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2010年6月28日 診療報酬調査専門組織(第16回医療機関のコスト調査分科会)議事録

保険局

○日時

平成22年6月28日(月)15:00~16:45


○場所

はあといん乃木坂


○出席者

田中滋分科会長 石井孝宜委員 猪口雄二委員 勝原裕美子委員
川上純一委員 小山信彌委員 近藤俊之委員 佐柳進委員
椎名正樹委員 須田英明委員 西岡清委員 西田在賢委員
渡辺明良委員

事務局

佐藤医療課長 渡辺保険医療企画調査室長 他 

○議題

・平成21年度「医療機関の部門別収支調査の実施に関するアンケート調査報告」について
・平成22年度「医療機関の部門別収支に関する調査の実施(案)」について

○議事

議事内容

○田中分科会長
 それではただいまより、第16回の診療報酬調査専門組織・医療機関のコスト調査分科
会を開催させていただきます。お暑い中お集まりいただきまして、どうもありがとうござ
いました。
 まず、委員の交代について御報告いたします。
 平成21年8月5日付で井部委員、高木委員、手島委員、原委員が御退任なされました。
また、8月10日付で、次の4名の方が新任委員として発令されておりますので、御紹介
いたします。
 聖隷浜松病院副院長兼総看護部長、勝原裕美子委員でいらっしゃいます。

