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2014年9月2日 第5回福祉人材確保対策検討会 議事録

社会・援護局 福祉基盤課 福祉人材確保対策室

○日時

平成26年9月2日(火)10:00~12:00
 

 

○場所

TKPガーデンシティ永田町 バンケットホール1A

○議題

(1)介護人材と介護福祉士の在り方について
(2)その他

○議事

 

 


 ○関口室長補佐 皆様、おはようございます。定刻少し前ではございますが、皆様お集まりのようでございますので、ただいまから第5回「福祉人材確保対策検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
初めに、本日の構成員の出欠状況を御報告させていただきます。堀田様におきましては御欠席との連絡をいただいております。また、佐藤様の代理として扇田様が御出席をされております。
では、以降の進行は田中座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○田中座長 おはようございます。
早速ですが、議事に入ります。
初めに、中間整理メモについてです。前回の検討会までに皆様に非常に精力的に御議論いただき、今後の介護人材確保の方向性について去る8月26日に中間整理メモという形で取りまとめ、公表することができました。とても短い時間ではございましたが、皆様方の御協力によってきちんと取りまとめることができ、改めて御礼を申し上げます。
中間整理メモについては、8月27日に開催されました社会保障審議会福祉部会にも報告されました。今後、福祉部会の下に置かれます福祉人材確保専門委員会で中間報告を踏まえた議論が進められることになります。
当検討会は、開催要綱において秋をめどに取りまとめを行うこととされております。今後は残る検討項目について議論を進めてまいります。
本日は、介護福祉士のあり方や資格取得方法に関する中期的な検討に当たり、2つの前提、1.介護人材の全体像、2.介護福祉士のあり方、に関する考え方や論点について御議論いただきたいと存じます。
初めに、事務局より資料の確認をお願いします。
 
○関口室長補佐 報道の皆様の撮影はここで終了とさせていただきます。
(報道関係者退室)
 
○関口室長補佐 それでは、お手元の資料を確認させていただきます。
皆様のお手元には、まず「介護人材と介護福祉士の在り方について」という資料。
参考資料1といたしまして「介護人材確保の方向性について」、先ほど座長からもお話がありました中間整理メモでございます。
参考資料2といたしまして、介護人材の現状等に関する資料。
それから、平田構成員より提出のありました資料を配付いたしております。
資料の不足等がございましたら、事務局までお申しつけくださいますようお願いいたします。
なお、田中構成員より、第3回検討会におきまして委員の方のみに配付されました、日本介護福祉士養成施設協会で作成されました冊子等につきまして、本日、傍聴者、随行者の方にお配りしておりますので、つけ加えさせていただきます。
以上でございます。
 
