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2018年10月9日 第23回全国健康保険協会業績評価に関する検討会

保険局保険課全国健康保険協会管理室

○日時

平成30年10月9日(火) 14時00分~16時00分

○場所

千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館17階 専用第21会議室

○議題

業績評価の議論
(1)保健事業
(2)船員保険
(3)組織運営及び業務改革

○議事

○深谷全国健康保険協会管理室長 定刻前でございますけれども、皆様おそろいでございますので、ただいまより第23回「全国健康保険協会業績評価に関する検討会」を開催いたします。
事務局を務めます保険課の深谷でございます。よろしくお願いいたします。
皆様方におかれましては、御多忙のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
開会に当たりまして、構成員の皆様の出席状況でございますが、本日は全員御出席いただいております。また、全国健康保険協会からは安藤理事長ほか関係者の皆様に御出席いただいております。ありがとうございます。
なお、保険課の安藤課長でございますが、業務のため少しおくれて後ほど参りますので、御了承ください。
それでは早速、土田座長、進行のほうよろしくお願いいたします。
○土田座長 それでは、早速ですけれども、議事に入りたいと思います。
最初に、きょうの議事内容及び配付資料につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
○深谷全国健康保険協会管理室長 それではまず、本日の議事について説明させていただきます。お手元の2枚目にあります議事次第をごらんください。
本日は、前回持ち越しとなりました健康保険の保健事業から始めていただきます。次に、船員保険、そして組織運営及び業務改革の3項目について御議論をお願いしたいと思います。
また、進め方でございますが、これも前回と同じですけれども、それぞれの項目ごとに協会から約15分程度で資料の説明をしていただいた後に、1項目約20分程度で質疑をお願いしたいと思います。
次に、お手元の資料についての確認をお願いします。
座席表と議事次第の次が資料になります。
横置きになりますけれども、資料1-1は健康保険の保健事業に関する業績評価シートでございます。次資料1-2が船員保険の業績評価でございます。資料1-3が組織運営及び業務改革についての資料でございます。
その次に参考資料としまして、前回と同じですけれども、評価の基準と『船員保険のご案内』というパンフレットを配付してございます。
また、別冊でございますけれども、平成29年度の事業報告書、健康保険の分と船員保険の分をお配りしております。
本日の資料は以上でございます。何か不足などございましたらお申しつけください。
私からは以上でございます。
○土田座長 ありがとうございました。資料のほうはよろしいでしょうか。
それでは、議事を続けたいと思います。最初は業績評価の積み残しの部分ですが、最初に保健事業につきまして、協会から御説明をお願いいたします。
○池上企画部長 大変お世話になっております。企画部長の池上でございます。私のほうから資料1-1、保健事業について御説明させていただきます。着席して失礼いたします。
おめくりいただきまして、1ページ目「3.保健事業」の(1)データに基づいた保健事業の推進の項目でございます。
こちらに関して自己評価ですが、1つ目の○、支部ごとに第1期保健事業実施計画を策定しておりました。これは平成27~29年度までの計画になります。平成29年度は、第1期計画の最終年度ということで取り組みを着実に実施してまいりました。
2番目の○でございます、第2期保健事業実施計画の策定を平成29年度中に行いました。これは平成30年度からの計画になります。まず、本部におきましては、策定に向けまして支部に対して基本方針を示すとともに、健康課題の優先順位づけや適切な目標・手段などが設定できるよう、各支部共通のワークシートを作成し、提供いたしました。それから、外部有識者等を交えた研修を実施しております。この際には、古井先生にも大変御協力いただきまして感謝申し上げたいと思います。
次の○ですが、各支部における取り組みでございます。各支部におきましては、PDCAを一層強化するようアウトカムを重視して定量的な目標を定めました。それから、法律で策定を義務づけられております第3期特定健診等実施計画と一体となった計画として策定いたしました。
4番目の○です、第3期特定健診等実施計画につきましては、国の指針で定められました目標値であります、平成35年度に特定健診受診率65%以上、同年度に特定保健指導実施率35%以上が達成できるよう、過去の特定健診、特定保健指導に係る実績などを踏まえまして、各年度の目標値及び実施方法などを定める計画として策定したところでございます。
こうしたことから、より実行性の高い計画として新たな計画も策定いたしましたということを踏まえて、自己評価はA評価とさせていただいております。
3ページの参考資料をごらんいただきたいと思います。
下のほうにカラーのグラフが2つありますが、まず左側が、特定健診に関する資料でございます。第2期の計画期間中の目標と実績ということで書かせていただきました。平成29年度が5つあるうちの一番右側になるのですけれども、まず、実施率につきましては、目標がオレンジ色の65%でございました。それに対しまして実施率の実績が赤い線でございまして、48.5%となってございます。これは目標値からは下回っているのですけれども、その背景として、対象者数が大幅にふえたことがございます。
上のほうに点線で紫色のラインがございます。これが当初予定していた対象者数でございます。1536万人となっておりますが、実際にはどうだったかと申しますと、青色の棒グラフをごらんください。毎年非常に急速に増加しておりまして、平成29年度は1898万人ということで、当初の計画よりも大幅に増加してございます。
一方、実施の数がどうだったかが黄色い棒グラフでございます。これは毎年毎年着実に増加させてまいりまして、計画値は緑色の点線の998万人でございますけれども、その計画値に近い実績まで実施したところでございます。
右側のグラフをごらんください。こちらは特定保健指導に関するグラフでございます。こちらはオレンジ色が目標としておりました実施率、平成29年度は9.4%となっております。赤色が実績値で平成29年度は13.2%と上回っているところでございます。実施の人数をごらんいただきましても、もともとの計画の18万9000人に対して23万1000人ということで、計画を上回る実施者数となったところでございます。
次に4ページ、(2)特定健康診査の推進及び事業者健診データの取得促進の項目でございます。こちらは目標指標がございまして、1つ目が、特定健康診査実施率(被保険者)が58%、被扶養者35.9%。それから、事業者健診のデータの取り込み率16.2%、これは被保険者に関するものでございます。これは、下の欄外にありますが、特定健康診査等実施計画の平成29年度65%を分解するとこのような数字になってございます。
それに対して実績が点線囲みで書いてございます平成29年度実績で、被保険者の特定健診実施率が49.6%、計画は下回っておりますが、過去最大の数値となってございます。被扶養者につきましては23.2%、これも目標指標は下回ってございますが、過去最大の数値となってございます。
それから、事業者健診のデータの取り組み率は目標指標を下回っておりますが、これも過去最大の数値となってございます。
なお、欄外右側に第3期の特定健康診査等実施計画の実施目標を掲げさせていただきました、これは参考にお示ししたものでございますけれども、国の基本指針に沿って平成35年度に特定健診実施率が65%となるような計画として定めたものでございまして、現状を踏まえて着実に実施率の向上を図る内容となっているところでございます。
5ページにいっていただきまして、自己評価でございます。
1つ目の○が実績に関する記載をさせていただきました。実施率については、前のページで御説明したとおりでございます。3行目から実施者数について記載させていただきました。特定健診受診者数は被保険者数が対前年で7.2%増、事業者健診データの取得数が7.0%増、被扶養者の健診が5.7%増ということで、それぞれの受診者数も過去最高値となったところでございます。
2つ目の○ですが、平成29年度の目標指標は国の基本指針でありました65%としたところでございますが、東京などの大都市圏の支部において被保険者数が大幅に増加して分母が急増しているという現状もございますので、分子となります健診受診者数を最大限に拡大するよう取り組みを進めてまいりました。
4つ目の○をごらんください。主な取り組みの御紹介をいたします。まず、被保険者の健診の関係でございますが、健診実施機関の拡充などを図ってまいりました。それから、委託業務の成果を高めるよう、報奨金を支払う契約方式を取り入れました。平成29年度の契約件数は1,160件となっておりまして、平成28年度の開始時は724件だったのですけれども、そこから大幅に件数をふやして、うち545件が目標を達成したところでございます。それ以外にも支部職員による訪問や電話による受診勧奨などを事業所に対して行うなどの取り組みを進めてまいりました。
次の○は、事業者健診の結果データの取得についてでございます。地方労働局との連名による勧奨通知、それから、支部職員による訪問や電話などを行ってまいりました。それから、委託なども実施しております。そのほか健診実施機関の全国組織との連携強化も図ってまいりました。
次の○が、被扶養者の特定健診でございます。自治体との連携を進めておりまして、自治体の集団健診やがん検診と1,158市区町村で同時実施を行いました。それから、協会主催での集団健診を784市区町村で実施して、受診者数については大幅な増加が見られたところでございます。
こうした取り組みを踏まえ、自己評価についてはA評価とさせていただいております。
続いて12ページをごらんください。(3)特定保健指導の推進の項目でございます。
目標指標がございまして、特定保健指導被保険者分が14.5%、被扶養者分が4.1%。検証指標としては、メタボリックシンドローム該当者及び予備軍の減少率、それから、特定保健指導利用者の改善状況となってございます。29年度の実績でございますが、被保険者の実施率は13.7%、対前年でプラス0.4%ポイントでございます。実施件数については大幅に伸びたところでございますが、健診がふえて保健指導の対象者もふえた影響で目標指標を下回るような状況となってございます。一方で、被扶養者のほうは目標を上回り4.5%と過去最高となったところでございます。検証指標については、それぞれほぼ前年並みとなっているところでございます。
13ページ、自己評価でございます。
1つ目の○が29年度実績ですが、実施率は前のページで御紹介したとおりでございます。
3行目から実施件数について記載させていただいております。まず、被保険者の保健指導につきましては、対前年度11%余り増加して23万人、被扶養者が35%程度増加して4,000人程度、それぞれ過去最高値となっているところでございます。
2つ目の○でございます。保健指導に関する委託の推進に関して記載させていただきました。できるだけ健診受診から保健指導までの一貫した体制の強化と拡大を目指して、委託の拡大を積極的に行っております。保健指導の外部委託機関数は980機関、対前年プラス70機関となってございます。
健診当日に初回面談を行う健診機関の増加を図ってまいりまして、平成29年度586機関となりました。健診当日は保健指導の時間を確保しやすく、また、受診者の健康への意欲も高まっていて参加してもらいやすいということで、このような取り組みを進めているところでございます。
これらによりまして、委託機関によります保健指導実施者数が、初回面談で対前年20%増、6カ月後面談実施者で対前年35%増と大幅に増加したところでございます。
4つ目の○をごらんください。事業主への働きかけでございます。事業所ごとの健康度等を可視化した事業所健康度診断シート、事業所カルテとも呼んでおりますけれども、こういったものを従業員数おおむね10人以上の健康宣言事業所約1万6000事業所に提供いたしました。これを通じまして、事業主との連携を推進しているところでございます。
健康宣言事業所の拡大に向けた取り組みも進めております。これは後ほどまた別の項目で出てきてますので、詳しく御説明いたします。