○勝原委員
 よろしくお願いします。

○田中分科会長
 浜松医科大学医学部附属病院教授・薬剤部長、川上純一委員でいらっしゃいます。
○川上委員
 川上と申します。よろしくお願いいたします。

○田中分科会長
 全国社会保険協会連合会顧問、近藤俊之委員でいらっしゃいます。

○近藤委員
 近藤でございます。よろしくお願いいたします。

○田中分科会長
 聖路加国際病院事業管理部財務経理課マネージャー、渡辺明良委員でいらっしゃいます。

○渡辺委員
 渡辺でございます。よろしくお願いします。

○田中分科会長
 以上、4名の方でございます。どうぞ積極的に参加してくださいませ。
 次に、委員の出欠状況について御報告いたします。
 本日は、尾形委員と松田委員が御欠席でございます。
 では、早速審議に入らせていただきます。
 本日は、議題が2つございます。
 1つ目が平成21年度医療機関の部門別収支調査の実施に関するアンケート調査報告に
ついてです。
 2番目が平成22年度の医療機関の部門別収支に関する調査の実施(案)についてです。
 この2つを議題としたいと存じます。
 2つの議題は関連いたしますので、資料については一括して事務局より説明をお願いい
たします。
 では、渡辺室長、よろしくお願いします。
○渡辺保険医療企画調査室長
 保険医療企画調査室長でございます。
 それでは、まずお手元の資料を確認させていただきたいと思います。本日、お手元資料、
座席表の次に議事次第、それから資料といたしまして、診調組コ-1、コ-2-1、2-
2、3とございまして、一番最後に参考資料がついているかと思います。
 もし、不足、落丁等ございましたら、事務局のほうにお申しつけくださいませ。
 それでは、まずお手元の資料の診調組コ-1という資料から御覧いただきたいと思いま
す。
 本日の分科会、昨年の7月から開催いたしましてから1年ぶりということでございまし
て、また本日、新しい先生方もいらっしゃいますので、まず初めに簡単にこれまでの経緯
につきまして、おさらいも含めまして御説明させていただきたいと思います。
 コ-1の資料にもございますように、医療機関の部門別収支の調査でございますが、こ
れは平成15年の閣議決定に基づきまして、診療報酬体系に医療機関のコストを適切に反
映させていくということを目的としまして始められたものでございます。具体的には、医
療機関の診療科部門別の収支の統一的な計算手法を開発するということを目的として、1
5年度から着手してまいりました。
 5年間の調査研究を行いまして、平成20年度には、実際にこの成果を用いた調査を試
行的に実施いたしました。この調査結果につきまして、昨年の分科会にも御報告いたしま
した。その後、中医協の診療報酬基本問題小委員会のほうにも報告いたしました。
 全体としましては、これまでの調査研究に基づきます手法につきましては、かなり精度
の高いものが確立したという評価を中医協のほうでもいただいたところでございます。た
だ、これとあわせまして、幾つかこの調査を広げていくに当たっての課題というものも明
らかになってまいりました。
 その中ほどにございますように、1つには、この調査を行うに当たりまして、調査項目
によっては、この調査のために別途医療機関に詳細なデータを収集することをお願いしな
ければいけないということで、医療機関側の調査負担がなかなか大きいということで、対
象の確保が難しいということがございます。
 参考でも載せてございますように、20年度の調査の例で申しますと、約600近くの
病院にお声がけをしたわけでございますが、実際に手を挙げていただいたのは190病院、
約3割でございまして、途中で辞退された病院もありましたので、最終的に調査に参加し
た病院は127病院ということで、お声がけした中の約2割というような状況でございま
した。
 また、結果的に最後まで参加できた病院といいますのがDPC対象病院、あるいは準備
病院だけということで、一般病院への広がりがなかなか難しいというような状況でござい
ます。
 そこで、昨年度のこの分科会でも御議論いただきまして、これまで確立された一定の精
度というものは確保しながらも、できる限り多様な医療機関のデータを収集できるものと
なるように、昨年度、平成21年度におきましては、この調査に参加をされた医療機関に
どういった点が負担だったか、課題としてどういうことがあるかということのアンケート
調査を実施しまして、それに基づきまして、一定の精度を保ちつつある程度の簡素化を検
討するということになった訳でございます。
 今回は、このアンケート調査の結果と、それに基づきまして、今年度これから実施する
調査の簡素化案について御議論いただきたいと思います。したがいまして、例年ですと、
いつもは調査結果の分析を御議論いただくわけですが、今回は、これからの調査の手法に
つきまして御議論いただくということになろうかと思います。
 そこで、その次の2ページ以降でございますが、これはあくまでも参考ということでご
ざいまして、もう皆様、既に御承知のことも多いと思いますが、簡単にその調査の仕組み
について、おさらいをさせていただければと思っております。
 この診療科の部門別収支でございますが、具体的にこの調査で用いている方法は、いわ
ゆる階梯式配賦という方法でございまして、2ページの下にイメージ図がついてございま
すけれども、この調査では病院をそこにございます4つの部門に分けまして、段階的に補
助・管理部門、あるいは中央診療部門というものの費用、収益を配賦いたしまして、最終
的なでき上がりの姿としては、入院、外来のそれぞれの診療科別の収支を示すという、こ
ういうことを目的として分析を行っております。
 この最終的な診療科というのは、歯科は除いておりますけれども、基本的にはレセプト
診療科で統一をするということでございます。
 ただ、もちろん、各病院ではそれぞれの固有の標榜の診療科がございますし、また部署
名などもさまざまでございます。
 各病院には基本的には固有の部署、診療科ごとにデータを提出いただくわけですが、そ
れを調査班のほうが統一的な手法で統一的な部門、診療科に割り振るという、こういう全
体の流れの中で作業をしております。
 したがいまして、作業を行うに当たり、大きく分けて各医療機関には2つのお願いをし
てございます。
 1つは、最終的に統一的なレセプト診療科でデータを整理いたしますので、それぞれの
各医療機関の固有の診療科とか部署というものを統一的なレセプト診療科に当てはめる、
部門の当てはめの作業を調査の早期の段階でお願いしています。
 また、次の3ページ以降、細かい資料が載っておりますが、それぞれのさまざまな費用
と収益、特に費用データの配賦に際しまして、例えば材料費であれば、医薬品費はレセの
薬剤点数比で割り振るとか、あるいは給与費でありますと、医師については医師の勤務時
間比、その他の職員については職種別の職員数比で割り振るといったように、こういった
配賦をするに当たっての基礎データが必要でございます。したがいまして、こういったデ
ータについても各医療機関から出していただくということで、レセプト情報、勤務時間、
職員数、患者数等々の調査を行う、これを一般原価調査として行っているわけでございま
す。
 また、次の4ページにまいりますと、最終的な三次配賦の段階で中央診療部門、手術で
すとか、検査ですとか、画像診断等の費用を最終的に入院、外来に振り分けるわけですが、
この手術・検査・画像診断につきましては、等価係数という係数を用いまして、これを用
いての割り振りということを行っています。等価係数を作成するために、ごく一部の医療
機関に絞りまして、それぞれの手術とか検査にかかった費用について、さらに詳細なデー
タをお願いするという特殊原価調査をやっておりまして、この一般原価調査と特殊原価調
査という、この2つでデータを収集するということがこの調査の大きな骨格でございます。
 そこで続きまして、この診調組のコ-2-1という資料を御覧いただければと思います。
 昨年度実施いたしました各医療機関へのアンケート調査の結果の概要でございます。調
査結果そのものにつきましては、この2-2というところに本体が載っておりますが、本
日は時間の関係もございますので、この2-1の概要のほうで御説明をしたいと思います。
 このアンケート調査の対象とした病院でございますが、1ページ目の最初にございます
ように、20年度の調査に参加していただいた全病院、途中で辞退をされた病院も含めて
調査をお願いいたしました。結果といたしまして、一般原価調査につきましては97病院、
特殊原価調査につきましては9病院から回答をいただいております。
 なお、この一般原価調査の97病院の中には、途中で辞退をされた21病院も含まれて
おりますので、そういった病院の意向も含めたアンケート調査の結果であるということで
ございます。
 まず、一般原価調査のほうでございますけれども、一般原価調査は大きく分けまして、
3段階、5つの調査から構成をされておりまして、それぞれにつきまして具体的な調査票
もお示ししながら、回答するに当たって、どういうところが難しかったか、あるいは既存
のデータで対応できたのかどうか等々といったことをお伺いいたしました。
 まず初めに、このレセプト調査でございますが、これはある意味ではこの調査の基本中
の基本とも言えるところで、それぞれの病院のレセプト、あるいはDPC病院でありまし
たらEファイルのデータをMOに入れて出していただくということで、これは当然収益の
データとしても用いますし、また先ほど申しましたけれども、例えば費用のところでも、
ある程度レセのデータを使って配賦するという作業も出てまいりますので、そういったと
ころの基本となるデータでございます。
 これにつきましては、9割以上の病院で既存データの活用により作成できるということ
で、若干調査要領などについて少し細かい書き込みは必要かと思いますが、ほぼ多くの病
院で対応できていたということでございます。
 2ページ目でございますが、2つ目の調査、部門別の設定調査でございます。これは先
ほども申しましたように、個々の病院の固有の診療科、部署というものを統一的な調査で
用いる部署、診療科に当てはめをするという作業でございまして、これにつきましても、
それぞれの部門ごとにお尋ねをしておりますが、8、9割のところで既存データで作成で
きるというような回答でございました。
 続きまして、3点目の収支状況調査、これが部門別収支のある意味では要となるところ
でございまして、収支状況調査につきましては、大きく5つのパートからなっております。
 初めに、病棟・診療科別の患者数ということで、この患者数も配賦基準としてはいろい
ろな費用に使っておるわけでございますが、これにつきましては入院部門、外来部門につ
きまして、9割程度のところで既存データの活用により作成できるということで、患者数
の把握については大体できているという結果でございました。
 2点目の1カ月分の損益計算書でございますが、この調査では、病院会計準則に準拠す
るということになっておりまして、若干それによっていないというところもありました。
既存データがそのまま使えないというところもありましたが、全体として見ますと、9割
程度のところが既存データの活用により作成できるということでございました。
 3点目の職種別の人員、例えば医師何人、看護師何人といった職種別の人員数、勤務時
間、給与といったことでございますが、これにつきましては意外に、約3割のところで既
存データが活用できないということで、例えば非常勤医師の勤務時間把握に手間がかかっ
たとか、実際、この調査で求めている職種と実際に病院ごとに管理している職種の区分が
違ったりということで、意外と手間取っているという結果が出てまいりました。これにつ
きましては、確かにこの調査は職種区分が細かいところもございまして、現在の調査票よ
りも職種単位をまとめて記入するとした場合どうかということもあわせてお聞きしたとこ
ろ、約3割のところが軽くなるといった回答であったということでございます。
 続きまして3ページでございますが、収支状況調査の4つ目のパート、保険外の収益で
ございます。プレ調査でもかなり各病院難儀しているという結果が出ておりましたが、今
回の調査でもそういった結果が出ております。
 そもそも収益につきましては、レセプトデータで基本的に保険収益は全部とれるわけで
すが、保険外収益につきましては別途額を把握しなければいけないということでこの調査
を行っております。現行の調査では各病院にそれぞれの部署、診療科別の保険外収益をお
聞きしております。例えば差額ベッド代でありましたら、小児科の差額ベッド代とか内科
の差額ベッド代といったように、それぞれの診療科別の保険外収益を記入いただくという、
こういう方法に今なっているわけでございます。これにつきましては、保険外収益を診療
科別、部署別に把握していないという病院が多くて、かなりのところで戸惑っているとい
いますか、そういった状況がこの調査結果から浮き彫りになってまいりました。
 また、保険外収益のアンケートとあわせまして、実際に各病院で保険外収益が主に計上
されるような場所としてどういうところがあるかというところを聞いたところ、全体に満
遍なく発生するというような回答も多かったんですが、特定の科に集中するということで
は、例えば産科・婦人科ですとか、健診部門といったところが主たる発生源であるという
ような回答もあわせて出ておりました。
 続きまして、部門ごとの職員数と延床面積でございますが、先ほど職種全体の人数とい
うのを3番目のところで聞いておりますが、こちらのほうではさらにそれをブレークダウ
ンしまして、例えば看護師であれば外来の小児科の看護師数といったような形で部門ごと、
診療科ごとの職員数をお聞きするというものです。それからあわせまして、例えば清掃委
託費とか減価償却費の一部などを割り振るのに延床面積を使っておりますので、これにつ
いてもこの調査ではとっておるわけですが、いずれも三、四割の病院で既存データの活用
ができず、実際の記入に当たってもかなり困っているということも回答結果から出ており
ました。
 続きまして、4ページ目でございます。一般原価調査の4つ目の調査でございます実施
場所調査でございます。患者数とか職員数は、実際に配賦基準に使っておるわけでござい
ますが、実施場所調査というのは、より配賦を精緻化していくために行っている調査でご
ざいまして、例えば1つの手術でありましても、実際に手術室でやる場合と診察室でその
まま処置の続きでやってしまう場合などがありますので、例えば1つの行為につきまして、
手術室で行われる割合が何%ぐらい、例えば外科の処置室で行われるのが何%ぐらいとい
う、そういった場所ごとに割り振りをしていただくと。それによって費用配賦をより正確
にしていこうという、そういった趣旨から行っている調査でございますが、これにつきま
しても、それぞれ手術・検査・画像診断につきまして、3割以上のところが既存データの
活用ができず、判断に迷うというような回答がございました。
 現在は、その病院で行われるすべての手術・検査行為と画像診断行為についてこういっ
て場所の割り振りをしていただいておりますけれども、回答の負担軽減の観点からすべて
の行為ではなくて、例えば診療行為を限定してやるとした場合どうかということについて
お聞きしたところ、7割近いところが軽くなるということでした。実施場所調査について
は各病院ともかなり難儀しているというようなことが出ておりました。
 最後に、一般原価調査の5つ目の項目でございます医師勤務調査でございます。医師全
体の人数とか勤務時間につきましては、先ほど申しました収支状況調査の中でとっており
ますが、これはそれの補完的な観点から診療科別の医師一人一人の給与データ、勤務時間
の割合、例えば外来何割、入院何割といったようなことを一人一人について─もちろん、
お名前は伏せてですけれども、調査をするということでございます。
 これにつきましても、給与データ、勤務時間ともに3割、4割というところが既存デー
タの活用ができないとか、あるいは実際になかなか病院内でこういったデータを集めると
いうことについて困難を感じているというような回答が多くございました。
 それから、回答の負担軽減の観点から、個々の医師という形ではなくて、例えば診療科
の医師全体について、代表者が、勤務時間であれば外来何割、入院何割というような形で
記入するという形に変更した場合についてどうかということもあわせて聞いたところ、約
半数ぐらいのところが軽くなるというような回答でございました。
 次に5ページ目でございますが、こちらのほうは手術・検査・画像診断の割り振りをす
る等価係数を作成するために、ごく少数の病院に絞ってお聞きをしているデータでござい
ます。これにつきましては、一般原価調査とは多少趣を異にするわけでございまして、か
なり細かいデータもお願いしておりまして、その意味では既存データですぐ対応できると
いうところは少ないという状況でございましたが、ただ、一部の項目を除いては最終的に
は作成できなかったというところは非常に少なかったというのがこのアンケート調査の結
果でございました。
 以上が昨年度行いました調査の手法についてのアンケートでございますが、続きまして、
お手元の資料のコ-3を御覧いただければと思います。
 今のようなアンケート調査をもとにいたしまして、それでは今年度の調査について、ど
のように実施をしていくかということでございます。
 1ページ目は、調査の骨格ということでございまして、調査の目的、スケジュール等は
おおむね20年度の調査のときと同じでございますけれども、調査の内容につきましては、
先ほど申しましたようなアンケート調査の結果も踏まえまして、一定程度の簡素化を行っ
てはどうかということで、それによりまして、対象施設につきましては前回の20年度調
査では、結果的にはDPC対象病院・準備病院に限られていたわけですが、できればもう
少し幅を広げた形でお声がけをし、参加をいただくという方法をとれないかということで
ございます。
 具体的に簡素化の骨格でございますが、2ページ目を御覧いただければと思います。
 事務局のほうの案といたしましては、大きく5つの項目について簡素化を行ってはどう
かということです。もちろん、一定程度の精度を保つという大前提もございますので、こ
の20年度調査のデータと、それから仮にこういった簡素化を行った場合について、比較
するというシミュレーションもある程度行っております。
 職種区分の簡素化ということでございますが、職種ごとの人数ですとか、あるいは勤務
時間、給与データと、これは配賦基準としては必要不可欠なものですので、とっていかざ
るを得ないというところはあるわけですが、先ほども申しましたように、ややこの調査、
現行の職種区分が細かいところがございます。
 3ページ目のところに、医療経済実態調査との比較も載せておりますが、医療経済実態
調査と比べますと、かなりコ・メディカルのところの区分が細かくなっているというとこ
ろもありまして、ここについては、この調査自体が医療経済実態調査の補完的な位置付け
ということもありますので、実態調査に合わせていってはどうかということが1点目でご
ざいます。
 2ページにお戻りいただきまして、2点目の保険外収益のところでございますが、先ほ
どのアンケートでも御覧いただきましたように、かなりの病院で困難を生じているとの結
果でした。ただ、この保険外収益そのものはレセプトデータではとれないので把握は必要
であるということでございます。
 例えば医療経済実態調査で見ますと、保険外収益が医業収益の中に占める割合というの
は、21年度の実調で見ますと大体5%程度でございます。そういった割合から考えまし
て、少し思い切った形で簡素化を図ってはどうかと考えています。具体的には、各病院に
は保険外収益の総額は当然記入をしていただくわけですが、今はそれぞれの診療科ごとの
保険外収益の割り振り自体も各病院にやっていただいているわけですが、それをある程度
病院で振り分けの方針を選んでいただく方法に変更してはどうかと言うことです。例えば、
保険収益比率で割り振ってもらってもいいとか、あるいは特定の科にかなり集中するよう
であれば、何々科に8割、残りは患者数比で振り分けるといったような形で、幾つかの振
り分けの選択肢を選んでいただいて、作業のほうは調査班のほうでやるという形で負担軽
減を図ってはどうかということでございます。
 3点目は、部門ごとの延床面積でございまして、同じ資料の5ページ目のところにござ
いますけれども、平成20年度の調査の例で申しますと、延床面積を使って配賦しており
ます具体的な費用というのは、全体の中で占める割合というのは大体平均6%ぐらいとい
うことでございます。ですので、延床面積でなくて、例えば患者数比とか、そういうもの
で振ってしまうというのも一つあるわけでございますが、やはり配賦基準として面積とい
うものはある程度尊重する必要はあるだろうということで、事務局の案としては、各病院
には可能な範囲で各部署の面積を記入していただくが、どうしても判断が難しい、例えば
共用スペースとか、そういったところについては、ある程度まとめて面積を記入していた
だいて、その残りの部分についてはあらかじめ定めた、例えば職員数比とかそういったも
ので割り振るということにしてはどうかということでございます。
 4点目の先ほどの実施場所調査でございますけれども、これは面積とか職員数比と違い
まして、先ほども申しましたように、ある程度、費用配賦の精緻化のために上乗せ的に行
っている調査でございます。これについて、仮に廃止をした場合にどの程度収支の変動が
あるかということを一応20年度調査の対象になりました病院の一部、33病院でござい
ますけれども、シミュレーションをしてみました。結果としては一部外れ値的なところを
除きますと、大体1%未満、多いところでも数%の変動であったということで、この実施
場所調査につきましては思い切って廃止をするか、あるいは先ほどのアンケート調査にも
ありましたように、診療行為数を少し限定をして、例えば主なもの、10とかという形で
少し集約をするという形をしてはどうかということでございます。
 最後の5番目の医師勤務調査でございますけれども、これにつきましては医師全体の人
数とか給与総額は別途とっておりますので、個々の医師に対する給与という形では今回こ
ういった医師勤務調査というものは廃止をしまして、勤務時間の割合については、外来、
入院に給与を配賦していく際に必要でありますので、ここにつきましては、今個人単位で
とってそれの積み上げをしておりますが、例えば診療科医師全体について、ある程度代表
者の方が診療科医長とか、あるいはクラークの方とか、そういう方が代表して概算で記入
していただいて、それをベースに配賦していくという方法をとってはどうかということで
ございます。
 以上、少し長くなりましたが、事務局からの説明は以上でございます。よろしく御審議
お願いいたします。