○田中座長 ありがとうございました。
早速、議論に入りましょう。
事務局、武内室長より資料の説明をお願いします。
 
○武内室長 それでは、本日の資料につきまして御説明を申し上げたいと思います。
「介護人材と介護福祉士の在り方について」というタイトルの資料でございます。
本日は、介護人材の全体像及び介護福祉士の位置づけ・あり方、この2つのテーマについて御議論いただきたいということで、こちらのほうに資料をまとめさせていただいております。
それでは、1ページにその2つの項目が書いてありますが、2ページ以降、順を追って御説明させていただきます。
まず、介護人材の全体像に関しまして、介護人材がどういう人材によって構成されているのか、現況はどういう状況なのかということについて、おさらいも兼ねましてもう一度御説明させていただきます。
2ページ目が介護職員の現状、プロフィールについてであります。これは既に第1回検討会でも御説明を申し上げましたけれども、就業形態及び年齢構成について、施設等の職員及び訪問介護の職員、この2つのカテゴリー分けに従って現在の状況が示されております。この中では、施設等については正規、訪問については非正規が多いことがわかります。また、下の年齢構成について見ていただきますと、施設等、訪問介護いずれも女性の比率が高く、男性については40歳未満が主流、女性については40歳以上の割合がいずれの職種でも過半を占めているという状況になっております。
次のページにまいります。今、申し上げたことをより直感的に示したものですけれども、訪問介護、施設等の介護を横軸に、常勤職員、非常勤を縦軸にとっております。この面積の大きさが人数規模をおおむねイメージしたものとなっております。ごらんのとおり、訪問介護については非常勤、施設等の職員については常勤が多くを占めています。また、その下に、ややポイントを落とした数字で採用率、離職率が書いてありまして、訪問介護は常勤、施設等の職員は非常勤の離職率が高くなっている状況になっています。
次の4ページにまいります。現在の仕事に対しての満足度について「仕事の内容・やりがい」「キャリアアップの機会」「職業訓練・能力開発のあり方」といった切り口でどういう状況にあるのかということを示した資料です。これをごらんいただきますと、訪問及び施設等双方において「仕事の内容・やりがい」についての満足度は比較的高いのに対し、「キャリアアップの機会」「職業訓練・能力開発のあり方」に対しては総体的に満足度がやや低い。そして、特に施設等ではその傾向が強いことがわかります。この理由について詳細に調査したデータはございませんが、全体の傾向としてこういうことが見えてきております。
次に、5ページにまいります。5ページは、非正規の職員と正規の職員という2つの切り口で見た場合に、一つのキャリアパス、あるいは働き方として、非正規職員がどれだけ正規職員を志向しているかというデータです。これに関しましては、訪問、施設等の両方において、非正規の職員の皆様の正規職員への希望は全体としては必ずしも高くないという状況が見てとれます。これに関しても、そもそも非正規という働き方を希望されるのか、自発的でない非正規の形の方が含まるのか、両方が含まれるとは思いますが、トータルで見た場合はこういう状況が見てとれます。こちらも理由までは詳細に調査できておりませんが、こういう傾向が見てとれます。
こういった介護人材の全体像を見た上で、6ページ以降は、介護のニーズに関してどう変化をしているのかの参考資料です。
6ページ目をごらんいただきますと、言うまでもないことですけれども、高齢者数の増加に伴う量的拡大に加え、左下にありますように、認知症高齢者の比重が今後急速に高まっていくということ。それから、右下のデータにありますように、単独世帯がふえてくるということ、高齢者のみの世帯がふえてくるということ。こういったことの中で、これまで以上に介護ニーズが多様化・複雑化していくということが介護人材を取り巻く状況として見てとれます。
7ページにまいります。7ページは量的な問題でありますけれども、こちらも何度か御紹介させていただいておりますように、介護職員の需要推計が25年度までに最大249万人という数字がございます。その数字とともに、下の段の青いグラフで見てとれますように、高齢者数が増加していく中で、オレンジ色の部分の生産年齢が減少していく。この中で両者をどのようにバランスをとっていくかということも一つ重要な観点として改めて御紹介いたします。
その上で、8ページにまいります。8ページでは、先般まとめました中間整理メモ、及び、これまでの検討会で皆様からいただいた御意見の主なものを抜粋しております。介護の人材の類型化、介護福祉士の位置づけに関する部分につきまして、中間整理メモでは、5において、介護人材について類型化を進めることが大事ではないか、そのためのキャリアパスの整備、環境整備を実現することが大事ではないかということ、6では、介護福祉士の専門性と社会的評価の向上というものがうたわれております。これがそのまま本日の議論の中核的な論点になってきます。
また、これまでの検討会における主な意見として4つの○でまとめております。
この中では、これまでの介護人材という一くくりになっていたものをやめて、一律に介護人材という考え方をするのはやめるべきではないか。
2つ目では、全てが介護福祉士を目指す必要はなく、属性や働き方に応じた多様なキャリアパスの構築が必要ではないか。
3つ目については、介護福祉士を専門性の高いキーパーソンとしていく中で、専門性を高めるステージへ転換をしていくべきではないか。
4つ目には、介護予防の中には、元気高齢者によるピアサポート等々、利用者像に対応する人材配置のあり方を検討すべきではないかという御意見もこの中でいただいております。
こうした前提条件を踏まえまして、9ページには論点という形で整理をさせていただいております。
「介護人材の全体像に関する論点」としまして、1つ目が、2025年の地域包括ケアの構築に向けて、介護人材の量的な確保、質的な担保というものを両立させるために、介護人材の構成・組成と役割分担をどう考えていくのか。
2つ目には、将来、限られた人材を有効活用するために能力の高い人材を必要な分野に重点化していく、機能分担を図っていく方向性が大事ではないかということ。
3つ目については、より責任が伴い、高い能力が求められる分野においては、中核的な役割を果たすことが期待される介護福祉士が担っていくことが大事ではないかという論点を示しております。
これに関して、10ページには、左に、これまで介護人材に関してさまざまな検討会などで示されてきた考え方、右の部分には、今後の方向性という一つの試みの案として議論の材料として提起をさせていただいている考え方。これらを、人材の構造と人材の類型・体系という縦軸に分けて書いております。
これまでの議論の経緯をなぞってみますと、平成16年の介護保険部会では、介護職員については将来的には任用資格は介護福祉士を基本とすべき。当時、介護保険制度が発足した後、急速に量的な拡大を図る中で、質的な観点からの配慮も必要だという背景のもとでこういう方向性が一つ打ち出されました。
その後、23年の検討会においては、その中で量的な拡大が必要だという状況が高まってくる中で、質の高いサービス、量的な人材の確保という2つの目的を両立させていくことについて、介護福祉士の割合について当面5割以上を目安としていくべきだという方向性も議論されました。
「(参考)」の部分にありますのが現在の介護福祉士の割合の推移でありまして、現在、4割弱の水準にまで上がってきております。
これまでの議論の中では、下の段、人材の類型・体系については、初任者研修修了者、介護福祉士、認定介護福祉士(仮称)という体系で議論が進められてきたということでございます。
今後の方向性の試みの案でございますが、こちらは、労働力人口の減少化において介護福祉士を重点的に投入していく中で、機能分化と介護福祉士の役割を明確化していくことが必要であろう。これは中間整理メモに打ち出された方向性とも一致しております。そのため、下の図をごらんいただきますと、平成27年から平成37年(2025年)を念頭に置いたものになっておりますけれども、これは、レベルというよりも量的な規模感を示しております。現在、介護福祉士が4割ぐらいを占めている。この後、平成37年に向かって、オレンジ色の部分、ブルーの部分、両方とも拡大をしていく必要があるものの、その中で、介護福祉士は専門人材を必要とする分野に重点化していってはどうか。すなわち、機能分化、介護福祉士の役割の明確化という方向性を目指していってはどうかという考え方です。その中には、懸案となっております潜在有資格者の掘り起こしという部分も大事な要素となってきております。
そうした中で、平成37年度に向かっては、介護福祉士が5割を占めるということを目標としていってはどうかという試みの案でございます。これは、これまで「当面」という言い方をしていた部分についてある程度時間軸という概念を持ち込んだものであります。
そして、この介護福祉士の部分をAとした場合に、B、Cとして、そこよりは専門性が劣る方々に関して、Bについては研修などを修了し一定の水準にある方、Cについては基本的な知識・技能のみで就業して間もない方、こういった方々を1つのグループとして考えた場合、こうした方々の資質の向上をより図っていっていただくということも大事な観点ではないか。
それに関しては、一番右下の「人材の類型・体系」という部分は専門性の高低・ボリューム感をあわせて書いたものですけれども、今、御紹介をしたAの部分が介護福祉士、Bが一定の水準にある方々、Cが基本的な知識のみの方々、こういった方々で組成をしていく姿を描いていくべきではないか。その中においては、Cの部分につきましては、ここに女性、若者等、中高年齢者というのが掲げてありますが、裾野の拡大を図っていくという方向性。Aにつきましては、資格の高度化等。これまで認定介護福祉士ということも議論を続けてまいりましたが、資格の高度化等という要素も入れております。このA、B、Cの分け方、それからどのように区分していくのか、このあたりも議論を深めていただければと思います。
11ページ。こういった介護人材の全体像を見据えた上で、介護福祉士をどう位置づけていくかという話。12ページ以降、議論していただく材料を入れております。
12ページ。これも従前からごらんをいただいております。介護福祉士の登録者数は、国家試験の合格者数、養成施設数の両者がプラスされて総数となりますけれども、25年度時点で累計で120万人ぐらいの方が介護福祉士として登録されておられます。
13ページは、介護職員の中に介護福祉士がどれぐらい占めているのか。これは先ほど一部先取りをして見ていただきましたが、24年時点で37.6%が介護福祉士の方。これは17年以降、順調には伸びてきているという状況が見てとれます。
14ページ、潜在の介護福祉士の話です。青いラインが登録者数、オレンジのラインが実際の従事者数ということです。右下に見ていただけますように、58.4%、すなわち6割ぐらいの方が従事されている。ただし、それ以外の方がまだ十分に参加されていないというような状況も見てとれます。
15ページです。介護福祉士がどういうところで働いていらっしゃるのかということについてのデータです。それぞれのサービス類型と、それぞれに応じた平均の要介護度を青いグラフで示しており、介護福祉士が従業員に占めている割合を赤いグラフで示しています。これを見ますと、結論としましては、必ずしも要介護度と介護福祉士の割合がリンクしているとは言いがたい状況にあるということが、今の介護福祉士の果たしている機能、位置づけを議論する上で一つ参考になるものと思われます。
16ページは21年度の検討会で示されていた資料であります。介護福祉士の養成について、資格取得時に到達する目標が左の欄にありますが、こういったものを資格取得時には満たしていこうということ。それから、資格を取得した後も、求められる介護福祉士像として右の点線。すなわち、実践的能力のみならず施設・地域を通じた汎用性のある能力、予報からリハビリまでの能力、7番にありますようにチームケアの能力、10番にあるコミュニケーション能力等々、こういったものを高めていくことが必要だということが提案をされています。
17ページは、介護福祉士となるに当たってどういう教育がどれぐらいのボリュームで行われているのかというものです。3つのルートがございますけれども、この中では「人間と社会」「介護」「こころとからだのしくみ」「医療的ケア」に関して、非常に広範な領域にわたって、時間に換算すると最大で1,855時間のボリュームをかけて介護福祉士は養成をされているという現況についても改めて確認させていただきたいと思います。
18ページ。介護福祉士に関しまして介護報酬の中でどう取り扱われているのかということのデータです。こちらの中では、介護報酬では大きく分けて特定事業所加算、サービス提供体制強化加算の2つについて、下線部に引いてありますように、介護福祉士が一定割合以上配置されていることに着目して、サービスの質が向上する、提供体制が強化されるという論理で加算の制度などが設けられていることも改めて御紹介させていただきます。
そうした上で、19ページですけれども、上の段に「介護福祉士の位置付けに関する論点」、下の段に試みの考え方を示しております。
論点の部分では、介護人材について、先ほどお示ししましたA、B、C。分類の仕方は、考え方はまだいろいろあるかと思いますが、A、B、Cというイメージで区分けすると考えた場合、それぞれの人材が担うべき役割は何なのだろうか。また、それぞれの役割を担うために必要な能力の広がり・範囲、程度や内容についてどう考えるのでしょうかということ。それから、その中で介護福祉士というのはどこの部分を占め、どういう役割を担うべきなのか。そして、その役割を担っていくためには、必要な措置、あるいは環境といったものはどういうものであろうかといったあたりを論点として提示させていただいております。
これに関して一つの考え方の整理例として下に書いております。この中では、A層、B層、C層という先ほどの整理の仕方に沿って、求められる役割、必要な能力というのをここにあえて掲げさせていただいております。もちろん、A層、B層、C層の中にはグラデーション、連続性がありましょうし、それらの分け方というのはいろいろな考え方があると思います。
その上で求められる役割について。A層については、豊富な知識・技術などを十全に活用し、質の高い介護を実践できるということ、もう一つは、介護のチームのキーパーソンとしてチームケアの質を改善するという役割を果たすということ。
これに関して必要な能力。2つに分けておりまして、介護を実践する力、すなわちプレーヤーとしての力、それからマネジメントをする力。これは、チームでケアをする場合の人員をどのように割り当てるとか、どのように組み合わせるかとか、そういう意味でのマネジメント能力と書かせていただいております。
それらについて、介護実践力については業務遂行力。ここに「(注)」と書いてありますが、単に業務をこなすだけではなくて、利用者の自己能力を引き出す力や観察力なども含むというような概念づけをした場合、◎、ここは非常に濃厚に必要ではないか。それから他職種との連携、チームのメンバーに対する指導力についても強く必要ではないかということで◎。それから、チームをマネジメントしていくという意味での能力も◎を書いております。
B層は、利用者や状態像に応じた汎用性のある介護を系統的・計画的に行うことができる、その前提としての幅広い領域の知識・技術を習得しているという方々に対しても必要な能力。これは◎、○、△に応じて体得されている能力が下がっていくという前提で整理させていただいております。
それから、類型化をした場合のC層という部分では、基本的な知識・技術を習得している、そしてA層やB層の方々の指示を受けながら介護業務を実践しているという方々につきましても、業務遂行力、他職種との連携について一定程度の能力を持っているということを考えてはどうかという整理の例でございます。
資料の説明は以上でございます。
 
