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2014年5月28日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第17回議事録

○日時

平成26年5月28日(水)9:57~10:47


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

田辺国昭部会長 印南一路部会長代理 西村万里子委員 森田朗委員
矢内邦夫委員 白川修二委員 花井十伍委員
石山惠司委員 田中伸一委員 榊原純夫委員
鈴木邦彦委員 安達秀樹委員 万代恭嗣委員 長瀬輝誼委員
堀憲郎委員 三浦洋嗣委員
土屋裕専門委員 田村誠専門委員  昌子久仁子専門委員 加茂谷佳明専門委員
池田俊也参考人 福田敬参考人 田倉智之参考人
<事務局>
木倉保険局長 神田審議官 宇都宮医療課長 佐々木医療課企画官
竹林保険医療企画調査室長 近澤薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○ 具体例を用いた検討について

○議事

○田辺部会長

 それでは、皆様おそろいのようでございますので、ただいまより第17回「中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会」を開催いたします。

 まず委員の出席状況についてでございますけれども、本日は全ての委員が御出席でございます。

 それでは、議論に入ってまいりたいと思います。

 まず「○ 具体例を用いた検討について」事務局から資料が提出されておりますので、それぞれこの点の御説明をお願い申し上げます。企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 中医協費-1、本日の資料はこれだけでございます。これを用いて御説明をいたします。「具体例を用いた検討について(案)」でございます。

 4月23日の総会でも御了承いただいたところでございますけれども、本部会の議論の材料とすることを目的として、企業からデータ・分析の提出に基づく具体例を用いた検討を行うことになっております。その対象品目や詳細な取り扱いについての御審議をいただきたいというものでございます。

 「1.具体例の選定基準と対象品目」に関してでございます。四角で囲っておりますのが、前回の中医協総会で了承いただいた選定基準の案でございますけれども、それを踏まえまして、医薬品と医療機器の選定基準を作成しております。

 「(1)医薬品」でございますが、1)~3)までを選定基準としたいと考えております。

 1)として、平成17年度以降に有用性加算のついた類似薬効比較方式または原課計算方式で算定したもの。

 2)として、諸外国において、複数の評価機関により費用対効果評価を提出されており、詳細な分析結果が公開されているものでございます。ただし、複数品目を同時に評価しているものは除外してはどうか。

 3)として、1)、2)を満たすもののうち、予測ピーク時売上高が、原則、各年度で一番大きいものを対象とするという基準であります。

 これを当てはめて、かつ年度の古いものから5品目です。5品目全て違う企業の品目について、該当する企業に対し、データ・分析提出を要請してはどうかというのが、医薬品でございます。

 2ページ目でございますけれども「(2)医療機器」でございます。

 医薬品との比較で申しますと、1)を見ていただきますと、平成17年度以降というのは共通でございますが、材料のルールを適用しておりまして、有用性加算もしくは改良加算のついた類似機能区分比較方式または原価計算方式で算定したもの。

 2)は共通でございまして、複数の評価機関により、諸外国で分析結果が公開されているもの。

 3)も医療機器独特の基準でございます。機能区分方式をとっておりますので、同一機能区分に複数の品目が該当する場合がございまして、その場合は、保険適用時の償還価格が最も高いもの、一番古くから収載されているものという意味でございます。

 3)までで実施しますと、複数の品目に該当する企業が出てくることがありますので、その場合への対応として、4)ということで、1)、2)、3)を満たすもののうち、同一企業が複数の品目で該当する場合は、他の企業の品目で該当するものがある機能区分について、他の企業の品目で保険適用時の償還価格が最も高いもの、一番古くから保険収載されているものになると思います。

 この4つの基準を当てはめまして、医療機器に関しては、3品目(3企業)に対して、データ・分析の提出を要請することとしてはどうかとなっております。関係する企業には、これから協力をお願いしたいということでございます。

 3ページ目でございます。各企業に出していただくデータの具体的な中身に関しての内容でございます。

 1月15日の総会でも、御了承いただいた内容が四角で囲っておりますものですが、これを基に追記したものを3ページから5ページにかけて記載しております。

 「1)効果」の「1.1)効果指標」に関してですが、質調整生存年、生存年、臨床検査調査、治癒率、重症度、発生率、指導率等を効果指標として、複数の指標を用いることも可能とする。

