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2013年12月16日 第75回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録について

職業能力開発局

○日時

平成25年12月16日(月)15:00~17:00


○場所

厚生労働省専用第18・19・20会議室(17階)


○議題

(1)雇用保険制度(中長期的なキャリア形成を支援するための措置)について
(2)求職者支援制度について
(3)その他

○議事

○小杉分科会長 それでは定刻になりました。定足数に達しておりますのでただいまから「第 75 回労働政策審議会職業能力開発分科会」を開催します。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。本日は沢田委員、高倉委員、大隈委員、大野委員が御欠席です。また水町委員は遅れて見えられます。また浅井委員は所用により、途中で退席させていただきます。更に事務局も所用により、一時、中座する可能性がありますので、あらかじめ、御了解ください。

 それでは議事に移ります。議事次第にありますとおり、本日の議題は「雇用保険制度 ( 中長期的なキャリア形成を支援するための措置 ) について」、そして「求職者支援制度について」の 2 件です。

 まず、「雇用保険制度 ( 中長期的なキャリア形成を支援するための措置 ) について」です。内容について事務局から説明をお願いします。

 

○青山能力開発課企画官 はい、御説明させていただきます。資料 1-1 は、中長期的なキャリア形成支援措置の対象とする教育訓練について、これまでの当能開分科会の御議論も踏まえまして、報告書の素案をまとめさせていただいたものです。

 第 1 、はじめにで導入部分ですが、 1 つ目の○で近年の厳しい経済情勢の下、企業における教育訓練は低下・横ばいの傾向にあり、リーマンショック後は一人当たり、訓練費用が著しく低下するなど、人材育成を巡る環境は厳しい状況にある。特に非正規雇用の労働者につきましては、正規雇用労働者と比較して、企業による訓練の実施状況は低水準にあり、訓練機会を拡充する重要性が高まっています。次の○ですが、日本再興戦略において経済のグローバル化、少子高齢化の中で、全ての人材が能力を高め、それを存分に発揮できる「全員参加の社会」を構築することとされ、次の○では、非正規雇用労働者である若者等がキャリアアップなどできるよう、資格取得等につながる自発的な教育訓練の受講をはじめ、学び直しを促進するために雇用保険制度を見直すということで、労働政策審議会で検討を行うといったこと、合わせて従業員の学び直しを支援する事業主への支援策を講ずることとされました。最後の○ですが、これらの措置について労働政策審議会では職業安定分科会雇用保険部会における検討とともに当職業能力開発分科会におきまして、対象とする教育訓練の在り方に関する検討を行ってきました。この支援措置につきましては、非正規雇用労働者を含めた労働者のキャリアアップ、キャリア・チェンジを支援する費用面の支援として、教育訓練給付の拡充により講ずるということについて、雇用保険部会で取りまとめが進められているところです。本能開分科会では、これまでの議論を踏まえて対象訓練の基本的な考え方等を取りまとめるとさせていただいています。

2 ページの第 2 の対象訓練の基本的な考え方です。これは前回までの分科会までで議論された考え方などを踏まえて整理しています。 1 つ目の○ですが、雇用保険制度で支援するものであることを踏まえまして、再就職の促進、失業の予防、雇用の安定に資する教育訓練であることが必要であるのみならず、特に非正規雇用労働者については質の高い安定した雇用につながり、効果が持続し、能力を発揮し続けられる、すなわち中長期的なキャリア形成に資するための教育訓練機会を十分に提供するものであることが重要と掲げています。次の○ですが、こうした考え方は 1 つ目には訓練の指定基準の設定にいかした上で、 2 つ目には個々人のキャリア・コンサルティングも、これを踏まえて行い、適切な訓練受講につなげることが必要です。

 次の第 3 ですが、対象訓練の指定の在り方です。これは今、上に挙げましたものの 1 つ目の指定についてです。

1 つ目の○ですが、訓練は教育訓練給付と同様、大臣が個別に指定し、第 2 の基本的考え方、今、見た基本的考え方に基づきまして、現行の対象訓練の状況も踏まえつつ、効果の高い持続的なものとすべく、就職可能性が高い仕事において、必要とされる能力の教育訓練、効果がキャリアにおいて長くいかせる教育訓練、中長期的なキャリア形成に資する教育訓練として指定基準を策定し、講座の指定を行うことが適当となります。

 次の○ですが、この場合、非正規雇用労働者を含めた労働者のキャリアアップ、キャリア・チェンジを支援する目的から、キャリア形成と対象訓練の在り方として、職業に不可欠・重要な資格を身に付けて、専門的に就業する。特に実践的な専門能力を企業等と連携した教育訓練機関で体系的に身につけ現場でいかす。技術革新や社会の変化等に直面した企業の現場でいかせる実践的な技術開発力、企画力、問題解決力等を社会人向け教育訓練で身に付けて業務遂行に生かすといったパターンが想定されます。

3 ページですが、その際、働きながら受講する非正規雇用労働者などの在職者も含めて性別や地域を問わず、受講をしやすい形や内容で教育訓練が提供されるように確保しながらと書いています。解説しますと、つまりそういう受け皿の整備を前提にするとの趣旨で書いています。そうした役割を、果たせる内容、形態の教育訓練について就職可能性が高い仕事において必要とされるか、その効果が、キャリアにおいて長くいかせるかという先ほどの考え方に適合するものを対象とするような、解説しますが、つまりそういうパターンを描いた上で、はじめに提示したコンセプトにより、メリハリをつけながらという趣旨ですが、具体的に検討を進めて行くということが適当であると思われます。

 更に、必要な教育訓練が一層十分に提供されるよう、文部科学省において、全国展開も視野に推進されている産業界のニーズに即した社会人向けの教育プログラムの開発との適切な連携も含め、教育訓練機会の整備を図って行くとこが適当と書かせていただいています。

 次の○ですが、訓練の効果検証の点です。マル1は就職につながるか、企業の業務にいかせるかなどの点を不断に確認するとともに、マル2にありますように、実施状況を踏まえて指定の考え方、つまりは指定基準ですが、についても定期的に見直すことが必要です。以上が教育訓練の指定の在り方ですが、第 4 が受講に当たってのキャリア・コンサルティングについてです。 1 パラは、この制度のやり方として、訓練の選択に当たりまして、原則として本人がキャリア・コンサルティングを受ける方向で検討が進められることを書いています。 2 パラですが、これを行っていくためには個々人が先ほどのコンセプトにもありましたとおり、就職可能性が高い仕事において必要とされる能力の教育訓練、その効果がキャリアにおいて長くいかせる能力の教育訓練を選択できるよう、キャリア・コンサルティングを実施するキャリア・コンサルタントについて適切な要件を設けることが必要です。また、必要となる人数のキャリア・コンサルタントに対して、知識、スキルを身に付けるための研修を行うなど、その質、量の確保のための取組も進めて行くことが求められるとしています。この場合、真に適切な教育訓練を選択するためにもキャリア・コンサルタントの確保と配置の取組が公益性、信頼性の高い団体、主体によりキャリア・コンサルティングの実施に際してハローワークとの緊密な連携を確保しつつ行えることが重要と書かせていただいています。「なお」書きで、こうしたキャリア・コンサルティングにおきましてはジョブカードを積極的に活用する方向で検討することが適当とも書かせていただいています。以上が本人への直接支援を前提とした論点でしたが、第 5 は事業主への支援措置です。

 マル1は導入でして従業員が中長期的に取り組むケースに資する専門的、実践的能力の習得を行う場合に、それを支援する事業主に対する助成について拡充という打ち出しをしています。マル2ですが、対象とする教育訓練につきましては、先ほどの雇用保険制度に係る支援措置と同旨の教育訓練への支援を想定していますので、同様の訓練を事業主助成の対象ともすることが適当と書いています。

 次の○は、 2 行目ですが、経費助成の在り方ですが、今般の支援措置の対象には比較的長期で費用が高額となる教育訓練が多いことから、 1 人当たりの支給限度額をより高額とすることが適当と書いています。

 最後の○は、今回、対象となる 2 つの助成金のうち、キャリア形成促進助成金は中小企業のみが対象となっておりますが、企業の支出する教育訓練費は大企業においても低下、横ばいということとか、大企業の従業員にとっても負担となることから、本措置に関しては大企業も対象とすることが適当と書いています。資料 1-1 は以上です。

 続けて資料 1-2 は訓練の具体的な対応などについて、これまでの提示資料の一部を含め、まとめさせていただいたものです。これは報告書の素案に今回、書かせていただきました訓練の在り方を、具体的訓練をイメージいただきながら議論いただくために作成したものです。簡単に資料 1-2 の概要を御説明しますと、 2 ページは前回の能力開発分科会でお示ししました、想定されるキャリア形成と訓練と同様の資料です。この太字の下のエッセンスの部分は報告書案にも書かせていただいておりまして、具体例も含めて書いておりますので、前回との資料でイメージを持っていただければと思います。

3 4 ページの表ですが、これは現行の教育訓練給付の講座の通学の、その中でも昼間のみか、夜間もやってるかとか、あと、通信の別が分かるものです。 3 ページが指定ベースで、 4 ページが受給者ベースで違うのですが、 3 ページの指標につきましては、各分野とか、その通学、通信別ごとの訓練機関の平均も月数で示させていただいています。このように 3 4 ページの表を付けさせていただきますと、分野によりバラつきがありますけれども、夜間も設けている場合が多いという場合が、おおむね多く、また通信制も相当程度設定されていまして、在職者が使えるように設定されているものと思われます。 3 4 ページは、そういう形で御覧いただければと思います。

5 ページは在職者が働きながら訓練を受けるパターンの例で、今、見ていただきました在職者が働けるような対応の訓練として考えられる例をいくつか挙げました。各大半の資格についても通信や夜間といった養成施設での 2 3 年という訓練をやっている例もあります。あと、試験対策講座は夜間とかやっている例もあります。そういうものを利用しながら資格を取っていただくことが想定されます。

 一番下の専門学校というところは、専門学校は普通の全日制の過程なのですが、一部、夜間に授業を行う学科もありまして、働きながら取れるコースも存在するものと思われます。

