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2013年12月18日 化学物質のリスク評価結果と改正特化則等に関する意見交換会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成25年12月18日(水)13:30~


○場所

日本化学会 化学会館7階ホール


○議事

○司会者(鈴木) 定刻となりましたので、ただ今より「平成 25 年度第 1 回化学物質のリスク評価に係るリスクコミュニケーション」を開催致します。私は本日司会を務めさせていただきますテクノヒル株式会社の鈴木でございます。よろしくお願いします。

 開始に先立ちまして資料の確認をさせてください。お手元にきょうの意見交換会のレジュメ、議事次第と中に資料がございます。それから赤いアンケート、ピンクですね、ごめんなさい。青いアンケート、カードが赤と青 1 枚ずつございます。まず赤いアンケートでございますが、基調講演が終わりましたらこちらにご質問をいただきたいと思いますので、これはお手元に出しておいてください。青いアンケートはお帰りのときにいただきたいと思っております。それから青い紙と赤い紙につきましては、皆さんのご意見を伺うので、意見交換会のときにコーディネーターをお願いしております堀口先生のほうからカードでお伺いを立てることがあると思いますのでよろしくお願いします。

 本日ですが、このリスクコミュニケーションにつきましては、労働者の健康障害を防止するために厚生労働省が行っております、化学物質のリスク評価にあたりまして関係の事業者の方、あるいは事業者の団体・協会の方と情報共有、それから意見交換を行うために実施しているものでございます。厚生労働省から委託を受けまして、私どもテクノヒルが運営させていただいております。

 本日のスケジュールでございますが、まずご訂正とおわびを申し上げますが、スケジュールの中で表紙で、「リスク評価の結果」名古屋俊士先生のお名前が俊に数字の二になっておりますが、武士の士で俊士先生でございます。これを修正をお願い致します。それから意見交換会のパネリストの大淵和代さまなんですが、大淵の淵が淵野辺の淵、さんずいの淵、あちらに書いてありますが、これの修正をお願い致します。大変申し訳ございません。

 本日のスケジュールについてご説明させていただきます。まず今日は「リスク評価の結果、平成 25 5 月のとりまとめについて」というタイトルで、厚生労働省の検討会である化学物質のリスク評価検討会で行われました検討内容につきまして、その座長をされた早稲田大学理工学術院創造理工学部環境資源工学科の教授であられます名古屋先生にご講演を 40 分いただきます。大体終わりが 2 15 分くらいまで先生にお願いします。

 その次に「化学物質のリスク評価を踏まえた政省令改正の内容について 1,2- ジクロロプロパン」というタイトルで、厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質評価室の角田伸二さまにご講演いただきます。これが終わりましたら約 20 分の休憩をいただきまして、その間に先ほどお願いしました赤いアンケート、ここに皆さまのご意見をいただきたいと思っております。ここにこの基調講演をお聞きになられて、その感想・疑問点、またご質問をいただきまして、会場内におります事務局のほうにお渡しいただくか、受け付けのほうにいただければと思います。

 この意見を踏まえた形で後半の意見交換会をさせていただきたいと思います。意見交換におきましては、基調講演をいただきました方に加えまして、長崎大学の広報戦略本部の准教授、堀口先生にコーディネーターをお願いしております。また、これ以外に厚生労働省の担当官の方に入っていただき、疑問点にお答えいただきたいと思います。積極的にご意見をいただくと大変ありがたいと思います。意見交換のほうはまず 1 時間ほど、あらかじめ会場のほうからいただいた今の書面についてご回答する形としまして、その後会場からのご質問をいただきたいというふうに思っております。

 当講演につきましては後半の意見交換を含めて議事録の作成をすることになっておりますので、録音しております。この辺はあらためてご了承していただければと思います。ただ、議事録につきましては、お名前・ご所属は伏せさせていただきますので、あくまで会場内ということでご理解いただきたいと思います。その後マイクを質問で回させていただきますので、よろしくお願い致します。本日は 4 時半を予定しております。どうぞよろしくお願い致します。積極的な意見交換会の会になることが、今回の一番の目的でございますので、いろいろなご質問をいただければ幸いと思っております。

それでは名古屋先生、よろしくお願い致します。

 

基調講演

「リスク評価の結果について」

 

○名古屋 ご紹介にあずかりました早稲田大学の名古屋でございます。よろしくお願い致します。私のところではここに書いてありますリスク評価の結果ということで、 5 月までのまとめた結果についてご説明申し上げます。

 そうしましたら、こういう形の中でリスクの制度のあり方、それから今回の中間報告という形でナフタレンのところと、 1,2- ジクロロプロパン、この後行政のほうからきちっとした法体系とか、そういう形のものもお話しできると思います。よろしくお願い致します。

 

(スライド 資料1の 3 ページ)

 職場における化学物質の安全性確保についてということで、化学物質は大体 6 万種類くらい有ると思いますけれども、大体、年 1200 物質くらいが、新規の化学物質で 100kg を超えて製造・輸入のものについて、一応こういう風に現場では化学物質を扱われていますよということだと思います。

 

(スライド 資料1の 4 ページ)

 実際に業務上疾病という形で休業 4 日間以上という形になると、こういう所になると大体 200 人前後の中で推移していると、ちょっと今年は下がっていますけど、こういう形の中で、やっぱり化学物質等の取り扱い方について疾病患者の方が大体これくらい出ていますよということが分かっています。

 

(スライド 資料1の 5 ページ)

 それからこれは皆さんのよく知っていらっしゃることです。体制という形の中で、ちょっと私が説明することではありませんけれど、製造禁止物質があり、製造許可物質があり、 114 物質が労働健康障害の恐れがあり規制しているもので、今リスク評価をしているのはその下からどれだけのものが上に上がっていくという形のリスク評価をしている部分と。

 それから最近ですと女性則の改正がおこなわれましたが発がん性の化学物質に関しては多分ほとんど終わっていると思いますので、これからは、生殖毒性のある化学物質など新しいものをリスク評価に係る企画検討会の中で検討していって、こちらの中から多分こういうふうに上がっていって、行政指導するものと、自主的管理で終わるものという形との流れになってくるんじゃないかなと思っています。あと新規物質もありますけれど、この辺のところの流れの中はこれで結構だと思います。

 

(スライド 資料1の 6 ページ)

 大体多くの場合ですが過去の化学物質の対策の方向性は、ハザードベースの規制という形で、労働者に健康障害が発生する化学物質について、要するに疾病患者が出てからそれに対して法令を作っていくよという形の、後追い的な規制でした。そうした中で、平成 18 年から新しいリスクベースの規制に舵をとり、事業者がリスクアセスメントを実施した結果に基づいて自主的な管理を実施する部分と、重篤な健康障害のおそれがある物質につきまして、国自らリスク評価を行ってリスクが高い場合にはやはり事業者が状況を把握してリスクアセスメントしましょうよというふうな形の流れなりました。従来型に比べますと、リスク評価に基づいたという形を平成18年からこういう形で新しい物質がどんどん加わってきているんだという形の流れになっております。

 

(スライド 資料1の 7 ページ)

 ここは平成 18 年のときの流れですね。 18 年に新しい、先ほど言いましたように新しい 有害物ばく露作業報告ができましたが、化学物質の有害性情報とばく露情報に基づいてリスク評価しましょう、要するに新しく出てきたものと、それから実際にばく露実態の調査をしていって、その中でリスク評価をしていって健康対策といいましょうか、実際はここにありますリスク対象物質として重篤な有害性が指摘される物質を広く集めました。このときは取り扱いが 500 キロ以上のものにつきまして、事業所数、作業実態等の報告を受けて、国の中の評価として、実際にばく露の測定をしますという形。それからもう一つは有害物質について国際的な情報収集、要するに濃度とか、それから疾病の状況だとか、そういう形のものを集めて、有害性という形になりますから、濃度を一次評価値、二次評価値といいまして、そういう形のどういう規制の濃度をかけられているかを集めて、濃度とばく露を合わせて初めてリスクになりますから、ここのところの二つを合わせてリスク評価しましょうっていう形。それでリスク評価にあたっては、その中で特にリスクが高く健康障害防止措置が必要と国が決めたものについては、リスク評価結果をもとに健康障害防止措置として作業者主任の選任ですとか、局所排気装置等の設置、作業環境測定の実施、特殊健康診断の実施など、こういう形のものを決めますよという流れにはなっています。

 

(スライド 資料1の 8 ページ)

 これまで委員会が一つでしたので、なかなか透明化ができないだろうということで、平成 21 年から新しい今のシステムに変わっています。それは何かというと、リスク評価対象の物質の選定方針を明確化した。どういう形のものを今年はしましょうかという形で、そこのところをここにありますように、化学物質のリスク評価に係る企画検討会、この中でリスク評価の方針を検討し、それから同時に毎年度のリスク評価の物質について選定します。当然これはパブリックコメントを求めるから、リスク評価を周知徹底するための方策の検討も行います。要するにこういう形ですね。多分今日はここのところの中に入っているんだと思います。こういう形の中でどういうことをやりますかって、必ず明確にし、それからリスクの評価、健康障害防止の対策プロセスを透明化するっていう形です。そういうふうに企画検討会で、こういう物質について今年から ばく露作業報告を集めますよっていう形の選定をします。

 それについて集めた資料につきまして、二つ分かれていまして、一つはその集めた物質の有害性の評価をする。ここで言いますと、発がん性、 1 万人に 1 人くらいで発がんが生じるというリスクの値(一次評価値)と、それから管理濃度、許容濃度から決められるもの(二次評価値)を決める有害性評価小検討会があります。

 実際はそうした決められた物質が選定されていって、コントロール・バンディングを使いながら、実際に報告があった物質の中で、事業所の中で高いと思われる事業所を選定していって、そして実際に測定すると。そのときにもう一つあるのは、その測定手法も当然決定しなきゃいけない。どういうふうに測定したらいいですかっていう、その分析方法、当然新規物質が多いですので、当然測定方法を検討しますけれども、これは中災防(中央労働災害防止協会)さんが受託されていますけど、そこで決定したものが ばく露評価小検討会に上がり、それとばく露評価を合わせたものについて、化学物質のリスク評価検討会で、有害性の評価とこの二つを合わせて、ここは有害性がなくて自主的な管理でいいですよっていう形にする、やはり共通して使われているところのばく露も高いという形になると、やっぱりそれは管理濃度だとかそういう形で国が規制するほうがいいですねっていう形になってくると、ここから一つおりて化学物質の健康障害防止措置に係る検討会で規制措置が必要とされる物質について健康障害防止措置の検討を行います。

 ここまでこういうきちっとした流れがあります。各それぞれオープンになっていますので、いろいろなかたがたが、自分に関連のある業界の方が聞かれて、どういう流れになっているかということが分かるような形で動いていると思います。

 

(スライド 資料1の 9 ページ)

 それから実際のリスクの対象物質はどういうふうに選定するか。先ほど言いましたけれど、選定を透明化するという考え方、これは企画検討会のホームページを見ていただければ分かる。一応は最初に企画検討会の中で対象物質の候補、これは検討会の各メンバーから募集するのと、パブリックコメントで募集する場合もあります。そういう形で対象物質を募集します。そして 7 月になりますと対象物質の選定の考え方ができ、今年はこういう形で、と企画検討会で決められます。その企画検討会の中で、かなりの物質が集まりますけれど、その中で優先順位を決めていって、そして対象物質を選出する、今年はどういう物質を対象としましょうかと選定します。それに対して対象物質を、 1 年間自分のところで扱っているのに対して、報告対象期間 1 月から 12 月までに扱ったものについて翌年の 1 月から 3 月までに報告書を提出してもらうよっていう流れ。だから決められた物質、 20 物質だったりとか、 10 物質だったり、いろいろありますけど、その物質に対して自分が 1 年間扱っている物質ですから、ここに扱った期間の記録様式をきちっと書いて、それを報告していただき、委託事業の ばく露評価委員会の中でどの事業所でどういうばく露濃度測定をしましょうかということが決定されます。こんな流れの中で進んでいるということです。

 

(スライド 資料1の 10 ページ)

 実際にどういうふうにするかっていう形の中で、 2 段階評価の方式ということで今ガイドラインを決めておりますけども、見ていただければ分かりますように、一つの方法は先ほど言いましたように、出てきたものの中で、行政の中でコントロール・バンディングしていく。川下から始まって結構大きな事業所がいっぱいあります。なるべく高いところ、高いところ、高いところという形で選んでいく。そして事業所、少ない事業所もありますし、大きな事業所もあります。できるだけ高いところという形の中で選んでいって、その中で、実際にはそこでばく露濃度測定をします。 8 時間のばく露濃度測定をします。もう一つはその物質について先ほどの一次評価値と二次評価値を設定します。一次評価値が 1 万人に 1 人にがんが発生する濃度、二次評価値はどちらかというと ACGIH ばく露限界値等を使う形になるかと思います。そういう形の評価値を使います。

 実際にばく露を高い順から並べてみたときに、 ばく露濃度が一次評価値より低いときはリスクが低いねという形で、初期リスク評価で終わってこのままで大丈夫ですね。それから一次評価値は超えているのですけど、二次評価値以下の場合、現時点ではそれほどリスクは高くないということが分かります。まあ、これとしては、それぞれ発がん性とかを踏まえ事業主は自主的な管理が必要っていう報告はしますけれど、一応初期リスク評価で終結します。

