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2014年8月4日 第10回日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会 議事録
健康局がん対策・健康増進課栄養指導室
○日時
平成26年8月4日(月)
14:00~16:00
○場所
厚生労働省 共用第8会議室(19階)
○出席者
構成員<五十音順・敬称略>
宇野 薫 (株式会社タニタ ヘルスケア/ネットサービス推進部 管理栄養士) |
江頭 文江 (地域栄養ケア PEACH厚木 代表) |
岡村 智教 (慶應義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学 教授) |
幣 憲一郎 (京都大学医学部附属病院 疾患栄養治療部 副疾患栄養治療部長) |
鈴木 一十三 (株式会社ローソン マーケティングステーション 部長) |
高田 和子 (独立行政法人 国立健康・栄養研究所 栄養教育研究部 栄養ケア・マネジメント研究室長) |
高戸 良之 (シダックス株式会社 総合研究課長) |
武見 ゆかり (女子栄養大学 栄養学部 食生態学研究室 教授) |
田村 隆 (つきぢ田村株式会社 代表取締役 社長) |
中村 丁次 (神奈川県立保健福祉大学 学長) |
藤島 廣二 (東京聖栄大学 健康栄養学部 客員教授) |
藤谷 順子 (独立行政法人 国立国際医療研究センター病院 リハビリテーション科 医長) |
八幡 則子 (パルシステム生活協同組合連合会 事業広報部 商品企画課 主任) |
渡邊 智子 (千葉県立保健医療大学 健康科学部 栄養学科 教授) |
事務局
正林 督章 (がん対策・健康増進課長) |
河野 美穂 (栄養指導室長) |
芳賀 めぐみ (栄養指導室長補佐) |
○議題
(1)日本人の長寿を支える「健康な食事」の基準について
(2)その他
○議事
○河野栄養指導室長 それでは、若干早いですが、構成員の先生方にはお集まりいただきましたので、ただいまより第10回「日本人の長寿を支える『健康な食事』のあり方に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方には、御多忙のところ、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
本日の出席状況でございますが、江頭構成員、大竹構成員、佐々木構成員、生源寺構成員、田中啓二構成員、田中延子構成員、原田構成員、伏木構成員におかれましては、御都合により、御欠席となっております。
また、7月の人事異動に伴いまして、事務局では、局長、課長の交代がございました。
本日、課長が出席しておりますので、紹介させていただきます。がん対策・健康増進課課長の正林でございます。
○正林がん対策・健康増進課長 正林でございます。
10年ほど前に、平成13年から平成15年にかけて、今の課の前身の生活習慣病対策室というところで、室長補佐をやらせていただきました。久々にまた同じ仕事に就かせていただいて、大変光栄に思っています。よろしくお願いします。
○河野栄養指導室長 また、構成員の先生方には、メールにてお知らせしておりますが、7月28日月曜日より、厚生労働省ホームページにおいて、マークの公募を開始いたしております。本日の資料ですと、参考資料として、募集の内容について提示させていただいておりますので、御報告させていただきます。なお、マークの応募の締め切りは、8月29日金曜日となっております。
続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。
議事次第、座席表、構成員名簿をおめくりいただきまして、資料1-1としまして「健康の維持・増進に必要とされる栄養バランスの確保からみた『健康な食事』の基準についての検討(食事最適化法を用いた検討)」ということで、佐々木構成員から御提供いただいたものです。
資料1-2としては「健康の維持・増進に必要とされる栄養バランスの確保からみた『健康な食事』の基準についての検討(栄養管理の実践の場における食品構成の実際)」ということで、幣構成員から御提供いただいた資料となっております。
資料2につきましては「『健康な食事』の普及に必要な事項について(案)」。
資料3としましては「日本人の長寿を支える『健康な食事』のあり方に関する検討会報告書の枠組み(案)」となっております。
よろしいでしょうか。
それでは、これ以降の進行につきましては、中村座長にお願いいたします。
○中村座長 本日は、暑い中、御参加いただきまして、本当にありがとうございます。
この会も、残されているのは、あと2回でございますので、本日は実質的な議論ができることを望んでおります。
前回の検討会におきまして、具体的な基準の策定手順をお示ししましたが、本日は解析の結果から得られた、具体的な数値を入れた内容について、御議論をお願いしたいと思います。
まず資料1-1でありますが、健康の維持・増進に必要とされる栄養バランスの確保から見た健康な食事の基準についての検討でございまして、これは食事最適化法を用いた解析を行っております。佐々木構成員に御担当いただきましたが、本日は佐々木構成員が御欠席のため、事務局より代理で御説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。
○芳賀栄養指導室室長補佐 それでは、事務局より資料1-1をもとに、代理で御説明いたします。
健康の維持・増進に必要とされる栄養バランスの確保から見た健康な食事の基準についての検討ということで、食事最適化法を用いて検討した基準の案になります。
おめくりいただきまして、1ページ目をごらんください。
1ページ目の上半分が、前回の検討会でお示ししました、食事最適化法を用いた基準値の検討の流れになります。エネルギー・栄養素から食品、さらには料理、1食の食事パタンとして、食事の基準を求めるまでの解析手順になっております。
今般、解析しましたのは(1)の日本人の食事摂取基準における主要な栄養素の摂取基準値、これは1日当たりの量になりますが、この範囲内に収まり、かつ現在の日本人の食事において最適と考えられる食品群の摂取量を求める手順においては、線形計画法(食事最適化法)を用いた解析をした結果を示しています。
次にエネルギー・栄養素レベルの情報を食品から料理に落とし込むプロセスが、(2)(3)になります。
(2)については(1)で求めた1日当たりの食品群の摂取量をもとに、1食当たりの量を求めるプロセスです。こちらのプロセスにおいては、点線の枠で囲んだ2つの根拠を用いています。1つ目が、平成24年国民健康・栄養調査の朝、昼、夕、間食別のエネルギー摂取量の分布のデータ、2つ目が、摂取時間帯による朝、昼、夕別のエネルギー摂取量の分布、これは佐々木構成員らの研究成果によるものです。
次に料理から食事パタンということで、1食の食事の基準を求めるプロセスですが、(3)(4)(5)のプロセスになります。(3)については、(2)で求めた1食当たりの食品群をもとに、食事パタンの枠組みで整理を行い、次に(4)として、1食の食事パタンの特徴を規定するエネルギー量、栄養素量及び食品量の目安量を算出する。最後に(5)として、1食の食事パタンとして、食事の基準を求めるという手順になっています。こちらが解析から食事の基準を求めるまでの全体の流れになります。
この流れに沿って、各プロセスでの実際の解析結果をもとに、基準案まで御説明いたします。
1ページの下をごらんください。まずは食事摂取基準における主要な栄養素の摂取基準値の範囲に収まる、日本人の食事において最適と考えられる食品群の摂取量を求めるプロセスですが、線形計画法を用いた解析で、実際に日本人の摂取実態を見るデータは、平成24年の国民健康・栄養調査の食事摂取量のデータを用いています。
栄養素の摂取基準には、日本人の食事摂取基準(2015年版)の値を用いております。
これらをもとに、線形計画法の解析プログラムを用い、解析した結果、定められた栄養素の摂取基準値の範囲に収まり、かつ現在の食習慣から大きく逸脱しないよう、食品群ごとの摂取量を算出しています。
おめくりいただきまして、2ページをごらんください。手順についての内容を詳しく資料にしております。
前回の検討会の資料にもございましたが、日本人の食事摂取基準(2015年版)をもとに、現在の国民の体格、栄養素摂取状況を踏まえ、維持・改善すべき重要な課題を絞り込むというのが、解析ポイントの1つめになります。こちらについては、食事摂取基準で設定している目標量の数値に特に着目するということで、前回の検討会で御了承いただいているところです。
次に解析のポイント2として、最適化法を用いて、栄養素の摂取基準値を満たし、かつ現在の食習慣から乖離しない摂取基準値の範囲に収まる食品構成(食品群)を算出しました。
線形計画法を用いた解析の具体的な手順は、下の(i)~(v)に示すとおりです。これらのプロセスで得られた値、解析のステップは、2ページの下半分以降に、(i)~(v)までのプロセスを資料にまとめています。
(i)の、解析に用いる対象者の設定ですが、この前提条件として、科学的根拠には日本人の食事摂取基準(2015年版)を用いました。食事摂取基準は、既に多くの研究報告書をレビューした結果として基準値を設定しておりますので、こちらによります。
さらに解析に使用するデータは、平成24年国民健康・栄養調査の結果を用いております。
健康な食事の対象者は、成人としております。
以上3点が対象者設定の前提条件になります。
また、日本人の食事摂取基準では、18歳以上を成人と位置づけていることから、食事最適化法による解析対象年齢も18歳以上としております。なお妊婦、授乳婦は除外した集団となっています。
以上を踏まえ、食事摂取基準では、18歳以上の者を年齢区分に従い、以下にお示しする4グループ、男女で合計8グループ設定しておりますので、これに倣い、合計8グループについて解析しました。解析対象人数にいては、表にお示ししているとおりです。