一番下の○でございます。研修の実施ですが、特定保健指導の質の向上に向けて本部研修、また支部内研修も実施しております。さらに、本部にワーキンググループを設置しまして、平成29年度は各支部に配置しております契約保健師の育成プログラムを作成いたしたところでございます。この中では、事業主への働きかけも意識した育成を行うというふうに取り組んでございます。
これらを踏まえまして、自己評価はA評価とさせていただいております。
17ページをごらんください。(4)重症化予防対策の推進でございます。
自己評価でございます。2項目ありまして、まず未治療者への受診勧奨でございます。治療が必要と判断されながら医療機関を受診していない方が約4割いらっしゃいますけれども、そういった方々に受診を促すため、本部から一次勧奨、支部から二次勧奨を行っています。
この結果、2つ目の○ですが、一次勧奨文書送付後3カ月間では9.8%の方、6カ月後では9.8%の方を含めて15.3%の方が新たに医療機関を受診したことを確認いたしました。
2つ目の取り組みです。糖尿病性腎症患者への重症化予防でございます。28年度にパイロット事業を実施しておりまして、29年度はそれを踏まえてかかりつけ医との連携による取り組みの体制整備を行いました。全支部で取り組みを進めまして、そのうち幾つかの支部では実際に受診勧奨や保健指導にも着手したところでございます。全ての支部において実施する体制が整ったところでございます。
こうしたことを踏まえまして、自己評価はA評価とさせていただいております。
続いて21ページをごらんください。(5)事業主等の健康づくり意識の醸成を目指した取組(コラボヘルス)でございます。
自己評価の2つ目の○をごらんください。47全支部において健康宣言事業を推進しております。表をごらんいただきますと、28年度末に健康宣言事業所数が1万程度でございましたけれども、29年度末に9,000余り増加いたしているところでございます。
3つ目の○ですが、先ほど少し御紹介しましたけれども、従業員数がおおむね10人以上の健康宣言事業所に対して、協会が保有する健診レセプトデータをもとに事業所特有の健康課題がわかるような資料を提供して、職場の健康課題を一緒に考えて解決に向けて協力して取り組みを進めております。
次の○ですが、その健康課題の解決に向けましては、取り組み事例の提案、健康づくりプログラムの提供を行うなどのフォローアップ体制の強化に努めてまいりました。
次の○ですが、健康宣言につきましては、日本健康会議という経済団体や医療関係団体、医療保険者などで構成される会議体がございますけれども、そこでも課題として取り上げられておりました2020年に1万社という目標が立てられたところでございますけれども、大幅に前倒しで目標を達成いたしましたので、その目標については3万社以上に上方修正して取り組みを進めているところでございます。
最後の○ですが、中小規模法人部門の認定制度がございますけれども、協会けんぽの認定数は593事業所となってございます。
こうした取り組みを踏まえまして、自己評価はSとさせていただいております。
最後の項目23ページをごらんください。(6)各種業務の展開でございます。
1つ目の○ですが、各支部において健康づくり推進協議会の設置を進めております。現在37支部で設置されているところでございます。それから、自治体などとの連携も進めております。29年度末時点で45の都道府県、261の市区町村との間で協定が締結されてございます。これらの成果としては、地方自治体の集団検診や、がん健診との同時実施という形で、目に見える成果が上がっているところでございます。
3番目の○ですが、パイロット事業の成果として、大分支部の一社一健康宣言が先ほど来御紹介しております健康宣言事業として全国に広まっているところでございます。それから、兵庫支部のGISの取り組みについても、全支部に導入しております。
最後の○ですが、医療機関への重複・頻回受診者、重複投薬者への対応についても進めているところでございます。
これらを踏まえ、自己評価はA評価とさせていただきました。
簡単ですが、私からの説明は以上でございます。
○土田座長 ありがとうございました。
ただいまの説明及び業績評価シートにつきまして、御意見・御質問がございましたら、どうぞお願いいたします。いかがでしょうか。どうぞ。
○小西構成員 1つ教えていただきたいのですが、20ページでかかりつけ医との連携による取り組みとありますけれども、この連携はどういう内容・作業なのでしょうか。患者さんと直接コンタクトするのはお医者様だと思っているのですが、どういう連携なのでしょうか。
もう一つは、こういう取り組みの対象としたほうがいいと思われる患者さんを選定するわけですね、恐らく。恐らくというのは中身を知らないままに申し上げております。そのときに、個人情報の保護、使用という論点があろうかと思うのですけれども、そういったことをどう整理なさっているのか。考え方あるいは実際の実施方法によって配慮し、整理しているということもあろうかと思いますが、この2点についてお伺いしたいと思います。
○土田座長 ありがとうございます。いかがでしょうか。
○六路参与 かかりつけ医との連携ですけれども、糖尿病性腎症患者の重症化予防というのは、既に治療を受けている方なので、主治医の先生と治療方針あるいは保健指導の方向性・方針等を共有した上で、先生と連携のもと保健指導をしております。そのような基本的な情報を共有した上で保健指導して、保健指導した情報も先生に返しますし、先生からは指示をいただくという双方向で保健指導を行っております。
○小西構成員 個人情報につきましては。
○松下保健部長 個人情報の取り扱いということでは、かかりつけ医のほうで診療情報と保険者の情報をお持ちである。また、保険者といたしましては、レセプト等でどちらの医療機関にかかっていらっしゃるかという情報を持っている。かかりつけ医との連携の中で、かかりつけ医から保険者に保健指導を照会することについて、また、保険者からかかりつけ医と相談したいということについて、御本人様に同意をいただくような形で個人情報の相互のやりとりをやっております。まず本人の同意があるということと、既に双方とも知り得ている情報の活用ということで、行っております。
○小西構成員 ありがとうございます。先生と保険者の二者との情報交流はあるわけですけれども、ここへ患者さん御本人が入って、いわば三者でのやりとりになりますから、そういう意味で情報関係はどうなのか、あるいは何よりも患者さん御本人が承知しているのかをお尋ねしたいと思ったわけです。ありがとうございます。
○土田座長 よろしいですか。
ほかに御質問・御意見ございますか。どうぞ。
○森下構成員 先ほど特定保健指導の推進ということで御説明いただいたのですが、基本的に例えば事業所との連携という部分で、10人以上の健康宣言事業所という書き方をしてあるのですが、協会けんぽ全体の中では10人以上の事業所さん対象というよりは、逆に数字的に10人以下の事業所さんは、どのくらいの比率であるのでしょうかというのが質問でございます。
それと、情報の共有という意味で協会けんぽ宛てに、例えば小さい会社さんが健康診断をされた情報を、どういう形で共有する仕組みがあるのか。私どもも事業所を持っておりますけれども、全くそういう情報がなくて、社内で健診をしても社内にとどめておくということが通常ではないかと思うのですが、そういう広報や御指導がどういう形で伝わっているのかを教えていただきたいと思います。
それと、もう一点だけですが、いろいろな重症化予防対策の推進をされているということですが、特にこの中で目立つのが糖尿病性腎症が将来、例えば目標値を達成するとどのくらいの医療費削減効果が出てくるのかということも興味がある点なので、今医療費が非常に厳しいという状況ですから、その辺をお教えいただければと思います。
○土田座長 どうぞ。
○松下保健部長 事業所規模についてですけれども、協会の加入事業所は平成29年度末で約211万事業所ございました。その中で10人未満の事業所につきましては、約8割ということで、160万相当の事業所に該当するといったところでございます。
事業主との健診情報の共有でございますけれども、協会では生活習慣病予防健診を被保険者の方に実施しておりますが、もう一方で、事業主といたしまして事業者健診を実施されているところでございます。そこの関係でございますが、事業者健診につきましては、事業主に全従業員に受診させる義務がある。また、従業員についても受診する義務があるところですが、生活習慣病予防健診と同等の健診を受けている場合に、その情報を事業主に提供することで受診する義務が免除される、また、事業主としては受診させる義務が免除されるというところで、生活習慣病予防健診の情報につきましては、御本人から事業主に御提供いただいているといったところでございます。
一方、事業主健診を協会に提供いただくといったところにつきましては、健診受診率の推進で事業者健診情報のデータ提供といった項目がございますけれども、事業者健診情報を保険者に御提供いただくことで、特定健診を実施したとみなすという形になっておりますので、御提供いただくようにお願いしているところでございます。また、高確法で、保険者は事業主に事業者健診情報を求めることができる、事業主は求められた場合は提供しなければならないといった規定がございますので、御本人の同意等なく提供いただいても個人情報保護法には抵触しないといった法律上の規定になっているところでございます。
○土田座長 もう1項目、3番目は重症化予防のお話ですが。糖尿病性腎症重症化予防を中心にやっているけれども、医療費削減効果はどの程度かという質問だったと思います。
○六路参与 まず概要ですけれども、人工透析になりますと大体1人年間医療費が500万円程度かかるということは言われております。協会の加入者の新規透析になる方たちが、健診を受けてハイリスク者と判定され、さらにそこから治療を受け、治療しながらもどうしても重症化してしまう方がいらっしゃるのですが、その方たちにどの時点でどういう関与をすれば確実に人工透析が抑えられるのかというところまで見えてくると、1人当たり透析をすると年間500万円かかりますから、医療費効果が出ると考えているのですけれども、まだ予防から透析までの費用に関する分析はでできておりません。そもそも加入者が重症化して、重症化予防対策によって効果が出るのが5年、10年先になりますので、そのときにどこまで抑えられるかというところまで見えてくると、費用対効果が出てくると考えております。
○土田座長 ありがとうございます。これについては、この事業に一番かかわっているのは古井委員ですので、ちょっと一言。
○古井構成員 私も後で意見を言おうと思っていたのですが、きょう御説明いただいた、特にデータヘルス計画のところは、47支部あって本当に丁寧に研修をされているなと思ったのですが、その中で明らかになってきたのが、支部によって格差がまだあると。協会さんも資源が限られている中で、メタボリックシンドロームの予防や重症化予防を手厚くやられているのですが、加入者は40・50代の働き盛り世代が多く、国保と違って糖尿病性腎症だけでなく肥満や循環器、痩せの高血圧とか、第2期のデータヘルス計画6年の中で資源配分を検討されていくと、より効果的な全体最適の保健事業になるのではないかという感想を持っています。
以上です。
○土田座長 よろしいでしょうか。
○森下構成員 先ほどの中で、もうちょっと社会に向かって、例えば糖尿病をどうやって防いでいくことでこのくらいの想定の中で費用対効果が出てくるのだということを、非常にシリアスな表現ではありますけれども、そういうものを広報していくのも一つの被保険者の方々が今後注意していく、医療制度そのものをみんなが共有するという意味では、すごく大切な情報ではないかと思うので、余り出したくない情報なのかもしれないし、予測しにくいかもしれないですが、ぜひ、その辺は広報の中の一つとして加えていただければと思います。
○土田座長 どうぞ。
○六路参与 各支部で重症化予防を取り組むに当たって、対象の方にいろいろと働きかけをしており、透析となった場合にどれだけ費用がかかるかということ、あるいは事業主に対しても、健康宣言等をする場合にもこのようなことは広く周知しております。
現在、重症化予防の対象として働きかけている人たち一人一人の将来予測はまだ見えておりませんが、各支部のデータヘルス計画でも人工透析を何とか抑えようということは取り組んでおりますし、積極的に動き始めているところでございます。
○森下構成員 ありがとうございます。
○土田座長 お待たせしました、どうぞ。
○花井構成員 私からは2つほど質問したいと思います。
