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2014年7月9日 第3回職業能力開発の今後の在り方に関する研究会議事録

職業能力開発局

○日時

平成26年7月9日(水)10:00~12:00


○場所

中央労働委員会事務局第612会議室(6階)


○議題

(1) 個人主導のキャリア形成支援について
   ・ 有識者からのヒアリング
    立野特定非営利活動法人キャリア・コンサルティング協議会会長
   ・ キャリア・コンサルティングについて
   ・ キャリア・パスポート(仮称)構想研究会について
(2) その他

○議事

○今野座長 時間ですので、ただいまから第3回職業能力開発の今後の在り方に関する検討会を開催いたします。本日は、阿部委員と原委員が欠席です。今日の議事ですが、お手元の議事次第にありますように、前半は「個人主導のキャリア形成支援について」ということで、有識者からのヒアリング及び議論を行いたいと思います。後半は、第1回、第2回の研究会の意見を踏まえて、更に議論を深めていきたいと考えています。

 最初は「個人主導のキャリア形成支援について」です。有識者ヒアリングということで、今日はキャリア・コンサルティング協議会会長の立野さんにいらしていただいていますので、お話を伺えればと思います。よろしくお願いします。

 

○立野会長(特定非営利活動法人キャリア・コンサルティング協議会) キャリア・コンサルティング協議会の会長をしています立野と申します。それでは、配布しております資料に沿ってお話をさせていただきたいと思います。

 資料1、「労働者個々人レベルでのキャリア形成の必要性」ということで、「産業競争力会議雇用・人材分科会中間整理より」と書かせていただきました。少し読ませていただきます。

 日本再興戦略の下、世界でトップの雇用環境を目指し、継続して開催されてきた産業競争力会議雇用・人材分科会中間整理の中で今後の望ましい3つの社会像が示された。それは、経済・経営環境が大きく変化する中、従来「就社」の言葉に含まれたメンバーシップ型の働き方から多様な働き方に対応したジョブ型社員拡大への方向が示されている。3つの社会像を評価する視点として、働く側の視点の内容として「多様な個人の意思と選択により自由で柔軟に働くことが可能である」との表現が見られる。つまり、この社会像の実現のためには、労働者個々人が自身の働き甲斐の拠り所や職業人生において多様な選択の中から自身の描く職業人生に合った基準をしっかり持っていることが前提となる。自己責任には限界がある。そのため、労働者個々人が自身のキャリア形成を考える何らかの機会の提供が、できれば公的な制度として必要である。

 この公的な制度を仮に「キャリアドック構想」という名称で表現しようと思います。「キャリアドック構想」という名称は、その後に注意書きを書いておりますが、()日本マンパワーによって商標登録されているものです。以前、私は、日本マンパワーにおりましたときに「キャリアドック構想」の商標登録を自身で取った思い入れがありますので、この名称で表現したいと思っております。

 仕組みのイメージは、企業などで行われている定期健康診断として人間ドックのイメージです。キャリアの定期健康診断として「キャリアドック構想」を提唱したいと書きました。

 キャリア・コンサルティングは、就職とか退職とか異動とか、何か職業人生のイベントが発生したときにそれに対応する相談支援という意味合いで捉えられることが多いと思うのですが、「キャリアドック構想」は、言い換えれば、自らコントロールし難い、そういう問題に遭遇する前に将来展望を踏まえた認識を持って、自身の適性や能力、仕事観の振り返りを行ってキャリア形成に対して静かに考える時間を、できれば定期的に持つことが望ましいといたしました。実施の頻度は、3年に一度ぐらいが望ましいのかなと考えております。

 先ほど申しましたように、これは定期健康診断の仕組みのイメージで考えております。したがって、定期健康診断は企業の雇用主が従業員に対して実施する義務があるわけですが、それと同じように、企業の場合でしたら、雇用主が従業員に対してキャリアの定期健康診断を半ば義務として実施するというようなことをイメージしています。内容的には、現在、ジョブ・カードの仕組みがあるわけですが、ジョブ・カードの一般版といいましょうか、そのようなことで位置付けて展開することを、この内容のイメージにしております。それが1番目の「キャリアドック構想」というようなところです。

2つ目として御提案いたしましたのが「キャリア・コンサルタントの能力向上に関して」です。超高齢化社会というようなことで、もうそこに到達しているわけですが、65歳を超えて、健康ならば70歳まで働くことが望まれている。生き生きと、そして長く働くことができる社会が望まれる。このような社会変化の中、年齢の上昇に対応した昇格、昇進、昇給、組織の拡大など、外的キャリアの獲得をインセンティブとして働き続けることは不可能に近い。転職者に対するある調査によると、「ある調査」というのは慶應大学の花田先生の2008年に実施された調査ですが、彼らの満足度を高める要因は、高い給与や高い地位、希望どおりの仕事よりも、日々の活動で成長を感じることができたこと、仕事を通して自分のチャンスが広がったこと、様々な人と交流し、相互に助け合い、新しい視点を学べたことと言う方が最も多かった。これらの要素は転職者に限らず、一般化できる要素であると考える。昇格、昇給、組織の拡大などを外的キャリア形成、それに対して前述調査によって示された満足要因は、内的キャリア形成の促進ないしは構成要素と考える。

 キャリア・コンサルタント養成計画報告書「キャリア・コンサルタント養成計画に係る検討会報告書」の「目的」という所に「キャリアアップ、キャリアチェンジに加え、キャリア充実の観点もおろそかにしてはならない」ということがキャリア・コンサルティングの意義として掲載されているわけですが、今後、キャリア・コンサルタントの能力向上を図る上でこの内的キャリア形成に係るスキルや知識などの強化が望まれるのではないか。というようなことで「キャリア・コンサルタントの能力向上に関して」を掲載いたしました。これは、先ほどの「キャリアドック構想」を展開する上でも必要な能力要素になってくるのかなと考えています。

3番目は登録キャリア・コンサルタントという名称に関してです。登録キャリア・コンサルタントの名称は変更すべきと考える。キャリア・コンサルタントの名称には、標準レベルキャリア・コンサルタントの資格を有する者、2級又は1級のキャリア・コンサルタント技能士試験に合格した者、登録キャリア・コンサルタントの3種類がある。登録キャリア・コンサルタントは、前二者で登録した者以外、2日間(14時間)の講習を受けるだけでもその名称は与えられ、主にジョブ・カードに基づいたキャリア・コンサルティングが実施できる者として認められている。目指すべき社会像、最初に申し上げた3つの社会像ですが、これを生み出す担い手として期待されているキャリア・コンサルタントに対してその信頼性を担保する意味からも、能力の差が歴然と認められる標準レベル以上の資格を有さない者にも認められているこの登録キャリア・コンサルタントの名称は、早急に変更されるべきものであると考える。というところが提案させていただきたいと思いました以上の3つの点です。

 

○今野座長 ありがとうございました。それでは、キャリア・コンサルティングとキャリア・パスポート構想研究会があって、そこについての資料も事務局に用意していただいておりますので、それを伺ってから議論したいと思います。よろしくお願いします。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 キャリア形成支援室長でございます。キャリア・コンサルティングにつきまして、資料に基づいて説明させていただきます。資料2をお願いいたします。

 まず、「キャリア・コンサルティングとは」ということで、そもそものところから入ってまいります。ここに記載しておりますのは、平成19年の検討会報告書の文言を書き出したものです。キャリア・コンサルティングという文言につきましては、平成13年以降使われてきているわけですが、第7次の能開基本計画で明確に示されたところです。そのときの定義といいましょうか、キャリア・コンサルティングの説明内容はお手元の資料の記載とほぼ同じ内容となっております。

 個人がその適性、職業経験等に応じて自ら職業生活設計を行って、職業選択あるいは能力開発を効果的に行うことができるよう個別の希望に応じて実施される相談その他の支援ということです。ポイントは、個人が自ら職業選択等の職業生活設計に向けて意思決定ができるように支援を行っていくというものです。ですので、中ほどですが、中心的機能としましては対個人の相談支援となってくるわけです。また、そのために必要な、例えば企業内におけるキャリア・コンサルティングでしたら、組織への働きかけといった機能も含んでくるというところです。これを担う専門人材がキャリア・コンサルタントということです。

 次のページですが、キャリア・コンサルティングの流れということで、個別相談の基本的な流れについて示してございます。基本的な流れとしましては、中ほどの図にありますように、自己理解、仕事理解を経まして、必要によってインターンシップ等の啓発的な経験を行い、目標の明確化等の意思決定を行っていただく。ここまでが中心的なキャリア・コンサルティングです。その後、それを実行に移しまして、実行された状況を把握しつつ、必要に応じてサポートあるいはそのまま適応ということで、実行後の状況に応じて適切なフォローアップを行っていく、というのが一連の流れになっております。

 このキャリア・コンサルティングを担うキャリア・コンサルタントですが、先ほども立野会長からお話がありましたが、現時点、キャリア・コンサルタントにつきましては複数のレベルがあります。

 まず、中ほどにあります標準レベルのキャリア・コンサルタントです。これはキャリア・コンサルタントの養成講座。この養成講座につきましては、厚生労働省が示しております140時間の養成モデルカリキュラムを満たすものということです。この内容につきましては、資料2の参考1、参考2でお付けしております。この講座の受講を経ましてキャリア・コンサルタントの能力評価試験に合格した者、基本的な知識・スキルを身に付けた者で、平成25年度末時点で全国で約39,500人おります。

 その上のレベルという位置付けで、キャリア・コンサルティング技能士(1級・2)というものがあります。まず、2級につきましては熟練レベルという位置付けで、豊富な実務経験を持っていて、いろいろな活動領域で一定の支援ができる位置付けです。更にその上のレベルが1(指導レベル)です。これにつきましては、企業とか、教育現場とか、そういった得意な領域を1つ以上持っていて、それ以外の領域でも一定以上の支援ができ、また、スーパービジョンといって、経験の浅いキャリア・コンサルタントに対しての教育的な指導といったことも行える、そういった役割を担うレベルです。1級、2級を合わせまして、全国で約5,500人おります。ただ、このうち1級につきましては、1級の技能検定が平成23年度から始まりましたので、現在、約60人と、数はまだ非常に少ない現状です。

