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2014年10月3日 第6回福祉人材確保対策検討会 議事録

社会・援護局 福祉基盤課 福祉人材確保対策室

○日時

平成26年10月3日(金)16:00~19:00
 

 

○場所

TKPガーデンシティ永田町 バンケットホール1A

○議題

(1)社会福祉士について
(2)障害福祉分野の人材確保について
(3)本検討会の議論の取りまとめについて
(4)その他

○議事

 

 

○関口室長補佐 皆様、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから第6回「福祉人材確保対策検討会」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日の構成員の皆様の出欠状況でございますが、前回の検討会で座長よりお話がございましたとおり、議題にもありますが、社会福祉士、障害福祉分野の人材確保について御議論いただくということで、新たに7名の方を構成員として追加いたしております。
まず初めに、その7名の方の御紹介をさせていただきたいと思います。
最初に、一般社団法人日本社会福祉士養成校協会副会長、上野谷加代子様。
 
○上野谷構成員 上野谷でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
 
○関口室長補佐 一般社団法人日本社会福祉教育学校連盟会長、大嶋巌様。
 
○大嶋構成員 大嶋でございます。
よろしくお願いいたします
 
○関口室長補佐 全国社会就労センター協議会制度・政策・予算対策委員長、叶義文様。
 
○叶構成員 叶です。
よろしくお願いします。
 
○関口室長補佐 公益社団法人日本社会福祉士会会長、鎌倉克英様。
なお、本日、鎌倉様は御欠席でありまして、代理として、同会副会長の松山茂樹様が出席をされております。
 
○鎌倉構成員(代理) 松山です。よろしくお願いします。
 
○関口室長補佐 公益財団法人日本知的障害者福祉協会副会長、菊地達美様。
 
○菊地構成員 菊地です。
どうぞよろしくお願いいたします。
 
○関口室長補佐 全国身体障害者施設協議会副会長、白江浩様。
 
○白江構成員 白江と申します。
よろしくお願いいたします。
 
○関口室長補佐 特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会事務局長、田中直樹様。
 
○田中構成員 田中でございます。
よろしくお願いいたします。
 
○関口室長補佐 以上となります。
このほか、本日は、門野様は御欠席、石橋様と堀田様についてはおくれて参加されるとの御連絡をいただいております。
また、高橋様の代理として後藤様が出席をいただいております。
さらに、事務局側でございますが、鈴木社会・援護局長、西辻社会・援護局総務課長、岩井福祉基盤課長、田中障害福祉課長、矢田貝企画官におきましては、公務のためおくれてまいりますので、御了解を願います。
では、以降の進行は、田中座長のほうにお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
 
○田中座長 改めまして、皆さんこんにちは。
初めての方もよろしくお願いいたします。
この検討会では、これまで介護人材を中心に議論を進めてまいりました。
本日は、介護人材以外の福祉分野に係る人材確保についても議論の枠を広げることにしました。
このため、新たに、今、御紹介のあった7名の方に構成員として参加いただきました。皆様、よろしくお願いいたします。
早速、議事に入ります。
本日は、議事次第にありますとおり、3つの議題を取り扱います。1つ目が社会福祉士について、2つ目が障害分野の人材確保について、3つ目が本検討会の議論のとりまとめについてであります。
その順に議論を行ってまいります。
初めに、資料について、事務局から説明をお願いします。
 
○関口室長補佐 報道の皆様につきましては、撮影はここで終了とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。
皆様のお手元には、
資料1 「社会福祉士について」。
資料2 「障害福祉分野の人材確保について」
それから、構成員の皆様からの提出資料でございますが、まずは上野谷様、大嶋様、鎌倉様、叶様、白江様、田中様より提出のありました資料を配付させていただいております。
また、本日、提出がありました関係で、次第への記載、資料番号の記載がございませんが、菊地様からの資料も別途机の上に配付させていただいております。
資料の不足等ございましたら、事務局までお申しつけくださいますようお願いいたします。
以上でございます。
 
○田中座長 ありがとうございました。
早速、1つ目の議題である社会福祉士についての議論を行います。
議論の進め方としては、初めに事務局から資料を説明いただき、続いて社会福祉分野からの追加構成員である、上野谷様、大嶋様、鎌倉様の代理である松山様の3名より、それぞれ10分程度、御意見を頂戴した後、全体討議を行う予定です。
武内室長より、資料の説明をお願いします。
 
○武内室長 それでは、お手元、右肩に資料1という番号がついております資料に基づきまして、まず社会福祉士の状況についての基本的な情報を御説明申し上げたいと思います。
2ページを見ていただきまして、この資料の中では「社会福祉の現状について」それから「社会福祉士に求められる役割について」、この2点について御説明申し上げたいと思います。
3ページをごらんください。
「社会福祉士の概要」について、改めてそのアウトラインを記しております。
「社会福祉士の定義」については、社会福祉士及び介護福祉法で規定をされておりますが、名称独占資格ということで位置づけられておりまして、こちらに書いてありますように、日常生活を営むのに資料がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、それから下の段にありますように、保健医療サービス等を提供する者、その他の関係者との連絡及び調整、その他の援助を行うことを業とする者と定義づけられております。
「資格取得方法」につきましては、後ほど詳細にお示しをいたしますが、大きく分けて3つのルートがあり、国家試験を受験していただいて、その後、登録をするというシステムになっております。
それから「国家試験の概要」。これは年に1回、筆記試験、1月の下旬に実施しております。毎年4万5,000人の受験者、合格者1万2,500人ということが直近のデータとして出ております。筆記試験の科目については、ごらんの19科目、相談援助、それから社会福祉に関する制度論などが含まれております。
4番にありますように「資格者の登録状況」は、16万5,000人。
社会福祉士の養成施設につきましては、福祉系大学などが270校、指定養成施設が56校という状況になっております。
4ページをごらんください。
量的に見るとどういう状況になっているかということについて、青グラフで登録者の総数、赤いグラフで単年度の増加数です。毎年、1万人前後の増加で累積をされているという状況になっています。
5ページ目をごらんください。
どのような分野で社会福祉士が就労されているかということについてのデータです。まず、就労している分野、職種について見ますと、左側の就労している分野では、高齢者福祉が4割5分、障害者福祉が2割弱といった部分が中核的な分野となっています。
職種につきましては、右のグラフ、一番多いのは相談員・指導員が35%、施設長・管理者が12%、介護支援専門員も同じく12%という状況になっております。
6ページをごらんください。
就労先について、主体別で見てみますと、社会福祉施設等が4割、社協が7%、そのほか地域包括支援センター、行政機関など、また医療機関も1割ぐらいを占めているという状況になっております。
7ページをごらんください。
社会福祉士の方々が入職するとき、職場を選択する際の動機について調査した結果です。こちらをごらんいただきますと、多い順番に「やりたい職種・仕事内容」「能力や資格が活かせる」ということになっておりまして、専門職としての意識が非常に強くあって入職をされているということが伺い知れます。
8ページをごらんください。
制度側がどのように社会福祉士の皆様を位置づけ、活躍していただくような体制になっているかということを示すものです。
こちらは、横軸に制度上社会福祉士の皆様が必置の規定として位置づけられているものを右、任用要件として位置づけられているものを左、縦軸では上に行政機関の色彩が濃いもの、下の軸にサービス事業所などの累計ということで、この2つの軸で整理をしておりますが、この中で、非常に多岐にわたり、上の段からは福祉事務所、児童相談所などの行政機関的なものには、任用要件として位置づけられているほか、左下では社会福祉施設において、生活相談員、生活指導員等を初めとしまして、さまざまな類型で任用要件として位置づけられております。
そして、このオレンジ色のところは、平成19年以降に任用要件として位置づけられたものということで、近年の動きがわかるように記載をしております。
なお、注のところに「任用要件」「必置規定」といったようなことについては、定義をつけておりますので御参照ください。
また、必置規定という意味では、地域包括支援センターの中に社会福祉士というものが位置づけられております。
9ページをごらんください。
報酬体系でどのように社会福祉士が位置づけられているかということについて、まずは障害福祉サービスの報酬においては、福祉専門職の配置等の加算ということで位置づけられておりまして、サービスの類型ごとにさまざまな要件があります。
例えば、一番上の段で見ますと、①の2行目に「社会福祉士、介護福祉士又は精神保健福祉士である従業者の割合が25%以上であるということによって加算がつくという仕組みになっております。
あわせて10ページをごらんください。
医療の世界、診療報酬においてどのように位置づけられているかという情報です。こちらはメディカルソーシャルワーカーというような形で配置をするということを促すという意味で、さまざまな診療報酬上の評価が行われております。
例えば、上の段から5つ目ぐらいになりますでしょうか「回復期リハビリテーション病棟入院料」というようなもの。これは新しく入ってきたものですけれども、こちらの中では専従の社会福祉士など、1名以上の配置があるということについて、点数がつくというような評価がなされております。
11ページにおいては、社会福祉士が福祉事務所などの行政分野でどのように活躍をされているかということでありまして、左のところにさまざまな指導員などの名称がありますが、福祉事務所、児童相談所、それから更生相談所などで、右軸に時系列で少しずつ社会福祉士の有資格者の方の比率が高まってきており、そのような行政機関での任用状況も高まってきているということが見てとれます。
12ページをごらんください。
では、実際の社会福祉施設等の相談援助に係る職員の中で、社会福祉士の方がどのように活躍されているかというものを見ますと、保護施設、児童福祉施設など、さまざまな施設の類型がありますが、平成19年の青いグラフのところから赤いグラフの平成24年にかけて、近年増加傾向であるということが見てとれます。
ここまでが社会福祉士の皆様の現在の活躍の状況について示した資料です。
13ページからは、今度は養成の話に移ります。
13ページでは、社会福祉士の資格取得ルートを改めて模式化して示しております。
この中には、下のほうをごらんいただきますと、①福祉系大学等ルート、②短期養成施設ルート、③一般養成施設ルートと大別して3つの類型がございます。
割合で見ますと、一番下の段にパーセンテージが書いておりますが、①のルートが大体6割、そして③のルートが大体4割ということで太宗を占めております。
14ページをごらんください。
福祉系大学等及び養成施設の定員数の推移を示しております。
左のところでは、福祉系大学等の定員数の推移、ここについて、充足率は不明でございますが、定員数を載せております。右のところでは、養成施設の定員数を同じく示しております。こちらは若干微増しているという傾向が見てとれます。
それでは、どのような教育をしているかということについて、15ページをごらんください。
「社会福祉士の養成カリキュラム」の一覧でございます。
こちら大きく分けて5つのカテゴリーについて、どのような時間数、どのような科目の履修が求められているかというものを一覧にしております。これについては、平成21年から新しいカリキュラムに移行しておりますが、例えば、2つ目のカテゴリー、相談援助の理念と方法に関する知識と技術では、一般養成施設では180時間、また「実習・演習」、一番下の段では同じく420時間というような形で重視がされるようになってきております。
16ページをごらんください。
このような養成課程について、養成施設の教員の要件について示しております。こちらも、平成21年のカリキュラム改正に際して、改変が行われておりますけれども、この中では、さまざまな科目について、右の軸にありますように、一定の要件をクリアする方々が教員になることができるということになっております。
端的に申し上げますと、平成21年のカリキュラム改正では、実践力を強化するという方向で、5年以上の実務経験を有する社会福祉士の方々を教員要件の中で位置づけていくということを打ち出しております。
17ページをごらんください。
この教員要件に加えまして、相談援助演習・それから相談援助の実習指導などの教員要件及び実施体制についての条項です。
上の段では、相談援助演習などにおいての教員要件につきまして、②にありますように、講習会の受講を義務づけるといったようなことが21年の改正で入っておりますし、下の段、相談援助実習施設における実施体制というところでは、実習指導者の数と受け入れ学生数の数の関係などを、上限を設定するなどして定めている。そして、同じく実習指導者の資格要件としても講習会の修了者というものを位置づけているということを示しております。
18ページになります。
こちらは社会福祉士のキャリアパスに関しての関連情報です。
社会福祉士に関しましては、社会福祉士になった後のキャリアパスとして、左にあります認定社会福祉士、右にあります認定上級社会福祉士というものが整理されております。
この下の認定要件のところをごらんいただきますと、認定社会福祉士については、③にありますように、相談援助の実務経験5年以上という条件がついた上で、⑤の研修の受講20単位以上といったようなことが求められ、5年ごとの更新制となっています。
認定上級社会福祉士、右のほうについても、同じく③で認定をとった後にさらに5年以上の実務が必要であるといったようなことが課せられております。
こういったことは一番下にありますように「認定社会福祉士認証・認定機構」が審査をし、日本社会福祉士会に登録をしていただくことになっております。
19ページに移ります。
今の18ページに関連して、1つの一例でございますが、認定社会福祉士の認定を支援する教育体制をとっている例として、日本社会事業大学専門職大学院での取り組みを御紹介いたしております。こちらでは、認定社会福祉士になるための1つの認定支援の教育体制というものをとっているということを御参考に添付をしております。
こうした現状を踏まえまして、20~21ページ、こういった社会福祉の現状を踏まえた上で、近年社会福祉士を取り巻く状況、あるいはニーズが変化してきているということをお示しをしています。
21ページをごらんいただきますと、平成18年の福祉部会の意見の中で、社会福祉士に求められる役割について、定義づけがなされております。
上の社会福祉士に求められる役割として3つ丸がありますけれども、福祉課題を抱えた方々からの相談に応じ、サービス利用を支援するなど、その解決をみずから支援する役割。
2つ目、利用者が有する能力に応じて、尊厳のある自立生活を営むことができるよう、次の行にありますが、みずから解決できない課題については、担当者への橋渡しを行うなどの役割。
3つ目、地域の福祉課題の把握やネットワーク形成を図るなど地域福祉の増進に働きかけるといった役割、こういった役割をより立体的なものにしていくというような方向性が打ち出されております。
そのために必要な知識、技術として、下の段①から⑥というものが整理をされました。
それを受けて、左下、社会福祉士及び介護福祉士法等の改正、平成19年では、社会福祉士の相談援助の定義既定の見直し、それから、社会福祉業務を行うに当たっての義務規定の見直し、資格取得方法の見直し、任用・活用の促進などがうたわれております。
そして右のところ、今までも何度か言及いたしましたが、養成カリキュラムの見直しが平成21年4月に施行され、その中では、相談援助に関する科目の充実、それから一番下、就労支援サービスや権利擁護、成年後見制度などの科目を設定するといった改定をしております。
さらに、22ページでは、平成19年以降の環境の変化についても整理をしております。
こちらに掲げておりますように、高齢者施策、障害者施策、子ども・子育て、子どもの貧困などの施策、それから生活困窮者自立支援法などに見られる困窮者対策など、こういったさまざまな福祉分野での施策の拡充、変更が行われていく中で、下の段にありますように、社会福祉士の活用が考えられる局面というものはふえているのではないかということで例示をしております。
地域包括ケアづくり、共生社会づくり、あるいは貧困対策などの局面で社会福祉の役割というものが期待されているということが見てとれると思います。
23ページに参ります。
こういった現状及び取り巻く環境の変化というものを踏まえた上で、現在の社会福祉士の活用状況について、どのように評価をしていくのか。社会福祉士をさらに有効に活用していく上で、どのような課題設定をすべきか。教育、任用、キャリアアップのあり方など。
そして、そのような方向でさらなる活用拡大に向けて、どのような取り組みを進めていくことが必要と考えるかといった点を論点として設定をさせていただきました。
説明は以上です。
 
