ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 野生鳥獣肉の衛生管理に関する検討会> 第1回野生鳥獣肉の衛生管理に関する検討会議事録(2014年7月10日)




2014年7月10日 第1回野生鳥獣肉の衛生管理に関する検討会議事録

厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課

○日時

平成26年7月10日


○場所

航空会館201会議室


○出席者

構成員

朝倉構成員 梶木構成員 小谷構成員
坂下構成員 杉山構成員 野田構成員
水田構成員 品川座長

事務局

新村食品安全部長 國分企画情報課長 滝本監視安全課長
加地食品監視分析官 梅田補佐 先崎補佐
西村食中毒被害情報管理室長 小西専門官 石亀係長

参考人

高井参考人

○議題

(1)座長の選出
(2)野生鳥獣肉の衛生管理について
(3)厚生労働科学研究の結果について
(4)その他

○議事

○事務局 それでは、定刻より早いですけれども、構成員の方がおそろいになりましたので、始めさせていただきます。「野生鳥獣肉の衛生管理に関する検討会」を開催させていただきます。

 座長が選出されるまでの間、事務局で進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 本日は、御多忙のところ御参集いただき、誠にありがとうございます。

 まず開催要領に基づき、開催の趣旨について説明させていただきます。お手元の資料1の開催要領を御覧ください。

 野生鳥獣肉の衛生管理に関する検討会開催要領1といたしまして、その趣旨が書いてございます。野生鳥獣を食用に供するために解体する場合は、食品衛生法に基づく食肉処理業の許可が必要となり、許可施設における衛生管理については、野生鳥獣の利活用が盛んな一部自治体がガイドラインを作成しております。

また、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案に対する参議院環境委員会附帯決議において、捕獲された鳥獣を可能な限り食肉等として活用するため、国において最新の知見に基づくガイドラインを作成するとともに、各都道府県におけるマニュアル等の作成を支援するなど、衛生管理の徹底等による安全性の確保に努めることとされたところでございます。

 このため、野生鳥獣の食利用に係る流通実態等に関して幅広く把握するとともに、それを踏まえて事業者による衛生管理の参考となるガイドラインの作成など、衛生管理の徹底等による安全性確保のための取組について検討するため、本検討会を開催することとしたところでございます。

 「2.検討事項」といたしまして、野生鳥獣の食利用に係る流通実態等を把握すること。「野生鳥獣由来食肉の安全性確保に関する研究」の成果を踏まえ、事業者による衛生管理の参考となるガイドラインの作成など必要な衛生管理の方策について検討することとしております。

 「3.検討会の運営」ということで、規定されてございます。

 続きまして、構成員の御紹介をさせていただきます。資料2の構成員名簿を御覧ください。

 国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部第一室長の朝倉宏構成員でございます。

 全国食肉衛生検査所協議会行政問題検討委員会委員長の梶木富美恵構成員でございます。

 日本ジビエ振興協議会事務局長の小谷浩治構成員でございます。

 北海道環境生活部環境局エゾシカ対策課有効活用担当課長の坂下智恵子構成員でございます。

 岩手大学農学部名誉教授の品川邦汎構成員でございます。

 国立感染症研究所寄生動物部第二室長の杉山広構成員でございます。

 国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部第四室長の野田衛構成員でございます。

 千葉県健康福祉部衛生指導課長の水田勲構成員でございます。

 本日は、全国消費者団体連絡会事務局長の河野康子構成員、また、一般社団法人大日本猟友会会長の佐々木洋平構成員から、御欠席される旨、御連絡を受けております。

 なお、本日は参考人といたしまして、平成23年度から平成25年度にかけて行われた、厚生労働科学研究「野生鳥獣由来食肉の安全性確保に関する研究」の研究代表者の北里大学の高井教授に御出席をいただいております。

 また、オブザーバーとして、農林水産省及び環境省の方々に御出席をいただいております。

 続きまして、事務局の御紹介をさせていただきます。

 食品安全部長の新村でございます。

 企画情報課長の國分でございます。

 監視安全課長の滝本でございます。

 食品監視分析官の加地でございます。

 開会に当たりまして、新村食品安全部長から御挨拶を申し上げます。

○食品安全部長 改めまして、部長の新村と申します。

 座って御挨拶させていただきます。

 皆様方におかれましては、日ごろより、食品安全行政に御尽力・御協力を賜りまして、誠にありがとうございます。

 野生鳥獣による農林水産業等に係る被害が深刻化してきているという実態を踏まえ、先の通常国会におきまして、保護に加えて管理も位置づける鳥獣保護法の改正法が成立したところです。今後より一層、鹿やイノシシなどが食肉として利用されることが見込まれております。

 この法案の審議に当たりまして、野生鳥獣肉の衛生管理のあり方についても議論がされました。現状、一部の自治体においては、ガイドラインを作成して、衛生管理が行われておりますけれども、自治体や消費者の方々からも、国で統一したガイドラインを作成してほしいという声が出ております。これらを踏まえまして、野生鳥獣の食肉利用についての流通実態等の把握やガイドラインの作成など、必要な衛生管理の方策について検討することとした次第でございます。

 本日は、野生鳥獣肉の衛生管理について、狩猟の段階から消費の段階まで、構成員の皆様方から幅広い御意見をいただければありがたいと考えております。

 また、昨年の夏から、食肉の生食につきまして、リスクの大きさに応じた規制のあり方を議論するために、関係者が幅広く参加する調査会を開催してまいりました。調査会においては、野生鳥獣肉についても議論されまして、生食すべきではないという意見で一致したところです。この検討会における議論におきましても、野生鳥獣肉を食べる場合には、十分な加熱が必要であるということを改めて周知していきたいと考えております。

 構成員の皆様方におかれましては、それぞれのお立場から、どうか忌憚のない御意見を賜りますよう、お願い申し上げます。

 簡単でございますけれども、冒頭に当たりましての御挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。

○事務局 報道の方の冒頭の頭撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○事務局 続きまして、座長の選出をお願いいたします。

 先ほどごらんいただいた資料1の3.(2)の規定に従いまして、座長は構成員の互選により決めたいと存じます。どなたか推薦はございませんでしょうか。

 梶木構成員、どうぞ。

○梶木構成員 食肉衛生につきまして、幅広い知見と深い御理解をお持ちの品川先生がよろしいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○事務局 どうぞ。

○水田構成員 私も品川先生にお願いしたいと思っております。

○事務局 品川構成員とのお声が上がりましたが、ほかにございませんでしょうか。

 ほかにございませんようですので、品川構成員に座長をお願いいたします。

○品川座長 御指名いただいた品川でございます。

 十分な知識を持っているわけではございませんが、先ほど食品安全部長が言われましたように、この検討会の役割は非常に重要ですので、皆さんの力をかりて何とか進めて、ガイドラインを作成できればと思っておりますので、協力をよろしくお願いしたいと思います。

 そうしますと、早速ですが、議題に入らせていただきます。

 第2の議題としては「(2)野生鳥獣肉の衛生管理について」ということで、事務局から説明していただきたいと思います。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。

 資料1は、野生鳥獣肉の衛生管理に関する検討会開催要領でございます。

 資料2は、構成員名簿でございます。

 資料3は、野生鳥獣肉の衛生管理についてでございます。

 資料4は、自治体における規制の実態に関する調査結果(概要)でございます。

 資料5は、野生鳥獣食肉の安全性確保に関する報告書でございます。

 参考資料1は、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律についてでございます。

 参考資料2は、捕獲鳥獣の食肉利用でございます。

 本日お手元にお配りしております資料は、以上のほか、各構成員限りで、各自治体が作成しているガイドライン集を御用意しております。

 不足や落丁等がございましたら、お気づきの際に、事務局までお申し出いただきますよう、お願いいたします。

○品川座長 よろしいでしょうか。資料は手元にそろっていますか。

 それでは、続けていただきます。

○事務局 それでは、資料3をごらんください。

 これまでも説明してまいりましたけれども、背景としまして、近年、野生鳥獣による農林水産業等に係る被害が深刻化してきている実態を踏まえまして、野生鳥獣の適正な管理を行うべく、鳥獣保護法が改正されました。

 改正内容につきましては、お手元の後ろのほうに、参考資料1をつけてございますけれども、これは環境省から御提供いただきました資料でございます。

 参考資料1の2ページ目以降、特に鹿とイノシシが増えてきているというデータをつけていただいてございます。これをもとに、法改正が行われたということでございます。

 特に3番を見ていただきますと、集中的かつ広域的に管理を図る必要があるとして、環境大臣が定めた鳥獣(指定管理鳥獣)とございますけれども、これについては、イノシシと鹿が想定されると聞いてございます。これらに関しましては、都道府県または国が捕獲等をする事業を実施することができるということで、一定の条件下で夜間銃猟を可能とする等の規制緩和が行われるといった形で、今後、特に捕獲頭数の増加が見込まれるということでございます。

 この法案審議も踏まえまして、参議院環境委員会附帯決議において、捕獲された鳥獣を可能な限り食肉等として利用するため、国において最新の知見に基づくガイドラインを作成するとともに、各都道府県におけるマニュアル等の作成を支援するなど、衛生管理の徹底等による安全性の確保に努めることとされたところでございます。

 これまで実際にどのような衛生管理が行われているかといいますと、野生鳥獣の処理加工を業として行う場合には、食品衛生法に基づく許可施設において処理を行う必要がございます。

 許可施設に対しましては、農林水産省で鳥獣被害の防止を推進するという観点から、補助事業が設けられてございまして、これは参考資料2に参考としてつけてございます。農林水産省で、こういった食肉処理加工施設の整備ですとか、商品開発、販売、流通経路の確立などを支援するといった取り組みが行われてございます。

 資料3に戻っていただきまして、野生鳥獣の利活用が盛んな一部の自治体では、衛生管理について、独自のガイドラインを作成しているところでございます。

 ガイドラインの作成状況につきましては、資料3の3ページに一覧として示してございます。鹿だけのところもあれば、イノシシだけのところもあります。イノシシ・鹿両方を対象としているガイドラインをつくっている自治体もあるという状況でございます。

 厚生労働省では、本日御参加いただいております高井先生とともに、野生鳥獣由来食肉の安全性確保に関する研究ということで、平成23年度から3年間かけて、病原体保有状況の調査ですとか、諸外国の規制状況等に関しまして、調査を実施してきたところでございます。

 2ページ目を御覧いただきたいと思いますけれども、この検討会の中では、ガイドラインの作成も含めた衛生管理について、幅広い御意見をいただきたいと考えておりますが、ガイドラインのイメージとしましては、このように、狩猟から処理、食肉として販売に至るまで、野生鳥獣肉の安全性確保を推進するためのガイドラインを作成ということでございます。

 一方、よく比較されるのが、牛、馬、豚、めん羊、山羊、と畜場法の対象獣畜でございますけれども、こちらに関しましては、と殺、解体までがと畜場の中で行われております。それ以降の分割、細切につきましては、食肉処理業という形で行われてございます。

 それ以外、今回、特に取り扱うイノシシ、鹿などの野生鳥獣肉につきましては、食肉処理業という営業許可を得た施設の中で行われることとされてございます。

 4ページになりますけれども、こちらは自治体が作成したマニュアル等の主な項目例ということで、先ほどのと畜場でと殺、解体している家畜とは異なる野生動物、独自の衛生管理が必要な特徴的な項目と考えられるところに、赤く印をつけてございます。