6 ページですが、前々回、過去に出した資料でして、各現行の教育訓練給付支給対象講座の受講生の就業状況の内訳でして、省略しますが、正社員が多い場合とか非正社員が多い場合とか、分野によって多少、バラつきがあります。御参考にしていただければと思います。

7 ページも 9 月の分科会に示したと思うのですが、現行教育訓練給付の講座の対象としている資格、指定されている講座が目標としている資格ごとの講座内容例です。あくまでも例ですが、各分野、主なものを拾いまして資格の名称とか通信、通学の別とか、夜間とか、あと、訓練期間の長さなどが分かるようになってますので参考です。資料 1-2 は以上です。

 資料 1-3 は、前回の能力開発分科会の意見ですので、時間の関係で省略させていただきます。訓練の内容、キャリコンなどについての議論があったかと思います。

 資料 1-4 11 26 日の雇用保険部会で出された意見でして、その本措置に関するものですが、雇用保険部会ですので給付の在り方等、要件の在り方等の議論が中心だったかと思います。

 そこで大変恐縮ですが、雇用保険部会の動きについて、資料が飛んで恐縮ですが、資料 3 を御覧ください。一番最後の束、参考資料の前の束になります。これは先週、 12 11 日の雇用保険部会の資料でして、こちらでも雇用保険部会報告の素案が提示され、議論されました。その提示された資料です。いくつかの論点が部会全体では議論はされているんですが、中長期的なキャリア形成支援措置については具体的には、この素案で言いますと 5 7 ページに渡って書かれています。こちらは主に給付の仕組み、給付の水準とか、あとそのための要件が中心になっており、訓練についても言及はありますけれども、当分科会の議論が中心ですので、我々のものの方が詳しくなっています。給付の内容につきましては、これまでも示されてきたところですが、これまでの 11 月までの提示と先週 11 日の提示では内容が変わっていますので、そこも説明をさせていただきます。恐縮ですが、この横書きの文書の最後に表形式の一枚紙があります。給付の内容・水準の見直しについて ( ) というもので、これも同じ雇用保険部会に出された資料です。こちらのほうが分かり易いのでこちらで御説明させていただきます。

 一番左が、現行の教育訓練給付の給付内容、真ん中が 11 月までの雇用保険部会とか当分科会でも紹介しました給付の要件等です。一番右が 11 日のこの雇用保険部会で示された報告書素案にも書かれている見直し案です。それで、上 2 つが支給要件期間、すなわち必要となる雇用保険加入期間ですが、前回の提示、真ん中の欄ですが 5 年とすると、で、初回は 1 年ということだったのですが、それを 10 年、初回を 2 年に変更しています。次の給付の期間は、最長 3 年としていましたが、原則 2 年で資格につながる等の訓練は 3 年という打ち出しになっています。給付水準が受講費用の 40 %に加え、追加給付 20 %の構造は変わりませんが、その下の給付額につきましては、上限が年 60 万円であった案から新しい案では年 48 万円になります。これは 60 %出したあとの上限ですので、元々の費用上限で見ますと 100 万円だったのが 80 万円になったという変更です。追加給付につきましては、元々、資格取得などの成果が上がった場合に出すということではあったのですが、新しい案ではそれに加えて被保険者として職に就いている場合という要件も加えられています。この表の一番下の※の小さい字なんですけども、この表の上の 1 行目と 2 行目にあるような支給要件期間というのは、全訓練の受講開始以降に雇用保険に加入していた期間で判定するものなのですが、今般の見直しで、それに加えて前訓練の給付終了の時点と新しい訓練の間に、具体的には支給要件期間と同等のインターバル期間を更に設けるという形の案に変わっています。この提示がされて、まだ議論されているところですが、この日の雇用保険部会では支給回数制限を導入すべきだとか、あと訓練に関わることとしましても良く詳細を詰めるべきだという御意見とか、キャリア・コンサルタントにつきましてもハローワークとの連携等を含めて議論がなされていました。雇用保険部会の紹介は以上です。で、議題 1 に関する資料説明は以上です。

 

○小杉分科会長 今の説明について、皆様から御質問、御意見を受けたいと思います。いかがでしょうか。

 

○豊島委員 資料 1-1 の「はじめに」の部分について意見を申し上げます。 1 つ目の○に、簡単に現状の認識を書いて、その後に続く 2 つの○で、日本再興戦略 ( 平成 25 6 14 日閣議決定 ) の内容を記述して、最後の○に、この閣議決定を受けて本分科会での検討を行ってきたと書いてあります。確かに、これまで検討してきた学び直しの支援措置、ここでは「中長期的なキャリア形成支援措置」となっていますが、それは閣議決定があって検討が開始されたもので、その閣議決定の背景には産業競争力会議での議論があると認識しています。労政審内部の議論、この場の議論から出てきたものではありません。しかし、雇用労働政策が ILO の三者構成原則に基づいて労政審の場で検討すべきであることを考えると、公労使の代表が入っていない労政審以外の場で、国の雇用・労働政策の方針が決められ、それに従って検討してきたという記述、見直しの背景の柱にそれが置かれるということは問題ではないかと思っています。かつて、事業仕分けなど乱暴な議論で労政審の頭越しで雇用労働政策の方向性が出されていたときなどは、当分科会でこの意識が共有されていたと思いますが、改めてこの原則を再確認いただきたいと思います。

 本報告書は、雇用保険部会報告との記述ともリンクしていますし、雇用保険分科会でも労働側委員から申し上げましたが、この問題意識をきちんと残す意味で、本報告書には、雇用労働政策は ILO 三者構成原則の場である労政審で議論すべきという旨を付け加えていただきたいと思います。

 

○小杉分科会長 「はじめに」に関して、ほかにございますか。その点については何らかの形で対応してください。

 

○青山能力開発課企画官 雇用保険部会ともある程度パラレルの部分がありますので、そちらとも相談しながら、どうするかを考えたいと思います。

 

○小杉分科会長 では、ほかの議論に移ります。いかがでしょうか。

 

○新谷委員 資料 1-1 をお示しいただきまして、この時期なので素案が出てこないとまとまりませんが、これまでの能開分科会での議論を聞いていて、これがいきなり出てきたという唐突感があり、ここまで論議がまとまったのかという感じがしています。更に深めるべき論議があるのではないかということが、まず、これを頂いたときの印象です。特に、第 2 、第 3 で、対象訓練の基本的考え方や対象訓練の指定の在り方が示されていて、これに巨額の公的資金を投入するということですが、一体何を訓練するのかという点について、この能開分科会の中で共通のコンセンサスがきちんとできているのか甚だ疑問です。委員の皆さんが、こういう訓練なのだというところで共通認識をお持ちなのか、私はよく分からない。残された期間は限られているのですが、もう少し突っ込んだ論議をしないといけないのではないかと思っています。

 今日は示されていませんが、前回に頂いた資料にいいものがあって、第 74 回の資料の 20 ページに、求職者支援訓練、公共職業訓練、教育訓練給付の現行のものと今般の新しいものの各訓練について、目的・対象者・内容・訓練主体が示されています。特に教えていただきたいのは、このマトリックス表もそうですが、現行の教育訓練給付と対象者が似ている求職者支援給付は、何が一緒で何が違うのか。まだ皆さんにストンと落ちていないのではないかと思います。残された期間は限られていますが、目的や対象者など具体的な訓練のイメージが分からない。

 巨額の金については、資料 3 に雇用保険部会の資料が示されていて、これも少し不十分な資料だと思いますが、予算の総枠の話として、ここに労使の保険料から 860 億円というお金を投入するということがこの前の雇用保険部会で出されています。 860 億円という金はどんな金かというと、今までの 1 年間やってきた能開行政の予算が確か 1,600 億円だと思いますが、その半分近くの予算が予算項目の訓練項目として新たに付け加わるわけです。その受皿となる所がどういう訓練をするのか、確かに、先ほど出た資料 3 の最後にあるように、原則 2 年間でやるとか、給付水準は 4 割でやるとか、給付の上限額は 48 万円だという枠組みは出ています。じゃあ、この枠組みを使ってどんな訓練ができるのかという点がまだ不十分ではないかと思います。今、申し上げた点について何か事務局から答弁があるのであれば、していただきたいと思います。

 

○小杉分科会長 訓練の内容についての話はこの後にもあると思いますが、今の段階で答えることがありましたら、どうぞ。

 

○山田能力開発課長 基本的に、対象訓練の指定の基準については、法案成立後に速やかに本分科会にお諮りしたいと思います。前回の資料の 20 ページにあるとおりの仕分けにはしていますが、御指摘のように、訓練給付の水準としても高いことから、きちんと絞り込みをする必要があることは我々も考えています。枠組みとしてもそういう話ですし、一方で、キャリアコンサルタントをかませて個々人の状況を踏まえた形での絞り込みも掛けるということで、そこがこれまでの教育訓練給付と違う点だと思います。

 

○小杉分科会長 前回出されたこの表は大変分かりやすいので、これをベースにもう少し書き込んでいただくことが大事ではないかと思います。そういうことでよろしいですか。

 

○新谷委員 そうなのです。前回の資料は非常に良かったので、これの発展型、詳細版がこの素案と一緒に出てくるのかと思ったら、これはこれで止まってしまっている。それで、今日出てきた資料 1-2 は現行の教育訓練給付の中身なのです。これをイメージして、これに使っている金は 45 億円ですから、今度できる訓練は 860 億円の新しい仕組みです。その新しい訓練のイメージがどんな訓練を想定しているのか、これから読み取れというのは非常に難しい。難しいし、それは皆さんのコンセンサスにもなっていないと思います。