○田中座長 室長、ありがとうございました。
引き続き、3人の方々から説明をお願いします。
上野谷さん、よろしくお願いします。
 
○上野谷構成員 まず、本日、田中座長を初め、武内室長、そして委員の方々のお計らいによりまして、臨時委員として、この大切な福祉を担う人材の確保について発言を許されたということにお礼を申し上げたいと思います。
時間の関係がございますので、少し早口になるかと思いますが、要点のみ、むしろ結論から先に申し上げさせていただきたいと思います。
お手元の資料をごらんください。
まず「社会福祉士の任用・活用の現状」なのですが、実は私はこういう考え方を持っております。
日本の社会福祉士、社会福祉人材の養成は、国立大学というよりもむしろ心のあります私学を中心として明治以降、養成をしてきたわけでありまして、とりわけ士士法ができまして以降も、この私立を中心とした設立理念のもとに国策としての士士法に基づき、大学等、養成校等、頑張ってきている状況だと思います。
例えば、学生や親は授業料を払っておりますし、福祉職に就こうという期待を持って入学をし、勉学に励んできております。
養成校は私も40年人材養成をしておりますけれども、とりわけ平成21年、今、武内室長から御説明ございましたように、新しいカリキュラムのシラバスにのっとり、心を込めて教育させていただいております。
また、国民は税を払い、この混迷します生活状況、自立支援法に見られますように、国もいろいろ考えておられるわけですけれども、子育て、少子高齢化に伴います認知症問題も含め、1つ1つは取り上げることはできませんが、そういうことに関して、福祉人材を配置してほしいという期待と国民は持っております。そういうこの投資とか期待とか、そういうものに見合った、社会福祉の任用・活用が進んでいるだろうかというと、どうも進んでいないのではないかと、厳しい言い方ではございますが認識をしているわけでございます。
先ほど御説明がございましたように、社会福祉士の役割あるいは方向性、これは本当にこのとおりですし、私どももつくってきたことでございます。しかし、そもそも実効性のある方策が講じられているかといえば、残念ながら任用・活用に関する政策と、私どもは人材養成をしておりますが、入り口の人材養成、そして出口、事業主さんによります雇用との間で、どうも認識のずれであったり、施策のずれであったり、要するにずれがあるのではないかと思っております。それぞれが努力をしているのにもかかわらず、効果が出ないというところに課題が多くあるのではないかと思っております。
それでは、社会福祉士の任用・活動の拡大に向けて、どのような取り組みが必要かということを考えたいと思うのですけれども、前提として、私は、平成19年に改正されました福祉人材確保指針、これはとても大事にしております。これはとてもいい指針をつくっていただいたわけであります。
お手元の資料の2ページにありますように、①から⑤、1つずつ説明いたしませんが、赤いところを少し目で追っていただきますと、やはり介護福祉士や社会福祉士等の普及を図るとともに、これらの有資格者等の促進を図ることと言っていただいておりますし、また平成19年改正の社会福祉士及び介護福祉法の審議過程におきます国会附帯決議では、社会福祉士の任用・活動の拡大について、このように書いてございまして、都道府県及び市区町村の福祉に関する事務所職員への社会福祉士の登用の促進策のあり方について、十分検討すること。
また、社会福祉施設の長、生活指導員等についても、社会福祉士の任用を促進するよう周知徹底を図ることと言っていただいております。さらにというふうに司法・教育・労働・保健医療等の分野における社会福祉的課題の重要性に鑑み、これらの分野への職域拡大、こういうふうに附帯決議をしていただいているわけです。
私は、国会の附帯決議というのはとても重要な意味を持っていると承知しておりまして、6年以上が経過しました今日、結果はどうなっているかと思いますと。
3ページです。
なかなか厳しい状況がございまして、私どもも同年の社会福祉士及び介護福祉法改正に伴って、養成校協会としましても、養成校協会は御承知のように大学だけではございません。いわゆる養成校の、今、270弱が構成員としておりますけれども、教育内容を見直し、16ページに一覧表もつけております。先ほど御説明にもございましたけれども、新しいカリキュラムで19科目、これはとても大変なことでございます。これを丁寧に教育をいたしまして、赤いところの10とか18、19等教育をしてまいりました。その結果、先ほど御説明ございましたように、保健医療サービスという新設科目には、診療報酬による加算もつけ加えられましたし、更生保護制度とか、それは法務省関係がいろいろ任用要件につけてくださいました。
地方におけますと、昨日、大阪地裁は社会福祉士をいわゆるアドバイザーとして採用するということも御報告ございました。スクールソーシャルワークに関しては、文部科学省、内閣府がスクールソーシャルワーカーの配置を増員しようという形で、残念なのは、就労支援サービスの新設をしていただき、労働分野、生活困窮者自立支援事業における就労支援に社会福祉士を想定できなかったということ。これは、先ほど御説明ございましたけれども、新しく厚労省としても、今日の状況に鑑みてつくりました政策を私ども教育の中身からしましても、全く新しいカリキュラムと完全に合致している唯一の国家資格と言えると思います。
まさに、主任相談支援員には、1つの要件として、社会福祉士が記載されていますものの、相談支援、就労支援員の配置には、社会福祉士が想定されておりません。今回、非常に強調点はやはり今の制度、平成27年から全国で展開しようとしているものに社会福祉士が想定されなかったのはなぜかと、このあたりが非常に疑問に思っているところでございます。もちろん、主任相談支援員には書いてございますけれども、今、4ページに入っております。
私ども養成校協会は、政策の流れに沿って、教育課程を見直してまいりました。新カリキュラムによる養成を行ってまいりましたが、実質的な任用の促進が図られていない、とりわけ一貫して主張してまいりました社会福祉主事との併記になっているということから、実質的にいわゆる「三科目主事」と言われておりますけれども、そういう条件がある限り、社会福祉士が任用される状況とは残念ながらなっていない。この現実をきっちり直視をしていただきまして、結果として社会福祉士は活用配置されない資格という疑念、これは、今、優秀な学生の間では、そういう言い方が蔓延してまいりまして、福祉の仕事に就きたいのに、誰でもいい仕事、志のあるボランタリーな仕事ということになりますと、魅力がなくなる、福祉の仕事に就かなくなるという悪循環になってきて、そもそも福祉介護人材の確保が極めて困難な状況の中で、国を含めた福祉に関する業界全体が中長期的な人材確保の方策を含めて検討すべき時期、それでこの検討会もできたのだと推察するわけですけれども、そういう意味で、業界内で矛盾を生み出すのではなく、社会福祉士を目指す者を初め、福祉介護人材をほかに流出させていることになっているのではないか。
ですから、この人材を安定的に確保する。このためには、この極めて大きなイメージダウン、支障を来している結果として国民の福祉の向上を大きく損なうことになるのではないかという危惧を持っているわけです。
最後になりますが、そうしたら、必要な取り組みは何かということなのですが、私は、4点を挙げています。
5ページでございます。
やはり福祉・介護に関係する業界全体の構造的問題もあろうかと思いますので、業界が総力を挙げて取り組むべきだと考えております。
短期はもとより、中長期視点で、検討の場を継続的に設けていただき、利害がございます。しかし、組織、団体間の利害を超えて、協働によるスケールメリットを生かしながら、困難を乗り越えるべきだと考えております。
3点目には、こういう課題認識から私ども福祉人材は、とりわけ社会福祉士の配置、任用・活用等に係る検討会は、きょう1回、10分だけ上野谷がしゃべらせていただいても、なかなか辛いものがございまして、解決できる課題について、全てお話しすることはできません。誤解も生むかもしれません。ですから、改めてその時間を設けて検討を行うべきだと思いますし、行わさせていただきたい。これは切にお願いをしたいと思っております。
最後に、やはり私どもも反省すべき点は多々ございましょう。ですから、雇用側から、そして教育をしている者から、今、社福協としまして全数調査、さまざまな調査をさせていただいております。そういう意味で、教育内容をさらに強化する方策を検討した上で、任用・活用の実効性を高めるべきだと思っております。
最後の最後ですけれども、私、今、政府において、女性の活用を図るという強い意思で政策を展開されている。非常に積極的に応援をしたいと思っております。まさに養成校入学者は女性が多いわけで、社会福祉士というものは女性が多いわけですけれども、この社会福祉士の任用活用の拡大は、まさに女性の安定的かつ継続的な活躍する場を広げることにもつながろうと、このように考えております。どうぞ、委員の皆様方におかれましては、社会福祉士国家資格の任用・活用の拡大に向けて、少し視点も大きく考えて、中長期的に女性の活用する場という意味からも、もちろん専門職を活用していただくことが国民にとってとても重要なことでございますので、議論を深めていただきましたら幸いでございます。
どうもありがとうございました。
 
○田中座長 上野谷さんありがとうございました。
続いて、大嶋さん、よろしくお願いいたします。
 
○大嶋構成員 日本社会福祉教育学校連盟会長の大嶋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
このたびは臨時委員として発言の機会を与えていただきまして、どうもありがとうございました。
私は、先ほど御紹介いただきました専門職大学院、社会福祉領域では唯一私が所属しております日本社会事業大学という大学が持っておりますが、そこの学長を務めております。 本学は、生涯にわたるソーシャルワーク人材の育成、生涯にわたるキャリア形成ということを目標にしておりまして、そういう観点も含めながら発言をさせていただければと思っております。
資料は、上野谷構成員のような膨大な資料ではございませんで、簡潔なポイントを絞ったものでございますが、生涯にわたってキャリア形成をする力量のあるソーシャルワーク人材の養成と、そういう人材だからこそ任用の拡大ができるという観点で、現在の教育の中の課題のようなことも少し触れさせていただき、その上で任用拡大ができる領域について改めて考えさせていただければと考えております。
資料の最初は、私が所属しております一般社団法人日本社会福祉教育学校連盟の紹介のようなことでございますが、私どもは社会福祉の領域の中心的な学会であります日本社会福祉学会とルーツを同じにしておりまして、昭和30年にその学会から分離・独立をして創設された団体でございます。
その後、財団法人、一般社団となっておりますけれども、一貫して社会福祉学の教育の質の向上ということをうたってまいりました。事業としても、そのための事業を位置づけてまいりまして、特に、特筆すべきことは、入会に当たりまして、入会審査をしておりまして、アクレディテーションというのでしょうか、認証というのでしょうか、150校が認証されておりますけれども、社会福祉教育に基づくソーシャルワーク教育ということでございまして、そういう視点の一定の質の担保された学校に加盟していただくということで取り組んでまいりました。
また、教育の質につきましても、文科省のほうで進めてまいりましたコア・カリキュラムということも射程に入れて、教育の質の担保のために分野別の質の担保をするということで、モデル的なコア・カリキュラムを提示してきたところでございます。
これは総合いたしますと、太い文字で書いてございますけれども、世界標準のソーシャルワーク専門教育の養成、教育、質の担保を目指してきたということでございます。
世界のソーシャルワークの位置づけについてはどうなのかということでございますけれども、ことしの7月にメルボルンの世界大会がございまして、その中でグローバル定義の改定がございました。その中でソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、及び人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問であるということを言っているわけでございます。現在、社会福祉士というのは、相談援助を中心とした専門職ということでございますが、より射程の広い位置づけをしているわけでございます。それも加えて、実践に基づいて、射程の広いマクロの部分、社会開発、社会変革、社会結束を強める。そういうことをうたっているわけでございます。
まとめて言いますと、その太い字でございますけれども、相談援助など直接支援はもちろんベースになるものでございますが、社会変革や社会開発の促進というマクロレベルの社会環境の変革をも、実践に基づいて行う専門職であるという位置づけがされているわけでございます。
日本の中では、特に、実践に基づくというところは十分にされているわけでございますが、それをマクロの部分につなげていく部分、そこの特に方法論をより強化していく必要があると考えるわけでございます。
そういうことを踏まえまして、私、昨年度から会長になったわけでございますが、ホームページの中で以下のようなことを宣言しております。学校連盟は、さまざまな日本の中には解決しなければいけない福祉問題が山積しております。そこの中に、ソーシャルワーク人材がしっかりコミットできているかどうか、コミットしなければいけないというわけでございます。そのために、有効な手立てを考慮・検討・勘案できる有能で力量ある福祉人材を育成する必要がある。そして、そのような人材は、17、18で福祉系大学に入学し、4年間勉強する間、短大で2年間勉強するぐらいでは、必ずしも十分その質は身につかないという観点に立って、その後も継続して障害にわたって、質、力量を高めるということが求められることを言っているわけでございます。
次のページでございますが、まとめて言うと、マクロ実践ソーシャルワークにおける確かな専門的方法論を持つことができる人材。問題解決のために、生涯にわたって資質と力量を向上できる人材育成システムが必要であるということでございます。
そのために、質の高いソーシャルワーク育成のために専門教育で何が必要なのかということでございますが、相談援助の部分はかなり平成19年の改正の中で重視されて、実践力を高めることができるようになったかと思いますが、それをソーシャルな部分にブリッジする方法論でございますね。それも実践に基づいて有効な実践モデルをつくり上げていく。NHKのドラマでサイレント・プアというものが、ソーシャルワーカーのドラマとしては私の記憶の範囲では初めてかと思いますが、ございましたが、深田恭子さんが主演する番組の中で、さまざまな制度の狭間に落ち込んだ問題を解決していくということをしているわけでございますけれども、例えばごみ屋敷の問題をモデル化して全国に普及するということを実践に根差して行う。そういうことをできる人材というのは、まさに必要とされていると思います。
実践に基づく有効な支援モデルの開発・構築、実践に基づく有効な制度・施策の開発・構築ということこそを大切なことだろうと思っております。利用者中心の福祉サービスのマネジメントというものももう一つ重要なことでございます。
そのための方法論をしっかり身につけていくこと。お隣の韓国では「プログラム開発と評価」という科目が国試科目に入っておりますけれども、プログラム評価という方法論はこの福祉の領域のまさにマクロにつなぐ方法論として、きちんと身につけていかなければいけないものと考えております。
その延長線で、医療領域などで、今、中心的な方法論でございますEBM、エビデンスベースドメディスン、これが福祉領域ではEBSW、エビデンスベースドソーシャルワークあるいはエビデンスベースドプラクティス、EBPと申しますが、実践に根差して根拠のあるものをつくり上げていくということは、今、世界標準で考えると当たり前のことになっております。制度、施策というものは、問題を解決して初めて役に立つ、それは実践から発してそういうものをつくり上げていくということが必要なことになっているわけでございます。 そういうことができる人材を育てていく、このことについては、精神保健領域では、とても実績が上がっていて、精神保健福祉教育とも連携しながら、一体となって人材の育成、同じソーシャルワーク人材でございますので、人材の育成を図っていく必要があると考えているわけでございます。
その中で、先ほど御紹介いただきました認定社会福祉士の制度ができました。とても期待しております。大学院教育の中で、それをしっかり位置づけ、今、申し上げましたようなマクロ実践もできるような人材を育成していく、そういうことが求められていると思います。
3でございますが、資質の高いソーシャルワーク人材に対する社会的期待と任用拡大についてということでございますが、これは未解決の福祉問題というものが山積しております。他領域の皆さん方が生活困窮者の支援の領域でも多く入ってきて、有効なモデルを開発し、それが制度化されているという状況がございます。
ソーシャルワーク人材は、実践を持っているわけでございますが、もっと制度の狭間の問題をモデル化して、きちんと位置づけていくことができる存在だと思います。
地方行政の中では、私、ある政令市の審議会の会長をしておりますけれども、ワーカーとして行政に勤めていると、そういうことができる、1人で1つの課題を解決できる立場を与えられております。ところが、それを解決する手立てが十分に、方法論を必ずしも身につけているわけではないために、なかなかそれが前に進まないということを目の当たりにしております。そういう方法論をしっかり身につけておくことによって、おそらく地方行政の中で任用の拡大がより進んでいくと思われます。
また、民間、地域福祉領域の中でも、先ほど来御紹介いただいております生活困窮者自立支援、児童虐待などの児童の問題、子どもの貧困の問題、地域包括ケア、他職種連携の問題、障害者就労支援、ソーシャルワーク、更生保護、司法ソーシャルワーク、それらの領域、さまざまな課題があるわけですが、そこに有効な処方箋を出していく人材が、先ほど提案させていただいた方法を用いることによって、実現できるのではないか、任用拡大につながっていくのではないかと思います。
最後に、私どもの取り組みとして、次のページに効果的な福祉実践のためにソーシャルワーカーができること、すべきことが書いておりまして、根拠に基づく支援環境開発と現場変革の方策ということでございますが、そこに書いてありますように、実践に根差してモデルをつくっていくという取り組みを実現できるような、そういうことを含めたマクロなソーシャルワークができる人材をぜひ育成していく必要があると思いますし、このことにつきましては、この10分間ぐらいで、今、お話をさせていただきましたが、また継続して議論させていただく機会をいただければ幸いでございます。
どうもありがとうございました。
 
