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2014年7月24日 平成26年度第1回水質基準逐次改正検討会議事録

健康局水道課

○日時

平成26年7月24日(木)
15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第4号館
1階専用第123会議室


○出席者

出席委員

眞柄座長 浅見委員 安藤委員 五十嵐委員 遠藤委員
国包委員 西村委員 広瀬委員 松井委員

○議題

(1)ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸に係る水質基準に関する省令等の改正について
(2)浄水施設での対応が困難な物質について
(3)水質異常時における摂取制限等を伴う給水継続の考え方
(4)水道水質基準に係る今後の検討事項について
(5)その他

○議事

○服部室長補佐

それでは、定刻となりましたので、ただいまより平成26年度第1回「水質基準逐次改正検討会」を開催いたします。

 委員の皆様方には御多忙中にもかかわらずお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本検討会の開催に当たり、事務局を代表して厚生労働省水道課水道水質管理官の長坂より御挨拶を申し上げます。

 

○長坂水道水質管理官

 委員の皆様方、こんにちは。私は、7月8日付で水道水質管理官を拝命いたしました長坂と申します。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 委員の先生の皆様におかれましては、日ごろより水道行政の推進につきまして御協力いただきまして、まことにありがとうございます。

その中でも水道水質管理につきましては、水質基準あるいはそれに準ずるもの等を設定いたしまして、それに基づいた管理をするということで、水道水質、きれいな水が保たれて水道として供給しているということで、行政として進めてまいっているわけでございますが、水質基準につきましては、水質基準の逐次改正ということで、かつては大改正ということで何度か繰り返して項目もどんどんふえていく、そういう時代もあったわけでございますが、現時点では必要に応じて見直しを行っていく逐次改正という体制で検討を行っているところでございます。

つい最近の話になりますが、今年の4月1日付で水質基準の項目が、亜硝酸態窒素が1つ加わりまして50項目から51項目に増えたという状況になっているところでございます。

本日につきましても、逐次改正の検討内容といたしまして、ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸に関する改正の内容等につきまして御議論をしていただきたいと考えておりますので、先生方におかれましては闊達な御意見を頂戴できればと考えておるところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○服部室長補佐

 本日は、伊藤委員を除く委員の皆様9名、オブザーバーとして国立保健医療科学院より大野先生に御出席いただいております。御多忙中にもかかわらずお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 マスコミの方におかれましては、カメラ撮りは会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、御協力をお願いいたします。

 それでは、以降の議事進行につきましては、眞柄座長にお願いしたいと思います。

 

○眞柄座長

 それでは、まず資料の確認をしていただきたいと思います。資料を御紹介ください。

 

○吉崎係長

 それでは、資料のほうの確認をさせていただきます。

 まず1枚目、議事次第の両面で1枚と、委員の先生方の名簿が1枚、次に座席表が1枚です。

そこから資料1になりまして、資料1としては2枚。その後ろに資料1の参考1ということで3枚。

次に、参考2といたしましては、下のページで言うと参考2-12まででございます。

参考3としまして、参考3-1、3-2が裏表で1枚です。それが資料1でございます。

資料2のほうが、資料2-1から2-6まで3枚の両面印刷になってございます。

次の資料3が資料3-5までと、それに付随する参考1ということで、参考1-1、1-2の両面1枚。それが資料3でございます。

最後、1枚紙の資料4です。

資料は以上です。もし不足等ございましたら、事務局のほうにお申しつけください。よろしいですか。

 

○眞柄座長

 ありがとうございました。

 それでは、早速議題に入ります。

最初は、「ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸に係る水質基準に関する省令等の改正について」でございます。

事務局から説明をしてください。お願いします。

 

○吉崎係長

 それでは、引き続きまして、資料1「ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸に係る水質基準に関する省令等の改正について(案)」を用いまして説明させていただきます。

 まず、概要です。ジクロロ酢酸については平成25年4月15日、トリクロロ酢酸については平成24年5月10日に、それぞれ食品安全委員会の委員長から厚生労働大臣に対しまして、食品健康影響評価の結果が通知されました。その評価内容から評価値を算出したところ、現在の水質基準を強化する必要があると考えられました。

そのため、厚生科学審議会生活環境水道部会において審議いただいた結果、食品安全基本法の規定に基づき、内閣府食品安全委員会の意見を聞くこと、また、その後、パブリックコメント手続を経まして新基準値を設定することが了承されたことから、関係する省令等を改正するものでございます。

「2.基準値案」としまして、まずジクロロ酢酸について御説明いたします。四角の括弧の中が食品安全委員会のほうから出された評価内容をまとめたものでございます。

括弧の下へ行きまして、これをまとめますと、食品健康影響評価の結果のうち、発がん性については、発がん性のTDIから1日2L摂取、体重50kg、寄与率20%を用いることにより求められる0.06mg/Lより発がんリスク10 -5に相当するリスクレベルに相当する摂取量から1日2L摂取、50kgを用いることによって求められる0.03mg/Lのほうが小さい。この値は、非発がん毒性のTDIから求められる0.06mg/Lよりも小さいということから、現在の評価値0.04mg/Lから0.03mg/Lに強化する案でございます。

トリクロロ酢酸については、食品健康影響評価の結果である発がん性及び非発がん毒性のTDIから求められた結果ということで、評価値を現行の0.2mg/Lから0.03mg/Lに強化する案でございます。

現在の審議の状況です。ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸の水質基準を改正することについて、食品安全基本法第24条第1項第7号の規定に基づきまして、今月中に食品安全委員会のほうに意見を求める予定でございます。

次に、ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸に係る情報ということで、物理化学的性状、用途、現行規制、測定手法、処理技術等を次のページの参考1にまとめてございます。

参考1を用いまして主なところだけ御説明させていただきます。

1、2、3、4のあたりは「物質特定情報」「物理化学的性状」「主たる用途」「現行規制等」ということで、水質基準値、現在は0.04mg/L以下。

そのほか、薬品基準、資機材基準、給水装置基準等は、今回の物質に関してはございません。

5に測定手法ということです。

次のページに行きまして、「生成特性」「低減化技術」「制御方法に関する注意」ということでまとめてございます。

この中で、低減化技術について、今回は、消毒副生成物であるハロ酢酸ということで、事業体によっては何か対策をしないといけないところもありますので、情報としてまとめてございます。

処理方法としましては、「前塩素低減」であるとか、「前塩素から中間塩素処理への変更」といったもの、また、「粉末活性炭」とか「オゾン・生物活性炭」「生物処理」といったような項目がございます。

消毒副生成物の対策の一つとして、前塩素から中間塩素処理への変更が挙げられますけれども、前塩素により制御された鉄・マンガンの溶出が悪化する可能性もあり、工程の注意深い検討が必要である。

また、前塩素注入量や残留塩素の低減化は効果が限定的と見られるため、効果の程度に確認が必要であるといったことで、低減化の技術に対しても注意書きを下の項目のほうにまとめてございます。

制御に係る注意についても8.のほうにまとめてございます。

トリクロロ酢酸についても、生成特性であるとか低減化技術は共通のものということで記載してございます。

資料1に戻りまして、ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸の検出状況ということで、ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸の過去5年間(平成19年度~平成23年度)の水質検査結果、水道統計のデータについて、新評価値案に対する検出状況を参考2のほうにまとめてございます。

ただ、この水道統計のデータで把握できるものは、水道用水供給事業及び上水道事業の状況のみということでありますので、簡易水道等の状況も把握するために、全都道府県に対しまして、今年の5月に聞き取り調査を行ってございます。こちらについては、参考3のほうに資料としてまとめてございます。

まず、参考2について簡単に御説明いたします。

このデータは、水道統計水質編のデータに基づきまして、ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸について新基準値に対する浄水の超過状況をまとめたものでございます。まとめたデータとしては、ジクロロ酢酸については、この5年間ですと、年間4地点から8地点の新基準値に対して超過地点があり、トリクロロ酢酸については、24から46地点の新基準値超過の地点がございました

この結果について、平成22年度の超過地点の事業体に対して、高濃度検出の原因であるとか、その検出を踏まえた対応について聞き取り調査をしていまして、この資料については昨年度の検討会のほうでもお示ししていますので、詳細については説明をいたしませんけれども、高濃度の原因、特に夏場の水質悪化とか、季節的なものが多いというもの。対応としては、塩素の注入点を変えるとか活性炭を使用するといったようなものが主な意見でございました。

