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2010年6月14日 チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ 第2回議事録

医政局看護課看護サービス推進室

○日時

平成22年6月14日(月)16:00~18:00


○場所

厚生労働省6階共用第8会議室


○出席者

秋山 正子 (ケアーズ白十字訪問看護ステーション 統括所長)
有賀 徹 (昭和大学医学部救急医学講座 教授)
井上 智子 (東京医科歯科大学大学院 教授)
大滝 純司 (東京医科大学医学教育学講座 教授)
川上 純一 (浜松医科大学附属病院 教授・薬剤部長)
神野 正博 (社会医療法人財団董仙会 理事長)
小松 浩子 (慶應義塾大学看護医療学部 教授)
竹股喜代子 (亀田総合病院 看護部長)
英 裕雄 (医療法人社団 三育会 理事長)
星 北斗 (財団法人星総合病院 理事長)
前原 正明 (防衛医科大学校外科学講座 教授)
山本 隆司 (東京大学大学院法学政治学研究科 教授)

○議題

1 看護業務実態調査について
2 特定看護師養成調査試行事業について
3 その他

○議事

○島田看護課長補佐 
定刻を若干過ぎましたので、ただいまより「第2回チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」を開催いたします。
 委員の先生方におかれましては、ご多用中のところ、当ワーキンググループにご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、真田委員より欠席のご連絡をいただいております。また、前回ご欠席でした英委員にご出席いただいておりますので、ご紹介いたします。医療法人社団三育会理事長、英裕雄委員です。次に配布資料の確認をさせていただきます。お手元にお配りしております。1枚目に議事次第です。2枚目から会議の資料になっています。資料1は「本WGにおける検討のイメージ(案)」です。資料2は「看護業務実態調査について」1枚です。資料3は「看護業務実態調査(案)概要」です。資料4は「特定看護師養成調査試行事業実施要綱(案)」です。乱丁落丁などございましたら途中でも結構ですので、事務局のほうにお申しつけください。
 有賀座長、議事の進行よろしくお願いします。
○有賀座長 
皆さんこんにちは。いまありましたように第2回目ということになりますのでよろしくお願いします。本日は議事次第にありますように看護業務実態調査、前回のときには実態調査その1と呼んでいた気がします。その2は特定看護師養成調査試行事業となっていますが、いずれ事務局から説明をしていただきます。主な議題として、今日の議事を進めていきたいと思います。
 資料1の全体像のことがありますので、これは前回の第1回のときにもいろんな質疑が出まして、人が質問したり、人が答えたりしたのを聞いていますとだんだん理解が深まってくるということがありますから、先生方もそれなりに理解されていると思います。事務局がせっかく作ってくださったので、この全体像を一度見て復習して、それから本題に入っていきたいと思います。よろしくお願いします。
○島田看護課長補佐 
まず資料1を説明させていただきます。ただいま座長からお話がありましたように、本日、2つの調査と試行事業についての議論をいただくわけですが、それらの関係とこのワーキンググループにおいて、検討をどう進めていただくかといったことをまとめたものを作りましたので説明させていただきます。
 看護業務実態調査です。こちらは質問紙調査と聞き取り調査で構成している調査です。詳細については、後ほど議論いただければと思います。その下に、特定看護師養成調査試行事業を実施をするということで、これは前回の会議ではモデル事業と示したもので、内容としまして情報を集めるという意味での調査の部分と、トライアルというところで試行もしていただくことですので、調査試行事業としております。これらについて2つ、修士課程と研修課程についての情報を集めるということで、詳細については後ほど説明させていただきます。これらの2つの課程から調査試行事業ということで参加いただいて、下のほうにありますが実施状況についての、安全面の課題、学生の履修状況、実習時のインシデント・アクシデントの報告をいただくといったものを実施することを考えています。実態調査は8月までに調査のまとめをしていただき、試行事業のほうは今年度中ということで考えております。
 右側にありますように、この双方から出てまいりましたまとめから、上の実態調査のほうでは、一般の看護師が実施可能な医行為の候補、そして特定看護師が実施可能な「特定の医行為」の候補といったものが上がってくるかと思います。それらと下のほうの試行事業のほうから出てまいります、特定の医行為を習得するためのカリキュラムの在り方とか、安全に実施するための要件といったものをこの真ん中に赤い字で書いてありますが、調査試行事業で判明した医行為を安全に実施するための要件を踏まえて、特定の医行為の範囲等を調整するといったこと。「特定の医行為」の候補を踏まえて、カリキュラムの内容等を調整するといったこの双方の結果を踏まえての調整が必要かと考えております。
 これらをこのワーキングではそれぞれの調整を見ながら議論をいただいて、一般の看護師が実施可能な医行為、特定看護師(仮称)が実施可能な「特定の医行為」、そして更なる検証が必要な医行為、他職種による実施が適当な業務といったものをとりまとめ、特定看護師(仮称)の要件(案)、特定看護師(仮称)の養成課程の認定基準(案)といったものを一定のとりまとめを行っていただくことでワーキングとしましては、11月を目処にとりまとめをいただくわけですが、その後このまとめを推進会議のほうにご報告をいただき、推進会議でもご議論を得た後、12月中に一定のとりまとめをすることを考えております。ここで検討すべき課題というものが残りましたら、必要に応じて検証のための事業等を、今後も続けるということも考えております。以上です。
○有賀座長 
ありがとうございました。この資料1の真ん中より左側についてが現在私たちの当面の課題になると思います。その後については、こんなふうなイメージだというようなことでご理解いただければと思います。何かこれに関してのご質問はありますか。
○星委員 
星でございます。真ん中の四角に囲まれている一般の看護師が実施可能な医行為の候補というのと、特定看護師(仮称)が実施可能な「特定の医行為」の候補と書いてありまして、その後に、更なる検証が必要な医行為というのがポコッと出てきています。私がいま想定していると言いますか、少なくとも私がいま想像できているのは、大部分の行為がそのどちらでもない、グレーのものではないかなということです。したがって、どういう出来上りの姿になるのかがわからないで、調査に突入するというのはどうかと思います。まったく2つのものに分けて、一般の看護師がしてもいいという行為と、これは駄目だ、これは特定看護師でないと駄目だ、という行為をスパッと分けられるというふうにこの絵は見えますが、私はそうではないのだろうと思っています。大部分の行為は「あー、まあグレーだな」というところだと思います。「さすがにこれは」というのはこの間から言っている話でありまして、この上と下は限りなく薄くて、真ん中の更なる検証が必要な医行為というのは、大部分ではないかなと私は想像しています。こういうふうにきちっと分けるという調査をこれから実施しようと思えば、これは大変なことになると思います。私は「そうではない、大部分がグレーということが出てくることもあり得るんだ」ということで議論を進めていかないと、どんな調査をするのかというところで行き詰ってしまうと思うので、この辺りは座長に仕切っていただけるとありがたいと思います。
○有賀座長 
仕切るというよりは、真ん中から左のほうについての話は、真ん中から右の目的がはっきりしないと塩梅が悪いだろうとおっしゃっていると思います。
 先生が言われるグレーというのは、これから看護業務実態調査という形でお話を進めていく中で、従来のこれに似たような研究をしてくださっている方たちの結果を少し私はメールで見せてもらう機会がありましたが、やはりグレーなのです。つまりこういうことについては、かなりの看護婦さんやお医者さんたちが「看護師さんがやってもいいよ」と思っていますが、こういうことについてはその逆だったりすることもあり、答える人により、すごい右側の答えと、すごい左側の答えが出てくる。
 だから最終的にはとっても真っ赤っかなものと、とっても白いものと、真ん中のピンクのものがあり、そのピンクを無理に恣意的に分けるとこういうことになりかねない。おそらく程度が難しくて、真っ赤っかについての議論がたぶんされていくでしょう。その真っ赤っかの部分は後で議論になると思いますが、分野ごとに、例えば私は救急医療の分野でバタバタ働いていますが、そういう分野のパートナーたる特定看護師(仮称)ですが、いたとすると「こんなことだよね」というのと、慢性期の局面で一生懸命働いているドクターとナースがいたとすると、その方たちが考えているものというのとは、たぶん同じではないはずです。そういう意味でも論理的には、言葉の上ではこうなるのかもしれないのだけど具体的に展開していくと、必ずしもそうではないだろうと私も思います。
 少なくとも右側はこれから先のイメージということになりますので、私のイメージがそのまま書いてあるわけではありません。最終的には、現場の看護師さんたちが元気になるような特定看護師さんたちができればいいのかなと考えています。先生がおっしゃることを多くの方たちが共有しているのではないかと想像します。いいですよね、先生。あとは何かございますか。
○大滝委員 
大滝です。前回も話題になりましたが、親委員会の記録では特定看護師だけではなくて、比較的短期間の研修などを要件として認める部分もあり得ると述べられていたと思います。このイメージだとわかりにくいと思いますが、それも含めて検討することを確認したいのですが、いかがでしょうか。
○有賀座長 
そのことも私の頭の中の理解は、特定看護師(仮称)といったときに、どうやら修士課程の卒業生を想像しながら議論したらしいと。だけど修士課程というか大学院を卒業していなくても、現場で高度なことを一生懸命やっている人たちがいると。その人たちが排除されることがないようにしようという私の理解です。
○大滝委員 
そうですね、それの取り扱いもここで検討するということでよろしいですか。
○有賀座長 
だから特定看護師ダッシュをまた作るとかそういう話ではなく、現場で働いていて、私みたいに大学院を出てない人も看護師さんでたくさんいるわけですから、その方たちがこの特定看護師(仮称)という水準にいくためのプロセスもここに入れ込むというふうなことで、議論していきたいと私は思っています。
○大滝委員 
了解しました。
○有賀座長 
何かありますか。極めて総論なのでこの部分で理解の基礎をというか、このページの右側半分は、星先生が言われたようにもうちょっと議論をしながら作ってもいいのかもしれません。とりあえず現状においては、左側の部分についてのお話が、今日これからになります。
○星委員 
つまりこのイメージの(案)のままで置いといていただけると、我々としては大変ありがたいと思います。
○神野委員 
この実態調査の中身をこれからやると思いますが、いちばん上の、現在の看護師が行っている医行為というのが全体像であって、これを例えばAとすれば、その下の、将来一般がB、特定看護師がC、現在他職種にやってもいいのがDとすれば、A=B+C+Dということになるのかなと。そうするとこの、特定看護師の要件のところがもっともっと明確になってしまえばBとDのところが特にBのところがグレーゾーンになっていくのかなと理解しているのですが、そういうことでよろしいですか。
○有賀座長 
先生がおっしゃっているAは一般の看護師さんたちがやっている。
○神野委員 
どういう意味ですか。例えばいちばん上をAとすると。
○有賀座長 
一般の看護師が実施可能な。
○神野委員 
現在の看護師が行っている医行為は。
○有賀座長 
こちらですか、ごめんなさい。
○神野委員 
例えば現在看護師が行っている医行為の範囲を全体像とすれば、「その下の3つを足し算するといちばん上になるのですよね」という理解でよろしいですよね。
○有賀座長 
でしょうね。ちょっとよくわからないな。これは実態調査のところで少し議論しませんか。
○神野委員 
そうですね、ごめんなさい。
○有賀座長 
そこで具体的にやっていくことにしましょう。では、資料2の説明をお願いします。
○島田看護課長補佐 
それでは資料2「看護業務実態調査について」の説明をさせていただきます。この調査の趣旨については前回お示ししているものと同じです。特定看護師(仮称)や一般看護師が実施するものについて実態を把握するということで、2.「調査内容」がありますが、3つ○があります。現在、看護師が実施しているか否か。今後、一般の看護師が実施することが可能と考えられるか否か。今後、特定看護師(仮称)制度の創設に伴ない、特定看護師(仮称)が実施することが可能と考えられるか否か、といったことについて調査をするということです。
 2つ目の○にありますように調査対象とする一定の行為については、このワーキンググループにおいて選定をしていただくということを考えております。更に下は前回の会議でもご意見がありましたが、看護師が現在行っている業務の中で、他職種による実施が適当と考えられる業務についても同時に調査をしたいと考えております。調査対象・方法については、前回示したものとほぼ同様になっていますので説明のほうは省略させていただきます。資料2については事務局からは以上です。
○有賀座長 
調査内容のところがありますが、現在やっているか否か、今後一般の看護婦さんがやることが可能か、今後どうこうかという話はいまちょうど先生がおっしゃったこととまったく同じことなので、少しその後の厚生労働科学研究費補助金事業を活用し云々というのがありますので、きわめて具体的な話が出てきたときにでよろしいですか、先生。
