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2014年7月23日 研究開発機関連携会議

厚生労働省大臣官房厚生科学課

○日時

平成26年7月23日(水)15:00~17:00


○場所

厚生労働省 省議室


○議題

1. 研究機関におけるインハウス研究について

2. その他

○議事

議事録

○椎葉厚生科学課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「平成26年度第3回研究開発機関連携会議」を開催させていただきます。

 御出席の皆様方には、御多忙中の折、お集まりいただきお礼を申し上げます。

 本日、御出席の皆様方につきましては、お手元の出席者名簿をごらんいただきたいと思います。時間の都合上、配付名簿での御紹介とさせていただきます。

 また、7月11日付の人事異動におきまして、厚生労働省のほうの幹部がかわりましたので御紹介をさせていただきます。

 前方の右のほうから御紹介させていただきます。

 土屋労働安全衛生部長でございます。

 その隣の三浦老健局長でございます。

 お隣の福島大臣官房審議官でございます。

 藤井障害保健福祉部長でございます。

 また、厚生科学課長の宮嵜が異動になりまして、後任として、私、椎葉が就任させていただきました。よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入ります前に、技術総括審議官を併任しております三浦老健局長より御挨拶をさせていただきます。

○三浦老健局長 本日は、お忙しいところ、お集まりいただきましてまことにありがとうございます。

 御案内のとおり、健康長寿社会の形成に資するということを目的といたしました「健康・医療戦略推進法」と医療分野の研究開発、その環境の整備の実施・助成等の事業を行うことを目的といたしました「独立行政法人日本医療研究開発機構法」、この2つの法律がこの5月30日に公布されたところでございます。

 また、昨日は、その法律に基づき定められることになっております健康・医療戦略が閣議決定されました。あわせて、医療分野研究開発推進計画、これは健康・医療戦略のもとにある具体的な医療分野の研究開発の方向性などを定めたものでございますが、これがやはり健康・医療戦略推進本部をヘッドにして、閣僚級で形成される本部でございますが、この本部において決定されました。これによりまして、医療分野の研究開発などに関する施策について基本的な方針が示されるということになったわけでございます。

 医療分野の研究開発予算につきましては、今申し上げた健康・医療戦略推進本部におきまして、日本医療研究開発機構に集約される研究費、いわゆる研究開発の中の開発に重点を置いている研究費でございますが、それと同時に、各研究開発機関で実施するインハウス研究、これにつきましても、推進本部におきまして総合的な予算要求の配分調整を行うことになっているところでございます。

 この連携会議におきましても、インハウス研究の位置づけ、あるいはその目的などについて議論をいただきまして、今般、厚労省が所管している研究機関におけるインハウス研究の中核とすべきものについて改めて御意見をいただくことになっておりまして、研究機関全体としての共通認識をそれによって固めていきたいということでございます。

 来年度の予算要求についても、今それぞれの研究機関でいろいろな御検討をいただいているところだと思いますけれども、研究機関において何よりもインハウス研究というのは非常に重要な位置を占めていることは言うまでもないわけでございまして、研究機関共通して一定の認識を共有することが非常に重要ではないかということで、きょうはその議論を中心として行っていただくことを予定しているところでございます。

 おいでいただいた皆様方の専門的な見地からの活発な御議論を期待しているところでございまして、これにて私の挨拶とさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○椎葉厚生科学課長 ありがとうございました。

 それでは、本日の会議資料の確認をお願いさせていただきます。

 まず、議事次第でございます。

 それから、座席表がございます。

 出席者名簿。

 その次でございますが、資料1「厚生労働省所管の研究開発機関におけるインハウス研究の中核とすべきものについて」

 横長の資料でございますが、資料2「健康・医療戦略概要」

 資料3「医療分野研究開発推進計画概要」

 資料4「健康・医療戦略及び医療分野研究開発推進計画について」

 文章編でございますが、資料5「健康・医療戦略」

 資料6「医療分野研究開発推進計画」

 資料7「平成27年度医療分野の研究開発関連予算等の資源配分方針」でございます。

 以上、落丁等はございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

 報道関係の方におかれましては、撮影はおられませんね。

 次に、研究開発機関におけるインハウス研究につきまして、これより議事に入らせていただきます。

 議事次第の(1)でございますが、2月28日に「第2回研究開発機関連携会議」を開催させていただき、インハウス研究について御議論をいただいたところでございます。

 その後、各研究開発機関から御意見を伺い、資料1の「厚生労働省所管の研究開発機関におけるインハウス研究の中核とすべきものについて」を作成させていただきました。

 本日でございますが、この資料につきまして、各研究開発機関と御議論をさせていただいた上で、研究開発機関全体としての一定の共通認識とさせていただきたいと考えております。

 この共通認識に基づきまして、インハウス研究の充実を図り、健康・医療戦略推進本部から各研究機関のインハウス研究の要求に対しましてヒアリングが行われる可能性がございますので、そのときに研究開発機関全体としての共通的な考え方を統一させた上で対応していくことを考えております。

 まずは資料1について御説明をさせていただきます。

○中山研究企画官 それでは、資料1について御説明させていただきます。

 インハウス研究について、これから内閣官房健康・医療戦略室を事務局として、ヒアリングが7月下旬から8月下旬にかけて行われる予定となっています。それに向けて、基本的なインハウス研究の位置づけについていろいろと精査される可能性があるので、そこについて共通の認識を整理しておきたいという趣旨でございます。

 これについては、これまで各研究機関の皆様方といろいろ意見交換をさせていただきながらまとめてきたという経緯がございます。

 1つの留意事項といたしましては、研究機関と申しましても、国立の研究機関、国立の研究機関の中でも規制に関係するような機関、あるいは教育訓練に関係する機関とか、それぞれの機関の特性もあるものと思います。さらに、それ以外にもナショナルセンターとかナショナルセンター以外の独立行政法人の研究開発機関といった形で、それぞれ異なる側面はあるということではございますけれども、一定の共通的な認識として整理できるところをまとめた形であるということに留意していただく必要はあるかと思います。