ばく露濃度が二次評価値を超える場合、本当にその事業所だけでいいのか、あるいはもう少し他の事業所もあるのかという共通性をもう少し広げてみるのと、それから作業所を限定しています、それとこれを扱っている他の作業所もあるかどうかということを見ていって、そして詳細リスクをしてくださいという形で、詳細リスク評価のほうに移します。

 詳細リスク評価の中では、めったにないんですけれども、評価値が変わることがあると、これはインジウムなんかそうですね。要するに 0.1 でやって、 0.01 で現場は管理していたが、日本バイオアッセイ研究センターの試験結果が出てきて、有害性があるという形で変わりました。そういう物質があるので、もう一度文献等調査していって、その評価値、一次評価値、二次評価値がどうかっていう形でもう一度検討してもらいます。

 

 

 今度先ほど言いましたばく露につきましては、この詳細リスクのときにその現場を見ながら、これでもう少し同じものを増やしてくださいっていう形でもって、要するにこれを扱っているところはもう少し違う形のものがあるかもしれませんから、こういうところをもう一度ばく露濃度測定してきてくださいよっていう形のデータが出てくる。そういう形の中で評価すると、この例はあまり少ないと思うんですが、ここで出てますね、これは少ないと思うんですけど、そういうときは自主的な対策を実施していただければ結構です。

 ところがこういうふうに見ていくと、二次評価値を超えているときが当然そこは共通性がある、ここで要因分析、要因分析というのはそれは特定の事業所だけの問題なのか、あるいはものすごく共通性があるのかっていう、エチルベンゼンも多分そうだと思いますけども、やっぱり塗装という業務だけが特殊であるという形、だからそうすると塗装だけ、その他はこちらに該当しますねっていう形の中で、特定の事業所の問題なのかどうかという、もし特定の事業所の問題だとしたら、それは規制のあり方がちょっと違いますから、また後は自主的なもの、あるいは事業所とそれから監督官等によって指導をする。それからこちらになってきますと、やはりリスクの低減化が必要となってくる。これは管理濃度を決め、かつ先ほど言った法令的な要素の中に、特化則とかそういう形の中に入れていく物質はこうですね。選定された物質が特化則の物質になるまでには、初期リスク評価、それからここへ上がってきて、詳細リスク評価を経て、そしてこの中で特にここになってきたものが法令の体系の中に載ってくるという流れで今は進めております。

 

(スライド 資料1の 11 ページ)

 ばく露濃度評価の明文化という形の中で、先ほど言いましたようにこれは許容ばく露一次評価値、二次評価値、ここですね、一次評価値、労働者が毎日当該物質にばく露した場合に、これに起因した 1 万人に 1 人の割合でがんが発生する確率濃度として一次評価値を決めております。それから二次評価値だと、労働者が毎日当該物質にばく露された場合に、これに起因して労働者が健康に悪い影響を受けることはないであろうという濃度で、どちらかというと ACGIH ばく露限界値等を使って二次評価値を決めています。

 もう一つは、ばく露小検討会、そこの中で測って、一つは 8 時間、基本的に 8 時間測定し TWA を求めます。あともう一つは、事業場の作業者のデータがあるんですけども、もしかしたらそのばく露を統計的に処理してみると、それよりは隠れた、もうちょっとリスクの高い濃度が隠れているかもしれないよということがあるので、統計の先生にお願いして検討し、最大値又はデータの区間推定値の上限値 5 パーセント値の大きい方とする計算の方法をガイドラインに入れました。そういう方法を使いまして、最大値をつかむという形。最大値を求める。どちらかというとこの個人ばく露の中の最大値というのは、実際のばく露の最大値、それから計算で求めた区間推定値の、いずれかの方法を使いますよっていう形。いずれかが二次評価値を超えていたら、それは詳細リスク評価にいくという流れになっております。

 

(スライド 資料1の 12 ページ)

 先ほど言いましたように、 5 月までに評価したものは、酸化チタン、これは今詳細リスク評価で、初期リスク評価が終わりまして、ここにきています。今実際に詳細リスク評価を、この三つについて行っています。今実際にここは測定しております。あと、ここのところにつきましては、要するに初期リスク評価の中でやはり二次評価値を超えてないということで、リスクが高くないということで一応この 3 物質については終わってます。

 それからここに詳細リスク評価、これは前の年からきた DDVP で、リスクが高く今こういうふうに健康障害防止措置検討会を今開いています。多分きょうここにありますが、ここのとこ( 1,2- ジクロロプロパン)はちょっと変わっていまして、本来的には初期リスク評価をして詳細リスク評価をして、規制という形になるんですけど、今回の場合はもともとそういう疾病が印刷業界で出ているという中で、初期リスクをそのまま詳細リスク評価に置き換えて有害性がありますよという形でここに持ってきました。ちょっと変わってる部分かもしれません。あと、ここにあります本来的には詳細リスク評価の中に三酸化アンチモンと金属インジウムがあります。これはなぜここにとどまっているかというと、これはばく露濃度測定が終っているんですけども、二次評価値がまだ決まってないということで、二次評価値が決まらないとばく露の判定ができませんので、今止まっています。二次評価値が出てくると、その二次評価値に応じてリスク評価という形、ここにくる、健康障害防止の措置が必要かって事が決まります。こういうふうな流れの中で、きょうのお話はこのナフタレンのところと、この 1,2- ジクロロプロパンの実態をどういうふうにして評価しているのかという実例を皆さんにお見せするという趣旨です。

 

(スライド 資料1の 13 ページ)

 実際にナフタレンのとこにいこうと思います。ナフタレンのところの中で、先ほど言いましたように、これは詳細はすぐ出てきます。これは先に結論が出てきて申し訳ありませんけど、そういう作りになってます、申し訳ありません。二次評価値は 10ppm です。実際にばく露の、初期リスクばく露の中で見てくると、 16 人の方の個人ばく露濃度を測定しました。個人ばく露濃度測定したんですけども、実際にこの後出てきますけども、実際のばく露濃度では 10ppm 超えてなかったんですけども、統計的処理してくると最大値が 14.6 くらいですから、それだと当然二次評価値を超えてるっていう形なので、梱包だとか充填だとかそういう形のものにつきましては、やはり二次評価値を超えてる作業者だったので、ここは詳細リスク評価に持っていったらどうでしょうかっていう形になる。これはちょっと今、これから具体的なお話をしていこうと思います。結論が先に出てきましたが。

 

(スライド 資料1の 14 ページ)

 ここは皆さんご存じのように、ナフタレンの初期リスク評価の中でこういう分子式から始まって、こういう特性がありますよっていう形です。あとはここですね。大体 2009 年でこれだけ使われてますよっていう形です。それから染料の中間物質であったりとか、爆薬とか、防虫剤ですね、用途としてはこういう形のものに使われてます。

 

(スライド 資料1の 15 ページ)

 それからこれは有害性評価の結果をまとめた物です。発ガン性、急性毒などをまとめたものです。ちょっとこの辺は省きまして、毒性だとかこういう形のものがあります

 

(スライド 資料1の 16 ページ)

 次にやっぱりここですね。そうするとじゃあ評価値をどう決めるかというと、この場合 ACGIH TWA 10ppm が出ておりますので、そうするとここを使うのかなと。一応産衛学会(日本産業衛生学会)は許容濃度を設定しておりませんので。一次評価値については発がん性の閾値の有無が判定できないため、結果として一次評価はありませんでした。二次評価値につきましては、 ACGIH の値 10ppm がいいということで、この値を使っています。

 

(スライド 資料1の 17 ページ)

 実際集めたときには、 152 事業所から 505 ばく露作業報告がありました。作業従事労働者数は延べ 9151 人です。その事業所の中で局所排気装置を使っているのが 56 パーセント、防毒マスクはたった 50 パーセントです。 152 事業場の 550 作業の中からコントロール・バンディングしながら、用途としてはここですね、こういう用途があったんですけど、実際に使用していた、計測したところは、計量とか配合、こういうところを測定しました。

 

(スライド 資料1の 18 ページ)

 実際には 7 事業場に対して 31 人の人を対象に個人ばく露測定を検証しました。スポットというのは作業している中で一番濃度が高くなる、作業環境測定の B 測定に近い値と思っていただければ、そういう形の中でスポット測定をしています。

 実際にはどうかというと、ここで見ていただければ分かりますけれども、先ほどの 7 事業場の 31 人に対して実施しましたと、個人ばく露の、先ほど言いました、最高値がここですね、 7.55 くらいですね。それから区間推定値が 14 ですよ。実際はここですね。対象物質を製造しているところは 1 事業所で 11 のばく露濃度、ちょっとここは合いませんでしたけど、スポット測定しかできませんけど、低かったです。

 それから他製剤の製造原料、触媒又は添加物として使っているところが、 4 事業場で、 13 ばく露濃度測定しまして 7.55 という形、これもちょっと、低かったです。

 その他のところにつきましては、 2 作業所で 6 人のばく露、これは最大値が 0.250 とそう高くありませんでした。

 

(スライド 資料1の 19 ページ)

 実際は先ほどの 13 人の方を並べてみると、こういうふうに並べてみると、一番はやっぱり梱包する作業の人たちが一番ばく露濃度としては高かったです。ここは先ほどお話ししましたように、全て、第二次評価値より下がっています。ナフタレンを製造する、梱包する作業と、それから包装する作業。包装作業、これは充填する作業、こういう形のものが高く見られたと思います。

 今詳細リスク評価ですから、じゃあこれをどうするかという形になりますと、個人ばく露では一番高かったのが、本来的には二次評価値を超えておりませんけど、全体としては 95 パーセント推定して計算してみると、最大値が 14.5 ですから、どちらを取るかというと、先ほど言いましたように、高いほうの値をとって、二次評価値を超えている値があるという形になります。そうすると最大ばく露を計算したところのものが二次評価値を上回ってますっていうことなので、もしかしたらそういう潜在的に超えるところの事業所もあるかもしれないから、このままじゃ駄目できちっともう一度測定し直しましょうという形になりましたので、ナフタレンについては今後さらに詳細な評価が必要になりました。

 

(スライド 資料1の 20 ページ)

 そのときに、充填だとか包装だとか、そういうところの共通した部分の多いところに、追加調査をし、より詳細な分析をしていく。また、詳細リスク評価の実施に関わらず、発がん性が疑われる物質ですので、事業主に対しては、製造だとか取り扱い作業、労働者を対象に自主的な管理をその間、きちっと決まるまでは自主的な管理をちゃんとするようにしてくださいっていう形にしております。こういう形の中でより詳細なリスク評価について、もう少しばく露濃度を測っていって検討しましょうという形になりました。

 

(スライド 資料1の 21 ページ)

 それから 1,2- ジクロロプロパンは同じような形で、ここのところは実際に基本的なデータです。実際に使われているのは、やっぱりこれですね。金属の洗浄だとか、他の製剤の原料・中間物質として使われてます。大体平成 22 年度で 1806 トンくらい、こういう形で使われてました。

 

(スライド 資料1の 22 ページ)

 それから日本バイオアッセイ研究センターでも試験をしていますけれども、こういう形でヒトに対して恐らく発がん性があると、今回発がんの事案が起こってるわけですけど、ヒトにも発がん性があるだろう。日本バイオアッセイ研究センターの中でも雌雄のラットの吸入性ばく露について雌雄とも鼻腔の中に腫瘍の発生増加が認められました。急性毒性、ヒトに対しては急性ばく露により中枢神経抑制、目と気道の刺激性が認められました。こういう形の発がん性、あとは刺激性、重篤な目に対する損傷性など、有害性の評価はこういう形になっております。

 

(スライド 資料1の 23 ページ)

1,2- ジクロロプロパンの有害性評価結果ですけど、先ほど言いましたように、今 ACGIH の値が 1,2- ジクロロプロパンにつきましては、 10ppm です、産業衛生学会では出ておりません。今回の場合ユニットリスクがありませんので、一次評価値を設定しませんでした。結果的には二次評価値は ACGIH のばく露限界値、これを使いましたので、二次評価は 10ppm という形。

 こんなような形の中で、 1,2- ジクロロプロパンにつきましては、二次評価値 10ppm に対してばく露濃度がこれを超えているかどうかということになるかと思います。

 

(スライド 資料1の 24 ページ)

 実際に、有害物質ばく露作業報告は、 16 事業場、ここにあります 16 事業場から 26 の作業の報告がありました。そうした作業ごとの従業員、事業場の労働者数を見てみると、多くの場合は 5 人未満、小さい規模で、 5 人未満の人たちが従事している事業所っていうのは 46 パーセントです。 5 から 10 人のところのものが 12 パーセントです。 11 人から 20 人のところが 27 パーセントで、 20 人を超えるところが 15 パーセントでした。

 あとそうした事業所の中で、どの事業所に局所排気装置があり、全体換気をしているかっていうことは詳細がちょっとありませんが、このトータルの中で見てくると、その中で局所排気装置が設置されているところは 36 パーセントでした。全体換気しているところは 21 パーセント、その他の対策、マスクだとかその他が 39 パーセントでした。だから、それが 5 人未満のとこにあるのか、あるいはこちらに全部シフトしているのかどうか、そういうことはちょっと残念ながらこの結果というのは分かりません。そういう事業所の数と、局所排気装置の設置状況はこういう形になってます。