 例えば、今日の素案の 2 ページの第 2 の最初の○、「特に非正規労働者については質の高い安定した雇用につながり、効果を持続させるような中長期的なキャリア形成に資する訓練機会を十分に提供することが重要である」と書いてあり、第 3 の中では、就職の可能性が高い訓練や資格を身に付ける訓練などと書かれていますが、では、その非正規の方々が在職中にどういう訓練を積めばこういうことを達成するのかというイメージを、この資料 1-2 から読み取れというのは無理でしょう。これから読み取れというのは無理ですよ。どんな訓練を準備するのかというところです。先ほどの山田課長からの答弁では、それは枠組みができて法案を作った後に作るのだという、それは泥縄のような話です。 860 億円を先に決めて後から訓練を決めますというのは非常に乱暴な論議だと思います。ここはもう少し、能開分科会として、こういう訓練をやるのだということが分かるようなものがないと前に進まないのではないかと思います。

 雇用保険と能開とで一緒に論議をしてきて、能開のほうの検討が非常に遅れているのが気になっていたところです。雇用保険のほうは、枠組みを固めて、予算を固めて、もういこうとしているのに、能開のほうは、受けるべき受皿がよく見えないと思います。

 在職中の非正規の方々が、ここに書いてあるような訓練をどういう形で受けられるのか。そういうものが実際にあるのか、ないのか。ないのであれば、以前にも出ていたように、文部科学省主宰でやっているものを活用するのか、厚生労働省の能開局が専修学校の団体に行って新しいプログラムを作って受皿を作るのかなど、そういう方法がないと。先に 860 億円を決めてくれ、後から指定講座を作るから、ということではないと思います。

 それから、もう 1 つです。前回、話題になっていて、ここだけは皆さんのコンセンサスが取れたのではないかと思う点です。以前の資料に、在職中の類型 1 2 があって、類型 2 は中堅社員以上の方で専門職大学院や MBA を取りましょうというものがありました。あれはさすがに社会保険のシステムとしてはまずいのではないか、あそこは対象にならないということを論議して、皆さんの論議もそういう方向になったのだと思いますが、では、そこの扱いはどうするのかをこの素案の中からどうやって読み取ったらいいのか。類型 2 の専門職大学院で、中堅社員以上の方が MBA を取るためにこの社会保険のお金を使うということは、少なくともこの部会ではコンセンサスは取れていないと思いますが、それをこの素案の中からどのように読み取るのか教えてください。以上の 2 点の質問です。

 

○小杉分科会長 その点の考え方についての質問でした。

 

○青山能力開発課企画官  1 つ目の、在職中も含めてきちんと受講できるものになっているのかという点については、おっしゃるとおりで、報告書本文では、 3 ページの始めの 3 行ぐらいに多少書いています。今後、受皿の整備ができているのか、できるのかということは考えなければいけないと思っています。ただ、今の教育訓練給付も多くの在職者の方が受けていらっしゃいまして、現行の教育訓練給付の内容ではありますが、例えば資料 1-2 5 ページに、拙い例だとは思いますが、在職者が受けられそうなものを掲げています。引き続き、このような整備ができているかを考えていきたいと思います。

 もう 1 点の、類型 2 の、中堅以上への専門職大学院、 MBA については、そういう議論があったことは十分に認識しています。その後、いろいろと考え方を再整理する中で、就職の可能性が高い仕事において必要とされることやキャリアにおいて長くいかせるものという考え方を御議論いただきましたので、そういう考え方で本当に必要なものは何か、大学院などいろいろな形態は形態として、必要なコンセプトに合うもので何かということを、今後、指定基準も含めて考えていくことになると事務局としては思っています。

 

○小杉分科会長 現行の教育訓練給付の情報がここに載っていますが、その中でも、実は 2 年、 3 年を要するけれども、今のところはその中の 1 年分の中の 20 %しか補助をしていない。そういう条件なのだが 2 年、 3 年でやりたいものもあるということが、ここに情報として出ているのだと思います。これをベースにということで提供されたのではないかと思います。

 

○新谷委員 正に小杉分科会長がおっしゃるとおりで、この資料に期間が入っていれば、もう少し分かりやすかったと思います。今回の訓練は原則 2 年で最長 3 年という制度設計になっているので、今日示していただいたものだと、教育訓練給付には、多分、短期のものが最初に書かれていて、それから中期的なものも書いてあるのだと思いますが、これから新しい訓練を読み取れというのは、いずれにしても無理なのです。非常に乱暴なので、これだけでは新しい訓練のイメージが読み取れないのです。ですから、中長期的な資格取得も目指す訓練に、どんな講座が今あって、ないのであれば、どういう形でこれを準備するのか、方向が見えないと。先ほどから答弁を聞いていると、先に 860 億円の枠組みを作って、後は来年に指定講座を作るのだということでは、順序が逆というか、泥縄式になってしまう可能性があります。そこの方向性を見せてもらわないと、枠組みは作ったけれどということになりかねないと思います。そこの考え方があれば教えていただきたいと思います。

 

○小杉分科会長 指定基準をどうするか、基準についての考え方は書かれています。もう 1 つ、ストラテジーが欲しいということですね。その基準に見合った訓練をどう提供していくのか、何らかの方向性を書き込むべきではないかという御意見でよろしいですか。

 

○新谷委員 そうです。

 

○小杉分科会長 その点について何かありますか。

 

○青山能力開発課企画官 御意見を踏まえて考えたいと思います。

 

○小杉分科会長 受け止めていただいたということです。

 

○豊島委員 今の議論になっている所を少し突っ込んでお伺いしたいと思います。現行の教育訓練給付と今回の新たにできる措置との関係についてです。現行の教育訓練給付の講座指定と、新たな措置の講座指定が重複することはあるのでしょうか。具体的に言うと、例えば社会保険労務士など、いろいろな講座がありますが、両方で指定されるということがあるのかどうか。

 

○青山能力開発課企画官 今般の支援措置の対象訓練は、報告書 ( ) に書いてあるとおり、就職の可能性が高い仕事に必要とされるか、キャリアを長くいかせるかという考えを適用するものを対象とするということであり、かつ、その基準を満たす限られたものを絞り込むという趣旨で考えています。教育訓練給付の中にそういうものがあったとしても、それは新給付に移行するということで、基本的には、同程度・同内容の講座について、両制度に跨がって重複することはないと想定しています。

 

○豊島委員 そうだと思います。主要訓練の中身・内容によって違いが出てくると思いますが、現在、教育訓練給付をやっている機関のホームページを見ると、受講料の 20 %、上限 10 万円まで国が支給、というのがボーンと出てきて、講座がずらっと並んでいて、その期間や額等が書いてあります。今回、新たな制度ができると、 60 %、 48 万円という数字が出てくるわけです。例えば、ホームページを見ていると、社会保険労務士でもいいですし、司法書士、弁理士、行政書士などたくさん出てきますが、行政書士にしても社会保険労務士にしても、こちらは旧制度で、こちらは A 制度となるときに、そこの対象者や中身をそう簡単に線引きができるのかという気がします。先ほどの議論の続きですが、しっかり詳細に詰めていく必要があると思います。逆に言うと、 60 %、 48 万円を想定するような講座を作ることについては、かつて教育訓練給付で問題になって、今の 10 万円、 20 %と変わってきたという経過もありますが、そういったおかしなことが起きないようにということも危惧しています。

 

○小杉分科会長 その辺は留意してやっていくということで。

 

○新谷委員 今の豊島委員の質問に対する事務局の答弁で分からないことですが、今日の資料 1-2 4 ページに、現行の教育訓練給付の特に資格系のものが書かれていて、真ん中に、社会福祉士や保育士があります。これは通学でいる方もいますが通信教育で受けている方もいます。これについては、先ほどお聞きしたように、新しい訓練と現行の教育訓練にダブリはなくて、 0 or 1 でどちらかに寄せるというお話でした。例えばこの保育士というのは、 2 ページに「職業に不可欠な重要な資格を身に付け専門的に就業する」とあり、やはり保育士が出てきます。ということは、現行の教育訓練給付はもうやめてしまって新しい訓練に寄せていくということになるのです。そうすると、ますます現行の教育訓練給付と新しい訓練は一体何が違うのかということになる。もともと今やっているものなのに、なぜそれを新しい訓練に位置付けて寄せないといけないのか。冒頭に、何が違って何が一緒なのかと申し上げたように、そこがはっきりしないと。現行でもやっているのに、新しい訓練ができるのでこれは外します、給付率を 60 %に引き上げて 48 万円の対象にしますと、たったそれだけのことかと見えざるを得ないのです。ですから、ここの違いがもう少し分かるように説明してほしいのです。

 

○小杉分科会長 説明がありますか。

 

○青山能力開発課企画官 これまでの議論を前提にしますと、今の教育訓練給付は職業に資する教育訓練を広く対象としていて、資格を目指すことは前提となっているぐらいで、いろいろな職業系の資格などが全て対象となっています。今回は、就職可能性が高いとか、中長期キャリアにいかせるということで、効果が高くかつ持続するというコンセプトだと思います。それに則するものは新給付にいく。そこまでいかないと判断されるものは旧給付ということです。確かにそこは指定基準をどう具体的に切り分けるのかはよく考えなければいけないと思っています。

 

○大久保委員 今の話に関連しますが、今回の新しい制度は、具体的にどういう目標を掲げ、この政策の評価をするのかについてお聞きしたい。従来教育訓練給付金というものは、自己啓発を促進するために、職業領域のなるべく幅広いところについて訓練や学習の機会を助成していくというものです。ですから、これだけたくさんの人がこの制度を使って自己啓発しましたということ自体を見るということだと思いますが、今回は、 1 年を超えるような、時間の掛かる本格的な学習を促すための制度になるわけですね。そうすると、ここには非正規から新規に就業する人もいるし、より雇用の安定を求めてやる人もいる。その人たちがこういう制度を使って、ねらいどおりの効果を得たかどうかについては、どうやって評価するのか。これだけ予算を付けて、単価も大きくなるので、それが本当にねらいどおりの効果を生んでいるかどうか、雇用の安定につながっているのか、長期的なキャリア形成につながっているのかをどうやって見るのかというのは気になります。 もう 1 点あります。ここには、 3 か月や 6 か月というコースも例として出ていて、中には通信教育のものもあります。これは比較的手軽に受講できるものだと思います。今までは教育訓練給付金の枠組みで受けられたものが、 2 年たたないと受けられないとか、あるいは、教育訓練給付金を 1 回使うと、もう次は、よほどしばらく時間があかないと受けられないとか、そんなに補助率が高いのであれば、当面は我慢してやるのをやめて、訓練先送りで資格が取れてから受けようなど、ステップアップをしていくプロセスに逆に働いてしまうという、制度改正の隙間ができてしまいそうな気がします。具体的にどのように活用してもらうのかというイメージの問題にもつながってくると思います。その辺りの疑問に対して、事務局として考えていることがあれば教えてください。

