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2010年7月23日 第8回高齢者医療制度改革会議議事録
○日時
平成22年7月23日 15:00~17:00
○場所
中央合同庁舎5号館 厚生労働省内省議室(9階)
○出席者
阿部委員、池上委員、岩見委員、岩村委員(座長)、岡崎委員、小島委員、鎌田委員、 |
神田委員、見坊委員、小林委員、近藤委員、齊藤委員、白川委員、堂本委員、 |
樋口委員、藤原委員、三上委員、横尾委員 |
長妻厚生労働大臣、足立厚生労働大臣政務官、山井厚生労働大臣政務官 |
<事務局> |
水田厚生労働事務次官、外口保険局長、唐澤審議官、神田保険局総務課長、 |
吉岡保険局高齢者医療課長、伊藤保険局国民健康保険課長、吉田保険局保険課長、 |
村山保険局調査課長、佐藤保険局医療課長 |
○議題
中間とりまとめ(案)について
○議事
○岩村座長
それでは、会議を始めることにいたしたいと思います。委員の皆様方には、本日は御多忙の折、また、大変な暑さの中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。定刻でございますので、ただいまから第8回「高齢者医療制度改革会議」を開催することにいたします。
本日は、第8回目の改革会議になります。前回の会議における総括的な議論も踏まえまして、事務局の方で「中間とりまとめ(案)」を御用意いただいております。今日は、これをたたき台としまして議論を進めていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
そこで、まず最初に、長妻大臣から御挨拶をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
○長妻大臣
どうも皆様、こんにちは。マイクが2本切れまして縁起が悪いわけでありますが、今日は大変暑い中、お集まりをいただきまして、しかもこの部屋が大変申し訳ないことに冷房のききが悪いところでございますが、上着を脱いでいただいて御議論をいただければと思います。
本日は「中間とりまとめ」のたたき台を御議論をいただくと聞いております。つい先ほど、私の方から総理に、これまでの7回の議論も含めて総合的に報告に参りまして、総理からは国民の皆さんの関心が非常に高い案件であるので、本当に怠りなきよう議論を詰めてほしいというような話もありまして、本当に皆様方のお知恵をこれからもいただければありがたいと思っております。
今日も案内が資料に入っていると思いますけれども、今後、公聴会なども予定をされておりまして、国民の皆様からもいろいろと幅広く御意見をお聞きをします。本日は「中間とりまとめ」のたたき台の御議論だと聞いておりますけれども、8月末には「中間とりまとめ」がお示し願えればありがたいと考えているところであります。
この制度は1回、後期高齢者医療制度ということで大変批判を浴びた後の議論でありますので、もはや失敗は許されないと私も心得ております。是非、皆様方の今後ともの御議論、そして国民の皆様方の御議論と、皆様方の御指導をいただきますよう、よろしくお願いをいたします。ありがとうございます。
○岩村座長
長妻大臣、どうもありがとうございました。
それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思います。
(報道関係者退室)
○岩村座長
それでは、先ほど申し上げましたように、今日は事務局の方で「中間とりまとめ(案)」を御用意いただいております。議事に入るに先立ちまして、この「中間とりまとめ(案)」について、そのポイントと先般実施しました意識調査の結果の概要につきまして、事務局の方から御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○吉岡課長
それでは、お配りしている資料のクリップを外していただきまして、表が議事次第、その次に座席図でございますが、その次に資料1といたしまして「中間とりまとめ(案)」をお配りをさせていただいております。ポイントを御説明させていただきたいと思います。
まず、1ページ目は「現行制度の問題点」でございます。2つ目の丸にありますのは、現行の後期高齢者医療制度の一定の利点でございます。かつての老人保健制度が抱えていた問題点を改善し、高齢者の医療費に関する負担の明確化が図られたこと、そして、都道府県単位の運営が図られたことは、一定の利点があったということでございます。
一方で、3つ目の丸でございますが、現行制度の問題点でございます。最大の問題点は、75歳に到達した途端に、これまでの制度から区分された独立型の制度に加入させることであります。また、後期高齢者という名称、高齢者の医療費の増加に比例して高齢者の保険料が増加すること。更には広域連合としたことに対して、さまざまな問題点が指摘されているということでございます。
4つ目の丸では国保の問題でございます。運営の広域化を図ることが長年の課題となっております。
その上で、2ページからが新たな制度の基本骨格でございます。最初の丸にありますのが、後期高齢者医療制度を廃止し、地域保険は国保に一本化するということでございます。
加入する制度ですが、年齢で区分することなく、何歳になってもサラリーマンである高齢者の方や被扶養者は被用者保険に、これら以外の地域で生活している方は国保に、それぞれ現役世代と同じ制度に加入するということでございます。
3つ目の丸にありますように、高齢者も現役世代と同じ制度に加入することにより、年齢によって保険証が変わるようなことはなくなり、保険料・高額療養費等の面でもメリットが生じるということでございまして、4つ目の丸に、その具体的な事例を掲げております。
また、一番下の丸でございます。働いている高齢者の方は、被用者保険に加入することにより、傷病手当金等を受けることができる、保険料は事業主と折半になる、被扶養者の保険料負担はなくなるといったメリットが生じるということでございます。
次の3ページに、2といたしまして「国保の運営のあり方」であります。2つ目の丸ですが、新たな仕組みの下では、多くの高齢者が国保に加入するわけですが、単純に市町村国保に戻ることとなれば、多くの高齢者の保険料が増加し、保険料格差も復活します。また、市町村国保の財政基盤を考えれば、再び市町村国保が高齢者医療の財政運営を担うことは不適当であるということで、したがって、市町村国保の中の少なくとも75歳以上の高齢者医療については、都道府県単位の財政運営とすることが不可欠となるということでございます。
この場合の都道府県単位の財政運営とする対象年齢は、75歳以上とする場合と65歳以上とする場合が考えられるが、引き続き検討するという整理にいたしております。
次の4ページでございます。2つ目の丸ですが、市町村国保の財政基盤を考えると、高齢者のみならず全年齢を対象に、国保の広域化を図ることが不可欠ということで、下から3行目からですが、都道府県単位の財政運営に向けた環境整備を進めた上で、全年齢を対象に都道府県単位化を図るということで、その移行手順については二通りの意見を併記させていただいております。期限を定めて全国一律に都道府県単位化すべきという意見と、合意された都道府県から順次都道府県単位化すべきという意見があり、引き続き検討するという整理にいたしております。
「(2)運営の仕組み」でございます。市町村国保を都道府県単位の財政運営とする場合においても、窓口サービス、保険料の徴収、健康づくりなどの保健事業は市町村が行うことが必要であるということで、一番下の丸でございますけれども、収納率の向上が大きな課題となっている市町村国保の現役世代も含めた広域化の実現を視野に入れ、保険料の収納対策に市町村が積極的に取り組むことを促す仕組みに改めることが必要であるといたしております。
その上で5ページに、具体的な仕組みを明示をさせていただいております。
そして、3つ目の丸でございますが、以上を踏まえ、まずは都道府県単位の運営主体は都道府県単位の標準保険料率の算出・会計の処理等の事務を行い、市町村は保険料の賦課・徴収、資格管理、保健事業等の事務を行うといった形で分担と責任を明確にしつつ、国保を地域の総合力により共同運営する仕組みとするということでございます。
「(3)運営主体」でございますが、6ページをお開きをいただきたいと思います。「都道府県単位の運営主体」を具体的にどこにすべきかについては、都道府県が担うべきとする意見が多数であったが、慎重な意見もあり、今回の「中間とりまとめ」により明らかになる新制度の全体像を踏まえ、また、将来的な財政試算等を明らかにしつつ、引き続き検討することにいたしております。
更に「財政リスクの軽減」に関しましては、財政安定化基金を設置し、安定的な運営を図ることができる仕組みとするということでございます。
大きな3点目「費用負担」でございます。最初の丸の中ほどからでございますが、国保・被用者保険の制度間で高齢者の加入者数に大きな偏在が生じることから、引き続き高齢者の医療費を国民全体で公平に分担する仕組みを設けることが不可欠ということでございまして、保険者間の調整の仕組みとしては、○1にありますような後期高齢者医療制度のやり方、○2にあります老人保健制度や前期高齢者の財政調整のようなやり方、○3の両者を組み合わせる方法があるが、どのような仕組みが適切か、財政試算を明らかにしつつ、引き続き検討するということでございます。
その下の丸でございます。また、新たな制度への移行に伴い、高齢者の保険料負担・患者負担、市町村国保、協会けんぽ・健保組合等の各保険者の負担が大幅に増加することのないようにするとしております。
次の7ページ「(2)公費」でございますが、2つ目の丸であります。公費については、高齢者や現役世代の保険料負担の増加を抑制するために、効果的な投入を図りつつ充実させていくことが必要であり、今後の高齢化の進行等に応じた公費の投入のあり方について、引き続き検討するということでございます。
「(3)高齢者の保険料」です。国保に加入する75歳以上の方の保険料水準については、引き続き医療給付費の1割相当を保険料で賄うということでございます。
一番下の丸に飛びまして、「現行制度では」として2行目からでございますが、高齢者の保険料の負担割合を段階的に引き上げる仕組みになっているが、基本的に高齢者の保険料の伸びが現役世代の保険料の伸びを上回る構造となっている。このため、高齢者人口の増加と現役世代人口の減少に伴う現役世代の保険料の増加分を、高齢者と現役世代とで適切に分担する仕組みを設けるといたしております。
また、次の8ページでございます。上から3行目ですが、高齢者の保険料の伸びが現役世代の保険料の伸びよりも大きく乖離することとならないよう、財政安定化基金を活用して高齢者の保険料の伸びを抑制できる仕組みを設けるといたしております。
2つ目の丸で、高齢者の保険料については、現役世代の保険料と合算し世帯主が納付するということです。これによりまして、世帯主以外の高齢者は保険料の納付義務がなくなり、年金からの天引きが必要ないものとなるが、高齢者世帯の世帯主で希望される方は、引き続き年金からの天引きも実施できるようにするとしております。
また、保険料の上限でありますが、国保の世帯単位の上限に一本化した上で、段階的に引き上げるということであります。
次の丸で、低所得者の保険料軽減の特例措置については、新たな制度の下で合理的な仕組みに改めるということであります。
「(4)現役世代の保険料による支援」ですが、引き続き現役世代の保険料で支えるということが必要になるわけでございます。9ページに「その際」ということで、国保と被用者保険者間は加入者数による按分、被用者保険者間では、負担能力に応じた支え合いにすべきであり、その具体的な按分方法については引き続き検討するといたしております。
「(5)高齢者の患者負担」でありますが、高齢者の患者負担については、負担能力に応じた適切な負担にとどめることを基本とするといたしております。特に、70歳から74歳までの方の患者負担については、現在、2割負担と法定されている中で、予算措置により1割負担に凍結しているが、そのあり方について引き続き検討するということでございます。
次の大きな4番目の「医療サービス」についてでございます。この点につきましては、2つ目の丸にございますように、別途の場において議論が進められるということでありますので、基本的な視点を3点掲げているところでございます。