おめくりいただきまして、3ページ、線形計画法による解析のステップ(ii)になりますが、実際の食事摂取基準をもとに、摂取量を算定するための栄養素の種類及びその量の設定になります。
以下に示す方針のもと、設定しています。全部で4つあり、これらは食事摂取基準で、基準値を定める指標ごとの取り扱いを決めています。
食事摂取基準で策定した栄養素のうち、日本食品成分表で成分値が掲載されている栄養素を用いています。目標量を設定している栄養素については、目標量の値を上限あるいは下限、食事摂取基準で推奨量を設定している栄養素については、推奨量、目安量の設定にとどまった栄養素については、目安量の値を下限、さらに耐容上限量を設定した栄養素については、その値を上限ということで、各年齢階級、男女別8グループの各栄養素の下限値と上限値を求めています。
これに基づき、実際の国民の摂取状況に照らし、食品群別の摂取量の上限値を設定するプロセスが3ページの下半分(iii)のプロセスになります。
国民健康・栄養調査で食べていることが観察された1,628食品を、栄養成分の類似性から食品サブグループに分類しています。下の表でいいますと、点線から下の部分です。それらを調理法の類似性から食品グループに分類し、食品サブグループ、食品グループを総称して食品群と呼んでいます。
食品群の分類において、穀類は、精製された穀類と精製度の低い穀類に分けています。
また、豆類は、日本人の摂取状況を考慮し、野菜類に含める。
ただし、大豆・大豆製品については、たんぱく質の摂取源としての意味合いが強いことから、野菜類には分類せず、独立した食品群とする。
なお、こちらの表にお示しした食品グループ以外に、その他ということで、*の部分になりますが、油脂類、砂糖/菓子類、アルコール飲料、嗜好飲料、調味料が含まれています。
おめくりいただきまして、4ページです。
実際に分類した食品群について、解析した結果が現在の食習慣から乖離しないよう、変動させる範囲を設けるステップです。
分類した各食品群について、摂取量分布の10パーセンタイルの値を下限、90パーセンタイルの値を上限とし、解析した結果が現在の食習慣から乖離しないように、解析をしています。
線形計画法の解析プログラムを用い解析し、最後のステップとして、栄養素の摂取基準値を満たし、かつ設定した食品群ごとの摂取量を算出するということで、4ページの下の図にありますとおり、栄養素の摂取基準の範囲を満たす食品群と変動させる範囲を解析した結果、各年齢階級別の食品群ごとの摂取量の最適化値が求められます。
おめくりいただきまして、5ページです。ここからが実際に解析した結果になります。
性・年齢階級別は全部で8グループありますが、それぞれ最適化値が求められ、それを1つのグループの値として求めました。8グループの平均をとり、1グループの1つの値を求めたということです。年齢階級としては、男女共通18歳以上のグループということになります。
5ページの上半分の右側にある表が最適化の結果になります。表の左側が食品群の分類で、先ほどお示しした食品グループごとです。右側は最適化した結果ということで、摂取量の平均値を1日当たりのグラム数で示しています。
こちらの数値に加えて、エネルギーについては、性・年齢階級ごとの食事摂取基準で参考値として示している、推定エネルギー必要量の平均をとり、成人の1つの値としており、表を下に分けて表記しています。これが1日当たりのエネルギー摂取量ということで、2,194キロカロリーになります。
この表に示す1日当たりの量については、次のステップとして、1食当たりの量を求めるプロセスに入ります。それが5ページの下半分になります。
先ほど説明しましたとおり、解析に用いるデータは、平成24年国民健康・栄養調査の朝、昼、夕、間食別エネルギー摂取量と、摂取時間帯による朝、昼、夕別のエネルギー摂取量の値をベースにしまして、1食をどのぐらいの割合とするのかということを検討しています。
おめくりいただきまして、6ページに2種類のデータで得られた結果をお示ししております。平成24年国民健康・栄養調査のエネルギー摂取量の結果についてです。こちらは栄養指導室より国立健康・栄養研究所に集計を依頼し、算出していただいたデータになります。
解析対象者は20歳以上、それぞれの食別にエネルギー摂取量の平均値を男女ごとに集計してもらっています。
集計結果をごらんください。上の表がそれぞれのエネルギー摂取量になっておりまして、矢印の下がこれらの構成比になります。男性、女性とも、朝、昼、夕、間食のエネルギー比は、ざっくり見て、2対3対4対1弱になっています。
一方、佐々木構成員らの研究成果によるものですが、こちらは朝、昼、夕の区分というよりは、摂取時間帯ごとに摂取量を記録した研究になりまして、解析対象者は、資料にお示ししているとおりです。
集計結果ですが、6ページの下半分の下のほうに表が2つありまして、上の国民健康・栄養調査と同様の作表になっていますが、朝、昼、夕のところが、時間帯ごとの区切りとなっています。便宜的に朝の時間帯を4時から10時29分、昼の時間帯を10時30分から16時59分、夕の時間帯を17時から3時59分と区切っています。
それぞれの時間区分のエネルギー摂取量、これらの比を求めたものが下になります。2対3対4、それぞれ強となりますが、このような結果になっています。
おめくりいただきまして、7ページです。これらの解析の結果をもとに、朝、昼、夕の摂取比率は、エネルギーをベースに見ると、おおむね2対3対4でした。
朝、昼、夕のいずれかをメインターゲットとした場合、健康な食事を食べる場面を限定することにもつながりますので、朝、昼、夕のいずれかは特定しない。なおかつ、性差を考慮しても、これらそれぞれの比率は大きく変わらないということで、解析結果から導き出した案が、健康な食事の1食は、1日の食事の3割としてはいかがかということです。
次に手順として、先に最適化法により求めた、1日当たりの食品群ごとの摂取量を3割当たりで計算しました。0.3を掛けて、1食当たりの目安量として、数値も丸めつつ求めたのが、7ページの下右側の数値になります。これが今回の解析で得られた「健康な食事」の基準の対象となる、1食当たりの食品群別の目安量の数値になります。
おめくりいただきまして、8ページです。解析全体の流れの3つ目のステップに入ります。ここからは、食品群のデータをもとに、食事パタンの枠組みで整理するというプロセスになります。
前回の検討会で提示した、料理区分I~IIIに各食品群を分類しますと、8ページの上半分の表、右側に中括弧をつけておりますが、穀類に関しては、料理区分I、野菜・いも・きのこ・海藻類については、料理区分III、魚・肉・卵・大豆製品については、料理区分II、牛乳・乳製品、果物については、その他ということで、それぞれの食品群のグループを料理区分I、II、IIIに分類しました。
次に4つ目のステップになりますが、1食の食事パタンの特徴を規定するエネルギーの量並びに栄養素の量及び食品の量の目安を組み合わせた解析結果で、8ページの下半分(4)の下の表になります。
料理区分I、II、IIIに含まれる食品群から摂取される1食分の目安量並びにエネルギー、たんぱく質等、主要な栄養素の値ということになります。
なお、御留意いただきたいのが、料理区分I、II、IIIには、食品群別の量の最適化値で出ていた、その他にある油脂や調味料というのは、含まれない値になっていますので、料理区分I、II、IIIに当てはまる食品群の値にとどまります。
おめくりいただきまして、9ページをごらんください。最後のステップになります。5つ目のステップは、1食の食事パタンとして、食事の基準を求めるということで、これまでの解析結果をもとに、1食の食事パタンとして、すなわち料理区分I、II、IIIをベースに食事の基準を求めるステップになります。
全体を通しての方針は、基準の値に幅を持たせる場合、性・年齢階級別の値のばらつきも考慮し、目安の量のプラスマイナス15%とする。
料理区分I、料理区分II、料理区分IIIの基準の設定に関して、それぞれ9ページ、10ページに案がございますので、こちらを説明いたします。
9ページの上半分、○のところが、料理区分Iの料理の基準の設定になります。
料理区分Iについては、摂取を期待する栄養素は、主に炭水化物と食物繊維です。
これに分類した食品群を先の(4)で示した目安の量を摂取すると、炭水化物は1食当たり60グラム、食物繊維は1食当たり1.2グラム摂取できます。
これに幅を持たせるために、プラスマイナス15%の値をとると、炭水化物量の下限が51グラム、上限が69グラムとなります。
また、食品群のサブグループで分けている精製度の低い穀類については、穀類全体の約2割でした。
これらを踏まえ、料理区分Iの基準については、玄米等の精製度の低い米や麦等の穀類を使用した主食であり、炭水化物は50~70グラムで、かつ精製度の低い穀類を2割以上使用していることとする、という案です。
次に9ページの下半分は、料理区分IIの基準の設定に関してです。
料理区分IIの料理からは、主にたんぱく質と脂質の適切な摂取を期待するものです。
食事最適化法の解析で得られた、料理区分IIに分類される食品群からの1食当たりのたんぱく質摂取量は14.5グラムになります。
これに幅を持たせるために、プラスマイナス15%の値をとりますと、下限が12.3グラム、上限が16.7グラムとなります。
また、この区分の料理については、たんぱく質源となる食品を、1食で複数食品摂取することは少ないという点も留意し、料理区分IIの基準は、魚介類、肉類、卵類、大豆・大豆製品を主材料とする主菜であり、たんぱく質は12~17グラムであることという案になっています。
おめくりいただきまして、10ページをごらんください。料理区分IIIの料理の基準の設定についてです。
この区分の料理からは、主に食物繊維、ビタミンやカリウムなどのミネラルの適切な摂取を期待しています。
しかし、これらの栄養素の量については、測定が困難なことから、この区分の基準には、栄養素ではなく、食品の使用量を用いることとしてはいかがかという案です。
この区分に分類される食品群は、数も多く、栄養素の量や栄養素密度も異なることから、単一の食品のみでは、この料理区分から期待している栄養素の摂取は望めないと考え、複数種類の食品を摂取する必要があると整理しています。