 資料1になりますけれども、「厚生労働省所管の研究機関におけるインハウス研究の中核とすべきものについて」ということです。

 各機関の特性もあると申し上げましたけれども、基本的に全体として共通すべきところという点で、まず前文のような形で、

 国が政策的に実施すべき対象について、国民共通の基盤となり、特定の団体・個人に裨益するものではない研究であって、以下のいずれかに該当するもの。

という形としております。

 その1から裏のページに6までございますが、ここについては、このどれかに該当する、あるいはこのどれか複数に該当するという場合もいろいろあり得ると思っておりますけれども、こういった6つの視点でまとめられるのではないかということで、意見交換の結果、一通りの案としてまとめておりますということでございます。

 読み上げさせていただきますと、

1.長期的・継続的な取組が必須な基盤的・重点的な研究。

2.現在直面する政策課題や近い将来において重要な政策課題となり得る問題を解決するため、積極的・先駆的に取り組むべき研究。

3.全国的なネットワークの中核機関であることなど、民間企業や大学等の研究機関では実現し難い特徴のある研究基盤・環境を活用した研究であって、他の研究機関では取り組みが期待できない又は実施が困難な研究。

4.規制の科学的根拠となる基準の策定など公権力の行使そのものに直結する研究。

5.国の施策の推進に関わる国や自治体等の関係者の養成又は訓練等に資する研究。

6.国際的に、当該機関が国の代表として役割を果たすことに直結する研究。

ということでございます。

 このどれか又は複数に該当するという形での研究をインハウス研究として実施する。

 ただ、それぞれの研究機関はインハウス研究だけではなくて、これ以外にもそれぞれの専門性を生かして競争的資金を得て実施する研究も当然たくさんあるとは思っておりますけれども、インハウス研究として実施すべきものは、このどれか又は複数に該当する形のものとして実施していくということで共通の認識を持ってはいかがかということでまとめさせていただいたものでございます。

 以上です。

○椎葉厚生科学課長 ありがとうございました。

 それでは、今回の資料1でございますけれども、各研究開発機関からの御意見もいただきながら作成したところでございますが、御意見等があればお願いしたいと思います。

○川西所長 国立衛研の川西ですけれども、これは厚労省の研究機関の事情をよく斟酌してまとめられたものと理解しているのですが、一方で、競争的資金のほうはどういう目的だということを想定して、厚労省所管の研究開発機関におけるインハウス研究についてまとめたのでしょうか。

 3月の議論のときは、競争的資金による研究とインハウス研究を色分けしないとなかなかインハウス研究の説明が難しかろうという議論もあったように思いますがいかがでしょうか。

○中山研究企画官 基本的に医療分野の研究開発という点での競争的資金ということで言えば、後で御紹介させていただきますけれども、医療分野の研究開発の推進計画というものができていますので、そういったものに該当するようなものが、その中にもインハウス研究というもの、医療分野の研究開発全体としては含まれるものですけれども、競争的資金というものも含めて言うと、推進計画に該当するようなものということになるのだろうと思います。

○椎葉厚生科学課長 よろしゅうございますか。

 ほかにございますか。

○樋口理事長 国立精神・神経医療研究センターの樋口でございます。

 ただいまの説明いただいたインハウス研究の中核とすべきものについて、全く異論はございませんけれども、ある意味では、厚労省の所管の研究開発機関全体に共通する部分を取り出していくとこうなるというのはよくわかるのですが、この研究機関の中でもかなり性質の違うものが入っていると思うのです。

 例えば私どものナショナルセンターは研究所と病院を持っていて、トランスレーショナルな研究を中心にして研究開発を行っていく、あるいは疾患の克服を目指して研究するというようなミッションを持っているわけです。そういった観点からすると、これだけだとそういうものが余り見えてこないといいますか、大枠としてはもちろんわかるのですけれども、具体的に例えばこういうことを扱っていくという姿を見せておかないと、実際にこれがどこでどのように使われていくかわからないと思うわけです。一例を挙げるならば、ナショナルセンターでは、例えば疾患としては希少疾患であるとか難治性あるいは難病を中心にして、その病因を解明して治療法につなげるとかいったものがあるし、基盤を整備していくという意味では、例えばバイオバンクということがよく言われるわけですけれども、そういったものがもう少し強調して浮き彫りにされているべきではないかと思うのです。

 これは共通の部分なので、この後にそういった、ある意味では研究機関ごとの、あるいは研究機関の固まりごとのもう少し具体的なインハウス研究の中身を落とし込んだようなものがこれから出されていくのか、できていくのかという、そのあたりのことを伺いたいです。

○中山研究企画官 おっしゃったとおり、これは全体としての概念といいますか、共通的なものということで整理したものなので、確かに具体的にバイオバンクであれば、この中のどこにぶら下がるものかと。例えばバイオバンクであれば、ある意味、1番の長期的・継続的のところに具体的な1つの事例として含まれる形で読み込むという整理もあり得ると思いますし、あるいはナショナルセンターでいろいろ実施されていることについては、例えば2番のように現在あるいは将来における政策課題について積極的・先駆的に取り組むべき研究というところでいろいろな課題が実施されているという形でここにぶら下げる考え方もある。また、複数のところに該当させるという場合もあり得るかもしれません。

 そういった形で、ナショナルセンターではこのどこの部分にそれぞれの部分を該当させていくのかということは実際にやられているところもあると思いますが、そういったところで具体化させていくという話であると思います。

○椎葉厚生科学課長 どうぞ。

○堀田理事長 国立がん研究センターの堀田でございます。

 私も、全体としてインハウス研究の考え方としては妥当なコンセンサスではないかと思いますけれども、今おっしゃっていたような例えばバイオバンクとか、あるいは大型のコホート研究とか、あるいは多施設共同研究の基盤というものは、それ自体が研究というよりは、研究のためのプラットホームみたいなものですね。ですから、そういったものはむしろ研究というよりは事業性が高く、継続性が必要です。これは今年度でおしまいとか、あるいは資金が少ないので削ってくださいと言われても削れないような、ある意味義務的な事業性のあるものについては、いわゆるインハウス研究というよりは、むしろ委託事業として位置づけたほうがいいのではないかと私は思っています。

