この辺については裁量の余地のあるところです。今回、提案で申し上げるところは、その点に立ち入るものです。
 それから、第52条では、出産育児一時金の支給というものは保険給付であるということを定めるだけです。
 第61条で、この保険給付を受ける権利、つまり出産育児一時金の支給の権利も、人に譲渡したり、担保に供したり、差し押さえることができない、譲渡禁止の規定がございます。今回の直接支払制度は、直ちにこの譲渡禁止の規定に抵触するとは言えませんけれども、その趣旨には大いに反するのではないかと私としては感じております。
 「2 出産育児一時金の立法趣旨」です。
 「(1)現金支給」。これは法律の条文で「金額を支給する」とありますので、明らかに現金で支給すべきものということだと思います。
 「(2)使途自由」。名称なんですが、出産育児一時金というはなはだ舌をかみそうな名称になっております。由来を言いましたら、出産一時金と育児一時金という用語を合わせたような出産育児一時金となっております。そうしますと、出産のための一時金でもあり、育児のための一時金でもあるというふうにも読み取れるところです。
 つまり、一言申し上げておきたいことは、出産育児一時金とイコール分娩費用ではないということ。ほかのものももろもろ含まれるということだと思います。そうすると、妊産婦の立場に立って考えれば、どのような出産育児に関することで、どのようなことに使われるかの使途は限定されていないので、使途は自由である。これが法律の趣旨であろうと私は考えております。
 「(3)直接支給」。直接支給といいましても、だれに直接支給かは、分娩機関ではございません。妊産婦への直接支給というのが、より法の趣旨に沿うものではないかと考えます。これは第61条の譲渡禁止規定の裏返しのお話です。
 「(4)即時支給」。先ほど読みました第101条で「被保険者が出産したときは」と書いてありますけれども、出産したとき、何か月後に支払うか。ないしは即時に支払うか。この点について明示するところはございません。妊産婦の立場からすれば、出産、即時に支払うのが、より法の趣旨に沿うのではないかと考えております。
 3番で、それらを基にいたしまして、それでは、新たな制度というものはどのようなものがよりよいのではないかということで考えたものが法技術の点です。
 「(1)事前申請」。読んでみますと「妊娠4ヶ月以上ならば生産・死産を問わず支給される」。御存じかと思いますけれども、妊娠4か月以上になりましたら、生きて生まれた場合であっても、仮に死亡してしまった場合でも、どちらでも支給されるということになります。そうすると、出産時というのは、ここは法律論ですので、私の講釈ですので置いておきますけれども、妊娠4か月以上になりましたら、要するにどのような事態が後で生じても、基本的には出産育児一時金は支払われる。つまり、4か月以上の妊娠になりましたら、その時点で申請する適格はあると考えてよいと思っております。
 「(2)振込指定」。直接支払制度というものは、法律的には代理受領という法律のテクニックを使っております。これは通常、法律用語で非典型担保と分類されます。同じく非典型担保に分類されるものとしては、代理受領ではなく振込指定という制度があるので、この振込指定という制度の方がより妊産婦のための一時金という趣旨に即するのではないかと思い、振込指定という同じ非典型担保の手続を使うのが適すると思っております。
 「(3)自由選択」です。直接支払制度は、必ずしも妊産婦のためにならない場合があると思っております。出産育児一時金の振込先指定についても振込額の割り振り指定についても妊産婦の自由選択でよいのではないかということです。
 括弧内を読みます。一般に、財力があるが時間がない妊産婦は直接支払制度が便宜です。つまり、お金はあるんですけれども、それを持ってきたり払ったりするのははなはだ大変な時期ですので、そういう場合には手間がかからない直接支払制度は適切かと思います。
 しかし、仮にそのときにお金のない妊産婦さんにとっては、むしろ一旦、私のところに現金をくださいというのが妊産婦さんの通常の意思ではないかと思います。一般論として2通りのケースが想定されるので、直接支払制度が妊産婦さんにとって一律に有利な制度であると考えるのは、少し1つのケースを落としているのではないかと思います。実際には、事情はさまざまだと思います。
 「(4)出産事実通知」。分娩機関から保険者へは、出産育児一時金と関連性がないので、専用請求書は不要。直接支払制度では専用請求書を採用しておりますけれども、直接支払制度というものが何で専用請求書が必要になるかということは、少なくとも法律的には何らの関連性のないものだと私には思えます。ですので、専用請求書は要らない。
 それから、出生証明書も要らないと思います。出生証明書というものはあくまでも戸籍法上の制度でありまして、これは戸籍法の問題ではなくて、健康保険法上の支給でありますので、いわゆる事実の通知で足りる。分娩機関から、証明書ではなくて事実通知をすれば十分ではないかと思っております。
 あと、3ページで問題点でございますが、今、大体触れたところであります。
○糠谷部会長 申し訳ないんですけれども、時間が限られておりますので、なるべく簡潔にお願いします。
○井上委員 もう終了いたします。あとは、どのようなものがあるかだけです。
 3ページは問題点で、今、大体、中で申し上げましたものを詳しく敷衍しているものです。
 5ページをごらんいただきますと、これは以前の出産育児一時金、平成21年10月1日以前の制度と、その以前に存在した、事前申請による代理受取という制度。今回、平成21年10月1日以降の直接支払制度。それから、学会・医会統一の共同要望書。これらの比較を簡単に行ったものでございます。
 6ページ以降につきましては、学会・医会のものを受けまして、妊産婦さん344名など、私が代理して長妻厚労大臣などに提出した要望書でございます。
 9~11ページというのは、直接支払制度以前から存在している申請書の様式でございます。実は、事前申請というものは以前も行われていました。ところが、このたび、廃止することにするという通知が出たように聞いております。
 13ページは、出生証明書ならぬ出産事実の通知書という、事実通知書のモデルをつくってみました。
 あと、14ページ以降は、いろいろな各団体とか妊産婦さんなどの学会・医会の共同要望に対する賛成を述べたものを添付したものでございます。
 長くなって申し訳ございませんでした。
○糠谷部会長 それでは、白川委員、お願いいたします。
○白川委員 それでは、手短に御説明申し上げます。委員提出資料5でございます。これは、本年4月に支払早期化という提案がございまして、そのときに健保組合1,473組合に対して行ったアンケートの結果でございます。
 ポイントは裏の方でございまして「問4:今後の直接支払制度のあり方について」ということでアンケートを取りましたら、継続が633。半分まで行きませんが、半分弱。受取代理制度が264。従来の方式が約400という結果でございました。
 文章には書いておりませんが、これに関連して1~2、御意見を申し上げたいと思います。
 御案内のとおり、この出産育児一時金の支払方法につきましては、受取代理制度があり、直接支払制度があり、このたびは2回払いというふうにどんどん仕組みが変わってまいりまして、正直申し上げまして、保険者としては非常に混乱をしているというのが現状でございます。そのたびに事務手続を変え、被保険者の方々に説明をし、しかも支払いのためのシステムを、費用をかけて改築しなければいけない。こういうことの繰り返しでございまして、非常に混乱をしているというのが過去の経緯でございます。
 このアンケートで見ますと、今、633の健保組合が直接支払制度の継続を希望しておりますが、実は既にすべての健保組合で直接支払制度のシステム、事務体制を完成しておりますので、我々としては再び混乱を起こすことのないように、直接支払制度というものを継続すべきであると本部としては考えております。
 もともと、事務局から御説明のありましたとおり、これは妊産婦さんの金銭的な負担、あるいは銀行に行ってお金を下ろす云々の物理的な負担を軽減するという趣旨。病院等においては未収金問題というものがありましたので、それを解決するという趣旨。それから、産婦人科学会等からも御説明のありましたとおり、産科の方からも、当初はこういった方式で経営の安定ということもあったやに聞いておりますので、私どもとしては多少負担があっても、そういう方向に協力しようということで今までやってきた経過がございます。
 現在、事務局の資料によりますと、86%ぐらいの直接支払制度の利用率、それから、実際には利用されていない医療機関が77という現状を見ますと、ほぼ定着していますし、このまま、確かに対応が難しい医療機関もあると思いますので、工夫をし、救いながら、この制度を続けていくということが私は正論ではないかと考えております。
 以上でございます。