 狩猟段階の衛生対策、捕獲・射殺・放血・解体、処理施設への引き渡し、食肉処理業の施設の中では搬入時の対応ですとか、被弾部位の確認、また、販売店ですとか、飲食店においても、野生鳥獣肉の注意事項としまして、特別な扱いが求められるのではないかと考えてございます。

 5ページになりますけれども、諸外国では、野生鳥獣の食肉利用に関しまして、どのような規制が行われているかといいますと、EUでは、と畜後、胃腸を速やかに除去し、必要に応じ放血する。また、食肉加工施設に搬入したと体は、当局による公的検査を受けるという規定がございます。

 一方で、米国に関しましては、飼育されていない野生鳥獣の食肉は、業として販売することは不可能ということで、基本的には自家消費という形に限られているということでございます。ただ、飼育されていれば、家畜以外の野生鳥獣であっても、販売は可能ということになってございます。

 オーストラリアは、検査の部分につきまして、当局自体が検査を行うのではなくて、訓練を受け、当局の認証を受けた者がと体の検査を実施することになってございます。

CODEXということで、国際基準になっているものにつきましては、野外でと殺された野生鳥獣は、ハンターが放血、一部の内臓摘出を行う。また、と体を食肉処理施設に搬入して、当局による公的検査を受けるといったことが、国際基準とされてございます。

 続きまして、資料4の説明に入らせていただきます。

 資料4につきましては、期間は短かったのですけれども、野生鳥獣の衛生管理や流通の実態に関する情報収集を目的としまして、自治体に対しまして、アンケート調査を行った結果でございます。一部の項目については、まだ調査中の自治体もございますので、とりあえず暫定版としてお考えいただければと思います。

 食肉処理業の許可施設というのは、先ほどの資料にありましたように、牛や豚の解体以降の業態も含まれますので、許可施設自体は、平成24年度末で全国に9,669施設ございますけれども、そのうち、自治体が把握している施設として、野生鳥獣を取り扱う施設に関しましては、355施設と報告が上がってきてございます。そのうち、鹿専用が91施設、イノシシ専用が92施設、イノシシ・鹿専用が125施設、これら以外も取り扱う施設が43施設となってございます。

 こういった処理場における解体頭数につきましては、通年及び狩猟期のみの稼働の処理場どちらにおいても、0~50頭と、比較的小規模で運営されているところが多いという実態がございました。

 別紙ということで、2ページ目をごらんいただきますと、年間を通して処理を行う施設と、狩猟期のみで処理を行う施設に分けてアンケートを行っております。0~50頭が一番多くなっておりますけれども、中には1,501頭以上処理を行う大規模な施設も見られるという状況でございます。

 1ページに戻っていただきまして、2番の後半です。処理場において、解体に当たる作業員の人数は1~2人が最も多かったということで、極めて少ない人数で処理が行われているという状況でございます。

 3番目は、そういった処理場がどういったところから野生鳥獣を仕入れているのかということで、これは狩猟の方法、技術取り扱いの衛生面において確認できている狩猟者、要は仕入れ先として特定の狩猟者を決めて、そこから仕入れている施設が最も多かったという状況になってございます。

 4番、処理場へのと体の運搬方法としましては、狩猟者が常温で運搬する施設が171と最も多く、次いで、処理場側が現地に赴き常温で運搬するという事例も67施設ございました。

 5番、処理場において受け入れる野生鳥獣の状態としまして、内臓摘出していないと体のみを受け入れる施設が139施設と最も多く、生体を受け入れる施設も44施設ございました。内臓摘出したと体を受け入れる際に、衛生的な取り扱いについて、条件を設けて受け入れている施設が37、衛生的な条件を設けず受け入れている施設は20施設ございました。

 食肉処理場からの出荷先としましては、2ページの別紙の一番下の表にございますけれども、総数として267施設ということで、飲食店ですとか、旅館、民宿などに出荷されているケースが多い。どれぐらい分割されたものが出荷されているのかといいますと、一番多かったのが、脱骨済みのブロック肉になってございます。

 続きまして、2つ目の○の野生鳥獣肉の衛生管理に関する自治体の施策です。ここからは自治体側の施策に関するアンケート調査になってございます。

 野生鳥獣の処理につきまして、食肉処理業の許可に上乗せして、条例ですとか、要領などで、施設に対する登録制度を設けている自治体が5自治体ございました。そのうち、4自治体が食品衛生責任者以外の資格者の設置を要件としております。

 2番目として、衛生管理の講習会を実施している自治体が、文章中は「16」となっておりますけれども、これは「14」に修正していただければと思います。疾病排除の講習会を実施している自治体は13自治体、処理施設等が疾病排除の判断に迷った際の窓口を設けている自治体が15自治体ございました。

 最後、野生鳥獣の処理に関するガイドラインにつきましては、ガイドラインを作成している自治体は30自治体でした。これは都道府県、政令市、保健所設置市、特別区という単位で見た場合は30施設でございまして、そのほかに、町のレベルも含めると、ガイドライン自体は34でございます。

 2番目としまして、内臓摘出について、食肉処理場で必ず行うこととしている自治体は16自治体、原則として食肉処理場で行い、条件によって屋外での処理を認める場合は13自治体ございました。

 また、ガイドラインに疾病排除の方法ですとか、症例写真、その他の参考となるものを掲載しているのは19自治体ございました。

 そのほか、6ページをごらんいただきますと、監視指導計画の中で、野生鳥獣の取り扱いのある施設について、個別に計画を立てている自治体も11施設ございまして、食肉処理業の中でも、野生鳥獣取り扱い施設に対して、個別に計画を立てて、監視を行っている自治体もあるということでございます。

 また、右下の狩猟後に食肉処理場に搬入するまでの時間について、ガイドラインで規定しているような自治体も4つほどあるという状況でございます。

 資料3と資料4の説明は、以上でございます。

○品川座長 どうもありがとうございます。

 1つずつ質問を受けるというよりは、次の厚生労働科学研究の高井先生の話を聞いて、そこでまた進めてまいりたいと思います。

 続いて、高井先生、よろしくお願いします。

○高井参考人 ただいま御紹介いただきました、高井です。

 持ち時間は30分ということでございますけれども、最初に資料5を御覧いただきますと、これが冊子体です。安全確保に関する報告書ということで、ただいま御説明がありましたような話でございます。基本的には問題点の整理から始まって、リスク、リスク回避の現状、諸外国の例、我が国における取り組み例、問題点を御指摘して、こういう報告書を作成させていただきました。

 本日の最終目的はこれなのですけれども、これに至るまでの過程、現状の分析も含めながら、御説明をさせていただきます。

PP

 概要はきょうの参考資料の内容もかなりありますので、スキップするところは、スキップしていきます。このような形で、ポイントのみ御説明します。

PP

 これは環境省から出ております。日本には鹿が134万頭、イノシシは41万頭ぐらいいるだろうということでございます。

PP

 釈迦に説法ですけれども、こういう狩猟期間でハンティングをしているわけです。

PP

 繁殖の話ですが、イノシシの場合、出産は年に1回で、平均4.5頭ぐらい産むということで、春先に子供が出てまいります。しかし、半数ぐらいが狩猟で死亡して、いわゆる純粋な繁殖率は1.055ぐらいだと推計されております。

PP

 そうは言っても、ずっと増えておりまして、今、30万頭近く捕獲されているということです。30万頭の重みというのは、今、日本でと畜されている豚は1,675万頭ですから、それに比べれば、極めて微々たるものです。

PP

 これが西から北のほうにだんだん上がっていって、東のほうに行っているということです。これも環境省のデータです。

PP

 ニホンジカも、春、今ごろに1頭を出産するのですけれども、ポイントは繁殖率が非常に高いということです。1歳は90%ですけれども、2歳以上はほぼ100%雌が子供を産むということで、これがいわゆる年に1620%の勢いで増加していて、4~5年で倍々ゲームになっているという現状でございます。

PP

 同じように、昭和57年から31万頭ぐらい捕獲されています。

PP

 生息域がどんどん広がってきて、1.7倍ぐらいになっています。これも環境省のデータです。

PP

1970年ぐらいで見るのがいいのか、1990年ぐらいで見るのがいいのかわかりませんけれども、この40年間ぐらいで、イノシシは8倍、鹿は25倍に増えたということでございます。

PP

 ここまで増えると、あとは自然の恵みとして利用するしかないということです。

PP

 一方で、捕る側の狩猟者は19万人、免許を持っている人の7割が60歳以上ということで、むしろ狩猟者のほうが、絶滅危惧種になっております。

PP

 これも同じですけれども、担い手が極めて不足していく。これが大きな問題をさらにエスカレートさせている原因でございます。

PP

 農水省の方々がいらっしゃいますけれども、これは農水省のデータです。概算要求がこういうことで出されております。

PP

 イノシシと鹿で145億円です。あとは、猿とか、カラスなどですけれども、メジャーなところはイノシシと鹿なのです。

PP

 これについても、農水省もいろいろやられていますということです。

PP

 もう一つ、問題点としては、ただ単に農作物だけではなくて、ここに南アルプスがございますように、鹿が生態系をおかしくしていくということで、今、大雨で大変ですけれども、土砂災害等々の誘因にもなり得る、環境破壊の原因となるという点も、1つ大きなポイントです。

PP

 北海道の方もいらっしゃいますけれども、北海道等は早くからこういうことをされて、いろいろとやっていらっしゃいます。先ほどのお話のとおりの形です。

PP

 北海道の場合も、こういう形で、処理場をつくられてやっていらっしゃいます。頭数は増えているのですけれども、処理された頭数は、基本的に捕獲された頭数の中の15%ぐらいで、年を追って頭数が増えていっても、処理の割合が変わらないということは、ほかの85%はどこへいってしまったのかという話になってしまって、このケアが重要になってまいります。

PP

 消費もこのような形で、北海道の場合は拡大しております。

PP

 このような背景のもとに、野生鳥獣肉由来の安全性確保の研究というものが厚生科研で採択されて、私たちが先ほど言ったようなガイドラインを取りまとめるきっかけになりました。

PP

 野生鳥獣肉の難しい点ということで、これは科研の一番最初のプレゼンで使ったスライドですが、家畜の場合は、農家の人に何頭飼っていますかと聞けばわかるのだけれども、野生動物の場合は、何頭いますかといっても、わからないわけです。どこにどれぐらいいるかということをサーベイランスすることが、一番最初の基礎データとして必要で、そのためには、動物生態学、あるいは環境省を含めた自治体におけるいろんなデータが必要になります。

PP

 もう一つは、駆除することと、保護・保全ということが、どうしても出てきます。そのあたりの考え方です。特に欧米の場合は、サステイナブルハンティングという理念もございます。

PP

 もう一つ、とったものをどうやって安全に安定供給していくかということと、たくさん捕れば、使わないものがたくさん出てきますので、そういう非可食部分を環境汚染しないようにどうしていくかなど、幾つか問題が出てまいるということです。