最適化法の解析で得られた、料理区分IIIの摂取の目安量は1食当たり150グラムであり、ここに含まれる食品群の摂取の目安量は、それぞれ1食当たり、緑黄色野菜のほか、資料に示すとおりの値になっており、合算すると150グラムになります。
また、料理区分IIIについては、食品の種類によって栄養素の量や栄養素密度が異なり、料理の多様性も考慮して、上下限の幅をプラスマイナス30%とした場合、下限が105グラム、上限が195グラムです。これが料理区分IIIの食材レベルでの基準の下限と上限になります。
これらの考えを整理しますと、料理区分IIIの基準は、緑黄色野菜を含む2種類以上の野菜、これにはいも類、きのこ類、豆類、藻類も含みますが、これらを使用した副菜であり、それら野菜は100~200グラムであることということです。
緑黄色野菜については、緑黄色野菜を含む2種類以上としていますが、こちらについては、カロテンとカリウムの含有量が高いなど、栄養特性がありますので、緑黄色野菜を含む2種類以上という案になっています。
ここまでが料理区分I、II、III、それぞれの基準案です。
残るものは、エネルギーと食塩です。これは料理区分I、II、IIIのベースとなる基準になります。
エネルギーについては、1食当たりのエネルギーの基準があり、この基準については、特定の個人ではなく、成人の集団を対象としていることから、食事摂取基準で示している推定エネルギー必要量から、エネルギーの基準を設定しています。
先ほど来、説明したところですが、1食当たりに換算すると、650キロカロリーになりますので、とり過ぎを回避する観点から、上限となる値を設定することとし、1食当たりのエネルギーの基準は、650キロカロリー未満とするという案です。
次に料理区分ごとのエネルギーの基準については、各料理区分で設定した栄養素の基準と、食事バランスガイドで示している主食、主菜、副菜の料理区分ごとのエネルギーの量を勘案し、設定しています。現実に料理としてきっちり成り立つかということと、食事バランスガイドで示している内容と食生活実践上の整合性がとれるかという観点から解析した結果、ちょうどいい量に収まるだろうということです。
以上の結果から、各料理区分の1食当たりのエネルギーの基準は、料理区分Iについては300キロカロリー未満、料理区分IIについては250キロカロリー未満、料理区分IIIについては150キロカロリー未満とするという案になっています。
おめくりいただきまして、11ページ、最後のページになります。食塩についても、1食当たりの基準と料理区分ごとの基準を設けております。
11ページの食塩のところですが「○1食当たりの食塩の基準」の次に「○料理区分ごとのエネルギーの基準」となっていますが、これは「○料理区分ごとの食塩の基準」の誤りですので、修正をお願いします。すみません。
1食当たりの食塩の基準については、日本人の食事摂取基準(2015年版)の食塩の目標量は、1日当たり男性8グラム未満、女性7グラム未満になりますので、これらを平均すると、1日7.5グラム未満になります。これを1食当たりに換算すると、2.3グラム未満となりますので、ここで設定する基準の考え方は、わかりやすいことが重要と考えることから、1食としての基準は、1食3グラム未満の食塩としてはいかがかということです。
次に料理区分ごとの食塩の基準については、1食当たりの基準と矛盾が生じないよう、わかりやすい値を設定する必要があるという考えから、各料理区分の1食当たりの食塩の基準は、それぞれ1グラム未満としてはいかがかという案です。
なお、「健康な食事」は、各料理区分の料理を組み合わせて食べることを基本としていることから、1食1グラム未満の各料理区分の料理を組み合わせることで、1食当たり3グラム未満で、かつより少ない方向に向かうと考えられることから、1食当たりの食塩の基準と料理区分ごとの食塩の基準の案を作成しております。
以上をまとめますと、11ページの下半分の健康な食事の具体的な基準案ということで、食事パタンI、II、IIIについて、これまで説明いたしました内容を表にまとめています。
以上、事務局から代理で説明いたしました。
○中村座長 どうもありがとうございました。
御質問は、最後まで説明をした後、受けたいと思います。
それでは、前回の検討会で、渡邊構成員から御意見がありました、栄養管理の実践場面における食品構成の実際について、幣構成員から御説明をお願いいたします。
○幣構成員 それでは、資料1-2をご覧ください。
医療現場を中心とした栄養管理の実践の場における食品構成のご説明になりますが、手順につきましては、基本的な項目となりますので、ご承知おき下さい。
1ページ下段になりますが、食品構成とは、ご存知の通り対象者の栄養状態や食事摂取状況のアセスメント結果を踏まえ、日本人の食事摂取基準を活用して設定した、1日当たりに給与する栄養素の目標量が充足するように、食品群別に提供量の目安を示したものであります。食品群別としておりますのは、日本人は多種多様な食品の組み合わせを行うことにより食生活を組み立てておりますので、群別に分類して、基準を設定しているものです。
食品構成は、施設での献立の特徴または食材料費等も考慮して、一定期間における食品の使用量を計画し、食品群ごとの使用量として定めるものであります。これは一定期間と書きましたが、基本的には年間を全て把握するのが、最も重要であると考えます。
そのため、この食品構成は、地域性や年齢構成など、環境条件等を総合的に勘案した、より具体的な食生活指導、病院における治療食の食事箋基準(院内約束食事箋)にも活用できるものとなります。
次、2ページ上段をご覧ください。献立作成までの基本計画と書きましたが、本日お話する部分は上部、1、2、3の部分になります。
入院しているとは言え、常食を摂取している患者ですので、「食事摂取基準」の数値を適切に用い、給与栄養目標量を求めることになります。ここで、食品群別荷重平均栄養成分値を作成したものから、食品構成を作成するという一連の流れになるわけです。
以下は、京都大学医学部附属病院での実例、データなどを一部活用しておりますので、御理解ください。2ページ下段、「1 給与栄養目標量」についてですが、常食、いわゆる一般食を喫食する入院患者の性別・年代別の人数から、これを作成します。
年齢構成表と食事摂取基準をもとに給与栄養目標量を求めるわけですが、現在、入院している患者さんは、縦欄2行目のところ、それぞれの年代がどのような人数で構成されているかという数値を投入し、それぞれの基準値から小計を求め、合計を算出します。
ここから得られましたものが、荷重平均値となるわけですが、例えばエネルギー1,770キロカロリー、たんぱく質は54.5、脂質、炭水化物というように、それぞれ基準が設定されます。ここにありますように、京都大学附属病院の給与栄養目標量の荷重平均値として、その数値が活用されます。
3ページをご覧ください。この荷重平均値に基づきまして、充足されるそれぞれの食料構成を算出して参ります。
「2 食品群別荷重平均栄養成分値」を求めるわけですが、原則として1年の各食品の使用量、現在、使用されている献立の可食量を食品群ごとに総量をはじき出します。これが群別総使用量となるわけです。
群別総使用量に対する各食品の使用比率を算出し、それぞれのエネルギー・栄養素量(100グラム当たり)を乗じて、食品群ごとのエネルギー及び各栄養素量を算出します。
一例としまして、資料には魚介類の例をお示ししております。これは2月の1カ月ですが、これが年間ベースではじき出され、下段にありますような、食品群別成分表の魚介類の群が出てまいります。エネルギー140、たんぱく質21.5、脂質が5.3、炭水化物が1.6と配分され、これを用いて、以下の食品構成表を構成して参ります。
「3 食品構成表」になりますが、一般食を提供している年齢構成表をもとに、1日の必要量を満たすのに十分な栄養量を考える必要があります。1例ですが、右側のカラムにあります食料構成は、エネルギーは2,000キロカロリー、たんぱく質75グラム、脂質60グラム、糖質300グラムと設定しております。京都大学病院では、年齢構成もいろいろありますので、常食においても5種類程度の食料構成が設定されており、患者個々の状態を鑑み、選択していただきます。
食品構成を考える場合に重要なポイントが幾つかあります。1番目の項目としては、エネルギー産生栄養素、いわゆるたんぱく質、脂質、炭水化物の適正なエネルギー比率が満たされていること、2番目の項目としまして、適正な動物性たんぱく質比率、45%ぐらいになるかと思いますが、その比率を保ち、3番目の項目、適正な脂肪酸比率、4番目の項目、多価不飽和脂肪酸比率などを考慮して、各食品群の純使用量を決定することになります。
各食品群の純使用量についての詳細は、時間の関係で割愛させていただきますが、前述した純使用量を見ていただきますと、先ほど佐々木構成員の資料1-1で算出されました、エネルギー量は2,000キロカロリー、純使用量でいきますと、穀類が549gとなっておりましたが、当院では570g、たんぱく質の魚介類、肉類、乳製品、卵、豆腐等を足し込みますと、470グラムぐらいになりますので、ほぼ同じようなエネルギー、純使用量の構成比率になっていることが、ご理解いただけると思います。
このように、それぞれの栄養素に基づいて、群別に分けた食料構成をつくり上げることによって、各群が全て適切に入った献立へと展開していくことになります。
食品構成の基本的な考え方、作成手順までをご説明させていただきました。
以上でよろしいでしょうか。
○中村座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明は、食事最適化法などにより解析された結果にあわせて、栄養管理の実際の場面で実際に使用しているものについて御報告したわけですが、ほぼ同様の値であった。したがって、実際の食生活においても、この数字で活用が可能なのではないかと考えるわけであります。
そこで、具体的な基準でありますが、資料1-1の11ページをごらんください。そこに健康な食事の具体的な基準案として示してございます。
