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2014年4月25日 第10回改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会 議事録

職業安定局雇用開発部障害者雇用対策課

○日時

平成26年4月25日(金)
16時00分~18時00分


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○出席者

【委員】山川座長、阿部(一)委員、阿部(正)委員、伊藤委員、北野委員、栗原委員、小出委員、武石委員、田中委員、富永委員、本郷委員、遠藤氏、加藤氏

【事務局】内田雇用開発部長、藤枝障害者雇用対策課長、松永調査官、川村主任障害者雇用専門官、境障害者雇用対策課長補佐、寺岡障害者雇用専門官

○議題

1.報告書(素案)について
2.その他

○議事

○山川座長

定刻となりましたので、ただいまから第 10 回改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会を開催いたします。恐縮ですが、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。

本日は、市川委員、塩野委員が御欠席です。市川委員の代理として加藤様、塩野委員の代理として遠藤様に御出席いただいております。北野委員は、間もなく到着されると思います。いつもどおり、御発言をされるときは、お手を挙げてお名前を言っていただいてから、御発言をお願いいたします。

議事次第にありますとおり、本日はこれまでの検討を踏まえて、「報告書 ( 素案 ) 」が作成されておりますので、こちらについて御議論をいただく予定となっております。事務局から資料の説明をお願いいたします。

○境障害者雇用対策課長補佐

事務局です。資料の説明に入る前に、御報告があります。この 4 月に組織の再編があり、高齢・障害者雇用対策部が雇用開発部となっておりますことを御報告させていただきます。また、 4 月に人事異動があり、川村主任障害者雇用専門官が着任しております。

それでは、資料 1 の説明に移ります。資料 1 については、前回まで 9 回にわたり差別禁止・合理的配慮について、それぞれ論点に沿って御議論いただいたところです。資料 1 については、この論点ごとの議論の結果、各回の資料では矢印の下の四角にまとめていたものを、報告書 ( 素案 ) として再整理したものです。論点ごとの議論の結果を整理するに当たっては、必要な文章を加筆し、また各回の議論の際にあった修正意見を取り入れた形としております。この新たに加筆した箇所、表現を修正した箇所については、黄色のマーカーを引かせていただきました。順次、説明いたします。

1 はじめに」です。ここでは、この研究会を開催する契機等について記載しております。即ち、 1 番目の○ですが、第 183 回国会において成立した障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律により、障害者に対する差別の禁止等に関する規定が新設され、厚生労働大臣は改正法第 36 条に基づき差別の禁止に関する指針を、また、改正法第 36 条の 5 に基づき均等な機会の確保等に関する指針 ( 以下「合理的配慮の提供に関する指針」という。 ) を定めることとされたとしております。 2 番目の○において、労働政策審議会障害者雇用分科会が平成 25 3 14 日に取りまとめた意見書「今後の障害者雇用施策の充実強化について」及び改正法を踏まえ、両指針に盛り込むことが必要な事項に関して、平成 25 9 月から議論を重ね、その検討の結果を取りまとめたとしております。

2 差別の禁止に関する指針の在り方について」です。指針の構成は、第 1 趣旨、第 2 基本的な考え方、第 3 差別の禁止とすることが適当である、としております。「基本的な考え方」として、障害者雇用促進法第 2 条第 1 号に規定する障害者が対象であること。すべての事業主が対象であること。禁止される差別は、直接差別であること。これは、車いす、補助犬その他の支援器具等の利用、介助者の付き添い等の社会的不利を補う手段の利用等を理由とする不当な不利益取扱いを含みます。これらに加え、障害者に対する差別を防止する観点を踏まえ、障害者も共に働く一人の社員であり、事業主や同じ職場で働く者が障害特性に関する正しい知識の取得や理解を深めることが重要であることを記載することが適当としております。この箇所については、原案では求められることとなっておりましたが、やはり重要であることのほうが適切ではないかとの御意見をいただきましたので、重要であることと修正しております。最後に、間接差別について、意見書の整理を記載しておりますが、詰まるところ法施行後の検討課題であるとしたところです。

(3) 「差別の禁止」についての、マル1項目についてです。 1 番目の○において、「差別の禁止」の記載に当たっては、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律に基づく労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する指針の記載を参考に、以下の項目例に沿って禁止される差別を整理することが適当であるとし、 2 番目の○において、上記の項目例に加え、「職場復帰」、「労働時間」及び「再雇用」といった項目を追加すべきとの意見があった。これらは、上記の項目例に含まれることから、今後、上記の項目例に沿って指針の具体的な記載を検討する際に、必要に応じてこれらの内容を含めて明確化すべきであるといたしました。

マル2募集及び採用についてです。 2 つ目の○ですが、ヒアリングを踏まえて、「募集又は採用に当たって、障害者であることを理由に、その対象から障害者を排除することや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすること」が差別に該当するとしております。

3 ページですが、「募集に際して、一定の能力を有することを条件とすることについては、その条件が当該企業において業務遂行上特に必要なものと認められる場合は、障害者であることを理由とする差別に該当しない」としております。一方、募集に当たって、業務遂行上特に必要でないにもかかわらず、障害者を排除するために条件を付していると判断されるときは、差別に該当するとしております。なお、障害者から求人内容について問合せ等があった場合は、事業主がその内容について説明することが、相互理解の観点からも重要であるとしております。

マル3採用後についてです。 2 番目の○ですが、ヒアリングを受けて、採用後の各項目について、障害者であることを理由に、その対象から障害者を排除することや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることが差別に該当するとしております。マル4差別に当たらない事項についてです。ここでは、障害者を有利に取り扱うこと ( 積極的差別是正措置 ) 、合理的配慮を提供し、労働能力等を適正に評価した結果として異なる取扱いを行うこと、合理的配慮を提供することにより、障害のない者と異なる取扱いを行うこと、障害者専用求人の採用選考又は採用後において、仕事をする上での能力及び適性を判断するためや合理的配慮を提供するためなど雇用管理上必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者に障害の状況等を確認することが差別に当たらない事項としております。今の 3 番目のポツについて、 2 番目のポツとの違いが分かりにくいとの御指摘もありましたので、合理的配慮を提供することにより、障害のない者と異なる取扱いを行うこととした修文をしております。また、 4 番目のポツですが、障害の状況等について確認する場合として、仕事をする上での能力及び適性を判断するためを追記すべきとの御意見があったことを踏まえた修正を行っております。

次に「 3 合理的配慮の提供に関する指針の在り方について」です。 (1) の指針の構成ですが、論点案から第 3 として合理的配慮の手続を追加し、第 1 趣旨、第 2 基本的な考え方、第 3 合理的配慮の手続、第 4 合理的配慮の内容、第 5 過重な負担、第 6 相談体制の整備等としております。 (2) 「基本的な考え方」についてです。対象となる障害者等に加え、合理的配慮の提供は事業主の義務であるが、採用後の合理的配慮について、事業主が必要な注意を払ってもその雇用する労働者が障害者であることを知り得なかった場合には合理的配慮の提供義務違反を問われないこととしております。また、過重な負担にならない範囲で、合理的配慮に係る措置が複数あったとき、事業主は、障害者との話合いの下、その意向を十分に尊重した上で、より提供しやすい措置をとることは差し支えないとするとともに、障害者が希望する合理的配慮に係る措置が過重な負担であったとき、事業主は障害者との話合いの下、その意向を十分に尊重した上で、過重な負担にならない範囲で合理的配慮に係る措置をとるとしております。

