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2014年6月4日 平成26年度第1回安全技術調査会

医薬食品局血液対策課

○日時

平成26年6月4日(水)15:00~18:00


○場所

厚生労働省22階 専用第14会議室


○出席者

出席委員:(10名)五十音順、敬称略、○委員長

内田 恵理子 大戸 斉 岡田 義昭 白阪 琢磨 新津 望
濱口 功 牧野 茂義 山口 照英 ○吉澤 浩司 脇田 隆字

欠席委員:(1名)敬称略

杉浦 亙

参考人:

宇都木 伸 小幡 純子

日本赤十字社:

田所 憲治 日野 学 五十嵐 滋 平 力造

事務局:

浅沼 一成(血液対策課長) 野村 由美子(血液対策企画官)
亀田 義人(血液対策課長補佐) 永井 美玲(血液対策課長補佐)

○議題

・献血血液におけるシャーガス病に対する安全対策について
・献血血液の個別NAT導入について
・献血血液の個別NAT導入に伴う遡及ガイドラインの改正について
・献血血液の個別NAT導入に伴う輸血用血液製剤のウイルスに対するNATに必要とされる検出限界値の改正について
・血液製剤に対する安全性確保を目的とした核酸増幅検査(NAT)の実施に関するガイドラインの改訂について
・ヒトパルボウイルスB19の国内標準品及び参照パネルについて
・日本赤十字社におけるヘモビジランスについて
・その他

○議事

○亀田血液対策課長補佐 それでは、定刻となりましたので、「平成26年度第1回血液事業部会安全技術調査会」を開催いたします。

 なお、本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。

 本日の出欠状況ですが、杉浦委員より欠席の御連絡がございましたので、安全技術調査会委員11名中10名の御出席をいただいております。

 本日は、日本赤十字社血液事業本部より、田所憲治経営会議委員、日野学製造販売総括管理監、五十嵐滋副本部長、平力造検査管理課長、以上4名に参加いただいております。

また、本日は参考人として、東海大学名誉教授、宇都木伸先生、上智大学教授、小幡純子先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。

 また、事務局側で、4月1日をもちまして、血液対策課課長補佐として、私、亀田と永井が異動となりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

 カメラの頭撮りはここまででお願いいたします。

(報道関係者退室)

○亀田血液対策課長補佐 それでは、以降の進行を吉澤委員長にお願いいたします。

○吉澤委員長 ではよろしくお願いいたします。

 まず事務局から、審議参加に関する遵守事項についてお願いいたします。

○亀田血液対策課長補佐 本日出席いただいた委員及び参考人の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金、契約金などの受け取り状況を報告いたします。

本日の検討事項に関して、「薬事分科会審議参加規程」に基づいて利益相反の確認を行いましたところ、議題5に関して、牧野委員が関連企業より一定金額の寄附金・契約金等の受取の申告がなされたため、議題5の検討に当たっては、意見を述べることはできますが、議決には加わらないこととさせていただきます。その他の議題で議決に参加することができない委員はございません。

以上です。

○吉澤委員長 ありがとうございました。ただいまの説明に御意見、御質問ございますか。

よろしゅうございますか。

では、本題に入らせていただきます。きょうは議題がいっぱいありますので、できるだけテキパキといきたいと思います。お手元の1枚目の資料にありますきょうの議題は、1番目に、献血血液におけるシャーガス病に対する安全性対策について、それから2、3、4が個別のNAT導入に伴う議題でございます。それから、5はガイドラインの改定について、それから、6はヒトパルボウイルスB19の国内標準品の参照パネルについて、それから日赤の行っておりますヘモビジランスについて御報告をいただき、8番目にその他ということで、いっぱいありますので、よろしく御協力をお願いいたします。

それでは、初めに事務局のほうから資料の確認をお願いいたします。

○亀田血液対策課長補佐 まず、手元の資料を確認させていただきたいと思います。お手元の資料をごらんください。資料番号は議題に対応して振ってあります。

議題1の資料として、資料1-1から1-2、1-3。1-3が少し厚く、1-4、1-5、1-6まで。議題2の資料として、資料2。議題3の資料として資料3-1から3-2、3-3までと、参考がマル1からマル4、一つづりになっております。議題4の資料としては、資料4-1、4-2。議題5の資料として、資料5-1、5-2、5-3、5-4となっております。同様に、資料6-1、6-2、資料7、資料8となっております。

資料の確認は以上です。

なお、申しおくれましたが、今回発言される際には、マイクが押しボタン式になっておりますので、発言の前にボタンを押してから発言をよろしくお願いいたします。

以上となります。

○吉澤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、資料の説明に入っていただきます。資料1から4まで続けて、事務局、それから日赤のほうからお願いいたします。

○亀田血液対策課長補佐 では、資料1-1の説明をさせていただきます。こちら、議題1の内容を今までの経緯等含めて整理したものです。資料1-1は「献血血液のシャーガス病に対する安全対策検討の経緯」というものになりますが、経緯としては、平成23年の6月にWHOの関連のシャーガス病に関する会議が開催されまして、こちらで注目を受け、平成24年度血液事業部会運営委員会安全技術調査会にて、シャーガス病対策に取り組むことが決定されました。

同年の10月より別添にあるような形式での、問診スクリーニングによる献血血液の製造制限の実施が開始となりました。平成25年の1月に入り、シャーガス病の疫学調査が開始され、同年の8月14日、第2回の運営委員会にて、抗体陽性者が確認されたことが報告され、遡及調査が行われております。

また、同年9月20日の第2回の安全技術調査会において、今後のシャーガス病の安全対策の見直しと過去の献血血液の保存検体を用いた調査の必要性が言及されました。

以上の経緯をまとめますと、今回議題とするべきは、1点目として、シャーガス病疫学調査の結果の報告をしていただくこと。こちらは資料1-2に対応します。また、2点目、今後のシャーガス病の安全対策の見直し。こちらは資料1-3、1-4。3点目、過去の献血血液の保存検体を用いた調査。こちらは1-5、1-6となっております。

事務局からは以上となります。

○日赤・五十嵐安全管理課長 それでは、資料1-2のシャーガス病に対する安全対策の進捗状況ということで報告をさせていただきます。

まず、安全対策としましては、平成241015日の採血分により、中南米滞在歴等確認票の1~3というのはその下の表の1、2、3に該当しますけれども、これに該当する方につきましては、献血の受付時に申告をお願いしております。該当献血者の血液は、血漿分画製剤用の原料血漿のみ使用している状況でございます。

実施状況ですけれども、26年3月31日現在、中南米諸国で生まれた、または育った方が3,729人、お母様が中南米諸国で生まれた、または育った方が634人、1に該当しないで、中南米諸国に通算4週間以上滞在された方が1万2,334人、計1万6,707人の採血につきまして、血漿分画製剤用の原料血漿として利用させていただきます。

めくっていただきまして、都道府県別の採血1万人当たりの安全対策対象者数というのがグラフで示されてございます。少ない県、多い県ございますけれども、東海4県、それと北関東あたりで1番、2番に該当する方が多くなってございます。

これらの方が1日何人ぐらいいらっしゃるかという数を出したのが一番左側の検査施設1日当たりの対象者数ということで、北海道では1日当たり0.3人、一番多い千葉、東京、神奈川、山梨でも9.7人という状況でございました。

2として「疫学調査」です。実施期間は、25年1月8日から、現在も継続しておりますけれども、26年3月31日までのデータをまとめさせていただきました。1月8日からは愛知、岐阜、三重、静岡の東海4県で先行的に実施し、25年4月23日からは全国で実施しております。検査方法は、Ortho社のELISA法を用いております。

結果ですけれども、対象者で同意を得られた方、合計5,754人、これは延べ人数で2回3回試験を、検査を受けられた方がいらっしゃいますので、実人数にしますと5,543人の方の検査を実施いたしました。

その結果、陰性が5,541人、陽性が、先ほどの1例に加えまして、秋にもう一例、陽性の方がいらっしゃいました。この方については初回の献血でしたので、遡及することがありませんでした。こういう結果です。

次のページからは、年齢分布と献血回数、それと、どの国から来られた方々かというところを示してございます。年齢分布では、30代、40代の方が多くなっているという状況です。献血の回数ですけれども、1番、2番に該当する方につきましては、若干初回の献血者が多くなっておりますけれども、10回以上、20回以上献血してくださっている方もかなりいらっしゃるというような状況でございました。

本人、あるいはお母様の誕生国ですけれども、一番多かったのがブラジルでございます。本人と母親がブラジルで生まれた方というのが451人、本人がブラジルで生まれたとお答えになった方が672人いらっしゃいました。次に多かったのがペルー。そういう状況でございました。

疫学調査については以上でございます。

続きまして、資料1-3で献血時のシャーガス病に対する今後の安全対策(案)ということで報告させていただきます。今、報告いたしました疫学調査の結果から、以下のことが明らかとなっております。検査施設1日当たりの安全対象者は0.39.7人ということで、通常のELISAであるとか、そういう方法を毎日やるというような検査の数にはならないということでございました。

安全対策対象者の73.5%の方に疫学調査に協力していただきましたけれども、26.5%の方には協力していただけなかったという状況がございます。本人及び母親が中南米出身の献血者2名からT.Cruzi抗体が献血されています。本人と出身以外で、滞在歴のみの献血者からT.Cruzi抗体は検出されませんでした。滞在期間半年以上の割合がおよそ50%、4週間以上ということで切っておりますので、長期滞在者がかなり多いということになっています。対象者の多くが複数回献血者であったという状況でございました。

続きまして、各国の状況について幾つか御紹介させていただきます。1番目はJICAで中米を中心にシャーガス病対策を実施しております。その報告の資料を抜き出してきたものですけれども、真ん中の「サシガメの生息集落」ということで、1997年から2010年には、その黒い点で示した集落がかなりこの中米諸国にはございましたけれども、対策が進んで、こういう集落がかなり減ってきているという状況でございます。

成果として、感染の中断であるとか感染者数の減少ということが報告されている。JICAは主に中米ですけれども、南米につきましても各国が対策をとっているというような状況でございます。

3ページ目でございますけれども、これはイングランド地方で実施されたT.Cruzi抗体のスクリーニングの結果です。イギリスはメキシコ南部を含む中南米諸国で生まれた方、母親がこれらの国で生まれた方、これらの国の農村部の自給自足的な集落で連続して4週間以上居住または就労した方、こういうカテゴリーで問診を行っていまして、該当する方につきましては抗体検査を実施しています。

その結果が下の表になりますけれども、3万8,585人の方の検査を実施して、陽性は3人ということになります。その3人の方ですけれども、その下の表にございますように、ウルグアイ、ブラジル、アルゼンチンで生まれた方でございました。滞在歴のみの方からはやはり陽性は出ていなかったというような状況でございます。

4ページ目は、フランスのパリ地方で行った同様のスクリーニングの結果です。フランスの場合は、中南米諸国で生まれた献血者、母親が中南米で生まれた献血者及び以前に4カ月以上中南米諸国へ旅行して帰国した献血者についてスクリーニングを実施しています。

下の表はその出身国で分けたものですけれども、陽性が出ているのはラテンアメリカのセントラルアメリカ、サウスアメリカで生まれた方3人が陽性であったという結果です。そのほかの国で生まれて中南米諸国へ旅行して帰国した献血者については陽性は確認されていないというような状況でございました。

続きまして、5ページ目です。これは学会報告でございますけれども、アメリカの結果です。アメリカはほかのヨーロッパ諸国と異なりまして、国内感染があるということで、初回者の全員に検査、スクリーニングを実施しております。この報告は、その献血初回の検査を実施した人について4年間追跡調査をした結果、一時的に、非特異反応と考えられると思うのですけれども、陽性になった供血者が21名確認されましたけれども、以降の献血では陰性になっているということで、この期間において国内感染、あるいは中南米諸国への旅行等から帰られた方もいらっしゃると思いますけれども、陽転された方はいなかったというような結果でございました。

6ページ目には、「各国の献血時の対応」として、米国、カナダ、スペイン、英国、オーストラリア、それとWHOの対策を記入してございます。大きく見ますと、中南米という地域、国を限定して6カ月以上というパターンと、中南米諸国の農村部に4週間というパターンの2つのパターンがあります。先ほどのパリは国で4カ月という状況でございます。流行地域から帰国後6カ月以上経過して抗体ができるのを待ってから試験しなさいというところもあるし、そういう条件をつけていないでスクリーニングしている国もあるというような状況が見て取れます。

これまでの各国の状況から、中南米諸国におけるシャーガス病対策はかなり進行しておりまして、サシガメの生息地域は縮小しています。サシガメを媒介とする新規感染者の数は大きく減少しているような状況でございます。

イングランド、それとパリの献血時の調査では、陽性が確認されたのは中南米出身者に限られており、中南米以外の出身で、中南米への滞在経験者から感染者は確認されていないというような状況でした。

米国においても複数回献血者で抗体が陽転した例は認められず、一回の検査のみで十分な輸血感染防止効果が認められるというようなことです。滞在期間として、対象国内の地域を限定せず6カ月としているところと、農村部に限定して4週間としているところがございます。農村部に限定している場合は、帰国後6カ月間の献血制限を設けているということが明らかになりました。

「今後の安全対策の基本的考え方」ですけれども、先ほどの疫学調査及び各国の状況から、日本の献血における今後のシャーガス病の安全対策には以下を考慮して策定する必要があるだろうと考えています。中南米諸国に滞在して新規に感染する可能性は極めて低い。ゼロということはできませんけれども、可能性が極めて低いということから、既感染者及び母子感染者を中心とした対策が必要だろうと考えられます。

問診該当献血者で、今は同意を得た方のみに検査していますけれども、問診該当献血者、該当した場合には全員に検査するというような体制をつくる必要があろうかと思います。複数回献血者が多いことから、陰性の場合は献血とか製造制限を解除する仕組みを設けたいと考えております。

上記の考え方を踏まえまして、また献血現場の以下のような状況も考慮した問診内容を考えております。問診の際は差別的な表現にならないように配慮するということで、中南米の出身とか生まれという言葉ではなくて、中南米に「居住」「滞在」というような言葉で問診をしたい。献血者本人の居住や滞在を問う場合は、献血現場での混乱を防止するため、ある期間を限定する必要があるだろうと考えております。

中南米諸国の流行地域、農村部であるとか都市部以外という言葉を書くと、献血現場で特定することがかなり困難でございますので、こういう特定するような言葉はなるべく避けたいと、国で対応したいと考えています。

それと、母子感染があるということで、ほかの国もありますように、母方の祖母についても居住歴を確認するべきではないかと考えております。

8ページ目に問診のアルゴリズムを書かせていただきました。「メキシコを含む中南米諸国(カリブ海諸国を除く)に通算6カ月以上居住または滞在したことがありますか?」「あなたが生まれる前に、あなたの母親または母方の祖母が、メキシコを含む中南米諸国に居住していましたか?」という2つの質問を設けまして、どちらかにイエスと回答された方については検査履歴を確認します。既に検査履歴がある、陰性の履歴があるという方については、製造制限、採血制限を解除しまして、通常どおり採血していただきたいと思います。

検査履歴のない場合は、検査対象者として、初回の血液については原料血漿のみに使用することとして、検体をいただいてスクリーニング検査を実施するということを考えております。

この検査方法ですけれども、これまでに行った安全対策、疫学調査の結果から、該当献血者を少なく、ELISA等の高感度試験を実施するためには、先ほど、1日0.3人とか9.7人という話をさせていただきましたけれども、その数ではルーチンの検査はできませんので、検体を搬送して1カ所に集中して検査を実施する必要があると考えます。

一方、イムノクロマト等の簡易検査を実施する場合には、検体搬送の必要はありませんけれども、毎回検査を実施する必要があろうかと思いますし、血小板の製造は避けたほうがいいだろうと考えておりますので、頻回献血者に対するコスト等が問題になってくると思います。

