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2014年7月1日 第3回福祉人材確保対策検討会 議事録

社会・援護局 福祉基盤課 福祉人材確保対策室

○日時

平成26年7月1日(火)10:00~12:00


○場所

TKPガーデンシティ永田町 バンケットホール1A


○議題

(1)介護福祉士資格の取得方法について
(2)介護人材確保について
(3)その他

○議事

○関口室長補佐 どうも皆様、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第3回「福祉人材確保対策検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 初めに、本日の構成員の出欠状況でございますが、門野様は御欠席との御連絡をいただいております。

 また、西條様の代理として圓道様が、それから、佐藤様の代理といたしまして扇田様が、平川様の代理として竹内様が出席をされております。

 堀田様が若干遅れているというところでございます。後ほどお見えになるかと思います。

 なお、事務局側でございますが、藤原総務課長は公務のために遅れて参りますので、よろしくお願いいたします。

 では、以降の進行は田中(滋)座長にお願いしたいと思います。

○田中(滋)座長 改めまして、おはようございます。

 早速、議事に入ります。

 本日は、議事次第に書いてありますように、3つの議題を扱います。第1に、人材確保に関係の深い団体からのヒアリング。第2に、介護福祉士資格の取得方法についての議論。第3に、介護人材の確保についての全体的な議論に分けて進めてまいります。

 初めに、事務局から資料の確認をお願いします。

○関口室長補佐 それでは、報道の皆様の撮影はここまでで終了させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○関口室長補佐 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 皆様のお手元には、本日のヒアリングをお願いしています全国老人保健施設協会、平川副会長様と、日本慢性期医療協会の武久会長様から御提出いただきましたヒアリング資料1と2、それから、事務局側の資料といたしまして、資料1から3までを配付させていただいております。

 また、本日は構成員の石橋様、門野様、高橋様より資料が提出されておりますので、そちらも配付させていただきました。

 加えまして、本日の議論の御参考としていただくために、田中様より御提供のありましたパンフレット4種類と1枚物のペーパーを、あわせて机上に置かせていただいております。

 資料の不足等ございましたら、事務局までお申しつけくださいますようお願いいたします。

 以上でございます。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

 早速、第1の議題であるヒアリングに入ります。

 本日、御多忙の中、全国老人保健施設協会の平川副会長、日本慢性期医療協会の武久会長にお越しいただいております。お2人からの御意見をお伺いいたします。

 最初に平川様、説明をお願いします。

○平川様 老健施設協会の平川でございます。

 お手元のヒアリング資料1というものをお願いいたします。

 まず、1ページ目でございますけれども、今回は介護福祉士の問題も含んでいるわけですが、介護福祉士の方々の働いている職場の内容です。ちょっと古い資料で恐縮でございますけれども、平成17年の段階で3施設を比較しますと、老健施設がやはり一番介護福祉士の方がいらっしゃる。最新の平成23年の資料によりますと、老健施設の介護職員の57.3%が介護福祉士、特養においては51.3%、介護療養型については36.3%と聞いております。いずれにしても私どもの職場では、介護福祉士の占める割合が非常に大きいということでございます。

 めくっていただきまして、その結果、どうしても介護人材についてはこだわりがあるわけであります。老健施設協会は、全国3,900ある老健施設の事業団体で、組織率は約90%という非常に組織率の高い団体でございます。そのために、人材問題対策部会を設置したり、あるいは要望書を出したり、研修事業等々を行ってまいります。

 具体的には、次の資料3ページをお願いします。これは人材問題対策部会を設置して、今、検討しているところでございます。さまざまな分野から有識者の方々に来ていただきまして、検討を加えておりますし、また、この以前に、平成20年ごろからスタッフ雇用問題対策委員会等々をつくりまして、お手元、わずかにしかなかったものですから、資料を2冊。その委員会で発行した冊子でございます。オレンジ色のほうは介護職員からの悲鳴という形で厳しい声が入っています。ただし、こればかりでは世間に厳しさをあおるばかりということなので、続けて出しましたのは介護の喜び。厳しい中でも、やはり介護の中には喜びがあるといったものをまとめた文集でございます。そういったような活動。

 さらには、4ページに行きまして、これは要望書を、きょういらっしゃいますけれども、武久先生にも御協力いただきながら、関係団体で国に要望書を出しております。

 5ページ目は、老健施設協会が実施している研修事業です。年間30を超えるコースの研修を行っておりまして、6ページでございますけれども、大体参加者の数については、ほぼ、多くは1万人近く。平成23年度は、かの震災がございましたから開催を控えましたけれども、非常にそういう点では勉強に対するモチベーションの高い職員を抱えていると思っております。

 7ページにつきましては、今回の介護福祉士の実務者研修の変更。450時間問題に関しまして、老健施設としては協会を挙げて、決まったからには、この中でどうやってこの職員を育てていくか。それもやはり介護福祉士中心の職場でございますから、1人でも多くの方ということで、老健施設協会の中で独自の教育システムを考える検討を行っております。

 さらに8ページでございますけれども、キャリアアップにつきましては、御案内のキャリア段位制度についてもいち早く協会を挙げてトライアルするということで、例えばことしの、いわゆるアセッサー講習につきましても、2カ所老健施設協会の特別会場をつくってもらって、果敢にここに加わろうとしております。

 9ページでございますけれども、実際問題、これがアセッサーの養成の数でございますが、他の全ての介護サービスの中で一番アセッサーを多く養成しているのも老健施設協会で、これにつきましては、やはり1つのキャリアアップのシステムがございますが、同時に職場の評価にもなりますし、有効なOJTツールと考えてこれについて取り組んでおります。

10ページですけれども、協会ホームページ上でも求人サイトを持ったりしております。

11ページ。つまり老健の介護職というのは、一言で言いますと、いわゆる医療・介護・看護・リハビリ・認知症・在宅復帰・在宅支援・通所と非常に総合職ですね。つまり総合的な介護職ということで、一番スペシャリティーが高いのではないかというふうに判断して、ここにあるような理由を考えながら、老健施設協会として非常に力を入れてバックアップをしているところでございます。

 いずれにしましても、このような形で努力はしておりますけれども、やはり可能であれば、できる限り現場で介護福祉士が取れるという仕組みについてはもう少し工夫をいただければと思っておりますし、同時に、そういったことに対して、汗をかくわけでございますから、施設側に対しても、そして御本人に対してのそれなりの対価とは言いませんが、そういうものが用意されることが必要だと思っております。

 続きまして、今のは老健施設協会の立場でお話したのですけれども、地域での取り組みついて少し触れるようにと言われたものですから、八王子市での取り組みに少し触れてみました。

 八王子市は、東京の西部にありまして、非常に広大な敷地があるものですから、土地のかかるものばかりができています。例えば大学が20ありますし、広大な墓地もありますし、そして福祉施設ということで、非常に広い広大な敷地を使っての施設が多いものですから、当然ながら病院も多い。大学病院が2つありますし、療用型の施設については500600ベッドのものがざらにございますし、精神科病院も15ある。特養が22、老健が7という形で、介護職をたくさん必要とする、そういう特殊な地域でございます。

 ですから、この中ではみんな協力して、星の潰し合いはやめようという形で協会をつくっております。これがNPO法人の事業者連絡協議会でございます。234、今、260ぐらいと聞いておりますけれども、それぐらいのものが参画しております。

15ページですけれども、ここではさまざまな取り組みを行っておりますが、特に介護保険サービスに対する教育研修事業に力を入れております。

16ページ。このあたりからずっと161718と年々研修を行っているわけですけれども、特に19ページは部会での研修。

20ページをごらんいただきたいのですけれども、ここで考えていることは、やはり介護福祉士の資格というものをきちんと取ってほしい。できれば八王子市の介護サービスに従事する者は、多くが介護福祉士であってほしいなという願いを込めて、協会を挙げて介護福祉士の受験の対策講座を行っております。これはほぼ6年以上続けているわけですけれども、例えば25年度も合格者が31名ということで、研修も頻回にやっておりますし、おかげさまで合格率も全国平均より高いということで、地域を挙げてこういったことを行っています。

21ページ。また、ケアマネージャーにつきましても、毎年全国平均より高い合格率を出しながら行っております。

 最後になりますけれども、つまり、地域での考え方というものを私たちは思っておりまして、やはり介護職員。もちろんこれは看護職も含めてですけれども、保健医療福祉に携わる人材というのは、本当に地域の財産なのだ。ですから、俺のものだ、お前のものだというわけではなくて、これをいかにみんなで共通の財産として使うか、あるいはいてもらうかですね。つまり、この地域でこの業界にとどまっていてもらう。そのためにはどのような支援が必要かというわけで、個々のサービスではとても通用しない。やはりみんなで共通の土俵に上がっていただいて、力を合わせていくということだと思います。

 例えば、非常に私たちが欲しがっている、つくってきたのが、地域限定の人材バンクの創設でございます。ナースバンクというものがございますけれども、もっとより地域に密着した形での、登録制の介護職のバンクをつくりたい。そこで相談とか、あるいは支援とかいったものも綿密にやっていきたいと思っています。つまり、残念ながら私どもの八王子市においても介護人材、全く足らないものですから、やむなく人材派遣とか人材紹介会社に頼んでいるわけでございます。しかしながら、私どもとしては、介護でもらえる介護報酬は、入浴介助やあるいはおむつ交換等々、現場の介護で汗をかいた人間に行くべき報酬だと思っていますし、浄財だと思っています。熱いさなか、今、入浴介助をする職員を見ると、冷房のきいた会社で、電話1本でこちらからこちらに人をこうするだけでお金を得るというのは、いささか納得しがたいといいますか、そこに行くべきお金が少しでも介護職員のほうに行くことを切に願うところでございます。

 そういった人材バンクを、ぜひ第三者ですね。いわゆる非営利の形でできるものをぜひつくってもらいたい、あるいはつくりたいなと考えております。

 それから、地域限定の具体的な支援策として、例えば八王子は都内からも離れておりますので、研修に行くのもすごく大変なのですね。そういった点で、地元でできるさまざまな研修とか、あるいはキャリアアップの仕組みとか、あるいは育児制度等々少しでも働きやすい、そういった仕組みを考えながら、同時に質の担保のためにこういった研修、あるいは身分資格のハードルを上げることはいいと思うのですけれども、先ほども言いましたように、それに対する報酬も含めて両にらみできちんとやってもらわないと、なかなかこういった事業は進まないのかなと思っています。

 以上でございます。失礼しました。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

 最後のページにあります「介護職員は地域の共通の財産である」との言葉は、地域包括ケアの理念にまさにふさわしい書き方で、大変感銘を受けました。平川様、どうもありがとうございました。