 

 

○青山能力開発課企画官 まず、どうやって評価するのかという点についてです。評価の基本的な視点は、まず、就職可能性、キャリアアップの可能性が高いとか、中長期キャリア形成が図れるものになったかということだと思いますが、具体的にはいろいろな場面があると思います。恐らく、指定基準では、そういう講座かどうかを確認することを考えなくてはいけませんし、 1 回指定されたときからもう 1 回指定されるときにも考えなければいけない。それから、各講座全てについて、そういう効果が分かるように、例えば受講者にアンケートを取らせるなどをして、この分科会にもお諮りしながら考えていかなければいけないと思っています。そういうことで、個々の指定や指定基準の作り込み、今後の見直し全てに、そういうことを考えていかなければいけないだろうと思います。ただ、近々の話としては、今回の給付の仕組みとして、資格取得などをした上で被保険者として職に就いたことをもって追加の 2 割が初めて出るので、まずそこで成果があるかないかが大きく分かれると思います。

2 点目は非常に難しいと言うか、よく考えなければいけない話です。確かに、新しい給付はステップアップするにも要件が今よりも厳しく設定される方向になっていますので、非正規などの方がステップアップする場合にどう受け入れるかは悩ましい部分も出てくると思います。新給付の対象講座とこれまでの給付の講座の切り分けを考えるときに、いただいた視点も踏まえてよく考えて、御相談したいと思います。

 

○大久保委員  2 点目についての確認です。短期で比較的費用の安いものは旧来の制度で、もう少し長期で本格的な取組で講座のお金もたくさん掛かるものは今回の制度、ということではなく、別の基準でそれがどちらにいくかが決まるということになるのですか。

 

○青山能力開発課企画官 そこは、別なのかどうかも含めて、コンセプトの関係を考えなくてはいけないと思います。今回の新しい講座は、就職とキャリアアップの可能性があるということと、効果が高く持続するという点は押えなければいけないと思っています。それと、おっしゃるように、訓練の期間や費用とがリンクし得るかしないのか、それは少し悩ましいなと、御意見を聞いていて、よく考えなければいけないと思いました。

 

○田口委員 関連です。例えば、資料 1-2 5 ページに建築士が出ています。これは対象訓練例となっていますが、通学 35 、通信 7 講座で合わせて 42 講座ということで、単純に数字を弾かれているのかどうか。これは二級建築士となっていますが、先ほどの話では、同程度・同水準のものは補助対象にならない、助成対象にならないとおっしゃっていたので、かなり絞り込みがされるのではないかと思うのですが。先ほど質問がありましたが、具体的にどういう教育訓練を対象とするのか、イメージとしてはっきりしない。東京都では既に二級建築士は教育訓練の対象になっています。これは具体的に例を挙げたというのであれば、二級建築士が対象になるのか、それとも、一級建築士なのか。一級建築士になると相当程度レベルが高いですから、そういうものに現行の予算よりも大幅な予算が使われる。建設業で言えばですが。その辺の、対象の絞り込みと予算額の関係について説明の合理性がどうなのか、そこをお聞きしたいと思います。

 

○青山能力開発課企画官 絞り込みについて説明が分かりにくかったかもしれませんが、基本的には内容で絞り込もうと思っています。いろいろな訓練の内容があって、その中で新しい考え方に資するものを絞り込んで新講座にするということです。例えば、 1 つの分野、建築などの分野の中で全体の数が減るということではなくて、新給付にいくものとしては、内容で絞り込みますということだと思います。申請があり指定基準を満たせば、数の選別などはせずに指定することになると思います。今もそうやっていますし、そこは変わらないと思います。それ以前に、内容の絞り込みをどうするかについては、悩ましいということは皆さんの御議論のとおりです。

 

○小杉分科会長 基本的に、これまでの教育訓練と同じように、個々のコースについて、基準に合うかどうかで決めるということですね。ですから、保育士全体がどうのということではなく、保育士のコースのこのコースは、という形になってくるのですか。

 

○青山能力開発課企画官 はい。コースごとに指定します。

 

○豊島委員 現行の教育訓練給付は給付率 20 %の上限 10 万で、今回の措置は給付率が最大 60 %で上限 48 万円ということになるわけなので、そこの違いを明確に説明できないといけないと思いますし、結果として、新たな措置、拡充された給付金に見合って、先ほど言葉を濁しましたが、コースを作って、そこに申請してくるようなことがないようにしなければいけない。今は 1 年間、例えば 7 か月で 22 6,500 円、それを 1 年あるいはもう少し長くして受講料を上げるようなこともあり得べしと、これまでの経験から感じます。やはり、安定した就職につながったということがないといけないのですから、決める過程でもしっかり詰めていく必要があると思います。

 

○新谷委員 確認ですが、答弁が揺れている気がして少し心配です。例えば保育士について、最初の豊島委員の質問では、これはどちらかに寄せるのだと聞いたのですが、今の説明では、保育士は、仮にコースがきたときに、現行の教育訓練でも認定するかもしれないし、新しい訓練でも指定するかもしれないと。どちらの答弁が正しいのですか。

 

○尾形総務課長 すみません。こちら側の説明がやや混乱しているのではないかと思います。基本的には、先ほど大久保委員が示唆されたように、今回の新しい制度では、安定した雇用につながるということを何らかの形で成果目標として立てて、そういった成果目標を達成できるものを指定していく。それを「絞り込み」という言葉を使ったのだと思っています。そういう考え方で分けていくということだと思っています。仮に、保育士のコースが幾つかあって、それが全てそういう考え方で、これまでの成績を見た上で、新しい制度に移行できるということであれば、それは大変結構なのですが、個々に全ての保育士のコースを見たときに本当にそうなっているかどうか、実態を見てみないと必ずしもよく分からないこともあります。それで、断定的な言い方になっていなかったのではないかと思います。保育士というのは、まずカテゴリーとして考えると就職効果がかなり高いと一般的には言えるかもしれないが、個々に見てみないと本当にそうなっているかどうかの担保までは取れていないということを、事務局は繰り返して申し上げていると思います。

 

○高橋委員 抽象的だと分かりにくいので具体的に。資料 1-2 7 ページに、代表的目標資格の講座内容例があります。その左の下のほうに、専門的サービス関係として、下から 3 番目に、税理士講座があります。今までの資料で出されたものからは、私は、税理士は必ず業務独占資格的なものとして講座が認定されるというイメージを持っています。上から 3 番目に、簿記 2 級の講座がありますが、税理士の資格を取るためには、当然、簿記の基礎的な知識を取得しなければなりませんので、簿記の 2 級のコースを受けます。普通、現行の教育訓練給付では、 3 年置かないと次の講座は受講できないのですが、今度は税理士を特出しして中長期的なキャリア形成支援としたときに、教育訓練給付と中長期的なキャリア形成支援とで連続受講が可能なのかどうかということが、論点としてもあり得るのではないかと思います。これが 1 点目です。

2 点目として、税理士資格と言っても、教育訓練給付が 1 年ということもあるのかもしれませんが、今はたまさか 11 か月コースですが、いろいろなニーズを踏まえて、例えば専門学校が 1 年半コースや 1 10 か月コースというようなものを工夫して設定するとした場合に、それも税理士資格を修得するコースなので、中長期的なキャリア形成支援と位置付けるのか、そういうことも論点として考えられるのではないか。

 現行の教育訓練給付との連続的な受講の観点、また、同じ講座資格取得を目指すコースでも期間などについて弾力的に認めていく考え方なのかどうか、その 2 点について、質問の答えを具体的にお伺いしたいと思います。

 

○土肥職業安定局雇用保険課調査官 連続受講については、雇用保険部会でもいろいろと議論があって、比較的、やはりそういうものは制限的にやるべきだと、今回は額が大きいので制限的にやるべきだという御意見もありましたので、先ほど青山から説明があったとおり、新しいものは 10 年間のインターバルを取る、古いものについても 3 年間のインターバルを取るという形にしています。税理士を取る方が必ずしも簿記 2 級を取らなくてはいけないというわけではないと思います。制度を施行した後に簿記 2 級を取って現行の教育訓練給付を受けたとすると、今度は、高価なもの、税理士が高価なものになるかどうかは決まっていませんが、仮に税理士の訓練が高価なものになるとすれば、そこからは 10 年間のインターバルが必要になるという仕組みに、今のところはなっています。

 

○小杉分科会長 連続受講ではなく、インターバルが必要だということですね。もう 1 つについて。

 

○青山能力開発課企画官 期間のほうは、そうですね、現行の税理士の 11 か月も、たまたまこのコースが 11 か月なので、履修に必要な期間であるという一般的な要件はあると思いますが、期間については、必要な期間である限りにおいて、上限の範囲内で認めることになると思います。

 

○高橋委員 それが必要だというのは、どのような仕組みによるのですか。

 

○青山能力開発課企画官 その訓練スケジュールも出させて、その履修に必要な期間であるかということは見なければいけないと思っています。資格なら資格を取るために必要な訓練の内容が含まれており、それに必要な期間であることを見なければいけないと思っています。

 

○田口委員 度々で、くどいようですが。最初に新谷委員からも御質問がありましたが、現行の教育訓練と新規訓練の違いがよく分かりません。それで、絞り込みとか、別のお答えでは、成果目標を達成するものと言われていますが、業務独占資格・名称独占資格というのは国家資格ですから、どこの教育訓練機関もとにかく合格率を上げなくてはしょうがないと一生懸命やっているはずなのです。ですから、要するに、例えば在職者の退職訓練例で、新規でやることの意味合いがどこにあるのかというのが、今までの説明では我々にはよく分かりません。ですから、これこれの理由で今回の新しい教育訓練は必要なのだ、こういう内容なのだということを提示していただかないと、予算が決まってからというのでは、それはよろしくないのではないかと思います。