献血者の負担、検査の感度、血液事業の効率性等を考慮しますと、高感度法を採用することとして、CLIAELISAを組み合わせて陽性を判定するということを実施します。現在もCLIAELISAを組み合わせて疫学調査を実施しています。その際、測定方法の自動化、システムとの接続等を考慮しまして、今、疫学調査とは逆で、CLIA法でスクリーニングを行い、陽性の場合は確認検査としてELISA法を実施することがよろしいのではないかと考えております。

それと、これまでの疫学調査で陰性が確認された献血者については、「陰性履歴あり」ということにさせていただければと思います。

検査のアルゴリズムが9ページ目ですけれども、問診該当して献血履歴がないという方については、血小板は採血しないという献血制限をした上で献血していただいて、血液は原料血漿に使う。検体については、CLIAでスクリーニングをして、陰性であれば次回以降、採血・製造制限を解除したい。陽性の場合は、ELISAで確認をしまして、陽性であれば確定ということで、遡及調査等を実施するということになります。

陰性の場合、CLIAで陽性、ELISAで陰性の場合は製造不可ということにしたいと考えております。今後、もっと明確な確認方法が出る、あるいはそれを開発するというような研究用目的に使用していきたいと考えております。

最後に運用開始時期ですけれども、準備期間及び献血者への周知期間が当然必要となろうと思いますので、紙ベースであれば年内、年末に近くなろうかと思いますけれども、運用を開始できると考えております。システム的に対応するとすれば来年度以降になろうかと思います。

最後に、参考として、検査法に関する資料をつけてございます。

10ページ目は、以前もお出ししましたけれども、ELISACLIA、それとIFA、イムノクロマト法の患者検体、陽性検体について測定した結果です。ELISAは全て陽性、CLIAについては一番上のみ陰性という結果でした。ただし、ELISA0.30というのは、ちょうどカットオフ、0.3から陽性というような値でございました。

一方、ニブスクから国際標準の抗体が出ておりまして、それを用いてELISACLIAの感度を比較してみました。こちらの希釈列をつくって測定した結果を見ますと、CLIAのほうが若干感度高いというような結果でございました。

私のほうからは以上でございます。

○亀田血液対策課長補佐 今の日赤の提案を受けまして、資料1-4に「献血時のシャーガス病に対する今後の安全対策についての論点」というものをまとめさせていただきました。資料1-4をごらんください。また、資料1-3の6ページ、8、9ページも参考にしていただきたいと思います。

論点としては(1)から(6)までございまして、「(1)T.Cruzi抗体の検査の実施対象者の範囲について」に関しては、この抗体検査を献血者全員に施行するのか、それとも、今回、問診で特定された献血者のみを対象に限定的に行うのかについて確認する項目となっております。

また、論点「(2)T.Cruzi抗体検査において、ウィンドウ期を考慮する必要性について」、これは帰国後一定期間を置く必要があるのではないかというところです。WHOや英国では、中南米旅行地域への最後の渡航から献血までの期間を6カ月置くこととしている状況を踏まえ、日赤案では通常の渡航後一カ月の献血制限の中に織り込まれていますので、これを考慮することについて御意見をいただければと思います。

また、論点(3)、今度は中南米の滞在歴について。現在は4週間以上の滞在と制限しておりますが、これを海外の諸国にあわせて、農村部の4週間か、もしくは6カ月間等、緩和するかどうか、その変更内容について御意見いただければと思います。

論点(4)、検査の陰性履歴があるケースでも、その後、再度流行地域に一定期間滞在した場合の再検査の必要性については、日赤案では、アメリカにあわせて、1度でも抗体検査で陰性結果が確認できれば、その後、次回献血時までに再度流行地域に一定期間滞在した場合であっても検査が行われずに、通常献血が行われる内容になっておりますが、この点について御意見いただければと思います。

論点「(5)導入する抗体検査の検査精度は十分であるか」については、資料1-3の1011ページでも示された導入予定の抗体検査の検査精度に問題がないかどうか確認いただく内容となります。

また最後に論点(6)として、最終的にT.Cruzi抗体検査の検査履歴があり、陰性である場合、製造制限を解除し、献血を通常どおり実施するということで問題ないかについて最終確認をいただければと思います。

説明は以上となります。

○吉澤委員長 ありがとうございました。

御意見ありましたら、お伺いしたいと思います。日赤と事務局からの説明について。

確認をしたいのですが、日赤からの説明ですが、資料1-3の1日当たりの安全対策対象者0.3から9.7人、これは全国での人数ですか。

○日赤・五十嵐安全管理課長 全国というか、献血の検査施設ごとの人数です。例えば北海道だと0.3人という。

○吉澤委員長 そういう意味ですか。多いところは9.7人いましたと。

○日赤・五十嵐安全管理課長 東京が9.7人。

○吉澤委員長 採血施設というのは7つですか。

○日赤・五十嵐安全管理課長 検査施設ですので、7つです。

○吉澤委員長 7つで、一番多いところが9.7人ということでよろしいですね。

○日赤・五十嵐安全管理課長 済みません。8施設です。

○吉澤委員長 それから、この9ページのところの、CLIA法で陽性で、ELISA法で陰性になったその次の流れのところですが、製造不可と書いてありますが、これは分画の原料も含めて製造不可という意味ですか。

○日赤・五十嵐安全管理課長 ほかの感染症の場合も擬陽性の場合は使っていないと思いますので。

○吉澤委員長 安全を見込んで使わないと。

○日赤・五十嵐安全管理課長 はい。

○吉澤委員長 問診で見つかった人はCLIA法も含めて陰性のときでも血小板は使わないけれども、原料血漿のほうへ回すと、そういうことですね。

○日赤・五十嵐安全管理課長 はい。

○吉澤委員長 伺いたかったことは以上ですけれども、ほかによろしいでしょうか。

○山口委員 1点だけ確認させてください。資料1-4で、検査対象とする流行地滞在期間を通算6カ月とするとされているのですけれども、WHOの推奨だと農村部とそれ以外の滞在では対応が異なっているというか、区別しているということですね。今回の案では農村部に滞在したのか都市部に滞在したのかわかりにくいというか、区別がかなり困難であるから、もう6カ月にしてしまったということでしょうか。それとも、日本で農村部に滞在した人というのはほとんどいないので、もう6カ月でいいとしたのか。その辺の論拠をちょっと。

○吉澤委員長 済みません。先生の今の御質問は(3)のところで討議していただきたいと思います。

では、資料1-4の論点(1)から(6)について順次御意見を伺いたいと思います。まず、(1).T.Cruzi抗体検査の実施対象者の範囲について、全献血者にするのか、それとも、リスクの高いと考えられる人に限定して検査をするのか、これについて御意見を伺いたいと思います。

○濱口委員 1つお伺いしたいのですが、問診によって、言うならばチェックしなければいけない集団というのをセレクトしている形になっていますが、この問診でどのぐらい確実に、ある意味でその人たちをセレクトできているのかというのは何かデータがあるのでしょうか。ほぼ100%、そういう人たちはこの問診の中でセレクトできて、まさかそこから漏れているような人はいないと考えていいのですか。

○日赤・田所経営会議委員 それを確認したデータはありません。ただ、HIV等と違って、それを言うと恥ずかしいとか、そういう問題とは大分違うかなと思います。どこに滞在していたかということですので、ほぼ正確に答えていただいていると考えられます。

○濱口委員 全員に対象を広げるかというのはちょっとすぐにわからないのですが、そうした場合に、例えばですけれども、初回献血に来られた人を一応全員調べてみて、そして、実際に問診で言っていることと、それから実際の検査データを比較してみて、明らかに問診によってほとんどこの問題点はクリアーできているかどうかということは1回はさんでもいいのかなという気がちょっとしたのですけれども、いかがでしょうか。

○吉澤委員長 いかがでしょうか。今までの疫学調査では滞在歴があっただけの人からは見つかってないのですね。お母さんが向こうで生まれた人で、そのお母さんから生まれて日本へ来た人からのみ見つかっているということですから、滞在歴までは問診で聞くべきでしょうが、前例検査する必然性があるかどうかについて、先生方の御意見を伺いたいと思いますが。

○日赤・田所経営会議委員 ちょっとよろしいですか。

○吉澤委員長 どうぞ。

○日赤・田所経営会議委員 問診で聞いていて、なおかつ試験がない。つまり、問診で排除するかどうかを決めているというのはほかにもあります。その際に、では何かを聞いているか、その後確認してやっているかというと、そこはもう信頼してやらざるを得ないのかなと思っています。マラリアについても、流行地域にいたら、その場合は献血をしないでいただくわけですけれども、御本人がそれをおっしゃらなかったら当然それは献血していただいていることになります。そういうリスクは、献血で問診しながらやっている以上は、ある程度のリスクはあると。そこをどこまで厳密に考えるかと、あるいは実際的だと考えるかという問題かと思います。

○吉澤委員長 いかがでしょうか。

○濱口委員 先ほど、アメリカではという話があったと思うのですけれども、初回献血者に全員に一応やっているという話だったと思います。日本とはかなり状況違うと思いますけれども、そこら辺のところをもう少し詳しく、状況がわかれば教えていただきたいと思います。

○日赤・五十嵐安全管理課長 先ほども申し上げたと思いますけれども、アメリカは国内感染がございます。アメリカの国内で感染があるということでこういう状況なのだろうと思います。それがヨーロッパとかほかの国とは状況が違う。国内感染がない国では、問診をして、それに該当する方のスクリーニングをしているという状況だろうと思います。

○吉澤委員長 アメリカの国内感染例というのは、アメリカのどの地域かわかりますか?例えば南の外れのほうは南米と似たような環境いっぱいあると思うのですが。

○日赤・五十嵐安全管理課長 正確には把握しておりませんけれども、たしか農村のような、草むらのような、そういうところで感染したということを読んだ気がします。

○吉澤委員長 岡田先生、どうぞ。

○岡田委員 米国のメキシコの近くというのは、メキシコもありますので、たしか媒介し得るサシガメは存在していると思います。ただ、それがシャーガス病の病原体を持ってなければほとんど感染は起こらないわけですけれども、その辺でゼロとは言えないという、そういう状況だと思います。

○吉澤委員長 済みませんが、国内感染があったというその場所のことですね。後で確かめておいていただけたらと思います。

では、この件に関してはそういうことでよろしいでしょうか。やはり前例検査すべきだと先生は思われますか?

○濱口委員 いや、そこまではないですけれども、一応自信を持って、問診で大体ここのところは大丈夫だというのがあるのであれば、そこはそれ以上問う必要はないと思いますが、そこは余りデータがないということであれば、やはりちょっと慎重にやったほうがいいのかなというのが私の意見です。

○吉澤委員長 山口先生、どうぞ。

○山口委員 その辺は、これまでの献血における問診の精度という話というか、結局、献血者が正直に述べてくださっているということを前提に問診の仕組みというのは成り立っているのだろうと思うのですけれども、多分、そこを疑い始めてしまうと問診制度そのものを揺るがしてしまうような気がするのです。

○吉澤委員長 対象疾患がHIVのような場合には特殊な状況がありますが、それ以外の対象についてはさほどの問題はないように思います。現場の話を聞いても。日赤の御意見、いかがですか。絶対自信があるかと言われれば、それは無理だと思いますけれどもね。

○山口委員 前のBSEの問題のときも、滞在歴1日も献血をご遠慮いただくということで、後になって、トランジットにいたとかそういうのがわかったような事例があったような気がするのですけれども、そういう勘違いというのはあり得るのかもしれないなという気がするのです。そうでない、少し長期にわたる場合に、それを本人が正しく把握していれば問題ないような気がするのですけれども。

○吉澤委員長 では、この委員会としましては、問診はしていただく。リスクのある人については検査をするということでまとめさせていただいていいでしょうか。

では、(1)についてはそのようにさせていただきます。

では、(2)に入ります。T.Cruzi抗体の検査について、ウィンドウ期を考慮する必要性につきまして、日本に帰ってきてから6カ月は献血制限という、6カ月でいいかどうか。これは潜伏期が全くわからない状況で、手探りで決めるわけですから、最大限の安全を考慮した上での期間を設定するのが常識的な設定かと思いますが、この件に関して御意見をお願いします。

では、(2)については了承ということで進めさせていただいてよろしいですか?

田所先生、どうぞ。

○日赤・田所経営会議委員 ウィンドウ期を考慮するというのは、1度出て出国した方も、戻ってきたときには、あるいは初めて来たときも、入国を5カ月目だと、検査が陰性でも、それは認められないと解釈することになってしまいますけれども。

○吉澤委員長 (4)のところに、1回帰ってきて、また行って帰ってきた人の話が出てきますけれども。

○日赤・田所経営会議委員 1回帰らなくても、最初入国したときに5カ月目のときはどうするかという問題かと思いますけれども、これについては、今、先生おっしゃったのは、5カ月目だと、陰性でも陰性と判定しない、あるいは検査対象外として扱うということでしょうか。

○亀田血液対策課長補佐 少々事務局側からそこの説明させていただきますと、この(2)の論点としては、帰国後一定期間を置くことについてと、その一定期間はどのぐらい置いたらよいだろうかというところを論点にしていただきたいという趣旨の課題設定でして、他国の状況を見ますと、資料1-3の6ページ、例えばカナダであれば、中南米での6カ月以上の滞在歴ということになっておりまして、英国では、流行地域から帰国後6カ月以上経過し、認証されたT.Cruzi抗体検査が陰性ならば可としてもよいとされています。帰国後の問題なので、こちら、6カ月とあわせるのはいかがかという問題意識でして、ウィンドウ期を考慮し、帰国後一定期間を置く。その一定期間はどの程度置くべきか、そういう論点です。

○吉澤委員長 つまり、帰国してからの期間が短いと抗体出るまでの時間ないから、検査してもわからない。だから、一定期間置いてから献血してもらって検査すれば、もし感染しているかどうかがわかりますと。その期間をどれだけ見込みましょうかということですから、帰国して一応6カ月経過してから献血をしていただく、それよりも前のときはもうちょっと待っていただくということでいいのでしょう?

どうぞ。

○日赤・五十嵐安全管理課長 先ほども申しましたけれども、(2)(3)(4)の質問はお互いに関連していると考えています。各国の状況、あるいは日本での疫学調査の状況から、滞在者では陽性者が見つかっていないという事実がございますので、先ほど安全対策の前提として、母子感染、あるいは幼児期に感染された方を対象に安全対策を考慮しております。それでこういう案を出させていただきました。

ほとんどいない滞在者の感染というところをどこまで考慮するかという問題だろうと、この(2)(3)(4)についてはそういう問題だと私どもは捉えています。

○吉澤委員長 つまり、流行地に滞在している期間の話と、日本へ帰ってきてから血液を提供していただくまでの期間と2つの問題がありますが日本へ帰ってきてから6カ月を待たずに献血してもらってもよいのではという意味ですか?

