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2014年6月13日 第1回職業能力開発の今後の在り方に関する研究会議事録

職業能力開発局

○日時

平成26年6月13日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省19階共用第9会議室


○議題

(1) 職業能力開発の現状・課題について
(2) その他

○議事

○吉永総務課長 ただいまから「第1回職業能力開発の今後の在り方に関する研究会」を開催いたします。本日は、お忙しい中、当研究会に御出席いただき、誠にありがとうございます。座長が選任されますまでの間、進行を務めさせていただきます職業能力開発局総務課の吉永です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、開催に当たり、研究会の主催者である職業能力開発局長の杉浦より御挨拶を申し上げます。

 

○杉浦職業能力開発局長 職業能力開発局長の杉浦です。本日は、お忙しいところお集まりをいただき、誠にありがとうございます。職業能力開発行政の基本的な進め方といいますか、方針については、5年に1回、能力開発基本計画というのを定めて、その都度、必要に応じ能力開発促進法の改正等をやってきております。私も何度か携わらせていただきましたけれども、ちょっと通常のペースに比べて早いわけですが、いろいろな労働者の働き方の変化ですとか、企業の雇用管理あるいは人材育成に対する取組が変わっていく中で、政府全体として、この働き方等に関する議論がなされてきているところです。

 能力開発の分野についても、政府の産業競争力会議の雇用人材分科会というところで、昨年暮れから今年の春にかけて、非常に精力的な議論がされております。また、一方で職業安定局ほうでも今年1月、雇用政策研究会のほうで報告が出されましたが、その中においても能力開発に関する部分が相当のウエイトを占めて記載をされているということで、この職業能力開発の内外の取組に対する注目が集まっているところです。

 こういった状況を受け、私どもとしましても、職業能力開発施策全般について、今後どういった形で中長期的に進めていったらいいかということを、一度有識者の皆様方にお集まりをいただいて検討していただく場を作るのが適当ではないかというふうに考え、こういった研究会を今回開かせていただいた次第でございます。

 もう1つ、これは私どもの非常に申し訳ない点でございますが、3月以来、内部で不適切な事務執行の問題が起きまして、それを機に行政の進め方、あるいは体制の在り方といったようなことも含めて能力開発行政をどうやって進めていったらいいかということも、内部で検討会を立ち上げ、今その検討も進めているところです。いずれも、夏までに一定の中間的な部分を含め方向性を出して、来年度、あるいは必要ならば、次の通常国会に法案を出すべく準備を進めていきたいということを考えている次第でございます。

 本研究会に急にお集まりをいただき、また、タイトな日程で恐縮でございますけれども、具体的には、7月下旬当たりに一度、この研究会としての中間的な取りまとめといいますか方向性を出していただき、9月頃に最終的に取りまとめをしていただければ幸いだと考えております。その報告を基に、9月以降、秋から冬にかけまして、労働政策審議会の能力開発分科会のほうで厚労審の意見、委員を交えて検討を行い方向性を出していきたいという手順で考えているところでございます。繰り返しになりますが、タイトなスケジュールの中でいろいろ御意見を伺うということで、恐縮でございますけれども、是非皆様方から積極的な御意見を賜れればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○吉永総務課長 本日は第1回ということで、まず、お手元の本研究会の開催要綱の説明をさせていただきたいと思います。資料1を御覧ください。趣旨は、今ほど、杉浦より説明したとおりです。現在の経済社会情勢の下で、産業が求めるニーズにあった能力開発の推進等々と職業訓練制度の充実、個人が主体的にキャリア形成を図っていくことができる体制整備、外部労働市場で活用できる企業横断、業界共通の能力評価制度の整備等労働市場インフラを戦略的に強化し、人材の最適配置と最大活用を目指していくという観点から、幅広く御議論いただければと考えているところです。

 検討事項については、2に記載しているとおりです。全体として様々な観点からの御議論をいただければと考えております。

 スケジュールについては、本日から開始し、9月を目処に取りまとめを目指していければと考えています。また、必要に応じ、中間的な取りまとめをいただければと考えているところです。

 引き続き、御参集いただいた委員の皆様及び事務局の御紹介をさせていただきます。委員の皆様については、資料1の別紙に名簿を付けております。五十音順に御紹介させていただきます。本日は御欠席ですが、中央大学の阿部正浩先生、学習院大学の今野浩一郎先生、リクルートホールディングス専門役員・リクルートワークス研究所所長の大久保幸夫先生、法政大学の武石恵美子先生、職業能力開発総合大学校の谷口雄治先生、学習院大学の橋本陽子先生、日本女子大学の原ひろみ先生、労働政策研究・研修機構の堀有喜衣先生、日本生涯学習総合研究所の吉川厚先生です。

 引き続き、事務局です。職業開発局長の杉浦、能力開発課長の藤枝、キャリア形成支援室長の藤浪、能力評価課長の伊藤、総務課長補佐の田中、実習併用職業訓練推進室長の塚本、能力開発課()育成支援課主任職業能力開発指導官の竹内、基盤整備室長の内田、能力開発課職業能力開発指導官()総務課の近藤です。私は総務課長の吉永です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 次に座長の選任に入らせていただきます。座長の選任については、開催要綱の中で互選により選出するという形になっておりますが、事前に事務局から各委員の皆様に御相談させていただきましたところ、今野先生に座長をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

(異議なし)

 

○吉永総務課長 それでは本研究会の座長を今野委員にお願いしたいと思います。今野委員におかれましては、今後の議事進行について、よろしくお願い申し上げます。

 

○今野座長 それでは議事進行役をさせていただきます。よろしくお願いします。まず、議事の公開について申し合わせをしておきたいと思います。事務局から説明をお願いします。

 

○田中総務課長補佐 資料21枚紙を御覧ください。議事の公開についてです。この検討会は、原則公開としたいと考えております。ただし、下の※で書いてある厚生労働省が定めている「審議会等会合の公開に関する指針」における審議会等会合の公開に関する考え方に準拠する形で、こちらにありますマル1からマル4マル4マル4マル4に該当する場合ですが、座長が非公開が妥当であると判断した場合には、その都度、非公開にするという取扱いにしたいと考えております。説明は以上であります。

 

○今野座長 よろしいですか。それでは本日の議題に入りたいと思います。お手元の議事次第にありますように、今日は職業能力開発施策の概要、今後御議論していただく事項について、事務局から資料が用意されておりますので、まず、説明を頂いてから議論したいと思います。よろしくお願いします。

 

○田中総務課長補佐 それでは、お手元の資料3から御説明させていただきたいと思います。「職業能力開発施策の概要」と書いてあるものです。本当にお詳しい先生方に恐縮ですが、初回ですので、全体を簡単に説明させていただければと思います。

 冒頭に参考のデータが付いていますが、まず制度の概要のほうから入りたいと思います。この資料、それぞれスライドごとにページを振っておりますので、右下25ページと書いてある所以降を御覧ください。「職業能力開発に係る現行制度施策」の2627ページを御覧ください。「(1)職業能力開発促進法・職業能力開発基本計画」とあるところです。下に「職業能力開発促進法の概要」というように付けております。この法律は昭和44年法律第64号という番号が付いていますが、そもそも職業訓練に関する最初の基本法としては、資料は付けておりませんが、昭和33年に旧職業訓練法というものが作られ、それ以降、公共の職業訓練、また技能検定等が行われてきているという状況です。昭和44年に旧職業訓練法が廃止され、新しい職業訓練法となり、基本となります中期計画を作るといったことが行われ、それ以降第一次の基本計画の策定ということで取組が進められてきています。昭和60年に法律の名称が職業訓練法から職業能力開発促進法という形で改称され、いわゆる自己啓発を含む職業能力開発を促進するという形になっています。

27ページ、法律の構成・概要ですが、まず総則、第1章で目的や基本理念というものが定められ、その下、第2章として職業能力開発計画についての規定、大臣や都道府県の計画の策定についての規定です。

 第3章は職業能力開発の促進です。まず1節として、事業主等の行う職業能力開発促進の措置ということで、事業主等が行う職業能力開発促進の措置につきまして、その内容や方法、実施体制等についての規定がございます。その次に右側、国や都道府県による職業能力開発促進の措置ということで、事業主等に対する国及び都道府県による援助、助成等の内容についての規定があります。その次に、国及び都道府県による職業訓練の実施等ということで、国や都道府県等の行う公共職業訓練の規定が出てまいります。その次、右側ですが、事業主等の行う職業訓練の認定等ということで、知事による事業主の行う職業訓練の認定といった規定があります。その次に平成18年の改正で盛り込まれたものですが、実習併用職業訓練の実施計画の認定等の規定があります。それから職業能力開発総合大学校の規定、職業訓練指導員等についての規定といったことが第3章の規定です。

 第4章では職業訓練法人について、第5章で技能検定ということで厚生労働大臣が行う技能検定についての規定があります。第6章以下、中央職業能力開発協会、都道府県職業能力開発協会等の規定がされている。これが法律全体の構成です。

 その右側、28ページ、簡単ではありますが最近の法改正の概要について記載させていただきました。平成9年改正以降が書いてあります。平成9年の改正では製品等の高付加価値化、新分野への展開等を担う人材を育成するためということで、公共職業訓練の高度化に伴う高度職業訓練の実施体制の整備、職業能力開発大学校等の整備というものが盛り込まれています。もう1つは労働者の自発的な職業能力の開発・向上の促進という柱です。

 平成13年改正では労働移動の増加への適切な対応を図るため、企業等における能力開発に加え、労働者による職業生活設計について新たに法律に位置付けるということが行われています。また、職業能力評価制度の整備ということで、技能検定制度について、民間機関に委託できる試験業務の範囲の拡大といったことが行われております。

 直近の平成18年の改正では、若年者等がものづくり等の現場の戦力となるよう、実践的な職業能力の習得と熟練技能の継承を目的とし、実習併用職業訓練制度の創設といったことが盛り込まれています。