○田中座長 大嶋さん、ありがとうございました。
前半の最後になりますが、松山さん、よろしくお願いいたします。
 
○松山構成員 社会福祉士登録番号00547番の松山でございます。
今回は、職能団体として、こういった発言の機会等を得られまして、感謝申し上げます。
本来であれば、私どもの会長、鎌倉が話すところでございますが、副会長の松山が代わって行います。
平成元年に第1回の社会福祉士国家試験が行われて、ことしの1月に第26回が行われました。法律は昭和62年にできていますが、19年に大きな改正があります。この間、社会福祉士が全国で約17万人、私ども職能団体も約4万人弱が構成しています。そのような中で、きょう特にお話ししたいのは、結論から言いますと2点。
1つは、社会福祉士の任用の範囲を拡大していただきたい。あるいは拡大していくという方向性でございます。今までのお話の中で、武内室長さんや上野谷先生、大嶋学長の話と大分重なるかもしれませんが、少なくとも私どもはジェネリックなソーシャルワーク機能を持っている職能団体、会員がそのような会員だと思っています。厚生労働省の範囲内だけでなく文科省、法務省の管内にも、ソーシャルワーク機能が求められて、実際にさまざまなところで会員が従事しているのも事実でございます。こういった部分をさらに拡大していきたい、あるいは拡大していくことに御理解いただきたい。これが1点目です。
2点目は、私ども社会福祉士を持つ者の力量を担保し、質の向上にやはり働きかけていかなければならないだろうと、そのためにどのような方策があるか、これらも検討していきたい。この2点に尽きます。
社会福祉士は、国家試験に合格する。これはいわばスタート地点に立つことであって、そこから生涯研修であったり、さまざまな実践を通しながら、よりゴールに向かっていく、より専門性を高めていく、そのようなものだと私は理解しています。そういう前提で、資料を用意しておりますので、時間の範囲内で確認していきたいと思います。
2ページ目の「意見提案の視点」ということで、先ほどのさまざまな方からの御発言にも重なりますが、実際に、今、求められているさまざまな機能の中で、社会福祉士がどのように位置づけられていくのだろうかということを全体的に見ていきたいと思います。
3ページ目、「定義」は先ほど武内室長からありましたので、省略いたします。また、その下の「期待される役割」、平成18年の社会保障審議会の福祉部会で論議されていたみずから解決する役割、つなぐ役割、地域の福祉化のために組織化する役割、この3つに収れんさせていただいた。これは非常に私ども職能団体としても意義があります。これに向かって進めていくという考えでございます。
次のページに行きますと「社会福祉士の役割」の中で、日総研とか、私どもの会でいろいろな考え方を整理しています。その中で、特にこれを引き合いに出したのは、私ども社会福祉がジェネリックな、例えば、障害であっても、子どもであっても、児童であっても、高齢であっても、さまざまな領域に横断的なそういった部分にかかわれる資格だよということは意識していただきたいなと思っています。
さらに一番下、包括的なアセスメントとかジェネリックなアプローチとか、マネジメントの視座を持ったネットワーク構築、これらはまさしく福祉課題が錯綜する中で、新たな福祉困難課題が出てくる中で、こういった機能を果たしていかなければならないのだろうと思われます。
次のページに行きます。実際に社会福祉士の配置状況です。これも先ほど武内室長さんから資料にもありましたが、例えば、私どもの会員で、一番多く所属するのが、特別養護老人ホームの生活相談員です。
生活相談員は、私ども中でも一番多いのですけれども、しかし、全国の特別養護老人ホームの生活相談員で、社会福祉の資格を有する者。そこにあるように、若干ふえましたが、まだ3分の1弱でございます。介護老人保健施設のほうがまだ多いということになります。 非常にまだまだ少ないという事情がわかるかと思います。
福祉分野以外では、そこにありますように、例えば、スクールソーシャルワーカーで、43.7%と多ございますが、しかし、スクールソーシャルワーカーは実態からすると、嘱託とか非常勤とか、そういう意味では、待遇面が非常にまだ不安定だというのが実情です。
司法関係は、いろいろなところで雇用が進んでいます。そこにありますように、本年4月から全国の10の大きな刑務所及び医療刑務所で社会福祉士の福祉専門官というふうな配置も出てきていますし、あと京都地検とか大阪地検では7名ほど、これも非常勤ではありますが社会福祉士が雇用されている。むしろ、さまざまな領域でソーシャルワーク機能が求められているということは、この実態にあろうかと思います。
次のページに行きまして「自治体における配置状況」でございます。実際に明石市からの資料をいただいて、その中で見させていただきますと、5万人以上の市では、3分の1が社会福祉士を1名以上採用していると。配属先は見てのとおりです。
このように自治体が社会福祉士を雇用する、配属するということで、どのようなメリットがあるのかということで、コメントをいただいたのも頂戴しております。
それが次のページです。特にメリットとしては、即戦力になる。迅速かつ的確に対応できる。あるいは来庁が困難な世帯への訪問相談、いわばアウトリーチ、こちらから出向いて行って支援している、こういった機能も求められてきているということになります。
次のページ、社会福祉士の配置における課題ということで、特に、施設等で生活相談員が社会福祉士の資格を持っているという部分が全体的にはまだ少のうございますが、そのように置かれているのは、まさしくゼネラルな特定の分野だけではなく、ゼネラルな視点を持って臨めるからだということは改めて認識する必要があるのだろうなと思います。
また、生活困窮者自立支援法の扱いについては、先ほど上野谷先生からもお話がありましたので、一部は省略しますけれども、いずれにしてもまだまだ少ない。さらに障害分野のサービス管理者等々は、講習で済ませているという部分ではちょっと忸怩たるものがございます。実際に、私ども会員で、非常に多岐にわたっているそれがある意味では特色であり、それはとりもなおさずジェネリックな資格だということになろうかなと思います。
ちなみに、一番多いのが、施設の相談員等で、次が医療器課、さらに例えば地域包括支援センターであったり、あるいは障害関係の施設であったり、さまざまなところにいるのがジェネリックだという証になろうかと思います。
次のページに行きますと、福祉の配置における課題ということで、新たな社会福祉の考え方の1つの中で、地域放包括ケアという考えがございます。そういった部分を機能させていくためにも、あるいは今、社会保障審議会の福祉部会で議論されている社会福祉法人のあり方、社会福祉法人が積極的に地域の貢献活動を行っていく、その中では当然のようにジェネリックな視点が必要になってきます。こういった分野にも活用していくことが望まれていると思います。
実際に、一番下に社会福祉登録は17万人いますけれども、果たして17万人が全員社会福祉関係で働いているのだろうか。先ほどお話があったように、なかなか雇用についての理解が得られない、だから、あえて社会福祉関係で従事しないとしたら、それまで養成して、それらの力量のある者が非常にむだになってきます。実際に養成校の卒業時の就職等々の状況からすると、おそらく40%どころかかなり低いパーセントになるのではないかと思われます。
次のページ、このように社会福祉士の配置がなかなか進まない、いわば悪循環を期待しているのではなかろうか。例えば、自治体が社会福祉士を配置したくても集まらない。それは、資格を持たない者であっても講習会等を受講した者であればよいと。そのことで自治体もしくは事業実施者は、有資格者を採用する必要性が低くなるため、資質面、待遇面で安易になる懸念がある。そのことによって、その事業に就くことの動機が低下することが懸念されるのではなかろうか。そのことは、とりもなおさず、また自治体等につながっていくのではなかろうかという懸念でございます。
さらに次のページに行きます。国家資格を持って、さらに高い専門性を身につけていく必要があろいうという意味では、今回は、生涯研修制度を改定し、合わせて認定社会福祉制度が創設されたのに合わせ、それらに向けて促しているところでございます。実際に具体的な数字は、一番下のところにございます。
さらに次のページに行きます。社会福祉士の実践力向上における課題ということの中で、やはり実践力を高めていくためには、私どもが会員に課せる、あるいは社会福祉士に課せる生涯研修や認定社会福祉士制度に参加する比率を高めることについて、理解を得られるように促していきたい。
また、そのうちの1つとして、例えばスーパービジョンをなかなか受けていられない。特に一人職場等は、非常に機会が限られてくる。しかし、スーパービジョンを受けた者に関しては、その有効性がほぼ全員が非常に有効であったものもございます。これらも研修の意義と言うことができると思います。
次のページに行きまして、福祉人材確保に関する意見ということで、社会福祉士を採用している自治体に見られるように、採用することのメリット、効果、こういった部分をはっきり意識していただきたい。また、社会福祉士が有効な社会資源だと、これを活用し、この国の福祉の総体が向上していくことが求められてきます。
3番のジェネラリストというのは、先ほど言ったとおりです。
また、社会福祉士が制度で位置づけられることによって待遇的な改善とか、正職員化をしていく、そして安定的な就労を支援していくことも必要になってくると思います。
さらに、次のページでは、先ほど言った一人職場等で、なかなかキャリアアップに結びつけていくことが難しい、そういう意味では、研修関係が一つの資質向上のメルクマールとなるような、指標となるような働きかけも一方でしていかなければならないと思います。
まとめの中で挙げています。職能団体としての社会福祉士会、それは、ある意味では関係機関や関係団体等々への広報とか働きかけをしていく、これは職能団体としても責務であります。そういう意味では、こういった機会をいただいて、ぜひ皆さん方にも御理解いただくような機会を今後ともいただきたいと考えています。
一方、外に向かってお願いするだけではなく、私どもが私どもの会員あるいは社会福祉士の力量を高めていくための研修であったり、仕組み、こちらもあわせて充実させていかなければならない。この両者が両輪となって、この社会福祉士がより実践力を高め、より国民の付託に応え、さらにこの国の福祉の質と総量が上がるものだと強く確信しているところでございます。
発言の機会をいただきまして、ありがとうございました。
 
○田中座長 松山さんありがとうございました、お三方とも時間を守っていただいて助かりました。お三方とも大変説得力のある論理的な意見を頂戴したものを思います。
では、ただいまの事務局からの説明並びにお三方からの報告も踏まえて、我々全員で討議をいたしましょう。
どうぞ、どなたでもお願いします。
平川さん、お願いします。
 
○平川委員 ありがとうございます。
1点ちょっと事務局のほうに質問がございまして、11ページの「福祉事務所における社会福祉士の任用状況」ですけれども、生活保護法担当現業員を中心に、徐々にふえているという状況でありますが、例えば、正規職員か非正規職員の区別がわかれば教えていただきたいと思います。
あとは意見でございます。事務局の資料で8ページに「社会福祉士が任用要件として定められている主な職種」ということでございまして、私も社会福祉士会初め、今、発表された方々の意見の中で、やはり社会福祉士という大変高度な専門職であるにもかかわらず、特に行政機関に十分配置されていないという問題意識を強く持っています。このミスマッチをどう解決していくのかというのは、中長期的になりますけれども、解決していかなければならない課題と考えているところであります。
福祉事務所の現場に行きますと、本当に2年か3年ぐらいで人事異動し、やっとようやく仕事を覚えたかなと思ったら、例えば水道課に異動してしまうとか、あとは査察指導員も場合によっては全く未経験の方が査察指導員をやるという実態は、やはり何とかしなければならないと考えています。
特に、福祉事務所というか、生活保護法担当現業員は、生活保護制度というのは他法活用が基本でありますので、他法活用ということは、ほかの社会福祉制度を全て知った上で生活保護の仕事をするというのが基本だと考えていますが、残念ながら、実態としてはなかなかそこからほど遠いのが現状ではないかなと思います、
そういった意味で、何とかこの福祉事務所、児童相談所の専門性を高くするということから、社会福祉士がいかに任用されていくべきなのかというのを考えていかなければならないと思っています。
そういった意味で、これを厚生労働省に対していろいろお願いしても、なかなかちょっと実現が厳しいのではないかとはっきり言って思います。地方団体というか、知事会、市長会、町村会に対しても、御理解を得るような努力をしているのかどうかというのを、後で教えていただければと思っています。
率直に言って、地方自治体もこういう人たちを配置すれば、本当に極めて有効に活用されて、効果的だというのは私も聞いておりますけれども、やはり総合的な人事体制、人事政策であったり、定数管理が厳しかったりということでなかなか叶わないという実態、一方で自治体の大変厳しい実態もありますので、そこを乗り越えていくために、どう対策を打っていくのかという観点が必要ではないかと考えているところでございます。
あと、一つ質問があります。これから、生活困窮者支援とか、さまざまな課題が多くなってくるのかなと思っています。コミュニティーソーシャルワーカーとか、そういう新しい概念も入りましたし、伴走型支援ということもこれから必要になってくると思いますが、そういう観点から言うと、養成の課程で実践的な経験というものをどうやってつくっていくかというのが大きな課題かと思います。
4年間で全てができるとも思いませんけれども、やはりそういう個別的な支援というのが、本当にこれから重要になってくるかと思いますので、養成課程でそれをどうやって課題として位置づけているのかお聞きしたいと考えているところでございます。
以上です。
 
○田中座長 後段の質問はどなたに対する質問ですか。
 
○平川構成員 後段の質問は上野谷先生もしくは鎌倉先生にお願いしたいと思います。
鎌倉先生、済みません。
 
○田中座長 事務局からまずお答えください。
 
○武内室長 ありがとうございます。
御質問いただいた資料11ページのデータにつきましては、今、手元には正規・非正規のデータはちょっと持ち合わせておりません。ただし、御指摘をいただいた内容ですので、そういったデータが入手可能かどうかも含めて確認をしまして、また別途委員の皆様にお知らせいたします。
 
○田中座長 上野谷さん、お答えいただけますか。
 
○上野谷構成員 知事とか市町村長に対して、私どもと連盟も一緒に入ったかどうか、ちょっと記憶が定かでございませんけれども、職域拡大のお願いと、そういう意味では、自治体に対しての働きかけをしております。
それともう一つ、養成なのですが、ここがとても難しくて、実習と演習とで、この一定の時間の中で資質を伸ばすことをやっております。そのために、教員は1週間に1回は現地を訪問し、指導するということですので、夏休みなどありませんので、なかなか大変な状況ですけれども、今の段階では、実習先の方々も研修をしていただいて、これは社会福祉士会がやっていただいているわけですけれども、両方が連携しながら教員養成は社養協のほうでやらせていただく、そして現場のほうは社士会がやっていただくという形で連携をしながら、実践力のある養成をすると。まだまだ時間が足りないとは思っておりますけれども、そういうことも含めて御指摘を今後いただければ幸いでございます。
 
