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2014年6月23日 第9回社会保障の教育推進に関する検討会 議事録

○日時

平成26年6月23日(月) 15:00~17:05


○場所

中央合同庁舎第4号館1階108会議室


○出席者

委員

権丈善一座長 梶ヶ谷穣委員 寺田晃委員 細野真宏委員 宮台真司委員

説明者

株式会社政策研究所 株式会社東京リーガルマインド 株式会社放送映画製作所

事務局等

唐澤政策統括官(社会保障担当) 福本参事官(社会保障担当)
込山政策企画官 松江社会保障専門官
塩見文部科学省初等中等教育局教育課程課長

○議題

・地域社会保障教育推進事業の実施報告について
・社会保障の教育推進に関する検討会報告書(案)について
・その他

○配布資料

資料1-1 地域社会保障教育推進事業実施報告書 株式会社政策研究所
資料1-2 地域社会保障教育推進事業実施報告書 株式会社東京リーガルマインド
資料1-3 地域社会保障教育推進事業実施報告書 株式会社放送映画製作所
資料1-4 教材に関する教師および生徒からの意見
資料1-5 教師および生徒からのアンケート結果
資料2-1 社会保障の教育推進に関する検討会報告書(案)
資料2-2 社会保障の教育推進に関する検討会報告書(案)-資料編-
参考資料 社会保障教育の展開について

○議事

○権丈座長
 全員そろいましたので、ただいまから「第9回社会保障の教育推進に関する検討会」を開催させていただきます。

 委員の皆様方には、御多忙のところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、栗原委員、広井委員、増田委員、宮本委員が欠席です。

 また、本日より参加される新しい委員の方を御紹介いたします。

 本検討会では、前田先生に委員として長く御協力いただいておりましたけれども、全国社会保険労務士会連合会での役員改選に伴いまして、寺田晃先生に新たに御就任いただきました。寺田先生、よろしくお願いいたします。

〇寺田委員 
 全国社会保険労務士会連合会理事の寺田でございます。

 前田委員の後を引き継ぎまして、このたび、初めて参加させていただきました。

 何とぞよろしくお願い申し上げます。

○権丈座長
 よろしくお願いいたします。

 それでは、早速議事に入りたいと思います。まず、事務局のほうから本日の議題と配付資料について確認をお願いしたいと思います。

〇松江専門官  
 それでは、御説明させていただきます。

 まず、議事の1ですが、議事の1は地域社会保障教育推進事業についてでございます。

 社会保障教育を教育現場において試行実施する地域社会保障教育推進事業、いわゆるモデル授業を昨年度3事業者に委託して実施いたしました。

 前回、御議論いただきました教材案をモデル授業実施校に提供しまして、試行的に授業を行っていただき、検証を行いましたので、その結果を報告させていただきたいと思います。

 資料は、資料1-1から1-3が各事業者さんからの報告書、資料1-4、1-5は事務局から御用意させていただいています。

 議事の2につきまして、御説明させていただきます。

 「社会保障の教育推進に関する検討会報告書(案)について」でございます。

 本検討会は、発足時より、平成26年度で提言をまとめることを目指して検討を進めてきておりました。資料で一番後ろに参考資料を1枚つけさせていただいております。

 これは第1回検討会の資料を抜粋したものですけれども、今年度は提言に向けて目標としていた年度でございまして、また教科書会社が教科書の内容を見直すという節目の年でもあります。加えまして、学習指導要領の改訂の議論も始まるやに聞いております。

 これまで、8回にわたり精力的に御議論いただき、地域社会保障教育推進事業、モデル授業から得られた御意見を踏まえながら、地域社会保障教育のあり方について御検討いただきました。

 皆様に御議論いただきました社会保障教育のあるべき姿を、今後、広く教育現場などで各方面に周知するべくこれまで御議論いただいた内容を報告書に取りまとめております。

 資料としましては、資料2-1と2-2をつけさせていただいています。

 本日の議題については以上です。

○権丈座長
 どうもありがとうございました。

 それでは、議事の1番目であります「地域社会保障教育推進事業の実施報告について」について、事務局のほうから御説明をお願いいたします。

〇松江専門官
 検討会で御議論いただきました教材案をモデル授業実施校に提供し、試行的に授業を行っていただき、検証を行いました。

 モデル授業実施校に提供した教材案につきましては、資料2-2が検討会報告書の資料編とさせていただいておりますが、こちらに収録をさせていただいております。適宜御参照いただければと思います。

 また、これらの教材をもとに、オリジナル教材を作成した学校もございました。各校の実施状況につきましては、各事業者さんのほうから御報告いただければと思います。

 よろしくお願いします。

○権丈座長
 ありがとうございました。

 それでは、各事業者さんのほうから、御報告いただきたいと思います。

 まずは、株式会社政策研究所さん、お願いいたします。

〇政策研究所山本様
 それでは、御説明いたします。

 政策研究所と申します。

 私どもでは、都立荒川商業高校の学生さん、男性、女性、あわせて三十数名の学生さんに行いました。

 2校目が、千葉県のほうで進学校と言われております私立の敬愛学園高校。こちらは主に男性が中心です。

 3校目が、東京の私立の洗足学園中学高等学校、こちらは女子高でございます。

 この3校について、授業を行いました。

まず、1校目の荒川商業高校でございますが、すぐに卒業して社会に出て、働いたりする学生たちが多いということで、比較的、生徒さんも関心が高かったですね。

 ただ、それまでは学校側としては、社会に出てからこういう問題については、自分なりに学べばいいだろうということで、あまりやっていなかった。

 今回の授業を通して、先生方も改めて必要性を感じ、生徒さんも自分の抱いていたものあるいは家庭の中でお父さんやお母さんたちと時々話し合ったりすることが整理できたということで、非常に好感を持てた授業でございました。

 主にワークシートを使いまして、グループワークを行いました。当初はグループワークは非常に意見が拡散するのではないかということで心配されていたのですが、先生が積極的に各グループの中に入って、脱線しそうな意見をまとめながら、うまくグループディスカッションを進めたということでございます。

 それから、敬愛学園高校でございますが、ここでは「10個の『10分間講座』」をベースにいたしまして、クイズ形式で行われました。ただ、生徒さんが夢中になって、先生の説明、パワーポイントで説明していたわけですけれども、そちらのほうを見ないで一生懸命机に向かってペンを走らせていたということで、先生からはもうちょっと俺の話を聞いてよというような感じがありました。ただ、このワークシートについては非常に好感があったということでございます。

 洗足学園につきましても「『公的年金』ワークシート」等を使いまして、世界の労働問題から入っていったということです。労働問題の中で、この社会保障というのがどう生まれてきたのか。世界の傾向はどうなのか。一方、日本ではどうなのかということを2日間にわたって行われました。

 3校とも、「社会保障を教える際に重点とすべき学習項目」、これはA41枚のものなのですが、当初、これはいろいろ教材を作成するに当たって、ある程度参考となる補助教材というか、補助資料であるとお聞きしたのですが、先生方に言わせると、全てのものがコンパクトにまとまっていて、この資料が非常に役に立ったということで、先生方にとっては、この資料が非常に効果的だったと感じられます。ワークシートにつきましては、それぞれ生徒さんが、先生の指導のもとに1つ1つ自分なりに解くわけですが、グループディスカッションをやっていた学校は、回答について、自分の意見を出し合ったり、生徒同士がある程度けんけんごうごうになって、思わず先生がそこに飛んでいくような場面もあったのですけれども、それぞれの思いを生徒さんが持っておりまして、それをうまく先生が資料に沿ってリードしていったということで、非常に効果的であったと感じられます。

 以上が、この3校についての全体の事業を行った状況でございます。

 以上です。

○権丈座長
 どうもありがとうございました。

 続いて、株式会社東京リーガルマインドさんお願いいたします。

〇東京リーガルマインド情野様
 それでは、御説明させていただきます。

 まず5ページ目ですが、弊社のほうで実施した学校は、4校ございます。

 1つ目は明蓬館高校で、こちらは通信制の学校で、スクーリングの際の授業で実施いたしました。

 2つ目は、荻窪高校で、こちらは都立の高校です。

 3つ目は、新渡戸文化高校、こちらは中野区にある私立の女子高になります。

 4つ目がルネサンス高校で、こちらも通信制の高校です。茨城県の久慈郡という非常にのどかなところに昔の小学校の校舎を使った校舎で、スクーリングの際に生徒が集まったときの授業として実施させていただきました。

 この4校の選定に当たっては、明蓬館高校とルネサンス高校さんは、前年度の社会保障教育推進事業にも御協力いただいた関係がありまして、本年度も御協力をお願いして、快諾いただいたという状況であります。

 明蓬館高校とルネサンス高校は、両方とも通信制の学校ですので、他に一般的に学校に通う都立、私立の学校で協力をいただける学校を探しまして、その中で、荻窪高校と新渡戸文化高校さんにお願いしました。2校については、キャリア教育に関し熱心に力を入れてということで、御快諾をいただけたという状況であります。

 次、6ページ目ですが、弊社のほうで、今回のモデル授業のほうを進めるに当たって、4校とも基本的なカリキュラムの骨子は、同じような内容で進めさせていただいております。

 まず、教材につきましては「身近な社会保障ワークシート」、それから「理念やあり方ワークシート」、この2つを用いまして、さらに映像教材のほうも視聴するという形のカリキュラムで進めてまいりました。

 さらに、弊社としましては、当初、教材を見させていただいた際、高校生には非常に難しい内容だなと率直に感じまして、であればこそ、高校生のみんなに考えてもらう時間をしっかりとらなければいけないと考えまして、グループワークの時間を必ずとるというような形で、授業を進めてまいりました。

 「身近な社会保障ワークシート」の中でのテーマを1つ、それから「理念やあり方ワークシート」の中で1つ、グループワークを行うという形で進めてまいりました。

 まず、最初に、映像教材や基本的な知識についてインプットした後に、2時間目にグループワークをやるというような形の2コマで進めるという形で、全校ほぼ同じように進めてまいりました。

 次のページですけれども、明蓬館高校は、申し上げたような基本的なカリキュラムの骨子に従いまして、授業の進め方を先生と調整しながら進めてまいりました。

13名の方が登校していただき、先生が事前準備をしっかりされていまして、生徒さんにもわかりやすく、段階的に進めていくような形で解説が進められ、順調に進んでまいりました。

 グループワークに関しましても、先生と授業の進め方を検討していく中で、グループワークが成り立つかどうか非常に心配していたのですけれども、生徒さんのほうでしっかり考えて、それなりに自分なりの意見が出て、討論としては成立していました。それなりの考え方というものが身についたのではないかと思います。

 荻窪高校に関しましても、基本的には2コマで、1時間目に映像教材等を視聴していただいて、2時間目にグループワークをするという枠組みで進めてまいりました。

 先生のほうからのリクエストとしては、「身近な社会保障ワークシート」と「社会保障の理念やあり方ワークシート」両方とも生徒にはちょっと難しいのではないかと懸念がありましたので、教材をよりわかりやすくする工夫をしていこうという話をいたしました。

 その結果、もともとの教材をカスタマイズするような形で荻窪高校用のオリジナルの教材を作成して、授業を行いました。

 カスタマイズした教材は、この資料の最後の巻末に、参考資料として添付しております。

 さらに、授業の構成も、パート1からパート4と分ける形で授業を進めてきました。パート1では、まず先生がアイスブレイクとして、「10個の『10分間講座』」を導入で使いたいという形で、こちらを使いながら生徒さんに社会保障について、意識づけをしていただいて、それで映像教材を使ったという形です。

 その後、社会保障に関する一般的な知識を得たところで、「身近な社会保障ワークシート」の中にある資料を使いまして、グループワークを行いました。グループワークの対象としましては、家計のやりくりですね。どういう形のスタイルで生活していくべきかを、それぞれに考えていただくという形で討論を行いました。