○田中座長 ありがとうございました。
議論がかなり進化した整理になっていましたね。きょうはこれをもとに議論いたします。
今の資料からわかりますように、介護福祉士のあり方を考えるに当たっては2段階に分ける必要があると思います。第1は、介護人材の全体像について方向性を持った上で、介護福祉士に求められる役割を考えること、第2は、その上でどのように介護福祉士の役割を担うため能力を向上させていくかの2段階であります。実際に完全に区分することはできないので、議論はまじってしまっても構いませんが、一応、前半はこの資料の9ページにあります「介護人材の全体像に関する論点」、及び、10ページにあります「今後の方向性(案)」について集中的に御議論いただきたいと存じます。もちろん、まじってしまうのですけれども、介護福祉士の育て方についての議論が入っても構いませんが、まずは9ページ、10ページあたりを対象に御意見を頂戴いたします。よろしくお願いします。
石橋構成員、どうぞ。
 
○石橋構成員 まず、10ページの「介護人材の全体像と介護福祉士の位置づけ」の「今後の方向性」についての御意見を申し上げさせていただきたいと思います。
「これまでの考え方」の社会保障審議会介護保険部会のところの「介護職員については、まず、資格要件の観点からは、将来的には、任用資格は『介護福祉士』を基本とすべき」ということに関しましてはあくまでも理想だと思っています。現実的には、今、介護職員が不足している中で、全てを介護福祉士で賄うというのは厳しいというのが確かにあります。しかしながら、将来的には、この任用資格または業務特性として介護福祉士をきちんと位置づけることは決して忘れてはいけないと思っています。ただ、そうは言いつつも、いつまでにそれが実現可能になるかということを考えたときに、中期的な考え方として、今回の資料に示されています「今後の方向性」のところで、平成37年に5割を目標ということに関しましては、我々としてはあるべきかなと思っています。
ただ、ここに示されているように、介護福祉士の役割が今まで十分に明確化されてきていなかった。そのために評価が低かったということがありますので、この機会に介護福祉士の役割を明確化する。介護福祉士ができることは何かを明らかにして、社会的評価に結びつけていくことをこれから取り組んでいかなければいけないかと思っています。
特に介護という概念自体が非常に幅広く、例えば掃除・洗濯という系統的な介護から、認知症への対応、また医療的ニーズのある方たちへの介護。それから、今後は地域包括ケアが推進されていくわけですけれども、そういう他職種とチーム連携を行いながら介護を行う。そのように介護というのは非常に幅広く、誰がその役割をそれぞれ担っているかということが一般の国民の方たちには十分理解できないでわからない部分があるのではないかと思います。そういうことのために、極端に言えば、介護は誰でもできるというようなことを言われてしまいますけれども、そこは、介護福祉士の役割とそうでない介護職員の役割をきちんと明確化して、介護福祉士の社会的評価の向上に資するような取り組みをしていく。そういう方向性を今後していくことが必要であるということはちょっと思いました。
 
○田中座長 ありがとうございます。
扇田さん、お願いします。
 
○扇田代理 今の御意見、私も賛成いたします。それと同時に、2025年に向けて民間事業者が利用者の介護をスムーズに行えることが一番大切だろうと思います。10ページのところから見てみますと、事業者側の視点から見れば、介護分野において雇用しているのは介護専門職だけではない。また、事業所では、必ずしも管理職が介護職をやっているとは限りません。本資料の中で、介護人材、介護労働者、介護職員、介護職、介護福祉士といった表現がされておりますが、これ全てを介護福祉士として理解していいのかどうかと思います。
資料10ページ「介護人材の全体像と介護福祉士の位置付け」の右下の図でございますが、介護福祉士の位置づけに関して、介護従事者の専門職としての位置づけとしてなら理解できるのですが、介護従事者において専門職以外の管理職も存在しております。事業所における管理者は、本検討会でも再三議論されておりますが、職員の定着率に大きく影響を与える職種であると思います。
そういう意味において、この右下の図の介護福祉士の山でございますが、我々民間においては、専門職員の研修においては介護技術の向上を進めております。一方、管理者は、さらにマネジメントをする中で人材育成を進めているのが現状だと思います。
19ページの話はまた後ほどでいいですか。
というように思いますので、一応ここまでの論点では介護福祉士と管理職ということももう一度検討していただければと思っております。
以上です。
 
○田中座長 ありがとうございます。
介護職としての専門性と組織を運営する上での管理・経営といった観点は別のものだと思うのですが、室長、この10ページの右下の図はその管理の話は入っていないと捉えてよろしいのでしょうか。
 
○武内室長 はい。10ページの右下の図では、介護に直接従事するプレーヤーとしての介護人材というのを念頭に整理をしております。ただし、今、おっしゃっていただいたような管理職ということ、介護に直接タッチしなくても管理をする方々というのも一つ付随的な論点として御議論はいただきたいと思います。
 