 今の標準レベルと技能士が、いわゆる有資格者と位置付けられており、その有資格者ではないのですが、先ほどもお話がありました登録キャリア・コンサルタントというものが存在しており、ジョブ・カード講習を2日間修了した者ということでジョブ・カードの作成・支援などが可能になります。これらを全て合わせてキャリア・コンサルタントは、約87,000人という数になっております。

 次のページに進みます。その有資格者のキャリア・コンサルタントの活動状況について、平成25年度の厚労省の研究会で行ったアンケート調査の結果をお示ししたものです。

 左側、まず活動領域です。最も多いのはハローワーク等の公的就職支援機関で働くキャリア・コンサルタント、次いで、ほぼ同じ割合で、企業内で活動するキャリア・コンサルタントという状況になっております。それに次いで、大学、短大、民間の就職支援機関という状況です。

 右側の活動頻度です。「ほぼ毎日活動している」という方は44%、「不定期に活動している」という方が次いで多くて、26%程度という実態です。

 次に、現在の主な活動内容です。やはりメインとなります対個人、1人の支援者との相談が約6割ということで最も高くなっております。キャリア・コンサルタントについてはほかのいろいろな業務がございまして、次いで多いのがキャリア形成に係るセミナー・研修の講師と、そういった活動をされている方もいらっしゃるということです。

 右側の図は、就業形態です。最も多いのは、非正規社員・職員として就業しているという方が4割、正社員として働いているという方は3割ということで、非正規の形態で活動されているキャリア・コンサルタントが最も多いという状況にあります。以上が活動状況の実態です。

 次のページに入ります。企業におけるキャリア・コンサルティングの導入状況です。これは平成25年度の能開基本調査に基づくものです。キャリア・コンサルティングの導入事業所の割合につきましては、慣行として行われるものも含めると、平成25年度で33.7%。前年度からは若干上昇しております。また、キャリア・コンサルティングを行っていない理由のグラフを掲げておりますが、最も多いのは、「労働者からの希望がない」で、人員あるいは時間の確保が難しいといった回答が多くなっております。ちなみに、「労働者からの希望がない」の割合については、平成24年度からは、これも若干ですが減少しているところです。

 キャリア・コンサルタント養成に係る助成措置について、若干御紹介いたします。キャリア形成促進助成金という助成金があります。この中で、キャリア・コンサルティング関係でいきますと、キャリア・コンサルタントの養成講座につきましては、受講の費用あるいは受講時間中の賃金につきまして事業主に対する助成があります。また、キャリア・コンサルタント能力評価試験につきましても、技能検定等の受検料、また、その時間中の賃金等につきましても、同様に助成の対象となっております。また、養成とは直接関連しませんが、キャリア・コンサルティングの実施自体の費用につきましても助成の対象となっているところです。また、教育訓練給付金につきましても、養成講座のうちほとんどのものが対象になっているのですが、講座の受講料につきましても、個人が受ける場合につきましては、その受講料の2割に相当する額が給付されます。

 次に、キャリア・コンサルタント養成計画に係る専門検討会につきまして、報告書を含めて御説明いたします。

 まず、背景ですが、昨年12月の産業競争力会議雇用・人材分科会中間整理におきまして、「キャリア・コンサルタントの養成計画を平成26年年央までに策定し、キャリア・コンサルティングの体制整備が確実に進むよう具体的な方策を検討する」とされたところです。これを受けましてキャリア・コンサルタント養成計画に係る専門検討会を設けまして、本年2月から3回、ここに掲げております委員の皆様に御検討いただいたところです。立野会長にも御参加いただいたところです。この検討の下、報告書が取りまとめられております。その報告書につきましては、資料2の参考3に付けておりますが、その概要をまとめたものが次のページです。中ほど、「養成計画策定の方針」を御覧ください。

 まず方針としましては、標準レベル以上のキャリア・コンサルタント、技能士を含めですが、ここの、いわゆる有資格者に焦点を当てまして、まずは基本的な知識・スキルを身に付けた標準レベルのキャリア・コンサルタントを大幅に増やしていこうという内容です。併せて、左側の技能士につきましても、同様に増やしていくこととし、右側の有資格ではない登録キャリア・コンサルタントにつきましては、標準レベル以上に誘導、いわゆる有資格者のほうへ誘導していこうという内容となっております。

 そして、その必要数です。ここに掲げている4つの領域ごとに必要とされているニーズ又は今後期待される、あるいは掘り起こしていくべきニーズを挙げまして、それぞれ試算したところです。そして、次のページですが、それを合わせまして10万人。この計画()としましては、各領域別の内数は設定せずに、トータルで10万人という目標で、これを来年度から10年間で目指すという計画()となっているところです。

 これを目指す上での具体的な方策として下に、養成促進、資質向上、普及促進と3点掲げております。養成促進策につきましては資格取得費用についての支援、資質向上策につきましては、実践機会の継続的な提供、先ほどお話したスーパービジョンを定期的に受けられるような仕組み、これがやはり必要ではないか。普及促進策については、キャリア・コンサルティングの必要性、効果がまだ十分に行き渡っておりませんので、周知啓発に重点を置いていく必要があるのではないかということです。

 以上が報告書の概略です。この報告書の養成計画()を踏まえまして、厚労省としての養成計画を策定する手はずとなっております。

 最後ですが、キャリア・コンサルタント養成計画の策定の背景となっているものを改めて取り上げております。先ほどお話した中間整理では、養成計画の策定が盛り込まれているのですが、2つ目のポツにありますように、それとはまた別に企業にキャリア・コンサルタントの資格を有する職業能力開発推進者を設置すること、あるいは企業外の民間ビジネスを活用して、雇用する労働者にキャリア・コンサルティングの機会を提供すること、例えば、目標年次を定めて一定規模以上の企業への義務付け、助成金支給の要件化といった具体的な方策を検討し、労使の理解を得つつ速やかに実行に移すといった内容も盛り込まれていますので、この点を御紹介させていただきます。また、先月6月に閣議決定されました日本再興戦略につきましても、キャリア・コンサルティングの体制整備ということで、本年夏までにキャリア・コンサルタントの養成計画を策定することが改めて盛り込まれているところです。資料については以上です。

 次に資料3です。本日御議論いただきたい具体的論点ということで幾つか取り上げてございます。全部で7点です。最初の1点目から3点目につきましては個人のキャリア形成に関連するものです。1点目は、労働者自身と事業主との関係、役割はどうあるべきかという点、2点目は、国、事業主による支援の今後の在り方をどう考えるかという点、3点目は、能開法においての個人主導のキャリア形成支援の位置付けをどう考えるかという点です。能開法の位置付けを考えるに際して資料が必要ということで、本日、参考資料としてキャリア・コンサルティングに関連する条文を抜粋したものを御用意してございます。4点目が、今ほど御説明しました中間整理の義務付け等についてどのように考えるか。5点目は、キャリア・コンサルティングと雇用対策や能力開発に関する各種施策との連携、特にキャリア・コンサルタントにどこまでの役割を課すことが適切であるかという観点。6点目は、体制整備を図る上で国と民間との果たすそれぞれの役割についてどのように考えていくのか。そして7点目、最後ですが、キャリア・コンサルタントの養成の促進なり資質向上、普及促進の観点からその施策の方向性、例えばどこにより重点を置くべきかといった点、あるいはそのほかに何か重要な視点がないかといった観点です。以上のような論点を中心に御議論いただければと思っているところです。よろしくお願い申し上げます。

 

○今野座長 それではもう1つ、お願いします。

 

○塚本実習併用職業訓練推進室長 実習室の塚本です。私からは、資料4によりキャリア・パスポート(仮称)構想研究会での御議論の状況について、御説明申し上げます。まず、1ページ目の「趣旨」では、産業競争力会議雇用・人材分科会の中間整理において、ジョブ・カードを「キャリア・パスポート(仮称)」として学生段階から職業生活を通じて活用できるものにすること、また、電子化し、ネット上での共有を図り、円滑な労働移動につなげるなど、外部労働市場の構築に資する方策を検討することなどが指摘されました。

 これを踏まえ、本年5月から、今野教授を座長に大久保所長、また阿部教授ほか有識者によるキャリア・パスポート(仮称)構想研究会を設け、活用のコンセプト、具体的な活用方法、仕様、電子化、ネット上での共有に関すること等などについて、現在検討又は検討する予定です。

2ページ目は、キャリア・パスポート(仮称)構想研究会での論点案です。まず、活用方法については個人主導のキャリア形成のためのツール、キャリア・コンサルティングを通じ、労働者などが職業生活設計を行う際のツール、職業能力の見える化を図るツール、企業と求職者等のマッチングを促進するツールなどとして、一層活用すべきではないかなどを論点案としております。また、このほか、この下のほうですが、活用のための環境整備、具体的な仕様(様式)、情報の電子化、制度面での位置付けなどをキャリア・パスポート構想研究会での論点案としております。

 次に、現行のジョブ・カードの活用状況、また、その制度面での根拠についてですが、3ページ目を御覧ください。このジョブ・カードは平成20年に創成された制度で、求職者と求人企業とのマッチングや、実践的な職業能力の習得を促進し、安定的な雇用への移行などを促進することを目的として、また、新全国推進基本計画などにおいて、ジョブ・カードの取得者数を平成32年までに300万人に到達するといった目標を掲げております。これまで約100万枚交付されております。内訳は訓練関係の活用が96万、そのほかの一般求職者などの活用が9万と、大部分は訓練において活用されている現状です。