(3) 「合理的配慮の手続」についてです。合理的配慮は、障害者の個々の事情と事業主側との相互理解の中で可能な限り提供されるべき性質のものであることから、「合理的配慮の手続」を定めるとしております。マル1募集及び採用時における合理的配慮の提供については、 ( 障害者からの合理的配慮の申出 ) 」、「 ( 合理的配慮に係る措置の内容に関する話合い ) 」、「 ( 合理的配慮の確定 ) 」としております。「障害者からの合理的配慮の申出」の 3 番目の○ですが、合理的配慮に係る措置の内容によっては準備に一定の時間がかかる場合があることから、障害者は面接日等までの間に時間的余裕をもって事業主に申し出ることが求められることとしております。ここは、まず何に一定の時間がかかるのか分かりにくいとの御意見がありましたので、「準備に」一定の時間がかかるとし、また事前に申し出ることを強調すると障害者にとってプレッシャーではないかとの御意見もありましたので、「十分な」を削除しております。

合理的配慮の確定においては、事業主が障害者の意向を十分に尊重しつつ、障害者との話合いを踏まえ具体的にどのような措置を講じるかを判断すること、障害者から問合せがあった場合には、当該措置を講じることとした理由 ( 障害者から申出があった具体的な措置が過重な負担に当たると判断した場合には、その理由を含む ) を説明すること、過重な負担にならない範囲で、合理的配慮に係る措置が複数あったとき、事業主は、障害者との話合いの下、その意向を十分に尊重した上で、より提供しやすい措置をとることは差し支えないことを記載しております。

次に、 6 ページのマル2職場における合理的配慮の提供についてです。「 ( 事業主からの職場における支障となっている事情の有無の確認 ) 」、「 ( 合理的配慮に係る措置の内容に関する話合い ) 」、「 ( 合理的配慮の確定 ) 」としております。事業主からの職場における支障となっている事情の有無の確認ですが、労働者が障害者であることを当初から把握している場合は、雇入れ時までに確認。雇入れ時までに、事業主が障害者であることを把握できなかった場合は、障害者であることを把握した際に遅滞なく確認。雇入れ時に障害者でなかった場合は、障害者となったことを事業主が把握した際に、遅滞なく確認としております。さらに、障害の状態や職場の状況が変化することもあるため、事業主は必要に応じて定期的に職場において支障となっている事情の有無を確認することとするとともに、障害者は、事業主からの確認を待たず、自ら職場において支障となっている事情を申し出て差し支えないこととしております。

募集採用時と同様ですが、合理的配慮に係る措置の内容に関する話合いにおいて、障害者が希望する措置の内容を具体的に申し出ることが困難な場合は、支障となっている事情を明らかにすることで足りるとしております。 7 ページのマル3、合理的配慮の手続において、障害者の意向を確認することが困難な場合、就労支援機関の職員等に障害者を補佐することを求めても差し支えないとしております。ここは、「家族等」よりも「就労支援機関の職員等」のほうが適切ではないかとの御意見があったことを踏まえて、そのように修正しております。

(4) 「合理的配慮の内容」についてです。ここでは、 1 番目の○として、意見書での整理を改めて記載しております。即ち、意見書においては、合理的配慮の提供に関する指針を定めるに当たっては、「合理的配慮は、障害者の個々の事情と事業主側との相互理解の中で可能な限り提供されるべき性質のものであり、最初から細部まで固定した内容のものとすることは適当ではない。」とされていると追記いたしました。その上で、合理的配慮とは、募集及び採用時については、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するための必要な措置、採用後については、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するための必要な措置であるとしております。

また、合理的配慮の内容に関する理解を促進する観点から、多くの事業主が対応できると考えられる措置を事例として、別表に記載することが適当とした上で、合理的配慮は個々の労働者の障害や職場の状況に応じて提供されるものであり、多様かつ個別性が高いものであることを踏まえ、別表はあくまでも例示であり、あらゆる企業が必ずしも実施するものではないこと及び、別表に記載されている事例以外であっても、合理的配慮に該当するものがあるとしております。

(5) 「過重な負担」についてです。過重な負担を判断する要素として、「ア事業活動への影響の程度」として、当該措置を講ずることによる事業所における生産活動やサービス提供への影響、その他の事業活動への影響の程度が過重な負担の判断要素となる。「イ実現可能性」として、事業所の立地状況や施設の所有形態等により当該措置を提供するための機器や人材の確保、設備の整備等が可能かどうかが過重な負担の判断要素となる。「ウ企業規模」として、当該企業の企業規模が過重な負担の判断要素となる。「エ企業の財務状況」として、当該企業の財務状況が過重な負担の判断要素となる。「オ費用・負担の程度」として、費用・負担の程度が過重な負担の判断要素となる。「カ公的支援の有無」として、イ、オについては、公的支援を利用できる場合は、その利用を前提とした上での判断となるとしております。アについては、原案では事業運営への影響の程度としていたところ、企業全体への影響と読めるなど分かりにくい、との御意見がありましたので、事業活動への影響の程度とし、当該措置を講ずることによる事業所における生産活動やサービス提供への影響、その他の事業活動への影響の程度が過重な負担の判断要素となると修正いたしました。

次に、 9 ページの 1 から 2 行目にかけてです。ここは、「個別に」の意味が分かりにくいとの御意見を踏まえ、合理的配慮の提供に際し個別にといたしました。

(6) 「相談体制の整備等」についてです。相談体制の整備等に記載する事項として、「ア相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」、「イ職場における合理的配慮に関する相談があったときの適切な対応」、「ウ職場における合理的配慮に係る相談者の情報は、当該相談者のプライバシーに属するものであることから、相談者のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を周知すること」、「エ障害者が職場における合理的配慮に関し相談をしたことを理由として、解雇その他の不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、周知・啓発すること」としております。

アの相談への対応のための窓口の例示を、相談に対応する相談者や対応するための制度としておりましたが、制度は部署ではないかとの御指摘をいただきましたので、特定の担当者・部署と修正いたしました。また、マニュアルの作成その他の必要な措置について例示を落としたほうがよいとの御意見がありましたので、「マニュアルの作成その他の」を削除しております。

4 おわりに」です。ヒアリングでの御意見、あるいはこの研究会での委員の皆様の御意見において、指針の記載事項とは別に行政への御提言等をいただきました。その内容をここに記載しております。 2 番目の○として、我が国において、障害者の差別の禁止、合理的配慮の提供等が円滑になされていくためには、事業主に対する指針の策定に加え、行政による様々な取組が重要となるとし、 10 ページの 1 番目の○に、具体的な取組を記載しております。具体的には、障害者に対する差別をなくしていくため、事業主や労働者に対する障害の特性等に関するパンフレットの配布やセミナーの実施等の啓発活動。合理的配慮が個々の労働者の障害や職場の状況に応じて適切に提供されるよう、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のリファレンスサービスの充実など具体的な事例の収集・情報提供やジョブコーチの質的な充実等。ハローワークにおける、職員の障害の特性等に関する適切な理解の促進、企業等からの障害者の範囲や合理的配慮の内容等に関する相談への適切な対応。事業主と障害者との間で合理的配慮の提供等に関し紛争が生じた際の円滑な解決に資するよう、紛争解決に当たっての手順を整理したフローチャートの作成及び事業主等への周知等。障害者の職場定着を図るため、助成金制度の手続の簡略化や内容の充実、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の就労支援機器貸出しサービスの拡充、企業がジョブコーチを活用しやすい体制の整備など企業支援の充実。上記の支援策が適切に活用されるよう、支援策の周知としております。さらに 2 番目の○として、職場における合理的配慮が円滑になされるよう、就労支援機器の開発が進められることが望まれるとしております。