○田中分科会長
 ありがとうございました。
 では、委員の方々から意見や御質問を伺います。
 初めに、ただいま説明ありました前半、コ-2-1、医療機関の部門別収支調査の実施
に関するアンケート調査、平成21年度について、御意見、御質問をお願いいたします。
 どなたからでも結構です。よろしくお願いいたします。
 小山委員、お願いいたします。

○小山委員
 基本的な質問でまことに申しわけないのですが、今の2ページ目のところの一番下のと
ころの職種別人員数・勤務時間・給与となっていますけれども、この給与というのは、そ
こで実際に支払われたものを給与としているのでしょうか。それとも違うのでしょうか。

○田中分科会長
 どうぞ、渡辺室長。

○渡辺保険医療企画調査室長
 これは実際に支払われたものということで、20年度でありますと10月、1カ月分の
データということでとっております。

○小山委員
 すると、給与という形になってくると、病院別によって全部給与体系違いますよね。す
ると、全部違った給与で原価を計算しているということになるわけですか。

○渡辺保険医療企画調査室長
 そうでございます。ですので、まず最初に病院からデータを出していただいて、その病
院ごとのデータをもとに、それぞれの病院に合ったフォーマットをつくりまして、それぞ
れの病院の例えば患者数とかそういったもので割り振りをしているということでございま
す。

○小山委員
 すると、その場合に問題になってくるのはコスト調査をしたときには各病院では採算が
合うような形の給与体系をとっていると思うのですが、そうすると、本当に必要な経費と
いう形で出てくるのでしょうか。言い方が悪いですけれども、例えば、公的な病院はある
程度給与がよくてもという話はありますよね。民間の場合は運営できなく、黒字にしなき
ゃなりませんよね。すると給与体系は違いますよね。実際にいろいろな統計の中でも、給
与にかなり差がありますよね。ここら辺のところはどういうふうに考えていったらよろし
いですか。

○田中分科会長
 渡辺室長、どうぞ。

○渡辺保険医療企画調査室長
 これはある意味、これのさらにもとになります医療経済実態調査の問題でもあるわけで
すが、公立病院と民間病院とでは給与体系もかなり違うというものもありますが、そこは
例えば医療経済実態調査でありましたら、給与データというのは、それぞれの病院ごとの
積み上げという形で、もちろん、公立、別途民間といった主体別のデータなども出してお
りますけれども、基本的にはそれぞれの実態データをベースに出しておりますので、この
部門別でも振り分けるときにはそれぞれの個々の病院のデータをベースにしているという
考え方でございます。

○小山委員
 そうしますと、この調査はあくまでも実態調査であって、コストを調査する、この医療
行為に対してどのくらいのコストが必要だという調査にはならないというふうに考えてよ
ろしいですか。

○田中分科会長
 私が答えますが、そのとおりですね。これは幾ら必要かという調査ではなくて、今幾ら
かかっているかであって、それは多くの人が持っている常識によってデータを読めばよろ
しいと思います。
 石井委員、お願いいたします。

○石井委員
 結果的には次のこととのかかわりがどうしても出てしまうのですが、1つはコ-2-1
の保険外収益の議論に関して、今、お話があったことともある意味かかわりがありまして、
保険外収益とは医業収益の中に表示をされている収益で保険外のものというようなイメー
ジですが、例えば自治体病院等は一般会計からの負担金を医業外収益ではなくて、この医
業収益の中でかなり相当額計上している事例もあります。そういった事例については、ど
ういう考え方をとっていくのかというあたりは非常に重要な項目になるのではないかとい
うふうに思います。
 それから質問として、イメージとして教えていただきたいのですが、同じく4ページの
(4)の実施場所調査、結果的には廃止というようなコメントがございましたが、この実
施場所調査のデータは、最初に御説明いただいたところの階梯式の計算方式の中でどこに
働くものなのでしょうか。最初に計算構造の御説明がございました、第一次、第二次、第
三次と。あのどの段階において、この当該場所別、実施場所別調査データが活用されるの
かというのを確認させていただきたいのですが。

○田中分科会長
 実施場所についての後段の質問と、前段の医業収入の中に自治体での一般会計からの補
てんが入っているのではないかと、2点ありましたので、よろしくお願いします。

○渡辺保険医療企画調査室長
 最初のコメントいただいた点でございますが、例えば医療経済実態調査などの理解では、
いわゆる補助金収入のようなものは医業外収入で計上されているものというふうに思って
おりますが、ただ、今の先生の御指摘だと、医業収益の中にも入っている可能性もあると
いうことで、もし仮にそういうことがあるとすると、やはり保険外収益のカテゴリーとい
いますか、そこについて、今回のアンケート調査でも、実は何が保険外収益なのか明確に
してほしいということがありましたので、そういうことを明確にしていく中できちんと区
分をしていく必要があるのかなとは思っております。
 基本的には、この保険外収益というのは医業収益の中の保険外ですので、例えば室料差
額とか、典型的にはそういったものだという理解でおりますので、そういう事例があると
すると、そういったところも気をつけていかなければならないと思っております。
 2点目の御質問でございますが、2点目の実施場所調査につきましては、これはそこに
もございますように、手術・検査、画像診断、それぞれ3つの部門の費用配賦をより正確
にしていくということでございますので、具体的にはこの三次配賦のところで中央診療部
門のものを入院、外来に振っていきます。あるAという診療科の検査をA科の処置室でや
る場合とB科で行うというところでやる場合がありますので、その場合、A科とB科の費
用配賦に影響が出てくるということですので、具体的には三次配賦のところで影響が出て
くるということになろうかと思います。

○田中分科会長
 どうぞ小山委員、お願いします。

○小山委員
 すみません、確認ですが、そうすると補助金はこの中に入らないんですね。

○田中分科会長
 渡辺室長、お願いします。

○渡辺保険医療企画調査室長
 いわゆる補助金などにつきましては、これは医業外収益ということで整理をしています
ので、あくまで医療機関の部門別収支は医業収益と医業費用の診療科別を出すということ
でございます。

○田中分科会長
 医業外のところに入るんですね。

○小山委員
 外でも入るのですね。

○田中分科会長
 解説をお願いします。

○石井委員
 名称の議論をしてしまうと、繰入金、補助金と言えばいいだけのことなので、そこのと
ころの整理が実は極めて微妙だという前提でものを考えざるを得ないのかなと思います。
病院会計準則は、第3次改正のときには、そういう分類が非常に難しくて検討できなかっ
たという経緯がございます。すべきだけれどもできなかったので、とりあえずすべてまと
めてベンチマークが可能になるように医業外収益にというふうにいたしましたが、自治体
病院に限らず、現実的に診療行為を行って、最終的にその収入がとれないような事案につ
いて、医業外収益の補助金として措置するんだというような議論をしていいかどうかとい
うのは非常に難しい問題がありまして、自治体のほうはそれぞれ独自に考え方をそれなり
に持っていて、行政経費として本来売り上げに立てるべき繰り入れだという認識で計上さ
れているケースも最近比較的ふえてきているという現実があるようでありまして、地方公
営企業年鑑などを見ていくと、それがかなりの額で計上されていますので、名称で議論し
ていいかどうかというのも含めて、なかなか微妙だというふうに認識をしておりました。

○田中分科会長
 繰り入れに原因がある時、一般的な赤字補てんではなくて、未収金を補助したような場
合はこれは医療の売り上げに近いから医業収入ではないか。そういう意味ですね。ありが
とうございます。
 小山委員、よろしゅうございますか。
 どうぞ、猪口委員。

○猪口委員
 そこの医業保険外収益というのはいっぱいあって、我々も民間病院ですが、例えば救急
の補助金とか、それからインフルエンザの補助金とか、明らかに医業の中であろうという
補助金があるので、私の病院でもこれどっちにしようかというのは迷うんです。だから、
それを幾つかのクライテリアに分けて医業の中に入れないと、確かにそのお金がないと回
らないことがいっぱいあるります。では、今度どっちにしようかと迷ったのは治験の売り
上げです。治験の売り上げは別にそれはなくても多分医業は回るので、これを医業外かな
なんていう議論を我々の中でもやっているぐらいなので、ここはある程度指針を示さない
と難しいかなという気がします。