次の10ページでございます。5番目の「保健事業等」でありますが、2つ目の丸に新たな仕組みの下では、75歳以上の方も国保や被用者保険にそれぞれ加入することとなり、健康診査等についても、各保険者の義務として行うということであります。
特定健診・特定保健指導につきましては、3行目でございますが、引き続き取り組みを進めていくが、今後の具体的なあり方については別途技術的な検討を進めることが必要としております。
4点目で、特定健診等をより円滑に推進するための方策を講じること。また、5番目の丸で、都道府県単位での健康増進や医療費の効率化に向けた取り組みを一層推進していくこと。併せまして、各保険者における医療費効率化の取り組みのさらなる充実を図るといったことを記載させていただいております。
最後に、11ページに「今後の検討等の進め方」でございますが、引き続き検討することとした事項については、更に議論を深めていく。そして、年末までに新たな制度の具体的な内容をとりまとめるということでございます。
また、後期高齢者医療制度導入時の反省に立ち、現時点から地方自治体等の意見を十分に聞きながら、着実にシステム改修や広報等の諸準備を進めるといたしております。
以上が「中間とりまとめ(案)」でございます。
次の資料2でございますが、新たな制度に関する基本資料というものをお配りをしております。1枚お開きをいただきますと、「新制度の方向性」という資料をつけさせていただいております。
一番上の囲みにございますように、後期高齢者医療制度の問題点を改めるとともに、利点は残し、更に後期高齢者医療制度の廃止を契機として国保の広域化を実現するということで方向性を示した資料を添付させていただいております。
このほか、基本的な資料を3ページ以降、添付をさせていただいているところでございます。
次に、資料3でございますが、少し分厚目のもので参考資料をお配りしております。1枚めくっていただきますと、目次をつけておりますけれども、5つの項目に分けまして、さまざまなデータ等を添付をさせていただいているところでございます。
次の束が資料4で「新たな高齢者医療制度に係る意識調査〈5月実施分〉の結果(概要)」でございます。5月に実施いたしました意識調査でございますが、一般の3,265人の方から回答をいただきました。また、有識者の方につきましては、116人の方から御回答をいただいたところでございます。
委員の皆様方には事前にお渡しをさせていただいておりまして、時間の関係もございますので、改めて内容の説明は省略をさせていただきますけれども、本日提示をさせていただきました「中間とりまとめ(案)」の方向性と国民の方々の意識には、基本的な差異はないのではないかと考えているところでございます。
次に、資料5といたしまして、前回「第7回会議における意見の概要」をまとめた資料、次に資料6といたしまして「第6回会議までの意見の概要」をまとめたもの、最後に資料7といたしまして「委員配付資料」でございますが、本日、神田委員の方から全国知事会のプロジェクトチームの「中間とりまとめ」に関する資料などを御提出いただいているところでございます。
資料については以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○岩村座長
ありがとうございました。
それでは、これから各委員から今日の「中間とりまとめ(案)」というテーマにつきまして、御意見を頂戴したいと思います。いつものことでございますが時間が限られておりますので、御発言はなるべく手短にお願いを申し上げます。
それでは、阿部委員、どうぞ。
○阿部委員
ありがとうございます。
今日の「中間とりまとめ(案)」の2ページ「制度の基本的枠組み」につきましては、特段の意見はありません。賛成でございます。
次に3ページ「国保の運営のあり方」の「財政運営単位」について、今も吉岡課長から御説明がありましたように、75歳以上の高齢者医療については、都道府県単位の財政運営とすることが不可欠だとしています。そして、75歳以上を65歳以上とすることも検討していくとなっていますが、これは問題だと思います。
この考え方は、後期高齢者は一旦国保に戻すけれども、国保の中でまた年齢区分を行うことになるのではないか。つまり、国保の中で高齢者を切り離す仕組みは、現在の後期高齢者医療制度における年齢区分とそう変わらないのではないか。いろいろな理由は挙げておられますが、例えばよくなる点として、交付される国保の手帳は個人単位から世帯単位になる。あるいは被用者のところへ戻る方については、被扶養者の保険料はなくなる。そういう利点がありますよと書いてありますが、これは元の制度に戻るわけでありまして、特別の利点とかでなくて当たり前のことであると考えております。
しかし、また一方で、一部の高齢者だけではなく、全年齢を対象に都道府県単位化を図ることも書いてある。ですから、この年齢区分は全年齢の都道府県単位化を図るまでの暫定的な措置かなと思ったら、そうではない。それは基本資料の表紙の裏、2ページ目に先ほど説明があったように、後期高齢者医療制度の利点があります。赤い字で書いてある下の欄、「改善」「維持」と矢印で書いてありますが、右側の「維持」のところの、○1高齢者の医療給付費について、公費・現役世代・高齢者の負担割合を明確化と書いてあります。これが長年の課題であったことは承知しております。また、そのことも必要だと思いますけれども、これは新制度になってもこのまま維持していくことでありますから、将来にわたって明確化を図るために、国保の中でも年齢区分をしなければならないというふうにつながっているわけですね。そこが私は問題だと思うんです。
なぜかというと、65歳、75歳、どちらになるかは別にして、年齢による保険料設定をするわけですね。年齢別保険料になるわけです。どうしてそういうことをしなければならないのか。それは先ほど言ったように、負担の明確化を図るために必要だと言っているんですけれども、私どもはそれを明確化するということであれば、こういう方式ではなく国保会計の中に勘定区分を設けて、それをわかるような仕組みにする方法はあるのではないかと。例えば、高齢者医療費勘定というような勘定区分を国保会計の中に設けることは可能なわけですから、そういうことで負担区分を明確化することができるのではないか検討してもらいたいと私は発言をしています。
これはこの場では余りふさわしくないかもしれませんけれども、前政権時代に後期高齢者医療制度の検討会を設置してその中でも議論されていることなんですね。高齢者のための医療制度を今、つくろうとしているときに、どうしてそういう切り離しをするのか。私はそうではなくて、国保については、全年齢一本の全年齢統一の保険料設定にすべきだ。現役の人も年金生活者も所得が同じであれば同じ保険料を払う、それが当たり前のことではないかと。そう思って私は、応能負担が原則だと申し上げているわけです。年金生活者であれ、そうでない現役の人であっても、所得が同じであれば所得に応じて、所得の低い人は少なく、多い人は多く保険料を払う。そういうすっきりした制度にすべきではないか。
また、「中間とりまとめ(案)」では、7割程度の人が保険料負担が増える。私はそれは仕方ないと思う。逆に言うと、今は一般の国保の7割程度の人が低い保険料を払っている。それは安定化基金などで何とか維持をしていくという考え方が入っているわけですけれども、その安定化基金にしても恒久財源ではないわけです。いつどうなるか、それはわからないということになると、いずれ今の後期高齢者医療制度のように財源がないから保険料を上げなければならない。場合によっては今年の春に示されたように、14%も上げなければならないことに将来なりはしないか。保険料を上げてほしくなければ、病院に行くのは少し抑えたらどうかということにつながっていくのではないか。そういう制度に私はすべきでないと考えています。
やはり国の制度というのは、高齢者であれ若い人であれ、特に医療制度などは制度そのものに安心感がなければならない。ところが、不安だらけの制度になっていくのではないか。そういう制度をつくるべきではないと私は申し上げたい。
そして最後に、やはりあるべき姿、高齢者医療制度のあるべき姿というものを先につくって、それに移行するにはどうするか、一挙にいかなければ経過措置を設けて段階的に移行するということがあってもいいと思う。
どうも今回のたたき台は経過措置が先にあって、行き着くべきところの目標がぼやけている、そういうところにこういういろいろな問題が含まれているのではないかと思いますので、私はこの内容で公聴会に諮ることは余り賛成できない。説明したってわかってもらえないと思います。
ですから、今の制度が周知の徹底が悪かったといっているけれども、それも確かにあった。できるだけ教えないようにと我々にはうつった。しかし、もう一つ今の制度は非常に複雑である。だから、国民の皆さんはわかりようがなかったのではないか。御指摘がありましたように、もっとシンプルで分かり易いすっきりした制度にすべきだと思います。
長くなりましたが、以上です。
○岩村座長
どうもありがとうございました。
それでは、課長、お願いします。
○吉岡課長
今の御意見に関しまして、3点だけ私の方から申し上げたいと思います。
今回、まず少なくとも75歳以上の高齢者医療については、都道府県単位の財政運営とすることが不可欠と整理させていただき、その理由として挙げさせていただいているのが、約7割の世帯で保険料が増えて格差が2倍から5倍に広がることがないようにするためであります。併せて市町村国保の財政基盤を考慮した上での措置であると整理させていただいております。
今の御意見でありますと、保険料が増えたり、また、格差が拡大したりすることは仕方がないという御意見でございましたが、これまでの皆さん方の多くの御意見とは異なりますので、改めてその点は御議論いただければと思います。
また、今回の意識調査の結果におきましても、新たな制度に国民の方が何を求めているかというと、一番多かったのが保険料負担の公平性でございました。また、2番目には、負担割合の明確化が求められております。
3つ目でございますけれども、先ほど暫定的な措置ではないと御指摘がございましたが、今回の基本資料でお配りさせていただいております5ページでございます。本文にも明示をさせていただいておりますけれども、国保の広域化につきましては、まず第1段階で高齢者医療の部分について都道府県単位の財政運営とする。その上で、次の段階で全年齢を対象に都道府県単位の財政運営にするということでございますので、この間の部分の高齢者医療だけが都道府県単位の財政運営となるという時点は、あくまでもこれは限られた時間であると考えております。
○岩村座長
ありがとうございました。
それでは、神田委員、お願いいたします。
○神田委員
ありがとうございます。今日のたたき台の意見を申し上げる前に、先ほど御紹介がありましたとおり、全国知事会の高齢者医療制度に関する「中間とりまとめ」をいたしましたので、それを簡単に御説明申し上げた上で、現在のたたき台に対する考え方を申し上げたいと思います。
資料7が知事会における「中間とりまとめ」でございます。要点だけ申し上げます。これは7月15日の全国知事会議で報告をし、了解を得たものでございます。
まず、1ページをごらんいただくと、最初の白丸で根本的な考え方として「医療保険制度の全国レベルでの一元化を目指す」、これが基本的な大きな目標として今後も維持をしていくと、これが知事会の根源的な考え方でございます。言うまでもなく、保険財政の安定化、保険料の平準化等の目的であります。
2つ目の丸でございますけれども、これは従来から医療保険制度改革には詳細なデータに基づく十分な議論が必要だと、私はこの会議の1回目、2回目、ずっと申し上げてまいりました。しかし、残念ながら検討の前提となる将来推計はいまだに示されておりません。この会議は1、2年限りの当面の制度を議論するのではなく、将来にわたって持続可能な制度の構築を議論する場であると考えております。各委員からも、将来推計のデータが必要だと口々におっしゃったことを今も記憶しております。
団塊の世代の高齢化が進みますと、医療費の伸びはこれまでのトレンドとは全く違ってくるものと思います。その団塊の世代が数年後には前期に入り、10年後には間違いなく後期の年齢になってまいります。そうしたデータはお持ちのはずであります。