 それでは資料2はそうなんだなということで理解いただいて。
○星委員 
すみません、これ理解すると大変なことになると私はいま見て思いましたが、現在、看護師(認定看護師・専門看護師)と書いてあるのをどう考えるべきかが問題だと思います。いま一応認定看護師であろうが、専門看護師であろうが、やれる行為の範囲は変わらないことになっていますから、たまたまそれが、認定看護師さんに特異的に行われているかどうかというようなことを抽出したいのだろうというのはなんとなくわかります。でもここに看護師(認定看護師・専門看護師)と書いた場合は、一般看護師は排除されるのですね、文脈からいうと。でもそうではないのですよね、もちろん。ですから、この認定看護師・専門看護師というのは、その後で色づけをして考えることなので、私はここからこの括弧書きは排除すべきではないかなと国語的には1つそう思います。
 実施しているか否かという場合に、1人でもやっていれば実施している。否というときにやってないということですね。全員でやってなければ否でありますが、1人でもやっていれば実施していると取られかねないのです。これは調査の目標を先ほど言ったようにグレーゾーンが大部分だろうなと言っているときに、白かなと聞いているので、非常にわからなくなってですね。
○有賀座長 
これは、私は、事務局の肩を持つつもりは全然ございませんが、これは日本語と、いま言った論理学の話がゴチャゴチャになっていますので、いま先生がおっしゃったように、1つでもあればこれはあるのです。数学の証明と同じで。だからそういうふうなことを議論しようとしているのではなく。
○星委員 
そうです。もちろんそうです。
○有賀座長 
なくて私は一応わかっていることにしてと言ったのは、私の頭の中ももちろん実はこれだけ読んでもよくわからないのです。だから本当のものに接して、それで言われたように議論をしようではないかということです。
○星委員 
はい、でも、よくこういうものが流れていくわけです。これが流れていったときに、みんなが誤解をするのです。言葉は生きていますので、やはり言葉を大事にしていただいて、我々としてはできるだけ共通のイメージを持てるような努力をすべきだと思いますので、そこはお願いしたいと思います。
○有賀座長 
というふうなことで、特定看護師というのも(仮称)とか言っていますが、もうビンビン流れています。日本語のちょっとよけいなことを言いますが、例えば「しゃべることが出来る」ということは、「しゃべれる」と言います。「行くことが出来る」ことを「行ける」と言います。ああいう言葉も、知らないうちに国語の本道になってしまっていることからすると、しばらく言い続ければ日本語として、国語の辞典に載るという話でいくと、特定看護師という言葉も私は無理やりカッコ“仮称”と言って、抵抗しているのですが、言葉そのものが1人歩きすることについては、注意をしながらやっていこうということはわかっています。わかっていて、これはもう調査内容という話であとから説明していただきますが、厚生労働科学研究ということで、お金をいただいているグループがありますので、そのグループからのご発言を賜った後に、ここら辺の言葉、本ワーキンググループのイメージの左側の上のところも、そういう意味では議論の対象にすでになっていますので話を進めていきたいと思います。
 では資料2はそういうことで箱根の関所を越えたことにしまして、資料3について前原先生が班長さんですので、よろしくその辺の事情も含めましてお願いします。
○前原委員 
大変なものを引き受けてしまいまして関所を越えられるかどうかわかりません。特別研究事業ということで、厚労省のほうから引き受けてほしいということで、看護業務実態調査ということを仰せつかりました。なぜかというと平成20年、21年、22年と「新しいチーム医療体制確立のためのメディカルスタッフの現状と連携に関する包括的調査研究」という厚労科研を外科学会、胸外学会等を代表して、班長は胸外学会理事長の東北大学の田林先生のもとで働いてきました。その研究事業をやっていたということで、この「看護業務の実態調査をやれ」というふうに命じられたと思います。非常に大変なことなのですが、何が大変かというと技術的なことと、時間的なこと、またいま議論になっていますが、医行為というのをどのように上げて、どのように選ぶかということは非常に苦労しました。それなりに短期間でここに出させていただきましたので、ご覧いただければと思います。
 資料3では、1.「調査事項の医行為」は現在、施設内で看護師が実施しているか否か。今後、これら一般看護師としました。先ほど星先生からもご指摘がありましたように、認定看護師と専門看護師だけではありませんので、一般看護師は実施することが可能かどうか。特定看護師が実施することが可能かどうか。そして看護師は実施すべきではないか。これがまさしく絶対的医行為ということです。今後こういう特定看護師という制度ができた場合にはどうかということ。この2本立てです。
 そしてその後は、調査対象というところで、いまお手元にありますが特定機能病院の83施設、医師と看護師に聞きます。診療責任者、担当医長、ここに書いてありますが急性期・慢性期ということで急性期というのは主に周術期、救急医療、小児科、外科等々です。慢性期というのは内科病棟、外来等々です。その部署に勤務している人たちに質問をするということです。これは大体どのくらいかと言いますと人数は概算ですが、5,000名ぐらいの方に聞くことになるだろうと思います。
 そしてその次は病院の規模別に1,800施設で20%抽出です。ここにも医師、看護師の方に聞きます。ここはいちばん多くて1,800施設ですから、70,000人ぐらいの医師、看護師さんに聞くということになると思います。
 それから診療所、有床診療所ですね。そこは600施設です。ここも医師、看護師さんで600×2で1,200名ということです。訪問看護ステーション500施設とありますが、ここは看護師の代表になっていますが看護師さんの代表と、ここには勤務されていませんがどなたか関連の医師の方にもお聞きしようと思いますので、1,000名ばかりということです。
 もう1つ専門看護師・認定看護師のことに関しましては、前回の会でもありましたので、これは別に聞こうということです。専門看護師はいま450名ばかりいますのでその方。認定看護師はいまかなりの数はいますが、そこから20%の1,100名ぐらいの方に聞いていこうということでございます。かなり膨大の数で大体8万から9万人ぐらいのアンケート調査ということになるかと思います。先ほど言いましたように急性期・慢性期ということに分けて聞くということです。
 次の頁では、苦慮したのは「調査の対象となる医行為の項目」というのが、これは全部フリーに書いてありますが、約168ぐらいあります。それは急性期・慢性期も含まれて一括されているものでございます。これを聞いていくということです。これはどうしてこのような項目を選んだかといいますと、いままでの昨年度の検討会、報告書にある特定の医行為というものに選ばれたもの。永井先生が行われた永井班の研究、本日もご出席の井上智子委員が調査をされていますが、80大学のICU、CCU、救急救命等の医師、看護師その他の方に聞かれているその研究の項目。そしてその他にも先行研究として小児のほうの研究がありまして、そこから網羅的に、偏らないように集めてきたものがこの表です。
 ここでこれを議論いただくことになるかと思います。その前に、アンケート記入に当たっての留意点というのが2枚目のところにあるかと思いますが、これら特定看護師というのはどういうものかということを皆様に共有していただこうということで「チーム医療の推進に関する検討会」ここでアンダーラインが引いてありますように、専門的な臨床実践能力を有する看護師が、医師の「包括的指示」の活用により、自律的に判断しながら、従来一般的には看護師が実施できないと理解されてきた医行為を幅広く実施できるようにするために構築する新たな枠組みとされています。当該報告書では、特定看護師の要件については、ここに書いてありますようにマル1、マル2、マル3とあります。マル2は先ほどありましたように、修士課程ということですけれども、そのマル3の要件の下に3つの要件を満たすこととされていますが、同時に、要件の詳細を検討する際には、実務つまり臨床経験ですか、現場でよくやっている看護師さん等のことも勘案し、修士課程修了の代わりに、比較的短期間の研修等を要件とする弾力的な取扱いをするよう配慮する必要があると。これも検討会で書かれていますので、そういう方たちが特定看護師と総称されるということです。
 もう1つは、「包括的指示」とはどういうものかということを、皆さんで同じ景色で見ていただきたいということで、「看護師が患者の状態に応じて柔軟に対応できるよう、患者の病態の変化を予測し、その範囲内で看護師が実施すべき行為を一括して指示すること」というふうにしております。ですからある医行為を行うにあたって必要な知識だとか、技術をいまは臨床実習であれば医師に教わらなければいけないのですが、医師に教わり、できるようになり、それを第三者機関で認められた医行為として業務を拡大していこうということです。ですから教育と質の担保が非常に重要だということが皆様もおわかりになるかと思います。当該医行為の実施にあたりましては、その実施に必要な教育と実習を修了していることを前提として回答してくださいということが随所に出てきて、そして回答していただくということになっています。そして包括指示に関しましての調査票のところに2回出てきますが、包括的指示の中にある医行為を行うにあたっての患者の限定基準、患者の状態が急性期だとか慢性期だとか、クリニカルパス、プロトコール、ガイドライン等による包括的指示のもとでの実施であることも明記して、それを考えた上で勘案した上で答えていただきたいということでございます。
 この調査は8万、9万の大変な数で研究事業を頼まれたのはつい2週間ぐらい前でどうしようかということで、時間的にもここでお金のことを言ってもしょうがないのですが、あまりお金もありませんし、これを郵送でやる場合には、もう何万人といいますと相当のお金になりますし、それから期間、非常に重要な検査でありますので、できるだけ網羅的にやりたいということで、誠心誠意頑張ってやらせていただきたいと思います。その中で、やはり郵送ではちょっと無理ではないかなと。Webでの検査を考えなくてはいけないかと思っています。それはまた班の人たちとで考えていちばんいい検査方法で、いまの実態はどうなのか、そして特定看護師の医行為というのはどういうふうに定義していくのかということを、日本の医療の向上のために少しでもお役に立てばと思い、奉仕の精神で頑張ってやっていきたいと思います。医行為のことに関しましていろんな不十分なところもあるかと思いますが、ここで議論いただき、これは要らないのではないか、入れたほうがいいとか、いろいろありましたら是非ご指導、ご理解、ご支援のほどをよろしくお願いします。以上です。
○有賀座長 
ありがとうございました。すでに見てくださっていると思うのですが、私自身はこれが要る、要らないという話ではなくて、おそらく入れておいたほうがいいのではないかということがあれば、答える側はとてもしんどくなるかもしれませんが、後から取りこぼしていたということが、ないことのほうがいいのではないかと思いました。どうしてもこれを省けというのであれば、私は省いてもいいとは思いますが、実態調査なのでそういう意味では、少し幅広に網を掛けたほうがいいのではないかなと思いました。ここまできて先ほどの冒頭のことがらみでご意見をお願いします。
○神野委員 
資料3の1.の調査事項の所ですが、看護師が実施しているか否か、実施している項目、そしてその中から今後、「一般」、「特定」、「すべきでない」に分けるのですね。それから、先ほどありましたように、もう1つ「他業種に渡してもいいもの」という項目もありかなと。例えば今回もリハビリの装具などがありますが、これは看護師でなくPTなど、そちらに渡してもいいのではないかと思いますので、「渡してもいいもの」という項目も先ほどの資料1にあるように、あるべきなのかなと思います。いちばん上の現在、看護師が実施しているものを細かく分けるのか。それはごく一部の看護師だったとしても、あるいはごく一部の施設だとしても、実施している可能性のあるものを分けていくのか。それともあくまでも特定ということで、いままで実施していなかったものを抽出するのかという考え方です。以下にあるような医行為の項目のほとんど、一部は本当にやってもいいのかという話があるかもしれませんが、多くのものは「どこかの病院でやっているのではないですか」というような項目が結構あると思います。その中からこれは特定という、「特別な資格を持った方にやらせたほうがいいですね」というコンセンサスを取るのか。それともいままでこれは絶対無理だ、医師の包括的指示の下で、看護師がやってもいい項目とはちょっと考えられないけれども、新たな特定というもので業務拡大するのかを確認したいと思いました。
○前原委員 
私が答えていいですか。ここに挙げてあるのは、いま現在一般看護師がやっている業務ではありません。ありませんと言ってもある部分もありますが、どちらかというと看護師の業務拡大ということで、先ほど星先生が言われたようにグレーゾーンの真っ只中のものが多いと認識しております。そしてまた絶対的医行為だというのも、この中には入っていると思いますので、その場合にはそういう答えが返ってくるだろう、どうなのだろうということです。この主眼はやはり業務拡大ということで、特定看護師ができる医行為というのはどうなのか。それともできないのかというものを聞いてみたいということです。
○有賀座長 