ページをめくりまして、参考3のほうを説明させていただきます。先ほど説明しましたように、簡易水道の状況について、今はどの程度の状態かということを把握するために聞き取り調査を行ってございます。

聞き取り内容としましては、今回の水質基準の改正の予定について、県から水道事業体へ周知をしたかといったものと、あとはそれに対して問い合わせ等があったか、また、問い合わせがあった場合にはどういう対応をしたかといったようなことを聞き取りしてございます。

また、その聞き取り調査の後に都道府県のほうから情報の提供があったものについてもあわせて調査結果としてまとめてございます。

調査結果としましては、全47都道府県中42県からは今のところそういった問い合わせ等はないという回答を得てございますが、5県からは新基準値超過の懸念がある水道事業体があるということで報告がありました。

詳細については次のページにまとめてございます。

なお、基準値超過の懸念があるといった回答のあった都道府県に対しては、この低減化対策等について情報提供を厚生労働省のほうで行っているところでございます。

次のページが聞き取り調査結果一覧ということで、都道府県としては5県、事業体数としては6つの事業体で新基準値の超過懸念があるということで、聞き取り調査を行っています。

こちらについても、検出値については、例えば都道府県の4の簡易水道ですと、検出の最大値0.059mg/Lということで、新基準値の約2倍近くが検出されている状況でございます。

こちらについては、恒常的対策としては活性炭処理等の施設の追加が必要ということで、県のほうも認識されているといったような状況でございます。

特に対策をまだ実施していなくて、活性炭をして低減化できるのではないかとか、まだ検証段階のところも事業体として幾つかあるということで、聞き取り調査を行ってございます。

資料1-3に戻ります。こういった検出状況を踏まえまして、全国的に余りにも多い数で基準値を強化した場合に超過懸念があるといったような状況ではございませんので、今後の予定としましては、食品安全委員会のほうに諮問して、現在の評価内容とされた場合に以下の省令のみの改正を予定してございます。

「(1)水質基準に関する省令」ということで、水道により供給される水の基準について、ジクロロ酢酸の基準を「0.03mg/L以下であること」、トリクロロ酢酸の基準を「0.03mg/L以下であること」と変更する。

そのほか、水道法施行規則であるとか、検査法の告示の話であるとか、このあたりは今回の物質に関しては変更の予定はございません。

今後の予定としまして、今月中に食品安全委員会のほうに意見を求めまして、同委員会より評価結果が得られた後、直ちに意見募集を行いまして、厚生科学審議会生活環境水道部会等における審議を経て、水質基準に関する省令等の改正を行い、平成27年4月1日より適用するといった予定でございます。

議題1についての説明は以上でございます。

 

○眞柄座長

 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明について、御質問や御意見はいかがでしょうか。どうぞ。

 

○国包委員

 内容に関しては特に異存ありません。1つ確認したいのですけれども、参考1、こういった情報というのは非常に大事ですし、主に各事業体なりで参考にしていただければいいと思うのですが、会議資料とは別に、例えば厚生労働省のホームページで公開をするということを無条件にされる予定はあるのでしょうか。していただきたいなと思います。

 

○吉崎係長

 検討会の資料自体は当然載せるのですけれども、15年の答申のものは物質ごとにこういった情報が載っていますので、それに合わせたような形で、新しく基準が改正されたようなものについてはホームページのほうにアップして情報提供していきたいと考えております。

 

○眞柄座長

 どうぞ。

 

○国包委員

 私の記憶がちょっと不確かなのですが、たしか「水質基準の検討概要」というタイトルだったですか、昔の一斉改正をしたときの最後のものですけれども、あれはこの辺の基準項目だけでなくて、いろんな項目についてこういうスタイルで、印刷物もあのときはできましたが、水道課のホームページに出ていますね。これだけでなくて、まとめてですけれども、あれのバージョンアップしたものがどこかあると非常にいいし、それが今後、基準が変わったり、情報が新しく更新された場合には掲載されると非常に使い勝手がいいと思うのです。ぜひ御検討いただければありがたいと思います。

 

○眞柄座長

 工夫をしてください。

ほかにありますか。西村先生。

 

○西村委員

 意見というわけではないですが、基準の設定の考え方やその数値に関しては問題ないというか、了解するのですけれども、参考2を見ますと、トリクロロ酢酸などは対50%値が三百何カ所と多いので、これらの消毒副生成物で気象条件や水質によって割と変動しやすい可能性があると思うのです。ですので、逆に言うと、これらが基準値のところに非常に近い値になってくるおそれもあるし、逆に29だったところが減るということもあると思いますので、今年暑くなるかどうかわかりませんが、これを適用するに当たって、今年のデータなども十分そろえていただいて、基準値を超えないような対策をとるようなことをしていただければ。また、そういう情報を提供していただければ、事業体さんも助かるのかなと思うので、そういう観点で情報収集していただければなと思っております。意見です。

 

○眞柄座長

 ありがとうございました。

 ほかに。

試験方法自体は、従来のジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸の試験方法と同じですが、今、ここで書かれている測定手法は、0.06から0.030.2から0.03になっても、新しい基準値に対しての定量限界は満たすことができる試験方法であるということを確認してあるのですね。

 

○吉崎係長

 今、測定濃度の範囲には入っているのですけれども、トリクロロ酢酸が今、0.2から0.03になった場合に、それがはっきりと精度よく測れるかどうかというのは、今後検証していく予定でございます。

 

○眞柄座長

 今後で良いのですか。

 

○吉崎係長

 今後というか、近々に予定しております。

 

○眞柄座長

 今後で済む話ではなく、省令を変えるときにきちんとと変えるものではないですか。

 

○五十嵐委員

従来の検査法というのは、基準値の10分の1までは定量するということで、今、0.20.03になっていますので、この程度は多分定量できているのだろうなと思っています。実際検出状況で各事業体のデータも0.03を超えるかどうかということで、データは正しく出していると思いますので、従来の方法で0.03のところは十分定量できると思っております。

ただ、さらに10分の1ということになると、そこはまたちょっと考える必要があります。ジクロロ酢酸が0.04まで測れる試験法ということで開発して、同時にトリクロロ酢酸も一緒に測っている。トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸はそんなに差はないと思いますので、ジクロロ酢酸の0.04が測れているということは、0.004まで定量があったということになり、トリクロロ酢酸も0.20.03になったとしても、その10分の1、0.003は恐らく測れるのではないかなと思っております。

 

○眞柄座長

 思われるということでは困るではないですか。省令に定める試験方法は基準値の10分の1であるというのを確認されていなければ、省令に定める試験方法として定めることができないわけですよね。思われるというのだったら幾らでも決められるのではないですか。

 

○五十嵐委員

 そこは、従来の方法の実データを見ておりませんので、もしそういう懸念があるのでしたら検討する必要があると思います。

 

○眞柄座長

 検討するのは、五十嵐先生が検討するのでなくて水道課が省令を決めるのだから、それはきちんとと10分の1はかれるというエビデンスがないと困ります。

 

○五十嵐委員

 そうですね。あくまでも基準値レベルの0.03は大丈夫と。ただ、その下の10分の1までということは、今のところデータを持ち合わせていませんので、この試験法ができたときの実データを見てまた考える必要があるのではないかと思います。

 

○眞柄座長

 では、そこは、この後は食安委に聞くわけですから、食安委から諮問に対する回答が来るでしょうから、それでパブコメですね。だから、少なくともパブコメの前までには試験方法についてしかるべき精度管理をしつつ、定量限界が確かであるということを確認するということでこの案は決めるということでよろしいですか。どうぞ。

 

○遠藤委員

 参考1の「主たる用途」の文章ですが、ハロゲン化酢酸類の説明としてはいいと思うのですが、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸と化学物質名が規定されている訳ですので、それらを個別・具体的に説明してはいかがでしょうか。

 

○吉崎係長

 わかりました。御指摘いただいた件については、これが「ハロゲン化酢酸類は」という主語になっていますので、ジクロロ酢酸の用途として具体に書けるように修正いたします。

 