○糠谷部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明等につきまして、御質問・御意見がございましたらば、どなたからでも結構でございます。お願いをいたします。
 どうぞ。
○神野委員 専門委員の神野でございます。感想的なものと、御質問と、それから、意見というものを分けて申させていただきたいと思います。
 まず感想的なものとしましては、国がつくられた、この少子化対策に対して、今、白川委員からいろいろお話がありましたけれども、保険者の方は35万、38万、42万と、物価上昇率をはるかに超える給付をしていらっしゃる。その出所は全部国家からかと思っていたら、先ほどの事務局資料を見ますと、保険者負担が結構たくさんあったということで、保険者側の犠牲もたくさんあったというのを理解したいと思います。
 もう一つ、感想といたしましては、今回のこの出産育児一時金に関しまして、支払早期策といったものをつくっていただいたわけでありますけれども、我々病院側からいたしますと、我々の一般の健康保険診療に関しましても、既にレセプトオンライン化を全病院が進めているわけでございますので、そういった意味では、産科だけではなくて一般診療に関しても早期支払制度に移行していただきたいというふうな思いがあるわけであります。
 そして、今度は質問ということで、特に事務局に対しての質問になると思いますけれども、今回、一番大きな問題として支払サイドの話が出ているわけでありますが、ただ、過去に国民皆保険制度を入れたとき、あるいは2000年の介護保険制度を入れたときに、やはり同じような、制度移行に伴って支払いサイトの問題が起きていたはずであります。そのときはどう乗り越えたかといったことが、もし経験知がありましたら教えていただきたいと思います。
 あと、意見でございますけれども、私は急性期の産科を持っている救急病院でございます。そういった中では、これも先ほど白川委員がお話しになられましたけれども、救急出産の場合の未払い等に関しましては、この制度によって一部救われたところがあるのかなと思います。
 また、事務局資料でもありましたように、これも白川委員のお話と通じるところがありますけれども、既に90%近くの医療機関がこの制度でやっている。我々病院側の方も、やはり保険者と同様に、この制度にのっとって事務手続をいろいろ行っているということからすると、急激に制度を変えるというのはいかがなものかと思ってならないわけであります。
 しかし、前段に産婦人科医会、産婦人科学会、あるいは助産師会等のお話がありましたように、対応が難しいというところがあるとするならば、これに関しては私は何も全部100%、この制度に行く必要はないだろう。それは特例といいますか、対応が難しい方に関しましては新たな制度、あるいは現行の猶予策といったものをそのままお残しになってはいかがなのかなと思うところであります。
 以上です。
○糠谷部会長 事務局からございますか。
 どうぞ。
○神田課長 御質問の点についてお答えさせていただきますけれども、国民皆保険が実施されたとき、あるいは介護保険が施行されたときにどうであったかということでありますが、昭和36年のときにどうであったかということは調べてみないとわかりませんが、介護保険のときは私も直接担当しておりましたので、従来の仕組みですと、当月とかに費用が支払われておりました。それは公費で助成をされておりましたので、それが介護保険が導入されることによって、今の診療報酬と同じように介護報酬ということで、2か月後に一般的に入金されるという支払サイクルになりましたので、やはり介護サービスを提供している事業所に資金繰りの問題がございまして、そのときもつなぎ融資の仕組みをつくって資金繰りの問題に対応したと考えております。また次回、確認をして、資料等が確認できれば提供させていただきたいと思っております。
 もう一点、一般診療の場合も早期に支払ってはどうかということでございますけれども、今、御指摘がございましたように、病院ですと既に九十八.何%でありますし、診療所も83%ぐらいまで、既にレセプトベースで言いますと電子化が進んでおります。歯科はまだ3%程度でありますけれども、政務三役の方からも、義務づけをするというだけではなくて、インセンティブを付けて電子化を更に進めるということを考えてはどうかという宿題をいただいておりまして、今、2か月後の月末近くに支払いがされるわけでありますけれども、電子媒体で請求があった場合には、その支払いをもう少し早くできないか、検討するように指示をいただいておりますので、それについては検討させていただきたいと思っております。
○糠谷部会長 ほかに、御質問・御意見がございましたらお願いいたします。
 どうぞ。
○岡崎委員 国保の保険者の立場として出ております、高知市長の岡崎でございます。今日は国保の保険者としての委員でありますが、市長として各地域の市民の皆様方の健康を守る立場にもあります。
高知県内の産婦人科医の減少というのはかなり深刻な状況にありまして、先ほど茨城県の事例が出されましたが、例えば高知県内では、平成11年には33の病院の施設がございました。これは産婦人科施設ですが、今年、平成22年6月、10年経った今ですが、20施設しかないということで、13施設が廃業もしくは廃院になったということです。施設が高知県内に分散していればいいんですが、ほとんどが高知市内に集中しているということで、高知県内でも東部地域では、高知県は東西に長い県なので、東の方ではお産もできないということです。
どういう問題が発生しているかといいますと、高知医療センターという三次救急をやる病院へ通常分娩の出産のために救急車で東部から来るということで、三次救急のところのドクターもいっぱいいっぱいになっていますので、ぎりぎりのところで全部支えているという厳しい状況になっております。しかも、高知県の場合は二次医療圏内にお産ができる医療機関がないというふうに、非常に際立ったことになっておりますので、やはり産科医をぎりぎりのところで運営しているところを何とか維持をしていかなければいけないということ。それと、やはり次の医局のところでは、産科医を選択される方も非常に少なくなっておりますので、その体制というものはきちっと取っていただきたいということでございます。
 以上のことを考えますと、やはり技術的に工夫ができるところは工夫をしながら、産科医をできるだけ確保していくということは非常に重要な問題になっておりますので、できるだけこういう色々な工夫を重ねていくべきではないかと思っております。
○糠谷部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。
 それでは、柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 直接支払制度の仕組みを現実に支えているのが国保連なり支払基金でありますけれども、さっき白川さんのお話にもありましたが、実はこの直接支払制度は、最初、やると決まってから、今度はもう一回、2回払いをしろというような話もありました。短い間にシステムをつくって、またそれを改修してというようなこともやりました。
 それから、もともと作業をするときに、ある程度、数の見込みを考えて作業の体制をつくるわけですけれども、実際には、例えば異常分娩が予想よりもすごく多いんです。その被用者保険の異常分娩は全部、支払基金の方へ流れるということで、国保の方は今度は件数がかなり少なくなるとか、もともと、この見込み方自体が違っていて、体制が少し過大になってしまっているようなところもあるというようなことで、非常に四苦八苦しながら、このシステムというものを支えているわけでありますけれども、白川さんのお話にもありましたが、ある程度、定着してきていると私は思っておりますので、余りころころ変えるということについては、できれば避けていただきたい。
もともとの意義は、要するに妊産婦の利益、それから、医療機関も未払い問題が解決できる。そういうことが私どもの頭にあって、これは何がなんでも、多少、手間がかかってもやらなければいけないと言って進めてきた話でありますので、是非、その辺は、私の考えは、できるだけ今の一時金の直接支払を継続するということがいいのではないかと私は思っています。
○糠谷部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 それでは、高原委員、どうぞ。
○高原委員 田舎の開業医の高原でございます。
 この話を持ってくるに当たり、当会の長崎県諫早市というものは、この1~2年で分娩をしない、受け付けないという産婦人科が2~3件と増えております。その上で、今度はこの制度で困っているということを言っております。
 1つは、今までも出ましたように、支払いの問題がある。確かに、産み逃げという問題がありましたけれども、その問題に関しては、お金を払わずにそのまましてしまうという問題は、ある程度は解決されただろう。しかし、やはり、その2か月間の猶予が非常に困っている。ほとんど分娩だけでいっている機関は小さな婦人科、それから、今、お話しいただいた助産師さんのところの施設もそうだと思います。それと、この問題がやはり地方で回っている。