○松山構成員 まず、任用の要件拡大というのは、職能団体として、やはりいろいろなところにアピールしていかなければならないのだろうなということは考えています。
それよりも、むしろ後段の質問ですね。実践力を高めていく、実際に社会福祉士は、今まで26回国家試験を行っていますが、過去の平均合格率が30%を割っています。非常に難しい試験だと言われていますが、そういう意味では、ただ30%を超えたからそれで実践力があるかといったら、その辺は理解力があったとしても、実践できない。これでは意味がありませんから、実践力をどうやって高めていくか、今、上野谷先生からもおっしゃられたように、特に実習教育の中では連携していますけれども、今までも社養協、上野谷先生がいる立場の社養協とか、あるいは社会教育学校連盟と連携しながら、今までもいろいろな事業をやってきたりしてきていますから、そういった連携を高めながら、いわば社会福祉が学校が養成機関が社会福祉士をいわば卵からひよこになって、そしてそのひよこをさらにたくましく親鳥にさせていく、これらは、社養協や学校連盟と連携しながらしていく、その一番端的なものが、今、先生おっしゃったように、実習教育の中での連携ということで、非常に実効性が高まってきています。これらはさらに進めていこうと考えています。
 
○田中座長 よろしいですか。
井上さん、学長への反論ではないですか。
 
○井上構成員 違います。とてもそんなことをする大それた気持ちはございませんので。
御説明を3人の先生方、ありがとうございました。
まず一つ、介護の分野をずっとやってきましたけれども、介護の分野については、働く人がいないということを話題にしていましたけれども、社会福祉の分野では、働く場がないということが非常に大きな問題になっているのだなということをまず認識しました。
あとお話を聞いている中で、そもそも人が配置されていないのか、配置はされているけれども、社会福祉士が任用されていないのか、そこでの待遇はどうなっているのかという3つぐらいの課題があると理解しました。
それも専門分野によって大分状態が違っているということも、今、お話を聞いて理解をしました。
そうなると、山田構成員がずっとおっしゃっていましたけれども、介護人材と一くくりに言うのはやめましょうとおっしゃられたのと同じように、社会福祉人材に一くくりにするのは少し難しいところになっているなと思いますので、もう少し別の場できちんとした議論が必要なのではないかと思いました。
あともう一つは、介護分野のところで、生活相談員として、社会福祉の方がたくさん登用されているということを理解しました。この部分は、介護を仕事とさせていただいている者としては、ソーシャルワークの力とケアワークの力量と両方を持っている方というのがやはりこれからの介護事業所の中では非常に中核的な人材になってくると私自身は感じていますので、そうなりますと、介護の人材のところと社会福祉の人材のところと、両方合わせてカリキュラムを含めて、もう一度検討が必要なのではないかなと感じたところです。
皆さん方からも御意見をいただきたいと思っています。
ありがとうございます。
 
○田中座長 ありがとうございました。
佐藤さん。
 
○佐藤構成員 今の御意見を聞いていまして、私ども民間事業者の立場で、やはり社会福祉士に対する認識というのは、非常に偏ったものがあるというのが事実かなと思いました。
23ページの論点のところから少し意見を述べさせていただきたいと思うのですが、やはり非常にリーチをされているエリアが非常に広いというところが、こういう問題提起をお示しになったのかなと感じますが、今までの介護人材の場合は、やはり量と質ということが非常に大きなテーマでありましたが、今回お示しいただいた部分というのは、やはり質にかかわる部分が非常に多いということと、領域が非常に広範囲の中で我々民間事業者としては、高齢者対応というところについてだけ私は意見をちょっと述べさせていただきたいと思うのですが、やはり社会福祉士については、必置条件設定が地域包括ケアセンターというところが必置になっているという意味で、やはり高齢者の分野では地域においてさまざまに活躍される機会があるだろうと認識しております。
それから、今回の制度改正の中にありますように、オレンジプランに代表されるような、認知症の初期集中支援チームの構成員であるとか、あるいは認知症の地域支援推進員としての役割であるとか、そういうところに新たな分野となるような地域支援事業の生活支援のコーディネーターであるとか、そういうところに非常に力を発揮される期待が私はあるなということをきょうの御説明と資料から認知いたしました。
また、そういう意味でも、やはり民間事業者からは、狭義の福祉であるとか、領域にとどまらない、介護の領域だけにとどまらない、やはりソーシャルワークの機能を駆使していただくようなそういうコントリビューションが地域の中で私どもの事業者の一員として活躍いただける、そういうことがあるように非常に痛感しました。
そういう意味で、制度上のそういう対応ができるような非常に広い領域で大変だと思いますが、カリキュラムの設定であるとか、改正等々が必要ではないかなということを非常に痛感したというところであります。
ありがとうございました。
 
○田中座長 ありがとうございました。
白江さん、お願いします。
 
○白江構成員 全国身体障害者施設協議会の白江と申します。
もう既にお2人からお話が出たので、重ねてのお話になってしまいますが、私も全く同感でして、最近は介護人材は非常に少ないのですけれども、その中でも社会福祉士と介護福祉士、さらにはケアマネジャーの資格を持って介護人材として雇い入れるというケースがふえてきております。
たまたま社会福祉士として働く場がないので、介護人材として入ってくるというケースの方もいるのですが、けがの功名という言い方がいいかどうかはあれなのですが、私ども相談支援事業所を4カ所持っているのですが、そうやって育ってきた介護人材を相談支援員として配置したら、非常に力を発揮するといいますか、ソーシャルワーク力という言葉が、今、使われておりますが、それを持った介護人材、それが相談支援員に入るということの意味というのは、非常に経験的に、今、感じておりまして、先ほど来お話ししましたカリキュラムの中に、例えば実習、それは何時間も難しいかもしれませんが、いろいろな現場に御本人の選択という点もあるかと思いますが、経験をして、勉強してくるというようなことも少なくともあっていいのかなと感じでおります。
 
○田中座長 ありがとうございます。
後藤さん、お願いします。
 
○後藤構成員 高橋理事長のほうがきょうは所用で不在でございまして、福祉高校の立場というところと、それから福祉高校にとらわれずに高校の立場というところでちょっとお話をさせていただければと思います。
先ほど、三方の先生方のお話をいただきまして、本当に、今、学校で必要としているもの、そのあたりのところを整理されてお話をしていただきまして、本当にありがとうございました。実際に高校現場、これはおそらく中学校もそうだと思いますけれども、生徒がどいの学校でも、どのレベルの学校でも、非常に心の病が起きていたりということが非常にふえています。その原因が、やはり家庭あるいはそれを取り巻く環境にあるというのがほとんどです。
そのときに、やはり学校のほうでは、児童相談所のほうに相談をするという形でやる場合もありますけれども、今、この社会福祉士がスクールソーシャルワーカーという立場で文科省も20年度からそういうような組織づくりを始めさせていただいておりますが、実際、今、現場のほうでは、なかなかスクールソーシャルワーカーまでの派遣というものができておりません。
今、学校が大体頼れるところが、学校カウンセラーというところでございます。
この学校カウンセラーを導入することによって、かなり生徒のほうの心の不安というものも解消されたわけですが、根本の原因解消にはなっていないのです。そこで必要になってくるのが、生徒の環境とかかわれる立場の人なのです。それがまさにこの社会福祉士に求められているものではないかなと思います。
ですので、資格を持って、そしてこれが公共の自治体の等の関係で、ある程度の立場をもって、家庭に入り込めるような、そういうようなものの人材バンク的なものの設立ができれば、この人材雇用の関係からも、かなり有益ではないのかなと、これは高校教員の立場のほうからお願いしたいというところでございます。
以上です。
 
○田中座長 田中さん、どうぞ。
 
○田中構成員 私は士士法のもう一つの資格であります介護福祉士を養成しているという立場からお三方のお話をさせていただきます。大変、共有のできる部分がありまして、私たち介護福祉士を養成する側もいろいろなお教えを受けたと思って感謝申し上げます。
私は2点のところで共有したいなと思っております。
1つは、勉強をして資格を取ったけれども、行き場所がないという指定席がないというところでございますね。これは要するに制度化が不十分だということだと思います。これは共感いたします。
2点目は、養成校、これは社会福祉士のほうはほとんど養成校を出られておりますので、そのときにやはりこれはキャリア形成ということを十分考えられておられて、実践力をつけるとか、エビデンスに基づく職業能力をつけるという、こういう形勢で来ているわけなのですけれども、一方で、先ほど民間の佐藤さんのほうから多少触れられましたけれども、それを受けとめるキャリアパスのほうがなかなか備わっていない。それはそういう養成側あるいはあそういう職能団体のほうが多少責任があるかもしれませんけれども、そこのところはもう少し現場に理解されるようなことが必要ではないかと思います。
しかしながら、本来ならば、これは必然的にそういうものができていくのが普通の業界のあり方だと思いますが、なかなかこの社会福祉の世界は、そういうことが当事者で育て上げていくということは大変難しゅうございます。
したがいまして、ここにはぜひとも国が介入していただいて、そこの整理をし、制度化をし、せっかくできたこの制度を発展させていくように、あるいは育てていくように何らかの施策をお願いしたいとこのように思っております。
 
○田中座長 西條さんお願いします。
 
○西條構成員 今日の発言は質問と紹介と意見という3部構成でやらせていただければと思います。まず、質問ですが、上野谷先生のお話にもございましたこれから女性の社会進出が非常に重要だと、私どももそう思っていまして、特に潜在的資格者の職域拡大といいますか、そういうものも考えております。現在の有資格者の男女比率というものがもし統計でありましたら、教えていただければと思います。
それから、きょうは自治体の採用拡大のお話をいただきましたので、ちょっと神奈川県の事例を御紹介させていただきたいのですけれども、神奈川県は福祉職という専門職という形で採用をさせていただいております。知事部局の行政職員、現在、7,061名のうち、福祉職は639名、1割弱が福祉職でございます。
受験資格といいますのは、批判もあるところですが、いわゆる三科目主事、それから厚労大臣が指定します養成機関、講習会の過程を修了した人、それから社会福祉士または精神保健福祉士となっております。
なぜ、このような受験資格となっておりますかということですが、職務の内容が県の場合いろいろな施設がございまして、児童福祉あるいは障害福祉施設も自前で持っておりますので、直接介助という仕事もある。主に採用されて、どういう分野に行くかといいますと、施設系分野、児童福祉施設とか障害福祉施設、児童相談所、一時保護所などに対しての自立支援、生活支援、それからソーシャルワーカー系分野としまして、保健福祉事務所で相談員をやるとか、児相ですね。それから行政系分野ということで、本庁で福祉施策の企画立案に当たると。それから心理系分野ということで、児相でアセスメント心理療法等を行う、この大きく4分野がありますので、採用も幅広くやらせていただいているという状況がございます。
3つ目の意見といいますか、おこがましいところなのですけれども、資料を見てのとおり、社会福祉士が就労する分野というのは、非常に高齢、障害分野の社会福祉施設というものに偏っているなという気がしています。
これからは、本県の平塚市が9月15日に成年後見推進センターというものも立ち上げたところなのですけれども、やはり地域福祉の分野でますます活躍の機会があるのかなと。その成年後見推進センターも社会福祉士の有資格者を採用しておりまして、さまざまなこれからの福祉の狭間の問題を中心に、いろいろなケースワークに当たるという職になっています。
ですので、社会福祉協議会もそうです。地域福祉分野での活躍の場を広がるように、私どもも市町村のほうへ積極的に働きかけてまいりたいなと思っております。
それから、資格の取得を促すには、資格は本人にとってもその採用する事業者にとってもインセンティブを与えるものとする必要があるなと思っています。
現行は介護福祉士と同様、御説明もございましたけれども、社会福祉士にも配置加算があります。事業者についても、高齢、障害を問わず、積極的に資格取得者を採用するあるいは、資格取得を促していくべきではないのかなと考えております。
さらに、平成「24年度に創設されたという認定社会福祉士、こちらについては、「配置加算がされているかどうかわからないのですけれども、今後、されるのであれば、さらなる社会福祉士以上に認定とつくからには、配置加算の上乗せが必要なのかなと、これは介護報酬、自立支援給付双方においてお願いしたいなと思っています。
こうした取り組みで、人材確保対策の一助となるのかなと考えております。
以上でございます。
 
○田中座長 紹介をありがとうございました。
男女比についてお答えください。
 
○武内室長 最初に御質問いただいた男女比率については、平成24年度の就労状況調査によりますと、平成24年度で男性が36.5%、女性が62.9%となっています。
以上です。
 
○田中座長 ありがとうございました。
まだ、御意見があるかもしれませんが、ここで一旦後段の障害福祉分野の人材確保に議題を移します。その後で御議論いただくときに、社会福祉士人材について触れていただいても構いません。
障害福祉分野の人材確保については、先ほどと同様、まず、事務局から資料を説明いただきます。続いて、障害福祉分野からの追加メンバーである叶様、菊地様、白江様、田中直樹様の4名よりそれぞれ10分程度御意見を頂戴します。その後、全体討議を行います。
事務局の田中課長、よろしくお願いします。
 