 では、インハウス研究では何をやるかという話ですが、恐らく大学とか民間ができることをやるということについてはかなり慎重でなければいけないと思います。よく言われるのは、このインハウス研究を持ちながら、一方で競争的資金を取りにいっていることが研究費の二重取りだという見方をされることもありますので、その点をクリアにしていかないとなかなか説明が難しいと思っています。

 ただ、インハウス研究費は競争的資金が取れなかったから拾いましたみたいな話は絶対にだめだと思うのです。もう最初から研究費のあり方としてそれは入り口が違うという仕分けにしておかないといけないと思うところです。

 そのように見ていくと、研究者の発意によるボトムアップ型の研究というのはこの中に含まれないとしておかないと、やはり対外的に説明は難しいと思う次第であります。

 ちなみに、私どものところは、独法化以後、最初のころは研究開発費が30億円あったのが、平成26年度には15億円にいたしました。それは運営交付金が減る分以上に減らして、競争的資金を取れるものは徹底的に競争的資金を取る、最初からインハウス研究には採用しないということを言明して進めておりますけれども、その辺をクリアにしないとなかなか外には説明が難しいだろうと思っています。

○椎葉厚生科学課長 ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。

 渡邉先生。

○渡邉所長 国立感染症研究所の渡邉です。

 インハウス研究の考え方について、この6項目については特に感染研としても異存はありません。

 インハウス研究全体についての、医療分野推進会議ですか、そこの考え方がどういうことなのかをもしわかっていれば教えていただきたいのです。インハウス予算全体が今度の実用化研究の中に組み込まれた形で図面案が出てきていると思うのです。そうすると、限られたパイの中での予算の配分ということになると、当然普通に考えれば、インハウス予算でこれに該当しないようなものをそちらのほうに向けていくと、ある意味においてはインハウス予算の減弱にこれが使われるのではないかという一つの危惧があるわけです。

 実際、今の政府の考え方としては、今、がんセンターの総長の堀田先生が言われたように、競争的研究資金と考えられる範疇に入るべきものは全部そちらで、それ以外でその研究機関を維持する上で必要と思われるここに該当するようなものは全てそちら側でという振り分けがこれから行われると考えてよろしいのか。先ほどのヒアリングの問題も含めてです。

 そうなると、今はただでさえ予算が10%削減という形で各研究機関等にも今後来るはずだと思うのです。そういう中で、だんだんやりくりが非常に難しい状況に追い込まれているのが現実だと思います。その辺を競争的研究資金でカバーできるような研究機関はいいのですけれども、そうではないようなところになるとなかなか苦しい状況が考えられる。その辺のことも踏まえて、インハウス予算の考え方は推進会議全体としてどういう方向を考えていらっしゃるのか、もしわかれば教えていただければと思います。

○中山研究企画官 推進本部ということですね。必ずしも競争的資金とインハウス研究について推進本部としての方針があるかというと、まだそういうことではないと思います。

 ただ、1つ言えるのは、インハウス研究として実施しているものの中で、ほかにも競争的資金と同じようなものがインハウス研究でも実施されているとすれば、なぜこれをインハウス研究でやらなければいけないのかということは推進本部の事務局としては詰めが来る可能性があるかと思っております。

 インハウス研究について必要なものは必要だということは我々も十分承知しておりますので、そこは一方的に一元化対象経費をふやすために減らしていいものではないということは認識しておりますし、そこはちゃんと訴えかけて、守るべきは守るし、必要なものは取りにいくということでしっかりやっていくということかと思います。

○椎葉厚生科学課長 どうぞ。

○橋本理事長 国立循環器病研究センターの橋本でございます。

 先ほどの川西先生のお話の競争的資金とインハウスの資金、私もここに書いてあるものはこれでいいと思うのですが、ただ、現実問題としてはかなりグレーゾーンが、判断する人あるいはところによってこれは当然意見が変わってくる部分があるのです。特に研究開発法人の存在意義とか責任ということを考えたときに、競争的資金とはどういうことかというと、申請をして、それを認められるか却下させるかということでありますし、インハウス研究費というのは、その法人の責任において主体性を持って使い道を決めていくものだと思うのです。これは特に次の中期になったときには研究開発法人として非常に厳しい評価を受けるわけですし、その結果としてインハウス研究費をどう使ったか、あるいはその成果はどうだったかというということは当然評価されるわけです。

 確かに競争的資金については、非常に公正に広い目で評価者が判断をしてやっていきますけれども、研究開発法人は非常に高度な専門性を持った主体が何が必要かということを自分たちの責任において見ていくわけです。この中でグレーゾーンに入るインハウスと思われるような研究の中にも、法人の中で順位があるわけですね。あるいは重みづけというのは当然あるわけですけれども、競争的資金の中ではそれは全く考慮されなくて、このことについてはこう判断された、これについてはこう判断されたという、その結果として競争的資金として来るようになると、研究開発法人が自立して、自分たちの責任において研究を推進していくということについて非常に場当たり的な要素が強くなってしまう可能性があると思います。

 ですから、私が申し上げたいのは、基本的にインハウス研究の中核とすべきものはこういうことでいいと思うのですが、そのボリューム感だろうと思います。インハウス研究と競争的資金のバランスがうまくとれたところで初めて研究開発法人としてしかるべき仕事ができるのだと思いますので、やはりその視点をしっかり入れないと、あるいは強調していただかないといけないのではないかと思います。

○椎葉厚生科学課長 どうぞ。

○鳥羽理事長 国立長寿医療研究センターの鳥羽です。

 インハウス研究の中核とすべきものについて、異論はありません。

 また、おのおのの法人で、長寿なら長寿で1~6まで現在やっていることに該当するものがありますので、これらを実際に挙げさせていただいて、すなわち、これは恐らく外向きの資料にもなると思いますので、独立行政法人がこういうことをしているのだと、実際にこういうことを具体的にしていて、このように役立っているのだということを、ぜひ具体的に発表できるような資料を作成させてほしいというのが第1点。