QOL値を用いる場合は、国内データに基づいて開発されたQOL尺度を用いたものを優先的に使用するとしております。

 4ページ目をお願いいたします。「1.2)効果データの取り扱い」としては、幅広に関連する効果データの検索を行うなど、網羅性を担保することとする。また、対象集団や診療実態の違い、海外データと我が国のデータの違いに留意しながら、エビデンスレベルが高いデータを優先するとしております。なお、エビデンスは、当該医薬品・医療機器が保険適用された時点、あるいは適応拡大された時点のものに限らず、現時点で最新のものを用いてもよい。

 先ほど対象となる品目の設定のときに、古いものを優先しておりますので、直近のデータもできるだけ活用してということでございます。

 「2)費用」でございますが「2.1)費用の範囲」としては、公的医療費のみを費用の範囲に含めることを原則とする。また、公的介護費、生産性損失等を費用に含めた分析を同時に提出することも可能としております。

 「2.2)費用データの取り扱い」でございますが、原則として、単価は、現時点における診療報酬点数表、薬価基準、特定保険医療材料価格基準等を用いるとしておりまして、回数は、我が国の診療実態を適切に反映していると考えられるデータを用いることとしております。これはガイドラインという場合もありますし、実際の診療の実績をもとに解析することもあると思います。

 費用は、当該医薬品・医療機器の費用のみではなく、有害事象や将来的に関連する合併症等の費用も含める。生産性損失を含めた分析を行う場合は、賃金を用いて推計することを原則としております。

 「3)分析の枠組み等」でございますが「3.1)比較対照」としては、幅広く臨床現場等で使用されており、当該医薬品・医療機器が導入されたときに、最も置きかわり得ると想定されるものを原則としておりますが、医薬品・医療機器が保険適用された時点あるいは適応拡大された時点に開発されていなかった医薬品・医療機器は、比較対照にしないとしております。また、複数の比較対照を用いて分析を行うことも可能としております。

 「3.2)分析対象とする患児等」でございますが、当該医薬品・医療機器が保険適用の対象となる患者等について分析を行う。適応外の患者さんは対象としないということでございます。複数の疾患が該当する場合がありますが、適応患者数や保険医療財政への影響等を考慮して、1つの適応疾患に限定してもよいですし、性質の異なる複数の患者等に対して分析を行ってもよいとしています。サブグループ解析も検討するとしております。

 「3.3)分析手法」ですが、費用対効果評価の結果は、原則として、増分費用効果費(ICER)を用いてあらわすとしております。ただし、比較対照と臨床的に同等であると想定される場合については、費用のみで比較を行うとしております。

ICERを算出する際に使用した数値とそのデータソースは全て記述するが、知的財産上の観点から公にすることが困難なものについては、提出者がその旨を記載しておくとしております。

 「3.4)分析期間」でありますけれども、費用と効果の影響を検討する分析期間は、対象となる医薬品・医療機器の価値を評価するのに十分と考えられる分析期間を用いるとしております。

 「3.5)割引」ですが、将来的な費用や効果への影響を現在の価値に調整する。物価上昇などでございますけれども、割引を行うことを原則としております。

 「3.6)解釈」は、結果の解釈及び解釈方法についても提示をしていただき、効率性フロンティア法による解釈が可能な場合には、同時に提出してもよいとしております。

 「4)提出項目」でございますが、対象となる医薬品・医療機器の性質、分析の設定、有効性データ、分析方法の詳細、分析結果と解釈という内容を出していただくということでございます。

 「5)相談体制」としましては、上記の項目については、提出者が提案をしていただき、参考人等に相談の上で分析を行うとしております。

 6ページ目でございますけれども「3.具体例を用いた分析等の体制」でございます。

 前回の中医協での御了承事項の中にもございますが、参考人等が含まれる研究班等をつくりまして、作業の体制を整えるとしております。なお、前回の部会での御指摘もございましたので、再分析等の検証を行う者の利益相反に関しては、他の会議における取り扱いも踏まえて対応するとしております。

 具体的には、中医協の関係でも、材料の専門組織、先進医療会議等では、利益相反に関しての取り扱いを決めておりまして、その取り扱いに準じて、研究班の具体的な体制も検討したいということでございます。