○田中分科会長
 ありがとうございました。
 では西岡委員、それから2番目に西田委員、お願いいたします。

○西岡委員
 今の話題と少し外れてもよろしいですか。
 医師の勤務調査というのは、これは非常に難しくて、どこの施設も苦労しているのが現
状ですが、これまでやられていたデータの中に、何らかの法則性みたいなものが出てこな
いのかどうかということですね。実際には代表者でありますか、部長さんなりだれかがぼ
っと書いてしまうというんですが、それと本当にどのくらいの差が出てくるのかというの
を知っておく必要があるのかなと思ったんです。と申しますのは、これは実際の給与費が
あって、これだけの部分でやるという現状を調べるだけであれば、それでもいいのかもし
れないのですが、私個人としては、あるべき姿のコストを出してほしいなという気もする
んですね。そのためには、これまで延々やられてこられました中で法則性みたいな、何か
の医者の場合はこのぐらいであるとかといった法則性があると思いますので、何か比較し
てどれぐらいの誤差が出てくるのかというのを知っておければいいかなと思ったのですけ
れども。難しいことはよくわかりますので、もしできればですが。

○田中分科会長
 そのような検討がかつてなされたかどうかという質問ですね。
 では渡辺室長、どうぞ。

○渡辺保険医療企画調査室長
 現状としましては、今回のアンケート調査の中でそこまでのシミュレーションというの
はやっておりません。今お手元の資料のコ-2-2というアンケート調査の32ページ目
を御覧いただきたいと思います。実際には今は一人一人を医師についてとっているわけで
すが、今回改善といいますか、簡素化をしようと思っておりますイメージとしてこの32
ページにありますように、当然常勤とか非常勤とか、ある程度大くくりの区分は分ける必
要はございますけれども、例えば診療科長や病棟クラーク等がここにありますように、入
院、外来と、それぞれの診療科に配賦をしていく際に、どれぐらいの割合にするかを記入
していただく、このぐらいの割り切りをしてもいいのかというのが事務局の案ではござい
ますが、そこの御議論をいただきたいというふうに思っております。

○田中分科会長
 では西田委員、どうぞ。

○西田委員
 このアンケートに答えてくださった病院が結果的には最後まで残ったのが、DPC対象
病院とDPC準備病院ということですので、その数を考えますと、DPC関連では1割か
らの参加者があって、かなり精度が高いものだと見ていいと思います。ただ、DPCの関
連ということになりますと、これは急性期の病院で、恐らく病床規模もそれなりの規模を
持ったところに偏っているという理解でよろしいですか。そうであれば、全国にある残り
7,000近くの病院の診療科別の精度を上げる手法というのをぜひ検討の対象にと思う
のですが、これは何らかのアイデアは盛り込まれることになるのでしょうか。単純にこの
改善だけで済まないような気がするのですが。つまり、調査計画そのものの中で急性期、
もしくはDPC対象と、それとは別の病院分の調査をというふうにして、精度を詰めなけ
ればならないのではないかと思うのですが。

○田中分科会長
 経営の調査の話とコスト調査は違うと思うのですが、コストをそこまで全部に広げられ
るかどうかはいかがですか。
 渡辺室長、どうぞ。

○渡辺保険医療企画調査室長
 急性期、慢性期という分け方がいいかどうかということはございますが、慢性期のほう
は別途、慢性期分科会のほうで療養病床などを中心とした調査を行っておりまして、その
中でコスト調査というのも行ってはおりますので、ここでは全部いきなり射程に入れると
いうことは難しいので、DPCを中心とした急性期のもう少し広がりがあるところまでど
れぐらいとれるかというのが、とりあえず当面の目標かというふうには考えております。
 ただ、DPC病院だけではサンプルとしてのバイアスもございますし、冒頭申しました
ように、もともとは医療経済実態調査は全体の収支しか出ておりませんので、各病院の診
療科別というのを見ていくのに補完的にこの調査を使っていくということですので、その
意味でも、もう少しサンプルのバラエティーを広げないと、なかなか中医協での議論にた
えるデータにならないということで、今回、少しそこの簡素化を図っていきたいというこ
とでございます。

○田中分科会長
 西田委員、どうぞ。

○西田委員
 座長が整理してくださって説明しやすくなったのですが、経営とコストという絡みで考
えますと、米国の研究者が言っていた結果ですが、日本で当てはまるかどうか分からない
のですが、病床規模が大きくなるに従って減っていくコストもある一方で、病院事業の場
合には病床規模が大きくなることで複雑性のコストが出てくる。この病床規模とコストと
の関係をグラフ化しますと、一つの鍋底型のグラフができそうだと。病床規模が大きくな
るとコストが下がる一方で今度は上がる要因も出てくるということで、恐らくコストの妥
当性を説明しようとしたときに、病床規模、あるいはさっきの機能別での説明は恐らくつ
いて回るだろうと思っております。それがどの段階でこの計画の中に組み込まれるかは関
心があるところです。

○田中分科会長
 佐藤課長、お願いします。

○佐藤医療課長
 お答えというよりは感想に近いのですが、この調査を5年以上、御協力をいただいて行
っていますが、今の延長線上で続ければ、西田先生からお話がありましたように、規模の
小さい病院でも、あるいはDPC病院ではなくても参加できるようなものになるかという
と、残念ながら私どもの感覚では難しいのかなと思っております。だから、結果的にはD
PC病院で、しかも恐らくは規模の大きいところだけが参加できたのだろうと思っていま
す。
 その原因を探ろうとして去年、先ほど渡辺室長のほうからコ-2-1でお話をしました
けれども、例えば職種別の給与が把握されていない病院があるというのは、通常の企業で
は普通はないのではないかと思うのですが、こういうことがこれほどの病院ですら存在し
ているという。医師の給与、医師の勤務実態については、想像ではありますがタイムカー
ドを全然使っていないのではないか、したがって、医師自身が何時間働いてその給料を得
ているのかが分からないし、単に調べ物だけをしたり、学会の準備のために病院にいた時
間がどれくらいかというのは全く分からない、という状況です。したがいまして、いい結
果が出たかどうかは別として、昨年一歩立ちどまって、何故入力ができないのですかとい
う調査をした結果から判断すると、広げるには相当にまだ、もう一度越えなければいけな
い壁があって、西田先生がおっしゃったような鍋底型のような分析もしてみたいのですが、
ちょっと難しいかなと思います。
 病院に科学的・論理的な経営をしようという気持ちになっていただいて、そういうイン
フラが病院にできるということが一つですが、もう一つは入力作業をどうするかというと
ころです。想像ですが、コンピュータベースでデータは入っていても、給与系のデータと、
例えばレセコンのデータとオーダリングのデータとがそれぞれ別なプログラムや別な機械
で動いていて、こういった調査の場合に、データを恐らくは紙でもらったり、エクセルか
なんかでもらうんだけれども、最終的には事務長や看護師長等がもう一遍紙に書き直すと
いったやりとりを重ねているのではないでしょうか。このままでは、何度も申しますが、
難しいかなという気はしています。
 それで、まずはインフラというか、病院の側のモチベーションを高めて合理的な、電子
的会計でもいいのですが、そういったものがうまくいくためのインフラを進めるためにモ
チベーションを高めるために何をしたらいいのかということを、今日だけではなくとも、
アイデアをお寄せいただければと思っています。それから、入力系一つとっても、例えば
ASPのような形で私どもが提供して、そこに入力すればデータが集まるような入力と集
計の仕組みのようなものが必要になるかどうかは分かりませんが、そういったところでの
改善がないと駄目ではないかと思っています。
 3つ目は、先ほど西岡先生にお話しいただいて、なるほどと思ったのですが、例えば医
師の勤務実態も無理と思っていたのですが、特殊原価調査について幾つかの病院をパイロ
ットで選んで、病院でやっておられるものを標準と考えてやったわけでしょうから、入力
系で非常に難しいところがあるとすれば、幾つか病院を選んで、そこのデータを外挿する
という形なのではという気がしています。入力系、分析系のところで、今回は簡素化で出
していますが、よほど思い切ったことをやらないと、広げましょうといっても難しいです。
 何か無理なく入力できるところでまた、今日に限らずアイデアをちょうだいできればと
思っているところです。
 私どもも、こういう平場だけではなく、バックヤードでといいますか、考えてみたいと
思っています。意見というよりは、感想に近いものになって申しわけありません。

○田中分科会長
 いえ、大変わかりやすい説明ありがとうございました。
 つまり、研究とか、あるいはそれぞれの病院団体の方から見れば、たくさんのデータが
あるほうがいいに決まっているけれども、現実に病院からデータを集めることは難しいの
で、いかに簡素化するかが今回の趣旨です。だから、小さい病院はどうかとの意見への対
応はちょっと難しいですね。
 今回は簡素化するための基礎資料です。後半が簡素化のための案です。それでも、なお
かつ日本全体をカバーすることはとても難しいだろうと今言われたので、それをベースに
さらに議論を進めてください。
 いかがでしょうか。御質問、御意見。
 どうぞ椎名委員、お願いします。

○椎名委員
 今、DPC病院とか、あるいは病床規模のお話が出ましたが、基本的なことを幾つか教
えていただきたいと思います。
 2-2の資料の3ページに、下の表ですが、設置主体が国立公立、医療法人、その他と
3つに区分されていますが、その他の33病院というのは、その他ですから個人とか会社
とか公的病院とか、そういったものが入るのでしょうが、その中でDPCなんかを採用し
ている病院ですから、公的病院が多いのではないかと思うのですが、その割合、数を教え
ていただければと思います。
 それと次の4ページの一番下で特殊原価調査について、回答病院9病院の設置主体、あ
と病床規模、その辺、差し支えない範囲で教えていただければと思います。