PP

 こういうことを解決するために、我々がやらせていただいたのですけれども、いろんな専門家が交わって、加わってやるべきだということで、採択していただきました。

PP

 特に鹿とか、イノシシとか、いろんなものについて、しっかりしたものをつくっていきたいということです。

PP

 これは先ほど御説明があったから要りません。

PP

 私を初めとして、ほかに7名の方々がこのような形でやらせていただいて、きょうは研究の概要を含めて、ざっとお話して、最後、管理ポイントということで、御指摘したいと思います。

PP

 最初に喫食についてです。これも既にいろんなところでデータが出ていますが、我々もやったということで、ここら辺はもういいです。

PP

 5万人ぐらいやって、ある程度食べているということがわかりました。聞いた中の10%とか5%ぐらいはいろいろ食べているとか、男性のほうが多いとか、こういうことがわかりました。

PP

 被害、病気というのは、あくまでネット調査の自己申告ですので、本当に病気になったかどうかというのはわかりません。ただ、自己申告でこんなものです。逆に言うと、一般の方がジビエを食べたときに、調子が悪いと感じるのは、ひょっとしたら、これぐらいいたという程度の意味で、因果関係は全くございません。因果関係とは言わないですね。裏はとっていません。これは裏のないデータです。

PP

 何がどうかという話も、詳しい話が出ています。結局、お裾分けの生食とか、あるいは冷凍した肉の調理で、自らというのが、多いということでした。あと、当然のことながら、生とか、半生とか、ルイベとか、そういうものもございます。

PP

 統計学的・疫学的に調べてみると、自分でやった方々とか、干し肉とか、たたきとか、そういうものがハイリスクだったということがわかりました。

PP

 この調査です。ある意味では、そうだよねということだと思います。

PP

 今回はイノシシと鹿が中心なのですけれども、実は、毎年、野生のカモが24万羽ぐらい捕られています。それが丸ごと、ホールのままで、ネット販売とか、いろいろされているということが、村田先生の調査でわかりました。

 結論から言うと、これもある意味では、当たり前と言えば当たり前なのですけれども、いわゆる危なそうなものを調べてみたら、何がとれてきたかというと、やはりカンピロバクターです。もちろん鳥類は持っていますからね。

 言いたいことは、カモがハンティングされて、ネットで販売して、ホールでいろんなところに出回っているということが、今回の調査でもわかったということです。

PP

 カモ肉の提供形態としても、生食があるし、内臓ありで配送されているものもあるし、もちろん中を抜いたものもあるという形で、ホールに近いものだということがわかりました。

PP

 一番大きな問題として、カンピロバクターはあれなのですけれども、それよりも、トキソプラズマが鳥の中にかなりいるということが、今回の調査でわかりました。

PP

 既にデータはあったのですけれども、今回の調査においても、ここにありますように、北海道から鹿児島までのネット販売でとったもの、あるいは狩猟のものをいただいて、PCRで調べてみたら、4個体から、徳島、鹿児島からとれてきたということでございます。

PP

 このようなものを生で食べるというのは、極めてリスクが高いということです。

PP

 次は青木先生がやられた、鹿における豚丹毒とか、イノシシの豚丹毒、あるいはウイルス性の疾患についてです。

PP

 豚丹毒に関しては、我々の調査だけではなくて、既に早い段階で調査がされていて、それをフォローアップして、そうだよねというか、それを支持するような結果が出たということです。陽性がたくさんいますということです。ここら辺は想定どおりです。

PP

 ウイルス性の疾患として、ここでBVDをやっていますけれども、これは北海道で1例とれました。

 結論からして、白血病とか、いろんなものがあるのですけれども、それはなくて、いわゆる家畜の法定伝染病、あるいは届出伝染病等々に対する野生の鹿が、伝播のキャリアーというか、ベクターというか、レゼルバーと言っていいのかわかりませんが、それになれるかどうかということなのですけれども、基本的にこれは極めてリスクが低いだろうという結論です。

PP

 逆に言うと、環境の中で、群内では維持していて、家畜からくることもないだろうし、いくことも、現時点では極めて少ない。

 北海道は特別なので、北海道の例ではやっておりませんので、わかりません。

PP

 ここが一番大きなところで、前田先生の仕事です。

PP

 前田先生は一番最初に何に興味を持たれたかというと、豚のオーエスキーなのですけれども、豚のオーエスキーというのは、日本に1980年代ぐらいに入りまして、ずっと定着化している感染症でございます。正常化に成功しているところもあれば、正常化に成功していないところもあります。

PP

1997年に奈良県でイノシシの生肉を食べた猟犬がオーエスキーになりました。オーエスキーがなぜ危険な病気かというと、シュードレイビーといって、神経症状を出して、狂犬病との鑑別が臨床症状だけでは難しいということで、我々獣医療領域では、大変な病気としてわかりました。

PP

 ここでは猟犬だということで、イノシシのシュードレイビーを調べてみたら、ある頻度できている。これはどういうルートできたかはわかりませんけれども、家畜の豚からきて、ある程度イノシシに入っているということでございます。

PP

 この辺ももういいです。

PP

 いずれにせよ、イノシシと養豚家の接触もそうですし、イノシシの狩猟者は、イノシシの生肉を自分の犬に与えてはだめだという話です。

PP

 これは前振りで、ここからがポイントです。

PP

 次のE型肝炎は、既にいろいろと食中毒の御報告がありますけれども、基本的にはイノシシがポイントです。豚もたくさんデータがあるのですけれども、野生動物としてのイノシシはどうかということで、最初に和歌山の71頭を調べてみると、偶然なのですが、和歌山は非常にきれいで、全く汚染がないところだったということがわかりました。ここで陰性データを全てそろえたので、6SDという値を十分にとって、ここのカットオフ値を0.55と決めて、これからELISEのシステムが確立しました。

PP

 いろんな県でやってみると、白いものは、下関、山口県なのですけれども、山口県のイノシシは、抗体が高い連中がたくさんいる。一方、和歌山はないということです。よくわかります。

PP

RT-PCRで血液から遺伝子を拾ってきて、ウイルスがいるということの証明も同時にやられたということです。

PP

 イノシシの場合、そこに書いてございますように、ELISEでは、雄雌平均40%ぐらいです。体重別には、小さいものはあれですけれども、だんだん大きくなれば、抗体価が上がっていくという形です。

 あとは、RT-PCRによって、血中にウイルスを引っかけてきて、ある感染時期にたまたま狩猟されたものは、PCRで引っかかってくるけれども、それが収まってしまって、抗体のみという場合は、当然引っかかりません。このような形でピーク時です。だから、ウリボウがだんだん大きくなって、1歳ぐらいになる間に抗体が上がってくる。逆に言うと、そこの10%という一番高いところ、20キロ以下、そのあたりで感染が一番よく起こっているということがわかります。

PP

 もう一つは、塩基配列に基づいた形の系統樹解析をやって、いわゆるE型肝炎のウイルスのタイプは、1型、2型、3型、4型があります。

 見えないのですけれども、山口に人の株があって、これは下関だったと思います。39歳の方がイノシシの生の肝臓を食べて、急性の肝炎になられたデータがあります。それが同じように下関でとった豚と全く同じクラスターで、そうだよねということでございます。

PP

 中国地方のイノシシは40%です。そして、血中にはウイルスが4%ぐらい動いているということで、いずれにせよ、このデータからも、生食は厳禁ということが、非常によくわかると思います。

 もう一点、狩猟ハンターは、解体時、血が飛んだときに、血液が目とか口に入らないように、十分注意をされるということです。

PP

 ここら辺はもういいです。

PP

 E型肝炎の遺伝子組換え体のたんぱくをつくって、もうちょっと正確なELISEのシステムを開発しました。そういうものを使って、今まで持っていた血清をイノシシと鹿で調べてみたら、このように中国地方は4113年は16、九州は5018でした。年度によって違います。関東が6、27ということで、エリアによってかなりパーセンテージが違うということと、鹿では1例のみが陽性ということで、鹿の中にはE型肝炎はそんなに入っていないということが、このデータでもおわかりいただけるかと思います。

PP

 先ほど言いましたように、これは月齢別の抗体陽転ということで、年度によって違うのですけれども、春に生まれたウリボウは、このあたりを見ていただければわかるように、11月、12月で非常に高くなっています。4月、5月に生まれた子たちが、だんだん感染していっている様子が、これでおわかりいただけるかと思います。

PP

 血清と肝臓でウイルスを検出してみたらということで、血清中の分離率、陽性率です。ほかに九州、関東の血清がございます。肝臓からはうまくとれませんでした。これはタイミングの問題です。

PP

 鹿の場合は、先ほどの1例のみでございます。

PP

 鹿からとったウイルスについて調べてみたら、人もイノシシも同じ4型に入ったということでございます。

PP

 これは先ほどと同じことなのですけれども、地域によって、抗体価の動きが違うということと、野生動物の肉を消費する場合には、鹿肉はほとんど大丈夫で、イノシシが非常に危ないということが、これからもおわかりいただけると思います。

PP

 ついでに人獣共通感染症ということで、ほかの感染症についても調べました。

PP

 レプトスピラを調べてみたら、イノシシでは12%、鹿では2%ぐらい持っていました。

 この辺の話をすると長くなるので、しませんけれども、この菌は傷口から入って、血行性に回って、そして、最終的には腎臓にいくのです。腎臓にいって、そこでずっといて、尿中に菌が排菌されるわけです。だから、尿中に排菌されたものが、今度、水系感染で次の個体に感染していく、あるいは人が感染していくというシステムになっているのですけれども、イノシシも23%、鹿が3%ぐらい持っています。これは人獣共通感染症です。

PP

 これはレプトの系統樹ですが、違ったものもあるけれども、同じようなものもあるということです。

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 先ほど申しましたように、尿中にレプトが出ている可能性があるから、水場などで傷口から入るかもしれない、気をつけましょうということと、イノシシや鹿がいるような生態地で、水浴びとか、水遊びなどをすると、危険なことが起こるかもしれませんということです。

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 広島で乳牛にブルセラがあったので、これがほかの野生動物も含めてということで、検討してみました。

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 ブルセラも、法定伝染病、人獣共通感染症で、人にも感染します。これは幸いなことに、イノシシや人にはいっていなかったということです。

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 日本脳炎も和牛であったので、これもどうかということで調べてみると、これは想像どおりというか、陽性率が非常に高くなっていました。蚊が媒介してどんどんいきますので、日本脳炎は高かった。特にイノシシは98%と非常に高く、豚と同じぐらいに高いです。

 このような形で、E型肝炎から始まる幾つかの感染症の例がわかりました。

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 続きまして、小野先生が実際に現地に行って、鹿の肉とか、イノシシの肉とか、いわゆる病変部をとられて、病理学的な検査をされました。

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 細かいことが書いてありますけれども、これはスキップします。

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 今回、鹿は北海道と栃木県と山口県と大分県、イノシシは栃木県と茨城県と沖縄県と大分県でやっております。

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 どういうことを検査したかというと、そこに書いてありますように、寄生虫から始まって、原虫、アメーバ、細菌検査、ウイルスはノロとか、サポ、E型肝炎という形です。

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 糞便もエゾシカ、イノシシ、鹿でとっておりますが、ここにありますように、赤痢菌とか、サルモネラ菌、病原性の大腸菌、STXを持っているようなものが、若干とれてきたということでございます。あとは、エルシニアです。

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 この辺は細かいのですけれども、とれてきたということです。