1つが、特定健診の被扶養者の受診が全般的に少ないということをずっとこの間指摘されてきているかと思うのですが、比率は努力されて上がってきているのですが、被扶養者に対する、例えば、今さまざまなITSやSNSを使った働きかけをするという計画はないのか。小さな子どもを育てて家にいらっしゃる方とか難しい場面が多いと思うので、そういう工夫をされる予定はあるのか。あるいは既にしているとすれば、その内容を教えていただきたいというのと、重症化予防の関係ですが、先ほど糖尿病の話等々出ておりましたが、仕事が忙しくて行かなきゃいけないと思いながらも、なかなか時間がとれないという人も中には相当いるのではないかと思うのですが、中小零細企業の事業主の皆さんに当然働きかけは行っていると思いますが、もう少し行ける環境を整えるような働きかけも、きょういらっしゃる先生は違うと思います。そういうことも重要なのではないかと。自分のことを考えても、再検査も仕事に追い立てられてなかなか行けない、機会を逃してしまうということがあるので、その辺どのようにお考えなのか、あるいは対策を講じられているのか、何かあれば教えて下さい。
○土田座長 ありがとうございました。どうぞ。
○松下保健部長 まず、被扶養者の健診の取り組みにつきまして、こちらにも書かせていただきましたように、アクセスといったところで検診車による集団検診ですとか、利便性の向上といったところで市町村との連携によるがん検診との同時受診といった取り組みをしているところでございますけれども、広報につきまして具体的にSNSといった御提案をいただいたところでございますが、SNSにつきまして検討はしてきているところでございますけれども、全国的にもSNSを使うといった状況にはまだ至っていないところでございまして、SNSの効果というか実施方法、さらに検討を進めた上で取り入られるところについては取り入れていきたいと考えているところでございます。現にパイロット事業で提案としてはSNSを使った広報をしてみたいといった支部は出てきているところでございまして、そういった中でも検討は進めていきたいと考えております。
また、未受診者の勧奨でございますけれども、御指摘のとおり中小企業につきましては、勤務時間がハードである、残業などもある、シフトの関係で受診したくても行きづらいといったところが確かにデータでも見えてきているところかと思っておりまして、大規模事業所でも同様ですけれども、相対的に中小企業のほうが取り組みづらいというか、行きづらい、また事業主の関与といたしましても、大企業等に比べますと受診に行けといった関与が少し少ないのかなというのはあるところでございまして、そちらにつきまして当然、事業主への理解を求めるといったことにつきまして、まさにコラボヘルスと申しますか、健康宣言の中でそういった取り組みの広報もお伝えするとか、事業主の意識改革というところ、また現在、健康経営といったことがよく言われているところでございまして、そういった取り組みも通しながら、従業員の健康に向けた取り組みを事業主と一緒に進めていきたいと考えているところでございます。
○土田座長 どうもありがとうございました。
どうぞ。
○古井構成員 御説明いただきまして、ありがとうございました。私から2点感想と御質問なのですが、1点目は資料の13ページの特定保健指導のところでございます。ここは協会けんぽさんが本当に構造的に難しいところをうまくとらえられて、健診機関で当日の面談をやれるという体制の整備はすばらしい取り組みだと思います。第3期の特定健診制度でも規制緩和されている方策だと思います。
その中で、先ほど委員からもお話があったのですが、例えば、当日に健診をやったほうが参加率や継続率が高いとか、ことしから始まられたことだと思いますので、データとして単年度で見せていただけるといいなと思います。
また、後で出てくる重症化予防の中の受診勧奨なども、協会さんからやるということももちろん大事だと思うのですが、健診機関からあわせて何らかの形で、例えば当日わかる血圧や腹囲に関しては勧奨してしまうとか、こういった健診と事後フォローのセット化でこの取り組みを進めていけるとすばらしいと思います。
質問は、14ページの上から2行目に「委託機関における実施者数は」と書いてあるのですが、委託機関による実施者数がふえたというのは、ほぼ健診機関の当日と考えればいいのでしょうかというのが御質問でございます。
2点目は21ページでございます。コラボヘルスが進んでいるというのは、保健事業の実行性を上げる上でも非常に有用だと思います。その中で、健康宣言事業所の数がふえたというのも確かにアウトプットとしてはすごくいいと思うのですが、さらに健康宣言をした事業所では特定健診実施率が高いとか、あるいは特定保健指導の参加率が高いといった、健康宣言をした事業所自体の保健事業の受け入れや効果が高まるというのも、ぜひこれからモニタリングをしていただけるといいのかなと感じています。
その2点でございます。
○土田座長 どうもありがとうございました。
どうぞお願いします。
○松下保健部長 まず、健診当日の初回面談について、最終の評価までいく率が高いのかといったことにつきましては、ぜひ今後きっちりと分析していきたいと思っておりまして、初回面談につきましては過去からできていたところですが、今までは健診当日に健診結果等全て出そろったところしかできなかったのでございますが、今回から分割実施ということで、問診等でわかる範囲でまず初回面談をやって、健診結果が出た後に残りの部分で行動計画等を策定するといった分割実施が可能となったところでございますので、ますますふえてくるかなといった期待を込めているところでございまして、それらの結果を含めて最終面談までいく可能性の率について、きっちりデータをとっていきたいと思っております。
また、未受診者の勧奨につきましても、同様に健診機関に初回面談と同時に実施していただくといった働きかけも行っていきたいと考えております。
また、健康宣言事業所の今後の取り組み、フォローございますけれども、先生御指摘のように、前回、健康保険委員が設置された事業所の健診受診率が一般より6%ほど高いと申し上げましたけれども、健康宣言事業所での受診率は、健康保険委員のところは60%ぐらいなのですが、さらに高くて71.2%ぐらい。現在の健康宣言事業所ではそれくらいの受診率があるといったことがわかっているところでございますが、先ほど申し上げましたように、現在、協会全体としては211万事業所ある中で、まだ健康宣言事業所は2万3000といったところで、ますます健康宣言事業所もふやしながら、また、現在数としては先生御指摘のように、今後、協会の関与と申しますかフォローアップを充実させていきながら、この辺の健診への結びつきといったところもきっちりと分析、また健康宣言をしたところには100%目指して受診していただくといった環境づくりをしていきたいと考えているところでございます。
○土田座長 どうもありがとうございました。ほかに御質問・御意見ございますか。よろしいですか。
それでは、次のテーマに進みたいと思います。次は船員保険に入りたいと思います。船員保険につきまして、協会から説明をお願いします。
○前島船員保険部次長 船員保険部の前島でございます。座って説明させていただきます。
船員保険につきましては、資料1-2を用いまして説明させていただきます。また、事務局からございましたように、本日参考資料といたしまして「船員保険のご案内」というパンフレットを御用意させていただいております。船員保険の制度の概要や手続について記載したパンフレットでございまして、船員保険は制度が複雑でございますので、こちらも御参照いただければと存じます。
それでは、資料1-2の1ページをお開きいただきたいと思います。
まず「1.保険運営の企画・実施」の(1)保険者機能の発揮による総合的な取組の推進についてでございます。
事業計画は省略させていただきます。
自己評価の1つ目の○でございますが、健診結果データ等の分析の結果、船員保険の被保険者は入院医療費に占める循環器疾患の割合が高いという傾向にありまして、健診等による重症化を予防する施策の検討が必要であること。それから、健診者の6割が肥満という結果が出ておりまして、生活習慣の改善が必要なことなどがわかったところでございます。
2つ目の○でございますけれども、第1期データヘルス計画でメタボリックの保有率と喫煙率の減少を目標に、情報提供や啓発活動を中心にさまざまな取り組みを行ってまいりました。29年度につきましても、健診結果に基づくオーダーメイドの情報提供リーフレットの送付等を実施するとともに、問診等で喫煙していると回答していただいた方に関して、禁煙リーフレットを送付するなど、禁煙に対する意識の向上を図ったところでございます。
このように第1期データヘルス計画では、情報提供や啓発活動といった活動を中心に取り組みを行ってきたところでございますけれども、これらの取り組みでは、なかなかすぐに行動変容には結びつかないことがわかったところでございます。
3つ目の○でございますけれども、第2期データヘルス計画では、データ分析による健康課題等の結果も踏まえまして、生活習慣病予防健診の無料化やオプショナル検査項目の追加、加えてスマートフォンを活用したオンラインの禁煙プログラムの実施、それから、船舶所有者と協働いたしました船員の健康づくり、いわゆるコラボヘルスの推進等のより実効性の高い計画を策定したところでございます。
4つ目の○でございますけれども、加入者の疾病予防や健康増進、医療費の適正化の推進の項目につきましては、後ほど各項目で御説明させていただきます。
このようなことから自己評価はAとさせていただいております。
次に、3ページをごらんください。(2)情報提供・広報の充実についてでございます。
自己評価でございますけれども、1つ目の○にありますとおり、船員保険の被保険者につきましては、広報のアンケートを行ったところ紙媒体の広報のニーズが高いということで、紙媒体を中心に広報を実施するともに、ホームページやメールマガジンを活用しまして、効果的・効率的な広報を実施したところでございます。
マル1でございますけれども、今回配付しました「船員保険のご案内」というリーフレットを各役所の窓口に設置していただいているところでございまして、29年度からは新たに地方運輸局の窓口にも設置いただくことができました。それから、毎月、日本年金機構から保険料の納付書を送付いただいているのですけれども、それにチラシを同封させていただきまして、年間を通して時宜を得た情報提供に努めてまいりました。
マル2でございますけれども、船員保険の運営状況や決算状況を記載しましたリーフレット、「船員保険通信」と呼んでおりますが、こちらも毎年度、全船舶所有者、全被保険者の方に配付しております。29年度は11月に全被保険者、全船舶所有者にも発送したところでございます。
マル3でございますけれども、関係団体の御協力をいただきまして、関係団体の機関誌を活用して情報提供・広報を実施しております。29年度は新たに国土交通省海事局さんにも御協力いただきまして、合計で9つの団体の機関誌等に年間を通して時宜を得た情報提供・広報を掲載させていただいたところでございます。
マル4でございますけれども、ホームページ、メールマガジンも活用した広報も実施しております。メールマガジンの利用者の拡大にいろいろ取り組んでいるところでございまして、29年度は95名の新規追加ということで、会員数は19%増の590名となっております。御登録いただいている方の約4割が事業所の担当者の方ということで、メールマガジンで発信している情報については、多くの被保険者の方に周知されているものと考えているところでございます。
このようなことから自己評価はAとさせていただいております。
次に、5ページをごらんください。(3)ジェネリック医薬品の使用促進についてでございます。
目標指標といたしまして、ジェネリック医薬品の使用割合72.4%を掲げております。
自己評価でございますけれども、2つ目の○でございますが、29年度も軽減額通知を発送しているところでございますが、対象レセプトを6カ月分から8カ月分に拡大いたしまして、2回合計で2万7412人の方に通知を発送させていただいております。1回目の通知対象者のうち25.4%に当たる3,741人の方、2回目の通知のうち31.1%に当たります3,954人の方がジェネリック医薬品に切りかえていただいているということでございまして、単純推計ではございますけれども、年間で約1億6000万円の財政効果があったと考えているところでございます。
