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2014年6月24日 第9回日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会 議事録
健康局がん対策・健康増進課栄養指導室
○日時
平成26年6月24日(火)
14:00~16:00
○場所
全国都市会館 第2会議室(3階)
○出席者
構成員<五十音順・敬称略>
宇野 薫 (株式会社タニタヘルスケア/ネットサービス推進部 管理栄養士) |
江頭 文江 (地域栄養ケアPEACH厚木 代表) |
佐々木 敏 (東京大学大学院 医学系研究科 教授) |
幣 憲一郎 (京都大学医学部附属病院 疾患栄養治療部 副疾患栄養治療部長) |
鈴木 一十三 (株式会社ローソン マーケティングステーション 部長) |
高田 和子 (独立行政法人 国立健康・栄養研究所 栄養教育研究部 栄養ケア・マネジメント研究室長) |
高戸 良之 (シダックス株式会社 総合研究所 課長) |
武見 ゆかり (女子栄養大学 食生態学研究室 教授) |
田中 延子 (公益財団法人 学校給食研究改善協会 理事) |
田村 隆 (つきぢ田村 代表取締役社長) |
中村 丁次 (神奈川県立保健福祉大学 学長) |
藤島 廣二 (東京聖栄大学 健康栄養学部 客員教授) |
藤谷 順子 (独立行政法人 国立国際医療研究センター病院 リハビリテーション科 医長) |
八幡 則子 (パルシステム生活協同組合連合 事業広報部 商品企画課 主任) |
渡邊 智子 (千葉県立保健医療大学 健康科学部 栄養学科 教授) |
事務局
佐藤 敏信 (健康局長) |
椎葉 茂樹 (がん対策・健康増進課長) |
河野 美穂 (栄養指導室長) |
芳賀 めぐみ (栄養指導室長補佐) |
○議題
1.開会
2.議題
(1)日本人の長寿を支える「健康な食事」の基準について
(2)その他
3.閉会
○議事
○河野栄養指導室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第9回「日本人の長寿を支える『健康な食事』のあり方に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方には、御多忙のところを御出席いただきまして、ありがとうございます。
本日は、大竹構成員、岡村構成員、生源寺構成員、田中啓二構成員、原田構成員、伏木構成員におかれましては、御都合により御欠席です。
それでは、資料のほうを確認させていただきます。
お手元、議事次第、構成員名簿、座席表をおめくりいただきまして、資料1としまして、基準策定の基本的考え方(案)。
資料2といたしまして「健康の維持・増進に必要とされる栄養バランスの確保からみた解析手順(案)」。
参考資料としまして、検討の方向性と「健康な食事」のとらえ方。
以上が資料でございます。
これ以降の進行につきましては、中村座長にお願いいたします。
○中村座長 では、本日の主な議題は、日本人の長寿を支える健康な食事の基準についてでございます。
早速ですが、事務局より、健康な食事の基準策定の基本的考え方や、その意義、策定方針について説明いただきたいと思います。
○芳賀栄養指導室室長補佐 それでは、資料1に基づきまして説明いたします。
また、参考資料のほうには、これまで検討会で御議論いただきました方向性を再度共有化ということで、参考資料の1ページ目は開催要綱並びに第1回検討会資料をベースに、本検討会の検討の方向性、関連を整理したものになります。
参考資料の2ページ目は、日本人の長寿を支える「健康な食事」のとらえ方(案)並びに下の図がこれまで御議論いただいた結果に、一部前回検討会以降構成員の皆様からいただいた御意見を踏まえて微修正した物です。 それでは、資料1をごらんください。
「日本人の長寿を支える『健康な食事』の基準策定の基本的考え方(案)」について説明いたします。策定の必要性として、これまでの議論を踏まえ、健康な食事のとらえ方を踏まえ、健康な食事の実践につながる「食事」を選び、食べる機会を拡大し、その継続を支援するための方策が必要ということで整理いたしました。
このため、健康な食事を推奨するスローガンのようなものを策定するのではなく、具体的な方策として整理しています。策定のポイントといたしましては、矢印の下に4項目お示ししておりますが、まず1点目が日本の食事のあり方に着目すること。
2点目が、日本の食文化のよさを引き継ぎつつ、栄養バランスを確保するとともに、食事の質を重視すること。
3点目が、適切な食事と適切な情報が一体となって提供される場面を生み出すこと。
4点目が、健康や食事に関心のない人々にとっても選びやすいように、身近なところで手軽に購入でき、購入の際、健康な食事であることが一目でわかる状況をつくり出すこと。
これら4点を策定のポイントとしてまとめました。このため、実際には具体的な基準を策定する必要があるということで、基準策定のねらいは、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、宅配等で手軽に購入できる料理に、健康な食事の基準を満たすことが一目でわかるマークをつけること。こうしたことで、適切な情報、この適切な情報は、その1つとしてマークがあるという整理です。この適切な情報のもと、適切な食物、すなわち、健康な食事の基準を満たす料理に日常的にアクセスすることが可能な環境整備を図るということを意図して、健康な食事の基準を策定するという考え方を整理しました。すなわち、具体的に食事の質を保障するための基準と、環境の整備を図っていく方策として健康な食事の基準を策定する。こうした取り組みを意図としたものになっております。
これまでの議論を踏まえた基準策定の必要性の考え方を、日本人の長寿を支える「健康な食事」を構成している要因の図をベースに、図にまとめました。
以上のように1ページ目は、日本人の長寿を支える健康な食事の基準策定の基本的な考え方として、これまでおまとめいただきました健康な食事のとらえ方ですとか、関連する要因、議論の結果から導き出した考え方、策定のねらいということで整理しています。
それでは、具体的にこうした策定の狙いに照らしてどういった基準を策定していくのかというのが資料1の2ページ以降になります。
資料の構成ですが、1ページずつ、上半分、下半分でひとまとまりのような形で組んでおりますので、そういった形で資料をごらんいただければと思います。「健康な食事」の基準の特徴として、6つの視点から整理しています。
まず、2ページ目の上半分が特徴の1つ目ということで「-食事としてのアプローチの視点-」。2つ目の視点が、2ページの下半分のタイトルになりますが「-食文化、栄養バランスからのアプローチの視点-」。
3ページ、上半分が3つ目の視点で「-食事の質を重視したアプローチの視点-」。
4点目の視点が「-食物へのアクセスと情報へのアクセスの統合の視点-」。
4ページに入りまして、基準の特徴の視点の5つ目として「-選ぶ側と作る側の視点-」。
最後に6点目の特徴の視点として「-食事を総合的にとらえる視点-」。
これら6つの視点に基づき、健康な食事の基準をどのように枠組みを決めていくかという話になります。
それでは、2ページにお戻りいただきまして、6つの視点の1つ目から説明いたします。
まず、2ページ上半分の「『健康な食事』の基準の特徴」の(1)「-食事としてのアプローチの視点-」についてです。
視点の切り口はそれぞれ要因図をもとに、そこに取り上げる視点に関連する要素を浮き立たせるような形で図を整理してございます。そうした整理の結果、導き出された文章というものを図の上に要約してお示しするという形で資料をつくっています。
まず、食事としてのアプローチの視点についてですが、健康寿命の延伸のためには、1回の食事や特定の食品の摂取ではなく、適切な食事を繰り返し食べること、こうしたことで健康な食習慣の定着を図ることが重要。また、人々が選ぶのは食品や料理であり、それらを食事として整え食べることから、食事としての具体的な提案が必要という視点です。これが1点目の視点で、食事としてのアプローチの視点。
2点目の健康な食事の基準の特徴の視点ですが「-食文化、栄養バランスからのアプローチの視点-」と整理しております。
こちらは、日本の食文化のよさを引き継ぎ、栄養学的にも望ましい量や内容とする必要があること。特に、食事の質を保証するためには、栄養バランスを確保できる食品や料理の組み合わせの提案が必要。その際、おいしさや楽しみへの配慮も必要。この点に関しましては、前回検討会でもある程度御議論いただいているところですが、下の図でそれらの内容を表現してみました。
特に、食事は適切な食事を無理なく続けることができれば、その習慣の結果、適切な体重の維持、良好な体調につながるということで、図の中に水色の矢印がくるくる回っているのは、繰り返し習慣が繰り返され、健康につながっていくという意味を図で示してみました。こうした繰り返される健康な食事は、食事の質を保障するための食品や料理の組み合わせといった視点が必要で、これらの背景には、食文化や栄養バランスからのアプローチが必要ということで、日本の食文化のよさを引き継ぎつつ、かつ栄養学的にも望ましい量や内容をどのように設定していくかという視点です。
3ページ、上半分が基準の特徴の3つ目の視点として「-食事の質を重視したアプローチの視点-」になります。
先ほどの特徴(2)の視点から続くものになりますが、食事の質を保証するためには栄養バランスが確保できるように、食品や料理をどのように組み合わせるかが重要となってきます。また、これだけではなく、食事の質にはおいしさや楽しみといったことも重要ですので、これらは食材や調理の工夫、また食事観や食嗜好の形成など、幅広い要素から構成されており、気候、風土と結びついた旬の食材や地域産物の活用などの具体的な提案が必要ととらえました。
こちらについても、健康な食事の要因にかかわる整理のときに御議論いただいた内容をもとに、食事の質を重視したアプローチの視点ということで、食事観、食嗜好、調理等の側面から、食事のおいしさや楽しみを食事の質に加えていくということで3つ目の視点になります。
4つ目の視点は3ページの下半分になりますが「-食物へのアクセスと情報へのアクセスの統合の視点-」として整理しました。
こちらは健康な食事をどのように定着させていくかというプロセスになります。健康な食事の定着に向けては、信頼できる情報のもとで適切な食物に日常的にアクセスできる環境を整えることが重要。
こうした重要なことをどのように具現化していくかという仕組みですが、適切な食物を選び、食事として組み合わせて食べるには、適切な情報が必要であり、適切な食物と適切な情報、この2つをあわせて提供する仕組みが必要ということで整理しました。