○眞柄座長

 よろしいですか。

 では、ありがとうございました。

それでは、続いて、議題2「浄水施設への対応が困難な物質について」であります。

事務局から説明をお願いします。

 

○服部室長補佐

 それでは、資料2「浄水施設での対応が困難な物質について(案)」について説明させていただきます。

 本検討の背景ですけれども、平成24年5月に利根川水系で発生した水質事故では、水質基準項目であるホルムアルデヒドの基準超過が問題となりましたが、その原因物質であるヘキサメチレンテトラミンは、水質基準の項目でも、環境基準の項目でも、あるいは水質汚濁防止法に基づく有害物質や指定物質にも該当していませんでした。

 こういった事故の再発を防止するためには、このような物質が水道原水へ流入すると、通常の浄水処理では対応が困難であることを示し、取り扱う者に対して注意を促すことが必要であり、下流の水道事業者等においても、上流にこのような物質を取り扱う事業者が存在することについてリスクとして認識し、警戒するようにすべきであると考えられます。

 このため、このような物質についての位置づけを検討することといたしました。

「2.水道水質基準制度における新カテゴリーの位置づけ」についてです。

新カテゴリーに該当する物質は、万一の水質事故を除き、通常は水道や水道原水から検出されることはまれであることから、今回ここで検討する新たなカテゴリーは、水質基準、水質管理目標設定項目、要検討項目とは別の位置づけを与える必要があると考えております。

「3.新カテゴリーの対象物質」についての考え方です。

水質基準に該当せず、水質管理目標設定項目にも該当しないが、万一原水に流入した場合に、通常の浄水処理では除去が困難な物質で、次のページの1、2の要件を満たすものを対象にしたいと考えております。

ページをおめくりいただきます。

1 浄水処理によりホルムアルデヒド等の副生成物を比較的高効率で生成する可能性のある物質。

2 1には該当しないが、過去に水質事故の原因となった物質。

1の副生成物を比較的高効率で生成する可能性につきましては、PRTR第1種指定化学物質については、実験等により生成状況を確認し、それ以外の物質につきましては既存の知見から判断します。

2の水質事故については、給水への影響を及ぼした事故のみではなくて、その影響を及ぼすおそれのあった事故も含めて対象にしたいと考えています。

1、2の要件から対象となる物質が既に要検討項目の対象物質であっても、通常、水道事業者等で管理されていない物質であることから、新たなカテゴリーの対象に含めるという整理にしております。

新たなカテゴリーに関する物質の扱いについては、国は該当する物質に関する情報を整理し発信します。

水道事業者等には、該当する物質について、みずからの浄水処理施設に対するリスクを評価し、水安全計画への活用、流域関係者への連携、働きかけ等に活用していただきたいと考えております。

 次のページに行きまして、1、2の要件ごとに物質のリストアップを行いましたものが「3-3 対象物質(案)」のところに示しております。

 1浄水処理によるホルムアルデヒド等の副生成物を比較的高効率で生成する可能性のある物質。こちらについては、表に示しております18の物質をリストアップしました。

 ページをおめくりいただきまして、2のほうは、1には該当しないが、過去に水質事故の原因となった物質を挙げております。

23の物質が対象となっておりまして、チタン酸バリウムからパーフルオロオクタン酸のところまでは水道の要検討項目として現在挙がっているものと同じになります。

 この表は次のページまで続きまして、表の下のところに書いておりますけれども、物質名としては整理できないけれども、セメント灰汁、蛍光塗料、染料、油類、香料原料が過去に水質事故の原因となったことがありますので、表中の物質と同様に注意が必要であると考えております。

「4.新カテゴリーの名称」についてです。こちらにつきましては、事前に委員の皆様からいただいた御意見を踏まえて記載しております。

新カテゴリーは、事故等により万一原水に流入した場合に、通常の浄水処理では除去が困難な物質であり、水道事業者等は対象物質についてリスクを評価し、水安全計画等に取り込んで水道の安全性の向上に供するものであるが、第一には上流でこれらの物質を取り扱う事業者等に対し、これらの物質が水道水源に排出された場合、水道水質事故の原因となることを知らせ、注意を促すことが重要です。このため、水道事業者等のみならず、排出側を含めた関係者がこれらの物質に対して注意を払う必要があることを容易に理解できるように、新しいカテゴリーの対象となる物質を「水道水源事故要注意物質」と呼ぶことにしたいと考えております。

 こちらについて追加でもし御意見がございましたら、いただければと思います。

 最後のページ「今後の方針」になります。

 今、名称を説明した「水道水源事故要注意物質」についての水道課長通知を水道事業者等に対して発出し、水安全計画等に取り込むことによりリスク管理の強化を図るよう注意喚起を行い、環境省に対しては、都道府県等の関係部局への周知、注意喚起を依頼したいと考えております。

今回対象となる物質につきましては、新たな知見が得られた場合には随時見直しを行っていきたいと考えております。

資料2の説明については以上になります。

 

○眞柄座長

 ありがとうございました。

 それでは、資料2について御意見、御質問がありましたら。浅見さん、どうぞ。

 

○浅見委員

 1点補足をさせていただきたいのですが、ホルムアルデヒドの事故のときに幾つかの物質につきまして生成能の調査をいたしまして、ジメチルグアニジンという物質がホルムアルデヒドの生成があるということで、前回以前のリストには入れさせていただいていたのですが、その後、再実験とか再計算をいたしましたところ、20%の生成がある領域には入らないということがわかりまして、少し計算違いもあったということで、リストから削除からさせていただいております。

あと、1も2も今まで御指摘のあったものですとか、研究班で情報の得られたものをなるべく入れていただくようにさせていただいたところなのですけれども、今後も新しい情報ですとか、これから起こる事故だけではなくて、ちょっと掴みきれなかった事故とか、そういった情報があれば、随時か、タイミングのいいときに追加をしていただけるとありがたいと思います。よろしくお願いします。

 

○眞柄座長

 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

私からお願いですが、今後、水道事業体で浄水方式の変更認可が出されたときに、その水道事業体が、こういう物質についてどういう対応をしているかということを、認可時のヒアリングの対象項目としてきっちり水道課のほうで対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 よろしいでしょうか。

 もう一つは、これは河川管理者には連絡をしない形になっているのですが、例の水循環基本法の基本計画の各省との協議事項には、この辺のところは上げないから河川管理者の名前を書かないという意味で良いのですか。浅見さん、どうですか。

 

○浅見委員

申しわけありません。河川管理者の方に通知していただくのもありがたいと思うのですが、実際上、これらの物質は非常に限られたところで使われていたり、その工場で生産されているものですとか、あと、先ほど浄水処理の話もあったのですけれども、浄水処理で非常にとりくにいものばかり集まっているので、浄水処理でもかなり対応が困難というのが実際だと思います。それからいきますと、化学品を生産されているところですとか、使われている工場になるべく周知していただくほうが実際の方法としてはいいのかなと思いました。

 

 

○眞柄座長

 つくっている工場だったら、経産省ですね。

 

○浅見委員

 そうですね。経産省の化学薬品のところに、こういうものは水源に流されると後での扱いが非常に困難なので、気をつけていただけるようにお願いできるとありがたいかなと思いました。

 

○眞柄座長

 そうすると、ここには環境省だけど、経産省の地方経済産業局あたりにこういう情報が流れたほうが良いですね。

 

○浅見委員

 実際アルデヒドのときはヘキサメチレンテトラミンを指定物質に入れていただいて、あと、ホルムアルデヒド自体が生成能として排水のほうの項目にも入ったということで、科学院の実験施設の実験廃液をとりに来る業者さんも気にしてくれるぐらいまで情報が周知されたようなところもありますので、そちら側のことも、絶対これというのが今あるわけではないのですが、いい方法を考えていただければありがたいと思います。

 

○眞柄座長

 ありがとうございます。

 では、今後の方針のところで「環境省」とだけなっているけれども、ほかの省庁にも漏れのないように協力していただくようなことをお願いしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、その次の議題が「水質異常時におる摂取制限等を伴う給水継続の考え方」についてであります。これについても事務局から説明をしてください。

 