 

○小杉分科会長 まだ御議論はあると思いますが、この全体の議論は本日の後にはもうまとめに入っていかなければなりません。今は訓練の具体的なイメージに関わって、訓練の内容についてかなり突っ込んでいますが、それ以外に、ここに出ている基準など、そのほかの点についても皆さんの御意見を頂きたいのですが。

 

○冨高委員 資料 1-1 3 、退職訓練の指定の在り方について、 3 ページにも書かれていますが、文部科学省で開発中の教育プログラムについての記述があります。この措置の大きな受皿になると思っていますが、この教育プログラムの検討状況がどうなっているのか。今回の中長期的なキャリア形成支援措置の施行に向けての時間軸、また、厚生労働省としてのここへの関与の在り方、文部科学省の事業として行われている専門学校や大学院などで策定したこの教育プログラムをそのまま受け止めて指定するのか、若しくは厚生労働省として何らかの基準を策定して選別などをした上で指定するのか、という点についてお伺いしたいと思います。

 

○青山能力開発課企画官 文部科学省のプログラムについては、 3 つほど参考になるプログラムの開発の動きがあります。 1 つは、成長分野等における中核的専門人材育成の推進で、産業界のニーズを踏まえた専門学校等でのオーダーメイド型の訓練開発です。これは、これまで開発を進めていまして、来年度概算要求では、これまでに開発したモデルプログラムを実践し、そのノウハウを全国に提供して全国展開を図りたいとして、概算要求段階ですが、来年度の事業として進めていると聞いています。

2 つ目は、大学院レベルでの学び直しのためのプログラムを、来年度、産業界との共同でオーダーメイドで作り、質の良い所を支援したいとして文部科学省が要求中と聞いています。そのプログラムが来年度できると期待しています。

 もう 1 つは、専門学校の課程として、職業実践専門課程として、これまでの 1 年以上の専門課程の中で更に企業などと連携することが必須だとする要件を加えた、 2 年以上の課程ができることになっています。これは来年 4 月からスタートですが、これには文部科学大臣認定が必要で、既に認定審査をしていると聞いています。企業と連携しているということで、我々のコンセプトにも沿うものとして着目しています。

 そういうものを見た上で、より実践的なものを開発していただくよう連携していきたいと思っていますが、もちろん、本制度においては制度の趣旨がありますので、改めてこちらで基準を作り、それに則したものを指定することになるのではないか。あちらが作ったものをそのまま全部ではなく、もう 1 回、我が厚生労働大臣指定でフィルターを掛けるだろうと思っています。

 

○小杉分科会長 それぞれのコースも、申請があれば、それをこちらの基準で認定するということですね。

 

○青山能力開発課企画官 はい。

 

○冨高委員 教育プログラムについては、全国展開も視野に推進と書かれていて、今も説明していただきましたが、雇用保険財源を使って支援する以上、今までこの審議会の中でも意見があったように、ユニバーサルサービスにすることは絶対条件だと思っています。都心では受講できるのに地方部では受講できないという事態があってはいけないと思いますので、そこをお願いしたい。既に説明いただきましたが、その点について、文部科学省の事業についてもう少し詳細があるのであれば教えていただきたいと思います。

 それから、もう 1 点、この教育プログラムも含めた今回の措置の訓練は、 3 ページの 4 行目にあるとおり、就職可能性が高い仕事において必要とされているかという視点で精査する必要があると考えています。特に、教育プログラム、訓練メニュー自体がまだ整備されていない状況の中で、どのように就職可能性が高い仕事において必要とされるのかを確認して指定するのか、そこが分かりにくいと思います。求職者支援訓練の場合、就職可能性の高い仕事として、介護サービスの職業は有効求人倍率 1.35 倍で高水準ということもあり、また、介護福祉分野の実践コース訓練が実践コースの中で最も多い。就職率も 84.3 %で最も高いと聞いてまいす。そういったエビデンスを基に訓練を指定することが重要なのではないかということが意見の 1 つです。

 

○小杉分科会長 もう時間もないので、まず御意見を伺います。

 

○原委員 この報告書を読んで違和感を感じた所として、訓練自体に具体性がなく、よく分からないというのは、ほかの委員の方と全く同じ感想を持ちました。さらに、資料 1-1 3 ページの 2 番目の○、訓練の効果をいかに検証していくかについてです。先ほどの大久保委員の意見と同じですが、マル1に「企業の業務にいかせるもの」という文言が入っていますが、職業教育訓練なので、それは当然のことですから、ここに入れるべき言葉ではないのではないでしょうか。むしろ、これを受けることによって、企業の中で前よりも難しい高度な仕事を任されるようになったとか、非正規から正社員に転換したなど、企業の内外を問わずキャリアアップをしたという視点が必要なのではないかと思います。ここの書きぶりにそうした視点を盛り込んでいったらいかがでしょうか。

 

○上原委員 前回も話しましたが、企業は、教育訓練希望者がいれば、新しい教育訓練を受講させると思います。その際に、企業にも出口としてキャリア・コンサルティングが必要だという話をしましたが、どうなのでしょうか。

 それから、対象についても議論になっていますが、社会人・大学院について、雇用保険を財源として実施することは違和感があります。今の教育訓練でも大学院のものもあるようなので、線引きがよく分からない。

 

○小杉分科会長 線引きの話は先ほどから出ていましたので、そこはきちんと整理をしなければいけないと思います。

 

○諏諏委員 この内容を見まして、離職者向け、在職者向け、非正規雇用者向けと、いろいろ混在してしまっているので分かりづらいと思います。

 それから、事業主に対する支援措置について、現場レベルでの話ですが、今までの制度は非常に使いづらかったのです。私も 2 年前に使おうとしたのですが、どこに問合せをしていいのか、何が対象で何が対象でないのかということも非常に分かりづらかった。新しい制度になるに当たって、小規模企業でも社員のキャリアアップができるような仕組み作りをお願いしたいと思います。

 

○小杉分科会長 使い勝手をよくするということですね。ほかに、いかがでしょうか。

 

○新谷委員 時間がないのですが、時間がないからと言って、これで本当にいいのかと私は思っています。これは使うお金が 860 億円ですよ。これは国庫が一切入っていなくて、労使の保険料で負担するわけです。それで、私は簡単に計算してみたのです。 3,900 万人の被保険者が一体年間幾らこれを負担するのかというと、労使で 2,200 円なのです。ですから、労側で 1,100 円を負担して新しい制度を作るのに、受皿になる訓練は枠組みが決まってから考えますというのは、それは余り乱暴だと私は先ほどから申し上げているのです。こういう訓練をしたいから、こういう予算が欲しいというのであれば分かるのですが、予算を付けてから、後から訓練を考えますというのは、これは本当に本末転倒だと思います。本当に能開の検討をもう少し急いでもらわないと。例えば、在職中の非正規の方であればこんな訓練ができますというものを、もう少し具体的に示さないと、本当に難しい、乱暴な検討になると思います。私も委員をしていますので何回も繰り返し申し上げてきましたが、雇用保険のほうが先に枠組みが決まってしまっているので、能開は後追いで非常に遅れていると思います。検討を急いでください。

 その上で、先ほど上原さんからキャリコンの話が出ましたので、この話をしたいと思います。これは、キャリコンをかませて、御本人の能力開発に対してオーダーメイドで相談に乗る体制を作るところが今までの訓練のスキームと違うところだと思います。だから、これだけ巨額のお金を投入して中長期に耐え得るような支給額アップをする、教育訓練をするということだと思います。そういう意味では、キャリアコンサルタントの養成をきちんとやっておかないといけない。乱給防止ということも含めて、そこが関門になって、御本人の御要望とスキル、これからの職業生活をどうするかという設計をしていただかないといけないと思います。キャリアコンサルタントの方が巨額のお金が出ていくその諾否を握る人になりますので、どこかに事務所を構えていて、自分の事務所に労働者が来るというのではなくて、やはりハローワークに常駐していてもらって、目が届く範囲で国も見ておいてもらわないと、ここでもまた変なことが起こってはいけない。キャリアコンサルタントはハローワークにいてもらわないといけないと私は思います。

 そう考えると、これは 860 億円の新しい指定予算を投入して、新しい大きな能力開発行政の目玉になるような取組ができるのです。ハローワークを今後の能開行政の拠点としてどう使っていくのかということも、大きな立ち位置で考えられてはどうか。ここにはちょろっとしか書いていなくて、キャリアコンサルタントの実習をしますというぐらいしか書いていませんが、 4 ページに少し書いてあるように、ハローワークを今後の能開行政の第一線の拠点として整備していく。これが先ほど言ったユニバーサルサービスの第一歩だと思います。そういった視点でもここは検討していただきたいと思います。

 

○小杉分科会長 皆様、よろしゅうございますか。もう 1 つ議題がありますので、この議題はここまでとしたいと思います。出された課題はたくさんありますが、次回は文章にして、報告書の案を準備してもらうことになっています。大変大きな宿題がありますが、この 2 つの基準に加えて、もう少し具体的な職業選択を決めるストラテジー的なものに踏み込んだ形で案を作るよう努力していただきたいと思います。

 では、次の議題に移ります。求職者支援制度の内容について、事務局から説明してください。

 

○青山能力開発課企画官 資料 2-1 をお開きください。これは、求職者支援制度、取り分け求職者支援訓練の在り方について、これまでの当分科会の議論を踏まえ、素案をまとめたものです。

 第 1 「はじめに」とあります。文章は長いのですが、要は求職者支援法の附則にあります法律の施行後 3 年を目途とした検討の規定を踏まえ、労働政策審議会において見直しの検討に着手し、本分科会は求職者支援訓練の在り方を、雇用保険部会では給付・就職支援などを含めた制度全体の検討を連携しながら行ってきたことを書いております。

 本制度は、雇用保険が受給できない者を対象とする第 2 のセイフティーネットとしての位置付けを踏まえつつ、必要な訓練の質、量の適切な確保、より安定した就職につながるようにしていくこと、といった視点で議論を行っていただいたことを書いております。