また、財源構成がどうなるのかなど諸調整は必要でありますけれども、一定の仮定のもとに将来推計は可能であります。こういった推計があって初めて、その財源を誰がどのように負担するのか、ひいては高齢者、公費、若年者、それぞれ負担可能な水準、あるいは新たな財源の必要といった本質的な議論に入ることができるわけでございまして、これを抜きにしての議論は空疎なものであります。
特に、保健財政の責任主体になる者にとりましては、根幹的な問題だと思っております。全国知事会でも、いろんな議論がありましたけれども、こうした将来推計が示されないのであれば、知事会として責任ある回答は留保すべきだと強い意見を主張する知事も複数ございました。
そういう意味で、去る7月8日でございましたけれども、厚労省に対し、この旨の申し入れを文書で行ったところであります。かねてから厚労省の方は秋ごろには出せるということでございますけれども、制度の骨格を議論するためにこそ必要なものでございまして、それが後から出てきては本末転倒だと私は考えております。制度設計と財政スキームは、言わば一体のものでございまして、制度の骨格を固めた後でこれがうまくいかなかったら一体誰が責任をとるのかという、まさに政治的な大きな課題でもございます。
私は、せんだって国保の中央会の資料を見ておりましたら、20~21年の後期高齢者の医療費は、1年間で5.7%伸びたという数字が示されておりましたけれども、これは厚労省が18年度に示した3.3%という数字とやはり大きく乖離をしております。新しい数字に基づく将来推計はもう間違いなく必要でありますので、是非ともお願いを申し上げたいと思います。
それから、運営主体の問題でございます。知事会の報告書の中では3ページに当たりますが、ご覧をいただきたいと思います。
今回、厚労省からもいろいろな提案がございましたので、都道府県単位と市町村の共同運営方式も含め、改めて全都道府県の知事にアンケートを実施した結果に基づいて整理したものでございます。多数意見、少数意見がございますけれども、運営主体は7割もの多くの知事が市町村広域連合が最適であるという意見でございました。これは4月にもこの会議でお示しをしたわけでありますけれども、改めて同じような傾向が出ております。
なお、そのほか基本的な枠組み、保険料、一部負担などについては割愛をいたします。
それでは、厚労省の今回のたたき台について、私の方から若干だけ意見を申し述べたいと思います。
まず、今回の「中間とりまとめ(案)」で、都道府県単位と市町村の共同運営案が示されたわけでありますが、極めて不明な点がたくさんございます。まず、制度面でありますけれども、現行制度に比べて運営責任が不明確であると言えると思います。後期高齢者医療制度は、その改善を実は図ったという経過がございます。しかし、この共同運営案では、保険者の位置づけが不明確なために老人保健制度と同様、運営責任の問題が生じかねないと考えられます。
今日の基本資料の6ページの「運営スキーム」を見ますと、保険料の賦課・徴収は市町村が行うこととされておりますが、保険給付についてはいずれの主体が行うのか引き続き検討となっております。しかし、この点はすこぶる重要な点でありまして、こういう段階で「中間とりまとめ」はいかがかなと、そんな風にも思っております。
この共同運営案によりますと、市町村が収納率に応じて個別に保険料が設定できることになっておりまして、保険料率が市町村ごとばらばらになる可能性もございます。この点については、都道府県均一の保険料とした後期高齢者負担の公平性という観点から、やはり後退ではないか、問題ではないかと思います。
それから、これもかねがね私が何回もこの席で申し上げておりますけれども、一番最大の問題は、共同運営案では国の最終的な財政責任が一切示されていないことであります。高齢者の進行はとどまることはないわけでございますけれども、もしその保険料が被保険者にとって過重な水準となった場合に、都道府県単位の運営主体あるいは市町村が、どのような最終的な財源負担を負うのか、これはもう全く見えておりません。国との関係がよくわかりません。私は、こういう点はもっともっとはっきりしていく必要があると、それが開かれた議論だろうと思います。
財政安定化の問題も先ほど少し出ておりましたけれども、これもどの程度の基金を本当に積んでいけばいいのか、保険料抑制のためにどうしたらいいのか、せんだって財政安定化基金を活用して保険料の抑制を図りましたけれども、たった2年間、5,200円の引き下げのために、全国レベルで言えば、1,894億円必要であったわけであります。こうした点も不明確であって、県、市町村、国、どのように分担するかも全く不明確であります。このような問題点については、いずれ文書で出したいと思っております。
あと一つだけ申し上げたいことがあるんですが、今回はいろいろな制度設計の中で将来の国保の姿という点にも議論が及んでおります。当然のことながら後期高齢者医療制度の受け皿として市町村国保がその対象になる以上は、その議論は不可分なものでありますけれども、果たして国保全体の骨格あるいは新たな国保の姿を検討するのが、この改革会議の目的、趣旨に合っているのかどうか、大変その点は心配をするところでございます。
と申しますのは、今、国保が何が問題になっているのかと言えば、残念ながら低所得者あるいは無職者がたくさん増える中で、慢性的な赤字をどう市町村国保が克服したらいいのかということがまさに構造的な問題でありまして、その問題の議論は一切ここでは行われておりません。それをなくして、国保の骨格をこれからどう決めていくのか、私は少しのりを越えた議論になっているんではないかと心配をするところでございます。
私は、今回、いろいろな皆さん方の御意見がここの中で収れんされてはいるわけでありますけれども、現在「中間とりまとめ」をし、先ほどもお話がありましたとおり、これから地方公聴会を開かれるわけでありますけれども、こうした状況でまだ先送りで不透明な中で公聴会を開いて、どんな意見を聞くのか、私は大変心配でございまして、この時点で私は意見を聞くことに対して懐疑的であります。
今回のこの意見の詳細については、また、別途文書で出すつもりでおりますので、よろしくお願いを申し上げます。
以上です。
○岩村座長
ありがとうございました。
それでは、事務局の方でお手が挙がっていますので、ではお願いいたします。
○村山課長
先ほど、お話のございました医療費の動向の件でございますけれども、平成18年度の旧老人保健制度におきます医療費の実績の伸びにつきましては、マイナス3.3%でございます。これは旧老人保健制度におきましては、14年度~19年度にかけまして、対象年齢を70歳から75歳まで引き上げておりますので、前の年の対象年齢よりも後の年の対象年齢の方が高く、老人保健制度の対象となる方の範囲が狭くなっておりますので、医療費の伸びがマイナスになっているということでございます。
私どもの方では、これとは別に審査支払機関における審査分の医療費をまとめた統計がございまして、MEDIASといっておりますが、この統計では毎年対象年齢が同じ70歳以上の医療費の動向をまとめております。それについて18年度の伸び率を申し上げますと、2.0%でございます。
平成21年度の医療費の伸びにつきましても、国保中央会が公表した統計のお話がございましたが、私どもではMEDIASとして平成21年4月~今年2月までの分につきまして、ホームページ等で公表しておりますけれども、これによりますと70歳以上の医療費の伸び率は4.4%です。平成20年度からの後期高齢者医療制度の対象年齢は原則75歳以上で21年度も同じ75歳以上ですので、75歳以上の医療費の動向ということで21年4月~22年2月の後期高齢者医療制度の医療費の伸び率を申し上げますと、これは5.3%で、国保中央会の統計とは少し異なりますけれども近い数字になっているところでございます。
以上です。
○岩村座長
ありがとうございました。
それでは、岡崎委員がお手が挙がっていましたので、お願いいたします。
○岡崎委員
高知の岡崎でございます。少し知事会のプロジェクトチームに反論すべき部分と認識を同じくしている部分もございますので、何点か意見も含めて申し上げますが、我々はやはり国民健康保険をこれからも安定的に守っていかなければならない。そうしないと当然、最後のとりでということでこの文書の中でも書かれておりますが、国民の皆様方の医療は守れないという観点に立っております。
今の国保の課題は幾つか出ておりますけれども、やはり低所得者の構造的な財政構造が弱いという観点と、市町村の人口が減る中で広域化をしていかなければならないと、この2点が差し迫っているところでございます。
そういう観点で言いますと、やはり都道府県が後期高齢者医療を含めて、国保制度を責任を持って担うべきだというのが、この会議の中でも多数意見になっておりますので、広域化は市民ではなくて県民の広域的な健康を守るという観点で、都道府県がもっと積極的に担っていくべきだと考えているところでございます。
もう一つ、今回の中で幾つか疑問も出され、また、責任がどこにあるのかという御意見も出ておりまして、その責任区分の疑問点はやはり幾つかございます。特に、今回非常に過渡的な制度に例えばなっているわけでございますが、資料2の5ページの表のように、余り混乱が起きてはいけないということが配慮されていると思うんですが、75歳以上の現行制度の後期高齢者医療制度の方々のいわゆるメリットも残しながら、暫定的に移行期を置いて、最終的には都道府県に国保を一本化しようということで、5ページはそういうフローが描かれておりますので、やむを得ない部分はあると思うんですが、この中間的な部分で特にわかりにくいのが都道府県が75歳以上の財政運営だけ担うことになっておりますので、医療給付の責任をどこが持つのかという問題や、突発的な大流行、例えば新型インフルエンザのような大流行があったときに国保会計は赤字になります。その年度で赤字になったときに、その最終的な財政責任をどこが負うのかも非常に不明確になります。
それから、財政責任を例えば都道府県が負うことで、標準保険料の設定が都道府県でなされて、それを参考にして各市町村が保険料を設定して徴収に回ることになっておりますが、仮に標準保険料で賄えるとされて見込んでおった保険料が足らない場合に、その補てんをどこの責任でだれがもって最終的に財政を補てんしなければならないか、いわゆる赤字責任のところが一体どこが負うのかが非常に不明確であります。これは神田知事がおっしゃられたとおり、やはり国保は非常に脆弱ですので、国が責任を負うことは外せない部分でございますが、国が負うのか都道府県が負うのか、それとも市町村が負うのかは非常に不明確でございます。
それと、先ほど神田知事もおっしゃられたとおり、医療給付が前回の資料から言いますとちょっと不明確になっておりまして、ちょうど皆様方の目の前にファイルがございますが、前回7回目の資料は、ファイルをちょっと開けていただきたいと思うんですが、第7回の資料2の8ページに書かれている内容と今回の書かれている内容が医療給付に関しては変わってきています。
前回の7回目の資料では、8ページにあるとおり「都道府県単位の運営主体」の中に、「保険給付」のレセプト診療の支払いとかレセプトチェックとか、現金給付とかいうものが入っておりまして、一定医療給付を都道府県が担うことになっておりますが、今回の資料ではここが外れておりますので、神田知事も御質問されておりましたとおり、ここをどうするのかは後でちょっと御説明をいただいた方がいいと思っております。
もう一つ気になっておりますのは、資料2の中の4ページで、今回、個人単位の保険料と所帯単位の国保料を合算算定すると、基本的にはかなり安くなる所帯が多いという資料が出てきております。これももう少し追加資料をいただかないといけないと思っているんですが、この資料によりますと、これは4ページのように合算すると、かなり保険料が安くなると想定をされておりますが、ではこの安くなった保険料は財源的なところはカバーしないといけないので、一体だれが安くなった部分をカバーすることになっているのか、例えば保険者なのか、だれが一体カバーする仕組みになっているのかが明確ではないし、安くなった保険料という額はこれも単位的にどのくらいのオーダーで、例えば保険料が現行より低くなるのか、数十億なのか数百億なのかもよくわからないので、それはまた改めて資料を出していただいた方がいいと思います。
それと、だれが負担するかは非常に大きな問題なので、そこも考え方があれば御説明をお願いを申し上げたいと思います。