次に、別表です。 15 ページの【知的障害】です。採用後の 2 番目の○ですが、理解度ではなく習熟度ではないかとの御意見を踏まえ、そのとおり修正いたしました。 16 ページの【精神障害】ですが、採用後の 2 番目の○について、その障害特性を踏まえ、業務の優先順位や目標を明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順を分かりやすく示したマニュアルを作成する等の対応を行うことと修正いたしました。 17 ページの【発達障害】ですが、採用後の 2 番目の○について、その障害特性を踏まえて、業務指示やスケジュールを明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順について図等を活用したマニュアルを作成する等の対応を行うことと修正いたしました。 18 ページの【難病に起因する障害】ですが、募集及び採用時に、面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めることを追加いたしました。資料 1 の説明は以上です。

○山川座長

ありがとうございました。今、事務局から説明いただきました資料 1 について、御質問、御意見等をお伺いしたいと思います。御質問について多数にわたる場合は、途中でこちらで区切らせていただき、御回答をお願いすることがあるかもしれません。

○田中委員

日本盲人会連合の田中です。私から 2 点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。

1 点目は、別表の記載ですが、【聴覚・言語障害】の募集及び採用時の所です。これは何回か議論になりましたが、今現在、面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めることという記載になっております。この就労支援機関の職員等という記載でもよいのかと思いますが、よりストレートに書くのであれば、例えば意思疎通支援者というような記載のほうが、より適切なのではないかと私は思います。ただ、意思疎通支援者と正面から書くと、どうしても費用負担の関係もあり、手話通訳者や、要約筆記者の費用をどのようにするかという問題が出てくるのかもしれません。ですので、現在の助成金制度をちょっと調べましたら、手話通訳担当者委嘱助成金があるようです。募集採用時でしたら、多分 2 時間程度で終わるかと思いますので、そういった拡充も含めた検討がいるかもしれませんが、意思疎通支援者の記載を検討いただけたらというのが 1 点目です。

2 点目は、 4 番目のおわりにという所の記載です。今の○が 2 つありますが、 3 つ目として、通勤支援について、今後の検討課題とするという項目の追加を御検討いただけないかと思っております。実は通勤支援については、それを福祉の分野で担当するのか雇用分野で担当するのか、随分議論がありました。本研究会でも、日身連の阿部委員からこの通勤支援を谷間の問題としてはならないという御意見が出されていたかと思います。この研究会のヒアリングなどを振り返ってみると、各障害者団体からは通勤支援の要望はかなり多く出ています。

それからもう 1 つ。改正障害者雇用促進法は地方公務員については、合理的配慮部分が直接適用になります。地方公務員募集要綱には、その受験資格として、自力通勤可能な者と記載が多数見られており、これをどのようにしていくのかをどうしても検討しないといけません。私は合理的配慮の提供の一内容になっていくのだろうと思いますが、しかし、これも費用負担は避けて通れない。ですので、もし民間の事業者であればやはり、助成金の問題を拡充していくことは不可欠ですし、地方公共団体の場合には、どれだけ予算を確保するか、これは他の施策とのバランスの問題も出てきます。一朝一夕には決められない問題ではありますが、少なくとも今後の検討課題だという内容を入れていただけたらと考えています。以上です。

○山川座長

ありがとうございました。 2 点の御意見を頂きました。この点に関連する御意見等がもしありましたら。

○塩野委員 ( 遠藤代理 )

ただ今の田中委員の御意見についてのお尋ねですので、 2 点、意見を申し上げさせていただきたく思います。まず、意思疎通支援者という言い回しですが、どういった内容が含まれるのかについては、御解説がありましたので理解しています。指針は多くの事業主が今後見ていくということを考えたときに、意思疎通支援者の文言で問いかけることが果たして適当なのかどうなのか。やはり事業主サイドからすると、外部の応援を仰ぐ形で、今の書き振りのままのほうが適当ではないかという意見が 1 点目です。

自力通勤、移動時の支援をどのようにしていくかについて、課題であることは使側としても認識しています。

また、ヒアリングに際して、先ほど障害者団体からの意見の御紹介がありましたが、使用者側としても意見は申し上げています。通勤時の支援の部分については、合理的配慮の内容に含まれない趣旨での意見表明をしています。今後の課題として載せるのか載せないのか、という御判断が一方であるかと思いますし、載せる場合でもこの書き振りについては、これまでの経緯も十分踏まえる必要があることをお願いしたいと思っています。以上です。

○山川座長

ありがとうございました。それでは同じく、関連した御意見を更にお伺いしたいと思います。

○伊藤委員

伊藤です。今、通勤支援について、今後の検討課題の形で明記すべきという御意見があり、また一方で、その点についてはこれまでの経緯を踏まえるべきという御意見がありました。私ども連合として、意見表明をかつてさせていただきましたが、そのときにも移動支援という言い方をしましたが、これは必要な合理的配慮の中に含めるべきというように申し上げた経緯もございまして、これまでのヒアリングなどで障害者からの御意見も多々あった部分ですので、是非、検討課題として明記する形にしていただきたいと思います。以上です。

○山川座長

ありがとうございました。ほかに。

○阿部 ( ) 委員

日身連の阿部です。移動支援については、今後の課題ということは大事なことであり、これはこちら側、雇用主さんだけで解決するということだけではなく、言ってみれば、もっと大きな枠組の中で移動支援について検討していただきたいと思います。内閣府障害者政策委員会の検討にもあり、そちらのほうの検討課題でもあることを踏まえて、今後の課題であるというようにしていただければと思いました。

○山川座長

ありがとうございます。種々御意見が出ておりますが。

○小出委員

育成会の小出です。通勤支援、移動支援に関しては、私ども福祉のほうでも移動支援については取り上げられます。勤めるということ、雇用されることになると、それは福祉ではなく、雇用サイドの問題ではないかと。それから今こちらで言うと、雇用ではなく、福祉のほうでということで、今、両方の間に陥っているのが現状です。今の状況を申し上げました。以上です。

○山川座長

ありがとうございました。

○栗原委員

栗原です。今の移動支援には、問題が山積しているという感じがしています。どの障害を持たれた方が対象になるのかということになるのであれば、また別かも分かりませんが、全般的な話となると、私どもは知的障害者を多く雇用しているのですが、最初、実習などの場合は、自分で来られないために家族が連れて来ます。 1 2 週間経過すると通勤できるようになるのです。ですから、我々の会社では、自力で通勤できるということが前提になっていますが、あまり過保護な状況にすると問題があるのではないかという感じがいたします。

例えば旅行に行くのに、横浜高島屋前に集合と言うと、親が連れて来ますが、会社にはきちんと通勤することができるのです。ですから、これは慣れだということが言えます。その慣れが社会性に広がってくるので、昔は施設からバスで送り迎えしていたのが、定期を買って、それで自分で通勤を始める。そうすると、いろいろなところへ自分で行けるようになり、社会性が身に付いてくるということだと思います。あまり過保護なのはどうなのかなという感じがいたしますので、その文言については、もう少し考える必要があるのかなという感じがいたします。以上です。