○服部室長補佐

 資料3「突発的水質事故等による水質異常時における摂取制限等を伴う給水継続の考え方(検討状況)」について、説明いたします。

 こちらは、昨年、本検討会及び生活環境水道部会で検討状況を報告し、御議論いただいた内容になります。

 検討の必要性について改めて説明させていただきます。平成24年5月の利根川水系のホルムアルデヒド前駆物質による水質事故の際には、浄水のホルムアルデヒド濃度が上昇し水質基準を超過したため、給水を停止するに至り、87万人の市民生活に大きな影響が生じました。

一方、平成23年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故に関連した水道水中の放射性物質への対応においては、飲用水は別途確保しつつ、摂取制限を行いながら給水を継続する措置が講じられました。

水質事故への対応につきましては、平成151010日、厚生労働省健康局水道課長通知、参考1に載せておりますけれども、こちらにより示してきたところでございますが、これに基づく対策を水道事業者等が実施するに当たり、近年のこのような水質事故等の経験を踏まえ、断水による影響も考慮し、摂取制限等の対応を行いつつ給水を継続することを選択肢として適切に判断できるよう、考え方を示すことが必要であるという考えで検討を進めてきたものになります。

「2.検討にあたっての前提」です。

水道事業者等は、水道法に基づき、飲用に適する水を常時給水することが求められており、原水の水及び量、地理的条件、当該水道の形態等に応じた施設整備を行い、施設の管理及び運営、水質検査等を行う必要があります。また、原水の質の悪化や突発的水質事故等にあっても、必要な監視体制、浄水設備の高度化、配管のループ化、配水池容量の確保、緊急連絡管の整備等により、浄水の水質を含め給水への影響を最小限にとどめる必要があります。さらに、水道事業者等は、水道法第23条第1項に基づき、その給水する水が人の健康を害するおそれがあることを知ったときは、直ちに給水を停止しなければならないこととなっております。今回の検討は、水道法に基づくこのような措置の必要性を変更するものではございません。

また、水質基準項目は、人の健康の保護の観点から設定される健康関連項目と、生活上の支障の観点から設定される生活関連項目とから成り、健康関連項目には短期的な影響を考慮した項目と長期的な影響を考慮した項目があり、それぞれの基準値の科学的な意味が異なるということを改めて理解する必要があります。

なお、水質異常時の対応につきましては、水道事業者等が個別に判断することが前提となります。

ページをおめくりいただきまして、「摂取制限等を伴う給水継続の考え方」を3に示しております。

こちらにつきましては、昨年度の検討の結果を生活環境水道部会のほうでお示しした内容と同じもので、今回新しく変更しているようなところはございませんので、説明のほうは省略させていただきます。

3.では「定義」「摂取制限等を伴う給水継続の条件」「給水継続に関する指標」「利用者への周知と飲用水の供給」というのを示しております。

 ページをおめくりいただきまして、3ページ目になるかと思います。

「5.摂取制限等を伴う給水継続についてのヒアリング」についてです。今回こちらは新しく実施したものになります。

摂取制限等を伴う給水継続の検討に生かすため、水道の関係の団体を対象に本年2月から5月にかけてヒアリングを実施しました。

ヒアリングの対象は(2)に示しています7つの団体に御協力をいただきました。

 ページをおめくりいただきまして、「(3)ヒアリング内容」です。

1から7の7つの項目についてそれぞれ御意見をいただきました。

ヒアリング結果のほうで項目ごとに整理しておりますので、そちらの表について説明させていただきます。

まず、「1基本的な考え方」につきましていただいた御意見です。

・選択肢が増えることはよい。施設整備等を考えるきっかけとなる。

・浄水場に汚染水が入ると後が大変なので、取水停止したほうが管理しやすいという選択もありうる。

・水質基準の重みが低下しないか懸念がある。

・水質基準を超過する水が蛇口から出ているとなると水道水への信頼が揺るぎかねない。

・長期的な断水を回避するような対策のほうが必要。

・本対策の考え方が、悪用、乱用されないように制限を設ける必要がある。

・摂取制限等については、水道事業としての判断ではなく、行政判断として位置づけた方が、ダブルスタンダードの問題もなく、整理される。

・簡易水道等の小さい事業体では、第三者委託を行っているところも多く、数値等の具体的な指標がないと判断がつかない。

「2検討対象物質」については、

・対象となる物質が何かを明確にすべきである。

という御意見をいただきました。

「3緊急時の対応体制の整備」につきましては、

・用水供給や第三者委託の場合、予め取り決めをしておくことが重要。

・中小規模の水道では、都道府県に助言をもらえる仕組みがよい。

・緊急時の水質検査費用がない事業体へ手当が必要である。

・日頃から他の水道事業者と連携しておけば、緊急時の応援体制等を確保しやすくなる。

「4実態把握、原因究明と低減化対策の実施」については、

・流域協議会等へは、包括委託では事業体だけではなく受託者も参加したほうがよい。

「5利用者への周知」についてです。

・周知方法は複数必要であるが、経験上、ビラは確実。

・情報弱者への伝達について「この告知を更に多くの人に流布してほしい」旨をビラに記載しているアメリカのケースが参考になる。

・乳幼児、妊婦については自治体の保健部局との連携が必要。

・大口の食品製造業への伝達は可能だが、飲食店については個別の伝達は難しい。

・エリアメールの活用。

・食品製造業、飲食業等への対応については、断水した場合には生じないであろう賠償償問題が発生する懸念があるため、適切な周知が必要。

・あいまいな情報を提供してしまうと受け取り手によっては、悪い方へとってしまい、対応者が批判の対象となりかねない。

・周知するまでの時間をかせぐ手段を考えておいたほうがよい。また、広報訓練の実施もしておくとよい。

・有事の際に利用者が一番困るのは電話が通じないことであるため、問合せマニュアルを整備しておき、転送電話等を用いて現場でなくても対応可能な体制作りが必要。

・供給先によっては営業補償等の二次賠償や風評被害の恐れがある。

「6応急給水による飲用水の供給」については、

・飲料水の配布等では行政との連携が必要。

・応急給水で生活用水を供給することは困難。

・事前に水源を別にする事業体等地域の連携が必要。

「7摂取制限等の解除」については、

・水道法第18条の検査の請求が多数くるような場合、対応が困難。

・配水系統によりタイムラグがあり、制限解除をどの時点で行うか等事業体毎に決めておく必要がある。

以上の御意見をいただきました。

「6.今後の予定」です。これまで水道関係団体へのヒアリングを行いましたが、今後は利用する側、水道利用者へのヒアリング等を実施しまして、引き続き検討を進めていきたいと考えております。

以上で検討状況についての説明は終わらせていただきます。

 

○眞柄座長

 ありがとうございました。

 それでは、この検討状況について、御質問や今後の検討すべき課題等がありましたら、どうぞ出してください。では、五十嵐委員。

 

○五十嵐委員

 この「考え」というのは、検討対象物質を化学物質としているのですが、資料3の2ページ目の「定義」のところで、3行目の真ん中辺に「あるいは煮沸勧告しつつ給水を継続すること」とあります。この「煮沸勧告」というのが、有害物質を除去あるいは低減化するのに効果的なものかどうかということについて、もし情報があれば教えていただきたい。微生物だったら、こういったことが書いてあってもいいのですけれども、化学物質の場合、煮沸勧告というのはどの程度効果があるかというのがちょっと疑問なので、質問させていただきました。

 

○眞柄座長

 では、浅見さん。

 

○浅見委員

 最初、この文面が入ったときの経緯からいきますと、微生物という可能性も全く排除しないときに入った部分もあるのですが、化学物質でも、もしも煮沸で対応できるような状況があって、換気をよくした上で煮沸をすることができるようなものであれば対応できることがあるかもしれないというので、あくまでも可能性として入っているというような理解でおります。

あと、実際上、今までの事故でホルムアルデヒドとかクロロホルムといったものですと、加熱するとかえってできてしまうとか、ホルムアルデヒドですと、気体から吸引するほうが毒性が高いとかいうこともありますので、基本的には普通は難しいかなという部分もあるのですが、もしそういう物質があった場合にはそういう選択肢もということで、仮定として今、入っているというふうに当時の感じでは理解をしております。

ほかに何かありますか。

 

