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2014年7月23日 第4回 臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会 議事録
医政局研究開発振興課
○日時
平成26年7月23日
○場所
主婦会館プラザエフ 9階 スズラン
○出席者
委員
遠藤座長 | 桐野座長代理 | 楠岡委員 | 児玉委員 | 近藤委員 |
大門委員 | 武藤(香)委員 | 武藤(徹)委員 | 山口委員 | 山本委員 |
事務局
二川局長 (厚生労働省医政局) |
福島審議官 (厚生労働省大臣官房) |
飯田審議官 (厚生労働省大臣官房) |
成田審議官 (厚生労働省大臣官房) |
土生課長 (厚生労働省医政局総務課) |
一瀬課長 (厚生労働省医政局研究開発振興課) |
椎葉課長 (厚生労働省大臣官房厚生科学課) |
森課長 (厚生労働省医薬食品局審査管理課) |
河野治験推進室長 (厚生労働省医政局研究開発振興課) |
上野安全使用推進室長 (厚生労働省医薬食品局安全対策課) |
○議題
1. 有識者等からのヒアリング
(1)医療機器の臨床研究の状況及び今後の制度の在り方に関するご意見について
(東北大学病院からのヒアリング)
(2)医療機器の制度及び臨床研究の状況について
(日本医療機器産業連合会からのヒアリング)
2. 論点整理に向けた議論
3. その他
○配布資料
資料1-1 | 東北大学病院提出資料 |
資料1-2 | 日本医療機器産業連合会提出資料 |
資料2 | ICH-GCPと省令GCPの主な相違点 |
資料3 | 臨床研究の在り方に関する論点整理(案) |
資料4 | 研究機関において今後考えられる主な対応と対象となる研究 (イメージ) |
参考資料1 | 第3回臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会議事録 |
参考資料2 | 国内の臨床研究・治験に関する制度 |
参考資料3 | ヘルシンキ宣言 (2013(平成 25)年 10 月改定) |
参考資料4 | 医薬品の臨床試験に関する欧米の規制比較 |
○議事
○一瀬課長 定刻となりましたので、第4回「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」を始めさせていただきます。
委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、本検討会に御出席いただきましてありがとうございます。
本日、望月委員から御欠席の旨、御連絡をいただいております。
また、本日の議事におきまして有識者からのヒアリングを行いますので、参考人としてお招きしている方々を御紹介させていただきます。
青木正志東北大学病院副病院長です。
三澤裕日本医療機器産業連合会産業政策会議議長です。
磯部哲慶應義塾大学大学院法務研究科教授です。
開会に先立ちまして、事務局に人事異動がございましたので、新たに着任しました主なメンバーについて御報告申し上げます。
医政局長の二川です。
大臣官房審議官の福島です。
大臣官房審議官の飯田です。
その他の事務局からの出席者については座席表で御確認をお願いいたします。
ここで、医政局長の二川より御挨拶申し上げます。
○二川局長 この11日付で医政局長に就任いたしました二川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私の医政局での経験は、平成16年から平成20年まで、経済課長2年、総務課長2年ということで4年間務めさせていただきました。6年ぶりの医療行政ということでございます。経済課長のときには、医薬品産業、医療機器産業といった中から、優秀な医薬品・医療機器の開発につきましても力を尽くしてきたつもりでございます。また、こういった場面に当行政をさせていただけるということで一生懸命やっていきたいと思っております。
皆様御承知のとおり、安倍政権下におきましては、アベノミクス、三本の矢ということで、三本目の矢が成長戦略ということでございます。その成長戦略の中では、医薬品・医療機器産業といったものの国際競争力の強化が大きな目標となっているかと思います。そういった中におきまして、この臨床研究の重要性はますます高まってきているものと承知しているところでございます。
そういった中におきまして、この臨床研究におきまして不適正な事案が見られるようになってきていまして、臨床研究の透明性、あるいはそれにかかわる資金の透明性といいますか、そういったことがますます重要な課題になってきているのだろうと認識してございます。そういった点で、臨床研究の信頼回復といったことが喫緊の課題だと認識してございます。当研究会の委員の皆様方におかれましては、臨床研究の信頼回復のためにどういった制度が必要なのかといったことにつきまして忌憚のない御議論をお願いしているところでございまして、引き続き活発な御議論をお願いしたいと思います。
冒頭の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございます。
○一瀬課長 二川局長は所用のため中座をさせていただきます。
(二川局長退室)
○一瀬課長 それでは、配付資料の確認をいたします。
一枚紙で議事次第と配付資料一覧を記載したものがございますが、それに沿いまして御確認をお願いいたします。
議事次第の次に、それぞれ一枚紙で座席表、参考人名簿、委員名簿がございます。
その次に、資料1-1としまして「医療機器の臨床試験と今後の制度の在り方について」。
資料1-2としまして「医療機器における市販後の臨床研究についての提言」。
資料2としまして「ICH-GCPと省令GCPの主な相違点」。
資料3「臨床研究の在り方に関する論点整理(案)」。
資料4「研究機関において今後考えられる主な対応と対象となる研究(イメージ)」。
その後、参考資料が1、2、3、4とございます。
不足や落丁等がございましたら事務局までお知らせください。
それでは、これより議事に入りますので、審議の円滑な実施のために撮影はここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○一瀬課長 では、座長、よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、これから議事に移りたいと思います。
議題の1でございますけれども、「有識者等からのヒアリング」ということで、前回に引き続きまして参考人の方々に御参加いただいておりまして、それぞれの方から概要を御説明いただきたいと思っております。
まず「○1医療機器の臨床研究の状況及び今後の制度の在り方に関するご意見について」。医療機器の臨床研究の現状等についてお聞きすることにさせていただきたいと思います。
それでは、資料1-1に基づきまして、東北大学病院の副病院長・青木参考人から御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○青木参考人 東北大学の青木です。資料1-1を使って説明させていただきます。
私、東北大学病院の副病院長で研究担当です。専門は神経内科医でありまして、もともとは難病の治療薬の開発からこの分野に入ってきたのですけれども、そこで医師主導治験とかたくさんやりました。そういうことをやっていたので、今度は病院のほうで、臨床研究推進センターのほうを担当しなさいと言われまして、そちらで医療機器も含めていろいろな開発のお手伝いをやっている立場で、きょうはプレゼンテーションをさせていただきます。
資料をめくっていただきまして、1枚目が東北大学の臨床研究推進センターの組織図になります。病院長のもとに、センター長、運営会議と書いてありまして、今は、青で書いてあるいろいろな部門がありまして、再生医療からバイオデザイン、あるいは臨床研究、開発推進、プロトコル、こういった部門があります。この部門がいろいろなところで研究者の支援を行いまして開発を進めているわけです。右上に書いてある厚生労働省でありますが、ここから臨床研究中核病院の指定を受けまして、左側は文科省でありますけれども、こちらからは橋渡し研究加速ネットワークプログラムの橋渡し拠点となっております。この橋渡し拠点は全国に7カ所あるのですが、その7カ所ばらばらにやっているのではいけませんということで、ネットワークの事務局を東北大学が担当しまして、この7つの拠点を結んで1つの事業ができないかという全国ネットワークの事務局も担当しております。
次の3ページ目は「東北大学病院で展開する医療機器開発」ということで、私たちが目指している医療機器の開発フローであります。東北大学は、もともと工学部の力が非常にありまして、全国で唯一、医工学研究科という研究科を持ちまして、医と工の融合を利用して医療機器開発を行っていこうというようなミッションを持っております。
医療機器開発はなかなか大変なのです。出だしが左下のところにあるのですけれども、医療ニーズの探索をいかにして行っていくかで、今、東北大学病院ではアカデミック・サイエンス・ユニットというのを展開しています。具体的には、医師のみならず、研究者、あとは、医療機器のメーカーの企業人、工学研究者、あるいは学生も含めて病院に入ってきていただいて、医療の現場を一緒に見るわけです。一緒に見るといっても、本当に医療が困っているところ、こういうことができたらいいなというのを一緒に考えてブレーンストーミングをやっていく。これはなかなか大変なことなのですけれども、倫理的な問題をクリアして、今、企業と一緒に、あるいはほかの分野の研究者と一緒にこのブレーンストーミングというのが始まっております。ここで医療のニーズというのを探索していただいて、そこからニーズを解決、アイデアを創出して製品化に向かう、こういうスキームで頑張っています。
次、4枚目に移らせていただきます。これは開発支援シーズと言いまして、今、東北大学病院がどれだけのものを開発しているかを示した図になります。代表的なもので89シーズありますが、ここで書いてある水色が医薬品、黄色が医療機器。医療機器のシーズが36ありまして非常に多い。我々が力を入れているということがわかると思います。この医療機器のシーズの開発段階を、臨床研究段階、治験届準備中、治験実施中と分けても、準備中が4シーズ、実施中が3シーズと、実際臨床に入っているものも多数あります。
スライドの5枚目です。現在、医師主導治験で実施中の医療機器の臨床試験が3本走っています。具体的には書いてあるとおりですが、副腎アブレーション、あと、超音波を用いた非侵襲性血管新生、あと、難病の難治性潰瘍を伴う強皮症に対する低出力体外衝撃波治療法。こういう画期的な治療法の開発を医師主導で行っております。
そのほかに、この秋には、以下2つの医師主導治験を準備しておりまして、マンパワーが追いついていくかなという現状であります。
めくりまして6ページ目は、一般的に言われていることでありますが、医薬品と医療機器の治験はかなり違います。全部は読み上げませんが、医薬品の治験に比べて医療機器というのはやはり複雑で、評価期間が長い。その一方で、症例が集めにくいとか、一般的に被験機器が効果ということが言われています。
さらには、この下のところが私たちが常日ごろ感じているところなのですけれども、医薬品の治験に比べて、一般的には我々の医療機関(支援スタッフ)の知識・経験は少ないと言わざるを得ません。また、きょうは医療機器メーカーの方も来られていますので、ちょっと言いにくいところもあるのですが、一般的には、そういう経験のある医療機器提供会社が少ない。やはり一部の企業に限られると感じております。
次は7枚目です。ということで、どういうことが起きてくるかといいますと、このような問題点があります。私たちは比較的一生懸命医療機器を開発している病院に間違いないと思いますが、そうであっても、治験担当医師、支援スタッフ、民間のCROに頼んだとしても、この医療機器の治験の経験というのは圧倒的に少ないと思います。また、医薬品を基準に最適化されているために、医療機器としては合わないというところがあると思います。
それから、この治験を支援するスタッフ、民間を含む支援スタッフが薬事そのものをなかなか理解できていないという現状がありまして、これに対応したことが医薬品とは違って、医療機器独自のノウハウをきちんと蓄積していくことが大切だと考えます。
スライドの8枚目です。その中で、私たちは今、多くの医師主導治験を手がけているわけですけれども、そこの経験から課題を少し上げさせていただきたいと思います。
いろいろあるのですけれども、具体的な例としては、例えば治験の保険というのを支払おうとしても、研究費の仕組みに全く合わない。例えば研究費としては単年度契約をしなければいけないと言われるのですが、普通に契約すれば、例えば11万9,400円で契約できるところを、単年度契約にするとなると会社のほうにそれはだめだと言われて、ほかの会社に持っていくと203万2,800円と、金額にして17倍、しかも補償の範囲が狭くなってしまうというような、医療機器に対する保険というのが整っていないというのがあると思います。
さらには、これは非常に困るのですけれども、医療機器の調達における課題というのもありまして、企業治験であれば、治験機器というのは企業から無償提供されます。ところが、医師主導治験の場合は、実は治験機器は企業から有償提供されるということも存在しております。これはちょっと驚くべきことなのですが、研究者がその機器の治験をやるときに自分の研究費、あるいは自分たちの資金でその治療機器を手に入れなければいけない、お金を払わなければいけないという現状があります。これは何とかしてほしいと思います。
次の9ページ目は、課題の続きですけれども、CRO費用の高騰。これは医療機器に限りませんが、こういった現状があります。あとは、治験期間が長期にわたることがありますので、長期にわたった計画を立てようとしても、そういう研究費あるいは資金が得られないという現状はあります。