30ページと書いてあるスライドを御覧ください。これが平成23年度から平成27年度、現在いきております第9次の職業能力開発基本計画の全体像です。現状認識、今後の方向性、また施策の展開ということで書いていますが、成長が見込まれます分野、また、ものづくり分野における職業訓練の推進、既に求職者支援制度ということで実現しておりますが、第2のセーフティネットの創設、4で個人の主体的な能力開発の支援としてキャリア・コンサルティングが受けられる環境の整備、キャリア形成促進助成金等を活用した企業による労働者の能力開発の支援といったことが盛り込まれており、この基本計画に基づく施策の展開を図っているところです。

 次に「職業能力開発施策の概要」ということで、32ページの上の段を御覧ください。左端にありますが、まず役割の整理として、離職者の能力開発につきましては国・都道府県が責務を負う。一方、在職者の能力開発につきましては事業主が一次的な責務を負う。その中で国・都道府県は必要な援助を行うという役割分担の下、その右側、職業能力の開発向上、また職業能力評価といった施策に取り組んでいるところです。

 まず、公的職業訓練の実施と上の段にありますが、公共職業訓練につきまして、実施主体として国・都道府県。国の部分につきましては高・障・求機構が国の業務を代行するという形ですけれども、国・県の施設内訓練、また県からの民間委託による訓練の実施、障害者に対する職業訓練の実施ということで、公共職業訓練を離職者、在職者、学卒者を対象に行っております。また、その下、平成2310月からの制度ですが、求職者支援制度による職業訓練、離職者を対象とする職業訓練が民間教育訓練機関を実施主体として、主に雇用保険を受給できない方等に対する職業訓練が行われているところです。

 その下、事業主等の行う教育訓練の推進としては、キャリア形成促進助成金、また認定職業訓練制度といったものがあります。労働者のキャリア形成支援としては、教育訓練給付、それからキャリア・コンサルティング施策の推進といったことに取り組んでおります。もう1つの柱である職業能力評価、技能振興については、技能検定制度、また職業能力評価基準の策定、能力評価の物差しとしての職業能力基準の策定等、また技能の振興等に取り組んでいるところです。

 少し右側に書いていますけれども、平成20年度からはジョブ・カード制度の推進ですとか、右上に書いてありますがニート等の若者の職業的自立支援、いわゆる地域若者サポートステーション事業といった形で取り組んでいるところです。右上に予算額を書いていますが、平成26年度の予算額で能開局全体として1,733億という規模で取り組んでいるところです。

 次に、それぞれの柱ごとに御覧いただければと思います。34ページを御覧ください。まず、「公的職業訓練の全体像」を改めて御説明致します。左側は、対象者として離職者、在職者、学卒者という形で、右側に公共職業訓練と求職者支援訓練という形で整理させていただいています。繰返しになりますが、公共職業訓練につきましては離職者向けについては主に雇用保険受給者を対象に、実施機関として国(ポリテクセンター)において、主にものづくり分野の高度な訓練を実施しています。都道府県の施設内訓練におきましては、地域の実情に応じた多様な訓練を実施していただいています。また、都道府県におきましては、民間教育訓練機関への委託という形で、高額な設備を要しない、こちらにあるような訓練の実施に取り組んでおります。また、公共職業訓練としては、その下にありますように在職者向けの短期の訓練、学卒者を対象とする訓練を国・県において行っています。

 右側は離職者に対する求職者支援訓練です。こちらは主に雇用保険を受給できない方を対象としたものでして、民間教育訓練機関を実施主体として実施しているものです。それぞれの実績についてこのスライドの右下、表で整理させていただいています。ちょっと文字が小さくて恐縮です。まず離職者訓練について見ていただきますと、受講者数が国・県を合わせまして約151,000人余ということです。そのうち施設内訓練が41,730人、就職率が81%となっています。その15万人のうち、委託訓練が109,822人ということで、こちらの就職率は69.2%という数字となっています。国・県それぞれの内訳はその右側にあるとおりです。また、学卒者訓練につきましては、受講者数18,561人で就職率が約94%という状況です。下に少し、求職者支援訓練の実績を記載しております。受講者数98,541人、基礎コースと実践コースに分かれており、それぞれ就職率が80.6%と79.5%という状況です。こちらの数字を見ていただくと分かりますように、民間教育訓練機関における訓練のボリュームが増えてきているという状況です。

 その点を少し分かりやすい円グラフで示しておりますのが37ページ、左側の下のスライドです。離職者訓練について見ますと、平成24年度の25万人に対するうちの約8割は民間教育訓練機関により実施されております。この太く囲ってある部分ですが、都道府県からの公共職業訓練の委託で約11万人、求職者支援訓練で98,541人というような状況で、民間教育訓練機関における訓練の質の向上といったものが一つ課題というところです。

38ページが「公共訓練」の委託訓練についての概要、その下が「求職者支援制度について」の概要です。時間の関係もありますので割愛致します。

 その右側、41ページとある下のページですが、「民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン」と書いてあるものです。先ほど見ていただきましたように、8割ぐらいが民間教育訓練機関が実施しているという状況の中で、訓練の質の向上が喫緊の課題ということで、ISO29990の発行も踏まえ、平成2312月にガイドラインを厚生労働省で策定して普及の取組も進めているところです。

 次に、事業主等に対する支援として認定職業訓練、それから助成金の関係の資料を付けております。43ページでは「認定職業訓練の概要」ということで記載しています。事業主等が行います職業訓練のうち、ここにありますような厚生労働省令で定める基準に適合して行われているものについて、申請により基準に適合している旨の知事の認定を受けることができ、この認定を受けた職業訓練を認定職業訓練という、ということで、その下の表にありますような運営費、また施設・設備費についての補助等を行っております。3に書いてありますが、個々の事業主が単独で行うものと幾つかの事業主が共同して行うものとがあり、現在、全国で1,139の団体の認定職業訓練施設があります。

 右側、44ページと45ページを御覧ください。上が「キャリア形成促進助成金」です。平成13年から設けられているもので、職業訓練などを実施する事業主等に対して訓練経費や訓練中の賃金助成、それにより労働者のキャリア形成を促進しようという助成金です。大きく政策課題対応型訓練、一般型訓練、団体等実施型訓練と分かれておりますが、それぞれ右側にありますように、賃金助成について幾らですとか、訓練経費の助成について中小企業では2分の1、一部大企業については3分の1というような形での助成を行っているものです。

 その下、「キャリアアップ助成金について」です。非正規雇用の労働者の企業内キャリアアップを促進するという目的の助成金です。平成25年度からのものです。下の表の2段目、人材育成というところを御覧いただきますと、有期の労働者に対してOFF-JT、又はジョブ・カードを活用したOFF-JTOJTを組み合わせた訓練を行った場合に助成するといった形のものが盛り込まれております。

48ページ、49ページ以降を御覧ください。労働者自らの主体的なキャリア形成支援として、まずキャリア・コンサルタントについての資料をお付けしております。キャリア・コンサルタントとキャリア・コンサルティングにつきましては、49ページにキャリア・コンサルタントについて記載をしています。キャリア・コンサルタントは「キャリア・コンサルティング技能士」「標準レベルキャリア・コンサルタント」、またジョブ・カード講習を修了した「登録キャリア・コンサルタント」から成る。平成25年度末現在の養成数は約87,000人となっています。

 いわゆる、有資格者と言われますキャリア・コンサルティング技能士については、全国で約5,500人、また、一定の養成講座の受講を経てキャリア・コンサルタント能力評価試験に合格した者等、標準レベルのキャリア・コンサルタントにつきましては約39,500人という状況です。それぞれ活動している場についての円グラフを右側に記載しています。企業、需給調整機関、教育機関等の分野で活躍をしていただいているという状況です。

50ページが「ジョブ・カード制度について」の概要です。ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングの実施、企業における実習と教育訓練機関等における座学とを組み合わせた訓練を含む実践的な職業訓練の受講機会の提供、そして訓練修了後の職業能力評価の情報を取りまとめた「ジョブ・カード」の就職活動等における活用、これらをジョブ・カード制度とし、これらの促進によってマッチングや実践的な職業能力の習得の促進を目指しているものでございます。実績として、ジョブ・カードの交付については平成263月の時点で約108万人となっています。51ページ、52ページに少しグラフを付けておりますように、ジョブ・カードの内容を含めて知っている事業所は一定の割合しかないとか、52ページにありますように、ジョブ・カード取得者のほとんどが職業訓練受講者による取得となっている現状があります。

53ページは「教育訓練給付の概要」です。54ページは指定講座についてです。55ページに「教育訓練給付の指定講座・修了者数等の状況」を付けております。55ページを御覧いただきますと、教育訓練給付につきましては、約12万人が受給をしております。この表の右端、少し網を掛けておりますが、「医療・社会福祉・保健衛生関係」、それから「輸送・機械運転関係」「専門的サービス関係」の講座受講者が多くなっております。

57ページが「障害者職業能力開発行政の概要」ということで、障害者職業能力開発校の設置数等を記載した資料を付けております。

58ページの上の段がいわゆるサポステ、地域若者サポートステーションの状況です。ニートの数、約60万人という状況に対し、棒グラフと下に表を付けておりますが、直近の設置箇所数が160か所ということです。就職等の進路決定者数については棒グラフのほうですが、14,713人となっています。書いていませんが、こちらは平成24年度の新規登録者数が約28,000人ですので、その年度の新規登録者数に対して約50%程度が進路決定等につながっているという状況です。

 次に職業能力評価について、60ページに「職業能力評価制度の概要」を付けています。技能検定、認定技能審査、認定社内検定、職業能力評価基準とあります。認定技能審査につきましては、新規認定は行っていないという状況です。