○日赤・五十嵐安全管理課長 ほとんど滞在者、陽性が出ていないのですけれども、滞在者というリスクを考慮して安全対策を立てるのであれば、帰国後6カ月とか、そういう対応が必要になろうかと思います。滞在した方からはほとんどいないと、陽性が出ないということであれば、帰国後6カ月という期間は置かなくてもいいのではないかと思っております。そこをどっちを考慮するかだろうと思います。

○吉澤委員長 そういうことですね。

どうぞ、白阪先生。

○白阪委員 今の議論は非常に大事だと思いますが、米国の場合にはスクリーニング検査として抗体検査1回行い、陰性であればカットも非常に明確でシンプルで、6カ月置くとかせずに実施されているので、問題ないのであれば、その6カ月置く必要はない。ただ、念のためということでの6カ月という議論はよくわかるのですが、それはひょっとしたら余り科学的な根拠にならないかもしれないと思います。

○日赤・日野製造販売総括管理監 どの程度滞在したら感染するかとか、今回のシャーガスに関しては、ウィンドウ期というのは実は、先生御存じのように、わかってないのですね。そういう状況の中でどうするかという話なのですね。今までの過去の論文を見てみると、アメリカなんかの論文も日本もそうですけれども、感染している方に関してはもう既に随分前に感染しているだろうということの観点から考えていただければいいかなということです。そういう意味があって、ウィンドウ期に関しては6カ月という期間を特に考慮しなくても、今の4週間という形で、それはそれで大丈夫だろうということで考えています。

○吉澤委員長 今の御意見、どうでしょうか。

○山口委員 よくわからなかったのですが、4週間というのは滞在歴が4週間ですか。それとも4週間たってからという意味の4週間ですか。

○吉澤委員長 話が混線しているのは、滞在期間がどれだけかという話と、滞在した人が日本へ帰ってきて、献血するまでどれだけ待つかという話と混ぜこぜの話になっているからです。(2)の論点は、事務局にうかがいますが、日本へ帰ってきてからどれだけの期間を置いてから献血してもらったら安全かということですね。

○亀田血液対策課長補佐 そうです。帰国後の問題です。(2)に関しては。

○吉澤委員長 そうしたら、やはり安全を見込んで、抗体が出るものなら出るまでの期間待ってから献血してもらったほうがいいのではないか。1回検査して感染していなければ、その後はフリーになるという方針でいくのがすっきりいく、そういう議論だと思います。

○岡田委員 ここで問題なのは、ウィンドウ期がわからないというのが問題と、あとは、今は流行地であってもかなりリスクが下がりつつあるという現状で、感染もそんなに起こらないだろうというのが想像できるわけですけれども、その場合、今でもリスク残っているのは農村地域ということですけれども、農村地域を問診で聞き出すのはかなり困難だという、日本赤十字社からの現場の声ということで出ています。

そうしますと、本来であれば農村地域まで聞き出して、それで、その人たちはある程度の、ウィンドウ期がわからないので、半年ぐらい置いてから採血しましょうかということになるのですけれども、それが現場では聞き出すのが難しいとなると、結局、滞在者は全て一応危ないと考えて、リスクは低いのですけれども、対応せざるを得ないのかなと思います。

そうなると、帰ってきてから6カ月置くというのもそれなりの意味はあるなと思います。だから、現場で農村地域、例えば問診するドクターが滞在しましたと言ったときに、例えばサンパウロとか都会でずっといたというのか、それとも農村地域で農業開発とか水源開発に従事していますとか、そういうことが本当に聞き出せるのであれば対象者はぐっと絞れるし、普通一般の旅行者に関してはかなり緩和できるのではないかと思うのですね。そこまで問診で聞けるかどうかというのが、そこまで明確にできるかどうかというのがちょっとわからない点です。

○吉澤委員長 そこまで聞くのは無理だと思いますが。どうぞ。

○浅沼血液対策課長 献血している人ならわかると思うのですけれども、問診票の15番に、「1年以内に外国、ヨーロッパ、米国、カナダ以外に滞在しましたか」という問診があるのですね。ですから、そこで「はい」と答えれば、問診医は、その「はい」の国はどこですかという確認をするはずなので、今言っている議論の中で、どこに滞在したか、何カ月滞在したかわからないということは、問診で日赤が現場でわからないというのは、私、自分が献血している限りはそういうことはないのではないかと思っているのですが、日赤さんはいかがですか。

○日赤・五十嵐安全管理課長 国まで特定することは当然可能です。ただ、その国の中でどこが危ない地域かというのを特定するのが難しいと。

○浅沼血液対策課長 まず、今もともと言っているのは、国の話がそもそもあるので、(2)の話、ウィンドウ期の話なので、そもそもウィンドウ期、6カ月というのが、世界の一部の国でやっているのをどのようにとるかという話ですから、まず、その国がわかれば、その次の議論、農村部にするかどうかという話になるのですけれども、そもそも、今言ったとおり、もともと国がわからないわけではないですよねという確認なのですよ。

○日赤・五十嵐安全管理課長 国は特定できます。

○浅沼血液対策課長 しかも、問診室に入れば、中南米の地図貼っていますね。基本的に貼っていますね。

○吉澤委員長 国はわかるわけですね。農村かそうでないかはわかりにくいということです。実際、私もJICAの用事で中南米へ行ったことありますが、動いてあるくのですよ。国の中を。どこにいたかと聞かれたってなかなか答えられない。旅行で行くのでなく仕事で行くわけですから、いろんなところを歩くわけです。南京虫にもかまれるし、いろんなことあるわけですね。だから、リスクがある程度ある国から帰ってきた人は、数もそんな多くないわけですから安全を見込んだらどうかというのがこの(2)の論点のまとめだと理解しますけれども、それでよろしいですかね。

○浅沼血液対策課長 実際そんなにたくさんの方々が対象になっているわけではないので、問診医の先生が、今、地域、国の名前が出たときに、例えばブラジルだったらブラジルのどこに行っていたのかという質問ぐらいは実際やっていますし、農村部かどこか同定するかは別にして、どういうところに行ってきましたかという話は実際はできていると私は思っていますが。だから、次の踏み込みを、農村部まで聞くのか聞かないのか。それが聞けないというならば次の作戦はどうするかという議論になるとは思うのですけれども、そもそも論として、まず、先ほど事務局のほうからも言っているとおり、ウィンドウ期を考慮する必要があるのかないのかという議論をぜひお願いしたいなと思っているのです。

○吉澤委員長 いつ汚染されたかわからないわけですから、帰ってくる直前に汚染されたことを起点に考えれば、一応ここに書いてある6カ月という期間を考えるのが常識的な線と考えられますけれども、先生方の御意見を伺いたいと思います。

○山口委員 わからない以上というのは。正直言って、普通のウイルスの免疫反応とか考慮すれば、1週間2週間で抗体が上がるとは考えにくいわけですね。だから、その辺はもうウィンドウ期はわからないという前提で考えざるを得ないと思うので、一定の間隔を置くというのは、多分、感染免疫の常識というところで線を引かざるを得ないのかなという気がするのです。

○白阪委員 そのための議論として、感染する人がどういう人かと。今までの報告では、例えば母子感染であるとか、そこに住んでいた人だということしかデータとして出てないので、一時的に通過するような、そのときにたまたまサシガメにかまれて、それで感染する人を念頭に置いて議論すべきかどうかということがあるかと思います。そこまで慎重にされるのであれば、ウィンドウ期、それもはっきりしたデータはないのですが、何となく6カ月、他の国はそれをやっているので、それを採用されるのはいいと思いますけれども、そこの議論をしないと、後の議論が全部関連していると思います。せっかくデータ出してくださっているのに、それ以外の、通行人でも感染する可能性を重く見るかどうかということは議論していただきたいと思います。

○大戸委員 今のと関係するのですが、せっかく宇都木先生がいらっしゃるので、この点について、もしエビデンスとかあれば教えていただきたいと思います。

○宇都木参考人 余り本質的な問題ではないように思いますので、ただ、伺っていて、先ほど、実を言うと、疫学調査をしたとき、お断りになった方が25%、回答を拒否しているというのがございましたね。それが大変気になっているところなのです。しかし、今の問題については、ウィンドウ期を置くというその慎重な態度がいいのではないかと私は思いますが、小幡先生はどうですか。

○日赤・五十嵐安全管理課長 済みません。回答を拒否しているのではなくて、検査を拒否されている方が25%です。

○小幡参考人 議論が2つダブっていますが、そもそも抗体検査については、母親が居住していたとか、そういうことでない渡航者については、今まで陽性は出ていないけれども、一応抗体検査の実施対象者には念のためしておこうというのが結論だと思うので、そうであれば、抗体検査が素通りしてしまいかねないウィンドウ期は、やはりこれは対処するというのは連動して当然ではないかと思うのです。ですから、先ほどの議論は、抗体検査を実施する必要がないのではないかというそもそもの議論であればわかるのですが。旅行者については、それでも一応入れておこうというのであれば、さらにこれから滞在期間をどのぐらいにするかという議論だと思いますが、いずれにしても、そこを実施対象にする以上はウィンドウ期は置くことが必要でしょう。それが何カ月かというのは、専門的なことでわかりませんが。

○吉澤委員長 そのとおりだと思います。さっきからそれを言っていたのですが。今の段階では、感染したと仮定した場合の抗体が出てくるまでの間は献血を遠慮していただいて、その以降に検査をすると。そういう線でいけばいいのではないか。それも、永久にそのままいくのではなくて、結果を見た上で、そこでまた調整するという線でいかがでしょうか。

では、(2)については少し時間がかかりまして、済みませんでした。

次は滞在期間ですね。通算6カ月とすることについて。農村部か都市部かということについて、ちょっとわからないということを前提にした場合、4週でいいのか6カ月でいいのか(3)について御意見をいただきたいのですが。

○濱口委員 日赤の方にお聞きしたいのですけれども、4週というのが6カ月以上ということになったというのは、基本的には中南米で生まれ育った人たちをメインに考えているから6カ月以上という形にして、いわゆる旅行などで、そこに一時的に立ち寄った人たちはそこから外すという形なのかと思います。そこはどういう理由で、中南米で生まれ育ったという項目を減らして6カ月以上という形になったのでしょうか。

○日赤・五十嵐安全管理課長 生まれ育ったというのを否定しているわけではないのですね。生まれたのであれば6カ月ぐらいは当然そこにはいると思いますので、そういう面を考慮して、生まれについては6カ月居住ということでまとめたということです。6カ月という数字を挙げたのは、ほかの国で、農村部に限定して4週間というところと限定せずに6カ月というところがありましたので、6カ月という数字を持ってきました。

○山口委員 これは先ほど質問させていただいた内容にちょっと回答いただけるとありがたいのですけれども、多分、WHOは、農村部にいれば4週間で、都市部でいれば6カ月で、先ほど御説明なさったのは、都市部か農村部かわからないから、逆に広げるという論旨がちょっとわからないのです。要するに、農村部にいる人はほとんどいないのだという話であれば、6カ月で僕はいいと思うのですけれども、その論理構成がどうなっているのかちょっと教えていただければと思います。

○日赤・五十嵐安全管理課長 日本の結果、イギリス、フランスの結果から、滞在者から確認されていないというところから組み立てています。要するに滞在者については大きなリスクはないというところから。

○山口委員 例えば今回の検査に当たった人、農村部もいて、都市部もいて、両方ともみんなネガティブだったという話であればそのとおりと思うのですけれども、ほとんど都市部ばかりだったという話だと、都市部の人は確かに6カ月でもほとんど感染のリスクというのはないだろうと判断できると思うのですけれども、もしこれが農村部に、先ほどの話だと、JICAで行かれた方なんかがもしいたとして、そのリスクも同じように広げてしまっていいのかという、その辺の疑問がちょっとあるのです。

○宇都木参考人 この6カ月というのは、むしろ4週間のほうが厳しいのですね。

○亀田血液対策課長補佐 そうですね。4週間のほうが厳しいので、今現行は4週間。滞在期間が短いほうが厳しいということで、農村部に限らず、その地域にいれば4週間とかなり厳し目の設定で現行は行っております。その結果を今回の疫学調査を踏まえて緩めてよいのか、それとも、もっとデータをとって検討したほうがいいのか。もし緩めるのであれば農村部と限定するべきなのか、それとも6カ月と期間を延ばすのか、そういうところが論点になるかと、整理されると思います。

○吉澤委員長 では、この点に関して御意見をうかがいます。

これも、一定期間調査し、答えを得た上で緩和してゆくというのが現実的なのでしょうか。

○日赤・田所経営会議委員 これが農村かどうかというのは、どの辺から農村かというのはあろうかと思うのですけれども、本人の認識の農村ということであれば、それはできないことはないかもしれない。ただ、それぞれの地域で全部それが農村かどうか、問診者が確認するだけの資料があるかというと、ないと。そういう意味で、できませんよと申し上げているのですね。

ただ、ここでの議論が、本人が感ずる農村でいいのだと。それしかどうせできないし、特に過去のおじいちゃん、おばあちゃんのところだったらそういう話だということであれば、それはできます。本人が言う、感じる農村でいいということであれば、それはできます。ただし、問診者がそれを確認できるかというとできません。そんな細かい地図はないし、WHOもそういう地図はつくっていません。シャーガスについては今どんどん減っているので、そういう地域はつくってない。マラリアはちゃんとあります。ですから、そういう状況での話を申し上げているのですね。ですけれども、個人の判断でいいですよという理解であれば、それは可能です。そういう上で農村を絞ってやろうという方針で立てるのだったら、それは非常にドナーに、先ほどから言われている、依拠する形ではありますけれども、それならできます。

○吉澤委員長 実際問題、今まで滞在していた人、かなり短い人も含めて調べて、1人も出てないわけですよ。もちろん全員調べたわけではないけれども。というわけで、リスクが高いかというとそれほど高くはないという観点からすると、外国にあわせてもいいようにも個人的には思いますけれども、先生方の御意見を伺ってと思います。

○日赤・田所経営会議委員 ここで今回こういう格好で提案させていただいているのは、基本的には今までの外国の例、あるいは日本の例から言っても、ほとんどは中南米で生まれ育った方が中心だろうと。アメリカで、日本の何倍もの献血者を調べて、実際それを追跡調査していっても新たに陽転する人もいないという状況の中で、基本的にはそこはほぼ安全なのだろう。だから、核とするところは生まれ育った方、あるいはそういう母親から生まれた方にしようと。ただ、念のために、一応滞在歴のある人についても、6カ月についてはやってみようという考え方。

そういう意味では、一つ一つ、ではウィンドウあるではないかというような理論的な可能性やその細かな議論を全てやって、厳密にこの問題を全部取り上げてやろうという方針ではなくて、従来の今までの結果と、その中で何がリスクが高いか。その上で一応念のためにやるべきものは何かというような形で整理して出させていただいた。それでは不十分だというのであれば、それは御意見いただければと思います。

○吉澤委員長 ということです。新津先生、どうぞ。

○新津委員 明らかに農村部に4週間滞在したと本人が申告した方はどのような扱いになるのでしょうか。本人が明らかに4週間農村部でずっと滞在していたと言った方は、6カ月ではないので、ここには入らないことになってしまうのでしょうかという質問です。

○日赤・田所経営会議委員 そういう意味では確かにおっしゃるとおりですね。そういう意味では、リスクが低いので念のためであるが、そちらのほうがリスク高いだろうと。先生おっしゃるように。それはおっしゃるとおりかと思います。6カ月という意味で。

○吉澤委員長 数は少ないわけですから、向こうで生まれ育った人、お母さんが向こうで生まれた人は検査の対象でしょう。今の御意見のあったような人、農村部に滞在したことが明瞭な人は特例でその人は検査するというふうしておけばそれでいいわけで、それ以外の人はこのやり方でいけるのではないですか。実はこういうことですけれどもどうでしょうかという献血者からの申出があったときは検査すればいいと思いますけれども、いかがですか。

○岡田委員 あとは、都市名とか地名だと厳しいですけれども、例えば滞在、泊まっていたところがいわゆる木造の家屋かどうかというのも、確かに、サシガメはそういう木造の建物とかにいるので、そういうのと全然違うようなところに泊まっていたくらいは恐らく献血者の記憶としてあるので、そういうことで、地名を聞かずに、どういうところにいたか、どういうところに泊まっていたかということでも、リスクある、高い人はわかると思います。地名ではなくてですね。都市名言われたら、地名言われても、確かに問診医はわからないと思うのですけれども、例えば滞在が木造のところに4週間とかいたと。一方、近代的なところで滞在したというのであれば、逆に農村地域であっても感染するリスクというのは非常に低くなると思います。地名ではなくて、どこに泊まったかというのも、リスクのある人を絞るという意味では意味があるかなと思います。

○吉澤委員長 どうも長くなりまして済みません。データがない状態で論議しているわけですから、エンドレスの話になります。今いろんな御意見が出ましたので、日赤としてこういう線でどうでしょうかと案を次回の委員会に出していただいて、それで決着にしたらいいかと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○吉澤委員長 では、そういうことでお願いします。

