ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)> 中央社会保険医療協議会 総会 第276回議事録(2014年4月23日)




2014年4月23日 中央社会保険医療協議会 総会 第276回議事録

○日時

平成26年4月23日(水)12:10~12:48


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

森田朗会長 印南一路委員 松原由美委員 田辺国昭委員 西村万里子委員 野口晴子委員
矢内邦夫委員 白川修二委員 花井圭子委員 花井十伍委員 石山惠司委員
田中伸一委員
鈴木邦彦委員 安達秀樹委員 中川俊男委員 万代恭嗣委員
長瀬輝諠委員 堀憲郎委員 三浦洋嗣委員
宮島喜文専門委員 福井トシ子専門委員
保険医療材料専門組織 松本純夫委員長
<事務局>
木倉保険局長 神田審議官 宇都宮医療課長 佐々木医療課企画官
竹林保険医療企画調査室長 近澤薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○医療機器の保険適用について
○診療報酬基本問題小委員会からの報告について
○費用対効果評価専門部会からの報告について
○薬価専門部会からの報告について

○議事

○森田会長
 それでは、ただいまより第276回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
 この時期の中医協としましては、熱心な議論が続いておりますが、迅速な審議に御協力いただきたいと思います。
 委員の出席状況でございますが、本日は、榊原委員、藤原専門委員、丹沢専門委員が御欠席です。
 審議官は、国会のため、まだ来られておりませんし、局長も中座されるということでございます。
 それでは、早速ですが、議事に入らせていただきます。
 初めに「○医療機器の保険適用について」を議題といたします。
 本日は、保険医療材料専門組織の松本委員長にお越しいただいておりますので、松本委員長より御説明をお願いいたします。大変お待たせいたしました。どうぞお願いいたします。
○松本委員長
 それでは、説明いたします。
 中医協総-1-1をごらんください。
 1ページ目にありますのが、製品の一覧表です。今回の医療機器の保険適用は、C1が3製品、C2が1製品です。
 2ページ目をごらんください。1つ目の製品は、ENDURANTIIステントグラフトシステムです。
 4ページ目の製品概要をごらんください。本品は、従来の分岐型の腹部ステンドグラフト留置が困難な解剖学的条件を持つAUI(アオルタ・ユニ・イリアック)症例に対して使用される、メイン形状のステントグラフトシステムです。
 二またに分岐している既収載品を用いる場合、動脈硬化等により、片側の総腸骨動脈が狭窄しているAUI症例においては、ステントグラフトを留置することが困難で、必要に応じて補助デバイスを使用するなどで対応していました。本品を用いることで、片側の総直骨動脈が狭窄している症例等に対して、補助デバイスを使用せずに、ステントグラフトを留置することが可能となります。
 価格につきましては、本品と同様の機能を持つ製品がなかったことから、原価計算方式とし、109万円といたしました。
 外国平均価格との比は1.13です。
 2つ目の製品は、5ページ目のセプザイリスです。
 7ページ目の製品概要をごらんください。本品は、重症敗血症及び敗血症性ショックの患者等に対する持続緩徐式血液ろ過に用いられるフィルターです。サイトカイエンを吸着除去する特性を持ち、従来品では適用がなかった重症敗血症及び敗血症性ショックの患者に対して、新たに薬事承認を得たものです。
 従来品と比較して、予測生存率に対する実際の生存率の比が高値であることが示されています。
 価格につきましては、本品は重症敗血症及び敗血症性ショックに対して薬事承認を経た、本邦初の持続緩徐式血液ろ過器であり、新たな治療を提供する医療機器が過去に有用性加算10%と評価されていること等を踏まえ、本品も10%の加算とし、2万7,800円といたしました。
 外国平均価格との比はありません。
 また、本品は迅速な保険導入による加算の対象となり、有用性加算として評価された10%の半分が迅速な保険導入による加算額となるため、その分もあわせまして、最終的な価格を2万8,500円といたしました。
 また、本品は有用性加算10%の評価とされたため、機能区分の特例として、2回の改定を経るまでの間、当該機能区分に属する他の収載品とは別に、基準材料価格改定及び再算定が行われることとなります。
 3つ目の製品は、8ページ目のSolitaire FR血栓除去デバイスです。
 10ページ目の製品概要をごらんください。本品は、急性期虚血性脳梗塞で、t-PAの経静脈投与が適応外、またはt-PAの投与で血流再開が得られなかった患者を対象として使用する、血栓除去デバイスです。