もう一つ、個人保険料から所帯単位になったときに、先ほどの大臣のお話もちょっとございましたが、年金の天引きの問題がどうなるかがございます。年金の天引きをもう一切やめてほしいというのは、先ほどのアンケートを見ると9%ぐらいしかございません。今、たしか年金をもらっている方の大体90%ぐらいが天引きされていたと思いますので、拒んでいるのは7%ぐらいしかなかったと思いますので、今回のアンケートの中でも一切やめてくれというのは9%ぐらいしかないので、我々保険者の立場からすると、年金天引きはやはり残していただかないと徴収率が相当落ちると見込んでいます。もし天引きを全面的にやめると、恐らく保険料の徴収率は2ポイントぐらい落ちるのではないかと心配するところでございます。ただ仕組み的にこれは世帯主に保険料はかかっていくので、世帯員である高齢者の方の年金の保険料の天引きをどういう仕組みで起こすかは、技術的に更に詰めていかなければならないと思います。ただ、全部やめてしまうと、相当徴収率に影響があるので、ここはよく考えていただきたいということでございます。
最後になりますが、資料2の5ページの暫定的な方式は、非常に責任と運営が不安定になります。こういう不安定な制度を、例えば10年とかそういう期間で引っ張るのは非常に危険性もあるので、それと現場でいろんな混乱が起きると思いますので、暫定的な期間はできるだけ短くとどめて、やはり年限を切って最終的に都道府県への国保の一本化を進めていくべきだと考えておりますので、その点もまたそういう方向性でまとめていただいたらと思います。
ちょっと長くなりました。以上でございます。
○岩村座長
ありがとうございました。
では、お尋ねの点がありましたので、答えられる範囲で事務局の方でお願いをしたいと思います。
○吉岡課長
神田委員と岡崎委員から、それぞれ御指摘をいただいた点についてでありますが、まず最初の将来推計等のデータでございます。卵が先か鶏が先かといったようなことではございますけれども、今回、新たな制度の基本的な枠組みがある程度はっきりしたわけでございますので、それをもとに秋には必ず将来推計もお示しをさせていただきまして、その上で財政スキームについての本質的な御議論を是非お願いしたいと考えております。
2点目で、共同運営の仕組みについての御指摘がございました。これまでのこの会議での御議論といたしまして、財政運営の単位は都道府県単位がいいだろうと、ただ一方で市町村も市町村の役割をしっかり果たす仕組みが必要だろうという御意見を多々いただいたところでございます。そうした考え方のもとに、今回この共同運営の仕組みを提案をさせていただいたところでございます。
一部、給付をどちらで行うのかにつきましては、前回お示しした資料の中では都道府県単位の方がいいだろうという整理をしておりましたけれども、都道府県単位の方でやるのか市町村でやるのか、それぞれメリット、デメリットがありますので、引き続き御相談しながら、どういった形がいいのか検討を進めていきたいと思っております。
3点目で、都道府県単位の保険料になったものが、今度は最終的に市町村が決めるということがよいのかという点がございました。この点につきましては「中間とりまとめ(案)」で、るる述べているわけでございますけれども、今の広域連合の問題の1つとして、保険料を市町村が集めた分をそのまま広域連合に渡せばいいという仕組みになっていると。これは99%の収納率である現行制度であればいいのですが、収納率の低い国保のことを考えた場合には、国保の運営ががたがたになるおそれがないか慎重に考える必要があります。また、最終的に若い世代の保険料と合算して賦課することになりますので、最終的な賦課は市町村が行わざるを得ないのではないかという点で御提案をさせていただいております。
国の財政責任についての御指摘がございました。現在は公費は4対1対1ということで、3分の2は国が負担している。それから、財政安定化基金については、3分の1を国が負担しているということがございます。我々は今回の改革で、そうした国の責任から免れようなどとはまるで思っていないわけでございますので、引き続きそうした財源面の問題につきましては、これから併せて本格的な御議論をいただければと思っております。また、基金の規模についても、これから具体的な御議論をいただければと思っております。
岡崎委員の方から軽減に伴う負担の問題がございました。また、改めて数字等をお示しさせていただいて御議論いただければと思っております。また、年金の天引きの問題でございますが、国保の世帯に入るということであれば、基本的に世帯主の方が納めることになりますので、そうした意味で世帯主でない高齢者の方は年金天引きの必要性がなくなってくるということではございますけれども、世帯主である高齢者の方につきましては、今回の意識調査の結果も踏まえまして、年金天引きをしてほしいという高齢者の世帯主の方につきましては、引き続きできるようにするということを、このまとめでも書かせていただいているものでございます。
○岩村座長
ありがとうございました。
それでは、お手が挙がっておりました藤原委員どうぞ。
○藤原委員
全国町村会の藤原です。本日「中間とりまとめ(案)」が出たわけでありますが、これにつきまして、2、3意見を述べさせていただきます。一部は岡崎委員と重複するところがありますが、よろしくお願いします。
まず、新たな制度の基本的枠組みとしまして、地域保険は国保に一元化することが示されております。現在、後期高齢者医療制度に加入されている方の大半は国保に戻るわけです。「制度の基本的枠組み」はそのメリットのみが記載されておりますが、結果として国保にとって大きな負担がかかる制度改正となることが想定されます。
したがいまして、例えば先ほど岡崎委員から言われたように、保険料徴収を個人単位から世帯単位に変更することに伴いまして、保険料徴収率が低下しないような措置を講じたり、また、現行制度の特別徴収の仕組みを維持する工夫を是非検討をしていただきたいと思います。
現在でも、非常に国保税の収納に相当エネルギーを使って運営しておりまして、また、そこに高齢者分が入ってくることになりますと、さらにエネルギーを大きく使うことになるわけでありまして、是非その辺の工夫を検討していただきたいと思います。
また、今後費用負担や運営主体など、引き続き検討するとされておりますが、重要事項の議論に入るに当たっては、性急に結論を出さず慎重に検討を進めるべきでありますが、運営主体については都道府県、将来的には国一本とすべきということが我々の基本的な主張でありますので、改めて申し上げたいと思います。
また、費用負担につきましては、国民皆保険の目的であります国保の安定運営を将来にわたって確保していくために、国保の負担増とならない制度設計を行うことが肝要であることを申し上げておきたいと思います。
具体的には「中間とりまとめ(案)」の6ページの「費用負担」の部分の○1で、高齢者の保険料を先当てする方式が、また、○2で公費以外の部分を財政調整をする仕組みが、○3では両者を組み合わせる方法が示されております。○1と○2の場合は試算らしきものが示されておりますが、○3の場合は示されておりません。したがいまして、75歳以上は○1の先当て方式で、65歳~74歳までは○2の財政調整方式だと、現行制度と同様に○1と○2を組み合わせた試算も早急に示していただければと思っております。
国保全体及び個々の保険者が、将来にわたって安定運営を維持していけることが示されない限り、本当に検討のしようがありませんので、是非この点はよろしくお願いいたします。
次に「中間とりまとめ(案)」の文言について、1点意見を申し上げさせていただきます。5ページの一番上ですが、運営の仕組みとして「具体的には次のような仕組みとすることが適当である。」とあり、都道府県単位の運営主体と市町村の共同運営とすることが示されております。
前回の会議では、この共同運営という案で、都道府県が運営責任を果たせるのかどうかは、今後慎重な検証が必要と申し上げたところであります。この会議の場では、新たな制度の運営主体としまして、都道府県が適当であるというのが多くの皆さんの御意見でありましたが、運営の仕組みについて委員の皆さんの間では、具体的な議論はなされていないと思っています。
したがいまして「具体的には次のような仕組みとすることが適当である」という文言につきましては、例えば「次のような仕組みとすることが考えられるので、引き続き検討する」といったような程度の文言にしていただければよろしいかと思いますので、その点の御検討をお願いいたします。
以上です。
○岩村座長
ありがとうございました。
それでは、齊藤委員。
○齊藤委員
今までずっと国保の運営について言われてまいりましたけれども、我々経団連としてはやはり現役世代がより活力を持つ必要があるという点で今回の「中間とりまとめ(案)」について若干意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、1ページ目の現行制度の問題点の中に考え方といたしまして、公費と保険料の役割分担を踏まえた制度設計を行うべきではないかと思います。世代間扶助や保険の原理を超えたリスクへの対応に当たりましては、税による公費を基本とすべきではないかと考えます。
また、現役保険料からの拠出割合が4割~5割に上るような現状が続くようでは、もう保険とは言えないのではないかと思います。現役世代から、保険料を支払うことへの納得が得られないのではないかと考える次第です。
こういう点を踏まえまして、1ページ目の「現行制度の問題点」の中に、「高齢者医療制度への多額の拠出金が現役世代の保険者の財政基盤を危うくしている。」という現行の問題点を是非入れていただきたいと思います。
今般の制度改革に際しまして、現役世代の保険の持続可能性の確保に配慮して、負担軽減を図ることを重要課題として位置づけていただけたらと思う次第です。
次に、費用負担が6ページ~9ページに書かれておりますけれども、今、言った問題点と同じことになりますけれども、高齢者人口の増加と現役世代人口が減少する中で、高齢者と現役世代がどのように負担を分かち合うのかが大きな問題になります。現役世代の保険料収入に過度に依存する形をとると、現役世代の働く活力をそぐ上に雇用にも悪影響を及ぼすと考えております。新制度発足時点だけでなく、将来的にも現役世代の保険にこれ以上の負担を求めることのないように、公費投入を拡充すべきであると考えます。
また、高齢者の方々にも負担能力に応じた適切な負担を求めるべきことも重要ではないかと思います。
そういうことを踏まえまして、6ページの最後のパラグラフに「各保険者の負担が将来にわたり大幅に増加することのないようにする」と是非入れていただけたらと思います。
8ページの最後のパラグラフについてですけれども、ここにも一文「支援のあり方を検討するに当たりまして、税と保険料の役割分担を踏まえ、現役世代の納得感の得られる制度とすることが肝要である」という文章を是非入れていただきまして、「現役世代が減少する中で、その保険料収入に過度に依存する制度は雇用にも悪影響を及ぼすということを十分配慮して検討していく」と入れていただけたらと思います。
以上です。
○岩村座長
ありがとうございました。
それでは、ほか。では、まず樋口委員。その後、岩見委員でお願いいたします。
○樋口委員
「中間とりまとめ(案)」を拝見いたしまして、いろいろ御工夫いただいていること、そして、私は今回、阿部委員、見坊委員、堂本委員、私と4人の後期高齢者年齢の人がこの会議に加わらせていただいていることを、とてもありがたい御配慮だとまず感謝したいと思います。
にもかかわらず、今日の「中間とりまとめ(案)」が後期高齢者医療制度を廃止して新しい制度の骨格だ、と、そこに4人も該当年齢の人がいたからそれでいいのではないかと言われると、何か一つ納得できないものを感じます。
と申しますのは、1つには、今、阿部委員からも言われましたけれども、大変歴史のある制度でございますし、特に財政論に関しては、そのたびに専門家である官僚の方からレクチャーをちょうだいいたしましたけれどもやはり難しくて、ほかの委員さんはどうか知りませんが、私はとても100%理解できておりません。例えばこれから公聴会を開いたり、アンケート調査をとったりしても、一般の高齢者の方々は私よりももっと情報が少ない状況の中で、イエスとかノーとか言でることではないかと思います。
後期高齢者医療制度はやはり該当年齢者の感情的反発を招くような、ある意味でとても下手な出し方と内容を持っていたと今でも思います。改めて、思っているのは、やはりまとめればこういうことかと思います。仲間外れだけはやめていただきたい。私たちも国民として、幾つになりましても同じ医療制度の枠組みの中に一緒に入れていただきたい。