では、4番目、これは簡単だと思いますが、検査で陰性履歴があるケースで、その後もう一回行って帰ってきた人について。これは議論の余地なく、もう一回行って帰ってきた人は、今の新たに帰ってきた人と同じ扱いになるかと思いますが、これについていかがでしょうか。

○山口委員 おっしゃるとおりだと思います。

○吉澤委員長 では、4番はそのようなことで整理させていただきます。

5番について、「導入する抗体検査の検査精度は十分であるか」。これにつきましては先ほどデータを出していただきましたけれども、御意見を伺いたいと思います。

今まで検討していただいてデータを提示していただきましたので、それでよろしいということで、これも了承いただけますか。

(「はい」と声あり)

○吉澤委員長 では、6番目に入ります。検査の履歴があって、陰性であることが確認されている人については製造制限を解除して、通常どおり献血をいただいてよろしいかどうか。新たな感染は日本国内ではないという前提での話ですが、これに関していかがでしょうか。

これも問題ないと私は思いますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○吉澤委員長 ありがとうございました。それではこの論点の(1)から(6)につきましては了承いただいたということで整理させていただきます。

次に、過去の献血された検体について調査することについて前回の委員会で議論になりまして、倫理的な側面から考えてみないといけないということでしたけれども、事務局のほうから説明をお願いいたします。

○亀田血液対策課長補佐 事務局から、資料1-5を説明させていただきます。

この過去検体の調査に関しての経緯ですけれども、平成25年度第2回血液事業部会安全技術調査会において、過去の献血血液を調査し、当該献血製剤を投与された患者に対して投与の事実を知らせる必要性が指摘されました。また、献血者の同意の問題があり、倫理の専門家の意見も踏まえて整理する必要が指摘されました。

会に先んじて宇都津木先生及び小幡先生に御意見を伺って、論点がどういうところになってくるかということを整理したものがこの論点1、2になります。

論点1として、「シャーガス病について遡及し検査することの倫理的な問題の有無」というものが挙がっております。基本的な考え方としては、献血された血液は、他人の生命・健康にかかわるものであって、また、保管検体に関しては、その安全性確保のために、それを目的として貯蔵されているものであって、結論としては、本調査会の承認をもって本調査を限定的に許されるものとするべきではないか。そういった意見をいただいております。

また、論点2に関しまして、「遡及調査によって判明した結果を伝えることについて」となっており、基本的な考え方として、検査が陽性であった場合、その結果を知ることによって一定の利益が予測されるような場合には、基本的に知らせることが望ましい」と整理されております。シャーガス病は対症療法等の一定の治療法がありまして、診療経験がある者が国内にも存在するところから、検査結果を知ることは一定の利益があり、基本的に知らせることが望ましいのではないかとここでは整理させていただいています。

ただし、※の2つ目、一番下のパラグラフになりますが、供血者について、検査結果を知らせることは基本的には望ましいと思われる一報、知らないでいる権利というものもやはり存在しますので、知らないでいる権利を守るために検査を行うこと及び結果を通知することがあることの周知期間をしっかり設けておくことが適切であろうと、そう整理いただいております。

事務局からは以上になります。

○吉澤委員長 ありがとうございました。

きょうは、お忙しいところ、先生方お二人においでいただきましたので、コメントをいただきたいと思います。まず、宇都木先生のほうからお願いいたします。

○宇都木参考人 ちょっと御相談を受けて、私、このように考えてみたのですね。現在、日本ではヒト由来物質をどのように取り扱うかということについての基本的な法がないのですね。これは10年も前から、私、こしらえてくれと厚生省に何遍も言っているので、もう一回またここで申し上げておきたいと思いますが、それがない。そうすると、どういう手がかりでこれを考えたらいいかということですが、個人情報保護法というのが2003年にできまして、これは1つは本人との関わり方が類似している。それからもう一つは、ここで問題になることもやはり個人情報なのですね。その2つの意味で、これを少し参考にしながら考えたらどうだろうかと考えたわけです。

個人情報保護法は、医療実務に関しては、直接的に適用になりますが、それは採取目的が使用を制限するというスタイルでできているのですが、途中で目的を変更して使うことも、その使い方が当初の目的の合理的な範囲内にあるならば変更することはできると、そういう法文になっているのです。今度の検査が、少なくとも検査項目としてはシャーガス病というのは挙がってなかった。そういう中で、そもそもの検査目的として、献血者に伝えてあったことの合理的な範囲内であるかどうかというのは専門家に考えていただくべき事柄だろうと思いますので、それをここで論じ、範囲内にあると判断していただければいいのではないかということが1点でございます。

そしてその次に、法律のガイドラインというのが厚労省の責任でつくられていますが、その中には、仮に合理的な範囲内でない場合であっても、人の生命・健康を救うために必要だという判断があれば、これも変更はできるという方針を出していると思うのですね。これもやはり人の生命・健康に必要なものかどうかということも専門的判断事項でありますので、この委員会で判断していただくべきだと思います。そのような形で絞った上であれば、個別には承諾を得ていない検査項目を過去にさかのぼってするということは許されるのではないだろうかと考えたわけです。

その法律とガイドラインを見ると、それは許されるとしても、そのことを周知させるべきだという条件がまたついているから、それは今の※印の2つ目のところで、周知させるということになっていますので、いいのではないかということを考えたわけです。

ですので、私としては、ここで合理的な範囲内か、人の生命・健康のためにどうしても必要であって、有害性と有益性をバランスとった上で検査が必要だという判断をきちんとしていただいた上でしていったらどうかということを考えました。

○吉澤委員長 ありがとうございました。では、小幡先生、お願いいたします。

○小幡参考人 私も、事前に相談を受けましたが、大体このペーパーで整理されているとおりでございます。宇都木先生のおっしゃったことで、私も大体同意見でございますが、結局、血液というのは、供血者にとっては自分の血液で、本来自分の自由意志で決定できるはずですが、ただ、献血というのは輸血される、つまり他人にそれが行くということを前提に、それが目的でそもそも献血というのはされるということと、あともう一点は、その当時わかっていなかった、新しく判明した、そういう抗体というか、疾患の原因がわかった、判明した以上輸血された他の方にひょっとしたら害悪をもたらしているかもしれないという可能性がございますので、それは自分は困るといっても、本来の目的、それから、生命・身体を守るという、今、宇都木先生がおっしゃったような、必要から、検査せざるを得ないのではないかと思います。

この周知期間のところでございますが、自分にはただ知らせないでほしいと言われた場合ですが、これは今までもそういうことがほかの疾病についてございますので、それと横並びかと思いますが、直接にはインフォームド・コンセントを得ていない、新しく判明したものですので、こういうことについて検査しますよということを事前に言っていない以上は、ホームページ等で、こういうことが新たに判明したので、検査をこれこれの該当者についてはすることにいたしますということを周知して、もし自分がそこに入るならば、検査の結果を知らせてほしくないと思う人については、相談窓口など設けて、相談してくださいという形にしておけばよろしいのではないかと私は考えます。

○吉澤委員長 ありがとうございました。極めて合理的な説明だと思います。過去の検体について検査をして、国民の健康に資するようなデータは開示すると、そういう線でよろしいのではないかと伺いましたけれども、これにつきましてはいかがでしょうか。

○日赤・五十嵐安全管理課長 今回の疫学調査で検査に同意されなかった方についてはどう考えればよろしいのでしょうか。過去にも多分献血されている方いらっしゃると思うのです。

○宇都木参考人 このシャーガス病という名前を出してですか。

○日赤・五十嵐安全管理課長 はい。

○宇都木参考人 これは拒否なさった方には検査はできないと思います。

○小幡参考人 何の検査ですか。調査の検査。

○日赤・五十嵐安全管理課長 今回、疫学調査で、献血者の方に検査同意されるかどうかというのを聞いて疫学調査を実施しているのですけれども、疫学調査を実施しなかった方が何人かいらっしゃいます。

○宇都木参考人 25%ですね。

○日赤・五十嵐安全管理課長 はい。その方たちが過去に献血していた血液についてはどう考えればよいかと。

○野村血液対策企画官 この後、資料1-6で実際にどういう方に検査をしていただくかというお話があって、過去の記録の中で、問診でその国への滞在歴などがあった方ということで、確かにそういう方々が複数回献血されると一部重複してくるとは思うのですが、逆に、そういう方々は過去の調査の範囲の中からどのように抽出というか、切り取ってくるのかといったところの設計にも絡むと思うのですけれども、そこはどのようにされるのでしょうか。

○日赤・五十嵐安全管理課長 だから、そういう方々について検査していいのかどうかということと、その検査結果を伝えていいのかどうかというところだろうと思うのですね。それをお尋ねさせていただきたい。

○小幡参考人 その疫学調査というのは、その保存血液についての抗体検査を拒否されているということですか。

○日赤・五十嵐安全管理課長 いや、でなくて、今回献血に来ていただいた方にシャーガス検査をしていいかどうかということを聞いて、いいと答えた方について疫学調査を実施しています。同意されなかった方が25%いらっしゃると。その方たちがもっと過去に献血された血液についてはどう考えればいいかと。当然、複数回献血している方、多くいらっしゃいますので。

○小幡参考人 過去のものについては、一律にこういう扱いにするということですので、それは検査を拒まれても、やはり献血された受血者の安全ということを考えると検査せざるを得ないと思いますが、ただ、検査結果をその御本人、供血者の方に知らせるかどうかというのは別の話なので、そこは切り分けて、どうしても知りたくないということであれば、それはやむを得ないと思います。これはほかの疾病の場合についてと同様かと思います。

○宇都木参考人 ちょっとよくわからなった。疫学調査に協力なさらなかったということは、何を拒否なさったのですか?

○日赤・田所経営会議委員 抗体検査を拒否されたと。

○小幡参考人 その方について、今どのようにしているわけですか。

○日赤・五十嵐安全管理課長 安全対策は実施しておりますので、原料血漿としてのみ使っています。

○小幡参考人 検査をしないで、新鮮な輸血には使わないという対応をしていると。

○宇都木参考人 当たり前というか、先ほどの※印の2番目ですが、この※印の中には必ずしも明白に書いてないかもしれませんが、そういう検査をするということを周知させた上で、嫌だと、その検査を受けないという申出を積極的にしてこられた方については検査できないですね。

○小幡参考人 自分が受ける、受けないというのではなく、保存している、過去の日赤にある血液についての抗体検査のほうですと、それは、受血者の生命・健康のためという理屈でやるしかないのではないでしょうか。御本人に知らせるというのは別問題です。

○宇都木参考人 もう献血はしてしまっているわけですね。

○小幡参考人 そうです。血液がもう過去のものがあると、そういう状態ですね。

○吉澤委員長 整理すると、今ここに来た人、あなたはこういうところから帰ってきましたけれども、検査します、いいですか、嫌ですという話と、その人が過去に献血した血液の保存検体があって、それを検査するかという2つの問題があって、後者についてはOKと。目の前で嫌だという人については難しいでしょうということなのですね。全員に聞くかということなのですよ。

○亀田血液対策課長補佐 論点1点目は、あくまで検査をするかどうか。それに関しては他人に影響するということで検査はすべからくすべきだというところ、安全対策の一環として。それとは別途に、判明した結果を伝えるかどうか。それはまた別の問題であって、安全対策の範疇ではないので、それは個人を尊重するべき問題であろうという整理。というふうになっております。

○吉澤委員長 ですから、ちょっと済みません。混乱しましたが、安全対策上、検査をすると。ただ、御本人が結果を知りたくない場合には知らせないと。それから、御本人の不利益にならないように、それはちゃんと配慮する。そういう線でいいのではないかと。そういう御意見ですね。

○小幡参考人 1点、今回はそういう整理だと思うのですが、日赤さんにお願いしておきたいのは、今後もそういうことがいろいろ起こり得ると思うので、できれば、このような、全く今わかっていないことが後になってわかることもあるので、その場合は、遡及といいますか、調査せざるを得ない状況になるので、それはそういうものであるとわかっていただく。つまり、自分の血液が他人に輸血されて、それは他人の生命にまさにかかわるのだからという、そこら辺りは最初に説明文書のところに本来は書いておいたほうが親切だと思います。当時、過去への遡及のことは、まだ書いていなかったということは承知しておりますが、今後、これからについては、やはり献血する方にそういうこともあり得るのだということをわかっておいていただいたほうがよいと思います。

○宇都木参考人 今度、検査項目を挙げて、「等」というのをつけたのですね。かつてはついてなかったのを、今度「等」とつけたのは、今、小幡先生の説明とちょっと合致するようなところもあるのですが、それは言葉の「等」をつけたからよいということでなくて、もう少しきちんとした説明した方が良い、そういう意味だろうと思います。

○吉澤委員長 ありがとうございます。そういうコンセンサスでやっていけると、今後はこういう議論はしなくて済むということになります。

では、その辺は日赤の中で後で問題にならないように整理をしておいていただいたらと思いますけれども、この点についてはよろしいでしょうか。

では、時間が押しましたので、次へ進ませていただきます。資料1-6につきまして、日赤のほうから説明をお願いいたします。

○日赤・五十嵐安全管理課長 それでは、過去の献血検体に対するシャーガス病調査の実施についてということで、資料1-6になります。

過去に日赤の問診票では滞在歴等を詳しく聞いている時期がございました。平成14年4月1日から23年3月31日までは、上のほうの問診7番というところで、「海外に旅行または住んでいたことがありますか」「それはどこですか(国・都市名)」「いつ、どのくらいの期間ですか」ということを聞いていました。平成23年4月1日から241014日につきましては、問診1516で、「1年以内に外国(ヨーロッパ・米国・カナダ以外)に滞在しましたか」「4年以内に外国に1年以上滞在しましたか」というようなことを聞いて、これが記録として残っております。

この記録として残っているものについて、下の、先ほどの、メキシコを含む中南米諸国の記載があるかどうかということを調査しました。その調査結果が、血小板については6,279名、全血については5万9,898名という結果でした。

なぜ血小板と全血かと申しますと、裏面に、以前にも提示しましたけれども、「輸血による感染事例」というものが報告されていますけれども、輸血による感染が確定しているものは上のほうの血小板のみという状況でございます。下のほうの疑い例については全血も若干残っている、あるという状況でございます。これで血小板と全血の数を抽出してみました。

血小板につきましては、さらに問診票一枚一枚確認しまして、4週間未満の滞在であるということが確認できた方が何人かいらっしゃいましたので、その方を除きますと4,876名という結果になっております。全血のほうはちょっと枚数が多いので、そこまではまだ調べておりません。

例えばこの血小板の4,876名に遡及調査を実施するとしますと、保管検体というのは大きな冷蔵庫の中に小箱に詰められた検体が山のように入っておりますので、その一本一本特定して抜いてこないといけないという作業がございます。その作業をするのに、1日15本とか20本ぐらいがせいぜい抜き取れる限度だろうと思いますので、この4,876名の抜き取りということになりますと半年ぐらいはかかるのかなと考えておりまして、検査をこの抜き取り作業を始めてから実施が終了するまでには8カ月なりそれなりの時間が必要なことと考えております。

以上です。

○吉澤委員長 ありがとうございました。今の説明につきまして御意見ありましたら。

外国からの報告も含めまして考えますと、対象の検体は血小板に限ってよろしいのではないかということですが、これはよろしいですね。

これはそういうことで、周知期間に関してはやはりピックアップに時間がかかりますので、今の御説明のような形で周知期間に設定したらと思いますが。

では、この1-6に関しましてはよろしいでしょうか。承認いただいたということで。

(「はい」と声あり)

○吉澤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、お忙しいところ、宇都木先生、小幡先生、ありがとうございました。

