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2013年10月28日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

○日時

平成25年10月28日(月)15:00~


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○出席者

出席委員(15名)五十音順

  小 川    聡、  奥 田 晴 宏、 加 藤 総 夫、  神 田 敏 子、
  佐 藤 田鶴子、 鈴 木 邦 彦、 手 島 玲 子、  豊 見 雅 文、
  野 田  光 彦、 林    邦 彦、 古 川    漸、◎松 井     陽、
○松 木 則 夫、  本 橋 伸 高、 山 田 清 文
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(6名)

木 村   剛、 佐 藤 雄一郎、 武 田 正 之、 平 石 秀 幸、
増 井   徹、 村 田 美 穂

行政機関出席者

佐 藤 岳 幸 (審査管理課長)
森 口    裕 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
山 本 弘 史 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
山 田 雅 信 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
中 野     惠 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催いたします。本日は、お忙しい中御参集いただきありがとうございます。

 本日の委員の出席についてですが、木村委員、佐藤雄一郎委員、武田委員、平石委員、増井委員、村田委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、鈴木委員及び松木委員より、遅れていらっしゃるとの御連絡を頂いています。現在のところ、当部会委員数21名のうち、13名の先生方の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。

 それでは、松井部会長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。

○松井部会長 本日の審議に入ります。まず事務局から、配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告してください。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しています。また、議事次第に記載されている資料1~8をあらかじめお送りしています。このほか、資料9「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料10「専門委員リスト」、資料11「競合品目・競合企業リスト」を配布しております。

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いたします。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。

 資料11の1ページ、「トピナ錠25mg、同錠50mg、同錠100mg、同細粒10%」です。本品目は「てんかん患者の部分発作」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページ、「アイリーア硝子体内注射液40mg/mL及びアイリーア硝子体内注射用キット40mg/mL」です。本品目は「網膜中心静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページ、「リオナ錠250mg」です。本品目は「慢性腎臓病患者における高リン血症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 4ページ、「注射用オノアクト50」です。本品目は「心機能低下例における頻脈性不整脈」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 5ページ、「プロプラノロール塩酸塩」です。本品目は「乳児血管腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。以上です。

○松井部会長 ありがとうございます。ただ今の事務局からの説明に、特段の御意見はございますでしょうか。

 よろしいでしょうか。それでは、競合品目・競合企業リストについては、委員の皆さまの御了解を得たものといたします。

 委員からの申出状況について、事務局から説明をお願いします。

○事務局 各委員からの申出状況は次のとおりです。

 議題1「トピナ錠等」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は、小川委員、野田委員、本橋委員です。

 議題2「アイリーア硝子体内注射液等」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は、小川委員、野田委員です。

 議題3「リオナ錠」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は、林委員です。

 議題4「注射用オノアクト」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は、小川委員、野田委員、林委員です。

 議題5「プロプラノロール塩酸塩」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は、なしです。以上でございます。

○松井部会長 本日は審議事項が5題、報告事項が2題、その他の事項が1題となっております。それでは、早速ですが、審議事項議題1に移ります。議題1について、医薬品医療機器総合機構から概要を御説明ください。

○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品トピナ錠25mg、同錠50mg及び同錠100mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について、並びにトピナ細粒10%の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。

 本剤の有効成分であるトピラマートは、Janssen Pharmaceuticals社において開発された抗てんかん薬であり、海外では2012年1月現在、てんかん患者の部分発作に対する他の抗てんかん薬との併用療法について、102の国又は地域で承認されており、そのうち小児てんかん患者の部分発作に対する他の抗てんかん薬との併用療法については、70の国又は地域で承認されております。本邦では、2007年7月に「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する他の抗てんかん薬との併用療法」の効能・効果で承認されており、成人てんかん患者に対する用法・用量が設定されております。200811月より小児てんかん患者を対象とした臨床試験が開始され、有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請事項一部変更申請が行われました。

 本申請の専門委員としては、資料10に記載されております5名の委員を指名しております。

 審査内容について臨床成績を中心に説明させていただきます。

 まず有効性についてです。審査報告書11ページの表4を御覧ください。他の抗てんかん薬で十分な効果が認められない小児てんかん患者を対象に、他の抗てんかん薬に本剤を上乗せした際の有効性及び安全性を非盲検非対照試験により検討いたしました。主要評価項目であるFASでの有効性評価期間における4週あたりの部分発作発現頻度減少率は34.0%であり、投与前と比較して改善が認められました。また、部分発作発現頻度減少率の95%信頼区間の下限値16.3%が、海外第III相試験のプラセボ群における部分発作発現頻度減少率等を基に設定した有効性評価基準値10%を上回りました。以上より、小児てんかん患者において、他の抗てんかん薬に本剤を上乗せしたときの有効性が示されたと判断しております。

 次に、安全性についてですが、審査報告書17ページの表9を御覧ください。小児と成人における本剤の有害事象発現状況を比較していますが、血中重炭酸塩減少、インフルエンザ、上気道の炎症、胃腸炎、咽頭炎、乏汗症、食欲減退、気管支炎、発汗障害の発現割合が小児患者で高い傾向が認められておりますが、このうちインフルエンザ、上気道の炎症、胃腸炎、咽頭炎、気管支炎については、その多くで本剤との因果関係が否定されており、偶発的なものと判断されております。また、血中重炭酸塩減少、乏汗症、発汗障害については、成人対象の臨床試験開始時には当該リスクが明確になっておらず、重炭酸イオンの測定等の積極的な情報収集が行われなかったことが一因と考察されております。ほとんどの事象が軽度又は中等度の事象であり、現行の添付文書において既に注意喚起が行われておりますので、臨床試験成績を適切に医療現場に提供いただいた上で、製造販売後調査において引き続き検討することが適切と考えております。また、審査報告書23ページの図1を御覧ください。国内外臨床試験において、本剤の長期投与により身長及び体重の増加が抑制される傾向が認められました。小児患者で多く認められた食欲減退との関連は認められず、発現機序の詳細は不明ですが、本剤では成人においても体重減少が認められていることも踏まえ、これらの情報を添付文書において適切に情報提供し注意喚起することが適切と考えております。

 次に用法・用量について、審査報告書27ページ1行目「機構は、」で始まる段落を御覧ください。国内臨床試験では1mg/kgから投与を開始し、2週間ごとに6mg/kgまで増量を行って、本剤の有効性及び安全性を確認しております。また、国内長期投与試験では、9mg/kg/日までの増量が可能とされており、増量が行われた患者では部分発作発現頻度の減少傾向が認められ、安全性上の大きな問題は認められませんでした。これらの試験結果から、用法・用量として開始用量は1mg/kg/日、推奨用量は6mg/kg/日、最高投与量は9mg/kg/日と設定することは可能と考えております。また、本剤では、海外臨床試験において、増量速度を緩徐にすることで有害事象の発現割合が低下することが確認されていることから、増量速度についても、国内臨床試験と同様に2週間以上の間隔を開けて行うよう、規定しております。

 以上の審査を踏まえ、本剤の「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかんの部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」における小児の用量追加を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請はトピナ錠については新用量医薬品、トピナ細粒については新用量医薬品及び剤型追加に係る医薬品であり、再審査期間は4年とすることが適切と判断しております。また、トピナ細粒について、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製剤及び特定生物由来製剤のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。

 以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 ありがとうございました。それでは、この本薬剤につきまして、御質疑をお願いいたします。委員の先生、いかがでしょうか。

○佐藤()委員 今回の申請のところでは、小児に限って使用するということで、専門医が、以前から診ていた患者に対して併用していこうという目標だと思います。その効果について一つだけお伺いします。臨床効果があったということと、有害事象がないとは言えないけれども少なかったからこのぐらいの量でということでしたが、これに関しては、血中濃度というのは本剤単味で測れないのでしょうか。測れないで、投与量を見越して増量していくという危険性はないのかというところを質問します。