下の図のように、食事に対して食物へのアクセスの側面、言いかえれば、食物の入手しやすさ、さらには右側が情報へのアクセスということで、情報づくりまたは情報の共有という側面。この食物へのアクセスと情報へのアクセスの統合の視点が「健康な食事」の定着に向けて必要という整理です。
4ページ目が5つ目の基準の特徴ということで、実際に健康な食事を選ぶ側とつくる側の視点としてまとめてみました。イメージとして下に図でお示ししてございますが、ここに載せている食事は食事であるという程度のイメージですので、余りイラストとしてつくり込んだものではございませんが、健康な食事を選ぶ側の視点のニーズとしてはわかりやすさで、そういった健康な食事をつくる側の基本としては質の保証ということがあり、健康な食事は選ぶ側とつくる側の側面、すなわち2面の見方があり、これらをどのように具現化していくかというのが健康な食事の基準の5つ目の視点で、つくる側と選ぶ側の視点ということになります。
まず、上から見た場合の選ぶ側の視点になりますが、選ぶ側は、適切な情報をマークという形で表現するとすれば、それらをもとに簡単に料理を選ぶことができ、適切に組み合わせることができる。また、各人のライフスタイルや食事づくりのスキルに応じて、自宅で準備する料理と外から購入して準備する料理、購入する料理を組み合わせることも可能になってくる。こういったものの要素が必要であるのではないかということです。
また、つくる側から見た視点では、料理の特徴をマークで示すことで、購入者の健康やQOLの向上に寄与できることが可能である。また、つくる側の技術により、食材や調理の工夫で、おいしさや楽しみを付与することができ、継続した購入が期待できるという、選ぶ側、つくる側、それぞれのニーズの特徴というものを整理した視点になっています。
こういった選ぶ側のわかりやすさの表現形としてマークがあり、つくる側の質の表現形として「健康な食事」に合致した質を保証した料理をつくり、提供していただくためにどのような基準が必要かということになろうかと思います。
以上のことを踏まえまして、4ページの下、健康な食事の基準の特徴の(6)として「-食事を総合的にとらえる視点-」ということで整理しました。
「健康な食事」の基準は、単なる食品の組み合わせではなく「健康な食事」のとらえ方を踏まえ、食事を総合的にとらえる基準の内容とする。基準を包含する主要な要素の例ということで、これまでの御議論、それから本日、資料1としてまとめました「健康な食事」を構成する要因から切り出した5つの視点をもとに、基準が包含する主要な要素の例ということで囲んだ中に整理してみました。
まず1つ目が、季節ごとに旬の食べ物があり、気候と地形の多様性にも恵まれ、地域産物を利用できる日本において、それらの食べ物の利用を促進する。
2点目が、適切な量と質の食事とする。こちらは資料2にこうした視点からの解析手順を詳しくお示ししていますので、そちらでの御議論にお任せしたいと思いますが、基本的には主食を精製度の低い穀類にするとか、たんぱく質、脂質を適切に摂取する、また多様な野菜を十分に食べる。これらに加えて、食塩を摂りすぎないようにする、こういったイメージで、適切な量と質の食事をどのように基準として盛り込むかという要素になります。
また、これ以外に無理なく継続して食べられるよう、おいしさを保証する。また、無理なく継続して食べられるよう、手軽に入手できるようにする。こういったことも含めて適切な情報の提供を行う。こうした要素が、基準が包含する主要な要素ではないかということで整理してみました。
以上が健康な食事の基準の特徴のとらえ方と整理の案になります。
最後に5ページですが、こうした健康な食事であることが選ぶ側にわかるためのマークをどのように考えていくかという案になります。マークが持つべき特徴として大きく2つに整理してみました。
1つ目は、適切な情報としてのマークの役割として、組み合わせて食べるということがわかるということが健康な食事のマークにおいて必要な特徴ではないかという視点です。料理の組み合わせをマークとしてどのように伝えるかということの工夫で3点、例として挙げてございますが、まず1点目が、購入の際、健康な食事であることが一目でわかること。
2点目が、必要な栄養バランスを確保するための料理の組み合わせ方のヒントをマークによって得ることができること。
3点目が、料理を選ぶことで何を組み合わせたらよいかがわかること。こうしたマークの役割が料理を組み合わせて食べることを消費者の方に伝える方法としてあるのではないかという整理です。こういったことを表現するマークの例として、仮にということでイメージになればと思って整理したものが、下の表にあるマークの例1~例3までのパタンです。仮に3つの料理の組み合わせを基本とし、黄色、赤、緑を組み合わせる料理とした場合、例えば表示例のAというのが表の中の基本形、組み合わせる料理の3段目になりますが、例えば組み合わせる3つの料理のうち、1つを緑で塗って、残りを白抜きとすることで、別途選んだ料理のほかに黄色と赤の料理をそろえる必要があるということがわかるとか、あとは赤と緑の料理の組み合わせの場合には、表示例B、今の表示例Aの下、マーク例1の下に注釈をつけていますが、Bのように2つを赤と緑で塗り、残りを白抜きとすることで別途黄色の料理をそろえることがわかるなど、選んだ食事以外にどういった料理を取りそろえたら健康な食事として完成するのかというのがわかるようなマークの工夫が必要ではないかということで、マーク例としてお示ししています。
マーク例の2と3は、いろいろなデザインがあり、伝えやすさ、それから、理解のしやすさには工夫が必要ではないかということで、マークの例1、例2、例3ということでお示ししてみました。
また、健康な食事のマークの2点目が、おいしさや楽しみといったものを適切な情報としてマークがどのように表現できるかという点です。料理に付与したおいしさや楽しみを何らかの形であらわす方法はないかという視点です。
この視点は料理の組み合わせとともに、食事の質に関する部分の情報をどう付与するかということで、その付与の仕方については、事務局側のイメージとしてはここまでだったのですが、食事においしさやたのしみを付与する方法として気候・風土と結びついた旬の食材や地域産物をしようした場合、それらの情報が例えばマークの下部に旬の食材や地域産物を利用した旨を表現するなど、消費者が見てわかるような形でおいしさや楽しみというのを健康な食事に付与する方法としてマークの工夫がないかということです。
表現方法についてはいろいろ工夫ができると思いますので、検討会で御議論いただければと思います。
マークの特徴については、大きく組み合わせて食べることがわかること、おいしさや楽しみをあらわす方法ということで2つの視点で特徴を整理してみました。
組み合わせに関しては、どれが欠けているかも含め組み合わせがわかることがマークの役割として必要ではないかという視点に立って整理しているものでございます。
資料1に関する説明は以上になります。御議論よろしくお願いいたします。
○中村座長 ありがとうございました。
では、今説明いただいた部分で御議論をお願いいたします。具体的な基準の策定手順については後ほど議論したいと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ。
○高戸構成員 1ページ目にあります基本的な考え方のところで、この策定に当たって、前回、前々回あたりですか、給食と外食が対象外という印象を受けています。また、今回の資料に示されている狙いにつきましても、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、宅配等での手軽に購入できる料理というのが中心となって議論されるかと思うのですが、この資料を見る限りにおいては、外食や給食で組み合わせや選び方について、啓発としての支援等々の役割はかなり果せるのではないかと思っております。やはり、外食あるいは給食は、この策定の基準の中に含まれないと考えたほうがよろしいのでしょうか。
○中村座長 いかがでしょうか。御意見はございますか。
どうぞ。
○宇野構成員 このマークをいかに認知させていくか、広めていくかというところでは、外食や給食の果たせる役割は非常に大きいと考えています。特に、健康な食事という定義で定食スタイルのものを推進していったりとか、給食ですと継続的に提供するというところでも役割は大きいので、先ほどの特徴の(2)のところで、継続的に召し上がっていただくというところで、宅配食だけではなくて外食とか給食のところも対象にしていただければとも考えます。
今、タニタ食堂でも全国6店舗あって、1日1,500食出ているのですが、今年度中にも数を拡大していく予定もありますので、そういったところで御協力できればとも考えています。
○中村座長 ほかにございますか。
どうぞ。
○藤島構成員 私、マークをつけるといいますか、そういった意味で適切な情報を提供するということには賛成なのですけれども、マークをつけるときに、例えばパックに入っていて1人前ですよというのならばマークをつけやすいような感じがするのですけれども、そうではないような場合、例えばはかり売りなどの場合、どういうふうに考えられるのか。あるいは仮にパックに入っていたとしても、数量が必ずしも1人前とは限らないわけですから、そういったときにはどうするのか、その辺のところが気になるところなのです。
○中村座長 いかがでしょうか。それに対して何か御意見ございますか。
どうぞ。
○武見構成員 まず、前半の外食とか給食のことについて意見を申し上げたいのですけれども、こういう考え方とかマークを整理したら、やはりそれが広く社会で認知されていくということがすごく大事だと思うのです。広く認知されることによって、またいろいろな企業であったり、事業者さんが参画してくれるという仕組みが回っていくので、そういう意味では、やはり外食や給食、当然合致するものがあると思いますので、ぜひ含めるのがよいかなと私も思います。
今、藤島構成員から出た御意見のところに関しては、これはこれから多分詳細に説明される、基準がどの単位で考えられるかというあたりのことと関係してくるのかなと思うので、多分この検討会として、対象とする食品とか料理、要するに食物の範囲はどういう範囲で、それはどの単位でといいうことを議論する必要があるということの御意見かなと思うので、多分後半の基準の話とかを聞いてからのほうがもっと議論が深まるのではと思いました。
○中村座長 ありがとうございました。
田中構成員、どうぞ。
○田中(延)構成員 外食については、このマークをつけるとかつけないとかということはわからないのですけれども、給食に関しては、継続的に対象者の健康を管理するという意味で給食を提供しているということからすると、基本的にバランスのとれた献立を提供していくということが当たり前のことなので、マークをつける必要はないと思っています。