○五十嵐委員

 揮発性の物質なら加熱することによって削減できると考えたほうがよろしいのですね。

 

○眞柄座長

そういうことです。

ほかに。

 

○浅見委員

 今のところ、必ずこの物質だったらオーケーというのがないところがちょっとつらいのですけれども。

 

○眞柄座長

 ほかに。どうぞ。

 

○大野オブザーバー

 1つ補足すると、選択肢としては、直接飲用を控えるということと煮沸勧告という2つの選択肢を見ておいて、煮沸すると逆効果がある場合は、煮沸勧告ということを逆に煮沸はしないでくださいというような通知、広報にも使えるだろうということでここに残してあると考えております。

 

○眞柄座長

 ほかにいかがでしょうか。国包さん、どうぞ。

 

○国包委員

 まず1つは、前回も何か申し上げたと思いますが、こういった非常に大事なことですので、ぜひ慎重に事を進めていただきたいなと思います。

例えば資料3の5ページで、先ほども読み上げていただきましたけれども、ヒアリング結果の基本的な考え方等において、事業体等だと思いますが、例えば「水質基準の重みが低下しないか懸念がある」とか、「水質異常時とはいえ、水質基準を超過する水が蛇口からでているとなると水道水への信頼が揺るぎかねない」とか、かなりきちんと考えておかないと後々たたりがあるといいますか、トラブルの種にもなりかねないし、実害こそなくても、やはり問題になるおそれが多分にあるのではないかと思います。

ちょっと話が飛びますけれども、先ほどのやりとりで煮沸勧告的なものをどうするかとか、一般的な議論としては、今、ここにお示しいただいているような書き物でいいのかもしれませんが、では、どういった物質のときにそうするのだというのは、そういう事態に遭遇した場合に必ず問題になると思うのです。もし実施するとなれば、それについていろいろ想定をしながら、一般的なルールあるいはガイダンス、そういうものをよほどきちんと決めてかかる必要があると思います。

決めるだけではなくて、事業体だけでは済まないのではないかと思いますけれども、そういったものを利用者も含めて広く一般に行き渡るようにしておく必要があると思う。

それだけではなくて、広報をどうするか。これはまた別問題というか、不可分ですが、そういったことも含めて、これも一般的なルールというわけにはいかないと思いますが、ある程度指針みたいなものを国のほうで出さないと、事業体がその場その場で判断して動いていただければいいですよというものではないと思うのです。

そのあたりをぜひしっかりと御検討いただきたいなと思いますし、極力具体的なものを案として出していただきたいなと思っております。

 

○眞柄座長

 ありがとうございました。

 ほかにいかがですか。

 ヒアリングの結果の一番下の18条の検査請求、これは深刻です。法律に検査請求できると書いてありますから。どうしたら良いか。安藤さん、何か名案ありますか。

 

○安藤委員

 案は何もないのですが、先ほど国包先生もおっしゃいましたけれども、私は、これが最初出てくる時に、ヘルスアドバイザリー的なそういうデータを持っておくことは大事ではないですかということから始まったかなというふうに思うのです。それは非常にいいことだ、動き出しましょうというふうになってきたのですが、具体的に行政がどこまで対応するかということになってくると、相当いろんな問題が出てくるなという気がするのです。

 例えばある地域で水質基準をちょっとオーバーしてしまった、これについてどうしたらいいかという場合の判断材料として、厚労省が、例えば1週間このぐらいの濃度で続いたらまずいですよとか、いろいろデータがある。そういうことに使うのだったら使えるけれども、これを具体的にこういう形で示していくと、やはり相当問題が出るなという気がいたしました。だからどうだと言われるとちょっと困るのですが、そこを踏まえて慎重にということしかないのかなと。

 基準というのはあります。これは基本的にオーバーするとアウトです。これはいいと。ちょっとオーバーしてしまったのが2~3日で下がりますという場合、どういう説明をするかという話。その場合、厚労省としては、例えばこういうデータがあるので、1週間以内で下がっていますから問題ありませんというふうに使えるとか、それだったらできるけれども、そうでない、さらに踏み込んで、行政対応として、水道事業体がこれを見て全部やりなさいというのは、できないかな、苦しいなと。答えになりませんが。

 

○眞柄座長

 だから、煮沸勧告がよくて、浄水器をとおしてからつかってもだめかということですか。

 

○安藤委員

 それもだめです。

 

○眞柄座長

 ですよね。

 

○安藤委員

 そうなると、今度浄水器でとれるものはどういうものということもまた定義していかなければいけませんね。やたら複雑になってくるなと。どこで切れるかなということを考える。腹案としてこういう手持ちの情報がありますよと。

 

○眞柄座長

HA(ヘルスアドバイザリー)みたいなものはあってもいいと思うのです。

 

○安藤委員

 そうなのです。

 

○眞柄座長

 先ほど審議いただいた資料1、トリクロロ酢酸とジクロロ酢酸のあれで、一日耐容摂取量のことに関しては食安委が出してくれます。しかし、HAみたいに週とか月とかいう資料は食安委が出してくれない。だから、食安委が出してくれれば楽ですね。

 広瀬先生はどうなのですか。

 

○広瀬委員

 農薬は、正式かどうかは聞いていないのですけれども、今度から急性参照用量を設定する方針になったというので、ちょっと言うとあれですが、厚労省のほうから、水道の場合、急性というのはちょっと成り立たないので、1週間、10日の参照用量をつくってくださいという言い方はあるかもしれないですね。

 

○眞柄座長

 だから、1週間ないし10日のリファレンスドーズを出してくれれば、それは1つの資料としては使える。だけど、我々がリファレンスドーズをつくれない。水道部会の枠組みの中では。

 

○広瀬委員

でも、アロケーションだけ変える場合は、ちょっと灰色かもしれないですけれども。

 

○眞柄座長

 アロケーションを変える分は良い。だけど、それは諮問しなければならないですね。

 

○広瀬委員

 しかし、アロケーションは、食品安全委員会が決めていませんよ。

 

○眞柄座長

TDIで、アロケーションをここで決めて、基準値をこうしますよ、いいですかと聞かなければいけない。基準の場合は。基準の場合のアロケーションを変えるときは食安委に。だから、消毒副生成物はデフォルトで20だというふうにして、先ほどのトリクロロ酢酸を決めたわけです。これでどうですかと。だけど、水道以外にトリクロロ酢酸の摂取量というか、暴露量は、ほかが少ないから、トリクロロ酢酸のアロケを40%にしますと言って、食安委にいいですかと聞いて、食安委がいいよと言ったら、40%になるわけです。今の法律の枠組みから言えば。

 

○広瀬委員

 でも、記憶では、食安委ではアロケーションを議論したことはないので。

 

○眞柄座長

 今まではないけれども、もしそういうことをやったら。

 

○安藤委員

 今の体制では食安委はアロケーションまでやりませんね。

 

○広瀬委員

 いや、今はやってはいませんが、お願いしますというふうにすれば、やらざるを得なくなると思います。

 

○眞柄座長

 ボロンは、決めたときは50%にしているわけで、そのとき、まだ食安委がなかったわけだ。ボロンのほうをもう少し緩くしたいと。だから、80%にしますと。そうしたら、水道が80%にしたいと言ったことに関して食安委が検討されると思うよ。仮定の問題だけど。今まではやってこなかった。だけど、あのときは食安委がまだなかったから、こちらが決められた。だけど、今後、10とか20とかという枠を超えるものについては、誰がアロケーションの値を最終的に判断するかといえば、食安委が判断するということです。こちらが案をつくるにしても、最終的には食安委がボロンに対してということになりますね。

 

○安藤委員

 アロケーションという言葉は、暴露量という言葉ですから、暴露量はこちらサイドがデータを持っていますよということでしょう。

 

○眞柄座長

 データを見せて。

 

○安藤委員

 そのデータはこうで、どうですか、考えてとこうやる。

 

○眞柄座長

 向こうからこのデータはだめだと言われたら、とり直すしかない。仮定の話だけど。

 

○広瀬委員

 ちょっとアロケーションが特に安全かは難しいですけれども、でも、添加物も同じことがあって、添加物は、食品安全委員会はエリアしか出していないですが、添加物のそれぞれの食品に対する上限は厚労省で決めているので、それはある意味アロケーションに当たるので、今の食品安全委員会ではそこまでは。水道はわかりませんけれども、添加物はそこまではやっていないのではないでしょうか。ちょっと確かではありませんが。