 あと、一番の希望は、地元としては、現状では従来の方法による現金払いが原則で、用意できなかった方に限り医療機関が分娩手当を代理請求にするようにするということを一番切望しているという形で、中小の産科の機関は言っております。今のところのままでは改善すべきで、そのままの延長は望みませんというのが現場の田舎の産婦人科の意見でございます。
○糠谷部会長 それでは、齊藤正憲委員、どうぞ。
○齊藤正憲委員 直接払いについて、今、ずっと、話が出ておりますけれども、制度導入を検討した際、少子化対策として、妊産婦の方にとって、より産みやすい環境を整えるということで考えたものであり、是非、制度の継続性というものは持ちながら、一方でお困りの病院・診療所というものがあるのならば、これから少しずつ変えたらいいのではないかと思います。ただ、今回の出産育児一時金は2年間の暫定措置として実施されたものなので、現状の保険財政を踏まえましたら、本来の38万円に戻すことが妥当ではないかと考えております。
 しかし、少子化対策の一環として、これは今の金額が必要ということであれば、支給額の引き上げに伴いまして運営が厳しくなる各保険者への財政支援は不可欠ではないかと。思っております。そのためには、いわゆる一般会計から公費をもって確実に対応することをお願いしたいと思います。
 現行の仕組みは、政治主導の下、緊急に対応したために、本来は学童等の児童育成事業に用いるべき児童手当勘定から一部を賄うという形になっておりまして、この点、拠出元である企業は、これについては全く納得しておりませんので、一言申し上げたいと思います。
 以上です。
○糠谷部会長 それでは、小林委員、どうぞ。
○小林委員 現行の直接支払制度について、いろいろと問題があるということで、別の制度を設けるべきであるという意見がございましたが、私ども保険者として、当事者でありますので、一言意見を申し上げたいと思います。
 直接支払制度は、もともと政府の少子化対策の一環ということで、妊産婦の方々に安心して出産していただくために関係者の方が合意して開始されたものと承知しております。白川委員、それから、支払機関として柴田委員からもお話がありましたけれども、保険者としても加入者のために新たな事務の構築、あるいはシステム改修、こういった多くの負担をしてまいりました。また、医療機関への早期支払という観点から、今月から月2回の支払いを行うということになっておるわけでありまして、保険者としては、加入者であります妊産婦さんの方々のために開始した制度でありますので、利用者の観点から考えれば、基本的には直接支払制度は継続していくことが現実的な対応ではないかと考えております。
 以上です。
○糠谷部会長 それでは、鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 私の地元の市も、この委員提出資料1の真っ赤なところの一部でございまして、私の市は産科医は一人もおりません。それどころか、私の属する地区医師会、2市1村ですが、人口は13万人ぐらいいますけれども、お産ができる医療機関は一件もありません。非常に厳しい状態でありまして、お産については、これにも書いてありますように、中核的な医療機関でもできなくなっている。日立製作所日立総合病院、これは最近復活いたしましたけれども、水戸医療センターとか、そういったところでもお産ができない状況です。産婦人科医が一人もいない。そういうような状況がある中で、やはりお産を守るということは極めて重要なことであると思っております。
 お産というものは、我々の通常の保険診療と違って、現金で行うという伝統といいますか、そういう文化がありますので、それはやはり尊重すべきだろうと思いますし、多分、対応が困難なのは小さな医療機関だと思いますが、今まで保険診療をほとんどしてこなかった方々がそういったことでお困りになっているということは、全体の中で見れば数は少ないのかもしれませんけれども、結局、そういったところは、恐らく地域でお産を継続することによって地域のお産を守っているというところだと思います。
我々の地域を見ても、私どもの県の一番北のところに1人、産科の診療所があって、80代のお父さんと、息子さんが意気に感じて帰ってこられて、2人でやっているんですが、そこがなくなると本当に半径30~40kmが全くお産ができないというようなことになってしまいます。そういったところを守るということは是非必要だと思いますので、学会と医会が意見が対立しているというのだったらまだしも、一致して要望されているということですので、私はそういう、実際にお産を担当されている先生方の御意見を尊重すべきであると考えております。
○糠谷部会長 それでは、もう一つ議題がございますので、簡潔に逢見委員の参考人の方、どうぞ。
○小島参考人 逢見委員の参考人の小島であります。
 出産育児一時金の引き上げにしろ、直接支払制度にしろ、少子化対策を国を挙げて行うんだという意思の下に行われてきたと理解しています。一時金の引き上げは、保険料に直接影響するわけで、負担する被保険者、加入者ともそれを理解して認めてきたわけであります。
これをさらに引き上げていくということであれば、国の責任で公費の投入が必要だろうと思っております。
 それと、出産に伴うリスクは高いため、いつ正常分娩が異常分娩に変わるかわかりません。そのため連合は、現物給付、保険診療にすべきであると、前から主張しています。それを本格的に検討すべきではないかと思っております。
 それまでの間、直接支払制度については継続をしていくべきと考えます。確かに分娩機関の皆さんには御苦労をかけると思いますけれども、そこを是非、御理解いただいて、改善すべきは改善するということで対応すべきではないかと思っております。
○糠谷部会長 それでは、阿真委員、簡潔にお願いします。
○阿真委員 専門委員になりましてから、たくさんの妊婦さんや産婦人科の先生や助産師さんの話を聞いて感じたことをお伝えしたいと思うんですけれども、そもそも妊産婦さんのための出産育児一時金制度ということで、緊急の少子化対策ということなんですが、これが30万が40万、100万になったからといって、子どもを産もうという気持ちになるわけではないので、少子化対策と言われることはまず、妊産婦としては少しどうかなと思っているところはあります。
 それはそもそもとしてということで、この制度を進めることで産科の施設や助産所が閉鎖に追い込まれるということがやはり一番、私たちにとって困ることで、それは本末転倒のことですので、一つも閉鎖にはしないという、それは絶対に、そういうつもりでやっていくということが大事かなと思います。妊婦の負担軽減ということが結構出てくるんですけれども、妊婦も相応の負担があっていいと私は思っておりまして、それは私だけの意見ではなくて、たくさんの声を聞いてそういうふうに感じているところです。
当たり前に支給されて、ありがたみはどんどんなくなっていくものですし、私たちもここまでやります。それで、医療機関もここまではやってほしい。保険組合さんもここまではやってほしい。本当にそういう十分な話し合いがあって、支払いが2か月先になって、それだけは困るということですと、それは少しどうにかしなければいけない。長い目で見て、だれも困らないものをきちんと十分に話し合ってつくっていかなくてはいけないと私は一人の親としてそういうふうに感じております。八十何%がどうかとかそういう話ではなくて、このことを進めるに当たって、産科施設も助産所も一つも閉鎖には追い込まないという、そのことは私たち妊産婦としての願いであります。
 以上です。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
 もしよろしければ、もう一つ議題がございますので、特にこの際ということがございませんでしたらば、次の議題に移らせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○井上委員 それでは、進行について、最後に1つだけ。
○糠谷部会長 どうぞ。
○井上委員 この出産育児一時金制度につきまして、新たな制度をつくるべきだという学会・医会の共同要望と、直接支払制度をそのまま維持した方がいいのではないかという観点があります。それで、聞くところによれば、8月末の時点までにどんな方向性にするかというのを、一応、議論を十分尽くしてみるのがよろしいのではないかと私などは考えるんですけれども、次回の進行予定について、事務局からは当初、8月5日ということで聞いておったんですが、何かなくなるような話も聞いていて、その辺が進行が不鮮明なので、それだけ教えていただければと思います。
○糠谷部会長 まだ次回は、やるのはやるんだと思うんですが、その点は説明してください。
○神田課長 次回の日程ということで、8月5日ということで仮押さえをしていただいておりましたけれども、各委員の出欠状況とか、あと、夏休みに入るということで、そういうことを考えまして、8月5日については現在のところ開催しないということで、改めて日程調整をさせていただきたいと考えております。