○野村血液対策企画官 先生、すみません。

○吉澤委員長 どうぞ。

○野村血液対策企画官 先ほどの今後のお話の件で1点のみ確認なのですけれども、結論として、次回にもう一度修正案を日赤のほうから提出いただくということになりますので、少なくとも現在の製造制限、問診の該当者については分画製剤のみに使用するということを続けるとともに、現在実施中の疫学調査でございますけれども、これも継続ということでよろしいでしょうか。

○吉澤委員長 そうです。次のときまで継続していただいて、そのデータも出していただけたらと思います。

○山口委員 1点だけ、ちょっと済みません。

○吉澤委員長 どうぞ。             

○山口委員 もし抗体検査で陰性になった人のリエントリーは余り反対がないような気がするのですけれども、その場合にもう一度再検査する必要はないような気がするのですが。

○吉澤委員長 そうですね。一度陰性と確認できて、その後、ハイパーエンデミックの地域に行ったり来たりしていないという人はもうリエントリーはOKということで確認させていただきます。

先生方、ありがとうございました。

○浅沼血液対策課長 もう一点だけ。それで、1-6のほうの資料に書いています、いわゆる調査のほうですね。血小板の調査の件ですけれども、まず、一般的にはそれほど考えにくいですが、もしまた陽性が確認されたら、それを製剤として輸血された方の遡及等はもちろん去年のように行うということでよろしいですね。

○吉澤委員長 それは当然でしょうね。

○浅沼血液対策課長 その際の、もちろん告知問題等についても同等ということでよろしいでしょうか。

○吉澤委員長 はい。もちろん、御本人へのインフォームド・コンセントも同じということで、それがもしあったときはそういうことになるかと思います。

それでは、宇都木先生、小幡先生、本当にありがとうございました。

(宇都木参考人・小幡参考人退室)

○吉澤委員長 それでは、時間が大分過ぎましたが、議題2に入りたいと思います。日赤のほうから、資料2の説明をお願いいたします。

○日赤・平検査管理課長 私のほうから、献血血液の個別NAT導入についてということで少し御説明させていただきます。

まず、なぜ今、個別NATなのかという話が一番出てくると思います。私どもは、2008年に現行のシステムを入れております。ロシュ社のS401というシステム、この機械を入れて、機械の耐用年数、どうしても6~7年というところが更新の時期に当たるということがございまして、現在のNATの状況、世界の状況、そういうことを勘案して、個別NATでいけるということで導入することになりました。

この際、評価対象するときには、世界の市場で寡占している2つのメーカー、ロシュ社とノバルティス社を対象として、検査感度、精度、効率性及び価格等の観点から評価して導入機器を決定したということになっています。その中で、今回このノバルティスのPANTHERシステムを導入することになったところについて、このシステムの概略と日赤での評価試験の結果及びその運用のあり方等について、資料2に基づいて御説明させていただきます。

まず、システムの基本情報。見ていただけますように、このPANTHERシステムという機械は、本体寸法が、幅、奥行き、高さ、1.2メートル、81センチ、1.75メートル、重さが363キロと非常にコンパクトな機械になっております。

処理能力につきましては、検査開始後8時間で275検体、12時間で500検体と検査結果が上がってまいります。どういうタイミングで上がるのかというと、一つの試験管が5個になっています。そういう意味で、1本の検査結果は、検査を入れた後、8.5時間後に1本目の検査が上がってきます。その後、5分間に5検体の結果が得られるということです。そういう意味では、3時間半たつと、1分に1本ずつ出てくるというシステムの構成になっております。

では、現行のシステムはどうかというところで見ますと、現在のシステムでは、3時間10分に24検体の結果が出てまいります。その後、30分ごとに24検体が出てまいります。こういうことから申しますと、12時間で計算すると432本。最大スペックですが、このような格好になっております。

そして、このPANTHERシステムの特長といたしましては、完全に自動化されているシステムが搭載されております。それと、最適化されたワークフローと処理能力。こちらについては、緊急検査等入れば、ランダムアクセスということで、途中から割って入れるとか、そういう意味では、HLA、急いでいるドナーがおられれば入れることが可能なシステム。あとは連続処理で対応ができるということになっています。

それと、当然のことながら、このような今のNATの機器というのはプロセスコントロールがきちっとされております。中には、一本一本にインターナルコントロールが入って、そのインターナルコントロールが出るということが成立の条件に当然なっておりますので、そういう意味では、そこまではきちっとコントロールされているものということでございます。

めくっていただいて、別添1、これはメーカーさんのパンフレットを載せておりますが、大きさを見ていただければいいかなというイメージで、これだけ非常にコンパクトで小さなものということを示すために載せさせていただきました。ただ、要約としては、先ほどと同じように、スマートで、シンプルで、そして利便性があるというところが売りということになっております。

戻っていただきまして、ではこの機器に搭載する試薬がどんなものかということをメーカーさんの添付文書より抜粋しております。まず、対象検体と検体量といたしましては、血漿、血清、それと死体血、これは移植等を考えた場合に承認をとっている。一応使用量は500μということでございます。

反応原理につきましては、抽出に関してはターゲットキャプチャー法。これはウイルスの特異的なプローブを用いて、捕まえるウイルスだけを引っ張ってくるという方法でございます。

増幅・検出に関しましてはTMA法とHPA法ということでございます。増幅については、基本的には、1回とってきたウイルスをRT、逆転写酵素をかけて、その後もう一回逆転写かけて、DNA鎖をつくる。その後、T7のプライマーとポリメラーゼを使って、ぐるぐる等温で回してふやしていくという作業です。今までのPCRというのは、温度によって、アニールとかしながら回数ということをやっていますが、これはぐるぐる進むというシステムで、アデインとかグアニンとかなくなったときが反応の終わりになる。ということで検出している。

この中でどのような検出病原体があるのかというと、HBVについては遺伝子型でA~H、HCVについては1~6、HIVについてはグループMのA~H、グループN、グループO。これは変異株対応と書いていますが、これはデュアルターゲットPCRの捉えられるものもぴしっととれるということになっております。HIV-2に関しましては、SubtypeA、SubtypeBを検出するということが記載されております。

次に、メーカーさんの感度試験(95LOD)の結果でございます。こちら、使用パネルは、HBVHCVは記載されているパネルで、まずUltrio Elite ABD、これがスクリーニング用です。これがBとCとIを捕まえる、どれかわかりませんが、陽性であれば捕まえるというもの。この隣のElite dXXX ABDと書いているのは識別用です。構成的にはBとCとIの専用の試薬ということになります。そういう意味で、感度を見ますと、HBVではスクリーニング用は95%が4.3、Cが3.0HIV-118.0HIV-210.4。当然、次のABDのほうも同感度。測定原理が一緒で、たまたま発色する、ひっかけるプローブがあるかないかだけの差ですので、感度としてはElite Assayとその個別のAssayは差がないということがこれで出ております。

というのがこちらのメーカーの添付文書からわかるところでございます。

次に、日赤の評価試験のところから少し抜粋させていただいております。私ども、評価する際に、まず機器の基本性能という考え方、それとあと試薬の性能というこの2点に絞って少し検討してまいりました。

まず機器の性能につきましては、当然のことながら、GMP、安全性等のサーベイランス機能があるかということを確認しています。これはバーコードの読取試験とか、同社の機器のサーベイランス機能に係る報告、これはISO等いろいろ登録していますので、そういうことを確認しております。

こちらの機器はFDAでも医療機器として承認されており、EUのほうでも、CEマーク、当然とれています。日本でも医療機器として申請されているものでございます。

次に、機器の性能として一番大事なのはクロスコンタミネーション。どうしても高い検体あった場合に、中で汚染されると意味がありませんので、そういう意味では対象として陰性血漿と高濃度陽性検体、これは108 、かなりの強陽性のHBVの検体を2つ用いてやっております。

試験方法としては、陰性検体110本とCalibrator10本でまず1バッチ流します。この120という数が検体をロードするところは120検体。15検体×8個のラックで入れていますので、そこでの汚染はまず見ようということでやりました。

その次に、陰性と陽性を交互に60本ずつ並べて1バッチ。次に、その陽性と陰性をまた逆に並べて1バッチ。そして、全て最後に陰性を並べて集結させるということでやったところ、陰性検体は「陰性」、陽性検体は「陽性」と判定され、クロスコンタミネーションは確認されなかった。こちらについては、メーカーさんのワイプテスト等の結果もいろいろ持っていまして、そういうことではきちっとされたものだったと認識しております。

次に試薬の性能試験でございますが、国際標準品、HCVについては第3世代の標準品、06/100が非常に不安定だということもございまして、第1世代までも含めて評価させていただいています。これはあくまでも日赤での評価結果でございます。

こちらについても、HBV7.2HCVで第3世代で13.2HIV-127.2HIV-211.6ということで、それなりの感度はきちっと有していると考えております。

次に特異性試験でございますが、特異性試験としてまず陽性検体反応性試験。これは遺伝子Genotype別の包括的な反応を見ようということで、GenotypeSubtypeの検体に差があるものかどうか、現行のシステム等を比較したところ、同等の反応性を確認しております。それと、私ども、スクリーニングNATをやっておりまして、陽性検体、少しございます。そういうところでそれらの検体を用いて反応性試験を実施したところ、現行NATシステムで陽性となった検体は全て検出しております。

次に、ここが非常にまた重要なポイントです。陰性検体反応性試験。これは擬陽性が出るといろいろな意味で影響を及ぼしますので、そういう中で、陰性検体、5,000本ではありますが、5,000本の検体を単回測定して、非特異、陽性と判定する有無を確認させていただいています。そうすると、5,000検体やって、陰性が4,991、陽性は0、Invalidが9という結果でございました。このInvalidというものはインターナルコントロールが出ない、もしくは、機器の試薬、糖質異常でとまったもの、試薬、検体の分注エラーが5つでインターナルコントロールがちょっと低かったというのが4つだったと記憶しております。

そういう意味では、非特異反応が確認されなかったということは非常に大きなことかと考えております。

次に再現性試験でございます。再現性試験は、同時再現性、日差再現性のところを95%検出感度の4倍濃度検体の結果で比較した結果、問題はないということでございました。

次が運用と導入計画でございます。まず、運用として設置台数。今回のNATに関しては、全ての検査施設にNATを導入いたします。そういう意味では、検査施設8カ所に配備する。製造所に8施設49台と、北海道5台、東北4台。あとはこういう数になっています。製造所に49台、そして、中央研究所に1台ということを考えております。

なぜこの台数かという話をいたしますと、まず東北が4という数になっています。東北の1年間の平均の検査数×20%を見ると、1,300本という数が出てまいります。そういう意味では、12時間で500検体ということで、まず基本的には3台あるとカバーできるでしょうと。それにプラス、危機管理で1台つけるということで、同じ考え方で全てつけております。中央血液研究所については、いろいろな反応出ることが想定されますので、検討解析、こういうことで1台設置するということで考えております。

次に、機台ごとの管理。これは台数がトータル50台という数になりますので、そういう意味で非常に重要な問題でありますので、設置後の運転時バリデーション時に、各ウイルスの感度試験は実施いたします。それと、当該試薬はキャリブレータを使って判定していますが、キャリブレータによる判定基準に加え、ランコントロールのほうを設定させていただいて、ランコントロールが検出されたことを検査の成立の条件とするということで管理していきたいと考えております。

次に、検査ロジックでございますが、別添2のほうをおめくりください。別添2を見ていただきますと、NATUltrio Elite Assayということで、BかCかAかというマルチプレックスなアッセイをやります。これが陰性の場合は製品検査「陰性」として製剤はリリースされるということになります。ただ、これが陰性でない場合、「陽性」の場合は次に製品検査「陽性」とし、その後、当該検体と同じものの血漿バックを確保して、その血漿バックで識別試験を行う。BかCかAのDiscriminatory Assayを行って、物事として整理していくというふうに考えています。

そういう中で、この1回目のElite Assay「陽性」、識別のB、C、Aが「陰性」のもの、こういうものについては全て中央研究所のほうに検体とバックを送付して、その原因追求、その解析をやることを考えております。

戻っていただきまして、次が先ほど言ったランコントロールの話でございます。このランコントロールにつきましては、右側、3つのランコントロール、表皮を用いまして、この試薬によって95%のLODを検出させました。そうすると、HBV3.85HCV9.43HIV24.08という数字が出てまいりました。そういうところで、この信頼区間の上限をまず3倍ということで、HBV22IUHCVについては55IUHIVについては、欠けてしまうと130くらいになりますけれども、とはいえ、100IUの中でおさめていけるというデータございますので、100ということで設定させていただいて、必ず検査する際には一緒に流すということで、その頑健性を保ちたいと考えております。

次、サポート体制でございますが、ノバルティスのほうは11名の体制を引いております。事務方が3名、技術の者が8名ということで、1日24時間やるということでございます。サービス拠点としては東京と大阪に置いて対応するということになっております。

次が血液事業システムとの連携ということでございますが、これは当然、プールシステムから個別に変わりますので、システムの仕様変更がかかります。そういう意味では、当然、我々のバリデーションマスタープランに基づいてCSV活動を適切にやり、現在、6月から7月、今、応急という試験をやっているのですけれども、こういう稼働に向けた準備を取り進めさせていただいております。

最後になりますが、「設置スケジュールと稼働予定日」ということで、別添3のほうを御確認ください。計器の設置に関しましては、中四国の3月31日の週を皮切りに、どんどん設置が終了しております。今現在、九州ブロックセンターのところを設置しており、設置に関しての遅延等はございません。こういう中で、全体の流れを鑑み、私どもとして、8月1日の採血分から全ての個別検査、個別NATの検査を導入すべく準備を取り進めているところでございます。

あと、最後にございますが、PANTHERシステム、どれぐらい入っているのかというところは非常に重要な問題だろうと思いますが、本年の4月末現在、診断用の機器として世界に475台、血液のブロットスクリーニング用で93台、これは日赤に入れているものを除きます。というのが導入されている実績があるというところでございます。

本当の最後のところですが、20から個別ということで、コストの話はどうかというところは一番出るところかと思いますが、今現在、540万検体、これはたとえですね。540万検体を20プールで検査しております。ということは、検査の本数は27万本。この27万本の検査を1とたとえると、今度は540万本、個別NATでやります。とした場合に、ほぼ1、もしくは若干下がることが計算されております。そういうところでございます。実際に動かして運用していく中でどういうものが出るか見えませんが、ただ、今の試算ではそのような試算になっております。ということだけ、最後、お伝えしたいと思っております。

以上でございます。

○吉澤委員長 ありがとうございました。まず、一番知りたかったこと、コストが上がるのではないかとみんな心配したのですが、それは上がらなくて済みそうだと。それから、現行のものと新しく入れるものは一時期オーバーラップさせておいて、8月1日をもって切りかえる予定であるということですね。

ここまでのところで御質問、御意見を伺いたいと思います。

○濱口委員 相関性についての説明もあったと思いますが、現行使われているロシュ社のものに比べて、GenotypeSubtypeの違いも、ほぼ同等であるという説明だったと思いますが、そこが一番我々としては詳しいデータを知りたいなあというのがあって、具体的にどのぐらいずつの検体を調べられて、ほぼ同等というのはどういうことなのかというのをもうちょっとコメントいただければと思いますが。

○日赤・平検査管理課長 まず、遺伝子包括反応性試験の中で、このGenotype別のところについては各ウイルス90検体をピックアップしてやっております。その中で、当然、今の現行でやって、こっちもやって、同等ということを確認しています。

あと、次のNAT、今、具体的な数は、あとNATの陽性検体のほうについては、済みません。5060本くらいのバリエーションを持って、低いものから高いものということでちゃんとやって、全て同じ結果が出ているという状況です。

○濱口委員 基本的はスロープがきちんととれているということですね。高いものは高いし低いものは低いという形でちゃんととれていると。

○日赤・平検査管理課長 この検査方法自体は、普通のPCRと違って、段階で上がっていくものではなくて、陽性か陰性かしかわからない。基本的には定性という捉え方で、強さまで見れる試験法ではございません。ただ、結果としては同じだったということでございます。

