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2014年6月30日 障害年金の認定(言語機能の障害)に関する専門家会合(第1回)議事録

○日時

平成26年6月30日(月)17:00~


○場所

中央合同庁舎5号館厚生労働省省議室


○出席者

構成員

石本晋一構成員 加藤元一郎構成員 武田克彦構成員 田山二郎構成員
豊原敬三構成員 中島八十一構成員 夏目長門構成員

○議題

(1)障害年金制度の概要
(2)言語機能の障害に係る認定基準等について
(3)その他

○議事

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 それでは、定刻を少し過ぎてしまいましたけれども、ただいまより障害年金の認定(言語機能の障害)に関する専門家会合を開催いたします。

 本日は、大変お忙しい中、本会合にご参集いただき、誠にありがとうございます。

 本会合の座長が決まるまでの間、事務局のほうで進行役を務めさせていただきます。私、年金局事業管理課給付事業室で室長補佐をしております和田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 今回は初の会合でございますので、この会合を参集いたしました大臣官房年金管理審議官よりご挨拶をさせていただきます。


(樽見年金管理審議官)

厚生労働省で年金管理審議官をしております樽見でございます。

 本日は、皆様方ご多忙のところ、また遅い時間帯でございましたけれども、この言語機能の障害に関しての障害年金の認定に関する専門家会合にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。

 まず皆様方におかれましては、日頃から厚生労働行政にご協力いただいておりますこと、

た、この度はこの会合の参加につきまして快くお引き受けいただきましたことについて厚く御礼を申し上げたいと存じます。

 皆様方既にご承知のとおり、国民年金・厚生年金保険の障害年金と申します制度、病気やけがなどにより障害となったために日常生活に著しい制限を受けた方々の生活を保障するために支給されるものでございます。また、この障害年金制度を公平かつ適正に運営するというためには、障害を認定する際の判断基準というものが大変重要でございます。

 私どもといたしましては、疾患ごとに順次、障害認定基準の見直しを図っているところでございます。今回ご審議いただきます言語機能の障害に関しましては、一昨年に行いました高次脳機能障害等に関する専門家会合におきまして、失語症がある場合の認定について基準の見直しを検討すべきといったご意見をいただいたところでございます。また、認定を行う現場からも基準の明確化、あるいは具体的な例示といったようなものが求められていたところでございます。こうしたことを踏まえまして、この見直しに当たりまして先生方の専門的な見地からのご意見、ご助言をいただきたくお集まりをいただいたものでございます。

 限られた時間ではございますけれども、どうか活発にご議論いただきまして、先生方のお力によりましてよい基準をつくっていきたいというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 簡単ではございますけれども、私からのご挨拶とさせていただきます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 それでは、続きまして構成員の皆様をご紹介させていただきます。

 お手元の資料1のほうに「構成員名簿」を添付させていただいておりますので、お名前のみの紹介とさせていただきます。

 五十音順で、石本構成員でございます。

 加藤構成員でございます。

 武田構成員でございます。

 田山構成員でございます。

 豊原構成員でございます。

 中島構成員でございます。

 夏目構成員でございます。

 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。

 ただいま挨拶を申し上げました年金管理審議官の樽見でございます。

 事業管理課給付事業室長の池上でございます。

 障害認定企画専門官の大窪でございます。

 また、実際に障害年金の認定実務を行っております日本年金機構の向山給付企画部長でございます。

 同じく、林障害年金業務部長でございます。

 以上、事務局ですが、よろしくお願いいたします。

続きまして、本日の会合資料の確認をさせていただきます。

 お手元の議事次第のもと、資料1といたしまして「専門家会合構成員名簿」、資料2といたしまして「障害年金制度の概要」、資料3といたしまして「国民年金・厚生年金保険障害認定基準(第6節/言語機能の障害)」、資料4といたしまして「障害年金の診断書(様式第120号の2)」、資料5といたしまして「言語機能の障害に関する認定事例[診断書]」、資料6といたしまして「障害認定基準(言語機能の障害)の検討課題について」、以上の資料のほか、参考資料としまして「障害認定基準(全文)」をお配りしております。お手元にございますでしょうか。不足等ありましたらお申し出いただければと思います。

 それから、この会合の運営につきまして少し説明をさせていただきます。

 本会合は、対象となる患者が特定されるなど、個人情報保護の観点から特別な配慮が必要と認められる場合などを除き公開としております。

 本日は、資料5の「言語機能の障害に関する認定事例[診断書]」については、言語機能に係る障害の具体的な症例に関する診断書であるため、個人情報保護の観点から非公開とさせていただきます。構成員の皆様方にはお配りしておりますが、会合終了後に回収させていただきます。

 そのほかの資料につきましては公開とし、また、会合の内容は厚生労働省のホームページにお名前も含め議事録として掲載する予定ですので、あらかじめご了承くださいますようお願いいたします。

 それから、マイクについてですが、ご発言されるときにお手元のボタンを押していただきますと赤いランプがつきますので、そこでご発言をいただき、終わりましたらまたボタンを押してオフにしていただければと、そのように思いますのでよろしくお願いいたします。

 続きまして、本会合の座長をお選びいただきたいと存じます。

 互選ということにしておりますので、どなたかご推薦いただけますでしょうか。

 

(加藤構成員)

 加藤でございます。

 中島八十一学院長にぜひお願いしたいと思います。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 中島先生ということですけど、皆さんいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

 それでは、中島先生に座長をお願いするということにさせていただきたいと思います。

 座長席のほうにご移動いただきまして、一言ご挨拶をお願いしたいというふうに存じます。

 夏目先生には、すみませんが、隣のほうにお詰めいただきまして、申しわけございませんが、移動いただければと思っています。

 それでは中島先生、一言ご挨拶をお願いします。

 

(中島座長)

 中島でございます。私は現在、所沢にあります国立障害者リハビリテーションセンターで学院長をしております。また、あわせて高次脳機能障害情報支援センターのセンター長も兼ねております。

 長い間、障害と障害にかかわる社会保障制度にかかわる業務をなしてまいりました。今回は障害年金の認定の中で言語機能の障害に関する会議を持つということで、非常に高名な専門家の方々に委員としてお集まりいただきました。この会議を通じまして広く言語機能の障害をお持ちの方々がよい社会制度を利用できるようになるように持っていきたいと思っておりますので、どうぞご協力方よろしくお願い申し上げます。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 ありがとうございました。

 それでは、以降の進行を座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

 

(中島座長)

 それでは、早速議事に入らせていただきます。

 本日の議事につきましては、議事次第がございますので、この内容に沿って、まずは「障害年金制度の概要説明」を事務局のほうからお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 それでは私のほうから、まず障害年金について、年金制度の概略を説明させていただきます。

 資料2でございますが、障害年金を説明する前に、年金制度の仕組みについて簡単に説明いたします。

 資料をおめくりいただいて1ページ目でございますが、国民年金、厚生年金は日本の公的年金制度の中核になりますが、国民年金に加入するのは、20歳から60歳までの、いわゆる現役世代の全ての方です。全ての方が国民年金に加入し、さらにサラリーマンなど厚生年金に加入している方は二重に加入するという制度になっております。

 具体的には、自営業などで国民年金に入っている第1号被保険者、サラリーマンである厚生年金もしくは共済に加入している第2号被保険者、さらに、図の左側になりますけれども、サラリーマンなど第2号被保険者の扶養になっている第3号被保険者、この1、2、3号と言われている被保険者で制度が成り立っております。

被保険者の皆さんがこのような制度に加入している間に保険事故が起きた場合に、年金を給付するという制度になっております。国民年金又は厚生年金保険の加入者が老齢、障害、死亡などの保険事故になったときに支給するのがそれぞれ老齢年金、障害年金、遺族年金ということになります。また、国民年金から国民共通の基礎年金が支払われますが、その上乗せとして厚生年金の加入者で障害があれば障害厚生年金、遺族の方であれば遺族厚生年金という2階建ての形で支給されることになります。

 それでは、本題である障害年金について御説明します。2ページをごらんください。

 障害年金を受ける際、3つの要件が必要となります。1つ目は、初診日に被保険者であること、2つ目は、保険料の納付要件を満たしていること、そして3つ目が、一定の障害の状態にあることです。

 国民年金に加入している間に病気やけがになった場合、医療機関を受診することとなりますが、この初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日を初診日として、この初診日から1年6カ月目の障害認定日における障害の状態を判断して1級又は2級の障害基礎年金が支給されます。

 なお、初診日から1年6カ月前でも、手足の切断など明らかに症状が固定した場合は、その日を障害認定日として取り扱います。

 次に、一定の保険料納付要件があることですが、これは加入期間中の保険事故ですので、初診日以前にきちんと保険料を納めているかどうかを確認する必要があります。例えば、初診日の前々月までに3分の2以上の納付があるか、又は直近の1年間に未納がないことのいずれかを満たしていることが必要です。

 続いて、20歳前の障害年金の方について説明いたします。

20 歳前障害というのは、20歳になる前に既に障害の状態にある方に年金を支給する制度です。障害年金の制度は、初診日が年金制度に加入している期間にあることが必要だということは先ほど説明をいたしました。20歳前の障害者は、20歳になる前に既に障害になっていて、20歳から初めて年金制度に加入することになるので、保険制度に加入する前から障害があるということです。 従って、 この20歳前の障害で年金を受ける方については、保険料の負担をしていないということですので、例えば一定の所得がある場合などについては、年金額の全額又は一部を支給停止するという所得制限が設けられています。そのほかに、日本国内に居住していないなどの場合についは、その間は支給を停止するというような条件が付されております。