○松井部会長 いかがでしょうか。血中濃度の測定ができるのかどうか。

○機構 機構より御説明させていただきます。まず御質問いただいた点ですが、技術的にトピナ錠トピラマートの血漿中濃度を測ることは可能です。しかしながら、本剤トピラマート錠につきましては、第二世代の抗てんかん薬と呼ばれており、血中濃度等を、さほど厳密にモニタリングせずとも増量等を行える、薬物有効治療濃度域が比較的広い薬剤になりますので、患者の症状をモニタリングしながら増量等を行っていただくということで、海外でもこれまで使用されてきておりますし、国内でもこれまで成人でそのように使用されてきておりますので、小児てんかん患者においてもそのような使われ方をするものと考えております。

○佐藤()委員 成人ではそうでしょうが、今回は小児が適応拡大になっているので、懸念しており、質問させていただきました。小児でも同じ考え方でよろしいのでしょうか。

○機構 機構より御説明させていただきます。小児につきましても、基本的には同じ考え方で使っていただくものと考えております。既に本剤につきましては成人の効能をもっておりまして、その過程で、申請者から小児でも実際には現場で使っていただいているという話を伺ってきております。小児でも実際には使われている状況下で、これまで特段問題が起きておりませんので、今の時点で血中濃度のモニタリングを厳密にお願いしていくという状況にはないと考えています。

○松井部会長 今の御質問は、外国の小児においても、血中濃度の測定なしに使われていると、多くの国で使われているという意味ですね。

○機構 その理解で結構です。

○松井部会長 ほかには何かございますか。

○古川委員 代謝性のアシドーシスという言葉が出てきていますね。重炭酸塩減少は、子供の方がよく見られているというお話がありました。子供というのは、1日食べないと、ケトンが産生し、非常にアシドーシスになりやすいのです。そういうときにもこの薬を飲んで本当に大丈夫なのか。代謝性アシドーシスが更にアクセルされる可能性があります。特に子供は筋肉がないので、糖の燃焼というのはすぐに終わって、糖新生が起こりにくいのです。するとケトンが出てきて酸性に傾きやすい。ですから、1日ぐらい食事しないと、かなり代謝性アシドーシスを起こしやすいにもかかわらず、この薬を飲んでいると、その辺がどのような日変化を及ぼすのかということで、いかがでしょうか。

○松井部会長 いかがでしょうか。事務局の方から御説明をお願いします。

○機構 機構より御説明させていただきます。審査報告書18ページの表10を御覧ください。国内臨床試験において認められた血中重炭酸塩の減少の程度について、こちらに記載させていただいております。現象として、有害事象とは認められておりますが、下がっている数字としては大体これぐらいの数字となっておりまして、かつ本剤を飲むことによって日内変動と連動して大きく変わっていくというような話は、これまで確認されてきておりません。本剤を飲むことによって、血中重炭酸塩の減少については、一定のリスクはございますが、先生から御指摘いただいておりますとおり、食事によって重炭酸塩については減少が認められるものとは思いますが、本剤を飲むことによって、極端に大きく下がるということはこれまで出てきておりませんので、一律に今の時点で、食事を摂らなかった患者に対して強く注意喚起を求めていくという状況にはないものと考えております。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○古川委員 そうすると、今までの重炭酸塩が減少したそういう患者さんの食事とか何かを調べてあると、更に分かりやすかったと思うのです。前日の食事を余り摂らなかったとか、そういうことなのでこういう傾向が出ているのか、それが一つです。

 もう一つは、今まで普通に全部食事をされていて、それで重炭酸塩が下がっているとなると、摂れなかったときは普通に服用していいということが本当に許されるかどうかということです。例えば外国の論文を見つけてみて、そういう報告はないのでしょうか。

○機構 機構より御説明させていただきます。まず御指摘いただいた1点目、食事の状況につきましては、臨床試験の中で特にそういった情報を収集しておりませんので、現時点では不明でございます。その点については必要に応じて製造販売後調査等で検討するように、我々の方でも検討させていただきたいと思います。

 2点目、論文につきましても、これまで積極的にそういったデータが取られているかどうかということについて、現時点では我々の方でデータを持ち合わせておりませんので、その辺りについても確認させていただきたいと思います。

○松井部会長 今、古川先生の御懸念の点は、この審査報告書18ページの表11の下2行目の所に、成人と小児16歳未満における重篤な代謝性アシドーシスに関連する有害事象と書いてあるわけですね。食事が摂れないばかりか、例えば急性胃腸炎などのようなときに、吐いてしまうということで、脱水からひどい場合には代謝性アシドーシスになっていくこともあり得るわけなので、それを御心配なのだと思います。どうでしょうか。何か注意喚起をするようなことは、やはりした方がいいのではないかと私も思います。

○機構 機構より御説明させていただきます。代謝性アシドーシスに関しては、18ページの表10の所に、いわゆるイオンの変化量といったものでの測定結果、有害事象での話があると思うのですが、まず本薬剤に関して、こういったアシドーシスの一定のリスクがあることは、もう既に添付文書の上で注意喚起しております。ですので、例えば食事を摂らなかったからといって、一律に本剤の投与の必要性を考慮する必要はなく、そこは個々の患者の症状に応じて判断いただくものと考えております。また、表10の中でこういった変動が認められますが、そういった患者に関しても本剤を継続して治験の中では投与しているというところから、そこの部分の安全性はある程度説明は可能だと考えております。

 一方、重篤なリスクに関しましては、これは現場で、ある程度先生方の御判断に基づいて、投与の継続の可否を判断いただくものだと考えております。それに関しましては、添付文書というよりも、むしろ添付文書では既に一般的なリスクに関しては注意喚起しておりますので、個々のケースに基づいて判断いただければと考えています。また、重篤なものに関しましては、製造販売後調査の中でも併せて確認していきたいと考えております。

○古川委員 やはり代謝性アシドーシスがあるときは、そういうことに詳しい専門委員も、もう少し加えてやるということが本当は必要ではなかったかと思うのです。食事の調査をきちんとしてみるとか、そういうのが安全性ということについては大切なことだと思います。この薬についても、余り納得していないですが、その後の調査にお任せするということでよろしいかと私は思います。

○松井部会長 ほかの先生方、いかがでしょうか。

○小川委員 この薬の成長抑制作用について、23ページのグラフを見ているのですが、これは用量依存性ということまで含めて検討はなされているのでしょうか。もしそうであれば、最後に、用法・用量でコメントが27ページにあったのですが、最初は1mgで最高投与量は9mgと書いてあるのですけれども、そういうことを含めての安全性が9mgまで確認されているという理解でよろしいのですか。

○機構 機構より御説明させていただきます。このグラフ等書かせていただいております国内外臨床試験については、いずれも可変用量で実施させていただいておりまして、一定の用量で維持して患者の状態を確認するというような試験デザインにはなっておりません。そのため、用量依存性については、今のところ説明可能なデータがない状況になります。ただ、この試験の中でいずれも9mgまで一定数の患者が増量されているということを確認しておりますし、その中で安全性は確認されているものと判断しております。

○小川委員 どのぐらいの症例で検討されたか分かりませんが、9mgを長期的に投与した場合に、低用量と比べて発育障害がより顕著に出てくるということが、今後の検討でもよろしいのですが、注意深く見ていかなければいけないのではないかという気がします。よろしくお願いします。

○機構 御指摘ありがとうございます。用量と副作用等の発現状況の関連性につきましては、製造販売後調査の中でしっかりと確認をするように指導させていただきます。

○松井部会長 ほかにはいかがでしょうか。

○加藤委員 やはり代謝性アシドーシスのことが気になります。例えば資料1.6「外国における使用状況」の所に、アメリカとイギリスの添付文書があるのですが、これだけ書いてあると詳しく分かるかと思います。まず、1.6「外国における使用状況等に関する資料」というタブが付いている通しページ12ページです。このアメリカの添付文書には、代謝性アシドーシスを、かなり詳しく2ページを割いて書いている。どういうリスクの患者がいるかということで、上から10数行目の所に、腎疾患、重度の呼吸疾患、てんかん重積状態、下痢、ケトン食療法または特定の薬剤というのが明記されていて、特にてんかん重積状態であるとか、ケトン食療法、これは日本でどのぐらい行われているのかというのは、私は専門外で知りませんが、てんかんの治療としてケトンダイエットはかなり広くアメリカなどでは使われておりますので、そういう患者には非常に気をつけなければいけない、代謝性アシドーシス率が高いということが明記されております。同じようにイギリスの添付文書を見ても、通しページの134ページになりますが、やはりそこに量は少ないですが、代謝性アシドーシスについて半ページほどを割いて記述があり、全く同じことが書いてあります。腎疾患、重度の呼吸障害、てんかん重積状態、下痢、外科手術、ケトン食療法というのがあって、特にケトン食療法とか、あるいはてんかん重積とか、この薬物の適応となる患者でも十分あり得るような状態が明記されています。もちろん専門医だったらそのようなことは分かるだろうということはあるかもしれませんが、先ほどのお話で、これに関して、要するにリスクファクターを持っている患者さんはどういうものかというのを、もう少し日本の添付文書でも詳しく書いた方がいいのではないかと感じました。