○濱口委員 わかりました。

○吉澤委員長 大戸先生、どうぞ。

○大戸委員 2つあるのですけれども、1つは、この対抗機種についてはどの程度検討したのかどうかということです。

○日赤・平検査管理課長 まず、対抗機種に関しては、同じものをやっております。

○大戸委員 その情報はなぜ示さない。

○日赤・平検査管理課長 そこはなかなか、こういうところでは開示する話ではないのかなと認識しておりますが。

○大戸委員 議長、それでいいのですか。

○吉澤委員長 対抗機種というのは、今使っているものという意味ですか。

○大戸委員 この機種を導入するに当たって、なぜこの機種に決定したのかということですね。血液の製造業者だから、そこまで話さなくていいというならばそれはそれで構わないかもしれませんが、きちんとした情報があるならば、それは正しく示してほしいと思うのです。

○日赤・平検査管理課長 そういう意味では、今現行の使っている機器と比べて評価させていただいています。ですので、対抗機器というよりは、現行と比べて同等もしくは同等以上という中でセレクトさせていただいておりますので、対外のところは。

○大戸委員 これからきっと正しく開示してもらえるのだと思いますが、もう一つ、今言った、コストが上がらないというのは、それは子供に言うのだったらいいけれども、1台当たり何億円なのか。1検体当たり、今まで、よくわからないけれども、例えば1万円だったのか、それが3,000円になるとか、きちんとわかる数字で示していただきたいと思います。

○日赤・田所経営会議委員 企業のこういう機器を評価するときには、一応秘密保持契約というのを結んでやっています。そういう意味では、最終的に選ばれた機器について、その性能を開示することは可能ですけれども、選ばれなかった機種について、こういう場で情報公開するには、その情報公開についての同意を得ないとできないと考えています。

ですから、価格については年間どれぐらい我々が事業費として使ったかは最終的には報告されますので、それを見ていただければと思います。我々もまだ予想できないところもあります。保守等含めてというのがありますけれども、今の試算では、先ほど彼が言ったように、1というのは、1が0.9まで含めている数ではありませんので、1.9というような数を含めている数ではありません。1に極めて近い数か、それより少ないと申し上げているので、そこは御理解いただければと思います。

○大戸委員 この機種1台が何億円なのかで、1検体、今幾らかかっているのか、20プールで処理するのにどのぐらいかかっているのか、そのデータも、概算でいいので、出していただければと思います。

○野村血液対策企画官 すみません。事務局のほうから申し上げます。

きょう、日赤から資料2で御説明いただいた趣旨なのですけれども、この調査会、安全技術調査会ということで、まず血液の検査方法、スクリーニングについて方法が変わるという観点がございますので、安全対策の観点から、これまでに比べて検査の感度なり精度がどのようになっていくのかというところを御確認いただくということを主眼にしておりまして、先ほども田所さんからもお話がありましたけれども、こういったものを導入するに当たっての相手方企業の契約であるとかそういった問題もございますので、あくまで科学技術の観点に主眼を置いて御説明いただいた趣旨であるということを補足させていただければと思います。

もちろん、現場において血液の価格への影響などについて多大な御関心があることも理解しておりますけれども、この調査会の審議事項としては、感染因子の検討であるとか不活化技術の検討など、安全性の確保に係る重要事項の検討をお願いしている調査会であるという趣旨で御説明の用意をいただいたということです。

○吉澤委員長 今の大戸先生の御質問については、少なくとも運営委員会の、つまり、上部機構には当然開示されることなのでしょうね。

○野村血液対策企画官 開示できることとできないことというのがあると思いますので、その中で、運営委員会として御審議をいただくようなお話については整理をして出していただくべきものを出していただくということになろうかと思います。

○吉澤委員長 大戸先生、それでよろしいですか。運営委員会といいますか、親委員会のほうに開示することは要請しておきたいと思います。

では、それについてはそのように。

ちょっと先に質問させていただいていいですか。

検査の性能のことになりますが、今まで20本プールでチェックしていて、そして、B型肝炎につきましては年間8例か9例でしたね。輸血後の肝炎が、言葉は悪いですが、すり抜けで感染して起こっていたと。そのケースについて、ドナーのルックバックをして、個別の核酸増幅検査で調べた場合に、陽性の人が見つかる場合と、見つからない場合とがありますね。感染源が。これらの検体について、今度のシステムで検査したときに新たに見つかる例があるかどうかのデータはやはり開示していただくことが望ましいかと思いますが、いかがでしょうか。

○日赤・平検査管理課長 先生のおっしゃられる副作用検体からの流れ、これについては、現行のシステムでは、まず1ミリ、850μ使う。その後、ウイルス解析等に入っていく。Genotypeとか塩基配列調べていきますので、そうすると、そこでまた何ミリか使ってしまう。という観点から考えると、我々、保管検体を11年間保管しておかなければいけないという立場の中でいくと、今、我々、最低1ミリは残して、何か起こるときまでとっておきたいということがあって、その検体、すぐ検査できるかというと、検体量の問題と、遡及調査のためにとっているというところもございますので、なかなか全部ができるという状況ではないのかなと思っています。

○吉澤委員長 全部は無理でも、遡及調査で既にデータがもうオープンになってわかってしまっているのがありますね。つまり、これは20本プールではパスしたけれども、個別NATでは捕まって、そして、捕まったドナーの血液中のウイルスとレシピエントの血液中のウイルスが一致したということがわかっているケースがありますね。その検体を抽出してでも、それが20本プールから1本プールに変えた場合にどれぐらいより多く捕まえるかというデータを示すことができれば、今度の測定系を導入することによる安全性の向上という点で、説得力があると思うのですが。

○日赤・五十嵐安全管理課長 年間8~9例という輸血後肝炎が残っているのですけれども、その中で個別NATで核酸が見つからなかったものというのが、年間平均しますと1例弱です。そういう状況。

○吉澤委員長 だから、その1例を除いてほかは皆個別で見つかっているわけですね。その見つかったものがこの新たに導入しようとするこのシステムでどれぐらい、捕まえるのだろうかということです。20本から1本にするというのは、それだけ安全性の向上を期待してそうするわけですから。単に世界の流れがそうだから日本もそうするというのでは説得力が弱過ぎると思いますが、その点いかがでしょうか。

○日赤・田所経営会議委員 先ほどから申し上げましたように、感度で言えばほとんど変わらない状況にあります。ですから、個別のレベルでも、今やっている方法とほとんど変わらない状況にありますので、検出できる能力としてはほぼ同じだと考えています。

それからもう一つ申し上げますと、B型肝炎は、前回、コア抗体を厳しくしましたので、年間2~3例まで、もう既に減っています。今回、個別NATを入れることでこの2~3例もほとんどなくなりますので、残るは0.何例という、個別NATでも出ないような例になるだろうとは予想しています。ですから、HIVHCVと同じレベルまでBを下げることが今回はできるだろうと予測しております。それは、今までその感度が同等であるということからの推定でございます。

○吉澤委員長 推定の話は先ほどの説明でみなさん理解していると思います。しかし、実際にどうかということを確かめておきたいというのが今の質問なのですね。

○日赤・田所経営会議委員 ぜひこれからのデータを示させていただいて証明させていただければと思っております。

○吉澤委員長 ルックバックの話をしているわけです。

○日赤・田所経営会議委員 過去については、先生、先ほどから言ったように、検体がほとんどなくて、それをもう一回検査するというのは現実にちょっと難しいですね。

○吉澤委員長 もうないのですか。

○日赤・田所経営会議委員 いや、もともとが全血6CCの中の血漿は2.CCしかなくて、陽性になったものについては0.8プラスアルファをもう既に使っていますので、ほとんど、1CC弱ぐらいしか残ってない、ものによってはほとんどないというような状況です。

○吉澤委員長 わかりますが、この測定系で使う量は500μと伺いましたので、つまり、検証済みの検体については無理に残しておくというよりも、その中の何検体かでもいいのですけれども、その検証済みのものについて、今のこの方法で、今おっしゃるように、実験室内では前の個別NATとこれとは大体同じだというのはよくわかります。検査室内では。だけど、実際のフィールドでそれが起こるであろうというのは、過去の検体を掘り起こして、それで出してもらうとわかるだろうと思うのですが、それは難しいのですか。

○日赤・田所経営会議委員 先ほど言いましたように、その大多数を調べるというのはちょっと難しいかと思うのですけれども、たまたまバックで確保できたものがあるかどうかについては少しチェックさせていただいて、その上で御返答させていただきます。

○吉澤委員長 チェックしていただいて、何検体かでも出てきたら、それがこの新しいシステムで、20本プールではパスしたけれども、今度のシステムでは捕まえるというデータを示せば、これで万人が納得するだろうと思いますので、ぜひそこの辺を検討していただけたらと思います。

山口先生、どうぞ。

○山口委員 それでいいだろうと思うのです。もう一度再検査するとなると、コバスと今回の方法、両方を多分同時にやらないと本当の感度がわからないと思うので、それだけの量のあるやつだけをちょっと検討されてはいかがかなと思いますが。要するに、もう1CCしかないようなものをやっても、本当の両方比較することにはならないと思うので、ある程度残っているやつがあれば、それはちょっと検討していただくということでいかがでしょうか。

○日赤・田所経営会議委員 先ほどから申し上げていますが、かつ、申し上げられないこともあったわけですけれども、検体は同じ検体を全部パラレルでやっています。ですから、そこで感度は見ておりますし、過去の検体のデータもありますので、そんなに違いはありません。

○吉澤委員長 検体というのは、くどいようですが、陽性の検体、NATで捕まった検体という意味ですね。感染のソースとなった検体を今私は申し上げたわけです。感染のソースとなった検体について、つまり、過去、20プールではパスしたという履歴のある、しかし、個別でやったらちゃんと核酸が捕まったという、そういうことがわかっている検体ですから、パラレルでやらなくていいわけです。結果は出ているわけですから。それを新たにこの検出系でやったらどうなるかということがわかると、なぜシステムを変えたかということの理解がいく。多少コストがかかったとしても、安全性が向上するということで多くの人は理解するだろうと思うのです。

○日赤・日野製造販売総括管理監 済みません。PANTHERシステムのほうは8月1日から8施設で稼働します。それはいいのですけれども、今使っているS401のシステムというのはいつまでも置いておくわけではないのですね。そういう意味では。先ほど山口先生おっしゃったように、やるのであれば平行ランする必要があると思いますし、そうすると、限られた時間の中で限られた施設でやるしかないというのがありますので、Nの数はそんなに多くはないかもしれませんけれども、実際に検体があるかどうかも含めて少し検討してみたいと思います。

○吉澤委員長 いや、一緒にやる必要はないわけですよ。すでに答えになっているわけですから。言っている意味わかりますか。つまり、去年、おととしということを考えて、今のスクリーニングシステムで輸血後のB型肝炎起こってしまいましたというのがありますね。従来のシステムではそれは避け得ない例があったわけです。そのケースに対するドナーのルックバックをしたら、個別のNATで見たら、ウイルスがいましたという検体がありましたと。その検体を今度のシステムでやってみたらどうなのかということを聞いているわけで、従来のものと並べてもう一回やる必然性はないわけですよ。従来の20プールではパスしているわけですから。言っている意味わかりませんか。

○野村血液対策企画官 恐らく、20プールのものを1つにするということと、プラス、それぞれの検査精度の比較、感度の比較というものから。

○吉澤委員長 実験室内の話をしているのではないのです。血液の安全性の話をしているわけです。つまり、従来のシステムであれば、輸血後のB型肝炎を防ぎ得なかったであろうケースがあります。それを今後のシステムにすれば防げるということを実証のためには、従来の方法では感染してしまったケースがあって、それは従来の方法で防げなかったわけでしょう。それを今後のシステムでやったらそれはちゃんとチェックできましたとなれば、今後は防げますとなるわけでしょう。

だから、もし実験室の中での1検体あたりの検出感度が同等であれば、従来の20本プールだとすれば、その中に1人、ウイルスが混じっていたとすると、その人の血液中のウイルス量が20倍なければ検出できないわけでしょう。それを個別のNATにすればそれで検出できるわけでしょう。だから、理屈から言えば、全部検出できるはずなのですよ。それを実際のデータで示してほしいと、そう言っているわけです。

○浅沼血液対策課長 ですから、今まで実際に20プールマイナスで、シングルで拾った検体を使って、今度の新しいシステムで確認してみたらどうだという話ですね。

○吉澤委員長 そういうことです。

○浅沼血液対策課長 わかりました。

○吉澤委員長 だから、並べてやる必要はないわけです。

○山口委員 というか、多分、20プールのやつを1検体すると、絶対にディテクションできるだろうけれども、前の環境のときはシングルNATやるわけですね。そのシングルNATとの比較を、もし新しいやつではひっかからなかったら困るからという話だと理解していていたのですが。

○吉澤委員長 それはちょっと違います。輸血の現場での安全性が向上したかどうかということは、今言ったようなやり方をすればわかるわけです。

○浅沼血液対策課長 ちょっと済みません。この話をずっとやっていても、お時間が限りあるので、これはちょっと預からせていただいて、事務局と日赤で今の先生のお話を少し調整させていただくことでいかがですか。

○吉澤委員長 そのように、お願いいたします。要請したいと思います。

岡田先生、どうぞ。

○岡田委員 このシステムで使われる、例えばプライマーとかプローブの配列は情報として日本赤十字社のほうには提供されているのでしょうか。されてない?それは幾ら何でもという気がしますけれども。

○日赤・田所経営会議委員 それはどの会社でもそうです。

○岡田委員 僕が心配しているのは、例えばノバルティス社とすれば、戦略的には世界を市場として考えているので、日本に特化した試薬ではないので、例えばある特殊な変異がBとかに入っていたりすると検出感度が落ちたりとか、そういうのが例えば日赤のほうで当然陽性者からシークエンス等で解析していると、実際、日赤が、今度の新しいシステムで使うプライマーと、その検出されたウイルスが、塩基配列を配列すると、どうもこれは日本では、今回はたまたま見つかったけれども、もっとこれがウイルス量が少ないと検出できないのではないかとか、そういうのが日赤としては把握できれば、メーカーのほうに改善とかなんかを要求できると思うのですけれども、その情報が入ってないと、メーカーに苦情というか、メーカーが変える気にならないと全然変わらないという大きな問題があると思います。

○日赤・田所経営会議委員 HIVのプライマーが1つか2つかというような問題についても、最初から開示されていて、ドイツがそういうのを見つけたわけではなくて、彼らのシステムでは見つかる、ほかのシステムでは見つからないということからどうなのだろうということを問題提起して決めていったわけですね。だから、我々がそういう検体を見つけたら、そういうことを世界的に提起してやっていくしかないと思います。変えていくには。日本だけのために変えてくださいというのが効くほど、残念ながら、日本重視でやってくれてないというのが、率直、現状ではありますので、それを世界的な問題に問題を大きくこちらができるかどうか、世界的な共通の問題として持ち上げることができるかどうかにかかっていると思います。かつ、そういう問題である場合に限られると思います。

ただ、何らか日本で見つけているのについて、僕らは、率直に言うと、ここの感度よりもっと高い感度で、例えば何か本当に必要な場合は、検体がある限り、その検体を何回もやるなり濃縮するなりという努力も含めて、かつ、プライマーを変えたりということもいろんな努力をして、疑いがあるときについては絶対本当かどうかということは確かめていますので、そういう努力の中から、問題が出てきたら提起はします。

○岡田委員 あともう一つ、これは非常に技術的に重要ですけれども、このシステムってインターナルコントロールが各チューブの中に入っていると思うのですけれども、そのインターナルコントロールがすごく量が多くなっていて、余程のことがないと陰性にならないようなインターナルコントロールだと、本当にそのチューブの検出感度が低下したというのが把握できないと思うのですね。