最後、10枚目になります。私たちが日ごろ感じていることとして、1ポツ目の「臨床研究のモニタリング・監査について」は、臨床研究でどのようなレベルのものを想定しているかというのをわかりやすくしてほしいという意見があります。これは医薬品でも同じかもしれませんけれども、モニタリング・監査体制はどのようにしっかりしたものをつくっていけばいいかというのが私たちも含めて課題だと思います。
2ポツ目は、先ほども出てきました「医師主導治験の治験機器提供企業について」です。先ほども少し述べましたが、製造販売業者が医療機器を有償で提供しただけで、承認申請とか行ってくれず逃げられてしまう。つまり、高い機器だけを買わされて研究をしても、その後何もやってくれないとなると、私たちは本当にお手上げになってしまいますので、その辺の仕組みづくりをきちんとやっていただけると、安心して医師主導治験を含めた臨床研究を進めていけると思います。
最後にまとめますと、うまく説明できたかわかりませんけれども、医薬品とはかなり違った医療機器開発の特性というのがありますので、その特性をよく理解した人材を育成して、その治験とかを支援していくことが必要だと思います。そのためには、私たちの考え方としては、幾つもの機関がそれをやるというのも無理でありまして、民間としてもなかなか難しいと思いますので、アカデミックな、それを得意とするアカデミアな拠点、ARO、そういうのを幾つかつくって、そこが強力に展開していくというような仕組みをつくっていただくのが一番いいのではないかと思います。
以上になります。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御報告に関連いたしまして、御質問、御意見等があれば承りたいと思います。どなたでも結構でございますので、よろしくお願いします。
山口委員、どうぞ。
○山口委員 山口でございます。
非常に素朴な質問ですけれども、治験を実施する方が有償で機器を手に入れないといけないというのはどうしてなのでしょうか。どういう構造が医薬品と違っているのか教えていただきたいと思います。
○青木参考人 これを使ってこういう治療をやれば絶対うまくいくはずなのにというふうに我々医師は思うわけです。この機械を使いたい、この機械を使ってこういうことをやりたいというふうに言っても、企業がそれに対して全然興味を持ってくれなければ、機械を売ってあげるけれども、勝手にやってくださいみたいになってしまうわけです。医療機器というのはいろいろありますので、いろいろなシチュエーションがあるのですが、どうしてもこれを使いたいといっても、企業から、そんなことに使っても我々としては困るとは言わないけれども、勝手に使ってくれと言われてしまうことが結構あって、我々は企業をくどくところから、これを一緒にやろうよと。
例えば難病で余り採算が望めないような、希少疾病とかの医薬品の開発とかとちょっと似ているのですけれども、企業がそこに対して一緒にやろうよと言ってくれないとうまくいかないということです。さらに、高い機械とかもありますから、自分で買ってやってくださいと言われてしまうと結構苦しいです。
○山口委員 ということは、企業の方の関心と研究者の関心が一致しないところがあって、研究者がこの医療機器を改良するとこういうことに使えるのではないかと言っても、それが多くの人に関係してこないと関心を持ってもらえないという理解でよろしいのでしょうか。
○青木参考人 そうですね。我々医師とか研究者がこれを患者さんの治療に使えると思ったとしても、企業のほうが、小さい企業だったり、これをつくっているのが精いっぱいですみたいな企業だったりすると、そういうところになかなか乗ってきてくれないケースが多いです。それはもう医薬品とはかなり違うと思います。
○山口委員 ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
楠岡委員、どうぞ。
○楠岡委員 引き続きの質問になるのですけれども、その場合、使う機器というのは、既に承認がとれているけれども、いわゆる適応外になるものか、それとも、医療機器としてではなく開発されたものを医学・医療の分野で使おうとするのか、どのような。
○青木参考人 今言っている話は、もう市販されていて、ほかの用途には使われているものの話です。
○楠岡委員 適応外ということですね。
そういう場合、出口の戦略として、企業が承認申請をしない場合に関して、例えば、先進医療Bで行って、機器は承認されていないのだけれども、保険診療では使えるみたいなことはあるとは思うのですけれども、そのようなことは考えて行ったのですか。
○青木参考人 常にそういうことを考えるわけですけれども、相手がそこに魅力を感じてくれないとなかなか協力してくれないということは常にあると思います。おっしゃるとおりだと思います。
○楠岡委員 あと、今回は機器の臨床試験ということでお話になっているのですが、機器の場合、御承知のとおり、クラス1からクラス4まであって、単に届けるだけとか認証をとるだけで使える場合もあれば、治験が必要な場合もある。それから、クラス2とかクラス3であっても、承認はとれているのだけれども、いうならば、性能を証明するために性能評価試験を別途行う場合もあると思うのです。開発全体の中で治験が必要なものとなると、生命にかかわるようなかなり高度な機器になるのですけれども、そういうものの割合と、もう少し軽いレベルのものだけれども、性能評価試験をやりたいということで臨床試験を組む場合、その間で何か大きな違いがあるのか。あるいは体制的に、特に治験の場合、これは薬事法がかかるからということもあると思うのですけれども、何か難しいことがあるのでしょうか。それとも、性能評価試験レベルであれば、承認されたものを使うわけなので、あまり問題なく進められるのですか。その辺の違いはどうなのでしょうか。
と申しますのは、もし今度、臨床試験全部にGCPをかけるみたいな、治験と同じレベルとなると、従来、性能評価試験でできていたものが、逆に非常に難しくなってしまって、そこがそういう研究を進めるのを阻害する要因にならないかというのを危惧するので、機器の面ではどうなのかを少しお伺いしたいところです。
○青木参考人 私、そこは余り詳しくないのですけれども、私たちの立場で言うと、そこは自分たちでなかなか決められなくて、常に当局というか、PMDA担当官と相談しながら、これはこれで行けるよねとかいうふうに、そこはそういうものだと思っていますので、それがどのように変わっていくかというのはちょっとわかりません。
私たちがやりたいのは、余り差しさわりがないものではなくて、大きく生命にかかわってくるものにできるだけ貢献していきたいと思いますので、病院としては、できるだけそういうものの開発を進めていきたいと考えています。
○遠藤座長 ありがとうございました。
武藤香織委員、どうぞ。
○武藤(香)委員 御説明ありがとうございました。被験者保護の仕組みも、今まで医薬品中心でつくられてきたところがありますが、先生の目から見て、医療機器の臨床試験という場面における被験者保護について、御意見があったら教えていただきたいと思うのです。例えば、生命の維持に非常にかかわるような機器の試験などは、ほとんど診療ではないかというような面もあるかと思うのですが。
○青木参考人 被験者保護は、特に医薬品と医療機器で大きく違うかということですね。特段考えなければいけないことがあるかということですね。
○武藤(香)委員 はい。御経験の中でもし気になることがあれば教えていただきたいと思います。
○青木参考人 そこに関しては、私は余り意見を持っていません。ちょっと考えてみます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにございますか。
児玉委員、どうぞ。
○児玉委員 貴重なお話、ありがとうございました。
医療機器は範囲がかなり広くて、例えば、どんどん進歩している画像診断装置の開発等を想定したり、リスクを伴うような新しい画期的な治療器具を想定したり。例えば肝臓のラジオ波照射とか、尿道結石の体外衝撃波とか、さらにいえばガリレオのようなロボットのようなものを想定したり、さらには人工心臓とか、いろいろな患者さんに実際に使ってみる中で、そのリスクがだんだん明らかになっていくものもあると思います。そういう意味では、診断治療に関与するさまざまな機器について、例えばクラス3とされているコンタクトレンズから医療用チューブ、注射器に至るまで、さまざまな開発研究で医療安全に資するような対応をいただいたものもあります。少しレンジが広過ぎで、先生がおっしゃっているそれぞれの場面でどんなものを想定してというのがうまく理解できず、ちょっとついていけなかった部分、私がうまく理解できなかった部分があるので、そういう観点で少し言葉を添えていただけると理解がしやすくなるかなと思いました。
恐縮です。
○青木参考人 すみません。その辺は一般論でお話をしてしまったので。確かにばらばらというか、本当にありとあらゆるものがあって、そこは逆に、医療としては非常におもしろいと言ったらあれなのですけれども、やりがいがあって、工夫のしがいがあるところなので、医療機関としては、そこはいろいろやっていきたいところです。個々にこれはこう、これはこうというようなことはちょっと用意してきませんでした。すみません。今度、考えたいと思います。
○児玉委員 多分、現場で、既存の医療機器、それこそピンセットから何億円もするような画像診断装置に至るまで、さまざまな医療機器を使用するときに、医薬と比較すると、実際には医師の裁量で行われている範囲が比較的広いのではないかとか、知的財産のありようが違うように思います。医薬品の場合は基本特許が1つですが、医療機器の場合は多数の特許の集まりで、開発する側のインセンティブもかなり違うのではないかと思われますし、先生方と医薬品メーカーとの契約の在り方と、先生方と医療機器メーカーとの契約のあり方も、実際に現場で権利義務関係を考えてみると、状況が少し違うのではないかと思われます。医療機器と医薬品を比較しても幾つか違うところがあるのではないかということを思っているのですが、いかがでしょうか。
○青木参考人 おっしゃるとおりだと思います。医薬品が決してシンプルなわけではないのですけれども、このようにやってというような割ときちんとした筋道が立っていることが多くて、化合物だったら、それの安全性を評価して、次にこのようにやって、そのときに特許がどういうものがとれてという知財のことに関してもある。あと、契約の進め方も、今までやってきたノウハウというのが医薬品のほうが圧倒的にあるかと思うのです。医療機器に関しては、知財もどういう知財のとり方をするかというノウハウも企業によって違いますし、それをどのようにやっていくかという実際の運用もかなりいろいろでありまして、その辺を理解していくだけでも結構苦労していて、これは専門家がいないと全然だめだなというような感じです。おっしゃるとおりだと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
山口委員、どうぞ。
○山口委員 何回もすみません。
以前、医療機器の治験に関係するシンポジウムに参加させていただいたことなどがございまして、医療機器の治験の問題を勉強する機会が少しあったのですけれども、医療機器の持っている問題として、例えば、一度治験に参加して途中で同意を撤回するときに、医療機器が体の中に残ってしまうとか、その後のリスクやケアをどうするのか、機器自体の問題があるのではないかなど、いろいろな問題が解決できないままになっているというようなことも知る機会がございました。
そんな中で、今、89のうち36という非常にたくさんの医療機器の臨床研究を病院でしていらっしゃるというお話を伺いました。一般的には、医療機器というのがバンドエイドから人工心臓まで幅広いものを指すということは知りませんし、薬事法下だということも知らない。そうすると、医療機器の臨床研究に参加する被験者の立場としては、臨床研究の意味や中身を理解するのが非常に難しいのではないかと思うのです。これだけ数多く手がけておられる中で、例えば被験者へのインフォームドコンセントのあり方等々で、倫理委員会などで特に気をつけていらっしゃること、これまで問題になったこと、具体的にこういうことがあるということがあれば、数多く手がけておられるお立場として教えていただけますでしょうか。
○青木参考人 ありがとうございます。
確かに埋め込み型の医療機器とかですと、同意を撤回してやめるときは大概は外せるわけで、外せないとかいうのはかなり特殊だと思います。手術を伴って、頭に埋め込んだりとか、いろいろなところに埋め込んだりするわけですね。それをちゃんと理解してもらって、説明して、同意をいただくというところは、医薬品だから、医療機器だからということはないとは思うのですけれども、理解ができるように、患者さんにこういうメリットがある、でも、こういうデメリットがあるかもしれないということをかなり慎重にきちんと説明しています。
先ほどの武藤先生の質問にあるかもしれませんけれども、医療機器のほうが、患者さんにしてみれば、埋め込まれるというのはおっかないというか、何をするのだという感じにはなりますね。これはどこまで安全で、ここまでわかっているということをきちんと説明していくというのは大変な作業だと思いますし、その辺はきちんとやらなければいけないと思います。
○山口委員 患者さんに説明される前の段階、例えば、倫理委員会でこれぐらい高いハードルが設けてあるなど、そういう特別なことはないのですか。