○機構 機構より御説明させていただきます。海外の添付文書については、もともとこういった詳しいデータについてしっかり踏み込んで書いていくという記載方針になっておりますが、日本の添付文書ではここまで詳しいデータをきちんと上げて、その内容を説明するというようなスタンスをとっておりませんので、この辺りのデータの書きぶりや豊さについては、若干異なっている状況です。本剤では「インタビューフォーム」ですとか、製販業者が作っております「患者向け医薬品ガイド」において、具体的な代謝性アシドーシスの初期症状等について、今は記載させていただいておりまして、そういったものから、しっかり患者の方に注意喚起をしていただき、早期受診につなげるというような形で対応させていただいているというところです。一方で、リスク因子等につきましては、本邦の情報提供資材等におきましても、特にこれまで記載されていないところですので、先生から頂いた御指摘も踏まえ、今後リスク因子について、しっかり注意喚起をするようにということで、指導させていただきたいと思います。

○松井部会長 いかがでしょうか。恐らく委員の先生方、私も含めまして、小児で食欲が落ちる、あるいは嘔吐する、そのために水分が摂れない、そういうことによるアシドーシスへの可能性について、添付文書だけでなくて配布物に、食べないとき、吐くときは気をつけてほしいというのは書いていただきたいと思うのですが、御考慮いただけないでしょうか。

○機構 今こちらから説明いたしましたように、インタビューフォームであるとか、患者向けの資材の方には、本日御議論のありましたリスク因子について、十分に考慮するような記載に改めるよう、申請者の方に指示したいと思います。

○松井部会長 よろしくお願いします。委員の先生方、それでよろしいですか。

 ほかにはございますか。もしなければ今の答弁に基づきまして、議決に入ります。小川委員、野田委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加は御遠慮いただきたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいですか。

 ありがとうございます。それでは、本議題について承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題2に移ります。医薬品医療機器総合機構より、御説明をお願いいたします。

○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品アイリーア硝子体内注射液40mg/mL及び同硝子体内注射用キット40mg/mLの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。

 本剤の有効成分であるアフリベルセプト(遺伝子組換え)は、ヒト免疫グロブリンG1のFcドメインに、ヒトVEGF受容体の細胞外ドメインを結合した組換え糖タンパク質であり、本邦では2012年9月に「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性」(以下、滲出型AMD)を効能・効果として承認されています。本申請の効能・効果である「網膜中心静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」(以下、CRVOに伴う黄斑浮腫)については、本邦において□□月より臨床試験が開始され、今般、有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。海外では2013年9月現在、CRVOに伴う黄斑浮腫に対して米国、欧州等の33か国で承認されています。

 本申請の専門委員としては、資料10に記載の4名の委員を指名いたしました。

 審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。CRVOに伴う黄斑浮腫を有する患者を対象とした臨床試験として、シャム対照無作為化二重遮蔽並行群間比較試験である海外第III相試験(以下、COPERNICUS試験)及び日本人を含む国際共同第III相試験(以下、GALILEO試験)の2試験が実施されました。

 有効性について、審査報告書7ページの図1及び9ページの図2を御覧ください。図1は、COPERNICUS試験、図2はGALILEO試験における視力の指標であるBCVAスコアのベースラインからの平均変化量の推移を示しています。COPERNICUS試験及びGALILEO試験のいずれにおいても、主要評価項目である投与24週目にベースラインから15文字以上の視力改善が見られた症例の割合について、本剤群のシャム群に対する優越性が検証されました。

 安全性について、審査報告書16ページ、表10を御覧ください。COPERNICUS試験及びGALILEO試験において、シャム群と比較して本剤群では結膜出血、眼痛、眼圧上昇等の発現割合が高い傾向を示しましたが、ほとんどの事象は注射手技に関連するものであり、治験薬との関連性はないと考えられています。また、投与52週目までと、それ以降に認められた主な有害事象は同様であり、長期投与に伴い特定の事象の発現が増加する傾向は認められておりません。

 最後に用法について、審査報告書21ページの表15を御覧ください。COPERNICUS試験及びGALILEO試験では、本剤を4週ごとに連続6回投与すると設定されていましたが、視力が改善し、その後の安定が認められる時期は患者によって異なっており、一部の症例では連続6回未満の投与で有効性が期待できる可能性が示唆されました。これらを踏まえると、用法・用量として、投与量と最低限必要な投与間隔を規定した上で、1か月に1回を目安に視力等を測定し本剤投与の要否を判断する旨、及び投与開始後、視力が安定するまでは1か月に1回投与することが望ましい旨を注意喚起することが妥当と判断しています。

 以上の審査を踏まえ、本剤の「網膜中心静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」の効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新効能医薬品及び新用量医薬品に該当し、再審査期間は中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性に係る再審査期間の残余期間である平成32年9月27日までとすることが適切と判断しています。なお、薬事分科会には報告を予定しています。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方、御質疑をお願いいたします。

 硝子体内投与ですから、どこでもできるというわけではないようですが、いかがでしょうか。

 特に御意見ございませんでしょうか。特段の御意見がなければ、議決に入ります。なお、小川委員、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきます。本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか

 ありがとうございます。本議題について承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 次は、議題3に移ります。医薬品医療機器総合機構より御説明をお願いいたします。

○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品リオナ錠250mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。

 クエン酸第二鉄水和物(以下、「本剤」といたします)は、消化管内の食事由来のリン酸と本剤に含まれる鉄が結合し難溶性の沈澱を形成することで、リンの吸収を抑制する経口リン吸着薬です。既存の経口リン吸着薬としては、沈降炭酸カルシウム、セベラマー塩酸塩、ビキサロマー及び炭酸ランタン水和物が用いられていますが、それぞれの薬剤の特性により、高カルシウム血症、便秘を主とする胃腸障害、長期投与時の組織蓄積の懸念等の問題点があります。

 本剤はカルシウムを含有せず、また非ポリマー性であることから、安全性上の懸念が少ない新規経口リン吸着薬になり得ることが期待され、高リン血症を呈する保存期及び透析中の慢性腎臓病患者を対象として開発がなされました。なお、海外では他社により開発が行われており、米国では審査中ですが、現時点で承認されている国はありません。

 本品目の専門協議では、本日の資料10に示す専門委員を指名いたしました。

 以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。主な臨床試験成績として、血液透析患者、腹膜透析患者及び保存期慢性腎臓病患者を対象とした国内第III相試験及び長期投与試験の成績が提出されています。

 血液透析患者における有効性に関して、報告書33ページの表18を御覧ください。セベラマー塩酸塩を対照とした第III相試験が実施された結果、主要評価項目である「投与開始日に対する投与終了時の血清リン濃度の変化量」において、本剤群のセベラマー塩酸塩群に対する非劣性が検証されました。また、投与終了時の目標血清リン濃度達成率についても両群で同程度であったこと等から、血液透析患者における本剤の有効性は示されたと機構は考えました。

 腹膜透析患者における有効性に関して、報告書37ページの表25を御覧ください。第III相一般臨床試験が実施された結果、主要評価項目である「投与開始日に対する投与終了時の血清リン濃度の変化量」において、投与開始時と比較して投与終了時で血清リン濃度が低下傾向にあることを確認しました。本試験は非盲検非対照試験とされたため、得られた臨床試験成績による本剤の有効性の評価には限界があることに留意する必要があるものの、血液透析患者を対象とした試験で有効性が示されていること等も考慮すると、腹膜透析患者に対する本剤の有効性は示唆されたと機構は考えました。