国民年金は1・2級ということで等級が定められていますので、1級もしくは2級で年金が支給されます。 年金額は、 年額で1級は現在966,000円、2級は772,800円となっております。この金額は、2級の場合が老齢基礎年金と同額の水準であり、重い程度の1級はその25%増しとなっております。また、生計を維持している18歳までの子供さんがいる場合は、年額222,400円が年金額に加算されます。

 続きまして、3ページの障害厚生年金の概要です。

 支給要件は、障害基礎年金と同様ですが、1・2級に加え3級の障害状態であれば、独自の制度として障害厚生年金のみ支給がされます。また、それよりも軽い障害が残った場合には、障害手当金として一時金が支給されます。

 厚生年金の年金額は、被保険者の報酬に応じて計算されることになりますので、報酬比例の年金額という書き方をしております。その方の給料に応じて計算された部分が障害厚生年金ということで支給されます。

 年金額の水準は、2級が老齢年金の額と基本的に同じですので、それに1.25倍したものが1級の額になります。基礎年金も772,800円の1.25倍したものが1級額になっていますので、老齢厚生年金の年金額が2級と同じというふうに考えていただければよろしいかと思います。

 4ページ目でございますけれども、障害年金の給付体系を示しております。

 左側が障害の程度が重い方、右側が障害の程度が軽い方の場合に受給される年金です。

 繰り返しになってしまいますが、国民年金の被保険者については障害基礎年金、厚生年金の被保険者については、その上乗せとして障害厚生年金が支給されます。また、厚生年金独自給付として3級の障害厚生年金と障害手当金があります。こうした年金の請求窓口については、原則、障害基礎年金が市区町村役場又は年金事務所、障害厚生年金が年金事務所となっておりまして、受け付けた請求について、基礎年金は日本年金機構の各都道府県にあります事務センター、厚生年金は日本年金機構本部で障害認定を含めて裁定を行います。

続いて 5ページをご覧ください。こちらは、障害認定に当たっての等級の例を示しておりますので、ご参考に見ていただければと思います。

  ページをめくっていただいて 6ページですが、認定基準の基本的事項に書かれている障害の程度を抜粋したものです。  様々 な障害状態を判断する上での基本的な考え方です。1級の程度は、「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとする。」とされています。また、生活状況のことが具体的に書かれていますが、病院内でいえば、活動範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの、家庭内でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られるとしております。

 2級の程度は、「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。」とされています。生活状況については、病院内でいえば、活動範囲がおおむね病棟内に限られるもの、家庭内でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものとしております。

 3級の程度については1・2級と異なりまして、厚生年金の認定がもともと労働に支障があるかどうかという観点で定められていたものを、国民年金と合わせたときに日常生活の支障度と統一されたものです。その際、3級については、厚生年金独自給付なので、「労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。」とされているところでございます。

 最後7ページには、参考に 障害年金の 受給権者数を掲載しております。

 障害厚生年金の受給権者が約56万人、国民年金の障害基礎年金のみの受給権者が約160万人となっております。

 この国民年金の人数には、20歳前に障害がある障害基礎年金が含まれております。また、受給権者数には、所得制限や障害の状態が軽くなったということで支給停止されている方なども含んだ数字ということになってございます。

 以上、簡単でございますけれども、障害年金の説明とさせていただきます。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。

 一つ一つの文章そのものには困難なところはないのですが、障害者年金の仕組み全体となると、なかなか一口では理解できないようなところがございます。どなたか、この障害年金の仕組みについてご質問ございますでしょうか。

 

(石本構成員)

 今回のとはちょっと違うかもしれないのですが、現在、外国人が非常に入ってきて、その方の障害年金に関してよくわからないことが障害年金の裁定をしているとき にありますが、その辺りのところを教えていただけないでしょうか。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 外国人の方であっても、日本に居住して加入しているような場合については、年金として支給されることになります。

 

(石本構成員)

 例えば40歳の方が入ってきて、障害の程度を認定しなければいけない時があります。入国後、日本で病気になって、日本で障害年金を受けたという場合はいいのですが、特にもともと障害を持っている方が日本に入ってきた場合、例えば小さいときにけがをした、あるいは小さいときからもともと疾患を持っていたという方が日本に入ってきたときの障害年金の支給に関して、時々わからないときがありまして、そこを教えていただきたいと思いご質問させていただきました。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 基本的に制度に加入した以降に医師の初診があるということになりますので、既に障害のある方は適用にはならないということでございます。

 

(中島座長)

 よろしゅうございますか。

 

(石本構成員)

もう一回。そうすると、日本に入ってきたときに病気を持って、例えば、たびたび審査を行うのが難聴者です。難聴の方がしばしば入国してきて、そのときに障害年金を認定しなければいけないことがたびたびあります。その辺が、日本人が海外にいた場合は支給されないということで、逆に外国人が日本に入ってきたときに障害年金を受け取れるかどうかを認定しなければいけません。日本人が海外にいた場合は、もともとその間まで日本人は年金を支払っているわけですけれども、外国人の方は全然支払っていないわけで、ちょっと納得いかないところがしばしあるんですけれども。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 国民年金と厚生年金でまたその加入後の状況とか、個々のいろいろなケースがございますので、また会議終了後にでも先生、ご説明させていただきたいと思います。

 

(中島座長)

 それでは、続きまして現行の「言語機能の障害に係る障害認定基準等の説明」を事務局よりお願いいたします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

「言語機能の障害」の認定基準について説明いたします。

 それでは、資料3をごらんください。

 こちらの資料は、参考資料でお配りしております「国民年金・厚生年金保険障害認定基準(全文)」の中から「第6節  言語機能の障害」 を抜粋したものでございます。

 このため、お配りしている資料のページが13ページ、14ページとなっておりますが、あらかじめご了承ください。

 障害認定基準につきましては、先ほどの障害年金制度の概要の中で簡単にではございますがご説明させていただきましたので、ここでは省略させていただきます。

 それでは、13ページ目の認定基準についてご説明させていただきます。

先ほどご説明がありましたが、 障害年金は、障害の重い程度から障害等級1級、2級、3級があり、各等級に該当する障害の状態は、疾患ごとに施行令別表に規定されております。この施行令別表は、参考資料の障害認定基準(全文)の104ページ以降に載ってございますので、後ほどご覧いただければと思います。

 言語機能の障害では、障害年金の2級、3級及び一時金である障害手当金に該当する障害の状態がそれぞれ定められております。

 1の認定基準は、別表に規定されている内容でございます。

 次に、2 認定要領についてご説明します。

 認定要領は、認定基準で定められている障害の状態をより詳しく記載しており、認定実務上の指針となっております。詳細につきましては、この後に説明いたします資料6「 障害認定基準(言語機能の障害)の検討課題について」 の中で説明させていただきますので、ここでは記載内容の概要についてご説明させていただきます。

 まず(1)ですが、ここでは音声又は言語機能の障害とは、具体的にどのような障害を指すかについて規定しております。大別いたしますと、構音障害又は音声障害、失語症等の脳性の障害、耳性疾患によるものとなっております。

 (2)ですが、こちらは2級相当である「音声又は言語機能に著しい障害を有するもの」について具体的な障害の状態を示しています。アは、音声又は言語を喪失するか、意思を伝達するために身振りや書字等の補助動作を必要とするもの。イは、4種の語音のうち3種以上が発音不能であり、日常会話が誰が聞いても理解できないものとなっており、ア、イのいずれかに該当する程度のものとなっております。

 同様に(3)でございますが、こちらは3級相当である「言語の機能に相当程度の障害を残すもの」の具体的な障害の状態として、4種の語音のうち、2種が発音不能であり、日常会話が家族は理解できるが、他人は理解できない程度のものとなっており、続きまして(4)では、障害手当金相当である「言語の機能に障害を残すもの」の具体的な障害の状態として、こちらは4種の語音のうち、1種が発音不能であり、電話による会話が家族は理解できるが、他人は理解できない程度のものとなっております。

 また、(5)ですが、こちらは(2)のイから(3)、(4)に記載されております4種の語音について記載をしております。

 続きまして、14ページに移ります。

 (6)でございますが、喉頭全摘出手術を施した場合の認定の取り扱いについて規定しております。原則2級と認定することと、認定する時期については、初診日より1年6カ月前に手術を行った場合は、その日が認定日となります。

 最後に(7)では、言語機能の障害(特に構音障害)とそしゃく・嚥下機能の障害が併存した場合は、併合認定する旨が規定されております。

 以上、簡単にではございますが、現在の認定基準の内容となります。

 続きまして、「言語機能の障害の診断書」についてご説明をさせていただきます。資料4をご覧ください。

 こちらの診断書は、上部に記載されておりますように、言語機能の障害を含めた複数の障害用として使用しております。

 記入欄には番号が付いておりますが、左上のマル1から中段のマル9までは、本診断書の対象障害に共通の記入欄となっております。

「マル10障害の状態」欄は、障害の部位毎に記入欄が定められており、 言語機能の障害について使用する部分は太枠で囲んだ部分になります。右下の太枠に囲んだ部分です。

 この欄には、「ア 発音不能な語音」と「イ 会話状態」の2項目があり、それぞれに該当する数字に丸をつけていただくことになっています。

 このほか、マル11欄に「現症時の日常生活活動能力および労働能力」を、マル12欄に「予後」 (今後の病状についての見通し) を記載することとなっており、これらの記載内容から障害の程度を認定することとなります。

 簡単にではございますが、現在の診断書についてご説明をしました。

 以上、説明を終わります。お願いいたします。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。後ほど障害認定基準の課題について説明いただきますけれども、ただいまの説明について特にご質問などございましょうか。構成員の皆様方、何か疑問点は おありでしょうか。

 

(田山構成員)