 

○眞柄座長

 だけど、法律の枠組みから言うと、食品添加物も農薬も本来食品の中にはないというのが原則です。本来はないです。

 

○広瀬委員

そうですね。

 

○眞柄座長

 だけど、ここまではいいよというので決めているわけで。だけど、水道は、ここまではいいよと言って決めている。前提が。純粋ではないのだから。だから、日本の水道水というのはこういうものですよというのが水質基準でしょ。それはここまであってもいいよということを前提に水道法の水質基準を決めているのだから、そこは食品添加物とか残留農薬についての法律の考え方と水道法の水道水中の井戸にしても、化学物質についての考え方とは違う。だから、ちょっと難しい。どうしたら良いか。

でも、どちらにしてもリファレンスドーズみたいなものは誰かが決めてくれたらありがたい。

 

○安藤委員

皆さん、ほっとする状況はあるわけでしょう。どうしようか、どうしようか、もうアウトかということで。

だけど、それが行政的にきちきちきちっと決まっていく、全部壁塗りをやっておかないと、問題が起きてしまうということですね。それは苦しいかなというのが今の状況です。

 

○眞柄座長

 もう一つは、国包さんに伺いたいのは、WHOでガイドラインのグループでポイント・オブ・ユースの審査とかチェックとかやっていましたね。あれはその後どうなっているのですか。もちろん、途上国向けだけれども、もともとのコンセプトはどういう形ですか。

 

○国包委員

 あまり御期待に沿えるような内容の回答にはならないのですけれども、微生物の除去に関して、幾つかの技術を取り上げて、この技術を使えばこれぐらいとれますというような科学的な情報が整理されています。微生物に限ってです。化学物質のことに触れたものは、ヒ素のモノグラフは前から話がありますが、最終的な成果物は作成されていません。ですから、WHOのほうでは今の要望、つまり、リファレンスドーズとかそういった要望に応えられるような情報、データはないと思います。

 

○眞柄座長

 考え方としては、この方式ならとれる、とれないという、そういう考え方。

 

○国包委員

 微生物に関してですね。微生物というのも、たしかあれは3つ、カンピロバクターとクリプトと、もう一つ何かウイルス。

 

○遠藤委員

 マラリアではなかったですか。

 

○国包委員

 マラリアでなくて。

 3種類を代表として取り上げていて、そういうものだったと思います。

 

○眞柄座長

 これに関連して、ほかに何か。どうぞ。

 

○国包委員

これは不勉強で申しわけなくて、何も具体的な情報を持っていないのですが、少し気をとめておく必要があるのかなと思うのは、こういう議論の中で、先ほどの5ページのところにもヒアリングで出てきているのですが、日本の水道水は食品に使われていますね。これについては、規定上も何もなかったのではないかと思います。

 

○眞柄座長

 規定はある。食品衛生法で、食品加工で使う水は水道の水質基準に適合している水を使えと書いてある。

 

○国包委員

 それはいいのですけれども、水道のほうでこれは食品に使えますよという保証は何にもしていないですね。実際問題あったという話を聞いているわけではないのですが、国によってはそういったことを水道のほうできちんと決めている。つまり、これは食品用水としても使える水だということを決めている例もありますし、例えば今のような限られた期間ではあるが、ある特定の物質について高い濃度で含まれる水を送ったときに、いや、そんなことは承知していなかったというようなことが起こりかねないこともどこか頭の片隅に入れておいて、チェックはきちんとしておく必要があるだろうなと思いました。

 

○眞柄座長

 ほかにいかがでしょうか。

 今後も検討は続くと思いますので、問題点を御指摘していただければ、今後検討する上で役に立つと思います。どうぞ。

 

○安藤委員

 同じようなお話になるかもしれませんけれども、水質基準は、とにかく一生涯飲んでも大丈夫だという期間のスパンがあって、それに対する量はどのぐらいですということなのです。

 水質基準を超えてしまったら全てアウト、それはちょっと困るねという状況からこういうのが生まれてくるわけですが、では、1カ月これを飲んでも大丈夫な量という考え方、それから1週間飲んでもこのぐらいだったら大丈夫、そういう飲む期間の話でヘルスアドバイザリーは1つの考え方を出している。そこを大事なデータとして手元に持っておくという考え方だったらいけるかなとは思うのですけれども。

 

○眞柄座長

 ほかにいかがでしょうか。遠藤先生、何かありますか。今は化学物質の話だけれども、クリプトみたいな話も関係ないわけではないので。

 

○遠藤委員

 現在、微生物関連で給水継続をしてもいいような状況が生ずるかどうか微生物問題検討会で議論しております。改めて御報告をしたいと思います。

今のお話を聞いていると、化学物質に関してはこれまでTDIを基準に計算されてきたものを、状況によってはウイークリー(TWI)あるいはマンスリー(TMI)の値を当て計算しても良い事にした、と聞こえます。現行の水質基準がたいそう軽いものになってしまいませんでしょうか。

 

○眞柄座長

 基本的には22条の衛生上の措置というのが別の枠組みであるのだね。だから、水質基準というのは、基本的には水道で供給する水の質を決めていて、決められた質を達成することができる水道施設を整備し、運営するというのが水道法の4条の水質基準と5条の施設基準とリンクしていて、ヒトの健康を損なうこと、あるいはおそれがあったときにはとめなさいというのが23条の話で、だから、そこのところの整理をしないといけない。

先ほどの18条の検査請求も、これは日本の水道法しかないと思うけれども、水道利用者を保護する上で非常に大事な条項だというふうに私自身は認識しているのだけれども、今でも水道利用者が水道事業体に検査請求をしたときに、検査をしなければならない義務は、一義的には負っている。でも、検査しなくてもいいですよということを丁寧に説明して、検査請求をされた方がわかりましたと言えば、検査しなくてもいいのだけれども、でも、基本的にはしなければいけないと書いてある。

こういう異常時云々のときに、1万人の町で1,000人から検査請求を出されたら、多分検査請求を受けなければならないだろう。それをやれるだけの体制があるかといったら、ない。非常に厳しいね。

だから、検査請求は、水道利用者の給水栓だからね。浄水場の出口ではないから。だから、厳しい。

そういうことも含めてもう少し検討を継続するということにしますか。

 こんなことが起きないようにみんな頑張ってくれれば良いのだが。

 安藤さん、どうぞ。

 

○安藤委員

起こらないとは限らないと私は思っています。と申しますのは、私がいつも騒いでいる水質検査のデータの信頼性ということを考えますと、先ほどのジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸もそうですが、私、先ほどちょっと申しそびれたのですけれども、こういう副生成物というのは当然プレカーサがあって、そこに塩素を入れるとできる。そこでできるということは、塩素の量をきちんと担保していないと、どこかに行ってしまうという話になる。

そういうことから考えると、本当にきちんとしたデータが出ているのだろうか、きちんとした塩素を入れて、きちんとしたジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸というものの値が出ているのだろうか。そういうことを言い出すと切りがなく、不確かなお話が出てきてしまうので、まさにこういう問題というのは起こらないとは限らない。注意していただければありがたいということです。老婆心ながら。

 

○眞柄座長

 だから、安藤先生が言われるように、結果的に言えば、それは年4回の検査でいいのということ。先ほどのデータだって、12回のところもあるし、4回のところもある。4回のときは、降水期を外して4回とはかろうと思えばはかれるのだし、それは幾らでもあれね。だけど、水質検査計画は、一応水道事業体がつくって、検査計画を公表して、衛生部局が見るということになっているのだけれども、本当に検査計画をチェックしているのということも実態としてはあるわけです。

 だから、環境基準の環境監視計画でも、少なくとも95%確率云々とかという数字があるぐらいだから、4回のうち1回だったら75%だから、4回が4回とも合っていなければ、95%は合っていないということになるわけです。

その辺のもう少し確からしい数値、水道利用者がわかるような水質検査計画のあり方ということもあわせて検討する必要がありますね。安藤先生が言われるとおりだと思います。そんなことを言っていたら、水道料金が高くなって困ってしまうと言われるかもしれないけれども、でも、それは水道水に対する信頼の問題だから。信頼ほど高いものはないというのが事実であるし。