これはたぶん、事務局にもお答えいただいたほうがいいかもしれません。特定看護師が実施することができそうなものを聞くというのは、本調査の眼目の実態その1の私のイメージなのですが、付録として他の業務へ渡してもいいのかという話が出ましたから、この資料3でいくとマル2といま他の業務へ渡してもいいかもしれないマル4ですね、先生。マル2とマル4というのはイメージがあるのですが、マル3は括弧付きでどちらでもいいのですが、マル1についてはどのような。資料3の1.調査事項の「今後」という所にマル1マル2マル3があり、そして神野先生がいまマル4として「他の業務へ渡してもいいもの」というのも分けてもいいのではないかとおっしゃったのです。それはそれで私は理解したのですが、一般の看護師が実施することが可能かということを聞くというのは、現状において例えば、「気管切開は一般の看護師さんがやってもいいというように○を付けてくれ」、これはそういうイメージなのですね。ちょっと教えてください。
○前原委員 
いま現実としては、ある病院では非常に進んでいて、教育もできていて、そして医師の指導の下でかなりの部分をやっている病院もあります。そうではない所もありますので、その辺のところでただ特定看護師の医行為を探すだけではなく、いまの一般看護師さんの仕事もボトムアップ、それはできるのではないでしょうかという質問です。ですから今後ということです。この項目が並んでいる中で、今後いまやっている所もあるでしょうし、それが何パーセントか実態が出てこなければわかりませんが、これならば現在一般看護師さんがやっていてもいいのではないかと思っている人がいるかもしれないということです。そしてその以後は特定看護師、そして絶対的な医行為ということで、3つに分けているという、今後ということですね。
 それからもう1点、実態調査の所で資料2、神野先生がおっしゃったように、看護師が現在行っている業務の中で、他職種による実施が適当と考えられる業務についても調査というのは、私の班会議の中ではそれはなかったのですが、前回でもあったように「これだけ看護師さんが忙しくて、いろいろな業務があって、医師と看護師さんの間のような、もっと特定看護師が医行為をやるようになれば、いままでやっている看護師さんの業務は、どこかにやっていただかなければ成り立っていかないですね」という話からです。それももっともだということで、そのことについては別に調査票を出すなど、その辺のところはまだ検討中です。ですから段を1つ設けて、仕事はほかの人、他職種にやってもらえるかどうかを聞くというのは、この行為の中でどうですか。あれば聞いてもいいかと思います。
○有賀座長 
神野委員、どれかの項目がそれではないかというように、はたとお思いになったのですか。
○神野委員 
どこかにありましたが、例えば。
○有賀座長 
先ほどリハに渡してもいいのではないかと。
○神野委員 
6頁の9その他ですが、整形外科領域の補助具の決定、注文は看護師さんがやらなくてもPTでいいではないかというのがいくつかある気がしました。
○井上委員 
概要なので、これから細かいところを工夫されるのだろうと思うのですが、2点お尋ねしたいこと、希望もあります。この調査の前提ですが、前提によってずいぶん変わってくると思うのです。例えば、第1回のときに参考資料2で出させていただいたあの調査は、効率的で質の高い医療を提供するために、誰がしたらよいかという前提なのです。例えばここを医師不足解消のためとなると、全然違った答えが出てきてしまうと思うのです。ですから前提としてどういう目的でということを入れて欲しい。私の解釈では先ほどのマル1は、いまの基礎教育のままで例えばそれに少し研修を加えればできるかということ。マル2は特定看護師としての教育カリキュラムを経験した後にできるかということです。それから他職種に渡すというのもよくわかるのですが、気になったのはこのマル3「看護師は実施すべきではないか」、これはマル1マル2が実行可能性を問うていると思いますが、このマル3は適切性ではないかと思うのです。先生のお話を聞いていると、黒い部分、黒に近い所を聞きたいように聞こえたのですが、手技的には簡単だけれど、看護師は実施しないほうが良い、ということもあると思うのです。そこを分けて、この「すべき」の「べき」は、そこをきちっと誤解のないような調査をしていただきたい。できるけれど、やらないほうがいいということです。そこの区別をきちっとしていただければと思いました。
○有賀座長 
この日本語はとても微妙ですよね。いま先生が言われたように「看護師は実施すべきでない」。できるけれど実施すべきでないというような読み方もありますけれど、例えば「ホウレンソウを食べるべきではないか」と言ったら、食べろという意味ですよね。いや、「か」の遣い方は極めて微妙なのですよ。つまり小さい子に向かって「ホウレンソウを食べるべきではないか」と言ったら食べろという意味ですからね。だらこれは極めてそういう意味では曖昧な日本語なので、だから私が括弧付きと言ったのは、少し本論からずれるかもしれないと思ったので、括弧付きと言ったのです。これはできるけれど、やってはいけないよという意味ですね、先生は。
○前原委員 
いや、何でも教わればできると思います。ところが医師法、法律的なこともありますし、そして絶対的で、医行為というのはやるべきではない、やらないほうがいいと、どのように思っていらっしゃいますかということです。医師にも聞くし、そして看護師にも聞くということです。例えばどのようなものがあるか、ここで心嚢穿刺がここに入っていたのですが、心嚢穿刺を入れてこれが絶対的医行為だろうと私は思うのですが、ここから外しましたけれど、そういうニュアンスのもので絶対的医行為と思われるものがマル3と思います。それは医師側と看護師側とで少し違うのかもしれないですが、どのように感じていらっしゃるのか、どのように考えているのかを知りたいということで分けてあったものです。
○有賀座長 
だから「看護師さんにとって実施してはならないと考えられるもの」ですね、正しい日本語で言えば。
○前原委員 
そうですね。
○有賀座長 
そうですね。この「か」はちょっと微妙です。
○井上委員 
ですからその可能性ともう1つ聞いていただきたいのは、看護師がしたほうが良いというのと、看護師はできるけどしないほうが良いものがある。その辺りを聞いて頂きたい。看護職としてのアイデンティティーに関わるような所でもあるのです。単に医行為としての可能性、今回の調査の趣旨としてはそうなのでしょうけれども、やはり特定看護師というものの性格を形づくる上で、是非可能であれば調査に入れていただければと思うのです。
○有賀座長 
わかりました。
○前原委員 
考えてみます。
○川上委員 
資料3の2頁目、アンケート記入に当たっての留意点の下線部の所を見ていると、うまく理解できない所があるのです。そもそもの定義として、特定看護師というのは現在の保助看法の下で包括的指示を最大限活用して、実施できることを実施するような立ち位置にいると思うので、先ほど前原先生もご説明されましたが、医師にしかできない医行為、すなわちグレーゾーンの外側にあるようなブラックな行為にまで手を出そうとしているものが、この特定看護師ではないと思います。そうであれば、そのブラックな医療行為の項目はこういった調査からは外して、きちんと整理した上で調査を実施をするべきではないかと思うのですが。そもそも特定看護師という人がどこまで実施可能かというところが、資料3の定義づけを読んだり、前回のワーキングのときの議論を伺っても、少しはっきりしないのですが。
○有賀座長 
病院によってというか、それこそチームによってというか、ここではやっていないけれども、あちらではやっていることが限りなくある、というようなことを前提にしているので、例えば先ほどどこかに気管切開がありましたが、気管切開というつまり小さな手術ですが、そういう話を包括的指示の下でやっている所がある。これは、ああ、そうですかと。それはその医療チームが限りなくその看護師さんたちを、ある意味信頼してやっているというようなことがありますね。だからそれをもし法的に言えば、包括的指示の下でやっているというように表現しているということになるので、包括的な指示を出していなければ、別の場所ではやっていないと。だから「やっていますか」と聞いたときに、「やっています」と答えたのは、そういうような信頼関係の下にやっているということを答えていると。
 いまの話でいくととても難しくて、埒外と、先生がいまおっしゃいましたが、埒外のものまでやっている場所がもしあったとしても、それはマジョリティーから見ると、極めて少ないだろうと。しかしそうではなくて、埒内にあって、比較的「うん、そうだよね」というようなものについては、おそらくたくさんの人たちがやっているというように答えるのだろうと思うのです。
 1人が本当に1票でいいのかどうか私はわかりませんが、つまり本当にチーム医療という観点でナース/ドクターで一生懸命やっている人たちと、それからからっきしそうではないような、医療安全管理者から見ると「お前、困るぞ」というようなドクターまでいますから。そういう意味では同じ1票でいいのかどうか私はよくわかりませんが、埒外のものも埒内のものも壁が、現場、現場によってかなり動いているというようなことを前提にすると、私が言っている取りこぼしがないほうがいいと言ったのは、そういうような意味で、埒内のもので取りこぼしという話ではなくて、実はこんなこともできたのではないかという話が後から出てきたときに、ちょっとさびしい思いをするのが嫌だなということです。前原先生、それでいいのですよね。
○前原委員 
ええ、そのつもりでおります。
○星委員 
時間がないのですよね。まず1つは、これまで医事課に問い合わせがあり、こういう行為をやっていいかどうかというのが問われた事例がいくつかあると思います。昭和30年代からたぶんいっぱいあると思います。どのくらいあるかわかりません。特に麻酔絡みではたぶん通知が出ているのはちらっと記憶しています。明らかに「駄目ですよ」といった類の事柄がたぶん含まれているのだろうと思うのです。
 要はいままで問われて、都道府県の課長から医事課の課長宛に通知が出て、それに対してこういうことは貴見のとおり、あるいは「そのとおり、駄目駄目」と、こういうのは与えているはずなので、そういったものとの兼ね合いがどうなのか。今回、本当のことを言えば違法性のあることをやっていることが混ざっていたとすると、それを認知したら公務員は告発義務があるので、例えば明らかに医師法違反だといえば、告発しなければいけないという事態にもなりかねないのです。このことも一方理解しておく必要があると思います。これは研究班だからいいだろうといっているのですが、ここで我々がある種オーソライズして、研究が進められる中で、そういう事柄が出てきたと。誰が答えたかわからないということになっていながらも、でも明らかに逸脱している行為が入っていて、それについて「はい」と答えていると。もしかしたら誤解をして答えているのかもしれません。どこかの研究班が心嚢穿刺をやっているというのに1票入っていましたから、到底私は考えられませんけれども、もしそれをやっていればとんでもないと私も思います。
 ですからその辺りが含まれているかどうかということの検証をしていただくのと、これまで少なくともいままでの解釈通知の中で駄目ですよといったものが、どんな範囲のものなのかというのは、知っておく、押えておくべき事柄ではないかなと私は思います。
 それから、医師の指示の下にというときに、医師が目の前にいて行わせる場合と、全くリモートに行わせる場合、病院の中にいてやらせる場合、あるいは病院の中にもいないで包括的指示で家に帰っていて、何かあったら呼んでねという範囲でやられるのでは、ずいぶん話が違っている。例えば気管切開の話などでも、目の前でやってごらんという話と、あるいは動脈カテーテルを突っ込むという話も勝手に誰もいない所でやるというのは想定、私は想像できませんけれども、それがどんなシチュエーションでやられているかによって、かなりその行為の持つ意味は変わってくる。
 つまり先ほども言いましたよね。技術的には可能なのだと思います。誰がやっても、人がやることですから医者がやらなくても、たぶん技術的には可能だろうと思う。しかしそこで起き得るいろいろなこと全てに責任を持って対処できるかどうかも問われるわけで、そのときに完全にフリーの状況でやらせているのか、あるいはそういう包括的な指示と言いながらも、そういう監督下でやられているのかでは全く意味が違っているので、私はそういうところをきちんと把握しないと、単純に例えば「心嚢穿刺をやっています」という答が1票でも入ったら、「やっているんだって」という、先ほどの否かの話になって、ああこれもできるのだねという話にもしなるのだとすれば、これは大間違いだと思います。
 ですから聞き方の問題だろうし、そういう条件のことも問題なので、その項目の前にどんなことを整理すべきかについて、まだまだ足りないような気がします。ですからそこを私としてはお願いをしたい。ほかにも言いたいことがあるのですが、皆が話さないといけないと思うので、この2点を言っておきます。
○有賀座長 
わかりましたね。
○前原委員 
わかります。本当に細かくやると際限なくエンドレスになるのです、この項目を見ると。条件をつけて、このときはどうで、このときはどうということをやると、もうとても8万、9万、10万、20万ぐらいになると思います。私の考えとしては、その辺のところは実態調査をして、そしていまどうなのか。そこがどこがどうで、そこを告発するなど。もちろんデータとしては、この会議にもワーキングでもんでいただきますし、そしてこの質問がおかしいということであれば、やはりそのことに関しては吟味しなければいけないだろうと思います。星先生が言われた、医師はその場にはいない前提ということだと思います。
○有賀座長 
私は信頼関係の中でという、極めて文学的かつ情緒的な言葉を使ったのは、実はそういうことなのですが、それでもやはり隣りの部屋にいないとしんどいと思うようなこともあるということを星先生はおっしゃっているのです。お願いします。
○英委員 