○山川座長

ありがとうございました。

○阿部 ( ) 委員

日身連の阿部です。ただいまの栗原委員のおっしゃる、その慣れるまでの間の支援がすごく大事なことだと私は認識しています。持てる力を引き出すため、そこまでいくための支援ということを、しっかりここに私たちは読み取れればいいなと思いまして、それも今後の課題ということで盛り込むということが、田中委員のお話であったのだと思います。

○山川座長

ありがとうございます。以上、関連する点は、よろしいでしょうか。種々御意見が出されております。支援の観点から含めて、一定の課題が存在すること自体にはコンセンサス的なものがあるのではないかという感じがいたしますが、報告書に書くかどうか、あるいは書く場合にはどのように書くかということについては、なお、どうも御意見に差があるというように伺っていたところです。それを踏まえて今回、またもう 1 回ありますので、検討していただくことになりますが、事務局として何かありますか。そのようなことでよろしいでしょうか。

○境障害者雇用対策課長補佐

この移動支援の問題については、福祉なのか雇用なのかということについて、従前、御議論があったものと認識しております。この研究会において、今後の検討課題というものをどこまで書く必要があるのか、また一方で政府として、それが検討課題であるという認識は十分なされているという中で、あえてこの研究会報告書に書く必要があるのか等々ありますし、今、この場面でも、いろいろ御意見があったものと承知しております。それらを踏まえて事務局としても、どのようにすべきかということを、一度考え方を整理させていただき、またお諮りさせていただければと考えております。

○山川座長

更に御意見を踏まえて、検討をお願いしたいと思いますが、この点、更に何か追加で御意見ございますでしょうか。

○小出委員

育成会の小出です。私の子供の体験というか、申し上げます。栗原委員がおっしゃるとおりです。私の娘は自閉症です。中学校から当時の養護学校に行きました。中一の一学期はスクールバスだったのですが、二学期から路線バスで通学しないかと言うことで、母親が付き添って朝 6 54 分の路線バスで毎日学校に通い、それに付き添って朝は往復約 2 時間、帰りの迎えを 2 時間と、 1 4 時間。私は、 1,000 日かかると思いました。 1,000 日というのは高等部卒業するまでかかると、しかし、 1 か月半で 1 人で乗換えも含めて行くようになりました。おっしゃるとおり、非常に社会性も付きました。そういうことで就労支援の中にジョブコーチというのがあります。これは有期限だと思います。それは職場に慣れるまでの支援を目的にしていると思います。また、職場での仕事が変わったときのタイミングで使うという、有期限の支援であります。このようなところに制度を少し作っていただいて、通勤、あるいは移動支援の形で盛り込むことはできないかという、これは検討課題だと思いますが、是非、盛り込んでいただきたいと思います。

○山川座長

ありがとうございました。ほかに。

○富永委員

富永でございます。ちょっとよく分からなかったのですが、課題はいろいろあると思いますが、その中でそれを 1 つだけ出すということになるのでしょうか。

あと、ジョブコーチ等については、 10 ページの上から 2 ポツ目にジョブコーチの質的な充実等とかあり、ほかの課題がまだ多分ある中で、それだけ出すのもどうかという気が 1 ついたしました。

合理的配慮と差別禁止についての報告書、これで上げるという話だったかと思いますが、合理的配慮はいろいろ定型的なものではないと思います。私自身の個人的な考えでは、通勤に関するものは一切入らないというものではなく、また、逆に全部入るというものではないと。それは過重な負担になるかどうかで決まると思いますので、頑張って過重の負担が担える部分が増えるわけでも減るわけでもないので、原則的な考え方で今のところはいいのではないかと。書いてある所で個別に判断することになるのではないかと、個人的には思いました。意見です。

○山川座長

ありがとうございます。御意見ということでありましたけれども。

○藤枝障害者雇用対策課長

障害者雇用対策課長の藤枝でございます。今、いただいた御意見の中で、助成金制度の中で対応できるものもあるのではないかという御意見を頂きました。私どもとしては、限られた財源の問題もありますが、他の助成金も含め、使い勝手が悪いとか、もう少し拡充できないかとか、様々な御意見をいただいておりますので、そういった中で見直しできるものは見直して、合理的配慮に入る入らないにかかわらず、障害者の方の職場定着支援の観点で充実できる点については、その方向で進めてまいりたいと考えております。そういった思いも「 4 、おわりに」の行政の取組のところで書かせていただいたつもりでおりますので、よろしくお願いいたします。

○山川座長

ありがとうございました。支援の課題がほかにもいろいろある中でというようなお話で、先ほどの富永委員のお話にも、その中での通勤支援の位置付けをどのように考えるかという趣旨も含まれていたかと思います。

○塩野委員 ( 遠藤代理 )

議論の進め方ですが、冒頭、座長からお話がありましたので、田中委員の意見について展開しています。もう少しここに関わる形で進めていかれるのか、それとも、他のところについても意見の機会がいただけるのか、その辺はどういたしたらよろしいのですか。

○山川座長

もちろん、他のところの御意見も伺いますが、なるべく本日検討を行い、次回が最後ということで、提示していただいた論点については幅広に御意見を伺って、それを踏まえて次回、報告書案に恐らくなると思いますが、そういうことで議論を進めておりますので、更に特段追加がなければ別の御意見に移っていただく、あるいは御質問に移っていただき、特になければ、ほかの点の御質問、御意見をお願いいたします。

○塩野委員 ( 遠藤代理 )

経団連の遠藤と申します。先ほど課題は 1 つだけではないだろうという御指摘がありました。私どもも、そのように感じています。そういった中で企業の方々に御説明をさせていただいておりますが、そこで出てきたことを 1 つ御紹介させていただきます。ページで申し上げると、 6 ページ目です。職場における合理的配慮の提供、「事業主からの職場における支障となっている事情の有無の確認」についてです。

労働契約締結時までに障害の有無が確認できるような場合、これはあり得るのですが、締結後に障害の有無を確認し、職場での職務遂行における支障があるのか、ないのか、どういった事情があり得るのかといったことについて、本人確認することが求められます。

企業現場から聞えてくる声ですが、事業主は法律の枠組として、合理的配慮の提供義務があり、一方で、プライバシーの保護を図らなければいけない。さらには、安全配慮義務も事業主は求められています。そういった企業現場では、支障となっている事情の有無をどのように、あるいはどこまで、どういう形で確認を取っていけばよいのかということについては、やはり課題として現段階でもあるのではないかという声が強くあります。まず 1 点御紹介をさせていただきたいと思います。

意見ということで、もう 1 つだけ発言させていただきたいと思います。ページで申し上げると、合理的配慮の内容について 7 ページです。これは田中委員から御指摘ございましたように、使側としては、今回限られた期間の中での研究会の議論でしたので、合理的配慮の内容に含まれるのか含まれないのかという議論が足りていたか、と問われれば、やはりそれは十分ではなかったということは言えるかと思います。ただ、それは制約があってのことだと理解しています。例えば、中途障害によって、今の仕事そのものを遂行できないような事態に陥った場合、合理的配慮を行います。しかしながら、その職務の本質的な機能を変えるような形での合理的配慮として、職務内容の変更を求められることが仮に現場で行われることになってしまうと、これは合理的配慮の内容に含まれないというのが、一般的な考え方として定着していると理解しています。少なくともこの程度の内容については、指針の中に書き記すべきだというのが意見です。以上です。