 田山でございます。

 「喉頭全摘出手術を施したもの」という、これでいうと14ページのところですけれども、イの括弧内の「初診日から起算して1年6カ月以内の日に限る。」と定められていますが、この意味はどういう意味か教えていただければ。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 基本的に障害年金の場合は、初診日から1年6カ月目が障害認定日と法律で定めておりまして、それより前に手術をした方についてはその前にと、例えば、1年目で手術をすれば1年目ということになるということでございます。それ以外の方は1年6カ月目ということでございます。

 

(田山構成員)

 手術した日が1年6カ月を超えていった場合はどうなんでしょうか、これはどこにかかっているのかわからない。初診日というのは、例えば、病院に初診した日ですよね。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 はい。

 

(田山構成員)

 治療して、最終的に手術をした日が2年後だとどういう解釈になるのか。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 1年半目です。

 

(田山構成員)

 1年半以上経ったときですね。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 1年半目でまずは認定を行うということになります。その後、手術をした段階で、例えば等級が上がればそういう改定の請求書を出すということになろうかと思います。

 

(田山構成員)

 要は、手術をして初めて障害になるわけなので、その手術した日が2年目だとすると、この「初診日から起算して1年6カ月以内の日に限る」というこの文言がどういう意味かがちょっと理解しかねるのですが。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 それは(6)の文章が、手術をした人についてはこのように取り扱うということでの文脈になっていますので、通常は1年6カ月目で認定を行うのですけれども、それより前に手術をすれば日は逆のぼりますという説明内容です。

 

(田山構成員)

 わかりました。手術した日は初診日から起算して1年6カ月以内でも可能とするということですね。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 そういうことでございます。

 

(田山構成員)

 ちょっと文章的に意味がわからなかったので。

 

(中島座長)

 ほかにございますか。

 

(武田構成員)

 武田です。現在の認定では、例えば病気を何かに限るということはないと考えていいのでしょうか。質問の意味は、例えば、最終的には認知症になるわけなのですけれども、最初、失語症が比較的かなり長くある時期だけ残っているという状態があって、最終的には「前頭側頭型認知症」という言葉になることが多いのですが、そういう場合を入れているかどうかお聞きしたい。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 基本的に障害年金の認定に関しましては、各部位でどのような障害になったかということを基本に考えておりますので、どのような疾患に基づいたかということで決定しているものではございません。

 今、先生がおっしゃられました認知症の場合についてなんですけれども、現在私どもが今回取り上げております言語機能の障害の中では、認知症に基づく言語機能の障害については、こちらの節の中では取り扱わないものというふうに考えております。

 

(中島座長)

 先生のおっしゃるのは進行性失語症のことですね。

 

(武田構成員)

 そうです。

 

(池上事業管理課給付事業室長)

 すみません、ちょっと補足いたします。認知症につきましても、おっしゃるように、言語面での現症があらわれて、その後、それがほかの分野にも広がっていくということがあろうかと思います。原則としては今、大窪のほうから申し上げたとおり、認知症については全体の認知機能の低下ということになりますので、精神の障害のところでご評価いただくことになりますけれども、初めの段階で、言語機能だけ障害が出て、それについて障害の程度を判断する必要がある場合には、そのときには言語機能の障害で見ることになろうかと思います。

 

(中島座長)

 よろしゅうございますか。

 ほかにございますでしょうか。

 それでは続いて、現行の「認定事例[診断書]」の説明を事務局よりお願いいたします。

 

 

(大窪障害認定企画専門官)

 それでは、言語機能の障害に関する認定事例についてご説明させていただきます。

お手元の資料5をご覧ください。

 本資料は、失語症の認定事例を10例挙げたものとなってございます。後ほど資料6「認定基準の検討課題」で詳しくご説明しますが、失語症の認定基準をどう具体的に規定するかが検討課題の一つとなっておりますので、本課題をご検討頂くにあたり、現行の認定がどのようになされているかをご紹介するために本資料を提示させて頂くものでございます。

 なお、認定事例は申請者個人の診断書になりますので、個人情報保護の観点から非公開とさせていただきます。

 それでは、2級と認定された事例からご説明させていただきます。本資料の事例1から事例5になります。

 事例1から3は、言語機能の障害のみで2級、事例4につきましては、肢体の障害と併合して1級、事例5は、ほかに精神の障害及び肢体の障害がございますので、こちらで1級となっているものでございます。

 それではまず、事例1を例に診断書の記載事項をご説明いたします。

 ページをおめくりください。右上に事例1と括弧書きで書かせていただいておりますので、そちらの診断書を見ていただければと思います。

 なお、本資料にあります下線は、失語症に関する記載事項について当方で引いたものでございます。

 まず傷病名でございますが、事例1は、マル1欄の「障害の原因となった傷病名」に記載されており、事例1では「出血性脳梗塞」となっております。

 この診断書は、平成25年8月20日現在のもので、診断書の中段あたりのマル10欄「障害の状態」の括弧書きにその日付が記載してございます。

 次にマル10の2つ上のマル8欄「診断書作成医療機関における初診時所見」になりますが、こちらに「失語あり、重度失語症にて理解も発語も難しい状態である」旨の記載があります。

 続いてマル10欄の(5) 「言語(構音・音声)機能の障害」 でございますが、本来記載して頂くべき「ア 発音不能な語音」に記載はありませんが、「イ 会話状態」では「4 日常会話が誰が聞いても理解できない。」に○がついております。

 さらにマル11欄「現症時の日常生活活動能力および労働能力」では、「言語面では全失語と重度障害、発話も困難で、身振り手振りで伝えようとするも、周囲の人や家族には伝わらず、 み取る必要あり」との記載があります。

 またマル12欄「予後」では、「失語症の責任病巣が広範で重度障害であり、かつ言語療法などのリハビリテーションに対して拒否強く、今後、失語症の改善は期待できない」といった記載がございます。

 以上、これらの内容から2級と認定されたものでございます。

 続いて事例2をご覧ください。こちらの傷病名は「脳梗塞」となっております。

 マル8欄では「重度の失語が認められた」という記載がございます。

 続いてマル10の(5)では、「発音不能な語音」の4種の全てに○がついており、「会話状態」では「4 日常会話が誰が聞いても理解できない。」に○がついております。

 さらにマル11欄につきましては、「重度の全失語が残存しており、労働は不能である」という記載がございます。

 これらの内容から2級と認定されたものです。

 引き続いて事例3についてご説明いたします。こちらの傷病名は「クモ膜下出血」となっております。

 マル8欄では「コミュニケーション、発語マイナス」との記載があります。

 マル10欄(5)では「発音不能な語音」の1種に○がついており、「会話状態」では「4 日常会話が誰が聞いても理解できない。」に○がついております。

 また、マル11欄に「発語は困難(運動性失語)」との記載があります。

 これらの内容から2級と認定されたものでございます。

 続けて事例4をご説明させていただきます。こちらの傷病名は「脳出血」となっております。

 マル10欄(5)では、事例3と同じく「発音不能な語音」の1種に○がついており、「会話状態」では「4 日常会話が誰が聞いても理解できない。」に○がついてございます。

 また、マル11欄に「中枢性失語症のため、本人との会話が成立しない」との記載があります。

 以上、これらの内容から2級と認定されたものでございます。

 続きまして事例5をご説明させていただきます。こちらの傷病名は「脳外傷、 器質 性精神障害」となっております。

 マル10欄(5)では「発音不能な語音」に○はついておりませんが、「会話状態」では「4 日常会話が誰が聞いても理解できない。」に○がついており、手書きで「発語なし」と書かれています。

 また、マル11欄に「言われていることはある程度理解できる。イエス、ノーの意思表示可能。発語不可(失語)」との記載がございます。

 以上、これらの内容から2級と認定されたものでございます。

 ここまで事例1から5が2級の認定事例になります。

 続きまして、3級と認定された事例についてご説明させていただきます。

 事例6から事例10までございますが、事例6から8までは、いずれも肢体の障害があり、併合はしますが、肢体の障害で2級となったもの、事例9は肢体の障害があり、そちらで1級となっています。事例10は他の障害との併合がなく、障害基礎年金の請求であったため不支給となっています。

 それでは、一つ一つご説明をさせていただきます。

 まずは事例6でございます。傷病名は「脳梗塞」となっております。

 マル8欄に「失語症、高次脳機能障害によるコミュニケーション障害」と記載があります。

 マル10欄(5)では「発音不能な語音」に記載はございませんが、その下に「視床 失語のため、発語、理解とも低下している」と記載されています。また、「会話状態」では「3 日常会話が家族は理解できるが、他人は理解できない。」となっております。

 さらに、マル11欄には「視床 失語と注意・記憶障害のため聞き間違いが多発し、音圧の低下、言い間違いが多く、日常では単語レベルの会話」との記載があります。

 これらの内容から3級と認定されております。

 次に事例7をご説明いたします。こちらの傷病名は「脳梗塞」となっております。

 マル8欄に「発語困難であり、音声は認めるが理解困難である」という記載があります。

 マル10欄(5)では「発音不能な語音」は4種全てに○がついており、「会話状態」では「3 日常会話が家族は理解できるが、他人は理解できない。」となっており、これらの内容から3級と認定されております。

 続けて事例8をご説明いたします。こちらの傷病名は「脳梗塞後遺症」となっています。

 マル8欄に「失語症を認める」、マル9欄に「失語症を残存している」という記載がございます。

 マル10欄(5)「発音不能な語音」には記載はございませんが、「会話状態」では「3 日常会話が家族は理解できるが、他人は理解できない。」となっております。

 さらにマル11欄には、「失語症あり、コミュニケーションがとれないため就労は困難である」という記載がございます。

 これらの内容から3級と認定されております。

 続けて事例9をご説明いたします。傷病名は「脳梗塞」でございます。

 マル8欄に「失語」という記載がございます。

 事例8と同様に、マル10欄(5)「発音不能な語音」に記載はございませんが、「イ 会話状態」では「3 日常会話が家族は理解できるが、他人は理解できない。」となっております。