前回欠席してしまいました。英でございます。私は在宅医療をやっている立場からお話をさせていただきます。在宅で我々医師が行う行為がほとんどここに網羅されているかなという印象があります。つまりこれ全体が大体の在宅で行われている行為で、地域によっては在宅を行う医師がいないということで、非常にお困りの地域住民の方々もいらっしゃるので、やはり特定看護師の議論の中で、いま現状をどのような看護で担われているかを把握するのは、非常に意義深いと思っています。ですからこれを全部特定看護師に移行すると、たぶん医者が要らなくなるのかなという印象も少し持ちながら、でもこれはまず調査・研究の段階ですので、これをしっかりと見て、そして実態がどのようになっているのかを把握した上で、今後のチーム医療がどうあるべきかを考えるのに、大変重要なことだと思います。
 2つだけあるのですが、診療所の600施設を抽出するというお話ですが、これは診療所を無作為に抽出した場合に、例えば当然のことながら無床診であったり、あるいは専門の開業をされている方々がたぶん多くて、実際この調査概要に該当する行為がそこで行われている率は非常に少ないのではないかと思うので、これは何か作為をもって、ある程度抽出するのかどうか。ここに敢えて有床と在宅療養支援診療所というように記載されていますが、その辺りを少しお聞かせいただきたいのが1点です。
 あとはいちばん最後のところで、在宅で終末期ケアを実施した患者の死亡確認がありますが、これは「在宅」という言葉は非常にいろいろな捉え方があり、例えば施設の中も在宅だとか、いろいろなことがありますので、その辺りの在宅という言葉で果たして「居宅」なのかどうか。例えば施設などはかなりナーシングケアが行われている場合が多いですので、その辺りを含めて言葉を何か考えたほうがいいかもしれないなと思います。その2点、先ほどの雑感ですが。
○前原委員 
最後のほうの在宅と居宅、それは調べて変えるのであれば変えたいと思います。有床診療所のことに関しては、事務局はよろしいですか。どのようにピックアップするのかということです。
○岩澤看護サービス推進室長 
資料3の診療所の所に(有床・在宅療養支援診療所)と書いておりますが、有床かつ在宅療養支援診療所を600施設抽出したいと考えております。
○英委員 
有床かつですか。有床かつ在宅療養支援診療所。つまりベッドを持ちながら在宅療養支援診療所をやっている所が600施設ですか。
○岩澤看護サービス推進室長 
はい。
○英委員 
有床orではなくてですか。
○岩澤看護サービス推進室長 
「or」ではなくて「かつ」と考えています。
○英委員 
「かつ」ですか。そんなにありますかね。
○岩澤看護サービス推進室長 
2,000施設ぐらい該当すると。
○英委員 
在宅療養支援診療所は12,000ぐらいだと思うのです。その中の有床かつですね。実際にはベッドをもっていない在宅療養支援診療所もかなり機能していると思うのです。手前味噌で恐縮ですが、私の所もまさにそうですし、その辺りはアンケートの範囲外になるわけですか。
○岩澤看護サービス推進室長 
訪問看護ステーション500カ所を対象に考えておりますが、いま前原委員が説明されたように、訪問看護ステーションと連携をしている医療機関は有床診、病院、無床診とあるかと思いますので、そこで診療所調査の対象にならない所の先生方にも回答いただけるかと思っています。
○英委員 
実際にベッドが有る無しにかかわらずですが、ベッドがない場合は、居宅での医療行為を強くやっている医療機関が多いのではないかと思います。ベッドがある場合は、また逆に入院によって、その行為を行うということですので、実際に在宅における医療行為をかなりやっている所を調査しようと思うと、無床診の在宅療養支援診療所を対象に入れるべきではないかと私は考えますが、ご検討ください。
○有賀座長 
教えてください。ベッドを持たずに、いま先生がおっしゃるような仕事をされている場合にはパートナーとしてのナーシングスタッフは決まっているのですね。
○英委員 
訪問看護ステーションの看護師であったり、そうです。だから、そちらを調べればということなのですね。
○有賀座長 
私が言っているのは、単にドクターの肩代わり、先生が言われたように医者が要らなくなるみたいな話ではなくて、ナーシングスタッフにある程度やってもらえれば、全体としてうまくいくだろうと。もともとのチーム医療という観点があるので、パートナーとしてのナーシングスタッフがもしあるとすれば、そのような所の先生方にお聞きするのは意味があるだろうと。先生がおっしゃるのは、そういう意味でのやり取りは、無床の先生みたいな方たちのほうが、ナースに「よろしく頼むよ」みたいなことが多いというように理解していいのですね。
○英委員 
もちろん、ナースと共同して仕事はしています。ただ、実際に例えば気管カニューレの交換とか、実際に輸血であったり、自宅での医療行為のときに、ナースがいる場合は非常に少ないのです。訪問看護師というのは別個の組織から、別個の時間に来ていますから、行為自体は医療機関から単独で医師が行っています。それをナースの側からの評価というのは、もちろん大事ですが、無床診であっても、在宅療養支援療診所の医師からの評価をもう少し入れたほうが、中立性のあるデータが出るのではないかと思います。
○前原委員 
そこのところは検討させていただきます。
○竹股委員 
「包括的指示」のことですが、今回の168項目に対して、包括的指示のもとにという前提があるわけです。そうすると、留意点のところで「看護師が患者の状態に応じて柔軟に対応できるよう、患者の病態の変化を予測し、その範囲内で看護師が実施すべき行為を一括して指示すること」とすると、一つ一つ全部吟味したわけではないのですが、印象的に申しますと、いわゆる検査の部分とか日常生活関係、1と4は多くのものがこれに該当して、ああ、そうかなという理解はしやすいのです。
 特に処置の項目、呼吸器の項目の一部、手術の項目で、著明なのは3と5ですが、この辺はそういう包括的指示の定義に当てはめるには、とても難しいというか、迷ってしまうという気がします。もう少し看護師の独自の判断とか裁量などの中で、行われれば全体的にいいのかなと思うのですが、今回の定義の中で、これを答えるとなると、どういう関係があるのかという印象を受けるものが多々あるように私は思いました。
○有賀座長 
「包括的指示とは」というこの部分の言葉の問題ですね。
○竹股委員 
言葉というか、この内容に沿って吟味してしまうと、なぜこれが、患者の状態に応じてナースが柔軟に対応できたり、病態の変化を予測して、その範囲内でやることになるのかなと思うような項目がたくさんあるなと思ったので、回答しづらいと思いました。
○有賀座長 
私は手術室とICUを行ったり来たりする生活をずっとしていましたので、これでもいいのかなと漠然とは思ったのです。そうでなければ、もう少し答える人にやさしい形で、前原先生に意見を言っていただいてもいいのかもしれませんね。
○竹股委員 
ですから、文言的にははっきり申し上げられないのですが、あくまでも看護師の業務拡大のためにというように、もう1つ付け加えたほうがわかりやすいと思ったのです。
○有賀座長 
山本先生、いまの話をお聞きになって、最後に「看護師の業務拡大のために」という話が出てきて、包括的指示という傘からはみ出るようなことを最初から考えなければいけないのかどうかが、私はわからなくなってしまったのです。私は包括的指示の中で、当分の間、動くのがいちばん正しいのではないかと心から思っているのですが、「包括的指示とは」というところはどうしたらいいのですかね。
○山本委員 
法律上は「指示」と書いてあるだけで、「包括的指示」について、法令上、特に定義がされているわけでもないので、考えようによっては、ものすごく広いものが「包括的指示」に含まれるのだろうと思います。
 そう考えると、それよりも外のものになると、またちょっと話がもう一段階先に行ってしまうものですから、ここでいう「包括的指示」というのは、かなり広い概念である。非常に広いものまで含めて「包活的指示」というのだということを明らかにしておけば、それでよろしいし、それ以上のことをやると、また別の制度を作るという話になってしまうかなと思います。
○竹股委員 
よくわかるのですが、実際にアンケートをもらって、やはり実施する場合、医師の指示を前提にしていますとなっていて、医師の指示を前提にするという場合に、医師の指示と言っても、いろいろな指示の出し方が現場ではあるわけです。そうしたときに、あくまでもこの内容をザザッと見ると、これは現場的には、医師の業務にものすごく踏み込んでいる内容であるがゆえに、包括的指示の、この定義だけでは説明がつかないという印象を受けてしまうのです。ですから、業務拡大のためにという言葉を、私の今の思いで言っただけなので、これらの項目を、医師の指示の下にと言ったときの理由がわかりやすいように、もう少し包括的指示の内容を入れたほうが現場が迷わなくて済むかなということなのです。
○川上委員 
アンケートの答えやすさという点ですが、アンケートに答える人が「これはどちらなのだろうか」と迷ったり、役所がやるアンケートはすごく重みがあるので、後から別の人が結果を解釈するときに、いろいろな捉え方がされるような質問の項目の作り方は、うまく整理していただけるとありがたいと思います。
 私は臨床薬理が専門なので、薬剤に関して申しますと、「薬剤の選択」といったときに、調剤済みの薬を与薬するときの選択なのか、そもそも医師が処方せんを書くときの選択なのか、同じ「薬剤の選択」でも示す意味が全然違うわけです。「オーダー入力」についても、医師の横について単に補助者として入力作業を手伝っているのと、医師がいない所で、本当はあってはいけないことですが、医師の代わりにオーダー入力しているというのは、全然意味が違います。そういった意味では、「薬剤の選択」や「オーダー入力を含む」という表現は、はっきり言えば、多分に「処方権」のことを示してしまっています。人によっては、与薬時の、例えば屯用の薬などを先生が包括的に指示をすれば自分の判断で与えてもいいという選択と捉える人もいれば、完全に処方権を手に入れる選択と受け止める人もいるので、言葉の使い方を工夫していただければありがたいと思います。
○有賀座長 
そういう意味では解説を付けろということですね。
○秋山委員 
とても単純に調査事項のところで、現在、施設内だけではなく外も入れていただきたい。訪問看護のところを聞いていただくのに、施設外でもやっている看護師が実施している内容が含まれますので、内外の「外」を入れていただきたいことが1つです。
 それから、最初に星先生がご指摘になった資料2の2.の「調査内容」の○の・の最初の看護師(認定看護師・専門看護師)の括弧は要らないのではないかと思います。それは資料3等の説明のときに、このことについては聞いてはいるのですが、ここでわざわざ看護師()と入れることで、とても誤解が生じやすいのではないかと考えたのです。
 それから、先ほど英委員がご指摘になったように、訪問看護ステーション500カ所に、関連のドクター1で500×2の1,000カ所という説明を受けましたが、訪問看護ステーションが連携している医師が1人かというと、そんなことはなくて、無床診療所の中で在宅をやっている先生も選べるような、調査対象の見直しをしていただきたいと思います。
○星委員 
皆さん感じていることだと思いますが、私も非常に感じていることです。非常に拙速というか雑というか、この言葉遣いは先ほどの「看護師は実施すべきでないか」というところも含めて、準備不足をすごく感じているのだと思います。私もこれは非常に怖いなと思っています。
 まさに我々はパンドラの箱を開けようとしています。今までグレーにしていたことに、少なくとも一部については白黒を付けようということですから、これは相当程度覚悟を持ってやるのだろうと思います。そのあとで、特定看護師をつくるかどうかはその上での議論になると私は理解していますが、とにかくいま行われている行為の中で、「これは絶対とんでもないね」という話と、「こんなこともやっていない病院があるとは信じられない」というところを区分けする意味では、「エイ、ヤーでやってしまえ」というのは、それなりに結果は出るかもしれません。しかしながら少なくとも現在の看護師の業務範囲を拡大するという方向ではなくて、いまグレーになっている所を整理しようということは、前回確認したことです。そういうことをやろうと思ったときに、私は丁寧さに欠けるなということを正直思います。
 例えば、本当に聞くべきなのは、阻害要因は何かということなのです。一般の看護師と言ったときに誰を一般の看護師と言うのだと。特定の看護師というのはこういうことを想定していますと、夢のようなことが書いてあります。薬理も病理も知っている、何でも知っている。そして大学院で2年も勉強している。そんな人が出てくるのなら、そんなこともできるのではないかという希望的な推測と、「医者が足りないから、それをやってくれるのならうれしいな」ということで、思わず○を付けてしまうような誘導がなされていないかどうか。これについてはちゃんと見ておく必要があるだろうと思います。
 阻害要因が何なのかは、例えば保助看法の規定で、医者が、これは看護師にはさせてはいけない行為だと意識しているからさせていないのだと。技術的には可能なのだということなのか。あるいは看護師が「私はこんなことは怖くてやれません」と言って、していないのか。法律上、怒られたことがあるから、したことがないのか、あるいは個別にこの人の様子によって頼めないのかどうかというようなことがごっちゃです。これは看護師ができる行為かどうか。「将来的に実施することが可能か」と聞かれたときに、何が変わったら可能になるのかということを知りたいわけですから、法律が変わって、これが明示的にできることになってくる、あるいは通知でこういうことが撤廃されればできるようになる行為なのか、そうではないのかという整理をすべきなのに、ここの聞き方は非常に理解を阻害するようなものになっています。