 第2点は、例えば3番目の全国なネットワークの中核機関の研究、あるいは縦断的な研究、例えば長寿でやってきたような縦断研究は、競争的資金だけでは足らず、インハウス研究だけでも足らず、3つくらいの研究費を足してようやく十数年続けてきた経緯があります。このインハウス研究は、これで全部できると思ったらとても足りない研究もあるということを考慮すると、インハウス研究は競争的資金と協調しながらやらなければいけない研究があるというニュアンスがちょっと見えにくいところがありますので、その辺は、補足でもいいですから、より大きな使命のために、非常に少ないインハウス研究費の中で国のためにやっているということが見えるような形にぜひ表現を、あるいは各センター、各施設からのものをつけ加えたアピールの資料をつくらせていただければと思います。

 以上です。

○椎葉厚生科学課長 具体的に修文はどういう感じに。

○鳥羽理事長 まずはこの1~6が、コンセンサスということですけれども、具体的にこういうものが1番、2番目はこういうものだということがないと、これが公になったときに国民にとって何をやっているかがわかりにくいわけですね。現在の中で全体は無理でしょうけれども、特におのおののセンターで目玉の研究がこの後に出てきますと、ああ、そうなのだということがわかるということを言いたかっただけです。

○中山研究企画官 インハウス研究の中核とすべきものという点は、基本的にこの6つということでいいだろうと思います。例えばそこに競争的資金が一部入るという場合には、当然、インハウス研究と競争的資金の関係でどういう役割分担がされて全体が成り立っているかとか、そういった話を個別に説明できるようにするということではないかと思うのです。

○鳥羽理事長 色分けをはっきりしないとという議論は確かに大切だと思うのです。競争的資金で取れるものは取ればいいではないかと。ただ、競争的資金も必要ですし、インハウス研究が中核になってリードしなければいけない研究というのは私は必ずあると思いますので、その辺の書きようといったものはどうしたらいいのかということを御相談したいわけです。

○椎葉厚生科学課長 はい。

○五十嵐総長 成育医療研究センターの五十嵐ですけれども、2番のこの課題が私は非常に重要だと思っています。競争的資金というのは必ずしも、確かにフェアに運営されているのだとは思うのですけれども、どうしてもある特定の分野に偏ってきたという経緯があると思うのです。そういう意味で、これまで余り、必要性が高かったのだけれども、いろいろな意味で研究資金が投入されなかった分野というのが多分あると思いますので、その辺にも十分配慮していただいて、厚生労働省所管の研究開発機関がそれを担うという政策的な意味もあると思いますので、ぜひそういう点を強調してやっていただきたいと願っています。

○椎葉厚生科学課長 ほかにございますでしょうか。

 松谷先生、よろしくお願いいたします。

○松谷院長 国立保健医療科学院の松谷ですけれども、このインハウス研究の中核とすべきものについては、当院としては特に異論はございません。

 この資料は連携会議におけるコンセンサスとしてきょう多分まとめられるということだと思うのですけれども、具体的にこれがどういう場面で使用あるいは利用されることを想定されて、これを取りまとめようとされているのか、もしお差し支えがなければ若干教えていただければと思います。

○中山研究企画官 今後、先ほど申し上げましたように、内閣官房における事務局の健康・医療戦略推進本部事務局のヒアリングなどがありますので、もしそういった点でインハウス研究の考え方を問われた場合には、一つの共通的な認識としてはこういう考え方であるということになると思います。

 あと、個別に、この中にぶら下がるものは具体的にどういうものがあるかということであれば、例えばナショナルセンターの場合であればこういった場合ですとかいう整理は個別にされる形で示す場合もあるのではないかと考えております。

○三浦老健局長 ちょっと補足的に申し上げると、先ほど来、所長、理事長のお話と私も全く同感なのですが、結局、インハウス研究であろうと、あるいは競争的資金であろうと、研究を一つの方向に進めていくということについては何ら変わりはないはずなのです。

 ただ、鳥羽理事長が言われたように、インハウス研究と競争的資金をうまく組み合わせながらやっていくということもあり得るわけで、さまざまな競争的資金とインハウス研究の組み合わせというのはあり得る。

 きょう、この紙の意味は何かといえば、これからそれぞれの研究機関で研究を進めていくときのいわば戦略として、どういう形で競争的資金を使い、どういう形でインハウス研究費を使って両輪を回しながらうまく研究全体を進めていくのかということを考える際に、コアとなるインハウス研究の組み立て方としてはこういう考え方があるのではないかという共通認識を持てば、各研究機関でそれぞれの研究組織の目標に応じた研究の組み合わせというのはやはり個別につくっていかれる必要があるのだろうと思います。そのときのいわばフレームワークとしての一つの材料としてこれが使えると私どもは思っています。

 したがって、例えばこれで何か統制しようとかというよりも、それぞれの研究機関でのこれからの研究の戦略を組み立てるときの材料として、きょう仮にコンセンサスが得られるならば、そういう形でお使いいただけるのではないかと思います。

 したがって、今後、厚生科学課なり厚生労働省本省としてどうするかというよりも、これをもとにそれぞれの研究機関でもう一度それぞれの研究戦略を、今後、来年度以降の予算要求の練り直しの際の御参考に使っていただいて、それぞれ戦略的・計画的に研究費を組み立てていくということができれば一番いいのではないかということなのだろうと思います。

 したがって、使い方は、本省がどうこうというよりも、むしろ今後、それぞれの研究機関の特性に合ったものを、これを一つ参考にして組み立てていただくことが大事で、そのための戦略を練っていただく必要が出てくる。