特に今回、これは定性ですので、例えば競争相手のところって、インターナルコントロールのCT値が極端に大きくなったりすれば、このチューブとかウェルがおかしいなとかいうふうに判断ができるのですけれども、このシステムの場合はもう定性ですから、わからないわけですね。しかも、どの程度のインターナルコントロールが入っているか。例えばこれが100コピーの核酸があれば検出できるようなインターナルコントロールだったらいいのですが、それが例えば1,000とか1万のインターナルコントロール、コピー数の核酸が入っていると、100倍とか1,000倍感度が悪くならないと初めてインバリッドにならないとか、そういう危険性があるので、それはこのシステム全体で非常に重要ですので、これは情報を得ておいたほうが。もしくは、日本赤十字社がそれを把握しているのだったらいいのですけれども、プライマーと同じように把握してないとすると、これは実際に運用する上で非常に重要だと思います。これはぜひ要求して、守秘契約かなんかでもして、日本赤十字社としては持っていたほうがいいと思います。

○日赤・平検査管理課長 ありがとうございます。ただ、一応インターナルとかキャリブレータの濃度については情報は持っています。当然のことながら、インターナルを多く入れれば、ウイルスが少なかった場合、出ないわけですよ。それはちゃんと最適化されて、システムできていますので、そういう中で試薬も承認とれてやっているわけですので、ただ、情報としてはきっちり持っていますので、そこは御安心いただければと思います。問題ないと認識しております。

○岡田委員 もう一つ。今後、機器の運転時のバリデーションを行うということですけれども、これはかなり高感度ですので、その現場でウイルスを希釈していくと、恐らく希釈誤差がすごく大きくなってしまうので、どこか、中央研究所かなんかで大量に希釈されていて、そのときに希釈した検体を各センターに配って、それで同じ希釈したもので評価するということをしていただきたいと思います。

○日赤・平検査管理課長 そちらについては、そのような解釈でやっています。中央で全部つくって、それを同じ条件で送る、そして同じ条件でやるということをやらせていただいていますので、御安心いただければと思います。

○山口委員 まず、ちょっとシステムのことで2点ほどお聞きしたいのですけれども、FDAが認証しているということは、FDAは本試験法を認可していることから、アメリカ赤十字は多分、MF登録かなんかして、その管理はできているということなります。すなわちアメリカのように採用する試験法を規制当局が審査するのであればできているということですね。要するに、日本はまだ承認申請書に入っていないので、そういうことが多分できない。要するにMF登録していただければ、ある程度変更があれば当然把握できるということになるとは思います。これは多分、将来考えていただいたほうがいいような気がいたします。

それからもう一つ、ノバルティスが何か変更した場合に、もちろんそのようなことも含めて契約されていると思うのですけれども、そういう情報はきちんと伝わるという、この点も大事だと思います。こちらからノバルティスのほうに要求を出すと同時に、ノバルティスのほうも、何かのシステム、例えばバッファー濃度変わったときにはきちんとその情報が提供されるという、その辺の2つのシステムが重要かなという気がします。

あと別件でもう一つよろしいですか。

○吉澤委員長 どうぞ。

○山口委員 今回のシステムでは、血清学的試験とこういうNATの試験を同時並行でやると考えてよろしいでしょうか。

○日赤・平検査管理課長 はい。並行でやらせていただきます。

○山口委員 ですから、前よりも、前は血清学試験の後に混ぜていたわけですね。その分、多分時間的には早くなるか、例えば血小板の実有効期限、要するに検査が終わってからの期間というのは長くなると考えてよろしいですか。

○日赤・日野製造販売総括管理監 先生のおっしゃるとおりです。ただ、実際に8月1日からその運用ができるかというと、なかなかそうはいかないと思いますので、少しお時間いただければと思います。

○岡田委員 済みません、もう一つ。確認ですけれども、このシステムは、試薬を変えると、例えば違うウイルスが、例えばウエストナイルの試薬、恐らくノバルティス、発売していると思うのですけれども、それが乗るとか、例えばA型が必要になったときにはA型の試薬が乗ったりとか、パルボが乗ったりとか、その点はどうなのでしょうか。

○日赤・平検査管理課長 先ほどお示しした資料の別添1と書いた下のところ、「Assay portfolio addresses regional needs」ということで、Ultrio EliteWest NileHEVParvo/HAVというものはラインナップされています。小さくですけれども。

○吉澤委員長 では、このNATシステムを導入するということで異議はございませんでしょうか。

(「はい」と声あり)

○吉澤委員長 では、その線に沿って準備をまた進めて、今回要請のあったデータにつきましてはできるだけ努力して出していただきますようにお願いいたします。

時間が押しまして済みません。それでは、議題3に移りたいと思います。資料3について、事務局のほうから説明をお願いいたします。

○永井血液対策課長補佐 「血液製剤等に係る遡及調査ガイドラインの改定について」です。ガイドラインの改正の主な変更点としては2つございます。1つ目は、個別NAT導入にあわせた文言の整理、そして2つ目として、薬事法が医薬品医療機器等法に改正されたことに関する変更です。

特に変更点1つ目、個別NAT導入にあわせた文言の整理に関して、遡及調査における保管検体個別NAT実施の考え方として、資料3-2、新旧対照表がございます。その2ページの下の箇所をごらんください。「日本赤十字社の対応」(2)のアとして、「過去の供血血液に係る個別NATの実施」の文章中の下線部でございます。献血者の検査結果から病原体の感染が判明した場合は、過去の供血血液を調査し、過去献血血液がプールNATでスクリーニングが実施されていた場合のみにおいて保管検体の個別NATを実施します。つまり、過去の献血血液が既に個別NATでスクリーニングが実施されていた場合は、保管検体の個別NATは実施しません。

なお、医療機関発の情報で因果関係を確認する場合は、これまでどおり、保管検体が個別NATでスクリーニングされていたか否かにかかわらず、保管検体の個別NATを実施します。

続きまして、資料3-3、遡及調査ガイドラインのQ&Aをごらんください。こちらの主な変更点としては2つございます。1つ目は、個別NAT導入にあわせた整理です。そして2つ目として、参考文献を付記いたしました。

以上、変更内容の適切性について御確認いただければと思います。

○吉澤委員長 ありがとうございました。

済みません。ちょっと確認させてください。従来の20本プールNATでスクリーニングした血液製剤を使って、輸血後肝炎が起こった場合にはドナーの過去の保管検体に戻って個別で確認する、これはよろしいですね。

○永井血液対策課長補佐 はい。

○吉澤委員長 8月1日から個別NATでスクリーニングします。そのときは輸血後肝炎が起こっても、何ももうしないということですか。

○永井血液対策課長補佐 それは少し違いまして、患者さん発で因果関係が疑われた場合には、個別NATでスクリーニングをされていたとしても、もう一度個別NATを実施して遡及調査を進めていきます。

○吉澤委員長 ドナーの検体について。

○永井血液対策課長補佐 そうです。供血者発、献血者の複数回目の献血で陽性とわかった場合には、過去の献血の検体が、個別NATでスクリーニングされていた場合には個別NAT行わずに遡及調査をするという形になります。

○吉澤委員長 わかりました。この点はいいですね。

○山口委員 先ほど田所先生のほうからちょっと言われていた、例えば感度の点が物すごく低濃度の場合には濃縮したりとかいう話をされていたのですけれども、それは遡及調査のところではなくて、研究としてやられるということですか。

○日赤・田所経営会議委員 ええ。例えば通常の個別NATで陰性であったのに、なかなかシークエンスが出せないとか、そういう場合です。

○山口委員 そういう場合は濃縮して、要するに、この遡及調査とは別に研究としてそういうことをやると。

○日赤・田所経営会議委員 遡及調査としてはルーティンに使っているその方法で一応はやると。ただ、それで陽性出たけれども、例えばシークエンスを調べようと思ったら出てこない。そういうときにはやれるものについてはやる。

○吉澤委員長 これについてはいいでしょうか。

ありがとうございました。では、次に進めさせていただきます。続きまして、資料4につきまして、事務局のほうから説明をお願いいたします。

○永井血液対策課長補佐 「献血血液の個別NAT導入に伴う輸血用血液製剤のNATに必要とされる検出限界値の見直しについて」です。

輸血用血液製剤のNATの実施に当たりましては、資料4-1、裏面の通知、「輸血用血液製剤のウイルスに対する安全性確保を目的とした核酸増幅検査に必要とされる検出限界値について」に基づきまして、NATに用いるプール前の検査用検体の血漿で必要とされるNATの検出限界値として、そこに挙げてありますように、HBVDNAとしては2,000IU/mLHCVRNA2,000 IU/mlHIVRNA4,000 IU/mlを担保できるべく精度管理を行うように求めているところですが、これらの値は現行の20プールNATを前提として設定されたものになります。今般、日赤での個別NATの導入に伴いまして、輸血用血液製剤のNATに必要とされる検出限界値の見直しを行う必要があります。

資料4-1、表面に戻っていただきまして、個別NATは従来の20プールNATに比べておおむね20倍程度の感度向上が期待されること、そして、資料4-2の日赤の評価結果も踏まえまして、これまでの検出限界値を20分の1にした値、HBVDNAでは100IU/mLHCVRNAでは100IU/mlHIVRNAでは200IU/mlへの変更案を提示いたしました。

本変更の内容の適切性につきまして御確認いただければと思います。

○吉澤委員長 ありがとうございました。

現行のものについては、山口先生の小委員会で設定したので、今後は20分の1の値に設定するということで了解ですね。

○山口委員 この点でないですが、ちょっと気になる点がありまして。

○吉澤委員長 どうぞ。

○山口委員 4課長通知で、遡及でポジティブになった場合にも、感度が全て100IUになっているのですね。4課長通知で、100IUの感度でやっていれば、それはすでに生産工程に入っているものは回収しなくていいということになっているのですけれども、ここだけ、200でちょっとずれてはいるのですけれども、その場合はプールのときの感度として考えていいのですね。その確認だけです。

○永井血液対策課長補佐 確認して、後ほど報告いたします。

○吉澤委員長 そうしていただいたらと思います。では、この資料4につきまして、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○吉澤委員長 では、次へ進めさせていただきます。資料5につきまして、事務局のほうから説明をお願いします。

○野村血液対策企画官 資料5でございます。これは核酸増幅検査の実施に関するガイドラインの改定案、これまで既にあったガイドラインの改定ということで、この安全技術調査会の下にNATの小委員会を設定させていただきまして、そこで御議論いただいた結果について御報告させていただくものです。

5-2に新旧がございますけれども、主な改正点としては、これまでの適用範囲が、HIVHCVHBVのウイルスとなっておりましたが、それ以外のウイルスも対象とできるようにということが1点でございます。

もう一つ、昨今の技術の発達に伴いまして、自動検査装置であるとかキット品というようなものも出てまいりましたので、そういったもので検査するときの留意点ということについて記載いたしました。

それから、複数のウイルスを同時に検出できるマルチプレックスのNATというのが普及しておりますので、そういった場合の検査バリデーションで求められる要件、それから、陽性反応が出た場合の対応などについて記載したものです。また、あわせてQ&Aのほうも変えてございます。それが資料5-3となっております。

それから、5-4ですけれども、小委員会でまとめていただいたものを、広く意見募集をいたしまして、ここにございますような幾つかの御質問がございましたので、回答を作成するとともに、必要に応じてガイドラインのほうの修正をするとか、あとQ&Aに新たな解説を加えるような対応をしたというものでございます。

事務局からは以上でございます。

○吉澤委員長 山口先生、補足はよろしいですか。

○山口委員 ほとんどそのとおりですけれども、先ほどちょっと議論になっていた情報の提供とかそのようなことについても、できるだけ情報を得るようにとか、あるいは陽性になったとき、例えば血清学的試験で陽性になったときに、できるだけその解析をしておいたほうが将来ウイルスの安全性確保のために、その重要な情報が得られるのでと、そのようなことも少しつけ加えております。

○吉澤委員長 ありがとうございました。では、このことにつきましてよろしいでしょうか。

○濱口委員 5-1の3ページの2-1)の一番最後のところ、「また、NATでは、感染性のある標準品や陽性試料を取り扱うことから、試験・検査は、製造区域とは明確に区別された場所で行うことが必要である。」と。このとおりだと思うのですが、やはりバイオセーフティレベルなどを少し書いた方がよいと思います。「適切」なという記述では不十分で、やはり感染性ということを注目するのであれば、今回でなくても結構なので、次回、適切なレベルを明示した上で加えておいたほうがいいのかなと思いました。

○吉澤委員長 ありがとうございました。ここは具体性を持たせてですね。

○山口委員 多分、バイオセーフティは施設のことだと思ったので、ちょっと書いてなかったのだと思います。これは、先生おっしゃるように、必要に応じて、本文に書いたほうがいいのか、それともQ&Aみたいなところに書いたほうがいいのか、それを含めて。

○濱口委員 というのが、例えば標準品を出すときに、必ず、出す側としては、どういったところでこれを使うのかということは非常に厳しく聞くのです。だから、どこでもやっていいのですよということでなくて、きちんと場所が確保されているかどうかということが非常に重要だと思っております。

○吉澤委員長 検体は相当神経使って送っているはずですね。では、いずれかでこれを明確にしていただけたらと思います。

では、資料5につきましてはよろしいでしょうか。ありがとうございました。

その次、議題6に移りたいと思います。こちらもNATの小委員会でやはり議論いただいた内容でございますが、岡田先生のほうからお願いします。

○岡田委員 平成24年度の第1回血液製剤の安全性確保対策に関する検討小委員会において、血漿分画製剤の原血漿等に実施しているパルボウイルスB19-NAT検査の精度管理のための国内標準品を作成することが決まりました。それに基づいて標準品を作成しましたので、報告します。

国内外10施設が参加して、力価測定を行いました。2ページに書いてありますけれども、候補品に関しては、もとになる陽性血漿はパルボウイルスB19が陽性血漿で、IgG抗体が陰性、IgM抗体が陰性で、Genotypeが1の3つの候補の原血漿から一番高濃度のウイルスを含むナンバー458という血漿を用いました。

その血漿をB19DNA陰性、IgG抗体陽性、IgM抗体陰性の脱クリオ血漿を用いて希釈して、約10 IU/nmLにしたものを0.5CCずつバイアルに分注したものを作成しました。候補品として1,363本を製造しました。その10施設に第二次国際標準品とこの候補品を送付しまして、日を変えて3回、定量試験によって測定して、それを感染研で統計処理をしました。

結果としましては、6.04logIU/mLに力価が設定されました。利便性を考えて、1CC中に110IU/mL含まれる、そういう表現にいたしました。

それで、表2に書いてありますけれども、10セットの検体が来まして、平均が、幾何平均ですけれども、6.04で、最大の力価を出したところが6.13、最小のところが5.93で、デビエーションは0.05で、組織間の変異も11.9ということで良好な数値になりました。

図1を参考にしてください。図Cに、国内標準品を国際標準品との相対力価を出して表にしますと、6.0に集約しまして、国内標準品としては国際標準品と数字がほぼ同じような標準品の力価であることがわかりました。

この標準品をつくることによって、例えば図のAとかBとかで、施設ごとに独自の標準品をつくって測定しますと、多少ばらつくのですけれども、国際標準品を使うことによって、そのばらつきが集約することがこの図で示すことができました。そういうことで、国内標準品をつくったことがパルボB19の原料血漿等における精度管理にとても有効であるということが、今回の作製とともに明らかにすることができました。

以上です。

○吉澤委員長 ありがとうございました。この件に関していかがでしょうか。

1施設で値がずれているのがありますね。

○岡田委員 はい。それは、その社内の標準品が過大評価されていたのですね。そういうことです。

○吉澤委員長 それは後ほど訂正したわけですね。

○岡田委員 それはもちろん訂正していると思います。これが承認された後は、国立感染症研究所のほうで所内の手続を経て登録されますと、有料、2本1組で2万数千円ですけれども、入手することができます。