 本来は実際に行為が行われていないとすれば、その阻害要因が何なのか。それは教育が不足なのか、トレーニングの不足なのか、技術の不足なのか、あるいは法律的な問題なのか、そういうものを十分にできるだけのマンパワーがないのかどうかといったところを明確にする。その中で結局トレーニングが不足していて、トレーニングをきちんとして、やってもらえばできるものがあって、トレーニングのレベルにもいろいろあるけれども、そのうちでもこういうものは、こういうことでなければできないというのがもしあれば、特定看護師という話につながっていくと思います。
 でも調査票の作りがどうもそうではないのです。だから非常に不安です。ですから、座長には是非お願いしたいのは、先生ご自身でも告白されていますが、この期間で、このカネで相当自信がない。私も当然だろうと思います。それは8万いくらの調査票を作り、郵送費もあるかないかわからない世界でです。厚生労働省が何をこんなに慌てて急いでいるのかよくわかりませんが、そういうことで、いま本当に大切にすべき看護の業務の見直し、看護師さんたちにできるようなことをどのようにしていくのかという本当に大切な議論が埋没しています。
 特定看護師という話がポコンと出てきて、これとこれを学んだ人に「こういうことをさせましょう、はい」というようなことではなく、私はパンドラの箱を開けるような大事業をやるという結論ではなかったと思っています。いまのやり方だと結局、ちゃんとした結論を導き出せないのではないかということを大変危惧しています。
 そのことを私はみんなに理解してほしいし、「前原先生お願いね、これ大変だけどね、頑張ってね」ということではなくて、我々がここで項目を決めよう。その項目に対して我々は責任を持とう。ワーキンググループがその役割を担っているわけですから、この役割を果たすということは、やはり拙速を避けるべきだと思います。8月までにと書いてありましたが、私はとうてい不可能だと思います。ですから、その辺りの議論を、もっともっときちんとすることが結果的にいえば、良い結果を導き出すと私は信じます。
○有賀座長 
実態調査その1については、今日のお話の前半で一定の水準でまとめていこうと私自身の頭の中では思っています。先生がおっしゃっていることは、必ず議事録に残ります。先生が言われていることの一つひとつについては、私も全くそのとおりだと思います。
 ただ、先生はパンドラの箱とおっしゃっていますが、そんな大それた話ではなくて、もっと地面に足がついている話だと私は思っていますので、前原先生がとても大変だとおっしゃったのも、とてもたくさん大変なので、みんなが前原先生に丸投げするのではなくて、前原先生の一つひとつの項目に、もし聞くのであれば、これはこういうことですよと書く必要があるのかもしれません。
 薬剤のところでは、私は事務局にもメールを打ちましたが、パートナーはひょっとしたら薬剤師ではないかということもあるわけです。ですから、誰に何を聞きながら、どんなことをやっているのかという話は局面局面によってかなり違うと思います。違うのですが、どこかで何かをしていかないと話が先に進まない。そういう意味ではとりあえず、いま電子メールみたいな便利な機械がありますから、私が事務局に意見を言ったみたいに、先生方もどんどん意見を上げていただいて、本当に8月までにうまくいくかどうかは、やってみないとわかりません。たぶん答えてくれない人が多いのではないかということを私は心配しています。ですから、そういう意味で、これが比較的簡単にと言ったらおかしくて、簡単ではないことが問題なのですが、答えていただけるような形にしていかなければいけないというのがあります。
 ですから、そのことについて前原先生なり事務局に情報をバンバン入れて、あとは申し訳ありませんが、事務局と一心同体ではないことは百も承知の上で、ある意味では少し任せていただいて、全体の形をそれなりに、いまの議論を踏まえて作らせていただき、グルグルと回しながら行くということにしたいと思います。
○星委員 
何も調査するなとか、この間から言っているとおり、チャブ台をひっくり返そうという話ではありません。私どももグレーになって、ドキドキしながらやっていたり、本来ならしてもらえる仕事が、実は何らかの阻害要因があってうまくいっていないという事態があって、まさにチーム医療を推進していくためには、その阻害要因を排除していきましょうということだと思います。
 ですから、私がこの調査に期待するのは、その阻害要因が何なのか。実際にやられている行為の範囲ということももちろんそうですが、我々が想定しているようなことであり、一般的にやられているはずだと思っていることで、やられていないことがある。それの阻害要因が何なのか。組合が反対しているのか、何がどうなっているのか分かりませんが、そういう阻害要因があるとすれば、もしかしたら、こんな一般的なことをやっていないというのはどういうことなのかという逆のところもあって、そういうところをきちんと担保してあげる。
 例えば、点滴ができる、できないの話でも、未だに点滴を看護師にさせてはいけないと信じている某国公立系の医師もいるそうですから、そういうことがある以上、その阻害要因が何で、それをどのように排除してやればチーム医療が推進するのかというのは、このチームのいちばんのお題目ですから、そのことを前提にやってほしいというのが希望です。
○有賀座長 
それも知らなければいけない必要条件だということですよね。だって、救急救命士ができて、なぜナースができないのかという話は、その昔からあるわけですよね。
○竹股委員 
若干繰り返しになりますが、1回目のときにはいろいろ議論があって、最終的には実態がどうなのかを把握しようということだったと思います。ですから、私も非常に割り切って、中身については「えっ」と思うことがたくさんありますが、実際にこれから調べる病院群のかなりの人たちは、厚労省でなければできないような膨大な調査になりますから、それに期待して、まず実態がどうなのかということ。そのためにはなるべく現場が答えにくいような部分について検討して、現場がなるべく多く答えられるかということについて、私どもがいろいろな発言をすべきかと思っています。
 それから、星先生のおっしゃることは、私も今回のこの項目内容を見たときに、確かに医行為の内容について限定があって、看護師が行える現行の診療の補助内の医行為の内容でもある病院は当たり前のようにやっていても、ある病院は全くやっていないというのがあります。そこの部分の取扱いについて、どうするかというのは別の議論かと思っています。
○有賀座長 
そういう意味では別の議論なのです。ただ、この話の最初はチーム医療なので、場面場面が違えば、つまり、私が働いてきた景色とほかの先生が働いてきた景色は全くイコールではないわけです。だから、そのようなことも含めて、ガサッとやらなければいけない時期が来たというだけの話だと考えて、ガサッといきたいという話なのです。前原先生がガサッと表現されたかどうかは知りませんが、少なくともこのワーキンググループの方向性としては、とりあえず電子メールなどを使って、答えやすい形にするなり、解釈の違いに疑義が生じていることに関しては、この部分については、このように限定すべきではないかという話を、前原先生、または事務局に入れていくという形で、全体を早くまとめたいと思います。
 まとめることに関しては、座長に一任していただきたいと思いますが、まとめたものに関する全体の責任はみんなで負わなければいけないのですから、とにかくやってみようということです。そのあと本当にそれがうまくまとまれば、予定どおりにいくと思いますが、まとまらなければ少し後ろにずれる。これは理屈です。これはまとめる側の能力にもよりますので、たぶんまとまらないだろうと思っておられる人もいるかもしれませんし、きっとまとめてくれると思っている方もおられるかもしれません。時間にも限りがありますので、そのような形でほんの少しでも先へ進んでいきたいということです。
○小松委員 
いまその話を聞いて、私は前原班の一員でもありますので、ちょっと迂言的に聞いておりました。先ほどから先生方がおっしゃっているように、実際に調査をしていただく方たちにわかることが必要で、いちばん初めに井上委員が言われたように、質の高い医療を求める、チーム医療の中でということを前提に、かなり専門性を考慮に入れて質問項目を作成していく必要があるだろうと思います。
 そのために、チームの専門性を急性とか慢性とか、例えば小児とか、がんというように、調査用紙を専門分野別に分けて変えてでもやったほうがいいのではないかと思ったり、いろいろな工夫が必要かと思います。
○有賀座長 
ナントカ看護師になったら、全部できるなどという話は土台あるわけではなくて、私だって突然星先生に「お前、開胸しろ」と言ったら、「勘弁してください」となります。開頭だったら何とかするかもしれません。そのようなことがありますから、この部分でもし○が付いたのを見たら、「それはこのようなことを普段やっているグループの中での議論なのだな」と一般的には思っていいのではないかと思います。いま言われたみたいに、もしジャンル分けをするのであれば、紙媒体と思えば色分けですが、その辺も折角の班の中なので考えていただくことにしましょう。
○前原委員 
寡黙になりましたが、自信がないというわけではなくて、これだけのものをやるのはいろいろな聞き方があって「こうもとれるよね、こうもとれるよね」と言って、一つひとつ吟味していくには時間がありませんでした。それはあと1カ月、2カ月、3カ月、1年あればできるのかというと、実際にやってみるとそうではないと思います。
 座長がガサッとやるというのは、まさしくガサッとやって実態を知りたいということと、星先生が「パンドラの箱を開ける」と言われますが、もうその時期はきているのだろう。チーム医療として、ここで国民のための医療の質なり透明性なり、医師不足だからやってくれと言っているのではなくて、もうそういう時期にきているのでどうなのだろうと。
 そして厚労省の医政局長の通達だけでは収まらないような看護師の業務拡大というのも必要なのではないか。それを皆さんはどのように思っているのか、現場ではどうなのか。うちではやっている、やっていないと言うが、調べてみると、やっていると言いながら5%だったり、やってないと思っていたら、もう少し高かったということが出てくるのではないかと思います。
 もう1つは、では、これはどうしてできないのだと。星先生が言われたように、これは看護師の教育の問題なのだろうと思います。それから実地訓練というか、臨床の場で同じようにやっていく。先ほど神野先生がおっしゃったように、周術期のときとか、術後管理は答えにくいと言われましたが、周術期のことに関して言うと、確かにそこで教育と実施を見せて、見ている状況ということが加わらないと、とてもこのことはできないと思います。
 それを包括指示かどうかというと、ドレーンを抜いたりIABPを抜いたりとか、そういうことに関しては、医師としてはこういう状況の場合には抜いてもいいという指示が包括指示で、そこは指示があっただけでは駄目で、それにトレーニングなり、実地訓練をしたあとで、それを特定看護師と呼ぶのか、周術期の特定看護師ならば、やらせてもいいのではないかというのを、皆さんはどのように思っておられますかという調査をやる時期にきているのだと思います。
 これはパンドラの箱を開けて、これで突っ走るとか、そんなことは何のためにやっているのかというと、国民、患者のために医療を少しでも良くするためにやろうとしているわけです。例えば、手術後の気管挿管の管を抜くのに医者が来なければできない、手術中で抜けられないとなった場合には、患者にとってはどうなのか。いまはできませんが、こういう状況であれば抜いて治療をしたらいいではないかというようなこととか、細かいことはありますが、そういう時期にきているのではないか。それでガサッとやらせていただきたい。そして、そのほかのことに関していえば、メールのやり取りはもちろんいい検査をしたいと思うし、調査もしたいと思いますし、答えにくいのがあれば、それはそれなりに訂正してやりたいと思っています。
○神野委員 
今日までの議論は実態調査のところですので、実態調査をガサッとおやりになって、そのあとの解釈のほうがとても大事な話ですし、もしかしたら、何千施設の中の1しかない施設が既にやっているならば、それについて「お宅はどういう解釈でやっていらっしゃるのですか」とか「それでうまくいっているのですか」といったような後調査ができるような形というか、承諾をいただいてやったほうがいいのかなと、いまの議論を聞いて思いました。あとの解釈のところは、これから大いに議論しなければいけないところがいっぱい出てくるのではないかと思いました。
○有賀座長 
ガサッというのは、私の性格がそうなのかもしれませんが、とりあえず、やろうということで先へ進めたいと思いますし、一定の水準でまとめることに関してもお任せいただきたいと思います。
○大滝委員 
賛成ですが、少し申し上げます。数十人規模でいいのですが、パイロット調査として1回書いてもらって、直しを入れることを短期間でもなさったほうがいいと思います。
 私がイメージしていたのは、前回大学病院で行った調査と同じような選択肢を用意されるのかなと。選択肢というのは、それぞれの項目に関する回答の仕方です。今回はどのようにそれぞれの項目に回答を求めるかということを、まだ示していただいていないので、それも含めて仮に作った上で、全部の項目ではなく、一部の項目だけでもパイロットで委員の周りの人に回答してもらって、ここがわかりにくいとか、このように答えたいというのを1回はやったほうがいいと思います。
○有賀座長 
それは丁寧にやろうという話の1つのやり方ですよね。どの程度の人に答えてもらうかは別にしても、例えば、昭和大学でやってみようでもいいでしょうし、先生の所でやってみようでもいいですし、それはそれで理屈だと思います。では、頑張るぞということで、「エイエイ、オー」で行きたいと思います。