では、とりあえずきょうはそこまででよろしいですか。

 もう一個あります。「曝露評価に用いる体重について」ということですが、これについて事務局から説明をしてください。

 

○吉崎係長

 それでは、資料4を用いまして、「曝露評価に用いる体重について」ということで、説明させていただきます。

検討の背景といたしまして、平成26年2月20日の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会において、農薬等の暴露評価を用いる平均体重を現在、53.3kgから国民平均55.1kg、高齢者56.1kg、妊婦58.5kg、小児16.5kgに変更する旨の報告がなされまして、3月18日の同部会から新しい平均体重を用いて暴露評価を行っているところでございます。

それに合わせる形で、食品安全委員会のほうでも食品健康影響評価に用いる体重を原則として統一するということで出されております。

水道はといいますと、水道における評価値の算出方法ということで、今、評価値の算定に当たっては、WHO等が飲料水の水質基準設定に当たって広く採用している方法を基本とし、食物、空気等、ほかの暴露源からの寄与を考慮しつつ、生涯にわたる連続的な摂取をしても人の健康に影響が生じない水準をもととして設定してございます。

具体的には、閾値があると考えられる物質については、1日に飲用する水の量を2L。

人の平均体重を50kgWHOの中では60kg。水道としては50kgを今、採用しています。

水道水由来の暴露割合としては、TDI10%(消毒副生成物の場合は20%)を割り当てとする条件のもとで、対象物質の1日暴露量がTDIを超えないように評価値を算出しています。

ただし、物質によっては異なる暴露シナリオを用いている場合がございます。

こうしたことを受けまして、今後の方針(案)としましては、評価値を算出するための暴露評価に用いる体重については、下記の理由から現状の50kgを維持することとしたいとしています。

摂取量、寄与率等をそれほど精緻にとられていない。

もともとリスク評価というのは、有効1桁程度の精度で運用している。

 今回については、50kgを用いることで安全側の評価となっているといったことでございます。

ただし、今後食品健康影響評価に用いる平均体重がさらに変化していく場合等については、再度検討の場を設けて体重を検討していくこととしたいということでございます。

以上です。

 

○眞柄座長

 よろしいですか。

 我が道を行くでいいのかな。広瀬さん、どうなのですか。

 

○広瀬委員

 毒性の評価からすると、この細かい数字はそんなに意味がない。暴露評価のしやすさの問題もあるので、食品の場合は、いろいろな食品をいろいろなポピュレーションが食べるという想定で細かく区切るということもあるのですが、水道の場合はこうせざるを得ないのでしょうね。

 

○眞柄座長

 だから、今、50kg55.1kgにしたら、テクニック上は10%基準値が緩くなる。

 

○広瀬委員

 リスク的なインパクトはほとんど変わらないと思いますので。日本人の平均が60kgを超えてきたというときには考えていくべきかなと思います。

 

○眞柄座長

 西村先生。

 

○西村委員

 今の広瀬先生の御意見と同じです。

 

○眞柄座長

 いいですか。

松井さん。

 

○松井委員

10%とか20%の割り当て率と同じようにして、これは基本的な項、デフォルトの数字の扱いですので、これでいいかと思います。

 こういう数字、50kgとか、10%、20%を設定してリスク評価をした場合に、管理が非常に難しいというような状況になったときには、より詳細なリスク評価を行い,その際に、55.1kgとか、10%でない数値を使っていくことになると思いますので、最初のTier1の評価としては50kgを使うのが妥当かなと思っています。

 

○眞柄座長

 ということで、これまでどおり同じということにしたいと思います。

ほかにございますか。よろしいですか。

 先ほどの議題に戻るのですが、幸いなことにと言ってはいけないのかどうかわからないけれども、給水量がだんだん下がってきていますね。そうすると、実態として、今、できれば給水人口別に配水池容量がどれぐらいあって、水源事故があったときに給水を停止しなくてもどれぐらい取水停止に耐えられるかということ、日本の水道のそういう意味での実力の情報が必要だと僕は思います。その上で、給水停止に追い込まれるところがどれぐらいの確率であって、そのときにどういう社会的な影響があるか、ないかということを、水道事業体それぞれの特性があるでしょうから、少なくとも給水人口別ぐらいに配水池容量でどれぐらいあって、取水停止に何時間ぐらい対応できるようになっている、そういう数値も同時に調べていただいて、こういう給水継続の考え方も違う側面から整理しておく必要があると思いますので、簡単には出てこないと思いますけれども、そういう調査も別途していただくということも必要だと思います。これは水道課の管理室のほうで少し御検討していただきたいと思いました。

ほかにありますか。予定よりちょっと早いのですが、何かあれば、どうぞ。

 

○国包委員

 先ほど来の3番目の議題です。せっかく時間がありそうなので。こんなことを申し上げると、ちょっとひんしゅくを買うかもしれないということをあえて申し上げます。基準値の1.5倍まではいいですよ、2倍はだめですよとか、そういうのは、仮に1週間とかの期限つきであっても、表に出してこれでやってくださいとするには相当ハードルが高いのではないかなと思っております。そういう一般的なルールというのは実現性も低いのではないかと思うのです。

ただ、現実問題として、皆さんがおっしゃっているように基準を超えるケースというのは、測定の頻度はともかくとして、あり得るわけですね。そういったときにどうするかというのが問題なのであって、そこからきちんと考えたほうがむしろいいのではないかと思っているのです。そういったときに、ある項目について基準を超えたから、すぐに、はい、とめなさい、とめましょうということに自動的になるかというと、必ずしもそうでもないですね。結果が出てくるまでにも時間があるわけです。

ただ、出てきた以上は、それに従わなければいけないということは確かですけれども。

 私が申し上げたいのは、仮に基準を超えるような事態があった場合に、それにもっと柔軟に、なおかつ適切に対処するような方法がとれないかなということなのです。

 その場合、一般的なルールはある程度決める必要があると思いますけれども、すぐにとめるというのは必ずしも妥当でない場合もあるわけです。それは、前のホルムアルデヒドのケースなどでもその一つとして挙がっているわけですから。

そういった場合に、この場が適切かどうかわかりませんが、何らかのきちんとした場で、ケースによってですけれども、きちんと検討をして、それはいっときで済むわけではないのですが、状況をきちんと判断した上で適切な指示を出していくとか、そういったケース・バイ・ケース、柔軟な対応措置みたいなものをきちんと考えるべきではないかなと思うのです。

その中で、実際の運用としては、このケースであれば当面給水を継続し、ただし、摂取制限つきでというような判断もされれば、原因究明がどうかということとあわせて、場合によってはどうしてもというようなケースは許してもおかしくないのではないかなということも考えています。

 ちょっとお叱りを受けるかもしれませんけれども。

 

○眞柄座長

 でも、水洗便所にみんななってしまったし、1日ぐらい風呂に入らなくても我慢できるにしても、トイレを使わないでというのは困る。だから、そういう面もありますね。

 本当はとめないほうがいいのだから、とめないためにどういう施設を補強するかということを考えた上で、どうしてもというときにどうするかということなのだろうね。

 浅見さん、どうぞ。

 

○浅見委員

 ありがとうございます。国包先生のおっしゃっていらっしゃるのもわかる気がいたしまして、恐らく給水継続がまずありきという議論ではなくて、水質事故なり何なりが非常に難しい事態になったときに、どうすべきかということもそれぞれいろんな想定をしながら、丁寧に準備をしておいたほうがいいのではないかという御指摘なのかなと思います。

1つは、今回の議論が始まる前に、短い3年間で大きな事故が首都圏だけでも2つもあって、そう言っている間に日本中で基準をちょっと超過したとか、そういう事例もポツポツあって、そういうときにとめるかとめないかというのを水道技術管理者の方々が非常に悩んでということで、今回こういうのを検討してほしいというのも声として挙がってということで、実際起こってしまっているときに、どうやって準備しておいたら少しましになるかということをなるべくデータとして集めたり、海外の情報とかを共有しようというところから始まっているので、そこがうまく伝わるように、もうちょっと具体のことも見ていただかないとわからないのかなという感じもしてきましたので、なるべく次までに少しわかりやすくできるといいのかなと。海外の事例等も踏まえて準備できたらいいのかなと思っております。