4つ目の○でございますけれども、船員保険は被保険者に比べまして被扶養者の使用割合が低いといった実態がございまして、29年度は被扶養者宛ての軽減額通知の中に15歳未満の使用割合が特に低いという内容と、自治体の医療費助成が行われている場合でも給付費相当を保険料から支払っているといった内容のリーフレットを同封いたしまして、使用の促進の取り組みを実施いたしました。その結果でございますが、15歳未満の使用割合も増加いたしまして、被扶養者全体の使用割合も前年度を3.5ポイント上回る71.7%となったところでございます。被扶養者との使用割合の差も0.5%ポイント縮まりまして、一定の効果があったと考えております。
6ページでございますけれども、船員保険のジェネリックの使用割合でございますが、年度平均で対前年度3.3ポイント上回る73.5%ということで、目標指標を大きく上回ったということでございます。
このようなことから自己評価はSとさせていただいております。
次に、9ページをごらんください。(4)健全かつ安定的な財政運営の確保についてでございます。
自己評価でございますけれども、経費削減等の取り組み、加入者の疾病予防等の取り組みにつきましては、それぞれの各項目で御説明させていただいております。
2つ目の○でございますけれども、30年度の保険料率の決定に当たりましては、収支見通しや中長期的な収支見通しのほか、医療費の予期せぬ増大リスク等も勘案いたしまして保険料率の設定を行ったところでございます。
このようなことから自己評価はAとさせていただいております。
次に、11ページをごらんください。「2.船員保険給付等の円滑な実施」についてでございまして、まず(1)サービス向上のための取組みについてでございます。
目標指標といたしまして、サービススタンダード達成100%、申請書の受付から振込までの日数を10営業日以内、保険証送付までの日数を3営業日以内と設定しております。
また、検証指標といたしまして、お客様からの苦情・意見の件数、それから、申請手続に対する満足度、職員の応接態度に対する満足度、サービス全体としての満足度を挙げているところでございます。
自己評価でございますけれども、お客様満足度の調査結果でございますが、いずれの項目も80%を超えて高い水準ではありますものの、28年度と比較いたしますと、満足度が若干低下するといった結果となっているところでございます。29年度から新たにマイナンバー収集業務を開始したところでございまして、マイナンバーの記載漏れや添付書類の不備等によりまして、受付書類の返戻件数が大幅にふえているといった状況もありまして、満足度が低下している要因の1つであるのではないかと考えているところでございます。
2つ目の○でございますけれども、船員保険部でお客様の御意見等を迅速に反映するということを目的に、部内にサービス向上委員会を設置しております。29年度は療養補償証明書に対する御意見をいただきましたので、この委員会で検討しまして改善を図ったところでございます。
3つ目の○でございますけれども、サービススタンダードにつきましては、年間を通じて100%達成を維持したところでございまして、このようなことから自己評価はAとさせていただいております。
13ページでございます。(2)高額療養費制度の周知についてでございます。
自己評価でございますけれども、制度改正に伴う自己負担限度額の見直しにつきましては、さまざまな媒体を通じて広報を実施させていただいております。
2つ目の○でございますけれども、限度額適用認定証の利用促進に関しましては、関係団体の機関誌での広報を行ったほか、直接加入者にお送りするジェネリックの軽減通知や医療費通知に利用促進のチラシを同封するなど、利用促進を図ってまいったところでございます。その結果でございますけれども、29年度は加入者が減少している中で、対前年度211枚増ということで、合計4,300枚の交付を行うことができたところでございます。
3つ目の○でございますけれども、高額療養費が未申請の方につきましては、ターンアラウンド方式によりまして申請勧奨行って、申請漏れの防止に努めたところでございます。
このようなことから自己評価はAとさせていただいております。
15ページをごらんください。(3)職務上の事由による休業手当金等の上乗せ給付等の申請勧奨についてでございます。
22年1月に船員保険制度の改正が行われまして、それまで船員保険で給付していた職務上の保険給付につきまして、労災保険と船員保険の両方に申請することになったところでございます。したがって、船員さんが職務上で災害を受けまして給付を受ける場合には、労働基準監督署と船員保険部の両方に申請いただく必要があるということですけれども、労働基準監督署には申請いただいているのですが、協会に御申請いただいていない方がいらっしゃるという実態がございます。
自己評価でございますけれども、労災データを厚生労働省からいただきまして、労災の支給が行われているにもかかわらず船員保険の申請がない方に対して、合計で884件の勧奨を実施させていただいたところでございます。一度勧奨してもなかなか申請いただけない方については、再勧奨も実施させていただいております。
3つ目の○でございますけれども、制度をきちんと御理解いただいていないという面もあると考えておりますことから、関係団体の機関誌等を活用いたしまして、広報等を実施しているところでございます。
このようなことから自己評価はAとさせていただいております。
17ページをごらんください。(4)保険給付等の業務の適正な実施についてでございます。
自己評価でございますけれども、1つ目の○でございますが、傷病手当金等の現金給付の審査に当たりましては、申請内容に疑義が生じた場合には、本人や担当医に照会を行うほか、船員保険部でお願いしております審査医師に御意見を求めるなど、適正な給付に努めているところでございます。なお、実地調査につきましては、29年度は行う必要がある案件はございませんでした。
2つ目の○でございますけれども、下船後の療養補償という船員保険独自の給付でございますけれども、こちらは乗船中に発生した職務外の給付について10割の給付を行うといった制度でございます。こちらは対象範囲内で適正な受診をいただくように周知・広報を実施しているところでございますが、申請をいただく際に提出いただく書類があるのですけれども、こちらを御提出いただけていない場合には督促を行うなど、利用の適正化に努めているところでございます。
3つ目の○でございますけれども、柔道整復施術療養費でございますが、多部位頻回施術につきまして照会を行っているところでございますが、29年度は1年以上の長期受診に対しても文書照会を実施したところでございます。その結果、1件当たりの金額につきましては、28年度に比べて134円減少したところでございます。
このようなことから自己評価はAとさせていただいております。
次に、19ページをごらんください。(5)レセプト点検の効果的な推進についてでございます。
こちらの目標指標といたしまして、加入者1人当たりの診療内容等査定効果額93円以上としております。
また、検証指標といたしまして、資格点検、外傷点検、内容点検それぞれの効果額を挙げさせていただいております。
自己評価でございますけれども、1つ目の○でございますが、内容点検につきましては近年電子レセプトが普及しておりまして、これを背景に社会保険診療報酬支払基金での審査が充実しておりまして、その結果、協会での点検効果がなかなかあらわれにくいといった状況でございます。
それに加えまして2つ目の○でございますけれども、29年4月からレセプト点検員に欠員が生じておりまして、人手不足等で欠員がなかなか埋まらないということで十分な点検が実施できていない状況にございました。そのため内容点検業務につきまして、外部の点検業者を活用して実施するということを決めまして、29年11月から実施しているところでございます。
3つ目の○でございますけれども、その結果、内容点検効果額は28年度を上回って437円となったところでございますけれども、目標指標であります診療内容等点検効果額につきましては、28年度を下回って72円という結果でございます。
資格点検効果額につきましては前年度を下回る2,296円、回収点検効果額につきましては28年度を上回る269円という結果でございました。
このように、29年度は点検効果額等の向上のための取り組みを一生懸命実施したことから、自己評価はAとさせていただいているところでございます。
23ページをごらんいただければと思います。(6)被扶養者資格の再確認についてでございます。
自己評価でございますが、29年度も日本年金機構、船舶所有者に御協力をいただきまして、被扶養者の再確認業務を実施させていただいたところでございます。
1つ目の○でございますけれども、93.8%の船舶所有者の方から御提出いただきまして、201人の被扶養者の届出が未提出であったことが確認できました。これによりまして、高齢者医療制度の拠出金関係でございますけれども、約870万円の適正化が図られたところでございます。
実施に当たりまして、船舶所有者に事前にチラシを送付するなどするほか、関係団体の機関誌等で広報を行うなど、円滑な実施に向けてきめ細やかな取り組みを実施したところでございます。
また、期限までに御提出いただけなかった船舶所有者の方に対しましては、リストの再送付を行ったほか、電話等による提出の勧奨も実施したところでございます。
このようなことから自己評価はAとさせていただいております。
25ページでございます。(7)無資格受診等の事由による債権の発生抑制及び早期回収についてでございます。
自己評価でございますけれども、保険証の回収につきましては、日本年金機構からの催告に加えまして、船員保険部からも文書で催告を実施しております。29年度は特に未返却者の多い船舶所有者に対しまして、個別に早期回収を依頼するチラシ等を送付するなど、早期回収に努めました。その結果、回収率は96.4%となっております。
2つ目の○で債権の回収についてでございますが、こちらも文書催告を実施しまして収納率の向上に努めているところでございますけれども、催告後も納付がされないものにつきましては、支払督促等の法的な手続も実施しているところでございます。それから、高額な無資格受診債権につきましては保険者間調整を積極的に御案内するなど、回収に努めたところでございます。
それから、26ページの訂正をさせていただきたいと思いますけれども、29年度の債権額、右側に28年度の債権額を書いている表でございますが、こちらの数字が誤っておりました。28年度の現年度の収納額でございますが、現在7388万5000円となっておりますが、7389万8000円に御訂正をいただければと思います。それから、28年度の過年度の繰越額でございますけれども、現在8809万2000円となっておりますが、8786万7000円に御訂正をお願いしたいと思います。それから、収納額でございますけれども、9447万円を9434万円に訂正をお願いできればと思います。申しわけありませんでした。
自己評価はAとさせていただいております。
27ページでございます。ここからが「3.保健事業の推進、強化」についてでございまして、まず(1)保健事業の効果的な推進についてでございます。
自己評価でございますけれども、1つ目の○ですが、(1)保険者機能の発揮による総合的な取組の推進部分でも御説明しましたけれども、29年度は第1期のデータヘルス計画の最終年度ということで、情報提供・啓発活動等を中心に取り組みを実施させていただきました。
また、2つ目の○でございますが、29年度は第二期特定健康診査等実施計画の最終年度ということでもありましたため、目標達成に向けてさまざまな取り組みを実施させていただきました。詳細については、この後の項目で御説明させていただきます。
このように29年度は両計画が終了する年度ということもありまして、それぞれ新たな計画を策定したところでございます。
特定健康診査等実施計画につきましては、29ページに実施目標を記載しておりますけれども、表を2つ掲載しておりますが、第三期の目標値は全保険者の実施状況等を勘案いたしまして、29年度の目標値をそのまま35年度に達成するということで維持されまして、船員保険では35年度までに健診実施率65%、特定保健指導実施率30%を達成するということが新たな目標として掲げられたところでございます。
27ページにお戻りいただきまして4つ目の○でございますが、データ分析、第1期のデータヘルス計画の評価結果、引き続きメタボリックの減少と喫煙率の減少が課題であると。それから、施策面では情報提供、啓発活動は重要ではあるものの、行動変容にはすぐにはつながらないことが課題だということがわかったところでございます。
これらを踏まえまして、第2期データヘルス計画におきましては、生活習慣病予防健診の無料化やスマートフォンを活用した禁煙プログラムの実施、船舶所有者と共同したコラボヘルスの推進といった、より実行性の高い内容を盛り込んだ計画を策定いたしたところでございます。