 「技能検定制度の概要」について、61ページに少し詳しく記載をしております。技能検定制度につきましては、労働者の有する技能の程度を検定して、これを公証する国家検定制度ということで、冒頭申し上げましたように、労働者の技能と地位の向上を図ることを目的に昭和34年から実施しているものです。ものづくり分野を中心に、国が主体となり、全国、業種・職種共通の基準の下で制度を構築・運営しています。平成264月現在で128職種のうち、建設・製造業関係が102職種、サービス業関係が26職種というような状況です。※で書いていますが、技能検定に合格した者につきましては、「技能士」と称することができ、いわゆる名称独占資格という規定がされています。実施状況について3ポツに書いております。平成24年度は75万人の受検申請に対し、28万人が合格をしている。これまで累計519万人が技能士資格を受けているという状況です。

62ページが128職種の一覧です。

66ページを御覧ください、こちらが「職業能力評価基準」です。法律上の位置付けはないのですが、職業能力評価基準はサービス産業の増加などの下、職業能力が適切に評価される社会基盤づくりということで、平成14年から国と業界団体との連携の下で策定に着手しているものです。技能検定がカバーしていない分野を含めた幅広い業種・職種を対象に、各企業において基準をカスタマイズして活用するといったことを想定しています。実績としては、3に書いていますように事務系9職種、電気機械器具製造業、ホテル業など52業種で策定をしている状況です。

68ページは少しものづくり分野の観点から各種施策をまとめ直した資料です。以上が施策の概要です。

70ページ以降に、「最近の動き」ということで少し資料を付けさせていただきました。72ページが昨年6月閣議決定の「日本再興戦略」です。人材力の強化という文脈で、既に改正されました雇用保険制度の見直しや職業能力の「見える化」の促進、女性の活躍推進というところ、それから若者の活躍推進といったことが、昨年の日本再興戦略に盛り込まれております。

73ページ以降、4枚ぐらいが雇用保険法の改正により措置された、中長期的なキャリア形成支援措置の資料です。

75ページにありますように、今年の101日施行ということで、「教育訓練給付金の拡充及び教育訓練支援給付金の創設」というようなことが、雇用保険法の改正により措置されたところです。

 その右側、76ページが教育訓練の指定基準の概要です。

77ページ以降が求職者支援制度の見直しの概要です。求職者支援制度につきましては、平成2310月の施行、この際に法の附則で3年を目途とした検討規定というものがありました。そうしたことも踏まえ昨年議論が行われ、78ページ、79ページにあるような形で認定基準の改正や支給要件、職業訓練の受講手当の支給要件の改正が行われたところです。

80ページ、81ページは冒頭、局長の挨拶でも触れました「雇用政策研究会報告書(概要)」を付けております。

82ページから84ページにつきましては評価制度の在り方に関する研究会ということで、昨年度開いた研究会の報告書の概要を付けております。今年の3月に報告書が取りまとめられております。また別途時間を取って、こちらの内容はこの研究会の中でも詳しく御紹介できればとも考えております。83ページの下に赤字でありますように、『産業界が求める職業能力』と『各人が有する職業能力』を客観的に比較可能な「ものさし」を整備して、マッチング機能を最大化するためにということでの方向性がまとめられたところです。

85ページが「政府の会議等における指摘等」、上の段に産業競争力会議の指摘を記載しています。すみません、平成26年は誤りです。昨年1226日の産業競争力会議の雇用人材分科会の中間整理におきまして、ジョブ・カードの抜本見直し、キャリア・コンサルティングの体制整備、これはそれぞれ平成26年から検討するですとか、平成26年央までに策定するという形で盛り込まれています。そのほか、3つ目として、職業訓練の質の向上というようなことが盛り込まれたところです。また、この4月、5月には若者雇用対策という視点で、自民党、公明党での取りまとめもされているという状況です。

86ページ以降のパワーポイントの資料は、そうした産業競争力会議での指摘に基づき、田村大臣が318日に、産業競争力会議の「雇用・人材分科会」でプレゼンテーションを行った資料です。90ページまでが318日のプレゼンテーション、91ページが女性の活躍推進という観点からのプレゼンテーション資料です。

 そうした産業競争力会議の指摘に対し、92ページと93ページにありますように、まずキャリア・コンサルタントの養成につきましては、こうした専門検討会を3回開催し、現在最終的な取りまとめというところです。また、「キャリア・パスポート(仮称)の構想研究会について」ですが、ジョブ・カードの使用や活用方法等を改めて、名称も「キャリア・パスポート(仮称)」という形で新たなものに見直していくための構想研究会の開催を並行して行っているところです。

 最後に94ページ、「職業能力開発行政改革検討チーム」ということで、入札に関する不適切な行為を反省しつつ、能開行政全体の在り方について社会経済の変化に対応したものにしていくべきであるという考えの下、省内で次官をトップに検討を行うものとして設置しているものです。こちらも7月初旬までに報告書を取りまとめていく作業をしているところです。

 時間の関係で説明は省略させていただきたいと思いますが、冒頭、データとして少し関連する資料を付けておりますので御覧いただければと思います。例えば9ページでは、「企業の支出する教育訓練費の推移」、10ページなどでは、「雇用形態別・規模別のOJT及びOFF-JTを実施した事業所割合」、13ページでは、「人材育成に関する問題点」について、事業所はどう考えているかなど、少し関係のデータを付けさせていただきました。時間のあるときに御覧いただければと思います。

 続きまして、資料4を説明させていただきたいと思います。こちらは飽くまで事務局のメモとして、御議論の参考にしていただければと思って用意したペーパーです。「今後御議論いただきたい事項」ということで、まず総論では産業構造の変化の中で人材の最適配置を図り、その能力を最大限活かすという観点から、職業能力開発の今後の在り方をどう考えるか。労働市場の構造変化、特にいわゆるジョブ型労働市場の広がりや、産業間労働移動の高まり等の観点から、職業能力開発の今後の在り方をどう考えるか。女性や若者をはじめとする全員参加の社会の実現の観点から、職業能力開発の今後の在り方をどう考えるかという総論です。

(2)として、産業界のニーズに合った職業能力開発の推進ということで、産業界や地域のニーズを踏まえた職業能力開発はどうあるべきか。また関係機関・関係者の役割・役割分担・連携をどのように考えるか。2つ目の○として訓練の効果をどのように把握し、活用していくべきか。能力評価との連携の在り方、また能開法に基づく職業訓練をはじめとする職業能力開発施策が現行の訓練体系、訓練の実態等に沿ったものとなっているかどうか。

(3)として、個人主導のキャリア形成支援という観点から、関係者の役割はどうあるべきか。特に労働者自身、企業との関係はどうあるべきか。ジョブ・カードの活用促進、キャリア・コンサルティングの体制整備等の個人主導のキャリア形成支援を実現する上での国、事業主等による支援の在り方をどう考えるか。それから、そうした支援策の位置付けを法体系上どうしていくか。

(4)として、外部労働市場型の職業能力評価制度の構築。いわゆるジョブ型労働市場の広がり等を踏まえ、労働市場インフラとしての評価制度の今後の在り方をどう考えるか。特に現行技能検定の在り方・見直し・拡充ですとか、業界検定の在り方(役割、質保証の観点からの国の関与、合格の社会的効果等)といったことについてどのように考えるか。

(5)としてものづくりをはじめとする熟練技能を必要とする分野での業界、企業が職業能力開発に果たす役割、国等による支援についてどう考えるか。

 最後に(6)、その他として、職業能力開発施策と学校におけるキャリア教育・職業教育との連携強化はどうあるべきかという形で、事務局として御議論の参考としてメモを用意させていただきました。説明は以上です。

 

○今野座長 ありがとうございました。それでは、今日は第1回目ですので、今、説明を頂いた資料についての御質問でも結構ですし、あと、事務局から問題提起がありましたが、平たく言えば何でもいいということですよね。ですから、今後の政策を考える上で、この点が重要だというようなことも、意見も含めて何でも結構ですので、御意見を出していただければと思います。どうぞ、御自由に。今日はテーマは仕切りませんので、何でも結構ですので。大久保さん。

 

○大久保委員 今日は第1回ということで、各論の話は2回目以降にいろいろ出てくると思いますので、全体的な所について少し考えているところをお話させていただきます。

 昨日の夜、この研究会が行われるので、能開法を読みながら考えていました。職業能力開発行政の環境がこの10年、20年大きく変わってきていることに対して、どのぐらいその変化に適応できているだろうかということです。いくつかこの変化の軸というのがあると思っています。

1つは、この中にも出てきますが、もともとの職業能力開発行政は、ものづくりを中心に最初の整備をされて、施設型訓練の充実を図ってきたわけです。ところが、サービス業に労働がシフトしてきて、8割方の人は広義のサービス業で働いているという状況になってきた。そうすると、プレーヤーとして、自ら職業訓練を提供するというだけではなくて、ほかの機関を通じて職業能力開発を提供するコーディネーターにならなければいけないというふうになってきたと思うのです。果たして、サービス業の職業能力開発に関する知見というのは、きちんと蓄積されてきたのだろうかと。あるいは、自ら訓練を提供するのではなく、ほかの人たちを通じてそれを実現してもらうということに関して、良きパートナーを開拓というか育ててこれただろうかというようなことが気になりました。

 それから、2つ目の変化は、対象者が非常に多様化をしてきているということで、典型的に言えば、1つは、女性で育児後に再就職を希望するような人たちに対する訓練というのが、十分にその計画ができているだろうかということでしたりとか、あるいは、非正規の領域には随分広げましたが、今回更に見据えているような、いわゆる臨時雇用みたいなものを、間を置きながら繰り返しているような労働者とか、あるいは、長期に無業な状態であったような人たちに対する職業訓練ということに関して、ノウハウは蓄積できているだろうかということが2つ目の軸で気になった所です。

 それから3つ目は、以前は若年に職業訓練を提供して、企業に就職をした以降は企業に任せるということだったと思うのですが、だんだん職業寿命が長期化していって、学び直しも必要になってくるでしょうし、高齢期の人たちもいる。そういうことに関して、現在の職業能力開発行政は対応できているのだろうかということが気になりました。

