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2014年7月31日 第11回臨床研究・治験活性化に関する検討会

医政局研究開発振興課

○日時

平成26年7月31日(木)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎5号館 共用第8会議室(19階)


○議題

(1)臨床研究・治験活性化5か年計画2012に係る進捗について
  ・国民・患者への普及啓発
  ・コストの適正化
  ・IT技術の更なる活用等
(2)臨床研究・治験活性化5か年計画2012の中間評価について
(3)その他

○配布資料

資料1 臨床研究・治験活性化5か年計画2012に基づく行政の主な取組みについて
資料2 臨床研究・治験活性化5か年計画2012-製薬協の取組み-(日本製薬工業協会提出資料)
資料3-1 一般利用者の視点に基づく臨床試験コンテンツ作成とポータルサイト構築に関する研究(有田班提出資料)
資料3-2 国民・患者への臨床研究・治験の普及啓発に関する研究(佐藤班提出資料)
資料3-3 臨床研究・治験のIT化推進のための実施プラン策定に関する研究(松村班提出資料)
資料4 臨床研究・治験活性化5か年計画2012中間評価にあたっての論点(案)
参考資料1 臨床研究・治験活性化5か年計画2012に基づく行政の主な取組みについて(第10回検討会資料1)
参考資料2 臨床研究・治験活性化に係る研究班一覧
参考資料3 臨床研究・治験活性化5か年計画2012
参考資料4 臨床研究・治験活性化5か年計画2012アクションプラン

○議事

○研究開発振興課治験推進室主査 

定刻となりましたので、第11回臨床研究・治験活性化に関する検討会を始めます。本日は御多忙中のところお集まりいただきましてありがとうございます。

 今回より構成員の変更がありますので御紹介いたします。日本CRO協会の一木構成員が退任され、新たに中森構成員に御就任いただいております。中森様、一言御挨拶をお願いいたします。

 

○中森構成員 

日本CRO協会専務理事の中森でございます。現職は外資のCROのパレクセル・インターナショナルの社長をしております。外資の製薬会社で25年間、臨床開発をやっており、5年前にCROに転職いたしまして、ずっと経営のほうをやっております。少しでもこの検討会に貢献できるように頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○研究開発振興課治験推進室主査 

本日は、小原構成員、小林構成員、近藤構成員の3名より、事前に御欠席の連絡を頂いています。また、中西構成員につきましては、少々遅れるという御連絡を事前に頂いています。本日は16名の構成員の方々に御出席いただいています。構成員の2分の1以上が出席していますので、本検討会が成立していますことを御報告いたします。また、本日は参考人として、北里大学薬学部の有田悦子先生、国立保健医療科学院の佐藤元先生、大阪大学大学院の松村泰志先生に御出席いただいています。

 次に、配布資料について御説明いたします。議事次第、座席表、構成員名簿、参考人名簿。資料1「臨床研究・治験活性化5か年計画2012に基づく行政の主な取組について」。資料2「臨床研究・治験活性化5か年計画2012-製薬協の取組-」。資料3-1は有田先生の提出資料として、「一般利用者の視点に基づく臨床試験コンテンツ作成とポータルサイト構築に関する研究」。資料3-2「国民・患者への臨床研究・治験の普及啓発に関する研究」として、佐藤先生の提出資料。資料3-3「臨床研究・治験のIT化推進のための実施プラン策定に関する研究」として、松村先生の提出資料。資料4「臨床研究・治験活性化5か年計画2012中間評価に当たっての論点()」。次に、参考資料1「臨床研究・治験活性化5か年計画2012に基づく行政の主な取組について」として、前回の第10回の会議資料1。参考資料2「臨床研究・治験活性化に係る研究班一覧」。参考資料3として、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」。参考資料4として、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012アクションプラン」。以上ですが、資料の不足等がありましたらお知らせいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、これからの進行は矢崎座長にお願いいたします。

 

○矢崎座長 

本日は大変厳しい暑さの中、お集まりいただきましてありがとうございました。今日は11回になります。検討会を始めさせていただきます。

 議題1の臨床研究・治験活性化5か年計画2012に係る進捗状況について、今回の検討会は臨床研究・治験活性化5か年計画2012の中間報告を目的としていますが、本日は9年間の活性化計画を踏まえた更なる飛躍と自立における議論のうち、1「国民・患者への普及啓発」、2「コストの適正化」、3IT技術の更なる活用等」について、まとめて検討していきたいと思います。本日の議題の進め方としては、これら課題について、まず行政の取組について御報告いただき、次に、これら課題のいずれにも対応されておられます、日本製薬工業協会から御報告を頂きます。更に今回の論点に関連する研究班からの御報告を踏まえ議論を進めさせていただきたいと思います。それでは、先に挙げた3つの課題の行政の取組について、事務局から説明をお願いいたします。

 

○研究開発振興課治験推進室主査 

御説明いたします。資料1「臨床研究・治験活性化5か年計画2012に基づく行政の主な取組について」で、本日は大きな柱の1番目の目標(4)(6)について御報告いたします。(4)国民・患者への普及啓発については、臨床研究・治験の意義に関する普及啓発としまして、厚生労働省において、平成24年に「薬と健康の週間」に、薬の開発に関する内容を記載したパンフレットを配布いたしました。また、文部科学省においては、平成20年に改訂された中学校学習指導要領で、保健体育科において新たに医薬品に関する内容を取り上げて、医薬品には主作用と副作用があることを学習することになっています。また、平成21年に改訂された高等学校学習指導要領におきまして、保健体育科において新たに、医薬品は有効性や安全性が審査されていることを学習することになっており、副作用については、予期できるものと予期することが困難なものがあることについて触れています。中学校においては平成24年度から、高等学校は平成25年度からこの学習指導要領を実施しています。また、実施中の臨床研究・治験に関する情報の共有として、厚生労働科学研究費補助金において普及啓発に関する研究を採択し、利用しやすいポータルサイトを構築するための研究を実施し、その成果を踏まえて保健医療科学院のポータルサイトの改修を進めているところです。こちらについては後ほど、有田先生と佐藤先生から研究班の活動について御説明いただきます。また、平成25531日に発出しました医薬食品局審査管理課長通知において、治験届を提出した場合には国内の治験情報登録センターに当該治験の情報を登録することを求めています。また、臨床研究に関する倫理指針の見直しに伴い、倫理審査委員会報告システムの入力画面の見直しを図る予定です。

 次に、(5)コストの適正化です。こちらの行政の取組としては、治験等適正化作業班による「治験等の効率化に関する報告書」にある出来高払い方式を、平成23630日付けで、医政局研究開発振興課長通知により推奨しているところです。また、厚生労働省において、医師主導治験等の運用に関する研究班を立ち上げ、その成果を元に医薬食品局審査管理課より事務連絡による「リスクに基づくモニタリングに関する基本的考え方について」を、平成2571日に発出しています。また、抗がん剤の併用療法により、医師主導治験が増加していることを踏まえ、医師主導治験における、治験薬と併用する同様の効能・効果を有する医薬品に対する保険外併用療養費の適用拡大についても検討をしています。

 また、(6)IT技術の更なる活用等として、厚生労働省において、臨床研究・治験のIT化推進のための実施プラン策定に関する研究班を立ち上げ、主に病院情報システムとEDCの連動について、リモートSDVによるモニター業務の効率化について検討をしています。また、厚生労働省において、医師主導治験等の運用に関する研究班の成果を元に、審査管理課より事務連絡、「治験関連文書の電磁的記録の活用に関する基本的考え方について」を、平成2571日付けで発出しているところです。以上が行政の取組になります。

 

○矢崎座長 

続きまして、この3つの課題における、日本製薬工業協会の取組について、稲垣構成員からよろしくお願いいたします。

 

○稲垣構成員 

今回このような機会を頂きましてありがとうございます。前回紹介させていただきましたように、製薬協といたしましてもこの臨床研究・治験活性化5か年計画2012に対して、協力する形で様々な取組を進めています。本日はその中での「国民・患者への普及啓発」「コストの適正化」「IT技術の更なる活用」について御紹介させていただきます。

 資料2を御覧ください。最初に、国民・患者への治験に関する普及啓発ですが、製薬協として我々が作業のできる場所としては、製薬協の治験に関するホームページがあります。このホームページの情報アクセス性の向上を検討しているところです。実際、我々も中を見て、誰に対して情報提供をしているのか、よく判らない。製薬協として患者さんにどこまで知らせているのか明確でないこともあるのですが、製薬協のホームページにこういう情報があるということそのものがよく知られていない上に、なかなか探しづらいという問題がありました。ということで、検討チームで、会社の中で日頃、製薬協のホームページを閲覧していない方々等を対象にして、この下のほうにあるように、ホームページの構成、情報について、様々な意見を伺い、どのような形がいいか、探しやすい形をただいま検討させていただいているところです。これが国民・患者への普及啓発に関して我々が取り組んでいる点の報告です。

 続いて、次のページのコストの適正化です。これは治験のポイント表という形でコストを見ることが問題点を把握しやすいのかなと思って取り組んでいます。従来、日本の治験費用は海外と比べて高いというような話はよく聞きますが、ただ単純に治験の費用を下げればいいという話ではなく、どのような費用の算出が適正か、費用の算出に透明性があるかというところが重要かと思っています。現在はポイント表があっても、同じような治験でも施設によって費用にばらつきがあるというようなこともよく聞くところです。その辺りについて算出内容を見ますと、ポイント単価が異なったり、ポイント総数の算定が医療機関で異なったりというような、ばらつきを生じる原因があることが分かってまいりました。

 これについてはいろいろな考え方があるかとは思いますが、ページの下の費用の項目、内容、支払い方法の明確化というか、金額がどうこうというのではなく、説明責任を果たせる形でしっかりとした根拠に基づく費用の算定ができることが必要なのかと考え、今後コスト算定法の調査を行うことを予定しています。調査の内容としては、まず、海外と比較して、どのようなやり方で費用を算定しているのか、その方法等を確認するとともに、国内においてもダミーのプロトコルを作り、それに基づく費用算定を検討してみようかと考えています。このことについては、今後関係機関にもいろいろ御協力をお願いすることになるかとは思います。よろしくお願いいたします。このような形で、繰り返しになりますが、どのくらいの金額が適正かということではなく、その算出の仕方、これがより透明な形になることを目的として取り組ませていただいているところです。