料理区分Iでございます。この基準においては、精製度の低い米や麦等の穀類(主食)。なお、炭水化物は50~70グラムであること。精製度の低い穀類は2割以上であること。これがIの基準でございます。
料理区分IIの基準におきましては、魚介類、肉類、卵類、大豆・大豆製品を主材料とする副食(主菜)。なお、たんぱく質は12~17グラムであること。脂質の適切な摂取はエネルギーで代替。
最後が料理区分IIIでございます。緑黄色野菜を含む2種類以上の野菜(いも類、きのこ類・藻類も含む)を使用した副食(副菜)。なお、野菜は100~200グラムであること。
このような基準を案として設定いたしました。
さて、以上、御説明をしましたが、これらについて御意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
どうぞ。
○岡村構成員 前回出席していないので既に議論された点なのかもしれませんが、案の数字のところは、先ほど計算根拠を示されているので、その辺は理解できるんですけれども、例えばIのところは、精製度の低い米や麦という質的な概念が入っています。IIIのところは、2種類以上の野菜ということで、要するに組み合わせとか種類が入っていて、真ん中のところは、単に記載されているだけですけれども、真ん中のところは、質的なものなどについては、特に問わなくてもいいという理解なんでしょうか。その辺の議論がどうなっているのかあれなので、教えてください。
全体としては、エネルギーとか、塩とか、栄養素的なところは、全部カバーされていると思うのですけれども、IIのところはただ種類を示しているだけになるんですが、これはこういう考え方でいいという話になっていたのでしょうか。これで決まりなのかも含めて、話が見えにくいので。
○中村座長 先生、これはたんぱくの質に関して、考慮したらどうかということですか。
○岡村構成員 そうです。真ん中のところだけが、種類も質もなく、ただ食品のことだけが並んでいるのですけれども、難しいからこれでいきましょうということだったら、それはそれでいいんですが、どういう議論でこうなったのかということがわからなかったので、教えてください。
○中村座長 前回は、特にたんぱく質の質的な議論は行っていないです。
この件に関して、御意見ありますか。
先生、ここは質を問わないとまずいですか。
○岡村構成員 IとIIIとのバランスがどうかと思っただけで、Iは精製度が低くなくても、例えばおいしいお米だったらいいという考え方もなきにしもあらずかもしれないので、そこのところはどうなのか。食品群間のバランス上の問題だけです。
○中村座長 たんぱくの質に関しては、議論が非常に難しいし、この問題は脂肪の質の議論も含んでしまいます。脂肪の質の議論をしますと、基準を設定するのが非常に難しくなるんです。そういうことで、主菜に関しては、この程度でいかがかと考えています。
どうぞ。
○藤谷構成員 「脂質の適切な摂取はエネルギー(※1)で代替」という表現ですが、つまり余り脂質の多くないたんぱく質であるということですね。IIの上限が250キロカロリー未満になるようにすれば、脂質が多くなくなるということですね。この、「脂質の適切な摂取はエネルギー(※1)で代替」という言葉は、わかりにくいと思います。
○中村座長 カロリーを抑えることによって、高脂肪なたんぱく質食品を控えるという意味が入っているんだと思います。
先生、脂肪の質に関しては、もうちょっと詳しく条件をつけたほうがいいということですか。
○藤谷構成員 この表現がわかりにくいということです。今、先生は、カロリーを抑えることで、脂肪の少ないたんぱく質を選べるようにしているとおっしゃいましたけれども、そのように言いかえなければならない表現というのは、基準として適切でないと思います。
○河野栄養指導室長 これは恐らく前回の解析の基準でお示ししたものの記述が残っているので、最終的な基準としては、※1にエネルギーの基準を設けているので、ここの記述はないと御理解いただいてよいかと思います。
前回の議論では、脂質の適切な摂取についての量は、あえて求めないということで、それはエネルギーで代替すればいいのではないか。エネルギーの代替の意味は、恐らく2つあって、原材料としてのもので、脂質の含有量が高いところを防げるということと、調味料として油脂を使う、料理としての部分も防げるというところで、ただ、ここに代替と残ってしまうと、これが基準としての意味合いを持つことになりますので、ここについては、基準の記述からは削除して、結果として、エネルギーのところで、量が出ていると御理解いただいたら、よろしいのかと思います。
○中村座長 どうぞ。
○渡邊構成員 佐々木先生の結果と幣先生の結果がよく似ていて、よかったと思いました。
IIIの「なお、野菜は」の「野菜」というのは、括弧のいも類、きのこ類・藻類を含むという理解でよろしいでしょうか。
また、果物についてなんですけれども、果物は野菜的な栄養価という部分もあるんですが、それはI、II、IIIの中で、IIIに加えるということは、しないということでよろしいでしょうか。
○中村座長 果物はどうですか。
○芳賀栄養指導室室長補佐 解析の詳細を伺った限りでは、野菜のグループに果物を入れて、最適化の解析をしても、果物の量があまり変わらないという結果であったとのことです。
○渡邊構成員 ありがとうございました。
○中村座長 ほかにございますか。どうぞ。
○高田構成員 2点ほどお伺いしたいのですが、1つは、食事バランスガイドとの兼ね合いを考えたときに、食事パタンIIとIIIというのは、ほぼ2サービングぐらいに該当するのですが、Iだけ1.5ぐらいになってしまって、1サービングでも2サービングでも外れてしまうような感じがします。これはこちらのいろな根拠からのことですけれども、その辺は全然考慮しないで、別の物として、進んでしまっていいのかということが1つです。
この後の認証のほうに近いのかもしれないのですが、お弁当のように、例えばIIIの食品を2種類組み合わせたり、Iにしても、御飯を1皿という分には、これをクリアしやすいと思うのですが、個別の惣菜のときに、1品の野菜料理で100~200グラムというと、いもとかかぼちゃ類を含めれば非常に楽ですけれども、そうでないと、非常に大変だと思います。例えばおにぎり1個では、幾ら精製度の低いものを入れても、今の市販のおにぎりでは認証がつかないので、2個パックにすればつけられるみたいな話になってくる感じがするんですけれども、惣菜一つ一つにつけるのであれば、1品でこれをクリアしなければいけないと考えていったほうがいいのでしょうか。
2点はどういうふうに考えたらよろしいでしょうか。
○中村座長 ガイドラインとの整合性があります。
武見先生、何か御意見ありますか。
○武見構成員 ここでは、食事バランスガイドとの整合性をとるというよりは、食事摂取基準と実際の国民健康・栄養調査の結果から、どういう数字が出てくるかということを優先して基準を決め、その結果として必要に応じて、食事バランスガイドのサービング数の見直しをするということも、先々には考えられるかと思います。
主食の御指摘があったのですけれども、炭水化物量で50~70gなので、細かくサービング数を計算すれば1.25~1.75ぐらいです。1.75というのは、上限を丸めれば2になりますので、私はそれほど大きな齟齬ではないと考えています。
○高田構成員 丸めたときというよりは、基準値の示し方として、サービングサイズの主食の基準というのは、炭水化物が40グラム程度という数字が出てしまっているので、1サービングだと、炭水化物は40グラムという辺りが基本になるのに、こちらだと50~70で、いろんな数字が出てくるということに対して、混乱がないかということを心配しただけです。
○武見構成員 今の40グラムという話は、サービングの基準であって、今回とは関係ないですね。
○高田構成員 サービングの目安みたいなもので、1サービングは、炭水化物40グラムという表示があったと思います。その場で確認しようと思って、持ってきたのですが、参照している部分が違うかもしれないんですが、そのぐらいと書かれているので、どちらも丸めれば、そのぐらいと言ってしまえば、そうだとは思うんですが、いろんな数字が出てくることに対して、混乱がないのかという気がしただけです。
○中村座長 どうぞ。
○渡邊構成員 食事摂取基準で幅があるということが示されています。こういうふうに数字に幅があることによって、かえって、みんなが理解できるのではないかと思います。ですから、1つだけということではなくて、食べ方にはいろんな幅があるということが、今回示されるということで、私はこのほうがよかったと思います。
○中村座長 どうぞ。
○武見構成員 今のことに関連して、ここで示されている50~70は、1サービングの基準の話ではなくて、1食としてどのぐらいの炭水化物量かということです。それがサービング数でいうと、きれいな数字になっていないということを、問題にしていらっしゃる気がするんですけれども、そういう意味ですか。
○高田構成員 そうです。たまたまだとは思うのですけれども、ほかのものでは、2サービングぐらいにくるのが、ここだけ結構乖離するので、その辺でよくわからない方々に混乱を与えるのではないかと思います。例えば食事バランスガイドと認証の両方の表示がどこかに出ていたときに、混乱しないかと思っただけなので、絶対に合わせてほしいという意味ではないです。今後、両方が併記されるときに、どういうふうにしていったらいいのかと思うだけです。
○武見構成員 あと、もう一点だけよろしいでしょうか。食事バランスガイドをつくったときは、2005年版の食事摂取基準をふまえてつくっています。その後、2010年版が出たときに、サービング数の見直しをしました。そういう意味で、今回の解析は2015年版でやっているということですから、当然そこに若干のずれが出てきていることを、今後の検討課題だと理解するほうがいいと思います。
○中村座長 ほかにございますか。どうぞ。