4ページ目が、個々のジョブ・カードの活用の根拠です。職業訓練関係、通達または省令により訓練前・訓練中・訓練終了後にジョブ・カードの交付・活用を求めております。訓練以外の一般求職者などへのジョブ・カードの活用ですが、ハローワークでの一般求職者への交付、離職時の高年齢の再就職支援のためのジョブ・カードの活用、ジョブ・カードの活用を通達で求めております。キャリア・パスポート(仮称)構想研究会において、これまでに5月、6月と合計2回開催しております。この構想研究会においては、ジョブ・カードは見直し後は特定のものを対象とするのではなく、学生段階から職業生活を通じて広範な層を対象にすること、見直し後においてはキャリアの棚卸しなどのキャリア形成の支援、職業能力の証明「見える化」による企業と求職者のマッチングの促進といったこの2つを目的に、今後具体的な活用方法などの検討を進めることが、主な意見です。今後、キャリア・パスポート(仮称)構想研究会においては8月を目途に、キャリア・パスポート構想の中間報告を取りまとめ、平成26年度末には試行等も行った後、様式なども含む最終的な取りまとめをお願いしたいと考えている予定です。私からは以上です。

 

○今野座長 立野さんからの説明と事務局からの説明がありましたので、それを踏まえて御質問でも結構ですし、御意見でも結構ですが、よろしくお願いします。いかがでしょうか。

 

○大久保委員 いろいろお聞きしたいことはあるのですが、基本的なことを2つ、最初にお聞きしたいのです。1つは、キャリア・コンサルタントとして稼動している人の実数についてです。御指摘のように、登録キャリコンはキャリア・コンサルタントとはちょっと違うと思うので、それは御指摘のとおりだと思うのです。標準レベルのキャリア・コンサルタントと技能検定を受けて合格しているキャリア・コンサルタント、この間には当然重複している人もいるわけですから、実数はここに書いてある45,000人よりももっと少ないはずです。更に言えば、日常的にキャリア・コンサルタントとしての活動をしている、キャリア・コンサルタントの業務を日々行っている人ということでいくと、更にその半分ぐらいの人となるのだろうと思うのです。実際にこれからキャリア・コンサルタントを増やしていこうとするのであれば、まずきちんと実数に基づいて計画を立てることが重要ではないかと思っていまして、現在のように8万何千人という数字を独り歩きさせているのは、この機会に矯正するべきだと思うのです。

2つ目は、キャリア・コンサルタントというのは何をする人なのか、キャリア・コンサルタントに期待する役割についてです。個人主導のキャリア形成を支援するという、そのためのキャリアの棚卸しをお手伝いしたりすることについては異論のないところだと思うのです。この資料の中には、例えば「ハローワーク等におけるキャリア・コンサルタント」のところに「求人・求職のマッチング」と書いてあるわけです。求人・求職のマッチングというのはキャリア・コンサルタントの仕事なのかと。そのこと自体は標準レベルのキャリア・コンサルタントの養成の120時間の中のカリキュラムを見ても、それができるような内容は入っているとは思いません。キャリア・コンサルタントというのは何をやる人なのか、役割についての明確化をするべきではないかと思っております。この実数と役割の2つについて、質問させていただきたいと思います。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 キャリア・コンサルティングの実態ということですが、御指摘のように、まず標準レベルのキャリア・コンサルタントと技能士の間では、重複がございます。大体技能士の80数パーセントは既に標準キャリア・コンサルタントの資格を持っている方ですので、実数としては45,000よりも更に少なくなります。御指摘のように、活動していない方も昨年の調査では15%ほどおりましたので、そういった方をカウントしていいのかどうかという問題はあります。このように、実数の把握が十分できていないのが現状です。登録制度を各試験団体で行っておりますが、その更新の在り方なども、それぞれ皆異なります。技能士のほうも、任意の団体として技能士会があるのですが、そこの所属も任意でして、きっちりとそこをグリップするものが今のところない状況です。将来的にはやはりキャリア・コンサルタントのデータベース化を行うなど、何らかの把握する仕組みを、この目標というものを掲げる以上は必要ではないかとは考えているところです。

 次に、キャリア・コンサルタントは何をする人なのかについてですが、先ほども説明をさせていただきましたように、キャリア・コンサルティングの役割は領域ごとにいろいろございます。御指摘のあったマッチング、あるいは能力評価とか、役割について、いろいろなことを言われることがあるのですが、基本的な理解としては、マッチングそのものについてはキャリア・コンサルティングの役割を超えるものではないかと思っております。やはりマッチングといいますと、対求人、事業主支援、事業主サービスという部分が入ってきてしまいます。キャリア・コンサルティングは、需給調整の領域でいえば飽くまでも対求職者支援ということで、マッチングに向けての当然の支援なのですが、キャリア・コンサルティングは職業紹介を行うわけではありません。飽くまでも求職者への支援という観点でのサービスや役割を行っていくものではないかと思っています。いずれにしても、まだ不明瞭な部分がありますので、そこもきちんと整理をしていかなくてはいけないと思っております。

 

○大久保委員 今言われたことに関して確認なのですが、まず実数についてです。この標準レベルで39,500人と書いてあるのですが、これは要するに合格した人の延べ人数ですか。それとも、更新してきちんと現在その状態でいる人たちを言っているのか。それから、稼動しているかどうかの話は、不定期という人が25.6%いるわけです。これは何ですか。つまり、例えば企業の人事の人がキャリア・コンサルタントの資格は一応取りましたと。ただ、普段はほかの人事業務をやっているわけで、普段は使っていないという人たちが、多分こういうように回答しているのかと想像すると、これは稼動している人というように本当に言えるのかどうかがちょっと気になりました。それは実数についての質問です。

 もう1つの役割に関しては、この資料210ページの需給調整機関領域の役割として「求人・求職のマッチング」と書いてありますね。こういうふうに表記されて出ていれば、キャリア・コンサルタントが増えれば求人・求職のマッチングが進むのだろうと、一般的にはそれは期待されるわけです。この辺のところが実態とずれていっている要素になっているのではないかと思うのです。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 最後の質問からですが、10ページの資料に、「マッチングを進めるため」と記載はしてございます。これはマッチングを進めるためでして、マッチングを行っていくということではないという理解で書いているわけなのですが、確かに紛らわしいですし、これによってマッチングをやる人ではなかろうかという誤解を招きかねない部分は確かにございます。ただ、こちらの認識としては、先ほど申し上げましたように、飽くまでもマッチング行為自体はキャリア・コンサルタントの業務の役割を超えるものではないかと考えております。

 人の実数のほうですが、39,500については各試験実施団体において実際に更新なり、登録をしている人の数字です。

 そして、先ほどの不定期で働いている方については、御指摘のように企業内の方もいらっしゃるかもしれませんが、基本的にはフリーで、依頼があったときに活動していく形や、民間のキャリア・コンサルティング実施事業者に登録をしておいて、民間の会社から依頼があった場合に派遣されてキャリア・コンサルティングを行っていく形態がありますので、そういった形で依頼があった場合に活動する方は、不定期に活動していると回答していると理解しております。

 

○大久保委員 「就業形態」の横に「活動内容」という表もありますね。そこに、「1人の支援対象者との相談」というのが63.5%となっていますが、要するにこの業務が、いわゆる代表的なキャリア・コンサルタントの業務であって、その仕事をしている人は63.5%だということなわけですね。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 はい、そうです。

 

○吉永総務課長 若干ハローワークの現場の状況について説明いたします。キャリア・コンサルタントの資格を取っている職員が増えております。また、非常勤の方でもそういう方を採用している状況にございます。実際に職業紹介をやる機関ですので、キャリア・コンサルタントの方がキャリア・コンサルタントを行った上で、実際にその後職業紹介などをやっているケースもあって、キャリア・コンサルタントの何を求めるかという辺りは、若干ハローワークの現場でも混乱していることがあるのだろうと思っています。

 私どもとして今考えておりますのは、キャリア・コンサルタントとして、例えば訓練を受ける場合にどういう訓練がその人のキャリアにとって必要かという辺りも含めて相談するような形で、ある意味直接的な需給調整とは別なキャリア・コンサルタントの活動というものを重要視している部分がございます。そういう部分については必ずしも職業紹介に直接関連するわけではありませんが、そういう機能というものを強化していきたいと思っています。ただ、ハローワークの現場は人が足りないので、キャリア・コンサルタントの方と、その紹介の方を分けることは、現実にはなかなか難しい状況がございます。一からまた説明するのかというような利用者の方もございますので、実際にその辺りが混在化しているというのが正直なところです。いずれにしてもキャリア・コンサルタントが何をやるべきかという辺りについて、ハローワークの現場でも少し考えていく必要あると考えます。

 

○大久保委員 今のお答えに関連してですが、逆にハローワークで窓口に座っていらっしゃる人のうち、標準レベル以上のキャリア・コンサルタントの資格を持っている人は、何パーセントぐらいいるのですか。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 職員以外に相談員の方も数多くいるのですが、相談員については基本的に募集の条件として、標準レベル以上のキャリア・コンサルタントの資格や産業カウンセラーなどの資格を有する者ということが条件にはなっておりますので、ほとんどの方が資格を持っているのではないかと思います。職員についてはまだまだ少なくて、1割程度と聞いております。

 

○大久保委員 1割。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 はい。これは窓口に座る職員ではなく全職員に対しての割合です。

 

○大久保委員 相談員はほとんど持っている。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 ほとんど持っていると理解をしております。

 