 「4.具体例の検討に関する今後のスケジュール」でございますが、本日の中医協で具体例を用いた検討について、対象品目、提出するデータ等を御了承いただけますれば、関係する企業への説明を6月に行いまして、参考人等による分析方針に関する相談を行い、その後、企業に持ち帰っていただいて、データ収集・分析等を行っていただきまして、そこで一旦資料を取りまとめていただき、その後、10月から12月にかけて、企業から提出いただいた内容について、研究班等で分析をするということでございます。

 本部会で具体例を用いた検討にをお願いするのは、こうした作業の中で、順次仕上がってくるものがあると思いますので、資料が準備できたものから議論をしていただくということで、進めてまいりたいと思っているところでございます。

 説明は以上でございます。

○田辺部会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまの事務局からの御説明に関しまして、御質問等はございますでしょうか。

 鈴木委員、お願いいたします。

○鈴木委員

 全体の大枠とか、スケジュール等はよろしいかと思いますが、幾つか質問、意見、要望をお話させていただきたいと思います。

 利益相反の件ですが、6ページ目の最後に「他の会議における取扱いも踏まえて対応することとしてはどうか」と書いてあります。これは参考人や、場合によっては部会委員もかかわるかもしれませんが、利益相反に関しては、かなり厳密に取り扱う必要があると思います。例えば1つの企業のデータを扱う場合には、その企業はもちろんですが、ライバルの企業などに対する利益相反はないかとか、そういったことも含めて見る必要があると思います。ここに他の会議における取り扱いも踏まえてとありますが、私はもっと厳しくすべきではないかと考えておりますので、それについて、御意見を伺いたいと思います。これは質問でございます。

 もう一つ、研究班をつくって、参考人を含めてやるということですが、それも必要だと思いますが、それとは別に、その研究班の方々がやることを監視するような方々も、独立した形で必要ではないかと思います。完全な組織というわけにはいかないとは思いますが、一定の限られた閉鎖的なメンバーだけで、ずっとやり続けるというのは、この件に関しては、問題があると思います。DPCの場合は、それでもいいのかもしれませんが、費用対効果の場合には、社会的な問題とか、医療費の問題とか、外部に与える影響がより大きいので、その辺はより厳密に取り扱う必要があるのではないかと思います。その辺の独立した第三者による監視の仕組みについて、どのようにお考えなのかについても、御意見をいただきたいと思います。

 もう一つは、企業にデータを全部提出してもらうことが前提になっているわけですが、果たして企業が、都合の悪いデータまで含めて、全部出してくれるかどうか。データの中に隠しているものがないか、そういうことをチェックするような仕組みというか、そういう取り組みも必要だと思います。透明性も必要だと思いますし、どうしても公開はできないけれども、分析上は必要だというデータがある場合、その取り扱いをどうするかとか、そういったことも決めておく必要があるのではないかと思いますので、それについても、お考えを伺わせていただきいと思います。これも質問でございます。

 それと、5ページの「3.6)解釈」のところで、効率性フロンティア法と書いていただいているのですが、これはドイツで行われているということでした。私はこの連休にドイツに行って詳しく専門の方にも御意見を伺ったのですが、ドイツでは、効率性フロンティア法は存在しているけれども、極めて限定的にしか用いられていないとのことで、実際にはドイツでもほとんど使われていないということがわかりました。

QALYについては、ドイツでは法律で禁止されていると言われておりましたので、それも確認しましたが、理由を聞きますと、かつてナチスが障害者を抹殺するのに、点数をつけて選別したという歴史があって、命をお金に換えることに関して、ドイツでは非常に敏感になっているということで、憲法裁判所がQALYの使用を禁止したという経緯があることも聞いてまいりました。ドイツの場合、その結果、QALYも使わない、効率性フロンティア法も実際はほとんど使っていないということですが、QALYを使わないで、新たな仕組みをつくって、今、それを運用しているということでございますので、ドイツについて、今後参考にする場合には、効率性フロンティア法もQALYも使わない新しい方法をぜひ詳しく紹介していただいて、それについて、日本のやり方との比較をしていただければと思います。これは要望というか、意見でございます。