次の○でございますけれども、生活習慣病予防健診の無料化やコラボヘルスの推進につきましては、健診実施率の向上や特定保健指導の実施率の向上につながることから、データヘルス計画と特定健診実施計画を一体的に策定することができたと考えているところでございます。
このようなことから自己評価はSとさせていただいております。
次に31ページでございます。(2)特定健康診査等の推進でございます。
目標指標といたしまして、被保険者の特定健診実施率45%、被扶養者の特定健診実施率29%、船員手帳健康証明書データの取得が45%と掲げております。
自己評価は32ページでございますけれども、1つ目の○ですが、生活習慣病予防健診の受診機会の拡大をするために、健診実施機関の増加に努めてまいりました。このほか、29年度につきましては、GISを活用しまして未受診者の多い地域で巡回健診を実施するなど取り組みを行った結果、被保険者の健診実施率は前年度0.8%ポイント増加いたしまして、37.8%となっております。
2つ目の○でございますけれども、被扶養者に対する取り組みといたしまして、協会の支部や自治体が主催されております集合健診に船員保険の被扶養者が参加できるように連携いたしまして受診機会の拡大を図ったほか、被扶養者が多く居住していらっしゃるところに巡回健診を実施するなど取り組みを行っております。その結果、被扶養者の健診受診率が1.0ポイント増加いたしまして、18.8%という結果でございます。
船員手帳の健康証明書データの取得につきましては、0.7ポイント増加いたしまして、29.3%となっております。
4つ目の○でございますけれども、健診受診していただくためにホームページやメールマガジンでも広報しているほか、全被保険者にお送りしている船員保険通信などを活用して広報を実施しております。そのほか、受診券を直接お送りするといった取り組みもいたしております。
このようなことから自己評価はAとさせていただいております。
36ページをごらんください。(3)特定保健指導の推進についてでございます。
目標指標といたしまして、被保険者の保健指導実施率32%、被扶養者の保健指導実施率10%ということで掲げております。
自己評価でございますけれども、1つ目の○でございますが、特定保健指導の実施委託先であります船員保険会の体制の充実を図ったほか、外部事業者を活用いたしました保健指導を実施してまいりました。
2つ目の○でございますけれども、対象となった方に対しては健診結果とは別に、オーダーメイドの情報提供リーフレットを活用しまして、利用の促進を図っているところでございます。
そのほかのさまざまな媒体を活用いたしまして広報も実施をしておりまして、実績につきましては37ページに記載しておりますけれども、被保険者、被扶養者の利用率とも28年度を上回る結果となっております。
このようなことから自己評価はAとさせていただいております。
38ページをごらんください。(4)加入者の健康増進等を図るための取組みの推進についてでございます。
自己評価は39ページでございますけれども、1つ目の○でございますが、加入者に向けた取り組みといたしまして、船員保険では健診結果とは別に健診結果に基づくオーダーメイドの情報提供リーフレットを毎年お送りしているところでございます。29年度は生活習慣病の重症化予防の観点から情報提供を行った結果、受診勧奨を行った方のうち13.7%の方が医療機関を受診いただいたということでございます。そのほかの問診で喫煙していると回答いただいている方に対して、禁煙リーフレットを送付しているところでございます。
このほか船員手帳の健康証明書データをいただいた方につきましても、健診結果に関心を持っていただけるような冊子を送付しているところでございます。
3つ目の○でございますけれども、船舶所有者に対する取り組みということで、船員保険では健診結果データを活用した船舶所有者ごとの健康度カルテというものを27年度から配付しているところでございます。29年度につきましても、健診受診者が10名以上で、かつ喫煙率が50%以上の船舶所有者を対象に、健康度カルテを作成して送付いたしております。大規模の船舶所有者や船員健康に興味のある船舶所有者の方に対しまして、直接御訪問もさせていただいているところでございます。
5つ目の○でございますけれども、研修や会合等で船員が集まるときを活用いたしまして、出前健康講座を開催しております。29年度は新たにメンタルヘルス講座も導入いたしまして、船員労働安全衛生月間を中心に25回開催させていただきまして、1,265人の方に受講いただいたところでございます。
次の○ですけれども、船員保険の加入が見込まれる船員養成学校の学生を対象に、特別講座の開講をさせていただきました。生活習慣やメンタルヘルスに関する講座を開講いたしまして、8校で実施させていただいたところでございます。488人の学生の方に御参加いただいたところでございます。こういった講座はそれぞれ好評いただいておりまして、30年度も引き続き実施しているといった状況でございます。
このようなことから自己評価はSとさせていだいております。
44ページでございます。最後の項目でございまして「4.福祉事業の着実な実施」についでございます。
自己評価でございますけれども、無線医療助言事業や洋上救急医療事業につきましては、船員が安全に海上で勤務するために欠かせない事業でございまして、地域医療機能推進機構さんや日本水難救済会さんに委託して実施しているところですけれども、円滑な実施に努めてまいったところでございます。
保養事業につきましては、船員保険会に委託しまして、船員の福利厚生の向上を図っているところでございます。
3つ目の○でございますけれども、旅行代理店を活用した保養施設利用補助事業も実施しておりまして、29年度はその利用拡大に取り組んだところでございます。
このようなことから自己評価はAとしているところでございます。
説明は以上でございます。
○土田座長 ありがとうございました。
ただいまの説明及び業績評価シートにつきまして、御質問・御意見がございましたらどうぞお願いします。どうぞ。
○小西構成員 お気づきのように、私はどちらかというと組織系・管理系のことで質問させていただいていますので、一番最初にさせていただくのは恐縮でございますけれども、よろしくお願いいたします。3つほどございます。
まず、20ページの真ん中の表の加入者1人当たり診療内容等査定効果額で、実績が72円、目標値が93円、この理由を御説明いただいたところですが、つまり72円というのは今年度特有のことというか、特別なことと受け止めればよろしいのでしょうか。
2つ目です。24ページの説明文章の一番最後の行ですが、納付金等約871万円の適性化が図れたということでございますが、この効果は財政上といいましょうか、収支上といいましょうか、どの年度にあらわれてくるのでしょうか。29年度なのか、あるいは将来効果として30年度以降にあらわれてくるのかという点でございます。
それから、26ページは、ただいま御説明の中で何カ所か数字の修正がございました。この表に係ることでございまして、数字で質問させていただきますので、事務局から私の質問ためのメモをお配りいただければと思います。
(質問資料配付)
○小西構成員 債権の回収については、当然のことながらどのくらい回収ができたか、回収の金額実績あるいは回収率といったことで評価する、これはまさにそのとおりだと思います。そういった努力をしていただいているわけです。私が考えているのは、まず債権という勘定全体がどう動いたのか。収納以外の要素での増減はあるのかないのか。あるとすれば、それは何なのだろうかということでございます。
ここに表のような形でつくっておりますが、アルファベットの記号のA、B、1つ飛んでDは、26ページから数字をそのまま写してきております。数字の修正がございましたが、元の数字でよろしくお願いいたします。区分としましたが、債権は現年度、過年度、そして承継分がございます。承継分でまず御説明いたします。
承継のところで調定額が174,313、収納額707ございまして、差し引きの金額173,606が基本的には次期繰越高、持ち越しの残高であろうと差引計算しております。これについていただいた資料では、29年度の前期繰越額が一番下の行の133,222となっております。この差額は何ですかというのが私の質問です。一番右の40,384という数字です。
同じような計算の整理をしたのが、上の現年度と過年度でございます。過年度のところで調定額の欄に挙げた88,092、あえて申し上げますと、これは前年度からの繰越ですが、言ってみれば過年度の調定額ということでございます。ここは現年度、過年度とございますので、合計で同じように計算いたしまして、一番右の579という差額がありますと。これはどのような処理をなさったのでしょうかということが質問でございます。
同時に、これは28年度に係ることですが、29年度に係ることが30年度の前期繰越額との数字の関係で同じようなことがあるのではないかと。それについては、どのような金額でしょうか、どんな内容ですかというのが質問でございます。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
○土田座長 どうもありがとうございました。
3点ございましたけれども、どうぞ。
○前島船員保険部次長 ありがとうございます。3点御質問いただきましたので、お答えさせていただきます。
まず、20ページのレセプト点検の効果額で72円、今回は非常に低いということで、これが今年度だけのものなのかという御指摘でございます。29年度は72円で、28年度は93円、27年度は85円という数字でございまして、大体このくらいの数字なのですが、29年度は特に自己評価にも書かせていただきましたけれども、レセプト点検員に欠員が生じておりまして体制が整っていなかった期間がしばらくあったということで、人手不足で人が埋まらなくて、状況を打開するために外部の点検業者を活用するという判断をしたという結果がこういうことでございまして、30年度はこれを活用しながら、さらなる点検効果額の向上に努めていきたいと考えているところでございます。
2つ目の御指摘の24ページの29年度は871万円の財政効果があったと記載しているところで、この財政効果は実際にいつあらわれるのかということでございますが、概算・精算で拠出金はそれぞれ保険者に賦課されるということでございまして、29年度で適正化した結果につきましては、翌々年度に実際には影響があらわれると。したがいまして、31年度の実際の拠出金に反映されるといったところでございます。
最後に、債権額の関係でございますけれども、まず、細かい数字は別にいたしまして、修正させていただきましたが、いわゆる年度末から年度当初に繰り越す場合に、何かほかの要素があるのかということでお答えさせていただければと思います。この間に、いわゆる時効等で取れないとなったものに関しまして、不納欠損という処理をいたしまして、いわゆる調定額から落とすという作業をやっております関係で、この差が生じているというところでございます。
特に、承継と書いてある債権でございますけれども、これは社会保険庁から協会が平成22年1月に引き継いだ債権でございますが、こちらの債権は主に、今は船員保険ではやっておりませんけれども、労災でやっております未払い賃金の立てかえ払いを旧船員保険制度では実施しておりまして、この未回収分がかなりの額を占めているのですけれども、これについて承継を多くしているといったところでございます。これつきまして時効10年でございまして、10年たって回収できないといったものを落としているのが多数でございまして、最近、時効を待たずに事業所が存在をしていないといった場合には、判明した時点でそういう額を落とそうということで処理しているところでございます。
○小西構成員 ありがとうございました。3つ目の点について、質問の趣旨などを補足させていただきながらと思います。
おっしゃるように、幾つかの要素があって債権はふえたり減ったりするわけですけれども、その内容が知りたいということは先ほど冒頭で申し上げたとおりです。例えば債権償却をするときに、その理由は何なのですか、その原因は協会の事業に起因することですか、あるいは外部環境から起きていることなのですか、そこが知りたいということ。協会の事業に起因することであれば、それは業績評価の対象、金額の大きさは別として、性質的にそういうことであろうと考えたわけです。おっしゃいますように、それでは承継分についてはどうか。これも協会に起因するのですか、これはちょっと見当が違うという議論もあろうかということは承知しております。ありがとうございました。
○土田座長 ありがとうございました。初めて知りました。非常に意味のある御質問だったと受け止めております。回答も非常に的確な回答だったと思います。どうもありがとうございました。