 それから、パート4としましては、「理念やあり方ワークシート」の内容につきまして、家庭、市場、政府のどこが負担をすべきなのかというところに関しましても、それぞれ生徒の中で考えていただいて、自分なりに考えた意見を出していただくという形のグループワークで進めてきました。

 当初の懸念よりも、はるかに生徒さんのほうでしっかり考えてくれまして、生徒さんなりの考えがしっかり出ているというような授業で展開をしていきました。

 それから、新渡戸文化高校さんに関しましては、1年生ということもありましたので、先生が資料を丹念に1ページ1ページしっかり説明していくという形で進めていきまして、ワークシート2つと映像教材ということで、ボリューム的にちょっと多過ぎたかなというところがありまして、ちょっと時間が足りなくなってしまうという形でグループワークができないという状況になってしまいましたが、アンケートでは、おおむね学生の皆さんからわかりやすかったという回答をいただいております。

 ルネサンス高校に関しましても、オリジナル教材をつくりまして、特に、先生のけがをしたときの経験ですとか、老後にどのぐらい毎月生活費がかかるのかという試算をしたものを添付した形で、身近な内容となるように工夫して教材を作りました。

 通信制の学校ですので、10代の学生さんだけでなく、20代から30代の学生さんもいますので、そういった幅広い層が受講するというところも考慮した上で、先生のほうでカリキュラムの作成をして、社会人の学生の方でも身近な問題として捉えられるような工夫をされて、授業が進められてきまして、生徒さんもよく理解されていたという状況です。

 概要ですけれども、以上でございます。

○権丈座長
 どうもありがとうございました。

 続いて、放送映画制作所の住吉さんのほうからよろしくお願いいたします。

○放送映画制作所住吉様
 弊社は東京で3校、大阪で2校行いまして、東京の3校のうち、2校が公民、1校が中学ですので、社会科の先生で、1校が家庭科の先生です。

 大阪のほうは、2校とも家庭科の先生に行っていただきました。

 授業の策定としましては、こちらから教材を先生に渡しまして、先生のほうでどのように授業で使っていただけるかを検討していただいて、検討の途中でもう少しこうしてほしいとか、要望を加えながらプログラムを組み立てていきました。

 それで、11ページ目からなのですけれども、東京都立蒲田高等学校、この学校は公民科の政治経済の担当の先生に授業を組み立てていただきまして、3時間のプログラムにしていただきました。

 まず、1時限目なのですけれども、まずは先生がリスクについて生徒に意識づけをしたところから授業を組み立てて、生徒にもう少し身近なところで社会保障を感じてほしいというところがスタートになっております。

 そこで、最初に求人票を見せながら、実際の家計について考えて、そこでリスク、人生において病気やけがというところから入りまして、その後に映像教材を視聴しまして1限目を終了しております。

 2限目なのですけれども、2限目の最初にまずは前回の授業の復習を行いまして、その後に「身近な社会保障ワークシート」を使いまして、それぞれの時期でどのようなリスクがあるかを理解させました。

 その後に、身近なところから「理念やあり方ワークシート」を使い、社会保障についての理念やあり方を学ばせ、その途中でグループワークも挟み、前に生徒の意見を出させながら授業を組み立てていきました。

 3限目は、1限目と2限目に学んだことをあわせて、復習も兼ねまして、最後に少し年金について学習させることをもとに授業を展開していきました。

 次に、14ページ、足立新田高等学校なのですけれども、ここは家庭科の先生に授業を組み立てていただきまして、主に最初は社会保障の起源でしたり、理念のところから入り、まず、生徒の生活に則した社会保障を学ばせるために「身近な社会保障ワークシート」の「社会の一員として生きていくこととは」では、自立したひとり暮らしのやりくりについて考えさせました。

 1限目、2限目が終わった後に、映像教材を視聴して、1限目、2限目の授業を終了しております。

 3校目、東京都立桜修館中等教育学校につきましては、ここは進学校でありまして、中学校3年生なのですけれども、高校1年のカリキュラムを学ぶということで、今回、授業を受けていただきました。

 ここは主に「理念やあり方ワークシート」とテキストをじっくり使って、生徒が自発的に発言する生徒が多いので、グループワークを多目にとった授業展開になっております。

 まずは、クイズ形式で生徒に関心を持ってもらい、その次に生徒が考えるサービスと負担についての座標を前に張り出しまして、生徒に考え方を発表してもらい、その後、グループワークを行いまして、最後に発表といった形式で1限目を終わっております。

 2限目なのですけれども、2限目も同じようにクイズから入りまして、まず社会保障制度について「理念やあり方ワークシート」を使い、その後に、日本、アメリカ、スウェーデンのそれぞれの国の社会保障制度について考え、最後にそれぞれが日本、アメリカ、スウェーデンのどの形がいいかを発表させ、またグループワークを行い、グループの中で共通した意識を話し合いさせて、グループごとでの発表を行う、そういったグループワーク中心の授業展開で行いました。

 大阪府立芥川高等学校なのですけれども、ここは家庭科の授業でありまして、ここも卒業後に就職する生徒が多いということで、まずはどのように身近なところでアクセスするとか「理念やあり方ワークシート」、「10個の『10分間講座』」や「社会保障って、なに?」という映像教材を使いまして展開しております。

 まずは、クイズに取り組ませて、生徒が今、どのような社会保障について認識を持っているのかを意識させて、その後に映像教材を使い、1限目を終わっております。

 2限目なのですけれども、前回の映像教材の振り返りから始まり、その後に社会保障について「身近な社会保障ワークシート」、そして先生がオリジナルでつくった教材を使いまして、実際に高槻市の年金事務所の配布物等を紹介し、学生納付特例の申請の仕方があることなど、具体的なことを学習しました。

 3限目なのですけれども、1・2限目の学習のまとめとしまして、生徒がポスターをつくるという形式で、1・2限目で学んだ知識の学習を外にアウトプットさせることで自分がどこまで理解をしたということを学習しました。

 大阪府立茨木西高等学校なのですけれども、ここも家庭科の先生で、まずは全生徒にどのようなリスクがあるかと考えさせた後に「社会保障って、なに?」を視聴し、導入とした1限目になっております。

 2限目なのですけれども、主に年金と健康保険について、もう少し深く学習していきました。まずは「あなたが望ましいと考える『社会保障制度』とは」を使いまして、その後に、諸外国について考え、どのような形がいいのかをグループワークを行いまとめて学習を終了しております。

 巻末の81ページ以降に、生徒がそれぞれの学校で使ったパワーポイント資料等を添付しておりますので、御確認のほどをお願いいたします。

 以上になります。

○権丈座長
 どうもありがとうございました。

 ご提出された資料81ページ以降の「参考資料 教師オリジナル教材」というのも非常に読みごたえがありますので、ぜひとも皆さんごらんになっていただきたいと思います。

 続いて、資料1-4と資料1-5について、事務局のほうから御説明いただければと思います。

○松江専門官
 資料1-4と1-5について説明をさせていただきます。

 ただいま3社さんから御報告いただいた内容を総括的にまとめさせていただいております。

 資料1-4は、教材に関する御意見をまとめたもの。資料1-5は先生、生徒さんからのアンケートの結果をまとめたものという形になっております。

 まず、資料1-4ですが、それぞれの教材について、効果的と思われるといった御意見と問題点等としていただいた御意見をそれぞれ整理しておりまして、それに対する対応案を記載してございます。

 まず、1点目「『(1)重点とすべき学習項目』に対する意見」ですが、こちらは「効果的と思われる点」としまして、社会保障の全体の仕組みが簡潔にまとめられている、社会保障の全体像を把握する上で教員にとって参考になった、教えるべき内容が網羅されているといった御意見を頂戴しております。

 続きまして「(2)『重点とすべき学習項目の具体的内容』に対する意見」です。

 こちらは「効果的と思われる点」として、どのような点を重点的に説明したらよいか簡潔にまとめられている、教科書よりも要点がまとまっている、社会保障制度の意義や仕組み等の内容がわかりやすいなどといった御意見をいただいております。

 一方で「問題点等」として、次のページですが、資料集、参考書、用語解説集などがあるとよい、もう少し図があったほうがよいといった御意見をいただいております。

 これらの御指摘につきましては「(対応案)」のほうですけれども、資料集や参考書、用語解説集など、補助的な教材については、各教科書会社さんにおいて、各社さんの教科書の内容に基づいて作成されておりますので、厚生労働省としても、本教材等を教科書会社さんのほうに情報提供する際に、社会保障についての理解を深めることができるウエブサイトや厚生労働白書といった資料集等を作成する際に参考となる情報を提供したいと考えております。

 「(3)映像教材『社会保障って、なに?』に対する意見」です。

 「効果的と思われる点」では、学習への意欲が高まった、集中力と理解力の向上につながった、おさらいとしても活用できるといった御意見をいただきました。一方で「問題点等」として、年金編と健康保険編の2編に分けるなど細分化されるとよい、それぞれを個別に説明できるとよい、文字がもう少し長い時間画面に表示されているとよい、全体的に少々長いといった御意見をいただいております。

 これらの御意見に対しましては、モデル授業で使用した後に、年金編、健康保険編などについて、チャプター分けを行って、細分化して使用する際の利便性向上をしてございます。

 続きまして「(4)『社会保障の理念やあり方を考える』ワークシートに対する意見」です。

 「効果的と思われる点」としまして、知識の詰め込みだけに終わらずに、考えをまとめながら学習できた、生徒が制度や仕組みについて、さまざまな考察を行うことができた、グラフがわかりやすく、具体的な例が出ていたのでわかりやすい、教材の指導方法がわかりやすく載っていたのが役に立ったといった御意見をいただきました。他方で、問題点等として、「F」家族依存型、「M」市場依存型、「G」政府依存型や、サービスと負担の割合の違いによる詳しい違い、長所・短所などが知りたかった。社会保障の充実している国では実際にどのような保障を行っているのかといった、より詳細な情報を求める意見を生徒さんからいただいております。

 その他、冊子にしてもらえると保管しやすいといったような御意見もございました。

 これらの御意見につきましては、次のページの対応案のところですけれども、ワークシートの活用マニュアルのほうに、例えば家族依存型、政府依存型、市場依存型の特徴を、厚生労働白書で引用をしているエスピン=アンデルセンの福祉レジーム論を参考として、記載をさせていただいております。

 ですので、生徒さんの理解度や関心度に応じて、授業の中で適宜御活用いただければと思います。

 「(5)『身近な社会保障を学んでいく』ワークシートに対する意見」です。

 こちら「効果的と思われる点」としましては、生徒に年金のメリット、年金保険料を納める意義をわかりやすく教えている、生徒に直接考えさせ、みずから解答を記入させるように授業を進められる、生徒に伝達したいことが簡潔にまとめられている、次のページですが、給付と負担の両面から学習できるといった御意見をいただいております。

 「問題点等」としての御意見は、1シートの情報量を少なくしたほうが、より授業で使いやすいといった御意見を頂戴しております。

 「(対応案)」ですが、教室の広さや生徒さんの人数、スクリーンの大きさ等々に応じて、適宜、現場の先生方のほうでワークシートの文字数等を調節できるというのがベストということで、加工可能なファイルを厚生労働省のホームページのほうに掲載させていただきたいと考えております。

 「(6)年金教材「10個の『10分間講座』」に対する意見」です。

 「効果的と思われる点」としましては、まず、生徒に彼らが持っているイメージとのギャップに気づかせることができた、これまで誤解していたことや知らなかったことを知ることができた、問題が生徒にとって身近なものであったために、わかりやすかった、クイズが非常におもしろく、また簡単な質問なのに意外とわからないところがよかった、クイズ形式なのでゲーム感覚で取り組むことができた、高校生も興味、関心を持てるように構成されている、生徒の自習用にも活用できて便利といった御意見をいただいております。

 他方で「問題点等」のほうですが、公的年金が皆加入であるということを載せたほうがよい、年金について、なぜ未納問題が起こるのかという点について触れていない、年金記録問題や保険料の払い込み方法について、もう少し具体的な解説があるとよい、ボリュームが多過ぎる、スクリーンに投写して使用することを想定して、モノクロでも見やすい画像にするとさらに使い勝手がよくなるといった御意見をいただいております。