しかし、後期高齢者の医療費が大変かかることはよく理解いたしております。これをよく理解していない高齢者もいますから、ちゃんと理解させてください。このような困難な財政のもとでは、むしろ積極的にPRしていただきたいと思います。
その医療費を長期的に、若年世代についても負担が増えないようにとおっしゃいましたが、私は心からそう思います。また各方面の識者からも若い世代への負担がこれから増えるようなことだけは絶対にしないでほしいと言われ、ごもっともと思っています。私はどちらの世代も負担が増えるのは不可避と存じます。この超高齢社会という人口構成から逃げることはできませんし、私たち高齢者も応分の負担はすると私も会議始まって以来、言い続けておりまして、負担能力のある高齢者は別に特別扱いしてもらわなくていいと思います。窓口負担も収入が一定程度ある人にとっては若年世代と同じ3割、少なくとも2割負担したって条件によってはよろしいのではないだろうかと思っております。
しかし、社会保障全体を考えるとき、私はやはり各保険者がこっちで得だ、こっちで損だと論じ合うことではなくて、これは社会保障全体の枠組みの中で考えるのですから、人生100年型社会を迎えた今、人それぞれの出生時から本当に生涯を終えるときまでに、生涯にわたる社会保障という視点を持って人生100年を生きる我々、また、これから人生100年を生きる若い人々が、子どものうちはいろんな補助を受け、働いている時期は払う側に回り、また、高齢者になったらそこで人々の支援を受ける。そういう視点で考えていただけないかとお願いしたいです。
孤立無援の「援」の字は「縁」という字も書けるし、支援がない「援」も書けます。よく言われる孤立無援社会を社会保障を通して縁を結び合う社会に組み立てていくことが、私は21世紀の社会保障のビジョンだと思っております。今回はその一部と存じます。
ですから、生涯を通しての助け合いという意味をもうちょっと考えながら、私はそれぞれが負担し合うことを考えてほしい。高齢者も応分の負担はいたします。一体、幾らかかるのか、それをどのようにわかち合うのか、そうして最後はそれでも足りないときになりましたら、いきなりここで消費税の話が出てくるのもどうかと思いますけれども、そういうことも含めたぎりぎりのところは公費が負担し合うのがこれからの姿ではないかと思っております。今回の中間とりまとめは、細かいところで納得できないといいましょうか、何か期待外れのところがあります。私はこれが75歳以上のほかの人たちに何と言われるかなと思って、今からちょっと怖いです。よろしくお願いします。
○岩村座長
ありがとうございました。大変明解なお話だったと思います。
それでは、岩見委員、お待たせいたしました。
○岩見委員
私は細かなテクニカルなことはちょっと理解しにくいところがかなりありますが、「基本的枠組み」については、こういう方法しかないのかなという感じで拝見しました。
ただ、新しいものをつくるときに一番心しなければならないのは、やはり中途半端を避けるということで、中途半端にやると結果的にもとのもくあみになることがこれまでも多々あったわけであります。
例えば財政運営、さっき議論になりましたけれども、いずれ全年齢を対象に都道府県単位化を図るならば、またぞろ75歳か65歳かという年齢区分をするなんてことはやらないで、一気呵成にやった方がいいんではないかと。これはいろいろ困難を伴うかもしれないけれども、年齢が一番現行制度に対する反発が強かったわけでありますから、そこのところはやはり細かな神経を使ってもらわなければ困るということが1つあります。
もう一つは、1ページ目なんですが「現行制度の問題点」という、ここの表現の仕方、私なんかはもう現行制度に非常に強く反対した組でありますが、これを読んでいるとまず最初に一定の利点を書いて、その後にその一方で問題点があるんだと、何か現行制度に未練を残しているような感じがあるんですね。こういう表現の仕方をすると、この改革会議の姿勢が問われるんではないかという感じがしますので、この辺はやはり慎重な表現をとってもらいたいと。
以上であります。
○岩村座長
表現について大変有用な御示唆をいただきました。ありがとうございます。検討させていただきたいと思います。
それでは、お手が3方、今、挙がっていますので、済みません、先に目に入ったのが鎌田委員だったものですから、そちらからお願いしたいと思います。
○鎌田委員
長野県の小さな町で地域医療をずっとやってきた視点でお話をしたいと思うんですけれども、「中間とりまとめ」をとりまとめていく上で、今までこの50年ぐらいどうやって国民全体にまあまあの医療を提供するかを考えて、それを支える保険制度を考えてきたわけですけれども、21世紀になって医療のあり方も大分変わってきて、やはりそれぞれの市町村が保険者になって、しかも健康づくり運動なんかもやって医療費を安くしながら同時に自分たちが町で小さな医師3人とか4人の病院を持つとか、あるいは診療所を持つとか、そうやりながらそれぞれの市町村が努力をしてきたんですけれども、そうしてきたことが21世紀にとって今後このままでいいのかと考えたときに、やはり医療という視点から考えたときには、どうしても県単位ぐらいで三次救急はどうするのか、二次救急はどうするのか、一次救急はどうするのか、がんセンターをどうするのかと同時に、地域で在宅のホスピスケアをどうするのかというのは、医療を供給していく姿勢という考えで言うと、県で考えていくのがやはり真っ当ではないかと思うんです。
全国1つにしてしまうと、非常に甘く競争意識がなくなりますから、健康づくり運動も県を中心にして市町村と話し合いながら、保険料も県が主導権を握りながら市町村と一緒になって、それぞれの県が決められるというふうにして、県にもっとできるだけ、例えば特定健診なんかぼくは批判的なんですけれども、ある県知事さんなんかが特定健診はうちはやらなくても、そこにお金や時間を出さなくても、もっと全体の医療保険制度と県民の健康を守るためにこれでいくんだということが選択ができるようにしていく、そういう意味では広域連合でやればいいというわけにはいかなくて、県という単位の中で国保を運営をいずれしていくという大上段のきちっとした21世紀はどうするんだというところがまずあって、その上で移行期にどうしていくかが語られることがまず大事なんではないかと思うんですけれども。
県知事のいつも隣に座っているのでなかなか言いにくいんですけれども、多分知事は知事で知事会に行けばとても大変なんだろうなとか思うんですけれども、やはりこれを突破するためには、国がどれだけしっかりこのことを情熱を持ってしかもお金の問題ですよ、お金をしっかり出すということを前提によって、やはり県知事会でもんでもらう。そして、国民にも意見を一緒に聞く。この「中間とりまとめ(案)」では何だか全然わからないんではないかなという感じがいたします。県にやってもらうということだとすれば、県がやる魅力みたいなのが明確に国民側にも、県は負担をさせるだけではなくて、実はやり方によってはそれは面白い県がよその県と違う県がつくれるんだということが、この文章の中で語られることが大事なんではないかなと思っています。
○岩村座長
ありがとうございました。
それでは、横尾委員。そして、宮武委員。今、たくさんお手が挙がったので、まず横尾委員と宮武委員でお願いをいたします。
○横尾委員
ありがとうございます。まず最初に申し上げたいのは、今回この「中間とりまとめ」は本改革会議から世の中に出る最初の文書だという認識を私は持っておりまして、そのことを踏まえるともう少しイントロ部分があってもいいのかなと強く感じています。
それはどういう意味かといいますと、そもそもこの改革会議に課せられたミッション(使命)は何なのか、基本理念となるべきもの、例えば6項目がございましたがそういったものが実はどこにも書かれていません。
そういったことを踏まえながら、「よりわかりやすく公平で責任分担をしながら持続可能な制度を」と、各委員の皆様が異口同音におっしゃっていた事々を少し整理して冒頭に入れて、そういう審議をしてきて、「以下に中間とりまとめをしている」というふうな導入があった方が、国民の皆さんにとっても各年齢層にとってもよりわかりやすいのではないかと1つ目に感じています。
また、その上で重要なのは、実はもともと後期高齢者医療制度は国が決めて始まっているのですが、その年度も国が決めたことも何も今の文書では書かれておりませんので、是非書くべきだろうと個人的には感じております。
そのことで、先ほどほかの委員の方もおっしゃったように、2点目に思うことですけれども、例えば財政面は国がしっかりとサポートするよと、業務面については市町村がしっかりと汗をかいて支えますよ、その上で今、鎌田委員もおっしゃったように都道府県の方でしっかり全体のマネジメント等に主導的な役割を果たしてもらえないかという議論もより進みやすくなるのではないかと感じています。
もちろん、神田委員がおっしゃるようになかなか財政シミュレーションが見えないので、まだまだ安直にそこは軽々には議論ができないという御指摘も重々わかるところですが、そういったフレームワークをきちっと出すことが、より多くの国民の皆さんが先々に少し期待や安心も持てるし、そしてそのことをベースとしながら生命を守り健康を高める制度にしていきたいということを明確に発信していけば、多くの方々が期待を持っていただけるのではないかと感じております。
この2つが主に申し上げたいことですが、それに関連していろいろ読み込みを何回もしていまして感じたことは、この中に公費という言葉が出てくるのですけれども、やはり日本語は少しあいまいなところがあって、「どこの公費かな」ということを考えなければいけないと思います。
仮に、これを英語で全部文章を書くとしたらCentral GovernmentのbudgetなのかLocal Governmentなのか、各保険組合のbudgetなのかということを書かないと多分文章としては成立しないと思うのですが、日本語は表現上主語がなくても書けるようなところが多々あるのですけれども、是非そこを峻別した書きぶりにした方がいいのかなというふうに思っています。そういう意味でも国の決定により始まったこととか、あるいは国がどこどこへかかわるということがもう少し明確に出てくればよりよいものになると思っています。
あと、先の参議院選挙では今回のことと関係いたしますけれども、消費税議論にある意味で突破口を開かれたことは大変貴重なことだったろうと私自身は思っています。勿論、議論のやり方とか提示の仕方で混乱があり、「ねじれ国会の状況になってきた」と報道等では聞いておりますが、やはり税負担、そして、それに基づくより効率的な行政、そして、それを未来にどう託すかという意味では、こういった「公費」ということをより明確、峻別にする必要があると思っています。
あと、5ページ目には、現状の分析として「広域連合」のことが少し書かれておりますが、冒頭御挨拶で大臣もおっしゃったように、菅総理から「怠りなきよう議論をしてほしい」ということでございましたが、5ページの下の方だけ読むと、何か広域連合は怠りだらけでいっぱい課題がありそうにも聞こえなくもないなと思って改めて読んでいるのですが、是非はともかくも各連合の現場では本当に度重なるシステム改修等に的確に急ぎ対応しながら何とか難を超えつつ、現状を何とか巡航速度で走っているようになってきていると思っております。
そういう意味でも4点目に申し上げたいのは、システムのことは最後のところに1、2行書いてあるのですが、できれば全体をサポートする「システムの管理」ということをもう少し明記いただいて、これは相当な時間と手間と準備がかかりますので、そういったことも触れていただき、極端に言うと、民間のICT会社のソフトやノウハウや人材も巻き込んで、よりよいものをつくっていくということを、是非発信していく必要もあるのではないかと感じております。
以上です。
○岩村座長
ありがとうございました。イントロ部分というのは重要な御示唆だと思いますので、検討させていただきたいと思います。
それでは、お待たせしました、宮武委員。
○宮武委員
ありがとうございます。実務の体験もなければ、医療団体の責任者でもない人間が参画して生意気なことを言って申し訳ありませんが、主に神田知事の御発言に関して若干ためらいつつ反論します。確かに医療費の将来推計は是非必要なことだと思います。ただし、今よりも状況がよくなる可能性は全くないですね。負担が軽くなるわけもなし、しかも小規模な市町村はもう既に財政的な危機あるいは財政破綻を迎えている。それが更に増えていくことがはっきり出てくるだけだと思います。