ほかに御質問・御意見がございましたら、どうぞ。
○古井構成員 資料の5ページ目のジェネリックのところなのですけれども、健保組合等に比べるとすごくコストに関する感度が高いという特徴があるのではないかと思っています。自己評価の中に書かれているように、ジェネリック医薬品軽減額通知に例えば希望シールを同封してというのがあるのですが、例えば今後メルマガだったり、いろいろな広報をジェネリック通知とあわせてやるということはあるのかなととらえました。それは感想でございます。
2点目は、19ページです。さっき委員からも御質問があったのですが、レセプト点検のところで人員不足によって点検業者さんを活用したとあったのですけれども、点検のノウハウというのはマニュアル化されているレベルとか、なかなか形になりにくいコミュニケーションベースのものが多いとか、その辺のレベル感を教えていただければと思います。
最後3点目が27ページ目になりますが、保健事業の効果的な推進ということで、船員保険さんはたしか健診の受診者の6割が肥満ということだったのですが、事業計画の一番上に「加入者のメタボリック保有率及び喫煙率の減少という目標達成に向け」と書いてあって、これが今どの程度達成されているのか。それから、事業所健康度カルテとかいろいろ有用な取り組みをやられていますので、これがフィットしているのか。例えば、船員保険はほかの業種に比べると、今までどおりの保健事業だと肥満や喫煙が全然減らないのか、その辺の知見があれば教えていただきたいという3点でございます。
○土田座長 いかがでしょうか。
○前島船員保険部次長 まず、ジェネリックの関係でございますけれども、船員保険は比較的高い数字になっておりまして、これから先がきっと難しいのだろうなと思っておりますので、さまざまな方法を活用いたしまして密度を上げていきたいなということで、先生御指摘のようなことも実施していきたいと思います。
それから、レセプト点検についてでございますけれども、ノウハウがマニュアル化されているかといった御質問だと思いますが、協会の中では健康保険のほうはほぼほぼ内部でやっておりまして、そういったものもマニュアル化がされてきているところでございますけれども、船員保険に関しては特に当初のマニュアルはあるのですが、なかなか更新がされていないのが現状で、これから船員保険部内でも整理していきたいと思っております。
点検に当たりましては、船員保険の特徴もあると思いますので、外部業者と打ち合わせをしながら進めているといったところでございます。
それから、メタボ、喫煙率の関係でございますけれども、数字につきましては途中の数字でございますけれども、2ページをごらんいただければと思いますが、メタボは27年度まで、喫煙率は28年度までの数値でございますけれども、ごらんのように船員はなかなか高い数値を維持したままで、これまでこの2つを目標に掲げてやってきたのですが、やはり情報提供ですとか啓発活動が中心でやってきて、なかなか行動変容には結びついていないということが結果としてわかったところでございまして、いわゆる第2期のデータヘルス計画ではより実効性のあるものをやろうということで内部で検討いたしまして、まず健診を受けていただくことが重要だというところで、健診の無料化を30年度から実施しております。
これを保健指導につなげていくためには、いわゆる船舶所有者、事業主さんと一緒になってやっていかないと、なかなか結びつかないだろうということで、いわゆるコラボヘルスの推進ということで30年度は掲げているのですけれども、具体的な内容については検討中でございまして、船員であるという特殊事情がございますので、どういったことがネックになるのかというところを船舶所有者を幾つか訪問して分析して、今後の事業展開につなげていこうということを30年度からやっているところでございます。
それから、禁煙に関しては船員はなかなか喫煙率が高いところがございまして、今回30年度からいわゆるスマートフォンを活用したオンライン禁煙プログラムを実施しておりまして、今やっているところでございます。これも30年度はパイロット的に始めましたので、その結果を踏まえながら31年度以降どうしていけばいいのかを検討してきたいと考えております。
○土田座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
どうぞ。
○森下構成員 ちょっとお伺いしたいのですけれども、全く素人っぽい質問で申しわけないのですが、船員保険が20ページにも説明が書いてありますが、点検員に欠員が生じたという事象があるわけですけれども、これはあくまでも協会けんぽの一般のものとは別に作業を進めて独立性を保っていらっしゃるわけですけれども、将来的には協会けんぽの本体部分との統合とかそういうものは施策としては何か都合が悪い部分もあるのでしょうか。我々は素人なのでよくわからないのですが、その辺が将来もあくまでも独立してやっていかなければいけないのかどうかというのも、ちょっとわかりにくいところがあるのですが。
○前島船員保険部次長 これまで船員保険のレセプト点検につきましては、協会の東京支部のほうで実施していただいておったところでございまして、効率的にやるということで健康保険と一体的にやっているところでございます。ただし、点検員は、健康保険の担当、船員保険の担当ということで、それぞれでやっているところでございます。別々にやるというのは会計上の問題もございますので、統計などは全然別にしなければいけないといった事情もありますので、独立的にやっているところでございます。実際にやっているところは東京支部でやっていただいておりますので、効率的に一緒にやっていただいているところでございます。
○土田座長 よろしいですか。どうもありがとうございました。
それでは、次のテーマに移りたいと思います。次は、組織運営及び業務改革につきまして、協会から説明をお願いいたします。
○玉川総務部長 総務部長の玉川でございます。それでは、組織運営及び業務改革について御説明いたします。
資料1-3の表紙をおめくりいただき、1ページをごらんください。最初の評価項目「1.組織や人事制度の適切な運営と改革」です。
自己評価をAといたしましたが、その理由として第1に、組織運営体制の強化として、協会発足時に定めた支部ごとの人員数を見直し、標準的な業務量に応じた標準人員を新たに定め、平成29年10月から段階的移行を開始したことを掲げております。この標準人員導入の趣旨につきましては、資料1-3の2ページの事業報告書の抜粋で、下から2つ目の○に記載があるのですが、協会では平成20年10月の発足の際に、当時の申請書等の業務量に応じて支部ごとのいわゆる定員を設定し、人員配置を行っておりましたが、29年度に新たに定めた標準人員では、その後の業務の質・量の変化に対応し、支部間、支部内を通じて人員配置をシフトし、また、これまでのやり方や固定的な事務分掌にこだわる定員意識を払拭し、業務の実情に応じて人員を弾力的に活用するためにこの制度を設けたものでございます。
1ページに戻りまして、2つ目の○になりますが、支部内のガバナンス強化、連携強化を目的といたしまして、一部の支部において部やグループの統廃合などの組織体制の見直しを行いました。
実績や能力本位の人事の推進に関しましては、協会の理念を具現化する職員の育成及びモチベーションの維持・向上を図ることを目的といたしまして、平成28年10月に開始した新人事制度の運用を29年度は本格的に実施したところでございます。
さらに、2ページ、協会では毎年10月に定期異動を行っておりますが、29年度には本部や支部間における全国規模の人事異動321名と、支部内の配置換え743名を行いまして、適材適所の人員配置や人材育成、組織の活性化を図りました。この全国規模の人事異動321名と申しますのは、協会発足以来最大の異動実績でございまして、非常に積極的な対応を行ったものと考えております。
また、研修等を通じた職員の意識の醸成を図り、コンプライアンス、個人情報保護等の徹底、セキュリティ対策の向上に努めました。
さらに、改正個人情報保護法の施行に伴い、要配慮個人情報と匿名加工情報の取り扱いを整理し、法律に基づく適正な取り扱いについて周知・徹底を行ったところです。
情報セキュリティ対策につきましては、新たにグループ情報セキュリティ管理者を設置し、情報セキュリティ管理体制の強化を図るとともに、情報セキュリティインシデント対応訓練を実施し、対応能力の向上を図りました。
リスク管理につきましては、災害対策として平成29年4月に事業継続計画(BCP)を策定するとともに、大規模な災害等によるシステム停止を想定した情報システム運用継続計画の策定準備を進め、同計画は本年5月に完成いたしました。
以上、御説明いたしました組織や人事体制の強化の進展を踏まえ、自己評価についてはAといたしました。
続きまして、5ページをごらんください。「2.人材育成の推進」です。
本項目につきましても自己評価はAといたしましたが、その理由としては、第1に、職場における人材育成(OJT)を中心に、それを補完する集合研修、自己啓発、OJTを効果的に組み合わせ計画的に取り組むとともに、研修等の機会を通じてOJTについて職員の意識づくりを行ったことを挙げております。
以下、個別の研修における取り組みを取り上げる前に、協会の研修制度の全体像について御説明させていただきたいと思います。7ページの表をごらんください。
現在実施しております協会の研修は、大別いたしますと一番左側の欄にございますように、本部の集合研修、支部研修、自己啓発の支援である通信教育となっているところでございます。これらの研修のうち全体の要となっておりますのは、本部集合研修の1つであります階層別の研修で、新入の職員から支部長まで全階層で等級ごとに求められる役割の理解と必要な能力の修得を図っているところです。
5ページの2つ目の○に記載しておりますように、各階層の中でも特に管理職の入り口と位置づけられておりますグループ長補佐に対して重点的な育成を行っておりまして、客観的な視点で自己を振り返る多面観察やフォローアップを目的としたオンライン研修も実施しているところでございます。
これらに加えまして、事業を推進するに当たり必要となる業務知識の習得、スキルアップを目的として広報担当者研修、統計分析研修、債権管理回収事務担当者研修、保健師全国研修などの業務別の研修を実施しております。
また、階層や業務分野にかかわらず、協会職員として理解すべき事項について学習するテーマ別研修、支部別研修等を実施いたしました。
以上、御説明いたしました組織基盤強化に向けた人材育成の取り組みの強化の状況に鑑み、自己評価はAとしております。
続きまして「3.業務改革・改善の推進」です。9ページをごらんください。本項目につきましても、自己評価はAとしております。
その理由ですが、第1に、業務プロセスの標準化・効率化をテーマに開催いたしました、ブロックごとの業務改革会議の意見を踏まえ、審査事務手順書、点検事務手順書を策定いたしまして、これらの事務手順書に基づく業務処理を徹底いたしまして、最適な事務処理体制を構築することにより、業務プロセスの標準化と生産性の向上を徹底いたしました。
こうした取り組みにより、事務処理誤りの発生件数は前年度の181件から77件に大幅に減少いたしました。特に、10ページの左下の表にございますように、現金給付に関する誤りが大きく減少しているところでございます
以上のように、業務改革改善に取り組みました結果、職員のコア業務や企画的業務への重点化も進んでおります。事務処理誤りの発生件数も大幅に減少しておりますので、自己評価はAとしております。
この資料の最後の評価項目「4.経費の節減等の推進」について御説明いたします。11ページをごらんください。自己評価についてはBとしております。
その理由といたしましては、第1に、調達に当たっては100万円を超える調達は一般競争入札を原則とし、随意契約が必要なものについては調達審査委員会で個別に妥当性の審査をしております。
あわせまして、コピー用紙、プリンタートナー、各種封筒等は、全国一括調達により経費削減と在庫管理の適正化を図っております。
資料1-3の説明につきましては、以上でございます。
○土田座長 ありがとうございました。
ただいまの説明と評価シートにつきまして、御意見・御質問ありますか。どうぞ。
○花井構成員 評価に入る前にちょっと基本的なことを教えていただきたいのですが、今の協会けんぽの職員数は何名で、正規・非正規、男女、男女の管理職の比率、まずそこを教えていただけたらと思います。
○土田座長 これはどなたかわかりますか。