○糠谷部会長 そういうことで、これで打ち切りということではないということは私も当然だと思いますので。
○井上委員 8月中には期日を入れることになりますでしょうか。
○糠谷部会長 それはどうですか。これから、それができるのか。
○神田課長 日程調整をさせていただいた上で、8月に多くの方が出席できるようでしたら、それは可能かと思いますが、少し、8月、9月を含めて日程調整をさせていただきたいと思っております。
 それから、最終的には平成23年度以降、先ほど額の問題の御発言がありましたけれども、引き上げに係ります国庫補助についても2年間の暫定措置ということになっておりますので、それをどうするかといった問題もございますので、最終的には予算編成に間に合うように、11月までには結論を何らかの形で意見集約していただく必要があるのではないかと思っております。
○糠谷部会長 よろしいですか。
○井上委員 はい。
○糠谷部会長 それでは、本議題につきましては、本日の御意見等も踏まえつつ、今後、引き続き議論を行うということにいたしまして、本日は、これまでとさせていただきます。
 専門委員の皆様におかれましては、ありがとうございました。次回以降、この議題を議論する際には御参画をいただきたいと思います。日程は、今、お話がございましたように、追って事務局から御連絡をいたします。次の議題に移りますので、専門委員の方は本日は御退席をいただいて結構でございます。
 それでは、次に「2.高額療養費制度について」を議題といたします。事務局より資料の説明をお願いいたします。
○吉田課長 保険課長でございます。お手元の資料の山の中から、横紙で右肩に「資料2」と書いてございます「高額療養費制度について」というものと、縦紙でございますが、参考資料3、後ろの方に入っているかと思いますが「高額療養費の見直し、患者負担の軽減に関する要望書等」という、この2つの資料を本議題の関係部分として用意させていただいております。
 まず横紙の資料2の方を。それぞれ事前にお届けさせていただいているかと思いますので、時間も押しておりますことから、説明をはしょらせていただきますことをお許しいただきたいと思います。
 1ページ目が、現在の高額療養費制度の概要。
 2ページ目が、その具体的な自己負担限度額でございます。
 3ページ目は多数該当という仕組みで、4回目以降、1年の間に行われた場合の軽減措置の考え方。
 4ページ目が、世帯合算と言われております、家庭内で同じ医療保険制度の中における合算の仕組み。
 5ページ目。現在、高額療養費という仕組みは本来「療養費」でございますので、一旦、患者さんに御負担いただいてから、保険の方から償還するという仕組みでございますが、特に入院払いについては、医療負担がまとまって発生するということなどに配慮しまして、現在、現物給付という仕組みが取られているという紹介でございます。
 6ページ目は、高額療養費制度の中で、特に「特定疾病」として自己負担額がほかのものと違い、原則1万円抑えられております3つの疾病について、その制度の来歴、あるいはその考え方についてまとめてございます。特定疾病あるいは1万円疾病と言われているものの説明でございます。
 7~8ページ目につきましては、高額介護合算療養費制度。ここまで申し上げました仕組みは、基本的に医療保険の自己負担の中における自己負担上限額という形でございますが、さる平成20年4月から新しい後期高齢者医療制度の発足と一体の改革として行われた、医療と介護の自己負担分について、それぞれの制度での負担が生じた場合負担の軽減を図った後の残った自己負担について、合わせわざで更にアッパーをかけるという仕組みについて、7~8ページ目にまとめてございます。
 9ページ目は、高額療養費制度とあっても一旦は患者さんにご負担いただくことになります。一部、患者さんの手持ちのお金に対して融資をする、貸し付けをする形で、患者さんの負担に対する支援策という形でございます。9ページ目の下に掲げてございますように、各保険者ごとの件数もしくは金額の実績をもって貸付制度を運営していただいていると承知しております。
 10ページ目。御案内のように、高額療養費制度というものは、それぞれ患者さんの世帯の負担能力、所得に応じて自己負担限度額が決まっております。70歳未満の方については上位所得者、一般、低所得者の方々という3区分。70歳以上の方々につきましては現役並み所得者、一般、そして、低所得者の方を、特に2つに配慮して、都合4区分という形になってございますが、それぞれ所属されております人数が、協会けんぽ、健保組合、あるいは市町村国保という制度の違いによって若干分布が違っておりますので、その辺りを明らかにさせていただくための資料でございます。
 11ページ目は、平成19年度における各制度からの高額療養費の支給実績。
 12ページ目については、それを医療保険と旧老人保健制度、ビジュアルに少し整理をさせていただいたものでございます。
 13ページが実効給付率という形で、それぞれ医療保険制度、これまで自己負担限度額については、14ページにございますように、制度改正ごとに改正を重ねてきたところでございますが、現時点のそれぞれの法定の給付率に高額療養費という形で上限、アッパーがかかっていることにより、実質的に給付率がどうなっているかというものを年次推移ごとに、かつ制度ごとに整理させていただいたものが13ページでございます。
 15ページは、今、申し上げましたようなそれぞれの制度、これまでの過去、累次にわたる医療保険制度改正のたびに、それぞれの局面で、それぞれの御議論、あるいはそれぞれの御要望を踏まえて対応してきたものでございますけれども、どのような時点で、どのような考え方で整理をしたか。これが全部、1つになだれ込んで今の制度になっているということでございます。
 また、具体的な上限額につきまして、それぞれの自己負担限度額が、現在、何に着目して設定されているか。あるいはいつの時点で設定され、現在に及んでいるかというものをまとめさせていただいたものが16ページでございます。
 17ページは、そのような自己負担設定額につきまして、特に一般と言われております8万100円の水準の方々について、実際、それが所得に対して、ここでは標準報酬月額というものを指標として用いておりますが、どれぐらいの重みになっているのかというものを年次推移にまとめさせていただいたものでございます。
 18ページが、高額療養費制度について、本日、このような形で事務局から提案をさせていただいておるに至りました背景の大きなところでございます。昨今、各方面からさまざまな御要望あるいは御指摘をいただいているなかで、まず今年の通常国会において御質問をいただいたものとして、順不同ながら、ある程度、まとめさせていただいたものでございます。
 その際、別冊になっております参考資料3「高額療養費の見直し、患者負担の軽減に関する要望書等」という形では、これは国会の場というわけではなく、ここ直近1年程度に厚生労働大臣あるいは厚生労働省の方に御要望を直接いただいたもので、私どもが受け取らせていただいたものを、いろいろな各方面からの声という形で本日の資料にまとめさせていただいておりますので、併せて御参照いただければと思います。
 資料2の18ページ目をごらんいただきますと、順不同でございますが、これまでの国会における御議論としてありましたものの1つ目は、先ほど申し上げました70歳未満の3区分となっております今の負担の考え方のうち、特に真ん中の「一般区分」という方について、そのカバーする範囲が広いのではないかという現状認識を踏まえた上で、そこをある程度、区分を更に細分化して、所得の低い方々にさらなる自己負担限度額を下げることでの配慮はできないかという御提言・御意見をいただいているのが1点目。
 2点目で、現状説明の中でも世帯合算という仕組みを御紹介いたしましたけれども、その対象について、現行においては70歳未満について2万1,000円という、事務処理などを勘案した上での合算対象の限定をしております。それをより引き下げる、より広い範囲での合算を行うという御指摘。あるいはレセプトという、医科・歯科・入院・外来別、あるいは月単位となっておりますものを、より合算対象として広げるというような観点での見直しという御指摘が2つ目の柱でございます。
 3つ目は、そのレセプト単位ということにも絡みますが、御案内のように、現在、保険実務は暦月、それぞれ暦の月単位になっておりますが、同じ1か月という期間を考えたときにも、例えば月の途中の15日から入院をされて、10日ぐらいまで入院された方。入院期間としては20日前後でありましょうけれども、1日から入院された方と、15日から月をまたいで入院された方について、レセプトが2枚という形で分かれるということに伴う高額療養費の適用に当たっての問題点という御指摘もいただいているところでございます。