○田中課長 御紹介いただきました障害福祉課長の田中でございます。
私から障害福祉分野の人材確保ということで、お手元、資料2という資料がいっておると思いますが、この資料に基づきまして説明をさせていただきます。
2ページ、まず「障害福祉施策の動向」ということで、雑多な障害福祉分野の全体の概観をさせていただきたいと思います。
3ページ、障害者の数ということでお示しをさせていただいております。一定推計しますと、障害のある方の総数、787.9万人ということで、人口規模にしますと人口の6.2%ぐらいに相当いたします。
障害の種別ですと、身体障害、知的障害、精神障害ということになりますが、身体障害の方が393.7万人、知的障害の方が74.1万人、精神障害の方が320.1万人ということになってございまして、下の表で見ますと「在宅・施設別」ですと、在宅、通所の障害者は増加傾向になってございます。年齢別に見ますと、65歳未満と65歳以上で半々というようなものが障害者の数の全体の概観でございます。
4ページ、こういう障害のある方に対しての福祉、それから福祉サービスの施策でございますが、もともとは先ほどの障害の種別、身体、知的、精神と申し上げましたが、それぞれ個別の法律、障害種別ごとの法律をつくりまして、これに基づいて施策を進めてまいりましたが、平成15年の支援費制度ということで、身体障害と知的障害を一体的に扱うということになり、それから平成18年の障害者自立支援法の施行に伴いまして、この3障害を共通として対象とするという障害者のある方に対しての制度が一本化をされてございます。その間、やはり障害のある方が地域で普通の生活を送れるようにしようということを基本的な考え方として施策を進めていってございます。
現在は、この障害者自立支援法から障害者総合支援法ということで、改めましてこの法律に基づいてサービスを提供しているところでございます。
5ページ「地域社会における共生の実現に向けて」ということで、かなり長い題名が書いてございますけれども、ここの概要のところにありますように、この法律をもちまして、障害者自立支援法を障害者総合支援法ということで改めさせていただいております。
ここの概要3の「障害者の範囲」にございますが、先ほど身体・知的・精神と申し上げましたが、この障害者総合支援法になりまして、新たに障害者の範囲に一定の難病の方を加えるということで、障害者の範囲も拡大もここで図っておるところでございます。そういう制度が平成25年の4月1日からスタートをしているところでございます。
6ページ、先ほどの1ページで障害者の全体の数を申し上げましたが、そういったような中で、障害福祉サービスを利用しておられる方の推移がここになってございます。平成22年の2月からの数値でお示しをしておりますが、かなり毎年10%近いような伸びで利用者の数がふえてきていおりまして、最近の足元を見ますと、平成25年2月から平成26年2月の伸び率を見ますと、5.9%ということになってございまして、かなり大きくサービスの利用の状況というものが伸びてきておるところでございます。
このサービスを利用している方の内訳ですけれども、この表の下のほうにございますが、利用者の数自体としては、知的障害者の方は33.2万人ということで、一番多くなってございます。
一方で、その伸び率ということで見ますと、左にありますように、精神障害のある方の伸び率というものが12.7%ということで、利用者の伸びの状況としては、精神障害が一番多くなっているというのが今のサービスの状況でございます。
7ページ、障害の施策を進めるに当たって、やはり地域で暮らせるようにしていこうということが大きな流れでございまして、施設に入っておられる方と、地域の生活に移行する方の割合を見ますと、平成24年度時点で23.7%ということで、大きくその地域生活に移行をして、在宅それから地域で生活をしておられる方がふえているというような現状にございます。
8ページ、先ほどからの地域生活ということでございますれば、障害のある方が地域生活をする上でどのように働いておられるのか、それから高校の特別支援学校を出た後、どういう経路をとった生活をしておられるのかというような流れを示したものでございます。
18~64歳の在宅の障害者の数というものが324万人ぐらいと想定しておりますが、一般企業で就職をされている方のどう移っておられるかという状況を見ますと、特別支援学校から一般企業への就職は27.7%、それから、障害福祉サービスの利用が61.4%ということになっています。
この下の図で特別支援学校、毎年卒業生が2万人弱という状況でございますが、そのうち学校からすぐに一般企業へ就職される方が5,387人ということで27.7%、それから、障害福祉サービスを使われるという方が61.4%です。
この障害福祉サービスの中には、生活介護といったようなサービスもございますけれども、一方で、この障害者自立支援法をつくりましたときに、就労を進めていこうということで、就労移行支援事業、それから継続して働いていただくということで、就労継続支援A型、B型というような事業もサービスで設けております。
就労移行支援事業と申しますのは、2年間の利用期間の間に訓練、それから生活の摘要などの指導を行いまして、一般の企業への就職を目指そうというような事業でございまして、この就労移行支援事業を通して、一般企業への就労を実現されている方も多うございます。
また、この就労移行支援事業、一般企業に就職していただいたら、その時点で終わりということではなくて、一定期間定着にも目を配っていただけるようにということで、障害福祉のサービスから一般企業への就職、生活へ円滑に移行していけるような形でサービスの運営をしているところでございます。
一方で、障害福祉サービスから一般企業への就職についても、ここの就労移行支援からは24年の実績ですと、20.2%、全体を見ますと、平成15年の1.3%から3.7%ということで、大きく伸びてございます。
また、こういうような障害福祉サービスを通じる形でなくても、ハローワークからの紹介就職件数、ここの右に示しておりますけれども、実際、その企業が障害のある方を採用される場合には、ハローワークに障害者向けの求人ということで出していただいて、ハローワークの障害者就職支援の枠組みの中で就職を実現されるという方もいらっしゃるという状況でございます。
そんなことで平成25年6月1日時点での50人以上企業になりますけれども、障害のある方の雇用総数は約40.9万人というようなものが現状でございます。
9ページ、そういう現状の中で、障害福祉のサービスに携わっていただく方を取り巻く状況ということで、10ページ以降でございます。
障害の分野につきましても、福祉・介護分野ということでここで記載させておりますが、やはり平均賃金の水準、全産業の平均賃金と比較すると、低い傾向にございますし、勤続年数が短いといったことがございます。そういうことで処遇を改善していくということは重要な課題でございまして、ここの平成26年についても、閣法、それから議員立法で人材確保、それから処遇の改善について、財源を確保しつつ、しっかり進めていくようにということを求められている状況でございます。
11ページ、障害福祉分野での職員数の推移の推計でございます。障害福祉サービスの利用者数、伸びてございますので、障害福祉分野に携わっておられる方の人数も平成24年で77.1万人、推計でございますけれども、そのようなことで伸びているところでございまして、今後もサービスが伸びていくというようなことを考えれば、それに見合って、福祉介護職員の確保ということも重要な課題になってきていると考えてございます。
12ページ、そういう中で、障害の分野で職員の人材の処遇改善についてのこれまでの取り組みということでまとめさせていただいてございます。基本的には介護と並びをとって進めておりますが、21年には障害福祉サービスの報酬の改定の中で処遇改善ということで5.1%の改定をさせていただいており、②のところにございますように、その後は交付金の形で処遇改善に取り組んでまいりまして、この交付金が終わりました平成24年からは、サービスの報酬の中に福祉・介護職員処遇改善加算というような形で、加算を創設して改善を継続してございます。
13ページ以降が処遇改善の加算でございます。福祉・介護職員処遇改善加算とそれから福祉・介護職員処遇改善特別加算という2本立てで実施をしておりまして、加算の3の条件のところにございますように、賃金改善等に関する計画を策定をしていただいて、届け出ていただいて、それから実際の加算の算定額に相当する賃金改善を実施していただくといったようなことをその要件としながら、加算をとっていただくことによって、処遇改善につなげていこうという取り組みをしているところでございます。
14ページ以降が処遇の実態調査の概要でございます。25年にとった調査でございまして、15ページ、こういう処遇改善加算をどれだけとっていただいているかですが、平成25年度に処遇改善加算の届け出をしている、それから特別改善加算の届け出をしているというところで、大体77%ということでございまして、7割、8割の事業所が処遇改善加算等を利用して、処遇の改善に取り組んでいただいているというような状況でございます。
16ページ以降は、少し細かくなりますけれども、処遇改善加算の中にも、3つあるのですけれども、一番改善の内容が高い処遇改善加算の(Ⅰ)というようなものがとられているものの大半になっている状況でございます。
17ページからは、ではどういう処遇改善の形をとられているかですけれども、この調査によりますと、25年4月1日から9月30日の間の給与の状況ということで、給与等を引き上げたというような割合が若干サービスによってばらつきもございますけれども、全体で見ますと、64.5%。それから1年以内に引き上げる予定というところが8.6%というような状況になってございまして、7割超の事業所で給与等を引き上げるまたは引き上げる予定というようなことで進めていただいている状況でございます。
18ページは「給与等の引き上げの実施方法」でございますが、これを見ますと真ん中の定期昇給を実施というところの割合が高くなってございます。そのほかですと、一時金の支給の引き上げが次に来て20.6%という形でございます。
19ページ、平成25年の加算の届け出をされた事業所においての加算の対象職員の平均給与額を見ますと、全体で25万8,044円、常勤で29万、非常勤で17万6,000円という状況でございまして、1年前と比較をいたしますと、全体では7,375円の増となっている状況でございます。
20ページ、これが平均給与額の状況で、処遇改善の対象の職員、先ほど7,375円でございますが、伸び率が1年間で2.9%というような状況でございます。
21ページ、給与の引き上げ以外の処遇改善、処遇全般についても引き上げていただくということが求められるわけでございますが、そういったような処遇改善の状況を見ますと、改善あり(予定)が28.5%で、その中では職員の増員による業務負担の軽減ということが大きくなってございますが、改善なしの中にも、従来より実施をしていて、今回、内容の変更の予定なしというのが46.5%ございますので、今後も予定なしというのが全体で見ますと業務負担の改善等々では16.0%で約1割から15%ぐらいのところでは、残念ながら改善なし、今後予定なしというようなことでお答えをいただいている状況でございます。
22ページ、給与の引き上げ以外の処遇改善、そのほかですと資格取得や能力向上に向けた教育研修機会の充実、それから対象者の拡充ということで、改善ありとされる予定が高くなってございます。
そのほか23ページですと、やはり改善の予定で多いものとしては「腰痛対策、メンタルケア等を含めた健康管理の充実」ということになってございます。
最後に、こういうような障害福祉施策の動向、それから従事者を取り巻く状況を踏まえまして、論点として4点挙げさせていただいております。
25ページ、まず1点目の○でございます。当面の間、利用者数の伸びが見込まれておりますので、こういう中で、高齢者と同様に、障害児・者に対する障害福祉サービス等の需要の拡大が予測をされますので、介護分野と同様に、しっかりと人材確保策を講じていく必要があるのではないかというものでございます。
2点目でございます。障害種別ごとの特性や重度化・高齢化に応じたきめ細かな支援が可能となるよう、障害特性に応じた専門性を持った人材確保が必要なのではないかという点でございます。
それから、休職者にとって、これまで障害児・者との接点が少なく、障害児・者の支援という仕事のイメージが湧かないのではないかということを3点目の論点として挙げさせていただいております。
最後、4点目といたしまして、就労支援を含むさまざまな支援を通じて障害者がみずからの能力を十分に発揮できる社会参加の活動の1つとして、福祉・介護サービス分野への参入・参画を促進すべきではないかというものでございます。
以上、雑駁でございますが、障害福祉分野の人材確保ということで説明をさせていただきました。
 
○田中座長 ありがとうございました。
では、メンバーのほうからの発表に移ります。
最初に叶さん、よろしくお願いします。
 
○叶構成員 今、御紹介いただきました全国社会就労センター協議会、セルプ協と言っていますけれども、叶と申します。よろしくお願いいたします。
私のペーパーは1枚になっていまして、それを見ながら確認していただければと思っていますけれども、セルプ協というのは、簡単にいいますと、身体障害であったり、知的障害であったり、精神障害であったり、そういう人たちが働くということをメーンとして支援している団体です。
当然、働くことを支援しますので、やはり暮らすという部分も含めて、グループホームで取り組んでいたり、あるいは相談支援事業に取り組んでいたり、ヘルパー派遣に取り組んでいたりとか、そういうことも会員の中ではたくさんやっているような団体です。そういう立場から、きょうは4点について少し意見を述べさせていただきたいと思っております。
最初の論点1、今、田中課長のほうが言われた4つの論点ですが、まず最初の論点1ですが、当面の間、利用者数の伸びが見込まれる中で、需要の拡大が予想されると、介護分野と同様に、しっかりと人材確保策を講じていく必要があるのではないかということですが、まさにそう思っています。良質なサービス提供に向けて、福祉・介護職員の処遇を一層改善する必要があると思います。
先ほどちょっと説明がありましたけれども「福祉・介護職員の職員処遇改善加算および処遇改善特別加算」を一本化して、その水準については、一層の向上を図っていくべきだと。さらに、処遇職員だけということではなくて、法人の中では、処遇職員だけを給料を上げるというのはなかなか難しいような状況もあるので、対象職員を全従業員に拡大すべきということはセルプ協でずっと言ってきたところです。
同加算以外でも、職員給与の底上げにつながる各種制度は、維持・拡充されるべきということで、大きくいえば、先ほども話がありましたけれども、他の産業と比較して、見劣りのない給与水準であったり労働条件というのは、やはり確保されていかなければいけないだろうと思っています。
退職共済制度なども、今、国庫補助などがありますけれども、そういうものも含めて、福祉の職員の給料はやはり安いねといわれるような状況から、そういうもののイメージを払拭していくということが大事かと思っているのが1つです。
2つ目の論点ですが、専門性の問題ですが、障害種別ごとの特性や重度化・高齢化に応じたきめ細やかな支援が可能となる障害特性に応じた専門性を持った人材確保が必要なのではないかということで、これに関しても、当然、福祉専門職として誇りを持って働けるということは大事だと思っています。ただ、専門職は、福祉専門職資格の取得のみならず、職務を通じた障害者とのかかわりの中で培われる部分も大きく、入職後の指導や研修等の体系も一層整備する必要があるということで、最初から間口を狭くしてしまうということだけではなくて、入ってかかわりの中で学んでいくというところをセルプ協では大事にしてきています。
きょう幾つか提案していますけれども、そのために手厚い人員配置を評価する報酬体系であったり、それから配置基準にかかわる職員が研修を受講しやすくするような体制であったり、あるいは研修を実施する中間支援組織への支援等がやはり必要なのかと思っております。
それから、障害者就労支援の現場では、社会福祉士とか、介護福祉士等の福祉専門職が有する専門性ともう一つは異なる部分として、事業をやっていくという部分があって、障害者の人たちが働いて、そこで給与を支払っていく、工賃を支払っていくという部分があって、事業を回していくという力も要求されていくのですね。それは営業力であったりということも含めてです。そういう意味で、社会福祉士とか、介護福祉士だけではなくて、そういう専門性という部分も求められているということで、そういうものもあるのかと思います。
論点3です。求職者にとって、これまで障害児・者との接点が少なく、障害児・者の支援という仕事のイメージが湧かないのではないかということです。これも多分、大きいことだと思います。やはり、小さいときから、障害のある人と出会う機会がなかったりすると、どうしてもそこに就職するということが不安であったり、どう向き合っていいのかということが心配だったりするもので、そういう意味では、これは教育分野の連携も含めて、ともにやっていくという場を大事にしていくということは一つあるのかと思います。
もう少しこの部分でいえば、福祉の理念というか、そもそもこの福祉の仕事というのは、障害者の自立を支えたり、あるいは共生社会、ともに生きていく社会の実現というそういう大切な仕事というか、そういうプラスのイメージというか、そういうものを担っているわけで、何か汚いとかきついとか、そういうイメージからの脱却というものが必要なのかと思います。そういう意味で、出会っていくという部分と、やはりこの仕事というのは障害があってもなくてもともに生きていくことを実現していくのだというような、何かそういう誇りを持てるようなそういうことが人材育成にとっては大事なことかと思っています。
最後に、4点目ですが、就労支援を含むさまざまな支援を通じて、障害者がみずからの能力を十分に発揮できる社会参加の活動の1つとして福祉・介護サービス分野への参入・参画を促進すべきではないかということで、これもそうなのですけれども、平成27年4月から障害者雇用納付金制度の対象となる事業所が100人以上になるのですね。障害者を雇用するということの事業所が100人以上になりまして、当然、今、社会福祉法人とか、100人以上を超えている施設などでは、障害者雇用というものを今度やっていくことになるのです。
そういう意味では、社会福祉法人の中で、高齢者分野とかも含めて、スタッフの障害特性への理解促進であったりとか、あるいは業務中の障害者への対応マニュアルとか、そういうものをつくったりとか、あるいは資格取得というか、ヘルパーとか、知的障害があっても受け入れるとか、そういう配慮なども必要になってくるのかと思います。そういう施設の取り組みを後押しするような制度を国としても設計していく必要があるのかと思っているところです。
以上です。
 