 続きまして、武久様、説明をお願いいたします。

○武久様 お願いいたします。

 めくっていただいて、1ページですけれども、これはもう相当前になりますが、私が医療の中にも介護というのは非常に必要であって、高度急性期病院であっても介護的な業務というのは8対2ぐらいある。それで、このように大体類推で介護の必要度というものを出しておりますけれども、介護というのは、介護保険施設や介護の現場だけで必要なわけではないということを、まず御理解いただきたいと思います。

 2ページですけれども、これは特別養護老人ホームの、私の関連しているところですが、真ん中のHという特養は、胃ろうが約20%近い。それから、8.610.0。また、19.2というところの横の場合は、喀たん吸引が11.4、糖尿病が8.6というふうに非常にあって、こういうところは、下の○のところは実は特養に看護師さんの当直を入れているというところであります。

 3ページですけれども、それぞれコメディカルはキャリアアップをするという方向に行っていますので、看護師は特定看護師、それから、PTOTSTは総合リハビリテーション療法士、介護福祉士は、最近はキャリアアップの段位制が出てきましたけれども、我々の医療の現場では医療介護福祉士というふうにキャリアアップをしていただきたいと思っております。

 4ページですけれども、看護師が特定看護師を推進するなら、病院でも医療の訓練を受けた介護福祉士に軽度の診療補助を認めるべきではないかと思っております。

 そのために、5ページのようにカリキュラムをして、既に何年も前からこういう研修を行っておりまして、日本慢性期医療協会の会員のところにはこういうスタッフがたくさんいます。

 6ページですけれども、実務経験3年での介護福祉士の国家試験受験資格を当分の間続けていただかないといけないかと思っております。時代はアベノミクスということで、景気がよくなっていくようでございます。そうすると、なかなか介護に参入してくる若者が少のうございまして、私は、介護のレベルを上げていってキャリアアップするということは非常に重要ですし、研修もたくさん行うということも非常に重要ですけれども、やはり入り口は余り締めないで入りやすくして、中へ入ってからどんどんと研修を行っていくようなシステムというのがどうしても必要ではないか。初めに500時間ありきということでは、なかなかこれから厳しい状況になる。

 7ページですけれども、これは病院の場合ですね。一般病床、地域包括ケア病棟、療養病床とありますが、看護補助者というふうになっておりますが、これは全部介護職員のことでございます。介護職員のことを看護補助者というふうに言って譲らない団体がどこかにあるということでございます。

 看護補助者の配置状況を8ページに見ておりますが、このように看護補助者はたくさん配置がされておりますが、平均年齢で大体34から4445までということで、介護福祉士の受験資格取得者の割合も、東京都の場合は82.3%というふうに、大体27.8%以外は非常に高い割合になっていますし、医療介護福祉士の取得の数も一番下のようになっております。

 9ページは、一般病床における看護補助者の配置状況でありますけれども、このように法定の50対1とか30対1、25対1というふうにいろいろな基準がございますが、こういう場合に6人でいいところを18人、7人でいいところを11.3人というふうに、非常に多く加配しているということが現状でございます。

10ページですけれども、実質介護職員をわざわざ看護補助者と呼んで看護師の隷属者のように扱うことは、介護専門職にとっては耐えられないことでありまして、介護福祉士は国家資格者でありまして、准看は都道府県資格しかありません。看護補助者の中には、事務の補助者ということもありますが、これはクラークとして別組織として評価されておりますので、結局現在のところ、看護補助者というのは介護職員ということでございます。

11ページ。介護職員の配置状況。これは老健、今、平川先生おっしゃっていただきましたけれども、私のほうでお話の老健を調べましたところ、やはり介護福祉士の取得者は非常に高うございまして、医療介護福祉士の人もいらっしゃいます。結構長く平均勤続をしてくれています。

12ページは同じく特養でございますけれども、79%、78%、69%と、やはり介護福祉士の資格の割合は非常に高うございまして、私はできるだけほとんど100%に介護福祉士の資格を取らせたいと思っております。

 一方で、13ページのように、外国からの介護福祉士や看護師のEPA等が盛んでございます。13ページ、14ページにはそのシステムが書いてあります。

15ページは外国人看護師・介護士の受け入れについてですけれども、看護師候補は母国で実務経験を2~3年。介護福祉士は、卒業生で実務経験がないか、このように介護士認定をした人ということで、看護師は入国3年、介護士は4年ということになって、看護師は3回受験する機会があるが、日本の介護士の国家試験には実務経験が3年必要である。これは要するに、インドネシアとかフィリピンでの実務経験は実務経験ではないという、どこに根拠があるのかわかりませんが、このような冷遇をされているということでございます。

16ページにおきましても、国家試験の合格者ですけれども、外国人看護師は、初めは0%でしたが、最近では10.4%と非常に、10人に1人は受かっている。介護福祉士は36%ぐらいですね。

17ページですけれども、したがって、私がやっている病院等では、22年より98名の外国人候補者を受け入れておりまして、インドネシア63名、フィリピン35名、平均28歳ということで、正看合格者6名、准看合格者21名、帰国者は42名、介護士候補は26名。インドネシア男性5名、女性21名、平均年齢24歳ということで、介護福祉士合格者は4名、就業中3名となっております。

 しかし、これを見てみますと、インドネシアという国とかフィリピンとかで、ちゃんと学校を出て経験もしたような人、またはそういう人が、日本に来て日本語を勉強して受験をするわけですから、ここでおられる皆さん方が何かの資格を持っているとして、あなた方がインドネシアへ行って、3年間の間にあなた方がお持ちになっている国家試験と同じものをインドネシアで取れるかというと、私は少なくとも全く自信はありせん。と考えると、彼らは非常に優秀な方々ではないか、もっと評価してもいいのではないか。

 これからだんだん厳しくなります。EPAとかを見ていますと、やはり何か日本が偉くて東南アジアの人を入れてやるというような雰囲気があるように感じますけれども、もうそういう時代ではないだろうと思いますので、こういうことも含めながら日本の中でのキャリアアップ、または参入をふやすということも必要ですが、最後の18ページには「良質な介護がなければ医療は成り立たない」。要するに、介護で非常に重要な、看護師さんでもっているわけでもありませんので、皆さん方、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○田中(滋)座長 武久様、ありがとうございました。貴重な詳細なデータの紹介に感謝いたします。

 本日のヒアリングは以上です。平川様、武久様、ありがとうございました。ここで席を御移動くださいませ。

(平川様、武久様、席移動)

○田中(滋)座長 引き続き第2の議題に入ります。「介護福祉士資格の取得方法について」、議論を行います。

 初めに、事務局人材確保対策室長から、資料の説明をお願いします。

○武内室長 それでは、「介護福祉士資格の取得方法について」というタイトルがついております、資料1に基づいて御説明をさせていただきます。

 1ページ目、資料目次。

 2ページ目をごらんいただきますと、こちらの資料は介護福祉士資格取得方法の現状と経緯の全体をお示しした上で、実務経験ルート、養成施設ルート、福祉系高校ルート、それぞれについての資料をつけさせていただいております。

 3ページ目です。介護福祉士の資格取得法につきましては、実務経験ルート、養成施設ルート、福祉系高校ルートの3つのルートがあります。それらについて、教育プロセス及び国家試験、資格取得者数をこちらに記載しております。

 青い部分が、現在既に施行されている部分。オレンジ色の部分が未施行の部分ということになっております。したがって、実務経験ルートの実務者研修、養成施設ルートの国家試験、この部分が未施行という状況になっております。

 これまでの経緯について、4ページ目をごらんいただきたいと思います。介護福祉士の資格取得方法に関しましては、平成19年の改正で、資質向上を図る観点から、一定の教育課程を経た後に国家試験を受験するという形での取得方法の一元化が目指されました。その中で、実務経験ルートの改正後のところで、実務者研修の受講義務づけ。養成施設ルートの改正後のところをごらんいただきますと、1,800時間の課程に充実。それから、新たな国家試験を義務づけるということを行いました。

 その後、平成23年度改正で、新たな教育内容、たんの吸引などの追加と、働きながら受講しやすい環境の整備を図るということから以下の改正が行われまして、施行を24年度から27年度に3年間延期するということが行われたほか、実務経験ルートについては、研修時間を600時間から450時間に見直し。あるいは働きながら研修を受講しやすい環境の整備、通信教育の活用等が行われました。養成施設ルートについては、たんの吸引等の追加に伴う研修時間の見直しというものが行われました。

 その後、今般の医療・介護総合確保支援法において、介護人材の確保が困難な状況などを踏まえまして、この資格取得方法の一元化の延期、それから、看護人材確保の方策についての検討を行う旨規定されたということは御案内のとおりでございます。

 それらの動きについて、5ページ目は、平成19年当時の資料から抜粋です。こちらでは、1のところで定義規定。介護福祉士の業務として「心身の状況に応じた介護」というものを入れたり、あるいは2の義務規程のところで、個人の尊厳の保持などが述べられ、3の資格取得法の見直しというのは、先ほど御説明したとおりの内容が盛り込まれていました。

 また、6ページ。今度は23年当時の資料でありますが、これは検討会の報告書概要という形で恐縮ですけれども、2の「報告書のポイント」というところで、介護人材の養成体系の整理。認定介護福祉士をも視野に入れたキャリアパスの基本というものを打ち出しました。それから、先ほど申し上げた実務者研修の受講環境の整備というものが行われました。

 それから、7ページ目です。7ページ目が、今般の法案の中での対応でありますけれども「現状と考え方」、左下のところにありますが、依然、介護人材の確保が困難な状況が続くということ、あるいは経済状況の好転の中で他業種への流出懸念が高まるということを踏まえまして、入職意欲をそがないよう、右にあります介護人材の確保のための方策について、1年をかけて検討を行う。あわせて、その間、資格取得方法の見直しの施行時期を1年間延長するという内容が盛り込まれています。

 8ページ目です。各ルートの学習内容についての比較表です。実務経験、養成施設、福祉系高校、それぞれ大きく分けて「人間と社会」「介護」「こころとからだのしくみ」「医療的ケア」ということの大きな柱の中で、こういったバランスをとったカリキュラムが今、整備をされているということでございます。

 9ページ目からは、実務経験ルートにフォーカスをした資料です。

10ページ目「実務者研修の概要」。おさらいになりますけれども、実務者研修につきましては、(1)の1にありますように、実務経験のみでは取得できない知識・技術を中心に構成をするということ。3で「到達目標」を規定化し、基準化したということ。そして、研修におきましては(2)の面接、(3)の通信課程。これらを組み合わせて行うというような仕組みがとられております。