 以上です。

○田辺部会長

 事務局、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 1点目の利益相反に関しては、組織のあり方のほうも、検討の体制に関する御意見でございますので、一括してお答えさせていただきたいと思いますけれども、今回はあくまでも具体例を用いた検討の段階でございますので、今、御指摘いただいた内容も含めて、実際に費用対効果評価を制度として導入していく際に、どういう運用をしていくかという議論の中で、どこまで厳密に求めるのか、もしくは独立した機関をどうするのかということの検討をするということではないかと思っております。

 前回の4月23日の議論の中でも、こういった具体例の検討と並行して、組織のあり方なども検討するべきであるという御意見はいただいておりますので、先ほどのスケジュールですと、部会を当分開かないような印象をお持ちになったのかもしれませんが、並行して検討すべき課題につきましては、先ほどドイツの最新の状況の御紹介もありましたが、諸外国の現在の運用等も含めて、部会を開いていただいて、参考人等から御紹介をいただくようなことも検討しているところでございます。

 ですので、利益相反に関しては、現状では、該当する品目の企業から、講演料や研究費をどの程度受け取っているかということで、省内の関連審議会の基準を参考に運用しておりますので、それにならって、まずは取り扱いをさせていただき、それよりもより厳密な取り扱いが必要かどうかも含めて、中医協で制度化に向かって議論をしていただくということだと思っております。

 5ページに効率性フロンティアと記載しておりますのは、過去のさまざまな御議論を踏まえてたものですが、今のお話ですと、例えば「効率性フロンティア法による解釈が可能な場合には、同時に提出してもよい」が必要ないということであれば、この部分は削除することも可能ではないかと思っております。

 また、企業から提出いただくデータに関しての中身の検証というお話もございましたが、今回はあくまでも具体例を用いた検討という段階でございます。

 1月15日の中医協の御議論の中にも、今回、具体的に検討対象となったものについては、保険収載の可否の決定や保険償還価格への反映は行わないという前提で、具体例の御協力をいただくということで、御了承いただいております。

 企業から提出されたものについて、今後、制度化するに当たって、こういうデータを出すことはできないのかという視点で、御議論をいただいてもよろしいかと思います。企業に対しては、諸外国で実際に費用対効果評価をされているという実績を踏まえての依頼でありますので、そういったものを参考にしながら、資料を提出していただき、制度化に向けて、さまざま議論していただくものだと思っております。

 説明は以上でございます。

○鈴木委員

 話としては大体わかりましたが、同時並行で、そういった議論もしていく必要があると思いますし、疑わしい場合と言っては失礼ですけれども、確認したい場合には、その都度、利益相反について確認させていただくということも、入れていただきたいと思います。

 効率性フロンティアについてですが、ドイツでもほとんど使っていないということがわかったわけですが、今はほかの新しい方法があるわけですから、他の方法があれば、そういうものを出してもいいという意味で「等」を入れておけば、よろしいのではないかと思います。あえて消す必要もないと思いますので、よろしくお願いします。

 以上です。

○田辺部会長

 ほかに御質問等ございますでしょうか。花井委員、どうぞ。

○花井十伍委員

 今の鈴木委員の質問と関連するんですけれども、利益相反に関することで、今の説明だと、現行のルールを当てはめるということなんですが、現行のルールだと、議決にも議論にも参加できないのは500万円以上なんです。そうすると、これは別にディシジョンメイクの場ではないから、検討自体が主体です。そうすると、50万から499万までは可ということになって、499万円を当該医薬品の企業から受け取っている人が可であるということを運用するというのは、もしかしたら大した金額ではないのかもしれませんが、私などから言うと、相当高額だという感じがします。だから、現行ルールは、薬食審や厚生科学審議会のルールとはちょっと違うのではないかと思います。今の説明だと、499万円を受領した人は問題なかろうという説明だったと思うんですが、そういう説明だったんでしょうか。

○田辺部会長

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 問題がないと申しているわけではございません。今回はあくまでも具体例を用いた検討ということなので、まずは中医協の材料専門組織や先進医療専門家会議で用いている基準を当てはめて、体制を組んでいますけれども、こういった運用についても問題かどうか、そういう点も含めて、制度化を具体的に検討して、運用していく中にあっては、当然御議論いただく内容だと思っています。まずは具体論を用いた検討のための利益相反としては、現行のものを用いたということでございます。