○田中座長 叶さん、ありがとうございました。
続きまして、菊地さん、お願いします。
 
○菊地構成員 それでは、私、日本知的障害者福祉協会の菊地と申します。どうぞよろしくお願いします。
私どもの団体は、明治時代から続く、滝乃川学園の石井先生が初代会長ということで、現在までやっております。以前は愛護協会と呼ばれていたのですが、名称変更されて、日本知的障害者福祉協会となっています。
私の立場的なことでいいますと、社会福祉士の養成も協会として行っていたり、あるいは事業者としてということで、知的障害に特化した部分で今まで進んできたわけですけれども、現在は3障害が統合されたということで、精神障害の方やさまざまな方が利用されるようになってきているという、いわゆる事業者の立場ということがあります。
そういう中で、説明をさせていただきますが、まず第1点ですけれども、先ほどセルプ協のほうからも話があったように、障害関係というのは、年代が非常に幅がありまして、いわゆる者ですと18歳以上からとなって、中には60歳とかそういう幅の広い方が利用されています。
そういう中で、やはり働くとか、働くことを体験するとか、生活を体験するとかということがあるわけですので、そうすると、結局福祉というのは、当然基本として必要なわけですが、それ以外の部分もかなり必要になってきている部分があります。
特に、今はいわゆる活動の幅というか、支援の幅が広がっておりまして、そういう関係で、例えばパンを製造するとか、あるいは農業を行うとかとなったときに、なかなかそういったことに対しての安定した支援ができる人が非常に少なかったりする。ですから、私どもとしては、他業種、例えば農業大学だとか、さまざまなところから人を雇用するという形で、その人たちにさらに福祉関係を学んでいただいて、いわゆる事業所に勤めてから通信教育を受けるとか、社会福祉士の資格を取るということを行うということになってきています。
また、空き家を利用するとか、そういう動きも当然ありまして、グループホームを設置していくとかとなると、その空き家を確保するためのさまざまなことを法人みずから行わなければならない。そうすると、例えばそこが抵当に入っているとかとなると、それなりの知識を持った人がやはり法人にいなければならないとなって、そのための多様な知識を持った人たちを雇用していくということが必要であろう。
特に、以前のような措置制度の場合でしたらば、決められたことを決められたようにやるというのが、私たちに与えられた役割となるわけですけれども、今は多様な取り組みができるわけですし、また地域にさまざま事業を展開するということも必要になってくるということで、農林業関係やあるいはその栄養学あるいはスポーツ関係、障害者にとっての芸術文化とか、そういったものを普及させていくときには、やはりそういった専門的な知識を持った方も当然必要であって、ですから、私たちはできるだけ多くの人たちの知識を必要としているという観点からいうと、福祉分野だけではなく、他の専門の人たちのいわゆる障害施設で働くということをしていきたいと考えています。それにしては、余りにも入り口が狭過ぎてどうしも障害関係を知っていなければいけないのではないかという誤解を持っていたりするということで、できるだけ他分野からの人材確保ができるようなことも必要であろうと考えています。
私事になりますけれども、私のところでは、農業大学や園芸をやっていたとか、畜産をやっていたとか、そういう人たちでそして畜産をやったり、羊を飼ったりとか、そういうことも利用者と一緒にされるということになっています。
あともう一点は、これから先、障害者差別解消法が施行されていく中で、あらゆる人が障害者の特性やそういったものを知っていくということが必要であろうと、当然雇用する側としても、知識が必要であろうと考えると、そういった中で障害福祉というものが一般の大学あるいは専門学校等では全然触れられていない。ある法学を教えている大学の先生にちょっと話を聞いたのですけれども、コミュニケーションをとるということは、知的障害者にとって非常に難しいのだけれども、言葉で説明しなければ弁護士さんはわかってもらえない。文書を出さなければわからないとなったときに、非常に苦慮するという話を聞いたことがあります。そういった部分でも、さまざまな合理的配慮という側面から考えても、今後、必要な教育ではないかと思っています。
あと、失業保険を受けている人たちの中でも、福祉関係というものが募集は出ていても、非常に遠い存在のように感じているというものがあります。つまり、そういった私は何の知識もないからできないと捉えてしまう。ですから、そういう人たちに体験的なことを福祉関係やる、介護関係で体験的なことをやる、そういった中で、もう少し幅広い人たちを雇用していくというものが必要であろうと思います。
2点目になりますけれども、私たちのところでやってはいるのですが、これはキャリアアップという側面で進めているものですけれども、知的障害児に専門職の養成ということで通信教育をやっていて毎年、約450名の方が通信教育を受けています。
その人たちが結局は現場でさまざまな活動をしていく専門職としていくわけですが、一般の人たちには、知的障害あるいはその身体障害も含めてでしょうが、そういったところの勤めるということに関してのあるいは専門職としての部分がなかなか目につかないということがあると思います。
特に例えば医療事務とかといったものであれば、通信教育を受けて、病院にその就職のときに履歴書に書けるとなったりするわけですが、障害関係の場合には、全くそういったものがなく、履歴書に書くときには、社会福祉主事の任用資格あるいは、先ほどお話がありますように、社会福祉士、あるいは介護福祉士となって、その3つしかないということで、これは一般の人には全然気づかない存在になってしまっているのではないかということで、専門性を持った人材を確保していくということには、かなり幅が狭過ぎると考えています。
そういったところで、もう少し普遍化させるというか、介護も以前普遍化させるということで、かなりホームヘルパーの資格をつくるとかとやってきたわけですが、障害者関係の業種、専門職に関しては、もう少し普遍化させる必要性があるのではないかと思っております。
次に、3点目になりますけれども、仕事のイメージが湧かないということに関してですが、私もある大学で社会福祉士養成をやっている立場でもあるわけですけれども、どうしてもカリキュラムがやはり試験用にならざるを得ないと思うのです。そして、教える側としても、そこを外すわけにはいかないということで、どうしてもカリキュラムに縛られてきますので、それ以外の部分でとなると非常に時間的に難しい。そうすると、障害者の特性、特に知的障害者となると幅が広いですので、そういったことについての実践的な話というのは、事例でやる以外にはなくなってしまう。
しかし、事例でやるだけではなくて、もっともっと幅の広い内容がありますので、そうすると、そういったことをやっている時間が非常に少ないので、障害者に対してのイメージというものが持てないという人が多いのは確かだと思います。
私もきょうここに来る前に、私どもの職員に聞きました。障害関係にどうして勤めたのか。知的障害関係の施設に勤めたのかと聞いたらば、実習に行って初めて知的障害者の実態を見ました。理論的なことやそういったものは聞いていましたけれども、こういうものだということは言葉ではなかなか表現できない。ですからわからなかった。実習でたまたま知的障害関係の施設に行って、そこで知的障害者の強度行動障害の人を見て、ああこういう人たちがいるのだと初めて気づきました。言葉で言う強度行動障害と見たものでは全然違うという話があって、何人かに聞いたのですが、みんな大体実習だと。あるいは近くの施設に行ったとか、そういったことがあって、初めてイメージを持てたと言っています。そういったことで、非常に狭い分野になってきているということです。
あと一点は、小中学校における福祉教育という部分で、学校の担任の先生とか、その担当の先生に限られてしまって、その先生が異動すると、そこの学校では高齢者に関しても、あるいは障害者に関しても、そういったことに対してのものがなくなってしまうということがあって、これから先、特にゆとりの教育の問題がいろいろあった中で、そうすると、非常にそういったことに触れる機会も非常に少ないのではないか。そういったことをこれから先、進めるということが必要であろうと思います。
最後ですけれども、就労先としてということですが、先ほど来から話があったように、福祉法人としても雇用を進めていくということは当然進めるということになっていますし、極力そういう努力をしている。
しかし、その就労移行支援事業というものが、学校を卒業してからなのですね。いわゆる今までは結局直Bといって、B型を利用するということも暫定的に認められていた。ところが、来年度からはそれが認められなくなってきたときに、例えば福祉施設、介護施設等で働きたい、あるいは施設の厨房とか、そういったところで働きたいと思った障害者があったとして、そことの結びつきというのが非常に遠いと。
ですから、特別支援学校等にいわゆる求人として申し入れをしたりとかしているわけですけれども、その中で、例えばですけれども、ある特別支援学校では、清掃洗濯実務科というものがあって、内部で3年制でそういった実際の業務を体験して、そういう中で福祉関係、介護関係で働きたいと思う人があったらば、そういったところに実習に行っていただいて、そして場合によってはホームヘルパーの資格を取るとか、その後のキャリアがあるわけですけれども、そういうことをしていきたいという話もあります。
ですから、そういう中で、例えば就労支援事業を特別支援学校あるいは特別支援学級の3年生あたりで、事業所に直接長期の実習に行くとか、そういったものを併用できるようにすれば、切れ目のないようなことになるのではないかと思っています。
また、労働関係になりますけれども、職業訓練校などを提携して、短期の訓練コースなども、今は始まっているところです。そういったところからも、採用という形が広がってくのではないかと考えていますが、それに対しての余り知名度がないということがあるかと思います。
これらが私たちの考え方となります。
 
○田中座長 どうもありがとうございました。
では、白江さん、お願いします。
 
○白江構成員 白江と申します。こういう機会を与えていただきましたことを感謝申し上げます。
私、レジュメをつくらせていただきましたけれども、ちょっと行ったり来たりするかもしれませんが、先ほど田中課長からお話のあった最後の論点に沿って少しお話しさせていただければと思います。
まず、1点目ですけれども、これは多分、恐らく人材確保における総論的な話なのかという理解でおります。
その中でも3点ぐらいに絞ってお話しさせていただきますけれども、まず1点目は以前もこの中でヒアリングですとか、御議論があったように聞いておりますが、イメージといいますか、介護労働に対するイメージというものが十分きちんと伝わっていないのではないかということがあるかと思います。
現場を知らないと言ってしまうとそれまでなのですけれども、その意味合いですとかやりがいですとか、あるいはキャリアパスという言葉が出ておりましたが、私は夢のある仕事だと思っておりますので、そういったことが十分にこれから働こうとする方に伝わっていないというようなことがまず一つあるように思います。マスコミでありますとか、いろいろな形で現場の様子が伝わるわけなのですけれども、ドラマとか何かですと、非常に美化されている部分があったりして、逆にそれが逆効果になっている部分があるのかと、現実との差が大き過ぎるというところもあるのかと思いますし、一方、犯罪報道などは先般もてんかんの運転免許の話とか出ておりましたけれども、あるいはいろいろな形での犯罪の事例が出ておりますけれども、余りにも極端の報道の仕方があったりする。そういった実態私は合っていないといいますか、正しい報道がなされていない、あるいは正しい伝え方ができていないというところで、イメージというものが固定化されていたりとかあります。
現実に、御本人は、就職したいのだけれども、親が反対しているとか、親戚が反対しているとか、そういった事例も実際、私どもの採用試験を受けに来た学生などからも出ておりましたし、そういった意味でも、やはり正しい伝え方をしていかなければいけない。
正しい伝え方とは何なのだろうかと思ったときに、やはり現場の声とか、現場の姿を伝えると同時に、こういう形で議論が国あるいは行政あるいは地域で取り組みがいろいろな形でされていて、その現場をよくしようとする努力をされているのだということをあわせて伝えていかないといけないといったことをあわせて、いろいろな角度から現実を伝えていくことで、正しい理解につながっていくのだろうと思います。時間のかかる作業ではあると思いますけれども、やはりそれはどこからか始めなければいけないわけで、必要であるということで思っております。
総論としての2点目ですけれども、福祉労働という言葉とかいろいろ表現がありますけれども、私はケア労働という言葉をよく使うのですけれども、やはり「ケア」をキーワードとして経済構造といいますか、これからの社会といいますか、ケアコミュニティーという表現もしておりますが、昨今、安倍内閣で地方創生というか、地方再生といいますか、まさにケア労働、ケア経済というのは、地方の要になる産業だと思っております。かつて、公共事業が非常に盛んだったころにもいわれておりましたけれども、こういった福祉現場への投資が公共事業に匹敵するぐらいの波及効果を持っていると、あるいはそれ以上ではないかという学者の方もいらっしゃいます。
したがって、思い切ってやはり投資といいますか、ケア労働に対するあるいはケア経済に対する公的な投資というものがあっていいのではないかと私たちは感じております。そういうところで処遇改善にそれがつながっていくあるいは環境改善につながっていくことでイメージのアップにもつながっていくと考えております。
3つ目にキャリアパスのことが出ておりましたけれども、やはり夢のある仕事と私は申し上げましたけれども、最初は非常に意気込んで、やりがいを持ってやっていても、3年、4年となってくると、やはり閉塞感が出てくる、またいろいろな問題を抱えながら、給料ももちろんそんなには高くない。先ほど、平均26万弱の金額が出ておりましたが、これはボーナスも加えた数字ですので、それを差し引きますと、月給というのは非常に低いものになっていく。そういうことを考えますと、そのキャリアパスはその事業所自体も最近は大きな社会福祉法人も出てきております昔からもありましたけれども、でも多くの事業所は小さな事業所であります。そこでキャリアパスを持つということ自体がなかなか難しい。私どもも100人近い職員がおりますけれども、その中で、彼らにどう夢を持ってもらうのかと考えたら、非常に限られているわけですね。
そうすると、一法人、一事業所でやれることというのは限界がありますので、私は先ほど言ったコミュニティーの力というものをもっとつくっていく、地域包括ケアということで、高齢分野ではやられておりますけれども、それをさらにもっと進めていく意味で、ケアコミュニティーのようなものをつくって、コミュニティーの中でキャリアパスをどう達成できるかというようなところを、やはり私は考えていく必要があるのではないかと思います。
以上が、総論的な第1点目の私の意見でございます。
2点目の障害特性に関してですけれども、まさにこのとおりでございまして、先ほど来、説明の中でも出ておりましたが、障害といっても、身体障害、知的障害、精神障害、最近は難病とか発達障害とか、さまざまないわゆる障害の方々がいらっしゃいます。以前は身体障害者何々施設というようなことでありましたが、今は障害者支援施設、施設としても、いろいろな障害を持った方々を受け入れているという現実があります。その専門性というのは、非常に幅広く、さらに深いものが求められてくるというのが今の現実だろうと思っております。当然、そこには高齢化であるとか、あるいは重複障害の方もどんどんふえてきております。それから、二次障害ということでも発生が非常に多くなってきております。さらに、より高度な専門性というのが求められてきている。
とりわけ、どういった専門性かといいますと医療的ケアな分野は既に御存じだと思いますけれども、人工呼吸器をつけている方、あるいは気管切開をして吸引を必要とする方、24年度から一定の研修をもとにそれが介護職員も認められるようになりましたが、人口呼吸器はまだ認められておりませんが、摘便などに至っては、ほぼ100%のところでやっているわけですね。吸引や経管栄養以上に多くの方が必要としているそういった医療的ケアについては、まだできる状況にはなっておりませんけれども、そういった非常に医療的なケアが必要な状況がどんどん深まっている、広がっているという実態の中で、実際に今まで私どもの法人のことで申しわけないのですが、やめる理由としては、やはり処遇面の不満であるとか、結婚とか、そういったことが多かったのですけれども、最近はだんだんやはり怖くなっている。この方たちの命の自分たちが預かるということを考えると非常に怖くなってきているというようなことで、やめていく職員がぽつぽつと出始めております。それだけ重症化、重度化が進んでいるという実態があるかと思います。これは在宅でも同じ状況にあると思います。
むしろ、在宅の方は、ヘルパーさん一人で行ってやるというケースが多いわけですので、より責任が重くなってくるというようなことがあると思いますので、そういった意味で、専門性といいますか、そういった部分が大変深まっておりますし、それから、あと、先ほど大嶋先生もおっしゃっておりますが、ソーシャルワーク、障害の場合というか、高齢の場合もそうだと思いますが、やはり自己実現に向けた支援がどこまでできるかということがただ単にその介護をすればいい、食事介助をすればいい、あるいは入浴介助をすればいいということではなくて、そうしたソーシャルワーク力も非常に求められてくる。特に、障害を持った方の主体性であるとか、個別性というものは、非常にいわれておりますわけで、それを深めていくということになってくると、さらに専門性は幅広く求められてくるというところがあるかと思います。
実際に、その専門性を高めていく状況にあるのかといいますと、先ほど来、養成校の関係のお三方からお話がありましたが、現場へ出てからみずからを高めていく場がないのですね。まさにOJTなりで、研修に行くということはありますけれども、きちんとした形でさらにレベルを上げていくということができない状況にある。現場が忙し過ぎる、それから悪循環に陥っているわけです。人手がない。ですから、研修に行く時間もとれない。スキルが伸びない。しかし、現場の入居者や利用者の方がどんどん重症化していく。その中で、やはり怖くなってやめていく職員をとめる言葉は私は見当たりません。どうやったら逆に好回転、好循環に向かえるのかということはわかりませんが、今はそういうような状況にあるということで、冒頭申し上げたように、どこかで抜本的な転換を図らないと、ちょっとした改善では事は進まないと感じております。
3点目ですけれども、イメージが湧かないのではないか。恐らくそうだと思います。ただ、先ほど来お二方お話がありましたが、いろいろな事業所でその地域地域でいろいろな取り組みをされていると思います。それから、養成校からの実習の受け入れなどもされているかと思います。そういうところで、実際に入っていただいたり、あるいは事業所なり施設のほうから出て行くことで、いろいろな地域やいろいろな方に知っていただくという努力も続けているわけですけれども、冒頭申し上げたイメージが固定していたりとか、それから誤った報道があったりとかすると、もうそこで今までの努力が全て水の泡になってしまうことだってたくさんあります。
実際、グループホームをつくるにしても、地域の反対でなかなか進まないという例がいっぱいあります。どんなに話し合っても、なかなか進まない例も、何年来としてとまっているというようなことも多々ございます。
したがって、イメージが一旦固定してしまうと、それを本当に根底から変えていくというのは、すごい労力が要るわけで、そのためには、一事業所であるとか、あるいは法人であるとか、あるいは障害分野だけとかというだけでは、とてもやれるものではないと思いますので、これは地域あるいは行政も一緒になって、どういった取り組みができるのかということを抜本的に考えていかないといけないのかと思います。
4点目ですけれども、障害を持った方の就労支援ということなのですけれども、私どもの施設の例を5ページ目のところから書かせていただいております。実際、私どもで雇用している障害を持った方々の事例でございます。6ページに具体的な例を書かせていただきました。例えば、発達障害の職員が、今、2人おります。2人ともアスペルガーなのですけれども、1人は介護職員として働いております。指導に非常に時間がかかりました。倍とはいいませんけれども、時間的に1.5、6倍はかかりました。しかし、今は非常に信頼を持たれて、頑張ってやってくれています。
やはりなれること、粘り強く指導していくということで、十分可能な、もちろんこれは個人差がありますので、誰でもそうだとは言いません。このアスペルガーの青年2人、男性なのですけれども、非常にタイプがやはり違いまして、1人は、今、言ったような形で、ケア労働のほうに入っていった。もう一人のほうは、どちらかというと、なかなかコミュニケーションがより強くとれないということもあって、事務職と兼務させるような形で、日中のデイサービスのようなところで働いてもらっております。彼ももう5年になりますけれども、ようやく最近、一人で仕事ができるようになってきたということであります。
それから、統合失調症の方も3名いますが、この方は病名を隠しております。いわゆるクローズの状態で働いていただいていますが、これは御本人の希望があってのことなのですけれども、やはり時間もかかりました。それから、夜勤とかそういったものが入ってくると、体調を崩してしますということで、夜勤を1回やると、しばらくはまたできないとかということで、なかなかチームとしてとりづらい部分があって、最初は職員からいろいろなクレームが出てまいりましたけれども、クローズの状態ではあるのですが、だんだんやはり理解が深まってきて、最近では、彼は1回夜勤すると大変なのだというところで、ようやく落ち着きが出てきたのかというところであります。
もう一人は日勤だけとかいうことで、最初から夜勤には入れないというようなこともありますし、あとは通院をきちんとしてもらうということで、そういった管理はできればそんなに大きな問題なく、今も勤めていただいています。
難病の方も、今、3人いらっしゃいます。難病は、もう御存じのように何千という病気がありますし、それぞれに、また一つ一つ違いますので、一般論的には言えませんけれども、細かい部分まで配慮は必要になりますけれども、十分に働くことはできるかと思います。
車椅子ユーザーの方は3名います。主に事務職といいますか、それから、私ども、先ほど出た医療デイケアの研修とか、そういったものもやっているのですけれども、そういった部分を担ってもらえるということで、地域とのパイプ役になっていただいています。そういったことで、障害を持った方々の受け入れというのは十分可能だと思います。
それ以外に、私は仙台なのですけれども、例えば、被災地の方々の仮設から通っている職員が3名いますけれども、そういう形であるとか、最近言い方が変わりましたけれども、性同一性障害の方とか、それから、刑務所の刑期を終えて出てこられた方とか、いろんな形での取り組みというのが可能なのかなと思っています。
以上です。
 