4つ目が、学習は、この15数年の間にITベースになってきているのですが、いわゆるe-learningであるとか、コンピュータ・ベースド・テスティングのようなIT化に果たして対応できているのだろうかということ。

 そしてもう1つは、日本企業がここ数年、本当にグローバル展開をしていって、日本人だけではなくて外国人も活用していっているわけですが、そういう技能をもった外国人の訓練とか、あるいは、日本人が海外で展開していくときに同じノウハウを現地で提供するということもあるかもしれませんが、こういうグローバル化への展開の対応ができているだろうか。

以上5つぐらい、整理をしてみると大きな変化があるということで、基本計画の中には時々に盛り込まれてはいるのですが、改めて今、現状にどのぐらい適応できているかということを点検してみることが必要ではないかと思います。

 

○今野座長 今、大久保さんが言われた第1点目のコーディネーター、要するに、もうプレーヤーではなくなって、一種のコーディネーターとしての役割が重要になってきたという点については、以前にも問題になったのではないですか。以前から問題にしていましたね、これは。5年に1回の見直しで議論をされたのではなかったですか。もう忘れてしまったのですが。

 

○大久保委員 基本計画のときにその議論をしました。

 

○今野座長 基本計画のときにしたのでしたか。

 

○杉浦職業能力開発局長 すみません、私は前回の見直しのときには能開局にいなかったので、ちょっとその辺の議論は定かではないのです。今、大久保委員のおっしゃるように、施設内訓練、ものづくり系を中心に、以前は訓練行政というか、公共職業訓練というのは展開してきていて、委託訓練というのは、本当に法律の条文の書き方もそうなのですが、結局、委託してすることもできますよというような片手間的な位置付けになっているのです。ですから、高度成長期の第二次産業を中心に、そういう技能者を養成するということを主眼でずっとやってきていたのが、急に産業構造が転換する中にあって、それから民間にやらせるものはやらせるべきだというような行革の流れだとか、地方分権の流れだとかいうのがいろいろある中で、急速にプレーヤーからコーディネーターへというような動きが、10年ぐらい前からここ数年にかけて非常に進んできて、先ほど説明があったように、現在も8割が民間に委託する形での訓練になってしまっているという、大きな動きがあると思うのです。ですから、施設内訓練を教えるノウハウというのは何十年という中で蓄積されている部分はあって、総合大という所がそういう指導員を養成して、ずっと長期的に教えることをやっているのですが、民間に対する指導、これは今の高・障・求機構の指導員も非常にコーディネーター的に動いてやってもらっている部分はあるのですが、果たして大久保委員がおっしゃるように、そういう民間の訓練事業者に対してどこまで適切な訓練を設定できるような誘導がなされているかというのは、我々もまだ検証するべき余地があるのではないかと思っています。

 

○今野座長 少しずつ思い出すと、前回はコーディネーターというよりもっと強い言い方でしたね。何でしたか、プロデューサーと言ったのです。ですから、もう少し企画とか。

 

○伊藤能力評価課長 プロデュース機能ですね。

 

○今野座長 コーディネーターというと単なる調整ということになってしまう。ほかに、資料の質問でもいいのです。何でも結構です。大久保さん最初に余りバーッと言ったから、やりにくそうですが、どうぞ。

 

○武石委員 能開行政について、体系的に教えていただいたという感想です。非常にプリミティブなことを言うものですから、早めに発言してしまおうと思ったのです。国が個人の能力開発にどう関わるかという問題だと思うのです。これまでの能力開発は、基本的には日本では企業の中でOJTを通じてやってきたというのが本流で、それが前のほうのデータにもありますが、企業にかなりの部分を任せていたというのがある。ただ、大久保さんの話にもありましたが、学び直しとか、技能が陳腐化するという中で、自己啓発の部分も非常に重要になってきてという、個人主導へという流れが出てきていると思います。

 そういう中で、国がどう関わっていくのかということなのですが、今の全体の能開行政の仕組みを聞いていると、最初は内部労働市場型の能力開発、育成の仕組みを前提にして企業の訓練を行政がサポートするというやり方があったところから、だんだん個人主導へという動きが出てきているのだと思うのですが、そこが今まぜこぜになっていて、私は能開行政を外から見ていて非常に分かりにくく、何が何だかよく分からない。部分的にジョブ・カードとかは分かるのですが、全体の体系がよく分からないのです。それはやはり、国がどう支援していくのかという部分で、内部労働市場型から外部労働市場型に支援の重点が少しずつ動いていく中で、次々といろいろな政策を打ち出してきているところが整理されていないという点が、全体の印象としてあります。

 公共の政策として、公的な主体が能開にどう関わっていくかというと、1つは、やはり企業の支援というのは必要だと思うのです。ただし、放っておいても企業がやる部分は企業に任せておけばよくて、支援してあげないと企業が手薄になってしまう部分、非正規のところもそうだと思いますが、そういうところに関して何か行政で、例えば、給付金とかで後押しすることによって、そこがうまくいくことがあると思うのです。これまで技能系を中心にしたところでいろいろな施策が展開されますが、それが本当に、果たして、国がそこを後押ししないと企業がやらないのかどうか。要は、教育訓練の効果をどう見るかだと思うのですが、国がやらなくても自主的にやるのでしたら公共政策としてやる必要はない。訓練の効果を測定するのは非常に難しいと思うのですが、その辺がこれまでどういうふうに整理されているか。あるいは効果測定とか、国のお金を使って進めてきた能開のこの仕組みというのが、どこまで効果があったのかと。これまで検証したものがあれば教えていただきたいという、質問も含めて1点です。

 それから、自助努力への支援という、個人への支援というのが、やはりこれからとても重要になってくると思うのです。そういう意味で、外部労働市場の技能認定のような仕組みというのは非常に重要だと思うのです。ただし、そのときに、自分に何が必要でこういう資格を取ろうとか認定を受けようと分かっている人はいいのですが、公的な機関が一番考えなくてはいけないのは、それが分からないとか、どのような技能がこれから世の中で必要になって、自分は何をしたらいいのかが分からない人のことです。分かっている人は逆に放っておいても自分でどんどん勉強していったり、資格を取ったりすると思うので、分からない人に対してガイドしてあげる。そういう意味でキャリア・コンサルティングという仕組みがありますが、分からないから行動を起こさず、要は、支援の場に出てこない人たちに対して、どういうふうにアプローチをしていくのかということがとても重要な観点かと思っています。

 

○今野座長 何か質問がありましたよ、効果測定をしてきたのかと、そういえば。

 

○杉浦職業能力開発局長 実際、企業がどのくらいやるべきか、あるいはやっているかということに対して、なかなか個々の企業というか、そういうものに対する実情をつぶさに把握しているというところまでは正直言って行っていないと思うのです。我々は、毎年能力開発基本調査というのをやっていて、ここの中にも資料をいくつか載せてあります。910何ページぐらいまでずっと載っていまして、どういう訓練をやっているか、人材育成に関する問題点、そういったようなデータ、あるいはJILPTのいろいろな調査研究などを見ながら、実際にどういう取組を企業がやっているか、どういうところに課題があるか等を把握しながら施策をやっていると思います。

 ですから、なかなかそれ以上の具体的な把握というのは難しい部分はあるのですが、ただ、それはいろいろな研究会とか審議会とかの中で、厚労審の意見を聞きながら、それをできるだけ反映させるというようなやり方を、非常にアバウトかもしれませんが、進め方としてはやっているのが実情ではないかと思います。

 それから、確かな自己啓発、昔は自己啓発と言っていましたが、余りこの頃は言わないかもしれません。自分で、個人がキャリア形成をする部分と、企業がやらせる部分というのがはっきりしていないという御意見があったのですが、確かにそこのところは、本人の選択の中でもはっきりしていない部分も正直言ってあるのだろうと思いますし、施策の打ち出し方としても、やはり純粋に個人が主体的にやる場合のアプローチの仕方と、それから、個人がやるのを企業がアプローチをするという、それを応援するというような仕方の部分も実はあるものですから、そこがなかなか截然と分けにくいということはあると思うのです。施策の体系上は、先ほど説明の中にあったように、企業に対する助成制度と、個人に対する訓練給付のような自発的な部分に対する取組というようなことで、一応整理は付けているつもりですが、そこのところは、正直言って、世間の方々にきれいに整理された形で周知がされているかというのは、我々もよく勉強してみないと分からないところがあるのではないかと思っています。余り回答にはなっていないかもしれませんが。

 

○吉永総務課長 若干補足させていただきます。武石委員のおっしゃったとおり、内部労働市場から個人主導にという流れの中で、例えば、教育訓練給付制度なども作りながらやってきたという状況です。その中で、先ほどの説明資料の中でも、75ページ以降にあるような、教育訓練給付の中で専門実践教育訓練というものを新たに作ることをやっています。これは、かなり長期間にわたるもの、専門学校などで3年間程度で資格を取れるというような形のものについても、かなり高率の支援をしていこうというフレームワークで作っていますが、こういうものは、やはり個人が主導してやっていかなければいけないだろうと。ただ、個人がやるものについても、個人のその訓練が正しいかどうか、その労働市場の状況と個人のそれまでの経歴等々というものも見ていく必要があるだろうと。そういう意味で、キャリア・カウンセリングをその受給の前提とする。理想型で言えば、キャリア・カウンセリングを受けてその訓練科目を決めて、それに基づいて応募して、2年なり3年という、長期の自発的な訓練をしていくことができるようなフレームワークができないかというふうに考えているということです。

 ただ、こういうものが個人主導だけでいいのかというところもあるので、企業が、こういうものを受けたらどうかということを支援するという道も必要ではないかと考えています。企業がやる場合については、キャリア・カウンセリングがなくても、ある程度企業が誘導できるという形で、企業がある意味、そういうものを進めながらと。なかなか全日制の教育を受けるのは難しいかもしれませんが、夜学ですとか、週末とかというような訓練を受けていくということで、本人の資格などを通じて職業能力を高めていくというような考え方があるのではないかということでやっています。