あと、献立も日々毎日違うわけですから、その献立にいちいちこのマークをつけるというのも、認証していただくというのも非常に適さないなと考えます。
○中村座長 逆にマークがつかなかったメニューに関しては困りますよね。
○田中(延)構成員 そういうメニューを出しては困りますね。
○中村座長 栄養士がつくっているのですからね。
佐々木先生、どうぞ。
○佐々木構成員 利用者の観点から見ますと、コンビニエンスストアやスーパーマーケットや宅配のものにマークがつく可能性がある。その一方で、給食施設や外で食べるものにはマークがつかないとなると、供給側の視点ではなく、利用者の視点から見ますと、何かコンビニで買うほうがいいのではないかという、給食施設よりもとなると、それはまた問題かなと。それよりも、今後、恐らく議論し、その可能性や問題点、課題を挙げて、その解決策を見出していくのだろうと思うのですけれども、できるだけ給食や外食も含めた形で一応議論を進めてみて、そして、それが実際にどういうよい面と悪い面を持っているのか客観的にデータを出しながら議論していくというのはいかがでしょうか。そうあるべき論というのはできるだけ避けて、よい面と悪い面、両方たくさんあると思いますので、まずはここに給食と外食を一応残しておくというのはどうかと思いました。
○中村座長 ありがとうございました。
どうぞ。
○鈴木構成員 済みません、唯一のコンビニの者でこんにちはしているのですけれども、やはりコンビニ、スーパーだけではなくて、多分ムーブメントとして、広く国民の一人一人になるべくいろいろな機会でタッチしていただくということが、すごく最初の取っかかりとして、みんなでやっていくのだ、コンビニだけでやっていることとかスーパーだけでやっていることではなくて、お客様というか、自分が食べるときにどういう選択をするときにでも健康な食事というものを選べる状況が生まれるということが、まずベースができるということが重要なのかなと思うので、私もいろいろなやり方は多分議論する必要があるとは思うのですけれども、外食やいろいろなタッチポイントでこういうことという考え方を浸透していくには、本当に給食さんは全部につくのだろうと思うのですけれども、あとは外食とか、本当にいろいろなところで、例えばハレの日の外食でもあってもいいと思うのです。こういうマークがあるメニューですよでもいいと思いますし、そういうことをまずはタッチポイントを広げていくというところがポイントになるのかなと感じます。
○中村座長 ありがとうございました。
ほかにございますか。
どうぞ。
○田村構成員 今まで「健康な食事」というのがテーマでもちろんあるのですけれども、この中に運動するとか、そういう体を動かすというような文言がほとんど入っていないというのが1つ気になったところです。
最近読んだ記事で、ここにも書いてありますけれども、適正なきちっとした情報源というものが今物すごく錯綜している。それから、本当にそうなのかなと。これを食べれば絶対痩せるとか、いろいろテレビでも芸能人を使ってだのいろいろありまして、私もそれに乗って何回も失敗しているのが現状です。やはり最終的に魔法の食べ物はない、食べたら太るというのが絶対です。だから、空気を吸って最近太ってきてしまったのかなと、時々自分でも自分の体重を見てびっくりするときがあるのですが、よく考えてみると、食べたり飲んだりしているというのが現状です。
なので、やはりそういうどこまでが本当でどこまでがうそというか偽りなのかというようなことも、適正に線引きをして、マスメディアなどとともにやっていかなければいけないことも多いのではないかなと思います。例えば毎日朝千何百キロカロリー食べていた大きな女性の歌手が、バナナを朝食べたら何キロ痩せたという情報が入ると、みんなバナナをわっと買ってバナナが市場から消えたことがあったのです。寒天を食べたら痩せるといって寒天がわっと消えたことがありました。それは一時の話なのですが、全部成分を調べると、バナナで痩せるという成分はほとんど入っていない。寒天で痩せるというのは、寒天でおなかがいっぱいになったという印象があるので次のものが入らないということだけであって、全てにおいて一人一人の考え方が健康な食事につながるかどうかということは非常に疑問であって、この健康な食事の中には適切な運動をするとかということも大事な項目に入れるべきではないかと思いました。
○中村座長 ありがとうございました。
正しい情報を普及するためにも認証制度というのは必要なのではないかなと思います。ちなみにバナナで痩せるというのは、あれはやつれると言うらしいです。栄養失調になるということと痩せるということは違うということです。
○田村構成員 そんなバナナ話はないという。
○中村座長 ほかにございますか。
なければ、次にいっても構わないですか。大体今、対象にレストランとか外食も入れるという方向で検討するということには合意が得られたのではないかなと思います。
どうぞ。
○鈴木構成員 この策定の狙いのところに書いてある手軽に購入できる料理とあると思うのですけれども、それの対象範囲というのはここでするのですか。それとも次でしょうか。
○中村座長 どこですか。
○鈴木構成員 1ページの基本的考え方、ポイント、狙いと矢印がぴぴっと来て、3個目の箱の中に、手軽に購入できる料理にマークをつけることで環境整備を図るということになっていると思うのですけれども、その料理に多分マークや何やらをつけて自己認証していくという話になると思うのですけれども、この料理というものの対象範囲、弁当、総菜以外にも含めるのか、含めないのかとか、どこまで基準を決めるのか決めないのかという範囲というのは、決めるのか決めないのかとかはここで話すべきことなのかがわからなくてあれなのです。
○中村座長 また後半に話すことになると思います。
いいでしょうか。では、資料1に関しては皆さん合意が得られたと解釈して。
どうぞ。
○田中(延)構成員 4ページの一番下の枠の中の2つのところに「適切な料と質の食事とする」ところの3つ目のポツの「多様な野菜」というのは何を想定しているのですか。多種類なのか、「多様な野菜」は何なのだろうと私はずっとひっかかり続けて資料を読んでいたのです。想定しているのは何なのかなと。例えば緑黄色野菜とかの芋類とか「類」のことですか。
○中村座長 いろいろな野菜。
○田中(延)構成員 いろいろな野菜だったら多種類ではないですか。
○中村座長 多種多量にしたら両方含まれる。
○河野栄養指導室長 資料2の御説明もお聞きいただいた後、御議論いただいたほうがよろしいかと思います。
○中村座長 では、その後にしましょう。
引き続きまして、佐々木構成員から、資料2の健康の維持・増進に必要な栄養のバランスの確保からみた健康な食事の基準の構成を考えた解析手順について御説明願います。なお、佐々木構成員は、本基準の科学的根拠に用いている日本人の食事摂取基準2015年版の策定ワーキンググループの座長を務めていらっしゃる先生でございます。よろしくお願いいたします。
○佐々木構成員 では、佐々木から資料2を説明させていただきます。
「健康の維持・増進に必要とされる栄養バランスの確保からみた解析手順(案)」であります。どのように解析をしているかということになります。
先ほど資料1のほうで事務局側から御説明をいただいた中の2ページ目に、適切な量と質の食事とする。点が3つございまして、4つ目に食塩を摂り過ぎないようにする、資料2を参照とあります。
ここから入りたいのですけれども、入りたくないです。どういうことかと申しますと、これありきではないということです。おわかりでしょうか。最初から主食を精製度の低い穀類にするということは決まっており、たんぱく質や脂質、適切に摂取するというのはニュートラルな言葉で私はよいと思います。その一方で、多様か多種類かを置きまして、野菜を十分に食べるべきであるということは決まっていない。そして、食塩を摂り過ぎないようにするということも別に決まっているわけではないと私は理解しております。
むしろ、この適切な量と質の食事とは何だろうということを明らかにする。そして、それをここで認証制度まで落とし込んでいくということが具体的目的ではないかなと理解して解釈をしておりまして、その上で説明をさせていただきます。
1ページ目をごらんください。日本人の食事摂取基準、現行のもの、そして、来年度から用います2015年版、全てに言えることですけれども、食事摂取基準と言いながら、エネルギー並びに栄養素、現在が34種類、2015年版から33種類の栄養素に関して適切な摂取量が出されております。
その一方で、この検討会で議論すべきは、適切なエネルギーでも適切な栄養素摂取量でもないと私は考えております。それは適切な食品の摂取量である。ところが、食事摂取基準はどこまで読み進んでも食品は出てきません。栄養素で終わってしまいます。そうしますと、その食事摂取基準に書いてあるエネルギー並びに栄養素の基準を食品の種類並びに量に変換する必要がございます。ここに変換関数が入ってくるわけであります。
すなわち、幾つかの栄養素群を最適に満たす食品の摂取量を求めるということが必要になります。それが求まれば、その後はそれを組み合わせることによって料理ができ、食事ができます。また、1食にする場合は、ここでまた別のデータがさらに付加的に必要になると思いますが、食事摂取基準は1日当たり、習慣的な1日当たりが単位になっておりますので、それを1食にどのように小分けをするのかというようなこと、作業が生じるというように考えられます。
戻りますが、日本人の食事摂取基準は、厚生労働省としては、または日本としては、唯一の栄養素、エネルギーの摂取量に関する国民のためのガイドラインであります。したがいまして、そして、相当量のレビューが行われてつくられているものでありますので、これを基本とするということはよろしいかなと私は考えます。ただし、それだけではなく、付加的な情報が必要になるとは思います。
その次に、1ページ目の下をごらんください。解析のポイント1-1です。先ほど精製度の低い穀物ありきではないとか、食塩を摂り過ぎないようにするありきではないと言いました。2つの手法で一体何をどうすべきかということを明らかにしていきたいと考えております。
1つは、平均値の比較です。すなわち、現在の日本人が食べている栄養素摂取量の平均値、それと食事摂取基準が示している望ましい食べ方、この差を見ることであります。これによって、概略、まず食品ではなく、どの栄養素に重きを置くべきなのかということが明らかになります。この時点ではどの食品に重きを置くかはわかりません。しかしながら、どの栄養素に重きを置くべきかは明らかになります。