 4つ目において、先ほど入院についてはまとまったお金が支払いの場合に発生するということなどに着目をいたしまして、従来、現物給付化という仕組みにさせていただいております点をご説明しました。外来においても、そのような形での現物給付化というものができないだろうか。従来、外来につきましては一月の間に複数の医療機関にかかられる方がある。あるいは医療機関と調剤薬局の間をまたいで両方の負担が発生するケースがあるということから、その名寄せをどのようにするか。その名寄せをすることにより、公平な自己負担額の上限の設定ができるのではないかという観点から、なかなか実務的な課題を抱えているのではないかという議論がこれまでの議論かと思いますが、現在において、そこをもう一段見直して、外来における現物給付についての御指摘をいただいているというふうに受け止めております。
 それから、運用面の指摘といたしましては、高額療養費につきましては多くの保険者の方々がなるべく患者さんといいましょうか、被保険者の方々の負担を軽減するために、事務処理を簡単にできるような取組みをしていただいておりますけれども、それをより一層進められないかという御指摘。
 あるいは先ほど申し上げました、1万円疾病と言われている長期の疾病について、特に別冊にございますような幾つかの長期慢性疾患を抱えておられる患者さん、あるいはその関係者の方々から、このような形での負担軽減配慮をより広げられないかという御指摘をこれまでいただいているところでございます。
 19ページは、最後に申しました疾病について、これはいろいろな形での御議論あるいは御要望があるのかと思いますが、特に私どもとして御要望いただいているものについて、慢性骨髄性白血病(CML)、消化管間質腫瘍(GIST)、関節リウマチ、あるいは慢性閉塞性肺疾患(COPD)と言われるものについて、私どもの方で、ある程度、推計を交えての部分もございますし、特に「1月当たり総医療費」と書いてございます辺りは患者さんの状態によって、あるいはそこで受けられている医療によって、処方の違い、行われている医療の違いによって、月負担は必ずも1つではないと思いますが、ある程度の推計として、議論のためのイメージを整理させていただいております。
 また、20ページにつきましては、この問題を考えるに当たりましても医療保険財政というものが影響いたします。私どもとして、それぞれの保険について、保険者さんの財政状況について把握しているものをまとめたものでございますので、御議論の中で御活用いただければと思います。
 非常に雑駁ではございますが、事務局として用意させていただきました資料は以上でございます。
○糠谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、今の資料の御説明で、どうするという話はないわけですね。
 御質問・御意見等がございましたら、お願いいたします。
 高原委員、どうぞ。
○高原委員 確認ですけれども、この資料を課長は前もって配っておるという説明をさっきされたんですが、私、ここで初めて見たんですけれども、どうなんでしょう。せっかく、これだけ大きな資料があったら、前もっていただければいろんなことがあるんですが、この会議は大概、資料が来ませんものね。この場で配っておるんです。これは本当に前もって配られたんですか。
○吉田課長 私どもとして、それぞれ手分けをして委員の方々に事前にお届けをしたと思っておりますが、今、高原委員の方から御指摘がありましたように、高原委員にお渡しするのが今日であったとすれば、それは今後、なるべく早くに私どもで郵送あるいはメールなどを活用してお届けさせていただきます。本日については、御不便をかけて申し訳ございませんでした。おわびを申し上げます。
○高原委員 よろしくお願いします。
○吉田課長 あと、ほかの委員の方々につきましても、その辺りについて何かお気づきの点があれば、前広に御指摘をいただければ、事務局として汗をかかせていただきたいと思います。
○糠谷部会長 よろしゅうございますか。
○高原委員 はい。
○糠谷部会長 それでは、内容について御意見・御質問がございましたら、お願いいたします。
 それでは、柴田委員、どうぞ。
○柴田委員 事務局にお伺いしたいんですけれども、この資料は、今、制度がこうなっている。それから、要望がこうあるという話までだと思うんです。それで、要するにここで議論するというのは、結局は、この要望がこういうものがあるから、こういうことを事務局として改正したいという理解でいいんでしょうか。
○糠谷部会長 どうぞ。
○吉田課長 失礼いたしました。お手元の資料2の18ページで、私、説明を飛ばして恐縮でございます。
 要望の最後のところに(参考)として書かせていただいておりますが、このような御要望、あるいは国会での御意見・御質問を受け、政府といたしましては、ここに端的に菅総理大臣の御答弁を引用させていただいておりますけれども、政府としても「患者負担の現状や医療保険財政への影響等を勘案しつつ、その在り方を検討する」という基本的なスタンスに立ってございます。
そういう意味で、私どもとして検討すべき課題であるという認識の下、まずは私どもがこれまでいただいている御要望などを整理させていただいておりますけれども、委員の皆様方からのまた新たな御意見、あるいは御提案もあろうかと思いますので、是非、この部会において御議論いただいて、それをまた私どもで政務三役の方に御報告しながら、最終的な方向を整えてまいりたいと思っているという状況でございます。
○糠谷部会長 どうぞ。
○柴田委員 済みません、私ばかりで申し訳ないんですが、そうであるならば、例えば資料2の20ページに、こういうふうに各保険ともみんな苦しい状況になっているという、今、課長からもお話がございましたけれども、そういう中で、今日はもう無理だと思いますが、今後の話として、こういう見直しをするには、どのくらい財政影響があるということを示していただかないと、なかなか次に話が進まないのではないかというふうな気がしております。ですから、そこのところは是非、説明をお願いしたいと思います。
 それから、実施する時期でありますけれども、これは来年度からやろうということなんでしょうか。
○糠谷部会長 どうぞ。
○吉田課長 御質問を2ついただきました。
 後者の方から申し上げれば、私ども従来、準備の都合、あるいは財政への影響もございますので、早くて来年度というものを1つ、念頭に置いてございます。その改正内容あるいは御議論いかんによっては、財政影響の大きさもありましょうし、あるいは準備に、システム対応などもございますので、その時期の問題についても、御議論の結果とは思いますが、早ければ来年度からということを念頭に置きながら御議論いただければと思っています。
 1つ目につきまして、具体的な財政的な影響についても事務局の方で用意すべしという御指摘は私どもで承りました。それについてはいろいろと、どのような案をどのような形で設定するかということいかんで、数字は御案内のようにいろんな形でできるかと思います。私ども正直、本日に臨むに当たりましては、本日あるいは次回以降の御議論をある程度踏まえた上で、その選択肢に基づいて試算という形で事務局としての御報告を申し上げ、議論を更に深めていただくということを考えておりますけれども、特に本日、あるいは本日以降、会議の場の外でも、こういうものを試算してみろ、こういうものを考えてみろというような御要望があれば、できる範囲で私ども、時間はある程度いただきながらも努力してまいりたい。それをまた議論に供してまいりたいというスタンスでございます。
○糠谷部会長 確かに今の御指摘のように、これは何のために出しているのかというのがもう少しわかる説明をしていただいた方が委員の皆さんには、この資料の性格がわかりやすくなるだろうと思いますので、そこは次回以降、物を出すときには少し心がけていただいた方がいいと思います。
 どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。
 今のことと関連ですが、私は1~2日前に、この資料を拝見いたしまして、今日の話題は高額療養費制度の中で、高額医療費と高額介護費との合算とか、そういうことかと思っていました。もう一つ、私は後期高齢者でございまして、私も連れ合いも70歳前後になりましてから大病に次ぐ大病で、にもかかわらず、日本の保険医療制度のお陰で、そんなに財政的にダメージを受けず、その恩恵に浴して、高齢者はもう少し負担してもいいと思っているぐらいでございます。
 ただし、そのかわりにどうしてみんな、医療費に困っているのかと思いましたら、この資料2の6ページで、今、高額療養費における高額長期疾病、いわゆる特定疾病の特例というものが3疾病しかないと知って、改めてびっくりいたしました。そういえば、友人たちのパーキンソン病とか、がんの末期の方とか、いろいろな薬を使ったりして、医療費で家計がつぶれそうだという理由が私はわからなかったのですけれども。これは医療の専門家の御意見を伺ってみなければわかりませんが、要望書も山と出ているように、特定疾病の範囲をもう少し広げるべきだという意見を今日、多くの方がおっしゃるのではないか。私もそれに賛成するつもりでまいりました。