3つ目のIT技術の更なる活用ですが、電磁化についてはお手元の図の青の部分と赤の部分の大きく2つの要素があるかと思っています。青の部分のリモートSDVEDCを使った症例報告、電子カルテからのEDCへのデータ取込みは、先ほど厚労省の方からお話がありました、厚生労働省事業の松村先生の研究班に対して、製薬協としても研究協力者を6名派遣し研究に協力させていただいているところです。そして、赤色の治験手続の電磁化実装ですが、治験手続きの電磁化実装検討会を立ち上げて、製薬協内にて検討を進めています。この取組のイメージは、治験手続きは紙あるいは電子を使って進められていますが、その電子による手続きについて、一番下にありますように、標準的なSOPを作って標準化できないのかと検討しています。

 今まで電磁化を進めるに当たって、各社からの要求がばらついて、医療機関としてはなかなか標準化できなくて困っているというような話も伺っています。そのようなところもあり、各社都合を最小化すべく標準的なSOPを提示し、これを基に同じような形で電磁化を進められるようになれば、電磁化について各拠点の協力も得やすいと考え、このような取組を進めています。現在43社がこの取組に入っていまして、標準化したSOPを各社に普及させたいと考えているところです。以上、国民・患者への普及啓発、コストの適正化、IT技術の更なる活用について、製薬協の取組状況です。

 

○矢崎座長 

どうもありがとうございました。行政からの取組、日本製薬工業協会の取組について、何か御質問はありますでしょうか。

 

○中川構成員 

資料1ですが、こういうことをやっているのは分かるのですが、やっていると書いてあるけれども、効果がどうなのかをどのように把握するつもりですか。例えば、中学校で始めた、高校で始めた、ポータルサイトの改修を進めているとか、努力はしているというけれども、努力すればいいというものでもないでしょう、それが実際に効果がないと。

 

○研究開発振興課治験推進室主査 

ポータルサイトについては、その改修後、アクセス数と比較することはきっと可能かと思います。

 

○中川構成員 

それがどうなのですか、増えているのですか。

 

○研究開発振興課治験推進室主査 

今はまだ改修中で、その前後というように比較をしないと。

 

○中川構成員 

改修はいつから始めて、終わるのはいつですか。

 

○研究開発振興課治験推進室主査 

今年度から始めている話です。

 

○中川構成員 

どうも物足りなさを非常に感じているわけです。質問を変えます。資料2で、稲垣さん、こういう取組をやっているのは分かるのですが、これはいつからやっているのですか。

 

○稲垣構成員 

製薬協の活動は2年単位という形になっていますが、これはもともと臨床研究・治験活性化5か年計画2012のアクションプランを作る段階で製薬協もそこの討議に加えていただき、そのアクションプランができたあとで、どういう形で我々として取組を開始するかというところで、こういう活動をやろうかと動き始めているところです。

 

○中川構成員 

取り組んでいるという御紹介ですか。

 

○稲垣構成員 

はい、取組を続けていると、製薬協の中での取組は今、こういう状況ですという話です。

 

○中川構成員 

例えば、一般の国民は製薬協のホームページなどの存在を知らないですよね、ほとんどが。


○稲垣構成員 

残念ながら、そのように認識しております。


○中川構成員 

うちのホームページも似たようなものですが。


○稲垣構成員 

製薬協のホームページはやはり存在が知られていないかと思われます。


○中川構成員 

努力はしているのですが、例えばメディアでこの製薬協の広報は余り見たことがない。ましてこのホームページなどは、なかなか一般の方はアクセスしないだろうと思うのです。


○稲垣構成員 

おっしゃるとおりだと思います。


○中川構成員 

そういうのに対する取り組みがなかなか見えないなという印象を持ちました。


○稲垣構成員 

最終的に治験については、治験とはどういうものだという普及啓発を、様々なルートを通じて進めていくことが必要で、我々業界としても努力していく必要があるだろうと思っています。

 その一方で、実際どのような治験が行われているか等の個々の治験に関する情報は、どこか一本化したところで見られたほうがいいとの考え方もあるところかと思っています。そういう意味では、このあとで御紹介があるいろいろな話も踏まえ、また今後、考えていきたいと思っています。


○中川構成員 

それで、資料2のスライド番号34番ですが。


○稲垣構成員 

コストの所ですね。


○中川構成員 

日本は治験をやる場合に諸外国と比べてコストが高いと。


○稲垣構成員 

コストというか費用としては高い。


○中川構成員 

高いということで、新薬を開発する場合に、内資も外資も日本で最初にやらない傾向にありますよね。ようやく最近、世界同時開発ということもやりだしました。そういう取組、ドラッグラグの解消という取組を具体的にどのようにしているのかと。コストが高いのは必ずしも悪くないと、さっきおっしゃったけれども、製薬協としてどういう努力をしているのか、明らかではないですよね。ただ、抗がん剤については、いろいろな努力、保険外併用療養だとか、そういう努力でほとんどドラッグラグは解消されているのですけれども、それ以外の所は依然としてあると。コストの問題も1つ重要な要素だと、要因だと思うのです。製薬協として、どのように取り組んでいるのかが、この今日の資料では見えないなと思うのです。本気で取り組んでいるのかなというようにも感じるのです。これは中医協でも私は言っているのですが、もう少し真剣に取り組んでいると分かるようなものを出していただきたいと思うのです。

 

○稲垣構成員 

今日の内容は治験活性化5か年計画の取組の普及啓発とコストの適正化、IT技術というようなところでしたので、そちらに関しての取組ということで、紹介させていただきました。

 ドラッグラグという意味で言いますと、コストが高いから日本が遅れているということは必ずしもないと思っています。むしろ高くてもそれに見合うだけのクオリティと成果があって、日本でしかできないような研究が広がることにより、高くても日本で試験を行うのがいいという考えが広がるといいなと願っているところです。

 あとは、ドラッグラグの解消ですが、今、国際治験による世界同時開発の動きはどんどん広がっています。それにより、申請時期もグローバルにそれほど差がないというところにきていると思っています。具体的なデータとして御紹介できるようなものはありませんけれども、それについても取組を進めていきたいと思っています。


○塩村構成員 

稲垣さんに質問します。資料の34ページの御説明があったのですが、これからコストの調査をされるという理解でよろしいですか。


○稲垣構成員 はい。


○塩村構成員 

できましたら、ダミープロトコルでの算定をされるときには、国内だけではなしに、国外も同じようにやっていただいて、相対比較をできるように。私どもバイオテク協議会のような小さな会社ではなかなかそれがよく分からなくて、日本が高いという説もあるのですが、一方で、いやいや実はアメリカのほうが高いという説もあります。


○稲垣構成員 アメリカのほうが実際は高いという話はよく聞きます。


○塩村構成員 

噂の域を脱してないところがあって、できればダミープロトコルでの算定とか、あるいは欧米と日本で同じようなプロトコル、同じようなN数でやられた臨床試験で、実績を比較するデータを出していただけると、結構デフィニティブな議論ができるので、今は議論が常に推定、想像の域を脱していない。今から調査をされるのであれば、是非国際的な相対比較をしていただけますか。

 

○稲垣構成員 

海外のほうでこういう費用の算定をお願いできる相手があるかどうかは、相手先との兼ね合いもあり、確約はちょっとできないです。ただ、ある程度の費用比較ができるようなデータは我々も欲しいと思っていまして、どういう形になるか分かりませんけれども、国際間の比較をイメージしつつ、このような形でコスト調査を、海外も含めて行う形で企画させていただいたところです。

 

○塩村構成員 

更なるお願いですけれども、その際に大規模なエビデンスベースのお仕事と、もう1つは非常にまれな疾患は結構患者さんの通院なども手間が掛かったり、少し異なりますので、その辺の調査対象を少し御配慮いただければありがたく思います。

 

○稲垣構成員 

はい。テクニカルな問題で難しいかもしれませんが、検討はしてみます。

 

○楠岡構成員 

2点ほどです。まず、今のコストの関係ですが、日本でのコスト高の原因は、実施医療機関への支払いが高いというだけの問題ではなくて、内部経費、即ちモニタリング等に関わる経費が非常にかかっていて、それが全体のコスト高を招いている。あたかも医療機関への支払いだけの問題のように見えるのが、ミスリーディングになるのではないかということが1つです。

 それから、ばらつきがあることを非常に問題にされていますけれども、数年前に厚生科学研究でコストの検討をしたときに、そのときにはまだ出来高払いも入っていない段階でしたけれども、経済学者からの指摘は結局ポイント表などが、言うならば公定価格を形成してしまって競争がないのがコスト高の1つの原因であると。もっと競争原理を入れるべきであるということで、むしろばらつきがあれば、契約されるのは依頼者側ですから、安い所と契約すればいいわけで、そういう意味ではむしろばらつきがどんどんこれから出てきて、その中での競争でトータルコストを下げていくというのも考え方として1つあるのではないかと思います。

 

○稲垣構成員 

ちょっと言葉足らずのところがありまして申し訳ございません。おっしゃるとおりでして、この費用の高いというところは、医療機関の問題だけではないと。やはり生活環境も含めた全部を考えるべきところであり、そしてモニタリングのコストのところも先生のおっしゃるとおりです。更に言えば日本の場合、モニタリングの回数が多いというのもコスト高につながっているようなところもあって、様々な面で検討が必要かと思っています。

 また、ばらつきのところも、ばらつきが悪い、それを無くすために調査をするということではなく、ばらつきがあっていいと我々も同じように思っています。ただ、そのばらつきが説明できるものかどうか、つまりこの費用に見合うだけのクオリティの臨床試験をやっていただける所であればよいのであって、安いからそこに頼みに行くという話だけではないと思っています。それではなぜこのばらつきが出ているのか、それを説明できる、妥当というと語弊がありますが、適正な価格算定という意味になっているかどうかをやはり考えたいと思っています。


○楠岡構成員 

国民・患者への普及啓発というのは、9年間ずっとやってきても中川構成員がおっしゃるように、なかなか効果が見えないところです。確かに一般の国民の方へのアンケート調査などをすると、治験という言葉の浸透度が上がっているのですが、それが良いイメージで上がっているのか、悪いイメージで上がっているのか、いろいろな問題があるところです。