 カテーテルを用いて本品を血栓の上から展開することにより、血栓を絡め取り回収します。血栓を回収する既収載品と比較して、標的血管の再開通率及び手技後90日後の神経学的予後の改善率が有意に高いことが示されています。
 価格につきましては、類似機能区分比較方式により算定した場合、外国平均価格の0.5倍以下となるため、原価計算方式により算定し、37万9,000円といたしました。
 外国平均価格との比は0.63です。
 また、本品は機能区分の特例として、2回の改定を経るまでの間、当該機能区分に属する他の収載品とは別に、基準材料価格改定及び再算定が行われることとなります。
 4つ目の製品は、11ページ目のウィングスパンステントです。
 13ページ目の製品概要をごらんください。本品は、頭蓋内動脈狭窄症に対する経皮的血管形成術に置いて、血管形成術時の緊急処置及び他に有効な治療法がない場合の血管形成術後の再治療に使用される、脳動脈用ステントです。
 これまで治療が困難であったこれらの症例に対して、日本で初めて薬事承認を得たものであり、新たな治療選択肢となるものです。
 価格につきましては、本品と同様の機能を持つ製品がなかったことから、原価計算方式とし、49万2,000円といたしました。
 外国平均価格との比は0.97です。
 今回御説明いたします内容は、以上です。
○森田会長
 どうもありがとうございました。
 事務局から補足があれば、お願いいたします。
企画官、どうぞ。
○佐々木医療課企画官
 医療課企画官でございます。
 補足でございますが、今回、中医協総-1-1参考といたしまして、特定保険医療材料制度の概要をつけております。
 赤字でアンダーラインを引いておりますところは、今回、見直しを行ったところでございます。今回の算定組織の議論におきましても、見直しを適用しまして、議論をしていただいておるところでございます。これは御参考にしていただければと思います。
 なお、最終ページ、6と書いておりますページに、特定保険医療材料の基準材料価格の算定における原価計算方式の係数の更新ということで、一般管理費販売費率から消費税まで変更になっているものでございまして、原価計算方式を用いる場合は、これを活用しておるところでございます。
 また、中医協総-1-2でございますが、A2、特定包括で、診療報酬項目に包括的に評価されているもの、B、個別評価、材料価格が個別に設定されているもので、4月1日から既に保険適用されているものの一覧でございます。これは御報告でございます。
 以上でございます。
○森田会長
 どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、何か御発言がございましたら、お願いいたします。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
 1つは特定保険医療材料制度のところです。ここでも薬と同じような加算の定量化の議論が行われましたが、保険医療材料については、先ほどの議論も踏まえてということになると思いますが、どのように定量的な評価を導入されるつもりなのかをお聞かせいただきたいということがあります。まずそれについて、お答えいただきたいと思います。
○森田会長
 企画官、どうぞ。
○佐々木医療課企画官
 医療課企画官でございます。
 保険医療材料制度におきまして、特に原価計算方式において、営業利益率の加算の上限を50%から100%に引き上げるという見直しをした部分に関連しまして、定量化に関する宿題が出ておると理解しております。今後、保険医療材料専門組織で議論していただき、その結果を保険医療材料専門部会で議論していただく予定にしておるところでございます。
○森田会長
 よろしいですか。
○鈴木委員
 結構です。
○森田会長
 ほかにいかがでしょうか。
安達委員、どうぞ。
○安達委員
 冒頭、会長が申されましたので、いたずらに時間を費やすつもりはございませんけれども、逆に言いますと、一言だけ申し上げれば、こういう時期だからこそ、原則的なことはきちっと確認しなければならないと思います。
 松本委員長に1つだけお伺いしたいと思います。2番目の製品は、有用性加算がついているんです。有用性加算の根拠が7ページの予実比です。つまり予測生存率と28日実生存率との比率において、従来品に比べ、これが3.62ということで高い。赤で囲ってあるということは、これが有用性加算の根拠になるんだと思いますが、この数値を見ますと、もちろん28日の実生存率も73.5%ですから、高いんですけれども、予測生存率のほうが、他のものに比べて有意に低いんだと思います。これで割るから、予実比はより高くなるという結果になっています。
 だけれども、予測生存率との関係で言えば、敗血症の重症度をある意味で示す、横のAPACHE指数を見ますと、それほど上のデータと大きな差があるとは言えないのではないかと思います。にもかかわらず、予測生存率が低く設定されていて、結果として、実生存率との間での比率が高くなるので、有用性加算をつけた。そもそもの予測生存率というものの数値に対して、APACHE指数との関係で、これが妥当かどうかという御議論は、この算定をされるに当たって、部会では何か御指摘はあったのでしょうか。