○青木参考人 特別なことはないですけれども、そのグレードに応じてどこまで説明しているかというのを必ず倫理委員会で。倫理委員会もそこが一番ですので、そこはきちんとチェックされますし、そういうことを求めてきています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほぼ予定された時間になりましたので、これで青木参考人からのヒアリングは終了したいと思います。よろしゅうございますでしょうか。
青木参考人におかれましては、大変示唆的なお話をどうもありがとうございました。
続きまして「○2医療機器の制度及び臨床研究の状況について」を議題としたいと思います。医療機器産業の状況等についてお聞きすることになると思います。
それでは、資料1-2に基づきまして、一般社団法人日本医療機器産業連合会産業政策会議議長の三澤参考人から御説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。
○三澤参考人 ありがとうございます。
日本医療機器産業連合会の三澤でございます。私自身は実は技術屋でございます。というか、出身と言ったほうがいいかもしれません。30年近く医療機器の開発をやってきております。
きょうお話をしたいことは、2ページ目にございます3つのポイントです。まず、前半で医療機器の特性についてお話をいたしますけれども、そこで言いたいことは、医療機器というのは、医療技術を実現するためのツール、道具なのです。その道具を、ドクターと一緒に、医療ニーズに基づいて医療現場で開発をしているということが1つでございます。
それから、資料機器の開発は、多くの場合は既存品の改良・改善です。先ほどもお話がありましたけれども、実は申請・承認ベースでいきますと、医療機器の94%が改良・改善ということでございます。したがいまして、今ある医療機器を、現場で改良・改善の課題を見つけて、そしてまた新しい医療機器を出していくというのが医療機器の開発のプロセスの1つであります。
もう一つは、先ほどもありましたけれども、医療機器はさまざまな要素・技術の組み合わせです。したがいまして、非常に多くの技術情報を含んだものでございます。それを適正に使うためには、トレーニングも必要でありますし、使用するための専門的な知識も必要でございまして、そのような観点からも臨床研究におきましても、企業の参画が必須ではないかと思われます。
以下、医療機器の特性等を含めてお話をさせていただきます。
3ページ目をごらんください。これは医薬品と医療機器の違いでございます。先ほども多数種類があるとおっしゃられましたけれども、医療機器は右側に書いておりまして、医薬品の1万7,000に対して、個別品目でいきますと、何と30万種類あると言われています。ここにありますように、ピンセットとかメスとか、大きいものはCT、MRI、そして人工関節、人工心臓、ペースメーカー、といわゆるインプラント医療機器です。そういうものまでもございます。その中で、当然、リスクの低いものから高いものもあるということで、その説明に関しましては参考資料のところにつけております。
それで、医療機器の使い方であります。薬の場合ですと、飲む、打つ、貼るといったいわゆる用法・用量が決められていますけれども、医療機器の場合ですと、用法・用量はございません。それぞれが道具の特性、手技というものが一体となって患者様に治療をする、診断をするということになります。
それから、ライフサイクルでございます。薬の場合は、10年、20年ということでございますが、医療機器の場合は、改良・改善によって絶えず進化をしていくということで、物によっては3年とか4年とかで新しい医療機器を出していくということにもなります。したがいまして、非常に頻繁な研究・開発が必要になってくるということでございます。
実は、その医療機器の特性を踏まえまして、昨年の11月に薬事法が改正され、医薬品医療機器等法が生まれたという背景もございます。
4ページでございます。医療機器の開発のプロセスでございますけれども、まず最初が研究開発フェーズです。いわゆるいろいろな市場ニーズをつかまえて、こういうものを開発しましょうと企画をいたしまして、設計をして、試作品をつくるということでございます。そして、その試作品を非臨床試験という形で安全性を確かめます。狙ったとおりの設計値がきちんと出ているか、患者様にとって有害な物質が発生しないだろうか、そして、動物を使って使い勝手も評価するというような非臨床試験をやって、そこのところで安全性をしっかりと確認いたします。
その上で、医療機器の場合は、治験が必要なものと必要でないものがございます。先ほどのパーセンテージからいきますと、おおよそ8割以上のもの。先ほど94%と言いましたけれども、それは改良・改善の割合です。治験が必要なものもその中に含まれます。そういたしますと、8割強の治験が要らないものにカウントされますが、そういうものと、治験を行うものというものがございます。いずれにしましても、しっかりとした安全性を評価いたしまして、治験の必要がないものに関しましては、そのまま許認可の手続を行いまして承認をいただくことになります。治験は、患者様にお使いいただいて、そこのところで確認させていただきまして、それから申請を行って承認をいただくというプロセスになっています。
その後でございますけれども、主にリスクの高い治験の必要なものに関しまして、あるものに関しましては市販後の評価を義務づけられるということで、市場でお使いいただきながら、いろいろなデータをとっていく。安全性のデータを追加していくとか、そういうことをやっていきます。
一方、それ以外のものに関しましては、市場でお使いいただきまして、そこのところで、さまざまな使い勝手でありますとか、こうすれば成績がよくなるのではないかというようないろいろなアイデアをいただきます。それをもって改良・改善するというところでございまして、このアイデアをいただくというところに関しまして、先生方と企業が一緒になってアイデアを出し合うことが必要になってくるということもあるわけでございます。
それでは、実際どういうことがあるのかというのがその次の5ページ目でございます。幾つかの項目を例示しています。1つは、臨床成績の確認でございます。まさにある一定の成績を狙って、そのとおりに物をつくって、安全性を確かめて、市場に出すわけでありますけれども、それが狙ったとおりにいくのか。それから、先ほど申し上げましたけれども、臨床で先生方がお使いになっていて、ここをもっとよくすれば臨床成績が上がるよといったようなことをそこでお確かめいただく、データをいただくといったようなことがございます。
それから、操作性の確認です。例えば血管の中に入れるカテーテルは、いろいろ癖のついた曲がりのついたカテーテルを血管の中に入れるのですけれども、このカテーテルは血管を狙いながら操作していくのです。ここの形状がもう少し細ければ入りやすいとか、この曲がりがもっときつければいいとか、物性が柔らかければいいよといったいろいろな確認があるわけです。現場でそういうことの承認をとったものでお使いいただきながら、改良・改善のためのお話をいただくこともあります。
それから、さまざまな画像解析とか生体機能解析といった形で、ソフトウェアの改良をしてお出しするわけですけれども、それの評価もいただきたいということであります。あとは、非常に長いデータをとりたいといった先生方の要望があったりするとき、ふだん、先生方がとっている方法ではとれないようなデータのとり方があるのです。例えば、メモリの中に圧縮していっぱい入っていて、それをふだんの操作ではとれないので、私たちが一緒になってそのデータを装置から吸い出すといったことも現場では行っているわけであります。
それとか、例えば人工心臓でポンプが回転しています。そのポンプが普通の生活の中できちんと正常に動いてはいるのですけれども、例えば、中の羽根車の振れが体動によってどのようになっているのだろうかといったことのデータの蓄積、そういうこともしたいということがございます。
以上、そのようなことで、さまざまなシチュエーションで市販後の臨床研究、いわゆる臨床で評価をしたいことがあるということが医療機器の世界です。
最後、結語に移ります。ここにも書いてありますように、医療機器の開発を促進してよりよい製品を早く患者さんのもとへ届けるために、医療機器における臨床研究というのは、今申し上げましたように非常に重要な役割を果たすということでございます。臨床研究を巡って最近さまざまな不幸な事例がございましたけれども、臨床研究に対する規制を一律にかけますと、現場での開発がなかなかうまくいかなくなるだろうということが予想されていますので、臨床研究の目的に応じて柔軟な規制であるべきだと私たちは考えているわけでございます。
業界といたしましては、臨床研究に対して、適正かつ適切に関与しつつ、医師と共同で臨床研究を進めることができるよう、規制策定において御配慮いただきたいということをお願い申し上げて、私の発言を終わります。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、早速、ただいまのお話に関連して、御質問、御意見。
大門委員、どうぞ。
○大門委員 貴重なお話をいただき、ありがとうございます。3つ御質問及び御確認がございまして、お教えください。
1つ目は、医療機器の臨床試験もしくは治験に関しまして、例えば、デザインや被験者数などにおいて、医薬品のものと考え方や特徴が異なるという認識でよいでしょうか。
2点目につきましては、スライドの5番目になるのですが、ここで挙げられている例は、基本的に適応内での使用の中での臨床研究ということでよろしいでしょうか。
3点目は、ぜひお教えいただきたいところで、4番目の参考資料として「米国における臨床研究・治験の手続き」という資料について、せっかく付与いただいているので、ぜひ御説明いただければ幸いです。
○三澤参考人 治験に関しましては、確かに医薬品とは違う。特に数は圧倒的に違います。デザインに関しましても、私は医薬品のほうは余りよくわかっていないのですが、恐らく違うということが言えるのではないかと思います。
最終的には、装置の安全性であるとか、きちんと働いたかということ、そして、患者さんの状態がよくなったということが一番のアウトカム、エンドポイントだと思いますけれども、そこに対しての観察ポイントであるとか、そういうものに関しては違っているのだろうと思われます。
あと、スライドの5でございますけれども、これは御指摘のとおり、承認をもらったものに対してということでございまして、未承認品に関しましてはもう既に通知が出されておりまして、それに従ってやっているということでございます。
それから、治験に関しましても、いわゆるきちんと決められたルールに基づきまして実施しているということでございますので、きょうのところはそこには触れてはおりません。
それから、米国での資料でございます。最後のところの参考資料4)でございます。実は「臨床研究」と書いてありますが、どちらかといいますと、治験でありますとか、そちらのほうに非常に大きく効いてきている制度でございます。ここのところで言いたかったのは、いわゆるリスクの度合いによる判断がIRBで行われているということです。「臨床研究・治験機器」という四角がありまして、その下に「Sponsorの判断」というのがありますけれども、そこのところでNSRとSR、いわゆるリスクの低いものとリスクの高いものの判断基準がありますということでございます。リスクの高いものに関しましては、日本でもそうですけれども、治験であるとか、そういうプロセスをきちんと踏む。
米国の場合は、リスクの低いものに関しましては、IRBの中できちんと判断して進めることができるということでございます。資料としてお出しすることはできなかったのですが、いろいろ話を聞きますと、米国では臨床研究に関しましてもIRBがきちんと機能していて、そこのところの承認のもとで進められると私は聞いております。
○大門委員 1点目の御回答に関して、もう一つ御確認させてください。
例えば、デザインにおいて、ランダム化比較試験はそれほど治験としても多くなさそうに思いますし、被験者数も医薬品でやるような大規模臨床試験というのも少ないように思うのですけれども、そういった理解で間違いないでしょうか。
○三澤参考人 そうですね。ランダム化比較試験は医療機器では非常に難しい問題があるかと思います。例えばAEDの臨床試験をやるとき、ランダムが本当にいいのかという問題もございます。そういう判断が働いているということで、決してランダムというわけではなくて、物によってはランダムなしという形でやるということでございます。あと、比較というのがありますね。ほかの同等性のものと比較をしてやりましょうということでやりますけれども、患者様に対してある程度侵襲を与えるものが治験では多いものですから、その結果として患者様の不利益にならないような形で治験が組まれると私は理解しております。
それから、症例数に関しましても、薬みたいな大規模ではなくて、ある効果が確認できるレベルということで、これはPMDAとの事前協議も行いますし、医療機器によりましては、先生方と一緒にガイドラインをつくりまして、これぐらいの症例をやればいいだろうということに決めて治験の数を設定するということでございます。
例えば国内で言うのであれば、補助人工心臓の場合、具体的に6例で承認をいただいたということもございます。もちろん、海外のデータが何十例かございましたから、それを足してということでございますけれども、そういうところは薬とは違うと思っております。
○大門委員 ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにございますか。
山口委員、どうぞ。
○山口委員 わかりやすい御説明、ありがとうございました。