先ほども配水池容量のお話がありましたけれども、配水池容量のところ、うまくデータを見ることができれば、引き込んでしまわなければ、給水停止までの時間を見ることもできると思いますし、そこからゆっくり使ってくださいというお知らせも。

 

○眞柄座長

 そう。だから、煮沸勧告何とかというよりも、今、水源事故が起きたけれども、これからも水をずっと使うためには、要するに、風呂に水を入れるなと。

 

○浅見委員

 でも、多分大体みんな入れてしまうと思うのですけれども。

 

○眞柄座長

 そういう市民とのリスクコミュニケーションを日ごろからしていくということが本当に大事なのです。

 

○浅見委員

 そうですね。

 

○眞柄座長

ホルムアルデヒドのときに、僕の知り合いが住んでいたマンションの管理組合は、うちの水を少しずつ使ってもらうのだったら、1日大丈夫ですと。絶対風呂とかバケツとかに水をとらないでくださいと。マンションの住民に全部連絡して、市からの水が来なくてもそのマンションは給水継続ができた。

だから、継続することでなくて、断水しないようにみんなどうするのということももう一歩必要なのだね。だから、今、浅見さんが言ったように、浄水場もそうだし、マンション族だと、受水槽がかなりの容量をとっていて、今、新しいマンションは震災対策用に3日分の受水槽を持っている。

自分のところの学校のことを言うのは変だけれども、近隣の人のために2日分くらいの水をためているのです。例えば東京都などは何百という緊急貯水槽を持っているわけですよ。水道が今、持っているインフラで、水道利用者が毎日と同じような水の使用行動をとってくれれば何日分はもちますよと。そういうことの検討も今までやっておいて、それでもだめだったらという話もないわけではないから、余り給水継続のことだけに視野を注ぐのではなくて、そういう周辺的なことも同時に検討した上で、どうするか。やはり工夫だな。

 

○浅見委員

 今のでいくと、飲料水とか、どうしても生存に必要な最低限だけはくみ置いてくださいということかなと思っていたのですけれども、逆にくまないで、使わないでくださいということだったのですか。

 

○眞柄座長

 今、国は国民に震災用にペットボトルを1人3本ずつ持っていってくださいと言ってやっているわけだよ。震災袋には2Lか何かのペットボトルが3本入っている。マンションや何かの備蓄倉庫にも全部入っている。現に3日分ぐらいの飲み水はあるのです。だから、3日たったら必ず水道局が応急給水車を持っていって水を配るからと言っている。阪神の地震以来、それが日本の震災対策の基本になっている。

だから、むしろ飲み水はみんな持っている。飲み水以外がなくなってしまう。

だから、そこのところをもう少し水道事業体が市民の人と、こういう水源事故のときのリスクをどういうふうにお互いに分担しましょうねという活動も一方で要るのだろう。もっと積極的にすべきだろう。

私みたいな工学屋から言わせれば、配水池容量を少なくとも48時間分ぐらい持ってくださいと言いたいよね。海外、ヨーロッパ並みに。ちょっと大変かもしれないけど。

ほかに。どうぞ。

 

○広瀬委員

 そういう話とはちょっと。

 ケース・バイ・ケースという運用の話になってしまうと難しいかもしれないのですが、先ほどから突発性の事故と時々クロロ酢酸を守られないというのは全然質が違うので、それを同じところで超えたからという、超えたときのリスクが違うと思うのです。

だから、超えたときでも、2番と絡んで超えるときと1番と絡んで超えるとき、2種類は超えても同じリスクではない。

あとは、ちょっとアロケーションにこだわりますけれども、アロケーションで抑えられる範囲であれば、摂取制限は要らないと思うのです。基本的にTDI以下に抑えられるわけですから。それと1週間、1カ月でも大丈夫というのはまた違う次元、それは摂取制限しなければいけない次元になるので、こういったときの対応は2種類あるのかなと。

でも、原因がわからないときにそれを区別するのは難しいので、結局は迷うのかもしれないのですけれども、でも、ケースは、突発がどのくらいの頻度か、本当の事故なのかでちょっと対応を変えてもいいのかなと思いました。

 

○眞柄座長

 基本的に供給規定を水道利用者と結んでいるわけです。水質基準を満たした水を供給するというのは、水道事業者と水道利用者の契約条件なのです。だから、アンケートにも書いてあったけれども、そういうことがこれまでの供給規定、つまり、水道利用者と事業者の契約条件に入っていなかったことを今後やろうとするのだったら、契約の要件を変えなければいけないよという問題。広瀬先生が言われるように、人の健康に危害云々というおそれの場合と別なのだね。だから、制度的に認知されるようにしようと思うと、いろんな周辺状況を調べないといけないのだろうね。

 松井先生、どうぞ。

 

○松井委員

 状況を2つ想定しないといけないと思います。摂取制限を伴う給水継続の考え方の定義で「基準値を一定程度超過する場合」、この「超過する」というのは、事故が起こって、浄水している段階または浄水以前の段階で超過することが見込まれる場合については、配水池とかいろんなところで対応できるのですが、通常の場合には、すでに検査が終わって給水していますから、配水池も全て超過している状況になります。既に配水されて、給水されている段階で超過しているときには、摂取制限を伴うということが1つの方策として考えられるのではないかなと思いますので、さらに検討をすすめ議論を深めていくことが必要かと思います。

 

○眞柄座長

 ありがとうございました。

 最近の利根川、荒川の流況はわからないので断定的には言えないのですが、かつて東京都水道局を含めて、水源で事故があったときに、流下過程でどれぐらい拡散して、継続時間がどれぐらいかというような論文が水道局から出されていたこともあったりしますので、それぞれの水源としている河川なら河川で、上のほうの個別発生源から例えば1時間排出されたとき、あるいは3時間排出されたときに、どれぐらいの継続時間が上流から下流に移っていくか、その間はどう対応するかという情報も別途要るのだろうと思いますよ。

そういう努力が、逆に言うと、かつて水源事故が頻発していた時代に比べれば、水道関係者、我々も含めて鈍くなっていたということもないとは言えないので、その辺のところも含めて、改めて日本の水道の水源をめぐる諸課題について科学的な検討を進めるということが大事だと思います。大事だと言ったって、誰がやるの、調査するのも研究するのも研究費が要る話だから、その辺のところの手当ても少し考えていただいて。

だから、レジリエント、震災の後、強靱化法が出て、施設を強靱化するということも国の政策だけれども、ソフトでどこまで強靱化できるのかという研究、調査も大事だというふうに思いますので、そういうことも含めて今後検討していくようにいたしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 では、ちょっと時間が早いのですが、ここで予定されていた議題は終わりましたので、事務局にお返しします。

 

○服部室長補佐

 ありがとうございました。

 本日の議事録につきましては、後日事務局より送付いたしますので、御確認をお願いいたします。

また、次回の検討会につきましては、改めて御都合をお伺いした上で決定したいと考えております。

最後に、事務局を代表して水道水質管理官の長坂より御挨拶を申し上げます。

 

○長坂水道水質管理官

 本日は活発な御討論、御意見をいただきまして、ありがとうございます。

議題の中でもお話がありましたが、ジクロロ酢酸とトリクロロ酢酸につきましては、食品安全委員会のほうにお諮りをした上で、パブリックコメントをさせていただくという手続に移らせていただきたいと思います。その際に、先ほど眞柄先生からも御指摘がありましたとおり、分析法につきましては、改正をする際にはしっかりとした精度が出ているということをきちんと確認した上で作業を進めたいと考えております。

また、本日の議題3の摂取制限等を伴う給水継続の考え方につきましては、さまざまな課題がある、議論すべきこと、整理すべきことがまだまだいっぱいあるということも御指摘をいただきましたので、その辺について再度事務局側でもいろいろ整理をして、慎重に検討を進めていければと考えておるところでございます。

本日はどうもありがとうございました。

 

○眞柄座長

 どうも御苦労さまでした。


(了)
<照会先>

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TEL: 03-5253-1111(内線4033、4034)

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