 さらにマル11欄では、「ごく簡単な内容の理解は可能だが、困難なこともある。文字提示すると理解促進されやすい。有意味語の表出はなく、名前を言うことも困難。言葉での意思伝達は難しい」という記載がございます。

 これらの内容から3級と認定されております。

 最後に事例10をご説明いたします。傷病名は「脳梗塞」となっております。

 マル8欄に「失語症状を認めた」という記載がございます。

 マル10欄(5)「発音不能な語音」の1種に○がついており、「イ 会話状態」では「3 日常会話が家族は理解できるが、他人は理解できない。」となっています。

 さらにマル11欄には、「失語症によりコミュニケーションが困難」という記載があります。

 これらの内容から3級相当と認定されています。

 以上、ご覧いただきました認定事例から、失語症の場合には、主に会話状態と、その他の欄に記載されている症状から総合的に判定していただいているということがお分かりいただけると思います。また、マル8、マル9、マル10の記載欄の内容が失語症を判断するための重要な記載項目となっておりますが、その情報量や記載内容にはばらつきがあることがお分かりになるかと思います。

 以上、簡単にではございますが、現在の認定事例について説明を終わります。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。

 失語症の実際の認定事例をお示しいただいたわけですけれども、個々の事例の細かいところではなくて、このようにして2級、3級の認定が行われているという、この仕組みについて皆様方の何かご意見あるいはご質問があったら承りたいと思いますけど、いかがでしょうか。

 

(加藤構成員)

 この併合の問題がやはり大きいと思うのですが、例えば事例5の場合、精神のほうが1級で言語のほうが2級で併合で1級になっているんですよね、麻痺もありますけど。そうですよね。例えばこの場合、精神、高次脳機能障害が2級で言語が2級だった場合には、もしこの麻痺が1級ではなかった場合、これは一体何級になるんでしょうか。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 言語の障害が2級で精神の障害が2級の場合は、併合して1級になります。

 

(加藤構成員)

 1級になりますか。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 はい。

 

(加藤構成員)

 わかりました。

 

(中島座長)

 ほかにご質問あるいはご意見ございますでしょうか。

 それでは、後ほどまたこの事例に関しまして疑問、ご意見がございましたら承るとして、次に「障害認定基準の検討課題について」事務局から説明をお願いいたしたいと思います。広範囲に及びますので、幾つか区切って説明いただき、その都度、構成員の先生方には意見交換をしていただきたいと思っております。

 それでは、事務局より説明をお願いいたします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 それでは、資料6「障害認定基準(言語機能の障害)の検討課題について」ご説明させていただきます。

 資料の1ページ目をご覧ください。

 まず、このたび言語機能の障害の認定基準の見直しを行います背景についてご説明させていただきます。

 国民年金・厚生年金保険障害認定基準については、国民年金法、厚生年金保険法の施行令に規定する障害の状態について具体的に障害の種類ごとに、どの障害等級に該当するかを例示しながら説明しているものであり、認定作業における実務上の指針となっております。

 現行の認定基準は、平成14年3月に改正しており、これをもとに現在認定が行われ、その後の医学的知見や社会保険審査会の指摘などを踏まえて、平成22年以降、疾病ごとに順次見直しを行っているところでございます。

 「言語機能の障害」については、平成24年度に行いました高次脳機能障害等に関する専門家会合において『現行の「言語機能の障害」の認定基準では失語による日常生活の支障度が評価されていないため、認定基準や診断書を見直すべき』というご意見があったところです。

 また、前回の平成14年の改正から既に10年以上経過していることもあり、認定現場から見直しのご要望、ご意見をいただいているところでございます。

 こうしたことから、最新の医学的知見を踏まえた見直しを行うため、本会合を開催することとしたものでございます。

 続いて現状ですが、現行の認定基準及び診断書は、「音声・構音障害」が主として規定されており、「失語症」に関する記述が不足していることから、その規定を求められているところでございます。

 また、運用現場の認定医の方などから、現在の認定基準が分かりにくい、診断書の評価項目が不十分との意見があり、基準の明確化や具体的な例示などが求められています。

 こうしたご意見、ご要望から、この専門家会合において議論していただく主な検討課題を2点挙げてございます。

 1つ目は、「失語症」に係る認定基準について、具体的にどう規定するか。

 2つ目は、「失語症」及び「音声・構音障害」の重症度を客観的に判断できるような基準・評価項目を示すことができるかという点です。

 3ページ目以降で、今ご説明しました主な検討課題について具体的な事項に落として検討内容を記載しておりますので、後ほど順次説明してまいります。

 続いて、2ページ目についてご説明させていただきます。

 先ほど背景の中でもご説明しましたが、平成24年度に行いました高次脳機能障害等に関する専門家会合において、失語症がある場合の認定について整理された内容をまとめております。

 1点目は、失語に関しては「言語機能の障害」で判断し、その他の症状(失行・失認など)は「精神の障害」で判断した上で併合するということ。

 2点目は、早い時期に「言語機能の障害」の見直しをはかり、失語症の障害を適正に評価できるよう診断書を含め修正するということでございます。

 1点目の整理、失語は「言語機能の障害」で判断し、その他の症状は「精神の障害」で判断するとされた理由でございますが、下段の「理由」の2つ目、3つ目の○にございますように、失語を「言語機能の障害」で評価し、他の高次脳機能障害の障害を「精神の障害」で評価しても、評価が著しく下がったり、等級が下がるなどの不利益は生じないと考えられ、また重度から中等度の失語がある場合には、重く評価されることは妥当なのではないかというものでございました。

 また2点目の整理、早い時期に「言語機能の障害」の見直しを図るとされた理由でございますが、同じく理由の1つ目の○にございますように、現行の認定基準「言語機能の障害」では、失語によるコミュニケーション能力の欠如による日常生活の困難さが評価されないというものでございました。

 こうした整理を踏まえ、今般見直しを行うこととしたものでございます。

 続けて、検討課題に入ります。3ページ目をご覧ください。

 このページ以降、資料の左側に検討内容を、右側に現行の認定基準の内容を記載しております。

 それでは、検討課題1「対象疾患の定義について」ご説明させていただきます。

 ここでは『「音声・構音障害」「失語症」「耳性疾患」それぞれの症状などの定義について、詳細に記載できないか。』というふうに書かせていただいております。

 現在の認定基準では、認定要領(1)に、言語機能の障害の認定対象となる音声又は言語機能の障害の主な症状を規定しています。大別しますと、下線部分にあります「構音障害又は音声障害」「失語症」「耳性疾患」の3つになります。

 これらの症状などの定義について、より詳細に記載できないかとしていますのは、例えば「脳性(失語症等)」の「等」が何を指すかや、「耳性疾患」とは具体的にどのような症状によるものを対象としているのかといったように、現行の規定内容が分かりにくいという意見がございますので、定義をきちんと整備し、かつその具体例を挙げるなど分かりやすい記載にできればと思います。

 なお、「脳性(失語症等)」の「等」についてですが、平成14年の改正時には、脳血管障害や脳外傷、変性疾患、例えばパーキンソン病やALS(筋萎縮性側索硬化症)などにより発声、構音器官の神経や筋に障害が出る運動性構音障害や、脳性麻痺に伴う構音障害などがこれに当たるのではないかとされておりました。

 また「耳性疾患」についてですが、他制度では、高度の難聴により音声言語の獲得ができない「ろうあ」や、聴力が非常に低いために言語発達に遅れがある「聴あ」などの障害が例示されております。

 こうした例をもとに、その他にもこれらの定義についてご意見をいただければと思います。

 検討課題1については以上です。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。

 ただいま、検討の背景等に関する説明と、検討課題1について、対象疾患の定義の部分をご説明いただいたわけですけれども、この点について構成員の皆様からご意見をいただきたいと思います。

 その前に一言私から付け加えておきますけれども、この失語症が障害年金のこの制度の中では精神ではなくて身体として取り扱うというところは、障害者手帳のこととを想像していただくと、制度として、仕組みとしては理解しやすいかなと思います。

 構成員の先生方、いかがでございましょうか。

 

(石本構成員)

 石本です。この定義が難しいのは、やはり末梢性のもの、いわゆる喉だとか舌 など の障害と中枢性のいわゆる失語症と一緒にしていますので、非常に判定が難しくなっていると思います。その辺をやはり明確にしていただいたほうがいいのかなというふうにいつも判定のとき思っております。

最近の動向としては、やはり末梢性のものよりも圧倒的に脳梗塞を起こして、それに付随したもので失語症をするという方の申請が非常に増えています。そのため今回こういうふうな課題が出ていたと思います。しかしながら、なかなか、いわゆる末梢性のものと中枢性のものを一緒のものさしで評価するというのは、いつもどうなのかなと思っている次第です。

 耳性については今お話が出ましたが、実際に高度難聴の方で、難聴の申請はもちろんありますが、音声言語のほうで申請された方というのはまず見たことありません。

 あと、喉頭全摘だとか舌の摘出だとか、あるいは気管切開で、言語障害のある場合、喉頭全摘はすぐ認定しやすいです。しかしながら、いわゆる気管切開を常にしていなきゃいけないという方の申請もまず普通見かけませんので、その辺もちょっと不明瞭だと思っております。とにかく中枢性のものと、失語症と、いわゆるここの部分的なものとを、中枢性のものと同じような評価でするのは非常に難しいのかなというのが印象です。