医薬品と医療機器の違いがあると言われている中で、医療機器のことについてずっと携わってこられたお立場として伺いたいと思います。今、こういう臨床研究の制度のあり方をどうしようかといういろいろなことが議論されています。この場もそうです。その中で、例えば、これは医療機器に関してはちょっと違うということに気をつけておいてほしいとか、この議論には医薬品は確かに適するかもしれないけれども、ここは医療機器はちょっと違うのだ、そぐわないのだというような、私たちが議論をする上で医薬品と医療機器とを分けて考えないといけないような視点があるとすれば、どういうところがあるか。もしございましたら教えてください。
○三澤参考人 一番大切なところはデータの取り扱いだと思います。個人情報の保護というところでございます。そこは、医薬品も医療機器も変わらないと私は思っております。ですので、そこら辺の透明性でありますとか、公正性というのは何たりとも確保しなければならないということでございます。
ただ、先ほども申し上げたとおり、医療機器の場合はどうしても専門性を持った人間がデータを吸い出さなければならないとか、そういうアクセスは必要になってくることは必要なのです。ですので、そこら辺は、当然透明性とか公正性というのを確保する何らの手段を持ちますけれども、データに触れては一切いけないといったようなことにならないようにしていただければいいかなと思います。
あと、安全性を守るということに関しては全く一緒でございます。
○山口委員 もう少し縛りを厳しくしないといけないような、例えば臨床研究も指針だけでいいのだろうかというようなことも議論されていますが、それが厳しくなることによって医療機器の臨床研究がやりにくくなるとか、支障があるとかということはあるのでしょうか。
○三澤参考人 そうですね。指針のレベルにもよるかと思いますけれども、先ほども申し上げましたとおり、私も医療機器に関与する人間として、臨床現場に入れなくなるということが致命的になってきます。いわゆる我々もそうですし、先生方もそうですし、ある意味、臨床現場の中で問題を共有しながら、それを何とか解決しようということで一緒に動いておりますので、そういうことができなくなるような規制にはしてほしくないと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
お待たせしました。武藤香織委員、どうぞ。
○武藤(香)委員 御説明ありがとうございました。2点ほど教えていただければと存じます。
先ほど青木参考人から、アカデミアの方、医師の方が医療機器を有償で買われた試験で、実際、承認申請が行われなかった事例があるというようなお話がございましたけれども、これに関して、メーカーにいらしたお立場から何かコメントがあればいただきたいということが1点目です。
2点目は、今回のこの検討会も、医療機器のメーカーとアカデミア側、あるいは医師との関係性において、特に注意すべき点があるようでしたら教えていただきたいと思います。
例えば、私が素人ながら感じているのは、アカデミアや医師の人たちとの関係性が医療機器と医薬品のメーカーでは違うのかなという気もしまして、メーカーの立場からお感じになっているアカデミアや医療関係者との関係性における問題点などが何かございましたら、教えていただければと思います。
○三澤参考人 前者の有償のお話でございますけれども、治験には医師主導の治験と企業主導の治験と2つございます。企業主導のものは、これを製品化しますということを最初から決めて、そして先生にお願いをして治験を開始するというものでございます。
実は、治験というのは、お薬もそうなのでしょうけれども、医療機器も相当お金がかかりまして、インプラント医療機器ですと数十億円とかかかるものがございます。ということは、それだけ会社は投資をするわけでございまして、その投資に対してリターンが見込めるか見込めないかという1つ大きな問題がございます。ただし、これはオーファンは別の話といたしまして、一般論ということでございます。
ですので、そこら辺が、我々が治験に突入するときに一番考えなければならないポイントになってきます。先ほどのお話ですけれども、既存品を先生方が独自に組み立てられまして治験をおやりになるということに関しまして、企業は協力することもあるかもしれませんけれども、基本的には先生方が装置をお買いになってお進めになられるということに対して適正な情報を差し上げながら治験をしていただくということが一般的なやり方と思います。
先ほど、有償で買って、最後は企業が逃げてしまったといったようなお話ですけれども、それは個別の事例で何とも申し上げられません。いずれにしても、最初の契約がどのようにあったのかということであるとか、きちんと先生との間で将来の販売のお話、これをどうやって市場に届けようかといったようなお話の整合がとれていたのかというところがあって、そこら辺の出口に関してケース・バイ・ケースで申し上げられませんが、企業主導で行う治験に関しましては最後のところまできちんと決めて進めさせていただいているということです。答えになっているような、なっていないような感じでございますけれども、お酌み取りいただければと思います。
それから、2番目の、アカデミアとの関係で注意したいことということでございます。医薬品の業界も医療機器の業界も公正競争規約というのがございまして、こういう接待をしてはいけませんとか、きちんとあるのです。それはみんな守ってやりましょうということですから、いわゆる一般的に言われているような厚い関係があるというところはない。特にそういうところは注意しましょうと言っております。
それから、注意したい点というか、むしろ今後研究開発を促進する上では、ドクターと我々企業というか工学者の方がイコールパートナーという形できちんとした形でおつき合いしていくことが重要かなと思っております。
例えば、私などもアメリカとか海外に行ってドクターの方ともお話をさせていただきますけれども、こちらは技術者、向こうは医療という技術を持たれた先生ということで、専門的な知識を出し合いながらいろいろな研究をするということでお互いにリスペクトできるような関係がございます。そういう関係をぜひこの日本の中でも発展させていければ良いと思っております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに。
楠岡委員、どうぞ。
○楠岡委員 先ほどの参考4)の表、米国における制度の中で、上のタイトルの下、赤い線が引いてある下のところに「FDAにIDE申請し」と書かれているのですが、IDEというのは何のことか。
○三澤参考人 IDEは、基本的には治験と同じような形できちんとした申請を行ってということでございます。
○楠岡委員 Investigational Device Exemptionということですね。
○三澤参考人 そのとおりでございます。
○楠岡委員 日本でいうと、治験届に相当するようなものということであると。
○三澤参考人 はい。
○楠岡委員 その下のところで、NSRとSRの区別ですが、これの判断基準というのは、先ほどから出ているクラスとかとは関係なしに評価するということですか。
○三澤参考人 そうですね。そういう形で患者さんに対するリスクがどうだということで判断をいたします。
まずは、ここにありますように、企業が判断をするのですが、それをIRBに持っていって、それはSRだよということであれば、先ほど言ったIDEの申請をするといった形でコントロールされているということでございます。
○楠岡委員 例えば、IRBによって判断が異なるという事例もあるのでしょうか。
○三澤参考人 そこのところは、私の聞いている限りにおいては、米国におけるIRBというのは年間の件数が非常に多い。それから、それをしっかりと事務局が支えているということでございまして、判断基準は結構しっかりしていると聞いております。例えばCleveland Clinicだったと思いますけれども、治験と臨床研究を入れますと、年間2,000件近くやっているということでございまして、IRBの事務局が機能して、その申請から1週間後にこれをスタートできるかできないかという判断が下るといったことでございます。
○楠岡委員 お聞きしたかったのは、Cleveland ClinicではNSRだったけれども、Jones HopkinsではSRだったとかいうようなことはないかということ。
○三澤参考人 そこの事情をきちんと把握しておりませんけれども、向こうの話を聞く限りにおいてはほぼ同じレベルで判断されています。
○楠岡委員 その基準というのはある程度決まっているような形になっていると。
○三澤参考人 はい。そのように理解しております。
○楠岡委員 もう一点は、開発のところで、機器の場合は開発側と実際に試験する側が一緒でないとなかなか難しいということで、その点はよく理解できるのですが、役務提供のところがどうしても曖昧になってしまって、どこからどこまでが依頼者として責任を持たなければいけない範囲で、そのために行っているのか、どこからどこまでは本来研究者側がやらなければいけないのだけれども、依頼者がそれをかわりにやってしまっているのか。その辺のボーダーをどうやってつけるか。それが、役務提供になってしまうと、COIにひっかかってしまうことになるので、その辺の線引き。
それから、先ほどおっしゃったデータに関しても、患者さん、被験者のアウトカムデータは依頼者は絶対さわれないところだけれども、機器の場合は機器データはどうしても必要なので自由に使わせていただくというような、要するに、生体側に存在するデータなのか、機器側に存在するデータなのかで、うまく線が引けるのかとか。目安になるようなものがないと、抽象的には言えるのですけれども、いざそれを実際にやろうとすると非常に困難になって、結果的に間違った判断に基づいて間違ったことになってしまうといけないと思うのです。その辺に関して、医機連のほうで何か考えておられるようなものがあるのかどうかというところです。
○三澤参考人 そこら辺に関しましてはまだ議論している最中でございますけれども、1つ言えますのは、先ほどのお話ではないですが、これはなれ合いでやってはいけないと思っております。きちんとした契約のもとで、役務提供においても契約書にきちんと残す。特に未承認医療機器の臨床研究に関しましてはそれがきちんと義務づけられていますから、それを踏襲するという形が望ましいのではないかと思います。
それから、機器のデータか、患者様のデータかということでございます。これは少し私見になりますが、機器で線を引くというところが必要になってくるのではないかと思っております。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかによろしゅうございますか。
それでは、時間になりましたので、三澤参考人のヒアリングをこれで終了したいと思います。参考人におかれましては、御説明、どうもありがとうございました。
それでは、次の議題に移りたいと思います。議題の2「論点整理に向けた議論」でございます。
参考資料4といたしまして、前回までの海外制度に関するヒアリングの内容をまとめたものも配付させていただいております。本日は、前回の検討会で海外制度について研究者代表として御発表いただきました慶應義塾大学の磯部参考人、研究分担者である昭和大学の田代先生、東京大学医科学研究所の井上先生にもお越しいただいておりますので、海外制度の状況について議論する中で、参考人の先生にも加わっていただくことも考えております。どうぞよろしくお願いします。
それでは、前回の児玉委員からの御要望を受けて資料2が提出されておりますで、それにつきまして事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○益山補佐 事務局から資料2につきまして御説明させていただきます。
表題「ICH-GCPと省令GCPの主な相違点」でございます。まず、1でICHと省令GCPの背景の違い、2、3、4、5で主な違いを説明させていただきます。簡単に下線部の部分を説明させていただきます。
まず、ICHでございますが、こちらは1の最初の●でございますが、日米欧三極の規制当局及び産業界代表によりまして構成された会議体でございます。ここでは新薬の承認審査に関する三極統一のガイドラインを作成している形になります。
このICH-GCPでございますが、ICHにおきまして、医薬品の臨床試験成績の三極間におけます相互受け入れを促進するために作成されたものでございます。
欧米では、それをもとにICH-GCPを医薬品の研究にも使用しているというのはこれまでの御説明にあったとおりだと思います。
最後の●でございますが、我が国ではこのICH-GCPを薬事法に基づく国内規制に取り入れますために、省令GCPという形で制定しております。つまり、ICH-GCPで大枠をつくって、各国はそれをもとに自国の規制に合わせてつくっていくというような流れになります。
では、どういうところに違いがあるのかというところを2以下で説明させていただきます。
まず「2.実施体制の違いについて」ですが、欧米では、治験責任医師がみずからの責任におきまして治験依頼者と直接契約を結ぶというのが一般的でございます。一方、我が国では、従前より実施医療機関と治験依頼者が契約を結ぶというものが一般的になっておりますので、そういった形で、省令GCPでは実施医療機関と治験依頼者と契約を結ぶということを前提に記載されております。
「3.治験審査委員会(IRB)について」でございます。IRBの設置につきましては、国ごとに状況が大きく異なるということでございますので、ICH-GCPではIRBの設置主体に関する規定というのはございません。これまでのお話にありましたとおり、フランスでは自治体ごとに設置されているといったようなことがございますが、我が国では実施医療機関ごとに設置されているのが一般的でございます。
一方で、これまで省令GCPでは各医療機関ごとにということで限定されておりましたが、現在では、省令改正を行いまして、IRBの設置主体が実施医療機関ごとから拡大されているというような状況にございます。