1ページの下をごらんください。ここにエネルギー産生要素バランス、そして、プラスしてナトリウム、カリウムの目標量が左半分に、成人18歳~69歳ですが、そして、右側に国民健康栄養調査から得られました現状値、20歳以上の値が書いてございます。現状値のほうは平均値でございます。例えば一番上のたんぱく質をごらんください。目標量は13~20%エネルギーとなっております。そして、現状値は男性が14.3%、女性が14.9%エネルギーということで、たんぱく質は目標量の中におさまっている、やや下で低めではありますがおさまっていることがわかります。
次に脂質、総脂質を見ますと、目標量は20~30%エネルギー、それに対して現状値は男性が24.6、26.4ということで、目標量のちょうど真ん中くらいにうまくおさまっていることがわかります。その次に、脂質のうちの小出しされております飽和脂肪酸、これもエネルギー産生要素バランスの中に入っておりまして、目標量が7%エネルギー以下となってございます。それに対して、男性が6.5%、女性が7.2%となっておりまして、男性はかろうじてぎりぎりに入っておりますが、女性は平均値が既にこれを超えていることがわかります。ここで初めてどうすべきだ、こうすべきだという栄養素が登場したということになるわけです。このように見ていきます。
以下、炭水化物を見ますと、50~65%エネルギーという目標量に対して、現状値が61%と59%ということで、これも目標量に入っております。
というわけで、たんぱく質、総脂質、炭水化物に関しては、少なくとも国民の平均的な人たち、成人の平均的な人たちは、この3つの栄養素は目標量をうまく満たしているということがわかります。しかしながら、女性の飽和脂肪酸に関しましては、半分、恐らくは半分の人が満たせていないといいますか、摂取過多になっているという状況が見えます。
炭水化物の中の食物繊維を見ていきましょう。これはエネルギー産生栄養素バランスの中の脚注のところで示されております。そして、炭水化物のところで丁寧に記述されておりますが、目標量が男性で20g/日以上、女性で18g/日以上となっております。それに対して現状値が男性15.1、女性14.5ということで、1日当たり5gぐらい満たしていないという現状がわかります。これは先ほどの飽和脂肪酸の女性よりも目標量と現状値の乖離が大きいということがわかります。すなわち、ここで飽和脂肪酸と食物繊維、どちらの優先順位を高くするかというと、これは客観的に食物繊維の優先順位が上がるということを示しております。
ナトリウム、食塩相当量が、目標量が8g/日未満、女性では7.0g/日未満ということに対して、現状値が平均値で男性が11.3、女性が9.6ということで3g程度、1日あたり上回っているということになります。
同様にカリウムを見ますと、目標量は男性が3,000mg/日以上、女性が2,600mg/日以上に対して、男性が2,376、女性が2,211ということで、特に男性のほうで目標量を満たしていない、しかも、それが600mg以上とかなり大きな数字になっているということがわかります。こういう作業をほかの栄養素に関してもいたしまして、まず、どの栄養素が現在の日本人において健康でないのかということの作業をすべきというように考えます。
2ページでございます。平成24年の国民健康・栄養調査のデータを用いまして、幾つかの栄養素に関して食品群別の摂取源、その摂取割合をグラフ化いたしました。このように、ある1つの食品を食べていれば全ての栄養素が満たせるということは当然ないわけで、魔法の食品はないということを如実にあらわしております。したがって、何かを食べれば栄養素Aにはよいが、栄養素Bには悪い。または、栄養素Aにはよいが、栄養素Bには寄与しないということが生まれます。そして、この検討会における目的は、この横棒グラフの左側のエネルギーからたんぱく質、脂質、これをうまく食事摂取基準に満たすことですが、目的は右側の食品群の、少なくとも右側の食品群を何グラムずつ私たちは習慣的に1日当たり食べたらよいのかということを決めねばなりません。
繰り返しますが、栄養素の量は食事摂取基準で範囲が決まっているわけですが、それに対して私たちの仕事は、右側の食品群を何gにすればよいのかということを決めることになります。1食にするのかとか、その惣菜の一部を分けるのかというのは、全てがその後の作業になると考えます。
そして、下にいってください。これは同じく国民健康・栄養調査におけるBMIの日本人の分布を表にしたものであります。数字がたくさんございましてやや見にくいのですけれども、何を言いたいかといいますと、全ての人がエネルギーを減らせばよいというわけではないという複雑な状況です。具体的に少しだけ例を挙げてみたいと思います。
左側の年齢階級をごらんください。18~49歳です。その右の男性と女性をごらんください。そして、それをずっと右側まで目を引っ張っていって、上のBMIが25.0から27.4のところの男性と女性の数値をごらんください。男性が15.7%、女性が8.1%となっております。そして、BMI27.5以上まで含めますと、男性が29.7%、女性が14.5%となっております。これは何を示しているかといいますと、この年齢階級においては、BMIが25.0を超える、これは日本人の摂取基準において好ましくないとしている、望ましくないとしているBMIでございますが、それがほぼ倍ぐらい、男性のほうに問題がある。要するに、問題に男女差があるということを示しております。これは50~69歳においても同様でございます。
その次、70歳以上をごらんください。70歳以上の1つだけ、女性を見ていただきたいのです。一番下の行の数字をごらんください。そして、70歳以上女性の一番左の数字をごらんください。35.8という数字がございます。これはBMIが21.5よりも細い、痩せている人たちの割合を示しております。その一方で、一番右をごらんください。26.1という数字が見つかります。これはBMIが25.0を超えている人たちの割合でございます。食事摂取基準2015年版では、ともにそれぞれを痩せすぎ、太りすぎとしております。そうしますと、70歳以上女性に関しましては、どちらが多いかというのは、この表が示しているとおりでございまして、痩せ過ぎの人のほうが多いということになるわけでございます。すなわち、全ての人にヘルシーと言いながら、エネルギーを下げればよいというものではないということをこの表は示しております。
次のページをごらんください。このエネルギーに関しては非常に難しいのですが、時間がありましたら議論の途中でも出したいと思います。
栄養素に進んでいきたいと思います。3ページの上をごらんください。その食事摂取基準2015年版をもとに、一体何が大切なのかということを先ほどの方法を用いまして、どの栄養素が大切なのかということを抽出します。ここに書いてございますたんぱく質、脂質の適切な摂取はそうだろうと私は思います。
その次、恐らくは先ほどの1ページの下の表から考えて食物繊維は上がってくるだろうとか、カリウムは上がるであろうとか、要するにこの文章中に上がるだろうと、食塩の過剰摂取も文章中に上がるだろうと。そして、エネルギーに関しましては、この括弧書きにありますように、適正な体重を維持するように努めてほしい。実は、食事摂取基準2015年版、お読みになった先生方はおわかりのように、適切なエネルギー摂取量を示しておりません。何キロカロリー食べなさいというのを直接は示しておりません。このように体重を維持してほしいということを食事摂取基準は示しております。
したがって、上の4つは栄養素の数字として出てきますが、5つ目はエネルギー何Kcalというのは実は直接には出ない。その一方で、体重に関しては直接に食事摂取基準を参照するだけで出てまいります。
さて、その栄養素が、例えばここでたんぱく質や食物繊維やカリウムや食塩というものが上がったとしましょう。では、どの食品を食べるかです。そこで解析ポイント2に行きます。ここで3×3のブロックを組んでみました。横の列、これが栄養素の列であります。栄養素N1、栄養素N2、栄養素N3、それぞれの栄養素に目標量なり推奨量なりがついております。そして、望ましい範囲が決められております。
縦、これは行です。行に食品群が入ります。食品群F1、食品群F2、食品群F3です。どういう作業をするかといいますと、例えばここではN1~N3までの栄養素が全て食事摂取基準に記述されている望ましい範囲に入るように、F1~F3を組み合わせて食べればよいということになります。
ところが、これは少しだけでも連立方程式を知っていればおわかりのように、この連立方程式には解が無限にございます。または解がございません。どちらかです。解が1に決まることはございません。そこが問題になるわけであります。
もう少し、これを具体的なイメージでお見せしたいと思います。4ページの上をごらんください。実際にはN1~N3で終わらずにNは33まで理論的にはあるわけですけれども、その中で重要なもの、先ほどの平均値を見ることによって重要なものが取り出され、幾つかに絞れるかと思います。ここでは思い切って簡単なシナリオとしまして、カリウム、食塩、たんぱく質に絞り、女性の18歳から69歳に絞ってみました。そうすると、ここに書きましたような数値が食事摂取基準で挙げられていることがわかります。これを満たすように、例えば野菜と魚介類をどう食べるかです。野菜を食べますとカリウムを摂取できます。たんぱく質はほとんどとれません。したがって、野菜は深緑でたんぱく質は白になるわけです。
野菜には食塩はもともとほとんど入っておりませんが、それを生野菜だけ食べるのではなく、何らかの調理をし、野菜料理にすることにより食塩が入ってまいります。そのために薄黄緑色をつけてみました。
そして、魚介類を食べますとカリウムが入ってまいります。魚介類は魚介類そのものの中にも食塩が入っておりますし、加工段階で食塩が加えられ、さらに調理段階で食塩が加えられることもあります。また、魚介類がたんぱく質を含んでいるというのは周知のことでございます。そこで、どの青を濃くするか悩んだのですけれども、結局ほとんど同じ色にしましてこうなります。
そうすると、このカリウムを2,600mg/日以上とって、食塩を7g/日当たりまでにして、たんぱく質を13~20%エネルギーにするために、野菜と魚介類をそれぞれ何gとるとよいのかということが決まるように見えますが、無限に解があるので決まりません。そこで、これを次の仮定を置くと決めることが時々可能になります。どんな仮定かといいますと、まず現在の摂取量を最小範囲にしか変えないという仮定でございます。そうすると、まずスターティングポイントができますので、そこからできるだけ離れないようにしながら、何回も解を求めて、もっとも両者、この場合は野菜類と魚介類の摂取量が現状値に最も近い値を出すことができます。その現状値というのは、この例で申せば、女性の18歳~69歳の実際に食べている野菜摂取重量であり、魚介類摂取重量ということになります。こういうことでございます。これは線型計画法のうちの最適化法というものを用いた1つの例でございまして、工学分野ではよく用いられる方法のかなり簡便なものを最近栄養政策に用いるということが諸外国で進んでまいりました。それを活用してみようかなと考えたものでございます。