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 次に病理検索をして、病理検索をしたときに一番多く出てきたのは、寄生虫の専門家の方がいらして、私はこれから組織を見せますけれども、私は余りわからないので、最初にエクスキューズしておきます。

 住肉胞子虫、肝蛭とか、いろんなものがとれてまいりました。あと、肺虫がとれてきたことを確認しております。

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 これは組織なのですけれども、こういう虫がたくさんいたということです。

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 あとは報告書のほうで見ていただくということで、このあたりはスキップさせていただきます。こういう病変があるということです。

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 結論ですが、エゾシカでは住肉胞子虫と病原性大腸菌がいたということです。エゾシカの場合、養鹿場で一度集団飼育しますので、野生でいたのか、あるいは集団飼育中に相互感染したのか、そのあたりは、残念ながら、まだわからないのですけれども、事実としては、そういうものがとれてきているということでございます。

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 抗体の検査とか、これは、今、言ったエルシニアから始まって、鹿、イノシシでどれぐらい感染率があるかという細かなデータです。寄生虫は当然いっぱいいておかしくありません。

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 このあたりは、細かいデータなので、後で見ていただきます。

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 解体処理場に行かせていただいて、施設AB、片方はエゾシカ、片方はイノシシを処理しているところですけれども、そこにおける枝肉とか、施設のふき取り調査をさせていただきました。ある意味では、非常にきれいなところだったから、私たちは見せていただいたということで、どちらがどうというのもあれなのですけれども、結論として、処理施設は非常にきれいに維持されていることがわかりました。

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 成果については、このような形で、報告書の半分にカラーアトラスとして出させていただいているので、各市町村、都道府県で使っていただければいいのですけれども、これは実際に研究期間が3年間あって、1年目と2年目ぐらいで一生懸命集めたもので、時間的には足らないものです。後でまた御提案しますけれども、誰がどう見るかというためのいろんな講習会をしたり、あるいは処理場にいろんな形で置いておくということで、データ蓄積をするためには、さらにこのあたりを集積されることが重要だと思います。

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 マニュアルの中でお示ししましたのは、ある意味では、当たり前のことばかりしか言っていませんけれども、原則として、内臓は食べないということ、内臓は解放しないということ、もし肉眼的に病気を持っているような可能性がある場合は、筋も含めて、可能な限り食用にしないということです。もちろん生食は厳禁で、調理時の汚染も普通の食肉の取り扱いと全く同じです。

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 万が一、おかしなところがあっても、部分切除とか、あるいは病変の切開をする可能性があるので、割を入れることは行わないということです。

 内臓の取り出し時に異常を認めたら、全廃棄とか、肉眼的には認められない場合も、重度の寄生虫感染が認められる場合は、廃棄を推奨するとか、このあたりはカラーアトラスを見ていただきたいと思います。

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 異常以外にも、リンパ節が浮腫しているとか、全身感染の疑いとか、そういうことがあれば、全廃棄をするということと、筋肉内腫瘤が認められたら、枝肉も含めて全廃棄とか、そういうことです。

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 ここまでが我々の研究のあれで、もう一回、ここで大まとめとして、今回、この検討会で、ガイドラインの制定がされるわけなので、そこにおける検討すべきポイントを整理させていただきました。

 資料5の後ろから2枚目に「『厚労科研:野生鳥獣由来食肉の安全性確保に関する研究』のガイドライン策定に当たって検討すべきポイントの整理(高井メモ)」がございます。これについて、ここでちょっとだけ御説明いたします。

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 「1.ガイドラインが必要な背景」というのは、先ほど御説明したので、要りません。

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 「2.ガイドラインの位置付け」も要りません。先ほど事務局が説明されました。

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 「3.検討すべき管理のポイント」は、家畜と野生獣の違いが、法的なものの中でどういう位置づけかということです。これは先ほど絵が描いてありましたが、御説明のとおりです。

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 野生鳥獣の場合は、先ほどのとおり、鳥獣保護法が絡んできます。ときに、そこにあるように、家伝法が絡んできますが、野生動物が伝播に介在する可能性があるときに、家伝法が絡んでくるということです。そんな程度です。

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 ここで検討すべき管理のポイントは、家畜の場合、と畜場において、生体検査、解体前検査、解体後検査があって、さらに詳細な頭部とか、内臓とか、枝肉検査があって、施設内のチェックをされている。その検査をすると畜検査員は、獣医師という、いわゆるプロフェッショナルというか、専門職がやっている。これが食の安全を守るベースラインです。

 ベースラインはこうなのだけれども、野生鳥獣の場合はどうなるかというと、自然に生きている動物を外で捕獲して、その後、基本的には猟師の方が個体確認をする。個体確認が生前の生体検査に当たるわけです。それはどうやってデータとして残るかというと、各自治体で定められているガイドラインでは、捕獲個体記録表という名前で1枚の紙があって、そこにと殺前に確認すべき事項ということで、異常な個体の排除がされるわけです。

 それはどういうことかというと、私の資料の裏から2枚目にある附属表「と殺前に確認すべき事項」というものは、千葉県から始まって、22番の高松市まであるのですけれども、高熱を呈しているものとか、細かいことがあります。そういう規定について、各ガイドラインで調べてみますと、統一性がないということもありますので、こういうことが、今後ポイントの一つになってくると思います。

 次に、現場で放血します。その後、基本的には運搬・搬入して、解体前検査というものがあるのですけれども、これについては、ハンターの申告と、搬入先、これから解体をされる方の受け入れ側の検査になってきます。

 それは解体前検査で確認すべき事項ということで、最後のページに「解体前に確認すべき事項」ということで、鬱血などとありますけれども、これも各自治体でばらつきがあるということでございます。

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 個体の受入表というのは、捕獲したときの情報として、捕獲者から始まって、狩猟の許可番号、天候、捕獲者の健康状態とか、どこに弾を撃ったとか、とどめ刺しはどこでやったとか、わなだったらどこにかかったとか、推定年齢、体重、性別、放血状態、冷却の有無、方法ということを狩猟者にお願いするわけです。だけれども、こんなことが果たしてできるかといったら、非常に難しいと思います。

 私がここで提案したいのは、今、GPS機能のついたカメラとか、携帯がございます。とどめ刺しが終わった後に、それで写真を撮れば、場所は特定できます。天候も大体わかる。部位などもある程度やります。もう一つは、メジャーにハンターの名前を書いて写真を撮れば、メジャーのサイズから、大きさ、体重がわかる。もちろん性別はすぐにわかります。もうちょっとハイテクを駆使した形で、こういうところを簡略化することによって、より正確にできますし、これはトレーサビリティーを意識していますけれども、そういうことが最終的にできます。

 例えば撃ってから何時間後に持ってきましたといっても、本当に何時間後かどうかということはわからない。わからないのだけれども、とどめ刺しをして、必ず写真を撮れという形でやれば、とどめ刺しをしてから何時間後というのは、写真を撮った段階で証拠が残ってしまいます。そういうことで、ぜひこういうことをやられたらいいのではないかと思っています。

 これは(ア)です。

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 次の問題は、今、言ったと畜検査員と同等な生体検査の判断ができるかどうかということです。これは各自治体でそういう方々の教育訓練をするということと、先ほど言ったようなガイドラインも含めて、写真集とか、カラーアトラスとか、いろんなことで勉強していただくということです。

 あと、一番大きいのは、先ほど私が言いましたけれども、例えば和歌山県だったら、E型肝炎はほとんどフリーなのです。ところが、山口県は非常に濃厚な感染をしている。つまり何が言いたいかというと、家畜の場合は定期的に血清診断などができるのだけれども、野生動物の場合は定期的に健診しましょうといっても、そんなことはできるわけがない。だから、逆にいうと、こういうところでとった血清を必ずプールして、レトロスペクティブでいいから、いろんな疫学情報を集める。リアルタイムではないし、時間が経っていてもいいから、その地域における感染症の浸淫度をモニタリングするシステムをつくっておくことによって、リスク管理が非常にやりやすくなる。そこが、野生鳥獣の安全性の確保のための一つのポイントだと思っています。

 捕ってきたものが、いいか、悪いかを調べるのはいいのだけれども、それはマネーワイズからいったら、絶対に合わない。合わないというのは、コストが合わない。だから、そうではなくて、そこでとれるデータを、後でいいからしっかり調べて、次に返していくということの蓄積によって、最終的にこれらのリスク管理をしていくということが、非常に重要だと思っています。

 力説し過ぎたので、話が長くなってしまいました。

PP

 野外における解体の是非は、自治体で異なっているのです。例えば法律で腹をあけて持ってくるなとか、そんなことは非常に難しい。なぜかというと、山を越えて、谷を越えて、撃ったものを2時間以内に持って帰ってこられるかというと、不可能に近いです。1頭ならまだしも、複数頭とったときに、どうやって持ってくるかというと、その場である程度処理をせざるを得ないような状況があります。

 そういうこともある程度考えながらルールを決めていかないと、ルールを絞ることによって、ジビエをだめにしてしまっている可能性もあるので、このあたりは議論が分かれるというか、野外における解体の適切な方法も含めて、お考えいただくポイントだと思います。

PP

 そういうことの法的な裏づけとして、このガイドラインをつくられた各都道府県の方々の頭の中にあるのは、当然と畜場法で、と畜場法の中には、と畜場以外での解体は原則として認めないのだけれども、原則としてということは、逆に言えばあるということです。例えば離島とか、いろんなところで、野外解体が法的に成立しています。だから、そういうところでの考え方で、ガイドラインについてもいろいろと判断されて、結果的に野外で解体していいところと、そうではないところができているということです。

 このあたりは議論が分かれるポイントなのですけれども、実際に現場に足を運んで、こういうところでとっているということをある程度見ないと、この場で議論をされるだけでは、まずいことが起こるのではないかと懸念しております。

PP

 細かな条件についても、これから少し考えていただければいいかと思います。

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 同じような話で、今、言ったようなガイドラインの相違点としては、例えば解体してはだめだというところもあるし、原則として、しない状態で処分場に搬入してくださいとか、あるいは野外で解体された個体を食用とするのは望ましくありませんとか、もちろんしてしまっていいというところもあります。してしまっていいというところは、内臓をビニール袋に詰めて持って帰ってこいというのです。内臓をビニール袋に詰めて持って帰ってこいというのは、本当にそんなことを言っているのか、実行を伴うかどうかということも、なかなか難しい話です。

PP

 この辺もスキップします。時間をオーバーしてしまいました。済みません。

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 先ほどの御説明でも言いましたが、家畜と野生鳥獣の相違点ということで、解体前検査とか、屋外での解体には色々な事情があり、それをどのように理解するかという話をしたいだけですから、もういいです。

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 いずれにせよ、厳密な話をしてしまうと、各都道府県がつくられた異常確認表というものがあるのです。それが、と畜場法における、頭部検査、内臓検査及び枝肉検査が代替できる内容になっているかどうかということを突き詰めてしまうことも、どうでしょうかということと、もう一つは、先ほどから申し上げていますように、と畜検査員と同等な判断ができる体制というか、そういう人をその場でちゃんと育成しているかどうかとか、このあたりはいろんな実態をこれから突き詰めていったときに、どうかということになってくるかと思います。

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 基本的にはこれでおしまいですけれども、席上配付させていただいて、このような形で管理ポイントがあるということでございます。