 ホームページに頼っているだけでは、要するに受け身の形なので、やはりマスメディアの方々の協力を得て、広く多くの人に知っていただけるような形が大事かと思います。

 もう1つは、教育の問題で、文部科学省でも中学校、高校の指導要領に入れていただいているわけですけれども、これはどちらかというと、薬害の経験から薬のリテラシーを高めるのが目的で、開発の話とかは入っていないと思われます。各学校に学校薬剤師がおられて、その方々のお話を聞くと、年に1回程度、生徒・学生さんに話す機会があって、そのときに適切なテキストや資料があれば、薬がどうしてできるか説明ができるので、是非そんなマテリアルを用意してほしいという要望をときどきお伺いします。これは文部省側がするような話なのか、あるいは薬剤師会にお願いするべきかはあると思いますので、そういうところも少し取組を考えていただければと思います。

 

○中森構成員 

先ほどモニタリングの回数のお話がありましたが、その点に関しては、私どもCRO協会としても御協力できるかと思います。いつも言われるのは、日本は契約まででかなりの労力が必要で疲れてしまって、そのあとがなかなか進まないと。特に契約までのビジット回数が多いと言われておりますので、その辺りは是正とか、効率化を図らないといけないと思います。

 それと教育ですが、中高はいいのですが、大学の教育は、私は薬学部出身ですけれども、フェーズ1・2・3ぐらいは分かるけれど、実際にクリニカルトライアルをやるときに、最初に何をやって、次に何をやって、最後にどのようにデータベースロックしてとかのオペレーションを教えるという、そういう講座が1つもないと思います。うちの会社はボランティアで、私の母校の京都薬科大学でそういう講座を開いたところですが、そういう啓蒙が広がると、これは医学部でもあったらいいなと思っているのですが、クリニカルトライアルに対する取り組みが進むと思いますので、その辺りをもしできるのであれば加えていただければと思います。

 

○矢崎座長 

どうもありがとうございました。議論が尽きないと思いますが、ただいまの国民への普及啓発とコストの適正化は、極めて大事な大きな課題でありまして、それに対する適切な御質問とディスカッションがあったと思います。この問題は大切な問題ですので、一通りの議論が終わったあと、また、ポイントを絞って議論させていただきたいと思いますので、取りあえず進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、各課題の中で具体的に活動されている研究班の先生方に、それぞれの活動状況と今後の活動予定について説明いただきたいと思います。まず初めに、課題の1番目の「一般利用者の視点に基づく臨床試験コンテンツ作成とポータルサイト構築に関する研究」で、参考人であります、北里大学の有田悦子先生に御説明いただきたいと思います。資料がたくさんあるので、恐縮ですけれども、制限時間以内でよろしくお願いいたします。

 

○有田参考人 

矢崎先生、ありがとうございます。北里大学薬学部の有田と申します。本日は発表の機会を与えていただきましてありがとうございます。資料3-1を御覧ください。今、御紹介がありましたように、資料はかなり多いのです。2年間の活動が盛り込まれた資料となっております。所々、飛ばしながら御説明をさせていただきます。

 私は北里大学の薬学部で、治験活性化の活動は国のほうで始まりました辺りから、治験のICのロールプレイ、研究倫理、被験者の心理の講座も担当しております。先ほど、中森先生から御指摘がありましたが、薬学部が6年制になりまして、かなり臨床試験の研究なり、実務が増えております。そちらに関わっておりました関係で、今回、臨床研究、治験活性化5か年計画2012のアクションプランということで、一般の方たちにとって情報が手に入りやすく、利便性の高いポータルサイトを作るにはどうしたらいいかという課題が提出されましたときに、今までの経験を生かせるのではないかと思い、エントリーをさせていただきました。

 背景について詳しいことは省略させていただきます。現在あります科学院の臨床研究登録情報検索ポータルサイトが一般の方たちに利用しやすくするためにはどのようにしたらいいか、その提案をさせていただくための研究ということで、平成24年、25年に一般の方たち、医療関係者、患者等の意見を集約して、平成25年度にプロトタイプの構築作業に勤しんでまいりました。

 言うまでもないことですが、スライドの5枚目を見ていただきますと、現在の国立保健医療科学院の臨床研究登録情報検索ポータルサイトは、2007年からの新たな治験活性化5か年計画のときに構築されたと伺っております。UMINと日本医師会、それからJAPICのデータベースを一本化して構築されたと伺っております。

 スライド番号7枚目以降に行きます。一般の方たちへのまず意識調査ということで、実際にこのポータルサイトがどのくらいの認知度があるのかの調査をさせていただきました。主に臨床試験に従事している方たちに伺ったのがスライド910枚目にあります。実際に国立保健医療科学院の臨床研究ポータルサイトという名称自体を知っていたと答えられた方が30%でした。また、御自分たちで臨床試験の情報検索をする際には、どのツールを使われるか、いろいろと代表的なものを挙げて選んでいただきました。現在の科学院のポータルサイトは4%くらいの方しか使われておらず、実際はGoogleYahooなどの検索エンジンを用いて、組み合わせる形で使われています。また国内のデータベースとしては、UMINが一番使われているという結果が出ました。専門家の方たちの認識度がこれくらいなのです。一般の方たちにも一応調査したのですが、当然のごとく「聞いたことがない」「知らない」というような結果でした。

 先ほどの治験や臨床試験に対する意識調査です。スライドの番号が消えていて申し訳ないのですが、次のページをめくっていただきます。一般利用者の臨床試験に対する意識調査の結果です。やはり、認知度はこの9か年の活動と、国の御努力により、かなり上がっております。しかし、イメージをカテゴリー分類したところ、人体実験である、不安や恐怖である、危険である、アルバイトであるなど、そのようなカテゴリーも出てきています。その背景を探ってみますと、必ずしも御自分が参加したとか、正しい知識を持っておらず、一般的なイメージでネガティブなものを持っている方がまだまだ多いという結果が得られました。

14枚目に行きます。実際に一般の方たちは、ではそういう情報を入手したいときは、どのような手段で探されるのだろうか。これについてはボランティアの方を募りまして、ある疾患に掛かったとして、その情報をどのように調べますか、自由に調べてくださいという設定で行いました。

 そうしますと、スライド番号15枚目になります。やはり、多くの方たちがGoogleYahooなどの検索サイトに、まず新しい薬、自分の疾患名、飲んでいる薬などを入力して、検索を始められました。これはどのくらいのネットユーザーのレベルかにもかかってまいりますが、and検索やor検索を使いこなせる方はまだ少ない。何度も同じように検索語を入れるような傾向がありました。新しい治療法、新しい薬を探すということだったのですが、現在の臨床研究、治験のポータルサイトにたどりついた方は、このボランティア8名中1名でした。

 実際、今使われているサイトの使い勝手についても、評価をしていただきました。やはり、専門的な知識を持たない一般の方にとっては、スライド番号17枚目になりますが、まず、その入り口が分からず、トップページからデータベースに入れなかったとか、印象として難しそうなど、専門用語の解説も、文字、文章で書かれているということで、一番下にありますが、サイトの使いやすさ、情報の量や質も大事だが、自分がそういう知識を持っていないと、幾ら情報を一方通行で当てがわれても、適切な判断が難しいというコメントも得られました。

 では、改修していくに当たって、どのようなことがポイントになるかを、臨床研究や治験にある程度の知識のある一般国民500名に聞いた結果が、スライド19枚目です。まず、アクセスのしやすさですが、先ほどから御指摘があるように、自分の分かっている言葉、治験や臨床研究という言葉を入れた場合、現在の科学院のポータルサイトは一番上には出てこないという問題があります。民間では、ある程度の費用をかけて、SEOなどの努力をされていますが、一般国民が使いやすいものにするためには、国もそのような努力が必要ではないかということが要望として上がってきました。

2番目、検索機能の多様性・利便性です。一般の方は、例えば「乳がん」「乳癌」「乳ガン」と、いろいろな入れ方をされますが、Googleなどはシソーラス機能が完備されていますので、システムで対応できるようにしないと、専門的な言葉が分からなければ調べられないのは、やはりユーザーにとって親切ではないという要望が上がりました。

 それから、3番目です。地域別・疾患名別の入力です。一般の方たちがそういう情報を調べられるというのは、研究や業績目的ではなく、御自分の身近な家族、御自身の病気などに対しての治療法を探したいのが根本的なニーズです。やはり、自分の住んでいらっしゃる居住地の近くであるとか、自分の病気などを入れたときに、その当てはまる内容だけが素早く抽出されてくるような検索システムという御要望がありました。

4番以降は直接このポータルサイトとは関係ないかもしれませんが、いろいろなサイトが今、出ております。それを一般の方が判断するのは難しい。そのポータルサイトに臨床研究や治験に関わるような情報を集約していただいて、その国のポータルサイトにアクセスをすれば、そこにリンクが張られているサイトは信頼性が明示されているというか、保証されているような形、安心して見られるようなものにしてほしいという御要望がありました。

5番目は言葉の解説・知識を深められる情報です。治験や臨床研究、教育が大事という話が出ていますが、ある世代以上の方たちは、先ほど御紹介したようなネガティブなイメージを持っていらっしゃる方が多い。言葉だけではなくて、コンテンツやある程度ビジュアルで、治験や臨床研究について理解できるようなものを提供する必要がある。これもまた、いろいろなものが既に作られてはいるので、その中でいいものを1箇所に集約できればいいのではないか。そのような要望がありました。

6番目は連絡先の表示です。専門家が必要な情報と一般の方が必要とする情報は、必ずしもイコールではない。下のスライド番号20番目にありますが、一般の方たちが居住地であったり、疾患であったりを入れたときに、それ以上の詳しい情報はある程度、連絡先や相談窓口で相談できることを明示してほしいという要望もありました。