 次にもう1つ大事な話があります。私は先回実態調査その2と言っており、「モデル事業」という外来語ではわからないという話になってしまったのが、今回は資料4の「調査試行事業」となっています。時間が迫っていますが、説明をお願いします。
○島田看護課長補佐 
資料4です。「モデル事業」を改めて「特定看護師養成調査試行事業」としております実施要綱(案)です。「事業の目的」は、前回示したものと同様ですが、2つ目の○にありますように、専門的な臨床実践能力を有する看護師の養成に取り組む修士課程、研修課程等に幅広く協力を得て先導的な試行を実施し、当該課程のカリキュラムの内容や実習の実施状況等に関する情報を収集する、という目的にしております。
 もう1つは、本事業は、特定看護師の要件等を検討する際に必要となる情報や実証的なデータを収集することを目的として実施するもので、この調査試行事業実施課程としての指定は、今後、特定看護師の養成課程として認められることを保証するものではないという位置づけになっています。
 「事業の内容」(1)は、修士課程調査試行事業とあり、こちらは前回提案いたしました修士課程におけるこういった課程を調査試行事業実施課程(修士)ということで指定をして、当該課程からのカリキュラムの内容、実習の実施状況等の報告を受けるものとしております。
 (2)は、前回の会議の議論で、もう少し幅広く研修等を実施している所を対象にすべきではないか、というご意見がありましたので、研修課程調査試行事業というものを立てています。こちらは一定の基準を満たす研修課程、例えば看護師が免許取得後に学会や研修センター等が、そういった方を対象に実施をするということで、調査試行事業実施課程(研修)という指定をして、同じようにカリキュラムの内容や実習の実施状況等の報告を受けるとしています。
 その下の※ですが、前回、やや表現がわかりにくいのではないかということで、山本委員とも相談して、文言の整理をしております。本事業は、「特定看護師(仮称)」という新たな枠組みの構築に向け、法制化を視野に入れつつ、「特定の医行為」の範囲(特定看護師(仮称)の業務範囲)や当該行為を安全に実施するために必要なカリキュラムの内容等を実証的に検討するに当たり、厚生労働省の関与の下、一定の期間、検討に必要な情報・データを収集する目的で実施するものである。このような事業の趣旨にかんがみ、「特定看護師養成調査試行事業実施課程」においては、十分な安全管理体制を整備していること等を条件に「診療の補助」の範囲に含まれているかどうか不明確な行為について実習して差し支えないこととする、としています。
 2頁の「実施方法」です。この調査試行事業実施課程の指定については、修士コース、研修課程の双方とも、平成22年6月から8月までを申請期間と考えています。
 申請のあった教育・研修課程については、順次、5.にある指定基準に照らして、書面によって内容を確認するとともに、特段の問題がない限りは、この実施課程に指定すると考えています。事業の実施期間は、当面は平成23年3月までとしますが、事業の実施状況等によっては、平成23年4月以降も継続して、募集・実施することもあると考えています。
 「指定申請書類」「指定基準」ですが、これらについては、前回示しているものですので、説明を飛ばして、3頁の下の※にこの指定基準を5つ示しています。これはあくまでもこの調査試行事業実施課程の指定基準として示しているもので、特定看護師の養成課程の認定基準については、これらの事業、調査などの結果を踏まえて、このWGにおいて、今後検討されるものであると考えています。
 「報告書類」は、本事業の実施状況(例えば安全面の課題、学生の履修状況、実習時のインシデント・アクシデント、一般の看護師でも実施可能な行為等)について、WGに随時報告をするというように考えています。そして、このWGの求めに応じて、実施課程においては、必要な資料を提出するということを考えています。以上です。
○有賀座長 
質問ですが、2頁の「実施方法」の○の3番目に「本事業の実施期間は」とあります。「本事業の実施期間は」というのは、具体的にはこのような勉強プロセスで該当するような看護師をつくろうとして、いまやっています、という内容が3月までとするという意味ですか。つまり、修士課程という話は、既にある一定の水準で学生たちを集めているわけですから、カリキュラムの内容や実習の状況に関する情報の報告といったときには、それはそれでいいのですが、それだったら、認定看護師たちは、「こんなことをやればきっとこれに行き着くよね」という人たちがいたとして、その人たちは8月までに申請をして、3月までに勉強した結果を出せということですか。
○島田看護課長補佐 
この課程自体の修了期限が3月までという意味ではなく、この事業として指定をして、ここにあるような必要な報告を出していただくという、この事業自体が平成23年3月までとお示しをしているところで、そこですべて勉強が終わっていなければいけないということではありません。
○有賀座長 
学校でやられているところはさておいても、学校ではない所、つまり、ほとんどの看護師たちで元気よく仕事をしている人たちが、私たちも特定看護師ということで、このアンケートに書いてあるようなことをやってみたい、またはやっているので、それなりのことをと思ったときに、8月までに「私たちの団体ではこのように考えています」という話を出したとして、3月までには何を出すのですか。「8月までにはこんなことをやろうとしています。3月までにはこんなところまできました」ということですか。よくわからないので、そこだけを教えてください。
○島田看護課長補佐 
申請期間を6月から8月までとしておりますが、その際に出していただくものとしては、4番にある指定申請書類を出していただくことを考えておりまして、申請書と、どういった内容を学ぶのか、実習するのかといった詳細が書かれたシラバスとか、それを実施する主体である例えば大学院・学会・研修センター等の概要ですとか、それから実習をすることが基準の中に入っておりますので、どういった場所で実習をするのかという実習施設の概要を提出していただくことを考えています。
○星委員 
前回も話をして、私のイメージと事務局のイメージと、もしかしたら有賀座長のイメージも異なっているのかもしれません。ということは、これは新たに「こういうことをやってみたい人は手を挙げてください」というように見えますよね。新たに「特定看護師というのは、何をやらせるかまだ決まっていませんが、何となくやることがありそうなので、そういうのはどういう教育をしたらいいか、みんな考えてね。でもそれが認められるとは限りませんよ」ということで。「でも」という言葉はあまり聞こえてこなくて、自分たちが考えて、こういう行為ができるようになるためには、こんなカリキュラムなり、シラバスなりを考えて、こういう実習ができればできるのではないかということを前広に考えてくれということだけが、たぶん広がっていくのだろうと思います。
 例えば、いま認定のカリキュラムや専門の人たちというのは、ここから一見すると省かれているように見えるでしょう。でも、研修センターでやっている認定看護師の養成というのは、ここに入るか否かは明示されていないが、私はそれも調べるべきだと言っています。
 現に行われている技術研修や、いろいろな意味での看護師たちの研修を、全般的にどんな目的、どんな人たちをつくることを前提に、どんなカリキュラムなり、どんなプログラムがあるのかというのを見ておくべきだと、私はこの間申し上げました。だからこそ「調査してください」と申し上げたのです。やはりここをまた復活してきて、これは名前は変わりましたが、中身はモデル事業です。「これからそういうことを考えている人は前広に手を挙げてくれていいですよ」と言いますが、厳しい条件が付いていますので、「では」と言って、なかなか手を挙げることができない。
 それから既存の教育のカリキュラムなどについては明示されていないので、これは手を挙げられないのかなと考えてしまう。そうすると「特定看護師をつくるようなものではありません」と言いながら、特定看護師というのは、どういうことになるか、「皆さんで考えて、それを出してください」というのは、まさにモデル事業なのです。ですから、ちょっと違うな、この間の話と随分違ってしまったな、また元に戻ってしまった、名前は変わったけれども、調査ではなくて、やはりモデル事業になった、カネも出さない。その上危ないことをやってもいいと書いてある。危ないことをやってもいいと書いてあるが、「起こったら、起こった危ない事象を報告しなさい」と言いながら、厚生労働省は別に責任をとるとも、カネを出すとも言っていない。こういう中途半端なことを本当にやっていいのかなと思います。
 ですから、いま現状で行われている様々なトレーニングプログラムを前広に集めましょう。その上で、今回そういう機会なので、今までやっていることをベースに、もう少しアドバンスドコースを考えてみたいなという人たちが、では、このように考えるのはどうでしょうという意味での実際に募集をして教育をするということは必須ではないにしても、つまり3月までに完成しなくても、こういうことをやってみたい。そしてまたそれに応募してくれる人がいるのではないかという予測を持って、新しいプログラムを考えることもあるかもしれない。
 でも、本来は、この間から言っているような特定看護師ありきではないのです。要は看護師のやれる領域について、グレーになっている所にきちんとした光を入れて、それがどんな阻害要因があるから、どのように阻害要因を排除すれば、そういうことができるようになって、チーム医療が推進するのかということを、我々は望んで、この場にいるはずですから、いま申し上げたようなことを前広に考えてもらわないと、これからやるというモデル事業が「これは違います」と否定したところで、結局そういうものが一人歩きしていくのです。
 先ほどの有賀座長の話ではありませんが、「これは違いますよ」と言っても、違いますよではなくて「特定看護師」と言うほうが、よほどトーンが大きいので、きっと「モデル事業」と言っていないのです。「特定看護師養成調査試行事業」とちゃんと書いてあります。調査試行事業などとは誰も思いません。特定看護師養成事業だと見えるわけです。
 こんな中でみんなが本当に一生懸命努力をしている学会や、いまの認定や専門などの努力なんかは全く帳消しして、全部ガラガラッとやって、いきなりボンと「こういうのはどうですか」という話はとうてい納得がいかないし、そんなことを目的にしているはずではないと思うのです。もう一回議論を戻して、やはりモデル事業ではなくて、きちんとした調査があって、その上に今回そういうことであればというのも調べるというのなら「どうぞ調べてください」、あるいはそういう手を挙げて「こんなプログラムを考えました」「こんなカリキュラムを考えました」というのを聞いていただいて結構です。
 しかし、現に行われている看護技術を向上させようとしている様々なプログラムについて、ガサッというか、これもガサッとやっていただいて、一体何が起こっているのか、どんな努力を看護師たちがしているのか、どんな組織がどんな努力をしているのかというのをガサッとやってください。私はそうすべきだと思います。
○有賀座長 
私が思っているのと、星先生がガサッと言われたことと、私の頭の中ではよく似ています。ここに書いてあることそのものも私なりの解釈でいくと、星先生がおっしゃったようなことと結構似ているのではないか。
 たった1つ違うのは、事業概要の(1)が修士課程です。この間の議論にもありましたが、一般のナーシングスタッフで修士課程を卒業したのと同等と認めるということは、きっとあるよねという話がありましたね。だから、片や、修士課程だということであれば、例えば救急看護認定看護師という日本看護協会が認めている看護師たちを、修士課程と同等とみなすということがあれば、どのようなものを加えて、指定申請書類に書いてくるのかということで、そういう意味では実態調査その2というのは、いま先生が言われたもともとのベースラインで勉強している人たちが、片や「ここですよ」と言っているので、この部分をどのように積み上げて、自分たちとしては同等だと思ってやろうとしているということは、そのような意味では実態調査だと私は思うのです。
 片方にどうしても大学院の修士課程が出てくる。それから看護師のトップランナーというのは、本当にそうかどうかは別にしても、ここの文脈でいけば、修士課程を出た方なのでしょう。そのようなことでいくと、調査試行事業という言葉そのものは、日本語になったので、私は前よりいいとは思いますが、実態調査その2の状況で、結果を出せという話については、一体いつまでなのかと聞いたのは、実はそういうことなのです。その辺の整理をしなければいけないのだとは思うのですが。
○星委員 
これを受け取って、実施要綱を見て、これに応募しようという人たちは、まずここに修士課程が飛び込んできて「こういうことですよ」と言って、5つの条件がある。いま先生がおっしゃったように、救急何とか認定看護師の調査養成課程が、ここに応募してこない可能性は大いにあると思います。
 要は、看護協会も関わっていきますから、看護協会の政策としても、もしかしたら手を挙げてこないかもしれません。それはわかりません。しかし、現実問題からすれば、いろいろな現にやられているグレーゾーンを何とか技術的にも、あるいはいろいろな意味でうまくやるために、いろいろな努力をみんながしている。その努力をきちんと把握すべきだと思います。
 でも、わかりませんが、この実施要綱を送られた側は、絶対に一定の目論見というか、思いを持って、あえて選定して、ここに合いそうな修士云々というものに合致しそうなものを考えて、そしてそれがいずれは特定につながるのだという思いを持って、持ってくることになってしまうことは容易に想像ができます。