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 これは同じことです。

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 これで終わります。以上です。

○品川座長 どうもありがとうございました。非常に短い時間でご説明ありがとうございました。

 冒頭で言えばよかったのですが、今回どのように進めるかについて、せっかく構成員の皆様に集まっていただいてますので、最初はできるだけ共通認識を得るために、フリーディスカッションの形式をとって行きたいと思います。次回から、それぞれについて議論を進めたいと思います。

 今回のこの検討会としては、先ほどから説明がありました、野生鳥獣肉の人に対する安全性を担保しながら、食用にすることができるのかということであり、非常に重要な課題になってくると思います。

 冒頭にも言われましたように、大前提は生肉では食べない。これ前提としない限りは、絶対に安全性は担保できないと思われます。

 先ほど高井先生から説明がありましたように、今、皆さんが食べている食肉というのは、実際に飼育管理もちゃんとされている、全て家畜です。飼料も安全性が確保されており、なおかつ、と畜場に搬入された後も、専門の獣医師が1頭ずつ検査して、病理学・微生物学、化学的に調べています。これと同等なことを野生獣に対して行うことはできません。しかし、野生獣肉について、食べることができるものは、ちゃんと対応して食べられるようにすることができることを、これから考えてゆければと思います。

 私からも少し話したいと思い、先ほど説明がありました、資料3の裏側を見ていただければと思います。これは、皆さんが食べている食肉、牛、馬、豚、めん羊、山羊の肉と野生獣肉は前提が違うということです。野生獣と言った場合、捕獲して、飼育される場合のものもありますが、基本的には狩猟者が捕獲し、食肉処理場に搬入されるものです。そうしますと、今、説明がありましたように、狩猟者の衛生管理も必要になります。さらに食肉処理の段階でもところもきちんと扱わなければいけません。なおかつ、食肉製品製造業、飲食店においても、安全性を担保もしながら、いかにして、これに対応していくことが大切であるかと思います。これらの段階の1カ所だけで対応しても、基本的には不可能です。

 そういうことで、我々の課題としては、ガイドラインをつくっていくことですが、その大前提としては、獣肉食品の安全性を担保しながら、いかにして食用とするガイドラインを作成することです。すでに各自治体では衛生管理を作っているところもありますが、それらにはバラツキがみられます。これらをどのように調整していくかということも重要です。専門的に診断するための技術的な面もありますが、これを行う必要であれば、組織自体を変えてなければいけないです。皆さん方のご意見を基に、ガイドラインをまとめて行くことが本検討会の目的です。

 今、説明がありましたが、ここだけは聞いておきたいこと、もう少し説明してほしいことがありましたら、お願いします。先の事務局からの説明と高井先生の研究結果について、何かありませんか。

 私自身も含めて、どのように狩猟され、処理が行われているかについては、実態を十分に理解していないところがあります。高井先生の報告、また各自治体で行われているものを踏まえて、進めていきたいと思います。

 まずは高井先生の報告のところについて、これは聞いておきたいということはありませんか。野生鳥獣の病気の保有率、食肉の安全性、また食品衛生についても検討されていましたが、何か質問がありましたら、よろしくお願いします。

 どうぞ。

○小谷構成員 日本ジビエ振興協議会の小谷です。

 先ほどのスライドの件で、今回の検討会のことが一昨日あたりのマスコミ、新聞等に出ていて、私どもにも自治体から何件か問い合わせがありました。新聞にも出ていたのですけれども、地域的にE型肝炎の陽性の率が違うというのは、どういったところに起因するのかということをお聞きしたいです。

○高井参考人 それはイノシシの集団が集団として成立しているのです。

○小谷構成員 例えば下関だと、そこにもともといるということですか。

○高井参考人 そういうことです。

 どこから入ってきたかと言われると、大学の医学部の先生のスペキュレーションでは、まだ日本と大陸がつながっているときにイノシシが流れてきて、流れてきたイノシシの中にE型肝炎のウイルスを持ったものがいた。だから、ロング・ロング・タイム・アゴーです。大昔です。それで、持った集団と、持たない集団が適当に分かれていった。だから、最初はそういう可能性があります。もちろん日本のイノシシが、全くフリーだったかどうかはわかりません。そうではないと思います。

 私は日本在来馬の感染症をやっているのですけれども、朝鮮半島経由で日本の在来馬が入ってきたときに一緒に持ち込まれているのです。遺伝学的に調べていくと、日本の遺伝子とヨーロッパ型とは違います。それと一緒で、多分昔から入っていて、分布はポピュレーションで違うということだと思います。

○品川座長 E型肝炎の問題については、一時、厚生科学研究事業でも行われており、結構死亡例も報告されています。基本的にはイノシシと鹿と豚、E型肝炎ウイルスの保有は、イノ・シカ・トンが重要です。ほとんどの事例がイノシシと鹿であり、北海道においてもいくつか事例があり、劇症肝炎を呈した報告もこれまでいくつかあります。基本的にはイノシシのほうがより重要であると言われています。

 今回のガイドライン作成についても、どちらかというと、中型動物が対象となり、野鳥については、カモの問題がありますが、とりあえず食肉処理場に搬入される野生獣を対象し、いずれは野生鳥獣全般についての安全性を担保するものが必要ですが、とりあえず、今回はイノシシと鹿が主体です。熊も入ってくるかもしれませんけれどもが、これらを中心に考えていくということです。

 地域性もあり、また保有率の実態がどこまで調べられるかというと、なかなか難しい点もあります。厚生労働科学研究事業では、限られた時間と限られた研究費用の中で、どれくらいの個体数について行われるかというところもありますが。

○高井参考人 私が思うに、BSEは一段落してしまったけれども、BSEが一段落する前は、全ての牛についてやられました。そこまでやらないにしても、例えば処理場に持ってこられたと体の血液をとることは、そんなに難しくないと思います。リアルタイムでやる必要はないのだけれども、そういうものを必ずキープしておいたほうがいいと思います。

 最後に提言で言うのを忘れていたのは、これを組織的に対応していくためには、最後に書かせていただいたのですけれども、野生鳥獣の検査センターというのは、ちょっと大げさかもしれませんが、そういう拠点をつくるべきだと思います。各都道府県は食肉検査場の中で、立派な施設を持っていらっしゃいます。新しい診断法を開発するのは大学の先生方がやればいいわけで、そういう技術は、各県の食肉検査場の中の精密検査をやっているところが、応用すればいいと思います。

○品川座長 そうですね。当然だと思います。各自治体には、毎日、家畜をと殺、解体し、診断している専門家獣医師がおられ、それらとどれだけ連係して行うか、しかし今日、これだけの頭数において専門家を、駐在をしてできるかということは、非常に難しいと思われます。当然、今後、食肉検査所の専門家、また獣医大学と連係しながら、これからのデータの積み重ねが重要です。今回作成するガイドラインにしても、作成したから終わりということではなく、データに基づいて改善すべきです。今回は社会ニーズもあり、まず野生獣肉の安全性確保について考えましょうと言うことです。

 そういう理解の基で進めたいですが、質問はございませんでしょうか。

○野田構成員 ガイドラインの作成とは直接関係ないので、一般常識として知っておきたいのですけれども、近年、野生鹿が増えてきた要因なのですが、狩猟師の数が絶滅危惧種だということで、それは一つの要因になるとは思うのですけれども、それ以外には、どこに要因があって、かつ国として、それを抑えるために、どのような対策をなされているのかということを、まず把握しておきたいと思います。

○高井参考人 私よりも坂下さんのほうがよくわかっていると思いますが、北海道の場合は非常にわかりやすいです。

 ちょっとお願いします。

○坂下構成員 北海道の坂下でございます。

 これは非常に厳しい御指摘です。鹿が急に増えたというのは、先ほどありましたように、鹿の繁殖率は大変高いので、そのときの環境の変化でも大きく変わると思われます。今まで私どもにどうして増えたかという質問があるときには、天敵だったオオカミがいなくなったということや、気象条件、大雪の後だとか、捕獲の効率性とか、そういうもので出てきたのですが、今の状況としては、もちろん天敵がいなくなったことが大きいですし、人間社会との関係では、原生林の開拓で、鹿がおいしいものを食べるようになりましたので、個体が強くなってきたこともあるかと思います。何より強い繁殖率を意識して管理するということを、現在、私どもは集中的にやっているところです。

○高井参考人 耕作放棄地ではないですけれども、結局そういうものが増えてきて、牧草地が耕作放棄地で、その草を食べられる。要するに昔は牛がいたのです。牛がいたときには出てこないけれども、大型動物がいなくなってしまって、そういうところに餌場があるということです。餌場に出てきている。それが繁殖率が非常に高くなった理由です。

○品川座長 野生が増える要因というのは、いろいろと言われています。山から野におりてきて、一度、農作物を食べると、安易に食物にたどり着けるということもあり、増えてきたということもあるようです。

 イノシシも日本全国に広がってきています。西のほうに生息していたものが、どんどん北上し、岩手でも花巻まで上がってきたと、新聞でも話題になっています。これが出現してくると、どうしても農作物の被害が増えてきます。野生動物の増える要因としては、環境要因、野生動物の食物が重要と思われます。

 特に鹿は繁殖率が高いので、やはり一定の制御をしていかないといけないと思います。

 皆さん、ほかに御意見なり御質問はございませんでしょうか。

 どうぞ。

○朝倉構成員 ちょっと教えていただきたいのですけれども、先ほど狩猟場から実際にと畜をする場まで、場合によっては遠いところもあるというお話でしたが、おわかりの範囲で、一番遠い場合というのは、どの程度の時間が想定されるのですか。そもそも狩猟場とと畜場の距離というのは、ケース・バイ・ケースだと思います。

○高井参考人 それは県によって違うと思います。自治体のガイドラインを読んでいて、県によっては、2時間以内で持ってこいとか、そういうことを書いていらっしゃる県もあるし、距離がある場合はしようがないから、開いて持ってきなさいとか、私もすぐにどこと言うわけにはいかないですけれども、普通に家畜が住んでいるところではなくて、山奥と言うしかないです。

○品川座長 そういう意味では、北海道ではある程度整備されていますが、一番遠い食肉処理場に搬入するまでどのぐらいの時間がかかりますか。

○坂下構成員 私どものガイドラインというか、私のところの指導では、内臓を出す段階まで、2時間ということでお願いをしています。内臓を摘出しなくとも2時間程度であればエゾシカ肉の食味に影響がなかったという過去の試験結果を踏まえ、北海道の事業者の実態としては、2時間を目安に搬入したものしか受け入れしないという処理事業者もあります。

北海道の場合、内臓は処理場で出すのが基本になっていまして、野外では出さないということです。

 一次処理車という、車の中で処理のできるということを、モデル事業でやったこ北海道の場合、内臓は処理場で出すのが基本になっていまして、野外では出さないということです。

 一次処理者という、車の中で処理のできるというのは、モデル事業でやったことがあるのですけれども、実際のところ、道内において、今、その車は1台ぐらいですから、処理場に搬入して、そこで内臓を摘出するというのが基本です。

○品川座長 本日はあいにく欠席しておられますが、猟友会の方でしたら、その辺のことは、もう少し詳しいとかわかると思いますが、ここではどのぐらいあるかということは、わからないと思います。