 こちらにつきましては、年金が皆加入できることを載せたほうがよいという御意見をいただいておりますが、こちらについては、日本の公的年金制度は20歳以上の全ての国民が加入する、国民皆年金となっている旨を追記するということにしております。

 さらに、スクリーンに映しても、生徒さんが見やすいように、カラー化をしてございます。

 「(7)『年金』ワークシートに対する意見」です。

 「効果的と思われる点」としまして、暮らしのやりくりや社会保障のメリット、保険料の払い込み等を考える上で参考となる、生徒に伝えたい点が図式を交えてコンパクトに整理されているといった御意見をいただいております。

 「問題点等」としましては、細か過ぎてわかりにくいといった御意見もいただいております。

 ただ、本ワークシート自体が比較的詳しい情報を載せるという形のワークシートになってございますので、より発展的な学習に使用できるようになっております。

 ですので、年金についての基礎的な学習には、例えば先ほどの「10個の『10分間講座』」なども活用していただいて、生徒さんの理解度や関心度に応じて、適宜、使い分けをいただくという形で御提案をさせていただいております。

 9ページ「(8)その他の意見」を御紹介させていただきます。

 例えば、学校現場ではA4サイズではなくて、B5サイズが基準になっている。担当教員が自由に編集できるように、データとして提供してもらいたい。

 年金について調べるのに、便利なホームページの紹介、資料の紹介などがあると、調べ学習など、さらに発展した学習が行えるといった御意見をいただいております。

 こちらにつきましては、用紙サイズについては原稿サイズはA4でファイルが作成をされておりますけれども、印刷をする際に、用紙サイズを指定して御出力いただくというのがベターかなと考えております。

 また、生徒さんのレベルに応じた調整等を先生の方々ができるように、例えばワードやパワーポイントといった加工可能なファイル形式でホームページに掲載するという形であれば、こちらの御意見のニーズに応えられるのかなと考えてございます。

 また、どういった形で加工するのがいいのかといった1つの例として、先ほど各社さんからの報告でもございましたけれども、モデル授業の先生方が検討会教材をもとに作成したオリジナルの教材といったものも一例としてございますので、こちらも御参考として、厚生労働省ホームページに掲載しまして、適宜御参照いただくという形にしたいと思います。

 また、調べ学習など、さらに発展した学習に対応するものとしては、以下に記載しておりますウエブサイトを紹介させていただきたいと思います。

 続きまして、資料1-5「教師および生徒からのアンケート結果」につきまして、御説明をさせていただきます。

 こちらはモデル授業のほうで、各実施校のほうで生徒さん及び先生の方からアンケートをいただいておりますので、その結果をまとめてございます。

 まず、1番のところは生徒さん向けのアンケートの集計結果です。

 「(1)社会保障に対するイメージを問う質問」では、授業前の社会保障に対するイメージは「良い」「やや良い」があわせて16%でしたけれども、授業後には、それが46%にまで高まりました。

 また、「(2)社会保障に対するイメージが変わったのかどうかを聞く質問」では、63%の生徒さんが「良くなった」「やや良くなった」と回答をいただいております。

 「(3)社会保障に対する関心度を問う質問」です。こちらは授業前では「高い」「やや高い」があわせて12%でしたけれども、授業後には57%まで高まりました。

 「(4)関心度が変わったかを問う質問」では、82%の生徒さんが授業後に「高くなった」「やや高くなった」と御回答をいただいております。

 次に「(5)教材の分かりやすさを問う質問」です。教材がわかりやすかったかどうかをお聞きしたところ、70%の生徒さんから「わかりやすかった」「ややわかりやすかった」との回答をいただいております。

 「(6)社会保障に対する今後の取組み意向を問う質問」、今後も社会保障を学習したいかという質問をさせていただいたところ、「そう思う」「ややそう思う」との回答が72%を占めました。

 4ページは、先生からいただいているものを集約したものです。

 まず、1点目としまして生徒さんの関心度を問う質問です。こちらは12名の先生のうち、11名の方から生徒の関心が「高くなった」「やや高くなった」と御回答をいただきました。

 また、先生御自身の関心度を問う質問では、12名中11名の先生が「高くなった」「やや高くなった」と御回答いただいております。

 最後に、教材のわかりやすさをお聞きしたところでは、17名中14名の先生が「わかりやすかった」「ややわかりやすかった」という形で御回答をいただいております。

 資料1-4及び1-5につきまして、御説明させていただきました。

 以上です。

○権丈座長
 どうもありがとうございました。

 いや、本当にお疲れさまでした。

 それでは、各社から発表いただいた資料1-1から1-3と事務局から説明があった資料1-4、1-5について、御質問などあれば、よろしくお願いいたします。

 何かありますか。

 ・・・
 ・・・

 では私が。座長が手を挙げて質問をするのもなんですが、資料1-5の生徒に対するアンケートで、授業前と授業後の社会保障に対するイメージの変化が一番最初にあります。授業に取りかかる前の先生による社会保障へのイメージがどう変わったのかというのも知りたいところですね。そうしたアンケートはないのでしょうけれども、授業の準備に取りかかって、準備してみたら、イメージが変わってしまったというようなことがあるのではないのかと思います。それは最後の4ページの2番目、教師に対するアンケートで、教師自身の関心度を問う質問、これがかなりそれに近いものかなという気がします。社会保障の場合は、この4ページの2番目のように、教師が授業を行ってみたら社会保障に対する関心が高くなったかどうかということは非常に重要な意味を持ってきます。結果を見ると、12名中7人の先生が自身の関心が「高くなった」4人の先生が「やや高くなった」と答えられていて、「変わらない」と答えた先生は1人しかいない。今後、日本中の先生達に、いろいろとこの教材を気軽に使ってもらいながら社会保障の授業の準備をしていただくというそのこと自体が、実は大きな意味があるのではないかと思っております。

 私のほうからは以上で、何かございますか。

 よろしくお願いいたします。

○細野委員
 今の権丈座長の指摘について、私もちょっと詳しくできれば政策研究所さん、リーガルマインドさん、放送映画制作所さんのほうから、先生とじかに接していらっしゃって、いろいろ御意見を聞いたと思うので、実際にこの教材を渡す前の認識と、渡して授業をやった後で、お三方がごらんになって、先生方が具体的に「ああこう変わったな」と感じられたことがあれば、ぜひこの場でお伝えいただきたいのです。

○権丈座長
 どうぞ。

○放送映画制作所住吉様
 イメージと関心度とちょっとずれるかもしれないのですけれども、これまで先生方、社会保障とかについて、授業を組み立ててくる中で、先生方それぞれ独自で教科書以外のところから資料を持って来たりするのですけれども、やはり、でもどこかマスコミの報道とかもあり、これは本当に100%生徒に伝えていい内容なのかという、98%ぐらい確証はあるけれども、残りちょびっとのところで不安になるというところがあったそうなのですけれども、今回、厚生労働省からの提供ということで、先生自身も最後のわずかな2%も自信を持って取り組めたというのが大きかったと言っていました。

 それで、確信を持って授業も行えて、その後、先生自身も確信を持ったことで、授業について、また、次、どのような展開にしていくかというのでも、生徒の声も聞き、とても参考になったということは聞いております。

○権丈座長
 どうもありがとうございました。

 では、リーガルマインドさん、よろしくお願いします。

○東京リーガルマインド情野様
 先生が変わったといいますか、先ほども申し上げましたけれども、最初、授業の実施をお願いしに行ったときに、資料を一通り見たときには、うちの生徒に教えるにはちょっと難しいかなというところを、どの学校でも先生方がおっしゃっていたのですね。

 確かに私どももそうかと思いましたが、であればこそ、グループワークで生徒に考えさせるという時間をとるべきだと考えましたので、授業の進め方も含めて、先生方にお願いしました。最初は先生方、内容自体の難しさと、グループワークで行うという2つの点が難しいかなと考えていらしたようなのですけれども、やはりいざ授業が始まると、先生方はプロフェッショナルなので、非常にうまく授業のほうを進行していただいて、グループワークも予想以上に生徒から活発な意見が出てきたという形になりました。その意味では、先生も先生なりの考え方で、自分たちの生徒に教えていくということを具体的に考えたときに、素材として非常に重要なものだという認識に変わって授業に取り組んでいただけたと思います。そういうプロフェッショナルとしてうまくやっていただけたというところだと思います。

○権丈座長
 どうもありがとうございました。

○細野委員
 今の話について、ちょっと追加で伺いたいのですけれども、先生は当初はすごく教えることに対して、そんなに肯定的ではなかったけれども、実際、御自身で試行錯誤した結果、客観的にごらんになって、ああさすがプロフェッショナルだなというぐらい、やりこなせたわけですよね。その意味では、先生自身の見方というか、その充実度みたいなものも結構、端から見ていて変わったなと感じられたということですか。

○東京リーガルマインド情野様
 それは感じました。授業が終わった後、社会保障の仕組みや意義について、生徒に理解させることができたという達成感に見えました。グループワークもそれなりにうまく行ったので、先生もやり遂げたという形で終われたと思います。

○権丈座長
 どうもありがとうございました。

 政策研究所さん、よろしくお願いいたします。

○政策研究所山本様
 先生が生徒よりも自分の考え方、知識が整理できたというのが、圧倒的に多いですね。

 一方で、電話では授業に協力いただけるというご返事をいただいた先生も、こういう資料ですよと資料を送った途端に腰を引いてしまう方もあって、3校授業を行っていますが、そのほかに4校、5校ぐらいでは、やりましょうという段階で資料を見せた途端に腰を引いて、やはり私には無理ですと言われたところがございます。

 ただ、先ほど言いました「10個の『10分間講座』」等については、敬愛学園さんは総合的な学習の時間でやりました。各先生たちが皆さん逆に素人というか、こういう知識をそんなに深く持っていない先生方が、自分たちが中心となって何とかやろうではないかということで実施しました。これから社会保障を教えていく上で、いろいろな先生がいろいろな形で教えていく方法が今回できたのではないかということ、先生たちが抱いていた知識を整理できたということなどが非常に大きかったなと感じております。

○権丈座長
 どうもありがとうございました。

 私のほうから1つ質問をさせていただきたいのですけれども、資料を送ったら、やはり無理だと判断されたその無理という言葉の意味は一体どういうことなのかなというのがあるのですけれども。

○政策研究所山本様
 生徒さんの意見にもありましたけれども、非常に中身が難し過ぎる、図表が細かくて、それだけで圧倒されるという生徒さんの意見です。先生も同じで、社会保障にそれほど深くかかわっていない方ですと、これほど体系的に短い時間の中で教えていくということに対して、これはちょっと私には無理ですねということです。ボリュームと一つ一つの言葉の深さ、意味の深さというものが、なかなか自分たちがやってきた授業の中では対応できない。この資料で授業をすることはちょっと難しいということです。敬愛学園さんもそうだったのですけれども、ほとんどが受験ということで、用語の説明ですとか、何年に何があったということだけを教えてきて、深い言葉の意味ですとか、背景ですとか、何でこのようなものが生まれてきたのかというようなところまで、踏み込んで教えてこなかった。今回、それが非常に細かく書いてあるので、自分が棒読みになって生徒に教えてしまうのではないかということで腰砕けになったのではないかと思います。2人ほどの先生になぜですかと聞いたときに、電話口でそのようなことをおっしゃっていましたね。

○権丈座長
 どうもありがとうございました。

 授業の依頼をした先生から無理と断られた時、その理由は、難しい、あるいは今までやったことがないからということはあるかと思います。もう1つは、今まで教えてきた社会保障に対する方針、あるいはその先生がこれまで抱いてきた社会保障のイメージと違うという意味で無理という発言がなされることもあるかと思います。社会保障に関しては、そういう状況が起こり得るんですね。そういう理由で無理という言葉が使われたのかなと思ったのですけれども、そうではないという話でしたので安心いたしました。