 したがって、私はそういうことをインデュースする、つまり誘導するような調査では、それは調査とは言わず、誘導です。ですから、本当に実態を調査するのであれば、誘導がかからないものでなければいけないと思います。ですから、調査試行事業という言葉をどうしても使いたいのであれば、私はこれは「やるな」と大声で言いたいですね。あと10分しかないので退場というのも格好が悪いし、退場もしたくありませんので、こういう形でやることには私は一切反対です。
 座長の頭の中では、こうだろうと思っていても、この書き物になって、出ていった途端に、世の中の人たちはそう思いません。厚生省のやっている仕事でいっぱい経験しています。ですから、私はここは譲りません。やはり前広にみんなが調べられるようにガサッとやるなら、こちらもガサッと調査事業でやってほしいと思います。
○前原委員 
星先生がおっしゃることもよくわかるのですが、この会議というのは、チーム医療の推進検討会という親委員会があって、その議論は1年かけてやってきたわけです。そこをWGに下ろして、チーム医療を推進しましょうと。看護師の業務拡大も必要ですよねというコンセンサスは、私は得られていると思います。
 そして、あえて言うと、チャブ台をひっくり返したと思いますが、そこを何か悪いことをやるように、私は厚生労働省の回し者ではありませんから、研究事業をもらってどうのこうのという大変なことをやらされていると思いますが、それを業務拡大ということに関して、世の中の流れで、先ほどから口を酸っぱくして言っていますが、いま医療崩壊しているといえば、していないと言われるのかもしれません。いまの日本の医療を少しでも良くするためには、チーム医療が必要だよねと。そこに頼めば、いまどういうことをやっているのかというときに、悪いことをやっているわけではなくて、その辺のコンセンサスが得られないと、いつも厚生労働省から出てくるものに関して、それに対してはアゲインストというのは、星先生はそんな先生ではないと思っていますが、その辺をベースラインというか、眺めている景色が同じではないと発言する強い人になびいてしまいますので、その辺はしっかりやってもらいたいと思います。
○有賀座長 
星委員はこのままでは、とてもではないが、承服できないとおっしゃっています。その部分についてのことに特化して言いますと、結局少なくとも日本救急学会の私のパートナーである救急看護師会の中では、修士課程というラインがもしあったとすると、修士課程に行くためには認定看護師がどういう積み上げをすればそこに行くのかといいう議論は、実はこんなことがある前からあるのです。私はそのことを知っていたから、これが出てきたときに、あの景色が、あのようにするとこれに乗れるのだろうなと。先ほどから言っているように、結果を出せという話は、どこで何が出たとき結果なのかよくわからないので聞いているのです。
 だから、ガサッという意味では、あなたたちの勉強集団が、どのような形で現状における勉強プロセスを成就させて、こんなことで認定しているという話はガサッと行けますよね。ガサッといったときに、ガサッといったときのある団体が、私たちは修士課程どころではなくて、博士課程以上だと思っていたときには、「もう少し勉強するプロセスを減らして修士課程と一緒にします」という答えが出てくることも論理的には可能だと思いますが、ガサッとやったときに積み上げる部分についてはどう考えていますかと。これもガサッと聞いても私はいいと思います。このラインで特定看護師ですよという話で、ニンジン、ニンジンという形でやろうとする意図は、そういう意味では見え見えだと先生がおっしゃっていることを百も理解したと仮定して、いま言ったみたいにガサッとやるのであれ、届かないかもしれないが、具体的にはこんなことを勉強して、こんなことをやっている人たちがいますよねと。この間、私は専門看護師と認定看護師の看護協会のホームページを見て、全部リスティングしてみたのですが、実は結構あるのです。それらの方たちが、救急に関して言うと、救急医たちと相談しながらやってきた歴史がありますので、場合によっては「ここの部分をこうすれば」ということも答えてくださるかもしれないし、そういうことを一切やったことがないような認定看護師たちのグループであれば、いまのところ修士課程のところで線を引いたとすれば「私たちは必要ないと思いますので考えてもいません」ということなのだと思います。
 ちなみに、なぜ救急看護学会が修士課程のところに線を引いてやろうとしているかというと、救急外来におけるトリアージ、緊急度の判定がありますが、あれをもう少し体系的にやりたいと。その勉強のネタをカナダに求めたのです。「それはどういうふうに使っていますか」と言ったら、カナダの修士課程を卒業している人たちが使いこなしているという話を聞いてきて、「だったら私たちもそうなりたいね」という話があったのです。私は修士課程は関係ないなと思ったのですが、彼女たちがそういうことを話し合っていることは知っていたのです。そこに某大学院の救急医である教授も入って議論していることを知っていたから、そういう意味では、これは素地がある話としては、私の頭の中では受け入れられるよね、という程度には理解しています。
 ただ、先生がおっしゃるみたいにそうでない人たちも山ほどいて、それだったらその人たちのことも知っていないとフェアではないよねという意味においては、修士課程の所は修士課程で出してくれて結構だけれど、そうでない所はそうでない所で出してくれと。出してもらって、そういうことであれば「何をしますか」ということも入れておけば、それはそれでいいのではないかと。先ほどの「本事業は云々」のところは、山本先生が監修されていると聞きましたが、危ない誤解を招くのではないかと私自身は思いました。
○竹股委員 
私は順番の問題かなと思っているのです。前回も申し上げましたが、今回ナースが将来行い得る仕事の中身を見ても、看護学の基礎教育の大学レベルでも、看護は看護独自の、4年間でも余りあるような内容を持っているわけです。医師は医師としての6年間の教育の中で、医学に直結するような部分を持っているのと同じように、看護があるわけです。これを新たにナースがやるためには、医学教育の部分も含めてかなり系統的な深いものが必要になってきたときに、「特定看護師」という言葉が走ってはいますが、こういう中身のことをするために、少なくとも生命の安全、つまり患者の安全を担保する普遍的な教育とは何かというところのモデルは、絶対必要だと思うのです。いま、私たちは大学院の専門看護師を中心とした大学院教育を先行して持っているわけだから、それがモデルになるのではないかと個人的には思っています。
 ただ、モデル事業をちゃんとやって、ナースのこれだけのこういう教育内容と実践を積めば、患者の安全は大丈夫なのだということがわかった暁に、今度は数が問題になってきます。現場に1人ぐらいでは困るわけですから。その数の問題もそうなのですが、その次の段階で、現場には実践力の高いナースもいるし、判断力の高いナースもいます。それらの人たちが、次にどういう内容を付加したら、大学院レベルの教育に匹敵することができるのかということが課題となります。彼女らは我々にとって大きな資産ですから。だから、モデル事業という言葉はいけませんが、まず見本がなければいけないという意味においては、単純かもしれませんが、それをまずやってみて、本当にどのぐらいの年限が必要なのか、どのぐらいの内容が必要なのか、どのぐらいの実践が必要なのかという意味においては、いままですでに我々が積み上げているものを活用していくことは、物理的・時間的に言っても非常に合理性があるのかなと思っています。今回、これについてはこういう形で、順番ですが進めていいのではないかなと思っています。
○神野委員 
またチャブ台をひっくり返すような話で申し訳ないのですが、先ほどまでの議論で、特定医行為がまだ決まっていない時点で調査試行事業を即やらなければいけない理由が、どうしてもわからないのです。せめて先ほどの8月までのデータが出ないと、教えるほうは何を教えていいかわからないのではないかと思うのです。これは単純な意見です。
○杉野医事課長 
これは座長もおっしゃったように、ある意味では調査1と調査2であると。調査1は、現に医療の現場でどういった行為が、どういった看護師に担っていただいているかという医療現場の実態を調査しましょうと。調査2は、昨年度の検討会議で議論になったのは、修士課程の話ですが、修士課程で、しかも従来一般的には診療補助の範囲と理解されていなかった医行為についての教育の取組みが、事実上始まっているという実態があることを踏まえて、その動いている実態を本当に安全に教育できるかという観点から、いろいろな情報を入手して一緒に検討することに意味があるのではないかということで、昨年度の報告書の取りまとめの中で、そういう類似の看護師養成をやっている大学院関係者の協力を得て検討していくべきであると。そういう試行に取り組むべきであると。法制化の議論は、ゼロから百まであるという議論はあったのですが、早く試行を始めて何らかの措置を講ずるべきであるという結論になったわけです。それで、前回モデル事業という表現はどうかとは思いましたが、ある種の教育現場の実態調査ということでご提案したわけです。
 ただし、座長からご指摘があったように、修士課程でやっているという実態は確かにあるけれど、それ以外の現場での様々な取組みがあって、座長のお言葉ですと、もう少し上積みをするところで修士課程に匹敵するような教育が可能で、特定看護師のような看護師になれる教育が可能な実態がまさにあるのだと。そういうことも含めて、実態調査その2を考えてみたらどうだろうかというお話がありましたので、こういうご提案をしたということです。
 順番で言うと、まず行為を固めてからそれをやっていただく養成をという話もあるかもしれませんが、現に重なる形で様々な養成をやっている取組みがあるものですから、最終的にそのままその養成の現場でやっている行為が、すべて特定医行為だと決め打ちするという意味ではなくて、こちらはこちらで養成の現場で特定医行為を目指してというか、それに類するものをやっていると。こちらで実態を把握し、それをどこかの時点ですり合わせするということでいかがでしょうか、というのが資料1でお示しした絵柄でした。
○有賀座長 
おそらく、先生が所属している学会のパートナーのナーシングスタッフの学会もあるのだと思うのです。そこで、2つの学会で一緒に先ほどのたくさんの項目を一瞥したとします。そうすると、いまの認定云々という話は、これとこれ、このぐらいのことを勉強すると、修士課程を卒業したのと同等とみなしてもいいのではないかという議論はあり得ると思うのです。なぜかというと、私たちは救急学会も少しやっていましたから。そのようなことでガサッという話だと、それはそれでいいのではないかと私は思うのです。だから、「学会」と書いてありますが、看護師だけでこれができるというのは無理があるのではないかと。救急看護学会と日本救急学会が一緒になって、これに関してどう考えるのかという議論をしないと、おそらく無理なのではないかと思うのです。
 ただ、無理だとしても、現状における実態をとりあえず見ようという話がベースラインにあって、それプラスアルファであれば、ダイナミックな実態という意味では実態調査その2でいいのではないかという気がします。私たちが現場で思っているような、先生が能登半島だとお思いになっているあの景色は、あの景色として先生が絵空事で思っているのではなくて、周辺のナーシングスタッフを含めた方たちと議論しながら言っているはずなのです。そういう意味では、どちらが先かという話は理論的にはそのとおりですが、私は同時進行でもそんなにびっくりするほど変なことをやっているわけではないのではないかと思うのです。つまり、どういう勉強をしたらこんなことができますよという話が、実態調査その2で出てくるだろうと思うからです。井上委員、それでいいですね。
○井上委員 
座長が(2)をすごく強調されているので、私はわからなくなってきてしまったのです。
○有賀座長 
なぜかというと、(1)はすぐに。
○井上委員 
たぶん、特定看護師というのは、前原委員の調査に基づいてこのような教育をして、それならやってもいいというところが、非常に重要になってくると思うのです。同時進行、あるいは順番を追って、いろいろな考え方があると思うのですが。
○有賀座長 
だって、私たちの周りでチーム医療で一緒に働いている人たちは、(2)の人たちが多いから。
○井上委員 
多いのです。多いのですが、報告書にもあるのですが、これは慎重にすべきだと思うのです。これだけの危ないことをするには、私は修士であるべきだと思うのです。ただ、数の供給とか、座長もおっしゃったようにそういう問題があって、行為限定的とかそういうこともあるのかもしれないので、もちろん修士でなければならないと、この医療の現状で言うつもりはありませんが、私は座長が(2)をものすごく強調して言われていたので、少しわからなくなってしまったのです。
○有賀座長 
(1)は、そもそも論として事務局がすんなり出してきたので、本当の現場はそうではないのではないかなということで言っているのです。こちらを余計たくさんやると言っているわけではないのです。ただ、大学院ありきみたいになってしまうと、現場の景色と乖離するのではないかと。本当に乖離するのであれば、チーム医療と無関係にやってもいいわけです。大学院を卒業した人には、厚生労働大臣がこういう資格を与えると、こんなことまでやっていいと言ってしまえばそれでいいわけです。だけど、そうではなくて、チーム医療が出てきたから私は言っているのです。
○井上委員 
わかります。どちらが正しいとか、こうでなければいけないというのはないと思うのですが、教育の立場の者としては、カリキュラムは4月からある程度決まったものが走り出していて、類似のものはあるかもしれないけれど、参入しようとすると、文科省絡みになればなるほど、むしろ学会のほうが小回りが効くのです。入学要件を満たして教育しなければいけないし、いまから積んだとしても本当に講習会を終えたぐらいにしかならないという部分もあって、それでいて12月とか3月にある程度の結果を出すというところが、修士課程に携わる者としてはものすごく危惧するのです。第1弾ではあるけれど、第1弾の結果がどのように全体の流れを左右するのか。