○田中分科会長
 御質問、2点です。では、渡辺室長お願いします。

○渡辺保険医療企画調査室長
 すみません、今は手元にございませんで、ちょっと整理をいたしまして、終わるまでに
御回答を申し上げたいと思います。申しわけございません。

○田中分科会長
 それで結構です。
 川上委員、お願いします。

○川上委員
 今回からですので的外れな質問かもしれませんが、材料費の扱いです。薬剤費や診療材
料の費用がレセプト点数から算出されているのですけれども、実際、病院では問屋さんに
支払った購入額というのが分かっています。本来ですと、購入額の方が費用であって、レ
セプトの点数というのは売上げですので収入という気が致しますが、これに関しまして、
購入額を利用しないで、レセプト点数を使っている理由は何かあるのでしょうか。

○田中分科会長
 渡辺室長、お願いします。

○渡辺保険医療企画調査室長
 これにつきましては、各病院からはこの左側にあります科目は実際の費用を計上してい
ただきます。ただ、それを例えば内科、小児科とかに回り、最終的に割り振っていくわけ
ですが、そのときの割り振りをどうするかというときに、恐らく各病院では診療科ごとに
そういう整理はされていないので、ここではレセの点数比を使って配賦をしているという、
そういう配賦の基準です。すみません、分かりにくい書き方なのですが、そういうことで
ございます。

○川上委員
 ありがとうございました。

○田中分科会長
 ほかに質問、御意見はよろしゅうございますか。
 どうぞ渡辺委員。

○渡辺委員
 渡辺でございます。
 先走った質問なのかもしれませんけれども、先ほどの保険外収益の部分で、そもそも調
査の目的を最初の資料で見ますと、診療報酬体系に医療機関のコスト等を適切に反映させ
るためというふうにありますので、補助金などを入れてしまった場合に、それが歪まない
のかなという─入れてもいいのですが、入れた場合には入った場合にどのぐらい入って
いるのかというのが明確でなければいけないのではないかなと感じました。
 それから、コ-1の3ページ目の資料の一次計上基準というところですけれども、御質
問というよりは単純な感想ですが、もしざっくりといくのであれば、病院会計準則が総原
価主義をとっていますので、このような形で全部に割り振っているわけですが、もしかす
ると、もっとざっくりと販管費的なものは全部一括でくくってしまって、本当に必要な医
療原価だけを配賦するという考え方もありなのではないかと。そのほうが各病院としては
財務諸表を出せばある程度、あとは全体の中で何%配賦するという、そういうざっくりと
した考え方もとれるのではないかと感じました。これはコメントです。
 以上です。

○田中分科会長
 ありがとうございます。
 椎名委員、お願いします。

○椎名委員
 別なことになりますが、例えば先ほど来の保険外収益とか勤務時間、あるいは実施場所
とか面積、なかなかすぐには答えられないという項目について、一方では、既存データを
そのまま利用して作成できたという医療機関が大体それぞれ20%程度あるわけですけれ
ども、そういった病院は一体どんな病院か。先ほど佐藤課長がインフラとか、そういうお
話をされたのですが、例えばどんな体制が整っているのか、ITとかマンパワーとか、そ
の辺、お分かりになっていれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

○田中分科会長
 渡辺室長、どうぞ。

○渡辺保険医療企画調査室長
 大変重要な御指摘ですが、今回の調査の中ではそういった個別病院の体制まで、この調
査の中で個別には調べてはおりません。ただ、私どものほうで幾つかお聞きする中では、
病院の中には非常にIT化が進んでいて、例えば実際現場での勤務時間なども現場で入力
して、データが集約されているような、そういうシステムを整えているところもあります
ので、そういったところですとか、あるいは実際に病院の管理の一環としてそういう原価
計算を既に取り入れているところは、ある程度ベースのデータはありますので、それを少
しこの調査用に改編することで答えられるというところもあると思います。恐らくそうい
うITとかで整っているところとか、あるいは実際に積極的にそういう原価計算を病院会
計上の手法として取り入れているところが中心ではないかと考えております。

○田中分科会長
 石井委員、どうぞ。

○石井委員
 個人的な補足をさせていただければと思いますが、この委員会とは別の委員会でDPC
コスティングをこの数年やられてきていまして、DPCのコスティング自身はかなり精緻
にデータの積み上げたり、配賦をしようというスタンスで成果物をつくられてきています。
まさに厚生労働省が中心になってであります。そういうことに対して、非常に強く係わり
をもたれている比較的大きな規模の長期間にわたりDPCをやっている病院は多分こうい
う作業に関して、ほとんど痛みを感じないということなのではないかと私は思ってござい
ます。ところで、19年度調査ですか、去年は20年度調査……

○渡辺保険医療企画調査室長
 20年度調査です。

○石井委員
 去年の調査はすべてDPC対象病院とその準備病院が対象になっていまして、実務家的
には数字に対して比較的納得性が高いなと感じました。その背景はDPCというものが存
在していて整備されていると、単に医療行為だけではなくて、コストに関するところの分
析やコスティング作業されてきているところが主に参加されているので、数字としての積
み上げ作業が比較的きちんとうまくいっているのだろうな、というふうに私は認識してお
りました。
 しかし、それをできる限り範囲を広めてといっても、どうしてもそこには限界があると
言わざるを得ないということも非常に私自身は分かりやすい話だというふうに理解をして
おります。

○田中分科会長
 なるほど。簡素化だけの問題ではなくて、もともとのインフラ整備が進んでいる病院で
はできる。簡素化だけで答えはできないかもしれないとの判断ですね。DPCという強い
インセンティブを持った仕組みが先に入っているから、それらの病院はできているのであ
って、後段の議論になりますが、簡素化だけでは難しいかもしれないと。
 どうぞ、西田委員。

○西田委員
 今の御説明を聞きながら改めて思ったのですが、いわゆる経営管理能力の高い病院にお
いては、参加を積極的にやってきて、そのデータがここに集計されているということでし
たら、これはさっき私が病床規模云々とかと申しましたけれども、もともと説得力のある、
つまりそういう経営管理能力が高くて理解能力もあるところが出したデータの結果として、
精度の高いデータを出せるということですから、あとデータ出せなかった病院のことを考
えなくても、これは説得力があるのだと、そういう理解もできるのだと今思いました。

○田中分科会長
 そうですね。コストは違わない─医療行為に係るコストはそれをITでとっていよう
と、とっていないと同じだと考えれば、西田委員の言ったとおりになりますね。
 いいですか。時間も真ん中まで来たので、前段の報告について、まとめなくてはなりま
せん。
 これは報告なので、結果はもう出てしまっています。この報告を私たちとして了承する
かどうかです。この部分はなっていないと感じたとしても、今さらもう一度調査する話で
はないので、特になければ、調査は調査として、私たちが今議論したようなことで理解し、
了承していただかなくてはなりませんが、いかがでしょうか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田中分科会長
 よろしゅうございますか。
 では、本日、御議論いただいた調査報告につきましては本分科会として了承したことに
いたします。中医協・総会の求めに応じ、私のほうから報告をしてまいりたいと存じます
が、よろしゅうございますか。
 では、お任せいただいて、それはさせていただきます。
 次に、今度はこれからの課題ですね。次の議題は、平成22年度医療機関の部門別収支
に関する調査の実施(案)、いわば簡素化(案)について、御質問や御意見がありました
ら、お願いいたします。
 勝原委員、よろしく。

○勝原委員
 看護師、准看護師を看護職員にまとめるというような案が出されております。実質上は
特に問題ないかと私自身は思っております。それは大きな給与差がないことや、俸給表自
身も大きな差がない中では、余り分けても意味がないのかなと思うわけですので、この参
考案に関して私は賛成したいと思います。ただ、もともと現行調査票で分けていたときの、
分けなきゃいけないというふうに決めた御議論があったと思いますので、その御議論を知
らずにひとまとめまとでよいのではないかと申し上げるのも少しどうかと思います。もと
もと分けていた趣旨がもしおありでしたら、お聞かせいただければと思います。


○田中分科会長
 渡辺室長、お願いします。

○渡辺保険医療企画調査室長
 結論から申しますと、看護師、准看護師のところに限った何か特別な議論があって分け
たというわけではございません。もともとこの調査を始めたときには部門別の診療科、で
きるだけ精度の高いものをまずつくっていくということが目標でしたので、そういったと
ころからできるだけ職種についても細かくということであったというふうに理解しており
ます。

○田中分科会長
 小山委員、どうぞ。

○小山委員
 このコ-3のところの資料の2ページ目の5番目の医師の勤務調査のところでもって、
個々の医師の給与は調査せずということですが、総額は調査するということですね。

○渡辺保険医療企画調査室長
 はい、そのとおりでございます。

○田中分科会長
 猪口委員、どうぞ。

○猪口委員
 医師の給与が出づらいというのは、どうしても私には理解ができないんですね。病院と
いうところは、給料を必ず払って税金も納めなきゃいけない、源泉税を納めたりするのに
給与計算していないなんてあり得ない話で、個々の給与は必ず出ていると思います。これ
が出ていなかったら、それはもう病院じゃないですよね。
 あともう一つ、ここでは代表者が記入するって、こちらのほうがむしろ難しいかなと。
むしろ個々の医師に幾つかの外来だとか病棟だとか、その他研究だとか、調査とか、そう
いうようなもので個々に割り振らせないと、とても院長なり代表者が1人の医者が何やっ
ているかって把握は今病院の中では多分できていないのではないかと、そちらのほうが難
しいかなという気がします。

○田中分科会長
 いかがでしょうか。
 どうぞ、お願いします。

○小山委員
 この調査の中には大学病院が入っていないのですが、我々がコスト調査をやっていると
ころでは、実は逆に医局長あたりは全部掌握していて、いつだれがどこにいるか全部分か
っているので、彼らに出させたほうが正確なデータを出せますので、コスト調査では全部
そういうふうにしてやっています。そうしないと、余りにもこんがらがっちゃって。それ
から一人一人にそれやらせると、とても大変な作業になるので、ある程度まとめてやって
もいいかなというふうに思います。
 ただ、これはそもそも論になりますが、給与を個々の実際の給与の、コストを調査する
と考えていいんですか。実際にどのぐらい費用がかかっているかということをもし調べる
のだとしたら、給与をある程度統一というか、同じ給与体系の中で同じ診療行為をやって
のほうがという感じがするのですが、そんなことはないですか。