○森田会長
 松本委員長、お願いします。
○松本委員長
 専門組織でも予測生存率が低過ぎるのではないかということが、議論になりました。しかし、APACHE II scoreを見ていただいて、一番上が31.5で、その後、本治験が32.7で余り違わないのではないかという議論もありました。しかし、この辺を機械的に計算すると、非常に低い値になって出てくるのが実態なんですという、麻酔を専門とするような方、あるいはICUを専門として働いている方から指摘がありまして、人為的な操作は入っていないということだったので、それで有用だということを認めました。
 以上です。
○森田会長
 安達委員、どうぞ。
○安達委員
 現状ではそれでよろしいかと思うんですけれども、もうちょっと正確に言うと、28日実生存率を評価しての有用性加算でもよかったのではないかということを感じるということが、素直な感想の1点です。
 もう一つは、材料の場合、特にそうなんですけれども、使われる以前の評価のデータの例数がかなり少なくて、今までも全部出てくるんです。ですから、これで有意差検定をやること自体に意味があるかということも含めて、こういう有用性加算をつけたけれども、往々にして起こることは、もっとたくさんやってみると、それほど差がなかったということは、医療に関しても、いろんな現象のところに出てくることがしばしばあるということは、我々もこれまでも経験をしているわけでございますが、そういう点についても、将来的な検証がある意味では必要な事項になるのかもしれない。これは先ほどの鈴木委員の有用性加算の定量化のところで、材料のものについては、やられた経験値の数値が、相当少ない中で出たデータで評価しているので、それを実際臨床応用してみたらどうなんだということは、有用性加算の検討のところに、材料の1つの特性として必要なのではないか。これは意見として申し上げておきたいと思います。
○森田会長
 ありがとうございました。
 これについて、よろしいですか。
○松本委員長
 留意して検討したいと思います。
○森田会長
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 他に御質問等がないようでございますので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいですね。
(「異議なし」と声あり)
○森田会長
 ありがとうございました。それでは、ただいま説明のありました件につきましては、中医協として、承認することにいたします。
 松本委員長におかれましては、大変長くお待たせいたしましたけれども、どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題にまいります。次に「○診療報酬基本問題小委員会からの報告について」を議題といたします。
 まず先ほど行いました基本問題小委員会の議論について、小委員長であります私から最初に報告をさせていただきます。
 私からは全体像について御説明し、細かい説明等は事務局から補足してもらいたいと思います。
 資料につきましては、中医協総-2でございますけれども、これは基本問題小委員会の中医協診-1と同じものでございますので、それをごらんになっていただきたいと思います。
 本日の基本問題小委員会におきましては、答申の附帯意見等を踏まえ、次期診療報酬改定に向けた検討事項と、それぞれの検討を行う場、小委員会、部会、分科会、また検討スケジュールについて議論を行いました。
 その結果、次期診療報酬改定に向けて、まず平成26年度診療報酬改定の影響等について、検証のための調査を行う必要がございますので、検証部会等で調査の進め方、調査項目等の検討に入っていくということ。
 また、検証のための調査を行っている間にも、基本問題小委員会におきましては、初・再診料、入院基本料等について、具体的な検討項目をどうするかも含めて、検討していきたい。
 これが非常に大きなポイントであったと思っております。
 それでは、補足の部分につきましては、事務局からお願いいたします。医療課長、どうぞ。
○宇都宮医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、中医協診-1の1ページをごらんいただきたいと思います。
 今、小委員長からお話がございましたように、検討事項及び場が1ページ目の1のところでございます。
 検討の場で、調査・検証・検討を行うということですが、具体的なものは、2ページ、3ページの一覧表に書いてございます。表のそれぞれ右側に、検証部会、入院医療等の調査・評価分科会というように、場について、こういうところで行ってはどうかということでございます。
 もう一枚おめくりいただきまして、最後の4ページでございますけれども、そちらに書いてございますように、左側の専門部会につきましては、検討したものを直接中医協の総会に上げる。