 次に、保存期慢性腎臓病患者における有効性に関して、報告書38ページの表27を御覧ください。プラセボを対照とした第III相試験が実施された結果、主要評価項目である「投与開始日に対する投与終了時の血清リン濃度の変化量」において、本剤群のプラセボ群に対する優越性が検証されました。また、投与終了時に目標血清リン濃度を達成した患者は一定程度いること等から、保存期慢性腎臓病患者における本剤の有効性は示されたと機構は考えました。

 安全性に関して、報告書33ページの表19を御覧ください。血液透析患者を対象とした国内第III相試験における有害事象の発現状況を示しています。本剤投与により、主に下痢を中心とする胃腸障害が認められました。また、腹膜透析患者を対象とした試験及び保存期慢性腎臓病患者を対象とした試験においても、それぞれ36ページの表2338ページの表28に示すとおり、同様の傾向が認められました。いずれも現時点では臨床的に大きな問題となる事象は認められませんでしたが、胃腸障害、鉄過剰等について添付文書で注意喚起するとともに、製造販売後調査において引き続き検討する必要があると機構は考えました。

 以上、機構での審査の結果、血液透析施行中及び保存期の慢性腎臓病患者における高リン血症に対する本剤の有効性は示され、また腹膜透析施行中の慢性腎臓病患者においても有効性は示唆される成績がそれぞれ得られており、認められたベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と考えられたことから、本剤を承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。

 なお、本剤は新有効成分含有医薬品であるため再審査期間は8年間、原体及び製剤はいずれも毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断することが適当であると考えています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。

○神田委員 御説明がなかったのですが、小児の使用について、66ページに記載があります。鉄分の含有量について記載がありまして、アメリカのFDAでは、誤飲ですが、30mg以上含まれているものについては、重篤な障害があったという説明があります。本剤の1錠中には、鉄分が62mg含まれるということですが、ただし、小児への使用は禁止していないので使えるということですね。その辺の関係をどのように理解したらよいのか。誤飲とはいえ30mgで重篤な状況がある中で、62mgを使用するに当たって何か心配することはないのかどうか気になりました。

○機構 先生に御覧いただいた66ページに、申請者も、本剤の小児患者に対する投与経験がないため、適切な用法・用量は不明であるとして、添付文書の「小児等への投与」の所でも、使用経験がない旨と安全性が確立していないという旨が書いてあります。基本的にこの注意喚起によって、投与は慎重に判断していただくことになると思います。また、66ページの結論の所にも書いているとおり、小児が誤って服薬しないように、患者向けの情報提供を行うということにも申請者がしています。そういった面から、小児に対する安全性の対策は取られていると考えています。

○機構 また、欧州では小児の適用の開発は、検討はされている様子ではありますので、審査報告書67ページの上の方に記載させていただいています。ですから、現時点で小児の使用を一律に禁止するような状況下ではないとは考えています。市販後、実際に使用経験等も集積してくると思っていますので、その中で安全性等も横にらみで、今後、小児の開発を進めるのか、また、使用上の注意等で誤使用、誤嚥等、さらなる注意喚起が必要かどうかを検討させていただきたいと思っています。

○神田委員 分かったような気がしますが、少し納得できないところがありました。誤飲などについては、小児の手に届かない所ということを書けばその手立ては取れていると思いますが、実際に医師が使う場合に、30mg62mgの関係を本当にきちんと正しく使えるのか。30mg62mgというのは倍も違うので、その数字の違いに少し戸惑ったというか、その関係がよく分からなかったのです。

 もう一つ、67ページの一番上の所に、EUでこれから開発の計画があるという、そういった開発計画について、「臨床試験を予定しているが、国内での開発は計画していない」と書いてあります。これは欧州の国内において開発されていないと私は読んだのですが、その下の機構の説明では「欧州で計画があることを踏まえると」となっているので、その点の文章の読み方について教えてください。

○機構 ここの「国内」というのは、日本のことを指しています。欧州では開発というか試験が予定されているという情報までしか聞いていませんが、試験をした結果、それをもって欧州で申請をするかどうかは、これからの結果次第ではないかと考えています。

○神田委員 その下で、「機構は」の方の文章は、「欧州では小児に対する開発計画があることも」と書いてあります。ですから、上の「国内」が日本であると少し矛盾しませんか。文章のことで申し訳ありません。

○機構 分かりにくい文章で申し訳ありません。今の国内の事情に関しては御説明しましたとおりです。御指摘で、ここの文章が分かりにくいということであれば、「日本国内」という形に記載を適宜修正します。

○松井部会長 そうではなくて、内容です。

○神田委員 私の説明がうまくできませんが、上から2行目の「国内」は日本だとお答えをいただきました。その下の、「機構は」という所の3行目には、「欧州では小児に対する開発計画があることから」と書いてあります。欧州については、開発があるのかないのかがよく分かりません。上では、臨床試験をする予定があるが、今のところは、開発は計画していないわけですね。

○機構 欧州では開発しております。国内では開発を計画していない、現時点ではしていない。申請者は、市販後の調査も含めて国内のニーズ等も踏まえながら今後検討していきたいということです。

○松井部会長 私がお答えしてよいかどうか分かりませんが、日本では子供に対する臨床試験の体制が十分に確立していないというところはあります。これは、私の聞いたところ、欧州では臨床試験は計画しているのですね。

○機構 はい、おっしゃるとおりです。

○松井部会長 それが日本でなかなかできないというのは、ある意味で情ないところですが、そういうことを言いたいのだと私は理解しました。

○神田委員 分かりました。臨床試験イコール開発に向けての作業と捉えればよいということですね。

○松井部会長 開発というか、それを安心して使えるかどうかを、国民の皆さんに示すということです。

○神田委員 つまり、欧州では計画があると捉えていいのですね。分かりました。

○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。

○佐藤()委員 言葉尻を取り上げて申し訳ありませんが、本薬は日本で製造するのですか、それとも、外から輸入して日本たばこ産業が売り出すのですか。製造、開発は欧州では計画していないけれども、実際には、使ってみたら臨床的に使えることも先々考えているという理解なのでしょうか。開発という意味は、ただ臨床使用ということを言っているのでしょうか。

○機構 まず、先生に頂いた1点目の御質問ですが、本剤の原薬であるクエン酸第二鉄は□□□で製造しますが、錠剤化するのは日本国内ですので、国内製造ということになると思います。

 小児への開発の件は、我々が書きました意図が分かりにくかったかもしれませんが、欧州では小児に対する開発計画があるということで、小児に本剤が必要とされる可能性はあるであろうとは考えています。ただ一方で、今の日本での必要性は、海外の動向等も確認しながら判断することになるのではないかと思いますので、そういうことで海外について書かせていただきました。一方で、製造販売後に本剤が使用される可能性については、現時点では禁止まではしておりませんので、実際に使われる可能性はあると思います。そういった場合には、その情報を収集してほしいという意味で書いています。

○佐藤()委員 分かりました。

○松井部会長 ほかにはいかがでしょうか。

○手島委員 細かいところですが、添付文書の「用法・用量」の3行目です。症状で、「血清リン濃度の程度により適宜増減するが」とありますが、これは管理目標値を参照して適宜増減するということで、「管理目標値」というような言葉を入れた方がより正確になるのではないかと思います。

○松井部会長 お分かりになりましたか。ページ数はどこでしょうか。

○手島委員 添付文書の1.8の最後の「用法・用量」の所です。その3行目です。「リン濃度の程度により適宜増減するが」という所です。ここでは「管理目標値を参照に」などの言葉を入れた方がより正確になるのではないかと思います。

○機構 ありがとうございます。「重要な基本的注意」の()の所に、御指摘と同様の記載はあるのですが、先生の御指摘は、用法・用量に関連する使用上の注意の方が分かりやすかろうという御趣旨でよろしいでしょうか。今、類薬で()のような記載が既にある中で、揃えました。