○谷口委員 今の大久保委員の御質問とちょっと関連するのですが、資料210ページに、キャリア・コンサルタント養成計画についての必要実数を挙げておられるのですが、この中で企業領域が63,000人と、一番大きいわけですね。現状のキャリア・コンサルタントの活動領域は、調査によると企業内が21.6%という数字が挙がっております。私、大変勉強不足で、教育・訓練領域とか、あるいは就業支援領域ですと、キャリア・コンサルタントの役割とか業務が見えてくるのですが、企業の中というのは大変申し訳ないのですが、よく見えてこない。お教えいただきたいのですが、企業の中で活動される方、キャリア・コンサルタントというのはどのようなポジションで、仕事をされるのか。あるいは、どのような立場といいますか、役職あるいは雇用形態、例えば非常勤でおられる方とか。つまり企業との関係で、どういう立場におられるのか、ニュートラルなのか、あるいは経営者側の立場でとか、あるいは労働者側の立場、いろいろあると思うのです。現状と、それから今後のキャリア・コンサルタントの役割、63,000人という数字が挙がっていますが、どういう役割を主にイメージ期待して、これだけの数字が挙がっているのか、お聞きしたいのです。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 まず、63,000人の数字ですが、これについては資料223ページ、報告書本文5ページになりますが、ここで企業領域での必要性について触れております。企業領域において、役割としては若年者の定着支援ですとか、ミドル世代のキャリアの再構築、シニア世代の雇用延長、従業員の就業意欲の向上、メンタルヘルス、採用活動への貢献等々、様々な役割が期待されています。

 また、技術革新、グローバル化といった企業を取り巻く環境は、これから更に変化をしていく中にあって、キャリアアップ・キャリアチェンジという部分も当然あるのですが、先ほど立野会長から話があったように、キャリアの充実、内的キャリア、その点も含めて従業員が自らのキャリアと向き合う機会が確実に増大をしていくだろうと。そういった中で、相当数のキャリア・コンサルタントが今後必要となってくるだろうと。顕在化されているものと、潜在化しているニーズ、あるいはこれから掘り起こしていくべきニーズと、先ほどの立野会長のお話にありましたが、キャリアドックという形で定期的に相談等を行っていくことが求められてくるのではないかということから、労働者のパイが大きいので、試算をした結果、63,000人という非常に大きな数字になったところです。

 そういった今お話したような役割がございますので、人事労務の担当者はキャリア・コンサルタントの資格を取って、実際の人事関係の業務と並行しながら行うこともありますし、あるいはキャリアに関する相談コーナーなどを設けて、そこで専属的に相談等を行っている企業もございます。そうしたことを通じてキャリア・コンサルタントが企業の中で活動されているということです。もし、企業内の実態等について立野会長から何かお話があれば、よろしくお願いします。

 

○立野会長 企業ではキャリア・コンサルティングの必要性ということを考えたときに、やや個人的意見ではございますが、日常の仕事を通じてキャリア形成を図るところが基本かと思っています。日常の仕事を通じてキャリア形成を図るというようなことを考えましたら、一番接している時間が多いといいましょうか、身近なのはラインのマネージャーになるのではないかと。したがって、ラインのマネージャーが日常的にその部下のキャリア形成を刺激するといいましょうか、その役割を担うのが現実的かと思います。

 そういったときに、この標準レベル以上のキャリア・コンサルタントの役割ですが、その企業や組織で、キャリア・コンサルティングを展開していく仕組み作り、その維持、実際はそのラインマネージャーに対するキャリア・コンサルティング、専門的な観点でのトレーニングが、企業内での標準レベル以上のキャリア・コンサルタントの役割ではないかなと考えています。

 

○谷口委員 どうもありがとうございました。勝手な私のイメージとしては、例えば在り方として、キャリア・コンサルティング室みたいなものが独立してあって、そんな中で相談支援をするような役割というのを考えていたものですから、そうではなくて、実際にイメージされているのは、通常の人事労務なり、あるいはラインといったところで本来の仕事を持ちながら、キャリア・コンサルティングの能力・資格を持った人というような理解でよろしいわけですね。

 

○今野座長 いや、多分、今の話は違うと思います。立野さんが言ったのは、現場のマネージャーはキャリア・コンサルティング的なセンスと行動ができるようになってほしいと。それだけで、だから現場のマネージャーはほかのこと、いろいろなことをやらなくてはいけないですね。例えば、評価のスキルを持っているとか、あるいは仕事の計画能力を持っていなくてはいけないとか、そういうものの1つとしてキャリア・コンサルタント的な能力を持ってほしいと。ただ、ここでいう資格の話になったら、人事の人たちがそういう人たちをサポートするとか、推進体制を作るとか、あるいはスーパービジョンをするとか、そういう人たちでしょうということです。

 だから、ここで考えているキャリア・コンサルティング資格の人たちというのは後者であって、前者は全然想定されてないと思います。もし前者も入れたら膨大な人数ですよ。こんな人数ではないですよね。それでいいのですよね。

 

○立野会長 そうですね、スタッフでいいです。

 

○今野座長 この算定根拠は、社員500人に1人ぐらいを想定しているのでしょう。大体今、人事が100人に1人ぐらい。そうなると人事の中で5人に1人ぐらい持てということかな。そんな感じですかね。

 

○大久保委員 今の確認なのですが、つまり自分でキャリア・コンサルタントをするわけではないと。

 

○今野座長 今のお話はそういうことです。

 

○大久保委員 そこの企業の中でやる役割は何なのだろうなと、よく分からなかったのです。要するに、おっしゃるとおり日々はラインマネージャーがキャリア相談に乗るわけですね。このラインマネージャーがキャリアの相談に乗るとか、人事が相談に乗るというのは、相手が人事権とか評価権を持っている人たちなので、その人にふさわしい相談内容があって、その人ではない人に相談したい内容もきっとあるはずですね。そういうものの相談に乗れるようにということで、企業が契約をして、何人かのキャリア・コンサルタント、多くの場合はOBだったりすることが多いのですが、そういう人たちが数人、大企業の場合はいて、個人の希望に応じてコンサルティングをするというような感じになっているのではないかなと思います。人事の人たちは、飽くまでも自分がするというよりは全体のキャリア支援をする上での知識として、そういう資格を取っているという構造になっているのだろうと思うのです。なので、ここに書いてある話はよく分からなかったのですが、そういう理解でいいのですよね。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 はい。

 

○谷口委員 実は、特別なキャリア・コンサルティングの役割を持った専門職の方が独立しているような事例をイメージとして持っていたのです。というのは、もう10年くらい前なのですが、アメリカのIBMの中央研修所を訪ねたときに、やはりそういうキャリア・コンサルティングの独立した専門スタッフの方がおられて、それで社内ネットワークを通じてキャリアに関しての相談支援をするというような仕組みを拝見したものですから、私の中にはそれが標準としてありまして、どうもそんなイメージと異なるようですね。

 

○杉浦職業能力開発局長 現実には私どもも何年か前からキャリア形成の推進をしている事業の表彰制度をやっていて、毎年10社ぐらい表彰しているのですが、そういった事例もあるのです。私も去年その審査委員会の委員に入っていたのです。さっき谷口さんや大久保さんがおっしゃったように、企業の中にそういう部屋を作って、コンサルタントを置いて、それは人事とはちょっと独立した形で、本人の希望なり、あるいは定期的にかもしれませんが、そういうところでキャリアのコンサルティングをやっているというイメージです。だから、この数字を作るにあたって500人に1人という根拠も、そういったところをイメージして考えて、やっているはずです。

 

○大久保委員 会社によっては労働組合がその役割を担っている所もありますね。いろいろなケースがあるので、想定にはいろいろな形が、パターンがあるのではないかと思うのです。

 

○武石委員 1つは、話が最初のほうに戻って質問です。更新というお話が出たのですが、キャリア・コンサルティング自体はとても重要なことだと思うので、質を維持していくというのはとても重要なのだと思うのです。そのときに更新とか、先ほど団体によって仕組みが違うというお話があったのですが、その辺りは公的に何か制度というのはなく、本当に団体にお任せなのでしょうか。このフォローアップの仕組みというのは、法律も変わっていきますし、労働市場の動向も変わっていくので、全くフォローアップしないというのもおかしいのではないかという気がしますので、更新のところをお聞きしたいのです。

 もう1つは、今、企業のキャリア・コンサルティングのお話が出ていましたが、このキャリア・コンサルタントの方の活動が広がると、それぞれの領域で、期待される役割もちょっとずつ違っていくのかもしれないなという気がします。細分化しろということではないのですが、対個人というところで、この役割を期待していくのか、あるいは少しその企業の中にこういうマインドを広げていくところまで期待するのかによって、この方たちの育成の在り方というのは変わってくると思うのですね。その辺りがだんだん数が増えていく中で曖昧になってきてしまったのかなという感想を持ちました。

 私の大学は社会人の大学院があって、キャリコンの資格を持っている方がいらっしゃるのです。話を聞いていると、人事にいてもこれをやっているわけではなくて、自分が必要だと思って資格を取って、必要がありそうなときに自分から出ていって、コンサルティングをしているという方もいて、組織的に動けていない印象を持っているので、この方たちにどういう役割を期待して、どんなふうに組織的に動いていくのかという辺りは、今の話を聞いていると曖昧なのかなという印象を持ちました。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 最初の御質問です。更新制度については今、10団体が試験を実施しているのですが、先ほどお話しましたように、更新制度については各団体がそれぞれ独自に設けており、例えばポイント制を取って3年なり、5年間のうちに何ポイント以上必要とか、スーパービジョンや、セミナー受講とか研修を受ければポイントが貯まっていくというものです。それについては、各団体が独自にやっており、現在それを統一するような仕組みになっていないというのが現状です。

 ですので、お話がありましたように、質の維持を行っていく上で何らかの仕組みを作っていく必要はあるのではなかろうか。例えば、ある一定のスーパービジョンは必ず受けるよう更新制度の中に取り込むとか。どういった形がいいか検討する必要はあるのですが、質の維持については何らかの検討をしていかなくてはいけないと思っているところです。

 役割ですが、企業における対個人への相談とマインドの広がりといった点について、欲張りかもしれませんが両方でして、資格を取っていただいて、企業の中でキャリア・コンサルティングというものがより身近な存在になっていくということが重要かと思います。まずは資格を取っていただいて、企業の中で広めていただくと同時に、また定期的、あるいは必要な方に応じて相談、キャリア・コンサルティングを行っていくというような仕組みを広げていくことが重要だと思っております。

 