11ページ目です。こちらは平成22年当時の検討課題の提出資料ですが、実務者研修を創設した目的として、右の上の四角にありますような、1から12に挙がっているような、今後のあるべき介護福祉士像を実現するということを前提としまして実務者研修を創設し、そのためのカリキュラムを整備するという考え方がとられました。

12ページになります。この実務者研修に関しましては、他の研修を修了した場合に、読みかえることが可能になっています。表の一番上に並んでいる介護職員初任者研修などなどの研修を受けている場合は、縦に並んでいる教育内容の科目について、○がついている部分については読みかえ可能だということになっておりまして、科目単位での修了認定を認めるというような制度設計となっております。

13ページです。それでは、実務者研修の受講者の現状がどういう状況になっているのかというのを示したのが13ページです。2つ目の○、さまざまな実務者研修にかかる負担軽減措置を活用した現状というものが、以下のようになっております。

 1つ目が、読みかえにより450時間全てを受講する必要のある方は少なく、320時間の受講をされているのが一般的、平均的な姿ではないかと考えられております。それはサンプル調査に基づくもので、2つの例がありますけれども、点線で囲まれた学校での受講者の属性を調べてみたところ、全くの無資格者は18.2%、あるいはB学校では7.9%。1割、2割の方が無資格者。他方、ホームヘルパー2級あるいは初任者研修を修了されているという方が7割から8割を占めており、こちらの方々が大体320時間の受講をされているということで、何らかの研修を受けた方が大部分を占めているということがわかります。

 2で、通信課程の活用につきましては、実務者研修の教育課程のうち大部分は通信課程を活用している。定員のうち9割ぐらいが通信課程の定員になっておるということで、320時間の受講の場合、通信課程では275時間をカバーできるという状況になっています。

 3つ目のポツにありますように、職場を離れる面接授業は、7日から9日間が一般的。あるいは土日受講も整備されているのが一般的な姿ではないかと考えられます。

 一番下(参考)のところで、実務者研修については、25年あるいは26年1月1日の状況で、既に1万人以上の方が在籍をされているというような状況であります。

14ページなのですけれども、14ページは実務者研修受講者のイメージ例です。これは何を示しているかと、ある大手専門学校のケースを拾いますと、四角の上の通信課程、それから、下の面接授業に関して、ポツポツがついているものが、レポートや何らかの課題という形で提出をする時期と回数です。それから、○が面接で通わなければいけない回数です。こういう形で9カ月のコースというものを念頭にそこでは設定をされておりまして、この9カ月をこういった形で時間を使っておられて、こういう形で通信と面接を行っているということを御参考に御紹介します。

15ページです。実務者研修に関しては、福祉介護人材確保緊急支援事業の中で、青い部分「介護福祉士試験の実務者研修に係る代替要員の確保」というものをメニューとして準備をしておりまして、一部の都道府県ではこういったメニューも活用されております。

16ページ以降は、養成施設ルートについての資料です。

17ページをごらんください。17ページでは、介護福祉士養成施設の入学定員数、入学者数を棒グラフにしています。平成17年にピークを打って以降、18年以降の推移をここに述べていますけれども、18年以降25年に至るまで、入学定員数・入学者数というのはおおむね減ってきている。途中で離職者訓練などを活用した入学者というのが加わってきておりますけれども、入学者数は減少している。ピーク、18年の2万人弱の入学者数から現在25年では、離職者訓練分を除けば1万人程度と、おおよそ半減してきているという状況が見てとれます。

18ページですけれども、今、言及させていただいた離職者訓練につきましての参考資料を、18ページにつけております。離職者訓練というのは、国と都道府県が委託契約を結び、早期の就職を支援するために職業訓練を実施することです。この四角の下の青い箱のところにありますように、委託訓練実施機関というところの訓練コース、2のところの部分として、介護福祉士というのが位置づけられているということであります。

19ページです。介護福祉士の養成施設で修めていただく課程においては、修学資金貸付制度というのがあります。これは左下の青い四角のところを見ていただくと、学費月5万円、入学準備金20万円などなどの修学資金貸し付けが行われ、5年間従事すれば返還免除となっております。

 なお、実務者研修の場合も、1人当たり総額20万円の奨学金が出るという仕組みになっています。

 最後に、福祉系高校について、20ページ、21ページの資料をつけさせていただいております。

 福祉系高校につきましては、左側に定員数と入学者数の推移をつけております。こちらでは、福祉系高校に関しましては安定して定員数、あるいは入学者数をカウントしておりますが、今、定員の充足率というのは、80%強から現在は81%と少し落ち着いてきておりますけれども、8割を超える高い水準で推移をしております。

 なお、右の欄は特例高校という形で、福祉系高校移行を前提として、時限措置として21年度から25年度までの入学生に限って行っている類型でありまして、こちらの定員数・入学者数も御参考につけさせていただいております。

 御説明は以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

 第2の議題にかかわる議論の進め方としては、初めに介護福祉士の教育や介護の現場において、本件に直接関係の深い団体の代表のお立場にある皆様から御意見を伺いたいと思います。その上で全体の議論を進めていきます。

 なお、時間の制約がありますので、多くの皆さんが御発言できるよう、できるだけポイントを絞った説明をお願いします。

 では、順番にこちらから指名いたします。

 初めに、日本介護福祉士会の石橋さん、お願いします。

○石橋構成員 私のほうから、別添資料の第3回福祉人材確保対策検討会の「介護福祉士の資格取得方法について」の提出資料のほうで御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、1ページをめくっていただきたいと思います。

 前回も申し上げましたけれども、やはり介護人材確保に当たっては、現在求められている介護がどのようなものなのか。また、そのような介護をできる人材の養成が必要なのではないかということを前提にお話をさせていただきたいと思っています。そのために、最初に介護をめぐるニーズの変化ということで資料を提供させていただいております。

 まず、認知症高齢者の増加に伴い、非薬物療法等による認知症ケアが求められており、それを担える介護人材がこれからますます必要だと思っています。

 また、地域包括ケアが推進されていく中において、在宅限界を高め、地域で高齢者が最期まで暮らすことができるためには、「排泄」「食事」「入浴」などの介護だけではなく、医療的な知識をある程度有し、介護のスキルや関連知識、応用力を持った介護人材が、裾野の広い介護スタッフの中で中核的人材として求められています。それにより、幅広い地域の介護力をより効果的に活用できると思っています。

 また、本人の力を引き出し、自立に向けた介護が求められ、それを担える人材というものが必要となっています。

 先ほどもありましたけれども、人間の尊厳にふさわしい介護が今、求められております。

 また、介護保険制度の安定的発展のためには、漫然とした介護ではなく、効率的・効果的な介護を実践していくために、機能に着目したケアが求められております。

 これらの介護ニーズというのは、高齢者分野に限らず、障害者分野も同様と考えております。

 次のページでございますが、介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期についての御意見を述べさせていただきたいと思います。

 左側の四角に囲んであるところでございますけれども、介護保険法等で示されているように、尊厳を守り、自立支援の介護を行うため、また、先ほど申し上げましたような介護を行うためには、高い倫理、十分なコミュニケーション能力、個別に応じた介護が実現できることなどが必要であり、そのためには中核的介護職員。この場合、中核的介護職員というのは介護福祉士を指します。そのような介護福祉士に高い教育と専門性が必要だというのは明らかだと思っています。

 そして、質の高い介護福祉士や介護職員を養成していくことが、利用者像の変化や利用者のニーズの対応、何より介護保険の効率化にもつながると思っています。

 したがいまして、介護福祉士の資格取得方法を一元化することによって介護福祉士の質を担保し、そのことが国民に対してのサービスの向上につながることになります。それが介護福祉士の社会的評価の向上を促し、また、介護福祉士が魅力ある職業として確立するために必要なものだと考えています。

 そのことが、結果的に介護の人材確保に大きく貢献するものだと考えています。質の向上が量の拡大につながるということでございます。

 次のページですけれども、国家試験(養成施設ルート)の義務づけについてでございます。

 医療などの医師、看護師等含めて専門職は全て者が一定の教育を経て、国家試験を受けて資格を習得しています。これにより専門職として質の担保・評価、また、魅力ある職業として確立なされています。

 介護福祉士も同様の課程を経ることによって専門職としての質を担保し、評価を高めることになります。

 したがいまして、養成施設卒業生には試験を課すことで、一定の質を担保することが重要かと思っています。

 また、同様に、実務者経験ルートに関しましては、試験を受けるまでに一定の教育が必要だと考えています。

 したがいまして、国家試験の義務づけというのは、養成施設ルートにおける質の担保につながるのではないかと思っています。この質の担保が評価を高め、人材の確保に貢献する。

 したがって、養成施設ルートにおきましては、質の担保につながるような仕組みというものが必要だと考えています。

 次のページでございますけれども、実務者ルートの実務者研修につきましては、実務者ルートにおける質の担保を行うことが実務者研修ではないかと思っています。

 先ほど事務局のほうからも御説明がありましたように、実務者研修というのは、介護職に対して実務経験で習得できない知識・技術を体系的に獲得するための教育であり、介護福祉士としての質の担保に不可欠な要素であると思います。また、この研修を受講することで実技試験が免除され学科試験合格の近道ともなり、受講生にとっても大きなメリットがある研修だと思っています。

 次のページですけれども、実務者研修につきましては、現場の負担感が大きいという見方もありますが、実際には先ほど事務局からの御説明がありましたように、現場においては、働きながら受講していけるように配慮された研修でございます。要は、教育側も施設側もさらに研修の受けやすい環境の整備に取り組むことが今後重要だと考えております。

 だから、単に国家試験に合格するというだけの目標ではなくて、介護福祉士として何を学ぶべきなのか。介護福祉士としての価値観をしっかり身につける、体系的に学ぶ機会がやはり必要だと思っています。

 最後に、キャリアパスの確立についての取り組みの提言をさせていただきたいと思います。

 介護人材の確保を考えるのであれば、介護の「質」「量」の好循環サイクルを確立することが重要であり、介護の「質」の担保のためにも、資格取得方法の一元化が必要であるとともに、介護福祉士としてのキャリアパスを確立して、介護という職業が魅力あるものとする必要があると考えております。

 本会としては、以下の4点を提言させていただております。

 国のほうで示されております、まず、1番の認定介護福祉士の取り組みなど、介護福祉士の資格取得後のキャリアパスの形成や勉強する意欲に応え、また、仕事しながら学ぶ意欲を促進することにより、資質のさらなる向上と長く働き続ける意欲を持たせるような仕組みが必要と考えています。やはり介護職自身が成長する機会を与えられるということが仕事の楽しさ、介護の魅力につながるのではないかと思っています。そのことが人材確保に貢献すると思っています。