○玉川総務部長 現在、協会の職員数ですけれども、約2,150名といった状況でございます。これは正規の職員の数を示したものでございまして、それ以外に契約の方を合わせまして約5,000名の職員数ということになります。
男女の比ですけれども、手元に正確な数字がありますのは正規の職員数だけなのですが、男性が約1,300名、女性が約750名といった状況です。正確な数字はありませんが、契約の方については女性の比率が高いといった状況にございます。
○土田座長 管理職の比率と男女比ですね。
○玉川総務部長 管理職につきましては、ざっと支部で申しますと、支部長は都道府県の数だけありますので、50名弱ぐらい。各部に部長が最低でも業務と企画総務がありますので、合わせますと100名を超えるような形でございます。グループ長となりますと、コンパクトな支部でございましても企画総務のグループ長、保健のグループ長、業務のグループ長、レセプトのグループ長と大体4名はコアにありまして、支部の規模によりましてはこれに数人加わるといった形になりますので、およそ部長の倍以上、200名台前半という状況になっております。この下に管理職層の入り口と位置づけましたけれども、全部のグループにいるわけではございませんが、グループ長補佐というのが相当数いるといった状況でございます。
○花井構成員 そこの男女比はどうでしょうか。
○玉川総務部長 ちょっとそれは今すぐに出てまいりませんので、改めて調べまして御報告させていただきたいと思います。
○土田座長 髙橋理事どうぞ。
○髙橋理事 正確な数字は今手元にありませんけれども、もともと発足時2,150人くらい、このうち1,800人が社会保険庁からの移籍、残りの三百数十がその時点での民間採用ということで、そこで出発していますが、そこは今10年たって一部辞めていって、協会発足以降新規採用が三百数十名ぐらいという構成なのですけれども、まず、旧社会保険庁からの移行組は圧倒的に男性が多いんです。協会発足以降はどういう事情かはあれですけれども、若い方は非常に女性が多いということで、管理職だけ見ていますと女性の比率は少ない。ただ、部長クラスはちょっと今数字はわかりませんが、グループ長クラスですともうちょっと女性が多いですから、女性の登用に関しては私どもほかに比べて、もともと女性が多いような組織とは違いますけれども、比較的順調な採用をやっているのではないかと考えています。
以上です。
○花井構成員 正確な数字は、後ほどで結構です。
もう一つ、最近問題になっております障害者雇用率は協会けんぽは達成しているのでしょうか。
○玉川総務部長 お答えさせていただきます。障害者雇用率につきましては、総計で申しまして協会全体で2.71%ですので、達成している状況でございます。
○土田座長 ほかに御質問・御意見ございますか。
小西構成員どうぞ。
○小西構成員 1つ質問させてください。資料の2ページです。大きな人事異動をなさったという点です。それから、あわせて5ページの研修、いろいろなカリキュラムを組んでいらして、たくさんの方が参加されている研修についてですけれども、ただいま花井構成員からの御質問で、正規・非正規という人数をお答えいただきました。これは事業報告書の財務諸表の附属明細書のところに常勤が二千飛び何十名か、非常勤が三千何名かと書いておられますが、先ほどの話ですと、3,000人の非常勤の方は実人数なのですね、延べ人数ではなくて。財務諸表の数字はどういう意味なのかということでお尋ねするところです。
実人数か延べ人数かということで、常勤・非常勤の割合が感覚的に大分違ってくると思うのですが、それはそれとして、こういった人事異動は、キャリアパスとかスキルアップあるいは組織としてより有効な成果を得るといったいろいろな理由・目標があろうかと思います。研修も同じだと思います。今資料で御説明いただいている人数は、常勤の方だと思っておりますが、非常勤の方々も業務・事務についていらっしゃいます。この方々に対してはどのような考え方で、あるいはどのような方法で対処なさっているのか。これは常勤と非常勤とで人事制度も異なりますから、一概に同じということにはならないと思いますけれども、考え方としてどのように対応なさっているのかということでございます。よろしくお願いします。
〇玉川総務部長 お尋ねがありました人事異動につきましては、委員御指摘のように常勤人数ということになっております。
研修につきましては7ページに表があります。階層別研修については、基本的には常勤の職員を対象としたものですけれども、業務別の研修の中には、例えば、レセプト点検員の医科研修や歯科研修というものがありますように、個別の専門的なものについてはそうした方を対象にしているものもありまして、それぞれの業務の特性に応じてやっているところです。
基本的に常勤の職員については、協会として全国単位で採用しているということもありまして、支部間の異動も伴っておりますけれども、これまでは契約の方につきましては、その支部に対して勤務可能という形で募集しておりましたので、本人もそういう意思で働いていたものだと思っております。一部の常勤以外の方で、常勤の募集などがあった際に常勤として採用された方も中にはいらっしゃいますけれども、今までの働き方ということでは、そのような位置付けでした。
労働契約法がこれから施行されますと、今までに比べて長期の雇用などが予想される人も出てくると思います。そういった方について、どうやって人材の活用、蓄積を図っていくことができるのか。それはこれからいろいろ定着の具合、あるいはその人の持っているスキル等々を踏まえ、工夫をしていかなければならないと思っております。
以上でございます。
○土田座長 どうぞ。
○小西構成員 確認させてください。非常勤の約3,000名というのは実人数ですね。
○玉川総務部長 延べ人数ということになります。
○小西構成員 延べですか。最近、合計というのは単純合計と延べという言葉が混同されて、何でも延べでいってしまっているのが私は気になっていますが、延べですね。
○玉川総務部長 職員番号ベースでとっているものだと思います、延べだということになります。
○髙橋理事 時間が短い方がいらっしゃるので、短い方も含めて実員3,000人ということです。
○小西構成員 実人数ですね。そうすると、お一人の方がある時期は仕事をして、ある時期は時間があいて、またもう一回といったような。余り厳密な数字の議論をするわけではないのですが。
○髙橋理事 おっしゃる趣旨がよくわからないのですけれども、1人の方の勤務形態は、契約の方ですと一般的にはフルタイムが原則なのですが、いろいろな御家庭の事情によっては4時間とか5時間という勤務形態の方もいらっしゃる。出たり出なかったりという方はいらっしゃいません。
○小西構成員 わかりました。といいますか、この年度の中で例えば3カ月契約して、また間があいて3カ月という人はいませんかという趣旨での延べと。でも、これは人数の計算上はそんなに多くの方がいるわけではないのだろうと。仮にあればですけれども。
○髙橋理事 ほとんどいないと思います。
○玉川総務部長 統計上の人数は年度をならしたものではなくて、何月末時点とか断面でとった人数となっております。
○小西構成員 ありがとうございます。実人数ということで理解いたします。
○土田座長 よろしいですか。どうぞ。
○森下構成員 今お話をいただいたところは結構理解できて、10年前に比べると職員の方が一生懸命やられているなと思っております。
その中で、実人数のところが今議論にありましたけれども、本部に百何十名かいらっしゃって、残りの47支部に約1,800~1,900人の方がおいでになると。これは実際割ると1支部当たり40人程度となると、今ずっと討議してきたあらゆる課題が非常にテーマが多くて、本当に間に合っているのかなと。補助の方もいらっしゃるので、3000人近くの方がお手伝いされているということですが、今後の見通しみたいなものをどのように考えられているのかという質問が1つ。
もう一つは、前回のテーマに戻ってしまって申しわけないのですが、働き方改革ということで、これから働き方も多様性がかなり持たれる。その中で残業時間の抑制とかで、今平均給与28万円くらいと書いてありますが、この金額が場合によっては残業時間の減少によってかなり減っていく、そうすると、月額の保険料の納付も場合によっては落ちる。その落ちた分が見えなくなってしまって、アルバイト等でその金額を補充するような働き方が出てきた場合、全体的な収入の減も見越して今後どのように考えられているか。ある程度のシミュレーションができているのか、その辺もお伺いしたかったので、もし御回答できるようだったらお願いします。
○玉川総務部長 先ほど業務改革のところでも御説明いたしましたけれども、今、業務の徹底的な標準化・効率化を進めておりまして、その中でも業務に係る加入者はふえているわけでございますけれども、全体として事務処理に係る時間の大幅な縮減を目指しているところでございます。これはフローの手順できることもあれば、システムの改修等々も含めた形でやっていかなければならないところもございます。
そうした中で、一方では求められております保険者機能の強化ということで、戦略的な保険者機能にも人員を向けていくとともに、全体の中で組織が肥大化しないような形で効率的な運営に努めていかなければならないと思っております。
委員御指摘のように、昨年度につきましては超勤がどうなっているかということがありましたけれども、実際の取得時間数につきましては、こうした努力もありまして減少しているところで、1つには働き方改革などでどこの企業でもやられていることだと思いますけれども、時間管理の徹底をしているところでございます。
こうしたところで、いかに働き方を向上させるかといったこととあわせて、今後の協会の持続性にも向けた体制構築を図っていかなければならないと思っております。
○森下構成員 本当はもうちょっと具体的なシミュレーションみたいなものをやっておられれば、欲しいなと思ったのですけれども、ありがとうございます。
○土田座長 どうぞ。
○花井構成員 あと2つだけ発言したいと思います。1つは、29年から新しい人事制度を導入したとありまして、全国的な321名の人事異動も行ったとあるのですが、非常に気になるのは、こういう人事異動や新しい人事制度、全国規模の転勤・異動を行ったときは、非常にメンタルヘルスが発生する可能性が高くて、私どもで今全国相談をやっていますと、失業ということよりもメンタルヘルスの相談がふえているというのがあるんです。ですから、ぜひともそのあたりはセクハラ・パワハラも含め、あるいはメンタルになりかかっている人、なりそうな人、いろいろな方がいらっしゃると思うのですが、人事制度を運用するに当たっては、その辺の御注意をお願いしたいと思います。
もう一つは、先ほど女性の比率のお話がありましたが、相当少ないのではないかという印象がありまして、今、労働力不足とかさまざまなことが言われている中で、女性の労働力活用ということも一方であるわけですので、ぜひともその辺はもう少し計画的に努力していただけたらなという要望でございます。
以上です。
○土田座長 ありがとうございました。これについて別に回答を求めたわけではありませんが、どうぞ一言教えてください。
○玉川総務部長 管理職の女性の比率について御報告させていただきます。管理職につきましては、グループ長以上で申し上げますと本部・支部合わせまして男性が325名、女性が43名といった状況でございまして、11.7%が女性の率となります。ただ、これは協会ができたときの男女比構成といったところが大きいこともございまして、反対に今現在33歳以下の職員につきましては、その年次その年次で女性の比率が高いような状況になります。これらの者がだんだん管理職層、幹部職層の適齢期になってきますと、この比率が大きく変わってくるものと考えておりまして、女性が協会で責任を持って働けるような職場環境づくりに努めていかなければならないと思っております。
それから、御指摘がありました異動等につきましては、人材のいろいろな物事に対する見方、とらえ方ということで、複数の支部を経験したということは非常に大きいところがあると思いまして、そうしたものもローテーションの中に組み込むことができればと思っております。とはいえ、当然ながら対象となる方々の個人的な事情・状況はよくよく把握した上で異動ができるかどうかは、その時点その時点で必ずということではありませんので、適切な時期をとらえて相対的な人事管理ができればよいと考えております。御指摘の点、十分踏まえて生かして人事管理をやってまいりたいと思っております。
○土田座長 ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。
一応、予定されていた議事は終了いたしました。
それでは、今後のスケジュールについて、事務局から説明をお願いします。