 ただ、実際に制度を仕組んでみると、なかなか役立つ訓練は何かというところが難しくて、就職率等々で見てみた場合に、例えば、医療系の資格などは今、人手不足ですから確実に就職ができて、かつ長持ちするだろうと。そういう意味で、実際に成果を計りやすいだろうと思っています。離職者の場合ですと、成果を見るのに就職率等々で見ていくということはありますが、一方で、在職者の方、あるいは、就職した後にその訓練が役立ったかどうかというのはなかなか難しい。こういうものをどういう形で評価していくのかは非常に大きな課題ですので、そういう観点も今回の審議会の中で御議論をいただければ有り難いと考えているところです。

 

○原委員 すみません、私も発言しづらくなる前に、ちょっと感想というか、御説明を受けて感想ということです。大久保先生とか武石先生のおっしゃったことと少し重なる所もあるのですが、杉浦局長から今御案内がありましたように、能開局では能力開発基本調査を毎年やっていて、丁寧にデータとして出してくださっているわけですが、そういうのを見ても、企業内訓練、能開調査だけで追えない部分もあるのですが、少しほかのものも複合的に見てみますと、やはり企業がやっている職業訓練、企業内訓練というのは2000年代になって減ってきていて、特にリーマンショックの後、かなり減っている。7090年代、つまり以前と比べて、2000年代以降かなり減っていることが分かっている。自己啓発に関しても、これは90年代ぐらいからのデータですが、90年代と比べても2000年代後半というのはかなり減ってきていて、企業も個人も能力開発を行えなくなっている、そういう時代なのだと思います。ですから、そういう時代に、こういう職業能力開発の在り方全般について議論するのは、とてもいいのではないかと個人的に思っています。

 職業能力開発を何でやらなければいけないか。やらなければいけないものなのだというわけではなくて、やはりやることにはとても意味があるわけで、職業能力開発の機会に恵まれている人とそうではない人というのは、はっきり示されてきているわけです。正社員と非正規でしたら明らかに正社員だと。男性と女性でしたら明らかに男性。高学歴者と学歴の低い人であれば高学歴者。大企業と中小企業の勤務でしたら明らかに大企業で、彼らの職業生活を比べるのは難しいのですが、例えば、賃金などを見てみると、明らかに職業能力開発を行えている人のほうが高いわけです。ですから、やはり、職業人生にとって能力開発の機会がある人のほうが有利になる。職業能力開発の機会に恵まれない人は不利になりやすいということがあるので、やはり行っていく、支援していく必要があるのかと思っています。

 そういう、属性の違う人同士を比べてもそうなのですが、例えば、正社員の中だけとか女性の中だけで比べても、正社員同士で訓練を受けた人と受けなかった人を比べても、やはり訓練を受けた人のほうが賃金が上がっていますし、女性に限定しても、女性の中で訓練を受けた人と受けなかった人を比べると、受けた人のほうがやはり高くて、かなりプラスなのではないかと思います。

 そうすると、訓練の機会に恵まれない人というのが重要な政策ターゲットになってくるかと思います。やはり出てくるのが、まず非正規の人が受けられていない。あと、女性だということです。非正規と女性で共通して言えることは、企業内、先ほど武石先生が内部育成を前提としていないとおっしゃっていましたが、やはり、内部育成を前提としていない労働者ということで、外部市場を通じてキャリア形成を考えていく人たちだということです。そうすると、やはり、外部市場でも通用する職業能力評価制度の構築というのが、今後非常に重要になってくるのではないかと私も思っています。女性という面なのですが、大久保先生からもありましたが、一旦就業を中断してしまった人をもう一度就業というパスに乗せるときに、職業能力開発はとても大事になってくるのだと思うのです。しかし、それにアクセスすること自体がとても難しくて、御提示いただいた資料の91ページなどに、いろいろと今後、こういうことに取り組んでいくなどということが書いてあります。是非こういうことの実現に向けて、ぜひともお願いいたします。

 厳密な分析ではないのですが、女性と接することが増えまして、一旦、仕事を辞めてもう1回入ろうとしている人たちと話をする機会があります。話していて、こういう機会がある、国がこういう機会、こういう能力開発の機会、訓練を出しているから使ってみたらと。知らなかったという人が意外と多くて、一旦労働市場を離れてしまった人に、労働市場に関する情報を提供していくというのがとても難しいのだと思っていて、まずは、何か情報をどうやって知らせていくか。どこでも言われていることだと思うのですが、それが大事になってくるのかと思います。

 あと2つ、1つが自己啓発に関してなのです。自己啓発、自分自身の時間を使って自分のポケットマネーでスキルや知識を身に付けていく。そういう活動をする際も、やはり、勤務先で今後どういう仕事を任せられるかとか、あと、どういうスキルをその職場で必要とされているかを知らされているということが、自己啓発の実施にプラスになるということが研究からも明らかにされていまして、武石先生もキャリア・コンサルティングの重要性などとおっしゃっていましたが、今後どういうキャリアを開いていくのかということをきちんと理解させることが自己啓発にもつながっていくので、キャリア・コンサルティングの充実ということを是非お願いしたいと思っています。

 先ほど御紹介いただいた資料の中に、今、キャリア・コンサルティングの方の人数はかなり多いと。8万人ぐらいでしたか、87,000人ということなのですが、でも、登録キャリア・コンサルタントの方も含めてということで、有資格であったり、スキルの高い方というのはまだ余り多くないので、是非、質の拡充というのをお願いしたいと思っています。

 最後です。訓練の効果という話が出ているのですが、ここで訓練の効果を測っていくことが非常に大事だと思っています。限りのある予算を使っていくわけですし、人的資源も限りがあるので、有効に活用していくためには、やはり効果を上げている所にと。効果のない所は止めて効果のある所に重点的にやっていくという、資源の配分というのは大事になってくると思っています。難しいのだと思いますが、いろいろ能開機構のほうも努力されていらっしゃると思うのですが、やはりこういう、国のお金を使って公共訓練を受けた人には、追跡調査に協力してもらうような仕組みを作ったほうがいいのではないかと。修了時点で、その現状についてアンケート調査をすることはできると思うのですが、そこから先どうなったかということも、やはり長期のスパンで、訓練を受けたことがその人の職業人生にプラスだったかということを知ることも、とても大事になってきますが、受講者の人たちの協力を得ないと難しいのです。そういう仕組みを作らないとそういう評価ができないので、そういう方々に、今後終わった後、毎年、5年ぐらいお付き合いくださいとお願いするのは難しいとは思うのですが、是非そういうことをやっていただいて、日本の訓練、公共訓練に効果があるかどうかを検証していく必要があるのではないかと思いました。ということで、感想です。

 

○今野座長 ありがとうございます。感想を言っていただきましたから、感想はありますか。

 

○吉永総務課長 先生のいらっしゃる日本女子大学では、特に育児・介護の後の復職を希望する方の講座などを設けられていて、あれは非常に好評だと聞いております。実際にそこを出られた方で、かつその講座を受講された後、就職を希望される方の就職の率も非常に高いと聞いております。そういう中で、私どもの訓練体系がその方々にきちんと届いているかというところになると、実際、先生がおっしゃられたとおり、ハローワークに来ていただける方にはいろいろな形で情報が提供できるのですが、ハローワークから一旦離れてしまった方に、どういう形でそういう訓練情報等々を提供していくのかというのはこれからの課題だろうと思っております。

 実際に公共訓練で、無料の所は離職者の雇用保険受給者であって、しばらくした方に限られてしまいますが、求職者訓練などについては御利用いただけることも多いですし、実際、求職者訓練受講の方は女性もかなり多いという状況ですので、訓練科目をどうしていくのかということも含めて、労働力供給が極めて制約されている中で、専業主婦は高学歴の方も多いですので、そういう方をどういう形で労働市場に戻って活躍していただけるか。そういう観点からの能力開発行政の位置付けも重要ではないかと。

 

○今野座長 原さんのお話を乱暴に言うと、これからの公共政策としてやる能力開発政策では、もう企業のことはいいと。

 

○原委員 そこまでは言っておりません。

 

○今野座長 つまり、企業の中で訓練をされるような人はもういいから置いておけ。それより、先ほどの言葉で言うと、外部労働市場でキャリアを形成するような人に集中的に政策を打て、ということになるのかなと思って聞いていたのですけれども。

 

○原委員 どちらが必要度が高いかというと、先生が今おっしゃった後者のほうかなとは思いますが、両方大事だというのが私の意見です。

 

○今野座長 でも、お金は一定だから。

 

○原委員 そうなのですね。だから、どちらかを選ばなければいけないと言われれば、私は後者かなと思います。というぐらいですね。

 

○今野座長 そうすると、例えば武石さんも言っていましたが、これからキャリア・コンサルティングが非常に重要だというときに、もちろん企業は自社の従業員には良いキャリアを積んでほしいとか、社員を有効活用もしたいということから、キャリアの相談は乗るということはやるので、それは企業にやってもらえばいい。専ら先ほど言ったような外部労働市場でキャリアを形成するような人たちに、公共政策としてはキャリア・コンサルタントみたいな政策を集中的に打つ、あるいはお金については、そこに集中的に回すということですよね。

 