 2つ目でございますが、専門的な知識・技術を研修しキャリアアップが図られるように、職員に対する研修条件の整備を施設や事業者、法人が取り組むことを明確化・義務化する必要があると思います。学ぶことに対して、人を育てることに対して、事業者がしっかりバックアップする。そういう体制づくりが必要かと思っています。

 3つ目に、先ほど申し上げました実務者研修の円滑な実施。

 4つ目に、事業者(管理者)のマネジメント能力の向上のための対策などの推進。これらが必要だと考えております。

 資格取得方法の一元化とあわせまして、できるだけ早い時期にキャリアパスの確立を構築していくことをこの検討会で示していただけることを望んでいます。

 以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

 次に、民間介護事業推進委員会の扇田さん、お願いします。

○扇田代理 私、佐藤の代理でございます。佐藤からぜひこれだけは言ってくれということで預かってまいりました。

 実務者研修については、負担を軽減するために、また、学ぶ意欲とかキャリアアップの意欲をそがないためにも、できるだけ可能な限り受けやすく、資格を取りやすくする必要はないかと考えております。

 例えば、介護福祉士において医療的ケアをやる時期。医療ケアをやることが余りないというようなことから、実務者研修の段階で、介護福祉士の資格を取得した後に、必要であればその人に受講させるようなことも1つ考えるべきではないかということでございます。一応介護福祉士を取った後に50時間の医療のこともできるようにすることによって、多数の人が介護福祉士の資格が取れるのではないかというようなことを考えております。

 それから、今までいろいろな形で、こういうような形でやってまいりましたけれども、介護福祉士を含めたキャリアアップについては、当面の措置はやむを得ないと思いますが、将来こうあるべきだというような姿を一度議論しておく必要があるのではないかなと考えております。

 民間推進委員会としては以上でございます。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

 次に、全国福祉高等学校長会の高橋さん、お願いします。

○高橋構成員 福祉系高校のこれまでの人材育成に取り組んできた現状と、今後の課題について少し触れてみたいと思います。

 1ページ目からまいりますが、平成18年1月から8回にわたり行われた「介護福祉士のあり方及びその養成プロセスの見直し等に関する検討会」を経て、平成19年には社会福祉及び介護福祉士法が大幅に改正された。この改正の背景は、急速に進む高齢化に加えて、多様化・高度化する介護ニーズに適切に対応できる介護従事者の質の向上を図ることが求められていたと考えられます。

 そして、法改正のポイントとしては、身体のみならず「心身の状況に応じた介護」を提供できる資質の高い介護福祉士を養成するため、介護福祉士という国家資格の取得方法を全てのルートで一元したことが結論でないのかと思います。

 介護福祉士の資格を取得するルートは、先ほど以来それぞれ説明ございますけれども、専門学校、短大、4大等の養成施設。それから、高校での福祉系高校。それから、介護系の場合、従事者によっての3つのルートが考えられるわけですが、養成施設においては卒業時に資格を付与してきた。これに対して福祉系高校は、それぞれの勉強をした後に国家試験を受験するということ。さらには、文科大臣・厚労大臣の指導監督に服するということがこのとき定められているということでございます。

 高等学校の福祉教育においては、平成20年度に卒業した生徒までは、34単位、1,190時間の専門科目のカリキュラムを受けて国家試験に臨んでおったわけですけれども、法改正によって21年度の入学生からは、34単位から52単位、1,820時間と、それまでより18単位、630時間、時間数が増大された内容となっております。専門学校等の養成施設と同等のレベルの教育を経て、国家試験に今日臨んでいる。

 2ページの下に記載したように、この単位数を確保するために、各校では平日7時間の授業、それから、夏季冬季においては長期休暇中にも授業を取り入れながら、教員・生徒ともによりよい介護福祉士を目指して取り組んでいます。

 また、52単位を実施できずに、福祉系高校としてステップアップすることのできない高校も、特例校としてそれまでの34時間を実施し、卒業後に介護現場での9カ月の実務経験を経ることで国家試験を受験するという措置がされております。

 専門学校以上の養成校においては、改正前は1,650時間の課程を満たすと卒業時に資格を付与しておりましたけれども、介護福祉士という国家資格の認識を改めるため、改正後は2)のように150時間をふやし、さらに養成校においても国家試験は義務づけられておったわけでございます。

 福祉系高校は、こういった21年というか19年度に法改正したことについては、忠実に先行実施しているということでございます。

 教員についても、専門的な科目を教授するために厳しい要件を満たすことが義務づけられた。改正後52単位を実施し、介護福祉士を養成する高校を福祉系高校とし、福祉系高校における教員には高校教員としての福祉教員免許に加えて、介護福祉士等の資格と医療・介護現場での5年以上の実務経験のある者と、養成校の教員と同じ要件が定められております。

 しかし、資格所持者や、まして現場での実務経験を経て高校の教員になったという現職教員はほとんどおらずに、この処置として19年度の法改正後、平成20年度から25年度まで文科省主催で現職教員を対象として、夏季休業中に受講できるような日程で10日間の資格代替講習を実施しております。また、現場での実務経験については、教員自身が福祉施設で5日間の研修を5年間継続実施することとなっております。

 5年間の継続実施については、基本的には現場での実習としましたが、5年のうち2年分は9時間分、540分でございますが、代替講習を受けることも認められ、福祉校長会でも22年度から24年度までの3年にわたり代替講習を実施した。こちらの代替措置も25年度までが実施期限となっており、26年度以降の実施や実習ができないため、これは今後の課題となるのではないかと思っております。

 教育機器や備品等についても、養成校同等の物を21年度入学生から対応できるように、資料にある機器をそろえることが義務づけられました。この結果、19年度の法改正での厳しい要件によって、介護福祉士を養成する高等学校は大幅に減少した。

 さらに23年度には、介護福祉基盤強化に伴う法改正として医療的ケアが導入されました。医療的ケアに関するカリキュラムを50時間追加することと、27年度からの国家試験の出題が追加され、高等学校においては教育内容の重複などを考慮され、1単位35時間ふやすこととなりました。この医療的ケアに関する教育内容を実施するため、資料にある喀たん吸引用の機器及び経管栄養用の機器を各校でそろえました。下に記載のように、高校では27年度に受験する25年度入学生に対応できるように、多額な費用をかけて既に買いそろえておるところです。

 医療的ケアを教授する教員についても、資料の1のとおり、資格、講習の修了、実務経験がそろっている者と定められております。本校長会では、資格を持ち、経験を満たす者を全国の高等学校で確保できるように、平成23年、24年度に医療的ケアに関する教員講習を東京都で実施する2年間で、195名の修了者を認定しております。

 ただし、この要件を満たせる教員の確保は難しく、福祉系高校を断念した学校も現実にございます。

 このように、法改正に伴い福祉系高校は21年度から取り組んでおります。しかし、養成校においては、24年度から実施予定であった国家試験の受験を、医療的ケア導入等の見直しを理由に27年度へ延期。さらに26年1月には、27年度から受験するとしていたもの、介護分野の人手不足を理由に1年間先送りとして、2度も国家試験の受験を延期しておるという現実があります。

 あわせて、養成校の受験延期に伴い、23年度法改正で定められた27年度国家試験への医療的ケア範囲の出題についても見送られました。3年課程の高等学校においては、25年度の入学生に既に必修として組み込まれております各要件についても、既に整備されているところであります。

 さて、19年、23年の法改正以降、福祉系高校がどのような状況にあるかにつきましてまとめてみました。

 1としては、介護福祉士を養成する福祉系高校については、数々の厳しい要件の整備に苦慮しながらも、21年度当初より微増しております。

 2としては、入学者の充足率は、定員の80%を安定して確保しており、5年間の平均も大学、短大、専門学校に比べて高い数字となっております。

 3の資料は国家試験の合格率でございますが、23年度卒業生から、新カリキュラムによる52単位の専門的な学習と介護実習を経ているため、合格率が非常に高くなっております。例えば22年度、旧カリキュラムのときには66.1%、新カリキュラムの23年度においては83.3%、24年度は84.0%、25年度は87.7%の国家試験合格率となっております。

 4は、本会加盟卒業生の進路状況でありますが、新カリキュラム導入で専門的な知識と大幅にふえた介護実習により、福祉を学んだ生徒はその知識と技術を生かすために、福祉関係の就職を希望する率が高くなっております。進学についても、高校での学びを経て介護への関心が高まり、社会福祉学のより高度な専門的なステップアップを目指す傾向が強くなっております。

 5は、新カリキュラムを導入した福祉系高校を卒業した生徒たちについて、全国の福祉施設からの評価をするために調査したものでございます。これは平成17年度も同様の調査をいたしました。したがって、そのときと今回のものを比較しながら、5項目にわたってそこに掲載いたしております。

 それはまた時間の関係ございますので、私の時間は3分と本当は言われていましたので、もう既に10分ぐらいいったような気がするのですけれども、そこは後でお目を通していただくということにさせていただきまして、結論として、そこにある全てのことについて、高校福祉教育というものの介護福祉士養成については、全国の福祉施設からの評価が過去以上に高いものとなっております。19年度法改正のこれから国民が質の高い介護を受けられるために、時代の介護を担う人材を魅力あるものに、思想を高めるためにという理念に、成果を5年間着実に培ってきたということが、自信を持っているところでございます。

 そこで、2番目といたしまして、福祉系高校の課題及び、ここに「要望事項」など大げさなことを書いていますけれども、希望でございます。

 福祉系高校がこういうところを実現していただいたら、もっともっと福祉系高校の充足率が80%どころか120%になるのではないかなという思いから、まず、医療的ケア指導に関する課題。これについて、まず、医療的ケアを教授する指導教員については、全国44の高校で52名を、この導入のために要件を満たす人材を改めて採用しました。また、採用していない、する予定はないという90の学校においても、経過措置による有資格者の教員が医療的ケア講習会を受けたことで現状では必要ないとなっておるということでございますけれども、これを、簡単に言えば高等学校での指導・教育の内容等を理解していただいて、経過措置である科目、また福祉課での指導、経験5年以上の有資格についても要件として認めていただくなどの希望、お願いしたいものだということでございます。

 それから、医療的ケア導入が前提となっておりましたので、加盟高校では機器整備をもう既に完了しております。109校で、金額としては、全部これはうそではなく、2億5,000万円購入しております。これ、どこかにお金はないのでしょうか。

 2つ目は、資格取得に関するお願いごととしては、やはり今、国全体で人材が足りないということで恐らく介護福祉士国家試験を延ばさざるを得ないのかもしれないのですけれども、平成19年度の法改正においては、国民に質の高い介護を提供するというもとで資格が一元化されたのであるので、近い将来、やはり国家試験ですので一元化されるのがいいなという希望でございます。