○吉永総務課長 資料の3の中で「御議論いただきたい具体的論点」という形で記載しておりますが、企業において人事部の方がキャリア・コンサルタントの資格を取っていただくのは非常に良い話だと思っています。それが最終的には個人主導のキャリア形成支援につながるような形で活用されることが必要ではないかというのは、1つの考え方です。そういう個人のキャリア形成の中でキャリア・コンサルタントをどういう形で活用しているのか。

 また、4番目には産業競争力会議の中では、キャリア・コンサルティングを一定規模以上の企業は受けるとか、助成金支給の要件化にするというような形で義務付けていくということも入っています。この辺りが個人主導のキャリア形成支援と直接結び付いているかどうかはなかなか分からない部分がありますが、私どもとしては、現在の労働市場の状況等を踏まえて能力開発というものをどういう形で進めていくのか。この前の企業主体のものから個人主導、企業主体のものをなくすという意味では全くありませんが、個人主導のキャリア形成支援を更に強化することが非常に重要な課題の中で、キャリア・コンサルタントの役割をもう少し重視していくべきではないかというような論点で、御議論いただければと考えております。

 ちなみに、参考資料1に職業能力開発促進法の条文を付けてございます。直接キャリア・コンサルティングにつながるような条文というのはないわけですが、強いて言えば、2条第4項に、「職業生活設計」という言葉があって、これがかなり近い概念ではないかとは思っております。

 ここで書いておりますが、「労働者が、自らその長期にわたる職業生活における職業に関する目的を定めるとともに、その目的の実現を図るため、その適正、職業経験その他の実情に応じ、職業選択、職業能力の開発向上のための取組」という形です。

 これがそのまま当てはまるかどうかも慎重に議論する必要ありますが、こういったものが職業能力開発の理念になり、また関係者の責務として事業主・労働者に掛かってくるというのが、基本的な今の法大系の枠組みになってございます。これをどういう形で押し進めていくのかを、私どもとして考えていかなければならないと考えているところです。

 

○武石委員 室長の御説明で、企業の中のキャリア・コンサルタントの役割は、いろいろなことをやってもらうに越したことはないと思うのですが、要は何をキャリア・コンサルタントに期待するかということで、能力のある方はマインドを広げるまでやっていただいてもいいと思うのです。キャリア・コンサルティングは今の話だと、やはり個人主導ということであれば、対個人に対してきちんとキャリア・コンサルティングができるというところがまずは第一であって、そこからその人の能力とか、いろいろなネットワークで広げていってもいいと思うのですが、そこは明確にしておく必要があるのかなという気がしました。

 例えば、技能検定の1級・2級を持っている人は更にそういうものを広げる役割を持っているとか、そういう考え方はあるかもしれないのです。企業の中のキャリア・コンサルティングの方は、そういうものを社内に広げてくださいという役割も期待するのであれば、それはきちんと明記するべきであるし、そこは何を期待するかということをもっと明確にする必要があるのかなという感想を持ちました。

 

○今野座長 先ほど報告があったキャリア・パスポート構想研究会では、ジョブ・カードの内容を担保するのが登録キャリコンの役割なのですが、そのときに先ほどの言葉で言うと、キャリアの棚卸しの部分について関与するものと、「あなた、これだけの能力持ってますよ」と認定するものと、2つあるわけです。後者はキャリコンの役割かという議論がかなり出ていまして、後者のほうは大久保さんが言ったマッチングと非常に関係してくる。キャリコンのミッションをどの範囲で考えるかというのは非常に重要かとは思います。

 ですからジョブ・カードのほうはどうなるか分かりませんが、能力認定はもうキャリコンにはさせないというような結論になる可能性もある。ないわけではないのですよ。そうしたら今度、能力のほうはどうするのと、また別途考えなくてはいけないのです。そういう議論がありますというような紹介をしておきたい。いずれにしても、この資料3に、先ほど事務局からこういう論点で御意見を伺いたいということもあったので、ちょっとは気にしながら発言していただけますか。どうでしょうか。

 

○吉川委員 私もお話を伺っていて、キャリア・コンサルティングを企業内でというところが少し疑問がありまして、お伺いしたいのです。例えば、親が田舎で一人暮らしをして、将来戻らなくてはいけませんという将来的にというような話は必ず出てくるのです。人事ラインの人がキャリア・コンサルティングだからと言って、その人に相談に来ますか。もし、相談に行ったら、その人に対して重要な役目をさせるでしょうか。多分リアルな問題が出てくると思うのですね。

 そうすると、このキャリア・コンサルティングは、1ページに書いてあるとおりに、中心的機能で、組織への働きかけとか、その他の環境整備を含むと書かれると、もしかしたら企業とある程度対峙しなくてはいけない役目をする形になります。そうすると気になるのが、人事ラインに対してキャリア・コンサルティングというのは、例えばその中身・趣旨を理解してもらうという意味では必要かもしれませんが、対組織的な形で動かす形だとすると、権限が、要は企業寄りの権限を持っているのですか、それとも、企業とある程度対立する権限を持っているのですか。これが本当に運用されるときのイメージを考えたときに、自分が人事ラインにいて、これは資格を持っているが、相談に来たら、多分自分が精神分裂を起こしたような気がしてしようがないというところで、先ほどからずっと聞いていて、この位置付けが非常に微妙で分からないというのがありまして、そこのところの設計がどうなっているのかというのを、1つ教えていただきたいのです。やはりラインマネージメントというところで押すのか、そうではないのかというのは、非常に大きな話だと思っています。

 

○今野座長 研究会では、企業内でどう使われるかということについては、そんなに中心的に議論はしてこなかったでしょう。大体のイメージは持っていらっしゃると思います。そこはきちんと設計するというのは、ターゲットではなかったのでしょう。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 今回の専門検討会におきましては、そこまでの議論には至ってはいないです。

 

○吉永総務課長 やはり個人主導のキャリア形成支援ということをベースにして考えた場合に、今のお話があって、ラインマネージャーの方と相談をしていくというのもあると思いますし、外部の全く関係ない第三者、中立的な方に相談するというのもあると思います。その方の置かれた状況によって多分違ってくる。例えば、こういう場合は人事部に相談するということがあると思います。全国的に展開している企業で、どこかに異動の可能性がある。そこでやっている業務が自分の業務と違っている。そうすると、そこに異動の可能性、異動した場合の働き方というのがありますので、そういう意味で今後どうしたらいいでしょうかということは、全く人事部のキャリア・コンサルタントが役割を果たさないということはないのだろうと思います。

 あとは、先ほど谷口さんがおっしゃったように、アメリカ型の自分で仕事を選んでいくような労働市場がもし出来上がれば、仕事をジョブ・ポスティングの中でやっていくというフレームワークがあるような会社であれば、またそういうところの相談というのはあり得るかと思います。

 ただ、一方で企業から外に出てしまうようなキャリアを志向する方の場合に、もちろんその企業の置かれた状況でどうしても少し外に出なければいけないときのキャリア・コンサルティングがあるにしても、それ以外の場合にどういう形でやるか。そこは正に労働者個人の方と企業の人事部と利害が相反する可能性がある。そういうときに、会社の人事部にそういうキャリア・コンサルタントが期待できるかというと、なかなかそこは難しいということで、そういう方々のためには外部のキャリア・コンサルティングというのはもちろん必要になってくる。本当に良心的な会社が、その企業の中でそういう組織があるというのは理想型かもしれませんが、そこを期待するというのはなかなか難しいかもしれません。そういうところについて外部的な機関というものが必要性があるだろうかという辺りも考えていく必要があるかと思っています。

 

○今野座長 対企業に対する政策的な問題としては、大きく言うと2つあるかと思うのです。1つは、キャリア・コンサルティングのような機能が重要になるということは広く合意ができていますので、そうすると、そのときに一種のプラットホームとして、大体皆キャリア・コンサルティングのスキルを持っていたほうがいいよね、そういう人が多いほうがいいよねというプラットホームを作る問題と、そのプラットホームを前提に、具体的にどういうふうに使っていくのかという問題と、2つあると思うのです。

 今ここで言っているのは後者の問題なのです。ですから、政策的には前者でいいのではないかという選択もあるし、後者も意識して政策を打つという問題もある。そこははっきりしておかないと、議論がゴチャゴチャしてしまうかと思うのです。もし、後者までいくとすると、こういう使われ方を推進しますということになるので、そこはいろいろ考えないといけませんよね。だから取りあえずは、プラットホームはきちんと整備しておくぐらいにしておかないと、そこから先の議論はまたもっと時間を掛けていろいろやらなくてはいけないかなという感じがしているのです。いずれにしても2つありますよねということは、分けて考えておいたほうがいいかとは思います。

 

○大久保委員 今のに関連してですが、企業内の管理職、人事の人たちに、キャリア・コンサルティングスキルなどの知識を得てもらうことを促進することは、非常にいいことだと思います。管理職はコーチングトレーニングをやるようになってきているのですが、それと同じような感覚で、自分の部下のキャリアを支援するために、そのキャリアにするコミュニケーションのやり方を勉強しておくというのはいいと思います。

 そういう意味ならいいのですが、これはまだ現状でいうと、できていなくて、やるにはかなり時間がかかる話です。急に一定規模以上の企業に義務付けとなってきて、外付けにして、何か一定の人たちがいて、その社員のキャリアの相談に応じるというような話になると、一気に難易度が上がっていきます。特に、企業内におけるミドル、シニアという、年齢が上になってくるほど、キャリアの相談は難しいのです。相当のスキルがないとできないと思います。

 現状の標準レベルのキャリア・コンサルタントというのは経験を求めていないので、120時間やれば取れるわけですから、そのレベルで、この需要に応えようとするのはもともと無理があって、今の準備段階では、これを義務付けるのは難しいのではないかと思うので、現実味のある対応にしていただきたいと思います。

 