4ページの下をごらんください。これは実際のフランスで行われた例でございます。貧窮層への食料援助、フードエイドを、現在行っているフードエイドの食品構成をできるだけ変えずに、かつフランスの食事摂取基準にうまく満たすようにとして連立方程式を解いてみたという事例でございます。ここでは左側のEU donationとありますが、これが現状のエイドから得られる栄養素量でございます。それをエイドの中のそれぞれの食品群の変化をできるだけ少なくして、そして、ここに書かれている栄養素を最もうまくフランスの食事摂取基準を満たすようにつくるというわけでございます。最適化後と書いてあります。
その結果、食品群の摂取量はどうなったかといいますと、これが右のグラフになります。実はこの研究ではdonation、エイドのほうは2種類を用いておりまして、まっ白い棒グラフと灰色の棒グラフ、これがdonationで現状値でございます。2つの仕組みがあるようでございました。そしてフランスの食事摂取の基準を放り込みまして、できるだけ現在のエイドの食品群供給量を変えずにつくったのが黒のバーでございます。そうすると、この黒のバーが最も現状値に近く、そして、最も食事摂取基準を満たすという、両方をパーフェクトにではなく、部分的になのですけれども、両方を最も満たすという意味で最適化ということになります。
このグラフを見ていただきますと、肉類はほとんど変えなくてもよいこと。その一方で、果物類を相当量ふやさなければならないこと。そして、乳類をかなり減らさねばならないことということが主にわかります。これは、とても客観的な方法でありまして、あらかじめ最初に私は申しましたが、こうするべきと、何々は食べるべきというものは一切入れずに、純粋数学的にまず解いてみるという方法でございます。恐らく純粋数学的に解いた後で、いろいろな政策意図や現状のこと、ほかの文化の問題、いろいろな問題を入れて修正を加えるのが正しいだろうと私自身は思っておりますが、最初はこのような客観的手法で解を求めてみるというのは、ある1つのものに捉えてほかのことを見逃すということが確率的に少なくなりますので、各国で試みられているというようでございます。
次のページにお進みください。5ページの上が今後求めたいイメージでありまして、現在の摂取実態があります。穀類がこうなっています、野菜類がこうなっています。その穀類の中、野菜類の中に中項目並びに小項目を置きまして、理想的には大項目、中項目、小項目ぐらいで分けて解を求めていくというようでございます。そして、そのそれぞれに関して最適値が求まるということになります。こうすることによりまして、現在の日本人の食事の実態に合わせながら、国民として目指したい食事摂取基準の各栄養素に最も近づけるということになります。
解析のポイントです。繰り返しになりますけれども、摂取実態のデータは必要になります。これはそれぞれの研究グループが収集していますデータを使うという手もありますし、または国民全体でありましたら、国民健康・栄養調査の結果。結果というのはデータそのものが必要になってくるのですけれども、そういうものをもとに解析し、最適解を得ることができるかなと考えております。
しかしながら、これまでいろいろな方法が各国で提案されておりまして、どの重量単位を用いるかとか、価格を用いるかとか、いろいろな方法がございます。価格を入れるという方法も実は提案されているのですけれども、幾つかの方法を試み、算出をし、その数値を見ながら決めていく必要があるだろうと思います。
あわせて、以下のような点についても日本人の摂取実態や関連研究をもとに検討すべき。これは検討すべきという課題でありまして、ここまでいっても朝と昼と夕、どの食事だというように切り分けることはできません。しかしながら、朝食に何をどれぐらい食べているというデータがあれば、そのような小分けした解析も理論的には可能になります。
性差や年齢差をどうするか。これは先ほど女性の18歳~69歳だけ挙げてモデルをつくってみましたが、このように、ある特定の性、年齢の群を取り出して解析することもでき、性差や年齢差ということの検討も理論的には可能でございます。
間食からの摂取量と書いておきましたが、これは実はかなり難しい課題であります。解析途中で考えていくことになるかもしれません。
次のページをごらんください。そうしまして、1日当たりが出たものを1食当たりの食品群に分けていく。そして、それを食事パタンとして枠を組んで、恐らく整理をしていくのであろうと考えます。しかしながら、この最適化法においては、この後はまだ最適化法の役目ではございませんで、1食にしたり、それから、何かを小出しにしたりというのは、また別の手法を用いて行っていくことになります。
そして、食事パタンが6ページの真ん中でございますが、1食当たりが出ますと、次にI、II、IIIというようなものに分けることができるだろうと。例えば一番左は、食物繊維、ここではあくまでも仮定です。これが出たらという意味ですけれども、食物繊維の摂取量をふやしたいと、またはふやせますよという食品を挙げる。
2番目がたんぱく質や脂質がうまくとれますよという食品を挙げる。
3番目はビタミン類やカリウムなど、そういうものがうまくとれるという食品類を挙げるというように分けることができるのではないかと考えます。そして、同時にエネルギーといいますか、体重を保つ、そして、脂質、それから飽和脂肪酸、食塩などの過剰な摂取がうまく避けられるようなモデルをつくっていくということになろうかと思います。
その図がそのまま下に移動しまして、食品群の連立方程式を解いた後、恐らくは食物繊維という名前は消えまして、食品群小項目になるかもしれませんが、なるであろうと。例えば小項目になりますと穀類の中の精製度の低い穀類というような文言になるのかもしれません。そして、それがどれぐらいの重量含まれていることというような定義が与えられるかもしれません。
同様に、IIの場合は、魚介類や肉類や卵料理などがその主材料となる主菜、そういうものが一部主菜以外も含まれるかもしれませんが、そういうものがここに入ってくるだろう。
IIIは、ここに書きましたように、野菜類などのようなものが入ってくるのではないかと考えられますが、これもあくまでも方程式を解いてみないとわからないということになります。
以上なのですけれども、ここで強調しておかねばならないことがあります。最初は、あくまでも客観的、数学的にこのような数字を算出してみんなで見てみる必要があるだろうということを提案したいことです。最初からこういうふうに食べましょうと言うべきではないだろうと。せっかく食事摂取基準というものが厚生労働省から出ておりますので、その栄養素を何とか客観的に、そして公平に食品群のほうに変換したいと考えてこのような提案をさせていただきました。
あわせまして、食事摂取基準は習慣的な摂取量の値であります。すなわちケの料理が対象であって、ハレの料理は対象ではございません。したがって、今回使うべきデータも、ハレの食事をした日ではなくて、集団としてはほとんどがケの料理を食べているというようなデータを扱い、それに基づいて数値化すべきだろうというのが大切だろうと私は考えております。
以上です。
○中村座長 ありがとうございました。
では、今の佐々木構成員の御説明に関して、御意見ございますか。
どうぞ。
○幣構成員 佐々木先生、どうも非常に詳しい情報をわかりやすく御説明いただいて有難うございます。1つだけ私自身理解できない部分がありまして、これからのディスカッションになる部分かもしれないのですが、例えば、食事摂取基準の中での年代や性別などから得られる「日本人全体としての食品摂取状況に関する情報」。さらに、個人レベルでの「食品を購入するという立ち位置での情報」、そして、冒頭にありました「マーク」という限定された3つぐらいの要素で見た場合、この3者の関係が非常に複雑なやりとりを必要とするのではないかと考えます。そこで、どう単純にしてあげるべきかというのが今のご報告内容からは見えて来なかったもので、もし佐々木先生の想定の中で、マークまで一歩踏み込んだ何かの例題的なものをお示しいただくとこの話がすごくわかりやすくなるのではないかと思ったのですが、今のお話はすごく私自身個人的にはよくわかりましたし、ここから個人やマークと結びつけていくための何か取っかかりみたいなものを少し御説明いただけると非常に助かります。
○中村座長 佐々木先生、どうぞ。
○佐々木構成員 そんな難しい質問をいきなりしないでください。例えばこの最適化法を用いますと、精製済み穀類を何g食べ、未精製の穀類を何g食べ、芋類を何g食べ、大豆類を何g食べ点々というふうに食べると食事摂取基準がこのように満たすことができますというものが出てきます。そこで例えば主食を食べるときに、精製済み穀類を何g食べ、未精製の穀類を何g食べるといいのかなということがわかるわけです。
そうすると、先ほどの事務局の御説明の最後のほうにあった組み合わせの部分の1つの部分に主食というようなブロックをつくるのであれば、そこのところに、その精製済み穀類の重量と未精製重量の重量比とか、そういうものが出て、そして、その重量比を満たすものにマークをつける、認証を与えるというようなことが可能かなと思います。しかしながら、それが1食なのか、1日かというような問題は別にクリアするひつようがあります。
具体例としましては、ほかの国の栄養成分表示になりますが、デイリー・パーセント・バリューというのがありますね。したがって、これは構成比としてはいいが、1日量としては何パーセントにしか満たないとか、そうすると、その2つの縛りをつけることによって、例えば1日のうち1食分として、これを食べればその理想的な食品構成のうちの1食分は賄えるとか、そういうようなイメージになるのではないかなと考えます。
その手順はかなり複雑ですけれども、最終的に消費者さんの手に届くときには、消費者さんは先ほどの事務局が見せてくださったパネルとかブロックとかのうちの1個をぱっとつかんでその食事、だけれども、ほかのパネルはないよねと、だから、それもくっつけてお昼ご飯を食べたいなとかというところに行って、そして、そのパネルが3食そろうと、ここの方程式で解いた解になるというモデルがつくれないかなと考えています。
まだ概念的です。済みません。
○中村座長 どうぞ。