○山川座長

ありがとうございました。 2 点の御意見を頂きました。先ほどの点と同様、なるべく幅広に御意見をほかの委員、代理の方々からも伺うという形で進めていきたいと思います。何かございますでしょうか。質問、意見ということでしたが、特に事務局から何かありますか。

○境障害者雇用対策課長補佐

事務局です。今、企業現場の声で 1 点目、どのように支障の有無を確認していくかについて、今後の大きな検討の課題になっていくという御指摘を頂きました。行政としても、これから平成 28 年度 4 月の施行に向けて様々な準備をしていきますが、では、このような指針なりができた際に、それをどのように運用していくのか、どのように事業主の方にこの指針に基づいて、実際の行動をしていただくのか、そのようなことについて、更に分かりやすくしていく、あるいはどうしていくべきかを検討していかなければならないと思っております。まさしく本日いただいた御指摘について、今後どのように受け止め、対応していくかを検討させていただきたいと考えております。

2 点目ですが、 7 ページで合理的配慮とは、という所で定義のようなものを書かせていただいた趣旨について、もう一度、おさらいとして説明させていただくと、あくまでも合理的配慮は職場における障害者と、障害者でない者との均等機会や待遇の確保、能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するための措置となっております。したがって、このようなものに含まれないものは当然あり得るので、そのようなものは合理的配慮に当たらないということを明確にしたつもりでした。ただ、恐らくそのようなものを、もう少し分かりやすい例示のようなものを入れるべきであろうと考えております。その点はまた検討させていただきます。

例えば、今、 ADA 法などにおいても、日常生活で必要になるものは、さすがに事業主の合理的配慮の提供義務ではないだろうと明確に整理されており、そのような考え方はあった上での御議論だと考えております。事務局としては、ただいまの御意見を踏まえて、ここをどのような書き方ができるかについては、検討させていただきたいと考えております。以上です。

○山川座長

ありがとうございました。遠藤代理も本質的機能というような表現を使われましたが、それも先ほど、課長補佐からお話があった ADA 法の中でも出てくる表現ということかと思っております。そこは先ほどと同様な形で御検討いただきたいと思います。

今の 2 点について、御意見、ほかにありますでしょうか。特になければ、ほかの点でも結構ですので、御意見、御質問をお伺いしたいと思います。

○伊藤委員

伊藤です。 2 つ質問をさせていただきます。 4 ページに基本的な考え方について、 5 ページに募集採用時、 6 ページから採用後のお話となっていますが、 4 ページの一番下の基本的な考え方で、合理的配慮に係る措置が複数ある場合には、本人の意向を十分に尊重し、より提供しやすい措置を取ることは差し支えないことが出てきて、募集採用時と採用後の所で、計 3 回出てくるのですが、このように規定していることの理解の仕方を教えていただきたいというのが 1 つです。

先ほど田中委員から公務のお話が出ましたが、この合理的配慮の指針はおおよそ地方公務員にもかかるということですが、今回の素案を拝見すると、 1 人の社員、会社など、社員という表現が幾つも出ていて、どのように理解したらいいかというのを、まずお教えいただきたいと思います。

○山川座長

よろしいですか。 2 点の御質問を頂きました。私、座長からですが、 3 回出てくるという、その 3 回の箇所をもうちょっと具体的に教えていただけますか。

○伊藤委員

4 ページの一番下で、まず基本的な考え方で十分に尊重したと言っています。それから 6 ページの上から 2 つ目、募集採用に当たって支障となっている事情を改善する合理的配慮に係る措置が複数あったとき、事業主は障害者との話合いの下、その意向を十分に尊重した上で、より提供しやすい措置を取ることは差し支えないとあります。それから、 7 ページの上から 4 つ目の○で、過重な負担にならない範囲で、職場において、支障となっている事情を云々という、この 3 つについての読み方を教えていただきたいと思います。

○山川座長

ありがとうございました。それでは御質問ですので、事務局からお願いします。

○境障害者雇用対策課長補佐

基本的な考え方の所に書き、更に手続のそれぞれの局面で繰り返し書くことの意味はなにかということと理解させていただきましたが、基本的な考え方として、合理的配慮はどのように提供されていくのか、という考え方を整理しています。

手続は、これは実際の事業主の方が障害者の方といろいろな調整をしていく中で、どのようにやっていくかの流れを書いているものですので、それぞれ必要なことは重複があっても書いたということです。これは手続の所はそれぞれそこだけを見たときに、流れが分かるようにしなければ、やや不親切と考え、そのようにさせていただいております。実際ほかにも募集採用時の所、採用後の所で同じ事項が書いてある所はほかにもありますので、それはそのように御理解いただきたいと考えております。

2 点目の地方公務員の関係ですが、おっしゃるとおり、障対法の合理的配慮の提供義務の規定については、地方公共団体にも適用があります。その中で指針というものも地方公共団体の方がそれぞれ御参考にしていくものとなりますが、そのときに確かに社員という言葉がいいのかという御議論はあるかと思います。基本的には民間の事業主がメインですので、法律適用上、既存の法令では地方公務員については読めないということで、この障害者雇用促進法に根拠を持たせたということですので、そのことを含めて考えたときに、ここの言葉をどこまで詰めるべきかについては、御議論いただければと考えております。以上です。

○山川座長

ありがとうございました。よろしいでしょうか。

○伊藤委員

伊藤です。御説明は今伺いましたが、社員の話で申し上げると、素案の中には労働者という表現が出てきて、社員という表現も出てきています。会社と出てきたり、事業主と出てきたりといろいろあるのですが、先ほどの地方公務員の採用の問題についても、非常に関心を持たれているところでもあり、あえて使い分けているというように思われないように、表現については、できる限り労働者の形にそろえるというようにしていただきたいと思います。また、合理的配慮に係る措置が複数ある場合の説明が繰り返し必要なのかどうなのかということについて、十分理解はしていませんが、少なくとも重複していることが分かりましたので、それで結構です。

○山川座長

ありがとうございました。多分、先ほどの重複の部分は、後のほうの 2 つは募集採用とその後に分けた結果であろうかと思います。

それから、表現ぶりについて、指針と報告書で全く同じにするかどうかは、別にあり得るかもしれませんし、また、全体として、表記の精緻化は御検討いただきたいと思います。社員という言葉は、法理論上は株主を指すとか、そのような問題もなくもないということはありますけれども、厚生労働省の文章として通常どのような言葉が使われているかとか、そういう点も踏まえた精緻化は、これから案の完成に向けてしていただくということですが、何かありますか、境課長補佐。

○境障害者雇用対策課長補佐

この表現については、書き振りを御議論した際には、この表現でということでと一度なっておりましたが、改めて報告書の素案の形で、精読いただいたときに、違和感の残る表現というものが確かにあるのだろうと思っております。

今、おっしゃっていただいたとおり、そもそも障害者雇用促進法上は社員というような言い方をしておりませんので、ここは労働者の言い方でもいいのではないかと考えております。

もともと今回の差別禁止、あるいは合理的配慮についての条文においては、労働者、あるいはそれに対しては事業主の表記を用いておりますので、それで統一するということも 1 つの考え方であろうと思います。いずれにせよ、本日の御意見も踏まえつつ、表現について精査を事務局でさせていただければと考えております。以上です。