 でも、先ほどの委員の御指摘のとおり、このうちの何疾病を増やしたら、例えば財源的にどのぐらいになるだろうかというものをお示しいただかないと、判断基準もございませんので、是非、何がイシューであるか。そのための材料は何であるかということを是非お示しいただきたいと思って、同じ意見ですけれども、一言添えさせていただきました。
○糠谷部会長 大谷委員、どうぞ。
○大谷委員 樋口さん、ありがとうございました。私どもは白血病の患者さんたちを助けようと思って、この特定疾病の1万円制度をお願いしたいとかねてから言ってまいりましたけれども、非常に厳しいとずっと言われ続けながらも署名活動もしてきたんですが、今回、制度として一番問題だと思っていたのは、昭和59年からとか、平成8年から、やっと1つ、3番目にあります抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群、HIV感染者の方々には対象になりましたけれども、昭和59年10月から2件あるだけで、それ以降、動いていないんです。特に、この間ですけれども、白血病に関して言いましても、医療がすごく進んだこと。それから、それ以外にもたくさん要望が出ていますけれども、たくさん病気が新しくわかり、そして、治療ができることにより医療費が増大しているという、患者にとっては生き長らえるのでありがたいんですけれども、お金の面では大変というのはよくわかっております。
 でも、逆に言えば、それだけ医療が進んできて、生き長らえる患者さんがいるということは、生き長らえて働けるということは、それだけ税金にも寄与しているわけで、社会貢献もしているわけで、結局は、その人たちがお金を払っていく。でも、実際は医療費等で苦しんでいる。また、年金年齢になってきたときに、今まで働いてきたのにもかかわらず、まだそのお金を払い続けなければならないという、非常に矛盾点を抱えております。特にCML、慢性骨髄性白血病の患者さんにおいては、今まではほとんど亡くなる病気だったんですけれども、この薬ができたために生き長らえられるようになりました。私は骨髄移植をして元気になりましたけれども、あんな過酷な治療を全くしなくても薬で治る時代になったのはすごくうれしいんですが、一方で高かった。
 それで、ここに出ています費用は、費用だけを見ても高いというのはごらんいただけたと思いますけれども、資料2の19ページですが、グリベックが約33万円、タシグナが約55万円、スプリセルが約55万円。実は、これだけではありません。これは薬の費用でして、それに関わる検査費用とか、治療費とか、そういうものを考えていくと、それだけではないということもわかっていただきたいと思います。
 それから、これは誤解を、言葉の問題を承知の上でお話しさせていただきますけれども、白血病に関しては全く自己責任のない病気で、だれもがかかり得る病気でありますから、将来的には本当にもっとたくさんの患者さんたちが困っていくということは目に見えているわけです。私は白血病に関してだけはよくわかっていて、ほかの病気についてはよくわかっておりませんけれども、いろんな要望がたくさん出ております。先ほど樋口さんが言っていただきましたように、本当にたくさんの患者さんたちが苦しんでいますので、この昭和59年から全く動いていないという状況を何とかしてほしいと切に願いますので、この議題が出たことは大変うれしく思いますので、今後、是非、議論をしていただきたいと要望いたしたいと思います。
○糠谷部会長 岩村委員、どうぞ。
○岩村委員 ちょっとしたコメントと、あと、事務局へのお願いなんです。
 この医療保険制度の中で、高額療養費の制度は、ほかの給付に比べると特徴があると私は思っているんです。それはどういうことかといいますと、この高額療養費というものは、医療そのものの給付とか、あるいは病気にかかったことによって休んだとかということに対する給付ではないんです。
 それで、実際にはどういうことを目的としているかといいますと、1つは自己負担分が、ある一定額を超えたということを支給事由として給付するという点で、まずほかの給付と非常に違う。ですから、一定の経済的負担が発生するというのを言わばリスクとして行う給付であるというのが1つ。もう一点は、所得階層によって限度額が違うということは、この制度を通して一定の所得の再配分をやっているということ。そこももう一つの特徴であると思います。
 それから、今、話題になりましたけれども、特定疾病について、更に高額療養費の特例がある。これは、ある一定の疾病にかかったことによる特別の給付を行うという性格のもので、少なくとも3つぐらいのものが実は、この制度の中に混在しているんです。それで、今の制度はそれを全部、実はどんぶり勘定で財政的にやっていて、目的に照らして財源がどうあるべきかとかというようなことは余り考えていないんです。
 ただ、所得の再配分ということになりますと、それを医療保険の枠の中でどこまでやるのかというのは1つ議論の余地があるように思いますし、それから、一定の額の負担になったというのは、むしろ逆に言うと、一定のリスクが発生したらやるという意味では、これは保険の論理には非常に乗りやすい。それから、特定疾病は、これも一定の病気にかかったときに特別の給付をしましょうということなので、どちらかというと、保険の論理には乗りやすい。
 ただ、特定疾病の枠を広げるということは、それだけ言わば、ある特定の病気などに関係する給付を特別に払いましょうということなので、その分、保険料の上乗せをしましょうという話になるのが保険の論理からするとなるだろうというような話になるでしょう。
このように、高額療養費の制度には幾つかの議論が絡んでいまして、交通整理をせずにこの議論をしていくとごちゃごちゃになりそうな気がします。ですので、少し、その辺、事務局で資料をつくる際に議論の整理を試みていただけると、議論が混線せずに済むのかなと思っております。
 もう一つ、お願いですが、高額療養費とかそういったものに、非常に高額の医療費がかかるものについては、国保ですと都道府県レベルで共同事業をやっていたり、あと、聞くところですと、健康保険組合の連合会でもそういうものをやっているというふうに伺っていますので、そういったこともこれに関連してと思いますから、資料などを出していただければと思います。
 以上でございます。
○糠谷部会長 どうぞ。
○岡崎委員 論点整理をもう少ししたらどうかというお話も出ており、私もそう思うんですが、例えば、やはり国保を預かっておりますと、最近の国保の加入者はもともと低所得者が非常に多いという構成になっておりますけれども、特に近年のいろんな給与の削減でますます所得は下がってきておりますし、またリストラに遭ったり、いろんな意味で新たに国保に入ってくる方々は非常に所得が低い方々も多くなっておりますので、一定の自己負担額、特に、例えば資料2の2ページの表で、上位所得者と一般と低所得者という区分になっていますが、国会でも議論になっておりますように、一般所得の方々の部分をもう少し下げてあげたらどうかとかという論議も当然出てくる話でございますので、やはり検討したらどうかと思います。
 ただ、少し幾つかの論点整理をして、先ほど柴田理事長も言われましたが、もし、これを見直すとしたら、どのくらいの新たな財源が要るかという資料がないと、どの部分をどの程度見直すかという具体的な論議がしにくいと思います。例えば資料2の最後の20ページの各保険者の財源の資料は、財源がないということを示している資料なので、制度を一定見直すということになりますと、どこからその財源を負担するのかということになります。例えば保険料から負担するのか、国費が出てくるのかということになりますので、やはり論点整理を少し絞り込んだ上で、財政負担がどのぐらいで、それをだれが見るのかというところのポイントに絞り込んだ方がいいのではないかと思います。
○糠谷部会長 ほかに御意見・御質問はございますか。
 どうぞ。
○齊藤正憲委員 この高額療養費制度ですけれども、医療費の自己負担が重くならないということで、負担の上限を定めるこの仕組みは、医療サービスを安心して受けるというためには、非常に有意義であると思っております。ただ、先ほどから出ております医療保険財政の状況等を勘案した場合、本当にどこまで必要なのか、みんなが助け合いのために出せるのか、というのが1つ問題だと思います。
 また、一方では多くの人が、万が一に備え、特にがん保険等はそうでございますけれども、民間保険等を活用して対応しているというような事実もございますので、限度額とか負担の在り方を検討するに当たりましては、いわゆる自助自立の考え方をあまり阻害することのないような形で、今後、検討していただけたらと思います。
 以上です。
○糠谷部会長 ほかに御意見・御質問等はございますか。
 小島参考人、どうぞ。
○小島参考人 高額療養費に関して、3つほど指定されております特定疾病の対象を追加すべきという要望が幾つか出ております。
 今日の参考資料3で、難病連の皆さんの方からも、難病を含めた高額療養費の在り方の見直し要望がありますが、今、政府が行っている難病支援策との関係を整理しておく必要があるのではないかと思いますので、是非、そういう資料も出していただきたいと思います。
○糠谷部会長 どうぞ。