 3つ目としては、教員に関する問題でありますけれども、教員であり、有資格者でかつ介護現場での実務経験が5年以上ある人材の確保は、きわめて難しいです。今後福祉系高校の教員養成のためには、文部科学省が開催してきた資格の代替講習を恒常的に開催していただきたい。もうこれでおしまいということではなく、恒常的にお願いしたいなという希望でございます。

 4つ目としては、少子高齢化の進展と介護人材不足が危惧されて、多様なルートでの介護福祉士を養成できるように、今の特例高校も今年で廃止ということになっていますけれども、国家権力を行使して特例高校と通信制課程の養成ルートを残してもらうことを希望したいということでございます。

 申しわけありません。最後には、養成校に適用となっております介護福祉士などの学資金貸付事業について、福祉を学び就職を希望する高校生のうち、約8割の生徒が福祉関係に就職して高い評価を十分に得ている福祉系高校においても授業の適用対象に加えていただけたら、非常に福祉系高校に対しての志願者がもっともっとふえてきて、人材確保につながるのではないだろうかという思いでございます。

 ありがとうございました。

○田中(滋)座長 では、次に、日本介護福祉士養成施設協会の田中さん、お願いいたします。

○田中(愽)構成員 よろしくお願いします。私は、人材の育成の方向性ということを念頭に、現状と課題について申し上げたいと思います。皆様のように1枚ものを持ってこなかったのですが、こういう3点セットとペーパー1枚を用意しております。

 まず、紫のものを見ていただきたいと思います。これは今、養成校がどういう現状であるか、どういう課題があるかということを示したものでございます。

 6ページ、先ほど武内室長が説明されたものと同じでございますが、平成18年には約2万人の入学者があったのが、現在は1万2,0003,000人。離職者を除きますと、これは1万人という、18年を基準にしますと約半分という現状であります。これは定員を減らしても、このような状況になっていっている。定員がこの18年から8,000人減においても、このような定員充足している状態であるということです。

 もう一点は、9ページを見ていただきたいと思います。養成校の卒業生が一体どこに就職しているか。前回の質問で大学の卒業生は介護・福祉の現場に行かないのではないかと御指摘がありましたけれども、これはこの数字から見ますと、進学を含めますと95%が介護の現場に行っている。5%以外は何らかの形で介護につながった職場に就職しているということでございます。

 そうしますと、このような高い就業率を持っている養成校がこのような現状にあるということは、一体どういうことなのかと、我々も随分検討いたしました。これは私たちの認識でございますけれども、質の確保ということで養成校は大事だと口では言われますが、政策のあり方はやはり実務経験を重視したことではなかったかと思っております。

 ただ、ここでそのことについて、現場の意見は、この介護の部門の経営は危機的状況だと。赤字だということです。この部門が学校経営に影響を与えているということで、もしここで先に明かりを灯さなければ、この撤退ということが加速度的に起きるということが現場から総会で言われました。その辺がこの現状の一番のポイントでございます。

 2点目は、あり方検討会の白いページのものでございます。これは私たち養成校も手をこまねいて、この状況を見ていたわけではございません。やはり養成校教育というものをどういうふうに立て直していくかということで検討をしてまいりました。これが1つの中間まとめとして出ていたわけでございますが、34ページを見ていただきたいと思います。

 結論は、養成校の卒業生というのは、根拠に基づく介護を実践する人材だということです。そこのところが細ってくるということは危機的状況であるということで、ここをどのように学校教育が成り立つようにしていかなくてはいけないかという点が1点。

 もう一点は、これは私たちの1つの反省点でありますが、介護保険という仕組みと多少の乖離があったのではないか。ここについて、この2つの点からしますと、サービス管理という視点でこの介護福祉士というものをもう一度、養成校の中で考えていこうと検討してきたわけでございます。

34ページの図の4の上のほうに○が3つ書いてございますけれども、1つは、介護過程というものを展開する力を養成する。これは随分やってきたわけですが、まだまだ道発展途上であります。

 2点目は、スーパービジョンということです。現場の介護をきちんと指導できるということがスーパービジョの力。

 3つ目が、リスク管理とコンプライアンス。これはサービス管理という進展で介護保険の中で介護福祉士をどういう養成をしていくかという結論をした。

 この文言だけではわかりませんので、34ページの図4でPDCAの方式を使って説明をしております。要するに計画をつくって、実践をして、スーパービジョンをして、新たな介護の試みに展開する。これをぐるぐる回していく。これは学校教育も現場もこういうふうに連携していければ、介護の質というものが、人材が育っていくのではないかという仮説であります。

 こういうことで考えたわけなのですが、この説明をするには名前が要るなと。何かないかなと、医療介護福祉士とか、いろいろなことを考えたわけですけれども、サービス管理ということで、仮称で管理介護福祉士ということで表札をつけましたが、必ずしも、この名前にこだわっているわけではございません。中身はサービス管理という視点でございます。

36ページを見ていただきたいと思うのですが、そうしますと、それはどういうルートで育っていくか。養成校を考えていくかと言いますと、今の2年ということでは、到底これは能力が育たないということで、このように3年以上ということで我々は試案をつくっております。

 ただ、この3年以上というのは、現実の介護福祉士の方もおられるわけですから、そういう方たちとどういうふうにこの仕組みをつくっていくかということも課題であります。このことについては試案でございますので、こういうふうに学校だけではなくて、現在資格を持っている人も、このようなルートにやってはどうかということでございます。これが我々の考えている人材の中身でございます。

 3つ目は、黄色いものを見ていただきたいと思います。サービス管理の視点ということで、養成教育のことを省みる場合に、私たちは随分と教育の内容については二十数年間やってきました。しかし、卒業後にどのような能力があるか。わかる、できると、田中(滋)座長がおっしゃっているということについては、いささか私たちは不十分であったということで、こういう調査をしたわけでございます。

 これは卒業時に11項目の到達目標がございますが、これではなかなか具体性がないということで、その中身を46項目に分けて、4~5ページにこの項目を挙げてございます。これは現場の施設長ないしは所属長が、私たちの卒業生が勤めて半年後の卒業生を現場で評価したものでございます。これは極めて高い評価を受けているということでございますが、14ページを開けていただきたいと思います。

 しかし、この14ページはそれをレーダーグラフにしたものでございますが、オレンジが非常に高い評価を受けている部分。ブルーが低い評価を受けている部分。私は根拠と言っているけれども、なかなか評価が平均まで上がらない。あるいは潜在的能力とか生活リハビリテーションの力。あるいは介護保険に対する制度について、これが一番弱かった。さらには、保険法にもありますように、技術支援というところについても十分な教え方ができていなかったということで、これは我々の養成教育の方向性がここにあるのではないかということを考えて、このような結論を出したわけでございます。

 こういう養成教育の危機的な状況にあって、しかしながら、質の高い人材を育てていくというのは国家使命だと思って専門学校は努力をしているわけでございますが、なかなか頑張り切れないという声が非常に今、大きくなってきております。

 そこの明かりというのは、これからの日本はどうなるのかというときに、1つは認知症のケアをどうするかといったときに、470万人という推計が出されるときに、この人材は今のままでいいのでしょうかと。やはり根拠に基づく日常ケアをきちんとできる人材が必要ではないでしょうかということで、まずは質の高い人材を育てる必要がある。これはどなたも納得されることだと思いますが、あえて申し上げたいと思います。

 もう一点は、これからのケアというのは、私たちも地域包括ケアしかないと思っています。そのときにいろいろ勉強させてもらっているのですが、介護の人材についてはいささかよくわからない点がございます。これはどこなるのかなと。介護の人材がここでどう位置づけられるかということを考えた場合に、私はもう少し判断力の高い介護福祉士を求める必要があるのではないか。危機的な状況はわかるか。職種連携ができるか。こういうときには、他職種と並び連携できるような能力、こういう人材を育てる必要があるのではないかと思っております。したがいまして、地域包括ケアの中でぜひ介護福祉士、いわゆる能力の高い介護福祉士をどのように位置づけていただけるかということを大きく切望しております。

 最後に、これは4月20日に法務省のヒアリングで意見を申し上げたときに、外国人の技能実習制度についての話がございました。私は意見を求められて、それは現場の人材が不足しているのはよくわかりますと。それはそれとしても、もう一方で、今からでも間に合いますので、しっかりとした人材を育ててほしいと。そのために、この急場しのぎだけではなくて、長期展望に立った介護人材の育成について考えてほしいと申し上げて、そのことはここでも同じように申し上げたいと思います。

 それを申し上げて、私の説明とさせていただきます。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

 次に、全国社会福祉法人経営者協議会の平田さん、お願いします。

○平田構成員 それでは、手短に申し上げます。

 第1回目のペーパーにも出していますけれども、長期の介護人材養成は量の人材確保と質の向上という両面から必要であり、長期的なグランドデザインの中でそれを組み立てる必要があります。介護福祉士の資格取得方法等の位置づけを、内容と、いつまでにどうするという期間を示した上で、議論の結論を出すべきではないかと思います。

 基本的には、教育を前提としないと高度専門人材という、看護職と同じような位置づけを確定できないのではないかと思いますので、最終的には高校、養成施設、さらには大学教育等まで、拡大する等の教育機関の充実策が必要です。先ず介護福祉士の専門性の教育をグランドデザインで描くべきだろうと思います。

 ただし、当面、資料にもありますように、平成25年の資格取得者数は、実務経験ルートが約8.7万人で、25年度のペースで養成施設ルートが約1万3,000人、福祉系高校ルートが約3,000人ということであります。他業種も人材不足の中、当面この10年間は介護関係に就職していただくには、主婦層、高齢者層、また短大とか一般大学の福祉系以外の他学部の学生等も興味を持って、この業界に入ってきている部分も少なからずありますので、その人たちのためには、当面実務経験ルートによる資格取得者数の増加策が必要です。今後、実務者研修を義務化するとすれば、それに合わせて促進策として一定期間でもいいのですが、雇用主負担も原則としながら、修学資金貸付制度等も考えたらどうかと思います。

 現状は法人として、約20万円の実務者研修費用を全額補助し職員教育をしている法人もありますし、全く個人資格として援助していない法人、事業所等もある中で、量を確保していくために、一定期間の促進策を描くのも1つの方法ではないかと思います。

 以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

 最後に、全国老人福祉施設協議会の松本さん、お願いします。

○松本構成員 全国老福祉協の松本でございます。

 先ほど説明資料にもありましたように、養成校の学生は現在、平成18年の約半分に減っているわけです。人材不足の中で拡大しなければいけない状況にあって、国家資格の義務化の影響をどのように見ていくのか。また、介護福祉士が名称独占でしかない中で、何のインセンティブがあるのかと感じています。介護福祉士に興味を持ち、介護福祉士の道を志した若い人たちの就労意欲に結びつくような資格制度の検討を中長期的に行う必要があるのではないかと思います。