○吉澤委員長 これは有効に使っていただけるようになるとよろしいですね。どうもありがとうございました。

それでは、同じ小委員会ですが、内田先生のほうからお願いいたします。

○内田委員 それでは、私のほうから、「パルボウイルスB19DNA参照パネル候補品の力価の評価」について御報告いたします。

パルボウイルスに関しては、Genotype1は検出しますけれども、Genotype2を検出できないというキットが報告されたことがありまして、参照パネルを用いたNATの検出確認の必要性が指摘されていたところです。これまで、国内ではB19-Genotypeパネルというものは整備されておりませんでしたけれども、B19参照パネルの候補品が国立衛研のほうに供与されましたので、厚生労働科学研究班によりパネルの樹立を行うことといたしました。今回、2の「参加施設」のところに書いております3カ国11施設に共同検定に参加していただきまして、候補品の力価の決定を行いました。

2ページをごらんください。「参照パネル候補品の製造」ですが、旧ベネシス社、現・一般社団法人日本血液製剤機構様のほうで調製していただいたものです。これは米国で採血された原料血漿からGenotype1のF15というものとGenotype2のF27というものを選択しておりまして、これを希釈用のヒト血清を用いまして、約1010 及び105IU/mLとなるように希釈をして、それぞれ高濃度及び低濃度のサンプルとしたもの、それに陰性コントロール血清をつけまして、パネルの1セットとして、-80℃で保管しております。このようなものを衛研のほうに305セット供与していただきました。

この候補品に関しては、分注の均一性と-80℃での保存安定性を確認しております。

これにつきまして、先ほどの11施設において定量NATまたは定性NATによってパネル候補品の力価の測定を行いました。(10施設は定量NATを実施し、)高濃度に関しては3段階以上の10倍希釈列、低濃度のサンプルはそのまま、あるいは測定可能な濃度に希釈しまして、国際標準品をもとにしまして、定量PCRで国際標準品の力価で換算して、力価をIU/mLで算出しております。

それから、1施設は定性NATを行っておりまして、これはエンドポイント法で算出しております。

7の「結果」ですけれども、4ページのほうに図がありまして、11施設から得られた力価を図で示しております。ややばらつきはありますけれども、測定法によるばらつきというのは特に認められませんでした。

Table2のほうに、それぞれのパネルメンバーとGenotype1の高濃度、低濃度、Genotype2の高濃度、低濃度の順番になっておりますけれども、それぞれにつきまして定量NATでの平均値と定性も含めた全ての平均値を出しております。大きな差がありませんでしたので、全体の平均値をもって本パネルの力価ということに決定いたしました。

最終のページにGenotype1の高濃度サンプルは6.6×1010IU/mL、低濃度は6.6×105IU/mLGenotype2の高濃度は7.1×1010IU/mL、低濃度は8.3×105IU/mLという形で表示を行っております。

なお、この参照パネルの力価というのは参考値として提示したもので、国内標準品は、先ほど岡田先生が紹介されましたけれども、こちらのパネルは国内標準品に代えるものではなくて、あくまでこの数字を参考にして活用していただければと考えております。

これに関しては、衛研のほうに言っていただければ配布することが可能ですので、活用していただければと思っています。

報告は以上です。

○吉澤委員長 ありがとうございました。この参照品についても、要請があれば配布ができるということですね。

○内田委員 はい。こちらは無償ですけれども、輸送費をいただくという形にはなります。

○吉澤委員長 それはそうでしょうね。ありがとうございました。標準品と参照品パネル、両方とも有効に活用できるような体制で臨んでいただけたらと思います。

それでは、日赤からの報告をお願いしたいと思います。ヘモビジランスでしょうか。よろしくお願いします。

○日赤・日野製造販売総括管理監 それでは、資料7を用いまして「日赤におけるヘモビジランス2013」を報告したいと思います。

ヘモビジランスにつきましては、ドナーのビジランスもありますけれども、今回は患者さんのヘモビジランスということで報告させていただきます。

次のページをめくっていただいて、資料ナンバー3になりますけれども、「副作用・感染症報告件数の推移」を過去10年間までさかのぼって見ております。この10年間を見ますと、左側の一番大きなバーですけれども、こちらのほうは非溶血性の副作用の件数をあらわしておりまして、大体一定の報告数を受けております。右側の紫色のバーになりますけれども、こちらのほうは輸血後の感染症の報告でございまして、これに関しましては、輸血後の医療機関側でのフォローが大分周知されて実施されてきているせいもあるかと思いますけれども、件数はピークと比べますとかなり減ってきているという状況になります。

右側の円グラフになりますけれども、アナフィラキシー以降の左側の部分が主に重篤症例になりますけれども、全体を通しますと、TRALIも含めて44%程度が日赤に報告されているという状況になります。

次の4ページにつきましては、TRALIの診断基準をあらわしております。

次の5ページになりますけれども、こちらのほうは日赤の輸血関連、循環過負荷、いわゆるTACOの評価基準を日赤の社内で独自に決めておりまして、こちらのほうは医療機関側から報告あったTRALIとの鑑別の診断のために用いております。左側のISBTのヘモビジランスパーティがあらわして出しておりますTACOの診断基準と比べるとかなり限定的な評価で、極めて狭義なTACOということで、絞って評価しております。

そのような評価をしました結果、次の6ページになりますけれども、TACOTRALIの状況をあらわしておりますが、上のほうの折れ線グラフにつきましては、評価の症例数を、下側の棒グラフの青系がTRALIとポッシブル、右側の2012年、2013年のTRALIに上積みされているものにつきましてはTACOと評価した症例でございます。

TRALIにつきましては、かなり医療機関側でTRALIが周知されてきたということもあって、かなり呼吸管理ができていたということもあって、最終的に日赤に評価する件数というのは減ってきているのだろうなと思いますけれども、TACOにつきましては、まだ日赤のほうでも独自に評価し出したところというのはありますけれども、ある程度の件数は恐らく医療機関側で起こっている事象だろうとは思っています。

次の7ページは「TRALI評価内訳」を示しております。主に左側の使用製剤の種類を見ていただきますと、血小板とRCC、赤血球が多いように見えますけれども、諸外国と比べますと、もともとFFPによるTRALIの報告症例が少ないというのは日本の特徴かと思います。

そういう中で、次の8ページになりますが、「TRALI症例における抗白血球抗体検査結果」をあらわしました。TRALIの原因につきましては、主に白血球の抗体が原因だろうとは言われておりますけれども、それが絶対ではないと思いますけれども、抗白血球抗体についてドナーさんとクロスマッチの結果をここにあらわしました。ある程度、抗白血球抗体といいますのは、女性の妊娠・出産にかけての抗体ができるということをあらわして、抗体が産生されることになりますけれども、献血者の抗体陽性数を見てみますと、男性の中にもある程度、少なからず抗体の陽性者が認められるというのが現実だと思います。

次の9ページになりますけれども、そういう中で、日赤ではできる範囲でTRALIの安全確保措置ということをやっておりまして、TRALI症例で製剤中に白血球抗体が検出されたものについては、次回からTRALIを起こさないようにということで、安全確保措置をして、輸血用には使用しないということになっております。

2012年以降、400mL採血由来の血漿につきましては、男性由来の血漿を優先的に製造していこうということで、なるべく白血球抗体の存在の可能性が少ない血漿を製造しております。そういうこともありまして、12年以降、この赤い400mL由来の女性の製剤によるものについては、当然ながらゼロになってきているというような状況です。

10ページを見てみますと、これはTACOの評価内訳で、こちらのほうもまだ2年目ですのでそれほど多くを語ることはできませんけれども、原因製剤となっているものの多くは赤血球製剤が原因となっているということがわかっております。

次の11ページ以降は、輸血後の感染症になります。2013年、12ページになりますが、「輸血による感染が確認された症例」ということで、保管検体の中にHBVとかHCVのウイルスが検出された症例でございます。

次の13ページを見ていただきますと、棒グラフになりますが、これは過去10年間の輸血によるHBVHCVHIVの報告年による症例数をあらわしています。昨年も報告したところですけれども、2013年、赤色のHCV、緑色のHIVが報告したところです。赤色のHCVにつきましては、現行のスクリーニングシステムで初めての症例ですけれども、2009年の採血でございました。

次の14ページを見ていただきますと、先ほど来、NATのところで議論されましたけれども、「1年当たりの輸血後のHBV感染症例の比較」ということであります。2012年の8月から、日赤では、HBVの感染既往の血液、いわゆるコア抗体のカットオフインデックスが1.0以上の血液については輸血用に使用しないという安全対策を強化したということもあって、ピンク色の感染既往の部分の血液につきましては、2012年9月以降、1.4カ月しかまだありませんけれども、そういった血液による輸血感染例というのがなくなっております。

ちなみに、この8月から個別NATを実施するということになりますので、この一番下の2.3と書いてあるウィンドウ期の血液で個別NAT陽性の血液という部分が今後個別NATを導入することによってゼロになればいいなとは思っています。

15ページ、16ページは、昨年の安全調査会運営委員会でも報告されたものでございます。HCVの感染症例と、16ページがHIVの感染症例ということです。16ページのHIVに関しましては、最終的に中央研究所のほうで、どの程度ウイルスがいたかということを精査した結果、10コピー/mL以下の濃度であったろうということです。

ちなみに、この血液においては、以前御報告しましたけれども、赤血球製剤では輸血感染症が見られませんでしたので、大体10コピー/mL以下だとすると、RCCの中には大体20mL程度の血漿が入っていると思われますので、200コピー程度の血液ではひょっとしたらうつらないのかもしれないということがここで推察できます。

17ページになりますけれども、HEVの感染症例です。HEVにつきましては、研究的に北海道に限定してNATの調査をしておりますけれども、ここにありますのは北海道以外のところでの報告が主であります。HEVの感染症例がある年とない年とありますけれども、昨年は1件ございました。

いずれにしても、薄い水色の部分がGenotype3で、青い部分は2004年、2002年に見られますけれども、最近はGenotype4の輸血感染症例というのはなくなってきているということであります。

18ページ、最後になりますけれども、「CMV感染疑い症例」ということで、CMVにつきましては、白血球除去しているということとかもあって、本当に輸血による感染かどうかというのは今のところわかっておらないのですけれども、少なくともここに挙げたものにつきましては、保管検体の中にCMVDNAが検出されなかったという症例でございます。

2013年の上のほうに情報提供後のバーがありますけれども、こちらのほうは、PMDAのほうの指導もありまして、ここにありますように、CMVの感染症例というのが少しずつふえてきておりましたので、周産期医療をされる病院を中心に周知したほうがいいのではないかという指導があって、2013年の8月に周知、情報提供をしました。その後、少しそういった病院も含めてCMV感染疑い報告というのが挙がってきているということがあります。

いずれにしても、ことしは4件報告事例があるのですけれども、ことしの症例も含めて、今のところ、がん検体からはTMAが見つかっておりません。

最後になりますけれども、まとめです。TRALIの症例は引き続き減少傾向にありますし、死亡の症例もここ3年間は見られないということ。2番目が、TACOの症例について評価しましたけれども、TACOは一定数医療機関側で見られるということがあって、TACOの周知と注意喚起をしていく必要があるということ。感染症に関しましては、コア抗体検査の基準を12年の8月に見直しましたけれども、感染晩期の血液による輸血感染はなくなったということがあります。また、NATスクリーニングを20プールから個別化されて輸血用血液の安全性はさらに向上するということがありますけれども、個別NATの検出限界というものもありますので、感染リスクはやはり残るだろうということが3つ目。最後が、未熟児を中心にした輸血後CMV感染症が報告されておりますけれども、今のところ、保管検体からCMV-DNAが検出された症例はありません。引き続き解明に向けた情報収集を行うとともに、CMV抗体陰性の血液の使用についても呼びかけていきたいと思っております。

少し時間をオーバーしましたけれども、どうもありがとうございました。

○吉澤委員長 ありがとうございました。ヘモビジランスのシステムは非常によく機能していることがよくわかりました。

時間がちょっとオーバーしまして申しわけありません。ここのところはよろしいですね。

○大戸委員 20年くらい前に、私たち、未熟児のCMV感染を見ました。未熟児で大体10%ぐらいCMVに感染するのですが、全例、母乳感染でした。ですから、未熟児の場合、CMV陰性血を勧めるというのは、エビデンスは少なくとも日本においては私は見たことがないのです。

○日赤・日野製造販売総括管理監 抗体陰性血がいいのか、白除で十分なのかということに関しましては、世界的にもエビデンスないということがありますけれども。

○大戸委員 それについても、私たちはエビデンスを出しております。白除した赤血球と白除してない赤血球で感染率は全く差がなかったというデータです。

○岡田委員 一ユーザーとして、特に未熟児の現場では、原因はともかくとして、サイトメガロのほうに感染してしまうとかなり重篤、特に1キロぐらいしかないような子供だと結構死亡する例が多かったりして、現場としては、少しでもその可能性を下げようということで、サイトメガロの抗体陰性のものを希望することがあるのですけれども、赤血球とかマップに関しては確かに抗体陰性のものが来るのですけれども、FFPのほうは必ずしも抗体陰性ではないようなのですね。

それで、もちろん、マップだけだったらいいのですけれども、最近、ABO不適合で、合成血を輸血する場合があったりするので、できれば、FFPも抗体陰性のものを提供していただければという希望。もちろん、その前にエビデンスで、白除してあれば十分だということを示していただいてもいいと思いますけれども、その辺について、FFPの抗体陰性のものが提供というか、要望すれば供給されるのかなと思うけれども、必ずしもそうでもないようなことなので。

○日赤・五十嵐安全管理課長 CMVについては全例測定しているわけではありません。赤血球とか、出荷時に試験します。FFPはその出荷時に試験する検体がないということもあります。

○岡田委員 現状では、赤血球製剤に関しては抗体陰性のものを、在庫があれば供給していただけるけれども、FFPに関しては白除したものを供給していただけるということでしょうか。

○大戸委員 今の岡田先生のスペキュレーションなのですが、私たちのやったスタディでは全く反対の結論が出ました。むしろ抗体陽性の血液を入れたほうが、新生児、未熟児は重篤になるのを防ぐという結論です。肺炎になったのは白除したほうで、母親からの感染をより重篤化するという結論だったです。

○吉澤委員長 その辺は臨床的なエビデンスを重ねてということになりますね。

では、ここまで、よろしいでしょうか。済みません。時間がオーバーしまして。

では、最後になりますが、議題8について、事務局から説明をお願いいたします。

○亀田血液対策課長補佐 では、資料8をごらんください。「安全技術調査会設置要綱(改正案)」となっております。

具体的には、1枚おめくりいただいて、3ページの新旧対照表を見ていただくとわかりやすいと思いますが、右側が以前のものになっておりまして、第3条の2で、「調査審議にあたっては、議題の内容等に応じて、部会長の判断により他の委員または参考人に出席を求めることができる」と記載してあります。この「または」に関して、「日本赤十字社の役職員又は」と「日本赤十字社の役職員」という言葉を追記させていただいております。

事務的な報告になりますが、以上になります。

○吉澤委員長 ありがとうございます。日赤のほうもこれでよろしいですね。

では、きょうの議題はこれで全て終了いたしましたが、ほかに何かどうしてもということがございましたら。

よろしいでしょうか。

それでは、どうもきょうはありがとうございました。事務局にお返ししたいと思います。

○亀田血液対策課長補佐 吉澤座長、ありがとうございました。

 次回の安全技術調査会の日程は別途御連絡差し上げたいと思います。

 本日は長時間にわたり委員の皆様、本当にありがとうございました。

 これにて平成26年度第1回血液事業部会安全技術調査会を終了いたします。


(了)
<紹介先>

血液対策課 亀田(内線2905)・野田(内線2914)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(血液事業部会安全技術調査会)> 平成26年度第1回安全技術調査会(2014年6月4日)

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