○渡邊構成員 佐々木先生のご発表はとても理解できおもしろいなと思いました。佐々木先生が、この後いろいろ検討してとおっしゃった中には、多分各病院とか学校でつくっている食料構成と比べると、かなり近いものも出てくるのではないかなと思うのです。実際はそういったものも現状に合っているというものなので、佐々木先生が計算してくださった結果と、そういった実際今お使いになっているものとか、私どもが作っている食料構成も食事摂取基準を元につくっていますので、そういうものと合ってくるのではないかなと思います。
マークのことについては、先ほど藤島構成員からも御質問がありましたけれども、私も例えばエネルギー当たりこうですよとか、何か基準がないと選ぶのが難しいなと思います。そこで、今回のお話の中でも、エネルギー当たりで食物繊維を示す等がありましたので、そういったような記載になるととても選択しやすいのではないかなと思いました。ありがとうございました。
○中村座長 どうぞ。
○幣構成員 例えば私のイメージですが、先生が先ほどのマークのところと概念的に違ういろいろな色でお示しいただきました。例えば1例ですが、事務局から御提案いただいた3つのマークで示しますと、黄色の主食のところの、黄色という1色で考えるのではなく、例えば食物繊維が多いものは色を濃く表したりしてはどうかと考えました。また、それぞれの年代やそれぞれの個人がとるべきものの対象が違ってきたというお話をいただいて非常におもしろく感じているので、マークがさらにふえるというよりは、それぞれの色の濃度で表すことが効率的ではと思っています。ただ、それが一般の人にそういう理解をして貰えるのか、複雑にすればするほど混乱してしまうことも考えられますので、このマークでいくと単純に主食がないという方は主食を足しましょう!というイメージで簡単にイメージできるのですが、そこに個人とか年代とか性別まで入れていくと、非常にマークがややこしくなかって組み合わせがさらに複雑になりそうで、どうこのマークを展開すれば良いのかを考えてみましたのでご質問させていただきました。
○中村座長 どうぞ。
○藤谷構成員 同感です。たんぱく質であればIIにしかほぼ入っていないのでIIで賄うということで単純です。でも、食物繊維はIにもIIIにも入っているわけなので、食物繊維の少ないIと食物繊維の多いIIIを組み合わせれば、結果としては食物繊維は足りることになります。しかしこの会では、もともとは、Iである程度食物繊維を摂り、IIIでもこのぐらい摂り、というような趣旨であったと思います。例えば食塩もIIで多めに食塩が入ってしまったときにIIIで少なくすれば、I、II、IIIを足せばバランスがとれるのですけれども、それぞれでもある程度の基準がいるのかどうか、そのあたりをどういうふうに扱っていくかということが問題になってくるのではないかなと思いました。
もう1つ、佐々木先生にお伺いしたいのは、今回は1日の目標値の3分の1を狙うというようなつもりでよくて、例えばほかの2食が現状値で食物繊維が少ないから今回の健康なところでは目標値の三分の一よりもさらに多めに摂ろうかというような形ではなくていいのですね。是正するための健康な食ではなく、3分の1としての健康な食で。
○佐々木構成員 3分の1かどうかもわからないのではないでしょうか。それもデータを見ないと解けないと思うのです。恐らく私たちは3分の1ずつ食べていない。では、どの数字を食べているのかデータを見ていない。データを見ればわかるのではないかと思います。
そして、ありがたいことにといいますか、食事摂取基準で決めているのは、脂質のように範囲があるものがありますが、それでも範囲はかなり広くとってあります。それから、カリウムのように、上限を決めずに、もう多いのはいっぱいと言っているのもあるし、食塩のように加減を決めずに少ないのはもうできるだけ少ないほうがいいよと言っているのがあります。すなわち、個々の栄養素はかなり幅が広くとってございます。したがって、1足す1足す1イコール3というイメージではなくて、1以上、1以上、1以上足してというイメージで、だから、1食のところで1以上でよいのを食べたら、そこで一安心というような、普及のためにはそういうもののほうが私はよいのではないかなと。その一方で、それだけ食べたらいいよというのではなくて、やはりマークを出すときに、むしろ色がついていないマークがあるという、抜けているよ、ここというのを示すようなマーク表示というのが重要かなと考えています。これはあくまでも個人的です。
○中村座長 ほかにございますか。
どうぞ。
○武見構成員 すごくわかりやすい御説明、ありがとうございました。今、先生がおっしゃったことと関連するのですけれども、多分食物繊維でいえばIとかIIIでもとれるけれども、そこに先ほど先生がおっしゃった無限の解があるという意味ですね。それが結局どういうとり方をするのが現状に照らしてというところでは、それは恐らく現在食べている摂取量の問題もあると思うのですけれども、そこに今まで日本人が食べてきた、先ほどの前半のほうの説明でいうと、日本の食文化のよさというか、食べてきた歴史とか、そういうことしも含めて最後は数字で出てきたものをどうよい解にするかということをやろうという御提案と理解していいわけですね。
○佐々木構成員 そのとおりです。現状を入れて、そして、食事摂取基準と比べて、現状を最も変えない解を求めるということがこの方法のみそでありまして、それは現在の日本の食文化をできるだけ温存したいという気持ちをその数式に込めたいという目的です。
○中村座長 どうぞ。
○高田構成員 食事摂取基準が栄養素単位であったことに関して食品群が示されるというのは非常に意義があるなと思っています。先ほどから質問に出ているように、最初のマークの案でいくと、余り量的なことがまだ見えない状態で、あくまでも組み合わせのバランスだけを重視している感じがするのですけれども、これをどんどん精密にしていって、例えば朝昼夜のバランスは確かに絶対に3分の1ではないとすると、どれをターゲットにするかとか、何歳ぐらいをターゲットにするかというのがどんどん細かくなると、昼には合うけれども、夜には合わないみたいなバランスになったりとか、この年代の人には3つバランスは合うのだけれども、子供には合わないとか、あまりにも量の規定をすごく突き詰めていくことで非常に示し方が複雑にならないのかなというのを、ここまでは非常に理解ができたのですが、それを非常にシンプルな基準にしていくときにどうなのかなというのがまだ自分でイメージがつかないのですが、何か先生少しこんな感じになるのではないかというのがおありでしょうか。
○佐々木構成員 もうそれは非常に私が恐れていることでして、できるだけこういうことは余り手をつけたくないのです。ただ、この最適化法の大きな弱点がございまして、今回、その弱点を長所に変えてしまおうと考えているのですが、弱点というのは、この方程式を解いても幅が出ないということなのです。不思議なことに、元の栄養素のほうには幅があるのです。そして、摂取のほうにも個人があり、個人のデータをそのまま放り込みますので摂取量のほうにも分布幅があるのです。両方とも幅があるのです。ところが、出てきた解には幅がないのです。そういう解き方なのです。したがって、野菜ならば野菜が何百何十何gとぽんと出てくるのです。幅がないのです。
そこで、今、先生がおっしゃったように、男と女を分けるとか、年齢階級を分けるとか、食事を朝昼夜と食べる、分けてよいのかどうか私は理論的にまだ頭の中が整理できていないのですけれども、そういうふうに分けると、全て異なる解が得られます。そうすると、その解に分布ができます。おわかりでしょう。野菜なら野菜にその解ごと、解析集団ごとに少しずつ異なった数字が出てくるわけです。そして、その解の分布を見て、そして最も国民にとって益となるであろうとか、それから、公益性を考えて理解しやすいとかというようなところの数字をそこから選ぶ、そこが恣意的にならざるを得ないかなと思います。
そういう複数集団を小分けし、サブアナリシスといいますサブ解析をたくさんやることで、1つしか解が得られない方法にもかかわらずたくさんの方程式を解くことによって、解そのものに分布が与えられるということを今回利用してみようかなとちらっと考えています。まだイメージだけです。
○中村座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○武見構成員 今の高田構成員のお話は、子供という言葉が出たのですけれども、この資料は先生のを拝見する限りは、食事摂取基準でいう18歳以上というところでまずはやってみるという考え方ということですか。
○佐々木構成員 理論的には小児もできます。ただ、小児は御存じのように、食事摂取基準が年齢階級別に細かく数字が決められています。ということは、それごとにできるだけやりたいのです。その一方で、小児に関しては、例えば国民健康・栄養調査にしても、2歳年齢階級ごとにですと、人数はかなり少なくなってしまう。さらに、データを見て使えないデータもあるでしょう。そういうものを削除していきますと、解が安定するかどうか。場合によって、解が余りに不安定で、解なしという解もあり得るという方法ですので、小児に関しては、どうなるかはわからない。
その一方で、小児に関しては、安定した解が得られるだけの制度と人数を持った食事のデータは我が国では存在しないのではないかなという気がします。具体的に小児のところがどうなのかわかりませんが、もちろん安定しなかったとしても、一人一人にサブジェクト、対象者一人一人に現状の摂取量とその人にとっての食事摂取基準を当てることが理論的には可能なのです。ただ、相当に方程式は難しくなるのですけれども、なので、そういう方法で解くこともできるかもしれません。かもしれませんというのは、責任を回避しているという意味なのですけれども、そういう方法もあり得るということです。
○中村座長 ほかに御質問。
藤島構成員、どうぞ。
○藤島構成員 大変貴重なお話で、勉強になりました。素人の質問で申しわけないのですけれども、解を出させるには時間的というか労力的にどのくらいかかるのかということと、あとは、これはどこか特定のところでやらなければならないのか、それとも各企業でこういうことというのはできるものなのか、そのあたりも教えていただけると大変参考になります。
○佐々木構成員 これは実はたくさんの作業が発生するものでございまして、かなりの時間がかかるだろうと思います。まだ論文として受理されていないのでこの場で申し上げるべきではないとは思うのですけれども、うちの研究室で、ここ数年、この方程式の解をつくるためのプログラミングをしてまいりました。そして、私たちが収集し、保有しているデータセットを用いて、何らかの解が得られるところまで、そして、それがほぼリーズナブルな解が得られるというところまでのプログラムのブラッシュアップにほぼ成功いたしました。