 それらの要望を踏まえて、私ども、有田班と呼ばせていただくと、検討させていただこうと思ったイメージは、一般の方たちが臨床試験、治験の情報を得るわけですが、最初からそこにピンポイントで行ける方は少ないので、そこの周辺領域のキーワードを入れたときに、現在あります科学院のデータベースに誘導できるような、いわゆる文字どおりポータルサイトです。入り口となるようなものができたらいいのではないかというコンセプトで作業を進めてまいりました。平成25年度は実際にそのポータルサイトのプロトタイプ構築に着手しようと思ったわけですが、スライド番号23枚目を見ていただきます。幾つかその条件があります。科学院のポータルサイトを解消するために、一応反映はするので、その検索システム等を、そちらのデータを使わせていただけるとよかったのですが、まず各関連機関の所有物であるということで、当研究班ではデータを直接利用することができませんでした。ですので、ちょっと小規模になってしまったのですが、そのデータを模擬的にコピーしたものを、あくまでも研究班の内部で評価に使うというお約束で、使わせていただきました。そのことをまずお断りさせていただきます。

 また、それと同時にアクセス、SEOに関しての検証です。同じく、今回のプロトタイプは、公開することができませんでした。あくまでも研究ということで、内部評価に留まっております。SEOの設定や一般国民による評価は、行うことができませんでした。

 そのような条件を踏まえた上で、今回構築いたしましたプロトタイプを御紹介させていただきます。まずその表紙ですが、実装の調査の中で、データベースにたどり着けなかった方が多かったという現実もありました。まず、その表紙の段階で、何があるかを一目で分かるようなデザインを考えたのが、こちらの臨床試験ポータルサイトのプロトタイプの画面になります。スライド番号が消えてしまって申し訳ないのですが、音声入力も可能とか、入力欄は1つという、25枚目のスライドになりますが、これを見ていただきます。その表紙の画面を見ていただくと、何をどこに入れたらいいと迷わないですむように、一応入力欄は、検索欄は1つの構成にいたしました。こちらに疾患名や地域を入れていただくと、その検索システムで適切なデータが呼び込めるような、そういう作りにいたしました。上の音声入力はトライアル的なものですが、打ち込むのが苦手というような、まだある程度の世代以上の方は、そういう面があるかと思います。声で入れた場合にも、それが検索につながるような工夫をいたしました。

 親しみのわくイメージキャラクターですが、やはり敷居が高い、ネガティブなイメージをまだまだ持っていらっしゃる方がいますし、あとは実際にサイトを使われた場合に、ページが移ってしまうと、どこにいるか分からなくなってしまうという声もありましたので、そのサイトの内容によって、このイメージキャラクターの服装だったり、デザインを替えたりしつつ、ただ、このサイトは臨床試験ポータルサイトだと分かるような、そういった形のイメージキャラクターをデザインさせていただきました。

 下のスライドに行きます。上のタブの所ですが、「臨床試験を知る」「病気を知る」「参加者の声を聞く」「より詳しく探す」「リンク」というような形でタブを作らせていただきました。データベースで情報を得ることだけにピンポイントで絞りますと、「より詳しく探す」というところだけで良いのかもしれませんが、実際の方たちの声をいろいろ調査させていただいた結果、やはりそもそもそこのポータルサイトに来た段階で、臨床試験自体についての理解も深まり、また自分が罹っている病気の標準治療は何で、だからこちらの実際の治験の情報があって、それを比較してなど、そういうようなものが1箇所でできる。また、参加者の声ということで、実際にその臨床試験、治験で何が行われているかのイメージが付かないので、実際にその参加した方の声や体験談、また、患者会等で作られているパンフレット等がここで手に入ると良いという声もありましたので、タブはこのような形で幾つか作らせていただきました。

 次のページに参ります。スライド番号が消えていて申し訳ないのですが、27枚目になります。今回の一番の目的であります検索システムについてということで、ちょっとピンポイントで御紹介をさせていただきます。現在の科学院のサイトをより良いものにすることが今回のテーマです。検索に対するサイトの課題をちょっと調べさせていただきました。そうしましたら、先ほどのシソーラスの話でもありましたが、「乳がん」を漢字で入れた場合、これは718日に、この資料を作成するときに調べさせていただいた情報ですが、534件の検索結果が出ました。それに対して、「乳」が漢字で「がん」が平仮名の場合は、201件です。Googleなどですと、多分この辺りは、揺らぎを吸収してくれると思うのですが、現在の検索システムですと、検索の揺らぎが吸収できていないということが明らかになりました。

 また、先ほどのand検索、or検索です。例えば、「北里 乳がん」と入れた場合に、Googleですとand検索になりますが、今回の科学院のサイトの場合は「データが見つかりませんでした」というような結果が出てしまいます。やはり、まずは使いやすいものにするためには、検索システムをより良いものに。多分、技術的には今の日本の技術ですと、それは可能だと思います。そうすることが必要だろうということで、北里のほうは、検索システムをかなり構築いたしました。

 先ほど、御紹介した検索窓1つの所に、スライド番号29枚目になりますが、「北里 乳がん」と入れた場合に、自動的に検索システムのほうで、「乳癌」「乳がん」「乳ガン」と、こちらにありますように、平仮名、漢字、片仮名を全部含んだ「乳がん」ということで、検索の結果が出てくるようなシステムにいたしました。

 その下の表になります。その検索を入れた次の画面として、この下のスライドのような画面が出てきます。まず、そのデータだけを出すのではなく、その乳がんについて、更に詳しく知りたい場合は、こちらのサイトにリンクをできますよというようなことで、「病気を知る」という項目も同じ画面に小さく出すようにいたしました。

 次ページをめくっていただきます。「病気を知る」という画面です。もしも、病気を知りたい場合ですが、こちらはプロトタイプの段階で完全版にはなっていないのですが、例えば、乳がんであれば、国立がん研究センターのほうのサイトでとても充実した内容があります。そちらに飛ぶような形で連携させていただく。また、患者の語りであれば、例えば乳がんの患者の語りはDIPExJapanというサイトでいろいろな項目が挙げられております。そちらにつなげていただくという形で、より良いサイト、先ほど信頼性のあるということがありましたが、その辺りを乗り切ればいいのではないかと御提案させていただきました。

 実際のその臨床試験の情報は、次のスライド32枚目です。項目が必ずしも専門家が必要なものと、一般の方が必要としているものとは違うということで、こちらを見ていただくと分かるように、対象疾患、進捗状況、実施責任組織、年齢、実施都道府県という、先ほど一般の方の要望で出ておりました、自分の近くで、どこが連絡先で、どういう内容の疾患が行われているか、今やっているのか、既に終わっているのか、その辺りの基本情報がまずは得られるような項目に絞って表示をすることにいたしました。

 次のページで、スライド番号は消えていて申し訳ありません。33枚目、34枚目になります。そちらの具体的な試験名を開いていただきますと、科学院のサイトのデータベースにつながります。こういう入口を作ることによって、科学院のサイトのアクセスも上がるのではないかと御提案をさせていただきました。

 次ページです。実際にこういう検索システムは、技術的には可能であったのですが、それを検証している中で、幾つかの問題が出てまいりました。その代表的なものを御紹介します。乳がんを調べたくて、検索ワードに入れたわけですが、一番下の20111213日という登録日を見ていただきますと、卵巣明細胞腺がんという卵巣がんのデータが出てきてしまう。なぜかということで検証しましたら、その下のスライドにありますが、除外基準に乳がんが入っていて、そちらの文字列を拾ってしまうというようなことがありました。

 また、次のページに行きます。その辺の理由をなぜかということで検証していきましたら、登録をされている項目として、WHOが定めた20項目に従って登録はされていると思うのですが、そのWHO14番目、主要な適格基準・除外基準が1つの項目として挙げられております。3つのデータベースの中で、JAPICに「対象基準」ということで、1つのセルに両方が記載されています。除外基準、選択基準が1つのフィールドに入ってしまうということで、その除外基準の疾患名を無視すると、この1つのデータベースからは選ばないことになってしまいます。なかなかその辺りが難しいということがありました。

 次のスライド番号39枚目です。実施状況に関しても、それぞれ実施状況を表す項目と、実際に入力されている内容が、例えばUMINの場合は「試験進捗状況」、JAPICの場合は「試験の内容試験の現状」、医師会の場合は「試験の進捗状況参加者募集状況」というような項目です。また、その中に入れられている言葉もいろいろ様々、微妙に違うことから、なかなかその辺りを全部、1回の検索システムで抽出していくことが難しいということもありました。

 もう1つ、一般の方の要望が高かった地域の問題です。次のスライド番号40枚目です。登録情報の多くが地域が未入力であったり、また多施設共同の場合は、中央機関の住所のみが入力されていたりで、その検索キーとして使おうと思った場合に、現在の実施都道府県という項目は、直接的にはうまく利用できないという問題も明らかになりました。

 スライド番号41枚目です。この研究期間にICTRPというWHOの担当者の方ともディスカッションをする機会があったのですが、やはりもともとのデータベースが複数あるのは日本だけということで、その担当者の方もなぜでしょうというようなことでした。ちょっと私も分かりませんということで、やはり今回の検索システムを構築していく中では、そのデータベースがバラバラにあるということが、かなり混乱のもとではないかということが明らかになってまいりました。サイトのデザイン等々の問題もありますが、今は多分、ITの技術的にはシソーラスであったり、検索システムをより良いものにしていくということは、技術的には可能だと思うのですが、もともとのデータ構成が統一されていないというところは、どこかで統一していただかないと、なかなか表面上のところを修復していっても、難しいかなというのが結論となりました。

 最後になりますが、私ども、2年間いろいろ研究させていただきました。実際、一般の方たちがこういうサイトを、また正しく理解をして、かつ利便性の高いものを、とても望んでいらっしゃるのは、もう肌で感じております。また、日々の生活の中でも、医療機関、また医療系の学生の教育に当たっております。いろいろな意味で、教育にも役立てるようなものが作られればいいのではないかということは、すごく思っております。なので、一般の方と専門家向けとは入り口を変える。又は、幅広い情報を吸収して、それを上手に現存の科学院のポータルサイトに誘導していくというような、ちょっとした工夫が必要で、内向きでその改築をしていくだけだと、なかなか知られないということで、もったいないなと感じております。

 結論としては、今後本当の意味で、一般利用者の方に使いやすいものを作っていただくためには、抜本的な改革と、やはり併せて国民の方への、マスメデイアも含めた臨床研究の啓発が重要だろうということを改めて痛感した2年間でした。報告を終わらせていただきます。

 