○今野座長 最後の問題は、急に具体的な方法になって、義務付けと。

 これで、キャリア・コンサルティングのような機能が、重要か重要ではないかということで、社会的に意見が分かれると、面倒なのです。そこは企業も重要だと思っていると思いますし、その辺は議論しやすい基盤はある。あとは、どうやってうまくやっていくかということなのです。そう考えると、キャリア・コンサルティングのようなことができる人が増えたほうがいいというのは、合意ができているわけだから。それが先ほどのプラットホームということになるのです。ほかにどうでしょうか。

 

○堀委員 先ほどのプラットホーム作りの話です。キャリコン効果の3類型を挙げていまして、登録キャリア・コンサルタントに関しては、なかなか厳しい視線があるようなのですが、こうしたところから裾野を広げていく方向性も考えられるのかなと思います。

 とりわけ私の専門である教育の領域ですが、例えば高校の進路指導担当者は教員なわけですが、既に進路指導論であるとか、教育心理学などを収めているので基礎的な素養はできている。その上で、こうしたことで実践的な知識、技能を高めてもらうという意味で、プラスαとして、たった14時間だけれども経験していただいて、必要であれば標準レベルにもつなげていくというやり方が、意外と効果があるのではないかと考えています。

 なぜ教育領域で重要かというと、30代の就職氷河期世代に対する調査なのですが、在学中に相談した経験があると、30代になっても相談する割合が高いという結果が出ていまして、在学中に相談する経験を持たせることがすごく重要だということを感じています。ですので、ここの教育訓練領域でキャリコンの素養を身に付けた方に、具体的には進路指導の担当教員であるとか、大学職員になるかと思うのですが、こうしたところから力を入れていって、プラットホーム作りにつなげていくことも重要ではないかと考えます。

 

○今野座長 そのアイディアでいくとすると、例えば先ほどから出ている現場のマネージャーは、登録キャリコンぐらいにとどまっていただくと。いいかもしれませんね。多分、管理者教育の中で、コーチングなどを教える中で、キャリコンも少し教えていただければ、何時間かやるわけだから、考えてみれば、その延長なのかもしれないですね。その代わりが、簡単に取れるのだから、役割を限定しておかないとね。

 

○堀委員 そうですね。

 

○今野座長 そことの兼ね合いですよね。先ほど言ったジョブ・カードの関係で出てきたのは、能力評価をさせるのは重いという意見は、登録キャリコンできている。ほかの理由もあるのですが、そことの関係で、いいかもしれませんね。登録の人数は書いていないのですね。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 ないです。

 

○今野座長 そういったもので、もう少し広く、人をマネジメントする人は、一般的に必要な知識の中の1つだぐらいにしておけば、10万人なんて簡単ですよ。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 今、企業に職業能力開発推進者が、努力義務ではありますが、能開法上に規定されております。その能力判断推進者については、導入的なキャリア・コンサルティング講習等の実施を行っているところです。現在11万人ぐらいいますので、そういった意味での裾野はなくはありません。

 

○大久保委員 最初に実数の確認をしたように、キャリア・コンサルタントとして、その職業として稼働する人を何人作るのですかという話と、キャリア・コンサルティングスキルを管理職に普及させるという話とを分けたほうがいいと思うのです。

 

○今野座長 キャリア・コンサルティングプロ認定と、キャリア・コンサルティングスキル認定を分ければいい。今の感じとしては、標準レベル以上がプロで、登録キャリコンが、大久保さんが言った後者に近い。何となくそんな切り分けにはなっているかな。

 

○大久保委員 今の標準キャリコンの資格は、それの真ん中になっているような感じがしていまして、キャリコンとしては一定以上の年月にわたって、いろいろな人たちと向き合って、キャリア・コンサルティングをしてきて、初めてキャリア・コンサルタントだと思うのです。

 どうしても経験というのは不可欠だと思っていて、そういうキャリア・コンサルタントというのと、マネージャーの人は例えば標準キャリコンの資格を取って、自分の部下ともいいコミュニケーションを取れるようにしようというのと、両方またがったところに、標準型のキャリコンがあると思うのです。

 標準キャリコンと言われている人たちが、今のところは経験を求めずに取れるし、あるいは技能検定2級のときも、自己申告で何年というだけですから、経験のところの評価の仕方はきちんとしておかないと、今後増やしていく上で整備しておかないと、まずいのではないかと思うのです。

 

○今野座長 それと、先ほどの堀さん案を採るとすると、今の計画は、登録キャリコンを標準レベル以上に引き上げようとしていますが、その選択肢はなくなりますよ。それはそれでいいかな。また検討しなければいけませんが。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 はい。

 

○今野座長 それと、大久保さんの意見だと、標準レベルはもう少しレベルアップして、本当にプロとしてやっていく。もしかしたら、「登録キャリア・コンサルタント」という名称がいけないのかもしれない。立野さんに聞こうと思っていたのです。名称について、嫌だといっていた理由をお聞きしたいのです。「登録キャリア・コンサルタントという名称は変えたほうがいい」とおっしゃっていましたよね。

 

○立野会長 はい。

 

○今野座長 なぜでしょうか。

 

○立野会長 名称が重なっているからです。混乱するという意味合いです。「標準キャリア・コンサルタント」だとか、「キャリア・コンサルティング技能士」とか、「登録キャリア・コンサルタント」と。「登録」が付いているだけということで、キャリア・コンサルタントと一緒に見られると言いますか、それを避けるために。

 

○今野座長 キャリア・コンサルタントと一緒に見られたくないという意味ですか。

 

○立野会長 片や14時間の講習で登録として認められる、片や140時間のトレーニングを受けて、試験を受けて、合格して標準以上のキャリア・コンサルタントと認められるということで、その力量にはかなり大きな開きがあるのではないかと思うのです。

 現場でいろいろ話を聞くのですが、例えばロールプレイングのスキルもそうなのですが、「ロールプレイング」という言葉も御存じない方がたくさんいらっしゃるという話も聞くのです。登録キャリア・コンサルタントも、ジョブ・カードに基づいて相談支援ができるのです。そしたら一緒ではないかという話になってくるので、それを名称から分けて、その違いを明確にすべきだと思います。

 

○今野座長 御質問したいのは、そのときに同じような分野で、どの分野も能力が高い人、低い人がいます。そうすると、普通はこういう資格では、1級何とか士、2級何とか士、3級何とか士で、能力水準を区別しているわけですよね。ですから、基本的な役割は、ある分野で一緒で、能力が違うということだけで、その能力が違うから名前を変えたいということになると、余り説得力はないです。つまり、役割が違うと言ってもらわないと。

 

○立野会長 登録キャリア・コンサルタントの方は、ジョブ・カードに基づいた支援と申しましょうか、相談業務というところなので、ジョブ・カードという範囲での役割という形に表現を変えるべきだと思っています。

○今野座長 ジョブ・カードの範囲内で、キャリア・コンサルタントをやっていくわけですね。

 

○立野会長 そうですね。

 

○今野座長 そうすると、3級でいいのではないですか。例えば標準は2級にして、登録は3級でいいのではないかという話になってしまうから。先ほどのここでの議論は、登録キャリコンは役割が違うのだという議論をしていたのです。そうすると、名前を変えられるかなと思います。どうですか。

 

○立野会長 役割は違うと思います。

 

○大久保委員 14時間の人がやっていることはキャリア・コンサルタントではないと考えたほうがいいのではないですか。

 

○今野座長 そうしていただけるとやりやすいですよね。そうでなければ、1級、2級、3級でいいではないかという話になってしまいます。

 

○立野会長 キャリア・コンサルタントの役割ではないと思います。

 

○今野座長 そうすると、もう一度役割の整理をしなければいけないですね。登録キャリコンはジョブ・カード関連だけではなく、もっと広がるということになりますか。先ほどの堀案によると、そういうことですよね。

 

○堀委員 はい。

 

○今野座長 いいのではないでしょうか、どうですかね。

 

○伊藤能力評価課長 レベルの話があったので、現状の考え方を入念的に申し上げます。技能検定に関しては、御案内のように1級が上級、2級が一人前という考え方で、キャリア・コンサルティング技能検定、技能支援についても、同じような考え方です。

 それとの関わりでの、この標準レベルの位置付けの考え方です。ただいま座長からもお話がありましたように、技能検定制度上は、一般的には2級の下に3級というグレードがありまして、これはエントリー級という位置付けです。技能検定側から見た場合の現状の標準レベルの位置付けについては、私どもは3級相当とは考えていませんで、キャリコンの世界でも、標準レベルについて一般的には2.5級という言い方がしばしばされるわけですが、2級熟練レベルよりは下ではあるが、一般的な技能検定3級で評価しようとしている3級よりは、明らかに上という統一的な考え方の下で、標準レベルに関わる養成、講座あるいは試験のレベルを厚労省として審査をしています。

 ちなみに、技能検定の世界の中でキャリコン3級というのは考えられないのかどうかということも、これまで全く議論がなかったわけではないようです。これは私の個人的な見解ですが、3級に関してはエントリー級ということで、学校で必要な勉強をすれば取れる資格という位置付けで、3級の受検資格については設計しています。

 それとの関わりで、キャリア・コンサルタントに求められる社会的な機能という観点から考えた場合に、学校で勉強しただけで「キャリア・コンサルタントでござい」というのは、いくらエントリー級という位置付けでも、それはなじまない部分があるのではないかということで、技能検定の制度の枠組みの中では、キャリコン3級というものは、現在は使っていないし、それよりは上のレベルとして2.5級相当、国際的に言えばファシリテーターということになるかと思うのですが、それ以上の方がキャリア・コンサルタントとして活動すべきであるということで、大久保委員もおっしゃったように、キャリア・コンサルタントとしての実務経験は求めておりませんが、それぞれの民間資格の中では一定の職業経験、社会人経験は要件として設けるという微妙な設計であり、それに対しての登録キャリア・コンサルタントは、正に座長も整理されたように、レベルの違いだけではなく、役割の違い。ジョブ・カード、それに係るキャリア・コンサルティングを行う上での最低限の制度、心構え等についての知識を理解しているということで、差別化をしているということであろうと理解しています。