 そういう意味で来年度以降も継続する、いまカリキュラムを少し組み替えて、来年4月スタートというのであれば、それは私たちにとってはベターだなと思っているのです。タイミングというものがあることもわかるのですが、そういう意味で迷っているところです。
○前原委員 
いまの専門看護師、認定看護師のことですが、私のいままでの知識からすると、専門看護師は450人ぐらいですね。認定看護師は6,000前後ですね。そこで認定看護師は6カ月の教育、専門看護師は2年、修士ですね。ただ、実施のことで専門分野からすると、皮膚・排泄ケアとか感染ナースとか、救急看護もそうですが、実際にやっていらっしゃる現場の私たちと共に働いている人は、よくできる看護師はたくさんいらっしゃるわけですから、そういう人たちが何かの上積みでそういうことに加わるのであれば、日本の医療の現場はもっとレベルアップするでしょう。そういう意味では、両方あっていいのではないかと思います。現にそれで走っている所が何箇所かあって、そこは修士であり、現場のトレーニングも医師の指導の下に教育を受けて、現に走っているのは周術期のところとか外来とか小児科とかいろいろありますが、いま必要というか、国民のニーズから発したところで動いているのだと思いますから、それは平行してやっていただきたいと思います。
 最後に実態調査1ですが、皆さんのご意見も星委員のご意見もよくわかりますが、ガサッとやれという気持ちは、現状はどうなのか。そして看護師の業務拡大をしたい。それは私だけではなくて、医療界、国民にとってもそうだろうと思います。それにあたって、168ありますが、これだけの項目を並べて、そこは各分野で急性期、慢性期、小児、在宅といろいろ入っていますので、その辺を皆様のご意見をいただいて修正し、厚労省から急がされているわけではなくて、やる時期が来ていると思いますので、できれば1週間ぐらいでまとめさせていただいて、こういうものを出しますということは座長と前原班に一任させていただければありがたいと思います。その結果はここでもんでいただくわけですし、それはどのように読めるのか、そのデータはちゃんとフェアに、悪いものが出てきたり、悪いことに利用しようとは誰も思っていませんので、是非お認めいただければありがたいと思います。
○有賀座長 
1週間というのは、まとめる側の、私が言い忘れているのかもしれませんが。
○前原委員 
2~3日だったら2~3日でもいいですが、そうしていただければ私はありがたいのですが。
○有賀座長 
物事を2~3日でというのは、本当に机に座ってものを考えるのは私は日曜日ぐらいしかありませんから、そういう意味では日曜日が入っていれば、2~3日でも1週間でも同じだと思いますが、1週間ぐらいでいきましょう。
 本題に戻りますが、修士課程ありきという話はどうかということもあったので、現場のことから来て(2)の話、つまり事業内容の(1)と(2)の話で、(2)に重み付けがありすぎるのではないかというご意見なのですが、もし修士課程として、いま現在の実習も含めた授業の内容ではちょっとどうかなとお思いになれば、情報をいただくということはあっていいと思うのです。つまり、修士課程修了のラインが引けたと仮定して、その課程において特定看護師(仮称)の要件を満たすものであれば、そのつもりで情報を出しますと。そうでなければ、こんなことがあればいけますということに関しては、修士課程もそうらしいと、いま井上委員がおっしゃったから、早速そういう看護師を養成することはできないけれど、これだけプラスすればできそうだという話も情報としていただくと。そういう意味では、学会よりも仕掛けがリジッドですから、井上委員がスイスイとはいかないとおっしゃったのはそのとおりだとして、本当にやるとすれば来年か再来年という話があったとしても、普通の認定看護師やその他の勉強プロセスを持っている所は、勉強プロセスを持っている所として出していただいて、あと何をすればどうかという話はそれに加えていただくと。これなら、私の頭の中の理解と事務局の思っていたことと、星委員やその他の委員がおっしゃったことと、網羅的な実態調査になるのではないかと思います。言っていることはわかりますか。
○杉野医事課長 
おっしゃっているのは、片や現にやられている所がありますから、そういった所は原案どおり出していただくにせよ、間に合わない所やいろいろなお立場がありますから、こういうことをやればできるというご提案も含めて、実態プラスご提案みたいな形のものも含めて募集するというものも、あってはどうなのかというご趣旨でしょうか。
○有賀座長 
そうです。
○杉野医事課長 
承知しました。
○有賀座長 
どこかに時限的なことがありましたね。6月から8月までとするとありますが、8月の1カ月間は集れと言っても集まりにくいということがあるかもしれないから、場合によっては少し後ろにずらしてもいいのですかね。8月までに来ないと困るわけですか。いま6月ですよね。そうすると、実質的には7月に物事を決めないと、8月までには出せないのではないかと思うのですが、いかがですか。とにかく一気に行ってしまうと。
○前原委員 
私の班会議としては、2~3日でも結構ですが、1週間でいただいて、まだ1回しか開いていません。第2回目を6月の下旬に開いて、アンケートを取って、これだけの数ですからWebでやらないといけないと思うので、Web調査をして、何とか形を作るのに8月いっぱいはかかると思います。ですから、その結果を皆様のWGに提出できるのはもう少し時間がかかるかもしれませんが、できるだけ早く。
○有賀座長 
こちらも8月までにしておいたほうが、話としては一緒なので。星委員、何かご意見ありますか。
○星委員 
非常に急いでいるなという印象は、もう一度言っておきます。本当に急ぐのがいいことなのかなというのは、先ほどの井上委員のお話もありますし、何をさせたいのかわからないのだけれど、8月までにやっていらっしゃいという(2)の調査について言うと、きちんとしたメッセージが伝わらないままに、中途半端な情報が集まってしまう危険性があることは深く認知すべきだろうと思います。
 その上で、ガサッとがいいのかドサッとがいいのかわかりませんが、一方で現場は一定程度ガサッといろいろなことがわかると。一方ではこういうことをやりたいというものを含めて、現実にやっているものも含めて、こういうカリキュラムを持ってこういう教育をすれば、いままで認められていなかったであろう医行為について看護師たちもできるようになるかもしれないというものをお出しいただく。その2つをすり合わせてどうなのかと。もしかしたら、大上段に掲げて修士課程でなければいけないと言っているようなことを、一般の民間病院では普通にやっているかもしれません。突き合わせてみたらあれっということもあるかもしれません。
 ただ、そのときに実態から乖離したもの同士を突き合わせても始まらないので、どうやったら本当に実態に近いものを我々が検出できるかどうかについては、細心の注意を払うべきだし、そこに含まれるいろいろな問題やデータの問題点についてはあらかじめわかるわけですから、これだけ急いでやるわけです。そのことは、私たち自身が解釈をする場できちんと理解した上で進めていかないと、実態調査の結果だけが飛び出してきて、とんでもないことになることは必ず避けるのだということは、ここの共通認識として持っていただきたいと思います。
○有賀座長 
先ほどから、先生はパンドラの箱とおっしゃっていますが、私自身はそんなに大それたことが展開するとは思っていないのです。なぜかというと、現場が私たちのすべてですから。その現場と乖離した話が展開するとはとても思えないのです。ですから、先ほど私がチラッと言いましたが、修士課程で一応線を引いて、修士課程の線と言ったのは、救急看護学会や救急学会が考えている線は私たちが考えている線なので、この間がどうですかと言われたときに、場合によってはもともと私たちはこの辺にいますよということになると、引き算をするような提案だって、論理的にはあり得ると言ったのはそういうことなのです。
 もともとの物差しがない世界で、頑張って物差しを作ったのは専門看護師や認定看護師の話だと思うので、そういう意味では何らかの物差しと言ったときにいちばんわかりやすい修士課程のようなものを持ってきたというのは、それなりに私は理解しています。その線を見たときにどうですかというものまで入れて、こんな勉強プロセスがあるよねと言ったときに、入れて出してもらうという話は、そういう意味ではダイナミックな実態調査だと思っています。本当に修士がいいのかどうかという話は、そもそも論としてあると思います。事務局は理解できますか。3回転宙返り、月面着陸みたいなよくわからないことが起こっていると思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、私の頭の中では私なりに整理はしているのですが。ほかに、これを発言しないと、今日は家に帰りたくないというようなことがあったらどうぞ。
○竹股委員 
家には帰りたいですが、有賀座長のお話の中で看護職として申し上げておきたいことは、医師は6年かけてかなりの勉学を積み上げて、ほとんど実践をしないで、研修医になって初めて注射から始まってすべてやるのですよね。
○有賀座長 
文科省のですね。
○竹股委員 
そうすると、この調査内容の項目は、私のいまの感覚からすると、一部そうでもないものもありますが、ほとんどがかなり勉強を積み上げ、実践を積み上げなければ、人体にとって大変侵襲性の高いものですし、判断を間違ったら誰が責任を取るのかというレベルのものがものすごくあるのです。ですから、私は「大学院」という言葉はあえて使わないけれど、ある一定率の個人のポテンシャリティと、ある一定率の期間は、勉強としては絶対必要な期間だと思うのです。それが部分的にこの中で、例えばデブリードマンをやるとかいうのであれば、そこだけ言うのであれば、いまのWOCがプラスでもう少し頑張ればできるだろうというのはありますが、何をどこまでということはあるにしても、少なくともこれだけのものをあるレベルでナースが、医師の指示の下とはいえ柔軟に判断するというレベルは、かなりのものが必要ではないかと思うがゆえに、「大学院」という言葉にこだわるつもりはないけれど、少なくとも大学院レベル相当の勉強は積み上げないと、質の担保の意味で人間の身体の保証を一般的・普遍的にすることは難しいのではないかと思っているのです。そこだけ付け加えさせてください。
○有賀座長 
総論として、そういうことについての理解は皆さん持っていると思います。先ほどから大学院の話を馬鹿にしているのではなくて、物差しがないのだから、大学院ありきの話が出てきたことの歴史的必然性については理解しています。ただ、本当にそれで現場がグルグル回っているかというと、必ずしもそうでないところがあって、その辺の行ったり来たりの議論が、専門看護師と認定看護師ができていった歴史を説明するのではないかとも思っています。あの後、多くの人にいっぱい聞きましたから。そういうことを踏まえてこれをやっていこうという話でいいのではないかと思います。
 帰りの時間を無視してしゃべってしまいましたが、よろしいですね。あとは、積残しのことが出てきたときには事務局にメールを入れてください。その他に関しては、私の責任でいろいろと決めていきたいと思います。よろしくお願いします。それでは、今後のことについてお願いします。
○島田看護課長補佐 
ご議論ありがとうございました。確認ですが、先ほど試行事業の申請期間は6月から8月までということでご了解いただいたと思いますので、指定基準について取りまとめて、速やかに座長と相談して募集を開始したいと思っております。
○有賀座長 
実態調査という局面もありますので、その辺も入れておいてください。
○島田看護課長補佐 
わかりました。申請書が届き次第、先ほどご説明しましたように、順次指定基準に照らして指定を進めていきたいと思っております。書類の確認は座長にご一任ということで、ご了解いただければそのようにしたいと思います。どのぐらいの分量が来るか、いまの時点では事務局でも想定がつきませんので、座長とご相談の上、量によっては委員にお分けしてお願いしたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
○有賀座長 
そのプロセスではとても判断がつかないときは、この会を緊急招集ということはあっていいでしょうね。
○杉野医事課長 
ご了解いただけましたら、そのようなことも考えます。
○有賀座長 
それでは、それも任せてください。
○島田看護課長補佐 
はい。先ほどの実態調査のご意見については、前原班のお進めいただくご都合もありますので、1週間を目処に、ご意見がある場合には来週の月曜日までに事務局にメール等でいただければ、取りまとめて研究班にお渡ししたいと思っております。
 次回ですが、実態調査等の結果が出てからご議論いただきたいと思っておりますので、日程等調整してご案内させていただきます。以上です。
○星委員 
調査票がどうなるか、最後まで私たちがわからないというのでは困るので、調査票が出来上がったら是非見せていただきたいと思います。
○有賀座長 
それはグルッと回すのですよね。
○星委員 
はい。前原委員を信用していないわけでもないし、誰を信用していないわけでもないのですが、いまの状況のまま意見をくれと言われても、いまの状況に対する意見は非常に難しいです。ですから、実際の調査票を早く作って回覧してください。お願いします。
○有賀座長 
よろしいですか。それでは、先生方、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医政局看護課看護サービス推進室

専門官 藤田: 03-5253-1111(代表)(内線4171)
03-3595-2206(直通)

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