○小林委員 資料2の18ページに改善の要望ということで幾つか出ておりますが、このうちの「○ 外来における高額療養費の現物給付化」については、運用が実際にはどこまでできるかという検討が必要になってくるのではないかと思いますが、これは方向としてはいいのではないかと考えておりますので、例えば1つの医療機関の外来で自己負担限度額を超えるような高額な医療費がかかるケースなど、実現できそうな部分から前向きに検討していくべきではないかと思います。長期的に高額な薬剤が必要となるケースは、数としてはそう多くないと思いますが、窓口の支払いで苦労されている利用者の利便性が高まりますとともに、保険者にとっても、これは支給事務の簡素化につながるということもありますし、医療機関にもメリットがあると思いますので、検討を進めていかれたらいいのではないかと思います。
 ただ、先ほどからほとんどの方がお話しになっておりますし、菅総理大臣の答弁の中にも「患者負担の現状や医療保険財政への影響等を勘案しつつ、その在り方を検討」というふうにありますとおり、制度改正に伴って保険財政への影響を見ていく必要があると思いますので、今後、検討が進む中で、事務局には制度改正の議論に当たっての財政影響についても、是非、資料をお願いしたいと思います。
 それから、今回は出産育児一時金と高額療養費という現金給付の議題となっておりますが、昨年12月に私ども協会けんぽから提案いたしました、傷病手当金と出産手当金に係る制度改正の要望についても議論を引き続き行っていただきたいと思います。資料にございますように、協会けんぽとしては非常に財政が厳しい中で、今回、かつてない大幅な保険料率の引き上げを認めていただいたこともありまして、給付面でも、特に重点化すべきところは重点化すべきであると考えております。現金給付の審査など、自ら運用改善ができる部分については努力しておりますが、運用改善だけでは限界がありますので、制度面での改善についてもきちんと議論をしていただきたいと考えています。
 もし御了承いただけるのであれば、次回の部会で私どもの傷病手当金等の実情について資料を提出させていただきたいと思っております。また、事務局から傷病手当金などの現金給付の議論が進むような資料を出していただけたらと思いますので、併せて、よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○糠谷部会長 事務局、それについて何かありますか。
○吉田課長 昨年12月にここで御議論いただいたときの経緯もございます。また、その後の事情もありますし、我々なりの研究・検討もございますので、意を体して対応させていただきたいと思いますし、また、先立っては部会長の方にも御相談しながら進めさせていただきたいと思います。
○糠谷部会長 それでは、ほかに御意見・御質問等はございますでしょうか。
 大谷委員、どうぞ。
○大谷委員 まず、この高額療養費制度という仕組みを、この大事な議論のすごく以前の話なんですけれども、実は現実に困っておられる患者さんたちが知らないという事実を皆さんは御存じでしょうか。私たちはこうやって会議をしておりますから、こういう制度があるというふうにわかっておりますけれども、一般の患者さんたち、初めて病気になった患者さんたちは、その制度すら知らなくて、そんなものは行政に行って聞けばわかるではないかと言われますが、行政に行くことすらも感じなくて、これは実刑になりましたので御存じだと思いますけれども、子どもが病気になったのでお金が払えないという理由で母が子を殺してしまうとかという事件が実際に起こりました。それから、この慢性骨髄性白血病の治療薬、グリベックで言いますと、そのグリベックのお金が払えないから実はこっそりと薬を飲んでいなかったという症例が実際にあり、その人は当然のことながら徐々に悪化していき、今はどうしようもない状況に置かれている人たちがいます。
 これは多数該当の仕組みさえ知っていれば、こうは言っても、1万円の特定疾病に入れてほしいと言いつつも、実は多数該当の仕組みに当てはまるグリベックなんです。ですから、4万4,400円を3で割れば3か月に1回、平均すると実は1万1,400円ぐらいで済む金額なんです。でも、それすら知らなかったので、それを知っていれば多分、殺人も休薬もなかったと思うんですけれども、それが御存じなかった。それから、今日現在でもですが、実際はこの現実を知らなくて、お金をかき集め、そして、必死になって払っているという人からの連絡を受けています。それから、年金をもらっておられる方であると、どうやって死ねば子どもに迷惑をかけられないかと思って、お金が払えなくて困っている。でも、こういう仕組みがあります。それから、生活保護という仕組みがありますといちいちお伝えしなければならないのは非常に問題だと思っています。
 この仕組みをしっかりと知っていくこと。それから、実際に財源がどれだけあるからどうなっていくかという議論は勿論、これから、この会議でしていかなければならないですけれども、早急に患者さんを救済する一つの方法として、こちらにもメディアの方もたくさんいらっしゃいますので、高額療養費制度というものが日本の社会にはあるということをきちんと知らせる方法を、まずは厚労省としても考えていただきたいですし、メディアにいらっしゃる皆様方にもお手伝いをいただきたいですし、私たち患者会としても、言ってはいますけれども、そこでも漏れてしまう人たちが殺人や休薬という悲惨な事件になってきていますので、そういう点もまず、この議論の場とは少し違うんですが、御理解をいただきたいというふうに切に願っております。
○糠谷部会長 それでは、そろそろ時間も迫っておりますので、お二人続けて、簡潔にお願いいたします。
○高原委員 グリベックというものはすごく高いお薬ですけれども、実は薬剤費自体が非常に日本の総医療費を上げているというところがございます。今日は時間がございませんので、後から委員の方に資料だけお配りします。この次に、そのところまで話ができればいいと思います。
 以上です。
○糠谷部会長 それでは、鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 私は今回、実は初めて詳しく高額療養費について勉強させていただいたんですが、読めば読むほど日本の高額療養費制度というものは実にすばらしい、所得の低い方でも治療が受けられる制度であると思って、改めて日本の社会保険制度はすばらしいと思ったんですが、私が白川委員と隣同士で座っているというのも午前中の会議からすると違和感もあるんですけれども、やはりみんなで少しずつ、財政状況も考えながら充実していくという方向で、さっきおっしゃられたように、知らない方がまだ多いような気がするんです。これをもっと利用していただければ助かる方がかなりいらっしゃるのではないかと思うので、まずそこを是非、遠慮しないでもっとどんどんPRしていただければと思います。
○糠谷部会長 それでは、大体よろしゅうございますか。
 何かお答えはございますか。
○吉田課長 端的に、これまでの御議論の中で、樋口委員から1万円疾病が少ないというお話がございました。先ほど小島参考人からもお話がございましたように、この医療保険の制度とは別に、いわゆる難病、子どもの難病、大人の難病に対する助成制度、あるいは障害医療に対する助成制度など、医療費負担をどのように支援するかという仕組み全体について、次回以降、また資料を用意させていただきたいと思います。
 また、費用について大谷委員の方から、この資料にまとめさせていただいた薬代だけではないという御指摘がございました。そういう意味で、今回、別冊で設けさせていただきました要望書等の後ろの方に、これは私どもというよりも研究者の方々などが広くおやりになったアンケートなどの調査を、一部抜粋にはなってございますが、引用させていただいておりますので、またこういうものもごらんいただければと思います。この中には、この施策の認知度がまだ80%弱という数字であるということも書いてございます。私どももまた、御指摘いただいて、努力をしてみたいと思います。
 その他、いろいろと御指摘がありました資料につきましては、私ども事務局で部会長とも御相談しながら、次回、準備をさせていただきたいと思います。
○糠谷部会長 それでは、よろしければ、本議題につきましては、本日の御意見等も踏まえまして、今後、引き続き議論を行うということで、本日は、これまでとさせていただきます。
 最後に、議題の「3.その他」といたしまして、事務局より報告事項がございます。事務局、よろしくどうぞ。
○神田課長 時間が迫っておりますので、簡潔に御説明させていただきたいと思いますが、お手元の資料3「医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律の概要」でございます。これは昨年11月から12月にかけまして3回、この場で御議論をいただいた内容につきまして法案を提出いたしまして、さきの通常国会で成立いたしております。