 

○今野座長 堀さんの意見は、この登録キャリコンを使って、現場のマネージャーはこういうスキルが要求されているのだから、そういう人にも広がるようにしようではないかということです。そうすると、これは大久保さんの意見だけれども、標準より上はプロキャリコンの人の話になる。

 工場のエンジニアを例にとると、仕事はプラントをオペレーションする仕事だけれども、それをやるには高圧何とか資格を取らなければいけないということがありますが、標準キャリコンは言ってみると、そういうタイプの資格としてイメージする。それでもいいかなという。

 

○大久保委員 それは物差しの表示の置き方によるところだと思っていて、プロのキャリア・コンサルタントというのであれば、技能検定1級とか、そういうレベルなのかなと。どちらかというと、今の標準キャリア・コンサルタント資格のほうが、エントリーレベルに近くて、登録キャリア・コンサルタントはキャリア・コンサルタントの仕事には全く到達していない、ジョブ・カード・ファシリテーターであると置いたほうが、本当はキャリア・コンサルタントに求められている実態を表現しているのではないかと私は思います。

 

○今野座長 それは実態ですね。

 

○大久保委員 それだったら、4級とか5級とかと言わなければいけなくなってしまうので、それはそこまでやるのですかと。

 

○今野座長 ですから、将来の制度設計としては、大久保さんの意見は、標準レベルはもう少し上げて、たとえば2級ぐらいにしてプロ向けの資格としておく。あとは先ほどから何度も言いますが、堀さんのアイディアを付けると、登録キャリコンはプロではなくて、業務の一部として必要な人のための資格、つまり職務型の資格というような位置付けにして広める。これによって、企業内、社会でのプラットホームとしての役割を果たすことになるかなと。この辺の議論を整理すると。それはそれでやめましょう、違う話にいきましょう。ほかにありますか、何かいいアイディアを出してください。

 もう1つ後半で、これまでの議論を踏まえて議論を深めてほしいことがあるのですが、既にそういう議論に入ってしまっています。あと30分ぐらいです。これまでの議論の整理を資料5でしていただいているので、これを説明していただいてから、今の議論の連続をしたいと思います。お願いします。

 

○田中総務課長補佐 資料5です。前回も資料4として、第1回での主な御意見についてまとめた資料として御提示したところですが、今回は第2回で、主に職業能力評価制度の部分について御議論いただきましたので、そこの部分を(4)に盛り込む形で記載しています。

 総論についての御議論、裏側へいきまして、業界検定についての制度設計の御議論、マル3として、業界検定への国の関与の在り方等に関する御議論、マル4はその他、他制度との連携という形で、前回御議論いただいた部分を膨らませて、資料として御提示させていただいていますので、全体の御議論の参考にしていただければと思います。

 参考資料2として、「職業能力開発行政改革検討チーム報告書」を付けています。簡単に御紹介します。一番後ろに概要を付けていますので、御参照ください。

 改革検討チームは、村木次官をトップとする省内の検討チームです。横の紙の左上の「職業能力開発行政の現状」にも書いていますが、能開行政は従来以上に注目され、その役割が期待されているところです。そのような中で、短期集中特別訓練事業の入札に当たり、不適切な行為により信頼を損ねた反省も踏まえながら、能開行政に関し、関係機関の相互の関わり方、効果的・効率的な体制の構築といったことについて、社会・経済の変化に対応した能開行政を推進できる観点から、主に組織面・体制面について、省内で議論を行ったものをまとめたもので、73日に公表したところです。

 柱は3本立てていまして、1つ目が「地域全体の人作りの視点による職業訓練行政の一体的実施」です。産業政策などを含めた地域全体の人作りの視点で、この資料の下のほうに図で描いています。こうした地域の協議会に、都道府県労働局、都道府県、機構、民間教育訓練機関、地域の有識者等に入っていただく協議会の中で、従来ばらばらに作成されていた公共職業訓練の計画、求職者支援訓練の計画、更には企業内の人材育成のようなものも含めた基本方針を作っていただく。それを踏まえて、地域で1本の総合的な訓練実施計画を策定していっていただくような取組を推進していくものです。

2つ目の○ですが、その際には、ハローワークで把握している情報を労働局で集約して、利用しやすい形で県なり機構に提供し、県・機構は訓練の設定等に活用していくこうしたスキームを推進していくというのが、1つ目の柱です。

2つ目が、「労働局・ハローワークを国の能開行政の拠点に」です。現行の能開行政に関して、労働局・ハローワークが、必ずしもその役割が明確に位置付けられていないというところに対して、本省の能開局の事務権限を、一部労働局に移した上で、能開局から労働局に対して、指揮命令できるようにしてはどうかというものです。それに伴い、本省能開局の組織について、本日の御議論も関係する部分ですが、個人のキャリア形成支援、また事業主支援という観点で、再編を行ってはどうかという内容を盛り込んでいます。

3本目の柱は、コンプライアンスの維持という観点から、予算執行面の話、能開局内のコンプライアンス確保のための体制等についての内容を盛り込んでいます。この3本の柱で取りまとめています。

 内容については、資料の下に書いていますが、本研究会における、主に政策面についての御検討を頂いていますが、それと併せて今後審議会の御意見も聴きながら、必要な措置を講じていくこととしています。こちらは御紹介ということになりますが、以上です。

 

○今野座長 先ほどのキャリア・コンサルティングの件でも結構ですし、それ以外の全体についてでも、御意見がありましたらお願いします。

 

○大久保委員 冒頭に少し話をした、キャリア・コンサルタントの役割の話は、非常に根幹的な問題として気になっています。資料2の参考2に「キャリア・コンサルティング能力評価試験に係る能力基準項目」が整理されています。

 これを見ても、マッチングのスキルの話は書いていないのです。逆に、キャリア・コンサルティングを担う者の活動範囲と限界の理解ということが書いてあって、いたずらにそこに拡大していくことは、むしろ危険だと私は思っているのです。

 つまり、先ほどのハローワークの話も、たまたまマッチングを担当する人がキャリア・コンサルタントの資格を取ったという話であって、本来はキャリア・コンサルタントの資格を取ればマッチングができるという話とは違うので、その辺の明確な切り分けをやっていただきたいと、改めて要望として申し上げておきたいと思います。

 そこをはっきりしておかないと、どんどん高度化を図っていくというときに、何を高度化させていくのかという論点がずれてしまいますし、先ほど言った企業の中で役割を拡大していくときに、どの役割を担わせるのかという話もずれてしまいますので、そこはすごく大事なポイントなのではないかと思います。くどいようですが言わせていただきました。

 

○吉永総務課長 教えていただきたいのですが、民間の紹介所の中で、特にリクルート系などできちんと紹介されている方々は、キャリア・コンサルタントの資格を持っている方も多いと思いますが、その方々のキャリア・コンサルタントの機能と、マッチングの機能について、どういう考え方で整理をされておられるのですか。

 

○大久保委員 うちの職業紹介をやっている事業のところでも、キャリア・コンサルタントの資格を取ることは推奨していますし、かなり多くの人間が取っています。

 業務上の呼称でいくと、キャリア・アドバイザーとリクルーティング・アドバイザーという2つの専門職がいて、キャリア・アドバイザーが、ここでいうキャリア・コンサルタントの資格の要件に非常に近い職務内容になっています。リクルーティング・アドバイザーは、どちらかというと企業に出て行って、そこと調整をしているのです。そことの調整業務がうまくできないと、ミスマッチは全く解消されなくて、好き勝手なスペックだけを言っても、マッチングはできないものですから、それをキャリア・アドバイザーと相談しながら。だから、結果的にはその人も、最終段階においては個人とも面談をしたり、向き合ったりするのですが、それは企業と調整して、立ち会って決めていくというプロセスを担うのがリクルーティング・アドバイザーで、そちらの専門職なのです。

 それをキャリア・コンサルタントがそちらの領域まで全部カバーするというのは、現実的ではないということで、あえてそこは分けて連携を取らせているというのが実態です。

 

○今野座長 先ほどとの延長でいうと、後者の人は登録キャリコンでいいのです。

 

○大久保委員 ちょっとよくないかもしれません。

 

○今野座長 全体の業務の中の一部として、紹介する個人と話をしたりするということですよね。

 

○大久保委員 はい。部下のそういう担当のレベルでも、現在のところでいくとGCDFレベルがないと駄目だと。

 

○今野座長 分かりました。では、派遣の営業であったら、そのぐらいでいいですね、登録キャリコンぐらいで。駄目ですか。

 

○大久保委員 登録キャリコンはジョブ・カードを作成する人なので。

 

○今野座長 いや、私のいう登録キャリコンというのは堀案になっていますから。

 

○大久保委員 とにかく、もう少し初級レベルでもいいというのは、そうかもしれません。

 

○今野座長 中身は変えるようにして。どうぞ、ほかに。

 

○橋本委員 まず、プラットホーム作りが大事ではないかということで、登録キャリコンを拡大していく、管理職に資格を義務付けるなどするのがよいのではないかというお話でしたが、このイメージとしては、登録キャリコンはジョブ・カード普及と一体の話で、面談の際に定期的に企業の中で、みんながジョブ・カードを持っていて上司に記入してもらうというイメージでしょうか。

 

○今野座長 そうしたいということですか。

 

○橋本委員 ジョブ・カードについてですが、事務局に教えていただいて、書式を見せていただいて、とてもいい制度だと思ったのですが、余り身近でないので。

 

○今野座長 今の段階では、登録キャリコンというのはどちらの登録キャリコンですか、今のですか、堀案のですか。それによって違うので。

 

○橋本委員 堀先生のご提案はジョブ・カードが前提かなと思ったのですが。

 

○今野座長 普通のマネージャーも取ったらどうかという話ですから。堀案のときは、くっ付けたほうがいいかもしれませんが、想定は関連付けていなくてしゃべっておられると思います。

 