 国全体の話は健康・医療戦略という形でまとまりましたけれども、もちろん厚労省全体の研究の方針というのも厚生科学審議会で毎年方向性は定めているわけですが、それをさらにブレークダウンした研究機関の方針というものがやはり必要になってくる。そのときの御参考と、ちょっとしつこく言いまして恐縮ですが、そういうことだと思います。

○椎葉厚生科学課長 ほかにございませんでしょうか。

○堀田理事長 今、三浦老健局長がおっしゃったことに尽きるのだろうと思いますけれども、鳥羽理事長がおっしゃったように、インハウス研究というのはあくまで共通的な基盤で、それをもとに個別研究の花が咲くという形だと思うのです。そういう意味で車の両輪だと思うのです。

 ただ、個別研究に関してはどうしても競争的資金が中心になり、インハウス研究がその基盤を成すものとすれば、評価の方法も少し変える必要があります。いかに新規のものを出したかとか、そういう話だとそんなに成果が出ない可能性もありますが、その基盤をいかにきちんと整理して競争的資金のプラットホームをつくったかという視点が必要だと思います。

○椎葉厚生科学課長 ありがとうございます。

 そのほか関連する御意見とかはございますでしょうか。

 それでは、特段の御意見がないようでございますので、今回の資料1「厚生労働省所管の研究開発機関におけるインハウス研究の中核とすべきものについて」を研究開発機関の共通的な考え方とさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 議題の2つ目で「その他」といたしまして、参考ですが、昨日、健康・医療戦略が閣議決定されるとともに、医療分野研究開発推進計画、また、平成27年度医療分野の研究開発関連予算等の資源配分方針が健康・医療戦略推進本部で決定されましたので、これにつきまして御説明をさせていただきます。

○中山研究企画官 それでは、説明いたします。

 昨日、資料5「健康医療・戦略」が閣議決定されるとともに、資料6「医療分野研究開発推進計画」が推進本部決定ということで取りまとまったという状況であります。その概要について、資料2、3、4あたりを使って御説明させていただきたいと思います。

 資料2「健康・医療戦略の概要」でいろいろ書いてありますけれども、その「総論」として、真ん中よりちょっと下のところにあります「健康・医療戦略の基本理念」ということです。大きな1つは「世界最高水準の技術を用いた医療の提供」ということで、いろいろ研究開発などを進めることによって、世界最高水準の医療を提供することに寄与するのだということがまず1つ目の大きな理念であるとともに、一方で「経済成長への寄与」ということで、成長戦略の中にも健康・医療戦略が位置づけられることになりますので、そういった経済成長への寄与という側面も基本理念の中にあわせ持つということが言えるかと思います。

 その次の「健康・医療戦略の対象期間」は5年間ということですが、10年程度を視野に入れた平成26年度からの5年間を対象期間としているという状況かと思います。

 2ページ以降ですけれども、健康・医療戦略の大きな柱立てとしては、1つ目の大きな柱立てとして、(1)の「世界最高水準の医療の提供に資する医療分野の研究開発等に関する施策」ということで、いわゆる医療分野の研究開発関係が大きな1つです。

 4ページ目になりますけれども、柱立ての2つ目としては、健康・医療に関する新産業の創出、この中には公的保険外のヘルスケア産業の育成みたいな話も入りますけれども、そういった新産業の創出と医療の国際展開の促進という部分がもう一つの柱としてあります。

 5ページ目にあるように、3番目の柱としては、健康・医療関係の人材育成です。教育の振興・人材の確保といった点が3つ目の柱。

 4番目としては、「世界最先端の医療の実現のための医療・介護・健康に関するデジタル化・ICT化に関する施策」ということで、この4つが大きく分けられると思います。

 (1)に戻りますけれども、いわゆる医療分野の研究開発というところでどういった点が盛り込まれているかということですが、「1)国が行う医療分野の研究開発の推進」ということで、1つは、新たな独立行政法人であります日本医療研究開発機構に国が戦略的に行う研究費等の配分機能を集約するのだということ。

 さらに、そこにはプログラムディレクターの目ききを生かしたマネジメントのもと、基礎から実用化まで切れ目ない研究支援を実施するのだということが書かれております。

 「2)国が行う研究開発の環境の整備」といたしまして、最初に「薬事法等の一部を改正する法律」とか「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」のような法整備に関すること。

 2つ目のポツですけれども、臨床研究や治験の実施体制の強化、あるいはデータベース、ICT等の環境整備を推進する。

 3つ目のポツとしては、創薬支援ネットワークですとか、これはまだ実現していませんけれども、方向性として医療機器版のネットワークの構築というのも進められようとしています。そういったことが書かれています。

 3ページの「3)国が行う研究開発の公正かつ適正な実施の確保」ということで、研究不正を防ぐとともに、臨床研究に参加する被験者の保護等倫理上の課題対応のためということで、具体的に申しますと、倫理指針の整備などがここに該当するかと思います。

 2つ目のポツとして、厚労省が今、秋に結論をまとめるべく進めていますけれども、法制度を含めた臨床研究に係る制度のあり方について検討。

 さらに、基礎研究及び臨床研究における不正防止の取り組みを推進するため、機構に専門の部署を設置しということも書かれております。

 「4)国が行う研究開発成果の実用化のための審査体制の整備等」ということで、法制度の整備とともに、2つ目のポツですけれども、PMDAの体制強化、あるいはPMDAと国立医薬品食品衛生研究所や大学などとの連携の強化によるレギュラトリーサイエンス等の推進ということで、健康・医療推進法にも位置づけられた部分ですが、そこの方針も書かれているということでございます。

 こういったことが健康・医療戦略では内容として書かれているということでございます。

 今、申し上げた健康・医療戦略における医療分野の研究開発の具体的な推進計画についてまとまっているのが医療分野研究開発推進計画でありまして、その概要については資料3でございます。

 基本的な推進計画の考え方としては、この1ページ目の真ん中にあるとおり、「基礎研究から医療における評価までの循環」ということで、基礎研究の成果から臨床への橋渡し、さらに医療現場での利用、効果の評価と新たな課題設定につながり、それがさらに基礎的な研究へとまた循環していくことが大事だということをまず述べています。循環型研究開発と呼んでいますけれども、そういったことを述べているということかと思います。