 内容は、そこに書いてございますような3つの制度の保険料を軽減するための措置ということでございます。国民健康保険につきましては、広域化を推進するために都道府県で「広域化等支援方針」を策定できることにしたということ。それから、協会けんぽの国庫補助率の引き上げを行いました。それの財源の一部に充当するということで、後期高齢者の支援金について3分の1、総報酬で分担するという方法を入れさせていただくというような内容でございます。
 国会での審議の状況でございますが、2月12日に国会に提出いたしまして、衆議院・参議院、合わせまして、参考人質疑を含めまして、36時間の審議をいただきまして、5月12日に成立し、19日に公布され、一部のところにつきましては7月1日からの施行というふうになってございます。
 それから、最後のページに参議院の厚生労働委員会におきまして、拠出金負担が重い保険者に対します財政支援というものを平成24年までの間も継続し、かつ更に充実するというようなこととか、高齢者医療制度の費用負担の調整につきまして、広く関係者の意見をお聞きするというようなこととか、若年者の負担が過大にならないように、公費負担を充実するという附帯決議をいただいているということでございます。
 続きまして、お手元の資料4で、少し時間が十分ございませんので、十分な説明が必ずしもできないかと思いますけれども、実は平成13年に中央省庁改革に伴いまして、行政機関が行う政策の評価に関する法律に基づきまして、各省庁で目標を立てまして、それの政策評価を行うということをいたしております。
 まず、基本計画というものを策定しております。これは5年間の計画でございます。厚生労働省で言いますと、平成14年度を初年度としまして、第1期の計画が平成14年から18年まででございましたが、平成19年に第2期がスタートいたしております。
 それで、この第2期の基本計画に基づきまして、それぞれ目標を立てるということになっております。資料4の1ページ目にございますように、12の分野につきまして基本目標を立てることになっておりますけれども、最初に「安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること」というものが基本目標でございまして、その下に大目標がございまして、それが「全国民に必要な医療を保障できる安定的・効率的な医療保険制度を構築すること」ということでございます。
 その下に中目標がございまして、中目標の一つは「適正かつ安定的・効率的な医療保険制度を構築すること」ですが、もう一つは「生活習慣病対策や長期入院の是正等により中長期的な医療費の適正化を図ること」。こういう中目標が2つございますが、実施計画の中で、こちらの中目標の1番目については毎年度、実績評価を行うということになっております。先ほど申し上げた2つ目の医療費の適正化については、平成23年度に実績評価をするというふうになってございます。この中で、実施計画の中におきまして、中目標に対する指標を立てることになっております。
 中目標の下に小目標がございまして、2ページをごらんいただきますと、中目標を達成するための3つ、それをブレークダウンした小目標といたしまして、1つは「保険者の再編・統合や保険者の財政基盤の強化を通じて、医療保険財政の安定を図ること」。2点目は保険の基本でありますが「保険者の適用・徴収・給付事務を適切かつ効率的なものにすること」。3点目は「審査支払機関の事務が適正かつ効率的なものとなるようにすること」というような目標がございます。
 それにつきまして、例えば5ページ目をごらんいただきますと、それぞれ、今、言ったような目標について、どういう指標で評価をするのかということになっております。5ページは全体でございますが、全体につきましては赤字の保険者数割合で評価をするということで、前年度以下に赤字の保険者が減っていくという目標を立てております。例えば健康保険組合とか市町村国保のところを見ていただきますと、健康保険組合は赤字が増えているので達成率が低いということですが、市町村国保は赤字が減ったということで達成率が高いというような、こういう数値で指標化をして評価するということにいたしております。
 9ページ以降が小目標の指標となっておりまして、1つ目の財政の安定化につきましては、今、申し上げた中目標と同じ赤字の保険者割合で評価をするということになっております。
 12ページ目が小目標の2つ目で、適用・徴収・給付のところにつきましては、1つは保険料収納率で評価をするということで、ここをごらんいただきますと、健康保険組合、後期高齢者広域連合、国保組合などでは非常に高い収納率を維持しておりますけれども、市町村国保については平成20年度から後期高齢者医療制度が施行されまして、比較的収納率の高い方々が後期高齢者医療制度に移行したというようなこと。また、景気の動向等もありまして、収納率が2.1%下がっているというようなことになってございます。
 それから、医療保険制度における医療費通知というものもその指標に書いてございまして、ほとんどの保険者で医療費の通知がされているというようなことでございます。
 15ページ目が小目標の3で、審査支払機関の事務が適正かつ効率的になるようにということで、1つ目は審査支払手数料の額を前年度以下に下げていくという目標を立てております。電子媒体で請求されたもの、オンラインで請求されたものを、保険者側で電子媒体とかオンラインで受け取りますと、そこに書いてございますような110円とか108円ということで、審査支払手数料が引き下げられてきているということでございます。
 それから、レセプトの電子化の率も目標になっております。これをごらんいただきますと、全体では75.6%ですが(注)のところをごらんいただきますと、先ほど申し上げたように、医科病院では平成21年度では97.4%、医科診療所は71.6%、調剤はほぼ100%というような状況になってございます。
 それにつきまして、それぞれのところに評価が書いてございます。全体の評価につきましては6~7ページに書いてございまして、評価につきましては、ここでるる御説明いたしませんけれども、非常に保険財政が厳しい状況になっているということを含めまして、7ページの(今後の方向性)のところで、先ほど申し上げたような法律改正を行わせていただいたというようなこととか、保険者の再編・統合をこれから検討はする必要があるけれども、保険者機能の発揮に留意していく必要がある。一方で、医療費の適正化も進めていく必要があるというようなこと。
 それから、8ページで、特に後期高齢者医療制度につきましては現在、見直しをするということで高齢者医療制度改革会議で検討しており、平成22年末を目途にとりまとめを行って、平成25年度を目途に新しい制度を施行するというような今後の方向性を記載いたしております。
 これはあくまでも実績評価の私どもの案でございますが、有識者の方々の御意見を反映させた上で、8月上旬に省全体としての有識者の方々の意見を聞く場を設けまして、8月下旬に確定をさせまして、総務省に報告をするということにいたしております。省全体の有識者の会議にお諮りする前に、分野ごとに有識者の方々の御意見を聞くようにという手続になっておりますので、今日、この場で御説明をさせていただいたということでございます。
 ただ、既に時間がまいっておりますので、恐縮でございますが、御意見等がありましたら、来週いっぱいぐらいに事務局の方にお寄せいただければと思いますし、御質問等がありましたら、この場でもお答えできることはお答えしますし、また事務局の方にお問い合わせいただけると幸いでございます。
 以上でございます。
○糠谷部会長 それでは、今、お話のように時間が過ぎておりますけれども、特に何か、この際、御質問・御意見がございましたらば出していただきまして、また、今、課長からお話がありましたように、事務局の方に直接、事後に提出なり、御意見を聞いてもらう、御質問をするということにしていただいたらと思いますが、特にこの場でということがどなたかございますでしょうか。
 どうぞ。
○岡崎委員 済みません、1点だけ、手短に申し上げます。
 御承知のとおり、例えば国保の財政問題などは構造的な問題であり、構造的になかなか改善できない部分がいろいろありますので、これは一例ですけれども、そこを踏まえて書いていただいているようには思えますが、それぞれいろんな意味で、構造的なものでなかなかうまく改善できないものがありますので、そこは十分配慮して書いていただきたいということを少し言っておきます。
○糠谷部会長 ほかに何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、予定の時間も過ぎましたので、本日はこれまでとさせていただきます。
 次回の開催につきましては、追って事務局から御連絡をすることにしたいと思います。
 本日は御多忙の折、時間が過ぎて恐縮でございましたけれども、大変ありがとうございました。これにて散会といたします。


(了)
<照会先>

保険局総務課企画調査係
   TEL:03(5253)1111
     (内線3218)

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