 真ん中下の方にございますが、診療料報酬調査専門組織の中にあります、それぞれの分科会につきましては、以前、御議論いただきましたように、この結果について、基本問題小委に上げて、そして、総会で御議論いただくことになってございます。
 また、2ページ、3ページにお戻りいただきたいと思いますが、検証部会につきましては、今、ごらんいただいたように、総会に直接となってございますが、これは調査方法、調査項目、調査した検証結果については、直接総会に御報告して、お諮りするということでございますけれども、検証の具体的な内容につきましては、基本問題小委で御議論いただくことにさせていただこうかと思ってございます。そして、それぞれ検討の場として、部会、分科会がございますけれども、当てはまるものがない13番と15番につきましては、直接基本問題小委で調査検討も行うということでございます。
 1ページにお戻りいただきまして、1の(2)でございますが、附帯意見にあるもの以外につきましては、○1~○4にあるような割り振り、そして、○5ですけれども、その他につついても、具体的な事項が出てきたときには、内容に応じて検討の場を判断するということでございます。
 「2.検討スケジュール」でございますが、先ほどもお話がございましたように、検証のための調査を行って、その後、検討するということでございますが、イに書いてございますように、検証のための調査を行っている間に、基本問題小委において、初・再診料、入院基本料等について、具体的な検討項目をどうするかも含め、検討することとしてはどうかということでございます。
 また、消費税率引き上げ時の対応については、課税のあり方の検討状況等を見ながら、消費税分科会において検討を進めていくこととしてはどうか。
 そのほか、調査実施小委、材料専門部会、医療技術評価分科会において、次期診療報酬改定に向けて、検討を進めることとしてはどうかということでございます。
 説明は以上でございます。
○森田会長
 ありがとうございました。
 基本問題小委員会の報告については、以上でございますけれども、ただいまの説明について、何か御発言、御質問等がございましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、本件について、こういう形で、これから検討を進めることについて、中医協として承認するということで、よろしゅうございますね。
(「異議なし」と声あり)
○森田会長
 ありがとうございました。それでは、ただいま説明のありました件については、中医協として承認することにいたします。
 それでは、続きまして「○費用対効果評価専門部会からの報告について」。これは報告事項でございますけれども、これを議題といたします。
 まず費用対効果評価専門部会の田辺部会長から報告をお願いいたします。どうぞ。
○田辺委員
 私からは全体像について説明させていただきたいと思います。その後、細かい内容に関しましては、事務局から補足していただきます。
 中医協総-3は、費用対効果評価専門部会の中医協費-1、中医協費-1参考と同じものでございますので、そちらの資料をごらんいただきたいと思います。
 部会での議論を通じまして、中医協費-1に関しまして、2点の修文を行いました。まずそこを御説明申し上げたいと思います。
 中医協費-1の3ページの「(4)その他の検討事項」の2行目でございますけれども、「上記の具体例の検討を踏まえ」のところを「上記の具体例の検討と並行して」という形で修文をいたしました。
 2点目は「2.今後のスケジュール」でございますけれども、平成28年度4月試行的導入というところでございます。試行的導入の後に「(目途)」をつけ加えたというのが、修文の中身でございます。
 それでは、説明をさせていただきたいと思います。
 中医協費-1の1ページ目をごらんいただきたいと思います。平成26年1月15日に中医協総会で了承いただきました内容や、平成26年度診療報酬改定時の附帯意見などを踏まえまして、今後の進め方を整理いたしました。この旨、総会にも御報告申し上げます。
 内容でございますけれども「1.具体例を用いた検討について」では、これまでの議論を踏まえまして、具体例を用いた検討の対象の考え方や提出を求めるデータの内容、作業体制等について、記載しております。
 「2.今後のスケジュール」として、部会で確認した事項を記載しております。
 以上、簡単ではございますけれども、概要を御説明申し上げました。
 今後も具体例を取り上げた検討の詳細や先行する諸外国の動向、我が国の制度との整合性等も十分に考えながら、費用対効果の導入について検討を行ってまいります。
 事務局から補足があれば、よろしくお願いいたします。
○森田会長
 企画官、どうぞ。
○佐々木医療課企画官
 医療課企画官でございます。
 中医協費-1の1ページでございますけれども、今回の具体例を用いた検討につきまして、検討の対象としては、収載から一定期間を経過している医薬品、医療機器を対象として検討する。