○矢崎座長 

どうもありがとうございました。時間の関係もありますので、引き続いて、国立保健医療科学院の佐藤元先生からよろしくお願いします。


○佐藤参考人 

本日は報告の機会を与えていただき大変ありがとうございます。時間もありませんので、かいつまんで私どもの研究活動について報告させていただきます。

1ページ上段に研究の題目があります。「国民・患者への臨床研究・治験の普及・啓発に関する研究」です。これは、臨床試験・治験の登録情報を取りまとめ、その情報を公開している私ども国立保健医療科学院の情報公開ポータルサイトを、実質的に改修すべきであるという要請に応えるという目的が先ずあり、さらに幅広く、患者さんや情報を利用される国民の方々の期待に応えるサービスの実現という意図で研究班を組織したものです。

1ページ下段に、班員、協力者の方々のリストがあります。私ども科学院以外に、いわゆるJPRN・治験の登録機関3機関と、在京のナショナルセンター、PMDA、医薬基盤研究所などの方々に参加していただいて研究班を構成致しました。

2ページ上段に、要改善点のまとめがありますが、私どもが研究班を構成するに当たって考えたことが4点あります。1つは、臨床試験ポータルの情報提供において、何を変えなければいけないのかという改善点の整理。2番目に、本課題の解決に向けて、JPRN構成メンバーでの問題意識の共有と解決に向けた協同を図ること。3番目に、JPRNはもちろんですが、ナショナルセンター、国立病院機構など、大学も含めて、臨床試験の情報、教育に関するコンテンツ作成について自己評価をしていただき、その運営体制と情報提供サービスの現状について見直していただく。つまり、コンテンツ作成の基盤整備とノウハウの向上・共有の契機となること。その上で、私どもの臨床試験情報ポータルのサイト設計を具体的に行うことを目指しました。私どものサイトの利用向上と申しますと、単純に科学院の臨床試験のポータルサイトが多くの方に見て頂ければよいということに終始しがちですが、より本質的には、当方に蓄積されている臨床試験の登録データを皆さんに幅広く利用して頂くことも含めて研究班における検討課題と致しました。

 明らかになった改善点を整理して述べます。2ページ下段に情報アクセスの改善について記載されています。まず確認されたことは、公的な情報サービスが求められているという点です。ただ、一般の医療情報、治験の情報、疾患の情報、あるいは研究の情報を、多くの方々が目的に応じて複数のウェブサイトを検索・回覧して情報収集をしており、大きな手間となっている。この点で困っているという声が多く聞かれました。現在運用されている政府の提供ウェブサイト、厚労省と私ども科学院のサイトが主になりますが、こういったサイトを主に利用している方々は、医療機関の情報提供部門の方々だということが明らかになりました。

3ページ上段では、患者さんは治療という観点から情報収集を始められるため、身近な医療機関の情報サイトを通じて情報収集をされるという結果が得られています。臨床研究・治験に関する情報アクセスに関しては、医師主導治験をはじめとして、治験と関わりの深い医療機関は、医師会のサイト、治験推進センターのサイトへ、製薬企業関係は、日本医薬情報センター(JAPIC)のウェブサイトへアクセスをして情報利用をしています。

 「利用者向け情報の充実に向けて」と下にありますが、キーワード検索で上位になることにより、科学院あるいはJPRNのサイトへのアクセスが増えると考えられますが、こうした検索エンジンの適正化は万能策でなく表面的な対応になりがちです。より重要なのは、期待に応えるようなコンテンツをどのように確保し、それを集約するかということに尽きると考えています。

3ページ下段は、先ほど申し上げたように、一般の方が利用する場合には、治療という視点から情報収集を始めるので、病気はどのようなものか、利用可能な一般的な治療は何か、治験がその先の選択肢としてどのような利点や欠点を持って存在するのかという情報を、一覧性を高くして総合的に知りたいという要望があります。一般的な病気の情報や、治験対象薬の有意性や副作用についての最新情報を的確に知らせることが強く求められています。

4ページ上段は、情報コンテンツの2番目です。もともと現在の情報提供ウェブサイトは研究者向けにサービスが開始され、それを手直しして一般の方に公開するという運営がされてきたため、まず、用語が専門的で分かりにくいとの意見があります。それから、先ほど北里班からも御報告があったように、検索エンジンが科学的な用語で検索をかけた場合には、ある程度目的に沿ったものが出てきても、検索用語の揺らぎをうまく吸収できず、なかなか検索の目的を達せられないという欠点が指摘されています。患者さんの側では、自分自身、患者の個々人が、実際に治験に参加できるのかどうかという被験者のリクルート条件、リクルート状況に関する情報、また治験実施期間を的確に知りたいという要望があります。

 ただ現状として、治験の実施状況は例えば毎月、半期ごとに更新をするような逐次的な状況になっておりませんし、登録された治験実施機関は代表機関だけが表示されるようになっています。全国で治験が行われていても、代表機関が、例えば北海道に大学があれば、北海道の治験として検索をされてくるという現状になっていて、。実際の治験実施機関名にたどり着けないことが問題として挙げられています。

4ページ下段は、サイト構成やデザインをもう少し親しみやすくするということです。また、、ウェブサイトの利用に際しては、知りたい情報を得るまでに右往左往しなければいけないことが多いので、こうした情報検索のフローを意識したサイト構成が求められています。

5ページ上段には、明らかになった課題で、積み残しの課題も含めて述べられています。基本的に、やはり情報コンテンツを作成することに対する基盤が非常に弱い。それは医療機関もJPRNメンバーも、学会についても同様ですが、治験情報・医療情報を作成していく基盤整備と、その情報を評価しつつ集約・提供する情報のセンター機能を、ナショナルセンターあるいはJPRNが持てるかどうかが1つの大きな課題です。

2番目は「科学院の情報ポータル運営能力の向上」とありますが、科学院に限らない問題です。JPRNは、厚労省の医政局研発課、私ども科学院、UMIN、日本医師会、製薬協の医薬情報センターの5者によって構成され、その5者の連携がボランタリーに進められて来たわけですが、コーディネーションが十分であるとは言えない状況にあります。治験登録に関しても、法的な裏付けがないために、米国や欧州と違って、日本国内で治験が行われながらも、国内のレジストリーに登録されず、海外のレジストリー、例えば米国のClinicalTrials.govだけに登録をされる治験が幾つかあり、国内での治験状況を完全に把握できる体制になっていません。そうした、そもそもの情報基盤の弱さを積み残しの課題としてここに報告させていただきたいと思います。

 その一番下部に記載があるのは、医療機関、患者会、あるいは製薬企業の治験担当者の方々とのヒアリング結果です。治験を実施する体制が徐々に整ってくると、必要な数だけを効率的に集めて治験を実施したいという意図が大きくなってきます。そうしますと、治験実施者に観点からは、医療の選択肢として患者さんに治験の機会を幅広く提供するということは、非効率で余り積極的に考慮されないということになります。この辺りは、患者団体あるいは患者さんの側で多々不満に思われる事項として挙げられています。公的な情報サービスを提供する上で、こうした治験の社会的な意義付けをいま一度考える必要があるのではないかという課題があります。

 こうしたことを踏まえて、5ページ下段から、私どもがどのような情報提供のためのプロトタイプ・サイト設計をしてきたかということの説明に入りたいと思います。

6ページ上段です。私どもが情報ポータルとして機能するために、まず内部的に蓄積されている臨床試験・治験の登録情報がしっかりと目的に沿って引き出せることが第一に重要です。、一般的な治験の説明、疾患の解説、また具体的な治験に関しては、それぞれに関する説明を治験実施医療機関、あるいは疾病の治療を行っている医療機関で情報提供を行っておられます。こうした外部で作られた多様なコンテンツを、私どもの情報収集エンジンを使って収集し、まとめて提供する。これが実現されてこそ情報ポータルと呼べるだろうと考え、上段にあるようなデータ参照を進めて、うまく表示をすることを目指しています。

6ページ下段です。例えば潰瘍性大腸炎ということで検索をすると、疾患については、難病情報センターの情報を持ってくる。医薬品については、医薬情報センターの公開情報をうまく引き出してくる。臨床研究に関しては、私どものデータベースからデータを引き出してくる。こうした情報を一覧性高く瞬時に表示可能とし、より詳しい情報を知りたい方には、必要な外部サイトへうまく誘導するというデザインを考えています。

7ページ上段には実際のサイトデザイン例があります。小さい図で恐縮ですが、左上にキーワードを入力して検索をすると、いろいろな疾患に関して治療情報とともに、実施中の治験情報が出てきます。検索エンジンの話は以前から度々、問題が指摘されていましたので、この揺らぎを吸収するような事象を、医薬情報センターの御協力を得て、作成中です。また、「用語や病気の解説を国立研究機関から」とありますが、先ほど申し上げた難病センターや難病財団、あるいはナショナルセンターで作成されたコンテンツをうまく吸い出して表示するポータル機能を高めたサイトの設計を進めているところです。

7ページ下段です。ナショナルセンターの中では、国立がん研究センターと精神・神経研究センターが治験に関する情報の作成能力と発信能力が高いという現状があります。これら機関では、専門的な知識を集約するということ以外に、実際に主治医や患者さんとのコミュニケーションを通じて、分かりやすい情報を作成するという点で非常に努力をされています。私どもの研究班では、そういった情報作成、コミュニケーションのノウハウを、ナショナルセンターの方々、国立病院機構の方々に共有していただき、各々の特異な分野の疾患・治験情報を作成いただくこと、さらに可能であれば、その情報の集約・発信のためのセンター機能を、何とか構築してもらえないかということで、ディスカッションを進めてきました。

8ページ上段です。情報ポータルということを考えると、世の中、たくさん検索エンジンで引っ掛かってくるものを、全て羅列すればよいというものではなく、公的サービスとして情報の質をどう担保するかが課題にになります。現在設計中のポータルサイトでは、ある程度、その中で専門家の委員会を作って、情報のスクリーニングをかけ、皆さんに利用していただくのに不安のない情報を選別して提供する体制を計画しています。

8ページ下段です。先ほど冒頭近くで申し上げたように、科学院やJPRNの治験登録のサイトのアクセス数が増えればそれでよいというのでは、余りに近視眼的であろうと考えています。基本的には、私どもで情報の整理や蓄積をしながら、その情報を幅広く利用いただくことが目的です。模式図が8ページ下段にあるように、私どもの中の国内治験の情報と、国際的な治験情報を併せながら、それを外部の方に提供することを考えています。私どもが持っている資源としての蓄積データを外部でうまく利用していただくような仕組み作りです。