 実際に 16 事業所の中の、ここの対象物質の用途は何かというと、対象物質を、 1,2- ジクロロプロパンを製造しているところと、他の製剤等、原料として使用している部分、あとは洗浄目的でしている、ここですね、この三つのようなところの事業所から調査結果が集まりまして、その中でじゃあ実際に調査するところはどういうところを調査したかっていうと、主な作業としてはやはりサンプリング、分析、試料を研究するところ、それから計量、配合、注入、投入、小分けする、あとは充填、袋詰めして、このところのものが中心になってきますねっていうこと。

 実際ばく露濃度をどうしたかというと、先ほど言ったようにコントロール・バンディングしながら、事業所の中で一番高い濃度になってくるところを選定していって、そして絞り込んでいって決めたわけですけど、実際に 16 事業所の中で選定したのは、ここに書いてあります 4 事業所です。 4 事業所の中の 14 人につきまして個人ばく露濃度測定を行いました。今回は A 測定を行っておりませんで、 B スポット測定。スポットというのは先ほど言いましたように、作業している中で一番高い濃度と思われる時間のとこだけ分析する方法というので、 9 地点の測定を行いました。

 

(スライド 資料1の 25 ページ)

 実際これが得られたデータですね。見ていただけると分かりますけども、事業所 14 の労働者に対して実施しました。個人ばく露濃度の最大が 8.99 ですね。 10 を切ってますけど、 8.99 です。それから先ほど言いました区間推定値ですね。要するに実際に計算で求めてみると、 14 のデータなんだけど、そのデータの中で見てくると、まだまだこのデータから推測するともっと高い位置のばく露が存在しているんだ、そういう事業所があるはずなんだっていうことが分かって、全体の区間推定値、限界値は 73.6ppm だった。かなり高い濃度ですね。そういう数値のものが推定できました。

 実際にじゃあ先ほど言った 4 事業所はどういうところかというと、対象物質を製造しているところが 2 事業所、洗浄として採用、使っているのが 1 事業所、当該物質を全部副生成物を廃棄する事業所として 1 件あります。そうした中で対象を製造するのは個人ばく露 2 人の人、それから洗浄する人は 10 人の人、それからそういう廃棄するところは 2 人の人。実際に測ってみると、対象を製造するところでは 0.44 ですね。それから洗浄するところはやっぱり高くて、 8.99 ですね。それから廃棄するところは 2 人を測り、最大が 0.011 です。あとは、ここのところ、スポットを見ても比較的小さいんですが、やはりこことここの差っていうのは作業場の差ですので、やっぱり 8 時間、短い時間作業していても、あとその作業がないと当然トータルはゼロになってきますよね。そうすると少なくなってくるという形になってということで、スポット測定を見てくると 100 くらい。要するにここで言いますと、二次評価値の 10 倍くらいの値のところの、短時間で大きなばく露をしている。あとは多分短い時間でばく露しているんだけれども、他の時間そういう形の作業がないとすると、当然そこは 8 時間の測定をしていますから当然低くなってきて、結果的には最大値がこういう形になってくる。だから計算で言うと間違いなく、長い時間、こういう測定者がこの中に入ってきてもおかしくないっていう状況だと思います。

 

(スライド 資料1の 26 ページ)

 そうした中でこれを見ていただければ分かりますけど、一応 14 人の人の中でずっと並べてみると、印刷工場における印刷ブランケット、要するに掃除するところね、そこのところの人たちがやっぱり大きな値を持ってます。ここで言いますと、ちょうど 10 人ですよね。 10 人、 10 人の人たちの中で見ていくと、ほとんどの人たちがその作業をしている人たちです。それから拭き取りの作業をしている、そこに居る人たちね。同居している人たち 2 人が入っています。他のところはやっぱり小さい。ばく露でもものすごく低いですねっていうことが分かります。そういうことから考えると、実際のばく露の中ではやっぱり一番高かったのは印刷機のブランケットの拭き掃除・洗浄という形。ウエスを使って拭いて、そしてそれを捨てるという形。比較的発生源が近いところで作業しているっていう形になります。調査はそういう形になりました。

 

(スライド 資料1の 27 ページ)

 実際の、ここのところを見ていただきますと分かりますように、以上のことから 1,2- ジクロロプロパンを含む洗剤を使用して洗浄作業している事業主としては、健康障害防止の対応の措置が必要と考えられます。これは先ほど言ったように、ばく露濃度で評価してるわけじゃなくて、やっぱり最大値が、スポットじゃなくて最大値が 74 ありました。そういう形の中でやっぱり区間推定値が 74 くらいあるということがあるので、やはり洗浄剤として使用する作業場については、そういう形で健康障害防止が必要であると。多分ここですね、今回の場合はここを使っているわけじゃなくて、ここのところをやはりどちらか高いほうの値が超えている場合に、という形になるかと思います。そういう形の中で見ていくと、全体としては 14 人が、二次評価値より下がっていました。全体は下がってました。当然ここも低かったです。ここのところも先ほど言いましたように、本来的には 8 ですから当然下がってます。ただ、こういうところのばく露濃度測定では二次評価値より低かったのだけど、やはり区間推定の最大値は二次評価値を超えているので、やはりジクロロプロパンを洗浄する作業につきましてはやはり何らかの措置が必要という形になりまして、洗浄・拭き取り作業については措置が必要ですよっていう形の評価になりました。この後詳しく行政のお話があります。そこでぜひ見ていただければと思います。

 

(スライド 資料1の 28 ページ)

 実際は先ほど言いましたように、 25 年度の 5 月の報告書で、ナフタレンは詳細リスク評価にいった。酸化チタン(ナノ粒子)につきましても今測定に入っていますし、それからリフラクトリーセラミックファイバー、これも二酸化チタンは二次評価値が 0.15 ですから、 NEDO の値が 0.6 だったのですけど、有害評価の中で 0.15 というかなり厳しい値ということで、リフラクトリーセラミックも 0.2 ファイバーですから、かなりアスベストに近い値ですということで、やはり詳細リスク評価に持っていきました。あとは初期リスク評価は今予定どおり行っています。こんなような形のものが 5 月にまとまった報告になるかと思います。

 

(スライド 資料1の 29 ページ)

 最後になると思いますけど、こういう形で見ていただければ、先ほど言いましたようにリスク評価は 18 年から行っていますけれども、基本的には 18 年から 20 年までというのは発がん性、 IARC の中で 1 2A 2B の付いているものをまず最初優先にしております。その後につきまして、発がん性も少しあるんですけれども、他の生殖・神経毒性だとかそういう形のものについて有害性の呼吸系あるもの、今は 24 年から発がん性とナノマテリアルについて少し、先ほど言いました二酸化チタンもそうです。それから今年はナノ銀をやってます。それからあとはナノカーボンチューブ、カーボンブラック、それからフラーレンという形のものが対象になってます。そういう形のものをこれから行いますよっていうことです。7月の検討会の中で、ここに書かれている物質を選定し、 25 年の 12 月にこういう物質については調査しますよっていう告示が出ますので、ぜひ皆さんここにある物質が自分のところで扱ってるものがあったとしたら、これから 1 年間データを蓄積して、再来年の 1 月から 3 月に報告してもらうという形です。その中で選ばれたものにつきまして、実際コントロール・バンディングしていって、そしてその中の事業所から選んでいって、リスク評価、ばく露濃度評価するのと、それからその物質について有害性評価小検討会で一次評価値、二次評価値を決めてもらって、そして初期リスク評価で終わるのか、あるいは詳細リスク評価まで持っていくのか、詳細リスク評価の中で評価値を超えていって管理が必要になってくるかっていう形になりますね。一応これが一つの目安になりますねっていう。特にこの辺は発がん性が強いということで、アスベストと同じです。中皮腫が出る、アスベスト以外で中皮腫が出るのはエリオナイトだけで、実際の使用はなかなかないと思いますけど、これもやはり調べてみましょうということで入ってます。こんなふうな形の中で今年の 12 月に告示されていって、 1 年間おいて、そして来年提出してもらったことを、今と同じような流れの中で管理していくっていう形になるかと思います。ちょっと早口でしゃべって申し訳ありませんでした。こういうことの流れの中でリスク評価してまして、今規制されている特化則とかそういった形のものは、この流れの中に乗っかって評価しているという説明でございます。どうもありがとうございました。

 

 

○司会者(鈴木) 名古屋先生、大変多くの情報を発表いただきましてありがとうございます。皆さん拍手でお願い致します。名古屋先生におかれましては、リスク評価の委員会の座長を、ご多忙のところ大変お時間と、ご助力いただきまして、ありがとうございます。

 続きまして、行政のお立場から厚生労働省安全衛生部化学物質評価室の室長、角田伸二様より、いま名古屋先生からのお話もありました特化物に追加されました 1,2 ‐ジクロロプロパンについてお話をいただきます。ちょっと今準備しておりますので、ちょっとお待ちください。名古屋先生のご講演の中にも実は相当いろんなエッセンスがございました。ちょっと重ね重ねしつこくて申し訳ないんですが、この赤い紙に質問がありましたらメモをちょっと書いておいていただいて、後でこの基調講演が終わった後に出していただければと思います。それでは角田室長、ひとつよろしくお願いします。

 

○角田 厚生労働省 労働基準局安全衛生部 化学物質対策課 化学物質評価室の角田と申します。よろしくお願い致します。

 先ほど名古屋先生から、リスク評価検討会で取りまとめました評価結果についてお話がございましたが、私からはそのリスク評価結果を踏まえまして、制度改正によって対応を行いました 1,2- ジクロロプロパンにつきまして規制の内容等をご説明致したいと思います。

 

(スライド 資料 2 1 ページ)

 先ほどの資料にもございましたが、リスク評価の報告書の概要でございます。左は初期リスク評価ということで 6 物質ございまして、真ん中はこれまで実施した結果を受けて詳細評価を実施したものが三つほどございます。一番右側に 1,2- ジクロロプロパンが整理されております。

 この物質だけ初期・詳細というふうになっておりませんで、リスク評価と書いてありますが、先ほどのお話にありました、通常初期リスク評価をしましてリスクが高い場合には詳細リスク評価をするっていう流れでございますけれども、 1,2- ジクロロプロパンにつきましては、昨年国内の印刷会社で発生した胆管がん事案もございまして、その事業所への調査結果やリスク評価結果から、洗浄・払拭の業務でリスクの高さが判明して、直ちに所要の措置を講ずる必要がございましたので、初期リスク評価の段階なのですけれども、その段階をもってリスク評価を終了しまして、措置検討を行うようにしたという経緯でございます。このため通常の初期・詳細という評価とは別の枠に入れてございます。このリスク評価の結果、先ほど名古屋先生のご説明にもありました通り、 1,2- ジクロロプロパンについてはリスクが高く、措置を必要とするということになりましたので、右下の赤いところの健康障害防止措置の検討を致したというところでございます。

 その左側にその他検討ということで、緑のところがございますが、これは発がん性の有機溶剤 10 物質ということで、これについても措置検討を行った次第でございます。この中には同じような事案でのジクロルメタン等も入っているというところでございます。

 

(スライド 資料 2 2 ページ)

 それで 1,2- ジクロロプロパンについて措置検討会でございますけれども、その結果でございます。特化則のエチルベンゼン等と同様に、作業環境測定の実施や発散抑制措置等を講じることが必要とされました。それから特化則の特別管理物質と同様の措置を講じることが必要というふうにされております。特別管理物質といいますのは、がんなどの遅発性の健康障害が生ずる恐れがある物質につきまして、作業記録の作成や、その記録等の 30 年保存等を義務付けているものでございますけれども、この物質についてもその発がん性を踏まえて、それと同様の措置が必要だというふうにされたところでございます。

 

(スライド 資料 2 3 ページ)

 この措置検討の結果を踏まえまして、必要な措置を法令にどのように規定するかということを具体的に検討しまして、政省令を改正したというところでございます。有害性、性状、用途のところでございますけれども、有害性は長期にわたる高濃度のばく露によって胆管がん発症につながる蓋然性が高いということが、今年 3 月に公表されました国の検討会の報告書に取りまとめられております。

 またヒトへの有害性として、中枢神経の抑制、眼と上気道の刺激性、溶血性貧血、肝臓および腎臓の障害と、これが確認されているというところでございます。性状は常温で無色の液体で、用途は金属用とか印刷用の洗浄剤等というふうになってございます。

 今回の規制ですが、まず容器包装への表示、ラベルのところでございます。 1,2- ジクロロプロパン、またはこれを重量の 0.1 パーセント以上含有する洗剤その他のものを容器・包装に入れて、譲渡、提供する場合は容器・包装に次の事項の明示が必要ですということで、名称、成分、人体に及ぼす影響等が決められているというところでございます。これは平成 25 10 1 日から義務化ということでございますが、 10 1 日時点で既に存在するものについては、 26 3 月までは猶予という形になっております。

 

( スライド 資料 2 4 ページ )