 絞り込みの観点は、類似薬効比較方式、類似機能区分比較方式で補正加算のついたもの、または原価計算方式で算定したしたもの、例えば過去10年程度とか、諸外国において複数の評価機関において費用対効果評価が提出されているもの、売上高が大きいなどの観点で、今後、絞り込みを行うということでございます。
 2ページ目でございますけれども「(2)提出を求めるデータ・分析」に関しましては、1月15日の中医協総会で合意した内容でございます。
 効果データの取り扱い、網羅性に関しましては、いろいろと御議論がございましたけれども、御議論を踏まえた観点も入れつつ、対応していくということでございます。
 「(3)具体例を用いた分析等の体制」に関しまして、研究班等をつくってやっていくということでございますが、これも利益相反、体制の内容等について、いろいろと御指摘がございましたので、それを踏まえて対応していく予定でございます。
 3ページ目でございますけれども、具体例の検討と並行しまして、さまざまなことを引き続き検討するということでございます。
 スケジュールに関しましては、部会長が御指摘のとおりの修正をしたものをホームページに掲載することにしたいと思っております。
 補足説明は以上でございます。
○森田会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明について、御質問、御意見、補足等はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、質問はないようでございますので、本件に係る質疑はこの辺りといたしまして、本日の意見も踏まえまして、引き続き、費用対効果評価専門部会で議論を進めていただきたいと思います。
 それでは、最後のアジェンダになりますけれども、次に「○薬価専門部会からの報告について」を議題といたします。
 薬価専門部会の西村部会長から御報告をお願いいたします。どうぞ。
○西村委員
 本日の薬価専門部会において、画期性と有用性加算の加算率の定量的算出方法にかかわる研究の報告を北里大学准教授の成川先生よりしていただきました。今後の新薬につきまして、総会での審議においては、この研究報告をもとに加算率のポイントに関して、定量的な説明を受けることになりますので、御報告させていただきます。
 内容については、補足説明を事務局より簡単にお願いいたします。
○森田会長
 薬剤管理官、どうぞ。
○近澤薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 それでは、薬価専門部会のときに配付されました、参考人提出資料をごらんください。こちらは北里大学の成川先生から報告された研究報告でございます。
 現在、新薬の算定の中で使われております、類似薬効比較方式で採用された場合の画期性加算、有用性加算I、IIの加算の幅についての定量的な検討でございます。
 おめくりいただきまして、3ページをごらんください。現行のルールは、平成20年度以降のルールとして採用されておりますけれども、25年8月の収載品目まで検討していただいたということで、加算の要件の充足性とか、因子について分析することになっております。
 4ページをごらんください。加算の対象となった品目は47品目、そのうち、有用性加算I、有用性加算IIそれぞれ4品目、43品目が対象となっております。
 加算の要件ですけれども、4ページの一番下の左にあります、○1○2○3○4の要件がございまして、緑色の有用性加算Iに関しましては、この要件の○1○2○3のうちの2つを満たす場合に有用性加算I、右側の紫色になっております有用性加算IIに関しましては、○1○2○3○4のうち1つを満たせば、加算に該当します。
 右下にございますけれども、加算率に関しまして、有用性加算Iでいきますと35~60%、有用性加算IIは5~30%ということで、幅があるということと、幅の要因の分析という形で行っていただきました。
 5ページに関しましては、加算の要件でございますけれども、画期性加算は先ほどのイ、ロ、ハと同じですが、全てを満たすような要件という形、有用性加算IIに関しては2つを満たすということで、かなりハードルが高くなっております。
 7ページ、8ページになりますけれども、今回の研究では、7ページにありますような、例えば要件○1でありますと、臨床上有用な新規の作用機序ということになっております。そのときに細分化する際の観点として、薬理作用発現のための作用機序の新規性の程度がどれくらいなのか、適用疾病の重篤性及びそれに対する標準的治療法の確立がされているのかどうかという観点で、分類化する。
 ○2○3○4は7ページに記載されているとおりでございます。
 8ページでございますけれども、実質的に加算率が5%刻みになっていることから、1ポイント5%の積み上げ制として、要因を分析していくということになっております。