○武石委員 今まだ、内部よりは外部のお金の投入の仕方が足りないので、そちらが重要になっていくのではないかと思います。また、技能検定を見ても、128職種で75万人のうち、ファイナンシャル・プランナーが48万人と、ここが6割ぐらいですか。すごい割合を占めていて、ほかのは少ないですよね。このようになってきたら、たとえば1,000人単位の所はもう要らないのではないかという議論もあり得ると思うのです。そういうスクラップの部分がちゃんとできてきたかなという部分があります。内部労働市場を非常に大事にしてきたというのは分かるのですが、原さんがおっしゃるように、お金が一定の中でどこに重点を置いていくのだろうということで、外部労働市場で訓練機会に恵まれない層が重要になると思います。ただ、内部労働市場の中で、企業の側も、従業員の育成に面倒見切れないというか、企業もどういう人を育成していいかが、だんだん分からなくなってきているので、従業員が自分で考えてくれという、キャリア自律という方向が出てきています。そこは企業の中にいるからそれは企業が何とかするというよりは、外部労働市場と内部労働市場の中間領域ぐらいで、個人のキャリアを考えるところは企業の中か外か分からないですが、何らかそこの部分は支援していかなくてはならない。正社員従業員だから企業にお任せというよりは、その人たちが自分がどうしたいのという、キャリア自律の部分に関しては何らか支援しなくてはならない人はいるのではないかと思います。

 

○今野座長 1つだけ。誤解されては困るというか、単なる情報提供なのですが、多分これまでの公共訓練というか、公共政策は、お金の面からみるとほとんどが離職者訓練中心なので、ここで言う外部労働市場でキャリアを形成するような人たちに対してお金を集中的に配分してきて、それを支援するための教育訓練体制を組んできたということは事実なのです。ですから、今まではやってこなかったと思われては困るかなというので一応お知らせします。ただ、それで良かったかどうかとか、十分だったのか、そういうことはあると思いますけれども。

 

○吉永総務課長 あとは内部労働市場といっても、結局、正社員の中の内部労働市場の話と、正社員でない、長くその会社で働くにしても、パートのような非正規型で働いていらっしゃる方に対する内部労働市場対策としての対策がありますので、そこはステップアップしてくるような能力開発をどうしていくか。そこが企業が積極的に取り組むインセンティブが余りない部分もある。最近、景気が良くなってきて少し変わってきている状況ではありますが、従来型ですと、そこが外部労働市場と非常に隣接しているので、そこに対する投資はなかなか行われないところについて、どういう形で導入していくのか。あとは正社員の中でも、企業が先発して積極的に能力開発投資を行うグループと、それ以外のグループがだんだん出てきているということがあると思いますので、そこに対して企業にお願いするのか、お願いできない部分をどういう形でやっていくのかという辺り、組立てが。その辺りは割と入り組んでおりますので、非常に難しい部分があるのかなと。

 

○堀委員 1つは質問で1つは感想なのですが、82ページに「労働市場政策における職業能力評価制度の在り方に関する研究会報告書概要」ということで、今後詳しく御説明があるというお話だったのですが、特に4の「今後の職業能力評価制度の在り方(提言)」の部分の上から3つ目の「職業能力評価と教育訓練プログラムとの、共通の人材像に基づく一体的な開発・運用」というのは、具体的にどのようなイメージなのかを教えていただきたいというのが1点です。

2点目ですが、私は学校から職業への移行についての研究をしておりますので、どうしてもこの分野は教育行政との連携が十分にできていないということがしばしば言われることだと思うのですが、大変残念です。とりわけ能開業者が力を入れてきた、例えばものづくりなどにおいても、私どもは地域のものづくり人材養成の産学連携を調べたことがあるのですが、工業高校を中心とした産学連携であったのですが、それにおいてすら全然、労働行政側は全く関与できていなかったという事例がありました。ものづくり分野においては、特にこれまでも大変蓄積があるのに、なぜうまく関与できていないのだろうというのが大変残念で、教育行政との連携にも是非、力を入れていただければと考えております。

 

○伊藤能力評価課長 1点目の能力評価制度在り方研究会に関して、次回以降また詳しく説明をと思っておりました。今日はとりあえず御指摘のあった点だけコメントさせていただきますと、3月に今野先生を中心におまとめいただいたこの報告書の中でも、能力評価制度そのものの在り方に加えて、能力開発施策、あるいは人材育成施策全体の中で、能力評価の仕組みと教育訓練の仕組みに関し、言ってみれば能力開発の目標、人材像があって、それを養成するためのプログラムがあり、その到達点、成果確認のための手法、ツールとして業界検定、あるいは技能検定等の能力評価の仕組みがあってということで、そこを有機的に組み合わせた仕組み、あるいは一貫した支援プログラムを構築すべきであるという趣旨の御提言を頂いたところです。突き詰めて言えば、共通人材像の下で、新たに、そのために最も合理的な教育訓練プログラムを開発し、その到達と評価のための業界検定、その他の評価ツールを整備しというのが究極型であると思っております。ただ、現実には既に今回も説明しておりますような様々な公共訓練、あるいは技能検定等の既存の仕組みもありますので、いきなりそういう究極型になるということでもなく、例えば今日、説明申し上げた中では、中長期的なキャリア形成支援措置の中でも、新たな支援の対象となる教育訓練プログラムの1つの類型として、資料でいうと76ページですが、業務独占資格、名称独占資格、こういった資格制度をもって、この中長期キャリア形成支援措置にふさわしい、いわば教育訓練プログラムとしての公的支援の対象として、ふさわしいプログラムを選定するといった様々な形態での教育訓練と能力評価の連動、あるいは支援の制度設計ということがあり得ようかと思っております。大まかな考え方は、先ほどの評価研の中で御提示いただいたわけですが、そういった具体的な設計については本研究会における今後の議論の中で、更に私どもも検討を具体化していきたいと思っております。

 先ほど武石委員から、技能検定について少しコメントがあったので、それについても若干お話をさせていただきますと、技能検定制度を含めた能力評価制度についてもこの間、議論いただいておりますような外部労働市場の観点、あるいは効率性といった観点をより重視した制度設計運用を図るべきであるという認識は、私どもも大変強く思っているところです。先ほどスクラップの話も出てまいりましたが、これまでの行革方針に基づいて技能検定の対象職種についても、年間受検者数100名といった1つの基準の下で、それを満たさない職種・作業に関しては、計画的な廃止・統合をもう既に実施しております。そういった基準ですので、全国で数100名オーダー、ロットの技能検定職種は存在するわけですが、そういった職種であっても、ものづくり現場における質的中核性、基盤性といった観点から欠くべからざる技能検定を通じ、技能労働者の質を保証することによって、製品の質、ひいては産業活動競争力を確保していくという、内部労働市場型の観点からの必要性が認められる技能検定があり、あるいは公共訓練でも同様ではないかと思っております。

 したがって、全体としてはより外部市場の観点を強化しつつ、内部市場、あるいは産業施策との連携という観点から、必要な部分についてはもちろん一定の基準で常に検証しながらも、安定的な運営を図っていく必要性も、一方ではあるのかなということを、先ほどの質問を通じ感じたところですので、補足をさせていただきます。

 

○堀委員 今のお話の共通の人材像というのは、どこかで議論されるというイメージでよろしいのでしょうか。

 

○伊藤能力評価課長 この評価研の中で触れていることについては、共通の人材像ということで、何か新しい仕組みをというところまで意図しているものではなくて、もう少し一般的な意味合いということで受け止めていただければと思います。ただ、実際にはもう既に予算事業としては、業界検定スタートアップといった取組、4団体を対象に既に着手しておりますが、こういった取組の中でも業界自ら、いきなり手法としての検定の開発ということではなく、参加企業の協力を得ながら、実際にそれぞれの企業がサービス提供の現場において必要としている能力、人材像といったものを分析した上で、具体的な検討の開発に着手をすると。こういったスキームで進めておりますので、そういった意味では一つ一つの仕組みの中で、こういう理念を体現化していくということかと思っております。

 

○橋本委員 労働法を専攻しておりまして、能力開発に関して全く素人ですが、先生方の御議論から大分、問題状況が分かってきたかなと思っております。ありがとうございます。今、離職者が就職できるように、外部労働市場で能力評価を見える形で行って、就職につなげる訓練が大事だということで、それは本当にそのとおりだと思います。また、なお現在の課題が、雇用期間が長期化している中で技能が陳腐化してしまうので、長く働けるように常に役立つ人材であるべきということの支援をどうするかということで、課長もおっしゃっていましたが、企業にいかに支援するかということがとても重要で、この点はどうしても難しいのかなと理解しています。

 自己啓発として自分でこれが必要だ、こういう資格を取りたいというのを支援する制度が雇用保険の訓練給付で、中長期的なキャリアのための制度も新しくできたわけですが、これもどうしても自立的、自主的に行って、それを支援するという制度だと思います。そして、企業に対しては休職しやすくできるような、何らかの後押しをすることは考えられるかもしれないのですが、本当に企業にとって必要な資格なのかどうか。役立つ訓練が何か難しいという議論もあり、本当にその通りだとは思うのですが、やはりこれから自分がずっと役立つ人材で企業で働けるためにこういう資格を取るとよいということが具体的に提示できれば労働者も安心できるのになあと、全くの感想ですが、思っております。

 こう申しますのも、従来は企業と労働者の関係では、教育訓練というのはあくまで使用者の指揮命令の一環として、業務命令として行われてきたものですので、労働者のほうで何かしてくれと言えるような権利としては、現在に至るまで確立されていませんので、そこはどうしても使用者の裁量、企業の裁量だというところが前提となってしまうので、いかに支援していくかというところは本当に難しい問題だなと思って、良いアイディアもないのですが、感じております。

 

○吉永総務課長 橋本先生が御指摘の点については、法制的な意味ではキャリア権という言葉で、諏訪先生が主張されているような御指摘もありますが、それが法律の権利としてどうなのかという議論は、理念としては非常に評価が高いのですが、難しいという状況があります。法的に申しますと、能開法の中でもこういう規定がありまして、「事業主は必要に応じ、その雇用する労働者が自ら職業に関する教育訓練又は職業能力検定を受ける機会を確保するために必要な次に掲げる援助を行うことにより、労働者の職業計画設計に即した自発的な職業能力開発及び向上を促進する」とありまして、有給の教育訓練休暇制度も法律上は位置付けられてはおります。ただ、やはり必要に応じということでもありますし、企業のニーズを余り考えずに、労働者に権利として付与するところまでは至っていないところです。一部企業では、有給教育訓練休暇制度、あるいは無給の場合でも休暇制度を導入しているものも大企業などであるようですが、この辺りは企業の経営戦略との関係でも難しいところがあるかとは思っております。