9ページ上段です。患者会には、難病、がん、あるいは一般的な病気といろいろありますが、それぞれが取り扱っておられる疾患について開発中の薬剤情報を収集し、会員の患者さん向けに提供しておられる組織があります。今、グループ・ネクサスのウェブページ「レター」の例を示します。先日、日本製薬工業協会の患者連携部会による会合において、科学院のデータを一生懸命探して、こうした治験情報を取りまとめ、会員の患者さんにお伝えしているというお話がありました。こうした活動を効率的に進めていただくために、疾患別に科学院のデータを逐次検索して、その結果をすぐに患者さんの会のウェブサイトで検索表示ができるような検索モジュールを作成して配布すること、その結果として、私どものデータを実質的に使っていただくようなエンジンを作ることを並行して進めています。

9ページ下段は、これまでなかった項目です。治験の推進、あるいは現状の把握という点からは、臨床試験・治験の動向を把握して表示することが求められると思います。下にあるのは米国のサイトなどですが、例えば月次、年次の治験、疾患領域別、地域別、施設の種別によって、どのように治験が行われていて、どのフェーズにあるかということの集計がウェブサイト上から瞬時に表示できるようになっています。私どもは日本の治験データを蓄積していますので、こうした表示を可能として、皆さんに役立てていただきたいと考えています。

10ページ上段です。検討中の課題を、今、進めながらやっているところですが、まず、何しろJPRN間、国研、ナショナルセンターなどとの連携強化の仕組み作りが求められます。先ほど、北里大学のご発表でもあったように、JPRN3機関のデータ形式を統一することや、国内治験は、国内のデータベースに登録するということを求めること等が、法的な整備を含めてベースとして必要であろうと考えています。

 それから、先ほど申し上げたように、治験が、患者さんや一般の方にとって、治療の選択肢の1つとして現れることが望ましいのだという、治験の社会的な位置付けを、私どもJPRN、医療機関、また製薬企業の方々も含めて、もう一度考えて、情報提供に取り組むことが必要だと考えています。

 「情報基盤の強化」の所にあるのは、私どもは日々、JPRNの登録治験データを統合しているわけですが、実は、その中の用語が不確かであったり、あるいは、それぞれの機関が、それぞれの意図に応じて形式変更などを逐次されるものですから、なかなかそれに追いついていくのが精一杯という状況があります。そうしたデータ自体を管理すると同時に、データの品質管理をすることも求められているところです。

 以上、こうした概要に沿って、1つには、私どもが本当の情報のポータル機関としてウェブサイトを運営できるように、治験情報をうまく検索して出してくること。それから、患者さんや一般の方に求められているように、医療情報や薬剤の情報なども一元的に表示できるようにすること。もう1つは、情報のコンテンツを作る基盤的な能力を周りで高めて、それをうまく集約するような仕組み作りを推進すること。そうしたことを中心に、今、進めているところです。

 最後になりますが、現在、7月の末で、今、そのウェブサイトについて技術的な検討をほぼ終えていますので、どのようなものを盛り込んで、例えばどのようなデータのセキュリティのレベルで設計をするのかということを踏まえた仕様書を作成して、それを完成させ、8月早々ぐらいには入札に入りたい。年内には開発を終えて、年度内には運用開始というようなスケジュールで進めているところです。以上が概要です。

 

○矢崎座長 

ありがとうございました。大分時間が過ぎて予定の時間をオーバーしていますけれども、続きまして、大阪大学の松村先生からお話を伺った後で少しコメントを頂きたいと思います。

 

○中川構成員 

矢崎先生、質疑の時間はどのぐらいを予定しているのですか。

 

○矢崎座長 

事務局の案では50分だったのですが、今。

 

○中川構成員 

もう過ぎているではないですか。

 

○矢崎座長 

そうなのです。だから研究発表の制限時間を、事務局がもう少し守るように事前によく調整していかないと、私も大変心配していたのです。今後ともよろしくお願いします。

 

○中川構成員 

次の発表が終わったら時間切れになります。


○矢崎座長 

そうしましたら、次回に繰り延べさせていただきます。


○中川構成員 

何を繰り延べするのですか。質疑をですか。

 

○矢崎座長 はい。

 

○中川構成員 

ここでディスカッションに移ったらどうですか。

 

○矢崎座長 

でも、せっかくですので、この話だけ聞かせていただいて。

 

○中川構成員 

事務局、どうですか。


○研究開発振興課治験推進室主査 

大変申し訳ございません。もう少し事前に、時間について私どものほうから先生方のほうにお願いしておけばよかったと反省しております。大変申し訳ございません。

 

○中川構成員 

次回の会のときに、今のお三方、また来ていただくのですか。

 

○研究開発振興課治験推進室長 

もしよろしければ、今回、お三方の先生の御発表の後に、資料4として中間評価に当たっての論点()を御提示させていただき、それに基づいてのディスカッションをお願いしようと思っていましたが、もしよろしければ資料4については次回以降に繰り延べさせていただき、資料3までについて御報告いただきながら、またディスカッションしていただく形を御提案させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。


○中川構成員 意味が分かりません。


○研究開発振興課治験推進室長 本日の議事次第に議題(1)(2)(3)とありますが、(2)が中間評価についてということで、中間評価に当たっての論点()を御用意させていただいていました。ここの時間を十分に確保することが困難であるという御指摘だと思いますので、本日、例えば(1)123まで先生方の御発表とディスカッション、御質疑をしていただき、それ以降については次回以降に繰り延べさせていただくという御提案ですが、いかがでしょうか。

 

○中川構成員 

今、発表された先生方に質問とか意見を言う場は次なのですか。

 

○研究開発振興課治験推進室長 

この後でございます。

 

○中川構成員 

資料4に基づかなければ駄目なのですか。

 

○研究開発振興課治験推進室長 

説明が十分でなくて申し訳ありませんが、資料4123の御発表とディスカッションを踏まえ、前回までに「症例集積性の向上」や「治験手続きの効率化」といったことについても御意見を賜っていますので、そういったことを踏まえたディスカッションをお願いできればということで、事務局で準備させていただいたのですが、事務局の不手際でそこまでの時間が本日、取れないという状況ですので、議題(1)まで本日、進めていただければ有り難いと考えています。

 

○矢崎座長 

よろしいですか。座長としましては、今日、せっかく研究発表というか内容を御説明いただいて、それに対する御質問ということで、資料4については50分検討する予定だったのですが、時間が押していますので取りあえず松村先生からお話いただいて、その発表に対するコメントを頂いた後、先ほど最初のほうに国民への啓発とIT化時代に向けてのサイトについて、最初に御議論いただいた部分を。

   

○松村参考人 

早速、始めさせていただきます。「臨床研究・治験のIT化推進のための実施プラン策定に関する研究」について、御報告申し上げます。主任研究者は私、大阪大学の松村です。分担研究者は資料のとおりの5名です。本研究は、IT化推進に関わる課題ですのでPMDA、製薬協に加え、保健医療福祉情報システム工業会からも研究協力者として参加していただいています。

 本研究は、臨床研究・治験活性化5か年計画20126つの課題のうちの6番目、IT技術の更なる活用の課題に主に取り組んでいますが、一部で、1番目の症例集積性の向上に関わる課題にも取り組んでいます。私たちの研究班では資料の4つの研究課題に取り組んでいます。1番目は患者数調査のためのデータベースの構築、2番目は治験審査資料の電子化による治験審査の効率化、3番目は病院情報システムとEDCの連動による症例報告書作成のデータ収集の支援、4番目はリモートSDVによるモニター業務の効率化です。

1番目の患者数調査のためのデータベースの構築から、御説明申し上げます。このデータベースは治験ネットワークを構築した際、ネットワーク事務局が各医療機関への治験担当配分数を決める際に利用するものです。入院患者については、DPCデータが有効と思われますが、外来患者については参考となる資料がありません。現在は各病院から外来についてもEFファイルが作成されており、レセプト、EFファイルが唯一、多くの病院から共通して出力できる電子データセットになります。しかし、レセプト病名の単純な集計では精度的に問題があります。そこで、投薬内容等と病名から治療対象となる病名を割り出し集計するシステムを構築しました。各病院から同じ処理で患者数を割り出しますので、その比率を知ることで治験担当配分数を決める際に参考になると考えています。

 資料の図は、本方法の概念を示したものです。投薬・治療データから病名の漏れを補い、終了忘れや疑い付けの忘れなど不備のある病名を除きます。この推定には病名の概念階層に沿ってカウントする必要があります。そこでICD-10の病名コードを、資料に示しますように分類コードに置き換えました。薬に対して、その適応病名それぞれに配点し、またレセプト病名にも配点します。患者に処方された薬について、適応病名の点数と病名の点数を集計し、最高得点を取った病名から採択し、それを除いて処理を繰り返して次々に病名を拾い出す方法をとりました。

 次を御覧ください。その結果です。患者2名について診療録を確認して抽出した病名の妥当性を評価しました。それぞれ12病名、9病名を抽出しましたが、妥当でない病名は1病名だけであり、抽出できなかった病名がそれぞれ3病名でした。阪大病院の201312月のレセプトデータに適応させたところ、約2万人の患者に対して16,000件の病名が抽出でき、そのうち7割の1万件が小分類まで推定できました。この方法を更に精緻化させて実用化させたいと考えています。

 次に、2番目の課題である治験審査資料の電子化による治験審査の効率化について、御報告申し上げます。この課題は、渡邊班の「医師主導治験の適用に関する研究」におきまして、治験関連文書における電磁的記録の活用に関する研究で、治験関連文書の電磁的保管における要件が示され、その内容が昨年、事務連絡として通知されました。私たちの研究班では、これを受けて、実際に電子化した治験審査資料での治験審査を進める上での課題を明確にすることを目的としています。治験審査を支援するシステムについて調べたところ、この要件を満たしたシステムが既に市販されており、クラウド技術を用いて比較的安いコストで実施できる見通しが立っています。しかし、現状では、各製薬企業からは治験関連文書を電子ファイルとして提出されるケースは希であり、そのために現実的にはこの運用は広まっていません。しかし、昨年度、日本製薬工業協会医薬品評価委員会は「治験手続の電磁化実装検討会」を開催し、治験関連資料の電子化を推し進めていく方針を決め、今年度中に成果が出る見通しとなっています。これを受けて、ITを活用した治験審査の実証実験から実施していく予定です。