 皆さん、ほかにございますか。

 どうぞ。

○杉山構成員 猟友会の方がおられれば一番いい質問なのでしょうけれども、お話の中で、一番最初はやはり猟師の方です。銃あるいはわなを使いますから、猟友会では免許を交付します。そういう交付をするときに、全員に指導する機会が行政の中ではあると強く認識しているのですけれども、今日は、行政上の対応、猟師の方に対する対応については余り説明がなかったように思うのですが、そういうものは、実際に現場ではどういうふうにやっているのでしょうか。

○高井参考人 私も又聞きの話しかできないのですけれども、銃を使った犯罪も含めて、いろいろありました。だから、銃を持つこと自体が非常に難しいのです。だから、辞めてしまうという方もいるし、取る段階においても、身元調査をされるような感じで、なかなか難しいということで、いろんな意味で、今、日本の場合、銃は難しくなっていると伺っています。

○品川座長 余談になりますが、弾を何発持ってい、実際に弾を何発撃ったのか、空に撃ったとしても、どこでどう撃ったのか届出を行わなければならなく、管理が非常に難しくなっていますとか。そこで、銃は持たない、撃たない、猟を辞めてしまう人が多いことを聞きますが。

○高井参考人 辞めてしまう方が多いですね。

○杉山構成員 お伺いしたかったのは、例えば毎年1115日から狩猟期が始まるとしたら、その前に県としては狩猟許可書を必ず出すと思います。そのときに各支部で集まったりとか、あるいは県レベルで集まって講習会をやると、私は認識しています。

○高井参考人 済みません。そのあたりのことは、猟友会の方でないとわかりません。全くわかりません。

○杉山構成員 そういうときに、実効的な話が出ているのであれば、少し参考になるのではないかと思って聞きました。

○品川座長 今日は休んでおられますから、その辺は次回にいたしましょう。

 野生獣については、まず最初は捕るところの問題があります。狩猟したときにどうするか。先ほど高井先生がGPSが便利だと言われましたが、そういう機能でどこまで活用できるかということですが狩猟実態をきちんと把握しないと、この論議はなかなか進まないところがあります。

 特に私自身がわからないことは、野生獣を狩猟して、その後どこからジビエ協会が管理されているか、その点もよくわからないのです。せっかく参加しておられますので、教えてください。

○小谷構成員 環境省の調査でいくと、一昨年は、鹿とイノシシを合わせて八十数万頭が捕獲されている中で、先ほどありましたように、食肉化されているものが少ない。ただ、鹿とかイノシシというのは、本来、食べておいしい肉なので、我々からすると、捕獲されたものは有効活用しながら、おいしい肉を消費者の方に食べてもらうために、捕獲から解体処理、流通、販売に至る課題について解決しながら、とにかくジビエを広めていこうということで、2年前に生まれた団体です。基本的に捕獲の段階から販売までについて、いろいろな活動をしています。

○品川座長 例えばどういうことを行わなければならないとか、販売するためには衛生指導も行っておられるのですか。

○小谷構成員 私どもはもともと有志で集まった団体なのですけれども、ただ、今、出たように、捕獲でいくと、銃はわからないのですが、わな免許などでいくと、基本的に自治体によって体制が違って、例えば長崎とか、幾つかの県は、県を挙げて、わな免許の取得と同時に、取り方の講習をしているところもあれば、それが弱いところもある。だから、県によって結構違います。

 銃については、恐らく佐々木会長のほうが詳しいと思います。

 もう一点、先ほど捕獲してから処理施設に運ぶまでの時間のことが出たのですけれども、1つ懸念を持っているのは、例えば北海道は2時間とありましたが、県によっては1時間半とか、1時間ですけれども、時間にこだわるケースが多いのです。要するに1時半と決めていると、1時間半の間に運べばいいということなのです。実際は時間ではなくて、鮮度を保ち、個体の温度が上がらないで、いかに早く持っていくかということが大事なのだけれども、結構時間にこだわるのです。ですから、そこについては、余り時間を強調してしまうと、結果として、個体を傷めてしまうことがあるので、気をつけなければいかぬと思います。

○品川座長 何時間とか、数字で示されると、わかりやすくなりますが、どうしてもそこにこだわるところが出ます。時間よりは、より安全に保つということが重要ですが、安全に保つというのは、時間も係わりますが、時間だけではないだろうということになります。

○小谷構成員 特に急峻な地形を持っているアルプスとか、ほかの県もそうですけれども、そういうところでは、捕獲してから処理施設までの運ぶ時間はどうしても長くなってしまいます。あとは、引きずったりして傷むということもあるのですけれども、そういったところでも、やはり時間を気にされています。私があちこち行って見聞きする上では、結構多いです。

○品川座長 問題点の1つは狩猟するところですが、今度は喫食するところです。ジビエというと、食べるところが重要と思っています。だから、今、飲食店や料理店において、どのぐらい指導を行われているのですか。

○小谷構成員 そこも担当しています。そこもやってはいます。

○品川座長 最終的には消費者に安全なものが届けられればいいのですが、それをどう担保するかということが重要ではありますけれども。だから、入り口から出口まできちんとやっていかなければいけないと思います。

○小谷構成員 特に惣菜業などで、今、求められるのは、トレーサビリティーの問題と、今後のガイドラインで出ると思うのですけれども、一番気にされているのは、金属探知機です。金属探知機だけは絶対に通してほしい。ただ、今、金属探知機を持っている処理施設というのは、交付金を使われているところは大体100%あると思うのですけれども、そうでないところは、本当に数えるぐらいしかなくて、金属探知機は基本的に入れられていません。

 あと、心配なのは、わなでとっても、とった鹿やイノシシで、以前に逃げているものがあって、実際それで散弾銃が検出されたものを見たこともあります。ですから、必ず金属探知機を通さないと、銃でとっていないからといっても、金属がないとは限らないということです。その辺が結構出てくると思います。

○品川座長 初めから銃で捕るということは、金属が体内に入っていることが前提ですが、今、イノシシも散弾銃ですか。

○高井参考人 散弾銃は使わないようにとなっているのです。食に回す場合、散弾は使わない。

○品川座長 なるほどね。そうですか。

○小谷構成員 有害捕獲でとられていたものが、それでもって、食肉が一部回っているのです。有害捕獲は、失礼な言い方ですが、殺せばいいということなのです。

○品川座長 目的がちょっと違っているところがありますが。

 どうぞ。

○事務局 事務局から質問なのですけれども、今までのガイドラインで、今、ジビエの協会の方もおっしゃっていたように、できるだけ鮮度を保つという意味で、と畜検査の場合はすぐに放血します。ジビエの場合は、放血が不十分ではないかという話と、現地でできるだけ解体をさせないということになると、内臓をそのままつけて処理施設に持ってくる。そうなると、体温がずっと維持されてくるので、品質が悪くなります。

 その辺のジビエの品質の面からいって、やはり放血と内臓除去は重要になってくると思うのですが、そこと検査のほうは、どの辺で折り合いをつけるか、その辺の議論はばらばらだと思います。その辺はどうなのでしょうか。本音というか、実際にはどうなのでしょうか。

○小谷構成員 これは私の個人的な意見ですけれども、本当は佐々木会長がいらっしゃればわかるのですが、基本的に猟師さんでスキルが全く違って、もともと狩猟期をメーンにされている方というのは、それなりに食べ方についても知っていらっしゃる方がいるのですけれども、必ずしも全てがそうではないということがあります。

 まず食肉に回すときに、猟師さんによって、血抜きの仕方も含めて違いがある。よく消費者から意見が出るのは、硬い、くさいということです。最初の要因は、血抜きがまずいというところです。後の処理が幾らよくても、血抜きを怠ったら、おいしい肉にならない。ですから、そういったところでいくと、猟師さんのスキルによって違う。

 先ほども言いましたように、私が見て一番大きい要因だと思うのは、有害捕獲としてとらえたものが肉になったときに、もともと殺す前提なので、それを肉に回すとなると、なかなかうまくいかないケースが結構あると思っています。

 もう一つ、内臓摘出ですけれども、先ほどありましたように、多くの県がだめだと言っていますが、実態からすると、大半のところで内臓が出されている。川で洗っているところもあるようで、実態からするとあって、それは私も決していいとは思いません。いいとは思わないのですけれども、おいしい肉をとるのか、衛生のリスクをとるのか、どちらにするのか。

 ただ、両方ともクリアする必要があるのだろうと思います。ですから、後々の議論になると思うのですけれども、現地での処理の仕方については、きちんとこの会で検討いただいたほうがいいと思います。

○品川座長 今、言われましたように、食肉の安全性確保は大事ですが、人の安全性もあると思います。狩猟者たちが、放血する時、E型肝炎の感染に気をつけなければなりません。また食肉の安全性ばかりに突っ走ると、おいしさが抜けてくるし、その辺をいかに調和しながら行うかというのは、難しい課題です。

 基本的には、先ほどから言われているように、狩猟者がいて、食肉処理が行われ、販売をする。これはいずれも連携してゆき、バトンリレーを行って、消費者により安全なものを届けること、そういうガイドラインをつくっていかないと、どこか1カ所でやってくださいというものではないと思われます。

 どうぞ。

○高井参考人 先ほどの事務局の御質問ですけれども、10年以上前に丹波篠山のイノシシの有名な卸のところに、研究材料をとりに行ったときに、いろいろと御説明を受けたのは、そこで出しているイノシシ肉は、基本的に全て契約している猟師さんがとっている。どこでどうされているのですかといったら、現場でしとめて、現場で内臓を出して、血抜きもしっかりしたものしか受け取らないということで、丹波篠山では、昔からそれがうまく成立していたのです。その時点では、多分それでよかったのです。

 だけれども、頭数が増えて、いろんなところで拡散してしまった状態になったときに、先ほどおっしゃいましたように、猟師さんの技術そのものが、人に初めから提供するような形でないものも増えてきているということは、一番大きな問題ではないかと思います。歴史的にしっかりされているところは、しっかりされている猟師さんが、おいしいものということで、山で全部あれして、内臓はどうされますかといったら、穴を掘るかどうかは別にして、かぶせておしまいです。そうすると、カラスか、タヌキかわからないけれども、そういうものがちゃんときれいにしてくれます。そういうものが本来はあったのだと思います。

○事務局 我々の検討会では、いつも衛生とか、安全面が非常に強調されるのですけれども、ガイドラインをつくっても、おいしくなくて売れないと、結局、絵に描いた餅になって使えなくなる。ジビエの場合は、非常にうまいと言う人と、まずいと言う人がいて、両極端に分かれてしまうのです。恐らくちゃんと血抜きをして、処理されたものを食べた人はうまいと感じるし、そうでない処理をされたものを食べた人たちはまずいと感じる。これは両極端なのです。この検討会で検討したガイドラインが、まずいジビエをつくるガイドラインにならないようにしたいという気はあるのです。

○品川座長 その辺のところをどう加味していくか。我々の大きな目的のひとつは、健康被害をとにかく少なくするということが大前提にありますが、そればかり突っ走っていくということではありません。先ほど出たデータも、何名かは調子が悪いということで、その実態はわからないけれども、そういうものはできるだけ少なくしていかなければいけないと思います。