 

○今野座長 ちなみにキャリア権ですが、確かに従業員が教育を受けるというのは企業の裁量なわけですが、キャリア権というか、教育権らしきものを認めている企業はないわけではない。例えばIBMなどは、今は知りませんが過去ですが、従業員はたとえば40時間教育を受けなければいけないと決めていた。一種の教育権なのです。そうすると、上司は40時間受けさせないと、ペナルティを受けるわけです。そうした事例は他にもあるかもしれないです。そういうのがソフトで広がればいいのでしょう。ハードでやると問題だから。たとえば、そういう会社は成長するぞということを知らせるなど。今でもやっているかは、よく知りません。

 

○吉川委員 話をさせていただきたいと思います。初めての会合なので、頭の中が全然整理できていないのですが、それでよろしければですが。お話を伺っていて、私が最初に頭に浮かんだのは、頑張って整理されているのですが、余りきれいに整理をしてほしくないと実は個人的に思っています。変な言い方で申し訳ないですが、制度の整理を余りきちんとやってほしくないということで、なぜかといいますと、私は実は先週、ISO29990の後の会議に参加していたのです。その中で彼らが学習者の権利として守らなければいけないと非常に重視していたのは、1つはアクセス・トゥ・ラーンです。アクセシビリティの話があるということは、どこかに引っかからなければいけない。余りきれいに整理されてしまうと、必ず端っこができて境界ができてしまうので、いけるいけないの判断がそこで迷ってしまっていると、いけなくなったりするので、それはなるべく避けようというのは1つ考えたりする。ちなみに言っておきますと、アクセス・トゥ・ラーンとコンティニュー・トゥ・ラーンとラーン・ウィズ・コンフィデンスという3つをすごく大切にして評価をしております。もちろん、まだ会議の途中ですので、それで全部決まったというわけではありませんが、学習事業者が学習する人に何を担保してあげなければいけないのかということに関しては、少なくともこの3つは大切にしていこうというところで、そうやって考えると、余りきれいに整理してほしくないなというのが1つ頭に浮かびました。

 もう1つ、お話を伺っていて、この文面を見ていても非常に気になったのが、「最適の」という言葉があったり、「ニーズの」という言葉が結構あって、私はこれは非常に厳しいものではないかと思っています。なぜかというと、教育というのはものすごい時間がかかる話なので、最適の仕組みを作っていると古くなる、ニーズを把握したときには終わっている。企業が即戦力がほしいというのは、即戦力の人材がほしいのはもちろんなのです。なぜかというと、半分の理由ですが、要はそういう人材を育ててこなかったからです。人材というのは必ず育成時間がかかるので、ほしいときにはいないということが普通に起こる話です。

 先ほども企業の支援がどれだけあるのかというお話をされていたのですが、企業も実はナビゲーターがほしいのです。次にどんな事業が来て、どんな人材がほしいのか、企業ですらよく分かっていない部分があります。だから、市場が変わったときに、ほしい人材がすぐに手に入らなくて、即戦力の人材がほしい、ほかから買ってくるという話になったりしています。それは個人も企業も同じで、先ほど個人でナビゲーターがいないというお話をされていましたが、企業が分かっているかというと分かっていない。大枠でどうやっているのかという話になってくると、例えば先生方は御存じのとおり、21世紀スキルをOECDとかアメリカのIT企業が出されておりますが、大枠ではこんな人材だろうというように出して、ある種の評価は出していたりします。でも、個別具体的になってくると、それぞれのいろいろな企業でも違ってくるだろうし、業種によっても違ってくるでしょうからという言い方になっている。

 そのようなことで何らかの形で、ある程度のサポート機能が、今のこの枠の中で全てか分かりませんが、何かできるのかどうかは検討してもいいのかなと。分からないというのが正直なところです。つまり、誰も分からないと思っているのは幻想かもしれないし、ある意味の体系から大枠だったら分かるかもしれない。そこは考えてもいいかなと思います。

 もう1つ、先生方は効果という言葉を出されていたのですが、ISOでも今度イバリュエーション・アンド・アセスメントを作ろうという動きがあるぐらい、物差しが正しいかどうかというのが、また1つ議論です。測ったというけれども、本当にそれは測っているのですかというのは常にある話で、業界検定という話もそうですが、それが正しく測られているのですかというのは、もう1つ必ず出てくる話で、そこはアメリカが非常に強い分野なので、今そちらでも、きちんと測っていこうという話があったりします。というように、この分野にまつわって、いろいろな世の中の動きがたくさんある中で、どのようにこの議論をすべしていくのだろうか。本当にまとまりのない意見ですみませんが。

 

○今野座長 あれがありますよね。おっしゃられたように企業だってよく分からない。つまり、お互いに将来はよく分からないのだと。それはそのとおりだと思うのですが、実はもう1つあって、人によってはそんなこと言っていられなくて、今、仕事したいという人がいるわけです。その人は、今、必要とされる能力を求める。多分、先ほどから問題になっていた、外部労働市場でキャリアを形成するような人たちの多くはそういう人なので、そういう意味ではニーズは非常に明確かもしれない。そうではなくて、長期のキャリアを考えればそういうことですので、極端なことを言うと、そういう人は余裕のある人なので置いておけということなのかもしれないし、重要かもしれないし、そういう側面もあるなと思います。谷口さん、話していないですよ。あなた当事者なのだから、話さないと。

 

○谷口委員 まず、資料の中で、求職者のための訓練について、私は幾つか疑問といいますか、分からない部分を持っていまして、その辺ちょっとお伺いしたいといいますか、あるのです。求職者の訓練というのは、基本的には能開行政としては安定行政のその次といいますか、受講指示という形で職業訓練が機能するわけですから、就業支援という意味では二義的な形でしか位置付かないのですが、その辺で職業訓練の限界をいつも感じるのです。結局は就業支援といいますか、就業することが最終的な目標ですから、訓練でどこまでそこにアプローチできるかというところの限界感といいますか、訓練の現場の観点からすると、そういう気持ちがありますね。

 なぜそのようなことを考えるかといいますと、資料の何ページかに、訓練機関ごとの求職者の就職率が80数パーセントとか60数パーセントという形で出ていますね。就職できなかった人を仮に10数パーセントとか、あるいはもう1つの機関の30数パーセントと。その方たちは一体その後どうなっているのだろうかということを考えたときに、どうなのだろうと。そこのところは能開行政は職業訓練としてはもう考えないのだろうかという疑問です。どうなっているのだろうかということを申し上げると、原さんの関心事になっていくので、そのレベルの関心事ではなくて、結局、就業困難者という、仮に求職者の訓練のカテゴリーを設けるならば、もう少し突っ込んで、就業困難者のための訓練のシステムといいますか、こういうものがあっていいのではないかという気がするのです。それは安定行政との密接なかかわりの中でやるべきものかもしれませんが、求職者支援訓練の場合に、ハローワークが特別にそうした手厚い支援を行うような体制を組んだということをお聞きしますが、そのような就職困難者というカテゴリーで、何か訓練が新たに必要な感じがしないでもないと。ともかく訓練の結果、就職できなかった人に対して、どのように考えるかということが、まずあります。

 資料には付いていなかったのですが、雇用失業情勢は大分改善の方向にあるようですが、どうしても構造的に若年者の就業といいますか、失業率が一般に対して高いというのは、国際的に見て日本も例外ではなくなったと言われますが、若年求職者のための仕組みも非常に分かりづらくなっている。先ほど整理しないほうがいいという御意見もありましたが、利用者からするとどうなのだろうかという。チャンネルがたくさんあったほうが利用者にとって便利なのか、あるいはワンストップ機能で利用者へのサービスをより高めるのか、その辺の最終的な結論は分かりませんが、どうも分かりづらくなっているような気がします。これは若年求職者のために、いろいろと次々と作ったり、あるいは改めたりといったことも含めて、全体像として分かりづらくなっているような気がするのです。そういったところです。

 

○今野座長 最後の「分かりづらい」というのは、分かりづらかったのですが、どういう意味を今おっしゃったのですか。

 

○谷口委員 例えばジョブ・カード制度の枠組みでは、職業能力形成プログラムというものがあり、サポステと言われるような仕組みもあり、仮に私が就職に迷える若者だったら、とりあえず何の訓練を受けていいのだろうかとか、どういう仕組みがいいのだろうかということで、ハローワークなどが最寄りの窓口としてアクセスするのには便利なのかもしれませんけれども。また、そうしたキャリア・コンサルティングという仕組みもあるのでしょうけれども、利用者側からすると、もう少し分かりやすい整理があってもいいかなと思うのですけれども。

 

○吉川委員 ちなみに私が言ったのは、整理しすぎなければいいので、してはいけないのではないので、そこは誤解のないようにお願いします。

 

○今野座長 それは、こういうケースの場合はサポステが合っていて、こういうケースの場合はこの訓練が合っていてという、そのような対応関係が不明確だと、そういう意味ですか。

 

○谷口委員 それもありますね。

 

○杉浦職業能力開発局長 例えばいろいろな若者なら若者がいて、今おっしゃったようにサポステが受け止めるのが適切なのか、ハローワークの中で訓練に誘導するほうが適切なのかということは、現実には所管のサポステとハローワークは結構そういう連絡をやっていまして、例えばハローワークに来たけれども、すぐ訓練を受けても、もうちょっと人間関係とか社会常識のところからやらないとまずいなという人は、ハローワークにつないでやるということは、今でもやってはいます。