 このグループでは、治験関連文書のうち、電磁化された原資料についての考え方を整理しました。電磁化したデータで原資料となりうる情報は、電子カルテに直接入力されているデータ、部門システムから電子カルテに自動的に転送され、電子カルテシステムで保存されるデータ、部門システム上のみに保存されるデータに分類されます。部門システム上のみに保存されるデータは、さらに電子カルテシステムからアクセスして閲覧するデータと、電子カルテシステムには主要検査結果を転送しているが、詳細データは部門システムでのみ保存されているデータがあります。電子カルテとして保存している文書は、真正性、見読性、保存性の確保が義務付けられており、また、実際には、ほぼ永続的に保存されていますので、臨床研究等の原資料の保存要件は満たしています。

 一方、原資料が、cの2の詳細データが部門システムでのみ保存されているデータに属する場合においては、資料の保管方法についての要件を整理する必要があります。現在、部門システムのリプレースの際に別のベンダのシステムに保管される場合がありますが、この場合には、そのままでは見読性が確保されないことがときどきあります。保管方法についてはCD-Rで保存する方法、電子カルテシステムに転送して保存する方法、紙に打ち出して保存する方法がありますが、それぞれに運用手順を決めて漏れなく保管されるようにする必要があります。

 次に、3つ目の課題として、病院情報システムとEDCの連動による症例報告書作成のデータ収集の支援について報告します。現状では紙カルテが電子カルテになり、紙の症例報告書がEDCに取って代わってきましたが、この2つのシステムは完全に切り離されているために、電子カルテの画面上のデータをEDC端末に人手で転記入力しています。この方法では人手がかかる上に転記ミスのリスクがあり、SDVの負担を増やすことにもなります。求められていることは、医師が電子カルテで入力したデータをCRCが取り込んで症例報告書を作成し、データセンターに送り込むか、医師が電子カルテに記録するデータを同時にデータセンターに送り込む方法です。

 本研究では、この方法について具体的に検討しています。この方法では、まず入力フォームを事前にセンターより受け取り、そこに共通する形でデータを記録する方法をとる必要があります。この電子化された入力フォームの標準規格としてCDISCODM(Operation Data Model)を提示していますので、これを採用しました。我々の検討の結果、このモデルでは2つの方式が必要であるという結論となりました。

 方式1は、経過記録の記録時に定められたテンプレートで作成し、このデータを症例報告書のテンプレートに引用する方法です。入力データはODMにマッピングしてデータセンターに送信します。この方式は疾患レジストリなど症例の要約情報を症例報告書としてまとめる場合、治験などでCRCが症例報告書の作成に積極的に関与する場合に適しています。

 方式2については、医師がテンプレートで経過記録の内容を作成したデータを、ODMにマッピングしてデータセンターに送信する方法です。この方法は臨床試験でCRCの支援がなく、各Visit時に医師が症例報告書を作成してデータセンターに送る場合に適しています。

 本システムを治験に適用する場合は、現実には従来のEDCでデータを登録する施設と、本システムを利用して登録する施設が混在することになるはずです。その場合、エントリ情報の登録はEDCで行い、被験者番号を受け取り、各Visit時のデータ登録をEDCに直接入力ではなく、本システムで出力されるODMの電子症例報告書を送信する形をとることになります。EDCはデータを取り込むとEDC画面でデータを確認することができ、最終的に治験責任医師はEDCで全データを確認した上で電子署名をします。このような運用を採ってもメインのデータ登録は転記作業によるものではありませんので、SDVの必要性を低減させることになります。

 この課題では、具体的に3つのことを目標としています。第1は、電子カルテシステムに組み込む症例報告書を作成し、データセンター側システムにODMを送信するシステム、私たちはこれをCRF Reporterと呼んでいますが、これの基本要件を定義することです。

 第2は、CRF Reporterと既存の電子カルテシステムとのインターフェイス仕様を定めることです。このインターフェイスは、1つには電子カルテの経過記録画面からの起動の部分、2つ目はCRF Reporterで入力したデータを電子カルテ経過記録に書き込む部分、3つ目は電子カルテに登録されているデータをCRFに引用する部分となります。この際、SS-MIXが導入されている場合には、これとのインターフェイスを作成することで対応することができます。

 第3は、既存のEDCに対して、CRF ReporterからODMを送信する際の通信手順の確認と実装です。現在、ODMEDCベンダに対して問合せをしているところです。

 次に、本研究の4番目の課題である、リモートSDVによるモニター業務の効率化について御報告いたします。リモートSDVの方式には資料に掲げた5つの方法があります。このうち、125が既に実施されている形態です。1は同一医療法人内での利用、2は地域医療システムでの利用、5は電子カルテ内容をPDFファイルにして閲覧に供する方法です。いずれも特殊な状況下で実施されていて広く普及させることはできません。

 そこで、我々は34の方式を提案し、それぞれ検討いたしました。3の方式は、電子カルテの画面をネットワーク設定により製薬企業から直接閲覧する方法です。現在、仮想化技術を用いることで技術的には比較的容易に実現できますが、セキュリティ確保の方法が重要になります。4の方法は、電子カルテの内容をSS-MIX標準化ストレージの形でデータセンターのモニタリングサーバに出力し、これを製薬企業等から閲覧する方法です。3の方式とは異なり、外部から内部へのインバウンドの接続なしに実現できますので、セキュリティ面ではより安全ですが、現状ではモニターに必要な情報全てをSS-MIX標準化ストレージに保存し、外部から閲覧できるようにはなっていませんので、新たな開発が必要になる等の問題があります。現在は3の方式で現実的な案を探っています。

 そこで今年度は、この3の方式で資料に示したような機器をそろえ、実証実験をする予定で準備を進めています。約500万円の経費でこのセットアップができ、複数の病院でリモートSDVが実施可能となる予定です。

 まとめますと、本研究では2つのリモートSDVの方式を提案いたしました。ネットワーク設定変更による閲覧(3の方式)は、構築費用の点で有利です。病院情報システムに対するインバウンドの接続がセキュリティポリシー上問題視される可能性がありますが、十分にセキュリティが確保される方法を提示いたしました。

 モニタリングサーバによる閲覧方式(4の方式)も検討しました。この方式ではインバウンドの接続は不要となりますが、現状ではモニタリングに必要なデータ種全てがSS-MIX2標準化ストレージに含まれておらず、追加の開発が必要となること。いずれにしても提示する内容が制限されますので、モニタリング業務に対する制限が発生するという弱点があります。今年度は3の方式で実証実験を予定しています。以上です。

 

○矢崎座長 

ありがとうございました。ポータルサイト策定に関する研究と、治験におけるIT化推進のためのプランを御発表いただきました。これについて、どなたかコメントはございますか。

 

○田代構成員 

佐藤先生に質問があるのですが、2点教えていただきたいことがあります。1つは、有田先生の研究班と比べたときに、あくまで印象ですが、患者さんや一般市民の方が先生の研究班にどういう形で関わり、ユーザーの目線から利用しやすい情報というのはどういうものなのかを、どういうふうに先生方にフィードバックされているのか少し見えにくいところがありました。ですので、先生の研究班で患者さんや一般市民の方、つまり将来的にこの情報を使う方がどういうふうに関わっているのか。それを教えていただきたいというのが1つ目です。

 

○佐藤参考人 

御質問が私は十分理解できていないと思いますが、一般の方がどのように関わっているかということですか。

 

○田代構成員 

そうです。例えば先生方でプロトタイプなどを作ったとき、将来、実際に検索するのは、研究班で関わっている方はもちろん使われると思いますが、むしろ一般の患者さんなどが実際に検索して、使いやすいか使いにくいかフィードバックしていくわけですよね。

 

○佐藤参考人 はい。

 

○田代構成員 

そういう意味で、一般の患者の方の意見というのが、この研究班の成果を作っていくときに、どういうふうに入っていっているのか知りたいということです。

 

○佐藤参考人 

私が本日、御報告させていただいた改善点、希望のある諸点についてですが、これはナショナルセンターに通院中の患者さん、幾つかの県の自治体に協力を求めた患者さん、全て合わせると2,000名、3,000名弱の方々のアンケート調査と、難病を中心とした患者さんの会にヒアリングをかなり丹念に行って拾い上げた声なのです。研究期間が終了した後、本年度に入ってからも、製薬工業協会の方々に御協力いただいて患者連携部会の活動の中に継続的に参加し、設計段階から、こうしたものでいいか逐次フィードバックを受けながら進めているところです。今後も実際の設計が少しずつ形になる諸段階で、できる限り皆さんにフィードバックいただきながらと考えている次第です。

 

○田代構成員 

もう1点、簡単な質問ですが、先生からも御説明いただいたように、このポータルサイト自体がもともと一般向けではない設計でしたし、そもそも日本に3つサイトがあるということで非常に御苦労されて作られたのだとは思います。ただ、現状では極めて認知度が低く、検索の際にもいろいろ難しい問題が起きていることは事実だと思います。その問題について、運営している科学院の側に、このままでは改善が難しい事情があるのかどうかを知りたいと思います。つまり、例えば現状の予算では一般向けのものまでやることができないとか、あるいは人材の問題など、幾つか科学院サイドでも課題があるのではないかと思うのです。今回、幾つか外部的な問題があることはよく分かったのですが、運営している側として、何かもっとこういうことがないと自分たちではうまくできないということがあれば教えてください。

 

○佐藤参考人 

それは継続課題のところで簡単に述べさせていただいたように、外部についてだけでなく、内部的にも制度的な問題で治験を登録するという制度から始まって、情報公開に関する法的な支援、財政的な支援の問題があります。そうした資源の問題以外にノウハウ等、プライオリティをそれぞれの機関の中でどのように高めるかということがあります。それは私どもの機関内部の問題だけでなく、外部も含めて財政的なものに現れる優先度なども高めていただかないと、なかなか難しいものだと考えている次第です。

 