 第 2 項が、各論です。第 2 は、訓練の誘導などです。真に支援が必要な者を利用につなげるように、福祉事務所などとの連携を含め、制度の周知、またハローワークにおける適切な訓練のあっせんを一層効果的に行うなどをすべきであります。また、訓練期間による受講者募集。これは、具体的にルールを設けているのですが、これについて制度の趣旨を損なわないように留意しながら、より効果的な募集を行えるよう、ルールの明確化、見直しを行うべきと書いております。

2 ページは、就職経験が少ない者の中には、意欲はあっても継続して受講する自信が持てず、現行の枠組みでは受講に踏み切れない者も存在しているため、そういった者への配慮が必要といったことを書いております。

 第 3 が、求職者支援訓練の質、量の確保です。 1 つ目は、コースの認定です。これは、実績を有する機関を対象として、訓練の認定、具体的には訓練の認定枠の分まで選び取る必要があるので、そのような選定を行う場合に、現行は全ての就職を捉えた就職率を主たる評価要素としておりますが、それを背景に、一部の訓練機関がごく短期の雇用を促すなど、就職率の率ばかり追求する傾向が指摘されており、その状況を改善するとともに、就職の質や過去の就職率のみでは捉え切れない訓練の質も確保できるような方策が求められるかと思います。

 次の○で具体策を書いておりますが、他方で本分科会での議論でもありましたように、就職実績は引き続き重要な評価要素ですし、加えてその質を適切に確認する必要があるため、就職を雇用保険が適用される就職として捉えた上で、主たる評価要素とすることが適当であるかと思います。加えて、 1 つ目には訓練の内容や質、 2 つ目には質の向上に取り組むなどの運営体制、 3 つ目は受講者からの評価などの多面的な要素も加味して、訓練の質も評価するよう見直すことが適当、と思います。この場合、民間教育訓練機関による職業訓練サービスガイドラインの内容や、それに関連する研修制度を参考にして、評価要素を設けることが考えられます。

 次の○、また認定基準において設けている就職率の基準、具体的には一定の下限となる就職率を設定しておりますが、これについては先ほど言いましたとおり、就職を雇用保険が適用される就職と捉えることに伴う必要な見直しを行うとともに、本基準をどのように抵触すると今後不認定になるかといった点ですが、それについて質の向上に取り組んだり、訓練機会の少ない地域に参入することを促進する観点の見直しが必要かというようなことが適当と書いております。

(2) は、地域ニーズ等に応じた訓練の設定です。マル1が、引き続き地域の公的職業訓練全体の適切な設定を促進するとともに、各地域の状況や工夫に応じて独自の分野は特定対象者を念頭に置いた訓練などを設定する、地域ニーズ枠を計画に設けることを推進すべきだ、と書いております。

(3) は、訓練機関に支給している認定職業訓練実施奨励金です。 1 つ目の○が問題認識です。この奨励金については、受講者の出席状況が奨励金の支給金額に与える影響が大きい。具体的には、 8 割などの出席要件があり、それを満たした受講者の分のみ単価をかけて支給しているもので、そういう意味で影響が大きいということで、訓練の安定的な運営を図る観点から、その見直しを行うことが必要である、と書いております。次の○は、出席要件については、 8 割以上という出席要件については、維持が適当と書いております。ただし、やむを得ず欠席するケースのうち、事態の発生が想定できず、個々人のみでは解決できないような事由の場合や、ハローワークが指示する就職面接のように、受講より優先して対応が求められる場合については、訓練実施日数からは除外して取扱うことが適当、と書いております。

 次の○ですが、出席要件の続きとなりますが、訓練にできる限り出席されることが重要ですので、訓練実施日の一部に出席できなくても、残りの時間に出席したことが確認された場合には、訓練実施日の一部について出席したものと取扱うほか、現在は 3 か月以上の期間ごとに算定して、仮に要件が満たないと長い期間全て支給されない仕組みですが、これについて算定期間の見直し、短縮化も適当ということで考えたいと思っております。なお、訓練の修了要件についても、先ほどの一部出席の場合のカウント方法については、同様に考えたいと思っております。

 次の○は、この制度は基礎コースと実践コースの 2 種類ありますが、実践コースのみ対象としてある仕組みとして、基本的にもらえる奨励金のほか、雇用保険適用となった就職の実績に応じて、付加的に支払う付加奨励金という仕組みがありますが、それについては就職へのインセンティブを一層めることや、訓練の安定的な運用を促す視点での見直しを行うことが適当である、と書いております。

 次の○は、これまでこの関連の議論の中で訓練実施機関が採算上厳しい運営を余儀なくされている、撤退が進んでいる等の指摘もありましたので、今回の見直しの実施状況も見ながら、訓練実施機関がそれぞれの地域で安定した運営が可能となるよう、更なる検討を続けていきたいと思っております。

4 ページは、訓練の質・適正な運営の確保等です。はじめが、訓練の質の確保、向上です。これは、求職者支援訓練を実施している訓練機関に対して、先ほど言及しました民間教育訓練機関向けのサービスガイドラインに関連する研修の受講を促すことなどを、ガイドラインの一層の活用によって訓練の質の確保、向上を図るべきである、と書いております。次の○は、その他好事例の周知をはじめとして、訓練機関の育成や訓練の質の向上についても、更に検討を進めるべきと思われます。

 次は、訓練の適正な運営の確保です。 1 つ目の○、この制度は公的な制度ですので、不正行為や不適正な行為の防止を図ることは極めて重要ですので、関係機関の緊密な連携の下、訓練機関に対する指導・監督の一層の徹底を図るべきだと思います。一方、次の○で現行のルールでは、不正行為に対する処分の効果が、全ての場合に全国一律かつ永久に及ぶものとなっております。これについては、訓練の少ない地方における訓練機会の確保も考慮に入れながら、不正行為の事前抑制の効果は維持しながら、組織的な関与の有無などを考慮して、処分内容やその効果の及ぶ範囲などをきめ細かく設定することが適当、と書いております。

 次は、第 4 、安定就職の支援です。この制度の成果としては、より安定した就職を目指していくべきですが、まずは受講者の申告に基づく就職状況の把握がより正確になされるよう、把握、確認方法を改善したいと思っておりますし、就職としてはこれまで何回か言及がありましたとおり、雇用保険が適用される就職であるかを確認、把握して、その就職を成果として捉えるよう見直すことが適当、と書いております。次の○は、効果の評価に当たっては、安定した就職への定着なども含めて考えるということで、より地域の長期の視点から制度の効果を評価する方法も含め、制度の PDCA の在り方について、継続的に検討を進めるべきである、と書いております。最後の○が、ハローワーク、訓練実施機関双方でやっております就職支援の充実に努めるべきだろうと思われます。

 求職者支援制度については、今回の報告素案で触れられている具体の要件などについては、おおむね厚生労働省令などに定めている部分もあり、今回の考え方がまとめられた場合には、その後改めて省令改正などの形で、追ってお諮りすることを考えておりますので、また議論をいただきたいと思っております。

 資料 2-2 をお開きください。これは、前回の当分科会の意見です。出席の要件等についての議論や、就職率の在り方についての議論があったかと思います。詳細は省略いたします。資料 2-3 は、 11 26 日までの雇用保険部会での議論です。これも、省略いたしますが、同様の議論です。再び、資料 3 を御覧ください。先ほど第 1 議題で示した雇用保険部会の報告素案ですが、求職者支援制度についても、この一部として掲げられております。具体的には、 9 ページに記述があります。これは、幾つか項目がありますが、 1 つ目の○、ここは先ほど説明した訓練機関の奨励金における議論の並びとなる本人に支払われる給付金の出席要件の在り方で、パラレルな内容となっておりますので、詳細は省略いたします。次の○は、給付金の額の論点で、雇用保険部会と同じ論点です。 3 つ目の○は、安定した就職の在り方ということで、適切な確認をするとか、雇用保険が適用され就職で就職を捉えるといった共通した論点で記述されております。

10 ページの最後の○も、継続して受講する自信がない者への支援、配慮といった点は、当分科会と共通の議論です。以上が、雇用保険部会の報告素案で、こちらも議論が続いている状況です。報告は以上です。

 

○小杉分科会長 ただいまの説明について、御質問、御意見をどうぞ。

 

○冨高委員 資料 2-1 2 ページ、第 3 の求職者支援訓練の質、量の確保の (1) 3 つ目の

 

○の所ですが、認定基準における就職率の基準について、就職を雇用保険が適用される就職と捉える見直しに伴い必要な見直しを行う、と書いてあるのですが、もう少し具体的にどのように見直したいと考えていらっしゃるのか、事務局のお考えを伺いたいと思います。同様に、 3 ページの (3) 4 つ目の○、付加奨励金の説明をいただきましたが、就職へのインセンティブを一層高めること、訓練の安定的な運営を促す視点での見直し、と記載されておりますが、ここについても具体的な考え方をお伺いしたいと思います。

 

○小杉分科会長 では、具体的な説明をお願いします。

 

○青山能力開発課企画官 まず、報告書素案の 2 ページ目の認定基準における就職率の基準の見直しです。これは、現行制度が過去 3 年間に同じ県内で基礎コース 45 、実践コース 50 2 回下回ると、全国不認定という足切り基準と、基礎コース 30 、実践コース 35 1 回でも下回ると、全国不認定という足切り基準があります。これは、今の就職率の就職は、特に定義なくカウントをしております。ただ、今般雇用保険就職で捉え直すという議論をしていますので、これもそのように就職の定義を限定することになるかと思います。そうしますと、現行の水準よりどうしても下がる分、就職者のうち全部が雇用保険に加入した方ではないので、限定、厳格化される以上、足切り基準を多少変更する、要は少し下げないと不合理なことが起こるかと思い、見直しを行いたいと思っております。そのほか、この基準はこれからまた改めて省令などでお諮りしようと思いますが、今、 1 つの県で抵触すると全国不認定になる部分について、全国に広げるべきなのかという問題意識や、一度でも下回ると一遍に全国にできなくなるという基準が本当にいいのか、 1 回これを改善するチャンスを与えて、 2 回やったら駄目という方式でいいのではないかなど、問題意識をもっており、改めて整理してお諮りしたいと思っております。