○田辺部会長

 花井委員、どうぞ。

○花井十伍委員

 生々しい話をして本当に恐縮なんですが、ここで承認してしまうと、メンバーの中に400万円を受け取った方がおられるということをわかった上で、検討結果をここで議論するみたいなことになる可能性が、今の話だとあると思います。今はまだ検討ですから、決まったルールではないんですけれども、多分そこまでの方は入れないのではないかと思います。だから、ここで承認したから、そこはスルーということではなくて、検討メンバーが決まった時点で、それだったら利益相反を申告していただくわけですから、通常だったら、50万円以下なのか、500万円までなのか、それ以上なのか、その3段階があるか、ないかしか公開されないわけですけれども、そこは適宜相談してもらう形だと言っていただかないと、白紙で一応検討だから、現行ルールが当てはまっていますだけでは、ちょっと承認し難いと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

○田辺部会長

 企画官、いかがでしょうか。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 同じような回答になって恐縮でございますが、あくまでも具体例を用いた検討という段階でございますので、御指摘にありましたとおり、将来的に制度設計をして、運用していくに当たって、同じルールを適用するということを、本日御了承いただくという目的ではございません。まずは現状のルールで具体例を用いた検討をさせていただき、その中で、利益相反について、将来、制度としてどのような形で設定しいくのかということも、あわせて御議論いただきたいと考えているところでございます。

○田辺部会長

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 今、花井委員がおっしゃったことは重要だと思います。私も現行でスタートするけれども、個別に確認していただくこともありますという話をしましたが、確認を個別にしていただく場合もあるということも含めて、先ほど了解していただいていると思います。それは必要なことだと思いますので、そういうことも含めて、とりあえずスタートしてはどうかと思います。

○花井十伍委員

 まだ走り出す段階の前調査なので、余りぎりぎり言うつもりはないんですが、それを検討するための材料も中立なものが必要であるので、それを大きく阻害することがなければ、問題ないわけですから、もしかしたら、適宜段階で指摘するかもしれませんが、そういう問題があるということを強く申し上げて、踏まえて対応するということについては、わかりましたということだと思います。

○田辺部会長

 1号側、2号側、よろしゅうございますか。やはり大切な問題でございますので、利益相反等を実施する際に、必要がある場合には、御報告をしていくという了解でよろしゅうございますか。それでは、その形で進めていきたいと思います。

 ほかにございますか。安達委員、どうぞ。

○安達委員

 具体的に検討を始めるに当たっては、前からこれだけが共通理解項目だと思いますが、4ページの分析方法に関しては、ICERを用いる。これは費用対効果ですから、当然そうなるわけです。費用のほうは出るわけです。例えば薬剤であれば、単価がわかっているし、必要な回数もわかっているので、費用は出るんですけれども、問題は効果です。

 効果については、3ページの2の囲いの中の(ア)に、QALY以下ずっと挙がっているんですが、これはまずはメーカーのお立場で御意見をお伺いしたいんですが、当然発売承認を得るためには、発売前の治験が要ります。治験のときは、いわゆるプラセボ、あるいは競合他社製品との比較という治験をやられて、そのデータをもとに申請をされるわけです。

 ところが、4ページの一番上の1.2)の効果データについては、保険適用された時点のものに限らず、現時点で最新のものを用いてもいいとなっていますが、現時点といいますが、発売後、義務的にあるのは、副作用調査を中心にした発売後の再調査だけです。このときは、他社製品との比較というのは、必ずしも義務づけられていないと思います。そうすると、効果というのは、結局は薬事申請のために用いた治験データが主になるだろうと思うんですけれども、そういう理解でよろしいですかということが1点です。

 もう一つは、治験データそのものが費用対効果の観点から、3ページの(ア)に挙げられているような効果がある。これは費用対効果を見ようとするときの効果ですけれども、必ずしもこういう目的で治験をされて、データを整理されていないと思うんですけれども、そうですかという確認です。

 この2つを確認した上で、そうであるとするならば、参考人の先生方のお一人、どなたでも結構ですけれども、お伺いしたいんですが、こういう限定的なデータのもとで、ICERを基準にして検討することについて、さらに改善すべき点があるのかどうか、現時点でそれをどうお考えになっているかということをお伺いしたいと思います。2段階の質問でございます。