「4.契約等の規程について」でございます。契約に関しまして、省令GCPでは、責務の所在、要件、適切な運用に必要と考えられる手順等を明示しております。一方で、ICH-GCPは各国で規制を取り入れるという観点から概念的な記載になっております。
最後「医師主導治験について」でございます。こちらは我が国で後から入ってきた制度でございまして、平成15年に医師主導治験として入ってきております。したがいまして、ICH-GCPでは、依頼者兼治験責任医師について治験依頼者としての義務と治験責任医師としての義務の双方を負うことを規定して、個別の規定にはなっておりませんが、我が国では個別になっているというような違いがございます。
大まかには以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの報告につきまして、何かございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
楠岡委員、どうぞ。
○楠岡委員 契約のところがいつもICH-GCPでは責任医師になっていて、日本のGCPだと、医療機関あるいは医療機関の長という形。結局、それは省令GCPだけでなくて、臨床研究に関する倫理指針とか、大体全部がそうなっています。省令GCPを定めるときに既に国内で治験がずっとやられていて、そのときの実態が医療機関と依頼者との契約という形で進んでいたので、あえてそこを変えずに行った。医療機関のほうに責任を負わせたという特別な理由はなく、ただ単にそのときの状況でそうなってしまったというような解釈でよろしいのでしょうか。
実際、クリニックの場合は、医療機関の長と実施責任医師が大体一致しているので、省令GCPができた直後は書類の取り回しが非常にややこしいことになった。そこは後で整理されたようなこともあるわけですけれども、もともとのところは、歴史的経緯で日本ではこうなったというだけなのか、それとも、日本ではまだ責任医師が育っていないから医療機関の長に責任を負わせようとかいうような意図があったのかどうか、そのあたりはいかがなのでしょうか。これはいつも議論になっているところで、もし御承知の経緯か何かがあれば教えていただきたい。
○遠藤座長 では、事務局、お願いします。
○益山補佐 完全な回答になるかどうかあれなのですが、先生のおっしゃるとおりかと理解しております。
と申しますのも、先ほど説明いたしましたとおり、それぞれ各国で規制をつくっているという状況で、日米欧のそれぞれの規制のままでは医薬品の開発を再度各国でやり直しというような状況を効率化するためにICHができたという状況で、それぞれの各国のガイドラインをいかにハーモナイズするかというところを話し合ってきたという意味では、これまでの日本での歴史の部分とハーモナイズして個人で契約をするのか、医療機関ということで両方でできるという形で、各国はそれぞれのスタイルに合わせて契約することというような背景を踏まえますと、当時の状況からいたしますと、そこを医療機関という形が社会的にも一番ナチュラルだったのだろうと考えております。
○遠藤座長 お願いします。
○楠岡委員 結局、今までその形できたことによって、治験責任医師というか、臨床研究の責任医師の認識が甘いというと語弊がありますけれども、医療機関におんぶに抱っこ的なところになって、自覚が十分なかったことが今回の問題の1つの基盤になっているのではないか。臨床研究を行う場合には責任医師はどれだけ責任を負わなければいけないかというのが余り認識されずに、医療機関の長に従っていればいいみたいなことが結果的に今の状況を引き起きしているのではないか。最初のころから治験責任医師の教育というか育成の問題が出てきておりましたけれども、こういう形できたことが1つの原因であるのかもしれないと感じております。
○遠藤座長 御意見として承りました。ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。
この問題は今後議論する中でも適宜関連することでもありますので、話を少し先に進ませながら、また何か関連することがあればこの問題に戻りたいと考えております。よろしゅうございますか。
それでは、次の議題に移りたいと思います。
次は、事務局から論点整理が出されております。資料3と4でございます。これにつきましては、まず事務局から御説明をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○中村補佐 それでは、資料3と4につきまして事務局から御説明させていただきます。
資料3につきましては「臨床研究の在り方に関する論点整理(案)」ということで、前回、第3回の検討会の際に提出させていただいたものと同じものでございます。こちらのほうで臨床研究の制度の見直しについての基本的な考え方と、研究機関、製薬企業等に対してそれぞれどういった事項を求めることが適切かということで例示をさせていただいておりますので、今回はこの中で「2 研究機関等に対して遵守を求める事項と対象範囲」につきまして少しクローズアップして資料を作成させていただきました。
続きまして、資料4のほうをごらんいただければと思います。今回、資料4「研究機関において今後考えられる主な対応と対象となる研究(イメージ)」ということで資料を作成させていただいております。前回、第3回の検討会におきまして委員の先生方から、すべての臨床研究に対して一律の法規制を行うのは望ましくないのではないか、また、被験者に与えるリスクであるとか、研究成果が医療現場、患者全体に与える影響の大きさに応じた対応が必要なのではないか、加えて、難病ですとか小児、希少疾患など、研究や治療が密接にかかわっている領域の取り扱いについても配慮が必要なのではないかといったような御意見をいただいたところでございます。
こちらを踏まえまして、左側、青い枠で囲っているところですけれども、こちらに、研究機関において対応することが考えられる事項ということで○1から○9まで例示をさせていただいております。それぞれの項目について※で横に記載をさせていただいておりますのは、今、別途見直しが行われております「臨床研究に関する倫理指針」の現時点での見直しの案において、それぞれの事項について遵守を求められている対象範囲を記載しております。以上が資料の左側に関するご説明でございます。
次に、資料右側の黄色い線で囲っている部分が対象となる研究の例ということで「1 被験者に与えるリスクを念頭においたもの」としてアからウまで、「2 医師と患者の関係にとどまらず、広告等を用いて医療現場(患者全体)に影響を及ぼすもの」としてエ、「3 研究の種類にかかわらず、対応が必要なもの」としてすべての臨床研究ということで、対象範囲を例示させていただいております。
こちらの資料の左側の○1から○9の対応について、それぞれアからオのとおり、どういった研究を対象にすることが適切と考えられるかということで対象範囲を例示をさせていただきましたので、こちらも御参考にしていただきつつ、どういった事項についてどのような研究の対象範囲の遵守を求めることが適切と考えられるかということについても御議論をいただければと思っております。
事務局からは以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
これまでいろいろな方々のヒアリングを行いましたし、既にフリーディスカッションしているわけでありますけれども、今回、事務局からこのような形で考え方を整理する上での参考例が出ておりますので、これをベースにお話を進めていければと思います。
ただいまの御説明に対する質問でも結構でございますし、何かあれば挙手をお願いしたいと思います。
例示という形になっておりますが、この対象となる研究例というものがこのような区切りでよいのかどうかとか、当然、左側の対応例というのも、これは現実的な対応例を列挙したわけでありますけれども、これ以外にもあるのかどうかなど、ご意見があるかと思いますので、これからはフリーディスカッションということでございますので、御自由にお願いできればと思います。
大門委員、どうぞ。
○大門委員 資料4の対象となる研究の例で、ウに「被験者数の多い臨床研究」という例示が挙げられているのですが、この点についてはなかなか難しい点があるかもしれません。
というのは、例えば100例以上であれば規制の対象内といったときに、その100例といった数字の線引きに根拠を持たせることが困難かもしれません。また、統計家の立場からすると、そういった被験者数というのは、とくに、臨床試験の場合、リサーチクエスチョンに対してある程度の信頼性を持って回答を与えることができるように設計されたものですので、その算出された値というのは、多かろうと少なかろうとも意味のある数字だと考えられます。
そういう点からしますと、少なくても多くてもそれなりのデータの質は保証されるべきではないかと考えております。
○遠藤座長 規模による、つまり被験者の数による分類というのは余り適切ではないというお考えですね。ありがとうございます。
リスクの中に出てきているわけで、何か起きたときにはその影響が非常に大きいという意味合いでここでは出されているのだと思いますけれども、そういう御意見ということを承りました。
武藤委員、どうぞ。
○武藤(徹)委員 この資料を拝見して、項目が余りにもたくさん過ぎて、順列組合せすると膨大な量になりますね。ですから、今、意見はちょっとまとまりませんで申し上げられないのですけれども、1つコメントというか、お考えいただきたいものとして、この間、磯部先生から、班会議の班研究、厚労省の科研費補助金の「臨床研究に関する欧米諸国と我が国の規制・法制度の比較研究」ということで御報告がありましたけれども、報告書を送っていただいたのです。私、珍しく、これを真面目に、全部ではないですけれども、要点を読みました。よく研究されているのです。こういう報告が出ているのだったら、これを利用しない方法はないのです。私、前から同じことを言っていますけれども、全部とは言いませんけれども、ポイントを利用していただく。これはお役人が大変お上手ですから、この部分、この部分というように利用して、それを1つの核にすると意見がまとまりやすいのではないかと思います。特にイギリスのやり方というのは非常にプラグマティズムに徹していて参考になる。日本の場合は恐らくそのままにはできないかと思いますけれども、基本的な考え方は非常に参考になるので、ぜひこれを無駄にしないでいただきたい。
○遠藤座長 ありがとうございます。もちろん無駄にするつもりはございません。この磯部先生の報告書は各委員にお送りいただきましたので、全員に配付されております。非常に重要な資料だと私どもも思っております。本日、それに関連するものとしては、参考資料4が該当しますかね。
○中村補佐 そうですね。
事務局のほうから失礼いたします。本日、お手元に参考資料4ということで「医薬品の臨床試験に関する欧米の規制比較」を配付させていただいております。こちらが、前回、磯部先生からも御発表いただきました研究報告の概要、主な事項だけでございますけれども、少しまとめたものになっておりますので、こちらも御参考に御議論を進めていただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
確かに、考え方の整理といってもかなりいろいろなものが絡み合っておりますので、これからこの考え方の整理をベースにしながら何回か考え方を整理していきたいと思っております。もちろん、本日結論を出すつもりは全くありませんので、質問も含めて御意見をいただければと思います。
武藤香織委員、どうぞ。
○武藤(香)委員 事務局にお伺いしたいのですけれども、この資料4は、研究機関側の論点をまとめていただいたということなのですが、利益相反管理の扱いはどのように理解したらよろしいでしょうか。ぱっと見、入っていないように見えるのですけれども。
○中村補佐 事務局でございます。失礼いたしました。
利益相反管理のあり方につきましては、研究機関において、いろいろな場面で利益相反管理の状況について説明することが考えられようかと思います。例えば、資料4の左側の対応例の中で言いますと、○1の研究計画の中に記載することも考えられようかと思いますし、○2のモニタリングの中でもそこも含めて見るということもできようかと思います。また、被験者保護の観点から、例えばインフォームドコンセントの際に被験者の方にそういった利益相反状態にあるということを説明するといったようなことも考えられるかと思いますので、このような利益相反管理についてどのような取扱いをするべきかという点についても、御議論いただければと思います。
○武藤(香)委員 そうすると、対応の例として9つ挙がっている項目の中の1つといいますか、チェックする項目の1つというような理解でまとめられているということでよろしいですか。
○中村補佐 そのとおりです。
○遠藤座長 山口委員、どうぞ。
○山口委員 私もこれを拝見していて、かなり項目が多くて、今、意見をというときに、いろいろな項目に意見はあることはあるのですけれども、どう表明していいのかなというのが正直戸惑いを感じます。
この項目の中で、例えばそれほど人によって議論の違いがない項目と、ここは深めていかないといけないという項目が恐らく分かれるのではないかと思います。例えば、被験者保護ということに対しては、どんな研究でも絶対にきっちりやらなければいけないということに異論がある方は恐らくいらっしゃらないと思うのです。例えば、モニタリングや監査をどうするか。恐らく、ここに対してはもっと厳しくすべきだとか、柔軟にしていくべきだというような意見が分かれるところがあるのではないかという気がしますので、そこが少し見える形といいますか、これまでのフリートーキングの中でいろいろな方の御意見も出てきていましたので、ここは皆さん、大体大筋同意されているとか、ここはもっと議論しないといけなくて、こんな違う議論が出てきたのだというようなことを土台として示していただいたほうが本質的な議論になるのではないかという気がいたしました。