○山川座長

ありがとうございました。全般的に表記の点、精緻化をよろしくお願いします。藤枝課長、どうぞ。

○藤枝障害者雇用対策課長

補足させていただきます。課長の藤枝です。今、境から申し上げたとおりです。報告書を踏まえて、今後、労働政策審議会で指針を議論いただくときには、まさにその大臣告示として指針を定めることになりますので、そこは法令的なチェックというか、言葉遣いも少し改めさせていただく部分もあるかと思っています。ここの 1 ページ目にあります社員のくだりについては、既に研究会で御意見を頂いたものを踏まえて、書かせていただいています。確か、そのときの議論としては、同じ職場の仲間、同僚、社員としての理解をしてほしいというような御意見がありました。そこで、この研究会で合意いただいて、社員という言葉をあえてこの報告書の中では使うことと致しました。そういう経緯があったことは御説明させていただきます。

○山川座長

ありがとうございます。今の点に関連して、あるいはなければほかの点でももちろん差し支えありませんが、御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。

○栗原委員

栗原です。 4 ページの (2) 5 ポツに関しまして。「合理的配慮の提供は事業主の義務であるが、採用後の合理的配慮について」、ここからですが、「事業主が必要な注意を払ってもその雇用する労働者が障害者であることを知り得なかった場合には」という所です。私は、ここはどう解釈したらいいのか悩んでしまった。障害者が自分のことを言っているのではないとは思うのですが、ここは周りがと解釈してよろしいのでしょうか。そうすると、もし雇用するというか、雇用される労働者なのか。雇用するというと、それによって対象が少し違ってくるような感じもしますが、その辺をお伺いしたい。

○山川座長

それでは、御質問ですので、境課長補佐お願いします。

○境障害者雇用対策課長補佐

事務局です。まず、ここで表現したかったことの内容について、御説明させていただきます。ここは少し条文的な解説を加えさせていただきます。合理的配慮の提供に当たりまして、募集採用時と採用後では、起点を変えております。募集採用時については、障害者の方の申出がまずあります。まずその障害者の方が申し出るということなので、事業主としてはその方が障害者かどうかは確認すればいいということです。一方、採用後については、これは分科会でも様々な御議論がありました。障害者からの申出が必要とはしておりません。となりますと、事業主としては障害者からの申出がないが、合理的配慮提供義務があるということになります。ただ、そうなったときに、事業主の方から見ますと、どの方が障害者であるか。要するに、自分が雇用されている労働者について、どの方が障害者であるかを把握した上で、その個々の障害者の方に合理的配慮を提供していくということになります。その際、当然その御本人が障害者であるかどうかを、おっしゃっておられないことがあるだろうと考えております。

例えば、精神障害の方でしたら、あえて自分が精神障害であるとおっしゃられないようなこともあろうかと思います。そういったときに、事業主としては神の目で見ることは不可能です。本人様が何もおっしゃっていないのに、この方は精神障害だから、合理的配慮を提供するというようなことはできません。そういうことはできないということを確認するために、この文章にしております。

要するに、労働者の方から話していて、自分は実は障害者であるとか、そういうようなことをおっしゃっていただいているようなときは、もう障害者として認識できています。合理的配慮の提供について、先ほどの手続に則って、その対応をしていただくのを画すために書いたものです。以上です。

○山川座長

よろしいでしょうか。栗原委員どうぞ。

○栗原委員

ありがとうございました。よく分かりました。御批判を頂くかも分かりませんが、障害を持たれている方、そうでない方の判断というのは、やはり手帳の所持が基準になると私は思うのです。手帳をお持ちの方は、やはり障害を持たれている。例えば、最初に募集に応募されるときに、その手帳を見せられて、であればこういう障害をお持ちだなということで、その障害に合った雇用の仕方がある。そうでなくて、入ってからこういう障害を持っていますという話をされても、企業としては困る。そのようなことが以前ありましたので、あえてお伺いをいたしました。ありがとうございます。

○山川座長

よろしいでしょうか。もちろん、今回の差別禁止・合理的配慮の提供については、障害手帳が決定的な基準ではないという前提はもちろんあります。ほかは何かありますか。

○塩野委員 ( 遠藤代理 )

ただ今、栗原委員がおっしゃったことに関連してです。まず、そもそも 4 ページの所で、事務局から御紹介のあった内容については経団連として意見を申し上げて、書き加えていただいた内容です。これについては採用後になると、本人の申出のない形の中で、事業主がどうやって合理的配慮の必要性を見抜いていくのか、これは現場としてなかなか悩ましい問題があります。ヒアリングの機会を頂いた段階では、せめてこれくらいのことは発言させていただき、書き添えていただいたものです。冒頭申し上げましたように、現段階においても、採用後の状況をどうやって把握していくのか、繰り返しで恐縮ですが、指針作成までには、解決すべき課題だと考えているところです。

2 点ほど意見を申し上げさせてください。過重な負担についてですが、 8 ページです。 6 つの要素を掲げています。そのうちの 1 つに実現可能性という文言が使われています。実現可能性というと、ややもすると、可能なのか、不可能なのか。 0 なのか、 100 なのかといった形で、もしこの内容を捉えられてしまうということになると、実際のところ、趣旨が伝わらないだろうと考えています。これは塩野委員からも繰り返し申し上げさせていただいています。私ども使側の理解するところで解釈をさせていただきますと、当該措置について、障害を持たれている方から、お話があるような内容について、どうやって実現していこうかと考えたときに、例えば技術的な課題は何なのか。時間的な制約があるのか、ないのか。そういった困難度を判断基準にして考えていく必要があるのではないのか。そういう意味でいうと、実現可能性よりは、実現困難度という形で、分かりやすいネーミングにしていただくのがいいのではないかというのが意見の 1 点目です。

さらに、その実現困難度という形で置き換えていただくとすれば、その視点の中の 1 つとして、企業の現場を見ると、複数の障害者の方を雇入れている場合があります。この複数の要望が一度に求められるということもありますので、やはり優先度合いといった視点も必要なのではないかと考えています。

次に 2 つ目ですが、相談体制の整備について、 9 ページ目です。ア、イ、ウ、エということで、整理されています。エの所で書かれているように、相談をしたということを理由に解雇その他の不利益な取扱いをしてはならない。それを周知・啓発することについては何ら異論がありません。この書き振りについては、前回でも塩野委員から発言をさせていただきました。行ってはならない旨を定め、周知・啓発する。これは均等法のセクハラ指針の書き振りをそのまま倣っていると理解はしていますが、何に定めるのかについては、セクハラ指針の中にもそれは就業規則の規定だけではなくて、社内報、パンフレット、社内ホームページ等、広報又は啓発のための資料等の中で、周知・啓発をしていくことの例示も書き添えています。これは誤解なきよう、そういった形の例示も含めて、対応していくことの必要性があるのではないかというのが 2 点目の意見です。

○山川座長

8 ページ目の実現可能性という表現、それから 9 ページ目の、定めるということの中身についての御意見でした。この 2 点について、御意見がありますでしょうか。

○北野委員

今の遠藤代理の意見は、ある意味で待っていたというのか、丁度 8 ページの所の過重な負担について、私もよく似た考え方を持っておりましたので、少し言わせていただきます。

1 つはこの過重な負担についての判断する要素として、幾つか挙げていただいています。これを本当にどう整理したり、まとめたらいいのかについて、私も非常に悩んでいました。まさに今、遠藤代理がおっしゃってもらったように、特にまず 2 つに分けるべきものがあります。