○手島委員 分かりました。

○松井部会長 よろしいですか。

○手島委員 はい。

○松井部会長 ほかにはいかがですか。よろしいでしょうか。

○山田委員 今と同じ、添付文書についてです。1ページの「重要な基本的注意」の()の下の所に、エリスロポエチンと併用する場合には過剰造血に注意することとありますが、これの具体的なデータ等はあるのでしょうか。また、「定期的に測定をし」とありますが、これはもう少し具体的に、1か月に1回程度などのように記載することはできないでしょうか。以上の2点をお願いします。

○機構 1点目の、具体的なデータ等というのは、例えばどういったものでしょうか。

○山田委員 どれぐらい過剰造血が起こったのか、そういうデータがあるのでしょうか。

○機構 ヘモグロビンの変化については報告書58ページの表を御覧ください。こちらで、本剤を投与後にヘモグロビン濃度が上昇したという結果が認められていて、58ページの下から59ページにかけて、その点を議論しています。申請者としては、ESAや静注の鉄剤等のコントロールをしたことで、この試験中ではそれほど問題となるような過剰造血は認められていないということは言っていますが、潜在的なリスクがありますので、ヘモグロビン濃度等を定期的に測定する必要があるということで、この記載をさせていただきました。「定期的に」という所の御指摘については、我々内部でも検討しましたが、基本的には、こういった慢性腎臓病の患者さんは、普段から患者さんの状態に応じて1か月~3か月の間で測定がされていると思いましたので、そこはあえて具体的に記載せずに、ただし放っておくのはいけないと思いますので、「定期的に測定する」という注意書きで十分ではないかと判断して、このような形になっています。

○山田委員 ありがとうございます。臨床現場では、「定期的」というのはなるべく具体的に書いてほしいという意見がありますので、検討していただきたいと思います。それから、今と同じ所で、「特に赤血球造血刺激因子製剤と併用する場合には」という最後の文章については、何か具体的なことがあるのでしょうか。

○機構 これは臨床試験の結果で、先ほどの報告書の部分にもなりますが、ESA製剤と併用した場合と、併用しなくてもヘモグロビン濃度が上がっている場合がありましたので、必ずしもESA製剤との併用によって上がるのかは分からない面もありますが、「特に」と付けて、これには特に注意していただきたいという意図で書いています。

○山田委員 透析の患者さんですと、こういう患者さんはかなりいらっしゃるのではないかと思います。もう少しデータ等があると、現場では安心かと思います。

○松井部会長 データはあるのですか。

○機構 データはありますが、添付文書に書けるかどうかはこれから検討させていただいて、必要に応じて、資材等でそういった情報提供をするように検討していただくようにしたいと思います。

○山田委員 インタビューフォームなどにまとめていただけると有り難いと思いますので、よろしくお願いいたします。

○機構 検討させていただきます。

○松井部会長 ほかにございますか。

 よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。林委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきます。本議題につきまして今の討論を踏まえた上で、承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、本議題について承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 次に、議題4をお願いいたします。

○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品注射用オノアクト50の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。

 審査報告書4ページ上を御覧ください。本剤の有効成分であるランジオロール塩酸塩は、小野薬品工業株式会社により開発された短時間作用型 ベータ 1 遮断薬です。本剤は2002年7月に「手術時の下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置:心房細動、心房粗動、洞性頻脈」を効能・効果として承認され、200610月に「手術後の循環動態監視下における下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置:心房細動、心房粗動、洞性頻脈」の効能・効果が追加承認されております。海外では発売、承認取得、承認申請のいずれも行われておりません。

 今般、国内臨床試験の成績を基に、「心機能低下例における下記の頻脈性不整脈:心房細動、心房粗動」の効能・効果を追加する医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。心機能が低下した患者が心房細動、心房粗動を合併した場合、その影響により循環動態が更に悪化するため、心拍数コントロールが有意義と考えられ、本剤が開発されました。

 本品目の審査に関しては、専門委員として資料10に記載されている委員が指名されました。

 審査の概略について、国内臨床試験の成績を中心に御説明いたします。審査報告書5ページ下を御覧ください。国内臨床試験では、心機能が低下した頻脈性不整脈患者が対象とされました。本剤の用法・用量は1μg/kg/minの静脈内持続投与で開始し、10μg/kg/minまでの範囲で適宜用量調節することとされ、投与期間は最低2時間、最大72時間とされました。

 まず、有効性について御説明いたします。審査報告書6ページ中程を御覧ください。有効性の主要評価項目は、治験薬投与開始2時間後に治験薬投与直前の心拍数に対する20%以上の徐拍化が認められ、かつ治験薬投与開始2時間後の心拍数が110/分未満であった被験者の割合とされました。当該目標を達成した被験者の割合は、本剤群で48.8%、対照群とされたジゴキシン群で13.3%であり、調整解析により算出した割合の群間差は34.1%と有意差が認められました。

 続いて、安全性について御説明します。審査報告書8ページ、表1を御覧ください。有害事象の発現割合は本剤群で32.3%、ジゴキシン群で32.7%でした。また、本剤の作用機序を踏まえ、血圧低下及び徐脈に関連する有害事象の発現状況を確認しましたが、いずれの発現割合も、本剤群とジゴキシン群で大きな差は認められませんでした。

 以上の成績より、本剤により、心機能が低下した患者における意義のある心拍数コントロール効果が得られ、認められた有効性を考慮すると、許容可能な安全性は示されていると判断できたことから、本剤は、頻脈性の心房細動又は心房粗動の発現時に、速やかな心拍数管理や、副作用発現時の速やかな中止が可能な薬剤として、臨床現場に提供する意義があると判断いたしました。

 効能・効果については、審査報告書26ページ「2.効能・効果について」を御覧ください。国内臨床試験の結果から、心機能が低下した頻脈性心房細動又は心房粗動の患者において、本剤の慎重な投与により、大きな危険を伴わない心拍数低下効果が得られることが示されているため、本剤の効能・効果は「心機能低下例における下記の頻脈性不整脈:心房細動、心房粗動」とすることが妥当と判断いたしました。

 本剤投与による心不全の増悪に関する検討については、審査報告書28ページの「8.心不全増悪について」を御覧ください。 ベータ 遮断薬は陰性変力作用を有しますので、本剤投与により心不全が増悪する可能性に留意する必要があります。既承認の効能・効果では、「うっ血性心不全がある患者」が禁忌とされていることや、非代償性心不全の患者のような、本剤の投与による心不全増悪のリスクが高いと考えられる患者ばかりが、国内臨床試験に組み入れられたわけではないことから、重篤な心不全のある患者を投与対象とすべきかが論点となりました。しかし専門協議において、より注意深い投与が必要であるが、心不全悪化のリスクが高い重篤な心不全の患者こそ、本剤の恩恵を受ける対象患者であるといった議論がなされ、本剤の使用に当たってはICUやCCU等の施設があり、心不全治療の経験が十分にある医師が使用することを規定する等、リスクコントロールに関する方策を添付文書に記載した上で、「非代償性心不全の患者」を慎重投与とすることが妥当と判断しました。

 製造販売後調査については、審査報告書31ページの「10.製造販売後調査等について」を御覧ください。製造販売後調査では、本申請で慎重投与とされた「非代償性心不全の患者」に本剤を投与したときの安全性や、本剤投与前後の経口 ベータ 遮断薬との切替えに関連する安全性、腎機能障害患者や高齢者等に対する本剤の安全性、中長期的な予後に関する情報を収集する必要があると判断しました。申請者はこれらの情報を適切に収集するために、調査予定症例数を800例とした製造販売後調査の計画を提出しております。情報収集する項目も含め、申請者の方針は妥当と判断いたしました。

 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが妥当と判断いたしました。本申請における本剤の再審査期間は4年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質疑をお願いします。

○小川委員 今の御説明は、非代償性心不全を慎重投与で使ってもいいという条件付けが、ICU、CCU等で、なおかつ心不全の治療に慣れた医師のいる所だったらいいけれども、それ以外は駄目ということではないですね。望ましいけれども、できればということなのでしょう。これはかなりリスクの高い治療法になります。例えば、手術室で麻酔科の先生が使う可能性も非常に高い薬なのです。現実に使われているのです。そういう中で心不全、心機能が著しく低下した人に使って、うっ血性心不全が増悪したときに、本当に対応できるかというと少し危険かと思います。これには専門の先生が議論された経緯が書いてあるので分かるのですが、専門の先生はいつでも治療ができるという自信があるけれども、それ以外の人が管理していて心房細動に遭遇することがあります。特に外科の先生などは、たくさんいらっしゃると思うのです。ここは本当に慎重にしないといけないと思います。1例、亡くなった例があったということも書いてあるのですが、どういう状況で亡くなったかは分かっているのですか。