○武見構成員 違うことで、1つ、対象とする年代のところの記述です。資料でいうと、資料1-1、佐々木先生の資料の2ページの下です。健康な食事の対象は成人であるということで、下に8グループがあるのですけれども、70歳以上も今回の解析の対象の中には含まれているということですので、成人以上という場合、実際にはどこまで広げて成人と理解するのかという辺りも、明確にしておいたほうがいいと思います。
行政的には65歳以上とか、高齢者とか、あるいは食事摂取基準でも、70歳以上で高齢期の部分の解説になっていたかと思うので、その辺の理解の仕方として、年齢的にはどこまでを含むと、この基準では考えているのかについて、少し伺いたいと思います。
○中村座長 それはこの8グループということですか。
○武見構成員 8グループの中に70歳以上が含まれていますので、恐らくこの中には、高齢者も入っていると思います。一方で、対象者を設定するための前提条件として、健康な食事の対象は成人であると書かれています。その辺が理解として混乱するということで、確認したいという意味です。
○中村座長 算定の中には、高齢者も入っていたということですね。
○河野栄養指導室長 2ページのところにお示ししましたのは、解析に用いる対象者をどう定義して、解析をしたかということをお示ししています。ですので、成人も下は18歳以上となっていますし、また、解析のところで70歳以上を加えたのは、特段この場で、健康な食事をマークしていくものについて、高齢者を外すという論議がこれまでされていないので、こういった基準で解析をしたということで、正確にお示しをしていることになります。
ただ、これ以降、政策的に「健康な食事」を適用する場合、あえて18歳以上とせずに、そこは成人ということで、20歳以上という形で整理しても構わないと考えていますし、一方、成人とした場合に、70歳以上を外す整理はできないと思うのですが、高齢者に積極的にこれを適用するかどうかというところについては、高齢者は低栄養の予防という観点もございますし、「健康な食事」を使用する目的は、明確にしたほうがいいと考えています。
その辺りは、後ほど資料2で、健康な食事の使用目的も含めた対象をどうするかというところで、記述がございますので、その辺りでまた御議論いただけたらと思います。
○中村座長 どうぞ。
○高田構成員 今の対象者のことで、もう一点確認させていただきたいのですが、今回の2015年版というのは、エネルギーに対しては、適正なBMIの範囲で示すということが1番に出てきているので、解析結果には余り関係しないかもしれないんですが、せめてBMIの範囲を区切った対象者にしたほうが、例えば既に高齢者の低栄養の方で、余り食べていない方などが入らない解析になるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○中村座長 食事摂取基準で年齢層を3区分にしました。BMIでね。
○高田構成員 摂取基準値として、今回、適正なBMIの範囲が全面に出てきて、EERは付表の扱いをしています。ここで2015年版を根拠に用いているというときに、解析対象者は、BMIの適正でない人も含んだもので解析すると、先ほどの高齢者でいえば、既に低栄養で余り食べていない方までを含んだデータベースでの解析になるので、最終数値がそんなに大きくずれるとは思わないのですが、適正なBMIだったという人のデータから解析しておいたほうが、後々、根拠としてはいいのではないかと思います。
○中村座長 いかがでしょうか。この件は、佐々木構成員に話しておきましょうか。
ほかにございますか。どうぞ。
○岡村構成員 年齢範囲とか、BMIなどはもちろん重要なのですけれども、結局、認証して市販されたときに、購入層をコントロールできるとは思えません。思えないというか、注意書きぐらいは書いても、実際に動き出すと、そんなに細かいことはできないので、ある程度幅を持ったものであるということをきちんと周知するほうが現実的だという気がします。余り数値が細かくても、実際に市販されたときのものとは変わってくると思いますので、そこは現実的に考えたほうがいいという気がいたします。
○中村座長 ほかにございますか。どうぞ。
○鈴木構成員 実際I、II、IIIに落とし込まれて、数字にも落とし込まれているので、これを基準に、弊社でも、コンビニエンスストアでも、どこでもいいんですけれども、市販されているものが、どれぐらい当てはまるのかということは、帰って調べようと思うんですが、I、II、IIIそれぞれ、基準に入る、入らないということは、基準として出すにはすごくわかりやすいと思いました。
プラスして、前までの議論ですごくやっていた、季節ごとに主の食べ物があるとか、いろいろな情報を伝えていこうみたいなことは、多分次の議論になると思うんですけれども、そういうものを出すとか、積極的に情報を開示していくとか、そういう情報も踏まえて出していくような提案みたいなものが、別の基準の中にないにしても、プラスしてやっていくということは、あったほうがいいと思います。
この後、話し合われるのであればいいんですけれども、基準の中にプラス努力するべきこととして、おいしさであり、楽しみでありみたいなところとか、基準だけではなくみたいなものをプラスしたほうがいいと感じました。その辺はどうなのかと思いました。
○中村座長 それは今から議論します。
○鈴木構成員 お願いします。
○中村座長 どうぞ。
○渡邊構成員 これは650キロカロリーが基準になっていますが、御自分自身がどれぐらいのエネルギーが必要かということを、一人一人が計算できるような広報、そういうことが周知できると、私は実際これでちょうどいいとか、少し足さなければいけないとか、そういうことが一人一人考えられるようになるのではないかと思います。
例えば30~49歳の女性をターゲットに、食事摂取基準に合った献立をつくっているメーカーがあって、それをきちんと栄養計算した場合、「健康な食事」のシールをつけてもらえる範囲にうまく収まればシールをもらえる。一方、食事摂取基準が満たされていれば、これも「健康な食事」のシールをはってもいいとか、そういうことがあれば、さらにいいのではないかと思いました。
○中村座長 ありがとうございました。
いいですか。
一部議論に入っているような感じもするんですが、続きまして、資料2の「健康な食事」の普及に必要な事項について、議論をお願いしたいと思います。
基準やマークについては、広く普及することが大切であることから、これまで議論した内容や事業者にヒアリングをした結果も踏まえ、たたき台をつくっておりますので、これをもとに議論を進めていきたいと思います。
まず資料2の「1.『健康な食事』の基準とマークの基本的な考え方」と「2.『健康な食事』の基準の対象とする食品について」議論を進めたいと思います。
最初に資料2をごらんください。「1.『健康な食事』の基準とマークの基本的な考え方」です。
「健康な食事」の基準で対象とする料理は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等で販売される1食当たりの料理(調理済み食品)とする。
「健康な食事」 の 基準とマークは、健康な心身の維持・増進に必要とされる栄養バランスを基本とする食生活が 、無 理なぐ持続している状態の維持において、多様な食品選択の一部を保証するものである。
「健康な食事」の基準は 、日 本人の現状の摂取量と、食事摂取基準の目標量との乖離が大きい栄養素について、食事摂取基準の目標量に近づけることで、 生活習慣病の予防に資することを基本としたものとする。
したがって、「健康な食事」の基準は 、生 活習慣病予防の一側面から策定さ れたものであり、マークのつかない料理が 、健 康に資するもので は ないということではないことに、十分な留意を行うものとする。
「2.『健康な食事』の基準の対象とする食品について」でございます。
1食 当たりの料理 ( 調 理済みの食品 ) で あり、外食や給食など提供される場所や、パック詰めやパウチ詰めなど提供される形態を特定するものではない。
仮に基準を 満 たしたとしても、 1食 分となっていないものは対象とならない。
特定の保健の用途に資することを目的にした食品や素材を使用しないこととする 。
いかがでしょうか。少し御意見をお伺いしたいと思います。
どうぞ。
○八幡構成員 2のところにあります「外食や給食など提供される場所や、パック詰めやパウチ詰めなど提供される形態を特定するものではない」ということは、外食や給食などでも含みますという意味合いと捉えていいということですね。
○中村座長 そういうことです。
どうぞ。
○幣構成員 今、お話のあった「特定の保健の用途に資することを目的とした食品や素材」というのは、いわゆるサプリメントであったり、医療用特殊食品みたいなものというのは、これまでディスカッションしてきた概念とは少し外れると思っています。病院食でも、経済性とか、患者さんが退院した後も使えるものということを加味して、サプリメント的なものは使用しないように配慮しています。ということで、この項目は非常に重要なものだと私自身は思いますし、一般的にもこうしておくべきだと思います。
○中村座長 この項目を入れることに関しては、いいでしょうか。大体合意していただけましたか。
それでは、引き続きまして「3.『健康な食事』を表すマークについて」です。
料理に付与したおいしさや楽しみをあらわすことについては、マークには含めず、マークとは別に表示することを推奨する。
おいしさや健康に資することを想定したアピールポイントとして、事業者の多くは既に商品に十穀米を使用したなどと表示している。
マーク表示は、1センチ掛ける1センチ程度の表示も考えられるため、マーク下部に言葉を書いても判読できない可能性が高い。
マークについては、御意見いかがでしょうか。何かありますか。
おいしさとか、いろんなことに関しては、認証マークとは別に表示してくださいということであります。
どうぞ。
○藤谷構成員 すこし前に戻りますが、1,に「1食当たり」という表現があり、2,にも「1食分」とあります。今までの理解では、マーク3枚の1食だけではなく、マーク1枚の、1食分の主食とか、1食分の主菜、でも良かったと思うのですが、現在の表示では、あたかも、3枚揃えた1食セットとも読み取れてしまう表現だと思います。1の定義のところに、3つのマークで1つになるものであるみたいなことをつけておかないと、1食セットでないと売ってはいけないみたいな印象が非常に強いです。