○深谷全国健康保険協会管理室長 本日も貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
今後のスケジュールについてお知らせ申し上げます。構成員の皆様には、先日10月2日に評価いただくシートをお送りさせていただいたところですが、前回9月28日分と本日御審議いただいた分両方あわせまして10月31日までに記入いただきまして、事務局に御提出をよろしくお願いいたします。事務局におきましては、皆様からいただいた御意見あるいは評価結果を集約いたしまして、全体の評価案ということでとりまとめた後、皆様に御確認いただくことにしております。引き続き御協力よろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
○土田座長 締め切りは10月末ということですので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上をもちまして、きょうの議事は終了いたしました。どうも御協力ありがとうございます。
前年度もそうですが、最後に今回の業績評価検討会を振り返りまして、各委員から一言ずつ感想ないしは意見を申し上げていきたいと思います。
最初に小西構成員どうぞ。
○小西構成員 皆様ありがとうございました。業績評価を今回させていただいて感じたこと、それから、業績評価の方法に関係することの2つに分けて簡単に申し上げたいと思います。
私が前回の会議の中で申し上げました、いろいろなデータをお持ちになっていて、複数のデータを組み合わせて分析し、あるいはそれを活用しという姿を今回如実に感じまして、このことは今後将来に向けて大変期待が持てると。業務のいわゆる要点をどう絞るかということでもありますし、より効率的にするか、効果を得るという意味で、これは期待が持てるなと思いました。
もう一つは、例えば、サービススタンダードだとか事務処理誤りといったことについて目標指標を持って管理する、評価することをしていただいています。このところは随分きちんとやっていただいているなと思っておりまして、これは自己評価であれ、私どもの評価であれ、大変有効なデータ、前提をいただいていると思っております。
一方で、実際の仕事の現場の中でこういう統計データを集めるわけですよね。その集めることに、語弊があるかもしれませんが、余り手数がかかってしまっては、いわゆる間接コストがふえてしまうみたいな話になってもいけないと思いますので、ここは私も現場が想像できるわけでもございませんので、そんな目でも見ていただいて、バランスよくしていただくのがいいのではないかと。これは念のために申し上げるところでございます。
それから、評価の方法につきましては、私どもがどういう観点で見ていくか、あるいはどういうアプローチでするかという点について一口で申し上げますと、私は、まず全体像を見るという中での評価項目はどうなのかと見ていきたいと思っているところでございます。例えば、債権について先ほど来申し上げました、全体の動きが知りたい、当年度調定分だけじゃなくて過年度分を知りたい、あるいは職員の方は非常勤も含めて全体でどのような集団で動いているのか知りたいということでございます。
それから、評価のアプローチについてもう一つ、基本的には数値を前年度と比較して増減分析するという方法をとっています。この点については、対前年度比較ばかりでなく、複数年度を並べて時系列で見るということも、また有効なのではないかと思っております。
最後の1点でございますが、この業績評価シート、私は何年かやらせていただいて、去年から大変にコンパクトにしていただいて、コンパクトであるのだけれども中身は従来と変わらない濃さがあるという、要点・論点をよく整理していただいているということから、私どもの作業もやりやすいですし、理解もしやすいと思っております。今までも何回か申し上げておりますが、紙の量を減らすことについて、こういう成果物を紙でつくるときに途中段階で何回か一式を印刷して、また見直してということがあろうかと思いますので、紙の量は同時に作業工数の量でもあると思っております。そういう意味では、言い過ぎるといけませんが、やればできるということを示していただいているなと思っております。
ありがとうございました。
○土田座長 どうもありがとうございました。
それでは、花井構成員どうぞ。
○花井構成員 今回初めて参加させていただきました。私自身は協会けんぽというか、健康保険制度は非常に大切だと思っておりまして、自分がずっと入っているということもありますが、日本の中小零細企業の労働者、その家族を含めて相当数の今の日本の医療保険制度を支えている仕組みだと思っております。その意味で、この制度はとても大切に思っております。
私が知っている協会けんぽと、今回この会議に参加させていただいて相当進んできているなと皆さんの努力を非常に感じることができました。といいますのは、一番最初に医療費通知のことがないと思ったら、実はもう医療費通知は全ての方に年1回送っているということとか、私も意識して見たら、医療費通知に高額療養費制度やジェネリックのことが追加情報としてチラシが入っていたり、被保険者に対しても丁寧な対応をされているなということを実感することができました。専門的なことはなかなか言えないですが、そういう意味で皆様の御努力と、これからますます大変な状況になってくるかと思いますが、これは絶対につぶしてはいけないものなので頑張っていただきたいなと思います。
それから、御丁寧な説明と資料も幾つか出していただいたことに感謝申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
○土田座長 どうもありがとうございました。
古井構成員どうぞ。
○古井構成員 ありがとうございました。私から2点ですけれども、今、花井先生からもありましたように、国民皆保険の維持が厳しい社会構造で、協会けんぽさんの取り組み、ほかの健保もそうですけれども、保険者の取り組みの成果というのは、基本的には効果が出るまでに時間がかかると思っております。評価の視点から我々も毎年拝見していて思うのですが、3900万人全体を俯瞰した成果と、もう一個は、先ほどのデータヘルスでいうと、何か取り組んだ、事業所診断カルテを活用した事業所や健康宣言している事業所がほかの事業所と比べてこれだけ保健事業を多く実施している、効果が違うとか、結局N=1ごとの事例は現実感を持って皆さんの心にも響きやすいので、全体を俯瞰した評価と、もう一つは部分にはなるのですけれども、こういう取り組みをちゃんとやったところは1年、2年たってこうなっているという両方の評価があるといいのではないかと。後者であれば、まだ10%だけれどもそれを何倍に普及すれば効果が全体であがるとか、どうしても5年、10年となってしまうのですが、示し方だとは思いますけれども、単年度で成果を出せるところはしっかりと成果を示していただけるのがいいと思います。
2つ目は、先ほど組織の話もあったのですが、我々大学もそうなのですけれども、協会けんぽさんの場合この10年間である程度定常業務が安定して、保険運営や基幹業務の効率化というのが評価されていると思います。今後11年目以降というのは、データヘルスのように、職員一人一人が業務をやる中で、もうちょっとこうしたらいいのではないかという創意工夫が必要だと思います。きょうの資料にもあったように、年に3回理事長様から全社員にメッセージを出されているというのは本当にすばらしいことだと思います。創意工夫はある程度余裕がないとできないということもあって、先ほど先生からありました人員体制や場合によっては組織の見直しが必要なのかもしれないと思います。
○土田座長 ありがとうございました。
森下構成員どうぞ。
○森下構成員 本当にいろいろと勉強させていただきました。ありがとうございました。私は質問の中でも言わせていただきましたけれども、いろいろと御努力していただいて、旧社会保険庁がやられていることが協会けんぽになって随分変わってきたなと思っております。
あと1つ、2つお話ししたいのは、順番からどうかわかりませんけれども、国が行っている医療保険制度の中で、協会けんぽさんが保険者としてもっと主体性を持って国に対しても意見発信ができるような、せっかくいろいろなデータと現場とのお話という実績があるので、そういう位置づけになってほしいなと私は考えております。
それと、先ほどの質問の中で、三千数百万人の被保険者がおいでになるわけですけれども、その中で9人以下の小さな事業所さんが、さっき計算しましたら約167万社あるという話ですが、そこに所属する、逆に言うと2000万人以上の従業員の方、要するに被保険者の状況がなかなかまだ見えてきていないなというのが、この統計の中でわかりました。ここにスポットを当てるのか、それとも平均値としてそこを一律で扱うのかわかりませんけれども、その辺についても目を通していただけたらなと思います。
それと、資料31ページにありますけれども、将来の5年収支の見通しという項目の中で、せっかく表をつくっていただいているのですが、先ほど質問した中で、もし、これから平均給与が減るようなこと、見えない給与がどこかに存在する場合のマイナスの想定値が出ていないと。マイナスを考えると数字、表、グラフが非常につくりにくいというのはよく理解できるのですが、その辺についても危機感を持って、出しにくい数字でも思い切って出すというのも、こういう報告書のつくり方の中にはあるのかなということもちょっと考えたところでございます。
いろいろと教えていただきまして、ありがとうございました。
○土田座長 どうもありがとうございました。
最後に私からも一言申し上げたいと思います。これは昨年もちょっと申し上げたと思いますが、政府の組織から外に出た組織としては、協会けんぽというのは最も成功している団体だろうと思っております。特に医療保険の場合は、中間的な機能集団というものが最も適切だろうと思っております。つまり、当事者自身に基づく中間団体というのは、お医者さんあるいは患者さん、被保険者などの個別的な要求に対して差別的な対応をしないという機能と、国のほうからおりてくる財政的に厳しい対応や、あるいはいろいろな事業活動に対して、被保険者の利害を代替する組織として活動していくという役割を担っておりますので、そういう独立した自治団体としての中間機能集団というものが社会保険においては最もふさわしいと思っております。そういう面から見ますと協会けんぽというのは、ちょっと上からの言い方になりますけれども、非常に成長したといいますか、そういうものとしてふさわしい組織になってきたと思っております。
ただ、これからのことを考えると、必ずしも甘い見通しに立つことはできないということは、言うまでもありません。1つは、人口減少・高齢化に対して、どう医療保険が対応すべきかということは非常に難しい問題です。さらに、協会けんぽの場合は各都道府県に支部があるわけですが、その支部間による地域格差あるいは地域の特性というものが非常に変わってきております。もう一方では、高齢化に伴う介護保険との関連というものが医療保険事業としては非常に重大な課題になってくるであろうと思っております。したがって、地域差なり介護保険の関係ということで、協会けんぽがこれからどう事業活動を展開していくかというところは非常に難しい課題として出てくるということです。
もう一つは、当事者自身である中間団体というのは最も大事なのは財政の自立です。ただ、協会けんぽの場合は政府からの財政支援を受けておりますので、それほど自由にいかないというところはあるわけですけれども、それにもかかわらず、当事者として保険料率をどう設定していくかということ。これは事業主負担にも大きく絡んでくる問題で非常に難しい問題だと思いますけれども、そこの合意形成及びどうしてもやむを得ない場合には保険料を引き上げていくということに対する覚悟、あるいはそういう説得にも直面する可能性がありますので、そういうことについても十分な機能を発揮していただきたいと思っております。
今、世界的に見て従来の福祉国家体制というものが非常に揺らいできておりますが、そういうことから考えても、社会保険あるいは社会保障というものがきっちりと国民の生活を支えていくということがますます重要になってきております。日本はこれまである程度そこをうまくやってきておりますので、ぜひとも医療保障の中心的組織として、これからもますます活躍されていくことを祈念しております。ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
以上をもちまして、今年度の業績評価検討会を終了いたします。どうもありがとうございました。
 
 

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