 「計画の位置づけ」は健康・医療戦略と同様でございます。

 この医療分野研究開発推進計画については、基本的に医療分野の研究開発という点の予算要求においては、予算要求の根拠として使われていくものということになろうかと思います。

 2ページ目には、いろいろ課題とか「10の基本方針」ということが書かれています。

 3ページ目として、一番上に「2 . 集中的かつ計画的に講ずべき医療分野研究開発等施策」と書いてあります。

 ここの中で、まず1番目としては、新しくできる日本医療研究開発機構に期待される機能ということで1~5が書かれていることと、2として「基礎研究から実用化へ一貫してつなぐプロジェクトの実施」ということで9つのプロジェクト、各省連携プロジェクトが挙げられているということかと思います。1~9の9つの連携プロジェクトがあるわけですけれども、ただし、厚生労働省としては、特定の疾患領域だけが推進されればよいというものではないということもあって、資料6の推進計画本体の6ページにもありますとおり、「2 国民・社会の期待に応える医療の実現」というところに、厚生労働省として必要な視点についてはここに極力できるだけ盛り込む形で、こういった医療を実現していくことが大事だということは、この推進計画の中には盛り込んであるということであります。

 またA4横の紙に戻って、3ページの「3.共通基盤の整備・利活用」の中には、バイオバンクのような話も入っておりますけれども、創薬支援ネットワークとかにも触れられています。

 さらに、「4.臨床研究中核病院の医療法上の位置付け」の記載もこの中には入っているということであります。

 フォローアップも行うということでありますが、最後にKPIということで、先ほどの9つの連携分野として挙げられたものについては、4~5ページにありますとおり、それぞれの分野において2015年までの達成目標あるいは2020年ごろまでの達成目標ということで数値の目標を挙げています。こういった数値目標について着実に実施されているかどうかということが毎年毎年評価されていくことになるのだろうと思います。

 資料4ですが、これは今まで述べた健康・医療戦略推進法ですとか独立行政法人日本医療研究開発機構法が成立したとか健康・医療戦略が閣議決定された、あるいは推進計画が本部決定されたというようなこと、一番下に健康・医療戦略の推進体制はどうなっているかという図です。こういったものが一通りコンパクトにまとめられている図かと思います。

 資料5、資料6が本文でありまして、資料7「平成27年度 医療分野の研究開発関連予算等の資源配分方針」についても、昨日の健康・医療戦略推進本部決定ということでまとめられている状況であることを御承知おきください。

 この資源配分方針につきましては、1枚めくっていただくと、「位置付け」としては、この方針については、平成27年度予算における、方針は毎年推進本部が決定するということで法律上位置づけられていますので、来年度の予算要求においてはこの方針に従って留意点とか重点化すべき研究領域等について示されているのだという位置づけであるということ。

 さらに、2の真ん中あたりにありますけれども、「関係府省は、本方針に基づき、内閣官房との間で推進計画の着実な実施の観点から必要な調整を行った上で、内閣官房と共同して医療分野の研究開発関連予算の概算要求を行うこととしている」ということが書いてあります。

 さらに、「3.調整費の活用」ということで、調整費については、研究現場の状況・ニーズを踏まえ、推進本部の決定に基づき、国立研究開発法人日本医療研究開発機構への集約対象となる予算に対して配分するということになっております。

 「4.予算要求に当たっての留意点」として、3ページですけれども、新しい日本医療研究開発機構においては、基礎から実用化まで切れ目ない研究支援を一体的に行うこととしているので、各省においてはそういった点を踏まえた上での予算要求を行うとともに、交付要綱の作成に当たっても一体的な運用に配慮するということが書いてあります。

 その後の点については、推進計画を踏まえた予算要求をするという部分になります。

 「重点化すべき研究領域」としては、先ほどの9つの連携プロジェクトについて3~8ページに書かれているとともに、中段ですけれども、なおということで、9つ以外でも糖尿病などの生活習慣病、脳卒中を含む循環器疾患云々ということで、こういったところについての医薬品や診断・治療法の開発、医療機器等の開発など、健康・医療戦略の推進に必要となる研究開発を推進するということにも言及されております。

 さらに、「PDCAの徹底」を行うということで最後が締められているということで、こういった資源配分方針も昨日の推進本部決定とされているということでございます。

 以上です。

○椎葉厚生科学課長 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。何か。

 どうぞ。

○加藤所長 国立障害者リハビリテーションセンター研究所の加藤です。

 私、これを見まして大きく2つの懸念がございます。私どもの研究所の特殊性ということも関係しているとは思うのですが、新しくできる開発機構ですけれども、医療なのですね。医療に限定されている。しかし、我々のところでやっている障害者を対象としている場合には、必ずしも医療とは限らないわけですね。

 実際、我々がこれまでもらってきた厚労科研費、A群かB群か分けろということがありました。幾つかはもちろん医療に属するのですけれども、それ以外のものはどうもこの範疇に入らないものがあるのです。だから、それがきちんと今度の開発機構の中でも含まれるのかどうか。含まれないなら、ちゃんとそれを見る別の体制が必要であると思います。

 医薬品で解決できるものはできるのですけれども、いずれ高齢者におきましても薬で治らないものは治らない。そこでどうするかというと、介護機器にしろ、支援機器にしろ、いろいろな福祉機器が必要になっていくわけです。それが全然含まれていないというのは非常に懸念材料としてあります。それが一つ。

 もう一つは、この開発機構は今のところはどうも資金の配分機関にしかすぎないのではないかと思われます。研究テーマをどうやって決めるのかということ。アメリカのNIHなどの場合でしたら、ここにお集まりの皆さんの研究所でこういうテーマでやるべきだ、インハウス研究の件で先ほどどなたかがおっしゃられましたように、どういう研究をすべきかという研究をするというのも一つのインハウス研究の非常に大きなテーマになるはずなのです。そこで萌芽的な研究をやって、これは競争的資金の課題として上げていくべきだとか、そういうことの役割を我々は実は担っていると思うのです。