あと、2,では外食でも給食でもいいと述べているので、1.の冒頭で、「スーパーマーケットやコンビニエンスストア等で販売される」とあたかも市販のお弁当を限定して指すような表現は、定義のところですから適切ではないと思います。定義のところは、もっと包括的な表現、例えば、市販の料理、(給食を市販というのも不適切かと思いますが)のような原則的な言い方にしたほうがいいのではないかと思いました。
○中村座長 ほかにございますか。どうぞ。
○田村構成員 今のお話の続きになりますけれども、つくり手として、また、いろんなところで、お母さんたちは家庭でおだしをとって、お料理をちゃんと子供たちにつくって、きちっとした野菜をちゃんと食べさせるようにしましょうと言っている立場の料理人からすると、一番最初の「『健康な食事』の基準で対象とする料理は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等で販売される1食当たりの料理(調理済みの食品)」というのは、だしもとらずに、買ってきて、それをパックごと食卓に出せばいいのではないか、そうすると、日本人は健康になるんだということです。そうなると、お母さんたちはもっと楽をしていいということになって、日本はもっと和食から離れていって、コンビニ、あるいはスーパーマーケットの方たちの餌食になってしまうのではないかということを考えております。
また、昨今、中国からいろんな情報が入ってきたりすることによって、ハンバーガーが20%減ったという事例もございます。そういうことを考えると、マークをつけることも大事だとは思いますけれども、本当に健康な食事というのは、実際は何なのかという根本から見直さなければいけないと思います。10回目にそんなことを言うと、今までの9回は何だったのかということになってしまうので、そこまでは言いませんけれども、「健康な食事」というのは、きちっとしたものをちゃんと食べようということを、皆さんに言っていただくことが大事ではないかと思いました。
○中村座長 とても貴重な御意見をありがとうございました。だから、長い長い議論を最初にさせていただきました。
○田村構成員 そうですね。ありがとうございます。
○中村座長 ほかにございますか。どうぞ。
○高田構成員 先ほど質問をしながら、バランスガイドのディスカッションで薄れてしまったんですけれども、実際の販売の場面として、今だとお惣菜1品ずつのパックが多いんですが、100~200グラムにすると、結構やりにくくなりそうで、やはり1食分のおかずとして、2~3品を組み合わせたパック売りにしないと、これはクリアしにくそうなイメージがします。その辺は、そういうふうにパックした場合につくという考え方でいいのかということが1点です。
もう一点は、8回まで、せっかく一生懸命みんなで議論してきたので、せめて努力目標みたいな形で、おいしさに配慮したとか、国産のものを使ったものであるみたいなことを、入れていただいたほうがいいような気はしました。
○中村座長 わかりました。総論として、構成員はみんな賛成していると思います。だから、報告書の中で、それははっきり書くべきだろうと思っています。
ほかにございますか。どうぞ。
○岡村構成員 今のところとも関係してくるのですけれども、先ほどの食事のパタンのIIのところにこだわっているわけではないのですが、脂肪エネルギー比は、このパタンで大体担保されるから問題ないのですが、例えばIIの主菜のところで、魚か肉か卵か大豆か、4種類あります。そうすると、好きだから、ずっと肉ばかりとっていていいのかという話になるので、例えば4種類あるので、いろいろとるようにしましょうと一言入れるとか、主菜がどこからきているかぐらいは区別を付けるとか、何か工夫ができたらいいと思います。今さらマークのところは難しいかもしれないですが、そこは何か工夫できないかと、先ほどから思っているところではあります。
○中村座長 どうぞ。
○藤島構成員 マークのつけ方なんですけれども、今までのお話を聞いていると、主食、主菜、副菜が全部そろっていなければいけないわけではないんですね。例えば1つの色が半分しかついていませんというものがあってもいい。あくまでもこれは半分ですから、さらにこちらを中心に次の食事をとってくださいという注意になるので、そういった意味では、3つがそろっているものであれば、絶対に全部基準をクリアしなければいけないという理解はしなくてもいいのではないかと思うんですけれども、その辺りはいかがなんですか。
○河野栄養指導室長 基準の考え方については、半分という概念はなくて、基準を満たせばマークをつけられる。ただ、マークが3つそろわなければいけないということではなくて、IIの料理、あるいはIIIの料理単品のところにマークがつくことで、それ以外のところが、どういったものの組み合わせかがわかるように、そこは白抜きでマーク表示をするようなことというのが、今、公募されている内容になります。
○藤島構成員 1つのマークの中で、半分ぐらいしかつけないというのは、ありませんでしたか。
○河野栄養指導室長 それはないです。
一方、岡村構成員からの御意見につきましては、資料2の3のところで、おいしさや楽しみをあらわすことに、例えば旬であるとか、季節性であるとか、そういったところを推奨していくとなれば、当然IIの食品群の中でも、季節性のある魚介類であるとか、そういったものが推奨されるということは出てくると思うので、総合的にIIのところについても、質的な配慮がされるような、マーク全体のパッケージとして、整理されていくことが望ましいと考えています。
3のところは、先ほど鈴木構成員からも御意見をいただいたとおり、決して栄養のバランスだけでいくのではなく、その他の要素も総合的に評価されることが目的だとすると、その点については、3のところで補完するような形ではいかがかと考えます。
○中村座長 どうぞ。
○岡村構成員 それで全く問題ないと思います。
例えばIIを実際に指導するときに、1種類に偏らないようにしろと、一番初歩的な指導はそこからするので、好き嫌いがありますから、全部必ず食べろといったら大変なんですけれども、種類は変えていきましょうぐらいのことが入っていたほうがいいと思いました。
○中村座長 ほかにございますか。どうぞ。
○幣構成員 今までのご議論はもっともだと思って聞いているのですが、病院の食事で、先ほど食糧構成もお見せ致しましたが、例えば、たんぱく質源もいくつかの種類があって、病院の食事では、1日分の全体として使用頻度が設定されて、脂肪酸の比率についても、肉類はこの程度、魚介類はこの程度摂取して、植物性の脂質としても、この程度が必要というものを、1日の単位で調整しています。単品にマークを付ける場合は、1日の中での調整を行える、補完する資料を用意していただきたいとも思っています。全体を見て、適切な食事にしてほしいという願いがありますので、よろしくお願いいたします。
○中村座長 どうぞ。
○渡邊構成員 食事パタンのIIの肉と魚と卵と大豆製品のところもそうですが、IIIの野菜のところも、いも類とか、きのことか、どれをどう選択するかによって、とれる栄養素が違ったり、脂質もとったりするので、IIとIIIについてのわかりやすい説明も、どこかで必要だと思います。
○中村座長 ほかにございますか。どうぞ。
○藤谷構成員 先ほど田村構成員からもありましたように、今まで論議していた「健康な食事」の概念と、マークを付けて市販する「健康な食事」が同じ用語であるのは問題だと思います。やはりマークの名前が必要です。何と呼ぶか。マークの名前自体を「健康な食事」マークと言ってしまうと、構成員の皆さま、みんな心苦しいのではないかと思います。
マークの名前は別にしておかなければ、このマークの食事さえ食べていれば健康な食事というわけではないんですよ、と、いちいち説明しなければならないですよね。マークの名前を考えてほしいと思います。「『健康な食事』の概念から編み出された推奨市販食品」をあらわす別の名前にしたほうが、混乱がなくていいのではないかと思います。
○中村座長 恐らく「健康」マークのついた料理IIをつくって、料理IとIIIを不健康な食品で組み合わせる人はいないと思います。ある意味では、教育媒体というか、教育ツールの意味合いが強いと思います。だから、「健康な料理」IIを買った人は、IもIIIも健康なもので、3つを組み合わせていかなければいけないということで、「健康な食事」の認証制度ができたら、やはり栄養教育も並行して活発化させないと、へんてこなものになってしまいます。「健康な料理」を1品買えば健康になるという、お守りみたいな話にならないようにしなければいけないと、私は考えています。
どうぞ。
○武見構成員 今のネーミングをどうするかという御意見には、すごく賛成です。
あわせて言うと、今、食事パタンI、II、IIIと出ているところも、I、II、IIIではないと思います。その辺のネーミングについても、最後の報告書に向けて、案を検討いただければと思います。
○中村座長 それでは、最後に「4.『健康な食事』のマークを運用する方法について」議論します。
具体的には、事業者が基準を満たしていれば、独自にマークを表示することになりますが、その際、最低限必要な事項について、ルールを決める必要があるのではないかと思っております。この点については、広く議論していただきたいと思うので、例としてお示しいたします。資料2の「○マークの表示に関する事項について」です。
事業者がマークを表示するために必要な条件として、3つ示しておきましたが、事業者は、マークの適切な普及のために、組み合わせて食べることなど、マークの意味することについて、適切に情報提供できる体制を確保すること。
事業者は、基準に合致したレシピの作成など、「健康な食事」に関する企画や運用に当たって、管理栄養士等の関与により、適切に実施できる体制を確保すること。
国は、「健康な食事」の基準を満たした料理の提供状況について把握する仕組みを設けることになることから、事業者はそれを踏まえ報告を行うこと。
このような条件をつけて、先ほどから議論されたような、へんてこな使われ方をしないような仕組みづくりをしたらどうかと考えていますが、いかがでしょうか。