 それから以下、特定化学物質としての規制ということで整理をしてございます。まず規制対象の範囲です。規制対象とする業務は、リスクが高いとされた 1,2- ジクロロプロパン、または 1,2- ジクロロプロパンを用いて行う洗浄・払拭業務ということでございます。ただし、先ほどの容器等への表示は、洗浄・払拭業務に限らず、全ての含有物が対象になるというところでございます。また屋内作業場において行うものが対象になるということでございます。含有物につきましては、下に図が描いておりまして、その A B の部分というふうに描かれておりますが、まず 1,2- ジクロロプロパンの含有率が 1 パーセントを超えるもの、図では横向きの点線がございますが、この点線を超える上の A の部分ですね、この部分については基本的に特化則、特化物としての規制がかかるという形でございます。それからこの点線より下の 1 パーセント以下のものについてでございますけれども、他の有機溶剤と合計して 5 パーセントを超える場合、つまり B の部分ですね、この部分については有機溶剤と同様の規制がかかるというのが、規制対象の範囲でございます。これは 1,2- ジクロロプロパンが溶剤として使用される実態がございますので、有機溶剤との混合物につきまして、有機則に規定される措置と同様の規制を適用するという考え方でございます。こうした整理は、昨年の改正で規制対象になりましたエチルベンゼンと基本的に同じような仕組み方になっております。

 

(スライド 資料 2 5 ページ)

 今の図で示したものを、表にまとめたものが上の表でございますけれども、 A の部分については規制の概要というところで、発がん性に着目し、他の特定化学物質と同様の規制という形でございます。ただし発散抑制措置、呼吸用保護具等については、有機則の規定を準用するという形になっております。また、 B の部分ですね。 1 パーセント以内で、かつ他の有機溶剤との合計含有量が重量の 5 パーセントを超えるものについては、有機溶剤と同様の規制という形になっております。発散抑制措置と呼吸用保護具にかかる規定でございますけれども、 1,2- ジクロロプロパンが溶剤として使用されている実態に合わせて、特化則の 5 条などの規定ではなくて、有機則の規定を準用するということとされましたので、これは義務化、来年の 10 1 日からという形になっております。それまでに設備を申請する場合はその時点からという形にはなっております。

 

(スライド 資料 2 6 ページ)

 局所排気装置の設置の例外をまとめた表でございます。一番上に発散抑制措置の原則というふうにありますけれども、これは作業場所に局所排気装置等を設置しなければならないというところでございます。例外措置としましては、屋内作業場の周壁が開放されている場合とか、臨時の作業の場合とか、短時間の作業の場合というような形になっております。周壁開放の場合は例えば発散抑制措置は義務付けはないという形になっております。それから臨時の作業の場合は、タンク等の内部以外は同様の義務付けはないという形です。臨時の作業でもタンク等の内部の作業の場合は、全体換気装置を設けたときは、密閉設備とか局排等を設けないことができますけれども、この場合は右のほうにあります呼吸用保護具を使用しなければいけないという形になっております。それから短時間の作業の場合も、タンク等の内部以外の作業の場合は、全体換気装置を設けたときは、密閉設備なり、局排なり、プッシュプル型の換気装置を設けないことができるという形になっております。

 一番下はタンク等の内部の場合ということで、送気マスクを使用すれば局排等を設けないことができるという形でございます。

 

(スライド 資料 2 7 ページ)

 これは引き続き発散抑制措置の原則の例外の規定です。壁・床・天井について行う業務の場合ということでございますけれども、これは蒸気の発散面が広いっていうこともありますので、局排等の設置が技術的に難しい場合とかもありますので、この場合は全体換気装置を設置すれば、そうした局排等の設置の義務付けはないという状況ですけれども、呼吸用保護具を使用しなければならないという形になっております。ただしこの場合、タンク等の内部の場合は、防毒マスクは全面形に限るというふうにしておりますので、ここのところは従来の有機則よりも規制がきつくなっていると思いますけれども、これはばく露実態調査の高いことを踏まえまして、それに見合った精度のマスクというような形にしているところでございます。それから他の屋内作業から隔離されている場合も同様に全体換気装置、それから呼吸用保護具で対応という形でございます。それから一番下に労働基準監督署長の許可を受けた場合というのがございますけれども、この場合は保護具の使用が必要な場合がございます。

 それからその下でございますが、屋内作業場等においてプッシュプル型換気装置のブース内の気流を乱す恐れがある形状のものについて作業を行う場合、屋内作業場等において蒸気の発散源を密閉する設備を開く作業、こういったものには送気マスク、または有機ガス用防毒マスクが必要になってきます。 1,2- ジクロロプロパンと、または有機溶剤を入れたことのあるタンク内の作業の場合、送気マスクが必要になるというところでございます。

 

(スライド 資料 2 8 ページ)

 作業主任者の規定でございます。作業主任者は、 1,2- ジクロロプロパン洗浄・払拭業務では、作業主任者を専任し、次の事項を行わせることが必要というところでございます。あと試験研究のため取り扱う作業は除くという形でございまして、これは 26 年の 10 1 日から義務化されてございます。作業主任者の職務は、ご覧のとおり、作業の方法を決定して労働者を指揮することとか、局排等の健康障害を受けることを予防するための装置を点検することでありますとか、保護具の使用状況を監視することとか、タンク等の内部において洗浄・払拭業務に労働者が従事するときには、有機則 26 条に定める措置が講じられていることを確認することと、こういった業務を行うこととされております。

 

(スライド 資料 2 9 ページ)

 作業環境測定でございますけれども、 1,2- ジクロロプロパン等を用いて洗浄・払拭業務を行う屋内作業場では、作業環境測定とその評価、結果に応じた適切な改善を行うことが必要というふうになっておりまして、これは平成 26 10 1 日から義務化されるという形でございます。これは 1,2- ジクロロプロパンの測定と混合有機溶剤の各成分の測定というふうに書いてありますが、先ほど 1 パーセント超の部分であった、点線より上の A の部分と、それからその下の 5 パーセント超以下の B の部分ということでそれぞれ対応がこのようになっておりまして、 A の部分については、 1,2- ジクロロプロパンの測定は実施して、これは記録の保存期間は 30 年という形になっております。 1,2- ジクロロプロパンと有機溶剤の混合物 5 パーセント超の場合、 B の部分につきましては、 1,2- ジクロロプロパンの測定は 3 年間という形でございます。それから混合有機溶剤の各成分の測定という形でございますが、これは A 5 パーセント超の部分ですね、 A の部分のうち 5 パーセント超の部分、それから B の部分、これについて混合有機溶剤として測定をして 3 年間保存というような形になっております。基本的にエチルベンゼンと同じような形の仕組みになっております。

 これを下の四角にありますとおり、 6 月以内ごとに 1 回、定期に作業環境測定士による作業環境測定を実施するという形でございます。結果について一定の方法で評価を行い、評価結果に応じて適切な改善が必要であると。測定の記録および評価の記録を保存するということでございます。管理濃度は 10ppm 、試料採取方法は直接捕集、または個体捕集法、分析方法はガスクロによる分析方法でございます。

 

(スライド 資料 2 10 ページ)

 健康診断でございます。健康診断については、 1,2- ジクロロプロパンの洗浄・払拭業務に常時従事する労働者に対して、健康診断を行うことが必要でございます。下の四角の丸の一つ目ですけれども、この洗浄・払拭業務に常時従事する労働者に対して雇い入れ、または当該業務に配置替えの際、およびその後 6 月以内ごとに 1 回、定期に規定の項目について健康診断を実施するというふうにされております。

 丸の二つ目ですけれど、当該業務に常時従事させたことがある労働者で現に使用しているものについても同じという形でございます。結果(個人票)を保存すると、結果を労働者に通知するというところでございまして、報告書を所轄の労働基準監督署に提出するというところでございます。対象物が漏えいして、労働者が汚染されたとき等は、医師による診察、または処置を受けさせるという形になっております。

 

( スライド 資料 2 11 ページ )

 具体的な特殊健康診断の項目でございます。 1,2- ジクロロプロパンの項目については、特殊健康診断等に関する検討会で有識者の検討を踏まえて設定されてございます。検査は問診と血液検査を中心になっております。例えば一次検診でございますけれども、業務の経歴の調査、作業条件の簡易な調査、それから丸数字3以降の項目について整理するっていう形になっております。

 

( スライド 資料 2 12 ページ )

 掲示についてでございます。先ほど特化則の中で、特別管理物質として位置付けられたということをご説明しましたが、掲示はまさにその特別管理物質としての規制でございます。中身は名称なり、人体に及ぼす影響なり、取り扱い上の注意事項、それから使用すべき保護具を掲示する必要があるということでございます。これについては 1 パーセント超の A の部分が該当するというところでございます。また、有機溶剤として有機則の規定により表示しなければならない項目がありますので、これは A B ともに該当するということでございます。それから特別管理物質として作業の記録とその 30 年保存が同じく 10 1 日から義務付けられてるというところでございます。

 

( スライド 資料 2 13 ページ )

 それからその他の措置でございます。これは 25 10 1 日から義務化されておりますが、ぼろ等の処理、これは汚染されたぼろをふたをした不浸透性の容器に収めるということでございますけれども、そういうものでありますとか、設備の改造等の際に講ずべき措置でございますとか、あと取り扱い作業所に関係者以外の立ち入りを禁止するということでございますとか、休憩室、洗浄設備の設置でございますとか、取り扱い作業所での飲食、喫煙の禁止ということで、これら A 、つまり 1 パーセント超のものに適用されるという形でございます。それから容器等でございますが、ここについては一部を除いて A にも B にも適用されるという形でございます。それからタンク内作業事故の場合の退避でございます。タンク内作業で開口部を開口するとか、そういった規制でございますけれども、これは A B も両方適用されるというところでございます。それから事業廃止の場合の労働基準監督署への報告につきましては、特別管理物質としての規制で A に適用されるという形になっております。

 

( スライド 資料 2 14 ページ 44)

 適用除外でございます。これは消費する有機溶剤などの量が少量で、許容消費量を超えない場合に、有機則準用の適用除外になるかどうかということを整理したものでございます。下の黒丸の注書きがございますけれども、消費する有機溶剤の量、この有機溶剤の量、その量が少量で、許容消費量を超えないときは上の表のように適用除外となるということを示しているものでございます。

 

( スライド 資料 2 15 ページ )

 健康管理手帳でございます。 1,2- ジクロロプロパンを取り扱う業務が、健康管理手帳の対象業務となりまして、離職した後、健康診断を受けることができるようになりました。交付要件は対象業務に 3 年以上従事した経験があることとされているところでございます。

 

( スライド 資料 2 16 ページ )

 以下は参考資料でございます。第 1 類物質 7 種、第 2 類物質 44 種、第 3 類物質と特化物の分類を書いてございます。今回特化則で規定されました 1,2- ジクロロプロパンは第 2 類物資の一番右にエチルベンゼン等というのがございますけれども、この中に位置付けられているところでございます。ここの青く塗ってあるところがございますけれども、これが特別管理物質でございますので、先ほどの掲示なり、作業記録、測定記録の 30 年保存というのが必要になってくるというところでございます。それからここの赤いところは、第 2 類の一部とそれから第 3 類物質を取り扱う特定化学物質施設について大量漏えいの防止措置が必要だということを示しております。

 

( スライド 資料 2 17 ページ )

それから有機溶剤の分類ですけれども、 1,2- ジクロロプロパンは第二種の有機溶剤と同列のものとして扱われる形になっております。ただその含有する有機溶剤の有無とか種類とか量によっては、第一、第二、第三種有機溶剤に相当する場合がありますので、それに応じて準用する有機則の規定が変わってくることになります。

 

( スライド 資料 2 19 ページ )

 以下は印刷事業場における胆管がんにかかる対応ということで、時間の関係もありまして細かくは読み上げませんが、ご参考にしていただければと思います。経緯のところで 24 3 月に大阪府内にある印刷事業場の労働者から胆管がんを発症したということで労災請求があったという経緯でございます。これに対しましていろいろ厚生労働省のほうにおきましても、立ち入り調査なり、通信調査を行って実態把握に努めてまいったと、それから今回政省令の改正によってこの制度を、規制を導入したというところでございます。今後の対応のところでは、ジクロロメタンの現行規制について記録の保存期間の延長と、発がん物質としての対応検討中というところでございます。

(スライド 資料 2 のページ 20

これは胆管がんの概略を述べておりますので、ご参考にしていただければと思います。

 実はきょうの資料には入れておりませんでしたが、今回いろいろと制度改正をした資料につきましては、厚生労働省のホームページの「分野別の政策」の「雇用・労働(労働基準)」の「安全衛生」というところを見ていただきますと、そこに「職場における化学物質対策について」というのがございますので、そこをご覧になっていただければ、法令の新旧の対照条文でありますとか、関連の通達でありますとか、パンフでございますとか、それに至った関連のリスク評価書でございますとか、それが掲載されてございます。それから厚労省のホームページに「審議会・研究会」というところがございますので、その中の検討会等の労働基準局というところを見ていただきますと、リスク評価の検討会、健康障害防止措置の検討会の資料と議事録が全部載っております。このリスコミにつきましても、その中の企画検討会というところに冒頭お話がありましたとおり、議事録が載るというふうな形になると思いますので、合わせてご報告しておきます。よろしくお願い致します。以上です。

 