 では、細野委員、どうぞ。

○細野委員
 私もそれは、先生の判断はきっとそうだろうなと思っていたのですが、ただ、「10分間講座」のような形で、普通に子どもが見ても、ハードルが上がらないような形にしておけば、進んで取り扱いたいという話でもありますよね。

 そういった意味では、今度は、文部科学省さんのほうにぜひ伺いたいのですけれども、なかなか学習指導要領の改訂と言ったら、また日数が結構かかってしまうのですけれども、総合学習という、すでに存在する枠があるわけです。総合学習は本来的には、受験と関係なく、世の中に出て行ったときに、仕組みとか、考える力とか、「社会に出てから役立つ力を育てよう」というところで始まっていると思うのですけれども、まさにそれに該当するものが、この社会保障の教育であって、それの教材を今回こうやって提示できたと思っているのです。これまで総合学習が始まった当初から言われていたのが、必要なのだけれども、ただ実際にその教材などを先生が作成したり準備するのに物すごく手間がかかって、結局なかなか効果的にできないというのが問題点としてあったと思うのです。それを解決するためにも今回のこの検討会の中で、1つの答えを提示できたのかなとは思ってはいるのですけれども、総合学習のほうでこれから何か文部科学省さんのほうで、うまく取り入れる方法みたいなものというのがございましたら、ぜひ伺いたいのです。

○塩見教育課程課長
 文部科学省の教育課程課です。

 今、お話いただきましたように、総合的な学習の時間というのは、まさに子どもたちにいろいろ議論させたり、いろいろな素材の中で、自分たちで学んで考えさせたりすることで、課題を解決していく力を身につけてもらおうということでやっているものでありまして、特に教科書があるわけではなくて、それぞれの学校でテーマを決めて取り組んでいただくということになっているものでございます。

 ですので、今、お話ありましたように、まさに社会保障のような、恐らくいろいろな課題があって、その解決について、自分たちも加わって考えていかなければいけないようなテーマを扱うというのは、非常に効果的なことだろうと思っております。文部科学省として必ずこれをやりなさいというのは、仕組み上なかなか難しいのですけれども、こういうすばらしい教材ができて取り組みとして効果が上がったこともおまとめいただきましたので、また、我々としても、十分に情報を発信して進めていければと思っております。

○権丈座長 どうもありがとうございました。

 宮台先生、何かございますか。

○宮台委員 教員の方々が尻込みをする理由は、当然のことでよくわかります。

 なので、恐らくもう少しわかりやすいフックがあったほうがいいのだと思います。

 この検討会の最初のほうでも、年金保険は破綻することがない。給付を下げればいいだけだし、あるいは年金保険料未納者を批判する必要もない。彼らには年金保険が給付されないという話が出ましたよね。

 こういうあたりは、非常にフックとして重要ですよね。しかしこのフックにもう1つ重大なポイントがあって、給付を下げれば破綻はしませんが、給付が従来果たしてきた社会的な機能を果たさなくなる、あるいは果たせなくなるので、それをどう補うのか、それを給付を増額させるような何らかの手立てをとるべきなのか、給付が増額できないという前提で何か社会保障あるいは年金保険制度を補うような社会的な仕組みを考えるのかとかという、何か非常にわかりやすい物語になるような一貫したフックを与えられるといいのではないかなという気がします。

 やはり、以前は制度の理解に傾斜し過ぎていたということで、理念や機能について理解するという話になっている。これは当然のことなのですけれども、今度は、制度と理念、機能の2つが簡単に言うと、意識しなければいけない問題が増えたと感じる人がいると思われるので、そこをもう少し整理をして、制度の問題は例えば二の次で、基本的には、まず、理念と機能と今後の可能性を理解した上で、制度を検討するとか見るという重みづけの違いとかを設けるといいのかなと思ったりいたしました。

○権丈座長 どうもありがとうございました。

 今、宮台先生がおっしゃったような、年金に対するものの考え方、アプローチ、スタンス、角度というのは、非常に難しくて、今、世の中全体がこの前の財政検証の結果をみて、ヒステリックにさわぐような話ではないけれども、給付水準を底上げするために、みんな前向きに頑張っていかなければいけないよねという感じで、静かに受け止めているわけです。けれども、そういうスタンスを高校生の授業とかに組み込むというのは、どうやっていけばいいのかなという話になってきますよね。

 梶ヶ谷先生、何かございますか。いろいろな話を全部含めた形で。

○梶ヶ谷委員
 学校の現場から見ますと、社会保障については、学校では教科指導がまず第一になります。

 ただ、教科指導では、全部補うことができませんので、こういう教材とかDVDがあれば、それらは使いやすいということなのですけれども、ただ、私たち社会科や公民科では、やはりどうしても原則は教科書の内容を理解させることです。さらに、副教材を使ったり、いろいろな情報として、新聞記事や何かを使うということですけれども、やはり、先ほどお話がありましたように、例えば新聞記事を使うにも、これは果たして正しいかどうかとか、常に不安があります。

ただ、一方では、教育現場では、いわゆるNIEという、ニュースペーパー・イン・エデュケーションという活動があって、多くの先生方は、いろいろな新聞を教材として使うにしても、複数の新聞を並列で扱うとか、様々な工夫をされて、極力1つの考え方に偏らないような形でNIEをやっている。それでも、どこかに不安がある。多分、社会保障が、やはり一番わからない部分、不安な学習項目で、公民の教員でも、特に経済の部分の学習の中でも自信がない学習分野ということになります。

 そういう点では、今回、いろいろな資料とか、それから教材をつくっていただいたので、これらが1つのベースになり、またそれなりに教科指導でも教科書同様に活用できるということ、ただ現実には、たった数時間で社会保障を教えるのはやはりどうみても不可能だろうと思うのです。そこで、やはり教科指導で不十分であれば、例えば総合的な学習の時間、これをいかに使うかというようなことを考えるのが1つの現時点での一番いい案かなとも思います。

 他の学校のことはあまりよく把握していませんが、本校では、社会保障についても、今話をしたように、総合的な学習で、具体的には教科指導ではないのですけれども、各ホームルームで担任の先生が自分自身の生活に則して、社会保障や年金の話をしていただく、そういうようなことをお願いして、各ホームルームで、時間数はそんなに多くとれませんけれどもやってきた経緯があります。

 このホームルームの先生方が話をするということは自分の例えば親や身近な人がそういう施設に入る、どういう状況だったかとか、あるいはそういうような具体的な話をされる中で、社会保障を身近な問題として、各担任の先生が話される、あるいは学年集会等でも話していただく。

 やはり、こういうような現場の教師が持っている知見を活用することが必要ということと、教科指導では、必ずしも満足できない学習内容を扱うかということで、やはり生きた社会保障教育を実現する1つの大きな活用の場だと思います。

 本校では、社会保障について、さまざまな情報を総合的な学習の時間で、あるいはホームルームで話をしていただくとか、あと神奈川県では、シチズンシップ教育を全ての県立の高校でやっていまして、ただ社会保障が直接は入っていないのですが、例えば、法教育とか、道徳教育、消費者教育、あとは政治参加教育、司法参加教育などが含まれ、うまく総合的な学習の時間を使うことによって、今回製作したさまざまな社会保障の教材を生かせる、あるいは社会保障学習をより深く実施できるのではないかということで、やり方次第だと思います。ただ、これは当然教員のほうの力量の問題がありますけれども、うまく使えば、そういうような教科外指導でも補いながら、目的が達成できると思います。

 そういうことからも、この教材は、特定の教科、公民科とか、家庭科の内容に限定されていないので、公民科や家庭科の先生以外も使っていただけるのではないかなと、使い勝手がいいのではないかと思っています。

 あともう1つは、やはり授業で、教員が一方的に説明することは、生徒はそれなりの知識、理解は得られるかもしれませんけれども、考えることをしてくれない、覚えればいいということになってしまうので、できればグループ学習による討論、討議をいかにうまく使うか、少ない授業時間でやるかということが問題なのですけれども、ただ単に何かグループ討議すればいいのだということだと、議論が深まらないし、正しい判断ができなくなるので教員の力量がグループ討議でも問われることになるかなと思っています。

 以上です。

○権丈座長 ありがとうございます。

 寺田先生、よろしくお願いできますか。

○寺田委員
 教材については、特に私のほうからは意見はないのですが、それの生かし方を工夫していただきたいと思います。

 ここにある政策研究所さんの都立荒川商業高等学校の授業で参考にした資料の中に、給与明細というのがあります。当然、商業高校なので、就職するというような意味で、これをアイデアとしてつけられたのだと思うのですが、この給与明細から波及するものは、社会保障の関係ではすごく大きい部分であり、税金も含めてあると思いますので、こういうものを用いて説明していくということが、学生達の興味を引く、身近に感じることなのだろうなと感じました。

 以上です。

○権丈座長
 どうもありがとうございました。

 次の議題に移りたいのですけれども、先ほど、私、宮台先生のところにコメントしたのですが、ちょっと補足したいことがあるので、言っておきます。宮台先生は、これから先の少子化の中で、年金は破綻するわけではないが給付水準は下がっていく、そして未納者がいても別に年金が破綻するわけではないとか、実に正しく理解されているのですね。ところが、少子化が進んでも、自分に任せれば年金の給付水準が下がらない方法があるというような者が出てくるから厄介な問題が起こるのです。

 そうした実は年金以前の基礎的な話を間違えられてしまうと、共通の基盤で議論ができなくなってしまいます。そこをどこまで教科書の社会保障の項目の中に組み込めるかというようなやはり難題があります。少子化が進んでも全く大丈夫、将来の予測は厚生労働省は下手だけど、自分だったらできるというような者が絶えず出てくるわけですね。

 ここのところを、何とかしていかなければいけない。そうした話を信じている高校の先生とかは、厚生労働省の言うことを聞かないぞっと構えられるわけで、以前この検討会に出席していただいた高校の先生からも、そういう発言もありました。そのあたりのところを、どこかで乗り越えながら、先ほど宮台委員が言われたような「給付が増額できないという前提で何か社会保障あるいは年金保険制度を補うような社会的な仕組みを考える」という当たり前のことを議論できるような環境をどうつくっていくかという課題もあると思います。これはちょっと教科書のところでは難しいかもしれないし、どこかから「お前がやれよ」と言われそうな話ですが、厚生労働省のみなさんにもそのあたりを少し意識していただければと思います。 

 細野委員、どうぞお願いします。

○細野委員
 そうですね。社会保障はこの検討会で皆さんの合意になった話として、議論することは大事だよねというところです。

 ただ、今の宮台委員のその指摘であったりしても、もともとその前提の、もちろん宮台委員は正しく理解をされているのですけれども、それ以外の多くの方たちがまだ今回の「10分間講座」でも書いた、要は「胴上げから騎馬戦、肩車」とか表面的なキャッチコピーで思考停止が起こっている、あの呪われた悪魔の図ですよね。あれを見たときに「ああ、こんな制度持つわけない」と思考停止が起こり、このままでは社会保障は絶対だめだから、将来不安だ、抜本改革が必要だ、みたいなところでみんな思考が終わってしまっていて、要は教育が全く機能していないわけですよね。

 だから、正しい議論に持っていくためにも、やはり国民の99.9%ぐらいがあの図で引っかかっている状況なので、まずはあの図が「引っかけ問題」なのだというところを正しくわかってもらうというところが、実はこの教育を始める第一歩なのではないかなと思います。

○権丈座長
 ありがとうございました。

 どうぞ。

○宮台委員
 この問題がもしフランスの高校卒業資格試験のバカロレアだったら、どう扱われるのかなと考えてみるのです。

恐らくこういう問題が出るのではないかと思うのです。

 年金保険制度の財政的な逼迫について、責任を問うという場合、どういう問い方があり得るのかということですよね。これは話題になりましたが、もともと年金保険制度が積立方式で始まったわけですが、高度経済成長時代に入って、急速にパイがでかくなったときに、自分の将来のことを自分で積み立てるだけでは、高度経済成長のパイが利用し切れないということで、現役世代の含むまさに膨大な稼ぎ、彼らがつくり出すパイを分けるというところから、賦課方式に移動していくわけですね。