どうぞ。
○幣構成員 2番目の項目ですが、私自身「管理栄養士」ですので、管理栄養士の関与を適切に明記していただくのは、すごく有り難く思います。実際、前半部分でディスカッションしてきた基準となる「数字」は、多くの場合、ひとり歩きしてしまう傾向が強いと思っています。あくまでも「健康な食事」に合致するような方向性にもっていってもらうために、管理栄養士が責任を持ち、専門性を活かして、基準の扱いに関与することが、事業者さんに対して必要なことだと思います。
ただ、対応する管理栄養士数の問題があるかと思いますので、マークをつけていただく業者さんは、ぜひこういう条件でやっていただけるといいと思います。特に健康増進ということですので、そういう目的を持った業者さんに、ぜひ活用いただきたいと思っています。
○中村座長 ほかにございますか。どうぞ。
○高戸構成員 3番目のところにあります、国が把握する仕組みを設けることというのは、いま一つイメージがつきません。それを踏まえて、報告を行うということは、メニューや、商品を開発したら、それを事前に登録するような形になるのかということをお伺いしたいと思います。例えば、それはデータベースのようになっていて、似たような表現は、常に参照できるような仕組みを広くつくられるというイメージになっているのか、その辺のところをお伺いできればと思います。
○中村座長 どうですか。
○河野栄養指導室長 基本的に事前の登録ということではなく、マークを示したものについて、どれぐらい社会的に広がっているかということを把握するという目的で、それを表示するときには、事後の報告をいただくという形をイメージしています。
また、それができた上で、どういった運用をするかというのは、次のステージだと考えているので、今回は、今、座長からお話があったように、いかに幅広く普及をしていくかというところでは、最初からハードルを上げていくということは考えていないので、現段階では、普及状況を把握するための登録は、最低限必要なことではないかということで、3点目に記述してあるということになります。
○中村座長 ほかにございますか。どうぞ。
○藤島構成員 このマークは非常に重要だと思っているんですけれども、わかりやすいものにしていただきたい。それと同時に、「健康な食事」を普及させる上でのターゲット、一般の消費者はもちろんなんですけれども、食事を提供してくださる方々に重点を置いていただきたい。
と申しますのは、例えば資料1-1の7ページ辺りに、摂取量の目安を示してございますけれども、こういったものを一般の人々が理解するということは、まずあり得ないことですから、そういったことについては、食事を提供している方々に十分御理解いただくという形での普及を中心にしていただいて、その上で、マークを中心にして、消費者に理解してもらうという形の普及の方法をとっていただきたい。そういうものとして、このマークを活用していただきたいと思っています。
○中村座長 次の「○基準の詳細について」説明させていただきますが、また後で御質問を受けたいと思います。
基準となる値の測定方法についてですが、基準を満たすためのそれぞれの食品の重量は、生の状態の重量を基本とする。
基準を満たすための栄養素の量は、成分分析値でも、食品標準成分表からの計算値でも構わないものとする。
このほか、基準の運用に必要な事項の詳細は、ガイドラインを示す。ガイドラインは、取りまとめられた検討会報告書をもとに、別途、作成するということです。最終的には、さらに運用をうまくするためのガイドラインをつくりましょうということです。これはこれからの作業になります。
以上でございますが、いかがでしょうか。
今回の制度は、余り厳しい条件をつけると、なかなか普及していかないという点もあるんですが、でも、この制度は国が健康増進を目的にして作ろうとしている制度ですから、企業の責任のもとにやるとしても、質を保障する仕組みはつくっておかないといけないと思っているわけです。そのさじ加減がなかなか難しい制度だと、私自身は思います。
御意見はございますか。こういうところは、ガイドラインに入れておいたほうがいいのではないかということがありましたら、お願いします。
どうぞ。
○武見構成員 この説明からすると、ガイドラインについては、別途詳細ということだと思いますが、今、座長がおっしゃったように、例えば資料2の2.の1食分となっているもの以外は対象にしないとか、特定保健の用途に資するものはしないとか、現場では判断が難しいところなども出てくるのではないかと思います。そういうことを事業者の責任においてやるということになれば、値の測定方法も含めて、責任を持つ者は誰なのかということです。それは管理栄養士なのかということにもなると思うのですが、そういうことはきちっと決めて、報告書に示していただく。専門職であれば、専門職としての責任を持つということも、きちっとしていかなければいけない、それが今後の方向性だと思います。
○中村座長 とても重要な意見だと思います。ありがとうございました。
どうぞ。
○田村構成員 管理栄養士さんの健康な食事というのは、先ほど先生がおっしゃったように、数字でたんぱく質がどのくらい、何がどのくらい、脂質がどのぐらいというようになっていて、今、おっしゃったように、さじかげんというのは、物すごく大事なことです。つくり手からすると、数字さえ合えばいいのかということになってしまう場合があるので、管理栄養士が悪いというわけではないんですが、一般的に管理栄養士がつくるものは、おいしくないのが当然で、なぜかというと、技術が伴っていないわけです。ところが、技術を持っている奴は、頭が伴っていないわけです。ですから、その2つが1つになっておやりになると、物すごくいいものができるのではないかというのは、非常に感じることです。
別に大げさなあれではないんですが、私も入院したときに、よくこんなものを出すなみたいな病院がほとんどで、こんなに高いお金を払っているのに、何でおいしいものが出ないのかというと、全部の数字は合っている。でも、さじ加減が最悪なので、おいしくないということです。だから、こういうマークをつけるにしても、何にしても、一人一人の個性というか、役割を持った人たちの構成をきちっとすることによって、このマークも生きてくるのではないかと思われます。
○中村座長 ありがとうございました。頭と技術を連携させるということです。
ほかにございますか。ないですか。
なければ、次に資料3に移りたいと思います。資料3に、日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会報告書の枠組み案が示されていますけれども、事務局から御説明をお願いいたします。
○芳賀栄養指導室室長補佐 検討会も本日で10回を数えるまでになり、そろそろ報告書のことも御議論いただく段となりました。
資料3の枠組み案をごらんください。本検討会の報告書の枠組み案になります。
1番から6番までは、標準的な枠組み案ということで、検討会の報告書において、まずは1番に概要、2番に「日本人の長寿を支える『健康な食事』のあり方に関する検討会」の目的ということで、検討会設置の経緯と目的、「健康な食事」で期待される効果を示します。先ほど来の御議論からしますと、「健康な食事」の基準との兼ね合いもあり、2にしっかりそういった観点を盛り込む必要があるということです。
次に3番として、「日本人の長寿を支える『健康な食事』とは」ということで、これまで時間をかけて御議論いただき、案をまとめていただきました、「健康な食事」のとらえ方について、また、「健康な食事」を構成している要因例についてということで、前回、第9回の検討会の参考資料をベースに記述してはいかがかという案です。
4番目が、「日本人の長寿を支える『健康な食事』の基準」ということで、前回の検討会の資料2と、本日の実際の解析結果、御議論いただいた結果も踏まえて、基準を記述するという案です。
4-1として、基準を策定する目的。「健康な食事」の基準の限界と活用の狙いを含むということで、先ほど来の御議論にあったような内容を、まとめてはいかがかと考えております。
4-2として、基準で対象とする食事(料理)は何か。
実際に基準の内容については、4-3。
以上のように、「『健康な食事』の基準」については、4-1、4-2、4-3のような構成ではいかがかという案です。
次に「『健康な食事』のマークについて」です。現在、公募中ですが、最終的にはこの検討会で御了解いただくことになります。この日本人の長寿を支える「健康な食事」のマークと、そのデザインの意図を5番といたします。
6番に「その他関連する施策との関係」ということで、「健康な食事」の基準の議論に際して、関連施策で話題に出ていたようなものとの関係を整理する。
最後に7番として、「『健康な食事』の今後の展望」ということで、栄養・食生活に関する政策全体への提案等を盛り込めればと考えております。
なお、参考資料としては、「日本人の食事を取り巻く環境と食事の現状」や、「『健康な食事』の基準の特徴」、おめくりいただきまして、さらに、「日本人の長寿を支える『健康な食事』の基準の策定方法」となっています。
また、参考資料2として、関係資料。関連する施策でいいますと、健康日本21(第二次)、日本再興戦略、日本人の食事摂取基準(2015年版)などが考えられます。
以上が検討会の報告書の枠組み案になります。御検討をよろしくお願いいたします。
○中村座長 ありがとうございました。
本検討会は、「健康な食事」の捉え方や、「健康な食事」を構成する要因について整理を行ってきたわけでありますが、整理を行う過程におきまして、「健康な食事」の今後の展開についても議論すべきではないかという御意見が出ました。本日もこれからの方向性について、いくつか議論が出たと思っております。
したがって、この枠組みの中に「7.『健康な食事』の今後の展望」という項目を設けているわけでありますが、それに対して、具体的な御意見があれば、ぜひお伺いしたいと思っていますが、いかがでしょうか。
どうぞ。