○遠藤座長 御意見として承りました。そのことはここでの議論の中で固めていくという流れでもあるかなと思いますので、そういう視点も含めながら御意見をいただければと思います。そういう視点から見ると、例えば被験者保護というのは全ての場合でも適応するだろうということで、○9研修・教育などもそれに該当する可能性もあるわけです。そういうことをおっしゃっているわけですね。
山口委員、何かございますか。
○山口委員 研修・教育というのは研究者のことを指してですよね。例えば倫理委員会のあり方等々について、拡大したというようなことが先ほどの御説明の中でもあったのですけれども、多くの場合は医療機関の中で倫理委員会が置かれているというのが現状だと思います。そうしますと、医療機関の中で人選をして、そしてその中である程度人をそろえてやっているということが、今のままでいくと、きちっとした倫理委員会の体制になるのだろうかということに実はかなり疑問を感じています。それが院内で1つということで、院内での納得の倫理委員会になってしまって、単なる委員の数合わせになっていたり、そこの医療機関を定年退職した元職員・教員が一般の人として倫理委員になっていて、一般人が入っていることにしている、といった実態が結構あるのではないかという気がしています。ですので、個々についての意見をということはお話ししたいなということがあるのですけれども、それを今ここで全部それぞれ出していくというようなフリートーキングの仕方がいいのかどうかというのが、今、整理ができなくて戸惑っています。
○遠藤座長 まさしくそのとおりでありまして、突然これが出てきて、まずはこれを自分の頭の中で再整理をして、それから意見を言うというのはなかなか難しいかと思いますので、御質問でも結構でございますし、これについてのある種思いつきのような話でも構いませんので、そこから進展していけば非常にウェルカムかなと思っております。
では、武藤委員、山本委員の順番でお願いします。
○武藤(徹)委員 ちょうど思いついたときに言っておかないと忘れてしまいますので。
これは、治験を行う本人に対するいろいろな規制なりアドバイスなりと、それを監視する側のシステムとしての問題と、2つあると思うのです。両方がうまくいくと大変理想的になるのだと思いますけれども、その後半の部分の監視する場合として、モニタリングと倫理委員会があると思うのです。これは両方とも我が国の状態が極めてお寒い状態で、今、山口委員がおっしゃったような倫理委員会というのはあります。あらゆるところにあります。しかし、非常に日本的なつくり方をしておりまして、本当の厳しい意味での倫理委員会になっていないところがかなりではないかと思われます。
イギリスとフランスの例が非常に印象的なのですけれども、そういう個々の組織にあるのではなくて、地域ごとに、国として限られた数がございます。これは日本ですぐにはできないかもしれないけれども、要するに公平性ということを考えますと一考に値する組織だと思います。少なくともそういうものをつくるべきだという提言はあってしかるべきではないかと思います。
モニタリングも、そういう組織がそもそも余りありませんし、モニタリングをやるとしても、日本風の、何となく知っている人に頼むとモニタリングにならないのです。そういうこともあって、これもイギリスのモニタリングは、治験の危険度に応じてちゃんとやるのと、自主的に任せる、そういうのが書いてございましたので、これも導入すべきシステムではないかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
山本委員、お待たせしました。
○山本委員 たくさん項目が並んでいて、なかなか議論がやりにくいというお話がありましたので、私、素人的に考えるところを、かなり乱暴な整理になるかと思いますけれども、口火ということで述べたいと思います。
確かに、対応例が9つ並んでいるわけですが、右側の対象となる研究の種類によって大きく考え方が変わってくるものと、必ずしもそうでないものが対応例の中にもあるだろうと思います。例えば、先ほど例に出されました○6の被験者保護、インフォームドコンセントとか個人情報の保護などは、リスクが高いか低いかによって考え方が大きく変わってくるものではないであろうと思いますし、規模がどうかということと余り関係がない話かと思います。
それから、○4とか○5の話というのは、何かあったときの話でして、何かあったときにどうするかということに関しては、リスクが高いか低いかともそれほどかかわりがないのではないかという気がいたします。
それに対して○2のモニタリング・監査とか、○7とか○8の記録をどうするとか、研究結果の登録をどうするといったような話は、基本的には全ての場合に当てはまるのかもしれませんが、これはリスクの高低によって簡単でいい場合と比較的きちっとやらなくてはいけない場合が分かれてくる話ではないかという気がいたしますので、この辺をどのように整理するかというのが一つ課題ではないかと思います。
倫理委員会の責任体制とか研究計画の行政当局への届け出は、審査の手続等をどうするのかという話で、中身の話というよりは手続をどのように行うかという話なので、レベルが少し違う話かと思いますが、これに関しても恐らくリスクの高低によってどのぐらい綿密にやるかが変わってくるのではないかと思います。ということが1つ。
私が何となく素人的に考えたところは以上です。
もう一つ、対象となる研究の例の話ですけれども、これは先ほどちょっと話が出ましたけれども、例えばEUなどでも、最近、低リスク・低介入試験に関しては手続を少し簡素にするといったことが行われていますので、EU等でどのような基準がとられているかを詳しく紹介いただけると議論の参考になるのではないかと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
事務局提案は、例えば対応例というのは考えられるものを羅列しているだけでありますので、それぞれの持っている意味合いというものはむしろここできちんと整理をして、過不足があればそれは調整して考えていくということで、今の山本委員からの御指摘というのは適切な御判断だと思います。そういう議論を続けていきたいと思っております。
対象となる研究につきましては、リスクといったときに、そのリスクの意味合いを諸外国でどのように捉えているのかという議論はヒアリングの中でも大分出てきておりますけれども、そういったことで再整理をしていくということです。
対象となる研究の中では、リスクという視点が1つありますけれども、それだけではなくて、ここでは広告で医療現場に影響を及ぼすものというものを別途1つの軸として出しているわけです。そういうアプローチでいいのかどうかということも含めた議論が1つ。あるいは、抜けている視点があるのではないかということも含めて議論していただければと思います。
ほかにございますでしょうか。何でも結構でございます。
児玉委員、どうぞ。
○児玉委員 資料4は、事務局もいろいろと御苦労されたことだろうと思います。
3つぐらいの軸で感想めいたことを申し上げようと思います。第一の軸は、過剰規制(オーバーレギュレーション)の副作用についてのいろいろな御議論であり、雑駁にまとめると、過剰規制(オーバーレギュレーション)があったときに対する御批判というのは2つあるのだろうと思います。
1つは、産学連携と医薬品・医療機器産業の育成という政策課題に反するような、萎縮効果を伴うような過剰規制は避けてほしいということを参考人の方々は次々におっしゃっておられたように思います。
2つ目は、1番目に挙げてもよいと思うのですが、日本における医科学の発展と学問の自由を阻害するような過剰規制であってはならないということです。
恐らく、この2つの課題を阻害するようなことがあると、過剰規制(オーバーレギュレーション)の誹りがあるのではないかということを念頭におきつつ、対象と対応を十分選択していかなければいけないのだということを思いました。
それから、2つ目の軸は、レギュレーションがなかったり、過少規制(アンダーレギュレーション)といいますか、規制が十分に行われていない状況における論点です。ここで申し上げる規制というのは、締めつけるという意味の規制ではなく、適切な支援や情報の公表なども含めた行政としての多様な手段を講じたレギュレーションが十分行われていない過少規制(アンダーレギュレーション)の状態になっているときに、懸念される問題は2つあると思います。
1つ目は、ICH-GCPを含めて長らく議論されてきた健康被害や被験者保護にかかわる問題です。これはある意味、製薬企業であれ、医療機器の企業であれ、どのメーカーさんも決してそんなことがないように一生懸命努力してこられたし、適切な対応をされているものと思われます。
2つ目は、今、我々が直面している課題です。被験者の健康被害リスクではないところに問題が生じています。大規模臨床研究で大々的にこれほどデータの真正性が疑われ、日本における臨床研究の信頼性にひびが入るような事態になっているのは、健康被害に由来する問題ではありません。現在直面している臨床研究の状況をどのように打開し、このようなことを再発させないために、どういう対象を切り出したらよいかというなかなか困難な課題に直面しているものと思います。
先ほど大門先生から御指摘があった、被験者数の多い臨床研究というのは線引きが困難であるというのは全くごもっともな意見で、統計家の目から見て、リサーチクエスチョンに答えるために被験者数の大小が決まっているのであって、その大小によって規制を変えるというのを理解するのはなかなか難しいという御指摘はそのとおりと思うのですが、他方、被験者数が多くなると、追試を行うためのコストが大きくなり、学問の自由の範囲内で学会のディスカッションに委ねたり、一人一人の研究者の創意工夫で出てきた臨床研究に疑義を呈したり、適正なディスカッションを行ったり、次々類似の研究を行う中で、適切な競争関係の中でバランスがとれていたり、アカデミアの中でのディスカッションによって自律的な淘汰が行えなかった分野で問題が起こっているという見方もできるかもしれません。
もちろん、被験者数の多い臨床研究というような雑駁な線引きでは、とてもではないが、実際の規制対象の切り出しは不可能だとは思いつつ、今ある問題をどのように言葉にしたらいいかというのは大きな悩みがあると思います。
そういう視点からで、今、目の前に御提示いただいた1のア、イ、ウの3つを見ますと、実際に介入・侵襲を伴う臨床研究の裾野がどれほど広く多様であるかということを多くの参考人の方から御指摘いただいたと思うので、こういう切り出しだと恐らく過剰規制(オーバーレギュレーション)だと言われる可能性もあるだろうと思います。
それから、未承認・適応外の医薬品を用いる臨床研究ももちろんたくさんの課題があるのですが、目の前に突きつけられた課題は、多分、未承認の医薬品に関する臨床研究ではないだろうと思います。
第三の軸として、私はヘルシンキ宣言が大事ではないかということを申し上げているところです。エのところで「製薬企業等の広告等に用いられる臨床研究」という切り出しがあるのですが、むしろヘルシンキ宣言の視点は、広告に使える、製薬企業にとって都合のいいデータ以外に、ネガティブなデータや結論が出せないデータが水面下に沈んでしまう問題を指摘しています。人を対象とした臨床研究に関しては、企業にとって使い道がないような、広告に使えないようなものを水面下に沈めてはいけないという、倫理的な、科学的な、あるいは実践的な規範を、ヘルシンキ宣言は要求しているわけです。
そういう意味でいうと、エは、実際に広告に用いられる場合も用いられない場合も含めて、医療という公共性のある分野に参入されておられる全ての企業の社会的責任(コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティー)の問題です。医療に関連する企業はポジティブなデータもネガティブなデータも含めて、きちんと社会に開示していく責任を持っておられるのではないか。そういう意味では、広告等に用いられるものも用いられないものも含めて、いかに企業が透明性を確保していくかということも課題になっているように思います。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
対象となる研究例についてお考えをお述べいただいたわけであります。事務局の出しているものは、どちらかというと、現実的なものを具体的にわかりやすく書いているものでありますので、それぞれのお立場でこれについて再整理していただければと思っております。
これまでヒアリングの中でも、どちらかというと、リスクの高いものには規制をかけて、そうでないものは規制をかけないという方向であるというような流れがあったものですから、そういう議論の中で見ると、例えば、今回幾つか出てきておりますような不適切な事例というものが、既に承認されている薬に関しての問題ということで、余りリスクが高い話ではないと判断されたとするならば、それは規制の対象にならないのかどうかという議論になってくるのかなということで、2のエというものが別な基準として出てきていると理解するわけであります。それでいいのかどうかということも含めまして、桐野座長代理、お願いします。
○桐野座長代理 この資料4を概観しますと、1つは、一番大きなキーワードは「介入・侵襲」という言葉だろうと思います。もう一つは、「新倫理指針(案)」という文言がかなり出てきますが、これは既に現在検討が進行しつつある疫学・臨床研究の倫理指針の検討中のものだと思いますし、その中には、ここに書いてあるようなことが既に相当決まっているということも一応念頭に置かないといけないと思うのです。