 そのことを批判できるだろうかという観点をちょっと思うのですね。

 私、団地のあり方について研究してみますと、団地ができ上がってくる50年代後半から20年間ぐらいの間、さまざまなコミュニティー論やら、建築方法論をベースにして、現存するリソースを最適化するための研究が膨大になされて、団地がつくられていくわけですが、しかし、将来、どうなるのかということについての実証実験とかできませんので、見通しを間違った結果、実際、子どもができて、豊かになった人たちが出ていくと思ったところが、多くは出ていかないということがあって、問題が破綻してしまうのですね。

 同じように、年金保険制度も、先ほど申し上げましたように、高度経済成長時代、まさに物すごく大きなパイを多くの人に還元したいというところから、賦課方式にシフトしたとした場合、これは逆に、急速な経済縮小の時代になると、今度はつけが回るという仕組みになるわけですね。

 しかし、このような急速な経済の縮小が、あるいは今後、生産人口減に伴う経済の縮小が起こりうるなどということを、やはりKY問題もあるかもしれませんけれども、当時、予想するということが非常に難しいのであって、そういうところで、まるで自分が当時、政治家や厚生省の役人だったら、別の制度を設計できていたかのようなことを言うのは、ちょっとおかしいと私は思うのですね。その辺も、つまりよくあることです。

 君だったら別の制度を当時設計できたかという問題と問いかけることによって、問題はやはり自分たちの問題として引き受けていくことができるのではないかと思いました。

○権丈座長
 どうもありがとうございました。

 そうなのですよね。だから、制度の理念とか、制度の歴史的な経緯みたいなところ、なぜそうなっていったのかということを随時いろいろと入っている資料になっていますので、いきなり高校の先生がこれを見ると、ハードルが高くってちょっと辛いなと思うかもしれないのですけれども、やはりある程度ここら辺のところは乗り越えてもらいたいというのは、私どもとしてはありますね。

 先ほど、細野委員のほうから、正しく理解してもらうというような話がありましたので、早速、次の議題として「社会保障の教育推進に関する検討会報告書(案)について」のところを説明していただいて、この副題が「~生徒たちが社会保障を正しく理解するために~」ということになっておりますので、事務局のほうからちょっと説明をいただけますか。よろしくお願いします。

○松江専門官
 それでは、資料2のほうの説明をさせていただきたいと思います。

 資料2ですが、今回、報告書(案)を御提示させていただいております。

 この検討会では、平成23年度から社会保障教育のあり方、またはあるべき姿について、御議論を行っていただきました。

 また、2回のモデル授業を実施しまして、現場の意見も踏まえながら、教材や教育手法について、見直しを随時行ってまいりまして、これまでの教育検討会の成果を報告書として取りまとめたいということで事務局で案を作成しております。

 では、中のほうに入らせていただきます。

 1ページ目「はじめに」ですが、これは本検討会を立ち上げた経緯、目的を記載してございます。

 続きまして、2の「検討事項と検討体制」。(1)では、検討会で議論しました検討事項を記載してございます。その下、(2)の「検討体制」、こちらは検討会本体の体制、それと教育現場においてモデル授業を実施し、検証したこと、そして実際に高校で授業を担当している先生、教師の方々を中心とした教材検討PTを立ち上げて、教材を集中的に検討したこと等を記載しております。

 3ページ、3番「検討結果」です。

 まず、(1)として「社会保障に対する一般的な認識」を記載してございます。

 こちらは[1]では、社会保障に対する国民意識に関するアンケート調査を紹介してございます。

 続きまして、[2]社会保障に関する認識として、こちらは検討会のほうで御議論、御提起いただいた社会保障に対する一般的な認識を記載しております。一番下のパラグラフ以降ですが、正しい理解に基づく情報とそうではない情報が世の中に混在しており、教育現場で教える教師も、生徒に自信を持って正確に伝えづらい状況があるのではないかという問題意識が共有されたかと思います。

 続きまして「(2)社会保障に関する教育の現状」、教育の実態はどうなっているのかというところです。

 まず、4ページから5ページにかけてのところは、学習指導要領における社会保障の取扱いを紹介してございます。

 5ページの下段のところが、[3]社会保障教育の現状ということで、現状というか実態と言ったほうがいいかもしれませんけれども、モデル授業や教育現場からヒアリングした内容を記載してございます。

 例えば、授業時間のところでは、授業時間数は3年間を通して2コマもしくは3コマ程度しか確保できないとか、あとは制度の説明に偏ってしまい、考えさせる授業の展開が難しい。また、生徒の関心がおおむね低いであるとか、あとは社会保障制度の内容や課題について、先生も詳しく知らない場合があるといったようなことを記載してございます。

 5ページの最下段のところになりますけれども、以上の実態を踏まえまして、3つの観点からこの検討会は検討を進めることにいたしました。

 1点目が限られた授業時間の中で重点的に教えるべき項目を整理する。

 2点目、生徒の当事者意識を引き出し、学習のモチベーションを高める工夫をする。

 3点目、教員の指導のしやすさ等に配慮した工夫をする。

 こういった観点が必要なのではないかということで、議論、検討を進めていただきました。

 6ページです。「(3)社会保障を教える際に重点とすべき項目」でございます。

 限られた時間の中で、コマ数も2コマ、3コマという中で、生徒さんに効率的に社会保障を理解してもらうために、重点とすべき学習項目は何なのか、それを整理することで、先生方にとっても、授業を組み立てやすくなり、社会保障に詳しくない先生でも、より効果的な授業構成を検討できるのではないか。

 では、重点とすべき学習項目とは何かというのが6ページの下段以降に記載してございます。

 7ページ、本検討会では制度的な点よりも、まさに、今、いろいろ御意見をいただきましたけれども、社会保障制度が誕生してきた歴史的な経緯であったり、社会保障制度を支える考え方といったことを学んでもらうことが重要なのではないか、次に「また」で始まるパラグラフですが、こちらでは、社会保障制度が、所得再分配機能などの機能を持っているということ、さらに次のパラグラフでは、予測できない事態に備えて「安心」といったような価値を得ていること、そういったところに価値があるのではないかということ、 そういった点を生徒さんに伝える必要があるのではないか。

 すなわち、なぜ社会保障制度が誕生し、現在、存在するのか、社会保障制度がどのような役割を果たしているのかといった点を伝える必要があるという御議論をいただいたかと思います。

 次に「このような」で始まるパラグラフです。社会保障の理念を教えることで、なぜ社会保障制度が誕生し、現在存在するのかを理解することができますし、また、社会保障の内容を教えることで、社会保障制度がどのような役割を果たしているのかを理解することができるのではないか。また、その次に課題と記載してございますが、将来に向けた課題を考察、検討することは、物事を多面的、多角的に理解する上に大変重要だということだと思いますが、ただ一方で、社会保障の場合には、そもそも社会保障についての関心や知識が乏しかったり、また誤解している場合も多いため、今、申し上げました理念とか、内容といったものを理解した上で課題にチャレンジするといったことが、ほかの学習分野に比べて非常に重要だといったようなことを記載してございます。

 次のパラグラフですが、このようなことから、社会保障を教える際の「重点とすべき学習項目」は「理念・内容・課題」に絞り込むこととしました。

 他方で、現場の教師、先生方は「理念・内容・課題」といった項目を重点的に教えるべき項目と考えていただいている一方で、この3つについては教えるのが非常に難しいと感じている項目であることがヒアリングからわかりました。

 そのため「理念・内容・課題」を生徒さんに理解してもらうために、押さえておくべき項目についても整理することとしまして、「社会保障を教える際に重点とすべき学習項目」、これは資料編のほうに収録をしておりますけれども、これを作成いたしました。

 次の8ページでは「理念・内容・課題」を生徒さんに理解していただくために、押さえておくべき項目を具体的に記載しております。

 さらに、次の9ページでは「理念・内容・課題」に重点を置いた、今回のモデル授業に対する先生方や生徒さんの感想を記載してございます。

 例えば、先生からの御意見では、ポツの1つ目、これまでの授業の中では大学入試試験への出題を想定して社会保障制度の時代背景(歴史)や制度の名称・内容等について説明するにとどまっており、年金や医療保険等の意義や必要性を、具体的な例を挙げて説明することはあまりなかった。今回の授業を通して社会保障問題の重要性を理解できたといった御意見をいただいています。

 生徒さんからでは、1つ目、今まで受けたことがないような授業で、それでいて将来大切なことなのでよかったと思う。また、例えば4つ目、現在も未来も自分に大きくかかわっている社会保障の重要性を知ることで、今の日本がなぜこうなっているのかを知ることができたといった「理念・内容・課題」に対する理解が進んでいることが伺われる御意見をいただいております。

 また、10ページの上から6行目「また」で始まる部分ですけれども「きちんと払わないと自分が大変なことになってしまう」「社会保障は生きるために必要不可欠だと思った」といった御意見もありまして、生徒さんが自身の生活に結びつけて理解しようとしていることがうかがわれました。

 このような結果、生徒さんのアンケートにおいても「今後も社会保障に関する学習に取り組みたいと思うか」という質問に対して、72%の生徒さんが「そう思う」「ややそう思う」と回答しており、こういった「理念・内容・課題」を中心とした授業を通じて生徒さんが非常に高い学習意欲が得られたと考えられるかと思います。

 続いて(4)、そういった「理念・内容・課題」を理解いただくための教育手法や教材についての検討でございます。

[1]は、「生徒さんが学習すべき項目とその内容の教材として」ということです。

 例えば、2パラ目です。社会保障を教える際に重点とすべき項目を授業で生徒さんに教えるための教材である「重点とすべき学習項目の具体的内容」という教材、こちらの内容を紹介してございます。

 続きまして、11ページ目、[2]といたしまして、生徒さんの当事者意識を引き出し、学習のモチベーションを高める工夫としてということで、まず第1として「ア)体験学習、外部講師の活用」といったことを記載してございます。

 こちらは、第1回目の平成24年度のモデル授業で試行実施をいたしました。

 結果としましては、先生や生徒さんから学習効果について、非常に高い評価がありました。

 一方で、課題もありました。体験学習や外部講師の活用に当たっては、こちらにその課題を記載してございますけれども、これらの課題を踏まえながら、授業に取り入れていくことが必要かなと考えてございます。

 続きまして、13ページ「イ)映像教材の作成」というところです。

 また生徒さんのモチベーションを高める工夫の1つとしまして、映像教材は当事者意識を引き出して、学習のモチベーションを高めるといったほか、先生にとっても授業展開の充実に寄与する、映像の活用によって、一定の均一性を備えた授業が展開できるといったことから作成をすることといたしました。

13ページの下段のところには、平成25年度、2回目のモデル授業でこの映像教材を使いましたけれども、こちらの結果を記載してございます。例えば「聴覚・視覚的にも生徒にインパクトが残り、2限目、3限目以降の学習への意欲が高まった」「生徒にとって教科書やプリントよりもインパクトがあり、しっかり見ていた。集中力と理解力の向上につながった」などの意見が得られました。

 では、次のページです。

14ページ目「[3]生徒と教師が理解を深める副教材として」ということで、具体的にはワークシートの作成について書いてございます。

 検討会での議論や、有識者からのヒアリングによりみずから主体的に考え、自分の考えをまとめ、ディベート等を含む意見交換を通じて、理解が深まるワークシート形式の活用に賛同する声が多かったということで、ワークシートの作成をいたしました。

 平成24年度では「社会保障って、何?」と「政府の役割と社会保障」「公的医療保険って何だろう?」「年金」といった4つのワークシートを作成し、モデル授業でも試行いたしました。

 こちらは、高い評価があった一方で、分量が多くてレベルが高い、生徒の発達段階、レベルによっては消化困難ではないかといった御意見も頂戴いたしました。

 では、15ページ。

 こういった御意見を受けまして、平成25年度では、2つのワークシートを作成いたしました。1つは「社会保障の理念やあり方を考える」ワークシート。もう1つが「身近な社会保障を学んでいく」ワークシートです。こちらを作成し、モデル授業で試行いたしました。