○司会者(鈴木) 角田室長、どうもありがとうございました。これにて第 1 部の基調講演のほうは終了させていただきます。実は当会の一番の目的である意見交換、それから、およびそのリスクコミュニケーション、が主題になっております。先ほどから何度か申し上げたように、ピンクの用紙のほうにぜひご意見、それからご質問をぜひ載せていただいて、次の意見交換会のところに役に立てたいと思いますので、ぜひご記入をお願い致します。ご記入されましたら、前の机のところに事務局が居ます。また逆に受け付けもおりますので、どちらかに渡していただければと思います。今のピンクの紙はできましたら 2 55 分までにこちらのほうにいただければ幸いでございます。それから意見交換会のほうは 3 時から始めたいと思います。約 15 分間休憩とさせてください。どうもありがとうございます。たばこのほうは表を出ましたら喫煙室がございます。それから飲み物のほうは自動販売機で自動販売機の前後では飲めるようになっておりますので、よろしくお願い致します。本日は厚生労働省のほうから化学物質対策課 4 名来ていただいております。また名古屋先生、それから堀口先生もコーディネーターでございますので、ぜひ活発なご質問を出していただければ幸いでございます。

 

( 休 憩 )

 

○司会者(鈴木) それでは意見交換会のほうに入りましたので、これからスタートさせていただきたいと思います。意見交換会のほうはコーディネーターは先ほどご紹介致しました長崎大学広報戦略本部准教授、堀口先生にお願いいたしております。パネリストとしまして、先ほど基調講演いただきました早稲田大学の名古屋先生、それから厚生労働省化学物質評価室の室長である角田さま、それからもう 1 名パネリストとして厚生労働省の化学物質評価室有害性調査機関査察官である大淵さま、この 4 名でやらせていただきます。皆さまからの質問をいただきまして、大変無理無理書いていただきまして、ありがとうございます。これから質問につきまして、ご回答を整理させていただきたいと思います。 3 時から一応 4 時をめどにさせていただきたいと思いますが、若干延びることもあるかなと思いますが、ひとつご了承いただければと思います。

 まず初めにいただきましたアンケートのほうからのご質問に対するご返答を一つずつさせていただいた上で、その後時間を見計らって皆さまから個別でご質問をさせていただきたいと思います。アンケートのほうも記名させていただいておりますが、これにつきましては議事録のほうからお名前を失させていただきたいと思っております。それでは堀口先生、ひとつよろしくお願い致します。

 

○堀口 こんにちは、長崎大学の堀口です。よろしくお願いします。皆さんのところにこの赤の紙があると思いますが、いくつか質問をさせていただきたいのですけれども、このリスク評価に関しまして物質別であったり、このリスクコミュニケーションという意見交換会をもうここ 3 年ほどやってきました。皆さん会社に所属されておられる方、またはその業界の団体に所属されている方がほとんどなので、個人ではなくとも他のスタッフの方がこのような会に参加してくださったとは思うんですけれども、ご自身がこの厚生労働省の担当の方からのご説明があったりする、このリスクコミュニケーションにご自身がこれまで参加のご経験がある方は赤、ない方は青を挙げていただきたいと思います。よろしいですか。はい、お願いします。分かりました、はい、ありがとうございます。半分以上は来ていらっしゃる。

 きょうは評価についてのご質問が結構多いので、名古屋先生頑張っていただいて、やろうかなと思うのですが、その前にスライドのご質問などもありましたので、やりたいと思います。私はそのまま読み上げさせていただきます。また、お名前やご所属先については私のほうから読み上げることがありませんので、ご了承ください。

 「スライド(資料1)の 10 ページですが、一次評価のリスク判定の基準を 1 万件に 1 人の割合でがんが発生するであろうと推測される濃度としていますが、この発生確率を採用した理由を教えていただけないでしょうか。」

○名古屋 正確には、私はこの検討会の委員じゃありません。これはお医者さんたちがやっている検討会です。一般的に労働環境の算出は 10 のマイナス3乗、一般環境は 10 のマイナス5乗で算出することになる、それは一般的に評価値としてリスクを評価するときには、ここの資料に書いてありますけれども、労働者が毎日当該物質にばく露した場合に、これに起因して 1 万人に1人の割合でがんが発生するであろうと推測される濃度を一次評価値という約束ごとで決めているのであって、一般的にはやはり二次評価値がリスク評価の基準になります。ちょっと答えになっているか分かりませんけれども、そういう決め方をしていると思います。

○堀口 厚生労働省のほうから追加はありますか。

○角田 ばく露評価ガイドライン・リスク評価の手法の中で、そのような形で設定しておりますので、その形でリスク評価を行っているということでございます。

 

○堀口 「これまでのリスク評価で、 IARC 1 から 2B を対象とされているとのことですが、現在どの程度評価が終了しているのでしょうか。 1,2- ジクロロプロパンは IARC 3 であり、労災がなければ評価の対象にはならなかった可能性が高いと思います。まずは網羅的に早くスクリーニングすることが必要ではないでしょうか。」

 

名古屋 記憶が正しければ、リフラクトリーセラミックファイバーが 2B だと思います。ので、それ以前は大体 IARC の発がんの部分は終わっております。今は新しくやっている所でございますけれども、有機溶剤の中に 10 物質の発がん性物質がありますので、そこについてこれからもう一度洗い直しをしようという所でございます。一応発がん性物質という中ではほぼ終わっている。あとは先ほどお話ししましたように生殖・神経毒性、あるいは使用量の多いもの、という形の中でリスク評価の企画検討委員会、そこの検討まで終わっていると思います。

○角田 どのくらいリスク評価をやったかということですけれども、今まで 54 物質、リスク評価を終了しております。現在までに発がん性等の健康障害の恐れのある化学物質を取り上げてリスク評価を、先ほどの名古屋先生のご説明の、ばく露実態調査と有害性評価を行って、リスク評価を行うという形で 54 実施しております。

 そのうち 13 物質につきましては、リスクが高かったので、今の 1,2- ジクロロプロパンを含みまして 13 ですけれども、健康障害防止に関連する規制を法令で行っているというところでございます。

 

○堀口 「発がん性のある有機溶剤 10 物質についても、初期リスクから詳細リスク評価のスキームで検討されるべきではないでしょうか。」ということで、パワーポイントの 16 ページ、 31 のパワーポイントのことでご質問があって・・・。

○角田 発がんの恐れのある 10 の有機溶剤についてのご質問でございますよね。

○堀口 はい。

○角田 それは今年化学物質のリスク評価検討会で、今後の対応を取りまとめて報告書は 7 月の 24 日に公表しているんですけれども、これらの物質については既に有機則に基づいていろんなご承知の規制、作業主任者の選任や局所排気装置の設置など、そういう一連のばく露防止装置が義務付けられている実態にございます。

 ただ、そのリスク評価検討会の取りまとめの報告では、こうした措置を特化則、エチルベンゼン等の特化則の特別管理物質と比較しますと、いろいろその含有量が 1 パーセント超で 5 パーセント以下の混合物は今ばく露防止装置が義務付けられていないという実態でございます。それから発がん物質である旨をその作業場に提示するということも義務化されておらないということでございます。それから作業環境測定とか特殊健康診断の記録保存期間もそれぞれ 3 5 年というふうになっておりますので、こうした物質が職業がんの原因になる可能性があるということを踏まえますと、その有機溶剤業務を対象に記録の保存期間の延長等が必要ではないかという結論になったところでございます。

 ご指摘のとおり、通常のスキームとはちょっと違うんですけれども、やはりこうした発がん性ということを踏まえまして、 1,2- ジクロロプロパンだけではなくて、ジクロロメタンについても、胆管がん事案で原因物質である蓋然性が高いということになっておりまして、労災で認定しているということもございますので、これについても急いで対応しなければならないのではないかということで、リスク評価検討会で取りまとめられ、その後まだ報告は出ておりませんが、健康障害防止措置検討会でも議論がずっとなされてきているという経過がございます。そういうこともありますので、そういった急ぎの対応をしていかなければならないのではないかということで考えているところでございます。

 ちなみに通常のばく露のスキーム、スケジュールでいきますと、その有機溶剤 10 種類がほぼ来年の 3 月までにばく露作業報告を出していただくことになっております。そうしますと通常のスケジュールですと、それを受けて 1 年くらいかけてばく露実態調査を行って、ばく露の実態を調べて、それからさらにその結果を踏まえてリスク評価を行うということになりますので、とりまとめは少なくとも 27 年度以降になると。詳細評価をやればさらにもうその次の年にという形になってきますので、やはり発がん性を踏まえてなるべく早く対応しなければならないのではないかという考え方でございます。ちょっと長くなりまして恐縮ですが、以上です。

 

○堀口 ありがとうございます。それでリスク評価についていくつか質問があるので、「選定評価する物質の、化学物質の選定手順というものがあり、手順中、募集という形で一つの手順になっているようですが、あらかじめ定められた判断スキーム、または判断樹を設定するというやり方もあると思いますが、どのようにお考えでしょうか。」

○名古屋 先ほどのところにありましたように、委員の先生方の、選定、あとはこういうものについて少し検討してもらったらどうでしょうかというパブリックコメント、そこを集めまして 20 から 30 の物質がありまして、その中で企画検討会の先生方が、例えば使用量が多いもの、それから、あるいは、許容濃度が決まっているとか毒性が高いとか、そういうような状況から優先順位を決めて、今年は何物質くらいやりましょうかという決め方をしています。

○角田 今の先生のご説明のとおりですけれども、企画検討会の中で発がん性、主に発がん性を中心にやってきたわけでございますけれども、そうした発がん性で IARC 等の評価を踏まえて物質を選定して、それをリスク評価の対象にすると、告示をして対象にするという手順でやってきております。

 

○堀口 よろしいですか。はい。また加えるというときには、後でご質問してください。すみません。「化学物質は非常に多数あるので、物質ごとの指定ではなく、ハザードのカテゴリー別の管理にすべきであるというご意見があり、先週エンドクリンの最近の評価状況の報告会がありました。ヨーロッパでは化学物質の規制を行う際にリスクアセスメントを基本にしているところであるが、最近ハザードベースで規制を考えようとする動きが出てきているとのことでした。 ( 対象物質は確認できませんでした。 )  わが国においてはリスクアセスメント評価が定着してきたところであり、ハザードベースによる化学物質規制のこの動きは大変心配です。厚生労働省はハザードベースによる化学物質規制に関して何か情報、またはお考えはないのでしょうか。」

○角田 ちょっとお答えになるかあれなんですけれども、リスク評価の場合、ハザードとリスクということで、ハザードを踏まえて実際にばく露の実態がどうであるかということを調べてリスク評価を行うという形でやってきております。私どもの考え方は、法規制、法令で規制するというところまでいくものというのは、やはりリスク評価を実施してやっていくことが適切ではないかということで、ただハザードで評価するという部分も、例えばがん原性試験、日本バイオアッセイ研究センターに委託してやっておりますけれども、そういったものの中で例えば動物実験で発がんが確認されたというような場合に、それはまだ実際にリスク評価ということではございませんけれども、がん原性指針を出して、適切な管理等を指導するという、ハザードを踏まえた対策はある程度やってきております。基本的には政省令で規制するという部分は、ばく露実態を踏まえたリスク評価という対応で今までやってきておりました。

 

○堀口 「一次評価値と二次評価値で二次評価値のほうが大なりとなっているのですが、リスクとしてはいるのですが、二次評価値のほうが高いと思うのですが、 1 万人に 1 人が発がんするというのは、労働者の健康に悪影響を受けない程度という理解でよろしいのでしょうか。」

○名古屋 リスクは労働、アスベストなんかも見ていただいて分かるかもしれませんが、こういうときに労働者の場合の過剰発がんリスクは大体 1000 人に 1 人、 10 のマイナス 3 乗として濃度設定されていますので、そういう形の 10 のマイナス 3 乗、それから一般的な大気の場合は 10 のマイナス5乗で、そのちょうど中間が 10 のマイナス4乗で、労働の場所を考えると、要するにそれより以下では疾病はほぼ起こりませんよという濃度に対して、一次評価値を設定しています。

 

○堀口 「リスク評価の作業のスピードアップ化が今後どのように考えられているんですか。」

 

○角田 非常に重要なご指摘だと思います。私どもリスク評価を加速化してやっていかなければならないということは認識しておりまして、特に発がん性の評価については、第 12 次労働災害防止計画が 25 年度から 5 年間ということで公表されておりますけれども、発がん性評価を加速するということが中に書かれております。有害性情報を活用したり、変異原性試験の実施をしたり、がん原性試験を効率化したりするということで加速するとされておりまして、 25 年度からその加速化に向けて具体的な取り組みを私どものところでも開始したところでございます。

 具体的な中身としましては、例えば多くの化学物質の中から効率的に発がんの可能性のあるものを選定して、長期の発がん性試験につなげていくということが大事でございますので、その場合は、既存の遺伝毒性の情報を活用したり、エームス試験、形質転換試験を実施したりするとか、それから短期・中期の発がん性試験を実施したりするとか、こういうことを実施していくこととしています。それから長期発がん試験、これは皆さんご承知と思いますが、これは 2 年かけてやるものでございますので、これ自体も効率化していかないと、なかなか早くならないということで、長期試験の実験動物を、例えば今まで 2 種類で、ラットとマウスでやっていたのですけれども、それを 1 種類として、他の種類は短期、中期試験で対応するとか、そういったことも実施する予定でございます。

 それからがん原性指針の発出とか、リスク評価に迅速に対応していくため、国際機関の発がん性評価を活用するとか、今の短期・中期の発がん性試験の結果を活用するとか、こういった取り組みをしながら、リスク評価を加速化していこうというふうに考えています。