○田中座長 白江さん、ありがとうございました。
では、お待たせいたしました。最後になりましたが、田中直樹さん、お願いします。
 
○田中構成員 全国精神障害者地域生活支援協議会、通称あみというようなニックネームで呼んだりしていますが、そこにおります、田中と申します。きょうは、発言の機会をいただきましてありがとうございます。
我々の団体は、全国の精神障害者の、もともと自立支援法が始まる前に、小規模作業所と言われた、いわゆる無認可、法外という、小さな作業所や地域のグループホーム、いわゆる地域の貧乏所帯が集まってつくった貧乏団体というようなところでずっとやってきています。
そんな中で、今回、こういう発言の場をいただいて、それで論点として、先ほど来、4点に基づいてお話しいただいていたのですけれども、我々役員の中で、この論点についてどう思うという話を投げかけたら、そのとおりですねと、そのようにしてくれればいいのですねということで、なかなか答えをもらえなかったというか、議論がそれ以上進まなかったという実態があって、どうしたものかなと思いながら、きょうを迎えています。
それで、きょう御報告させていただくのは、そうしたら、それらの論点を少し考えながら、今、私自身が働いている現場の中で、どのように、今、しているのかというところを、話題というか、提供させていただいて議論の御参考になればと思います。
というところで、卑近なところでお話をさせていただきますけれども、私自身、精神障害者の作業所が1カ所で始まったところに、もう30年を超えて31年目に入ったのですけれども、杉並区の補助金が91万円ついたから職員を雇ってもいいよと、家族会が言われて、それで、そこで拾われたのが私ということで、それまでしていたバイトの給料の半額になって仕事をし始めたというところです。
先ほど来、給料の話がよく出ましたけれども、実家の父親が愚痴をこぼす近所のおじさんから呼ばれて、いつ就職をするのだと、ちゃんと仕事につきなさい、お父さんも心配しているよと、ずっと説教されたりしながら仕事をしているような日々を当初送っておりまして、ずっとそんな感じでいました。
ただ、東京の中でも、そういった精神障害者の作業所は、それほど裕福ではなかったのですけれども、地方の作業所はもっと貧乏でひどい状態でしたけれども、東京は、最終的には、10年ぐらい前は1,500~1,600万円ぐらいの補助金になっていましたけれども、東北のエリアは500~600万ぐらい、九州は300万ぐらいという中で運営している中で、職員も働いていました。
ただ、その中でやめていく人たちは、給料だけでやめていくかというと、そうでもないなというふうにも同時に思っていました。確かに、結婚、出産、特に男性が結婚するとき、男性の奥さんが出産をするというときに、男性の職員が、このままこの仕事を続けていては、子育てができないといってやめていくという実態はありましたが、就職する段階で給料というのは安いのは知っていたので、むしろ、働きにくさとか、自分たちの仕事のやりがいのなさと言うのですかね、どこかで途絶えていく、切れていく感じのやめ方のほうが多かったかなというふうな気がしています。
それは、さておきですけれども、我々のところで、いろんなできない事情というのは、いっぱいあるのですけれども、できない事情をたくさん言うよりは、こうやってやろうと、できるだけ、できない理由はこの仕事をしていると、利用者や家族に対してはとてもたくさん、すごく雄弁になっていくのです。なぜ、うちの作業所は、こんなに狭いのですか。いや、補助金が安いからですよとか、国の政策が悪いから、なかなか医療もうまくいかなくてなど、できない理由を述べることにすごくたけていくのですけれども、そういうことからできるだけ脱却したいということで、どうやったらやれるのかと考えながら進めていこうという心構えだけは持ちながらやっています。
職員給料が、我々の法人の事業所で、数年前から大幅に改善をすることにしました。国の後押しも当然あるのですけれども、それまでの小規模作業所の補助金体制から自立支援法になって、給付事業になって出来高払いになった。
それで、東京の杉並区の人口の密集地域で人がたくさんいるので、たくさんの人たちが通ってこられる。それで、小さな作業所だから、誰も断らずに、皆さん、来たいという方々を受け入れたので、数を挙げると、とてもお金がふえて、このお金をどうしようと考えたときに、給料をちゃんとしようということで、今まで、よく公務員並みの給料を出しますという福祉施設はたくさんあるのですけれども、我々のところも公務員給料とさらりと書いていたのですけれども、そのときの公務員並みの給料の公務員の給料というのは、地元の行政職の何年か前の給料表の一番したのもので、十何年かたつととまってしまうという給料表を使って公務員並み給料と表現していたのですけれども、それをやめて、当時の東京都の全ての中小企業の普通の人の普通の給料が保証できないかというので、中小企業に平均賃金の賃金カーブ22歳から60歳までとって、そこであわせた給料表を自分たちで独自につくろうというふうにしました。そうすると、それまでの給料とは大分違う給料になって、自分たちも親に大学を出されてもらっていたのですけれども、これからは、自分の子供が私立の学校に行きたいとか、大学へ行きたいと言っても、自分で行けと言わなくて済むなというぐらいの給与水準に、今、どうにかしてきたというところになります。
同時に、補助金の会計の仕組みが変わったこともあって、補助金の使い切りということではなくて、借金をしたり、貯金をしたりできるという事業運営の形ができるようになったことで、我々の事業の展開の幅というか、発想の仕方が変わってきたかなと思っています。
ですから、次のページに職員の構成で20代がすごく多いのですけれども、これは20年以降に、我々の相談支援事業や、あるいは通所の事業所もだんだん利用者の数がさらにどんどんふえていったので、それで職員採用していって、この数年間でたくさん人が入ってきてくれたので、というか無理にですけれども、入ってきたのは20代が多いということに、今、なってきています。
それで、今やっている我々の事業ですけれども、2ページ目のところに書いてあるのは、障害福祉法で、最初は小さい作業所を4カ所やっていたのですけれども、2カ所のB型事業所にして、定員40名2カ所ということで、20年当時は、平均すると大体2カ所合わせて1日平均50人から60人だったのが、今、40の2つ、大体80ぎりぎり、いっぱい、いっぱいぐらいまで通われている状態になっています。それで、小さなグループホームも少しあって、調子に乗って訪問系の事業もやってみようとか、相談支援事業もやってみようというふうにして、だんだんふえてきています。
それで、昨年から介護保険、高齢化した精神障害の方たちが我々の利用者の中にもふえてきて、30年事業が経過すると、1割ぐらいの人たちが65歳を超えてきているかなという状態になっています。
そうすると、なかなかケアマネさんに頼んでも、なかなかうまくいかなかったり、ヘルパーさんはうまくいかないということもあったりして、そうしたら、自分たちで何とかできることもあるのではないかということで、小さい、全然赤字の事業なのですけれども、そういったこともやれるようにしようというふうに始めています。
それで、現在は常勤の職員が21名で、非常勤週2から4日の勤務の者が3名います。基本的には、先ほど正規、非正規という話がありましたけれども、正規でやりたいと思っています。職員が対等に同じ立場で議論をし合えて、同じ責任を負い合うということをできるだけ追及したいというふうに思っておりますので、今の非常勤の人は、非常勤がいいという希望があるので非常勤で、常勤になりたいと言ったときには、常勤になれるかどうか、また、改めて検討するつもりではいるのですけれども、基本的には常勤者で埋めていくと考えています。
それで、ホームヘルプの事業を始めたのですけれども、そのときのホームヘルパーのうちの8名が、今、ピアヘルパーということで、精神障害を持った方々がヘルパー登録をしています。
これは、我々の就労継続支援のB型の事業所に通っている人が、週に1回、1時間ぐらいならやってみようかなという人たちが登録している。これが、だんだん本気になって、これを本業にしたいという人が出たら、正式に雇い上げられるといいねとみんなで言いながら始めたところで、なかなかまだうまくいっていなくて、そういう人はまだあらわれていないのですが、そのような状態になっています。
次に、男女という分け方でいいのかどうか、LGBTの方もこれから入ってくるので、別の区分の仕方をしたほうがいいのかもしれませんが、今のところ男女に分けています。
30代以上までは男性が多かったのです。この世界では割と珍しいのですけれども、男性が比較的多い職場だったのですが、この数年間、新しく来た方々は、ほぼ女性が、男女が並ぶと、なぜか女性が有利というか、試験のあるものは女性のほうが勝ちやすいという、今の傾向が如実にあらわれているかなと思います。
今の資格の取得状況は、精神保健福祉士を持っている者が15名で、社会福祉士が5名、介護福祉士が1名ということになっております。
社会福祉士の5名というのは、全員精神保健福祉士を持っている人が社会福祉士も持っているという状態になっているので、何も持っていない人は、何もというか、この3つの資格、いわゆる福祉三士を持っていない人は5名です。そのうちの3名は、今、大学や専門学校に通信教育で通っているか、入っているので、幾年かの後には、多分3名は、精神保健福祉士や社会福祉士をダブルで取ったりして、大体9割ぐらいが資格保持者になるかなと思っています。
その他、行政の認定を受ける資格が障害のほうでは、相談支援専門員が、今、12名で半分を超えたところです。それで、サービス管理責任者もそれぞれとって、さらにことしも1人か2人ずつはとっていこうというふうにしているところです。
それで、介護系は、ケアマネが今、4名で、毎年受けられる人は全員受けましょうと、去年あたりから言って、そういうふうにしています。
それで、実務者研修はヘルパー2級、初任者研修をとっているものが、以上のようにいます。
これは、我々の法人の中で事業を動かしていくときに、誰でもどの職場にでも行けるというふうなホジションをつくっておこうということで、誰かの指定席にしない。いろんな法人によっては、特別な縁故者や親族で、特別の採用の枠があって、最初からいいホジションで働く人たちもいるようですけれども、そういうことは、我々は零細なのであり得ないので、誰でも入ったら、どこの事業所に行くかは自分たちで考えて、職員会議でずっと人事を1カ月ぐらい考えるのですけれども、そうやってやるときに指定席をつくらないために、取れる資格はみんな取るというふうにしてやっています。
そういうような人の配置というか、動かし方をしながら事業を広げていって、進めていくというやり方をしてきました。
その流れというか、次のカラーに移っていただいたのが、我々の事業の説明で、これはぺらっとしたものしかつくれていないのは、毎年のように、この形が変わるからということもあるのですけれども、障害を持った人たちが地域の中で知られていない、障害福祉の現場を地域の人たちが知らないということがあるのだろうという論点もありましたけれども、確かにそのとおりで、我々は、今、あおばケアセンターというのを去年から開いているのですけれども、できるだけ、そこが地域の方々と障害を持った方々あるいは職員の交流の場所になるといいということで、地域交流室というのを全く無収入の状態の部屋を1個つくって、そこで絵本を読んだり、将棋をしたり、そんな場所をつくって交流できる場所をつくってみたりしています。
あとは、ヘルパーですけれども、ピアヘルパーが多いのは、もともと我々の作業所に通っていた人のうちの1人が入院をして、車椅子を使わないと暮らせない状態になった方が退院してきて、どうしようか、通えないねという話をしたときに、我々のメンバーの1人が、自分が送り迎えするよということで、そこから始まって、たまたま彼がヘルパー2級を親に言われて持っていたということがあったので、これをどうにか事業化できないかというので始めたのが、今のヘルパーの事業所なので、この形をつくっていって、障害のある人たちの働く場所にもなれるといいし、障害があることによって、なかなかほかのサービスに結びつきにくい人のつなぎ目になるといいかななどというふうに考えながら事業を進めています。
それで、時間もあれなのですけれども、我々の仕事、やはり専門職がとても大事だと思っています。専門職というのは、専門的な力量を持った人のことを言うということよりも、その専門に対して責任を負う人たちというのですかね、精神保健福祉士を持っている人は、精神保健福祉士にたけた人たちというのではなくて、我が国の精神保健福祉士の責任を負う人たちという意味で専門職だと思っていますので、専門職がしっかりと入っていくことが大事だろうと思っています。
ですから、福祉の仕事が、人の嫌がる仕事を、大変な仕事を安い給料でやっているということではなくて、誇りを持って働ける楽しい仕事で、自分のやりたいこと、事業を起こしたり、何か新しい仕事を見つけて、それを事業化していく。それが、人にも喜ばれて、自分もうれしいという仕事になっていくのだという体験を、みんなそれぞれ持っていくことが大事かなと思いながら、今までずっとやってきたところです。
特に、最後、資料でつけさせていただいたのが精神保健福祉士のことなのですけれども、今回のこの検討会の中では特に議論には入ってきていないようなのですが、特に精神障害の領域では、精神保健福祉士の仕事の持ち分というのですか、とる分がとても大きいので、ここもあわせてどこかの段階で御議論、御検討いただけるとありがたいと思ってつけさせていただきました。
以上です。
 