現在行われているこの検討会のもともとの目的は、被験者の保護を当然の前提としながら、一方で、研究の信頼性を日本においてどうやって確保するかということが非常に大きな問題だったのだろうと思うのです。もう一つ、この右側の黄色いア、イ、ウ、エ、オの分類において、言葉はどう言えばいいかちょっとわからないのですが、研究の結果の用途のようなものが関係しているように思うのです。ですから、製薬企業のように、もちろんきちんとやっておられる企業が大部分と思いますが、それにおいて利益が生じるような場合には、当然、その結果が非常に大きな影響を与えますので、その使い方には非常に注意を必要とするわけでありますから、一番大きな問題になるのは介入・侵襲ということと、それを使って未承認のものを承認して発売するとか、適応を拡大するとか、製薬企業等の広告に用いるとかいうようなことは相当議論の対象になるのかなと思いました。
ただ、被験者数の場合においては、これは全く侵襲性のないコホート研究で対象が数万人というものはいっぱいありますし、ただただ観察だけをする臨床研究はいっぱいございますので、これは相当異質のような感じがいたします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
対象となる枠組みを再整理していただいているということであります。基本的にリスクというのは介入・侵襲を伴うというところで1つの枠組みとしてあり得るだろうということ、それ以外は、結果、情報の利用がどのように展開するかというところが1つの軸になるだろうと。そういう理解でよろしゅうございますか。
ありがとうございます。
楠岡委員、どうぞ。
○楠岡委員 今、当面の検討のきっかけになった内容は、だんだんに詳細が明らかになってくると、先ほども被験者保護等のことでありましたが、プロセスの問題ではなく、極端なことを言うと、データ固定した後ですりかえられたという、プロセスが完了した後のところで起こったことのように思われます。すると、それをプロセスのコントロールで防止するというのは基本的に無理があると思います。そこは切り分けて考えないといけない問題かと思います。
ただ、その中で、プロセス自身にもやはり問題があるとすると、今後、それを検討していかなければいけないと思うのですが、例えば治験においては、抗がん剤の治験と胃腸薬の治験は別に区別されているわけではなくて、プロセスとしては全く同じですけれども、その中で、例えばモニタリングを片方は非常に厳密に行うのに対して、もう一方は、リスクレスモニタリングとかサンプリングモニタリングというように、厳密性というと言葉は悪いですが、その頻度とかにおいて少し軽減するというような手続がとられているとか。
あるいは、有害事象に関しても、非常に細かく決めて、それぞれに対して対応を求めていることもあれば、もともとそれほど有害事象が予想されないので、割と漠とした形でなっているというところもあって、結局、それはどこで決まっているかというと、研究計画の中にどう記載されているか。すなわち、これはリスクが高そうだから、モニタリングもかなり厳重にやらなければいけないし、有害事象に関しても事細かく記載を求めていく、あるいはそれに対する対応も求めていく。それに対してかなりリスクが低いのであれば、これはモニタリングも軽減していいだろうし、有害事象に関してもそんなに細かく考えなくても、一般的なものでいいだろうというところで、結局、それが研究計画の中にどう記載されているかということで決まってくるというのが実際のところかと思います。
そうしますと、その研究計画を妥当かどうか。要するに、リスクを判断してその研究計画の中でやることで被験者保護がなされているのか、あるいはデータの信頼性が確保されているのかというのを見ると、最終的には倫理委員会がそれを見てということになるわけですけれども、実際、今、倫理委員会でそこまで全部できるかというと、そこは非常に難しいところが1つある。
もう一点は、治験に関しては、PMDAが事前に相談に乗り、あるいは治験届の内容を見るということで、研究経過の妥当性を倫理委員会以外に第三者的、客観的に経験のあるところが審査をしている。それが、ある意味、内容を担保しているところがあるということになります。そうすると、同じようなプロセス管理を求めようとすると、研究計画を倫理委員会は倫理委員会の立場で見るけれども、いわゆる科学性というか、リスクベースで判断して、このレベルでいいのかどうかというのを何かアドバイスするなり判断するようなシステムがないと実効性が担保できない。結局、リスク判断を自分でしてしまうと、勝手にリスクを軽減してしまったり、逆に、あつものに懲りてなますを吹くようになると、今度は被験者の方も、来なくていいのに毎週診察を受けなければならないというような縛りを受けたりとか弊害が出てきますので、そういう研究計画の内容そのものをどこかでチェックすることが、プロセス上、1つの大きな問題になってくるのではないか。そうすると、実際それをどこで行うのかというのを考えておかないと、枠組みはできたけれども、それをどこでやるか、それが結果的に臨床研究の阻害になるというのでも困りますし、逆に、全部自己判断でやってくださいと言うと、結局やっていないことと同じような状況も起こってしまうので、そこをどうするかというのは非常に大きな問題ではないかと思います。
今、プロセスとリスクという2つのマトリックスで考えているわけです。それぞれ十分よく検討されている項目なのですが、どうリスク判断するのかとか、プロセスの中でどう軽減処置を行うかというものの第三者的な判断、あるいはそれをきっちり判断できるツールをあわせて考えておかないと、規制はできたけれども、実際は余り動いていないというようなことになりかねないのではないかということがあるかと思います。
1つ、IRBに関しては、治験に関する倫理審査委員会は法律に基づいて置かれていますけれども、別にこれは届け出が必要なものでもないですし、認証、承認が必要なものでもない。一応届けることという方向性はありますけれども、届けなかったからといって、その審査委員会が審査した治験は全部無効というお話には決してなっていません。
再生医療に関しては、今回初めて倫理審査委員会が法律で認定された委員会でないと許可を出してはいけないという認定制度が導入されたわけで、そうすると、今後も臨床研究においても認定する委員会での審査というものを求めるのか、あるいは、そこは非常にバラエティーがあるから、そのリスクをどう評価するかという話になりますけれども、あるリスク以上のものは認定された委員会にかけなければいけないとか、そういう整理が必要になってくるかもしれないというのが私自身の今感じるところです。
最終的に実施に移したときに実施できるような体制をどうつくっていくか考えておかないと、規制だけがどんどんできても、実際にそれが役に立っていなかったらないのと同じこととなってしまうので、そこをどうするかということかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
実行可能性ということをかなり視点に置かなければいけないということですね。
児玉委員、どうぞ。
○児玉委員 これまでこういう臨床研究にかかわる問題について、二枚看板の大事なツールがあったように思います。それは、医療機関内で医療倫理の高揚を目的としたIRB、倫理委員会を設置して、倫理委員会の活動をサポートしていくというツール。それから、被験者の側に立って、インフォームドコンセントを重視し、被験者への説明と情報提供を重視していくというツール。倫理という名のもとに、IRBとIC(インフォームドコンセント)が二枚看板になっていて、これまでの制度の骨格をつくってきたわけですけれども、昨今の問題になっている事態を何とか制御したいという思いから見ますと、臨床研究というものは患者と医師や医療機関が向き合っているところで、一方にインフォームドコンセント、一方にIRBがあれば制御できるというような状況ではもはやなくなっており、人と技術と資本を集積している企業活動の中にどのような倫理を実際の手続として置いていくかという課題が大きく広がっているように思っています。何でもかんでも規制とは全く思っていないのです。どこかの段階で、例えば製薬企業であれ、医療機器のメーカーであれ、今までやってきたIRBやインフォームドコンセントでは手が届かない技術的な問題が生じたり、あるいは資本の領域で問題が生じたりします。企業活動の領域が医療の中に広がってきている現実を踏まえて、既存のツールでは手が届かないところで問題が生じているのではないかという問題意識が必要なのではないかと思います。そういう意味で、むしろ、企業は、規制の対象・客体になってしまうという意識を超えて、むしろ、企業の側から主体的にどのような規律をつくられるかという視点からの御発言を期待したいと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
近藤委員、どうぞ。
○近藤委員 この臨床研究のあり方であります。今、医薬品であるとか医療機器、それに関する話題が多いわけでありますが、基本的には、医療そのものの発展を期待した研究だろうと思うのです。例えば、手術の手技であるとか、今、がんの治療というと抗がん剤であるとか放射線であるとか、それぞれ個別に見ていることが多いのですけれども、お医者さんの立場から見て、患者さんを中心にして見ると、どういう使い方が一番いいのか。先に放射線をかけて手術をやったほうがいいのかとか、いろいろあるわけです。そういうことを医師主導で物を考えていく、研究をサポートする仕組みではないかと思うところです。そうなってくると、その研究自体が本当に科学的に正しいかどうか見ていかなければならないときに、倫理委員会がそれを科学的にいいかどうか評価するというかなりハイレベルな判断を下していかなければならない。そのプロトコルが正しいかどうか。
そうやって実際答えが出てくると、今度はちゃんとその報告をしてもらわなければならないわけです。先ほど児玉委員がおっしゃったように、ポジティブであろうと、ネガティブであろうと、もともと報告する義務があるのだろうと。そういうところを使っていくと、何回やっても同じ研究が出てくる可能性があるわけで、正しく報告されて、日本の研究でネガティブな研究もしっかり出てくるとなると、データベース化していけば、これは大勢の人の役に立つ結果になるだろうと思います。そういうことを推進していくという立場でいかないと、ただ治験と比べてどうのこうのという話ではないのだろうと思うのです。ですから、結果への評価をしっかり育むようなサポートが必要かなと思うのです。うまくいかなかったね、残念でしたというのではなく、うまくいかないのも大事なデータであるというところをこの臨床研究の中で評価できるような仕組みにしていただきたいと思うところです。
もう一つ、加えて申し上げたいことは、先ほど三澤委員が、医療機器の臨床研究についての提言の中で、医師と業界が力を合わせてやれるようにしてほしいという話でした。たしか、お薬の中では、いろいろな問題があって、そばに寄ること自体問題があるという話だったわけでしょうけれども、医療機器に関してだけでなく薬もそうだと思うのですが、正しい関与の仕方をしていただいて、適正なデータ、正しい正直なデータを出してもらうような仕組みを産官学がそれこそ力を合わせていかなければいけないのかなと思うところです。産官学がこれから力を合わせていかなければならない立場で、切り離してはできない話だろうかと思うし、そこでは透明性がしっかり求められるところだろうと思うところです。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
山口委員、どうぞ。
○山口委員 先ほど倫理委員会のことに少し触れましたのも、今回のいろいろ問題になったことを現在あちこちにある倫理委員会で審査をしたときに、これは問題がある臨床研究計画だと見抜けるかというと、私もそれは非常に難しいのではないかと思います。先ほど児玉委員から企業側もというお話がございましたけれども、一方で研究機関の中でしっかりチェックをしていくことが欠かせないとすれば、先ほど楠岡委員がおっしゃったように、IRBではないところの第三者機関ということも必要なのかなと。今の倫理委員会でやろうと思えば、かなりレベルアップしないと、そこまでの領域には達しないのではないかと思います。
そんな中で、磯部教授から送っていただいた報告書を私も読ませていただいて、非常にわかりやすくて勉強になりました。特に介入・侵襲のあるようなところに対してのモニタリング・監査のあり方というのが、画一的ではない、柔軟な内容にしていくということも1つとても大事なことであって、研究内容やリスクに応じた規制が必要だというところにとても共感をして読ませていただきました。
その報告書の中で、臨床研究の信頼性を回復するために被験者保護、データ保存の長期化、倫理委員会の役割強化と書かれていたのですけれども、今日はせっかく磯部教授がいらしているのでちょっとお聞きしたいのですが、今、海外で問題になっている実際の計画自体を倫理委員会で、例えばイギリス、フランスでしっかりチェックできるような体制ができているのかどうか。例えば、これが可能になるとしたら、どういう体制が必要なのか、信頼性回復のために倫理委員会の役割強化と書かれていましたので、そのあたり、日本のあり方に何か参考になるようなものがあれば御発言いただけたらなと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
磯部参考人、いかがでしょうか。
○磯部参考人 慶應大学の磯部でございます。読んでいただいてありがとうございます。