であるからこそ、こんな危機の時代だからこそ、地域保険を担うのは都道府県と市町村しかないわけですから、その都道府県と市町村で何とか役割分担をしながら、この地域保険の持続可能性を高めてください。それがなければ日本の皆保険はもたないよということを国民は期待をしているんだと思います。ですから、医療保険のシミュレーションは当然必要ですけれども、それは火を見るより明かに今よりも悪くなることは間違いないことであります。
それから、この会議で将来の国保のあり方まで決めてしまうのは、言わば趣旨として合わないあるいは権限を超えているという御発言は、現場をあずかっておられる市町村や知事さんにとってみれば確かにそうかもしれませんが、私どもから見れば高齢者の医療の問題というのは、制度面においてもあるいは医療の提供体制においても、これはほとんどが実は市町村国保、地域保険の問題と直結しているのだと思いますね。65歳以上のほとんどの方は地域保険に移行されている。だから、高齢者の医療の問題を考えることは、地域保険である市町村のあり方を考えることと直結している。その意味で、ここで論議をするのは決しておかしくはないと思っております。
3点目で、最も問題だと言われた国の財政責任が一切示されていないことは確かに御指摘のとおりで、これは今後きちっとこの会議の中で、国はどういう形で県や市町村を支えていくのかは答えをいただくべきだと思いますので、全くその点は同感でございます。
全体として、これだけ人口が減少していって、しかも年齢構成がいびつになっていく。私は人口変形縮小社会と名づけていますけれども、そういう時代を迎えて、すでに市町村国保ではもたないところが出ている。黒船がもうやってきているのですから、黒船が来ているのに、幕府だ、薩摩だ、長州だなんて言っているときではないと危機感を覚えます。何とか薩長連合をつくるように神田知事が努力してほしいな、と願うわけであります。愛知県は元尾張藩で幕府側でしたから知事は勝海舟でしょうか。それなら江戸城・無血開城のように県と市町村の協力関係を作っていただきたいと思います。
○岩村座長
ありがとうございました。残り時間が大分限られておりますので、お手がたくさん挙がっているものですから申し訳ありませんけれども、なるべく簡略にお願いしたいと思います。
それで、今、こちらお二方続けて発言されましたので、今度はこちら方で小島委員、小林委員という順番でお願いをしたいと思います。
○小島委員
前回、基本的な考え方はもうお話ししました。今日示された「中間とりまとめ(案)」に沿って、改めて発言させていただきたいと思います。
まず1つは前回も言いましたけれども、私が主張してきた突き抜け方式については産道を得られていないということでありますけれども、そこで私が指摘してきたように、被用者グループ、サラリーマンOBについてはサラリーマン全体で支えるという、社会保険の共助の原則を基本に、高齢者全体の医療費については公費を活用し広い社会連帯という形で支援をする。そういう考え方は突き抜け方式の考え方の中でもきちっと示してきたつもりでありますので、そういう考え方を新しい制度の中にも是非生かしていただきたいと思います。
それについては、今日の8ページ、9ページで現役世代の保険料による支援について、指摘をされておりますので、この辺をもう少し具体的に今後詰めていただければと思っております。まさに、現役の保険料と公費の役割との関係だと思っております。それが1点であります。
それから、今回の示されている考え方によりますと、後期高齢者医療制度が廃止されますと現役の被用者グループについては被用者保険にもう一度戻るということになります。その際には、数的には大半が協会けんぽで受け入れることになりますが、協会けんぽの財政は極めて厳しい状況にありますので、被用者全体の中での支援のあり方についても検討すべき課題であると思っております。
それから、私あるいは連合が主張してきた突き抜け方式は、現行の特例退職者医療制度、特定健保を参考にしてきたということがありますので、それを前回説明しましたけれども、今の制度についても後期高齢者医療制度が廃止になれば、言わば天井がなくなることになりますので、このあり方についても是非検討をすべきではないかと思っております。
3つ目が、これも何度も繰り返しておりますけれども、地域保険と職域保険の2本立てをベースにしながら皆保険制度の持続性を確立すると、そういう方向での見直しが必要だと思っております。
そういう意味で、6ページの方に各国保、被用者健保の負担が大幅に増加することがないようにとなっています。これについてはやはり、単に負担だけではなくて、長期的に将来にわたって各地域保険、職域保険が持続可能な制度にしていくことが必要だろうと思っております。
その観点から言いますと、最大の問題はやはり国保の問題になります。市町村国保の世帯の半分ぐらいが無職世帯、年金受給者が占めていて、たしか4分の1ぐらいは被用者世帯も含まれていると思います。中小、零細あるいは非正規の世帯になりますので、そういうことも含めて保険制度の加入のあり方、国保の現在のあり方をどう安定的な制度に見直していくかも、神田委員が指摘されたようにやはり本格的に議論をして、その上で高齢者の受け皿としての基盤をどう強化していくのかを議論すべきだろうと思っております。
それと、これは阿部委員も指摘されましたけれども、今回の「中間とりまとめ(案)」ではもう一度年齢で区分されるのではないかという受け止め方をされることもありますので、ここ入っていることがそうではないのであれば、これは単に財政上だけの話なので、75歳あるいは65歳という年齢で加入者を分けるという話ではないということを、もう少しわかりやすく説明する工夫が必要ではないかと思います。
最後に、横尾委員が指摘されたイントロのところでは、ここはなぜこういう議論をスタートとしたかをきちっと書いておく必要があるだろうと思います。
以上であります。
○岩村座長
ありがとうございました。
それでは、小林委員、お願いします。
○小林委員
今回「中間とりまとめ(案)」が示されまして、これについて何点か申し上げたいと思います。
2ページ目の「制度の基本的枠組み」、これについては賛成でありますが、新制度に移行されますと、高齢者でありますサラリーマン、被扶養者の方々が被用者保険に移ってくることになり、一部の保険者の負担が急増するような影響が出ることにつきましては、以前から申し上げております通り、別途の対策が必要であると考えますので、今後の検討に当たりましては是非お願いしたいと思います。
小島委員からもお話がありましたように、特に協会けんぽは依然として厳しい財政状況が続いており、新制度移行に伴って増える財政負担につきましては、是非とも負担軽減策が必要だと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、費用負担についてですが、7ページ目の「(2)公費」の2つ目の丸において、公費については「効果的な投入を図りつつ、充実させていくことが必要」であるとして公費拡充の方向が明確に打ち出されていることは高く評価したいと考えております。
この「公費投入のあり方については、引き続き検討する」となっておりますので、検討を進める中では是非、その具体像が見える形での制度設計を示していただきたいと思います。
8ページ~9ページの「(4)現役世代の保険料による支援」の2つ目の丸について、特に「被用者保険間は負担能力に応じた支え合いにすべき」と明記されていることにつきましても、総報酬按分に基づいた仕組みが公平性の観点から必要であるという、従来から私どもが申し上げてまいりました考え方が反映されたものとして、これについても評価したいと考えております。
今後、検討を進める中でも、これは極めて重要な点だと考えており、是非具体的な形にしていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
9ページの「(5)高齢者の患者負担」の3つ目の丸。高額療養費については、現役世代を含めた全体の見直しが医療保険部会でも現在検討が行われております。「所得の低い方の限度額の引き下げと、所得の高い方の限度額引き上げ」のセットでの見直しはいいと思いますが、今後の検討に当たりましてはあくまでも、財政ニュートラルを基本に考えていくべきだという点を申し上げておきます。
それから「保健事業等」について、これは確認であります。10ページの「保健事業等」の4つ目の丸ですが、特定健診等の推進は加入者の健康増進等のために必要であり、保険者として積極的に対応していきたいと考えておりますが、ペナルティのような仕組みは廃止すべきだとこれまでも何回か申し上げてまいりました。
10ページの「5.保健事業等」の4つ目の丸で「新たな制度の下でも、特定健診等をより円滑に推進するための方策を講じる」とありますが、新制度においては、現役世代からの高齢者医療の加算減算の仕組みを廃止した上で、健診促進のための方策を設けるという理解でよろしいか、確認させていただきたいと思います。
以上が「中間とりまとめ(案)」についての個別の意見ですが、最後に議論の進め方について1点申し上げたいと思います。
もう既に何人かの委員の方からお話がありましたが、議論のために残された時間は限られておりますので、検討事項に即した財政影響の試算をタイムリーかつなるべく幅広に示していただきたいと思います。事務局は大変だと思いますが、この点については是非よろしくお願いしたいということを申し上げます。
以上です。
○岩村座長
それでは、総務課長、お願いします。
○神田課長
特定健診・保健指導の点について、加減算の仕組みをどのようにするのかというお尋ねでございますけれども、特定健診・保健指導を効率化できる部分の医療費をできるだけ効率化していくという取り組みは引き続き必要だと考えておりますが、後期高齢者医療制度そのものが廃止されますので、後期高齢者の支援金そのものはなくなるということかと思いますけれども、新しい制度においてもインセンティブは必要ではないかと考えております。
そのインセンティブのつけ方につきまして、若い世代からの仕送りについて一定のインセンティブをつけるのか、あるいは別途の形でインセンティブをつけるのかについては、幅広く検討したいと考えております。
○岩村座長
ありがとうございました。
○小林委員
わかりました。
○岩村座長
それでは、こちら側でお手が挙がっていますが、そうしましたら4方、こちら側お願いします。三上委員、白川委員、堂本委員。済みません、こちらも手が挙がっていて、それでお二方ということで最後とさせていただきたいと思いますので、時間の配分もありますからその点を御配慮いただければと思います。
それでは、三上委員からお願いいたします。
○三上委員
「中間とりまとめ(案)」について、この制度の枠組みにつきましては、これで非常によくできているのではないかと思っております。賛成いたしますが、先ほどから運営につきまして、知事会、市長会、町村会等で、それぞれ責任を回避するような御意見が出ている。この原因はやはり、公費の投入がどういうふうに効率的に効果的に行われるかが明確に書かれていない、具体的に書かれていないということで、7ページに書かれてある公費の投入につきましては、もう少し具体的な書き込みが要るのではないかと思います。
特に6ページの財政安定化基金につきましても、こういう苦しい中でまだ保険料をへそくりのように安定化基金に残すことが書かれているので、なるべく公費を投入しないのではないかという印象を受けることがありますので、この辺を考慮いただきたいと思います。
その上で、先ほど経過措置として、基本資料の5ページあるいは本文の4ページに、移行期間に都道府県国保と市町村国保が65歳か75歳かわかりませんが併存する経過措置を設けて、それをどのようにするかということだったのですが、これは岩見委員が述べられたように一気にいくのが本来はいいのですけれども、できなければここに書いてあるような移行期限を決めていただきたい。何年後には移行するということを決めていただくのがいいのではないかと思います。
4ページの「運営の仕組み」の中で、保険料の収納率の違いによって、それぞれ市町村が集める保険料が変わるのではないか、都道府県が標準保険料率を決めて市町村が収納するわけですが、その収納率によって保険料率が変わる仕組みで、そういうインセンティブをつけるんだということがあったのですが、これは収納率の悪いところに住んでおられるまじめに払っておられる方がばかを見るというのでは、非常に問題ではないかと思いますので、また別の方法を考えていただきたいなと思います。