○田中分科会長
 要するに、標準原価計算をするとなると、何かの標準的な給与を当てはめてしまう方式
はあり得ます。それは実態調査とは別ですけれども。
 どうぞ、石井委員。

○石井委員
 標準原価計算の議論に入るのであれば、材料費も同じ金額で標準的コストとして表示を
すべきですし、委託費も同じだと思います。人件費のみが比率として全経営コストの50
%を占めているから、そしてその中で比較的医師の給与が高いと言われているから、医師
だけを抽出してきて議論するということには賛成できません。もちろん、急性期の病院の
中心的役割は医師にあって、仕事の質の高さ、あるいは重要度というのは理解できますが、
医療機関のコスト等を適切に診療報酬体系に反映させるための部門別収支の統一的な計算
方法を開発するといういうスタンスであるとすれば、あるいは、標準原価の議論を医師の
給与についてするのであれば、委託費にも薬品・診療材料費にも設備投資に係るコストに
ついてもすべて標準化が必要だと思います。そうしないと片手落ちになるのではないでし
ょうか。

○田中分科会長
 いわば中医協で診療側が医療費はこうあるべきだと説くときにはそれでもいいと思うの
ですが、この委員会には別にどちらの側の立場でもなくて、中立的な立場からの実態調査
が私たちの役割です。だけど、同じような技法を使って実態の原価把握ではなく、標準原
価を使って診療側から見たらこうあるべきだとか、支払い側から見たらこのくらいでいい
との議論を別途立てることは可能です。
 しかし、私たちに与えられた役割は実態把握だと思います。
 要するに、コ-3の2ページ、これについて、それぞれこれでよいかどうかとか、先ほ
どありましたように、医師勤務で給与は分かるだろう、いや時間はどうかと、これらの議
論をお願いいたします。ここに出ている案についていかがでしょうか。
 どうぞ、勝原委員。

○勝原委員
 2番の保険外収益のことについて伺いたいのですけれども、ここに例が幾つか上がって
いますが、例ですので、もっといっぱい方法はこれからお考えになるということですよね。
あくまででもこの3つの例の中での話なんですが、私の理解が不足で分からないので教え
てください。各診療科の保険診療費で振り分けるというのは分かるんですけれども、あと
2つは患者数比で振り分けるとなっていますが、これは保険外診療を受けられた患者さん
の率を振り分けるということですか。患者さんごとに全部額が違うので、どのように振り
分けるか、ちょっとイメージがつかないのでお願いします。

○田中分科会長
 渡辺室長、説明お願いします。

○渡辺保険医療企画調査室長
 もちろん、これは本当に例でございますので、これ以外にもあると思いますが、例えば
分かりやすい例で言うと、いわゆる差額ベッド代みたいなものを例えば小児科、内科とい
うふうに─今はそれぞれの病院で書いてもらっていますが、もともとそういう病院で把
握体系にはなっていないので、そうであればある意味ざっくりと割り振るという形でどう
かというのが、例えばここの2番目の考え方ということでございます。

○田中分科会長
 差額ベッドだと、診療収入比よりは患者数比のほうが近いのではないかとの仮説ですね。
 3番目の主に保険外収益が発生する産科などは当然大きいから、産科に初めからある程
度分けてしまって、それ以外は割り振ると、そういうコンセプトですね、この背景にある
のは。
 須田委員、お願いいたします。

○須田委員
 4ページで歯科・介護については除外するということですが、御承知のように歯科は保
険外収益が多いわけですけれども、それが全体の中でどのくらいを占めているか分からな
いのに、歯科だけをうまく切り分けできるものでしょうか。

○田中分科会長
 渡辺室長、お答えください。

○渡辺保険医療企画調査室長
 ここでは、これまでの調査のやり方としては、まず全体の損益を出していただいて、そ
の中で歯科に係るものは保険外収益も保険収益も含めて除外をするという形で病院にはお
願いしております。ただ、病院で実際どれぐらい、おっしゃられたようにそこがきちんと
把握できているかというところはありますが、今までのやり方はそういうやり方でやって
いただいております。

○須田委員
 実際にどのくらい正確に把握できているのか分からないのに、うまく除外できるのか
と思ったので、お聞きしたわけです。

○田中分科会長
 どうぞ近藤委員、お願いいたします。

○近藤委員
 保険外収益のことで、先ほどアンケート調査の御質問で石井委員と猪口委員から、ここ
にもありますが、保険外収益の定義が分かりにくく、該当するものを具体的に示してほし
いという回答があるのですが、これについては今回どのような表現でアンケートをとられ
るのでしょうか。

○田中分科会長
 渡辺室長、お願いします。

○渡辺保険医療企画調査室長
 これはアンケート調査の結果として、こういった御意見がありましたので、今回のアン
ケート調査の結果を踏まえまして、もう少し記載要領といいますか、そういうレベルで、
もう少し整理をして保険外収益として把握をしていただくものの累計とか、そういうもの
を明確化していくという方向で改善をしたいと思っております。

○田中分科会長
 保険外収益、さらにその外側の医業外収益については説明をしないと、確かに現場が混
乱するでしょうね。そこの工夫はお願いいたします。
 どうぞお願いいたします。

○小山委員
 確認ですが、先ほど猪口先生もおっしゃっていましたけれども、5番目の医師勤務調査
はこのままでいくのですか。それとも個々のところは、僕もこれ給与を把握していないと
は考えられないので、ちゃんとできれば勤務時間も全部調査していただければ、そのほう
が正確な数値は出てくるんじゃないか。一番大きな費用がかかっているところですから、
一番重要な部分なのかなと思うんです。一番重要な部分がざっくりいってしまうと、そこ
のデータそのものの信憑性の問題になるのではないかという気がするのですが。

○田中分科会長
 他の委員からもどうぞ、御意見を。先ほどのコ-2-1のほうですと、給与については
30%が既存データを使えない、つまり別口で調べなくてはならない。勤務時間のほうは
半分ですね、ほぼ半分が既存データの活用ができない。確かに、給与と勤務時間では違う
かもしれませんね。給与のとれていない管理はひどいとは思いますけれども。

○小山委員
 勤務時間は、今、産科も外科もそうですけれども、医師の時間外労働のことが出まして、
アンケート調査を行っています。けっこういいペースでもって戻ってきていますので、こ
れに対しては、今コンセンサスが得られて、各病院、各医師もそこら辺を自覚してきてい
ますので、決して、そんなに二、三年前の話とは大分違ってきたかなというふうに思うの
ですが。

○田中分科会長
 どうぞ西岡委員、お願いします。

○西岡委員
 私もできればきっちりとっていただきたいというのが趣旨ですが、ざっくりととってし
まったときというのは、本当のものが出てくるかどうか分からないんですね。代表者がお
書きになるときに、このぐらいだろうと、何%ぐらいだろうというふうな形で出てきます
ので、多分出てきたデータに対してのまたクレームがつくのではないかなという気もして
おります。ですから、これ自身は先ほども申し上げましたように、こういう書き方で入れ
てくださいというのをつくって、そこへ入れていただくというふうな形をしていただけれ
ばどの病院でも入れることは可能になるだろうと思いますし、それから医師の給与ですが、
これは調査して当たり前だと思いますので、当然出ない病院なんてないんじゃないかなと、
実際私たち働いている分では思いますので、それもやっていただいたほうがいいのかなと
思ったんですけれども、難しいんでしょうか。可能であれば、私はぜひともやっていただ
きたいなという側です。

○田中分科会長
 どうぞ、猪口委員。

○猪口委員
 記憶の話ですが、前にこの委員会でデータとDPCのほうのコストデータのほうの差が
あって、それは一体何の差だというと、DPCのほうに含まれている大学病院の医師が病
院からは出ていなくて大学から給与が出ているので、そこを概算でやったための差だとい
うお話を聞いたことがあります。その辺がここにあらわれているのかなという気がします
ので、実際、収益計算書の中の給与費よりも、大学の大きいところでも、大学として払っ
ている給与もきちんと─病院以外になっちゃうんですけれども、そういうのもちゃんと
出していただくということで、医師の給与をもう少し正確に把握できるのではないかなと
いう気がするんですけれども、いかがでしょうか。

○田中分科会長
 どうぞ、小山委員。

○小山委員
 猪口先生、ちょっと誤解のないように。大学病院でコスト調査をいたしました。これは、
全部タイムスタディをやっていただきました。毎年はやっていないのですが、大体3年に
一遍ぐらいのペースでタイムスタディをやりながら、確認をしながらやっておりますので、
やはり一番問題になったのは医学部と病院の関係が非常に問題になったので、その中で教
育に関するところ、研究に関するところ、それから診療に関するところということでもっ
て詳しく分けて、診療のところだけを引っ張ってきてコストデータの調査をしております。

○田中分科会長
 大学病院ではなく。では西田委員、お願いします。

○西田委員
 今の小山委員のお答えくださった件で確認したいのですが、私も少しそういうデータを
収集されている旨を聞いているんですね、医学部で。それで、私立大学の医学部、医科大
学はデータを積極的に集めたと聞いたのですが、国公立の件でも同じように集まっている
のでしょうか。

○小山委員
 隣に聞いたほうが……。

○西岡委員
 集まっているはずでございます。文部科学省管轄下でそういうのを実施されております
ので、出てくると思います。ただ、大学の場合と一般病院の場合とちょっと性格が違って、
さっき小山委員がおっしゃいましたように、大学の場合は教育だとか研究だとの業務が入
っていて、本当にどこで医者をやっているのか分からないというところがあるものですか
ら、そこはなかなか難しいということで、かつて全国立大学がやりました。だから、そう
いうデータは既にあると思います。