○田中座長 田中さん、ありがとうございました。4名の方、それぞれ的確な問題提起、ありがとうございました。
では、事務局からの説明、そして、ただいまの御報告を踏まえて皆様方、限られた時間ですが意見を頂戴します。
石橋さん、お願いします。
 
○石橋構成員 4名の構成員の皆様、どうも発表ありがとうございました。
障害分野における介護職員の中には、やはり介護福祉士の資格を持って働いている方も一定程度いると認識しております。
高齢者分野同様、介護職員の中では、やはり中核的な役割は介護福祉士が担っていると思っています。
したがって、高齢者介護だけではなく障害分野においても、介護福祉士の養成確保というものはますます重要であり、今後の介護福祉士の役割の中に障害分野の役割もきちんと位置づける必要性があるかと思っていますし、あわせて、介護福祉士またはそれを含めた介護職員、それから、ほかの専門職も含めて、やはり障害分野の方たちの社会的評価の向上、処遇改善というのは、当然ながら必要だと思っています。
それから、障害を持つ利用者の分野というのは、今お話があったように非常に幅が広く、就労支援から精神的支援、子供から高齢者と幅広いわけですが、その特性もさまざまであるわけでございますので、したがって、それらに対応できる介護人材の養成はますます必要だと思いますし、例えば、今の介護福祉教育でそれを行うというのは決して十分ではないかもわかりませんが、教育の見直しというのは必要かと思っていますし、一方、介護福祉士の資格をベースに多様な障害特性に応じた支援ができるように研修、教育の体制の見直し、いわゆるキャリアパスの構築というのも今後、考えていく必要性があるのではないかと申し上げたいと思います。
 
○田中座長 川井さん、お願いします。
 
○川井構成員 先ほど来、お話がありました障害福祉士の3つ目の論点で、障害児・者との接点が少ないのではないかというお話がありました。私どものところでも社会福祉士養成をしているのですけれども、その中で、約7割が高齢、障害関係の施設、へ就職してまいります。論点の中で障害児・者との接点が少なく、障害児・者の支援という仕事のイメージが湧かないのではないか。と書かれていますが、私どもの学生は1年からサークル等で、障害児とか障害者の方々とかかわる機会を持っています。
ですから、私どものところでは就職先として障害児・者のところを希望する学生がかなりおります。
しかし、なにぶんにも、正規の雇用としての求人に出会えなくてやむを得ず別を選んでいくという学生もおりますので、このようなところは今後の検討の余地があるのかと思っております。
それから、初めの社会福祉士養成の問題ですけれども、今までのお話を聞いておりますと、社会福祉士にはかなり幅広く求められているものがあるのだと思います。
そういう意味からしますと、養成課程のほうを見て、きょうの資料の13ページにありました養成のルートが、一般大学等を出た人たちが養成校1年以上で国家試験を受けることができるというルートがあります。そこから37.5%の人たちが出ているという話が出ていましたが、先ほど来、お話を聞いていましたら、かなり専門性の高い人材が求められているということなどを考えますと、1年課程であっても高い倫理性とか人権とか尊厳といった教育は非常に重要なのかと思っています。
ここでその1年課程が問題だというわけではありませんけれども、先ほどどなたかもおっしゃっていましたように、国家試験がかなり難しいといいますか、合格率が高くはございません。そのために、私どもは4年生になると、授業とは別に1年間国家試験の対策講座を設け試験に備えています。そのことを考えますと、1年課程では、かなり国家試験に向けた教育に専従されている部分もあるのではないかということも危惧するところがございます。
そういう意味からしましても、今後の検討としまして、委員の方々も皆さんおっしゃっていましたが、今18科目、19科目と試験科目もふえてきていますが、試験科目はニーズにあわせてふえてきたというところがございますので、もう少し見直しをしながら、本来、大学で教育していくところは何なのかというあたりを継続して検討していく場が必要なのかと思っています。
以上です。
 
○田中座長 ありがとうございました。
堀田さん、お願いします。
 
○堀田構成員 途中でおくれて申しわけありませんでした。
資料は全部見せていただきながら、論点に引きつけて思いましたのは、一方で、きょう御報告くださった皆さんあるいは介護系もいろいろとあるわけですが、障害とか疾患の種別ごとに、いかに専門的なケアをやるかという専門分化というものは、医療も介護も福祉もとめられずあるわけですが、でも、多くの方々が御指摘になったように、一人一人の方、あるいはその環境としての御家族、あるいはそのさらに環境としての地域が持っている課題というのはかなり複合化してきていて、専門分化をとめられないのだけれども、今後の方向性としての2つの期待は、1つは専門職の専門分化をとめられない部分があるだろうと。だけれども、それを疾患とか障害の別を超えて、地域の中でトータルに見られるようなチームのあり方というのをどう考えるかというは、1つ、重要な論点ではないかと思います。
あわせて、同じ流れで2つ目なのですが、専門分化をとめられない前提で、でも、共通の言葉を持っていくということを考えますと、この検討会でもあるいはもう数年前からずっと紹介されているところですが、ヨーロッパの各国で見られるような基礎を共通化していくという流れも、他方で考える必要があるのではないかと思います。
ですので、専門職としては専門分化していくかもしれないが、地域の中でトータルでケアができるチームのあり方、それから、基盤としての共通言語の部分をどうつくっていくかという意味で、関係する資格のどなたかのお話にありましたが、きょうもびっくりするぐらいたくさんの種類の団体が、まだまだほかにもたくさんおありなのだろうと思うのですが、関係する団体が職種とか資格を乗り越えた形で、目標としていらっしゃるのは、この地域の中でのトータルのQOLをどう高めていくかということだと思いますので、それを目指しながら、それぞれの役割分担を発展的に考えつつ、基盤の部分も話し合ってつくっていくといったところにつながってほしいと思います。
きのう、ちょうど札幌市の厚別区というところの垣根のない支援を考える会というところに行っていまして、区内の障害・高齢を超えて、職種を超えたネットワークで、余り全国にそんなにないと思うのですが、いろいろな議論をお聞きしながらも、ちょうど同じようなことを考えていましたので、2つ、期待するところです。
以上です。
 
○田中座長 的確なまとめをありがとうございました。
平田さん、お願いします。
 
○平田構成員 何点か。社会福祉についてもよろしいですか。
資料1の8ページをあけていただけますか。社会福祉士に関しても以前、介護支援専門員の資格要件の際に社会福祉士に限定したらどうかと、意見があったのですけれども、まだそのころは適当数の養成ができていなかった。現在、この資料を見ますと16万5,000人いらっしゃるということであれば、必置規定の要件の職種の増加、つまり、左側の任用要件の職種をどこまで、これは必要数を勘案するしかないのでしょうけれども、専門家として地位を上げていくのであれば、必置規定にどの職種を持っていくかを検討してもいいのではないか。
また、現状、社会福祉法人の例えば50の特養ですと、生活相談員必置1名で介護職員は17となります。事業所の中でもソーシャルワーカーの配置人数が少ないのです。私どもの法人でも、社会福祉士を持ちながらの介護職員は多数います。社会福祉士も持ち、介護福祉士も持ち、介護支援専門員を持ちながら将来のキャリアパスを描くというのは随分キャリアパスの幅が広がりますので、そういうものを法人内で構築する必要があります。
障害関係ですけれども、来年、法定雇用率が1.8から2.0になります。また生活困窮者の自立支援法が来年度から施行され、中間的就労などの支援が開始されます。さらに社会福祉法人の地域貢献事業などもありますので、そういうものとあわせて経営協でも各法人に1つのきっかけとなることを今から広報していければと思います。
以上です。
 
○田中座長 山田さん、お願いします。
 
○山田構成員 介護福祉士あるいは介護職の議論が5回にわたって行われてきたのですが、介護職あるいは介護の問題もそうなのですけれども、どちらかといえば、今までの施設に重度の障害を持った方についてお願いするという考え方から地域へ移行していく考え方に今、移りつつある。ところが、社会資源そのものが広域、大規模なものをつくってきたということで、なかなかケアマネジャーとか包括支援センターが伴走できる資源の仕組みになっていない。堀田構成員がおっしゃったような地域における専門職の連携もこれから大きな課題と思います。
そのような中で、社会福祉士のことについてなのですけれども、私はやはりこれからの地域包括ケアと言われる重度な障害を持った方などだけにとどまらず、インクルーシブな社会をつくっていくという観点からもそうだし、中間所得層あるいは経済的に豊かな人でも認知症を含めて孤立の問題とか、こういう問題がこれから出てくる。世帯構成の問題とか地域社会のあり方。こういうことを考えますと、介護福祉士、社会福祉士という人の暮らしを支援していく専門職が本当に重要になってきていると思います。そういう職種を、今までは地縁、血縁あるいは大きな施設で支えてきた社会から、地域包括ケアというインクルーシブな社会にしていくためには、介護福祉士、社会福祉士のような人の暮らしを支える専門職がいかに重要かを国民が認識することが必要だと思います。そのためにははっきりと業務独占の方向性あるいは認容資格などを拡大していく方向性。そして、非常勤や生活ができない職業ではなく、社会福祉士でもしっかりとキャリアアップできる仕組みを将来を見据えて本気でつくっていくことがないといけないのではないか。介護福祉士もあわせてそう思っています。
 
○田中座長 一当たりよろしゅうございますか。
 
○西條構成員 ありがとうございます。済みません、時間がない中で申しわけないです。
障害分野でもいろいろな皆さんから御発言をいただきまして、中でも、今後の方向性といいますか、田中さんのNPO法人の取り組みは非常に成功例だなと。介護の分野でも若い事業者さんが非常に頑張っている事例がございましたけれども、これからしょって立つのはやはりこうした若い人材なのかなと。我々は就職セミナーとかを開いても、特に若い人材の人気が最近、介護系よりも障害福祉系の分野で非常に人気が高いのです。それはどうしてかというと、やはり福祉大学卒業生の方が、どうせ福祉をやるならやはり専門的な障害という分野をやりたいという意識が非常に高いなということを感じています。田中さんの事業所にも若い人材がどんどん最近入ってきているというのも、こういうことを見ても傾向なのかなと思っています。
その中で、後ほどお答えいただければと思うのですが、田中さんが地域の中で、特に杉並区という住宅地の中でこうした分野の作業所を地域にどうやって理解をいただいて、立地したのかといいますか、開かれたのか御参考までに伺いたいというのが1点ございます。
課題ということで、介護の分野と同様に、障害分野もこれから地域移行がどんどん進んでいる中で、例えばグループホームの世話人さん、こうした方々にもある程度の障害者対応という技術といいますか、知見といいますか、そういったものを持つ必要が今、求められております。入所、通所施設においても再雇用というか、再任用といいますか、リタイアした人、こういった人材に頼らざるを得ない状況がありまして、こうした方々は障害特性に応じた対応がやはり身についておらずに、一朝一夕に身につくわけでもないのですけれども、それが原因で虐待問題なども、いろいろな、金銭虐待、性的虐待がありますけれども、そういったものも深刻となっているのです。
現状、障害分野の人材育成にかかる研修は体系化されておらず、先輩職員に教わりながら、また個々の利用者さんの状況、特性に応じながらスキルを高めているのが実態でございます。研修機関としては、群馬県に国ののぞみの園というものがありまして、我々、全ての職員が研修を受講するのは難しいという実態があります。
本県でも、県立の障害者施設において自主的に研修会を開催して、民間施設の職員なども参加しているのですが、こうした形の研修にもぜひ公費を積極的に投ぜられるよう、新たな財政支援制度において介護職員の人材確保対策と同様に、自立支援給付においても何らかの研修に対する措置、人材育成に対する措置というものも必要なのではないかと考えております。
 
○田中座長 お答えは検討会後でよろしいですね。学会ですと、検討会後の懇親会でどうぞというのですけれども、これは検討会後の懇親会がないので、お願いします。
最後に少し時間を頂戴して、本検討会の取りまとめについて触れさせていただきます。
この検討会は、皆さん覚えていらっしゃるかどうか、開催要綱において、秋をめどに取りまとめを行うこととされています。それを念頭にこれまで主に介護人材確保の方向性について4回にわたり議論を行いました。そして、8月26日に中間整理メモとして取りまとめるに至りました。さらに、前回は介護福祉士のあり方や資格取得方法に関する中期的な検討について前提となる介護人材の全体像や、その中での介護福祉士のあり方について議論を深め、論点の整理を行っていただきました。また、本日の議論では、新たに社会福祉士や障害福祉分野の人材確保に関する幅広い観点が提示されました。そして、福祉人材全般に関する検討が大いに深まったものと感じております。
なお、これは後で事務局から説明があると思うのですが、今月下旬以降には、社会保障審議会福祉部会の下に福祉人材確保専門委員会が設置されます。そこで具体的な介護人材等の総合確保方策の策定に向けて議論が進められることになっております。
こうした中、次回は、これまで私たちが議論した介護人材を初めとする福祉人材確保に関する論点を一通り整理し、本検討会の取りまとめの議論を行わなくてはなりません。
今回から加わっていただいた方は本当に申しわけないのですけれども、そういう日程になっていますので、次回に取りまとめの議論を行わなくてはなりません。
この取りまとめの方法について、武内室長より説明をお願いします。
 
○武内室長 今、田中座長からおっしゃっていただいたことにつけ加えまして、本検討会の取りまとめにつきましては、中間整理メモで示されました11の方向性がございますが、これに加えまして、第5回及び今回の議論で示された論点と方向性を加えて取りまとめる形にさせていただきたいと考えております。
また、先ほどお話がありましたが、福祉部会福祉人材確保専門委員会における総合的な確保方策の具体化に向けた議論に資するよう、これまでの検討会で示された幅広い観点からの御意見につきまして、整理したものにつきましては、その取りまとめの参考資料として付し、活用させていただきたいと考えております。
以上です。
 
○田中座長 ありがとうございました。
今、説明がありましたように、私たちが整理した11の方向性、覚えていらっしゃると思います。その11の方向性やこれまでの議論において示された多くの論点をもとに、新たに設けられる福祉人材確保専門委員会でその具体化に向けた検討を進めてまいります。
皆様、今の事務局の説明でよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
 
○田中座長 では、次回までに私と事務局とで取りまとめ案を作成いたします。事前にメンバーの皆様、構成員の皆様にも御確認いただきます。その上で、次回の検討会で最終的な討論を行うことにいたします。
最後に事務局から次回の日程の説明をお願いします。
 
○関口室長補佐 次回の検討会につきましては、10月14日火曜日、午前10時から12時まで、場所につきましては、厚生労働省での開催を予定しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
 
○田中座長 実に3時間休憩なく、非常に深い議論をしていただきまして、いい意味の充実感が残りました。これをきっかけとしてさらに議論を深めてまいりたいと思います。
皆様、どうもありがとうございました。

 

 

 

(了)

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