1 つは一般的な合理的配慮を講ずるに当たっての必要な部分というのは、ウとエです。この 2 つは当然個別の当該措置に講ずる、提供するものではなくて、一般的な合理的配慮についての理解です。このウとエをまずどう捉えるのか。

それから、当該措置を講ずる。これも言葉として整理も要ると思います。例えば、アの場合は、当該措置を講ずると書いてもらっていました。イの場合は当該措置を提供すると書いておられますので、講ずるという表現や、提供するという表記を統一されたほうがいいのではないかと思います。ともかく、当該措置を講ずるというものは、基本的にア、イ、オです。この 3 つは基本的に一般論ではなくて、当該のある方に対することです。当然、オの場合はウやエとは違って、当該措置を提供するために個別の方に費用がどうであるという問題です。やはり、ここは明確に説明の中で、当該措置を提供するための費用・負担の程度が過重な負担の判断であると、表現を明確にされるのがいいと思います。そうしないと、ウとエとの関係が不明確です。

それと、実現可能性という言葉です。これはまさに遠藤代理がおっしゃってもらったように、包括的で大き過ぎる概念です。この概念でいってしまいますと、アもオも入ってしまう。アもやはり活動の影響も、費用の個別の当該措置を講ずるための問題も、全て実現可能性という言葉で入ってしまいます。この実現可能性という言葉はあまりに広過ぎる言葉です。これはおっしゃるように、明確にされたほうがいいと思います。例えば、設備、構造上への影響の程度であるや何か中にある言葉の中で、一番大切な部分を、このことを言っているのだということを明確にされる。このような説明をここでされないと、実現可能性という言葉は非常に曖昧模糊とし過ぎているなと思います。

次は順番です。やはり、一般的な合理的配慮を講ずるに当たってのウとエの部分と当該措置を講ずるに関しての部分とがあります。この順番は整理をされるのがいいと思います。また、これは議論になるかもしれませんが、 9 ページの所で、「といった判断要素を踏まえ」という所です。「といった判断要素を踏まえ」という言葉が、誤解を生む可能性がある。「といった判断要素を踏まえ」ということは、つまり、今言ったアからカ以外の判断要素も勝手に考えていいのか。「といった」と言ってしまうと、ではそれ以外もあるのかと言ったことになりかねない。ここはあまりに曖昧模糊とし過ぎてはまずいと思う。ここは私は、「といった判断要素を踏まえ」という言葉を、表記としては取り外したほうがむしろすっきりとした表記になると思います。

あとは「個別に」という言葉は、私が個別にというのは、個別の事業主のことなのか。それとも、個別の当該措置の提供なのかと、質問したのに対して、いやこれは個別の措置の提供に関してであるから、「合理的配慮の提供に際して」という言葉をわざわざ入れていただきました。ただ、これも「合理的配慮の提供に際して」という言葉が、特定の方を指しているのか。そこはちょっと、私はやはり表現として不明確だなと思います。ですから、ここははっきり当該措置の提供に、つまり総合的に勘案しながら、事業主が当該措置の提供について判断することを指針に記載するとしていただいたほうが、この個別にというのを個別の事業主がどんな場合でも自由に判断できるというのではなくて、個別の事例について、このことを踏まえて判断すると明確にされるのがいいと思う。その方が判断を曖昧にされる可能性がなくなると思います。当該措置の提供について、そこについて判断するという表現にされたらどうかと思いました。

あと 2 つあります。 1 つは通勤の話をされました。確かに、これはアメリカでも通勤ではなくて、いわゆる移動支援そのものは ADA の対象といいますと、そうではなくて、一般的に生活支援の中で必要な部分は、就労支援には含まないということになります。一方、通勤支援は就労そのものに関わってまいります。私の感じでいうと、通勤支援については、その利用対象者や利用期間等を今後の検討課題とすべきとの意見もあった。そういう意見もあったということは、かなり多くの方がおっしゃっていますので、明確に入れて、残していただけたらと思います。

最後は 11 ページ以降の個別の部分です。これは前回、伊藤委員から複数の障害がある場合には、これはどう読むのかという質問があったと思うのです。私も採用後の事例は、中途障害によるものを含むということと、その次もう 1 つ○印を付けていただいて、複数の障害を有する障害者に対しては、複数の措置を考慮に入れること、配慮に入れることなど、そういう表記を入れていただけたらどうか。これは検討していただいたらと思います。以上です。

○山川座長

幾つか御意見を頂きました。そのうち、過重な負担の考慮要素については、お二人から御意見を頂きました。やや、内容に関わる部分も入るかという印象はあります。何か、ほかの委員、代理の方々で、この点、過重な負担の考慮要素について、御意見がありましたら、この段階で伺っておきたいと思います。何かありますでしょうか。

○富永委員

富永です。幾つかの中で、まだ全部考えがまとまっていませんが、考慮要素のアとイの話で、確かに中身は少し共通するところがあるかというのはそうかもしれません。ただ、具体的に読んで分かりやすいかという話になるかと思います。アは、仕事への影響という話です。仕事にどんな能率とかの影響があるかという話だと思います。イは、設備などの話です。例えばアの点では、事業運営には大した影響はない、例えば、手すりを付けてくださいという配慮など、それは仕事の活動には影響はないでしょうというものがあります。日曜大工でできるかもしれない。しかし、イの点でみると、賃貸借でテナントを借りている場合には、そういった釘を勝手に打ったりすることはできない、といった場合もあるかと思います。だから私自身はア、イで分けてもいいのかというのが 1 つです。

あと、イの「実現可能性」のところの表現としては「可能」か、「困難」かはどちらでもいいと思っています。今、考えがまとまっているところはそこまでです。以上です。

○阿部 ( ) 委員

阿部正浩です。先ほど、 (5) の要素の順番を、ウ、エを前に出したらいいのではないかということです。最後で 9 ページの文言をどうするかということにはなると思うのですが、個別に判断するというのを、もう少し当該措置ということで、明らかにすべきだとなれば、むしろウ、エはこのほうがいいのではないか。というのは、ウ、エを前に出して、当該企業のということになって、大きくしてしまうと、その企業ができなければいいという判断になり兼ねない。ここで重要なのは当該措置がどうなのかということです。あまりそこは明確でなくてもいいのではないかと思いました。あまりこだわる必要はないのではないかということです。

○北野委員

今の阿部委員のおっしゃることはよく分かりました。そうすると、私は順番はどちらかに整理したらいいと思ってましたので、むしろ個別のほうを先にされて、だからアとイとオを先に持ってこられて、それ以外を後にされるのでも結構です。了解です。

○山川座長

ほかにありますか。この点は幾つか構成要素があるような気がします。一部内容に関わる問題があり、一部表記の問題があります。あと、一部表記の問題の一環として、分かりやすさの問題もあります。それらを総合判断して、御検討いただくことになろうかと思います。境課長補佐、お願いします。

○境障害者雇用対策課長補佐

事務局です。いろいろ御指摘いただき、ありがとうございました。例えば、当該措置を講ずる、当該措置を提供するという表現がばらばらであったのはそのとおりです。先ほど、伊藤委員からも表現の精査が必要ではないかという御指摘をいただいたところです。こういったところの表現もそろえるというような見直しはさせていただきたいと考えています。

実現可能性のところですが、事務局の意図としては、まさしくその可能性というと、 0 100 かというようなことではありません。それを言い出すと、可能性が本当にないのかは、なかなか判断しようがないということもあります。やはり、程度問題というようなニュアンスが入るべきであろうというのは、おっしゃるとおりかと思っています。