 

○堀口 「やはり実際の毒性、発がん性評価が、費用、時間ともかかるため、 QSAR などを一次スクリーニングで用いることも考慮できないのでしょうか。」

○大淵  QSAR 、構造活性相関の関係のご質問ですね。答えさせていただきます。構造活性相関には分野によって、もう十分使えるようなレベルにある分野と、必ずしもそうでない分野とあるんですけれども、変異原性の分野はかなり精度が高いものができておりますので、私どもの評価の中でもそれを活用していくというような形で今動き始めているところでございます。

 具体的には化学物質のうち既に発がん性が分かっている、情報が得られているものをまず優先的にリスク評価を進めていきますが、発がん性の情報がない物質は、まず変異原性について試験などで情報が得られていればその結果を使います。けれども、物質によっては変異原性の試験情報がない物質というのも相当ございますので、そういったものについてはまずは QSAR 、構造活性相関で確認をしまして、そこで変異原性がありそうだという情報が得られた場合には、次のステップとして実際のエームス試験などを行っていくと、そういうようなプランで今年から動き始めているところでございます。以上です。

 

○堀口 「現場評価のツールとして、コントロール・バンディングを利用しているとのことだが、少し具体的にどのような評価を行っているかご教授ください。」

 

○名古屋 これはリスク評価検討会でやっているわけじゃなくて、中災防さんに、委託事業でばく露評価委員会というのがありまして、その中でそのメンバーの人たちが出てきた報告書を全部読みながら、そしてそれと同時にどういう濃度で使っているのかということで、コントロール・バンディングを始動して、事業所を選定して川下から川上へ上がって行く、高い ばく露のものから事業場の選定をして、結果的には委員会にそこで出た結果が上がってきます。例えばニッケル粉体、ニッケル化合物の時は、 ばく露濃度の高いところを見ていくと粉状ニッケル、燃料電池の秤量のところが一番高かったので、ニッケルの化合物(粉状)を規制しました。また、川下のところのニッケルを溶接する作業では、それが酸化してニッケル化合物となったときに清掃する作業が特化則の製造・取扱作業になりました。そういうやり方。報告で全部集まったものを全てやるわけじゃなくて、そういうコントロール・バンディングを積み上げたときに、一番リスクの高いところ、に対してこういう仕事をしてばく露しましたよと。ちょっと正しいお答えになっているかどうか分かりませんが、一応コントロール・バンディングの手法をもって運用しています。

 

○堀口 「労働者に対するリスク評価について、コントロール・バンディングが主となっていますが、定量的な評価手法を導入すべきではないか」とのご意見が出ています。

 

○大淵 ご質問の意味がちょっとよく取れなかったんですけれども、今リスク評価の中でコントロール・バンディングの活用の仕方としては、まずリスク評価の対象物質が決まりますと、ばく露作業報告というのを取りまして、各事業所で年間 500 キログラム以上製造・取り扱いがある場合に、どんな作業で使っていますということをご報告いただいて、その中から、必ずしも全部の事業所ということではないんですけれども、一定の事業所についてさらにもう少し詳しい情報を提出いただいて、その情報を元にコントロール・バンディングという仕組みを活用して、ばく露がどの程度になりそうかというおおむねの傾向をつかむでいます。ざっくりとではありますが、一応定量的な把握をしまして、コントロール・バンディングの結果でばく露が高そうだという推測がついたものについて、実際に現場に測定機器を持っていって、個人ばく露測定等を行うということにしていますので、正確な数字は現場での測定で測るわけですけれども、この測定をするための事業所を選ぶためのツールとしてコントロール・バンディングを活用しております。コントロール・バンディングで正確な数字までは分かるわけじゃないですけど、おおむね高そうか、低そうかとか、そういう傾向はコントロール・バンディングでつかんでいます。

 

○堀口 多分似たような質問なのですけど、「現在の現場評価のシステムは本当に現場の実態を反映しているのだろうか、例えば生産量などの増減や、作業者の作業方法などのバラつきが考えられないでしょうか。」多分私のイメージなんですけど、今リスク評価全体どうなっているかというところで集約してきていると思うんですけれども、各事業場で今やっている評価が使えないだろうかというような意味合いのご質問が来ているような気がするんですけれども、 1,2- ジクロロプロパンなど問題発生時に特別管理の対象外である化学物質のリスクアセスメントツールとして、例えばコントロール・バンディングが考えられますが、コントロール・バンディング以外のツールの開発状況はどうなっているのでしょうか。中小企業が今後利用することを念頭に使いやすいツールとしてどのようなものがあるか気になっています。

○名古屋 今、ヨーロッパなどではたぶん、コントロール・バンディングということと、もう一つ、オランダとかドイツとか、自分のところの扱っている作業所の局所排気装置を使っているとかいろんな形のものを入れると、そのばく露濃度が出てくるシステムができあがっていて、特にオランダなんかは進んでいると思いますけど、その濃度を入れると、その入れた結果が管理より低くなっていたらそれをそのまま設定を変えていいですよっていうシステムになっていると思う。今多分これは厚生労働省の委託研究の中で、今自分たちのオランダのところを基本にしていって、そしてそれを日本版に直していく。日本版に直したものを使って実際に中小の事業者が自分たちの、なかなかそういうリスク評価ができないので、自分のデータを入れることによってばく露実態がどういう形なのかっていう推測ができるシステムを今、委託研究をやっているので、そういうものが出てくるといいのかなと。

 あともう一つは中災防さんの委員会の中で、中小事業者がそういうリスク評価ができないので、 2 年間委託されて結果が出ているんですけど、その結果も厚労省のホームページの中を探っていくとたどり着いていって、ある程度リスク評価ができるようにはなってるんですけれども(リスクアセスメント実施支援システム)、そこのところにたどり着くと、ある程度のリスク評価のシステムが今できてます。あと中災防さんもできてます。それができてるから、そのたどり着き方が多分宣伝が少しうまくいってなくて、皆さんに伝わってないのかなっていうことなんですけども。

(参考 URL http://anzeninfo.mhlw.go.jp/ras/user/anzen/kag/ras_start.html

 

○堀口 たどり着き方はどうやって分かりますか。厚生労働省のホームページはなかなか見たいページに、他の部署もたどり着くのが困難なんですけど、それは検索をもし分かりやすく、何ていうんですか、たどり着けるようになってくれればいいかなと思っているので、その辺はよろしくお願いします。

 というのは、化学物質リスク評価を踏まえた政省令の改正に至った今回の経緯を説明していただきましたが、このような物質についてどのように情報を収集していったらよいのでしょうかと。現場を管理する者にとってはアンテナを高くしておくことが必要で、情報源のご提示をいただけると助かりますとかいう、そういうなかなかたどり着けないところのご苦労もあるのではないかと今思いましたので。

 「化学物質などはいかにして情報を正しく的確に収集し、効率よく情報を活用するかにかかっていると考えます。危険・有害性の情報を収集するにあたって、どのような情報源を活用するかによって結果が異なる場合が考えられますが、どのような情報源が信頼できるかご指導いただければ幸いです。」よろしくお願いします。

○名古屋 一つは厚労省のホームページを見ていただければ、今回私たちの化学物質のリスク評価の企画検討会がありますので、そこでこういう物質、議事録があります、その場には多くのかたがたが聞きに来ています。その資料をもらいますと、そうすると自分の関係のある物質がどういう形で載っているのか、そしてその中でどういうふうに選ばれているのか、それを皆さん聞けますので、ぜひそういう検討会に参加していただいて、自分の関連する物質が今回取り上げられるのかどうかっていうのを見て、もしリスク評価に取り上げられたときには今度は、ばく露評価小検討会、あるいは有害性評価小検討会が、現在ありますので、そういうところに業界を代表してよくいらっしゃいますので、そういうところで情報を収集されたらいいかと。そのためにはやはりこまめに厚労省のホームページとか、そういうところを見て、いつどういうことが行われるのかなということを見て、業界として対応していただければと思います。

○角田 皆さん既にいろいろとご利用されてらっしゃると思いますけれども、厚労省の「職場のあんぜんサイト」というところで、いろいろ SDS の情報もございますし、また今までのがん原性試験の結果でありますとか、リスク評価結果の報告ですとか、そういったものも掲載しておりますので、そういったところを活用していただければというふうに思います。

 

○堀口 同じような質問だったので、回答が重なって同じだったら同じと言っていただければと思いますが、「作業主任者の専任について、私は有機溶剤の作業主任者ですが、新しい物質が対象になる場合、何を見たら分かりますか」というのは、今のようなホームページでよろしいんですよね。

 この通知は見ておいてほしい、確認してほしいホームページなどがありましたら教えてくださいというのも、今の回答で大丈夫ですか。

○角田 先ほど説明時に申し上げましたような、化学物質対策のところでございますとか、先ほどのあんぜんサイトでありますとか、そういったところをご覧になっていただければと思います。

 

○堀口 「リスク評価対象物質の毎年の選定に関して、どういう発がん性などを有する化学物質群から、どのような優先順位で選定をしているのですか。発がん性などが必ずしも明確となっていない、またデータがない化学物質 ( 潜在的なリスクを有するもの ) のリスク評価はどのようにしていくんですか。」

 (ご返答は)私が。いつもさまざまな化学物質がリストとして上がってきまして、やはり日本の中でどの程度消費されて、使われているのかなどを踏まえて、検討会で議論して決めているところですが、会場に山口さん付け加えることがありますか。同じ企画検討会の委員なので、お願いします。

○山口 基本的にはハザードを前提に考えますけれども、ばく露の実態という意味で使用量ですとか、あとは形状、使っている使用の用途、そういったものを勘案して、かなり危険性が高いというものに関しては優先的にやるということで、基本的には発がん性物質に関してはほぼ終わっています。

 今回のジクロロプロパンに関しても、本来発がん性は分かっていませんでした。と申しますのは、極度の、これまで限界以上にばく露をした状態でどうかという試験がなかったもので、急性の毒性が出るような状態で長期に吸った場合、新たなメカニズムで発がん性があるということが分かってきたということです。これに関しては全国産業労働安全衛生大会で櫻井先生という専門の方がご説明されておりますけれども、そういったような、これまでちょっと考えられないようなメカニズムということもあって、今回こういった緊急の、なんですか、措置を取られたということで、普通は通常これまでのばく露対策をやっていると、発がん性が出ない物質だったということなんですね。

 ということなので、そういったものが全て横断的に何でもかんでもやるというのはやっぱり経済的にも作業的にも非常に無理があります。実際に使用している実態に基づいて本当に有害かどうかということを、あくまでもリスクという形で考えないと、リスクということは 100 パーセントということはありません。ゼロということは絶対ないということなんですよ。ゼロを求めると全てが成り立たなくなりますので、そこは皆さん化学物質を使う上ではよくご承知願いたいと。

 逆に言うと、どんな安全な物質もリスクがゼロというものはないということなんですね。いくら有害性が低いんだと言っても、大量に吸うと何か有害性が出ますので、基本はリスクがゼロという物質はないと、全ての物質はある程度有害性があるので、できる限りばく露しないようにするというのが基本ですので、ただしゼロを求めると、全てのなんですか、産業というか、いろんな経済的な面で成り立たなくなるということをご了解いただいて、しっかりとばく露対策をやっていただければと思います。

○名古屋 あと資料(1)の 28 を見ていただいても分かるんですけれども、先ほど言いましたように、大体発がん性は終わってきているので、 2 に書いてありますように、最近は生殖毒性と神経毒性、 GHS 区分の 1 というものがあります。これからそういう形のものに対して特に注目を集めていこうという形で、今回の企画検討会、 1 という形のものを中心に選びました。これから多分そういう情報があるものを優先して選んでいくんだという形になると思います。

 

○堀口 「 EU SVHC などとの国際整合性についてはどのようにお考えですか。」

○角田 国際整合性の問題は、例えば 1,2- ジクロロプロパンで申しますと、こういった規制を導入するときに外国にも WTO TBT の規制で通報をして WTO の事務局に情報を聞くとか、こういった形で情報発信をしています。

 それから 1,2- ジクロロプロパンについては、いろいろな私どものほうで整理したものについても国際機関等に情報発信をしておりまして、その結果 IARC のほうでも来年の 6 月に再度モノグラフの分類の検討をするという物質の中に 1,2- ジクロロプロパンが含まれております。

 

○堀口 「業務上の疾病の人数だけではなく、種類の推移は分かりますか」っていう質問なんですけど。参考のために知りたいと書いてあります。

○角田 すみません、今手元に細かいデータがないので分からないです。

○大淵 細かい数字までちょっと分かりませんが、全体的な傾向ということで申し上げますと、毎年化学物質関係で多いのは一酸化炭素 (CO) 中毒ですとか、酸とアルカリを混ぜてしまって発生したガスでの健康障害ですとか、そういったものが比重としては多いです。

 それ以外に会社固有の物質による健康障害なども含まれていますけれども、一番多いのは先ほど申し上げた CO 中毒と、酸・アルカリのガス発生かと思います。

 

○堀口 「区間推定上側限界値の扱い方を教えてください。」

○名古屋 これは厚労省のホームページのガイドライン(労働者の有害物による ばく露評価ガイドライン)に細かく書いてありますので、どういうふうにやっていますとか書いてありますので、ぜひそこをご覧になっていただければありがたいと思います。(参考 URL https://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/01/s0115-4.html)