 

(中島座長)

 ありがとうございます。ちょっと私のほうで、今の石本先生の論点を整理しておきたいのですけれども、中枢性と末梢性というふうに分けるのはすごく分かりはいいのですけれども、例えば、中枢性でありながら重度の仮性球麻痺に基づく構音障害というのは失語症ではないですね。その場合、中枢性ではあるけれども、従来の表現でいえば構音障害ですね。その辺のところはどのように先生は整理されたいと思われますか。

 

(石本構成員)

 今、先生にも言われたのは、これは末梢性というふうに私は認識しています。筋肉の障害や構造物のなくなったものに関しては末梢性として表現しました。脳梗塞などの中枢性疾患による球麻痺などの結果、構音障害が起こった場合は、今は末梢性としてお話しをさせていただきました。一方、脳梗塞による失語症の場合を中枢性として表現いたしました。

 

(田山構成員)

 田山です。多分、石本先生がお話しになっているのは、中枢性障害といっても、末梢神経の障害として現に見えている、そういったものを末梢性と扱いたいというお話だと思うのですけれども。

 

(中島座長)

 ほかの先生。

 

(加藤構成員)

 ここの認定基準の認定要領の記載はやはり非常に矛盾があって、「音声又は言語の障害は」と書いてありますけど、いろいろなことが起こるわけですよね。最後に来るのが「耳性疾患」といって、要するに、病態ではなくて病気の記載があったりするので非常に矛盾していると思うのです。それから、先ほど意見ありましたけど、いろいろな末梢から中枢、それから聴覚を含めていろいろな形で言語機能の障害が起こるわけですから、言語機能の障害を取り扱うことができるのは、この診断書のここだけなのですよね。それにもかかわらず言語を失うということはものすごく大変な日常生活に影響を及ぼすので、ここはやはり末梢性と言われましたけど、どこまで末梢性かわかりませんけど、一応併記全部、構音障害、音声障害、それから失語症、それから聴覚障害、耳性疾患ってよくわからないのだけど聴覚障害によるものとか、こういうふうに何か状態、原因というか損傷の場所を示唆するような言葉で全部並列に置き換えていくのが一番いいんじゃないかと思うのですけども。その上で、重症度を規定しなきゃいけないとおもいますけども、どこかで。

 

(田山構成員)

 田山ですけど、ちょっとお聞きしたいことがあって、そもそもが多分これ身体障害という形で認定されてきて、それで脳性とかなんかも追加で来たものなのでしょうか、この表現からすると。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 脳性と耳性疾患については、旧法の国民年金の時代からずっと入っておりまして、途中で追加されたものではございません。

 

(田山構成員)

 何かこの文章を見てみると、最初はやはり身体障害というか、目で見えるものが原因としてというところから始まって、そういったものを追加で入れているような雰囲気で、それでこの統一性がなくなっているような感じがしますので、やはり先ほど加藤先生が言われたように、併記して、こういった場合というようなことに分けるべきであって、障害の程度、それからその原因というか、そういうふうに分けていくともうちょっと明確に規定できていくのかなと思うのですけど。

 

(加藤構成員)

 申しわけありません、これ「耳性疾患」は必要なんですか、ここに。聴覚障害による言語機能の障害はありますけど、それは言語コミュニケーションの障害で、難聴の場合はどうなるの

 

(田山構成員)

 高度な難聴ですと、生まれたときからというのは別にしても、だんだん言語にひずみが出てきますから、やはりある程度の軽度の障害が出てきて、構音が自分で確認できないので、言語のひずみが出てきますので、やはり障害は出るとは思います。

 

(中島座長)

  豊原先生、この「耳性疾患」に基づく音声言語の障害というのは実際認定現場ではあるものなんでしょうか。

 

 

(豊原構成員)

これは耳鼻科の先生が認定されていて、私は、失語症の領域で認定しているんです。だから、耳鼻科の先生のご判断によっています。

 

(石本構成員)

 私は東京都でやらせていただいていますけれども、この耳性疾患で、いわゆる高度難聴の方でこれで提出されたかというのは、ここ七、八年私やっていますけれども、まず見たことないのが現状です。

 

(中島座長)

 分かりました。各先生方の今出ました論点は非常に大事であるとともに、よく理解できました。従いまして、認定要領のここのところを定めるに当たっては、文言を整えるに当たってはただいまのご意見をよく吟味して進めていきたいと思います。

 

(武田構成員)

結局ここに書かれているように、現状というのが、音声・構音障害が主として規定されており、というのは、失語症に関する記述が不足しているというのは確かだと思うのですけど、その場合、現在は失語症のほうが認定される機会が高いと考えていいのでしょうか。

 

(石本構成員)

 私は耳鼻科で言わせていただきますと、最近はそちらのほうが多いです。

 

(武田構成員)

 そうしますと、現在は、要するに、この書き方だと、「生じる構音障害又は音声障害を指すが」という、この書き方はやはりよくなくて、どちらかといえば、失語症にやや重点を置いたような書き方をやはりなすべきじゃないかと思うんです。

 

(中島座長)

 認定要領をただす際には先生のご意見も改めてお伺いしたいと思います。

 それでは、次の課題に移りたいと思います。

 事務局お願いいたします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 それでは、検討課題2-1に移らせていただきます。

 4ページをご覧ください。

 こちらは「認定要領の評価項目について」です。

 項番(1)は、『「発音不能な語音」の評価』について挙げています。

 現在の認定基準では、認定要領(5)に4種の語音ア~エを規定しております。

 なお、ア~エの括弧書きについてですが、この括弧内は各語音の例示になっております。

 この「発音不能な語音」については、4種の語音のうち該当する、すなわち「発音不能な語音」が幾つあるかが障害等級の判断の基準となっています。

 運用現場からは、この評価方法をより分かりやすくしてほしいとの意見が多く出ています。

 例に挙げておりますが、『口唇音のうち、「ま行」のみ発音不能である場合、その語音は発音不能と評価してよいか。』といった意見も出ておりまして、語音の一部で全体を評価するのか、あるいは半数程度以上とするのかなどについてご意見をいただければと思います。

 続いて項番(2)ですが、「失語症に関する発語等の評価」についてです。

 運用現場からは、失語症では発声、構音器官の障害が合併していなければ語音の産生が可能で、発音不能な語音がない場合もあり、評価することが困難であるとの意見が出ています。

 このため、現行の4種の語音による評価に代わって失語症の重症度を評価できる適切な検査方法があるかご意見をいただきたいと考えております。

 続けて5ページに移ります。

 項番(3)の『「会話状態」の評価』についてですが、現在の認定基準では、認定要領(2)から(4)の後段に、また先ほどご説明した診断書ではマル10欄(5)「イ 会話状態」に記載されています。

 この「会話状態」は4段階ありますが、何を評価しているのかと申しますと、日常会話の中で本人の発話を家族又は他人が理解できるか否かという音声言語の表出、いわゆる話す面に着目して、その重症度を評価しています。このため、失語症の場合の日常会話における言語理解面に関する評価が十分に表現されていないのではないかと考えております。

 また、失語症ではこのほかに読む、書くについても症状があらわれますが、現在の認定基準では読む、書くについては考慮していないところでございます。

 こうした理由から、失語症についても引き続き「会話状態」で評価することとしてよいか、失語症の症状も含めて、現在の認定基準をより分かりやすい表現にできないかについてご議論いただきたいと思います。

 なお、ご議論の参考として、6ページをご覧ください。「 BDAE 失語症重症度評価尺度」というものを載せております。

 これは、ボストン失語症診断検査における評価尺度の一つであり、コミュニケーション能力的な重症度の評価法として世界的に広く用いられております。日常会話場面における発話及び聴覚的理解の障害の程度やコミュニケーションの成立度合いに着目したもので、0~5の6段階の順序尺度で重症度の判定を行うことができます。特別な言語課題の実施を必要としないため、総合的な失語症検査の実施が困難な患者についても重傷度評価が可能であり、汎用性が高いとされております。

 なお、事務局といたしましては、この評価尺度を障害年金の評価項目として使用するに当たっては課題もあると考えており、仮にこの評価尺度を現行の会話状態からそのまま置き換えますと、現行よりも厳しい評価になってしまうため、置き換えるのではなく、現行の会話状態をこの評価尺度の手法を参考に改善していくのがよいのではないかと考えているところでございます。この点も踏まえご意見をいただければと思います。

 説明が長くなりましたが、検討課題2-1については以上です。よろしくお願いいたします。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。

 ただいま検討課題として「認定要領の評価項目について」の部分を説明していただきました。

 これについて構成員の皆様からご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

(夏目構成員)

まず、発音不能な語音というところですけれども、私どももこれは非常に矛盾が多くて、例えば、語音のみに集中していても全く会話が通じないという場合もございます。それで、臨床では、発語明瞭度検査というのを大体しておりまして、100単音を羅列します。それを一般的には、例えば「ぱ」とか「か」とか「ら」とか意味がない言葉を発言してもらって、それに対して5名の健常な聴覚を持つ者が判定をして、それで何%その言葉が正解だったかということをやりますと、再現性がすごくあります。全国津々浦々どこでもほぼ同じ、5%程度の誤差は出てくると思いますが、再現性があります。ただ、実際に診断基準として使う場合は100音ではちょっと大変だということと、5名ではなく、これは診断者ということでもいいと思いますので、簡易形としては50音ぐらいの言葉を発語するようなパターンをとって理解できたかどうかというと、この部分に関してはやはり患者さんから非常にクレームが多い部分なので、数値化したデータとして表現できるという意味では有用じゃないかなと思いますし、それから、後段で出ます発音補助装置又は顎顔面補綴物に関連しても、やはりこれも非常に診断者のばらつきが出ますが、ここでひとつ数値化したデータを置くことによって、客観的なものが出るというふうに考えております。