○田中座長 ということだそうです。
 
○扇田代理 ありがとうございました。
 
○田中座長 平川さん、お願いします。
 
○平川構成員 ありがとうございます。
最初に、実態のところの5ページ「非正規職員の正規職員への志向」というところのデータですが、確かにこういうデータにはなっているとは思うのですけれども、これで直ちに正規職員への志向が必ずしも強くないということが言えるのかどうかというのは、もうちょっと詳細な調査が必要ではないかと思っています。逆に言えば、非正規職員の方の中には130万円の壁によって就業調整している方もたくさんいると聞いております。結果としてこのようになっているという状態はわかるのですけれども、それが、正規職員への志向が必ずしも強くないということが言い切れるのかどうなのかということについてはもうちょっと精査が必要ではないかと考えているところであります。
あと、10ページのところでございます。「これまでの考え方」で、介護職員については将来的には任用資格は介護福祉士を基本とすべきだという形になっております。私は、将来的には介護福祉士を基本とすべきという方向性は変えないほうがいいと考えています。サービスを利用される方は専門的な職員によるサービスを受けたいという希望も大変強いと思いますし、先日の通常国会におけます医療・介護一括法の附帯決議におきましても、介護の現場においては有資格者による介護を行うべきだという指摘もされておりますので、基本的な方向はそう簡単に変えるべきではないと考えています。
一方で、現実問題として、介護福祉士が現在37.6%という形の中、これから介護に携わる職員の総数がさらに増えていくという状況の中、この平成37年の5割の目標については、これも達成には多大な努力が必要かと思いますが、介護福祉士が基本であるという方向は必要ではないかと考えているところであります。
そういった中で、今回、論点として示されている、中核的な役割を果たすことが期待される介護福祉士、と記載されていますが、中核的役割というのは具体的なイメージがまだ湧かないと思っています。実際の介護現場で、例えば施設の現場におきまして、配食とか、ベッドメーキングとか、もしくは身体介護等いろいろありますけれども、それらの労働が実際の現場において、これは中核的役割ですよ、これは違いますよというのが分けられるのかどうなのかということでいうと、慎重に検討していかないとだめなのではないかと考えているところであります。
確かに、単純な配食であれば、それは中核的とは言えないかなと思いますが、配食と食事の介助につきましては、介護されている方の状態をしっかりと見るという観点からいうと、それも介護労働の一環ということでいえば大変重要ではないかと思います。中核的であるかどうかということについては、現場実態を含めてその概念については慎重に検討すべきではないかと思います。明確に区分けをしてしまうと、逆に、介護現場のあり方が繁雑・複雑化してしまうのではないかという懸念も一方ではあると考えているところであります。
それから、8ページの「これまでの検討会における主な意見」に○が4つあります。この4つ目の中に「介護予防対象者には、一定の研修を修了した元気高齢者によるピアサポート」という意見があると記載されています。元気高齢者がしっかりと社会、労働市場に参加し、介護人材の一端を担うという観点の意見ならわかるわけでありますけれども、残念ながら、これはボランティアでもいいのではないかという意見もよく聞くところであります。
今回、介護保険法が変わりまして、介護予防の給付が市町村事業になりました。その中で訪問やデイサービスの類型がガイドラインなどでいろいろ示されています。B型とかいろいろあるのですけれども、ボランティアでもいいですよというのが今回のガイドラインで示されているところであります。これは介護給付ではないからボランティアでもいいのだという意見もありますけれども、私は、事業であっても保険であっても、介護サービスを受ける人にとってみれば介護サービスは介護サービスでありますので、安定的かつ専門的なサービスを受けるという観点でいうと、雇用という位置づけにしていかないとだめではないかと思います。有償ボランティアと雇用の間には境界線がないということではなく
て、それは明確に位置づけが違うのだという観点が必要ではないかと考えているところであります。
以上でございます。ありがとうございました。
 
○田中座長 御意見ありがとうございました。
西條さん、それから田中さんの順でお願いします。
 
○西條構成員 ありがとうございます。
課題としては、量的拡大、質的向上の両立という中で、資料10ページにございます「介護福祉士の役割の明確化が必要」はそのとおりだと思います。
それで、この下の図ですけれども、まず、認定介護福祉士という存在は、この右側の図でどのような位置づけになるのかということを御説明いただければと思います。
それから、この介護福祉士の役割と申しましても、15ページの資料にございますように、介護福祉士が担っている役割とか機能とか、そういうものは事業所の種別や規模によって、それぞれ異なるのではないかと思うのです。そのあたり、それぞれの事業所において求められる役割は一体何なのかということを明確にした上で、その中で介護福祉士を中核的な人材、さらにその上のチームリーダー、またその上、マネジメント能力、チームケアというものに携われるような認定介護福祉士を育てる。そういったキャリアパスを明確に示していく。我々、若い人材を求めるために、まずキャリアパスを示すことが大事だと常々考えて施策を進めているのですけれども、そういう中で、介護福祉士の専門性を高めるというのであれば、これからの求められる介護福祉士像というのはこの場で明確に示していく必要があるのかなと。
もう一つは、同じ介護職員の中でも、こうした利用者にとって質の高いサービスを提供していくには、ケアマネジャーという存在も確かにあるわけですから、ケアマネジャーとの連携といいますか、介護福祉士がケアマネとどう連携していくかということも少し議論しておく必要があるのかなと。
今のところは以上でございます。
 
○田中座長 ありがとうございました。
認定介護福祉士についての御質問が1つありましたので、お答え願います。
 
○武内室長 御指摘いただいた認定介護福祉士(仮称)については「これまでの考え方」のところで述べられておりますが、「今後の方向性」のところでは、Aの上にある「資格の高度化等」の中に含意としては含まれています。
 
○田中座長 では、田中さん、どうぞ。
 
○田中構成員 10ページまでのところで少し御意見申し上げたいと思います。
9ページの3つの柱につきましては、各論はこれからだと思いますが、養成校としてはこの方向で深めていくということに賛成であります。
こういうことを前提にしまして、10ページの右下の山は、裾野を広げていく、参入を促進していくための方策をどうしていくかということでありますけれども、養成校は既に若者と裾野の拡大、中高年齢者、子育て中・後の女性という学生を受け入れておりまして、若者並びに社会人への教育に対する経験は既に持っております。しかしながら、養成校もそうでありますが、将来的にも若者の裾野の拡大ということが欠くことのできない基本的な要素であると思います。
そこで、ここをどのように広げていって中核的人材に育てるかということであります。
私は2点ございます。
この論点でもありますように、介護福祉士の社会的評価を高めるのがまず1点でございます。私はああいう仕事につけば社会で尊敬されるといいますか、役割を果たしているという自分たちの誇りが持てる、これが1点大事かと思います。社会的評価を高めるということ。2点目は、平川さんもおっしゃられましたけれども、その仕事につけば、ある程度将来の生活の見通しがつく。これが大事な点ではないか。この2つがそろってこそ、若者たちは初めて、ここの分野で頑張ってみようかなということになると思いますので、ここのところの制度設計をきちっとしていく必要があるのではないかと思います。
この検討会の役割というのは、皆様も同じだと思いますが、現状の問題をどうするかという問題に加えて、現在の中学生もしくは今の小学生たちがこの分野にかかわる場合にどういう制度設計ができているかということが大事であります。そこの人々に対する責任があるような制度設計を切に願うわけであります。
各論につきましては11ページのところでまた議論になると思いますので、そのような感じを持っております。
以上です。
 
○田中座長 子供たちに対する意見、とても大切ですね。ありがとうございます。
松本さん、お願いします。
 
○松本構成員 資料の10ページの右上の「今後の方向性」についてですが、未経験者の方を含めて裾野を拡大していく上で、まず、初任者研修の位置づけを明確にする必要があると思います。また、右上のA、B、CのCを仮に初任者研修の修了者と想定するのであれば、介護の業界に興味がない層を介護分野に巻き込むのに、初任者研修は入り口の部分で時間的にも費用的にもハードルが少し高いのではないかと思います。もう少し気楽に介護分野に入れる方策を考えていくべきではないかと考えています。
以上です。
 
○田中座長 ありがとうございます。
山田さん、お願いします。
 
○山田構成員 10ページの右上の図です。介護福祉士の割合は平成37年に5割を目標とい
う絵なのですけれども、その左側の2つ目の○の「H23.1.20今後の介護人材の在り方に関する検討会」では「当面5割以上」と。先ほどの御説明では、当面5割以上という23年度の方向性から、今回はある程度時間軸を入れてという御説明がありました。要するに、当面ではなくて平成37年度の到達点という提示だったと思います。私はこれはそうすべきだと思っています。
そうしようと思うと、今のBとCの層について、さらに資格、あるいは研修のあり方を明確にしていくということ。今も御意見がありましたけれども、それが必要なことだと思うこと。
あとは、Aの部分を5割を目標ということ。しかも、10ページの下の裾野から頂点へという富士山のような絵ですけれども、こういうことを当面から時間軸の到達点という目標に転換するのであれば、高度な人材についての報酬、あるいは教育の仕組み、あるいは制度上の資格制度、この3つについてかなり整理していく必要があると考えています。そういうことをしないとこれはなかなか達成できないと考えています。
以上です。
 