 また、細野委員の企画で「10個の『10分間講座』」を作成し、こちらもモデル授業で試行しました。

 いずれも、モデル授業での評価は議事の1のほうでも紹介いたしましたけれども、おおむね肯定的な評価を得られたのかなと感じておるところでございます。

16ページです。

 「(5)今後の課題・提言」を記載してございます。

 提言は、4点挙げさせていただいています。

 まず、1点目「学習指導要領改訂に向けての提言」ということで、17ページの2段落目まで飛びますが、現場の高校教師、先生方からの御意見でも「理念・内容・課題」を重点に教えるべきとの声をいただきました。

 また「理念・内容・課題」に重点を置いた授業に対しても、先生、生徒から肯定的な御意見が多数を占めました。こうした成果を踏まえて、今後の学習指導要領の改訂を中央教育審議会のほうで議論をされることになりますので、中教審で議論していただくことを提言すると記載してございます。

 2点目「教科書会社への情報提供」です。

 教科書会社は、学習指導要領に合わせてそれをもとに教科書を作成することになりますけれども、途中で内容の変更をしております。

 ですので、教科書会社に対しても、作成した教材や本報告書の内容を伝えていくという必要があろうかと思います。

 特に、こちらの検討会で作成いただきました「社会保障を教える際に重点とすべき学習項目の具体的内容」といった教材がございますが、こちらは特に教科書の内容と近いものになっておりますので、非常に参考になるのではないかなと考えてございます。

 以下に、重点とすべき学習項目の具体的内容という教材に盛り込まれている点を列挙してございます。ここの17ページの下段から次の18ページまで、そういった点を列挙しているところです。

18ページの下段ですが、ここで挙げたような点が教科書に盛り込まれるということで「理念・内容・課題」といったような検討会で伝えるべき、教えるべき項目といったことについて、生徒さんの理解が深められるのではないかと考えるところでございます。

 一番下のパラグラフですが、その他、学習に役立つ教材として、映像教材をはじめ、ワークシートなどの副教材も作成してございますので、それらを組み合わせて授業を行っていただくということで、効果的な授業が展開できるということで、教科書会社へ適切に情報提供を行うべしというところの提言を記載してございます。

19ページです。3点目として「教師向けの講習等の実施」。

 社会保障教育の推進のためには、教材を作成するだけでなく、教師が授業で活用しやすくなるような工夫も必要ということで、作成した教材を周知、認知していただくとともに、教材の作成意図を正しく先生方に御理解いただくために、先生方向けの講習等の実施を提言しております。

 最後、4点目「学習時間の確保」。

 本日も御意見をいただきましたけれども、教育現場では、社会保障のための授業時間がなかなか十分に確保できないという実態がございます。

 2段落目ですが、公民科と家庭科の相互の関連を図ったり、各学校において目標及び内容を定めることのできる総合的な学習の時間を活用したりすることも考えられると記載してございます。

 その際、教科間で指導計画を工夫する。また、不要な重複を避け、指導の要点を明確にしたり、教科と総合的な学習の時間とで、それぞれの指導内容を関連づけるといったことで、指導の効果を高めるといったことが重要と記載をしてございます。

 本日もお話がございましたが「10個の『10分間講座』」は、1日10分を10日間使用するといった使い方も想定されておりますので、こちらで例示として記載をさせていただいております。

 資料2-1は以上でございます。

 次に、もう一冊、資料2-2のほうは、これまで検討会で検討いただいて、作成した教材等を資料編としてまとめさせていただいております。

 では、資料2-1、2-2の説明は以上でございます。

 よろしくお願いします。

○権丈座長
 どうもありがとうございました。

 こういうものを作ってみましたということで、その後は文部科学省とあと梶ヶ谷先生たちの現場の先生たちにお願いということになるのですけれども、この資料2-1、2-2のところで何か御意見とかありますか。

 意見交換を少し、20分ばかり行うことができればと思っていますけれども、何かございますか。

 よろしくお願いします。

○細野委員
 この検討会の現時点での大きな成果は、まさにこの資料2-2ですよね。それを見ると、本当にみんなで頑張ったかいがあったというようなものができていて、要は最大の問題というのは、思考停止が起こっていることに加えて、何が正しくて、しかもそれをどう教えたらいいのかというところの問題が、社会保障においては、ずっと宙ぶらりんになっていたのですね。これまでも、きちんと仕組みとかを理解している人は、ここはこうすればいいのだと漠然とした解説はあったのですが、それらのズレがいつまでたっても埋まっていないというのが、この検討会が始まる前までの状況だったわけですね。

 それで、具体的にこういうふうに教えれば誤解もなく、スムーズに教えることができるというものをしっかりつくれたと、1つの達成感はあると思うのですけれども、梶ヶ谷委員の先ほどの発言の中で、短期間で社会保障というものを学ばせるのはやはり困難ではないかという話もあるわけです。ただ、それは確かにそのとおりかもしれないのですけれども、例えば、私の「10分間講座」の話にしても、これだけで本当に世の中の情報の見え方が大きく変わり得る。だから、その意味では、比較的短期間でも、情報を正しく見るようなことというのは、実はできるのではないかなということを私は思っていて、それの1つの象徴的な具体例が、今週の週刊文春なのだと思うのです。そこでは「本誌新人記者にもわかった!人生90年時代、年金の絶対損しない貰い方」という記事があるのですけれども、この記事が物語っているものは、紹介文のリードを読みますけれども「年金なんて払い損ですよ、初めはそんなことばかり口走っていた新人記者(23歳)がみるみるうちに制度を理解。ついに1つの結論に辿り着いた」みたいな話で始まっているのです。これは、ちょっとこれまでのメディアの報道では考えられなかったことが起こっているのです。

 ただ、これについては、私はいろいろ背景を知っているので、いろいろな意味で参考になると思うのですけれども、まさにこの流れが、今回の社会保障教育推進プロジェクトにおける象徴的な事例で、要は、「上司や教師がしっかりしていれば、部下や生徒はまともな判断ができる」ということなのです。

 私は、この記事をずっとこの5年間ぐらい待っていたのです。この記事の企画とか、この23歳の新人記者に私は1回も会ったりしていないですけれども、ただ、上司にあたる担当デスクについては、ずっと教育というか、しっかり間違えないようにという話はしてきて、つまり、上司がきちんとぶれないというか、正常にノーマルに情報を見られるような状況になっているわけですね。そのもとで、新人さんが来たときに、最初は「年金なんて払い損だ」というイメージから入っているのですけれども、ただ、優秀な上司がきちんとぶれずに、「いや、まず冷静に考えてみよう」というところで、教育をしてノーマルにするわけですね。そのノーマルにした段階で、彼女なりにいろいろ調べていった結果、ここに書いてあるような形で、最後のところだけ読みますけれども、「公的年金は老後の安心を担保する重要な原資である。まずは各人が長生きリスクを把握し、それぞれの生き方に合った貰い方を選択することこそが大切だ。まずはいたずらに不安をあおられることなく、冷静な視点を持つべきだろう。」という形で、本当にこれまでのメディアの論調とは全く真逆になっているわけですよね。

 これは、要は教育が機能して、自分の考えで突き進んだ結果、こういうすごくノーマルな記事ができ上がるわけですね。

 今までこの洗脳がずっと解けずにやり続けていたから、もう、間違いだらけのろくでもない論理の記事ばかりが出てきたのですけれども、ようやくこの5年間で教育が浸透してきて1つの結果になり、こういう形になった。ただ、もちろんこれが週刊誌レベルで終わってはいけないのです。  

今回この記事に私は一切かかわっていないのです。そこが私の中での1つの希望につながっていて、要は、中立的な教材ができあがったところから、各先生が理解し、きちんと教えて、そこから子どもらが自分でちゃんと正しく読み取って、普通にノーマルに考えられるようなことこそが教育問題上の最大の課題で、それがこのように動き出したわけです。

 そこで、だからこの検討会は次のステージに行かなければいけないと思っていて、その意味では、ここからできれば放送映画制作所さん、リーガルマインドさん、政策研究所さんは、この教育コンテンツと一般の方とをつなぐときの大きな役割を担うと思うのです。いかにこういう情報を、例えば、週刊誌だったら、ピンポイントでこうやってみた結果、こういうまともな判断ができるような優秀な新人の子が育ってきたといったことを、いろいろな高校生だったり、子どもらだったり、もっと一般の方とかに広めていかなければいけないのです。そこで、それを一番効率的にうまくやっていくにはどうしたらいいのかというアイデアをこれからみんなで出していかなければいけない状況だと思うのですけれども、できたら、お三方からそれぞれのすばらしいアイデアを伺いたいのです。

○権丈座長
 よろしくお願いいたします。

○政策研究所山本様
 非常に難しいことなのですが、やはり先ほどからお話が出ましたように、これからいろいろな形でいろいろな先生がいろいろな時間を使ってやっていく、そういう中で社会保障というのが子供たちに伝えられていくことだと思うのですね。

 ですから、ある面ではプロの先生もいるし、全く社会保障については理解されていない、ちょっとした知識しか持っていない先生もいらっしゃるけれども、それが総合的な学習の時間ですとか、ホームルームとか、いろいろなところで少しずつ伝えていくことが望ましいと思います。そして、できれば文部科学省さんが中心となって、教育委員会をとおして全国的に先生に対する研修の場というのを持っていただくということも必要なのではないかなと思います。

○権丈座長
 はい。

○東京リーガルマインド情野様
 私の個人的な意見というか、考えとしましては、今、この提言にあったとおり、教科書へ取り込んでいくということを進めていって、授業の中で、本当にニュートラルに先生が教えていくということを継続していくことで、社会的な理解というものが大きく、今後、変わっていくのではないかなと思っています。

 これを継続していくといいますか、先生が教えていくという状況を支えていくということが一番大事なのかなと思います。

 私どもが扱った学校の中で、そのグループワークをしていて、政府と企業と家計と、社会保障を誰が支えるべきかという点をグループワークしたのですけれども、ある学校では、女子のチームと男子のチームとグループが分かれて検討したのですけれども、男子のチームは、家計のウエートが大きくなる答えが出てきたのです。

 それに対して、女子のグループは、政府が支えるべきだというところを、ウエートを大きくするという答えが出てきまして、ある意味、若い子であるけれども、自分の将来と今の家族制度における夫と妻の思惑の違いや負担をある程度イメージできて、ニュートラルに正しく理解されているのかなと感じたのです。

 ですから、その教え方というか、授業としては継続していくこと、それでそれを浸透していくということが非常に重要なのではないかなと考えます。

 以上です。

○細野委員
 その継続して勉強していく場というのは、具体的にはどういう形で行うということが理想だと感じられますか。

○東京リーガルマインド情野様
 これはもう授業のカリキュラムとして、きちんと取り込んでいくということだと思います。

 各学校、今回、私もいろいろ訪問してみて初めて知ったのですけれども、大体2月から3月ぐらいに年間のカリキュラムが設定されるということを各学校がおっしゃっていましたので、その意味で6月から7月ごろに訪問して相談してもちょっと難しいと言われるケースも多かったのですけれども、ですから、2月から3月ごろのタイミングを逃さずに各学校にアプローチしていくということは非常に重要なのではないかなと考えます。

○権丈座長
 ありがとうございました。

 どうぞ。

○放送映画制作所住吉様
 やはり、授業となると、準備がたくさんあったりするので、先生が正しい情報に行き着くまで、すごく難問といいますか、関門が多い気がするので、例えば、浸透ということを考えますと、卒業前のオリエンテーションとかに配れるような冊子とか、あとニュースレターみたいな感じにして、例えば「10個の『10分間講座』」を単純に一枚くらいで先生が配れるように平均寿命と平均余命の違いとか、そういった先生が配るだけで終われるようなものを年に何回か提供し続けていくと、学校もこういうものがあるのだと思いますし、生徒も結構、今回、授業を通して見たのですけれども、やはり生徒自身は特に年代的にもそういった色眼鏡で見ているわけでもなく、こういった必要性があるのだから、では自分がもうちょっと担っていこうという意識の高さも感じられたので、生徒にそういった継続的な情報提供ができたらいいのかなと思いました。