○機構 最初に1例、死亡が認められた経緯については、審査報告書8ページ、表1の下に記載があります。こちらの患者は、まず1μg/kg/minから開始して、6μg/kg/minまで投与を漸増していきました。しかし投与開始から2時間54分後に投与を終了して、投与終了12時間後に呼吸不全が出現し、うっ血性心不全の急性増悪が認められました。その後、治療はしたのですけれども、結果として31時間後に死亡してしまったという経緯です。治験の中では、本薬投与終了から大分時間がたっており、本薬の作用によるものではないという判断がされたのですけれども、実際に投与されていた期間での変動で、どういう結果があったのかということについてまでは分かりません。その辺り、やはり製造販売後調査等について、中長期的な予後に影響しないかということは検討が必要だろうというところで判断しております。

○小川委員 私は、中長期的な予後には影響しないと思うのですけれども、この数時間の投与がいかにショートアクティングであっても、そのときに心不全を増悪させて、悪循環で数時間後に亡くなるということが、この薬剤と因果関係なしという結論は、診療現場では納得できないのです。ですから市販後調査の中で本当に非代償性の心不全、かなり心機能の悪い人に使われて、死亡例が次々に出てきたときはどうするのかというのが、私は非常に不安に思っています。

○機構 その点については、今回の審査の中でも大きな議論点になったところです。もともと既承認の効能・効果では、うっ血性心不全は禁忌とされております。今回の対象でも、やはり心不全が悪化するおそれがあるというところで、禁忌にすべきではないかという考えが当初からありました。ただ、現場の先生方にしてみますと、実際に本剤で特に恩恵があるというか、今回、短期的な作用として特に使いたいというか、心不全が重くなっても使えるところが欲しいという御意見もありました。そこを禁忌としてしまうと、使えなくなってしまうということで、本剤を臨床現場に出す意義がどこまであるのかという議論がなされました。その中で、まずは施設を限定して、使える先生方も限定して使用した上で、さらに非代償性心不全がある患者を慎重投与として注意喚起が必要だろうと。その点は、申請者にも十分注意をしており、そこを使う場合には十分注意が必要だというところをかなり説明しておりますし、情報資材や今後の情報提供でもするようにという指導はしております。

○小川委員 伺ったのは、かなりリスクが高くて、心不全という病態が分からない医師が、特に頻脈性の不整脈が起こったときにこれを使って治そうとして、更に悪化して亡くなってしまうということをどのように制限するのか。その医師の能力までメーカーが審査して、「あなたは使っては駄目ですよ、あなたはいいですよ」ということは現場ではあり得ないわけです。心不全の治療に ベータ ブロッカーが必要なことはよく分かっていて、そういうことをしている先生にとっては、重篤だからこそ、これを使いたいという御意見はよく分かるけれども、そうでない現場の先生方もたくさんいて、そういう先生方が使ってしまうこともあるわけです。そういうケースは電気的な除細動をすればいいわけですし、適応にはなっていませんが、今はアンカロンの静注薬もあります。幾らでも代替療法がある中で、これを重症な心不全の人に使っていい薬として出すのは、少し問題があるかと思います。もちろん非常に有用な薬で、心不全でなければ本当に使えて、それで既に承認になっているわけですが、専門家として私は、そこをすごく気にしています。当然、そういう議論があった上でのことだと思いますが。

○機構 先生から御意見を頂いた点も、添付文書にて注意喚起しております。資料1.8の一番後ろから5枚目ぐらいから、添付文書()が始まっております。一番上に「注射用オノアクト50」と書いてあり、そこの「効能・効果に関連する使用上の注意」というのが、右上に枠内で囲っております。今回、既承認のものと注意喚起をする内容がかなり異なりますので、まずは共通の注意喚起と、既承認の手術時・手術後に適応する場合の注意喚起、今回の本申請に伴う心機能低下例に使う場合の注意喚起に分けて記載いたしました。その上で「心機能低下例における頻脈性不整脈」という所で、どういうときに使うのかを明確に注意喚起しております。こちらにICUやCCUといった施設的なところと、治療経験が十分にある医師という使う側の指定をしたとともに、その後に「心電図モニターを用い、心拍数の監視、血圧測定を行うこと」という、こういう条件で使ってくださいという書き方をしておりますので、これ以外では使わないでほしいというところを書いております。

○松井部会長 今の事務局側の説明からすると、使用する側をかなり限定するということですね。それは先生の先ほどの御質問の趣旨と合致すると考えてよろしいですか。

○小川委員 限定されて、医師が言うことを聞いて使ってくれればいいのですけれども、自分には資格があると思って使う医師はたくさんいると思うのです。それから、添付文書では「心機能低下例」と書いてあります。いろいろ議論されたと思うのですけれども、心機能は低下していても、代償されている例と代償されていない例がありますから、そこを分けないと、心機能低下例だけなら使っていい症例はたくさんあるのですけれども、要するに非代償性の心不全を起こすような心機能低下例には、本当に厳重に注意しなければいけないというように記載しないといけないと思います。逆に心機能低下例というと、ものすごく対象が広がって、本来使える人もこれで制限してしまう結果になるのです。先ほどの説明文書の中にあった、非代償性の心不全の症例に関してはこういうところでやってくださいということにしないといけないと思います。

○松井部会長 先生の今の御趣旨は、添付文書の「心機能低下例における頻脈性不整脈」に書かれてあるように思いますが。

○機構 そうです。あと、2ページの右下で今回、「慎重投与」として新たに設けて、非代償性の心不全の患者というのを明記し、更に今回は慎重に投与してほしいというメッセージをここで記載して、注意喚起をすることにしております。

○松井部会長 小川先生、いかがでしょうか。

○小川委員 お祈りするだけです。専門家が議論した上で、本当に適応を広げたいという思いがあるのだと思うのですけれども、メーカーが本当に真剣に使用の制限をしていかないと、現場では死亡例が出ると思います。

○機構 これまでも審査の中で度々、申請者と議論してきたのですけれども、本日の部会での御意見も踏まえて、改めて申請者に、先生が御懸念されるようなことが起きないようにというか、安易に使われないようにということを伝えて、堅く注意をしていきたいと思います。

○小川委員 専門家が議論された結果がこうなので、それでも心配している人がいたぐらいにしていいのではないかと思います。

○機構 御意見、ありがとうございました。

○松井部会長 ほかにございますか。

○佐藤()委員 私も今の問題を質問しようと思ったのですが、それとは別に、添付文書の3ページの「心機能低下例における頻脈性不整脈」に()があります。専門の人が使うからそういうことはないのでしょうが、こういう言葉で書かれているという意味合いが分からないのです。「患者の状態を十分観察し、治療の必要がなくなった場合は、漫然と継続投与しないこと」と書いてあります。実際にそういうことがありそうなので書かれたのでしょうけれども、どういう意味なのでしょうか。

○機構 機構よりお答えします。()で「漫然と」と書いたのですけれども、もともと国内臨床試験の本薬の投与期間が最低2時間、最大でも72時間までとされておりました。基本的には、短期的に心拍数をコントロールするという目的で投与する薬ですので、その後も必要ということであれば、例えば経口の ベータ 遮断薬に切り替えるという形があると思います。本薬を続けていってほしいというわけではないので、こういう記載をしています。

○佐藤()委員 せっかくなので時間数なりを入れられてはいかがでしょうか。

○機構 機構よりお答えします。国内臨床試験の投与については、添付文書6ページに記載はあるのですけれども、投与時間まで特に明確な規定は書いておりませんので、先生の御指摘も踏まえて、添付文書に記載するのか、ほかの情報資材等で提供するかというのも含めて、今回は投与量が既承認のものと異なり、そこは情報資材を作成するように申し伝えておりますので、どういった形で情報提供できるか、また改めて検討して対応させていただきたいと思います。