そういう意味では困難度ということであれば、程度という概念が入ってまいります。そういった表現というのもあるのではないかと考えています。その上で、今は実現可能性という表現でありまして、実現可能性といえば、その費用の話なども諸々入るのではないか。そういうことについては、確かにその用語だけを見れば、おっしゃるとおりかと思います。

だからこそというわけではないのですが、我々ア、イ、ウ、エ、オ、カとありますが、それぞれについて、解説を付したところです。要するに、我々としては今言った、イの実現可能性というのは、費用などそういった話ではなくて、物理的な問題に着目しているということは、この 3 行によって示しているということです。やはり、単語をどうするかというよりも、意図としてこういうことを記載していることを踏まえれば、誤解というのはあまり生じないのではないかと考えています。

個々の順番をどうするか等々については、今の御意見を踏まえまして、事務局として検討させていただきたいと考えています。

○山川座長

なかなか難しい面も含んでいることかと思います。最終的には当該措置ということに着目して決めるということです。その当該措置との問題になっている事項の近さみたいなものがあり、個人的な意見ですが、当該措置そのものについてどう考えるか。北野委員も若干おっしゃったことに関連しますが、それとどのくらい近いか。比喩的な表現ですが、措置そのものにいわば内在的な、直結した要素と、それとやや離れているが、具体的な過重な負担ということには、影響を与えざるを得ない要素などがあるかと思います。そういったところで別に何の解決にもならない感じが喋っていてします。非常にいろいろな御意見が出ましたので、御検討を頂きたいと思います。

その他、北野委員からは別の点についても、御意見を頂きました。通勤支援の点は先ほどのいろいろ出た御意見の追加として伺いました。ほかにも御意見が出たところです。ほかに関連して、あるいは別の点でも差し支えないと思いますが、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。

○栗原委員

栗原です。今、北野委員のお話いただいた内容に関して私の意見としてお話させていただきたいと思います。別表に複数の障害を持たれている方というような文言を入れたらどうだというお話がありました。非常にその辺は難しいことです。これは言われたら、ごもっともかなというような感じがします。例えば知的と精神の合併を持っている。又はてんかんなどの合併を持っているかということではないかと、私は思っているのです。それはやはり、最初に申告をしていただくというか、私はこのような障害を持っています。とか、又は、本人が言えなければ、そのサポートする方がそういうお話をさせていただくということで、多分この文言の件は書かれていると思います。

ですから、あえてこの中で複合的というか、重複障害を持たれている云々というのは、ここに入れなくてもいいのかという感じも私はしています。

○山川座長

複数障害を表記に加えるかどうかの点です。ほかに御意見等ありますでしょうか。

○伊藤委員

伊藤です。私もかつて発言した部分ですので、別に私の考えが変わっているわけではないということを申し上げたいと思います。当然ながら、例えば合理的配慮を求めるときには、申出が必要であり、またその途中で分かった場合には、それも対応するように努力していただくということです。言わずもがなだとは思いますが、言わずもがなのことを書くのも、ここでは許されているようです。重複、複数の障害がある場合について排除していない。きちんとそういったことについても考慮するのだということについて書くということも是非していただければと思います。

○山川座長

よろしいでしょうか。ほかに御意見はありますでしょうか。

○塩野委員 ( 遠藤代理 )

1 点、むしろお尋ねをさせていただきたいのです。重複障害の問題を指摘されることは、これまでの御発言の中で伺っているところです。事業主として、重複障害であるという場合は、例えばここに書いてある 9 項目のうちの 1 1 つを足すだけでよろしいのか、それとも、重複によって、更に追加的なものがあるのか。これは多分、詰めきれないテーマとして残っていると思うのです。事業主としても、重複ということが分かった時点で一方の障害しか見ないというのは、現場では想定しにくいお話です。重複障害と書くだけで、どういうメッセージを書き添えるのかが明確にならない形になるのは、むしろ現場に対してよくないメッセージを出すことになりはしないか。それが栗原委員のおっしゃりたいことではないかと思います。

○山川座長

最後のまとめ方を伺いますと、今は御質問の趣旨は、御意見ということでお伺いしてよろしいですね。

○塩野委員 ( 遠藤代理 )

はい。

○山川座長

では、境課長補佐どうぞ。

○境障害者雇用対策課長補佐

今、まさしくお話がありましたとおり、合理的配慮の提供とは何かということからまたお考えいただきたいと思っております。合理的配慮というのは、繰り返し申し上げさせていただいたとおり、個別性が非常に強いと。そういう単純なものではない。要するに、置かれたそれぞれの状況によって決まっていく。それを相互理解の下でやっていくということで、この議論は進めさせていただいたと考えています。

その上で、そういった個別性の高い、いろいろな事情を踏まえながら、決めていくということからすれば、合理的配慮の手続といったものをやはりこの指針にしっかりと書くべきではないかという御議論があります。その中で、合理的配慮の手続においては、では実際にどのような支障があるのかを尋ねつつ、どのようなことをやるかを決めていく発想になっているかと思います。要するに、この障害があったからこうだということではなくて、それぞれの事情、職場の事情を受けて、どのようなことをしてくかを当事者同士でお話合いをいただいて、お互いが歩みよってできることをしていただくということです。やはり、そういった観点に立ち帰った上で、まさしく今のようなことを本当に記載する必要があるのか、というようなことが御議論いただくべきことではないだろうかと考えています。

○山川座長

ありがとうございます。では、北野委員。

○北野委員

遠藤代理の御質問は非常に的確な御質問だと思います。 2 つあると思うのです。

1 つはこの 11 ページの別表から見ますと、例えば肢体不自由の方で聴覚障害を持っていらっしゃるとか肢体不自由な方で視覚障害を持っていらっしゃる方の場合は、この表の順番を全部足していただいたら、基本的な御理解を得られると思います。

一方で、肢体障害の方で精神障害を持っていらっしゃるなど、あるいは知的障害の方が精神障害を持っていらっしゃると。この場合、職場の環境上そういう支援がうまくいかなくなったために、精神的な鬱状態になり、ノイローゼの状態を生んでいらっしゃるとすれば、これはまた違う意味で違う問題を考慮しなければいけません。少しその辺は重ね具合によっても、かなり考慮すべき問題は違うと思います。おっしゃるとおりだと思います。

○山川座長

ほかはよろしいでしょうか。今の論点以外についてでもよろしいと思います。御質問、御意見がありましたら更にお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、本日さまざまな御意見を頂きました。本日の御意見を踏まえて、更に表記の点はもちろんですが、いろいろ頂きましたので、それらを踏まえて、改めて必要と思われる修正をお願いしたいと思います。

本日については特段ありませんでしたら、この辺りで終了させていただきたいと思います。今、申しましたように、本日頂いた御意見等を踏まえまして、更に修正を加えて、御検討いただきたいと思います。あと残すところ、予定されています研究会は 1 回です。次回、報告書の取りまとめを行うことを考えております。それでは、次回日程等について、事務局から御説明をお願いいたします。

○境障害者雇用対策課長補佐

事務局です。次回は 5 27 日火曜日、 10 時から 12 時の開催になります。場所は専用第 14 会議室 12 階です。以上です。

○山川座長

ありがとうございました。それでは、本日も非常に充実した御議論を頂きました。これをもちまして、本日の研究会は終了いたします。お忙しい中、大変ありがとうございました。


(了)

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