 そういうことで、今度の開発機構はその辺の研究テーマの設定あるいは評価をどういう形で行われていくのかをお聞きしたいと思うのです。

○中山研究企画官 まず、障害者向けの機能、支援機器開発という形は、一通りこの推進計画の中でも盛り込まれている部分です。ただ、その他の領域までどこまで入るかというところは一部難しいところがあって、その他の部分については、きちんと厚労省の施策として必要な研究として進めなければいけない部分は当然ありますので、そことしてきちんとやっていくということなのだろうと思います。

 テーマですけれども、基本的に医療分野の研究開発の予算については、まず各省がどのような研究が必要かということについて、内閣官房といいますか推進本部の調整を受けますけれども、まずこういった研究が必要だということで財務省に予算要求をするという形をとって、さらにその獲得した予算について、補助金として新しい独法のほうに預ける形になりますので、基本的にどのような研究が必要かということについては、まず各省において検討がされ、それで獲得された予算が独法に行くということになりますので、独法が自由にテーマを決めるという話とはまた別かと思います。

○椎葉厚生科学課長 ほかにございますでしょうか。せっかくの機会でございますので何か一言。

○古野理事長 一つだけ感じたのは、医薬品の開発では当然ですけれども、RCTがなければ承認されません。いろいろな研究成果を世界に発信するというのがこの政策の大きな目的ですから、世界的な観点で認知度を高めるためには、プロジェクトを決めるとか予算の枠組みを策定するときに、RCTに特化したような研究をもっと優先しないといけないと思います。

20年、30年やって何も結果が出ていないようなものがたくさんあります。この前、がんセンターのコホート研究の話はすばらしいと申しましたけれども、コホート研究は50年行われていて、堀田先生には申しわけないのですけれども、的確な予防法の開発が行われていないのは残念に思っています。

 がん予防のRCTとか、今はアルツハイマーのRCTが考えられていますけれども、もう少し大きな国家プロジェクトとして、RCTを優先するようなプロジェクトをぜひとも推進していただきたいと願っております。

○椎葉厚生科学課長 御要望として伺っておきます。検討させていただきます。

 ほかにございますでしょうか。

 どうぞ。

○鳥羽理事長 医療という分野が一定の、旧来の意味であればこのような形で戦略がまとめられるのでしょうけれども、高齢社会、認知症などがふえてきますと、医療というものが社会とのつながりの中で解決されなければいけない領域がますますふえてきまして、そのようなものはICTITと支援機器だけしか書かれていないのですが、まちづくり、住宅などを含めた厚労省が最も今後研究に力を注ぐべき地域包括ケアなどの医療とケアの重要分野について書かれていないので、これらはインハウス研究で全てお金を出していただけるのかと期待していて考えてよろしいのですか。

○中山研究企画官 これで十分ではないと思いますけれども、健康・医療戦略自体は医療分野の研究開発だけではないと申し上げたとおりで、資料2の4ページの一番下にあるように「その他健康長寿社会の形成に資する施策」ということで、「上記以外の施策として、高齢化の進展や健康志向の高まりへの対応、健康増進に資するスポーツ活動の推進及び高齢者等が安心して健康に暮らせる住宅・まちづくり・交通の実現等に関する施策を推進」というようなことも一部含まれていることは事実です。

 ただ、それでは足りない、厚労省として本来いろいろ進めなければいけない施策の部分もあると思いますので、そういった面とあわせて進めていくということだろうと思いますが、いかがですか。

○鳥羽理事長 例えばアメリカで認知症の運動介入といったことでの研究費が60億出たと。本邦でもかなり高額なことを御用意されているようですけれども、アメリカに比べてはるかに少ない。すなわち社会政策としていろいろやっていかないと、まちづくりがうまくいかないときに、その辺が重点的にここに書かれていないことに関しては若干私は残念に思うところです。

○椎葉厚生科学課長 堀田先生、どうぞ。

○堀田理事長 先ほど古野先生からRCTというお話が出たのですけれども、予防研究あるいは予防介入研究になります。今まではどちらかというとコホート研究とか後ろ向き研究というのが主体だったのですが、それをもっと積極的に介入研究をやろうと思ったら、3年ぐらいの単位の研究ではとても結論は出ません。長期に追跡していかないと結論が出ないようなものです。政策的にとても重要な研究というのは、私は指定研究という形で継続すべきだと思うのです。それがインハウス研究にあってもいいと思うのです。

 インハウス研究を自分たちで考えてやったけれども、そんなことをやっていたらだめではないかと後で言われるのは困りますから、それは指定研究で国が政策的に進めるべき研究ということで指定していただいてもいいと考えます。私も競争的資金のほうの事前評価にかかわっているのですが、競争的資金の中にも政策的な研究は結構あります。ところが、残念ながら評価が低いのですよ。政策的な評価は高いけれども、技術的・学術的評価はどうしても高くなくて、新規性が乏しいということで、そういう研究テーマが落ちてしまうのです。それは非常に矛盾しているような気もするので、いわゆる厚労科研のほうもある程度、指定研究とか政策的に重要なものは特別に枠をつくるなり何かしないと、目先の新規性のある課題にとらわれていくのではないかという気がしております。

 今後、インハウス研究と競争的資金をうまく組み合わせて両輪として動かしていくとしたら、そちらのほうも少し目を配る必要があるのだろうと思います。

○椎葉厚生科学課長 ありがとうございます。

○森田所長 国立社会保障・人口問題研究所の森田でございます。

 私どもの研究所は、医療関係とは違って、人口推計や社会保障制度についての研究をしております。今、どなたかからお話がございましたけれども、これからの日本社会を考えていく場合には、狭い意味での医療だけではなくて、社会全体としてどのような形で高齢社会を支えていくかという制度面の研究というのも非常に重要ではないかと思っております。研究費に関して言いますと、そうした社会的な仕組みについての研究の必要性、重要性というものも十分に強調していただきたいと思います。