それをN、人数をふやしたデータでできるかとか、ほかの年齢階級でできるかとか、諸外国のこれらの専門家の論文を読んでみますと、食品群の大、中、小項目に分けるその数が解の安定性にかなりの寄与を及ぼしておりまして、2,000近くある食品をどのようなグループ、群に分けていくのがよいのか。まず、その作業をして、それが解に影響を強く及ぼすものですので、そういう作業を数年やってきたのですけれども、それを用いて今回やってみようかなと考えます。
私が理解しているところでは、日本人でこの方法をすぐに用いられるのは、今、既に私のところにはいないのですけれども、元私のところにいました研究者が1人、そして、うちの中のプログラムを使うとそれが可能ではないかと考えます。残念ながら、今のところペーパーベースでは国内ではほかに出てきておりません。
○中村座長 ほかにございますか。
どうぞ。
○鈴木構成員 教えていただきたいのですけれども、一番最初に第1回の検討会で武見先生が提出いただいた資料の中にアメリカのフードガイドとか、あとは前回の資料の中に、スウェーデンとかノルウェーとかデンマークとかのもので、結構レス・アンド・ヘルシー・パッドとか、基準に基づいてきっと何か制定していて、1国ではなく、いろんな国の人たちがそのマークを使ったりだとか、浸透していたりだとか、アメリカのほうも何かわかりやすいマークがありますけれども、これの基準であるとかというのはどういう方法で出されているのか教えていただけないでしょうか。
○佐々木構成員 それは武見先生の資料であれば武見先生にお伺いするのが妥当ではないでしょうか。済みません。
○武見構成員 このフードガイドのマークのところはすごくシンプルにできているのですけれども、実際にはそれがそれぞれどのぐらいかというところについては、今、手元にあれなのですけれども、当然佐々木先生が示されたような食事摂取基準のこととか、あとは実態とかそういうこと。あと、もう一つ、どういう食べ方が望ましいかという、これは佐々木先生の資料にもあったような、そういうことを全部加味した結果、表示的にはわかりやすい概念としてあれが示されている。でも、1つそれというふうな決め方といえば決め方なのです。
実際には、例えば今サービングという単位は余り使わなくなってきているところもあるのですけれども、それぞれのあそこでいえばフルーツとかベジタブルにそれぞれがどのぐらいかということは、それこそ性年齢階級別に、ホームページのほうにいくと非常に細かくそこは示されています。ですから、今回つくろうとしている1つ先の基準というよりは、あの中自体は非常に複雑というか、性年齢階級別みたいな形で今言ったデータを元に全部基準がつくられて、それを個別に使えるような仕組みになっているということです。
この前、事務局から出てきたほうについては、私はわからないです。
○中村座長 ほかにございますか。
事務局、どうぞ。
○芳賀栄養指導室室長補佐 前回事務局から取り組み例ということでお出ししていて、恐らくスウェーデン等のお話なども指していると思うのですけれども、これらはマークとして何か例示という意味でお出ししていて、これらは食品の話なので、食事のマークではないです。
○中村座長 ほかにございますか。
佐々木先生、何か膨大な作業が先生のところに発生するようなことを心配しているのですが、間に合いますか。
○佐々木構成員 間に合わないときは間に合わないと言いますが、間に合わせたいと思いますが、それは努力しますとしか言いようがないですね。
ただ、ここで客観的に数式を解いていくことによって出てくる数字というのは、恐らく非常に世界的に見ても先駆的で重要ではないかと思うのです。もう最初から何々を食べるべきという話ではなくて、やはりそうだったのだというような解が得られれば、いろいろな方々に説明がしやすいですね。我々が用いるデータを最大限生かすことによって、国民に資する指針をつくるという意味では、基本に忠実な方法かなと思います。
しかしながら、恐らくほかの国も、この方法を用いてこういうフードガイドをつくれている国は実は余りないのではないか思います。これはどういうことかと申しますと、諸外国のこの最適化法を用いた論文を読んでおりますと、ある種の栄養素は余りに現実摂取量と目標量との間に乖離が大きいために、物すごく食べ変えないと、要するに摂取量を改善しないと、もう大きくドラスティックに食品の食べ方を変えないと、この栄養素の目標量を満たすことができないというような栄養素が存在することがあります。そして、諸外国におきましては、そういう栄養素がまま存在する。すなわち、あきらめざるを得ないというわけであります。
ここはチャレンジであります。日本人においてそういう栄養素が幾つ存在するのか、例外はどれぐらいあるのか、そして、それが外れ値といいますか、不可能値でありまして、その不可能値というのは現状から一体何g外れているのか、そういうことがわかると、日本の健康な食事というのは何か。もっと言いますと、その現実不可能な栄養素の数がほかの国の論文、レポートよりも少なければ、現在の日本人の食事はその国の食構成よりもよいということの客観的証明になります。それによって日本の健康な食事を証明できるのではないかと私は考えます。だから、まずは仮説を捨てて、そして、現状を見ようというわけであります。できるかどうかはわかりませんが、理論的には可能です。
○中村座長 とてもおもしろいアイデアだなと思って先ほどから聞いていたのですけれども、フランスも何か試みているのではないですか。
○佐々木構成員 フランスにこういうことを長くやっているグループが1つございます。そのグループがやっている。その人たち、それからアメリカにもございまして、アメリカのグループがやっている。そして、彼らが今度は途上国の食構成、これもフードエイドがかなり絡むのですけれども、そういうものの構成をうまく数学で解けないかと。それはちゃんとサーベイが必要なのですが、サーベイをして、そしてモデルに入れることで、最も住民さんにとって、そして経済的にも、その文化を守りつつ、食品を進められるのではないかという動きが、特にアメリカとフランスを中心にして出てきました。これは恐らく食事摂取基準が進んでいって、一時グローバル化、グローバルスタンダリゼーション、標準化が叫ばれまして、このままいくと世界中が同じものを食べるのではないかということに関してのアンチテーゼ。そして、その一方で、ヘルシーでありたいという全員の願い、この2つを満たすためにこういうモデルがつくられてきたのであろうという、そういう背景があるのだろうと私は見ています。
○中村座長 なるほど。
藤谷先生、どうぞ。
○藤谷構成員 たいへん学問的におもしろいのでお伺いしているのですけれども、例えば食物繊維について、恐らく玄米みたいなものから白米になっていたことで食物繊維が失われたような精製化という歴史があると思うのですけれども、このたび、では足りない分の食物繊維を野菜で摂るか、それとも主食をより非精製のものとすることによって食物繊維を摂るか、のところにある程度恣意的な要素というのは入ることになるのでしょうか。
○佐々木構成員 最適化法で解きますと、未精製穀物は何gと、そして野菜は何gと出てきます。それを食べることによって、また、それをそれ以上食べることによって、それ以上食べるとほかの栄養素が出っ張ってしまって困ることになりますが、それだけを食べることによって食物繊維がうまく満たされるということになります。
その次のステップは、個人並びにそのターゲットになるのは集団の自由であります。穀類を少し少なめにし、穀類からの食物繊維を少なめにしておいてといいますか、穀類そのものを少なめにしておいて野菜を多めにとろうかとか、逆に野菜を少なめにしておいて、穀類でとろうかとかというのは自由ということになるだろうと思います。けれども、少なくとも、これぐらい食べると穀物の分はとれますよとか、これだけ野菜を食べてもらえたら、野菜から来る分は十分に確保できますから御安心くださいというようなマークかなと考えています。
○中村座長 ほかにございますか。
どうぞ。
○藤島構成員 今の穀物で精製あるいは未精製というお話もございましたけれども、野菜の場合も生鮮と加工品といいますか、最近特に冷凍野菜などが業務用で結構使われるということもあるのですけれども、そういった野菜の場合も生鮮物と加工物でそれぞれ幾らぐらいずつですよというようなところまで出てくるものなのでしょうか。
○佐々木構成員 それは野菜の小項目にどこまで分けるかによると思います。しかしながら、摂取量のデータのほうが恐らくそこまで小分けしてデータがつくられていないのではないかと。それがないともう手も足も出ませんので、そこまでは無理だろうと思います。その一方で、もっと単純な問題、実は乗り越えなければならない問題がたくさんございまして、果物と言った場合に果物のジュースを含むか否かという問題、これは野菜の生鮮か否かよりももっと大きな栄養素の違いがございますね。そういうようなことも含めて、もう相当のところ、現状の摂取量のデータのほうを考えますと、目をつぶらざるを得ないところはあると思います。そこも誤差も含めて利用せざるを得ない方法という現実のリミテーション、限界は十分に踏まえておくべきでしょうね。余り手を広げてこんなものもできるとは言わないほうがいいのではないかなと思います。
○中村座長 どうぞ。
○高田構成員 今の手順で例えばどの食品群を強調してふやすべきだというのは何か出てくるなというのはわかるのが、それと最終的な認証のときに、例えば先生の8ページの資料のように主食、副菜、副菜みたいなものに、当初の案みたいに色を塗る形になったときに、先ほどの主食で未精製割合がこのくらい何パーセント以上だったらそのものに黄色をつければまだわかりやすいのですが、主食、副菜あたりになると、例えば魚とか大豆はもっととるべきだとか、野菜類の中のこの野菜類はもっととるべきだみたいになったときに、例えば魚をもう少しとるべきだみたいな話になったときに、では、魚製品にだけマークがつくのかとか、それぞれの一品ごとに緑黄色野菜を何パーセント含む副菜にのみついて、淡色野菜しか入っていないサラダにはマークはつけられなくなるのかなみたいな、最終的に、食品群から今後、料理に落とすときに、全ての料理から全てのバランスがとれたものというのは逆にあり得なくて、料理を幾つか組み合わせることでその食品群の摂取量の目標が達せられるというのをどうしていったらいいのかなと思うのですが、もちろん食事摂取基準の栄養素から食品群につなげるということは非常に大切なのですが、食品群から料理につなげるという部分については何かお考えがありますか。
○佐々木構成員 おっしゃるように、食品群から料理につなげるところが非常に難しくてまだ十分な数学モデルも理論化もできていないところだろうと思います。特に最終的には今回の目的は、どんどん小分けをしていくことではなく、むしろ最終的には集約することにあります。すなわち、お魚とお肉もまとめてしまいたいです。恐らくそうではないかと私は理解しています。ところが、解としてはそれぞれ別々に出てくるでしょう。それをどう扱うかというのはまだ私自身もわかりません。