 次に、実務者研修についてですが、人材難に苦しむ施設側にとって、現実的な負担が大きな課題となっています。まずは450時間が一律に必要なカリキュラムなのか、さらなる精査を行い、例えば、一定の現任研修の修了については、対応したカリキュラムをみなし受講として認めるなど、実質的なレベルダウン、水準を下げないように理解を得られる形で検討してもいいのではないかと思います。

 また、現場の介護職が継続的に資格取得へのモチベーションを保てることも考慮して、資格試験の合否、オール・オア・ナッシング、○×ではなくカリキュラムに対応した単位認定の仕組みを導入することも考えていくべきではないかと思います。

 これにより、実務経験だけでなく、養成校ルートの卒業者やEPAの受験者にとって、一発勝負から解放され、持続したチャレンジすることが可能となる効果は非常に大きいものではないかと感じています。

 また、現在の介護福祉士の実務経験3年という受験要件では、4月の入職の職員は従業期間が足りず、4年目の冬にならないと国家試験を受けることができません。これについても実情に応じ、職員の意欲が削がない形の検討をお願いできないかと思います。

 最後に、骨太方針などでも、介護福祉士を学ぶ留学生の有資格者に対する残留資格を認める方向が打ち出されました。介護福祉士を名実ともに国内的にも国際的にも高度な資格として認知されていくために、介護現場のレベルアップとの相関関係を有していけるよう、きめ細かな制度設計について、改めてお願いをしたいと思います。

 私たち事業所側も現場における介護福祉士の存在がスタンダードになるよう、万全の努力をしていきたいと思っています。それが介護職場の人がうらやむ職業になっていく道筋であると信じ、より一層オールジャパンで協力連携していく体制づくりをお願いしたいと思っています。

 以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

 予定では、ここで一度議論をしようと思っていたのですが、大分後ろにずれてしまったので、議題3の説明も受けた後、まとめて両方について議論をするように変えさせていただきます。

 議題3の介護人材の確保について、室長から説明をお願いします。

○武内室長 議題3の介護人材全体の議論につきましては、2点御説明を申し上げたいと思います。

 1点目は、お手元に資料2「介護人材の確保について」がございます。こちらは第1回で出させていただきました資料について、追加・修正を行った基礎資料集という位置づけで置かせていただいております。その中で1点御報告させていただきたいことがあります。

1011ページをごらんください。第1回の検討会で10ページの介護職員数の推移について、お示しをさせていただいたところ、注1にありますけれども、平成21年度以降は調査の回収率が大きく減少しているということについて、何らかの補正ということができないかということの御指摘をいただきました。

 それに基づきまして、11ページをごらんください。こちらが介護職員数の推移について、補正を試みたものでございます。こちらは注1をもう一度ごらんいただきますと、平成20年まではほぼ100%の回収率だったものが、その後、回収率が低下し、24年には8~9割というところまで回収率が低下をしました。

 このため、補正の考え方としましては、施設と通所のハコモノ系の介護につきましては、実際に回答があった回収された施設数と、実際に調査の対象となった施設数を割戻すという形で補正を行いました。

 また、それ以外の訪問系につきましては、利用者数の数に着目いたしまして、介護サービスのレセプトで把握をされる利用者数に基づきまして、介護サービス施設・事業所調査でカウントされている利用者数との対比で補正をするという形で補正をいたしました。その結果、こちらにありますように、10ページの数字と異なり、11ページにつきましては、平成24年度で168万人という数字になるということがわかっております。こちらは御報告をさせていただきます。

 もう一つ、資料3についても御説明をさせていただきます。資料3は「これまでの議論について」というものです。こちらは第1回、第2回で御提供させていただいた論点と、それに対して、こちらでいただいた御意見を若干の加筆修正、構造化することによって整理をしたものです。今回新しく追加をしたのは、下線の部分です。第2回で御提起された意見については、下線を引いて追記をしております。

 簡単に御説明をいたしますと、1ページ目、イメージの未確立という部分につきましては、右下にありますように、楽しさと厳しさの両方が存在しているという部分を伝えるべきであるということ。イメージ発信において、よいイメージについてはリアルな物語をつむぐということ。悪いイメージの払拭については、リアルなデータに基づいて行うことが必要だということ。イメージアップといっても内実が伴わなければ、かえって幻滅してしまう人がふえてしまうということにも留意すべきだということを追記しています。

 2ページ目です。労働力人口が減少する中で、どうやって入職者の希望に対応して、人材育成定着をさせていくのかということについて、前回の御意見の中では、介護業界の若い経営者のモチベーションを地域の中で支える仕組み。例えば、セラピストの配置など、事業者が共同で実施できるような仕組みを検討するべきという御意見がありました。

 5ページ目では、マッチングの論点です。この点について、前回ヒアリングの対象者でもあった、人材センターについて、キャリア支援専門員の配置などの機能強化を図るべきという御意見もいただきました。

 7ページ、専門性の確立についてという論点につきまして、介護福祉士の位置づけに関して、これまでの業務の適正化のための資格という観点から、専門性を高めるステージへという転換を図るべきである。特に介護過程の充実や教育機関の連携といったものを重視して、専門性を高めていくべきという御意見を追記してあります。

 8ページ目、同じく専門性の確立に関してです。こちらについては、認定介護福祉士の検討を早急に進めるべきである。あるいはサービスの質に貢献するストラクチャーとマネジメントのあり方を検討すべきだという御意見も追記してあります。

12ページ、地域での取り組みについてということに関しましては、右下、関係団体・機関、事業者などが一体となって考える場を設け、オールジャパンで確保するという機運の醸成を図るべきであるということを指摘いただいております。

 最後のページ、13ページ、グランドデザインの必要性・中長期的な観点からのアプローチという点では、ここは幾つかございますが、1つ目の○に関しては、新しく追記した部分。介護需要の伸びを緩やかにするという観点も含めて検討すべきという視点。誰がどこまで何を担うかということを利用者の視点から検討していくということが必要ではないか。日常生活圏域内での人や資源の機能の統合についても検討すべきという御意見を追記しています。

 最後に2の○ですけれども、中長期的な工程に関しては、質の確保が量の確保につながるという点を基本に据えるべき。どのようなデータに基づいて工程を作成していくのか、十分に検証すべき。2030年以降の安定期においても、世界のモデルとなることを目指したロードマップを描いていくべきという御意見がありましたので、こちらも追記をさせていただきました。

 以上です。

○田中(滋)座長 説明をありがとうございました。

 ただいまの資料3を見ますと、問題提起や対策の方向性について、かなり網羅的に提示されてきたと思います。皆さんは覚えていらっしゃると思いますけれども、第1回の検討会では、岡田局長より夏までに一定の方向性を示すようにと求められております。本日はその観点も踏まえて、前回に引き続き、具体的な対応の方策を出すための意見を頂戴したいと存じます。

 なお、本日御欠席の門野さんより、議題2、議題3の両方に関するメモが提出されていますので、簡単に説明をお願いします。

○武内室長 引き続き、構成員の門野様からいただいたメモについて、御説明をします。

 1枚、縦書きの「福祉人材確保についての私見」というペーパーがありますので、そちらをごらんください。

 門野様からは、たまたま今回も日程がなかなか合わず、申しわけありませんということで、次回は参加いたしますので御了承くださいという形で言づけを受けております。

 門野様からの御意見について、簡単にかいつまんで御説明します。福祉人材確保についての私見で、前提としている3つの考えがこちらにあります。

 1のところで、人材確保には、入りをふやす、出を減らすという2つのアプローチがあるという中で、優先すべきは入りをふやすほうだということ。出を減らすについては、経営者が責任を持って対処すべきだと。さまざま指摘されている問題点は、経営手腕によって改善できる項目である。

 2の部分では、入りをふやすためには、求職者をふやす。求人側の採用力、すなわち経営力をアップさせるというアプローチがありますが、特に求人側の採用力のアップということをやるべきだと。今のままではキャンペーンイメージと現実のギャップで、さらに福祉離れを引き起こす可能性が非常に高いという中で、検討会として求人側に対して採用力の向上を要求すべきということが書かれています。

 3として、福祉業界のイメージやブランドが悪いのはという部分については、福祉業界に携わっている方々が日々の行動や言動でつくり上げたものであるという前提に立って、国や業界団体、求職者に期待するのではなく、経営者が意識を変えることが重要だという、この3つのスタンスから考えたいということでありました。

 そのために求人事業者の採用力、すなわち経営力の向上策として下段に書いてありますが、ここで4つが具体的に提起をされています。

 1は、経営者の若返りを促進してはどうかということで、若い人を採りたいなら、若手を前面に、若い経営者のもとには人が集まるという原理原則を踏まえるべきではないか。

 2、IT化の推進ということで、IT化を推進することで業務効率の改善、コミュニケーションの活性化、戦力の定着化というのを図っていく。

 3、従業員全員への名刺の配布ということで、裏面に行きますけれども、介護現場の職員の方々が友人などの方に、自らの仕事を述べるときに名刺は非常に重要で、他業界と比べて自分の仕事を卑下する状況ができているのではないか。利用者様や御家族の方々に向き合っているのに名刺を持っていないのはよくないのではないかという指摘です。

 4、介護福祉士を持っていない人は非正規社員という価値観を変えるべきではないか。これは門野様が地方をずっと回られている中で根強い価値観として、介護福祉士を取るまでは非正規社員として雇用するところが多いという中で、そこの部分を変えていくべきではないか。他業界では当たり前の人事制度を業界全体で導入すべきということです。業界全体の今のイメージを変えるには、今まで正しいと思ってやっていたことを求職者目線で見直し改善をすることが重要ではないかということであります。

 最後に、介護福祉士の資格取得方法の改正について。この点について、入りをふやすことを目的とするならば、改正には反対である。この10年間は保留にすべきである。専門性が高くなると人が集まるということまで言えるのかということについて、現在の状況では介護福祉士取得までの入り口は低くして、可能性のある人をできるだけ多く受け入れ、育てるということが重要ではないかという御意見をこのメモの中で表明されています。

 以上です。

○田中(滋)座長 では、残りの時間は全員での議論に移りましょう。議題2についてでも、議題3についてでも、どちらでも結構です。発言をお願いいたします。

 竹内さん、お願いします。

○竹内代理 平川の代理で出席しております、竹内と申します。

 介護福祉士資格の取得方法につきまして、意見を述べさせていただきます。ほかの委員の方々が既に御発言をされ、また、私どもも第1回の検討会で発言をしましたとおり、介護職をプロフェッショナルな専門職としていくことで、地位向上を図り、自立・尊厳を支える専門職としての社会的な認知を高めることが必要であるという大前提に踏まえまして、訪問介護員や施設の介護職員としての任用に必要な資格として、介護福祉士を位置づける必要があると考えます。