 8ページの一番下にありますけれども、下から5行目辺りになりますが、画期性加算、有用性加算というのは、先ほど説明したように、もともと加算の要件として3つ該当する、あるいは2つ該当するということで、基準ポイントとして、画期性加算については11ポイント、有用性加算については5%相当のポイントが、基本として含まれるという形でやっております。
 具体的なポイントでございますが、9ページをごらんください。例えば臨床上有用な新規の作用機序とございますけれども、aとしまして、薬理作用発現のための薬剤の作用点(部位)が既収載品と大きく異なる場合には2ポイント。
 薬理作用発現のための薬剤の標的分子(酵素、受容体など)が違う。先ほどの説明ですと、アンジオテンシン系の作用部位は似ているんですけれども、酵素が多少違うところは1ポイントということで、あとは標準的療法がないような重篤な疾病である場合には1ポイント、あるいは薬価算定組織で新規作用機序が臨床上特に著しく有用である場合には1ポイント上積みをするという形で考えております。
 同様に10ページ以降、11ページ、12ページには、それぞれの加算要件の中の検討すべき項目が細分化されております。ごらんください。
 実例でございますが、13ページにいっていただきまして、平成23年11月に収載されましたテラビック錠というものがございます。こちらは当時の加算で40%、加算要件○1及び○3、赤字で書いております、右側の上のほうにあります、臨床上有用な新規の作用機序を有する、○3として、当該新規収載品の対象なる疾病または負傷の治療の改善が客観的に示されている状況でございます。
 14ページに実際の品目がございますけれども、右側がリバビリンということで、再類似薬です。左側が本薬でテラプレビルというものでございます。
 13ページの下の加算率の算出、8ポイント×5%=40%加算相当とありますけれども、そもそも有用性加算Iに該当したので5ポイント、臨床上有用な新規の作用機序がございますが、こちらは作用点が大きく異なる。
 14ページで見ていただきますと、真ん中辺に薬理作用とありますけれども、リバビリンはインターフェロンアルファ-2bの抗ウイルス作用の増強作用になりますが、テラプレビルに関しましては、HCV、C型ウイルスのそもそものプロテアーゼ阻害剤ということで、増殖を抑制するということで、作用機序が全く異なるということで2ポイント、テラプレビルを乗せる3剤併用療法が、標準的治療法として位置づけられるということで、13ページの下にありますけれども、1ポイント、合計で8ポイントという形になりまして、研究からいきますと、加算のパーセントと実際の40%が同じであったということでございます。
 15ページ、16ページでございますけれども、こちらも同じように、薬理作用が大きく異なるということで、16ページの真ん中辺りの薬理作用でございますが、イストラデフィリンに関しましては、アデノシンA2A受容体拮抗作用、右側のエンタカポンに関しましては、COMT阻害剤ということで、これはレボドパの濃度を上げるというものでございます。作用機序が直接アデノシンの受容体に拮抗するものと違うということで、こちらのほうは2ポイント、標準的治療法がないウェアリングオフ現象の改善ということで1ポイント、15ページの下のdでございますけれども、新規作用機序が臨床上特に著しく有用であるということに関しましては、ジスキネジーが出るというところに関しても作用する。ジスキネジーが出ない時間も延長ができるということで1ポイント、計4ポイント。4×5=20ということで、15ページに赤字で書いておりますけれども、加算の20%ということで、今回示した要件、ポイントでいきますと、同じということになっております。
 それをまとめましたものが17ページにございますけれども、横軸が実際の加算率、縦軸のBが研究に基づき算出した加算率ということで、大体同じようなところにきているということで、このような要件で、定量化がある程度できるのではないかという説明でございます。
 18ページになりますけれども、原価計算方式の中での営業利益率の補正に関しましても、研究班で提案がなされております。
 2つの視点からということで、臨床試験成績から見た革新性ということで、aとして、疾病の治療方法の著しい改善が示される場合と改善が示される場合ということで、部会では成川先生から、例えばaに関しましては、アルツハイマーのような、進行抑制をする現在の薬の状況ではなくて、そもそも症状を改善させるような話のところには、高いポイントをつけたいという話がございました。
 ○2でございますけれども、医薬品から見た革新性ということで、今まで新薬が出ていない領域で、新しく承認されるようなものなどを評価して、○1○2に関して、積でポイントを加算するということの報告でございました。
 その結果、19ページにございますけれども、今の原価計算の算定方式でいくと、かなり似ているという形の報告でございました。