 あと失語症に関しましては、ボストンの失語症の重症度分類は非常にいいと思いますが、これをするためにはやはり診断書のスペースが非常に少ないのですけども、きょうここに精神障 害者用の診断書を持ってまいりましたが、これは裏面に詳しくチェックするような形でついていますので、現在この分野の診断書は、表面だけで裏は真っ白になっていますので、やはり今回の画期的に診断する側もしやすく、そして患者さんも納得していただけるとすると、裏面を利用して、このボストンの失語症重症度尺度を実際に書いてチェックする形。そして、私たちとしては、0、1が重症であるとか、分類もある程度準用すれば問題がないんじゃないかなというふうに考えております。 以上です。

 

(中島座長)

1つ座長からの確認ですけれども、今の夏目構成員のご意見は、この発音の語音の状態を評価するに当たり、新しい評価法をご提案いただいたのですけども、それはどの程度社会的に利用されているものなのでしょうか。要するに、評価方法というのはある程度の再現性、妥当性の検証まで全部必要だと思うのですけども、それが済んでなおどのぐらい利用されているかというところは気になるところです。

 

(夏目構成員)

 おっしゃるとおりだと思います。私どもの分野では相当使われておりますが、今お話ししたように100単音話をして、それに対して正解を見ていくというタイプの診断でございます。

 

(田山構成員)

 最初の「発音不能な語音」、この4種の語音で評価してということですが、実は会話状態と並行していない、診断が並行していませんので、私もこの4種の語音が余り意味はないのではないかと考える次第です。ですから、会話状態を中心にすると、これの語音での評価度が一致せず、使うとすると、残った障害、構音障害がどういう病態であるかという意味では、この音が出ないというような意味合いはあると思うのですが、ここからは誘導できないように思います。ただ、新しい評価基準に関してはちょっと私専門ではないので、何とも申せませんが、最初のご意見のほうは納得できるものでございます。

 

(中島座長)

そうすると、ただいまの田山構成員のご意見は、従来の構音障害というようなものについても、語音を用いなくてもいいのではないかというご意見でしょうか。

 

(田山構成員)

 診断というか評価のところでは。ただ、残った障害がどうであるかという部分に関しては、こういったものがあることで軽い障害というかそういうものが受けられる可能性もあるので、これが無意味とは言いませんけれども、いわゆる全体的な尺度には一致していないようですので、そういった意味では使えないのではないかなというような気はしておりますが。夏目先生もそういうご理解でよろしいでしょうか。

 

(夏目構成員)

 関連して申し上げますと、その後の「会話状態」というところも、私どもよくクレームがあるのは、ここで「家族が理解できるが」という言葉が入っております。そうすると、これは多分、そのときのこういう委員会のなかで、家族はよくわかっているということが多いのですね、これ。ところが、第三者がわからないという場合があるのですが、実はこの場面にいきますと、私たち専門家が見てわかっていても、家族がわからないのに、なぜわかるとするのだというクレームがすごく多いんですね、これ。例えば、日常会話は家族が理解できるが、他人はできないといったときに、家族が理解できないのに、何で他人が理解できるのだということを、これは診断にかかわることを家族がなされてしまうのですね。これはすごく現場では多くあります。それで、やはり先ほどの歯茎音とか軟口蓋音もそうなんですが、「等」になっている。これに関してもここに分類されるべきだとか、項目が1つか3つかで違ってきますので、それによって非常にそこのところは、やはり平等性というのでしょうか、診断を納得していただくという意味では、先ほど申し上げたような形の多くの言葉をできるだけ確認して出すというほうが安全かなと思いますし、それから、「会話の状態」に関しても、これも先ほどの部分にはなりますが、会話明瞭度というものは一般的に今、これも一般と言われるとまたあれがあるのかもしれませんが、多くは私どもの分野では会話明瞭度というもので、先ほどのボストンの失語症重症度と同じような形で一定の、よく使われている定義の中で利用されていますので、診断医又は、診断医も非常に多忙なものですから、言語聴覚士という言葉を1つ入れて、診断医又は言語聴覚士が、これは専門でやっていますので、これも、いわゆる再現性からいきますと言語聴覚士の場合は相当きちっと再現性を持って判断していきますので、それのいわゆる会話明瞭度、これには今お話ししたみたいに全てわかるとか、それから一部わかる、内容を知っていればわかる、全くわからない、わかる言葉があると、誰が見てもわかりやすい、言葉をやはり家族の方の理解ではなくて、診断医又は言語聴覚士がそこで客観的に見るということで納得もしていただけるでしょうし、また、今お話ししたように、全国どこで受けても、どの先生に受けても大体の診断の現場ではSTはいますので、そこで十分な時間をかけて、どうしても診断医の場合は時間がかけられないというものがありますので、それで分類をすることによって客観性と再現性、そして受けられる方の納得が得られるのではないかなと思っております。

 

(加藤構成員)

 夏目先生の話は非常にわかったのですけれども、発音不能な語音のほうの評価でいうと、100音をどうのこうのというのは、なかなか現場では難しいのではないかということと、それから、僕は専門家ではありませんけど、やはり4種の語音が3つできなかったら2級でとか、そういうのは全くおかしいので、全く語音をここに挙げてできるできないというのは非常に不合理としか思いようがないので、先生が言われたような方向でいいと思うのですけども、やはり発語の明瞭度を分析してもいいというか、そういうことで評価してもいいと思うんですが、一番大事なのは、それが言語の機能の重症度にどれだけ関与するかというか、言語機能の重症度をあらわすような発声の評価をきちっとできるような項目にするべきじゃないかというふうに思うのです。それと同じように、失語症のほうもそうですけども、先生が言われたのはここでちょっとまずいと思ったのは、会話の明瞭度とかそういうことで失語症を評価するのはよくないと思うのです。失語症というのは内言語の障害も入っていますから、知能とは言いませんけど、意味の理解とかそういうような、発声だけでは評価できないものがありますので、やはりそこまで考えてじっくり作ってあるのがこのボストンの評価表だと思いますから、これ全面的に使うわけにいかないですけども、これと似たような表をこちらの本法版に作成して使うというのがとても大事で、夏目先生言われたように、家族がどうのとか、最近家族もぼけちゃったりしている人も多いので、全然話にならない。あと電話とか、今、多様な電話があるので、何だかわかりませんから、モニターができる電話もありますから、そういう非常に時代遅れの言葉は省いて、ボストンのような評価尺度をもうちょっと簡略にした形に書き換えたらいいのではないかなと思います。

 

(中島座長)

 石本先生、一言。

 

(石本構成員)

 夏目先生が言われるように、やはり発語明瞭度、リハビリの現場では多分それが使われてリハビリしてどうなっているかというのを評価していると思うのですけれども、それと、いわゆ る障害年金と、あと障害者手帳ですね、その3つが一致するような形である程度持っていったほうがいいような気がします。今だとばらばらで評価されていますのでその辺の統一するのが良いと思います。

 

(中島座長)

 次回以降におきましてもこの問題は議論いたしますので、もう1点ここの場で触れておきます。

 失語症の評価というときに、発話だけじゃなくて読み書きというような問題、どのように評価したらいいのかということについてどなたか、ご意見を承っておきたいのですけど、いかがでございましょうか。

 

(豊原構成員)

 失語症に関して、高次脳機能障害の一つの部分症としての失語症ですけども、会話能力、意思疎通能力ということで失語症を捉えて、失語症にもいろいろなタイプがある んです けども、究極のところは、結局、理解面の障害なのか、それとも発語又は言語の表出面の障害なのかというふうに分けて箇条書きにして基準みたいなものを設ければいいかなというふうに思います。このボストンの失語症診断検査もいいですが、もう少し身体障害者手帳では理解面と表出面というふうに2つに分けて障害等級をより分けられるようにできていると思うのですね。ですから、これ身体障害者手帳の言語の失語症の分類というのかな、それをやはり重視すべきかなというふうに思います。

 例えば、2級の言語の機能に著しい障害を有するもので例を挙げますと、理解面においては、例えば、これは身体障害者手帳に書いてあるのですが、本人や家族の名前、住所、日付などを理解できないとか、基本的な日常生活動作に関する指示がわからない、これは理解面の障害。言語の表出面に関しては、本人や家族の名前、住所、日付などが言えない、日常生活動作に関する要求が全くできない。これはやはりどちらにおいても言語の機能に著しい障害を有するものであるというふうに考えますので、身体障害者手帳の理解面における障害と表出面における障害というものも加味して失語症に関して一つの基準というものをつくったほうがいいかなというふうに考えております。

   

(中島座長)

 ありがとうございました。手帳制度のほうに倣えば、話す、聞くの両方はポイントとして押さえられているということですけれども、読む、書くはいかがでしょうか、加える必要は。内言語の生成という観点では関連があるかなという気もいたしますが、いかがでしょうか。

 

(田山構成員)

 基本的にこれは会話によるコミュニケーションの障害程度を評価するというのが目的だとすると、その読み書きまで入れてしまうと、これは煩雑になってしまうような気がしますけど、いかがでしょうか。

 

(武田構成員)

 私、今、先生が言われたように、読み書きについては、大体失語症では障害されているわけですから、それをまたここの中に入れると非常に煩雑で難しくなると思います。読み書きだけが障害にされているという患者さんもいらっしゃるけれども、やはり数も少ないので、ここはやはり会話ということで、というかコミュニケーションの障害、特に会話によるコミュニケーションの障害というのを重視していいと思います。