○松井部会長 小川先生、時間の記載についてはどうですか。アドバイスをしていただけますか。

○小川委員 時間はなかなか難しいと思うのです。一旦、除脈効果が得られてその後減量すると、また頻脈になってしまう方がいますので、状況に応じてかなり長期的な持続投与が行われるのですが、時間を書くのは難しいと思います。ただ、その間の心不全兆候の悪化については、今の所の1番にも書いてありますけれども、特に持続投与をする場合は心不全兆候の悪化に注意すべきだということを繰り返し、1番だけではなくて、2番にも書いた方がいいような気がします。

○松井部会長 大いに参考にしていただきたいと思います。

○機構 ありがとうございます。御指摘を踏まえて、検討させていただきたいと思います。

○松井部会長 ほかにございますか。

○加藤委員 今回の適応拡大は決定的に用量が違う、投与法が違うということですけれども、添付文書を読んだときに、それを読み解くのが非常に難しいのです。特に現場では不慣れなドクターもいるかもしれませんし、慣れたドクターでも、これを慌てて見たときに、結局どうやって使ったらいいのかが分かりにくい。その一つの理由は、いろいろな所に分散して情報が書かれているというのがあると思うのです。例えば添付文書2ページの上の方の隅に「1~10μg/kg/minの用量で適宜調節する」という表現があります。しかし、その下の用法・用量に関連する使用上の注意を見ていくと、「臨床試験では、原則1μg/kg/minで増減することとされた」とあります。この意味が文章から見て、まずよく分からない。ほかの使い方として、オノアクトはかなり使われていて、現場でもかなり使われているのですけれども、完全に新しい使われ方なので、一体これをどうやって溶かすと1μg/kg/minになるかを一生懸命探すと、2ページの右側の段で、表がたくさん並んでいる所の下を見ると、「本剤50mg50mLに溶解した場合」というのがあります。この用量を達成するには、心機能低下例における頻脈性不整脈ということでこの濃度にして、適宜調整の方は、30kg体重の場合1.818.0mL/時で設定しろというのを見て調整して、今度は3ページに行って、重要な基本的注意を全部読んでいくと、やっと一番下にある。これが先ほど佐藤委員から御指摘があって、よく分からないのですけれども、「10μg/kg/minの速度まで増量しても目標とする心拍数の低下が得られない場合は、本剤投与を中止」と、いろいろな所に情報がばらばらに書いてあって、新しい適応で使う場合に、どのように使うのが望ましくて、どういうことに注意すればいいかという情報を、もう少し集約した書き方ができないかと感じます。

○機構 機構よりお答えします。先生から御指摘いただいた点については、こちらでも検討しております。ただ添付文書ですと、今までの効能があっての今回の効能ということもあって、できるだけ分かりやすいようにということで、注意喚起は共通のものと、既承認のものと、今回のものというように分けるようにはさせていただいたのです。しかし、やはり場所によってはどうしても飛んでしまいますので、それとは別に、新たにどういう用量で投与すればいいのかという、添付文書2ページの表に示したようなものについても、別途情報資材を作成して、現場の先生方に確認いただきやすい形での資材を作成しております。そういったものも活用して、今回のもので注意喚起がうまくできるような形を検討しております。

○加藤委員 確かに事情としては、後から適応拡大をしたので、付け加えたというのはよく分かるのですけれども、付け加えたのがよく分かる添付文書が、読んで分かりやすいものかというと、それはそうではないと思います。確かに付け加えたのだろうけれども、分かりやすいというところを考え直すことは絶対重要だと思います。御検討ください。

○機構 御意見を頂きましたので、こちらでも検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。

○神田委員 文章の読み取り方が分からないのです。8ページの死亡例が1例認められたというところで御説明がありましたね。

○機構 審査報告書ですね。

○神田委員 添付文書ではなくて審査報告書です。その8ページに死亡例が1例あって、結果的にそこの文章では、治験薬との因果関係は否定されたという御説明がありましたね。否定されたのは、投与終了から大分時間がたっているので否定したという御説明だったと思うのです。しかしその後の予後との関係では、今後悪影響を及ぼさないかどうかを情報収集するという御説明だったと思うのです。そういった中で私がこれを読むと、否定されたというと、因果関係がないというように受けとめてしまったのです。しかし正確に言うと、因果関係は否定されたけれども、因果関係がないということではなく、今後情報を集めていきますというように受けとめるのでしょうか。否定されたということは、因果関係はないと受けとめる文章にはならないのでしょうか。否定されてはいないわけですね。

○機構 機構よりお答えします。この試験の中でこの症例については、責任医師の判断によって因果関係が否定されたという結論がありますので、一応否定された結論として出ております。この臨床試験は、100例ずつ程度で行われておりますけれども、今後、実際に臨床現場に出たときに、先ほどから議論されておりますように、より心不全の状態が悪い患者に使われた場合に、その後の長期的な予後にも影響しないかというところについては、まだ分からない状況です。その点は製造販売後調査で確認していくべきだというところで、中長期的な予後を製造販売後調査の調査項目という形で調査してほしいということをお願いしているところです。

○神田委員 そうすると、この亡くなった患者については中長期的な予後を観察するまでもなく、因果関係がなかったというように結論して良かったと判断できたと受けとめてよろしいのですね。

○小川委員 今の症例のことですが、もし主治医が因果関係なしという判断をしたとしても、これだけ審議事項の中に載っているわけですよね。しかも、うっ血性心不全の人には十分注意しなければいけないと書いてある。そうであれば、因果関係は否定されたけれども、こういう事例があったということを添付文書に載せられないですか。どうしても関係ないとは言い切れないですよね。特に新たに適応が拡大されたということで、添付文書が加わるわけですから。例えば先ほどの話で、投与量を全然少なくしなければいけないことが、必ずしも明記されていないというか、理解しやすいようには書かれていないですし、臨床試験中にそういうことがあったということは、否定されたというのはどうでしょう。これを読むだけでは臨床結果からいっても、とても否定し切れないと思います。

○機構 機構よりお答えします。先ほどのうっ血性心不全について、こちらとしてはデータとして直接患者を確認しているわけではないのですけれども、機構としては本当に否定できるのかという立場でしたので、このようなところで問題視して、審査の中でも考えていたわけです。添付文書の中で死亡したという部分を明記することは、なかなか難しいところがありました。添付文書の中では、例えば副作用の所で心不全が悪化するとか、できる限りの情報を添付文書の記載でできる範囲でいたしました。先ほどから申し上げているとおり、使用上の注意などでどういう形で使用していくかというところを、まずは規定してやっていくというのを、できる限り丁寧に記載したつもりです。

○機構 補足します。添付文書は副作用ベースで書いておりますので、今の症例がいわゆる有害事象であっても、治験を担当する医師に因果関係が否定されておりますので副作用という扱いではない。これをどこまで疑ってかかるかということについては、審査報告書にも書いてありますように、そういう判断が本当にできるのかという話はしても、その医師は間違っているのではないかというような、試験の質に関わるところまでは、提出されたものを調査した上で一応信用して審査できるという状況ですので、これ以上疑うことはなかなかできないです。先生もおっしゃるように、この試験自体は国内の雑誌ではパブリッシュされておりますし、こういったものを使われる先生方にどういった試験だったのかというのは、一応把握できる状況です。もちろん、行く行くは審査報告も資料も公開されます。そういったものをゼロから見ていただくことはできませんが、どういった情報が世の中にあるのか、どのようにアクセスできるのか、かいつまんだ内容はどうなのかというのは、きちんと申請者に正確に情報提供をしていただいて、現場の先生方に把握していただく。その中で、実際に因果関係は否定されているとはいえ、本薬群で死亡例が出ているということは事実としては情報提供されますから、そういった中で御判断いただく。使われる先生というのは、相当専門家の先生方を想定しておりますので、1例出た死亡をどのように評価して使っていただくかということも含めて、ある意味、現場の判断によるところかと思っております。