○田辺部会長

 まず専門委員からお願いいたします。

○土屋専門委員

 テクニカルなところは難しくて、即答できない面がありますが、まず全体的なコメントも含めて言わせていただきます。このような具体例を用いて、費用対効果分析の中身、使われ方、課題を明らかにするという点に関しては、メーカーも十分に協力したいと思っています。ただ、実際に現在発売されている薬であるがゆえに、出たものに関して、取り扱いを非常に慎重にやっていただきたいというのが、メーカーの正直なところです。新たに日本用にこういう作業をするということは、費用も労力も大変かかるものでありますので、その辺の出てきたものに対する扱いに関しても、こう出たから、すぐにこの場でどうこうではなくて、正直、我々から言わせていただければ、納得する内容で出していただきたいということがあります。

 今回、具体的にスケジュールも含めて出されているわけですが、前回も申し上げておりますとおり、どのように進めるかに関しては、1つの製品ごとに違いますし、出している当局によっても違うので、事前に我々とよく相談してほしいし、説明もしてほしいと思います。

 これは前回も言いましたし、また、データの信頼性の部分にも関係すると思います。例えばNICEで言えば、我々は企業のデータを出します。今回ここでもう一回出してほしいと言われて、出せるのはその部分です。ところが、NICEは、我々のデータを信じないというか、それでは納得しませんので、御自分で分析をやります。それをもって我々と議論をして、その結果が最後はガイダンスとなって、費用対効果の結果とともに出てくるわけです。だから、我々はNICEのやる部分をかわってやることはできません。

 これは前から言っておりますように、参考人のどなたかがやってくれるものだと思っております。例えば我々の実際の例で、NICEにモデルを開示してくれと要求して、これは裁判でも議論をやりましたけれども、そんな簡単には向こうもモデルを開示しません。私たちは、NICEのやっている分析について、ファーストハンドで情報を持っていないので、NICEにかわって解析をすることはできません。我々の出したデータがもし選ばれれば、ここでそれを日本の数字で置きかえて出すということですので、それを検証していただくことも必要ですし、ガイダンスに載っている情報に関しては、我々以外のどなたかが、参考人と想定しますが、分析して出していただくという形になると思います。その辺がこの資料ではよくわからないです。

 例えば医薬品の場合、どんなものをやるかということに関して、諸外国において、複数の機関により費用対効果評価が提出されているとなっておりますが、これは当局が出す資料ですので、我々は出しておりません。そこも明確にしていただきたいと思います。

 それから、例えば複数品目を同時に評価しているものは除外するとなっています。マルチテクノロジーアセスメントか、アプレイザルか忘れましたが、前は、NICEは、発売後しばらく経ったものをまとめて、同類のものを評価して、その群はどうかということでしたが、最近はシングルテクノロジーで、新しいものを承認直後に評価しています。抗がん剤がその典型ですけれども、そういうふうになって、企業が1品のものについてデータを出して、それをまた向こうがやってくるという状況の中でやっておりますので、そういう個々の事情を相談させていただきながら、スケジュールも含めてやっていかないと、この案だけでは、何を出していいかよくわからないというのが、正直なところです。

 具体的な例で、弊社が10年ぐらい前にやったときは、当時、外のコンサルタントを使っています。モデルはコンサルが持っているわけですが、かなり高額なお金をかけてやっておりまして、もしやるとなれば、もう一回、それを日本の数字で再現するわけですが、そういうところにこれから頼んで、どこまでできるかという、手間暇をかけて、特に現地のスタッフを使ってやることになりますので、全体の期間とか、コストも随分かかると思います。その辺の状況も斟酌していただきながら、進めていただきたいというのが我々の考えです。

 安達先生の御質問ですが、例えば抗がん剤はOSでどれぐらい延長しているかということがあるとともに、QOLも少しとっていると思います。それとあわせて、最終的に費用対効果を出していると思いますし、ほかの例で言えば、クリニカルなエンドポイントとQOLをあわせて出しているというのが現実で、承認時になかったりすれば、後でほかの方が行ったダブルブラインドベースでエビデンスレベルの高い治験からもってくるということを、通常ではやっていると思います。

 以上です。

○田辺部会長

ICRの件ですけれども、参考人のどなたか、お願いします。福田参考人、どうぞ。

○福田参考人

 福田でございます。

 御質問ありがとうございます。

 効果の指標として使うものなんですけれども、安達先生の御指摘とのおり、国内で言えば、承認後に市販後調査としてやられているものが、主に安全性に関するデータを詰めておりますので、それを反映すると思います。