ボストンの失語症の重症度では具体的なことが書かれていないのでわかりにくいところがあると思います。 表出面でいえば、自分の名前も言えないとか、そのくらいだとかなり悪いと考えていいと思います。 受容面 でいえば、あなたは今赤い服を着ていますかとか、そういう簡単なイエス、ノーで答えるような質問にも答えられないというのはやはり重いと 言えるのではないでしょうか。このような具体的なことをこのボストンの失語症の重症度に加えて入れてもいいのかなと思います。かえって煩雑かもしれませんけど。

(中島座長)

 ありがとうございました。大変貴重なご意見を伺いまして、問題点、課題となる点が整理できました。 先ほど、事務局のほうからは、もしこのボストンに移行するとなると、書き換えたとしても現在の方法の継続性等いろいろな問題が生じるということで、これを実はお聞きしたいところですけれども、先に課題2-2の部分を説明いただいて、最後のディスカッションの際にまたこれを持ち出したいと思います。事務局のほうから次の2-2について説明をお願いできますでしょうか。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 それでは、検討課第2-2についてご説明いたします。

 7ページをご覧ください。

 こちらは「等級判定の基準について」でございます。

 項番(1)は、先ほどご議論いただきました検討課題2-1の内容を踏まえ、「発音不能な語音」の評価について3点挙げております。

 1つ目は、失語症について「発音不能な語音」に関する評価は不要としてよいかということでございます。

 現行の認定事例を見ましても、「会話状態」や「現症時の日常生活活動能力及び労働能力」欄等に記載されている症状から総合的に評価をしており、「発音不能な語音」の記載は基本的に判断材料となっていないものと思われますので、失語症の場合には、「発音不能な語音」に関する評価を不要としても問題ないのではと考えたところでございます。

 2つ目は、「音声・構音障害」について「発音不能な語音」の基準は現状のままでよいかということでございます。

 今ご議論いただきました検討課題2-1の項番(1)の内容を踏まえて見直したいと考えております。

 3つ目は、評価項目の見直しに伴う変更以外に見直すべき部分があるかについてです。

 評価項目の「発音不能な語音」、それから会話状態については個別に今ご議論いただいているところでございますが、これ以外にも見直すべき部分がございましたらご意見をいただきたいと思います。

 検討課題2-2については以上です。よろしくお願いいたします。

 

(中島座長)

 今、説明がありました点について、先生方のご意見いかがでございましょうか。

 

(豊原構成員)

 簡単に。この失語症に関してなんですけども、「発音不能な語音」に関する評価は不要としてよいかということなのですけど、やはりこれは主治医の臨床能力にもよるところが多いと思いますけれども、やはり失語症がメインで、それによって日常生活が著しい制限を加えるか、労働が著しい制限を受けるかということを評価しなきゃいけないので、これはもう失語症に関しては「発音不能な語音」に関する評価というのは参考程度でよろしいかなと私は考えます。

 

(中島座長)

 いかがでございましょうか。

 

(加藤構成員)

 基本的な質問ですけど、これはスペースをこのスペースの中に入れなきゃいけないのですか、それとも、例えば先ほどご意見が出ましたように、裏を使って言語コミュニケーションの状態というのをもう少し詳しくチェックするような形にするのでしょうか。いろいろなことをまとめたいと思ったら、見直しをやろうと思ったら、やはりこのスペースでは足らないと思うのですけども。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 確かに今現在の診断書は裏面のほうは使っておりませんが、裏面のほうを使うスペースはございますので、評価項目等を今回のご議論をいただいて変える際には、裏面のほうも活用して広くスペースをとることも考えてございます。

 

(中島座長)

3つの点について事務局から説明いただきました 今、豊原構成員のほうから、「発音不能な語音」に関する評価についてご意見を伺いましたけれども、残り2点いかがでございましょうか。

 

 (田山構成員)

 「音声・構音障害」についても、これから会話の状態を決定するのは難しいと思います。

ですから、やはり先ほども申しましたように、障害の状況という参考には使えるので、なくさなくもいいと思うのですが、それから結びつきを2級だなんだで数でくくるのはちょっと外してもいいかなと思いますけど。

 

(中島座長)

さて、いかがでございましょう。

 そうすると、本日の段階では、夏目先生のほうから先ほど新たな評価方法というご提案をいただいたところでございますけれども、それもご意見として残しながら、現行の方法もありというご意見がありましょうか田山先生これを残しておくか、要らないか。

 

(田山構成員)

 参考で例えば障害状態を出すときには残しておいてもいいかなと。ただ、先ほども申しましたように、また意見が出ましたように、スペースの関係とかほかの診断においても多分参考の資料が載るようになると思うのですが、ですから、それはその時点で決めてもいいかなと僕は思っています。

 それから、大前提である「音声又は言語機能に著しい障害を有するもの」とか、この文言は、これはもう規定のものでしょうか。それはそのままでその内容を検討するという理解でよろしいでしょうか。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 「音声又は言語機能に著しい障害を有するもの」というところにつきましては、今のところ変更は考えておりません。こちらの内容について、より明確に詳細に記載できるようにということを考えております。

 

(田山構成員)

 そうしますと、例えば障害手当金の言語の障害というところにはやはりどういった障害、病態が残るかということで参考として項目は残したほうがいいかもしれないと考えます。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。先生方よろしゅうございましょうか。

 おおむねの議論のたたき台はできたように思います。

 課題3に移る前に、事務局のほうから極めて簡単に失語症に伴う、あるいは構音障害でもいいのですけれども、ボストンの重症度評価を採用すると現行からの移行においてどのような問題が生じるかということを簡単にご説明いただけますでしょうか。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 それでは、簡単にですがご説明させていただきます。

 現在の私どもの認定基準2級相当でございますが、こちらは資料の7ページにも書いてございますように、「音声又は言語機能に著しい障害を有するもの」として「ア」又は「イ」のいずれかに該当するものをいうというふうになってございます。

 これに対しまして、ボストン失語症重症度評価尺度についてですが、例えば一番重い区分0ですと、「実用的な話ことばも理解できることばもない」という書き方になってございまして、この場合、言語表出面、また言語理解面両方について評価をしているところでございます。

 先ほども申し上げましたが、現在の認定基準では、音声言語の表出面について評価を行っておりますので、例えば、ボストン失語症重症度評価尺度の評価区分0に2級を置き換えたとしますと、言語理解面等について評価を求めることになり、基準が厳しくなるのではないかと考えている次第です。

 

(池上事業管理課給付事業室長)

 若干補足いたしますけれども、ボストンの重症度評価尺度の区分0が大体現在の障害年金の2級相当、会話状態に関する2級相当に近いのではないか。それから、区分1が障害年金の3級に近い書きぶりになっているのではないか。それから、区分2のところが障害手当金相当に近いような書きぶりになっているのではないか。おおむねその意味で、程度は似通ってはいるのですけれども、今、大窪のほうから申し上げましたように、理解面についても新たな条件として加えることとなる場合には、現行よりも規定が厳しくなるということでございます。

 

(夏目構成員)

 私どもは事前にこのことに関して相当ディスカッションしたのですが、私たちとしては重症度の0と1をやはり2級相当とすべきじゃないか。そして、2と3を3級相当、それから4、5に関しては軽度ということでいいのではないかというふうに私たちは考えております。もちろんこれとは別に発音・発語で問題があれば、それをインクルードして、こちらが例えば軽度であっても、発語に問題があれば、そちらのほうをとるという形をとると平等性もありますし、継続性もあるのではないかなと考えております。

 

(豊原構成員)

 今のことに関してよろしいですか。ボストンの失語症検査なんですけれども、0、1というのが著しい障害ということで2級でいいと、それから2というのが3級相当かな、そして3というのが障害手当金相当かな、そして4、5というのが不該当、障害手当金には当たらない不該当かなというふうに私は個人的に考えておりまして……

 

(夏目構成員)

 私も同じ意見です。ただ、軽度でも発語に別に問題がある場合もあれば、それを救うということ。

 

(豊原構成員)

 わかりました。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。

 それでは、検討課題3に移りたいと思いますので、事務局のほうよろしくお願いいたします。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 それでは、検討課題3についてご説明いたします。

 8ページをご覧ください。

 「その他の検討事項」といたしまして2項目挙げております。

 まず項番(1)の「人工物の装着や補助用具を使用している場合の判定について」です。

 現行の認定基準では、言語機能の障害で人工物の装着や補助用具を使用している場合の判定についての記載がございません。仮に言語機能の障害で装着する人工物や常時使用する補助用具があるとした場合、どの状態をもってどのように等級決定すべきかご議論いただきたいと思います。

 なお参考としまして、他の疾患の例を9ページにまとめておりますのでご覧ください。

 こちらには、人工物は装着後の状態、補助用具については「眼の障害」が眼鏡等による矯正後の視力で判定しているほかは、使用前の状態で判定しているところでございます。

 次のページになります。10ページをお開きください。

 項番(2)の1つ目の○、喉頭全摘出手術をした場合の基準について、下線を引いておりますが、「言語機能を喪失したもの」の部分の表現をどう考えるかについてです。

 運用現場では、喉頭全摘出手術を施した場合は一律2級と認定しているところですが、例えば、喉頭全摘出手術を施した後に、食道発声法の習得や人工喉頭の使用によって発声が可能となった場合でも、言語機能を喪失したものとして取り扱うか等についてご意見をいただきたいと考えております。

 最後に2つ目の○、喉頭全摘出手術をした場合のほかに、例示すべき事例はあるかについてです。

 現在の認定基準では、例示されているのは、こちらの喉頭全摘出手術をした場合だけですが、このほかにも例示すべき事例があるかなど先生方のご意見をいただければと思います。