○小川委員 機構の苦しいお立場はよく理解します。余談になりますけれども、ベプリコールという心房細動を治療する薬の日本でやった治験で、50例ずつ3群に分けたのですが、高用量の方で1例突然死があったのです。添付文書に記載されているかどうかは分かりませんけれども、因果関係を証明するのは本当に難しいですが、当然予想される有害事象が起こったときは、そういうものはきちんと記載しておくと、どちらかというと、主治医が「関係ないから」と言ったから、それでいいのだろうというのではなくて、可能性のあるものはそこに取り込んで、注意喚起をすることが必要です。添付文書がどうかというのはいいのですが、その後の資材には、きちんとこの症例を明記してもらうように指導していただきたいと思います。

○機構 先生のおっしゃるとおり、この薬については心不全が心配されることは間違いありませんので、添付文書の至る所に、心不全に関する心配事は書いておりますし、我々もできる限りやったつもりです。今日の御指摘も踏まえて、心不全に関するものが十分であるかということについては、もう1回検討させていただきます。有害事象の情報については、先ほどお約束いたしましたように、そういう症例があったことは、現場に何らかの情報提供をしたいと思います。ありがとうございました。

○松井部会長 併せて議事録に、この死亡例に関して委員の懸念が表明されたということを残していただけないでしょうか。よろしいですか。

 ほかに御質疑がなければ、議決に入ります。この場合は、小川委員と野田委員と林委員に議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。この件について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 では、議題5に移ってください。

○事務局 審議事項議題5、資料5「プロプラノロール塩酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、機構からの評価報告書に沿って事務局より御説明いたします。

 「評価報告書」のタブをお開きください。申請者はマルホ株式会社。予定される効能・効果は「乳児血管腫」です。希少疾病用医薬品の指定要件である対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点について、順に御説明いたします。

 まず「対象患者数」についてです。乳児血管腫は一般的に出生時若しくは生後間もなく発症し、1年以内に急速に増大することから、本剤の治療対象は増殖期にある1歳未満の乳児と考えられます。日本人における発症率は約0.81.7%と報告されており、本邦における1歳未満の人口は約104万人であることから、対象患者数は約8,30017,700人と推計されます。また、自然消退により、積極的な治療が必要ない場合も多いため、本剤による治療が必要な患者はさらに限られることから、患者数が5万人未満という希少疾病用医薬品の指定基準を満たしているものと考えております。

 「医療上の必要性」については、2ページです。乳児血管腫は、病変の大きさや発生部位によっては、重要臓器及び感覚器官に影響を及ぼすとともに、顔面に生じる病変は、退縮後も永続的な外貌障害を引き起こすおそれがあります。現在、本邦において乳児血管腫を適応として承認されている医薬品はなく、副腎皮質ステロイド等の薬物療法や、レーザー療法等が試みられてはおりますが、有効性は限られており、安全性の問題等にも課題が残されていることから、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に「開発の可能性」については3ページ中段です。国際共同第II/III相試験において、本剤の有効性と安全性が確認され、当該試験成績をもって欧米では承認申請がなされており、国内においても第III相一般臨床試験の実施が計画されていることから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。

 以上から、本剤を希少疾病用医薬品の指定要件を満たすものと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 御質疑をお願いします。いかがでしょうか。

 特に御質疑がないようでしたら、議決に入ります。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、報告事項に移ってください。

○事務局 報告事項議題1、資料6「医薬品パキシル錠5mg、同錠10mg、同錠20mgの製造販売承認事項一部変更承認について」、御報告いたします。

 本剤は、パロキセチン塩酸塩水和物を有効成分とする選択的セロトニン再取込み阻害剤であり、現在、「鬱病、鬱状態」、「パニック障害」、「強迫性障害」、「社会不安障害」の効能・効果で承認されております。今般、グラクソ・スミスクライン株式会社から、「外傷後ストレス障害」に関する効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、外傷後ストレス障害に対して本剤を使用することの有用性は、医学薬学上公知に該当すると判断し、申請された効能・効果を承認して差し支えないと判断しました。

 続いて報告事項議題2、資料7「医薬品アナフラニール錠10mg及び同錠25mgの製造販売承認事項一部変更承認について」、御報告いたします。

 本剤は、クロミプラミン塩酸塩を有効成分とする三環系抗うつ薬で、現在、「精神科領域におけるうつ病・うつ状態」、「遺尿症」の効能・効果で承認されております。本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成25年4月26日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、アルフレッサ ファーマ株式会社から「ナルコレプシーに伴う情動脱力発作」に関する効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、申請された効能・効果を承認して差し支えないと判断いたしました。以上です。

○松井部会長 ありがとうございます。ただ今の報告事項について、御質問、御意見はありませんか。

○本橋委員 パキシル錠のことでお尋ねしたいと思います。これは徐放剤が出てきていますけれども、この適応について徐放剤は使えないと考えてよろしいですね。

○機構 機構よりお答えします。これまでに国内の教科書や国際的なガイドライン等で示されている試験成績は、多くが徐放剤ではなく普通錠の試験成績ですので、今回の効能追加に関しては、パキシル普通錠のみが適切であると考えております。

○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。

 よろしければ、この報告事項については先生方の御確認を頂いたものといたします。それでは、その他の事項について、説明をお願いします。

○事務局 資料8に基づき、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について」、御説明いたします。

 資料8の1ページを御覧ください。パミドロン酸二ナトリウム水和物について、骨形成不全症協会及び日本小児内分泌学会より、「骨形成不全症の骨折予防」の効能・効果の追加に係る要望が提出されております。

 医療上の必要性及び海外の承認状況については、2~7ページに記載しております。骨形成不全症は、多発骨折及び高度の骨変形による歩行不能などを来し、成人後も車椅子や介護が必要となる場合があるなど、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患です。

 要望されている効能・効果について、承認されている国はありませんが、5、6ページ及び16ページに記載したように、海外のガイドライン等において、骨形成不全症に対して、当該要望内容と同様の用法・用量が使用されております。また、7~18ページに記載したように、海外臨床試験及び国内外の公表文献等により、要望された効能・効果及び用法・用量に関する臨床上の有用性も示されていることから、平成24年7月に開催された検討会議において、本剤の医療上の必要性が高いと判断されております。

 公知申請の妥当性については、1821ページに記載したように、本要望内容は海外臨床試験及び国内外の公表文献等から一定の有効性が示されており、安全性についても適切な管理の下で使用される限り、許容可能と考えられます。また、骨形成不全症を効能・効果として承認されている医薬品がない状況下で、本邦の診療ガイドライン等において、本要望と同一の用法・用量による本剤の投与が推奨されており、実際に医療現場においても使用されている実態があることから、本要望内容については、本年10月の検討会議において、公知申請をすることに大きな問題はないと判断されております。

 以上、骨密度の増加及び骨折頻度の減少傾向が認められていることから、効能・効果については20ページに記載したように、「骨形成不全症」とすることが適切とされております。また、使用上の注意として投与対象については、診療ガイドライン等の最新の情報を参照する旨の注意喚起をすることとされております。用法・用量は20ページ下段から記載したように、本邦の診療ガイドラインや国内外の報告等と同様であることから、本要望の投与量及び投与間隔とすることが適切とされております。

 なお、12ページの国内における報告の4)に修正がありました。修正箇所は、資料8の追加資料の記載のとおりです。修正前は「安全性に関する記載はなかった」とありますが、修正後は「安全性について、初回投与時発熱が数例認められた」とされております。この修正により安全性への影響が大きくないことは、専門家の先生に確認し、御了承を頂いております。また、検討会議の座長にも御了解を頂いています。ただ、当該修正は平成2510月の検討会議後に発生したものですので、検討会議の先生には次回報告する予定です。以上、要望内容に関しては検討の結果、申し上げた効能・効果及び用法・用量について、本邦において公知申請を行うことが適当と判断されております。よろしくお願いいたします。

○松井部会長 最後の参考資料はよろしいのでしょうか。御説明の必要はないのですか。

○事務局 こちらは通常のスキームですので。

○松井部会長 飽くまでも参考ということですね。ただ今の御説明について、御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。

 それでは、本議題については御確認を頂いたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から御説明はありますか。

○事務局 次回の部会は1129()午後3時から開催の予定ですので、よろしくお願いします。

○松井部会長 本日はこれにて閉会といたします。どうも御苦労様でした。


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 益山(内線2746)

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