 もう 1 点、 3 ページの (3) の下から 2 つ目の○かと思います。これは、今実践コースについては、基本的にもらえる 5 万円に加え、雇用保険となった就職率が 40 %以上 55 %未満で 1 万円加算され、 55 %以上ですと 2 万円加算され、と加算しているのですが、採算上厳しいという声がある一方で、就職をもっと頑張ってもらおうという思いもありますので、今の就職率のボーダー基準を上のほうはなるべく引き上げたり、下のほうはなかなか苦しい所もあるので、多少緩和したりといったことがあり得るのではないかと思っており、改めてこれも整理してお諮りしたいと思っております。

 

○小杉分科会長 よろしいですか。ほかに、御質問、御意見を伺います。

 

○田口委員 資料 2-1 4 ページの安定就職に向けた支援についてですが、前に一度質問したと思うのですが、最初の○の文章の中に、就職としては雇用保険が適用される就職であるかを把握し、ということで、これは今日は素案の段階になっていますので、何かこの方法論について具体的に検討されているのでしょうか。もし検討されているようであれば、少し教えていただきたいと思います。雇用保険が適用される就職ということになると、労働条件通知書なのか、雇用契約書なのか、いろいろあると思うのですが、もう少し詳しく説明をお願いしたいと思います。

 

○青山能力開発課企画官 ここは、大変恐縮ですが、いろいろな方法も視野に検討しているところです。おっしゃるとおり、労働条件通知書か雇用契約書で、雇用期間の定めや、労働時間を見られたら、雇用保険適用の要件である 31 日以上、 20 時間以上との関係も見えるかとは思いますが、そういう雇用形態の実質で見るのか、雇用保険加入というところを、結果的に押えるのかという方法など幾つかあるかと思っております。加入の現実もいろいろありますので、そこも見ながら御意見も踏まえて考えていきたいと思っております。

 

○小杉分科会長 よろしいですか。

 

○新谷委員 関連してですが、これも雇用保険ともリンクしてくると思うので、ここの把握の仕方を雇用保険課と是非すり合わせをしておいていただきたいと思います。質問は、 2 つ目の○で、ここに書かれている内容は就職のみならずと書いてあり、安定した就職への定着状況等を含めて考えるべき、と書かれてあるので、本当にそのとおりだと思っております。雇用保険の被保険者資格の取得は、週に 20 時間以上、 31 日以上の雇用見込みなので、必ずしも安定雇用はその資格取得のみをもっては判定できないと思いますから、ここでの安定した就職への定着状況となると、期間を見ないといけないとなると思います。これは、例えば今新卒の 7 5 3 の統計のように、 3 年目の離職率を取るというのは、厚労省はデータを提供されていると思いますが、ここは何を評価の指標として使おうと考えておられるのか、現時点でお分かりの点があれば教えていただきたいと思います。

 

○小杉分科会長 指標として考えていることはありますか。

 

○青山能力開発課企画官 すみません、そこも非常に難しい点だと思っています。ただ、これまでのサンプルなどでは、 1 回就職した所にそのまま就職し続けているかとか、転職したとか、辞めてしまったということは確認したことがあり、そういう形で当初の就職のみならず、その後の定着、その後の雇用状況は何らかの形で把握できないかなとは思っており、そこはいろいろ安定局とも共同で検討していきたいと思っております。

 

○新谷委員 今日示された素案というのは、やはりコミットメントなのですね。これでは、やはり我々の能力開発分科会として、労働行政として、こういうことを頼むよ、やはりそれでやるべきだというコンセンサスを取って文書にまとめたものですから、これから考えますとかいうのでは駄目じゃないかと思いますので、もう少しこれこれこういう方法があり、ここを考えたいというところまで詰めていただかないと、書いたはいいけれども 3 年たったらできておりませんということになってはいけないと思います。これも、先ほどの新しい訓練と同じですが、詰めるべきところは急いで詰めないと、ここに書き切れないのではないかと思いますので、書くのなら責任をもってやっていただきたいと思います。

 

○小杉分科会長 御意見として受け止めてください。

 

○青山能力開発課企画官 はい。

 

○諏訪委員 新谷委員と同じになってしまうかもしれませんが、やはり第 4 のマル2で、制度の PDCA の在り方について継続的に検討を進めるべきである、と書いてあるのですが、現状は PDCA がきちんと回っているのでしょうか。もし、それがあるのであれば、それを示していただきたいと思います。何かこの文章に違和感があるので説明していただきたいと思います。

 

○小杉分科会長 違和感を感じられるというのは。

 

○諏訪委員 制度の PDCA と書いてあるのはどういうことなのだろうと。制度をスパイラルアップさせていくために、現状きちんと Plan Do Check Action が行われているのかどうか。継続的にと書かれているので、現状でもあるとは思うのですが、それを具体的に示していただきたいと思います。 PDCA の在り方について継続的に検討を進めると書いてあると、今まで本当に検討をしてきたのかなという疑問が生じます。

 

○小杉分科会長 分かりました。今の話に答えていただきましょう。 PDCA は現状ではどう回しているのか。それは、今後この在り方を検討するというのはどういうことかということですね。

 

○青山能力開発課企画官 普段行っている PDCA は、現行では訓練修了後 3 か月以内の就職率を指標にして、その目標も基礎 60 、実践 70 と定めて、それを定期的にチェックしております。その指標については、毎年度政策の成果目標として能開分科会でも議論をする一部に入れてチェックいただいていることかと思います。ということで、今回 3 年後見直しの規定も踏まえ、そういう就職率といったもので見える制度の状況とそれ以外の様々なものも踏まえて議論していただいてきたことかと思います。ただ、確かに定着についてはこれまで一部ある程度は見てきましたが、どこまで見ていくのかという議論があったことなども踏まえていき、今回の見直しは 1 歩ということで、今後定着についてもっと、どのように見れるかを考えながら、これまで見えなかったところをもう少し確認して、やり方を引き続き議論いただくのかなと思っております。

 

○小杉分科会長 チェックが就職率だったという制度だったわけなのですが、チェックによってアクションとしてコースを認めるか、認めないかというアクションだったのですが、その在り方に課題があるのが分かったので、その在り方を見直すということだということで、よろしいですか。

 

○諏訪委員 そうなのですか。分かりました。

 

○大久保委員 今のことに関連して確認なのですが、この議論を始めたときに、求職者支援訓練が終わったあとに教育訓練機関が個人に対して調査をして集計したものがあり、そこに出てくる言葉が期限の定めのない雇用とか、パートタイマーか正社員かとか、保険に入ったか、入っていないかなど、いろいろな言葉が錯綜していて、見る限り余りデータに信頼性がなさそうな回答傾向になっていたことがあったと思います。今後は教育訓練機関が実施したあとの成果、結果を見るときには、雇用保険に加入をしたかどうかという言葉に統一をされるということなのですか。

 もう 1 つは、先ほどから雇用保険に基づく就職をしたかどうかを測定するのはいろいろな方法があり、そこで本人から申告を受けたものを信頼するのか、それともハローワークのデータを使うのか、いろいろな方法があるけれども、それぞれ一長一短なのだと思います。今はどのように調整しようとしているのか、その辺りを教えていただきたいのですが

 

○青山能力開発課企画官 雇用保険加入にするにしても、やはり雇用の実態をよく見なければいけないと思っております。今は、確かに期間の定め有る、無しだけなので、本人がよく分かっていない場合があるという指摘はそのとおりなので、例えばそれは聞くとして更に分からないというものに対して設けるとか、実際雇用の期間が何か月かを分かるように、今でもしていますが、引き続きそういうものを見たりとか、やはり細かく見たほうがいいかなとは思っております。もちろん、雇用保険加入の有無は聞こうと思っていますが、確かに本人申告が本当にそれだけで本人がどこまで分かっての保険加入もあると思いますので、それはそれだけで見るのか、おっしゃるとおりきちんとハローワークなどで見るかは、よく考えなければいけないと思っております。

 

○小杉分科会長 個人へのアンケートと、ハローワークからのチェックの両方を考えていらっしゃるということですか。

 

○青山能力開発課企画官 はい、両方視野に入れて考えております。

 

○水町委員 今までのところと関連しているのですが、これまでこの分科会の中で繰り返し、単なる就職率ではなくて、追跡をしてどのぐらい定着しているかを重要なポイントにすべきではないかと言われてきているので、それを含めてきちんと月 10 万円与えて訓練をさせていることも踏まえて、きちんと追跡調査をできるような体制を整えた上で、第 4 4 5 ページにかけてですが、結局この PDCA の在り方について継続的に検討を進めるべきであるという先送りなので、もう少しそういうところをきちんとできないかを今回は具体的な形で入れつつ、こことの関わりで先ほどの 2 ページの第 3 (1) 2 つ目の○の就職率ではなくてマル1、マル2、マル3と書いてありますが、これは如何様にでもできそうなもので、その他で評価すると、就職率プラスいろいろなことをやりますよということです。ここで繰り返し言われてきたのは、定着して安定的に雇用しているかですので、例えば求職者給付、いわゆる失業手当をもらえる受給者資格を取れる要件に当たるような期間、きちんと雇用をされているかを追跡調査をした上で、それが何パーセントぐらいいるのか。別に、そのパーセントを付け加えたことによって要件が厳しくなるわけではなく、それを加味することでどのぐらいの要件を設定するかというので、現状のチェックと同じレベルでその点を評価した上で、この訓練の在り方をもう一遍皆に見直していただくことは制度的にはできると思うので、その辺りを先送りではなくて、もう少し可能な範囲で、これから法律を変えようとか、制度を変えようという話ですので、そういう視点もきちんと具体的に入れてやっていただかないと思っております。いろいろと議論してきたのに、重要なところは先送り先送りと言われると、何のために議論してきたのかなという気が、今日率直にしているところです。

 