○権丈座長
 ありがとうございました。

 今、細野委員からいろいろ発言がありました。文部科学省の塩見課長から見ると、一体、何を議論しているのだと思われるかもしれないですよね。この問題の、社会保障に関してなぜこんな教育検討会などが生まれているかと言いますと、間違ったことが常識のように扱われている世界が世の中にどうもあったのですね。この検討会の初期に調べて分かったことに、高校の教科書の中にも間違ったことが書かれているということがあり、そのことを議論したこともありました。

 そして、この国の週刊誌で初めてと言っていいと思うのですが、『週刊文春』の記者が何か正しいことを書いているというのが今週起こったわけです。では月刊誌である『文藝春秋』はというと、相も変わらず昔ながらの間違いを続けている。つまり、会社の中で真っ向対立しているという状況が、今週起こったわけです。記者の力量によって記事の内容が変わることがありますので、今後はどうなるのかということはあるのですが、社会保障、特に年金をめぐっては本当に信じがたいようなことがずっとこれまで続いてきたわけです。先ほど政策研究所のほうから、プロの先生がという話がありましたけれども、実はこれが危ない。

 社会保障に関しては素人の先生が新しくいろいろ勉強してくださるのだったらば、細野委員が先ほど言った23歳の新人記者と同じように、まっさらなというか、そこから勉強していってゆがみのない理解に行き着くことができるかもしれないけれども、これまで自分でプロだと思っている人たちが結構危ない。社会保障が抱えている問題の難しさというのは、これまで大人が信じ切っていることを、それは間違いなんだということをわかってもらうというところにあるんですね。いったん大人が深層心理の部分で信じ切っていることを変えるのは、大変な難作業なわけです。だから、子どもたちへの教育であり、学校教育こそが重要、というのもあるのですけどね。

 梶ヶ谷先生のほうからも、説明していただきたいのですけれども、よろしいでしょうか。ちょうど、今、直面されているいろいろな問題が。

○梶ヶ谷委員
 社会科の教員、そして公民科の教員で、政治経済や現社を教えていますけれども、やはり、何といっても社会保障については無知です。

 教科書レベルのことを説明する、生徒に学習させるのはできるかもしれませんが年金と財政の関係だとか、現実の社会で起こる年金の問題について、自分が正しく、どこまで生徒に説明できるかということは、やはりクエスチョンマークがつくような状況です。

 私だけではなくて、そういう社会科の教員が結構多いのかなということで、去年、公開授業をさせていただきました。そのときに、保険の概念も入れて社会保障について生徒に説明したのですけれども、後に保険というようなことに言及して、社会保障を生徒に説明するのはどうなのかなという意見もありました。

 現場の教員としては、基本的にはその授業をそれなりにできるとは思いますけれども、基本的なところがやはりわかっていないというか、生徒にどうだと聞かれると、やはり自信がないところが結構あります。

 ただ、現場の私たちは、基本的には教科書の内容を教えるということなので、教科書を使えば安心というようなことはあります。今回、この検討会が中心になって作成したワークシートとか、あるいは教材、DVDも基本的に私たち、何人かでPTをつくって参加させていただきましたけれども、やはり文部科学省の学習指導要領をベースに、そして国立教育政策研究所の評価規準というものがありますが、それも適宜読ませていただきながらつくった経緯がありますので、教育現場で信頼して使ってもらえるだろうなと思います。教科書レベルのいろいろな論点について、どうかと聞かれてしまうと、やはり悩む時がたまにあるという、そのあたりが現場としては少し悩ましいなという責任逃れかもしれませんけれども、現実的な問題としてはあるのかなという気がします。

 ですから、教科書で適切なこと、正しいことをきちんと、私たちはそう信じていますけれども、これからも記載していただくということとともに、やはり現場の教員が安心してという言い方はおかしいですけれども、確信を持って教えられるような情報がいただきたいと切望しています。

 自分らの反省も込めてです。

○宮台委員
 マスメディアで働いている人たちは、学校教育を受けてきて書いていらっしゃるわけだから、学校教育が不十分だと、でたらめな記事が出てくるわけですけれども、しかし、マスコミがつくり出すある種の自明性の中で学校教育が行われるので、でたらめな記事を信じる大人たちが結構いるということで、学校教育も劣化してしまうわけですよね。この循環がずっと回ってきている。最近、いい兆候が出ているということなので、期待したいのですが、今までどうして間違った情報が大々的に週刊誌や月刊誌の見出しとして、踊っているときに、それは違うというカウンター情報が出ないのだろうということですよね。予算措置とか難しいとは思いますけれども、最近、間違った認識があります、みたいな厚生労働省の全面意見広告みたいなものが出てもいいのかなという気がしますし、またカウンターな情報がないとよくないと思います。

 今、インターネットの時代なので、以前よりかは随分状況がよく、恐らくこの週刊文春の記者さんとかも、そうした自分自身の関心に従って、ネットなどを調べるとおやおやとか言って、気がついていくということがあるのだと思いますが、しかし、ネットにアプローチ、アクセスしない人もとてもたくさんいるという場合に、やはり従来のマスコミに出てくる間違った情報にカウンターを当てていっていただきたいなというか、そういう人任せでもいけないのですけれども、当てられればいいなと強く思いますね。

○権丈座長
 どうもありがとうございます。

 一時期、社会保障、特に年金そのものがポリティカル・イシューになってしまったんですね。ポリティカル・イシュー化すると、官僚は正論といえども、なかなか発言できなくなります。その上、2009年の政権交代時には、民主党は、我々がいったんは廃止して新年金制度に作り替える現行の年金制度の広報費を予算請求するなどまかりならぬという雰囲気の中で、年金の広報費がゼロにされたりしたために、正規軍たる厚生労働省が全く動くことができない状況がありました。正規軍が動けないから、自然と在野の論者達がゲリラ戦を展開しはじめ、年金に対する正しい情報を伝えると共に、間違えた論者達の退治を行っていたわけです。ここにきて、今ようやく正規軍が動けるようになってきて、年金に対する正しい理解について広報活動も行えるようになってきているので、これから先は、宮台委員がおっしゃったような状況にはなっていくのではないかと期待しています。一時期は、社会保障、年金が政争の具とされてしまい、本当にどうしようもない状況に追い込まれていましたが、これから先は失地回復運動がそこそこ展開されていくのではないかという気がします。

 ではどうぞ。

○細野委員
 今の宮台委員の御指摘は、本当にもっともだと思い続けているのですけれども、とにかく私はこれは政府に対して申しわけないですが、何でこの人たちはこんなに反論しないのだろうと、怒りにも似た感情をもっていました。

 5年前の財政検証のときに何が起こったのかと言ったら、世の中のニュースのほとんどがこの年金不安をあおるような形になっていたけれども、そこに対して、全く反論とかをしない政府って何なのだろうなというところはずっと思い続けていて。そして、それを同じような感じでカウンターパートになるような人もあまりいないような、宮台委員のおっしゃるような状況にあったのですよね。

 だから、世の中に広がっている情報としては、とにかく理解不能なほど誤解に基づく間違った話ばかりがずっと伝えられていて、それが常識化してしまっていたのが、今までだったわけですね。ところが、今年はすごく画期的な年でしたね。この週刊文春の話もそうなのですけれども、今年は、私はいろいろな意味で「社会保障の教育元年」だと言っても全然大げさではないと思っているのですね。

 財政検証の年に、年金の話がここまで負の面で話題になっていないということは、ある意味、物すごく画期的なことなのですね。

 それだけやはり世の中が落ち着いてきているということも同時に言える話で、だからようやく、多くの人が聞く耳を持つような状況になってきたのが実は今なのです。そこで、今回の検討会の大きな意義として、完全に政府だけがつくっていたら、また政府の広報誌だろうくらいな形でこういったものを見られたと思うのですけれども、ただこうやって第三者が入って、きちんと検証していって、つくり上げたことで、別に政府の言い分だけ一方的にやったのではない、というところの説得力もきちんと出てくると思うのです。

 つまり、今までどれを信じたらいいのかというところの核になる答えみたいなものが、今回の実際の資料編のほうででき上がってきたと思うのです。けれども、やはり、今後、問題になるのは、梶ヶ谷委員もおっしゃったように、現場の先生方が、幾つかわからない迷いが出てくるときですよね。

 そして、現場の先生がそう不安を抱いたときに、安心してそれをぶつけられるようなところまで政府が開かれているのかと言ったら、私は全然そうは思っていないのですね。

 だから、もうちょっとここの検討会を「社会保障広報室」ぐらいな形で、ここにアクセスすれば、安心して中立的な意見が聞けて、現場でこういうふうに教えられるよねという、まず仕組みづくりをきちんと用意していかなければいけないのではないかと思うのです。

基本的にマスコミというのは、煽ってナンボみたいな世界なので、きちんと反論する媒体は必要なわけですよね。だから、そこの仕組みをできるだけ早めに用意しなくてはいけないということ。

 さらに、根本的に人は単純化しがちで、色眼鏡でとにかく見がちなのですね。

 社会保障だと「厚生労働省の陰謀説」とか、そういう話も根深くあり、人を見誤ませる重しになっているので、だからこそ、私はこの検討会の主役は厚生労働省の方には本当に申しわけないのですけれども、文部科学省さんだと思っているのですね。文部科学省さんが本当に中立的な立場で、本当に子どもらにとって必要なことは、恐らくこの検討会の場である程度わかっていただいたと思うのですけれども、それを厚生労働省とは別でというか、厚生労働省はあくまでチェック機関ですよね。この表現で正しいのかどうかというところを判断するのは厚生労働省であっても私はいいと思っているのですけれども。そのぐらい中立的なところがきちんと判断していろいろ情報を発信していっていただけると、かなり世の中の情報のアンバランスさというのは消えて、より中立的で正しいことが伝わりやすくなっていくだろうなと思っているのです。その意味で、文部科学省さんの役割は物すごく大事だと私は思っているのですけれども、何か具体的に方策みたいなものはございませんか。

○塩見教育課程課長
 我々の問題意識として、日本の子どもたちはなかなか自分と社会とのかかわりについて、億劫になりがちというか、あまり自分のこととして考えない、自分が何とかできるものだと思っていないというところがありまして、恐らく、社会保障も同じことが言えるのだろうという問題意識を持ってこの会議には臨んでおりました。

 やはり、一人一人がこの社会を形成しているわけで、自分たちがもっといいものにしていかなければいけない、そういう主体なのだということを思ってもらえるような授業に改善していくにはどうしたらいいのだろうということで考えてきたわけでございます。さらに、今日の話にもありましたけれども、社会保障というものの持つ難しさといいますか、正しい情報が伝わっていないとか、誤解された上にいろいろな話が行われているという特有の難しさもあるなということを感じたところでございます。いずれにしましても、これからの教育の中で、いろいろなことを鵜呑みにしたり、何か覚えたりするだけではなくて、本質に立ち返ってなぜこうなのだろう、何が必要なのだろうということを考えるような教育をもっともっとしなければならないと思っていまして、今回、つくっていただいた教材というのは、そういう授業に転換していく大きなきっかけの1つになるものだと思っております。

 ですので、そういう意味で我々としても、この教材を貴重なものとして活用させていただければと思っております。あとは、単純に一斉授業で教えるのではなくて、今日も出てきたようにグループワークをさせたり、いろいろな課題、自分で調べさせたりというようなことが、もっともっと効果的にできるような先生たちの力を上げていくための支援というものも考えていかなければならないと思っています。

 今回のいろいろな検討でありますとか、実践の中で挙げていただいた課題というものをしっかり踏まえて、これから恐らく本年のしかるべき時期に、次の学習指導要領改訂の諮問を行って、具体的にどう改善していくかという議論が始まってまいりますけれども、そこにも生かさせていただきたいと思っています。