○田中座長 考える要素を御指摘いただきました。ありがとうございます。
川井さん、お願いします。
 
○川井構成員 今の山田委員のお話を受けて、私もそのように思っているわけですけれども、私が言いたい結論としましたら、まず、10ページの右下にあります富士山型のAの介護福祉士というところにつきまして、これが本当に一本でいいのかということを一つ思っています。もしかしたら、ここがA、A´に分かれるのかなと考えています。
そう考えた理由としましては、介護職を一律に介護人材と表現することは不適切と言っていますけれども、それと同等に、介護福祉士を一律に介護福祉士として扱うことは難しいのではないかと今回の議論を通して思っています。
と申しますのは、4年制大学で介護福祉士を学んで国家資格を取って卒業していく学生から、こんな言い方が適切かどうかわかりませんけれども、実務経験を積まれて国家試験を受けて国家資格を取られている方々、そして、養成校を出て国家資格を取られている方々というように、皆さんも御存じのように幾つもルートがあって国家資格ということになります。そうしたときに、専門性とか機能分化とかいろいろな話が出ていますけれども、介護福祉士と1つにくくって、こういう専門性をお願いしましょうとか、こういうところの領域でお願いしましょうというようなことが、基礎的、体系的に学んでいる者が必要な部分と、いろいろな考え方はあると思うのです。ですから、学びの課程が違っている者の中でこれから1つで語っていっていいのかということがあるわけです。
そのニーズとしまして、介護福祉士の資格取得を短期間にしたいというニーズがあることも事実です。それから、全ての人が国家試験に合格して介護福祉士にという要件にしようということで動き出しましたけれども、結局それも動かないうちに国家試験も実態としては成立しない。全員がということにはならないような状況になってきていると思うのです。そういう中で一律に語るという事態はどうかということ。
さらに、専門性を向上するという意味から、8ページの「資質の向上」に「6.介護福祉士の専門性と社会的評価の向上」というのがありますけれども、その中で地域包括ケアの担い手としての介護福祉士の期待というのは大きいと思うのです。今、実際に介護現場で何が起こっているかということは、もちろん、皆様方は介護現場の方が多いですけれども、このところ、雑誌とかいろいろなもので、サ高住の実態、囲い込み、そのようなこともいろいろ指摘されています。そういう中で、人権とか尊厳というものを、本来こうしたところで介護福祉士の倫理というか力量が最も求められるところではないかと思っています。しかし、対応し切れない現状があるということだと思っています。
ですから、地域包括ケアというときに、今も申しましたように、そこには高い倫理性とか行動力というか実践力というか、そういうものが求められてくるのだと思っています。
そして、3点目には、連携ということです。地域包括ケアを推進していくためには、他職種との連携が必要になってきます。今まで、求められる介護福祉士像とかいろいろなものでやってきたのは、連携というか、チームケアということが中心でありましたので、そもそも連携というものを問うているというところの教育にまでは至っていないかなと思っています。
では、連携で何が求められるのかといいましたときには、例えば看護師との連携となると、先ほど山田構成員が言われましたように、同等程度の専門職としての力量を確保するためには、例えば国家試験の合格をマストとするとか、国家試験の受験資格を原則大学卒とするとか、給与を看護師と同等程度にするとか、少なくともこのくらいのものがないと看護師と同等程度の専門職とはなり得ないのではないかと思っています。
逆に言いますと、介護福祉士を今のままいろいろなものを追加していきながら専門性を高めていくためには、一番初めに申しましたように、教育の課程が違いますので、介護福祉士を持ったら皆同じというそこに行きついていない以上、今後のことを考えましたら、この20年間の反省、いろいろなものを含めまして、上級介護福祉士の資格を考えていくというか、そういうものを再提案していくことがもしかしたら必要になってきているのではないかと考えています。
長くなりましたけれども、以上です。
 
○田中座長 Aが、山で言うと五合目から九合目ぐらいまで書いてあるので、資格が分かれるのか、それともキャリア段位制度を組み合わせるのかわかりませんが、方向としてはこの中にも差があるという点を忘れてはならないと御指摘いただきました。ありがとうございます。
高橋さん、どうぞ。
 
○高橋構成員 この書類の中に「当分」とか「当面」とかというような表現がよく用いられるのですが、この10ページの上の下のところを見ると「平成37年」と書いているのですけれども、今、平成26年ですから、10年以上を指して「当面」と言っているのかなと。この検討会でもよく聞く言葉なのですけれども、そう思うのです。
それから、介護福祉士といってもまちまちではないかと、今、川井先生がおっしゃっておられました。四大を出た介護福祉士の方とか、10ページにあるような子育ての後の女性とか、若年の方とか、中高年者層が最初の段階で参入してくる。こういうものは、介護福祉士といっても中身はちょっと違ってくるのかなといったニュアンスを私は受けとめたのです。
こうして見ると、一応、厚生労働省の国家試験というのは、私は受験者代表みたいで申しわけないのですが、福祉系高校だけが受験しているのです。それに対して、福祉系高校は八十何%の合格を誇る。誇るという言葉がいいかどうか、85~86%しか合格していないと言ったほうがいいのか、それはよくわかりません。いずれにしても、国家試験を受けているのは福祉系高校の合格者であって、私は介護・福祉というのは国家試験にしっかりと合格した人が間違いないのではないか、基準を満たしているのではないのかと思っておるわけです。やはりそういうのが中心になっていくというのは当然のことである。
本当は国家試験はここで論じることではないでしょうけれども、来年でもすぐでもやってほしいのです。大学も短大も専門学校もみんなです。だけれども、当面と言うから。当面というのは、これを見ると10年ぐらい先のことかなと受けとめておるのですけれども、さりとて、この10年で100万人の介護福祉士が必要だということも事実でございます。そういう意味では、10ページの裾野を広げているというのは決して悪いことではないし、皆、段階を踏んで頑張っていって、上に到達していって、それはそれでいいのではないかと思うのです。介護福祉というのは合格した人がその条件を満たしていると私は感じておるわけです。
 
○田中座長 ありがとうございました。
では、11時になりましたので、後半のほう、19ページにあります「介護福祉士の位置付けに関する論点」についても御意見を頂戴します。もちろん、前半の、今の9ページ、10ページに関する御意見は引き続き言っていただいて結構ですが、全体についてお願いします。
扇田さん。
 
○扇田代理 この19ページの表は介護福祉士の位置づけだけを取り上げておられるのか、介護全体をここに取り上げておられるのかをまずお聞きしたい。
民間事業の中では介護福祉士だけで事業が成り立ちません。当然、人材を採用したり、教育したりする管理者というのも必要だと我々は感じております。そういう意味で、介護福祉士にマネジメント能力と介護実践力というようにここでは挙げておられますが、事業を営んでいく上においてはもっと必要なものがこの介護の中にはあると私は考えております。
そういう意味では、先ほど10ページの表でお話ししたように、山が1つではない。管理者という位置づけを今までも議論されてきたと思いますが、介護をこれから進めていく上においては、事業所においては管理者の能力アップというのが必ず必要だろうと思います。そういう意味で、A層、B層、C層に分けたこの表は、単なる介護福祉士、介護の人材だけをここで取り上げられているのか、今後、介護をやっていく中において本当にこれでいいのかと我々は思っております。
以上です。
 
○田中座長 マネジメントについて、武内室長、お願いします。
 
○武内室長 19ページでは、介護福祉士のみならず介護人材全体から考えていって、その
中に介護福祉士がどこを占めるのか、この手順で議論していただいてはどうかということで整理をさせていただいております。
御提案をいただいた、経営にかかわる部分の方々をどう考えるかでありますが、きょうの資料の中では、基本的には介護人材を類型化しようという御提案があった中で、介護サービスの担い手、従事者を念頭に整理をさせていただいております。ただし、今、お話しいただいた経営陣、経営層も含めた取り扱いについてどのように議論していくのかという問題提起をいただいたと理解しています。
直接的にこの資料に描いた構造の中に入っているわけではございませんが、経営や管理層の方々というのも広い意味では介護に関する人的資源であられるということでありますので、議論の材料としてお話しいただくことも重要かと思います。
 
○田中座長 一応、右端に「マネジメント能力」が書いてありますからね。私もこの図を見て、四角い箱のすぐ上の行の「(注)」のところに「業務遂行力については、単に作業をこなすのみならず、利用者の能力を引き出す力や観察力等を含む」と。つまり、作業をすることを表す注がついているのは大変進化だと感じました。
平田さん、お願いします。
 