9ページの「高齢者の患者負担」の問題ですけれども、患者負担につきましては、70歳~74歳の1割で凍結されているわけですが、この問題につきましては前回ですかね、大分前でしたか、近藤委員の方から3割なら受診抑制が起こると、1割なら受診抑制が起こらない、2割ならどうかわからないということなので、これは一応現在のところ1割で凍結ですけれども、2割ならどうなるのかをもう一度検証していただきたいと思います。
10ページの「保健事業等」なんですが、ここで2つ目の丸に今後とも健康診査等については各保険者の義務として行うことが書かれていますが、そのことについて以前のように市町村が責任を持って行う方がいいのではないかという議論はきっちりしていないのではないかと思いますので、この辺の書きぶりはどうかとか、決め打ちのような形に書かない方がいいのではないかと思います。当然、加算減算の問題につきましても、ここでもう一度再検討していただきたいと思います。
以上です。
○岩村座長
ありがとうございました。
それでは、お待たせしました。堂本委員、お願いいたします。
○堂本委員
ありがとうございます。私は最初から単純なシステムに是非していただきたいということと、公平を是非担保していただきたいということを主張し続けてきたんですけれども、いずれもやはり難しかったように思います。
6階建てが、7階建て8階建てになってしまって、しかも財政の面だけだと言われればそれまでなんですけれども、やはり都道府県と市町村が分かれて一定期間保険を担当するという仕組みに今回書かれているわけですが、先ほどもどなたかおっしゃいましたけれども、やはり今度はいずれは将来は全体都道府県にということになるんだと、その移行の仕方はとても難しいのではないかと。それから、大変そこに余りにも複雑な時期が長く続くことは、全体として大変不健康な状況になるんではないかという心配を持っています。
今度、2番目の公平ということですけれども、確かに8ページにございますように、世帯主以外の高齢者は保険料の納付義務がなくなるということで、こういう方たちは大変お喜びになるわけですけれども、逆に今度、保険料の上がる人もいるわけですね。ですから、新しい不公平が生じるわけ。だから、前回のやはり後期高齢者医療制度に対しての不満は不公平が原因だったと思っているんですが、今度は新しい不公平が生じる。前回よりも不公平の数が少ないのかもしれませんが、いずれにしても不公平が生じることについては、それはぬぐいされないことだと思っているので、そこをとても残念に思っています。
今日、大臣が最初から終わりまでいらしてくださっているので、特にお願いをしたいんですけれども、やはり先ほど岩見委員からもどうせやるならもう大胆に今の時点で全部都道府県に持っていくんだというふうにしたらどうかとおっしゃったんですけれども、徐々に変えていくやり方がいいのかどうか、やはり保険の問題だけでは済まないんだと思うんですが、日本の社会保障制度はもう少し抜本的な改革が是非必要なんだろうと思うんですね。そこのところをやはりずっとこうやって回を重ねて議論を聞いていますと、本当にさっき樋口さんが言われたように、私たちにも理解しにくいような微に入り細に入り複雑なところがあります。ですから、全部の国民に理解してもらうことは大変難しい。したがって、やはりもっとシンプルで、そして公平性の担保されるような制度に是非大胆に取り組んでほしいと思うのが1つです。
先ほどから、ずっと皆様の間で議論になっている財源の問題ですけれども、これはやはり政治としてそこのところをきちっと、ちょうど菅総理にお会いになったということですけれども、責任を持って国の方でおっしゃっていただかないと、都道府県だろうと市町村だろうとあらゆる団体がやはり、そこで何か半端な議論を、想像での議論を重ねてしまうようなところがあるように思います。
ですので、そういった民主党としてのこれをやるんであれば、本当に大英断をどこかできちっとなさると、ここの議論を超えてもっと大きな観点から変えていくという勇気を持っていただきたいなということが、私の感想でございます。
どうもありがとうございました。
○岩村座長
ありがとうございました。
それでは、お待たせしました、白川委員どうぞ。
○白川委員
それでは、もう時間が迫っておりますので、手短に何点か申し上げたいと思います。
1つは、先ほど話にも出ましたとおりイントロ部分が重要だということは、私も賛成でございますし、是非そうしていただきたいのですが、併せてこの「中間とりまとめ(案)」の1ページ目にあります「現行制度の問題点」も非常に重要だというふうに思っておりまして、この会議の問題意識ということになると思いますし、したがって、解決策を考えるという位置づけだと思いますけれども、現在の「中間とりまとめ(案)」では後期高齢者医療制度の問題と市町村の国保の問題の2つだけしか書かれていないと。
私が考えておりますのは、それもありますけれども、保険者の財政が非常に厳しいんだという話でありますとか、前期高齢者医療制度については問題ないのかという話とか、あるいはこの制度改革は25年度から実施という計画になっているかと思いますが、そうすると一番心配なのは高齢化の進展に伴って現役世代の負担が増える、高齢者の方々の負担も増えていく、そういった将来に対する問題点もあると思いますので、その辺は是非書き込んでいただきたいというのが意見の1点目でございます。
2つ目は、費用負担の問題についてはいろんな方からいろんな意見が出ましたけれども、高齢者の方々の負担をどうするかという問題、公費の問題もありますけれども、現役世代の方々の負担の能力の限界といいますか、そういったことについてもやはり秋以降かもしれませんが議論していくべきだと考えておりまして、6ページの3.(1)の2つ目の丸の○1、○2、○3に、こういう考え方があるよと例示をされているわけですけれども、私は高齢者の方々の負担の限界、現役の方々の負担の限界を考えて、足りない分は公費だというぐらい思い切った考え方にしないと、25年以降の高齢化の進展の中では、もうとても高齢者も現役世代も共倒れになりかねないという危惧を抱いておりまして、そういった踏み込んだ検討も必要ではないかと考えておりますので、意見として申し上げたいと思います。
以上でございます。
○岩村座長
それでは、近藤委員、お願いいたします。
○近藤委員
今回の文書には、「引き続き検討する」という表現が多数出てまいります。年末の検討に向けて、基礎資料を2点お願いしたいと思います。
1つは、9ページの(5)の「高齢者の患者負担」にかかわる資料です。そこの3行目に「負担能力に応じた適切な負担にとどめる」という考え方を基本とすると書かれております。そのような制度にするための判断材料として、受診抑制が現状でどの程度あるのかという資料を是非お願いしたいと思います。
3月8日に開かれた第4回のこの会議に、私どものデータをお示ししましたが、自己負担の割合によって受診抑制が起きてくる。そして、現状でも起きているという事実がございます。これについては、内閣府の政策統括官が以前に、国が持っているデータを使って検証した実績もございます。是非、現状でどうなのか。あとは年齢によって負担割合が違うという状況がこの間実際にありましたので、その間にどのような状況が起きたのかという資料は出せるはずです。是非御検討いただきたいというのが1つ目です。
もう一つが、7ページにあります「高齢者の保険料」についてです。今回、用意していただいた意識調査の8ページを見ましても、同じ所得なら同じ保険料と、その公平性を重視してほしいというのが最も多い意見です。
あと、年齢だけで決めるのでなく、高齢者でも豊かな者は負担してもよいという心強い御発言もありました。是非所得水準別の保険料負担の水準、所得に対する保険料がどれぐらいの水準に当たっているのかが分かる資料を出していただきたいと思います。私は、自己負担を抑えた方がいいと思っているんですけれども、そうしますと保険料を上げることは受け入れざるを得ない。一種目的税的な保険料で賄うことは必要なことかなと感じております。
そのときに、負担能力に応じた保険料水準を考える上で、所得水準別の資料を出していただきたい。そのときに、協会けんぽと健保連についても、所得に対する保険料負担の割合を一緒に参考資料として是非出していただきたい。所得水準別にみて公平に、みんなで負担すべきものは負担する。それを判断する材料となる資料の提出をお願いしたいと思います。
○岩村座長
近藤委員、次回の予定としては「中間とりまとめ」になっていて、秋以降第2ラウンドの議論となります。今の資料は伺った限りでは、ご要望の資料は第2ラウンドの議論のための資料かと聞きましたけれども、そういう理解でよろしいですか。
○近藤委員
そうです。今のうちにお願いしておかないと、時間が足りず間に合わなかったとなると困ると思いましたので。
○岩村座長
ありがとうございます。
それでは、こちらからお二方。では、神田委員、見坊委員でお願いいたします。
○神田委員
ありがとうございます。いろいろ知事会の考え方に対する御意見もいただきましたが、それに関連しながら今後のこの会議の進行について若干申し上げたいと思います。
さっき将来推計を私どもがお願いをいたしました。宮武委員からは増えるに決まっているということですが、私どもが心配しているのは桁違いに増えるのではないかということです。負担できるかどうか、まさにそこが問題で、減るなんていうことはこれっぽっちも考えておりません。
そこで、シミュレーションが出て、今後の議論ですが、やはり国の役割を厚労省側から積極的にものを言ってもらわないと、ただここで議論していましても堂々めぐりです。だから、例えば今、5対4対1、公費の部分でも4対1対1、こういうものをどうしたらいいのか、安定化基金の1対1対1をどうしたらいいのか、やはり積極的にものを言ってもらう必要があるし、もうそういう時期だろうと思っております。
それから、今後のスケジュールのことでありますが、国保全体にかかわる問題という認識で今日も議論がありました。そのことは私は否定しません。冒頭申し上げたのは、国保も今、危機的な状況になっていて、財政破綻をどうするかというそこに問題があるとすれば、これもやはり財政とも関わってまいりますし、社会保障審議会での議論がどうなっていくのかということ、これは前に私が指摘しましたけれども、その後まだ何も動きがございません。
それから、先ほど公聴会の話は今日また後ほど説明があるのかわかりませんが、ほかの委員さんからも御説明がありましたけれども、こういう状況の中でこの公聴会やら意見交換会でどういう議論を想像するのか、技術的な話が分かる方はほとんど私は期待できないと思いますし、では各都道府県やら保険者の専門家を呼んでそこでやるのか、まさか大臣にそういうことをやっていただくということもおかしなものだと思います。
したがって、これからあるであろう意見交換会だとか、公聴会などのやり方もよほど知恵を絞り、どういう資料を使いどういう説明をして何を期待するのか、これをきちんと対応していただかないと、ただやったというだけになってしまい大変残念なことになります。
特に財源の問題は、つまるところやはり、これは財務省とのさまざまな交渉ごとも出てこようかと思います。今日、大臣も御出席いただいておりますが、是非ともちょうど子ども手当がそうであったように、やはり国民皆保険をどう守っていくかということについて、消費税ともこれは絡んでまいりますけれども、政府としての大きな方向づけを出していただく必要があろうかと思っておりますので、この点については大臣、くれぐれもよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○岩村座長
それでは、見坊委員、お待たせしました。
○見坊委員
もう時間が来ましたので、申し上げることよりはこの会議の進め方、性格をもう一度確認をして、そうして次回のとりまとめについて、実は私もこの「中間とりまとめ(案)」を読みましたが、14か所に引き続き検討しなくてはならないという、しかも大事な議論の分かれている問題は14項目入っているわけですね。そうしたことを踏まえて、これをどういうふうに「中間とりまとめ」を座長としておまとめになるんだろうかということについて、非常に心配をしております。