○中村座長 高田先生自身に何かいいアイデアはありますか。
○高田構成員 もちろん、すごくしっかりしたデータベースをもとに最後は、「えいや」といく部分は絶対出てくると思うのですけれども、そこが最初から余りに乖離していると、結局物すごい最後の「えいや」で非常に労力を割いて個別にこれをふやすべきだと、自信を持って提示できるという部分はあるのかもしれないのですけれども、私もどういう手順をとれば科学的にこれに基づいて料理にできるかというのは今全くアイデアがないですけれども、余りにも乖離が大きいと何もなしに「えいや」とやったのと余り変わらなくなってしまうのではないかなという不安を感じただけです。
○中村座長 御心配ですね。
○高田構成員 はい。
○中村座長 どうぞ。
○佐々木構成員 でも、この方法で出てくる解は、魚なら魚を何g以上とりましょうという解ではないのです。何gとりましょうという解が出てくるのです。よろしいですか。ここは重要なところなのです。我々の頭は、魚はたっぷりのほうがいいよねという。実はそうではなくて、魚をたくさんとると、今度は食塩をとってしまうではないかと。そういうことまでモデルに放り込んで出しますので、そうすると、魚介類は何gが最も理想的であるというのが出てきます。肉も卵も大豆も出てきます。そうすると、魚介類足す肉足す卵足す大豆製品イコールという重量が出てくるわけです。もうその値をもって使ってしまうという手もないわけではないと思うのです。
しかしながら、ずっと大豆ばかり食べないでねとか、ずっとお肉ばかり食べないというところを何か定性的なメッセージとして付加することができないかと。それは例えば食品数とか、食事のバラエティを指数として食事摂取基準を満たす関係というものを解決することによって、食のフードバラエティと食事摂取基準を満たす程度というものの解析も記論的には可能なはずです。もしも、それが可能であり、成功すれば、ここでは魚足す、肉足す、卵足す大豆イコールという重量をマークで見せることにするか、それだけに偏ったり、そればかり食べるということは避けて、お魚やお肉やいろいろなものを楽しみましょうというような定性的なメッセージを添えていくというような落とし所といいますか、少しの解決方法はあるのではないかと考えます。
○中村座長 ほかにございますか。
どうぞ。
○武見構成員 今の議論に続けてなのですけれども、というと、その基準は、いわゆる選ぶだけの消費者のわかりやすさということと、もう一つ、実際に料理を提供していく側に対してのどこまでブレイクダウンしたかというところを逆にどう決めるかという考え方と今のお話だと理解できますね。
○佐々木構成員 そのとおりです。認証を決めていくためには、ちゃんとルールをつくり、規則をつくる、その規則がしかも理解しやすく実行可能性が高いということが必要条件だと思います。そのためにはブレイクダウンは必須でしょう。
○中村座長 どうぞ。
○藤谷構成員 佐々木先生の決定法のお話とは離れるのですけれども、前に、単にメニューのみを認証するのではなく、それを提供している組織の態度みたいなものも重要ではないかという御意見が八幡構成員から出たと記憶しています。その観点は重要で、例えば一種類、玄米とお肉とある野菜というだけのワンセットだけ出している会社があったとして、そうすると、そのワンセットは健康な食事かもしれないけれども、その会社は、健康な食についてがんばっている会社とはいえないですよね。例えばそこがうちの病院の食堂だったとしたら、それしか食べられないと毎日同じメニューというのはいつか何かが足りなくなるかもしれないから、やはり数種類は、組合せを出してほしいね、ということに考え方としてはなるわけですね。そういう考えでよろしいのでしょうか。
○中村座長 と思っています。
ほかにございますか。
どうぞ。
○宇野構成員 佐々木先生の資料で2ページ目の上の部分に、栄養素等の食品群別摂取構成比で、穀類から調味料まで12の食品群をお示しいただいていると思うのですが、3ページに栄養素列でN、これは33食事摂取基準上であります。食品群については、マイページの12で考えるとすると、先ほどの事務局からお示しいただいたマークが黄色と赤と緑の3つだとすると、黄色は穀類、赤が魚介類から豆類、緑が野菜類から藻類という理解で合っていますか。
果実や乳、調味料に関しては、エネルギー全体を見るとか、調味料に関しては塩分を見るという理解で合っていますでしょうか。すごく初歩的なところで申しわけないのですが。
○佐々木構成員 ここで大切なことは、唯一、1つのことだと思います。最終的にブレイクダウンをして3つなら3つに分けるという作業を考えておく場合は、その3つの構成要素のそれぞれが今から解析をするモデルのそれぞれの構成要素の中に小分けして入らないように注意をしておくということです。
要するにどういうことかといいますと、主食なら主食というものが、解析をする場合の穀類、魚介類、肉類、卵、豆のあちこちに散らばるというか分かれていくことはできるだけないほうがよいということです。難しい言い方なのですけれども、もっと単純に言ってしまいますと、ここでは穀類、魚介類、肉類と書いてありますが、これは単に食品成分表で分けただけであって、実際のモデリングとは異なります。実際、モデリングはもっと細かく分けます。例えば穀類はもっと分けるでしょうし、豆類ももう少し細かく分ける、野菜ももっと細かく分けるでしょう。果物類も分けるかもしれません。乳類も分けることになるでしょう。調味料類も分けることになるでしょう。そのように細かく分けておくというのが大切であろう。ということは、細かく分けておけば、そのどれか、先ほどおっしゃったように、これとこれとこれをつまみ出してくれば、決めたいもののこの要素になるよねと仕込んでおけば、最後にその要素の足し算をするだけで事が足りるというわけです。そのために、解析時はできるだけ細かく分けて解析を行うことになります。
その一方で、細かく分けることを必要対象者数が多くなるということ、それから、一人当たりの調査精度が高くないとモデルが不安定になってしまうということ。そのように、対象人数の多さと調査精度の高さというものがどんどん厳しく問われるというシーソーになります。
したがって、どの構成要素にモデルを入れて式を解いていくときになるかということに関しては、まだ決めておりませんが、少なくとも2ページの上のグラフの右側に書いてあるよりは多いです。
○宇野構成員 ありがとうございます。
○中村座長 ほかにございますか。
先生、解析やってもらって、どういうのが出てくるかまだ想像がつかないのです。
○佐々木構成員 別のデータで少し解析をしたので、一応私の頭の中には理想解はあるのですけれども、理想解に行くかどうかは、恐らく行かないでしょうね。でも、その一方で、栄養学者としてこういうことができる人間はもっと必要だと、そうでないとこういう検討会が進みませんね。では、これをやりましょうよと言ってさっとできるぐらいのグループを養成しておく必要はあるだろうなという気はします。
というのは、もう5年来ぐらいこの方法に関して私は注目していて資料を集めていて、うちの中では少しずつプログラミングや試行錯誤を繰り返してきています。しかしながら、研究者数が少ないとか、これぐらい、これをちゃんとやり遂げるぐらいの能力を持った栄養学者がまだ我が国は少ないという現状があります。しかし、そういうことを言っていても始まりませんので、今回は最大限の努力をいたします。
○中村座長 先日、アメリカであるシンポジウムを聞いたのですが、こういうのを徹底的に数量化して評価している演者の話なのですけれども、一番最初に出たスライドは、測定できないものは評価できないというスライドでした。完璧に数量化して評価しようというグループが既に存在しているのですが、やはり食事の質の評価というのは、先ほどから出ていたように、定量化できるものと定性化で表現するものは混在をしていて、どこまでが数量化してちゃんと評価すべきで、どこまでが言葉で表現できるのかというところの区分けもまだ十分されていないというところがあって、それぞれの方々の思いが混在してきているのだろうと思うのです。
でも、サイエンティフィックベースというのは定量化、数量で数値化してそれを評価しなければ算数にならないというところもあるので、この検討会は素朴なところから出たのですが、とても深刻な状況にあって、でも、玉手箱みたいに、ひょっとしたら世界のトップリーダーの検討、トップの検討をしているのかなという思いも多少しております。
それは日本の科学者とか日本の政府とか、専門家が世界に向けて発信しなければいけない役割でもあるのではないかなと思っています。なぜ日本人が世界一の長寿を維持しているのかということに対して、明確な答えを日本は出していないわけですね。それは諸外国の人々に比べたら、日本人だけが健康でいいのかと、その秘訣をちゃんと世界中に教えろと、それは日本の役目でないかというのは外国の学会に行くとしょっちゅう言われます。日本から出てくるのは、シイタケがいいとか、大豆がいいとか、米がいいとか、特定な伝統的な食品がいいとかという話ばかりで、日本人はそんなものばかり食べているわけではないだろうとよく言われるのですが、そういう食事全体のメッセージというのはこれから我々が世界に向けて発信しなければいけないことだろうと思っております。そういう意味で、とても難解な山に上がりつつあるのですが、ここで我々はあきらめるわけにもいかないので、どこかで現時点での最大の妥協点を見出しながら、この検討会は粛々と進めていきたいと思っております。
時間が残っておりますが、きょうはこのぐらいで終わりにしたいと思っております。ぜひきょう、佐々木先生のお話をもう一度家に帰られてじっくり寝る前に検討してもらって、考えていいアイデアが出ればありがたいと思っております。
それでは、本日の議論は以上にしますが、事務局から今後のスケジュールに関してお話しください。
○河野栄養指導室長 次回は8月4日、月曜日、午後2時~4時を予定しております。場所等の詳細につきましては、改めまして御連絡いたします。
また、次回検討会までに関係団体や企業等へのヒアリングについて、農林水産省さんと調整をしまして進めていく予定です。マークのアイデアにつきましても、重要ですので、公募という形で並行して作業を進めていきたいと思いますので、また公募要領等の案につきましては、メールで御確認のほうをお願いしたいと思いますので、改めまして、この件についても御連絡をさせていただきます。
以上です。
○中村座長 ありがとうございました。
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