○上原委員 訓練機関が採算上厳しい運営を余儀なくされているということが書いてあるわけですが、これは失業率が改善すればどんどん厳しくなるわけです。それから、訓練実施の好事例の周知と書いてあるのですが、例えばどのようなものがあると認識されているのか、事例があったら教えていただきたいと思います。それから、財源の問題はこの分科会ではないのですが、本来はやはり雇用保険財源ではなく国の予算でやるべきだと思います。

 

 

○小杉分科会長 はい、分かりました。

 

○青山能力開発課企画官 好事例の話は、正に質の向上に取り組んでいるような好事例をもっと探さなければと思っております。今は、ガイドラインの研修の受講なども促しますので、受講する上での運用の中で、いろいろ訓練機関とキャッチボールをしながら、いい事例も聞き取っていけたらと思っております。財源の件は、おっしゃるとおり労使の認識はあるかと思い、恐縮ですが雇用保険部会の議論かと思いますので、そちらに確と伝えたいと思っております。

 

○小杉分科会長 最初の、経営が苦しくなるのは、景気がよくなれば当然この訓練は厳しくなるのではないかという指摘があったかと思いますが。

 

○青山能力開発課企画官 そうですね。確かに、経営が苦しいものの要因はいろいろあると思うのですが、やはり受講生が集まらないというのがあり、そこは多少そういうものも影響されますが、それ以外に制度的な部分、出席要件がかなり大きく影響するなどもありますので、やはりこうした見直しも通じて、そこは採算が苦しい部分は手当していきたいと思っております。

 

○小杉分科会長 景気要因以外に、制度の設計の要因があり、その設計の要因について、ここでは議論してきたのではないかと思います。

 

○三村委員  2 点あります。 1 つは、先ほどの PDCA の中で、フォローアップという形で追跡調査は当然必要になってくると思うのですが、訓練の初め、訓練期間中のキャリア・コンサルタントが活躍するわけですが、その訓練後にキャリア・コンサルタントがどのようにこの制度を終えた人たちが職業生活を営んでいるかという関わりは、全く書いていないのです。量的なものは評価は必要なのですが、能力開発をしていくということは個の問題で、やはり質的なものもアプローチするという視点が、 PDCA の中にはあったほうがいいかなと思うのが 1 点です。

2 点目は、 4 ページの一番上の○のサービスガイドラインの関連する研修の受講を、訓練実施機関に促すと書いてあるのですが、この辺りは促すレベルでいいのか、それとも義務付けるという形で、ある程度強制的に研修の受講を求めるのがいいのか、その辺りもある程度厳しくしないと、だんだん緩んでくるのではないかということで、 2 点お願いします。

 

○小杉分科会長 これも、御意見ということでよろしいですか。

 

○三村委員 はい。今のキャリコンのことで、質的なものは余りアプローチする必要は何かあるのでしょうか。

 

○青山能力開発課企画官 訓練後の就職に至るまでは、今は訓練後もハローワークで一定期間就職支援をしております。そこで、キャリコンと表現するかどうかはともかく、その人の訓練をした成果を踏まえた、適正に合った就職を促すようにハローワークも努力していると思いますので、ここは一層やらなければいけないと思います。それから、訓練機関自らも、学校によってですが、自主的に卒業生に対してもキャリコンなどに呼び直してやっている例もあるようです。それは、非常にいい例だなと思っております。

 

○三村委員 それは、好事例としてですか。

 

○青山能力開発課企画官 はい。

 

○小杉分科会長 質とおっしゃったのは、個人の変化という意味ですね。

 

○三村委員 そうです。個人の変化を含めてですね。

 

○小杉分科会長 そういう個人の変化のようなものも、好事例の中に入れていったらいいのではないかという提案ですか。

 

○三村委員 そうです。

 

○小杉分科会長 そろそろ時間もきておりますが、この件に関してはいかがですか。

 

○高橋委員  3 点あります。まず 1 点目は、 2 ページの一番最初の○なのですが、この日本語の意味がよく分からなくて、そういったものへの配慮は必要である、で、終わっているのですが、ここには馴染まない表現だなと思っています。そういったものへの配慮が必要だとしても、本制度で行うことは適当ではないとか、何かそういうものであるならば分かりますが、この語尾がおかしくて、これならこの 2 行半も要らないのではないかと思います。

2 点目は、第 3 (1) の最初の○ですが、 3 行目の終わりのほうに就職率ばかり追求する傾向が指摘されており、と書いてあります。これは、私は気になっていて、この制度は早期に就職をしていただくための制度なので、就職率がもともと PDCA サイクルの中でも重視されているものですし、就職率は大いに追求していただきたいのですね。今度は就職の定義を少し変える。しかし、就職率は引き続き重要ですし、主たる評価要素なのですから、この日本語は一部の実施訓練機関がごく短期の雇用を受講者に促すなどの問題点が指摘されており、というような形にしたほうがいいのではないかと思います。

3 点目は、 3 ページの (3) の認定職業訓練実施奨励金等についての 3 番目の○の、私がずっとこの審議会でこだわっているところです。これは飽くまでも奨励金の話なので、何でまた訓練にできる限り出席させることが重要であることから、というのが出だしで入るのかがよく分からなくて、訓練にできる限り出席することが重要であることは当たり前のことなのですね。それと実施奨励金とどのような関係があるのかがよく分からないのが 1 つです。もう 1 つは単純に質問で、私がこだわっていた例の一部について出席したものと取扱う、とここでは書かれているのですが、遅刻したときの取扱いとしてどんなことを今想定されているのかについて、教えていただきたいと思います。

 

○小杉分科会長 遅刻については質問で、ほかは意見と承りました。

 

○青山能力開発課企画官 まず、いただいた意見は検討したいと思います。最後の 3 ページの下から 3 つ目の○の出欠の場合の扱いについては、御指摘も踏まえ、カウント方法は考えないといけないと思っています。遅刻して残りの時間を全部カウントすると、遅刻が毎日できるのではないかという指摘もありましたので、そうではなく、遅刻をしても一定の上限が課されるようにしたいと思っています。 1 つの案ですが、例えば 1 日の半分以上出れば 2 分の 1 分のカウントはするけれども、それより出なければそもそも全くカウントをしないというような方法にすれば、遅刻も回数が制約されますので、そうした方法を今検討しております。

 それから、先ほど三村先生の指摘で申し忘れたのですが、サービスガイドラインの研修の話です。促すというところについては、確かに受けてほしいのは気持は同じなのですが、研修制度をこれから始めつつあるところで、急に初年度に全部の講座が受けられるだけの研修が用意できるわけではない見込みなので、そこは、恐縮ですが、まだ発展途上の仕組みなので、まずは受けなさい、受けなさいと一生懸命推奨することで、ただ推奨することは基準などに書いて、事実上受けなければいけないような雰囲気にして、研修制度がもっと整備されたら、いずれもっときちんとした義務化も含めて視野に入れたいと思っております。

 

○原委員 高橋委員の意見は、とても大事だと思っております。 2 ページの第 3 (1) 1 つ目の○の就職率ばかり追求する傾向が指摘されたり、表現の問題なのですが、本質的には就職率を追求するのはいいのですが、防ぎたいのはクリーミングですよね。就職が本当に難しくて、このような制度を本当に必要としている人が、訓練機関から排除されてしまう、就職率を訓練機関が追求するばかりに排除されてしまう可能性を排除したい、それが私はここにくるべき文言だと思い、そのように文章を変えたらいかがでしょうか。意見です。

 

○小杉分科会長 今回の皆さんの意見をできるだけ受け止めて、次回には報告書の案として提示していただきたいと思います。いろいろと関係機関とも折衝しなければならないこともあるかと思いますが、次回には是非これらの意見を踏まえた報告書案を準備していただきたいと思います。付け加えてありますか。

 

○新谷委員 今、次回にというお話だったのですが、今日も大分論議をして、特に最初の中長期的な新しい訓練システムについては、まだコンセンサスが取れていないと私は発言しましたが、これを今後、次回がどういうタイミングになるのかは分かりませんが、年内に仮に取りまとめをするのであれば、相当詰めないと報告文案もそうですが、この分科会として訓練がどういうものなのだというところのコンセンサスを次回取るのか、その間に何かの方法で取るのかを含めて、先ほど提起された問題を含めて、これをどうやって次回までに処理するのかという見通しなり、進め方について確認をさせていただきたいと思います。

 

○尾形総務課長 なかなか詰まらない議論で恐縮だと思っておりますが、次回何とか年内の取りまとめに向けて、公式、非公式いろいろな場面を通じて、具体的な中身についてこちらからも提案し、検討していただき、次回この場で何とか取りまとめに至るような形にしたいと思っております。

 

○小杉分科会長 では、次回までの間に、皆さんに案をもう 1 回提示していただく機会を設けるということですね。

 

○尾形総務課長 私どもで、今日の意見を改めてお諮りしたものを、事前に見ていただくというようなプロセスで御検討いただければと思っております。

 

○小杉分科会長 メールなり何なりで、何らかの形でやり取りをするということですね。

 

○新谷委員 その方向で是非進めていただきたいのですが、私もいろいろな厚生労働省の審議会に出させていただいていますが、特に今期の能開分科会は特定の人に負荷がかかり過ぎているのではないかと。要するに、これだけ検討会が遅れていて、能開行政、能開局全体としての取組をこうやっているのだというところが、どうも見えにくいように思います。これは、答弁にしてもそうなのです。本当に 1 人でやられているイメージがあり、局全体で取り組んでこれだけ一生懸命やっているのだというところを見せていただかないと、遅れているばかりで、遅れてる遅れてると毎回申し上げているわけですから、能開局として取組を是非進めていただきたいと思います。

 

○小杉分科会長 能開局へのエールと伺っておいてよろしいですか。では、本日はこれまでとさせていただきたいと思います。次回の日程等について、事務局から連絡があり、その前に皆さんのところに今日の議論を踏まえた案が提示されることと思います。本日の議事録の署名人ですが、労働側は豊島委員、使用者側は河本委員にお願いいたします。それでは、本日はこれにて終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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