この会議は政権交代によって、特に前政権に約束されたこともあり、特に長妻大臣中心にかなりの政治主導で開いた会議だと私は認識しております。そうして、大臣以下三役の方も大変忙しい中を、今日は特に最後までお聞きになっている状況ですが、さて、この論議の今のとりまとめなり報告、そういう内容について、私はこの段階ぐらいでは大臣としてどういう見解であるか伺いたいところでございます。
しかし、今日は時間がありませんし、また、それを伺うと議論になるおそれがありますが、そういうことを伺いたい。従来の審議会とはちょっと違うと、私は基本的にそう思っています。だから、この会議の最初の段階で、樋口委員あるいは堂本委員、阿部委員、私の高齢者代表として4名選ばれている。この責任は従来の審議会の委員と非常に違っている。この責任は非常に大きいと思って、それだけに慎重に質問したり、知ろうと意見を求めてきたつもりでございます。
高齢者の最初に考えたことはここにはどこにも出ておらない。4名の委員はどういうことを言ったのかわからないですね。こういうきれいなとりまとめ(案)が書かれますと、これは私どもとして責任を果たさないと、こう思っております。
しっかりまとめの中にそれをどう取り入れるかは、やはり座長の御苦心で、私は何か出るのではないか、うまくいくのではないかと思っていまして、次回は今日の意見をもとにして(案)を出して、もうそこで決めなければならないわけですか。それとも、引き続き検討するということは14か所もありますから、その引き続き検討事項は年度の後半で議論して、それをもとにしてこの会議としてのまとめにすると。その間にあるいは修正の余地があるのかどうなのか、その辺がちょっとお伺いして、私が申し上げたことは従来から申し上げたこととそう変わらんわけであります。
以上だけ。差しさわりがあってそこはちょっと検討させてくれというなら、それでも結構でございますが、どういうふうなことになるのかお伺いしたい。
○岩村座長
私の方から一言申し上げた上で、あと課長の方で引き取って説明していただきたいと思いますけれども、今後の進行についてですけれども、既に御案内のとおり公聴会についてはいろいろ御意見がありますが、今日お示しした(案)をベースにして、そして各地で公聴会をさせていただくことと致したいと思います。「中間とりまとめ」自体は、来月予定されている会議で「中間のとりまとめ」という形でまとめさせていただきたい。
実は、今日お配りした日程表にもありますように、また別途「中間とりまとめ」の後の公聴会も予定されておりまして、そういったものも踏まえながら、秋以降、最終的なとりまとめに向けてのまた議論をさせていただくことになります。そういう意味では、先ほどなお、検討が必要であるというのがたくさんあるというお話でしたが、それは秋以降の議論の中で更に詰めさせていただくという進行を、今のところ考えているということでございます。
では、あと課長の方で補足があれば。
○吉岡課長
地方公聴会についての御指摘が幾つかございました。できるだけわかりやすい資料でと思っておりますので、この公聴会には岩村座長にも全部御参加いただくことになっておりまして、座長とともにわかりやすい資料をどうつくろうかと、今、腐心をいたしているところでございますけれども、また委員の先生方にも、そういう意味でアドバイスをいただければと思っております。
ちなみに、資料をお配りしておりますように、まず、8月2日、4日、10日と福岡、宮城、大阪で開催をいたします。例えば大阪ですと、定員1,100人のところを既に1,200人以上の方の御応募をいただいているという状況もございます。改めて国民の皆さん方の御意見も幅広く頂戴し、そして8月20日には「中間とりまとめ」の最終的な御議論をいただければと考えております。
○岩村座長
見坊委員、よろしゅうございましょうか。
○見坊委員
この段階でやれば、これはまた非常に全体の進行に差しさわりもありますし、私は第一段階をかなり絞って、長妻大臣の6原則を念頭に置きながら議論をやってきた。それを前提に今、また逆戻りすることは私もできませんよ。
ただし、今、公聴会の案内がずっと各県にも行きましたので、高齢者の中から一体代表として見坊は出ておるんだがどういう意見を持っているのかを問われております。説明に実は苦慮しているのが実態でございます。説明できない部分が非常に多い。つまり一般の高齢者はわからないんですよ。ですが、代表を出した以上は、その意見にできるだけ沿って協力しなければならんという気持ちで、みんなどう発言すべきか聞いてくるんですよ。それは私はそういうことを方向づけして話をすることはできない。私は私としてこれは会議に出て意見を言っているので、皆さんの意見はどうだというものを公聴会では思ったとおりに話してもらいたい。そういうふうに言っているところでございます。明日またその会議があるわけで。
とにかく高齢者代表4人が入ったことは、非常に従来の審議会とは全く違う、そういうふうに受け止めておりますので、そこだけはちょっと補足。
○岩村座長
ありがとうございます。私自身、公聴会に出る者ですから、今の御指摘を踏まえながら対応させていただきたいと思います。
それでは、政務官、一言ということでございますので。
○山井政務官
本当に時間を超過している中で申し訳ありませんが、先ほど堂本委員からも樋口委員からも複雑過ぎるということでおしかりをいただいたのですが、この「中間とりまとめ(案)」というか今日示した資料について、非常に複雑な話ですが、目指しているところは主には2つでありまして、自然増は仕方ありませんが、この改正による保険料のアップはできるだけ避けたいということが1点。
それともう一点はやはり、最大の問題点は、75歳以上の人たちだけが疎外感を今の現行制度というのは味わっていることでありまして、それは具体的にどういうことかと言いますと、今回の「中間とりまとめ(案)」の7ページの一番下の丸にありますが、基本的に高齢者の保険料の伸びが現役世代の保険料の伸びを上回る構造になっていると。
つまり、高齢者の方がより医療にかかるのは当たり前のことなんですね。当たり前のことなんだけれども、それによって現役世代より高齢者の保険料の伸び率が高い構造に。だれか先生が仰っていましたように、その結果、保険料のアップを避けようと思ったら、75歳以上の高齢者の方を医療にかからないようにせねばならないという、やはりこういう構造上の問題が非常に問題であったと。
ですから、今回のこのまとめの中では8ページの上の丸、ここが一つのポイントだと思うんですが、つまり「高齢者の保険料の伸びが現役世代の保険料の伸びよりも大きく乖離することとならないよう、財政安定化基金を活用して高齢者の保険料の伸びを抑制できる仕組みを設ける」。つまり、現行制度で、現役よりも高齢者の保険料の伸びが上がってしまって、その結果、医療を抑制せざるを得ない構造を、そうではなくて保険料の伸びを安定化基金を使って現役世代と同じにすることによって、伸びを抑制することと同時に医療の抑制がかからないようにしていくと。この2つが非常に複雑な話なんですが、今回の私たちの提案のねらいだと思っております。
逆に言えば、医療費はどんどん増えていくわけですから、医療費抑制はある程度はしないと財政的にもたないわけで、ただし、そのときには高齢者とともに現役世代も同様に苦労しましょうと。現行制度はその痛みを、何か歳をとって医療にかかることが悪いかのごとく後期高齢者に押しつけ過ぎていたんではないかと。だから、医療費抑制、医療費の伸びは、現役世代も高齢者も同様にかぶりましょうというのが今回のこの(案)のねらいであります。複雑というおしかりも受けておりますが、そのような想い、根本理念で改正を考えていることを御理解いただければと思います。
○岩村座長
今回の「中間とりまとめ」の意義について、非常に適切におまとめいただいて、大変ありがとうございます。
今の政務官の御発言にもありましたけれども、今日の「中間とりまとめ(案)」はあくまでもここまでの議論を踏まえて、大きな制度改正の方向性をお示ししたということでありまして、だからこそ先ほど見坊委員ともお話ししましたけれども、この後更に議論を進める点がいろいろ残されているということでございまして、1回、8月で「中間とりまとめ」という形で制度の大きな方向づけについては確認をさせていただいた上で、第2ラウンドを9月以降、更に詰めるべきところは詰めていくと考えておりまして、そういう性格のものだと受け止めていただければと思います。
それから、財政運営の単位であるとか、新しい制度の下での運営の主体をどこにするかという議論でありますけれども、私の印象ではこれまでのこの検討会議での大まかな方向性というのは、勿論皆さんの意見の違いはありますけれども、財政のところは県でと、しかし、給付はどうするかはともかくとしても、なるべく住民に近いところの事務はやはり市町村でやっていただくのが大体の大きな会議での議論の流れだったのではないかと思っておりまして、そういう点で今回の「中間とりまとめ(案)」はその線で書かれていることを御理解いただきたいと思います。
それから、国保の議論は確かに大変重要な議論でございますが、勿論前にも私も申し上げたとおり、この高齢者の医療の制度は各それぞれの医療保険制度等に全部つながっているものですので、当然のことながら高齢者の医療の制度を議論すれば国保の議論もすることになります。
ただ、国保をどうするかという本格的な議論は、この会議のミッションではありませんし、そもそも時期的にもこの会議についてはおしりが切られているというか時期の後ろが切られているので、そうした限られた時間の中で国保の本格的な議論をするのはちょっとやはり無理だろうと考えております。その点は、ぜひ御理解をいただければと思いますし、また、そういう観点からしますと、確かに非常にきれいに大きくばさっとやるというのは美しいことは美しいんですが、限られた時間の中で議論することにはどうしてもそこには限界があることも御理解いただきたいと思います。
あと、複雑であるとの御批判は甘んじて受けますが、他方でどうしてもこれだけの多くの制度が関与する仕組みでありますので、とりわけ財政調整になると、これはもう複雑かつテクニックな問題にならざるを得ないことはやはり十分御理解をいただきたいと思います。
中間とりまとめ案をまとめるにあたって目指したのは、少なくとも高齢者の被保険者の皆様が直接に制度と接触する場面においては、できるだけシンプルにしたいということでありまして、そういうことから、それぞれの高齢者の方の職業その他に応じて、国民健康保険に加入していただく、あるいは被用者保険に加入していただく形での振り分けに一本化しているということでございます。
保険料については、確かに今回の(案)ですと、75歳以上の方については別途の保険料という形になっていますが、これは実は財政調整の問題と密接に結びついていて、そこのところはどうしても譲れない、譲るのが非常に難しいところであるということも御理解をいただければと思います。
いずれにしても、今日いろいろと貴重な御意見も頂戴しましたので、更には公聴会についても御指摘いただいた点を踏まえながら対応させていただいて、いろいろな御意見を伺って、それをベースにしながら8月の次回において「中間とりまとめ」をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思いますし、また、大変申し訳ないのですが、時間が限られているものですので、もし御意見等がありましたら、例えばポイントだけは御発言いただいて、あとは紙でお出しいただくこともできるかと思いますので、適宜その辺を御検討いただき、議事進行に御協力をいただければと、私からも切にお願いしたいと存じます。
それでは、済みません、議事の進行の不手際で予定の時間を超過してしまいましたけれども、今日はこれで終了させていただきたいと思います。
次回の第9回会議でございますが、既に度重ねて申し上げておりますように、今日の議論と来月上旬に開催されます地方公聴会での御意見といったものも踏まえて、「中間とりまとめ」を行いたいと考えております。どうぞよろしくお願いをいたします。
次回の日程でございますけれども、8月20日の金曜日、午後1時~3時までを予定しております。詳しいことは、事務局の方から改めて御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
今日は、お忙しいところを、どうも大変ありがとうございました。これで終了させていただきます。
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