○渡邉構成員 

有田先生も佐藤先生も、ご発表の中でプライマリーレジストリが3つあるのが問題という指摘をなさっています。この問題を解決するためにどのような対策を考えていらっしゃいますか。問題を指摘するだけでなく、解決策を提示しないと進まないと思いますけれども、何か具体的な提案を考えていらっしゃいますか。それが1つ目です。

2つ目に、これは有田先生ですが、ご発表の最後の方のスライドに「よりよい臨床試験情報提供のために」と書いてあります。そこに「『一般国民・患者のため』にこのような取組を行っている国は日本以外にはほとんどなく、日本が世界をリードできる領域になりうる」と書いてありますが、このような国民への情報発信はアメリカなど諸外国は日本よりよほど進んでいて、このような認識は事実誤認であり、井の中の蛙になってしまうのではないかと思いますが、どうしてこのような記載ぶりになるのでしょうか。

 

○佐藤参考人 

レジストリの統一については、私どもの班の課題を超えるので個人的な意見になりますが、実際、JPRNのメンバーを集めて話をしましても、これまでの経緯と、自分の所が1番だと皆さん思っていらっしゃるところがあって、なかなか難しい。その辺は内部でボランタリーに統一することは難しいのではないかという印象は持っています。その意味では法令に限りませんけれども、文科省、厚労省が旗を振っていただいてまず形式的に統一することや、実質的に将来、どういう形が望ましいのかという議論を進めていただければ有り難いと考えるところです。

 

○有田参考人 

最後の文面のところ、言葉足らずで誤解を招いてしまっていると思います。申し訳ございません。今回の研究を通じてオランダであったりWHOの方と意見交換させていただき、日本が進んでいるというよりも官民一体となって一般国民のためにという視点で、アメリカのほうのClinicalTrials.govはもちろん模範とさせていただいていますが、そういうディスカッションをしている過程自体をいろいろな形で評価していただいたので、どちらかというと、これは日本が進んでいるというよりも国に対してメッセージとして残したかったということなので、決して日本が進んでいるので日本が1番ですという意味合いで使った文章ではありません。言葉足らずで申し訳ありませんでした。

 

○渡邉構成員 

「このような取組を行っている国は日本以外にほとんどなく」という記載自体が誤っていると思います。

 

○有田参考人 そうですね、改めて読むと。

 

○中川構成員 

有田先生と佐藤先生の発表を聞いていて、時節柄、「患者申出療養」(仮称)が来年の通常国会の健康保険法の改正で制度化されますが、ものすごく関係あるのです。いかにポータルサイトにアクセスしやすいか、そういう次元でお話になっていますが、この問題はすごく影響が大きいと思います。

 佐藤先生、こういうポータルサイトは本当に患者さんのためなのですか。病気の一般的な治療と最先端の治験、先進医療、これをポータルサイトで患者さんが本当に調べたいのか。まず患者さんは自分の主治医に全てを託しますよね。そしてもう治療法がない、余命どのぐらいだというときに、藁にもすがる思いになると規制改革会議で岡さんが言いました。そしてこのポータルサイト等にアクセスするのが一般的だと思います。そういうときに患者申出療養の想定は、患者申出という名前ですけれども、実態は主治医が患者さんに治療法の内容、安全性、有効性を説明して、患者さんがそれを十分理解、納得した上で申し出るというものなのです。

 釈迦に説法でしょうが、保険外併用療養のうち、評価療養のターゲットは先進医療部分と治験ということになると思います。そこに、対応医療機関以外の所に行っている患者さんが受けることができるようになる可能性があるのです。そういうときに、患者申出療養というのは患者さんがインターネットで、今、日本でやっていない治療法や一部しかやっていない治験、先進医療を調べてきて、手を挙げて来るということではないのです。ポータルサイトは、むしろ全国の医師、医療機関の皆さんがいかにアクセスしやすいか、情報を得やすいかというのが大前提で、それを飛び越えて患者さん、患者さんと言っているような気がなりません。お答えは結構です。

 有田さんに質問します。あなたの資料の14番、「自分が、ある疾患に罹ったと想定し、インターネットで臨床試験情報を調べてください」、ボランティア8名、これ、ちょっと遊んでいませんか。その次に18番、「臨床試験について多少知識のある一般国民500名」、これはどうやって500人集めたのですか。まずそこからお願いします。

 

○有田参考人 

スライド番号14番ですが、これは模擬シナリオというものを作って、自分自身がその患者、またその家族であったということで想定し、具体的な例がないと実際にそういう情報を調べることができないので、模擬ロールプレイのような形で実際に模擬のシナリオに従って、情報を調べていただいたということです。行動科学のほうの検証実験の手法としてはよく用いられるものですので、遊んでいるという御指摘はあたりません。

 

○中川構成員 

私は、こういう資料にはこういうものは載せるべきでないと思います。次、お願いします。 

 

○有田参考人 

スライド番号18番に関してですが、これは予備調査としてインターネットで日本の年齢、年代の分布に従って1,000名の方に調査をさせていただき、その結果、臨床試験について多少知識があるかについて、そのスクリーニング調査の中で幾つか質問項目を設けさせていただき、そこから抽出された500名に関して、改めて2次調査としていろいろな質問をさせていただいたということてず。

 

○中川構成員 

多少知識のあるというのは、何かしていたということで多少知識があるというふうにしたのですか。

 

○有田参考人 

スクリーニング調査のほうで、具体的に参加経験の有無であるとか、その説明ですね、臨床試験や治験に対して説明をしてくださいという形で自由記述をしていただき、一定の基準で抽出をさせていただいた500名ということになります。そちらに関しての詳細は、平成24年度の報告書に背景等は詳しく書かれています。

 

○中川構成員 

繰り返しになりますが、藁にもすがる思いの患者さん、御家族に、このデータの出し方は非常に失礼だと思います。まず、患者さんは自分の主治医に全てを託して、もう治療法がないと言われたときに初めてこれを考えるというのが大部分の国民です。この書きぶりは、自分が病気になったらまずはネットにアクセスして調べましょうというアナウンスです。これはそういうふうに見えます。そうではないのですか。

 

○有田参考人 

そうではありません。研究班の中には難治性疾患の患者さん、患者会の代表複数名に入っていただいております。今、スライドの表現について至らない点があったということは御指摘のとおりだと思いますが、主治医から相談があったとか、最後の治療法として、藁にもすがる方たちの相談を受けているということは重々承知していますし、そのあたりの講義等を受けた上で、調査の一環として一部分、こういうふうな形でやらせていただいたデータを出させていただいたということです。

 

○中川構成員 

時間もありませんし、私ばかりでは恐縮ですから最後に言いますが、患者さんが仮にITに詳しい患者さんで、若しくは御家族で必死に調べて新しい先進医療、治験があったというときには、まずは自分の主治医に「先生、こういうものがありましたけど、どうでしょう」と普通は聞きますね。

 

○有田参考人 はい。

 

○中川構成員 

それがほとんどですね。ですから、私は一気に一般の国民を対象にするのでなく、全国の担当医に、例えばがんだったら、がんの専門家がアクセスしやすいこと、それをまず目指すことを私はやるべきだと思います。

 

○有田参考人 

付け加えさせていただきますと、その辺りの調査というか患者会の方のコメントはしていて、主治医またはIRB委員向けのこういう啓発活動というものも、今回、御紹介できませんでしたけれども、コンテンツを作成して並行して行わせていただいていました。ありがとうございます。

 

○矢崎座長 

そのほか、よろしいでしょうか。

 

○谷岡構成員 

私の認識が違ったら申し訳ないのですが、今の佐藤先生と有田先生の御発表に質問です。有田先生のほうが、一般の患者さんにできるだけ分かりやすくとおっしゃっているのはよく分かります。そういうこともあり得るのかなと思います。佐藤先生のほうは、もともとデータベースが、どちらかというと専門家向けに作られていたものの集約だと思うので、お二人の研究が連携しているのかなと思って聞いていたのですが、どうもそうでもないのかなと途中から思ったりしました。2つの研究の関係性とか連携というのは、どういう形になっているのかお伺いします。

 

○佐藤参考人 

研究の実施の立上げ時に打合せをしたのと、期間の終了時に私ども研究班の代表者としてではなく、サイトの設計者、運営者としての立場から、北里班のほうで研究成果として御提供いただけるような、実際に役立つ部品についての情報を頂いている形です。

 

○谷岡構成員 連携はしているということですか。

 

○佐藤参考人 成果についてはリンクしているということです。

 

○谷岡構成員 

ややこしくなってしまったかもしれませんが、先ほどどちらかの御発表でありましたけれども、データの信頼性というところはすごく大事だと思います。分かりやすいけれども信頼できないデータというのも世の中にはいっぱいあるわけで、そういう意味で今の佐藤先生の所のデータを基にして、一般の患者さんによく分かるようなものを作るというのは、ひとつすごく大きなことだと思います。もう1つ、佐藤先生の所も同じように全部を一般の患者さんにというのではなく、先ほど中川先生がおっしゃったように、専門家の先生に向けてとしたほうが効率がいいように、今日の御発表を伺って思いました。

 

○矢崎座長 

ありがとうございました。時間が参りました。これは治験が幅広くて、中川先生がおっしゃるように、がんといった致死的な疾患や難病に対する治験だけでなく、生活習慣病まで含めた非常に広い範囲の治験を対象にしていますので、それをどのように我が国で円滑にするかということが、この研究班の使命でもあるわけです。

 今日は、議題(1)にある1国民・患者への普及啓発、2コストの適正化、3IT技術の更なる活用等のお話を頂きましたが、(2)の臨床研究・治験活性化5か年計画2012の中間評価について、すなわち資料4の中に今日、お話いただいたお話も含まれていますので、そこで再び次回、時間の都合上、大変不手際で申し訳ありませんけれども、これを改めて議論させていただきたいと思います。今日は定刻になりましたので、一応、これで終了させていただきたいと思います。事務局からお願いします。

 

○研究開発振興課治験推進室主査 

本日は多数の御意見、ありがとうございました。また本日、事務局側の準備に不手際がございまして大変申し訳ございません。予定しておりました議題の5か年計画2012の中間評価に当たっての議論につきましては、次回以降で調整させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。また次回以降の開催案内につきましては、改めて事務局より御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 

○矢崎座長 

本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございました。引き続き、よろしくお願いいたします。


(了)

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