○平田構成員 きょう、私はキャリアパスの資料を添付していますので、それを見ていただければと思います。
これは、経営協で平成21年から始まった処遇改善交付金のキャリアパス要件に対応して、各介護保険事業所に対してキャリアパスのガイドラインの冊子をつくって平成22年に配った中の1つのキャリアパスの例を各法人にお示しした内容でもあります。つまり、これは平成22年当時ですから、我々社会福祉法人としても、介護福祉士を基本とした各法人・事業所の介護のみ取り出して、初任者、初級、中級、上級、先ほど出ています監督、管理あるいは経営者、それぞれ要因として分けましたのが、職責と求められる能力、それと、先ほど言いました職務内容。実際現場でどういう業務をするのか。これは一部抜き出しておられます。それと、それに対する任用の要件といいますのは、どういう研修を受ければ上位に行けるのか、それと、それに対応する経験年数とこういうレンジの給与を各法人はどこまで設定するか。最初の1ページは一般の介護の事業者用に一応つくっています。
2ページ目は、割と小規模の事業所もございますので、初級、中級、上級、そこまで分けられないだろうということで、小規模事業所用に大まかに分けた部分であります。
この19ページの表で言いますと、B、C層を、具体的に業務内容であるとか、求められる能力であるとか、先ほど出ましたどういう研修を位置づけるかというときに、最初の1枚目を見ていただければいいのですけれども、初級、補助業務というところの業務をもう少し広げて、一般の高齢者の方々または無資格で入ってきた方々を具体的にどういう業務にし、どういう研修を位置づけて、多分、法人側も今後そこを再度具体的に詰めていく必要がある。マネジメントというと、恐らく、求められる能力の監督職あたりから内容が入ってきますので、その辺もあわせて19ページの具体化の際に要因をいろいろ加えていけば、もう少し精度のある内容になるのではないかと思います。
最後の3ページが、平成20年度に全社協でつくった、きょういらっしゃっている山田構成員が携わっておられますが、下にあります「無資格者」をどう位置づけるかという部分と、先ほど言う認定介護福祉士の部分が、ここにありますように、熟練者であるとか、スーパーバイズ機能を持った人たち、3つぐらいに一応分けてありますけれども、これは後で山田構成員にフォローしていただければと思います。
10ページの表と19ページのキャリアパスの具体化に向けて少し例をお示ししたということです。
以上です。
 
○田中座長 大変わかりやすい表ですね。
山田さん、何か追加はございますか。
 
○山田構成員 今、平田さんがおっしゃった3枚目のカラーの図は、平成16年、17年度、あるいは20年度ごろに検討した中に私も委員として入らせていただいたものですが、この趣旨は、介護専門職というのはどういう手順でキャリアアップしていくかというのをわかりやすく整理したものです。
というのは、この縦の点線の右側が現状の資格制度です。ここに認知症の実践者、あるいは実践者リーダー研修、指導者研修、いわば認知症関係の研修制度が今あります。それとは別に、ユニットリーダーという、特養の個室ユニットに関する研修の仕組みがあります。それから、地域密着型サービスの指定を受けるために、開設者、あるいは管理者、計画作成担当者。要するに、今申し上げた認知症関係、個室ユニット関係、地域密着型サービスの指定関係という3本に分かれた制度があって、これを満たさないと一定の制度上の指定が受けられないという制度が背景にある研修なのです。
この縦の点線の左側が、介護専門職というのはこのようにキャリアアップしていくというイメージを示した当時のものなのですけれども、できればこの点線の右側のばらばらの研修システムを統合していったらどうかという意味も込めています。この図に関してはそういう趣旨だったということ。
それから、この図を離れまして、きょうの資料の19ページについて意見を申し上げたいと思います。先ほど経営管理のお話、それと19ページの右端のマネジメント能力。先ほどのカラー刷りの図でも申し上げました。それから、平田さんからキャリアアップの1枚目、2枚目の資料にもありましたが、いわゆるケアチームのマネジメント、監督職レベルに求められるマネジメントの力と、先ほど委員がおっしゃった経営管理という部分、このあたりのイメージなのですけれども、19ページに書いてあるのはチームマネジメントのイメージかと思います。このあたりにつきましては、A層、B層、C層の、B層とかC層の方の果たす役割、そしてA層の方の果たす役割を考える上で、当面、いろいろな方が実際現場に入ってきておられるというのは事実ですので、無資格、未経験の方等も含めて実際に介護現場に入ってこられているというときに、このA層の方たちがチームマネジメントの力を発揮するというのは、今、やむを得ず求められていると思います。
ただ、将来は、平成37年の到達点のイメージに置きかえられたという先ほどの話につながるのですけれども、私自身は特養の運営をしていて、あるいは小規模多機能の運営をしていて、要介護度のかなり高い、医療とも共通言語で連携しなければいけない、あるいは地域包括ケアで家族・住民とも連携しなければいけない、しかも医療的なケアも求められる、このような24時間型のサービス。特養とか小規模多機能、あるいは定期・随時の訪問介護、このようなところは誰かの指示に基づいて仕事をするというのは無理だと思うのです。というのは、ひとりで立ち向かっていっていますので、自立した専門職でないと無理だという実感を持っています。
ただ、現状は、いろいろな方が参入されているので、A層の方が指導する、あるいは指示をするということはやむを得ない。ですから、先ほど平成37年の到達点として介護福祉士が5割というところでは、24時間型のサービスについては、いわばチームマネジメントされなくても一人一人が自立して判断できる、この辺を目指すイメージが私の中ではあります。
ちょっととりとめがなかったですけれども、以上です。
 
○田中座長 ありがとうございました。
では、門野さん、お願いします。
 
○門野構成員 この「必要な能力」のところに「改善・改革する力」というのをぜひ入れていただきたいと思っているのです。
というのは、いろいろな施設の経営者の方にお会いしましたけれども、採用、定着、戦力化がうまくいっているところの共通項は改善・改革をやっておられるのです。うまくいっていないところは逆です。C層ならC層で、例えば介護福祉士の資格を持っておられる方は原理原則はわかっておられるということだと思うのです。ですから、原理原則と照らし合わせたときに、今やっているものが本当にそれでいいのだろうか、御利用者様にとってそれが本当にベストなのだろうか、御家族様にとってそれがベストなのだろうかという判断の中で、今やっていることがベストではなくて、常に改善・改革をやっていくというときの問題提起をするのが例えばC層である。B層はそれを受け入れて形にする、A層はそれをフォローする。それで組織全体にちゃんと受け入れていくということをやっていく役割があると思うのです。
特にA層、もしくはA層の上だと思うのですけれども、法人内だけではなくて、日本及び海外を見たときに、もっとこうしたほうがいいのではないかというところを取り入れてきて、それを組織全体に反映させるような採用、定着、戦力化という文脈の中で、経営そのもの、いわゆるサービスそのものをちゃんと磨く、改善するところというのがうまく回っていますので、そういう要素というのは各階層必ずあると思いますので、盛り込んでいくというのをぜひ御検討いただきたいと思っております。
 