 一方で、この部会でも、以前からシステマティックレビューの重要性が指摘されていると思いますが、そういう観点から言いますと、市販後、国内ではなく、海外等でやられた臨床試験、これから国内で適用可能なものであれば、そこまで含めてレビューに加えていただくことになると思います。そこについては、国内で適用できればという条件は吟味する必要があると思いますが、そこまで含めたシステマティックレビューに基づいて、効果の指標を判定することが必要なのではないかと思います。

 また、臨床試験において、指標として用いられているものが、経済評価のアウトカムとして使うようなLife Yearとか、QALYではないということでありますけれども、今、土屋さんからも御指摘がありましたが、試験によっては、Life Year等でとっているものもございますし、あるいは補助的な解析の目的等であるかもしれませんが、QOLデータを取得しているものもあると聞いています。

 今回、海外で評価がされているものを取り上げるということですので、ある程度臨床試験のデータをもとに、最終的なアウトカムを求める形は、海外の提出資料ではやられていると思いますので、そういうものも参考にしながら、日本での適用可能性も一緒に議論ができるのではないかと考えます。

○田辺部会長

 安達委員、よろしゅうございますか。

○安達委員

 それはそれで結構でございます。ありがとうございました。

 この際ですから、一言だけ、参考人に御意見を伺いたいんですけれども、例えば対象とする医薬品については、有用性加算がついた類似薬効方式、または原価計算方式の医薬品も対象にすることになっているわけです。これまでの議論の中で、薬価専門部会等で、有用性加算などの条件の判定が非常に定性的だという議論をさせていただいて、曲がりなりにも、定量的なものが、最近、研究班の成川試案として出てきたわけですけれども、あれについて、費用対効果の検討との関連で、参考人は今の時点でそれをどう評価しておられるか。答えにくいのかもしれませんけれども、お答えいただける範囲で結構ですので、御意見をお伺いしておきたいと思います。

○田辺部会長

 参考人のどなたか、お答えいただけますでしょうか。

○福田参考人

 御質問の点ですけれども、確かに先生の御指摘のとおり、有用性加算、画期性加算は重要だと思うんですが、ついている何パーセント加算になるかというのが、余り定量的ではないという御指摘が従来からあったというのは、承知しております。

 今回、成川先生がされたような、これを定量化する試みというのは、非常に重要だと思っておりまして、詳細は余り承知していないんですけれども、私も拝見させていただいているところであります。

 ただ、今回は過去のものについて、こんな形でできるのではないかということで、やってみたという段階だと理解しておりまして、その中でも、今後、検討が必要なもの、例えばベースラインとして何ポイント加算をしていますとか、あるいは今回は過去のものでやっていますけれども、例えばそれが将来適用できるかどうかというところは、まだ明らかではないとか、私はちゃんと理解していない可能性がありますので、適切な指摘ではないかもしれませんが、幾つか課題もあると思っています。

 一方で、そういうアプローチが費用対効果を考えることと、それほど矛盾している方向性ではないと思っておりまして、そこで考えている有用性加算、画期性加算の中の特に臨床的に価値があるところ、臨床的なアウトカムとして出てくるところを、きちんと定量的に評価しようというのが、費用対効果の考え方だと思っていますので、方向としては違っていないと、現時点で私は考えております。

○田辺部会長

 ありがとうございました。

 ほかに御質問等ございますでしょうか。鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 先に確認の質問をさせていただきたいのですが、土屋専門委員の御発言を聞いて、私も心配になったので、再度確認をしたいと思います。佐々木さんに確認の質問ですけれども、企業が出してきたデータを、参考人たちがつくる研究班は、再分析等するわけですが、それとは別に研究班でも独自にシステマティックレビューを行って分析をすると、私は前回も理解しておりましたが、そういうことでよろしいんですね。確認させていただきたいと思います。

○田辺部会長

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 きょうお願いしている資料の中では、企業でもできる範囲のエビデンスを集めて、データを出していただくということをお願いしているわけでございますけれども、研究班の担当なるような参考人等の方にも、そういった視点で見ていだくということは、考えているところでございます。

○鈴木委員

 結構です。

○土屋専門委員

 先ほどの確認ですが、例えばガイダンスに載っているような、NICEが行っているような分析の再現というのは、参考人のほうでやっていただくという理解でよろしいわけですね。