 20ページになりますけれども「まとめと考察」でございますが、2つ目の●になりますけれども、提案した運用ルールに従って算出した加算率・補整率が、実際の薬価算定において適用された加算率・補整率におおむね一致することができたということでございました。
 ただ、下から2つ目の●でございますけれども、中医協の公表資料の中に、まだ判断根拠などが明確に記されていないという問題意識もございました。
 今後はこのようなポイント制によって、予見可能性の透明性の高い算定ルールの運用が可能になるのではないかということでございました。
 今後も今回の報告を基本としますけれども、検討、改良を重ねていく必要があるということですが、この研究をもとにまずは運用していくことになっております。
 議論の中で、今回の研究は現行のルールを当てはめたものであるが、本質的な検討、そもそもの加算の検討を長期的な視点で、もう一度考えてもいいのではないかということがございましたので、こちらも研究班で引き続き検討できるようにお願いしたいとしております。
 あと、今回の報告書をちゃんと周知するようにということでございますので、こちらのほうは、ちゃんと周知して、公表したいと思っております。
 以上でございます。
○森田会長
 ありがとうございました。
 この件について、御発言いかがでしょうか。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員
 全体としてはよろしいと思いますが、確認の質問をさせていただきます。成川先生の研究についてですが、対象となった平成20年度以降の新薬は271あり、その中で、こういった加算の対象となったものについて分析をしたということですが、この間の新薬で、それらの加算の要件を満たしながら、加算の対象として評価されなかったものはなかったかどうか、それを教えていただけますでしょうか。
○森田会長
 薬剤管理官、どうぞ。
○近澤薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 そもそも今回の研究の内容は、加算になったものを対象にして、その要因がどこに起因するのかをやっておりますので、加算にならなかったものに関しては、加算にならないということで、処理されていると思います。
○鈴木委員
 すぐには無理でしょうが、同じように要件を満たしていながら、評価の対象にならなかったものはなかったかどうかを、見直していただければというのが、1つ目の要望でございます。
 もう一つですが、細分化した加算の要件の項目に「著しく」という言葉が、頻回に使われており、定量的な評価と言いながら、定性的な表現が頻回に使われています。「著しく」という言葉が、いろいろな項目の中で使われているわけですが、その項目の間で「著しく」の度合いに整合性がとれているのかどうか、これについて確認させていただけますでしょうか。
○森田会長
 薬剤管理官、どうぞ。
○近澤薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 先ほど事例を説明しましたけれども、薬価算定組織から中医協の総会に上げる資料の中で、成川先生からも御指摘がございましたが、説明がかなり簡略過ぎる部分もありますので、著しくの程度に関しましても、もっと丁寧に説明をして、資料として公表したいと考えております。
○森田会長
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 他に御質問等がないようですので、本件に関する質疑はこの辺りといたしたいと思います。
 私は薬価専門部会のメンバーではありませんけれども、先ほど傍聴いたしまして、薬剤管理官の御説明を伺っておりましたが、少なくとも、現在はこれまでよりもかなり定量化の基準が明確になったと思っております。ただ、いろいろな御意見があり、まだ改善すべき点があるということも、間違いないと思いますので、それにつきましては、薬価専門部会でさらに検討していただくことが必要かと思います。
 当面、薬価算定組織では、こうした考え方に従って、透明度を高めていくということで、進めていただくということでよろしいかと思いますが、それでよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○森田会長
 ありがとうございました。それでは、そのようにお願いしたいと思います。
 本日の議題は以上でございます。
 それでは、次回の日程等につきまして、事務局からお願いいたします。
○医療課長
 医療課長でございます。
 次回は5月中旬を予定してございます。決まり次第、連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○森田会長
 ありがとうございました。
 それでは、きょうの最後になりますけれども「総会」はこれにて閉会いたします。長い間、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)> 中央社会保険医療協議会 総会 第276回議事録(2014年4月23日)

ページの先頭へ戻る