 ありがとうございます。

○権丈座長
 ありがとうございます。

 資料について、私のほうから質問があるのですけれども、教師向けの講習等の実施というのは、これは梶ヶ谷先生たちのところでやっていく話になるのですかね。

 梶ヶ谷先生たちが社会科の先生たちみなさんでグループを組んでいますよね。そういうところで講習等をやっていくというような話になっていくのか、そしてそれは実行可能なのでしょうか。

○梶ヶ谷委員
 社会科、公民科の教員の研究組織には、教科部会というものがあります。中学校も高校にもありますが、社会保障という大きな問題については教育委員会や教育センターにおいてベーシックな社会保障のセミナーを開催するというほうが、まずは本来的なあり方と思いますけれども、ただ、残念ながら、これまでは教員の研修会、夏のセミナーなどで、そういう社会保障を扱うというのはあまりなかったような気がします。

 また、公民科の教科内容として、社会保障を取りあげていますが、研究グループにおいても社会保障について取り上げることはあまりないのではないかなと思います。ですから、結局、社会保障の正確な情報が伝わらず、いつまでも教育の世界ではマイナーであると思います。

○権丈座長
 そのあたりのところで、私が得ている情報ですと、その社会科の先生たちが集まって勉強会をするための組織の上のほうに大学の経済学の先生がいて、その経済学の先生たちは、厚生労働省的な教育を受け入れないというような方針を持たれているというような話も聞いています。

○梶ヶ谷委員
 任意の研究団体ですね。

○権丈座長
 任意のほうです。

○梶ヶ谷委員
 ただ、私たちは教育センターとか、教育委員会が主催をする研修会で、それなりに信頼できる社会保障の研修会やセミナーを受講したいという希望が本来的にはあります。ただ、よくわからないのですけれども、学会だとか、あるいはいろいろな経済教育の研究グループがありますけれども、多くは割と社会保障についてはネガティブなのかなという気はしています。

○権丈座長
 前途はそう簡単な話ではないということを込山さんたち厚生労働省も認識していただきたいと思います。従来の年金破綻論やこの検討会で間違いを指摘した世代格差論を主導してきたのは一部の経済学者なのですが、彼らが、いわゆる正しいアプローチの社会保障の教育とかをブロックしているというのはどうもあるみたいなので、ここら辺が結構厳しいところになってきます。

○細野委員
 ごめんなさい。一瞬だけ。

 ただ、権丈座長、梶ヶ谷委員がおっしゃっていたこともすごくよくわかるのですけれども、ここで全員がこの認識だけはぶれてはいけないなと私が強く思うのが、日本は高齢化率が圧倒的に世界1位なのに、これまで社会保障というのは、マイナーであり続けていて、そんなに詳しく勉強しなくてもいいのではないかというところで済まされたのですけれども、本来は高齢化率が世界一なので世界的に最も社会保障教育が進んでいなければいけないような状況にあるのですよね。だから、この社会保障教育というのが、日本の教育、経済問題において最大のネックなので、そこの認識をきちんと持ちながら、かなり早めにやっていかないと、本当に不安がずっと拭えないまま、不幸な状況で、この国が動いていってしまうのは、私は何かすごく不幸だなと思います。そういった意味で、教育ができることというのをみんなが最大限考えて、できることをひたすらやっていくということが重要なのではないかなと思います。

○権丈座長
 どうもありがとうございました。

 宮台委員、寺田委員、何かございませんか。

○寺田委員
 先ほどから教員への研修というところが出ております。

 資料2-1の11ページ、12ページを見ますと、講義形式の授業についても、必要に応じ、外部から講師を招くなど工夫を講じたと。その結果、中高一貫で高い評価が得られたというところもございますので、私ども社会保険労務士会にも、人材が豊富におりますので、そういうところを活用していただければ、さらにいいものになるのではないかと考えます。

 よろしくお願いします。

○権丈座長
 宮台委員、どうぞ。

〇宮台委員
 厚生経済学者で有名なマンサー・オルソン以降、フリーライダーとかフリーライディングという概念が随分広がっているのですが、さまざまな心理学実験によると、人々が最も憤激しやすい主題がフリーライディングなのですね。なので、以前、どこぞの政治家がやったように、要するに不正受給を受けている者がいるという形で、感情の釣り針のフックを投げると、多くのマスメディアや人々が食いついてしまうという現状があるのですね。なので、実は教育を十分推進していくというだけでは抗い切れないようなポピュリスティックな動きというのが、今後、ますます出てくる可能性があります。

 それに対処することが必要なのですが、例えば、5月ですかね、クローズアップ現代で、90年代から話題になっていたアメリカのゲーテッドコミュニティーの自治体版が出てきた。自分たちの税金をそのだめな人間たちのため、自業自得の人間たちのために使うなんていうのはあり得ないと。我々の税金は我々のために使うという、我々がまさに郡だったり、町だったりするということが、今、起ころうとしていますよね。

 こうした問題も、実は社会をどう構想・デザインするのかという、非常に基本的な問題に関係しておりまして、先ほど、実は社会保障の制度を考えるときに、GかMかF、政府か市場か家族か、どれをどう重視して組み合わせるのかということ自体が、まさに社会の大きなグランドデザインに関係するという話もありましたので、実は、これも社会保障の問題に関係する。あれも社会保障の問題に関係すると言える話題は、マスメディアに事欠かないというほど存在していますよね。

 しかし、例えば、ゲーテッドコミュニティーのクローズアップ現代のあの番組は、多くの人はアメリカはひどいねという話で終わりがちで、アメリカはひどいねだけではなくて、実は日本もある場所に最近書いたことですけれども、見えないゲーテッドコミュニティー化というのは進んでいるのですね。それはどういうことかというと、これから社会保障あるいは特に年金保険の給付が下がっていくときに、お互い助け合って生きていきましょうという場合の助け合いのネットワークを持っている人と、持っていない人の区別というのは、目に見えないのですね。そのようなネットワークを持っている人は、多分助け合える。そのネットワークは恐らく従来の家族とは違うネットワークという形になる可能性があるのですが、そのような意味で、この間のクローズアップ現代の番組は、本当は人ごとではないというぐあいに、実は、ここかしこに、これも社会保障の問題、年金保険の問題だと語れるような素材はそれはそれで事欠かないと思うのですね。

 その意味では、そういう分厚い多方面的な作戦を展開していくと、教育なら教育、マスメディアならマスメディア、アカデミズムならアカデミズムといろいろなところでやっていかないと、これからもやはり変なポピュリズム的な政治によって、厚生労働省の皆さんも、私らも攪乱されて、また御破算になってしまったということになりかねないので、本当に慎重に分厚く怒涛のようにやっていく必要があるのだろうと思います。

○権丈座長
 どうもありがとうございました。

 今日、この会議は報告書にまとめて終えるということになりますので、我々は、またみんな在野の世界に戻るということになりますかね。宮台委員には、ぜひともこれから先のゲリラ戦の中で第一の戦士となって、いろいろと発言していただければと思います。

最後になりますが、本日の報告書をこれから先、修正等がございましたら、これは座長にお任せいただければということでお願いしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○権丈座長
 では、そういう形で、最終的にまとめさせていただきたいと思います。

 では、唐澤統括官のほうから、一言いただければと思います。

〇唐澤政策統括官
 ありがとうございます。

 この検討会は、平成2310月に第1回を開催させていただきまして、3年間、本日を含めて9回にわたって御議論をいただきました。これまでの活発な御議論に改めて御礼を申し上げます。

 これまで、社会保障教育の必要性については、指摘をされておりましたけれども、子どもさんたちにどういうような教材で、どういう方法で教えていけばいいのかということが、大変、現場の先生方には戸惑いがあったわけでございますけれども、検討会を通じまして、標準的なテキストというものができたということは、大変重要なことだと思っております。

 この報告書がまとまりまして、この成果を先ほどお話がございましたように、教育委員会や学校の先生方に使っていただいて、教育に生かしていただくということが重要なのです。

社会保障教育ということになりますと、政治的な争点になるようなところがあって、現場の先生方にとっては、公平な見解を紹介しているということがある種きちんとした基盤の上で言えるということが重要なことです。そういう意味で、今回の教材をまとめていただいたことにつきまして、大変価値があることだと思っております。

 日本に住む人が社会保障について、みんなが読んでいただくテキストということになるのだと思いますので、これを普及する、そして現場で御活用いただくあるいは教育委員会のセミナーなどでも活用していただくという観点で、文部科学省とも十分連携させていただきながら、今後進めていただきたいと思います。

 それから、この検討会につきましては、当面、この普及あるいは広報に力を入れてまいりますけれども、それぞれの区切りの時期がございますので、そういうときには、現在までの広報の進捗状況でありますとか、あるいは直面している課題について、御意見をいただいて、その方法の改善を引き続き図っていきたいと思っております。

 最後に、個人的な感想ですけれども、先ほど日本人が全て読むべき基礎的な社会保障のテキストというものができたと思いますけれども、できれば、逆境のときに読む手引きみたいなものをつくっていただきたいと思うのですね。意外に、そういうものを授業のどこで教えてくれるのかわかりませんけれども、ある種の職業教育というか、生活的なものといいますか、逆境に陥ることは人間はあるので、そのときには、誰かに助けてもらうことは、決して恥ずかしいことではない、社会保障制度を活用して生活を再建していく、そういうテキストというものも、また機会があれば御検討いただきたいと思っております。

 本当にありがとうございました。

○権丈座長
 どうもありがとうございました。

 今、唐澤統括官のほうから話がありましたように、前政権の2年目の平成2310月にこの検討会はこっそりと立ち上げられました。当時はまだ抜本改革華やかりし時代でして、そうした雰囲気と対立することになる社会保障教育の正しいあり方の検討、いわば世間の誤解をいかに解き、正しい理解をいかに広めるかということを検討していることは表だって言えない環境でした。検討会で話し合っている内容といいますと、前政権に喜ばしくない彼らへの批判を結構していたのですけれども、そこからずっと続いて、我々、この検討会は生き延びて、ここまで到達することができ、報告書もまとめることができました。その間、高校の公民科の宮崎三喜男先生や家庭科の三野直子先生にもメンバーになって参加してもらった教材検討プロジェクトチームは、9回開催されました。社会保障と税の一体改革と同じように、政権をまたいで継続してきた検討会という強みをこれから先も生かしていただければと思います。

松江さんをはじめとした事務局の方々には、長い間、大変なお仕事をありがとうございました、とここで終えたいところですが、昨年の社会保障制度改革国民会議の報告書には、「政府は、社会保障の現状や動向等についての情報公開等を行うだけにとどまらず、若い時期から、教育現場等において社会保障の意義や役割を学ぶことのできる機会を設けていくことが必要である」とあります。したがって、事務局の皆様方には、ここで終えたり休むことなく、社会保障の意義や役割を教育現場で教える機会がこの国でしっかりと整備されるまで、今後とも継続してがんばって頂かなければなりません。よろしくお願いいたします。

 最後に、事務局のほうからよろしくお願いいたします。

〇松江専門官
 事務局から連絡させていただきます。

 報告書のほうが取りまとまりましたら、厚生労働省のホームページのほうにアップをさせていただきます。

 今後ですけれども、当面は、報告書の提言に基づきまして、文部科学省さんとも連携しながら、周知活動を行っていきたいと考えてございます。

 今後は、こういった普及活動に重点を置きますので、当面は検討会の開催の予定はございませんけれども、また、皆様に再度お力を貸していただくような際には御連絡をさせていただきたいと思います。

 以上です。

○権丈座長
 どうもありがとうございました。

 また再度という話もなされましたので、本日のところは、第9回の検討会を終了という形で終わらせていただきます。

 本日は、貴重な御意見を本当にありがとうございました。

 どうもお疲れさまでした。

 


(了)
<照会先>

政策統括官(社会保障担当)付社会保障担当参事官室

政策第三係: 03(3595)2159

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