今回、一つ一つの研究と、およそ全ての臨床研究全体が確かにやられているだろうということ、いずれへの信頼も大事だろうと思うわけですが、それに対して、全ての要素が大事だろうと考えているのであります。どれか1つということでもないということです。倫理委員会がもちろん見ます。実際には、確かに審査をするリソースというのは、限られた専門家が特化していろいろな案件を見ていくということで、そういう人を集中して配分していくという仕組み自体が、研究をきちんと見ていることを可能にするわけです。実際には、フランスでは少なくともそういうのを好んでやってくれる医者というのがいるらしくて、そういう意味では、必ずチェックできるかというとあれですが、プロトコルの不行き届きといいますか、不十分なところがあれば十分気づける体制になっているはずだということは期待できるのだろうと思います。その上で、倫理委員会が審査することに加えて、同時に、実施に先立って研究について届出をして、当局がそれにまた関与する。その中では、例えば個人情報の保護についての専門家がいたりして、それがその点についてチェックするとかいうようなことで、多数の目で見ているという仕組みが、信頼を獲得することにつながるのだろうという印象を持っています。
今、これ以上、これというコメントをする用意はないのですけれども、差し当たり、お答えとしては以上のとおりです。
○遠藤座長 山口委員、どうぞ。
○山口委員 ということは、科学的なチェックができる人もいて、いろいろな方面でチェックできる人がいるというのは、例えば地域ごとに倫理委員会が置かれているというところが日本と違うところなのかなという気がしたのです。そういうところで設置していることで人を集めやすいというような構造があるのでしょうか。
○磯部参考人 地域ごとに置いているということとは直接にはつながらないのかもしれませんけれども、少なくとも新倫理指針を検討しているあの検討会に出てきた資料では、日本では1,300の倫理委員会があるという話でした。少なくとも、それを各病院ごとに、いわば思い思いに院内の人を中心に人を集めるというのではなくて、やはり各地方ごとに置かれますと、その地方に置かれた倫理委員会は、その地域の医師会、強制加入の団体の人とも相談しながら、適切な人を選んでいくということになりますので、そういう意味では、特に通じた人を選びやすい選任プロセスになっているのではないかという印象は持っています。
○山口委員 ありがとうございました。
やはりきちっとチェックできるような仕組みが日本の倫理委員会でつくられないのであれば、私も外部できちっとチェックできるシステムづくりが必要ではないかと思います。今の御説明をお聞きしても、倫理委員会の数が多くて、病院ごとに拡散し過ぎているような感じがいたしましたので、そこは一つ考えていかないといけないところかなと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
磯部参考人、ありがとうございました。
ほかに。
武藤委員、どうぞ。
○武藤(徹)委員 言うは易く行うは難しで、人材が足りないのですね。それが日本の実情です。
委員の方々の御意見を伺っていますと、よりよい、クオリティーの高い臨床試験をするための仕組みをどうするかということが中心で、規制が行き過ぎにならなければ私も賛成なのですけれども、今回の事件の始まりは、やはりデータの捏造であり、不正であり、それが問題だったのです。これは、立派な規制をつくっても決してなくならない。必ずまた起こると思います。これは個人の問題だからです。今回でも、まだ否定していますからわかりませんけれども、少なくとも製薬会社のある個人が仕掛けて、受け皿があった。これは医師ですけれども、その人たちがノーと言えばそれはできなかったことで、こういう事件が起こるためには必ず仕掛け人と受け皿がいるわけです。ですから、これは個人の問題であって、幾ら立派な規制をつくっても、起こってしまうのは起こってしまうのです。
私が最初から言っているのは、規制を守らせるためには罰が必要であるということ。イギリスなどは、重いのは医師免許の剥奪まであるそうですけれども、何かの形で、やったら損だということを組織の姿勢として示さないとまた起こるのではないか。結局、この問題はお金が絡んでいるのです。出すほうもそれだけの見返りがあるから億という単位の研究費を出すということであります。例えば安い胃腸薬の臨床研究に幾ら100万人集まったとしても、そんなお金は動きませんから、そういうときにはこういう犯罪は起こらないのです。適当な価格のもので、それだけ広く使われるという期待があるからこういうことが起こるのであって、そこら辺、ちょっと別に考えていかないと、立派な適正な規則をつくりさえすれば犯罪もなくなるというのは、ちょっと幻想ではないかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
桐野座長代理、どうぞ。
○桐野座長代理 今、武藤先生がおっしゃられたとおりだと思うのです。研究組織の中に、研究のデータがよくなって結果がうまくいくことを望む人たちばかりが入っていれば、今みたいなことが起こりやすいのですが、研究がきちっと行われていることが自分の使命というか利益になるような集団が混合して入っていれば、それは起きにくくなるわけです。例えば、生物統計家は、ある大きなスタディーに関与して、その統計がむちゃくちゃだったら信頼を失ってしまいますので、それは真面目にやると思うし、ある研究の統計家は誰であるかということをきちっと明示すれば、これはどういう人が生物統計をやったかというのがわかる。普通、大きなスタディーはそれをやると思うのですけれども、それをきちっとやりさえすれば、今度のようなああいうことはある程度抑制効果が強かったのではないかと思うのです。そういう委員の皆さんがおっしゃっているように、人材が育っていないので、それをすぐ全部やれというのは難しいかもしれないけれども、少なくとも侵襲性がある大きなスタディーに関しては、生物統計家は誰であるかというのを明示するとか、当たり前のことをきちっとやるべきだろうと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
武藤香織委員、どうぞ。
○武藤(香)委員 この検討会ができたときから、ちょっと股裂き状態だったなと思っていました。疫学指針と臨床指針の統合作業を通じて、倫理審査委員会とか被験者保護に関する部分は大分整理されてきた段階で、あれよあれよといろいろな不正が明るみに出てしまいました。ですので、そういった事件の再発防止をどうするかという目的が喫緊のものになりました。ですが、今までヒアリングで勉強させていただいた内容からは、不正の再発防止というよりも、普通の臨床研究あるいは治験をどのように進めていくか、法律で縛る部分はどこか、という観点から、「ぜひ柔軟にお願いします」という皆さんのご主張を聞いてきたということになります。しかし、多分、事務局が一番気にされている、再発防止という論点に関して、まだ、絞ったお話を聞いたり、議論してきていないのではないかという気がしました。
資料4では、統合指針案の対象とそうでないものを区別していただきましたが、多分「○1研究計画の行政当局への届出」とか「○4問題発生時の立入検査・改善命令等」は統合指針案には入っておらず、統合指針案で定められたことに対して、強制力を働かせる項目に当たるのだと思います。そこを少し突破口にして、どうやって再発防止という目的にリンクできるかという議論を進めていかれたらどうかなというのが1つの御提案です。
右の研究の例も、いろいろと苦労された例だと思うのですが、2の「エ 製薬企業等の広告等に用いられる臨床研究」というのは際立って具体的過ぎて、これまでこの会で進めてきた、臨床研究全般をどう規制するかという議論からするとなじみにくいように思われます。何とか再発防止したいという事務局の思いはすごく伝わってくるのですけれども、その思いと、新統合指針案に力を与えるという観点をうまくリンクできるような形で議論が進めばいいなと思います。何となく山口委員がもやもやしておられるのもそういうところにあるのかなという気もします。
以上です。
○遠藤座長 実際問題はそのとおりなのです。そこをどのように折り合っていくか。したがって、リスクという視点だけではなく、2のエというものをあえて出しているのは、この問題に対して当部会としてはどう対応するのか。リスクの視点からだけですと、場合によっては何もしないという結論になってしまうかもしれませんので、そういう意味で一つの視点として出しているわけです。ただ、こういう出し方で適切かどうかというのは、また議論するところだと私は理解しております。
いかがでございましょうか。
非常に重要な御指摘をいただいたと思いますので、今後そういう方向で議論していきたいと思います。
ほかに。
山本委員、どうぞ。
○山本委員 かなり出ている話ではありますけれども、大きな方向として申しますと、恐らく、対応(例)のところに出ている○2のモニタリングに関しては、ヒアリングでも細かく、重い規制をしていただくと困るという声が出ていました。○2とか、○7のデータベースとか、○8の記録のあたりは、恐らく、一定のレベルまでは研究の質を保つ上でも有益であろうと思うのですが、余り細かい話になってしまうと、研究活動を阻害することになりかねないので、ここは細かい規制まで入れるのは慎重でなくてはいけないだろうと思います。
そういった場合に、先ほど楠岡委員とか山口委員も言われましたけれども、今の○3の倫理審査委員会の部分で、第三者の目をいかに入れるのか、そのプロセスの透明性をいかにして図るかが実際上は非常に重要なのではないか。先ほども少し出ていましたけれども、再生医療の場合、きょうの参考資料2の一番後ろに出ていますけれども、リスクに応じて認定再生医療等委員会が安全性等のチェックをする仕組みが再生医療に関しては制度化されたわけでして、実態から言って、これと全く同じものを入れるわけにはいかないとは思いますけれども、このような制度の例も参考にしながら、今後、第三者性を入れていくためにどういう仕組みをつくっていくかを考えていかなくてはいけない。そこが重要ではないかという気がいたしました。
あと「対象となる研究」のところで、確かに、エに「広告等に用いられる」というのが入っているのは、ここだけが非常に具体的で際立っている感じもあるのですけれども、ある意味では、研究活動の中でも、実際の社会と非常に強い接点を持つ部分に関しては、単に研究者内部の自己規律だけでなくて、一定の法的な規律も考えなくてはいけないという観点からいうと、社会に対する影響力というのは、法的に規制を入れていく場合の範囲を画するときに一つ考えなくてはいけない重要なファクターなのではないかと思います。
これも特に具体的に書いてあるので非常に際立っているのですが、考え方としてはあり得るのではないかと思いました。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
御意見は大体出尽くしたようでございますか。
突然出てきた資料でございますので。でも、これに基づきまして非常に実りのある御発言をいただきました。今後、これをまた少しブラッシュアップしながら整理をしていきたいと考えておりますけれども、何かございますか。
あるいは、今後の進め方でも結構でございますし、きょう、事務局から報告のなかった分野についての資料の質問でも結構でございます。
よろしゅうございますか。
それでは、本日は、とりあえずこの内容につきましてはこれまでにさせていただければと思います。
いろいろな御意見が出ました。まとまってはおりませんけれども、非常に示唆的な御意見が出ておりますので、それを踏まえまして資料の作成を事務局にはお願いしたいと思います。御発言の内容を十分理解できなかったというものもあるかもしれませんので、それにつきましては、場合によっては委員の皆様に事務局から御質問が行くかもしれませんので、御対応のほどよろしくお願いいたします。
では、次回はそのような形で事務局は資料の作成をお願いしたいと思います。
それでは、議題の「3.その他」でございます。こちらとしては特段用意しておりませんが、事務局は何かございますか。
○中村補佐 特に事務局からもございません。
○遠藤座長 それでは、予定しておりました議題は以上のとおりでございます。
皆様のほうから何かございますか。よろしゅうございますか。
近藤委員、どうぞ。
○近藤委員 これから進めていく上において、私、1つ感じることは、やはり臨床研究をどんどんプロモーションしていかなければならないのはどういうことかということ。逆に、規制を強化していかなければならないのはどういう部分であるか。それから、精度をどう高めていくのか。それから、基本的に臨床研究を推進していかなければならないわけですから、そこら辺のところをしっかり組み分けて、やはりこの成果がプロモーション、最終的には臨床研究の推進になるような形で皆さんの意見がうまく合致すればいいかなと思っているところです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
この議論の視点についての御意見だと承りました。これについてもまたいろいろな御意見があるかと思いますけれども、ただいま御意見として承りました。
ほかにございますか。よろしゅうございますか。
それでは、事務局から連絡事項をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○一瀬課長 次回の会議は、8月27日水曜日15時からとなっておりますので、よろしくお願い申し上げます。場所等、詳細につきましては改めて御連絡させていただきます。
また、本日の議事録につきましては、作成次第、皆様に御確認をお願いいたします。その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
事務局から連絡事項は以上になります。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、本日はこれにて閉会したいと思います。長時間どうもありがとうございました。
<問い合わせ先>
医政局研究開発振興課担当:中村、南川
電話: 03-5253-1111(内線2590、2687)
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