 

 

○堀口 たくさん質問があって、いいことなのですけど、すみません、私の仕分けがあまり上手じゃなくて。これで大体評価は言ったのかな。読んでいきます。

 「リスク評価について、初期リスク評価から詳細リスク評価をへて、 28 条の技術上の指針に基づく管理など、何ら規制され、健康障害保証を行うと思うのですが、 N,N- ジメチルアセトアミドについて、初期リスク評価においてリスクは高くないとの評価を受けたのにも関わらず、 28 条の指針の対象物質となりましたが、その背景を教えてください。また今後そのような事例は出てくる可能性はあるのでしょうか。」

○角田  N,N- ジメチルアセトアミドについては、がん原性試験の結果を踏まえて指針が必要というふうに判断されまして、指針についての指導という形になりましたので、特に法令というような形にはなっておりません。これは指針がハザードを踏まえて適切な管理を指導するという趣旨のものでありますので、それが必要であるけれども、リスク評価による規制のところまでは必要ないという、判断を踏まえてそういうような形になったというところでございます。

 

○堀口 読み上げますが、多分同じだと思うんですけど、「 N,N- ジメチルアセトアミドが 10 月に健康障害防止指針の対象物質に追加されました。初期リスク評価においてリスクは高くなく、評価終了と本日の資料に記載がありますが、健康障害防止指針との関連性について教えてください。指針の法的な位置付けは?強制ではない?」と書いてあります。

○角田 指針は、法律、労働安全衛生法の 28 条の規定に基づくものでございまして、このがんの原性指針については、がんその他重度の健康障害を労働者に恐れのある化学物質を定めて、当該物質について事業者が健康障害を防止するために、公表するという性格のものでございます。これまで国が長期発がん性試験を実施した物質のうち、 29 ほどだったと思いますが、指針の対象にしています。指針は法令での規制と異なりまして、罰則等を伴う強制力はない、行政指導というふうにご理解いただければと思いますけど、対象物質による労働者の健康障害を防止するために、製造とか取り扱いに対して事業者が講ずべき措置を定めたものでございますので、事業者のかたがたに指針に基づく措置の実施をお願いをするという性格のものでございます。指針の性格というのは、そういった形でございまして、その中で危険性・有害性等の調査をするとか、作業環境管理をするとか、作業指揮者の専任とか保護具の使用等とか、あるいは作業環境測定をするとか、あと教育をするとか、そういった形を整理しておりますが、そういう法令で規制するというところまではいかないものについて、指針で対応しているという、性格の違いはこんなところでございます。

 

○堀口 ありがとうございます。「後半の説明の 20 ページの(資料2) 8 と(資料2) 9 のスライドですが、義務化は開始日の平成 26 10 1 日は誤記ですか。誤りですか。でなければ 1 年遅れた、 1 年遅れのための理由は何でしょうか。」

○角田 作業環境測定のところが平成 26 10 1 日、それから作業主任者のところも平成 26 10 1 日というふうになっておりますが、これは 1 年間の猶予期間を設けたものでございます。例えば作業主任者の選任を取りましても、資格を持った、講習を受けた方でなければいけませんので、そういった人を確保するという問題もございますので、そうしたものについて 1 年間の猶予期間を設けたものでございます。

 

○堀口 「スライド(資料2) 10 、(現に)使用(しているものについても同じ)、と書いてあるのは、「雇用」の間違いですか。」

○角田 使用と?

○堀口 使う・用いる、使用が雇用?

○角田 すみません、ここは法令の条文上は「使用」という形になっておりますので、それに沿った表現で書きました。パンフのほうは、もう少し細かいパンフレットが先ほど申し上げましたホームページのところにも載っているんですけど、そちらのほうは「雇用」という形で、一般的な表現で書いていますが、ここは法令上の表現を使用しているものということでございます。

 

○堀口 このスライドについてかな、と思うんですけど、丸が五つありまして、「当該事業所に常時従事させたことがある労働者で、現に雇用している者っていう整理で、何年間さかのぼって管理をするのでしょうか。 5 年、 30 年、限定なし。業務の記録がない場合、労働者、または作業主任者の申告のみでいいのでしょうか。出向者は現に雇用していることになりますか。雇用者には従業員の作業を調べる義務がありますか。」こういうご質問が並んでいます。

○角田 これはかなり細かいので、もしよろしければ後ほどご回答させていただければと思うんですけれども。

○堀口 じゃあ終わったときにフロアのほうにお願いできますか。

○角田 すみません。

 

○堀口 じゃあよろしくお願い致します。「 1,2- ジクロロプロパンが代替品へ替わっていると聞いていますが、その代替についてインキ業界からの例が挙がっていますが、化学物質の理解が不十分である業者への指導をきょう今回の例、 1,2- ジクロロプロパンのようにインキ溶剤業者に指導すべきではないでしょうかという話なんですが、代替品とかどうなっているかは情報待ちでしょうか。」

○角田 今こういう胆管がん等の問題もございましたので、いろいろと印刷業等を中心に、 1,2- ジクロロプロパンを含んでいないものに、代替がかなり進んでおりまして、現在ではもうほとんど使われていないような状況でございます。いろいろと石油系のものとか、他のものに代替されているというふうには聞いております。

 

○堀口 「昨年のジクロロ事件以降、溶剤販売をするにあたり、特化則、有機則、非該当を特徴の一番に挙げて溶剤を販売しているメーカーが出てきています。データでないものに流れているだけで、労働者の安全向上にはほど遠いと思われますが、どのように思われますか。」

○名古屋 それは間違いなく法の趣旨と違うことで、やっぱりリスク評価し危なくないよという業界としてきちっとした対応をするのが望ましいんではないかと思います。

 

○堀口 「有機物質のメーカーの社会的責任が重要と思います。知識のない一般労働者が被害を受けていますが、ほとんどが中小企業の労働者です。一方販売は問屋などが行っているのでメーカーはこれらの販売業者をもっと教育する必要があるのではないでしょうか。大手ユーザーは情報はあり、適当な方策を立てています」ということなんですが。

 

○名古屋 違法とは別にしましても、今回の法律改正の中で表示義務というのがあって、その一つはやっぱり中小さんが大きなドラム缶で買った溶剤を小分けしていったときに、末端の人たちがその溶剤について何を使っているかっていうのは意外と分からないで使っているところがあります。そういうことでこれは事業者さんの努力だと思うんですけど、本当に自分の使っている溶剤って何があるのかということです。それから同じ GHS のマークというか、絵文字を見ただけで、発がん性なんだなというようなことが分かるような形の教育をしていかなければいけないと思うんですけど、やはりその辺のところがなかなか進んでなくて、法令になったものについて小分けしてもどんどん表示していって、小さな表示の中で分かるような形のシステムにしてほしいなと思うんです。現場はそこのところが分かれば事業所の作業者は、こういう発がん性物質を扱っているから注意しろという教育になるんだと思いますけど、なかなかその辺が中小ではうまくいってない。うまくいってるところもあるかもしれないですけど、末端までその有機溶剤の取扱注意だとか、そこまでは情報として伝達されていない場合もあると思います。

○山口 いいですか。

○堀口 はい。

○山口 日本化学工業協会の環境安全の山口ですけれども、この胆管がんの件に関しましては、日本印刷産業連合会のほうから日化協に対して、有害性のないそういった洗浄剤をもっと開発するように促進してくれとか、いろいろな要望がありました。それに対して日化協としても、まず基本は有害性の情報を川上から川下まできちんと流すということが基本ですので、まずそれを徹底しましょうと。

 あとは使う側は自ら使っているものの有害性をきちっと調べて、なるべく有害性に基づいてばく露しないという対策を打たないといけないんですけれども、話ししているとどうもやっぱり中小の方は有害じゃないものと有害なもの、もう 1 0 しかないんですね。有害であるものは一切吸ったら駄目と、無害なものはなんでもいいというような考えになってしまいますので、そこはきちんとどんなものも、自分たちがどういったものを使っているのかということをまず基本的に分かって使わないと、なんにもどういったものか分からず使うっていうのは基本的にまず間違っていると思うんですね。自分たちがどういったものを使っているのか、それは有害性だけではなくて、危険性という意味で爆発火災ということもありますし、そういった情報をまずきちっとつかむっていうことが基本ですので、その上でやるということで、こういった問題はやるので、先般、胆管がんを契機にした厚労省の検討会の中で、基本的にこの有害性、一定の有害性のあるもの、全部で 640 物質なんですが、これに関しては義務化されて、 SDS といいまして、有害性の情報を渡すというのは義務化されておりますので、これに関してはきちんと、マークも今、名古屋先生が言ったような、危険性を示すようなマークを製品に付けましょうということも義務化される方向で検討が進んでいますし。

 もう一つそれを使う側がその 640 物質に関しては、リスクアセスメントしなさいというのが義務化される方向で検討が進んでいます。そのときにリスクアセスメントが中小でできるか、あるいは化学物質にあまり詳しくない業者の方ができるかというのが、いろいろと課題になっていまして、このリスクアセスメントの手法についてもいろいろ厚労省の委託事業で進んでいます。あるいはこういった手法の啓発というか、指導というか、教育ということも随時やっていくということがほぼ決まっておりますので、これからこういったことに関してどんどん進むものと思われます。

 一つ心配なのは、先ほどもありましたように、有害性じゃないと、その 640 物質じゃない物質を使ってますよっていうことで、何でもかんでも、なんですか、情報を出さずにとにかくそういう法に該当しませんよということで売り込む方がおられるわけですよ。ただ、それを真に受けると駄目ですので、あくまでもどういったものを使っているかという、成分も、少なくとも成分も自分たちで把握して、その情報に関してはインターネットでいろんな調査できるサイトがありますので、どんな場合を自分たちがどういったものを扱っているかということをちゃんと調べた上で使ってもらうということが基本ですので、それでないと常に 1 0 で、有害なものと無害なものということでなってしまいますので、あくまでもそのリスクとしてものを判断していますかという方向でお願いしたいと、今そういう形で進めております。

○堀口 ありがとうございました。

○角田 先ほど労働者の方への周知ということでのご意見もちょっとあったかと思うんですけれども、今回 1,2- ジクロロプロパンについては、制度改正が行われまして、今までも既に通知する物質では SDS の対象ではあったんですけれども、今般の改正で先ほどご説明しました包装への表示とかも導入されました。それから実際の作業場へ、人体に及ぼす影響とかも掲示するようにということになりましたので、こういうことを通じて労働者の方への周知もできるのではないかというふうに考えております。

 それからいろいろ危険、有害性が不明の化学物質への対応が、要するに規制されていないから大丈夫だというようなことというのは、やはり適当とはいえないということでございますので、そこはやはり不明の化学物質への対応についても十分に、 SDS の例えば交付を受けることができないような化学物質についても、情報が不足しているということも十分ありますので、そういったことを十分に注意していく必要があるかと思います。

 今回のケースがあって、洗浄とか払拭の業務において事業者が講ずべきばく露防止対策ということで、厚労省からも 3 月にも、 8 月にもその改正で措置等周知しておりますけれども、そういう中で、やはりそういう情報が不足しているものがあるので、そういう場合は、例えば洗浄に使うものにはふさわしくないと、使用するのは望ましくないのでということで、いろいろとお願いをしているというところでございますので、そのあたりはまた通達等でご確認していただければと思います。

 

○堀口 関連して、多分ダブると思うんですけど、「化学物質の危険有害性の周知はラベル表示と SDS をもって行われています。従ってそのラベルや SDS を作成するには、危険有害性の分類基準と分類方法、さらに関係法令について一定の知識を必要となります。取扱者については資格要件が定められている一方で、ラベルや SDS を作成するのには何らの資格措置がないというのは適切ではないと考えますが、いかがでしょうか。」

○角田 お答えになるかどうかあれなんですけれども、先ほどのホームページ等で標準の SDS などをお示しして、こういったことも活用してやってくださいというような形で周知を図っておりますので、そういった取り組みで対応していきたいというふうには思います。ご参考にしていただければというふうに考えております。

 

○堀口 「特化物、有機溶剤はそれぞれ特化則、有機則において事業体の掲示の他、資格者の専任など、各種義務、規制が設けられています。しかし取り扱う当該物品が特化則、有機則に該当するものであることの表示を義務付ける規定がありません。 SDS においては 15 項で適用法令はありますが、記載すべき法令の範囲についての定めはなく、十分ではありません。実効性のある探索を行うには、特化則、有機則別対象品であることの表示を義務付ける必要があるのではないでしょうか」というご意見なんですがどうでしょう。

○角田 今のご質問の中にもありましたとおり、 SDS についてはその中で適用される法律っていう形で書いてありますので、そこの部分での確認が出るのではないかというふうに思います。

○堀口 やはりきちんと管理するには資格はどうですかっていうご意見なのだと。その表示のラベルを作成する側の人の、なんか資格があったほうがいいんじゃないですかっていう。取り扱う人の資格はあるけれども、表示を作る人のっていう多分ご意見だと。

○大淵  SDS とかラベルを作成する方について、当然やっぱり一定の知識は必要ですが、即、資格制度というふうになるのはなかなか難しい感じがします。ただ、国としてもそういった化学物質の関係の方の人材育成については、力を入れていかなければいけないという認識を従来から持っておりますので、いろんな教育の場を提供していくとかっていうことで、対応すべきと考えます。

 

○堀口 ありがとうございます。「適用除外に関して、たとえ消費量が少量であっても、署長認定を受けていない場合はとありますが、有機溶剤などを常時使用する業務に従事する労働者が居なければ ( 有機溶剤などを使用していたとしても常時使用に該当するほどの使用頻度でなければ ) そもそも有機則の適用外と理解してよろしいでしょうか。」フロアで答えられます?