 そういった本当にいろいろなレベルの方がいらっしゃいます。訓練も求職者訓練だとか普通の委託訓練に最初から乗っかる人もいれば、ちょっとそこからもなかなか難しいという人も実際におられるような場合もあるので、そこは正に先ほども御意見がありましたが、キャリア・コンサルティングの機能をハローワークの場面にもたくさん、今でも一定程度はおりますが、更にこれから導入しようということは考えております。ですから、企業の中、それからそういったハローワークのような所とか、あるいは学校の進路指導みたいな所とか、いろいろな所にこれからのキャリア・コンサルティングの機能を充実させていくと、これまでのいろいろな検討会などでも指摘を頂いております。

 先ほど最初の説明の中で、養成計画を作るというのを今やっていまして、近々発表されることになっていますが、そういった中で、例えば企業分野では、向こう10年以内に何万人とか、これはどこまで実現可能か分かりませんが、そういった企業分野、あるいは学校分野、マッチング機能分野でどのぐらいずつこれから、今の必要人数を含めて、養成計画みたいなものを作って打ち出していこうかなと。そのために必要な施策も打っていきたいということは、今のところ考えております。

 ですから、もちろん全部キャリア・コンサルティングに集約するというわけでもないのですが、その辺の多様な対象者に対する誘導の仕方を、今までのハローワークで、単に来たのを訓練に送り込むというだけではなくて、それは進めていきたいと考えているところです。

 

○今野座長 先ほどから出ている外部労働市場でキャリアを形成するような人たちと一言で言っていますが、実はそこは非常に重層的です。先ほど谷口さんが言われた就職困難者という人もいるし、また朝起きられないような人もいるし、既に働いていて転職する人もいるし、非常に重層的ですよね。谷口さんのお話は、この重層的な中の下をものすごく重視していけと、そういうことですよね。そこを重視すればするほど、どういうことが起こるかというと、資源は一定ですから、上はしないということになる。相対的に資源一定だと。

 

○谷口委員 例えばイギリスだったか、フランスもそうだと思うのですが、いわゆる就職困難者という者と一般求職者という形で、まずは分けて、その後、資源の配分の仕方は、就職困難者に手厚く配分するという公平性といいますか、そういう考え方もあるわけですよね。

 

○今野座長 そこはもう戦略ですよね。ちょっと乱暴な言い方ですが、在職者は相手にしないとか、そうなるわけです。非常に乱暴な言い方ですけれども。

 

○杉浦職業能力開発局長 ですから、能力開発行政というか、政策のウエイトの置き方をどう考えるかという、むしろそういう非常に大きな問題になるかと思いますけれども。

 

○今野座長 そういう意味では、もし谷口さんが言われるようなことを強調すれば、たとえば障害者をすごく重視するということになるだろうと思うのです。

 

○大久保委員 今のお話にも関連することだと思うのですが、職業訓練の効果・検証をどうするかというのはすごく大きなテーマだと思っています。今現在は、実際に訓練それぞれについて何人受講者がいたのか、そして就職率がどうだったのかということを専ら見ているのだと思うのですが、就職率の定義とか測定方法も、まだ完成しているわけではないと思いますし、審議会で何度も議論になっているところだと思うのです。就職困難者とそうでない人では、就職率といっても、ステップ・バイ・ステップで就職を決めたほうがいいところもあると思います。その辺りを、どう全体的にしっかりとした仕組みを作り上げていくのか。それは1つの課題だろうと思います。

 もう1つ、職業訓練の効果とか評価とかということでいくと、いわゆる職業訓練行政に全体として投下している予算に対して、どれだけの成果が上がっているのだろうかという、バリュー・フォー・マネー的な発想かもしれません。そういうものをどうやって見るのだろうかと。例えばそういう人が就職できないことによって、別途、社会保障のお金がたくさんかかっていると。逆にその人が就職できることによって、納税者になるというと、そこに大きなバリューが生まれるわけです。それが同じ投下した教育訓練予算との関係で見たときにどうなのだろうか。ただ、職業訓練行政の重要性を語る上で、非常に重要なことのような感じがしているのですが、何となくそこはまだ十分に概念化されていないというのはずっと思っていまして、そういう両面から効果の問題についてはまだ課題があるのではないかなと思っています。 もう1つ、キャリア・コンサルタントの話も何度か出ているのですが、現在87,000人と養成数が書いてあるのですが、これは1人の人が2度カウントされていたりするものを含んでいますね。

 

○藤浪キャリア形成支援室長 これは養成数で出しております。

 

○大久保委員 そうですね。キャリア・コンサルティング技能士の資格を取っている5,500人のうち結構多くの人たちが、標準レベルキャリア・コンサルタントの資格を持っているということもありますから、実人数でいうと、もっと小さいということがあります。しかも、今、導入しているキャリア・コンサルタントというのはキャリア・カウンセラーではなくて、ある種、簡易版的なところでスタートを切っているので、アメリカでキャリア・カウンセラーというと、キャリア・カウンセリング修士を出た後に、一定年数、経験を積んで、更に職業知識に関しても、一定レベルのものを持った人たちをキャリア・カウンセラーと言っていることからすると、これは本当に初級レベルのところだと。ということからすると、数としても質としても、まだキャリア・コンサルタントについては不十分な状態であることは間違いないと思うのです。

 ただ、一方でいわゆる職業訓練にキャリア・コンサルタントのコミットメントをつなげることによって、モラル・ハザードを回避するとか、あるいは成果を上げやすくするという目的で、キャリア・コンサルタントに依存してきたところも相当大きくて、逆に言うと、余り依存しすぎると、そこがボトルネックになってしまっていることもあるような感じがするのです。キャリア・コンサルティングがどのぐらい質的に、量的に担保されていくのかということを、もうちょっとちゃんと見据えた上でやらないと、ジョブ・カードなどはむしろそれがボトルネックになっているとすら思う状況なので、その辺のバランスはもう少ししっかり取っていく必要があるのではないかなと思います。従来からずっと思っていることなので、改めてこの機会にもう一度申し上げさせていただきます。

 

○原委員 大久保先生に刺激を受けてしまったのですが、大久保先生のおっしゃることは正にそうだと思っていて、成果の指標は、まだ検討の余地がいっぱいあるということ。私が先ほど申し上げたのは、受講した人を受講していない人とあわせて追跡的に追っていく必要があり、かつ長期的な視点で評価する必要があるだろうということです。そういう視点がないと、能力開発行政の効果を評価するとき、能力開発行政の制度を使った人が就職できたとか、賃金が上がったとか、本当に職業能力開発行政のお陰で効果があったのか分からないわけですよね。だから、制度を使っていない人も含めた効果の仕組みを考えていかなければいけないので、かなり抜本的に大きな仕組みの中で、評価の在り方を考えていく必要があると思っています。以上です。

 

○今野座長 大久保さんの2つ言った評価の後半戦は難しいですよね。今のは結局、個別の訓練をしました。そこで訓練生が出ました。その人がどうなっていきますかということを体系的にしましょうと。

 

○原委員 まずは1つ目です。

 

○今野座長 大久保さんがもう1つ、全体のことを言ったのですね。

 

○原委員 私はもう1つは訓練を受けた人がいて、訓練を受けたから効果があったかを知るためには、まずは訓練を受けた人と訓練を受けなかった人、つまり同じようなレベル人たちなのだけれども、訓練を受けなかった人と比較してみないと、やはり分からないわけですよね。

 

○今野座長 いやいや、私が言っているのは、もう1つは訓練を受けたお陰で社会保障費が減ったとか、そっちのもう少し大きな話ね。

 

○原委員 そっちですか、分かりました。大きな話ですね、失礼しました。

 

○今野座長 できるのですか。

 

○大久保委員 職業能力開発にどのぐらいお金をかけるのですかという話で、失業者が増えれば一時的にバッと増えるのですが、以前もどっちかというと軽視されるときもあって、ちゃんとそれが証明できないとまずいのだろうなというのを、数年前にしみじみと実感した時期もあったので。

 

○今野座長 それはあれですよね。企業から言うと教育訓練というのは本当に経営に貢献しているのかと、経営者から問い詰められている教育訓練担当者と一緒ですね。だから、景気が悪くなると、教育訓練費がバッと削られるのです。

1つだけ。教育訓練費が減ってきて、企業は教育訓練から撤退していくというのが一般的な、広く共通に考えられている認識だと思うのですが、大企業をみると余りそんな気がしないのですが、どうですかね。例えば社内大学のような機関が、この間どんどんできてきている。訓練費を全体で押さえているけれども、集中配分しているというように考えればいいということですかね。大久保さんに聞けば一番いいかな。

 

○大久保委員 コーポレート・ユニバーシティの半分の目的は、部門別にやっている教育研修を束ねることによって、コスト効率を良くするということです。効率化の要素があるので、必ずしもお金を増やしているという感じではなさそうです。一番大きな特徴は、投下する人としない人を分けるという方向にどんどん行っているので、前は階層別にばらまいていたものから、集中的に選択した人だけに投下するという方向に変わってきている。企業内教育研修の恩恵を受けていない社内にいる人たちが相当増えているということは確かです。

 

○今野座長 でも、私から言わせると、従来の階層別研修だったらやめたほうがいいですよね。社員を分けて集中的にやったほうが効率いいかもしれないし、問題になる残った人のキャリアを考えて、どう教育するかというのがセットになっていればいいわけですね。余計なことを言いました。時間ですので、御協力ありがとうございました。今日は広く議論していただきましたので、次回以降、少し論点を絞って議論していきたいと思います。「今回の議事は公開にしたいと考えていますが、いかがですか」とシナリオに書いてあるのですが、原則公開なのだから、いいですよ。次回以降要らないですよ。非公開にするときだけ、事情を考えればいいので。ですから、公開です。これで終わりたいと思います。次回の日程について、事務局からお願いします。

 

○田中総務課長補佐 どうもありがとうございました。次回、第2回の研究会について、連絡をさせていただいているかと思いますが、625()10時から12時ということで予定をしております。会場については、別途また事務局より連絡をさせていただきます。

 

○今野座長 ありがとうございました。終わります。


(了)

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