 中長期的には、介護にかかわる全ての人が資格を有するよう、政策的な方向づけを行って、サービス全体の質の向上、介護労働者の処遇の改善を図る必要があるということを述べておきたいと思います。

 介護サービスの質の維持・向上を持続的に担うプロとしての介護福祉士の社会的な地位を高めるためには、資格取得のプロセスにおけるハードルを下げるべきではなく、維持しながら、いずれ介護人材の養成、育成に向けた施策を着実に行っていく必要があります。

 先ほども教育研修のお話がありましたけれども、小規模な事業所で困難とされている研修体制の整備でありますとか、小規模事業所間の人事交流を図るために、国及び地方自治体については、事業主、研修受講者への支援を拡充し、あわせてそれを周知していく必要があると思います。

 「介護福祉士資格の取得方法について」という資料1の17ページに養成施設の定員充足率のデータがございますが、定員充足率を一定引き上げている離職者訓練を活用した入学者については、潜在的な介護従事者を掘り起こすためにも積極的な広報などを行うことが肝要でありまして、そのための広報などにかかわる財政的な支援を検討していくのはどうかとも考えております。

 以上です。

○田中(滋)座長 井上さん、お願いします。

○井上構成員 ありがとうございます。きょういろいろな方の御意見をお聞きしまして、きょうの議論は大きく2つがあったかなと思っています。1つは、介護福祉士というものをどう考えるかということで、その中には実務者研修をどう考えるかということと、国家試験をどう考えるかということと、少し補足的なことになりますが、その中での医療的ケアの扱いとなっていたと思います。

 実務者研修については、先ほど御説明の資料の中で、実務者研修受講者の受講イメージ例というものをいただいていますが、検討会の資料1の14ページのほうですね。こちらのほうで都合7回くらいの面接事業と都合16回のレポートの課題ということがありましたが、このレポート課題はどういうものなのかを次回までに整理をしていただきたいというのが1点です。

 2つ目が、国家試験のものです。先ほど高橋さんの資料の8ページに、福祉系高校の介護福祉の国家試験の合格率ということで、大変高い値が出ていて、すばらしいなと思っていたのですが、一方で下のほうを見ますと、全員が受験しているわけではないというのも事実かと思っています。このあたりをどう解釈するのかというのを多分議論したほうがいいのではないか。それはプラスの面もあるのではないかと思って、御提案をさせていただいています。

 もう一つは、ルートの多様化をどう考えるのかということで、入口を幅広く取らなければいけないという話はあったと思うのですが、その中で資格を取ってから入ってくるというルートが今のところは非常に難しくなっています。実は私は今、社会福祉士の通信課程に通っているのですけれども、そのときに調べたときに、介護福祉士をほかの仕事をしながら取るということは、ほぼ無理なんだということを改めて感じまして、それはキャリアを描きたい人にとっては、なかなか入ってくるハードルが高くなるなというのが非常に思っているところなので、それについても議論をしたほうがいいのではないかと思っています。

 もう一つ、今回議論になっていたことは、キャリアのデザインをどういうふうにするのかということがあったと思います。それぞれの方々から認定介護福祉士とか、管理介護福祉士とか、医療介護福祉士といういろいろな名称をいただきましたけれども、実際に現場で働いているときのことを考えると、重度化を皆さんがしていく中で、医療的ニーズに対応するというところに自分の力的を置いていきたい人。

 もう一つは、地域化していく中で、ソーシャルワーク機能的なものをつけていきたいというような方々。それと、どの分野でも必ず小規模化していきますから、たくさんのユニットリーダーが誕生してくる。その彼らをどういうふうに気づいて学んでいくのを支援していくかというような管理的なマネジメントの要素。この3つくらいのデザインが多分あると思います。

 それぞれによって皆さんの学びたいものが違っているはずですから、そこをきちんと整理したほうがいいのではないかというのが、今回いろいろお話を聞いて思ったところになります。ありがとうございました。

○田中(滋)座長 的確な整理をありがとうございます。

 平田さん、どうぞ。

○平田構成員 現場レベルの話ですけれども、例えば、資料3の12ページの真ん中ほどに、地域単位での人員配置基準、地域包括ケアに向けてという文言がございます。介護人材が不足する中、現在職員配置基準というのは単一事業所ごとに決められています。

 これは老健局マターになるのかもしれませんけれども、例えば、小規模多機能あるいは地域密着型の特養、県指定のショートステイ等の合築なり同一敷地内にある場合、県指定の事業所と市町村指定の事業所の職員配置はそれぞれ別個になり、職員の兼務が十分可能な部分がありながら兼務禁止の問題があります。また多床室と個室ユニット型特養の併設の場合は別施設として、介護職員は別カウントにする問題があります。高齢関係事業は同一敷地あるいは地域の中では合築施設が多くありますので、効率的に最低限の人間で働くというわけではないのですが、効率的で効果的な人員配置基準を考慮する必要があります。最終的には一定地域における地域包括ケアシステム構築において、事務所職員が地域包括職員として地域へ出かけることができるように、兼務要件の緩和により地域単位での人員配置基準の緩和なり方法論も今後の議論の中に入れていかれたらいいのではないかと思います。

○田中(滋)座長 代弁していただいたような気がして、ありがとうございます。老健局もちゃんと来ていますから、伝わるはずです。

 川井さん、お願いします。

○川井構成員 私は皆さんのお話を聞いていましたから、全てにおいて、ああ、そうだなとうなずきながらお伺いしておりました。もともと1988年に介護福祉士ができたときに、どのような議論があって、この介護福祉士という資格の1,850時間に今、たどり着いてきたのかというあたりを少し以前にさかのぼりまして見直しましたら、介護福祉士をつくられたときには、職業倫理、知識がなければ論理化ができない。だから、論理化ができないということは応用が利かないからということが1点。そして、技術がなければ専門職とは言えない。

 ですから、この3つの調和をつむぎ出す、編み出すということを随分議論をされたようです。そして、1,500時間というものがそのときに位置づけられたと聞いています。その体系的に1,500を学び、国家試験を受けて合格した人を介護福祉士とすることにしたということが流れだったように思います。

 今まで紆余曲折をしながら、制度が変わるごとに追加されて、現在の1,850時間になってきているわけですが、介護福祉士養成校の先生方はどうなのかと言いますと、介護福祉士養成課程では、国家試験を現在受けていないわけですけれども、実は代わりに卒業時の共通試験というのが行われてきました。これは2000年前からずっと行われてきているわけですが、その意味は学生の質と教育の質を担保するためということで、その国家試験がない代わりに、それをやってこられたわけです。

 しかし、社会的な認知としましたら、国家試験というから皆さんが、ああ、なるほどと言うわけで、共通試験を受けてきたことの社会的な認知というのは、なかなか得られてこないのかなと思います。ですから、今、現場で介養協の先生方の多くが言われているのが、なかなか質の低い、誰でも取れる国家資格というイメージが定着しつつあるので、要は質のいい学生を教育して、より皆さんがモチベーションを高められるような教育をやっていきたいけれども、その中に若干でもかなり手がかかる学生たちもいますので、実習等に行きますと、そういう方々に手がかかって、結局、本当に高みを目指して勉強して介護福祉士になるという意気込みで入ってきた学生が結局最後まで、資格は取るけれども、その後の現場につながっていかないということが現状だというお話も聞いています。

 では、資格について実務者をどうするのかとか、そういうことについては、今まで皆さんが御議論をされたように、たくさんの量を確保するということが大前提ですから、そういう方たちに対しても一応一定の研修というのは必要なのだろうと思います。

 ただ、望むところは、介護福祉士養成施設協会、大学においても国家試験をぜひ導入していただいて、社会的な認知が得られる形で学生集めをして、一時期は学生は減るかもわかりません。でも、誰もが得られる国家資格ではないことが認知されると、きちんとPRをすることによって、そういう介護福祉士を目指したい学生が入ってくるようになるのではないかと思っております。よろしくお願いします。

 もう一点、先ほどからの議論を聞いておりますと、介護福祉士資格取得方法の見直しがある場合には、現場とか養成施設のことを考えますと、できるだけ早期に何らかのメッセージを発信していただきたいと思います。よろしくお願いします。

○田中(滋)座長 中身だけではなくて、スピード感も出さなければいけないですね。

 圓道さん、お願いします。

○圓道代理 神奈川県の西條の代理の圓道でございます。

 人材育成と人材確保は皆様がおっしゃっておられるとおり、セットで中長期的な視点に立って考える、端的に言えば、若い方々の参入を促進して、各事業者が本気になって育成していただかなければ、いくら行政が財政支援をしても、将来の介護は人材面から立ち行かなくなるのではないかと考えております。

 本日お示しいただいた資料1の3ページなどで、介護福祉士資格の取得方法が示されております。実務経験ルートにおける実務者研修の義務化は早期に実施すべきであると考えておりますけれども、一方で養成施設修了者にとって最大のメリットであった介護福祉士の資格を与えずに国家試験を課すというのは、多少の疑問がございます。高校を卒業されるときは将来の職業選択の大切な時期であると思いますが、介護分野への就労を望む高校生にとって、養成校におけるこの最大のメリットを失うまま、何も手を打たないという形になりますと、同じく資料1の17ページに記載がありますように、入学者数は今後ますます減少していくということは間違いないだろうという危機感を持っております。

 人材確保にとって何よりも大切なのは、経営者と従業者の理念の共有とキャリアパスの整備を含む体系的な人材システムの構築だと思っております。神奈川県では、全県立高校を対象にして、高校生の介護職場体験事業を実施しており、また、若手の介護職員を知事が表彰する、かながわ福祉みらい賞というのも昨年から設けたところでございます。

 また、人材センターに配置をしたキャリア支援専門員がきめ細かな指導・助言もいたしておりますので、相談者数、紹介数とも、2425年度の比較でともに倍となっております。ただ、このような場で聞こえてくるのが、自分は介護の仕事にやりがいや生きがいを持っている。しかし、給料が低い割にはきついといったブラックイメージばかりが取り上げられて、社会的評価が一向に高まらないのが大変悔しいと、そういった声を大変よく聞きます。

 潜在的な有資格者を活用するという選択肢も現状の介護福祉人材の量的不足を解消する手立てとしては大変必要だとは思いますけれども、何よりも今、若い人材を引きつける、魅力ある業界にすることがとても大切だと思います。そのためにも、将来の希望の持てるしっかりとしたキャリアパスを整備していくこと。また、福祉系の高校、養成施設に入校される若い方たちへのメリットを前面に打ち出す、そういったことに重点を置く施策を進めていくことが大変重要ではないかと考えております。