○田中座長 観察、経験からもありがとうございます。
井上さん、それから石橋さんの順でお願いします。
 
○井上構成員 ありがとうございます。
先ほど山田さんからチームマネジメントというお話があったと思ったので、それと関連して少しお話をしたいと思います。
まず、19ページの表の中に「マネジメント能力」と1つの言葉で書いていますけれども、きょうのお話の中だと、介護チームのマネジメント能力と組織のマネジメント能力という2つの見方でおっしゃっている方がいるので、それをきちんと整理したほうがいいだろうと思っています。私自身は、ここは介護チームのマネジメント能力を指していると理解をしています。
このB層の中に一定の幅があると理解していますけれども、介護福祉士になった方というのはB層から始めていくのだと理解しています。その上で、A層まで全員の介護福祉士が到達できるのかというと、私は、現状ではそうなっていないなと理解しています。
それと、先ほどから小規模化というお話も出ていたのですけれども、この10年間で介護の実践現場は大きく変わっていて、それは小規模化と地域化だと思うのです。地域化の影響というのはまだこれから先だろうなと思うのですけれども、小規模化していく中で、働いている職員のチームの人数が少ない。にもかかわらず、利用者のことは非常に深く知ることができる。利用者と働く側の中の共同生産の過程はどんどん深化する。となると、その中ではいろいろなコンフリクトが生じる場合もございます。あるいは、一人一人が自立して仕事をしなければいけないので、思考を促したり、権限を移譲するというルールもつくっていかなければいけない。ルーチン化はできるのだけれども、それはそのとおりにやればいいというルーチンではないというのが前提としてあります。なので、思考を促すようなツールが必要になってくる。小さな単位でやっているので、ユニットリーダーや、さらにその上のリーダーは、職員に対して内省支援をしたり、精神支援をするという業務も入ってきます。
そのようになると、19ページの指導力とマネジメント能力の両方にかかわることですが、これからの介護現場では、学習するチームをつくるということが大切です。では、そのようなチームをつくるための知識が今までの介護福祉士の養成カリキュラムにあったのか、そこまで含めて一回考え直さなければいけないのではないでしょうか。
あとは、プレーヤーをやりながらマネジメントをしていくユニットリーダークラスと、プレーヤーから離れてマネジャーに特化するもう一つ上のクラス。後者になると、それに必要な知識をどう身につけていいのか皆さん非常に悩んでいます。そこまで到達する人たちは自分で試行錯誤を繰り返してやっているわけですけれども、そのようなカリキュラムが今後は必要なのかなということを感じました。
 
○田中座長 実務の研修ではなくて、マネジメントに行くところの研修も体系立てていくべきだという御指摘ですね。ありがとうございます。
石橋さん、どうぞ。
 
○石橋構成員 A層のところの求められる役割を考えたときに、どの職種が当たるのかということを少し考えたのですけれども、基本的に、先ほどの山の関連からすると、このA層というのは介護福祉士、または介護福祉士にさらに一定の実務経験と研修を積んだ方たちがこの役割を担っていくのではないかと思っております。
ただ、井上先生もおっしゃられましたように、今、介護福祉士の養成カリキュラムはA層のこの2つの項目が実現できるようなカリキュラムの構成にはなっておりませんので、今の介護福祉士であれば、一定の実務経験プラスそれなりの研修。
それまでの研修というのは、例えば日本介護福祉士会のほうでは、認定介護福祉士の在り方に関する検討会を設け、モデル研修などを行ってきましたけれども、まさしくその研修と認定介護士の研修を修了した方たちがこの目的に達するために行っている研修ですので、それを修了すればこの役割を果たせるのではないかと考えております。このA層という、介護福祉士を基本としつつ、一定の実務経験、研修を修了した方たちがここに当たるのではないかと考えています。そのことによって社会的評価も高まっていくのではないか。
ただ、それだけではなくて、このことができること、例えば施設においてはそういう中間管理職的な役割、地域においては地域包括支援センターの中において介護福祉士として医療職ときちんと連携ができる。それこそ先ほど意見がありましたケアマネジャーともきちんと連携ができる。そのような介護福祉士をきちんと養成して、そしてまたそれを位置づける。配置基準の中にきちんと入れる。近い将来には任用資格にするとか、そのようなこともしていく必要性があるのではないかと思います。
 
○田中座長 田中さん、お願いします。
 
○田中構成員 19ページの階層別という職種の考え方でございますが、我々養成校という
のは、実践を理論化していくことも大きな役割であります。そういうことの社会への見える化、可視化が十分でなかったということで、それをもう少し社会に理解いただけるようにということで今年度協会編のテキストをつくりました。これは19年改正を忠実に表現しているものであります。川井先生も編者になっていただいております。
そういうことからしますと、もっと後で議論すると思ったのですけれども、私たちが思っているのは、まずは、介護の専門職としては、介護課程をきちんと展開できる、つくって、計画して、そして評価できるということが最大限の領域であります。2点目は、介護予防であります。寝たきりをできるだけなくすようにしましょう、なってもその時間が短いですよ、このような介護の専門職を育てましょう。3つ目は、先ほど潜在能力という言い方をしましたが、私たちは生活リハビリテーションと言っています。いろいろな生活の中でリハビリをしていって、ADLやIADLを高めていく。最後に一番大きな問題は認知症。この470万という人たちをどのようにして地域包括ケアの中でしていくか。私たちの研究はここも発展途上であります。こういうことをきちんと専門職として教えるためには、私は研修ではもう追いつかないと思っております。
したがって、今の小学生がそういう分野に入っていくためには、そういう専門的なものがあって意義のある仕事だなという制度設計を私たちが見せていく必要があると思います。そういうことをこのA層でぜひやっていただきたいと思います。
しかしながら、ここだけでは個人の仕事。先ほど管理、マネジメントということがありましたが、マネジメントは、外国のように現場とマネジメントがかけ離れているようでは日本では育たないのです。職場の仕事をきちっと指導できる人間がマネジメントできるということでありますから、ここの4つの点がきちんとできた人がマネジメントを仕事の中で覚えていく。学校でマネジメントは教えられません。それは現場の中で事業者の方がきちっと教えていくものだと思います。しかし、こういうことが必要だということがわかりますので、少なくともそこの基礎的なもの、それを私たちは「根拠に基づく介護と実践力」と言っています。これはやはり教育でないと難しいと思います。それを、今ではないのです。もちろん、今の問題も大事ですけれども、次の世代を育てるための制度設計はそのような考え方で私たちは考えるべきではないかと思っております。
最後に1点です。門野さんが改善がないではないですかとおっしゃいましたが、私は4回のところで申し上げております。PDCAで回したときに、最後に、新しい介護の試み、制度をチェックして、介護をチェックして、そういうことをすることがこの介護福祉士、専門介護福祉士の役割であるということで、私たちはこのA層の上にさらなる特Aといいますか、私たちはこのときに管理介護福祉士というものを申し上げましたけれども、そういうことを考えていく時代に来ているのではないかと思っております。
以上です。
 
○田中座長 今すぐかどうかは別として、37年を考えたら、そのような体系が必要ですね。ありがとうございます。
西條さん、お願いします。
 
○西條構成員 ありがとうございます。
今、各委員の皆様からいろいろ御発言がございました。振り返って、この10ページの富士山の図を見ると、先ほどの御説明にありましたけれども、Aの部分が果たしてこれが介護福祉士なのか。先ほど平田構成員、山田構成員から御説明いただいた、経営者から見た育成の手法といいますか、育成の段階。これと照らし合わせますと、対比して示すと、むしろAは基礎的な資質という意味では認定介護福祉士のレベルになるのかなと。Bは、研修等を修了して一定の水準にある者ということで、まず、ここが介護福祉士の位置づけになるのかなと思っています。
先ほど「経営者から見れば」と私は言いましたけれども、組織でのどういう役割をこういった資格を持った人に担っていただくのかというのは、経営者側の育成方針のことですので、むしろ、これから若い人、あるいは対外的にキャリアパスを示すのであれば、平田構成員、山田構成員が示した図とこの右側の基礎的な資質といいますか資格ですか、これを対比しながら見せていかないと、若い人がこれから介護職場に入ってキャリアパスを描けないのではないかと思うのです。自分はここにいて管理職になりたいのだと思う人も当然いるわけですから、一般の組織と対比して考えると、何もこの業界だけが特殊なわけではないわけですから、普通の組織と考えれば、どういう育成方針を持っているのか、それもあわせ示していかないと、この業界に参入する人材がどんどん減っていくのではないかと危惧しています。
そういう意味で、介護福祉士5割を目標と言いますけれども、私はもっとふやしてもいいのではないかと。この介護業界に入っていく基礎的な資格、パスポートを得たということであれば、その他研修等を積んでそのぐらいの知識、資質を身につけていかないと、この業界に入っても育っていかないと思うのです。そういう意味では、この中核となる介護福祉士という職種、資格はもっと取得拡大を目指してもいいのではないかと思います。
 