○田辺部会長

 企画官、どうぞ。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 これはきちんと申し上げるつもりでしたが、企業は、出せるデータを出していただくという理解でありまして、いわゆるNICEのような役割は、疑似的に研究班等が行うという関係です。最終的にアプレイザルというか、どうしていくかという議論は、中医協の部会で行う。具体例の検討としては、疑似的にそういう形で行うという理解をしております。

○田辺部会長

 よろしゅうございますか。

 ほかに御質問等はございますか。専門委員、どうぞ。

○田村専門委員

 3点要望させていただきたいと思います。

 1つは、これから企業にデータ分析の提出の要請が来るということでございますが、その際に、それぞれの要件にどのように該当しているかということについては、少し丁寧に御説明いただければと思います。特に諸外国において、複数の評価機関により、費用対効果評価をされておりというところでございますが、企業によっては、自社ではなくて、別法人に売ってもらっているところもあり、各国の状況について、必ずしも十分に理解していない場合がありますので、どこの国でどういう評価が提出されているのかについても、お教えいただければありがたいと存じます。

 もう一点は、先ほど土屋専門委員も言われていましたが、企業が提出するデータや分析方法、時期については、十分に柔軟性をもって御検討いただきたいということでございます。これから参考人といろいろ相談をさせていただきながら、進むのだと思いますが、特に日本法人では、こういうものについて、取り扱いの経験がない場合もありますので、そうした場合、いろんなものを提出するという準備に時間がかかります。データそのものは海外にあるかもしれませんが、準備に時間がかかることがあると思いますので、その点はお願いいたします。

 もう一つは、前回も申し上げましたように、外国の評価機関に提出したデータを基本にさせていただきたい。費用側のデータは、もちろん日本のものに変更しないといけないですが、効果側のデータについては、海外に提出したものを基本にさせていただかないと、新たに国内のデータを使ってモデルを組み直したりすると、それは相当の時間と費用を要すると考えますので、そこについては、十分に御配慮をいただきたいと思います。

○田辺部会長

 この点、よろしゅうございますか。

 今、要望等があった点は十分に斟酌して、きちっと相談しつつ、進めていっていただければと存じます。

 ほかに御質問等ございますでしょうか。

○加茂谷専門委員

 専門委員の加茂谷でございます。

 企業側を代表いたしまして、確認をさせていただきます。

 今回、医薬品企業、医療機器企業に要請のある点につきましては、日本の保険適用に際して、費用対効果評価の観点を導入することの検討のために、イノベーション評価との整合性を踏まえながら、データ収集・分析・評価対象の範囲、あるいは実施体制等において、課題を抽出することが目的だと理解をしております。そのための協力はやぶさかではございませんけれども、個別品目の分析結果だけをクローズアップさせて議論を行うことは、先ほど申し上げた目的からみて趣旨が違うという点について確認をさせていただきます。

 すなわち、中医協における議論というのは、波及効果、その影響が大きいということでございますので、仮に個別の議論を行う必要があるならば、結果について、企業側と最終合意が得られるまでは、製品名等の公表については、避けていただきたいということを強く要望させていただきたいと思います。

○田辺部会長

 この点、よろしゅうございますか。

 企業の側からすると、いろいろ影響があるということですし、情報の管理等に関しても、適切に考えながら進めていきたいと思っております。

 ほかに御質問等ございますでしょうか。

 1点だけ、先ほど鈴木委員から、効率性フロンティアのところで御意見がございました。削除するということも1つの考え方ではありますが、効率性フロンティア法の後に「等」を入れて、新しい分析の視点等があったら、それも含めて提出できるようにという形にしたいと思いますけれども、1号側、2号側、それでよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○田辺部会長

 それでは、ささいではありますけれども、法の後に「等」という文字をつけ加えさせていただきたいと思います。

 ほかに何か御質問等はございますでしょうか。

 ほかに御意見等もないようでしたら、この議題については、この辺りとして、本日の総会へ報告させていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○田辺部会長

 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。

 本日の議題は以上でございます。

 次回の日程等について、事務局の側から御説明をお願いいたします。

○医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 次回は未定でございます。決まり次第、御連絡いたします。

○田辺部会長

 それでは、本日の「費用対効果評価専門部会」はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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