 以上でございます。

○田中(滋)座長 掘田さん、最後に山田さんの順でお願いします。

○堀田構成員 ありがとうございます。3点あります。

 1つ目は、短期的には、この介護福祉士資格の取得方法についてというのは、もう皆様が散々議論をなさっていることだと思いますので、資質の向上を図りながら、いかに今の環境に合った形で着陸させるかということだと思います。ただ、その中でも取りやすくするというときに、最後にどなたかが御指摘をなさいましたけれども、モジュール化を図っていくということも考えていいのではないかと思います。それが1点目です。

 では、中長期的に考えたときにどうかということですけれども、これはまだ皆様のきょうの御意見でも、完全に合意されたイメージがあるわけではないのではないかと思います。第1回目のときから、一くくりに福祉・介護人材とまとめていいのかというお話もありましたし、きょうも中核人材ということに複数の方々が触れられたと思います。

 一方で、この中核人材というのが、何かある資格を持っているから中核人材と言えるのか。それとも実際に職務遂行能力、キャリア段位制度などはそちらを見ていると思いますけれども、そういったもので見ていくものなのか。いずれにしても中核人材というのが一定の資格を取ったから中核人材というよりも、それぞれの現場のサービスにおいて求められる機能というものがあって、その機能が恐らく、先ほど井上さんも整理してくださったようなことにもなるのだと思いますが、一定の資格を取ったから中核人材というよりも、地域全体で見てもそうですが、サービスごとに求められる機能というものがあって、その中核的な機能を担う人にどういう能力が求められるのか。それを実際に果たしている人たちが中核人材と呼ばれるのが多分ふさわしい流れだと思います。

 その観点からすると果たして、これは本当に中朝的なものだと思いますが、これから地域包括ケアシステムの構築を行っていく上で、中核的な機能というものが何で、それがどのような能力を持っていれば果たせることができて、今、例えば、介護福祉士の養成過程の中でも、介護福祉士の学習カリキュラムはずっと議論されたものがあるわけですが、これから求められている機能というものが現在のカリキュラムでしっかりと発揮できるようなものなのだろうか。

 それは諸外国だと慢性疾患のケアを行う上でのコンピテンシーの整理などが行われていますけれども、やはり患者中心とか、本人、他職種、地域との協働、質の向上、アカウンダビテリィ、ICTの活用、いろいろな視点がありますが、そういったものがはまるのかという観点でも見直しをしていく必要があるのではないかと思います。

 それと連動する形で、先ほども平田さんがおっしゃいましたけれども、初回にも申し上げた12ページのところの機能の統合ということに配慮した形でのさまざまな基準の見直しということも、その流れから起き得るのではないかと思います。

 最後に3点目です。今のような話というものを、この場もそうですが、政策的な流れとしては景気の動向に合わせて、質重視、やはり量だと揺れ動いてきているわけです。それでみんなが、そうではない、ああではない、こうでいいのかとやっているというのは、非常にもったいない状況にあると思って、もう少し継続的に民主的な形でというか、本当に継続的に皆様が議論に加わって、それは職能団体も事業者団体も教育訓練機関もオールジャパンと書いてくださっていますが、介護人材確保という機運の情勢だけではなくて、本当に将来的にどういう機能が必要で、それを果たすためにどういう能力が必要で、それをどのように教育して、そして地域の中でどう評価するのか。

 こういう一連の流れについて、多分、地域包括ケア計画と連動してやられるべきだと思いますが、地域単位でもさまざまな協議会のレベル。それを持ち上がった形で国のレベルになるのだと思いますが、時期に応じて、やはり足りないから検討会というのではない形の関係者が全部乗った形で、今のような議論を継続して、現場のニーズに合わせた形で対話を進めていくという場をきっちり位置づけていただくことを将来的には考えていただきたいと思います。

 以上です。

○山田構成員 いろいろな方の御意見をお聞きしていて、介護人材をしっかりとした高度な資格としてつくらないといけないという点では、いろいろな団体も含めて、ほぼ意見は一致しているなと思って、心強く聞いていました。

 ただ、現在、病院あるいは施設においても、まだまだ高齢者の暮らしの継続性とか、地域で暮らすとか、そういうことが十分に実現できないような大きな病院、あるいは特養も含めた施設中心のケアシステムがやはり大部分を占めている。そこで働く介護人材という、今の現状を前提とした議論というのはやむを得なく行われているという印象は強いです。

 前回、前々回も申し上げましたように、これからはそばに家族はいない、認知症の方がどんどん重度化していく。しかも自宅で暮らし続ける。もしターミナルになっても、予防からターミナルまで地域で伴走できるような仕組み。そういうことを将来イメージした地域包括ケアへ向かおうとしている。しかし、現状は最初に申し上げたとおりということで、実際の行われているケアを取り巻く環境というのが、そのような現状の中にあるという前提で介護人材のことを考える。まず背景と時代認識というのはすごく大事な気がします。

 きょうの資料3の7ページの一番上ですけれども、前回、前々回の皆様の御意見で、これは先ほどの門野委員の御意見とも少し関連して発言したいのですが、介護の専門性、それら裏づけるスキルとは何かというところに、何人かの委員からも御意見があったように、7ページの上から4行目、一律に介護人材という表現することについて。それから、その次の黒ポツで、やはりある程度、軽度の方については一定の人材を用意するべきではないかという、このあたりの部分。

 それから、同じ資料の13ページのアンダーラインの真ん中ですが、利用者の視点から見ないといけないと。要するに重度、医療ケアの必要、あるいは認知症、重度の要介護者であれば、当然高いクオリティの介護職が求められる。こういうことをしっかりと認識した上で、門野委員のおっしゃっているのは大変おもしろくて、経営者のあり方とかも大変共感できるのですが、特に門野委員の2枚目の最後の3行ですね。10年間保留にすべきだという御意見の部分あたりです。

 これは10年とか15年という、そういうロードマップでものを考えないといけないということは賛成です。そのかわり、グランドデザインというか、ゴールのイメージをどこに置くかというのは大きなポイントで、これも何人かおっしゃっていたように、今の混乱した状況を前提に、あるいは変わろうとしている時代背景を前提に議論をしていますので、この10年、15年というスタンスで議論すべきだと。

 ただ、門野委員の入口は低くしてというところに、介護福祉士取得のというところは、私はちょっと意見が違って、介護福祉士の取得の入口は高く設定していく流れをつくるべきだろうと。介護人材は先ほどの7ページのように、もう少し概念を整理したらどうか。そういう意味では、実務者研修は早急に実施すべきだし、きちんと研修を重ねて介護の人材として質を高める。これは早急に実施すべきだと。

 養成校ルートですけれども、介護福祉士の養成については、これが原則なんだという認識をまずはっきり持つべきだと思います。そうなった場合に養成校のあり方、例えば、教育の期間とか、あるいは公立大学に介護学部をつくる流れとか、そういうことについても養成校とはどうあるべきかという議論をぜひスタートさせていただきたいと思います。

 以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございます。一とおり意見を伺いました。現状の困難に対して、どのような対策を取るかだけではなくて、長期のグランドデザインに基づいてロードマップをつくっていかないと、きょうにとって正しい答えが、将来にとって正しい答えでない可能性がありますね。まとめをありがとうございました。

 介護人材の確保については、介護福祉士の資格取得方法についての議論も含めて、たくさんの意見をいただきました。ありがとうございました。

 本検討会については、秋まで引き続き行いますが、次回は、現下の喫緊の課題であります介護人材の確保について、一定の方向性を出さなくてはなりません。そのための中間的な論点をメモの形で整理してまいります。

 ついては、本日までの皆様の御意見を踏まえて、まずは事務局と私とで整理を行い、次回の検討会において、お出しいたします。そのプロセスで必要に応じて、事前に皆様に相談をさせていただくこともあり得ますので、その節は協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

 では、よろしいですか。

○古都審議官 いつも大変熱心な御議論をいただき、まことにありがとうございます。冒頭1回目にもありましたように、量的な介護はこれからもどんどんふえていきますし、人口減少のピークになっても相当数が後期高齢者になっているだろうということであります。田中(滋)座長と昔、議論をしたときに、介護が必要になっても、その人らしく暮らしたいということの目的のために、この介護という分野がある意味、家庭で行われたものが独立して社会化されて進んできているという認識を持っております。

 そういう中で、教育のスパイラル、らせん構造と同じで、実践があって、個々の実践がやがて汎用性のある技術として研究され、それに基づいて教育が行われ、その教育を受けた方々が新たに実践に就いて、より質の高い介護になっていく。まさにこの介護福祉士ができ、ゴールドプラン以降、介護というものが1つの分野として確立してきたということがきょうの議論の中に大変表れているのではないかと感銘を受けた次第でございます。

 そうなると、これからどうしていくのかということは、先ほどありましたグランドデザインといいましょうか、大きな展望をしっかり持って、展望の中で今はどう考えるべきなのかと。景気についても景気の変動がありますように、状況には波があるだろうと思いますので、そんなことも見ながら短期的に中期的に長期的にどう考えるかということでの一定の合意の形成を御議論していただければありがたいと思っております。

 それと同時に1点、特にさっき平川先生、あるいは武久先生からもありましたし、平田委員からもありましたように、働き続けるということを考えますと、働く場の努力もかなり強く求められるのではないかと思っておりますので、本当に魅力あるものになっているかどうか。

 卑近なことを言えば、初任給の提示が他産業はどんどん高くなってきている中で、介護職には本当にそれに見合った初任給なりが提示されているのか。キャリアパスが確立されているのか。こういったものを事業者側も視野に入れて、養成される側も養成された方が出た後のフォローアップというようなものもきちんとやっていかなければいけないだろうし、それは当然、介護福祉士会さんのような会がしっかり担うべきことではないかと思っております。

 いずれにいたしましても、政策側としては、いろいろな状況の変動を見ながら、いろいろな検討をしていかなければいけないという立場でありますし、介護というものを途絶えさせてはならない。必須なものだし、増えていく、ということで、質を確保しつつ、量も確保する。非常に難しい命題を皆様方にはお願いをしているということでございまして、それは重々承知の上、ぜひまた次回に大まかな方向をまとめていただければと思っております。きょうはありがとうございました。

○田中(滋)座長 では、最後に事務局から、次回の日程の説明をお願いします。

○関口室長補佐 次回の開催は、7月25日金曜日10時~12時でございます。場所については未定でございますので、追って御連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○田中(滋)座長 では、以上をもって終了いたします。活発な御議論、大変深い御意見をどうもありがとうございました。


(了)

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