 2点目でございますけれども、私、ただいま社人研の所長を務めておりますけれども、同時に中医協の会長も務めております。そうした観点から申し上げますと、医療技術とか新しい医薬品の開発もそうですけれども、我が国の場合には、シーズとしての研究もさることながら、それを産業化していくためのステップというものが不明確であると思っております。

 資料2の4ページに書かれていることはこのとおりだと思いますけれども、言うなれば目標とその支援が必要ということですが、具体的にどういう形で商品開発、市場化までのプロセスを管理していくか。医療経済学であるとか、あるいは産業政策的な研究というものも重視していただきたいと思っております。それがなくては、せっかくの研究の成果が実際に成長に結びつくということが難しいと思います。これはある意味でお願いと意見でございます。

 以上でございます。

○椎葉厚生科学課長 貴重な御意見をありがとうございます。検討させていただきたいと思います。

 本日、御意見をいただいていない基盤研とか安衛研の先生方はいかがでしょうか。

○米田理事長 創薬に関してはいろいろ書いていただいているのですけれども、資源の配分とか資金の配分ということを考えるときには、どうしても現場の意見をどうやって吸い上げていただけるかという点が気になります。機動的に政策を考えていくためには、現場が今どう動いているかを見極めてどう発展すべきかということを常に吸い上げていく体制、我々としては訴え続けることをしないといけませんが、政策的にそれらをどう取り入れていくかということを常に考えられるような体制システムを構築していただければというのが私の強い気持ちです。そのような体制ができると、現場で起こっている問題がすぐに取り上げられて、すぐに政策に反映されていくはずで、その様な体制があれば、創薬は入り口から出口へと着実に進んでいくのではないかと思っております。

○椎葉厚生科学課長 ありがとうございます。

 石坂先生、どうぞ。

○石坂副所長 医療センターの石坂と申します。

 新独法のイメージが一般の我々は余りうまく持てなくて、きょうのお話を聞きますと、ファンディングエージェンシーなのかなという印象で受け取っています。NIHのような国の政策をNIHの研究機関の中で予算のかなりのパーセントを使って積極的に動かしていくというイメージで私は考えていたのですけれども、先ほどの御説明を伺うと、イメージとしてはファンディングエージェンシーということでよろしいのでしょうか。

○中山研究企画官 基本的にそうかと思います。

○石坂副所長 なるほど。

 そうしますと、各研究機関の先生方の御意見にあるように、やはり現場のニーズをどうやって厚労省を通して新独法に伝えていくかというところがとても大事になるのではないかと思いまして、そういう意味では、先ほど堀田先生が御説明されたような指定研究ですね。新独法の中で、これは国の政策としてぜひやらなければいけなくて、これにふさわしい研究機関はどこかというところまで指定して新独法に指導していくような形で動いていただけると、現場の声がより反映されるのではないかという印象で伺っておりました。

○椎葉厚生科学課長 ありがとうございます。

 小川先生、どうぞ。

○小川理事長 私どもの研究所は、少しほかの皆様方の研究所とは性質が違いまして、実際に労働の現場で起きている問題に対して、即座に対応しなければならないということです。具体的には、例えば2年前の大阪での胆管がんの問題、あのような問題が起きると、病気だけではなく原因を追求し、なるべく早くある一定の結論を報告する必要があるということから、メカニズム的には新しい面と古い面が両方混在しているわけですけれども、いずれにせよ、実際に現場を見てみないとわからないというわけです。そうすると、時間を待たずに研究費をつぎ込める状態でなければなりません。

 また、東日本大震災の場合も、あのような自然災害が起こると今まで余り表に出ていなかったアスベストの問題が一気に噴出することになります。そういう問題では社会的に素早い対応が求められることになります。私どもの研究所では、そのようなものに何時でも対応できるようなシステムを維持しながら、そのベースとなる研究を続ける必要があるということで、どちらかというとインハウス研究によって、ある一定の対応能力を保持できるよう是非ご支援していただきたいというのが本質的で基本的な要望でございます。

 もう一点の特徴と致しましては、例えば胆管がんの問題にしても、研究が一過性に終わると結局非常に重要な情報が得られないままとなってしまうということです。今後10年、あるいはそれ以上フォローすることで初めて本当の意味での事件経過とそのメカニズムが解明できるわけですけれども、そういう面からみると長期的な視点での予算確保が必要になります。

 そういう面での支援ですと、先ほどがんセンターの堀田先生がおっしゃっているように、何らかの形で指定研究みたいなものも考えていただく必要があるのではと思うのです。いわゆる競争的資金だけではなく、そういう長期的観点からの研究資金の確保をぜひサポートしていただきたいと思っております。

○椎葉厚生科学課長 ありがとうございました。

 一応全ての先生方から御意見を伺ったと思いますが。

○古野理事長 もう一個いいですか。

○椎葉厚生科学課長 はい。

○古野理事長 健康・栄養研究の古野です。名前を言っていなくて失礼しました。

 しつこいようで本当に申しわけないですが、例えば資料2の3ページで研究不正防止の対応が考えられるということですが、こういう取り組みにもやはりRCTでの検証を考えていただきたい。

 それから、4ページ目の「その他健康長寿社会の形成に資する施策」ということで、介護施設をふやすとか、高齢社会に適した交通の実現があります。通常、モデル事業とかで実施されますけれども、そうした場合も効果があるかということをRCTで検証していただくようなプロジェクトをぜひともやっていただきたい。

 典型的な例が、文科省の入学制度の改定とか大学の授業カリキュラムの改定です。効果が全然検証されないで、改定されているのは大変残念に思っております。厚労省としては、RCTなくして検証なしという基本的な方針をぜひとも確立していただきたいと思います。

○椎葉厚生科学課長 いろいろと検討させていただきたいと思います。

 それでは、意見も尽きたようでございますので、以上をもちまして、「平成26年度第3回研究開発機関連携会議」を終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。


(了)

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