○武見構成員 7の前に、1つ項目として、「健康な食事」のマークということになるのかもしれませんけれども、その活用に当たっての留意点というか、ここの検討会でもいろいろ出てきたようなことが整理されて、例えば先ほどのIIの中身であるとか、そうしたことを少し整理したものも入れておいたほうがいいのではないかと思います。その際には、渡邊先生からありましたが、その他の部分、乳製品とか、果物の扱いにういても,1つ項立てとしておくことが必要ではないかと思ったんですが、いかがでしょうか。
○中村座長 それは大事なことだと思っております。
ほかにございますか。藤島先生、どうぞ。
○藤島構成員 私も関連するんですけれども、4のところで、「健康な食事」の基準をつくられて、そして、5でマークなんですが、マークにいくに当たって、多分これは書かれるんだと思うんですが、「健康な食事」の普及方法といいますか、こういう形で普及していく、その上でこういうマークが必要なんですという形のものにしていただけると、理解しやすいと思います。
もう一つは、目的のところになるのかもしれないですけれども、「健康な食事」を普及される上で、どういったところをターゲットとされるのか。消費者といいますか、一般の人々ですと言えば、それはそうだろうと思うんですけれども、今回いろいろ議論された「健康な食事」というのは、内容的にかなり難しいところがありますから、これを一般の人々に簡単に理解してくださいといっても、それはまず無理だろう。検討した結果について、理解していただく方々はどういったところなのかということも、1つ明確にされてもいいのではないかという感じがしております。
○中村座長 ありがとうございます。
藤谷先生、どうぞ。
○藤谷構成員 先ほどのマークの後に、マークに盛り込まれなかったことを5番と6番の間に書くというのは、大賛成です。
そのほか、2番と3番は、私たちがかなり時間を費やした「健康な食事」の話です。4番と5番は、言うなれば、健康な料理というか、健康な弁当の話です。マークに直結したものです。7番はマークで推奨する健康な弁当ないしは健康な料理問題なのか、それとも前半で述べている「健康な食事」全体なのか、実際は2つあると思います。それがわかるようにしたほうがいいと思います。現状では、鍵括弧でつくっている「健康な食事」は、途中で意味が変わっているので、その辺りを修正よろしくお願いします。
○中村座長 どうぞ。
○宇野構成員 数字に責任を持たなければいけなくなる、管理栄養士の立場から申し上げますと、この報告書も管理栄養士は読まなければいけなくて、ほかでつくられるガイドラインも読まなければいけないと思うんですが、理論編と実践編みたいな形で分けることなどはできるものなんでしょうか。報告書はいわゆる理論編で、ガイドラインは実践的な部分と理解すればよろしいでしょうか。先生方のいろいろな御意見をもとに、全部読まなければいけないとは思うんですけれども、誰向けの何の報告書なのかというところも、私はこういう検討会が初めてなもので、御教示いただければと思います。
○中村座長 どうぞ。
○河野栄養指導室長 検討会の報告書については、何向けということではなく、この検討会の議論の経過と最後に決まった内容について、お示しするということになります。
先ほど来出ているガイドラインのところにつきましては、事業者さんが実際にこの基準を適用しているときに、どういった内容に配慮すればいいかというところになります。国民全体に向けて、何かメッセージを送るということになると、検討会報告書の中の表示マークの今後の展開のところで、まず盛り込んでいただく。さらに「健康な食事」ということで、先ほど御意見があったように、2と3について、もっと大きなところで述べたい部分については、7で述べるということです。
それ以外に、今、言ったような別の目的で、運用上必要だということであれば、どういった啓発普及の段階で、情報の整理をしていくかということになるので、それも先ほど言いました、表示マークの展開とか、7の今後の展望のところに盛り込んでおく形にできればいいと思います。それを受けて、さらに啓発普及の一環として、どう取り組んでいくかということは、施策として引き続き行われていくものになるので、そういったすみ分けでお願いできればと思います。
○中村座長 ほかにございますか。どうぞ。
○渡邊構成員 「健康な食事」の今後の展望のところに入るかもしれませんが、アルコールとお菓子の話は全然出てきていないんですけれども、女子学生などを見ていますと、かなりお菓子を食べています。昼食がわりといっては語弊がありますが、そういう食べ方をしているとか、学校教育の現場でも、教員の方が朝から朝食がわりにお菓子を食べ、残業食にまたお菓子を食べていらっしゃるという話をよく聞くので、お菓子とか、アルコールについて、少し触れておいたほうがいいのではないかと思います。
○中村座長 ほかにございますか。どうぞ。
○高田構成員 先ほど来、岡本構成員がこだわっていらした、IIの辺りもありますけれども、これまで日本人が長寿であった背景、日本人が食べてきた食事の特色的なものは、ある程度魚介があるとか、そういう部分が、このマークをシンプルに示すに当たっては、組み込み切れないと思います。日本人が食べてきた食事のよさというのは、何か示していきたいという気がするので、その辺を展望で述べていただけると、ありがたいと思います。
○中村座長 ほかにございますか。
今回も長寿日本が検証されたような発表がありましたが、先日、サンディエゴで国際会議があったときに、いよいよ日本政府も、日本人が長寿であるということを、食事の面から検討し始めたようだ、この検討会が立ち上がったということが知られておりまして、大いに期待していると肩をたたかれましたが、すごいプレッシャーでございます。この報告書は、恐らく世界の話題になって、世界一の長寿国であるというのは、こういう努力を日本人がしているんだということが、わかってくるのではないかと思っております。そういう意味では、格調高い報告書に仕上げましょう。世界の人々が納得できるようにね。
どうぞ。
○武見構成員 それに関して、発言いたします。今、先生の発言で、世界にということがあったんですけれども、前に健康日本21(第二次)が出たときも、世界から注目されて、いつ英語版が出るのかという問い合わせを海外からいただきました。そういう意味では、この報告書も英語版の作成を視野に置いて、御検討いただきたいと思います。
○中村座長 ほかにございますか。どうぞ。
○藤谷構成員 英語版も、格調高いものも大事ですけれども、先ほどバランスガイドの論議の際、参照に、バランスガイドの書籍を確認しておられましたよね。普及を考えると、今の国民にとっては、ホームページにあればいいということだけではなく、書籍などがあったほうがいいのではないでしょうか。書籍のほうが自由に書ける部分があると思いますので、報告書部分と、構成員の意見の部分を載せれば、先ほどのアルコールのこととか、田村構成員の料理人と栄養士のお話とか、報告書には載せられなかった話もいろいろ書けるので、そういうものをつくったほうが、普及にはいいと思います。
今後、これに関して、事務局さんの方で、どのくらいの予算というか、入れ込み方ができるのかということを、質問させていただきたいと思います。
○中村座長 どうぞ。
○河野栄養指導室長 書籍につきましては、こちらの検討会では報告書を出すということで終了しておりますが、傍聴のところにも、メディアの方にたくさんいらしていただいていますし、この後、報告書を踏まえて、民間ベースで、書籍も含めて、「健康な食事」をどう展開していただくかは、むしろそういった方々のお力と、あと、先生方の力で進めていっていただければと考えております。
2点目の予算ですが、これ以降は、事業者さんにどういうふうに取り組んでいただけるかというところですので、その部分につきましては、関係省庁とも相談して進めてまいりたいと思います。
また、登録については、今、私どもで進めております、スマート・ライフ・プロジェクトで、いわゆる健康づくりに取り組む民間企業の方々に登録いただくような取り組みを進めているので、そういった中で、登録については、進めていくことも検討してまいりたいと考えております。
○中村座長 田村構成員、どうぞ。
○田村構成員 毎回、議事録が送られてくるんですけれども、しゃべっているときの自分の言葉と、本当にしゃべっていた自分の字を読むと、すごいことを言ってしまったということが、ときどきあるので、こういう報告書というのは、やんわり書いたほうがいいと思いました。
○中村座長 ほかにございますか。
ないようでしたら、本当にいろいろと議論していただきまして、ありがとうございました。
本日の議題は以上ですが、事務局から今後のスケジュールについて、御説明をお願いしたいと思います。
○河野栄養指導室長 次回は、マークの選定、報告書案について御議論をいただきたいと考えております。
先ほどお話があったように、マークの名称についても御意見をいただきましたので、その点については、やりとりをしながら、整理をさせていただきたいと考えます。
また、検討会報告書の枠組み案の7の「『健康な食事』の今後の展望」、あるいは表示マークの今後の展望も含めてということになりますが、この部分につきましては、構成員の先生方の発言が、報告書の内容に入っていくことになりますので、きょうは、時間の関係上、幾つかの御意見しかいただけていませんので、その部分についても、御意見をいただければと思います。メール等で事務局宛てに送っていただく形で構いませんので、よろしくお願いいたします。
なお、日程ですが、次回は9月下旬から10月にかけてと考えておりますが、日程の決定、あるいは場所等の詳細につきましては、改めて御連絡をさせていただきます。
以上でございます。
○中村座長 どうぞ。
○武見構成員 マークは、今、募集していますね。その決定も、最終回でやることになるのですか。
○河野栄養指導室長 はい。
○武見構成員 わかりました。
○中村座長 ほかにございますか。
珍しく検討会が20分前に終了するという、前代未聞の事態なんですが、皆さん方の御協力により、大変スムーズで、実りある議論ができたのではないかと思います。
きょうは、暑い中、本当にありがとうございました。
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