 そういう面では、食肉処理の担当を行っておられるのところでは、内臓の喫食、またおいしく食べることとの関係について、何か御意見はありますか。

○梶木構成員 と畜検査においては、内臓を見ないと病気がわからないというのが、正直なところですので、外側というか、枝肉だけ見ても判断ができないということです。安全なものを出すには、内臓の検査は欠かせない。それを食肉処理場に搬入する前に出す、出さないというところは、と畜場法との兼ね合いもきっとあるのだろうと思いますし、このガイドラインの作成の中でも、論点になるだろうとは思います。

 当然ながら、家畜のほうが履歴ははっきりしている、衛生的な扱い、生産段階からきちっと食用になることを踏まえた管理がされているものに対して、これだけ食肉衛生検査をしているということとのバランスをどのようにとられるのかというところは、私としても非常に関心が高いし、心配なところでもあるというのが、きょう、説明を受けた中での率直な感想です。

○品川座長 先ほど数字が出されていましたが、家畜は、これだけ多くの頭数をとさつしていますが、野生獣はこんなに少ない。これから増えるかもしれないですが、その中でどれだけ専門家を配置できるかということは、非常に難しいところがあります。頭数が増えて、常時行うことになれば、当然、専門家が必要になってきます。初めからこれらを実施するということは、なかなか難しい。

 しかし一方、専門家がいないのに診断していいのかというと、喫食することから、教育を受けた者でなければならない。食鳥処理場でも、食鳥衛生管理者が診断しており、その管理者は規定の教育を受けたものでなければなりません。それでも獣医師が最後にもう一度確認する。。さらに専門の食鳥衛生管理者は、研修を受けた後、認定書を出しています。そういうことで、野生獣を処理する人達にも教育や認定書が必要になってくるかと思います。

 どうぞ。

○高井参考人 北海道に御説明していただければいいと思うのですけれども、そういう点について、北海道は獣医師のOBをうまく使ってやろうとされています。

 どうぞ。

○坂下構成員 皆さん御案内のとおり、北海道は早くからガイドラインをつくりまして、衛生処理に関する指導をして、処理業者さんに取り扱いについて、適正にしていただくように普及してきました。私どもの平成24年度の流通量では、2万3,000頭以上出しているわけです。そうなってきますと、販売先の方々、購入していただく販売先にお話をもっていくと、家畜における扱いの食肉と野生動物の安全管理に対して、クエスチョンマークというか、不安感をお持ちの方もいらっしゃいました。それは否めないところがありました。

 道の場合は、第三者認証ということで、先ほどスライドがありましたが、エゾシカ協会さんという社団法人が、ガイドラインを守っているか、トレーサビリティー、また、そのほかの条件を加えて、第三者認証でチェックした形の制度もつくっているのですが、そういうことも、北海道のエゾシカの一つの魅力として訴えてまいりました。

 今のように、食品に関する安全性について、重要だという動きの中で求められたのが、獣医師、専門、プロフェッショナルの方の指導が行き届いているかどうかということです。私どもも懸案を感じておりました。話が長くなったのですけれども、前段でそういうことがありまして、道のと畜検査員のOBの方が処理場に行って、処理の作業をする人と一緒に、と殺、解体という場という場面を見てもらうモデル事業を開始しました。

○品川座長 OBというのは、県または協会が雇っているのですか。どこですか。

○坂下構成員 協会ではなくて、食肉処理業者さんの組合がございまして、食肉処理業者さんたちが、自分たちの作業の精度を上げるために、専門家に指導をしてもらうということです。そのコーディネートといいますか、我々の役割は、専門家の人もいるし、従事するには作業量に波があったり、かかわる方が変わったりすることがあります。そういう意味では、基本的なガイドラインの必要性、そして、全国規模のデータの集積は大変期待申し上げているところです。

 今回、モデル事業をしたのですが、このガイドラインをつくることもそうなのですけれども、先ほどの高井先生のお話のとおり、現場でやっていますと、大事なのは、データの集積といいますか、最新の知見を積み重ねていくことが、結局は衛生管理の充実になっていくと思います。

 ちょっとお話させていただくと、野生動物には季節性があります。家畜のように、計画生産できるのであれば、皆さんの知識はキープできると思うのですけれども、野生のものの旬をとろうなどとなると、年間を通して業務があれば、それは充実できますが、従事するには作業量に波があったり、かかわる方が変わったりすることがあります。そういう意味では、基本的なガイドラインの必要性、そして、全国規模のデータの集積は大変期待申し上げているところです。

○品川座長 季節性はありますが、ジビエとしては、年間を通してある程度出して行かなくてはならないことなのでしょうね。

○小谷構成員 全国的に見ると、どうしても狩猟期の流通が多いと思います。ただ、よく言われるように、狩猟鹿でいくと、夏の雌鹿が一番おいしいと言われています。季節商材としてデパートでも扱ったりしています。エゾシカあたりは、都内では、年中デパートで出していますが、まだそこまでは至っていません。

○品川座長 どうぞ。

 

○水田構成員 千葉県です。

 北海道では年間2万頭流通ということですが、千葉は200頭弱の流通で、小規模のところでの取り組みなのですけれども、安全性の担保につきましては、食鳥処理衛生管理者の認定小規模という小さいところには、事業者がその資格を取って、みずから検査して、出荷しています。

 これに準じて、イノシシ処理衛生管理者という制度を設けまして、食肉を処理するところには、食品衛生責任者の方に、我々が行うものを受講していただいて、イノシシ処理管理者という位置づけでやっています。

○品川座長 認定証みたいなものを出しておられるのですか。

○水田構成員 そうです。

 講習につきましては、ガイドラインと、イノシシですので、実際に豚の臓器で勉強していただくという取り組みでやっております。

20年度から始めたのですけれども、最近ですと、狩猟者の方もこの講習会に参加されて、イノシシの病気の勉強をしていただいています。みずから手を挙げて参加されている方が、今、大変増えてきています。

○品川座長 先ほどから何回も出ているように、狩猟者も勉強してもらわなければいけないし。食物として処理するには、どうするか。食肉処理場では、そこで部分肉加工し、それを販売し、飲食店に持ち込む。飲食店での扱いもきちんと行う。我々としては、より厳密にきちんと取り扱ってもらうガイドラインをつくっていかなければならない。特に、疾病排除、病気の問題については、データを蓄積するシステムをこの検討会でまとめて、新しく提案をしていけばいいと思います。

 今回の取り組みは、データも、たくさんあるわけではなく、特に食品衛生のデータはまだまだ少ないです。これらのデータについては、各都道府県の食肉検査所を連係して、どれくらい取ることができるかが重要です。おいしく食べるためには、安心してためることが非常に重要です。安心がなければ、おいしく食べることができない。そういう点についても検証することになると思います。

 これらのことを進める上で、何かご意見ありませんか。次回からの問題点について検討することになると思います。

 そうはいっても、私自身もまだよくわからない、狩猟時の問題、またジビエについても、実際、北海道はそうですけれども、捕獲して、食肉処理場にもって今から行きますと言っても、処理場では待っているわけではないですね。狩猟してから持っていきますといったら、どのようにスタンバイしているのか。またどのように連絡して、どのように処理しているのですか。

○坂下構成員 大きく商売をしている処理業者さんからお話を伺うときは、先ほども言ったように、契約猟師さんなのです。出たという情報が入れば、猟師さんが行きますし、契約猟師さんなので、腕のいい人なのです。いい肉を出すためには、いい腕の人が必要になります。

○品川座長 認定みたいなもの行っているのですね。

○坂下構成員 選考しています。

 先ほどの肉のおいしさもありますから、腕のいい猟師さんが持ってきてくれるもので動いているので、ある程度、時間的なサイクルもあるみたいです。

○品川座長 いつごろ入ってくるということになれば、スタンバイもできるのですね。

○坂下構成員 あと、囲いわなで入れておいて運ぶとか、大きく事業をやっている方のところは、どういう時間割りになるかというのは、わかるようです。

○品川座長 今のように、囲いわなで運ばれているものは、ある程度定期的にできますが、ハンターが行っても、捕れるかというのはわからないですが。そういうことについて、千葉ではどのように行っているのですか。200頭の処理ですので、非常に難しいですね。どのように連絡をして、どのように処理しているのですか。

○水田構成員 今、放射性物質の検査で、千葉県は出荷制限がかかっている地域なのです。一部解除ということで申請して、出荷計画、検査方針を決めて、それにのっとって、今、やっています。

 その方法としては、生きたまま捕獲されたもの、とどめ刺ししたものは、そこで放血する。そこには市町村職員または解体施設の職員が立ち会わなければいけないというルールがあるのです。それをやらなければできないので、生きたまま捕獲されたものにしか、今は対象になっていない状況です。

○品川座長 それは食肉処理場に搬入されてから、見にいくということですか。

○水田構成員 現場です。

○品川座長 現場から電話がかかってきたら、すぐそこへ行くわけですか。

○水田構成員 生きたままですから、時間調整して、当日なり翌日なりに行って、職員が立ち会って、写真を撮って、放血して、内臓を入れたまま解体処理施設に運んでくるという取り組みになっております。

○品川座長 専門家というか、食品衛生の専門の人たちが立ち会って行うというシステムをつくっておられるし、山の中で放血をするわけではないのですね。

○水田構成員 山の中での放血になります。

○品川座長 そこから電話があるのですか。

○水田構成員 つかまえたということで、当日、連絡が来ます。

○梅田補佐 イノシシだから、わなということですね。

○品川座長 鉄砲で狩猟したものは、そんなことはないのですね。

○水田構成員 放射性物質の検査の関係を通らなければいけないので、鉄砲で撃ったものはだめです。現時点では、使えないという整理にされています。

○品川座長 放射性物質が絡むと、また長い機関が必要ですね。そういう検査は、なかなか外せないのでは。わなで狩猟したものでもずっと行われるのですか。放射性の問題がある前から、行っているわけではないですね。

○水田構成員 放射性物質が出る前は、銃のものも受け入れていたと聞いています。

○品川座長 千葉はそういう面で放射性の問題があり、別のファクターが入ってきており、コンスタントに行うということではないですね。

 どうぞ。

○小谷構成員 処理施設というのは、幾つかに分かれると思うのですけれども、まず猟師さんが自分で処理施設を運営されているケースがあります。この場合は、自分がとったものしか処理されないところと、仲間内の猟師さんも含めて処理するケースがあります。

 もう一つは、地元の精肉店とか、直接の猟師ではないのだけれども、そういうものを扱ったことがある人が処理施設をやられているケースがあります。これは仲間内の猟師さんから入れられる。

 両方とも、とったという連絡をして持ち込むなり、あるいはとりに行くケースです。

 もう一つは、行政、自治体が絡んで、処理施設をつくっているケースです。この場合は猟師ではないので、猟師さんから買い取るという形にされています。この場合、先ほどありましたように、現場にとりに行くところと、持ってきてもらうケースがあります。

 いずれにしても、連絡はされると思います。突然申し込むケースもあるのでしょうけれども、今は携帯があるので、大半は何らかの形で連絡がいくのだと思います。

○品川座長 山の中だったら、携帯では難しいのではないかと思いますが、そういうことが起こりうるのでは。

○小谷構成員 猟師さんもわななどをやる場合は、出勤前にとりに行かれるケースがあるので、処理施設に持ち込まれるのは午前中で、9時ぐらいまでに持ち込んでいるということが結構多いのだと思います。