○小山委員
 正確にいいますと、私立大学は29の本院は全部今5年間続けてデータを蓄積しており
ます。ただ、ここでもって、先ほどから給与をなぜこんなにしつこく言うかというと、こ
このデータは国立病院の給与をベースにしています。看護師も医者も全部です。大体平均
で1.3倍のコストがかかっているデータが出ております。これを結局30%マイナスと
いうことですから、これを今何とか病院がコントロールしているのは、各大学が給与を下
げたり、あるいは無給医がいたりということで何とかやっているというデータなんです。
今、そこのところのブラッシュアップをもう一回本来の給与のところと、それから今お話
しした国立病院並みの給与にした場合との比較を今出そうとしているところであります。
タイムスタディに関しては、大体3年に一遍ぐらいずつタイムスタディをやりながら今や
っております。今、その状況です。

○田中分科会長
 既存データの活用ができない現状は、さらに理由があるのでしょうか。さっきのコ-2
-1のほうで見ると。今出ている給与や勤務時間について、既存データの活用ができない。
主に作業量の話になるのでしょうか。
 渡辺室長、どうぞお願いします。

○渡辺保険医療企画調査室長
 今回の調査結果で自由回答等でも幾つかお答えをいただいていますが、病院によってさ
まざまでございます。例えば、やはり名前を伏せるということではあっても、個々の医師
の給与データを書くことに抵抗があるといいますか、そういったお答えがあったり、そも
そも把握していないという─先ほど来ちょっと問題ではないかという御意見もあります
が、そういう答えもございましたし、また、あるいはやり方の問題としまして、これは一
般原価調査の場合、段階的にステップを踏んでいきますが、この給与調査というのは最後
のほうに出てまいりますので、いきなり言われてもというんで、あらかじめ最初の段階で
給与データについては例えばシートを配っておいてほしかったとか、そういう御意見もあ
りますので、例えばそういうところを工夫していくことで、先ほど来の御意見の中では余
りここは、妥協しないほうがいいのではないかという御意見もありましたので、そういう
やり方の改善で大きな骨組みは崩さずにやっていくということも、この分科会の御結論と
いうことであれば、そういう方法もあり得るかと思っております。

○田中分科会長
 議論として5番から話が始まりましたけれども、5番については、今まで出ていた意見
はこのように簡素化せずに、むしろ書きやすくするような工夫を調査側として行って、残
すべきとのご意見が強かったように思います。いや、簡素化していいという方がいらっし
ゃれば、それも伺わなくてはなりません。いかがでしょうか。
 どうぞ。

○石井委員
 一つ、事実データというんでしょうか、現実のデータで教えていただきたいのですが、
医業収益に占める先ほどのお話では保険外収益は全体の5%程度なのでというお話があり
ました。医業収益に占めますと、医師給というのは何%ぐらいでしょうか。人件費率は例
えば55%だよ。では、医業収益に占める医師給は一体何%で、看護師給は何%ぐらいで
しょうか。

○田中分科会長
 渡辺室長、お願いします。

○渡辺保険医療企画調査室長
 申しわけございません。先ほど私が保険外収益について申し上げましたのは、一度医療
経済実態調査のデータをもとに申し上げましたので、そういう意味では医療経済実態調査
の中では給与費トータルというのはとっているのですが、今おっしゃられたように職種別
という形では集計をしておりませんので、先ほど私が申し上げた保険外収益のベースでは
今先生の御質問のデータは申しわけございませんが、今手元にないという状況でございま
す。

○田中分科会長
 猪口委員、どうぞ。

○猪口委員
 そういうことが多分、今の医療の実態で、要するにコストが分かっている病院は聖路加
国際病院さんが一番分かっているかもしれないけれども、ほとんどの病院は実はこの医療
行為や、個々の入院しての売り上げについては分かるのだけれども、コストが幾らかかっ
ているのかは実は把握できていないわけです。それは公定価格が決まっているから我々は
医療やるときにこれに合わせて組んじゃうんですね。本当にそれがいいかどうかというこ
とと、それが合っているかどうかで、我々は病院協会通じて常に言わせていただいている
のが、エビデンスを持った診療報酬体系をつくっていただきたいという話でありまして、
ぜひこういう調査については、精緻化図るのもいいけれども、精緻化図れば図るほど答え
られる病院が減っていくので、ある程度ざっくりでもいいから、広くいろいろな種類の病
院の、いろいろな地域の病院のものを見ないと、本当に医療にかかるコストって分からな
いと思うんです。だから、まずそこを出してほしいというのが我々の願いであって、です
から、赤裸々なものを出してもいいんじゃないですかね。そこでいろいろなことが見えた
ときに、ではどうすればいいのか、そこから始めて出発点で、今これを隠しておかないと
危ないよって隠たりなんかすると、本当に医療にかかっているコストが分からないわけで
す。だから、できるだけ簡略化のほうがいいのですが、そこに全くバイアスがかからない
データで集めて、本来のコスト分析に持っていくという方法をまず今はやらないと先に進
めないのではないかなという、これは私の感想ですけれども。

○田中分科会長
 ありがとうございます。
 では、今までの議論で調査項目の5番、医師勤務調査については残す。ただし、答えが
出るような工夫を調査の仕組みのほうで頑張る。書けないような病院が多いのでは困る。
勤務時間割合についても、できれば、だれか代表が鉛筆をなめるのではなく書いていただ
く。実際のところ、代表者が書いても別に構わないのですけれども、正しい値が提出され
れば。必ず代表者に書いてもらうとの問いにはしないとの案でよろしゅうございますか、
5番は。
 ほかの1から4について、何か。
 4番もどちらで総会に上げたらいいか。廃止する、もしくは限定すると、両論になって
いますが、これもある程度、皆様方の意見を伺いたいですね。
 西岡委員、お願いいたします。

○西岡委員
 質問ですが、この実施場所調査というのは、同じ一つの病院の中でAの病棟の処置室と
Bの病棟の処置室使うことで、本当にどれだけ分けるだけの意味があるのかなというふう
に私は感じるのですが、実際のところはどうですか。これまでは、分ける調査をされてい
たと思うのですが。

○田中分科会長
 渡辺室長、お願いします。

○渡辺保険医療企画調査室長
 今の実際の調査は、お手元の参考資料という資料がございますが、そこの28ページに
この調査票の例がついてございますけれども、ここにありますように、手術・検査・画像
診断については、個別の診療行為すべてについて分けてはいただいています。私も全部の
データを洗ったわけではないのですが、確かにそれほどバラエティーに富んでというとこ
ろは手術の場合ですと、手術室が大半でしょうし、そんなにあちこちに分散しているとい
うことではないと思っています。ただ、物によっては複数の場所でやられていたりという
こともありますし、それからあと実際にこれを書くときのこれはむしろ書き方の問題です
が、実際に手術場所の特定の仕方がオーダーを出したところでやるのか、それとも実際に
やられた場所のことを書くのか。そこら辺が今の記載要領だとはっきりしないので迷った
とか、そういうこともありますので、そういったあたりは記載要領の改善で直せるとは思
います。ただ、実際のところは先ほど御説明の中でも申し上げましたが、この実施場所調
査がなくて、仮にやってみた場合ということで33病院ほどシミュレーションしたところ、
昨年度御報告した20年度調査との実際の収支の差はほとんど数%程度であったというこ
とですので、それほど決定的な最終収支に影響を及ぼしているということはないのではな
いかと思っております。

○田中分科会長
 どうぞ、西岡委員。

○西岡委員
 私はこの考え方で結構だと思います。実際の病院の中でどこでやっていても同じだと思
いますし、特に電子カルテ化しますと、オーダー出るところは全然違うところから出てく
るんですね。ですから、むしろこれじゃなしに、例えば手術なら等価係数だとか、あちら
のほうで考えるほうが価値があるのかなと思いましたが。

○田中分科会長
 ほかにいかがでしょうか。
 お願いいたします。渡辺委員。

○渡辺委員
 この28ページの意味についてですが、間違っていたらすみません。コ-1の資料の2
ページ目のところに階梯式配賦イメージがありますが、恐らくここでは、中央診療部門の
収益対原価を見るときに、通常のレセプトですと例えば手術であれば、全部手術室に計上
されてしまうので、実態と異なってしまい、原価がゆがんでしまうという意味だと思いま
す。なので、検査とか処置の場所を特定することで、この一次計上段階の収益対費用を明
らかにするときに使う手法だと理解しています。もし二次配賦、三次配賦のときに使う配
賦基準に収益比率を使わないのであれば、これは余り必要ないのではないかなと思います。

○田中分科会長
 ありがとうございます。
 医師勤務調査と違って、4番についてはなくしてもよいという御意見が続きました。そ
れでよろしゅうございますか。実施場所はコスト調査にとって本質的なものではないので、
回答率を考えたら外したほうがよい。
 では、そのようにさせていただきます。
 下から順番にいっていますが、残りの3つについてはいかがでしょうか。
 この原案の形でよろしゅうございますか。先ほど来出た2番の保険外収益についてなど
はもう少し現実には課題があるけれども、ここはこの形で出す。
 4番は原則廃止ですね。5番は逆に調査をせずではなくて、実施要領のほうで工夫をす
る。そのようなまとめで私からまた総会に報告いたしますが、本分科会として、そのよう
なまとめでよろしゅうございますでしょうか。
 どうぞ、渡辺委員お願いいたします。

○渡辺委員
 すみません、まとめのところで。
 3番の延床面積のところですが、コ-1の3ページ目に一次計上基準の中に所属別面積
比で出す費用が幾つか書いてありまして、水道光熱費、固定資産税、地代、家賃、その他
減価償却費、清掃となっています。ですので、これを面積比で割るかどうかというのは、
これが本質的に原価かどうかという議論になってくるのではないかと思っていまして、原
価じゃないのでしたら配賦しなくていいだろうと思います。要するに販管費的な形で考え
るのなら、先ほども少しお話ししましたけれども、販管費の部分の取り扱いについての議
論を経た上で、配賦すべきかどうかを決めたほうがいいのではないかなと思います。ある
いはもし配賦するのであれば、データが出せない病院については、本当に必要な部分だけ
面積をとって残りはその他原価という形にするという考えもありますので、そういう議論
をしたほうがいいのではないかと思います。この辺は石井先生のほうがお詳しいかと思い
ます。