 説明は以上です。よろしくお願いいたします。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。

 ただいま説明がありました検討課題3につきまして、どなたかご意見。

 

(夏目構成員)

 まず、私は(1)のほうについてでございますけども、発音補助装具でございますが、これは非常に多くの問題を抱えていると思います。例えば、この中でも一概に発音補助装具ということが人工物というふうにして装着するかしないかはちょっと決めがたいと思います。大きく分けまして、いわゆる顎顔面補綴物と言われているものですね、これは例えば上顎の腫瘍切除の後、それを切除して大きく穴が開いている。そうすると、その中から、皮の外から全部見えているという状態ではもちろん発音できないわけですけども、そういったものに関しては、例えば私どもですと、上顎を切除して軟口蓋を温存できた場合は、ほぼ100%、データですと87.1%程度の発語明瞭度が得られています患者の他の装具の評価と同様に外した場合の評価が妥当だと思います。しかし歯がない場合、これはある意味で眼鏡をかけているのと同じ状態になりますから、この場合は装着した状態で判断するべきだと思います。

 一方、例えば軟口蓋の挙上装置とかスピーチエイドとか言われているものですね、パラタルリフトとか言われているものですが、これは20歳未満の場合は口蓋裂といって先天性の疾患によるいろいろな状態で使っていますし、それから高齢の方の場合は脳血管疾患による鼻咽腔閉鎖機能不全に対することで使いますが、逆にこれは装置をつけることによって口蓋咽頭括約筋群のいわゆるトレーニングですね、腑活を図って補助するものでございますが、例えば歯牙をなくした段階でもすぐそれは使えなくなりますし、患者の状態を見ますと、これはスローダウンしていって、維持するということの意味合いが非常に強いものですから、やはりこの場合は非装着の状態で判断するのが現状の医療の中からは適応だと思っています。

 それから、前半の発音では聴覚判定に違いがあります。そこで記載しやすいに診断用紙の裏面を使うということが非常に大事じゃないかと言ったのと同じように、もう一つの、言語聴覚士が国家資格になりちょうど15年~16年位になるので言語聴覚士の役割は大きいですね。12年前でしょうか、改定されたときは。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 平成14年です。

 

(夏目構成員)

 ですね。だとすると、私は言語聴覚士の国家試験委員でありますとか幹事、国家出題基準審査委員をずっと当初ずっとやってまいりましたけども、当時は言語聴覚士はまだまだ5年の経過措置の段階で、言語聴覚士もいるし、今までのように日常臨床で見るものということで、ほぼ社会の中で言語聴覚士による評価であるとか、そういったものが診断に活用できる状況じゃありませんでしたが、言語聴覚士も15年以上を経ていますので、ほぼ社会の中でこういった言語を診断される先生方の多くは、既に言語聴覚士の方がいらっしゃいますので、その場合やはりこのスピーチエイドに関しても、言語聴覚士と評価をしていきますと、逆にすごくよくなるんですね。ですから、障害年金を最終的にはよくして数を減らすというのが一番大事だと思いますから、そういった意味では、そういった判定も、言語聴覚士が発語明瞭度を今回入れることによって、逆に歯科医学の現場ではやはりその分野はまだまだ遅れていますが、これを診断基準に入れることによって、そういった分野も二次的に、いわゆる入れ歯は噛めればいいというところから、発音もできる入れ歯。これは顎顔面補綴物と通常のものとはちょっと違うのですが、そういうような意味では、改善も望めますので、私としては、今お話ししたように、この分野に関しては2点、顎顔面補綴物と発音装具を分けて、前者は装着した状態で判定する。後者は、今言ったように一時的なもので変化が非常に激しいですから、これは非装着の状態で判定すべきだと考えております。

 

(中島座長)

 いかがでございましょうか、ほかの構成員の先生方。

 

(田山構成員)

一概に一緒くたに評価するのは、非常に僕は難しいと思うのですけども、例えば義歯にしても、つけているときとつけていないときでは発音が全然違いますし、そういうものをどうするかとか、そういうお話になってくると思います。ちょっと私がよく担当する気管切開に関してもカニューレを使用しないと声が出ない人はいますけれども、ただ、日常生活がどうかというところに絞ると、適切なカニューレで非常にもう仕事もされているということになれば、そこを補助用具を使わないと声が出ないとかという状況で全部判断してしまうのは問題か。特に喉頭に関していうと、喉頭の機能として温存している能力があるかどうかということが重要になってくるかもしれないと思うので、例えば、身体障害の場合に気管切開をしただけでは音声障害とかはとれませんので、この辺は一致させたほうがいいのではないかと思っております。ただ、喉頭機能が、喉頭は残っているが声帯が動かないとか、もう声が出ない状況で気管切開をされている、喉頭は取っていない状況でも音声機能が喪失されている患者さんはいますので、そういったものは例外的に僕らも申請をしております。

 関連して喉頭全摘出手術の場合ですが、術後の発声法の習得とか人工喉頭、そういったものは本人の代償みたいなものなので、これまで全部認定基準から外すというのは、これはいかがなものかと。多分この辺に関しては、どこかで喉頭全摘出手術をした場合、例えば食道発声法を身につけてもやはり等級はそのままであるというような、たしか何か通達か何かあったような気がするのですが。そのまま生かしたほうが僕はよいかと思いますけれども。ただ、気管切開の場合にはケース・バイ・ケース。それは原因がどこにあるか、喉頭の機能自体がどうなっているかで評価するということと、これは障害認定は見直してというのはありましたっけ、この場合。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 すみません、この場合と申しますと。

 

 

(田山構成員)

 この場合というか、この障害認定の基準、一度されたら見直すことはない。それとも見直される。

 

(中島座長)

 再認定の問題ですね。

 

(田山構成員)

 再認定の問題です。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 再認定はございます。1年から5年の範囲でその時点の障害の状態を見ることとしています。

 

(田山構成員)

 わかりました。とりあえずは喉頭の機能の状態で音声発声が可能な状況であれば、言語障害というのは起きませんので、そこのところはカニューレを使用していても認定しないとしたほうが今の身体障害者とか何かの障害基準に合致するものだと思っていますけれども。

 

(中島座長)

ありがとうございました。ただいま触れていただきました喉頭全摘出手術の問題なのです 10ページ、検討課題3の(2)の「喉頭全摘出手術した場合の基準について」という、タイトルのもとに今検討を加えて おるところで、この喉頭全摘出手術をした場合に相当する喉頭全摘出手術以外の何か疾病というような、あるいは状態が現実にございますでしょうか。

 

(石本構成員)

 喉頭全摘出手術をした場合は、その段階で今のほぼ永久ということでつけさせていただいています。それに かわるものが現状ありませんので。あと先生方言われたように、やはりどこで評価するかということですけれども、今、医療機器が非常に発展しているので、障害をカバーすることができるようになっていて、例えば耳でいえば人工内耳を使うとよく聞こえるのだけれども、もうそれは最初の段階で失聴しているというふうに評価しています。

 

(中島座長)

 そうすると、先生、喉頭全摘出手術に関してはもうほかに喉頭全摘出手術に相当するような事例は考えなくてもよろしいということでいいですか。

 

(石本構成員)

 喉頭全摘出手術は、田山先生言われたように、気管切開をある程度永久的にしなきゃいけない場合、ずっと開けていかなきゃいけない場合などが考えられると思います。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。

 

(加藤構成員)

これは喉頭全摘出手術の場合、言語機能を喪失したというのはちょっとおかしくて、言葉の理解も全く喪失しませんので、発声ないしは音声機能の喪失が考えられます。

 

(田山構成員)

 音声機能の喪失というのがいいかと思います。

 

(加藤構成員)

 そうですね。

 

(中島座長)

 わかりました。それでは本日お示しいたしました資料に関する検討は一通り終えました。

これは議論の終了を意味するのではなく、次回へのたたき台ということでございまして、我々が何を検討すべきかということが焦点だったということで。これに基づきましてまた第2回以降の検討に移りたいと思います。

 本日はまだ意見を述べ足りない先生方もおられるかとは思いますが、時間の都合もありますので、本日の議論はこれにて終了いたします。

 

(加藤構成員)

 このボストンの評価尺度は、誰の訳ですか。これを変えるとすると、この日本語を誰がつくったのかというをちょっと。というか原文があったほうがいいですよね、恐らく。

 

(大窪障害認定企画専門官)

 すみません、そちらのほうについては原文を確認いたします。

 

(中島座長)

 それでは、次回の進め方及び日程等について事務局からお願いいたします。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 次回の日程につきましては、8月4日月曜日の午後5時からの開催を予定しており、改めて開催場所のご連絡を差し上げたいというふうに存じます。次回の会合では、本日の会合におきまして十分議論できなかった点などにつきまして、先生方から補足的に提出資料としてご提示いただくことも考えておりますので、その際は、恐縮ですけれども、7月22日までにご連絡いただければと思っております。

 また、次回は関係団体からのヒアリングを予定しております。あわせて本日の議論を踏まえまして、見直し案のたたき台をお示しし、ご意見を伺い、整理させていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上です。

 

(中島座長)

 ありがとうございました。それでは時間になりましたので、本日はこれで閉じたいと思います。

 構成員の皆様には、長時間にわたりどうもありがとうございました。

 

(和田事業管理課給付事業室長補佐)

 長時間どうもありがとうございました。

 資料5の認定事例につきましては、回収いたしますので机の上に置いておいたままにしていただければと思います。よろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


(了)
<照会先>

厚生労働省年金局事業管理課給付事業室

代表: 03-5253-1111(内線3603)
直通: 03-3595-2796

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