○品川座長 そうなのですか。

○小谷構成員 猟師さんといっても、本業の人は少ないのです。大体仕事を持っているので、朝の仕事の前にわなを見に行ったら、かかっていたから、持ち込むということが多いと思います。

○坂下構成員 みんな早いです。朝の早い時間です。

○品川座長 実際に行われている施設で、先ほど言われた公的施設では、ある程度やっておられるのですね。食肉処理施設の認定を受けるためには、一定の基準がありますから、行うことができるけれども、同じ基準でも相当施設に違いがあるし、機材とか、設備にしても、どこまで整備しなければということがありますね。

○小谷構成員 これは千差万別です。天国と地獄の世界です。

○品川座長 誰が撃ったにか、猟師もある程度認定していかないと、誰が撃ったのか分からないものをすぐに食べるわけにはいかないし、狩猟者たちについても、いずれ教育をきちんとやっていく。

 しかし、狩猟者にどこまでの責任を負わすか、データをどこまでとってもらうかとか、またGPSについても、そういうことも、いずれ検討していかなければいけないと思います。

 野生獣が搬入されるとき、食肉処理場に運ぶときですが、トラックで運ばれているのでしょうか。太陽が直接当たらないように冷却して運ぶとか、いろいろあると思います。

○小谷構成員 大体はビニールをかけた形で運びます。人目に触れないという形にされています。そこは一般的にそうされていると思います。ただ、山の中の田舎だと、そのままということもあるでしょう。処理施設がどこにあるかによって違うと思いますけれども、市街地などを通ってしまうと、人家があるところになると、人目につかないようにということで、シートをかけています。

○品川座長 搬入され、食肉処理場に入って、処理されたあと、ジビエというのは、熟成期間を有するのですか。すぐに喫食されるのではなくて、一定期間保管して、販売されるのですか。

○小谷構成員 それはまちまちです。どちらがおいしいかというのは、定説はないのだと思いますけれども、熟成されているところと、そのままあれしているところがあります。これも施設の状況です。熟成となると、プレハブ冷蔵庫がないとだめなのですけれども、結構高額なので、入れている施設は少ないと思います。北海道は結構あるかもしれないけれども、本州でいうと、私が見た限りで、プレハブ冷蔵庫というのは、恐らく1割あるか、ないかだと思います。1割までないと思います。

○品川座長 処理施設では部分肉にされるのですね。

○小谷構成員 ブロックに分けます。

○品川座長 大きくブロック肉に分けて、それはすぐに販売店や、飲食店に持って行かれるのですが。

○小谷構成員 一番早いところは、処理したその日に販売してしまうところがあります。

○坂下構成員 そういう意味では、その後、どの状態で利用されるかということです。こうなると、商売になってくるのですけれども、食材をどのような形で求められるか。熟成肉で求められる場合は、そういう状態で持っていきますし、冷凍肉や生肉は市場がやっとできてきましたので、それにあわせて、処理業者さんも工夫しているのだと思います。

○品川座長 北海道では、百貨店で売られる場合、また販売店や、飲食店に対しての指導も行っておられるわけですか。

○坂下構成員 食品販売業の指導は、これまでの食品衛生法上の世界でもあります。

○品川座長 例えば、普通の食肉を売るのではなくて、野生獣肉を売るときには注意しなければいけないとか、そういうことについての指導はどのように行っているのですか。

○坂下構成員 そういう基準みたいなものはないです。食品処理販売業になったら、そちらの法令対象になります。

 ただ、ジビエというのは、どちらかというと、高級な料理に提供するものという印象になります。北海道はこれだけたくさん流通しているところもあるのですが、これからニホンジカが捕獲されていくと、高級な肉の部位は限られおり、多くのそれ以外の部位も、また栄養価が高い素材ですので、これをどういうふうに有効活用していくか、すねだったり、筋だったり、そういうものを考えたときには、利用の仕方も想定した肉の熟成などは、すぐに出てくることだと思います。

○品川座長 確かにジビエという言葉の響きは非常に良いし、おいしくて、高級品というイメージが持たれています。鹿肉はすぐにイメージされますが、イノシシ肉とか、場合によっては熊肉も同じジビエですか。イメージは大きく異なります。

販売店も飲食店も、これらの獣肉を扱うところは、講習等を行い、十分情報を提供する必要があると思います。

○小谷構成員 やる必要はあると思いますけれども、先ほど言いましたように、トレースができていないのです。飲食店などに、この鹿肉はいつどこでとれたのか、聞いてみる必要があると思います。例えば雄と雌でも味が違います。雄なのか、雌なのかわからない。発情期の雄の肉がきたときには、大変なことになってしまうのです。下手をすると、くさくて、硬いということになってしまいます。それすらわからないで、やられているところがあるのです。

 話が飛ぶのですけれども、食肉処理業の資格というのは、今、保健所の2日間ぐらいの講習で取れます。それはジビエだけをされるわけではないから、あれですけれども、千葉県はそういう形できちんと講習をされている。専門家がいらっしゃるところは、そういう体制があるのですけれども、必ずしも全ての自治体ではないのです。ただ、どこかで、何かの形でリスクが出たときに、これは全国に波及してしまうので、先ほど厚労省のあれでも、全国の処理施設は約300前後だと思うのですけれども、統一した講習が必要だと思います。諸外国では、そういうことについて講習されています。

 食肉処理業者に対しては、講習をして、例えば先ほど言われた疾病の見分け方、内臓を見たときに、どういう病気だと、病斑が出た後はこうなるとか、全体のスキルと知識をアップしていくということは、ガイドラインとあわせてやっていかないといけないと思います。各県に任せるのもいいけれども、国としても、そこは何らかの形で措置をとってほしいと思っています。

○品川座長 ガイドラインを作成したら、教育もある程度行わないといけないと思います。ガイドラインをつくって、これに沿って行ってくださいというわけにはいかないと思います。自治体等を通じて、関係者の教育を、やっていかなければいけないと思います。

 どうぞ。

○野田構成員 資料4の2ページ目に流通状況が書いてあるのですけれども、対面販売による食肉販売店があったり、インターネットによる食肉販売という流通実態があるということは、個人の家庭でも消費されることになると思います。そうした場合、現在のガイドラインのイメージとしては、加工販売までがカテゴリーになっているのですけれども、消費者自体のそれに対する取り扱いに関して、ガイドラインに含める必要性はないのか、あるのか、その辺はどうなのでしょうか。

○品川座長 直接消費者にわたるまでにどのようにするかというのは、これから検討していかなければいけないが、今回はいろいろな問題点を出してもらうということだと思います。

 次回は狩猟者における問題をもう少しわかりやすく説明してもらい、ジビエ協会のほうも、今日ある課題について、少し話してもらい、それぞれの立場からどのような問題点があるのか、突っ込んで討論していきたいと思います。

 皆さんに考えておいていただきたいのは、野生獣肉として入口から出口まで、どのような管理を行い、安全性を担保するのか。また、ネットで売買することについての、管理をきちんと行わなくてはならない。それができない場合、ストップしなければいけない。皆さんには一度安全性について考えていただきたいと思います。

 もう一つは、流通経路によって、それぞれの立場における安全性をどう担保するのか、食品衛生の立場からどう担保するのか。そこで気がついた点、どのような教育をしなければならないのか、人の管理としてどういうことがあるのか等を、出していただき検討していけば、まとまってくるのではと思っています。

 先ほど、処理場を一度見てくださいと言われましたが、我々も知らないところが多くあり、近くで見られる施設があれば見ていただきたいと思います。きれいな施設を見るだけではなくて、実際に行われているところを見ないとなかなかわからないので、そういうところがあればよろしくお願いします。

 どうぞ。

○事務局 先ほどインターネット販売等のお話もございましたし、消費者に対してのお話もございましたけれども、いずれにせよ、食肉を処理する場合には、食肉処理業の許可を必要としますので、流通の形態によらず、そういった処理業を取ってもらったところでのみ、処理していただくということで、ルールづくりというものができます。

 それから、消費者へのメッセージについても、規制ということではないにせよ、リスクについて周知をして、啓発していくとか、あるいは捕獲から最終的な消費者に至る全ての段階で、こういった認知のもと、適切に取り扱っていただくということは、重要だというお話がございました。リスクコミュニケーションという点で、周知・啓発というのは重要だと思っておりますので、その点は、あわせてガイドラインの中にも盛り込んでいきたいと思っております。

 今、座長からもございましたように、今、御議論いただいて、バラエティーに富んでいるということがありました。捕るところも、地域によって随分違う。急峻なところもあれば、平地に近いところもあるということで、それによって取り扱いも変わってくるでしょうし、また、捕獲の仕方も、ライフルであったり、スラッグ弾であったり、あるいはわなでとったり、養鹿をするということも、北海道などではやられているということですので、形態も違ってくるということです。

 それから、いろんな方が、流通を含めてかかわっていらっしゃるということもございますので、そういう意味では、実態把握が重要だという座長のお言葉もありました。今回、猟友会の構成員からお話が聞けなかったので、次回はそういったところも少し整理をさせていただいた上で、情報提供させていただければと思います。

 また、自治体での取り組みについてのアンケートを紹介しましたけれども、まだ集計途中のものもございますので、それもあわせて紹介できればと思っております。

 それから、座長からございましたように、家畜とは違う管理が必要だということで、家畜の場合ですと、これまでの蓄積・ノウハウも含めてと畜場で管理できますが、一方、野生鳥獣においては、食肉処理業の許可が必要ではございますけれども、狩猟者の方、あるいは利用する側もみんなが、この取り扱いについては、気をつけていただく必要があるということでもございます。そういった論点はいろいろと出ていましたので、それを整理させていただいて、次回、ガイドラインの骨格になるようなものを提示させていただいて、御議論を深めていただければと思います。

○品川座長 これまで実際にガイドラインを作成しているが、北海道でもこういうところが困っている等の問題は出してもらえば分かり易いです。それぞれのニーズに全部応えるということは、難しいけれども、問題点の把握だけはちゃんと共通認識として持っていて、それをどれだけガイドラインの中でクリアできるかということも必要です。構成員の皆さんの共通認識を得るために、もう一度、総合的にディスカッションを行いたいと思います、よろしいでしょうか。

 次に集まっていただくということで、先ほど言われたように、狩猟段階のところから獣肉の消費者までの出口のを頭にイメージして、どういうことを行わなければいけないか、どういう問題があるのかということを考えてきていただければ、ディスカッションもより活発に進むと思っていますので、よろしくお願いします。

 次回、ある程度日も決まっているのですか。今、皆さんに知らせてあげれば良いと思います。

○事務局 次回については、また日程調整をさせていただいて、御連絡を申し上げます。

○品川座長 早い時期に行ってください。また出られない人がいないような日の設定が必要です。できるだけ全員が出られるところにしてほしいと思います。

○事務局 わかりました。

○品川座長 よろしくお願いします。

 きょうは、司会もうまいこと進められませんでしたけれども、少しでも皆さんの共通理解になるように、これから進む方向なりを理解していただければと思いました。

 これできょうの検討会は終わります。

 事務局にあとは返しますけれども、何かありましたら、お願いします。

○事務局 「(4)その他」については、特にございません。

○品川座長 きょうは、皆さん、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>: 医薬食品局食品安全部監視安全課
小西、石亀
03-5253-1111(内線2454)
03-3595-2337

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