○石井委員
 詳しいかどうかは別として、販管費のイメージを出した瞬間にデータ作成の前提がすべ
て壊れるというか、変わってしまいまして、病院会計準則を前提にしたベンチマークとい
うような話がすべて壊れるのですが、それでいいかどうかという議論をきちんとしなけれ
ばいけないものですから、大変難しいのかなと思います。販管費の概念をあえて入れなか
ったという病院会計準則の意図というのももちろんございますし、今のように御指摘いた
だいたような補助的部門における減価償却費が当該部門の原価じゃないというのは全く話
としては成り立たないのを逆に渡辺委員はお分かりになってあえて発言をされているのだ
と私は理解しておりますので、実はそうやって考えると、先ほどの実施場所調査の問題も
本来データを精緻化しようとしたときには極めて重要だというふうに理解をしてございま
す。去年ではなくて、その前によく行われていた初期の部門別収支は、ほぼそういったも
のに配賦基準を活用して収支計算して行ってきたがゆえに、残念ながら間接的コストの配
賦の適正性にどうも疑問が出てくると、こういう話があって、やっとそれをある程度精緻
なイメージに持ってきたものをいかに一般化するかというところの悩みでございますので、
先ほど西岡先生がおっしゃったように、これだけ調査をしてきたので、一つの何か標準化
されたものがないのかと、配賦基準として。何かそういう性質を、特性をどこかから持っ
てこれないだろうかと私も実は思っております。

○田中分科会長
 個別の病院が自分の病院を管理・経営するためには、こういう精緻な値を求める取り組
みは当然あっていいでしょうけれども、全国からデータを集めるとなると精緻にすればす
るほど回答率が悪くなり、かつデータの正確性が落ちる。精緻な統計表をつくると、今度
は正確でない答えが返ってくる。ここは難しいところですね。私たちの委員会は、それを
どこで妥協するかをめぐる議論をしているわけです。精緻なものを求められるならば、書
いていただけるならば、たくさん答えていただけるならば、我々は精緻な案を言えばいい。
しかし、それが逆の答えを生むので、どこで妥協するか。4番は妥協していい。5番は妥
協しないでもう少し頑張ってみよう、が今日の結論でした。
 来年度について、今日、お話ししたようなところで分科会としては調査を引き続き行う
という答申でよろしゅうございますでしょうか。答申といいますか、意見具申でよろしゅ
うございますか。
 今まとめたような形で総会に上げる。どうぞ、渡辺室長お願いします。

○渡辺保険医療企画調査室長
 ありがとうございました。
 先ほど、今分科会長におまとめいただいた事項以外にもこれまでの議論の中でいろいろ
御指摘もいただきましたので、具体的な調査をこれから行うに当たりましては、先ほど課
長からも申し上げましたように、また個別にも御相談をさせていただく点も出てこようか
と思いますが、よろしくお願いいたします。
 それから、申しわけございません。1つ、先ほど椎名委員から御質問のあった件につき
まして、今は手元に詳細なデータがございませんので、もう一度整理をいたしまして、各
委員に後ほどお送りするようにいたします。先ほどの御質問は、その他の中に含まれる公
的病院の割合と、それから特殊原価の調査回答のあったものの病院主体と病床数でござい
ましたので、これにつきましては後ほど整理をしてお送りいたします。申しわけございま
せんでした。

○田中分科会長
 どうぞ。

○椎名委員
 前に戻って恐縮ですが、コ-2-2の36ページ、37ページに、今回の簡素化につい
ての調査、これに関して医療機関の意見が多く載っています。、特に37ページの括弧の
中の真ん中あたりに、「本調査は診療報酬体系に医療機関のコスト等を適切にするための
ものであるが、ぜひ診療報酬に反映させていただきたい」と、そういう御意見があるわけ
です。これはこの調査の趣旨に賛同されて、理解されて、調査に協力してくれた病院の意
見なんです。ここで言われていることは、この分科会の目的そのものになるわけです。
 そこで、事務局にお尋ねしたいのですが、この分科会がスタートして7年になるわけで
す。それで、この分科会の今後の進め方として、いつごろを目途にどのように診療報酬に
反映していくのか、基本的な方向性について、事務局としてのお考え、その辺を教えてい
ただければと思います。

○田中分科会長
 では佐藤課長、お願いします。

○佐藤医療課長
 医療課としての統一的な考え方ではありませんが、田中分科会長からのお話なども聞き
ながら、私どものところで、今現時点で言えることは、少なくとも現時点でいただいてい
るデータだけで診療報酬の議論に持っていくのは難しいと考えております。それは、先ほ
ど西田委員からもありましたように、代表制というところです。病床の規模や設置主体で、
DPCの病院に入ってきているということでもって9,000だか、7,000だかの病
院にそのまま外挿していいのかどうかというところで結論が得られていないだろうと思い
ます。
 私どもも、この一、二年ぐらいはすそ野を広げたい、すそ野を広げると同時に、今出し
ていただいているところでも、田中分科会長からありましたように、できるだけ正確なデ
ータをということで考えておりましたが、私が討議の途中で申し上げたのもそこに帰着す
るのですが、要するにインフラも含めて、よほどモチベーションやインセンティブを差し
上げないとうまくいかない部分もあるのだろうなということで、そういう意味では非常に
焦っております。対外的にはこういう状態のまま、難しいですねといっているわけにはい
きませんので、今回のこの調査が実を結ぶかどうかは分かりませんが、幾つか試行錯誤し
ながら、できるだけ早急に導入していきたいと思います。
 余談になりますが、先ほど渡辺室長のほうからも話をいたしましたけれども、慢性期分
科会のほうでは比較的よくやれているので、これもできるだろうという、やや甘い考えが
ありましたが、慢性期はどちらかというと、言葉がよくないかもしれませんが、どちらか
というと単価病院に近い概念があって、手術や検査や画像診断がたくさんあるわけではな
いので、慢性期の場合には9区分で調査をしてもうまくいったのでしょうが、これだけ複
雑に総合病院的な病院が入ってくるとなかなか難しいんだなということであります。答え
にはなっていないかもしれませんが、慢性期分科会や幾つかのところではできているのに、
こちらのほうの調査ではなかなか難しいんだなということをしみじみ考えております。
 ただ、今日よかったなと思いましたのは、小山先生のご意見をはじめとして、この二、
三年で急激に病院の雰囲気が変わったということです。医師の勤務実態や給与についても
きちんと把握しようということですので、今日はむしろ簡素化を図るよりも精緻な調査の
ままがいいのではないかという御意見もいただいたので、そこに期待をして、できるだけ
早急に診療報酬にも取り入れられるように、必死で頑張りますとしか申し上げられません
が、頑張ります。

○田中分科会長
 だそうです。この調査の存在意義について、きっと調査委員会でも問われそうな気がし
ます。
 ありがとうございました。
 その他は、ほかにございますか。
 石井委員、お願いします。

○石井委員
 すみません、1年に一度の会議でございますので、満を持してこのために参りました。
 コ-3の5ページを見ていただきまして、損益計算書が出ております127病院平均、
医業収益(売上高)5億9,290万円、月額であります、材料費1億6,400万円、
委託費3,700万円、この2つには少なくとも消費税がかかってございまして、2つ合
計すると約2億円ございます。現行の消費税率5%でございますから、これが税抜き価格
であるとすると、約1,000万円消費税がございまして、先ほどの医業収益保険外部分
が5%とすると、95%は保険診療でございまして、したがいまして、このデータからざ
っくりと計算をしました控除対象外消費税等負担額、大変長くて分かりづらい科目は、理
論上950万円になりますが、この計算書には170万円と出てございます。これは12
7病院の中に当然税込みでやっているところもあり、税抜きでやっているところもあるは
ずで、それを単純に平均してきて出てきているものですから、170万円であるというこ
とになるわけでありますが、すべての病院を税抜き処理して控除対象外消費税等負担額を
計算しますと、今私が申し上げたような負担になっているはずであります。この科目をつ
くりました人間として、これから医療の世界はますますこの議論をせざるを得ませんので、
コスト分科会において、この問題に関しては、今後もう少し精緻な情報をきちんと得られ
るような状態というのを、ぜひともデータとしての準備立てをしていただきたいと思って
おります。消費税の損税の透明性の確保はぜひともしていただきたい、これが研究者、実
務家としての切なる願いでございますので、よろしくお願いいたします。

○田中分科会長
 ありがとうございました。
 消費税議論がなされている以上、それもまた重要な論点です。特に損税の部分はコスト
になりますからね。転嫁できるならばコストではないけれども。
 どうぞ、渡辺委員。

○渡辺委員
 これも細かいお話ですけれども、退職給付費用とありますが、退職給付会計の制度の影
響を受けますので、最近ですと、数理計算上の差異が大きくなったりする場合があります。
そうしますとこれを原価としてしまいますと、ゆがんで出てくる可能性がありますので、
ここの扱いをどうするのかというのも今年の調査のときに御検討いただければと思います。

○田中分科会長
 そのほか言っておきたいことはよろしゅうございますか。
 では、大変活発な御議論をありがとうございました。
 本日予定しておりました議題については以上であり、またそのほかの意見もいただきま
した。
 事務局からほかに何かありますか。

○渡辺保険医療企画調査室長
 先ほど御指摘をいただきましたコ-3のところにつきましては、分科会長と御相談をさ
せていただきまして、修正の上、中医協のほうには御報告するということで、また先生方
にも修正のものについては別途お届けするようにしたいと思っております。

○田中分科会長
 ありがとうございました。
 では、これにて第16回の診療報酬調査専門組織・医療機関のコスト調査分科会を終了
いたします。
 どうもお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。

 
 【照会先】
  厚生労働省保険局医療課保険医療企画調査室
  03-5253-1111(内線3287


(了)
<【照会先】>
厚生労働省保険局医療課保険医療企画調査室: 03-5253-1111(内線3287)

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