○角田 具体的にどういうケースで判断するのかっていうのは、有機則の条文に則して、所轄の労働基準監督署との中でお決めいただくほうが適切だと思いますので、ちょっとこの場でそれはいいですとか、ないですっていうのはなかなか答えにくいので、それをご理解いただければと思います。

 

○堀口 はい。あと、「洗浄・払拭作業の安衛法の詳しい定義がされていれば、その内容をご教授ください」ということですが。

○角田 特に洗浄・払拭業務ということで、明確に定義をしているっていうことではございませんので、実態に則して判断していただくということになろうかと思います。こういうケースが該当するかどうかっていうのは個別にご判断、ご相談いただければということでございます。通常考えられますのは、例えば、 1,2- ジクロロプロパンが含まれている溶剤を使って洗い流したりしてやるとか、それをウエスに含ませてそれを手等で拭き取るとかいうようなものがある程度想定されるのではないかというふうに考えております。あと、個別にこういうのはどうなのかっていうのは、また基本的にその都度ご相談いただければというような形だと思います。

 例えば今年のパブリックコメントという、制度改正のときに夏にパブコメをしましたときに塗装を剥離する業務は対象かというようなご指摘がございまして、例えば剥離などには溶剤で洗い流す方法とか、例えば工具等で削り取るみたいなことも考えられますけど、今申し上げました溶剤で洗い流したり、溶剤を染み込ませたウエスで手で拭き取る方法というのは、洗浄・払拭業務に該当すると考えられますとお答えしています。

 

○堀口 ありがとうございます。「特化則と有機則が複雑に絡み合っていて、両方を参照しなければならないことが多いので、制度を一本化して単純化してもらえないだろうか」というご意見と、「新規化学物質の構造は化審法と安衛法で規制されています。これを一本化して化審法だけで規制することはできないのでしょうか」というご質問なんです。

○角田 まず有機則と特化則の関係については、一応こういう、エチルベンゼンもそうなんですけれども、 1,2- ジクロロプロパンもその両方の規定を読み込むような、若干複雑な規定になっているというのはまさにそのとおりでございまして、いろいろと対応表なども細かく見ないと分かりにくいという面は確かにございます。一本化ということのお話もあるんですけれども、現段階ではそういうそれぞれの物質の特性なり、対象の性格から法体系も別になっているというようなこともございますので、今の段階ではそれを直ちにというところまではいってはおりません。ご質問の趣旨が法令を一本化してほしいということであればなんですけど、ちょっとそこまではなかなかいかない状況でございます。

 あと化審法、労働安全衛生法の関係につきましても、新規化学物質関係でいろいろと一本化というようなことでのご指摘だと思うんですけれども、両方の法令自体、化審法は環境への影響を見ていくという観点、それから労働安全衛生法は労働者の健康障害の防止ということでの観点というふうに、法の目的が違うということでございます。ただ、手続き面でいろいろと連携を取ってやっていくということは、今でも取り組んでいる部分もございますけれども、完全に法体系の一本化というところまではまだ・・・。

○堀口 するにしてもすごく時間がかかるという感じで。

○角田 そうですね、ちょっとそこは・・・。

○堀口 はい、整理が。すみません、「局所排気の基準の見直しはどのようになっているのでしょうか。」局所排気の基準の見直しはどのようになっていますかという。

○角田 局所排気の基準の見直し?

○堀口 はい。書いてあります。

○角田 すみません、ちょっとそれはまた後で。

 

○堀口 はい。「酸化チタン ( ナノ粒子 ) とありますが、ナノの定義はどのように決められ、管理されるのでしょうか。」

○角田 ナノについては、定義ということで申し上げますと、一辺の構造が 100 ナノメーター以下という形で、厚労省のほうで 20 年ですか(平成 21 3 31 日労働基準局長通知「ナノマテリアルに対する ばく露防止等のための予防的対応について」)、通知をしたときに、その基準で通達上を定義していたかと思います。

○名古屋 ナノ自体、ナノ粒子の場合は、三方、三つの方向が全部 100 ナノ以下をナノ粒子といいまして、 100 ナノのナノマテリアルの平面の場合、一辺が 100 ナノ以下のものと、 2 次元のも 3 次元のものもあります。これはナノ粒子だと 3 次元が 100 ナノ以下はナノ粒子ですよっていう形で定義してますので、ナノ粒子といっても多くの場合は凝集体も多いですけど、その凝集体はほとんどナノ、酸化チタンとか化粧品の場合はナノ粒子が多いんですけど、ナノ粒子が凝集したものも全てナノ粒子というようにしましょうという形になると、現場では結構反対があるが、 1 マイクロとか 2 マイクロ、かなり大きな凝集体、それで一応ナノ粒子として扱いましょうという約束、それはヨーロッパでも全て同じ約束になっています。

 

○堀口 「酸化アンチモンが継続検討になっている件の説明がありました。アンチモン化合物としてもリスク評価されていると思いますが、こちらはどうなっていますか。この場合、どの化合物が対象になるのですか。ニッケル化合物の特化則規制のように具体的な化合物を特定せず、幅広く対象を広げると迷惑です」と書いてあります。海外の規制状況を参照すべきと思いますが。

○角田 三酸化二アンチモンということで、評価を今年行ったんでございますけれども、三酸化二アンチモンは当該物質のその有害性等に関する情報が不足しているということもありまして、現時点で評価することができないという状況になりました。要は先ほどの評価値の設定がちょっとできないと、 ACGIH や産衛学会でも数値は出ているんですけれども、それぞれでちょっといろいろと採用できるかという議論がありまして、今は評価できなくて継続検討というふうになっております。産衛学会が今年の 5 月に許容濃度の暫定値を提案しておりますので、それも踏まえつつ引き続き情報収集をしていきたいというふうに考えております。

 

○堀口 「ポリマーも届け出対象とされているため、高分子フロースキーム試験などにかなりの費用を要しています。日本の化審法が世界で一番厳しいと思いますので、多分サイズなんですけど、ポリマーは国際的な競争上、規制を緩めていただけないでしょうか。」

○角田 化審法の関係はちょっと答える立場にないので、そういうご意見があったということはお伝えしたいと思います。

 

○堀口 あと一つ、「 1,2- ジクロロプロパンのように事後の特化則盛り込みではなく、事前のリスク評価により特化則に追加すべき化学物質の特定をよろしくお願い致します」ということで、よろしくお願いします。「それから胆管がんの件は、現在の管理システムに欠陥があるとの指摘があるようですが、どのようにお考えですか。」

○名古屋 答えになっているか分かりませんが、多くの印刷会社はオゾン層保護対策の一環として平成8年に 1,1,1- トリクロロエタンの全廃が決められた時に、代替品に替えるときにジクロロプロパンに替えた。山口さんがお話ししましたけれども、代替品に替えたときにリスク評価をちゃんとしてから代替品に替えていかないと、第二の胆管がんのようなことになるので、リスク評価をちゃんとやるという形のシステムがだんだん今、厚生労働省の委託事業でも出てきており、そういうものを使っていって、新しい物質に変えるときはリスク評価して使用していただきたいなというふうに思います。

 

○堀口 ありがとうございます。残り時間も少なくなってきたんですが、追加でご質問のある方は挙手していただいて、特に所属先など言っていただく必要はないんですが、言い忘れ、または私が読み忘れている、あとは新たにご質問がある方、よろしければ挙手をお伺いします。

 

○A氏 私は有機溶剤は全然関係ない仕事に就いているんですけど、結構 SDS のこと、ちょっと化学系の分析をやっているんで、詳しいだろうと勘違いする一般の方が、要するに作ってほしいって電話がかかってきたりするんです。もしそういうときに、問い合わせたりとか、こういう人に聞いたら、こういうところに聞いたほうがいいですよというところがあったら教えてもらいたいなと思いました。

○大淵 私ども厚生労働省が委託事業の中で化学物質の相談を無料で受けるような業務がございますので、きょうの事務局テクノヒルさんでよろしいですか。そちらのほうで委託事業の枠でやっておりますので、そういうところをご紹介いただければよろしいかと思いますが。

 

○堀口 その他にご質問ありませんか。皆さん大丈夫でしょうか。私が読み忘れているとかないでしょうか。先生、何か厚生労働省のほうから付け加えることは。

 

○名古屋 先ほど一次評価値と二次評価値の違いについての説明で話を私は忘れているところがありまして、もしできたらホームページに ばく露評価ガイドラインがありまして、もともとリスク評価というのは、前に規制されているものについては除きましょうという形になる。だから未規制の物質の中でどういう形で一次評価値、二次評価値を決めたか詳しく書いてあるので、ぜひそこを読んでいただければと思います。それと同時に評価の仕方とか、いろいろ書いてあります。ぜひリスク評価、それはもともとそのものは自分の会社でも使われている化学物質もガイドラインが出てますので、印刷されて、お手元に置もらえればありがたいと思います。 (参考 URL :ばく露評価ガイドライン → 前出,リスク評価の手法 → (掲載場所記載))

 

○大淵 すみません、 N,N- ジメチルアセトアミドについて、リスク評価ではリスクが高くないという判断だけども、指針が出たということについて補足で説明をさせていただきたいと思います。リスク評価に基づく規制と、がん原性物質の指針はちょっと観点が違っているところがございまして、がん原性物質の指針については現場で実際にリスクが高いかどうかということより、まずその物質が発がん性の可能性がある、危ないんだということをお知らせする意味合いが強いもので、基本的にはハザードベースで指針は出させていただいております。これまでもそういう形でございましたので。今回 N,N- ジメチルアセトアミドは発がん性が動物実験で出ておりましたので、その観点で指針を出させていただきました。

 リスク評価の面でも多少補足しますと、私どもの現在のリスク評価というのが、あくまでも吸入のばく露で測っているというところがあるので、 N,N- ジメチルアセトアミドの場合は吸入のばく露だけではなくて、経皮、皮膚を通じての吸収というのも非常に高い物質です。私どもの検討会の中でも労災病院にいらっしゃる先生からご説明があり、職場の健康診断で N,N- ジメチルアセトアミドを自主的にやってらっしゃるところがあって、それを見るとやはり尿中代謝物などは類似構造の N,N- ジメチルホルムアミドと同じくらいかなり高い濃度が出ているということです。経皮吸収も考えると、今のリスク評価の枠組みでは経皮吸収についての評価手法が必ずしも決まってないので、今回は十分そこまではできていないんですが、ただリスク評価の評価書の中にはそういう経皮吸収のことも十分考慮していただきたいという旨は書かせていただいております。そういう観点からも動物に発がんがあったということと、経皮吸収という面ではまだ十分分かっていないところもあるので、現場の対策はぜひ指針に基づいて適切に行っていただきたいと思います。

 それから指針がらみでもう一点ですけれども、きょうの説明の中で 1,2- ジクロロプロパンのほうがありましたが、こちらの物質は特化則に入ったのは今年の 10 月からですけれども、それ以前にがん原性指針が平成 23 年の 10 28 日に出ております。今回特化則に 1,2- ジクロロプロパンが格上げになったんですけれども、指針のほうをどういうふうに対応するかという議論をした際に、まず特化則に上がった洗浄・払拭業務は指針の対象からは基本的には除きましょうと、ただ洗浄・払拭業務以外の部分については指針で引き続き対策を取り組んでいただきたいということで、現在も指針の中には 1,2- ジクロロプロパンは残っております。そういう形で、ちょっと最初のほうの話とダブるかもしれないんですが、発がん性物質であってリスクが高いと分かったものは規制で対応し、リスクが高くないか、あるいはまだ分からないものとか、あるいは必ずしも高くないけれども危ないということが分かっているものについては、指針で対応させていただきたいと考えております。よろしくお願いします。

 

○堀口 ありがとうございました。それではご意見全て読ませていただいたとさせていただいて、意見交換を終わらせていただきたいと思います。どうも皆さんご協力ありがとうございました。

 

○司会者(鈴木) 本日は大変お忙しいところお時間頂戴しまして誠にありがとうございます。またたくさんのご質問・ご意見をいただいたことも深く御礼申し上げます。化学物質管理につきましては、厚生労働省さんを中心に今後継続して情報発信したいと思います。

 それから先ほどご質問がありました、厚生労働省さまからの委託事業で無料相談窓口をやっておりますので、私どもテクノヒルという会社でございますので、ホームページから見ていただいてご連絡いただければ対応させていただきます。よろしくお願いします。

 それからもう既にたくさん書いていただいたので、あまり言いたくないのですが、ブルーのアンケート用紙も簡単に書いていただくと大変ありがたいと思っています。それから赤と青のカードをできましたらお帰りにアンケートと一緒に受付のほうに置いていただければありがたいと思います。大変長くなりましたが、本当に今日はありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室
(電話番号)03(5253)1111(内線5511)

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