○田中座長 ありがとうございます。
井上委員、お願いします。
 
○井上構成員 今のに少し補足です。
19ページの図のA層のところと、先ほど平田構成員がお配りくださったものの最後に「介護職員の研修体系等(イメージ)」があると思いますけれども、このA層というのは、A層に到達した後、さらに業務遂行能力を磨く人もいれば、指導力を磨く人もいれば、マネジメント能力を磨く人もいます。業務遂行能力を磨くと、「介護職員の研修体系等(イメージ)」では熟達、熟練志向というところに行きますし、指導力のところを磨くと、チームをマネジメントするというよりは、その組織のなかに何名かいるスーパーバイザーや研修責任者になっていくのでしょう。サービス管理については、その範囲がどれくらいなのかはわかりませんけれども、これを磨くとユニットリーダーの上のマネジャーになって、さらにその上の部長になっていくことになります。このA層の先にいろいろな道筋があるのだということはお示しいただいたほうがいいのかなと思いました。
 
○田中座長 専門職種は一般にそうですね。専門性を高めていく層と管理層に行くという2つ、あるいはそれ以上のルートがあり得ることも明示したほうがよろしいと。
 
○井上構成員 社会福祉士でも同じように3つのルートがあるというようになっていますので、表現として正しいかなと思って見ています。
 
○田中座長 平川さん、お願いします。
 
○平川構成員 今の井上構成員の御発言に関連してです。
私も、平田構成員が出されたイメージ図を見ていまして、管理的な業務という観点ではこういう図であるかもしれませんけれども、介護を受ける立場で言うと、もうちょっと専門的な立場でのピラミッドというか、より技能を向上させるような仕組みがあってもいいのではないかと考えています。
介護福祉士の制度は個人的には基本的に一本化すべきだと思いますけれども、一方で、例えば認知症で精神との合併症がある方とか、若年性認知症の方であるとか、障害者の分野であるとか、そのような分野での専門性が強く求められているところもあるのかなと思います。ソーシャルワークもそうだと思います。そのような分野での専門性を、介護福祉士プラスアルファのさらなる専門職で高めていく仕組みを一方で考えていく必要があるかなと思っているところであります。
看護の世界で言いますと、認定看護師という制度がございます。それは資格ということではなくて学会とかで認定を受けるという仕組みになっております。その認定をどこでやるのか。養成校でやっていただくのか、もしくは介護福祉士会でやっていくのか、さまざまなところでやる考え方があるかと思いますけれども、そういうものもつくっていく必要があるのかと思います。
特に介護福祉士は制度改正が数年前にあり、喀痰吸引であるとか経管栄養の医療行為については業務独占が一部入りました。しっかりと専門的ケアができるような認定資格みたいな道も研修体系なりキャリアパスの中で明確にしていく必要もあるのではないかと考えているところです。
以上です。
 
○田中座長 川井さん、お願いします。
 
○川井構成員 今までのお話を聞いていまして、養成の仕組みとその研修レベルのものと混在しているような気がするのです。例えば認定介護福祉士も研修のレベルに入るのだろうと思います。
それから、キャリアパスも研修だろうと思います。それに対して、1850時間の体系的な学びは養成と言う事になると思いますが、この養成の仕組みの中では、やはり介護福祉士像をもっと追究するものではないかと思います。ですから養成と研修と2つあるのかと思いました。
 
○田中座長 そうですね。入職までの訓練課程と入職後の長いキャリアの中での研修とは別な話ですね。
 
○川井構成員 はい。
 
○田中座長 井上さん、お願いします。
 
○井上構成員 手短にお話しします。
17ページに各資格取得ルートの学習カリキュラムがあって、真ん中に養成施設ルートというのがありますけれども、2年間の養成校で学んでいることと、大学の4年間で学んでいること、その実態を把握したほうがいいのではないかと思います。
現場では、大卒の介護福祉士の方々は管理的な部分まで成長していけると言われますけれども、それが大学に進学しているという事実によることなのか。あるいは、介護のマネジメントに必要なことを学んでいるのかという点です。両方だと思いますけれども、大学ではどういうプラスアルファのことをしているのかということは調べていただきたいと思います。
 
○田中座長 御指摘ありがとうございました。
田中さん、どうぞ。
 
○田中構成員 今の井上先生の御指摘で少し追加させていただきますと、これからの地域包括ケアであるとか、他職種連携ということから考えた場合に、養成校は今の2年制の養成課程では不十分であるという認識に立っております。したがいまして、少なくとも3年以上4年。今は4年ということを養成課程に考えながら、私たちの検討会のほうで中間まとめをしております。したがいまして、将来的には他の専門職が一応学士というレベルの養成課程を目指して、教育内容を開発し、そのアウトプットとしての職業能力を明確にし、そのことがどのように介護の現場に影響を与えることができるか。そこまで考えた教育体系を現場とともに開発するように考えていきたいと思っております。
以上です。
 
○田中座長 力強い発言でありがとうございます。
石橋さん。
 
○石橋構成員 今まで御意見を伺っていたのですけれども、そうは言いつつも、当面対応すべきこととして、研修などで不足分については補って、その役割をしっかり担っていく。中期的には、各委員のほうから出ておりましたように、介護福祉士養成のカリキュラム自体も見直しをしていって、その求められる介護福祉士像に近づくように再度介護福祉のカリキュラム、役割を見直していくことも同時並行で必要なのかもわかりませんというのを少し思いました。
あわせて、この資格取得方法の一元化が1年間延びたわけでございます。ただ、単に延びたということではなくて、せっかくの機会ですから、より介護福祉士の社会的評価の向上につながるような見直しの方向性にしていただければと最後に思いました。
 
○田中座長 松本さん、お願いします。
 
○松本構成員 介護福祉士の5割の達成を目指すということですが、資料の12ページに介護福祉士の登録者数の推移が出ているのですが、今後どのような推計になっていくのかということ。また、養成施設からの登録者数は人口動態から見てもいずれ減少すると思われるのです。その中で介護福祉士5割を目指すのであれば、やはり実務者ルートの登録者数をふやしていかなければいけないと思っています。
その上で、この検討会でも発言させていただきましたけれども、実務者ルートの資格取得について、継続的に介護福祉士の資格へのモチベーションも考慮した単位認定の仕組みの導入など、働きながら資格が取得できる制度設計を検討してみてはどうかと思います。
また、介護福祉士の位置づけについては、役割の整理をするのに当たり、職責だけでなく業務による分担も考慮する必要があるのではないかと思います。あらゆる層の活用の場を模索するのであれば、専門とか、直接介護、間接介護等、めり張りをつけ、役割を整理していくのも考えていかなくてはいけないのではないかと思います。
以上です。
 
○田中座長 ありがとうございました。
よろしいですか。皆さん、一応、一わたり御意見を言っていただいたことになりますでしょうか。
では、ただいままでの御議論、ありがとうございました。今後、人材と介護福祉士のあり方の検討を進めるに当たっての大変幅広い御意見が頂戴できました。本検討会の取りまとめに当たっては、本日いただいた御意見や論点について反映させていただくようにお願いします。大体秋をめどとしております。
なお、この検討会では、これまで5回にわたって介護人材について議論を進めてまいりました。ただし、本検討会は、介護人材のみならず福祉人材全般について確保対策を検討することとされています。検討会の名前もそうなっています。
そこで、次回は、介護分野以外の福祉人材確保について議題として取り扱うことといたします。新たな構成員として、その分野に知見のある方をお招きします。議題及び新たな構成員につきましては、私と事務局とで相談の上、追って皆様にお知らせいたします。
最後に、事務局から次回の日程などの連絡をお願いします。
 
○関口室長補佐 次回につきましては、現在のところ、10月3日金曜日、夕刻からの開催を予定しております。詳細な時間や場所につきましては、調整の上、追ってお知らせをさせていただきたいと思っております。
以上でございます。
 
○田中座長 よろしいですね。最後に一言言わないと気が済まないという方はおられませんね。
では、本日の議事はここまでといたします。お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。
 

 

 

 

 

(了)

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