○橋本委員 キャリア・カウンセリングのスキルを持つことが、管理職には必要だということでしょうか。

 

○今野座長 必要だということになりますけれども。よく考えてみると、その人であったら登録キャリコンだから、ジョブ・カードはOKですね、結果的には。

 

○大久保委員 それは具体的には、技能検定か民間の機関か協議会かは分かりませんが、そういう所が、例えば企業の管理職研修の中で導入できるような、10時間とか、そういうレベルのトレーニングメニューを開発して、それを企業に普及させていってということを言っているイメージですか。

 

○今野座長 具体的にはそういう感じになるかもしれません。それで資格認定してもいいけれども。資格というのですかね、名称は分かりませんが。

 

○大久保委員 10時間で資格といわれると困ってしまうというのもあるかもしれません。

 

○今野座長 軽い資格名は何と言いましたか。

 

○吉川委員 修了証ですね。

 

○今野座長 修了資格。

 

○吉川委員 という見方はあります。

 

○杉浦職業能力開発局長 例えばクレーンとか。

 

○今野座長 そういうものです。

 

○杉浦職業能力開発局長 23日やるだけで取れるというのは、講習ですかね。

 

○今野座長 この登録キャリコンはそういう感じですよね。それなのに立派な名前を持っているわけですね。ほかにいかがですか、全体の話でも結構ですが。

 

○武石委員 キャリア・パスポートなのですが、ジョブ・カードの中身をもう少し充実させたキャリア・パスポートというのはいいと思うのですが、今、ジョブ・カードが公的な機関でしか使われていなくて、はっきり言って普及していないわけですよね。どうして普及しないのかはいろいろな理由があると思うのですが、そこをクリアしないと、キャリア・パスポートになっても同じことかなというのが1つです。

 多分これは、個人がキャリア・パスポートの有用性を理解していくことが重要で、例えば大学の教員だと、教員をアプライしようとしている人は毎年業績を書いていって、公募があったときにそれを出せるように準備をしていくわけです。そういうものを一般の人が必要だと思うかどうかということだと思っていて、個人にこういうものを作っていくことが重要だということがないと、企業が「こういうものを作りましょうね」というのは難しいような気がして、だからどうしろではないのですが、そういう意見です。

 

○塚本実習併用職業訓練推進室長 まず、ジョブ・カードの課題は、いろいろ意見が出ていますが、まず目的がマッチングです。ただ、現行のジョブ・カードの構成は求職・求人の活用のところで職業能力評価の情報、評価シートとキャリア・シートが今あるのですが、この中に個人が持っておくべきものと、外に出していいかなと思うものが一緒になっている。つまり、なかなか外に出しにくいものがある。もう1つは、様式12、これは履歴書等になりますが、JIS規格の履歴書とは異なるものを、1つ一体のものとして就職活動等に使うというような運用をしております。

 そういう意味では企業が求めている様式も違う、御本人からすると出しにくいという面もある。これも1つの課題ではないか。あとは、活用の場面が訓練関係中心で、様式を見ても、求職者職業訓練向けのものであって、必ずしも一般の労働者が書くような形にもなっていないといった問題点も指摘されております。個人が有用性を理解というところですが、これも各方面から、単なるジョブ・カードの名前だけでなく、どういうメリットがあるのかについての周知も不足だと御指摘を頂いております。

 最近、学生ジョブ・カードについて、学生が実際に使って、トライしていただき、御意見等を聴きますと、メリットはいろいろと御指摘を受けていまして、一部デメリットの御指摘を受けておりますが、この辺についてももう少し深掘りした形で、メリットも含めて周知し、普及が図られるようにしていかなければならないという状況だと考えております。

 

○吉川委員 キャリア・パスポートの話があったので、気になったところをお話します。ソーシャルネットワークではLinkedlnなどがこのような役目を果たしていると思うのです。

 そのときにすごく気になるのが、1つはアクセス権限の話です。誰がアクセスできるのか、どの情報にアクセスできるのか、どのタイミングでできるのかというのが気になりまして、書き込むときなら、書き込むだけでリファレンスができないという話も考えられますし、本当に全開示で見られてしまうという話になってくると、書き込むほうが限定するという行動が起きてくる話になると思います。そこで、自動的に使用制限がある種できてしまうところは、考えていかなければいけないと思います。

Linkedlnなどをやっている人たちというのは、どこにでも転職できる人たちなのです。そうなってくると、ここはそういう人たちではない人たちもカバーしようと思うのであると、何が一番大きな違いかというと、Linkedlnの場合はリファレンサーがいることです。つまり、この人がどのような仕事ができる人だと私が保証するというエンドースメントを与える人がいるのが、非常に大きな違いです。

 それと同じような役目が、例えばこれに果たせるのだろうかとか、そういう設計が重要になってきて、どこまでを担えるのか。それが、登録する人が全部関わってくるのではないかと思っています。

 

○今野座長 先ほど言いましたように、そこの研究会で問題になっているのは、登録キャリコンがその人の能力に判子を押すことができるのかということです。逆に言うと、それに判子を押せと言われているから、登録キャリコンはやりにくくて、少し使用の広がりを押さえてしまっているのではないかという議論です。まだ議論は途中ですが、そういう議論があるということです。

 

○谷口委員 全体的な政策の方向性として枕になる言葉が、「個人主導」ではないかと理解しています。個人主導のキャリア形成を実現していくために必要なツール、環境としては、キャリア・パスポートが必要なのだという方向性をもって、この議論がなされているのではないかと思うのです。

 キャリア・パスポートに関して、キャリア・コンサルタントの役割というのは、余り明確にお話がなかったのですが、これはジョブ・カードの延長で、キャリア・コンサルタントというのはそれなりの重要な役割を担うという理解でよろしいわけですね。

 

○今野座長 それでいいのではないですか。

 

○谷口委員 そうしますと、キャリア・パスポートというものがとても重要な役割を担うのだということで、これから先は展開したいということですね。実は私は、個人主導とキャリア・コンサルティングはセットだとずっと理解してきたのです。個人主導とキャリア・コンサルティングを直につなぐということは、これまで実態としては難しい面があると。それをもう少し一般化するために、ジョブ・カードではなくてキャリア・パスポートという展開を考えたということでよろしいわけですね。

 

○今野座長 最後が分からなかった。

 

○谷口委員 キャリア・パスポートの位置付けですが、今後の個人主導のキャリア形成という点で中核的な位置付けにしたいという理解ですよね。

 

○今野座長 それはそうだと思います。

 

○谷口委員 その際に、キャリア・コンサルティングは是非必要なのだということですよね。

 

○今野座長 それもそうだと思います。

 

○谷口委員 では、そこまでは理解できたのですが、私の中では最初の疑問点として、繰り返すようですが、矛盾として、企業の中でのキャリア・コンサルティングというか、これがどうしても矛盾として残るのです。個人主導という枕を前提にしたときにはです。その辺のところを上手にお教えいただければ有り難いのですが。

 

○今野座長 でも、多くの人はそうは言いつつも、企業の中でキャリアを積まざるを得ないのが現実ですから、現実は両方を上手にしながらやっていく以外はないではないですか。個人主導と言いながら、企業の事情は全く無視して、個人主導のキャリア形成はできないですから、現実は。でも、個人と会社の利害は一致しないかもしれない。そこは一致しないかもしれないけれども、何らかの結果としては企業の中で、全部とは言いませんが、キャリアは積んでいかざるを得ない。だから、それも全部踏まえて、どうするかを考えるということです。

 

○大久保委員 この10年ぐらいは自立と自己責任ということは言われ始めてきていて、従来は企業側がジョブ・ローテーションとか、企業の人事異動によって、都合で動かしていくというのが強かったのですが、それがだんだん半分ぐらいまで輻輳していって、自分でも考えなさいということを求めるようになって、それに合わせて自己申告制度とか、FA制度という、自分の希望に基づいて人事異動できるような制度も整備されてきたと。

 全部を会社で決めるよりも、一定の部分は個人が自分の意思でどうしたいのかということを考えさせるほうが、結果的にパフォーマンスも上がるし、モチベーションも上がるのではないかという考え方なので、それは100%個人だけでやりなさいと言っているわけではないけれども、半分は個人で考えなさいという話が、この「個人主導型のキャリア形成支援」という言葉とつながっているのではないかと思うのです。

 

○谷口委員 企業も一定の責任は負いますが、個人もそれなりの責任を負ってくださいというのが、1995年の日経連の報告書でいわれたわけですが、基本的には双方の責任ということについては、この個人主導という言葉は今後ずっとそういう理解でよろしいのですか。

 

○今野座長 多分、個人主導といったときに企業内で考えると、これまでは会社がかなり決めてきたので、少し個人側に移しますということだと思いますよ。

 

○谷口委員 その程度なのですか。

 

○今野座長 それしかないのではないかと思います。個人が勝手に決めてもいいけれども、企業という中で働かざるを得ないのが現実なのだから、ほかで能力を発揮する場がないのです。そうすると、現実は企業の必要性と、個人主導を上手にすり合わせてキャリアを作っていく以外にないのです。そこでキャリア・カウンセリングみたいなものが必要ですし、すり合わせるみたいなことが起こってきたから、現場のマネージャーもこういうスキルを持ちなさいという話になってきています。すり合わせは必要ないのです。大久保さんはその事例を言っていましたが。一方的に全部指示できるなら、こんなスキルはマネージャーに要らないのです。そう思うのですが。

 ということで、途中で申し訳ないのですが、時間ですので終わりにしたいと思います。今日はいいアイディアが出たので、この辺で。混乱した議論は事務局で整理してもらって、次回の議論の材料にできればと思います。今日はこれで終わりにします。事務局から日程等についてお願いします。

 

○田中総務課長補佐 次回は723()10時からを予定しています。会場につきましては、別途御連絡させていただきます。

 

○今野座長 本日の第3回職業能力開発の今後の在り方に関する研究会を閉会いたします。ありがとうございました。


(了)

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